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JP2010110324A - 単離grp94リガンド結合ドメインポリペプチドおよびそれをコードする核酸、その結晶、およびそれを用いるスクリーニング方法 - Google Patents

単離grp94リガンド結合ドメインポリペプチドおよびそれをコードする核酸、その結晶、およびそれを用いるスクリーニング方法 Download PDF

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JP2010110324A
JP2010110324A JP2009264127A JP2009264127A JP2010110324A JP 2010110324 A JP2010110324 A JP 2010110324A JP 2009264127 A JP2009264127 A JP 2009264127A JP 2009264127 A JP2009264127 A JP 2009264127A JP 2010110324 A JP2010110324 A JP 2010110324A
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JP
Japan
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grp94
polypeptide
ligand
hsp90
binding domain
Prior art date
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Pending
Application number
JP2009264127A
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English (en)
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Daniel T Gewirth
ダニエル・ティ・ジェワース
Christopher V Nicchitta
クリストファー・ブイ・ニッチッタ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Duke University
Original Assignee
Duke University
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Abstract

【課題】単離GRP94リガンド結合ドメインポリペプチド、その三次元結晶構造、およびそれを用いたHsp90タンパク質のモジュレーターの設計方法を提供する。
【解決手段】実質的に純粋な結晶であるGRP94リガンド結合ドメインポリペプチド、及び該結晶化ポリペプチドの作成方法。また、Hsp90タンパク質のモジュレーターを決定する方法、GRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターを設計する方法、及びGRP94モジュレーターを同定する方法。更に1つのHsp90ポリペプチドの生物学的活性をGRP94と比較して選択的にモジュレートするHsp90モジュレーターを同定する方法。
【選択図】なし

Description

関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2001年10月1日出願し、標題が“ISOLATED GRP94 LIGAND BINDING DOMAIN POLYPEPTIDE AND NUCLEIC ACID ENCODING SAME, CRYSTALLINE FORM OF SAME, AND
SCREENING METHODS EMPLOYING SAME”である、米国仮特許出願番号60/326,291に基づき、およびその優先権を主張する。当該文献は引用によりすべて本明細書に含める。
技術分野
本発明は、調節リガンドによる分子シャペロン機能のモジュレーションに適する組成物および方法に関連する。好ましい実施態様では、本発明は、単離および精製GRP94リガンド結合ドメイン (LBD) ポリペプチド、リガンドとの複合体であるGRP94 LBDの結晶に関連し、それに関連するスクリーニング方法に関連する。
略語の表
Figure 2010110324
Figure 2010110324
Figure 2010110324
アミノ酸の略語
Figure 2010110324
機能的に等価なコドン
Figure 2010110324
背景技術
癌と感染症の治療および予防のためのアプローチの研究は、医学界の中で行われている試みを示す。癌および感染症に取り組む最近の試みは、一種の癌または感染症を患う被験者の免疫反応を引き起こすか増強する試みを含んでいる。例えば、非特許文献1参照。
乏血/再潅流傷害は、心筋梗塞、脳血管疾患および末梢血管疾患を含む、多くの臨床の障害での病状および死亡率の重要な源である。さらに、乏血/再灌流は、移植された器官の機能、および任意の心臓血管外科後の回復の好都合(recovery expedience)に関連する。非特許文献2参照。そのため、乏血誘導性損傷に対する細胞性保護機構の同定は、例えば心臓発作、発作および神経組織変成の疾患の治療のための、ならびに手術または移植後の回復の改善のための中心的な目標である。
分子シャペロンのHsp90クラスは真核細胞で最も豊富なタンパク質のなかにある。Hsp90ファミリーのメンバーは、系統発生的に遍在するが、しかし、HSP90、GRP94(gp96、ERp99、エンドプラスミン(endoplasmin))の小胞体パラログ(endoplasmic reticulum paralog)は、高等植物および後生動物だけで見られる(非特許文献3)。タンパク質のHsp90ファミリーは、新規合成タンパク質のフォールディングおよび輸送の性質を指示すること、および熱ショック、酸化ストレス、栄養ストレス(nutrient stress)、および他の物理的ストレスのシナリオの状態で細胞に保護を供与することを含むことが知られる(非特許文献4; 非特許文献5)。そのストレス条件下では、タンパク質フォールディング、タンパク質オリゴマーアセンブリ(protein oligomeric assembly)、およびタンパク質安定性は、大いに崩壊し得る。それは、他の分子シャペロンと共同する、タンパク質のHsp90ファミリーの機能であり、タンパク質の構造および機能のストレス誘導性不活性化を阻止し、そして一変させることを手助けする。
分子レベルでは、タンパク質フォールディングでのHSP90機能は、Hsp70、p48Hip、p60Hop、p23、およびFKBP52を含む一連のコシャペロン(co-chaperones)およびアクセサリー分子(accessory molecules)の活性を必要とすることが知られる(非特許文献6; 非特許文献7; 非特許文献8; 非特許文献9; 非特許文献10; 非特許文献11; 非特許文献12; 非特許文献13)。これらのコシャペロンおよびアクセサリー分子は、共同的および連続的、両方の、HSP90との相互作用に関与し、それにより、そのシャペロンの活性を調節する役割をする(非特許文献14; 非特許文献15; 非特許文献16; 非特許文献17)。
HSP90機能の調節に対するコシャペロンタンパク質の寄与に加えて、最近の結晶学的な研究は、酵母およびヒトHSP90のN末端ドメインにおけるATP/ADP結合ポケットを同定し、これは、HSP90活性は、シャペロンのHsp70ファミリーで確立されたようにサイクリックATP結合および加水分解を通して調節されることを示唆する(非特許文献18; 非特許文献19; 非特許文献20; 非特許文献21; 非特許文献22; 非特許文献23; 非特許文献24; 非特許文献25; 非特許文献26; 非特許文献27; 非特許文献28; 非特許文献29; 非特許文献30; 非特許文献31)。
HSP90は、ATP結合に関連するWalker "A" および "B"配列に対し有意な類似を生ずるモチーフを含む(非特許文献32; 非特許文献33)。これらの配列は、セリンおよびチロシンキナーゼ間で見られる共通配列とは実質的に異なるけれども、それらは、タンパク質のHsp70ファミリーに見られるATP結合配列に相同である(非特許文献34)。配列予測と一致して、ATP結合、自己リン酸化活性、およびATPase活性、すべてが、異論(controversy)のないこれらの発見により、HSP90について示された(非特許文献34; 非特許文献35, 非特許文献36; 非特許文献31; 非特許文献37; 非特許文献38)。
一部、ATPに対するHSP90の非常に低い親和性のため、HSP90機能の調節におけるATPの役割は、結合アデノシンヌクレオチドと関連する酵母およびヒトHSP90のN末端ドメインの結晶学的な分解まで不明のままであった(非特許文献38; 非特許文献23)。原子スケールの構造的洞察の助けによって、ATP結合および加水分解に重要なアミノ酸残基が実質的に同定され、分析された(非特許文献38; 非特許文献29; 非特許文献23)。そのため、ヒトHSP90では、アスパラギン酸93(GRP94ではD128;酵母HSP90ではD79)は、アデノシン環のプリン部分のN6基と相互作用する直接の水素結合を提供し、ATP結合に重要である(非特許文献38; 非特許文献23)。グルタミン酸47(GRP94ではE82; 酵母HSP90ではE33)は、結合ヌクレオチドに関連する位置においておよび大腸菌DNAジャイレースBのATP結合ドメインとの比較を通して、その両方に基づき、ATP加水分解で重要な触媒の役割をすると仮定された(非特許文献38; 非特許文献23)。酵母HSP90のその後の突然変異の研究では、D79変異体はATP結合を欠損していること、およびE47変異体は、ATP加水分解活性を欠損していることが観察された(非特許文献23; 非特許文献29)。これら残基のHSP90活性における機能についての更なる証明として、HSP90の何れかの変異型を含む酵母は生存できなかった(非特許文献23; 非特許文献29)。
Hsp90に基づく治療および他の応用の開発における進歩は、GRP94を含むHsp90タンパク質のリガンド相互作用の特性解析の不足によって遅れた。HSP90とのATP相互作用の上記特性解析にもかかわらず、GRP94に関する固有のATP結合およびATPase活性を支持する証拠は賛否両論であり、HSP90関しては、GRP94-基質相互作用のアデノシンヌクレオチド仲介調節の分子的根拠についての明らかな同意が今なお急がれる(非特許文献36; 非特許文献39; 非特許文献40; 非特許文献41; 非特許文献42)。
Srivastava et al.(1998) Immunity 8:657-665 Fan et al.(1999) J Mol Med 77:577-596 Nicchitta (1998) Curr Opin Immunol 10:103-109 Toft (1998) Trends Endocrinol Metab 9:238-243 Pratt (1998) Proc Soc Exp Biol Med 217:420-434 Prodromou et al. (1999) EMBO J 18:754-762 Johnson et al. (1996) J Steroid Biochem Mol Biol 56:31-37 Chang et al. (1997) Mol Cell Biol 17:318-325 Duina et al. (1996) Science 274:1713-1715 Chen et al. (1996) Mol Endocrinol 10:682-693 Smith et al. (1993) J Biol Chem 268:18365-18371 Dittmar et al. (1998) J Biol Chem 273:7358-7366 Kosano et al.(1998) J Biol Chem 273:3273-3279 Buchner (1999) Trends Biochem Sci 24:136-141 Pratt et al. (1996) Exs 77:79-95 Pratt (1998) Proc Soc Exp Biol Med 217:420-434 Caplan (1999) Trends Cell Biol 9:262-268 Kassenbrock & Kelly (1989) EMBO J 8:1461-1467 Flynn et al. (1989) Science 245:385-390 Palleros et al. (1991) Proc Natl Acad Sci USA 88:519-523 Sriram et al. (1997) Structure 5:403-14 Prodromou et al.(1997) Cell 90:65-75 Obermann et al.(1998) J Cell Biol 143:901-910 Csermely & Kahn (1991) J Biol Chem 266:4943-4950 Csermely et al.(1993) J Biol Chem 268:1901-1907 Sullivan et al.(1997) J Biol Chem 272:8007-8012 Scheibel et al.(1997) J Biol Chem 272:18608-18613 Scheibel et al.(1998) Proc Natl Acad Sci USA 95:1495-1499 Panaretou et al.(1998) EMBO J 17:4829-4836 Caplan (1999) Trends Cell Biol 9:262-268 Grenert et al.(1999) J Biol Chem 274:17525-17533 Csermely & Kahn (1991) J Biol Chem 266:4943-4950 Jakob et al. (1996) J Biol Chem 271:10035-10041 Csermely & Kahn (1991) J Biol Chem 266:4943-4950 Nadeau et al. (1993) J Biol Chem 268:1479-1487 Jakob et al. (1996) J Biol Chem 271:10035-10041 Scheibel et al. (1997) J Biol Chem 272:18608-18613 Prodromou et al. (1997) Cell 90:65-75 Wearsch & Nicchitta (1997) J Biol Chem 272:5152-5156 Li and Srivastava (1993) EMBO J 12:3143-3151 Csermely et al. (1995) J Biol Chem 270:6381-6388 Csermely et al. (1998) Pharmacol Ther 79:129-168
次いで、必要なことは、HSP90タンパク質、特にGRP94およびHSP90のリガンド結合ポケットでのリガンド相互作用の特性解析である。この目的のために、本発明は、単離および精製GRP94 LBDポリペプチドならびにGRP94 LBD三次元構造の解明に使用したX線結晶方法を開示する。現在の出願の開示に先立って、X線の結晶学的な実験に必要な高品質のGRP94結晶は入手不可能だった。GRP94の解析された結晶構造は、Hsp90タンパク質モジュレーターの設計を促進する構造的詳細を提供する。その方法を用い、GRP94およびHSP90の活性および不活性な構造的コンホメーションが解明され、活性または不活性コンホメーションを生ずるいくつかの化合物の調節能もまた示される。本明細書での開示はまた、Hsp90タンパク質の生物学的活性に関係するドラッグスクリーニング法を提供する。そのため、本発明は、Hsp90タンパク質機能に関係する疾患の理解、診断および処置に寄与する方法および組成物についての、当分野における長年の必要性を満たすこととなる。
本発明の要約
実質的に純粋な結晶であるGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを開示する。1つの実施態様では、結晶は、格子定数 a = 99.889 Å、b =89.614 Å、c = 60.066 Å;β ==90.132°; 空間群対称性(space group symmetry) C2; および非対称ユニット(asymmetric unit)における 2 GRP94 + NECA 複合体を有する単位格子(unit cell)を有する。他の実施態様では、結晶は、格子定数 a = 89.200 Å、b =99.180 Å、c = 63.071 Å; α = β = γ =90.0°; 空間群対称性 C222(1); および非対称ユニットにおける1 GRP94 + NECA 複合体を有する単位格子の格子定数を有する。
所望により、GRP94ポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を有する。
好ましくは、the GRP94ポリペプチドはリガンドと複合体となり、より好ましくは、リガンドはNECAである。最も好ましくは、the GRP94ポリペプチド表1、2または3に相当する座標により更に特徴付けられる結晶構造を有する。
結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造を約1.8 Åまたはそれよりよいレゾリューションに決定する方法もまた開示する。当該方法は、(a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを結晶化すること、(b)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを分析し、結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造を決定し、それにより、結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造を約1.8 Åまたはそれよりよいレゾリューションに決定されること、を含む。
結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを作成する方法もまた開示する。好ましい実施態様では、当該方法は、(a)GRP94リガンド結合ドメインを含む溶液をリザーバー(reservoir)と共にインキュベーションすること、および(b)ハンギングドロップ法(hanging drop method)を用いGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを結晶化し、それにより、結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを作成すること、を含む。
更に、Hsp90タンパク質のモジュレーターを決定する方法を開示する。当該方法は、(a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの原子構造座標に基づき、Hsp90タンパク質のリガンド結合部位中のアミノ酸との相互作用を形成するであろうHsp90タンパク質のモジュレーター候補を設計すること、(b) 当該モジュレーターを合成すること、および(c) モジュレーター候補がHsp90タンパク質の活性をモジュレートするかどうか決定し、それにより、Hsp90タンパク質のモジュレーターを設計すること、を含む。
加えて、GRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターを設計する方法を開示する。当該方法は、(a)結晶であるGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを得ること、(b) 結晶であるGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造を決定すること、および(c) 結晶であるGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造に基づき、モジュレーターを合成すること、それにより、GRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターを設計することを含む。
GRP94 モジュレーターを同定する方法もまた開示する。当該方法は、(a)GRP94リガンド結合ドメインの原子座標(atomic coordinate)をコンピューターモデリングシステムに供すること、および(b) GRP94リガンド結合ドメインの結合ポケットに空間的に適合するようにリガンドをモデリングし、それにより、GRP94 モジュレーターを同定すること、を含む。
他のHsp90ポリペプチドと比較してGRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターを同定する方法もまた開示する。当該方法は、(a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの原子座標をコンピューターモデリングシステムに供すること、および(b)GRP94リガンド結合ドメインの結合ポケット中に適合し、そしてHsp90サブタイプ間で保存されているGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドのコンホメーション的に制限(constrain)された残基と相互作用する、リガンドをモデリングし、それにより、他のHsp90ポリペプチドと比較してGRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターが同定されること、を含む。
更に、1つのHsp90 ポリペプチドの生物学的活性をGRP94と比較して選択的にモジュレートするHsp90 モジュレーターを同定する方法を開示する。当該方法は、(a) GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを記載する原子構造座標のセットおよびHsp90 リガンド結合ドメインを記載する少なくとも1つの他の原子構造座標のセット、それぞれのリガンド結合ドメインはリガンド結合部位を含み、(b)当該原子構造座標のセットを比較し、少なくとも1つの当該セット間の相違を同定すること、(c)ステップ(b)の相違に相互作用すると予測される候補リガンドを設計すること、(d)当該候補リガンドを合成すること、および(e)GRP94との比較として、Hsp90を選択的にモジュレートする能力について、当該合成候補リガンドを試験し、それにより、Hsp90の生物学的活性をGRP94と比較して選択的にモジュレートするHsp90 モジュレーターが同定されること、を含む。
加えて、GRP94ポリペプチドのモジュレーターを設計する方法を開示する。当該方法は、(a)候補GRP94リガンドを選択すること、(b)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを含む結晶化タンパク質の三次元モデルを用い、GRP94ポリペプチドのどのアミノ酸またはアミノ酸群が当該リガンドと相互作用するかを決定すること、(c)当該リガンドがGRP94ポリペプチドの活性をモジュレートする程度を、GRP94活性の生物学的アッセイで同定すること、(d)当該リガンドの化学的修飾を選択すること、ここで、GRP94ポリペプチドのアミノ酸と当該リガンドとの間の相互作用が当該化学的修飾によりモジュレートされると予測される、(e)当該選択した化学的修飾で化学的化合物を合成し、修飾リガンドを形成すること、(f)当該修飾リガンドを当該GRP94ポリペプチドと接触させること、(g)当該修飾リガンドが、GRP94ポリペプチドの生物学的活性をモジュレートする程度をGRP94活性の生物学的アッセイで同定すること、および(h)修飾リガンドの存在下での当該GRP94ポリペプチドの生物学的活性を、非修飾リガンドの存在下でのGRP94ポリペプチドの生物学的活性と比較し、それより、GRP94ポリペプチドのモジュレーターを設計すること、を含む。
GRP94ポリペプチドに対するリガンドの結合を阻害する化合物を同定するアッセイ方法もまた開示する。当該アッセイ方法は、(a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元原子座標に基づき、試験インヒビター化合物を設計すること、(b)GRP94ポリペプチドを、試験インヒビター化合物の存在下でリガンドと共にインキュベーションすること、(c)GRP94ポリペプチドに結合するリガンドの量を決定すること、ここで、当該試験インヒビター化合物の非存在下でのリガンドの結合に比例して、当該試験インヒビター化合物の存在下でのGRP94タンパク質に対するリガンドの結合が減少することは阻害を示す、(d)リガンド結合の減少が観察されるならば、リガンド結合のインヒビターとしての試験化合物を同定し、これにより、GRP94ポリペプチドに対するリガンドの結合を阻害する化合物を同定すること、を含む。
GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドのモジュレーターについて複数の化合物をスクリーニングする方法もまた提供する。当該方法は、(a) 試験サンプルのライブラリーを提供すること、(b)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを各試験サンプルと接触させること、(c)試験サンプルとGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドとの間の相互作用を検出すること、(d)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドと相互作用する試験サンプルを同定すること、(e)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドと相互作用する試験サンプルを単離し、これにより、複数の化合物を、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドのモジュレーターとしてスクリーニングすること、を含む。
単離GRP94 LBD ポリペプチドもまた開示する。1つの実施態様では、単離ポリペプチドは、配列番号4または6の何れかの配列を有する。GRP94 LBD ポリペプチドをコードする単離核酸分子もまた、異種性プロモーターに対し核酸分子を含むキメラ遺伝子、キメラ遺伝子を含むベクター、およびキメラ遺伝子を含む宿主細胞のように、開示する。GRP LBD ポリペプチドおよびそれをコードする核酸を検出する方法もまた、GRP94 LBD ポリペプチドを特異的に認識する抗体のように、開示する。
GRP94 LBD機能をモジュレートする物質を同定する方法もまた開示する。当該方法は、 (a) GRP94 LBD ポリペプチドを単離すること、(b)単離GRP94ポリペプチドを複数の物質にさらすこと、(c)単離GRP94ポリペプチドに対する物質の結合をアッセイすること、および(d)単離GRP94 LBD ポリペプチドに対する特異的結合を示す物質を選択すること、を含む。
したがって、GRP94のリガンド結合ドメインの三次元構造を提供することが本発明の目的である。この目的および他の目的は、本発明のすべてまたは一部によって達成される。
上記の発明の目的、他の目的は、以下に最善に記載した添付の図面および実施例と関連させると、以下の記載(description proceeds)で明らかとなるであろう。
図1Aは、GRP94の構造状態に独立の、GRP94に結合するProdanを示すグラフである。0.5μMの天然または熱ショック(hs)を与えたGRP94の蛍光放射波長スキャンを、5μM Prodanに30分間さらした後に行った。値は、同一濃度の熱ショックを与えたGRP94で生ずるものと関連する最大蛍光を示す。実験は、360 nm (Prodan)の励起波長で行った。すべてのスペクトルは、バックグラウンド修正した。 図1Bは、GRP94に結合する8-ANS、およびGRP94構造状態における結合の依存性を示すグラフである。0.5μMの天然または熱ショックを与えた(hs) GRP94の蛍光放射波長スキャンを、5μM 8-ANSに30分間さらした後行った。値は、同一濃度の熱ショックを与えた GRP94で生ずるものと関連する最大蛍光を示す。実験は、372 nm (8-ANS)の励起波長で行った。すべてのスペクトルは、バックグラウンド修正した。 図1Cは、GRP94に結合するbis-ANS、およびGRP94構造状態における結合の依存性を示すグラフである。0.5μMの天然または熱ショックを与えた(hs) GRP94の蛍光放射波長スキャンを、5μM bis-ANSに20時間さらした後行った。値は、同一濃度の熱ショックを与えた GRP94で生ずるものと関連する最大蛍光を示す。実験は、393 nm (bis-ANS)の励起波長で行った。すべてのスペクトルは、バックグラウンド修正した。 図1Dは、GRP94に結合するbis-ANSのタイムコースを示すグラフである。値は、同一濃度の熱ショックを与えた GRP94で生ずるものと関連する最大蛍光を示す。実験は、393 nm (bis-ANS)の励起波長で行った。すべてのスペクトルは、バックグラウンド修正した。 図2Aは、熱ショックを与えた GRP94とのbis-ANSの動力学的分析を示すグラフである。熱ショックを与えた GRP94に結合するbis-ANSの濃度依存性は、示したような固定bis-ANS濃度(50nM)および増大させたGRP94濃度の実験条件下で行った。 図2Bは、bis-ANS/GRP94結合データのKlotzプロット描写である。最大結合の半分が、110nM GRP94で生ずる。励起波長393 nm。放射波長475 nm。 図3は、Coomassie Blue染色ゲルのデジタルイメージであり、bis-ANSおよび熱ショックは、GRP94タンパク質分解感受性を増大することを示す。GRP94 (5 μg, 5μM)は、50μM bis-ANSと共に1時間37℃で、または熱ショックを与えたものは15分間50℃でインキュベーションした。次いで、サンプルを0.1%トリプシンで30分間37℃で消化し、12.5% SDS-PAGEゲルで分析した。レーン1, 5 μg の未消化GRP94; レーン2, トリプシンと共にインキュベーションしたコントロール天然GRP94; レーン3, トリプシンで消化したbis-ANS処理GRP94; レーン4, 熱ショックを与え、次いでトリプシンで消化したGRP94。 図4は、Coomassie Blue染色ゲルのデジタルイメージであり、bis-ANSおよび熱ショックは、GRP94多量体化を誘導することを示す。GRP94は、50℃で0-15分間熱ショックを与えるか、または10倍モーラー過剰のbis-ANSと共にインキュベーションし、タンパク質の構造状態を5-18%天然ブルーポリアクリルアミド勾配ゲルで分析した。GRP94ダイマー、テトラマー、ヘキサマー、およびオクタマーの移動度を示す。分子量標準を図4の右に示す。 図5は、天然、熱ショックを与えた、およびbis-ANS処理したGRP94の円二色性スペクトルが同一であることを示すグラフである。1μM GRP94 天然 (ダイヤモンド); 熱ショックを与えた (ドットおよびダッシュ); および10μM bis-ANSで2時間処理(ドットした)の円二色性スペクトルを示す。スペクトルは以下の実施例1−8に記載のように収集した。 図6Aは、Coomassie Blue染色ゲルのデジタルイメージであり、ラジシコール(radicicol)がbis-ANS構造変化を妨害することを示唆する。GRP94 (5μM)を、0-500μM ラジシコールと共に37℃で1時間事前にインキュベーションし、その後、50μM bis-ANSと共に37℃で1時間インキュベーションし、トリプシン処理し、そしてトリプシン消化パターンをSDS-PAGEで分析した。 図6Bは、ラジシコールが熱ショックおよびbis-ANS結合をブロックすることを示すグラフである。GRP94 (0.5μM)を、0-10μM ラジシコールと共に1時間事前にインキュベーションし、熱ショックを与え、そしてその後、1μM bis-ANSと共にインキュベーションした。Bis-ANS結合を、比較として示すラジシコールの非存在下での天然GRP94に結合するbis-ANSを用いるスペクトロフルオロメトリーにより測定した。励起 393 nm, 放射410-600 nm。 図7Aは、bis-ANSおよび熱ショックが、GRP94シャペロン活性を刺激することを示すグラフである。クエン酸シンターゼ酵素を、10μM bis-ANSと共に2時間事前にインキュベーションした、GRP94なし、1μM 天然GRP94、熱ショックを与えたGRP94、またはGRP94を含む緩衝液中に0.15μMに希釈し、43℃でのクエン酸シンターゼの凝集を、サーモスタットスペクトロフルオロメーター、500nmで光散乱によりモニターした。 図7Bは、bis-ANSおよび熱ショックがGRP94ペプチド結合活性を刺激することを示す棒グラフである。天然、熱ショックを与えた、またはbis-ANS処理GRP94を、10倍モーラー過剰の125I-VSV8ペプチドと共に30分間37℃でインキュベーションした。遊離ペプチドを、スピンカラムクロマトグラフィーで除去し、結合放射活性ペプチドをガンマカウンティングにより定量した。 図8は、GRP94およびHsp90が示差リガンド結合(differential ligand binding)示すことを示す棒グラフである。GRP94に結合するNECA および ATPは、20 nM [3H]-NECA (黒のバー(closed bars))または 50μM [32P]ATP (斜線のバー(hatched bars))存在下、1時間4℃で行った。結合対遊離ヌクレオチドを減圧濾過により分離した。PEI処理ガラスフィルター(S&S #32, Schleicher and Schuell of Keene, New Hampshire)をNECA結合アッセイに使用し、その一方、ニトロセルロースフィルター(S&S BA85, Schleicher and Schuell of Keene, New Hampshire)をATP結合の測定しに使用した。示されたデータは、3つの点の平均であり、非特異的リガンド結合について補正されている。 図9Aは、GRP94に結合するNECAの特性を示すScatchardプロットである。GRP94は、物質および方法に記載のように、増大した濃度のNECAと共に1時間4℃でインキュベーションした。次いで、結合対遊離NECAを、0.3% PEI中で事前処理したガラスフィルターでの減圧濾過により分離した。 図9Bは、GRP94に結合するNECAの特徴を示す飽和曲線である。当該極性は、GRP94ダイマー濃度についてプロットする。最大結合ストイキオメトリーは、GRP94ダイマーの分子あたり1モルのNECAである。 図9Cは、NECA(黒の卵形(solid oval))およびラジシコール (黒の矩形(solid rectangle))に結合するGRP94のストイキオメトリーを示すグラフである。GRP94に対するNECA および ラジシコール結合を、等温性滴定熱量測定(isothermal titration calorimetry)によりアッセイした。GRP94は、5μMの濃度で存在した。NECA滴定は、152μM NECAストックで行い、その一方、ラジシコール滴定は、115μMストックで行った。ITCデータをμcal/sec 対 時間として収集し、装置ソフトウェアで測定した各注入ピークでの領域をプロットした。
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図11は、アデノシン塩基に対するGRP94のリガンド結合特異性を示す棒グラフである。GRP94は、20nM [3H]-NECA およびコンペティター、すべて最終濃度50μMと共に1時間4℃でインキュベーションし、結合対遊離NECAを、0.3% PEI中で事前処理したガラスフィルターでの減圧濾過により分離した。 図12は、GRP94に対するATP、ADP、およびAMPの結合がMg2+濃度の対し感受的であることを示すグラフである。GRP94を、50mM Tris、20nM [3H]-NECA および以下の濃度のコンペティターのうちの1つ: 3.1 x 10-6 M ATP、3.1 x 10-5 M ADP、6 x 10-4 M AMP、または3.1 x 10-5 M アデノシン中、1時間4℃でインキュベーションした。 図13Aは、GRP94自己リン酸化におけるNECAの効果を示す棒グラフである。1μM GRP94 (黒いバー)、0.15mM γ-32PATP (6000 cpm/pmol)、10mM Mg(OAc)2、および50mM K-Hepes、pH 7.4)からなる25 μl反応物を1時間37℃でインキュベーションした。1ユニットのカゼインキナーゼII(斜線のバー)を、4μMカゼインを付加した上記条件でインキュベーションした。コンペティターを、最終濃度、3.6% DMSO 中180μM NECA、3.6% DMSO中180μM ラジシコール、5 μg/ml ヘパリン、5mM GTP、または3.6% DMSOで適当なサンプルに加えた。リン酸化種(Phosphorylated species)は、Fuji MACBAS1000(商標)ホスホイメージングシステムで定量し、3つの独立した実験の平均PSL単位を示す。 図13Bは、GRP94の存在下および非存在下でのATP加水分解を示す棒グラフである。1μM GRP94 モノマー、種々濃度のMgATP (pH 7.0)、および50mM K-Hepes, pH 7.4からなる100 μl反応物を2時間37℃でインキュベーションした。ATP および ADPは、Partisil SAXカラムを用いHewlett Packard HPLCで分離した。自然発生的なATP加水分解は、タンパク質の非存在下で測定した。GRP94の存在下での加水分解は、黒いバーで示され、自然発生的な加水分解は、斜線のバーで示される。 図14は、GRP94のリガンド誘導性コンホメーション変化を示すグラフである。GRP94 (50μg/ml)を、10mM Mg(OAc)2および以下の濃度のリガンドを追加した緩衝液A中でインキュベーションした:50μM NECA、50μM ゲルダナマイシン、2.5mM ATP、または2.5mM ADP。サンプルを波長295nmで励起し、トリプトファン放出スペクトルを300-400 nmで記録した。すべてのスペクトルは、緩衝液単独または緩衝液+リガンドサンプルで得られるスペクトルを差し引くことにより修正した。
配列表の配列の簡単な説明
配列番号1 および 2は、それぞれ、野生型全長ヒトGRP94 (GENBANK(登録商標) Accession No. NM_003299)をコードするDNA配列および当該DNA配列によりコードされるヒトGRP94のアミノ酸配列 (GENBANK(登録商標) Accession No. NP_003290)である。
配列番号3 および 4は、それぞれ、ヒトGRP94の野生型リガンド結合ドメインをコードするDNA配列および当該DNA配列によりコードされるヒトGRP94のアミノ酸配(残基22-337)列である。
配列番号5 および 6は、それぞれ、イヌGRP94のリガンド結合ドメイン(残基22-337)をコードするDNA配列および当該DNA配列によりコードされるイヌGRP94のアミノ酸配列である。
配列番号7は、ペプチドVSV8である。
配列番号8は、GRP94のN末端ドメインの残基271-281を位置づける(map)ペプチドである。
配列番号9は、ヒトHsp90配列のアミノ酸210-222に位置づけるペプチドである。
本発明の詳細な説明
本明細書では、GRP94(および適用可能な場合にはHsp90)のリガンド相互作用の特徴を開示する。ここでは、GRP94(および幾つかの例ではHsp90)のN末端ヌクレオチド結合ドメインに結合するリガンドが、不活性化から活性化コンホメーションにGRP94(および幾つかの例ではHsp90)を変換するコンホメーション変化を生じ、およびGRP94(および適用可能な場合にはHsp90)のシャペロンおよびペプチド結合活性が顕著に刺激される。また、本明細書では、GRP94(および適用可能な場合にはHsp90)のリガンド相互作用の特徴を開示する。ここでは、GRP94(および幾つかの例ではHsp90)のN末端ヌクレオチド結合ドメインに結合するリガンドが、不活性化から活性化コンホメーションにGRP94(および幾つかの例ではHsp90)を変換するコンホメーション変化を阻害し、そしてGRP94(および適用可能な場合にはHsp90)の活性が顕著に阻害される。特に、本明細書では、単離および精製GRP94リガンド結合ドメイン(LBD)ポリペプチド、およびその結晶もまた開示する。好ましい実施態様では、当該結晶は更にリガンドを含む。
本明細書では、ゲルダナマイシンおよびラジシコールでの観察に類似および/または関連する方法でタンパク質活性および/タンパク質コンホメーション活性を阻害するGRP94 LBDに結合するリガンドについてスクリーニングする方法もまた開示する。そのリガンドは、他の適用の中で、可能性ある抗腫瘍治療として機能し得る。
本明細書に示す本発明の開示までに、GRP94のリガンド結合ドメイン結晶を得る能力は、理解されていない。そして、本明細書で示す本発明の開示までに、GRP94 LBDポリペプチドの詳細な三次元結晶構造は決定(solve)されていない。
構造情報の提供に加えて、結晶ポリペプチドは他の利点を提供する。例えば、結晶自体が更にポリペプチドを精製し、均一化のための従来の基準の1つを充足する。事実、結晶化は、しばしば、比類のない精製純度を提供し、それは、HPLC、透析、通常のカラムクロマトグラフィーおよび他の方法のような他の精製方法では除去できない不純物を除去する。更に、結晶化ポリペプチドは時折室温で安定であり、プロテアーゼの混入がなく、溶液保存と関連する他の崩壊はない。結晶ポリペプチドはまた、医薬調製物として有用であり得る。最終的に一般的な結晶技術は、他の安定化方法(例えば、凍結乾燥)と関連する変性のような問題は殆どない。一旦結晶化されると、結晶データは、有用な構造情報を提供し、それは、以下の本明細書に記載のようなモジュレーター(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)として役割をし得る化合物の設計を助けることができる。加えて、結晶化構造は、リガンド結合ドメインの位置づけに有用であり、次いでそれはアンタゴニストまたはアゴニストのような役割をする化学的実体物(chemical entity)により模倣され得る。
I. 定義
以下の用語は、当分野で十分に定義された意味を有すると信ずるが、以下の定義は、本発明の説明を促進するために開示するものである。
長年の特許法の習慣に従い、用語「a」および「an」は、特許請求の範囲を含む本出願で使用するとき「1以上」を意味するものとする。
ここで使用するとき、用語“Hsp90タンパク質”は、真核細胞中で最も豊富なタンパク質であるHsp90クラスの任意の分子シャペロンを指し、そのタンパク質の生物学的に活性なフラグメントを指すことを意味する。用語“HSP90タンパク質”は、このクラスの各メンバーをいい、イヌHSP90(GenBank Accession No. U01153)およびマウスHSP90(SwissProt Accession No. P08113)により例示され、およびその生物学的に活性なフラグメントをいう。Hsp90ファミリーメンバーは、系統発生的に偏在する一方、HSP90, GRP94 (gp96, ERp99, エンドプラスミン)の小胞体パラログは、高等植物および後生動物でのみ見られる(Nicchitta (1998) Curr Opin Immunol 10:103-109)。タンパク質のHsp90ファミリーは、新規合成タンパク質の適当なフォールディングおよび輸送の性質を指示すること、および熱ショック、酸化ストレス、低酸素/無酸素状態、栄養欠乏(nutrient deprivation)、他の物理的ストレス、および例えば発作および心筋梗塞のようなストレス状態を促進する疾患または外傷の状態での細胞に保護を供与することを含む。
ここで使用するとき、用語“Hsp90タンパク質のリガンド結合ドメイン(LBD)”、“Hsp90 LBD”、“GRP94 LBD”、および“HSP90 LBD”は、互換的に使用し、Hsp90タンパク質、好ましくはGRP94ポリペプチドまたはHSP90 ポリペプチドの領域であって、リガンドが結合する、領域を意味する。またより好ましくは、GRP94 LBDは、哺乳類(ヒト、イヌ)GRP94のアミノ酸残基69-337またはヒトGRP94、のアミノ酸残基22-337を含む(69-337 LBDと同じ挙動および活性を示す)。
ここで使用するとき、用語“GRP94リガンド結合ドメインの結合ポケット”、“GRP94リガンド結合ポケット” および “GRP94 結合ポケット”は互換的に使用し、リガンドが結合するGRP94リガンド結合ドメイン (LBD)内の大きなくぼみをいう。このくぼみは空であり得るか、または溶媒からの水分子または他の分子を含み得るか、またはリガンド原子を含み得る。当該結合ポケットはまた、GRP94の原子によっては占められないが、“主”結合ポケット付近にあり、“主”結合ポケットと連続する、“主”結合ポケット付近の空間の領域を含む。
ここで使用するとき、“抗原性分子”は、GRP94 または HSP90がインビボ(例えば、感染細胞または前癌または癌組織)で内因的に結合するペプチドおよび外因性抗原/免疫源(すなわち、インビボでは、GRP94 または HSP90とは複合体とはならない)またはそれらの抗原性/免疫性フラグメントおよび誘導体をいう。
用語“生物学的活性”は、対象において生物学的または生理学的効果を有する分子をいう。アジュバント活性は、生物学的活性の例である。アジュバント活性を有する他の生物学的分子の作成を活性化または誘導化することもまた意図される生物学的活性である。
用語“アジュバント活性”は、脊椎動物の対象の免疫系による抗原に対する応答を促進または他にモジュレートする能力を有する分子を指すことを意味する。
用語“免疫系”は、すべての細胞、組織、系、構造およびプロセスを含み、それらは、非特異的および特異的カテゴリーを含み、脊椎動物の対象中の、可能性ある病原体を含む抗原性分子に対する防御を提供する。当分野に既知のように、非特異的免疫系は、好中球、単球、組織マクロファージ、Kupffer細胞、肺胞性マクロファージ、樹状細胞およびミクログリアのような食細胞を含む。特異的免疫系は、宿主内の特異的免疫を伝える細胞および他の構造をいう。これらの細胞内に含まれるものは、リンパ球、特にB細胞リンパ球およびT細胞リンパ球である。これらの細胞はまた、ナチュラルキラー(NK)細胞を含む。更に、Bリンパ球のような抗体産生細胞および当該抗体産生細胞により産生される抗体もまた用語“免疫系”に含まれる。
用語“免疫応答”は、脊椎動物の対象の免疫系による抗原または抗原決定基に対する任意の応答をいう。典型的な免疫応答は、以下本明細書に記載のような体液免疫(例えば、抗原特異的抗体の産生)および細胞仲介免疫応答(例えば、リンパ球増殖)を含む。
用語“全身性免疫応答”は、リンパ節-、脾臓-、または腸管-関連リンパ組織をいうことを意味し、ここで、免疫系のBリンパ球のような細胞が生ずる。例えば、全身性免疫応答は血清IgGの産生を含み得る。更に、全身性免疫応答は、血流で循環する抗原特異的抗体ならびに脾臓およびリンパ節のような全身性のコンパートメント内のリンパ組織中の抗原特異的細胞中の抗原特異的抗体をいう。
用語“体液免疫”または“体液免疫応答”は、抗体分子が抗原性刺激に応答して分泌される獲得免疫性の形態をいう。
用語“細胞仲介免疫”および“細胞仲介免疫応答”は、リンパ球により提供される免疫学的防御をいい、それらが犠牲となる細胞に極めて近接すると、T細胞リンパ球により提供さえる防御のようなものである。細胞仲介免疫応答はまた、リンパ球増幅を含む。“リンパ球増殖”を測定するとき、特定抗原に応答して増幅するリンパ球の能力を測定する。リンパ球増殖は、B細胞、Tヘルパー細胞またはCTL細胞増殖を指すことを意味する。
用語“CTL応答”は、特定抗原を発現する細胞を溶解および死滅させる抗原特異的細胞の能力を指すことを意味する。以下の本明細書で記載のように、標準の、当業者が認識するCTLアッセイを行い、CTL活性を測定する。
ここで使用するとき、“養子免疫療法”は、特に癌への応用の治療アプローチをいい、それにより、抗腫瘍反応性を有する免疫細胞を、腫瘍をもった宿主に投与し、それは、当該細胞が、直接的または間接的のいずれかで、生じた腫瘍の減少(regression)を仲介することを目的とするものである。
“免疫源組成物”は、免疫応答を生じ得る組成物を指すことを意味する。ワクチンは、本発明による用語“免疫源組成物”の意味に含まれることが予測させる。
用語“生物学的応答性モディファイアー”は、特定の刺激、抗原の提示のような刺激に対する対象の応答を促進または他に茂重得r−とする能力を有する分子を指すことを意味する。
ここで使用するとき、用語“候補物質”および“候補化合物候補化合物”は、互換的に使用され、生物学的応答性モディファイアーとして他の部分と相互作用すると考えられる物質をいう。例えば、典型的な候補化合物は、完全Hsp90タンパク質、またはそのフラグメントと相互作用し、その後、その相互作用について評価され得ると考えられる。本発明の方法を用い調査し得る典型的な候補化合物には、以下に限らないが、Hsp90タンパク質のアゴニストおよびアンタゴニスト、ウイルス性エピトープ、ペプチド、酵素、酵素基質、コファクター、レクチン、糖、オリゴヌクレオチドまたは核酸、オリゴサッカライド、タンパク質、化学的化合物小分子、およびモノクローナル抗体が含まれる。
ここで使用するとき、用語“モジュレート”は、野生型または変異型Hsp90タンパク質、好ましくは野生型または変異型GRP94またはHSP90ポリペプチドの任意または全ての化学的および生物学的活性または特性のを増大、減少、または他に変化することを意味する。ここで使用するとき、用語"モジュレーション"は、応答のアップレギュレーション(すなわち、活性化または刺激)およびダウンレギュレーション(すなわち、阻害または抑制)の両方をいう。
ここで使用するとき、用語"アゴニスト"は、機能性Hsp90タンパク質の生物学的活性を付加または増強する薬剤を意味する。
ここで使用するとき、用語"アンタゴニスト"は、機能性Hsp90タンパク質の生物学的活性を減少または阻害するか、または天然に生ずるかもしくは工学的に作成した非機能性Hsp90タンパク質の生物学的活性を付加もしくは増強する薬剤を意味する。
ここで使用するとき、用語“α-へリックス”、“アルファ-へリックス” および “アルファ へリックス”は互換的に使用され、ポリペプチド鎖のコンホメーションを意味し、ここで、ポリペプチドバックボーンは、左巻きまたは右巻き方向で分子の長軸周囲でらせんをなす、アミノ酸のR基は、らせんバックボーンから外に向けて突き出ており、ここで、当該構造の繰り返し単位は、へリックスの単一のターンオフ(turnoff)であり、それは、長軸に沿って約0.56 nm伸張する。
ここで使用するとき、用語“β-シート”、“ベータ-シート”および“ベータ シート”は互換的に使用され、伸張したzig-zigコンホメーション中で、伸びたポリペプチド鎖のコンホメーションを意味する。“平行”に走るポリペプチドの部分は、すべて同じ方向に走る。“逆平行”であるポリペプチド鎖は、平行鎖とは逆の方向に走る。
ここで使用するとき、用語“結晶格子”は、パックされた単位格子の頂点により定義された点のアレイを意味する。
ここで使用するとき、用語“単位格子”は、基本となる平行六面体形ブロックを意味する。全体積の結晶は、そのブロックの通常のアセンブリにより構成され得る。各位胞は、パターンの単位を完全に示し、その反復は結晶を構成する。そのため、用語“単位格子”は、三次元での変換により無限に繰り返される結晶構造の基本部分を意味する。単位格子は、3つのベクトルa、b、およびcによって特徴付けられ、それらは1つの面に位置せず、平行六面体(parallelepiped)の端を形成する。角α、β、およびγは、当該ベクトル間の角を定義する:角αは、ベクターbおよびcの角である;角βは、ベクターaおよびc間の角である;および角γは、ベクターaおよびb間の角である。全体積の結晶は、単位格子の通常のアセンブリにより構成され得る;各単位格子はパターンの単位を完全に示し、その反復は結晶を構成する。
ここで使用するとき、“斜方晶系単位格子”は、a ≠ b ≠ c;およびα = β = γ = 90°である単位格子を意味する。ベクトルa、b および cは、単位格子端を示し、角α、β、およびγは、単位格子角を示す。本発明の最初の好ましい実施態様では、当該単位格子は、格子定数 a = 99.889 Å、b =89.614 Å、c = 60.066 Å、β =90.132°を有する。本発明の第二の好ましい実施態様では、当該単位格子は、格子定数 a = 89.200 Å, b =99.180 Å, c = 63.071 Å; α = β = γ =90.0°を有する単位格子の格子定数を有する。好ましい格子定数が提供される一方、本発明の結晶ポリペプチドはまた、好ましい格子定数の変化を含み、当該変化の範囲は、1%から2%である。
ここで使用するとき、用語“細胞”、“宿主細胞” または “組換え宿主細胞”は、互換的に使用し、特定の対象細胞のみならず、その細胞の子孫または可能性ある子孫(potential progeny)を意味する。特定の修飾が、変異または環境の影響の何れかにより継続的に世代が生じ得るため、その子孫は、実際には親細胞とは同一ではないが、ここで使用する用語の範囲内に含まれる。
ここで使用するとき、用語“キメラタンパク質” または “融合タンパク質”は、互換的に使用し、Hsp90 ポリペプチドをコードする第一のアミノ酸配列と、Hsp90 ポリペプチドの任意のドメインに対し外来であり、かつそれとは相同性のないポリペプチドドメイン(好ましくは、GRP94ポリペプチド)を定義する第二のアミノ酸配列との融合を意味する。例えば、キメラタンパク質は、第一のタンパク質をも発現する生体中で見られる外来ドメインを含み得るか、または異種の生体により発現するタンパク質構造の“異種間”または“遺伝子間(intergenic)”融合であり得る。一般的に、融合タンパク質は、一般式X- GRP94-Yで示され得、ここで、GRP94は、GRP94ポリペプチドから得られるタンパク質の一部を示す、XおよびYは、独立して、生体(天然に生ずる変異タイを含む)におけるGRP94配列とは関連しない、非存在または存在のアミノ酸配列である。
ここで使用するとき、用語“検出する”は、標的実体物の存在下で排他的に見られる放射性または分光性シグナルのような、検出可能シグナルの発生を観察することにより、標的実体物の存在を確認することを意味する。
ここで使用するとき、用語“DNAセグメント”は、特定種の、遊離させ単離したトータルゲノムDNAであるDNA分子を意味する。好ましい実施態様では、GRP94ポリペプチドをコードするDNAセグメントは、配列番号1, 3 または 5の何れかを含むが、所望により、少数のまたは更なる核酸を含み、また、ホモサピエンスのようなソース種のトータルゲノムDNAから単離するか、または遊離させ精製したDNAセグメントをいう。用語“DNAセグメント”に含まれるのは、DNA セグメントおよびそのセグメントのより小さいセグメント、およびまた組換えベクターであり、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む。
ここで使用するとき、用語“GRP94ポリペプチドをコードするDNA配列”は、特定個体中の1以上のコーディング配列をいい得る。更にヌクレオチド配列中の特定の相違は、個々の生体間に存在し得、それは、対立遺伝子と呼ばれる。その対立遺伝子の相違は、コード化ポリペプチドのアミノ酸配列中での相違を生じ得るかまたは生じえず、また同じ生物学的活性を有するタンパク質をコードする可能性がある。十分知られているように、特定ポリペプチドの遺伝子は、個体のゲノム中に単一または複数のコピーを存在する。その二重遺伝子は、同一であり得るかまたは特定の修飾を有し得、それにはヌクレオチド置換、付加または欠失を含み、それら全てはまた、実質的に同じ活性を有するポリペプチドをコードする。
ここで使用するとき、用語“GRP94遺伝子産物”、“GRP94タンパク質”、“GRP94ポリペプチド”、および“GRP94ペプチド”は、互換的に使用し、目的の生体由来の天然アミノ酸配列と実質的に同一であり、そしてGRP94ポリペプチドのアミノ酸配列の全てまたは一部を含むという点で生物学的に活性であり、またはGRP94ポリペプチドに対し生じた抗体と交差反応するか、または天然アミノ酸配列またはタンパク質の生物学的活性の全てまたは幾つか(例えば、DNAまたはリガンド結合能および/または転写調節)を保持する、アミノ酸配列を有するペプチドを意味する。その生物学的活性には、免疫原性が含まれ得る。GRP94 LBD ポリペプチドにおける好ましい実施態様、およびGRP94 LBDの典型的な実施態様は、配列番号4および6に開示する。
用語“GRP94遺伝子産物”, “GRP94 タンパク質”, “GRP94ポリペプチド”, および“GRP94ペプチド”はまた、GRP94ポリペプチドの類似体を含む。“類似体”は、DNAまたはペプチド配列は、本明細書で開示の配列に関連する変化を含み得、またそれら配列の生物学的活性の全てまたは幾つかを保持することを意図する。類似体は、ここで開示のようなヌクレオチド配列または他の生体から得られ得るか、または合成的に作成され得る。当業者は、まだ開示されていないか、まだ発見されていない他の類似体は、GRP94 類似体を設計および/または構成するために使用し得ると認識するであろう。“GRP94遺伝子産物”, “GRP94タンパク質”, “GRP94ポリペプチド”, または “GRP94ペプチド”が、GRP94 遺伝子産物のアミノ酸配列の全てまたは実質的に全てを含む必要はない。より短いかより長い配列が、本発明で使用されることが予想される;より短い配列は、ここでは“セグメント”と称する。そのため、用語“GRP94遺伝子産物”, “GRP94タンパク質”, “GRP94ポリペプチド”, および “GRP94ペプチド”はまた、融合または組換えGRP94ポリペプチドおよび本発明の配列を含むタンパク質を含む。そのタンパク質を調製する方法はここで開示され、当分野に既知である。
ここで使用するとき、用語“GRP94遺伝子” および “組換えGRP94遺伝子”は、本発明のGRP94ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を意味し、エキソンおよび(所望により)イントロン配列の両方を含む。
ここで使用するとき、用語“相互作用”は、例えば、酵母ツーハイブリッドアッセイを用い検出し得るような分子間の検出可能相互作用を意味する。用語“相互作用”はまた、分子間の“結合”相互作用を含むこと意味する。相互作用は、例えば、天然では、タンパク質-タンパク質またはタンパク質-核酸であり得る。
ここで使用するとき、用語“標識した”とは、プローブ分子に対する、分光性、放射性または他の方法による検出が可能な部分の結合を意味する。
ここで使用するとき、用語“修飾した”とは、実体物の通常生ずる状態からの変化を意味する。実体物は、別々の化学単位を取り除くことにより、または別々の化学単位を付加することにより、修飾され得る。用語“修飾した”は、検出可能な標識および精製目的で付加したそのような実体物を包含する。
ここで使用するとき、用語“分子置換”は、構造座標が、未知結晶の観察された回折パターンを最善に考慮するために、未知の結晶の単位格子内で知られる(例えば、Hsp)分子またはモデルを志向させ(orienting)位置づけることにより、野生型GRP94リガンド結合ドメインの予備的なモデル、または構造座標が知られていないGRP94変異体結晶を作成することを含む方法を意味する。次いで、フェーズはこのモデルから算出し、観察された振幅とあわせ、座標が未知の構造のおおよそのFourier合成が得られる。これは、次に、任意の幾つかの型のリファインメントに供され得、最終的に、未知結晶の正確な構造を提供する。例えば、Lattman, (1985) Method Enzymol., 115: 55-77; Rossmann, ed, (1972) The Molecular Replacement Method, Gordon & Breach, New York参照。この発明により提供されたGRP94のリガンド結合ドメインの構造座標を用い、分子置換は、GRP94リガンド結合ドメインの結晶変異体または相同体(例えば、他のHsp90ポリペプチド または Hsp90 LBD ポリペプチド)の、または異なる結晶であるGRP94リガンド結合ドメインの構造座標の決定に使用し得る。
ここで使用するとき、用語“変異”は、その従来の意味を有し、核酸またはポリペプチド配列において、継承され、天然に生ずるかまたは導入された変化を意味し、当業者に一般的に知られる意味に使用される。
ここで使用するとき、用語“部分的アゴニスト”は、標的に結合し、アゴニストにより導入される標的中の一部の変化のみが導入され得る実体物を意味する。当該相違は、定性的または定量的であり得る。そのため、部分的アゴニストは、アゴニストにより導入されるが他によっては導入されない幾つかのコンホメーション変化を導入し得るか、またはそれは、限定的な範囲に特定の変化を導入するのみであり得る。
ここで使用するとき、用語“部分的アンタゴニスト”は、標的に結合し、アンタゴニストにより導入される標的中の一部の変化のみが阻害され得る実体物を意味する。当該相違は、定性的または定量的であり得る。そのため、部分的アンタゴニストは、アンタゴニストにより導入されるが他によっては導入されない幾つかのコンホメーション変化を導入し得るか、またはそれは、限定的な範囲に特定の変化を阻害し得る。
ここで使用するとき、用語“ポリペプチド”は、大きさに関わらず、20タンパク質アミノ酸の何れかを含む任意のポリマーを意味する。“タンパク質”は、しばしば、比較的大きなポリペプチドに関して使用され、“ペプチド”は、しばしば、小さなポリペプチドに使用され、当分野におけるこれらの用語の用法はオーバーラップし、変化する。ここで使用するとき、用語“ポリペプチド”は、特記しない限り、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質をいう。ここで使用するとき、用語“タンパク質”, “ポリペプチド” および “ペプチド”は、遺伝子産物を述べるとき互換的に使用する。
ここで使用するとき、用語 “配列決定”は、通常のマニュアルまたは自動化された研究技術を用い、DNAまたはタンパク質標的サンプルの核酸またはアミノ酸の、順序づけられた直鎖状配列を決定することを意味する。
ここで使用するとき、用語“空間群”は、結晶の対称エレメントの配置を意味する。
ここで使用するとき、用語 “構造座標” および “構造的座標”は、結晶である分子の原子(散乱中心)によるX線の単色性ビームの回折において得られたパターンに関連する数式から得られる数学的座標を意味する。回折データを用い、結晶の繰り返し単位の電子密度マップを算出する。電子密度マップを用い、結晶の単位格子内の個々の原子の位置を確定する。
当業者は、X線結晶学により決定された座標のセットは、標準誤差がないことはないと認識する。一般的に、座標の当該誤差は、レゾリューションが増大するにつれて減少する傾向にある。より実験的な回折データは、モデルフィッティングおよびリファインメントに利用可能であるためである。そのため、例えば、より回折データは、3.5オングストロームのようなより低いレゾリューションに解説する結晶からよりも、2.8オングストロームのレゾリューションに回折する結晶から回収され得る。その結果として、リファインした構造的座標は、より高いレゾリューションに回折する結晶からのデータを用いフィット化し、リファインすると、通常、より正確となるであろう。GRP94または任意の他のHsp90ポリペプチドについてのリガンドおよびモジュレーターの設計は、構造的座標の精度に依存する。座標があまり正確でないならば、次いで、設計プロセスは効果的とはならない。ほとんどのケースでは、3.5オングストロームのみまたはそれより悪いレゾリューションに結晶が回折するとき、正確に原子座標を定義する十分な回折データを回収することは非常に困難であるか不可能である。そのため、ほとんどのケースでは、X線構造が、3.5オングストロームのみまたはそれより悪いのレゾリューションに回折する結晶に基づくとき、構造に基づくリガンド設計でX線構造を使用することは困難である。しかし、通常の実験は、2.8オングストロームまたはそれよりよいオングストロームに回折する結晶は、構造に基づく薬物設計を非常に促進する十分な精度を有するX線構造を生じ得ることを示す。レゾリューションの更なる改善は、構造に基づく設計を更に促進し得るが、2.8オングストロームレゾリューションで得られる座標は、ほとんどの目的で非常に十分である。
また、当業者は、Hsp90タンパク質は、異なるリガンドが結合するとき、異なるコンホメーションとなり得ることを理解する。特に、Hsp90タンパク質は、アゴニストおよびアンタゴニストが結合するとき、実質的に異なるコンホメーションとなるであろう。コンホメーションにおける微妙な変化がまた、異なるアゴニストが結合するとき、および異なるアンタゴニストが結合するときに、生じ得る。これらの変化は、単一のX線構造から予測することは困難であるかまたは不可能であり得る。一般的に、GRP94 モジュレーターの構造に基づく設計は、アゴニストおよびアンタゴニストが結合するときに生ずるコンホメーションにおける相違に関する知識にある程度依存する。そのため、構造に基づくモジュレーター設計は、強力なアゴニストおよび強力なアンタゴニストを有する複合体のX線構造の利用性により最も促進される。
ここで使用するとき、用語“標的細胞”は、核酸配列またはポリペプチドを挿入すること、または非修飾細胞中で標準であると知られる状態から修飾を他に行うことが望ましい細胞をいう。標的細胞中に導入する核酸配列は、種々の長さであり得る。加えて、核酸配列は、プラスミドまたは他のベクターのコンポーネントとしてまたは裸の(naked)配列として標的細胞に入り得る。
II. 表の詳細
表1は、NECAと複合の、イヌGRP94のリガンド結合ドメイン(残基69-337)の型1のX線回折から得た原子構造座標データの表である。
表2は、イヌGRP94 LBDの型1内のNECAおよびGRP94 結合ポケットの原子構造座標の表である。
表3は、NECAと複合の、イヌGRP94のリガンド結合ドメインの型2のX線回折から得た原子構造座標データの表である。
III. 一般事項
上記のように、GRP94(gp96, ERp99, エンドプラスミン)は、細胞基質性HSP90の小胞体パラログであり、そのように、発生ポリペプチド(nascent polypeptides)と関連の利点によりシャペロン機能を行う、豊富な固有のER管腔タンパク質である。用語“GRP94”、“GRP94ポリペプチド”、および/または“GRP94タンパク質”はまた、GRP94タンパク質の生物学的活性のフラグメントをいう。好ましい生物学的活性のフラグメントは、GRP94 LBDである。このルールと一致して、GRP94発現は、グルコース欠乏(glucose starvation)、酸化ストレス、および重金属毒性のようなタンパク質のミスフォールディングまたはアンホールディングを促進するストレス状態によりアップレギュレートされる。ERにおけるタンパク質ホールディングの調節におけるルールに加えて、GRP94は、細胞外空間から専門的な抗原提示細胞の主要組織適合複合体(MHC)クラスI抗原プロセッシング経路への、ペプチドの細胞内輸送において機能し得る。そのため、タンパク質ホールディングおよびアセンブリにおけるホメオスタシスの役割に加えて、GRP94は、MHCクラスI抗原プロセッシングおよび哺乳類細胞の提示経路のコンポーネントとして機能する。
GRP94はまた、免疫グロブリン、MHCクラスII分子、HSV-1グリコプロテイン、チログロブリン、コラーゲンおよびp185erbB2のホールディングおよびアセンブリに寄与する(Melnick et al. (1992) J Biol Chem 267:21303-21306; Melnick et al. (1994) Nature 370:373-375; Schaiff et al. (1992) J Exp Med 176:657-666; Navarro et al. (1991) Virology 184:253-264; Kuznetsov et al. (1994) J Biol Chem 269:22990-22995; Ferreira et al. (1994) J Cell Biochem 56:518-26; Chavany et al. (1996) J Biol Chem 273:4974-4977)。ポリペプチドホールディング基質との相互作用に加えて、GRP94は、ペプチドに結合し、その一部は、発生MHCクラスI分子におけるアセンブリに適当である(Srivastava et al. (1986) Proc Natl Acad Sci USA 83:3407-3411; Nieland et al. (1996) Proc Natl Acad Sci USA 93:6135-6139; Wearsch & Nicchitta (1997) J Biol Chem 272:5152-5156; Ishii et al. (1999) J Immunol 162:1303-1309; Srivastava et al. (1998) Immunity 8:657-665; Sastry & Linderoth (1999) J Biol Chem 274:12023-12035)。GRP94のペプチド結合活性は、CD8+T細胞免疫応答を生ずる能力において役割を担う(Udono et al. (1994) Proc Natl Acad Sci USA, 91:3077-30781; Suto & Srivastava (1995) Science 269:1585-1588; Arnold et al. (1995) J Exp Med 182:885-889; Nair et al. (1999) J Immunol 162:6426-6432; Blachere et al. (1997) J Exp Med 186:465-472; Heike et al. (1996) J Leukoc Biol 139:613-623; Srivastava et al. (1998) Immunity 8:657-665)。しかし、ペプチド結合活性は、タンパク質に対する免疫原性活性を供するに十分ではないだけでなく、そのため、GRP94は、交差提示(cross-presentation)の本質的免疫学的プロセスにおいて機能し得る、限定的な一部の分子シャペロンの1つである(Srivastava et al. (1998) Immunity 8:657-665; Nair et al. (1999) J Immunol 162:6426-6432; Basu and Srivastava (1999) J Exp Med 189:797-802; Schild et al. (1999) Curr Opin Immunol 11:109-113)。
HSP90は、アデノシンヌクレオチド-依存モードの調節を有する。加えて、アデノシンのプリン環のN7基(ヒトHSP90におけるN51 = GRP94におけるN86)およびアデノシンのプリン環のN1基(ヒトHSP90におけるG97 = GRP94のG130)との水仲介水素結合に関連するアミノ酸側鎖は、HSP90とGRP94との間で保存される。直接ヌクレオチド結合を仲介するアデノシンのプリン環のN6基(ヒトHSP90におけるL48 = GRP94におけるL83)はまた、HSP90とGRP94との間で保存されている。HSP90とのATP結合では、アデニンプリンのN6基は、ヌクレオチドとヌクレオチド結合ポケットとの間の単独の直接の水素結合であり(Prodromou et al. (1997) Cell 90:65-75; Obermann et al. (1998) J Cell Biol 143:901-910)、N6置換アデノシン類似体は、GRP94に結合しない(Hutchison & Fox (1989) J Biol Chem 264:19898-903; Hutchison et al. (1990) Biochemistry 29:5138-5144)。そのため、ATP/ADP結合および加水分解は、HSP90の生物学的特性として一般的に受け入れられているが、ATP/ADPは何れが、GRP94活性の調節において同一機能を提供するかは知られていない。ATPおよびADPは、GRP94と非常に低い親和性で結合し、そのため、実験的な制限は、GRP94 ヌクレオチド 結合ポケットでのATP/ADP相互作用は、以下に限定されないがリガンド置換アッセイを含む、間接的な方法により分析されるべきことを必要とする(Wearsch et al. (1998) Biochemistry 37(16):5709-5719; Csermely et al. (1995) J Biol Chem 270:6381-6388; Li & Srivastava (1993) EMBO J 12:3143-3151)。
GRP94のペプチド結合活性は、CD8+T細胞免疫応答を生ずる能力において役割を担う。しかし、ペプチド結合活性は、タンパク質に対する免疫原性活性を供するに十分ではないだけでなく、そのため、GRP94は、交差提示の本質的免疫学的プロセスにおいて機能し得る、限定的な一部の分子シャペロンの1つである。本発明の開示までに、結晶は、決定すべきままであるポリペプチドおよびペプチド基質の両方に関しGRP94の活性をモジュレートするGRP94リガンド相互作用での詳細な様子を提供する。
HSP90 および GRP94は、幾つかの抗腫瘍薬剤、主としてラジシコールおよびゲルダナマイシンの可能性ある標的として提案されている。Scheibel & Buckner (1998) Biochem Pharm 56:675-82。これらの化合物は、主要な腫瘍形成性キナーゼ、ホルモンレセプター、および他のシグナリングタンパク質を助けるHsp90タンパク質の能力を阻害することにより作用すると考えられており、活性化ホールド状態および適当な亜細胞の位置を仮定する。Pratt (1998) Proc Soc Exp Biol Med 217:420-434。
GRP94はまた、細胞毒性T細胞性応答、そのペプチド結合活性の反映を生ずることがわかった(Nicchitta (1998) Curr Opin Immunol 10:103-109; Srivastava et al. (1998) Immunity 8:657-665)。GRP94ペプチド複合体は、抗原提示細胞のMHCクラスI分子で交換されるGRP94結合ペプチドを伴う、専門の抗原提示細胞によりプロセスされ得る。次いで、当該抗原提示細胞は、GRP94と複合体で存在するペプチドエピトープを示す組織に対する天然のCD8+T細胞性応答と相互作用し得る(Srivastava et al. (1998) Immunity 8:657-665)。
これまで虚血においてgrp94の特徴付けられていない、可能性ある保護の役割は、ニューロン死を生ずることが知られている時間の一時的前脳部虚血の後、GRP94の発現が海馬で促進されるという観察により、支持される(Yagita et al. (1999) J Neurochem 72:1544-1551)。grp94は、急性腎虚血後に同様に誘導される(Kuznetsov (1996) Proc Natl Acad Sci USA 93:8584-8589)。HSP90を含む熱ショックタンパク質は、一般的に虚血に続く再潅流の酸化ストレスの間に過剰発現する(Sciandra et al. (1984) Proc Natl Acad Sci USA 81:4843-4847)。HSP90はまた、低酸素症-誘導性因子1-aに結合することにより虚血性シグナリングで役割を担い得る(Gradin et al. (1996) Mol Cell Biol 16:5221-5231)。
同様に、本発明により、GRP94 および HSP90は、化学療法、免疫療法、および感染症および癌の処置に関係するワクチンのための合理的な標的を示す。分子シャペロンとしての機能の観点から、GRP94 および HSP90は、以下に限らないが、器官(腎臓、心臓、肺、肝臓)移植、脳卒中および心筋梗塞を含む虚血性創傷で生じ得るような組織創傷およびストレスの治療を開発するための合理的な標的を更に示す。更に、Hsp90 および GRP94は、抗腫瘍薬物設計のための合理的な標的を示す。
前述の、GRP94の構造の間接的な特徴にかかわらず、本開示までに、GRP94(特にGRP94のリガンド結合ドメインを含む)の詳細な三次元モデルには到達されていない。
本発明の開示を含む配列分析およびX線結晶は、GRP94は、N-末端リガンド結合ドメイン (LBD)を含む3つのドメインを伴うモジュラー構造を有することを確認した。GRP94のモジュラリティーは、各タンパク質の異なるドメインが別々に特定の機能を生ずることを許容する。全長タンパク質内のドメインの幾つかの機能は、特定ドメインが当該タンパク質の残り部分から単離されるとき、保持されている。通常のタンパク質化学的技術を用いると、モジュラードメインは、時折、親タンパク質から分離され得る。通常の分子生物学的技術を用いると、各ドメインは、未処理のオリジナルの機能を伴い別々に発現され得るか、または以下に記載したように、2つのタンパク質を含むキメラが構成され得、ここで、当該キメラは、当該キメラが作成されたタンパク質の個々の機能性ドメインの特性を保持する。
ここで記載するとき、GRP94のLBDは、変異されるか、または工学的に作成され、発現され、結晶化され、その三次元構造は、本発明の開示としてリガンド結合で決定され得、コンピューター法を用い、熱ショックタンパク質、好ましくはHsp90タンパク質、より好ましくはGRP94タンパク質に対するリガンドを設計し得る。そのため、本発明は、通常、準用して(mutatis mutandis)、熱ショックタンパク質、より好ましくはHsp90タンパク質およびより好ましくはGRP94イソ型を含むGRP94タンパク質に適用可能であり、それは、ここで考察するように、本開示の結果として生ずる熱ショックタンパク質構造およびモジュレーションのパターンに一部基づいており、その一部の開示は、NECAと複合の、GRP94のリガンド結合ドメインの三次元構造を決定する。
IV. NECAリガンド
リガンド結合は、種々の方法で生物学的機能を誘発し得る。本発明の1つの態様では、GRP94 LBDは、リガンド、好ましくは、プリンヌクレオシド、アデノシンに対する構造的類似性を生ずるリガンドで共結晶化される。好ましい実施態様では、結晶である本発明は、N-エチルカルボキサミドアデノシン (NECA)と複合のGRP94 LBDを含む。結晶である本発明はまた、以下に開示のように本発明のリガンド組成物含み得る。そのため、本発明の態様は、タンパク質ホールド、および結晶により提供されるリガンドにより占められる空間の決定(definition)である。
V. Hsp90ポリペプチドの原子構造
Hsp90タンパク質が発現され、結晶化され、その三次元構造が本発明に開示のようなリガンド結合で決定され得る。一旦、結晶化されると、結晶学的データは、以下に記載のように、アゴニストまたはアンタゴニストとして機能する化合物の設計を助け得る有用な構造情報を提供する。好ましい実施態様では、Hsp90 ポリペプチドは、GRP94であるか、またはそのフラグメントである。
結晶化プロセスはまた、ポリペプチドを精製し、均一化のための従来の基準の1つを充足する。事実、結晶化は、しばしば、比類のない精製純度を提供し、それは、HPLC、透析、通常のカラムクロマトグラフィーなどのような他の精製方法では除去できない不純物を除去する。更に、結晶化ポリペプチドは時折室温で安定であり、プロテアーゼの混入がなく、溶液保存と関連する他の崩壊はない。一般的な結晶技術は、他の安定化方法(例えば、結晶化ポリペプチドなどの凍結乾燥は、医薬調製物として有用となり得る)と関連する変性のような問題は殆どない精製ポリペプチドを作成する。
V.A. Hsp90ポリペプチドの産生
本発明により、Hsp90 ポリペプチド、好ましくはGRP94 または GRP94 LBD ポリペプチドは、発現ベクターを用い発現され得る。当業者に既知の発現ベクターは、典型的に、宿主ゲノムに独立して宿主細胞中で自己複製し得るエレメント、および選択のための1以上の表現型マーカーを含む。望ましいHsp90またはGRP94(例えば、GRP94 LBD)コーディング配列周囲にDNA配列の挿入する前または挿入した後のいずれかにおいて、発現ベクターはまた、プロモーター、オペレーター、リボソーム結合部位、翻訳開始シグナル、および所望により、リプレッサー遺伝子または種々のアクチベーター遺伝子または停止のためのシグナルを含む。幾つかの実施態様では、産生ポリペプチドの分泌が望ましい場合、"シグナル配列"をコードするヌクレオチドは、Hsp90またはGRP94、またはHsp90またはGRP94 LBD、コーディング配列前に挿入され得る。発現のため、コントロール配列の方向の下、望ましいDNA配列は、作動可能なように調節配列に連結されなければならない:すなわち、当該配列は、Hsp90またはGRP94、またはHsp90またはGRP94 LBDポリペプチドをコードするDNA配列の前の適当な開始シグナルを有しなければならず、調節配列の調節の下で配列を発現し得る正確なリーディングフレームおよびHsp90またはGRP94、またはHsp90またはGRP94 LBD配列によりコードされる望ましい産物の産生が維持されなければならない。
ここで提示する本発明の開示の観点から、任意の種々の既知の利用可能な発現ベクターが、本発明の変異コーディング配列の発現に有用であり得る。これらは、例えば、クロモソーム、非クロモソームおよび合成DNA配列のセグメントからなるベクター、例えば、SV40の誘導体、既知細菌性プラスミド、例えば、大腸菌由来のプラスミド、col E1、pCR1、pBR322、pMB9およびその誘導体を含み、より広範の宿主範囲のプラスミド、例えば、RP4、ファージDNA、例えば、多くの誘導体のファージラムダ、例えばNM989、および他のDNAファージ、M13および線維性一本鎖DNAファージ、酵母プラスミドおよびプラスミドおよびファージDNAの組合せから得られるベクター、例えば、ファージDNAまたは他の発現調節配列を用いるように修飾したプラスミドを含む。
加えて、任意の広範の種類の発現調節配列、すなわち、作動可能なように連結したDNA配列の発現を調節する配列を、これらベクターに使用し、本発明の変異DNA配列を発現し得る。その有用な発現調節配列は、例えば、動物細胞のためのSV40の初期および後期プロモーター、lacシステム、trpシステム、TACまたはTRCシステム、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fd被覆タンパク質の調節領域、E. coliのためののもの全て、3-ホスホグリコシレートキナーゼまたは他の糖分解酵素、酸ホスファターゼのプロモーター、例えば、Pho5、酵母のための酵母α-接合因子のプロモーター、および原核細胞または真核細胞またはウイルス、およびそれらの種々の組合わせの遺伝子の発現を調節することが知られる他の配列を含む。
広範の種類の宿主はまた、本発明のHsp90またはGRP94、またはHsp90またはGRP94 LBD、ポリペプチドの産生に有用である。これらの宿主は、例えば、大腸菌、バチラス、ストレプトマイセス、のような細菌、酵母のような真菌、およびCHOおよびCOS-1のような動物細胞、植物細胞、SF9細胞のような動物細胞、およびトランスジェニック宿主細胞を含む。
全ての発現ベクターおよび発現システムでは、本発明のDNA配列を発現し、Hsp90 または GRP94ポリペプチド、Hsp90 または GRP94 LBD ポリペプチド、Hsp90 または GRP94 変異体、または Hsp90 または GRP94 LBD 変異体を産生する同じ方法で機能するわけでないことを理解すべきである。いずれもすべての宿主は、同じ発現システムで同等に機能するわけでない。しかし、当業者は、これらベクター、発現調節配列および宿主において、過度の実験なしに、そして本発明の範囲から外れることなく、分泌させ得る。例えば、ベクターの選択における重要な考慮点は、所定の宿主におけるベクターの複製能である。当該ベクターのコピー数、そのコピー数の調節能、および当該ベクターによる任意の他のタンパク質、例えば、抗生物質マーカーがまた、考えられる。
発現調節配列の選択において、種々の因子をまた考えるべきである。これらには、例えば、当該システムの相対的強度(relative strength)、本発明のHsp90 または GRP94ポリペプチド、またはHsp90 または GRP94 LBD ポリペプチドをコードするDNA配列の調節能およびそれらとの適合性を含み、特に可能性ある二次構造および三次構造の形成を伴う。
宿主は、選択ベクターとの適合性、修飾ポリペプチドによる宿主への毒性、成熟産物の発現能、正確にタンパク質をホールドする能力、発酵の必要性、Hsp90 または GRP94、Hsp90 または GRP94 LBDの精製の容易性、安全性を考慮し選択すべきである。これらのパラメーター内では、当業者は、種々のベクター/発現調節システム/宿主の組み合わせを選択し得、それらにより、有用な量のポリペプチドを産生する。これらシステムで産生されるポリペプチドは、例えば、実施例に開示のアプローチにより精製される。
そのため、本発明の開示に基づき、非リガンド化またはリガンド化のHsp90 または GRP94、またはHsp90 または GRP94 LBD ポリペプチドの精製は、通常の技術、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HPLC)、イオン交換クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル濾過クロマトグラフィー、およびヘパリン親和性クロマトグラフィーにより得られ得ることが構想される。改善された結晶Hsp90 または GRP94、またはHsp90 または GRP94 LBDポリペプチドのためにより高い純度を達成するためには、時折、Hsp90 または GRP94、またはHsp90 または GRP94 LBDポリペプチドをリガンドシフト精製することが好ましくは、それは、荷電によりポリペプチドをカラムを用い、例えば、イオン交換または疎水性相互作用カラムであり、次いで、溶出ポリペプチドをリガンドに結合させることが好ましい。当該リガンドは、ポリペプチドの表面荷電における変化を誘発し、それによって、同じカラムでサイクロマトグラフするとき、ポリペプチドは、次いで、リガンド化ポリペプチドの位置で溶出し、非リガンド化ポリペプチドで走らせたオリジナルのカラムで取り除かれる。典型的に、雷丸度の飽和濃度は、カラムに用いられ得、当該ポリペプチドは、カラムに通す前に当該リガンドと共に事前にインキュベーションされ得る。
より最近開発された方法は、"タグ"を遺伝工学的に作成することをが含まれ、例えば、ヒスチジンをタンパク質の末端、アミノ末端に位置させるといったようなものであり、次いで、精製のためにニッケルキレート化カラムを用いるといったようなものである。Janknecht, (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88: 8972-8976 (1991)参照。その文献は引用により本明細書に含める。
実施例開示のような好ましい実施態様では、イヌGRP94 LBD(残基69-337)は、大腸菌内でGST融合物として過剰発現され、親和性およびイオン交換クロマトグラフィーで均一に精製される。当該タンパク質は、10 mM Tris-HCl, pH 7.6、1 mM DTT、100 mM NaClに、30 mg/mLで置換された。
V.B. Hsp90タンパク質結晶の形成
1つの実施態様では、本発明は、GRP94リガンド結合ドメイン(LBD)ポリペプチドの結晶を提供する。当該結晶を得るための好ましいアプローチは、実施例に開示している。GRP94 LBD結晶(それは、天然の結晶、誘導体結晶または共結晶(co-crystal)であり得る)は、c-中心斜方晶系単位格子を有する。本発明の第一の好ましい実施態様では、当該単位格子は、格子定数 a = 99.889 Å、b =89.614 Å、c = 60.066 Å;β = 90.132°; 空間群対称性 C2; および非対称ユニットにおける2 GRP94 + NECA 複合体を有する。本発明の第二の好ましい実施態様では、当該単位格子は、格子定数 a = 89.200 Å、b =99.180 Å、c = 63.071 Å; α = β = γ =90.0°; 空間群対称性 C222(1); および非対称ユニットにおける1 GRP94 + NECA 複合体を有する。
本発明に開示の天然のおよび誘導された共結晶、およびそのフラグメントは、種々の技術により得られ得、それには、バッチ、液体ブリッジ、透析、蒸気拡散およびハンギングドロップ法が含まれる。例えば、McPherson (1982) Preparation and Analysis of Protein Crystals, John Wiley, New York, New York; McPherson (1990) Eur J Biochem 189:1-23; Weber (1991) Adv Protein Chem 41:1-36)参照。好ましい実施態様では、ハンギングドロップ法は、Hsp90タンパク質およびそのフラグメントの結晶化に使用される。より好ましいハンギングドロップ法は、実施例に開示される。
一般に、本発明の天然の結晶は、タンパク質の沈殿に必要である濃度の直ぐ下の濃度で沈殿剤を含む水性緩衝液中に実質的に純粋なHsp90タンパク質またはそのフラグメントを溶解させることにより増大する。水は、沈殿状態を生ずる調節化蒸発により取り除き、それは、結晶増大が停止するまで持続する。
本発明の1つの実施態様では、天然の結晶は、蒸発拡散により増大する(例えば、McPherson, (1982) Preparation and Analysis of Protein Crystals, John Wiley, New York.; McPherson, (1990) Eur. J. Biochem. 189:1-23参照)。この方法では、ポリペプチド/沈殿剤溶液は、結晶の作成に最適の沈殿剤濃度を有数より多いな水性リザーバーを有する閉じたコンテナー内で平衡化し得る。一般的に、約25μL未満のHsp90(好ましくはGRP94 LBD)ポリペプチド溶液は、等体積のリザーバー溶液と混合し、結晶化に必要な濃度の約半分の沈殿濃度を提供する。この溶液は、カバースリップの下の小滴としてサスペンドされ、それは、リザーバーの上部にシール化されている。当該シール化コンテナーは、結晶が増大するまで静置し得る。結晶は、一般的に、2から6週間以内に形成され、おおよそ7から10週間内のデータ回収に適当である。もちろん、当業者は、蒸気結晶手順および状態を変化し得ることを認識する。
V.C. 誘導体結晶の調製
本発明の誘導体結晶、例えば、重原子誘導体結晶は、重金属原子の塩を含む母液中で天然結晶をソークすることにより得られ得る。その誘導体結晶は、本発明の結晶の溶液におけるフェーズ分析に有用である。本発明の好ましい実施態様では、例えば、Se-Metを含む最小培地中の細菌で過剰発現するGRP94を増大させることにより、Met位置にSe-Metを含むタンパク質が提供され、多重波長異常分散X線フェージング法(multi-wavelength anomalous dispersion X-ray phasing methods)での使用に適当である結晶が提供される。本発明の誘導体結晶の調製に有用な更なる試薬は、本発明の開示を参照後、当業者に明らかとなるであろう。
V.D. 共結晶の調製
本発明の共結晶は、Hsp90タンパク質またはそのフラグメントに結合することが知られるかまたは予測される化合物を含む母液中で天然結晶をソークすることにより、得られ得る。他に、共結晶は、当該ポリペプチドに結合することが知られるかまたは予測される1以上の化合物の存在下Hsp90タンパク質またはそのフラグメントを共結晶化することにより得られ得る。好ましい実施態様では、その化合物は、NECAであり、Hsp90タンパク質は、GRP94またはそのフラグメントである。
V.E. 本発明の結晶構造の決定(solving)
本発明の結晶構造は、種々の技術を用い決定され得、以下に限らないが、同形体置換異常散乱(isomorphous replacement anomalous scattering)または分子置換法が含まれる。コンピューターソフトウェアパッケージはまた、本発明の結晶構造の決定に役に立つ。適用可能なソフトウェアパッケージは、以下に限らないが、X-PLOR(登録商標)プログラム(Bruenger (1992) X-PLOR, Version 3.1. A System for X-ray Crystallography and NMR, Yale University Press, New Haven, Connecticut; X-PLORは、Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaから入手可能である)、Xtal View (McRee (1992) J Mol Graphics 10:44-47; X-tal View は、San Diego Supercomputer Centerから入手可能である)、SHELXS 97 (Sheldrick (1990) Acta Cryst A46:467; SHELX 97は、Institute of Inorganic Chemistry, Georg-August-Universitaet, Goettingen, Germanyから入手可能である)、HEAVY (Terwilliger, Los Alamos National Laboratory) および SHAKE-AND-BAKE (Hauptman (1997) Curr Opin Struct Biol 7:672-680; Weeks et al. (1993) Acta Cryst D49:179; Hauptman-Woodward Medical Research Institute, Buffalo, New Yorkから入手可能である)が含まれ、それらが使用され得る。また、Ducruix & Geige (1992) Crystallization of Nucleic Acids and Proteins: A Practical Approach, IRL Press, Oxford, England、およびそれらので引用さえる参考文献参照。
V.F. GRP94 LBD結晶の特性解析
GRP94 LBDの以下のアミノ酸残基は、NECAが結合し、当該タンパク質と特異的相互作用を形成するポケットを形成する:Met 85, Glu 103, Leu 104, Asn 107, Ala 108, Asp 110, Ala 111, Val 147, Asp 149, Val 152, Gly 153, Met 154, Glu 158, Lys 161, Asn 162, Leu 163, Ala 167, Lys 168, Thr 171, Gly 196, Val 197, Gly 198, Phe 199, Tyr 200, Val 211, Trp 223, Thr 245, Ile 247。
水分子(ここでは、Wat1, Wat2, Wat3, Wat9, Wat10, Wat12, Wat13, Wat17, および Wat23という名称)はまた、結合ポケットの一部であり、当該構造の鍵部分(key part)であると考えられる。そのため、本発明の態様は、結晶により提供されるリガンドにより占められるタンパク質フォールドおよび空間(またはくぼみ)の決定(definition)である。
本発明の結晶の分析は、コンホメーションシフトがNECA結合を生ずることを示唆する。以下の2つの範囲の残基は、酵母Hsp90中の類似の残基と比較すると、ひとまとめにした移動を示し、他のコンホメーションにより、ADPのような他の基質と識別するNECA結合ポケットの部分を作成する。範囲 1: Gln 79 - Asn 96; 範囲 2: Gly 164 - Gly 198。
C末端アミノ酸はまた、GRP94 LBDを安定化する。アミノ酸Val 330からMet 336までは、アミノ酸Ile 279 から Lys 285までのアミノ酸残基と一連の水素結合を形成し、GRP94 LBDのC末端を安定化する。
V.G. 容易に決定されるHsp90結晶の作成
本発明は、結晶で実質的に純粋のGRP94 LBDポリペプチドを開示する。実施例で例示の好ましい実施態様では、GRP94 LBDは、結合リガンド共に結晶化される。結晶は、Hsp90 または GRP94、または Hsp90 または GRP94 LBD, ポリペプチドから形成され、それらは、通常細胞培養物、例えば、大腸菌により発現される。Se-Met置換は、細菌培養物由来のタンパク質の調製の間に導入され得、Hsp90 または GRP94、またはHsp90 または GRP94 LBDの結晶における重原子置換として作用し得る。この方法は、結晶のフェージングに利点があり、それは、重要であり、時折制限される、結晶化実体物の三次元構造を決定するステップである。そのため、結晶学で従来用いられている重金属誘導体を作成する必要性は排除され得る。リガンド結合を有するかまたは有しない、Hsp90 または GRP94、または Hsp90 または GRP94 LBDの三次元構造を決定した後、得られた三次元構造をコンピューター法に用い、Hsp90 または GRP94、またはHsp90 または GRP94 LBD、ポリペプチドの合成リガンドを設計し得る。更に、活性構造の関係は、本明細書に開示し、当分野に既知のアッセイを用い、ルーチンの試験により決定され得る。
VI. Hsp90タンパク質モジュレーターの設計および開発
Hsp90タンパク質の構造の知識、本発明の態様は、対象におけるHsp90タンパク質の左葉の機構を調査するためのツールを提供する。本明細書で記載のような、例えば種々のコンピューターモデルは、Hsp90タンパク質に対する種々基質分子の結合を予測し得る。次いで、実際にその結合が生ずるというという発見に基づき、タンパク質構造の知識により、Hsp90タンパク質に対する基質の機能的結合を模倣する小分子を設計および合成し得る。これは、更にここで記載する、"合理的な"薬物設計の方法である。
そのため、合理的な薬物設計の本発明の単離および精製Hsp90タンパク質構造の使用は、本発明により提供される。更なる合理的な薬物設計技術は、米国特許番号5,834,228; 5,872,011; および 6,136,831に記載されている。
そのため、ここに記載の化合物に加えて、他の立体的に類似の化合物を調製し、一般的には、Hsp90タンパク質の、または特にはGRP94またはHSP90の鍵の構造領域を模倣し得る。構造的に機能的な等価物の作成は、当業者に既知であり、ここで記載するモデリングおよび化学的設計の技術により行われ得る。そのような全ての立体的に類似の構造物は本発明の範囲内に入ると理解されるであろう。以下に限らないが、RASMOL (Biomolecular Structures Group, Glaxo Wellcome Research & Development Stevenage, Hertfordshire, United Kingdom Version 2.6, August 1995, Version 2.6.4, December 1998, Copyright Roger Sayle 1992-1999)のようなプログラムは、本発明の実施により作成された結晶からの原子構造的座標と共に使用され得るか、または三次元モデルを作成すること、および/またはリガンド結合を含む構造を決定することにより、本願の実施に使用され得る。登録商標INSIGHT IIで販売されているプログラム、およびGRASP (Nicholls et al. (1991) Proteins 11:282)のようなコンピュータープログラムは、更に操作し得、新規構造を導入する能力がある。加えて、ハイスループット結合および生物学的活性アッセイは、精製組換えタンパク質を用い案出され、アッセイは、設計されたリガンドの活性をリファインするため、ここで考察し、当業者に既知である。
そのため、合理的な薬物設計を用いるHsp90タンパク質の活性のモジュレーターを同定する方法は、本発明により提供される。当該方法は、GRP94 LBDポリペプチドの結晶構造に基づくリガンド結合ポケットにおけるアミノ酸と非共有結合を形成する本発明のHsp90タンパク質のモジュレーター候補を設計すること;モジュラーを合成すること;および当該モジュラー候補がHsp90タンパク質の活性をモジュレートするかどうかを決定することを含む。好ましい実施態様では、当該モジュラーは、GRP94またはHSP90ポリペプチドについて設計される。モジュレーターは、当業者に既知の技術を用い合成され得る。
他の実施態様では、本発明のHsp90タンパク質のモジュレーターを設計する方法は、(a)候補リガンドを選択すること;(b)結晶化GR94 LBDポリペプチドの三次元モデルを用いリガンドと相互作用するHsp90タンパク質の1以上のアミノ酸を決定すること;Hsp90タンパク質の活性をリガンドがモジュレートする程度をHsp90タンパク質活性の生物学的アッセイで同定すること;(d)リガンドの化学的修飾を選択すること、ここで、Hsp90タンパク質のアミノ酸とリガンドとの間の相互作用は、化学的修飾によりモジュレートされると予測される;(e)リガンドを合成し、修飾リガンドを形成すること;(f)修飾リガンドをHsp90タンパク質と接触させること;(g)Hsp90タンパク質の生物学的活性を修飾リガンドがモジュレートする程度をHsp90タンパク質の生物学的アッセイで同定すること;および(h)修飾リガンドの存在下でのHsp90タンパク質の生物学的活性を、非修飾リガンドの存在下でのHsp90タンパク質の生物学的活性と比較し、それにより、Hsp90タンパク質のモジュレーターを設計すること、を含む。
他の実施態様では、本発明はまた、リガンド結合ポケット(アクセサリー結合部位とも呼ばれる)以外の部位に結合するモジュレーターの設計の方法を提供する。
本発明の好ましい実施態様により、結晶GRP94 LBDポリペプチドの構造座標を使用し、Hsp90タンパク質、より好ましくはGRP94またはHSP90ポリペプチドに結合し、競争阻害、非競争阻害、アゴニズムまたは他の機構によりHsp90タンパク質の特性を変える化合物を設計し得る。
第二の設計アプローチは、種々の異なる化学的実体物を含む分子でHsp90タンパク質(好ましくはGRP94またはHSP90)をプローブし、候補Hsp90タンパク質モジュレーターとポリペプチドとの間の相互作用の最適部位を決定する。例えば、溶媒で飽和された結晶から回収した高レゾリューションX線回折データにより、それぞれの型の溶媒分子が付着する部位を決定し得る。次いで、その部位に強固に結合する小分子を設計し、合成し、Hsp90タンパク質活性をモジュレートする能力について試験した。典型的なアプローチをPCT国際公開番号WO 99/26966に開示されている。
一旦、コンピューター設計したリガンドを本発明の方法または当業者に既知の他の方法を用い合成すると、アッセイは、Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94またはHSP90)活性のモジュレーターとしてのその効力をを確認するために使用し得る。当該リガンドは、合成リガンドに結合する未処理Hsp90タンパク質結晶を作成することおよびそれから原子構造データを決定することにより更にリファインし得る。次いで、ここで考察するように、リガンドの構造は、モジュレーション活性またはリガンドの結合親和性を改善するため、当業者に既知の方法を用い更に修飾した。この方法は、改善された特性を有する第二世代のリガンドを生じ得る。
本発明によるHsp90タンパク質に結合するかまたはその活性を阻害する候補物質("化合物"または"候補化合物"としても称する)の設計は、一般的に、2つのファクターの考慮を含む。第一に、当該化合物は、物理的および構造的にHsp90タンパク質と結合できなければならない。基質とのHsp90タンパク質との結合に重要な非共有結合性分子相互作用には、水素結合、ファンデルワールス相互作用および疎水性相互作用が含まれる。第二に、当該化合物は、Hsp90タンパク質と結合し得るコンホメーションとなり得なければならない。当該化合物の特定部分が、Hsp90に関連して直接関係することはないけれども、その部分はまた、当該分子の全体のコンホメーションに影響し得る。次に、これは、効力において重要な影響を有し得る。そのコンホメーションの必要性は、結合部位、例えばリガンド結合ポケットまたはHsp90タンパク質のアクセサリー結合部位のすべてまたは一部と関連する、化学的実体物または化合物の全体の三次元構造および配向性、またはHsp90タンパク質と直接相互作用する幾つかの化学的実体物を含む化合物の官能基間のスペーシングを含む。
Hsp90タンパク質における化学的化合物の可能性ある調節的または結合的効果は、その実際の合成および本発明の結晶Hsp90タンパク質の座標を用いるコンピューターモデリング技術の使用による試験の前に分析され得る。所定化合物の理論的構造が、Hsp90タンパク質と不十分な相互作用および結合を示唆するならば、当該化合物の合成および試験は回避される。しかし、コンピューターモデリングが強力な相互作用を示唆するならば、次いで当該分子は、合成され、結合能およびHsp90タンパク質の活性をモジュレートする能力について試験し得る。この方法では、無駄であるかまたは効力のない化合物の合成を最小化し得る。
Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94またはHSP90)の調節または他の結合化合物は、コンピューターで評価され得、化学実在物またはフラグメントが、本発明の結晶Hsp90タンパク質の各結合部位または他の領域との結合能についてスクリーニングされ、選択される、一連のステップにより設計され得る。
幾つかの方法のうちの1つを用い、Hsp90タンパク質およびより好ましくは、リガンド結合ポケットまたはアクセサリー結合部位のようなGRP94またはHSP90ポリペプチドの各結合部位との結合能について、化学的実体物またはそのフラグメントをスクリーニングし得る。このプロセスは、例えば、表1−2中のGRP94 LBD原子座標に基づくコンピュータースクリーンおけるリガンド結合ポケットの視覚的な調査により開始され得る。次いで、選択フラグメントまたは化学的実体物は、種々の配向性で位置し得るか、または上記で定義のようなHsp90タンパク質の各結合部位内でドッキングされ得る。ドッキングは、QUANTA(商標)(Molecular Simulations Inc., San Diego, California) および SYBYL(商標) (Tripos, Inc., St. Louis, Missouri)のような入手可能なソフトウェアプログラムを用いて行い、その後、CHARM (Brooks et al. (1983) J Comp Chem 8:132) および AMBER 5 (Case et al. (1997) AMBER 5, University of California, San Francisco, California; Pearlman et al. (1995) Comput Phys Commun 91:1-41)などで標準的分子力学的場(standard molecular mechanics forcefields)でのエネルギー最小化および分子ダイナミクスを行い得る。
特定のコンピュータープログラムはまた、フラグメントまたは化学的実体物を選択するプロセスを助け得る。これらは、以下を含む:
1. GRP94ID(商標)プログラム, version 17 (Goodford (1985) J Med Chem 28:849-857), Molecular Discovery Ltd., Oxford, United Kingdomから入手可能である;
2. MCSS(商標) プログラム (Miranker & Karplus (1991) Proteins 11:29-34), Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaから入手可能である;
3. AUTODOCK(商標) 3.0 プログラム (Goodsell & Olsen (1990) Proteins 8:195-202), Scripps Research Institute, La Jolla, Californiaから入手可能である;
4. DOCK(商標) 4.0 プログラム (Kuntz et al. (1992) J Mol Biol 161:269-288), University of California, San Francisco, Californiaから入手可能である;
5. FLEX-X(商標) プログラム (See Rarey et al. (1996) J Comput Aid Mol Des 10:41-54), Tripos, Inc., St. Louis, Missouriから入手可能である;
6. MVP プログラム (Lambert (1997) in Practical Application of Computer-Aided Drug Design, Charifson (ed), pp. 243-303, Marcel-Dekker, New York, New York); および
7. LUDI(商標) プログラム (Bohm (1992) J Comput Aid Mol Des 6:61-78), Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaから入手可能である。
一旦、適当な化学的実体物またはフラグメントを選択すると、それらは、単一の化合物またはモジュレーターにアセンブルされ得る。アセンブルは、Hsp90タンパク質の構造座標に関連するコンピュータースクリーンに示された三次元イメージで互いに対するフラグメントの関係を視覚的に調査することにより行い得る。QUANTA(商標)またはSYBYL(商標)のようなソフトウェアを用いるマニュアルモデル構成を典型的に行う。
各化学的実体物またはフラグメントに関係する一人の当業者を助ける有用なプログラムは、以下のものを含む:
1. CAVEAT(商標) プログラム (Bartlett et al. (1989) Special Pub Royal Chem Soc 78: 182-196), University of California, Berkeley, Californiaから入手可能である;
2. MACCS-3D(商標)システムプログラムのような3Dデータベースシステム, MDL Information Systems, San Leandro, Californiaから入手可能であり、この領域は、Martin (1992) J Med Chem 35:2145-254にレビューされている; および
3. HOOK(商標) プログラム (Eisen et al. (1994) Proteins 19:199-221), Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaから入手可能である。
段階的形態でのHsp90タンパク質モジュレーター(好ましくはGRP94またはHSP90モジュレーター)の構成の進行の代わりに、上記のように一度に、1つのフラグメントまたは化学的実体物、調節または他の結合化合物は、本発明の結晶Hsp90タンパク質の構造座標、および空の結合部位かまたは既知モジュレーターの幾つかの部分を所望により含む部位の何れかを用い、全体としてまたは新規に設計され得る。
適用可能な方法は、以下のソフトウェアを用い得る:
1. LUDI(商標)プログラム (Bohm, 1992), Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaから入手可能である;
2. LEGEND(商標)プログラム (Nishibata & Itai (1991) Tetrahedron 47:8985); および
3. LEAPFROG(商標), Tripos Associates, St. Louis, Missouriから入手可能である。
他の分子モデリング技術はまた、本発明に用い得る。例えば、Cohen et al. (1990) J Med Chem 33:883-894, Navia & Murcko (1992) Curr Opin Struc Biol 2:202-210, および米国特許番号6,008,033参照。
一旦、化合物が、上記方法により設計されるかまたは選択されると、その化合物がHsp90タンパク質に結合し得る際の効率が、コンピューター評価により試験され、最適化され得る。特定の例の方法により、Hsp90タンパク質モジュレーターとして機能するように設計されるかまたは選択された化合物はまた、好ましくは、既知リガンドに結合するときに結合部位で占められるオーバーラップしない体積をトラバースする(traverse)。加えて、有効なHsp90タンパク質モジュレーターは、好ましくは結合状態と遊離状態との間のエネルギーの比較的小さな相違を示す(すなわち、結合の小さなデフォメーション)。そのため、ほとんどの効率的なHsp90タンパク質モジュレーターは、好ましくは、結合のデフォメーションエネルギーが約10kcal/mole以下、および好ましくは7kcal/mole以下となるように設計されるべきである。全体的な結合エネルギーにおいて類似する1を超えるコンホメーションでのポリペプチドとの相互作用が、Hsp90タンパク質モジュレーターについて可能である。その場合、結合のデフォメーションエネルギーは、遊離化合物のエネルギーと、モジュレーターがポリペプチドに結合するときに観察されるコンホメーションの平均エネルギーとの間の相違となる。
Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94またはHSP90)への結合として設計されるかまたは選択された化合物は、コンピューター的に更に最適化され、それによって、その結合状態において、それは、好ましくは、標的ポリペプチドとの、反発性静電的相互作用を欠く。その非相補性(例えば、静電性)相互作用は、反発性の荷電-荷電、双極子-双極子および荷電-双極子相互作用を含む。特に、モジュレーターがHsp90タンパク質に結合するときのモジュレーターとポリペプチドとの間の全ての静電相互作用の合計は、中性となるか、結合のエンタルピーに対し有利な寄与を形成する。
特定のコンピューターソフトウェアは、当分野で利用可能であり、化合物デフォメーションエネルギー静電相互作用を評価する。その使用のために設計したプログラムの例には、以下が含まれる:
1. Gaussian 98(商標), Gaussian, Inc., Pittsburgh, Pennsylvaniaから入手可能である;
2. AMBER(商標)プログラム, version 6.0, University of California at San Franciscoから入手可能である;
3. QUANTA(商標)プログラム, Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaから入手可能である;
4. CHARMm(登録商標)プログラム, Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaから入手可能である; および
5. Insight II(登録商標)プログラム, Molecular Simulations, Inc., San Diego, Californiaから入手可能である。
これらのプログラムは、適当なコンピューターシステムを用い実行することができる。他のハードウェアシステムおよびソフトウェアパッケージは、本発明の開示を概観後、当業者に明らかとなる。
一旦、Hsp90タンパク質モジュレーターを、上記のように、最適に選択または設計すると、次いで、置換は、結合部分を改善または修飾するため、幾つかの原子または側鎖で生じ得る。一般的に最初の置換は保存されており、すなわち、置換基は、おおよそオリジナルの基と同じ大きさ、形、疎水性および荷電性を有する。もちろん、コンホメーションを変える当分野に既知のコンポーネントは避けるべきと理解するべきである。次いで、その置換化学的化合物は、上記詳細に記載の同じコンピューターに基づくアプローチを用いHsp90タンパク質結合部位に適合する効率について分析され得る。
VII. 結晶Hsp90タンパク質を用いる更なるスクリーニング法
本発明は、Hsp90タンパク質をモジュレートする物質を同定するための方法を更に提供する。ここでは、その方法は、ここで開示のような結晶Hsp90タンパク質を用いる。
VII.A. Hsp90活性を刺激する化合物を同定する方法
細胞のない系では、当該方法は、以下のステップ、結晶Hsp90タンパク質および当該ポリペプチドに結合することができるリガンドを含むコントロールシステムを確立すること;結晶Hsp90タンパク質、リガンド、および候補化合物を含む試験システムを確立すること;および何れの候補化合物が、試験およびコントロールシステムの比較によりポリペプチドに結合するかをけていすることを含む。典型的なリガンドには、NECA、置換アデノシン分子、またはコンビナトリアル化学で得られるような関連の模倣物を含む。そのため、この実施態様では、スクリーニングした特性には結合親和性を含む。
本発明の他の実施態様では、Hsp90タンパク質またはその触媒性または免疫原性フラグメントまたはオリゴペプチドの結晶は、任意の種々の薬物スクリーニング技術中の化合物のライブラリーのスクリーニングに使用され得る。そのスクリーニングに用いられるフラグメントは、固体支持体に付着され得る。結晶Hsp90タンパク質および試験される薬剤との間の、結合複合体の形成が検出されるだろう。好ましい実施態様では、結晶Hsp90タンパク質は、結晶GRP94 LBDポリペプチドである。
使用され得る、他の薬物スクリーニングのための技術は、目的のタンパク質に対する適当な結合親和性を有する化合物のハイスループットスクリーニングを提供し、国際公開番号WO 84/03564に記載されている。本発明の結晶ポリペプチドに適用されるような本方法によると、多様な、異なる小さな試験化合物は、固体サブストレート(solid substrate)に合成され、それは、プラスチックピンまたは幾つか他の表面のようなものである。当該試験化合物は、結晶ポリペプチド、またはそのフラグメントと反応する。次いで、結合ポリペプチドは、当業者に既知の方法により検出される。結晶ポリペプチドはまた、上記薬物スクリーニング技術で使用のためのプレートに直接おかれ得る。
また他の実施態様では、GRP94またはHSP90ポリペプチドのモジュレーターをスクリーニングする方法は、試験サンプルのライブラリーを提供すること;結晶であるGRP94 LBDポリペプチドを各試験サンプルに接触させること;試験サンプルと結晶であるGRP94 LBDポリペプチドとの間の相互作用を検出すること;結晶であるGRP94 LBDポリペプチドと相互作用する試験サンプルを同定すること;および結晶であるGRP94 LBDポリペプチドと相互作用する試験サンプルを単離することをを含む。
本発明によって、上記方法に依存するラピッドおよびハイスループットスクリーニングがまた提供される。このスクリーニング法は、複数のサンプルのそれぞれを、結晶であるGRP94 LBDポリペプチドと別々に接触させること、および得られた結合複合体を検出することを含む。そのスクリーニング法では、複数のサンプルは、好ましくは、約104を超えるサンプルを含むか、より好ましくは約5×104を超えるサンプルを含む。
上記実施例のそれぞれでは、相互作用は、スペクトロホトメトリー的、放射活性的、または免疫原性的に検出され得る。結晶であるGRP94 LBDポリペプチドと試験サンプルとの間の相互作用はまた、当業者に既知の方法を用い、定量され得る。最終的に、上記それぞれの実施態様はまた、本発明のGRP94 LBDポリペプチドを含むHsp90ポリペプチドの生物学的活性における望ましい効果についてのコンピューター的設計モジュレーターのスクリーニングにおけるような、結晶ではないHsp90ポリペプチドのスクリーニングにおける適用があり得る。Hsp90タンパク質の生物学的活性に適し、GRP94ポリペプチドを用いる他のスクリーニング方法を以下に開示する。
VII.B. Hsp90活性を阻害する化合物を同定する方法
本発明は、活性コンホメーションへのHsp90タンパク質変化または活性コンホメーションの安定性を阻害する化合物を同定する方法を更に開示する。Hsp90タンパク質、例えば、NECA、置換アデノシン分子、関連プリンヌクレオシド誘導体、コンビナトリアル化学により得られるような関連模倣物および/またはGRP94 NBDに結合し、GRP94機能を阻害する天然産物化合物ゲルダナマイシンおよびラジシコールに対し構造的類似性を生ずる化合物は、試験化合物による阻害が測定されるリガンドとしてアッセイ方法で使用し得る。当該方法は、(a)Hsp90タンパク質を、リガンドと共に試験インヒビターの存在下、インキュベーションすること、(b)Hsp90タンパク質に結合するリガンドの量を決定すること、ここで、試験インヒビター化合物の非存在下での結合に比例して、試験インヒビター化合物の存在下でHsp90タンパク質に対するリガンドの結合の減少は阻害を示す、そして(C)リガンドの結合の減少が観察されるならば、リガンド結合のインヒビターとして試験化合物を同定することを含む。
本発明の別の観点では、開示されたアッセイ方法は、候補Hsp90リガンドの構造のリファインメントに使用し得る。例えば、複数ラウンドの最適化により、インヒビター設計のストラテジーにおいて増分構造変化し得る。このようなストラテジーは、GRP94 LBDポリペプチドの原子座標の開示により可能となる。
VIII. 関連Hsp90タンパク質の設計、調製、および構造的分析
VII.A. Hsp90変異体
本発明は、Hsp90変異体(好ましくは、GRP94またはHSP変異体)の作成、および結晶化され得るHsp90変異体ポリペプチドの結晶構造を決定する能力を提供する。より特にGRP94およびHSPポリペプチドの三次元構造の提供により、変異に望ましい部位が同定され得る。
本発明により提供されるGRP94 LBDポリペプチドの構造座標はまた、機能、構造またはその両方においてHsp90タンパク質に類似する他のタンパク質の道程および特性解析を促進し得る。この相同性に基づく理解は、関連の治療組成物および方法の開発に寄与し得る。
VIII.B. Hsp90タンパク質等価物
本発明の更なる態様は、立体的に類似する化合物が調製され得、Hsp90タンパク質構造の鍵となる部分を模倣する。かかる化合物は機能的に等価物である。構造の機能的等価物の作成は、当業者に既知であり、ここで記載するモデリングおよび化学的設計の技術により行われ得る。Hsp90タンパク質構造的等価物のモデリングおよび化学的設計は、本発明の結晶GRP94 LBDポリペプチドの構造座標に基づき得る。すべてのそのような立体的類似構造物は、本発明の範囲内に含まれると理解されるだろう。
VIII.C. 関連するHsp90タンパク質の結晶構造の決定
ポリペプチドは1を超える結晶型で結晶化され得るため、本発明により提供されるようなGRP94 LBDポリペプチド、またはその部分の構造座標は、他の結晶のGRP94、HSP90、および結晶の他のHsp90タンパク質の決定に特に有用である。本発明で提供される座標がまた用いられ、Hsp90タンパク質変異体、Hsp90タンパク質共複合体の構造、またはHsp90タンパク質の機能性ドメインに相同な重要なアミノ酸配列を伴う結晶である任意の他のタンパク質の構造が決定され得る。
更なるHsp90結晶構造を決定する目的で用いられる1つの方法は、分子置換である。一般的には、Rossmann, ed, (1972) The Molecular Replacement Method, Gordon & Breach, New York, New York参照。分子置換法において、未知結晶構造、他の結晶のGRP94またはHSP90ポリペプチド(すなわち、GRP94またはHSP90変異体)、または他の化合物との複合体となるGRP94またはHSP90ポリペプチド(共複合体)の何れであるか、またはGRP94またはHSP90ポリペプチドの任意の機能性領域に相同な重要なアミノ酸配列を有する幾つか他のタンパク質の結晶は、表1−2で提供されるGRP94およびHSP90構造座標を用い決定され得る。この方法は、その情報を最初から決定することを試みるよりも更に早く効率的に未知結晶の正確な構造の型を提供する。
加えて、本発明により、GRP94またはHSP90変異体は、既知モジュレーターとの複合体で結晶化され得る。次いで、一連のその複合体の結晶構造は、分子置換により決定され得、野生型GRP94またはHSP90のものと比較され得る。そのため、当該酵素の種々の結合部位内の修飾のための可能性ある部位が同定され得る。この情報は、変異GRP94またはHSP90ポリペプチドとリガンドとの間の相互作用と比較するとき、野生型GRP94またはHSP90ポリペプチドとリガンドとの間の殆どの効率的な結合相互作用、例えば増大する疎水性相互作用を決定するための更なるツールを提供する。
本開示で言及する複合体のすべては、X線回折技術を用い研究し得る。例えば、Blundell & Johnson (1985) Method Enzymol 114A & 115B参照、それは、X-PLOR(商標)プログラム(Bruenger, 1992)のような、コンピューターソフトウェアを用いリファインし得る。そのため、この情報を用い、既知のクラスのHsp90タンパク質モジュレーターを最適化し、より重要なことに、新規クラスのHsp90タンパク質モジュレーターを設計および合成する。
IX. GRP94およびGRP94 LBDポリペプチドおよび構造的等価物の設計、調製および構造的分析
これらの発明はまた、新規精製および単離Hsp90およびGRP94ポリペプチド、Hsp90およびGRP94 LBDポリペプチド、および変異体およびその構造的等価物(好ましくはGRP94およびGRP94 LBD変異体)、および結晶化するものの結晶構造を決定する能力を提供する。そのため、本発明の態様は、他のものの間で、結晶化、生物学的関連タンパク質-タンパク質相互作用の特性解析、および化合物スクリーニングアッセイを目的とするための、または他の望ましい特徴を有する組み換えタンパク質の産生のための組み換えタンパク質の産生を含む。本発明の方法により産生されるポリペプチド産物をまた本明細書に開示される。
本発明により提供されるHsp90またはGRP94、またはHsp90またはGRP94 LBDの構造座標はまた、機能、構造または両方でGRP94に類似する関連タンパク質または酵素の同定を促進する(例えば、病状の範囲を処置または防止するための新規治療モードを生じ得るGRP94)。
IX.A. GRP94核酸
本発明により提供される核酸分子は、配列番号:1、3、または5のいずれか1つの配列に実質的に類似する配列番号:1、3、または5のいずれか1つの配列の単離核酸分子、その保存変異体、そのサブ配列(subsequence)および伸張した配列、相補性DNA分子、および相当するRNA分子を含む。本発明はまた、遺伝子、cDNA、キメラ遺伝子、および開示GRP94核酸配列を含むベクターをも包含する。好ましい実施態様では、本発明の核酸分子はGRP94 LBDポリペプチドをコードする。そのため、より好ましい実施態様では、本発明の核酸分子は配列番号3または5として開示される。
用語"核酸分子"は、一本鎖または二本鎖-型、いずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドをいう。特記しない限り、当該用語は、参照の天然核酸と類似の特性を有する天然ヌクレオチドの既知アナログを含む核酸を含む。他に示さない限り、特定のヌクレオチド配列はまた、その保存的に修飾された変異体(例えば、同義性コドン置換)相補性配列、サブ配列、伸張した配列、および明示的に示された配列を暗に含む。用語"核酸分子"または"ヌクレオチド配列"はまた、"遺伝子"、"cDNA"、または"mRNA"の代わりに使用され得る。核酸は、任意の生体を含む任意の源から得られ得る。
核酸分子の関連で使用されるように、"単離された"は、核酸分子は、その天然環境からは離れて存在し、天然の産物ではないことを示す。単離DNA分子は、精製型で存在し得るか、またはトランスジェニック宿主細胞のような非天然環境下で存在し得る。
核酸に適用するとき、用語"精製された"は、当該核酸では、天然状態で結合する他の細胞性コンポーネントが本質的にないことを示す。好ましくは、精製された核酸分子は、均一な乾燥または水性溶液である。用語"精製された"は、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲル中の実質的に1つのバンドを生ずることを示す。好ましくは、核酸は、少なくとも約50%純粋、より好ましくは少なくとも約85%純粋、およびもっとも好ましくは少なくとも約99%純粋であることを意味する。
2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列との関連で、用語"実質的同一"はまた、最大の一致となるように比較しアライメントするとき、以下の配列比較アルゴリズム(以下で記載)の1つを用いる測定または視覚的調査による測定として、少なくとも60%、好ましくは80%、より好ましくは90-95%、およびもっとも好ましくは少なくとも99%ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の同一性を有する2つまたはそれより多い配列またはサブ配列として定義され得る。好ましくは、実質的同一性は、少なくとも50残基のヌクレオチド配列で、より好ましくは少なくとも約100残基のヌクレオチド配列で、より好ましくは少なくとも約150残基のヌクレオチド配列で、およびもっとも好ましくは完全なコーディング配列を含むヌクレオチド配列で存在する。1つの態様では、多形性配列は、実質的に同一配列となり得る。用語"多形性"は、ある群における、2つまたはそれより多い遺伝学的に決められた他の配列群または対立遺伝子群が生ずることをいう。対立遺伝子の相違は、1塩基対ぐらいに少ない。
2つのヌクレオチド配列が実質的に同一であるという他の表示は、ストリンジェントな条件下で2つの分子が特異的または実質的に互いにハイブリダイズすることである。核酸ハイブリダイズの関連では、比較する2つの核酸配列は、"プローブ"および"標的"として設計され得る。"プローブ"は参照核酸分子であり、"標的"は、試験核酸分子であり、しばしば、核酸分子の異種性群の中で見られる。"標的配列"は、"試験配列"と同義である。
ハイブリダイゼーション研究またはアッセイに用いる好ましいヌクレオチド配列は、本発明の核酸分子の少なくとも約14から40ヌクレオチド配列に相補的であるか模倣するプローブ配列を含む。好ましくは、プローブは、14から20ヌクレオチド、または更に長いものを含み、ここでは、30、40、50、60、100、200、300または500のヌクレオチドまたは配列番号:1、3、または5に開示のもののうちのいずれかの全長までの長さが望ましい。そのフラグメントは、例えば、化学合成による直接フラグメントを合成することにより、核酸増幅技術の応用により、または選択配列を組み換え産物のための組み換えベクター中への導入により、容易に調製され得る。
フレーズ"に特異的にハイブリダイズする"とは、配列が、結合化、二重鎖化、複合核酸混合物(例えば、トータル細胞性DNAまたはRNA)中で存在するときストリンジェントな条件下で特定ヌクレオチド配列に対するのみの分子のハイブリダイズをいう。フェーズ"実質的に結合する"とは、プローブ核酸分子と標的核酸分子との間の相補的ハイブリダイゼーションをいい、ハイブリダイゼーション媒体のストリンジェンシーを減少させることにより適合させ望ましいハイブリダイゼーションを達成し得る最少のミスマッチを含む。
サザンおよびノーザンブロット分析のような核酸ハイブリダイゼーション実験との関連では"ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件"および"ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件"は、配列および環境の両方に依存する。より長い配列が、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範のガイドは、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, part I chapter 2, Elsevier, New York, New Yorkに見られる。一般的に、高いストリンジェントハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、特定のイオン強度およびpHでの特定配列の熱の融点(Tm)より約5℃低くなるように選択される。典型的に、"ストリンジェントな条件"下、プローブは、その標的サブ配列に特異的ハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない。
Tmは、完全にマッチしたプローブに50%の標的配列がハイブリダイズする温度(決められたイオン強度およびpHの下)である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブのTmに等しくなるように選択される。約100を超える相補性残基を有する相補性核酸のサザンまたはノーザンブロット分析のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、1mg ヘパリンを伴う50%ホルムアミド中で、42℃での一夜のハイブリダイゼーションである。高いストリンジェント洗浄条件の例は、0.1 5M NaCl中、65℃で15分間である。ストリンジェント洗浄条件の例は、0.2×SSC緩衝液中、65℃で15分間である(SSC 緩衝液の記載についてはSambrook et al. eds. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York参照)。しばしば、高ストリンジェンシー洗浄は、低ストリンジェンシー洗浄により行い、バックグラウンドプローブシグナルを取り除く。約100ヌクレオチドを超える二重鎖のための、中ストリンジェンシー洗浄条件の例は、1×SSC中、45℃での15分間である。約100ヌクレオチドを超える二重鎖のための、低ストリンジェンシー洗浄条件の例は、4-6×SSC中、40℃での15分間である。短いプローブの場合(例えば、10から50ヌクレオチド)、ストリンジェント条件は、pH7.0-8.3で、典型的に、約1.0M未満のNa+イオンの塩濃度、典型的には、約0.01〜1.0M Na+イオン濃度(または他の塩)を含み、当該温度は、典型的に少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件はまた、フォルムアミドのような不安定化剤の添加により達成され得る。一般的に、特定のハイブリダイゼーションアッセイでの非関連プローブで観察されるものの2倍のノイズに対するシグナル比が特異的ハイブリダイゼーションの検出を示す。
以下のものは、本発明の参照ヌクレオチド配列に実質的に同一な相同性ヌクレオチド配列のクローニングに使用されるハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件の例である:プローブヌクレオチド配列は、好ましくは、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1 mM EDTA中のヌクレオチド配列に50℃でハイブリダイズさせ、その後、2XSSC、0.1% SDS中、50℃で洗浄する;より好ましくは、プローブおよび標的配列は、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1 mM EDTA中、50℃でハイブリダイズさせ、その後、1XSSC、0.1% SDS中、50℃で洗浄する;より好ましくは、プローブおよび標的配列は、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1 mM EDTA中、50℃でハイブリダイズさせ、その後、0.5XSSC、0.1% SDS中、50℃で洗浄する;より好ましくは、プローブおよび標的配列は、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1 mM EDTA中、50℃でハイブリダイズさせ、その後、0.1XSSC、0.1% SDS中、50℃で洗浄する;より好ましくは、プローブおよび標的配列は、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1 mM EDTA中、50℃でハイブリダイズさせ、その後、0.1XSSC、0.1% SDS中、65℃で洗浄する。
2つのヌクレオチド配列が実質的に同一であるという他の表示は、核酸によりコードされるタンパク質が実質的に同一であり、三次元構造の全体をシェアし、生物学的機能性等価物であるか、または免疫学的に交差反応である。これらの用語は、以下の標題GRP94ポリペプチドで更に定義する。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸分子はまた、相当するタンパク質が実質的に同一ならば、実質的に同一である。これは、例えば、2つのヌクレオチド配列が、遺伝学的コードにより許容されるように重要な縮重であるとき、生じ得る。
用語"保存置換変異体"は、縮重コドン置換を有する核酸配列をいい、ここで、1またはそれより多い選択された(または全ての)コドンの三番目の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている(Batzer et al. (1991) Nucleic Acids Res 19:5081; Ohtsuka et al. (1985) J Biol Chem 260:2605-2608; Rossolini et al. (1994) Mol Cell Probes 8:91-98)。
用語"サブ配列"は、より長い核酸配列の一部を含む核酸配列の配列をいう。典型的なサブ配列は、上記のプローブまたはプライマーである。ここで使用するとき用語"プライマー"は、連続配列をいい、約8またはそれより多いデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは10−20ヌクレオチド、およびより好ましくは20−30ヌクレオチドの選択核酸分子を含む。本発明のプライマーは、本発明の核酸分子における多量化の開始を提供する十分な長さおよび適当な配列のオリゴヌクレオチドを含む。
用語"伸張した配列"は、核酸中に組み込まれるヌクレオチド(または類似分子)の追加をいう。例えば、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)、例えば、核酸分子の3'末端に配列を付加するポリメラーゼは、伸張した配列を提供するのに使用し得る。加えて、ヌクレオチド配列は、他のDNA配列、プロモーター、プロモーター領域、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、イントロン配列、更なる制限酵素部位、マルチクローニングサイト、および他のコーディングセグメントと組み合わされ得る。
ここで使用するとき、用語"相補性配列"は、塩基対間での水素結合の痙性において、お互いと対となり得る逆平行ヌクレオチド配列を含む2つのヌクレオチド配列を示す。ここで使用するとき、用語"相補性配列"は、上記開示の同じヌクレオチドの比較により評価され得るか、または上記のような比較的ストリンジェントな条件下で目的の核酸セグメントにハイブリダイズできるように決定され得るように、実質的に相補性のヌクレオチド配列を意味する。相補性核酸セグメントの特定の例は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
用語"遺伝子"は、広く、生物学的機能と関連したDNAの任意のセグメントをいう。遺伝子は、以下に限らないが、コーディング配列、プロモーター領域、シス-調節配列、調節タンパク質の特異的認識配列である非発現DNAセグメント、遺伝子発現に寄与する非発現DNAセグメント、望ましいパラメーターを有するように設計したDNAセグメント、またはそれらの組み合わせを含む配列を含む。遺伝子は、種々の方法により得られ得、それには、生物学的サンプルからのクローニング、既知のまたは予測される配列情報に基づく合成、および存在する配列の組み換え体誘導が含まれる。
用語"遺伝子発現"は、生物学的に活性なポリペプチドがDNA配列から産生される細胞性プロセスをいう。
本発明は、開示のGRP94配列を含むキメラ遺伝子をも含む。ここで使用するとき、用語"キメラ遺伝子"は、GRP94コーディング配列、アンチセンスRNA分子を作成するヌクレオチド配列、ヘアピン構造のような三次構造を有するRNA分子、または二本鎖RNA分子に作動可能なように連結したプロモーター領域をいう。
ここで使用するとき、用語"作動可能なように連結"とは、ヌクレオチド配列の転写がプロモーター領域により調節され、制御されるような方法でヌクレオチド配列に連結するプロモーター領域をいう。ヌクレオチド配列に対しプロモーター領域を作動可能なように連結するための方法は当分野に既知である。
ここで使用するとき、用語"異種性遺伝子"、"異種性DNA配列"、"異種性ヌクレオチド配列"、"外因性核酸分子"、または"外因性DNAセグメント"はそれぞれ、外来の源から目的の宿主細胞へと由来する(originate)か、または同じ源由来ならば、そのオリジナル型から修飾される配列をいう。そのため、宿主細胞中の異種性遺伝子は、特定宿主細胞に対し異種的であるが、例えば変異誘発によりまたは天然シス-制御配列からの単離により修飾され得る遺伝子を含む。当該用語はまた、非天然で生ずる複数コピーの天然発生ヌクレオチド配列を含む。そのため、当該用語は、当該細胞にとって外来であるか異種性であるか、または宿主細胞核酸内の位置を除き当該細胞と同族である(ここで当該エレメントは通常では見られない)DNAセグメントをいう。
用語"プロモーター領域"とは、同じ遺伝子のコーディング配列に対し5'に位置し、コーディング配列の直接の転写に対し機能する遺伝子内のヌクレオチド配列をいう。当該プロモーター領域は、転写開始点および少なくとも1つのシス-制御エレメントを含む。本発明は、GRP94遺伝子のプロモーター領域、またはその機能性部分を含む核酸配列を含む。
ここで使用するとき、用語"シス-作用制御配列"または"シス-制御モチーフ"または"応答エレメント"は、それぞれ、調節転写因子に応答可能であるヌクレオチド配列をいう。応答性は、転写出力における減少または増大を含み得、応答エレメントを含むDNA分子に対する転写因子の結合により仲介される。
ここで使用するとき、用語"転写"は、遺伝子のコーディング配列中に存在する構造的情報のRNAとしての発現を指示する遺伝子とRNAポリメラーゼの相互作用を含む細胞性プロセスを意味する。当該プロセスは、以下に限らないが、以下のステップ:(a)転写開始、(b)転写伸張、(c)転写スプライシング、(d)転写キャッピング、(e)転写終結、(f)転写ポリアデニル化、(g)転写物の核外移行(nuclear export)、(h)転写物編集(transcript editing)、および(i)転写物の安定化を含む。
用語"転写因子"は、一般的に、RNAポリメラーゼ、転写関連因子(TAF)、クロマチン−リモデリングタンパク質、および遺伝子転写に影響する任意の他のタンパク質を含む、シス−調節エレメントおよび転写のための細胞性コンポーネントとの相互作用による遺伝子発現をモジュレートするタンパク質をいう。
プロモーター遺伝子フラグメントの"機能性部分"は、通常遺伝子転写に必要なプロモーター領域内のヌクレオチド配列である。機能性であるヌクレオチド配列を決定するため、レポーター遺伝子の発現は、プロモーター領域フラグメントの指示の下、不定的に置かれるとき、アッセイされる。
プロモーター領域フラグメントは、制限エンドヌクレアーゼまたはDNAse Iを用いより大きなフラグメントの酵素学的消化により通常行い得る。好ましくは、機能性プロモーター領域フラグメントは、約5000ヌクレオチド、より好ましく2000ヌクレオチド、より好ましくは約1000のヌクレオチドを含む。またより好ましくは、機能性プロモーター領域フラグメントは、約500ヌクレオチドを含み、またより好ましくは機能性プロモーター領域フラグメントは、約100ヌクレオチドを含み、またより好ましくは機能性プロモーター領域フラグメントは、約20ヌクレオチドを含む。
用語"レポーター遺伝子"または"マーカー遺伝子"または"選択マーカー"は、それぞれ、容易に観察されおよび/または定量される産物をコードする異種性遺伝子をいう。レポーター遺伝子は、外来の源から目的の宿主細胞へと由来する(originate)か、または同じ源由来ならば、そのオリジナル型から修飾される点で異種性である。転写調節領域に作動可能なように連結し得る検出可能レポーター遺伝子の限定されない例は、Alam & Cook (1990) Anal Biochem 188:245-254 およびPCT国際公開番号WO 97/47763に見られ得る。転写分析に好ましいレポーター遺伝子は、lacZ遺伝子(例えば、Rose & Botstein (1983) Meth Enzymol 101:167-180)、緑色蛍光タンパク質(GFP)(Cubitt et al. (1995) Trends Biochem Sci 20:448-455)、ルシフェラーゼ、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を含む。トランスジェニック動物を作成する方法に好ましいレポーター遺伝子は、以下に限定されないが、抗生物質耐性遺伝子を含み、より好ましくは抗生物質耐性遺伝子は、ネオマイシン耐性を供与する。任意の適当なレポーターおよび検出法が使用され得、当業者は、特定の選択は、本発明に本質的ではなく、また本発明に限定されるものでないと理解するであろう。
レポーター遺伝子の量は、レポーター遺伝子産物の存在または活性を定性的または好ましくは定量的に測定する任意の方法によりアッセイされ得る。それぞれの試験プロモーター領域フラグメントにより指示されるレポーター遺伝子発現の量は、プロモーター領域フラグメントの非存在下でレポーター遺伝子を含むコントロール構成物に対するレポーター遺伝子発現の量と比較される。プロモーター領域フラグメントは、コントロール構成物に対する比較として試験構成物におけるレポーター遺伝子の発現量に有意な増加があるとき、プロモーター活性を有するとして同定される。ここで使用するとき、用語"有意な増加"とは、測定技術に固有のエラーのマージンよりも大きな測定出来る質での量的な変化をいい、好ましくは、コントロール測定に比較して約2倍またはそれ以上の増加、より好ましくは約5倍またはそれ以上の増加、もっとも好ましくは約10倍またはそれ以上の増加である。
本発明は、開示GRP94配列を含むベクターを更に含み、プラスミド、コスミドおよびウイルスベクターが含まれる。ここで使用するとき、用語"ベクター"は、適合可能宿主細胞中で増幅可能な配列を有するDNA分子をいう。ベクターはまた、当該ベクター内のヌクレオチド配列のライゲーションを可能とするヌクレオチド配列を含み、ここで、そのヌクレオチド配列はまた、適合可能宿主細胞中で増幅される。ベクターはまた、以下に更に記載するように、GRP94ポリペプチドの組み換え産生を仲介する。好ましいベクターは、上記の標題Hsp90ポリペプチドの産生で列挙しており、以下に限らないが、pBluescript (Stratagene)、pUC18、pBLCAT3 (Luckow & Schutz (1987) Nucleic Acids Res 15:5490)、pLNTK (Gorman et al. (1996) Immunity 5:241-252)、およびpBAD/gIII (Stratagene)をも含む。好ましい宿主細胞は、哺乳類細胞である;より好ましい細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞、ヒーラー細胞、小型のハムスター腎臓細胞またはマウス細胞である;さらにより好ましくは、細胞はヒト細胞である。
本発明の核酸は、クローニングされ、合成され、組み換え的に変化され、変異誘発され、またはその組み合わせであり得る。核酸単離に使用した標準的組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当分野に既知である。例えば、限定されない方法は、Sambrook et al., eds. (1989)により、Silhavy et al.(1984) Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkにより、Ausubel et al.(1992) Current Protocols in Molecular Biology, John Wylie and Sons, Inc., New York, New Yorkにより、そしてGlover, ed. (1985) DNA Cloning: A Practical Approach, MRL Press, Ltd., Oxford, United Kingdomにより記載されている。塩基対変化、欠失または僅かな(small)挿入を生ずる部位特異的突然変異は、刊行物(例えば、Adelman et al., (1983) DNA 2:183;Sambrook et al. (1989)参照)に例示されるように当分野に既知である。
本発明の方法により検出される配列は、特定DNA配列の検出に通常適用される任意の方法を用いる当分野に熟知の任意の測定により更に評価され、その方法には、以下に限定されないが、ジデオキシ塩基配列決定、PCR、オリゴマーリストリクション(oligomer restriction)(Saiki et al. (1985) Bio/Technology 3:1008-1012)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブ分析(Conner et al. (1983) Proc Natl Acad Sci USA 80:278)、およびオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Landgren et. (1988) Science 241:1007)が含まれる。DNA分析のための分子技術は、レビューできる(Landgren et. al. (1988) Science 242:229-237)。
IX.B. GRP94ポリペプチド
本発明により提供されるポリペプチドは、配列番号2、4に開示の単離ポリペプチド、実質的に配列番号2、4または6に同一のポリペプチド、GRP94ポリペプチドフラグメント、GRP94アミノ酸配列を含む融合タンパク質、生物学的機能性類似体、およびGRP94ポリペプチドに特異的に認識する抗体と交差反応するポリペプチドを含む。好ましい実施態様では、GRP94ポリペプチドは、GRP94 LBDポリペプチドである。そのため、より好ましい実施態様では、GRP94 LBDは、配列番号4または6のいずれかのアミノ酸配列を含む。
ポリペプチドとの関連で使用するとき、用語"単離した"は、当該ポリペプチドが天然環境からは離れて存在し、天然の産物ではないことを示す。単離ポリペプチドは、精製型で存在し得るか、または例えばトランスジェニック宿主細胞のような非天然環境中に存在し得る。
ポリペプチドに適用されるとき、用語"精製された"は、ポリペプチドでは、天然状態で関連する他の細胞性コンポーネントが本質的にないことを示す。好ましくは、ポリペプチドは、均一な固体または水性溶液である。精製および均一は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を用い典型的に決定する。調製物中に存在する優勢な種であるポリペプチドは、実質的に精製されている。用語"精製された"は、ポリペプチドが、電気泳動ゲルにおいて本質的に1バンドで生ずることを示す。特に、ポリペプチドは、少なくとも約50%純度、より好ましくは少なくとも85%純度、および最も好ましく少なくとも約99%純度であること意味する。
2つまたはそれを超えるポリペプチド配列に関連して、用語"実質的に同一"は、約35%、または45%、または好ましくは45-55%、またはより好ましくは55-65%、または最も好ましくは65%またはそれより高い、同一または機能的に均等なアミノ酸を有するポリペプチド配列により測定される。"同一性"の割合および同一性の決定方法は以下に記載する。
実質的に同一のポリペプチドはまた、保存三次元構造をシェアする2つまたはそれより多いポリペプチドを含む。コンピューター法は、構造的描写の比較に使用され、構造モデルはが作成され得、容易に調整されて、重要な活性部位またはリガンド結合部位周囲の類似性を同定し得る。Henikoff et al.(2000) Electrophoresis 21(9):1700-1706;Huang et al. (2000) Pac Symp Biocomput 230-241;Saqi et al. (1999) Bioinformatics 15(6):521-522;and Barton (1998) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 54:1139-1146参照。
アミノ酸配列との関連での用語"機能的に等価"は、当分野に熟知されており、アミノ酸側鎖置換の相対的類似性に基づく。Henikoff & Henikoff (2000) Adv Protein Chem 54:73-97参照。考慮のための関連因子には、側鎖疎水性、親水性、荷電および大きさが含まれる。例えば、アルギニン、リシンおよびヒスチジンは、すべて陽性荷電残基であり、アラニン、グリシンおよびセリンはすべて同様の大きさであり、そしてフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは一般的に類似の形を有している。以下に更に記載するこの分析により、アルギニン、リシンおよびヒスチジン;アラニン、グリシン、およびセリン;およびフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシン;は、生物学的に機能性等価物であるとして定義される。
生物学的に機能性等価物アミノ酸置換の作成において、アミノ酸のヒドロパシー指標が考慮され得る。それぞれのアミノ酸は、疎水性および荷電特性に基づきヒドロパシー指標が割り当てられる:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リシン(-3.9);そしてアルギニン(-4.5)。
タンパク質における、供せられる相互作用性生物学的機能のヒドロパシーアミノ酸指標の重要性は、一般的に、当分野で理解されている(Kyte et al. (1982) J Mol Biol 157:105.)。特定アミノ酸は同様のヒドロパシー指標またはスコアを有する他のアミノ酸と置換され得、また同様の生物学的活性を保持し得る。ヒドロパシー指標に基づく変化において、アミノ酸の置換では、ヒドロパシー指標が元の値±2が好ましく、元の値±1が特に好ましく、元の値±0.5が更に特に好ましい。
アミノ酸のようなものの置換は、親水性に基づき効率的に作成され得ることが当分野でまた既知である。米国特許番号4,554,101は、隣接アミノ酸の親水性により決定されるように、タンパク質の最も大きな局所的平均親水性(local average hydrophilicity)が、免疫原性および抗原性に、すなわち、タンパク質の生物学的特性に関連することを記載する。アミノ酸は、同様の親水性値を有する他のものに置換され得、また生物学的に均等のタンパク質が得られ得ることが理解される。
米国特許番号4,554,101に記載するように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている;アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン;(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。
同様の親水性値に基づく変化において、アミノ酸の置換では、親水性値が元の値±2が好ましく、元の値±1が特に好ましく、元の値±0.5が更により特に好ましい。
本発明は、GRP94ポリペプチドフラグメントまたはGRP94ポリペプチドの機能性部分を含む。その機能性部分は、天然GRP94遺伝子産物のアミノ酸配列のすべてまたは実質的にすべてを含む必要はない。用語"機能性"は、免疫原性を含む、任意の生物学的活性または特徴を含む。好ましい実施態様は、リガンド結合ポケットを決定するGRP94 LBDおよびそのフラグメント含む。
本発明はまた、より長い配列のGRP94ポリペプチド、またはその部分を含む。例えば、1つまたはそれより多いアミノ酸は、GRP94ポリペプチドのN末端またはC末端に追加され得る。GRP94ポリペプチド配列を含む融合タンパク質はまた、本発明の範囲内で提供される。そのタンパク質を調製する方法は当分野に既知である。
本発明はまた、GRP94ポリペプチドの機能性類似体を含む。機能性類似体は、少なくとも1つの生物学的機能を、GRP94ポリペプチドとシェアする。典型的な機能は、免疫原性である。アミノ酸配列の関連において、ここで使用するとき、生物学的機能性類似体は、特定(殆どまたは全てではないが)のアミノ酸が置換され得るペプチドである。機能性類似体は、相当するアミノ酸分子のレベルで作成され得、望ましいアミノ酸変化をコードするように配列を変化させ得る。1つの実施態様では、変化が導入され、タンパク質の抗原性が改善され得る。他の実施態様では、GRP94ポリペプチド配列は、変異GRP94ポリペプチドの活性を評価するように変化される。
本発明はまた、開示GRP94ポリペプチドの組み換え産物を含む。端的には、GRP94ポリペプチドをコードする核酸配列、またはその部分は、発現カセット中にクローニングされ、そのカセットは、宿主生体中に導入され、組み換え的に作成される。
ここで使用するとき、用語"発現カセット"は、適当な宿主細胞中で特定ヌクレオチド配列の発現を指示することが可能なDNA配列を意味し、終結シグナルに作動可能なように連結する目的のヌクレオチド配列に作動可能なように連結したプロモーターを含む。ヌクレオチド配列の適当な翻訳に必要な配列もまた含まれる。目的のヌクレオチド配列を含む発現カセットはキメラであり得る。発現カセットはまた、天然に生ずるが、異種性発現に有用な組み換え型で得られるものであり得る。
発現カセット中のヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下にあり得、それは、宿主細胞が幾つかの特定の外部刺激にさらされたときのみ転写を開始する。典型的なプロモーターは、シミアンウイルス40初期プロモーター、レトロウイルス由来の長い末端反復プロモーター、動作プロモーター、熱ショックプロモーター、およびメタロシエン(metallothien)タンパク質を含む。多細胞生物の場合には、プロモーターおよびプロモーター領域は、特定組織または器官または発生の段階に対し発現を指示し得る。典型的な組織特異的プロモーター領域は、ここで記載するGRP94プロモーターを含む。用いら得る適当な発現ベクターは、以下に限らないが、以下のベクターまたはその誘導体を含む:ヒトまたは動物ウイルス、例えば、ワクシニアウイルスまたは
アデノウイルス、酵母ベクター、バクテリオファージベクター(例えば、ラムダファージ)、おおびプラスミドおよびコスミドDNAベクター。
ここで使用するとき、用語"宿主細胞"は、異種性核酸分子が導入される細胞をいう。形質転換した細胞、組織または生体は、形質転換プロセスの最終産物だけでなく、そのトランスジェニック子孫もまた含まれる。
宿主細胞株は、挿入配列の発現をモジュレートするか、特定の望ましい方法で遺伝子産物を修飾およびプロセスするように選択され得る。例えば、異なる宿主細胞は、翻訳および翻訳後プロセッシングおよび修飾のための特徴的および特異的な機構を有する(例えば、グリコシル化、タンパク質のリン酸化)。適当な細胞系または宿主系は、発現する外来タンパク質の望ましい修飾およびプロセッシングを確実にするように選択し得る。細菌系での発現は、非グリコシル化コアタンパク質産物を産生するように使用し得る。酵母での発現は、グリコシル化産物を産生する。動物細胞における発現は、異種性タンパク質の"天然"グリコシル化を確実するように使用し得る。
発現構成は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-Dextranトランスフェクション、リポソーム仲介トランスフェクション、およびレトロウイルスを用いる感染を含む、任意の標準的方法により宿主細胞中にトランスフェクトされる。発現構成物中に保有されるGRP94コード化ヌクレオチド配列は、安定して、宿主のゲノム中に組み込まれるか、または染色体外分子として存在し得る。
単離ポリペプチドおよび組み換え的に産生されたポリペプチドは、当業者に熟知の種々の標準的技術を用い、精製され、特性解析され得る。例えば、Ausubel et al. (1992), Bodanszky, et al.(1976) Peptide Synthesis、John Wiley and Sons, Second Edition, New York, New York および Zimmer et al.(1993) Peptides, pp. 393-394, ESCOM Science Publishers, B. V.参照。
IX.C. ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の比較
2またはそれを超えるヌクレオチドまたはポリペプチド配列の関連では、用語"同一"または"同一性"の割合は、ここで開示の配列比較アルゴリズムの1つを用いまたは視覚的な調査による測定として、一致が最大となるように比較およびアライメントするとき、同じである2以上の配列またはサブ配列をいうか、または同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドを特定の割合で有する2以上の配列またはサブ配列をいう。
ヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関する用語"実質的に同一"は、特定配列は、1つまたはそれより多い欠失、置換または付加により、天然に生ずる配列の配列から変わり、その正味の効果は、は、少なくとも幾つかの、天然遺伝子、遺伝子産物、または配列の生物学的活性を保持することを意味する。その配列は、"変異体"配列、または配列群を含み、ここで、生物学的活性は、ある程度変わるが、少なくとも幾つかの元の生物学的活性を保持するように変化する。ここで使用するとき、用語"天然に生ずる"は、天然において、人による人工的な作成とは別個のものとして見られ得る組成物を記載するの使用される。例えば、天然の源から単離され得、研究で人により故意に修飾されていない、生体に存在するタンパク質またはヌクレオチド配列が天然に生ずる。
配列比較のため、典型的に1つの配列は、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用し、試験および参照配列は、コンピュータープログラムに入力されると、サブ配列座標は、必要ならば設計され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが選択される。次いで、配列比較アルゴリズムは、選択プログラムパラメーターに基づき、参照配列に関連する設計試験配列の配列同一性の割合を算出する。
比較のための配列の最適アルゴリズムは、例えば、Smith & Waterman (1981) Adv Appl Math 2:482の局所的ホモロジーアルゴリズムにより、Needleman & Wunsch (1970) J Mol Biol 48:443のホモロジーアライメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman (1988) Proc Natl Acad Sci USA 85:2444-2448の類似方法のための探索により、これらアルゴリズムのコンピューター化インプリメンテーション(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group, Madison, WI)により、または視覚的調査により、構成され得る。一般的にはAusubel et al., 1992参照。
配列同一性および配列類似性の割合を測定する好ましいアルゴリズムは、BLASTアルゴリズムであり、それは、Altschul et al.(1990) J Mol Biol 215:403-410に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により公に利用可能である。このアルゴリズムは、クエリー配列中の長さWの短いワードを同定することによりハイスコアの配列対を第一に同定することを含み、それは、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントするとき幾つか陽性値の臨界スコアTに一致するかまたはそれを満たす。Tは、近隣ワードスコア臨界(neighborhood word score threshold)と称する。これらの最初の近隣のワードヒットは、探索を開始するためのシード(seed)として作用し、これらを含むより長いハイスコアの配列対を発見する。次いで、当該ワードヒットは、累積的にアライメントスコアが増大し得る限り、それぞれの配列に沿って両方の方向に伸張される。累積的スコアは、ヌクレオチド配列の場合、パラメーターM(一致する残基の対のリワードスコア;通常>0)およびN(ミスマッチの残基のペナルティースコア;通常<0)を用い算出する。アミノ酸配列の場合、スコアリングマトリクスは、累積的スコアを算出するために使用する。それぞれの方向のワードヒットの伸張は、累積的アルゴリズムスコアが最大到達値から量Xずつ減少し、1つまたはそれより多い負のスコアリング残基アライメントの蓄積により累積的スコアが零またはそれ未満となり、または何れかの配列の端にまで到達するとき、停止する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTプログラム(ヌクレオチド配列の場合)は、デフォルト、ワード長さW=11、期待値E=10、カットオフ 100、M=5、N=-4として、および両鎖の比較として使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルト、ワード長さ(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリクスとして使用する。Henikoff & Henikoff (1989) Proc Natl Acad Sci USA 89:10915参照。
配列同一性の割合の算出に加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間での類似性の統計学的分析を行う。例えば、Karlin and Altschul (1993) Proc Natl Acad Sci USA 90:5873-5887。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの測定は、最小の合計確率(P(N))であり、それは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間での一致が偶然発生する確率を示す。例えば、試験核酸配列は、参照配列に類似すると見なされ、それは、参照核酸配列に対する試験核酸配列の比較における最小の合計確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である。
IX.D. Hsp90およびGRP94変異体ポリペプチド
キメラGRP94ポリペプチドの産生はまた、本発明の態様である。そのキメラポリペプチドは、GRP94、またはGRP94 LBDポリペプチドまたはGRP94もしくはGRP94 LBDの一部(例えば、GRP94 LBDの結合ポケット)を含み得、それらは、候補ポリペプチドまたは候補ポリペプチドの適当な領域に融合されている。本発明の開示を通して、用語"変異体"は、ポリペプチドの変異体だけでなく、同様にGRP94またはGRP94 LBDを用い作成されるキメラタンパク質もまた含むことが意図される。そのため、変異体GRP94またはGRP94 LBDの以下の考察は、準用して(mutatis mutandis)、キメラGRP94およびGRP94 LBDポリペプチドに、およびその構造的等価物に適用されることが意図される。
本発明により、変異は、特定の部位または野生型GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドの部位の組み合わせに向けられ得る。例えば、アクセサリー結合部位または結合ポケットは、変異誘発のために選択され得る。同様に、ポリペプチドの表面上、表面でまたは表面近くの位置を有する残基は置換され得、野生型GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドと比較すると、1つまたはそれより多い荷電単位の他の表面荷電を生ずる。他に、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチド中のアミノ酸残基は、親水性または疎水性特性に基づき置換のために選択され得る。
その変異体は、幾つか異なる特性のうちの何れか1つ、すなわち、野生型GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドと比較して"望ましい"または"事前に決定された"特徴によって特徴づけられ得る。例えば、その変異体は、1つまたはそれより多い荷電単位の変化表面荷電を有し得るか、または全体的な安定性を増加し得る。他の変異体は、野生型GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドと比較して変化した基質特異性、またはそれよりも高い特異的活性を有し得る。
本発明のGRP94またはGRP94 LBDポリペプチド変異体は、多くの方法で作成され得る。例えば、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドの野生型配列は、変異として望ましいものとして本発明を用い、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発(oligonucleotide-directed mutagenesis)または欠失のような他の通常の方法のアプローチにより、同定された部位で変異され得る。他に、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドの変異体は、特定アミノ酸の、非天然で生ずるアミノ酸による部位特異的置換により作成され得る。加えて、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチド変異体は、アミノ酸残基、例えば、特にシステインまたはメチオニン残基の、セレノシステインまたはセレノメチオニンによる置換により作成され得る。これは、天然システインまたはメチオニン(または両方)の何れかが欠乏しているが、セレノシステインまたはセレノメチオニン(または両方)が豊富な増殖培地において野生型または変異体のポリペプチドの何れかを発現し得る宿主生体を増殖させることにより達成され得る。
変異は、合成オリゴヌクレオチドを用い、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドをコードするDNA配列中に導入され得る。これらのオリゴヌクレオチドは、望ましい変異部位に隣接するヌクレオチド配列を含む変異は、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドの全長DNA配列またはGRP94またはGRP94 LBDポリペプチドのポリペプチドフラグメントをコードする任意の配列中で生じ得る。
本発明により、上記の方法または当分野に既知の任意の他の方法により作成した、変異GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドコードDNA配列は、上記開示の技術により発現ベクターを用い発現させ得る。その後、ポリペプチドは、ここで開示の技術により精製され、および/または結晶化され得る。
一旦、変異が、活性部位のような望ましい位置、すなわち、"望ましい"または"事前に決定した"位置で生ずると、当該変異体は、目的の幾つかの特徴のうちの何れか1つについて試験され得る。例えば、変異体は、生理学的なpHで変化した荷電についてスクリーニングすることができる。この特性は、変異体ポリペプチド等電点(pI)を測定することにより、観察される値を野生型の親のものと比較することにより、決定され得る。等電点は、Wellner (Wellner, (1971) Anal. Chem. 43: 597)の方法によるゲル電気泳動で測定され得る。本発明の構造的情報により提供されるような酵素の表面に位置する置換アミノ酸を含む変異体ポリペプチドは、変化した表面荷電および変化したpIを生じ得る。
IX.E. 本発明のGRP94ポリペプチドに対する抗体
本発明はまた、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドに特異的に結合する抗体およびその抗体を産生する方法を提供する。用語"抗体"は、免疫グロブリンタンパク質、その機能性部分を示し、それには、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、およびFab発現ライブラリーが含まれる。"機能性部分"とは、目的分子に結合するタンパク質の部分をいう。好ましい実施態様では、本発明の抗体は、モノクローナル抗体である。抗体を調製および特性解析する技術は当分野に既知である(例えば、Harlow & Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York参照)。本発明のモノクローナル抗体は、米国特許番号4,196,265に例示のハイブリドーマ技術および米国特許番号5,260,203に開示のファージディスプレイ技術のような熟知の技術の使用により容易に調製され得る。
タンパク質またはペプチドについて言及するとき、フレーズ"特異的(または選択的)に抗体に結合する"または"特異的(または選択的)に免疫反応する"とは、タンパク質および他の生物学的物質の異種性郡中におけるタンパク質の存在について決定的である結合反応をいう。そのため、設計された免疫アッセイ条件下では、特異的抗体は、特定タンパク質に結合し、サンプル中に存在する他のタンパク質への有意な結合は見られない。その条件下での抗体への特異的結合は、特定タンパク質に対する特性について選択される抗体を必要とし得る。例えば、本発明の任意の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列を用いタンパク質に対し生ずる抗体は、そのタンパク質とは特異的に免疫反応性を有するが関連のないタンパク質とは免疫反応性を有しない抗体を得るように選択され得る。
抗体、特にモノクローナル抗体、およびより特に一本差抗体を作成する分子クローニングアプローチの使用がまた、提供され得る。一本差抗体の産生は、当分野に記載されている。例えば、米国特許番号5,260,203参照。このアプローチでは、コンビナトリアル免疫グロブリンファージミドライブラリーは、免疫化動物の脾臓から分離されたRNAから調製され得、適当な抗体を発現するファージミドは、内皮組織上でパンニング(panning)することにより選択される。通常のハイブリドーマ技術を超えるこのアプローチの利点は、おおよそ104倍の多くの抗体が一回で産生され、スクリーニングされ得ることであり、そして新規特異性は、一本鎖における重(H)および軽(L)鎖の組み合わせにより生じ、適当な抗体の発見する機会が更に増加することである。そのため、本発明の抗体、または本発明の抗体の"誘導体"は、結合特異性および当該結合特異性に実質的に類似の親和性およびここで記載の抗体の軽および重鎖集合可変領域の親和性を有する単一のポリペプチド鎖結合分子に適する。
ここで使用するとき、用語"免疫化学反応"は、特定タンパク質に特異的に結合する抗体の検出に使用する種々の免疫アッセイ型のうちの何れかをいい、以下に限らないが、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、ゲル拡散沈降反応(gel diffusion precipitation reaction)、免疫拡散アッセイ、イン・シトゥーイムノアッセイ(例えば、コロイド金、酵素または放射性同位元素ラベルを用いる)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、赤血球凝集アッセイ)、補体固定化アッセイ(complement fixation assay)、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどのような技術を用いる競争および非競争アッセイが含まれる。Harlow & Lane (1988) for a description of immunoassay formats and conditions参照。
IX.F. GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドを検出するためまたはそれらをコードする核酸分子を検出するための方法
本発明の他の態様では、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドまたはその部分を特異的に認識する抗体を用いるGRP94またはGRP94 LBDポリペプチドのレベルを検出する方法を提供する。好ましい実施態様では、実験的対象物および対照対象物由来の生物学的サンプルが得られ、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドは、抗体を用いる免疫化学反応によりそれぞれのサンプル中で検出される。より好ましくは、当該抗体は、配列番号2、4および6のうちの何れか1つのアミノ酸を認識し、抗体を産生するための本発明の方法により調製される。
1つの実施態様では、抗体は、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドの存在について生物学的サンプルのスクリーニングに使用される。スクリーニングされるべき生物学的サンプルは、細胞外または細胞内の液体のような生物学的な液体であり得るか、または細胞または組織抽出物またはホモジネートであり得る。生物学的サンプルはまた、単離細胞(例えば、培養中)であるか、または組織サンプルまたは組織学的サンプル中のような細胞の収集物であり得る。組織サンプルは、液体培地中に懸濁されるか、または顕微鏡スライドのような固体支持体上に固定した。スクリーニングアッセイ法により、生物学的サンプルは、存在がアッセイされる、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドと免疫反応する抗体にさらされ、抗体-ポリペプチド複合体の形成が検出される。その抗体-抗原結合体または複合体は、当分野に熟知されており、以下に限定されないが、遠心分離、アフィニティークロマトグラフィーなど、および抗体-抗原複合体に対する標識化二次抗体の結合が含まれる。
本発明の他の態様では、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドをコードする核酸分子を検出する方法を提供する。本方法により、当該方法により、核酸物質を有する生物学的サンプルは、本発明のGRP94またはGRP94 LBDポリペプチドコード化核酸分子に対するストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で捕獲され、ハイブリダイズする。そのハイブリダイゼーションにより、生物学的サンプルの核酸分子およびGRP94またはGRP94 LBDポリペプチドコード化核酸分子は、検出可能な二重鎖構造を形成する。好ましくは、GRP94またはGRP94 LBDポリペプチドコード化核酸分子は、配列番号3または5の何れか1つのうちの幾つかまたは全てのヌクレオチドを含む。また好ましくは、生物学的サンプルは、ヒト核酸物質を含む。
X. リガンド組成物
1つの実施態様では、本発明は、GRP94のリガンドとして作用する物体の組成物に適合する。そのリガンドは、ここで開示の方法を用い同定され得、本発明の結晶構造の調製物中で使用することもできる。当該リガンドは、GRP94の精製し単離した天然リガンドを含むか、または合成化合物を含み得、それらは、スクリーニングおよびここで開示の合理的な薬物設計技術により同定されるようなものである。好ましくはそのリガンドは、小分子模倣体である。より好ましくは、当該リガンドは、GRP94生物学的活性のモジュレーション中において活性を有する。そのため、その活性を有するリガンドはまた、ここでは"モジュレーター"として称せられる。典型的なリガンド組成物は、好ましくは約500-1000ダルトンの多環分子であり、それは、ラジシコール、ゲルダナマイシン、またはアデノシン誘導体に構造的に類似の点を示し得る。所望によりリガンドは疎水性である。
典型的なリガンドまたは物体のモジュラー組成物は、2'、3'、および5'位で任意の種々の置換を有するアデノシン部分またはその構造的模倣体を含み、アデノシンの場合、リガンド-GRP94相互作用のハイレゾリューション構造分析によるのが適当のように思われる。所望により、5'位アルキル伸張が、好ましくは親アデノシンに対するカルボキサミド連結として含まれ得、そしてアフィニティーに基づく精製を目的とする固体支持体への安定化学的連結を促進し、それは、以下に限らないが、ビニル、マレイミドおよび/またはスクシンイミドエステル、アミノもしくはメルカプト基のような固相支持体に結合する化合物に適当な置換基を含む一部の化学的反応基のうちの何れかで終結する。当該組成物は、GRP94のリガンドとして作用し、ここで開示の、精製、スクリーニングおよび治療方法に適用できる。
更なるリガンドは、水素結合模倣体を生ずる親前駆体分子のコンビナトリアル化学により同定され得、それは、好ましくは、アデノシンのリボース、ベンズイミダゾールまたは構造的関連骨格に相当し、アデノシンのアデニン塩基に相当する。
典型的なリガンドまたはモジュラー組成物は、式(I)の化合物を含む:
Figure 2010110324
[式中、XおよびYは、同じかまたは異なっており、XおよびY=C、N、OまたはS;およびXおよびYは、水素、ヒドロキシルまたは酸素で置換されており、二重結合した酸素を含み;
R1=水素、ヒドロキシル、C1からC6アルキル、C1からC6分枝アルキル、C1からC6ヒドロキシアルキル、分枝C1からC6ヒドロキシアルキル、C4からC8シクロアルキル、C1からC6アルケニル、分枝C1からC6アルケニル、C4からC8シクロアルケニル、C4からC8アリール、C4からC8アロイル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、C1からC6アルコキシ、C1からC6分枝アルコキシ、C4からC8アリールオキシ、第一、第二または第三C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三分枝C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三シクロアルキルアミノ、第一、第二または第三C4からC8アリールアミノ、C1からC6アルキルカルボン酸、分枝C1からC6アルキルカルボン酸、C1からC6アルキルエステル、分枝C1からC6アルキルエステル、C4からC8アリールカルボン酸、C4からC8アリールエステル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、環内にO、NまたはSを有するC4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール、環内にO、NまたはSを有するアルキル置換またはアリール置換C4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール;またはそのヒドロキシル-、アミノ-、またはハロ-置換型;またはR1はハロであり、ここで、ハロはクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである、
R2=水素、ヒドロキシル、C1からC6アルキル、C1からC6分枝アルキル、C1からC6ヒドロキシアルキル、分枝C1からC6ヒドロキシアルキル、C4からC8シクロアルキル、C1からC6アルケニル、分枝C1からC6アルケニル、C4からC8シクロアルケニル、C4からC8アリール、C4からC8アロイル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、C1からC6アルコキシ、C1からC6分枝アルコキシ、C4からC8アリールオキシ、第一、第二または第三C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三分枝C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三シクロアルキルアミノ、第一、第二または第三C4からC8アリールアミノ、C1からC6アルキルカルボン酸、分枝C1からC6アルキルカルボン酸、C1からC6アルキルエステル、分枝C1からC6アルキルエステル、C4からC8アリールカルボン酸、C4からC8アリールエステル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、環内にO、NまたはSを有するC4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール、環内にO、NまたはSを有するアルキル置換またはアリール置換C4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール;またはそのヒドロキシル-、アミノ-、またはハロ-置換型;またはR2はハロであり、ここで、ハロはクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである、そして
R3=水素、ヒドロキシル、C1からC6アルキル、C1からC6分枝アルキル、C1からC6ヒドロキシアルキル、分枝C1からC6ヒドロキシアルキル、C4からC8シクロアルキル、C1からC6アルケニル、分枝C1からC6アルケニル、C4からC8シクロアルケニル、C4からC8アリール、C4からC8アロイル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、C1からC6アルコキシ、C1からC6分枝アルコキシ、C4からC8アリールオキシ、第一、第二または第三C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三分枝C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三シクロアルキルアミノ、第一、第二または第三C4からC8アリールアミノ、C1からC6アルキルカルボン酸、分枝C1からC6アルキルカルボン酸、C1からC6アルキルエステル、分枝C1からC6アルキルエステル、C4からC8アリールカルボン酸、C4からC8アリールエステル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、環内にO、NまたはSを有するC4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール、環内にO、NまたはSを有するアルキル置換またはアリール置換C4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール;またはそのヒドロキシル-、アミノ-、またはハロ-置換型;またはR3はハロであり、ここで、ハロはクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである]。
ここでリガンド組成物は、式(II)の化合物を含む:
Figure 2010110324
[式中、XおよびYは、同じかまたは異なっており、XおよびY=C、N、OまたはS;およびXおよびYは、水素、ヒドロキシルまたは酸素で置換されており、二重結合した酸素を含み;
R1=水素、ヒドロキシル、C1からC6アルキル、C1からC6分枝アルキル、C1からC6ヒドロキシアルキル、分枝C1からC6ヒドロキシアルキル、C4からC8シクロアルキル、C1からC6アルケニル、分枝C1からC6アルケニル、C4からC8シクロアルケニル、C4からC8アリール、C4からC8アロイル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、C1からC6アルコキシ、C1からC6分枝アルコキシ、C4からC8アリールオキシ、第一、第二または第三C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三分枝C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三シクロアルキルアミノ、第一、第二または第三C4からC8アリールアミノ、C1からC6アルキルカルボン酸、分枝C1からC6アルキルカルボン酸、C1からC6アルキルエステル、分枝C1からC6アルキルエステル、C4からC8アリールカルボン酸、C4からC8アリールエステル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、環内にO、NまたはSを有するC4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール、環内にO、NまたはSを有するアルキル置換またはアリール置換C4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール;またはそのヒドロキシル-、アミノ-、またはハロ-置換型;またはR1はハロであり、ここで、ハロはクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである、
R2=水素、ヒドロキシル、C1からC6アルキル、C1からC6分枝アルキル、C1からC6ヒドロキシアルキル、分枝C1からC6ヒドロキシアルキル、C4からC8シクロアルキル、C1からC6アルケニル、分枝C1からC6アルケニル、C4からC8シクロアルケニル、C4からC8アリール、C4からC8アロイル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、C1からC6アルコキシ、C1からC6分枝アルコキシ、C4からC8アリールオキシ、第一、第二または第三C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三分枝C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三シクロアルキルアミノ、第一、第二または第三C4からC8アリールアミノ、C1からC6アルキルカルボン酸、分枝C1からC6アルキルカルボン酸、C1からC6アルキルエステル、分枝C1からC6アルキルエステル、C4からC8アリールカルボン酸、C4からC8アリールエステル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、環内にO、NまたはSを有するC4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール、環内にO、NまたはSを有するアルキル置換またはアリール置換C4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール;またはそのヒドロキシル-、アミノ-、またはハロ-置換型;またはR2はハロであり、ここで、ハロはクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである、
R3=水素、ヒドロキシル、C1からC6アルキル、C1からC6分枝アルキル、C1からC6ヒドロキシアルキル、分枝C1からC6ヒドロキシアルキル、C4からC8シクロアルキル、C1からC6アルケニル、分枝C1からC6アルケニル、C4からC8シクロアルケニル、C4からC8アリール、C4からC8アロイル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、C1からC6アルコキシ、C1からC6分枝アルコキシ、C4からC8アリールオキシ、第一、第二または第三C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三分枝C1からC6アルキルアミノ、第一、第二または第三シクロアルキルアミノ、第一、第二または第三C4からC8アリールアミノ、C1からC6アルキルカルボン酸、分枝C1からC6アルキルカルボン酸、C1からC6アルキルエステル、分枝C1からC6アルキルエステル、C4からC8アリールカルボン酸、C4からC8アリールエステル、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、環内にO、NまたはSを有するC4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール、環内にO、NまたはSを有するアルキル置換またはアリール置換C4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール;またはそのヒドロキシル-、アミノ-、またはハロ-置換型;またはR3はハロであり、ここで、ハロはクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである、そして
R4=C1からC6アルキル、C1からC6分枝アルキル、環内にO、NまたはSを有するかまたは有しないC4からC8シクロアルキル、C1からC6アルケニル、分枝C1からC6アルケニル、環内にO、NまたはSを有するかまたは有しないC4からC8シクロアルケニル、C4からC8アロイル、C4からC8アリール、環内にO、NまたはSを有するC4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール、C4からC8アリール置換C1からC6アルキル、環内にO、NまたはSを有するアルキル置換またはアリール置換C4からC12複素環または複素多環アルキルまたはアリール、アルキル置換C4からC8アロイル、またはアルキル置換C4からC8アリール;またはそのヒドロキシル-、アミノ-、またはハロ-置換型、ここで、ハロはクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである]。
XI. 精製方法
本発明により、GRP94または幾つかの例では、HSP90を含む複合体をアフィニティークロマトグラフィーで精製する方法を提供する。当該複合体は、好ましくは、抗原分子に結合したGRP94を含む。より好ましくは、当該複合体は、抗原分子に非共有結合的に結合したGRP94を含む。1つの実施態様では、当該方法は、GRP94複合体を含むサンプルを、好ましくはGRP94に結合する結合剤(当該結合剤は、固相支持体に固定化されている)と接触させ、当該複合体を固相支持体に固定化すること;残りのサンプルを回収すること;および固相支持体からGRP94複合体を溶出させ、溶出液中に精製GRP94複合体を供することを含む。フレーズ"好ましくはGRP94に結合する結合剤"により、それは、以下に限らないが、他の熱ショックタンパク質を含む他の分子実在物との比較として好ましくはGRP94に結合する薬剤を意味する。
結合剤は、好ましくは、2'、3'、および5'位で任意の種々の置換を有するアデノシン部分またはその構造的模倣体を含み、アデノシンの場合、リガンド-GRP94相互作用のハイレゾリューション構造分析によるのが適当のように思われる。所望により、5'位アルキル伸張が、好ましくは親アデノシンに対するカルボキサミド連結として含まれ得、そしてアフィニティーに基づく精製を目的とする固体支持体への安定化学的連結を促進し、それは、以下に限らないが、ビニル、マレイミドおよび/またはスクシンイミドエステル、アミノもしくはメルカプト基のような固相支持体に結合する化合物に適当な置換基を含む一部の化学的反応基のうちの何れかで終結する。より好ましくは、結合剤は、ATPまたはADPを有さない。典型的な結合剤は、式(I)の化合物または式(II)の化合物を含む。他の典型的な結合剤は、N-エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)を含む。更なるリガンドは、水素結合模倣体を生ずる親前駆体分子のコンビナトリアル化学により同定され得、それは、好ましくは、アデノシンのリボース、およびベンズイミダゾールまたは構造的関連骨格に相当し、アデノシンのアデニン塩基に相当する。
所望により、固定化結合剤に結合する複合体は、固相支持体を、適当な濃度の親リガンド(すなわち、結合剤)を含む生理学的食塩水溶液を含む緩衝液で洗浄することにより溶出され、溶出液中に複合体を供する。ここで、結合剤または溶出リガンドを更に含む複合体はまた、本発明により提供される。次いで、溶出リガンドは、以下に限らないが、生理食塩水溶液および炭酸アンモニウムを含むGMP産物に適当な緩衝液中の透析により、溶出溶液から取り除く。
上記開示のアフィニティー方法を用い、任意の真核細胞から、GRP94-ペプチド複合体またはGRP94単独、または幾つかの例では、HSP90ペプチド複合体またはHSP90タンパク質単独を単離し得る。例えば、事前に選択した細胞内病原体、腫瘍細胞または腫瘍細胞系で感染させた組織、単離細胞または不死真核細胞系を用い得る。当該複合体はまた、ほ乳類および鳥類を含む恒温脊椎動物のような脊椎対象から得られ得る。所望により、ほ乳類は、以下に限らないが、ヒト、マウス、ブタ、ラット、類人猿、サル、ネコ、モルモット、ウシ、ヤギおよびウマを含む。
1つの態様では、当該複合体は、脊椎対象に対し"自己由来である";すなわち、当該複合体は、感染細胞、または脊椎対象の癌細胞または前癌細胞の何れかから単離される(例えば、好ましくは、脊椎対象の感染組織または腫瘍生検から調製された)。
他に、当該複合体は、インビトロで作成される(例えば、異種性抗原分子との複合体が望ましい)。他にGRP94および/または抗原分子は、特定の脊椎対象から、または他から単離されるか、または特定の脊椎対象または他から本来誘導されたクローニング化GRP94を用いる組み換え産生方法により、単離され得る。GRP94(または幾つかの例ではHSP90)と複合して使用するための外因性抗原およびフラグメントおよびその誘導体(ペプチドおよび非ペプチドの両方)は、当業者に既知のもの、および抗体またはMHC分子と結合する(抗原性)か免疫応答を生じる(免疫原性)能力により当分野に既知の標準的免疫アッセイにより容易に同定されるものから選択され得る。GRP94および抗原性分子の複合体は、対象の癌または前癌組織から、または癌細胞系から単離され得るか、またはインビトロで産生され得る(外因性抗原が抗原性分子として使用される実施態様に必要であるため)。
XI.A. 抗原性/免疫原性コンポーネントの単離
GRP94または幾つかの例ではHSP90を含む複合体と結合する抗原性分子を単離しまたは精製するための方法はまた、本発明により提供される。1つの実施態様では、当該方法は、抗原性分子およびGRP94を含む複合体を好ましくはGRP94に結合する結合剤と接触させること、結合剤は固相支持体に固定化され、当該複合体は固相支持体に固定化される;残りのサンプルを回収すること;当該複合体を当該固相支持体から溶出し、溶出液中に精製複合体を供すること;および当該溶出液から抗原性分子を単離することを含む。
結合剤は、好ましくは、2'、3'、および5'位で任意の種々の置換を有するアデノシン部分またはその構造的模倣体を含み、アデノシンの場合、リガンド-GRP94相互作用のハイレゾリューション構造分析によるのが適当のように思われる。所望により、5'位アルキル伸張が、好ましくは親アデノシンに対するカルボキサミド連結として含まれ得、そしてアフィニティーに基づく精製を目的とする固体支持体への安定化学的連結を促進し、それは、以下に限らないが、ビニル、マレイミドおよび/またはスクシンイミドエステル、アミノもしくはメルカプト基のような固相支持体に結合する化合物に適当な置換基を含む一部の化学的反応基のうちの何れかで終結する。より好ましくは、結合剤は、ATPまたはADPを有さない。典型的な結合剤は、式(I)の化合物または式(II)の化合物を含む。他の典型的な結合剤は、N-エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)を含む。更なるリガンドは、水素結合模倣体を生ずる親前駆体分子のコンビナトリアル化学により同定され得、それは、好ましくは、アデノシンのリボース、およびベンズイミダゾールまたは構造的関連骨格に相当し、アデノシンのアデニン塩基に相当する。
所望により、固定化結合剤に結合する複合体は、固相支持体を、適当な濃度の親リガンド(すなわち、結合剤)を含む生理学的食塩水溶液を含む緩衝液で洗浄することにより溶出され、溶出液中に複合体を供する。ここで、結合剤または溶出リガンドを更に含む複合体はまた、本発明により提供される。次いで、溶出リガンドは、以下に限らないが、生理食塩水溶液および炭酸アンモニウムを含むGMP産物に適当な緩衝液中の透析により、溶出溶液から取り除く。
抗原性ペプチドおよび/またはコンポーネントは、低pH条件下でGRP94複合体から溶出し得る。これらの実験条件は、可能性のある有用な抗原決定基にを含み得る細胞由来のペプチドおよび/または抗原性コンポーネントを単離するのに使用し得る。一旦、単離すると、各抗原性ペプチドのアミノ酸配列は、通常のアミノ酸配列決定法を用い決定され得る。次いで、その抗原性分子は、化学的合成または組み換え法により産生され、精製され、そしてGRP94または他にHSP90とインビトロで複合とし得る。加えて、抗原性ペプチド配列は、以下に限らないが、四重極検出およびCADに基づく配列決定と併せた、エレクトロスプレーおよびMALDI-TOF装置を用い、マススペクトロメトリーにより得られ得る。
XI.B. GRP94-ペプチド複合体からのペプチドの溶出
幾つかの方法を用い、ペプチドを、GRP94-ペプチド複合体から、またはHSP90-ペプチド複合体から溶出し得る。当該アプローチは、低pH緩衝液および/またはグアニジニウム/HCl(3-6M)、0.1-1% TFAまたは酢酸中で当該複合体をインキュベーションすることを含む。端的には、目的の複合体は、CENTRICON(登録商標)10アセンブリ(Amicon of Beverly, Massachusetts)で遠心分離し、当該複合体と緩く(loosely)結合した何れの低分子量物質を取り除く。大きな分子量画分は取り除かれ、SDS-PAGEで分析され得、その一方、低分子量物質は、キャピラリーおよび/またはナノスケールHPLCにより分画される。流速0.5 mL/min、210/220 nmでモニター。
低pHプロトコールでは、酢酸またはトリフルオロ酢酸(TFA)は当該複合体に加えられ、最終濃度10% (vol/vol)とし、当該混合物を室温または他の適当な温度で10分間インキュベーションした(Van Bleek et al. (1990) Nature 348:213-216; Li et al. (1993) EMBO J 12:3143-3151)。
得られたサンプルは、上記のようなCENTRICON(登録商標)10アセンブリで遠心分離する。高および低分子量画分を回収する。残りの大きな分子量複合体は、グアニジニウムと共にまたは低pHで再インキュベーションし、何れの残りのペプチドを取り除く。得られたより低い分子量の画分をプールし、蒸発により濃縮し、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)中に溶解する。溶解した物質は、microbore HPLCにより分画する。流速0.5 ml/min。ペプチドの溶出は、OD 210/220nmでモニターし、当該ペプチドを含む画分を回収し得る。
XI.C. ペプチドの配列決定および合成
溶出ペプチドのアミノ酸配列は、当分野に既知の手動または自動のアミノ酸配列決定技術の何れかにより決定し得る。可能性ある保護ペプチドのアミノ酸配列を一旦決定すると、当該ポリペプチドは、当分野に熟知の通常のポリペプチド合成または他のプロトコールを用い任意の望ましい量を合成し得る。
対象ペプチドは、組み換えDNA技術を含むポリペプチドの分野の当業者に既知の任意の技術により合成され得る。固相Merrifield型合成のような合成化学技術は、純度、抗原特異性、望ましくない副産物からの解放、産生の容易化などのため、好ましい。ペプチド合成のための多くの技術が利用可能であり、Steward et al.(1969) Solid Phase Peptide Synthesis, W. H. Freeman Co., San Francisco, California; Bodanszky, et al.(1976) Peptide Synthesis, John Wiley & Sons, Second Edition; Meienhofer (1983) Hormonal Proteins and Peptides, Vol. 2, p.46, Academic Press, New York, New York; Merrifield (1969) Adv Enzymol 32:221-296; Fields et al.(1990) Int J Peptide Protein Res 35:161-214;および固相ペプチド合成は米国特許番号4,244,946;典型的な溶液合成はSchroder et al.(1965) The Peptides, Vol. 1, Academic Press, New York, New Yorkに見られる(それらは、引用により本明細書に含める)。その合成において使用できる適当な保護基は上記記載およびMcOmie (1973) Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, New York, New Yorkに記載されている(引用により本明細書に含める)。
一般的に、意図される固相合成法は、増大中のペプチド鎖に、1つまたはそれより多いアミノ酸残基または適当な保護アミノ酸残基の連続的追加を含む。通常、第一のアミノ酸残基のアミノまたはカルボキシル基の何れかは、適当な、選択的に除去可能な保護基により保護される。異なる、選択的に除去可能な保護基は、リシンのような反応性側鎖を含むアミノ酸に用いられる。
例示するような固相合成を用い、保護化または誘導化アミノ酸は、非保護カルボキシルまたはアミノ基により不活性固体支持体へ結合される。次いで、アミノまたはカルボキシル基の保護基は、選択的に除去され、適当に保護された相補的(アミノまたはカルボキシル)な基を有する配列中の次のアミノ酸が混ぜられ、すでに固体支持体に結合している残基とのアミド連結の形成に適当な条件下で反応される。次いで、アミノまたはカルボキシル基の保護基は、この新規に追加されたアミノ酸残基から取り除かれ、次いで、次のアミノ酸(適当に保護されている)が加えられる等である。全ての望ましいアミノ酸が、適当な配列中に連結された後、任意の残りの末端および側鎖保護基(および固体支持体)は連続的または同時に取り除かれ、最終的な直鎖状のポリペプチドを供する。
上記のような例で調製した得られた直鎖状ポリペプチドは反応され得、相当する環状ペプチドを形成し得る。環状化ペプチドの典型的な例は、Zimmer et al.(1993) Peptides, pp. 393-394, ESCOM Science Publishers, B. V.に記載されている。典型的には、tertブトキシカルボニル保護化ペプチドメチルエステルはメタノール中に溶解され、水酸化ナトリウム溶液が加えられ、当該混合物は、20℃で反応され、メチルエステル保護基を加水分解的に取り除かれる。溶媒を蒸発させた後、tertブトキシカルボニル保護化ペプチドは、酸性化水性溶媒から酢酸エチルで抽出される。次いで、tertブトキシカルボニル保護基は、ジオキサン共溶媒中のマイルドな酸性条件下で取り除く。そのように得られた遊離アミノおよびカルボキシ末端を有する非保護化直鎖状ポリペプチドは、ジクロロメタンおよびジメチルホルムアミド中の直鎖状ペプチドの希釈溶液を、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールおよびN-メチルモルホリンの存在下でジシクロヘキシルカルボジイミドと反応させることにより、相当する環状ペプチドに変換される。次いで、得られた環状ペプチドは、クロマトグラフィーにより精製される。
得られたペプチドの精製は、ゲル浸透、分配および/またはイオン交換クロマトグラフィーを用い、分取HPLCのような通常の方法を用い行う。適当なマトリクスおよび緩衝液の選択は、当分野に熟知されており、それは、ここでは詳しくは記載しない。
XI.D. 検出方法
複合体を含むように懸濁されたサンプル中でGRP94または幾つかの例ではHSP90を含むその複合体を検出する方法はまた、本発明により提供される。1つの実施態様では、当該方法は、GRP94を含む複合体を結合物質に結合させるのに有利な条件下で好ましくはGRP94に結合する結合物質と当該サンプルを接触させ、その間で二次複合体を形成すること;および結合物質に結合した標識を介するかまたは特異的に二次複合体に結合しその結果として形成される標識化試薬を介し二次複合体を検出すること、を含む。
結合物質は、好ましくは、2'、3'、および5'位で任意の種々の置換を有するアデノシン部分またはその構造的模倣体を含み、アデノシンの場合、リガンド-GRP94相互作用のハイレゾリューション構造分析によるのが適当のように思われる。所望により、5'位アルキル伸張が、好ましくは親アデノシンに対するカルボキサミド連結として含まれ得、そしてアフィニティーに基づく精製を目的とする固体支持体への安定化学的連結を促進し、それは、以下に限らないが、ビニル、マレイミドおよび/またはスクシンイミドエステル、アミノもしくはメルカプト基のような固相支持体に結合する化合物に適当な置換基を含む一部の化学的反応基のうちの何れかで終結する。より好ましくは、結合物質は、ATPまたはADPを有さない。典型的な結合物質は、式(I)の化合物または式(II)の化合物を含む。他の典型的な結合物質は、N-エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)を含む。更なるリガンドは、水素結合模倣体を生ずる親前駆体分子のコンビナトリアル化学により同定され得、それは、好ましくは、アデノシンのリボース、およびベンズイミダゾールまたは構造的関連骨格に相当し、アデノシンのアデニン塩基に相当する。
所望により、固定化結合剤に結合する複合体は、固相支持体を、適当な濃度の親リガンド(すなわち、結合物質または結合剤)を含む生理学的食塩水溶液を含む緩衝液で洗浄することにより溶出され、溶出液中に複合体を供する。ここで、結合剤または溶出リガンドを更に含む複合体はまた、本発明により提供される。次いで、溶出リガンドは、以下に限らないが、生理食塩水溶液および炭酸アンモニウムを含むGMP産物に適当な緩衝液中の透析により、溶出溶液から取り除く。
結合物質は、検出可能標識と結合し得、この場合、検出ステップは、非結合標識化結合物質から当該複合体を分離すること;および当該複合体中に存在するかまたは非結合である検出可能標識を検出することを含む。
XI.E. 精製または検出のためのキット
他の態様では、本発明は、ペプチド複合体、好ましくはGRP94複合体、および抗原性分子を単離するか精製するためのキットに適する。1つの実施態様では、当該キットは、好ましくはGRP94に結合する結合剤(当該結合剤は、第一のコンテナー中に含まれている)を含む。当該結合剤は、好ましくは、2'、3'、および5'位で任意の種々の置換を有するアデノシン部分またはその構造的模倣体を含み、アデノシンの場合、リガンド-GRP94相互作用のハイレゾリューション構造分析によるのが適当のように思われる。所望により、5'位アルキル伸張が、好ましくは親アデノシンに対するカルボキサミド連結として含まれ得、そしてアフィニティーに基づく精製を目的とする固体支持体への安定化学的連結を促進し、それは、以下に限らないが、ビニル、マレイミドおよび/またはスクシンイミドエステル、アミノもしくはメルカプト基のような固相支持体に結合する化合物に適当な置換基を含む一部の化学的反応基のうちの何れかで終結する。より好ましくは、結合剤は、ATPまたはADPを有さない。
典型的な結合剤は、式(I)の化合物または式(II)の化合物を含む。他の典型的な結合剤は、N-エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)を含む。更なるリガンドは、水素結合模倣体を生ずる親前駆体分子のコンビナトリアル化学により同定され得、それは、好ましくは、アデノシンのリボース、およびベンズイミダゾールまたは構造的関連骨格に相当し、アデノシンのアデニン塩基に相当する。所望により、当該結合剤は、固相支持体に固定化され得るか、または当該キットはまた、第二のコンテナー中に含まれる固相支持体を含む。
bis-ANSの構造
Figure 2010110324
本発明では、GRP94の保存N末端ドメインに結合し、そしてa)ペプチド結合および/または分子シャペロン活性の何れかの活性化が付随するGRP94のコンホメーション変化を顕在化するか、またはb)既述のコンホメーションにアクセスまたはそれを獲得するGRP94能をブロックまたは阻害するか、何れかである低分子量化合物を決定する一次構造決定基をまたここで開示する。本発明では、およびここでの開示をレビューしたの後はタンパク質の構造/機能の調節は当業者に明らかとなるであろうから、より高等真核生物由来の細胞および組織は、アデノシンへの構造的類似性を生じる、また、2'および5'位で置換基を生じ得るがN6アデニンでは置換基を欠く天然リガンド化合物を含む。
そのため、天然リガンド、同様にその模倣体の実施態様は、アデノシン部分または部分群、およびATP/ADP結合ポケットとして先に同定されたGRP94の保存N末端ドメインに対するリガンドの結合におけるアデノシン部分(群)機能を生ずる。典型的なリガンド組成物は、式(I)および(II)として上記で開示する。更なるリガンドは、水素結合模倣体を生ずる親前駆体分子のコンビナトリアル化学により同定され得、それは、好ましくは、アデノシンのリボース、およびベンズイミダゾールまたは構造的関連骨格に相当し、アデノシンのアデニン塩基に相当する。更なるリガンドはまた、GRP94 LBDの三次元構造を用いる上記開示を介して同定され得る。
リガンドの結合は、シャペロンの活性およびペプチド結合活性が付随するコンホメーション変化を顕在化する。更に、天然リガンドの合成は、ER中のタンパク質ホールディングおよびアセンブリの効率化の破壊を顕在化する条件により刺激されるようである。これらの条件は、以下に限らないが、熱ショック、酸化ストレス、栄養欠乏、オリゴサッカライド合成および発生期グリコプロテインでの共有結合的アセンブリの破壊、および過剰レベルの重金属の存在が含まれる。
シャペロン活性およびゲルダナマイシンおよびラジシコール作用の機構の決定におけるGRP94の構造的変化の機能的役割の発見と一致して、GRP94(または他にHSP90)のコンホメーションをアッセイする単純で迅速な方法はここで開示する。本方法の好ましい実施態様は、オープンの、または活性化の、GRP94のコンホメーションに対する小合成性蛍光プローブ、bis-ANSの好ましい結合に基づく。bis-ANS結合は、プローブ蛍光強度を劇的に増加する。bis-ANSは、ここでは、GRP94のコンホメーション変化を誘導する熱ショックの高感受性インディケーターとして同定される。更に、bis-ANS自体は、ペプチド結合およびシャペロン機能の活性化に必要なGRP94のコンホメーション変化を顕在化し得る。そのため、bis-ANSは、GRP94活性化のためのアゴニストおよび活性化の相対的状態のためのインディケーターの両方である。bis-ANSは、スロー・タイム・スケール(slow time scale)でのこれらの変化を誘発し、それにより、それは、熱ショック様コンホメーション変化のためのインデューサーとして、および他の化合物により誘発されるコンホメーション変化のためのプローブとして、両方として使用され得る。逆に、および実施例に開示のように、bis-ANSは、熱ショック誘導性コンホメーション変化をブロックする化合物の同定に使用され得る。確かに、ラジシコールおよびゲルダナマイシン、GRP94/HSP90を介して作用することが知られる2つの抗腫瘍剤は、これらのタンパク質を、機能に必要なコンホメーションに変換することをブロックすることを本発明のスクリーニングシステムは示した。
この方法の他の好ましい実施態様は、関連する合成蛍光プローブ8-ANSを用いる。8-ANSはまた、GRP94の活性なコンホメーションに対する好ましい結合を示す。しかし、bis-ANSと異なり、8-ANSは、単独でインディケーターとして機能し、アゴニスト活性は欠いている。8-ANSはまた、GRP94モジュレーターの発見についてのスクリーニングアッセイに有用である。
そのため、本発明により、生物学的活性をモジュレートする能力について候補化合物をスクリーニングする方法を提供する。スクリーニング法はまた、GRP94の天然または内因性リガンドまたはリガンド群の同定に使用され得る。
1つの実施態様では、候補物質は、結合またはGRP94との分子間相互作用により、GRP94の生物学的活性をモジュレートし得る可能性がある物質である。"モジュレート"により、GRP94の任意のまたは全ての生物学的活性または特性の増加、減少、または他の変化を目的とする。そのため、GRP94の天然または内因性リガンドまたはリガンド群はまた、"候補物質"である。天然または内因性リガンドまたはリガンド群を含むと思われる生物学的サンプルはまた、"候補物質"である。小分子および小分子のコンビナトリアルライブラリーはまた、候補"物質"である。ここで記載のスクリーニングアッセイにより同定された候補物質は、GRP94生物学的活性をモジュレートする能力を有する。その候補物質は、障害および病状の処置において(ここで、GRP94の生物学的活性のモジュレーションが望ましい)、およびここで開示の精製およびスクリーニング方法において、有用性を有する。
そのため、本発明は、分子シャペロンGRP94、または幾つかの例ではHSP90におけるコンホメーション変化を顕在化または阻害する化学化合物の分子基盤(molecular basis)およびそのハイスループットスクリーニングに適合し、それにより、これらのタンパク質のシャペロンおよびペプチド結合活性を調節する。
XII.A. 一般的スクリーニング法
そのため、GRP94および/またはHSP90生物学的活性のモジュレート能について候補物質をスクリーニングする方法は、本発明により提供される。1つの実施態様では、当該方法は、(a)GRP94およびGRP94のリガンドを含む試験サンプルを得ること、(b)候補物質または候補物質を含むと思われるサンプルを、試験サンプルに投与すること、および(c)試験サンプル中のGRP94およびGRP94のリガンドの結合における効果を測定し、それにより、GRP94生物学的活性をモジュレートする候補物質の能力を測定すること、を含む。好ましくは、GRP94は、上記開示のような本発明のGRP94 LBDポリペプチドである。
試験サンプルは、更にインディケーターを含み得る。用語"インディケーター"は、暗対明検出(dark versus light detection)、蛍光または化学発光吸光度測定法、シンチレーション分光学、クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)、比色定量などのような標準の検出技術を用い容易に検出可能である化学種または化合物に言及することを意味する。そのため、典型的なインディケーター化合物は、以下に限らないが、蛍光発生的(fluorogenic)または蛍光性の化合物、化学発光性化合物、比色定量性化合物、UV/VIS吸収化合物、放射性ヌクレオチド(radionucleotide)およびその組み合わせを含む。より好ましい実施態様では、リガンド/インディケーターは、1,8-アニリノナフタレンスルホネート(8-ANS)を含む。
GRP94および/またはHSP90生物学的活性をモジュレートする候補物質の能力は、任意の適当な方法で測定され得る。例えば、GRP94および/またはHSP90生物学的活性をモジュレートする候補物質の能力は、(i)GRP94および/またはHSP90およびGRP94のリガンドおよび/またはHSP90のリガンドの結合における候補物質の効果でのインディケーターにより生ずるシグナルを検出すること、および(ii)対照サンプルとの比較として、生じたシグナル量に基づき、GRP94および/またはHSP90生物学的活性のモジュレーターとして候補物質を同定することにより測定され得る。
好ましい実施態様では、スクリーニング法に基づく単純で効果的な蛍光性が提供され、その活性に応答性のGRP94のコンホメーション変化のインヒビターおよびアクチベーターを同定する。当該方法は、自動(robotic)のおよび非常にハイスループットなシステムの両方で容易に適用可能である(amenable)。
そのため、1つの実施態様では、本発明のスクリーニング法は、HSP90タンパク質の生物学的活性をアクチベーターとして候補物質を同定するための方法に適合する。好ましい実施態様では、HSP90タンパク質は、GRP94またはHSP90である。当該方法は、Hsp90タンパク質および候補物質を含む試験サンプルを得ること;8-ANSを試験サンプルに投与すること;および8-ANSにより生ずる蛍光シグナルを検出すること、および対照サンプルとの比較として、8-ANSにより生ずる蛍光シグナルの量に基づきHsp90タンパク質の生物学的活性をアクチベーターとしての候補物質を同定することを含む。
本方法は、更に、Hsp90タンパク質を候補物質と共に、37℃で約1時間インキュベーションし、その後、8-ANSを加える。所望により、8-ANSは、おおよそ同量のHsp90タンパク質に加え得る。更に、候補物質は、対照サンプルとの比較と比較すると、増大した8-ANS蛍光シグナルの検出によりHsp90タンパク質の生物学的活性をアクチベーターとして同定する。
他の実施態様では、本発明のスクリーニング法は、Hsp90タンパク質の生物学的活性をインヒビターとして候補物質を同定する方法に適合する。当該方法は、Hsp90タンパク質および候補物質を含む試験サンプルを得ること;試験サンプルに熱ショックを加え、Hsp90タンパク質にコンホメーション変化を誘発させること;8-ANSを試験サンプルに投与すること;8-ANSにより生ずる蛍光を検出すること;および対照サンプルとの比較として、8-ANSによる生ずる蛍光シグナルの量に基づきHsp90タンパク質の生物学的活性をインヒビターとして候補物質を同定することを含む。好ましい実施態様では、Hsp90タンパク質は、GRP94またはHSP90である。
所望により、当該方法は、試験サンプルを37℃で約1時間インキュベーションし、その後、試験サンプルに熱ショックを与えることを更に含み得る。当該熱ショックは、50℃で約15分間行い得る。好ましくは、8-ANSは、おおよそ同量のHsp90タンパク質に加える。当該候補化合物はまた、対照サンプルと比較して、増大した8-ANS蛍光シグナルの検出によりHsp90タンパク質の生物学的活性をインヒビターとして同定し得る。
XII.B. 細胞に基づくスクリーニングアッセイ
本発明のスクリーニングアッセイはまた、GRP94のようなHsp90タンパク質の生物学的活性をモジュレート、すなわち、阻害また促進し、それにより、標的細胞中のGRP94のようなHsp90タンパク質の生物学的活性をモジュレートする候補物質の能力を測定することを含む。標的細胞は、本発明のポリペプチドを含むことが知られる天然に生ずる細胞または上記開示の形質転換の方法により作成した形質転換細胞の何れかであり得る。試験サンプルは、更に、Hsp90ポリペプチドを発現する細胞または細胞系を含み得;本発明はまた、典型的な方法での使用に適当な組み換え細胞系を意図する。その細胞系は、ほ乳類またはヒトであり得、またはそれらは他の生物由来であり得、それには、以下に限らないが酵母が含まれる。好ましくは、当該細胞は、上記開示の本発明のGRP94 LBDポリペプチドを発現する。
典型的な例は、遺伝学的スクリーニングアッセイおよび分子生物学的スクリーニングを含み、それは、天然Hsp90リガンドまたはリガンド群を含むHsp90または他のHsp90仲介細胞性プロセスに重要なHsp90相互作用遺伝子を効果的に同定する酵母ツーハイブリッドスクリーニングである。酵母ツーハイブリッドシステムの1つの型が記載されており(Chien et al. (1991) Proc Natl Acad Sci USA 88:9578-9582)、Clontech (Palo Alto, California)から入手可能である。そのため、本発明のスクリーニングアッセイの1つの実施態様により、当該候補物質は、更に、候補ポリペプチドとして特徴付けられ、そして当該スクリーニング法は、更に、候補ポリペプチドをコードする核酸分子を精製および単離するステップを含み得る。
そのため、GRP94および/またはHSP90リガンドの安定状態およびストレス顕在化産生を仲介する高等生物の細胞中の酵素はまた、本発明によりモジュレートし得る。その分解酵素はまた、天然Hsp90リガンド(例えば、天然GRP94またはHSP90リガンド)の安定状態レベルで増大が顕在化し、それにより、ここで開示のHsp90タンパク質、好ましくはGRP94ののシャペロンおよびペプチド結合活性の構造性および機能性活性の顕在化を生ずる化合物の設計のための適当なおよび合理的な標的を示す。
スクリーニングアッセイはまた、GRP94のようなHsp90タンパク質の生物学的活性のモジュレーションの試験に適当な条件下で細胞を提供し得る。これらの条件は、以下に限らないが、pH、温度、張度、関連の代謝因子(例えば、Ca++、生長因子、インターロイキン、またはコロニー刺激因子のような金属イオン)の存在、およびグリコシル化またはプレニル化(prenylation)のようなポリペプチドに対する関連の修飾を含む。本発明のポリペプチドは、原核性または真核性細胞中で発現し、利用可能である。宿主細胞はまた、細胞成分画分(sub-cellular fraction)中に分画され得、ここで、レセプターが見られ得る。例えば、当該ポリペプチドを発現する細胞は、核、小胞体、ビヒクルまたは当該細胞の膜表面中へ分画され得る。米国特許番号5,837,479;5,645,999;5,786,152;5,739,278および5,352,660はまた典型的なスクリーニングアッセイを記載し、それぞれの内容は引用により本明細書に含まれる。
XII.C. ハイスループットスクリーニング
本発明のスクリーニング法の他の実施態様では、Hsp90ポリペプチド(例えばヒトGRP94)またはその活性化フラグメントまたはオリゴペプチド(例えば、ここで開示のGRP94 LBD)は、任意の種々のハイスループット薬物スクリーニング技術で化合物のライブラリーのスクリーニングに使用され得る。そのスクリーニングに用いるフラグメントは、溶液中にはなく、固体支持体に付着しており、細胞表面で生じ、または細胞内に位置し得る。Hsp90ポリペプチド、好ましくはGRP94ポリペプチド、より好ましくはGRP94 LBDポリペプチド、と試験する候補物質との間の結合複合体の形成は、ここで記載するように測定され得る。
XIII. Hsp90生物学的活性のモジュレーション
Hsp90タンパク質は、ヒトの体の実質的に全ての細胞中で見られ、多くの種々の細胞性タンパク質のプロセッシングおよび免疫系に対する腫瘍および外来抗原の提示において含まれるため、本発明およびここで開示のスクリーニング法により同定される化合物("リガンド組成物"または"モジュレーター"と称する)は、治療としておよびワクチン開発で幅広い価値を有する。典型的なリガンド組成物またはモジュレーターは、式(I)として上記する。構造的にアデノシンに似ていないモジュレーターもまた提供され、ここで開示の合理的な薬物設計およびコンビナトリアルスクリーニング法により設計され、および/または同定されるものを含む。
好ましい実施態様では、Hsp90モジュレーターは、Hsp90タンパク質のコンホメーション変化を顕在化する。更により好ましくは、Hsp90タンパク質活性モジュレーターは、ここで記載のスクリーニングアッセイにより同定される。モジュレーターは、GRP94のようなHsp90タンパク質の生物学的活性をモジュレートし得る。GRP94およびHSP90の抗原提示活性に関連して、そのアクチベーターは、インビトロで適用され、特定ペプチドエピトープをプロセスする組織または侵襲性生体に対し指示するワクチンの産生のためのこれらタンパク質へのペプチドローディングを助け得る。GRP94/HSP90生物学的活性のアクチベーターを、癌患者から切除した腫瘍細胞に適当し、腫瘍細胞の抗原性を増大させ、その後、細胞の致死不活性化し、免疫賦活性剤(immunostimulatory agent)として体に再注入する。GRP94/HSP90生物学的活性のアクチベーターは、原位置で腫瘍の抗原性を増大させるため、脊椎動物の体に直接投与し得る。GRP94/HSP90生物学的活性のアクチベーターはまた、細菌、ウイルスまたは寄生虫の抗原性の増加による細菌、ウイルスまたは内部寄生生物に対する抗生物質作用、および適当な免疫系による同一物の認識を有し得る。GRP94/HSP90生物学的活性のアクチベーターは更なるスクリーニングに用い得、特異的抗腫瘍、抗ウイルス、または抗細菌エピトープを示すコンビナトリアルライブラリーからペプチドを同定し得る。GRP94およびHSP90のシャペロン活性に関連して、そのアクチベーターはまた、虚血症から生ずる細胞性損傷を改善するかまたは防止し得る。
GRP94/HSP90のインヒビターは、抗腫瘍活性を有し得る。GRP94/HSP90機能のインヒビターはまた、感染症におけるウイルス性または細菌性タンパク質のプロセシングを阻止し、これら感染の進行を遅延させる。GRP94/HSP90機能のインヒビターはまた脊椎対象に投与され、移植組織拒絶を緩和する組織の抗原性を減少するかまたは慢性関節リウマチおよび全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患の進行を遅延し得る。GRP94活性のインヒビターはまた、癌のような疾患の処置に、小胞体からタンパク質(例えば生長因子)を外に出すことを阻害またはブロックすることにより、使用し得る。
本発明によりモジュレートされるGRP94のようなHsp90タンパク質の生物学的活性は、以下に限らないが、抗原分子との複合を形成する活性のローディング(loading)、対象における免疫応答の顕在化;対象におけるある型の癌の処置または予防;対象における感染症の処置または予防;特にある型の癌または感染症について、抗原提示細胞(APC)を感作すること;および小胞体に沿ってタンパク質輸送を促進することを含み得る。
Hsp90タンパク質のモジュレート可能な他の生物学的活性は、以下に限らないが心停止、心静止(asystole)および持続性心室不整脈(sustained ventricular arrythmias)を含む乏血/再潅流、心臓外科、心肺バイパス手術、器官移植、脊髄損傷、頭部外傷、ストローク、血栓塞栓性卒中、脳出血、脳血管痙攣、低血圧、低血糖症、てんかん重積持続状態、てんかん性発作、不安、統合失調症、神経変性障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または新生児のストレスの病状から生ずる細胞性損傷を予防または回復することを含む。この場合、リガンドは、Hsp90タンパク質のコンホメーション活性を促進することにより内因性Hsp90タンパク質をモジュレートし得る。好ましくは、当該リガンドは、ここで開示のスクリーニングまたは合理的な薬物設計方法により同定され、GRP94またはHSP90のモジュレーションに関連する。
XIII.A. GRP94抗原性分子複合体のインビトロ産物
本発明により、抗原性分子とGRP94のようなHsp90タンパク質との複合体は、Hsp90タンパク質活性モジュレーターを用いインビトロで作成される。当業者により評価されるように、ここでの手順により化学的に合成されるかまたは組み換え的に産生されるか何れかにより単離された当該ペプチドは、種々の天然で精製または組み換え体Hsp90タンパク質をインビトロで再構成し、例えば、免疫原性非共有結合的GRP94-抗原性分子複合体を作成し得る。他に、外因性抗原またはその抗原性/免疫原性フラグメントまたは誘導体は本発明の免疫治療的または予防的ワクチンに使用のためHsp90タンパク質に非共有結合的に複合化され得る。次いで、当該複合体は、任意の適当な方法を用い精製し、好ましくは、上記開示の本発明のアフィニティー精製により精製し得る。
典型的なアプローチは、抗原性分子(1μg)およびGRP94(9μg)を混合し、おおよそ5抗原分子:1GRP94のモル比となる。次いで、当該混合物は15分から3時間、4から45で、量的にGRP94と等モルのbis-ANSと共に、インキュベーションし、それは、20mMリン酸ナトリウム、pH 7.2、350mM NaCl、3mM MgCl2および1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)を含んでいるもののような適当な結合緩衝液中で行う。当該調製物は、CENTRICON(登録商標)10アセンブリ(Amicon of Beverly, Massachusetts)により遠心分離し、任意の非結合タンパク質を取り除く。当該ペプチドとGRP94との結合は、SDS-PAGEによりアッセイされ得る。更なる典型的なアプローチを実施例に記載する。
複合化の後、免疫原性GRP94-抗原性分子複合体は、所望により、例えば、ここで記載の混合リンパ球腫瘍細胞アッセイ(MLTC)を用い、インビトロでアッセイし得る。一旦、免疫原性複合体が単離されると、それらは、所望により、ここで記載の好ましい投与プロトコールおよび添加剤を用い、動物モデルにおいて更に特性解析され得る。
XIII.A.1. 外因性抗原性分子
抗原またはその抗原性部分は、抗原性分子としての使用について選択され得、例えば、当分野に既知のものまたは抗体またはMHC分子に結合し得る(抗原性)か免疫応答を生じ得る(免疫原性)免疫アッセイにより決定されるもの由来の、GRP94のようなHsp90タンパク質との複合である。免疫原性または抗体との結合を検出することによる抗原性を測定するため、当分野に既知の種々の免疫アッセイを用い得、それには、以下に限らないが、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、ゲル拡散沈降反応(gel diffusion precipitation reaction)、免疫拡散アッセイ、インビボイムノアッセイ(例えば、コロイド金、酵素または放射性同位元素ラベルを用いる)、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、赤血球凝集アッセイ)、補体固定化アッセイ(complement fixation assay)、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどのような技術を用いる競争および非競争アッセイが含まれる。
1つの実施態様では、抗体結合は、一次抗体の標識を検出することにより検出する。他の実施態様では、当該一次抗体は、一次抗体に対する二次抗体または試薬の結合を検出することにより検出する。更なる実施態様では、当該二次抗体は標識される。多くの方法および技術が、イムノアッセイにおける結合を検出する当分野で既知であり、それらを使用し得る。免疫原性を検出するための1つの実施態様では、T細胞仲介応答は、標準的方法、例えば、インビトロ細胞毒性アッセイまたはインビボ遅延型過敏症アッセイによりアッセイされ得る。
抗原性分子として使用するための可能性ある有用な抗原またはその誘導体また、種々の特徴により同定され得、それは、病原体感染性(その病原体による感染を処置または予防することが望ましい)(Norrby (1985) "Summary" in Vaccines 85, Lerner et al. (eds.), pp. 388-389, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York)の中和における抗原の関わり、特異性の型もしくはグループ、対象の抗血清または免疫細胞による認識、および/または抗原に特異的な抗血清または免疫細胞の保護効果の明示のようなものである。加えて、病原体により生ずる疾患の処置または予防に望ましい場合、当該抗原コード化エピトープは、好ましくは、適度な時期にまたは同一病原体の異なる単離体で抗原変異を僅かに示すかもしくは全く示さない。
好ましくは、癌の処置または予防が望ましい場合、既知の腫瘍特異的抗原またはそのフラグメントもしくは誘導体を用いる。例えば、その腫瘍特異的または腫瘍結合抗原は、以下に限らないが、KS 1/4全癌腫抗原(pan-carcinoma antigen)(Perez & Walker (1990) J Immunol 142:3662-3667; Bumal (1988) Hybridoma 7(4):407-415); 卵巣癌抗原 (CA125)(Yu et al. (1991) Cancer Res 51(2):468-475); 前立腺の酸性燐酸塩(Tailer et al. (1990) Nuc Acids Res 18(16):4928); 前立腺特異的抗原(Henttu & Vihko (1989) Biochem Biophys Res Comm 160(2):903-910; Israeli et al. (1993) Cancer Res 53:227-230); 黒色腫結合抗原gp75(Estin et al. (1989) J Natl Cancer Inst 81(6):445-446); 黒色腫抗原gp75(Vijayasardahl et al. (1990) J Exp Med 171(4):1375-1380); 高分子量黒色腫抗原(Natali et al. (1987) Cancer 59:55-63)および前立腺特異的膜抗原を含む。特定の実施態様では、特定腫瘍に特異的な抗原またはそのフラグメントもしくは誘導体は、GRP94のようなHsp90タンパク質との複合について選択枝、その後、腫瘍を有する対象に投与する。用語"特異的"は、腫瘍細胞中または腫瘍細胞において見られるが、非腫瘍細胞または非癌細胞では見られないことをいい得る。
好ましくは、ウイルス性疾患を処置または予防することが望ましい場合、既知ウイルスのエピトープを含む分子を用いる。例えば、その抗原性エピトープは、ウイルスから調製され得、それには、以下に限らないが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV-I)、単純ヘルペスII型(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロータウイルス、RSウイルス(RSV)、乳頭腫ウイルス、パポバ・ウイルス、サイトメガロウイルス、エチノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウィルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオ・ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-I)およびヒト免疫不全ウイルスII型(HIV-II)が含まれる。好ましくは、細菌性感染を処置または予防が望ましい場合、既知の細菌のエピトープを含む分子を用いる。例えば、その抗原性エピトープは、細菌から調製され得、それには、以下に限らないが、ミコバクテリア、マイコプラズマ、ナイセリアおよびレジオネラが含まれる。
好ましくは、原生動物感染症を処置または予防が望ましい場合、既知原虫類のエピトープを含む分子を用いる。例えば、その抗原性エピトープは、原虫類から調製し得、それには、以下に限らないが、リーシュマニア、コクジジオラ(Kokzidioa)およびトリパノソーマが含まれる。好ましくは、寄生虫感染症を処置または予防することが望ましい場合、既知寄生虫のエピトープを含む分子を用いる。例えば、その抗原性エピトープは、寄生虫由来であり得、それは、以下に限らないが、クラミジアとリケッチアが含まれる。
XIII.A.2. MHC複合体由来ペプチド
候補免疫原性または抗原性ペプチドは、上記のような内因性Hsp90-ペプチド複合体からか、または内因性MHC-ペプチド複合体からの何れかから単離され得、それは、その後の抗原性分子としての使用のためであり、GRP94のようなHsp90タンパク質とのインビトロでの複合化により、行い得る。HMC分子由来の可能性ある免疫原性ペプチドの単離は、当分野に既知であり、そのため、ここでは詳述しない。Falk et al.(1990) Nature 348:248-251;Rotzsche et al.(1990) Nature 348:252-254;Elliott et al.(1990) Nature 348:191-197;Falk et al.(1991) Nature 351:290-296;Demotz et al.(1989) Nature 343:682-684;Rotzsche et al.(1990) Science 249:283-287参照。それらは引用により本明細書に含める。端的に、MHC-ペプチド複合体は、通常の免疫アフィニティー法により単離され得る。次いで、当該ペプチドは、アセトニトリル中の約0.1% TFAの存在下で複合体をインキュベーションすることにより、MHC-ペプチド複合体から溶出し得る。溶出したペプチドは、上記のように分画され、HPLCで精製され得る。
XIII.B. Hsp90生物学的活性をモジュレートするための治療方法
本発明の治療方法は、投与の必要な対象に、GRP94のようなHsp90タンパク質の生物学的活性をモジュレート、すなわち、阻害または促進する物質を投与することを含む。"リガンド組成物"または"モジュレーター"としても称せられる典型的な物質をここで開示し(例えば、式(I)の化合物)、また、ここで開示の任意のスクリーニングアッセイにより同定され得る。当該方法は、障害を患う対象を処置することを含み、ここで、Hsp90タンパク質の生物学的活性のモジュレーションは、当該対象に有効量のHsp90モジュレーターを投与することにより望ましい。好ましくは、Hsp90タンパク質は、GRP94である。より好ましくは、モジュレーターは、Hsp90タンパク質におけるコンホメーション変化を顕在化する。またより好ましくは、モジュレーターは、ここで記載のスクリーニングアッセイにより同定される。
用語"モジュレートする"により、当該物質が、処置すべき障害に依存してHsp90タンパク質の生物学的活性を促進または阻害の何れかをし、GRP94を含む1つまたは幾つかのHsp90タンパク質に影響し得ることを意味する。投与は、GRP94/HSP90仲介機構により悪化し得る障害の処置を提供し得、それには、以下に限らないが、癌、感染症および虚血性の病状が含まれる。
多くの実施態様における本発明で処置される対象は、望ましくはヒト対象であるが、本発明の原理により、本発明が無脊椎動物およびほ乳類を含むすべての脊椎動物種(それらは、用語"対象"に含まれると意図される)について有効であることが判ると理解される。特に、この場合、Hsp90タンパク質の系統発生的偏在の特性が考慮される。更に、哺乳類は、任意の哺乳類種を含むと理解され、それは、癌または感染症の処置または予防が望ましく、特に農業および自家産の哺乳動物種が含まれる。
本発明の方法は、特に恒温脊椎動物の処置に有用である。そのため、本発明は、哺乳類および鳥類に関する。
ヒトのような哺乳類ならびに危険にさらされる要因のある重要な動物(シベリアンタイガーのような)の処置、ヒトにとって経済的な重要性(ヒトの消費のための農場で飼育する生物)および/または社会的な重要性(ペットとしてまたは動物園内で飼う動物)のある動物、例えば、ヒト以外の肉食動物(ネコおよびイヌのような)、ブタ(子ブタ、食用ブタおよびイノシシ)、反芻動物(畜牛、ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソンおよびラクダ)、およびウマの処置が意図される。また、危険にさらされ、動物園で飼われている特定種のトリならびにニワトリの処置を含むトリ、およびより好ましくは飼い慣らされたトリ、すなわち、シチメンチョウ、ニワトリ、アヒル、ガン、ホロホロチョウのような飼鳥類およびヒトにとって経済的に重要性のあるような飼鳥類の処置もまた意図される。そのため、以下に限らないが、飼い慣らされたブタ(子ブタおよび食用ブタ)、反芻動物、ウマ、飼鳥類などを含む家畜の処置が意図される。
1つの実施態様では、リガンド組成物またはモジュレーターは、Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94またはHSP90)および抗原性分子を含む複合体ととみに投与される。好ましくは、当該複合体は、対象にとっては"自己由来"である;すなわち、当該複合体は、本対象の感染細胞または癌細胞もしきは前癌細胞の何れかから単離される(例えば、好ましくは対象の感染組織または腫瘍生検から調製される)。より好ましくは、当該複合体は、上記開示の本発明の精製法により精製される。
他に、当該複合体は、インビトロで産生される(例えば、ここでは、外因性抗原性分子が望ましい)。他に、Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94またはHSP90)および/または抗原性分子は、特定の対象または他のものから単離され得るかまたは特に対象もしくは他から元来得られるクローニング化Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94またはHSP90)を用いる組み換え産生法により単離され得る。Hsp90タンパク質との複合体化に使用するための外因性抗原およびそのフラグメントおよび誘導体(何れものペプチドおよび非ペプチド)は、当分野に既知のもの、および抗体またはMHC分子と結合する(抗原性)か免疫応答を生じる(免疫原性)能力により当分野に既知の標準的免疫アッセイにより容易に同定されるものから選択され得る。Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94またはHSP90)および抗原性分子の複合体は、対象の癌または前癌組織から、または癌細胞系から単離され得るか、またはインビトロで産生され得る(外因性抗原が抗原性分子として使用される実施態様に必要であるため)。好ましくは、当該複合体は、上記開示の本発明の精製方法により精製される。
本発明はまた、対象、好ましくはヒト対象におけるインビボの腫瘍拒絶を測定する方法を提供し、それは、GRP94生物学的活性モジュレーターと共に腫瘍特異的なGRP94および抗原分子を含む複合体を投与した後、腫瘍に特異的なMHCクラスI制限化CD8+細胞毒性Tリンパ球の対象による作成を測定することを含む。好ましくは、GRP94は、ヒトGRP94を含む。本発明の免疫原性GRP94-ペプチド複合体は、GRP94および対象において免疫応答を誘発し得るペプチドを含む任意の複合体を含み得る。当該ペプチドは、好ましくはGRP94と非共有結合的に結合する。
Hsp90タンパク質は、対象にとっては同種異系(allogenic)であり得るが(例えば、処置すべき第一の脊椎対象に存在する癌性組織と同じ型である第二の脊椎対象からの癌性組織を単離した)、好ましい実施態様では、Hsp90タンパク質は、投与される対象にとっては自己由来的である(誘導される)。Hsp90タンパク質および/または抗原性分子は、天然源から精製され、化学的に合成され、または組み換え的に産生され得る。好ましくは、当該複合体および/または抗原性分子は、上記開示の本発明の精製方法により精製される。本発明は、実験的腫瘍モデルにおいてペプチド複合体に非共有結合的に結合するHsp90タンパク質の最適用量を評価することにより、および当該データを外挿することにより、ヒト癌免疫治療のための用量を決定する方法を提供する。特に、動物で算出した有効用量の50倍増を超えない倍率(scaling factor)が、ヒト対象における癌免疫治療または予防接種の最適な処方方法として使用される。好ましくは、Hsp90タンパク質はGRP94である。
本発明は、宿主個体の免疫適格を促進し、感染体(infectious agent)に対し特異的免疫性を顕在化するかまたは新生物発生前および新生物細胞に対し特異的免疫性を顕在化する組成物の組み合わせを提供する。本発明の治療療法(therapeutic regimen)および医薬組成物を以下に記載する。これらの組成物は、感染症の始まりおよび進行を防止し、腫瘍細胞の発生を防止し、腫瘍細胞の増大および進行を阻害する能力を有し、これは、その組成物が感染疾患および癌免疫治療において特異的免疫性を誘発し得ることを示す。例えば、Hsp90-抗原性分子複合体は、本発明の方法により、カルレティキュリン(calreticulin)のような他の複合体、および抗原性分子と組み合わせて投与され得る。
従って、本発明は、対象における癌の処置および予防の方法を提供する。典型的な方法は、治療有効量のHsp90モジュレーター(好ましくはGRP94モジュレーター)をそれを必要とする対象に投与することを含む。その対象には、以下に限らないが、癌を患う対象または癌発生の危険性のある対象が含まれ得る。本発明に用い得る典型的なモジュレーターは、GRP94(Hsp90)機能を阻害するリガンドを含む。そのリガンドは設計され、ここで開示のスクリーニング法を用い同定され、そのため、抗腫瘍薬物、および/または抗新生物剤として用いられる。これらの活性化の特性は、ここで開示の技術および当分野に既知の技術により行い得る。
他の実施態様では、当該方法は、個体宿主の免疫適格を刺激し、新生物発生前および/または新生物細胞に対し特異的免疫性を顕在化するモジュレーターと共にHsp90タンパク質および関連抗原性分子を含む複合体を投与することを含む。好ましくはHsp90タンパク質はGRP94である。
ここで使用するとき、"新生物発生前"細胞は、正常型から新生物型への変化である細胞をいう;および分子生物学的研究により徐々に支持されている形態的証明は、複数ステップによる新生組織形成前進行(preneoplasia progress)を示している。非新生物細胞増殖は、通常、過形成、化生、または最も特に異形成からなる(その異常増殖の状態のレビューのためには、Robbins & Angell (1976) Basic Pathology, 2d Ed., pp. 68-79, W. B. Saunders Co., Philadelphia, Pennsylvania参照)。
過形成は、制御された細胞増殖の型であり、組織または器官における細胞数の増加を含み、構造または機能には有意な変化はない。しかし、1つの例として、子宮内膜増殖症はしばしば子宮内膜癌に先行する。化生は、制御された細胞増殖の型であり、それは、1つの型の成体または十分に分化した細胞は、他の型の成体細胞と置き換わる。化生は、上皮または結合組織細胞において発生し得る。異型の化生は、いくらかの乱雑な化生の上皮を含む。異形成は、しばしば癌の徴候であり、主として上皮で見つかる; それは、最も乱雑な型の非新生物細胞増殖であり、それは、各細胞の均一性および細胞の構造上の方向性(architectural orientation)における喪失を含む。形成障害細胞は、しばしば、異常に大きく、深く染色された核を有しており、多形態性を示す。異形成は、特徴的には、慢性の刺激または炎症が存在するところで生じ、頚部、気道、口腔および胆嚢でしばしば見つかる。前新生物性の損傷は新形成へと進行し得るが、それらはまた長期間安定を維持し得、また、刺激剤が除去される場合または損傷がその宿主による免疫学的攻撃に負ける(succumb)の場合には、逆行し得る。
本発明の治療療法および医薬組成物は、更なるアジュバントまたは生物学的応答性モディファイアーと共に使用され得、それには、以下に限らないが、サイトカインIFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、TNFまたは免疫細胞に影響する他のサイトカインが含まれる。本発明の態様により、モジュレーターを伴うHsp90タンパク質および抗原性分子の複合体を、1つまたはそれより多いこれらのサイトカインによる治療と組み合わせて投与される。好ましくは、Hsp90タンパク質はGRP94である。
本発明はまた、家族歴(familial history)または環境危険因子によって癌の危険性の高い個人への、Hsp90タンパク質および抗原性分子の複合体およびモジュレーターの投与に適合する。好ましくは、Hsp90タンパク質はGRP94である。
天然GRP94リガンドの安定状態およびストレス誘発化産物を仲介する高等生物の細胞中の酵素はまた、本発明によりモジュレートされ得る。特に、その分解酵素は、モジュレーションのための適当なおよび合理的な標的を提示し、安定状態レベルの天然GRP94リガンドの増加を顕在化し、それにより、シャペロンの構造的および機能的活性化およびここで開示のGRP94のペプチド結合活性の顕在化を生ずる。
タンパク質ミスフォールドの異常は、多くの遺伝学的病状の通常のコンポーネントであり、それには、以下に限らないが、嚢胞性繊維症、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、およびα1-抗トリプシンミスフォールディングが含まれる。そのため、分子シャペロンのHsp90ファミリーの活性をモジュレートする化合物は、病状を同定するタンパク質フォールディング欠損を逆戻りさせるための、または細胞の小胞体からのタンパク質輸送を増大するための本発明の治療方法により使用され得る。そのため、GRP94のコンホメーションをモジュレートする化合物は、小胞体中にまたは小胞体からのタンパク質輸送の欠損から生ずる病状の処置に使用し得る。GRP94活性を抑止する化合物は、癌のような病状の処置に使用され得、ここで、治療の利点は、小胞体からのタンパク質(例えば、成長因子)の排出をブロッキングすることにより提供され得る。反対に、GRP94活性を促進する化合物は、疾患の処置に使用し得、ここで、治療の利点は、小胞体から搬出されるタンパク質を促進することにより提供され得る。
本発明はまた、乏血/再潅流の状態から生ずる細胞性損傷の予防または回復のための化合物の投与に適合し、それには、以下に限らないが心停止、心静止(asystole)および持続性心室不整脈(sustained ventricular arrythmias)を含む乏血/再潅流、心臓外科、心肺バイパス手術、器官移植、脊髄損傷、頭部外傷、ストローク、血栓塞栓性卒中、脳出血、脳血管痙攣、低血圧、低血糖症、てんかん重積持続状態、てんかん性発作、不安、統合失調症、神経変性障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または新生児のストレスの病状が含まれる。1つの実施態様では、Hsp90リガンドを含む組成物が投与され、Hsp90タンパク質のコンホメーション活性化を促進し、それにより、虚血に関係する創傷または病状の始まりの後の回復に関連する細胞性保護機能を促進する。他の実施態様では、Hsp90リガンドを含む組成物の投与は、対象の組織位置での虚血状態に対する後の細胞性応答を変え得る。組織位置での細胞はHsp90タンパク質リガンドと接触し、それにより、細胞でのHsp90活性は促進され、虚血状態に対する後の細胞性応答を有効な程度に変える。好ましくは、治療組成物は、ここに開示のスクリーニングまたは合理的な薬物設計法により同定されるリガンドを含む。また好ましくは、治療組成物は、GRP94またはHSP90の活性をモジュレートする。
XIII.C. 用量療法
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定対象に対する望ましい治療応答を達成するに有効なある量の活性化合物の投与に関して変化し得る。選択した用量レベルは、特定化合物の活性、投与の経路、処置する病状の重篤度、および処置すべき対象の病状および先の病歴に依存する。しかし、望ましい治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低いレベルの化合物の用量から出発し、望ましい効果が達成されるまで当該用量を段階的に増加することは、当分野の技術範囲内である。望ましいならば、有効な日用量は、投与目的のため複数の用量に分け得、それは、例えば、1日あたり2から4回に分けた用量である。しかし、任意の特定の対象のための特定用量のレベルは、体重、一般的な健康状態、治療食、投与の時間および経路、他の薬物との組み合わせ、および処置する特定疾患の重篤度を含む種々の要因に依存しする。
モジュレーターの投与のための用量範囲は、更にここで記載するように、モジュレーターの形、およびその効力に依存し、望ましい効果を生ずるに十分に多い量である。用量は、過粘稠度症候群、肺水腫、うっ血性心不全およびその他のような不都合な副作用を生ずるほどに多くすべきでない。一般的に、当該用量は、年齢、病状、性別および患者の疾患の程度で変わり、それは、当業者により決定され得る。当該用量はまた、各医師により、何れかの併発症の場合に調節され得る。
治療組成物は、単位用量として投与され得る。本発明の方法で用いる治療組成物に関し使用するとき用語"単位用量"は、単位用量として対象に適当である物理的に分離した単位をいい、各単位は、必要な希釈剤、すなわち、キャリアまたはビヒクルと関連する望ましい治療効果を生ずると算出した、事前に決定した量の活性物質を含む。
当該組成物は、用量製剤に適合する方法、および治療有効量で投与される。投与されるその量は、処置すべき対象、活性成分を利用する対象のシステムの能力、および望ましい治療効果の程度に依存する。投与にいつような活性成分の正確な量は、医師の判断に依存し、各個人に特有である。しかし、全身性の適用に適当な用量範囲をここで開示し、それは、投与の経路に依存する。投与に適当な用量療法はまた変わり得るが、最初の投与、その後の1時間以上の間隔での繰り返しの投与、その後の注射または他の投与により類型化される。他に、インビボ治療で特定された範囲の血液中濃度の維持に十分な連続的静脈注射がまた行われ得る。
治療的有効量は、処置すべき対象のHsp90タンパク質(好ましくはGRP94)生物学的活性の測定可能なモジュレーションを生ずるのに十分なモジュレーターの量、すなわち、Hsp90タンパク質生物学的モジュレーティングの量である。Hsp90タンパク質生物学的活性のモジュレーションは、ここで開示のスクリーニング法を用い、実施例に開示の方法を介し、または当業者に既知の他の方法により、測定され得る。
モジュレーターの効力は変わり得、そのため、"治療的に有効な"量は変わり得る。しかし、本アッセイ方法により示されるように、当業者は、容易に、本発明の候補モジュレーターの効力および効率を評価し、従って、治療療法を調節し得る。Hsp90タンパク質(GRP94)生物学的活性のモジュレーターは、ここで開示のスクリーニングアッセイを含む種々の方法および技術により評価され得る。
好ましいモジュレーターは、1マイクロモーラー(μM)未満、好ましくは0.1μM未満、およびより好ましくは0.01μM未満のモジュレーター濃度で、溶液中でHsp90タンパク質に実質的に結合する能力を有する。"実質的に"により、少なくとも50%減少の生物学的活性が、当該モジュレーターの存在下のモジュレーションにより観察されることを意味し、50%減少は、ここでは、"IC50値"と称する。
1つの実施態様では、治療有効量のモジュレーターは、それぞれ、一日あたり約0.01 mgから約10,000 mgの範囲となり得る。他に、治療的に有効量のモジュレーターは、それぞれ、一日あたり約0.1 mgから約1,000 mgの範囲となり得る。他に治療的に有効量のモジュレーターは、それぞれ、一日あたり約1 mgから約300 mgの範囲となり得る。好ましい実施態様では、治療有効量のモジュレーターは、それぞれ、一日あたり約15 mg /体重kgから一日あたり約35 mg/体重kgの範囲となり得る。
マウスの腫瘍で症候の緩解が生ずるペプチド複合体に非共有結合的に結合する低用量の熱ショックタンパク質は、マウス体重20-25gあたり10および25マイクログラム(25mg/25g=1mg/kgに等しい)の間であることが実験的な腫瘍モデル(Blachere et al., 1993)で確認された。通常の方法は、体重および表面積に基づきヒト用量に外挿される。例えば、体重に基づきヒト用量に外挿する通常の方法は、以下のように行い得る;マウス用量をヒト用量に変換するための変換係数は、kgあたりのヒト用量=kgあたりのマウス用量×12であるため(Freireich et al. (1966) Cancer Chemotherap Rep 50:219-244)、ヒト体重70kgのHsp90-ペプチド複合体の有効用量は、1mg/kg÷12×70、すなわち、約6mg(5.8mg)である。
薬物用量はまた、体表面積の平方メートル当たりミリグラムで与えられ、それは、この方法は、体重ではなく、特定の代謝および排泄機能に良好に相関し得るためである(Shirkey (1965) JAMA 193:443)。更に、体表面積は、大人および子供ならびにFreireich et al. (1966) Cancer Chemotherap Rep 50:219-244に記載のように異なる動物種におけるの薬物用量のための共通の特徴として使用し得る。端的には、同等のmg/sq m用量として任意の所定の種におけるmg/kg用量と表現するために、適当なkm係数を当該用量にかける。ヒトの大人では、100 mg/kgは、100 mg/kg×37 kg/sq m=3700 mg/sq mに等しい。
国際公開番号WO 95/24923、WO 97/10000、WO 97/10002およびWO 98/34641、並びに米国特許番号5,750,119、5,830,464および5,837,251は、それぞれ、熱ショックタンパク質および抗原性分子の精製複合体の用量を提供し、これらの文書のそれぞれの内容はすべて引用により本明細書に含める。端的に、および本発明に適用するように、Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94)-抗原性分子複合体は投与され、それによって、ヒト対象では、約10マイクログラムから約600マイクログラムの範囲となり、好ましくはヒト用量は、25gマウスでの使用と同じになり、すなわち、10-100マイクログラムの範囲となる。本発明により提供されるヒト対象におけるHsp90タンパク質(GRP94)-ペプチド複合体の用量は、約50から5,000マイクログラムの範囲となり、その好ましい用量は100マイクログラムである。
一連の好ましくおよびより好ましい実施態様では、Hsp90-ペプチド複合体は、約50マイクログラム未満の量で投与される。この場合、Hsp90タンパク質(好ましくはGRP94)-ペプチド複合体は、好ましくは、約5から約49マイクログラムの範囲の量で投与される。好ましい実施態様では、GRP94-ペプチド複合体は、約10マイクログラム未満の量で投与される。この場合、GRP94-ペプチド複合体は、好ましくは、約0.1から約9.0マイクログラムの範囲の量で投与される。より好ましくは、GRP94-ペプチド複合体は、0.5から約2.0マイクログラムの範囲の量で投与される。本発明の1つの態様により、複合体のより低い用量は、モジュレーターがまた投与されるとき、促進され、そして好ましい。
上記列挙された用量は、好ましくは、約4-6週間、週に一度、与えられ、投与の形態および部位は、好ましくはそれぞれの投与により変化する。好ましい例では、皮下投与であり、それぞれの投与部位は連続して変わる。例えば、用量の半分が1つの部位で与えられ、そして残りの半分が他の部位に、同じ日に、与えられる。
他に投与の形態は、連続的に変化する。例えば、週毎の注射は、順に皮下、筋肉内、静脈内または腹腔内に行われる。4-6週間後、更なる注射が、好ましくは、1月の期間にわたり2週間隔で行われる。後の注射は、月ごとに行われ得る。後の注射のペースは、対象の臨床的進行および免疫治療に対する応答に依存して、変更され得る。
XIII.D. 癌に対する免疫応答のための治療組成物
抗原性分子に結合するHsp90(例えば、好ましくは非共有結合的に抗原性分子に結合するGRP94)を含む組成物が投与され、複合化抗原性分子に対する有効な特異的免疫応答を顕在化する(および好ましくはHSP90タンパク質には応答しない)。好ましい実施態様では、ペプチドとHsp90タンパク質との非共有結合的複合体が調製され、本発明によるHsp90タンパク質生物学的活性モジュレーターでまた処置される癌患者から得た腫瘍細胞から手術後に精製する。好ましいHsp90タンパク質はGRP94である。より好ましい実施態様では、複合体は、上記で開示のような本発明のアフィニティー精製法を用い精製する。
ここで記載の方法により、Hsp90(例えば、GRP94)またはMHC抗原に内因的に複合化する免疫原性または抗原性ペプチドは抗原性分子として使用され得る。例えば、そのペプチドは調製され、異なる腫瘍抗原(例えば、チロシナーゼ、gp100、melan-A、gp75、ムチンなど)およびウイルス性タンパク質に対する細胞毒性T細胞応答を刺激し、それには、以下に限らないが、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-I)、ヒト免疫不全ウイルスII型(HIV-II)、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV-I)、単純ヘルペスII型(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロータウイルス、RSウイルス(RSV)、乳頭腫ウイルス、パポバ・ウイルス、サイトメガロウイルス、エチノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウィルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、およびポリオ・ウイルスのタンパク質が含まれる。抗原分子が、インビボでGRP94に非共有結合的に複合となるペプチドである実施態様では、当該複合体は、細胞から単離され得るか、他には、GRP94および抗原性分子のそれぞれの精製調製物からインビトロで産生され得る。当該複合体は、更に、上記開示のような本発明のアフィニティー精製法を用い精製し得る。
他の特定の実施態様では、癌(例えば、腫瘍)の抗原または感染体(例えば、ウイルス性抗原、細菌性抗原など)は、天然源から精製により、化学的構成により、または組み換えにより、そしてここで記載のようなインビトロの方法を介して、GRP94と複合して、得られ得る。当該複合体はまた、上記開示のような、本発明のアフィニティー精製法を用い、更に精製し得る。
XIII.E. 製剤化
本発明により、モジュレーターおよび抗原性分子複合体は、癌または感染症の処置または予防する対象に投与のための医薬調製物中に製剤化し得る。本発明のにより調製した複合体を含む組成物は、適合する医薬キャリア中に製剤化され、調製され得、パッケージされ、そして示された障害(例えば、癌または感染症)の処置のために標識し得る。
モジュレーターまたは複合体が水溶性ならば、次いで、適当な緩衝液、例えば、リン酸緩衝性生理食塩水または他の生理学的に適合する溶液中に製剤化され得る。他に、モジュレーターまたは生じた複合体は、水溶媒中での溶解度が低いならば、次いで、TWEEN(商標)のような非イオン性表面活性剤、またはポリエチレングリコールで製剤化され得る。そのため、当該化合物およびその生理学的に許容される溶媒和物は、吸息または吸入(口または鼻のいずれかを通って)または経口、頬、非経口、直腸投与または腫瘍の場合には充実性腫瘍中への直接の注入による投与用に製剤化され得る。
経口投与の場合、医薬調製物は、液体型であり、例えば、溶液、シロップ、懸濁液であり得るか、または使用前に水または他の適当なビヒクルで再構成される薬物製品として提供され得る。その液体調製物は、医薬的に許容される添加物と共に通常の手段により調製され得、その添加物は、懸濁化剤(例えばソルビトール・シロップ、セルロース誘導体または水素と化合した食用脂);乳化剤(例えばレシチンまたはアラビアゴム); 非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、油のエステルまたは分留によって得られた植物油); そして保存剤(例えばメチルまたはプロピル-p-オキシ安息香酸エステルまたはソルビン酸)のようなものである。医薬組成物は、医薬的に許容される賦形剤を伴う通常の手段により調製された、例えば、錠剤またはカプセルの型であり得、その賦形剤は、結合剤(例えば、あらかじめゼラチン化したトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース); 賦形剤(例えばラクトース、微結晶性セルロースまたは燐酸水素カルシウム); 滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、滑石またはシリカ); 崩壊剤(例えばじゃが芋澱粉またはナトリウム・デンプン・グリコレート); あるいは加湿薬(例えばラウリル硫酸ナトリウム)のようなものである。錠剤は、当分野で熟知された方法で被覆され得る。経口投与用の製剤は、適当に製剤化され、活性化合物の放出を制御する。
頬での投与の場合、当該組成物は、通常の方法で製剤化された錠剤または菱形の型となり得る。吸息による投与の場合、本発明による使用のための化合物は、適当なプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、他の適切なガスを用いる、加圧パックまたはネブライザーからのエアゾルスプレープレゼンテーション(aerosol spray presentation)の型で便利なように送られる。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、定量を送るバルブを提供することにより決定され得る。吸入器(inhaler or insufflator)に使用のための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、当該化合物およびラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤の粉末混合物を含むように製剤化され得る。
当該組成物は、注射による、例えば、ボラス注射または連続注入による、非経口投与用に製剤化され得る。注射のための製剤は、更なる保存剤を伴う、単位用量中、例えば、アンプルまたは多用量コンテナー中に存在し得る。当該組成物は、懸濁液、溶液または油性または水性ビヒクル中のエマルジョンのような型であり得、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤のような処方剤を含み得る。他に活性成分は、適当なビヒクル、例えば、滅菌発熱性物質除去水で使用する前に再構成するための粉末型であり得る。
当該化合物はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドのような通常の坐剤基剤を含む、坐剤または停留浣腸剤のような直腸組成物(rectal composition)中に製剤化され得る。
先に記載の製剤に加えて、当該化合物はまた、デボー製剤として製剤化され得る。その長期作用製剤(long acting formulation)は、移植(例えば皮下にまたは筋肉内に)により、または筋肉内注射により投与され得る。そのため、例えば、当該化合物は、適当なポリマー性または疎水性物質(例えば、許容される油の中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂で、または僅かに可溶な誘導体として、例えば、僅かに可溶な塩として製剤化され得る。リポソームおよびエマルジョンは、親水性薬物の送達ビヒクルまたはキャリアの熟知された例である。
望ましいならば、当該組成物は、活性成分を含む1以上の単位用量を含み得るパックまたはディスペンサー装置中に存在し得る。例えば、当該パックは、ブリスターパックのような金属またはプラスチックホイルを含み得る。当該パックまたはディスペンサー装置は、投与のための指示書が添付され得る。
本発明はまた、本発明の治療療法を行うためのキットを提供する。そのキットは、1以上のコンテナー中に、医薬許容型の、治療的または予防的有効量のモジュレーターおよび/または抗原性分子複合体を含む。本発明のキットのバイアル中の当該モジュレーターおよび当該抗原性分子複合体は、医薬的に許容される溶液の型、例えば、滅菌生理食塩水、デキストロース溶液、または緩衝性溶液、または他の医薬的に許容される滅菌された液体との組み合わせであり得る。他に、モジュレーターまたは複合体は凍結乾燥するか乾燥することができる; この例では、当該キットは、所望により更に、コンテナー中に医薬的に許容される溶液(例えば、生理食塩水、デキストロース溶液など)(好ましくは滅菌されている)を含み、当該モジュレーター複合体を再構成し、注射目的で溶液を形成する。
他の実施態様では、本発明のキットは、更に、モジュラーおよび複合体を注射するための針またはシリンジ(それらは好ましくは滅菌型でパッケージされている)、および/またはパッケージされたアルコールパッドを含む。指示書が、所望により、臨床医によるかまたは対象による抗原性分子複合体の投与のために含まれる。
XIV. 標的感染症
本発明の方法により処置され得るかまたは予防され得る感染症は、以下に限らないが、ウイルス、細菌、菌類、原虫類および寄生虫を含む感染体により生ずる。感染症を有する対象の処置が望ましい本発明の1つの実施態様では、上記アフィニティー精製法は、感染生体で感染した細胞由来(例えば細胞系または対象から)のGRP94-ペプチド複合体の単離に使用される。そのため、好ましくは、当該ペプチドは、感染性生体で感染したい細胞中で見られ、感染していない細胞中では見られない。
本発明の方法により処置または予防され得るウイルス性疾患は、以下に限らないが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV-I)、単純ヘルペスII型(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロータウイルス、RSウイルス(RSV)、乳頭腫ウイルス、パポバ・ウイルス、サイトメガロウイルス、エチノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウィルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオ・ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-I)、およびヒト免疫不全ウイルスII型(HIV-II)により生ずるものが含まれる。
本発明の方法により処置または予防され得る細菌性疾患は、以下に限らないが、ミコバクテリア、マイコプラズマ、ナイセリアおよびレジオネラが含まれる細菌により生ずる。
本発明の方法により処置または予防され得る原虫症は、以下に限らないが、リーシュマニア、コクジジオラ(Kokzidioa)およびトリパノソーマが含まれる原虫類により生ずる。本発明の方法により処置または予防され得る寄生生物症は、以下に限らないが、クラミジアおよびリケッチアが含まれる寄生虫により生ずる。
XV. 標的の癌
本発明の方法により処置または予防され得る癌には、以下に限らないが、ヒトの肉腫および癌腫、それらには以下に限らないが、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、骨髄原発性肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳首腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛膜癌腫、精上皮腫、胎児性癌、ヴィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌腫、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫が含まれ; 白血病、例えば、急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病(骨髄芽球、前骨髄球、脊髄単球(myelomonocytic)、単球、および赤白血病); 慢性白血病(慢性骨髄球(顆粒白血球)白血病および慢性リンパ球性白血病); および真性赤血球増加、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症およびH鎖病が含まれる。
特定の実施態様では、癌は転移性である。他の特定の実施態様では、癌を有する対象は、抗癌治療(例えば、化学療法)を行い、その後、本発明によるGRP94-抗原性分子複合体およびGRP94モジュレイターの投与により免疫抑制される。
XVI. 養子免疫療法との組み合わせ
養子免疫療法とは、癌または感染疾患を処置するための治療アプローチをいい、その免疫細胞は、当該細胞が腫瘍細胞および/または抗原性コンポーネントに直接または間接の何れかにより特異的免疫または当該腫瘍の緩解または感染症の処置を仲介させる(その場合がそうでありうるように)目的で宿主に投与される。ここで記載の方法により、APCは、GRP94生物学的活性モジュレイターと結合する抗原性(または免疫原性)分子と好ましくは非共有結合的に複合したGRP94で感作され、養子免疫療法で使用される。
本発明の1つの実施態様により、任意の投与経路を用いる、GRP94-ペプチド複合体およびGRP94生物学的活性モジュレイターの投与により治療は、GRP94-抗原性分子複合体およびモジュレーターで感作されたAPCを用いる養子免疫療法と組み合わされる。感作されたAPCは、GRP94-ペプチド複合体およびモジュレーターと同時に投与され得るか、またはGRP94-ペプチド複合体およびモジュレーターの投与の前後に投与され得る。更に、投与の形態は変化し得、それには、以下に限らないが、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮内または粘膜が含まれる
XVI.A. マクロファージと抗原提示細胞の取得
以下に限らないが、マクロファージ、樹状細胞およびB細胞を含む抗原提示細胞は、好ましくは、Inaba (1992) J Exp Med 176:1693-1702に記載されるように、ヒトの末梢血または骨髄由来の幹細胞および始原細胞からインビトロの作成により得られる。
APCは、当分野に既知の任意の種々の方法により得られ得る。好ましい態様では、ヒトマクロファージが用いられ、それは、ヒトの血球から得られる。限定されない例として、マクロファージは以下のように得られる:単核細胞はフィコール-ハイパック比重遠心によって、対象(好ましくは処置されるべき対象)の末梢血から分離され、対象自体の血清または他のAB+ヒト血清であらかじめ覆われる組織培養ディッシュの上でまかれる(seed)。当該細胞は、37℃で1時間インキュベーションし、次いで、付着していない細胞をピペッティングにより取り除く。ディッシュに残っている付着細胞に、冷却(4℃)したリン酸緩衝性生理食塩水中の1mM EDTAを加え、当該ディッシュは、室温で15分間静置する。当該細胞を回収し、RPMI緩衝液で洗浄し、RPMI緩衝液中に懸濁する。増加した数のマクロファージが、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)と共に37℃でインキュベーションすることにより得られ得る;増加した数の樹状細胞が、Inaba, et al. (1992)に詳細に記載されているように顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)と共にインキュベーションすることにより得られ得る。
XVI.B. GRP94-ペプチド複合体によるマクロファージおよび抗原提示細胞の感作
APCは、抗原性分子に結合するGRP94(好ましくは非共有結合)で、複合体およびモジュレーターと共に細胞をインビトロでインキュベーションすることにより、感作される。APCは、GRP94の複合体および抗原性分子で、好ましくはGRP94-複合体およびモジュレーターと共にインビトロで37℃15分間から24時間インキュベーションすることにより感作される。限定されない例として4×107マクロファージは、mlあたり10マイクログラムGRP94-ペプチド複合体またはmLあたり100マイクログラムGRP94-ペプチド複合体およびモジュレーターと共に、GRP94-ペプチド複合体と等モル量で、37℃15分間から24時間、1mL 単純RPMI培地中でインキュベーションし得る。当該細胞を3回洗浄し、好ましくは滅菌された生理学的培地中に、対象への注射に適当な濃度(例えば、1×107/ml)で懸濁する。好ましくは、感作したAPCを注射する対象は、APCを元々単離した対象である(自己由来の実施態様)。
所望により、例えば、抗原特異性、クラスI-制限化細胞毒性T-リンパ球(CTL)を刺激する感作化APCの能力は、CTLを刺激し腫瘍壊死因子を放出する能力により、およびそのCTLの標的として作用する能力により、モニターされ得る。
XVI.C. 感作化APCの再注入
感作化APCは、対象に、全身的に、好ましくは静脈内に、通常の臨床方法により再注入される。これらの活性化細胞は、好ましくは自己由来性の対象中への全身性投与により、再注入される。対象は、対象の状態に応じて一般的に約106から約1012の感作化マクロファージを受ける。幾つかの療法では、対象は、所望により、以下に限らないが、サイトカインIFN-α、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、TNFまたは他のサイトカイン成長因子を含む適当な用量の生物学的応答性モディファイアーと共に受け得る。
XVII. 自己由来の実施態様
Hsp90タンパク質の特異的免疫原性は、Hsp90タンパク質自体からは得られないが、それに結合するペプチドから得られる。癌ワクチンとしてGRP-94ペプチドの自己由来複合体の使用を目的とする本発明の好ましい実施態様(ここでは、免疫原性は、本発明のモジュレーターで促進される)では、癌免疫治療にとって最も難しい2つのハードルが回避される。第一に、実験動物の幾つかの癌のようなヒトの癌は、抗原性的に区別される可能性がある。そのため、本発明の実施態様では、当該癌細胞のGRP94シャペロン抗原性ペプチドが誘導され、このハードルは回避される。
第二に、癌免疫治療に対する最近のアプローチは、癌細胞系のCTL認識エピトープを決定することに集中している。このアプローチは、癌に対する細胞系およびCTLの有用性を必要とする。これらの試薬は、ヒトの癌の圧倒的な部分には利用不可能である。そのため、GRP94およびペプチドの自己由来性複合体を目的とする本発明の実施態様(ここでは、好ましくは、免疫原性は本発明のモジュレーターで促進される)では、癌免疫治療は、細胞系またはCTLの有用性に依存せず、または癌細胞の抗原性エピトープの決定も必要としない。これらの利点から、癌に対し誘引的および新規の免疫原であるペプチド複合体に非共有的に結合する自己由来Hsp90タンパク質(例えば、GRP94)が生ずる。
XVIII. 原発性および転移性腫瘍疾患の予防および治療
本発明により提供されるような免疫治療が癌患者での使用になぜ望ましいか、には多くの理由がある。第一に、癌患者が免疫抑制され、麻酔を伴う手術およびその後の化学療法は、免疫抑制を悪化させ得、次いで、それは手術前の期間の適当な免疫治療を伴い、この免疫抑制は、予防されるかまたは回復し得る。これは、僅かな感染性合併症を生じ、そして創傷治癒が加速され得る。第二に、腫瘍体積(tumor bulk)は手術後最小となり、免疫治療は、この状況では最も有効であるようである。第三の理由は、腫瘍細胞は手術で循環中へ流れ、このとき適用される有効な免疫治療はこれらの細胞を排出し得るという可能性である。
本発明の予防および治療方法は、手術前、手術時または手術後の何れかで癌患者の免疫適格を促進することを目的とし、癌細胞に対する腫瘍特異的免疫を誘発する(すなわち、癌細胞に対しては免疫応答するが非癌性細胞または正常細胞)ことを目的とし、ここで、目標は癌の阻害であり、最終的臨床的目標は全体的な癌回復および根絶である。
XIX. Hsp90タンパク質抗原性分子複合体による癌予防および免疫治療の間の効果のモニタリング
腫瘍疾患の成長および進行におけるGRP94-抗原性分子複合体による免疫治療の効果は、当業者に既知の任意の方法によりモニターされ得、それは、以下に限らないが、1)細胞性免疫の評価として遅延型過敏症; 2)インビトロでの細胞崩壊性Tリンパ球の活性; 3)腫瘍特異抗原、例えば癌胚抗原(CEA)のレベル; 4)コンピューター断層撮影(CT)走査のような技術を用いる腫瘍の形態の変化; 5)高い危険性にひんしている個体の特定の癌のための危険性の推定バイオマーカーのレベルの変化、および6)ソノグラムを用いる腫瘍の形態の変化を測定することを含む。
遅延型過敏症皮膚試験
遅延型過敏症皮膚試験は、抗原への全面的な免疫適格および細胞性免疫において大きく価値がある。一連の共通皮膚抗原に反応することができないことをアネルギーと称する(Sato et al. (1995) Clin Immunol Pathol 74:35-43)。皮膚試験の適当な技術は、抗原は無菌状態、4℃で保存され、光から保護され、そして使用直前に再構成されることを必要とする。25-または27-ゲージの針は、皮下であるというよりむしろ皮内での抗原の投与を確実とする。抗原の皮内投与後24時間および48時間後、紅斑および硬結部の両方の最大の寸法をルーラーで測定する。任意の所定の抗原または抗原群に対する活動低下は、より高濃度の抗原による試験によって、または不明確な状況では、中間濃度による繰り返し試験によって、確認される。
インビトロで細胞崩壊性Tリンパ球の活性
フィコール-ハイパック比重遠心技術によって単離された8×106末梢血誘導化Tリンパ球は、10% ウシ胎仔血清を含む3ml RPMI培地中の4×104マイトマイシンC処理腫瘍細胞で再刺激される。幾つかの実験では、33%の第二の混合リンパ球培養上清またはIL-2は、T細胞増殖因子のソースとして培養培地に含まれている。
免疫化後に細胞崩壊性Tリンパ球の第一の応答を測定するために、T細胞はスティミュレーター腫瘍細胞なしで培養されている。他の実験では、T細胞は、抗原性的に別個の細胞で再刺激する。6日後、当該培養物を、4時間の51Cr-放出アッセイにおいて細胞毒性について試験する。標的の自然発生的51Cr-放出は、20%未満のレベルに到達する。抗MHCクラスIブロッキング活性の場合、W6/32ハイブリドーマの10倍濃度の上清を、最終濃度約12.5%で当該試験に加える(Heike et al. (1994) J Immunotherapy 15:165-174)。
腫瘍特異的抗原のレベル
全ての腫瘍における特有の腫瘍抗原を検出することは可能になり得ないが、多くの腫瘍が、それらと正常細胞とを識別する抗原を表示する。モノクローナル抗体試薬は、抗原の単離および生物化学的特徴付けを可能とし、非形質転換細胞と形質転換したものとの区別および形質転換細胞の細胞系の決定にとって診断的に非常に重要である。最も特徴づけられたヒト腫瘍関連抗原は、癌胎児性抗原である。これらの抗原は、胚形成の間に発現するが、成体組織では全くないか、非常に検出は困難である。原型抗原は、癌胎児抗原(CEA)であり、それは、ヒトの結腸癌細胞で見られるが正常な成体結腸細胞には見られない糖タンパク質である。CEAは、結腸癌細胞から流出(shed)し、血清に見られるので、血清中のこの抗原の存在が、結腸癌についての対象のスクリーニングに使用され得ることが元々考えられた。しかし、膵臓癌および乳癌のような他の腫瘍を有する対象はまた、CEAの血漿レベルを増加する。そのため、治療を行う癌患者におけるCEAレベルの減少および上昇は、処置すべき腫瘍進行および応答の予測に有用であることが証明された。
幾つかの他の癌胎児性抗原が、ヒト腫瘍、例えば、α-胎児タンパク質、胎児の肝臓および卵黄嚢細胞によって通常分泌されるα-グロブリンは、肝臓および胚細胞腫瘍を有する対象の血清中に見られ、疾患の状態の事柄(matter)として使用され得る。
コンピューターの断層撮影(CT)走査
CTは、正確な癌のステージングとして技術の選択を残す。CTは、転移の検出のための任意の他の映像技術よりもより高感度であり特異的であることを証明する。
推定バイオマーカーの測定
特定の癌の危険性についての推定バイオマーカーのレベルを測定し、ペプチド複合体に非共有結合的に結合するGRP94の効果をモニターする。例えば、前立腺癌の危険性を増した個体では、血清前立腺特異抗原(PSA)は、Brawer et al.(1992) J Urol 147:841-845 および Catalona et al.(1993) JAMA 270:948-958に記載の方法により測定する;または結腸直腸癌の危険性のある個体では、CEAは上記のように測定される;および乳癌の危険性の増した個体では、エストラジオールのの16-ヒドロキシル化は、Schneider et al.(1982) Proc Natl Acad Sci USA 79:3047-3051に記載の方法により測定される。上記引用文献は引用により全て本明細書に含める。
ソノグラム
ソノグラムは、正確な癌のステージングとして技術の他の選択を残す。
XX. 乏血と関係する標的障害/外傷
本発明は、対象にHsp90タンパク質モジュレーターを投与することを含む虚血誘導性損傷を処置および予防する方法を提供し、ここで、Hsp90活性化モジュレーションが望ましい。ここで使用するとき、用語"虚血"は、組織の血流の喪失をいう。血液喪失は、酸素およびグルコースの両方の欠乏により特徴づけられ、虚血性壊死または梗塞形成を生ずる。そのため、用語"虚血"は、酸素欠乏および栄養欠乏の両方の状態をいう。特定脈管領域への血流の喪失は、"局所性虚血"として記載する。組織全体または体全体への血流の喪失は、"全体的虚血"として称せられる。
本発明は、心停止、心静止(asystole)および持続性心室不整脈(sustained ventricular arrythmias)を含む乏血/再潅流、心臓外科、心肺バイパス手術、器官移植、脊髄損傷、頭部外傷、ストローク、血栓塞栓性卒中、脳出血、脳血管痙攣、低血圧、低血糖症、てんかん重積持続状態、てんかん性発作、不安、統合失調症、神経変性障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または新生児のストレスの病状および任意の病状(虚血の脳障害を予防または回復するニューロプロテクタント(neuroprotectant)組成物が示され、有用であり、推奨され、または処方する)から生ずる細胞性損傷を回復する治療組成物および方法を提供する。
虚血/再潅流の破壊的な効果は、細胞死および最終的に臓器不全を生ずる有害なイベントのカスケードとして明白である。虚血誘導性細胞死の元となる(underlying)代謝イベントは、ATP消耗、細胞性アシドーシス、グルタメート放出、カルシウムイオン流入、膜リン脂質分解およびその後の遊離脂肪酸蓄積の刺激、および遊離基変性にによるエネルギー不足を含んでいる。更に、アポトーシスの細胞死とは対照的に、乏血誘導性細胞死は、最も遠位の細胞領域の変性、およびその後の、細胞体および核の進行的な変性によって特徴づけられる(Yamamoto et al. (1986) Brain Res 384:1-10; Yamamoto et al. (1990) Acta Neuropathol 80:487-492)。この変性プロファイルと一致して、ニューロン細胞のような伸張プロセスを生ずる細胞は、特に虚血性損傷に感受的である。特に任意の理論により制限されることを目的とはしないが、これらの観察は、細胞内輸送およびタンパク質有用性が、ストレスに対する細胞応答の本質的なコンポーネントであり、更に、虚血性応答の標的としてHsp90タンパク質を含むそのような機能の分子コンポーネントと関連することを示唆する。
そのため、1つの実施態様では、本発明は、中枢神経系乏血の処置に適合する。中枢神経系乏血の例は、大脳虚血および脊柱乏血を含む。"脳虚血"は、通常、動脈を塞ぐ凝血(血栓)または他のもの(栓子)の結果として、脳内の動脈中の血流または脳への導入の妨害または減少である。
虚血性誘発損傷の予防または回復のための本発明の治療組成物は、Hsp90タンパク質リガンドを含む。好ましくは、そのモジュレーターは、内因性Hsp90タンパク質の活性化構造性コンホメーションを促進または安定化する。また好ましくは、Hsp90リガンドは、GRP94またはHSP90の活性をモジュレートする。細胞性保護剤効果を有する組成物の望ましい特性は以下のものを含む:(1)経口または注射経路による容易な投与(例えば、胃、腸または脈管系において有意に分解されず、それによって、それは、処置されるべき組織に治療的に有効量が到達する)、(2)虚血性傷害後に投与したときの治療活性(例えば、効率)、および(3)最小かまたは全くない副作用、それには、認識の障害、運動効率の崩壊、鎮静、過興奮性、ニューロン空胞変性、および欠損心臓血管活性が含まれる。
Hsp90タンパク質リガンドを含む組成物は、虚血性状態を生ずる外傷または他のイベントの直後に投与され得る。他に、その組成物は、神経組織変成疾患を含むがこれに限らない進行性障害の検出後に連続的にまたは断続的に投与され得る。また他の実施態様では、その組成物は投与され、その後の虚血性状態を予防またはその回復を改善し得る。それぞれの場合、有効量および投与プロファイルは、Tacchini et al. (1997) Hepatology 26(1):186-191および米国特許番号4,968,671、5,504,090および5,733,916に開示の虚血状態の動物モデルにおいてその測定を目的とする標準的実験を用い測定し得る。典型的な動物モデルを以下に記載する。
他の実施態様では、本発明は、移植前の組織の処置に適合する。その組織は、ドナーの体から取り除いた後、完全に脱血管化(devascularized)される。Hsp90タンパク質リガンドを含む治療組成物は、移植組織の回復を促進し、健康を促進し得る。ドナーまたは移植組織にその化合物を提供するための幾つかの方法は、当分野に既知であり、以下に限らないが、器官の保存および健康を促進する治療化合物をドナー対象に投与し、その後、当該器官を獲得すること、治療組成物で単離器官を浸すこと、および組織移植前、同時、またはその後に移植レシピエントに当該組成物を投与することを含む。Mizoe et al.(1997) J Surg Res 73(2):160-165 および米国特許番号5,066,578; 5,756,492;および 6,080,730参照。
また他の実施態様では、Hsp90タンパク質モジュレイターを含む組成物は、虚血状態でない状態で対象に反復的に提供され得、それにより、その後の虚血性状態に耐性の対象の能力が促進される。本発明のHsp90リガンドを含む治療組成物は、その細胞性保護剤作用を提供し得る。好ましくは虚血耐性を誘導することを意図する、ある用量の治療組成物は、例えば、Chen et al. (1996) J Cereb Blood Flow Metab 16:566-577および米国特許番号5,504,090および5,733,916に開示のように、緩和な虚血状態とし得る。
XX.A. 虚血のインビボモデル
虚血性創傷および疾患の多くのモデルが、Hsp90タンパク質モジュレーターを含む組成物の治療の能力の評価に利用可能である。以下に記載の動物モデルに加えて、Massa et al. (1996) "The Stress Gene Response in Brain" in Cerebrovascular and Brain Metabolism Reviews, pp. 95-158, Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, Pennsylvania参照。それらは引用により本明細書に含める。当業者は、他のモデルを開示のように使用し得ると認識するであろう。治療能力を評価するため、例えば、血流を回復させた直後または30分後に腹腔内に単一用量を投与するといったように、候補化合物を投与し得る。
一時的な全体的な脳虚血
米国特許番号5,571,840は、イヌ型の心停止を開示する。このモデルにより、成犬に麻酔をかけ、機械的に酸素を補給し、外科麻酔および角膜反射の抑制を維持する。吐き出された炭酸ガス分圧および食道の温度は、停止前および蘇生後の少なくとも1時間は安定して維持される。2つの静脈カテーテルが挿入される; 一本は、蘇生薬物の投与のために左外頚静脈(left external jugular vein)から右心房への経路に通し、もう一本は、液体投与のための左大腿静脈の筋枝中へ通す。動脈血圧は、液体投与のための左大腿静脈の筋枝中に置かれたカテーテルにより測定する。動脈血圧は、左大腿動脈の筋枝中に置かれたカテーテルにより測定する。皮下のディスク電極は、心電図(ECG)のモニターのために置く。
各動物は、停止前および回復の間に静脈内に水が与えられる(hydrate)。全てのカテーテルおよび導線は、皮下に通され、イヌのジャケットおよび水力学的/電気的なスイベルに後につなぐための背中の中肩甲骨(midscapular)領域の皮膚から出される。脈打ちおよび平均動脈血圧(MAP)、ECGおよび終末呼気のCO2は、継続的に6つのチャネル・オシログラフに記録され得る。外科的な器具の使用の最後では、麻酔は停止され、換気は室内気で行われる。角膜反射が明白なときに、心臓は、10-15秒間、60 Hz、2 msec方形波刺激を左心室心外膜に与えることにより、フィブリル化される。換気は停止され、循環停止は、心臓のECG、MAPおよび直接観察によって確認される。9分間の正常体温の心室性細動の後、換気は回復し、直接の心臓マッサージは75mmHgを超えるMAPを維持する。自発的な換気が起こるまで、しかし、それは6時間以下(典型的には30分だけ)、機械呼吸は継続される。
ストロークの状態では、脳への第一の動脈の閉塞により、接近し得る。1つのモデルでは、両側性の総頸動脈閉塞症は、Karpiak et al. (1989) Ann Rev Pharmacol Toxicol 29:403, Ginsberg & Busto (1989) Stroke 20:1627、および米国特許番号6,017,965に更に開示されるようにアレチネズミで行なわれる。端的に、脳への血流は頚動脈を留めることにより7分間遮られる。これらの実験の間に、動物のコア体温度は低体温の影響を防ぐために37℃で維持される。
局所永久脳虚血(Permanent Focal Cerebral Ischemia)
脳虚血の他のモデルでは、中大脳動脈は、Karpiak et al.(1989) Ann Rev Pharmacol Toxicol 29:403, Ginsberg & Busto (1989) Stroke 20:1627, Chen et al.(1996) Mol Endocrinol 10:682-693、および米国特許番号6,017,965に開示のようにラットにおいて閉塞させる。このモデルによると、中大脳動脈は、中大脳動脈の領域への頚動脈に小片の縫合スレッドを通すことにより永続的に閉塞される。コア体温度は37℃で維持される。このモデルは、より制限された脳梗塞を誘発し、それにより別の種類のストロークに接近する、アレチネズミの両側性の総頸動脈閉塞症とは異なる。
一過性局所脳虚血(Transient Focal Cerebral Ischemia)
ラットにおける局所脳虚血の他のモデルでは、中大脳動脈は、中大脳動脈の領域への頚動脈に小片の縫合スレッドを通すことにより、一時的に閉塞される。当該縫合スレッドは、2時間の虚血後に引き抜く。コア体温度は37℃で維持される。
局所虚血の更なるモデルには、以下に限らないが、光化学的に誘発された局所脳血栓症、凝血塞栓血症、ミクロスフェア塞栓血症および関連方法が含まれる。McAuley (1995) Cerebrovasc Brain Metab Review 7:153-180参照。
腎虚血
成体オスラットに、フェノバルビタール(50mg/kg)で麻酔をかけ、ラットの体温を36-37℃に維持する。腎虚血は、Kuznetsov (1996) Proc Natl Acad Sci USA 93:8584-8589に開示のように、15分間(ゆるやかな虚血)または45分間(重篤な虚血)、左腎動脈を留め、その後、5時間の再潅流により、誘発させる。
XX.B. 虚血のインビトロモデル
上皮の虚血の細胞培養モデル
イヌの腎臓(MDCK)細胞を、5%ウシ胎児血清を加えたDulbecco最小必須培地中で増殖させる。ラット甲状腺(PCC13)細胞は、Grollman et al. (1993) J Biol Chem 268:3604-3609に記載のように、5%子ウシ血清およびホルモン混合物を加えたCoon修飾Ham F-12培地(Sigma of St. Louis, Missouri)中で増殖させる。培養したMDCKまたはPCC13細胞は、Ramachandran & Gottlieb (1961) Biochim Biophys Acta 53:396-402に開示のように、アンチマイシンA、ミトコンドリアの酸化的リン酸化の特異的インヒビターでの処置により、酸化的代謝が阻害される。他に、または更に、当該細胞は、糖分解代謝を阻害する2-デオキシグルコース、グルコースの加水分解不可能な類似体で処置され得る。Bacalloa et al.(1994) J Cell Sci 107:3301-3313, Mandel et al.(1994) J Cell Sci 107:3315-224, and Kuznetsov (1996) Proc Natl Acad Sci USA 93:8584-8589参照。
酸素およびグルコース欠乏の細胞培養モデル
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、15% 再生子ウシ血清(GibcoBRL of Gaithersburg, Maryland)を含むHam F-10培地で増殖させる。細胞(5ml)を、mlあたり150,000細胞の密度でT25フラスコ(Corning of Acton, Massachusetts)に接種し、実験には、おおよそ48時間後ののサブコンフルエントの状態で用いる。グルコースを欠乏させるために、15%血清を、グルコースなしで調製したF-10培地に加えると、部分的なグルコース欠失ブロスを生ずる。インキュベーションの間、細胞は、Sigma glucose colorimetric assay kitを用い測定され得るような、約20時間後の残りのグルコースを使用する。グルコース欠失細胞は、更なる24時間のインキュベーション後回収する。
酸素欠乏症とするため、十分な培地(または50%の更なるグルコースを含む十分な培地)中の培養物をシールしたBrewer jar (Baltimore Biological Laboratory, Microbiology Systems of Baltimore, Maryland)中に置き、Anderson & Matovcik (1977) Science 197:1371-1374 and Seip & Evans (1980) J Clin Microbiol 11:226-233により先に記載したように4-7%二酸化炭素雰囲気中で水素ジェネレーターを用いることにより、嫌気生活を開始した。ジャーの中の酸素濃度は、100分間で0.4%未満にまで減少し、撹拌しない溶液中の細胞深部(cell depth)での酸素濃度は、30分内に1%環境値となると算出される。その算出は、Gerweck et al. (1979) Cancer Res 39:966-972に記載の方法により成し得る。水素および酸素からの水蒸気の形成は、嫌気生活の開始後まもなく培養培地において短時間(約15分)で約38.6℃まで温度が上昇する。この上昇は、熱ショック応答の顕在化には不十分である。
酸素欠乏症は、メチレンブルーインディケーター溶液を用い変化し得る。この溶液は、嫌気生活の開始後5-6時間には無色となる(それは、酸素の不在を示す)。一定のグルコース濃度(1g/L)は、嫌気生活開始の24時間前および開始直前の培地を変更することにより維持され得る。
脳虚血の細胞培養モデル
単離されたニューロンは、増殖許容サブストレート(growth-permissive substrate)を含む単層で培養し得、それは、精製した、成長促進因子の固定化単層のようなものであり、それは、L1グリコプロテインのコラーゲン、フィブロネクチンを含む単層のようなものである。典型的な方法として、ニューロン(生じた日後2-7)は、例えば、米国特許番号5,932,542に本質的に記載のようなトリプシン処理によって分離される。ニューロンは、成長促進因子で十分に被覆されたウェルに添加され、その後、単一の濃度または増加する濃度のいずれかの候補組成物が添加される。ニューロンは、一夜(約16時間)37℃で培養し、次いで、神経突起成長が測定される。上記記載するように、低酸素症/酸素欠乏症となり得る。次いで、虚血状態となり、候補治療組成物が投与された細胞の神経突起成長は、治療組成物の投与のない虚血状態となった対照細胞での神経突起成長と比較し得る。
海馬におけるグルタミン酸誘導性酸化毒性の細胞培養モデル
グルタミン酸は、脳内の主な興奮性伝達物質であり、てんかんの病原論および卒中活性において役割を果たすと提唱されている。臨床的に異なる型のてんかんに関連する種々の発作および行動の効果を含む多くのインビボモデルが知られる。グルタミン酸誘導性酸化毒性のインビトロモデルもまた、ここで記載の典型的な方法として知られる。マウス海馬細胞系(Davis & Maher (1994) Brain Res 652(1):169-173)は、10% ウシ胎児血清(Atlanta Biologicals of Atlanta, Georgia)を有するDulbecco修飾Eagle培地(GibcoBRL of Gaithersburg, Maryland)中で維持される。HT22細胞は、ウェルあたり20,000細胞で96-ウェルプレートに接種し、通常の増殖培地中、一夜37℃で培養する。グルタミン酸誘導性酸化毒性は、2-10mM グルタミン酸またはNMDAの投与により顕在化する。更なる方法が、Su et al. (1998) J Mol Cell Cardiol 30(3):587-598; Xiao et al. (1999) J Neurochem 72:95-101および米国特許番号6,017,965に開示されている。
XX.C. 虚血または他のストレス状態後の回復についてのアッセイ
ここで開示の治療組成物の効果は試験され、これらの動物モデルにおける細胞性損傷の緩和および/または回復のための可能性ある治療ストラテジーを決定し得る。限定されないが、典型例は、以下に開示の治療効率を評価するために測定する。
神経学上の評価アッセイ
神経学上の欠損および回復は、米国特許番号5,571,840に開示されるように、意識、呼吸、脳神経活性、脊髄神経活性および運動機能について注意深い観察が示される標準化スコアを用いモニターし得る。観測者間の可変性は、各神経機能の詳細な説明のコンサルテーションによって解決され得る。認識、知覚、および運動障害の更なるアッセイは、米国特許番号6,017,965に開示されている。
梗塞サイズアッセイ
ここで開示の候補化合物の効率はまた、虚血状態となった動物に化合物を投与した後の梗塞サイズの測定により評価され得る。虚血状態の開始後の選択した時点において、その動物は、屠殺され、目的の組織に適当な通常の組織についてプロセスされ、そして当分野のイメージプロセッシングソフトウェア(例えば、Bio Scan OPTIMAS of Edmonds, Washington)で熟知される方法により、梗塞体積の正確な推定を促進に使用され得る。
細胞崩壊のための分子マーカーの検出
他の実施態様では、損傷組織は、Alz-50、tau、A2B5、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ、および米国特許番号6,046,381に開示のようなニューロン崩壊(neurodegeneration)の特性解析される他のもののような抗原を認識する抗体で免疫標識することにより脳切片中で同定され得る。免疫標識された細胞は、共焦点イメージのコンピューター支援半定量分析を用いて定量化し得る。
細胞生存率測定
虚血のインビトロモデルを用いると、細胞生存率は、Hansen et al. (1989) Electrophoresis 10:645-652に記載のような3-(4,5-ジメチルジアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を代謝する細胞の能力を測定することにより評価し得る。端的に、10μlのMTT溶液(5mg/ml)は細胞培養物中に加えられ、96-ウェルプレートに置かれ、当該細胞は、4時間37℃で通常の増殖培地中に維持する。次いで、可溶化溶液(100μl; 50% ジメチルホルムアミドおよび20% ドデシル硫酸ナトリウム、pH 4.8)は、96ウェルプレートの各ウェル中の各培養物に直接加える。室温での一夜のインキュベーション後、吸光度を測定する。
他に、細胞生存率は、乳酸脱水素酵素、Choi et al. (1987) J Neurosci 7:357および米国特許番号6,017,965に開示のような死滅細胞から放出する細胞質酵素の放出を測定することにより評価され得る。
ニューロンの成長アッセイ
上記のような神経の乏血の細胞培養モデルは、Horch et al.(1999) Neuron 23:353-364 および McAllister et al.(1997) Neuron 18:767-778に開示のように、標識化ニューロンプロセスの視覚的調査、およびニューロンプロセスの長さ、密度および動力学の計量によって評価され得る。
他の実施態様では、分子マーカーを用い、固定化脳組織切片中の神経突起成長を評価し得る。例えば、虚血の動物モデルから生ずる脳切片は、MAP-2(ニューロンの細胞体および樹状突起のマーカー)を認識する抗体を用い、そしてシナプトフィジン(シナプス前部末端のマーカー)のために標識し得る。標識化切片は、共焦点顕微鏡で見、共焦点イメージのコンピューター支援半定量分析を用い文書化し得る。MAP-2免疫標識化樹状突起により、またはシナプトフィジンにより、占められたニューロパイルの領域が定量され得、全イメージ領域の割合として表現される。Masliah et al.(1992) Exp Neurol 136:107-122 and Toggas et al.(1994) Nature 367:188-193参照。
ニューロンの成長をアッセイする更なるアッセイは、Doherty et al.(1995) Neuron 14:57-66, Schnell et al.(1990) Nature 343:269-272、米国特許番号5,250,414および5,898,066、ならびにPCT国際公開番号WO 99/61585に開示する。
XXI. タンパク質輸送の障害
タンパク質ミスフォールディング障害は、多くの遺伝病状態の共通のコンポーネントであり、それには、以下に限らないが、嚢胞性繊維症、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、およびα1-アンチトリプシンミスフォールディングが含まれる。そのため、分子シャペロンのHsp90ファミリーの活性をモジュレートする化合物は、病状を同定するタンパク質フォールディング欠損を回復するためまたは細胞の小胞体からのタンパク質輸送を促進するための本発明の治療方法により使用され得る。そのため、GRP94のコンホメーションをモジュレートする化合物を用い、小胞体中へまたは小胞体からのタンパク質輸送における欠損から生ずる病状を処置し得る。GRP94活性を排除する化合物は、癌のような病状の処置に使用され得、ここで、治療の利点は、小胞体からのタンパク質(例えば、増殖因子)の排出をブロックすることにより提供され得る。逆に、GRP94活性を促進する化合物を用い、疾患を処置し得、ここで、治療の利点は、小胞体からのタンパク質輸送を促進することにより得られ得る。
タンパク質輸送の誤調節を評価するため、表皮増殖因子レセプタ(EGF-R)レベルおよび/または細胞内局在性を測定するモデルシステムを用い得る(Supino-Rosin et al. (2000) J Biol Chem 275(29):21850-21855)。例えば、ベンゾキノンアンサマイシン(ansamaycin)ゲルダナマイシンは、2つのHsp90分子シャペロン(Hsp90およびGRP94)を標的とし、それらの活性を阻害することにより、その後のタンパク質分解をブロックおよび促進する。ゲルダナマイシン処置に応答して、EGF-Rは、原形質膜に行き来できず、当該細胞は、EGFによる刺激に無反応となる。
実験例
以下の研究の実施例は、好ましい形態の本発明を解説することを含む。以下の研究の実施例の特定の態様は、本発明の実施において十分に作用する本発明により発見されまたは予想される技術および方法に関して記載する。これらの研究の実施例は、本発明の標準的研究の実施の使用を通して説明される。本発明の開示および当分野の一般の技術レベルの観点から、当業者は、以下の研究実施例が例示のみを目的としており、かつ多くの改変、修飾および変更が本発明の精神および範囲から出発することなく用いられ得ることを認識するであろう。本発明の種々の詳細は、本発明の範囲から出発することなく変化し得ることが理解されるであろう。更に、先の記載は、単に解説目的であり、制限することを目的とはしていない。本発明は特許請求の範囲によって定義される。
実施例1−8
GRP94分子シャペロン活性のリガンド仲介活性化
Hsp90シャペロンのアミノ末端ドメインは、Hsp90インヒビターゲルダナマイシンおよびラジシコールに結合するアデノシンヌクレオチド結合ポケットを含む以下の実施例1-8は、bis-ANS(1-1'ビス(4-アニリノ-5-ナフタレンスルホン酸))、ヌクレオチド結合部位と相互作用する環境感受性フルオロホアが、GRP94のアデノシンヌクレオチド結合ドメインに結合し、そのペプチド結合および分子シャペロン活性を活性化することを示す。熱ショックのようなbis-ANSは、GRP94機能を活性化し、ラジシコールにより阻害されるGRP94の三次コンホメーション変化を顕在化する。bis-ANS結合部位としてのN末端ヌクレオチド結合ドメインの確認は、bis-ANS-標識化GRP94プロテアーゼ消化産物の配列決定により得られた。これらのデータは、GRP94のリガンド-依存性、アロステリック調節を同定し、GRP94機能のリガンド-仲介調節のモデルを示唆する。
実施例1-8の材料および方法
材料
蛍光プローブは、Molecular Probes (Eugene, Oregon)から得た。Bis-ANS濃度は、385nm(水中でε385=16,790cm-1M-1)の吸光度で測定した。クエン酸シンターゼ(E.C.4.1.3.7)はBoehringer Mannheim (Mannheim, Germany)から購入した。ラジシコールは、Dr. Len Neckers, National Cancer Institute, Frederick, Marylandから得た。ペプチドVSV8(RGYVYQGL -配列番号:7)は、Chapel Hill Peptide Synthesis Facility (Chapel Hill, North Carolina)のUniversity of North Carolinaにより合成された。Na[125I]は、Amersham Pharmacia (Piscataway, New Jersey)から購入した。他のすべての試薬は、特記しない限り、Sigma Chemical Co. (St. Louis, Missouri)から得た。GRP94は、Wearsch & Nicchitta (1996b) Biochemistry 35:16760-16769に記載されたようにブタの膵臓から精製された。GRP94濃度は、280 nm (1 mg/ml = 1.18A280)の吸光度により測定した。
蛍光結合反応
示した円偏光二色性およびクエン酸シンターゼ凝集実験を除き、すべての結合反応は、緩衝液A(110mM KOAc, 20mM NaCl, 2mM Mg(OAc)2, 25mM K-HEPES pH 7.2, 100 μM CaCl2)中で構成した。蛍光プローブおよびラジシコールストックは、最終濃度5mM のジメチルホルムアミド中で調製した。全てのアッセイでは、実験条件と同一の溶媒希釈物による対照反応を行い、任意の溶媒効果を校正した。示した場合、GRP94は、50℃水浴中での15分間のインキュベーションにより熱ショックを与え、その後、37℃に冷却した。
蛍光測定
発光スペクトルは、光子カウンティングモードで操作するFLUOROMAX(商標)スペクトロフルオロメーター(SPEX Industries Inc. of Edison, New Jersey)で得た。スペクトルは、DM3000fオペレーティングソフトウェアversion 2.1 (SPEX Industries Inc. of Edison, New Jersey)で記録し、プロセスした。発光スキャンについては、スリット幅を1nmにセットした。励起波長は以下の通りであった:Prodan, 360 nm;ANS, 372 nm;bis-ANS, 393 nm;トリプトファン, 295 nm。すべてのスペクトルはバックグラウンド校正した。
円偏光二色性測定
Far-UV CDスペクトロメトリーは、AVIV Associates 62DS(商標)円偏光二色性分光計(AVIV Associates of Lakewood, New Jersey)で行った。サンプルは、1 mm路長石英キュベット中、37℃で分析した。GRP94サンプル(1μM)は、関連領域のスペクトル中の許容されないダイノード電圧を生ずる緩衝性Aのような標準リン酸緩衝性生理食塩水溶液中で調製した。GRP94は、10□M bis-ANSと共に2時間37℃でインキュベーションし、その後、スペクトルを得た。スペクトルは300〜195nmまで記録された。GRP94のα-ヘリックス含有は、222nmのモル楕円率から計算した。Myers & Jakoby (1975) J Biol Chem 250:3785-3789参照。
タンパク質分解によるコンホメーション分析
GRP94のコンホメーション状態は、タンパク質のトリプシン消化およびその後のSDS-PAGE分析により評価した。単純なタンパク質分解実験の場合、事前の熱ショックを有するまたは有しない0.5 mg/ml GRP94ストック10 μlを1μl bis-ANSおよび/またはラジシコールストック溶液と合わせ、示した時間37℃でインキュベーションした。次いで、サンプルは、0.1% トリプシンと合わせ、30分間37℃で消化した。等量のSDS-PAGEサンプル緩衝液を加え、サンプルを液体窒素中でスナップ(snap)させ凍結させた。ゲル分析の直前に、サンプルを溶解し、5分間煮沸した。次いで、サンプルを12.5% SDS-ポリアクリルアミドゲルで分離した。ゲルを固定化し、クマジーブルーで染色した。タイムコース実験では、過剰の遊離bis-ANSは、0.5 ml G-25 SEPHADEX(登録商標)スピンカラムでのゲル濾過によってトリプシン処理直前に取り除いた。
bis-ANS結合部位の同定
GRP94のbis-ANS結合領域は、
Sharma et al. (1998) J Biol Chem 273(25):15474-78 および Seale et al. (1998) Methods Enzymol 290:318-323により記載されたbis-ANS光分解法後に、GRP94中へのbis-ANSの共有結合的組み込みより同定した。端的に、50μgのGRP94を、最終体積100 μlで50□M bis-ANSと合わせ、366 nmハンドヘルドUVランプ(Ultra-violet Products, Inc. of San Gabriel, California)で氷上で15分間、光-クロスリンクさせた。光クロスリンク(photocrosslink)後、GRP94-bis-ANS複合体は、トリプシンで1時間37℃で消化した。次いで、トリプシン誘導性制限消化産物は、UV吸収(220 nm)および蛍光放射(励起418 nm; 放射498 nm)による連続検出を伴う、20mM重炭酸アンモニウム中の連続的アセトニトリル/水勾配を用い、C-18逆相HPLCにより分離した。得られた主な蛍光ピークを回収し、相当するペプチドは、Applied Biosystems PROCISE(商標) model 492自動化タンパク質シークエンサーにおけるエドマン分解により配列決定した。
ネイティブブルー電気泳動
GRP94のオリゴマー状態は、Schagger et al. (1994) Anal Biochem 217:220-230により記載されたようにブルーネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動(BN-PAGE)により評価した。GRP94は、熱ショックを与えるか、または示した時間、10倍モーラー過剰のbis-ANSにさらすか、何れかを行った。次いで、サンプルは、15%グリセロール中に溶解させ、カソード緩衝液中の0.02%クマジーブリリアントブルーと共に5-18%勾配ゲルにロードした。ゲルは、4℃で実行し、クマジーで青色に染色し、脱色し、乾燥させた。
クエン酸シンターゼ凝集アッセイ
クエン酸シンターゼの熱凝集におけるGRP94の効果は、Buchner et al. (1998) Methods Enzymol 290:323-338により記載された方法によりアッセイした。タンパク質を含まないサンプルまたはGRP94 (1μM)を含むサンプルは、0.2% DMFまたは10□M M bis-ANSの何れかと共に37℃で2時間、40mM HEPES pH 7.5中でインキュベーションした。次いで、サンプルを43℃に5分間暖め、43℃にサーモスタットされた分光蛍光計に置いた。次いで、クエン酸シンターゼを最終濃度0.15μMとなるように添加し、当該酵素の熱凝集後に光散乱させた。励起および放射波長は、両方とも2nmのスリット幅で500nmだった。クエン酸シンターゼ凝集のタイムコースを1000秒間続けた。
GRP94に結合するペプチド
VSV8のヨウ素化は、IODOBEADS(商標)法(Pierce Chemical Co. of Chicago, Illinois)で行い、組み込まれていない[125I]は、SEP-PAK(商標) C18逆相カートリッジにおける分画により取り除いた。ヨウ素化ペプチドを非標識ペプチドと混合し、最終的特異活性6.0□Ci/mgを生じた。GRP94(4.7 μg、最終濃度0.5μM)を、100μL緩衝液A中の0.1% DMF中の等モル量のbis-ANSと共に、3.5時間37℃でインキュベーションした。次いで、サンプルを更に30分間37℃でインキュベーションするか、または15分間50℃で熱ショックを与え、37℃15分間で回復させ得る。10倍モーラー過剰の[125I]VSV8を加え(最終濃度5μM)、当該混合物を37℃で30分間インキュベーションした。インキュベーションは全て、bis-ANS分解を防止するため暗やみで行った。次いで、サンプルを、75 μg BSAで事前にブロックした1.2-mL SEPHADEX(登録商標)G-75スピンカラムで溶出させ、[125I]をガンマカウンティングにより定量した。
実施例1
GRP94に対する極性感受性蛍光プローブの結合
GRP94のコンホメーション調節における最近の研究により、熱ショックに応答して生じ、ペプチド結合活性の活性化と関係する三次元構造変化が同定された。Wearsch et al. (1998) Biochemistry 37(16):5709-16, Sastry & Linderoth (1999) J Biol Chem 274:12023-12035参照。熱ショック顕在化コンホメーション変化と一致して、GRP94は、好ましくは疎水性ドメインに結合する、Nile Redのような環境感受性蛍光プローブの結合を促進する(Wearsch et al., 1998)。GRP94は、有意な疎水性の2つのドメイン、C末端アセンブリドメインおよび非常に保存されているN末端領域を含み、それらは、Hsp90ゲルダナマイシンおよびアデノシンヌクレオチド結合部位に相当する。Stebbins et al. (1997) Cell 89:239-250;and Prodromou et al.(1997) Cell 90:65-75参照。
GRP94活性の熱ショック依存活性化の構造的根拠を特徴づけるため、極性感受性フルオロホアと天然のおよび熱ショックしたGRP94との相互作用を調査した。試験した3つのプローブ、Prodan (6-プロビオニル-2-(ジメチルアミノ)ナフタリン)、8-ANS (1,8-アニリノナフタレンスルホネート)およびbis-ANS (ビス(1,8-アニリノ-ナフタレンスルホネート)は構造的に関連するプローブであり、それらは、タンパク質上の疎水性部位に結合し、非極性環境中への導入において実質的に蛍光スペクトルが変化し、それは、例えば、Rosen & Weber (1969) Biochemistry 8:3915-3920;Weber & Farris (1979) Biochemistry 18:3075-3078;Takashi et al. (1977) Proc Natl Acad Sci USA 74:2334-2338;Shi et al. (1994) Biochemistry 33:7536-7546に考察されている。以下の実験プロトコールが用いられた。GRP94は37℃に暖められ、37℃に維持されるか、または50℃15分間熱ショックされ、その後、37℃でインキュベーションされるか、何れかである。その後、プローブストックをGRP94ストックに加え、30分後、放射スペクトルを37℃で記録した。
図1Aに示すように、天然または熱ショックを与えたGRP94の存在下でのProdanの最大放射を実質的に同定し、それは、Prodanは、熱ショックを与えたGRP94により示される疎水性結合ポケットとは相互作用しないことを示した。対照的に、構造的に関連するプローブ、8-ANSは、天然GRP94と弱い相互作用を示し、また熱ショック後に非常に(avidly)結合する(図1B)。
bis-ANSとGRP94との相互作用は複合的であり、明らかな時間依存を示した。図1Cおよび1Dで図示されるように、天然GRP94に対する最初のbis-ANS結合は両相性であり、bis-ANSの存在下での伸張インキュベーション後、熱ショックを与えたGRP94で見られるものと同様のフルオロホア結合のレベルが観察された。これらのデータは、GRP94に対する最大のbis-ANS結合は、遅い構造変化を必要とすることを示唆する。この変化は更に、GRP94および/またはbis-ANSにおけるbis-ANS顕在化コンホメーション変化は、天然タンパク質により低頻度でアクセスされるコンホメーション状態の安定化に依存することを示唆する。
実施例2
熱ショックを与えたGRP94に対するbis-ANS結合の分析
GRP94に対するbis-ANSの親和性を測定するために、bis-ANSを、増加した濃度の熱ショックを与えたGRP94に加え、その蛍光スペクトルを測定し、そして、475 nmでの放射強度を、GRP94濃度の関数としてプロットした(図2Aおよび2B)。一連の実験で使用する実験条件下で、GRP94に結合するbis-ANSは、bis-ANSを超える20倍のモル過剰のGRP94モノマーでほぼ最大となり、それは、110nM GRP94で観察される最大結合の半分を伴っていた(図2B)。重要なことに、これらのデータは、bis-ANSは、熱ショックを与えがGRP94に飽和可能な形態で結合することを示し、およびGRP94に結合するbis-ANSの部位は、bis-ANSに対する類似の関連の親和性を示す。
実施例3
GRP94に結合するbis-ANSの構造的な影響
延長されたインキュベーション期間の後、天然GRP94に結合したbis-ANSの発光スペクトルは、熱ショックを与えたGRP94に結合したbis-ANSの発光スペクトルと実質的に同様である。熱ショックは、GRP94において安定な三次元コンホメーション変化を顕在化することが知られており(Wearsch et al. (1998) Biochemistry 37(16):5709-16)、これらのデータは、GRP94に対するbis-ANSの結合が、熱ショックに応答して生ずるものと同様のコンホメーション変化を誘導するか、または安定化することを示唆する。bis-ANSの添加において見られるGRP94コンホメーションが、熱ショック後に観察されるものと同様か否かを決定するため、bis-ANS/GRP94複合体における一連の構造的研究を行った。
一連の実験では、天然、熱ショックした、およびbis-ANS処理GRP94のタンパク質分解パターンを調査した。図3Aで示したように、レーン2および3、低レベルのトリプシンを伴う天然GRP94のインキュベーションは、2つの顕著のタンパク質分解産物を生じ、それは、タンパク質の既知構造ドメインを示し、それは、例えば、Stebbins et al. (1997);Prodromou et al.(1997) Cell 90:65-75;Wearsch & Nicchitta (1996b) Biochemistry 35:16760-16769に記載されている。対照的に、bis-ANS処理したGRP94または熱ショックを与えたGRP94の何れかのタンパク質分解により、より高いSDS-PAGE移動度のタンパク質分解フラグメントの多様なアレイの相伴う出現を伴う、顕著なタンパク質分解産物の回復は実質的に減少する。本質的に同一のタンパク質分解パターンは、HSP90の熱ショックまたはbis-ANS処理の何れかの後に観察された。
これらのデータは、GRP94に結合するbis-ANSが顕在化するか、熱ショックに応答して生ずるものに類似するコンホメーションにおいてGRP94を安定化するということを証明し、これにより、熱ショックまたはリガンド(bis-ANS)結合の何れかにより容易にアクセスされ、および/または安定化され得るGRP94コンホメーション状態が存在することを示唆する。
実施例4
GRP94の四次構造および二次構造におけるbis-ANS結合の効果
組織から精製するとき、GRP94はホモダイマーとして存在し、それは、例えばWearsch & Nicchitta (1996a) Prot Express Purif 7(1):114-21; Nemoto et al. (1996) J Biochem 120:249-256に記載される。しかし、熱ショック後、GRP94は、Wearsch et al. (1998) Biochemistry 37:5709-5719に記載のような、より大きな分子量の複合体を形成する。GRP94構造におけるbis-ANSの効果を特徴づけるために、天然、熱ショックを与えた、およびbis-ANS処理GRP94のオリゴマー化状態を、Schagger et al. (1994)により記載されたブルーネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動(BN-PAGE)によりアッセイした。これらの実験では、GRP94はbis-ANSと共にインキュベーションするか、一時的に熱ショックを与え、その後、37℃でインキュベーションした。次いで、サンプルはBN-PAGEで分析した。図4で見られるように、熱ショックまたはbis-ANS処理の非存在下で、大多数のGRP94はダイマーとして存在し、それは、おおよそ200 kDaである明白な分子量である。しかし、熱ショックへさらされることにより、テトラマー、ヘキサマー、およびオクタマーの比較的迅速な形成が生ずる(図4、レーン2-4)。10倍のモル過剰のbis-ANSを伴うGRP94のインキュベーションは、熱ショックで見られるものに似た(mimic)GRP94の四次構造を変化する(図4、レーン4、5)。これらのデータは、bis-ANSが、熱ショックに応答して生ずるものに類似するGRP94の構造的変化を誘導するかまたは安定化するという仮説を支持する。
bis-ANS依存コンホメーション変化の性質についての更なる洞察を得るため、GRP94を熱ショックするか、またはbis-ANSで処理し、遠赤外線CDスペクトルが得られた(図5)。図5に示されるように、天然、熱ショックを与えた、およびbis-ANS処理GRP94のCDスペクトルは同一であり、bis-ANS結合は、GRP94二次構造を変化しない。
実施例5
ラジシコールは、温度およびbis-ANS誘導性GRP94コンホメーション変化を阻害する
ラジシコール、大環状の抗生物質は、HSP90の非常に保存されたN末端ヌクレオチド結合ポケットに結合し、それにより、HSP90機能を阻害する(Sharma et al. (1998) Oncogene 16(20):2639-45; Roe et al. (1999) J Med Chem 42:260-266)。ラジシコール結合がまたGRP94の構造的動力学に影響するかどうか決定するため、以下の実験を行った。GRP94は、増加した濃度のラジシコールと共にインキュベーションされ、熱ショックが与えられ、冷却され、トリプシンで消化された。サンプルのその後のSDS-PAGE分析により、天然GRP94とラジシコール処理し熱ショックを与えたGRP94との間でタンパク質分解パターンの類似性によりアッセイするため、ラジシコールの存在下、GRP94は熱ショック誘導性構造変化を生じることはできないことが示された。ラジシコールによるHSP90の熱ショック誘導性構造変化の類似の阻害がまた観察された。
ラジシコールがまたbis-ANS依存性GRP94構造変化を阻害し得るかどうか決定するため、GRP94を、増加した濃度のラジシコールと共にインキュベーションし、次いで、bis-ANSを添加し、そしてサンプルを1時間インキュベーションした。その後、サンプルをトリプシンで消化し、タンパク質分解パターンをSDS-PAGEで決定した。図6Aに示すように、bis-ANSを超える10倍モル過剰で存在するとき、ラジシコールは、効率的に、bis-ANS-依存GRP94コンホメーション変化をブロックする。
図6Aに示す実験は、ラジシコールは、bis-ANS-依存コンホメーション状態を生じることを阻害できることを示すが、GRP94に結合するbis-ANSはラジシコール処理によりブロックされるかどうか決定する必要があった。この目的のため、以下の実験を行った。GRP94を、増加する濃度のラジシコールの存在下でインキュベーションし、その後、効率的なbis-ANS結合を顕在化するのに十分な条件下で熱処理し、bis-ANS結合をアッセイした。図6Bに示すように、用量依存型で、ラジシコールは、熱処理GRP94に対するbis-ANSを阻害した。
ラジシコール自体、熱ショック誘導性コンホメーション変化をブロックするため、これらのデータは、2つのモデルのbis-ANS作用を示す。1つのモデルでは、bis-ANSは、ヌクレオチド結合ドメインに結合し、観察されたコンホメーション変化を直接顕在化する。次いで、アデノシンヌクレオチド結合ポケットに結合することにより、ラジシコールは、bis-ANS-依存コンホメーション変化を阻害すると予測される。他方のモデルでは、GRP94は、温度感受性型で2つのコンホメーション状態の間で相互転換し、それは、任意の開口状態または閉口状態と呼ばれる。開口状態では、bis-ANSは結合し、それにより、開口コンホメーションを安定化し、その一方、ラジシコール結合は、閉口コンホメーションを安定化するであろう。両方のモデルでは、N末端アデノシンヌクレオチド結合ドメインに結合するbis-ANSは予測され、その後、調査された。
実施例6
bis-ANSはN末端に結合する
アデノシンヌクレオチド/ラジシコール/ゲルダナマイシン結合ドメイン
bis-ANSはGRP94のコンホメーションを変え得ると決定されたため、GRP94に対しbis-ANSが結合する部位は、同一として標的とされた。bis-ANSにUV光を照射すると、Sharma et al. (1998) J Biol Chem 273(25):15474-78 および Seale et al. (1998) Methods Enzymol 290:318-323により記載されるような、タンパク質結合部位中へプローブが共有結合的に組み込みこまれ得る。材料および方法に記載のように、GRP94は、過剰のbis-ANSと合わされ、氷上で15分間、光-クロスリンクした。その後、GRP94は、トリプシンで消化され、HPLCにより蛍光ペプチドが精製され、そして標識ペプチドの配列はエドマン配列決定により決定された。主に得られた蛍光ペプチドは、配列YSQFINFPIYV(配列番号8)を生じ、それは、GRP94のN末端ドメインの残基271-281に位置する。このセグメントは、アミノ酸210-222由来のヒトHSP90配列HSQFIGYPITLFV(配列番号9)に相同であり、アデノシン/ヌクレオチド/ゲルダナマイシン/ラジシコール結合ドメイン(Stebbins et al. (1997) Cell 89:239-250; Prodromou et al. (1997) Cell 90:65-75)のC末端領域とオーバーラップする。
実施例7
Bis-ANSはGRP94シャペロン活性を活性化する
GRP94中のbis-ANS-依存コンホメーション変化が機能的に有意か否かを決定するため、天然、熱ショックを与えた、およびbis-ANS処理GRP94の分子シャペロン活性は、Jakob et al.(1995) J Biol Chem 270:7288-7294 および Buchner et al.(1998) Methods Enzymol 290:323-338に記載されるような熱凝集アッセイで評価した。これらの実験では、クエン酸シンターゼ凝集は、緩衝液、天然GRP94、熱ショックを与えたGRP94または先にbis-ANSに2時間さらしたGRP94の存在下でアッセイした。GRP94の実験的な処理の後、反応は、43℃で平衡となり、次いでクエン酸シンターゼを加え、光散乱により示されるような凝集を測定した。
GRP94の非存在下では、クエン酸シンターゼは迅速に熱凝集し、そして図7Aに示す実験条件下では、15分以内にプラトーレベルに達する。天然GRP94の存在下では、凝集の程度は減少し、それは、少なくとも1つの天然GRP94分子集団の画分は活性コンホメーションであることを示唆する。これらの実験条件では、おおよそ50%のクエン酸シンターゼが凝集した。これらの実験に用いられるGRP94の濃度であって、化学量論的相互作用が見られる濃度では、これらの結果は、およそ8%の天然GRP94が活性コンホメーションであることを示す。熱ショックを与えるかまたはbis-ANS処理したGRP94の存在下、クエン酸シンターゼの熱凝集は検出できなかった(図7A)。これらのデータは、基質タンパク質に対するGRP94の結合能は、先の熱ショックまたはbis-ANS処理により促進されることを示し、そして熱ショックまたはbis-ANS結合により顕在化する当該GRP94コンホメーションは、当該分子の活性状態を示すことを示唆する。
実施例8
bis-ANSはGRP94に対するペプチド結合活性を活性化する
GRP94のペプチド結合活性におけるbis-ANS処理の効果を評価するため、GRP94は、bis-ANSで処理するか、または一時的に熱ショックを与えるか何れかを行った。次いで、10倍モル過剰の[125I]-VSV8を加えて、当該混合物を30分間37℃でインキュベーションした。遊離のペプチドをSEPHADEX(登録商標)G75スピンカラムクロマトグラフィーにより結合ペプチドから分離させ、結合ペプチドをガンマカウンティングにより定量した。図7Bに示すように、bis-ANSによるGRP94の処理により、GRP94のペプチド結合活性は有意に促進され、天然のタンパク質を超えるおおよそ4から5倍の刺激を生ずる。同様の条件下で、熱ショックを与えたGRP94は、おおよそ10倍の結合の刺激を示した。図7Aおよび図7Bに示すデータから、bis-ANSが、顕著に促進された分子シャペロンおよびペプチド結合活性を示すGRP94コンホメーションを顕在化または安定化することが明らかである。
実施例1-8の要約
実施例1-8は、bis-ANSは、GRP94の保存されたN末端アデノシンヌクレオチド結合ドメインに結合し、三次元コンホメーション変化を顕在化し、それは、顕著に促進された分子シャペロンおよびペプチド結合活性を生ずることを示す。GRP94に対するbis-ANS結合は、両相性であり、それは、最初の迅速な結合相、それに続く遅延の延長された結合相を伴う。これらのデータにより、bis-ANSは、開口状態と称せられる低量のGRP94コンホメーションに結合し、安定化する。このモデルでは、GRP94分子シャペロンおよびペプチド結合活性は、最初に、そのコンホメーション変化と連結する。任意の特定の理論および作用により結合されることが望ましくない場合、調節リガンドの非存在下でのこのコンホメーションへのアクセスは、固有の構造変動による時間および温度依存型で生ずると考えられる。ゲルダナマイシンおよびラジシコールのような阻害リガンドは、閉口、または不活性化コンホメーションでGRP94に結合およびGRP94を安定化することにより機能する。
要約すると、実施例1-8は、分子シャペロンの顕著な活性化およびペプチド結合活性化が付随するGRP94のコンホメーション変化を顕在化するリガンドの同定を開示する。熱ショック活性化およびbis-ANS結合後のGRP94のコンホメーション間の類似性は、GRP94コンホメーションおよび活性は、N末端アデノシンヌクレオチド結合ドメインに結合するリガンドにより調節され得ること、およびbis-ANSリガンド化状態のタンパク質のコンホメーションは生理学的に関連するという結論を支持する。
実施例9-13
アデノシンヌクレオチドのアロステリックリガンド相互作用
Hsp90シャペロン、GRP94の結合ドメイン
実施例9-13は、GRP94およびHSP90は、アデノシンに基づくリガンドとの相互作用について相違することを開示する。GRP94は、アデノシン誘導性N-エチルカルボキサミド-アデノシン(NECA)の高親和性飽和可能結合を示したが、HSP90は示さなかった。NECA置換アッセイでは、GRP94は、ATP、ADP、AMP、アデノシンおよびcAMPに対する弱い結合親和性を示した。GRP94 ATPase活性があるが、ATP濃度に関しては飽和可能ではなく、そのため、通常の酵素学的基準により特性解析することはできない。GRP94に対するNECA結合のラジオリガンドおよび熱量測定研究は、ヌクレオチド結合ドメインに対するリガンド結合は、アロステリック調節下にあることを示した。そのため、GRP94は、リガンドに基づくアロステリック機構により、およびATP以外の調節されるアデノシンに基づくリガンドにおり調節される。
実施例9-13のための材料および方法
GRP94、BiPおよびHsp90の精製
GRP94は、以下の修飾を伴う、Wearsch & Nicchitta (1996a) Prot Express Purif 7:114-121に記載のようなブタの膵臓粗面ミクロソームから精製した。粗面ミクロソームは、0.25M シュクロース, 20mM KOAc, 25mM K-Hepes, pH 7.2, 5mM Mg(OAc)2中の10希釈により、最初の単離後に洗浄し、その後、遠心分離(30 min, 40K rpm, 4℃, Ti50.2 rotor)により再単離した。単離された粗面ミクロソーム由来の管腔の内容物を放出するため、当該ミクロソームは5mM CHAPSの追加によって透過性化し、その後、管腔の内容物は、2時間、45,000 RPMでの遠心分離(4℃, Ti50.2 rotor)により単離した。
BiPは以下の手順により精製した。ブタの膵臓粗面ミクロソームから得られた管腔の画分は、連続して結合した1ml ADP-アガロースおよび1ml ATP-アガロース(Sigma Chemical Co. of St. Louis, Missouri)カラムに一夜循環させた。次いで、当該カラムを、350mM NaCl, 25mM Tris, pH 7.8, 5mM Mg2+を含む2×5ml緩衝液で洗浄し、BiPは、10mM ATPおよびADPを加えた同一緩衝液3×5mlを用いヌクレオチドアフィニティーカラムから溶出させた。画分を含むBiPは、SDS-PAGEにより同定し、緩衝液A(110mM KOAc、20mM NaCl、25mM K-Hepes、pH 7.2、2mM Mg(OAc)2、0.1mM CaCl2)2×4で透析した。次いで、タンパク質サンプルを、緩衝液Aで平衡化させたSUPERDEX(登録商標)26/60カラム(Amersham Pharmacia Biotech of Piscataway, New Jersey)に適用し、画分を含むBiPを再びSDS-PAGEで同定し、プールし、そして遠心分離限外濾過(centrifugal ultrafiltration)(CENTRICON-30(登録商標); Amicon of Beverly, Massachusetts)で濃縮した。
Hsp90は以下のようにラット肝臓細胞質ゾルから精製した。細胞質ゾルは30%硫酸アンモニウムに調節され、氷上で30分間撹拌した。当該溶液は、Sorvall SS34ローターで15分間、20,000 x gで遠心分離し、上清を回収し、0.22 μmフィルターで濾過した。当該濾過した上清にプロテアーゼインヒビター(1 μg/ml ペプスタチン、1 μg/ml ロイペプチン、20 μg/ml SBTI、および0.5mM PMSF)を加え、フェニル-SUPEROSE(商標) HR10/10 カラム(Amersham Pharmacia Biotech of Piscataway, New Jersey)にロードした。洗浄後、結合タンパク質を、10mM Tris/HCl, pH 7.5, 1mM EGTA, 0.5mM DTT中の30-0%の飽和硫酸アンモニウムの勾配で溶出させ、画分を含むHsp90をSDS-PAGEで同定した。次いで、画分を含むHSP90をプールし、低塩緩衝液(10mM NaCl, 25mM Tris, pH 7.8)2Lで2×3時間透析した。次いで、透析したサンプルを0.22 μmフィルターで濾過し、低塩緩衝液で平衡化したMONO-Q(商標) HR 10/10カラム(Amersham Pharmacia Biotech of Piscataway, New Jersey)に注入した。当該カラムは、25mM Tris, pH 7.8中の10mM-750mM NaClの勾配で溶出させた。画分を含むHsp90をSDS-PAGEで同定し、プールした。
更に、精製は、MONO-Q(商標)プールを、緩衝液B(10mM NaH2PO4, pH 6.8, 10mM KCl および 90mM NaCl)で平衡化させた4mLヒドロキシアパタイトカラム(Bio-Rad HTP of Hercules, California)に適用することにより行った。ヒドロキシアパタイトカラムは、10mM NaH2PO4から250mM NaH2PO4への勾配により溶出させ、Hsp90画分は、SDS-PAGEにより同定した。225mM NaH2PO4、10mM KCl、および90mM NaCl中のHsp90プールは、遠心分離限外濾過(CENTRICON(登録商標)-30; Amicon, Beverly, Massachusetts)により濃縮し、-80℃に保存した。
[3H]-NECA結合アッセイ
9μgのGRP94を、20 nM [3H]-NECA(Amersham Pharmacia Biotech of Piscataway, New Jersey)、および種々の濃度のコンペティターと共に、1時間氷上で、50mM Tris, pH 7.5の最終体積250 μlでインキュベーションした。ここで示すように、結合反応は、緩衝液C(10mM Tris, pH 7.5, 50mM KCl, 5mM MgCl2, 2mM DTT, 0.01% NP-40, 20mM Na2MoO4)または50mM Tris, pH 7.5, 10mM Mg(OAc)2の何れかで行った。結合[3H]-NECA対遊離[3H]-NECAを、0.3%ポリエチレンイミン(Sigma Chemical Co. of St. Louis, Missouri)で事前に処理した、#32ガラスファイバーフィルター(Schleicher and Schuell of Keene, New Hampshire)において結合反応の真空濾過によりアッセイした。真空濾過は、Amersham Pharmacia Biotech (Piscataway, New Jersey)真空濾過マニフォールドで行った。
フィルターは、3×4ml 氷冷50mM Tris, pH 7.5で素早く洗浄し、5mlのシンチレーション液(SAFETYSOLVE(商標), RPI of Mt. Prospect, Illinois)中に置き、ボルテックスし、そして液体シンチレーションスペクトロメトリーによりカウントした。GRP94に対する[3H]-NECA結合の動力学パラメーターを決定する実験で、NECAの化学的濃度および特異的活性は、非標識NECAの添加により調節した。全ての結合反応は、三回行い、バックグラウンド値を差し引くことにより校正し、GRP94を欠く結合反応において決定された。
ATP結合アッセイ
6gのGRP94、BiP、およびHsp90は、緩衝液B中の50μM γZ[32P] ATP (1000 μCi/μmol) (Amersham Pharmacia Biotech of Piscataway, New Jersey)と共に、氷上で1時間インキュベーションした。ニトロセルロースフィルター(BA85)(Schleicher & Schuell of Keene, New Hampshire)を使用前に緩衝液B中に個々に浸し、結合[32P]-ATP対遊離[32P]-ATPを真空濾過により分離した。フィルターを氷冷緩衝液B 3×2mL で洗浄し、5mLのシンチレーション液中に置き、ボルテックスし、カウントした。
等温滴定熱量測定法
等温熱量測定実験は、MSC熱量計(MicroCal Inc. of Northampton, Massachusetts)を用い、25℃で行った。NECAパラメーターを測定するため、152μM NECAストックからの5μl注入を2回行い、その後、10μl注入を23回行う。反応チャンバー(1.3mL)は5μM GRP94を含んでいた。必要な校正は、タンパク質溶液への緩衝液の添加および緩衝液中へのリガンド溶液の添加から生ずる希釈物の熱量を差し引くことことにより行った。次いで、校正データは、ORIGIN(商標)ソフトウェア(Microcal Software, 1998)により適合させ、結合パラメーターを得た。ラジシコール結合パラメーターは、同様の方法で5μM GRP94および115μM ラジシコールを用い得られた。
リン酸化アッセイ
GRP94自己リン酸化についてアッセイするため、1μM GRP94をγ-[32P]ATP (6000 cpm/pmol) (Amersham Pharmacia Biotech of Piscataway, New Jersey)と共にインキュベーションし、コールドのATPで希釈し、10mM Mg(OAc)2 および 50mM K-Hepes, pH 7.4を含む緩衝液中で最終濃度0.15mM ATPを生じた。カゼインキナーゼアッセイでは、1ユニットのカゼインキナーゼIIを、4μMカゼインを加えて上記のようにインキュベーションした。コンペティターを適当なサンプルに加え、3.6% DMSO中の180μM NECA、3.6% DMSO中の180μM ラジシコール、5μg/ml ヘパリン、5mM GTP、または3.6% DMSOの最終濃度を生じた。25μl反応混合物は、37℃で1時間インキュベーションし、10%トリクロロ酢酸の添加によりクエンチした。サンプルは10%SDS-PAGEゲルで分析し、リン酸化種(phosphorylated species)はFuji MACBAS1000(商標)ホスホイメージングシステム(Fuji Medical Systems of Stamford, Connecticut)を用い計測した。
ATPaseアッセイ
1μM GRP94モノマー、種々濃度のMgATP (pH 7.0)、および50mM K-Hepes, pH 7.4からなる100 μl反応物は、2時間37℃でインキュベーションした。次いで、サンプルを、CENTRICON(登録商標)-30 (Amicon of Beverly, Massachusetts)、10,000 rpm、4℃でスピンし、ヌクレオチドからタンパク質を分離した。最終濃度50mM (NH4)2HPO4, pH 7.0、および4μM AMP, pH 7.0を、上記サンプルの希釈物に添加し、15,200 rpm、4℃で5分間遠心分離した。次いで、上清100μLを、a Series 1050 Hewlett Packard HPLC systemを用い、PARTISIL(商標)SAXカラム(Alltech of Deerfield, Illinois)で分画した。ヌクレオチドの溶出は、1.2 ml/minの150mM (NH4)2HPO4, pH 5.2の移動相を用いるステップ勾配溶出により最初の10分間行い、その後、流速2ml/minの300mM (NH4)2HPO4, pH 5.2で残りの溶出を行った。このプロトコールでは、ADP溶出は7分であり、ATP溶出は12分であり、ADPおよびATPは十分に分離した。ピークの高さの値は、加水分解率およびADP形成の算出に使用された。自然発生的な加水分解は、GRP94を欠く対のインキュベーションで各ATP濃度について決定した。AMPは、均等サンプルのローディングについて調節するための内部参照標準として使用した。
トリプトファン蛍光
トリプトファン蛍光測定は、励起および放出の両方でスリット幅を1 nmにセットしたFLUOROMAX(商標)スペクトロフルオロメーター(Spex Industries, Inc. of Edison, New Jersey)で行った。サンプルは295nmの波長で励起され、発光スペクトルは300-400nmで記録した。スペクトルは全て、緩衝液またはリガンドサンプルを加えた緩衝液を差し引くことにより校正した。GRP94 (50 μg/ml)は、10mM Mg(OAc)2および以下の濃度のリガンドを加えた緩衝液A中で、37℃で1時間インキュベーションした(50 μM NECA、50 μM ゲルダナマイシン、2.5mM ATP、または2.5mM ADP)。次いで、サンプルを室温に冷却し、石英キュベットに移し、スペクトルを得た。対照実験では、遊離トリプトファンの蛍光は、任意のアッセイリガンドの存在により有意に影響されることはなかった。
実施例9
Hsp90タンパク質は、アデノシンに基づくリガンド結合特性に関し異なる
Hsp90およびGRP94の何れが、明確なアデノシン-リガンド結合特性を示すか否かを決定するため、GRP94、Hsp90およびBiP、小胞体Hsp70パラログの関連NECAおよびATP結合活性を比較した(図8)。これらのアッセイでは、精製GRP94、Hsp90またはBiPは、20nM [3H]-NECAの存在下で氷上で60分間インキュベーションし、結合NECA対遊離NECAは真空濾過により分離された。図8に証明されるように、GRP94は、容易に検出され得る[3H]-NECA結合活性を示す一方、[3H]-NECA結合は、Hsp90またはBiPでは観察されなかった。同様の実験で、Hsp90に対する[3H]-NECA結合は、モリブデートおよびNP-40の存在下で評価され、それは、Sullivan et al. (1997)に記載されるようにATP結合と関連するHsp90コンホメーションを安定化することが知られる。これらの条件下では、Hsp90に対する[3H]-NECA結合は再び観察されることはなかった。
ATP結合をアッセイすると、BiPは、予測されるATP結合活性を示すが、ATP結合はHsp90またはGRP40では観察されなかった。以下に考察されるように、Hsp90に対するATP結合を検出する能力がないことから、ATPに対しHsp90は低親和性となるようである(Prodromou et al. (1997) Cell 90:65-75; Scheibel et al. (1997) J Biol Chem 272:18608-18613)。要約すると、これらのデータは、GRP94およびHsp90は、アデノシンに基づくリガンドNECAに結合する能力が相違することを示し、GRP94のアデノシンヌクレオチド結合ポケットのリガンド特異性はHsp90のものとは相違することを示唆する。
実施例10
GRP94に対するNECA結合の動力学的分析
哺乳類GRP94に対する[3H]-NECAの動力学的分析は図9A および 9Bに示されている。GRP94に対する[3H]-NECA結合は飽和可能であり、Kdは200nMであり、0.5 mol [3H]-NECA/mol GRP94モノマーの結合化学量論を示した。これらの値は、Hutchison et al. (1990) Biochemistry 29:5138-5144により胎盤のGRP94(アデノチン(adenotin))で観察されたものに類似している。結合データのヒルプロットは、傾斜1.2を生じ、GRP94に対する[3H]-NECA結合は協同的でないことを示した。
構造的に、GRP94は、Wearsch & Nicchitta (1996a) Prot Express Purif 7:114-121;Wearsch & Nicchitta (1996b) Biochemistry 35:16760-16769;Nemoto et al.(1996) J Biochem 120:249-256)により記載されているように同一サブユニットのダイマーとして存在する。2つのサブユニットが同一であるであることから、結合飽和での50%のリガンド占有は予測されなかった。GRP94からのNECAの分離速度は迅速であり(Huttemann et al. (1984) Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 325:226-33)、そのため、観察される画分占有レベルは、結合対遊離[3H]-NECAの分離に使用する方法のアーチファクトに影響し得ることが考えられた。
半分部位の占有値(half-site occupancy value)の精度を評価するため、NECA-GRP94相互作用の動力学は等温滴定熱量測定、結合および遊離リガンドの物理的分離を必要としない方法により評価された。これらの実験では、これらの実験では、図9Cに示したように、NECAおよびラジシコールに対するGRP94の結合化学量論を測定した。ラジシコールは、Roe et al. (1999) J Med Chem 42:260-266により提唱されるような2 mol ラジシコール/mol Hsp90ダイマーの予測される結合化学量論でおよび高親和性(19nM)でHsp90のN末端ヌクレオチド結合ポケットに結合するHsp90の抗生物質インヒビターである。等温滴定熱量測定によるGRP94に対するNECA結合の分析より、1.1mol NECA/mol GRP94ダイマーの結合化学量論を得た(図9C)。
対照的に、ラジシコールは、図9Cに示すように2 mol ラジシコール/mol GRP94 ダイマーの化学量論で結合した。これらのデータは、ラジシコールは、天然GRP94ダイマー中に存在する2つのヌクレオチド結合部位を完全に占有し得る一方、NECAのような他のリガンドは、GRP94の単一の特有部位に結合するか、またはヌクレオチド結合部位のうちの1つに対する結合において、更なるリガンド結合を防止する対の部位中にコンホメーション変化を顕在化させるか何れかである。
実施例11
GRP94のヌクレオチド結合ポケットに結合するリガンドの特異性
NECAは、GRP94における単一の特有部位に結合するか、または他に、N末端アデノシンヌクレオチド結合ポケットの半分部位の占有を示すか、何れかを決定するために、実験は、最初に、NECAがアデノシンヌクレオチド結合ポケットに結合するかどうか決定するために行った。[3H]-NECA競争アッセイは、ゲルダナマイシンおよびラジシコールで行い、その両方は、高親和性でHsp90のヌクレオチド結合ポケットに結合することが知られる(Roe et al. (1999) J Med Chem 42:260-266, Lawson et al. (1998) J Cell Physiol 174:170-8)。図10Aに示されるデータは、ゲルダナマイシンおよびラジシコールは両方ともGRP94に対する結合について[3H]-NECAと競争し、それは比較的高い親和性であり、以下のランクオーダー、ラジシコール>ゲルダナマイシンであることを示す。
Wearsch & Nicchitta (1997) J Biol Chem 272:5152-5156に記載のように、GRP94に対するATPの安定な結合を検出することは困難である。GRP94は、Prodromou et al. (1997) Cell 90:65-75によりHsp90(Kd=132μM)について報告されているように、類似および十分低い親和性を示すので、ATP結合は標準技術により検出され得るということは全くありそうもない。しかし、NECAに対するGRP94の親和性が高いため、ヌクレオチド結合ドメインとNECAとの可能性ある相互作用は、競争置換アッセイにより取り組まれ得る。GRP94のヌクレオチド結合特異性を測定するため、GRP94に対するNECA結合と競争するATP、ADPまたはAMPの能力を調査した。これらの実験では、GRP94は、ATP、ADPまたはAMPの増加した濃度の存在下で20nM [3H]-NECAと共にインキュベーションし、関連の[3H]-NECA結合は真空濾過により測定した。名目上のMg2+(80μM)の存在下で、ATP、ADPおよびAMPは、GRP94に対する結合について[3H]-NECAと効率的に競争することが観察された。
3つの点がこれらの実験から示される。1つ目は、GRP94に対するNECA結合がゲルダナマイシン、ラジシコールおよびアデノシンヌクレオチドにより効率的に阻害され得るため、NECAはGRP94の類似性N末端アデノシンヌクレオチド結合ドメインに結合すると結論され得る(図10A)。2つ目は、ATP、ADPおよびAMPに対するGRP94の相対的親和性は非常に低い(図10B)。そのため、[3H]-NECA結合の50%阻害は、おおよそ1000倍のモル過剰のATPを必要とする。3つ目は、NECAに対するGRP94の比較的高い結合親和性は、Hsp90のアデノシンヌクレオチド結合ポケット中のアデノシンのアデニンおよびリボース部分の確立されたモル相互作用について見ると、リガンドについての主な選択はアデノシン部分に基づき行われることを示唆する。この理由のため、他のアデノシン生成リガンドとN末端ヌクレオチド結合ポケットとの相互作用を調査した(図10C)。これらのデータは、cAMPおよび遊離アデノシンはまた、ADPで観察された値に近い相対的な置換活性を有し、GRP94のN末端アデノシンヌクレオチド結合ポケットに結合することを示した。
当該データは、GRP94が、著しく広い特異性でアデノシン、アデノシン誘導体、およびアデノシンヌクレオチドと結合することを示すため、更なる研究が行われ、これらの結合現象のヌクレオシド特異性を確認した。図11に示される実験では、[3H]-NECA競争置換アッセイを用い、ヌクレオシド塩基特異性に直接取り組んだ。GRP94は、ATPおよびデオキシATPの両方に結合し、GTP、CTPまたはUTPの結合は殆ど観察されないか全く観察されなかった。そのため、GRP94のヌクレオチド結合ポケットは、アデノシン生成リガンドの選択について厳密であるように思われる。
ATPおよびADPに対するGRP94の相対的親和性の比較において、NECA競争アッセイで示されるように、GRP94のATP/ADP結合特性とHsp90について先に報告されたものとの明かな相違が述べられた。GRP94に関し、ATPは、ADPよりも8倍高い効率でNECA結合と競争することが発見された。対照的に、Hsp90のN末端ドメインは、ATPで観察されるものよりも4倍高い親和性でADP結合する(Prodromou et al. (1997) Cell 90:65-75)。この相違は、Mg2+は、Prodromou et al.(1997) Cell 90:65-75 および Obermann et al.(1998) J Cell Biol 143:901-910によりHsp90N末端ヌクレオチド結合ドメインの組み換え型に対するATP/ADP結合に本質的であることが証明されたため、アッセイ緩衝液中のMg2+イオンの欠乏に起因すると仮定された。
この仮定は、NECA、アデノシン、ATP、ADPおよびAMPに対するGRP94の相対的親和性を、過剰Mg2+の存在下および非存在下で比較する、実験で調査した(図12)。これらの実験では、過剰のMg2+は、GRP94に対するNECAまたはアデノシンの結合における効果はないけれども、Mg2+は顕著にATP、ADPおよびAMPの結合を刺激した。これらのデータは、Hsp90のN末端ドメインに対するATP/ADP結合に必須であることから、αおよびβホスフェートとのMg2+相互作用を同定する最近の結晶構造データと一致する。Prodromou et al. (1997) Cell 90:65-75参照。しかし、Hsp90のN末端ドメインとは異なり、MgATPおよびMgADPは、ほぼ同一の相対的親和性でGRP94に結合する。過剰のMg2+の存在は、GRP94に対するcAMPおよびゲルダナマイシンの相対的結合親和性に効果はないことにも注意すべきである。
実施例12
自己リン酸化およびATP加水分解のためのヌクレオチドの要件
ヌクレオチド結合ポケットに対する結合が、観察されたGRP94自己リン酸化活性に直接応答するかどうか試験するため、NECAおよびラジシコールをGRP94に対するATP結合のインヒビターとして利用した。自己リン酸化活性に関するデータを図13Aに示す。この実験では、GRP94の自己リン酸化活性は、NECA、ラジシコール、ヘパリンおよびGTPの存在下で圧制した。ヘパリンおよびGTPは、GRP94の精製調製物中のカゼインキナーゼII様汚染物を示す先の研究(Wearsch & Nicchitta (1997) J Biol Chem 272:5152-5156; Riera et al. (1999) Mol Cell Biochem 191:97-104; および Ramakrishnan et al. (1997) J Cell Physiol 170:115-29)に基づき誘導された。同様の理論より、GRP94キナーゼ活性におけるこれら化合物の相対的効果は、精製カゼインキナーゼIIと平行して比較され、カゼインキナーゼII活性は精製カゼインで測定された。
図13Aで示されたデータから証明されるように、NECAまたはラジシコール(それらは両方ともGRP94のN末端ヌクレオチド結合ドメインに結合する)は何れも、溶媒バックグラウンド未満のGRP94誘導性またはカゼインキナーゼII活性を有意に阻害しない。NECAおよびラジシコールの比較的高い疎水性のため、これらの化合物を含むインキュベーションは、有意な濃度のリガンド溶媒ジメチルスルホキシドを含み、それ自体は、GRP94誘導性およびカゼインキナーゼII活性の両方を有意に減少する。ヘパリンおよびGTPは、GRP94誘導性およびカゼインキナーゼII活性を顕著に減少する。要約すると、N末端アデノシンヌクレオチドGRP94結合ポケットへのヌクレオチドのアクセスのブロッキングは、GRP94自己リン酸化活性を有意に阻害しない。
ATP結合および加水分解のサイクルはHsp90活性の調節において機能するという発見、およびGRP94はATPase活性を示すという発見は、GRP94およびHsp90は本当は同様の機構により調節されることを示唆する。この示唆を更に評価するために、GRP94のATPase活性はATP濃度の機能としてアッセイした(図13B)。2つの点が、観察されたデータからすぐさま証明される。第一に、ATPase活性は飽和を示さない;Vmaxについての証明は得られず、酵素機能の典型的な基準(すなわち、Km/Kcat/Vmax)は適用され得ない。第二に、ATPase活性の絶対的なマグニチュード(absolute magnitude)は、小さな因子によりATP加水分解の自然発生的な速度を超えた。観察されたATPase活性は、NECAによる阻害に感受的であり、そのため、N末端ヌクレオチド結合ドメインに対するATPの結合において生ずるようである。
実施例13
GRP94に対するアデノシンヌクレオチド結合のコンホメーションの結果
GRP94に対するATP結合の機能的相関を同定することができないため、GRP94コンホメーションにおけるATP、ADP、NECAおよびゲルダナマイシンの効果を評価した。これらの研究では、示したリガンドと複合をなす、GRP94のトリプトファン発光スペクトルを、Guilbault (1967) Fluoresence: Theory, Instrumentation, and Practice, Marcel Dekker, Inc., New York, New Yorkに記載の技術により三次コンホメーション状態の測定として調査した。図14に示すように、高濃度のATPまたはADPはGRP94トリプトファン蛍光スペクトルにおいてほぼ同一の変化を顕在化した。重要なことに、ATPまたはADPの存在下では、ゲルダナマイシン存在下で観察されるように、トリプトファン蛍光が減少した。これらのデータは、ATPおよびADPは、阻害リガンドゲルダナマイシンの存在下で生じるものに類似のコンホメーション変化を顕在化することを示し、トリプトファン蛍光により評価されるように、ATPおよびADP結合状態は本質的に同一であることを示す。対照的にNECAの添加は、トリプトファン蛍光を増加し、これは、リガンドが、GRP94における異なるコンホメーション状態を顕在化し得ることを示す。上記実施例1-8に示すように、GRP94コンホメーションの変化が、GRP94シャペロン機能において劇的に効果を有し得る。
実施例9-13の要約
実施例9-13は、Hsp90パラログGRP94およびHSP90は、アデノシンヌクレオチドと明確な構造的および機能的相互作用を示す。HSP90とは異なり、GRP94は、N-エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)ような置換アデノシン誘導体と、特異的、高親和性結合相互作用を示す。その相互作用の分析において、GRP94のN末端ATP/ADP結合ドメインの占有状態は、2つの同一サブユニット間で通じている。この結論は、飽和でのNECAが、1mol NECA:mol GRP94ダイマーの化学量論でGRP94に結合するという観察から得られる。NECAとは対照的に、GRP94阻害リガンド、ラジシコールは、2mol:mol GRP94の化学量論で結合する。そのため、アデノシンヌクレオチド結合ポケットの関連構造コンポーネントは、GRP94とHsp90の間で保存されているが、2つの結合部位のリガンド特異性は異なる。そのため、特に機構的な理論により結合することが望ましい一方、N末端アデノシンヌクレオチド結合ポケットに結合するリガンドの特異性は、ドメインCおよびN-末端により結合ポケットに影響すると考えられ、ここで、HSP90とGRP94との間の有意な配列の相違が同定され得る。
典型的なリガンド結合研究(図9)および等温滴定熱量測定の両方から得られるデータは、GRP94は、1mol NECA:mol GRP94ダイマーの化学量論でNECAに結合することを示す。加えて、競争研究は、GRP94に対するNECA結合は、ゲルダナマイシン、ラジシコール、ATP、およびADPにより全体的に競争し得ることを示し(図10A-10C)、それは、NECAは、保存されたN末端アデノシンヌクレオチド結合ドメインに結合することを示す。GRP94は、分子あたり2つのその部位を含むため(Wearsch & Nicchitta (1996b) Biochemistry 35:16760-16769)、次いで、GRP94サブユニットは互いに通じ、単一の部位占有を供する。
Hsp90タンパク質の天然リガンドとしてのATPおよびADPの同定は、N末端で高度に保存されたヌクレオチド結合ポケットを同定する結晶学的研究(Prodromou et al. (1997) Cell 90:65-75)、ATP/ADP結合における関係がインビボでのHsp90機能に本質であることが最近証明され(Obermann et al. (1998) J Cell Biol 143:901-910; Panaretou et al. (1998) EMBO J 17:4829-4836)、Hsp90タンパク質はATPase活性を示すことが証明された(Grenert et al. (1999) J Biol Chem 274:17525-17533; Nadeau et al. (1993) J Biol Chem 268:1479-1487; Obermann et al. (1998) J Cell Biol 143:901-910)、相補性インビボ研究に基づいている。HSP90およびGRP94のタンパク質のN末端ヌクレオチド結合ポケットにおける高相同性にもかかわらず、その2つのタンパク質はNECA結合活性において相違することにより、相違がまた、ATP加水分解を触媒する当該2つのタンパク質の能力において存在し得ることが示唆される。事実、GRP94 ATPase活性を、その低親和性相互作用に適当なATP濃度で調査すると、GRP94 ATPase活性は、自然発生的な加水分解の速度をかろうじて超え、より重要なことに、増加したATP濃度では飽和しないことが観察された。
保存ドメインの結合特性の更なる研究では、それは、アデノシンヌクレオチド間では選択性はあまりないことが示され、ATP、dATP、ADP、AMP、cAMPおよび遊離アデノシンと結合するであろう。これらおよび他のデータに基づき、GRP94コンホメーションは、アロステリック形態で、ATP/ADP以外のアデノシン生成リガンドにより調節され、それは、リガンド仲介コンホメーション調節に基づく。
任意の、今のところ同定されていないコファクターの非存在下で精製されたタンパク質により示されるような、GRP94依存ATP加水分解は、非酵素学的であり、そのため、GRP94機能の調節に寄与しそうにもない。更に、GRP94に対する生理学的リガンドとしてATPおよびADPの割り当て(assignment)の混同により、以下のように観察される。第一に、ATPまたはADPは何れも、GRP94活性を調節しないことが示されており、例えば、Wearsch & Nicchitta (1997) J Biol Chem 272:5152-5156に記載されている。第二に、NECAおよびラジシコールの非感受性の特徴により、GRP94自己リン酸化活性は、N末端ヌクレオチド結合ドメインに対するアデノシンヌクレオチド結合に影響を与えない(図13)。第三に、おそらく最も重要なことに、ATP、ADP、およびインヒビターゲルダナマイシンは、GRP94において類似のコンホメーション変化を顕在化する。興味あることに、NECA存在下では、ATP、ADPまたはゲルダナマイシンの存在下で生ずる異なるコンホメーション変化が観察された(図14)。これらのデータは、ゲルダナマイシンの存在下で観察されるような、GRP94に対するATPおよびADP結合および不活性コンホメーションにおけるタンパク質の安定化と一致する。
これらのデータの評価において、ATPase活性の酵素学的基準を同定する能力がないこと、およびコンホメーションデータから、ATP/ADPは阻害剤としての役割をするか(同定されていないアクセサリータンパク質の何れかはGRP94と相互作用し、ATP/ADPとの相互作用についての動力学的および熱力学的基準を実質的に変化させる)、またはATP/ADP以外のアデノシンに基づくリガンドは生理学的リガンドとしての役割をすることが示唆される。当該リガンドは、GRP94機能を活性化する、酸素欠乏症、栄養素欠乏または熱ショックのような細胞ストレスの時間中に産生される。当該リガンドは、基質である(ポリ)ペプチドとの相互作用を実質的に変えるGRP94のコンホメーション変化を顕在化する。
実施例14
GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの調製
全長イヌGRP94のアミノ酸 69-337は、E. coli中でGST融合として過剰発現し、アフィニティーおよびイオン交換クロマトグラフィーにより均一に精製した。タンパク質は、10 mM Tris-HCl, pH 7.6, 1 mM DTT, 100 mM NaClに置換し、30 mg/mLに濃縮した。3倍のモル過剰のN-エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)を結晶化前にタンパク質に加えた。
実施例15
GRP94結合ドメインポリペプチドの結晶化
結晶は、ハンギングドロップ蒸発分散法により行った。3倍モル過剰のNECAと複合をなすGRP94ドメイン2マイクロリッターを、保存溶液2マイクロリッターと混合した。それは、典型的に、100 mM Tris-HCl, pH 7.6, 150-250 mM MgCl2, および 33-38% ポリエチレングリコール400 (PEG 400)を含んでいた。ドロップは、18℃でインキュベーションした。結晶は、典型的に、2-3日で形成した。同様の結晶が、PEG 400の代わりにPEG 1500またはPEG 4000を用いて得られ得る。結晶型1および結晶型2として称する2つの結晶型が得られた。
実施例16
結晶データおよびデータ回収統計
Figure 2010110324
実施例17
結晶型1および2は、分子置換法により決定した。そのサーチモデルは酵母Hsp90+ADP(PDB code 1AMW)であった。GRP94中の等価の位置に同定されているわけではないサーチモデルにおける側鎖はアラニンにトランケートされた。
型1の座標を表1に列挙する。NECAおよびGRP94結合ポケットの座標を表2に列挙する。型2の座標を表3に列挙する。
引用文献
以下に列挙する引用文献および明細書中で引用する全ての引用文献は、追加、解説、ここで用いる方法、技術および/または組成物のためのバックグラウンドを提供するかまたはそれらを教示する限度において、引用により本明細書に加える。
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表1
NECAとの複合体中のGRP94のリガンド結合ドメイン(配列番号6の残基48−316)の型1由来のX線回折から得た原子構造座標データ
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表2
NECAとの複合体中のGRP94のリガンド結合ドメイン(配列番号6の残基48−316)の型1のリガンド結合ポケット由来のX線回折から得た原子構造座標データ
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表3
NECAとの複合体中のGRP94のリガンド結合ドメイン(配列番号6の残基48−316)の型2由来のX線回折から得た原子構造座標データ
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本発明の種々の詳細が本発明の範囲から出発することなく変化し得ることが理解されるであろう。更に、先の説明は、解説目的ためだけであり、請求項に記載の本発明を制限する目的ではない。

Claims (73)

  1. 実質的に純粋な結晶であるGRP94リガンド結合ドメインポリペプチド。
  2. 結晶が、格子定数 a = 99.889 Å, b =89.614 Å, c = 60.066 Å; α = β = γ =90.132°; 空間群対称性 C2; および対称単位における2 GRP94 + NECA 複合体を有する単位格子を有する、請求項1のポリペプチド。
  3. 結晶が、格子定数 a = 89.200 Å, b =99.180 Å, c = 63.071 Å; α = β = γ =90.0°; 空間群対称性 C222(1); および対称単位における1 GRP94 + NECA 複合体を有する、請求項1のポリペプチド。
  4. GRP94ポリペプチドは配列番号6のアミノ酸配列を有する、請求項4のポリペプチド。
  5. GRP94ポリペプチドは、リガンドとの複合体である、請求項1のポリペプチド。
  6. リガンドがNECAである、請求項5のポリペプチド。
  7. GRP94ポリペプチドは、表1、2または3に相当する座標により更に特徴付けられる結晶構造を有する、請求項1のポリペプチド。
  8. 結晶が、結晶化GRP94ポリペプチドの三次元構造が、約1.8 Åまたはそれよりよいレゾリューションに決定され得るようなものである、請求項1のポリペプチド。
  9. 結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造を約1.8 Åまたはそれよりよいレゾリューションに決定する方法であって、
    (a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを結晶化すること、および
    (b)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを分析し、結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造を決定し、それにより、結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造が約1.8 Åまたはそれよりよいレゾリューションに決定されること、
    を含む当該方法。
  10. 分析がX線回折による、請求項9の方法。
  11. 結晶化が、ハンギングドロップ法により行われ、そしてGRP94リガンド結合ドメインは、リザーバーと混合される、請求項9の方法。
  12. リザーバーは、100 mM Tris-HCl, pH 7.6、150-250 mM MgCl2、および33-38% ポリエチレングリコールを含む、請求項11の方法。
  13. 結晶化が、リガンドを伴うGRP94リガンド結合ドメインを結晶化することを更に含む、請求項9の方法。
  14. リガンドが、アデノシン誘導体である、請求項13の方法。
  15. アデノシン誘導体がNECAである、請求項14の方法。
  16. 結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを作成する方法であって、
    (a)リザーバーを伴うGRP94リガンド結合ドメインを含む溶液をインキュベーションすること、
    (b)ハンギングドロップ法を用い、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを結晶化し、それにより、結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドが作成されること、
    を含む当該方法。
  17. インキュベーションが、リガンドを伴うGRP94リガンド結合ドメインをインキュベーションすることを更に含む、請求項16の方法。
  18. リガンドがアデノシン誘導体である、請求項17の方法。
  19. アデノシン誘導体がNECAである、請求項18の方法。
  20. 請求項16の方法により産生された結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチド。
  21. Hsp90タンパク質のモジュレーターを設計する方法であって、
    (a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの原子構造座標に基づき、Hsp90タンパク質のリガンド結合部位中のアミノ酸との相互作用を形成するであろうHsp90タンパク質のモジュレーター候補を設計すること、
    (b)当該モジュレーターを合成すること、および
    (c)当該モジュレーター候補がHsp90タンパク質の活性をモジュレートするかどうか決定し、それにより、Hsp90タンパク質のモジュレーターを設計すること、
    を含む当該方法。
  22. 原子構造座標が、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドに結合するリガンドを更に含む、請求項21の方法。
  23. 原子構造座標が、表1、2または3に示す原子構造の座標である、請求項22の方法。
  24. リガンドがアデノシン誘導体である、請求項23の方法。
  25. アデノシン誘導体がNECAである、請求項24の方法。
  26. GRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターを設計する方法であって、
    (a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの結晶を得ること、
    (b)当該GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの結晶である三次元構造を決定すること、および
    (c)当該GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの結晶である三次元構造に基づき、モジュレーターを合成し、それにより、GRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターを設計すること、
    を含む当該方法。
  27. 当該方法が、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドをモジュレーター候補と接触させること;および当該モジュレーター候補の結合について、当該GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの活性の変化について、またはその両方についてGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドをアッセイすることを更に含む、請求項26の方法。
  28. 結晶が、斜方晶型である、請求項26の方法。
  29. 結晶が、結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元構造が約1.8 Åまたはそれよりよいレゾリューションに決定され得るようなものである、請求項26の方法。
  30. 原子構造座標が、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドに結合するリガンドを更に含む、請求項26の方法。
  31. 原子構造座標が、表1、2または3に示すような原子構造の座標である、請求項30の方法。
  32. リガンドがアデノシン誘導体である、請求項30の方法。
  33. アデノシン誘導体がNECAである、請求項32の方法。
  34. GRP94モジュレーターを同定する方法であって、
    (a)GRP94リガンド結合ドメインの原子座標をコンピューターモデリングシステムに供すること、
    (b)GRP94リガンド結合ドメインの結合ポケット中に空間的に適合するリガンドをモデリングし、それにより、GRP94 モジュレーターを同定すること、
    を含む当該方法。
  35. 方法が、GRP94の活性を増大または減少するモデル化リガンドを、GRP94仲介活性についてアッセイで同定することを更に含む、請求項34の方法。
  36. 原子座標が、表1、2または3に示す原子座標である、請求項34の方法。
  37. 他のHsp90ポリペプチドと比較してGRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターを同定する方法であって、
    (a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの原子座標をコンピューターモデリングシステムに供すること、および
    (b)GRP94リガンド結合ドメインの結合ポケット中に適合し、そしてHsp90サブタイプ間に保存されるGRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの、コンホメーション的に制限された残基と相互作用する、リガンドをモデリングし、それにより、他のHsp90ポリペプチドに比較してGRP94ポリペプチドの活性を選択的にモジュレートするモジュレーターを同定すること、
    を含む当該方法。
  38. 方法が、GRP94に選択的に結合し、当該GRP94の活性を増大または減少するモデル化リガンドを、GRP94活性について生物学的アッセイで同定することを更に含む、請求項37の方法。
  39. 原子構造座標が、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドに結合するリガンドを更に含む請求項37の方法。
  40. 原子構造座標が、表1-2に示す原子構造の座標である、請求項39の方法。
  41. リガンドがアデノシン誘導体である、請求項39の方法。
  42. アデノシン誘導体がNECAである、請求項41の方法。
  43. 1つのHsp90ポリペプチドの生物学的活性をGRP94と比較して選択的にモジュレートするHsp90 モジュレーターを同定する方法であって、
    (a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを記載する原子構造座標のセットおよびHsp90リガンド結合ドメインを記載する少なくとも1つの他の原子構造座標のセットを提供すること、ここで、それぞれのリガンド結合ドメインはリガンド結合部位を含む、
    (b)当該原子構造座標のセットを比較し、少なくとも1つの当該セット間の相違を同定すること、
    (c)ステップ(b)の相違に相互作用すると予測される候補リガンドを設計すること、
    (d)当該候補リガンドを合成すること、および
    (e)GRP94との比較として、Hsp90を選択的にモジュレートする能力について、当該合成候補リガンドを試験し、それにより、Hsp90の生物学的活性をGRP94と比較して選択的にモジュレートするHsp90 モジュレーターが同定されること、
    を含む当該方法。
  44. 原子構造座標が、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドに結合するリガンドを更に含む、請求項43の方法。
  45. GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの原子構造座標が、表1-2に示す原子構造の座標である、請求項44の方法。
  46. リガンドがアデノシン誘導体である、請求項44の方法。
  47. アデノシン誘導体がNECAである、請求項46の方法。
  48. GRP94ポリペプチドのモジュレーターを設計する方法であって、
    (a)候補GRP94リガンドを選択すること、
    (b)結晶化GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元モデルを用い、GRP94ポリペプチドのどのアミノ酸またはアミノ酸群が当該リガンドと相互作用するかを決定すること、
    (c)当該リガンドがGRP94ポリペプチドの活性をモジュレートする程度を、GRP94活性について生物学的アッセイで同定すること、
    (d)当該リガンドの化学的修飾を選択すること、ここで、GRP94ポリペプチドのアミノ酸と当該リガンドとの間の相互作用が当該化学的修飾によりモジュレートされると予測される、
    (e)当該選択した化学的修飾で化学的化合物を合成し、修飾リガンドを形成すること、
    (f)当該修飾リガンドを当該GRP94ポリペプチドと接触させること、
    (g)当該修飾リガンドが、GRP94ポリペプチドの生物学的活性をモジュレートする程度をGRP94活性について生物学的アッセイで同定すること、および
    (h)修飾リガンドの存在下での当該GRP94ポリペプチドの生物学的活性を、非修飾リガンドの存在下でのGRP94ポリペプチドの生物学的活性と比較し、それより、GRP94ポリペプチドのモジュレーターを設計すること、
    を含む当該方法。
  49. 原子構造座標が、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドに結合するリガンドを更に含む、請求項48の方法。
  50. 原子構造座標が、表1、2または3に示す原子構造の座標である、請求項49の方法。
  51. リガンドがアデノシン誘導体である、請求項49の方法。
  52. アデノシン誘導体がNECAである、請求項51の方法。
  53. 修飾リガンドの存在下でのGRP94ポリペプチドの生物学的活性が、非修飾リガンドの存在下でのGRP94ポリペプチドの生物学的活性から変化するならば、方法が、ステップ(a)から(f)までを繰り返すことを更に含む、請求項48の方法。
  54. GRP94ポリペプチドに対するリガンドの結合を阻害する化合物を同定するためのアッセイ方法であって、
    (a)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドの三次元原子座標に基づき、試験インヒビター化合物を設計すること、
    (b)GRP94ポリペプチドを、試験インヒビター化合物の存在下でリガンドと共にインキュベーションすること、
    (c)GRP94ポリペプチドに結合するリガンドの量を決定すること、ここで、当該試験インヒビター化合物の非存在下でのリガンドの結合に比例して、当該試験インヒビター化合物の存在下でのGRP94タンパク質に対するリガンドの結合が減少することは阻害を示す、
    (d)リガンド結合の減少が観察されるならば、リガンド結合のインヒビターとしての試験化合物を同定し、これにより、GRP94ポリペプチドに対するリガンドの結合を阻害する化合物を同定すること、
    を含む当該アッセイ方法。
  55. 原子構造座標は、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドに結合するリガンドを更に含む、請求項54の方法。
  56. 原子構造座標が、表1および2に示す原子構造の座標である、請求項55の方法。
  57. リガンドがアデノシン誘導体である、請求項55の方法。
  58. アデノシン誘導体がNECAである、請求項57の方法。
  59. GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドのモジュレーターについて複数の化合物をスクリーニングする方法であって、
    (a)試験サンプルのライブラリーを提供すること、
    (b)GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドを各試験サンプルと接触させること、
    (c)試験サンプルと当該GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドとの間の相互作用を検出すること、
    (d)当該GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドと相互作用する試験サンプルを同定すること、
    (e)当該GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドと相互作用する試験サンプルを単離し、これにより、複数の化合物を、GRP94リガンド結合ドメインポリペプチドのモジュレーターについてスクリーニングすること、
    を含む当該方法。
  60. 試験サンプルがサブストレートに結合する、請求項58の方法。
  61. 試験サンプルをサブストレートにおいて直接合成する、請求項58の方法。
  62. リガンド結合ドメインポリペプチドが結晶である、請求項58の方法。
  63. 以下を含む、単離GRP94リガンド結合ドメイン(LBD)ポリペプチド:
    (a)配列番号3または5の何れか1つのヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド、
    (b)配列番号3または5の何れか1つと実質的に同一である核酸分子によりコードされるポリペプチド、
    (c)配列番号4または6の何れか1つのアミノ酸配列を含むポリペプチド、
    (d)配列番号4または6の何れか1つのポリペプチドの生物学的等価物であるポリペプチド、または
    (e)配列番号4または6の何れか1つのポリペプチドとの特異的結合を示す抗体と免疫学的に交差反応するポリペプチド。
  64. 以下を含む、GRP94リガンド結合ドメイン(LBD)ポリペプチドをコードする単離核酸分子:
    (a)配列番号3または5の何れか1つのヌクレオチド配列、
    (b)配列番号3または5の何れか1つと実質的に同一である単離核酸分子、
    (c) ストリンジェントな洗浄条件下で、配列番号3または5の何れか1つに開示の核酸配列にハイブリダイズし、GRP94 LBD ポリペプチドをコードする単離核酸分子、または
    (d)遺伝学コードの同義性のため、ヌクレオチド配列中の上記核酸分子(a)、(b)または(c)とは異なり、そして上記核酸分子(a)、(b)または(c)によりコードされるGRP94 LBD ポリペプチドをコードする、単離核酸分子。
  65. 配列番号3または5の何れか1つの連続20のヌクレオチド配列と同一である20のヌクレオチド配列を更に含む、請求項64の単離核酸分子。
  66. 異種性プロモーターに作動可能なように連結した請求項64の核酸分子を含む、キメラ遺伝子。
  67. 請求項66のキメラ遺伝子を含むベクター。
  68. 請求項66のキメラ遺伝子を含む宿主細胞。
  69. GRP94ポリペプチドをコードする核酸分子を検出する方法であって、
    (a)核酸物質を含む生体サンプルを獲得すること、
    (b)ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下、請求項64の核酸分子を(a)の当該生体サンプルにハイブリダイズさせ、それにより、請求項64の核酸と当該生体サンプル中の核酸との間に二重鎖構造を形成させること、および
    (c)(b)の二重鎖構造を検出し、それにより、核酸分子をコードするGRP94を検出すること、
    を含む当該方法。
  70. 請求項63のGRP94ポリペプチドを特異的に認識する抗体。
  71. GRP94ポリペプチドを特異的に認識する抗体を産生するための方法であって、
    (a)請求項63のGRP94ポリペプチドまたはその部分を組換え的または合成的に産生すること、
    (b)(a)のポリペプチドを製剤化し、それにより、有効な免疫源とすること、
    (c)(b)の当該製剤を動物に投与し、抗体の産生を含む免疫応答を動物で生じさせること、ここで、抗体は、当該動物の血清中に存在する、および
    (d)(c)の動物から当該血清を回収すること、ここで当該血清は、GRP94ポリペプチドを特異的に認識する抗体を含んでいる、
    を含む当該方法。
  72. GRP94ポリペプチドのレベルを検出するための方法であって、
    (a)ペプチド物質を含む生体サンプルを得ること、および
    (b)(a)の生体サンプル中のGRP94ポリペプチドを、請求項70の抗体との免疫学的反応により検出し、それによって、サンプル中のGRP94ポリペプチドの量を決定すること、
    を含む当該方法。
  73. GRP94 LBD機能をモジュレートする物質を同定するための方法であって、
    (a)GRP94 LBDを単離すること、
    (b)当該単離GRP94ポリペプチドを複数の物質にさらすこと、
    (c)当該単離GRP94ポリペプチドに対する物質の結合をアッセイすること、および
    (d)当該単離GRP94 LBDポリペプチドに対する特異的結合を示す物質を選択すること、
    を含む当該方法。
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