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JP2010091680A - カラーフィルター用顔料分散体 - Google Patents

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JP2010091680A JP2008259864A JP2008259864A JP2010091680A JP 2010091680 A JP2010091680 A JP 2010091680A JP 2008259864 A JP2008259864 A JP 2008259864A JP 2008259864 A JP2008259864 A JP 2008259864A JP 2010091680 A JP2010091680 A JP 2010091680A
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Abstract

【課題】耐熱性に優れたカラーフィルター用顔料分散体、及びそれを含有するカラーフィルター用着色組成物を提供する。
【解決手段】〔1〕特定のジケトピロロピロール系顔料(A)、グラフトポリマー(B)、及び有機溶媒(C)を含有する顔料分散体であって、グラフトポリマー(B)が、ビニルモノマー由来の構成単位を有する主鎖に、水酸基含有モノマー由来の構成単位を有する側鎖がグラフトしてなるものであり、該水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量が、側鎖の全構成単位中5〜30重量%である、カラーフィルター用顔料分散体、及び〔2〕それを含有するカラーフィルター用着色組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルター用顔料分散体、及びそれを含有するカラーフィルター用着色組成物に関する。
液晶表示装置(LCD)は、小型・軽量化及び大画面化ができるという長所を有することから開発が盛んである。この液晶表示装置のカラー発色にはカラーフィルターが用いられ、カラーフィルターの製造法としては顔料分散法が汎用されている。
顔料分散法では、顔料分散体と感光組成物を混合したカラーレジスト溶液を透明基板上に塗布した後、露光・硬化、現像、熱硬化させることで透明基板上に着色パターンを形成させる。この顔料分散法に用いる顔料分散体には顔料、分散剤、溶剤及び必要に応じて樹脂が含まれている。
カラーフィルター用の赤色顔料としては、アントラキノン系顔料等が知られているが、最近では高輝度性であるという利点を有するジケトピロロピロール系顔料が用いられている。また、顔料分散剤としては、主鎖に顔料への吸着機能を持たせ、側鎖に溶剤への分散機能を持たせたグラフトポリマーが用いられている。
例えば、特許文献1には、顔料の分散性を改善することを課題として、窒素原子及びエーテル基を有するグラフト共重合体を含有する顔料分散剤、それを含む顔料分散組成物及び着色感光性組成物が開示されている。
特開2001−31885号公報
ジケトピロロピロール系顔料は高輝度性の顔料であるが、結晶性が高く、溶媒中で加熱すると結晶成長が生じるという性質を持つ。そのためカラーフィルター用顔料分散体に用いた場合、現像後のポストベーク(焼き締め)工程中に結晶成長に伴うと考えられる分散体の凝集が生じ、ポストベーク工程の後に、硬化膜のコントラストが大きく低下するという問題があった。そこで、ポストベーク工程後にも硬化膜のコントラストを低下させない、いわゆる耐熱性の良好なカラーフィルター用のジケトピロロピロール系顔料分散体が望まれていた。
本発明は、上記問題点を解決するもので、耐熱性に優れたカラーフィルター用顔料分散体、及びそれを含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、ジケトピロロピロール系顔料を含有するカラーフィルター用顔料分散体において、分散剤として特定のグラフトポリマーを用いることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(A)、グラフトポリマー(B)、及び有機溶媒(C)を含有する顔料分散体であって、グラフトポリマー(B)が、ビニルモノマー由来の構成単位を有する主鎖に、水酸基含有モノマー由来の構成単位を有する側鎖がグラフトしてなるものであり、該水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量が、側鎖の全構成単位中5〜30重量%である、カラーフィルター用顔料分散体。
Figure 2010091680
(式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。)
〔2〕前記〔1〕のカラーフィルター用顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
本発明によれば、現像後のポストベーク(焼き締め)工程後にも硬化膜のコントラストを低下させない、いわゆる耐熱性に優れたカラーフィルター用顔料分散体、及びそれを含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することができる。
本発明のカラーフィルター用顔料分散体は、下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(A)、グラフトポリマー(B)、及び有機溶媒(C)を含有する顔料分散体であって、グラフトポリマー(B)が、ビニルモノマー由来の構成単位を有する主鎖に、水酸基含有モノマー由来の構成単位を有する側鎖がグラフトしてなるものであり、該水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量が、側鎖の全構成単位中5〜30重量%であることを特徴とする。
以下、これらの各成分について説明する。
〔ジケトピロロピロール系顔料(A)〕
本発明では、高輝度なカラーフィルターが得られ、耐光性及び明度に優れるという点から、一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(A)(以下、「ジケトピロロピロール系顔料(A)」又は単に「顔料(A)」ともいう)が用いられる。
Figure 2010091680
式(1)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。なお、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
ジケトピロロピロール系顔料(A)は、明度Y値の向上の観点から、その平均一次粒子径を、好ましくは100nm以下、より好ましくは20〜60nmにした微粒化処理品を用いることが望ましい。顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測して、その平均値をその粒子の粒子径として求め、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積を、求めた粒子径を一辺とする立方体と近似して体積平均粒子径を求め、それを平均一次粒子径とする。
ジケトピロロピロール系顔料(A)としては、C.I.ピグメントレッド254(前記式(1)において、X1及びX2が塩素原子、Y1及びY2が水素原子である化合物)が好ましく、市販品の好適例としては、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製の商品名「Irgaphor Red B-CF」、「Igaphor Red BK-CF」、「Irgaphor Red BT-CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
上記のジケトピロロピロール系顔料(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔グラフトポリマー(B)〕
本発明に用いられるグラフトポリマー(B)は、ビニルモノマー由来の構成単位を有する主鎖に、水酸基含有モノマー由来の構成単位を有する側鎖がグラフトしてなるものであり、該水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量が、側鎖の全構成単位中5〜30重量%である。
このグラフトポリマー(B)は、顔料(A)を有機溶媒(C)中で安定に微細化した状態で分散させる機能を有するものであり、カラーフィルターを形成する場合にバインダーとしても働くものと考えられる。
グラフトポリマー(B)の主鎖((b1)成分)は、ビニルモノマー由来の構成単位を有し、グラフトポリマー(B)の側鎖((b2)成分)は、水酸基含有モノマー由来の構成単位を有する。
[(b1)成分]
(b1)成分は、グラフトポリマー(B)の主鎖を構成し、顔料(A)を有機溶媒(C)中に分散させる際に、顔料(A)への吸着部分となるものである。そのため、窒素原子を含有するビニルモノマー(b1a)及び/又はカルボキシ基を含有するビニルモノマー(b1b)由来の構成単位を含有することが好ましく、本発明の効果を阻害しない範囲内において、モノマー(b1a)及び/又は(b1b)と共重合可能なその他のモノマー(b1c)由来の構成単位を含んでいてもよい。
また、(b1)成分と(b2)成分とをカップリング反応させてグラフトポリマーを得る場合には、(b2)成分が反応性官能基を有し、該反応性官能基と反応しうる反応性官能基を含有するビニルモノマー(b1d)を含有することが好ましい。
[窒素原子を含有するビニルモノマー(b1a)]
窒素原子を含有するビニルモノマー(b1a)としては、アミド結合を有するビニルモノマーが好ましく、より具体的には、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類、ビニルピリジン類、含窒素スチレン系モノマー、含窒素(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリル又はそれらの両方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を意味する。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド2−メチルプロピルスルホン酸、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルピロリドン類としては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
ビニルピリジン類としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられ、含窒素スチレン系モノマーとしては、p−スチレンスルホンアミド、p−アミノスチレン、アミノメチルスチレン等が挙げられる。
含窒素(メタ)アクリル酸エステルとしては、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリレート、1−(N,N−ジアルキルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ピペリジノエチル(メタ)アクリレート、1−ピロリジノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル−2−ピロリジルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルフェニルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中では、顔料(A)への吸着性の観点から、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類が好ましく、N−ビニルピロリドンがより好ましい。
[カルボキシ基を含有するビニルモノマー(b1b)]
カルボキシシ基を含有するビニルモノマー(b1b)としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等が挙げられる。これらの中では、顔料(A)への吸着性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
[その他のモノマー(b1c)]
前記モノマー(b1a)及び/又は(b1b)と共重合可能なその他のモノマー(b1c)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーの他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等のスチレン類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。
これらの中では、水酸基含有モノマーが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコール性水酸基を有するモノマーがより好ましい。
[反応性官能基を含有するビニルモノマー(b1d)]
(b1)成分と(b2)成分とをカップリング反応させてグラフトポリマーを得る場合には、(b2)成分が反応性官能基を有し、該反応性官能基と反応しうる反応性官能基を含有するビニルモノマー(b1d)が用いられるが、該ビニルモノマー(b1d)としては、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基を含むビニルモノマー等が挙げられる。
(b2)成分の反応性官能基に応じて、(b1d)として、前記の(b1a)、(b1b)及び(b1c)で用いたモノマーも用いることができる。
エポキシ基を含有するビニルモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、N−グリシジル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類、1,2−エポキシ−5−ヘキセン等が挙げられる。
イソシアネート基を含有するビニルモノマーとしては、昭和電工株式会社製のイソシアネートモノマーである、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名:カレンズMOI)、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(製品名:カレンズMOI−BP)、メタクリル酸 2−([1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(製品名:カレンズMOI−BM)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名:カレンズAOI)等が挙げられる。
カルボキシ基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等が挙げられ、リン酸基を含有するビニルモノマーとしては、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
スルホン酸基を含有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられ、アミノ基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
これらの中では、反応性、重合速度の面から、エポキシ基を含有するビニルモノマーが好ましく、グリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
モノマー(b1a)、(b1b)、(b1c)及び(b1d)の各々は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(b1)成分中の窒素原子を含有するビニルモノマー(b1a)及びカルボキシ基を含有するビニルモノマー(b1b)由来の構成単位の含有量は、特に制限はないが、モノマー(b1a)と(b1b)いずれかを多く用いることが好ましく、いずれか一方のみを用いることがより好ましい。なかでもモノマー(b1a)を多く用いることが好ましく、モノマー(b1a)のみを用いることがより好ましい。
モノマー(b1a)を(b1b)より多く用いるか、モノマー(b1a)のみを用いる場合の(b1a)由来の構成単位の含有量は、(b1)成分の全構成単位中5〜95重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、35〜40重量%が更に好ましい。モノマー(b1a)を(b1b)より多く用いる場合の(b1b)由来の構成単位の含有量は、(b1)成分の全構成単位中0〜30重量%が好ましく、0〜10重量%がより好ましく、0〜1重量%が更に好ましい。
一方、モノマー(b1b)を(b1a)より多く用いるか、モノマー(b1b)のみを用いる場合の(b1b)由来の構成単位の含有量は、(b1)成分の全構成単位中5〜95重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、30〜35重量%が更に好ましい。モノマー(b1b)を(b1a)より多く用いる場合の(b1a)由来の構成単位の含有量は、(b1)成分の全構成単位中0〜30重量%が好ましく、0〜10重量%がより好ましく、0〜1重量%が更に好ましい。
前記いずれの場合においても、(b1c)及び(b1d)由来の構成単位の含有量は特に制限はないが、(b1c)由来の構成単位の含有量は、(b1)成分の全構成単位中0〜80重量%が好ましく、30〜80重量%がより好ましく、40〜50重量%が更に好ましい。(b1d)由来の構成単位の含有量は、(b1)成分の全構成単位中10〜60重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましく、10〜20重量%が更に好ましい。
また、耐熱性の観点から、グラフトポリマー(B)が、その他のモノマー(b1c)由来の構成単位のうち、水酸基含有モノマー由来の構成単位を、主鎖である(b1)成分の全構成単位中30〜80重量%含有することが好ましく、35〜70重量%含有することがより好ましく、40〜65重量%含有することが更に好ましく、40〜50重量%含有することが更に好ましい。
主鎖に水酸基含有モノマー由来の構成単位を有するグラフトポリマーを用いることで耐熱性が向上する理由は定かではないが、分散時に有機溶媒へのグラフトポリマーの主鎖部分の溶解性が低下するため、あるいは主鎖部分と顔料との水素結合によって、ジケトピロロピロール系顔料へのグラフトポリマーの吸着性が向上するためと考えられる。
(b1)成分中の(b1a)、(b1b)及び(b1c)由来の構成単位の含有量比(重量比)には、特に制限はないが、〔(b1a)+(b1b)〕/(b1c)は、70/30〜20/80が好ましく、65/35〜30/70がより好ましく、60/40〜35/65が更に好ましく、60/40〜50/50が更に好ましい。
[(b2)成分]
(b2)成分は、グラフトポリマー(B)の側鎖を構成し、水酸基含有モノマー由来の構成単位を5〜30重量%含有することにより、耐熱性を向上させるものである。
(b2)成分は、水酸基含有モノマーからなる構成単位以外に、該モノマーと共重合可能なその他のモノマーを含有することが好ましい。
また、主鎖である(b1)成分との結合部分である(b2)成分の末端部分には、マクロモノマーとモノマーの共重合によってグラフトポリマーを得る場合には、(b1)成分を構成するモノマーと共重合するための重合性基、または、カップリング反応によってグラフトポリマーを得る場合には、(b1)成分と(b2)成分とをカップリング反応させるための(b1)成分の反応性官能基と反応しうる反応性官能基を有する。
[(b2)成分の水酸基含有モノマー]
側鎖である(b2)成分には、水酸基含有モノマー由来の構成単位が、(b2)成分の全構成単位中5〜30重量%となるように水酸基含有モノマーが共重合される。水酸基含有モノマーとしては、その他のモノマー(b1c)として前述した水酸基含有モノマーが挙げられる。それらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
(b2)成分中の水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、耐熱性の観点から、側鎖である(b2)成分中、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは7〜25重量%、更に好ましくは8〜20重量%、更に好ましくは10〜15重量%である。
側鎖に水酸基含有モノマー由来の構成単位を有するグラフトポリマーを用いることで耐熱性が向上する理由は定かではないが、ポストベーク時に有機溶媒が揮発したのちに残存する、バインダーや多官能性モノマー等と極性が近く、グラフトポリマーの主鎖と水素結合を生じることによって、加熱が進んでも分散を維持できるものと考えられる。
[(b2)成分のその他のモノマー]
(b2)成分の水酸基含有モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル類、スチレン等が挙げられる。
これらの中から、使用する有機溶媒(C)との溶解性が高いモノマーを選択して使用することができる。例えば、有機溶媒(C)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146℃)やジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA、沸点:247℃)を使用する場合は、メチルメタクリレート、スチレンを使用することが好ましく、メチルメタクリレートがより好ましい。これらの共重合量は、有機溶媒(C)への顔料分散体の分散性、耐熱性の観点から、(b2)成分中、好ましくは70〜95重量%、より好ましくは80〜93重量%、更に好ましくは85〜92重量%である。
(b2)成分には、必要に応じて、官能基を有する他のモノマーを少量共重合することもできる。これらのモノマーとしては、メタクリル酸等のカルボキシ基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。それらの共重合量は(b1)成分と(b2)成分とのカップリング反応等、グラフトポリマーの製造の妨げにならない程度であれば特に制限はないが、0〜10重量%が好ましい。
(b2)成分中の水酸基含有モノマー及びその他のモノマー由来の構成単位の含有量比(重量比)には、特に制限はないが、(水酸基含有モノマー)/(その他のモノマー)は、5/95〜30/70が好ましく、7/93〜25/75がより好ましく、8/92〜20/80が更に好ましく、10/90〜15/85が更に好ましい。
[(b2)成分の末端部分]
(b2)成分の末端部分は、マクロモノマーとモノマーの共重合によってグラフトポリマーを得る場合には、(b1)成分を構成するモノマーと共重合するための重合性基を有するが、該重合性基としてはメタクリロイルオキシ基又はアクリロイルオキシ基が好ましい。
カップリング反応によってグラフトポリマーを得る場合には、(b1)成分と(b2)成分とをカップリング反応させるための(b1)成分の反応性官能基と反応しうる官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられ、(b1)成分の反応性官能基の種類を考慮して、適宜選択することができる。
(b1)成分の反応性官能基がエポキシ基である場合は、(b2)成分は、片末端にカルボキシ基を有する重合体(片末端カルボン酸型の重合体)又は片末端にアミノ基を有する重合体(片末端アミノ基型の重合体)であることが好ましい。
(b1)成分の反応性官能基がイソシアネート基である場合は、(b2)成分は、片末端にアミノ基を有する重合体(片末端アミノ基型の重合体)であることが好ましい。
〔グラフトポリマー(B)の製造〕
グラフトポリマー(B)の製造方法は、(b1)成分を含む主鎖と(b2)成分を含む側鎖を有するグラフトポリマーを得ることができる方法であればよく、特に制限されない。
例えば、(i)(b2)成分の末端に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を導入したマクロモノマーとし、(b1)成分を構成するモノマーと共重合する方法、(ii)(b1)成分に反応性官能基を導入し、該反応性官能基と反応しうる(b2)成分の官能基とのカップリング反応により製造する方法等が挙げられるが、後者の(ii)の方法がより好ましい。以下に、このカップリング反応による製造方法を説明する。
なお、上記反応においては、全成分を一度に添加して行ってもよいが、反応工程全体を数段階に分けて、各成分を分割して添加し、反応させることが好ましい。
[(b1)成分の製造]
(b1)成分の製造方法に特に制限はなく、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等を採用しうるが、溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いる溶剤に特に制限はなく、エタノール等のアルコール類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、エーテル類、芳香族化合物、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、過硫酸系開始剤等が挙げられる。また必要に応じて、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のメルカプタン類等の連鎖移動剤等を用いることもできる。
反応温度は、用いる重合開始剤、溶媒の種類等により適宜選択できるが、通常50〜100℃の範囲が好ましい。
(b1)成分の数平均分子量(Mn)は、本発明の顔料分散体としての保存安定性及び耐熱性の観点から、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1000〜30,000、更に好ましくは2000〜20,000、更に好ましくは3000〜10,000である。また、(b1)成分の重量平均分子量(Mw)は、同様の観点から、好ましくは1500〜150,000、より好ましくは3000〜90,000、更に好ましくは6000〜60,000、更に好ましくは8000〜40,000である。
(b1d)にエポキシ基を含有するビニルモノマーを用いた場合の(b1)成分のエポキシ価は、(b2)成分との反応性等の観点から、19〜375mgKOH/gが好ましく、30〜350mgKOH/gがより好ましく、40〜300mgKOH/gが更に好ましい。なお、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、エポキシ価の測定は実施例記載の方法により行うことができる。
[(b2)成分の製造]
(b2)成分の製造方法に特に制限はなく、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等を採用しうるが、特に溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いる溶剤、重合開始剤、連鎖移動剤、反応温度は、(b1)成分の製造で記載したもの及び条件と同じである。片末端にカルボン酸を導入するために、4,4’−アゾビス(4−シアノ酪酸)等のカルボン酸を含む重合開始剤や、メルカプトプロピオン酸等のカルボン酸を含む連鎖移動剤を使用することが好ましく、片末端にアミノ基を導入するために、アミノエタンチオール等の連鎖移動剤、片末端にヒドロキシル基を導入するために、メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を使用することが好ましい。
(b2)成分の数平均分子量(Mn)は、本発明の組成物の分散体としての保存安定性及び増粘抑制の観点から、好ましくは500〜20,000、より好ましくは600〜10,000、更に好ましくは700〜5000、更に好ましくは800〜2000である。また、(b2)成分の重量平均分子量(Mw)は、同様の観点から、好ましくは1000〜50,000、より好ましくは1200〜20,000、更に好ましくは1500〜10,000、更に好ましくは2000〜5000である。
また、(b1)成分の反応性官能基に対する(b2)成分の官能基のモル比〔(b2)成分の官能基/(b1)成分の反応性官能基)〕は、未反応(c2)を抑制する観点から、0.05〜1.0が好ましく、0.1〜0.9がより好ましく、0.2〜0.8が特に好ましい。
[カップリング反応によるグラフトポリマー(B)の製造]
グラフトポリマー(B)は、(b1)成分の反応性官能基と、該反応性官能基と反応しうる(b2)成分の反応性官能基とのカップリング反応により製造されることが好ましい。
カップリング反応の際には、触媒を用いてもよい。特にエポキシ基とカルボン酸の反応の場合には、触媒を添加することが好ましい。エポキシ基とカルボン酸の反応の触媒としては、第四級アンモニウム塩、第三級アミン、アルカリ金属の水酸化物、無機酸、スルホン酸、カルボン酸、固体酸、固体塩基等が挙げられる。
第四級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等のハロゲン化物が挙げられ、第三級アミンとしては、トリエチルアミン、ジメチルブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
上記触媒の中では、第四級アンモニウム塩、第三級アミンが好ましく、第四級アンモニウムハライドがより好ましく、テトラブチルアンモニウムブロマイド等が特に好ましい。触媒の添加量については特に制限はないが、カルボン酸に対して、0.5〜200mol%が好ましい。
溶媒としては、(b1)成分及び(b2)成分を溶解するものであれば、特に制限はない。溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系の濃度に特に制限はないが、全量中の(b1)成分と(b2)成分の合計量は、粘度上昇を抑制して均一に反応を進行させる観点及び反応時間を短縮する観点から、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%である。反応温度も特に制限はないが、反応速度の観点から、60℃以上であることが好ましい。
カップリング反応の進行は、各反応性官能基を定量することにより確認することができる。例えばエポキシ基を有する(b1)成分とカルボキシ基を有する(b2)成分を用いる場合は、反応系中の酸価、エポキシ基を測定することにより、また、アミノ基を有する(b2)成分を用いる場合は、アミン価を測定することにより、カップリング反応の進行状況を確認できる。
グラフトポリマー(B)の全構成単位中の(b1a)及び(b1b)成分由来の構成成分の合計含有量は、顔料への吸着性の観点及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは9〜20重量%、更に好ましくは15〜20重量%である。
上記の方法で得られたグラフトポリマー(B)における、全構成単位中の(b1c)成分由来の構成成分の含有量は、顔料への吸着性の観点及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは0〜65重量%、より好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは15〜25重量%、更に好ましくは20〜23重量%である。
グラフトポリマー(B)の全構成単位中の(b2)成分由来の構成単位の含有量は、顔料への吸着性の観点及び粘度上昇の抑制の観点から、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%、更に好ましくは50〜60重量%である。
グラフトポリマー(B)の重量平均分子量(Mw)は、同様の観点から、好ましくは1000〜1,000,000、より好ましくは5000〜400,000、更に好ましくは8000〜200,000、更に好ましくは10,000〜40,000である。
〔有機溶媒(C)〕
本発明に用いられる有機溶媒(C)は特に限定されないが、沸点が好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上の高沸点の有機溶媒が好ましい。また、顔料(A)の分散性の観点、及び顔料分散体を油性とする観点から、有機溶媒(C)のSP値(溶解度パラメータ)は、好ましくは8〜10(cal/cm31/2、より好ましくは8.2〜9.5(cal/cm31/2、更に好ましくは8.4〜9.0(cal/cm31/2である。なお、有機溶媒(C)のSP値は、Fedorsの方法〔Robert F.Fedors, Polymer Engineering and Science, 14, 147-154 (1974)〕により計算することができる。
このような有機溶媒(C)の具体例としては、セロソルブ類、カルビトール類、アルコール類、アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類、及びアルカンジイルグリコールジアルキルエーテル類が挙げられ、アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類及びアルカンジイルグリコールジアルキルエーテル類が好ましい。
セロソルブ類としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。カルビトール類としては、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。アルコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。アルカンジイルグリコールジアルキルエーテル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
これらの中では、グラフトポリマー(B)の溶解性又は分散性と、ジケトピロロピロール系顔料(A)の分散性の観点から、アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146℃、SP値:8.73)、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA、沸点:247℃、SP値:8.94)が特に好ましい。
有機溶媒(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[分散方法]
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造における分散方法に特に制限はないが、粒径の大きい粉末である顔料(A)と、グラフトポリマー(B)と有機溶媒(C)とを馴染ませ、本分散処理を容易に行うことができる程度まで、混合しておくために、予備分散を行うことが好ましい。
顔料(A)、グラフトポリマー(B)及び有機溶媒(C)の予備分散は、一度に全成分を混合し、分散してもよいが、グラフトポリマー(B)と有機溶媒(C)とを予め混合して予備混合物を調製し、得られた予備混合物に顔料(A)を混合し、分散して最終的な混合物を得ることが好ましい。
予備分散時における顔料(A)とグラフトポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕は、顔料(A)に必要量のグラフトポリマー(B)を付着させる観点から、該重量比〔(A)/(B)〕を100/30〜100/70であることが好ましい。
予備分散の分散時間は特に制限はないが、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜4時間がより好ましく、1〜3時間が更に好ましい。
予備分散で用いる分散機に特に制限はなく、公知の種々の分散装置を用いることができる。例えば、アンカー翼等を備えた一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機が挙げられ、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等の高圧式分散機、ペイントシェーカー、ビーズミル、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等のメディア式分散機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、顔料(A)の微細化の観点から、ペイントシェーカーやビーズミル及び高圧式分散機が好ましく、高圧式分散機が耐熱性向上の観点からより好ましい。高圧式分散機は、液全体が流路を通過するため、その他の分散方法に比べ、偏りが起きにくい。そのため、均質な顔料の予備分散体を得ることができると考えられる。均質な予備分散体を用いることで、本分散において粗大粒子等の発生を抑えることができ、耐熱性を向上させることができる。
上記の予備分散で得られた混合物を更に微細化するために、本分散を行うことが好ましい。本分散は、顔料(A)を微細化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましく、耐熱性向上の観点から、前記の高圧式分散機を併用することが好ましい。
本分散に用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの粒径としては、0.003〜0.1mmが好ましい。顔料を微細化する観点から、0.09mm以下がより好ましく、0.08mm以下が更に好ましく、メディアを顔料と分離する観点から、0.005mm以上がより好ましく、0.01mm以上が更に好ましい。
本分散に用いるメディア式分散機としては、ペイントシェーカー、ビーズミル等が好ましく、市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)等が挙げられる。
得られる分散体の保存安定性の観点から、分散時の温度を10〜35℃に保つことが好ましく、15〜30℃がより好ましく、18〜27℃が更に好ましい。
分散時には発熱があるため、温度を10〜33℃に維持するため分散機を適宜冷却することが好ましい。分散機がペイントシェイカーの場合は、分散体の入った容器に冷風を吹き付けるスポットクーラーを用いて冷却することが好ましく、ビーズミル、ニーダー、高圧式分散機の場合は、ジャケットに冷媒を流して冷却することが好ましい。
本分散の分散時間は、顔料(A)を十分に微細化する観点から、3〜200時間が好ましく5〜50時間がより好ましい。
分散工程の途中でグラフトポリマー(B)を添加してもよい。顔料分散ポリマー(B)を添加すれば、顔料(A)の分散性が向上し、粘度がやや低下し、顔料分散体の安定性も向上する。
本分散終了時における顔料(A)とグラフトポリマー(B)の重量比〔(A)/(B)〕は、耐熱性及び保存安定性の観点から、100/30〜100/150が好ましく、100/30〜100/150がより好ましい。
また、顔料分散体の粘度は、分散機の動力や顔料(A)、グラフトポリマー(B)及び有機溶媒(C)の混合比率を調整することによって、10〜120mPa・s(20℃)に調整することが好ましい。
[その他の処理]
本発明の顔料分散体の製造方法においては、さらに、未吸着ポリマーの除去、有機溶媒を用いた再分散、その他の処理を行うことができる。
未吸着ポリマーの除去方法としては、例えば、分散工程で得られた顔料分散体を膜分離処理又は遠心分離処理することにより、顔料分散体から、顔料(A)に未吸着のポリマーを除去する方法が挙げられる。
再分散の方法にも特に制限はなく、前記のペイントシェーカーや高圧ホモジナイザー等の分散機等を用いて混合、分散させることができる。再分散工程で用いる有機溶媒としては、前記の有機溶媒(C)等が挙げられる。
また、超音波ホモジナイザーを用いて再分散することもできる。高出力超音波ホモジナイザーとしては、シャープ株式会社製のSILENTSONIC UT−204、株式会社日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−300T、同US−1200T、同RUS−1200T、同MUS−1200T、ヒールッシャー社製の超音波プロセッサーUIPシリーズ等が挙げられる。また、超音波照射方式としては、アジテーター、マグネチックスターラー、ディスパー等の攪拌手段を併用するバッチ式、超音波照射部を備えたチャンバー中に分散体を一定流量で送るフロー式が挙げられる。超音波ホモジナイザーと前記のペイントシェーカーや高圧ホモジナイザー等とを併用することもできる。
上記の再分散処理を行うと、顔料分散体の耐熱性が向上するため好ましい。これは、再分散により、耐熱性の低下に影響を与える粗大粒子が微粒化されるためと考えられる。
[カラーフィルター用顔料分散体]
本発明のカラーフィルター用顔料分散体は、一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(A)、ビニルモノマー由来の構成単位を有する主鎖に、水酸基含有モノマー由来の構成単位を有する側鎖がグラフトしてなるものであり、該水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量が、ポリマーの全構成単位中5〜30重量%であるグラフトポリマー(B)、及び有機溶媒(C)を含有するため、耐熱性に優れている。耐熱性に優れる理由は明らかではないが、側鎖にグラフトポリマー(B)の側鎖の水酸基が、ポストベーク(加熱)前に配合されるバインダーや硬化成分である多官能モノマーと相互作用し、加熱時にも顔料分散体の分散を良好にするため、顔料分散体の凝集が生じにくく、ポストベーク後の耐熱性の低下が抑制されるものと考えられる。
顔料分散体中の顔料(A)の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
有機溶媒(C)の含有量は、良好な着色性及び粘度を得る観点から、顔料分散体中の全固形分に対して、100〜3000重量%が好ましく、200〜1000重量%がより好ましい。
顔料分散体中の顔料(A)の体積中位粒径(D50)は、カラーフィルター用色材として良好な耐熱性を得るために、90nm以下が好ましく、30〜90nmがより好ましく、40〜90nmが更に好ましい。
なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径(D50)の値は、製造直後の顔料分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で300倍に希釈し、粒度分析計(シスメックス社製、ZETASIZER Nano−ZS)を用いて、測定条件として、例えばジケトピロロピロール系顔料粒子屈折率:1.51、ジケトピロロピロール系顔料密度:1.45g/cm3、PGMEA屈折率:1.40、PGMEA粘度:1.081cPを入力して、20℃で測定することができる。
本発明の製造方法によって得られる顔料分散体の固形分20重量%における粘度(20℃)は、カラーフィルター用色材として良好な粘度とするために、1〜200mPa・sが好ましく、1〜100mPa・sがより好ましい。また、インクジェット法によりカラーフィルターを製造する際の良好な吐出性を維持するために、1〜50mPa・sが好ましく、1〜30mPa・sがより好ましい。
[カラーフィルター用着色組成物]
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、前記製造方法によって得られたカラーフィルター用顔料分散体を含有するが、顔料(A)、グラフトポリマー(B)、有機溶媒(C)以外にバインダー、多官能モノマー(硬化成分)、光重合開始剤等を含有することができる。
バインダーとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(例えば、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体等)、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物等を挙げることができる。その重量平均分子量(Mw)は、5,000〜200,000が好ましい。本発明の非水系顔料分散体中のバインダーの含有量は、全固形分に対して20〜80重量%が好ましい。
多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等)、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等を挙げることができる。本発明の顔料分散体中の多官能モノマーの含有量は、全固形分に対して10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。例えば4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノンが好ましい。本発明の非水系顔料分散体中の光重合開始剤の含有量は、全固形分に対し、0.2〜10重量%が好ましい。
さらに、粘度を調節して、均一な塗布膜形成を可能とし、保存安定性を高める観点から、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、酢酸エチル等の溶剤を添加することもできる。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り、「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマーの分子量、不揮発分、エポキシ価、及び耐熱性の測定、評価は以下の方法により行った。
(1)ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定
カラムとして昭和電工株式会社製、K−804Lカラムを2本直列で用い、溶媒として、1mmol/LのファーミンDMを含有するクロロホルムを用いたGPC法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)不揮発分の測定
シャーレにガラス棒と乾燥無水硫酸ナトリウム10gを量り採り、そこにポリマー溶液2g(サンプル量)を加えてガラス棒で混合し、105℃の減圧乾燥機(圧力8kPa)で2時間乾燥した。乾燥後の重さを計り、次式より不揮発分を算出した。
不揮発分=[〔サンプル量−(乾燥後の重さ−(シャーレ+ガラス棒+無水硫酸ナトリウムの重さ))〕/サンプル量]×100
(3)エポキシ価の測定
ポリマー溶液に塩酸を加え、クロルヒドリン化により消費された量を水酸化カリウムのmg数で表したものをいう。
(4)耐熱性(コントラスト比保持率)の測定
顔料濃度を10%に調整した顔料分散体1.00部、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(バインダー、モル比:30/70、Mw:14000、固形分40重量%のPGMEA溶液)0.15部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(多官能モノマー:日本化薬株式会社製、DPHA)0.046部、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン(光重合開始剤:和光純薬工業株式会社製)0.035部、PGMEA0.474部を均一になるまで混合し、顔料分散組成物を得た。ガラス基板上に顔料分散組成物をスピンコーターで塗布した後、水平台にて6分間静置し、80℃で3分間ホットプレートにより乾燥した。次いで、得られた塗膜に紫外線ファイバースポット照射装置(モリテックス社製、MUV−202U)を用いて60mJ/cm2まで紫外線を照射した(ポストベーク前硬化膜)。ポストベーク前硬化膜の膜厚が3〜5μmの範囲内であることを確認し、次いで、300℃のクリーンオーブン内で30分間加熱してポストベーク(焼き締め)を行い硬化膜を作製した(ポストベーク後硬化膜)。
ポストベーク前後の硬化膜のコントラスト比をコントラスト測定器(壺坂電機株式会社製、CT−1)を用いて測定した。
耐熱性は、ポストベーク後硬化膜のコントラスト比とポストベーク前硬化膜とのコントラスト比との比率(コントラスト比保持率)で評価した。コントラスト比保持率が高いほど、耐熱性が良好である。
コントラスト比保持率(%)=(ポストベーク後硬化膜のコントラスト比/ポストベーク前硬化膜のコントラスト比)×100
製造例1〔ポリ(グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/N−ビニルピロリドン):(b1−1)成分の合成〕
還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにN−ビニル−2−ピロリドン(以下、「VP」という)38.9g、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」という)4.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、「HEMA」という)11.3g、メルカプトエタノール(連鎖移動剤)0.4g、エタノール75.7gを仕込み、窒素置換を行った。77℃で攪拌しながら、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、アゾ系重合開始剤、商品名:V−65)1.5gをエタノール9.8gに溶解した溶液を添加した。
次に、上記で得られたモノマー溶液を77℃で攪拌しながら、VP 58.4g、GMA 19.8g、HEMA 56.6g、メルカプトエタノール1.0g、前記重合開始剤2.5g、エタノール173.2gを混合した溶液を、90分かけて滴下した。
滴下終了後に更に、GMA 15.8g、HEMA 45.3g、メルカプトエタノール0.5g、前記重合開始剤1.0g、エタノール65gを混合した溶液を3時間かけて滴下した。更に1時間、77℃で攪拌後、前記重合開始剤0.3gとエタノール7.5gを加えた。更に77℃で1時間攪拌した後、前記重合開始剤0.3gとエタノール7.5g(滴下モノマー溶液4)を加えた。更に1時間攪拌した後、冷却し、ポリ(GMA/HEMA/VP)((b1−1)成分)のエタノール溶液を得た。
(b1−1)成分のMnは5800、Mwは12400、不揮発分は50%、エポキシ価は28mgKOH/gであった。
製造例2〔片末端カルボン酸型ポリ(メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート):(b2−1)成分の合成〕
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(以下、「MMA」という)175g、HEMA 25g、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)14.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)25gを仕込み、窒素置換した後、80℃で攪拌しながら、MMA 699g、HEMA 101g、3−メルカプトプロピオン酸56.9g、PGMEA 400g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)8gを3時間かけて滴下した。更に1時間、80℃で攪拌後、前記重合開始剤8g、3−メルカプトプロピオン酸3.6g、PGMEA 400gを加えた。更に、80℃で2時間攪拌し、末端カルボン酸型ポリ(MMA/HEMA)((b2−1)成分)溶液を得た。
(b2−1)成分の酸価は21mgKOH/g、Mnは1700、Mwは3000、不揮発分は38%であった。
製造例3〔片末端カルボン酸型ポリメチルメタクリレート:(b2−2)成分の合成〕
製造例2のMMA及びHEMAを、全てMMAに変更した以外は、製造例2と同様にして、末端カルボン酸型ポリMMA((b2−2)成分)溶液を得た。
(b2−2)成分の酸価は21mgKOH/gであり、Mnは1700、Mwは3000、不揮発分は38%であった。
製造例4〔エポキシ基とカルボン酸のカップリング反応によるグラフトポリマー(B):ポリ(HEMA/VP)−ポリ(MMA/HEMA):ポリマー(B−1)の製造〕
還流冷却器、温度計、及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに製造例1で得られた(b1−1)のエタノール溶液60g、製造例2で得られた(b2−1)のPGMEA溶液86g、PGMEA66g、エタノール66g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)(触媒)3gを仕込み、90℃で15時間攪拌した。冷却後、エバポレーターにて(バス温63℃、圧力92kPa)、エタノールを留去し、ポリ(HEMA/VP)−ポリ(MMA/HEMA)(B−1)溶液を得た。エタノール留去前の溶液の酸価は0.1mgKOH/gであった(反応率99%)。
このポリマー(B−1)のMnは5000、Mwは33000であり、不揮発分は40%であった。
製造例5〔エポキシ基とカルボン酸のカップリング反応によるグラフトポリマー(B):ポリ(HEMA/VP)−ポリMMA:ポリマー(B−2)の製造〕
製造例4において、製造例2で得られた(b2−1)のPGMEA溶液の代わりに製造例3で得られた(b2−2)のPGMEA溶液を用いた以外は、製造例4と同様にして、ポリ(HEMA/VP)−ポリMMA(B−2)溶液を得た。エタノール留去前の溶液の酸価は0.1mgKOH/gであった(反応率99%)。
このポリマー(B−2)のMnは5000、Mwは33000であり、不揮発分は40%であった。
製造例6〔メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートマクロモノマー:(b2−3)成分の合成〕
導入管を備え付けた反応容器に、MMA 43.7部、HEMA 6.3部、PGMEA 25部、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)7部を量り込み、窒素シールをしながら75℃まで昇温した。次に、MMA 175部、HEMA 25部、PGMEA 100部、前記連鎖移動剤9部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)2部の混合物を3時間で滴下した。その後、前記有機溶媒125部、前記連鎖移動剤0.9部、前記重合開始剤2部の混合物を1時間かけて滴下し、更に2時間熟成し、Mn:1700、Mw:3800のMMA/HEMAマクロモノマー前駆体を合成した。
次いで、窒素導入管を空気導入管に切替え、得られたマクロモノマー前駆体に気体ポンプで空気を吹き込み、GMA15.8部、テトラブチルアンモニウムブロミド6.2部、p−メトキシフェノール0.64部、前記有機溶媒10部を添加し、90℃で10時間反応し、Mn:1750、Mw:3850、固形分60%のMMA/HEMAマクロモノマー(b2−3)を得た。
製造例7〔メチルメタクリレートマクロモノマー:(b2−4)成分の合成〕
製造例6において、MMA及びHEMAを、全てMMAに変更した以外は、製造例6と同様にして合成を行った。得られたMMAマクロモノマー(b2−4)のMnは1750、Mwは3850、固形分は60%であった。
製造例8〔マクロモノマーの共重合によるグラフトポリマー(B):ポリ(AA/HEMA)−ポリ(MMA/HEMA):ポリマー(B−3)の製造〕
還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにアクリル酸(以下、「AA」という)1部、HEMA2部、製造例6で得られたマクロモノマー(b2−3)12.2部、PGMEA 2.3部、エタノール7.6gを仕込み、窒素置換を行った。77℃で攪拌しながら、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、アゾ系重合開始剤、商品名:V−65)0.15部をPGMEA 1部、エタノール1部に溶解した液を添加した。
77℃で攪拌しながらAA 9部、HEMA 18部、製造例6で得られたマクロモノマー(b2−3)109.6部、前記重合開始剤1.8部、PGMEA 21部、エタノール67.5部を混合した溶液を、180分かけて滴下した。
滴下終了した後に更に、PGMEA 1部、エタノール1部、前記重合開始剤0.1gを混合した溶液を滴下した。更に1時間後前記重合開始剤0.1部とPGMEA 1部、エタノール1部を加え、1時間攪拌を行い、ポリ(AA/HEMA)−ポリ(MMA/HEMA)(B−3)の溶液を得た。
ポリマー(B−3)のMnは10000であり、Mwは140,000であり、不揮発分は40%であった。
製造例9〔マクロモノマーの共重合によるグラフトポリマー(B):ポリ(AA/HEMA)−ポリMMA:ポリマー(B−4)の製造〕
製造例8において、製造例6で得られたマクロモノマー(b2−3)の代わりに製造例7で得られたMMAマクロモノマー(b2−4)を用いた以外は、製造例8と同様にして製造を行った。得られたポリマー(B−4)のMnは10000であり、Mwは140,000であり、不揮発分は40%であった。
実施例1〔顔料分散体の調製〕
ジケトピロロピロール系顔料(A)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))10部、PGMEA 65.0部、製造例4で得られたポリマー(B−1)(40.0%)25.0部、粒径0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカーにて3時間振とうし、次いでその分散液80部と粒径0.05mmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて48時間振とうし、ジケトピロロピロール系顔料(A)のD50が49.8nmで顔料濃度10%、ポリマー(B−1)10%の顔料分散体(1−1)を得た。
得られた顔料分散体40部をPGMEA 80部で希釈した顔料分散体を遠心分離機(日立工機株式会社製、himac CP56G)を用いて、26323Gの条件下で12時間遠心分離後、上澄みを捨て、沈降物9部を得た。
得られた沈降物9gにPGMEA 31gを加え、超音波洗浄機(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT-204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散体(1)を得た。耐熱性の評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、製造例4で得られたポリマー(B−1)を製造例5で得られたポリマー(B−2)に変更した他は、実施例1と同様にして、顔料分散体(2)を得た。耐熱性の評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、製造例4で得られたポリマー(B−1)を製造例8で得られたポリマー(B−3)に変更した他は、実施例1と同様にして、顔料分散体(3)を得た。耐熱性の評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、製造例4で得られたポリマー(B−1)を製造例9で得られたポリマー(B−4)に変更した他は、実施例1と同様にして、顔料分散体(4)を得た。耐熱性の評価結果を表1に示す。
Figure 2010091680
表1において、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2を対比すれば、実施例1及び2で得られた顔料分散体は、比較例1及び2で得られた顔料分散体に比べて、耐熱性が極めて優れていることが分かる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料(A)、グラフトポリマー(B)、及び有機溶媒(C)を含有する顔料分散体であって、グラフトポリマー(B)が、ビニルモノマー由来の構成単位を有する主鎖に、水酸基含有モノマー由来の構成単位を有する側鎖がグラフトしてなるものであり、該水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有量が、側鎖の全構成単位中5〜30重量%である、カラーフィルター用顔料分散体。
    Figure 2010091680
    (式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。)
  2. グラフトポリマー(B)が、水酸基含有モノマー由来の構成単位を、主鎖の全構成単位中30〜80重量%含有するものである、請求項1に記載のカラーフィルター用顔料分散体。
  3. グラフトポリマー(B)が、窒素原子を含有するビニルモノマー由来の構成単位を、主鎖の全構成単位中5〜95重量%含有するものである、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用顔料分散体。
  4. グラフトポリマー(B)の重量平均分子量が1000〜1,000,000であり、グラフトポリマー(B)の側鎖の重量平均分子量が500〜20,000である請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
  5. 有機溶媒(C)がアルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類である請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体、バインダー、多官能モノマー及び光重合開始剤を含有するカラーフィルター用着色組成物。
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