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JP2010032508A - チップの製造方法、チップ並びにそれを用いた検出方法及び検出装置 - Google Patents

チップの製造方法、チップ並びにそれを用いた検出方法及び検出装置 Download PDF

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JP2010032508A
JP2010032508A JP2009153921A JP2009153921A JP2010032508A JP 2010032508 A JP2010032508 A JP 2010032508A JP 2009153921 A JP2009153921 A JP 2009153921A JP 2009153921 A JP2009153921 A JP 2009153921A JP 2010032508 A JP2010032508 A JP 2010032508A
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Yasuhiro Wada
康裕 和田
Yuki Asuma
夕紀 阿須間
Yoshikazu Kanamori
芳和 金森
Shigeki Nitta
茂輝 新田
Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】ゲルを含んで構成された複数のスポットに、使用量を抑制しながらリガンドを固定化する。
【解決手段】ゲルを基板1上に固定化してスポット3を形成してから、スポット3上にリガンドを含む溶液4をスポッティングして、リガンドをスポット3に固定化する。
【選択図】図4

Description

本発明はチップの製造方法及びそれにより製造されたチップに関する。特に、微小なハイドロゲルのスポットを形成した基板にリガンドの溶液をスポットすることにより作製されたチップ及びその製造法、並びに、それを用いた検出方法及び検出装置に関する。
例えば検体中の被検出物質の濃度測定、バイオセンサーなどの用途に使用する目的で、固体で形成された基板の表面に、被検出物質と相互作用する能力のある機能性有機分子を固定化したチップ(固定化体)が報告されている(特許文献1)。
また、「リガンド」とも称される機能性有機分子としては、例えばタンパク質を使用した例が多数報告されている。このようにタンパク質を固定化したチップの用途としては、例えば、抗原と抗体、タンパク質と低分子化合物、糖類とレクチン、などの相互作用を利用した目的物質の検出が報告されてきた。また、リガンドとして糖類を使用した例も報告されている。このように糖類を固定化したチップの用途としては、例えば、ウイルス、細菌、毒素等の検出などが報告されている。
ところで、基板にリガンドを固定化してリガンドと被検出物質との相互作用の解析等を行う場合、重要なことの一つとして、被検出物質と相互作用しうるリガンドを高密度化し、信号を増強することが挙げられる。一般に、リガンドの高密度化を達成するためにはハイドロゲルを使用することが多い。ハイドロゲルは微細構造を有するため、比表面積が大きく、リガンドを多数固定化できるからである。また、ハイドロゲルは内部にまで被検出物質が移動できることからも、ハイドロゲルの使用は好ましい。
また、基板にリガンドを固定化してリガンドと被検出物質との相互作用の解析等を行う場合には、多くの種類のリガンドをひとつの基板上に固定化し、被検出物質と複数種のリガンドとの相互作用を同時に測定することも好ましく、さらに、固定化されたリガンドの均一性が高いことも好ましい。
特開2007−101520号公報
ハイドロゲルを用いてリガンドの固定化を行う方法のひとつとして、一旦ハイドロゲルからなる微小なスポットを基板表面に所定の数だけ形成した後で、リガンドをそれぞれのスポットに固定化させる方法が挙げられる。この場合、従来は、リガンドを固定化する工程では、リガンドが溶解された溶液をピペットなどを用いて大きな液滴で基板に滴下するか、それへ基板を浸漬し、複数のスポットに一様にリガンドを固定化していた。しかし、これでは使用するリガンドの量が多くなる傾向があり、経済的に不利であることから、研究開発を阻害することがあった。
また、基板上に複数のハイドロゲルのスポットを形成した場合、それぞれのスポットに異なるリガンドを固定化することが望ましい場合がある。これにより、より多くの種類のリガンドを基板に固定化することが可能であり(即ち、集積度を向上させることができ)、ひとつのチップを用いてより多種の相互作用の解析が可能となるからである。この場合、同時に多数の相互作用を測定する目的から、集積度を上げることが好ましく、そのためにはリガンドを含むスポットを微小化することが望まれる。中でも、検査や診断などの目的に使用するチップにおいて、これらの集積化は特に好ましい。しかし、前記のようにリガンドが溶解された溶液に基板を浸漬する方法では、集積度の高いチップを作製することは困難であった。
また、基板上に複数のハイドロゲルのスポットを作製した後に、複数の溝を作製したシートを貼りあわせて、基板と溝で作製される流路中にスポットが位置するようにし、異なるリガンドを含む液体をそれぞれの流路に流すことにより、スポットごとに異なるリガンドを固定化する技術も知られている。しかし、本方法では、当該のシートを作製する必要があること、工程が複雑になることから好ましい方法とは言えず、さらには、基板上に流路のためのスペースを用意する必要上、スポットの集積度を上げることが出来ないことと、基板上に同時に固定化されるリガンドの種類を増やすことが困難であると言う問題点を有していた。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、その目的は、ゲルを含んで構成された複数のスポットに、使用量を抑制しながらリガンドを固定化できるチップの製造方法、及び当該製造方法で製造されたチップ、並びに、それらのチップを用いた検出方法及び検出装置を提供することである。
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、あらかじめ基板上に形成されたゲルのスポットにリガンドを含む溶液をスポッティングすること(つまり、重ね打ちすること)により、リガンドの使用量を大幅に低減させることに加えて、複数のゲルのスポットにそれぞれ異なるリガンドを固定化してスポットの集積度を高めることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。得られたチップは、これをセンサーとして用いた場合にも十分な感度を有している。また、スポットが形成されていない部分には通常はリガンドは存在しておらず、そのため高いS/N比(Signal to Noise ratio)が得られる。さらに、このようにゲルのスポットの上に重ねるようにして溶液をスポッティングしてリガンドを固定化すること、及び、ゲルの各スポットに異なるリガンドを固定化することは、操作が簡単であるため、プロセス上の観点からも好ましい。
また、本発明者らが更に検討したところ、本発明のチップの製造方法では、微小スケールのチップ作製プロセスゆえ、基板の伸縮が製品の品質に大きな影響を与えることが分かった。即ち、微小なサイズゆえ、ゲルを固定化してスポットを形成する時のスポットの位置と、リガンド溶液のスポッティング位置(スポッティングされたリガンド溶液の液滴が付着する位置)とのずれが、スポット全体に与える影響は非常に大きいことが分かった。例えば同じ100μmのずれであるとしても、スポットの大きさが3mmの場合と300μmの場合とでは、ゲルのスポットとリガンド溶液のスポッティング位置との重なり合い部分と重なり合わない部分との比が大きく異なる。
このずれは、チップ製造のプロセスにおける、基板の材質;使用する溶媒;温度及び湿度等の条件;或いはそれらの組み合わせ及び順序などにより、基板が起こす伸縮のためと推察される。本発明のチップの製造方法では、スケールが小さいゆえに、これら伸縮量に起因するゲルのスポットの位置とリガンド溶液をスポッティングする位置とのずれが大きく反映されて、製造されるチップの感度の低下やスポット間のばらつきが生じることになり、ひいては製品の品質に影響を与えることとなる。
特に基板の材質としては、経済性や扱いやすさから、ガラスなどに比べてより安価なプラスチックを使用することが多い。しかし、一方でプラスチックは膨潤しやすく、また外力などによる影響も受けやすい。例えば、基板の表面処理時の溶媒としてエタノールなどの有機溶媒を使用した場合は膨潤の影響は特に顕著である。なお、膨潤及び外力による基板の伸縮量はある程度の予測はつくものの、完全に制御できるものではない。したがって、基板上のゲルのスポットの位置と、重ね打ちされるリガンド溶液のスポッティング位置とのずれの程度は、厳密には決められず、特に微小スケールでは課題となる。
また、湿度や表面の親水性のばらつき等により、ゲルのスポットの大きさにばらつきが生じる事がある。この場合、設計よりも小さくなってしまったスポットにはスポットの全体にリガンドが固定されるが、スポットが設計よりも大きくなった場合、ゲルのスポットの大きさがリガンド溶液をスポッティングできる範囲の大きさよりも大きくなり、スポットの一部にしかリガンドが固定化されないことがある。さらには、リガンド溶液をさまざまに変えた場合、その液性に伴ってリガンド溶液をスポッティングできる範囲の大きさが変わるため、その範囲が想定よりも小さくなった場合は、ゲルのスポットの一部にしかリガンドが固定化されなくなることがある。
また、本発明者らの検討により、微小スケールに起因する別の課題も明らかとなった。微小スケールではスポッティングされるリガンド溶液の量が少なく、溶媒の揮発が速いため、当該溶液がゲル全体に浸透するよりも早く乾燥することが容易に起こり、ゲルの一部にしかリガンドが固定化されないことが起こりうる。また、ゲル自体の性質によっては、溶液の吸収に時間のかかる性質を有しているものもある。さらに、先のようにスポットの位置ずれがあると、リガンド溶液は滴下できていない部分には染み込んで行かず、スポッティングした溶液に含まれるリガンドのうちの一部しかゲルに固定化されず、データのばらつきの原因になる。このような課題は従来知られたものではなく、本発明を完成するにあたって本発明者らが検討して初めて判明したものである。
本発明者らはこれらの新たな課題に対しても鋭意検討を行ったところ、ゲルのスポットとリガンドを含む溶液のスポッティング位置との位置ずれについては、(1)ゲルのスポットよりも広い範囲を一度にスポッティングできるスポッタによりゲルのスポットを覆うようにリガンド溶液のスポッティングを行うこと、または、(2)予め計画された手順に従ってリガンド溶液を複数回スポッティングすることのいずれかを行うことにより、ゲル全体にリガンドを固定化できることを見出した。このとき、リガンド溶液のスポッティングを複数回行う場合は、スポッティングは位置をずらしながら行うことがより好ましいことも分かった。
このような構成により、ゲルの微小なスポット全体にリガンドを固定化することができ、さらにはスポットごとの差を小さくして、当該チップを用いて分析等を行う場合のデータの安定性を高めることが可能となる。なお、前記のスポットの位置ずれを解決する方法としては、コンピュータ等を用いて画像認識を行い、全てのスポットごとにリガンド溶液のスポッティング位置を調整し、ゲルの位置に正確にスポッティングすることも可能であると考えられる。しかし、そのような構成では装置が複雑化して経済合理性の面から課題がある。本発明によれば、そのような課題も回避可能である。
即ち、本発明の要旨は、基板と、該基板上に固定化されたゲルを含んでなる複数のスポットとを備えたチップの製造方法であって、該ゲルを基板上に固定化してスポットを形成するゲルスポッティング工程と、該スポット上にリガンドを含む溶液をスポッティングして、該リガンドを該スポットに固定化するリガンドスポッティング工程とを有することを特徴とする、チップの製造方法に存する(請求項1)。
このとき、該リガンドスポッティング工程において、該スポットよりも広い範囲を一度にスポッティングすることができるスポッタにより、該スポットを覆うようにスポッティングして、該リガンドを該スポットに固定化することが好ましい(請求項2)。
また、該リガンドスポッティング工程において、スポッタの位置をずらして複数回スポッティングして、該リガンドを該スポットに固定化することも好ましい(請求項3)。さらに、該リガンドスポッティング工程において、該リガンドを含む溶液が、該ゲル全体に浸透する前に乾燥するものであると、好ましい(請求項4)。
また、該ゲルは、生体物質、及び、該生体物質と結合可能な化合物からなる主鎖を有するマトリックスを含んで形成されているものが好ましい(請求項5)。また、該ゲルは、該リガンドと結合可能な生体物質、及び、該生体物質と結合可能な化合物が結合してなる、粒径が1μm以下の粒子状隗が互いに結合して構成されたものであっても好ましい(請求項6)。この際、該粒子状塊同士の間に空間が形成されているものがより好ましい(請求項7)。また、ゲルの重量に対する該生体物質の重量の比率が0.1以上であることが好ましい(請求項8)。
また、本発明のチップの製造方法では、該スポットの厚みが乾燥状態で5nm以上であることが好ましい(請求項9)。また、該化合物の少なくとも1種は、該生体物質と結合可能な官能基を2点以上有するものが好ましく(請求項10)、無電荷であるものが好ましく(請求項11)、水に混和しうると共に、少なくとも1種の有機溶媒に混和しうるものが好ましく(請求項12)、分子量が1000以上であるものが好ましく(請求項13)、液体中に混和した状態での該化合物の径が1nm以上であるものが好ましい(請求項14)。
さらに、該生体物質は生体分子であることが好ましく(請求項15)、該生体分子はタンパク質であることが好ましい(請求項16)。また、該リガンドは、金属キレート、ビタミン、糖類、グルタチオン、ボロン酸、タンパク質、抗原、核酸、生理活性物質、脂質、ホルモン、環境ホルモン及びキレート形成基からなる群より選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい(請求項17)。
また、本発明のチップの製造方法では、該ゲルスポッティング工程の後、該リガンドスポッティング工程の前に、該ゲル及び該リガンドに結合可能なリンカーを含む溶液を該スポットに接触させて、該リンカーを該スポットに固定化するリンカースポッティング工程を行うことが好ましい(請求項18)。また、本発明のチップの製造方法では、該リガンドスポッティング工程の前に、該ゲル及び該リガンドに結合可能なリンカーと、該リガンドを含む溶液とを混合するリンカー混合工程を行うことも好ましい(請求項19)。この際、該リンカーは親水性分子であることが好ましく(請求項20)、該親水性分子はエチレンオキサイド鎖を含有していることがより好ましい(請求項21)。
またさらに、該ゲルスポッティング工程および該リガンドスポッティング工程の後に、該ゲル中の該生体物質の活性点に結合可能な官能基を有する化合物を含む溶液を該スポットに接触させて、該ゲルを不活性化する工程を有することが好ましい(請求項22)。
本発明の別の要旨は、本発明の製造方法により製造されたことを特徴とするチップに存する(請求項23)。本発明の更に別の要旨は、基板と、該基板上に固定化されたゲルを含んでなる複数のスポットとを備え、該スポットにリガンドが固定化されているとともに、該スポット間にリガンドが固定化されていない部分が形成されていることを特徴とするチップに存する(請求項24)。本発明の更に別の要旨は、基板と、該基板上に固定化されたゲルを含んでなる複数のスポットとを備え、該スポットのうち、少なくとも1個のスポットに第一のリガンドが固定化され、該スポットのうち、他の少なくとも1個のスポットに第二のリガンドが固定化されていることを特徴とするチップに存する(請求項25)。
本発明の更に別の要旨は、本発明のチップを用いて、核酸、タンパク質、毒素、ウイルス、細胞、糖類、低分子化合物、又はそれらの結合体を検出することを特徴とする、検出方法に存する(請求項26)。また、本発明のチップを用いて、該スポットが乾燥した状態で蛍光検出を行う場合に、波長が580nm以上の光を検出することを特徴とする、検出方法にも存する(請求項27)。
本発明の更に別の要旨は、本発明のチップを用いて、核酸、タンパク質、毒素、ウイルス、細胞、糖類、低分子化合物、又はそれらの結合体を検出することを特徴とする、検出装置に存する(請求項28)。
本発明(請求項1〜25)によれば、ゲルを含んで構成された複数のスポットに、使用量を抑制しながらリガンドを固定化してチップを製造できる。特に、本発明(請求項2〜4)によれば、前記スポットの全体にリガンドを固定化できる。さらに、本発明(請求項24)によれば、複数のスポットにリガンドを固定化しながらもリガンドの使用量を従来よりも抑制したチップを実現できる。また、本発明(請求項25)によれば、スポット毎に異なるリガンドを固定化してスポットの集積度を高めたチップを実現できる。本発明(請求項25,26,27)によれば、本発明のチップを用いて様々な被検出物質を検出できる。
(a)及び(b)はいずれも、本発明の一実施形態について説明するため、特定ゲルの構造の例を模式的に示す図である。 (a)及び(b)はいずれも本発明の一実施形態について説明するための図あって、(a)は生体物質及び結合化合物を模式的に示す図、(b)は粒子状塊を模式的に示す図である。 (a)〜(c)は本発明の一実施形態について説明するため、スポッタにリガンド溶液をスポッティングする際の様子の一例を模式的に示す図である。 (a)〜(c)は本発明の一実施形態について説明するため、スポッタにリガンド溶液をスポッティングする際の様子の一例を模式的に示す図である。 (a)〜(d)は本発明の一実施形態について説明するため、スポッタにリガンド溶液をスポッティングする際の様子の一例を模式的に示す図である。 本発明の実施例4で作製したチップの表面をAFMで測定した結果を示す図面代用写真である。 本発明の実施例7で撮影した、蛍光強度測定時のチップの様子を示す図面代用写真である。 本発明の実施例9及び比較例1で撮影した、蛍光強度測定時のチップの様子を示す図面代用写真である。 図8の一部を拡大して示す図面代用写真である。 本発明の実施例10で行った蛍光強度測定の結果を表すグラフである。 本発明の実施例19で行った蛍光強度測定の結果を表すグラフである。 本発明の実施例20で行った蛍光強度測定の結果を表すグラフである。 本発明の実施例22で行った蛍光強度測定の結果を表すグラフである。 本発明の実施例23で行った蛍光強度測定の結果を表すグラフである。 本発明の実施例24で行った蛍光強度測定の結果を表すグラフである。 本発明の実施例28で行った蛍光強度測定の結果を表すグラフである。 本発明の実施例29で行った蛍光強度測定の結果を表すグラフである。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[1.チップの製造方法]
本実施形態のチップの製造方法は、基板と、基板上に固定化されたゲルを含んでなる複数のスポットとを備えたチップを製造する方法である。また、本実施形態のチップの製造方法では、基板を用意し、ゲルを基板上に固定化してスポットを形成するゲルスポッティング工程と、スポット上にリガンドを含む溶液(以下、適宜「リガンド溶液」ということがある。)をスポッティングして、リガンドをスポットに固定化するリガンドスポッティング工程とを行う。
[1−1.基板の用意]
本実施形態のチップの製造方法では、まず、ゲルを固定化する対象となる基板を用意する。基板の材料に特に制限はなく、ゲルを固定化できるものであれば、任意の材料を用いることが可能である。例としては、ガラス、水晶、シリコン、金属、金属酸化物、プラスチック等が挙げられる。これらの材料は、通常、製造されるチップの用途やリガンドの種類等に応じて適宜使い分けられる。
例えば、製造されるチップをFET(field−effect transistor:電界効果トランジスタ)センサーに使用する場合であれば、基板の材料としては金、シリコンなどが好適に使用される。
例えば、製造されるチップをQCM(Quartz Crystal Microbalance:水晶発振子微量天秤)センサーに使用する場合であれば、基板の材料としては水晶、金などが好適に使用される。
例えば、製造されるチップをSPR(Surface Plasmon Resonance:表面プラズモン共鳴)センサーに使用する場合であれば、基板の材料としては金などが好適に使用される。
例えば、製造されるチップをMEMS(Micro−Electro−Mechanical Systems)技術によるセンサーに使用する場合であれば、基板の材料としてはシリコンなどが好適に使用される。
例えば、製造されるチップをELISA(enzyme−linked immunosorbent assay:酵素免疫検定法)用途に使用する場合であれば、基板の材料としてはプラスチック、ガラスなどが好適に使用され、特にプラスチックが好適である。
なお、基板の材料の種類は、1種であってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。したがって、例えば、上記の列記した材料を、別の材料からなる支持体に固定化して基板を形成し、この基板にゲルを固定化してもよい。具体例を挙げると、SPRセンサー用途であれば、ガラスやプラスチックからなる支持体上に金薄膜を形成し、これを基板として用いることができる。また、QCMセンサー用途であれば、水晶からなる支持体上に金薄膜を成膜し、これを基板として用いることができる。
また、ゲルを基板表面に安定して固定化するため、必要に応じて基板に表面処理を施すようにしてもよい。この場合、ゲルと基板表面とを結合させるための特定の官能基を基板表面に導入するための表面処理を行うことが多い。表面処理は、基板の表面の全体を予め処理しておいてもよいし、特定の場所だけを処理することにより特定の領域のみにゲルを固定化するようにしてもよい。中でも、基板の表面全体に表面処理を施しておくことが、操作は簡便である。
前記のような表面処理は、チップの用途、基板及びゲルの種類などに応じて様々である。例えば、製造されるチップをイムノクロマトに使用するのであれば、セルロースやニトロセルロースなどのセルロース誘導体を基板表面に固定化する表面処理を行うことが好ましい。例えば、プラスチックを基板材料として使用する場合には、プラスチックの表面にアミノ基等の官能基を固定化すること(即ち、官能基化すること)により、より安定してゲルを固定化できるようになる場合がある。
特に、ゲルの中でもハイドロゲルを基板に固定化しようとする場合に、基板の表面に反応性官能基を有することが好ましい。ここで反応性官能基とは、ハイドロゲルと結合できる官能基をいう。これにより、基板とハイドロゲルとを強固に結合させて安定した固定化が可能となる。そのような反応性官能基としては、例えば、アミノ基、スクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ブロモ基、マレイミド基、メルカプト基などが挙げられる。これらのうちでも、アミノ基、スクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基が好ましく、特にスクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基が好ましい。
また、その他の表面処理としては、タンパク質を共有結合や強固な物理吸着により基板表面に固定化する処理も挙げられる。この場合、タンパク質が有するアミノ基やヒドロキシカルボニル基を前記の反応性官能基として使用できる。この際、ヒドロキシカルボニル基はスクシンイミドオキシカルボニル基に変換して使用することもできる。さらに、上記のいずれの場合でも、表面処理により固定化する官能基は、リガンドと結合しないものを用いることが好ましい。基板表面の予期しない位置にリガンドが固定化されることを防止するためである。なお、表面処理は、1種の表面処理だけを行なうようにしてもよく、2種以上の表面処理を任意に組み合わせて行なってもよい。
基板の形状や大きさには特に制限は無い。例えば、凹凸の全く無いものでも良く、また壁や穴を有しているものでも良い。前者の具体例としてはスライドガラス等が挙げられ、後者の具体例としてはタイタープレート等が挙げられる。また、基板には1本又は2本以上の流路を形成するようにしてもよい。
[1−2.ゲルスポッティング工程]
ゲルスポッティング工程では、基板上にゲルを固定化し、ゲルからなるスポットを基板の表面に形成する。
[1−2−1.ゲル]
ゲルとしては、リガンドを固定化できるものであれば特に制限はなく、製造されるチップの用途に応じて適切なものを用いればよい。ゲルは、通常は三次元的な網目構造を有するため、ゲルの内部にまでリガンドを三次元的に固定化することができる。このため、基板表面に直接リガンドを固定化する場合と比較して、ゲルからなるスポットにリガンドを固定化する方が、基板の単位面積あたりのリガンドの固定密度を高めることが可能である。また、製造されるチップを被検出物質を検知するセンサー用途に用いる場合においては、通常は被検出物質もゲルの内部にまで浸透することが可能であるため、基板の単位面積あたりの被検出物質の密度も増やすことができ、被検出物質に起因するシグナルを増強することが可能である。
中でも、ゲルとしてはハイドロゲルを用いることが好ましい。ハイドロゲルは、三次元的な網目構造を有する高分子化合物であって、その網目構造が水によって膨潤させられるものをいう。医療分野、農業分野、生物関連分野などにおいては水を溶媒として用いる場合が多いため、ゲルとしてハイドロゲルを用いると、製造されるチップを前記のような分野に用いる場合に好適である。
ハイドロゲルには様々なものが知られており、例えば、ポリアクリル酸、ポリアミノ酸、ポリアクリルアミドなどで構成されたもの、さらにはヒアルロン酸、コラーゲンなどの生体物質を使用したものなどがある。
中でもハイドロゲルとしては、以下に説明する、生体物質、及び、生体物質と結合可能な化合物(以下、適宜「結合化合物」という。)が結合してなる粒子状隗が互いに結合して構成されたゲル(以下、適宜「特定ゲル」という。)を用いることが好ましい。特定ゲルは、一般的なハイドロゲルと比較して感度や検出時間の短縮の面で好適である。このような特定ゲルとしては、例えば、特開2007−101520号公報に記載の生体物質構造体を用いることができる。
〔特定ゲル〕
特定ゲルは、図1(a)や図1(b)に示すように、生体物質と結合化合物とが結合してなる粒子状塊が、互いに結合してなるものである。また、この粒子状塊は、通常、図2(a)に示すような生体物質と結合化合物とが複数結合して図2(b)のように粒子状になったものであり、必ずしも完全な円形となっているとは限らないが、図1(a),(b)においては粒子状塊を模式的に円で示してある。
詳しくは、特定ゲルは、微視的に見た場合、生体物質に対して結合化合物が結合し、これらの生体物質と結合化合物とからなる主鎖を有するマトリックス構造を有するもの(マトリックス)となっている。即ち、特定ゲルは、生体物質と結合化合物とを含み、その骨格が、生体物質と結合化合物とが結合し、鎖状及び/又は網目状に結合した構造を有するマトリックスを有して構成されている。そして、その構造の繰り返しによって、鎖状及び/又は網目状の構造を内部に持つ粒子状塊が形成される。さらにこの粒子状塊同士の結合も、通常粒子状塊に含まれる生体物質と結合化合物との結合によって形成される。
よって、特定ゲルは通常、下記式(A)で表される部分構造を2以上有する。
R1−R2 式(A)
{上記式(A)において、R1は生体物質を表わし、R2は結合化合物を表わす。ただし、特定ゲルが基板に結合している場合、R2は基板に直接結合していない結合化合物を表わす。また、各R1,R2はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。}
即ち、特定ゲルは、上記式(A)のように生体物質と結合化合物とが結合した部分構造が、直鎖状及び/又は網目状に結合した構造体である。具体的には、上記式(A)のR1はそれぞれ独立に他の1又は2以上のR2に結合し、R2はそれぞれ独立に他の1又は2以上のR1に結合している。ただし、特定ゲルは、例えば生体物質R1同士や結合化合物R2同士が結合した部分構造を含んでいてもかまわない。ここで、R1同士やR2同士の結合とは、分子間引力、疎水的相互作用、電気的相互作用等の物理的相互作用による結合を示す。
したがって、特定ゲルは、結合化合物同士の間には生体物質が存在し、また、生体物質同士の間には結合化合物が存在する橋架け構造を少なくとも一部に有しており、生体物質及び結合化合物の両方によって、特定ゲルが構成されている。
特定ゲルにおいて生体物質と結合化合物が互いに橋架け構造を有しているかどうかは、例えば、結合化合物を分解しないようにしながら生体物質を分解した場合に、特定ゲルが大きく崩壊することにより確認することができる。さらに、崩壊したものを調べることにより、生体物質構成要素以外の特定ゲルを構成する化合物を特定することができる。例えば何らかの担体に直接生体物質を結合させた場合は、分解後にその担体が残ることとなる。生体物質の分解方法及び定量方法は、例えば下記の方法を用いることができる。ただし、生体物質の分解及び定量の目的で用いる場合には、例示物の中で生体物質だけでなく結合化合物も分解する可能性がある試薬等は、上記の橋架け構造の確認が正確に行えなくなる可能性があるため、使用は避けるべきである。
(生体物質の分解方法)
生体物質を分解する場合、生体物質を酵素や薬品等で分解すればよい。生体物質を分解するための酵素や薬品等は、用いた生体物質や結合化合物の種類に応じて任意のものを適当に用いればよい。その具体例を挙げると、生体物質が核酸である場合、例えば、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ等の核酸分解酵素などが挙げられる。
また、生体物質がタンパク質である場合、上記の酵素や薬品等としては、例えば、微生物プロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、レンネット、V8プロテアーゼ等のタンパク質分解酵素、臭化シアン、2−ニトロ−5−チオシアン安息香酸、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム等のタンパク質分解能を有する化学物質などが挙げられる。さらに、生体物質が脂質である場合、上記の酵素や薬品等としては、例えば、リパーゼ、ホスホリパーゼA2等の脂質分解酵素などが挙げられる。
また、生体物質が糖類である場合、上記の酵素や薬品等としては、例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ等の糖分解酵素などが挙げられる。なお、生体物質を分解するための上記の酵素や薬品等は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(生体物質の定量方法)
生体物質の分解後、基板表面または基板から離脱した生体物質を定量して解析するには、例えば、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、質量分析(MS)、赤外分光法、核磁気共鳴法(H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、吸光度測定、蛍光測定、元素分析、アミノ酸定量などが挙げられる。また、分析に際しては、各測定手法を単独で用いても良く、2種以上を任意に組み合わせて行なってもよい。
〔生体物質〕
生体物質は、特定ゲルを構成する要素である。この生体物質は、目的に応じて、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の物質を用いることができる。ただし、特定ゲルにリガンドを固定化する観点からは、リガンドを生体物質に結合させる場合には、生体物質はリガンドと結合しうるものを用いる。
生体物質とリガンドとの結合は、製造されるチップの種類や用途などに応じて、どのような結合であってもよい。生体物質とリガンドとの結合の具体例を挙げると、共有結合、イオン結合、キレート結合、配位結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び静電力による結合などが挙げられるが、これらの分類に当てはまらない別の結合であってもよい。
一方、リガンドを結合化合物に結合させて生体物質には結合させないようにする場合には、生体物質としては用途に応じて任意のものを用いることができる。例えば、リガンドと何らかの被検出物質との間で所定の相互作用を生じさせようとする場合には、生体物質としては、当該被検出物質との間で非特異的な相互作用を生じないものを使用するようにすることが好ましい。
生体物質の具体例を挙げれば、酵素、抗体、レクチン、レセプター、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、アルブミン、糖タンパク質等のタンパク質、ペプチド、アミノ酸、サイトカイン、ホルモン、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸(DNA、RNA、PNA)、糖、オリゴ糖、多糖、シアル酸誘導体、シアル化糖鎖等の糖鎖、脂質、上述以外の生体物質由来の高分子有機物質、低分子化合物、無機物質、若しくはこれらの融合体、または、ウイルス、若しくは細胞を構成する分子などの生体分子などが挙げられる。
また、このほか、細胞等の生体分子以外の物質を生体物質として用いることもできる。さらに、イムノグロブリンやその派生物であるF(ab’)2、Fab’、Fab、レセプターや酵素とその派生物、核酸、天然あるいは人工のペプチド、人工ポリマー、糖質、脂質、無機物質あるいは有機配位子、ウイルス、細胞等も、生体物質の例として挙げられる。
また、上記の生体物質の例の中でも、タンパク質としては、タンパク質の全長であっても、結合活性部位を含む部分ペプチドであってもよい。また、アミノ酸配列、及びその機能が既知のタンパク質でも、未知のタンパク質でもよい。これらは、合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク質、あるいはcDNAライブラリー等から適当な翻訳系を用いて翻訳し、精製したタンパク質等でも標的物質として用いることができる。また、合成されたペプチド鎖は、これに糖鎖が結合した糖タンパク質であってもよい。これらのうち好ましくは、精製されたタンパク質である。
タンパク質を使用することにより、製造されるチップにおいてタンパク質の特性を利用することができる。具体的には、例えば生体物質にアルブミンを用いた場合、チップの使用時に非特異的吸着を抑制することができる。また別の側面では、生体物質にアビジンを用いれば、ビオチン化したリガンドを容易に且つ多量に固定化することが可能となる。さらに別の側面では、生体物質にプロテインAを用いれば、リガンドに抗体を用いた場合、抗体を容易に且つ多量に固定化することが可能となる。
タンパク質の例を挙げると、BSAなどのアルブミン;ストレプトアビジンなどのアビジン;プロテインA、プロティンGなどが挙げられる。BSAでは有するアミノ基やヒドロキシカルボニル基を利用してリガンドを固定化することができ、アビジンではビオチンを有するリガンドを固定化することができ、プロティンA及びプロティンGではリガンドとして抗体を固定化することができる。
さらに、上記の生体物質の例の中でも、核酸としては、特に制限はなく、DNA、RNAの他、アプタマー等の核酸塩基、PNA等のペプチド核酸を用いることもできる。また、塩基配列あるいは機能が、既知の核酸でも、未知の核酸でもよい。中でも好ましくは、タンパク質に結合能力を有する、核酸としての機能及び塩基配列が既知のものか、あるいは、ゲノムライブラリー等から制限酵素等を用いて切断単離してきたものを用いることができる。
また、上記の生体物質の例の中でも、糖鎖としては、その糖配列あるいは機能が、既知の糖鎖でも未知の糖鎖でもよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列あるいは機能が既知の糖鎖が用いられる。さらに、上記の生体物質の例の中でも、低分子化合物としては、上記の生体物質に要求される条件を満たす限り、特に制限はない。機能が未知のものでも、あるいはタンパク質に結合する能力が既に知られているものでも用いることができる。
また、生体物質はそのまま使用する以外に、例えばヒドロキシカルボニル基、スクシンイミドオキシカルボニル基、アミノ基、水酸基、ポリヒスチジン(HISタグ)等を導入したものを用いることもできる。なお、生体物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔結合化合物〕
結合化合物は、上記生体物質と結合しうる化合物であれば、任意の化合物を用いることができる。また、結合化合物は、上記生体物質と結合可能な官能基(以下適宜、「結合官能基」)を有する化合物を任意に用いることができる。結合官能基により、結合化合物は生体物質と結合し、さらには架橋することにより粒子状塊を形成できる。ここで、結合とは、通常、共有結合、イオン結合、キレート結合、配位結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、静電力による結合のうち一つ以上の結合から成り立つものを指し、その中でも共有結合が好ましい。
結合官能基としては、上記の生体物質に結合可能な官能基であれば他に制限はなく、任意の官能基を用いることができる。通常は、生体物質の種類やチップの用途などに応じて適当なものを選択することが好ましい。
なお、結合官能基は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いても良い。
結合官能基は、通常、反応性基として共有結合を介して生体物質と結合するものと、非共有結合を介して生体物質と結合するものとに大別される。
共有結合により結合する場合、結合官能基の具体例としては、スクシンイミド基、エポキシ基、ホルミル基、マレイミド基、p−ニトロフェノキシ基等が挙げられる。
この場合、結合官能基と共有結合によって結合する生体物質としては、例えば、タンパク質、核酸、糖類等が挙げられる。 生体物質がタンパク質である場合、通常は、タンパク質の表層に存在するアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基等の基と、結合化合物の結合官能基とが結合する。アミノ基と結合する結合官能基としてはスクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ホルミル基、マレイミド基、p−ニトロフェノキシ基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基と結合する結合官能基としてはエポキシ基等が挙げられる。さらに、メルカプト基と結合する結合官能基としてはマレイミド基等が挙げられる。
また、生体物質が核酸である場合、通常は、核酸の末端に導入されるアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基等の基と、結合化合物の結合官能基とが結合する。例えばアミノ基と結合する結合官能基としてはスクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ホルミル基、マレイミド基、p−ニトロフェノキシ基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基と結合する結合官能基としてはエポキシ基等が挙げられる。さらに、メルカプト基と結合する結合官能基としてはマレイミド基等が挙げられる。
さらに、生体物質が糖類である場合、通常は、糖類の側鎖に存在するアミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシカルボニル基、メルカプト基等の基と、結合化合物の結合官能基とが結合する。例えばアミノ基と結合する結合官能基としてはスクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ホルミル基、マレイミド基、p−ニトロフェノキシ基等が挙げられる。また、ヒドロキシル基と結合する結合官能基としてはエポキシ基等が挙げられる。また、ヒドロキシカルボニル基と結合する結合官能基としてはヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。さらに、メルカプト基と結合する結合官能基としてはマレイミド基等が挙げられる。
一方、生体物質と結合化合物とが非共有結合により結合する場合、例えば、錯体形成、生体物質間相互作用などにより結合をさせることができる。
生体物質と結合化合物とで錯体を形成させて結合させる場合、結合官能基の具体例としては、ボロン酸基等が挙げられる。
また、例えば生体物質間相互作用の中でもアビジン−ビオチン相互作用により結合させる場合には、結合官能基の具体例としては、ビオチン基等が挙げられる。
さらに、例えば生体物質としてウイルスを用いる場合、結合官能基の具体例としては単糖や多糖等の糖類が挙げられる。また、例えば生体物質が疎水性領域を有している場合には、疎水性相互作用による物理吸着により結合させるようにしても良い。
また、結合化合物が結合官能基を有する場合、結合化合物は、1分子中に通常2点以上、好ましくは3点以上の結合官能基を有しているものを少なくとも1種以上含むことが好ましい。これは、特定ゲルの網目構造を形成しやすくするためである。1分子中に2点以上の結合官能基を有していれば、容易に生体物質と結合化合物が結合した粒子状塊を形成させ、さらにそれら粒子状塊同士を結合させることにより、高次構造である特定ゲルを形成できるようになる。
ただし、上記の粒子状塊を形成させやすくなるためには、結合化合物同士が結合せず、生体物質と結合化合物との結合が特定ゲル中の主な結合であることが好ましい。結合化合物同士が結合する場合、結合化合物同士が凝集しやすく、粒子状塊の粒径が大きくなる傾向があり、粒子状塊の粒径を制御し難くなるためである。また、高分子を結合化合物に用いた場合は、結合化合物の内部架橋が起これば、生体物質を固定化しにくくなる傾向がある。ここで、結合化合物同士の結合とは、分子間引力、疎水性相互作用、電気的相互作用を除く結合を示す。
このように結合化合物同士の結合が無い特定ゲルを形成させるためには、結合化合物同士が結合しないような結合官能基を選択し、さらに、結合化合物同士が結合する状況を排除することが望ましい。そのような官能基は具体的には前述したように、スクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ホルミル基、マレイミド基、ボロン酸基、ビオチン基などが挙げられる。結合官能基同士が結合する状況とは、過度の熱を加えることや、強力な紫外線を照射することを示す。
また、特定ゲルに含まれる結合化合物同士の結合を調べる方法としては、特定ゲル中の生体物質を前述の方法で分解した時に、不溶物が形成されることで判断される。若しくは、分解後の特定ゲルを熱分解性ガスクロマトグラフィーで分析することにより、結合化合物同士の結合を示唆する化合物を検出することで判断される。具体的には、例えば、紫外線照射により生体物質と光反応性基を有する結合化合物とが結合して特定ゲルが形成される場合、結合化合物内の光反応性基(例えば、アジド基)により結合化合物同士が結合していると、光反応性基が関与した結合、若しくは残存光反応性基が存在することになるため、それらの結合若しくは残存光反応性基の存在を確認することにより、結合化合物同士の結合を推測することができる(「アフィニティークロマトグラフィー」東京化学同人刊、著者:松本勲武、別府正敏、P238〜等参照)。
さらに、生体物質の特徴を生かすために、生体物質の官能基及び結合化合物の官能基を選択し、生体物質が失活しないようにすることが好ましい。例えば、生体物質がタンパク質であり、その活性部分にメルカプト基を有している場合には、メルカプト基以外の基(例えば、アミノ基)を生体物質の結合官能基として選択すればよい。対応する結合化合物の官能基は、アミノ基と反応するスクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基が選択される。
また、リガンドと結合化合物の結合には、共有結合、イオン結合、キレート結合、配位結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び静電力による結合などが挙げられるが、これらの分類に当てはまらない別の結合であってもよい。
結合化合物は、上記の結合官能基以外に、上記リガンドと結合可能な官能基を有することが好ましい。このような官能基に制限はなく、任意の官能基を用いることができ、リガンドの種類やチップの用途などに応じて選択することができる。リガンドと結合しうる官能基は、1種でも良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いても良い。
さらに、結合化合物は、特定ゲルの製造時に、溶媒や分散媒等の媒質として水を用いることが多いため、水と混和しうるものを用いることが望ましい。特定ゲルの製造時には、水の存在下で結合化合物と生体物質を混合し、粒子状塊を作製する工程を経るが、反応をスムーズに行なわせるため、生体物質と結合化合物とを急速に均一に混合することが好ましい。なお、本発明における混和の形態としては、溶解していても分散していても良い。
また、結合化合物は、少なくとも1種の有機溶媒に混和しうることが好ましい。その合成に用いる溶媒の選択肢を増やすことができ、合成反応種を増やすことが出来る。それにより、作製される特定ゲルの種類を増やしたり、構造設計をしたりすることができるようになる。また、有機溶媒中での合成反応により、保護された結合官能基を持つ、結合化合物を作製することも出来る。
さらに、結合化合物は、水と有機溶媒との両方に混和できるものを用いることがより好ましい。これにより、チップを製造する際の溶媒の種類を増やすことができ、用途を広げることができる。
また、結合化合物は無電荷であることが望ましい。結合化合物が生体物質と同じ電荷(同符号の電荷)を有していると、静電的反発力により、結合化合物と生体物質との結合が妨げられる可能性がある。一方、結合化合物が生体物質と反対の電荷(逆符号の電荷)を有していると、生体物質と結合化合物内の電荷を有する部分とが静電的引力により結合し、結合化合物が有している結合官能基に生体物質が効果的に結合することを妨げる可能性がある。また、結合化合物と生体物質との静電的引力による結合は、本発明のチップを分離精製に用いる場合、使用時に用いる溶液のpHや塩などの添加物により、容易に結合が壊れることが予想される。
さらに、本発明のチップを用いて被検出物質の検出を行なおうとした時に、被検出物質が結合化合物と同じ電荷を有している場合には、特定ゲルに含まれるリガンドと被検出物質との特異的な相互作用が妨げられる可能性があり、また、被検出物質と結合化合物とが反対の電荷を有していた場合には、被検出物質と結合化合物とが電気的引力により非特異吸着を生じることが推測される。
なお、結合化合物が無電荷であるとは、当該結合化合物が、少なくとも構造式上、非イオン性もしくは両性イオン性(正及び負の両方の電荷を有しており、お互いの電荷が実質打ち消しあっているもの)であれば、当該結合化合物は無電荷である。ただし、本発明のチップの製造過程において、結合官能基の加水分解等により、結合化合物が電荷をもったとしても、本発明の効果を損なわない限り、このような結合化合物は好適に用いることができる。
結合化合物の他の例としては、例えば、有機化合物、無機化合物、有機無機ハイブリッド材料などが挙げられる。また、結合化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、結合化合物として用いられる有機化合物は、低分子化合物でも、高分子化合物でもよいが、好ましくは高分子化合物である。
結合化合物として高分子化合物を用いる場合、高分子化合物は合成物であっても良く、天然物であっても良い。高分子化合物が合成物である場合は、生体物質と結合することのできるモノマーを有していることが好ましい。また、水に混和するために、親水性モノマーを有していることが好ましい。さらには、上記の生体物質と結合することができるモノマーと、親水性モノマーとを共重合させた合成高分子化合物が好ましい。なお、リガンドが結合化合物に結合する場合は、上記のモノマーに加え、リガンドと結合できるモノマーを有していることが好ましい。
即ち、結合化合物として使用する合成高分子化合物の合成には、少なくともモノマー種として、生体物質と結合して粒子状塊を形成することができるモノマーと、粒子状塊同士で結合し、鎖状及び/又は網目状に結合した構造(即ち、特定ゲルの構造)を構築するための結合官能基を有するモノマーとを有することが好ましく、さらに、親水性又は両親媒性の官能基を有するモノマーを用いることがより好ましい。この場合、結合官能基を有するモノマーと親水性又は両親媒性の官能基を有するモノマーとのモル比(結合官能基を有するモノマー/親水性又は両親媒性の官能基を有するモノマー)は、水溶性の観点から、通常5/5以上、好ましくは6/4以上であり、通常9/1以下、好ましくは8/1以下であり、7/3が特に好ましい。加えて、合成高分子化合物が溶液中で形成するミセル等の構造体及び広がりを制御する目的で、疎水性モノマーを含有させるようにすることも好ましい。さらに、リガンドと結合化合物とを結合させる場合、上記リガンドと結合可能な官能基を有するモノマーを含有させるようにすることが望ましい。なお、ここで挙げたモノマーは、一つのモノマーが上記の機能のうちの2以上を兼ね備えていてもよい。したがって、この場合の合成高分子は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。
結合化合物として使用しうる合成高分子化合物を構成するモノマーの具体例を挙げると、ラジカル重合に用いられるモノマーとしては、スチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等の重合性不飽和芳香族類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸等の重合性不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等の重合性不飽和スルホン酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、N−(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、エチレングリコール−ジ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、2−(メタ)アクリル酸グリコシロキシエチル、2−メタクリロオキシエチルホスホリルコリン等の重合性カルボン酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、3−アクリルアミドフェニルボロン酸、N−アクリロイル−N’−ビオチニル−3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等の不飽和カルボン酸アミド類;重合性不飽和ニトリル類;ハロゲン化ビニル類;共役ジエン類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のマクロモノマー類、などが挙げられる。
また、結合化合物として使用しうる合成高分子化合物のモノマーとしては、例えば、付加重合で用いられるようなモノマーも使用できる。この付加重合に用いられるモノマーの具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は芳香族イソシアネート類、ケテン類、エポキシ基含有化合物類、ビニル基含有化合物類などが挙げられる。
また、上記化合物群には、活性化水素を有する官能基を備えたモノマーを反応させることも可能である。その具体例としては水酸基又はアミノ基を有する化合物などが挙げられ、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチレングリコシド、ショ糖、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンのようなポリオール類;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルメチレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン等のポリアミン類;オキシム類などが挙げられる。
さらに、結合化合物として使用しうる合成高分子化合物には、上述したモノマーの他、架橋剤となりうる多官能性化合物を共存させても良い。多官能性化合物としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールマレイミド、N−エチロールマレイミド、N−メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレインアミド酸エステル、ビニル芳香族酸のN−アルキロールアミド(例えばN−メチロール−p−ビニルベンズアミド等)、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド等が挙げられる。
さらに、上述したモノマーのうち、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジプロペニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコール、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー類は、架橋剤としても使用することができる。架橋剤となりうる多官能性化合物をモノマーとして使用することにより、結合化合物の媒質中での広がりや硬さを制御することができる。
また、前述の生体物質と結合しうる結合官能基を有するモノマーとしては、スクシンイミド基、スクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ホルミル基、マレイミド基、p−ニトロフェノキシ基等を有するモノマーが挙げられ、その例として、N−(メタ)アクリルオキシスクシンイミド等のアクリルモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、アクロレイン、マレイミドアクリレート、p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート、p−ニトロフェニルメタクリレート等が挙げられる。
また、結合官能基としてボロン酸基を有するモノマーの例としては、3−アクリルアミドフェニルボロン酸等が挙げられる。さらに、結合官能基としてビオチン基を有するモノマーの例としては、N−アクリロイル−N’−ビオチニル−3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン等が挙げられる。また、結合官能基として糖や多糖を有するモノマーの例としては、2−(メタ)アクリル酸グリコシロキシエチル等が挙げられる。
また、上記リガンドと結合可能な官能基を有するモノマーの例としては、上記の生体物質と結合しうる結合官能基を有するモノマーと同様のものが挙げられる。
さらに、親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、マレイン酸、スルホン酸、スルホン酸ソーダ、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−アセトアミド、ポリエチレングリコールモノ−(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2−メタクリロオキシエチルホスホリルコリン、N−アクリロイルモルホリン等が挙げられる。なお、N−アクリロイルモルホリンは親水性基としてモルホリノ基を有するアクリルモノマーである。
また、結合化合物は、前述のとおり無電荷のものが好ましい。したがって、結合化合物として用いる合成高分子化合物を無電荷にする場合、この無電荷の合成高分子化合物に使用するモノマーは無電荷であれば特に限定されないが、具体例を挙げると、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−アセトアミド、ポリエチレングリコールモノ−(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2−メタクリロオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。
また、モノマーの重合方法に制限は無いが、ラジカル重合が好適である。モノマーをラジカル重合させて合成高分子化合物を合成する場合、通常はラジカル重合開始剤を混合することにより重合を開始させるが、その際に用いるラジカル重合開始剤は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。使用できるラジカル系重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド等のアゾ(アゾビスニトリル)タイプの開始剤、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過硫酸塩(例えば過硫酸アンモニウム)、過酸エステル(例えばt−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレート及びt−ブチルペルオクテート)等の過酸化物タイプの開始剤などが挙げられる。
さらにレドックス系開始剤を混合することにより重合を開始させてもよい。レドックス系開始剤も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができ、その例としては、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキシ二硫酸ナトリウム、第三ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、第三ブチルヒドロペルオキシド/Naヒドロキシメタンスルフィン酸が挙げられる。なお、個々の成分、例えば還元成分は、混合物、例えばヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩と二亜硫酸ナトリウムとの混合物であってもよい。
また、結合化合物として合成高分子化合物を用いる場合、この合成高分子化合物は、開環重合等で合成される高分子を使用してもよい。その具体例としては、ポリエチレングリコール等が挙げられる。さらに、上述した合成高分子化合物は、加水分解等により合成される高分子を使用しても良い。その具体例としては、ポリ酢酸ビニルを加水分解等することにより合成されるポリビニルアルコールなどが挙げられる。また、上述した合成高分子化合物は、化学修飾により、前述の生体物質と結合する官能基を修飾することにより合成してもよい。
さらに、この他、結合化合物として、市販の合成高分子化合物を用いることができる。その具体例を挙げると、日本油脂社製のSUNBRIGHTシリーズ DE−030AS、DE−030CS、DE−030GS、PTE−100GS、PTE−200GS、HGEO−100GS、HGEO−200GSなどが挙げられる。
一方、結合化合物として天然高分子化合物を用いる場合、その具体例としては、デキストラン、カルボキシメチル−デキストラン、でんぷん、セルロース等の多糖類、アルブミン、コラーゲン、ゼラチンなどのタンパク質、DNA、RNAなどの核酸等が挙げられる。これらの天然化合物は、そのまま使用しても良いし、また、化学修飾してから使用しても良い。
なお、合成高分子化合物及び天然高分子化合物などの高分子化合物を結合化合物として用いる場合、その高分子化合物の形態は任意である。例えば、水溶液中で溶解していても良いし、ミセルやエマルションのような会合体や高分子ラテックスのような微粒子状のものでもかまわない。
また、結合化合物として用いられる無機化合物としては、例えば、金コロイド等の金属粒子、シリカ等の無機微粒子などが挙げられる。さらに、これらの無機化合物を化学修飾することによって、生体物質と結合する官能基を有する結合化合物としても良い。
さらに、結合化合物として用いられる有機無機ハイブリッドとしては、例えば、コロイダルシリカに高分子を被覆したもの、金属コロイドを高分子で被覆したもの(例えば、金、銀、白金等の粒子を保護コロイドで被覆したもの)、クレイ等の多孔質基体に高分子を吸着させたものなどが挙げられる。なお、これらの有機無機ハイブリッドは公知の方法で合成することが可能である(ポリマー系ナノコンポジット、工業調査会、中條 澄 著などを参照)。さらに、これらの有機無機ハイブリッドに結合官能基を修飾することによって、結合化合物として用いることもできる。
また、結合化合物の分子量や構造等は特に制限は無く任意である。しかし低分子量の化合物を用いた場合、固定化しようとする一つの生体物質内で架橋してしまい、特定ゲルを形成できなくなる可能性がある。これを防止する観点から、結合化合物の分子量は、1000以上が好ましく、さらには1万以上が好ましく、その中でもさらには2万以上が好ましい。また、100万以下が好ましく、さらには50万以下が好ましく、その中でも30万以下が好ましい。なお、結合化合物として合成又は天然の高分子化合物を用いる場合、重量平均分子量が上記範囲に収まることが好ましい。この範囲を下回ると効果的に粒子状塊が集合した特定ゲルが形成できなくなる可能性があるためである。
これら分子量の測定には種々の方法が使えるが、例えば、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)、静的光散乱測定、粘度測定などの一般的な測定機器を用いることができる。
また、結合化合物の大きさに制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、効果的に生体物質と結合化合物を結合させるためには、溶媒や分散媒などの液体(ここでは媒質)中に混和した状態において、結合化合物の径が、1nm以上が好ましく、さらには2nm以上が好ましく、その中でも3nm以上がさらにより好ましい。
これらの結合化合物の大きさの測定には、種々の方法が使用できるが、液体に分散している金属コロイド、無機粒子、ポリマー微粒子などを結合化合物として用いた場合は、静的光散乱測定法、動的光散乱測定法、光回折法などの一般的な手法により、調べることができる。また、これら金コロイド、無機粒子、ポリマー微粒子などが分散した分散液から反応媒等の液体を取り除いたものをSEM(走査型電子顕微鏡)やTEM(透過型電子顕微鏡)などの電子顕微鏡で観察し、液体中での結合化合物の径として取り扱っても良い。
一方、溶液に溶解している高分子またはミセルなどの会合体を結合化合物に用いる場合は、静的光散乱測定法、動的光散乱測定法、光回折法などの一般的な手法により、調べることができる。一般に、溶液に溶解している高分子やミセルなどは、測定手段及び解析方法で粒子径に相違が見られるが、いずれかの手段や方法で得られた測定値により、その粒子径を評価することができる。なお、光学的手法により液中の結合化合物の径を測定する場合には、結合化合物の平均粒子径が上記の範囲内に収まるようにすることが、効果的に生体物質と結合化合物とを結合させるためには望ましい。
さらに、結合化合物が有する結合官能基の量は、特に限定されず、また結合化合物の種類によって一概には規定されないが、例えば結合化合物として高分子を用いた場合、その構成ユニットに対し、モル%で、0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、また90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であることが好ましい。この範囲を下回ると結合化合物が生体物質と効率よく結合できない可能性があり、上回ると溶媒や分散媒などに混和できなくなる可能性があるためである。
〔特定ゲルの構造〕
特定ゲルは、生体物質と結合化合物とが結合してなる粒子状塊が互いに結合してなるものである。さらに、特定ゲルにおいては、通常、上記の粒子状塊の粒径は1μm以下となっている。
特定ゲルは、図2(a),(b)に模式的に示すように、生体物質と結合化合物とが結合した粒子状塊が単一ユニットとして、図1(a),(b)に模式的に示すように、互いに鎖状及び/又は網目状に結合した構造体となっている。
特定ゲルは、このように生体物質及び結合化合物の両方によって形成された粒子状塊が集合及び/または結合することによって形成する構造を有している。このため、生体物質の比率を高めることが可能である。これにより、生体物質として上記の非特異的相互作用を生じないものを用いれば、結合化合物が生じる非特異的な相互作用を抑制できる利点がある。即ち、非特異的相互作用を生じうる結合化合物等を多量の生体物質で覆うことができる。したがって、非特異的相互作用の抑制と、リガンドと被検出物質との相互作用の効率的な検出が実施できるようになる。
また、特定ゲルは、生体物質の比率を高めることが可能であることから、それに結合するリガンドの比率を高めることが可能となり、従来よりも多量のリガンドを保持することができる。さらに、リガンドが、生体物質に加えて結合化合物にも結合しうる場合は、より多量のリガンドの保持が可能となる。
一方、リガンドが結合化合物に結合して生体物質に結合しない場合にも、後述するように特定ゲルが3次元的な構造を有しているため、リガンドを従来よりも多量に保持することが可能である。また、非特異的相互作用を抑制できるという上記の利点は、結合化合物とリガンドとが結合する場合においても得られる。
なお、従来の生体物質を基板に固定する技術では、チップを検出用途などに用いる場合、基板の表面に直接に生体物質を結合させるために、生体物質の固定化量は所定の上限値で制限され(通常、タンパク質の単層吸着は、せいぜい0.3〜1.0μg/cm)、多量の生体物質を保持することができなかった。したがって、この生体物質にリガンドを結合させたとしても、リガンドの量は十分なものではなかった。
本発明の特定ゲルは、粒子状塊が、集合してそれら同士の引力によって接触しあったり、その炭素鎖が絡まりあったりすることなどにより、互いに結合して構成される。例えば、分子間引力のみにより粒子状塊同士が結合して特定ゲルが形成されたり、粒子状塊同士が結合化合物の官能基と生体物質との結合により結合して特定ゲルを形成したり、或いは、上記の両方の要因が組み合わさって粒子状塊同士が結合して特定ゲルが形成されたりしている。ここで、粒子状塊同士の結合とは、通常、共有結合、イオン結合、キレート結合、配位結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、静電力による結合のうち一つ以上の結合から成り立つものを指し、中でも共有結合が好ましい。この場合、粒子状塊の一部のみが結合しあっている状態でもよいが、できるだけ多くの粒子状塊が結合しあっていることが好ましく、全ての粒子状塊が結合しあっていることがより好ましい。なお、通常は、粒子状塊は、絡まりあいや結合など、複数の要因により集合して特定ゲルを構成しているものと推察される。
また、粒子状塊は、その粒径が通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。粒子状塊の粒径が大きいと、分離精製に用いた時には十分な比表面積が得られず、また本発明のチップを検出用途などに用いた場合に高精度な検出結果が得られない可能性がある。さらに、粒子状塊の粒径を個別に測定する場合には、特定ゲル中の粒子状塊のうち、少なくとも一部の粒子状塊が上記の範囲の粒径を有していればよいが、できるだけ多くの粒子状塊が上記範囲の粒径を有していることが好ましく、全ての粒子状塊が上記範囲の粒径を有していることがより好ましい。
ここで粒子状塊の粒径は、光学顕微鏡、SEMやTEM等の電子顕微鏡、AFM(原子間力顕微鏡)などの顕微鏡で観察することにより測定できる。なお、顕微鏡で観察した場合、粒子状塊の形状は、粒子状のほか、特定ゲルから房状に張り出した形状として観察される場合もあるが、この房状の塊部分(房状塊)は特定ゲルから粒子状塊が張り出して形成されたものと推察されるため、この房状の塊部分の径(通常は、短径)が上記の範囲内であればよい。
粒子状塊の存在を調べる一つの方法として、前記AFMにより測定した画像からPower Spectral Density(パワースペクトル密度)を解析する場合を例に挙げてさらに詳述する。パワースペクトルを用いた解析は、物体表面の微小な凸凹を評価するのに用いられ、凹凸に起因する変化量(例えば、高さ、深さ等)を波形に分解してフーリエ変換を行なう解析法の一つである。
AFM測定には、市販のAFM装置を使用することができるが、好ましくは、Digital Instruments社製のNanoScopeIIIa等が用いられる。また、プローブは先端半径Rが5nm以下のものが好ましく、具体的には、東陽テクニカ社製のSSS−NCH等が好ましい。さらに、測定は試料表面を傷つけないよう、タッピングモードで測定することが望ましい。測定は、大気中でも液中でもかまわないが、良い像を得るためには、好ましくは大気中で、さらに好ましくは乾燥した状態で行なう。
また、Power Spectral Density解析に用いるアルゴリズムは、表面形状の解析用としてASTM E42.14 STM/AFM分科委員会勧告に準じるものが好ましく、特に好ましいのは、Digital Instruments社製のNanoScopeIIIaに付属のPower Spectral Density機能を用いることである(参照文献:NanoScope コマンドリファレンスマニュアル)。
これらの装置及びアルゴリズムを用いて特定ゲルの解析を行なった場合、例えば、1μm×1μmの視野でAFMによる測定を行なって、得られるAFM像からPower Spectral Density(PSD)解析を行なった場合には、2D isotropic PSDの値が100(nm)以上であって、かつ、波長100nm未満の値を除いたパワースペクトルの和(Ic)とトータルパワースペクトル(It)の割合Ic/Itが通常30%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上であるとき、サブミクロンオーダーの粒子状塊の存在を確認することができる。パワースペクトルは、物体の表面の凹凸を表わすものであり、その比率Ic/Itが上記範囲であれば、粒子状塊の構造に起因する凹凸が特定ゲルの表面に確認できるからである。
また、粒子状塊の粒径は、光散乱、X線、中性子散乱等の分光学的手法により確認することもできる。この場合、測定される平均粒径が上記の範囲内にあればよい。粒子状塊の平均粒径が上記範囲内にある場合も、粒径が上記範囲内にある場合と同様の利点を得ることができる。ここで、一例として、静的光散乱測定法による粒子状塊の確認の方法をさらに詳述する。例えば、特定ゲルの前方光散乱光強度測定をすることより、相関長を求めることで、粒子状塊を評価することができる。この方法は、特定ゲルを透過した光を、散乱強度の散乱角依存性を測定し、デバイ−ブージェ(Debye−Bueche)の理論に基づき、(光の強度)(−1/2)を波数の2乗(={(4πn/光の波長)×sin(散乱角度/2)})に対してプロットした傾きを求め、(傾き/切片)から相関長を求める。ここでnは媒体の屈折率である。測定に用いる光散乱装置は市販のものを使用することができるが、好ましくはDYNA3000である。生体分子複合体は、乾燥状態でも液体中で膨潤させても良いが、好ましくは液体中での測定である。
また、特定ゲル中の粒子状塊同士は完全に密着せず、各粒子状塊同士の間には空間(空隙)が形成されていても良い。この空間には、本発明のチップを用いて検出などを行なう際に、リガンドと相互作用させる被検出物質が侵入することが可能であり、この空間においてリガンドは被検出物質等と相互作用することが可能である。特定ゲルは、3次元的な構造を有し、その中(内部)に多くのリガンドを備えることができるが、そのリガンドは活性を失わず相互作用をすることが可能であることから、特定ゲルは、従来よりも多量のリガンドを含有し、被検出物質と多量に相互作用をすることが可能となっている。
特定ゲルが、粒子状塊同士の間に空間を有しているかを調べる方法に制限はないが、例えば、光学顕微鏡、SEMやTEM等の電子顕微鏡、AFMなどの顕微鏡によって確認することができる。また、このほか、光散乱、X線、中性子散乱等の分光学的手法によっても確認することができる。さらに、特定ゲルの乾燥状態における体積と、液体を含ませた時の体積とを比較して、その体積が増加した場合には、上記の空間に液体が侵入したことにより体積が増加したものとして、特定ゲルが空間を有していると認識してもよい。なお、これらの体積変化はいかなる方法で確認しても良いが、例えば特定ゲルが膜状に形成されている場合、乾燥状態の膜厚とそれを液体に浸した時の膜厚とをそれぞれAFM等で測定し、両者を比較して確認することができる。
〔特定ゲルの組成〕
特定ゲルにおいては、含有される生体物質の比率にも制限は無いが、通常は、より多量の生体物質が含有されていることが望ましい。具体的には、「(生体物質の重量)/(特定ゲルの重量)」で表される特定ゲルの重量に対する生体物質の重量の比率が、通常0.1以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.7以上が望ましい。生体物質の比率がこの範囲を下回る場合、構成される特定ゲル中の結合化合物を十分に生体物質で覆うことができなくなり、結合化合物への非特異吸着を起こす可能性がある。また、リガンドを生体物質にのみ結合させるようにする場合には、リガンドを十分多く結合させることができなくなり、本発明のチップを用いて分離精製を行なう場合に、その分離精製の効率が低下する可能性もある。
なお、上記の生体物質の比率を測定する方法は特に限定されないが、例えば、特定ゲルに含まれる生体物質を酵素や薬品等を用いて分解し、生体物質、結合化合物及びリガンド由来の物質をそれぞれ各種の方法で定量すればよい。なお、分解方法及び定量方法は、上述したとおりである。
[1−2−2.ゲルのスポットの大きさ、厚み、間隔等]
基板に形成されるゲルのスポットの寸法に制限は無く、チップの用途に応じて任意に設定できる。ただし、スポットの集積度を高める観点からは、スポットの径は、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。なお、スポットは通常は円形に形成されるためスポットの径も一義的に定まるが、スポット形状が円形以外の形状である場合にはスポット外縁間のさしわたし距離のうちで最大のものをスポットの径とする。
また、ゲルのスポットの厚みは、三次元的にリガンドを保持してリガンドの固定化量を増やす観点から、乾燥状態で3nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。さらに、基板上には複数のスポットが形成されることになる。この際、一つの基板に形成されるスポットの数は2以上であれば任意であるが、多いほうが好ましい。
また、スポット間の間隔にも制限は無いが、隣り合うスポット間でリガンドが混ざり合うことを防止する観点から、スポットの縁と縁との距離が、通常20μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上であり、スポットの集積度を高める観点から、通常2000μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。
[1−2−3.ゲルの固定化方法(スポットの形成方法)]
ゲルを基板に固定化する方法に制限は無い。例えば、溶媒または分散媒中にゲルを含む溶液又は分散液を基板上にスポッティングし、乾燥により溶媒又は分散媒を除去してゲルを固定化してもよい。また、例えば、溶媒または分散媒中にゲルの原料を含む溶液又は分散液を基板上にスポッティングし、基板表面で原料を反応させてゲルを生成させ、乾燥により溶媒又は分散媒を除去してゲルを固定化してもよい。
なかでも、特定ゲルを固定化してスポットを形成する場合には、生体物質と結合化合物とを溶媒又は分散媒中で混合し(混合工程)、得られた混合液を基板上にスポッティングし(スポッティング工程)、基板上の液滴から乾燥により溶媒又は分散媒を除去して特定ゲルを固定化する(乾燥工程)方法が好ましい。以下、この方法について詳しく説明する。
〔混合工程〕
混合工程では、生体物質と結合化合物とを、溶媒又は分散媒などの媒質中において混合する。生体物質及び結合化合物が混合されて同一系内に共存することによって、生体物質と結合化合物とが結合し、粒子状塊が生成する。そして、この粒子状塊が集合し、結合することにより、特定ゲルが形成される。なお、通常は、生体物質と結合化合物とが結合して粒子状塊が形成される過程と、粒子状塊が集合して特定ゲルが形成される過程とは一連の過程として進行する。また、上記の通り、生体物質と結合化合物とは必ずしも化学反応を生じて結合するわけではないが、本明細書においては、生体物質と結合化合物とが結合する際の場を形成する物質を「媒質」と広義に呼ぶものとする。
媒質としては、特定ゲルの生成が可能な限り任意のものを用いることができるが、通常は、生体物質及び結合化合物並びに適宜用いられる添加剤(後述する)が混和しうるものを用いることが望ましい。この際、生体物質、結合化合物及び添加剤の混和状態は任意であり、溶解状態であっても分散状態であってもよいが、生体物質と結合化合物とを安定して結合させるためには、生体物質及び結合化合物が媒質中において溶解状態で存在していることが好ましい。
媒質は、生体物質と結合化合物とが結合する場を形成することになり、生体物質や結合化合物等の活性や構造の安定性などに影響を与えることがあるため、その影響を考慮して選択することが好ましい。通常は、媒質として水を用いる。また、媒質としては水以外の液体を用いても良く、例えば、有機溶媒を用いることができる。さらに、有機溶媒の中でも、両親媒性溶媒、即ち、水に混和しうる有機溶媒が好ましい。水以外の媒質の具体例としては、メタノール、エタノール、1−ブタノールなどのアルコール系溶媒の他に、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、NMP(N−メチルピロリドン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ジオキサン、アセトニトリル、ピリジン、アセトン、グリセリンなどが挙げられる。
また、これらの媒質として液体を用いる際には、この媒質に塩を加えても良い。塩の種類は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、具体例としては、NaCl、KCl、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。また、用いる塩の量に制限は無く、用途に応じて任意の量の塩を用いることができる。
さらに、媒質として水を用いている場合、水としては、純水のほか、生体物質や結合化合物以外の溶質を溶解した水溶液を用いることもできる。その例としては、各種緩衝液を挙げることができ、その具体例としては、炭酸バッファー、リン酸バッファー、酢酸バッファー、HEPESバッファー、TRISバッファーなどが挙げられる。なお、媒質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、必要に応じて、生体物質及び結合化合物に加えて添加剤を混合するようにしてもよい。添加剤の例としては、上記の塩の他、酸、塩基、バッファー、グリセリン等の保湿剤、生体物質の安定剤としての亜鉛等の金属イオン、消泡剤、変性剤などを挙げることができる。なお、添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
混合する生体物質、結合化合物、媒質、添加剤等の混合比率は、特定ゲルを得ることができる限り任意である。ただし、「(結合化合物の重量)/(生体物質の重量)」で表される混合比率は、通常1/100以上、好ましくは5/100以上、より好ましくは10/100以上であり、通常10000/100以下、好ましくは200/100以下、より好ましくは100/100以下である。この範囲外では、粒子状塊が形成されない可能性があるためである。
また、媒質中における生体物質及び結合化合物の割合(濃度)も特定ゲルを得ることができる限り任意であるが、生体物質及び結合化合物の合計濃度は、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、1重量%以上が特に好ましく、また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下が特に好ましい。均一な特定ゲルを形成させるためには、混合液調製の段階において、媒質中で生体物質と結合化合物とを均一に混合することが好ましいことから、一旦比較的大量の媒質中に生体物質及び結合化合物を共存させることが好ましいからである。
混合に際し、生体物質、結合化合物、媒質、添加剤等は、特定ゲルの製造が可能である限りどのような状態で用意をしてもよい。ただし、生体物質に関しては、通常は、何らかの溶媒や分散媒に生体物質を溶解又は分散させた溶液や分散液として用意する。この場合、生体物質を希釈させる溶媒や分散媒は、生体物質の活性や構造の安定性等を考慮して調整することが好ましく、例えば、混合に用いる上記の媒質と同様のものを溶媒や分散媒として用いることができる。
用意した生体物質、結合化合物、媒質、添加剤等を混合する際の具体的な操作も任意である。例えば、生体物質の溶液又は分散液と結合化合物の溶液又は分散液とを混合してもよく、生体物質の溶液又は分散液と固体状の結合化合物とを混合してもよく、固体状の生体物質と結合化合物の溶液又は分散液とを混合してもよく、固体状の生体物質及び結合化合物と溶媒とを混合してもよい。
生体物質と結合化合物とを混合することによって粒子状塊が形成され、この粒子状塊が集合することにより、特定ゲルが構成される。特定ゲルの形成過程は明らかではないが、以下のように推測できる。即ち、生体物質と結合化合物とを共存させた混合液を調製すると、混合液中において生体物質と結合化合物とが結合し(図2(a)参照)、図2(b)に示すような粒子状塊が生成される。このような特定ゲルが形成される過程での粒子状塊の確認は、動的光散乱測定などによって行なうことができる。例えば、10nm程度のタンパク質と10nm程度の結合化合物を溶液中で混合した場合、サブミクロンオーダーの粒子状塊が確認されることがある。この粒子状塊は、さらに粒子状塊同士が集合することによって、図1(a),(b)に示すように、粒子状塊が鎖状及び/又は網目状に集合した構造を有する特定ゲルを形成するものと推測される。また、この際には、結合する粒子状塊は、互いに有する生体物質及び結合化合物が結合することによって、粒子状塊同士が互いに結合して特定ゲルを形成することもあるものと推測される。この場合、特定ゲルはより安定になるため、広い環境や用途への適用が可能となり、好ましい。
〔スポッティング工程〕
得られた混合液は、基板上の所望の位置にスポッティングされる。ここでスポッティングとは、対象となる液体の液滴を固相の担体(ここでは基板)に付着させる操作のことを広くいう。
スポッティングを行うための装置(「スポッタ」という。)に制限は無い。例えば、ピン型スポッタを使用することができる。ピン型スポッタは、柱状のピンの先端に液を付着させた後、或いは、円筒状のピンの内部に表面張力により液を吸い上げた後に、ピンと基板とを接触させたり近付けたりすることにより、液滴を基板に移すものである。その例としては、GENOMIC SOLUTIONS マイクロアレイヤー OmniGrid(TM) Microarrayer Seriesなどが挙げられる。また、スポッタとしては液滴を飛翔させる型のスポッタを使用してもよい。液滴を飛翔させるスポッタしては、ピエゾ方式や、ソレノイドバルブを使用したものなどが挙げられる。その例としては、GENOMIC SOLUTIONS SynQUAD(TM) Systemsなどが挙げられる。
また、一つのスポットを形成するためのスポッティングは、1回だけ行なってもよく、2回以上行なってもよい。特に微小なスポットを形成する場合には、液中の媒質の乾燥は速く、数分以内に液滴が揮発してしまう傾向があるため、厚みの厚いスポットを形成する観点からは、2回以上スポッティングを行うことが好ましい。
スポッティングを行う位置、スポッティングする液滴の量、スポッティングの回数などは、形成しようとするスポットの位置、大きさ、厚みなどに応じて適切に設定すればよい。
〔乾燥工程〕
スポッティングにより混合液の液滴を基板に付着させた後、特定ゲルを基板上に固定化するために、液滴中の媒質を乾燥させることが好ましい。固定化されたゲルにより、スポットが形成される。上記の混合液中の媒質の量が多い場合などにおいては、混合液中に粒子状塊又は特定ゲルが生成しにくい場合や、生成しない場合がある。これらの場合でも、混合液を乾燥の途中で濃縮されることで、粒子状塊が効率的に生成させ、特定ゲルが効率的に生成することになる。また、上記の混合液が粒子状塊又は特定ゲルの断片を含んでいる場合においても、濃縮及び乾燥により、粒子状塊又は特定ゲルを更に形成させることができる。
混合液を乾燥させる方法は任意であるが、例えば、限外濾過、減圧乾燥などが挙げられる。また、このほか、単に常圧下での蒸発により乾燥や濃縮を行なうようにしてもかまわない。上記混合液を乾燥させる際の温度条件は任意であるが、生体物質の変性等を避ける観点から、通常25℃以下、好ましくは10℃以下で行なうことが望ましい。また、混合液を乾燥させる際の圧力条件も任意であるが、通常は、常圧以下に減圧して行なうことが望ましい。
〔その他の工程〕
なお、ゲルスポッティング工程においては、ゲルを基板表面に固定化できるかぎり、上述した以外の工程を行なっても良い。例えば、生体物質と結合化合物と媒質とを混合した混合液をスポッティングに先立って遠心分離したり、混合液に特定ゲルの貧溶媒を混合したり、硫酸アンモン等の添加剤を混合したりして、粒子状塊の生成を促してもよい。生体物質と結合化合物とが接触する確率を上げて粒子状塊を形成させやすくし、それら粒子状塊同士が接触する確率を上げて特定ゲルを生成しやすくするためである。
また、例えば、ゲルのスポットを形成できる限り、前記の混合液中に、生体物質、結合化合物及び媒質以外の成分を混合するようにしてもよい。いつの時点で混合するかは任意である。また、その他の成分は1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、生体物質及び媒質を混合した混合液と、結合化合物及び媒質を混合した混合液とを別々に基板にスポッティングし、基板上の液滴中で生体物質と結合化合物とを反応させて特定ゲルを生成させ、その後で媒質を乾燥させてスポットを形成するようにしてもよい。
〔洗浄工程〕
前述のゲルスポッティング工程の乾燥工程後に、チップを洗浄するようにしてもよい。チップを洗浄することで、未反応の該生体物質やポリマーを除去できる。この際、洗浄液として適切なものを用いれば、ゲルは基板と結合しているため、この洗浄工程によっては脱離せず、チップの性能を損なうことは無い。
また、前述のゲルスポッティング工程の乾燥工程後に、チップを洗浄することなく後述のリガンドスポッティング工程を行ってもよい。この場合、リガンドの一部がゲルのスポッティングに使用した未反応の該生体物質に結合することにより、ゲルのスポットに固定化されるリガンド量が低下する場合は、リガンドの濃度や量を適切に選ぶ事によって問題解決が図られる。また、本手法によれば、ゲルのスポット作製後の洗浄工程を省けるため、プロセス上のメリットがある。
[1−3.リガンドスポッティング工程]
リガンドスポッティング工程では、前記のゲルスポッティング工程で形成されたスポット上にリガンド溶液をスポッティングして、リガンドを前記スポットに固定化する。
[1−3−1.リガンド溶液]
リガンド溶液は、適切な溶媒にリガンドを溶解させた溶液である。
〔リガンド〕
リガンドには制限が無く、ゲルに固定化できる任意の物質を用いることができる。また、例えばゲルに直接結合しなくても、リンカー(後述する)を介してゲルに結合して固定化できる物質もリガンドとして使用可能である。
リガンドの例を挙げると、タンパク質、糖類、低分子化合物、生理活性物質などが挙げられる。タンパク質としては、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE等の抗体;植物由来のレクチン、動物由来のレクチン、人工的に作製したレクチン等のレクチン;薬剤などの、他の物質に結合する能力を有するタンパク質が挙げられる。
「糖類」とは、単糖及びその誘導体(以下これらを総称して「単糖類」という)、並びに、2以上の単糖類がグリコシド結合で繋がってなる化合物及びその誘導体(以下これらを総称して「多糖類」という)を指す。また、多糖類を「糖鎖」という場合もある。糖類は、天然由来の分子でも合成された分子でもリガンドとして使用できる。また、天然に存在する分子構造を持つ単糖もしくはそれにより構成される多糖でも、それらに官能基の付加や置換等の修飾を加えたものでもリガンドとして使用できる。中でも、天然に存在する分子構造を持つ単糖若しくはそれにより構成される多糖が好ましい。
単糖の種類は特に制限されず、任意の単糖を使用することが可能であり、アルドース、ケトース等の何れであってもよい。また、その主骨格の炭素数も特に制限されないが、通常5以上、好ましくは6以上、また、通常9以下、好ましくは8以下、更に好ましくは7以下である。即ち、ペントース(炭素数5)及びヘキソース(炭素数6)が好ましく、中でもヘキソース(炭素数6)が特に好ましい。ペントースの具体例としては、キシロース、リボース、リブロース、キシルロース等が挙げられる。また、ヘキソースの具体例としては、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース等が挙げられる。その他の天然由来の糖としては、シアル酸(炭素数9)が好ましい。
また、天然に存在する分子構造を持つ単糖の例としては、グルコサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸等のアミノ糖(グリコサミン);グルクロン酸、イズロン酸等のウロン酸;グルコン酸等のアルドン酸;グルシトール(ソルビトール)、リビトール、キシリトール等の糖アルコール;オキシリボース、フコース等のデオキシ糖などが挙げられる。また、上述の単糖の窒素原子又は酸素原子上にアセチル基等の置換基を有する自然に存在する分子構造を持つ単糖も使用できる。このようなものとして、窒素原子上にアセチル基などを有する単糖の誘導体の例としては、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルノイラミン酸、9−O−アセチル−N−アセチルノイラミン酸、N−グリコイルノイラミン酸等のシアル酸などが挙げられる。
一方、多糖(糖鎖)とは、上述の様に、単糖類(単糖及びその誘導体)が2つ以上、グリコシド結合で直接繋がったものである。多糖を構成する単糖類の数に特に制限はなく、調製の容易さとその機能など、実用的な観点から選べばよいが、20個以下の単糖類が直接結合してなる多糖(これを「オリゴ糖」と呼ぶ場合がある。)が特に好適に用いられる。オリゴ糖を構成する単糖類の数は、中でも12個以下、更には10個以下、特に6個以下、とりわけ5個以下であることが好ましい。
多糖を構成する単糖類の種類は任意であり、目的に応じて、上述の単糖類(単糖又はその誘導体)の中から任意に選択できる。また、多糖は一種類の単糖類から構成されるもの(ホモ多糖、単純多糖)であってもよく、二種類以上の単糖類から構成されるもの(ヘテロ多糖、複合多糖)であってもよい。その具体例を挙げると、プロテオグリカン及びグリコサミノグリカンとしては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸等が挙げられる。
また、リガンドとしては、例えば、金属キレート、ビタミン、グルタチオン、ボロン酸、抗原、核酸、生理活性物質、脂質、ホルモン、環境ホルモン、キレート形成基なども挙げられる。リガンドとして金属キレート、グルタチオン、糖類等を用いれば、アフィニティータグとして、ポリヒスチジン(His−タグ)、グルタチオン−s−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質を用いた場合などに、本発明のチップを用いて被検出物質を有効に検出することができる。リガンドとして糖類を用いれば、本発明のチップを用いてレクチン、糖類結合蛋白、細胞外マトリックス、ウイルス等を検出することができる。リガンドとしてボロン酸を用いれば、本発明のチップを用いて糖類及び糖を含む化合物(例えば、糖鎖を有するタンパク質等)を有効に検出できる。リガンドとして酵素を用いた場合、本発明のチップを用いて基質を相互作用させることができ、有効な固定化酵素を提供することができる。リガンドとして脂質を用いることにより、本発明のチップを用いて脂質結合タンパク質等を検出することができる。リガンドとしてホルモンや環境ホルモンを用いた場合、本発明のチップを用いて、それらに結合する生体物質を検出することができる。リガンドとしてビオチンを用いれば、本発明のチップを用いてアビジン、ストレプトアビジン、もしくはアビジン誘導体等を検出することができる。リガンドとして抗体もしくは抗原を用いれば、リガンドを抗体とした場合には抗原を、リガンドを抗原とした場合には抗体を、本発明のチップを用いて検出することができる。リガンドとしてレクチンを用いれば、糖類を本発明のチップを用いて検出することができる。リガンドとして核酸(例えば、DNAやRNA等の核酸分子やPNAなどのペプチド核酸)を用いれば、本発明のチップを遺伝子相互作用解析のために用いることができる。リガンドとしてFK506(Chemistry & Biology Vol.9 691−698 (2002))などの生理活性物質を用いれば、FKBP12などの結合たんぱく質を検出したり、疾患に寄与するレセプターなどのたんぱく質を検出したりして、本発明のチップを医薬候補化合物の作用機構解明ツールもしくはスクリーニングツールとして用いることができる。リガンドとしてキレート形成基を用いれば、本発明のチップを金属イオンの分離等に用いることができる。なお、リガンドは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
リガンド溶液中のリガンドの濃度は、リガンドをスポットに固定化できる限り任意であるが、通常1ng/ml以上、好ましくは10ng/ml以上、より好ましくは100ng/ml以上であり、通常100mg/ml以下、好ましくは10mg/ml以下、より好ましくは1mg/ml以下である。濃度が低すぎると固定化されたリガンドの量が少なく、得られるチップをアッセイに使用した場合に十分な被検出物質を捕捉できずに検出ができない可能性があり、高すぎると経済的に不利になることに加えて、リガンド溶液の粘性などの変化により、スポッティングが出来ない可能性がある。
〔溶媒〕
リガンド溶液に含まれる溶媒は、リガンドを溶解させることができるものであれば制限はなく、水系溶媒も有機溶媒もが使用できる。水系溶媒としては、水、緩衝溶液等が挙げられ、生体物質の失活を抑える観点からは、通常は水を用いる。一方、有機溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールの低級ジエルキルエーテル類;グリセリン;スルホラン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF);などの水溶性有機溶媒などが挙げられる。中でもメタノール、エタノール、DMSO、DMF等が好ましく、その中でもDMSO又はDMFがより好ましい。また、溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。例えば、リガンドが水に溶けにくい場合に、水と水溶性有機溶媒とを混合した混合溶媒を用いことがある。この際、水と水溶性有機溶媒との合計溶媒に占める水溶性有機溶媒の比率は任意であるが、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
〔その他の成分〕
リガンド溶液には、リガンドをスポットに固定化できる限り、リガンド及び溶媒以外の成分が含有されていてもよい。なお、これらの成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
[1−3−2.リガンド溶液のスポッティング方法]
リガンド溶液を、基板表面に形成されたゲルのスポット上にスポッティングすることで、スポットにリガンドが固定化される。この際、スポッティングの方法に制限はなく、任意のスポッタを用いてスポッティングできる。
スポッタの例を挙げると、ゲルを固定化するために混合液をスポッティングするスポッタとして例示したものと同様のものが挙げられる。
また、リガンド溶液のスポッティングは、一つのスポットあたり1回だけ行なうようにしてもよく、2回以上行なうようにしてもよい。特に本実施形態のスポットのように微小なスポットであれば、リガンド溶液から溶媒が速く乾燥し、数分以内に揮発してしまうため、2回以上スポッティングを行うことにより、比較的多量のリガンドを固定化させることができる。また、2回以上のスポッティングを行うことによりスポッティングされるリガンド溶液の量が多くなれば、リガンド溶液の液滴から溶媒が乾燥するためにかかる時間を長くすることができ、スポットを形成するゲルへのリガンドの固定化時間を長くできる効果もある。
リガンド溶液をスポッティングする位置は、スポッティングされるリガンド溶液の液滴がゲルのスポットに接触している限りにおいて制限は無い。ただし、スポットから大きく外れて基板のスポット以外の部分に広くリガンド溶液を付着させることは、チップを検出用途に用いた場合にバックグラウンドの増加を招きチップ使用時のノイズの要因となる点からも避けるべきである。
リガンド溶液のスポッティングの際の条件は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。中でも、温度は、通常0℃以上、好ましくは4℃以上、より好ましくは10℃以上、特に好ましくは20℃以上であり、また、通常50℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは37℃以下である。圧力は、大気圧が好ましい。
ゲルのスポットにリガンド溶液をスポッティングすると、通常は、ゲルにリガンドが接触し、結合する。これにより、スポットにリガンドが固定化される。この際のリガンドとゲルとは、例えば、共有結合、生体関連物質間相互作用、強固な疎水結合などの強固な結合により結合している。具体例を挙げると、エステル結合、アミド結合、ビオチン−アビジン結合などが挙げられる。また、シッフ塩基化反応、還元アミノ化反応、ディールス・アルダー反応、ジエンとジエノファイルの反応、アジドとエチニル基の反応、HISタグとHISタグ固定基との反応等の反応により結合させることもできる。ただし、リガンドをゲルに結合させる際の結合及び反応は、これら例示したものに限定されない。
また、スポッティングされたリガンド溶液はゲルの内部に浸透し、リガンドは内部のゲルとも結合することになる。このため、スポットの表面部分だけでなくスポットの内部にもゲルを固定化することが可能であり、リガンドを高密度に固定化することが可能である。なお、通常は、スポッティング後の液滴に含まれる溶媒は速やかに揮発するため、リガンド溶液のスポッティング後のスポットにリガンド溶液の溶媒が残留することはない。
このように、予め基板表面に形成しておいたゲルのスポット上に、いわば重ね打ちするようにリガンド溶液をスポッティングすることで、簡単に、リガンドが固定化された微小なゲルのスポットを有するチップを製造できる。この際、スポット上にだけリガンド溶液をスポッティングするため、従来のようにリガンド間の部分に付着するリガンド溶液を減少又は無くすことができ、リガンドの使用量を大幅に低減させることができる。
さらに、各スポットに同じリガンドを固定化するようにしてもよいが、それぞれ別のリガンド溶液をスポッティングするようにすることで、各スポットにそれぞれ異なるリガンドを固定化することが可能となる。即ち、別々のリガンドを含有したリガンド溶液を別々のスポットにスポッティングすることで、それぞれ異なるリガンドが固定化されたゲルの微小なスポットを多数形成することができる。こうして得られたチップを用いれば、単数又は複数の被検出物質と複数のリガンドとの相互作用を同時に測定することが可能である。また、得られたチップにより複数の被検出物質が含まれる検体を分析する場合には、各々の被検出物質に対応する各々のリガンドの相互作用を測定することが可能なため、それらの被検出物質の割合を求めることもできる。
また、別種のリガンドを含む複数のリガンド溶液をひとつのスポットにスポッティングしてもよい。この場合、複数種のリガンドが一つのスポットに固定化されることによる相乗効果の測定に、チップを使用することが可能となる。
〔より好ましい態様〕
ところで、本発明者らが更に検討したところ、上述した製造方法では微小スケールのチップを作製しているため、基板の伸縮により、基板上に形成されたゲルのスポットの位置と、リガンド溶液をスポッティングする位置とがずれることがあることが分かった。このようなずれの程度は、基板の材質;使用する溶媒;温度及び湿度等の条件;或いはそれらの組み合わせ及び順序などにより変動するため、通常はスポッティングの都度に異なり、その制御が非常に困難である。
一方で、ゲルは三次元的な網目構造を有しているため、リガンド溶液をスポッティングすればリガンド溶液は速やかにゲル内に浸透し、仮にリガンド溶液のスポッティングの位置が上記のようにずれても浸透によりリガンド溶液はスポット全体に広がるものと考えられていた。しかし、微小スケールにおいては、スポッティングされる液滴の量が非常に少なく、液滴中の溶媒の揮発が速いため、当該リガンド溶液がスポットゲル全体に浸透するよりも早く溶媒が揮発してスポットの一部にしかリガンドが固定化されないことがある。さらに、ゲル自体の性質によりリガンド溶液の浸透に時間がかかるものもある。
液滴中の溶媒が揮発するに要する時間に制限はないが、30分以内である時に効果が高く、その中でも10分以内、さらにその中でも5分以内、さらに特にその中でも2分以内、最もその中でも1分以内である時に効果が高い。
このため、基板1の伸縮等により図3(a)に示すようにスポッタ2の位置がスポット3の正面の位置からずれると、図3(b)に示すようにスポッティングされたリガンド溶液の液滴4がスポット3から部分的に外れることがある。この場合、上述したように液滴4中の溶媒の揮発等によりリガンド溶液がスポット3の全体に浸透せず、図3(c)に示すように、スポット3にはリガンドが固定化された部分3aと固定化されていない部分3bが形成されることがある。このような課題は本発明の構成によりはじめて生じるものであるが、製造されるチップの歩留まりを高める観点からは、解決が望まれるものである。そこで、リガンドスポッティング工程においては、以下に例示するような操作を行なうことが好ましい。
(1)大きなスポッタを使用したスポッティング;
第一に、図4(a)〜(c)に示すように、スポット3よりも広い範囲を一度に(即ち、1回で)スポッティングすることができるスポッタ2により、スポット3を覆うようにリガンド溶液をスポッティングすることが好ましい。即ち、図4(a)に示すように、スポット3よりも広い範囲を一度にスポッティングできる程度に大きいスポッタ2を用いてリガンド溶液をスポッティングするのである。これにより、図4(b)に示すようにリガンド溶液の液滴4によりスポット3全体を覆うことができる。これにより、リガンド溶液がスポット3の径方向(図中横方向)に浸透する以前に溶媒が揮発する場合であっても、図4(c)に示すようにスポット3全体にリガンドを固定化することが可能である。なお、スポット3の厚みは通常は径方向の大きさに比べて非常に小さいため、リガンド溶液はスポット3の厚み方向には充分に浸透できる。
この場合、使用するスポッタ2が一度にスポッティングできる範囲は、前記の基板1の伸縮度合いに応じて設定すればよい。基板1が伸縮する場合、その伸縮度合いは、厳密に再現されずにある程度の誤差が発生する傾向があるため、このずれの誤差を見込んで、見込まれる最大誤差が生じた場合でもスポット3全体を覆うことができる程度に広い範囲をスポッティングできるスポッタ2を用いることが好ましい。このずれの位置及び誤差の程度は、基板1の材質や製造プロセスに応じて設定すればよい。例えば、基板を樹脂により構成する場合、スポッタ2が一度にスポッティングする範囲の径を、スポット3の径の、好ましくは1.05倍以上、より好ましくは1.5倍以上、特に好ましくは2倍以上とする。ただし、スポッタ2が一度にスポッティングする範囲が広すぎるとリガンド溶液の使用量が多くなる傾向があるため、通常は3倍以下にする。
また、リガンド溶液をスポッティングする際のスポッタ2の中心位置は、必ずしもスポット3の中心位置にある必要はなく、その中心位置のずれが十分に計画されていれば、スポッティングされたリガンド溶液の液滴4により完全にスポット3を覆うことができる。
(2)位置をずらしながらの複数回のスポッティング;
第二に、図5(a)〜(d)に示すように、一つのスポット3にスポッティングを行うにあたって、スポッタ2の位置をずらして複数回スポッティングして、リガンドをスポット3に固定化することが好ましい。即ち、図5(a)〜(c)に示すようにスポッタ2の位置をずらしながらリガンド溶液を順次スポッティングし、これによりスポッティングできる範囲を移動させ、結果としてスポット3の全体にリガンド溶液の液滴4を付着させるようにすることで、図5(d)に示すようにスポット3の全体にリガンドを固定化できる。
この場合、複数回のスポッティングによりリガンド溶液の液滴4を付着させる範囲は、前記の基板1の伸縮度合いに応じて設定すればよい。前記のとおり、基板1が伸縮する場合、その伸縮度合いは、厳密に再現されずにある程度の誤差が発生する傾向があるため、このずれの誤差を見込んで、見込まれる最大誤差が生じた場合でもスポット3全体に液滴4を付着させられる範囲で位置をずらしてスポッティングすることが好ましい。
前記のずれの位置及び誤差の程度は、基板1の材質や製造プロセスに応じて設定すればよい。複数回のスポッティングの際のスポッタ2の配置が十分に計画されていれば、複数回のスポッティングにより、リガンド溶液の液滴4をスポット3全体に付着させることができる。
また、スポッティングを複数回行う場合には、スポッティングは、前回にスポッティングされた液滴が乾燥する前に次回のスポッティングを行なってもよく、乾燥した後に次回のスポッティングを行なってもよい。ただし、リガンドの固定化量の均一性の面からは、乾燥前に次回のスポッティングを行うことが好ましい。
1箇所のスポット3あたりのスポッティング回数は2回以上であれば制限は無いが、確実にスポット3の全体にリガンドを固定化する観点からは3回以上が好ましく、4回以上がより好ましい。ただし、スポッティング回数が多すぎるとチップの製造効率が低下するため通常6回以下である。
また、スポッティングするたびにスポッタ2をずらす程度に制限は無いが、スポッタ2が一度にスポッティングする範囲の径に対して、通常0.1倍以上、好ましくは0.2倍以上、特に好ましくは0.5倍以上の距離だけずらすことが望ましく、また、通常2倍以下、好ましくは1倍以下の距離だけずらすことが望ましい。
さらに、スポッタ2をずらす方向についても制限はなく、結果的にスポット3の全体にリガンド溶液をスポッティングすることができれば任意の方向にずらすようにすればよい。例えば、一方向に直進させるようにずらしてもよく、スポッティングするたびに方向を変化させるようにしてもよい。例えば、円あるいは四角形を描くように、スポッタ2をずらすと、より確実にスポット3の全体にリガンド溶液をスポッティングできるため、好ましい。
(3)第一及び第二の例のまとめ
一般に、スポットの極一部にしかリガンドが固定化されていない場合でも、その影響が許容範囲であったり、有効な他のスポットにおいてリガンドが同等の割合で部分的に固定化されていたりすれば問題が無い。しかし、本実施形態のチップのようにスポットが微小である場合には前記のずれの影響は大きい。これに対し、上記第一及び第二の例のように、充分に広い範囲を一度にスポッティングできるスポッタを用いるか、位置をずらしながら複数回のスポッティングをすれば、ゲルのスポットの全体にリガンドを固定化できる。このように、スポット全体にリガンドが固定化されていることにより、チップ使用時の信号強度が増大するという点で、また、各スポット間でのばらつきが低くなるという点で、好ましい。さらに、上記第一及び第二の例のような操作を行なえば、ゲルが存在しない基板表面部分へのリガンドの付着を最小限に、または計画された範囲に抑えることができる。
上記第一及び第二の例のような操作は、特にゲルのスポットの大きさと、リガンド溶液のスポッティング範囲の大きさとが異なる場合や、基板の伸縮によりゲルのスポットとリガンド溶液のスポッティング位置とにずれが生じる場合に有効である。また、上記第一及び第二の例のような操作は、リガンド溶液の微小なスポットをゲルのスポットにスポッティングしたときに、リガンド溶液がゲル全体に浸透する前にリガンド溶液が乾燥する場合、即ち、リガンド溶液がゲル全体に浸透するのに要する時間よりもリガンド溶液が乾燥するのに要する時間の方が短い場合に、特に効果が高い。したがって、上記第一及び第二の例のような操作は、ゲルが撥水性を有する場合に特に有用である。
〔その他〕
なお、リガンドスポッティング工程において、上述したようにスポッタの位置をずらさずに複数回のスポッティングを行うことも可能であるが、この場合にはスポッティングを連続的に行うことでスポットに付着する液滴を大きくし、スポット全体を覆うようにすることも可能である。
[1−4.その他]
本実施形態のチップの製造方法においては、上述したゲルスポッティング工程及びリガンドスポッティング工程以外の工程を行なうようにしてもよい。例えば、以下に説明するリンカースポッティング工程、リンカー混合工程、洗浄工程などを行なってもよい。
〔リンカースポッティング工程〕
リンカースポッティング工程は、ゲルスポッティング工程の後、リガンドスポッティング工程の前に、ゲル及びリガンドに結合可能なリンカーを含む溶液(以下、適宜「リンカー溶液」ということがある。)をスポットに接触させて、リンカーをスポットに固定化する工程である。
リンカーは、ゲルとリガンドとを連結する分子である。スポットにリガンドを固定化する場合、スポットを構成するゲルとリガンドとが直接に結合する以外にも、何らかのリンカーを介して結合していてもよい。通常は、リンカーを用いることにより、チップを検出用途に用いる場合にリガンドと被検出物質との相互作用を高めることが可能となる。このため、リンカーを使用してリガンドとゲルとを間接的に結合させることが好ましい。
リンカーとしては、ゲルとリガンドとの両方に結合できるものを用いる。したがって、例えばゲルとして特定ゲルを使用する場合には、生体物質及び結合化合物の一方又は両方として、リンカーと結合しうるものを用いる。この場合、生体物質及び結合化合物とリンカーとの結合は、製造されるチップの種類や用途などに応じて、どのような結合であってもよい。結合の例としては、共有結合、イオン結合、キレート結合、配位結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び静電力による結合などが挙げられるが、これらの分類に当てはまらない別の結合であってもよい。なお、リンカーを介して間接的にリガンドと特定ゲルとを結合させるようにする場合は、リガンドと生体物質及び結合化合物とは、必ずしも直接に結合可能でなくてもよい。
リンカーの種類に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、中でも、親水性を有する分子(親水性分子)をリンカーとして用いることが好ましい。リンカーが親水性であるためには、リンカーを構成する分子中に、例えば、アミノ基、−NHCO−基、ヒドロキシカルボニル基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基、ポリエチレングリコール等の親水性の原子団が含まれるようにすることが望ましい。中でも、ポリエチレングリコール鎖は、タンパク質の非特異吸着を抑制することが知られているため、生体物質や対象物質としてタンパク質を用いる場合には、ポリエチレングリコール鎖を含有するリンカーを用いることが望ましい。なお、リンカーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
リンカー溶液に含まれる溶媒はリンカーを溶解させるものであれば制限は無く、例えば、リガンド溶液の溶媒と同様のものを用いることができる。なお、リンカー溶液の溶媒も、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。
リンカー溶液中のリンカーの濃度に制限は無いが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。濃度が低すぎるとゲルに固定化されるリンカーの量が不十分で十分な量のリガンドをゲルに固定化することが出来ない可能性があり、高すぎるとゲルの変性を招く可能性がある。
リンカー溶液をスポットの接触させる方法に制限はない。例えば、リンカー溶液にチップを浸漬させてもよく、基板にリンカー溶液を塗布するようにしてもよい。中でも、リンカー溶液の使用量を抑制する観点からは、上述したリガンドスポッティング工程でリガンド溶液をスポッティングしたのと同様にして、基板上のスポットにリンカー溶液をスポッティングすることが好ましい。これにより、スポットを構成するゲルにリンカーが結合する。そして、このリンカースポッティング工程の後でリガンドスポッティング工程を行えば、リンカーにリガンドが結合して、結果的にスポットにリガンドが固定化されることになる。
〔リンカー混合工程〕
リンカー混合工程は、リガンドスポッティング工程の前に、ゲル及びリガンドに結合可能なリンカーと、リガンド溶液とを混合する工程である。
リンカーを予めリガンド溶液に混合すれば、リガンド溶液中でリガンドとリンカーとが結合する。そして、その後でリガンドスポッティング工程を行うと、リガンドはリンカー部分を介してゲルに結合し、結果的にスポットにリガンドが固定化されることになる。これにより、チップの使用時にリガンドと被検出物質との相互作用を高めることが可能となる。
なお、混合するリンカーの量はリガンド溶液中のリガンドの量にあわせて設定すればよい。通常は、リガンド溶液中のリガンドの量に対し、通常0.01モル倍以上、好ましくは0.1モル倍以上、より好ましくは1モル倍以上であり、通常1000モル倍以下、好ましくは100モル倍以下、より好ましくは10モル倍以下である。量が少なすぎるとゲルに固定化されるリンカーの量が不十分で十分な量のリガンドをゲルに固定化することが出来ない可能性があり、高すぎるとゲルの変性を招く可能性がある。
〔洗浄工程〕
上述したリガンドスポッティング工程の後で、チップを洗浄するようにしてもよい。チップを洗浄することで、基板表面に付着したリガンドを除去できる。この際、洗浄液として適切なものを用いれば、スポットに固定化されたリガンドはゲルと結合しているため、この洗浄工程によってはスポットから脱離せず、チップの性能を損なうことは無い。
ゲルのスポッティング工程後に、リガンドをスポッティングするが、その後に、ゲルを構成する生体物質の活性点を不活性化しておくこともアッセイの結果に好ましい結果を与える。場合によっては、被検出物質を含む溶液中に、リガンドには結合しなくても、ゲルの活性点に結合するものが含まれている可能性がある。例えばゲルがアビジンを含む場合、ビオチンを有する化合物は活性点に強く結合することは明らかであり、誤信号を検出することになる可能性がある。本問題を解決するためには、ゲルを構成する生体物質の活性点に結合し、なおかつそれ自身が非特異吸着を起こしにくい構造を有する物質を使用することが好ましい。ゲルがアビジンを含む場合を例示すれば、ビオチン基を有するリガンドをゲルのスポットに重ね打ちにより固定化した後に、ビオチンを分子内に有し、かつ非特異吸着を起こさない物質を接触させれば、この問題は解決されることに加えて、本発明の効果をさらに高めることが出来る。
このような化合物は、その目的を果たす限りにおいては特に限定されない。非特異吸着を起こしにくい構造を例示すれば、主鎖にポリエチレングリコールを含むものや、側鎖にホスホリルコリン基を含むものが挙げられ、そのなかでも主鎖にポリエチレングリコールを有するものが好ましい。ポリエチレングリコールのエチレングリコールユニットの数には制限はないが、1以上が好ましくその中でも2以上が好ましい。また上限も特にないが、1万以下が好ましく、さらには1000以下が好ましく、その中でも100以下が好ましく、特にはその中でも10以下が好ましい。
ゲルがアビジンを含む場合には、例えばビオチン基とメトキシ基を両末端に持つポリエチレングリコール等が挙げられ、ゲルがアルブミンを含み、その分子中のカルボキシル基やアミノ基をNHS化した後にリガンドを固定化する場合は例えばアミノ基とメトキシ基を両末端に持つポリエチレングリコール類、エタノールアミン、エタノールアミンメチルエーテル等が挙げられる。また、この接触手法は限定されないが、ゲルを覆うように滴下してもよいし、流路中にゲルが設置されている場合は、通液により接触させても良い。また、リガンドを固定化していないゲル・スポットそれぞれに、リガンドを重ね打つのと同様に、重ね打ってもよい。さらには、これらを組み合わせてもよく、さらには本工程において、リガンドを固定化しているゲル・スポットに上記化合物の溶液を接触させ、上記化合物を固定化してもよい。
[2.チップの構成]
上述した本発明のチップの製造方法により、基板と、基板に固定されたゲルを含んでなる複数のスポットとを備え、スポットにリガンドが固定化された本発明のチップが得られる。本発明のチップは、リガンドがスポットの全体に固定化されているため、チップの感度の低下やスポット間のばらつきが生じず、例えば検出用チップ(後述する)としての品質を高めることができる。
また、製造の際に、予め基板上に形成されたスポットに対してリガンド溶液をスポッティングしてリガンドを固定化するようにしているため、本発明のチップにおいては基板表面のスポットとスポットとの間の部分にはリガンド溶液が付着せず、リガンドが固定化されない。即ち、基板表面のスポット間にはリガンドが固定化されていない部分が形成される。このため、高いS/N比(Signal to Noise ratio)が得られる。
さらに、製造の際に、予め基板上に形成されたスポットに対してスポット毎にリガンド溶液をスポッティングするため、本発明のチップでは、スポット毎に固定化されたリガンドの種類、量などを制御できる。これにより本発明のチップは、同一基板上に形成されたスポットのうち、少なくとも1個のスポットに第一のリガンドを固定化し、他の少なくとも1個のスポットに第二のリガンド(第一のリガンドとは異なる種類のリガンド)を固定化できる。即ち、複数のゲルのスポットにそれぞれ異なるリガンドを固定化してスポットの集積度を高めることが可能である。このため、本発明のチップを検出用チップとして使用した場合、リガンドと被検出物質との相互作用を同時に複数例測定できる。
また、本発明のチップにおいては、スポットを構成するゲルとリガンドとが共有結合、生体関連物質間相互作用、強固な疎水結合などの強固な結合により結合しているため、通常の保存条件下、洗浄条件下、チップ使用時などにおけるリガンドの脱離及び変質を抑制できる。
本発明のチップにおいて、基板、ゲル及びリガンドについては上述したとおりである。また、スポットの径、厚み、及びスポット間の間隔についても、上述したとおりである。スポットにおけるリガンドの固定化量は任意に設定できるが、通常はより多くのリガンドが固定化されていることが好ましい。具体的には、「(リガンドの重量)/(スポット全体の重量)」で表される含有比率が、0.0001重量%以上であることが好ましく、0.0003重量%以上であることがより好ましく、0.01重量%以上であることが特に好ましい。なお、上記のリガンドの含有比率は、例えば、元素分析やアミノ酸分析などにより測定することができる。
ところで、本発明のチップとその他のチップとを区別する場合、例えば、その構造を公知の各種の方法により分析すればよい。その際の分析手法に制限は無いが、例えば、XPS分析や質量分析などが挙げられる。
質量分析を行なう場合には、例えば、本発明のチップの表面やスポットに存在するリガンドを適当な溶媒に再溶解させ、得られた溶液を用いて分析を行なうことが可能であるが本発明のチップ又はスポットに直接イオンを当て、イオン化された分子や原子を観測することが簡便である。このような方法としては、飛行時間型二次イオン質量分析(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry:ToF−SIMS)が挙げられる。この方法は、例えば加速されたAuイオンを表面に当て、発生する二次イオンを収集する方法であり、市販の装置が使用できる。
また、例えば、リガンドに結合しうる物質をラベル化しておき、これを接触させることにより、リガンドの有無や状態に関する情報を得ることもできる。ラベル化方法は公知の方法が使用でき、例えば、同位体ラベル、蛍光ラベル、酵素ラベル、金コロイドラベルなどが可能であるが、蛍光ラベルが簡便であり好ましい。
[3.検出方法及び装置]
上述した本発明のチップの用途に制限は無いが、スポットの集積化が可能である点を有効に活用する点から、被検出物質の検出に用いる検出用チップとして用いることが好ましい。特に、被検出物質として生体関連物質を検出する検出装置(以下、適宜「バイオセンサー」ということがある。)において用いることが好ましい。
検出時には、該ゲルが液体に浸漬された状態で測定してもよい。この場合の測定方式は特に限定されるものではないが、特に蛍光発光を測定し検出を行う場合に有効である。乾燥状態では、該ゲルがその構成成分や微細構造に起因する自己蛍光発光を持つことがあり、それを低減させることができる。すなわち、該ゲルの成分中の空気と、該ゲルを構成する生体分子やポリマーなどの物質との屈折率の違いにより散乱が起こり、これが自己蛍光発光として観測される事があるが、該ゲルを液中に浸漬した場合は、含まれる空気が液体に置き換わり、蛋白質やポリマーなどの屈折率に近くなるため、散乱が非常に小さくなる。本目的に使用可能な液体としては、油、水、リン酸緩衝溶液や炭酸緩衝溶液などの緩衝溶液が挙げられる。また、本液体には例えば有機溶媒、界面活性剤や、たんぱく質、塩類等が溶解していても良い。
有機溶媒は限定されないが、水に溶解可能なものが挙げられ、DMSO、イソプロパノールが挙げられる。界面活性剤は限定されないが、例えばtween20やtritonX等が挙げられる。たんぱく質は限定されないが例えばBSA等が挙げられる。塩類は限定されないが、例えば塩化ナトリウム、アジ化ナトリウム等が挙げられる。また、本液体には外部からの迷光を防ぐ目的で、染料や顔料などの着色剤を混入させても良い。この場合、着色剤は黒色が好ましい。
該ゲルを液体に浸漬する方法は問わないが、基板上に作製したゲル全体を覆うように液を滴下する方法や、流路中に該ゲルを設置し通液する方法が挙げられる。流路中にゲルを設置した場合は、数種類の液を連続して流通させて検出を行うことも可能であり、このような方法としては、最初にリガンドが固定化されたゲルに被検出物質を含む溶液を通液して被検出物質を固定化し、続いて被検出物質に結合する、蛍光標識ラベルされた抗体を含む溶液を通液してこの抗体を固定化し、最後に洗浄液を通液して結合していない標識ラベル化抗体を除去し、蛍光を測定することが出来る。各々の工程の間には洗浄液を通液することによる洗浄工程を入れてもよい。
該ゲルを浸漬するための液体の厚さは、特に限定されるものではなく、ゲル全体に液が浸漬されていれば良いが、ゲルの最大厚みの2倍以上が好ましく、さらには10倍以上が好ましく、中でも100倍以上が好ましく、特には500倍以上が好ましい。また、液体の深さとしては、50μm以上が好ましく、さらには100μm以上が好ましく、中でも500μm以上が好ましい。液体の深さの上限は特に限定されるものではないが、取り扱いの面から1cm以下が好ましく、さらには5mm以下が好ましく、中でも2mm以下が好ましく、特には1mm以下が好ましい。
また、溶液に浸漬したまま測定を行うことは、アッセイの最終工程後、乾かす工程が省けるためスループットが上がる利点がある。
すなわち、蛍光発光を測定する場合は、溶液に浸漬された状態で測定する事により、本発明の効果をさらに強くすることが出来る。
本発明のチップをバイオセンサーにおいて使用する場合、バイオセンサーのセンサー面を基板表面として、上述の手順でリガンドを固定化してチップを構成することにより、本発明のチップを有するバイオセンサーが得られる。
[3−1.センサーの種類]
バイオセンサーの種類としては、例えば、蛍光発光、FET、ELISA、化学発光、SPR、QCM、カンチレバー、磁性体、光導波路、表面弾性波等を利用したセンサーが挙げられる。
例えば蛍光センサーとして構成する場合、センサー面となるガラス基板もしくはプラスチック基板の上にリガンドを固定化したスポットを形成し、リガンドと蛍光ラベル化された被検出物質とを接触させた後に洗浄を行うことにより、リガンドと被検出物質との相互作用を、蛍光発光として検出することができる。また、被検出物質が蛍光ラベル化されていなくても、リガンドと被検出物質とを接触させた後に洗浄を行い、更に、被検出物質と相互作用があり且つラベル化された物質(例えば抗体)を接触させた後に洗浄を行うことにより、被検出物質を蛍光発光として検出することができる。蛍光ラベルの色素の蛍光発光の波長は、測定波長と一致させておくことが好ましい。
蛍光発光を測定し検出を行う時に、取り扱いの容易さから、測定時にはチップを乾燥状態で取り扱うことが簡便である。しかし乾燥状態では、前述のように該ゲルのスポット自体が蛍光を発する事がある。このような状態で蛍光発光を測定すれば、測定光に、該ゲルの自己蛍光発光と被検出物質を検出するための蛍光発光が混じってしまう可能性がある。特に低濃度の被検出物質を検出する場合、目的の蛍光発光の強度が小さくなるため、該ゲルの自己蛍光発光が相対的に強くなり、信頼性のある測定が出来なくなる。これは、検出下限界濃度が下げられないことを意味する。したがって、加えて該ゲルの自己蛍光発光が弱い波長で蛍光発光測定を行うことが好ましい。
この目的には、検出光の波長は、被検出物質や装置の都合に合わせて選べばよいが、580nm以上が好ましく、さらには610nm以上が好ましく、その中でも630nm以上が好ましく、特には650nm以上が好ましい。上限は特にないが、現在の一般的な検出装置の問題から2500nm以下が好ましく、その中でも1700nm以下が好ましく、さらにはその中でも1000nm以下が好ましく、特には800nm以下が好ましく、その中でも特には700nm以下が好ましい。このような波長に発光波長を持つ色素分子は特に限定はされないが、入手可能な市販のものとしては、Cy5(TM)、Alexa Flour633(TM)、Alexa Flour635(TM)、Alexa Flour647(TM)、BODIPY650/665(TM)、DiD(TM)、TOTO−3(TM)、DDAO phosphate(TM)等が挙げられ、その中でもCy5(TM)、Alexa Flour633(TM)、Alexa Flour635(TM)、Alexa Flour647(TM)が好ましく、さらにはその中でもCy5(TM)、Alexa Flour647(TM)、が好ましく、最もCy5(TM)が好ましい。また、たんぱく質や抗体に色素分子を結合させるための試薬が市販されており、それを使用することも出来る。
すなわち、乾燥した状態で蛍光測定を行う場合は、測定波長を限定することにより、本発明の効果をさらに高くすることが出来る。
また、例えばFETセンサーとして構成する場合、センサー面となるゲート電極上或いはその近傍にリガンドを固定化したスポットを形成することにより、リガンドと被検出物質との相互作用を、電位の変化として検出することができる。
また、例えばSPRセンサーとして構成する場合、センサー面となる金表面にリガンドを固定化したスポットを形成することにより、リガンドと被検出物質との相互作用を、表面プラズモン共鳴による反射角の変化、若しくは特定の反射角における反射強度等として検出することができる。
また、例えばQCMセンサーとして構成する場合、センサー面となる水晶発振子表面にリガンドを固定化したスポットを形成し、又は、水晶発振子表面に金薄膜を形成してから、その金薄膜上にリガンドを固定化したスポットを形成する。これにより、リガンドと被検出物質との相互作用を、周波数の変化として観測することが可能となる。
また、例えばカンチレバーセンサーとして構成する場合、センサー面となるカンチレバーの表面をシリコン、金、酸化シリコン等の材料で形成し、その表面にリガンドを固定化したスポットを形成する。これにより、リガンドと被検出物質との相互作用を、カンチレバーの反り等の形状変化や共鳴周波数の変化として観測することができる。
また、例えば磁性体センサーとして構成する場合、センサー表面にリガンドを固定化したスポットを形成することにより、リガンドと磁性を有する被検出物質との相互作用を、超伝導量子干渉素子(superconducting quantum interferencedevice:以下「SQUID」と略する。)やホール素子を用いた装置により検出することができる。
また、例えば光導波路センサーとして構成する場合、センサー面となる光路を2つに分けて、一方の一部の表面にリガンドを固定化したスポットを形成する。リガンドと被検出物質との相互作用が生じると、光の速度又は位相の変化が生じるので、これを他方の光との干渉として検出することができる。
[3−2.センサーの装置構成]
前記の検出装置の具体的な構成に制限はなく、使用する検出方法や検体の種類などに応じて適切なものを選択すればよい。代表的な装置の構成としては、上述した本発明のチップと、該チップに検体を接触させるために該検体を供給する検体供給部と、該チップにおいて生じるリガンドと被検出物質との相互作用を検出するための検出部とを有する構成が挙げられる。
また、本発明のチップをバイオセンサーにおいて用いる場合、通常は装置本体に対してチップは着脱可能に構成する。そして、チップの使用時に装置本体に設けられたチップ装着部にチップを取り付け、被検出物質の検出を行う。この際、装置本体に検体を流通させうる流路を設け、この流路内にチップ装着部を設けることが好ましい。これにより、流路中にチップを取り付けて、検出の手順を連続的に実施することができる。
[3−3.被検出物質]
本発明のチップを用いた検出の対象となる被検出物質に制限は無いが、例えば本発明のチップをバイオセンサーにおいて使用する場合の被検出物質の例を挙げると、核酸、タンパク質、毒素、ウイルス、細胞、糖類、低分子化合物、又はそれらの結合体などが挙げられる。
これらの被検出物質は、リガンドと相互作用を生じるものである。具体的な種類は、検出用チップのリガンドの種類によって異なり、リガンドと相互作用できる物質が被検出物質として検出され、それ以外の物質は相互作用を生じないようになっている。したがって、前記の相互作用を検出すれば、検体中に被検出物質が含まれているか否かを判定できる。また、前記相互作用の大きさを測定できるのであれば、当該相互作用の大きさから被検出物質の量又は濃度を測定することも可能である。
通常、検体は液体又はスラリー等の液状で用意され、この検体をチップ表面のスポットに接触させて検体中の被検出物質を検出する。この際、被検出物質は水等の溶媒中に溶解又は分散した状態で用意される。なお、検体中の溶媒の種類、量、濃度などに制限はなく、被検出物質に応じて任意である。
また、一つの検体中に含まれる物質のうち、1種を被検出物質として検出するようにしてもよいが、2種以上を被検出物質として検出するようにしてもよい。上述したように、本発明のチップは基板表面に形成されたスポット毎に固定化するリガンドを調整できるため、例えばスポット毎、或いは、それぞれ異なるリガンドを有する一群のスポット集団毎に、種類、量等のリガンドの固定化条件を設定できる。したがって、スポット毎、或いは、それぞれ異なるリガンドを有する一群のスポット集団毎に検知の条件を設定し、いわゆるコンビナトリアル・アッセイとして同時に多数の条件での検知を行うことも可能である。この場合、一つのチップで多くの被検出物質を検出できるため、効率的である。特に、本発明のチップはスポットのスケールが小さいため、本目的には有利である。
[3−4.その他の用途]
本発明のチップは上述したようなセンサー以外の用途に用いることも可能である。例えば、本発明のチップは、濃縮対象物質を濃縮するためにも使用できる。一例として、濃縮対象物質を含む溶液をチップに接触させ、濃縮対象物質をリガンドに捕捉した後に適切な薬剤や条件により解離させることにより、濃縮対象物質を溶出させることができ、これにより濃縮が可能である。濃縮対象物質には制限は無いが、通常はリガンドに結合するものが好ましい。また、同様の原理により組成物から分離対象物質を分離させ、この分離対象物質の精製を行うことも可能である。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[使用した試薬]
反応に用いられる試薬及び溶媒としては、全て市販品を使用した。
ヒアルロン酸ビオチンはシグマアルドリッチ社製のものを使用した。ヒアルロン酸結合性タンパク質は生化学工業社製のものを使用した。以下「HABP」と記載する。また、これをCy3標識したものは「Cy3−HABP」と記載する。
ニホンニワトコレクチンはJ−オイルミルズ社製のものを使用した。以下「SSA」と記載する。また、これをCy3標識したものは「Cy3−SSA」と記載する。
アミノ基のビオチン化には、ピアス社製EZ−NHS−Biotinおよび、EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotinを使用した。
レクチンは、生化学工業社製のものを使用した。以下、小麦胚芽レクチン、それをCy5標識したもの、Cy3標識したものを、それぞれ「WGA」、「Cy5−WGA」、「Cy3−WGA」と記載し、コンカバナリンA、それをCy5標識したものを、それぞれ「ConA」、「Cy5−ConA」と記載し、ヒマ豆レクチン、それをCy5標識したものを、それぞれ「RCA120」、「Cy5−RCA120」と記載する。
蛍光標識化にはGE Healthcare社製のものを使用した。Cy5標識化には、Cy5 Mono−Reactive Dye Pack(1mg用)を使用し、Cy3標識化にはCy3 Mono−Reactive Dye Pack(1mg用)を用いた。
ストレプトアビジンは和光純薬社製を使用した。BSAはシグマアルドリッチ社製を使用した。
純水はMILLIPORE社製Milli−Q Gradient A10を用いて製造した。
PBSは燐酸緩衝溶液であり、シグマアルドリッチ社製を使用した。
炭酸バッファー(pH=9.4)は、純正化学社製の炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを使用し、それぞれ100mM水溶液を調製後、2液を混合してpH=9.4に調整した。
アクリルオキシスクシンイミドは、ACROS ORGANICS社製を使用した。
N−アクリロイルモルホリンはKOHJIN社製を使用した。
16−メルカプトヘキサデカン酸はアルドリッチ社製を使用し、エタノールはキシダ化学社製電子工業用エタノールを使用した。
メタノールは純正化学社製を使用した。
N―ヒドロキシコハク酸イミド(以下、「NHS」と略す。)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、「EDC」と略す。)は東京化成社製を使用した。
エタノールアミン塩酸塩は東京化成社製を使用した。
p−ニトロフェニルテトラ−N−アセチル−β−キトテトラオシド、p-ニトロフェニルβ−D−マンノピラノシドp-ニトロフェニルα−D−ガラクトピラノシドは生化学バイオビジネス社製のものを使用した。
蛍光検出器はAXON社製GenePix4000AおよびINNOPSYS社製INNOSCANを使用した。
[実施例1:Cy3−HABPの溶液の調製]
Cy3標識化キットに炭酸バッファー(pH=9.4、1.0ml)を加えて溶解させた。この溶液0.1mlを、HABP(0.1mg)に加えて溶解させた。反応は室温で行い、10分おきにマイクロピペット(登録商標ピペットマン)を使用して撹拌した。30分後、反応液をPBS(pH=7.4)で2.5mlに希釈し、ゲルカラムクロマトグラフィー(GE Healthcare社製PD−10 Desalting Column、ゲル体積8.3ml、溶離液:PBS、pH=7.4)により精製した。分取したフラクションは、溶出体積2.5〜5.5mlであり、Cy3−HABPの濃度は33.3μg/mlであった。
[実施例2:Cy3−SSAの溶液の調製]
SSA(1.3mg)に炭酸バッファー(pH=9.4、1.3ml)を加えて溶解させた。その溶液をCy3標識化キットに加えた。さらに別途、Cy3標識化キットの炭酸バッファー(pH=9.4、1.0ml)を調製し、0.3mlを抜き出し加えた。室温で、10分おきにマイクロピペットを使用し撹拌した。45分後、反応液をPBS(pH=7.4)で2.5mlに希釈し、ゲルカラムクロマトグラフィー(GE Healthcare社製PD−10 Desalting Column、 ゲル体積8.3ml、溶出液:PBS、pH=7.4)により精製した。分取したフラクションは、溶出体積2.5〜5.5mlであり、Cy3−SSAの濃度は433.3μg/mlであった。
[実施例3:ポリマーの作製]
特開2007−101520号公報の実施例1の記載に従い、アクリルオキシスクシンイミドとN−アクリロイルモルホリンからポリマーを作製した。
[実施例4:ハイドロゲルの微小スポットの作製]
〔基板の用意〕
プラスチック板(2.5×7.5cm、厚み1.1mm)にクロムおよび金を蒸着し、金チップを作製した。16−メルカプトヘキサデカン酸のエタノール溶液(5mM)を調製し、孔径0.25μmのフィルターでろ過した。この溶液に金チップを浸漬し、室温で16時間かけて金表面に自己組織化膜(以下、「SAM」と略す)の形成を行なった。エタノールで表面を洗浄し、窒素気流によって表面に残ったエタノールを除去し、十分に乾燥させた。乾燥後、純水(9ml)と、NHS水溶液(0.1M、0.5ml)、EDC水溶液(0.4M、0.5ml)を混合した液を、SAM化したチップ全面に、2ml滴下した。湿潤箱内で、室温にて15分静置した後、純水で表面を十分に洗浄し、窒素気流によって水を除去した。
〔ゲルスポッティング工程〕
続いて、実施例3で作製したポリマーの水溶液(10mg/ml)と、ストレプトアビジンの炭酸バッファー溶液(1%、pH=9.4)をそれぞれ0.5ml調製した。それぞれから10μlと、100μlを抜き取り混合し、ポリマー:ストレプトアビジンの比が1:10の液を110μl調製した。これをゲル用混合溶液という。ArrayIt社製スポットピン(型番SMP7B)を備えたスポッタを使用し、NHS化された金チップにゲル用混合溶液を144点(12行×12列)スポッティングした。スポッティングは、決められたチップ上の座標になされ、縦横それぞれの中心間距離を800μmとした。形成されたスポットの大きさは約300μmであった。スポット後は、1時間室温で静置、乾燥した。これにより、生体物質としてストレプトアビジンを含み、結合化合物として実施例3で作製したポリマーを含むハイドロゲルを含んでなるスポットが金チップ上に形成された。
〔ブロッキング工程〕
エタノールアミン塩酸塩(19.5g)およびBSA(6.0g)を水に溶解させた後、1規定のNaOH水溶液を加えてpH=8.5に調製し、溶液量が200mlになるように水で希釈し、3%BSA含有の1Mのエタノールアミン水溶液を作製した。孔径0.25μmのフィルターでろ過した後に、金チップのスポット部分に本溶液をピペットで静かに滴下した。これにより、スポットのハイドロゲル中のポリマーに残留しているNHS基および金チップ表面のNHS基がエタノールアミンやBSAのアミノ基と交換反応を起こし、不活性化されるとともにBSAによるブロッキングがなされた。室温で30分静置させたのち、純水で表面を十分に洗浄し、窒素によって表面上に残る水を除去し、ハイドロゲルを含んでなるスポットが形成された金チップを作製した。作製したチップのAFMを測定した結果を図6に示す。形成されたスポットは100nm以上大きさの粒子状隗からなるハイドロゲルを有していることが分かる。
[実施例5:ハイドロゲルへのビオチン化タンパク質の結合]
実施例4にて作製したチップに10μg/mlに調製したCy3−HRP−biotinのPBS(pH=7.4)500μlをピペットで静かに滴下し、湿潤ボックス内で30分室温にて静置した。その後純水で表面を十分に洗浄し、窒素によって表面上に残る水を除去した。蛍光スキャナーで測定したところ、全てのスポットで蛍光が強く観測され、ハイドロゲルのスポット中のアビジンが、ビオチンと結合する能力を有していることが分かった。
[実施例6:ヒアルロン酸ビオチンの固定化(リガンドスポッティング工程)]
ヒアルロン酸ビオチンのPBS(pH=7.4)を100μg/mlとなるよう調製し、これを、実施例4で作製したスポットが形成されたチップに、スポッタを用いてスポッティングした。この際、実施例4でハイドロゲルを固定化した時に使用したのと、全く同じ座標の設定を用いて、ヒアルロン酸ビオチンのPBSを、スポッタにより一部のスポットにスポッティングした。その後、室温で1時間静置、乾燥させ、純水で表面を洗浄し、窒素によって表面上に残る水を除去した。これにより、ヒアルロン酸ビオチンのPBSがスポッティングされたスポットに、リガンドとしてヒアルロン酸ビオチンが固定化された。
[実施例7:ヒアルロン酸とCy3−HABPとの結合の検出]
実施例6で作製した、チップ全体に3.0w/v%BSAのPBS(pH=7.4)をピペットで静かに滴下し、室温で30分間静置させた。純水で表面を洗浄した。チップ全体に実施例1で作製したCy3−HABPのPBS(200μl)をピペットで静かに滴下し、室温で30分間静置した。純水にて表面を洗浄したのち、窒素により表面上に残る水を除去した。蛍光検出器(AXON社製GenePix4000A)により金チップをスキャン(励起波長532nm、蛍光波長570nm)し、蛍光強度を測定した。この結果を表7に示す。また、測定時に撮影した図面代用写真を図7に示す。なお、図7の真ん中の列のスポットがヒアルロン酸ビオチンを固定化したスポットである。
表1に示すように、ヒアルロン酸とCy3−HABPとの結合が検出された。しかしながら図7に示すように、ハイドロゲルのスポットに比べてヒアルロン酸ビオチンが固定化されている部分が小さいことが分かった。これは、スポッティングされたヒアルロン酸ビオチンのPBSがスポットに染み込んで十分に広がる前に揮発してしまったことを表している。また、図7において観察される蛍光部分の形状が円形ではなく、ピン先の形状と一致する四角形であることもこのことを裏付けている。即ち、本ハイドロゲルにより形成されたスポットは、リガンドの水溶液を吸水し、ハイドロゲルのスポット全体が蛍光を発することが期待されるが、実際にはスポッタのピンの先端の形状の蛍光斑が現れている。これは、スポットにおいてスポットピンの先端で押し付けられた部分だけにリガンドが存在することを意味する。このことから、スポットピンでヒアルロン酸ビオチンのPBSを強く押し付ければこの溶液はすばやくハイドロゲルに染み込むものの、単に接触させているだけでは染み込むのに時間がかかるため、このような微小スポットでは染み込みよりも先に揮発が起こることを意味している。横方向への広がりが観測されないため、本現象は、ハイドロゲルへの、リガンドの溶液のスポットの仕方にかかわらず、同様に起こるものと考えられる。
さらには、ハイドロゲルのスポットの位置とヒアルロン酸ビオチンが固定化された部分の位置とのずれは、殆どがチップの長軸方向で起きており、短軸方向のずれは小さい。このことから、このずれはチップの伸縮に起因していることが明らかである。なお、図7において、水平方向が短軸方向であり、垂直方向が長軸方向である。これは、SAM作製時に使用したエタノールにより金チップの膨潤が起こり、チップのサイズがわずかながら増大したことに起因する。またその変化は長さに比例するため、長軸方向で顕著である。SAMの作製後の工程は、ゲルスポッティング工程、リガンドスポッティング工程、並びに、それぞれに必要な洗浄、乾燥などがあるが、その間にエタノールは基板であるプラスチックプレートから徐々にではあるが揮発し、その際にサイズは小さくなり元の大きさに戻ろうとする。そのため、SAM化後のゲルスポッティング工程の時と、さらにその後のリンカースポッティング工程の時において、チップのサイズが異なると言うことが発生していると考えられる。
[実施例8:ヒアルロン酸の固定化(リガンドスポッティング工程)]
スポッタのスポットプログラムを以下の通り変更した以外は、実施例6と同様にヒアルロン酸ビオチンのPBS(pH=7.4)をスポッティングした。プログラムは、ゲルスポッティング工程でゲル用混合溶液のスポッティングを行った時の座標(x,y)を(0,0)とすれば、(−0.2、0)、(−0.2,0.2)、(0、0)、及び(0、0.2)となるよう、ハイドロゲルの各スポットあたり、ヒアルロン酸ビオチンのPBSを4点スポッティングし、ハイドロゲルのスポットを完全にカバーするようにした。なお、前記座標の数値の単位はmmである。また、座標の軸は、図7において水平方向をx軸とし、左から右にプラスとした。また、垂直方向をy軸とし、上から下にプラスとした。
[実施例9:ヒアルロン酸とCy3−HABPとの結合の検出]
実施例8で作製したチップに、実施例7と同様にCy3−HABPを使用し、蛍光強度を測定した。結果を表2に示す。また、測定時に撮影した図面代用写真を図8に示す。なお、図8において左の白く見えている3列が本実施例9に該当し、右の白く見えている5列は比較例1(後述する)に該当する。また、図8の左上の2点を拡大した図面代用写真を、図9に示す。
実施例7においては、スポット1つにつき一点だけヒアルロン酸ビオチンのPBSをスポッティングし、ハイドロゲルのスポットの一部にだけヒアルロン酸ビオチンが固定化される結果となっていたが、本実施例では、ハイドロゲルのスポット全体が蛍光を発していることから、ハイドロゲルのスポット全体にリガンドであるヒアルロン酸ビオチンが固定化されていることがわかる。また、ヒアルロン酸ビオチンおよびゲルをスポッティングしていない部分の蛍光は非常に低く、リガンド、すなわちヒアルロン酸ビオチンが存在していないことが示された。なお、表2中Entry2よりもentry3の方が若干値が高くなっているが、測定の誤差範囲内であることは明らかである。
[比較例1;ドボ付けによりヒアルロン酸を固定化した金チップの作製]
実施例8で作製したチップの右半分のスポット(図8参照)をまとめて被うように、ヒアルロン酸ビオチンのPBS(250μg/ml、pH=7.4)200μlをかけた。室温で1時間静置させ乾燥させた。純水で表面を洗浄し、窒素によって表面上に残る水を除去した。チップ全体に3.0w/v%BSAのPBS(pH=7.4)をピペットで静かに滴下し、室温で30分間静置させた。純水で表面を洗浄した。
なお、比較例1のチップは実施例8で作製したチップと同一基板を用いたものであり、実施例9と同時に実施例9と同様の要領でCy3−HABPを使用し、蛍光強度を測定した。結果を表3に示す。また、測定時に撮影した図面代用写真を図8に示す。なお、図8において右の5列が比較例1に該当する。
Entry2に示すように、ゲルがない部分でもCy3−HABPの蛍光が、有意に検出された。この比較例1の結果と実施例9と比較すればゲルのスポットが形成されていない部分にも、ヒアルロン酸が存在していることは明らかである。ヒアルロン酸ビオチンがゲルの無い部分に存在している理由は定かではないが、非特異吸着による可能性もある。
[実施例10:捕捉されたHABPの溶出]
実施例8、および実施例9と同じ方法で、基板表面にハイドロゲルを含んでなるスポットが形成され、そのスポットにリガンドとしてビオチン化ヒアルロン酸が固定化され、このビオチン化ヒアルロン酸にCy3−HABPが固定化されたチップを作製し、その蛍光強度を測定した。なお、ビオチン化ヒアルロン酸を固定化する際に用いたPBS中のビオチン化ヒアルロン酸の濃度は、0μg/ml、100μg/ml、300μg/ml、1000μg/mlの4種にしてそれぞれ行なった。また、1回目の蛍光測定を行なった後に、チップの表面を0.1N塩酸で洗浄し、再度蛍光測定を行なった。その結果を表4及び図10に示す。
その結果、HClによる洗浄により蛍光強度は約40〜50%減少し、捕捉されていたCy3−HABPが溶出されたことがわかった。
[実施例11:シアリル糖リガンドの合成]
特開2007−298334号公報に記載の要領で、シアリル糖リガンドを作製した。
・工程1(還元的アミノ化)
三糖(化合物(1))86.8mg(0.129mmol)、モノアミン(化合物(2))25mg(0.115mmol)を10mlナスフラスコに入れて窒素置換した後、メタノール及び酢酸の混合溶媒(10:1)1mlを加えて、室温で45時間撹拌した。モノアミン(化合物(2))393mg(1.80mmol)を追加し、40℃で2.5時間、50℃で2.5時間加熱した。2−ピコリンボラン45.9mg(0.429mmol)を加え、50℃で6時間加熱した後、溶媒を留去した。ゲルろ過(Amersham社製LH−20、メタノール)を行なった。ベンズアルデヒドポリスチレン29.3g(31.6mmol)を加え、窒素置換した後、塩化メチレン28.0mlを加えた。40℃で15時間撹拌し、ろ過をした。レジンを塩化メチレン(30ml×5)、メタノール(30ml×5)で洗浄し、ろ液を溶媒留去することにより、糖化合物(化合物(3)、収率40mg、収量68%)を単離した。得られた化合物の同定はNMR及びESI−MSにより行なった。その結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl,J in Hz)δ 4.45(m,1H)、4.17〜4.09(m,2H)、3.87〜3.77(m,8H)、3.74〜3.60(m,24H)、3.53〜3.46(m,3H)、3.39(t,J=4.9Hz,2H)、3.16(q,J=7.3Hz,1H)、2.82(brd,J=10.4Hz,1H)、2.08(s,3H)、2.04(s,3H)、1.63(t,J=10.5Hz,1H)
13C NMR(100MHz,CDCl)δ 175.39、172.69、165.72、105.24、98.50、82.60、74.49、73.14、71.62、71.54、71.48、71.37、71.07、67.45、64.73、51.77、47.66、22.66
質量分析:ESI−MS法(Micromass type−ZMD)
質量走査条件:50〜1500m/e、4.0sec/scan
印加電圧:3.8kV、Cone電圧:+/−50,−100V
溶媒:メタノール
ESI(+)法で、m/z877(M+H)が観測された。その後、m/z899(M+Na)、m/z921(M−H+2Na)が観測された。またESI(−)法で、m/z875(M−H)が観測された。目的物質の質量数はMW876であり、合成目的物に相当する質量数と一致した。
・工程2(還元)
100ml四口丸底フラスコに、糖化合物(化合物(3))21.4mg(0.0244mmol)を入れて、メタノール5mlを加えた。10%パラジウムカーボン(Pd/C)6.4mg(0.005mmol)を加え、氷浴下にて、1N塩酸1.3mlを加えた。反応容器を室温に戻し、水素置換した後、12時間撹拌した。窒素置換した後、ろ過をし、ろ液を溶媒留去した。ゲルろ過(ゲルろ過(Amersham社製LH−20、メタノール)をし、溶媒留去した。メタノール4.3mlに溶解させ、氷浴下で0.01M酢酸ナトリウムのメタノール溶液4.33mlをゆっくりと加えて、1時間撹拌した。溶媒を留去した後、ゲルろ過(Amersham社製LH−20、メタノール)によって、還元体(化合物(4)、収量19.9mg、収率96%)を得た。得られた化合物の同定はNMR及びESI−MSにより行なった。その結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl,J in Hz)δ 4.53〜4.46(m,1H)、4.17〜4.09(m,2H)、3.87〜3.77(m,8H)、3.74〜3.60(m,24H)、3.53〜3.46(m,3H)、3.22〜3.16(m,3H)、2.82(brd,J=10.1Hz,1H)、2.02(s,6H)、1.60(m,1H)、1.14(brs,2H)
質量分析:ESI−MS法(Micromass type−ZMD)
質量走査条件:50〜2000m/e、4.0sec/scan
印加電圧:3.8kV、Cone電圧:30,80V
溶媒:メタノール
ESI(−)法で、m/z849(M−H)が観測された。目的物質の質量数はMW850であり、合成目的物に相当する質量数と一致した。
・工程3(ビオチン化)
5mlのナスフラスコに、前工程で得られた糖化合物(化合物(4))2.0mg(2.3μmol)、市販のビオチン化剤(化合物(5))1.3mg(2.3μmol)を入れて、窒素雰囲気下でDMF(0.25ml)、トリエチルアミン(0.020ml)を加えた。室温で4.5時間撹拌した後、溶媒留去した。ゲルろ過(Amersham社製LH−20、メタノール)による精製を行い、ビオチン化体(化合物(6)、収量0.9mg、収率32%)を得た。得られた化合物の同定はESI−MSにより行なった。その結果を以下に示す。
質量分析:ESI−MS法(Micromass type−ZMD)
質量走査条件:200〜1800m/e、4.0sec/scan
印加電圧:+/−3.8kV、Cone電圧:+/−30,+/−80V
溶媒:メタノール
ESI(−)法で、m/z1188(M−H)が観測された。目的物質の質量数はMW1189であり、合成目的物に相当する質量数と一致した。
[実施例12:ヒアルロン酸およびシアリル糖を固定化した金チップの作製]
ヒアルロン酸ビオチンのPBS(250μg/ml、pH=7.4)およびシアリル糖リガンドの水溶液(100μmol/l)を調製した後、実施例4で作製した金チップ上のゲルに、スポッタを使用し、実施例8と同じプログラムでヒアルロン酸ビオチンおよびシアリル糖リガンドをそれぞれ別のハイドロゲルのスポットに複数回スポッティングした。室温で1時間静置、乾燥させた後、純水で表面を洗浄し、窒素によって表面上に残る水を除去した。
[実施例13:ヒアルロン酸およびシアリル糖を固定化した金チップの蛍光強度測定(1)]
実施例12で作製した金チップ上のゲルスポット全体に、BSAのPBS(3.0w/v%、pH=7.4)をピペットで滴下し、室温で30分間静置した。純水で表面を洗浄し、窒素によって表面上に残る水を除去した。その後実施例1で調製したCy3−HABPのPBS200μlをピペットで静かに滴下し、室温で30分間静置した。純水にて表面を洗浄し、窒素により表面上に残る水を除去した。蛍光検出器(GenePix4000A、励起波長532nm、蛍光波長570nm)により金チップをスキャンし、蛍光強度を測定した。結果を表5に示す。
表5から分かるように、ヒアルロン酸ビオチンを固定化したスポットのみにおいてCy3−HABPに由来する蛍光が検出され、シアリル糖リガンドを固定化したスポットでは蛍光は殆ど観測されなかった。
[実施例13:ヒアルロン酸およびシアリル糖を固定化した金チップの蛍光強度測定(2)]
蛍光タンパク質を、実施例2で調製したCy3−SSAのPBS(pH=7.4、30μg/ml、200μl)に代えた以外は、実施例12と同様の操作を行ない蛍光強度を測定した。結果を表6に示す。
表6から分かるように、シアリル糖リガンドを固定化したスポットではCy3−SSAに由来する蛍光が観測されたが、ヒアルロン酸ビオチンを固定化したスポットでは蛍光は観測されなかった。
[実施例14:N−アセチルグルコサミンリガンドの合成]
p−ニトロフェニルテトラ−N−アセチル−β−キトテトラオシドのニトロ基を還元してアミノ基へ変換し、その後ビオチン化剤を用いて末端にビオチンを持つN−アセチルグルコサミンリガンドを合成した。本リガンドはN−アセチルグルコサミンが4分子結合した構造を持ち、小麦胚芽レクチン(WGA)が特異的に結合することが知られている。
・工程1(還元反応)
接触還元によりニトロ基をアミノ基へ変換した。
100mlナスフラスコに、ニトロ体(1−ニトロフェニル−N−アセチル−β−キトテトラオシド、21.0mg、22.1μmol)を入れて、メタノール980μlと水670μlを加えて溶解させた。窒素雰囲気下10%パラジウムカーボン(Pd/C)3.5mg(32.9μmol)を加え、水素置換した後、4時間撹拌した。窒素置換した後、セライトでPd/Cを分離した。ろ液を溶媒留去してアミノ体(収量21.4mg、収率100%)を得た。得られた化合物の同定はH、13C NMR及びESI−MSにより行なった。その結果を以下に示す。
HNMR(DO、400MHz、J in Hz) δ 6.76(d,8.8,2H),6.64(d,8.8,2H),4.83(d,8.3,1H),4.76(s,1H),4.71(s,1H),4.59(s,11H),4.43(t,7.5,3H),3.84−3.31(m,28H),3.19(s,2H),2.09(s3H),1.91(s3H),1.90(s,3H),1.88(s,3H).
13CNMR(DO,100MHz):δ175.2(1C),175.0(3C),150.6(1C),142.3(1C),118.6(2C),117.9(2C),101.9(1C),101.7(1C),101.6(1C),101.0(1C),79.5,79.3,79.3,76.3,75.1,74.9,73.8,72.6,72.5,72.5,70.1,60.9(1C),60.3(3C),56.0(1C),55.4(3C),22.5(4C).
質量分析:マルチモードESI+APCI法(Agilent technology 6130 Quandrupole LC/MS)
質量走査条件:500〜1800m/e、2.9sec/scan
印加電圧:3.8kV、Cone電圧:+/−50,−100V
ESI(+)法で、m/z922(M+H)、m/z944(M+Na)が観測された。目的物質の質量数はMW921.4であり、合成目的物に相当する質量数と一致した。
工程2(ビオチン化反応)
1.5mlのエッペンチューブに、アミノ体(10.8mg、11.7μmol)を入れ、ビオチン化試薬(EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotin)の水溶液400μl(ビオチン化試薬は4.9mg、8.8μmol)を加えた。さらに水400μlを加えて、3時間撹拌した。反応液を1.5mlに希釈し、Waters社製oasis HLB(3cc、60mg)を用いて固相抽出を行った。溶離液に水とメタノールの混合溶媒(50:50)を50ml用いた。溶媒留去後に、目的のN−アセチルグルコサミンリガンド(ビオチン化合物、収量3.6mg、収率23%)が得られた。得られた化合物の同定はH NMR及びESI−MSにより行なった。その結果を以下に示す。
HNMR(DO,400 MHz,J in Hz) δ7.36(d,8.8,2H),7.07(d,8.8,2H),5.13(d,8.3,1H),4.90(s,1H),4.85(t,0.8,1H),4.80(s,10H),4.75(s,1H),4.59(t,8.1,4H),4.55(dd,4.8&8.1,1H),4.31(dd,4.3&8.1,1H),4.01(dd,8.3&10.1,1H),3.94−3.47(m,28H), 3.24−3.17(m,3H),2.94(dd,4.8&13.0,1H),2.73(d,13.0,1H),2.44−2.41(m,2H),2.23−2.21(m,2H),2.08(s,3H),2.074(s,3H),2.071(s,3H),2.04(s,3H),1.75−1.30(m,12H)。
質量分析:ESI−MS法(Micromass type−ZMD)
質量走査条件:50〜1500m/e、4.0sec/scan
印加電圧:3.8kV、Cone電圧:+/−50,−100V
溶媒:メタノール
ESI(+)法で、m/z1283(M−H+Na)、m/z1284(M+Na)が観測された。目的物質の質量数はMW1260.5であり、合成目的物に相当する質量数と一致した。
[実施例15:Cy5−WGAの調製]
WGAの炭酸バッファー溶液(1.4ml、1.0mg/ml)を、GE Healthcare社製のCy5標識化キットのバイアルに加えた。反応は室温で行い、10分おきにピペットで撹拌した。50分後、反応液をゲルカラムクロマトグラフィー(GE Healthcare社製PD−10 Desalting Column、ゲル体積8.3ml)により精製した。溶離液にはPBS(pH=7.4を使用した。分取したフラクションは、溶出体積2.0〜4.5mlであり、Cy5−WGAの濃度は501μg/ml、WGA1分子あたりのCy5化率は2.3であった。
[実施例16:Cy3−WGAの溶液の調製]
Cy3標識化キットを用いた事以外は実施例15と同様に調製した。得られたCy3−WGAの濃度は702μg/ml、WGA1分子あたりのCy3化率は2.3であった。
[実施例17:ガラス基板の金チップへのスポットの作製]
金蒸着したプラスチックスライドの代わりに、SCHOTT社製スライドガラスNexterion Glass B(2.5×7.6cm、厚み1mm)に金を蒸着(接着層はクロム)したものを用いた以外は、実施例4と同様にSAMの形成とNHS化を行なった。室温で、湿度75%条件下で行い、ゲルのスポットを、60点(5列×12行)とした以外は、実施例4と同様に行い、ハイドロゲルがスポットされた金チップを得た。チップは5枚作製した。
[実施例18:N−アセチルグルコサミンリガンドの固定化]
[リガンドスポッティング工程]
N−アセチルグルコサミンリガンドの水溶液を100μmol/Lとなるよう調製した。これを、実施例17で作製したスポットが形成されたチップに、スポッタを用いて5列中の中央の列のスポット(12点)にスポッティングした。プログラムは、ゲルスポッティング工程でゲル用混合溶液のスポッティングを行った時の座標(x,y)を(0,0)とすれば、(−0.1、−0.1)、(−0.1,0.1)、(0.1、0.1)、及び(0.1、−0.1)となるよう、ハイドロゲルの各スポットあたり、N−アセチルグルコサミンリガンドの水溶液を4点スポッティングし、ハイドロゲルのスポットを完全にカバーするようにした。チップがガラス製のため、エタノールによる膨潤の影響がないためか、4点スポットの中心座標は、ハイドロゲルのスポットの座標と同じが好適であった。室温で1時間静置、乾燥させた後、純水で表面を洗浄し、窒素によって表面上に残る水を除去した。これにより、ハイドロゲルのスポットにN−アセチルグルコサミンリガンドが固定化された。
[実施例19:N−アセチルグルコサミンリガンドとCy5−WGAとの結合の検出]
実施例18で作製したチップを全て、全面に3.0w/v%BSAのPBS溶液(pH=7.4)をピペットで静かに滴下し、湿潤箱中で、室温で30分間静置させた。その後、純水で表面を洗浄した。実施例15で作製したCy5−WGAのPBSを、PBSで希釈し、1mg/ml、100ng/ml、10ng/ml、1ng/mlの溶液を調製した。作製したチップの各々にそれぞれの濃度の液をピペットで、スポット群を覆うよう静かに滴下した。湿潤箱中で、室温で30分間静置した。純水にて表面を洗浄したのち、窒素により表面上に残る水を除去した。蛍光検出器により金チップをスキャン(励起波長635nm、蛍光検出波長655〜700nm)し、蛍光強度を測定した。結果を表7及び図11に示す。
リガンド(+)は、N−アセチルグルコサミンリガンドが固定化されているスポットの蛍光強度であり、リガンド(−)は、N−アセチルグルコサミンリガンドが固定化されていないスポットの蛍光強度である。スポット群(5×12)の外周1周分は計測対象から除いた。また、WGAの濃度によりスポットの蛍光発光の強度が異なるため、検出装置のゲインを調節し最適な蛍光強度で測定した。結果を表に示す。S/Nは、リガンド(+)平均値÷リガンド(−)平均値である。σは、{リガンド(+)平均値−リガンド(−)平均値}÷{リガンド(+)SD+リガンド(−)SD}である。
直線近似により、定性限界値(σ=3.29)は3.1 ng/ml、定量限界値(σ=10.0)は7.5 ng/mlと算出された。
[実施例20:N−アセチルグルコサミンリガンドとCy3−WGAとの結合の検出]
Cy5−WGAの代わりにCy3−WGAを用い、スキャン波長を励起波長532nm、蛍光検出波長を555〜606nmとした以外は、実施例17,18、19と同様に実験を行った。結果を表8及び図12に示す。
直線近似により、定性限界値(σ=3.29)は50.8 ng/ml、定量限界値(σ=10.0)は100 ng/ml以上と算出された。
実施例19では、実施例20に比較して高い感度を与えたことから、長波長の発光波長(この場合Cy5色素)で検出を行うことの優位性が示された。以下に、さらに感度を高めるべく、実施例22と23において、糖鎖が固定化されていないスポットに、被検出物質(WGA)とは結合しない低分子化合物(biotin−PEG−OMe)を固定化することを試みた。この目的のため、ジエチレングリコールの末端をビオチンとし、他端をメトキシ基とした化合物を合成した。メトキシ基とジエチレングリコールは、親水性が高く非特異吸着を起こしにくいことが予測される。
[実施例21:ビオチンマスキング剤(biotin−PEG−OMe)の合成]
工程1 (トシル化)
市販のジエチレングリコールメチルエーテルを、トシル化した。
四口フラスコにジエチレングリコール メチルエーテル(4.03g、33.6mmol)のTHF溶液(8.0ml)を入れて氷浴につけた。NaOH水溶液(7.5M、8.0ml)をゆっくりと加え、撹拌した。TsCl(7.08g、37.1mmol)のTHF溶液を45分間かけて滴下し、17時間撹拌した。10%HCl水溶液を加えpHを4にした後、酢酸エチルで抽出した(100ml×3)。有機相を集め、水(100ml×2)、0.5N NaHCO水溶液(100ml)、水(100ml)の順で洗浄した。有機相をMgSOで脱水しろ過した後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage カラム25+M、ヘキサン/酢酸エチル)により、トシル化体(9.08g、99%)を単離した。
H NMR(400MHz,CDCl,J in Hz)δ7.80(d,8.3, 2H),7.33(d,7.8Hz,2H),4.17(t,4.8Hz,2H),3.69(t,4.8,2H),3.58(m,2H),3.48(m,2H),3.35(s,3H).
13C NMR(100MHz,CDCl)δ144.8,133.0,129.8(2C),128.0(2C),71.8,70.7,69.2,68.7,59.0,21.6.
工程2 (アジド化工程)
得られたトシル化体をアジド化した。
トシル化体(7.80g,28.4mmol)を四口フラスコに入れフラスコ内を窒素置換した後、脱水DMF(28ml)を加えた。NaN(2.23g,34.3 mmol)をゆっくり加え、50℃に加熱し5時間撹拌した。室温まで冷やした後、酢酸エチル(80ml)と水(100ml)を加え有機相を抽出した。さらに、水相から酢酸エチルで抽出した(80ml×2)。有機相を集めHOで洗浄し(100ml)、NaSOで脱水しろ過した後、溶媒留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage カラム25+M, ヘキサン/酢酸エチル)を行うことにより、アジド体(3.33g,81%)を単離した。
H NMR (400MHz,CDCl,J in Hz)δ3.68(t,4.8,4H),3.67(m,2H),3.57(m,2H),3.40(t,4.8,4H),3.39(s,3H).
13C NMR(100MHz,CDCl)δ72.0,70.6,70.0,59.1,50.7.
工程3 (還元工程)
300ml四口丸底フラスコに、アジド体(1.34g,9.23mmol)、メタノール150mlを加えて、窒素置換し撹拌した。10%Pd/C(201mg)を加え再度窒素置換した後、氷浴下で、1N塩酸14mlを加えた。室温に戻してから、反応系内を水素置換した後、22時間撹拌した。セライトろ過した後、ろ液を留去し、油状の液体をゲルろ過(Amersham社製LH−20、メタノール)により精製した。その後油状物をメタノール5mlに溶かし氷浴下にて、1N−NaOAcのメタノール溶液(9.3ml)を加えた。室温で30分撹拌した。溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(球状シリカゲル、15g、MeOH/酢酸エチル)により精製し、アミノ体(1.044g,88%)を得た。
H NMR(400MHz,CDClδ3.68(m,4H),3.55(m,2H), 3.38(s,3H),3.05(t,2H,5.2)
13C NMR(100MHz,CDCl)δ71.7,70.2,68.8,58.9,39.7.
工程4 (ビオチン化工程)
一口ナスフラスコ(25ml)にアミノ体(119mg,1.0mmol)を入れ、DMF(3.3ml)を加えた。ビオチン化試薬(EZ−Biotin、(341mg,1.0mmol)を加えた。室温で6時間撹拌した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(球状シリカゲル、MeOH:CHCl)により、ビオチン化体(35mg,10%)を単離した。
H NMR(400MHz,CDCl,J in Hz)δ6.83(t,5.3,1H),6.72(s,1H),5.75(s,1H),4.50(dd,4.8&7.8,1H),4.32(dd,5.0&7.0,1H),4.32(dd,5.0&7.8,1H),3.67−3.53(m,6H),3.44(t,5.4,2H),3.38(s,1H),3.14(dt,4.6&7.3,2H),2.90(dd,4.9&12.8,1H),3.14(dt,4.5&7.3,1H),2.74(d,12.6,1H),2.23(t,7.6,2H),1.75−1.62(m,4H),1.49−1.40(m,2H)
13C NMR(100MHz,CDCl)δ173.4,164.0,71.6,70.0,69.9,61.7,60.2,58.9,55.7,40.5,39.1,36.0,28.2,28.1,25.6.
[実施例22:Cy5−WGAの結合の検出(biotin−PEG−OMeを用いたマスキング)]
リガンドをスポットし乾燥工程と、続く水洗工程の間にビオチンマスキング剤の水溶液(1mM、1ml)を滴下し、30分静置した以外は実施例18と同様にN−アセチルグルコサミンリガンドを固定化し、実施例19と同様にアッセイを行った。結果を表9及び図13に示す。
直線近似により、定性限界値(σ=3.29)は0.1ng/ml、定量限界値(σ=10.0)は0.6ng/mlと算出された。
[実施例23:Cy3−WGAの結合の検出(biotin−PEG−OMeを用いたマスキング)]
Cy5−WGAの代わりにCy3−WGAを用いた以外は、実施例22と同様に実験を行った。結果を表10及び図14に示す。
直線近似により、定性限界値(σ=3.29)は0.5ng/ml、定量限界値(σ=10.0)は34.7ng/mlと算出された。
実施例22の結果は実施例23に比較して高い感度を与え、長波長であるCy5色素の発光波長で検出を行うことの優位性が示された。
[実施例24:Cy5−WGAの結合の検出(アッセイ時間の検討)]
チップを6枚作製し、Cy5WGAの濃度を10 (ng/mlとし、アッセイ時間をそれぞれ5分、10分、15分、30分、45分、60分とした以外は、実施例22と同様に実験を行った。結果を表11及び図15に示す。ただし、表および図中のアッセイ時間が0分のS/Nとσの値は、実験値ではないが、分かりやすくするためにその定義より自明であるものを使用した。
アッセイ後、30分程度でシグナルが飽和していることが分かる。本発明によれば、アッセイ時間は非常に短いことが明らかとなった。30分以降のS/Nおよびσ値の低下の原因は不明であるが、主にはリガンド(−)への非特異吸着が原因と推定される。
糖鎖とレクチンは特異的に結合する組み合わせが決まっており、N−アセチルグルコサミンに対してはWGAが、マンノースに対してはConAが、ガラクトースに対してはRCA120が対応する。以下に、これを利用して近接した複数の微小スポットにそれぞれ別の糖鎖リガンドを固定化し、クロスアッセイを試みた。
[実施例25:Cy5−WGAおよびCy5−RCA120の調製]
WGAの代わりにConAを使用した以外は実施例15と同様に行い、Cy5化されたConAを得た。ConAが1分子(104000 Da)あたりのCy5化率は2.7であった。また、同様にRCA120についても同様に行い、1分子(120000Da)あたりのCy5化率は1.1であった。
[実施例26:マンノースリガンドおよび、ガラクトースリガンドの合成]
出発物質に市販のp-ニトロフェニルβ−D−マンノピラノシドおよび、市販のp-ニトロフェニルα−D−ガラクトピラノシドを使用した以外は、実施例14と同様に対応するリガンドを合成した。
得られたマンノースリガンドの同定はESI−MSにより行なった。その結果を以下に示す。
質量分析:マルチモードESI+APCI法(Agilent technology 6130 Quandrupole LC/MS)
質量走査条件:200〜2000m/e、2.76sec/scan
キャピラリ電圧:3.8kV、フラグメント電圧:100V
m/z633(M+Na)が観測された。目的物質の質量数は610.27であり、M+Naに相当する。
同様にガラクトースリガンドの同定はESI−MSにより行なった。その結果を以下に示す。
質量分析:マルチモードESI+APCI法(Agilent technology 6130 Quandrupole LC/MS)
質量分析:MM−ES+APCI法、マスレンジ:200〜2000m/e、2.76sec/scan
キャピラリ電圧:2.0kV、フラグメント電圧:100V
m/z633(M+Na)が観測された。目的物質の質量数は610.27であり、M+Naに相当する。
[実施例27:糖鎖とレクチンのクロスアッセイ]
湿度50%で、96点(12×8)のゲル・スポットを作製した以外は実施例17と同様に行い、チップを3枚作製した。8列のうち左から3列目に実施例14で合成した、N−アセチルグルコサミンリガンドを、5列目に実施例26で合成したマンノースリガンドを、7列目に同じく実施例26で合成したガラクトースリガンドを各々12点ずつ重ね打ちした以外は、実施例18と同様にリガンドを固定化した。
それぞれのチップに、Cy5−WGA溶液(PBS、pH=7.4、10 ng/ml)、Cy5ConA(PBS、pH=7.4、100 ng/ml)、Cy5−RCA120(PBS、pH=7.4、100 ng/ml)を滴下した以外は実施例22と同様にアッセイを行った。結果を表12に示す。
重ね打ちにより、密集した微小なスポットそれぞれに別のリガンドが固定化でき、またそれぞれ対応するレクチンと高い特異性を示すことが明らかとなった。
[実施例28:プロテインA/Gチップの作製および蛍光検出]
[プロテインA/Gチップの作製]
100μLの1% Protein A/G水溶液(100mM、炭酸バッファー、pH9.4)と10μLの1% ポリマー水溶液を混合した。この溶液を48点(6列×8行)スポットした以外は実施例4と同様にゲル・スポットを作製した。また別途に、ポリマー水溶液を混合しない、1% Protein A/G水溶液(100mM、炭酸バッファー、pH9.4)を100μL準備し、同様にスポットした基板を作製した。以下、ポリマーを含有するスポットを3Dとし、ポリマーを含まないスポットを2Dと称する。
湿度65%、25℃で10時間静置後、実施例4と同様に、チップ全面に3%BSAと1Mエタノールアミンを含む溶液を1mL滴下し、常温で30分静置した。その後、MilliQ水にて洗浄し、圧縮空気を用いてチップ上の水滴を除去した。
次に、抗Biotin抗体 (SIGMA社製)を100mM PBS(pH 7.4)に溶かし、0μg/mL、62.5μg/mL、125μg/mL、250μg/mL、500μg/mL、1000μg/mLの濃度に調液した。一つの濃度の液を、8点のゲル・スポットの上に重ね打ちした。液量は3nlずつである。6段階の濃度の液すべてについて同様に行った。重ね打ちはゲル・スポットと同じ座標に1回だけ行った。これにより全てのスポットに重ね打ちがなされた。常温、湿度80%にて1時間静置後、0.05%Tween20を含有したPBSで洗浄し、圧縮空気を用いてチップ上の水分を除去した。
作製したチップを用いて、Cy3−HRP−biotinの検出を行った。50μg/mL Cy3−HRP−biotin水溶液(PBS、pH7.4)500μLをチップ上のすべてのスポットが覆われるように滴下した。湿潤雰囲気、室温にて1時間静置した。続いて、0.05%Tween20を含有したPBSで洗浄し、圧縮空気を用いて基板上の水分を除去した。その後マイクロアレイ用蛍光検出機Genepix(Axon Instruments社製)にて蛍光測定を行った。
結果を図16に示す。3Dは、抗Biotin抗体の濃度が増大するとともに蛍光強度(Intensity)が増大した。
[実施例29:ゲル自身を重ね打ちしたスポットへのリガンドの重ね打ち固定化]
実施例4と同様の手法で、96穴マルチウェルプレートCタイプ(住友ベークライ社製、表面はカルボキシル基)のウェルの底の官能基をNHSにした。100μL の1% Streptavidin水溶液(100mM 炭酸バッファー,pH9.4)と10μLの1% ポリマー水溶液を混合した後、炭酸バッファー(100mM,pH9.4)で希釈し、0.125%の溶液を調製した。また、別途に0.125% Streptavidin水溶液(100mM 炭酸バッファー,pH9.4)を調整した。
これら調製した液を、それぞれマルチウェルプレートの9つのウェルに、マイクロピペッターを用いて、0.2μL滴下しスポットした。以下、ポリマーを含有するスポットを3Dとし、ポリマーを含まないスポットを2Dとする。室温で静置し、目視にて溶液の乾燥を確認した。9つのうち6つのウェルの底のスポットと同じ位置に同じ溶液を同量滴下し、2回スポッティングしたスポットを作製した。乾燥後、同様にして6つのうち3つのウェルに3回目と続く4回目の滴下を行い4回スポッティングしたスポットを作製した。一連の操作により、3Dおよび2Dのそれぞれについて、1回だけスポッティングしたスポット、同じ位置に2回スポッティングしたスポット、同じく4回スポッティングしたスポットがそれぞれ3ウェルずつ作製された。
スポットが作製された各ウェルに、3%BSAと1Mエタノールアミンを含む水溶液を100μL滴下し、常温で30分静置した。その後、MilliQ水にて洗浄し、圧縮空気を用いて各ウェルの水滴を除去した。
Cy3−HRP−biotin水溶液(50μg/mL、PBS, pH7.4)を各ウェルのすべてのスポットに同じ位置に0.2μL滴下した。室温にて1時間静置した。続いて、0.05%Tween20を含有したPBSで洗浄し、圧縮空気を用いて基板上の水分を除去した。その後蛍光検出機BioFX(BioRad社製)にて蛍光測定を行った。
結果を図17に示す。ゲルのスポット回数が増えるに従って、3Dでは蛍光強度(Intensity)が向上した。
本発明は産業上の任意の分野で使用できるが、特に、生物、化学、医療等に関する分析用のチップに好適に適用できる。
1 基板
2 スポッタ
3 スポット
3a スポット3のリガンドが固定化された部分
3b スポット3のリガンドが固定化されていない部分
4 リガンド溶液の液滴

Claims (28)

  1. 基板と、該基板上に固定化されたゲルを含んでなる複数のスポットとを備えたチップの製造方法であって、
    該ゲルを基板上に固定化してスポットを形成するゲルスポッティング工程と、
    該スポット上にリガンドを含む溶液をスポッティングして、該リガンドを該スポットに固定化するリガンドスポッティング工程とを有する
    ことを特徴とする、チップの製造方法。
  2. 該リガンドスポッティング工程において、該スポットよりも広い範囲を一度にスポッティングすることができるスポッタにより、該スポットを覆うようにスポッティングして、該リガンドを該スポットに固定化する
    ことを特徴とする、請求項1に記載のチップの製造方法。
  3. 該リガンドスポッティング工程において、スポッタの位置をずらして複数回スポッティングして、該リガンドを該スポットに固定化する
    ことを特徴とする、請求項1に記載のチップの製造方法。
  4. 該リガンドスポッティング工程において、該リガンドを含む溶液が、該ゲル全体に浸透する前に乾燥する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  5. 該ゲルが、生体物質、及び、該生体物質と結合可能な化合物からなる主鎖を有するマトリックスを含んで形成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  6. 該ゲルが、該リガンドと結合可能な生体物質、及び、該生体物質と結合可能な化合物が結合してなる、粒径が1μm以下の粒子状隗が互いに結合して構成された
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  7. 該粒子状塊同士の間に空間が形成されている
    ことを特徴とする、請求項6に記載のチップの製造方法。
  8. ゲルの重量に対する該生体物質の重量の比率が0.1以上である
    ことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  9. 該スポットの厚みが乾燥状態で5nm以上である
    ことを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  10. 該化合物の少なくとも1種が、該生体物質と結合可能な官能基を2点以上有する
    ことを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  11. 該化合物が無電荷である
    ことを特徴とする、請求項5〜10のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  12. 該化合物が、水に混和しうると共に、少なくとも1種の有機溶媒に混和しうる
    ことを特徴とする、請求項5〜11のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  13. 該化合物の分子量が1000以上である
    ことを特徴とする、請求項5〜12のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  14. 液体中に混和した状態での該化合物の径が1nm以上である
    ことを特徴とする、請求項5〜13のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  15. 該生体物質が、生体分子である
    ことを特徴とする、請求項5〜14のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  16. 該生体分子が、タンパク質である
    ことを特徴とする、請求項15に記載のチップの製造方法。
  17. 該リガンドが、金属キレート、ビタミン、糖類、グルタチオン、ボロン酸、タンパク質、抗原、核酸、生理活性物質、脂質、ホルモン、環境ホルモン及びキレート形成基からなる群より選ばれる少なくともいずれかである
    ことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  18. 該ゲルスポッティング工程の後、該リガンドスポッティング工程の前に、該ゲル及び該リガンドに結合可能なリンカーを含む溶液を該スポットに接触させて、該リンカーを該スポットに固定化するリンカースポッティング工程を有する
    ことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  19. 該リガンドスポッティング工程の前に、該ゲル及び該リガンドに結合可能なリンカーと、該リガンドを含む溶液とを混合するリンカー混合工程を有する
    ことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  20. 該リンカーが親水性分子である
    ことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のチップの製造方法。
  21. 該親水性分子がエチレンオキサイド鎖を含有している
    ことを特徴とする請求項20に記載のチップの製造方法。
  22. 該ゲルスポッティング工程および該リガンドスポッティング工程の後に、該ゲル中の該生体物質の活性点に結合可能な官能基を有する化合物を含む溶液を該スポットに接触させて、該ゲルを不活性化する工程を有する
    ことを特徴とする、請求項5〜21のいずれか一項に記載のチップの製造方法。
  23. 請求項1〜22のいずれか一項に記載の製造方法により製造された
    ことを特徴とするチップ。
  24. 基板と、該基板上に固定化されたゲルを含んでなる複数のスポットとを備え、
    該スポットにリガンドが固定化されているとともに、該スポット間にリガンドが固定化されていない部分が形成されている
    ことを特徴とする請求項23記載のチップ。
  25. 基板と、該基板上に固定化されたゲルを含んでなる複数のスポットとを備え、
    該スポットのうち、少なくとも1個のスポットに第一のリガンドが固定化され、
    該スポットのうち、他の少なくとも1個のスポットに第二のリガンドが固定化されている
    ことを特徴とする請求項23に記載のチップ。
  26. 請求項23〜25のいずれか一項に記載のチップを用いて、核酸、タンパク質、毒素、ウイルス、細胞、糖類、低分子化合物、又はそれらの結合体を検出する
    ことを特徴とする、検出方法。
  27. 請求項23〜25のいずれか一項に記載のチップを用いて、該スポットが乾燥した状態で蛍光検出を行う場合に、波長が580nm以上の光を検出する
    ことを特徴とする、検出方法。
  28. 請求項23〜25のいずれか一項に記載のチップを用いて、核酸、タンパク質、毒素、ウイルス、細胞、糖類、低分子化合物、又はそれらの結合体を検出する
    ことを特徴とする、検出装置。
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