JP2010033744A - リチウム二次電池用負極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Cuを主成分とする集電体と珪素酸化物を含む活物質体との接着力を高め、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を改善する。
【解決手段】Cuを主成分とする集電体の表面に活物質体を形成する活物質体形成工程を包含するリチウム二次電池用負極の製造方法であって、活物質体のうち集電体の表面との界面近傍に位置する部分は珪素酸化物を主成分としており、活物質体を形成する際の集電体の温度T(℃)と、形成された活物質体のうち界面近傍に位置する部分の珪素酸化物の珪素に対する酸素の原子数比x(0<x≦2)とを、下記式1〜式3を同時に満たすように調整する。
式1:x≧8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6
式2:x≦1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89
式3:300≦T≦500
【選択図】 図1
【解決手段】Cuを主成分とする集電体の表面に活物質体を形成する活物質体形成工程を包含するリチウム二次電池用負極の製造方法であって、活物質体のうち集電体の表面との界面近傍に位置する部分は珪素酸化物を主成分としており、活物質体を形成する際の集電体の温度T(℃)と、形成された活物質体のうち界面近傍に位置する部分の珪素酸化物の珪素に対する酸素の原子数比x(0<x≦2)とを、下記式1〜式3を同時に満たすように調整する。
式1:x≧8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6
式2:x≦1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89
式3:300≦T≦500
【選択図】 図1
Description
本発明は、リチウム二次電池用負極の製造方法に関する。
携帯用通信機器などの小型電子・電気機器の需要は近年ますます増大しており、それらに使用される二次電池の生産量も増加している。なかでも、エネルギー密度の高いリチウム二次電池の生産量の増大は顕著である。
小型電子・電気機器の用途が多様化し、さらに小型化が図られるにつれて、リチウム二次電池にはさらなる性能向上が要望されている。具体的には、放電容量の増大と寿命の延長がますます求められている。
現在市販されているリチウム二次電池は、正極にLiCoO2などのリチウム含有複合酸化物を用い、負極に黒鉛を用いている。しかし、黒鉛からなる負極材料では、LiC6の組成までしかリチウムイオンを吸収できず、リチウムイオンの吸収および放出の体積当たり容量の最大値は372mAh/gである。この値は金属リチウムの理論容量の約1/5に過ぎない。
一方、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Biといった金属元素あるいはそれらの合金は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出することができる元素として知られている。これらの元素の理論的な体積当たり容量(例えばSi:2377mAh/cm3、Ge:2344mAh/cm3、Sn:1982mAh/cm3、Al:2167mAh/cm3、Sb:1679mAh/cm3、Bi:1768mAh/cm3、Pb:1720mAh/cm3)は、何れも黒鉛などの炭素質材料の体積当たり容量より大きい。
しかしながら、上記のような金属元素を用いた活物質は、充放電の際にリチウムイオンを吸蔵および放出することによって大きく膨張・収縮する。従って、シート状の集電体に上記のような活物質を含む活物質体を形成した構造を有する負極では、充放電を繰り返すと、活物質体と集電体との界面近傍に大きな応力が発生して歪みが生じ、負極のしわや切れ、活物質体の剥がれ等を引き起こす可能性がある。その結果、活物質体と集電体との電気的接合が保持できなくなって容量が減少するという課題がある。
この課題に対し、活物質体の膨張・収縮率を下げることによって応力を緩和する方法が特許文献1に開示されている。特許文献1では、集電体と活物質体の界面近傍の珪素酸化物の酸素比率を高くすることにより、活物質体の膨張・収縮率を下げて、集電体への応力を緩和しつつ、活物質体全体として高い容量密度を実現するとしている。
一方、特許文献2は、集電体に含まれる金属が活物質中に拡散することを抑制する目的で、集電体とシリコンを含む活物質層との間に、シリコンおよび酸素を含む中間層を形成することを提案している。この中間層は活物質層としても機能するので、ここでは、中間層および活物質層を合わせて「活物質体」と呼ぶ。特許文献2の負極によると、中間層の膨張・収縮率が小さいので、特許文献1と同様に集電体への応力を緩和できる。
特許文献2は、集電体表面に活物質体を形成する際の集電体の温度(以下、単に「集電体の温度T」ともいう。)を300〜700℃に設定することを開示している。具体的には、実施例における集電体の温度Tを320℃および700℃、比較例における集電体の温度Tを200℃および750℃に設定することが記載されている。
特開2006−164954号公報
特開2008−53214号公報
本発明者が検討したところ、特許文献2に記載された活物質体の形成条件によると、Cuを主成分とする集電体に対する活物質体の接着力を十分に確保できないおそれがあることが分かった。集電体と活物質体との接着力が不足すると、リチウムを吸蔵放出する過程で活物質体が集電体から脱離しやすくなり、リチウム二次電池のサイクル寿命の低下を引き起こす可能性がある。なお、特許文献1には、活物質体を形成する際の集電体の温度Tを300〜800℃に設定することは開示されているが、より具体的な温度条件は記載されていない。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、Cuを主成分とする集電体とその表面に形成された活物質体とを含むリチウム二次電池用負極において、活物質体の形成条件を制御することにより、集電体と活物質体との接着力を高めて、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を向上させることにある。
本発明によるリチウム二次電池用負極の製造方法は、Cuを主成分とする集電体の表面に活物質体を形成する活物質体形成工程を包含し、前記活物質体のうち前記集電体の表面との界面近傍に位置する部分は珪素酸化物を主成分としており、前記活物質体を形成する際の前記集電体の温度T(℃)と、形成された前記活物質体のうち前記界面近傍に位置する部分の珪素酸化物の珪素に対する酸素の原子数比x(0<x≦2)とを、下記式1〜式3を同時に満たすように調整する。
式1:x≧8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6
式2:x≦1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89
式3:300≦T≦500
式1:x≧8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6
式2:x≦1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89
式3:300≦T≦500
これにより、Cuを主成分とする集電体と珪素酸化物からなる活物質体との接着力を高めることができる。具体的には、上記式1を満足するように温度Tおよび原子数比xを調整することにより、集電体と活物質体との界面に多孔質なCuSi合金が形成されにくくなるので、CuSi合金の形成による接着力の低下を抑制できる。また、上記式2を満足するように温度Tおよび原子数比xを調整することにより、集電体と活物質体との界面において、集電体に含まれるCu原子の移動速度が酸素によって低下することを抑制でき、集電体と活物質体との結合密度を高めることができる。さらに、上記式3を満足するように温度Tを調整すると、集電体の機械的強度を確保しつつ、活物質体の珪素(Si)原子および集電体のCu原子の運動エネルギーを確保して原子の再配列を生じ易くすることができる。
このように、本発明によると、活物質体と集電体との接着力を高くできるので、充放電の繰り返しによって活物質体が集電体から剥離することを抑制でき、リチウム二次電池の充放電サイクルを向上できる。
本発明のリチウム二次電池用負極の製造方法によると、Cuを主成分とする集電体と珪素酸化物からなる活物質体との接着力を従来よりも高めることができるので、充放電を繰り返しても集電体と活物質体との電気的接続を十分に確保できる。従って、リチウム二次電池の充放電サイクルを向上できる。
本発明者は、Cuを主成分とする集電体上に珪素酸化物を含む活物質体を形成するプロセスにおいて、種々の形成条件を検討した結果、集電体と活物質体との接着力は、活物質体を形成する際の集電体の温度T(℃)および形成された活物質体の組成(珪素に対する酸素の原子数比)に依存するとの知見を得て、従来よりも高い接着力を示す温度Tおよび活物質体の組成の範囲Aを見出した。
図1は範囲Aを示す図であり、横軸は、活物質体を形成する際の集電体の温度T(℃)である。縦軸は、集電体上に形成された活物質体のうち集電体表面との界面近傍に位置する部分(以下、単に「界面部分」ともいう。)の珪素に対する酸素の原子数比xを表している。
本発明では、活物質体のうち少なくとも界面部分が珪素酸化物SiOxを主成分とする化学組成を有していればよい。活物質体が化学組成の異なる積層構造を有している場合であっても、活物質体の少なくとも界面部分が珪素酸化物SiOxを主成分とする化学組成を有していれば、図1に示す範囲Aに含まれるように活物質体の形成条件を御することにより、高い接着力を確保できる。なお、活物質体の界面部分は珪素酸化物を主成分として含むことが好ましく、これにより、接着力をより効果的に改善できる。
また、「活物質体の界面部分」は、活物質体の集電体表面に接着する部分およびその近傍に位置する部分を含み、特に限定しないが、例えば集電体表面からの厚さが1μm以下の部分とする。活物質層のうち集電体表面からの距離が1μm以下の領域の酸素の原子数比xは、上記接着力に特に大きく寄与するからである。一方、界面部分が薄すぎると、十分な接着力を確保できない可能性があるため、界面部分の厚さは10nm以上であることが好ましい。
図1に示す範囲Aは下記式1〜式3によって規定される。式1〜式3は、本発明者が行った評価実験(後述する。)に基づいて求めた近似式である。
式1:x≧8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6
式2:x≦1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89
式3:300≦T≦500
式1:x≧8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6
式2:x≦1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89
式3:300≦T≦500
活物質体の界面部分における珪素に対する酸素の原子数比(以下、「界面部酸素比率」と略すことがある。)xは、活物質体の形成条件により適宜調整される。例えば蒸着法やスパッタリング法によって珪素酸化物を主成分とする活物質体を形成する場合、界面部酸素比率xは、蒸着材料またはターゲットの材料に含まれる酸素の量や、活物質体を形成する際に真空容器(チャンバー)内に導入する酸素ガスの流量や真空容器内のガス圧力(真空容器内に酸素のみを導入する場合には真空容器内の酸素の圧力)によって制御され得る。
本発明における集電体としては、例えば圧延銅箔、圧延銅合金箔、電解銅箔、電解銅合金箔などのCuを主成分とする金属箔を用いることができる。また、集電体の表面粗さRaは0.3μm以上5.0μm以下であることが好ましい。表面粗さRaが0.3μm以上であれば、活物質体と集電体との接触面積を十分に確保できるので、活物質体と集電体との接着強度をより効果的に改善できる。表面粗さRaが5.0μm以下であれば、集電体の厚さを小さくすることができるため(例えば、50μm程度)、極板の体積に対する活物質体の体積の割合を大きくすることができる。したがって、極板としての体積容量密度を高く保つことができ、その結果として電池の体積容量密度を高めることができる。なお、「表面粗さRa」とは、日本工業規格(JISB 0601―1994)に定められた「算術平均粗さRa」を指し、例えば表面粗さ計などを用いて測定できる。
集電体の温度Tは、活物質体を形成する工程における工程条件の一つであり、カンタルヒータ、ランプヒータ等のヒーター類、冷却装置類と、熱電対、放射温度計等の温度検出装置類とを用いて制御することができる。
活物質体の形成に使用する装置として、特に限定しないが、蒸着装置、スパッタ装置等の真空成膜装置が好適に用いられる。これらの真空成膜装置では、形成しようとする珪素酸化物よりも酸素比率の低い珪素系材料と酸素ガスとを反応させることによって、珪素酸化物の酸素比率を自在に調節できる。また、減圧下で成膜を行うので集電体の酸化を抑制できるという利点もある。使用する装置の構成および活物質体の形成方法の詳細は後で詳しく説明する。
図1に示す集電体と活物質体との接着力は、活物質体の上面に接着した治具を引張り試験機で引張り、活物質体が集電体から剥がれる際の引張り力を計測することによって求められる。引っ張り試験機の構成および計測方法の詳細は後で詳しく説明する。
集電体の温度Tおよび界面部酸素比率xを範囲A内に設定すると、集電体と活物質体との接着力は例えば60MPa以上の高い値を示し、強固な接着力を維持する。
これに対し、範囲Aよりも活物質体を構成する酸素の量が減少すると、すなわち、集電体の温度Tおよび界面部酸素比率xが式1を満足しないと(x<8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6)、集電体と活物質体との間に粗な構造を有するCuSi合金が生成されるために、接着力が60MPa未満に低下する。
一方、範囲Aよりも活物質体を構成する酸素の量(界面部酸素比率x)が増加すると、すなわち、集電体の温度Tおよび界面部酸素比率xが式2を満足しないと(x>1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89)、酸素によってCu原子の移動速度が著しく低下し、その結果、単位面積当たりの集電体と活物質体との結合密度が低くなるので、接着力は60MPa未満に低下する。
また、集電体の温度Tが範囲Aよりも低くなると、すなわち、300℃未満になると(T<300)、活物質体形成の初期において、集電体に含まれるCu原子、集電体表面に付着した珪素原子および酸素原子の運動エネルギーが減少して再配列が起きにくくなるために、単位面積当たりの集電体と活物質体の結合密度が低くなり、接着力は60MPa未満に低下する。
集電体の温度Tが範囲Aよりも高くなると、すなわち、500℃より高くなると(T>500)、たとえ集電体としてCuおよびジルコニウムを含む合金(例えばコルソン合金)からなる高強度な金属箔を用いたとしても、集電体の機械的強度が低下するために、リチウム二次電池用負極の集電体としての強度を維持することができない。
なお、集電体の温度Tは、より好ましくは450℃以下である(T≦450)。これにより、Cuを主成分とする集電体の材料にかかわらず、その機械的強度をより確実に確保することができる。
このように、本発明のリチウム二次電池用負極の製造方法は、集電体表面に活物質体を形成する工程において、集電体の温度T(℃)と活物質体の組成(界面部酸素比率x)とが上記式1〜式3を満足するように調整することを特徴とする。これにより、活物質体と集電体表面との接着力を高めることができるので、充放電の繰り返しによって活物質体が集電体表面から剥離することを抑制できる。
以下、図面を参照しながら、本発明によるリチウム二次電池用負極の製造方法をより具体的に説明する。
(実施形態1)
本発明による実施形態1のリチウム二次電池用負極の製造方法は、Cuを主成分とする集電体上に活物質体を形成する工程(活物質形成工程)を含む。
本発明による実施形態1のリチウム二次電池用負極の製造方法は、Cuを主成分とする集電体上に活物質体を形成する工程(活物質形成工程)を含む。
まず、本実施形態における活物質体形成工程で使用する装置の構造を説明する。
<活物質体形成装置>
図2は、本実施形態で用いる活物質体形成装置を説明するための模式的な断面図である。ここでは、活物質体形成装置として、蒸着法によって活物質体の形成を行う蒸着装置を用いる。
図2は、本実施形態で用いる活物質体形成装置を説明するための模式的な断面図である。ここでは、活物質体形成装置として、蒸着法によって活物質体の形成を行う蒸着装置を用いる。
真空蒸着装置300は、真空容器(チャンバー)41と、真空容器41を排気するための真空排気系と、真空容器41と真空排気系とを接続する排気管とを備える。真空排気系は、主弁45、油拡散ポンプ46および油回転ポンプ47を有しており、これにより、真空容器41内を例えば1×10-5Pa以下まで減圧することができる。
真空容器41の内壁には、真空容器41に酸素を導入する酸素導入管43と、真空容器41内部の酸素圧を調整する圧力ゲージ44が設けられている。酸素導入管43は、マスフローコントローラ42に接続され、これにより、真空容器41に導入する酸素の流量を調整することができる。圧力ゲージ44は、瞬間的な圧力上昇等によっても計測が途切れることがないことが望ましく、例えば大亜真空(株)製CT−P2を用いることができる。
真空容器41の内部には、集電体52を固定するためのホルダ(図示せず)が設けられており、集電体52の下方には珪素蒸発源30が配置されている。
珪素蒸発源30は、蒸着原料となる珪素あるいは珪素酸化物を保持するCu製の坩堝32および電子ビーム銃33を備えている。坩堝32内の蒸着原料は、電子ビーム銃33から放射される電子ビームにより千数百〜2千度程度に加熱されて蒸発し、珪素蒸発源30の上方にある集電体52の表面に珪素酸化物を形成する。電子ビーム銃33は、加速電圧5〜10kV、照射電流0.3〜1A程度の出力があれば良く、例えば、日本電子株式会社製JEBG−303UA型電子銃であってもよい。
また、集電体52と珪素蒸発源30との間にはシャッター34、35が配置されており、珪素蒸発源30から蒸着原料を蒸発させている状態で雰囲気圧力および成膜速度等の調整を成膜前に行うことができる。
シャッター35と珪素蒸発源30との間にはレートモニタ39が設けられている。レートモニタ39は、珪素蒸発源30の蒸発面(坩堝32に収容された蒸着材料の上面)に対向するように配置されている。レートモニタ39の表面には、珪素蒸発源30から蒸発する珪素あるいは珪素酸化物と酸素導入管43から導入された酸素の一部とが付着して珪素酸化物が堆積するので、付着した珪素酸化物の質量を計測することが可能である。レートモニタ39の位置と集電体52の位置とでは、珪素酸化物の組成および付着量は必ずしも同じではないが、条件再現性は十分に確保できるため、レートモニタ39を利用して、集電体52への珪素酸化物の付着量および組成(酸素比率)を制御することができる。
真空容器41内には、また、集電体52の上方に配置され、集電体52を加熱する集電体加熱用ヒーター38と、集電体52の温度を計測するためのシース熱電対37とが設けられている。
シース熱電対37の検温部は、集電体52の珪素酸化物が形成される面とは反対側の面に装着されている。シース熱電対37の熱容量は小さいことが好ましく、検温部の直径は0.05〜0.25mm程度が適当である。
集電体加熱用ヒーター38が必要とする電力は、温度調節計(図示せず)に制御された交流電源から供給される。温度調節計は、シース熱電対37に接続されており、シース熱電対37の検出温度が予め設定された温度となるように交流電源の出力を調整する機能を有する。
<集電体への活物質体の形成>
次に、図2に示す蒸着装置300を用いて、集電体52の片面に活物質体を形成する方法を説明する。ここでは、活物質体として珪素酸化物膜を形成する。
次に、図2に示す蒸着装置300を用いて、集電体52の片面に活物質体を形成する方法を説明する。ここでは、活物質体として珪素酸化物膜を形成する。
まず、集電体52を所定のホルダに装着し、裏面側中央にシース熱電対37を取り付ける。集電体52はCuを主成分とする金属箔であればよく、一般的なCu箔を用いることができる。例えば日本製箔(株)製の圧延銅箔(厚さ:18μm)、古河サーキットフォイル(株)製の電解銅箔(厚さ:35μm)等を用いてもよい。
珪素蒸発源30の坩堝32には、純度6Nの珪素材料60gを入れる。なお、珪素蒸発源30で用いる蒸着原料(珪素あるいは珪素酸化物)としては、必ずしも半導体に用いられるウエハ材に限定されず、3N程度の低純度な珪素でもよい。
次に、真空容器41の蓋を閉じ、圧力ゲージ(イオン真空計)44で2×10-4Paまで減圧する。
続いて、シャッター34、35を閉じた状態で、珪素蒸発源30に入れた珪素材料から不要な軽元素を脱離させるための予備溶解を行う。含まれている主な軽元素はリンであり、これらが残留していると安定的な蒸着が行えないからである。予備溶解は、電子ビーム銃33に通電し、珪素材料に電子ビームを照射して行う。珪素材料からの脱ガスがあるため、電子ビームの電流値はゆっくりと400mAまで上げて、圧力ゲージ44の指示圧力が2×10-4Pa以下に下がるまでそのまま維持し、その後ビーム照射を一旦停止する。
この後、シース熱電対37の指示温度が所定の温度Tになるように集電体加熱用ヒーター38に通電する。引き続いて、圧力ゲージ44によって計測される圧力が目標指示値となるように、真空容器41内部に酸素を導入する。
なお、上記所定の温度T、圧力ゲージ44の目標指示値および酸素の流量は、温度Tおよび界面部酸素比率xが上記式1〜式3を満足するように適宜選択される。後述する試し成膜によって予め設定しておくことが好ましい。
圧力ゲージ44の指示値が安定したことを確認し、再び電子ビーム銃33に通電し、電子ビーム照射を開始する。シャッター34を開けて目標レートとなるように電子ビームの電流値を調整する。レートモニタ39の指示値が目標指示値であることを確認したら、110分間シャッター35を開けて、集電体52の表面に珪素酸化物膜を形成する(反応性蒸着)。
珪素酸化物膜の形成が終わったら、シャッター34、35を閉じ、電子ビーム銃33、集電体加熱用ヒーター38への通電を停止、かつ、マスフローコントローラ42による酸素供給を停止し、シース熱電対37の指示温度が100℃以下になるまで冷却する。冷却後、真空容器41内に窒素ガスを導入して大気圧まで復圧し、扉をあけ、集電体52を取り出す。このようにして、集電体52の表面に珪素酸化物膜からなる活物質体が形成される。
上記方法で活物質体を形成する前に、予め試し成膜を行い、得られた活物質体の組成を分析することによって、レートモニタ39の目標指示値、圧力ゲージ44の目標指示値、シース熱電対37の指示温度などの設定目標値を求めておくことが好ましい。これにより、所定の組成(界面部酸素比率x)を有する活物質体を所定の成膜速度で形成することができる。なお、試し成膜では、集電体上に、種々の条件で十分な厚さの珪素酸化膜を形成し、その組成を分析することができる。「十分な厚さの珪素酸化膜」とは、活物質体の界面部分を十分に含み、かつICP分析(誘導結合プラズマ)など比較的容易な定量分析で十分となる量となる厚さ(例えば試料サイズ1cm角の場合で2μm以上)である。珪素酸化膜の組成分析は、後述する実施例における活物質体の酸素比率の測定方法と同様の方法を用いて行うことができる。
酸素導入管43の位置や圧力ゲージ44の設置位置などを変えると、所定の組成を有する活物質体を得るための設定目標値が変わる可能性がある。従って、試し成膜は、活物質体の形成に使用しようとする蒸着装置300そのものを用い、圧力ゲージ44などの各構成要素の配置も、実際の活物質体形成工程における配置と同様にしておくことが好ましい。
なお、温度Tを所定の温度(例えば350℃以上400℃以下)に設定し、これに応じて、他の条件(酸素流量や真空度など)を選択してもよいし、所望の組成を得るための酸素流量を設定し、その組成(界面部酸素比率x)に応じて温度Tを適宜選択してもよい。
なお、上記方法では、活物質体51の形成にバッチ式の蒸着装置300を用いるが、代わりに、ロールツーロール方式の蒸着装置を用いて、シート状の集電体52上に活物質体51を形成することもできる。また、本実施形態における活物質体の形成方法は電子ビーム蒸着法に限定されず、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを適用することもでき、同様の効果が得られる。
<負極の構成>
図3(a)は、蒸着装置300を用いて得られた負極100を模式的に示す断面図である。負極100は、集電体52と、集電体52上に形成された活物質体51とを有している。活物質体51は、上記方法で形成された珪素酸化膜である。活物質体51の酸素比率(珪素に対する酸素の原子数比)は略均一であるので、活物質体51全体の酸素比率Xは、活物質体51の界面部分Sの酸素比率(界面部酸素比率)xと略等しい。活物質体51の界面部分Sの厚さtは、上述したように例えば10nm以上1μm以下である。
図3(a)は、蒸着装置300を用いて得られた負極100を模式的に示す断面図である。負極100は、集電体52と、集電体52上に形成された活物質体51とを有している。活物質体51は、上記方法で形成された珪素酸化膜である。活物質体51の酸素比率(珪素に対する酸素の原子数比)は略均一であるので、活物質体51全体の酸素比率Xは、活物質体51の界面部分Sの酸素比率(界面部酸素比率)xと略等しい。活物質体51の界面部分Sの厚さtは、上述したように例えば10nm以上1μm以下である。
本実施形態では、範囲Aに含まれる条件で珪素酸化物を集電体表面に堆積させることによって、活物質体51のうち少なくとも界面部分Sのみを形成すればよく、その後、酸素流量などの条件を変えて、範囲Aに含まれない条件で引き続き珪素酸化物を堆積させてもよい。従って、活物質体51の酸素比率は略均一である必要はなく、厚さ方向に変化していてもよい。同様に、活物質体51の界面部分Sの酸素比率も略均一でなくてもよく、その場合には、活物質体51の界面部分Sの酸素比率の平均値を界面部酸素比率xとする。
負極100の活物質体51は、集電体52の法線方向から蒸着を行うことによって形成された連続膜(ベタ膜)であるが、集電体52の法線から傾斜した方向から蒸着を行う(斜め蒸着)ことによって形成されていてもよい。斜め蒸着を用いると、集電体52の表面に活物質が間隔を空けて堆積する(シャドウイング効果)。その結果、図3(b)に例示するように、集電体52の表面に間隔を空けて配置された複数の活物質部分からなる活物質体51’が形成される。この場合でも、集電体52の温度Tおよび界面酸素比率xが上記式1〜式3を満足するように活物質体51’の形成条件を選択することにより、活物質体51’の集電体52表面に対する接着力を高めることができる。
図3(a)および(b)に示す活物質体51、51’は1層の珪素酸化膜から形成されているが、本実施形態における活物質体は、組成、材料、形成方法の異なる2層以上の活物質膜を含んでいてもよい。例えば、後述する実施形態のように、上記方法で形成された珪素酸化膜を下地として、その上に斜め蒸着によって活物質をさらに堆積させてもよい。
<集電体と活物質体の接着力評価>
次に、図面を参照しながら、本実施形態における集電体と活物質体との接着力の評価方法を説明する。
次に、図面を参照しながら、本実施形態における集電体と活物質体との接着力の評価方法を説明する。
まず、接着力評価用試料(以下、単に「評価用試料」と称する。)を作製する。
図4は、評価用試料の模式的な断面図である。評価用試料500は、集電体52およびその表面に形成された活物質体51からなる負極100を用いて形成される。負極100の活物質体51の表面にはスタッドピン53を接着剤(図示せず)で接着する。また、集電体52の裏面(活物質体51が形成された面と反対側の面)には、バッキングプレート54を接着剤(図示せず)で接着する。接着剤としては、活物質体51および集電体52と反応しないものであれば良く、エポキシ系接着剤等が使用可能である。評価用試料の作製に使用できる接着剤付きスタッドピンと接着剤付バッキングプレートが、米国QUAD社から販売されている。
次いで、引っ張り試験機を用いて評価用試料の接着力を測定する。
図5は、引っ張り試験機による引っ張り試験の外観図である。引っ張り試験機600によって、負極100に接着したスタッドピン53とバッキングプレート54とを互いに反対方向に引っ張る。活物質体51のうちスタッドピン53に接している部分が集電体52から剥離するまでに加わった力の最大値とスタッドピン53の接着断面積とから接着力を算出し、これを接着力する。引張り試験機600としては、例えば、(株)今田製作所製引張り圧縮試験機SV−52等を使用できる。
(実施例及び比較例)
以下、実施例1〜12の負極、および、比較のために比較例1〜13の負極を作製し、それらの接着力を評価したので、その方法および結果を説明する。
以下、実施例1〜12の負極、および、比較のために比較例1〜13の負極を作製し、それらの接着力を評価したので、その方法および結果を説明する。
(I)実施例および比較例の負極の作製
まず、実施例1〜12および比較例1〜13の負極の作製方法を説明する。これらの負極の集電体としては、厚さが18μm、表面粗さRaが0.3μmの圧延銅箔(日本製箔(株)製)を用いた。また、活物質体の形成には、図2を参照しながら前述した蒸着装置300を用いた。
まず、実施例1〜12および比較例1〜13の負極の作製方法を説明する。これらの負極の集電体としては、厚さが18μm、表面粗さRaが0.3μmの圧延銅箔(日本製箔(株)製)を用いた。また、活物質体の形成には、図2を参照しながら前述した蒸着装置300を用いた。
(I−1)実施例1〜12
再び図2を参照する。まず、蒸着装置300の珪素蒸発源30に、純度が99.9999%の珪素を60g収容した。また、集電体52を蒸着装置300のホルダ(図示せず)に設置した。この後、真空容器41の蓋を閉めた。
再び図2を参照する。まず、蒸着装置300の珪素蒸発源30に、純度が99.9999%の珪素を60g収容した。また、集電体52を蒸着装置300のホルダ(図示せず)に設置した。この後、真空容器41の蓋を閉めた。
続いて、集電体加熱用ヒータ38を用いて、シース熱電対37で計測した集電体52の温度Tが表1に示す温度(実施例1の場合には300℃)になるように集電体52を加熱した。また、真空容器41の内部を7×10-5Paまで減圧した後、マスフローコントローラ42を通じて真空容器31に酸素を導入した。このとき、真空容器41内の圧力が表1に示す酸素圧(実施例1の場合には8.5×10-3Pa)となるように酸素流量を調整した。
次に、珪素蒸発源30の珪素に対して、電子ビーム銃33より10kVの加速電圧で電子を照射して加熱・熔融させ、シャッター34を開けた。次に、真空容器41の酸素圧が表1に示す酸素圧の値となり、かつ、実成膜速度が0.45nm/秒となるように、マスフローコントローラ42と電子ビーム銃33の出力電流とを調整し、90分間放置した。
この後、シャッター35を110分間開き、集電体1の上に厚さ3μmの珪素酸化物からなる活物質体を形成した。この後、集電体加熱用ヒータ38を切って集電体1の温度が100℃以下になるまで徐冷した。続いて、真空容器41に窒素を導入することによりチャンバー30の内部を大気圧にして、チャンバー30の蓋を開けた。このようにして、実施例1〜12の負極を得た。
続いて、得られた実施例1〜12の各負極について、界面部酸素比率xを求めた。本実施例では、集電体上に形成した活物質体の組成(酸素比率)は略均一であるため、活物質体全体の酸素比率と界面部酸素比率とは略等しくなる。そこで、活物質体全体に含まれる珪素量および酸素量に基づいて酸素比率を求め、これを「界面部酸素比率x」とした。具体的には、活物質体全体に含まれる珪素量をICP発光分析、酸素量を燃焼分析法で測定した。得られた珪素量および酸素量に基づいて、各実施例の活物質体における珪素に対する酸素の原子数比xを算出した。測定結果を表1に示す。
なお、珪素および酸素の定量法として、蛍光X線分光分析法(XRF)を用いてもよい。負極の形状が確定している場合には、XRFは安価かつ簡便な手法であるので、特に有利である。
(I−2)比較例1〜13
実施例1〜12と同じ集電体52を用い、蒸着装置300を使用して実施例1〜12と同様の方法で活物質体(珪素酸化物)を形成し、比較例1〜13の負極を得た。実施例1〜12の方法と異なる点は、活物質体を形成する際の集電体52の温度Tおよび真空容器41内の酸素圧を下記表2に示す値に設定した点である。
実施例1〜12と同じ集電体52を用い、蒸着装置300を使用して実施例1〜12と同様の方法で活物質体(珪素酸化物)を形成し、比較例1〜13の負極を得た。実施例1〜12の方法と異なる点は、活物質体を形成する際の集電体52の温度Tおよび真空容器41内の酸素圧を下記表2に示す値に設定した点である。
次いで、実施例1〜12と同様の方法で、各比較例の負極の活物質体における珪素に対する酸素の原子数比xを測定した。測定結果を表2に示す。
(II)実施例および比較例の負極の接着力評価
(II−1)評価用試料の作製
実施例1〜12及び比較例1〜13の負極を6mm×6mmの大きさに切断したものをそれぞれ3つずつ用意し、これらの活物質体側に米国QUAD社製スタッドピン(接着面の直径:2.6mm、エポキシ系接着剤付)を、集電体側に同社製バッキングプレート(6mm×6mm、エポキシ系接着剤付)をそれぞれ押しつけた。この状態で、150℃の温度で90分間、大気中で熱処理を行うことにより、図6に示す接着力評価用試料(評価用試料)を各実施例・比較例につき3つずつ作製した。
(II−1)評価用試料の作製
実施例1〜12及び比較例1〜13の負極を6mm×6mmの大きさに切断したものをそれぞれ3つずつ用意し、これらの活物質体側に米国QUAD社製スタッドピン(接着面の直径:2.6mm、エポキシ系接着剤付)を、集電体側に同社製バッキングプレート(6mm×6mm、エポキシ系接着剤付)をそれぞれ押しつけた。この状態で、150℃の温度で90分間、大気中で熱処理を行うことにより、図6に示す接着力評価用試料(評価用試料)を各実施例・比較例につき3つずつ作製した。
(II−2)集電体と活物質体との接着力の評価方法および評価結果
実施例1〜12および比較例1〜13の評価用試料を、図5に示す引っ張り試験機((株)今田製作所製SV−52)に取り付け、0.1mm/秒の引っ張り速度で引っ張ったときの集電体と活物質体との破断時の強度(引っ張り荷重/接着面積)を測定し、接着力とした。実施例および比較例の接着力の測定結果を、それぞれ、表3および表4に示す。
実施例1〜12および比較例1〜13の評価用試料を、図5に示す引っ張り試験機((株)今田製作所製SV−52)に取り付け、0.1mm/秒の引っ張り速度で引っ張ったときの集電体と活物質体との破断時の強度(引っ張り荷重/接着面積)を測定し、接着力とした。実施例および比較例の接着力の測定結果を、それぞれ、表3および表4に示す。
この結果から、実施例の負極の接着力は何れも60MPa以上であり、比較例の負極の接着力よりも大幅に高いことがわかった。
(III)接着力と活物質体形成条件との関係
図6は、実施例1〜12及び比較例1〜13の活物質体の形成条件をプロットした図であり、横軸は活物質体形成時の集電体の温度T、縦軸は形成された活物質体の珪素に対する酸素の原子数比(界面部酸素比率)xを表している。各実施例は○、各比較例は△でプロットしている。それぞれのプロット内に付した数字は、実施例または比較例の番号を示す。
図6は、実施例1〜12及び比較例1〜13の活物質体の形成条件をプロットした図であり、横軸は活物質体形成時の集電体の温度T、縦軸は形成された活物質体の珪素に対する酸素の原子数比(界面部酸素比率)xを表している。各実施例は○、各比較例は△でプロットしている。それぞれのプロット内に付した数字は、実施例または比較例の番号を示す。
図6から、実施例1〜12の形成条件(○でプロットされている。)、すなわち60MPa以上の高い接着力を示す形成条件は、ある範囲に密集して分布していることがわかる。
(IV)負極の解析
ここで、比較例の負極の接着力が低下する原因を検討するために、実施例および比較例の負極の解析を行ったので、その結果を説明する。
ここで、比較例の負極の接着力が低下する原因を検討するために、実施例および比較例の負極の解析を行ったので、その結果を説明する。
・X線回折分析
実施例および比較例の負極に対してX線回折分析を行ったところ、上記範囲よりも原子数比xの低い比較例2、3、9、11、12、13の負極では、以下に説明するように、CuSi合金の存在が確認された。
実施例および比較例の負極に対してX線回折分析を行ったところ、上記範囲よりも原子数比xの低い比較例2、3、9、11、12、13の負極では、以下に説明するように、CuSi合金の存在が確認された。
図7は、実施例4及び比較例9のX線回折分析結果を示すグラフである。X線回折パターン62および63は、それぞれ、実施例4の負極および比較例9の負極のX線回折パターンを示している。また、X線回折パターン61は、集電体(圧延銅箔)のみのX線回折パターンである。
これらの回折パターン61、62、63は何れも2θ=43.4°で信号ピークを有している。このピークはCu[100]に帰属する。また、回折パターン61、62には2θ=43.5°〜46.5°の範囲に回折信号が認められないのに対して、回折パターン63では少なくとも2θ=43.6°、44.7°、45.3°、46.3°に回折信号が認められる。
CuSi合金としては、Cu3Si、Cu4Si、Cu5Siなどが確認されており、これらは2θ=43.5°〜46.5°の範囲に回折信号を生成することが報告されている。従って、回折パターン63のみに認められる上記範囲内の回折信号は、CuSi合金に帰属すると考えられる。
ここでは回折パターンの図示を省略するが、比較例2、3、11、12、13でも、比較例9と同様に、2θ=43.5°〜46.5°の範囲に回折信号が認められ、CuSi合金が形成されていることがわかった。
・電子顕微鏡観察およびX線マイクロアナライザによる組成分析
CuSi合金に帰属する信号が認められた比較例9の負極と、そのような信号が見られなかった実施例8の負極に対し、活物質体と集電体との界面を電子顕微鏡(SEM)で観察した。
CuSi合金に帰属する信号が認められた比較例9の負極と、そのような信号が見られなかった実施例8の負極に対し、活物質体と集電体との界面を電子顕微鏡(SEM)で観察した。
図8(a)および図8(b)は、それぞれ、実施例8および比較例9の負極断面の走査型電子顕微鏡像を示す図であり、活物質体と集電体との界面近傍を示している。
図8(a)からわかるように、実施例8の負極では、活物質体51と集電体52との境界面がはっきりと確認できる。これに対し、図8(b)からわかるように、比較例9の負極では、活物質体51と集電体52との間に多孔質な構造体55が形成されている。
これらの断面に対してX線マイクロアナライザによる組成分析を行い、構成元素を調べたところ、比較例9の負極で観察された多孔質な構造体55にはCuおよびSiが両方とも含まれていることが判った。
上述したX線回折分析、SEM観察及びX線マイクロアナライザの結果から、比較例9の界面部分に形成された多孔質な構造体55はCuSi合金であると同定できる。図8(b)から明らかなようにCuSi合金は多孔質な構造を有するために機械的強度が低く、接着力低下の一因となっていると考えられる。
なお、SEM像の図示を省略するが、比較例2、3、11、12、13においても、比較例9と同様に界面部分に多孔質な構造体が形成されていた。一方、実施例1〜12及び比較例1、4〜8、10ではそのような多孔質な構造体は見られなかった。
(V)範囲Aを規定する式1〜式3の算出
・式1
上記(IV)の解析によって、比較例2、3、9、11、12、13の負極では、活物質体と集電体との界面部分にCuSi合金が形成され、接着力が低下することがわかった。そこで、上記比較例と、CuSi合金が形成されず、高い接着力(60MPa以上)を有する実施例1〜12の境界条件を求めるために、実施例1、4、8、11を選定し、これらの活物質体形成条件に基づいて、最小二乗法により近似式(以下、「実験式1」)を算出した。実験式1はx=8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6となった。
・式1
上記(IV)の解析によって、比較例2、3、9、11、12、13の負極では、活物質体と集電体との界面部分にCuSi合金が形成され、接着力が低下することがわかった。そこで、上記比較例と、CuSi合金が形成されず、高い接着力(60MPa以上)を有する実施例1〜12の境界条件を求めるために、実施例1、4、8、11を選定し、これらの活物質体形成条件に基づいて、最小二乗法により近似式(以下、「実験式1」)を算出した。実験式1はx=8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6となった。
実験式1よりも活物質体の界面部分における珪素に対する酸素の原子数比が低いと(x<8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6)、集電体に対する活物質体の接着力は60MPa未満に低下する。この範囲では、集電体に含まれるCuが、珪素酸化物内に拡散してCuSi合金を生成する。CuSi合金としては、CuxSi(x=3、4、5)等が知られている。CuおよびSiから熱反応によって形成されたCuxSiは粗な構造を有するので、その機械的強度は低くなる。CuSi合金が粗な構造を有する原因は、CuとSiとの反応によって生じる体積収縮である。最も粗な結晶格子として知られるダイアモンド格子を基本格子に持っている珪素が、Cuとの合金生成によって密な格子へと変化することが、この体積収縮を引き起こしていると考えられる。
一方、活物質体の界面部酸素比率が実験式1の界面部酸素比率と同等またはそれより大きければ、CuSi合金が生成されず、接着力の低下を抑制できることから、実験式1は、CuSi合金生成の境界線をおおよそ示していると考えられる。従って、本発明の活物質形成条件の範囲を規定する式1をx≧8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6とした。
・式2
実施例1〜12よりも酸素比率の高い活物質体を有する比較例4、5、6、8、10では、集電体と活物質体との接着力が60MPa未満であり、実施例1〜12の接着力よりも小さかった。そこで、比較例4、5、6、8、10の近傍にある実施例2、3、7、9を選定し、これらの活物質体形成条件に基づいて、最小二乗法により近似式(以下、「実験式2」)を算出した。実験式2は、x=1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89となった。
実施例1〜12よりも酸素比率の高い活物質体を有する比較例4、5、6、8、10では、集電体と活物質体との接着力が60MPa未満であり、実施例1〜12の接着力よりも小さかった。そこで、比較例4、5、6、8、10の近傍にある実施例2、3、7、9を選定し、これらの活物質体形成条件に基づいて、最小二乗法により近似式(以下、「実験式2」)を算出した。実験式2は、x=1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89となった。
実験式2よりも活物質体の界面部分の酸素比率を増加させると(x>1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89)、集電体に対する活物質体の接着力は例えば60MPa未満まで低下する。これは、活物質体の界面近傍で酸素が増加することによって、集電体と活物質体の境界面におけるCu原子の境界面方向の移動速度が著しく低下し、単位面積当たりの集電体と活物質体の結合密度が低下するからと考えられる。
一方、活物質体の界面部酸素比率が実験式2の界面部酸素比率以下であれば、酸素比率が高いことに起因する接着力の低下を抑制できることから、本発明の活物質形成条件の範囲を規定する式2をx≦1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89とした。
・式3
実施例1〜12よりも集電体の温度Tが低い比較例1では、51.8MPa以下の接着力しか示さず、実施例1〜12よりも低くなった。集電体の温度Tがより低くなると、活物質体形成の初期において、集電体に含まれるCu原子と、集電体表面に付着した珪素原子、酸素原子の運動エネルギーが減少して再配列が起きにくくなり、単位面積当たりの集電体と活物質体の結合密度が低下するためであると考えられる。具体的には、活物質体を形成する際の集電体の温度Tが300℃より低いと、集電体に対する活物質体の接着力は60MPa未満に低下する。例えば温度Tが200℃以下となる条件で活物質体を形成すると0〜30MPa程度まで低下する。そこで、実施例1〜12の温度Tのうち最も低い温度である300℃を温度Tの下限値とした。
実施例1〜12よりも集電体の温度Tが低い比較例1では、51.8MPa以下の接着力しか示さず、実施例1〜12よりも低くなった。集電体の温度Tがより低くなると、活物質体形成の初期において、集電体に含まれるCu原子と、集電体表面に付着した珪素原子、酸素原子の運動エネルギーが減少して再配列が起きにくくなり、単位面積当たりの集電体と活物質体の結合密度が低下するためであると考えられる。具体的には、活物質体を形成する際の集電体の温度Tが300℃より低いと、集電体に対する活物質体の接着力は60MPa未満に低下する。例えば温度Tが200℃以下となる条件で活物質体を形成すると0〜30MPa程度まで低下する。そこで、実施例1〜12の温度Tのうち最も低い温度である300℃を温度Tの下限値とした。
また、Cuを主成分としている集電体の強度は、集電体材料にコルソン合金等を使用した高強度な集電体の場合であっても、500℃以上になると著しく低下し、実用的でなくなる。よって、集電体の温度Tが500℃より高い条件で活物質体を形成すると、集電体(例えばCu箔)と活物質体との接着力を確保することはできるが、集電体の強度が著しく低下する。このため、充放電による活物質体の膨張収縮によって集電体が破断し容量が低下するおそれがある。従って、集電体の温度Tの上限値を500℃とした。
このようにして、本発明の活物質形成条件の範囲を規定する式3を300℃≦T≦500℃とした。なお、温度Tの範囲は300℃以上450℃以下(300℃≦T≦450℃)であることが好ましい。集電体が高強度なものではない場合には、450℃より高くなると十分な強度を確保できなくなる可能性があるからである。
なお、本実施例および比較例では、蒸着によって活物質体を形成したが、スパッタ、CVD、イオンプレーティング等の成膜プロセスを用いた場合でも、活物質体形成条件を上記範囲A内に設定することによって同様の効果が得られる。
(実施形態2)
以下、図面を参照しながら、本発明による実施形態2の負極およびその製造方法を説明する。本実施形態は、範囲Aに含まれる条件で活物質体の最下層(下地層ともいう。)を形成した後、その上に、斜め蒸着により活物質膜を形成する点で、前述の実施形態1と異なっている。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施形態2の負極およびその製造方法を説明する。本実施形態は、範囲Aに含まれる条件で活物質体の最下層(下地層ともいう。)を形成した後、その上に、斜め蒸着により活物質膜を形成する点で、前述の実施形態1と異なっている。
図9は、本実施形態の負極の模式的な断面図である。負極200は、表面に凹凸を有する集電体72と、集電体72の表面に形成された活物質体71を備える。活物質体71は、SiOxを主成分とする下地層73と、下地層73の上に形成された複数の活物質部75からなる。下地層73は、図1に示す範囲Aに含まれる条件で形成された界面部分(図示せず)を含んでいる。また、下地層73は、集電体72の表面全体を覆っており、集電体72の表面凹凸を反映した形状を有している。複数の活物質部75は、集電体72の各凸部上に位置しており、隣接する活物質部75の間には空隙部74が形成されている。
負極200の活物質体71は、範囲Aに含まれる条件で形成された下地層73を有するので、活物質体71と集電体72との接着力を確保でき(例えば60MPa以上)、活物質体71が集電体72から剥離することを抑制できる。また、活物質部75がリチウムを吸蔵して膨張しても、活物質部間に形成された空隙部74によって膨張応力を緩和できるので、活物質部75が集電体72から剥離することを抑制できる。従って、活物質体71および活物質部75の剥離に起因する充放電サイクル特性の低下を抑えることができる。
次に、負極200の作製方法の一例を説明する。以下の説明では、図9を参照する。
まず、Cuを主成分とする金属箔の表面に凹凸パターンを形成することにより、表面に複数の凸部を有するシート状の集電体72を作製する。
金属箔として、例えば表面が粗化された銅箔を用いることができる。銅箔は、主成分としての銅の他にジルコニウム、チタンなどのリチウムと反応しない元素や、酸素、セレン、テルル等の混入不可避元素が含まれていてもよい。ここでは、例えば厚さが35μm、表面粗さRaが2.0μmの銅箔(古河サーキットフォイル(株)製)を用いる。
集電体72は、金属箔の表面に、切削法を用いて所定のパターンの溝を設けることによって作製してもよいし、メッキ法または転写法により、金属箔の表面に複数の凸部を形成することによって作製してもよい。なお、集電体72として、市販されている表面粗さの大きい金属箔(凹凸箔)を用いることもできる。ここでは、集電体72として、予め表面に微小くぼみを設けた圧延ローラによる圧延によって、表面に複数の凸部が形成された銅箔を用いる。各凸部は、上面が菱形(対角線:10μm×20μm)の四角柱状(高さ:6μm)とし、上記菱形の長い方の対角線に沿って20μm、短い方の対角線に沿って18μmの間隔を空けて配置される。
次いで、蒸着装置300を用いて、図2を参照しながら前述した方法と同様の方法で、集電体72の表面に珪素酸化物(SiOx(0<x≦2))を成長させて珪素酸化膜(下地層)73を得る。下地層73の厚さは特に限定しないが、界面部分を十分に含む厚さ(例えば0.1μm以上)であることが好ましい。
続いて、斜め蒸着により、下地層73の上に活物質部75を形成する。ここでは、蒸着装置300を用い、図10に示すように、集電体72を設置するホルダ(図示せず)を水平面から角度θ1(例えば70°)だけ傾斜させることにより斜め蒸着を行う。
このとき、珪素蒸発源30から出射する珪素原子は、集電体72の法線方向Nから角度θだけ傾斜した方向Eから集電体72の表面に入射するために、集電体72(下地層73)の表面における凸部上に蒸着しやすく、従って、珪素酸化物は凸部の上で柱状に成長する。そのため、集電体1の表面には、凸部や柱状に成長していく珪素酸化物の影となり、珪素原子が入射せずに珪素酸化物が蒸着しない領域が形成される(シャドウイング効果)。図示する例では、このようなシャドウイング効果により、隣接する凸部の間の溝の上には、珪素原子が付着せず、珪素酸化物が成長しない領域が存在する。この結果、下地層73の表面に、複数の活物質部分p1が間隔を空けて形成される。
続いて、集電体72が設置されたホルダ(図示せず)を再び回転させて、水平面に対して、上記活物質部分p1を形成した際における傾斜方向と反対の方向に角度θ2(例えばθ2=―θ1)だけ傾斜させる。この状態で、集電体72の表面に珪素および酸素を供給して珪素酸化物を蒸着させる。
このとき、上述したシャドウイング効果により、珪素原子は、集電体72に形成された活物質部分p1の上に選択的に入射するので、活物質部分p1の上に珪素酸化物が成長し、活物質部分p2が得られる。活物質部分p2の成長方向sは、集電体72の法線方向Nに対して活物質部分p1の成長方向sと反対側に傾斜する。
このようにして、集電体72を設置するホルダの傾斜角度を切り換えながら、複数回(ここでは7回)の蒸着を行うことにより、7つの活物質部分p1〜p7が積層された構造を有する活物質部(高さ:例えば14μm)75が得られる。また、隣接する活物質部75の間には、上記シャドウイング効果により空隙部74が形成される。
本実施形態における活物質部75の材料、組成は特に限定しないが、活物質部75も珪素酸化物を主成分として含んでいると、活物質部75と下地層73との接着強度が大きくなるので好ましい。その場合、活物質部75の酸素比率は、下地層73の酸素比率よりも低いことが好ましい。活物質部75の酸素比率が低い(例えば0.6以下)と、活物質膜75の厚さを増大させることなく、高い充電容量を確保できる。
なお、ここでは、蒸着装置300を用いて活物質体71を形成したが、代わりにロールツーロール方式の蒸着装置を用いて、シート状の集電体72上に活物質体71を形成してもよい。
図9に示す負極200では、集電体72と接するように連続膜(いわゆるベタ膜)である下地層73が形成されているが、本実施形態の負極はこのような構成に限定されない。
図11は、本実施形態の他の負極の模式的な断面図である。図11に示す負極201は、集電体72の各凸部上に配置された活物質体81を備えている。各活物質体81は、複数の活物質部分p1〜p7からなる積層構造を有している。これらの活物質部分p1〜p7のそれぞれの成長方向sは、集電体72の法線方向に対して交互に反対方向に傾斜している。このような活物質体81は、集電体の法線方向に対する蒸着方向を交互に切り換えながら複数回(ここでは7回)の斜め蒸着を行うことによって形成される。本実施形態では、活物質体81の最も集電体72側に位置する活物質部分p1は、上記範囲Aを満足する条件で形成されている。
負極201によると、範囲Aを満足する条件で、活物質体81の界面近傍に位置する活物質部分p1を形成しているため、活物質体81と集電体72との接着力を確保できる。また、活物質体81間に活物質の膨張応力を緩和する空間を設けることができるので、膨張応力に起因する活物質の剥離を抑制できる。
なお、活物質体81を構成する活物質部分の数(積層数)が大きくなると、活物質体81の断面形状は、各活物質部分の成長方向sに沿って傾斜したジグザグ形状にならずに、集電体72の法線方向に沿って直立した柱状になる場合がある。
また、蒸着角度によっては、活物質体81を構成する複数の活物質部分が集電体72と接する場合がある。そのような場合でも、活物質体81のうち集電体72と接する活物質部分を範囲Aに含まれる条件で形成することによって、上記と同様の効果が得られる。例えば図12に示す例では、活物質体(積層数:25)91のうち活物質部分p1およびp2が集電体72表面と接しているので、少なくとも活物質部分p1、p2を範囲Aに含まれる条件で形成すればよい。
本発明の負極の構成、材料、製造方法などは上述した実施形態に限定されない。本発明では、活物質体の界面部分は主成分として珪素酸化物を含んでいればよく、珪素酸化物以外に、活物質体に補填または吸蔵されたリチウムや、Fe、Al、Ca、Mn、Tiなどの不純物を含んでいてもよい。
また、本発明の活物質体は、少なくともその界面部分に珪素酸化物を含んでいればよく、珪素と酸素と窒素とを含む化合物を含んでいてもよいし、珪素と酸素との比率が異なる複数の酸化珪素の複合物から形成されていてもよい。また、活物質体は、上記のような酸化物の他に、例えば珪素単体、珪素合金、珪素と窒素とを含む化合物などを含んでいてもよい。
本発明の負極は、コイン型、ボタン型、シート型、シリンダー型、扁平型、角型などの種々のリチウム二次電池に適用され得る。以下、図面を参照しながら、コイン型のリチウムイオン二次電池を例に、本発明の負極を適用して得られるリチウムイオン二次電池の構成を説明する。
図13は、本発明のリチウムイオン二次電池の模式的な断面図である。リチウムイオン二次電池150は、正極152と、負極154と、負極154および正極152の間に設けられたセパレータ153とを有する電極群とを有しており、電極群にはリチウムイオン伝導性を有する電解質(図示せず)が含浸されている。正極152は、正極端子を兼ねた正極ケース151と電気的に接続されており、負極154は、負極端子を兼ねた封口板156と電気的に接続されている。また、正極ケース151の開口端部は、封口板156の周縁部に設けられたガスケット155にかしめられ、これによって電池全体が密閉されている。負極154の構成は、例えば前述した実施形態1、2の負極の構成と同様である。
なお、本発明のリチウム二次電池は、前述した実施形態の負極を備えていればよく、負極以外の構成要素は特に限定されない。正極の集電体の材料としては、Al、Al合金、Tiなどを用いることができる。また、正極の活物質層(正極活物質層)には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)などのリチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。正極活物質層は、正極活物質のみから構成されていてもよいし、正極活物質と結着剤と導電剤を含む合剤を含んでいてもよい。さらに、正極活物質層を複数の柱状の活物質体から構成することもできる。リチウムイオン伝導性の電解質には、様々なリチウムイオン伝導性の固体電解質や非水電解液が用いられる。非水電解液には、非水溶媒にリチウム塩を溶解したものが好ましく用いられる。非水電解液の組成は特に限定されない。さらに、セパレータ153の材料も特に限定されず、様々な形態のリチウム二次電池に用いられている材料を適用できる。
本発明の負極は、様々な形態のリチウム二次電池に適用することができるが、特に、高い充放電サイクル特性が要求されるリチウム二次電池に適用すると有利である。また、リチウムイオン移動型の電気化学キャパシタの極板としても有用である。
本発明を適用可能なリチウム二次電池の形状は、特に限定されず、例えばコイン型、ボタン型、シート型、円筒型、偏平型、角型などの何れの形状であってもよい。また、正極、負極およびセパレータからなる極板群の形態は、捲回型でも積層型でもよい。さらに、電池の大きさは、小型携帯機器などに用いる小型であっても、電気自動車等に用いる大型であってもよい。本発明によるリチウム二次電池は、例えば携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電源に用いることができるが、用途は特に限定されない。
30 珪素蒸発源
32 坩堝
33 電子ビーム銃
34、35 シャッター
37 シース熱電対
38 基板加熱用ヒーター
39 メインバルブ
41 真空容器
42 マスフローコントローラ
43 酸素導入管
44 圧力ゲージ
45 主弁
46 油拡散ポンプ
47 油回転ポンプ
52、72 集電体
51、71、81、91 活物質体
53 スタッドピン
54 バッキングプレート
61 圧延銅箔のX線回折パターン
62 本発明の実施例4の負極のX線回折パターン
63 比較例9の負極のX線回折パターン
55 多孔質な構造体(CuSi合金部)
100、101、200、201 負極
300 蒸着装置
500 評価用試料
600 引っ張り試験機
32 坩堝
33 電子ビーム銃
34、35 シャッター
37 シース熱電対
38 基板加熱用ヒーター
39 メインバルブ
41 真空容器
42 マスフローコントローラ
43 酸素導入管
44 圧力ゲージ
45 主弁
46 油拡散ポンプ
47 油回転ポンプ
52、72 集電体
51、71、81、91 活物質体
53 スタッドピン
54 バッキングプレート
61 圧延銅箔のX線回折パターン
62 本発明の実施例4の負極のX線回折パターン
63 比較例9の負極のX線回折パターン
55 多孔質な構造体(CuSi合金部)
100、101、200、201 負極
300 蒸着装置
500 評価用試料
600 引っ張り試験機
Claims (7)
- Cuを主成分とする集電体の表面に活物質体を形成する活物質体形成工程を包含し、
前記活物質体のうち前記集電体の表面との界面近傍に位置する部分は珪素酸化物を主成分としており、
前記活物質体を形成する際の前記集電体の温度T(℃)と、形成された前記活物質体のうち前記界面近傍に位置する部分の珪素酸化物の珪素に対する酸素の原子数比x(0<x≦2)とを、下記式1〜式3を同時に満たすように調整するリチウム二次電池用負極の製造方法。
式1:x≧8.3×10-6×T2−5.5×10-3×T+1.6
式2:x≦1.2×10-5×T2−3.6×10-3×T+0.89
式3:300≦T≦500 - 前記温度Tは450℃以下である請求項1に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
- 前記活物質体形成工程を蒸着法またはスパッタ法を用いて行う請求項1に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
- 前記活物質体形成工程は、前記界面近傍に位置する部分上に、前記界面近傍に位置する部分よりも珪素に対する酸素の原子数比の小さい層をさらに形成する工程を含む請求項1に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
- 前記活物質体形成工程の前に、前記活物質体形成工程で使用する装置を用いて、前記式1〜式3を満たすような活物質体形成条件を決定する工程をさらに含む請求項1に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
- 前記活物質体形成工程を真空容器内で行い、
前記活物質体形成条件は、前記温度Tおよび前記真空容器内の真空度を含む請求項5に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1から6のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極の製造方法によって製造されたリチウム二次電池用負極。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2008191965A JP2010033744A (ja) | 2008-07-25 | 2008-07-25 | リチウム二次電池用負極の製造方法 |
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|---|---|
| JP2010033744A true JP2010033744A (ja) | 2010-02-12 |
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ID=41737991
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| JP2008191965A Pending JP2010033744A (ja) | 2008-07-25 | 2008-07-25 | リチウム二次電池用負極の製造方法 |
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|---|---|
| JP (1) | JP2010033744A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2015045341A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-02 | 三洋電機株式会社 | 非水電解質二次電池用負極 |
| CN110462911A (zh) * | 2017-03-31 | 2019-11-15 | Tdk株式会社 | 全固体锂离子二次电池 |
-
2008
- 2008-07-25 JP JP2008191965A patent/JP2010033744A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2015045341A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-02 | 三洋電機株式会社 | 非水電解質二次電池用負極 |
| JPWO2015045341A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2017-03-09 | 三洋電機株式会社 | 非水電解質二次電池用負極 |
| US10109856B2 (en) | 2013-09-27 | 2018-10-23 | Sanyo Electric Co., Ltd. | Negative electrode for nonaqueous electrolyte secondary batteries |
| CN110462911A (zh) * | 2017-03-31 | 2019-11-15 | Tdk株式会社 | 全固体锂离子二次电池 |
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