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JP2010163391A - 糖尿病又は高脂血症治療用医薬組成物 - Google Patents

糖尿病又は高脂血症治療用医薬組成物 Download PDF

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JP2010163391A
JP2010163391A JP2009007218A JP2009007218A JP2010163391A JP 2010163391 A JP2010163391 A JP 2010163391A JP 2009007218 A JP2009007218 A JP 2009007218A JP 2009007218 A JP2009007218 A JP 2009007218A JP 2010163391 A JP2010163391 A JP 2010163391A
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lypla3
expression
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hyperlipidemia
sirna
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Hiroyuki Nakai
裕幸 中井
Tooru Yanagimoto
徹 柳本
Kazuhiko Maekawa
前川  和彦
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Shionogi and Co Ltd
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Shionogi and Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、糖尿病又は高脂血症の治療・予防のための医薬組成物および治療法を提供することを目的とする。
【解決手段】Lypla3阻害剤を有効成分として含む医薬組成物は、糖尿病又は高脂血症の予防・治療に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、Lypla3(Lpla2)の新規用途に関する。より詳細には、本発明は、Lypla3を用いた糖尿病又は高脂血症の予防・治療薬を探索するためのスクリーニング方法、糖尿病又は高脂血症の治療方法に関する。
糖尿病は、インスリンの作用不足による高血糖が引き起こす複合疾患である。糖尿病は、知覚麻痺、失明、動脈硬化等との合併症を引き起こすことも多く、日常生活に多大な障害をもたらす病気である。特に、インスリン非依存型糖尿病(インスリン抵抗性糖尿病、2型糖尿病)は、環境因子が引き金になって発病するとされ、過食や肥満が大きな原因の一つである。例えば、肥満のために膵臓のインスリン分泌量が激増した結果、逆に膵臓が疲労してインスリン分泌量が減少し、結局インスリンの作用不足となり高血糖となる。あるいは、脂肪の増加によってインスリン受容体が減少し、その結果、インスリンの作用不足となり高血糖となる。逆に、インスリンの作用不足から生まれる余剰のグルコースが脂肪となって蓄えられ、さらに肥満が進むこととなる。このように、肥満と糖尿病はその発症メカニズムにおいて密接に関係している。
Lypla3(pla2g15やLpla2とも標記されうる)は、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)様活性を有する新規タンパク質としてTHP-1細胞より初めてクローニングされた(特許文献1)。この酵素は、リゾフォスファチジルコリンをグリセロフォスフォリルコリンに加水分解するリゾフォスフォリパーゼ活性を有することが報告されている(非特許文献1参照)。また、Lypla3は酸性環境下(pH4.5)では、強いホスホリパーゼA2活性と1−O−アセチルアミドシンターゼ活性を示すことから、リソソームで機能している酵素であると推測されている(非特許文献2参照)。
また、Lypla3(Lpla2)欠損マウスを作成して解析した結果、Lypla3欠損マウスではマクロファージや脾臓でのリン脂質の蓄積が見られ、生後1年では肺サーファクタントへのリン脂質蓄積や脾臓肥大症が起こることが明らかになり(非特許文献3参照)、Lypla3の肺サーファクタントへの投与が、肺胞タンパク症に有効であることが示された(特許文献2参照)。さらに、Lypla3(LLPL)欠損マウスと動脈硬化モデルマウスを掛け合わせた時に動脈硬化の症状が悪化することや、Lypla3(LLPL)欠損マウスのマクロファージに酸化LDLを暴露するとアポトーシスが促進されることも報告されている(非特許文献4参照)。他に、マクロファージ中のLpla2の活性を上げて動脈硬化を治療する方法(特許文献3)やアポトーシスに起因する疾病(癌、神経障害)の予防および治療に有効であるとする報告もある(特許文献4)
なお、特許文献5には、LLPL(Lypla3)と動脈硬化との関連が記載されている。ここでは、LLPL(Lypla3)を発現上昇させる化合物が動脈硬化の治療薬となり得ることが示されている。
国際公開第98/46767号パンフレット 国際公開第05/089386号パンフレット 国際公開第06/116746号パンフレット 国際公開第03/78624号パンフレット 国際公開第03/62416号パンフレット
Biochem Biophys Res Commun. 1999; 257(1): 50-6 J Biol Chem. 2002; 277(12): 10090-9 Mol Cell Biol. 2006; 26(16): 6139-48 Biochem Biophys Res Commun. 2005; 330(1): 104-10
本発明は、糖尿病又は高脂血症の治療・予防のための医薬組成物および糖尿病又は高脂血症の治療法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、Lypla3の発現を抑制することによって血糖値降下がおこることを見出した。さらに、脂質代謝改善や体重減少効果につながることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)Lypla3阻害剤を有効成分として含むことを特徴とする糖尿病又は高脂血症を予防又は治療するための医薬組成物、
(2)前記阻害剤が、Lypla3の発現を抑制する機能性核酸である上記(1)記載の組成物、
(3)前記機能性核酸が、siRNAである上記(2)記載の組成物、
(4)Lypla3の遺伝子発現を80%以上抑制できるsiRNA、
(5)二本鎖RNA部分が、配列表における配列番号14、配列番号15および配列番号16のいずれかの配列を有するsiRNA、
(6)上記(4)もしくは(5)記載のsiRNAを含む医薬組成物、
(7)哺乳類に、Lypla3阻害剤を有効量投与することを特徴とする糖尿病又は高脂血症の治療方法、
(8)前記阻害剤が、Lypla3の発現を抑制する機能性核酸である上記(7)記載の治療方法、
(9)前記機能性核酸が、siRNAである上記(8)記載の治療方法、
(10)Lypla3の発現及び/または作用を阻害することを指標とする糖尿病又は高脂血症のスクリーニング方法、
に関する。
本発明によれば、Lypla3阻害剤を投与することにより、高い治療効果を得ることができるため、本発明の医薬組成物および治療法は、糖尿病又は高脂血症の治療に極めて有用である。
図1は、Lypla3遺伝子に対して設計した各shRNAのHEK293細胞における発現抑制効果を示す。縦軸はネガティブコントロールshRNAでのLypla3遺伝子の発現量を100%とした時の各shRNAでのLypla3遺伝子の発現量を、横軸は各shRNAの配列番号を示す。 図2は、Lypla3に対するshRNAを発現するアデノウイルスを感染させた各マウスでの体重(g)、血糖値(mg/dL)、摂餌量(g/day/g-mouse)の経時変化を示す。グラフ上の印は:×は配列番号11をターゲット配列とするshRNAを発現するマウス、△は配列番号12をターゲット配列とするshRNAを発現するマウス、○は配列番号13をターゲット配列とするshRNAを発現するマウス、□はネガティブコントロールshRNAを発現するマウスをそれぞれ示す。 図3は、Lypla3に対するshRNAを発現するアデノウイルスを感染させたマウスの肝臓におけるLypla3遺伝子の発現量を示す。縦軸はネガティブコントロールshRNAを発現するマウスの肝臓でのLypla3遺伝子の発現量を100%とした時の各shRNAを発現するマウスでのLypla3遺伝子の発現量を示す。 図4は、マイクロアレイ解析の結果抽出された、マウス肝臓においてLypla3の発現抑制によって発現変動が起こる遺伝子を示す。アデノウイルス感染後3日、5日、7日目のネガティブコントロールshRNAを発現するマウス肝臓での各遺伝子の発現量を100%とした時の配列番号12、または配列番号13をターゲット配列とするshRNAを発現するマウスでの各遺伝子の相対発現量を示す。 図5は、ヒトLypla3のmRNAとマウスLypla3のmRNAにおける共通配列リスト(その1) 図6は、ヒトLypla3のmRNAとマウスLypla3のmRNAにおける共通配列リスト(その2) 図7は、ヒトLypla3のmRNAとマウスLypla3のmRNAにおける共通配列リスト(その3)
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(A)本発明の医薬組成物及び治療法
本発明の一つの態様としては、「Lypla3阻害剤を有効成分として含むことを特徴とする糖尿病又は高脂血症を予防又は治療するための医薬組成物」および「Lypla3阻害剤を有効量投与することを特徴とする糖尿病又は高脂血症の治療方法」が挙げられる。ここで「Lypla3」は公知のタンパク質である(GenBank:NM_012320)。Lypla3のDNA配列は、配列表の配列番号:1に、アミノ酸配列を配列番号:2に記載する。本発明における「Lypla3」は、これらの配列に限定されるものではなく、配列番号2で表されるペプチドの機能が保持される限り、アミノ酸やDNAの変異数や変異部位には制限はないものとする。
本発明において「Lypla3阻害剤」とは、Lypla3遺伝子(特にヒトLypla3遺伝子)またはその遺伝子産物の活性を阻害しうる物質を意味する。ここで、阻害剤の例としては遺伝子の転写または翻訳に影響を及ぼす物質や遺伝子産物の活性に影響を及ぼす物質などである。Lypla3阻害剤には、またLypla3プロモーター阻害剤も含まれるものとする。こうした阻害剤の例としては核酸、たとえばアンチセンス、siRNAまたはそれらを含むベクターなど; ポリペプチド、たとえば優性阻害体(dominant negative)、抗体(配列番号2において示される連続したアミノ酸配列を含むポリペプチド内のエピトープと特異的に結合する抗体など)、または酵素など; 触媒型RNA、たとえばリボザイムなど;アプタマー; 低分子量(たとえば分子量2000Da未満の)の化学分子などである。これらの阻害剤は、例えば本明細書で開示するスクリーニング方法により選別することができる。
本発明において「Lypla3阻害剤」の好ましい形態は、「機能性核酸」である。ここで「機能性核酸」とは、細胞内のDNAやmRNAなどの内在性遺伝子の発現抑制の他、DNAやmRNAが有する転写や翻訳などタンパク質を合成する一連の過程において作用して本来有する機能を抑制できる核酸を意味する。例えば、アンチセンス、siRNA、miRNA、shRNA、リボザイムまたはこれらを含む発現ベクターなどである。本発明の機能性核酸は、Lypla3の発現を抑制しうる核酸である。ここで、発現の抑制とは、対照群と比較した場合に、本来のmRNAやタンパク質の発現量の50%以上を、好ましくは80%以上を抑制することを意味する。
本発明において「機能性核酸」の好ましい形態は、siRNAである。本発明のsiRNAとは、Lypla3の遺伝子発現を抑制するsiRNAをさす。具体的には、対照群と比較してLypla3の遺伝子発現を50%以上抑制できるsiRNAを、好ましくは80%以上抑制できるsiRNAをいう。siRNAは、RNA干渉と呼ばれる配列特異的な遺伝子発現の抑制を誘導することが知られている。siRNAは、一般的に二本鎖のRNA部分と、センス鎖およびアンチセンス鎖の3'末端のオーバーハング部分から構成される。siRNAは、当業者にとって公知の方法によって設計することができる。例えば、選択したDNA配列(19〜21塩基が望ましい)をそのままRNA配列に変換したもの(センス鎖)とそのアンチセンス鎖を二本鎖RNA部分とし、オーバーハング部を付加する。オーバーハング部は、1又は2塩基の任意の核酸(リボ核酸またはデオキシ核酸)であるが、ウリジン(U)もしくはチミジン(dT)が好ましい。本発明のsiRNAは、Lypla3、好ましくはヒトのLypla3のDNA配列(配列番号1)に基づいて設計され、Lypla3の発現を抑制できるsiRNAであれば、特に限定されるものではない。発現の抑制は、Lypla3に特異的であることが望ましい。特異的であるかどうかは、一般公開されているBLAST検索を実施することにより確認できる。またオーバーハング部分は必須ではない。
また本発明のsiRNAには、投与対象内で本発明のsiRNAと同じ効果を有する任意の分子も含まれる。このような分子としては、例えば、shRNAが挙げられる。shRNAとはショートヘアピン構造型のRNAであり、一本鎖の一部の領域が他の領域と相補鎖を形成するためにステムループ構造を有するRNA分子である。二本鎖RNA部分が、本発明のsiRNAと同一構造を有するshRNAも本発明のsiRNAに含まれる。他には、投与対象に投与することによって本発明のsiRNAを発現することができるようなDNAも本発明のsiRNAに含まれる。このようなDNAは、siRNAをコードするDNAを発現ベクター(例えばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルスなどのベクター)に組み込んで構築して使用される。
本発明者らは、Lypla3阻害剤である、Lypla3の発現を抑制できるsiRNAを哺乳類に投与して血糖値の降下や、インシュリン感受性や脂質代謝に関連する遺伝子に変動が見られることを確認した。このような知見は、Lypla3阻害剤を有効量投与することや、Lypla3阻害剤を有効成分として含む医薬組成物が、糖尿病や高脂血症の治療・予防に有効であることを示唆するものである。
Lypla3阻害剤の有効成分が、機能性核酸である場合については、治療薬としての特性を改善するための修飾、あるいはリポソームなどの輸送担体に含包することが望ましい。ポリヌクレオチドの治療薬としての特性を改善するには、ヌクレオチドの修飾または類似体を導入することができる。例えば、ヌクレアーゼ耐性の向上および/または細胞透過性の向上などである。ヌクレアーゼ耐性は、アンチセンス、siRNA、shRNAおよび/またはリボザイムの生理活性を妨げないような技術上周知の任意の方法によりもたらされる。ヌクレアーゼ耐性の向上を目的にオリゴヌクレオチドに加えることができる修飾の例としては、リン酸骨格中のヘテロ原子のリンまたは酸素の修飾である。例えば、メチルリン酸、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、およびモルホリノオリゴマーなどである。また、技術上周知の他の修飾により、生理活性は維持したまま、ヌクレアーゼに対する安定性を大幅に高めるようにしてもよい。
Lypla3阻害剤の有効成分が、機能性核酸である場合については、in vivo発現、特に本発明の治療を必要とする患者体内での発現に際しては、発現ベクター、特に哺乳動物発現ベクターを使用するのが望ましい。発現ベクターは技術上周知であり、好ましくはプラスミド、コスミド、ウイルス発現系を含む。好ましいウイルス発現系の例としてはアデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルスなどである。また細胞や組織にベクターを導入する方法は技術上周知である。好ましい例としては、トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、および組み換えウイルスベクターによる感染などである。
糖尿病又は高脂血症の治療においては、上記のLypla3阻害剤をそのまま用いてもよいが、通常は、製剤学的に許容しうる1又は2種以上の製剤用添加物を用いて該阻害剤を有効成分として含む医薬組成物を製造して投与することが好ましい。Lypla3阻害剤を医薬組成物として使用する場合は、通常行われる手段に従って、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして、あるいは無菌性溶液、懸濁液剤などの注射剤とすることができる。
Lypla3阻害剤の投与方法は経口投与でも非経口投与でもよく、非経口投与の形態も特に限定されず、静脈投与、筋肉内投与、腹腔内投与、または皮下投与などを行うことができる。
Lypla3阻害剤の投与量は、投与対象、投与方法等により異なるが、例えば経口投与の場合は、糖尿病又は高脂血症患者(60kg)に対して、一日約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口投与する場合は、例えば、糖尿病又は高脂血症患者(60kg)に対して、一日約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mgを静脈注射することができる。
(B)本発明のスクリーニング方法
本発明の別の態様として、Lypla3の発現及び/または作用を阻害することを指標とする肥満症またはII型糖尿病治療薬のスクリーニング方法が挙げられる。前述したように、本発明者らは、Lypla3遺伝子の発現の抑制が、糖尿病又は高脂血症やその進行に深く関わっていることを見出した。このことから、Lypla3が糖尿病又は高脂血症抑制またはその進行抑制に関わっており、Lypla3遺伝子の発現(mRNA発現)を抑制してLypla3の産生量を低下する作用を有する物質、またはLypla3の作用を低下する作用を有する物質は、糖尿病又は高脂血症の予防または治療に有効な成分として有用であると考えられる。
下記に説明する本発明のスクリーニング方法は、被験物質の中から、(B−1)Lypla3遺伝子の発現(メッセンジャーRNA発現)を抑制する作用を有する物質、(B−2)Lypla3の産生量を低下する作用を有する物質、または(B−3)Lypla3の作用を低下する作用を有する物質、を探索することによって、糖尿病又は高脂血症の予防剤または治療剤(以下、これらを総称して「糖尿病又は高脂血症治療薬」ともいう)の有効成分を取得しようとするものである。
なお、糖尿病又は高脂血症治療薬の有効成分となりえる候補物質としては、核酸、ペプチド、タンパク質、有機化合物(低分子化合物、高分子化合物を含む)、無機化合物などを挙げることができる。本発明のスクリーニング方法は、これらの候補物質を含む試料を対象として実施することができる(これらを総称して「被験物質」という)。ここで、候補物質を含む試料には、細胞抽出物、遺伝子ライブラリーの発現産物、微生物培養上清、および菌体成分などが含まれる。
(B−1) Lypla3遺伝子の発現を抑制する作用を有する物質のスクリーニング方法
当該スクリーニングは、被験物質の中から、Lypla3遺伝子の発現を抑制する作用を有する物質を、Lypla3 mRNAの発現量を指標として探索し、糖尿病又は高脂血症治療薬の有効成分として取得する方法である。
当該方法は、具体的には下記の工程(1)〜(3)を行うことによって実施することができる。
(1)被験物質とLypla3遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(2)被験物質を接触させた細胞のLypla3遺伝子の発現量を測定する工程、及び (3)上記の測定量が、被験物質を接触させない対照細胞のLypla3遺伝子の発現量よりも小さい被験物質を選択する工程。
かかるスクリーニングに用いられる細胞としては、天然または組み換え体の別を問わず、Lypla3遺伝子を発現し得る細胞であればよい。なおLypla3遺伝子の由来も特に制限されず、ヒト由来であっても、またヒト以外のマウスなどの哺乳類やその他の生物種に由来するものであってもよいが、好ましくはヒト由来のLypla3遺伝子である。
また、定法に従って、Lypla3遺伝子のcDNAを有する発現ベクターを導入してLypla3 mRNAを発現可能な状態に調製された形質転換細胞を使用することもできる。なお、スクリーニングに用いられる細胞の範疇には、細胞の集合体である組織も含まれる。
本発明のスクリーニング方法(B−1)の工程(1)において、被験物質とLypla3遺伝子発現可能細胞とを接触させる条件は、特に制限されないが、当該細胞が死滅せず、且つLypla3遺伝子が発現し得る培養条件(温度、pH、培地組成など)を選択することが好ましい。
候補物質の選別は、例えば上記条件で被験物質とLypla3遺伝子発現可能細胞とを接触させて、Lypla3遺伝子の発現を抑制させてそのmRNAの発現量を低下させる物質を探索することによって行うことができる。具体的には、被験物質存在下でLypla3遺伝子発現可能細胞を培養した場合のLypla3 mRNAの発現量が、被験物質非存在下で上記に対応するLypla3遺伝子発現可能細胞を培養した場合に得られるLypla3 mRNAの発現量(対照発現量)よりも小さいことを指標として、細胞と接触させた当該被験物質を候補物質として選別することができる。
Lypla3 mRNAの発現量の測定(検出、定量)は、Lypla3遺伝子発現可能細胞のLypla3 mRNAの発現量を、当該Lypla3 mRNAの塩基配列と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドなどを利用したノーザンブロット法やRT−PCR法、リアルタイム定量PCR法などの公知の方法、またはDNAアレイを利用した測定方法を実施することなどにより行うことができる。
(B−2) Lypla3の産生を低下させる作用を有する物質のスクリーニング方法
当該スクリーニングは、被験物質の中から、Lypla3の産生を低下させる作用を有する物質を、Lypla3の産生量を指標として探索し、糖尿病又は高脂血症治療薬の有効成分として取得する方法である。
当該方法は、具体的には下記の工程(1’)〜(3’)を行うことによって実施することができる。
(1’)被験物質とLypla3を産生可能な細胞またはこの細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
(2’)被験物質を接触させた細胞または細胞画分のLypla3の産生量を測定する工程、及び
(3’)上記の測定量が、被験物質を接触させない対照細胞(Lypla3を産生可能な細胞)または被験物質を接触させない細胞画分(Lypla3を産生可能な細胞から調製)のLypla3の産生量よりも小さい被験物質を選択する工程。
かかるスクリーニングに用いられる細胞(対照細胞を含む)としては、天然または組み換え体の別を問わず、Lypla3遺伝子が発現してLypla3を産生し得る細胞であればよい。なおLypla3遺伝子の由来も特に制限されず、ヒト由来であっても、またヒト以外のマウスなどの哺乳類やその他の生物種に由来するものであってもよいが、好ましくはヒト由来のLypla3遺伝子である。
また、定法に従って、Lypla3遺伝子のcDNAを有する発現ベクターを導入してLypla3を産生可能な状態に調製された形質転換細胞を使用することもできる。なお、スクリーニングに用いられる細胞の範疇には、細胞の集合体である組織も含まれる。
本発明のスクリーニング方法(B−2)の工程(1’)において、被験物質とLypla3産生可能細胞とを接触させる条件は、特に制限されないが、当該細胞が死滅せず、且つLypla3遺伝子が発現し且つLypla3が産生し得る培養条件(温度、pH、培地組成など)を選択することが好ましい。
候補物質の選別は、例えば上記条件で被験物質とLypla3産生可能細胞またはその細胞画分とを接触させて、Lypla3の産生量を低下させる物質を探索することによって行うことができる。具体的には、被験物質存在下でLypla3産生可能細胞またはその細胞画分を培養した場合のLypla3産生量が、被験物質非存在下で上記に対応するLypla3産生可能細胞またはその細胞画分を培養した場合に得られるLypla3の産生量(対照産生量)よりも小さいことを指標として、細胞または細胞画分と接触させた当該被験物質を候補物質として選別することができる。
Lypla3産生量の測定(検出、定量)は、Lypla3産生可能細胞またはその細胞画分から得られるLypla3の量を、当該Lypla3に対する抗体(抗Lypla3抗体)を利用してウエスタンブロット法や免疫沈降法、ELISA等の公知の方法を行うことによって実施することができる。
(B−3)Lypla3の作用を低下させる作用を有する物質のスクリーニング方法
当該スクリーニングは、被験物質の中から、Lypla3の作用を低下させる作用を有する物質を、Lypla3の作用を指標として探索し、糖尿病又は高脂血症治療薬の有効成分として取得する方法である。
当該方法は、具体的には下記の工程(1”)〜(3”)を行うことによって実施することができる。
(1”)被験物質とLypla3を産生可能な細胞またはこの細胞から調製した細胞画分を接触させる工程、
(2”)被験物質を接触させた細胞または細胞画分のLypla3の作用を検出する工程、及び
(3”)上記の検出した作用が、被験物質を接触させない対照細胞(Lypla3を産生可能な細胞)または細胞画分(Lypla3を産生可能な細胞から調製)のLypla3の作用よりも低い被験物質を選択する工程。
当該スクリーニングで用いられる細胞、並びに工程(2”)において被験物質と接触させる方法や条件は、前述する(B−2)のスクリーニング方法にて記載したものを同様に使用することができる。
候補物質の選別は、上記条件で被験物質とLypla3産生可能細胞またはその細胞画分とを接触させて、Lypla3の作用を低下させる物質を探索することによって行うことができる。具体的には、被験物質存在下でLypla3産生可能細胞またはその細胞画分を培養した場合に生じるLypla3の作用が、被験物質非存在下で上記に対応するLypla3産生可能細胞または細胞画分を培養した場合に得られるLypla3の作用(対照作用)よりも低いことを指標として、当該被験物質を候補物質として選別することができる。
ここで、Lypla3の作用としては、例えば、エステラーゼ活性が挙げられる。この測定自体は公知の方法(例えば、J.Biol.Chem,264,14723−14728,1989)に従って測定することができる。他に、リゾフォスフォリパーゼ活性も挙げられる(Biochem Biophys Res Commun.1999年 第257巻(1)50−56ページ 参照)。その他、Lypla3の作用として当業者の周知となっているものも含むものとする。
上記(B−1)〜(B−3)のスクリーニング方法で選別された物質は、細胞においてLypla3遺伝子の発現を抑制してLypla3の産生を低下させるか、またはLypla3の作用を低下させる作用を有するものであり、糖尿病又は高脂血症やその進行を予防する組成物または糖尿病又は高脂血症を改善する組成物の有効成分として使用することが可能である。上記のスクリーニング方法によって選別された候補物質は、さらに糖尿病又は高脂血症を有する病態非ヒト動物を用いてスクリーニングにかけることもできる。かくして選別される候補物質は、さらに糖尿病又は高脂血症を有する病態非ヒト動物を用いた薬効試験、安全性試験、さらに糖尿病又は高脂血症を有する患者(ヒト)もしくはその前状態にある患者(ヒト)への臨床試験に供してもよく、これらの試験を実施することによって、より実用的な糖尿病又は高脂血症の予防または治療用組成物の有効成分を選別取得することができる。
このようにして選別された物質は、必要に応じて構造解析を行った後、その物質の種類に応じて、化学的合成、生物学的合成(発酵を含む)または遺伝子学的操作によって、工業的に製造することができ、糖尿病又は高脂血症の予防・治療用組成物の創製に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、実施例は本発明をより良く理解するために例示するものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されることを意図するものではない。
マウスLypla3遺伝子に対するショートヘアピンRNA(shRNA)配列のスクリーニング
[目的] Lypla3の機能解析に用いる抑制効果の高いshRNA配列のスクリーニングを行う。
[方法](1)Lypla3 shRNA配列の設計とプラスミド構築
マウスLypla3遺伝子(Genbank Accession No.NM_133792)に対する20種類のターゲット配列(19〜21bp)に対するshRNA作成用オリゴを設計した。shRNA作成用オリゴは、センス鎖+ループ配列(TTCAAGAGA)+アンチセンス鎖+ターミネーター配列(TTTTTT)からなる。BLOCK-iT U6 RNAi Entry Vector Kit(インビトロジェン社)を用いて、shRNA作成用オリゴをpENTR/U6ベクターに添付のマニュアル通り導入し、pENTR/U6-Lypla3 shRNAを構築した。一方で、Lypla3発現ベクターとして、マウスLypla3のORFをpCI-neoベクター(プロメガ社)のXhoI/NotIサイトに導入したpCI-Lypla3を構築した。
(2)Lypla3 shRNAのin vitroスクリーニング
HEK293細胞(5 x 105 cells/2ml/well)を10%の血清入りD-MEM(High Glucose)培地を用いて6ウェルプレートに蒔き、37℃, 5% CO2環境下で培養を開始した。翌日にFuGENE6トランスフェクション試薬(ロシュ社)を用いてpENTR/U6-Lypla3 shRNAとpCI-Lypla3を分子量比が1:1となるようにプラスミドを細胞へ導入した。また、トランスフェクション効率を補正するために、ルシフェラーゼ発現プラスミドも同時に細胞へ導入した。プラスミド導入72時間後に溶解剤を加えて、RNeasy plus kit(キアゲン社)を用いてマニュアルに従い全RNAをカラム抽出した。次に、2μg相当量の全RNAを用いてHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(アプライドバイオシステムズ社)により逆転写反応を行った。合成されたcDNAとLypla3のプライマーセット(配列番号3と4)を用いて、SYBR Premix Ex Taq II(タカラバイオ社)を用いた定量リアルタイムPCR法にてLypla3のmRNA量を測定した。この時、同時測定したルシフェラーゼのmRNA量(ルシフェラーゼのプライマーセット(配列番号5と6) )によって補正し相対値とした。
[結果] Lypla3遺伝子に対する20種類のshRNAを設計し、Lypla3遺伝子と各shRNAを共発現させたHEK293細胞におけるLypla3のmRNA発現を定量リアルタイムPCR法にて確認した結果、図1に示す様にネガティブコントロールに対して90%以上、Lypla3を発現抑制するshRNAを複数配列取得することができた。
[解釈] Lypla3遺伝子に対するshRNA配列をin vitroスクリーニングで取得した。このスクリーニングで抑制効果の高かったターゲット配列を持つRNAi(shRNAやsiRNAなどを含む)を用いることによって、高いLypla3の発現抑制効果が期待できる。
アデノウイルスを用いたマウス肝臓でのLypla3遺伝子の発現抑制
[目的] 実施例1で取得したLypla3を発現抑制するshRNAを発現するアデノウイルスを調製し、マウス肝臓でのLypla3の機能解析を行う。
[方法](1)アデノウイルスプラスミドの構築
実施例1で取得したshRNAの内、マウスLypla3のDNA配列におけるcggaggaatg ctatttctca a (配列番号11)、cacgccaaac tctttctact a (配列番号12)、およびcagctggcta ctgccataca a (配列番号13)をターゲット配列とする3種類のshRNAをLRクロナーゼ(インビトロジェン社)反応により、pAdx-RGD-DESTプラスミド(pAdx (クロンテック社)にGatawayカセット(インビトロジェン社)を導入したプラスミド)に導入し、pAdx-RGD-Lypla3 shRNAウイルスプラスミドを構築した。これらは、生体内において二本鎖RNA部分が、cggaggaaug cuauuucuca a (配列番号14) cacgccaaac ucuuucuacu a (配列番号15) cagcuggcua cugccauaca a (配列番号16) の配列を有するsiRNAとなって発現する。
(2)アデノウイルスの調製と濃縮
pAdx-RGD-Lypla3 shRNAプラスミド20μgを制限酵素PacI(NEB社)で終夜処理し、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿後、20μlのTEバッファーに再溶解した。PacI処理プラスミドをLipofectamine2000トランスフェクション試薬(インビトロジェン社)でHEK293細胞(70%confluent, 10cm-dish, 10%血清入りD-MEM(High Glucose)培地)に導入し、37℃, 5% CO2環境下で培養を行った。トランスフェクション後、CPE(細胞変性作用)が見られるまで、4〜5日ごとに培地交換を行い、CPEにより約50%の細胞が剥がれたところで、細胞と培地を回収、1000rpmで5分間遠心して細胞を沈殿させ、2mlの培地に再懸濁させた。細胞ペレットをFreeze & Thaw (ドライアイス/メタノールで完全に凍らせ、37℃の温浴で解凍) を5回行い、細胞を破壊して3000rpmで15分間遠心してウイルス液(上清)を回収した。このウイルス液をHEK293細胞(70%confluent, 15cm-dish x2枚)に感染させ、37℃, 5% CO2環境下で培養を行い、上記と同様にしてウイルス液を回収した。さらにHEK293細胞(70%confluent, 15cm-dish x 20枚)に再感染を行い、最終的に10mlのウイルス液を回収した。ウイルス液をBenzonase(Novagen社)で37℃、30分間処理した後、上清をCsCl/PBS(1.50g/cm3)0.5mL、CsCl/PBS(1.35g/cm3)2.5mL、CsCl/PBS(1.25g/cm3)4mLの順に重層されたチューブに加えた。SW41Tiローター(ベックマン社)で35000rpm, 16℃, 1時間超遠心を行い、白色のウイルス画分を回収した。このウイルス画分を透析カセットSlide-A-Lyzer10000MWCO(PIERCE社)へ入れ、3リットルのPBS + 10% Glycerolで透析を行った。回収したウイルスは直ちにチューブに小分けし−80℃で保存した。また、アデノウイルスの感染タイターはAdeno-X rapid titer kit(クロンテック社)を用いてマニュアルに従い測定した。
(3)C57BL/6Jマウスへのアデノウイルスの感染
C57BL/6Jマウス(8週齢♂、日本チャールス・リバー社)に3種類のLypla3 shRNA発現アデノウイルス(3x109 i.f.u/mouse)を尾静脈注射で感染させた。マウスは個別ケージで、飼育温度24±1℃、湿度55±5%、照明時間12時間(8時から20時)、餌CRF-1(オリエンタル酵母工業社)の飼育条件の下、自由に摂餌飼育した。ウイルス感染後、3〜4日に1回の割合で、体重とグルコカードダイアメーターα(アークレイ社)を用いて随時血糖値を測定した。ウイルス感染後14日後に解剖を行い、肝臓を回収した。
(4)肝臓でのLypla3の発現量の解析
回収した肝臓をQIAZOL Lysis Reagent(キアゲン社)を用いてマニュアルに従い全RNAを抽出した。さらに、RNeasy mini kit(キアゲン社)を用いて、マニュアルに従い全RNAをカラム精製した。次に、2μg相当量の全RNAを用いてHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kitにより逆転写反応を行った。合成されたcDNAとLypla3のプライマーセット(配列番号3と4)を用いた、SYBR Premix Ex Taq II(タカラバイオ社)による定量リアルタイムPCR法にてLypla3のmRNA量を測定した。この時、同時測定したβアクチンプライマーセット(配列番号7と8)の mRNA量によって補正し、相対値とした。
[結果] 各Lypla3 shRNA発現アデノウイルスを感染させたC57BL/6Jマウスの体重と随時血糖値の計時変化を計測した結果、図2に示すように体重ではコントロール群と大差はなかったが、随時血糖値はすべてのshRNA発現マウス群で有意に低下していた。また、ウイルス感染14日後のマウス肝臓でのLypla3の発現量は図3で示すように、配列番号11をターゲット配列とするshRNAで約50%、配列番号12をターゲット配列とするshRNAで約10%、配列番号13をターゲット配列とするshRNAで約60%発現抑制されていた。
[解釈] 肝臓でLypla3遺伝子を発現抑制することにより、有意な随時血糖値低下が見られた。また、この効果は別々に設計した3種類のshRNAすべてで見られた。このことから、肝臓でLypla3を抑制することによって血糖値低下を引き起こせることが明らかとなった。
DNAマイクロアレイを用いたLypla3発現抑制マウス肝臓の遺伝子変動解析
[目的] 実施例2で示した、肝臓でのLypla3抑制による血糖値低下作用について、DNAマイクロアレイを用いた変動遺伝子解析から下流因子を探す。
[方法](1)C57BL/6Jマウスへのアデノウイルスの感染
実施例2で用いた配列番号12、13をターゲット配列とする2種類のshRNAを発現するアデノウイルス(3x109 i.f.u/mouse)をC57BL/6Jマウス(8週齢♂、日本チャールス・リバー社)に尾静脈注射で感染させた。マウスは個別ケージで、飼育温度24±1℃、湿度55±5%、照明時間12時間(8時から20時)、餌CRF-1(オリエンタル酵母工業社)の飼育条件の下、自由に摂餌飼育した。ウイルス感染3日後、5日後、7日後にそれぞれ解剖を行い、肝臓を回収した。
(2)DNAマイクロアレイの実施
回収した肝臓をQIAZOL Lysis Reagent(キアゲン社)を用いて全RNAを抽出した。さらに、RNeasy mini kit(キアゲン社)を用いて全RNAをカラム精製した。精製した全RNAのグレードをRNA1000Chip / BioAnalyzer (アジレント社)で確認した。500ngの全RNAをAgilent Low RNA Input Linear Amplification Kit PLUS, One-Color(アジレント社)を用いて、マニュアルに従いcDNA化、in vitro転写、Cy3のラベル化を行い、最終的に1.65μgのCy3化cRNAをプローブとして用いた。プローブはハイブリオーブンを用いてWhole Mouse Genome Oligo Microarray (アジレント社)とのハイブリダイゼーション(65℃, 17時間)を実施した。洗浄後、Agilent Microarray Scanner (アジレント社)により読み取りを行い、解析コンピューターソフトGeneSpring(アジレント社)を用いてデータ解析を実施した。
[結果] マイクロアレイ解析の結果、Lypla3の発現抑制によって発現変動している遺伝子の中で、代表的なものを図4にまとめた。Fasn、Accα、Elovl6、SPOT14などの脂質酸合成に関与する転写因子ChREBP(Biochimie.2005;87(1):81-6, J Lipid Res.2006;47(9):2028-41, J Biol Chem.2005;280(12):12019-27)で調節されている遺伝子群が発現抑制されていること、逆に、トリグリセライド代謝に関与する遺伝子Lpl(J Lipid Res.2002;43(12):1997-2006)やインシュリン感受性に関与する遺伝子Irs1 (J Clin Invest.2006;116(1):101-14)は発現亢進していることが見出された。
[解釈] マイクロアレイ解析の結果、転写因子ChREBPで調節されている遺伝子群が発現抑制されていることから、Lypla3を肝臓で発現抑制することによって、転写因子ChREBPの活性抑制が起こっていることが示唆される。肝臓特異的にChREBPの活性を抑制することにより全身での脂質代謝の改善や血糖値・体重の低下が起こると報告(Diabetes 2006;55:2159-2170)されていることから、肝臓でLypla3を発現抑制することによって、血糖値の低下、長期的に全身での脂質代謝の改善や、それに伴う体重の低下が起こることが考えられる。また、トリグリセライド代謝に関与する遺伝子が発現亢進していることから脂質代謝の改善効果が、インシュリン感受性に関与する遺伝子が発現亢進していることから、インシュリン抵抗性の改善効果が、それぞれ期待される。このことは、Lypla3が糖尿病薬だけでなく、高脂血症、肥満、動脈硬化、メタボリックシンドロームの治療や予防にも有用であることを示唆するものである。
Lypla3 siRNAの抑制効果の確認方法
ヒトLypla3(NM_012320)とマウスLypla3(NM_133792)のDNA配列から予想されるmRNA配列(ヒト:配列番号9、マウス:配列番号10)おいて、共通の連続して19塩基一致する配列を選択した(図5〜図6)。これらの配列を含むsiRNAのLypla3発現抑制効果は、siRNAを市販のトランスフェクション試薬でヒトまたはマウス肝臓由来細胞株へ導入し、Lypla3のmRNA配列を定量リアルタイムPCR法で定量し、抑制率を算出することによって確認できる。

Claims (10)

  1. Lypla3阻害剤を有効成分として含むことを特徴とする糖尿病又は高脂血症を予防又は治療するための医薬組成物。
  2. 前記阻害剤が、Lypla3の発現を抑制する機能性核酸である請求項1の組成物。
  3. 前記機能性核酸が、siRNAである請求項2の組成物。
  4. Lypla3の遺伝子発現を80%以上抑制できるsiRNA。
  5. 二本鎖RNA部分が、配列番号14、配列番号15および配列番号16のいずれかの配列を有するsiRNA。
  6. 請求項4もしくは5記載のsiRNAを含む医薬組成物。
  7. 哺乳類に、Lypla3阻害剤を有効量投与することを特徴とする糖尿病又は高脂血症の治療方法。
  8. 前記阻害剤が、Lypla3の発現を抑制する機能性核酸である請求項7の治療方法。
  9. 前記機能性核酸が、siRNAである請求項8の治療方法。
  10. Lypla3の発現を阻害することを指標とする糖尿病又は高脂血症治療薬のスクリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112888448A (zh) * 2018-12-07 2021-06-01 深圳华大生命科学研究院 单形巨单胞菌在预防和/或治疗代谢性疾病中的用途

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