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JP2010008090A - 鋼中のCaO含有介在物の分析方法 - Google Patents

鋼中のCaO含有介在物の分析方法 Download PDF

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JP2010008090A JP2008164693A JP2008164693A JP2010008090A JP 2010008090 A JP2010008090 A JP 2010008090A JP 2008164693 A JP2008164693 A JP 2008164693A JP 2008164693 A JP2008164693 A JP 2008164693A JP 2010008090 A JP2010008090 A JP 2010008090A
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Abstract

【課題】鋼中のCaO含有介在物の定量分析を精度よく行うことのできる方法を提案する。
【解決手段】塩化第一鉄、水酸化カリウムおよび0.2w/v%以上の酸化防止剤を含み、pHが4.5〜6.5である電解液に、予め1150〜1350℃で10分間以上の溶体化処理を施した鉄鋼試料を浸漬させて定電流電解し、得られた残渣に対し超音波振動を4分間以上与えた後に、CaO含有介在物の定量分析を行うようにする。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄鋼試料中に存在するCaO含有介在物の有用な分析方法に関するものである。
近年の高清浄度鋼化の要求に伴い、例えば鋼板加工時の割れ等の原因となり易いCaO含有介在物の低減が必要とされている。製造時におけるCaO含有介在物の低減技術も進んでいるが、なお存在する鋼中の微量CaO含有介在物を精度よく評価することができなければ、上記技術によるCaO含有介在物低減の程度、および介在物低減による種々の特性の改善効果を確認することができず、最終製品の品質を保証することは難しい。
従って、製品に有害なCaO含有介在物を低減するにあたっては、上記製造プロセスの改善とともに、改善効果を確認するための評価技術が必要である。
従来より、上記CaO含有介在物等の非金属介在物の分析に際し、該介在物を抽出する方法として、代表的なものに酸分解法、ハロゲン溶解法、非水溶媒電解法および定電流電解法(スライム法)等が挙げられる。
上記酸分解法とは、85〜90℃程度に加熱した硫酸、硝酸またはその混合酸等の水溶液中で鉄鋼試料の鉄マトリックスを溶解し、残渣として残る介在物の組成やサイズを測定する方法である。この方法は、操作が比較的簡便であり、また残渣中に介在物とともに存在する炭化物や水酸化鉄の量が少ないため、顕微鏡やX線分光分析装置等による介在物の観察および測定が比較的容易であるという特長を有する。
しかしながら上記酸分解法は、Al等の化学的に安定な介在物の定量には適しているものの、酸に対して不安定であるCaOを含有する介在物に適用すると、その一部あるいは全部が抽出時に溶解してしまうため、CaO含有介在物の組成やサイズを精確に把握することができないといった問題がある。
上記ハロゲン溶解法としては、例えばヨウ素−メタノール法や臭素−メタノール法が挙げられる。また上記非水溶媒電解法としては、例えばアセチルアセトン−テトラメチルアンモニウムクロライド−メタノール系や、サリチル酸メチル−テトラメチルアンモニウムクロライド−メタノール系等の非水系溶媒を用いた方法が挙げられる。
上記ハロゲン溶解法や非水溶媒電解法は、酸分解法の様に介在物が溶媒中に溶解してその組成やサイズが変化してしまうといったことが少ないので、CaO含有介在物も、溶損・欠損をほとんど生じさせることなく抽出できる、という点で抽出精度に優れている。しかし、ヨウ素−メタノール等のハロゲン類や、アセチルアセトンやサリチル酸メチル等の非水系溶媒は、鉄イオンの溶解度がかなり小さいので、多量の鉄鋼試料を溶解させることができず、1鉄鋼試料分の現実的な溶解量は1〜5g程度にとどまる。従って上記方法を清浄鋼に適用した場合には、精度よく定量できるほどの介在物量を確保することが難しく、清浄鋼の介在物評価には適さない。
定電流電解法として、水系溶媒を用いたスライム法が挙げられる。該方法は、塩化第一鉄(FeCl)水溶液を電解液に用いて鉄鋼試料中の鉄マトリックスを溶解し、残渣として残った介在物の評価を、顕微鏡やX線分光分析装置等を用いて行うというものである。この方法の特長は、上記ハロゲン溶解法や非水溶媒電解法と異なり、kgオーダーの鉄鋼試料を用いることができ、かつCaO含有介在物の様な化学的に不安定な介在物を抽出することができるので、鋼中介在物量の少ない清浄鋼であっても信頼性のあるデータが得られる点にある。
しかしながら従来のスライム法では、上記化学的に不安定な介在物を抽出することができるものの、同時に水酸化鉄や炭化物が残渣として多量に残留し、その後の介在物の定量分析が困難となる、といった問題を抱えていた。この様にスライム法は、介在物量の少ない清浄鋼の介在物分析に適した方法であるにもかかわらず、上述の様な問題が存在するため、今まで有効に用いられていなかったというのが実情である。
上記スライム法を改善した技術はこれまでにも種々提案されている。例えば特許文献1には、鋼中非金属介在物、特にCaO含有介在物の定量分析および/または粒度分布測定を精度よく行うことのできる方法が示されている。具体的には、予め800℃〜1100℃で3〜10分間の溶体化処理を施した鉄鋼試料を、pH5〜7に調整した塩化第一鉄水溶液中で定電流電解に付することによって得られたCaO含有介在物を、定量分析および/または粒度分布測定に供することが記載されている。
また特許文献2には、レーザ励起−ICP分析法による非金属介在物の組成および/または粒径の測定に供する非金属介在物の抽出方法として、金属試料の溶解に先立ち、該金属試料に800℃以上で3分間以上の溶体化処理を施した後、塩化第一鉄水溶液中で定電流電解を行う旨が示されている。
しかしこれらの方法で行われている溶体化処理は、温度が800℃〜1100℃程度であり、特に高炭素鋼を対象とする場合には溶体化が不十分となるため、抽出時に介在物とともに巨大な炭化物等が残渣として残存し、介在物の定量分析が不可能となる。また、溶体化処理時間は3〜10分間程度であるが、この程度の時間では溶体化が十分でなく上記の様な不具合が生じうる。更に、定電流電解後の残渣として介在物と不要残渣が混合している場合があるが、上記方法は、この介在物と不要残渣の分離についてまで検討されたものではない。
特許文献3には、介在物の定量を阻害する炭化物の影響を最小限に抑制し、化学的に不安定なCaO含有介在物を損失・欠損させることなく抽出して、清浄鋼中のCaO含有介在物を精度よく定量する方法として、予め800℃以上の温度で溶体化処理を施した金属材料を、塩化第一鉄水溶液中またはハロゲン有機溶媒中で定電流電解した後、弱酸水溶液で酸処理することにより得られたCaO含有介在物を、定量分析および/または粒度分布測定に供することが示されている。
この方法では、介在物と残渣の分離方法として弱酸処理を用いているが、該処理では完全に両者を分離することが不可能であり、また、労力と時間を要するため実用的な介在物分析に適用することは難しい。更に、定電流電解時のpH制御の具体的方法について示されたものではない。
特許文献4には、鋼中の酸化物系介在物の電解抽出後の精製処理時間の短縮と、酸化物系介在物の抽出率の向上を目的とした、電解法による鋼中の酸化物系介在物の抽出方法が提案されている。具体的には、定電流電解に用いる電解液のpHを5.5〜7.2に制御し、かつ電解液の補給と排出を継続的に行い溶液中の水酸化鉄量を減少させて、酸化物系介在物を抽出する方法が示されている。しかしこの方法では、塩化ナトリウムを使用しているため、例えば鉄鋼製造プロセスで用いたパウダー等由来のNa含有介在物中のNaを分析する場合、Naが上記パウダー由来のものか分析用試薬によるものかが不明確となる、といった問題がある。またこの方法においても、定電流電解後の介在物と不要残渣を分離する方法については示されていない。
尚、特許文献5には、鉄鋼試料の電気分解後に超音波振動による介在物残渣落としを実施することが記載されている。しかし上記方法は、非水溶媒定電流電解法に関するものであり、上述の通り多量の鉄鋼試料を溶解させることができず、清浄鋼に適用した場合には、精度よく定量できるほどの介在物量を確保することが難しい。また、上記超音波振動は長くとも180秒であるが、これでは十分とは言えない。更に、溶体化処理を700℃で20時間実施しているが、この様な低温では特に高炭素鋼の溶体化が十分進まない、といった問題がある。
特開2002−340885号公報 特開2004−198144号公報 特開2004−198145号公報 特開昭63−115047号公報 特公昭53−44836号公報
本発明は、上述の様な問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、低中炭素鋼はもとより高炭素鋼中のCaO含有介在物を分析する場合であっても、該介在物の定量を阻害する炭化物等の不要残渣の影響を最小限に抑制し、化学的に不安定な上記介在物を損失・欠損させることなく抽出して精度よく分析することのできる方法を提供することにある。
本発明に係る鋼中のCaO含有介在物の分析方法とは、塩化第一鉄、水酸化カリウムおよび0.2w/v%以上の酸化防止剤を含み、pHが4.5〜6.5である電解液に、予め1150〜1350℃で10分間以上の溶体化処理を施した鉄鋼試料を浸漬させて定電流電解し、得られた残渣に対し超音波振動を4分間以上与えた後に、CaO含有介在物の定量分析を行うところに特徴を有する。
尚、上記CaO含有介在物とは、Al23、SiO2、MnO、MgO、Na2O、およびFeOよりなる群から選択される少なくとも1種の酸化物とCaOとの複合酸化物(例えばCaO・Al23、CaO・SiO2、CaO・Al23・SiO2等が挙げられる)であって、CaOの割合が5質量%以上のものをいう。
本発明は以上のように構成されており、鋼中のCaO含有介在物の分析に際し、規定の条件で溶体化処理を施すと共に、塩化第一鉄と、KOHおよび規定濃度の酸化防止剤を混合してpHを規定範囲内とした電解液で定電流電解を行った後、得られた残渣に対して超音波振動を所定時間以上与えることによって、不要残渣を容易に分離でき、化学的に不安定なCaO含有介在物を簡便かつ損失・欠損させることなく抽出することができる。この様な分析方法の実現によって、最終ユーザーにまで鉄鋼製品のCaO含有介在物に関する品質を保証できる他、製品開発時の介在物の評価手段として有用な方法を提供できる。
本発明者らは、前述した様な状況の下で、高炭素かつ清浄である鋼中のCaO含有介在物を精確に定量することを最終目標に、介在物の定量を阻害する不要残渣の影響を最小限に抑制して、化学的に不安定なCaO含有介在物を溶損・欠損させることなく抽出できる、鋼中CaO含有介在物の分析方法の実現を目指して鋭意研究を行った。その結果、
(i)介在物抽出に際して鉄鋼試料の溶体化処理を規定の条件で行うとともに、
(ii)塩化第一鉄、水酸化カリウムおよび0.2w/v%以上の酸化防止剤を含み、pHが4.5〜6.5である電解液を使用して定電流電解(以下、電気分解ということがある)を行い、更には、
(iii)定電流電解後に、得られた残渣に対して超音波振動を所定時間以上与えれば、
CaO含有介在物の定量分析を精度よく行えることが分かった。以下、各条件について規定した理由を詳述する。
炭化物が介在物分析に及ぼす悪影響を最小限に抑制するには、介在物の抽出に際して、鉄鋼試料に溶体化処理を施すことが大変有効である。特に高炭素鋼の場合、炭化物がCaO含有介在物とともに多量に残渣として残ってしまう恐れがあるため、この溶体化処理で炭化物を十分に分解して炭素を固溶させ、定電流電解を実施した後に残存する炭化物等の不要残渣を十分に低減することが必要である。
本発明ではこの様な観点から、溶体化処理の温度を1150℃以上とする。1150℃を下回ると、特に高炭素鋼の場合、定電流電解後に巨大炭化物等の不要残渣が大量に残り、介在物との分離が非常に困難になる。好ましくは1200℃以上とする。一方、溶体化処理の温度が高すぎる場合には、鉄酸化物が析出し、抽出時にCaO含有介在物とともに該鉄酸化物が残存して介在物の顕微鏡観察等を良好に行うことができない。従って、溶体化処理は1350℃以下、好ましくは1300℃以下の温度で行うようにする。
また、適正な温度で溶体化処理を行う場合であっても、その処理時間が短すぎると炭化物を十分に分解して炭素を固溶させることができず、この場合も介在物の評価が非常に困難となる。よって本発明では、溶体化処理時間を10分間以上、好ましくは15分間以上とする。
清浄鋼中の介在物を精確に定量できるほど十分な介在物を確保するには、上述した通り、kgオーダーの鉄鋼試料を用いて多量の鉄マトリックスを溶解することが可能な、塩化第一鉄水溶液を電解液とした定電流電解法、いわゆるスライム法を用いることが大変有効である。
本発明では、CaO含有介在物の抽出方法として上記定電流電解法(スライム法)を適用することとし、該CaO含有介在物の定量分析を精度良く行うべく、上記定電流電解法の詳細な条件についても以下の通り検討を行った。
図1は、上記定電流電解法で用いる電解液のpHと後述する実施例で求めたCaO回収率の関係を示すグラフであり、該実施例の結果を整理したものであるが、この図1から、電解液のpHが4.5を下回って電解液の酸性が強まると、CaO回収率が著しく低下することがわかる。これは、鋼中のCaO含有介在物が酸性溶液である電解液に溶解して、鋼中のCaO含有介在物の定量を精確に行うことができないことを意味している。本発明では、電解液のpHを4.5以上とすることによって、上記の様なCaO含有介在物の溶損を防止する。
一方、図2は、電解液のpHとサンプル(鉄鋼試料)溶解率の関係を示すグラフであり、後述する実施例の結果を整理したものであるが、この図2から、pHが6.5を上回ると鉄鋼試料の溶解率が著しく低下することがわかる。この様にpHが高すぎると、鉄鋼試料の電気分解が十分に進まないため、介在物の分析に遅延が生じるか分析そのものが行えないといった不具合が生じる。よって本発明では、電解液のpHを6.5以下とする。
また本発明では、上記塩化第一鉄を用いた電解液のpH調整を、特にKOHおよび酸化防止剤を用いて行う。
pH調整のための塩基性物質としてNaOHを用いると、電解液中にNa+イオンが存在することになる。この電解液でサンプルを溶解すると、介在物中にNaが含まれ、該介在物を分析する際にNaが検出される、即ち、分析用試薬由来のNaであるにもかかわらずNa含有介在物と判断されてしまう。一方、鉄鋼製造プロセスにおいては、潤滑剤等として用いられるパウダーに一部Naが使用されており、該パウダー等由来の介在物としてNa含有介在物が存在する場合がある。塩基性物質としてNaOHを用いると、上記Na含有介在物に含まれるNaが、上記製造プロセスで使用のパウダー等由来のものか分析用試薬由来のものかが不明確となる。
そこで本発明では、K(カリウム)が鉄鋼製造プロセスで用いられていない元素であり、抽出された介在物にKが含有していても、分析用試薬由来の元素であることが明白であり、これを除外して評価することができることから、pH調整のための塩基性物質としてKOHを用いることとした。本発明では、添加するKOH水溶液の濃度を変化させることによって電解液のpHを調整した。
本発明では更に、pHの上昇を抑えると共に、電解液中の二価の鉄イオンが三価の鉄イオンとなることを防止するため酸化防止剤を用いる。電解液中に三価の鉄イオンが存在すると、オキシ水酸化鉄(FeOOH)が発生し、これが不要残渣となり介在物の分析を妨げる。この酸化防止剤添加による二価の鉄イオンの安定化機構は、水溶液中において酸化防止剤の関与で二価の鉄イオンが、水中の溶存酸素と反応して活性なスーパーオキサイドラジカルを形成し、このため二価の鉄イオンの安定化と活性化が達成されるものと考えられる。
上記作用効果を十分発揮させるには、電解液中の酸化防止剤の濃度を0.2w/v%以上とする必要がある。0.2w/v%未満の場合には、電解液が空気酸化されて水酸化鉄(FeOOH)が発生し易く、不要残渣が多くなり、介在物との分離が困難になるといったおそれがある。電解液中の酸化防止剤の濃度は好ましくは1.0w/v%以上とする。一方、酸化防止剤の濃度が高くても上記鉄イオンの安定化効果に変わりはない。よって酸化防止剤の濃度の上限は、鉄イオンの安定化効果の観点からは特に限定されないが、酸化防止剤の濃度が高すぎる場合には、電気分解の進行が遅くなることがあるので、15w/v%以下とすることが好ましく、より好ましくは10w/v%以下である。尚、上記酸化防止剤としては、アスコルビン酸やクエン酸が挙げられるが、本発明ではアスコルビン酸を用いることが好ましい。
上記pHの調整された電解液に鉄鋼試料を浸漬させて定電流電解(電気分解)を行う。定電流電解には、濃度が10w/v%の塩化第一鉄(FeCl)水溶液が一般的に用いられているが、本発明では、上記の通りpHを規定しており、規定のpH範囲となるよう使用するFeClの濃度を適宜調整すればよいため、該濃度は特に限定されない。また定電流電解そのものの条件については、従来のスライム法の条件を採用すればよい。
上記鉄鋼試料の定電流電解により得られる残渣(介在物および不要残渣)は、例えば後述する実施例に示す様な浴中に設置されたメッシュクロスにより捕捉すればよい。
上記メッシュクロスのオープニングは20〜40μmとするのがよい。これよりも大きいと、最終製品の欠陥の原因となるサイズのCaO含有介在物を十分に確保することができず、該介在物と疲労特性等の関連を正確に把握し難い。また、これよりも小さいと、上記適切な条件で溶体化処理を行ってもなお分解しきれずに存在する炭化物が、CaO含有介在物とともに不要残渣として残り易く、その後のCaO含有介在物の定量に悪影響を及ぼすため好ましくない。
上記定電流電解後は、メッシュクロス内の残渣に対し超音波振動を与える。上記電気分解を実施して鉄鋼試料を溶解しても、メッシュクロス内には介在物と炭化物等の不要残渣が混合しており、このままでは介在物の分析が困難となる。本発明では、メッシュクロス内の残渣に対して超音波振動を与えることにより、介在物と炭化物等の不要残渣を分離し、かつ不要残渣を分解・微細化してメッシュクロスを通過させ、メッシュクロス内に介在物のみが残るようにする。この様に介在物と炭化物等の不要残渣を分離すると共に炭化物等の不要残渣を分解・微細化するには、超音波振動を4分間以上与える必要がある。好ましくは8分間以上、より好ましくは12分間以上である。一方、超音波振動を加える時間の上限は、上記不要残渣の分解・微細化の観点からは特に限定されないが、介在物の安定性の観点からは30分間以下とすることが好ましい。本発明では、得られた残渣に対して上記の通り超音波振動を与えることで、介在物と不要残渣を短時間で効率よく分離することができる。
この様にして得られたメッシュクロス内の介在物を、例えば後述する実施例で行うようにSEM(Scanning Electron Microscope,走査型電子顕微鏡)/EDX(Energy Dispersive X-ray spectrometer,エネルギー分散型蛍光X線分析)等で観察して、CaO含有介在物の定量分析を行うことができる。
以上の方法を採用することによって、スライム法の種々の特長を享受することができる。上述した通り、これまで、薄板鋼板に代表される低炭素鋼を材料としたスライム法では不要残渣の影響が少ないため、比較的容易に介在物の抽出が可能であったが、高炭素鋼では不要残渣が大量に生成するため介在物の分析が困難であった。しかし本発明によれば、低中炭素鋼に適用する場合はもとより、高炭素含有(特に炭素を0.8質量%以上含有)かつ清浄な鋼中のCaO含有介在物を分析する場合であっても、電解抽出時に発生する不要残渣の析出量を影響のないレベルにまで抑制でき、上記鋼中のCaO含有介在物を溶損・欠損させることなく精確に分析することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
Cを1.0質量%、Crを1.4質量%含む高炭素鋼(軸受用鋼)を溶製・鋳造し、ビレットとして得た後、該ビレットから形状が5mm×50mm×150mmの板状鋼片を採取した。
そして、この板状鋼片に、大気中で溶体化処理(温度および時間は表1に示す通りである)を施した後、水冷してサンプルを作製した。
そして前記サンプルを、電解液に浸漬させて定電流電解法(電流密度:200A/m)により鉄マトリックス等を分解した。定電流電解は、図3に模式的に示す装置で行った。前記図3に示す通り、陽極にサンプル1、陰極にSUS製板2をセットした。また電解液3として、10w/v%塩化第一鉄水溶液1000mLと表1に示す各種濃度のKOH水溶液1000mLを混合し、かつ酸化防止剤としてアスコルビン酸を、電解液中の濃度が表1に示す値となるよう混合して、電解液のpHを表1に示す通り調整した。
上記サンプル10枚を用いて上記電解を行い、合計約1kgの高炭素鋼を溶解した。
サンプルが電気分解により溶解することで、オープニングが30μmのメッシュクロス(メッシュ工業製 N−420T,ナイロン製)4の袋内に、短径が30μm以上の残渣[介在物(CaO・Al、Al、MgO・Al、SiO等)と不要残渣(炭化物、水酸化鉄等の水酸化物、鉄酸化物等)]5が捕集された。上記メッシュクロスのオープニングは特に規定するものではないが、転動疲労寿命に影響を及ぼす介在物の大きさが約30μm以上とされているため、オープニングがこの大きさのメッシュクロスを用いた。
定電流電解を終了した後は、残渣に対し、超音波振動を表1に示す時間与えた。超音波振動を与える際の周波数は、表1に示す通り一般的に用いられている25Hzとした。
そして、上記超音波振動を与えて得られたCaO含有介在物を含む残渣を、SEM/EDX分析(装置は日本電子(株)製「JXA−8000シリーズ」を使用)を行って、短径が30μm以上のCaO含有介在物の個数を求め、サンプル1kgあたりの個数に換算した。その結果を表1に示す。
規定の方法で抽出されたCaO含有介在物のSEM画像写真(倍率:1500倍)とその組成を図4に示す。図4のCaO含有介在物が、CaOを17.5質量%、Alを79.5質量%含むCaO・Alであることがわかる。
本発明によれば、この様なCaO含有介在物を損傷することなく得ることができ、CaO含有介在物の分析を精確に行うことができる。
上記サンプル(高炭素鋼)を用いて下記の評価も行った。
〈サンプルの溶解率〉
電解液のpHとサンプル溶解量の相関を確認する目的で、種々のpHの電解液を用いた場合のサンプル溶解率について求めた。
上記の様にして得られたサンプルを、表1に示す各電解液に浸して6時間定電流電解に付し、電解前のサンプルの質量と電解後のサンプルの質量を測定してサンプル溶解率を下記式(1)から求めた。その結果を表1に示す。
サンプル溶解率(%)=[(電解前のサンプルの質量−電解後のサンプルの質量)
/(電解前のサンプルの質量)]×100 …(1)
〈メッシュクロス内の不要残渣の面積率〉
メッシュクロス内に多量の不要残渣が残っていると、図5に模式的に示す様に、CaO含有介在物が不要残渣に覆われる等の状態となり顕微鏡観察等が困難となるため、該介在物を精確に分析することができない。そこで、上記の通りサンプルを定電流電解に付して電気分解後、メッシュクロス内に占める不要残渣の割合(面積率)を求めて評価した。その結果を表1に示す。
尚、不要残渣である炭化物のSEM画像写真(倍率:200倍)を図6に示す(図6中の介在物近辺の数字は、観察上付したものである)。CaO含有介在物等の介在物が約30〜50μmであるのに対し、上記炭化物は長径が300μmを超える巨大サイズであり、該不要残渣の存在が上記図5に示す通り介在物の分析に悪影響を及ぼすため、その処理が重要であることがわかる。
また本実施例では、試薬から調製した合成スラグ(CaO濃度が21.6質量%であるCaO・2Al、平均粒子径は47μm、以下「合成スラグ」という)を用いて、以下の評価も行った。
〈CaO回収率の評価〉
電解液中でCaO含有介在物が溶損していないかを調べるため、表1に示す各電解液を用いた場合のCaO回収率についても評価した。詳細には、上記合成スラグを表1に示す各電解液に投入し、電流を流さずに攪拌後1日間静置した。そしてその後、ろ紙(5種C)でろ過して、該ろ紙上の合成スラグのCaO濃度を分析した。そして、下記式(2)からCaO回収率を求めた。その結果を表1に示す。
CaO回収率(%)=[CaO濃度(質量%)/21.6]×100 …(2)
〈Na濃度の調査〉
塩基性物質としてNaOHを用いた場合に、上記合成スラグ(Naを含まないスラグ試料)の成分分析でNaが検出されるかを確認する目的で行った。具体的には、上記CaO回収率の評価と同様に、上記合成スラグを、表1に示す各電解液(塩基性物質としてNaOHを用いた電解液、または塩基性物質としてKOHを用いた電解液)に投入し、電流を流さずに攪拌後1日間静置した。そしてその後、ろ紙(5種C)でろ過して、該ろ紙上の合成スラグ中のNa濃度(質量%)を分析した。その結果を表1に示す。
表1から次のように考察することができる(尚、下記のNo.は、表1中の実験No.を示す)。No.17〜22は、本発明で規定する方法を実施しているので、化学的に不安定なCaO含有介在物を精度良く分析できていることがわかる。
これに対し、No.1〜16は、本発明で規定する少なくともいずれかの要件を満たしていないため、不要残渣が多量に残存してCaO含有介在物の分析が困難となる等の好ましくない結果となった。
詳細には、No.1および2では、溶体化処理温度が低すぎるため、炭化物等の不要残渣が大量に残り、CaO含有介在物を精度良く分析することができなかった。
No.3および4は、溶体化処理温度が高すぎるため、鉄酸化物が析出して不要残渣が多くなり、この場合もCaO含有介在物を精度良く分析することができなかった。
No.5および6では、溶体化処理の時間が短すぎるため、C等を十分に固溶させることができず炭化物等の不要残渣が大量に残り、CaO含有介在物を精度良く分析することができなかった。
No.7および8では、電解液のpH調整にNaOHを用いた例であるが、この様にNaを含む電解液を用いると、鉄鋼製造プロセスで用いられる潤滑剤パウダー等に由来のNa含有介在物を精確に分析することができない、といった不具合を有する。
No.9および10では、電解液のpHが低すぎる、即ち、酸性が強いため、CaO含有介在物が溶解して、CaO含有介在物を精度良く分析することができなかった。
No.11および12では、電解液のpHが高すぎる、即ち、塩基性が強いため、鉄鋼試料そのものの溶解が困難となった。
No.13および14では、酸化防止剤の濃度が低すぎるため、電解液が空気酸化されて水酸化鉄(FeOOH)が発生し、不要残渣が多くなって、CaO含有介在物を精度良く分析することができなかった。
No.15および16では、超音波振動を与える時間が短すぎるため、この場合も不要残渣が多量に残存してしまい、その結果CaO含有介在物を精度良く分析することができなかった。
電解液のpHとCaO回収率の関係を示すグラフである。 電解液のpHとサンプル溶解率の関係を示すグラフである。 実施例で用いた定電流電解装置の模式側面図である。 実施例において抽出されたCaO含有介在物のSEM画像写真(倍率:1500倍)とその組成を示したものである。 不要残渣がメッシュクロス内に多量に残存している状態を模式的に示した図である。 実施例において発生した炭化物(不要残渣)のSEM画像写真(倍率:200倍)である。
符号の説明
1 サンプル
2 SUS製板
3 電解液
4 メッシュクロス
5 短径が30μm以上の残渣(介在物および不要残渣)

Claims (1)

  1. 塩化第一鉄、水酸化カリウムおよび0.2w/v%以上の酸化防止剤を含み、pHが4.5〜6.5である電解液に、
    予め1150〜1350℃で10分間以上の溶体化処理を施した鉄鋼試料を浸漬させて定電流電解し、得られた残渣に対し超音波振動を4分間以上与えた後に、CaO含有介在物の定量分析を行うことを特徴とする鋼中のCaO含有介在物の分析方法。
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