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JP2010132014A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の制御装置 Download PDF

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JP2010132014A
JP2010132014A JP2008307032A JP2008307032A JP2010132014A JP 2010132014 A JP2010132014 A JP 2010132014A JP 2008307032 A JP2008307032 A JP 2008307032A JP 2008307032 A JP2008307032 A JP 2008307032A JP 2010132014 A JP2010132014 A JP 2010132014A
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Toru Matsubara
亨 松原
Atsushi Tabata
淳 田端
Masaki Yoshida
昌記 吉田
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Aisin AW Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】電磁弁から供給される油圧によって複数の変速段が達成される自動変速部を備えた車両用動力伝達装置において、自動変速部の耐久性低下を防止することができる車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。
【解決手段】仮異常判定手段130によってリニアソレノイドバルブSLの仮異常が検出されたとき、第1フェールセーフ手段132が、本異常確定手段134の実施に先立ってフェールセーフを実施するため、リニアソレノイドバルブSLの異常が確定されるまでにフェールセーフが実施される。したがって、リニアソレノイドバルブSLが始めに検出されてからのフェールセーフが実施されるまでの間の遅れを無くすことができるので、例えば同時係合時に自動変速部20にかかる負荷を抑制することができ、自動変速部20の耐久性低下を防止することができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、電磁弁から供給される油圧によって複数の係合装置の係合状態を制御することにより複数の変速段が達成される自動変速部を備えた車両用動力伝達装置に係り、特に、車両用動力伝達装置の油圧制御回路に異常が検出された場合のフェールセーフ制御に関するものである。
電磁弁から供給される油圧によって複数の係合装置の係合状態を制御することにより複数の変速段が達成される自動変速部を備えた車両用動力伝達装置がよく知られている。特許文献1の自動変速部もその一例である。特許文献1では、電子制御装置が変速指令を発してから所定時間経過後に電磁弁の異常判定を行う技術が開示されている。また、上記所定時間は油温が低い程大きくされる。
特開平11−287319号公報 特開2006−46487号公報
ところで、特許文献1においては、変速指令を発してから所定時間経過後に電磁弁の異常判定が実施されるが、上記のような判定では電磁弁に異常が発生したとき、電磁弁の異常判定までに時間がかかってしまう。したがって、電磁弁の異常発生からフェールセーフ実施までに遅れが生じ、電磁弁異常に伴って自動変速部の複数の係合装置に油圧が同時にかかるなどして自動変速部に負荷がかかり、耐久性が低下する可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、電磁弁から供給される油圧によって複数の係合装置の係合状態を制御することにより複数の変速段が達成される自動変速部を備えた車両用動力伝達装置において、電磁弁に異常が検出されると速やかにフェールセーフが実施されることで自動変速部の耐久性低下を防止することができる車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)電磁弁から供給される油圧によって複数の係合装置の係合状態を制御することにより複数の変速段が達成される自動変速部を備えた車両用動力伝達装置の制御装置において、(b)前記電磁弁の仮異常を検出する仮異常判定手段と、(c)その仮異常検出手段によって前記電磁弁の仮異常が検出された場合に所定の条件に基づいてその電磁弁の異常を確定する本異常確定手段と、(d)前記仮異常判定手段によって前記電磁弁の仮異常が検出されたとき、前記本異常確定手段による前記電磁弁の異常の確定に先立って第1フェールセーフを実施する第1フェールセーフ手段とを、備えることを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記本異常確定手段によって前記電磁弁の異常が確定されると、前記第1フェールセーフおよびその第1フェールセーフとは異なる第2フェールセーフの少なくとも一方が実施されることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の車両用動力伝達装置の制御装置において、前記自動変速部の油圧制御回路には、意図しない油圧が出力された際に所定の係合装置への油圧供給を回避することによりその自動変速部の同時係合を防止する機械式のフェールセーフバルブが設けられており、前記仮異常が検出されたとき、前記第1フェールセーフ手段は、前記フェールセーフバルブと組み合わされた前記所定の係合装置への油圧供給を制御する電磁弁のみフェールセーフを実施することを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至3のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、エンジンの出力を第1電動機および前記自動変速部へ分配する差動機構と、その自動変速部の入力軸を駆動可能な第2電動機とを、有する電気式差動部を備え、前記第1フェールセーフ手段は、前記第2電動機によるモータ走行中のみ実施されることを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至4のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、前記第1フェールセーフ手段は、自動変速部の作動油が低油温時のみ実施されることを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至4のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置において、前記第1フェールセーフ手段は、車両起動後の所定時間内のみ実施されることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記仮異常判定手段によって前記電磁弁の仮異常が検出されたとき、第1フェールセーフ手段は、前記本異常確定手段による前記電磁弁の異常の確定に先立って第1フェールセーフを実施するため、電磁弁の異常が確定されるまでにフェールセーフが実施される。したがって、電磁弁が始めに検出されてからのフェールセーフが実施されるまでの間の遅れを無くすことができるので、例えば自動変速部の同時係合時に自動変速部にかかる負荷を抑制することができ、自動変速部の耐久性低下を防止することができる。
また、請求項2にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記本異常確定手段によって前記電磁弁の異常が確定されると、前記第1フェールセーフおよびその第1フェールセーフとは異なる第2フェールセーフの少なくとも一方が実施されるため、電磁弁の異常の確定に基づいてフェールセーフがさらに実施される。したがって、例えば自動変速部の同時係合時に自動変速部にかかる負荷を一層抑制することができ、自動変速部の耐久性低下を防止することができる。
また、請求項3にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記仮異常が検出されたとき、前記第1フェールセーフ手段は、フェールセーフバルブが組み合わされた電磁弁に限定してフェールセーフを実施するため、仮異常判定手段による異常検出が誤検出であった場合、即座に通常走行に復帰することができ、誤検出の影響を少なくすることができる。
また、請求項4にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記第1フェールセーフ手段は、前記第2電動機によるモータ走行中のみ実施されるため、電磁弁の仮異常が検出されると、第2電動機の駆動トルクを速やかに抜くことで、自動変速部へ入力される入力トルクを遮断するフェールセーフを速やかに実施することができる。また、第1電動機を空転状態とすることで、電気式差動部を動力伝達遮断状態にさせて自動変速部へ入力される駆動力を遮断するフェールセーフを実施することもできる。
また、請求項5にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記第1フェールセーフ手段は、自動変速部の作動油が低油温時のみ実施されるものである。例えば第1フェールセーフ手段が、自動変速部の係合装置への油圧を抜く制御である場合、低温時では作動油の抜けにかかる時間が長くなるが、電磁弁の仮異常が検出されると電磁弁の異常が確定される前に先立って油圧を抜くことで、電磁弁の異常が確定されたときのフェールセーフ実施の遅れを防止することができる。また、作動油の低油温時においては、例えばフェールセーフバルブなどにおいて異物噛み込みによる故障が生じた場合、フェールセーフバルブが正常に作動しない可能性が通常時よりも高くなる。これに対して、電磁弁の仮異常が検出されると、第1フェールセーフ手段を予め実施することで、フェールセーフバルブが仮に正常に作動しなくても自動変速部にかかる負荷を抑制することができ、自動変速部の耐久性低下を防止することができる。
また、請求項6にかかる発明の車両用動力伝達装置の制御装置によれば、前記第1フェールセーフ手段は、車両起動後の所定時間内のみ実施されるものである。例えば第1フェールセーフ手段が、自動変速部の係合装置への油圧を抜く制御である場合、車両起動後の所定時間内は作動油の油温が低いため、係合装置の作動油の抜けにかかる時間が長くなるが、電磁弁の仮異常が検出されると電磁弁の異常が確定される前に先立って油圧を抜くことで、電磁弁の異常が確定されたときのフェールセーフ実施の遅れを防止することができる。また、車両起動後の所定時間内は、作動油の油温が低いため、例えばフェールセーフバルブなどにおいて異物噛み込みによる故障が生じた場合、電磁弁に異常が発生してもフェールセーフバルブが正常に作動しない可能性が通常時よりも高くなる。これに対して、電磁弁の仮異常が検出されると、第1フェールセーフ手段を予め実施することで、フェールセーフバルブが仮に正常に作動しなくても自動変速部にかかる負荷を抑制することができ、自動変速部の耐久性低下を防止することができる。
ここで、好適には、前記自動変速部は、有段変速機が使用される。このようにすれば、有段変速機の変速状態を制御する電磁弁の仮異常が検出されると、電磁弁の異常が確定される前に先立ってフェールセーフが実施されるので、有段変速機にかかる負荷が抑制され、有段変速機の耐久性低下が防止される。
また、好適には、前記自動変速部は、無段変速部が使用される。このようにすれば、無段変速機の変速状態を制御する電磁弁の仮異常が検出されると、電磁弁の異常が確定される前に先立ってフェールセーフが実施されるので、無段変速機にかかる負荷が抑制され、無段変速機の耐久性低下を防止することができる。
また、好適には、前記仮異常判定手段は、予め設定された電磁弁の異常検出回路から電磁弁の異常が一度でも検出されると電磁弁の仮異常を判定するものである。このようにすれば、電磁弁の異常の確定に先立って第1フェールセーフ手段を実施することができる。
また、好適には、前記本異常確定手段は、予め設定された電磁弁の異常検出回路から検出される電磁弁の異常状態が所定時間以上継続される、或いは、電磁弁の異常検出が連続して所定回数以上検出されたとき、電磁弁の異常を確定するものである。このようにすれば、電磁弁異常の誤検出が防止されて確実な異常判定が可能となる。
また、好適には、第1フェールセーフ手段は、前記電磁弁を制御することにより自動変速部の係合装置に供給される油圧を抜くことで自動変速部を動力伝達遮断状態(ニュートラル状態)とする、或いは、正常に作動する電磁弁を好適に制御することで他の変速段に変速させるものである。このようにすれば、自動変速部の同時係合が防止される。
また、好適には、第2フェールセーフは、前記電気式差動部を電気的にニュートラル状態とするものである。このようにすれば、電磁弁の異常が確定された場合、速やかなフェールセーフが実施可能となる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両の動力伝達装置の一部を構成する変速機構10(本発明の車両用動力伝達装置に対応)を説明する骨子図である。図1において、変速機構10は車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12という)内において共通の軸心上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に直接或いは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介して間接的に連結された無段変速部としての差動部11と、その差動部11から駆動輪34(図6参照)への動力伝達経路で伝達部材18を介して直列に連結されている動力伝達部としての自動変速部20と、この自動変速部20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを直列に備えている。この変速機構10は、例えば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパーを介して直接的に連結された走行用の動力源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8(本発明の動力源に対応)と一対の駆動輪34(図6参照)との間に設けられて、エンジン8からの動力を動力伝達経路の一部を構成する差動歯車装置(終減速機)32(図6参照)および一対の車軸等を順次介して一対の駆動輪34へ伝達する。
このように、本実施例の変速機構10においては、エンジン8と差動部11とは直結されている。この直結にはトルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介すことなく連結されているということであり、例えば上記脈動吸収ダンパーなどを介する連結はこの直結に含まれる。
本発明の電気式差動部に対応する差動部11は、エンジン8と駆動輪34との間の動力伝達経路に連結されており、動力分配機構16の差動状態を制御するための差動用電動機として機能する第1電動機M1(電動機)と、入力軸14に入力されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構であってエンジン8の出力を第1電動機M1および伝達部材18に分配する差動機構としての動力分配機構16と、出力軸として機能する伝達部材18と一体的に回転するように作動的に連結されている第2電動機M2(電動機)と、を備えている。本実施例の第1電動機M1および第2電動機M2は発電機能をも有する所謂モータジェネレータであるが、第1電動機M1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機M2は走行用の駆動力源として駆動力を出力する走行用電動機として機能するためモータ(電動機)機能を少なくとも備える。また、第1電動機M1および第2電動機M2は、変速機構10の筐体であるケース12内に備えられ、変速機構10の作動流体である自動変速部20の作動油により冷却される。
本発明の差動機構に対応する動力分配機構16は、所定のギヤ比ρ0(=0.416)を有するシングルピニオン型の差動遊星歯車装置24を主体として構成されている。この差動遊星歯車装置24は、差動サンギヤS0、差動遊星歯車P0、その差動遊星歯車P0を自転および公転可能に支持する差動キャリヤCA0、差動遊星歯車P0を介して差動サンギヤS0と噛み合う差動リングギヤR0を回転要素として備えている。なお、差動サンギヤS0の歯数をZS0、差動リングギヤR0の歯数をZR0とすると、上記ギヤ比ρ0はZS0/ZR0である。
この動力分配機構16においては、差動キャリヤCA0は入力軸14すなわちエンジン8に連結されて第1回転要素RE1を構成し、差動サンギヤS0は第1電動機M1に連結されて第2回転要素RE2を構成し、差動リングギヤR0は伝達部材18に連結されて第3回転要素RE3を構成している。このように構成された動力分配機構16は、差動遊星歯車装置24の3要素である差動サンギヤS0、差動キャリヤCA0、差動リングギヤR0がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能すなわち差動作用が働く差動状態とされることから、エンジン8の出力が第1電動機M1と伝達部材18に分配されると共に、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機M1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機M2が回転駆動されるので、差動部11(動力分配機構16)は電気的な差動装置として機能させられて例えば差動部11は所謂無段変速状態とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。すなわち、入力軸14の回転速度NINと出力軸として機能する伝達部材の回転速度N18との差動状態が制御されることにより、差動部11はその変速比γ0(入力軸14の回転速度NIN/伝達部材18の回転速度N18)が最小値γ0minから最大値γ0maxまで連続的に変化させられる電気的な無段変速機として機能する。
自動変速部20は、エンジン8と駆動輪34との間の動力伝達経路の一部を構成しており、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置28を備え、有段式の自動変速部として機能する遊星歯車式の多段変速機である。第1遊星歯車装置26は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えており、所定のギヤ比ρ1(=0.488)を有している。第2遊星歯車装置28は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えており、所定のギヤ比ρ2(=0.455)を有している。第1サンギヤS1の歯数をZS1、第1リングギヤR1の歯数をZR1、第2サンギヤS2の歯数をZS2、第2リングギヤR2の歯数をZR2とすると、上記ギヤ比ρ1はZS1/ZR1、上記ギヤ比ρ2はZS2/ZR2である。
自動変速部20では、第1サンギヤS1は第3クラッチC3を介して伝達部材18に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に連結されると共に第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第1リングギヤR1と第2キャリヤCA2とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第2サンギヤS2が第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。さらに第1キャリヤCA1と第2リングギヤR2とは一方向クラッチF1を介して非回転部材であるケース12に連結されてエンジン8と同方向の回転が許容される一方、逆方向の回転が禁止されている。これにより、第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2は、逆回転不能な回転部材として機能する。
また、この自動変速部20は、解放側係合装置の解放と係合側係合装置の係合とによりクラッチツウクラッチ変速が実行されて複数のギヤ段(変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速比γ(=伝達部材18の回転速度N18/出力軸22の回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られる。例えば、図2の係合作動表に示されるように、第1クラッチC1の係合および一方向クラッチF1により変速比が「3.20」程度となる第1速ギヤ段が成立させられ、第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合により変速比が「1.72」程度となる第2速ギヤ速段が成立させられ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の係合により変速比が「1.00」程度となる第3速ギヤ段が成立させられ、第2クラッチC2および第1ブレーキB1の係合により変速比が「0.67」程度となる第4速ギヤ段が成立させられ、第3クラッチC3および第2ブレーキB2の係合により変速比が「2.04」程度となる後進ギヤ段が成立させられる。また、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の解放によりニュートラル「N」状態とされる。また、第1速ギヤ段のエンジンブレーキの際には、第2ブレーキB2が係合させられる。
このように、自動変速部20内の動力伝達経路は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2の係合と解放との作動の組合せにより、その動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態と、動力伝達を遮断する動力伝達遮断状態との間で切り換えられる。つまり、第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段および後進ギヤ段の何れかが成立させられることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、何れのギヤ段も成立させられないことで例えばニュートラル「N」状態が成立させられることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
本発明の複数の係合装置に対応する第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2(以下、特に区別しない場合はクラッチC、ブレーキBと表す)は、従来の車両用自動変速部においてよく用いられている係合要素としての油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本または2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。
以上のように構成された変速機構10において、無段変速機として機能する差動部11と自動変速部20とで無段変速機が構成される。また、差動部11の変速比を一定となるように制御することにより、差動部11と自動変速部20とで有段変速機と同等の状態を構成することが可能とされる。
具体的には、差動部11が無段変速機として機能し、且つ差動部11に直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、自動変速部20の少なくとも1つの変速段Mに対して自動変速部20に入力される回転速度(以下、自動変速部20の入力回転速度)すなわち伝達部材18の回転速度(以下、伝達部材回転速度N18)が無段的に変化させられてその変速段Mにおいて無段的な変速比幅が得られる。したがって、変速機構10の総合変速比γT(=入力軸14の回転速度NIN/出力軸22の回転速度NOUT)が無段階に得られ、変速機構10において無段変速機が構成される。この変速機構10の総合変速比γTは、差動部11の変速比γ0と自動変速部20の変速比γとに基づいて形成される変速機構10全体としてのトータル変速比γTである。
例えば、図2の係合作動表に示される自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段や後進ギヤ段の各ギヤ段に対し伝達部材回転速度N18が無段的に変化させられて各ギヤ段は無段的な変速比幅が得られる。したがって、その各ギヤ段の間が無段的に連続変化可能な変速比となって、変速機構10全体としてのトータル変速比γTが無段階に得られる。
また、差動部11の変速比が一定となるように制御され、且つクラッチCおよびブレーキBが選択的に係合作動させられて第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)が選択的に成立させられることにより、略等比的に変化する変速機構10のトータル変速比γTが各ギヤ段毎に得られる。したがって、変速機構10において有段変速機と同等の状態が構成される。
図3は、差動部11と自動変速部20とから構成される変速機構10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、各遊星歯車装置24、26、28のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、3本の横線のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジン8の回転速度Nを示し、X3が差動部11から自動変速部20に入力される後述する第3回転要素RE3の回転速度を示している。
また、差動部11を構成する動力分配機構16の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応する差動部サンギヤS0、第1回転要素RE1に対応する差動部キャリヤCA0、第3回転要素RE3に対応する差動部リングギヤR0の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は差動遊星歯車装置24のギヤ比ρ0に応じて定められている。さらに、自動変速部20の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応する第2サンギヤS2を、第5回転要素RE5に対応する相互に連結された第1リングギヤR1および第2キャリヤCA2を、第6回転要素RE6に対応する相互に連結された第1キャリヤCA1および第2リングギヤR2を、第7回転要素RE7に対応する第1サンギヤS1をそれぞれ表し、それらの間隔は第1、第2遊星歯車装置26、28のギヤ比ρ1、ρ2に応じてそれぞれ定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車装置のギヤ比ρに対応する間隔とされる。すなわち、差動部11では縦線Y1とY2との縦線間が「1」に対応する間隔に設定され、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρ0に対応する間隔に設定される。また、自動変速部20では各第1、第2遊星歯車装置26、28毎にそのサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔に設定され、キャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔に設定される。
上記図3の共線図を用いて表現すれば、本実施例の変速機構10は、動力分配機構16(差動部11)において、差動遊星歯車装置24の第1回転要素RE1(差動キャリヤCA0)が入力軸14すなわちエンジン8に連結され、第2回転要素RE2が第1電動機M1に連結され、第3回転要素(差動リングギヤR0)RE3が伝達部材18および第2電動機M2に連結されて、入力軸14の回転を伝達部材18を介して自動変速部20へ伝達する(入力させる)ように構成されている。このとき、Y2とX2の交点を通る斜めの直線L0により差動サンギヤS0の回転速度と差動リングギヤR0の回転速度との関係が示される。
例えば、差動部11においては、第1回転要素RE1乃至第3回転要素RE3が相互に相対回転可能とされる差動状態とされており、直線L0と縦線Y3との交点で示される差動リングギヤR0の回転速度が車速Vに拘束されて略一定である場合には、第1電動機M1の回転速度を制御することによって直線L0と縦線Y1との交点で示される差動サンギヤS0の回転が上昇或いは下降させられると、直線L0と縦線Y2との交点で示される差動キャリヤCA0の回転速度すなわちエンジン回転速度Nが上昇或いは下降させられる。
また、差動部11の変速比γ0が「1」に固定されるように第1電動機M1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転がエンジン回転速度Nと同じ回転とされると、直線L0は横線X2と一致させられ、エンジン回転速度Nと同じ回転で差動リングギヤR0の回転速度すなわち伝達部材18が回転させられる。或いは、差動部11の変速比γ0が「1」より小さい値例えば0.7程度に固定されるように第1電動機M1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転が零とされると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度Nよりも増速されて伝達部材18が回転させられる。
また、自動変速部20において第4回転要素RE4は第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸22に連結され、第6回転要素RE6は第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第7回転要素RE7は第3クラッチC3を介して伝達部材18に選択的に連結されると共に第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結される。
自動変速部20では、例えば差動部11において第1電動機M1の回転速度を制御することによって差動サンギヤS0の回転速度を略零とすると、直線L0は図3に示す状態とされ、エンジン回転速度Nよりも増速されて第3回転要素RE3に出力される。そして図3に示すように、第1クラッチC1と第2ブレーキB2とが係合させられることにより、第4回転要素RE4の回転速度を示す縦線Y4と横線X3との交点と第6回転要素RE6の回転速度を示す縦線Y6と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第1速の出力軸22の回転速度が示される。同様に、第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第2速の出力軸22の回転速度が示され、第1クラッチC1と第2クラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L3と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第3速の出力軸22の回転速度が示され、第2クラッチC2と第1ブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L4と出力軸22と連結された第5回転要素RE5の回転速度を示す縦線Y5との交点で第4速の出力軸22の回転速度が示される。
図4は、本実施例の変速機構10を制御するための制御装置である電子制御装置80に入力される信号及びその電子制御装置80から出力される信号を例示している。この電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8、第1電動機M1、第2電動機M2に関するハイブリッド駆動制御、自動変速部20の変速制御等の駆動制御を実行するものである。
電子制御装置80には、図4に示すような各センサやスイッチなどから、エンジン8の冷却流体の温度であるエンジン水温TEMPを表す信号、シフトレバー52(図5参照)のシフトポジションPSHや「M」ポジションにおける操作回数等を表す信号、エンジン8の回転速度であるエンジン回転速度Nを表す信号、ギヤ比列設定値を表す信号、Mモード(手動変速走行モード)を指令する信号、エアコンの作動を表す信号、車速センサ46(図1参照)により検出される出力軸22の回転速度NOUTに対応する車速V及び車両の進行方向を表す信号、自動変速部20の作動油温TOILを表す信号、サイドブレーキ操作を表す信号、フットブレーキ操作を表す信号、触媒温度を表す信号、運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、カム角を表す信号、スノーモード設定を表す信号、車両の前後加速度Gを表す信号、オートクルーズ走行を表す信号、車両の重量(車重)を表す信号、各車輪の車輪速を表す信号、レゾルバなどの回転速度センサ42により検出される第1電動機M1の回転速度NM1(以下、「第1電動機回転速度NM1」と表す)及びその回転方向を表す信号、レゾルバなどの回転速度センサ44(図1参照)により検出される第2電動機M2の回転速度NM2(以下、「第2電動機回転速度NM2」と表す)及びその回転方向を表す信号、各電動機M1,M2との間でインバータ54を介して充放電を行う蓄電装置56(図6参照)の充電残量(充電状態)SOCを表す信号、差動部11や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路70(図6参照)に含まれる電磁弁(リニアソレノイドバルブ)異常を検出するソレノイド異常検出回路59(異常検出回路)からの異常検出信号などが、それぞれ供給される。なお、上記回転速度センサ42、44及び車速センサ46は回転速度だけでなく回転方向をも検出できるセンサであり、車両走行中に自動変速部20が中立ポジションである場合には車速センサ46によって車両の進行方向が検出される。
また、上記電子制御装置80からは、エンジン8の出力P(単位は例えば「kW」。以下、「エンジン出力P」と表す。)を制御するエンジン出力制御装置58(図6参照)への制御信号例えばエンジン8の吸気管60に備えられた電子スロットル弁62のスロットル弁開度θTHを操作するスロットルアクチュエータ64への駆動信号や燃料噴射装置66による吸気管60或いはエンジン8の筒内への燃料供給量を制御する燃料供給量信号や点火装置68によるエンジン8の点火時期を指令する点火信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、電動機M1、M2の作動を指令する指令信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号、差動部11や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路70(図6参照)に含まれる電磁弁(リニアソレノイドバルブ)を作動させるバルブ指令信号、この油圧制御回路70に設けられたレギュレータバルブ(調圧弁)によりライン油圧Pを調圧するための信号、そのライン油圧Pが調圧されるための元圧の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等が、それぞれ出力される。
図5は複数種類のシフトポジションPSHを人為的操作により切り換える切換装置としてのシフト操作装置50の一例を示す図である。このシフト操作装置50は、例えば運転席の横に配設され、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー52を備えている。
そのシフトレバー52は、変速機構10内つまり自動変速部20内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態すなわち中立状態とし且つ自動変速部20の出力軸22をロックするための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、変速機構10内の動力伝達経路が遮断された中立状態とするための中立ポジション「N(ニュートラル)」、自動変速モードを成立させて差動部11の無段的な変速比幅と自動変速部20の第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段の範囲で自動変速制御される各ギヤ段とで得られる変速機構10の変速可能なトータル変速比γTの変化範囲内で自動変速制御を実行させる前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、または手動変速走行モード(手動モード)を成立させて自動変速部20における高速側の変速段を制限する所謂変速レンジを設定するための前進手動変速走行ポジション「M(マニュアル)」へ手動操作されるように設けられている。
上記シフトレバー52の各シフトポジションPSHへの手動操作に連動して図2の係合作動表に示す後進ギヤ段「R」、ニュートラル「N」、前進ギヤ段「D」における各変速段等が成立するように、例えば油圧制御回路70が電気的に切り換えられる。
上記「P」乃至「M」ポジションに示す各シフトポジションPSHにおいて、「P」ポジションおよび「N」ポジションは、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであって、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1乃至第3クラッチC3のいずれもが解放されるような自動変速部20内の動力伝達経路が遮断された車両を駆動不能とする第1クラッチC1乃至第3クラッチC3による動力伝達経路の動力伝達遮断状態へ切換えを選択するための非駆動ポジションである。また、「R」ポジション、「D」ポジションおよび「M」ポジションは、車両を走行させるときに選択される走行ポジションであって、例えば図2の係合作動表に示されるように第1クラッチC1乃至第3クラッチC3の少なくとも1つが係合されるような自動変速部20内の動力伝達経路が連結された車両を駆動可能とする第1クラッチC1乃至第3クラッチC3による動力伝達経路の動力伝達可能状態への切換えを選択するための駆動ポジションでもある。
図6は、クラッチCおよびブレーキBの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL5等に関する回路図であって、油圧制御回路70の要部を示す回路図である。なお、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5、SLTが本発明の電磁弁に対応する。
図6において、クラッチC1、C2、およびブレーキB1、B2の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)72、74、78、81には、油圧供給装置82から出力されたDレンジ圧(前進レンジ圧、前進油圧)PDがそれぞれリニアソレノイドバルブSL1、SL2、SL4、SL5により調圧されて供給され、クラッチC3の油圧アクチュエータ76には、油圧供給装置82から出力されたリバース圧(後進レンジ圧、後進油圧)PRがリニアソレノイドバルブSL3により調圧されて供給される。なお、ブレーキB2の油圧アクチュエータ81には、リニアソレノイドバルブSL5の出力油圧およびリバース圧(後進レンジ圧、後進油圧)PRのうち何れか供給された側の油圧がシャトル弁84を介して供給される。
油圧供給装置82は、エンジン8によって回転駆動される機械式オイルポンプ83およびエンジン被駆動時において電動機によって駆動する電動オイルポンプ85から発生させられる油圧を元圧としてライン油圧PL1(第1ライン油圧PL1)を調圧する例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ86(以下プライマリバルブ86と記載)、プライマリバルブ86によるライン油圧PL1の調圧のためにプライマリバルブ86から排出される油圧を元圧としてライン油圧PL2(第2ライン油圧PL2、セカンダリ圧PL2)を調圧するセカンダリレギュレータバルブ88(以下、セカンダリバルブ88と記載)、アクセル開度Acc或いはスロットル弁開度θTHで表されるエンジン負荷等に応じたライン油圧PL1、PL2に調圧されるためにプライマリバルブ86およびセカンダリバルブ88へ信号圧PSLTを供給するリニアソレノイドバルブSLT、ライン油圧PL1を元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ90、シフトレバー52の操作に伴って油路が切り換えられることにより入力されたライン油圧PL1をシフトレバー52が「D」ポジション或いは「M」ポジションへ操作されたときにはDレンジ圧PDとして出力し、或いは「R」ポジションへ操作されたときにはリバース圧PRとして出力するマニュアルバルブ92等を備えており、ライン油圧PL1、PL2、モジュレータ油圧PM、Dレンジ圧PD、およびリバース圧PRを供給する。
リニアソレノイドバルブSL1〜SL5、SLTは、基本的には何れも同じ構成であり、電子制御装置80により独立に励磁、非励磁され、各油圧アクチュエータ72、74、76、78、81の油圧が独立に調圧制御されてクラッチC1、C2、C3、ブレーキB1、B2の係合圧が制御される。そして、自動変速部20は、例えば図2の係合作動表に示すように予め定められた係合装置が係合されることによって各変速段が成立させられる。また、自動変速部20の変速制御においては、例えば変速に関与するクラッチCやブレーキBの解放と係合とが同時に制御される所謂クラッチ・ツウ・クラッチ変速が実行される。例えば、図2の係合作動表に示すように2速→3速のアップシフトでは、ブレーキB1が解放されると共にクラッチC2が係合され、変速ショックを抑制するようにブレーキB1の解放過渡油圧とクラッチC2の係合過渡油圧とが適切に制御される。このように、自動変速部20の係合装置(クラッチC、ブレーキB)がリニアソレノイドバルブSL1〜SL5により各々制御されるので、係合装置の作動の応答性が向上される。或いはまた、その係合装置の係合/解放作動の為の油圧回路が簡素化される。
ここで、ブレーキB1の油圧アクチュエータ78の手前、すなわちリニアソレノイドバルブSL4と油圧アクチュエータ78との間には、走行中の何らかの故障によってクラッチC1、クラッチC2、およびブレーキB1が同時に係合(同時係合)されることを防止する機械式のフェールセーフバルブ94が配設されている。
図7および図8は、前記フェールセーフバルブ94の作動を説明するために拡大した油圧回路図である。フェールセーフバルブ94は、リニアソレノイドバルブSL4から係合油圧PB1が供給される入力ポート100と、ブレーキB1の油圧アクチュエータ78に接続される出力ポート102と、ドレーンポートEXと、図示しないスプールとを備えて構成されている。
フェールセーフバルブ94は、通常、ライン油圧PL1およびスプリング104の弾性復帰力FS1が作用することにより、図示しないスプールが一方向側(図において上方側)に移動させられ、図7に示すように、リニアソレノイドバルブSL4の出力ポート101が入力ポート100を介して出力ポート102と連通させられるようになっている。したがって、リニアソレノイドバルブSL4から係合油圧PB1が出力されると、油圧アクチュエータ78に供給される。
一方、リニアソレノイドバルブSL1から出力されるクラッチC1の係合油圧PC1、リニアソレノイドバルブSL2から出力されるクラッチC2の係合油圧PC2、およびリニアソレノイドバルブSL4から出力されるブレーキB1の係合油圧PB1の3つ係合油圧が同時にフェールセーフバルブ94のスプールに作用すると、ライン油圧PL1およびスプリング104の弾性復帰力FS1に抗って、スプールが他方側(図において下方側)に移動させられ、図8に示すように、リニアソレノイドバルブSL4の出力ポート101が入力ポート100を介してドレーンポートEXとが連通させられるようになっている。これにより、リニアソレノイドバルブSL4から供給される係合油圧PB1がブレーキB1の油圧アクチュエータ78に供給されることなくドレーンポートEXから排出される。
このように構成されるフェールセーフバルブ94において、車両が例えば第3速ギヤ段で走行中、言い換えればクラッチC1およびクラッチC2係合状態で走行中、リニアソレノイドバルブSL4の故障によって、リニアソレノイドバルブSL4から正常状態では出力されない係合油圧PB1が供給されると、フェールセーフバルブ94には、係合油圧PC1、PC2、PB1が作用するため、スプールが他方側に移動させられ、図8に示すように、係合油圧PB1が排出される。したがって、クラッチC1、クラッチC2、およびブレーキB1の同時係合が防止される。
また、車両が例えば第2速ギヤ段で走行中、言い換えれば、クラッチC1およびブレーキB1の係合状態で走行中、リニアソレノイドバルブSL2の故障によって、リニアソレノイドバルブSL2から正常状態では供給されない係合油圧PC2が供給されると、フェールセーフバルブ94には、係合油圧PC1、PC2、PB1が作用するため、スプールが他方側に移動させられ、図8に示すように、係合油圧PB1がドレーンポートEXから排出される。したがって、クラッチC1、クラッチC1、およびブレーキB1の同時係合が防止される。
また、車両が例えば第4速ギヤ段で走行中、言い換えればクラッチC2およびブレーキB1の係合状態で走行中、リニアソレノイドバルブSL1の故障によって、リニアソレノイドバルブSL1から正常状態では出力されない係合油圧PC1が供給されると、フェールセーフバルブ94には、係合油圧PC1、PC2、PB1が作用するため、スプールが他方側に移動させられ、図8に示すように、係合油圧PB1がドレーンポートEXから排出される。したがって、クラッチC1、クラッチC2、およびブレーキB1の同時係合が防止される。上記より、フェールセーフバルブ94は、クラッチC1、クラッチC2、およびブレーキB1の同時係合を好適に防止する。
図6に戻り、リニアソレノイドバルブSL5とブレーキB2の油圧アクチュエータ81との間には、クラッチC2およびブレーキB2の同時係合、ブレーキB1およびブレーキB2の同時係合を防止するカットオフバルブ96およびリレーバルブ98とが配設されている。
図9および図10は、上記カットオフバルブ96およびリレーバルブ98の作動を説明するために拡大した油圧回路図である。カットオフバルブ96は、リニアソレノイドバルブSL5から係合油圧PB2が供給される入力ポート104と、リレーバルブ98の入力ポート110と連通する出力ポート106と、ドレーンポートEXと、図示しないスプールとを備えて構成されている。
カットオフバルブ96は、通常、スプリング108の弾性復帰力FS2が作用することにより、図示しないスプールが一方向側(図において上方側)に移動させられており、図9に示すように、リニアソレノイドバルブSL5の出力ポート109が入力ポート104を介して出力ポート106と連通させられるようになっている。したがって、リニアソレノイドバルブSL5から係合油圧PB2が供給されると、リレーバルブ98の入力ポート110に供給される。
ここで、リニアソレノイドバルブSL5から係合油圧PB2が供給された状態で、クラッチC2に対応する係合油圧PC2およびブレーキB1に対応する係合油圧PB1の少なくとも一方からカットオフバルブ96のスプールに油圧が作用すると、その油圧に基づいてスプリング108の弾性復帰力FS2に抗ってスプールが他方向側(図において下方側)に移動させられる。これに伴い、図10に示すように、リニアソレノイドバルブSL5の出力ポート109とドレーンポートEXとが連通させられ、リニアソレノイドバルブSL5から出力される係合油圧PB2がブレーキB2の油圧アクチュエータ81に供給されることなくドレーンポートEXから排出される。
このように構成されるカットオフバルブ96において、車両が例えば第2速ギヤ段で走行中、言い換えればクラッチC1およびブレーキB1係合状態で走行中、リニアソレノイドバルブSL5の故障によって、リニアソレノイドバルブSL5から正常状態では供給されない係合油圧PB2が供給された場合であっても、カットオフバルブ96には、ブレーキB1の係合油圧PB1が作用しているので、スプールが他方側に移動させられており、図10に示すように、係合油圧PB2が排出される。したがって、クラッチC1、ブレーキB1、およびブレーキB2の同時係合が防止される。
また、例えば車両が第1速ギヤ段(エンジンブレーキ状態)で走行中、言い換えればクラッチC1およびブレーキB2の係合状態で走行中、リニアソレノイドバルブSL2の故障によって、リニアソレノイドバルブSL2から正常状態では供給されない係合油圧PC2が供給されると、カットオフバルブ96には、その係合油圧PC2が作用するため、スプールが他方側に移動させられ、図10に示すように、係合油圧PB2が排出される。したがって、クラッチC1、クラッチC2、およびブレーキB2の同時係合が防止される。上記のように、カットオフバルブ96は、係合が禁止される所定の係合装置に対応するクラッチC2およびブレーキB2同時係合、並びに、ブレーキB1およびブレーキB2の同時係合を好適に防止する。
リレーバルブ98は、通常、スプリング112の弾性復帰力FS3によって、図示しないスプールが一方向側に移動させれた状態となっており、リレーバルブ98の入力ポート110に供給される作動油は、ドレーンポートEXから排出されるようになっている。ここで、図示しない切換ソレノイドバルブSBから切換圧PSBが供給されると、その切換圧によってスプールが弾性復帰力FS3の付勢力に抗って他方側に移動させられ、図9に示すように、カットオフバルブ96から出力される係合油圧PB2がシャトル弁84を介して油圧アクチュエータ81に供給される。すなわち、上記リレーバルブ98は、切換油圧PSBに基づいてバルブの状態が切り換えられる切換バルブとして機能する。
上記、フェールセーフバルブ94、カットオフバルブ96、およびリレーバルブ98が設けられることにより、いずれかのソレノイドバルブの故障によって意図しない油圧が供給されても、ブレーキB1(油圧アクチュエータ78)およびブレーキB2(油圧アクチュエータ81)への作動油の供給が機械的に遮断されるに伴い、自動変速部20の係合装置の同時係合が好適に防止される。なお、クラッチC3は、図2の係合作動表に示すように、リバース圧PRが入力された場合のみ作動する係合装置であるため、前進走行時の同時係合に関与しない。
図11は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図11において、有段変速制御手段120は、図12に示すような車速Vと自動変速部20の出力トルクTOUTとを変数として予め記憶されたアップシフト線(実線)およびダウンシフト線(一点鎖線)を有する関係(変速線図、変速マップ)から実際の車速Vおよび自動変速部20の要求出力トルクTOUTで示される車両状態に基づいて、自動変速部20の変速を実行すべきか否かを判断しすなわち自動変速部20の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部20の自動変速制御を実行する。なお、アクセル開度Accと自動変速部20の要求出力トルクTOUT(図12の縦軸)とはアクセル開度Accが大きくなるほどそれに応じて上記要求出力トルクTOUTも大きくなる対応関係にあることから、図12の変速線図の縦軸はアクセル開度Accであっても差し支えない。
このとき、有段変速制御手段120は、例えば図2に示す係合表に従って変速段が達成されるように、自動変速部20の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる指令(変速出力指令、油圧指令)を、すなわち自動変速部20の変速に関与する解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合することによりクラッチツウクラッチ変速を実行させる指令を油圧制御回路70へ出力する。油圧制御回路70は、その指令に従って、例えば解放側係合装置を解放すると共に係合側係合装置を係合して自動変速部20の変速が実行されるように、油圧制御回路70内のリニアソレノイドバルブを作動させてその変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを作動させる。
ハイブリッド制御手段122は、エンジン8を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン8と第2電動機M2との駆動力の配分や第1電動機M1の発電による反力を最適になるように変化させて差動部11の電気的な無段変速機としての変速比γ0を制御する。例えば、そのときの走行車速Vにおいて、運転者の出力要求量としてのアクセル開度Accや車速Vから車両の目標(要求)出力を算出し、その車両の目標出力と充電要求値から必要なトータル目標出力を算出し、そのトータル目標出力が得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機M2のアシストトルク等を考慮して目標エンジン出力(要求エンジン出力)PERを算出し、その目標エンジン出力PERが得られるエンジン回転速度NとエンジントルクTとなるようにエンジン8を制御するとともに第1電動機M1の発電量を制御する。
例えば、ハイブリッド制御手段122は、その制御を動力性能や燃費向上などのために自動変速部20の変速段を考慮して実行する。このようなハイブリッド制御では、エンジン8を効率のよい作動域で作動させるために定まるエンジン回転速度Nと車速Vおよび自動変速部20の変速段で定まる伝達部材18の回転速度とを整合させるために、差動部11が電気的な無段変速機として機能させられる。すなわち、ハイブリッド制御手段122は、エンジン回転速度Nとエンジン8の出力トルク(エンジントルク)Tとで構成される二次元座標内において無段変速走行の時に運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められた図13の破線に示すようなエンジン8の動作曲線の一種である最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)を予め記憶しており、その最適燃費率曲線にエンジン8の動作点(以下、「エンジン動作点」と表す)が沿わされつつエンジン8が作動させられるように、例えば目標出力(トータル目標出力、要求駆動力)を充足するために必要なエンジン出力Pを発生するためのエンジントルクTとエンジン回転速度Nとなるように、変速機構10のトータル変速比γTの目標値を定め、その目標値が得られるように自動変速部20の変速段を考慮して差動部11の変速比γ0を制御し、トータル変速比γTをその変速可能な変化範囲内で制御する。ここで、上記エンジン動作点とは、エンジン回転速度N及びエンジントルクTなどで例示されるエンジン8の動作状態を示す状態量を座標軸とした二次元座標においてエンジン8の動作状態を示す動作点である。
このとき、ハイブリッド制御手段122は、第1電動機M1により発電された電気エネルギをインバータ54を通して蓄電装置56や第2電動機M2へ供給するので、エンジン8の動力の主要部は機械的に伝達部材18へ伝達されるが、エンジン8の動力の一部は第1電動機M1の発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ54を通してその電気エネルギが第2電動機M2へ供給され、その第2電動機M2が駆動されて第2電動機M2から伝達部材18へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機M2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン8の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。
また、ハイブリッド制御手段122は、車両の停止中又は走行中に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能によって第1電動機回転速度NM1および/または第2電動機回転速度NM2を制御してエンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に回転制御する。言い換えれば、ハイブリッド制御手段122は、エンジン回転速度Nを略一定に維持したり任意の回転速度に制御しつつ第1電動機回転速度NM1および/または第2電動機回転速度NM2を任意の回転速度に回転制御することができる。また、ハイブリッド制御手段122は、自動変速部20の変速方向に対して、その変速を打ち消すように差動部11を反対方向に変速させることで、自動変速部20の変速前後のトータル変速比γTを一定に維持することができる。
例えば、図3の共線図からもわかるようにハイブリッド制御手段122は車両走行中にエンジン回転速度Nを引き上げる場合には、車速V(駆動輪34)に拘束される第2電動機回転速度NM2を略一定に維持しつつ第1電動機回転速度NM1の引き上げを実行する。また、ハイブリッド制御手段122は自動変速部20の変速中にエンジン回転速度Nを略一定に維持する場合には、エンジン回転速度Nを略一定に維持しつつ自動変速部20の変速に伴う第2電動機回転速度NM2の変化とは反対方向に第1電動機回転速度NM1を変化させる。
また、ハイブリッド制御手段122は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御させる他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射量や噴射時期を制御させ、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御させる指令を単独で或いは組み合わせてエンジン出力制御装置58に出力して、必要なエンジン出力Pを発生するようにエンジン8の出力制御を実行するエンジン出力制御手段を機能的に備えている。
例えば、ハイブリッド制御手段122は、基本的には図示しない予め記憶された関係からアクセル開度Accに基づいてスロットルアクチュエータ64を駆動し、アクセル開度Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させるようにスロットル制御を実行する。また、このエンジン出力制御装置58は、ハイブリッド制御手段122による指令に従って、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ64により電子スロットル弁62を開閉制御する他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置66による燃料噴射を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置68による点火時期を制御するなどしてエンジントルク制御を実行する。
また、ハイブリッド制御手段122は、エンジン8の停止又はアイドル状態に拘わらず、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)によって、第2電動機M2を走行用の駆動力源とするモータ走行をさせることができる。例えば、ハイブリッド制御手段122は、一般的にエンジン効率が高トルク域に比較して悪いとされる比較的低出力トルクTOUT域すなわち低エンジントルクT域、或いは車速Vの比較的低車速域すなわち低負荷域において、モータ走行を実行する。また、ハイブリッド制御手段122は、このモータ走行時には、停止しているエンジン8の引き摺りを抑制して燃費を向上させるために、第1電動機回転速度NM1を負の回転速度で制御して例えば第1電動機M1を無負荷状態とすることにより空転させて、差動部11の電気的CVT機能(差動作用)により必要に応じてエンジン回転速度Nを零乃至略零に維持する。
また、ハイブリッド制御手段122は、エンジン8を走行用の駆動力源とするエンジン走行を行うエンジン走行領域であっても、上述した電気パスによる第1電動機M1からの電気エネルギおよび/または蓄電装置56からの電気エネルギを第2電動機M2へ供給し、その第2電動機M2を駆動して駆動輪34にトルクを付与することにより、エンジン8の動力を補助するための所謂トルクアシストが可能である。よって、本実施例のエンジン走行にはエンジン8を走行用の駆動力源とする場合と、エンジン8及び第2電動機M2の両方を走行用の駆動力源とする場合とがある。そして、本実施例のモータ走行とはエンジン8を停止して第2電動機M2を走行用の駆動力源とする走行である。
また、ハイブリッド制御手段122は、第1電動機M1を無負荷状態として自由回転すなわち空転させることにより、差動部11がトルクの伝達を不能な状態すなわち差動部11内の動力伝達経路が遮断された状態と同等の状態であって、且つ差動部11からの出力が発生されない状態とすることが可能である。すなわち、ハイブリッド制御手段122は、第1電動機M1を無負荷状態とすることにより差動部11をその動力伝達経路が電気的に遮断される中立状態(ニュートラル状態)とすることが可能である。
また、ハイブリッド制御手段122は、アクセルオフの惰性走行時(コースト走行時)やフットブレーキによる制動時などには、燃費を向上させるために車両の運動エネルギすなわち駆動輪34からエンジン8側へ伝達される逆駆動力により第2電動機M2を回転駆動させて発電機として作動させ、その電気エネルギすなわち第2電動機発電電流をインバータ54を介して蓄電装置56へ充電する回生制御手段としての機能を有する。この回生制御は、蓄電装置56の充電残量SOCやブレーキペダル操作量に応じた制動力を得るための油圧ブレーキによる制動力の制動力配分等に基づいて決定された回生量となるように制御される。
ところで、上述したように自動変速部20は、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5(以下、特に区別しない場合はリニアソレノイドバルブSLと記載)から供給される油圧によって各油圧アクチュエータ72〜81の作動状態が制御されることにより複数のギヤ段が達成されるようになっている。リニアソレノイドバルブSLは、電子制御装置80からの電気信号に基づいて作動させられるが、リニアソレノイドバルブSLが断線あるいは短絡等によって故障する可能性があり、この故障を常時検出するための公知技術であるソレノイド異常検出回路59が予め設けられている。ここで、上記ソレノイド異常検出回路59による各リニアソレノイドバルブSLの異常検出は、ソレノイドバルブSLにパルス信号を送信し、このパルス信号に応じてソレノイドバルブSLの異常を検出するものであるが、上記パルス信号のパルス幅はmsec単位の非常に短いものであるため、ソレノイドバルブSLの異常が誤検出される可能性がある。これに対して、例えばリニアソレノイドバルブSLの異常が所定回数以上連続して検出される場合、或いは、リニアソレノイドバルブSLの異常が所定時間以上連続して検出される場合にソレノイドバルブSLの異常を確定させる方法が考えられる。
上記のような方法では、ソレノイドバルブSLの異常が始めに検出されてからその異常が確定されるまでの間に時間がかかる。そして、ソレノイドバルブSLの異常が意図しない油圧が常時出力される所謂オン故障であった場合、異常が始めに検出されてから実際にフェールセーフが実施されるまでの間に遅れが生じるため、その遅れ時間の間に自動変速部20の複数の係合装置に油圧が同時にかかる(同時係合)などして自動変速部20に負荷がかかり、自動変速部20の耐久性が低下する可能性があった。これに対して、上記自動変速部20の同時係合を回避するため、フェールセーフバルブ94が設けられているが、フェールセーフバルブ94は、フェール時にしか作動しないバルブであるため、フェールセーフバルブ94に異物等が噛み込んでいても通常の走行ではその異常が検出されず、この状態でソレノイドバルブSLに不具合が発生すると、フェールセーフバルブ94が正常に作動せず同時係合が生じる可能性があった。
そこで本実施例では、ソレノイドバルブSLの異常が始めに検出されると、ソレノイドバルブSLの異常確定に先立ってフェールセーフを実施することで、自動変速部20の同時係合等の不具合を確実に防止し、自動変速部20の耐久性低下を防止する。以下、上記制御について詳細に説明する。
図11に戻り、仮異常判定手段130は、ソレノイド異常検出回路59によってソレノイドバルブSLに断線やショート(短絡)などの異常が検出されたか否かを判定する。上記異常判定手段130は、ソレノイドバルブSLに一度でも異常が検出されると、ソレノイドバルブSLに異常が発生したものと判定する。なお、本実施例では、仮異常判定手段130によるソレノイドバルブSLの異常検出を仮異常と定義する。
第1フェールセーフ手段132は、仮異常判定手段130によってソレノイドバルブSLの仮異常が検出されたとき、ソレノイドバルブSLの異常確定に先立ってフェールセーフを実施する。具体的には、フェールセーフ手段132は、仮異常が検出されると、例えば自動変速部20のソレノイドバルブSLに各油圧アクチュエータへの油圧供給を停止させて油圧を抜く、或いは、ソレノイドバルブSLの元圧として機能するライン油圧PL1の供給を遮断させて油圧アクチュエータの油圧を抜くなどして、自動変速部20を動力伝達遮断状態(ニュートラル状態)にして、自動変速部20の同時係合を防止する。
また、故障が発生したソレノイドバルブおよびその故障状態が特定される場合、第1フェールセーフ手段132は、その故障状態に基づいて自動変速部20を他の変速段に変速させるなどして、自動変速部20の同時係合を防止する。具体的には、例えば第1ブレーキB1の油圧アクチュエータ78に油圧を供給するソレノイドバルブSL4がオフ状態にならないオン故障が発生した場合、自動変速部20を第2速ギヤ段(第1クラッチC1および第1ブレーキB1の係合)へ変速させることで同時係合を防止する。
また、第1フェールセーフ手段132は、仮異常が検出された場合、自動変速部20の全ての油圧アクチュエータへの油圧供給を停止させるのではなく、例えばフェールセーフバルブ94が組み合わされているリニアソレノイドバルブ、すなわちフェールセーフバルブ94によってフェール時に油圧供給が回避される第1ブレーキB1に対応するリニアソレノイドバルブSL4に対してのみ油圧アクチュエータ78への油圧供給を停止させるフェールセーフを実施しても構わない。上記のようにフェールセーフバルブ94と組み合わされるソレノイドバルブ(本実施例ではSL4)に限定することで、フェールセーフバルブ94が正常に作動しない場合に発生する同時係合が防止される。また、フェールセーフを実施するソレノイドバルブを少なくすることで、仮異常判定手段130が誤検出した場合において速やかな復帰が可能となる。
また、第1フェールセーフ手段132は、自動変速部20の作動油の低油温時、或いは車両起動後の所定時間内のみ実施されるものであっても構わない。作動油の低油温時や車両起動後(Ready On時、IG On時)所定時間内においては、作動油の粘度が高い状態であるため、油圧アクチュエータの作動油抜きに時間を要すこととなる。したがって、ソレノイドバルブSLの異常が確定してからフェールセーフとして油圧を抜く場合、応答性が悪く自動変速部20の同時係合等が発生する可能性がある。そこで、仮異常判定手段130による仮異常検出に先立って、第1フェールセーフ手段132としてソレノイドバルブSLの出力を停止させて油圧アクチュエータの作動油抜きを実施することで同時係合が効果的に防止される。
ここで、前記低油温および所定時間は、予め実験的に設定されており、作動油の粘度が高くなり応答性が低下するとされる所定油温、並びに、車両起動に伴って作動油の油温が所定油温以上となるとされる時間に設定される。なお、作動油の油温が上昇した場合や車両起動後所定時間を経過した場合においては、油温が上昇するに伴い作動油の粘度が低くなって油圧制御の応答性が低油温時に比べて高くなるため、必ずしも第1フェールセーフ手段132の実施を要しない。また、車両起動直後においては、例えばフェールセーフバルブ94等の異物噛み込みが発生している可能性も高いが、第1フェールセーフ手段132が実施されることで、フェールセーフバルブ94が正常に作動しない場合であっても自動変速部20の同時係合時が防止される。
また、第1フェールセーフ手段132は、例えば第2電動機M2によるモータ走行時においては、仮異常判定手段130によって仮異常が検出されると、第2電動機M2の駆動トルクを低下させる、或いは零(非駆動状態)にすることで、自動変速部20に入力される入力トルクを抑制し同時係合が発生した際に自動変速部20にかかる負荷を低減させることもできる。また、第2電動機M2の駆動トルクは、電気的に制御されるものであるため、精度良く、且つ、速やかにフェールセーフを実施することができる。なお、上記制御はモータ走行時においてのみ第1フェールセーフ手段132が実施される設定となる。
上記のように、第1フェールセーフ手段132として、自動変速部20の油圧アクチュエータの油圧抜き制御や自動変速部20へ入力される入力トルク低減(遮断)制御等が適宜実施され、作動油温に基づくフェールセーフ実施の限定、並びにフェールセーフバルブ94等に基づくフェールセーフの実施態様の限定などが適宜付加されても構わない。
本異常確定手段134は、仮異常判定手段130によってソレノイドバルブSLの仮異常が検出された場合、所定の条件に基づいてその異常を確定させるものである。本異常確定手段134は、仮異常が検出されたとき、例えばその異常が所定時間(TA)以上継続して検出されたか否か、或いは所定回数(NA)以上連続して検出されたか否を判定し、その異常が所定時間(TA)以上、または所定回数(NA)以上検出されると、ソレノイドバルブSLの異常を確定させる。なお、本実施例において、本異常確定手段134によって確定される異常を本異常と定義する。仮異常判定手段130による仮異常の検出は、ソレノイド異常検出回路59のパルス信号に基づいて検出されるものであるが、パルス信号のパルス幅は数msec程度と非常に短く、誤検出される可能性がある。これに対して、本異常確定手段134は、検出時間TAおよび検出回数NAを設定して異常確定を厳密に実施することで、誤検出を回避する。なお、上記所定時間TAおよび所定回数NAは、予め実験的もしくは論理的に設定されるものであり、ソレノイドバルブSLの誤検出が確実に回避されるような値に設定される。例えば、本実施例では、所定時間TAは1.0(sec)程度に設定され、所定回数NAは20(回)程度に設定される。
そして、本異常確定手段134によってソレノイドバルブSLの本異常が確定されると、第2フェールセーフ手段136が実施される。第2フェールセーフ手段136は、第1フェールセーフ手段132とは異なる手段が実施され、例えば第1電動機M1を無負荷状態とすることにより差動部11を動力伝達遮断状態(ニュートラル状態)とすることで、自動変速部20へ入力される駆動トルクを遮断する。したがって、自動変速部20の同時係合が発生しても、自動変速部20に駆動トルクが入力されないので、自動変速部20に負荷がかからず、自動変速部20の耐久性低下が防止される。また、第2フェールセーフ手段136は、電気的なフェールセーフ手段であるため、応答性がよく速やかな実施が可能となる。なお、第2フェールセーフ手段136が実施されたとき、第1フェールセーフ手段132も同様に継続して実施されるが、第2フェールセーフ手段136によって速やかにフェールセーフを実施できるのであれば、第1フェールセーフ手段132を必ずしも継続させなくても構わない。上記のように、仮異常判定時と本異常確定時とでフェールセーフが2段階に分けて実施される。
ここで、本実施例では、第1フェールセーフ手段132として油圧制御による自動変速部20の実施され、本異常確定手段134によってソレノイドバルブSLの本異常が判定された後、第2フェールセーフ手段134として差動部11のニュートラル制御が実施されるが、上記のように第1フェールセーフ手段132として応答性が比較的低い油圧制御等のフェールセーフ手段が好ましく、第2フェールセーフ手段136として応答性のよい電気的制御(差動部ニュートラル制御)によるフェールセーフ手段が好ましい。すなわち、仮異常判定手段130によって仮異常が検出される場合、応答性の低いフェールセーフを本異常確定手段134による本異常確定に先立って実施させることで、応答性の低さによるフェールセーフの遅れが補償される。したがって、フェールセーフの応答性低下による自動変速部20の同時係合が防止される。
図14は電子制御装置80の制御作動の要部すなわちリニアソレノイドバルブSLの異常が検出されると、フェールセーフを速やかに実施することで自動変速部20にかかる負荷を抑制して自動変速部20の耐久性低下を防止するための制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、仮異常判定手段130に対応するステップSA1(以下、ステップを省略する)において、ソレノイド異常検出回路59に基づいて、ソレノイドバルブSLの断線や短絡(ショート)などの仮異常が検出されたか否かが判定される。SA1が否定されると、本ルーチンは終了させられる。SA1が肯定されると、仮異常判定手段130に対応するSA2において、ソレノイドバルブSLの仮異常が判定され、リニアソレノイドバルブSLの仮異常フラグが立てられる。次いで、第1フェールセーフ手段132に対応するSA3において、ソレノイドバルブSLの本異常に先立って、フェールセーフが実施される。本実施例では、例えば自動変速部20の各ソレノイドバルブSLの出力を停止させて油圧アクチュエータの油圧を抜くことで、自動変速部20を動力伝達遮断状態(ニュートラル状態)とする。また、上記フェールセーフは作動油低温時の実施に限定してもよく、フェールセーフバルブ94が組み合わされた第1ブレーキB1のソレノイドバルブSL4に限定しても構わない。そして、本異常確定手段134に対応するSA4において、SA1およびSA2によって判定されたソレノイドバルブSLの仮異常が確定される。具体的には、予め設定されている異常検出の検出時間TAまたは検出回数NAに基づいてソレノイドバルブSLの異常がさらに厳密に検出されることで誤検出のない本異常が確定される。SA4が否定されると、SA6において、SA3において開始されたフェールセーフが停止され元の走行状態に復帰される。また、SA2において立てられた仮異常フラッグがリセットされる。一方、SA4が肯定されると、第2フェールセーフ手段136に対応するSA5において、さらにフェールセーフが実施される。本実施例では、例えば差動部11の動力伝達経路を電気的にニュートラル状態とすることで、自動変速部20へ入力される入力トルクが遮断され自動変速部20へかかる負荷が抑制される。また、SA3において開始されたフェールセーフも継続して実施される。
上述のように、本実施例によれば、仮異常判定手段130によってリニアソレノイドバルブSLの仮異常が検出されたとき、第1フェールセーフ手段132が、本異常確定手段134によるリニアソレノイドバルブSLの異常の確定に先立ってフェールセーフを実施するため、リニアソレノイドバルブSLの異常が確定されるまでにフェールセーフが実施される。したがって、リニアソレノイドバルブSLが始めに検出されてからのフェールセーフが実施されるまでの間の遅れを無くすことができるので、例えば自動変速部20の同時係合時に自動変速部20にかかる負荷を抑制することができ、自動変速部20の耐久性低下を防止することができる。
また、本実施例によれば、本異常確定手段134によってリニアソレノイドバルブSLの異常が確定されると、第1フェールセーフ手段の継続および第2フェールセーフ手段136が実施されるため、リニアソレノイドバルブSLの異常の確定に基づいてフェールセーフがさらに実施される。したがって、例えば自動変速部20の同時係合時に自動変速部20にかかる負荷を一層抑制することができ、自動変速部20の耐久性低下を防止することができる。
また、本実施例によれば、仮異常が検出されたとき、第1フェールセーフ手段132は、フェールセーフバルブ94が組み合わされたソレノイドバルブSL4に限定してフェールセーフを実施するため、仮異常判定手段130による異常検出が誤検出であった場合、即座に通常走行に復帰することができ、誤検出の影響を少なくすることができる。
また、本実施例によれば、変速機構10は差動部11を備えるため、差動部11の電気的な制御によって変速機構10を速やかに動力伝達遮断状態(ニュートラル状態)とすることができる。したがって、リニアソレノイドバルブSLの異常が検出または確定されると、差動部11をニュートラル状態とすることで自動変速部20へ入力される入力トルクを遮断するフェールセーフを速やかに実施することができる。
また、本実施例によれば、第1フェールセーフ手段132は、モータ走行中のみ実施されるため、リニアソレノイドバルブSLの仮異常が検出されると、第2電動機M2の駆動トルクを速やかに抜くことで、自動変速部20へ入力される入力トルクを遮断するフェールセーフを速やかに実施することができる。
また、本実施例によれば、第1フェールセーフ手段132は、自動変速部20の作動油が低油温時のみ実施されるものである。例えば第1フェールセーフ手段132が、自動変速部20の係合装置への油圧を抜く制御である場合、低温時では作動油の抜けにかかる時間が長くなるが、リニアソレノイドバルブSLの仮異常が検出されるとリニアソレノイドバルブSLの異常が確定される前に先立って油圧を抜くことで、リニアソレノイドバルブSLの異常が確定されたときのフェールセーフ実施の遅れを防止することができる。また、作動油の低油温時においては、例えばフェールセーフバルブ94などにおいて異物噛み込みによる故障が生じた場合、フェールセーフバルブ94が正常に作動しない可能性が通常時よりも高くなる。これに対して、リニアソレノイドバルブSLの仮異常が検出されると、第1フェールセーフ手段132を予め実施することで、フェールセーフバルブ94が仮に正常に作動しなくても自動変速部20にかかる負荷を抑制することができ、自動変速部20の耐久性低下を防止することができる。なお、作動油の油温が上昇した場合、油温が上昇するに伴って作動油の粘度が低くなり、油圧制御の応答性が低油温時に比べて上昇しているため、必ずしも第1フェールセーフ手段132の実施を要しない。
また、本実施例によれば、第1フェールセーフ手段132は、車両起動後の所定時間内のみ実施されるものである。例えば第1フェールセーフ手段132が、自動変速部20の係合装置への油圧を抜く制御である場合、車両起動後の所定時間内は作動油の油温が低いため、係合装置の作動油の抜けにかかる時間が長くなるが、リニアソレノイドバルブSLの仮異常が検出されるとリニアソレノイドバルブSLの異常が確定される前に先立って油圧を抜くことで、リニアソレノイドバルブSLの異常が確定されたときのフェールセーフ実施の遅れを防止することができる。また、車両起動後の所定時間内は、作動油の油温が低いため、例えばフェールセーフバルブ94などにおいて異物噛み込みによる故障が生じた場合、フェールセーフバルブ94が正常に作動しない可能性が通常時よりも高くなる。これに対して、リニアソレノイドバルブSLの仮異常が検出されると、第1フェールセーフ手段132を予め実施することで、フェールセーフバルブ94が仮に正常に作動しなくても自動変速部20にかかる負荷を抑制することができ、自動変速部20の耐久性低下を防止することができる。なお、車両起動後所定時間を経過した場合、油温が上昇するに伴って作動油の粘度が低くなり、油圧制御の応答性が低油温時に比べて上昇しているため、必ずしも第1フェールセーフ手段132の実施を要しない。
また、本実施例によれば、仮異常判定手段130は、予め設定されたリニアソレノイドバルブSLの異常検出回路59からリニアソレノイドバルブSLの異常が一度でも検出されるとリニアソレノイドバルブSLの仮異常を判定するものであるため、リニアソレノイドバルブSLの異常の確定に先立って第1フェールセーフ手段132を実施することができる。
また、本実施例によれば、本異常確定手段134は、予め設定されたリニアソレノイドバルブSLの異常検出回路59から検出されるリニアソレノイドバルブSLの異常状態が所定時間(TA)以上継続される、或いは、リニアソレノイドバルブSLの異常検出が連続して所定回数(NA)以上検出されたとき、リニアソレノイドバルブSLの異常を確定するものであるため、リニアソレノイドバルブ異常の誤検出が防止されて確実な異常判定が可能となる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、第1フェールセーフ手段132が自動変速部20の係合装置の油圧を抜く油圧制御であり、第2フェールセーフ手段134が差動部11を電気的にニュートラル状態とする電気的な制御であったが、必ずしもフェール手段を上記のようにする必要はなく、第1フェールセーフ手段132が差動部11をニュートラル状態とする電気的な制御であり、第2フェールセーフ手段134が自動変速部の係合装置の油圧を抜く油圧制御であっても構わない。
また、前述の実施例において、第1フェールセーフ手段132および第2フェールセーフ手段134は異なるフェールセーフが実施されているが、必ずしも異なる手段を実施する必要はなく、第2フェールセーフ手段132が第1フェールセーフ手段132と同様のフェールセーフを継続して実施するものであっても構わない。
また、前述の実施例において、ステップSA5において第1フェールセーフ手段132および第2フェールセーフ手段136の両方が実施されているが、必ずしも両方実施する必要はなく、第1フェールセーフ手段132および第2フェールセーフ手段136のいずれか一方でも構わない。
また、前述の実施例において、本異常確定手段134の予め設定された異常検出の所定回数NAおよび所定時間TAは一例であって、車両の型式等に応じて適宜変更されるものである。
また、前述の実施例において、自動変速部20の油圧制御回路70は、一例であって、係合装置の配置や個数等に応じて適宜変更されるものである。要するに、電気的に作動される電磁弁を備えた油圧制御回路であれば自由に本発明を適用することができる。また、リニアソレノイドバルブに限定されず、例えばデューティーソレノイドバルブ等の電磁弁であっても本発明を適用することができる。
また、前述の実施例において、油圧制御回路70は、フェールセーフバルブ94を備えた油圧制御回路であったが、フェールセーフバルブ94を備えない油圧制御回路であっても本発明を適用することができる。
また、前述の実施例の変速機構10は、エンジン8と自動変速部20との間に差動部11が直列に連結されたハイブリッド型式の動力伝達装置であったが、本発明は、ハイブリッド型式の動力伝達装置に限定されず、エンジンを駆動力源とする従来の動力伝達装置や1モータ式のハイブリッド型式の動力伝達装置等においても適用することができる。なお、上記従来の動力伝達装置においては、例えば第1フェールセーフ手段132として自動変速部20の油圧制御によって自動変速部20をニュートラル状態とし、第2フェールセーフ手段136としてエンジン8のフューエルカットを実施する等の態様が考えられる。或いは、単に第2フェールセーフ手段134においても第1フェールセーフ手段132と同様の油圧制御を継続して実施するものであっても構わない。要するに、第1フェールセーフ手段132および第2フェールセーフ手段134は、駆動力を低下させる或いは動力伝達経路を遮断するような制御であれば特にその制御態様は限定されない。
また、前述の実施例の自動変速部20は、前進4段の変速部が使用されているが、自動変速部20の変速段数や内部構造については上記に限定されず自由に変更することができる。また、自動変速部20は有段式の変速部に限定されずCVTなどの無段変速部であっても本発明を適用することができる。すなわち、リニアソレノイドバルブおよび異常検出回路などの異常検出手段を備えた油圧制御回路を備えた構成であれば本発明を適用することができる。
また、前述の実施例において、差動部11は、動力分配機構16に設けられて差動作用を制限することにより少なくとも前進2段の有段変速機としても作動させられる差動制限装置を備えたものであってもよい。
また、前述の実施例の動力分配機構16では、差動部キャリヤCA0がエンジン8に連結され、差動部サンギヤS0が第1電動機M1に連結され、差動部リングギヤR0が伝達部材18に連結されていたが、それらの連結関係は、必ずしもそれに限定されるものではなく、エンジン8、第1電動機M1、伝達部材18は、差動部遊星歯車装置24の3要素CA0、S0、R0のうちのいずれと連結されていても差し支えない。
また、前述の実施例では、第1電動機M1および第2電動機M2は、入力軸14に同心に配置されて第1電動機M1は差動部サンギヤS0に連結され第2電動機M2は伝達部材18に連結されていたが、必ずしもそのように配置される必要はなく、たとえばギヤ、ベルト、減速機等を介して作動的に第1電動機M1は差動部サンギヤS0に連結され、第2電動機M2は伝達部材18に連結されていてもよい。
また、前述の実施例では、自動変速部20は伝達部材18を介して差動部11と直列に連結されていたが、入力軸14と平行にカウンタ軸が設けられてそのカウンタ軸上に同心に自動変速部20が配列されていてもよい。この場合には、差動部11と自動変速部20とは、たとえば伝達部材18としてカウンタギヤ対、スプロケットおよびチェーンで構成される1組の伝達部材などを介して動力伝達可能に連結される。
また、前述の実施例のシフト操作装置50は、複数種類のシフトポジションPSHを選択するために操作されるシフトレバー52を備えていたが、そのシフトレバー52に替えて、たとえば押しボタン式のスイッチやスライド式スイッチ等の複数種類のシフトポジションPSHを選択可能なスイッチ、或いは手動操作に因らず運転者の音声に反応して複数種類のシフトポジションPSHを切り換えられる装置や足の操作により複数種類のシフトポジションPSHが切り換えられる装置等であってもよい。また、シフトレバー52が「M」ポジションに操作されることにより、変速レンジが設定されるものであったが、ギヤ段が設定されることすなわち各変速レンジの最高速ギヤ段がギヤ段として設定されてもよい。この場合、自動変速部20ではギヤ段が切り換えられて変速が実行される。たとえば、シフトレバー52が「M」ポジションにおけるアップシフト位置「+」またはダウンシフト位置「−」へ手動操作されると、自動変速部20では第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のいずれかがシフトレバー52の操作に応じて設定される。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明の制御装置が適用される車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 図1の車両用動力伝達装置に備えられた自動変速部の変速作動とそれに用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。 図1の車両用動力伝達装置における各ギヤ段の相対回転速度を説明する共線図である。 図1の車両用動力伝達装置に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。 シフトレバーを備えた複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフト操作装置の一例である。 クラッチCおよびブレーキBの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブ等に関する回路図であって、油圧制御回路の要部を示す回路図である。 フェールセーフバルブの作動を説明するために拡大した油圧回路図である。 フェールセーフバルブの作動を説明するために拡大した他の油圧回路図である。 カットオフバルブおよびリレーバルブの作動を説明するために拡大した他の油圧回路図である。 カットオフバルブおよびリレーバルブの作動を説明するために拡大した他の油圧回路図である。 図4の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図1の車両用動力伝達装置において、車速と出力トルクとをパラメータとする同じ二次元座標に構成された、自動変速部の変速判断の基となる予め記憶された変速線図の一例と、エンジン走行とモータ走行とを切り換えるためのエンジン走行領域とモータ走行領域との境界線を有する予め記憶された駆動力源切換線図の一例とを示す図であって、それぞれの関係を示す図でもある。 図1のエンジンの最適燃費率曲線を表す図である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわちソレノイドバルブが異常が検出されると、速やかなフェールセーフが実施される制御作動を説明するフローチャートである。
符号の説明
8:エンジン
10:変速機構(車両用動力伝達装置)
11:差動部(電気式差動部)
16:動力分配機構(差動機構)
20:自動変速部
94:フェールセーフバルブ
130:仮異常判定手段
132:第1フェールセーフ手段
134:本異常確定手段
136:第2フェールセーフ手段
M1:第1電動機
M2:第2電動機
C1:第1クラッチ(係合装置)
C2:第2クラッチ(係合装置)
C3:第3クラッチ(係合装置)
B1:第1ブレーキ(係合装置)
B2:第2ブレーキ(係合装置)
SL1:リニアソレノイドバルブ(電磁弁)
SL2:リニアソレノイドバルブ(電磁弁)
SL3:リニアソレノイドバルブ(電磁弁)
SL4:リニアソレノイドバルブ(電磁弁)
SL5:リニアソレノイドバルブ(電磁弁)
SLT:リニアソレノイドバルブ(電磁弁)

Claims (6)

  1. 電磁弁から供給される油圧によって複数の係合装置の係合状態を制御することにより複数の変速段が達成される自動変速部を備えた車両用動力伝達装置の制御装置であって、
    前記電磁弁の仮異常を検出する仮異常判定手段と、
    該仮異常検出手段によって前記電磁弁の仮異常が検出された場合に所定の条件に基づいて該電磁弁の異常を確定する本異常確定手段と、
    前記仮異常判定手段によって前記電磁弁の仮異常が検出されたとき、前記本異常確定手段による前記電磁弁の異常の確定に先立って第1フェールセーフを実施する第1フェールセーフ手段とを、
    備えることを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
  2. 前記本異常確定手段によって前記電磁弁の異常が確定されると、前記第1フェールセーフおよび該第1フェールセーフとは異なる第2フェールセーフの少なくとも一方が実施されることを特徴とする請求項1の車両用動力伝達装置の制御装置。
  3. 前記自動変速部の油圧制御回路には、意図しない油圧が出力された際に所定の係合装置への油圧供給を回避することにより該自動変速部の同時係合を防止する機械式のフェールセーフバルブが設けられており、
    前記仮異常が検出されたとき、前記第1フェールセーフ手段は、前記フェールセーフバルブと組み合わされた前記所定の係合装置への油圧供給を制御する電磁弁のみフェールセーフを実施することを特徴とする請求項1または2の車両用動力伝達装置の制御装置。
  4. エンジンの出力を第1電動機および前記自動変速部へ分配する差動機構と、該自動変速部の入力軸を駆動可能な第2電動機とを、有する電気式差動部を備え、
    前記第1フェールセーフ手段は、前記第2電動機によるモータ走行中のみ実施されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
  5. 前記第1フェールセーフ手段は、自動変速部の作動油が低油温時のみ実施されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
  6. 前記第1フェールセーフ手段は、車両起動後の所定時間内のみ実施されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの車両用動力伝達装置の制御装置。
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