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JP2010258058A - 金属酸化物半導体の製造方法、金属酸化物半導体および薄膜トランジスタ - Google Patents

金属酸化物半導体の製造方法、金属酸化物半導体および薄膜トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、半導体特性(移動度、on/off比、閾値(Vth))の向上、生産効率の向上にあり、またこれを用いた薄膜トランジスタのばらつき低減にある。
【解決手段】基板上に形成した半導体前駆体層に加熱処理を行って金属酸化物半導体を形成する金属酸化物半導体の製造方法において、前記加熱処理と同時に半導体前駆体層に電磁波を照射することを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体特性が向上した生産効率の高い金属酸化物半導体の製造方法に関し、またこれを用いた半導体素子、特には薄膜トランジスタに関する。
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタの技術が開示されている(例えば、特許文献1〜3、また非特許文献1)。これらの薄膜トランジスタにおいて、用いられている半導体層としては、スパッタなど真空系の装置を用いるもので、生産効率が低いことがいわれている。また、製造時のばらつきにも問題がある。これらのばらつきを解消するには、高温処理の必要があった。
一方、常圧で酸化物半導体が製膜出来る技術として、特許文献4等において提案されている技術が挙げられるが、これを用いた薄膜トランジスタにおいては、さらに高温の処理が必要となるうえ、キャリア移動度が低い、off電流が高い、閾値Vthが悪化するなどの問題があった。
本発明は、これらの特性を大幅に改善するものである。
特開2006−165527号公報 特開2006−165528号公報 特開2007−73735号公報 米国特許出願公開第2007/0184576号明細書
IDW’07(International Display Workshop 2007) p1783
従って、本発明の目的は、半導体特性(移動度、on/off比、閾値(Vth))の向上、生産効率の向上にあり、またこれを用いた薄膜トランジスタのばらつき低減にある。
本発明の上記課題は、以下の手段により達成される。
1.基板上に形成した半導体前駆体層に加熱処理を行って金属酸化物半導体を形成する金属酸化物半導体の製造方法において、前記加熱処理と同時に半導体前駆体層に電磁波を照射することを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
2.前記電磁波が、マイクロ波であることを特徴とする前記1に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
3.前記加熱処理の温度が100℃〜250℃であることを特徴とする前記1または2に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
4.加熱処理が基板外からの熱源を用いたものであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
5.加熱処理に用いる熱源が金属酸化物を含有し、該金属酸化物が電磁波を吸収して発生した熱により加熱処理が行われることを特徴とする前記4に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
6.半導体前駆体層が前駆体材料の溶液または分散液の塗布膜から形成されることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
7.前駆体材料の溶液が水溶液であることを特徴とする前記6に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
8.前駆体材料が、In、Zn、Snのいずれかを含むことを特徴とする前記6または7に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
9.前駆体材料が、Ga、Alのいずれかを含むことを特徴とする前記6〜8のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
10.前記1〜9のいずれか1項の金属酸化物半導体の製造方法を用いて作成されたことを特徴とする金属酸化物半導体。
11.前記10に記載の金属酸化物半導体を用いたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明により、半導体特性(移動度、on/off比、Vth)の向上、ばらつきが低減し、生産効率が向上した薄膜トランジスタが得られる。
本発明の方法を用いた薄膜トランジスタ製造の一例を示す断面模式図である。 外部から電磁波照射する加熱処理の別の一例を示す断面模式図である。 薄膜トランジスタ素子の代表的な素子構成を示す図である。 薄膜トランジスタシートの1例を示す概略の等価回路図である。 薄膜トランジスタの作成の各工程を示す断面模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明は、基板上に形成した半導体前駆体層に加熱処理を行って金属酸化物半導体を形成する金属酸化物半導体の製造方法において、前記加熱処理と同時に半導体前駆体層に電磁波を照射することを特徴とする。
また、ここでは、半導体前駆体層は、前駆体材料の溶液または分散液の塗布膜から形成されることが好ましい。
半導体前駆体材料としては、加熱処理によって金属酸化物を形成する、無機塩類や有機金属化合物、また有機金属錯体等であり、前駆体材料の薄膜を設けた後、該薄膜に加熱処理等の半導体変換処理を行って、金属酸化物半導体に変換し半導体の薄膜を得る。
前記加熱処理の温度は100℃〜250℃であり、比較的低温の加熱処理により、基板上の半導体前駆体層を金属酸化物半導体に変換し酸化物半導体の薄膜を得る。
また、加熱処理時に半導体前駆体層に照射する電磁波としては、電磁波のうちでもマイクロ波(0.3GHz〜50GHz)が好ましく、加熱処理に加えてこれを照射することで、短時間で熱酸化反応を進行させることができる。加熱による熱酸化で一部生成した金属酸化物が電磁波を吸収することでこれ自身がまた発熱するので半導体への変換処理が加速されると考えられるが、加速の度合いが大きく、詳細は分かっていない。
半導体前駆体層に直接、また、ITO等の電磁波を吸収する材料からなるゲート電極を近傍に形成した後、これに電磁波を照射して発熱させて、加熱することで、金属酸化物半導体に変換する方法も、加熱処理と、電磁波の照射を併用する方法であり好ましい。
しかしながら、外部(基板外)からの加熱処理を用いて、さらに電磁波を照射することがより好ましい方法である。この方法を用いると、より短時間で、酸化反応をばらつきを少なく進行させることができる。
基板外からの加熱方法としては、オーブン、ヒータ、ヒートブロック(ホットプレート)によるほか、外部ヒータとして、後述するように、例えば金属酸化物(例えば、ITO)等の電磁波を吸収する材料を用いて、金属酸化物に電磁波を照射して、電磁波を吸収させ、これによる発熱を外部から作用させる形態でも良い。この場合、必然的に、電磁波照射によって発熱した金属酸化物をヒータとして用いる外部からの加熱処理に加えて、電磁波は同時に照射されており、外部からの加熱と電磁波の照射が一度に行われる態様であり好ましい。
薄膜トランジスタを製造する本発明の方法について断面模式図を用いて説明する。
金属酸化物半導体の前駆体材料、例えば、金属の硝酸塩、より具体的には、例えば、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(モル比)で混合した(10質量%)水溶液を、図1の如く、例えばガラスの基板1上に、ゲート電極2、ゲート絶縁層3、さらにソース電極4、ドレイン電極5のパターンを形成した基体上に、例えばインクジェット方式の塗布により適用して、一様に前駆体材料薄膜6’をパターン形成する。(図1(2))。
次いで、ヒータブロックにより、基板上の前駆体材料薄膜6’を加熱する。加熱温度は、100℃〜250℃の温度範囲で温度、また方法にもよるがミリ秒〜60分の範囲で加熱すればよい。本発明においては、この加熱と同時に、電磁波例えばマイクロ波を照射する。
図1(3)にヒータブロックH上で基板全体を加熱し(温度は基板上の前駆体材料薄膜6’表面の温度を熱電対を用いた表面温度計にて測ることができる)、マイクロ波を照射した態様を示す。
マイクロ波照射において、基板上の前駆体薄膜の表面温度が、前記100〜200℃に維持されるよう、ヒータによる加熱と、マイクロ波出力を調整する。
また、酸化物半導体の前駆体材料薄膜は、形成後、半導体変換処理前に、例えば、酸素プラズマ、UVオゾン洗浄などのドライ洗浄プロセスによって洗浄し、薄膜中および薄膜表面に存在し不純物の原因となる有機物を分解、洗浄して、金属成分以外の有機物を排除しておくことも好ましい。
加熱処理とマイクロ波照射の両方を用いた熱酸化により、酸化物半導体層6がチャネル領域に形成され、薄膜トランジスタが形成される(図1(4))。
また、図2に、外部から電磁波照射することによって加熱処理する本発明の別の一例を示す。
図2に示すように、ゲート電極、ゲート絶縁層を形成した基板C(図2(1))上に、同様に前駆体材料薄膜6’を一様に塗布形成し、金属酸化物例えばITOパターンを有するセラミック板Pを用いて、基板Cと密着させ、マイクロ波を照射して、前駆体材料薄膜6’の表面温度を100〜200℃に保つようマイクロ波出力を制御しつつ照射する。
この場合も、基板外部からの熱源としてITO(パターン)を有する基体(電磁波を吸収しないものを用いる)を用いて、マイクロ波照射を行うことで、発熱させ、これを外部熱源として前駆体材料薄膜を加熱する。ITOパターンを有する基体として例えば、ガラスあるいはセラミック等電磁波を透過する材料を用いれば、基体の裏面側からマイクロ波を照射することでITOが発熱すると同時にこれと接した半導体前駆体薄膜を加熱する。また、半導体前駆体薄膜自身もマイクロ波照射を同時に受けることになる。
本発明において同時とは、電磁波の照射は外部加熱と全く同期して行う必要はなく、外部加熱と電磁波照射に重なった部分があればよい。
マイクロ波照射は、更に熱源となる基体側と反対の半導体基板側から照射してもよい。
前駆体材料薄膜6’を支持体上に一様に塗布形成したときは、金属酸化物半導体に変換後、残存した前駆体材料薄膜を、洗浄(例えば水洗)により除去することができ、変換された酸化物半導体のみが残るので、さらにソース電極4、ドレイン電極5を、例えば蒸着等によりパターン形成することでボトムゲート構成を有するトップコンタクト型薄膜トランジスタが形成できる。
この様に外部からの加熱に加えて、電磁波の照射を行って、前駆体材料の金属酸化物半導体への変換を加速させることが出来る。電磁波の照射のみでは、前駆体材料薄膜は基本的にはマイクロ波を吸収しないため、半導体への変換に時間がかかる。また、外部からの加熱のみでも、変換速度が遅く、変換により高い温度を必要とする。
以上のごとく、本発明においては、半導体前駆体材料薄膜から金属酸化物半導体への変換処理を外部加熱処理と同時に電磁波照射を行うことで加速することができる。速やかに半導体への変換処理が可能となるため、半導体薄膜また薄膜トランジスタの生産性を向上させることが出来るほか、副反応等が少なく、半導体特性(移動度)、また、薄膜トランジスタの、on/off比、さらには閾値(Vth)等を向上させることが出来る。
本発明に用いられる半導体前駆体材料としては、金属酸化物半導体の金属を含有する、無機金属塩類や有機金属化合物、また有機金属錯体等であれば限定はないが、前記のうち金属塩が好ましく、金属の硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩から選ばれる金属塩が好ましい。これらの金属塩からなる半導体前駆体層は、該金属塩の溶液を塗布することにより形成されることが好ましい。
本発明において金属酸化物半導体は金属酸化物であり、本発明は、金属酸化物半導体の前駆体となる金属酸化物の金属成分を含む金属塩の薄膜を設けた後、該薄膜に外部からの加熱処理と同時に電磁波の照射を行って、金属酸化物半導体に変換し半導体の薄膜を得るものである。
本発明において好ましく用いられる金属塩における金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
本発明において、これらの金属塩においては、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)のいずれかの塩を1つ以上含むことが好ましく、それらを併用して混合させてもよい。
また、その他の金属として、ガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)のいずれかの塩を含むことが好ましい。
本発明においては、前駆体材料として、上記金属塩を用いることによりキャリア移動度の大きい、薄膜トランジスタ素子としたときon/off比の大きい良好な特性を示す金属酸化物半導体を得ることができる。
これら金属塩は、加水分解、脱水反応を含むる酸化反応のエネルギーが小さいこと、酸化物生成過程で発生する分解物が効率よく気化、排出され膜に残存しにくく、生成した酸化物中に存在する炭素などの不純物成分が少ないため、良好な半導体特性が得られるものと推定される。
不純物低減、半導体特性の向上の観点から、金属塩の中でも硝酸塩が特に好ましい。
金属塩、特に硝酸塩で得られる半導体特性向上の効果は、加熱温度が100℃以上、250℃以下の本発明の温度範囲で得られる非晶質の金属酸化物半導体において、特に顕著である。
(前駆体薄膜の成膜方法、パターン化方法)
これらの金属酸化物半導体の前駆体である金属塩を含有する薄膜を形成するためには、公知の成膜法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などを用いることができるが、本発明においては、前記金属塩を適切な溶媒に溶解した溶液を用い基板上に塗設することが好ましく、これにより生産性を大幅に向上させることができる。
金属塩を溶解する溶媒としては、水の他、用いる金属化合物を溶解するものであれば特に制限されるところではなく、水や、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、更に、キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなど、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を用いることができる。
本発明の金属塩溶液に用いる溶媒としては、金属塩が溶解する溶媒であれば特に限定されないが、金属塩の溶解性、塗布後の乾燥性の観点から水および低級アルコールが好ましく、低級アルコールの中ではメタノール、エタノール、プロパノール(1−プロパノール及びイソプロパノール)が乾燥性の観点で好ましい。また、溶媒として低級アルコールを単独で用いてもよいし、水と任意の割合で混合して用いてもよい。溶解性と溶液安定性および乾燥性の観点から水とこれら低級アルコール類を混合して本発明の「水溶液」を作成することが好ましい。低級アルコールを混合して水溶液を作成すると、大きな組成の変化を行わず表面張力を下げることができるので、インクジェット塗布等において出射性が向上するので好ましい。
さらに、アルコール類添加の効果として、半導体特性の向上の効果も認められる。たとえば薄膜トランジスタの移動度、on/off比、閾値などの特性の向上が認められる。この効果の原因について明確でないが、加熱による酸化物の生成プロセスに影響しているものと推察される。
また、乾燥性およびインクジェット出射性、薄膜トランジスタの特性などの半導体特性を考慮した場合、溶媒比率で5質量%以上の低級アルコール添加が好ましく、いずれの特性(乾燥、出射性と溶液安定性)も満たすには水/低級アルコール比率が5/5〜95/5であることが好ましい。
本発明の水溶液とは溶媒中の水含有率が30質量%以上の混合溶媒および水(水含有率=100質量%)に溶質(本発明では金属塩とその他必要に応じて添加される添加剤)を溶解した溶液を意味する。金属塩等溶質の溶解性、溶液安定性の観点から好ましくは水含有率は50質量%以上であり、さらに好ましくは水含有率が70質量%以上である。
本発明に係る前記金属塩は、室温で加水分解することがなく、水を主たる溶媒として用いることができるので、製造工程上、また環境上も好ましい。
例えば、金属塩化物等の金属塩は大気中での劣化、分解と(特にガリウム等の場合)、強い潮解性とが激しいが、本発明に係る硝酸塩等の無機塩については潮解、また劣化等がなく使い易いことも製造環境上好ましい。
本発明に係る金属塩中でも、水に対する劣化、分解、また容易に溶けること、さらに、潮解性等の性能においても優れた性質をもつ硝酸塩が最も好ましい。
本発明においては、金属塩を含有する溶液を基材上に適用して、金属酸化物半導体の前駆体を含有する薄膜を形成する。
金属塩を含有する溶液を基材上に適用して、金属酸化物半導体の前駆体薄膜を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、など、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法等、広い意味での塗布による方法が挙げられ、また、これによりパターン化する方法などが挙げられる。塗布膜からフォトリソグラフ法、レーザーアブレーションなどによりパターン化してもよい。これらのうち、好ましいのは薄膜の塗布が可能な、インクジェット法、スプレーコート法等である。
例えばインクジェット法を用いて成膜する場合、金属塩溶液を滴下して、80℃〜100℃程度で溶媒(水)を揮発させることにより金属塩を含有する半導体前駆体層薄膜が形成される。尚、溶液を滴下する際、基板自体を80℃〜150℃程度に加熱しておくと、塗布、乾燥の2プロセスを同時に行え、前駆体膜の造膜性も良好なため好ましい。
(金属の組成比)
本発明の方法により、前述した金属原子から選ばれた単独、または複数の金属原子を含む金属酸化物半導体の薄膜を作製する。金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。
形成された金属酸化物半導体に含まれる金属原子は、前駆体の記述に挙げたものと同様に、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)のいずれかを含むことが好ましく、さらにガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)を含むことが好ましい。
これらの金属を成分として含む前駆体溶液を作製する場合、好ましい金属の組成比としては、In、Snの金属塩から選ばれる塩に含有される金属(金属A)と、Ga、Alの金属塩から選ばれる塩に含有される金属(金属B)と、Znの金属塩に含有される金属(金属C=Zn)とのモル比率(金属A:金属B:金属C)が、以下の関係式を満たすことが好ましい。
金属A:金属B:金属C=1:0.2〜1.5:0〜5
である。
金属塩としては、硝酸塩が最も好ましいので、In、Sn(金属A)と、Ga、Al(金属B)と、Zn(金属C)とのモル比率(A:B:C)が、上記の関係式を満たすように、各金属の硝酸塩を、水を主成分とした溶媒に溶解・形成した塗布液を用いて金属無機塩を含む前駆体薄膜を塗布により形成することが好ましい。
また、前駆体となる金属無機塩を含む薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。
(非晶質酸化物)
形成される金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。非晶質であることは、X線回折や電子線回折により確認でき、結晶に固有の回折パターンが観測されなければ、非晶質とみなすことができる。
金属酸化物半導体の前駆体となる金属化合物材料から形成された、本発明に係る金属酸化物である非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満が実現されていればよい。電子キャリア濃度は室温で測定する場合の値である。室温とは、例えば25℃であり、具体的には0℃から40℃程度の範囲から適宜選択されるある温度である。なお、本発明に係るアモルファス酸化物の電子キャリア濃度は、0℃から40℃の範囲全てにおいて、1018/cm未満を充足する必要はない。例えば、25℃において、キャリア電子密度1018/cm未満が実現されていればよい。また、電子キャリア濃度をさらに下げ、1017/cm以下、より好ましくは1016/cm以下にするとノーマリーオフのTFTが歩留まり良く得られる。
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることができる。
金属酸化物である半導体の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
本発明においては、前駆体材料(金属塩)、組成比、製造条件などを制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm以上1017/cm以下、さらには1015/cm以上1016/cm以下の範囲にすることが好ましいものである。
本発明において、半導体前駆体層を加熱する温度は前駆体材料を含有する薄膜表面の温度が100℃〜250℃の範囲で任意に設定することができる。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計、放射温度の測定が可能な放射温度計、ファイバー温度計などにより測定できる。加熱温度は外部加熱を行うヒータの温度、また、電磁波の出力、照射時間、さらには照射回数等、外部加熱温度と電磁波照射の両者を制御することにより調整する。また、前駆体材料を加熱する時間は、任意に設定できるが、電子デバイスの特性や生産効率の観点から、1秒以上60分以下の範囲が好ましい。より好ましくは5分〜30分である。
電磁波の照射は外部加熱と全く同期して行う必要はなく、先行して加熱しておきタイミングをずらして電磁波を照射する等、どこかに重なった部分があればよい。
本発明の外部加熱と電磁波照射を併用する方法を用いると、比較的低い温度において、また短時間で半導体変換処理を行うことができる。
なお、金属酸化物の形成はESCA等により検知でき、半導体への変換が充分行われる条件を予め選択することができる。
(電磁波の照射)
本発明において、電磁波としては、紫外光(レーザー)、ミリ波、マイクロ波等が挙げられるが、紫外光レーザーは大面積には適用することが難しく、また、ミリ波についても大きな出力の発信装置が得にくいので、マイクロ波が好ましく、マイクロ波照射が好ましい。金属酸化物半導体の前駆体層薄膜(層)を形成した後、該薄膜に外部からの加熱処理を行うとともに、電磁波、特にマイクロ波(周波数0.3GHz〜50GHz)を照射する。
加熱温度としては、100℃〜250℃が好ましい。この温度であれば樹脂基板のような耐熱性の低い基材を用いることができる。外部加熱とともに、マイクロ波の出力、照射時間、さらには照射回数を制御して、前駆体を含有する薄膜表面の温度が100℃〜250℃になるように処理する。
一般的に、マイクロ波とは0.3GHz〜50の周波数をもつ電磁波のことを指し、携帯通信で用いられる0.8GHzおよび1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダー等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダー等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHzなどは全てマイクロ波の範疇に入る電磁波である。また、28GHz、また50GHz等の発振器が市場で入手できる。
ガラスや樹脂等の基板には、マイクロ波領域に吸収が殆どないため、基板自体は殆ど発熱せずに薄膜部のみを選択的に加熱し熱酸化、金属酸化物半導体へ変換することが可能となる。
オーブンあるいはヒータブロックなどを用いた通常の加熱方法に併用して、電磁波(マイクロ波)照射を併用して用いることで、より特性が良好な金属酸化物半導体層を得ることができる。金属酸化物半導体前駆体材料から金属酸化物半導体が生成するに際し、金属酸化物半導体前駆体材料または金属酸化物半導体そのものへの電磁波の直接的な作用があるかについては明らかでない。金属酸化物半導体前駆体材料の金属酸化物半導体への転化が電磁波により促進され、特性を劣化させる副反応が起こりにくいためと推定される。
また、電磁波照射と別に加熱処理を外部から行う方法が特にばらつきが少なく好ましい。
半導体の前駆体材料薄膜に直接電磁波を照射する、また、ITOのような強い電磁波吸収体を近傍(例えばゲート電極等)に存在させ、マイクロ波を照射して、電磁波吸収体を発熱させ、これに隣接した半導体前駆体材料薄膜を加熱させる等、内部の加熱のみを用いた場合に比べ、短時間に、より性能の良い半導体薄膜を形成できる。
次に、外部からの熱源として用いることのできる、電磁波を吸収して発熱するマイクロ波吸収能をもつ物質を基体上に有する発熱源について説明する。
マイクロ波吸収能をもつ物質としては、1つは、金属酸化物材料微粒子であり、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、IZO、ITO等が好ましく、少なくともIn、Snの酸化物を含むことが好ましい。これら電磁波吸収能を有する物質を、例えば樹脂基板やセラミック基板上に形成して、これをマイクロ波照射と共に用いることで、外部発熱源として用いることができる。
例えば、酸化インジウムに錫をドーピングして得られるITO膜においては得られるITO膜のIn:Snの原子数比が好ましくは、100:0.5〜100:10の範囲なるものが用いられる。また、酸化錫にフッ素をドーピング(Sn:Fの原子数比が100:0.01〜100:50の範囲)して得られるFTO膜、In−ZnO系アモルファス導電膜(In:Znの原子数比が100:50〜100:5の範囲)等を用いることができる。原子数比はXPS測定により求めることができる。
これらの電磁波吸収能をもつ金属酸化物材料微粒子からなる導電性の薄膜の形成は、真空蒸着やスパッタ法等を用いることにより、また、インジウム、スズ等の金属アルコキシド、アルキル金属等の有機金属化合物を用いてプラズマCVD法により形成することができる。また、インジウム、スズ等の金属アルコキシド等を用いたゾルゲル法等塗布法によっても製造できる。電磁波吸収能を有する物質の薄膜は、フォトレジスト或いは公知の他のパターニング方法と組み合わせてパターンを得ることもできる。
電磁波吸収能をもつ物質としては、上記のように、蒸着、スパッタあるいはプラズマCVD等により形成されたIZO、ITO等の薄膜を用いる場合には、成膜後に、焼成することが好ましい。基板としてはガラス、セラミック等の基体上に形成することが好ましい。
また、金属酸化物材料微粒子は、例えばインクジェット法等塗布法によりパターン形成することも出来る。
これらの金属酸化物微粒子は、例えば、pHを調製した溶液を加熱して得たゲル状物から、これを加熱、低温焼結する等の方法により得ることも出来る。こうして得た金属酸化物微粒子を水あるいはアルコール等の適宜な溶媒に分散させた塗料(インク)は、高分散、微粒子であり、塗布にあるいはインクジェットまた印刷法等に用いても凝集等による目詰まりが発生しない。
このような粒子として好ましくは、粒径は5nm〜50nmの範囲である。
これらは市販されており、市場から直接入手することもできる。シーアイ化成社製、NanoTek Slurry ITO、また、SnOなどが挙げられる。
これら微粒子分散液を前駆体として用いると、スパッタ法等によらず、ITO等の材料がインクジェット法等、塗布法により容易にパターニング形成でき、且つ、薄膜の表面温度が200〜600℃という比較的低温の熱処理あるいは焼結により、結晶化が起こり、電磁波吸収能を有する金属酸化物微粒子の薄膜が得られる。
本発明に係る金属塩から形成される金属酸化物半導体の薄膜は、トランジスタ、ダイオードなどの各種の半導体素子、また電子回路等に用いることができ、基板上に前駆体材料の溶液を塗布することによって低温プロセスでの金属酸化物半導体材料層の作製が可能であり、樹脂基板を用いる薄膜トランジスタ素子(TFT素子)等、半導体素子の製造に好ましく適用することができる。
本発明の金属酸化物半導体を用いて、ダイオードやフォトセンサに用いることもできる。たとえば、後述する電極材料からなる金属薄膜と重ねることで、ショットキーダイオードやフォトダイオードを作製することも可能である。
(素子構成)
図3は、本発明に係わる金属酸化物半導体を用いた、薄膜トランジスタ素子の代表的な素子構成を示す図である。
薄膜トランジスタの構成例を幾つか断面図にて図3(a)〜(f)に示す。図3において、ソース電極102、ドレイン電極103を、金属酸化物半導体からなる半導体層101がチャネルとして連結するよう構成される。
同図(a)は、支持体106上に本発明の方法によりソース電極102、ドレイン電極103を形成して、これを基材(基板)として、両電極間に半導体層101を形成し、その上にゲート絶縁層105を形成し、さらにその上にゲート電極104を形成して電界効果薄膜トランジスタを形成したものである。同図(b)は、半導体層101を、(a)では電極間に形成したものを、コート法等を用いて電極および支持体表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、支持体106上に、まず、半導体層101を形成し、その後ソース電極102、ドレイン電極103、そして絶縁層105を形成した後、ゲート電極104を形成したものを表す。本発明においては、半導体層が本発明の方法で形成されていればよい。
同図(d)は、支持体106上にゲート電極104を形成した後、ゲート絶縁層105を形成し、その上にソース電極102およびドレイン電極103を形成し、該電極間に半導体層101を形成する。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
図4は、薄膜トランジスタ素子が複数配置される薄膜トランジスタシートの1例を示す概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタシート120はマトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ素子124を有する。121は各薄膜トランジスタ素子124のゲート電極のゲートバスラインであり、122は各薄膜トランジスタ素子124のソース電極のソースバスラインである。各薄膜トランジスタ素子124のドレイン電極には、出力素子126が接続され、この出力素子126は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子126として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。125は蓄積コンデンサ、127は垂直駆動回路、128は水平駆動回路である。これら薄膜トランジスタシート120における各トランジスタ素子のソース、ドレイン電極又ゲート電極等、さらにゲートバスライン、ソースバスライン、また回路配線の製造に本発明を用いることができる。
次いで、TFT素子を構成する各要素について説明する。
(電極)
本発明の金属酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタにおいて、素子を構成するソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の電極に用いられる導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。金属微粒子から電極を形成するには、前述の方法を同様に用いることができ、金属微粒子の材料としては上記の金属を用いることができる。
(電極等の形成方法)
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース、ドレイン、あるいはゲート電極等の電極、またゲート、あるいはソースバスライン等を、エッチングまたはリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により前記部分に無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒と、メッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられる。
(ゲート絶縁層)
本発明の薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁層(膜)が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂等を用いることもできる。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
(基板)
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明の薄膜トランジスタ素子上には素子保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。
以下、本発明に係る酸化物半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタの製造方法についてその実施形態を具体的に説明する。
実施例1
本発明の薄膜トランジスタ製造方法による薄膜トランジスタの作成について図5の各工程の断面模式図を用いて説明する。
〈薄膜トランジスタ1の作成〉
支持体301として、ポリイミド樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず、50W/m/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層(バリア層)310とした(図5(1))。なお、大気圧プラズマ処理装置は前記図2に準じた装置を用いた。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
(ゲート電極の形成)
次いで、ゲート電極を形成する。スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法により、エッチングしてゲート電極302を形成した。(図5(1))
(ゲート絶縁膜の形成)
次いで、さらにフィルム温度200℃にて、同じ大気圧プラズマ処理装置を用い上記と同条件で、厚さ250nmの酸化珪素膜を設けゲート絶縁膜303を形成した。(図5(2))
なお、表面温度は熱電対を用いた表面温度計により測定した。
(半導体層の形成)
次いで、オクチルトリクロロシラン(C17SiCl)(OTS)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に基板を10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、さらに、超音波洗浄器中で10分間処理後、乾燥させることで、ゲート絶縁膜表面全面がOTSと反応し表面処理された。表面処理によりオクチルトリクロロシランによる単分子膜が形成するが図では便宜的に表面処理層308でこの単分子膜を表した(図5(3))。
この表面処理を行った酸化珪素膜上に、半導体チャネル領域に対応させた光透過部を有するフォトマスクMを介して、低圧水銀灯から波長254nmの紫外光を照射した(図5(4))。これにより、露光部の表面が分解され、表面処理部が親水化された。エタノールで洗浄し分解物を除去して、チャネル領域に対応する部分のゲート絶縁層303表面を露出させた(図5(5))。
次ぎに、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(グラム原子比)で混合した10質量%水溶液としたものをインクとして、ピエゾ方式のインクジェット装置を用いて半導体層パターン(略ゲート電極パターン)に従ってインクを吐出し、半導体の前駆体材料薄膜306’を形成した(図5(6))。100℃で熱処理し乾燥し、形成した前駆体材料薄膜306’の平均膜厚は50nmであった。
次いで、200℃に加熱したホットプレート上にて加熱処理を行った。また加熱処理時に支持体側からマイクロ波照射を同時に行った。即ち、大気条件下で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。前駆体薄膜表面の温度が200℃で維持されるようマイクロ波照射の出力を制御してトータル15分間の処理を行った。
外部からの加熱処理及びマイクロ波照射で前駆体材料薄膜306’は酸化物半導体に変換され、ゲート絶縁膜上、ゲート電極に対向してIGZO系酸化物半導体層306が形成された(図5(7))。
なお、表面温度は熱電対を用いた表面温度計により測定した。
(保護膜の形成)
さらに、オクチルトリクロロシラン(C17SiCl)(OTS)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に基板を10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、さらに、超音波洗浄器中で10分間処理後、乾燥させることで、形成した酸化物半導体層306表面もOTSと反応し単分子膜が形成された(表面処理)。同様に、表面処理層308でこの単分子膜を表した(図5(8))。
次いで、半導体層上の保護膜の形成領域以外を覆うマスクを用いて、保護膜形成領域を254nmの紫外光にて照射した(図5(9))。半導体層上の保護膜形成領域の表面処理層308を分解し半導体層を露出させた。なお、保護膜の幅がチャネル長(ソース電極304、ドレイン電極305の距離)を形成するので、保護膜の幅が15μmとなるよう露光領域を調整し半導体層のチャネル領域のみ露出させた(図5(10))。
次に酸化物半導体層306上にパーヒドロポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製 アクアミカNP110(登録商標))キシレン溶液を前記同様ピエゾ方式のインクジェット装置を用いて酸化物半導体層内の所定の領域に適用した(図5(11))。次いでこれを200℃で20分の熱処理を行って、二酸化ケイ素の薄膜層に転化させ保護層307を形成した(図5(12))。保護層の厚みは200nmであった。
(ソース、ドレイン電極の形成)
次に、前記と同様の大気圧プラズマ処理装置を用い下記条件で酸素プラズマ処理し残っている表面処理層308を分解し、保護層以外の部分でゲート絶縁層303および酸化物半導体層306を露出させた(図5(13))。
(使用ガス)
不活性ガス:窒素ガス 98体積%
反応性ガス:酸素ガス 2体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm
次ぎに、銀微粒子分散液(Cabot社製 CCI−300(銀含有率20質量%))を、ピエゾ方式のインクジェットヘッドから射出し、半導体層の露出領域を含むソース電極、ドレイン電極部分に印刷を施した。次いで200℃で30分間熱処理して、ソース電極304およびドレイン電極305を形成した(図2(14))。それぞれのサイズは、幅40μm、長さ100μm(チャネル幅)厚さ100nmであり、ソース電極304、ドレイン電極305の距離(チャネル長)は20μmとした。薄膜トランジスタ1を作成した。
〈薄膜トランジスタ2の作成〉
薄膜トランジスタ1において、半導体層の形成時、ホットプレートを用いる代わりに、ITO膜付きセラミック板上に前駆体材料薄膜を形成した基板を載置し、支持体側からマイクロ波照射を行った。即ち、大気条件下で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射し、前駆体薄膜表面の温度が200℃で維持されるようマイクロ波照射の出力を制御してトータル15分間の処理を行った。
なお、用いたITO膜付きセラミック基板は以下のものを用意した。
〈ITO膜付きガラス基板の作成〉
即ち、洗浄したガラス基体(厚み0.5mm)を真空チャンバー内に導入し、SnO含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基板支持体の温度250℃、酸素圧1×10−3Pa)により、ガラス基体上に厚さ100nmのITO膜を形成した。
外部からの加熱処理及びマイクロ波照射で前駆体材料は酸化物半導体に変換され、ゲート絶縁膜上、ゲート電極に対向してIGZO系酸化物半導体層306が形成された(図5(7))。
〈薄膜トランジスタ3の作成〉
前記薄膜トランジスタ1において、ゲート電極として、アルミニウムを用いる代わりに、ITO膜に変えた試料を作成した。即ち、スパッタ法により、厚さ300nmのITO膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法により、エッチングしてゲート電極302を形成した(図5(1))。
ITOパターンは具体的には、ゲート電極に相当する領域をレジストでマスクした後、2.5%塩酸水溶液に浸漬して露出部分のITO膜を除去した。この後、メチルエチルケトンに浸してレジストを除去し、さらに水洗と乾燥を行った。
ゲート電極をITO膜で形成したのち、半導体層の形成において、前駆体材料薄膜306’に、支持体側からマイクロ波照射のみにて、加熱処理を行った。即ち、大気条件下で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。前駆体薄膜表面の温度が200℃で維持されるようマイクロ波照射の出力を制御してトータル15分間の処理を行った。ゲート電極に用いたITO膜によるマイクロ波の吸収・発熱によって金属酸化物半導体への変換を行った。
〈薄膜トランジスタ4の作成〉
また、前記薄膜トランジスタ1において、前駆体材料薄膜306’の加熱処理による金属酸化物半導体への変換を、マイクロ波照射を用いずに、加熱したホットプレートの加熱処理のみにて行った。温度は前駆体材料薄膜表面の温度で200℃、15分間の処理を行った。
以上の方法により作製した、それぞれ酸化物半導体への変換方法の異なる4種の薄膜トランジスタ1〜4について、半導体パラメーターアナライザー(Agilent社製4155)を用い特性を評価した。薄膜トランジスタ1〜4はn型のエンハンスメント動作を示した。
薄膜トランジスタ1〜4(それぞれ3種)についてドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−30Vから+30Vまで掃引したときのドレイン電流の増加(伝達特性)について観測し、その飽和領域から移動度(cm/Vs)を見積もった。また、ドレイン電流の立ち上がりのゲート電圧Vth(閾値)、およびドレイン電流の最大値と最小値の比の常用対数の値(on/off比)を評価し、それらの結果について表1に示した。閾値Vthはゲートバイアスに対するドレイン電流値の平方根√Idの関係にて、√Id=0に外挿して得たゲートバイアスの値とした。
また、上記の薄膜トランジスタ1〜4について、それぞれn=30で作成を繰り返した試料について、前記移動度を測定し、n=30での移動度数値のばらつきの標準偏差を算出した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2010258058
本発明に係る加熱処理とマイクロ波の照射を同時に行ったものが移動度、閾値、またon/off比において、外部加熱のみのものに比べ良好な結果を示す。また、半導体特性のばらつきも特に外部から加熱したものは少なくなっていることが分かる。ITOゲートから、外部ヒータに変更した場合に、素子のばらつきが低減し、移動度の向上がみられた。
1、C 基板
2、104 ゲート電極
3、105 ゲート絶縁層
4、102 ソース電極
5、103 ドレイン電極
101 半導体層
106 支持体
10 薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
12 ソースバスライン
14 薄膜トランジスタ素子
15 蓄積コンデンサ
16 出力素子
17 垂直駆動回路
18 水平駆動回路
301 支持体
302 ゲート電極
303 ゲート絶縁膜
304 ソース電極
305 ドレイン電極
306 酸化物半導体層
6、306’ 前駆体材料薄膜
H ヒートブロック
P セラミック板

Claims (11)

  1. 基板上に形成した半導体前駆体層に加熱処理を行って金属酸化物半導体を形成する金属酸化物半導体の製造方法において、前記加熱処理と同時に半導体前駆体層に電磁波を照射することを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
  2. 前記電磁波が、マイクロ波であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  3. 前記加熱処理の温度が100℃〜250℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  4. 加熱処理が基板外からの熱源を用いたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  5. 加熱処理に用いる熱源が金属酸化物を含有し、該金属酸化物が電磁波を吸収して発生した熱により加熱処理が行われることを特徴とする請求項4に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  6. 半導体前駆体層が前駆体材料の溶液または分散液の塗布膜から形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  7. 前駆体材料の溶液が水溶液であることを特徴とする請求項6に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  8. 前駆体材料が、In、Zn、Snのいずれかを含むことを特徴とする請求項6または7に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  9. 前駆体材料が、Ga、Alのいずれかを含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項の金属酸化物半導体の製造方法を用いて作成されたことを特徴とする金属酸化物半導体。
  11. 請求項10に記載の金属酸化物半導体を用いたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
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