以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
<接着フィルム>
図1は、実施形態に係る接着フィルムを模式的に示す断面図である。図1に示される接着フィルム1は、幅1〜20mm程度又は幅10〜50cm程度の帯状とし、巻き芯に巻いた形態で搬送することが好ましい。接着フィルム1は、半導体素子と被着体とを接着するダイボンディングフィルムである。被着体としては、支持部材、半導体素子等が挙げられる。
接着フィルム1は、高タック面A(一方の面)と低タック面B(他方の面)とを有する。高タック面Aは第1接着剤樹脂組成物を含んでおり、低タック面Bは第1接着剤樹脂組成物とは異なる第2接着剤樹脂組成物を含んでいる。すなわち、接着フィルム1は2種類の接着剤樹脂組成物を含有する。第1接着剤樹脂組成物は第1熱可塑性樹脂を含み、第2接着剤樹脂組成物は第2熱可塑性樹脂を含んでいる。
第1熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg1)は0℃以上40℃未満である。接着フィルム1のラミネート性の観点から、Tg1は35℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。一方、室温における接着フィルム1の取り扱い性の観点から、Tg1は5℃以上がより好ましい。
第2熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg2)は40℃以上80℃未満である。ピックアップ工程におけるダイシングテープとの容易剥離の観点から、Tg2は45℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。Tg2が低すぎると接着フィルム1のタック性が向上するため、密着しやすくなってしまう。一方、ピックアップ工程後のダイボンド温度の観点から、Tg2は75℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。ダイボンド温度が高すぎると、ダイボンド時のチップ反りが起こり易くなる傾向にある。
また、接着フィルム1は、第1熱可塑性樹脂を含む第1ワニスと第2熱可塑性樹脂を含む第2ワニスとを基材上に重ねて塗布した後、乾燥することによって基材上に形成される。
本実施形態の接着フィルム1によれば、接着フィルム1の高タック面Aを例えば半導体ウェハ等の部材に低温で貼り付けることができる。また、接着フィルム1の低タック面Bを例えばダイシングシート等の部材に貼り付ければ接着フィルム1をダイシングシートから容易に剥離することができる。その結果、例えば半導体ウェハをダイシングした後に、得られる半導体素子をダイシングシートから容易にピックアップすることができる。さらに、接着フィルム1は、耐リフロー性を含めた耐熱性及び耐湿性を備えている。
接着フィルム1は、例えば60℃以下で半導体ウェハに貼り付け可能である。ここで、所定の温度に保持された接着フィルム1を、必要に応じて加圧しながら半導体ウェハに貼り付けたときに、接着フィルム1が半導体ウェハから自然に剥れない程度に固定されれば、貼り付け可能であると判断される。より具体的には、例えば、接着フィルム1と半導体ウェハとの界面におけるピール強度が20N/m以上であればよい。接着フィルム1は、例えば、60℃以下の温度に設定されたホットロールラミネータを用いて半導体ウェハに貼り付けられる。ピール強度の測定は、25℃の雰囲気中、引張り角度90°、引張り速度50mm/分として行われる。例えば、フィラーの含有量を小さくしたり、接着フィルム1の高タック面Aに含まれる熱可塑性樹脂のTg1を低くすることにより、60℃以下で半導体ウェハに貼り付け可能な接着フィルム1が得られる。接着フィルム1を半導体ウェハに貼り付け可能な温度は、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
熱可塑性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が好ましい。
接着フィルム1に使用される2種類のワニスにはそれぞれ、熱可塑性樹脂に加え、同じもしくは異なった熱硬化性樹脂(熱硬化性成分)、及び無機フィラーを材料として使用しても良い。
接着フィルム1は、上記熱可塑性樹脂に加えて、熱硬化性成分及び/又は無機フィラーを含有していてもよい。熱硬化性成分は、加熱により3次元的網目構造を形成して硬化し得る成分である。例えば、熱硬化性成分は、熱硬化性樹脂とその硬化剤及び/又は硬化促進剤とから構成される。熱硬化性成分を用いることにより、高温でのせん断接着力が高くなる傾向がある。ただし、熱硬化性成分を用いると高温でのピール接着力は逆に低下する傾向があるため、使用目的に応じて、熱硬化性成分の使用の有無を適宜選択するのがよい。
熱硬化性樹脂の量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部である。100質量部を超えるとフィルム形成性が低下する傾向がある。
熱硬化性樹脂は、好ましくはエポキシ樹脂、及び2個の熱硬化性イミド基を有するイミド化合物から選ばれる。
熱硬化性樹脂として用いられるエポキシ樹脂は、2個以上のエポキシ基を有する化合物である。硬化性や硬化物特性の点から、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂が好ましい。フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールF若しくはハロゲン化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、及びビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテルが挙げられる。エポキシ当量が100〜500のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、その硬化剤としてフェノール樹脂が好適に用いられる。フェノール樹脂のOH当量は50〜600であることが好ましい。フェノール樹脂は、一般的に、2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物である。フェノール樹脂の具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール、及びフェノールアラルキル樹脂が挙げられる。フェノール樹脂を用いる場合、その量はエポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは1〜150質量部、更に好ましくは1〜120質量部である。300質量部を超えると硬化性が低下する傾向がある。
エポキシ樹脂と組合わせられる硬化剤又は硬化促進剤としては、フェノール樹脂の他に、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレートが用いられる。これらは、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤の量はエポキシ樹脂100質量部に対し、好ましくは0〜50質量部、より好ましくは0.1〜50質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部である。硬化促進剤の量が50質量部を超えると保存安定性が低下する傾向がある。
エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び硬化促進剤を組合わせて用いる場合、接着フィルム1の組成は、例えば、ポリイミド樹脂100質量部に対しエポキシ樹脂が1〜100質量部、フェノール樹脂がエポキシ樹脂100質量部に対し1〜600質量部、硬化促進剤がエポキシ樹脂100質量部に対し0〜50質量部である。
熱硬化性樹脂として用いられるイミド化合物の例としては、オルトビスマレイミドベンゼン、メタビスマレイミドベンゼン、パラビスマレイミドベンゼン、1,4−ビス(p−マレイミドクミル)ベンゼン、1,4−ビス(m−マレイミドクミル)ベンゼン、及び下記式(IV)、(V)又は(VI)で表されるイミド化合物がある。
式(IV)中、X1は−O−、−CH2−、−CF2−、−SO2−、−S−、−CO−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−を示し、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Z1はエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。
式(V)中、X2は−O−、−CH2−、−CF2−、−SO2−、−S−、−CO−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−を示し、R15、R16、R17及びR18はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Z2はエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。
式(VI)中、rは0〜4の整数を示し、Z3はエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。
式(IV)のイミド化合物としては、例えば、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’−ビスマレイミド−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルケトン、2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパンがある。
式(V)のイミド化合物としては、例えば、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕フルオロメタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ケトン、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパンがある。
これらイミド化合物の硬化を促進するため、ラジカル重合開始剤を使用してもよい。ラジカル重合開始剤としては、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、及びアゾビスイソブチロニトリル等がある。ラジカル重合開始剤の使用量は、イミド化合物100質量部に対して概ね0.01〜1.0質量部が好ましい。
無機フィラーは、Bステージ状態の接着フィルム1の破断強度の向上及び引張破断伸びの低減や、取扱い性の向上、熱伝導性の向上、溶融粘度の調整、チクソトロピック性の付与などを目的として用いられる。フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉及び銅粉から選らばれる導電性フィラーや、無機物質を含む非金属系の無機フィラーが用いられる。
無機フィラーを構成する無機物質としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ及びアンチモン酸化物が挙げられる。熱伝導性向上のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ及び非晶性シリカが好ましい。溶融粘度の調整やチクソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、及び非晶性シリカが好ましい。また、耐湿性を向上させるためにはアルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、及びアンチモン酸化物が好ましい。複数種のフィラーを併用してもよい。
フィラーの含有量を大きくすることにより、接着フィルム1の破断強度を上昇させたり、弾性率を高めたり、じん性を大きくしたりすることが可能である。ただし、フィラーの含有量を大きくしすぎると、接着フィルム1の接着性が低下して、耐リフロークラック性が低下する傾向がある。特に、有機基板のような凹凸表面を有する被着体と半導体チップとの接着に用いられたときに接着層が破壊し易くなる。また、フィラーが増えると接着フィルム1を半導体ウェハへ貼り付け可能な温度が上昇する傾向がある。このような観点から、フィラーの含有量は、接着フィルム1の全質量に対して80質量%未満であることが好ましく、60質量%未満であることがより好ましく、40質量%未満であることが更に好ましく、30質量%未満であることが特に好ましい。フィラーの含有量は、ポリイミド樹脂100質量部に対し1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。
接着フィルム1は、半導体チップ搭載用の支持部材に半導体チップを搭載する場合に要求される耐熱性および耐湿性を有することが好ましい。その為、耐リフロークラック性試験をパスしていることが好ましい。接着強度を指標にして接着フィルム1の耐リフロークラック性を評価することができる。良好な耐リフロークラック性を得るためには、4×2mm角の接着面積で接着フィルム1を半導体ウェハに接着したときに、ピール強度が初期に1.0kg/cm以上、85℃/85%の雰囲気下で48時間放置した後に0.5kg/cm以上であることが好ましい。初期のピール強度は1.3kg以上であることがより好ましく、1.5kg/cm以上であることが更に好ましい。85℃/85%の雰囲気下で48時間放置した後のピール強度は0.7kg/cm以上であることがより好ましく、0.8kg/cm以上であることが更に好ましい。
接着フィルム1は、例えばIC、LSI等の半導体素子と被着体とを貼り合せるためのダイボンディング用接着フィルムとして用いられる。被着体としては、42アロイリードフレーム、銅リードフレーム等のリードフレーム、ポリイミド、エポキシ樹脂等のプラスチックフィルム、ガラス不織布等基材にポリイミド、エポキシ樹脂等のプラスチックを含浸、硬化させたもの、アルミナ等のセラミックスからなる半導体搭載用の支持部材等が挙げられる。接着フィルム1は、表面に凹凸を有する有機基板と半導体素子とを接着するためのダイボンディング用接着フィルムとして好適に用いられる。表面に凹凸を有する有機基板としては、例えば、表面に有機レジスト層を有する有機基板、表面に配線を有する有機基板等が挙げられる。
また、接着フィルム1は、複数の半導体素子を積み重ねた構造を有するStacked−PKGにおいて、半導体素子と半導体素子とを接着するための接着フィルムとしても好適に用いられる。
図2は、本実施形態に係る接着フィルムの製造方法を模式的に示す工程断面図である。まず、図2(a)に示されるように、PET等からなる基材2上に第2接着剤樹脂組成物及び有機溶媒を含む第2ワニスを塗布する。これにより、基材2上に第2ワニス層1bが形成される。続いて、図2(b)に示されるように、第2ワニスに重ねて、第1接着剤樹脂組成物及び有機溶媒を含む第1ワニスを塗布する。これにより、第2ワニス層1b上に第1ワニス層1aが形成される。第2ワニス層1b及び第1ワニス層1aは、塗膜である。
第1ワニス及び第2ワニスは、第1接着剤樹脂組成物及び第2接着剤樹脂組成物を有機溶媒中で混合及び混練することにより、調製される。混合及び混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
有機溶媒は、材料を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N―メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせ使用することができる。
基材2は、後述の加熱乾燥に耐えるものであれば特に限定するものではなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルム等が挙げられる。これらのフィルムを2種以上組み合わせて多層フィルムとしてもよく、表面がシリコーン系、シリカ系等の離型剤などで処理された基材2であってもよい。基材2を接着フィルム1の支持体としてそのまま用いてもよい。
第2ワニス層1b及び第1ワニス層1aの厚みに特に制約はないが、高タック面Aを形成するための第1ワニス層1aの厚みが、低タック面Bを形成するための第2ワニス層1bの厚みよりも薄くなることが好ましい。例えば、総厚20μmの接着フィルム1を得る場合、第1ワニス層1aの乾燥後の厚みが1〜8μm程度、第2ワニス層1bの乾燥後の厚みが12〜19μm程度となるように、第1ワニス及び第2ワニスの塗布量を調整することが好ましい。高タック面Aを形成するための第1ワニス層1aの厚みが厚くなると、ダイシングの際に発生するバリのタック強度が増大する。その結果、隣り合う半導体チップ同士が融着し、ピックアップミスが発生する傾向にある。
続いて、第2ワニス層1b及び第1ワニス層1aを乾燥させることによって、図2(c)に示されるように、基材2上に接着フィルム1を形成する。加熱乾燥の条件は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常50〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。その後、基材2を剥離除去する。
これにより、主として第1接着剤樹脂組成物を含む第1層と、主として第2接着剤樹脂組成物を含む第2層とが一体化される。そのため、第1層と第2層との界面をなくすことができるので、第1層と第2層とが分離し難くなる。さらに、第1ワニスと第2ワニスとを同時に乾燥させるので、個別に作製した接着フィルム同士を貼り合わせる場合に比べて、接着フィルム1の製造コストを大幅に低減できると共に、接着フィルム1の更なる薄膜化を実現できる。
なお、基材2上に第1ワニス層1aを形成した後に、第1ワニス層1a上に第2ワニス層1bを形成してもよい。
図3は、本実施形態に係る接着フィルムを含む積層体を模式的に示す断面図である。図3に示される積層体では、基材2の両面にそれぞれ接着フィルム1が設けられている。基材2の一方の面には、接着フィルム1の高タック面Aが貼り付けられている。基材2の他方の面には、接着フィルム1の低タック面Bが貼り付けられている。なお、基材2の片面だけに接着フィルム1を設けてもよい。
図4は、本実施形態に係る接着フィルムを含む積層体を模式的に示す断面図である。図4に示される積層体は、基材2と、基材2上に設けられた接着フィルム1と、接着フィルム1の高タック面Aを覆うカバーフィルム3とを備える。カバーフィルム3により、接着フィルム1の損傷・汚染を防ぐことができる。
<接着シート>
図5は、実施形態に係る接着シートを模式的に示す断面図である。図5に示される接着シート10は、ダイシングシート6と、ダイシングシート6に積層された接着フィルム1とを備える。ダイシングシート6は、基材フィルム4と、基材フィルム4上に設けられた粘着剤層5とを有する。接着フィルム1の低タック面Bは粘着剤層5に貼り合わされている。接着シート10は、ダイシングシートとダイボンディングフィルムとが一体になっており、両者に要求される特性を兼ね備えている。接着フィルム1上にカバーフィルムを貼り付けてもよい。
本実施形態の接着シート10は接着フィルム1を備えているので、接着フィルム1の高タック面Aを例えば半導体ウェハ等の部材に低温で貼り付けることができる。また、粘着剤層5を接着フィルム1の低タック面Bに貼り付けるので、接着フィルム1の低タック面Bをダイシングシート6から容易に剥離することができる。
なお、ダイシングシート6は、粘着剤層5を備えなくてもよい。この場合、接着フィルム1の平面形状を予め半導体ウェハに近い形状に加工しておくこと(プリカット)が好ましい。
粘着剤層5は、感圧型又は放射線硬化型のどちらでも良く、ダイシング時には半導体素子が飛散しない十分な粘着力を有し、その後の半導体素子のピックアップ工程においては半導体素子を傷つけない程度の低い粘着力を有するものであれば特に制限されることなく従来公知のものを使用することができる。
基材フィルム4は、引っ張りテンションを加えたときの伸び(通称、エキスパンド)を確保できることが好ましく、例えばポリオレフィンからなるフィルムが挙げられる。
<半導体装置>
図6〜図11は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に示す工程断面図である。図6〜図11に示される各工程を経ることによって、図11に示される半導体装置20が製造される。
(貼り合わせ工程)
まず、図6に示されるように、接着シート10に含まれる接着フィルム1の高タック面Aを半導体ウェハWに貼り合わせる。半導体ウェハWは、回路が形成される表面WAと、表面WAの反対側に位置する裏面WBとを有する。高タック面Aは、半導体ウェハWの裏面WBに貼り合わされる。貼り合わせ時の温度は100℃以下であることが好ましい。例えば、接着シート10の接着フィルム1上にカバーフィルムが貼り付けられている場合、カバーフィルムを剥離した後、接着フィルム1を半導体ウェハWに貼り合わせる。
なお、接着シート10に代えて接着フィルム1を用いてもよい。例えば、基材2上に接着フィルム1が形成されている場合、接着フィルム1の高タック面Aを半導体ウェハWに貼り合わせた後に基材2を剥離する。続いて、接着フィルム1の低タック面Bとダイシングシート6の粘着剤層5とを貼り合わせる。
半導体ウェハWとしては、単結晶シリコンの他、多結晶シリコン、各種セラミック、ガリウム砒素などの化合物半導体などから構成されるウェハが使用される。ダイシングシート6は、固定用のリングに対して固定可能な程度の粘着性を有し、接着フィルム1が分断されるように引き伸ばすことが可能なものであれば、特に制限なく用いられる。例えば、塩化ビニル系テープをダイシングテープ6として用いることができる。
(ダイシング工程)
次に、図7に示されるように、例えばダイシングブレードBL等の切断装置を用いて半導体ウェハWを切断する。例えば、半導体ウェハWはダイシングされる。ここで、接着フィルム1に切り込みを接着フィルム1の厚み方向に入れてもよいし、接着フィルム1を完全に切断してもよい。接着フィルム1を完全に切断する工法をフルカットという。一方、接着フィルムを完全に切断せず、一部を残す工法をハーフカットという。切り込みの深さは、図2に示される第1ワニス層1aの厚さに対応していることが好ましい。半導体ウェハWを切断することによって、複数の半導体素子Cが得られる。半導体素子Cとしては、半導体チップ等が挙げられる。接着フィルム1に切り込みを入れる場合、次工程のピックアップ工程時にダイシングシート6を拡張(エキスパンド)する、ピックアップ工程時に突き上げ針などの治具で押し上げることで切り込み部を起点として分割することもできる。
ハーフカットする際の切り込み深さは、好ましくは接着フィルム1の厚みの1/10〜9/10、より好ましくは1/5〜4/5、さらに好ましくは1/3〜2/3である。接着フィルム1を切断するとき、接着フィルム1の切り込みを浅くすることで切断時に発生するバリを少なくできる。その結果、半導体装置の製造歩留まりが向上する。この場合、エキスパンド時に接着フィルム1を分割するためにエキスパンド量を大きくしたり、ピックアップ時の突き上げ高さを高くすることによって接着フィルム1の未切断部を分割する。接着フィルム1の切り込みを深くすることでエキスパンド量を小さくしたり、ピックアップ時の突き上げ高さが低くてもダイボンディングフィルムを分割できる。
切断装置としては、一般に上市されているダイサーやブレードを使用することができる。例えば、ダイサーとしては株式会社ディスコ社製フルオートマチックダイシングソー6000シリーズやセミオートマチックダイシングソー3000シリーズなどが使用できる。ブレードとしては株式会社ディスコ社製ダイシングブレードNBC−ZH05シリーズやNBC−ZHシリーズなどが使用できる。また、例えば株式会社ディスコ社製フルオートマチックレーザソー7000シリーズなどのレーザを用いて半導体ウェハWを切断してもよい。
(ピックアップ工程)
次に、図8に示されるように、半導体素子Cをダイシングシート6からピックアップする。これにより、切り込みを起点として接着フィルム1が切断され、半導体素子Cに付着した接着層7が得られる。このようにして、半導体素子Cと接着層7とを有する接着層付き半導体素子8が得られる。
ダイサーでハーフカットした接着フィルム1は、一般に上市されているピックアップダイボンダーを使用することで分割可能である。例えば、ルネサス東日本セミコンダクタ社製フレキシブルダイボンダーDB−730やDB−700、新川社製ダイボンダーSPA−300、SPA−400などを使用することで分割可能である。
ハーフカットした接着フィルム1は、ウェハリングに貼り付けた半導体ウェハW、接着フィルム1、及びダイシングシート6からなる積層物においてダイシングシート6をエキスパンドすることで分割可能である。エキスパンドはウェハリング上面又は下面側からエキスパンド用リングを挿入することでなされる。ダイシングシート6のエキスパンド量はウェハリングとエキスパンド用リングとの高さの違いで決定される。ウェハリングとエキスパンド用リングとの高さの違いをエキスパンド量、エキスパンド用リングの挿入速度をエキスパンド速度という。
ハーフカットした接着フィルム1をエキスパンドで分割する際のエキスパンド量は1〜30mmが望ましく、より好ましくは2〜20mmであり、さらに好ましくは3〜10mmである。エキスパンド量が30mmを超えると、エキスパンド時にダイシングシート6が極端に伸び、裂け易くなる傾向にある。また、エキスパンド量が1mm未満では、エキスパンド時に接着フィルム1のハーフカット部分に加わる応力が小さく、接着フィルム1を分割し難くなる傾向にある。
ハーフカットした接着フィルム1をエキスパンドで分割する際のエキスパンド速度は1〜50mm/sが好ましく、より好ましくは3〜30mm/sであり、さらに好ましくは5〜15mm/sである。
ハーフカットした接着フィルム1をエキスパンドで分割する際のサンプル温度は、−10〜30℃が好ましく、より好ましくは0〜30℃である。ただし、室温以下に設定するには、通常上市されているピックアップダイボンダーに冷却機構を追加した専用のエキスパンダーが必要となる。
(ダイボンディング工程)
次に、図9に示されるように、接着層付き半導体素子8を支持部材9にダイボンディングする。このとき、加熱加圧により、接着層付き半導体素子8の接着層7が支持部材9に貼り付けられる。加熱温度は、通常20〜250℃である。荷重は、通常0.01〜20kgfである。加熱は、通常60〜300℃で0.1〜300秒間行われる。
接着フィルム1が熱硬化性樹脂を含有する場合は、接着後の半導体チップを加熱して接着フィルム1の被着体への密着や硬化を促進させて、接合部の強度を増すことが好ましい。このときの加熱は、接着フィルム1の組成に応じて適宜調整すればよく、通常、60〜220℃、0.1〜600分間である。樹脂封止を行う場合は、封止樹脂の硬化工程の加熱を利用してもよい。
(ワイヤボンディング工程)
次に、図10に示されるように、半導体素子Cの接続端子と支持部材9の接続端子とを電気的に接続するワイヤ11を形成する。
(封止工程)
次に、図11に示されるように、半導体素子Cを封止する封止材12を支持部材9上に形成する。なお、封止工程を実施しなくてもよい。
ワイヤボンディング工程及び封止工程等を経ることによって、加熱により接着層7が硬化する。その結果、接着層7は、半導体素子Cと支持部材9とを接続する接続層7aとなる。このようにして、図11に示される半導体装置20が製造される。半導体装置20は、半導体素子Cと、半導体素子Cに接続される支持部材9(被着体)と、接着フィルム1の硬化物からなり、半導体素子Cと支持部材9との間に配置される接続層7aとを備える。半導体装置20は、例えば半導体パッケージである。
この半導体装置の製造方法によれば、接着フィルム1の高タック面Aを半導体ウェハWに低温で貼り付けることができる。また、半導体ウェハWを切断した後に、接着フィルム1の低タック面Bをダイシングシート6から容易に剥離することができる。さらに、厚み100μm以下の極薄半導体ウェハWに対して接着フィルム1を用いると、半導体素子Cの製造歩留まり向上が可能である。
図12は、別の実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図である。図12に示される半導体装置20Aは、半導体装置20の構成に加えて、半導体素子C、接続層7a、ワイヤ11、及びバンプ13を更に備える。更なる半導体素子Cは、更なる接続層7aを介して半導体素子C上に設けられている。更なるワイヤ11は、更なる半導体素子Cの接続端子と支持部材9の接続端子とを電気的に接続している。バンプ13は、支持部材9の裏面に形成されている。半導体装置20では、複数の半導体素子Cが重なっている。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、接着フィルム1を半導体装置の製造以外の用途に用いてもよい。また、3種類以上の接着剤樹脂組成物を重ねて塗布した後に乾燥させることによって接着フィルム1を形成してもよい。また、接着フィルム1は粘着剤を含有してもよい。さらに、接着フィルム1の低タック面B上に粘着層を形成してもよい。また、接着フィルム1を半導体ウェハWの表面WAに貼り付けてもよい。その場合、IRカメラを実装したダイサーを用いることによって、半導体ウェハWの裏面WBから切断すべき位置が認識可能になる。
(実施例)
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(ワニス1)
温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、表1のワニス1に示されるジアミン及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を、60℃にて撹拌、溶解した。
ジアミンの溶解後、表1のワニス1に示される酸無水物を少量ずつ添加した。60℃で1時間反応させた後、N2ガスを吹き込みながら170℃で加熱し、水を溶剤の一部と共沸除去した。水を除去してポリイミドの溶液を得た。
得られたポリイミドの溶液に、ポリイミド100質量部に対して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成製)4質量部、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(本州化学製)2質量部、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート(東京化成製)0.5質量部を加えた。更に、窒化硼素フィラー(水島合金鉄製)を固形分の全質量に対して25質量%、アエロジルフィラーR972(日本アエロジル製)を固形分の全質量に対して3質量%となるように加え、良く混錬してワニス1を得た。
(ワニス2)
ポリイミドを合成する際の原料及びその配合比を表1のワニス2に示す各組成(質量部)に変更したこと以外はワニス1と同様にして、ポリイミドの溶液を得た。
得られたポリイミドの溶液に、ポリイミド100質量部に対して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成製)4質量部、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(本州化学製)2質量部、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート(東京化成製)0.5質量部を加えた。更に、窒化硼素フィラー(水島合金鉄製)を固形分の全質量に対して12質量%、アエロジルフィラーR972(日本アエロジル製)を固形分の全質量に対して3質量%となるように加え、良く混錬してワニス2を得た。
(ワニス3)
ポリイミドを合成する際の原料及びその配合比を表1のワニス3に示す各組成(質量部)に変更したこと以外はワニス1と同様にして、ポリイミドの溶液を得た。
得られたポリイミドの溶液に、ポリイミド100質量部に対して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成製)4質量部、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(本州化学製)2質量部、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート(東京化成製)0.5質量部を加えた。更に、窒化硼素フィラー(水島合金鉄製)を固形分の全質量に対して10質量%となるように加え、良く混錬してワニス3を得た。
表1中、原料の略号は以下の酸無水物又はジアミンを示す。配合比の単位は質量部である。
(酸無水物)
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物(マナック社製)
DBTA:1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)(黒金化成製)
BPADA:2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(黒金化成製)
(ジアミン)
LP7100:1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学社製)
B12:4,9−ジオキサデカン−1,12−ジアミン(BASF社製)
D2000:ポリオキシプロピレンジアミン2000(BASF社製)
BAPP:2,2ビス−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(和歌山精化工業社製)
(実施例1)
調合したワニス1を厚さ50μmの剥離処理済みのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルムA31)上に塗布した後にワニス2を塗布した。その後、80℃で30分、続いて120℃で30分加熱し、総厚25μmの実施例1の接着フィルムを作製した。なお、乾燥後の膜厚が8μmとなるようにワニス1の塗布量を調整し、乾燥後の膜厚が17μmとなるようにワニス2の塗布量を調整した。
(実施例2)
調合したワニス1を厚さ50μmの剥離処理済みのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルムA31)上に塗布した後にワニス3を塗布した。その後、80℃で30分、続いて120℃で30分加熱し、総厚25μmの実施例2の接着フィルムを作製した。なお、乾燥後の膜厚が8μmとなるようにワニス1の塗布量を調整し、乾燥後の膜厚が17μmとなるようにワニス3の塗布量を調整した。
(比較例1)
調合したワニス1を厚さ50μmの剥離処理済みのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルムA31)上に塗布し、80℃で30分、続いて120℃で30分加熱し、厚さ25μmの比較例1の接着フィルムを作製した。
(比較例2)
調合したワニス2を厚さ50μmの剥離処理済みのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルムA31)上に塗布し、80℃で30分、続いて120℃で30分加熱し、厚さ25μmの比較例2の接着フィルムを作製した。
(比較例3)
調合したワニス3を厚さ50μmの剥離処理済みのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルムA31)上に塗布し、80℃で30分、続いて120℃で30分加熱し、厚さ25μmの比較例3の接着フィルムを作製した。
(ガラス転移温度)
実施例1、2では第1熱可塑性樹脂及び第2熱可塑性樹脂のそれぞれからなるフィルム、比較例1〜3では較例1〜3の接着フィルムを180℃で1時間の加熱により硬化させ、約7×50mmの試料を切り出した。この試料について、下記の条件で、tanδの温度依存性の曲線を得た。そして、tanδピーク値からガラス転移温度を求めた。実施例1,2では、半導体ウェハへ貼り付ける面(高タック面A)に使用した第1熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂A、ダイシングシートと貼り付く面(低タック面B)に使用した第2熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂Bとした。結果を表2に示した。
試験器:TA instruments製 RSA−III
試験周波数:1Hz
昇温速度:5℃/min
測定温度:−50〜300℃(可能な範囲にて)
試験片形状:L約15mm(初期チャック間)
DeltaL limit:15mm
モード:引張り
(タック強度)
実施例1、2及び比較例1〜3の接着フィルムのタック強度はタッキング試験器(株式会社レスカ社製 タッキング試験器)を用い、押し込み速度:2mm/sec、引き上げ速度:10mm/sec、停止加重:100gf/cm2、停止時間:1秒の条件にて、5.1mmφのSUS304に対するタック強度を測定し求めた。高タック面(半導体ウェハへ貼り付ける面)のタック強度をFA、低タック面(ダイシングシートに貼り付ける面)のタック強度をFBとした。結果を表2に示した。
(ラミネート性)
実施例1、2及び比較例1〜3の接着フィルムを直径210mmに切り抜き、電気化学工業社製T−80MW(80μm)上に株式会社JCM社製DM−300−Hを用いて室温(25℃)で貼り合わせた。なお、実施例1の接着フィルムに関しては、ワニス2から形成された面(低タック面)とダイシングシートを貼り合わせた。実施例2の接着フィルムに関しては、ワニス3から形成された面(低タック面)をダイシングシートと貼り合わせた。また、比較例1〜3の接着フィルムに関しては、塗工時の開放面(ポリエチレンテレフタレートフィルムの逆側)をダイシングシートと貼り合わせた。
接着フィルムとダイシングシートからなる積層品に200μm厚の半導体ウェハを60℃でラミネートし、ラミネート性を評価した。ラミネートは株式会社JCM社製DM−300−Hを用い、貼り付けが可能であった場合を良好、半導体ウェハ裏面に接着フィルムが貼付かなかった場合を不良とした。結果を表2に示した。
(ピックアップ性)
実施例1、2及び比較例1〜3の接着フィルムとダイシングシートからなる積層品に50μm厚の半導体ウェハを60℃又は80℃でラミネートし、半導体ウェハ、接着フィルム及びダイシングシートからなる積層品を得た。ラミネート時の熱板表面温度を、実施例1、2及び比較例1では60℃、比較例2、3では80℃に設定した。
株式会社ディスコ社製フルオートダイサーDFD−6361を用いて、半導体ウェハ、接着フィルム及びダイシングシートからなる積層品を切断した。切断はブレード1枚で加工を完了するシングルカット方式で行った。ブレードとして株式会社ディスコ社製ダイシングブレードNBC−ZH104F−SE 27HDBBを用い、ブレード回転数45,000rpm、切断速度50mm/sの条件にて切断を行った。切断時のブレードハイトは接着フィルムを10μm残す設定(90μm)とした。半導体ウェハを切断するサイズは10×10mmとした。その後、エキスパンドにより接着フィルムを完全に切断した。
続いて、ダイシングにより得られた半導体チップのピックアップ性について、ルネサス東日本セミコンダクタ社製フレキシブルダイボンダーDB−730を使用して評価した。使用したピックアップ用コレットとしてマイクロメカニクス社製RUBBER TIP 13−087E−33(サイズ:10×10mm)を用い、突上げピンとしてマイクロメカニクス社製EJECTOR NEEDLE SEN2−83−05(直径:0.7mm、先端形状:直径350μmの半円)を用いた。突上げピンは、ピン中心間隔を4.2mmとして9本配置した。ピックアップ時のピンの突上げ速度:10mm/s、突上げ高さ:1000μmの条件でピックアップ性を評価した。連続100チップをピックアップし、チップ割れ、ピックアップミス等が発生しない場合を良好、1チップでもチップ割れ、ピックアップミス等が発生した場合を不良とした。結果を表2に示した。
比較例2では60℃でラミネートできなかったので、80℃でラミネートしてピックアップ性を評価した。比較例3ではラミネートできなかった。実施例1、2の接着フィルムでは、60℃でのウェハラミネート性及びピックアップ性の両方が良好であった。
1…接着フィルム、2…基材、4…基材フィルム、5…粘着剤層、6…ダイシングシート、7a…接続層、9…支持部材(被着体)、10…接着シート、20,20A…半導体装置、A…高タック面(一方の面)、B…低タック面(他方の面)、C…半導体素子、W…半導体ウェハ。