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JP2010116649A - 炭素繊維パッケージの製造方法 - Google Patents

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JP2010116649A
JP2010116649A JP2008291688A JP2008291688A JP2010116649A JP 2010116649 A JP2010116649 A JP 2010116649A JP 2008291688 A JP2008291688 A JP 2008291688A JP 2008291688 A JP2008291688 A JP 2008291688A JP 2010116649 A JP2010116649 A JP 2010116649A
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Katsunori Konishi
克典 小西
Hideyo Matsumae
秀誉 松前
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】サイジング剤が付与された炭素繊維束の糸幅を安定化させたまま、ボビンに巻き取ることにより、ボビン端面形状を安定化させ、プリプレグや織物等の高次加工性を向上せしめ、さらには、炭素繊維ボビンの屑発生を抑制し生産ロスを削減することが可能なサイジング剤が付与された炭素繊維パッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】水濡れ炭素繊維束2を熱風循環乾燥機1にて以下の(A)〜(C)の条件で乾燥させた後、サイジング剤を含有する液体を付着させ、乾燥させてからボビンに巻き取ることを特徴とする炭素繊維パッケージの製造方法。(A)乾燥機内の風向き:走行する炭素繊維束に対して並行(B)熱風循環乾燥機内の風速:2〜9m/秒(C)熱風循環乾燥機内の炭素繊維束の張力:1〜8gf/Tex
【選択図】図2

Description

本発明は、サイジング剤が付与された炭素繊維パッケージの製造方法に関し、さらに詳しくは、サイジング剤が付与された炭素繊維束の糸幅を常時一定としたまま、パッケージ不良を発生させることなく安定して炭素繊維パッケージを製造することが可能なサイジング剤が付与された炭素繊維パッケージの製造方法に関するものである。
炭素繊維束は、そのままでは単繊維切れや毛羽立ちが起こりやすく、また、加工性や取扱性もよくないため、サイジング剤を付与して用いられる。具体的には一般的に公知の表面処理工程や水洗工程などで水に濡れた水分率20〜80重量%程度の水濡れ炭素繊維束を乾燥させた後にサイジング剤を含有する液体(以降、サイジング液と記すこともある)を付着させることによりサイジング剤を付与して集束性や耐擦過性を与え、これらの不都合を起こりにくいようにしている。また、特に高次加工時に炭素繊維とマトリックス樹脂との接着特性を向上させるために、エポキシ樹脂系やウレタン樹脂系等のサイジング剤が好ましく用いられている(例えば、特許文献1参照)。
このようにサイジング剤が付与された炭素繊維束は、その取り扱い性を考慮して一旦ボビンに巻き取られ、パッケージとしたものが多く使用されているが、このようなパッケージは、巻き取り装置で炭素繊維束がボビンに巻き取られて製造される。
炭素繊維束のボビンへの巻き取りは、一般的に炭素繊維束に綾振振動を付与しながら行なわれるが、この綾振振動時、特にボビン端部の折り返しポイントにおいて、走行糸の糸道が変動するとパッケージ端面での糸位置が変動し、パッケージ端面から糸が一部飛び出したり、パッケージ端面が段形状になったりして、巻き上げ製品の端面形状が凸凹になるという問題があった。
このような巻き上げ製品の端面形状が凸凹になったパッケージは、プリプレグや織物の製造等の高次加工時においてボビンから糸を引き出す際に、綾落ちや糸取られにより糸切れが多発したり、糸割れや毛羽発生により製品品質が悪化したりすることがあった。このため、ユーザーからのボビン端面形状の向上が求められており、さらにパッケージ生産時においては、端面形状不良製品を出荷しないように、端面形状不良品を屑扱いにしたりするなどし、大きく生産性を低下させる原因ともなっており、強く改善が求められてきた。
このような中、端面形状崩れを防止するための技術として、これまで走行糸の糸道を安定化させる技術が広く提案されてきた(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。
しかしながら、これらの走行糸道安定化技術では、確かに糸道安定効果は非常に高いものの、特にサイジング剤を付与した炭素繊維束を巻き上げる場合、糸道が安定していてもボビン巻き上げ中に走行糸の糸幅が変化してしまい、同じ糸道でも走行糸幅の端部走行位置が異なってしまい、パッケージ端面から糸が一部飛び出したり、パッケージ端面が段形状になるなどし、巻き上げ製品の端面形状が悪化して端面凸凹が発生するという問題があった。
このため、特にサイジング剤が付与された炭素繊維パッケージの端面形状を安定化させるためには、ワインダーでのボビン巻き取り時の糸幅つまりはサイジング剤が付与された炭素繊維の糸幅そのものを安定化させる技術が重要であり、サイジング付与直前の炭素繊維束の水分率を規定する技術などが提案されてきた(例えば、特許文献4参照)。
しかし、確かにこのサイジング付与直前の炭素繊維束の水分率規定による糸幅安定化効果は大きいものの、水分率の調整のために工程途中の糸をカットする必要があり、作業負荷が大きかったり、製品ロスにつながるといった問題があった。さらには、雰囲気温度の変化等により水分率が微妙に変動し、調整が難しいといった課題があった。
特開2004−332189号公報 特開2004−142945号公報 国際公開特許第05/073118号公報 特開2008−007925号公報
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、サイジング剤が付与された炭素繊維束の糸幅を容易に安定化させたまま、ボビンに巻き取ることにより、パッケージ端面形状を安定化させ、プリプレグや織物等の高次加工性を向上せしめ、さらには、炭素繊維ボビンの屑発生を抑制し、生産ロスを削減することが可能なサイジング剤が付与された炭素繊維パッケージの製造方法を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明は下記の構成を有するものである。
(1)水濡れ炭素繊維束を熱風循環乾燥機にて以下の(A)〜(C)の条件で乾燥させた後、サイジング剤を含有する液体を付着させ、乾燥させてからボビンに巻き取る炭素繊維パッケージの製造方法。
(A)乾燥機内の風向き:走行する炭素繊維束に対して並行
(B)熱風循環乾燥機内の風速:2〜9m/秒
(C)熱風循環乾燥機内の炭素繊維束の張力:1〜8gf/Tex
(2)炭素繊維束へのサイジング剤の付着量を0.2〜5重量%の範囲とする前記(1)に記載の炭素繊維パッケージの製造方法。
本発明によれば、サイジング剤が付与された炭素繊維束を巻き取る際の走行糸の糸幅が安定化するため、炭素繊維束をワインダーで巻き取ったパッケージの端面形状に凸凹がなく、著しく端面形状の安定した炭素繊維パッケージを製造することができる。さらには、パッケージ端面形状が安定するため、糸幅が安定しプリプレグや織物等の製造時における高次加工性が向上するばかりか、炭素繊維パッケージ生産時の屑発生を抑制し生産ロスを大幅に削減することが可能となる。
本発明者らは、上記課題について、鋭意検討を重ねた結果、サイジング剤が付与された炭素繊維束の巻き取り中の糸幅変動が、サイジング剤を付与する前の一般的に公知の表面処理工程や水洗工程において水分率が20〜80重量%程度の水濡れ糸となった炭素繊維束の乾燥方法および乾燥条件に依存することを見いだし、該乾燥方法および乾燥条件を制御することにより、走行糸の糸幅を容易にかつ大幅に安定化させ、端面形状に凸凹の少ない炭素繊維パッケージを製造できることを見いだしたものである。
具体的には、炭素繊維束にサイジング剤を付与する際、炭素繊維束へのサイジング剤の付着ムラ等を防ぐために、事前に水濡れ炭素繊維束を乾燥させてサイジング剤を付与する必要があるが、該炭素繊維束は低伸度で非常にさばけやすいために、例えばホットドラムやホットプレートといった接触方式による乾燥方法を採用した場合、接触部分の表面状態や汚れ等により、物理的に炭素繊維束の糸幅が変化したり、炭素繊維束に単繊維切れや毛羽立ちが発生し、炭素繊維束との接触部分に単繊維の巻き付きや脱落が発生したりすることなどにより、炭素繊維束の糸幅が変動してしまうという問題が発生する。
また、熱風循環乾燥機等の非接触方式を採用した場合においても、炭素繊維束内の単繊維同士は非常にさばけやすいため、熱風の風速や風向および走行糸の張力により、単繊維切れや毛羽立ちが発生し、単繊維同士が絡んだり、走行糸が振動したりすることにより、炭素繊維束の糸幅が変動してしまうという問題が発生する。
その糸幅が変動している炭素繊維束にサイジング剤が付与され、そのまま乾燥されるため、最終的にサイジング剤が付与された炭素繊維束の糸幅が変動してしまい、端面形状に凸凹の発生する端面形状崩れに直結する。
この端面形状の崩れとは、具体的には、サイジング剤が付与された炭素繊維束のスクウェアーエンドパッケージ(紙管軸に対し端面が直角な巻形状)の端面において、端面凸凹の距離差が炭素繊維束の平均糸幅の30%以上発生するものであり、もちろん凸部には炭素繊維束の飛び出しも含むものである。すなわち、パッケージの形状としては、上述のパッケージの端面凸凹の距離差は、好ましくは30%未満であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。凸凹がなく平坦であるほど、高品位の炭素繊維パッケージとなる。
なお、端面凸凹の距離差の測定は、次のようにして行うものである。炭素繊維パッケージを水平な平面に縦置き(スクウェアーエンドパッケージの端面を上下)にし、上部側紙管の端部を基準として、上部側端面の最大凸部(端面から炭素繊維束が飛び出している部分も含む)および最大凹部までの距離をノギスを用いて測定し、その差を平均糸幅で除して算出する。ここで平均糸幅は、炭素繊維パッケージ表面から炭素繊維束を糸幅が変化しないように、100mの長さの炭素繊維束を手でゆっくり引き出した際にパッケージ表面から炭素繊維束が離れる直前の糸幅を、1ボビンについて0.1mごとに0.1mm単位で合計1000点測定した際の平均値を取るものとする。
以下、本発明のサイジング剤が付与された炭素繊維パッケージの製造方法の好ましい態様について、図等を使用しさらに詳しく説明する。
本発明のサイジング剤が付与された炭素繊維パッケージの製造方法は、図1の製造工程概略図に示すように、サイジング剤を付与する前にあらかじめ一般的に公知の表面処理工程や水洗工程において水分率20〜80重量%程度となった水濡れ炭素繊維束を熱風循環乾燥機にて乾燥させた後に、公知のサイジング剤付与工程および乾燥工程を経て巻き上げ工程において炭素繊維パッケージとするものである。特に、熱風循環乾燥機にて乾燥機内の風向きを走行する炭素繊維束に対して並行にし、かつ熱風循環乾燥機内の風速を2〜9m/秒とし、かつ熱風循環乾燥機内の炭素繊維束の張力を1〜8gf/Texとして熱風により乾燥させた後にサイジング剤を含有する液体を付着させることにより、サイジング剤を付与し乾燥させてからその炭素繊維束をボビンに巻き取る特徴を有する。非接触式の熱風循環乾燥方法を用いることにより、接触による物理的な走行糸の糸幅変動を防ぐことが可能となる。
図2は本発明における非接触式の熱風循環乾燥機の一例を示した模式図である。以下、図2等を用い具体的に説明する。水濡れ炭素繊維束2は、熱風循環乾燥機1に非接触で入口3より導入、出口4より導出され、その間に循環ファン6により循環されるヒーター8により熱せられた熱風により乾燥される。ここで、乾燥機内の風向きは、走行する炭素繊維束に対し並行にするものであるが、走行する炭素繊維束に対し好ましくは±30°以内であり、より好ましくは±20°以内であり、さらに好ましくは±10°以内である。±30°よりも大きい場合は、熱風により走行糸の単繊維切れ、毛羽立ちが発生したり、走行糸が振動したりすることによる単糸同士の絡み等により、炭素繊維束の糸幅の変動が生じやすくなる。また、乾燥機内の風向きが走行する炭素繊維に対し垂直の場合は、走行糸に対し均等に熱風を吹き付けるためには設備を大きくする必要があり設備費もかかる。
また、乾燥機内の風速は、より好ましくは3〜8m/秒であり、さらに好ましくは4〜7m/秒である。乾燥機内の風速が2m/秒よりも小さい場合は、走行糸の乾燥状態が均一とならず、サイジング剤付与時のサイジング付着ムラが発生したりするなどし、炭素繊維束の糸幅の変動が生じやすくなる。逆に9m/秒よりも大きい場合は、走行糸の単繊維切れ、毛羽立ちが発生したり、走行糸が振動したりすることによる単糸同士の絡み等により、炭素繊維束の糸幅の変動が生じやすくなる。なお、乾燥機内の風速は、走行糸の走行位置と同じ高さで機長方向中央部の図2の風速測定位置9において、走行糸がない状態で乾燥機の機幅方向に均等に10点測定した平均値であり、乾燥機内の風速は、循環ダクト5に設けられた風速調整ダンパー7等により調整できる。なお、上記風速は、常温時における測定値である。
さらに、乾燥機内の走行糸の張力は、より好ましくは2〜7gf/Texであり、さらに好ましくは3〜6gf/Texである。乾燥機内の走行糸の張力が1gf/Texよりも小さい場合は、走行糸の収束性が低下し、単糸同士の乱れや糸割れが発生したり、走行糸が振動したりすることによる単糸同士の絡み等により、炭素繊維束の糸幅の変動が生じやすくなる。逆に、8gf/Texよりも大きい場合は、高張力による糸切れ・毛羽立ちが発生し、単糸同士が絡んだり、炭素繊維束内部まで十分に乾燥ができずサイジング剤付与時のサイジング付着ムラが発生したりするなどし、炭素繊維束の糸幅の変動が生じやすくなる。
乾燥機内の走行糸の張力は、乾燥機の入口もしくは出口の走行糸を張力計等を用いて測定することにより把握し、乾燥機の前後のローラーの速度等により、適時、調整することができる。この際、乾燥機の入口もしくは出口で張力が異なる場合は乾燥機の入口の張力を把握することにより調整を実施することが好ましい。なお、炭素繊維束の単繊維径や単繊維数および走行速度や乾燥機直前の糸の水分率状態などにより乾燥度合いが異なるため、炭素繊維束の水分を除去可能なように、適時、乾燥温度や乾燥機滞留時間等の条件を調整すればよい。ここで炭素繊維束の水分除去とは、炭素繊維束の水分率を0.2重量%以下にすることである。目的とする炭素繊維束の水分除去を安定して行うために、乾燥機直前の炭素繊維束の水分率変動を糸道や環境温度等を安定化させることにより常時±10%以内に保つことが好ましく、±5%以内に保つことがより好ましく、±2%以内に保つことがさらに好ましい。水分率変動が大きい場合は、最大水分率の状態で目的とする炭素繊維の水分を除去可能なように乾燥温度や乾燥機滞留時間等の条件を調整すればよいが、乾燥のために必要以上の電力等を使用することとなる。
ここで、乾燥温度は、空気雰囲気中100℃〜400℃であることが好ましい。乾燥温度が100℃より低くなると、水分が十分に蒸発せず乾燥不足となる場合があり、逆に400℃より高くなると、官能基が熱分解により消失し、樹脂との接着性が低下する傾向が発生する。また、乾燥機滞留時間は、10秒〜300秒であることが好ましい。乾燥機滞留時間が10秒より短いと、水分が蒸発し始める前に乾燥が終了し十分に乾燥できない場合があり、逆に300秒より長くなると、特に連続する炭素繊維束を乾燥させる場合には設備が大きくなり設備費がかかる。
また、炭素繊維束の水分率は、走行している炭素繊維束をカットしてサンプリングすることにより確認することができる。炭素繊維の水分率測定は、以下のように行う。予め炭素繊維束を入れるガラス瓶とその蓋をよく洗浄し、130℃×1,800秒間、乾燥機の中でガラス瓶とその蓋を乾燥させた後、乾燥機内でガラス瓶に蓋をする。その後、蓋をしたままガラス瓶を乾燥機から取り出し、シリカゲル等を充填した乾燥用のデシケータ内で2,400秒間冷却した後、ガラス瓶と蓋を合わせた重さW1×10-3(kg)を測定する。さらに、これに炭素繊維束を入れ、重さW2×10-3(kg)を測定する。次に、炭素繊維束をガラス瓶に入れたまま、蓋を開けて130℃×7,200秒間、乾燥機の中で乾燥させた後、乾燥機内でガラス瓶に蓋をする。乾燥機からガラス瓶を取り出し、シリカゲル等を充填した乾燥用のデシケータ内で2,400秒間冷却した後、重さW3×10-3(kg)を測定し、上記の値を用いて、次式により水分率を求める。なお測定はN=5で実施し、その平均値を採用する。
水分率(重量%)={(W2−W3)/(W3−W1)}×100。
また、炭素繊維束へのサイジング剤付与方法としては、ディップローラー方式やキスローラー方式等の公知の方法を用いることができるが、安定してサイジング剤を供給できるディップローラー方式を用いることが好ましい。かかるディップローラーと走行糸との接触時間(サイジング液中のローラーとの接触時間)は0.2秒以上であることが好ましい。接触時間が0.2秒よりも短いと炭素繊維束に十分サイジング剤が付着しない場合がある。
炭素繊維束に付与するサイジング剤は、炭素繊維束の集束性や耐擦過性を向上させるもので、エポキシ樹脂系サイジング剤、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
また、炭素繊維束へのサイジング剤の付着量は、好ましくは0.2〜5重量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜3重量%の範囲内である。付着量が0.2重量%よりも少ないと耐擦過性が低下して毛羽を生じやすくなり、付着量が5重量%よりも多いとCFRPとしたときにマトリックス樹脂との接着性が低下してCFRPの物性が悪くなる場合や、炭素繊維束が硬くなり、開繊性や拡幅性が悪くなる場合がある。
なお、サイジング剤の付着量とは、サイジング剤が付着した炭素繊維糸条を秤量(W1)した後、電気炉等を用いてサイジング剤を完全に熱分解し、再度、サイジング剤を含まない状態での炭素繊維糸条を秤量(W2)し、次式により求めることができるものである。
サイジング付着量(%)=[ W1(g)− W2(g) ]/[ W1(g) ]×100
また、サイジング剤が付与された後の炭素繊維束の乾燥方法においても、熱風乾燥方式やホットドラム乾燥方式等の公知の方法を用いることができるが、多量に発生する油剤成分の炭素繊維束への再付着が少ない熱風乾燥方式を用いることが好ましい。
炭素繊維束の単繊維径や単繊維数および走行速度によりサイジング付着具合や乾燥度合いが異なるため、目標とするサイジング剤の付着量となるように適時、温度や乾燥機滞留時間等の条件を調整すればよい。乾燥温度は、空気雰囲気中100℃〜300℃であることが好ましい。乾燥温度が100℃より低くなると、十分な乾燥ができないために、高次加工の際、サイジング剤の粘着による糸切れや、コンポジット特性低下の原因となる。乾燥温度が300℃を超えるとサイジング剤の熱分解が進行し、乾燥装置内を汚し長期連続運転が不可能になる。また、乾燥機滞留時間は、10秒〜300秒であることが好ましい。乾燥機滞留時間が10秒より短いと、サイジング剤が蒸発し始める前に乾燥が終了し所望するサイジング付着量を得ることができない場合があり、逆に300秒より長くなると、特に連続するサイジング剤が付着した炭素繊維束を乾燥させる場合には設備が大きくなり設備費がかかる。
なお、乾燥機滞留時間とは、走行する炭素繊維束への熱付与が行われている時間のことであり、乾燥機へ走行糸が導入・導出される入口から出口までの長さを炭素繊維束の走行速度により除した時間である。
以上の方法により製造されたサイジング剤が付与された炭素繊維束を公知の巻き取り方法でボビン巻き取ることにより、サイジング剤が付与された炭素繊維束の糸幅が安定し、目的とする端面形状に凸凹がなく、著しく端面形状の安定した炭素繊維パッケージを製造することができる。
炭素繊維束を走行させるための工程糸道ローラーとしては、炭素繊維束の走行糸幅が強制されず常時安定化可能なように、平ローラーを用いることが好ましい。
サイジング剤を付与する直前からサイジング剤を付与、乾燥させる間の走行糸の張力は、糸切れや巻き付き等の防止のため一定であることが好ましく、ボビンに巻き取る際には、目的とするパッケージ特性となるように適時調整することが好ましい。また、サイジング剤を付与する直前からサイジング剤を付与し乾燥させてからボビンに巻き取るまでの炭素繊維束の走行速度は、1〜30m/分の間で一定であることが好ましい。
本発明のサイジング剤が付与された炭素繊維パッケージの製造方法によれば、炭素繊維束のボビンへの巻き取り中の糸幅が安定し、かつ、糸道が安定化することにより綾振りが安定していて均斉な綾振り巻き取りが可能となり、炭素繊維パッケージの端面形状が一定であって美しく、高次加工性が向上するばかりか、炭素繊維ボビン生産時の屑発生を抑制し生産ロスを大幅に削減することが可能となるサイジング剤の付与された炭素繊維パッケージが得られる。
本発明で用いられる炭素繊維束を構成する炭素繊維は、サイジング剤が付与されていればポリアクリロニトリル系およびピッチ系等のいずれの材質からなる炭素繊維であってもよいが、高強度および高弾性率の観点から、ポリアクリロニトリル系の炭素繊維であることが好ましい。また、炭素繊維束は、単繊維数が1000〜100000本の範囲内にあり、総繊度が10〜10000Texの範囲にあるようなものが好ましい。ここでいう炭素繊維束という概念には、より高温で焼成することによって得られる黒鉛化繊維束も含まれる。また、炭素繊維強化複合材料(CFRP)としたときのマトリックス樹脂との接着性を向上させるために、表面処理を施した炭素繊維束からなるものであるのも好ましい。
以下、実施例を用いて本発明の炭素繊維パッケージの製造方法について、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。下記に示す実施例および比較例において、炭素繊維パッケージ形状、炭素繊維束の平均糸幅、パッケージの端面凸凹差、サイジング剤付着量および炭素繊維の水分率は、次のようにして判定および測定をした。
<パッケージ形状>
サイジング剤が付与された炭素繊維束のスクウェアーエンドパッケージ(紙管軸に対し端面が直角な巻形状)の端面において、端面凸凹の距離差が炭素繊維束の平均糸幅の30%以上ある場合にパッケージ不良「×」とし、端面凸凹の距離差が炭素繊維束の平均糸幅の30%未満の場合を良「○」とした。
<炭素繊維束の平均糸幅>
得られた炭素繊維パッケージ表面から炭素繊維束を糸幅が変化しないように、100mの長さの炭素繊維束を手でゆっくり引き出した際にパッケージ表面から炭素繊維束が離れる直前の糸幅を、1ボビンについて0.1mごとに0.1mm単位で合計1000点測定した際の平均値を平均糸幅とした。
<パッケージの端面凸凹差>
得られた炭素繊維パッケージを水平な平面に縦置き(スクウェアーエンドパッケージ(紙管軸に対し端面が直角な巻形状)の端面が上下)にし、上部側紙管の端部を基準としてノギスを用いて、上部側端面の最大凸部(端面から炭素繊維束が飛び出している部分も含む)および最大凹部までの距離を測定し、その差を端面凸凹差とした。また、逆端面を測定する際は、ボビン上下を反転させて測定した。
<サイジング剤付着量>
約2gの炭素繊維糸条を秤量(W1)した後、50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定した電気炉(容量120cm)に15分間静置し、サイジング剤を完全に熱分解させた。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に移し、15分間冷却した後の炭素繊維糸条を秤量(W2)して次式よりサイジング剤付着量を求めた。なお測定はN=5で実施し、その平均値を採用した。
サイジング剤付着量(%)=[ W1(g)− W2(g) ]/[ W1(g) ]×100
<炭素繊維束の水分率>
予め炭素繊維束を入れるガラス瓶とその蓋をよく洗浄し、130℃×1,800秒間、乾燥機の中でガラス瓶とその蓋を乾燥させた後、乾燥機内でガラス瓶に蓋をする。その後、蓋をしたままガラス瓶を乾燥機から取り出し、シリカゲル等を充填した乾燥用のデシケータ内で2,400秒間冷却した後、ガラス瓶と蓋を合わせた重さW1×10-3(kg)を測定する。さらに、これに炭素繊維束を入れ、重さW2×10-3(kg)を測定する。次に、炭素繊維束をガラス瓶に入れたまま、蓋を開けて130℃×7,200秒間、乾燥機の中で乾燥させた後、乾燥機内でガラス瓶に蓋をする。乾燥機からガラス瓶を取り出し、シリカゲル等を充填した乾燥用のデシケータ内で2,400秒間冷却した後、重さW3×10-3(kg)を測定する。上記の値を用いて、次式により水分率を求めた。なお測定はN=5で実施し、その平均値を採用した。
水分率(重量%)={(W2−W3)/(W3−W1)}×100。
<乾燥機内の風速>
常温で走行糸がない状態において、走行糸の走行位置と同じ高さで乾燥機の機長方向中央部において、乾燥機の機幅方向に均等に10点測定した平均値を採用した。
(実施例1)
ポリアクリロニトリル系繊維を前駆体とする水洗工程後の水分率50重量%±2重量%の炭素繊維束(単繊維径7μm、単繊維数12000本)を入口と出口を有する熱風循環乾燥機において、乾燥機内の風向きを出口から入口方向において走行する炭素繊維束に対して並行(走行する炭素繊維束に対し±30°以内)にし、かつ乾燥機内の風速を6m/秒とし、かつ乾燥機内(乾燥機の入口で測定)の炭素繊維束の張力を5gf/Texとし、温度350℃の熱風乾燥機内に滞留時間60秒で連続的に導入、導出した後に、下記の多官能エポキシ樹脂からなるサイジング剤を含有する液体をディップローラー方式により付着させることにより、サイジング剤を付与し、入口と出口を有する温度200℃の熱風乾燥機内に滞留時間60秒で連続的に導入、導出させ乾燥させサイジング剤が1.5重量%付着するようにサイジング剤の濃度を調整して処理した。その後、単繊維数12000本あたり650gの張力を付与して10m/分の速度でボビンに巻き上げ、6Kgのスクウェアーエンドパッケージ(紙管軸に対し端面が直角な巻形状)とした。その結果、ボビンの端面形状が一定であって非常に美しく、品位のよい炭素繊維パッケージとなった。結果を表1に示す。
[サイジング剤]
(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“エピコート(登録商標)”828、ジャパンエポキシレジン社製):30重量部
(b)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“エピコート(登録商標)”1001、ジャパンエポキシレジン社製):40重量部
(c)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(“EMALEX(登録商標)” 508、日本エマルジョン(株)製:10重量部
(d)ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(“EMALEX(登録商標)”1815、日本エマルジョン(株)製:20重量部
(実施例2)
乾燥機内の風速を3m/秒としたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、ボビンの端面形状が一定であって美しく、品位のよい炭素繊維パッケージとなった。結果を表1に示す。
(実施例3)
乾燥機内の風速を9m/秒としたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、ボビンの端面形状が一定であって美しく、品位のよい炭素繊維パッケージとなった。結果を表1に示す。
(実施例4)
乾燥機内の炭素繊維束の張力を1gf/Texとしたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、ボビンの端面形状が一定であって美しく、品位のよい炭素繊維パッケージとなった。結果を表1に示す。
(実施例5)
乾燥機内の炭素繊維束の張力を7gf/Texとしたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、ボビンの端面形状が一定であって美しく、品位のよい炭素繊維パッケージとなった。結果を表1に示す。
(実施例6)
乾燥機内の風速を2m/秒とし、乾燥機内の炭素繊維束の張力を8gf/Texとしたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、ボビンの端面形状が一定であって美しく、品位のよい炭素繊維パッケージとなった。結果を表1に示す。
(比較例1)
乾燥機内の風向きを走行する炭素繊維束に対して垂直にしたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、単糸の毛羽立ちが多発して、ボビンの端面形状が凸凹となり、パッケージ形状が悪く、パッケージ不良が発生した。結果を表1に示す。
(比較例2)
乾燥機内の風速を1m/秒としたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、走行糸の乾燥状態が均一とならず、サイジング付着ムラが発生し糸幅が細く不安定となり、ボビンの端面形状が凸凹となり、パッケージ形状が悪く、パッケージ不良が発生した。結果を表1に示す。
(比較例3)
乾燥機内の風速を10m/秒としたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、走行糸の単繊維切れが発生し、走行糸の振動が大きく、単糸同士の絡みが発生し、ボビンの端面形状が凸凹となり、パッケージ形状が悪く、パッケージ不良が発生した。結果を表1に示す。
(比較例4)
乾燥機内の炭素繊維束の張力を0.5gf/Texとしたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、走行糸の糸割れが発生し、ボビンの端面形状が凸凹となり、パッケージ形状が悪く、パッケージ不良が発生した。結果を表1に示す。
(比較例5)
乾燥機内の炭素繊維束の張力を9gf/Texとしたこと以外は、すべて実施例1と同様にして炭素繊維パッケージを得た。その結果、走行糸の単繊維切れおよび毛羽が多発し、ボビンの端面形状が凸凹となり、パッケージ形状が悪く、パッケージ不良が発生した。結果を表1に示す。
Figure 2010116649
実施例1〜6の通り、サイジング剤を付与する前に水濡れ炭素繊維束を熱風循環乾燥機にて乾燥機内の風向きを走行する炭素繊維束に対して並行にし、かつ熱風循環乾燥機内の風速を2〜9m/秒とし、かつ熱風循環乾燥機内の炭素繊維束の張力を1〜8gf/Texとして熱風により乾燥させた場合は、ボビンの端面形状が一定であって非常に美しく、品位のよい炭素繊維パッケージとなった。一方、比較例1〜5の通り、上記、風向および風速、張力範囲を外れた場合は、ボビンの端面形状が凸凹となり、パッケージ形状が悪く、パッケージ不良が発生した。
本発明の炭素繊維パッケージの製造方法では、サイジング剤が付与された炭素繊維束を巻き取る際の走行糸の糸幅が安定化するため、炭素繊維束をワインダーで巻き取ったボビンの端面形状に凸凹がなく、著しく端面形状の安定した炭素繊維パッケージを製造することができ、さらには、ボビン端面形状が安定するため、糸幅が安定しプリプレグや織物等の高次加工性が向上するばかりか、炭素繊維ボビン生産時の屑発生を抑制し生産ロスを大幅に削減することが可能となり、有用である。
本発明の製造工程の概略図を示したものである。 本発明における非接触式の熱風循環乾燥機の一例を示した模式図である。
符号の説明
1:熱風循環乾燥機
2:水濡れ炭素繊維束
3:熱風循環乾燥機入口
4:熱風循環乾燥機出口
5:循環ダクト
6:循環ファン
7:風速調整ダンパー
8:ヒーター
9:風速測定位置

Claims (2)

  1. 水濡れ炭素繊維束を熱風循環乾燥機にて以下の(A)〜(C)の条件で乾燥させた後、サイジング剤を含有する液体を付着させ、乾燥させてからボビンに巻き取ることを特徴とする炭素繊維パッケージの製造方法。
    (A)乾燥機内の風向き:走行する炭素繊維束に対して並行
    (B)熱風循環乾燥機内の風速:2〜9m/秒
    (C)熱風循環乾燥機内の炭素繊維束の張力:1〜8gf/Tex
  2. 炭素繊維束へのサイジング剤の付着量を0.2〜5重量%の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維パッケージの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101005097B1 (ko) 2010-09-17 2010-12-30 한국기계연구원 직물가공 라인용 급속건조장치
JP2018169066A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 東レ株式会社 熱風循環式乾燥装置、乾燥方法および炭素繊維束の製造方法

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