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JP2010270223A - 活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物、それを含有してなる塗料、インク、及び積層体 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物、それを含有してなる塗料、インク、及び積層体 Download PDF

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JP2010270223A
JP2010270223A JP2009123336A JP2009123336A JP2010270223A JP 2010270223 A JP2010270223 A JP 2010270223A JP 2009123336 A JP2009123336 A JP 2009123336A JP 2009123336 A JP2009123336 A JP 2009123336A JP 2010270223 A JP2010270223 A JP 2010270223A
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JP2009123336A
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Toshiya Seko
敏也 世古
Akira Harada
明 原田
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】オレフィン系重合体に対する密着性に優れ、塗料等として有用な、活性エネルギー線硬化性水分散体、塗料、及びインクを提供する。
【解決手段】 1)ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を、(A):(B)=100:1〜100:300(重量比)の割合で結合させてなる重合体(C)、2)1分子中に活性エネルギー線硬化性不飽和結合を2個以上有する化合物(D)、3)水 を含有し、重合体(C)と化合物(D)との重量比が95:5〜5:95であり、重合体(C)及び化合物(D)の合計量と水との重量比が5:95〜90:10であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィンを変性してなる重合体を含む活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物、それを含有してなる塗料、インク、及びこれらから得られる積層体に関する。
プロピレン重合体やプロピレン・α−オレフィン共重合体などのポリオレフィンは安価であり、しかも、機械的物性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れていることから、自動車、家電、食品包装などの広い分野で使用されている。しかしながら、こうしたポリオレフィンは、分子中に極性基を持たないため一般に極性が低く、塗装や接着が困難であり改善が望まれていた。
このため、ポリオレフィンの成形体の表面を薬剤などで化学的に処理すること、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの手法で成形体表面を酸化処理することといった種々の手法が試みられてきている。しかしながら、これらの方法では特殊な装置が必要であるばかりでなく、塗装性や接着性の改良効果が必ずしも十分ではなかった。
そこで比較的簡便な方法でポリオレフィンに良好な塗装性や接着性を付与するための工夫として、いわゆる塩素化ポリプロピレンや酸変性プロピレン・α−オレフィン共重合体、さらに酸変性塩素化ポリプロピレンが開発されてきた。このような変性ポリオレフィンを、ポリオレフィンの成形体表面に表面処理剤、接着剤或いは塗料等として塗布するのである。
変性ポリオレフィンは通常、有機溶媒の溶液、又は水への分散体などの形態で塗布される。安全衛生及び環境汚染の面から近年では、水分散体が好ましく用いられる。
例えば、酸変性塩素化ポリオレフィンを界面活性剤と塩基性物質を使用して水性化した水性樹脂組成物(特許文献1)、あるいは酸変性ポリオレフィンを界面活性剤と塩基性物質を使用して水性化した水性樹脂組成物(特許文献2)等がある。
一方で、塗膜の耐水性や耐溶剤性、耐傷付き性を改善するために、塗料やインクの成分を紫外線や電子線などのエネルギー線で架橋し塗膜の強度を向上させる手法がある。
例えば、不飽和二重結合を有する化合物を含有する水性組成物と融点が125℃以上のワックス成分を含有する活性エネルギー線硬化性水性組成物(特許文献3)、不飽和カルボン酸及び(メタ)アクリル酸エステル変性ポリプロピレン系共重合体と、光硬化性化合物とを含有する紫外線硬化型コーティング組成物(特許文献4)、官能基化ポリオレフィンとエチレン性不飽和化合物との反応生成物を有する改質ポリオレフィン組成物(特許文献5)等がある。
特開平3−182534号 特開平6−256592号 特開2002−121247号 特開2003−238885号 特表2004−520474号
しかしながら、特許文献1、2に記載されている水性樹脂組成物においては、ポリオレフィンの分散粒子径を細かくするには界面活性剤を大量に添加する必要があり、結果として、このような水性樹脂組成物を用いた塗料は耐水性や耐溶剤性に乏しいという課題がある。また、塗布後に界面活性剤が塗装表面へブリードアウトして外観不良が起こる場合もあり、さらなる改善が望まれている。 また、特許文献3〜5に記載されている組成物においては、有機溶剤を大量に含んでいたり、水性化されている場合でも大量の界面活性剤を含んでいるなどしているため、更なる改善が求められている。
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、オレフィン系重合体に対する密着性に優れ、硬化膜とした際の耐水性、耐油性や耐溶剤性、耐傷付き性に優れる、エネルギー線硬化性塗料やインク等として有用な、活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を提供することを目的とする。
加えて、このような活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を含有してなる塗料、インキ、及びこれを硬化させて得られる積層体をも提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリオレフィンに親水性高分子を所定割合で結合させた重合体、特定の化合物及び水を、特定の割合で含有する活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物が、ポリオレフィン基材に対する優れた密着性を有し、更に得られる硬化膜が耐水性、耐油性や耐溶剤性を備えることを見いだし本発明に至った。
即ち本発明の要旨は、ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を、(A):(B)=100:1〜100:300(重量比)の割合で結合させてなる重合体(C)、1分子中に活性エネルギー線硬化性不飽和結合を2個以上有する化合物(D)及び水を含有し、重合体(C)と化合物(D)との重量比が95:5〜5:95であり、重合体(C)及び化合物(D)の合計量と水との重量比が5:95〜90:10であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に存する。
また本発明の要旨は、さらに、光開始剤(E)を重合体(C)及び化合物(D)の合計100重量部に対して0.01〜10重量部含有する前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に存する。
また本発明の要旨は、さらに、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(F)を、重合体(C)及び化合物(D)の合計100重量部に対して10〜400重量部含有する前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に存する。
また本発明の要旨は、重合体(C)が50%平均粒子径5.0μm以下で水に分散されてなる前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に存する。
また本発明は、重合体(C)が、ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)をグラフト結合したグラフト共重合体である前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に存する。
また本発明の要旨は、ポリオレフィン(A)がメタロセン触媒により重合され、且つ、融点が125℃以下であって、プロピレン成分を50モル%〜100モル%含有するポリプロピレン系重合体である前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に存する。
また本発明は、親水性高分子(B)がポリエーテル樹脂である前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に存する。
また本発明の要旨は、さらに顔料(G)を、重合体(C)及び化合物(D)の合計10
0重量部に対して10〜400重量部含有する前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に存する。
また本発明の別の要旨は、前記重合体(C)を水に分散させて分散体を得、次いで該分散体に化合物(D)を溶解又は分散させる、前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物の製造方法に存する。
また本発明の別の要旨は、前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を含有してなる、活性エネルギー線硬化性塗料、又は活性エネルギー線硬化性インクに存する。
また本発明の別の要旨は、熱可塑性樹脂成形体(H)上に、前記活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物、前記活性エネルギー線硬化性塗料、又は前期活性エネルギー線硬化性インクを塗布、乾燥し、活性エネルギー線を照射することにより樹脂層が形成されてなる、積層体に存する。
本発明に用いられる重合体(C)は水への分散性に優れるので、少ない界面活性剤の添加で、或いは界面活性剤を実質的に添加することなく分散粒子径の細かい安定性に優れた水性樹脂組成物が得られる。従って、重合体(C)と1分子中に活性エネルギー線硬化性不飽和結合を2個以上有する化合物(D)とを含む活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、従来問題となっていた界面活性剤によるブリードアウトを抑制できる利点があり、ひいては優れた外観の塗布品が得られる。
また、これを塗布し、硬化して得られた硬化膜は耐傷付き性、耐水性、耐湿性、耐油性、耐薬品性に優れる。得られる硬化膜はポリオレフィン素材、もしくはポリオレフィン等を含有するプラスチック素材に対して良好な密着性を示し、通常塗装や接着が困難な未処理ポリプロピレンのような難接着性の基材上にも形成し得る。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物がアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(F)を含む場合には、これらとの相溶性が良好であり、樹脂(F)に由来する物性値の向上、具体的には硬化膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦性、耐溶剤性などを向上させることができる。
従って本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物はポリプロピレンなどのオレフィン系重合体に対する塗料、インク、表面処理剤、コーティング剤、プライマー等として極めて有用である。また本発明においては、前記効果のうち、特定の効果のみに特に優れている場合も含んでいる。
以下において、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本明細書において(メタ)アクリルとはアクリルとメタクリルとの総称である。(メタ)アクリロキシ、(メタ)アクリレートについても同様である。
また、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を、(A):(B)=100:1〜100:300(重量比)の割合で結合させてなる重合体(C)、1分子中に活性エネルギー線硬化性不飽和結合を2個以上有する化合物(D)及び水を含有し、重合体(C)と化合物(D)と重量比が95:5〜5:95であり、重合体(C)及び化合物(D)の合計量と水との重量比が5:95〜90:10であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物である。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、重合体(C)と化合物(D)及び水を上記組成範囲で含んでいれば特にその形態は限定されないが、具体的には重合体(C)が水に分散されており、化合物(D)は水に分散されている、又は水に溶解していることが好ましい。
重合体(C)及び化合物(D)が両方とも水に分散している場合には、それぞれが別々の粒子を形成して分散していてもよいし、両方を含む複合粒子を形成して分散していてもよい。
なお本発明において分散とは、分散粒子が極めて小さく単分子で分散している状態、実質的には溶解と言えるような状態を含む概念である。特に化合物(D)においては、水溶性化合物であってもよい。
本発明においては、重合体(C)及び化合物(D)が水に分散又は溶解されていれば、製造方法は特に限定されない。例えば、重合体(C)と化合物(D)をそれぞれ水に分散、又は溶解してから混合する方法がある。この場合は、重合体(C)からなる粒子と化合物(D)からなる粒子とがそれぞれ別々に形成され、水に分散される、又は重合体(C)からなる粒子が形成されて水に分散されるとともに、化合物(D)が水に溶解した水性樹脂組成物が得られる。
具体的には、まず重合体(C)を水に分散させて分散体を得、次いで該分散体に化合物(D)を水に溶解又は分散させて活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を製造することが好ましい。
或いは重合体(C)と化合物(D)とを溶解、混練等で混合後、乳化して水に分散させる方法がある。この場合は、重合体(C)と化合物(D)とが合一した粒子が水に分散された水性樹脂組成物が得られる。例えば重合体(C)の製造時に化合物(D)を共存させることで、一粒子内に重合体(C)と化合物(D)を含む粒子を形成しうる。
本発明に用いられる重合体(C)は、ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を、(A):(B)=100:1〜100:300(重量比)の割合(即ちポリオレフィン(A)100重量部に対して親水性高分子(B)が1重量部以上、300重量部以下)で結合させてなる重合体である。この範囲より親水性高分子(B)の比率が小さいと、重合体(C)が水中で良好に分散せず、分散粒子径が非常に大きく凝集するか分離してしまう傾向がある。逆にこの範囲より親水性高分子(B)の比率が大きいと、ポリオレフィン基材との密着性や、塗膜の耐水性が悪くなる傾向がある。
好ましくは(A):(B)=100:3以上、より好ましくは(A):(B)=100:5以上、更に好ましくは(A):(B)=100:10以上であって、好ましくは(A):(B)=100:100以下、より好ましくは(A):(B)=100:50以下、更に好ましくは(A):(B)=100:30以下である。即ち、ポリオレフィン(A)100重量部に対して親水性高分子(B)が好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上、更に好ましくは10重量部以上であって、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、更に好ましくは30重量部以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に含まれる重合体(C)と化合物(D)との重量比は95:5〜5:95である。即ち重合体(C)と化合物(D)との合計量を100重量部としたとき、重合体(C)の量が5重量部以上であり、95重量部以下である。重合体(C)の量が5重量部未満では、ポリオレフィン系基材に対する密着性が不十分となる傾向がある。好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上である。重合体(C)の量が95重量部より大きいと、このような活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物から得られる硬化膜の物性、具体的には硬化膜の強度、耐水性、耐候性、耐擦性、耐溶剤性などが不十分となってしまう傾向がある。好ましくは80重量部以下、よ
り好ましくは70重量部以下である。
重合体(C)及び化合物(D)の合計量と水との重量比は5:95〜90:10である。すなわち重合体(C)、化合物(D)及び水の総量を100重量部としたとき、重合体(C)及び化合物(D)の合計量が5重量部以上であり、90重量部以下である。重合体(C)及び化合物(D)の合計量が5重量部未満では、塗布、加熱硬化等の作業性が悪く実用的でない。好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上である。一方で90重量部より大きいと、得られる活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、塗布性が悪くなり、均一な塗膜を形成しにくい。好ましくは80重量部以下、より好ましくは60重量部以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に含まれる各成分について、以下に詳細に説明する。
ポリオレフィン(A)と親水性高分子(B)を結合させてなる重合体(C)を製造する方法としては、通常、ポリオレフィン(A)存在下で親水性モノマーを重合してポリオレフィン(A)に結合した親水性高分子(B)を形成する方法(R1)、又は予め重合により形成した親水性高分子(B)をポリオレフィン(A)に結合させる方法(R2)などが挙げられ、これらの方法はポリオレフィンや親水性高分子の種類及び組合せ、目的とする重合体(C)の特性等に応じて適宜選択することができる。またポリオレフィン(A)としては、反応性基を有しないポリオレフィン(A1)、又は反応性基を有するポリオレフィン(A2)を用いることができる。
以下、各々の場合に分けて説明する。
(A)ポリオレフィン
本発明で用いられるポリオレフィン(A)としては、反応性基を有しないポリオレフィン(A1)、又は反応性基を有するポリオレフィン(A2)がある。
(A1)反応性基を有しないポリオレフィン
ポリオレフィン(A1)としては、公知の各種ポリオレフィン及び変性ポリオレフィンを用いることができ、特に限定されないが、例えば、エチレン又はプロピレンの単独重合体、エチレン及びプロピレンの共重合体、エチレン又は/及びプロピレンとその他のコモノマー、例えばブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの炭素数2以上のα−オレフィンコモノマーや、シクロペンテン、シクロヘキセン、及びノルボルネンなどの脂環式不飽和炭化水素コモノマーとの共重合体、もしくはこれらコモノマーの2種類以上の共重合体を用いることができる。これらのコモノマーとして好ましくは炭素数2〜6のコモノマーである。またα−オレフィンモノマーと酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのコモノマーとの共重合体、芳香族ビニルモノマーなどのコモノマーとの共重合体又はその水素添加体、共役ジエンブロック共重合体又はその水素添加体、なども用いることができる。なお単に共重合体という場合はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。更に、これらポリオレフィンを塩素化した塩素化ポリオレフィンも使用しうる。塩素化ポリオレフィンの塩素化度は通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、また塩素化度は通常50重量%以下であり、好ましくは30重量%以下である。
ポリオレフィン(A1)として具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加体(SEPS)などである。好ましくはプロピレン単独重合体又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体であり、これらは塩素化
されていてもよい。より好ましくは、実質的に塩素を含まないプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体である。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオレフィン(A1)は、メタロセン触媒により重合されることが好ましい。
ポリオレフィン(A1)の融点は、125℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。ポリオレフィンの融点が低い方が、得られる活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物からなる塗膜を低い温度で乾燥をしても高い密着性を得ることができる傾向がある。
またポリオレフィン(A1)は、プロピレン成分を50モル%〜100モル%含有するポリプロピレン系重合体であることが好ましい。プロピレンの含有率は、より好ましくは60モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上である。通常、プロピレンの含量が高いほど得られる活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物におけるポリプロピレン基材への密着性が増す傾向がある。
ポリオレフィン(A1)がプロピレン単独重合体又はポリプロピレン系共重合体である場合、その立体規則性としては、全体または部分的にアイソタクチック構造を有するものが好ましい。例えば通常のアイソタクチックポリプロピレンはもちろんのこと、特開2003−231714号公報やUS4,522,982号公報に記載されているような、アイソタクチックブロックポリプロピレンや、ステレオブロックポリプロピレン等も使用することができる。
ポリプロピレンの好ましい形態の一つとして、アイソタクチックブロックとアタクチックブロックとを有するステレオブロックポリプロピレンの単独重合体又は共重合体がある。好ましくは、アイソタクチック立体規則性を示す[mmmm]ペンタッドが20%〜90%の範囲である。下限値の好ましい値は30%、より好ましくは35%である。上限値の好ましい値は80%、さらに好ましくは70%、より好ましくは60%である。ペンタッドの比率の測定方法は特開2003−231714号公報に記載の方法を用いることができる。下限値より高いほど本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物から得られる塗膜や硬化膜のべたつき度合いが小さくなる傾向があり、また上限値より低いほど結晶化度が低くなり重合体(C)の水分散体の調製が容易になる傾向がある。
このほか、一般的に入手可能なポリプロピレン系重合体としてはとしては、日本ポリプロ社製「ウィンテック」「ウェルネクス」、三井化学社製「タフマーXM」、クラリアント社製「リコセンPP」などがあげられる。これらはいずれもメタロセン触媒によって重合されたポリプロピレン系共重合体である。
本発明におけるポリオレフィン(A1)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定し各々のポリオレフィンの検量線で換算した重量平均分子量[Mw]が5,000〜500,000であることが好ましい。下限値のより好ましい値は10,000、さらに好ましくは30,000である。上限値のより好ましい値は300,000、さらに好ましくは200,000である。Mwが下限値より高いほど本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物から得られる塗膜や硬化膜のべたつき度合いが小さくなり基材への密着性が増す傾向があり、また上限値より低いほど粘度が低くなり重合体(C)の水分散体の調製が容易になる傾向がある。なおGPC測定は、オルトジクロロベンゼンなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる。
本発明のポリオレフィン(A1)の製法については、本発明の要件を満たす重合体を製
造することができれば特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などが挙げられ、それぞれリビング重合であってもよい。
また配位重合の場合は、例えばチーグラー・ナッタ触媒により重合する方法又はシングルサイト触媒やカミンスキー触媒により重合する方法が挙げられる。好ましい製法としては、シングルサイト触媒による製造方法を挙げることができる。この理由としては、一般にシングルサイト触媒がリガンドのデザインにより分子量分布や立体規則性分布がシャープであることなどが挙げられる。またシングルサイト触媒としては、例えばメタロセン触媒、ブルックハート型触媒を用いうる。メタロセン触媒ではC対称型、C対称型、C2V対称型、C対称型など、重合するポリオレフィンの立体規則性に合わせて好ましい触媒を選択すればよい。好ましくはC対称型、C対称型のメタロセン触媒を用いることができる。
また重合は溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合などいずれの重合形態でもよい。溶液重合やスラリー重合の場合、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式脂肪族系炭化水素、クロロホルム、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類などが挙げられる。なかでも芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、及び脂環式脂肪族系炭化水素が好ましく、より好ましくはトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、及びシクロヘキサンである。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なおポリオレフィン(A1)は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
(A2)反応性基を有するポリオレフィン
反応性基を有するポリオレフィン(A2)としては、例えば、重合時に反応性基を有しない不飽和化合物と反応性基を有する不飽和化合物とを共重合した共重合体(A2a)、又は、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をポリオレフィンにグラフト重合した重合体(A2b)を用いることができる。
共重合体(A2a)は、反応性基を有しない不飽和化合物と、反応性基を有する不飽和化合物とを共重合して得られ、反応性基を有する不飽和化合物が主鎖に挿入された共重合体である。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のα−オレフィンと、アクリル酸、無水マレイン酸等のα、β−不飽和カルボン酸又はその無水物とを共重合して得られる。共重合体(A2a)として具体的には、例えばエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体などが使用できる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。製造方法は(A1)で述べた方法を同様に用いることができる。
重合体(A2b)は、予め重合したポリオレフィンに、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をグラフト重合して得られ、反応性基を有する不飽和化合物が主鎖にグラフトされている重合体である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸又はその無水物、イタコン酸又はその無水物、クロトン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(2−イソシアナト)エチル等をグラフトした重合体である。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
重合体(A2b)を得るための本反応のポリオレフィンとしては、上述の反応性基を有しないポリオレフィン(A1)を使用することができる。
重合体(A2b)として具体的には、例えば無水マレイン酸変性ポリプロピレン及びその塩素化物、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体及びその塩素化物、無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体、アクリル酸変性ポリプロピレン及びその塩素化物、アクリル酸変性エチレン−プロピレン共重合体及びその塩素化物、アクリル酸変性プロピレン−ブテン共重合体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤から適宜選択して使用することができ、例えば有機過酸化物、アゾニトリル等を挙げることができる。有機過酸化物としては、ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキシケタール類、クメンヒドロパーオキシドなどのハイドロパーオキシド類、ジ(t−ブチル)パーオキシドなどのジアルキルパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナートなどのパーオキシエステル類が使用できる。アゾニトリルとしてはアゾビスブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。なかでもベンゾイルパーオキシド及びt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナートが特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤と反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物(グラフト共重合単位)の使用割合は、通常、ラジカル重合開始剤:グラフト共重合単位=1:100〜2:1(モル比)の範囲である。好ましくは1:20〜1:1の範囲である。反応温度は、通常50℃以上であり、好ましくは80〜250℃の範囲が好適である。反応時間は、通常1〜20時間程度である。
反応性基を有するポリオレフィン(A2)は、GPCで測定しポリスチレンの検量線で換算した重量平均分子量[Mw]が5,000〜300,000であることが好ましい。下限値のより好ましい値は10,000、さらに好ましくは30,000である。上限値のより好ましい値は250,000、さらに好ましくは200,000である。Mwが下限値より高いほど本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物から得られる塗膜や硬化膜のべたつき度合いが小さくなり、基材への密着性が増す傾向があり、また上限値より低いほど粘度が低くなり重合体(C)の水分散体の調製が容易になる傾向がある。なおGPCの測定は、テトラヒドロフラン(THF)などを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行なわれる。
重合体(A2b)の製法については、本発明の要件を満たす重合体を製造することができれば特に限定されず、いかなる製法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方法等が挙げられる。溶液中で製造する場合の溶媒としては、ポリオレフィン(A1)の製造で用いられる溶媒として挙げた溶媒を同様に用いることができる。
反応性基を有するポリオレフィン(A2)中の反応性基の含有量は、ポリオレフィン1g当たり0.01〜5mmol、即ち0.01〜5mmol/gの範囲にある事が好ましい。より好ましい下限値は0.03mmol/gであり、特に好ましくは0.05mmol/gである。より好ましい上限値は1mmol/gであり、更に好ましくは0.5mmol/gである。下限値より高いほど重合体(C)とする際に該反応性基を介して結合する親水性高分子(B)の結合量が増し重合体(C)の親水性が増すため分散粒子径が小さ
くなる傾向にあり、上限値より低いほど、得られる活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物において基材である結晶性のポリオレフィンに対する密着性が増す傾向にある。
本発明においては反応性基を有しないポリオレフィン(A1)と反応性基を有するポリオレフィン(A2)の双方を、親水性高分子(B)との組合せや目的とする重合体(C)の特性等に応じて適宜用いうるが、好ましくは反応性基を有するポリオレフィン(A2)である。親水性高分子(B)の結合量の制御がしやすく、また結合に用いうる反応が多様であるなどの利点がある。
反応性基としては、例えばカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸モノエステル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナート基などが挙げられる。より好ましくは、ポリオレフィン(A)はカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸無水物モノエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する。これらカルボン酸基等は反応性が高く親水性高分子(B)と結合が容易なだけでなく、これらの基を有する不飽和化合物も多く、ポリオレフィンへ共重合もしくはグラフト反応させることも容易である。
また反応性基を有するポリオレフィン(A2)としては、重合体(A2a)と重合体(A2b)のいずれも用いうるが、通常、好ましいのは重合体(A2b)である。親水性高分子(B)の結合量の制御がしやすいなどの利点がある。
(B)親水性高分子
本発明において親水性高分子とは、25℃の水に10重量%の濃度で溶解させたときに不溶分が1重量%以下の高分子を言う。親水性高分子(B)としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に限定されず用いることができ、合成高分子、半合成高分子、天然高分子のいずれも用いることができる。通常、数平均分子量[Mn]が300以上の化合物である。また反応性基を有していてもよい。
具体的な高分子としては、特に限定されないが例えばポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デキストリン、カルボキシルデンプン、カチオン化デンプン、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が使用できる。
なかでも好ましくは、親水性度合いの制御がしやすく、特性も安定しているポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂などの合成高分子である。より好ましくは、ポリ(メタ)アクリル樹脂などのアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びポリエーテル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂である。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中では、親水性の高いポリエーテル樹脂が最も好ましい。
親水性高分子(B)として本発明に用いることができるアクリル系樹脂は、通常、不飽和カルボン酸若しくはそのエステル又は無水物を、ラジカル重合、アニオン重合、又はカチオン重合により重合することで得られる。ポリオレフィン(A)との結合方法は限定されないが、例えば、ポリオレフィンに直接ラジカルグラフト重合する方法、水酸基、アミノ基、グリシジル基、(無水)カルボン酸基等の反応性基を有するアクリル系樹脂を、反応性基を有するポリオレフィンと反応させる方法、等が挙げられる。
親水性を示す不飽和カルボン酸若しくはそのエステル又は無水物として好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物、(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
本発明に用いるポリビニルアルコール樹脂は、通常、酢酸ビニルを重合させポリ酢酸ビ
ニルを得た後、ケン化することで得られる。ケン化度は完全ケン化でも部分ケン化でもよい。
親水性高分子(B)として本発明に用いることができるポリエーテル樹脂は、通常、環状アルキレンオキサイドまたは環状アルキレンイミンを開環重合することで得られる。ポリオレフィン(A)との結合方法は限定されないが、例えば、反応性基を有するポリオレフィン中で環状アルキレンオキサイドを開環重合する方法、開環重合等により得られたポリエーテルポリオールやポリエーテルアミンなどの反応性基を有する親水性高分子を反応性基を有するポリオレフィンと反応する方法、等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールはポリエーテル骨格を有する樹脂の両末端に、反応性基としての水酸基を有する化合物である。ポリエーテルアミンは、ポリエーテル骨格を有する樹脂の片末端又は両末端に、反応性基としての1級アミノ基を有する化合物である。親水性を示すポリアルキレンオキサイドやポリアルキレンイミンとして好ましくは、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミンが挙げられる。
又、ポリエーテルアミンとしては、ハンツマン社製ジェファーミンMシリーズ、Dシリーズ、EDシリーズ、サーフォナミンLシリーズなどを使用してもよい。本発明に用いる親水性高分子(B)はポリオレフィン(A)との結合前に、ポリオレフィン(A)と反応しうる反応性基を1以上有しているのが好ましい。反応性基としては、例えばカルボン酸基、ジカルボン酸無水物基、及びジカルボン酸モノエステル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナート基などが挙げられるが、少なくともアミノ基を有することが好ましい。アミノ基はカルボン酸基、無水カルボン酸基、グリシジル基、イソシアナート基など多種の反応性基との反応性が高いのでポリオレフィンと親水性高分子を結合させることが容易である。アミノ基は1級、2級、3級のいずれでもよいが、より好ましくは1級アミノ基である。
親水性高分子(B)中に反応性基は1以上あればよいが、より好ましくは反応性基を1つのみ有する。反応性基が2以上あると、ポリオレフィン(A)と結合させる際に3次元網目構造となりゲル化してしまう可能性がある。ただし反応性基を複数有していても、他より反応性の高い反応性基が1つのみであればよい。例えば複数の水酸基と、それより反応性の高い1つのアミノ基を有する親水性高分子(B)は好ましい例である。ここで反応性とはポリオレフィン(A)の有する反応基との反応性である。
本発明における親水性高分子(B)は、GPCで測定しポリスチレンの検量線で換算した重量平均分子量[Mw]が200〜200,000であることが好ましい。下限値のより好ましい値は300、さらに好ましくは500である。上限値のより好ましい値は100,000であり、更に好ましくは10,000、特に好ましくは3,000である。Mwが下限値より高いほど重合体(C)の親水性が増し分散粒子径が小さくなり安定に分散する傾向にあり、また上限値より低いほど粘度が低く重合体(C)の水分散体を調製しやすい傾向にある。なおGPC測定は、THFなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる。
ポリオレフィン(A)に結合している親水性高分子(B)の量は、ポリオレフィン1g当たり0.01〜5mmol、即ち0.01〜5mmol/gの範囲にある事が好ましい。より好ましい下限値は0.03mmol/gであり、特に好ましくは0.05mmol/gである。より好ましい上限値は1mmol/gであり、更に好ましくは0.5mmol/gである。下限値より高いほど重合体(C)の親水性が増し分散粒子径が小さくなり安定に分散する傾向にあり、上限値より低いほど、得られる活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物において基材である結晶性のポリオレフィンに対する密着性が増す傾向にある
ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を結合させてなる重合体(C)としては、ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)がグラフト結合したグラフト共重合体、又はポリオレフィン(A)の片末端もしくは両末端に親水性高分子(B)が結合した状態を含むポリオレフィン(A)と親水性高分子(B)とのブロック共重合体、とがあり得るが、好ましくは前者のグラフト共重合体である。グラフト共重合体は親水性高分子(B)の含有量が制御しやすく、またブロック共重合体に比べて親水性高分子(B)の含有量を上げやすい利点がある。
親水性高分子(B)はポリオレフィン(A)に対して、種々の反応形態により結合させることができる。その形態は特に限定されないが、例えば、ラジカルグラフト反応や反応性基を利用した反応である。
ラジカルグラフト反応によれば、炭素−炭素共有結合による結合が形成される。
反応性基を利用した反応は、ポリオレフィン(A)と親水性高分子(B)の双方に反応性基を有していてそれらを反応させて結合させるものであり、共有結合又はイオン結合が形成される。この反応としては、例えばカルボン酸基とヒドロキシル基のエステル化反応、カルボン酸基とエポキシ基との開環反応、1級又は2級アミノ基とエポキシ基との開環反応、カルボン酸基と1級又は2級アミノ基のアミド化反応、カルボン酸基と3級アミノ基の4級アンモニウム化反応、カルボン酸基とイソシアナート基のウレタン化反応、1級又は2級アミノ基とイソシアナート基のウレタン化反応等が挙げられる。
各反応の反応率は1〜100%の間で任意に選べばよく、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは70〜100%である。カルボン酸基が二塩基酸もしくはその無水物である場合は、二塩基酸もしくはその無水物一当量に対し、一当量反応させても二当量反応させてもよい。
(C)重合体
ポリオレフィン(A)と親水性高分子(B)を結合させ重合体(C)を製造する方法としては、通常、ポリオレフィン(A)存在下で親水性モノマーを重合してポリオレフィン(A)に結合した親水性高分子(B)を形成する方法(R1)、又は予め重合した親水性高分子(B)をポリオレフィン(A)に結合させる方法(R2)がある。いずれもポリオレフィン(A)としては、反応性基を有しないポリオレフィン(A1)、又は反応性基を有するポリオレフィン(A2)、ともに用いうる。
(C−1)重合体(C)の製造方法(R1)
本方法では、ポリオレフィン(A)存在下で、親水性モノマーを重合することでポリオレフィン(A)に結合した親水性高分子(B)を得る。親水性モノマーの重合方法は、例えば付加重合、縮合重合、開環重合などを用いうる。このとき重合後に親水性高分子を形成しうる範囲であれば疎水性モノマーを共重合させてもよい。
具体的には、例えば、親水性モノマーである親水性ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤の存在下で重合して親水性高分子(B)を形成するとともにポリオレフィン(A)に結合させる方法がある。この場合ポリオレフィン(A)としては反応性基を有するポリオレフィン(A2)も用いうるが、通常は反応性基を有しないポリオレフィン(A1)を用いる。
親水性ラジカル重合性不飽和化合物としては、特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物、ビニルピロリドンなどが挙げられる。共重合可能な疎水性モノ
マーとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル等が挙げられる。
または、ラジカル重合性不飽和化合物をラジカル重合開始剤の存在下で重合して高分子を形成するとともにポリオレフィン(A)に結合させ、次いで変性し親水性高分子(B)とする方法がある。例えば(メタ)アクリル酸t−ブチルを重合後、酸性下で加水分解しポリ(メタ)アクリル酸に変性する方法、酢酸ビニルを重合後、ケン化してポリビニルアルコールに変性する方法などが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニルが挙げられる。この場合ポリオレフィン(A)としては反応性基を有するポリオレフィン(A2)も用いうるが、通常は反応性基を有しないポリオレフィン(A1)を用いる。
或いは、反応性基を有するポリオレフィン(A2)を用い、この反応性基を開始末端として、親水性モノマーである親水性ラジカル重合性不飽和化合物や親水性開環重合モノマー等を重合して親水性高分子(B)を得る方法がある。親水性ラジカル重合性不飽和化合物としては上述のものを同様に用いうる。親水性開環重合モノマーとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンイミンなどが挙げられる。共重合可能な疎水性モノマーとしては、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
これらはいずれも、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、いかなる方法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方法等が挙げられる。反応温度は、通常0〜200℃の範囲であり、好ましくは30〜150℃の範囲である。溶液中で製造する場合の溶媒としては、(A1)で挙げた溶媒を同様に用いることができる。
(C−2)重合体(C)の製造方法(R2)
本方法では、予め重合した親水性高分子(B)をポリオレフィン(A)に結合させる。この場合親水性高分子(B)としては前述にて挙げたものを用いうる。具体的には、例えば、まず親水性モノマーを重合して親水性高分子とする際に分子内に不飽和二重結合を残しておき、次いでラジカル重合性開始剤を用いてポリオレフィン(A)にグラフト重合させる方法があり、重合体(C)がポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)をグラフト結合したグラフト共重合体であるのが好ましい。この場合ポリオレフィン(A)としては反応性基を有するポリオレフィン(A2)も用いうるが、通常は反応性基を有しないポリオレフィン(A1)を用いる。
また、まず末端に反応性基を有する親水性高分子を重合し、次いでこれを反応性基を有するポリオレフィン(A2)に結合させる方法がある。末端に反応性基を有する親水性高分子は、開始剤や連鎖移動剤として反応性基を有する化合物を用いて親水性モノマーを重合することで得られる。もしくはエポキシ化合物等の親水性開環重合モノマーを開環重合することによっても得られる。
このとき用いうる親水性モノマーとしては、(C−1)で挙げた各種親水性モノマーを同様に用いうる。これらはいずれも、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応方法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、い
かなる方法であってもよい。例えば、溶液中で加熱攪拌して反応する方法、無溶媒で溶融加熱攪拌して反応する方法、押し出し機で加熱混練して反応する方法等が挙げられる。反応温度は、通常0〜200℃の範囲であり、好ましくは30〜150℃の範囲である。溶液中で製造する場合の溶媒としては、ポリオレフィン(A1)の製造で用いられる溶媒として挙げた溶媒を同様に用いることができる。
(C−3)重合体(C)の水分散体
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を製造するにあたって、重合体(C)の水分散体を製造する場合、その製造方法は特に限定されないが、例えば、前述の重合体(C)に水以外の溶媒を加え、必要に応じ加熱して溶解させた後に水を添加して分散体とする方法、重合体(C)が溶融する温度以上で溶融させた後に水を添加して分散体とする方法、などが挙げられる。好ましくは前者である。
水以外の溶媒を加え、必要に応じ加熱して溶解させた後に水を添加する方法では粒径の小さい水分散体が作りやすい。
溶媒への溶解時、又は水の添加時の温度は、通常30〜150℃である。また水以外の溶媒に一旦溶解する場合は、水を添加した後に溶媒を留去してもよい。水分散体における水を含む溶媒全体に対する水以外の溶媒の比率は、最終的には通常5重量%以下とする。好ましくは20重量%以下とし、さらに好ましくは10重量%以下とし、特に好ましくは1重量%以下とする。
本方法に用いられる水以外の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、t−ブチルベンゼン等の芳香族系炭化水素、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式脂肪族系炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のアルコール類、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、ジアセトンアルコール等の2以上の官能基を持つ有機溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類などが挙げられる。
なかでも常温で水に1重量%以上溶解する溶媒が好ましく、さらに好ましくは5重量%以上溶解するものであり、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノールが好ましい。
重合体(C)を溶媒へ溶解させた状態又は溶融状態にしたのち、水を添加し水分散体を製造する装置としては、特に限定されないが、例えば、撹拌装置付き反応釜、一軸または二軸の混練機などが使用できる。その際の攪拌速度は装置の選択によって多少異なるが、通常、10〜1000rpmの範囲である。本発明で用いられる重合体(C)は水への分散性に非常に優れるので、重合体(C)の水分散体は分散粒子径が小さく、かつ樹脂が安定に分散している利点がある。従ってこれを用いると優れた外観の塗布品が得られる。
水分散体における重合体(樹脂)の分散粒子径は、通常、50%平均粒子径で5.0μ
m以下であり、好ましくは1.0μm以下である。本発明によれば、50%平均粒子径が0.5μm以下とすることができ、より好ましくは0.3μm以下とすることができる。更に好ましくは90%平均粒子径を1.0μm以下とすることができ、特に好ましくは0.5μm以下とすることができる。分散粒子径を小さくすることで、分散安定性を向上させ、凝集が起きにくく、より安定に分散できる。
ここで分散粒子径は公知の方法で測定できるが、例えば日機装社製マイクロトラック UPA(モデル9340 バッチ型 動的光散乱法/レーザードップラー法)を用いて測定することができる。
なお、本発明において分散とは、分散粒子が極めて小さく単分子で分散している状態、実質的には溶解と言えるような状態を含む概念である。従って、分散粒子径の下限値については特に制限はない。
重合体(C)の水分散体は、全体に対して固形分は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。また好ましくは70重量%以下であり、より好ましくは60重量%以下であり、更に好ましくは50重量%以下である。固形分の量が少ないほど得られる活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物の粘度が低く種々の塗布方法に適用でき使用しやすく、また分散体としての安定性も高い傾向にある。ただし、例えばプライマーや接着剤として使用する際に、塗布後の水の乾燥にあまり多量のエネルギーと時間をかけないためには固形分が多い方が好ましい。
以上のように本発明で用いられる重合体(C)においては、実質的に界面活性剤を用いることなく水分散体を得ることができ、従ってこれを用いて得られる活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物では、従来界面活性剤によって引き起こされていたブリードアウトを抑制できるのが利点の一つである。ただし、他の目的、用途等に応じて必要により界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては例えばカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、反応性界面活性剤などを使用することができる。ここで使用できる界面活性剤の具体例は、本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に含むことができる界面活性剤として後述する。
重合体(C)の水分散体において、重合体(C)100重量部に対する界面活性剤の比率は、通常20重量部以下であり、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。最も好ましくは界面活性剤を実質的に含まないことである。
重合体(C)の水分散体には、必要に応じて酸性物質や塩基性物質を添加することができる。酸性物質としては例えば塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。塩基性物質として例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、2−メチル−2−アミノ−プロパノール、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
(D)1分子中に活性エネルギー線硬化性不飽和結合を2個以上有する化合物
本発明における活性エネルギー線硬化性不飽和結合としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基などが挙げられる。化合物(D)の具体的な例を挙げると、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルアミド、エチレンオキシド変性ビスフェノールA(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールA(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート
、エチレンオキシド変性ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリイソシアネートと分子内に水酸基および(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、テトラカルボン酸二無水物と分子内に水酸基および3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとを反応させて得られるカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレート、1,3,5−トリ(メタ)アクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン等の多官能(メタ)アクリルアミド類、およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
一般的に入手可能な化合物(D)の例としては、ニューフロンティア PE−400(第一工業製薬社製)、GX−8584N(第一工業製薬社製)などが挙げられ、さらにウレタン(メタ)アクリレートとしては、第一製薬工業社製「ニューフロンティアR−1000」シリーズ、日本合成化学社製「紫光UV」シリーズ、サイテック社製「UCECOAT」シリーズ、「EBECRYL」シリーズ、DIC社製「ユニディック」シリーズなどが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、化合物(D)とは別に希釈モノマーとして必要に応じて、分子内に1個の活性エネルギー線硬化性不飽和結合を有する化合物を含むことが出来る。例えば、アルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアルキレンオキシ基を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等があげられる。
これらの活性エネルギー線硬化性不飽和結合を有する化合物は、水溶性もしくは自己乳化性の化合物であればそのまま水に溶解又は分散して配合することが出来る。それ以外の化合物については、界面活性剤を用いて乳化し、水に分散して配合するか、又は重合体(C)の水分散体を製造する過程で同時に乳化し、水に分散することも出来る。界面活性剤としては、例えばカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを使用することができる。ここで使用できる界面活性剤の具体例は、本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に含むことができる界面活性剤として後述する。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、分散媒及び/又は溶媒として水を含有していればよく、水以外の分散媒及び/又は溶媒を含んでいてもよい。
水以外の分散媒及び/又は溶媒としては、特に限定されず、重合体(C)の分散体の製造の際に水以外の溶媒として挙げた溶媒などを用いることができる。なかでも常温で水に5重量%以上溶解する溶媒が好ましく、さらに好ましくは10重量%以上溶解するものであり、例えば、シクロヘキサノン、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、等が好ましい。
水を含む分散媒及び/又は溶媒における水以外の分散媒及び/又は溶媒の割合は、通常50重量%以下であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、抑泡性やブリードアウトの抑制などの面から界面活性剤の含有量が少ないことが好ましいが、他の目的、用途等に応じて必要により界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては例えばカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、反応性界面活性剤などを使用することができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンセチルエ−テル、ポリオキシエチレンステアリルエ−テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなど、アニオン性界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エーテルナトリウムなど、カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウなど、両性界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどがあげられる。
また、上記の界面活性剤にラジカル重合性官能基を有するいわゆる反応性界面活性剤などを使用することができ、反応性界面活性剤を用いた場合は皮膜の耐水性が向上できる。代表的な市販反応性界面活性剤としては、エレミノールJS−2(三洋化成工業製)、ラテムルS−180(花王製)が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物の界面活性剤含有量は、重合体(C)又は後述する樹脂(F)を含む場合には重合体(C)と樹脂(F)の合計量100重量部に対して、通常20重量部以下であることが好ましく、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。最も好ましくは界面活性剤を実質的に含まないことである。
(E)光開始剤
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、必要に応じて光開始剤(E)を含むことができる。
光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のダロキュア1173)、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガキュア184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガキュア2959)、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート(例えば、ストウファー社製のバイキュア55)、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。中でも水に溶解又は分散が容易な光開始剤が好ましい。これらの光開始剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
光開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物の重合体(C)及び化合物(D)の合計100重量部に対して0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜7重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。光開始剤の添加量が少なすぎると、活性エネルギー線種によっては光硬化性が極端に低下し、実質的に工業生産に適さない。また多すぎると照射光量が小さい場合に、硬化させた被膜に臭気が残るおそれがある。なお、活性エネルギー線として電子線を用いる場合には、通常、上記光開始剤を添加しない方が好ましい。また、赤外線、可視光線、紫外線を用いる場合には、通常、上記光開始剤を添加するのが好ましい。
また、本発明に係る活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物には、必要に応じて公知の光増感剤を添加することもできる。光増感剤としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。これらの光増感剤も、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物の塗膜を硬化させて、硬化膜を製造する際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能である。装置のコストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が適している。紫外線の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどが用いられる。活性エネルギー線の照射強度は、用いる活性エネルギー線により異なり、例えば、電子線照射で硬化させる場合には、その照射強度は1〜20Mradであることが好ましく、より好ましくは3〜10Mradである。また、紫外線照射の場合は、その照射強度は50〜1500mJ/cmであることが好ましく、より好ましくは300〜1000mJ/cmである。
(F)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、目的や用途に応じてアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(F)を含むことが好ましい。これらの樹脂(F)はそれぞれ水に分散されていることが好ましい。分散形態としては特に限定されず、それぞれの樹脂が独立して粒子を形成していてもよいし、重合体(C)または化合物(D)等と複合粒子を形成していてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に含まれる樹脂(F)の含有量は、重合体(C)及び化合物(D)の合計100重量部に対して10〜400重量部であることが好ましい。より好ましくは20重量部以上、更に好ましくは50重量部以上であって、より好ましくは200重量部以下、更に好ましくは100重量部以下である。
(F−1)アクリル樹脂
本発明に用いられるアクリル樹脂としては、(メタ)アクリル系重合体であれば特に限定されないが、アクリル酸及び/又はそのエステルの単独重合体又は共重合体、メタクリル酸及び/又はそのエステルの単独重合体又は共重合体を言う。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、炭素原子数1〜12のアルキル基を有
する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等、又は、炭素原子数6〜12のアリ−ル基またはアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えば(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
或いは、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレンオキサイドの付加物等、フッ素原子を含有する炭素原子数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、例えば(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パ−フルオロエチルエチル等、(メタ)アクリルアミド系モノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド等が、それぞれ挙げられる。
上述のようなアクリル樹脂を製造するための重合方法としては、特に限定されないが、例えば溶液重合、バルク重合、乳化重合、もしくは懸濁重合等の方法を用いうる。溶液重合、バルク重合で得られたアクリル樹脂を水性エマルジョン化し水分散体とするためには溶液の存在下もしくは不存在下で、コロイドミルなどの機械力により、乳化・分散を行い、その後に必要に応じて残留溶剤を減圧下もしくは大気圧下で留去すればよい。乳化重合又は懸濁重合を用いれば直接水性エマルジョンとしてアクリル樹脂を得ることができる。
本発明に用いられるアクリル樹脂としては、数平均分子量は1,000以上が好ましく、より好ましくは10,000以上である。但し3,000,000以下が好ましく、より好ましくは1,000,000以下である。本アクリル樹脂の水性樹脂組成物中のアクリル樹脂粒子の粒径は、0.01μm〜0.5μmが好ましい。また水性エマルジョンとした場合は樹脂固形分が15〜70重量%であることが好ましく、液粘度は1〜50,000mPa・sが好ましい。
(F−2)ポリウレタン樹脂
本発明に用いられるウレタン樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば(イ)1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分と(ロ)多価イソシアネート成分とを反応させて得られるウレタンポリマー、または、上記(イ)成分及び(ロ)成分をイソシアネート基過剰の条件下で反応させて得られるイソシアネート基含有プレポリマーとジオール等の鎖伸長剤とを反応させて得られるウレタンポリマーが挙げられる。これらのウレタン系重合体中には酸成分(酸残基)を含有させてもよい。
なお、イソシアネート基含有プレポリマーの鎖伸長方法は公知の方法によればよく、例えば、鎖伸長剤として、水、水溶性ポリアミン、グリコール類などを使用し、イソシアネート基含有プレポリマーと鎖伸長剤成分とを、必要に応じて触媒の存在下で反応させればよい。
前記(イ)成分の1分子中に平均2個以上の活性水素を含有する成分としては、特に限定されるものではないが、水酸基性の活性水素を有するものが好ましい。このような化合物の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
(1)ジオール化合物:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、2,5−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等
(2)ポリエーテルジオール:前記のジオール化合物のアルキレンオキシド付加物、アルキレンオキシドや環状エーテル(テトラヒドロフランなど)の開環(共)重合体、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールの(ブロックまたはランダム)共重合体、グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコール等
(3)ポリエステルジオール:アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸(又はその無水物)と上記(1)で挙げられたようなエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール化合物とを水酸基過剰の条件で重縮合させて得られたものが挙げられる。具体的には、エチレングリコール−アジピン酸縮合物、ブタンジオール−アジピン酸縮合物、ヘキサメチレングリコール−アジピン酸縮合物、或いはグリコールを開始剤としてラクトンを開環重合させたポリラクトンジオール等
(4)ポリエーテルエステルジオール:エーテル基含有ジオール(前記(2)のポリエーテルジオールやジエチレングリコール等)または、これと他のグリコールとの混合物を上記(3)で例示したような(無水)ジカルボン酸に加えてアルキレンオキシドを反応させてなるもの、例えば、ポリテトラメチレングリコール−アジピン酸縮合物等
(5)ポリカーボネートジオール:
一般式HO−R−(O−C(O)−O−R)x−OH
(式中Rは炭素原子数1〜12の飽和脂肪酸ジオール残基、xは分子の繰り返し単位の数を示し、通常5〜50の整数である)で示される化合物等。これらは、飽和脂肪族ジオールと置換カーボネート(炭酸ジエチル、ジフェニルカーボネートなど)とを水酸基が過剰となる条件で反応させるエステル交換法、前記飽和脂肪族ジオールとホスゲンを反応させるか、または必要に応じて、その後さらに飽和脂肪族ジオールを反応させる方法などにより得ることができる。
上記の(1)から(5)に例示したような化合物は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記(イ)成分と反応させる(ロ)多価イソシアネート成分としては、1分子中に平均2個以上のイソシアネート基を含有する脂肪族、脂環族または芳香族の化合物が使用できる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、炭素原子数1〜12の脂肪族ジイソシアネートが好ましく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、炭素原子数4〜18の脂環式ジイソシアネートが好ましく、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、ウレタン系重合体中に酸残基を含むものは、界面活性剤を使用せずにもしくはその量が少なくても水中に分散させることが可能となるので塗膜の耐水性が良くなることが期待される。酸残基の含有量としては、ウレタン系重合体の酸価として、20〜150(mgKOH/g)、好ましくは、30〜100(mgKOH/g)の範囲であるのが好適である。酸価が20未満では水分散性を不十分となりやすく、界面活性剤の併用が必要となることが多い、一方酸価が150より大きいと塗膜の耐水性が劣る傾向となる。
ウレタン系重合体中に酸基を導入する方法は、従来から用いられている方法が特に制限なく使用できるが、例えばジメチロールアルカン酸を前記(2)から(4)に記載したグリコール成分の一部もしくは全部と置き換えることによって予めポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルエステルジオールなどにカルボキシル基を導入しておくことにより、酸基を導入する方法が好ましい。ここで用いられるジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などを挙げることができる。
本発明で用いられるウレタン樹脂としては、数平均分子量が1,000以上が好ましく、より好ましくは20,000以上である。但し1,000,000以下が好ましく、より好ましくは200,000以下である。本ウレタン樹脂の水分散体を製造する場合、その製造方法は特に限定されないが、前述のアクリル樹脂の水分散体の製造方法に準じて製造しうる。
本ウレタン樹脂の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物中のウレタン樹脂粒子の粒径は、0.01μm〜0.5μmが好ましい。また樹脂固形分が15〜70重量%であることが好ましい。液粘度は1〜10,000mPa・sが好ましい。
(F−3)ポリエステル樹脂
本発明に用いられるポリエステル樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸及び/又はその無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール化合物又はエーテル基含有ジオール(ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)とを重縮合させて得られるものが挙げられる。
具体的には、エチレングリコール−アジピン酸縮合物、ブタンジオール−アジピン酸縮合物、ヘキサメチレングリコール−コハク酸縮合物、エチレングリコール−プロピレングリコール−フタル酸縮合物、ポリエチレングリコール−アジピン酸縮合物などがある。
これらを界面活性剤の存在下または非存在下で水性エマルジョン化することによってポリエステル樹脂の水分散体が得られる。その製造方法は特に限定されないが、前述のアクリル樹脂の水分散体の製造方法に準じて製造しうる。市販品として入手可能なものとしては、東洋紡社製のバイロナールMD−1200、MD−1245などがあげられる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂としては、数平均分子量が1,000以上が好ましく、より好ましくは5,000以上である。但し500,000以下が好ましく、より好ましくは100,000以下である。本ウレタン樹脂の水性樹脂組成物中のウレタン樹脂粒子の粒径は、0.01μm〜0.5μmが好ましい。また樹脂固形分が15〜70重量%であることが好ましい。液粘度は1〜10,000mPa・sが好ましい。
(F−4)エポキシ樹脂
本発明に用いられるエポキシ樹脂はエポキシ基を1分子中に1個以上有する重合体であれば特に限定されず、例えば多価フェノールをアルカリの存在下にエピクロルヒドリンと
反応させることにより製造することができるフェノールの多価グリシジルエーテルや、このようなフェノールの多価グリシジルエーテルと上記の多価フェノールとを反応させて得られるエポキシ基含有重合体などが挙げられる。
ここで用いることができる多価フェノールとしては、例えばビス(4−ヒドロキシフエニル)−2,2−プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
これらの多価フェノールに代えて、そのフェニル核の二重結合の一部又は全部に対し水素を付加した水添化合物も使用できる。
また、エポキシ樹脂としては、フェノール系ノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル及び多価アルコールのポリグリシジルエーテルも用いることができる。上記の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ソルビトール等が挙げられる。
これらを界面活性剤の存在下または非存在下で水性エマルジョン化することによってエポキシ樹脂の水分散体が得られる。その製造方法は特に限定されないが、前述のアクリル樹脂の水分散体の製造方法に準じて製造しうる。市販品として入手可能な代表的なものとしては、フェノールノボラック樹脂にエピクロヒドリンを付加して得られるノボラック型エポキシ樹脂を界面活性剤(乳化剤)で強制的にエマルション化した、長瀬ケムテック社製デコナールEM150、ジャパンエポキシレジン社製エピレッツ6006W70、5003W55、東都化成社製WEX−5100、等が挙げられる。
また、ビスフェノールに同様にエピクロヒドリンを付加して得られるビスフェノール型エポキシ樹脂を乳化剤で強制乳化した長瀬ケムテック株式会社製デコナールEM101、EM103、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピレッツ3510W60、3515W6、3522W60、3540WY55等が挙げられる。
さらに、ソルビトールやペンタエリトリトールやグリセリンなどのポリオールにエピクロヒドリンを付加したアルキルタイプのエポキシ樹脂として長瀬ケムテック株式会社製デコナールEX−611、EX−614、EX−411、EX−313などが挙げられる。
界面活性剤としては例えばカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを使用することができる。
樹脂(F)の水分散体における界面活性剤の含有量は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂の合計100重量部に対して通常20重量部以下とする。好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。界面活性剤の含有量は少ないほど、本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物から得られる塗膜や硬化膜において界面活性剤のブリードアウトが起きにくくなるため好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。
例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱防止剤等の各種安定剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤、染料、顔料分散剤、レべリング剤、消泡剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤、濡れ剤等の各種添加剤を配合使用してもよい。
また耐水性、耐溶剤性、耐薬品性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために。架橋剤を添加することができる。架橋剤としては自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数固有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。またこれらの架橋剤を組み合わせて使用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物をプライマー、塗料、インク等の用途に使用した場合、乾燥速度を上げたり、或いは仕上がり感の良好な表面を得る目的で、水以外の親水性有機溶媒を配合することができる。親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル類、等が挙げられる。また活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物の安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を樹脂分散体に添加することもできる。
(G)顔料
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は顔料(G)を加えることができる。顔料は、水、油、溶剤などに溶けずそのものが色をもつ粉末固体で、主に塗料、インクの色彩などを形づくる成分であり、顔料(G)を含む水性樹脂組成物は塗料、インクとして好適である。
使用しうる顔料は特に限定されないが、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロム、紺青、ベンガラ、黄鉛、黄色酸化鉄等の無機顔料やアゾ系顔料、アントラセン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料等の着色顔料;タルク、炭酸カルシウム、クレイ、カオリン、シリカ、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料;導電カーボン、アンチモンドープの酸化スズをコートしたウイスカー等の導電顔料;アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の無着色或いは着色された金属製光輝材などを挙げることができ、1種または2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物に対する顔料(G)の添加量は、重量比で重合体(C)及び化合物(D)の合計100重量部に対して、10重量部以上が好ましい。より好ましくは50重量部以上とする。そして400重量部以下が好ましく、より好ましくは200重量部以下である。下限値より添加量が多いほど発色性、隠蔽性が高くなる傾向にあり、上限値より少ないほど密着性、耐湿性、耐油性が高くなる傾向にある。
このとき顔料分散剤を用いてもよい。例えば、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルレジン等の水性アクリル系樹脂;ビックケミー社製のBYK−190等の酸性ブロック共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;エアプロダクツ社(エアープロダクト社)製のサーフィノールT324等のアセチレンジオール誘導体;イーストマンケミカル社製のCMCAB−641−0.5等の水溶性カルボキシメチルアセテートブチレート等を挙げることができる。これらの顔料分散剤を用いることで、安定な顔料ペーストを調製することが出来る。
本発明の水性樹脂組成物には消泡剤を添加してもよい。例えばエアープロダクト社製のサーフィノール104PA及びサーフィノール440等が挙げられる。
<塗料>
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、塗料として好適に用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を含有してなる塗料とは、及び/を含んだで、対象物を保護・美装する目的、または、錆止めや、撥水など独自な機能を付与するために、その表面に塗り付けるのことであり、特に塗料の種類は限定されない。具体的な例としては、自動車内装用塗料、外装用のプライマー、電着塗料、中塗り塗料、ベース塗料、クリア塗料等の自動車用塗料、携帯電話・パソコン等の家電用塗料、建築材料用塗料、錆止め塗料、防食塗料等に用いることが出来る。
<インク>
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、インクとして好適に用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を含有してなるインク(インキ)とは及び/を含んだで、文字を書いたり、表面に色付けするために用いられるものであり、特にインクの種類は限定されない。具体的な例としては、グラビア印刷インク、フレキソ印刷インク、スクリーン印刷インク、オフセット印刷インク、インクジェットインクなどが挙げられる。
<積層体>
熱可塑性樹脂成形体(H)上に、本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物、本発明の活性エネルギー線硬化性塗料、又は本発明の活性エネルギー線硬化性インクを塗布、乾燥し、活性エネルギー線を照射することにより樹脂層が形成されて、積層体とすることができる。該積層体は、熱可塑性樹脂成形体(H)上に少なくとも重合体(C)及び化合物(D)を含む樹脂層が形成された積層体である。
積層の方法としては、特に限定されることなく公知の方法を使用しうるが、例えば、活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性塗料、又は活性エネルギー線硬化性インクをスプレーで塗布する方法、ローラーで塗布する方法、刷毛で塗布する方法、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性塗料、又は活性エネルギー線硬化性インクを塗布した後、ニクロム線、赤外線等によって加熱する通常の方法に従って塗膜を乾燥後、活性エネルギー線を照射し硬化させて、所望の硬化膜を表面に有する成形品を得ることができる。塗膜の乾燥条件は、成形品の材質、形状、使用する塗料の組成等によって適宜選ばれる。硬化温度に特に制限はないが、実用性を考慮して通常、50℃以上、好ましくは60℃以上である。ただし通常150℃以下、好ましくは130℃以下とする。
積層される重合体(C)及び化合物(D)を含む樹脂層の膜厚は、成形品の材質、形状、使用する塗料の組成等によって適宜選びうるが、通常0.1μm以上であり、好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上である。但し通常500μm以下であり、好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。
(H)熱可塑性樹脂成形体
熱可塑性樹脂成形体(H)としては、特に限定されるものではないが、例えばポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる成型体である。なかでも本発明はポリオレフィン成形体からなる熱可塑性樹脂成形体(H)に適用すると密着性などに優れ好ましい。
ポリオレフィン成形体は、結晶性ポリオレフィンの成形体であり、エチレンもしくはプ
ロピレンの単独重合体、又はエチレンもしくはプロピレンとその他のコモノマー例えばブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、などの炭素数2以上のα−オレフィンコモノマーやシクロペンテン、シクロヘキセン、及びノルボルネンなどの脂環式不飽和炭化水素コモノマー、特に好ましくは4〜6のα−オレフィンコモノマーとのランダム共重合体又はブロック共重合体又はこれらコモノマーの2種類以上の共重合体、もしくは酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステルなどのコモノマーとの共重合体、もしくは芳香族ビニルモノマー・共役ジエンブロック共重合体またはその水素添加物が使用される。これらは用途に合わせて、単独でも混合物としても使用できる。
ポリオレフィン成形体を構成するポリオレフィンは、好ましくはメルトフローレート(MFR)が2g/10分以上であり、より好ましくは10g/10分以上、特に好ましくは25g/10分である。ただし好ましくは300g/10分以下、より好ましくは200g/10分以下である。MFRが下限値より高いとポリオレフィンの流れ性が高まる傾向にある。逆にMFRが上限値より低いと機械物性が高まる傾向にある。ポリオレフィンのMFRは、重合時、或いは重合後にジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド等の有機過酸化物で調整することができる。
熱可塑性樹脂成形体(H)として好ましくは結晶性ポリプロピレンの成形体である。結晶性ポリプロピレンとは、プロピレン単独重合体、及び/または、プロピレン単独重合体部とプロピレン・エチレン共重合体部を有する成形体である。ここでプロピレン・エチレン共重合体部とは、プロピレン・エチレンランダム共重合体及び/またはプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、好ましくはプロピレン・エチレンブロック共重合体である。プロピレン・エチレンブロック共重合体は、結晶性ポリプロピレン部(a単位部)とエチレン・プロピレンランダム共重合体部(b単位部)とを含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体である。上記a単位部は、通常プロピレンの単独重合、場合によってはプロピレンに少量の他のα―オレフィンを共重合することによって得られる。
a単位部の、ポリプロピレン単独重合体のMFRは、好ましくは10g/10分以上、より好ましくは15g/10分以上、らに好ましくは20g/10分以上であり、特に好ましくは40g/10分以上である。但し好ましくは500g/10分以下、より好ましくは400g/10分以下、更に好ましくは300g/10分以下である。プロピレン・エチレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部(a単位部)のMFRが下限値より高いと流れ性が高まる傾向にある。逆にMFRが上限値より低いと機械物性が高まる傾向にある。
一方、上記b単位部はプロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるゴム状成分である。上記プロピレン・エチレン共重合体部(b単位部)のプロピレン含量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。但し好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは75重量%以下である。共重合体部のプロピレン含量が上記範囲である場合、その分散性や、ガラス転移温度が適切な範囲となり、衝撃特性が良好となる傾向がある。
プロピレン・エチレン共重合体部のプロピレン含量は、プロピレン・エチレン共重合体部の重合時にプロピレンとエチレンの濃度比を制御することにより、調整することができる。
また、上記プロピレン・エチレン共重合体部の分子量については、特に制約はないが、分散性や耐衝撃性を考慮し、重量平均分子量[Mw]は、好ましくは200,000〜3,000,000、より好ましくは300,000〜2,500,000、さらに好ましくは400,000〜2,000,000である。
a単位部、b単位部の量については特に制限はないが、一般にa単位部は、好ましくは全重合量の95重量%以下、より好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜90重量%、b単位部は、好ましくは全重合量の5重量%以上、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%となるように調整される。b単位部の量が、下限値以上であると耐衝撃特性が高まる傾向があり、上限値以下であると剛性、強度及び耐熱性が高まる傾向がある。
<無機フィラー成分>
本発明に用いられる熱可塑性樹脂成形体(H)は、無機フィラー成分を含有することができる。結晶性ポリプロピレンに無機フィラー成分を配合することにより成形体の曲げ弾性率、剛性などの機械的性質を向上させることができる。具体的には、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラー、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状フィラー、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム、炭化珪素等の針状(ウイスカー)フィラー、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状フィラー、ガラスバルーンのようなバルン状フィラーである。亜鉛華、チタン白、硫酸マグネシウム等の無機充填剤や顔料も使用できる。その中でも、物性・コスト面のバランスより、タルク、マイカ、ガラス繊維、ウイスカーが好ましい。
<エラストマー成分>
更に本発明に用いられる熱可塑性樹脂成形体(H)が結晶性ポリプロピレンである場合、エラストマー成分を含有することができる。結晶性ポリプロピレンにエラストマー成分を配合することにより成形体の耐衝撃強度を向上させることができる。
エラストマー成分としては、エチレン・α−オレフィンランダム共重合ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、スチレン含有熱可塑性エラストマー等が挙げられる。具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・1−ブテン共重合体ゴム、エチレン・1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン・1−オクテン共重合体ゴム等の、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)等の、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック体の水素添加物(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック体の水素添加物(SEPS)等のスチレン含有熱可塑性エラストマーが例示できる。
<その他の成分>
また熱可塑性樹脂成形体(H)は、上記以外に、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意の添加剤や配合成分を含有することができる。具体的には、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ・タルク等の各種核剤、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤、上記プロピレン系ブロック共重合体以外の各種樹脂、例えばポリエチレン樹脂、等の配合材を挙げることができる。
<積層体の製造及びその用途>
本発明の積層体の基材である熱可塑性樹脂成形体(H)は、公知の各種方法による成形により得ることができる。例えば射出成形(ガス射出成形も含む)、圧縮成形、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、中空成形、回転成形、カレンダー成形、インフレーション成形、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形等にて成形することによって各種成形体を得ることができる。このうち、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形による成形体が好ましい。
本発明の積層体は、硬化膜の密着性が優れており、さらに剛性、耐衝撃性、に優れた物性バランスを有するものである。本発明の積層体は、各種工業部品分野、特に薄肉化、高機能化、大型化された各種成形品、例えばバンパー、インストルメントパネル、トリム、ガーニッシュなどの自動車部品、テレビケース、洗濯機槽、冷蔵庫部品、エアコン部品、掃除機部品などの家電機器部品、便座、便座蓋、水タンクなどのトイレタリー周りの部品、浴槽、浴室の壁、天井などの部品、排水パンなどの浴室周りの部品などの各種工業部品用成形材料、トレイ、パッケージなどの食品包装材料、合成紙などとして、実用に十分な性能を有している。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものでは無い。
<物性測定方法及び評価方法>
(1)重量平均分子量[Mw]および分子量分布[Mw/Mn]
(1)−1 ポリプロピレン換算での分子量の測定法
はじめに試料20mgを30mlのバイアル瓶に採取し、安定剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)を0.04重量%含有するオルトジクロロベンゼン20gを添加した。135℃に加熱したオイルバスを用いて試料を溶解させた後、孔径3μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターにて熱濾過を行い、重合体濃度0.1重量%の試料溶液を調製した。次に、カラムとしてTSKgel GMH−HT(30cm×4本)及びRI検出器を装着したウォーターズ(Waters)社製GPC150CVを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行った。測定条件としては、試料溶液のインジェクション量:500μl、カラム温度:135℃、溶媒:オルトジクロロベンゼン、流量:1.0ml/minを採用した。
分子量の算出に際しては、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料およびポリプロピレンの粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、重合体の分子量の算出を行った。
粘度式としては[η]=K・Mαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E−4、α=0.70を、プロピレン・α−オレフィン共重合体に対してはK=1.03E−4、α=0.78を使用した。
また、得られた重量平均分子量[Mw]、数平均分子量[Mn]の値から分子量分布[Mw/Mn]を算出した。
(1)−2 ポリスチレン換算での分子量の測定法
はじめに試料5mgを10mlのバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHT250ppm含有のテトラヒドロフランを5g添加し50℃で完全に溶解させた。室温に冷却後孔径0.45μmのPTFEフィルターでろ過し、ポリマー濃度0.1重量%の試料溶液を調製した。次に、カラムとしてTSKgel GMHXL−L(30cm×2本)にガードカラムTSKguardcolumnHXL−Hを装着した東ソー(株)社製GPC HLC−8020を使用しGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液のインジェクション量:50μl、カラム温度:40℃、溶媒:テトラヒドロフラン、流量1.0ml/minを採用した。
重量平均分子量[Mw]及び数平均分子量[Mn]の算出に際しては、標準試料として市販の単分散のポリスチレン標準試料を測定し、標準試料の保持時間と分子量から検量線を作成し算出を行った。
(2)グラフト率
重合体200mgとクロロホルム4800mgを10mlのサンプル瓶に入れて50℃で30分加熱し完全に溶解させた。
材質NaCl、光路長0.5mmの液体セルにクロロホルムを入れ、バックグラウンドとした。
次に溶解した重合体溶液を液体セルにいれて、日本分光社製FT−IR460plusを用い、積算回数32回にて赤外線吸収スペクトルを測定した。無水マレイン酸のグラフト率は、カルボニル基の吸収ピーク(1780cm−1付近の極大ピーク、1750〜1813cm−1)の面積から、別途無水マレイン酸をクロロホルムに溶解した溶液を測定し作成した検量線に基づき、重合体中の酸成分含有量を算出し、これをグラフト率(重量%)とした。
(3)分散粒子径
日機装社製マイクロトラック UPA(モデル9340 バッチ型 動的光散乱法/レーザードップラー法)を用いて測定した。分散体の密度を0.87kg/m、形状を球形、分散媒を水として測定時間180秒にて測定し、50%粒子径、90%粒子径を求めた。
(4)抑泡性
活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物10gを30mlのサンプル瓶に採取し、ペイントシェーカーにて1分間激しく攪拌した。サンプル瓶を静置し、3分後に泡の状態を目視にて確認した。
○:泡立ちが見られないか、またはわずかである。
×:泡立ちが激しい
(5)初期密着性
自動車外装用グレードのポリプロピレン(エクソン社製8224)をインジェクション成型した基板を作成し、基板表面をイソプロピルアルコールで清拭した。ここに活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を、塗布後の乾燥重量が約10g/mとなるようにアプリケーターにて塗布した。次にこの塗布後の試験片をセーフベンドライヤー中で100℃で20分焼付けし、次いで、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀灯を用い、照射強度500mJ/cmで紫外線を照射して硬化膜を形成し、積層体を得た。
得られた積層体を23℃で24時間放置後、JIS K 5400に記載されている碁盤目試験の方法に準じて2mm間隔で25マス(5×5)の碁盤目を付けた試験片を作成し、セロハンテープ(ニチバン社品)を貼り付けた後、90度方向に剥離させ、これを5回繰り返した。25個の碁盤目のうち剥離されなかった碁盤目数にて評価した。
(6)ブリードアウト
初期密着性試験と同様に作成した積層体を、40℃にて3日間放置し、塗装外観を目視及び指触にて硬化膜表面にブリードアウトした界面活性剤の状態を判定した。
○:界面活性剤のブリードアウト無し
×:界面活性剤がブリードアウトしていて、指で触るとべたつく
(7)指触タック
初期密着性試験と同様に作成した積層体を、23℃にて1時間放置し、塗装外観を指触にて硬化膜表面の状態を判定した。
○:タック無し
×:指で触るとタックがある。
[製造例1:無水マレイン酸変性プロピレン系共重合体の製造]
ポリオレフィン(A)としてメタロセン触媒によって重合されたプロピレン−ブテン共
重合体であるタフマーXM−7070(三井化学社製、融点75℃、プロピレン含有量74モル%、重量平均分子量[Mw]240,000(ポリプロピレン換算)、分子量分布[Mw/Mn]2.2)200kgと無水マレイン酸5kgをスーパーミキサーでドライブレンドした後、2軸押出機(日本製鋼所社製 TEX54αII)を用い、プロピレン−ブテン共重合体100重量部に対して1重量部となるようにパーブチルI(日本油脂社製)をポンプで途中フィードしながら、ニーディング部のシリンダー温度200℃、スクリュー回転数125rpm、吐出量80kg/時間の条件下で混練し、ペレット状の無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体を得た。
このようにして得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸基の含量(グラフト率)は0.8重量%(無水マレイン酸基として0.08mmol/g、カルボン酸基として0.16mmol/g)であった。また重量平均分子量(ポリスチレン換算)[Mw]は156,000、数平均分子量[Mn]は84,000であった。
[製造例2:無水マレイン酸およびポリアルキレングリコール変性プロピレン系共重合体の水性樹脂分散体の製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例1で得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体100gとトルエン150gとを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110℃に昇温して重合体を溶解した。重合体が溶解した後、無水マレイン酸を1.5g、パーブチルIを1.0g加え、7時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、無水マレイン酸由来の副生成物を洗浄して除去し、次いで親水性高分子(B)として、ポリエーテル樹脂であるメトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)−2−プロピルアミン(数平均分子量[Mn]1,000)15g(15mmol;製造例1で得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体100重量部に対し15重量部に相当)をイソプロパノール(IPA)280gに溶解した溶液を滴下して、70℃で1時間反応させた。
さらにアミノメチルプロパノールを1.4g(15.6mmol)を添加した。その後、温度を70℃に保ち、攪拌しながら水280gを滴下し、減圧下にてトルエンとIPAを除くことにより重合体(C)を含む固形分濃度が30重量%の乳白色の水性樹脂分散体を得た。分散粒子径を測定した結果、50%粒子径は0.10μm、90%粒子径は0.2μmであった。
なお、ポリエーテル樹脂を反応させる前の無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体溶液にアセトンを加えて、沈殿した重合体を濾別し、さらに得られた重合体をアセトンで洗浄した。洗浄後に得られた重合体を減圧乾燥することにより、白色粉末状の変性重合体が得られた。この変性重合体の赤外線吸収スペクトル測定を行った結果、無水マレイン酸基の含量(グラフト率)は、1.5重量%(0.15mmol/g)であった。
製造例2で得られた重合体(C)はポリオレフィン(A):親水性高分子(B)=99.2:15(重量比)である。
また、メトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)−2−プロピルアミンは、25℃の水に10重量%の濃度で溶解させたときに不溶分が1重量%以下であり、親水性高分子である。
[実施例1]
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製>
前記の製造例2で得られた重合体(C)を含む水性樹脂分散体333重量部、化合物(D)としてニューフロンティア PE−400(第一工業製薬社製)100重量部を混合し、これに蒸留水214重量部を加えて固形分200重量部を含む水分散液を調整した。
該水分散液の固形分200重量部に対して、光開始剤(E)としてダロキュア1173を1.6重量部、およびイルガキュア2659を0.4重量部(いずれもチバスペシャリティーケミカルズ社製)、さらに希釈溶剤としてn−ブチルセロソルブを20重量部添加して、活性エネルギー硬化性水性樹脂組成物を調製した。得られた活性エネルギー硬化性水性樹脂組成物について、抑泡性を評価し、結果を表1に示した。
<積層体の作成>
自動車外装用グレードのポリプロピレン(エクソン社製8224)をインジェクション成型した基板を作成し、基板表面をイソプロピルアルコールで清拭した。ここに上記で得られた活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を、塗布後の乾燥重量が約10g/mとなるようにアプリケーターにて塗布した。
次にこの塗布後の試験片をセーフベンドライヤー中で100℃で20分焼付けし、次いで、波長254nmでの放射照度が400mW/cm2である高圧水銀灯を用い、照射強度500mJ/cmで紫外線を照射して硬化膜を形成し、積層体を得た。得られた積層体について、初期密着性、ブリードアウト、指触タックを評価し、結果を表1に示した。
[実施例2〜4、比較例1〜5]
表1に示す組成となるように、実施例1と同様にして活性エネルギー硬化性水性樹脂組成物を調製した。得られた活性エネルギー硬化性水性樹脂組成物について、抑泡性を評価し、結果を表1に示した。
次いで、実施例1と同様にして積層体を作成し、初期密着性、ブリードアウト、指触タックを評価して、結果を表1に示した。
なお、実施例及び比較例で用いた重合体(C)、化合物(D)は以下のものである。
<重合体(C)>
・EH−801(東洋化成社製 ハードレンEH−801):水性塩素化ポリオレフィン樹脂分散体、固形分濃度30重量%、塩素化ポリオレフィン樹脂100重量部あたり界面活性剤を20重量部含有する
<化合物(D)>
・ニューフロンティア PE−400(第一工業製薬社製):ポリエチレングリコール400ジアクリレート(官能基数2)、固形分濃度100重量%
・ニューフロンティア R−1220(第一工業製薬社製):ウレタンアクリレートオリゴマー(官能基数2)、固形分濃度100重量%
・GX−8584N(第一工業製薬社製):多官能アクリレートを含有するエマルション(官能基数2以上)、固形分濃度36重量%、ウレタン樹脂/多官能アクリレート=1/1(重量比)
本発明によれば、通常の界面活性剤を実質的に使用せずとも、安定な活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を作成することが可能となる。また、その硬化膜はポリオレフィン基材に対する密着性も良好で、硬化後の表面タックや界面活性剤のブリードアウトもなく、良好な硬化膜を形成できる。
よって、本発明の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物は、塗料、プライマー、インク、接着剤などとして有用である。

Claims (12)

  1. 1)ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)を、(A):(B)=100:1〜100:300(重量比)の割合で結合させてなる重合体(C)
    2)1分子中に活性エネルギー線硬化性不飽和結合を2個以上有する化合物(D)
    3)水
    を含有し、重合体(C)と化合物(D)との重量比が95:5〜5:95であり、重合体(C)及び化合物(D)の合計量と水との重量比が5:95〜90:10であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
  2. さらに、光開始剤(E)を重合体(C)及び化合物(D)の合計100重量部に対して0.01〜10重量部含有する、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
  3. さらに、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂(F)を、重合体(C)及び化合物(D)の合計100重量部に対して10〜400重量部含有する、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
  4. 重合体(C)が50%平均粒子径5.0μm以下で水に分散されてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
  5. 重合体(C)が、ポリオレフィン(A)に親水性高分子(B)をグラフト結合したグラフト共重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
  6. ポリオレフィン(A)がメタロセン触媒により重合され、且つ、融点が125℃以下であって、プロピレン成分を50モル%〜100モル%含有するポリプロピレン系重合体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
  7. 親水性高分子(B)がポリエーテル樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
  8. さらに顔料(G)を、重合体(C)及び化合物(D)の合計100重量部に対して10〜400重量部含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物。
  9. 前記重合体(C)を水に分散させて分散体を得、次いで該分散体に化合物(D)を溶解又は分散させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を含有してなる、活性エネルギー線硬化性塗料。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物を含有してなる、活性エネルギー線硬化性インク。
  12. 熱可塑性樹脂成形体(H)上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性水性樹脂組成物、請求項10に記載の活性エネルギー線硬化性塗料、又は請求項11に記載の活性エネルギー線硬化性インクを塗布、乾燥し、活性エネルギー線を照射す
    ることにより樹脂層が形成されてなる、積層体。
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