以下、本発明に係る第1の実施の形態を図1乃至図7に沿って説明する。
[自動変速機の概略構成]
まず、本発明を適用し得る自動変速機3の概略構成について図2に沿って説明する。図1に示すように、例えばFFタイプ(フロントエンジン、フロントドライブ)の車輌に用いて好適な自動変速機3は、エンジン(不図示)に接続し得る自動変速機の入力軸8を有しており、該入力軸8の軸方向を中心としてトルクコンバータ4と、自動変速機構5とを備えている。
上記トルクコンバータ4は、自動変速機3の入力軸8に接続されたポンプインペラ4aと、作動流体を介して該ポンプインペラ4aの回転が伝達されるタービンランナ4bとを有しており、該タービンランナ4bは、上記入力軸8と同軸上に配設された上記自動変速機構5の入力軸10に接続されている。また、該トルクコンバータ4には、ロックアップクラッチ7が備えられており、該ロックアップクラッチ7が係合されると、上記自動変速機3の入力軸8の回転が自動変速機構5の入力軸10に直接伝達される。
上記自動変速機構5には、入力軸10上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。上記プラネタリギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している、いわゆるシングルピニオンプラネタリギヤである。
また、該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2、及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンPLと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、ミッションケース9に一体的に固定されているボス部に接続されて回転が固定されている。また、上記リングギヤR1は、上記入力軸10の回転と同回転(以下「入力回転」という。)になっている。更に上記キャリヤCR1は、該固定されたサンギヤS1と該入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、クラッチC−1(第1摩擦係合要素)及びクラッチC−3(第3摩擦係合要素)に接続されている。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、バンドブレーキからなるブレーキB−1に接続されてミッションケース9に対して固定自在となっていると共に、上記クラッチC−3に接続され、該クラッチC−3を介して上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS3は、クラッチC−1に接続されており、上記キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCR2は、入力軸10の回転が入力されるクラッチC−2(第2摩擦係合要素)に接続され、該クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−1及びブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してミッションケース9に対して一方向の回転が規制されると共に、該ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR2は、カウンタギヤ11に接続されており、該カウンタギヤ11は、不図示のカウンタシャフト、ディファレンシャル装置を介して駆動車輪に接続されている。
[自動変速機における各変速段の動作]
つづいて、上記構成に基づき、自動変速機構5の作用について図2及び図3に沿って説明する。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1ST)では、図3に示すように、クラッチC−1及びワンウェイクラッチF−1が係合される。すると、図2に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、キャリヤCR2の回転が一方向(正転回転方向)に規制されて、つまりキャリヤCR2の逆転回転が防止されて固定された状態になる。すると、サンギヤS3に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前進1速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、エンジンブレーキ時(コースト時)には、ブレーキB−2を係止してキャリヤCR2を固定し、該キャリヤCR2の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR2の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。
前進2速段(2ND)では、図3に示すように、クラッチC−1が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図2に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、キャリヤCR2がサンギヤS3よりも低回転の減速回転となり、該サンギヤS3に入力された減速回転が該キャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、前進2速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進3速段(3RD)では、図3に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−3が係合される。すると、図2に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−3の係合によりキャリヤCR1の減速回転がサンギヤS2に入力される。つまり、サンギヤS2及びサンギヤS3にキャリヤCR1の減速回転が入力されるため、プラネタリギヤユニットPUが減速回転の直結状態となり、そのまま減速回転がリングギヤR2に出力され、前進3速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進4速段(4TH)では、図3に示すように、クラッチC−1及びクラッチC−2が係合される。すると、図2に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−1を介してサンギヤS3に入力される。また、クラッチC−2に係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS3に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、上記前進3速段より高い減速回転となってリングギヤR2に出力され、前進4速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進5速段(5TH)では、図3に示すように、クラッチC−2及びクラッチC−3が係合される。すると、図2に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。すると、該サンギヤS2に入力された減速回転とキャリヤCR2に入力された入力回転とにより、入力回転より僅かに高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進5速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
前進6速段(6TH)では、図3に示すように、クラッチC−2が係合され、ブレーキB−1が係止される。すると、図2に示すように、クラッチC−2の係合によりキャリヤCR2に入力回転が入力される。また、ブレーキB−1の係止によりサンギヤS2の回転が固定される。すると、固定されたサンギヤS2によりキャリヤCR2の入力回転が上記前進5速段より高い増速回転となってリングギヤR2に出力され、前進6速段としての正転回転がカウンタギヤ11から出力される。
後進1速段(REV)では、図3に示すように、クラッチC−3が係合され、ブレーキB−2が係止される。すると、図2に示すように、固定されたサンギヤS1と入力回転であるリングギヤR1によって減速回転するキャリヤCR1の回転が、クラッチC−3を介してサンギヤS2に入力される。また、ブレーキB−2の係止によりキャリヤCR2の回転が固定される。すると、サンギヤS2に入力された減速回転が、固定されたキャリヤCR2を介してリングギヤR2に出力され、後進1速段としての逆転回転がカウンタギヤ11から出力される。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、クラッチC−1、クラッチC−2、及びクラッチC−3、が解放される。すると、キャリヤCR1とサンギヤS2及びサンギヤS3との間、即ちプラネタリギヤSPとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態となり、かつ、入力軸10とキャリヤCR2との間が切断状態となる。これにより、入力軸10とプラネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切断状態となり、つまり入力軸10とカウンタギヤ11との動力伝達が切断状態となる。
[自動変速機の制御装置の構成]
つづいて、本自動変速機の制御装置1について説明する。図1に示すように、本自動変速機の制御装置1は、リニアソレノイドバルブSLC1及びリニアソレノイドバルブSLC3の作動時にそれらの対応する油圧サーボ41,43の作動によるクラッチC−1,C−3の係合により低速側変速段(前進1速段〜前進3速段)の1つである前進3速段(所定変速段)を形成し、また、リニアソレノイドバルブSLC2及びリニアソレノイドバルブSLC3の作動時にそれらの対応する油圧サーボ42,43の作動によるクラッチC−2,C−3の係合により高速側変速段(前進4速段〜前進6速段)の1つである高速段(前進5速段)を形成するように構成される。本制御装置1は、制御部(ECU)70を有しており、該制御部70は、上述した油圧制御装置6の各リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1、ソレノイドバルブS1,S2等に接続されている。該制御部70には、不図示のアクセル開度センサ、入力軸回転数センサ、及び出力軸回転数(車速)センサ等からの信号が入力されると共に、エンジン2からのエンジン回転数信号及びエンジントルク信号が入力されている。なお、本実施の形態において、第1クラッチアプライリレーバルブ21、第2クラッチアプライリレーバルブ22及びソレノイドバルブS1は、ソレノイド・オールオフフェール時にクラッチC−1とクラッチC−3とを係合させて前進3速段(所定変速段)の形成を可能にするフェールセーフ機構を構成している。なお、本自動変速機の制御装置1に備えられ、第1、第2及び第3摩擦係合要素を成す上記クラッチC−1、C−2及びC−3は、正常時に同時に係合することはない。
上記制御部70は、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1等を用いた通常の変速制御を行い、後述のエマージェンシー制御手段78によりソレノイド・オールオフフェール制御を行い、電圧検出センサ(低電圧状態検出部)77、低電圧故障確定制御手段71、エマージェンシー制御手段(フェールセーフ制御手段)78、及び変速判定手段74を備えている。そして、低電圧故障確定制御手段71は、同時係合回避制御手段72、復帰制御手段73、及び低電圧フェール検出カウンタ76を有している。なお、本実施の形態でいう「同時係合」とは、「係合すべきでない摩擦係合要素(例えばクラッチ)の係合」、「意図しない摩擦係合要素(例えばクラッチ)の係合」を意味している。
上記電圧検出センサ77は、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1、ソレノイドバルブS1,S2に電源供給を行うバッテリ75の電圧をチェックしてその低電圧状態を検出し、その検出結果の信号を低電圧故障確定制御手段71に送る。なお、上記バッテリ75は、本自動変速機の制御装置1やエンジン2等を搭載した車輌に配置されている。
上記低電圧故障確定制御手段71は、電圧検出センサ77により上記低電圧状態が検出されて該低電圧状態が所定時間(例えば20秒間)継続した場合に、低電圧故障が発生したことを確定判定する。
上記エマージェンシー制御手段78は、ソレノイド・オールオフフェール制御を行い、また、低電圧故障確定制御手段71によって低電圧故障の発生が確定された際に、上記第1クラッチアプライリレーバルブ21、第2クラッチアプライリレーバルブ22及びソレノイドバルブS1からなるフェールセーフ機構を制御することにより、前進3速段(所定変速段)を形成する制御をソレノイド・オールオフフェールとして引き続き行うフェールセーフ制御手段を構成している。
上記変速判定手段74は、アクセル開度センサ(図示せず)により検出されるアクセル開度と、出力軸回転数センサ(図示せず)により検出される車速とに基づき変速マップ(図示せず)を参照しつつ、前進1速段〜前進6速段を判定する。即ち、変速マップには、アクセル開度と車速とに対応したアップシフト変速線及びダウンシフト変速線(変速点)が記録されており、その時点のアクセル開度及び車速がそれら変速線を越えると、変速判定手段74が変速を判断する。そして、該変速判定手段74が判定した変速段(現在の変速段)は、低電圧故障確定制御手段71及びエマージェンシー制御手段78等に信号として伝えられる。
上記同時係合回避制御手段72は、低電圧故障確定制御手段71による制御中に、前進3速段(所定変速段)に変速すると共に、第1クラッチアプライリレーバルブ21、第2クラッチアプライリレーバルブ22及びソレノイドバルブS1からなるフェールセーフ機構を制御することによって、低電圧故障発生が確定判定されるまでの低電圧状態の継続中におけるクラッチC−1,C−2,C−3の同時係合を回避させる。即ち、同時係合回避制御手段72は、前進3速段に変速した後、制御圧(第1作動油圧)PSLC1を供給され続ける第2クラッチアプライリレーバルブ22を、ソレノイドバルブS1を非通電状態に切換えることにより、制御圧PSLC1に代えて第1予備油圧PDC1を油圧サーボ41に供給する故障時位置(図4の右半位置)に切換え可能な状態に待機させてから、リニアソレノイドバルブSLC1を非通電状態に切換えて制御圧PSLC1の供給を遮断することで、油圧サーボ42への第2作動油圧PSLC2の油路(供給油路)c2を遮断し、かつ第1予備油圧PDC1を油圧サーボ41に入力してクラッチC−1の係合を継続し、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧作動で油圧サーボ43に制御圧(第3作動油圧)PSLC3を入力されるクラッチC−3の係合とによって前進3速段に固定するように制御する。
上記復帰制御手段73は、同時係合回避制御手段72によって上記フェールセーフ機構(21,22,S1)を用いて前進3速段に固定された後、バッテリ75の電圧が所定電圧を一定時間継続した旨の正常判定条件が成立したと判断された際に、リニアソレノイドバルブSLC1を通電状態に切換え、さらにソレノイドバルブS1を通電状態に切換えた後、前進3速段(所定変速段)以外の変速段にも変速し得る通常制御に移行させる復帰制御を行う。上記正常判定条件は、一定電圧(例えば10[V])が一定時間(例えば1秒間)継続したことを検出した場合に、正常状態に戻ったと判定するための条件である。
上記低電圧フェール検出カウンタ76は、バッテリ75の電圧Voが一定電圧α(例えば9[V])未満であるか否か(Vo<α[V])を所定時間(例えば数秒)ごとにサンプリングが行われたとき、Vo<α[V]の状態が一定期間(例えば1秒間)連続で検出された際に+1インクリメントしてカウントする。
[油圧制御装置の概略構成]
つづいて、油圧制御装置6について説明する。まず、油圧制御装置6における図示を省略した、ライン圧、セカンダリ圧、モジュレータ圧、レンジ圧等の生成部分について、大まかに説明する。なお、これらライン圧、セカンダリ圧、モジュレータ圧、レンジ圧の生成部分は、一般的な自動変速機の油圧制御装置と同様なものであり、周知のものであるので、簡単に説明する。
本油圧制御装置6は、例えば図示を省略したオイルポンプ、マニュアルシフトバルブ、プライマリレギュレータバルブ、セカンダリレギュレータバルブ、ソレノイドモジュレータバルブ及びリニアソレノイドバルブSLT等を備えており、例えばエンジンが始動されると、上記トルクコンバータ4のポンプインペラ4aに回転駆動連結されたオイルポンプがエンジンの回転に連動して駆動されることにより、不図示のオイルパンからストレーナを介してオイルを吸上げる形で油圧を発生させる。
上記オイルポンプにより発生された油圧は、スロットル開度に応じて調圧出力されるリニアソレノイドバルブSLTの信号圧PSLTに基づき、プライマリレギュレータバルブによって排出調整されつつライン圧PLに調圧される。このライン圧PLは、マニュアルシフトバルブ(レンジ切換えバルブ)、ソレノイドモジュレータバルブ、及び詳しくは後述するリニアソレノイドバルブSLC3等に供給される。このうちのソレノイドモジュレータバルブに供給されたライン圧PLは、該バルブによって略々一定圧となるモジュレータ圧PMODに調圧され、このモジュレータ圧PMODは、上記リニアソレノイドバルブSLTや、詳しくは後述するソレノイドバルブS1,S2等の元圧として供給される。
なお、上記プライマリレギュレータバルブから排出された圧は、例えばセカンダリレギュレータバルブにより更に排出調整されつつセカンダリ圧PSECに調圧され、このセカンダリ圧PSECが、例えば潤滑油路やオイルクーラ等に供給されると共にトルクコンバータ4にも供給され、かつロックアップクラッチ7の制御にも用いられる。
一方、マニュアルシフトバルブ(不図示)は、運転席(不図示)に設けられたシフトレバーに機械的(或いは電気的)に駆動されるスプールを有しており、該スプールの位置がシフトレバーにより選択されたシフトレンジ(例えばP,R,N,D)に応じて切換えられることにより、上記入力されたライン圧PLの出力状態や非出力状態(ドレーン)を設定する。
詳細には、シフトレバーの操作に基づきDレンジにされると、該スプールの位置に基づき上記ライン圧PLが入力される入力ポートと前進レンジ圧出力ポートとが連通し、該前進レンジ圧出力ポートよりライン圧PLが前進レンジ圧(Dレンジ圧)PDとして出力される。シフトレバーの操作に基づきR(リバース)レンジにされると、該スプールの位置に基づき上記入力ポートと後進レンジ圧出力ポートとが連通し、該後進レンジ圧出力ポートよりライン圧PLが後進レンジ圧(Rレンジ圧)PREVとして出力される。また、シフトレバーの操作に基づきPレンジ及びNレンジにされた際は、上記入力ポートと前進レンジ圧出力ポート及び後進レンジ圧出力ポートとの間がスプールによって遮断されると共に、それら前進レンジ圧出力ポート及び後進レンジ圧出力ポートがドレーンポートに連通され、つまりDレンジ圧PD及びRレンジ圧PREVがドレーン(排出)された非出力状態となる。
[油圧制御装置における変速制御部分の詳細な構成]
ついで、本発明に係る油圧制御装置6における主に変速制御を行う部分について図4に沿って説明する。なお、本実施の形態においては、スプール位置を説明するため、図4中に示す右半分の位置を「右半位置」、左半分の位置を「左半位置」という。
本油圧制御装置6は、上述のクラッチC−1の油圧サーボ41、クラッチC−2の油圧サーボ42、クラッチC−3の油圧サーボ43、ブレーキB−1の油圧サーボ44、ブレーキB−2の油圧サーボ45の、計5つの油圧サーボのそれぞれに係合圧として調圧した出力圧を直接的に供給するための4本のリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1を備えており、また、リンプホーム機能を達成すると共に、リニアソレノイドバルブSLC2の出力圧をクラッチC−2の油圧サーボ42又はブレーキB−2の油圧サーボ45に切換える部分として、ソレノイドバルブS1、ソレノイドバルブS2、第1クラッチアプライリレーバルブ21、第2クラッチアプライリレーバルブ22、C−2リレーバルブ23、B−2リレーバルブ24等を備えて構成されている。
図4に示す油路a1、油路a4、油路a5には、上述したマニュアルシフトバルブの前進レンジ圧出力ポート(不図示)が接続されて前進レンジ圧PDが入力し得るように構成されており、また、油路lには、該マニュアルシフトバルブの後進レンジ圧出力ポート(不図示)が接続されて後進レンジ圧PREVを入力し得るように構成されている。また、油路dには、プライマリレギュレータバルブ(不図示)からのライン圧PLが入力されており、さらに油路g1には、モジュレータバルブ(不図示)からのモジュレータ圧PMODが入力されて構成されている。
このうちの油路a1は、油路a2を介して詳しくは後述する第1クラッチアプライリレーバルブ21の入力ポート21eに接続されていると共に、チェックバルブ50とオリフィス60とが配設されている。また、該油路a1は、油路a3を介してアキュムレータ30に接続されていると共に、上記リニアソレノイドバルブSLC1に接続されている。該アキュムレータ30は、ケース30cと、該ケース30cの内部に配設されたピストン30bと、該ピストン30bを付勢するスプリング30sと、該ケース30c及びピストン30bの間に形成された油室30aとを有して構成されている。
上記リニアソレノイドバルブ(第1ソレノイドバルブ)SLC1は、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズ(N/C)タイプからなり、油路a1を介して上記前進レンジ圧PDを入力する入力ポートSLC1aと、該前進レンジ圧PDを調圧して油圧サーボ41に制御圧(第1作動油圧)PSLC1を係合圧PC1として出力する出力ポートSLC1bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC1は、非通電時に入力ポートSLC1aと出力ポートSLC1bとを遮断して非出力状態となり、制御部(ECU)70(図1参照)からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLC1aと出力ポートSLC1bとの連通する量(開口量)を該指令値に応じて大きくし、つまり指令値に応じた係合圧PC1を出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLC1の出力ポートSLC1bは、油路b1を介して後述の第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22cに接続されている。
一方、リニアソレノイドバルブ(第2ソレノイドバルブ)SLC2は、非通電時に出力状態となるノーマルオープン(N/O)タイプからなり、油路a4などを介して上記前進レンジ圧PDを入力する入力ポートSLC2aと、該前進レンジ圧PDを調圧して油圧サーボ42に制御圧(第2作動油圧)PSLC2を係合圧PC2(又は係合圧PB2)として出力する出力ポートSLC2bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC2は、非通電時に入力ポートSLC2aと出力ポートSLC2bとを連通した出力状態となり、制御部(ECU)70からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLC2aと出力ポートSLC2bとの連通する量を該指令値に応じて小さくし(即ち開口量を絞り)、つまり指令値に応じた係合圧PC2(又はPB2)を出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bは、油路c1を介して後述の第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fに接続されている。
リニアソレノイドバルブ(第3ソレノイドバルブ)SLC3は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプからなり、油路dなどを介して上記ライン圧PLを入力する入力ポートSLC3aと、該ライン圧PLを調圧して油圧サーボ43に制御圧(第3作動油圧)PSLC3を係合圧PC3として出力する出力ポートSLC3bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC3は、非通電時に入力ポートSLC3aと出力ポートSLC3bとを連通した出力状態となり、制御部(ECU)70からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLC3aと出力ポートSLC3bとの連通する量を該指令値に応じて小さくし(即ち開口量を絞り)、つまり指令値に応じた係合圧PC3を出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLC3の出力ポートSLC3bは、油路e1を介してクラッチC−3の油圧サーボ43に接続されている。また、該油路e1には、チェックバルブ53とオリフィス63とが配設されていると共に、油路e2を介してC−3ダンパ33の油室33aが接続されている。なお、該C−3ダンパ33は、上述したアキュムレータ30と同様の構成であって、一般的なダンパ装置であるので、その詳細説明は省略する。
リニアソレノイドバルブSLB1は、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路a5などを介して上記前進レンジ圧PDを入力する入力ポートSLB1aと、該前進レンジ圧PDを調圧して油圧サーボ44に制御圧PSLB1を係合圧PB1として出力する出力ポートSLB1bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLB1は、非通電時に入力ポートSLB1aと出力ポートSLB1bとを遮断して非出力状態となり、制御部(ECU)70からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLB1aと出力ポートSLB1bとの連通する量(開口量)を該指令値に応じて大きくし、つまり指令値に応じた係合圧PB1を出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLB1の出力ポートSLB1bは、油路f1を介してブレーキB−1の油圧サーボ44に接続されている。また、該油路f1には、チェックバルブ54とオリフィス64とが配設されていると共に、油路f2を介してB−1ダンパ34の油室34aが接続されている。
ソレノイドバルブ(第4ソレノイドバルブ)S1は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプからなり、油路g1,g2を介して上記モジュレータ圧PMODを入力する入力ポートS1aと、非通電時(即ちOFF時)に該モジュレータ圧PMODを略々そのまま信号圧(第4作動油圧)PS1として出力する出力ポートS1bとを有している。該出力ポートS1bは、油路h1,h2を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21aに接続されており、また、油路h1,h3を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の油室22aに接続されていると共に、油路h4を介してB−2リレーバルブ24の入力ポート24cに接続されている。
ソレノイドバルブS2は、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路g1,g3を介して上記モジュレータ圧PMODを入力する入力ポートS2aと、通電時(即ちON時)に該モジュレータ圧PMODを略々そのまま信号圧PS2として出力する出力ポートS2bとを有している。該出力ポートS2bは、油路iを介してB−2リレーバルブの油室24aに接続されている。
第1クラッチアプライリレーバルブ(予備変速段切換えバルブ)21は、2つのスプール21p,21qと、該スプール21pを図中上方に付勢するスプリング21sと、該スプール21p,21qを離間する方向に付勢するスプリング21tとを有していると共に、該スプール21qの図中上方に油室21aと、スプール21pの図中下方に油室21dと、両スプール21p,21qの間に油室21cと、スプール21qのランド部の径の差違(受圧面積の差違)により形成された油室21bとを有しており、さらに、入力ポート21eと、入力ポート21fと、入力ポート21gと、入力ポート21hと、出力ポート21iと、出力ポート21jと、ドレーンポートEXとを有して構成されている。
該第1クラッチアプライリレーバルブ21は、スプール21p,21qが左半位置(高速段側位置)にされた際に、入力ポート21eと出力ポート21jとが連通されると共に、入力ポート21eと出力ポート21iとが遮断され、右半位置(低速段側位置)にされた際には、入力ポート21eと出力ポート21iとが連通されると共に出力ポート21jとドレーンポートEXとが連通されるように構成されている。また、スプール21pが左半位置にされた際には、入力ポート21hが遮断され、スプール21qが右半位置にされた際には、入力ポート21gが遮断されるように構成されている。
上述のように油室21aは、油路h1,h2を介して上記ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されており、上記油室21bは、入力ポート21fより油路b4を介して後述する第2クラッチアプライリレーバルブ22の出力ポート22iに接続されている。上記入力ポート21eには、油路a1,a2を介して前進レンジ圧PDが入力されており、スプール21pが左半位置の際に該入力ポート21eに連通する出力ポート21jは、油路jを介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22hに接続されている。また、スプール21pが右半位置の際に該入力ポート21eに連通する出力ポート21iは、油路k1,k2を介して入力ポート21gと、油路k1,k2,k3を介して入力ポート21hとにそれぞれ接続され、つまり該出力ポート21iは、スプール21p,21qの位置に拘らず、油室21cに接続されている。さらに、該出力ポート21iは、油路k1を介して後述の第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22eに接続されている。そして、上記油室21dには、油路c5を介してC−2リレーバルブ23の出力ポート23cが接続されており、該油路c5には、チェックバルブ55とオリフィス65とが配設されている。
第2クラッチアプライリレーバルブ(油圧供給切換えバルブ)22は、スプール22pと、該スプール22pを図中上方に付勢するスプリング22sとを有していると共に、該スプール22pの図中上方に油室22aと、該スプール22pの図中下方に油室22bとを有しており、さらに、入力ポート22cと、出力ポート22dと、入力ポート22eと、入力ポート22fと、出力ポート22gと、入力ポート22hと、出力ポート22iとを有して構成されている。
該第2クラッチアプライリレーバルブ22は、スプール22pが左半位置(正常時位置)にされた際に、入力ポート22cと出力ポート22d及び出力ポート22iとが連通され、かつ入力ポート22fと出力ポート22gとが連通されると共に、入力ポート22eと入力ポート22hとがそれぞれ遮断され、右半位置(故障時位置)にされた際には、入力ポート22eと出力ポート22dとが連通され、かつ入力ポート22hと出力ポート22gとが連通されると共に、入力ポート22cと出力ポート22iと入力ポート22fとが遮断されるように構成されている。
上述のように油室22aは、油路h1,h3を介して上記ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されていると共に、油路h4を介して後述するB−2リレーバルブ24の入力ポート24cに接続されている。上記入力ポート22cは、油路b1を介して上記リニアソレノイドバルブSLC1の出力ポートSLC1bに接続されており、スプール22pが左半位置の際に該入力ポート22cに連通する出力ポート22dは、油路b2を介してクラッチC−1の油圧サーボ41に接続されている。該油路b2には、チェックバルブ51とオリフィス61とが配設されると共に、油路b3を介してC−1ダンパ31の油室31aが接続されている。また同様にスプール22pが左半位置の際に該入力ポート22cに連通する出力ポート22iは、油路b4を介して上記第1クラッチアプライリレーバルブ21の入力ポート21fに接続されると共に、油路b4,b5を介して油室22bに接続されている。一方、入力ポート22fは、油路c1を介して上記リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bに接続されており、また、入力ポート22hは、油路jを介して上記第1クラッチアプライリレーバルブ21の出力ポート21jに接続されている。スプール22pが左半位置の際に該入力ポート22fに連通し、かつスプール22pが右半位置の際に該入力ポート22hに連通する出力ポート22gは、油路(供給油路)c2を介して後述するC−2リレーバルブ23の入力ポート23bに接続されている。該油路c2には、チェックバルブ52とオリフィス62とが配設されていると共に、油路c4を介してC2−B2ダンパ32の油室32aが接続されている。
C−2リレーバルブ23は、スプール23pと、該スプール23pを図中上方に付勢するスプリング23sとを有していると共に、該スプール23pの図中上方に油室23aを有しており、さらに、入力ポート23bと、出力ポート23cと、出力ポート23dと、出力ポート23eと、ドレーンポートEXとを有して構成されている。
該C−2リレーバルブ23は、スプール23pが左半位置にされた際に、入力ポート23bと出力ポート23c及び出力ポート23eとが連通され、かつ出力ポート23dとドレーンポートEXとが連通され、右半位置にされた際には、入力ポート23bと出力ポート23dとが連通され、かつ出力ポート23c及び出力ポート23eとドレーンポートEXとが連通されるように構成されている。
上記油室23aは、油路h5を介して後述するB−2リレーバルブ24の出力ポート24bに接続されている。入力ポート23bは、油路c2を介して上記第2クラッチアプライリレーバルブ22の出力ポート22gに接続されており、該入力ポート23bにスプール23pが左半位置の際に連通する出力ポート23eが油路c3を介してクラッチC−2の油圧サーボ42に接続されている。また、同様に該入力ポート23bにスプール23pが左半位置の際に連通する出力ポート23cは、油路c5を介して上記第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに接続されており、また、該油路c5には、チェックバルブ55とオリフィス65とが配設されている。そして、該入力ポート23bにスプール23pが右半位置の際に連通する出力ポート23dは、油路mを介してB−2リレーバルブ24の入力ポート24eに接続されている。
B−2リレーバルブ24は、スプール24pと、該スプール24pを図中上方に付勢するスプリング24sとを有していると共に、該スプール24pの図中上方に油室24aを有しており、出力ポート24bと、入力ポート24cと、入力ポート24dと、入力ポート24eと、出力ポート24fと、出力ポート24gと、ドレーンポートEXとを有して構成されている。
該B−2リレーバルブ24は、スプール24pが左半位置にされた際に、入力ポート24dと出力ポート24f及び出力ポート24gとが連通され、かつ出力ポート24bとドレーンポートEXとが連通されると共に、入力ポート24cが遮断され、右半位置にされた際には、入力ポート24cと出力ポート24bとが連通され、かつ入力ポート24eと出力ポート24gとが連通されると共に、入力ポート24d、ドレーンポートEXとが遮断されるように構成されている。
上記油室24aは、油路iを介して上記ソレノイドバルブS2の出力ポートS2bに接続されている。上記入力ポート24dは、油路lを介して後進レンジ圧PREVが出力されるマニュアルシフトバルブの後進レンジ圧出力ポート(不図示)に接続されており、また、上記入力ポート24eは、油路mを介して上記C−2リレーバルブ23の出力ポート23dに接続されており、該入力ポート24dにスプール24pが左半位置の際に連通し、該入力ポート24eにスプール24pが右半位置の際に連通する上記出力ポート24gは、油路nを介してブレーキB−2の油圧サーボ45に接続され、つまり該ブレーキB−2の油圧サーボ45は、マニュアルシフトバルブの後進レンジ圧出力ポート(不図示)、又はリニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bに接続されている。また、上述のように入力ポート24cは、油路h4、上記第2クラッチアプライリレーバルブ22の油室22a、油路h1,h3を介してソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されており、該入力ポート24cにスプール24pが右半位置の際に連通する出力ポート24bは、油路h5を介して上記C−2リレーバルブ23の油室23aに接続されている。なお、上記入力ポート24dにスプール24pが左半位置の際に連通する出力ポート24fは、不図示の油路を介してプライマリレギュレータバルブの油室に接続されており、プライマリレギュレータバルブに後進レンジ圧PREVを作用させて後進時にライン圧PLを上昇させるように構成されている。
以上のように、リニアソレノイドバルブSLC1は、通電時にクラッチC−1の油圧サーボ(第1油圧サーボ)41に制御圧(第1作動油圧)PSLC1を供給し得るノーマルクローズタイプの第1ソレノイドバルブを構成している。リニアソレノイドバルブSLC2は、非通電時にクラッチC−2の油圧サーボ(第2油圧サーボ)42に制御圧(第2作動油圧)PSLC2を供給し得るノーマルオープンタイプの第2ソレノイドバルブを構成している。リニアソレノイドバルブSLC3は、非通電時にクラッチC−3の油圧サーボ(第3油圧サーボ)43に制御圧(第3作動油圧)PSLC3を供給し得るノーマルオープンタイプの第3ソレノイドバルブを構成している。ソレノイドバルブS1は、非通電時に信号圧(第4作動油圧)PS1を出力し得るノーマルオープンタイプの第4ソレノイドバルブを構成している。
さらに、第1クラッチアプライリレーバルブ21は、制御圧(第1作動油圧)PSLC1と信号圧(第4作動油圧)PS1との供給状態に応じて、油圧サーボ41用の第1予備油圧PDC1を出力する低速段側位置(図4の右半位置)と、油圧サーボ42用の第2予備油圧PDC2を出力する高速段側位置(図4の左半位置)とに切換えられる予備変速段切換えバルブを構成している。また、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、制御圧(第1作動油圧)PSLC1と信号圧(第4作動油圧)PS1との供給状態に応じて、制御圧PSLC1,PSLC2を油圧サーボ41,42にそれぞれ供給し得る正常時位置(図4の左半位置)と、電圧検出センサ77による低電圧状態の検出時に第1予備油圧PDC1を油圧サーボ41に供給し得る故障時位置(図4の右半位置)とに切換えられる油圧供給切換えバルブを構成している。
[油圧制御装置の動作]
次に、本実施の形態に係る油圧制御装置6の作用について説明する。
例えば運転手によりイグニッションがONされると、本油圧制御装置6の油圧制御が開始される。まず、シフトレバーの選択位置が、例えばPレンジ又はNレンジである場合は、制御部70からの電気指令によって、ノーマルオープンタイプであるリニアソレノイドバルブSLC2、リニアソレノイドバルブSLC3、及びソレノイドバルブS1に通電され、それぞれの入力ポートと出力ポートとを遮断する。ついで、例えばエンジンが始動されると、エンジン回転に基づくオイルポンプ(不図示)の回転により油圧が発生し、該油圧は、上述のようにプライマリレギュレータバルブやソレノイドモジュレータバルブによって、ライン圧PLやモジュレータ圧PMODにそれぞれ調圧出力され、不図示のマニュアルシフトバルブの入力ポートと油路dを介してリニアソレノイドバルブSLC3の入力ポートSLC3aとにライン圧PLが入力されると共に、油路g1,g2,g3を介してソレノイドバルブS1,S2の入力ポートS1a,S2aにモジュレータ圧PMODが入力される。
続いて、例えば運転手がシフトレバーをNレンジ位置からDレンジ位置にすると、マニュアルシフトバルブの前進レンジ圧出力ポートから油路a1,a4,a5に前進レンジ圧PDが出力され、該前進レンジ圧PDは、油路a1を介してリニアソレノイドバルブSLC1に、油路a4を介してリニアソレノイドバルブSLC2に、油路a5を介してリニアソレノイドバルブSLB1、油路a1,a2を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21にそれぞれ入力される。
上記油路a1には、チェックバルブ50とオリフィス60とが配設されており、前進レンジ圧PDによりチェックバルブ50が開かれるため、リニアソレノイドバルブSLC1に対する前進レンジ圧PDの供給は、排出時に比して急速となる。また、油路a1に供給された前進レンジ圧PDは、油路a3を介してアキュムレータ30の油室30aに入力され、該アキュムレータ30によって、リニアソレノイドバルブSLC1に供給される前進レンジ圧PDの蓄圧を行う。
また、油路a2より前進レンジ圧PDが入力ポート21eに入力される第1クラッチアプライリレーバルブ21は、ソレノイドバルブS1がONされて信号圧PS1が出力されていないため、Dレンジに切換えた当初(N−Dシフトの当初)は、スプリング21sの付勢力により左半位置にされており、出力ポート21jから油路jに前進レンジ圧PDを出力するが、同様にソレノイドバルブS1がONされて信号圧PS1が出力されていないため、スプリング22sの付勢力により左半位置にされている第2クラッチアプライリレーバルブ22にあって、入力ポート22hが遮断された状態となる。
ついで、例えば制御部70により前進1速段が判断されると、該制御部70の電気制御によりリニアソレノイドバルブSLC1がONされ、入力ポートSLC1aに入力されている前進レンジ圧PDを調圧制御して、制御圧PSLC1を係合圧PC1として徐々に大きくなるように出力ポートSLC1bから出力し、該制御圧PSLC1(係合圧PC1)が油路b1を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22cに入力される。
すると、左半位置にされている第2クラッチアプライリレーバルブ22は、入力ポート22cに入力された制御圧PSLC1を、出力ポート22iより出力すると共に、出力ポート22dからも出力する。該出力ポート22iより出力した制御圧PSLC1は、油路b4,b5を介して油室22bに入力され、第2クラッチアプライリレーバルブ22を左半位置にロックすると共に、油路b4を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21bに入力され、スプール21p,21qをスプリング21sの付勢力に反して図中下方へ押圧して、該第1クラッチアプライリレーバルブ21を右半位置に切換える。
スプール21p,21qが右半位置に切換えられた第1クラッチアプライリレーバルブ21は、第2クラッチアプライリレーバルブ22の出力ポート22iより出力された制御圧PSLC1により、スプール21qをスプリング21tの付勢力に反して図中下方へ押圧しているが、入力ポート21eより入力された前進レンジ圧PDが、出力ポート21iより第1予備油圧PDC1として出力され、油路k1,k2,k3及び入力ポート21hを介して油室21cに入力されるため、該スプール21qは、該油室21cに作用する油圧とスプリング21tの付勢力とにより、図中上方に切換えられ、つまりスプール21pとスプール21qとが離間した状態でロックされる。なお、油路k1から第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22eに入力される第1予備油圧PDC1(即ち前進レンジ圧PD)は、該入力ポート22eにおいて遮断される。
そして、上述のようにリニアソレノイドバルブSLC1から第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22cに入力された制御圧PSLC1は、出力ポート22dから油路b2を介して油圧サーボ41に係合圧PC1として出力され、上記クラッチC−1が係合される。これにより、上記ワンウェイクラッチF−1の係止と相俟って、前進1速段が達成される。
また、上記油路b2には、チェックバルブ51及びオリフィス61が配設されており、係合圧PC1(制御圧PSLC1)を油圧サーボ41に供給する際はチェックバルブ51を閉じて、該オリフィス61だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ油圧サーボ41から係合圧PC1を排出する際はチェックバルブ51を開いて供給する場合に比して急速に排出するようになっている。さらに、油路b2に供給された係合圧PC1は、油路b3を介してC−1ダンパ31の油室31aに入力され、該C−1ダンパ31によって、油圧サーボ41に給排される係合圧PC1の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収などが行われる。
[前進1速段のエンジンブレーキにおける動作]
また、例えば制御部70により前進1速段のエンジンブレーキが判断されると、該制御部70からの電気指令により、ソレノイドバルブS2がONされ、かつソレノイドバルブS1がOFFされ、さらに、リニアソレノイドバルブSLC2が調圧制御される。該ソレノイドバルブS2がONされると、油路g1,g3を介して入力ポートS2aに入力されているモジュレータ圧PMODが、信号圧PS2として出力ポートS2bより出力されて、油路iを介してB−2リレーバルブ24の油室24aに入力され、スプール24pがスプリング24sの付勢力に反して図中下方に切換えられ、該B−2リレーバルブ24が右半位置にされる。
また、ソレノイドバルブS1がOFFされると、油路g1,g2を介して入力ポートS1aに入力されているモジュレータ圧PMODが、信号圧PS1として出力ポートS1bより出力されて、油路h1,h2を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21aと、油路h1,h3を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の油室22aと、油路h4を介してB−2リレーバルブ24の入力ポート24cとに入力され、さらに、右半位置にされたB−2リレーバルブ24の出力ポート24bから油路h5を介してC−2リレーバルブ23の油室23aにも入力される。
すると、該C−2リレーバルブ23は、油室23aに入力された信号圧PS1によりスプール23pがスプリング23sの付勢力に反して図中下方に切換えられ、右半位置にされる。なお、第1クラッチアプライリレーバルブ21は、該信号圧PS1が油室21aに入力されるため、該スプール21qが図中下方に切換えられ、右半位置にされるが、スプール21pは、上記前進1速段の際と同じ右半位置のままであって、特に影響はない。また、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、油室22aに該信号圧PS1が入力されるが、上述した油室22bの係合圧PC1(制御圧PSLC1)とスプリング22sの付勢力とが打勝つため、スプール22pは左半位置にロックされたままである。
そして、リニアソレノイドバルブSLC2が調圧制御され、制御圧PSLC2が出力ポートSLC2bから出力されると、該制御圧PSLC2は、油路c1を介して左半位置にロックされた第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fに入力され、係合圧PB2として出力ポート22gより油路c2に出力される。
該油路c2に出力された係合圧PB2は、右半位置にされているC−2リレーバルブ23の入力ポート23bに入力され、出力ポート23dより出力される。さらに、該係合圧PB2は、油路mを介して右半位置にされているB−2リレーバルブ24の入力ポート24eに入力され、出力ポート24gから出力されて、油路nを介して油圧サーボ45に入力され、上記ブレーキB−2が係止される。これにより、上記クラッチC−1の係合と相俟って、前進1速段のエンジンブレーキが達成される。
なお、上記油路c2には、チェックバルブ52及びオリフィス62が配設されており、係合圧PB2をブレーキB−2の油圧サーボ45に供給する際はチェックバルブ52を閉じて、該オリフィス62だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ後述する排出時にあっては、チェックバルブ52を開いて油路c2内の油圧を急速に排出するようになっている。さらに、油路c2に供給された係合圧PB2は、油路c4を介してC2−B2ダンパ32の油室32aに入力され、該C2−B2ダンパ32によって、油圧サーボ45に給排される係合圧PB2の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収などが行われる。
また、例えば制御部70により前進1速段の正駆動が判断され、つまりエンジンブレーキ状態の解除が判断されると、ソレノイドバルブS2がOFFされると共にソレノイドバルブS1がONされ、さらに、リニアソレノイドバルブSLC2がON(通電)される形で閉じられて、係合圧PB2としての制御圧PSLC2が0にされてドレーンされる。また、ブレーキB−2の油圧サーボ45の係合圧PB2は、ソレノイドバルブS2のOFFによりB−2リレーバルブ24が左半位置に切換えられるため、入力ポート24d、油路l、マニュアルシフトバルブの後進レンジ圧出力ポート(不図示)を介して該マニュアルシフトバルブのドレーンポートより排出され、これにより、リニアソレノイドバルブSLC2を介してドレーンするよりも早いクイックドレーンが行われて、該ブレーキB−2が素早く解放される。なお、油路m内の油圧は、左半位置に切換えられたC−2リレーバルブ23のドレーンポートEXより排出され、油路c1,c2内の油圧は、リニアソレノイドバルブSLC2のドレーンポートEXより排出される。
[前進2速段における動作]
ついで、例えば上記前進1速段の状態から制御部70により前進2速段が判断されると、該制御部70からの電気指令により、上記前進1速段の際と同様に(エンジンブレーキ時は除く)、ソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC1の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLB1の調圧制御が行われる。
即ち、リニアソレノイドバルブSLB1が調圧制御されると、制御圧PSLB1が係合圧PB1として出力ポートSLB1bから出力されて、油路f1を介して油圧サーボ44に入力され、ブレーキB−1が係止される。これにより、上記クラッチC−1の係合と相俟って、前進2速段が達成される。
また、上記油路f1には、チェックバルブ54及びオリフィス64が配設されており、係合圧PB1をブレーキB−1の油圧サーボ44に供給する際はチェックバルブ54を閉じて、該オリフィス64だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油圧サーボ44から係合圧PB1を排出する際はチェックバルブ54を開いて供給する場合に比して急速に油圧を排出するようになっている。さらに、油路f1に供給された係合圧PB1は、油路f2を介してB−1ダンパ34の油室34aに入力され、該B−1ダンパ34によって、油圧サーボ44に給排される係合圧PB1の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収などが行われる。
[前進3速段における動作]
続いて、例えば上記前進2速段の状態から制御部70により前進3速段が判断されると、該制御部70からの電気指令により、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC1の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLB1がOFFされる形で閉じられると共に、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧制御が行われる。
即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLB1の調圧制御によりブレーキB−1の解放制御が行われ、つまりブレーキB−1の油圧サーボ44の係合圧PB1(制御圧PSLB1)が油路f1を介してリニアソレノイドバルブSLB1のドレーンポートEXより排出制御され、該ブレーキB−1が解放される。また、一方のリニアソレノイドバルブSLC3は、ON(通電)されて制御圧PSLC3が0圧となるように閉じられていた状態から調圧制御が行われ、制御圧PSLC3が係合圧PC3として出力ポートSLC3bから出力されて、油路e1を介して油圧サーボ43に入力され、クラッチC−3が係合される。これにより、上記クラッチC−1の係合と相俟って、前進3速段が達成される。
また、上記油路e1には、チェックバルブ53及びオリフィス63が配設されており、係合圧PC3をクラッチC−3の油圧サーボ43に供給する際はチェックバルブ53を閉じて、該オリフィス63だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油圧サーボ43から係合圧PC3を排出する際はチェックバルブ53を開いて供給する場合に比して急速に油圧を排出するようになっている。さらに、油路e1に供給された係合圧PC3は、油路e2を介してC−3ダンパ33の油室33aに入力され、該C−3ダンパ33によって、油圧サーボ43に給排される係合圧PC3の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収などが行われる。
[前進4速段における動作]
次に、例えば上記前進3速段の状態から制御部70により前進4速段が判断されると、該制御部70からの電気指令により、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC1の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLC3がOFFされる形で閉じられると共に、リニアソレノイドバルブSLC2の調圧制御が行われる。
即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧制御によりクラッチC−3の解放制御が行われ、つまりクラッチC−3の油圧サーボ43の係合圧PC3(制御圧PSLC3)が油路e1を介してリニアソレノイドバルブSLC3のドレーンポートEXより排出制御され、該クラッチC−3が解放される。また、一方のリニアソレノイドバルブSLC2は、ON(通電)されて制御圧PSLC2が0圧となるように閉じられていた状態から調圧制御が行われ、制御圧PSLC2が係合圧PC2として出力ポートSLC2bから出力されて、油路c1を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fに入力される。
上述したように第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソレノイドバルブS1がONされて信号圧PS1が油室22aに入力されておらず、かつ油室22bに入力されている係合圧PC1により左半位置にロックされているため、入力ポート22fに入力された制御圧PSLC2(係合圧PC2)は、出力ポート22gより係合圧PC2として出力される。該出力ポート22gより出力した係合圧PC2は、油路c2を介してC−2リレーバルブ23の入力ポート23bに入力される。
さらに、C−2リレーバルブ23は、ソレノイドバルブS2がOFFされてB−2リレーバルブ24が左半位置にされ、油室23a及び油路h5がドレーン状態にされており、スプリング23sの付勢力により左半位置にされているため、入力ポート23bに入力された係合圧PC2は、出力ポート23cから出力されると共に、出力ポート23eからも出力される。該出力ポート23cから出力された係合圧PC2は、油路c5を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに入力され、該第1クラッチアプライリレーバルブ21のスプール21pを該係合圧PC2によりスプリング21sの付勢力と相俟って左半位置に切換えてロックする。この際、油路k1を介して入力ポート22eに入力されている前進レンジ圧PDは、出力ポート21iから出力ポート21jに切換えられ、油路jに第2予備油圧PDC2として出力されるが、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22hにより遮断される。また、油路k1に供給されていた第1予備油圧PDC1(前進レンジ圧PD)が遮断されるので、油路k2,k3を介した油室21cに対するロック圧としての前進レンジ圧PDの供給は解除される。
なお、油路c5には、チェックバルブ55及びオリフィス65が配設されており、係合圧PC2を第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに供給する際はチェックバルブ55を閉じて、該オリフィス65だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油室21dから係合圧PC2を排出する際はチェックバルブ55を開いて供給する場合に比して急速に油圧を排出するようになっている。
そして、上記C−2リレーバルブ23の出力ポート23eから出力された係合圧PC2は、油路c3を介して油圧サーボ42に入力され、クラッチC−2が係合される。これにより、上記クラッチC−1の係合と相俟って、前進4速段が達成される。
また、上述したように、油路c2には、チェックバルブ52及びオリフィス62が配設されており、上記前進1速段のエンジンブレーキ時と同様に、係合圧PC2をクラッチC−2の油圧サーボ42に供給する際はチェックバルブ52を閉じて、該オリフィス62だけを介して緩やかに油圧を供給し、かつ該油圧サーボ42から係合圧PC2を排出する際はチェックバルブ52を開いて供給する場合に比して急速に油圧を排出するようになっている。さらに、油路c2に供給された係合圧PC2は、油路c4を介してC2−B2ダンパ32の油室32aに入力され、該C2−B2ダンパ32によって、油圧サーボ42に給排される係合圧PC2の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収などが行われる。
[前進5速段における動作]
次に、例えば上記前進4速段の状態から制御部70により前進5速段が判断されると、該制御部70からの電気指令により、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC2の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLC1がOFFされる形で閉じられると共に、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧制御が行われる。
即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC1の調圧制御によりクラッチC−1の解放制御が行われ、つまりクラッチC−1の油圧サーボ41の係合圧PC1(制御圧PSLC1)が油路b1,b2を介してリニアソレノイドバルブSLC1のドレーンポートEXより排出制御され、該クラッチC−1が解放される。また、一方のリニアソレノイドバルブSLC3は、上記前進3速段の際と同様に、ON(通電)されて制御圧PSLC3が0圧となるように閉じられていた状態から調圧制御が行われ、制御圧PSLC3が係合圧PC3として出力ポートSLC3bから出力されて、油路e1を介して油圧サーボ43に入力され、クラッチC−3が係合される。これにより、上記クラッチC−2の係合と相俟って、前進5速段が達成される。
[前進6速段における動作]
そして、例えば上記前進5速段の状態から制御部70により前進6速段が判断されると、該制御部70からの電気指令により、同様にソレノイドバルブS1がONされ、かつソレノイドバルブS2がOFFされた状態で、上記リニアソレノイドバルブSLC2の調圧状態が維持されつつ、リニアソレノイドバルブSLC3がON(通電)される形で閉じられると共に、リニアソレノイドバルブSLB1の調圧制御が行われる。
即ち、まず、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧制御によりクラッチC−3の解放制御が行われ、つまりクラッチC−3の油圧サーボ43の係合圧PC3(制御圧PSLC3)が油路e1を介してリニアソレノイドバルブSLC3のドレーンポートEXより排出制御され、該クラッチC−3が解放される。また、一方のリニアソレノイドバルブSLB1は、上記前進2速段の際と同様に、OFFされて制御圧PSLB1が0圧となるように閉じられていた状態からON(通電)されて調圧制御が行われ、制御圧PSLB1が係合圧PB1として出力ポートSLB1bから出力されて、油路f1を介して油圧サーボ44に入力され、ブレーキB−1が係合される。これにより、上記クラッチC−2の係合と相俟って、前進6速段が達成される。
[D−N時における動作]
その後、例えば運転手が車輌を減速していき、車速に応じてダウンシフトされて前進1速段の状態で停車した後、シフトレバーをDレンジ位置からNレンジ位置にすると、上記マニュアルシフトバルブの前進レンジ圧出力ポートが入力ポートとの間が遮断されると共にドレーンポートに連通され、つまり前進レンジ圧PDがドレーンされる。
また同時に、シフトレバーセンサ(不図示)によりシフトレバーがNレンジ位置であることが検出され、制御部70により該シフトレバー位置に基づきNレンジが判定されると、まず、リニアソレノイドバルブSLC2及びリニアソレノイドバルブSLC3がON(通電)されると共に、リニアソレノイドバルブSLB1がOFFされ、これらの制御圧PSLC2,PSLC3,PSLB1が0圧(非出力状態)にドレーンされて、つまり各油圧サーボ42,43,44,45の油圧がドレーンされて、クラッチC−2、クラッチC−3、ブレーキB−1、ブレーキB−2が解放される。なお、ソレノイドバルブS1はON(通電)された状態で維持され、ソレノイドバルブS2もOFFされた状態に維持されて、つまり両ソレノイドバルブS1,S2から信号圧PS1,PS2は出力されない。
一方、リニアソレノイドバルブSLC1は、例えばクラッチC−1が急解放されると解放ショックが生じるため、徐々に制御圧PSLC1を減圧していくように調圧制御を行いつつ、最終的に制御圧PSLC1を0圧(非出力状態)にドレーンすることで、クラッチC−1を緩やかに解放する。そして、このクラッチC−1も解放されると、自動変速機3は全てのクラッチ・ブレーキが解放されて、ニュートラル状態とされる。
このリニアソレノイドバルブSLC1による解放制御の間は、該リニアソレノイドバルブSLC1の入力ポートSLC1aに油路a3などを介して接続されているアキュムレータ30が、オリフィス60よりもリニアソレノイドバルブSLC1側の油路a1,a3に対して、Dレンジの間に蓄圧した油圧を放出して圧力維持を行うので、該リニアソレノイドバルブSLC1によるクラッチC−1の緩やかな解放制御を可能にしており、これにより、前進1速段の状態からのD−Nシフト操作時において解放ショックが生じることが防止される。
[後進1速段における動作]
また、例えば運転手のシフトレバーの操作によってシフトレバーがRレンジ位置にされると、上述のようにマニュアルシフトバルブの後進レンジ圧出力ポートから後進レンジ圧PREVが出力され、該後進レンジ圧PREVは、油路lなどを介してB−2リレーバルブ24の入力ポート24dに入力される。
また同時に、シフトレバーセンサ(不図示)によりシフトレバーがRレンジ位置であることが検出され、制御部70により該シフトレバー位置としてRレンジが判定されると、ソレノイドバルブS1はON(通電)された状態で維持され、かつソレノイドバルブS2もOFFされた状態に維持されて、つまり信号圧PS2は出力されないので、上記B−2リレーバルブ24はスプリング24sの付勢力によって左半位置に維持される。これにより、入力ポート24dに入力された後進レンジ圧PREVは、出力ポート24g、油路nを介してブレーキB−2の油圧サーボ45に供給され、ブレーキB−2が係合される。
さらに、制御部70によりリニアソレノイドバルブSLC3が徐々に制御圧PSLC3を出力するように調圧制御され、係合圧PC3として出力ポートSLC3bから出力されて、油路e1を介して油圧サーボ43に入力され、つまりクラッチC−3が緩やかに係合される。これにより、上記ブレーキB−2の係止と相俟って、後進1速段が達成される。
なお、RレンジよりNレンジに切換えられた際は、上記Nレンジの状態と同様にされ、つまりブレーキB−2の油圧サーボ45の係合圧PB2は油路n、B−2リレーバルブ24、油路l、マニュアルシフトバルブを介してドレーンされ、クラッチC−3の油圧サーボ43の係合圧PC3は、リニアソレノイドバルブSLC3よりドレーンされる。
また、例えば例えば運転手によりシフトレバーがRレンジ位置に操作された際に、車速が前進方向に所定速度以上であることを検出すると、制御部70によりソレノイドバルブS2がONされ、かつリニアソレノイドバルブSLC3のON(通電状態)が維持され、つまりRレンジ圧PREVがブレーキB−2の油圧サーボ45に供給されないようにB−2リレーバルブ24により遮断すると共に、クラッチC−3の油圧サーボ43に係合圧PC3(制御圧PSLC3)を供給せず、これによって後進1速段の達成を防止する、いわゆるリバースインヒビット機能が行われる。
[ソレノイド・オールオフフェール時における動作]
続いて、油圧制御装置6におけるソレノイド・オールオフフェール時における動作を説明する。シフトレバー位置がDレンジにされた状態における通常走行時に、例えば制御部70のダウン、ショート、断線等に起因して、全てのソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1、ソレノイドバルブS1,S2)がOFFフェール(以下、「オールオフフェール」という。)した場合、リニアソレノイドバルブSLC1、リニアソレノイドバルブSLB1、及びソレノイドバルブS2は、ノーマルクローズタイプであるため油圧の出力をせず、リニアソレノイドバルブSLC2、リニアソレノイドバルブSLC3、及びソレノイドバルブS1は、ノーマルオープンタイプであるため、それぞれの油圧を出力する。
正常時の前進1速段から前進3速段での走行時において、上記第1クラッチアプライリレーバルブ21は、上述のように油室21cに入力された第1予備油圧PDC1によってスプール21pが右半位置にロックされており、このため出力ポート21iより出力した第1予備油圧PDC1は、油路k1を介して、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22eに入力され、左半位置(正常時位置)にされた第2クラッチアプライリレーバルブ22により遮断された状態とされている。
この状態からオールオフフェールとなると、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソレノイドバルブS1から出力された信号圧PS1が油路h1,h3を介して油室22aに入力されることにより右半位置(故障時位置)に切換えられ、該入力ポート22eに入力された第1予備油圧PDC1は、出力ポート22dより出力され、油路b2を介して油圧サーボ41に入力されて、クラッチC−1が係合される。また、ノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC2から出力されたPSLC2(係合圧PC2)は、右半位置に切換えられた第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fによって遮断される。一方、ノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC3は、入力ポートSLC3aに入力されたライン圧PLが略々そのまま係合圧PC3として、出力ポートSLC3bより出力され、油路e1を介して油圧サーボ43に入力されて、クラッチC−3が係合される。これにより、上記クラッチC−1と上記クラッチC−3とが係合されて前進3速段が達成され(図3参照)、つまり前進1速段から前進3速段での走行時にオールオフフェールとなった際は、前進3速段による走行状態が確保される。
また、正常時の前進4速段から前進6速段での走行時において、上述のようにクラッチC−2の制御圧PSLC2(係合圧PC2)が油路c1、第2クラッチアプライリレーバルブ22、油路c2、C−2リレーバルブ23、油路c5を介して第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに入力されており、スプール21p,21qが左半位置にロックされているため、出力ポート21jより出力した第2予備油圧PDC2は、油路jを介して、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22hに入力され、左半位置にされた第2クラッチアプライリレーバルブ22により遮断された状態とされている。
この状態からオールオフフェールとなると、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソレノイドバルブS1から出力された信号圧PS1が油路h1,h3を介して油室22aに入力されることにより右半位置に切換えられ、また、ソレノイドバルブS2がOFFとなってB−2リレーバルブ24は切換えられずに左半位置に維持されることで、油路h4が遮断されて油路h5にソレノイドバルブS1の信号圧PS1が出力されないため、C−2リレーバルブ23も切換えられずに左半位置に維持される。このため、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22hに入力された第2予備油圧PDC2は、出力ポート22gより出力され、油路c2、C−2リレーバルブ23、油路c3を介して油圧サーボ42に入力されて、クラッチC−2が係合される。また、ノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC2から出力されたPSLC2(係合圧PC2)は、右半位置に切換えられた第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fによって遮断されるが、上記油路c2に出力された第2予備油圧PDC2がC−2リレーバルブ23を介して油路c5にも出力され、第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに入力されるので、該第1クラッチアプライリレーバルブ21は、引き続き左半位置にロックされる。そして、ノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC3は、入力ポートSLC3aに入力されたライン圧PLが略々そのまま係合圧PC3として、出力ポートSLC3bより出力され、油路e1を介して油圧サーボ43に入力されて、クラッチC−3が係合される。これにより、上記クラッチC−2と上記クラッチC−3とが係合されて前進5速段が達成され(図3参照)、つまり前進4速段から前進6速段での走行時にオールオフフェールとなった際は、前進5速段による走行状態が確保される。
また、上記前進4速段から前進6速段での正常走行時にオールオフフェールとなった場合において、車輌を停止させ、一旦、シフトレバーをNレンジ位置にすると、不図示のマニュアルシフトバルブは、前進レンジ圧PDを出力停止すると共にドレーンし、特にノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC2と第1クラッチアプライリレーバルブ21の入力ポート21eとに対する前進レンジ圧PDがドレーンされる。すると、油路j,c2,c5を介して入力されていた油室21dへの第2予備油圧PDC2がドレーンされ、該第2予備油圧PDC2によるロックが解除される。また、ノーマルオープンであるソレノイドバルブS1からは信号圧PS1が引き続き出力されるため、第1クラッチアプライリレーバルブ21は、油室21aに入力される信号圧PS1によってスプール21p,21qが右半位置に切換えられる。
なお、このオールオフフェール時におけるNレンジの状態では、ライン圧PLを元圧とし、かつノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC3から略々ライン圧PLと同圧の制御圧PSLC3(係合圧PC3)が出力されるので、クラッチC−3は係合状態にある。また、クラッチC−3が係合されていても、クラッチC−1,C−2及びブレーキB−1,B−2は解放状態にあり、サンギヤS2に減速回転が入力されても、サンギヤS3及びキャリヤCR2が空転されるため、入力軸10とカウンタギヤ11との間は略々ニュートラル状態である(図2参照)。
そして、例えば運転手により再びシフトレバーがDレンジ位置にされると、マニュアルシフトバルブから前進レンジ圧PDが出力され、該前進レンジ圧PDは、右半位置に切換えられた第1クラッチアプライリレーバルブ21の入力ポート21eに入力されると共に、出力ポート21iから第1予備油圧PDC1として油路k1に出力され、右半位置にある第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22e、出力ポート22d、油路b2を介してクラッチC−1の油圧サーボ41に入力されて、該クラッチC−1が係合し、つまり上記前進1速段から前進3速段での走行時におけるオールオフフェール時と同様の状態となり、前進3速段が確保される。これにより、オールオフフェール後にあって一旦車輌を停車した後でも車輌の再発進が可能となり、リンプホーム機能が確保される。
以上のように本油圧制御装置6によると、通常走行時には、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3による制御圧PSLC1,PSLC2,PSLC3によってクラッチC−1,C−2,C−3をそれぞれ係合自在に制御し、オールオフフェール時には、リニアソレノイドバルブSLC3の制御圧PSLC3がクラッチC−3の油圧サーボ43に供給され、かつ第1クラッチアプライリレーバルブ21によりクラッチC−2の係合状態に基づき第1又は第2予備油圧PDC1,PDC2の出力状態が切換えられると共に、第2クラッチアプライリレーバルブ22により第1又は第2予備油圧PDC1,PDC2をクラッチC−1の油圧サーボ41又はクラッチC−2の油圧サーボ42にそれぞれ供給することが可能となる。これにより、オールオフフェールが走行中に生じた場合に、該オールオフフェールが生じる前の変速段に応じて前進3速段又は前進5速段を達成することを、第1クラッチアプライリレーバルブ21と第2クラッチアプライリレーバルブ22との2本のバルブを備えるだけの構成で達成することができ、コンパクト化やコストダウンを図ることができる。
ところで、上述のように正常時の前進4速段から前進6速段にあっては、リニアソレノイドバルブSLC2の制御圧PSLC2がクラッチC−2の油圧サーボ42に係合圧PC2として供給されると共に第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに供給され、該第1クラッチアプライリレーバルブ21のスプール21p,21qが左半位置に切換えられている。
例えば上記リニアソレノイドバルブSLC2をノーマルクローズタイプで構成した場合、前進4速段から前進6速段におけるオールオフフェールが生じると、該リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bが閉じられ、制御圧PSLC2が0圧となってしまう。一方では、ノーマルオープンタイプで構成されたソレノイドバルブS1から信号圧PS1が出力され、上記第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21aに入力される。
この際、第2クラッチアプライリレーバルブ22の油室22aにもソレノイドバルブS1の信号圧PS1が入力されるため、例えば該第2クラッチアプライリレーバルブ22が第1クラッチアプライリレーバルブ21の切換えよりも先に右半位置に切換えられれば、油路jに供給されている第2予備油圧PDC2が油路c2,c3を介してクラッチC−2の油圧サーボ42に供給されると共に、油路c5を介して該第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに供給されるため、該第1クラッチアプライリレーバルブ21が左半位置(高速段側位置)に維持されて、上述のように前進5速段を達成するので、何ら問題はない。
しかしながら、例えば該第2クラッチアプライリレーバルブ22の切換えが第1クラッチアプライリレーバルブ21の切換えよりも遅れると、該第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dの制御圧PSLC2が0圧になってしまうと共に、油室21aにソレノイドバルブS1の信号圧PS1が入力されてしまうため、該第1クラッチアプライリレーバルブ21が右半位置(低速段側位置)に切換えられてしまい、上述のように前進3速段を形成してしまって、ダウンシフトを生じてしまう虞がある。
そこで本油圧制御装置6においては、上記リニアソレノイドバルブSLC2をノーマルオープンタイプで構成したので、前進4速段から前進6速段におけるオールオフフェールが生じても、該リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bが開き、制御圧PSLC2が略々前進レンジ圧PDと同等に出力されるため、つまり第1クラッチアプライリレーバルブ21の油室21dに入力される制御圧PSLC2が低下せず、油室21aにソレノイドバルブS1の信号圧PS1が入力されても、油室21dの制御圧PSLC2とスプリング21sの付勢力とが上回って、該第1クラッチアプライリレーバルブ21を左半位置(高速段側位置)に維持することができ、右半位置(低速段側位置)に切換えられる誤動作を防止することができる。
また、第1クラッチアプライリレーバルブ21は、右半位置(低速段側位置)の際に該バルブを通過した前進レンジ圧PD(第1予備油圧PDC1)を油室21cに入力するように構成されているので、右半位置にロックされ、リニアソレノイドバルブSLC1の制御圧PSLC1が例えば調圧動作等によって低下しても右半位置を維持することができるように構成されている。このため、例えばリニアソレノイドバルブSLC2をノーマルクローズで構成してしまうと、前進4速段から前進6速段におけるオールオフフェールが生じた際に、制御圧PSLC2が低下して該第1クラッチアプライリレーバルブ21のスプール21pが右半位置に向けて僅かでも移動してしまうと、上記油室21cの前進レンジ圧PDのロック作用が生じてしまい、さらに右半位置に切換えられてしまう誤作動が生じ易くなる虞がある。
しかしながら、本油圧制御装置6にあっては、上述のようにリニアソレノイドバルブSLC2をノーマルオープンタイプで構成したので、油室21dに供給される制御圧PSLC2の低下が防止されるので、確実に、該第1クラッチアプライリレーバルブ21を左半位置(高速段側位置)に維持することができる。
ついで、本発明の特徴である、低電圧状態の判定(検出)時にソレノイド・オールオフフェールによる変速段(本実施の形態では前進3速段)に変速した後、段階的に該オールオフフェール状態と同様の状態に移行させる制御を行うことで、低電圧状態検出時の変速を、変速ショック無く円滑にかつ確実に行い得る自動変速機の制御装置1の詳細について、図5乃至図8を参照して説明する。
すなわち、図5に示すように、運転者によって不図示のイグニッションスイッチがON(通電)されると、電圧検出センサ77がバッテリ75の電圧をチェックして、低電圧状態の発生の有無の判定(検出)を行う(ステップS1)。この判定は、バッテリ75の電圧Voが一定電圧α(例えば9[V])未満であるか否か(Vo<α[V])を所定時間(例えば数秒)ごとにサンプリングして行うもので、Vo<α[V]の状態が一定期間(例えば1秒間)連続で検出された場合、低電圧故障確定制御手段71は、低電圧フェール検出カウンタ76を+1インクリメントする。その結果、ステップS1において低電圧状態が判定されない場合には、ステップS2に進み、イグニッションスイッチがOFF(非通電)されたか否かを判断し、OFFされなければステップS1の判断を繰り返し、OFFされたと判断した時点で処理を終了する。
一方、上記ステップS1において、電圧検出センサ77により低電圧状態が判定(検出)されると、ステップS3に進み、フェールセーフ制御を実行する。このフェールセーフ制御は、図6にサブルーチンのフローチャートを示すように、「低電圧状態検出」のラベルで始まる処理がスタートされると、低電圧故障確定制御手段71は、検出された低電圧状態が所定時間(例えば20秒間)継続した場合に低電圧故障の発生を確定判定するように処理を進める。即ち、ステップS11において、低電圧故障確定制御手段71は同時係合回避制御手段72により、低電圧状態検出時のギヤ段(変速段)は前進3速段以内(<=3rd)であるか否かを変速判定手段74からの信号に基づいて判断し、前進3速段以内であると判断した際には、まずステップS12に進んで、ソレノイド・オールオフフェール時に移行すべき前進3速段(3rd)に変速する。
例えば、正常時の前進1速段〜前進3速段での走行時に低電圧状態が検出された際には、前述したように第1クラッチアプライリレーバルブ21が右半位置にロックされており、出力ポート21iから出力された第1予備油圧PDC1が、油路k1を介して、第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22eに入力され、左半位置(正常時位置)にされた第2クラッチアプライリレーバルブ22により遮断された状態にされている。この状態で、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソレノイドバルブS1から出力された信号圧PS1が油室22aに入力されることで右半位置に切換えられようとするが、この時点で、リニアソレノイドバルブSLC1はON(通電)状態を維持しているため、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、入力ポート22cに入力された制御圧PSLC1を油室22bに入力され、スプール22pが、油室22bへの制御圧PSLC1とスプリング22sの付勢力とで、油室22aに入力される信号圧PS1に打ち勝って左半位置に保持され、左半位置にロックされた状態で待機している。これにより、制御圧PSLC1が入力ポート22cから出力ポート22d、油路b2を介して油圧サーボ41に入力された状態で維持され、クラッチC−1の係合が保持される。
さらに、同時係合回避制御手段72が、ノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC3をOFFに切換えるため、該リニアソレノイドバルブSLC3が、入力ポートSLC3aに入力されたライン圧PLを略々そのまま係合圧PC3として出力し、油路e1を介して油圧サーボ43に入力して、クラッチC−3を係合させる。即ち、電圧検出センサ77が時点t1で低電圧故障を検出すると(図5のS1、図7参照)、オールオフフェール時に移行すべき前進3速段に変速するために、グラフAで示すようにリニアソレノイドバルブSLC1をON(通電)した状態のまま、グラフBで示すようにリニアソレノイドバルブSLC3をONして調圧制御して所謂ガタ詰めした後に徐々に上昇させるようにするための指令油圧を出力する。
そして、正常時の前進1速段〜前進3速段での走行時にはOFFされているクラッチC−2の油圧サーボ42への油圧は、リニアソレノイドバルブSLC2をOFF状態のまま維持することで、グラフCで示されるように遮断される。また、正常時の前進2速段において低電圧故障が発生した場合には、同時係合回避制御手段72がリニアソレノイドバルブSLB1をOFF(非通電)に切換えることで油圧サーボ44への油圧入力を遮断し、係合していたブレーキB−1を解放する。
以上により、クラッチC−1への実油圧はグラフDのように一定値を維持した状態となり、クラッチC−3への実油圧は、グラフEで示すように、所謂ガタ詰めした後に徐々に上昇してクラッチC−1の実油圧と同程度になって並ぶように変化し、これによりクラッチC−1とともにクラッチC−3が係合して前進3速段が形成される。この時点で、クラッチC−2への実油圧はグラフFで示すように上昇することなく、従って、クラッチC−2が係合することはない。つまり、正常時の前進1速段〜前進3速段での走行時において上記のように低電圧状態が検出された場合、この時点で、第1クラッチアプライリレーバルブ21は、油室21cに入力された第1予備油圧PDC1によってスプール21pが右半位置にロックされることで、出力ポート21iから出力された第1予備油圧PDC1が、油路k1を介して第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22eに入力されるが、左半位置にされた第2クラッチアプライリレーバルブ22により遮断された状態になっている。
さらに、この状態において同時係合回避制御手段72が、ソレノイドバルブS1をOFFさせ(図6のS13、図7の時点t2)、その後、ソレノイドバルブS1の切換えが完了したか否かを判断し(S14)、終了しないと判断した場合にはステップS14を繰り返し、終了したと判断した時点でステップS15に進む。即ち、クラッチC−3が完全係合する前の上記時点t2において、同時係合回避制御手段72の制御でノーマルオープンタイプのソレノイドバルブS1がOFFされるため、出力ポートS1bからモジュレータ圧PMODが略々そのまま信号圧PS1として油路h1,h3を介して出力される。これにより、第2クラッチアプライリレーバルブ22は、ソレノイドバルブS1からの信号圧PS1が油室22aに入力されて右半位置に切換えられようとするが、上述したように、第2クラッチアプライリレーバルブ22では、スプール22pが油室22bへの制御圧PSLC1とスプリング22sの付勢力とで信号圧PS1に打ち勝って左半位置に保持され、左半位置にロックされた状態でスタンバイしているため、クラッチC−1が、油圧サーボ41に制御圧(第1作動油圧)PSLC1を入力されて係合状態を保持している。なお、ステップS14におけるソレノイドバルブS1の切換えが終了したか否かの判断は、不図示のタイマーを用いて行っている。
さらに、この状態で、同時係合回避制御手段72がリニアソレノイドバルブSLC1をOFF(非通電)状態に切換えて出力をOFFにすることで(図5のS15、図7の時点t3)、変速段(ギヤ段)を前進3速段に固定(S16)した後、ステップS19に進む。つまり、時点t3においてリニアソレノイドバルブSLC1がOFFされることにより、第2クラッチアプライリレーバルブ22では、油路b5を介して油室22bに入力されていた制御圧PSLC1が遮断されるため、スプリング22sのみで付勢される状態になったスプール22pが、油室22aへの信号圧PS1に打ち負けて右半位置に速やかに切換えられる。このため、それまで油圧サーボ41に制御圧PSLC1を入力されて係合状態を保持していたクラッチC−1が、入力ポート22eに供給される第1予備油圧PDC1を、制御圧PSLC1に代えて油圧サーボ41に自然な形で滑らかに入力されることで、係合状態を引き続き維持することができる。従って、ソレノイドバルブS1とリニアソレノイドバルブSLC1をこの順にOFFすることで、第2クラッチアプライリレーバルブ22を切換えて、制御圧PSLC1から前進レンジ圧である第1予備油圧PDC1の入力に代えて、クラッチC−2の油圧サーボ42への油圧入力を確実に遮断することができる。これにより、クラッチC−2が係合してタイアップするような不具合の発生を確実に阻止しながら、変速ショックの無い形でクラッチC−1とクラッチC−3との係合で前進3速段を達成することができる。上記時点t3でリニアソレノイドバルブSLC1がOFFされたことで、該リニアソレノイドバルブSLC1への油圧指令(指令油圧)は一気に低下するが、上記のように制御圧PSLC1に代えて第1予備油圧PDC1が油圧サーボ41に入力されているため、クラッチC−3への実油圧は変化することがなく、前進3速段は安定して達成される(一点鎖線丸部G参照)。このように、同時係合回避制御手段72が、主に第1クラッチアプライリレーバルブ21、第2クラッチアプライリレーバルブ22及びソレノイドバルブS1を制御することによって、低電圧故障発生が確定判定されるまでの上記低電圧状態の継続中におけるクラッチC−1、C−2及びC−3の同時係合を回避させるように制御する。
一方、上記ステップS11において、同時係合回避制御手段72は、低電圧故障検出時のギヤ段が前進3速段以内ではないと判断した場合には、ステップS17に進んで前進5速段(5th)に変速する。つまり、前進4速段から前進6速段での走行時にて低電圧状態が検出された場合、前進3速段以内ではないと判断された時点で、クラッチC−2の制御圧PSLC2(係合圧PC2)が油圧サーボ42に入力されることでクラッチC−2は係合しており、この係合状態を維持するように制御する。そして、低電圧故障検出時のギヤ段が前進4速段の場合には、例えば第2クラッチアプライリレーバルブ22を左半位置にした状態で第1予備油圧PDC1及び第2予備油圧PDC2の双方を遮断した状態で、リニアソレノイドバルブSLC1をOFF状態に切換えて制御圧PSLC1を停止して、クラッチC−1を解放する。また、故障検出時のギヤ段が前進6速段の場合には、リニアソレノイドバルブSLB1をOFF状態に切換え制御圧PSLB1を停止して、ブレーキB−1を解放する。なお、故障検出時のギヤ段が前進5速段の場合には、クラッチC−2及びクラッチC−3の係合状態をそのまま維持するように制御する。
以上の状態から、リニアソレノイドバルブSLC2が調圧制御されることにより制御圧PSLC2が、左半位置になっている第2クラッチアプライリレーバルブ22の入力ポート22fに入力され、出力ポート22gから油路c2、左半位置になっているC−2リレーバルブ23の入力ポート23b、出力ポート23e、油路c3を介して油圧サーボ43に入力されて、クラッチC−2が係合される。このように、クラッチC−2とクラッチC−3との係合で達成した前進5速段(5th)を固定して(S18)、ステップS19に進む。
そして、上記ステップS19では、低電圧故障確定制御手段71が、正常判定条件が成立したか否かを判断し、成立しないと判断した場合は、ステップS20に進んで故障確定条件が成立したか否かを判断する。上記正常判定条件は、前述したように、一定電圧(例えば10[V])が一定時間(例えば1秒間)継続したことを検出した際に、バッテリ75が正常状態に戻ったと判定するための条件である。また、低電圧故障の確定条件は、低電圧フェール検出カウンタ76が例えば連続20カウント(20秒計測)した時点で、低電圧故障の発生を確定判定するためのものである。その結果、故障確定条件が成立しない間は、ステップS19,S20を繰り返し、故障確定条件が成立したと判断した時点でステップS21に進み、低電圧故障の発生が確定されてエマージェンシーモードへと移行する。ステップS21では、エマージェンシー制御手段78は、ソレノイド・オールオフフェール制御を行い、また、低電圧故障確定制御手段71によって低電圧故障の発生が確定判定された際に、前述のフェールセーフ機構を制御することで、前進3速段を形成する制御をソレノイド・オールオフフェールとして引き続き行う。
上記ソレノイド・オールオフフェールは、前述したように、全てのリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3,SLB1、ソレノイドバルブS1,S2をOFFするもので、エマージェンシー制御手段78は、低電圧状態検出時のギヤ段が前進1速段〜前進3速段である場合には前進3速段による走行状態を確保し、また、低電圧故障検出時のギヤ段が前進4速段〜前進6速段である場合には前進5速段による走行状態を確保するように制御する。なお、ステップS21で低電圧故障が確定した旨は、制御部70における不図示のROMに書き込まれる。
そして、上記ステップS19において正常判定条件が成立した場合、即ち、一定電圧(例えば10[V])が一定時間(例えば1秒間)継続したことが検出された場合には、復帰制御手段73は、同時係合回避制御手段72によって上記フェールセーフ機構を用いて前進3速段に固定された後、バッテリ75の電圧が所定電圧を一定時間継続した旨の正常判定条件が成立したと判断された際に、リニアソレノイドバルブSLC1を通電状態に切換え、さらにソレノイドバルブS1を通電状態に切換えた後、前進3速段以外の変速段にも変速し得る通常制御に移行させる復帰制御を行う。即ち、復帰制御手段73は、ステップS22において、OFFされていたリニアソレノイドバルブSLC1をONさせて制御圧PSLC1を出力した後、ステップS23において、OFFされていたソレノイドバルブS1をONさせ、ステップS24においてソレノイドバルブS1のON切換えが終了したか否かを判断する。その結果、ソレノイドバルブS1のON切換えが終了したと判断した場合には、ステップS25に進んで、他の変速段にも移行し得る通常制御へと移行させ、リターンする。
そして、ステップS21又はステップS25を終了した後、処理は、図5におけるステップS4に移行し、イグニッションスイッチがOFFされたか否かを判断し、OFFされたと判断した場合には、処理を終了する。
ところで、以上のような本発明に係る制御を行わない場合には、図8に示す比較例のようになる。即ち、同図の時点t1において低電圧状態が検出された際に、本実施の形態のような油圧サーボ41への入力を制御圧PSLC1から前進レンジ圧による第1予備油圧PDC1に切換える制御を行わず、単に制御圧PSLC1を使用して前進3速段に切換えようとすると、以下のようになる。つまり、同図のグラフAで示すようにリニアソレノイドバルブSLC1をON(通電)した状態のまま、グラフBで示すようにリニアソレノイドバルブSLC3をONして調圧制御して所謂ガタ詰めした後に徐々に上昇させるように指令油圧を出力し、グラフCで示すようにリニアソレノイドバルブSLC2をOFFした状態のままにすると、クラッチC−1への実油圧はグラフDのように或る時点までは一定値を維持した状態を保持し、クラッチC−3への実油圧は所謂ガタ詰めした後に徐々に上昇していってクラッチC−1の実油圧と同等になるように変化して、クラッチC−1とともにクラッチC−3が係合して前進3速段が形成される。しかし、クラッチC−2への実油圧が、正常時の符号F1の状態から、低電圧故障に伴ってF2のように次第に上昇し、また、クラッチC−1への実油圧が、正常時の符号E1の状態から、低電圧故障に伴ってE2のように次第に下降し、一点鎖線丸部Hに示すように、クラッチC−1への実油圧が低下すると共に、クラッチC−1及びC−3以外の摩擦係合要素であるクラッチC−2が係合して、3要素の同時係合(タイアップ)が発生してしまう。
以上のように本実施の形態によると、同時係合回避制御手段72が、低電圧故障確定制御手段71による制御中に、前進3速段に変速すると共に、第1クラッチアプライリレーバルブ21、第2クラッチアプライリレーバルブ22及びソレノイドバルブS1からなるフェールセーフ機構を制御することで、低電圧故障発生が確定判定されるまでの低電圧状態の継続中におけるクラッチC−1,C−2,C−3の同時係合を回避させる。このため、係合すべきでないクラッチの同時係合を規制するための切換えバルブを可及的に廃止した簡素な回路構成としながらも、フェールセーフを行うために油路に配置した数少ない切換えバルブである第1クラッチアプライリレーバルブ21及び第2クラッチアプライリレーバルブ22を、前進3速段に変速してから低電圧故障発生が確定判定されるまでの間、同時係合を回避するように制御することができる。このため、低電圧故障の発生時に、前進3速段において係合すべきでないクラッチC−2への油圧供給を確実に防止しながら前進3速段を維持することができる。
また、本実施の形態によると、同時係合回避制御手段72は、前進3速段に変速した後、制御圧PSLC1を供給され続ける第2クラッチアプライリレーバルブ22を、ソレノイドバルブS1を非通電状態に切換えることにより、制御圧PSLC1に代えて第1予備油圧PDC1を油圧サーボ41に供給する故障時位置(図4の右半位置)に切換え可能な状態に待機させてから、リニアソレノイドバルブSLC1を非通電状態に切換えて制御圧PSLC1の供給を遮断することで、油圧サーボ42への制御圧PSLC2の供給油路を遮断し、かつ第1予備油圧PDC1を油圧サーボ41に入力してクラッチC−1の係合を継続し、リニアソレノイドバルブSLC3の調圧作動で油圧サーボ43に制御圧PSLC3を入力されるクラッチC−3の係合とによって前進3速段に固定する。このため、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLC3、ソレノイドバルブS1以外の切換えバルブを可能な限り廃止した簡素な回路構成からなるものでありながら、ソレノイドバルブS1とリニアソレノイドバルブSLC1の順に非通電状態とする切換えと、第1クラッチアプライリレーバルブ21と第2クラッチアプライリレーバルブ22の切換え動作により、低電圧故障時に、係合すべきでないクラッチC−2への油圧供給を確実に防止しながら、変速ショック無く前進3速段を維持することができる。
さらに、本実施の形態では、低電圧故障確定制御手段71が復帰制御手段73を備えるので、バッテリ75の低電圧状態が回復した場合には、状況に合わせて通常制御による通常走行に速やかに戻すことができる。また、エマージェンシー制御手段78が、低電圧故障確定制御手段71によって低電圧故障の発生が確定判定された際に、上記フェールセーフ機構を制御することで、前進3速段を形成する制御をソレノイド・オールオフフェールとして引き続き行うので、低電圧故障の発生が確定判定された場合には、既に形成されている前進3速段をそのまま継続する形でソレノイド・オールオフフェール時の変速とすることができる。
なお、以上説明した実施の形態においては、本自動変速機の制御装置1を前進6速段及び後進1速段を達成する自動変速機3に適用した場合を一例として説明したが、勿論これに限るものではなく、例えば前進8速段を達成する自動変速機に適用してもよく、特に有段変速を行う自動変速機であれば、どのような自動変速機にあっても本発明を適用することができる。