JP2010181710A - 偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コレステリック規則性を有する樹脂層からなる円偏光分離素子、光学補償フィルム、直線偏光フィルム、及び所定の透湿度を有する保護フィルムを、この順に備え、
前記光学補償フィルムは、固有複屈折値が負の樹脂からなる層を含むλ/4板である、偏光板。
【選択図】 なし
Description
〔1〕円偏光分離素子、光学補償フィルム、直線偏光フィルム、及び保護フィルムを、この順に備え、前記円偏光分離素子は、コレステリック規則性を有する樹脂層からなり、 前記光学補償フィルムは、固有複屈折値が負の樹脂からなる層を含み、且つ、正面方向のレターデーションReが透過光の波長の約1/4であり、前記保護フィルムは、透湿度が20〜500g/m2・24hである、偏光板。
〔2〕前記光学補償フィルムの透湿度が、10〜100g/m2・24hである、上記〔1〕記載の偏光板。
〔3〕前記光学補償フィルムの厚みが、5〜40μmである、上記〔1〕又は〔2〕に記載の偏光板。
〔4〕前記保護フィルムが、アクリル樹脂からなる層を含む、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の偏光板。
〔5〕前記固有複屈折値が負の樹脂が、ポリスチレン系樹脂である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の偏光板。
〔6〕前記光学補償フィルムのNz係数が0未満である、、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の偏光板。
〔7〕前記光学補償フィルムの面内遅相軸が、前記直線偏光フィルムの透過軸と略45°で交差する、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の偏光板。
〔8〕長尺である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の偏光板。
〔9〕光反射素子、光源、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の偏光板、液晶セル、及び検光子を、この順に備えてなる、液晶表示装置。
円偏光分離素子は、ある特定波長域の左回転若しくは右回転の円偏光を透過し、それ以外の円偏光を反射する機能を有する。
本発明に用いる円偏光分離素子は、コレステリック規則性を有する樹脂層(以下、「コレステリック樹脂層」ということがある。)からなり、必要に応じて「基材層」及び「配向膜」を有する。
コレステリック規則性とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるという具合に、分子が一定方向に配列している平面を進むに従って分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
本発明に用いるコレステリック樹脂層は、コレステリック液晶組成物(X)を重合してなる層である。かかる層は、液晶の分子配向を呈したまま硬化した非液晶性の樹脂層となる。
R1X−A1X−B−A2X−R2X (1)
一般式(1)において、R1X及びR2Xはそれぞれ独立して炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの意味である。
また、R1X及びR2Xの少なくとも一方は反応性基であることが好ましい。R1X及び/又はR2Xとして反応性基を有することにより、前記一般式(1)で表される化合物が硬化時に液晶層中に固定され、より強固な膜を形成することができる。ここで反応性基とは、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びアミノ基を挙げることができる。
Bとして特に好ましいものとしては、単結合、−OCO−及び−CH=N−N=CH−が挙げられる。
本発明において、前記コレステリック液晶組成物(X)は、1分子中に少なくとも2つ以上の反応性基を有する棒状液晶性化合物を含有する。
前記棒状液晶性化合物としては、式(2)で表される化合物を挙げることができる。
R3X−C3X−D3X−C5X−M−C6X−D4X−C4X−R4X 式(2)
(式中、R3X及びR4Xは反応性基であり、それぞれ独立して(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。D3X及びD4Xは単結合、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。C3X〜C6Xは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される基を表す。Mはメソゲン基を表し、具体的には、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の群から選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−等の結合基によって結合されて形成される。
前記、メソゲン基Mが有しうる置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5X、−O−C(=O)−R5X、−C(=O)−O−R5X、−O−C(=O)−O−R5X、−NR5X−C(=O)−R5X、−C(=O)−NR5XR7X、または−O−C(=O)−NR5XR7Xを表す。ここで、R5X及びR7Xは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、アルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6X−C(=O)−、−C(=O)−NR6X−、−NR6X−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6Xは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。前記「置換基を有してもよい炭素数1〜10個のアルキル基」における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
本発明において、前記コレステリック液晶組成物(X)等のコレステリック液晶組成物は、硬化後の膜強度向上や耐久性向上のために、任意に架橋剤を含有することができる。前記架橋剤の配合割合は、コレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中に0.1〜15重量%となるようにすることが好ましい。該架橋剤の配合割合が0.1重量%より少ないと架橋密度向上の効果が得られず、逆に15重量%より多いと液晶層の安定性を低下させてしまうため好ましくない。
該光開始剤の配合割合はコレステリック液晶組成物中0.03〜7重量%であることが好ましい。該光開始剤の配合量が0.03重量%より少ないと重合度が低くなってしまい膜強度が低下してしまう場合があるため好ましくない。逆に7重量%より多いと、液晶の配向を阻害してしまい液晶相が不安定になってしまう場合があるため好ましくない。
界面活性剤の配合割合はコレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。該界面活性剤の配合割合が0.05重量%より少ないと空気界面における配向規制力が低下して配向欠陥が生じる場合があるため好ましくない。逆に3重量%より多い場合には、過剰の界面活性剤が液晶分子間に入り込み、配向均一性を低下させる場合があるため好ましくない。
前記カイラル剤は、所望する光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
前記カイラル剤の含有割合は、前記コレステリック液晶組成物中、通常1〜60重量%である。
カイラル構造のピッチとは、カイラル構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離のことである。このカイラル構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。
青色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層、緑色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層及び赤色の波長域の光で円偏光分離機能を発揮するカイラル構造のピッチを有するコレステリック樹脂層を積層することによって得ることができる。また、反射される円偏光の中心波長が470nm、550nm、640nm、及び770nmであるコレステリック樹脂層をそれぞれ作製し、これらのコレステリック樹脂層を任意に選択し、反射光の中心波長の順序で3〜7層積層することによって得ることができる。カイラル構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層を積層する場合には、各コレステリック樹脂層で反射する円偏光の回転方向が同じであることが好ましい。また、カイラル構造のピッチの大きさが異なるコレステリック樹脂層の積層順序は、カイラル構造のピッチの大きさで、昇順又は降順になるようにすることが、視野角の広い液晶表示装置を得るために好ましい。これらコレステリック樹脂層の積層は、単に重ね置いただけでもよいし、粘着剤や接着剤を介して固着させてもよい。
さらに好ましくは50〜140℃、時間は1秒〜3分、好ましくは5〜120秒とすることができる。本発明において光照射に用いる光とは、可視光のみならず紫外線及びその他の電磁波をも含む。光照射は、具体的には例えば波長200〜500nmの光を0.01秒〜3分照射することにより行うことができる。また、例えば0.01〜50mJ/cm2の微弱な紫外線照射と加温とを複数回交互に繰り返し、反射帯域の広い円偏光分離シートとすることもできる。上記の微弱な紫外線照射等による反射帯域の拡張を行った後に、50〜10,000mJ/cm2といった比較的強い紫外線を照射し、液晶性化合物を完全に重合させ、コレステリック樹脂層とすることができる。上記の反射帯域の拡張及び強い紫外線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行うこともできる。
本発明に用いる円偏光分離素子の任意の構成要素である、前記基材層は、透明樹脂により構成することができる。
透明樹脂は、特に限定されず1mm厚で全光透過率80%以上の樹脂を使用することができる。具体的には、脂環式オレフィンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、変性アクリルポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂などの合成樹脂からなる単層又は積層のフィルムが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィンポリマー又は鎖状オレフィンポリマーが好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式オレフィンポリマーが特に好ましい。
前記基材層の上に、前記配向膜を設けることができる。配向膜を設けることにより、その上に塗布されたコレステリック液晶組成物を好適に所望の方向に配向させることができる。配向膜は、基材表面上に、必要に応じてコロナ放電処理等を施した後、配向膜の材料を水又は溶剤に溶解させた溶液等を、リバースグラビアコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、ダイコーティング、バーコーティング等の公知の方法を用いて塗布し、乾燥させ、その後乾燥塗膜にラビング処理を施すことにより形成することができる。前記配向膜の材料としては、セルロース、シランカップリング剤、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシアクリレート、シラノールオリゴマー、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリオキサゾール、環化ポリイソプレンなどを用いることができるが、変性ポリアミドが特に好ましい。
前記変性ポリアミドとしては、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリアミドに変性を加えたものを挙げることができ、脂肪族ポリアミドに変性を加えたものが好ましい。具体的には例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、3元ないし4元共重合ナイロン、脂肪酸系ポリアミド、又は脂肪酸系ブロック共重合体(例えばポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミド)に変性を加えたものを挙げることができる。当該変性としては、末端アミノ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシル変性などの変性、並びにアミド基の一部をアルキルアミノ化又はN−アルコキシアルキル化する変性を挙げることができる。N−アルコキシアルキル化変性ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、又はナイロン−12等の共重合ナイロンのアミド基の一部をN−メトキシメチル化したものが挙げられる。前記変性ポリアミドの重量平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000とすることができる。
配向膜の厚さは、所望する液晶層の配向均一性が得られる膜厚であればよく、0.001〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることがさらに好ましい。
本発明に用いる光学補償フィルムは、光の位相を変化させることができるフィルムであり、固有複屈折値が負の樹脂からなる層を含む。
固有複屈折値が負の樹脂としては、スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体または他のモノマーとの共重合体を含むポリスチレン系樹脂;ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、あるいはこれらの多元共重合ポリマーなどが挙げられる。これらは、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリスチレン系樹脂に用いられる前記他のモノマーとしては、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、およびブタジエンが好ましいものとして挙げられる。本発明においては、これらの中でも、位相差発現性が高いこと、および、直線偏光フィルム・円偏光分離素子や表示装置の耐久性や表示性能をより向上させることができる観点から、ポリスチレン系樹脂の中でもスチレン又はスチレン誘導体の単独重合体が好ましく、特にポリスチレン樹脂が好ましい。また、ポリスチレン系樹脂の立体規則性についてはアタクチック構造でも、シンジオタクチック構造でもよいが、シンジオタクチック構造であることが好ましい。
また、前記固有複屈折値が負の樹脂は、ガラス転移温度Tgaが好ましくは120℃以上、より好ましくは120〜200℃、特に好ましくは120〜140℃である。
本発明に用いる直線偏光フィルムは、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過するものである。例えば、ポリビニルアルコールフィルムやエチレン酢酸ビニル部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたもの、前記親水性高分子フィルムを一軸延伸して二色性物質を吸着させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムなどが挙げられる。直線偏光フィルムの厚みは、通常5〜80μmである。また、前記直線偏光フィルムは、長尺であることが好ましい。この場合、直線偏光フィルムの透過軸(一方の直線偏光が透過する軸)は、通常、該長尺フィルムの幅方向に平行な方向である。
本発明に用いる保護フィルムは、前記直線偏光フィルムを保護するためのフィルムである。当該保護フィルムは、透明な材料からなる層を含むことが好ましい。なお、透明な材料とは、1mm厚のフィルムにしたときの全光線透過率が80%以上のものである。
透明な材料としては、ノルボルネン樹脂、ポリエステル樹脂、トリアセチルセルロースなどのアセチルセルロース、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、アセチルセルロースやアクリル樹脂であることが好ましく、直線偏光フィルム・円偏光分離素子や表示装置の耐久性や表示性能をより向上させることができる観点から、アクリル樹脂であることが特に好ましい。また、透明な材料としては、熱可塑性であることが好ましい。
なお、本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム(製品名「RUB−2100」、大和工業社製)を用いてスライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を観察し、測定した。
40℃、92%RHの環境下に24時間放置する試験条件で、JIS Z 0208に記載のカップ法に準じた方法で測定した。透湿度の単位はg/m2・24hである
自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−21ADH)を用いて波長550nmにおいて、幅方向に50mm間隔、流れ方向に長さ1000mmの範囲で50mm間隔で測定した。そして全測定結果を平均して面内方向レタ−デーションRe及びNz係数を求めた。
<コレステリック液晶組成物(X)の調整>
下記式(B1)で表される化合物7.31重量部、棒状液晶化合物(下記式(A2))30重量部、光重合開始剤(「IRG907」、チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)1.20重量部、カイラル剤(「LC756」、BASF社製)2.22重量部、界面活性剤(「KH40」、セイミケミカル製)0.04重量部、及び2−ブタノン溶媒60.00重量部を混合し、コレステリック液晶組成物(X)を調製した。
<円偏光分離素子の作製>
長尺のノルボルネン樹脂フィルム:基材層(「ZF14−100」、日本ゼオン社製)の片面にコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理面に、ポリビニルアルコール水溶液を塗布し、120℃で5分間乾燥し、該乾膜を一方向にラビング処理することで、配向膜を有する長尺の基材1を得た。
次いで、製造例1で得たコレステリック液晶組成物(X)を、基材1の配向膜を有する面にワイヤーバーにて塗布した。塗膜を100℃で5分間配向処理し、窒素雰囲気下で紫外線を照射して反射帯域の広帯域化処理を行い、次いで紫外線照射により硬化し、乾燥膜厚5.3μmのコレステリック樹脂層を有する長尺の円偏光分離素子を得た。
<光学補償フィルム1の作製>
固有複屈折値が負の樹脂P1(商品名「ダイラークD332」、ノヴァケミカルジャパン社製、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ガラス転移温度125℃)のペレットと、他の熱可塑性樹脂P2(商品名「スミペックスHT25X」、住友化学社製、メタクリル酸メチル重合体)のペレットとを、それぞれ押出機で溶融させ、共押出用のダイに供給し、P2/P1/P2の三層構造の原反フィルム1を成形した。
光学補償フィルム1のフィルム断面を顕微鏡観察したところ、P2層の平均厚さ5μm/P1層の平均厚さ18μm/P2層の平均厚さ5μmであった。また、遅相軸はMD方向に対して45°傾いていた。得られた光学補償フィルム1の特性を表1に示す。
<光学補償フィルム2の作製>
メタクリル酸メチル97.7%とアクリル酸メチル2.3%とからなるモノマー組成物を、バルク重合法により重合させ、樹脂ペレットを得た。
一方、特公昭55−27576号公報の実施例3に準じてゴム粒子を製造した。このゴム粒子は、球形3層構造を有し、芯内層がメタクリル酸メチル及び少量のメタクリル酸アリルの架橋重合体であり、内層が主成分としてのアクリル酸ブチルとスチレン及び少量のアクリル酸アリルとを架橋共重合させた軟質の弾性共重合体であり、外層がメタクリル酸メチル及び少量のアクリル酸エチルの硬質重合体である。また、内層の平均粒子径は0.19μmであり、外層をも含めた粒径は0.22μmであった。
上記樹脂ペレット68部と、上記ゴム粒子32部とを混合し、二軸押出機で溶融混練して、熱可塑性樹脂P4(ガラス転移温度104℃)を得た。
<保護フィルム1の作製>
アクリル樹脂P3(商品名「デルペット980N」、旭化成社製)のペレットと、他の熱可塑性樹脂P5(商品名「スミペックスHT55X」、住友化学社製、ゴム粒子を配合したメタクリル酸メチル重合体)のペレットとを、それぞれ押出機で溶融させ、共押出用のダイに供給し、P5/P3/P5の三層構造の長尺の保護フィルム1を得た。得られた保護フィルム1の特性を表1に示す。
<保護フィルム2の作製>
トリアセチルセルロースを溶媒に溶解させてキャスト成形法により単層の保護フィルム2を得た。得られた保護フィルム2の特性を表1に示す。
<偏光板1の作製>
製造例2で得た長尺の円偏光分離素子と、製造例3で得た光学補償フィルム1とを、拡散剤入り粘着性組成物(綜研化学社製架橋アクリル粉体「ケミスノーMX300」、及び綜研化学社製アクリル酸エステル共重合体「SKダイン2094」)からなる拡散粘着層を介して、ロールトゥーロールで貼付し、基材層−配向膜−コレステリック樹脂層−拡散粘着層−光学補償フィルム1の層構成を有する、長尺の積層体1を作製した。
<偏光板2の作製>
保護フィルム1を、製造例6で得られた保護フィルム2に置き換えた他は、実施例1−1と同様に操作して、偏光板の巻回体を得た。
<液晶表示装置1の作製>
市販の液晶表示装置(シャープ(株)製 AQUOS 37インチ)を分解し、実施例1−1で得られた巻回体から切り出した偏光板1をバックライト側の偏光板と置き換え、円偏光分離素子がバックライト側になるようにして組み立てなおし、液晶表示装置1を得た。この液晶表示装置は、主要な構成部材として、光反射素子、光源、偏光板1、液晶セル、偏光板(検光子)をこの順で有していた。
<液晶表示装置2の作製>
偏光板1を、実施例2−1で得られた巻回体から切り出した偏光板2に置き換えた他は、実施例1−2と同様に操作して、液晶表示装置2を得た。
得られた液晶表示装置2のバックライトのランプを点灯した状態で、40℃、95%RHで恒温恒湿試験を実施し、試験開始後700時間の液晶表示装置の表示画面の表示状態を目視で観察したところ、若干の白抜けが観察されたが、画像を確認することは可能であった。また、液晶表示装置1の表示特性を目視により正面方向や斜め方向から確認したところ、一部分に若干の輝度の低下が見られた。なお、上記比較対照品よりは、輝度の向上が見られた。
<偏光板3の作製>
光学補償フィルム1を、製造例4で得られた光学補償フィルム2に置き換えた他は、実施例2−1と同様に操作して、偏光板の巻回体を得た。
<液晶表示装置3の作製>
偏光板1を、比較例1−1で得られた巻回体から切り出した偏光板3に置き換えた他は、実施例1−2と同様に操作して、液晶表示装置3を得た。
得られた液晶表示装置3のバックライトのランプを点灯した状態で、40℃、95%RHで恒温恒湿試験を実施し、試験開始後700時間の液晶表示装置の表示画面の表示状態を目視で観察したところ、白抜けが観察され、画像を確認することが困難であった。また、液晶表示装置3の表示特性を目視により正面方向や斜め方向から確認したところ、上記比較対照品よりも、輝度の低下が見られた。
Claims (9)
- 円偏光分離素子、光学補償フィルム、直線偏光フィルム、及び保護フィルムを、この順に備え、
前記円偏光分離素子は、コレステリック規則性を有する樹脂層からなり、
前記光学補償フィルムは、固有複屈折値が負の樹脂からなる層を含み、且つ、正面方向のレターデーションReが透過光の波長の約1/4であり、
前記保護フィルムは、透湿度が20〜500g/m2・24hである、
偏光板。 - 前記光学補償フィルムの透湿度が、10〜100g/m2・24hである、請求項1に記載の偏光板。
- 前記光学補償フィルムの厚みが、5〜40μmである、請求項1又は2に記載の偏光板。
- 前記保護フィルムが、アクリル樹脂からなる層を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記固有複屈折値が負の樹脂が、ポリスチレン系樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記光学補償フィルムのNz係数が0未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記光学補償フィルムの面内遅相軸が、前記直線偏光フィルムの透過軸と略45°で交差する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏光板。
- 長尺である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板。
- 光反射素子、光源、請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板、液晶セル、及び検光子を、この順に備えてなる、液晶表示装置。
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