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JP2010007138A - 耳発生の小さい深絞り用鋼板および製造方法 - Google Patents

耳発生の小さい深絞り用鋼板および製造方法 Download PDF

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JP2010007138A JP2008168628A JP2008168628A JP2010007138A JP 2010007138 A JP2010007138 A JP 2010007138A JP 2008168628 A JP2008168628 A JP 2008168628A JP 2008168628 A JP2008168628 A JP 2008168628A JP 2010007138 A JP2010007138 A JP 2010007138A
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Abstract

【課題】本発明は、鋼板における高張力付与と低Δhを両立することを課題とする。
【解決手段】本発明の耳発生の低いDR鋼は、質量%でC:0.015〜0.07%、Si:0.020%以下、Mn:0.30〜0.6%、P:0.02%以下、S:0.009%以下、Al:0.01〜0.05%、N:0.006〜0.01%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、Mn/S比33以上、固溶N量0.0060%以上を満足し、引張強度500MPa以上600MPa以下、かつ絞り比1.73以下の深絞り缶における円周方向最大高さと最小高さの差Δhが0.9mm以下であることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、ぶりきやティンフリースチール、Niメッキ鋼板などの表面処理鋼板の原板において、1回以上の深絞り加工が施される2ピース缶に使用される容器用鋼板に用いて好適な耳発生の小さい深絞り用鋼板およびその製造方法に関するものである。
絞り缶用の容器用鋼板はJIS G3303において、ロックウェルT硬さにより定められた調質度DR−8〜DR−9のものが主流である。その硬さはDR−8が73狙い、DR−9が76狙いであり、引張試験における引張強度(以下、TSと略す)が500〜650MPaに相当する高張力鋼板である。
近年、製缶コスト削減から鋼板のゲージダウン要求が強まっており、缶強度を維持するために高張力化は避けられない状況にある。この高張力化を大きく進展させた技術に、以下の特許文献1のような連続焼鈍後の二回目の冷間圧延(以下、冷延と略す)率を10〜50%で行うダブルレデュース(以下、DRと略す)製法がある。
この製法は高張力化とゲージダウン化を安価かつ容易に両立できる技術として広く普及しているが、この製法によるDR鋼板は、圧延による冷延ひずみで高張力を得るため脆い性質が強く、絞り加工時の割れ起因になる課題がある。
一方、深絞り加工に使用されるDR鋼板はランクフォード値(以下、r値と略す)が一様であること、すなわち異方性の無いことが望まれる。r値とは引張り試験における試験片平行部の幅方向縮みと厚み方向縮みの比で表されるr値=[幅方向縮み]/[厚み方向縮み]のことであり、異方性とはr値が引張り試験片の採取方向ごとに値が異なる特性をいう。例えば、板厚が0.20mmより薄いDR鋼板では圧延方向(以下、L方向と略す)のr値が最も低い値を示し、次いでL方向に対して90°傾いた方向(以下、C方向と略す)が続き、L方向に対して45°傾いた方向(以下、D方向と略す)のr値が最も高くなるような異方性を示す。
このような異方性を有するDR鋼板を円盤状にブランキングして絞り加工を施すと、缶口部においてr値の小さいL、C方向は板厚が増加して半径方向に材料が伸びず、缶高さの低い谷部が形成され、r値の大きいD方向は板厚が増加せずに半径方向に伸びることで缶高さの高い山部が形成される。
図1に示すように深絞り終了後の缶を円周方向に俯瞰すると山部と谷部が交互に続く、いわゆる「耳(イヤリング)」と呼ばれる缶高さバラツキとなって見える。これは缶外観のみの問題ではなく、異方性が強いほど耳が大きく出て歩留りが悪くなり、耳が金型に接触する製缶トラブルも生じやすくなる。これらの実情から耳の大きさは平均の缶高さを示すイヤリング率、%表示から缶円周方向の最大高さ(山部)と最小高さ(谷部)の差分である耳高さΔh表示(以下、Δhと略す、単位mm)とする方向に厳格化されつつあり、低イヤリングと呼ばれるにはΔhを0.9mm以下にする必要がある。
特許文献2および特許文献3は、耳発生を抑える技術として開示されたものであるが、2つの文献は鋼成分のC、N、Pが耳発生を助長する因子であるとして添加量を制限した点に共通性がある。C、N、Pは鋼に対する硬化元素としての働きもあるため添加を制限すると高張力が得難くなりイヤリング率抑制との両立が困難になる課題がある。
一方、特許文献4はC、Nが多く添加されておりTS値700MPaの高張力が得られている。しかしながら特許文献4に記載の技術では、得られる鋼材のイヤリング率は、特許文献2および3により得られる鋼材のイヤリング率より大きく、イヤリング率を更に小さくできない課題がある。
以上のように従来技術においては、ゲージダウンに必要な高張力と2ピース缶に必要なイヤリング率低減を両立させた技術が提供されていなかった。
特開昭51−131413号公報 特開平2−141535号公報 特開平2−141536号公報 特開昭58−217659号公報
本発明はかかる従来技術の問題点、即ち、鋼板における高張力付与と低Δhの両立を課題にするものである。特に、DR−8〜DR−9相当の高張力鋼が常用する85〜95%以下の高冷延率領域において、深絞り成形時の耳発生を強く抑制し、従来のイヤリング率に代わるΔh管理が可能な2ピース缶用鋼板とその製造方法を提供するものである。
本発明者は、鋼成分C、N利用が耳発生を助長する一方、高張力確保に不可欠な手段であることから、冷延率85〜95%の範囲において鋼成分C、N利用が可能になる共存他成分との関係を調査した。その結果0.015〜0.07%Cの低炭素鋼において、深絞り2ピース缶のΔhを支配する因子がMn/S比と固溶N量であるとの知見を得た。即ちこの冷延率範囲において、固溶N量が極めて少ない場合と極めて多い場合に耳発生が抑制され、Δhが小さくなることを知見したものである。
これに対して例えば特許文献2および3に記載されている技術は、N添加量を抑え、固溶N量が極めて少ない例である。一方、本発明は固溶N量が極めて多い場合の知見であって、最適なMn、S量(Mn/S比)の選択によって高張力と低Δhが両立することを見出したものである。
すなわち本発明の要旨とするものは次の通りである。
(1)本発明の耳発生の小さい製缶用鋼板は、質量%で、C:0.015〜0.07%、Si:0.020%以下、Mn:0.30〜0.6%、P:0.02%以下、S:0.009%以下、Al:0.01〜0.05%、N:0.006〜0.01%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、Mn/S比33以上、固溶N量0.0060%以上を満足し、TS値500MPa以上600MPa以下、かつ絞り比1.73以下の深絞り缶における円周方向最大高さと最小高さの差Δhが0.9mm以下であることを特徴とする。
(2)本発明の耳発生の小さい製缶用鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.015〜0.07%、Si:0.020%以下、Mn:0.30〜0.6%、P:0.02%以下、S:0.009%以下、Al:0.01〜0.05%、N:0.006〜0.01%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の連続鋳造鋼片を熱間圧延仕上温度(以下、FTと略す)860〜950℃で熱間圧延した後、捲取温度(以下、CTと略す)650〜720℃の範囲で捲取り、酸洗後、一次冷間圧延率を85〜95%とした冷間圧延を施し、再結晶温度以上となる650〜740℃の温度範囲で15〜60秒均熱する連続焼鈍を行い、引き続き二次冷間圧延(調質圧延、以下DRと略す)率10〜20%の冷間圧延を施すことを特徴とする。
(3)本発明の製造方法は、(2)に記載の製造方法を施すことにより、Mn/S比33以上、固溶N量0.0060%以上を満足し、引張強度500MPa以上600MPa以下、かつ絞り比1.73以下の深絞り缶における円周方向最大高さと最小高さの差Δhが0.9mm以下の鋼板を製造することを特徴とする。
本発明の主たる効果は高張力を維持したまま耳発生を抑え0.9mm以下のΔhを示す深絞り用高強度薄鋼板を容易に製造できるとした点にある。これは金属容器分野に新たな製缶コストダウンシーズを提供できることになり、省資源、省エネルギー等への貢献は大きい。
また、本発明において鋼に合金元素として添加するNは自然界に安価多量に存在するものであり、Sを少なく利用してMn量を節減するMn/S比制御によって深絞り用高強度薄鋼板の製造そのものにおいて、省資源、省エネルギー等に大きく貢献することができる。
以下に本発明を完成するに至った基本的な考え方及びそれに基づいて行った探索実験と組成比の限定理由について説明する。
本発明は高張力鋼板の製造を前提にしているため、安価に高張力が得られるN強化鋼を素材に検討を進め、以下の探索実験を行った。
供試材はS量が異なる2成分の鋼板を用いた。
通常S量の供試材成分は質量%においてC:0.04%、Si:0.009%、Mn:0.21%、P:0.014%、S:0.014%、Al:0.047%、N:0.0082%である。この組成の鋼を以下に基準鋼と称す。一方、溶銑予備処理により含有S量を0.003%まで下げた供試材の成分は、C:0.04%、Si:0.005%、Mn:0.39%、P:0.012%、S:0.003%、Al:0.037%、N:0.0082%である。微量Sなので、この組成の鋼を以下に低S鋼と称す。
二つの鋼は実機転炉にて溶製し、連続鋳造にてスラブにし、実機熱延にて1200℃まで再加熱後、FT(熱間圧延仕上温度):890℃で厚み1.8mmの熱延鋼板とした後、CT(捲取温度):720℃で捲取った。この鋼板を酸洗し、実機冷延にて厚み0.19mmに圧延後、690℃の均熱温度にて連続焼鈍した。次いでDR率18%にて再冷延し、最終板厚を0.155mmとした。
この鋼板より図1に示すブランク板を切り出し、絞り比1.73の条件で深絞り缶を成形し、Δhおよびイヤリング率測定を行った。
同じ鋼板からJIS5号引張試験片をL方向(圧延方向)に切り出し、JIS Z 2241に準じて引張試験を行った。探索試験材の化学成分を表1に示し、熱延〜DR圧延実績を表2に示し、Δh、イヤリング率、引張試験値を表3に示し、Mn/S比別の固溶N量とΔhの関係を図2に示し、Mn/S比別のTS値とΔhの関係を図3に示した。この探索試験において得られた知見を整理すると以下のようになる。
Figure 2010007138
Figure 2010007138
Figure 2010007138
「1」図2は固溶N量とΔhの関係を示すものである。Mn/S比が基準鋼より大きい低S鋼は固溶N量0.006〜0.008の範囲においてΔh≦0.9mmを確保している。一方、Mn/S比の低い基準鋼は同じ固溶N量範囲において0.9mmを超える実績が多くあり、N量が多い場合は低Δhが得難い。
「2」表1の基準鋼No.5のFT:853℃材(No.5の基準鋼)は、図2においてΔhが最も大きく顕著な耳発生がある。低温FT条件はΔhを劣化させると考えられる。
「3」図3はTSとΔhの関係を示すものである。基準鋼および低S鋼のTS範囲が同等なのは、固溶N強化がMn/S比の影響を受けずに作用するためと推察される。
以上の探索実験結果より、N強化鋼において高張力と低Δhを両立させるには高Mn/S比となるMn、S量配分と熱延での高温FT圧延が必要であることが判明した。
以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明に係る鋼板の成分について説明する。
<C:0.015〜0.07%>
2ピース缶としての強度確保と深絞り加工性の両立にはC量の上下範囲を限定する必要がある。まずC量下限については粗大結晶粒の生成を抑制し安定した高張力を確保するため0.015%以上が必要である。C量が0.015%未満ではセメンタイト析出が疎らになる分、大きな粒の組織となり鋼板が高強度化し難くなるためである。一方、C量が0.07%を超えるとパーライトのような第二相や粗大なセメンタイト粒子の析出があって深絞り加工時の破壊の起点となる。特にゲージダウン化が進んだDR鋼板では絞り加工中の割れ危険性が高まる。従ってC量の範囲は0.015〜0.07%としなければならない。なお工業生産上、安価な溶製を行うにはCの範囲を0.03〜0.06%とすることが好適である。
<Si:0.020%以下>
Siは容器用鋼板としての耐食性を劣化させ、過剰に含有させれば介在物を形成し深絞り加工性を劣化させるため本発明には不要な元素である。従って含有しないことが望ましくSi下限を定めない。一方、Si上限はASTM規格が定める0.020%にする必要がある。Siは溶製時に敢えて添加する必要はなく、耐火物中のSiOが溶鋼中のAlで還元されて残留する程度に止める必要があり、0.01%未満の含有が望ましい。
<Mn:0.30〜0.6%>
MnはMnSを形成し熱延コイルの耳割れ発生を防ぐほか、熱処理後の結晶組織を均一にし、深絞り加工缶のイヤリングを抑制する働きがある。ただし本発明のようにS量を少なくした鋼では過剰の添加は経済的に好ましくないのでMn量の上限は0.6%以下とする。またMnSに使われなかったMnは固溶強化元素として高強度化に働く。本発明においてMnS形成と固溶強化の両立にはMn/S比33以上が好適であるためMn量の下限は0.30%とする。
<P:0.02%以下>
Pは材質を脆くし、過度に含有すると結晶粒界に偏析して深絞り加工割れの原因になるほか、食缶としての耐食性を劣化する元素である。従って実用上支障のない上限を0.02%とするが、好ましくは0.01%以下であって、本発明において不要な元素であることから下限を定めない。
<S:0.009%以下>
Sは後述のNと同様に重要な化学成分であり、Δhを抑制するように0.009%以下の微量に規制する必要がある。多量Nを含む鋼であっても微量Sにより深絞り缶のΔhは低減されるが、その冶金的機構は必ずしも明らかではない。
本発明鋼には多量Mnがあり熱延高温CTが施されることから、MnS析出物と微量Sが熱延鋼板に存在している。このような鋼板に一次冷延、DR圧延を適用したときに鋼の集合組織がΔhを改善するように変化するためと推察される。またSの過度の含有は連続鋳造時に粒界MnSとして析出しスラブ割れを起こし、次いで熱間圧延時には地鉄と結合して低融点化合物を作り、熱間圧延温度で融解して鋼板に割れを起こすなど美麗な鋼板を製造する上で極めて有害である。
さらに本発明のように過剰なMnを含む鋼板においてはS量が多いほど大きなMnS析出物を生成する。このMnSは圧延により圧延方向に長く伸びる性質を有しており、析出物が大きいほど破断の起点となって深絞り加工性を劣化させる。従って深絞り加工性を良好に保ち、耳発生を抑制するにはSは微量であることが望ましい。一方、原料段階から不可避的に混入する元素のため、溶製時に0.009%以下まで低減して本発明の目的が達成可能なS量にすることが重要である。S量上限を0.009%とすればMnS析出物が連続鋳造性、熱間圧延性、製缶における深絞り加工割れ起因とならず、Δhも小さくなる利点がある。容器となった後においてもSが極微量であるほど耐食性が向上するので0.005%以下の規制が好ましい。
<Al:0.01〜0.05%>
Al量は0.01〜0.05%に限定する。Alが多い場合、連続鋳造時にAlNとなって粒界に析出しスラブ割れを起こし、また熱延捲取りや焼鈍加熱時にAlNの析出サイズが大きくなり深絞り加工の割れ原因となる。さらには固溶Nを減じる効果があり、高張力と低Δhの両立には不都合である。Al量上限は熱延高温CTにおいても固溶Nが必要以上に減らぬよう上限を0.05%に規制する。一方、Alは少ないほど好ましく、溶鋼中の溶存酸素量に見合った量を添加し脱酸素を完了できればよい。実質的に金属Alとして残す必要はないので下限を0.01%に規制する。なお、材質の安定性という観点から0.01〜0.03%の範囲が望ましい。
<N:0.006〜0.01%>
N量は0.006〜0.01%に限定する。NはSとともに本発明の重要な化学成分であって、Nの固溶強化により鋼板は高張力化し、微量Sとの共存によって深絞り2ピース缶のΔhが低減する。固溶N量は鋼中の全N量から臭素エステルによる溶解法で測定した析出Nを差引いた値を使い、その量が0.0060%以上である時に本発明の効果を発揮するのでN量下限を0.006%とする。一方、Nが0.01%を越えて添加されると固溶N量も0.01%超に増加してDR率が10〜20%の範囲において、鋼板脆化が認められるようになる。これは鋼板製造および製缶加工作業全般を阻害するのでN量の上限を0.01%とする。なおNは連続鋳造時に混入防止対策を採らなければ空気中から0.0005%以上の混入がある。確実に鋼板脆化を抑えるには上限を0.009%にすることが望ましい。
<TS:500〜600MPa>
本発明鋼板のTS値は固溶N量によって如何様にでも制御可能であるが、500MPa以上600MPa以下に限定するのは深絞り加工に使用される高強度缶用薄鋼板のほとんどがこの強度範囲で製缶されており加工経験が豊富で強度起因による製缶不具合が生じ難いからである。本発明による鋼板は、特に0.20mm以下の板厚の薄い場合にその効果が充分に発揮されるものである。
<Δh≦0.9mm>
深絞り加工後の缶口部は円周方向の板厚分布と高さに異方性が現われる。異方性が大きい鋼板ほど耳が大きく、耳近傍にシワや不均一な板厚変動を生じるが、缶口部をスリットし排除すれば深絞り加工による不具合を解消できる。一方、スリット加工は鋼板の歩留りを悪化し資源の浪費になる。本発明では耳発生を抑え、それに伴う不具合解消を検討した結果、耳の大きさΔhが0.9mm以下になれば目視にて耳を視認できずシワ発生も極めて軽微になることを確認した。従って本発明のΔhを0.9mm以下とする。
<その他の化学成分>
本発明の高強度薄鋼板の成分としては質量%でC:0.015〜0.07%、Si:0.020%以下、Mn:0.30〜0.6%、P:0.02%以下、S:0.009%以下、Al:0.01〜0.05%、N:0.006〜0.01%を含有することが必要であるが、公知の容器用薄鋼板中に一般的に存在する成分元素を含有してもよい。例えばCr:0.10%以下、Cu:0.20%以下、Ni:0.15%以下、Mo:0.05%以下、B:0.0020%以下、Ti、Nb、Zr、Vなどの1種または2種以上を0.3%以下、あるいはCa:0.01%以下などの成分元素を目的に応じて含有させることができる。
上記成分範囲の鋼は、各種転炉で溶製後、必要に応じて真空脱ガス処理を行い、連続鋳造の工程により容易に製造することができる。
次いで本発明の熱延条件としてFTとCTを限定する。この限定された熱延条件が本発明において成分効果を発揮させる上で重要である。以下にその限定理由を説明する。
FTはAr変態点以上にする。探索実験の基準鋼No.5の知見により、変態点近傍あるいは以下となる低FTで圧延すると異方性が大きくなりΔhが大きくなるためである。具体的には上記成分範囲において860〜950℃にて圧延する。CTはMnSを作り結晶粒を大きくしてΔhおよび絞り加工性を向上させるために650〜720℃の範囲にする。
主要成分Mn、S、Nに量規制を加えた本発明鋼板はTS値500MPa以上の高張力が安定して得られる特徴があり、本発明目的の容器向け鋼板として優れた缶強度、良加工性を発揮することは勿論、薄板を加工して利用する例えば建材や自動車用鋼板などさまざまな用途にも活用することができる。
<FT(熱間圧延仕上温度):860〜950℃>
圧延可能な温度に加熱したスラブをFT:860〜950℃で熱間圧延する。860℃下限は探索試験で得られたΔh劣化の知見から設定する。一方、950℃を超えた圧延は著しい二次スケール生成がありスケール疵を多発させる危険性が極めて高く、圧延ロールの表面劣化を伴い、ロール寿命を短くすることから設定した。
<CT(巻取温度):650〜720℃>
熱間圧延後、650〜720℃のCT範囲で捲きとる。650℃以上とするのは捲取り後の自己焼鈍により圧延組織の残留がないようにするためで、一次冷延性が向上し連続焼鈍にとって望ましい鋼板形状が得られるためである。一方、720℃以下としたのは、これ以上の温度では鋼中に粗大なMnS、AlNが析出して深絞り加工性を劣化し、かつ酸洗での脱スケール性が劣化してスケール疵を多発させる危険性が極めて高いためである。
<酸洗>
上記の捲取り温度により製造されれば酸洗条件に格別の規制はなく、通常条件としての塩酸または硫酸による酸洗が可能である。
<一次冷間圧延:85〜95%>
連続焼鈍前に施される冷間圧延を一次冷延として、その範囲を85〜95%とする。この範囲は一般の冷延鋼板に施される60〜80%に比べて高い冷延率である。これは板厚が0.20mmより薄いDR鋼板を製造する場合、熱延の薄厚化の限界に到達するため、冷延率を85〜95%にしなければならないためである。本発明の低炭素鋼板はL方向のr値が最も低い値を示し、次いでC方向が続き、D方向のr値が最も高くなるような異方性を示す。このような異方性を改善する効果が本発明にはあり、この冷延率範囲において特に強く発揮されるものである。また本発明鋼は高張力を目的としており、冷延率が高いほどその効果が強くなる。冷延率が低い場合、再結晶焼鈍後の結晶粒径が粗大になり高張力が得られないので下限を85%とする。一方、冷延率は高いほど高張力化を促進させる効果を有するが、一般に使用されるタンデム式冷間圧延機は実用冷延率に上限があり、95%を超えると鋼板が破断する危険性が極めて高くなるため上限を95%に限定する。
<連続焼鈍:650〜740℃>
深絞り成型を円滑に進めるには優れた加工性が必要であり、冷間圧延で生じた硬く脆い圧延組織を完全に無くすための再結晶焼鈍を確実に施さなければならない。前述の冷延率85〜95%であれば650℃以上において再結晶組織が確実に得られる。一方、740℃を越える焼鈍を施すと冷却後の鋼板組織に硬い再結晶粒が混在するようになり、MnS、AlNなどの粗大析出物同様に加工割れ、くびれ、しわ発生の起点となる。また高温の連続焼鈍ほど鋼板の高温強度が低下するため炉内絞り、炉内破断の危険性も増す。安定した連続焼鈍を施すには上限を740℃に規制する必要がある。均熱時間は15〜60秒とした。これは15秒未満では650℃焼鈍においても不十分な再結晶組織となる危険性があるためで、逆に60秒以上では再結晶後の粒成長が進み過ぎて高張力化が困難となるためである。焼鈍後に一旦300〜500℃に冷却しその温度で1〜2分過時効処理することは固溶N量への影響が少なく、硬い再結晶粒を軟化させるため加工性向上に好ましい。
<DR(二次冷間圧延):10〜20%>
焼鈍後の調圧率も本発明の重要な製造因子であって、DR率が10%未満では不均一な調圧による材質バラツキと形状不良およびストレッチャーストレイン模様発生の危険性が高まるので下限を10%とする。一方、DR率が20%を超えると硬質化と異方性の劣化が進みΔhが安定して確保できないため上限を20%とする。
以上説明した製造方法により得られた鋼材は、500MPa〜600MPaの範囲の高張力を維持したまま耳発生を抑え、0.9mm以下のΔhを示す深絞り用高強度薄鋼板を得ることができる。この鋼板によれば、金属容器分野に新たな製缶コストダウンシーズを提供できることになり、省資源、省エネルギー等への貢献は大きい。
また、先の製造方法において、鋼に合金元素として添加するNは自然界に安価多量に存在するものであり、Sを少なく利用してMn量を節減するMn/S比制御によって深絞り用高強度薄鋼板の製造そのものにおいて、省資源、省エネルギー等に大きく貢献することができる。
先に説明した探索実験に続く量産実験の結果を表4〜表6に示す。
Figure 2010007138
Figure 2010007138
Figure 2010007138
表4において、特にCが0.02%以下の試料は真空脱ガス処理を行って連続鋳造機にて清浄度の優れたスラブとしたものである。
これらのスラブを熱間圧延にて圧延できる1200℃以上の温度に加熱後、FT:860〜950℃で1.8〜2.0mmに熱延し、CT:650〜720℃で捲取り、酸洗にて脱スケールを施した。次いで6スタンドタンデム冷延機にて90%の一次冷延を行い、連続焼鈍にて板温度650〜740℃の条件で焼鈍を施した。その後にDR率:10〜20%の調質圧延を施し材質調査用の鋼板を製造した。
表4にNo.1〜48の各試料の化学成分を示し、表5にNo.1〜No.48の各試料のMn/S比、FT(℃)、CT(℃)、冷間圧延率(%)、連続焼鈍温度(℃)、保持時間(秒)、DR率(%)の測定結果を示す。
なお、表4と表5に示す試料の一部に本発明範囲を外して製造した比較例がある。表6は得られた各DR鋼板試料の材質調査結果を示したものである。
本発明の重要な化学成分である固溶N量および硬さ、引張試験値、Δh、イヤリング率などを示す。固溶N量は鋼中の全N量から臭素エステルによる溶解法で測定した析出Nを差引いた値である。硬さはJIS G 3303およびJIS Z 2245に準じたロックウェル硬さ試験値、TSおよび全伸びは鋼板幅方向の中央部よりJIS5号引張り試験片をL方向に切り出し、JIS Z 2241に準じて測定した値である。
イヤリング率およびΔhは先に説明した探索実験で行った図1の手順に従って測定した。硬さ、引張試験片を切出した近傍の鋼板中央部から57.2mmφのブランク板を採取し、33mmφの深絞り製缶を行い、缶耳部を測定して得られた値である。
なお、表5と表6には、比較例において一部の缶に冷延破断、スケール疵多発、深絞り加工割れ、缶口辺シワが発生したため、一部あるいは全ての材質調査結果が欠落しているものがある。
表4〜表6に示した量産試験のまとめとしてMn/S比別の固溶N量とΔhの関係を図4に示す。本発明に係るDR鋼板においては、高Mn/S比にあることでΔhは0.9mm以下に安定しており、かつ固溶N量増加に伴いΔhの値を更に改善できる傾向となることを確認できた。
表4と表5に示すNo.1〜No.24の試料は、いずれも本発明に係る合金組成範囲を満足し、本発明を満足する条件で製造した試料であるが、表6に示す如く、硬さ(HR30T:ロックウエルT硬さ)68〜75を示し、引張試験値500MPa〜596MPaを示し、イヤリング率1.3〜2.5%を示し、Δh=0.453〜0.732mmを示し、優れた特性を示した。
これらの試料に対し、No.25〜No.36の各試料は、C含有量、Si含有量、Mn含有量、P含有量、S含有量、Al含有量、N含有量のいずれかを本発明組成範囲から外した試料であり、No.37〜No.48の試料は、FT、CT、冷延率、連続焼鈍温度あるいは時間、DR率のいずれかを外して製造した試料であるが、いずれの試料においても、表6に示す如く、TS不足となるか、加工割れを生じるか、Δhが大きいか、絞り缶口周辺割れを生じるか、スケール疵を発生するか、製造中に破断するか、ストレッチャーストレインを発生するか、の問題を生じた。
以上の試験結果から、Mn/S比33以上、固溶N量0.0060%以上を満足し、引張強度500MPa以上600MPa以下、かつ絞り比1.73以下の深絞り缶における円周方向最大高さと最小高さの差Δhが0.9mm以下である製缶用鋼板を提供できることが明らかとなった。
また、以上の試験結果から、前記組成の連続鋳造鋼片を熱間圧延仕上げ出口温度:860〜950℃で熱間圧延した後、650〜720℃の範囲で捲取り、酸洗後、一次冷間圧延率を85〜95%とした冷間圧延を施し、再結晶温度以上となる650〜740℃の温度範囲で15〜60秒均熱する連続焼鈍を行い、引き続き二次冷間圧延率10〜20%の調質圧延を施すことにより、上述の優れた特性を発揮する製缶用鋼板を製造できることが明らかとなった。
本発明の深絞り鋼板を使用したブリキ、TFS、あるいは冷延鋼板は、一回以上の深絞り加工において、破断、しわなどが発生し難く、耳が小さくΔhの低い2ピース缶が安価、容易に得られるものである。
本発明鋼板は深絞り成型性に優れた極薄容器用鋼板として従来技術では成し得なかった高張力と低Δhの両特性を有しており、本発明目的の容器向け鋼板として優れた缶強度、良加工性を発揮することは勿論、薄板を加工して利用する例えば建材や自動車用鋼板などさまざまな用途にも活用することができる金属材料である。
図1は、ブランク板から絞り比1.73の条件での深絞り製缶の方法と耳評価法を示した図。 図2は、探索試験の鋼板における固溶N量とΔhの関係を示す図であり、Mn/S比が基準鋼より大きい低S鋼は固溶N量0.006〜0.008の範囲においてΔh≦0.9mmを確保していること、Mn/S比の低い基準鋼は同じ固溶N量範囲において0.9mmを超える実績が多くあり多量Nの単独利用では低Δhが得難いことを示す。 図3は、探索試験の鋼板におけるTSとΔhの関係を示す図であり、Mn/S比によってΔhに明らかな分布の違いが認められること、基準鋼および低S鋼のTS範囲が同等なのは固溶N強化がMn/S比の影響を受けずに作用するためと推察できることを示す。 図4は、Mn/S比別の固溶N量とΔhの関係を示す図であり、探索試験で得られた知見が量産実験においても再現されていること、高Mn/S比にあることでΔhは0.9mm以下の低位に安定し、固溶N量増加に伴いΔhが更に改善する傾向が認められることを示す。

Claims (3)

  1. 質量%で
    C :0.015〜0.07%
    Si:0.020%以下
    Mn:0.30〜0.6%
    P :0.02%以下
    S :0.009%以下
    Al:0.01〜0.05%
    N :0.006〜0.01%
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
    Mn/S比33以上、固溶N量0.0060%以上を満足し、引張強度500MPa以上600MPa以下、かつ絞り比1.73以下の深絞り缶における円周方向最大高さと最小高さの差Δhが0.9mm以下であることを特徴とする耳発生の小さい製缶用鋼板。
  2. 質量%で
    C :0.015〜0.07%
    Si:0.020%以下
    Mn:0.30〜0.6%
    P :0.02%以下
    S :0.009%以下
    Al:0.01〜0.05%
    N :0.006〜0.01%
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の連続鋳造鋼片を熱間圧延仕上げ出口温度:860〜950℃で熱間圧延した後、650〜720℃の範囲で捲取り、酸洗後、一次冷間圧延率を85〜95%とした冷間圧延を施し、再結晶温度以上となる650〜740℃の温度範囲で15〜60秒均熱する連続焼鈍を行い、引き続き二次冷間圧延率10〜20%の調質圧延を施すことを特徴とする耳発生の小さい製缶用鋼板の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法を施すことにより、Mn/S比33以上、固溶N量0.0060%以上を満足し、引張強度500MPa以上600MPa以下、かつ絞り比1.73以下の深絞り缶における円周方向最大高さと最小高さの差Δhが0.9mm以下の鋼板を製造することを特徴とする請求項2に記載の耳発生の小さい製缶用鋼板の製造方法。
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CN103938103A (zh) * 2014-04-15 2014-07-23 河北钢铁股份有限公司唐山分公司 两片罐用马口铁mrt-3基板及其生产方法
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