[go: up one dir, main page]

JP2010160015A - ガスセンサを予備処理する方法 - Google Patents

ガスセンサを予備処理する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010160015A
JP2010160015A JP2009001578A JP2009001578A JP2010160015A JP 2010160015 A JP2010160015 A JP 2010160015A JP 2009001578 A JP2009001578 A JP 2009001578A JP 2009001578 A JP2009001578 A JP 2009001578A JP 2010160015 A JP2010160015 A JP 2010160015A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
humidity
measurement
metal oxide
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009001578A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Ito
敏雄 伊藤
Ichiro Matsubara
一郎 松原
Usoku Shin
申  ウソク
Noriya Izu
伊豆  典哉
Maiko Nishibori
麻衣子 西堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2009001578A priority Critical patent/JP2010160015A/ja
Publication of JP2010160015A publication Critical patent/JP2010160015A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Fluid Adsorption Or Reactions (AREA)

Abstract

【課題】測定環境中に含まれる湿度に関わらず、微量の測定対象ガスを高精度で測定することが可能な、ガスセンサの予備処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明では、感応部に金属酸化物を含むガスセンサを予備処理する方法であって、予め、測定雰囲気よりも高湿度の雰囲気において、前記感応部の温度を、前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度に保持するステップを有することを特徴とする方法が提供される。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガスセンサの作動方法に関し、特に感応部に金属酸化物を含むガスセンサの作動方法に関する。
近年、住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装等によって生じるVOC(揮発性有機化合物)による汚染が原因とされる、シックハウス症候群と呼ばれる健康被害が問題視されている。そのため、室内のVOC濃度を適正に評価することの可能なガスセンサの開発が進められている。人体に有害とされるVOCの成分は多岐にわたるが、厚生労働省が平成14年までに示した各VOC成分の室内濃度の指針によれば、ほとんどのVOC成分において、その許容濃度は、数十〜数百ppbの範囲となっている。従って、このような極微量濃度を正確に測定することが可能な、高感度測定法が必要となっている。
従来から利用されているVOC濃度の測定法の一例としては、検知管法およびガスクロマトグラフィー測定等がある。検知管法は、予め測定対象ガスに対して反応性を有する試薬を収容した容器中に、測定ガスを吸引させ、この試薬の色の変化から、測定対象ガスの有無およびその濃度を判定する測定法である。この方法は、瞬時の測定が可能である反面、その性質上、正確な濃度の判定が難しいという問題がある。また、1つの容器につき、1回の測定しかできない(すなわち、「使い捨て式」である)ため、経済的に効率が悪い。ガスクロマトグラフィーによる分析では、様々なガス種に対して、極低濃度の測定が可能であるという利点があるが、分析機器が高価である上、分析機器の性質上、瞬時の測定には不向きであるという問題がある。
一方、感応部にn型半導体金属酸化物を用いたガスセンサも、従来から利用されている。このようなガスセンサでは、金属酸化物表面に予め吸着している酸素が測定対象ガスと燃焼反応することによって生じる、金属酸化物の電気抵抗変化を測定することにより、測定対象ガスの有無およびその濃度を検知することができる。
このような金属酸化物を含むガスセンサは、その原理上、簡易計測に適しており、小型化が可能で、安価であるという特徴がある。近年の目覚ましい進歩によって、金属酸化物を含むガスセンサにおいても、数十〜数百ppbレベルの濃度のVOCガスの検知が可能となってきており、シックハウス症候群対策用の装置としての利用が期待されている。
例えば、特許文献1には、感応部に酸化タングステンディスクを使用したガスセンサにおいて、芳香族系のガス種に対して、数十〜数百ppbのレベルで、濃度検知が可能であることが示されている。また、非特許文献1には、酸化スズを主成分とした金属酸化物を感応部に使用したガスセンサにおいて、この感応部に、さらに複数の貴金属を添加することにより、様々なガス種に対する応答特性が改善されることが示されている。
特開2008−70216号公報 特開昭63−171352号公報 特開平1−227951号公報 特開平4−80648号公報 特開2003−294668号公報
日本セラミックス協会第21回秋季シンポジウム講演予稿集p.294(2008年)
しかしながら、前述のような金属酸化物を含むガスセンサにおいては、環境中の湿度の変動に対応して、金属酸化物の電気抵抗が変化してしまうという問題がある。これは、測定値の信頼性を低下させる要因となる。例えば、湿度が大きく変動する環境において、金属酸化物材料を含むガスセンサを用いて、ある測定対象ガスの濃度変化をモニタリングしようとした場合、湿度の変動により電気抵抗が変化し、正確な濃度モニタリングができなくなってしまう。また、そのようなガスセンサでは、測定対象ガスの濃度が実質的に同等であっても、湿度が異なるいくつかの環境においてガスセンサを使用した場合、異なる測定結果が生じてしまうという問題が生じることになる。
このように、電気抵抗の湿度依存性は、ガスセンサの測定精度および感度を低下させる大きな原因となる。特に、VOC濃度測定用のガスセンサでは、数十〜数百ppbの極微量レベルを測定対象としており、電気抵抗変化に及ぼす湿度の影響は、大きな問題となっている。
なお、このような湿度の影響を軽減するため、これまで、いくつかの技術が提案されている。例えば、いくつかの文献には、主要金属酸化物に、別の第2の金属酸化物を添加することにより、湿度の影響を抑制し得ることが示されている(例えば特許文献2、3および4)。しかしながら、このような多成分系の金属酸化物を使用する方法では、検出可能なガスの選択性や感度が変化することで、測定対象ガスに対する応答の信頼性が低下してしまうという問題がある。従って、そのような金属酸化物を含むガスセンサでは、前述のような極微量レベルの測定に使用することは難しい。
また、予め、測定環境と同じ湿度を有する雰囲気下において、ガスセンサの感応部の温度を測定時の温度にまで加熱することにより、湿度の影響を抑制することが提案されている(特許文献5)。しかしながら、本願発明者らの経験によれば、このような方法においても、湿度の影響を十分に抑制することは、難しいと考えられる。
このように、従来提案されたいずれの技術においても、湿度の変化によるガスセンサの電気抵抗の変動を十分に抑制することは、難しいのが現状である。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、測定環境の湿度に関わらず、微量の測定対象ガスを高精度で測定することが可能な、ガスセンサの予備処理方法を提供することを目的とする。
本発明では、感応部に金属酸化物を含むガスセンサを予備処理する方法であって、
予め、測定雰囲気よりも高湿度の雰囲気において、前記感応部の温度を、前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度に保持するステップを有することを特徴とする方法が提供される。
本発明による方法において、前記感応部の前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度は、前記測定雰囲気で測定するときに比べて、50℃以上高い温度であっても良い。
また本発明による方法において、前記高湿度の雰囲気は、20℃における相対湿度が90%以上であっても良い。
また本発明による方法において、前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度に保持する時間は、12日以上であっても良い。
また本発明による方法において、前記金属酸化物は、酸化タングステンまたは酸化スズを含んでも良い。
また、前記感応部は、上記酸化物の他に、さらに、白金、金、パラジウムの少なくとも一つを含んでも良い。
本発明では、測定環境の湿度に関わらず、微量の測定対象ガスを高精度で測定することが可能な、ガスセンサの予備処理方法を提供することができる。
低湿度雰囲気下における金属酸化物表面の状態を模式的に示した図である。 高湿度雰囲気下における金属酸化物表面の状態を模式的に示した図である。 金属酸化物表面の状態を模式的に示した図であって、本発明による予備処理の効果を説明した図である。 実施例1において使用される予備処理装置を概略的に示したブロック図である。 実施例1において使用される測定用装置を概略的に示したブロック図である。 実施例1における相対湿度とトルエンに対する応答値Sの関係を示したグラフである。 比較例1における相対湿度とトルエンに対する応答値Sの関係を示したグラフである。 実施例2および比較例2における測定サンプルの形態を概略的に示した上面図である。 実施例2における相対湿度とトルエンに対する応答値Sの関係を示したグラフである。 比較例2における相対湿度とトルエンに対する応答値Sの関係を示したグラフである。 実施例3において使用される測定用装置を概略的に示したブロック図である。 実施例3における相対湿度とT−VOCガスに対する応答値Sの関係を示したグラフである。 比較例3における相対湿度とT−VOCガスに対する応答値Sの関係を示したグラフである。
まず最初に、金属酸化物を感応部に有するガスセンサ(以下、「金属酸化物型ガスセンサ」と称する)の作動原理について簡単に説明する。
金属酸化物型ガスセンサでは、金属酸化物表面に予め吸着している酸素が測定対象ガスと燃焼反応することによって生じる、金属酸化物の電気抵抗変化を測定することにより、測定対象ガスの有無およびその濃度を検知している。
より詳しくは、空気中において、感応部の金属酸化物表面に酸素が吸着することにより、金属酸化物内の電気伝導電子が酸素に捕捉され、金属酸化物表面に空間電荷層が形成される。この場合、金属酸化物中の電子は、ポテンシャル障壁が高い空間電荷層を通過して、移動することが必要となるため、金属酸化物の電気抵抗が増加する。
次に、金属酸化物を加熱して、この金属酸化物の温度を高めておく(例えば、250℃〜500℃程度)。この状態において、測定対象ガスが金属酸化物表面に到達すると、測定対象ガスと金属酸化物表面に吸着している酸素との間で燃焼反応が生じ、吸着酸素が消費される。この際に、吸着酸素に捕捉されていた電子が開放され、空間電荷層が減少するとともに、これにより金属酸化物の電気抵抗が低下する。この電気抵抗の変化量は、金属酸化物表面の吸着酸素の消費量、すなわち、測定対象ガスの濃度に相関する。
ここで、雰囲気中に測定対象ガスが存在しないときの金属酸化物の電気抵抗(Ra)と、雰囲気中にある濃度の測定対象ガスが存在するときの電気抵抗(Rg)との比により、金属酸化物型ガスセンサの応答値Sを以下のように定義する:

S=Ra/Rg 式(1)

雰囲気中に含まれる測定対象ガスの濃度が高くなるほど、Rgは小さくなるため、この式から、測定対象ガスの濃度が高くなるほど、応答値Sが大きくなることがわかる。従って、応答値Sは、測定対象ガスの濃度の指標となる。すなわち、測定雰囲気において、金属酸化物の電気抵抗を測定することにより、応答値Sから、その雰囲気に含まれる測定対象ガスの濃度を検知することができる。
ただし、実際には、前述の応答値Sは、測定対象ガスの濃度の他、雰囲気中の水分量によっても変化する。例えば、従来の金属酸化物型ガスセンサでは、雰囲気中の湿度が変動すると、測定対象ガスの濃度が同じ場合でも、応答値Sが変化してしまうことが知られている。
このような応答値Sの湿度による変化は、ガスセンサの測定精度および感度を低下させる大きな原因となる。特に、VOC濃度測定用のガスセンサでは、数十〜数百ppbの極微量レベルを測定対象範囲としており、湿度が数%変化しただけでも、応答値Sは、大きく変化してしまうため、湿度が応答値Sに及ぼす影響は、深刻な問題となる。
本願発明者らは、このような問題に鑑み、鋭意研究開発を推進した結果、応答値Sに及ぼす湿度の影響を抑制し、または軽減する方法を見出し、本願発明に至った。以下、本発明の特徴について説明する。
まず、雰囲気中の湿度の違いによって、前述の応答値Sが変化する理由について考察する。
一般に、金属酸化物型ガスセンサの感応部となる金属酸化物表面には、清浄度の影響、あるいは終端がO(酸素)基で終わるかまたはM(金属)基で終わるかの違い等により、少なくとも以下の3種類のサイトが存在すると考えられる:
サイトA;酸素(原子または分子)が極めて吸着しやすく、実質的に酸素のみが吸着すると見なし得るサイト、
サイトB;酸素(原子または分子)および水(分子)がいずれも同等に吸着し易いサイト、
サイトC;水(分子)が極めて吸着しやすく、実質的に水のみが吸着すると見なし得るサイト。
このような3種類の吸着サイトの存在により、雰囲気中の湿度が低い場合および高い場合で、金属酸化物表面での挙動に、以下のような差異が生じる。
図1には、低湿度雰囲気下における金属酸化物表面の状態を模式的に示す。図1(a)は、測定対象ガスが存在しない雰囲気における金属酸化物表面の状態を示している。また、図1(b)は、測定対象ガスが存在する雰囲気において、金属酸化物表面で酸素と測定対象ガスの間で燃焼反応が生じた直後の状態を示している。
金属酸化物表面100の吸着サイトは、前述のサイトA(A〜Aで表示)、サイトB(B〜Bで表示)およびサイトC(C〜Cで表示)を含む。前述のように、A〜Aは、酸素のみが吸着するサイトであるため、図1(a)において、これらのサイトには、○の形で示す酸素110が吸着している。なお、ここでは、酸素110の形態として、酸素分子を想定するが、これは、本質的な問題ではなく、例えば、酸素110の形態として、酸素原子を想定しても良い。また、サイトC〜Cは、水のみが吸着するサイトであるため、図1(a)において、これらのサイトには、□の形で示す水120(ここでは水分子と仮定する)が吸着している。ただし、低湿度環境では、水分子の絶対量が少ないため、サイトCのうちのいくつか(図1(a)の例では、サイトCおよびサイトC)は、何も吸着していない空サイト140の状態となっている。一方、サイトB〜Bは、酸素と水の両方が吸着し得るサイトであるが、低湿度環境では、相対的にこのサイトに吸着する水の量は少なくなる。従って、図1(a)の例では、5つのサイトB〜Bのうち、4つのサイトB、B、B、およびBには、●で示す酸素115が吸着し、一つのサイトBには、■で示す水125が吸着している。なお、酸素115は、酸素110と同様のものであるが、両者の吸着したサイトの種類が異なるため、酸素115は、便宜的に酸素110とは異なる符号および形態で表示している。水120および125についても同様である。
このような初期状態の下で、金属酸化物が測定対象ガスと接すると、測定対象ガスと、金属酸化物表面100に吸着している酸素との間で燃焼反応が生じ、吸着酸素が消費される。この場合、図1(b)に示すように、各サイトに吸着している酸素110、115は、測定対象ガスの濃度に応じて消費され、一部の吸着酸素110、115のみが未反応のまま残留する(図の例では、サイトAおよびAの吸着酸素110)。一方、吸着水120、125は、この燃焼反応には消費されないため、初期のサイト位置にそのまま残留する。
ここで、図1(a)の状態は、前述の応答値Sの式(1)において、電気抵抗Raが得られる状態に相当すると見なすことができる。この状態では、吸着酸素110、115の数は、9である。また、図1(b)の状態は、前述の応答値Sの式(1)において、電気抵抗Rgが得られる状態に相当すると見なすことができる。この状態では、残留吸着酸素110、115の数は、2である。ここで、両者の吸着酸素の比R(応答値Sに関係すると考えられる)を求めると、R=9/2=4.5となる。
次に、高湿度環境における金属酸化物表面の状態について検討する。
図2には、高湿度雰囲気下における金属酸化物表面の状態を模式的に示す。図2(a)は、測定対象ガスが存在しない雰囲気における金属酸化物表面100の状態を示している。また、図2(b)は、測定対象ガスが存在する雰囲気において、金属酸化物表面100で酸素と測定対象ガスの間に燃焼反応が生じた直後の状態を示している。
前述のように、A〜Aは、酸素のみが吸着するサイトであるため、図2(a)において、これらのサイトには、酸素110が吸着している。また、サイトC〜Cは、水のみが吸着するサイトであるため、図2(a)において、これらのサイトには、水120が吸着している。ここで、前述の図1(a)の場合とは異なり、高湿度環境では、水分子の絶対量が増加するため、サイトCは、全て水120が吸着した状態となっている。一方、サイトB〜Bは、酸素と水の両方が吸着し得るサイトであるが、高湿度環境では、相対的にこのサイトに吸着する水の量が多くなる。従って、図2(a)の例では、5つのサイトB〜Bのうち、一つのサイトBには、酸素115が吸着し、4つのサイトB、B、B、およびBには、水125が吸着している。なお、酸素115は、酸素110と同様のものであるが、両者の吸着したサイトの種類が異なるため、酸素115は、便宜的に酸素110とは異なる符号および形態で表示している。水120および125についても同様である。
このような初期状態の下で、金属酸化物が測定対象ガス(図1の場合と同じ濃度であると仮定する)と接すると、測定対象ガスと、金属酸化物表面100に吸着している酸素との間で燃焼反応が生じ、吸着酸素が消費される。この場合、図2(b)に示すように、各サイトに吸着している酸素110、115は、測定対象ガスの濃度に応じて消費され、一部の吸着酸素110、115のみが未反応のまま残留する(図の例では、サイトAおよびAの吸着酸素110)。一方、吸着水120、125は、この燃焼反応には関与しないため、初期のサイト位置にそのまま残留する。
ここで、図1の場合と同様に、燃焼反応の前後における吸着酸素110、115の数の比Rを求めると、この場合、R=6/2=3となり、前述の低湿度雰囲気の場合とは異なる値が得られる。このように、雰囲気中に含まれる測定対象ガスの濃度が一定でも、湿度が変化することにより、比R、さらには、比Rと相関する応答値Sは、変化してしまう。
このような考察の下、本願発明者らは、金属酸化物表面の各種サイトのうち、水が吸着し得るサイト、すなわちサイトBおよびサイトCの特性を改質させることにより、応答値Sに及ぼす湿度の影響を抑制し得ることを見出した。
すなわち、本発明では、予め、測定雰囲気よりも高湿度の雰囲気において、金属酸化物の温度を、前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度に保持することにより、応答値Sに及ぼす湿度の影響を抑制することを特徴とする。なお、以下本願では、「予め、測定雰囲気よりも高湿度の雰囲気において、金属酸化物の温度を、前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度に保持すること」を、簡単のため「予備処理」と称することにする。
以下、このような本発明による「予備処理」が極めて効果的である理由について説明する。
図3には、金属酸化物表面の状態を模式的に示す。図3(a)は、本発明による予備処理の途中過程における仮想的な表面状態を示しており、図3(b)は、本発明による予備処理を実施した直後の金属酸化物表面の状態を示しており、図3(c)は、測定対象ガスが存在する雰囲気において、予備処理後の金属酸化物表面上で、酸素と測定対象ガスの間で燃焼反応が生じた直後の状態を示している。
前述のように、測定対象ガスが存在しない環境下では、金属酸化物表面100の3種類の吸着サイトに、各サイトの特性に応じて、酸素および水が吸着する。ただし、本発明による予備処理は、実際の測定環境に比べて高湿度の環境で実施されるため、金属酸化物表面100のサイトBおよびサイトCには、比較的水が吸着し易くなる。図3(a)は、そのような仮想的な状態を示している。この図に示すように、A〜Aには、酸素110が吸着しているのに対して、サイトB〜BおよびサイトC〜Cには、水120、125のみが吸着している。
このような状態において、金属酸化物表面を加熱し、金属酸化物表面を測定雰囲気で測定するときよりも高い温度に維持した場合、サイトB〜BおよびサイトC〜Cに吸着している水120、125が熱により金属酸化物表面100と反応し、水酸基が生じる。図3(b)には、本発明による予備処理によって、最初水が吸着されていたサイトB〜BおよびサイトC〜Cが、水酸基150が吸着された状態に変化した様子を示す。なお、図の例では、吸着していた水の全てが水酸基150に置換されているが、これは必ずしも必要ではなく、水が吸着されたサイトがいくつか残存しても良い。ここで重要なことは、サイトAにしか、吸着酸素が存在しないことである。
次に、このような表面状態にある金属酸化物が、より湿度の低い雰囲気において、測定対象ガスと接すると、測定対象ガスとサイトAに吸着している酸素110との間で、燃焼反応が生じ、図3(C)に示すように、測定対象ガスの濃度に応じて吸着酸素が消費される。一方、サイトBおよびサイトCに吸着している水酸基150は、燃焼反応には寄与せず、そのまま同じサイトに残留する。
ここで、以上説明したような予備処理の効果は、測定環境が高湿度/低湿度であるかどうかに依存せず、等しく生じることは、明らかであろう。
このように、金属酸化物表面の予備処理を実施した場合、金属酸化物表面100の各吸着サイトのうち、サイトBおよびサイトCには、水酸基が優先的に吸着することになり、酸素は、このサイトに吸着され難くなる。このため、酸素が優先的に吸着し得るサイトAのみが、酸素の吸着サイトとして利用され、さらには測定対象ガスとの反応サイトとして利用されるようになる。従って、このような金属酸化物表面の改質により、応答値Sに及ぼす湿度の影響が抑制され、測定環境中の湿度に関わらず、微量の測定対象ガスを高精度で測定することが可能になる。
なお、本発明による予備処理の条件は、特に限られず、前述の図3に示したような効果が得られる条件、すなわち、水が吸着し得るサイト(サイトB、サイトC)の特性を改質し、酸素のみが吸着し得るサイト(サイトA)においてしか酸素が吸着されないようにすることが可能な条件であれば、いかなる条件を採用しても良い。
例えば、予備処理の際の金属酸化物の加熱温度は、前述の効果を確実に発揮させるため、実際の測定雰囲気で測定するときに比べて、50℃以上高い温度であっても良い。また、予備処理の際の雰囲気は、前述の効果を確実に発揮させるため、20℃における相対湿度が90%以上の雰囲気であっても良い。さらに、予備処理の時間は、前述の効果を確実に発揮させるため、12日間以上であっても良い。
また、本発明による方法は、感応部に金属酸化物を含む、いかなるガスセンサに適用しても良い。そのような金属酸化物の材料は、特に限られないが、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化スズ、ならびにこれらに白金、金、および/またはパラジウム等の貴金属が添加された材料など、様々な金属酸化物を利用することができる。
以上、本発明による予備処理の効果を、主に、図1〜図3を参照して説明した。しかしながら、これらの図は、本発明の原理を説明するための一例に過ぎないことは、明らかであろう。すなわち、実際の金属酸化物表面は、必ずしも、図のような3種類の吸着サイトを交互に配置した構成を有している必要はなく、また、そもそも実際の金属酸化物表面は、図のような仮想的な吸着サイトを有している必要もない。すなわち、別の吸着メカニズムにより、本発明の効果を説明することができる場合も想定される。また、仮に、実際の金属酸化物表面が図のような種類の吸着サイトを有する場合であっても、実際に、燃焼反応の前後において、金属酸化物表面の各サイトに吸着する分子(または原子)の種類、配置および/または数は、図の例とは異なっていても良い。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
以下のように、ガスセンサの感応部を模擬したサンプルを準備し、これを用いて、各湿度環境における測定対象ガスの応答性を測定した。
(サンプルの調製)
まず、縦10mm×横5mm×厚さ0.5mmの基板(シリコン製)の一方の表面に、抵抗測定用の2つの金くし形電極を設置し、さらにこの上に、感応部となる酸化タングステンを設置し、測定用のサンプルを調製した。酸化タングステンの寸法は、縦1mm×横1mm程度であった。
(サンプルの予備処理)
次に、図4に示す予備処理装置を用いて、サンプルの予備処理を実施した。
予備処理装置1000は、空気供給源1100と、バブラー1200と、ガス供給配管1300およびガス排出配管1400が接続された密閉容器1500と、加熱用冶具1600とを備える。密閉容器1500は、内径25mm、全長300mmの円筒形状を有し、この内部空間のほぼ中央には、前述のサンプル1700が配置される。空気供給源1100は、配管1150を介してバブラー1200に接続されており、バブラー1200は、ガス供給配管1300を介して密閉容器1500と接続されている。従って、バブラーの温度を所定の温度に制御することにより、空気供給源1100からの空気に、所定の濃度の水分を含有することができ、そのような水分を含む空気(すなわち所定の湿度の空気)を、密閉容器1500の方に供給することができる。この実施例では、ガス供給配管1300を通るガスの流量は、450mL/minで一定とした。
また、密閉容器1500は、該密閉容器1500よりも一回り大きな寸法の加熱用冶具1600に取り囲まれており、この加熱用冶具を加熱することにより、密閉容器1500の内部空間、さらには、内部空間に配置されたサンプル1700を所定の温度に昇温することができる。
予備処理は、密閉容器1500内の湿度(20℃における相対湿度を表す。以下同じ)を90%超とし、サンプル1700の温度を450℃とし、この状態を12日間維持することにより実施した。
(サンプルの応答性の評価)
次に、予備処理後のサンプルを図5に示す測定用装置2000に移し、測定対象ガスに対する応答性を測定した。
測定用装置2000は、空気供給源2100と、バブラー2200と、トルエン蒸気発生器2260と、ガス供給配管2300およびガス排出配管2400が接続された密閉容器2500と、加熱用冶具2600とを備える。
密閉容器2500は、内径35mm、全長250mmの円筒形状を有し、この内部空間のほぼ中央に、予備処理後のサンプル2700が配置される。また、密閉容器2500は、該密閉容器2500よりも一回り大きな寸法の加熱用冶具2600に取り囲まれており、この加熱用冶具を加熱することにより、密閉容器2500の内部空間、さらには、内部空間に配置された予備処理後のサンプル2700を所定の温度に昇温することができる。
トルエン蒸気発生器2260は、液体トルエンの貯蔵部と、ヒータと、温度制御器と(いずれも、図示されていない)を備えており、ヒータを用いて、トルエンを所定の温度まで加熱することにより、所望の量のトルエンを気化させることができる。
空気供給源2100は、配管2150を介してバブラー2200に接続されており、バブラー2200は、ガス供給配管2300を介して密閉容器2500に接続されている。トルエン蒸気発生器2260は、ガス入口配管2320およびガス出口配管2350を有し、両ガス配管は、ともにガス供給配管2300に接続されている。また、ガス出口配管2350は、配管2380により分岐されており、この配管2380は、ガス排出配管2400に接続されている。なお、図には示していないが、各配管は、流量計、開閉バルブ等を有する。
このような装置構成のため、バブラー2200の温度を所定の温度に制御することにより、空気供給源2100からの空気に、所定の濃度の水分を含有することができる。また、密閉容器2500に供給されるガスの全てを、バブラー2200からガス供給配管2300を経由したものにする(すなわち、トルエン蒸気発生器2260を経由したガスを、密閉容器2500に供給しない)ことで、水分を含みトルエンを含まないガスを、密閉容器2500に供給することができる。
また、バブラー2200から直接ガス供給配管2300を経由するガスと、ガス入口配管2320を介して、トルエン蒸気発生器2260を通過し、ガス出口配管2350を経由したガスとを、配管2300に流すことで、混合ガス中に、所定濃度のトルエンを含有させることができる。配管2320からトルエン蒸気発生器2260に供給される流量は、常に一定とすることで、トルエン蒸気発生器2260を通過したガスのトルエン濃度を常に一定とすることができる。バブラー2200から直接ガス供給配管2300を経由するガスの流量と、配管2350から配管2300に流れる流量とを調節することで、密閉容器2500に供給されるトルエンガス濃度が調節される。また、余分なトルエンを含むガスは、配管2380からガス排出配管2400を介して、装置外に排出することができる。
この実施例では、最終的に密閉容器2500に流入するガスの流量は、200mL/minで一定とした。
測定は、サンプル2700を、前記金のくし形電極を介して、電気抵抗測定器(KEITHLEY社製、2700)に接続し、以下の手順で実施した。
まず、空気供給源2100からの空気をバブラー2200に流通させ、ガス供給配管2300を介して、湿度が50%の加湿空気を密閉容器2500に供給する。この状態で、サンプル2700を400℃まで加熱する。
次に、サンプルの温度が一定になってから、ガス供給配管2300から密閉容器2500に供給される加湿空気に、70ppbのトルエンが含まれるように、各種ガスの流量を調整する。この混合ガスを7分間、密閉容器2500内に供給した後、ガス出口配管2350のラインを閉止して、トルエンの密閉容器2500への供給を止め、再び、湿度が50%の加湿空気のみを密閉容器2500内に10分間供給する。なおこの処理は、サンプル表面を清浄化させために、前処理として実施したものである。
この状態(すなわち、湿度が50%の加湿空気のみを供給した状態)におけるサンプルの電気抵抗値(Ra35)を計測する。
次に、最終的にガス供給配管2300から密閉容器2500に供給される加湿空気中のトルエンの濃度が35ppb(湿度50%)となるように、各装置の温度やガス流量等を調整する。この混合ガスを密閉容器2500に供給した状態で、サンプルの電気抵抗値(Rg35)を測定する。7分経過後、トルエンの供給を止め、再び、湿度が50%の加湿空気のみを、密閉容器2500内に10分間供給する。
次に、この状態におけるサンプルの電気抵抗値(Ra70)を計測した後、最終的にガス供給配管2300から密閉容器2500に供給される加湿空気に、トルエンが70ppb含まれるように、各装置の温度やガス流量等を調整する。この混合ガスを密閉容器2500に供給した状態で、サンプルの電気抵抗値(Rg70)を測定する。7分経過後、トルエンの供給を止め、測定を終了する。
得られた結果から、

応答値S35=Ra35/Rg35、および
応答値S70=Ra70/Rg70

を用いて、35ppbおよび70ppbのトルエンを含む雰囲気におけるサンプル2700の応答値Sを測定した。
このような測定を、湿度75%の条件においても実施した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、異なる濃度のトルエンを含む2つの雰囲気において、サンプルの応答値Sを測定した。ただし、この比較例1では、予備処理装置1000を用いた予備処理は、実施しなかった。その他の測定条件は、実施例1の場合と同様である。
(実施例1および比較例1の測定結果)
図6および図7には、それぞれ、実施例1および比較例1における測定結果を示す。両図において、横軸は、20℃における相対湿度であり、縦軸は、前述の式から求めた応答値S(S35、S70)である。
図7の結果から、比較例1の場合、トルエン濃度に関わらず、湿度が50%から75%に変化すると、環境中のトルエン濃度が一定であっても、応答値Sが大きく変化することがわかる。また、湿度75%におけるトルエン濃度が70ppbのときの応答値Sは、湿度50%におけるトルエン濃度が35ppbのときの応答値Sを下回っている(以下、「逆転現象」と称する)。本来、応答値Sは、測定対象ガスの濃度と比例関係にある必要があるが、この結果は、環境中の湿度によって、応答値Sが変動し、高濃度のトルエンを含む環境において、トルエン濃度が低く見積もられてしまうこと、あるいはその逆が生じることを示している。従って、このような「逆転現象」が生じる状態では、湿度が異なる複数の雰囲気、および湿度が変動する一つの雰囲気において、環境中のトルエン濃度を高精度に測定することは、難しいことが予想される。
これに対して、実施例1の場合、図6に示すように、トルエン濃度が35ppb、70ppbのいずれの場合も、湿度の変化に関わらず、応答値Sは、ほぼ一定の値となっていることがわかる。また、実施例1では、比較例1のようなトルエン濃度と応答値Sの間の「逆転現象」も認められない。
このように、実施例1の方法では、応答値Sの湿度による影響が有意に抑制され、これにより、微量濃度環境においても、測定対象ガスの高精度測定が可能であることが示された。
(実施例2)
以下のように、ガスセンサの感応部を模擬したサンプルを準備し、これを用いて、各湿度環境における測定対象ガスの応答性を測定した。
(サンプルの調製)
図8に示すような基板上に金属酸化物を有する模擬サンプル1700を調製した。
サンプル1700に用いた基板500は、図8に示すような凹部520(約300μm四方)、卍型のブリッジを有する台座560(175μm四方)が形成された、縦4mm×横4mm×厚さ0.5mmのシリコン製である。この基板には、白金製ヒータ用パッド530、白金製抵抗測定用電極パッド540が形成されており、これらは台座560に形成された白金ヒータパターンおよび白金櫛形電極に、それぞれ卍型のブリッジ上の白金の配線を介して接続されている。台座560の下部には、凹部520が形成されており、従って台座560の下部のシリコンは、除去されている。台座560は、卍型のブリッジによって支持されている。
この台座560の上部に、感応部となる酸化タングステン600を配置した。酸化タングステンは、台座560の上面全体に配置した。
このようなサンプル構成では、感応部となる酸化タングステン600を昇温する際に、熱がシリコン基板500の方には伝わりにくい。従って、放熱ロスが有意に抑制され、台座560部分のみを効率的に加熱することができる。
(サンプルの予備処理)
次に、前述の図4に示すような予備処理装置を用いて、サンプルの予備処理を実施した。ただし、実施例2では、使用した予備処理装置が加熱用冶具1600を有さない点が、実施例1の場合とは異なっている。実施例2では、前述のようにサンプルに直接配置された白金ヒータ線を用いて、サンプルの加熱を行った。
予備処理は、密閉容器内の湿度を90%超とし、サンプルの温度を450℃とし、この状態を14日間維持することにより実施した。
(サンプルの応答性の評価)
次に、予備処理後のサンプルを、前述の図5に示すような測定用装置に移し、測定対象ガスに対する応答性を測定した。ただし、実施例2では、使用した予備処理装置が加熱用冶具2600を有さない点が、実施例1の場合とは異なっている。実施例2では、前述のようにサンプルに直接取り付けられた白金ヒータ線により、サンプルの加熱を行った。
その他の測定方法および測定条件は、実施例1と同様である。ただし、測定は、湿度25%、50%および75%の3つの条件において実施した。
(比較例2)
実施例2と同様の方法により、湿度を変えた各環境において、両トルエン濃度でのサンプルの応答値Sを測定した。ただし、この比較例2では、予備処理は、密閉容器内の湿度を90%超とし、サンプルの温度を400℃とし、この状態を16日間維持することにより実施した。
その他の測定条件等は、実施例2の場合と同様である。
(実施例2および比較例2の測定結果)
図9および図10には、それぞれ、実施例2および比較例2における測定結果を示す。両図において、横軸は、20℃における相対湿度であり、縦軸は、応答値Sである。
図10の結果から、比較例2の場合、トルエン濃度に関わらず、湿度が25%から75%まで変化すると、環境中のトルエン濃度が一定であっても、応答値Sが大きく変化することがわかる。また、例えば、湿度75%におけるトルエン濃度が70ppbのときの応答値Sが、湿度25%におけるトルエン濃度が35ppbのときの応答値Sを下回るなど、「逆転現象」が生じていることがわかる。従って、比較例2の方法では、湿度が異なる複数の雰囲気、および湿度が変動する一つの雰囲気において、環境中のトルエン濃度を高精度に測定することは、難しいことが予想される。
一方、実施例2の場合、図9に示すように、トルエン濃度が35ppb、70ppbのいずれの場合も、湿度の変化に関わらず、応答値Sは、ほぼ一定の値となっていることがわかる。また、実施例2では、比較例2のようなトルエン濃度と応答値Sの間の「逆転現象」も認められない。
このように、実施例2の方法では、応答値Sに対する湿度の影響が有意に抑制され、これにより、微量濃度環境においても、測定対象ガスの高精度測定が可能であることが示された。
(実施例3)
以下のように、ガスセンサの感応部を模擬したサンプルを準備し、これを用いて、各湿度環境における測定対象ガスの応答性を測定した。
(サンプルの調製)
まず、縦5mm×横10mm×厚さ0.5mmの基板(アルミナ製)の一方の表面に、抵抗測定用の2つの金くし形電極を設置し、さらにこの上に、感応部となる金属酸化物を設置し、測定用のサンプルを調製した。この金属酸化物は、酸化スズを主成分とし、これに白金(0.5wt%)、金(0.5wt%)およびパラジウム(0.8wt%)を含むものであり、寸法は、縦3mm×横5mm程度であった。
(サンプルの予備処理)
次に、前述の図4に示す予備処理装置を用いて、サンプルの予備処理を実施した。
予備処理は、密閉容器1500内の湿度を90%超とし、サンプル1700の温度を400℃とし、この状態を16日間維持することにより実施した。
(サンプルの応答性の評価)
次に、予備処理後のサンプルを図11に示す測定用装置3000に移し、測定対象ガスに対する応答性を測定した。
測定用装置3000は、基本的に前述の図5に示した測定用装置2000と同様の構成を有する。ただし、この測定用装置3000は、前述のトルエン蒸気発生器2260の代わりに、有機混合ガス供給源3100を備えている。この有機混合ガス供給源3100は、配管3250および各種バルブ等(図示されていない)を介して、バブラー2200から排出される加湿空気を密閉容器2500に供給するガス供給配管2300と接続されている。
有機混合ガス供給源3100は、アセトアルデヒド(濃度1.8×10μg/m)、プロピオンアルデヒド(濃度5.7×10μg/m)、n−ブチルアルデヒド(濃度1.6×10μg/m)、デカン(濃度8.0×10μg/m)、ベンゼン(濃度6.8×10μg/m)、トルエン(濃度2.6×10μg/m)、キシレン(濃度7.9×10μg/m)、1,2,4−トリメチルベンゼン(濃度9.0×10μg/m)、エチルベンゼン(濃度6.7×10μg/m)、p−ジクロロベンゼン(濃度7.47×10μg/m)、酢酸エチル(濃度4.30×10μg/m)、酢酸ブチル(濃度3.6×10μg/m)、エタノール(濃度3.28×10μg/m)、2−プロパノール(濃度3.3×10μg/m)、4−メチル−2−ペンタノン(濃度8.7×10μg/m)、アセトン(濃度4.54×10μg/m)、2−ブタノン(濃度1.9×10μg/m)を含み、これらのガス(以下、「T−VOC」ガスと称する)の濃度の合計は、3.66×10μg/mである。従って、有機混合ガス供給源3100から供給されるT−VOCガスの流量を制御することにより、加湿空気中に所望の濃度のT−VOCガスを添加することができ、このT−VOCガスを含む加湿空気を、密閉容器2500の方に供給することができる。この実施例では、密閉容器2500に供給されるガスの流量は、200mL/minで一定とした。
測定は、予備処理後のサンプルを、前記金のくし形電極を介して前述の電気抵抗測定器に接続し、以下の手順で実施した。
(処理A)まず、ガス供給配管2300を介して、湿度が75%の加湿空気を密閉容器2500に供給し、サンプル2700を300℃まで加熱し、サンプルの温度を一定に保持する。
(処理B)加湿空気に、1000μg/mの濃度となるようにT−VOCガスを添加し、この混合ガスを20分間密閉容器2500内に供給する。その後、T−VOCガスの濃度が、800μg/m、600μg/m、400μg/m、200μg/m、および0(すなわちT−VOCガスの添加なし)となるように、順次切り替える。それぞれの濃度の供給時間は、20分とした。
(処理C)次に、加湿空気に、T−VOCガス濃度が0(すなわちT−VOCガスの添加なし)、200μg/m、400μg/m、600μg/m、および800μg/mとなるように順次添加する。それぞれの濃度の供給時間は、20分とした。
(処理D)処理B〜処理Cをもう1回繰り返す。なおこの処理は、サンプル表面を清浄化させるために、前処理として実施したものである。
(処理E)次に、サンプルの応答特性を得るため、T−VOCガス濃度を、20分おきに、1000μg/m、800μg/m、600μg/m、400μg/m、および200μg/mに順次切り替えて、サンプルの電気抵抗値(Rg)を計測する。T−VOCガス濃度を0に切り替えて、サンプルの電気抵抗値(Ra)を計測する。
得られた結果から、前述の式を用いて、各濃度における応答値Sを求めた。
(処理F)処理A〜処理Eの操作を、湿度50%および25%の条件においても実施した。
(比較例3)
実施例3と同様の方法により、サンプルの応答値Sを測定した。ただし、この比較例3では、予備処理は、実施しなかった。その他の測定条件は、実施例3の場合と同様である。
(実施例3および比較例3の測定結果)
図12および図13には、それぞれ、実施例3および比較例3における測定結果を示す。両図において、横軸は、20℃における相対湿度であり、縦軸は、応答値Sである。図には、200、400、600、800、および1000μg/mの各T−VOCガス濃度における測定結果が示されている。
図13の結果から、比較例3の場合、T−VOCガス濃度に関わらず、湿度が50%から75%まで変化すると、環境中のT−VOCガス濃度が一定であっても、応答値Sが大きく変化することがわかる。また、例えば、湿度75%におけるT−VOCガス濃度が1000μg/mのときの応答値Sが、湿度25%におけるT−VOCガス濃度が800μg/mのときの応答値Sを下回るなど、「逆転現象」が生じていることがわかる。従って、比較例3の方法では、湿度が異なる複数の雰囲気、および湿度が変動する一つの雰囲気において、環境中のT−VOC濃度を高精度に測定することは、難しいことが予想される。
一方、実施例3の場合、図12に示すように、T−VOCガス濃度が200μg/m〜1000μg/mのいずれの場合も、湿度の変化に関わらず、応答値Sは、ほぼ一定の値となっていることがわかる。また、実施例3では、比較例3のようなT−VOCガス濃度と応答値の間の「逆転現象」も認められない。
このように、実施例3の方法では、応答値Sに対する湿度の影響が有意に抑制され、これにより、微量濃度環境においても、測定対象ガスの高精度測定が可能であることが示された。
本発明は、金属酸化物感応部を有するVOC濃度測定用のガスセンサ等に適用することができる。
100 金属酸化物表面
110、115 吸着酸素
120、125 吸着水
140 空サイト
150 吸着水酸基
500 基板
510 基板表面
520 凹部
530 ヒータ用白金パッド
540 抵抗測定電極用白金パッド
560 台座
600 金属酸化物
1000 予備処理装置
1100 空気供給源
1150 配管
1200 バブラー
1300 ガス供給配管
1400 ガス排出配管
1500 密閉容器
1600 加熱用冶具
1700 サンプル
2000 測定用装置
2100 空気供給源
2150 配管
2200 バブラー
2260 トルエン蒸気発生器
2300 ガス供給配管
2320 ガス入口配管
2350 ガス出口配管
2380 配管
2400 ガス排出配管
2500 密閉容器
2600 加熱用冶具
2700 予備処理後サンプル
3000 測定用装置
3100 有機混合ガス源
3250 配管

Claims (6)

  1. 感応部に金属酸化物を含むガスセンサを予備処理する方法であって、
    予め、測定雰囲気よりも高湿度の雰囲気において、前記感応部の温度を、前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度に保持するステップを有することを特徴とする方法。
  2. 前記感応部の前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度は、前記測定雰囲気で測定するときに比べて、50℃以上高い温度であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記高湿度の雰囲気は、20℃における相対湿度が90%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記測定雰囲気で測定するときよりも高い温度に保持する時間は、12日以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 前記金属酸化物は、酸化タングステンまたは酸化スズを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記感応部は、さらに、白金、金、パラジウムの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
JP2009001578A 2009-01-07 2009-01-07 ガスセンサを予備処理する方法 Pending JP2010160015A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009001578A JP2010160015A (ja) 2009-01-07 2009-01-07 ガスセンサを予備処理する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009001578A JP2010160015A (ja) 2009-01-07 2009-01-07 ガスセンサを予備処理する方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010160015A true JP2010160015A (ja) 2010-07-22

Family

ID=42577286

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009001578A Pending JP2010160015A (ja) 2009-01-07 2009-01-07 ガスセンサを予備処理する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010160015A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01227951A (ja) * 1988-03-08 1989-09-12 Figaro Eng Inc Coセンサ
JPH06213853A (ja) * 1993-01-14 1994-08-05 Nok Corp ガス検出素子の製造法
JPH08145925A (ja) * 1994-11-24 1996-06-07 Tdk Corp ガスセンサ及びガスセンサ製造方法
JP2002071611A (ja) * 2000-08-30 2002-03-12 Fis Kk 水素ガスセンサ
JP2003294668A (ja) * 2002-03-29 2003-10-15 Matsushita Electric Ind Co Ltd ガスセンサのエージング方法及び該手法により作製されたガスセンサ
JP2004294364A (ja) * 2003-03-28 2004-10-21 New Cosmos Electric Corp 半導体式ガス検知素子
JP2007064979A (ja) * 2005-08-02 2007-03-15 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサおよびその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01227951A (ja) * 1988-03-08 1989-09-12 Figaro Eng Inc Coセンサ
JPH06213853A (ja) * 1993-01-14 1994-08-05 Nok Corp ガス検出素子の製造法
JPH08145925A (ja) * 1994-11-24 1996-06-07 Tdk Corp ガスセンサ及びガスセンサ製造方法
JP2002071611A (ja) * 2000-08-30 2002-03-12 Fis Kk 水素ガスセンサ
JP2003294668A (ja) * 2002-03-29 2003-10-15 Matsushita Electric Ind Co Ltd ガスセンサのエージング方法及び該手法により作製されたガスセンサ
JP2004294364A (ja) * 2003-03-28 2004-10-21 New Cosmos Electric Corp 半導体式ガス検知素子
JP2007064979A (ja) * 2005-08-02 2007-03-15 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサおよびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1166943C (zh) 氮的氧化物的测定方法以及检测器
JP2003501625A (ja) 半導体ガスセンサ、ガスセンサ・システムおよびガス分析方法
Meng et al. A highly sensitive and fast responsive semiconductor metal oxide detector based on In2O3 nanoparticle film for portable gas chromatograph
JP4157492B2 (ja) ホルムアルデヒドガス検出装置
Niskanen et al. Atomic layer deposition of tin dioxide sensing film in microhotplate gas sensors
CN105492896A (zh) 环境监测系统
JP2010160015A (ja) ガスセンサを予備処理する方法
US9116160B2 (en) Method and arrangement for gas chromatographic analysis of a gas sample
JP7403232B2 (ja) 半導体式ガス検知素子
JP4936186B2 (ja) 表面汚染度評価方法及び表面汚染度評価装置
Ivanov et al. Improvement of the gas sensor response via silicon μ-preconcentrator
JP4575788B2 (ja) ガスクロマトグラフ装置およびそれを用いるvoc測定装置
JP2003075384A (ja) ガスクロマトグラフ用半導体ガスセンサ
WO2020251925A1 (en) Sensor for compositions which deposit upon a surface from a gaseous matrix
Wiegleb Physical-Chemical Gas Sensors
US11162926B2 (en) Chemiluminescence type nitrogen oxide concentration meter
JP5181299B2 (ja) 材料の評価方法
JP4806232B2 (ja) 半導体ガスセンサ及びガスクロマトグラフ用半導体ガスセンサ
JP2007507704A (ja) 電気化学センサ
CN100575947C (zh) 电化学传感器
JP2011202993A (ja) 感応部に酸化セリウムを含むガスセンサの初期安定化状態の判定方法
JP6775814B2 (ja) ガス濃度測定装置
Straková et al. Silicone membrane measuring system with SnO2 gas sensor for on-line monitoring of volatile organic compounds in water
JP7500283B2 (ja) 半導体式ガス検知素子
RU2343470C1 (ru) Чувствительный элемент газового датчика

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120327

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120612