JP2010089001A - クロマト分離方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電解質の固定相への分配係数が、非電解質の固定相への分配係数より小さい充填材を充填した充填層に、原料液と溶離液とを供給して行うクロマト分離方法であって、前記原料液は、非電解質と、塩基性官能基および酸性官能基を有する電解質とを含み、前記原料液および前記溶離液を前記電解質の塩基性官能基のpKaよりも高いpHに調整し、または、前記原料液および前記溶離液を前記電解質の酸性官能基のpKaよりも低いpHに調整し、前記非電解質を含む画分と前記電解質を含む画分とに分離することよりなる。
【選択図】図1
Description
そこで本発明は、非電解質と両性イオンとを良好に分離するクロマト分離方法を目的とする。
前記電解質には、アミノ酸が含まれていても良く、前記非電解質は、糖類または糖類の誘導体であっても良い。前記充填材は、イオン交換樹脂であることが好ましく、陽イオン交換樹脂であることがより好ましい。
前記充填材は、塩形の陽イオン交換樹脂であり、かつ、前記原料液および前記溶離液のpHを前記電解質の塩基性官能基のpKaより高く、pH12以下に調整することが好ましい。
本発明のクロマト分離方法は、イオン排除型充填材を充填した充填層に、非電解質と両性イオンとを含む原料液と、溶離液とを供給し、前記原料液および前記溶離液を前記電解質の塩基性官能基のpKaよりも高いpHに調整し、または、前記原料液および前記溶離液を前記電解質の酸性官能基のpKaよりも低いpHに調整して分離する方法である。
本発明のクロマト分離方法に用いるクロマト分離装置の一例について、図1を用いて説明する。図1は、固定層方式のクロマト分離装置8の模式図である。図1に示すとおり、クロマト分離装置8は、単位充填塔10と、原料液貯槽20と、溶離液貯槽30と、第一画分貯槽40と、第二画分貯槽50とを有する。
単位充填塔10の下部には、配管60が接続されている。配管60は、分岐62で、配管44と配管54と配管64とに接続されている。配管44には、バルブ42が備えられ、配管44は、第一画分貯槽40と接続されている。配管54には、バルブ52が備えられ、配管54は、第二画分貯槽50と接続されている。配管64には、バルブ66が備えられ、配管64は図示されない排出口と接続されている。
充填層12に充填されている充填材は、電解質の固定相への分配係数が、非電解質の固定相への分配係数より小さい充填材(イオン排除型充填材)である。イオン排除型充填材としては、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、モノリス状多孔質イオン交換体等、各種のイオン交換体を挙げることができる。この内、最も汎用的である、イオン交換樹脂が好ましい。イオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。分離対象となる成分に応じて決定することが好ましい。
また、陽イオン交換樹脂の中でも、塩形陽イオン交換樹脂を用いることがより好ましい。充填材としてH形陽イオン交換樹脂を用いると、原料液あるいは溶離液中の陽イオン成分と陽イオン交換樹脂の対イオンとの交換によりH+が放出される。原料液中に加水分解されやすい成分が含まれている場合には、放出されたH+により分解されるおそれがあるためである。
次に、本発明のクロマト分離方法について、図1を用いて説明する。
まず、原料液貯槽20の原料液のpHを調整する。この段階で、原料液に含まれる両性イオンの酸性官能基のpKaよりも低いpHに調整した場合には、両性イオンは陽イオンの形態となる。原料液に含まれる両性イオンの塩基性官能基のpHより高いpHに調整した場合には、両性イオンは陰イオンの形態となる。バルブ22、66を開、バルブ32、42、52を閉として、原料液貯槽20から、任意の量の原料液を単位充填塔10に供給する。次いで、バルブ32、66を開、バルブ22、42、52を閉として、溶離液貯槽30から溶離液を単位充填塔10に供給する。任意の量の溶離液を供給した後、バルブ32、42を開、バルブ22、52、66を閉として、溶離液を単位充填塔10に供給する。そして、原料液と溶離液は、充填層12内を流通する。ここで、充填層12内に充填された充填材は、原料液中の電解質の充填材への分配係数が、非電解質の充填材への分配係数よりも小さい。このため、原料液中の電解質、即ち、pH調整により陰イオンまたは陽イオンの形態となった両性イオンは、主に移動相(溶離液、原料液の溶媒等)中を流下する。一方、非電解質は、固定相である充填材と、移動相との間を移動しながら流下する。そして、原料液中の両性イオンが、早期に単位充填塔10から第一画分として流出し、配管60、44を経由して、第一画分貯槽40に貯留される。
本発明における原料液は、非電解質と塩基性官能基および酸性官能基を有する電解質(両性イオン)とを含むものである。例えば、ショ糖製造途中における糖液、生体抽出物、微生物醗酵により得られる培養液等を挙げることができる。
イオン交換体に接触させてpH調整を行う方法としては、例えば、予め、原料液をOH形陰イオン交換樹脂に接触させて、原料液のpHをアルカリ性側に調整した後に原料液貯槽20に貯蔵しても良いし、H形陽イオン交換樹脂に接触させて、原料液のpHを酸性側に調整した原料液を原料液貯槽20に貯蔵しても良い。また、pH調整のためのイオン交換樹脂を充填したイオン交換塔を充填層12の前段に設けても良い。
溶離液としては、原料液中の各成分を充填層12内に流下させ、かつ、分離対象とする成分を適切に分離できるものであれば特に限定されず、目的に応じて決定することができる。例えば、水、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液、塩酸水溶液等の酸性水溶液、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール類を挙げることができる。溶離液は、これらの一種を単独で溶離液としても良いし、二種以上を混合した混合溶液を溶離液としても良い。また、溶離液は、酸、塩基、緩衝剤、塩を含んでいても良い。
溶離液として、酸性水溶液を用いる場合、酸性物質の濃度は特に限定されないが、0.001N以下が好ましく、0.0001N以下がより好ましい。溶離液中の酸性物質の濃度が高いと、分離した画分中の酸性物質濃度が高くなり、分離目的とする成分の純度が低下するためである。
本発明においては、両性イオンを塩基性官能基のpKaよりも高いpH条件下として陰イオンの形態とするか、または、両性イオンを酸性官能基のpKaよりも低いpH条件下として陽イオンの形態とすることで、イオン排除型充填材への分配係数を小さくすることができる。この結果、糖類等の非電解質と、両性イオンとの充填材に対する分配係数の差を大きくすることができ、両成分を良好に分離することができる。
(クロマト分離装置)
実施例1および比較例1のクロマト分離に用いたクロマト分離装置100について、図2を用いて説明する。図2に示すとおり、クロマト分離装置100は、ジャケット付きカラム110と、シリンジ120と、溶離液貯槽130とを有している。ジャケット付きカラム110の上部には配管127が接続され、配管127はポンプ132を経由して溶離液貯槽130と接続されている。配管127は、注入口122を有している。シリンジ120は配管121により、注入口122と接続されている。ジャケット付きカラム110の下部には、配管118が接続され、配管118は、分取容器140と接続されている。
上述のクロマト分離装置100を用い、アミノ酸(1×10−3mol/L)とN−アセチルグルコサミン(0.37質量%)と塩化ナトリウムとを含む原料液から、N−アセチルグルコサミン(NAG)を第二画分として分離するクロマト分離を行った。カラム本体部には、陽イオン交換樹脂であるCR1310Na(ローム・アンド・ハース社製)を充填した。
まず、ジャケット114に60℃の温水を流通させた。原料液に10N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH10に調整し、原料液Aとした。次いで、ポンプ132を起動し、溶離液貯槽130内の溶離液(1×10−4Nの水酸化ナトリウム水溶液)を配管127から、充填層116へと、26mL/minの流速で流通させた。その後、シリンジ120にて、原料液A15mLを注入口122から、配管127に流した。そして、配管118からの流出液を0.4分毎に分取容器140で分取した。分取容器140毎に、分取した流出液をHPLCで、アミノ酸と塩化ナトリウムを含む不純物濃度と、NAG濃度とを測定し、その結果を図3に示す。
原料液のpH調整を行わない原料液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、クロマト分離を行った。原料液BのpHは7であった。分取した流出液をHPLCで、アミノ酸と塩化ナトリウムを含む不純物濃度と、NAG濃度を測定し、その結果を図4に示す。
<不純物濃度とNAG濃度との測定>
原料液、第一画分、第二画分中の不純物濃度およびNAG濃度は、不純物とNAGとの合計濃度をBrix計(RA−500N、京都電子工業株式会社製)で固形分として測定し、該固形分中の不純物とNAGの比率をHPLCで測定し、不純物濃度とNAG濃度とを求めた。
不純物、NAGとの比率は、HPLC(LC−10Avp、株式会社島津製作所)により下記条件にて、測定した。
[測定条件]
カラム:TSK−GEL SCX−Na形(φ6.0×L150mm×5本)
溶離液:1×10−4N−NaOH水溶液
流速:0.8mL/min
サンプル量:10μL
温度:70℃
検出器:示差屈折計(RI)
原料液中のアミノ酸濃度は、「食品分析ハンドブック」(小原哲二郎、岩尾裕之、鈴木隆雄、第2版、株式会社建帛社、昭和48年4月1日発行)のp.58〜60に記載されているホルモル滴定法に準じて測定した。ホルモル滴定法によるアミノ酸濃度測定は、試料を0.1N水酸化ナトリウムまたは0.1N塩酸で中和し、ホルマリンを添加してオキシメチル誘導体とし、これにフェノールフタレインを指示薬として、または、電位差計を用い、0.1N水酸化ナトリウム標準溶液で滴定して測定した。
図3では、第一画分を積算流量0.30L/L−Rから0.40L/L−Rまでとし、第二画分を積算流量0.43L/L−Rから0.60L/L−Rまでとする。第一画分においては、不純物濃度(X1)が、NAG濃度(Y1)に対して相対的に高い濃度で含まれていた。一方、第二画分においては、NAG濃度(Y1)が不純物濃度(X1)に対して、約3倍以上の濃度で含まれていた。このことから、原料液中の塩化ナトリウムやアミノ酸を含む不純物質は第一画分に分離され、NAGを高濃度に含む第二画分を分離できることが判った。
図4では、第一画分を積算流量0.27L/L−Rから0.43L/L−Rまでとし、第二画分を積算流量0.47L/L−Rから0.93L/L−Rまでとする。第一画分においては、不純物(X2)が、NAG濃度(Y2)に対して相対的に高い濃度で含まれていた。一方、第二画分では、相対的に不純物濃度(X2)よりもNAG濃度(Y2)の方が高いものの、不純物濃度(X2)はNAG濃度(Y2)の低下と平行して推移しており、NAGを高濃度に含む画分に分離できていなことが判った。
12 充填層
Claims (7)
- 電解質の固定相への分配係数が、非電解質の固定相への分配係数より小さい充填材を充填した充填層に、原料液と溶離液とを供給して行うクロマト分離方法であって、
前記原料液は、非電解質と、塩基性官能基および酸性官能基を有する電解質とを含み、
前記原料液および前記溶離液を前記電解質の塩基性官能基のpKaよりも高いpHに調整し、または、前記原料液および前記溶離液を前記電解質の酸性官能基のpKaよりも低いpHに調整し、
前記非電解質を含む画分と前記電解質を含む画分とに分離する、クロマト分離方法。 - 前記非電解質を含む画分と前記電解質を含む画分との分離を擬似移動層方式で行うことを特徴とする、請求項1に記載のクロマト分離方法。
- 前記電解質には、アミノ酸が含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載のクロマト分離方法。
- 前記非電解質は、糖類または糖類の誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクロマト分離方法。
- 前記充填材は、イオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のクロマト分離方法。
- 前記充填材は、陽イオン交換樹脂であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクロマト分離方法。
- 前記充填材は、塩形の陽イオン交換樹脂とし、かつ、前記原料液および前記溶離液のpHを前記電解質の塩基性官能基のpKaより高く、pH12以下に調整することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のクロマト分離方法。
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