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JP2010087205A - 多接合型薄膜光電変換装置 - Google Patents

多接合型薄膜光電変換装置 Download PDF

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Fumiyasu Sezaki
文康 瀬崎
Mitsuru Ichikawa
満 市川
Kenji Yamamoto
憲治 山本
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Abstract

【課題】シリコン系およびCIS系薄膜光電変換ユニットを直列接続することにより短絡電流値を高い値でバランスさせ、高い開放電圧を有する、変換効率の高い多接合型光電変換装置を提供する。
【解決手段】多接合型薄膜光電変換装置は、シリコン系薄膜光電変換ユニット3、5及びCIS系薄膜光電変換ユニット7を備え、中間層4、6を介してこれらを直列接続している。シリコン系薄膜光電変換装置では光電変換が難しい1100nm以上の近赤外光の光電変換が可能であり、太陽光スペクトルを幅広く利用することが可能である点から、より高効率な多接合型薄膜光電変換装置を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明はシリコン系及びCIS系薄膜光電変換ユニットを備え、中間層を介して直列接続されていることを特徴とする多接合型薄膜光電変換装置に関するものである。
近年、半導体内部の光電効果を用いて光を電気に変換する光電変換装置が注目され、開発が精力的に行われているが、その光電変換装置の中でもシリコン系薄膜光電変換装置は、低温で大面積のガラス基板やステンレス基板上に形成できることから、低コスト化が期待できる。また、安価で、光や放射線による劣化が極めて少ない、組成Cu、In、Se等からなり結晶構造がカルコパイライト構造を有する薄膜を光吸収層として用いたCIS系薄膜光電変換装置の開発が行われている(特許文献1参照)。特許文献1には、CIS系薄膜太陽電池の製造方法が開示されているが、CIS系薄膜光電変換装置を形成するには、500〜600℃の温度雰囲気にする必要である。
シリコン系薄膜光電変換装置は、効率を上げるためのハイブリッド化、中間層導入といった技術開発がなされて来たが、可視光から1100nm程度の近赤外光までしか光電変換に利用できていなかった。一方、CIS系薄膜光電変換装置は、可視光は勿論のこと、シリコン系薄膜光電変換装置では光電変換できない1100〜1300nmまでの近赤外光の光電変換が可能であり、太陽光スペクトルを幅広く利用することが可能である点から、近年開発が精力的に行われている。
また、光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2つ以上の光電変換ユニットを積層した、多接合型と呼ばれる構造を採用した光電変換装置が知られている。
この方法においては、光電変換装置の光入射側に大きな光学的禁制帯幅を有する光電変換層を含む光電変換ユニットを配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する光電変換層を含む光電変換ユニットを1つ以上配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたる光電変換を可能にし、入射する光を有効利用することにより装置全体としての変換効率の向上が図られている。
本願では、相対的に光入射側に配置された光電変換ユニットを前方光電変換ユニットと呼び、これよりも相対的に光入射側から遠い側に隣接して配置された光電変換ユニットを後方光電変換ユニットと呼ぶ。

3つ以上の光電変換ユニットを積層した光電変換装置においては、光入射側から2つめ以降に配置された後方光電変換ユニットを前方光電変換ユニットとして、相対的に光入射側から遠い側に隣接して配置された後方光電変換ユニットが複数存在することとなる。
本願では、光入射側に配置されたシリコン系薄膜太陽電池では吸収できなかった波長の光を光電変換に供するために、シリコン系薄膜太陽電池に対して光入射側から遠い位置にCIS系薄膜太陽電池を配置する多接合型薄膜光電変換装置である。
上記多接合型構造を採用することで入射光を有効利用できるが、多接合型光電変換装置全体の特性、特に短絡電流密度は積層された各光電変換ユニットの短絡電流密度のうち小さい方の短絡電流密度に制限される。したがって、多接合型光電変換装置全体の特性を向上するためには、それぞれの光電変換ユニットで発生した短絡電流密度のバランスを取る必要がある。
そこで、近年では積層された複数の光電変換ユニットの間に光透過性及び光反射性の双方を有し且つ導電性の中間層を介在させる構造を有する積層型の光電変換装置が提案されている。この場合、中間層に到達した光の一部が反射し、中間層よりも光入射側に位置する前方光電変換ユニット内での光吸収量が増加し、その前方光電変換ユニットで発生する電流値を増大させることができる。例えば、非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットを有する多接合型薄膜光電変換装置に、非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットの間に透過光を反射できる性質を有する中間層を挿入した場合、非晶質シリコン層の膜厚を増やすことなく非晶質シリコン光電変換ユニットによって発生する電流を増加させることができる。
もしくは、同一の電流値を得るために必要な非晶質シリコン層の膜厚を薄くできることから、非晶質シリコン層の膜厚増加に応じて顕著となる光劣化による非晶質シリコン光電変換ユニットの特性低下を押さえることが可能となる。このような中間層としては、前方光電変換ユニットで吸収される光の波長領域を選択的に反射し、且つ後方光電変換ユニットで吸収される光の波長領域は選択的に透過することが好ましく、研究開発が盛んに行われている。
しかし、シリコン系薄膜光電変換装置において、非晶質シリコン、非晶質シリコンゲルマン、微結晶シリコンといったシリコン系材料を用いたシリコン系薄膜光電変換装置では、〜1100nmまでしか光感度がなく、中間層を用いて光を選択反射および選択透過させても、光感度のない光はそのままロスとなり、有効活用できていなかったシリコン系薄膜光電変換装置は、一旦250℃以上に加熱してしまうと、室温に戻しても光電変換装置として機能しなくなってしまう。このため、シリコン系薄膜光電変換ユニットとCIS系薄膜光電変換ユニットを直列接続するのは問題点があった。
特開2006-165386号公報
CIS系薄膜光電変換ユニットをシリコン系薄膜光電変換ユニットに直列接続させることにより、シリコン系多接合型薄膜光電変換装置では不可能だった近赤外光まで含む幅広い太陽光スペクトルを光電変換できるだけでなく、CIS系薄膜光電変換ユニットだけでは達成できなかった高い開放電圧を有する多接合型薄膜光電変換装置を製造することができる。
本発明により従来以上に幅広い太陽光スペクトルを光電変換することが可能となり、発生する短絡電流密度を高い値
でバランスさせた光電変換効率の高い多接合型薄膜光電変換装置を提供することが可能となる。
本発明による多接合型薄膜光電変換装置は、以下の構成を有するものである。


1). シリコン系及びCIS系薄膜光電変換ユニットを備え、シリコン系光電変換ユニットとCIS系薄膜光電変換ユニットが中間層を介して直列接続されていることを特徴とする多接合型薄膜光電変換装置。
2). シリコン系薄膜光電変換ユニットが、アモルファスシリコン、アモルファスシリコンゲルマンおよび微結晶シリコンからなる群の内のいずれか一つ以上から構成されていることを特徴とする1)記載の多接合型薄膜光電変換装置。
3). CIS系薄膜光電変換ユニットが、CIS系ナノ粒子から形成されることを特徴とする1)、または2)のいずれか1に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
4). CIS系薄膜光電変換ユニットはバッファー層を有し、バッファー層がZnO、ZnS、CdSからなる群の内の少なくとも一つ以上からなることを特徴とする1)〜3)のいずれか1に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
5). 中間層が、透明酸化物層/カーボン層/透明酸化物層の順に積層された層を少なくとも一つ以上含むことを特徴とする1)〜4)のいずれか1に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
6). 中間層を構成する透明酸化物層が酸化亜鉛により形成されていることを特徴とする5)に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
7). シリコン系薄膜光電変換ユニットとCIS系薄膜光電変換ユニットの間に設けられた中間層が酸化亜鉛により形成されていることを特徴とする1)〜6)いずれか1に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
8). 中間層の膜厚が10Å以上2000Å以下であることを特徴とする1)〜7)のいずれか1に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
9). 中間層を構成する透明酸化物層が導電性酸素化シリコンにより形成されていることを特徴とする5)〜8)のいずれか1に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
10). 多接合薄膜光電変換装置の光が入射する側と反対側には裏面電極が設けられており、裏面電極層に用いられる透明酸化物半導体層がホウ素、アルミニウム、ゲルマニウムからなる群の内の一つ以上の元素がドープされていることを特徴とする1)〜9)のいずれか1に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
11). CIS系薄膜光電変換ユニットが200度以下の温度域で作製されることを特徴とする1)〜9)のいずれか1に記載の多接合型薄膜光電変換装置の製造方法。
本発明により、1100−1300nmの赤外域にも光感度のあるCIS系薄膜光電変換ユニットをシリコン系薄膜光電変換ユニットに直列接続させることにより、従来よりも幅広い太陽光スペクトルを光電変換できるだけでなく、CIS系薄膜光電変換ユニットだけでは達成できなかった高い開放電圧を有する多接合型薄膜光電変換装置を製造することができるようになる。
以上のような効果により、本発明によれば高性能な多接合型薄膜光電変換装置を提供することができる。
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。
図1に、本発明の実施形態の一例によるシリコン系およびCIS系多接合型薄膜光電変換装置の断面図を示す。
透明基板1上に、透明電極層2、前方シリコン系光電変換ユニット3、中間層4、後方シリコン系光電変換ユニット5、中間層6、CIS系光電変換ユニット7、および裏面電極層8の順に配置されている。なお、図1にはシリコン系光電変換ユニットが前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットの2つで構成されているが、本発明はシリコン系光電変換ユニットを3段以上積層した場合にも適用することができる。
例えば光入射側から第一光電変換ユニット、第二光電変換ユニット、第三光電変換ユニットの順に配置された3接合型シリコン系光電変換装置において、第一光電変換ユニットと第二光電変換ユニットを、それぞれ前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットと見なし、両者の境界に中間層を設けても良い。
あるいは第二光電変換ユニットと第三光電変換ユニットを、それぞれ前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットと見なし、両者の境界に中間層を設けても良い。むろん、第一光電変換ユニットと第二光電変換ユニットの境界および第二光電変換ユニットと第三光電変換ユニットの境界の両方に中間層を設けた構造でも良い。シリコン系光電変換装置部分としては、例えば第一光電変換ユニットに非晶質シリコン光電変換ユニット、第二光電変換ユニットに非晶質シリコンゲルマニウムあるいは結晶質シリコン系光電変換ユニット、第三光電変換ユニットに非晶質シリコンゲルマニウムあるいは結晶質シリコン系光電変換ユニットを適用する場合などが挙げられるが、組み合わせはこの限りではない。
シリコン系薄膜光電変換装置とCIS系薄膜光電変換装置の境界には中間層が配置される。当該中間層を設けることにより、CIS系薄膜光電変換装置を形成する際に、Cu、In、S、Se、Ga等の原子をシリコン系薄膜光電変換装置側への透過・拡散を防止することが出来る。当該中間層としては例えば、ノンドープのZnOなどが用いることができる。
基板側から光を入射するタイプの光電変換装置にて用いられる透明基板1には、ガラス、透明樹脂等から成る板状部材やシート状部材が用いられる。透明電極層2はSnO2、ZnO等の導電性金属酸化物から成ることが好ましく、CVD、スパッタ、蒸着等の方法を用いて形成されることが好ましい。透明電極層2はその表面に微細な凹凸を有すると、入射光の散乱を増大させる効果が生じるので好ましい。
裏面電極層8としては、Mo、Al、Ag、Au、Cu、PtおよびCrから選ばれる少なくとも一つの材料からなる少なくとも一層の金属層をスパッタ法または蒸着法により形成することできる。中でもMoが好ましい。また、光電変換ユニットと裏面電極との間に、ITO、SnO2、ZnO等の導電性酸化物からなる層を形成しても構わない(図示せず)。
光入射側からみて透明電極層2の後方に、複数の光電変換ユニットが配置される。図2のように2つの光電変換ユニットが積層された構造の場合、光入射側に配置された前方光電変換ユニット3には相対的にバンドギャップの広い材料、例えば非晶質シリコン系材料による光電変換ユニットなどが用いられる。その後方に配置された後方光電変換ユニット5には、それよりも相対的にバンドギャップの狭い材料、例えば結晶質を含むシリコン系材料による光電変換ユニットや、非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニットなどが用いられる。
各々のシリコン系光電変換ユニットは、p型層、実質的に真性な光電変換層であるi型層、およびn型層から成るpin接合によって構成されるのが好ましい。このうちi型層に非晶質シリコンを用いたものを非晶質シリコン光電変換ユニット、結晶質を含むシリコンを用いたものを結晶質シリコン光電変換ユニットと呼ぶ。なお、非晶質あるいは結晶質のシリコン系材料としては、半導体を構成する主要元素としてシリコンのみを用いる場合だけでなく、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウムなどの元素をも含む合金材料であってもよい。また、導電型層の主要構成材料としては、必ずしもi型層と同質のものである必要はなく、例えば非晶質シリコン光電変換ユニットのp型層に非晶質シリコンカーバイドを用い得るし、n型層に結晶質を含むシリコン層(μc−Siとも呼ばれる)も用い得る。
CIS系薄膜光電変換ユニットは、一般に表面が絶縁性の基板上に順に積層された第一電極と、半導体薄膜光電変換ユニットと、及び第二電極とを含んでいる。ここで、CIS系光電変換ユニットは一般的にp型層、バッファー層及びn型層の順に積層されてなり、その主要部を占めるp型層の光電変換層はCu、In、Seから構成したものを用いることができる。
バッファー層は、CdS、ZnS、ZnO等を用いることが好ましい。また、p型層の形成温度は250度以下であることが好ましい。250度以下という低温で形成するために、Cu、In、Se等を含む化合物半導体ナノ粒子を作製し、塗布した後に、200度以下で加熱処理することによりCIS系薄膜光電変換装置のp型層を形成してもよい。
本発明では、前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットとの間に前方光電変換ユニットで吸収できる波長領域の光に対する反射率が高く、前方光電変換ユニットで吸収できない波長領域の光に対する反射率が低くなるような反射特性を有する中間層を用いている。
本願発明に用いる中間層は透明酸化物層を有するものが好ましく、透明酸化物層としては、酸化錫、酸化亜鉛、ITO、導電性酸素化シリコン層等を用いることが出来る。
透明酸化物層を有する中間層の構造としては、透明酸化物からなるものの他に、例えば、透明酸化物層/カーボン層/透明酸化物層の順に積層された層であってもよい。またこれらの層を複数用いてもかまわない。
透明酸化物層の形成方法は均一な薄膜が形成される手段であれば特に限定されない。例えば、スパッタリングや蒸着などのPVD法や、各種CVD法などの化学気相法などの他に、透明酸化物層の原料を含む溶液をスピンコート法やロールコート法、スプレー塗布やディッピング塗布などにより塗布した後に加熱処理などで透明酸化物層を形成する方法も挙げられる。例えば導電性酸素化シリコンについては、光電変換ユニットを構成するn型μc−Si層のプラズマCVD法による作製時と同様の条件で、追加的にCO2ガスをチャンバー内へ導入することにより作製することが可能でありプロセス的に有利である。
また、カーボン層は透明酸化物層よりも屈折率が低く、カーボン層の形成方法についてもプラズマCVDにて作成すれば、光電変換ユニット及び中間層を1台のプラズマCVDにて作成することが可能になるため生産性が向上する。これらの透明酸化物層の膜厚は10Å以上2000Å以下であることが好ましい。透明酸化物層の膜厚が薄い場合は、透明酸化物層の導電性が極めて低く光電変換ユニットとの直列接続における障害となる。また透明酸化物層の膜厚が厚い場合は、透明性が悪くなり、生産コストも高くなる可能性がある。カーボン層の屈折率は、波長550nmにおいて1.2〜1.9であることが好ましい。
導電性酸素化シリコンについては、光電変換ユニットを構成するn型μc−Si層のプラズマCVD法による作製時と同様の条件で、追加的にCO2ガスをチャンバー内へ導入することにより作製することが可能でありプロセス的に有利である。
以下においては、上述の実施の形態に対応するシリコン系薄膜光電変換ユニットとCIS系薄膜光電変換ユニットとを直列に積層した構造の多接合型薄膜光電変換装置の製造方法の実施例として、非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットとが積層されたシリコン系薄膜光電変換ユニットに化合物半導体ナノ粒子を用いてCIS系薄膜光電変換ユニットを直列接続した多接合型薄膜光電変換装置を挙げ、比較例と比較しつつ詳細に説明する。各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に準じた多接合型薄膜光電変換装置を作成した。透明基板1にはガラスを用い、透明電極層2にはSnO2を用いた。この際の透明電極層2の膜厚は800nm、シート抵抗は10オーム/□、ヘイズ率は15〜20%とした。この上に、ボロンドープのp型シリコンカーバイド(SiC)層を10nm、ノンドープの非晶質シリコン光電変換層を200nm、リンドープのn型μc−Si層を20nmの膜厚で、それぞれプラズマCVD法により製膜した。これにより、前方光電変換ユニットであるpin接合の非晶質シリコン光電変換ユニット3を形成した。
さらに非晶質シリコン光電変換ユニット3の上に中間層4を形成した。まず、非晶質シリコン光電変換ユニット3を形成した基板をプラズマCVD装置から大気中に取り出した後で、スパッタ法により酸化亜鉛からなる透明酸化物層4を形成するスパッタ装置の製膜室に投入した。スパッタターゲットとして酸化亜鉛中に2wt%のAlを添加したものにおいて、スパッタガスとしてArガスを導入し、基板を150℃に加熱、圧力を0.27Paとした上で、DCスパッタ法により酸化亜鉛を膜厚600Åで形成した。酸化亜鉛の屈折率は1.9(波長550nm)であった。
さらに前記中間層4を形成した基板を製膜室から大気中に取り出しプラズマCVD装置に投入した。そして前記中間層4の上にボロンドープのp型微結晶シリコン層を15nm、ノンドープの結晶質シリコン光電変換層を2.5μm、リンドープのn型微結晶シリコン層を20nmの膜厚でそれぞれプラズマCVD法により製膜した。これにより、後方光電変換ユニットであるpin接合の結晶質シリコン光電変換ユニット5を形成した。
さらに後方光電変換ユニット5の上に、中間層6としてノンドープのZnO膜を80nmの膜厚でDCスパッタ法により形成した。ノンドープのZnO膜の屈折率は1.85(波長550nm)であった。当該基板を大気中に取り出した。
CIS系薄膜光電変換ユニットを次のようにして形成した。Ar雰囲気でCuI、InI3にピリジンを加えて室温で1時間攪拌し、次にNa2Seメタノール溶液を添加、ドライアイスで冷却し、24時間攪拌(赤茶色から黒色の懸濁液になるまで)、20分間遠心分離してCISとNaIを分離、ドライメタノールを加えてピリジンを除去し、精製CISをメタノール中に懸濁させたものを、大気中に取り出した中間層6の上に、塗布した後、赤外線ゴールドファーナスで200℃、5時間、セレン化水素を吹き込みながら焼成することでCISからなるCIS系薄膜光電変換ユニットのp層7aを形成した。
次いで、スパッタ法により酸化亜鉛7bおよびMoからなる裏面電極層8を形成するスパッタ装置の製膜室に投入した。スパッタターゲットとして酸化亜鉛中に2wt%のAlを添加したものにおいて、スパッタガスとしてArガスを導入し、基板を150℃に加熱、圧力を0.27Paとした上で、DCスパッタ法により酸化亜鉛を膜厚600Åで形成した。次いで、Moをスパッタし、膜厚1ミクロンで形成した。
以上のようにして得られた非晶質シリコン太陽電池から1cm角の受光面積を有する光電変換ユニットを分離し、分光感度特性を測定したところ、図1のような結果となった。なおグラフは後に述べる比較例1の結果において最大感度の値を1とした場合の規格値で示されている。また、これらの感度スペクトルより分光感度電流を算出したところ、16.5mA/cm2であった。開放電圧と分光感度電流を纏めたものを表1に示す。
(比較例1)
図2に準じ、比較例1としての多接合薄膜シリコン系光電変換装置を作製した。実施例1と同様にして、非晶質シリコン光電変換ユニット3と中間層4および結晶質シリコン光電変換ユニット5および裏面電極6とからなるシリコン系光電変換装置を形成した。
以上のようにして得られたシリコン系薄膜光電変換装置から1cm角の受光面積を有する光電変換ユニットを分離し、分光感度特性を測定し、感度スペクトルより分光感度電流を算出したところ、14.4mA/cm2であった。開放電圧と分光感度電流を纏めたものを表1に示す。
Figure 2010087205
本発明による多接合型光電変換装置の構造断面図 比較例における多接合型光電変換装置の構造断面図 本発明における多接合型光電変換装置の分光感度特性
符号の説明
1 透明基板
2 透明電極層
3 前方シリコン系光電変換ユニット
4 中間層
5 後方シリコン系光電変換ユニット
6 中間層
7 CIS系光電変換ユニット
8 裏面電極層

Claims (11)

  1. シリコン系及びCIS系薄膜光電変換ユニットを備え、シリコン系光電変換ユニットとCIS系薄膜光電変換ユニットが中間層を介して直列接続されていることを特徴とする多接合型薄膜光電変換装置。
  2. シリコン系薄膜光電変換ユニットが、アモルファスシリコン、アモルファスシリコンゲルマンおよび微結晶シリコンからなる群の内のいずれか一つ以上から構成されていることを特徴とする請求項1記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  3. CIS系薄膜光電変換ユニットが、CIS系ナノ粒子から形成されることを特徴とする請求項1、または2のいずれか1項に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  4. CIS系薄膜光電変換ユニットはバッファー層を有し、バッファー層がZnO、ZnS、CdSからなる群の内の少なくとも一つ以上からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  5. 中間層が、透明酸化物層/カーボン層/透明酸化物層の順に積層された層を少なくとも一つ以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  6. 中間層を構成する透明酸化物層が酸化亜鉛により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  7. シリコン系薄膜光電変換ユニットとCIS系薄膜光電変換ユニットの間に設けられた中間層が酸化亜鉛により形成されていることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  8. 中間層の膜厚が10Å以上2000Å以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  9. 中間層を構成する透明酸化物層が導電性酸素化シリコンにより形成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  10. 多接合薄膜光電変換装置の光が入射する側と反対側には裏面電極が設けられており、裏面電極層に用いられる透明酸化物半導体層がホウ素、アルミニウム、ゲルマニウムからなる群の内の一つ以上の元素がドープされていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の多接合型薄膜光電変換装置。
  11. CIS系薄膜光電変換ユニットが200度以下の温度域で作製されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の多接合型薄膜光電変換装置の製造方法。
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