JP2010019080A - 船外機用多気筒エンジンの排気装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生することがない船外機用多気筒エンジンの排気装置を提供する。
【解決手段】クランク軸11の軸線が上下方向を指向する船外機用多気筒エンジン4の下方に主排気通路55を備える。各気筒の排ガス出口52は、シリンダヘッド14の側部に気筒毎に形成される。これらの排ガス出口52に接続された上流側排気通路61は、側面視において、前記排ガス出口52から前記クランク軸11の近傍まで略水平方向に延在するとともに、気筒毎に独立して他の気筒の上流側排気通路61とは画成されるように形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】クランク軸11の軸線が上下方向を指向する船外機用多気筒エンジン4の下方に主排気通路55を備える。各気筒の排ガス出口52は、シリンダヘッド14の側部に気筒毎に形成される。これらの排ガス出口52に接続された上流側排気通路61は、側面視において、前記排ガス出口52から前記クランク軸11の近傍まで略水平方向に延在するとともに、気筒毎に独立して他の気筒の上流側排気通路61とは画成されるように形成されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、排ガスを気筒毎の排気通路によってエンジンの下方の主排気通路に導く船外機用多気筒エンジンの排気装置に関するものである。
従来、船外機のエンジンは、クランク軸の軸線方向が上下方向を指向するように搭載されている。この種のエンジンに設けられる排気装置としては、たとえば特許文献1に記載されているものがある。この特許文献1に開示された排気装置は、船外機用多気筒エンジンに装備されるもので、排ガスをエンジンのシリンダヘッドからシリンダボディ内を通してエンジンの下方に排出する構成が採られている。
特許文献1に示されているエンジンは、4サイクル4気筒エンジンで、4個のシリンダが上下方向に並べられている。このエンジンの排気通路は、シリンダヘッドに気筒毎に設けられた排気ポートと、これらの排気ポートに接続されたシリンダボディ内の通路孔とによって構成されている。前記排気ポートの下流端は、シリンダヘッドにおけるシリンダボディとの合面に開口し、前記通路孔に接続されている。
前記通路孔は、シリンダボディ内に上下方向へ延在するように形成されており、各気筒から排ガスが排出される。
前記通路孔は、シリンダボディ内に上下方向へ延在するように形成されており、各気筒から排ガスが排出される。
しかしながら、特許文献1に記載されている船外機のエンジンにおいては、後述する理由により、点火プラグによる点火が行われる以前に自然に着火してしまういわゆる自着火現象やノッキングが発生し易いという問題があった。自着火現象が発生すると出力が低下する。また、エンジンにおいてノッキングが頻繁に発生すると、ノッキングに伴って燃焼室内で発生する衝撃波によって、シリンダ内部の表面にある気体の膜(境界層)が破られてしまう。
この気体の膜が破られると、燃焼による火炎がシリンダ内部の金属の表面(シリンダ内周面、ピストン頂面、シリンダヘッド表面など)に直接触れるようになる。この金属の表面は、前記火炎に直接晒されることによって、熱で溶け易くなる。この金属の表面が溶けた場合は、最終的に機関破損に至ることになる。このようなノッキングの発生を抑えるためにエンジンの点火時期を遅らせると、エンジンのトルクが低下するとともに、排ガスの温度が上昇して触媒の温度が過度に上昇するおそれがある。触媒は、過度の高温に晒され続けるといわゆるシンタリング現象により劣化し、浄化効率が低下することが知られている。このシンタリング現象とは、触媒が850℃以上の高温な状態に長く保持されることにより、触媒内の貴金属どうしが融着し合い、貴金属の表面積が減少する現象である。
上述した自着火現象やノッキングが特許文献1に示すエンジンにおいて発生し易くなる理由は、排気通路の構成にあると考えられる。すなわち、特許文献1に示す排気装置は、各気筒から排出された排ガスの圧力が排気孔を介して他の気筒の排気通路に伝達され、各気筒の排気通路内の圧力が相対的に高くなってしまうからである。
排気通路内の圧力が高いと、各気筒において、排気行程で排ガスが排気通路内に排出され難くなってシリンダ内に残存する排ガスの量が増大する。このとき、シリンダ内は、いわゆる内部EGRにより大量の排ガスが導入された状態になる。そして、高温の排ガスがシリンダ内に残存している状態で吸気行程においてシリンダ内に新気が吸引される。この新気(吸気)は、シリンダ内で高温の排ガスと混合されることになり、この結果、吸気の温度が排ガスの熱で上昇する。
特許文献1に示す船外機用多気筒エンジンにおいては、このようにシリンダ内の吸気の温度が過度に高くなるために、上述したように自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生し易くなる。
特許文献1に示す船外機用多気筒エンジンにおいては、このようにシリンダ内の吸気の温度が過度に高くなるために、上述したように自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生し易くなる。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生することがない船外機用多気筒エンジンの排気装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係る船外機用多気筒エンジンの排気装置は、クランク軸の軸線が上下方向を指向する船外機用多気筒エンジンのシリンダヘッドから前記エンジンの下方に位置する主排気通路に排ガスを導く船外機用多気筒エンジンの排気装置において、各気筒の排ガス出口を、前記シリンダヘッドの側部に気筒毎に形成し、これらの排ガス出口に接続された排気通路を、側面視において、前記排ガス出口から前記クランク軸の近傍まで略水平方向に延在するとともに、気筒毎に独立して他の気筒の排気通路とは画成されるように形成したものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記排ガス出口に接続された気筒毎の排気通路を、平面視において、前記排ガス出口から前記クランクケースの外側近傍を迂回して船外機の幅方向の反対側に位置する排気チャンバーに接続するとともに、この排気チャンバーを介して前記主排気通路に接続したものである。
請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に記載した発明において、前記排ガス出口に接続された気筒毎の排気通路を、排気通路形成用の気筒毎の管状部を一体成形してなる管状部材によって形成したものである。
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した発明において、前記管状部どうしの間隔を、管状部材の上流側端部と下流側端部との間の中央部分において最も狭くなるように形成したものである。
請求項5に記載した発明は、請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載した発明において、前記排ガス出口に接続された気筒毎の排気通路に触媒をそれぞれ設けたものである。
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した発明において、前記気筒毎の排気通路における前記触媒より上流側に二次空気導入用空気通路をそれぞれ接続したものである。
請求項7に記載した発明は、請求項6に記載した発明において、前記エンジンを覆うとともに空気入口が形成されたカウリングと、このカウリングの内部の空気をエンジンの吸気口に導くための吸気ダクトとを備え、前記各二次空気導入用空気通路を、前記吸気ダクトから導出された一つの上流側導入部と、この上流側導入部から気筒毎の逆止弁を介して分岐しかつ下流端が前記気筒毎の排気通路に接続された下流側導入部とから構成したものである。
請求項8に記載した発明は、請求項1〜請求項7のうちいずれか一つに記載した発明において、前記排ガス出口に接続された気筒毎の排気通路に、排気通路の断面積が下流側に向かうにしたがって漸次減少する絞り部と、この絞り部と触媒との間において排気通路の断面積が下流側に向かうにしたがって漸次増大する拡張部とを有する超音速ノズルを設けたものである。
本発明によれば、各気筒の排ガス出口に接続された排気通路を単独で長く形成することができ、後述する二つの理由により排気通路内の圧力を低下させることができるから、前記内部EGRによりシリンダ内に残存する排ガスの量を低減することができる。
(1)第1の理由について
エンジン運転時に排気バルブが開くと、シリンダ内の高圧の排ガスが排気バルブの弁体とシリンダヘッド側のバルブシートとの間の隙間を通って排気ポート内に噴出する。前記隙間を流れる排ガスの流速は、エンジンの回転数が2000RPM程度でも音速に達することが知られている。前記隙間を流れる排ガスの流速が音速に達すると、その後、通路断面積が相対的に大きい排気ポートに排ガスが流入することによって、排気ポート内で衝撃波が発生する。この衝撃波は、排気通路内を下流側に向けて進行する。
エンジン運転時に排気バルブが開くと、シリンダ内の高圧の排ガスが排気バルブの弁体とシリンダヘッド側のバルブシートとの間の隙間を通って排気ポート内に噴出する。前記隙間を流れる排ガスの流速は、エンジンの回転数が2000RPM程度でも音速に達することが知られている。前記隙間を流れる排ガスの流速が音速に達すると、その後、通路断面積が相対的に大きい排気ポートに排ガスが流入することによって、排気ポート内で衝撃波が発生する。この衝撃波は、排気通路内を下流側に向けて進行する。
このように衝撃波が発生した排気通路内には、衝撃波とは逆方向に進む膨張波も発生する。この膨張波と前記衝撃波との間は負圧になる。本発明に係る排気装置によれば、前記排ガス出口に接続された排気通路を充分に長く形成することができるから、上述した衝撃波と膨張波とが排気通路内に存在できる時間が長くなり、排気通路内に大きな負圧が発生するようになる。
(2)第2の理由について
排気通路内の圧力は、排気ポートから排ガスが排出されることにより上流側から下流側に向けて徐々に上昇する。複数の気筒の排気通路が下流側で集合されている場合、前記圧力は、排気通路の集合部を介して他の気筒の排気通路にも伝達される。この発明による排気装置によれば、排ガス出口に接続されている排気通路の長さを長く形成することができるから、前記圧力が他の気筒の排気ポートに達するまでの時間を長くすることができる。
排気通路内の圧力は、排気ポートから排ガスが排出されることにより上流側から下流側に向けて徐々に上昇する。複数の気筒の排気通路が下流側で集合されている場合、前記圧力は、排気通路の集合部を介して他の気筒の排気通路にも伝達される。この発明による排気装置によれば、排ガス出口に接続されている排気通路の長さを長く形成することができるから、前記圧力が他の気筒の排気ポートに達するまでの時間を長くすることができる。
すなわち、たとえば点火時期が前後する二つ気筒のうち、点火順序が先になる第1の気筒において排気弁が開いているときに、点火順序が次になる第2の気筒において排気通路に排ガスが排出された場合、この第2の気筒の排ガスの圧力が排気通路を介して第1の気筒の排気ポートに伝達される時期を遅らせることができる。このため、本発明によれば、前記第1の気筒において排気弁が開いているときに前記第2の気筒の排ガスによる排気干渉を受けることがなく、排気干渉によって第1の気筒において排ガスの排出が妨げられることを防ぐことができる。
したがって、本発明によれば、排気行程中に排気通路内の排気圧力を低下させることができ、排ガスをシリンダ内から排気通路内に円滑に排出できるようになり、内部EGRによりシリンダ内に残存する排ガスの量が減少する。
この結果、吸気行程においてシリンダ内に吸引された吸気の温度が相対的に低くなるから、上述した自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生することを確実に防止することができる。
この結果、吸気行程においてシリンダ内に吸引された吸気の温度が相対的に低くなるから、上述した自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生することを確実に防止することができる。
(第1の実施例)
以下、本発明に係る船外機用多気筒エンジンの排気装置の一実施例を図1〜図11によって詳細に説明する。
図1に示す船外機1は、従来からよく知られているように、図示していない船体の船尾板にブラケット2を介して操舵可能およびチルト可能に取付けられるものである。図1は、船外機1を左側から見た状態で描いてあり、図4と図5とは、船外機右側から見た状態で描いてある。
以下、本発明に係る船外機用多気筒エンジンの排気装置の一実施例を図1〜図11によって詳細に説明する。
図1に示す船外機1は、従来からよく知られているように、図示していない船体の船尾板にブラケット2を介して操舵可能およびチルト可能に取付けられるものである。図1は、船外機1を左側から見た状態で描いてあり、図4と図5とは、船外機右側から見た状態で描いてある。
これらの図においては、船外機1の前方を矢印Fによって示す。なお、本明細書において、船外機1や各部材の方向を示す表現として、船外機1を装備した船体が前進するとき、換言すれば船体が前方へ直進するときの進行方向を単に船外機1の前方といい、これとは180°逆になる方向を後方という。また、船体が前進しているときの進行方向に対して左側を船外機左側、または単に左側といい、船体が前進しているときの進行方向に対して右側を船外機右側、または単に右側という。さらに、船体が前進しているときの船外機1の左右方向を船外機1の幅方向という。
この実施例による船外機1は、前記ブラケット2の上端部に連結されたガイドエキゾースト3と、このガイドエキゾースト3の上に搭載されたエンジン4と、前記ガイドエキゾースト3の下部に取付けられたアッパーケーシング5と、このアッパーケーシング5の下端部に取付けられたロアケーシング6と、このロアケーシング6に回転自在に支持されたプロペラ7と、前記エンジン4を覆うカウリング8などを備えている。
前記エンジン4は、4サイクル4気筒エンジンで、クランク軸11の軸線が上下方向を指向するとともに、#1気筒〜#4気筒がクランク軸11の後方に位置する状態(クランク軸11に対して船体とは反対側に位置する状態)でガイドエキゾースト3の上に搭載されている。このエンジン4は、図2および図3に示すように、前記クランク軸11を回転自在に支持するクランクケース12およびシリンダボディ13と、このシリンダボディ13に取付けられたシリンダヘッド14と、このシリンダヘッド14に取付けられたヘッドカバー15などを備えている。このエンジン4は、クランクケース12が最も船外機1の前側に位置する状態(最も船体に近接する状態)で、このクランクケース12と、シリンダボディ13、シリンダヘッド14およびヘッドカバー15とが船外機1の前後方向に並ぶようにガイドエキゾースト3に搭載されている。
前記クランク軸11は、エンジン4を上下方向に貫通するように形成されている。このクランク軸11の下端部には、図4に示すように、ドライブシャフト16が結合されている。ドライブシャフト16は、エンジン4の下端部からロアケーシング6内まで上下方向に延在するように形成されており、ガイドエキゾースト3、アッパーケーシング5およびロアケーシング6に軸受(図示せず)によって回転自在に支持されている。このドライブシャフト16の下端部には、従来からよく知られている前後進切換機構17を介してプロペラ軸18が連結されている。前記プロペラ7は、このプロペラ軸18に一体に回転するように設けられている。
前記シリンダボディ13には、#1気筒〜#4気筒を構成するシリンダ19(図3参照)が上下方向に並ぶように形成されている。
前記シリンダヘッド14には、図3に示すように、気筒毎の吸気ポート21および排気ポート22とが形成されているとともに、これらのポート21,22を開閉するための吸気弁23および排気弁24と、これらの吸・排気弁23,24を駆動するための動弁装置25と、吸気ポート21内に燃料を噴射するための気筒毎のインジェクタ26とが設けられている。
前記シリンダヘッド14には、図3に示すように、気筒毎の吸気ポート21および排気ポート22とが形成されているとともに、これらのポート21,22を開閉するための吸気弁23および排気弁24と、これらの吸・排気弁23,24を駆動するための動弁装置25と、吸気ポート21内に燃料を噴射するための気筒毎のインジェクタ26とが設けられている。
前記吸気ポート21は、図3に示すように、シリンダヘッド14の船外機右側の側部(排気ポート22とは船外機1の幅方向において反対側の側部)において、船外機後側、すなわちヘッドカバー15側であってクランクケース12から離間する方向に延在するように形成されている。吸気ポート21の上流端は、図6に示すように、シリンダヘッド14の後面14a(ヘッドカバー15が接続される合面)における船外機右側の端部に開口している。この実施例においては、前記吸気ポート21の上流端の開口によって、本発明でいう吸気入口30が構成されている。この吸気入口30は、シリンダヘッド14における後述する排ガス出口52とは船外機1の幅方向の反対側に形成されることになる。この実施例による吸気入口30は、図6に示すように、シリンダヘッド14の後面14aに取付けられた吸気サージタンク31の吸気孔31aに接続されている。この吸気孔31aは、吸気サージタンク31内の吸気管32に接続されている。
吸気サージタンク31は、エンジン4の後端部に位置付けられている。このエンジン4の後端部とは、平面視において、クランクケース12とは反対側の端部である。この吸気サージタンク31は、図6に示すように、船外機1の前方(ヘッドカバー15を指向する方向)に向けて開放する箱状の吸気サージタンク本体31bと、この吸気サージタンク本体31bの開口部分を閉塞する取付部材31cとから構成されており、取付用ボルト31dによってヘッドカバー15に取付けられている。
前記吸気管32は、図6に示すように、前記吸気入口30から船外機1の後方(図6においては上方であり、シリンダヘッド14に対してクランクケース12とは反対の方向)と、船外機1の左方(図6においては右方であり、船外機1の幅方向において排気ポート22に近接する方向)に平面視円弧状に湾曲して延在するように形成されている。この実施例による吸気管32は、前記吸気サージタンク本体31bの船外機右側の側壁31eから後壁31fにわたって延在するように形成されており、吸気サージタンク31における船外機後側の端部内に開口している。
前記吸気孔31aおよび吸気管32は、気筒毎に設けられており、各気筒の吸気ポート21と協働して気筒毎の吸気通路を形成している。この吸気管32の上流端によってこのエンジン4の吸気口が構成されている。この実施例に示すように吸気通路をヘッドカバー15側に延在させた理由は、後述する排気通路を長く形成しながら吸気通路の長さを確保するためである。
前記吸気管32の上流端には、図6に示すように、可変吸気管機構33が設けられている。この可変吸気管機構33は、前記吸気管32に着脱可能に接続された副吸気管34と、この副吸気管34を駆動するサーボモータ35とから構成されている。前記副吸気管34は、各気筒の吸気管32毎に設けられている。これらの副吸気管34は、図6中に実線で示す接続位置と、図6中に二点鎖線で示す分離位置との間で移動することができるように、ヘッドカバー15の支持用ブラケット36に回動自在に支持されている。
これらの副吸気管34は、リンク37を介して前記サーボモータ35に連結されており、サーボモータ35による駆動によって回動し、前記接続位置または分離位置に位置付けられる。副吸気管34が接続位置に位置付けられることにより実質的な吸気管長が相対的に長くなり、副吸気管34が分離位置に移動することによって、実質的な吸気管長が相対的に短くなる。前記サーボモータ35は、図4に示すように、ヘッドカバー15の上部と下部とに設けられている。上側に位置するサーボモータ35は、#1気筒用副吸気管34と#2気筒用副吸気管34とを駆動し、下側に位置するサーボモータ35は、#3気筒用副吸気管34と#4気筒用副吸気管34とを駆動する。
前記吸気サージタンク31の上端部には、図3に示すように、カウリング8内の空気をエンジン4の吸気口(吸気サージタンク31内に開口する吸気管32の上流端)に導くための吸気ダクト41が接続されている。この吸気ダクト41は、図5に示すように、船外機右側から見てU字状を呈する形状に形成されている。すなわち、この吸気ダクト41は、図3および図5に示すように、前記吸気サージタンク31の上端部に下流側端部が接続されてエンジン4の右後上方で前後方向に延在する下流側水平方向延在部42と、この下流側水平方向延在部42の前端部からエンジン4の右側方においてエンジン4の下端部近傍まで下方に延在する下流側上下方向延在部43と、この下流側上下方向延在部43の下端部から前方に延在する上流側水平方向延在部44と、この上流側水平方向延在部44の前端部からエンジン4の上端部近傍の高さまで上方に延在する上流側上下方向延在部45とから構成されている。前記下流側水平方向延在部42には、スロットル弁46(図3参照)が設けられている。
前記上流側上下方向延在部45の上端部には、エンジン4を囲むカウリング8の中に開口する空気吸込口47が形成されている。カウリング8内の空間は、図1に示すように、カウリング8における船外機左側の後部に形成された空気入口48を介して大気に連通されている。この空気入口48からカウリング8内に導入された空気は、前記吸気ダクト41と吸気サージタンク31とを通って気筒毎の吸気通路に吸引される。
前記排気ポート22は、図3に示すように、シリンダヘッド14における船外機1の幅方向の外側部(船外機左側の側部)に開口し、後述する排気装置51に接続されている。排気ポート22の前記開口によって、本発明でいう排ガス出口52が構成されている。この排ガス出口52は、シリンダヘッド14の左側の側面に船外機1の左方を指向するように開口している。言い換えれば、排ガス出口52は、船外機1の幅方向において吸気ポート21とは反対方向を指向して開口するように形成されている。
この実施例による排気装置51は、図3に示すように、シリンダヘッド14から船外機1の前方(シリンダヘッド14から船体側)に延在する排気管53と、この排気管53の下流側端部を構成する排気チャンバー54から下方に延在するエンジン下方の主排気通路55(図4参照)を形成するための複数の部材とによって構成されている。
この実施例による排気装置51は、図3に示すように、シリンダヘッド14から船外機1の前方(シリンダヘッド14から船体側)に延在する排気管53と、この排気管53の下流側端部を構成する排気チャンバー54から下方に延在するエンジン下方の主排気通路55(図4参照)を形成するための複数の部材とによって構成されている。
主排気通路55は、プロペラ7の軸心部において水中に開口している。この主排気通路55を形成するための複数の部材とは、図4に示すように、エンジン4のシリンダボディ13と、ガイドエキゾースト3と、このガイドエキゾースト3の下端部に取付けられたオイルパン56と、このオイルパン56に取付けられたパイプ57と、オイルパン56の下端部に取付けられて下方に延在するマフラー58と、このマフラー58を収容する前記アッパーケーシング5と、前記ロアケーシング6などである。
前記排気管53における排気チャンバー54より上流側は、気筒毎に形成されている。図1〜図3において、この気筒毎に形成されている部分は、その内部の排気通路(以下、この排気通路を上流側排気通路61という)の外形のみが表れるように描いてある。この気筒毎の部分は、実際には、後述するように鋳造によってパイプ状に成形されており、図7に示すように、上流側排気通路61が冷却水通路62によって覆われる二重管構造になっている。冷却水通路62内の冷却水は、排気管53とシリンダヘッド14との接続部分においてシリンダヘッド14の冷却水通路(図示せず)から冷却水通路62内に流入し、後述する排気チャンバー54内の冷却水通路63(図8参照)に排出される。
この実施例による排気管53は、図2、図3および図7に示すように、シリンダヘッド14の一側部に取付けられた気筒毎の第1の排気管64と、これらの第1の排気管64の下流端にそれぞれ接続された第2の排気管65と、これらの第2の排気管65の下流側端部にそれぞれ接続された第3の排気管66と、これらの第3の排気管66の下流側端部に接続された一つの前記排気チャンバー54とから構成されている。
前記第1の排気管64と第2の排気管65との接続部分内には、第1の触媒67が設けられている。前記第2の排気管65と第3の排気管66との接続部分内には、第2の触媒68が設けられている。すなわち、この実施例による排気管53においては、排気チャンバー54より上流側に1気筒当たり2個の触媒67,68が設けられている。
これらの触媒は、いわゆる三元触媒によって構成されている。また、前記第1の触媒67は、図3に示すように、前記吸気ダクト41の空気吸込口47を挟んでクランクケース12とは反対側に位置付けられている。言い換えれば、第1の触媒67は、平面視において、空気吸込口47より船外機1の前方に配置されている。
前記第1の排気管64は、図3に示すように、前記排ガス出口52の近傍で下流側がクランクケース12側(船外機1の前方)を指向するように屈曲し、クランクケース12側に略水平に延在するように形成されている。第1の排気管64の下流側端部は、船外機1の幅方向の内側(右側)を指向するように屈曲し、クランクケース12の前方(クランクケース12とカウリング8との間)において船外機右側(船外機1の幅方向において排ガス出口52とは反対側)に延在している。この実施例による第1の排気管64には、詳しくは後述するが、いわゆる超音速ノズル71が設けられている。
この実施例による第1の排気管64は、図12に示すように、一つの管状部材69によって構成されている。図12に示す管状部材69は、排気通路形成用の4本の(気筒毎の)管状部69a〜69dと、これらの管状部69a〜69dの上流側端部に接続された上流側取付用フランジ69eと、前記各管状部69a〜69dの下流側端部に接続された下流側取付用フランジ69fと、管状部69a〜69dどうしを接続するリブ69gとを鋳造により一体に成形することによって形成されている。
前記管状部69a〜69dは、図7に示すように、気筒毎の上流側排気通路61と、この上流側排気通路61の周囲を覆う冷却水通路62とを有する二重管構造となるように形成されている。これらの4本の管状部69a〜69bのうち、#1気筒用管状部69aと#2気筒用管状部69aとは、図12に示す側面視において、長手方向の中央部が両端部より下に位置し、下方に向けて凸になる円弧状に湾曲して形成されている。
側面視円弧状を呈する#1気筒用管状部69aの曲率半径は、#2気筒用管状部69bの曲率半径より小さくなるように形成されている。また、#3気筒用管状部69cと#4気筒用管状部69dとは、側面視において、長手方向の中央部が両端部より上に位置し、上方に向けて凸になる円弧状に湾曲して形成されている。側面視円弧状を呈する#4気筒用管状部69dの曲率半径は、#3気筒用管状部69cの曲率半径より小さくなるように形成されている。
このように4本の管状部69a〜69dが湾曲して成形されていることにより、これらの4本の管状部69a〜69dどうしの間隔は、管状部材69の上流側端部と下流側端部との間の中央部分において最も狭くなる。管状部69a〜69dどうしが近接する部分は、上下方向に隣り合う管状部どうしが隙間なく接続し、上下方向に隣接する一対の上流側排気通路61どうしが1枚の壁によって仕切られるように形成されている。
4本の管状部69a〜69dの上流側端部は、互いに離間する状態で前記上流側取付用フランジ69eに接続されている。この上流側取付用フランジ69eは、板状に形成されており、4本の管状部69a〜69dの上流側端部どうしを互いに連結している。この上流側取付用フランジ69eは、シリンダヘッド14の外側面に形成された排気管用取付座(図示せず)に複数のボルト70によって取付けられている。
管状部69a〜69dの下流側端部は、内部に第1の触媒67を収容することができるように相対的に太く形成されている。このため、上下方向に隣接する管状部どうしは、互いに接続されて一体化されている。前記下流側取付用フランジ69fは、このように一体化された管状部69a〜69dにこれを四方から囲むように形成されている。この下流側取付用フランジ69fは、複数のボルト70によって第2の排気管65(図4参照)に取付けられている。
第2の排気管65は、図3に示すように、クランクケース12の前方(クランクケース12よりシリンダヘッド14とは反対側)において前記第1の排気管64に接続されており、エンジン4の右斜め前方まで延在するように形成されている。この第2の排気管65は、図4および図7に示すように、気筒毎の上流側排気通路61を有する4本の管状部65aと、これらの管状部65aの上流側端部と下流側端部とに位置するフランジ65b,65cとを鋳造により一体に成形することによって形成されている。
第3の排気管66は、図3に示すように、エンジン4の右側方(クランクケース12の横に隣接する位置)で船外機1の前後方向(クランクケース12とシリンダボディ13とが並ぶ方向)に延在し、シリンダボディ13の右側方(船外機1の幅方向において前記第1の排気管64とは反対側)に位置する排気チャンバー54に第2の排気管65を接続している。この第3の排気管66は、図4および図7に示すように、気筒毎の上流側排気通路61を有する4本の管状部66aと、これらの管状部66aの上流側端部と下流側端部とに位置するフランジ66b,66cとを鋳造により一体に成形することによって形成されている。
これらの第1〜第3の排気管64〜66は、図3に示すように、平面視において、前記排ガス出口52から前記クランクケース12の外側近傍(前方近傍)を迂回して船外機1の幅方向の反対側(船外機1の右側)に延在するように形成されている。前記第1〜第3の排気管64〜66の長さは、この実施例に示したように、クランク軸11の回転する方向において、クランク軸11を90°以上の角度で囲むような長さに形成することが好ましい。
第1〜第3の排気管64〜66の内部の上流側排気通路61と、前記吸気サージタンク31より下流側の吸気通路(吸気管32内、吸気孔31a内および吸気ポート21内に形成されている吸気通路)とは、図3に示すように、平面視において、略S字状に形成されている。
第1〜第3の排気管64〜66の内部の上流側排気通路61と、前記吸気サージタンク31より下流側の吸気通路(吸気管32内、吸気孔31a内および吸気ポート21内に形成されている吸気通路)とは、図3に示すように、平面視において、略S字状に形成されている。
前記第1の排気管64に設けられている超音速ノズル71は、排ガスの流速を音速以下から超音速となるように加速するためのものである。この超音速ノズル71は、ラバールノズルと呼称されることもある。
この実施例による超音速ノズル71は、図7に示すように、排ガスが流れる方向の下流側に向かうにしたがって通路断面積が漸次減少する絞り部72と、下流側に向かうにしたがって通路断面積が漸次増大する拡張部73と、前記絞り部72と拡張部73との間に位置付けられて通路断面積が最も小さくなるスロート部74とによって構成されている。第1の排気管64の下流側端部の内径、すなわち前記拡張部73より下流側の部位の内径は、図7に示すように、相対的に外径が大きい第1の触媒67に排気管内面を段差無く接続するために、下流側に向かうにしたがって漸次大きくなるように形成されているとともに、船外機1の幅方向の中央(第1の触媒67が位置する方向)を指向するように屈曲している。
この実施例による超音速ノズル71は、図7に示すように、排ガスが流れる方向の下流側に向かうにしたがって通路断面積が漸次減少する絞り部72と、下流側に向かうにしたがって通路断面積が漸次増大する拡張部73と、前記絞り部72と拡張部73との間に位置付けられて通路断面積が最も小さくなるスロート部74とによって構成されている。第1の排気管64の下流側端部の内径、すなわち前記拡張部73より下流側の部位の内径は、図7に示すように、相対的に外径が大きい第1の触媒67に排気管内面を段差無く接続するために、下流側に向かうにしたがって漸次大きくなるように形成されているとともに、船外機1の幅方向の中央(第1の触媒67が位置する方向)を指向するように屈曲している。
前記絞り部72の上流端の内径は、第1の排気管64の上流部の内径と一致し、前記拡張部73の下流端の内径は、第1の排気管64の下流部の内径と一致している。
前記絞り部72の上流端(図2において右側の端部)の断面積(上流断面積A1)と、下流部の下流端(図2において左側の端部)の断面積(下流側断面積A3)とは、図9に示すように、それぞれスロート部74の断面積(スロート断面積A2)より大きくなるように形成されている(A1>A2<A3)。
前記絞り部72の上流端(図2において右側の端部)の断面積(上流断面積A1)と、下流部の下流端(図2において左側の端部)の断面積(下流側断面積A3)とは、図9に示すように、それぞれスロート部74の断面積(スロート断面積A2)より大きくなるように形成されている(A1>A2<A3)。
前記絞り部72、拡張部73およびスロート部74の断面形状(排気通路の上流側から見た形状)は、それぞれ円形になるように形成されている。
この実施例による超音速ノズル71の絞り部72と拡張部73とは、断面積が変化する割合が一定、すなわち直線的に断面積が変化するテーパ管を呈するように形成されている。しかし、本発明に係る排気装置51に用いる超音速ノズル71は、このような形状にとらわれることはなく、前記断面積が変化する割合が漸次変化するような形状であってもよい。
この実施例による超音速ノズル71の絞り部72と拡張部73とは、断面積が変化する割合が一定、すなわち直線的に断面積が変化するテーパ管を呈するように形成されている。しかし、本発明に係る排気装置51に用いる超音速ノズル71は、このような形状にとらわれることはなく、前記断面積が変化する割合が漸次変化するような形状であってもよい。
この超音速ノズル71は、下記の数式(1),(2)で示す条件を満たすように形成されており、スロート部74に流入する排ガスの流速がマッハ1(音速)に達することによって、拡張部73において排ガスを音速をより高速になるように加速させることができる。
これらの数式において、Mはマッハ数、Aは排気管53の任意断面における断面積、Dは上記の任意断面における管相当径、γは比熱比、xは流れ方向の距離、fは摩擦係数を示す。
このように形成された超音速ノズル71においては、図10に示すように、超音速ノズル入口上流の全圧(P0)と、超音速ノズル71のスロート部74下流静圧(P)との比(P/P0)が臨界圧力比0.528より小さくなるように上流全圧(P0)が上昇することによって、前記絞り部72を通過することにより加速された排ガスの流速が音速に達するようになる。
このようにスロート部74に流入する排ガスの流速が音速に達することにより、超音速ノズル71内で衝撃波が発生する。この衝撃波は、超音速ノズル71の拡張部73を通過するときに加速される。このように衝撃波が発生するときにスロート部74内においては、図11に示すように、衝撃波75と、この衝撃波75とは反対方向に進む圧力波からなる膨張波76とが発生する。
前記衝撃波75が超音速ノズル71の拡張部73で加速されることと、前記膨張波76が衝撃波75とは逆方向に進行することとにより、衝撃波75と膨張波76との間に過剰な負圧が発生するとともに、衝撃波75と膨張波76との間にある排ガスの温度が低下する。前記衝撃波75と膨張波76とは、第1の触媒67より上流側に位置する第1の排気管64内を伝播するから、第1の排気管64内に負圧が発生し、前記第1の排気管64内の排ガスの温度が低下するようになる。
前記排気チャンバー54は、図8に示すように、シリンダボディ13に向けて開口する箱状に形成されており、その開口部分がシリンダボディ13によって閉塞されるようにシリンダボディ13の船外機右側の側部に取付けられている。シリンダボディ13の前記側部には、排気チャンバー54内に形成されている膨張室81の実質的な容積が増大するように、排気チャンバー54に向けて(船外機1の右方に向けて)開口する凹陥部82が形成されている。この凹陥部82の下側の側壁を構成するシリンダボディ13の下壁13aには、図4および図8に示すように、前記主排気通路55が開口している。
この排気チャンバー54の下方近傍には、図5に示すように、前記吸気ダクト41の上流側水平方向延在部44が位置付けられている。また、排気チャンバー54における第3の排気管66とは反対側(後方近傍)には、図8に示すように、前記吸気ダクト41の下流側上下方向延在部43が位置付けられている。
この実施例による排気チャンバー54は、前記4本の第3の排気管66を接続することができるように、船外機1の前後方向の幅より上下方向の高さの方が長くなるように形成されている(図4参照)。
この実施例による排気チャンバー54は、前記4本の第3の排気管66を接続することができるように、船外機1の前後方向の幅より上下方向の高さの方が長くなるように形成されている(図4参照)。
排気チャンバー54の外壁内には、図8に示すように、冷却水通路63が形成されている。この冷却水通路63は、前記第3の排気管66の冷却水通路62から冷却水が供給され、この冷却水をシリンダボディ13の冷却水排出通路(図示せず)に排出するように形成されている。
排気チャンバー54の内部には、前記膨張室81を上流側排ガス室83と下流側排ガス室84とに画成するための隔壁85が設けられている。この隔壁85は、シリンダボディ13に立設されている縦壁86と協働して膨張室81を前記二室に画成している。この隔壁85には、前記両ガス室83,84を互いに連通させる連通穴87が形成されているとともに、この連通穴87を開閉する開閉弁88が設けられている。前記連通穴87は、隔壁85の上下方向の中央部であって、船外機1の幅方向において隔壁85の中央部に位置付けられている。連通穴87の開口形状は、開閉弁88の後述する弁体89を挿入可能な略円形である。
前記開閉弁88は、前記連通穴87の内部に挿入された円板状の弁体89を有するバタフライ弁である。前記弁体89は、隔壁85の幅方向に延在する弁軸90に取付けられている。弁軸90は、隔壁85に軸受91とカバー92とによって回動自在に支持されている。また、弁軸90は、図示していない駆動装置にワイヤを介して接続されており、この駆動装置による駆動によって回動する。
この開閉弁88は、前記クランク軸11が逆回転したり、排気チャンバー54内に高い負圧が発生したときに閉じ、それ以外のときは開くように構成されている。クランク軸11が逆回転したか否かは、クランク軸11の回転数を検出するためのセンサ(図示せず)によって検出し、排気チャンバー54内の圧力は、図示していない圧力センサによって検出する。
前記排気チャンバー54の上端部には、図4に示すように、排ガス中の酸素量を検出するためにO2 センサ93が設けられている。このO2 センサ93は、前記上流側排ガス室83の上端部に位置付けられており、上流側排ガス室83内を流れる排ガス中の酸素量を検出データとしてエンジン4のECU(図示せず)に送る。このECUは、エンジン4の回転数、スロットル弁46の開度、O2 センサ93によって検出された排ガス中の酸素量などに基づいて前記インジェクタ26の燃料噴射量や、点火プラグ(図示せず)の点火時期などを制御する。
上述したように構成された船外機1において、エンジン4の各気筒の排ガスは、第1〜第3の排気管64〜66を通って排気チャンバー54にそれぞれ流入し、排気チャンバー54内で合流してから主排気通路55の上流側端部に排出される。主排気通路55内に導かれた排ガスは、アッパーカウリング8内からロアケーシング6内とプロペラ7内とを通って水中に排出される。
前記第1〜第3の排気管64〜66は、気筒毎に設けられているから、排気チャンバー54より上流側においては、排ガスが他の気筒の排気通路に流入することはない。すなわち、この実施例による排気管53は、いわゆる排気干渉を受けることなく排ガスを排出することができる。
この実施例においては、シリンダヘッド14の側部に各気筒の排ガス出口52が形成され、これらの排ガス出口52に接続された上流側排気通路61は、側面視において、前記排ガス出口52からクランク軸11の近傍まで略水平方向に延在するとともに、気筒毎に独立して他の気筒の上流側排気通路61とは画成されるように形成されている。このため、この実施例によれば、各気筒の排ガス出口52に接続された上流側排気通路61を単独で長く形成することができ、以下に説明する二つの理由により上流側排気通路61内の圧力を低下させることができるから、内部EGRによりシリンダ19内に残存する排ガスの量を低減することができる。
(1)第1の理由について
エンジン運転時に排気バルブ24が開くと、シリンダ19内の高圧の排ガスが排気バルブ24の弁体とシリンダヘッド14側のバルブシートとの間の隙間を通って排気ポート22内に噴出する。前記隙間を流れる排ガスの流速は、エンジンの回転数が2000RPM程度でも音速に達することが知られている。前記隙間を流れる排ガスの流速が音速に達すると、その後、通路断面積が相対的に大きい排気ポート22に排ガスが流入することによって、排気ポート22内で衝撃波が発生する。この衝撃波は、上流側排気通路61内を下流側に向けて進行する。
エンジン運転時に排気バルブ24が開くと、シリンダ19内の高圧の排ガスが排気バルブ24の弁体とシリンダヘッド14側のバルブシートとの間の隙間を通って排気ポート22内に噴出する。前記隙間を流れる排ガスの流速は、エンジンの回転数が2000RPM程度でも音速に達することが知られている。前記隙間を流れる排ガスの流速が音速に達すると、その後、通路断面積が相対的に大きい排気ポート22に排ガスが流入することによって、排気ポート22内で衝撃波が発生する。この衝撃波は、上流側排気通路61内を下流側に向けて進行する。
このように衝撃波が発生した排気通路内には、衝撃波とは逆方向に進む膨張波も発生する。この膨張波と前記衝撃波との間は負圧になる。この実施例による排気装置51によれば、前記排ガス出口52に接続された上流側排気通路61を充分に長く形成することができるから、上述した衝撃波と膨張波とが上流側排気通路61内に存在できる時間が長くなり、上流側排気通路61内に大きな負圧が発生するようになる。
(2)第2の理由について
上流側排気通路61内の圧力は、排気ポート22から排ガスが排出されることにより上流側から下流側に向けて徐々に上昇する。複数の気筒の上流側排気通路61は、下流側で集合されているために、前記圧力は、上流側排気通路61の集合部(排気チャンバー54)を介して他の気筒の上流側排気通路61にも伝達される。この実施例による排気装置51によれば、排ガス出口52に接続されている上流側排気通路61の長さを長く形成することができるから、前記圧力が他の気筒の排気ポート22に達するまでの時間を長くすることができる。
上流側排気通路61内の圧力は、排気ポート22から排ガスが排出されることにより上流側から下流側に向けて徐々に上昇する。複数の気筒の上流側排気通路61は、下流側で集合されているために、前記圧力は、上流側排気通路61の集合部(排気チャンバー54)を介して他の気筒の上流側排気通路61にも伝達される。この実施例による排気装置51によれば、排ガス出口52に接続されている上流側排気通路61の長さを長く形成することができるから、前記圧力が他の気筒の排気ポート22に達するまでの時間を長くすることができる。
すなわち、たとえば点火時期が前後する二つ気筒のうち、点火順序が先になる第1の気筒(たとえば#1気筒)において排気弁24が開いているときに、点火順序が次になる第2の気筒(たとえば#3気筒)において上流側排気通路61に排ガスが排出された場合、この第2の気筒の排ガスの圧力が上流側排気通路61を介して第1の気筒の排気ポート22に伝達される時期を遅らせることができる。このため、この実施例によれば、前記第1の気筒において排気弁24が開いているときに前記第2の気筒の排ガスによる排気干渉を受けることがなく、排気干渉によって第1の気筒において排ガスの排出が妨げられることを防ぐことができる。
したがって、この実施例によれば、排気行程中に上流側排気通路61内の排気圧力を低下させることができ、排ガスをシリンダ19内から排気通路内に円滑に排出できるようになり、内部EGRによりシリンダ19内に残存する排ガスの量が減少する。
この結果、吸気行程においてシリンダ19内に吸引された吸気の温度が排ガスの熱で上昇させられることを防ぐことができ、相対的に低くなるから、上述した自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生することを確実に防止することができる。
この結果、吸気行程においてシリンダ19内に吸引された吸気の温度が排ガスの熱で上昇させられることを防ぐことができ、相対的に低くなるから、上述した自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生することを確実に防止することができる。
この実施例による気筒毎の上流側排気通路61は、平面視において、前記排ガス出口52から前記クランクケース12の外側近傍を迂回して船外機1の幅方向の反対側に位置する排気チャンバー54に接続されるとともに、この排気チャンバー54を介して前記主排気通路55に接続されている。
このため、上流側排気通路61をエンジン1の周囲に可及的長く形成することができるから、上流側排気通路61内により一層高い負圧を発生させることができる。
このため、上流側排気通路61をエンジン1の周囲に可及的長く形成することができるから、上流側排気通路61内により一層高い負圧を発生させることができる。
この実施例による上流側排気通路16における排ガス出口52に接続される上流部は、排気通路形成用の気筒毎の管状部69a〜69dを一体成形してなる管状部材69によって形成されている。このため、排気管53の第1の排気管64を4本のパイプによって形成する場合に較べて排気管53の製造コストを低減することができる。また、4本の管状部69a〜69dが互いに接続されているから、第1の排気管64の剛性が高くなる。さらに、第1の排気管64、第2の排気管65および第3の排気管66からなる組立体とシリンダヘッド14および排気チャンバー54との接続部分の面積を広く形成することができ、この接続部分のシール性を向上させることができる。
この実施例による前記管状部69a〜69dどうしの間隔は、管状部材69の上流側端部と下流側端部との間の中央部分において最も狭くなるように形成されている。このため、管状部材69の剛性がより一層高くなり、気筒毎の上流側排気通路61どうしの間に形成される壁の数を低減することができることから管状部材69の軽量化を図ることができる。
この実施例によれば、気筒毎の上流側排気通路61に触媒67,68がそれぞれ設けられているから、触媒67,68には単一の気筒のみから排ガスが導かれることになる。このため、触媒に複数の気筒から排ガスが導かれる場合に較べて触媒の温度を低く保つことができる。この結果、触媒67,68が過度に高温になることを防ぐことができ、上述したシンタリングの発生を防ぐことができる。
この実施例による排気装置51は、第1の排気管64に上流側排気通路61の断面積が下流側に向かうにしたがって漸次減少する絞り部72と、この絞り部72と第1の触媒67との間において上流側排気通路61の断面積が下流側に向かうにしたがって漸次増大する拡張部73とを有する超音速ノズル71が設けられている。この超音速ノズル71により排ガスが加速されて排ガスの流速が音速に達することによって、上述したように第1の排気管64内に負圧が発生するとともに第1の排気管64内の排ガスの温度が低下する。
このため、この実施例によれば、上記負圧によってシリンダ19内の排ガスが効率よく上流側排気通路61に排出されるようになるから、内部EGRによりシリンダ19内に残存する排ガスの量をより一層減少させることができる。したがって、この実施例によれば、エンジン4の運転時に自着火やノッキングがより一層発生し難くなる。
また、この実施例においては、上述したように超音速ノズル71による作用によって排ガスの温度が低下することにより、相対的に温度が低い排ガスを第1の触媒67に流入させることができる。このため、この実施例によれば、前記シンタリング現象の発生をより一層確実に防止することができる。
この実施例による船外機1においては、気筒毎の上流側排気通路61に触媒が2個ずつ設けられているから、下記の効果を奏する。
この実施例に示したように第1、第2の触媒67,68を三元触媒によって構成する場合、この触媒67,68を通過する排ガスの流速が高いと、触媒67,68における酸化還元反応が行われ難くなり、触媒67,68の排ガス浄化率が低下する。この問題を解決するためには、排ガスが触媒67,68を通過する際の空間速度S/V値(スペースベロシティ)を下げる必要がある。S/V値は下記の数式(3)によって求めることができる。
この実施例に示したように第1、第2の触媒67,68を三元触媒によって構成する場合、この触媒67,68を通過する排ガスの流速が高いと、触媒67,68における酸化還元反応が行われ難くなり、触媒67,68の排ガス浄化率が低下する。この問題を解決するためには、排ガスが触媒67,68を通過する際の空間速度S/V値(スペースベロシティ)を下げる必要がある。S/V値は下記の数式(3)によって求めることができる。
また、この実施例においては、第1の触媒67と第2の触媒68とが上流側と下流側とに並ぶ構成を採っているから、触媒容量を増大させるに当たって触媒の外径を小さく形成することができる。したがって、この実施例によれば、船外機1が大型化することを防ぎながら、触媒容量を増大させることができる。
この実施例による船外機1においては、第1の触媒67がクランクケース12の前方(クランクケース12に対してシリンダボディ13とは反対側)に位置付けられており、シリンダヘッド14の排ガス出口52と第1の触媒67との距離を最大限に長くとることができる。このため、この実施例による船外機1によれば、触媒67を温度が過度に上昇することがない位置に配設することができる。
この実施例においては、第1の触媒67に流入する排ガスの温度は、上述したように超音速ノズル71の作用によって低下するから、第1の触媒67において前記シンタリング現象が発生することをより一層確実に防止することができる。
この実施例においては、第1の触媒67に流入する排ガスの温度は、上述したように超音速ノズル71の作用によって低下するから、第1の触媒67において前記シンタリング現象が発生することをより一層確実に防止することができる。
この実施例による排気装置51においては、排気チャンバー54内が隔壁85によって上流側排ガス室83と下流側排ガス室84とに画成され、前記隔壁85に連通穴87が形成されるとともにこの連通穴87を開閉する開閉弁88を備えている。このため、この排気装置51によれば、前記開閉弁88を閉じることによって、排気通路を排気チャンバー54内で閉塞することができ、排気チャンバー54より上流側の排気通路(上流側排気通路61)を下流側の排気通路(主排気通路55)から遮断することができる。
このため、この実施例による船外機1においては、主排気通路55内を水が逆流したときに、水が排気管53(触媒67,68)を通ってエンジン4に達することを前記排気チャンバー54によって阻止することができる。
主排気通路55内を水が逆流する現象は、船体が前進している状態で制動するために前後進切換機構17によってシフト位置を「後退」に切り換えたときに希に発生する。すなわち、船体が前進しているときに船外機1の前後進切換機構17を後退側に切り換えると、速度が高い場合はプロペラ7が水によって強い力で押されているために逆転することができず、その代わりにドライブシャフト16(エンジン4)が逆回転させられることがある。
主排気通路55内を水が逆流する現象は、船体が前進している状態で制動するために前後進切換機構17によってシフト位置を「後退」に切り換えたときに希に発生する。すなわち、船体が前進しているときに船外機1の前後進切換機構17を後退側に切り換えると、速度が高い場合はプロペラ7が水によって強い力で押されているために逆転することができず、その代わりにドライブシャフト16(エンジン4)が逆回転させられることがある。
このようにエンジン4が逆回転させられると、排気弁24が開いているときにピストンが下降するようになり、排気通路中の排ガスがシリンダ19内に吸引される。エンジン4が逆回転している時間が長ければ長いほどエンジン4に吸引される排ガスの量が多くなって排気通路内の負圧が高くなり、上述したように主排気通路55内を水が上昇することになる。
海上で使用する船外機1において、上述したように排気通路内に海水が浸入し触媒67,68に海水が接触すると、海水成分のNa、Mg、Cl等により触媒67,68が被毒し劣化する。また、高温の触媒67,68に水がかかると、急激な収縮により触媒67,68に割れが発生することがある。さらに、水が排気通路を遡ってエンジン4に吸い込まれると、いわゆるウォーターハンマー現象によってエンジン4が破損するおそれがある。
この実施例による船外機1においては、上述したように水が排気通路内を上昇するとき(エンジン4が逆回転したり、排気チャンバー54内が過度に低圧になったとき)には、排気チャンバー54内の開閉弁88が閉じ、前記逆流する水を排気チャンバー54によって止めることができるから、水が排気管53を通ってエンジン4に吸い込まれることを確実に防止することができる。
このため、この実施例によれば、触媒67,68が海水に接触して劣化したり、高温の触媒67,68が水によって急激に冷却されて破損することを確実に防止することができ、しかも、前記ウォーターハンマー現象の発生を防止することができる。
このため、この実施例によれば、触媒67,68が海水に接触して劣化したり、高温の触媒67,68が水によって急激に冷却されて破損することを確実に防止することができ、しかも、前記ウォーターハンマー現象の発生を防止することができる。
(第2の実施例)
本発明に係る船外機1は、図13〜図15に示すように、排気管53に二次空気導入用パイプ101を接続することができる。図13〜図15において、前記図1〜図11によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
本発明に係る船外機1は、図13〜図15に示すように、排気管53に二次空気導入用パイプ101を接続することができる。図13〜図15において、前記図1〜図11によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図13および図14に示す船外機1の排気管53は、第1の排気管64の下流側端部に気筒毎の二次空気導入用パイプ101が接続されている。これらの二次空気導入用パイプ101は、図14に示すように、第1の排気管64の下流側端部における船外機外側(エンジン4とは反対側の側部)に接続されている。第1の排気管64には、前記超音速ノズル71が設けられており、前記二次空気導入用パイプ101は、第1の排気管64における超音速ノズル71の拡張部73の下流側近傍であって第1の触媒67の上流側に接続されている。
二次空気導入用パイプ101は、第1の排気管64に沿って船外機1の前後方向(クランクケース12、シリンダボディ13およびシリンダヘッド14などが並ぶ方向)に延在する前後方向延在部101aと、この前後方向延在部101aの後端部(上流側端部)から上方に延在する上下方向延在部101bとを有する逆L字状に形成されている。この実施例においては、4本の第1の排気管64と、4本の二次空気導入用パイプ101とが鋳造によって一体に形成され、これらの部材によって一つの管状部材69が構成されている。
二次空気導入用パイプ101の上端部は、図13に示すように、シリンダボディ13の上端部と略同じ高さに位置するように形成されており、図14に示すように、気筒毎のリード弁102と1本の連通用パイプ103とを介して前記吸気ダクト41に接続されている。
前記リード弁102は、排ガスが二次空気導入用パイプ101から吸気系に流入することを防ぐために設けてあり、第1の排気管64内に負圧が生じることによって弁体102a(図15参照)が開き、二次空気のみを吸気ダクト41側から二次空気導入用パイプ101側へ流す構成が採られている。
前記リード弁102は、排ガスが二次空気導入用パイプ101から吸気系に流入することを防ぐために設けてあり、第1の排気管64内に負圧が生じることによって弁体102a(図15参照)が開き、二次空気のみを吸気ダクト41側から二次空気導入用パイプ101側へ流す構成が採られている。
前記リード弁102は、図15に示すように、4本の二次空気導入用パイプ101にそれぞれ一体に形成されて上方に向けて開口する弁ハウジング104と、これらの弁ハウジング104に上方から取付けられた気筒毎のリード弁本体105および通路形成部材106と、前記4個の弁ハウジング104と協働して全気筒で共有する一つの空気通路を形成するカバー107とを備えている。この実施例によるリード弁102は、図13および図14に示すように、第1の排気管64の上方であってエンジン4の側方(船外機1の幅方向において左側の側方)に位置するように位置付けられている。
前記連通用パイプ103は、1本のパイプからなり、図14に示すように、エンジン4の上方を船外機1の幅方向(平面視において、クランクケース12とシリンダボディ13とが並ぶ方向とは交差する方向)に横切るように形成され、前記カバー107と吸気ダクト41の上端部とを接続している。吸気ダクト41における連通用パイプ103が接続される位置は、下流側上下方向延在部43と下流側水平方向延在部42との接続部分である。
前記二次空気導入用パイプ101と、前記リード弁102と、前記連通用パイプ103とにより形成された通路によって、本発明でいう二次空気導入用空気通路が構成されている。この実施例による二次空気導入用空気通路は、図14および図15に示すように、前記吸気ダクト41から導出された1本の連通用パイプ103からなる一つの上流側導入部111と、この上流側導入部111から気筒毎のリード弁(逆止弁)102を介して分岐しかつ下流端が前記気筒毎の上流側排気通路61に接続された二次空気導入用パイプ101からなる下流側導入部112とから構成されている。
この実施例による船外機1においては、第1の排気管64(排気管53の水平方向延在部)の内部が負圧になったときに二次空気導入用パイプ101を通して空気が第1の排気管64内に吸引される。
一般的に、船外機は、エンジンの出力が最大になるような運転状態で長時間使用することが多いものである。このような運転状態において、触媒の排ガス浄化率を向上させるためにエンジン運転時の空燃比(以下、この空燃比を単に燃焼空燃比という)を理論空燃比とすると、燃焼温度が過度に高くなる。
一般的に、船外機は、エンジンの出力が最大になるような運転状態で長時間使用することが多いものである。このような運転状態において、触媒の排ガス浄化率を向上させるためにエンジン運転時の空燃比(以下、この空燃比を単に燃焼空燃比という)を理論空燃比とすると、燃焼温度が過度に高くなる。
この実施例による排気装置51によれば、前記第1〜第3の排気管64〜66の内部が負圧になったときに二次空気が二次空気導入用パイプ101から第1の排気管64内に吸引されるから、触媒67,68の浄化率を高く保ちながら、前記燃焼空燃比を理論空燃比よりリッチ側に設定して燃焼温度を低下させることができる。すなわち、この実施例による排気装置51においては、触媒67,68に排ガスと二次空気とが流入するから、前記燃焼空燃比がリッチ化されたことが原因で排ガス中の酸素が不足したとしても、この酸素を二次空気によって補うことができる。このため、前記燃焼空燃比を理論空燃比よりリッチ側に設定したとしても、触媒67,68によって排ガス中の有害成分を充分に浄化することが可能になる。
したがって、この実施例による排気装置51によれば、クリーンな排ガスが排出される状態を維持しながら、前記燃焼空燃比を理論空燃比よりリッチ側に設定し、燃焼温度を低下させることができる。この結果、この排気装置51によれば、上流側排気通路61内が負圧になってエンジン4のシリンダ19内に残存する排ガスの量が減少することに加え、燃焼空燃比のリッチ化に起因して燃焼温度を低下させることができるから、エンジン4において自着火やノッキングなどの異常燃焼が発生することをより一層確実に防ぐことができる。
また、この実施例によれば、燃焼空燃比を理論空燃比よりリッチ側に設定することにより、燃料の気化熱で燃焼室内の各部材を冷却することができる。このため、この実施例による排気装置51によれば、燃焼室の内面が燃料で冷却されるから、燃焼室内が過度に高温になることによって生じる不具合、すなわちピストンが溶損したりバルブシートが劣化するようなことを防止することができる。
ところで、二次空気の温度は、略大気の温度であり、排ガスの温度に較べると著しく低い。このため、この実施例によれば、上流側排気通路61内に大量に導入された相対的に温度が低い二次空気によって排ガスの温度を低下させることができるから、触媒67,68において上記シンタリングの発生をより一層確実に防止することができる。
ところで、二次空気の温度は、略大気の温度であり、排ガスの温度に較べると著しく低い。このため、この実施例によれば、上流側排気通路61内に大量に導入された相対的に温度が低い二次空気によって排ガスの温度を低下させることができるから、触媒67,68において上記シンタリングの発生をより一層確実に防止することができる。
この実施例による二次空気導入用空気通路の上流部は、前記リード弁102を介して吸気ダクト41に接続されている。このため、二次空気導入用空気通路に空気が吸い込まれることによって生じる吸気音と、リード弁102の弁体102aが弁座に着座するときに生じる着座音とを吸気ダクト41によって低減させることができる。したがって、この実施例によれば、二次空気導入用空気通路から生じる騒音を低減することができる。
この実施例による二次空気導入用空気通路は、吸気ダクト41から導出された一つの上流側導入部111と、この上流側導入部111から気筒毎のリード弁102を介して分岐しかつ下流端が気筒毎の上流側排気通路61に接続された下流側導入部112とから構成されている。このため、この実施例によれば、気筒毎の二次空気導入用空気通路(下流側導入部112)は、リード弁102の上流側で一つの通路(上流側導入部111)にまとまり、吸気ダクト41側に接続されることになる。この結果、前記上流側導入部111の容積を大きくとることができるから、二次空気が各リード弁102に吸い込まれ易くなる。
この実施例においては、二次空気導入用空気通路を接続する吸気ダクト41が側面視においてエンジン4の上端部から下端部まで延在するU字状(図5参照)に形成されているから、カウリング8内に浸入した水が吸気とともに吸気ダクト41に吸い込まれたとしても、何ら不具合を生じない程度に水の浸入を防ぐことができる。これは、吸気ダクト41の空気吸込口47に流入した吸気は、上流側上下方向延在部45内を下降して上流側水平方向延在部44の底または底周辺の壁に当たって方向転換し、下流側上下方向延在部43内を上昇するからである。
すなわち、船外機1を海で使用して海水が吸気とともに吸気ダクト41内に吸込まれたとしても、前記上流側水平方向延在部44の底または底周辺の壁に海水が付着することによって吸気中に含まれる海水の量を減少させることができるからである。このように吸気中に含まれる海水の量が減少することにより、この吸気が二次空気として排気通路内に導入されるにもかかわらず、触媒67,68を海水中の塩分による腐食から保護することができる。
この実施例によれば、上記超音速ノズル71を有する第1の排気管64に二次空気導入用パイプ101が接続されているから、超音速ノズル71の作用によって上流側排気通路61内を負圧にすることができ、上流側排気通路61内に二次空気をより一層多く吸引することができる。なお、二次空気導入用パイプ101は、超音速ノズル71で発生した衝撃波を反射させたりして負圧の発生を妨げることはない。これは、二次空気導入用パイプ101は、第1の排気管64における前記拡張部73の下流側近傍であって、排気通路の断面積が他の部位に較べて著しく大きくなる部位に接続されており、この接続部分では超音速ノズル71で発生した衝撃波が減衰するからである。
超音速ノズル71により上流側排気通路61内に負圧が生じる現象は、エンジン4の回転数が最大出力時の回転数を超えて高くなったとしても継続して生じる。一般的なエンジンにおいては、運転域が高速運転域にあるときは、排ガスの圧力が相対的に高くなるために二次空気の吸入量が著しく低減する。しかし、この実施例によれば、このような高速運転域でも上流側排気通路61内に大きな負圧が発生するために、二次空気をこの排気通路内に充分に導入することができる。この結果、二次空気を上流側排気通路61内に強制的に送り込むための空気ポンプを用いることなく、そのような構成を採るときと同等の充分な供給量となるように、上流側排気通路61内に二次空気を能動的に導入することができる。
1…船外機、4…エンジン、7…プロペラ、12…クランクケース、13…シリンダボディ、14…シリンダヘッド、41…吸気ダクト、51…排気装置、53…排気管、54…排気チャンバー、55…主排気通路、61…上流側排気通路、64…第1の排気管、65…第2の排気管、66…第3の排気管、67…第1の触媒、68…第2の触媒、71…超音速ノズル、72…絞り部、73…拡張部、101…二次空気導入用パイプ、102…リード弁、103…連通用パイプ、111…上流側導入部、112…下流側導入部。
Claims (8)
- クランク軸の軸線が上下方向を指向する船外機用多気筒エンジンのシリンダヘッドから前記エンジンの下方に位置する主排気通路に排ガスを導く船外機用多気筒エンジンの排気装置において、
各気筒の排ガス出口は、前記シリンダヘッドの側部に気筒毎に形成され、
これらの排ガス出口に接続された排気通路は、側面視において、前記排ガス出口から前記クランク軸の近傍まで略水平方向に延在するとともに、気筒毎に独立して他の気筒の排気通路とは画成されるように形成されていることを特徴とする船外機用多気筒エンジンの排気装置。 - 請求項1記載の船外機用多気筒エンジンの排気装置において、前記排ガス出口に接続された気筒毎の排気通路は、平面視において、前記排ガス出口から前記クランクケースの外側近傍を迂回して船外機の幅方向の反対側に位置する排気チャンバーに接続されるとともに、この排気チャンバーを介して前記主排気通路に接続されていることを特徴とする船外機用多気筒エンジンの排気装置。
- 請求項1または請求項2記載の船外機用多気筒エンジンの排気装置において、前記排ガス出口に接続された気筒毎の排気通路は、排気通路形成用の気筒毎の管状部を一体成形してなる管状部材によって形成されていることを特徴とする船外機用多気筒エンジンの排気装置。
- 請求項3記載の船外機用多気筒エンジンの排気装置において、前記管状部どうしの間隔は、管状部材の上流側端部と下流側端部との間の中央部分において最も狭くなるように形成されていることを特徴とする船外機用多気筒エンジンの排気装置。
- 請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の船外機用多気筒エンジンの排気装置において、前記排ガス出口に接続された気筒毎の排気通路には、触媒がそれぞれ設けられていることを特徴とする船外機用多気筒エンジンの排気装置。
- 請求項5記載の船外機用多気筒エンジンの排気装置において、前記気筒毎の排気通路における前記触媒より上流側には、二次空気導入用空気通路がそれぞれ接続されていることを特徴とする船外機用多気筒エンジンの排気装置。
- 請求項6記載の船外機用多気筒エンジンの排気装置において、前記エンジンを覆うとともに空気入口が形成されたカウリングと、
このカウリングの内部の空気をエンジンの吸気口に導くための吸気ダクトとを備え、
前記各二次空気導入用空気通路は、前記吸気ダクトから導出された一つの上流側導入部と、この上流側導入部から気筒毎の逆止弁を介して分岐しかつ下流端が前記気筒毎の排気通路に接続された下流側導入部とから構成されていることを特徴とする船外機用多気筒エンジンの排気装置。 - 請求項1ないし請求項7のうちいずれか一つに記載の船外機用多気筒エンジンの排気装置において、前記排ガス出口に接続された気筒毎の排気通路には、排気通路の断面積が下流側に向かうにしたがって漸次減少する絞り部と、この絞り部と触媒との間において排気通路の断面積が下流側に向かうにしたがって漸次増大する拡張部とを有する超音速ノズルが設けられていることを特徴とする船外機用多気筒エンジンの排気装置。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2008177633A JP2010019080A (ja) | 2008-07-08 | 2008-07-08 | 船外機用多気筒エンジンの排気装置 |
| US12/494,588 US8062084B2 (en) | 2008-07-02 | 2009-06-30 | Outboard motor |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2008177633A JP2010019080A (ja) | 2008-07-08 | 2008-07-08 | 船外機用多気筒エンジンの排気装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2010019080A true JP2010019080A (ja) | 2010-01-28 |
Family
ID=41704243
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2008177633A Pending JP2010019080A (ja) | 2008-07-02 | 2008-07-08 | 船外機用多気筒エンジンの排気装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2010019080A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011247127A (ja) * | 2010-05-25 | 2011-12-08 | Honda Motor Co Ltd | 船外機 |
-
2008
- 2008-07-08 JP JP2008177633A patent/JP2010019080A/ja active Pending
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