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JP2010115009A - 港湾マイクログリッド - Google Patents

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JP2010115009A JP2008285427A JP2008285427A JP2010115009A JP 2010115009 A JP2010115009 A JP 2010115009A JP 2008285427 A JP2008285427 A JP 2008285427A JP 2008285427 A JP2008285427 A JP 2008285427A JP 2010115009 A JP2010115009 A JP 2010115009A
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香津雄 堤
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Abstract

【課題】 港湾関連設備が本来備えているところの、マイクログリッドに適用した場合の優位性に着目し、経済的に成立可能な、港湾マイクログリッドを提供する。
【解決手段】 港湾関連設備に接続される港湾マイクログリッドであって、停泊中の船舶15への給電装置3および二次電池8を備え、給電装置3、二次電池8および荷役装置としてのガントリークレーン5をそれぞれ配電線7に接続してマイクログリッド1を構成している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、停泊中の船舶への給電装置およびガントリークレーンなどの荷役装置を含む港湾関連設備を有効に利用して構築される、港湾マイクログリッドに関する。
近年、比較的小規模の需要地域内において分散して配置される複数の各種分散型電源や二次電池を組み合わせ、分散型電源が発生する電力を必要とする需要先に供給して、電力の地域需給を可能とする小規模の電力供給網であるマイクログリッドが注目されている。
しかし、マイクログリッドに接続される分散型電源のうち、たとえば自然エネルギーを利用する太陽光発電設備(太陽電池)や風力発電設備は発電量や発電時期の調節が困難で、需要の変動に追随させることができない。また、ガスタービン、蒸気タービン、ディーゼルエンジンなどの原動機を用いた燃焼式発電機は発電時期の調整が可能であるが、需要に合わせて運転すれば、効率の高い状態で運転することができない。さらに、太陽光や風力といった自然エネルギーは、自然環境や昼夜、季節によって影響を受けるので、発生電力の変動が生じ、電力の需要と供給とのバランスを取るのが困難で、電圧や周波数などが変動し易く、電力品質が劣っており、電気機器に悪影響を及ぼすおそれがある。さらにまた、これらマイクログリッドにおいては、需要地域内における需要先間や分散型電源と需要先間を接続する送電線を新たに敷設する必要がある。
ところで、港湾内に停泊中の船舶は、通常、船舶に搭載されているエンジン(ディーゼルエンジン)をアイドリング運転して発電機を回し、船内の給電用に供している。しかし、エンジンのアイドリング時の燃料効率は悪いうえに、エンジンの運転中は二酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物のほか、パティキュレート(主に炭素微粒子)を含んだ排気ガスが排出されるので、大気汚染の原因となり、環境上好ましくない。そこで、船舶内で必要な電力を陸上の商用電力系統から船舶へ供給することにより、停泊中の船舶のエンジンを停止させる、いわゆる船舶版アイドリングストップを遂行し、港湾の環境改善を図ることが要望されている。
こうした要望を達成するため、陸上の外部電力供給設備からの電力供給を受けられるように、船舶側に受電端子を設ける一方、岸壁側には外部電源端子(停泊中の船舶用給電設備)を設けて両端子間を電力供給ケーブルで接続できるようにし、商用電力系統などからの外部電力を船舶に供給できるようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
一方、船舶のうちでも特に生鮮食料品などの食料関連品を運搬するコンテナ輸送船では、コンテナ内を所定の温度に保つために大型の冷蔵・冷凍装置を搭載しており、またコンテナヤードには荷下ろしされた冷凍コンテナを貯蔵するためのREF(レフ)スタンドを装備しているから、停泊中でもそれらの冷蔵・冷凍装置の運転に大きな電力を必要とする。これら電力は常時必要とされるものではなく、船舶が岸壁に接岸され停泊しているときなどの限られた期間に必要となる。したがって、船舶内の給電用エンジンを停止して陸上から商用電力系統の電力供給を受ける場合、ピーク電力のディマンド値が高いことから、随時使用する電力料金とは別に請求される毎月の膨大な契約電力料金が必要になる。
港湾施設を含む港湾関連設備には、たとえば、船舶が接岸する岸壁に設けられる係留装置、貨物の荷役を行うためのガントリークレーン、トランスファクレーン、ストラドルキャリアなどの荷役用稼働設備がある。また、岸壁にはコンテナや貨物を運搬、保管するためのコンテナヤード、ターミナルヤードなどの固定施設が、さらに岸壁の周辺には貨物の保管用倉庫、貨物管理棟などが建てられており、倉庫内には貨物の昇降用エレベータや搬送用クレーンが備えられている。特にガントリークレーンは、従来はコンテナや貨物の降下時や走行減速時に、膨大な位置エネルギーや運動エネルギーを熱に変換して廃棄している。しかし、制動時に発電機能をもつ回生ブレーキにより運動エネルギーを電気エネルギーに変換して電力として回収すれば、省エネとなる。
なお、ガントリークレーンなどの荷役装置を運転するための電力供給は、一般に商用電力系統から行われている。港湾内には、このため受変電設備が設置されており、そこから送電線により荷役装置に電力が供給されるが、荷役装置は通常、船舶が停泊する海域の係留場所に対応して岸壁に沿って複数箇所に設けられており、そうした荷役装置へは受変電設備から送電線で給電されるため、送電線が岸壁などの地中に埋設されている場合が多い。また、走行式クレーンにおいては地上に設けた接続箱において受電して、キャブタイヤケーブルを介してクレーンに給電する場合もある。かかる場合は、走行式クレーンにはケーブルワインダが装備されていて適宜ケーブルの巻き取りを行う。送電線は、荷役装置のほか倉庫や他の建物をはじめ照明灯などにも導かれ、港湾内のほぼ全域に敷設されているので、マイクログリッドの電力網が構成要素となる。さらに、港湾内には倉庫の屋根上をはじめとし、倉庫の周辺などに余剰なスペースが点在する。加えて、港湾内には、陸域と海域との間の温度差により生じる浜風のような豊富な風力エネルギーが保有されているうえ、太陽光の照射を遮るような高い建造物がないから、太陽電池や風力発電機を設置するのに好適である。したがって、自然エネルギーを利用した発電設備を港湾内の余剰スペースに設置することにより、高効率の分散型電源を数多く備えることができる。
マイクログリッドに関する先行技術として、電力供給線に充放電装置を介して大容量大出力の二次電池を接続し、負荷の状態もしくは電力供給線の状態と二次電池の状態を検知する検知装置と、検知装置で検知した電力供給状況と二次電池の状態に基づいて充放電装置と電源装置を制御する制御装置を備え、電力供給線に電力余剰が推定されるときに二次電池に充電し、電力不足が推定されるときに二次電池から放電するものが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2006−290018号公報 特開2007−159225号公報
上記の特許文献2に記載のマイクログリッドは、大容量高出力の二次電池を使用して電源装置の電力供給量を増大し消費電力を減少させることにより、経済的に成立できるようにしたマイクログリッドを提供しようとするものであるから、この点では、本発明と解決しようとする課題が共通している部分があるが、本発明は上記した港湾関連設備が本来備えているところの、マイクログリッドに適用した場合の優位性に着目し、経済的に成立可能な、港湾関連設備を利用したマイクログリッドを提供しようとするものである。
上記の目的を達成するために本発明に係る港湾マイクログリッドは、港湾関連設備に接続されるマイクログリッドであって、停泊中の船舶への給電装置と二次電池とを備え、前記給電装置と前記二次電池と荷役装置とをそれぞれ(マイクログリッドに)接続していることを特徴とする。なお、マイクログリッドが交流電力系統である場合は、交直変換機などの充放電手段を介して二次電池に接続しなければならないことは言うまでもない。一方、マイクログリッドが直流電力系統である場合は、請求項4に記載のように自然エネルギーを利用した発電設備を備える場合には、逆変換機(いわゆるインバータ)を介してマイクログリッドの配電線に接続する必要がある。
上記の構成を有する本発明の港湾マイクログリッドによれば、港湾関連設備のうち荷役装置、特にガントリークレーンを使用して停泊中の船舶に対し荷の積み下ろしを行う際の、従来は荷下ろし時や軌道走行中の減速時に熱に変換され廃棄されている位置エネルギーや運動エネルギーが膨大であることから、これらの位置エネルギーまたは運動エネルギーを回生ブレーキ等の回生手段により電力に変換して回収することができる。一方、荷役装置は配電線を介してマイクログリッドを構成し二次電池と接続されているから、回収した回生電力は、二次電池に直接または充放電手段を介して逐次、蓄えることができるだけでなく、たとえば、停泊中の船舶に二次電池から電力を供給することができる。
また、港湾には、通常、複数基のガントリークレーンが配備され、各所でガントリークレーンによる荷の積み下ろしが同時に行われることがあるから、このような場合には、ガントリークレーンから回収した余剰の回生電力を、二次電池に蓄える代わりに、他のガントリークレーンに供給してガントリークレーン間で相互に使用電力を補填し合うことができる。この結果、商用電力系統から停泊中の船舶やガントリークレーンなどの荷役装置へ供給する消費電力のピーク時に商用電力系統から供給される電力を抑制し、電気料金のコストダウンを図ることができる。商用電力系統の契約電気料は、使用した総電力量とは別に、契約電力によって左右されるので、ピーク電力を二次電池またはガントリークレーン等から供給する電力で抑制することで電気料金を大幅に低減できるからである。つまり、商用電力系統から供給される電力を抑制してディマンド値を下げ、電気料金のコストダウンを図ることができる。
上記のように本発明の港湾マイクログリッドは二次電池を備えるから、電力の需要と供給のバランスを図ることができる。つまり、マイクログリッド内において電力の需要と供給との間に過不足が生じたときは、不足する電力を二次電池から供給する一方、回収された余剰な電力を二次電池に蓄積して、電力の供給と需要との時間的なずれ(アンバランス)を二次電池によって平準化し両者のバランスを図ることができる。
さらに、上記したように、停泊中の船舶のアイドリングストップを行う際に、船舶の給電用に商用電力系統から電力を供給する際に、二次電池による電力で消費電力のピーク時における電力の一部を賄えるので、ピーク時のディマンド値を下げて電力料金(契約電力)の低減を図れるため、特に船舶に大型の冷蔵冷凍装置が搭載され、またコンテナヤードにはREFスタンドなどの冷蔵冷凍設備が配備され、使用電力量が大きい場合に有効である。
請求項2に記載のように、請求項1に記載の港湾マイクログリッドにおいて、前記荷役装置に商用電力系統からの電力を供給するために港湾内に既設の送電線(給電用ケーブルを含む)を、前記配電線の一部に利用することができる。
マイクログリッドには荷役装置と二次電池との間を接続する配電線の敷設が必要になるとともに、この敷設には多大な費用を要するが、港湾内には岸壁等に沿って荷役装置などへ給電するために送電線が地下に埋設されることが多いことから、このようにすれば、既設の送電線を利用して港湾内にマイクログリッドの電力網を構築することができ、設備費用を節減できる。また、港湾内に分散型電源などの設備を設ける場合にも、その設備と既設の送電線との間だけを接続する配電線を敷設するだけで済むので有利である。
請求項3に記載のように、請求項1または2に記載の港湾マイクログリッドにおいて、前記二次電池にニッケル水素電池を使用することができる。
このようにすれば、ニッケル水素電池は内部抵抗が小さく、しかも、図4に示すようにSOC(State Of Charge)が変動することにより生じる電圧変動が小さいことから、電池のもつ電気容量を有効に利用でき、したがって鉛蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、NAS(ナトリウム・硫黄)電池などの他の二次電池に比べて小容量の電池を用いることができ、またニッケル水素電池は体積エネルギー密度が高いから、設置場所が狭くて済むうえに、高価な充放電装置を介在させる必要がないので、充放電装置の設置場所も不要であり、設備コストを低減できる。また、ニッケル水素電池は、昇降圧チョッパのような動作遅れがなく、急速充放電特性に優れている。加えて、ニッケル水素電池は、上記したように内部抵抗が小さく、かつSOCの変動に基づく電圧変動が小さいから、特にガントリークレーンで荷揚げする際に瞬間的に大電流を給電しなければならない時にもニッケル水素電池からの放電により対応することができるので、電圧の低下を抑制できる。逆に、ガントリークレーンで荷下ろしする際に、回生ブレーキを使用して制動するなど回生電力に変換して回収する場合に瞬間的に大電流が発生したときには、ニッケル水素電池に充電して対応することにより配電線を流れる電圧の上昇を抑制できる。したがって、二次電池にニッケル水素電池を使用することで、配電線電圧の安定化も図ることができる。
請求項4に記載のように、請求項1〜3のいずれかに記載の港湾マイクログリッドにおいて、前記荷役装置がガントリークレーンであることが好ましい。
このように荷役装置がガントリークレーンであれば、荷役作業に必要な電力が大きい反面、回収可能な回生電力も大きいことから、他の荷役装置や停泊中の船舶へ給電可能な電力量や二次電池に充電可能な電力量が大きい。しかも、ガントリークレーンなどを使った荷役作業は一般的に長時間にわたって行われるから、その間に回生電力を二次電池に充電することができ、充電可能な電気量がきわめて大きい。そして、二次電池に充電して回収した回生電力は同時に停泊中の船舶の給電や他のガントリークレーンの運転に供されることで、電力料金を大幅に節減できる。
請求項5に記載のように、請求項1〜4のいずれかに記載の港湾マイクログリッドにおいて、自然エネルギーを利用した発電設備を、前記配電線に接続することができる。ここで、自然エネルギーを利用した発電設備には、たとえば太陽電池、風力発電機があるが、これらに限定されるものではなく、他の発電設備(たとえば小水力発電装置)であってもよい。なお、マイクログリッドが直流電力系統である場合は、自然エネルギーを利用した発電設備には、逆変換機(いわゆるインバータ)をマイクログリッドの配電線に接続する必要がある。
このように、太陽光発電、風力発電など自然の環境状況で発電時の出力が左右される自然エネルギーを利用した発電設備をマイクログリッドの配電線に接続すれば、発電される電力を需要先に供給できるだけでなく、需要先の負荷の消費電力を超える場合などに発生する余剰な電力を二次電池に充電できる。また、上記のような発電設備は自然の環境状況で発電量や周波数が左右され、電力の品質が一般的に劣っているが、たとえば、風力発電の場合には、風速によって発電量や周波数の制御を行わず、風速に対して常時最大出力になるように制御して発電した電力を二次電池に充電することができ、自然エネルギーを最大限に有効利用できる。
請求項6に記載のように、請求項5に記載の港湾マイクログリッドにおいて、前記発電設備を太陽電池または風力発電機もしくはその両方にすることができる。
このようにすれば、港湾は、気象条件によらず、陸域と海域との温度差で発生する豊かな風力エネルギーを保有しているうえ、風力発電機を設置可能な余剰スペースが十分にあるから、要望に応じて数多くの風力発電機を港湾内に設置して効率の高い発電ができる。また、太陽電池についても、港湾内には倉庫など屋根や屋上に設置可能な建造物が点在する一方、太陽光の照射を遮るような高い建造物がないことから、太陽電池を数多く設置して高効率の発電で電力を発生させて二次電池に充電することができ、自然エネルギーを最大限に有効利用できる。
請求項7に記載のように、請求項4に記載の港湾マイクログリッドにおいて、前記ガントリークレーンの電動機に回生ブレーキを設けることが望ましい。
このようにすれば、ガントリークレーンが荷下ろしする際や減速する際に、いままでのようにガントリークレーンが保有する位置エネルギーおよび運動エネルギーを熱に変換して廃棄する必要がなくなり、電気エネルギーとして回生電力の形態で回収できるので、たとえば、港湾内で複数基のガントリークレーンが荷役作業を行っているとすれば、一部のガントリークレーンで回収した回生電力を、配電線を経由して他のガントリークレーンに供給して補填できる。また、給電の必要なガントリークレーンがなければ、配電線を経由して二次電池に充電し、省エネルギー化が図れると同時に、電力の供給と需要との時間的なずれを二次電池によって平準化し、需要と供給のバランスを図ることができる。さらに、たとえば、ガントリークレーンやその他の荷役装置が荷を上方に吊り揚げた状態から荷を下ろしする際に保有する位置エネルギーを、それぞれ回生電力に変換して回収することができる。また、軌道上を走行するガントリークレーンの減速時に、従来は電磁制動において発生する電力を抵抗器で熱に変換して廃棄していた運動エネルギーを、電力として回生し配電線を経由させ、充放電装置などを介して直流に変換したのち前記二次電池に蓄電して回収することができる。
本発明に係る港湾マイクログリッドには、つぎのような優れた効果がある。すなわち、
・マイクログリッドが二次電池を備え、回収可能な電力量が大きいガントリークレーンで回生電力を回収し、二次電池に充電したり、他の運転中のガントリークレーンや停泊中の船舶に回生電力を供給したり、充電した二次電池から放電して発生させた電力をガントリークレーンや停泊中の船舶に供給することにより、港湾関連設備を含む港湾全域にわたってマイクログリッドを構築することによって、ガントリークレーンや停泊中の船舶への従来の給電状態と比較し、ピーク電力が抑えられ電力のディマンド値(最大使用電力)の低減を図ることができる。この結果、二次電池や船舶用の給電設備を設けたり、新たに配電線の一部を敷設したりしても、経済的に成立する。
・マイクログリッドには、一般に太陽電池や風力発電機などの分散型電力源と需要先との間を接続する配電線の敷設が必要で、この敷設には多大な費用を要するが、本発明によれば岸壁の地中や港湾内に既設の送電線をマイクログリッドの配電線の一部に利用できるので、多大な費用を削減できる。しかも、本発明のマイクログリッドにおいて配電線として使用する既設の送電線は、海域のすぐ近くにあり海水を浴びるおそれがあるから、岸壁の地下に埋設するなどして十分に絶縁されているために、配電線としての品質が高い。また、既設の送電線は、岸壁等に沿って港湾内のほぼ全域にわたって敷設されているから、マイクログリッドの電力網として好適である。さらに、岸壁からやや離れた倉庫の脇などに分散型電源や二次電池などの設備を設ける場合にも、その設備と既設の送電線との間だけを接続する距離の短い配電線を敷設するだけで済むから、この点でも有利である。
・港湾関連設備のうち荷役設備でも特にガントリークレーンは、商用電力系統から主たる電力の供給を受けて運転されているが、軌道上を走行するガントリークレーンが電力を蓄える機能(たとえば走行中のガントリークレーンは運動エネルギー)を有している。また、ワイヤーロープでいったん吊り上げたコンテナ等の貨物をコンテナヤード等に吊り下ろす時には位置エネルギーを有するが、今まではブレーキをかけた際に抵抗器などで熱エネルギーに変換して廃棄していた。しかし、特にガントリークレーンには電力として回収できる位置エネルギーや運転エネルギーが荷役作業中に頻繁に生じることから、運動エネルギーや位置エネルギーをエネルギー変換手段で電気エネルギーに変換して大容量の電力を回収することにより、回生した電力を他の港湾関連設備や停泊中の船舶に供給したり、二次電池に蓄えたりすることができる。
・マイクログリッドから停泊中の船舶への電力供給を行い、船舶の給電用に運転する必要があったエンジンを停止する、いわゆる船舶版アイドリングストップを、従来に比べて商用電力により給電する際の電気料金を削減して容易に遂行できるようにしたから、積極的に二酸化炭素や窒素酸化物のほかパティキュレートを含有する排気ガスの排出を規制し、大気汚染および海洋汚染をなくして環境を改善することができる。
・本発明の港湾マイクログリッドでは、港湾内には大電力を回収可能なガントリークレーンが通常は複数基設置されていることから、荷役作業中のガントリークレーンによる荷下ろし時や減速時に、回生ブレーキなどのエネルギー変換手段で発電を行って大容量の回生電力を回収することにより、電力の消費と回生との平準化を図ることが容易にできる。
・マイクログリッド内に二次電池を備えているので、その二次電池を利用して電力の平準化を図れる。そして、二次電池は、ガントリークレーンの運転時に使用される電力と回収される回生電力との間での電力の融通性だけでなく、自然エネルギーを利用した発電設備を設ける場合は、電力の需給のバランスを取るための電池としても役立つ。本来、電池を必要とする自然エネルギー利用の発電設備において、たとえば、風力発電機では、風速によって発電量や周波数の制御を行う代りに、風速に対して常時最大出力になるように制御して、得られた電力を充放電手段を介して直流化して二次電池に充電できるので、風力エネルギーを有効に利用することができる。こうした効果は太陽電池についても同様であり、自然エネルギーを利用した発電機を分散型電源として備える場合に発揮される。
以下に、本発明に係る港湾マイクログリッドについて、実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の港湾マイクログリッドの実施例を概念的に示す斜視図、図2は図1の港湾マイクログリッドの概念を電気回路的に表した説明図で、本実施例のマイクログリッド1で利用した港湾関連設備における交流系の給電系統の一例を示している。図1・図2では、同時に交流変電所からガントリークレーン5および停泊中の船舶15への電気の流れの一例を示している。
本例の港湾マイクログリッド1は、図1・図2に示すように港湾関連設備を利用してマイクログリッドに組み込んだもので、港湾内の海域Sを船舶15が入出港する際の出入口が設けられるように凹状に取り囲んだ岸壁2を備えている。相対向する岸壁2R・2Lの各船舶係留場には、停泊中の船舶15に給電するための給電設備3が設置されている。一方、船舶15側には受電端子(図示せず)が設けられており、船舶15のアイドリングストップ状態での給電時に、給電設備3から繰り出される電力供給ケーブルが船舶15内に掛け渡され、船内の受電端子(図示せず)に接続される。一方(図1の手前側)の岸壁2Lに沿ってコンテナヤードYが設けられ、その先端側のエプロン上には長手方向に沿って一対の軌道4が平行に敷設され、これらの軌道4上に沿って複数基のガントリークレーン5が一定距離を置いて走行可能に載置されている。
各ガントリークレーン5は、クレーン本体5aの下端四隅部に車輪5bを備え、走行用電動機5fにより後述の商用電力系統Bから電力供給を受けて走行する。またクレーン本体5aの上部には軌道4に対し直交する方向に長尺のブーム部5cを備え、ブーム部5cに沿ってトロリーやジブクレーンを走行用電動機5fで往復移動し、コンテナ専用のスプレッダを取り付けたワイヤーロープを昇降用電動機5gで昇降させてコンテナCを揚げ下ろしするが、走行用電動機5fや昇降用電動機5gはブーム部5cの長手方向のほぼ中間位置に配備された機械室5d内に設けられ、商用電力系統Bから電力の供給を受けて運転される。つまり、ガントリークレーン5のような走行式クレーンにおいては地上に設けた接続箱において受電し、図2に示すようにキャブタイヤケーブル5hを介してガントリークレーン5に給電する。かかる場合は、ガントリークレーン5にはケーブルワインダ5eが装備されていて適宜ケーブル5hの巻き取りを行う。そして、船舶15から荷揚げされたコンテナCはいったんクレーンヤードYに保管されるが、たとえば生鮮食料品が収納される冷凍コンテナCはREFスタンドなどを設置した冷凍コンテナ専用のコンテナヤードに保管される。冷凍コンテナ専用のコンテナヤードには、冷凍コンテナ用電力供給装置(図示せず)のほか、コンテナに冷気を供給するための冷気供給装置(図示せず)などが設置され、言うまでもなく、電力を供給するための送電線11がそのコンテナヤードまで地中に埋設されて導かれている。
上記の岸壁2R・2L間に跨る正面岸壁2の一方(図の奥側)には、商用電力系統Bからの交流電力を受け入れる変電設備6が設置されている。この変電設備6は所定の電圧に降下するための変圧器6aを備えており、岸壁2の地中に埋設される送電線11により両側の給電設備3・3およびガントリークレーン5・5のあるコンテナヤードYへ電力を供給している。また、正面岸壁2上で海域Sからやや離れた場所に倉庫12が建てられている。この倉庫12へも送電線11が敷設されている。なお、上記の送電線11は、本例のマイクログリッド1の交流系配電線7の一部をなすものである。
正面岸壁2の他方(図の手前側)寄りに、図3に示すように複数組のニッケル水素電池群8aを並列に接続して構成される二次電池8が配備され、配電線7に接続されている。各組のニッケル水素電池群8aは、所定個数の電池モジュール8bを直列状態に一連に接続して構成されている。また、図1に示すように二次電池8に隣接して開閉設備9および充放電設備(電流方式(交直・直交)変換設備)10がそれぞれ設けられ、本例では開閉設備9が二次電池8の+側の配電線7に、充放電設備10が二次電池8の−側の配電線7にそれぞれ介設されている。開閉設備9は本例の場合、図3(a)のように高速遮断器9aあるいは図3(b)のように高速遮断器9aとリアクトル9bから構成されているが、特に図3(b)のようにリアクトル9bを高速遮断器9aと直列に介設することで、短絡時の電流の立ち上がりを穏やかにして高速遮断器9aの負担を軽減し、短絡事故時に電流を確実に遮断できる。
一方、充放電設備10は、商用電力系統Bからの交流電力および風力発電機14で発電した交流電力ならびにガントリークレーン5から回収した回生交流電力をそれぞれ直流電力に変換して二次電池8に充電するためのAC/DCコンバータ10aと、二次電池8から需要先である停泊中の船舶15、ガントリークレーン5などに電力を供給するためのDC/ACコンバータ10bとを備えている。図示は省略するが、後者のDC/ACコンバータ10bを二次電池8の+側に開閉設備9を経由して接続し、DC/ACコンバータ10bから配電線7により需要先まで導くことができる。前者のAC/DCコンバータ10aは図1に示す実施例では二次電池8の−側の配電線7に介設され、交流電力を直流電力に変換する。つまり、商用電力系統Bから供給されるか、ガントリークレーン5で回収されるか、あるいは風力発電機14で発電されるかする余剰の各交流電力は、AC/DCコンバータ10aによってそれぞれ直流に変換されて二次電池8に充電される。
倉庫12の屋根上には、分散型電源としての太陽電池13が配備されている。また、倉庫12の傍の空き地には、他の分散型電源としての風力発電機14がプロペラ14aを海域Sに向けて設置されている。ここで、太陽電池13のように直流電力を発生する発電機は二次電池8に直接に接続し、風力発電機14のように通常、交流電力を発生する発電機の場合は交直変換機を介して二次電池8に接続しなければならないことから、風力発電機14と二次電池8の間にAC/DCコンバータ10aを介設している。
各ガントリークレーン5の走行用電動機5fおよび昇降用電動機5gには、それぞれ回生ブレーキとして機能させるための回生ブレーキ回路などの機構(図示せず)が装備されており、ガントリークレーン5の荷下ろし時や減速時に回生ブレーキを使って制動することにより大容量の回生電力が発生する。この回生電力は、たとえば他のガントリークレーン5が運転中であれば、配電線7を経由して電力を供給することにより、その運転中のガントリークレーン5の消費電力抑制の一助になるとともに、配電線7の電圧の降下を防止することができる。また、運転中のガントリークレーン5が他になければ、制動時に発生する回生電力は余剰な電力になるから、配電線7を経由しAC/DCコンバータ10aで直流に変換した後に二次電池8に充電される。
ところで、配電線7で供給される電力の形式に適合するように、本例の場合は交流系で所定の電圧(たとえば、440V)となるように、充放電制御手段にて変換したのち、配電線7およびAC/DCコンバータ10aを通じて二次電池8に充電したり、配電線7を経由して他の運転中のガントリークレーン5に給電したりする。また、上記した太陽電池13のように直流系の電気を発電する機器では、DC/DCコンバータ(図示せず)を用いて所定の電圧に調整したのちに配電線7を経由して二次電池8に接続することができる。また、回生電力を発生させる発電機や風力発電機14に直流発電機を用いれば、AC/DCコンバータ10aなどの交直変換装置が不要になる。
また、本例のマイクログリッド1では、ガントリークレーン5や停泊中の船舶15などによって使用される電力のピーク出力時に、二次電池8から電力を供給して補充することにより、商用電力系統Bから供給を受けるピーク電力値を抑制し、コストダウンを図るようにしている。つまり、運転中のガントリークレーン5などのピーク電力の出力時にマイクログリッド1内に発生する電力需要のピーク電力値を二次電池8から供給する電力で補充することにより、商用電力系統Bから供給を受ける電力のピーク値を抑制し、契約電力料金を低減することができる。
さらに、低料金の夜間電力を利用して二次電池8に充電できるようにするため、変電設備6から配電線7を通じて二次電池8に供給する電力を、配電線7に介設した開閉設備9およびAC/DCコンバータ10aを経由させて供給するようにしている。この構成により、夜間の交流電力を直流に変換して二次電池8に充電することができる。
上記のようにして構成される本発明に係るマイクログリッドの実施例について、船舶等への給電態様の一例を説明する。
図1・図2において、港湾内には少なくとも2隻の船舶15が岸壁2に接岸されて停泊している。手前の岸壁2Lに停泊中の船舶15は、ガントリークレーン5を用いてコンテナCを船舶15からコンテナヤードYに荷揚げしている。いずれの船舶15もアイドリングストップを実施しており、船内で使用する電力を陸上から供給される電力に切り換えている。このため、各給電設備3から電力供給ケーブルを繰り出し、船内の受電端子に接続して商用電力系統B等からの給電を受けられるようにしている。この状態で、船舶15内のエンジンを停止し、商用電力系統Bからの電力供給を受けている。また、二次電池8に充電された電力についても、DC/ACコンバータ10bで交流電力に変換し、あるいはさらにAC/ACコンバータ10cで電圧を調整したり他の充放電装置で周波数を調整したりして配電線7で船舶15へ供給している。
一方、上記の各ガントリークレーン5は回生ブレーキを備えており、荷役作業中に吊り上げたコンテナCをコンテナヤードYに下ろすときに保有する位置エネルギーを電気に変換して回収したり、ガントリークレーン5を軌道4上を走行させた状態から停止するときの運動エネルギーを電気に変換して回収したりする。具体的に数値を挙げて説明すると、1基のガントリークレーン5が回収可能な回生電力は700kWh/日程度になるので、たとえば9基あるとすれば、1日で6300kWhになる。この大容量の回生電力は、ガントリークレーン5の運転中にAC/DCコンバータ10aで直流に変換して二次電池8に逐次充電することができる。また、二次電池8の最大出力を500kWと仮定すれば、1隻当たりの船舶15が外部商用系統Bと契約する電気料金のディマンド値を500kW削減することができる。この場合の削減費用は年間で1000万円近くになり、使用電力料金と合わせると4000万円を超える膨大な費用を節減できることになる。しかも、船舶版アイドリングストップの遂行により、港湾地域における二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物のほか、パティキュレートが含有された排出ガスが削減され、大気環境の改善が図られる。
本実施例の港湾マイクログリッド1によれば、太陽電池13や風力発電機14により発電した電力を船舶15などへの給電や倉庫12内の照明設備などに利用できるほか、余剰の電力が生じたときには二次電池8に充電して蓄えることができる。そして、停泊中の船舶15やガントリークレーン5に給電できることは、上記したとおりである。また、荷役装置の内でもガントリークレーン5が回収できる回生電力量が最大であることから例示したが、他の荷役作業用クレーンを備えていてもよいことは言うまでもない。
上記に本発明のマイクログリッドの実施例について説明したが、本発明のマイクログリッドは、つぎのように実施することができる。
・二次電池8には、鉛蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、NAS(ナトリウム・硫黄)電池、大容量で急速充放電が可能な三次元構造のニッケル水素電池、リチウムイオン電池などがあり、上記実施例ではニッケル水素電池を使用しているが、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池とを同時に使用することもできる。この場合、ニッケル水素電池は上記のように配電線7に接続し、またリチウムイオン電池は充放電制御装置としてのチョッパを介して配電線7に接続する。このように、種類の異なる二次電池は、AC/DCコンバータ10aまたは充放電制御装置を介して配電線7に接続し、電力が不足して(配電線7の電圧が降下した)ときに蓄電した電力を配電線7を経由してガントリークレーン5などの需要先に供給することができる。一方、配電線7の電力が需要先である負荷に対して余剰になった(いいかえれば、配電線7の電圧が上昇した)ときは、余剰な電力を各二次電池に充電して蓄電することができる。
・上記実施例は交流系給電方式の港湾関連設備と組み合わせたマイクログリッド1について説明したが、直流系給電方式の港湾関連設備と組み合わせてマイクログリッドを構成しても同様に実施できる。
・港湾は船舶が安全に停泊できる港であるから、荷物の荷役およびその保管あるいは旅客の乗降という水陸輸送を転換する機能を有する。このため、港湾には、船舶の係留だけでなく、たとえば、貨物の荷さばき、保管のほか、旅客の乗降用ターミナルとして港湾から各地への陸上輸送を行うための、各種関連設備が設置されていることが多い。本明細書でいう港湾関連設備には、岸壁・荷揚げ場・桟橋などの係留施設、駐車場・港湾道路・臨海鉄道・運河などの交通施設、コンテナターミナル、ガントリークレーン(軌道走行式荷役機械を含む)などの荷さばき施設、旅客乗降用ターミナル・手荷物取り扱い場所・待合所・宿泊場所などの旅客施設、倉庫・野積み場・貯水場・貯油場などの保管施設がある。そのほか、船舶用の給水施設、給油施設なども含まれる。
本発明のマイクログリッドの実施例を概念的に示す斜視図である。 図1の港湾マイクログリッドの概念を電気回路的に表した説明図である。 (a)は本発明のマイクログリッド1内に開閉設備と充放電設備10を二次電池8とともに組み込んだ実施例を示す電気回路図、(b)は本発明のマイクログリッド1内に開閉設備9と充放電設備10を二次電池8とともに組み込んだ別の実施例を示す電気回路図である。 種類の異なる二次電池のSOCに対する電圧変化を示すSOC特性図である。
符号の説明
1 マイクログリッド
2 岸壁
3 給電設備
4 軌道
5 ガントリークレーン
5aクレーン本体
5b車輪
5cブーム部
5d機械室
5eケーブルワインダ
5f走行用電動機
5g昇降用電動機
5hキャブタイヤケーブル
7 配電線(送電線11を含む)
8 二次電池
9 開閉設備
9a 高速遮断器
9b リアクトル
10 充放電設備(電流方式(交直・直交)変換設備)
10a AC/DCコンバータ
10b DC/ACコンバータ
10c AC/ACコンバータ
12 倉庫
13 太陽電池
14 風力発電機

Claims (7)

  1. 港湾関連設備に接続されるマイクログリッドであって、停泊中の船舶への給電装置と二次電池とを備え、前記給電装置と前記二次電池と荷役装置とをそれぞれ接続していることを特徴とする港湾マイクログリッド。
  2. 前記荷役装置および前記給電装置へ商用電力系統からの電力を供給するために港湾内に既設の送電線を、前記配電線の一部に利用することを特徴とする請求項1に記載の港湾マイクログリッド。
  3. 前記二次電池がニッケル水素電池であることを特徴とする請求項1または2に記載の港湾マイクログリッド。
  4. 前記荷役装置がガントリークレーンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の港湾マイクログリッド。
  5. 自然エネルギーを利用した発電設備を、前記配電線に接続したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の港湾マイクログリッド。
  6. 前記発電設備が太陽電池または風力発電機もしくはその両方であることを特徴とする請求項5に記載の港湾マイクログリッド。
  7. 前記ガントリークレーンの電動機に回生ブレーキを設けたことを特徴とする請求項4に記載の港湾マイクログリッド。
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