JP2010061768A - 光ピックアップ及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異なる3種類の波長を用いて複数種類の光ディスクに対して記録、再生を行う光ピックアップにおいて、構成部品を共通化するとともに、各光ディスクのフォーマットに対応する適切なフォーカス引き込み範囲を設定して、良好な3波長互換を実現する。
【解決手段】 各出射部から出射された各波長の光ビームを光ディスクの信号記録面上に集光する対物レンズ34と、戻りの第1乃至第3の波長の光ビームを受光する共通の受光部40を有する光検出器41と、集光光学デバイス36と受光部40との間に設けられ、第1乃至第3の波長の光ビームに対して、それぞれ所定の非点収差を付与し、所定の非点隔差を形成する非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 各出射部から出射された各波長の光ビームを光ディスクの信号記録面上に集光する対物レンズ34と、戻りの第1乃至第3の波長の光ビームを受光する共通の受光部40を有する光検出器41と、集光光学デバイス36と受光部40との間に設けられ、第1乃至第3の波長の光ビームに対して、それぞれ所定の非点収差を付与し、所定の非点隔差を形成する非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44とを備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、異なる3種類の光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ及びこれを用いた光ディスク装置に関する。
近年、次世代光ディスクフォーマットとして、青紫色半導体レーザによる波長405nm程度の光ビームを用いて信号の記録再生を行う高密度記録が可能な光ディスク(以下、「高密度記録光ディスク」という。)が提案されている。この高密度記録光ディスクとして、例えばBD(Blu-ray Disc(登録商標))のような、信号記録層を保護する保護層(カバー層)の厚さを薄く、例えば0.1mmとした構造のものが提案されている。
これらの高密度記録光ディスクに対応する光ピックアップを提供するに際して、従来の使用波長が785nm付近であるCD(Compact Disc)、使用波長が655nm付近であるDVD(Digital Versatile Disc)等のフォーマットの異なる光ディスクとの互換性を有するものが望まれる。このように、ディスク構造及びこれに伴うレーザ仕様が異なるフォーマットの光ディスク間の互換性を有する光ピックアップ及び光ディスク装置が必要とされる。
ところで、上述したような高密度記録光ディスク並びにDVD,CD等の光ディスクには、それぞれ、普及するメディアやこれを記録再生する装置の統一性・互換性を守るための規格(フォーマット)が存在する。これらの規格書(フォーマットブック)には、製品技術に関して、さまざまな要求事項が記載されている。そして、上述したような異なる3種類の光ディスクに対して、情報信号の記録又は再生を実現する所謂3波長互換を実現するためには、特にその記載事項の一つであるフォーカスサーボ等のためのサーボ信号に対する要求事項を満足することが重要となってくる。
上述したような3波長互換を行う場合には、DVD、CD等の光ディスクに対する従来のシステムに加えて、高密度記録光ディスクに対するシステムを実現可能とする必要がある。そして、そのためには、複数種類のフォーマットに対応したフォーカスサーボに適したフォーカスエラー信号の要求仕様を満たす必要がある。そして、このような複数種類のフォーマットで決められた光ディスクの仕様の違いにより、それぞれの光ディスクのフォーマットに対応したフォーカスサーボに適したフォーカスエラー信号の要求仕様が、異なっている。
特に、フォーカスエラー信号の波形は、光ピックアップの光学系及び電気系と関わり合いが深く、光学系の復路系の倍率(以下、「復路倍率」ともいう。)でS字波形の引き込み範囲(以下、「フォーカス引き込み範囲」ともいう。)という指標が制約されることとなる。
例えば、従来のシステムを考慮すると、高密度記録光ディスクであるBD(Blu-ray Disc(登録商標))に適したフォーカス引き込み範囲は、1.5μm〜3.5μm程度である。また、DVD及びCDに適したフォーカス引き込み範囲は、4.0μm〜12.0μm程度であった。
そして、このフォーカス引き込み範囲が各光ディスクのフォーマットに適合しない場合には、フォーカスサーボの感度が低下したり、フォーカス外れが発生し適切なフォーカスサーボを行うことができないおそれがあった。さらに、これにより、記録・再生を良好に行うことができないといった問題が発生するおそれがあった。使用波長としての3波長それぞれにおいて適切なフォーカス引き込み範囲を与えるためには、それぞれ最適な復路倍率に設定する必要がある。復路倍率は、主に対物レンズの焦点距離、対物レンズへの入射倍率、その他の復路光学系に配置される光学部品の焦点距離により決まる。以上のようなことに鑑みて、従来は、例えば、図22に示すように、受光素子を2つ以上用い、復路系の共通光路以外の光路に曲率の異なるカップリングレンズとしてのマルチレンズを個別に配置する方法等が用いられ、又は検討されてきた。ここで、図22に示す従来検討されてきた光ピックアップの構成について説明する。
図22に示す光ピックアップ160は、3波長の光ビームに対応する共通の対物レンズを有するものであり、従来の2つの対物レンズを有する光ピックアップの問題点を解消する。すなわち、光ピックアップ160は、2つの対物レンズ駆動用のアクチュエータに搭載する必要があるため、アクチュエータの重量が増大し、感度が低下する等の問題を解消するものである。
この光ピックアップ160は、具体的に、CD等の光ディスクに対して波長785nm程度の光ビームを出射する出射部を有するレーザダイオード等の光源部163を有する。また、光ピックアップ160は、DVD等の光ディスクに対して波長655nm程度の光ビームを出射する出射部を有するレーザダイオード等の光源部162を有する。また、光ピックアップ160は、高密度記録光ディスクに対して波長405nm程度の光ビームを出射する出射部を有するレーザダイオード等の光源部161を有する。また、光ピックアップ160は、高密度記録光ディスク、DVD、CD用の共通の対物レンズ164と、収差補正用の回折光学素子165とを備える。
また、この光ピックアップ160は、可動コリメータレンズ167、1/4波長板175、立ち上げミラー176、ビームスプリッタ168A,168B,169A、グレーティング173A,173B,173C等を備える。
さらに、この光ピックアップ160は、復路の光路中に、DVD、CD等の光ディスク用の戻り光検出系としてマルチレンズ172B及び光検出器171Bを有する。また、光ピックアップ160は、高密度記録光ディスク用の戻り光検出系としてマルチレンズ172A及び光検出器171Aと、それぞれの戻り光検出系に所定の光ビームを導くビームスプリッタ169Bとを備える。
光源部163より出射された波長785nm程度の光ビームは、ビームスプリッタ168Bで反射され、ビームスプリッタ169Aを透過して対物レンズ164へと入射する。この対物レンズ164によって厚さ1.1mm程度の保護層を有する光ディスクの信号記録面に集光される。
光源部162より出射された波長655nm程度の光ビームは、ビームスプリッタ168Aで反射され、ビームスプリッタ168B,169Aを透過して対物レンズ164へと入射する。この対物レンズ164によって厚さ0.6mmの保護層を有する光ディスクの信号記録面に集光される。光ディスクの信号記録面で反射された波長785nm及び波長655nmの戻り光は、ビームスプリッタ169Aを経て、ビームスプリッタ169Bで反射されて、マルチレンズ172Bによりフォトディテクタ等を有する光検出器171Bで検出される。
光源部161より出射された波長405nm程度の光ビームは、ビームスプリッタ168A,168B,169Aを透過され、対物レンズ164へと入射する。この対物レンズ164によって厚さ約0.1mmの保護層を有する光ディスクの信号記録面に集光される。光ディスクの信号記録面で反射された波長405nmの戻り光は、ビームスプリッタ169Aを経て、ビームスプリッタ169Bを透過されて、マルチレンズ172Aによりフォトディテクタ等を有する光検出器171Aで検出される。
この光ピックアップ160の復路光学系において、DVD/CD用のマルチレンズ172Bと、高密度記録光ディスク用のマルチレンズ172Aとの焦点距離及び配置を適宜調整することにより、以下のような効果が得られる。すなわち、上述の構成により、DVD及びCD等の光ディスク用の波長785nm及び波長655nmの光ビームの復路倍率と、高密度記録光ディスク用の波長405nmの光ビームの復路倍率とを設定できる。そして、かかる構成により、各波長それぞれにおいて適切なフォーカス引き込み範囲を与えることができる。
以上のような図22に示す光ピックアップ160は、3波長の光ビームに対応する対物レンズ164と、収差補正用の回折光学素子165とを設けることにより、異なる3種類の光ディスクの記録及び/又は再生を実現する。それとともに、光ピックアップ160は、各光ディスクに対して適切なフォーカス引き込み範囲を設定し、すなわち、複数種類の光ディスク間の互換を実現する。
しかし、図22に示す光ピックアップ160は、受光素子を有する光検出器を2個設ける必要により部品点数が多くなり、低コスト化と小型化の面から問題がある。すなわち、かかる光ピックアップ160は、例えば、2つの光検出器が必要であるためにコストがかかるといった問題があった。さらに、光ピックアップ160は、これらの光検出器に対応する光ビームを分離して入射させるビームスプリッタ等の素子も必要となり、また、それぞれの光検出器の受光素子上に集光させる倍率変換レンズとしてのマルチレンズ等の部品も複数個必要となる。また、光ピックアップ160では、さらに配線も二箇所から引き回すために構成が複雑となり、これにより、全体としての構成が複雑になるとともに装置の小型化を妨げる等の問題があった。
このように、上述の図22に示す光ピックアップでは、部品点数が多くなり、光学系が複雑になるという問題があった。また、複数のマルチレンズや受光素子を設けることで、それを調整する工程も増え、光ピックアップを作製するのに多大な時間を要し、装置の構成が複雑となったり、小型化の妨げとなるという問題があった。
そこで、さらなる小型化、構成の簡素化、調整工程の簡素化等を実現するために、1つの受光部と1つの光検出器よりなる光学系を有する光ピックアップを構成することが望まれる。しかしながら、単に1つの対物レンズと1つの受光部を有する光検出器とから光ピックアップを構成した場合には、3種類の使用波長に対する復路倍率に差を設定することができないという問題があった。また、フォーカスサーボ信号波形を適切にすることができず、すなわち、上述したように、所望のフォーカス引き込み範囲を得ることができないという問題があった。
さらに、上述した高密度記録光ディスクとして、信号記録面を複数有する多層光ディスクとして例えば二層光ディスク等に対して再生を行う場合には、信号の再生を行う記録面とは異なる記録面からの迷光が受光面に入射するということを考慮する必要がある。これにより、十分に大きな復路倍率を有さない光学系においては、干渉による問題が大きくなり、再生特性に悪影響を及ぼすこともあり、この点に鑑みてもある程度以上の復路倍率(戻り倍率)を有することが望ましい。
このように、フォーカス引き込み範囲を適正なものとするという観点から各フォーマットに対応させた復路倍率を最適なものにすることと、各光ディスクに対応した各使用波長に対して対物レンズと受光素子とを共通化することにより、3波長互換と装置の小型化及び構成の簡素化とを可能にすることを両立させることは非常に困難であった。
本発明の目的は、異なる3種類の波長を用いて複数種類の光ディスクに対して記録及び/又は再生を行う光ピックアップであって、構成部品を共通化して構成の簡素化、装置の小型化を可能とするとともに、それぞれの光ディスクのフォーマットに対応する適切なフォーカス引き込み範囲とすることを可能として、構成の小型化と良好なサーボ信号を得て3波長互換を両立させることを可能とする光ピックアップ及びこれを用いた光ディスク装置を提供することにある。
本発明に係る光ピックアップは、第1の出射部から出射され第1の光ディスクに対応する第1の波長の光ビームと、第2の出射部から出射され上記第1の光ディスクと異なる種類の第2の光ディスクに対応するとともに上記第1の波長より長い第2の波長の光ビームと、第3の出射部から出射され上記第1及び第2の光ディスクと異なる種類の第3の光ディスクに対応するとともに上記第2の波長より長い第3の波長の光ビームとを対応する光ディスクに集光する対物レンズと、上記光ディスクで反射された戻りの第1乃至第3の波長の光ビームを共通の受光部で受光して検出する光検出器と、上記対物レンズと上記受光部との間に設けられ、入射した光ビームの波長に応じた非点収差を付与する非点収差付与デバイスとを備え、上記非点収差付与デバイスは、上記第1の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ1とし、上記第2の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ2とし、上記第3の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ3としたとき、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように各波長の光ビームに非点収差を付与する。
また、本発明に係る光ディスク装置は、複数種類の光ディスクから任意に選択され、回転駆動される光ディスクに対して波長を異にする複数の光ビームを選択的に照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップを備える光ディスク装置であり、この光ディスク装置に用いる光ピックアップとして、上述したようなものを用いたものである。
本発明は、3種類の使用波長に対応する共通の対物レンズと共通の受光部を有する共通の光学系を用いて、各光ディスクに対して対応する波長の光ビームを集光するとともに、光ディスクからの反射光を検出して、複数種類の光ディスクに情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップの光学系において、対物レンズと受光部との間に設けられる非点収差付与デバイスが、各波長の光ビームに所定の非点収差を付与することに一定の関係を有する非点隔差を形成することで、使用波長に応じて復路系の倍率を最適なものとすることができ、これにより、それぞれの各光ディスクのフォーマットに対応する適切なフォーカス引き込み範囲を設定することを可能とし、構成の簡素化及び装置の小型化を実現するとともに各光ディスクに対して良好な記録及び/又は再生を実現する。
以下、本発明を適用した光ピックアップを用いた光ディスク装置について、図面を参照して説明する。
本発明が適用された光ディスク装置1は、図1に示すように、光ディスク2から情報記録再生を行う光ピックアップ3と、光ディスク2を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ4とを備える。また、光ディスク装置1は、光ピックアップ3を光ディスク2の径方向に移動させる送りモータ5を備えている。この光ディスク装置1は、フォーマットの異なる3種類の光ディスク及び記録層が積層化された光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行うことができる3規格間互換性を実現した光ディスク装置である。
ここで用いられる光ディスクは、例えば、発光波長が785nm程度の半導体レーザを用いたCD(Compact Disc)、CD−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、かかる光ディスクは、例えば、発光波長を655nm程度の半導体レーザを用いたDVD(Digital Versatile Disc)、DVD−R(Recordable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、かかる光ディスクは、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能なBD(Blu-ray Disc(登録商標))等の高密度記録光ディスクである。
特に、以下で光ディスク装置1により情報の再生又は記録を行う3種類の光ディスク2として、以下の第1乃至第3の光ディスク11,12,13を用いるものとして説明する。すなわち、第1の光ディスク11は、0.1mm程度の第1の厚さで形成された保護層を有し波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な上述したBD等の光ディスクである。また、第2の光ディスク12は、0.6mm程度の第2の厚さで形成された保護層を有し波長655nm程度の光ビームを記録再生光として使用するDVD等の光ディスクである。また、第3の光ディスク13は、1.1mm程度の第3の厚さで形成された保護層を有し波長785nm程度の光ビームを記録再生光として使用するCD等の光ディスクである。
光ディスク装置1において、スピンドルモータ4及び送りモータ5は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ7からの指令に基づいて制御されるサーボ制御部9によりディスク種類に応じて駆動制御されている。これにより、例えば、第1の光ディスク11、第2の光ディスク12、第3の光ディスク13に応じて所定の回転数で駆動される。
光ピックアップ3は、3波長互換光学系を有する光ピックアップであり、規格の異なる光ディスクの記録層に対して異なる波長の光ビームを保護層側から照射するとともに、この光ビームの記録層における反射光を検出する。光ピックアップ3は、検出した反射光から各光ビームに対応する信号を出力する。
光ディスク装置1は、光ピックアップ3から出力された信号に基づいてフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するプリアンプ14を備える。また、光ディスク装置1は、プリアンプ14からの信号を復調し又は外部コンピュータ17等からの信号を変調するための信号変復調器及びエラー訂正符号ブロック(以下、信号変復調器&ECCブロックと記す。)15を備える。また、光ディスク装置1は、インターフェース16と、D/A,A/D変換器18と、オーディオ・ビジュアル処理部19と、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20とを備える。
このプリアンプ14は、光検出器からの出力に基づいて、非点収差法等によってフォーカスエラー信号を生成し、また、3ビーム法、DPD法、DPP法等によってトラッキングエラー信号を生成する。また、プリアンプ14は、更にRF信号を生成し、RF信号を、信号変調器&ECCブロック15に出力する。また、プリアンプ14は、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とをサーボ制御部9に出力する。
信号変調器&ECCブロック15は、第1の光ディスクに対して、データの記録を行うとき、インターフェース16又はD/A,A/D変換器18から入力されたディジタル信号に対して、以下の処理を行う。すなわち、信号変調器&ECCブロック15は、当該入力されたディジタル信号に対して、LDC−ECC及びBIS等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、1−7PP方式等の変調処理を行う。また、信号変調器&ECCブロック15は、第2の光ディスクに対してデータを記録するとき、PC(Product Code)等のエラー訂正方式に従ってエラー訂正処理を行い、次いで、8−16変調等の変調処理を行う。更に、信号変調器&ECCブロック15は、第3の光ディスクに対してデータを記録するとき、CIRC等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、8−14変調処理等の変調処理を行う。そして、信号変調器&ECCブロック15は、変調されたデータをレーザ制御部21に出力する。更に、信号変調器&ECCブロック15は、各光ディスクの再生を行うとき、プリアンプ14から入力されたRF信号に基づいて復調処理を行い、更に、エラー訂正処理を行って、インターフェース16又はデータをD/A,A/D変換器18に出力する。
なお、データ圧縮してデータ記録するときには、圧縮伸長部を変調器&ECCブロック15とインターフェース16又はD/A,A/D変換器18との間に設けても良い。この場合、データは、MPEG2やMPEG4といった方式でデータが圧縮される。
サーボ制御部9は、プリアンプ14からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が入力される。サーボ制御部9は、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が0となるようなフォーカスサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらのサーボ信号に基づいて、対物レンズを駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動部を駆動制御する。また、プリアンプ14からの出力より、同期信号等を検出して、CLV(Constant Linear Velocity)やCAV(Constant Angular Velocity)、更にはこれらの組み合わせの方式等で、スピンドルモータをサーボ制御する。
レーザ制御部21は、光ピックアップ3のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ制御部21は、記録モード時と再生モード時とでレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。また、光ディスク2の種類に応じてもレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。レーザ制御部21は、ディスク種類判別部22によって検出された光ディスク2の種類に応じて光ピックアップ3のレーザ光源を切り換えている。
ディスク種類判別部22は、第1〜第3の光ディスク11,12,13の間の表面反射率、形状的及び外形的な違い等から反射光量の変化を検出し光ディスク2の異なるフォーマットを検出することができる。
光ディスク装置1を構成する各ブロックは、ディスク種類判別部22における検出結果に応じて、装着される光ディスク2の仕様に基づく信号処理ができるように構成されている。
システムコントローラ7は、ディスク種類判別部22で判別された光ディスクの種類に応じて装置全体を制御する。また、システムコントローラ7は、ユーザからの操作入力に応じて、光ディスク最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録されたアドレス情報や目録情報(Table Of Contents;TOC)に基づいて、各部を制御する。すなわち、システムコントローラ7は、上述の情報に基づいて、記録再生を行う光ディスクの記録位置や再生位置を特定し、特定した位置に基づいて、各部を制御する。
以上のように構成された光ディスク装置1は、スピンドルモータ4によって、光ディスク2を回転操作する。そして、光ディスク装置1は、サーボ制御部9からの制御信号に応じて送りモータ5を駆動制御し、光ピックアップ3を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
具体的には、光ディスク装置1により記録再生するときには、サーボ制御部9は、CAVやCLVやこれらの組み合わせで光ディスク2を回転する。光ピックアップ3は、光源から光ビームを照射して光検出器により光ディスク2からの戻りの光ビームを検出し、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成する。また、光ピックアップ3は、これらフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ駆動機構により対物レンズを駆動してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行う。
また、光ディスク装置1により記録する際には、外部コンピュータ17からの信号がインターフェース16を介して信号変復調器&ECCブロック15に入力される。信号変復調器&ECCブロック15は、インターフェース16又はA/D変換器18から入力されたディジタルデータに対して上述したような所定のエラー訂正符号を付加し、更に所定の変調処理を行った後に記録信号を生成する。レーザ制御部21は、信号変復調器&ECCブロック15で生成された記録信号に基づいて、光ピックアップ3のレーザ光源を制御して、所定の光ディスクに記録する。
また、光ディスク2に記録された情報を光ディスク装置1により再生する際には、光検出器で検出された信号に対して、信号変復調器&ECCブロック15が復調処理を行う。信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェース16を介して外部コンピュータ17に出力される。これにより、外部コンピュータ17は、光ディスク2に記録された信号に基づいて動作することができる。また、信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がオーディオビジュアル用であれば、D/A変換器18でデジタルアナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部19に供給される。そしてオーディオ・ビジュアル処理部19でオーディオビジュアル処理が行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20を介して、図示しない外部のスピーカやモニターに出力される。
ここで、上述した記録再生用光ピックアップ3について詳しく説明する。この光ピックアップ3は、上述したように、保護層の厚さ等のフォーマットが異なる3種類の第1乃至第3の光ディスク11,12,13から任意に選択された光ディスクに対する光ピックアップである。そして、この光ピックアップ3は、上述の光ディスクに対し波長を異にする複数の光ビームを選択的に照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップである。
本発明を適用した光ピックアップ3は、図2に示すように、第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部を有する第1の光源部31を備える。また、光ピックアップ3は、第1の波長より長い第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、第2の波長より長い第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部とを有する第2の光源部32を備える。また、光ピックアップ3は、この第1乃至第3の出射部から出射された光ビームを光ディスク2の信号記録面上に集光する集光光学デバイス36を構成する対物レンズ34及び回折光学素子35を備える。また、光ピックアップ3は、第1乃至第3の出射部と、集光光学デバイス36との間の光路上に配置され且つ光軸方向に移動可能とされるコリメータレンズ37を備える。かかるコリメータレンズ37は、第1乃至第3の波長の光ビームの発散角を変換して略平行光の状態又は所定の発散角を有する状態となるように調整して出射させる発散角変換素子として機能する。
また、光ピックアップ3は、光路分離手段として機能する第1及び第2のビームスプリッタ38,39を備える。かかる第1及び第2のビームスプリッタ38,39は、復路の光ビームの光路と、第1乃至第3の出射部から出射された往路の各光ビームの光路とを分離する光路分離手段である。ここで、復路の光ビームとは、対物レンズ34により光ディスク2の信号記録面に集光されてこの信号記録面で反射された戻りの第1乃至第3の波長の光ビームを意味するものとする。また、光ピックアップ3は、この第1及び第2のビームスプリッタ38,39により分離された復路(戻り)の第1乃至第3の波長の光ビームを受光する共通の受光部40を有する光検出器41を備える。また、光ピックアップ3は、第1のビームスプリッタ38と受光部40との間に設けられるマルチレンズ42を備える。かかるマルチレンズ42は、第1のビームスプリッタ38からの復路の第1乃至第3の波長の光ビームを受光部40の受光面に集光される倍率変換レンズ(カップリングレンズ)として機能する。また、光ピックアップ3は、マルチレンズ42と第1のビームスプリッタ38との間に設けられ、入射した光ビームの波長に応じた非点収差を付与する非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44とを備える。そして、かかる回折光学素子44は、図3(a)に示すように、その入射側の面に、第1乃至第3の波長の光ビームに対して所定の非点収差を付与するように回折する回折部43を有する。
ここで、光ピックアップ3を構成する非点収差付与デバイスは、上述のような回折光学素子44に限られるものではなく、例えば、集光機能を有するマルチレンズと一体に回折部43が設けられたような回折光学素子であってもよい。すなわち、上述のマルチレンズ42及び回折光学素子44に換えて、図3(b)に示すような、非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44Bを設けるように構成してもよい。かかる回折光学素子44Bは、その一方の面として例えば入射側の面に、上述と同様の回折部43が設けられている。また、かかる回折光学素子44Bは、他方の面として例えば出射側の面に、倍率変換機能を有するレンズ面42Bが設けられており、このように、回折光学素子としてのマルチレンズである。
また、光ピックアップ3は、第1の光源部31の第1の出射部と第1のビームスプリッタ38との間に設けられる第1のグレーティング45を備える。かかる第1のグレーティング45は、第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームをトラッキングエラー信号等の検出のために3ビームに回折する機能を有する。また、光ピックアップ3は、第2の光源部32の第2及び第3の出射部と第2のビームスプリッタ39との間に設けられる第2のグレーティング46を備える。かかる第2のグレーティング46は、第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームをそれぞれトラッキングエラー信号等の検出のために3ビームに回折する機能を有する。
さらに、光ピックアップ3は、コリメータレンズ37と対物レンズ34との間に設けられ、入射した第1乃至第3の波長の光ビームに1/4波長の位相差を与える1/4波長板47を備える。また、光ピックアップ3は、対物レンズ34と1/4波長板47との間に設けられる立ち上げミラー48を備える。この立ち上げミラー48は、対物レンズ34及び回折光学素子35の光軸に直交する平面内で上述した光学部品を経由された光ビームを反射して立ち上げることにより対物レンズ34及び回折光学素子35の光軸方向に光ビームを出射させる。
第1の光源部31は、第1の光ディスク11に対して405nm程度の第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部を有する。第2の光源部32は、第2の光ディスク12に対して655nm程度の第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、785nm程度の第3の光ディスクに対して第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部とを有する。この第2の光源部32において、第2及び第3の出射部は、この第2及び第3の出射部から出射される第2及び第3の波長の光ビームの光軸に直交する同一平面内に各発光点が位置するように配置されている。尚、ここでは、第1の出射部を第1の光源部31に配置し、第2及び第3の出射部を第2の光源部32に配置するように構成したが、これに限られるものではなく、第1乃至第3の出射部をそれぞれ別々の光源部に配置するように構成してもよい。ただし、上述のように第2及び第3の出射部を共通の光源部に配置するように構成した方が構成の簡素化、装置の小型化に有利である。
第1のグレーティング45は、第1の光源部31と第1のビームスプリッタ38との間に設けられている。第1のグレーティング45は、第1の光源部31の第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームをトラッキングエラー信号等の検出のために3ビームに回折して第1のビームスプリッタ38側に出射させる。
第2のグレーティング46は、第2の光源部32と第2のビームスプリッタ39との間に設けられている。第2のグレーティング46は、第2の光源部32の第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームをトラッキングエラー信号等の検出のためにそれぞれ3ビームに回折して第2のビームスプリッタ39側に出射させる。この第2のグレーティング46は、波長依存性を有する所謂2波長グレーティングであり、第2及び第3の波長の光ビームに対して所定の3ビームに回折する機能を有している。
第1のビームスプリッタ38は、以下のような機能を有する分離面38aを有している。分離面38aは、第1のグレーティング45で回折され入射された第1の波長の光ビームを反射させて第2のビームスプリッタ39側に出射させるとともに、復路の第1乃至第3の波長の光ビームを透過させてマルチレンズ42側に出射させる機能を有している。この分離面38aは、波長依存性、偏光依存性等を有して形成されることにより上述のような機能を発揮する。そして、第1のビームスプリッタ38は、この分離面38aにより、復路の第1の波長の光ビームの光路と、第1の出射部から出射された往路の第1の波長の光ビームの光路とを分離する光路分離手段として機能する。
第2のビームスプリッタ39は、以下のような機能を有する合成分離面39aを有している。合成分離面39aは、第1のビームスプリッタ38からの往路の第1の波長の光ビームを透過させてコリメータレンズ37側に出射させる。また、合成分離面39aは、第2のグレーティング46からの往路の第2及び第3の波長の光ビームを反射させてコリメータレンズ37側に出射させて導く。これとともに、合成分離面39aは、復路の第1乃至第3の波長の光ビームを透過させて第1のビームスプリッタ38側に出射させる機能を有している。この合成分離面39aは、波長依存性、偏光依存性等を有して形成されることにより上述のような機能を発揮する。そして、第2のビームスプリッタ39は、この合成分離面39aにより、往路の第1の波長の光ビームの光路と、往路の第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成してコリメータレンズ37側に導く光路合成手段として機能する。また、第2のビームスプリッタ39は、この合成分離面39aにより、復路の第2及び第3の波長の光ビームの光路と、第2及び第3の出射部から出射された往路の第2及び第3の波長の光ビームの光路とを分離する光路分離手段として機能する。
尚、この光ピックアップ3では、第1及び第2のビームスプリッタ38,39に光路分離手段としての機能を持たせるとともに、第2のビームスプリッタ39に光路合成手段としての機能を持たせるように構成したが、これに限られるものではない。すなわち、往路における第1乃至第3の波長の光ビームの光路を合成する光路合成手段と、以下のような光路分離手段とを設けるように構成してもよい。かかる光路分離手段は、復路における第1乃至第3の波長の光ビームの光路を、この各第1乃至第3の波長の光ビームの往路の光路から分離して受光部40側に導くものであればよい。
コリメータレンズ37は、第2のビームスプリッタ39と、1/4波長板47との間に設けられるとともに光軸方向に移動可能とされている。コリメータレンズ37は、移動された光軸方向の位置に応じて第1乃至第3の波長の光ビームの発散角を所定の発散角となるように変換する発散角変換素子として機能する。また、光ピックアップ3には、このコリメータレンズ37を光軸方向に駆動して移動させるコリメータレンズ駆動手段49が設けられている。
光ピックアップ3におけるコリメータレンズ37は、マルチレンズ42により共通の受光部40に導かれる戻りの各波長の光ビームが、同一平面上、すなわち受光部40の受光面上に適切に集光されるように移動される。例えば、図4(a)及び図4(b)に示すように、コリメータレンズ37は、入射される光ビームの種類に応じて、光軸方向の所定の位置P1,P2,P3に移動される。また、例えば第1及び第2の光源部31,32等のその他の光学部品は、この各波長毎に異なる位置に移動されるコリメータレンズ37を経由した各波長の光ビームが集光光学デバイス36で適切に集光されるように構成されている。すなわち、コリメータレンズ37は、出射される光ビームの種類毎に、所定の位置P1,P2,P3に移動される。そして、コリメータレンズ37は、移動された位置に応じて第1乃至第3の波長の光ビームの状態を変えることで、各波長の光ビームを共通の受光部40の同一の受光面上に集光させることができる。例えば、図4(a)に示すように、位置P1のコリメータレンズ37は、マルチレンズ42を介してPfλ1の位置に集光させる。また、図4(b)に示すように、位置P2,P3に移動されたコリメータレンズ37は、マルチレンズ42を介してPfλ2、Pfλ3の位置に集光させる。ここで、集光位置Pfλ1と、集光位置Pfλ2、Pfλ3とは、同一位置であり、この位置に共通の受光部40の受光面が配置されている。尚、図4(b)では、便宜的に位置P2,P3が同じ位置に位置するものとして図示しているが、実際には、異なる位置となる場合もあり、同じ位置となる場合もある。
また、このとき、コリメータレンズ駆動手段49は、ディスク種類判別部22で検出された光ディスク2の種類に応じて、システムコントローラ7に制御されることにより、コリメータレンズ37を駆動して上述の第1乃至第3の位置P1,P2,P3に移動させる。
1/4波長板47は、コリメータレンズ37により発散角を変換された往路の第1乃至第3の波長の光ビームに、1/4波長の位相を付与することにより、直線偏光状態から円偏光状態として立ち上げミラー48に出射させる。また、1/4波長板47は、立ち上げミラー48から導かれた復路の第1乃至第3の波長の光ビームに、1/4波長の位相を付与することにより、円偏光状態から直線偏光状態としてコリメータレンズ37側に出射させる。
立ち上げミラー48は、1/4波長板47により1/4波長の位相差を付与された光ビームを反射して、対物レンズ34の光軸にその光軸を合わせた状態で回折光学素子35側に出射させる。
対物レンズ34は、入射した第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスク2の信号記録面上に集光させる。この対物レンズ34は、図示しない2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構によって移動自在に保持されている。そして、この対物レンズ34は、光検出器41で検出された光ディスク2からの戻り光により生成されたトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号に基づいて、2軸アクチュエータ等により移動操作される。これにより、対物レンズ34は、光ディスク2に近接離間する方向及び光ディスク2の径方向の2軸方向へ移動される。対物レンズ34は、第1乃至第3の出射部からの光ビームが光ディスク2の信号記録面上で常に焦点が合うように、この光ビームを集束するとともに、この集束された光ビームを光ディスク2の信号記録面上に形成された記録トラックに追従させる。尚、対物レンズ34が保持される対物レンズ駆動機構のレンズホルダに、この対物レンズ34と一体になるように後述の回折光学素子35を保持するように構成されている。これにより、対物レンズ34のトラッキング方向への移動等の視野振りの際にも回折光学素子35に設けた回折部50の後述の作用効果を適切に発揮することができる。
回折光学素子35は、3波長互換集光用の回折光学素子であり、その一方の面として例えば、入射側の面に複数の回折領域からなる回折部50が設けられている。回折光学素子35は、この回折部50により、複数の回折領域毎に通過する第1乃至第3の波長の光ビームのそれぞれを所定の次数となるように回折して対物レンズ34に入射させる。すなわち、回折光学素子35は、所定の発散角を有する拡散状態又は収束状態の光ビームとして対物レンズ34に入射させる。これにより、回折光学素子35は、この単一の対物レンズ34を用いて第1乃至第3の波長の光ビームをそれぞれに対応する3種類の光ディスクの信号記録面に球面収差を発生しないように適切に集光することを可能とする。
具体的に、図5(a)及び図5(b)に示すように、回折光学素子35の入射側の面に設けられた回折部50は、最内周部に設けられ略円形状の第1の回折領域(以下、「内輪帯」ともいう。)51を有する。また、回折部50は、第1の回折領域51の外側に設けられ輪帯状の第2の回折領域(以下、「中輪帯」ともいう。)52と、第2の回折領域52の外側に設けられ輪帯状の第3の回折領域(以下、「外輪帯」ともいう。)53とを有する。
内輪帯である第1の回折領域51は、輪帯状で且つ所定の深さを有する第1の回折構造が形成されている。第1の回折領域51は、通過する第1の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第1の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第1の回折領域51は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。
また、第1の回折領域51は、第1の回折構造により、通過する第2の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第2の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第1の回折領域51は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。
また、第1の回折領域51は、第1の回折構造により、通過する第3の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第3の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第1の回折領域51は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。
このように、第1の回折領域51は、上述の各波長の光ビームに対して上述の所定の次数の回折光が支配的となるのに適するような回折構造が形成されているため、以下のような機能を有する。すなわち、第1の回折領域51は、第1の回折領域51を通過して所定の次数の回折光とされた各波長の光ビームが対物レンズ34によりそれぞれの光ディスクの信号記録面に集光される際の球面収差を補正して低減することを可能とする。
中輪帯である第2の回折領域52は、輪帯状で且つ所定の深さを有し第1の回折構造とは異なる構造とされた第2の回折構造が形成されている。第2の回折領域52は、通過する第1の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第1の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第2の回折領域52は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。
また、第2の回折領域52は、第2の回折構造により、通過する第2の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第2の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第2の回折領域52は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。
また、第2の回折領域52は、第2の回折構造により、通過する第3の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第3の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数以外の次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第2の回折領域52は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。尚、第2の回折領域52は、第2の回折構造により、通過する第3の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第3の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光の回折効率を十分に低減することができる。
このように、第2の回折領域52は、上述の各波長の光ビームに対して上述の所定の次数の回折光が支配的となるのに適するような回折構造が形成されているため、以下のような機能を有する。すなわち、第2の回折領域52は、第2の回折領域52を通過して所定の次数の回折光とされた第1及び第2の波長の光ビームが対物レンズ34によりそれぞれの光ディスクの信号記録面に集光される際の球面収差を補正して低減することを可能とする。
外輪帯である第3の回折領域53は、輪帯状で且つ所定の深さを有し第1及び第2の回折構造とは異なる構造とされた第3の回折構造が形成されている。第3の回折領域53は、通過する第1の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第1の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第3の回折領域53は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。
また、第3の回折領域53は、第3の回折構造により、通過する第2の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第2の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数以外の次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第3の回折領域53は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。尚、第3の回折領域53は、第3の回折構造により、通過する第2の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第2の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光の回折効率を十分に低減することができる。
また、第3の回折領域53は、第3の回折構造により、通過する第3の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第3の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数以外の次数の回折光が支配的となるように発生させる。すなわち、第3の回折領域53は、他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させる。尚、第3の回折領域53は、第3の回折構造により、通過する第3の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第3の光ディスクの信号記録面に適切なスポットを形成するよう集光する次数の回折光の回折効率を十分に低減することができる。
このように、第3の回折領域53は、上述の各波長の光ビームに対して上述の所定の次数の回折光が支配的となるのに適するような回折構造が形成されているため、以下のような機能を有する。すなわち、第3の回折領域53は、第3の回折領域53を通過して所定の次数の回折光とされた第1の波長の光ビームが対物レンズ34により光ディスクの信号記録面に集光される際の球面収差を補正して低減することを可能とする。
ここで、上述の第1乃至第3の回折領域51,52,53には、例えば、光軸を中心とした輪帯状でこの輪帯の断面形状が、所定の深さのブレーズ形状又は階段形状となるように形成されている。各回折領域51,52,53の各回折構造において、溝深さ及び溝幅は、上述したように光ディスクの信号記録面で集光されるスポットが最適となるような所定の次数の回折光の回折角度、及びこの次数の回折光の回折効率が所定の範囲となるように形成されている。
また、第1乃至第3の回折領域51,52,53は、通過する各波長の光ビームに対して開口制限を行うよう機能している。すなわち、第1の回折領域51は、例えばNA=0.45程度に対応する大きさに形成されている。また、第2の回折領域52は、例えばNA=0.6程度に対応する大きさに形成されており、第3の回折領域53は、例えばNA=0.85程度に対応する大きさに形成されている。この第1乃至第3の回折領域51,52,53は、通過する第1の波長の光ビームについて例えば0.85程度のNAとなるように開口制限を行うことを可能とする。また、この第1乃至第3の回折領域51,52,53は、通過する第2の波長の光ビームについて例えば0.60程度のNAとなるように開口制限を行うことを可能とする。また、この第1乃至第3の回折領域51,52,53は、通過する第3の波長の光ビームについて例えば0.45程度のNAとなるように開口制限を行うことを可能とする。このように、第1乃至第3の回折領域51,52,53からなる回折部50は、3種類の光ディスク及び3種類の波長の光ビームに対応した開口数で開口制限を行うことができる。これにより、かかる回折部50は、従来光ピックアップに必要であった開口制限フィルター等を設けることや、これを配置させる際の調整を不要とし、光ピックアップの構成の簡素化、小型化、及び低コスト化を可能とする。
また、上述では、図6(a)に示すように、対物レンズ34とは別体に設けた回折光学素子35の入射側の面に、3つの回折領域51,52,53からなる回折部50を設けるように構成したが、これに限られるものではない。すなわち、かかる機能を有する回折部は、回折光学素子35の出射側の面に設けてもよい。さらに、第1乃至第3の回折領域51,52,53を有する回折部50は、対物レンズ34の入射側又は出射側の面に一体に設けるように構成してもよい。例えば図6(b)に示すように、その入射側の面に回折部50を有する対物レンズ34Bを設けるように構成してもよい。例えば、対物レンズ34Bの入射側の面に回折部50が設けられる場合には、対物レンズとしての機能として要求される入射側の面の面形状を基準として、これに上述のような回折構造の面形状を合わせたような面形状が形成されることとなる。このように構成される対物レンズ34Bは、上述した回折光学素子35及び対物レンズ34が2つの素子により集光光学デバイス36として機能していたのに対して、以下のような利点がある。すなわち、対物レンズ34Bは、1つの素子のみで、3つの異なる波長の光ビームをそれぞれに対応する光ディスクの信号記録面に球面収差を発生しないように適切に集光する集光光学デバイスとして機能する。回折部50を対物レンズ34Bに一体に設け、これを本発明を適用した光ピックアップを構成する集光光学デバイスとすることにより、さらなる光学部品の削減、及び構成の小型化を可能とする。回折部50と同様の機能を有する回折部を入射側又は出射側の面に一体に設けられた対物レンズ34Bは、光ピックアップに用いられることにより以下のような利点がある。すなわち、対物レンズ34Bは、収差等を低減して光ピックアップの3波長互換を実現するとともに、部品点数を削減して、構成の簡素化及び小型化を可能とし、高生産性、低コスト化を実現する。
以上のように、対物レンズ34及び回折光学素子35からなる集光光学デバイス36、並びに対物レンズ34Bからなる集光光学デバイスは、上述したような効果を有する。すなわち、かかる集光光学デバイスは、コリメータレンズ37により発散角を変換され略平行光とされた第1の波長の光ビームを第1の光ディスクの信号記録面に良好に集光させるように構成されている。また、かかる集光光学デバイスは、コリメータレンズ37により発散角を変換され所定の発散角の拡散光とされた第2の波長の光ビームを第2の光ディスクの信号記録面に良好に集光させるように構成されている。また、かかる集光光学デバイスは、コリメータレンズ37により発散角を変換され所定の発散角の拡散光とされた第3の波長の光ビームを第3の光ディスクの信号記録面に良好に集光させるように構成されている。
非点収差付与デバイスを構成する非点収差付与用の回折光学素子44は、第1のビームスプリッタ38とマルチレンズ42との間の光路上に配置される。回折光学素子44は、その一方の面に、単位周期構造が連続的に形成された周期構造からなる所定の回折構造を有し、入射した第1乃至第3の波長の光ビームに対して、それぞれ所定の非点収差を付与する。すなわち、回折光学素子44は、その入射側の面に、所定の回折構造を有する回折部43を有し、この回折部43により、各波長の光ビームに、所定の非点収差を付与する。
そして、回折光学素子44は、各波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3が、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与する。ここで、Δ1は、回折光学素子44が第1の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差であり、Δ2は、回折光学素子44が第2の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差である。また、Δ3は、回折光学素子44が第3の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差である。
具体的に、回折光学素子44の回折部43には、図7(a)に示すように、x’方向及びy’方向に非点収差を発生させる双曲線形状の周期構造からなる回折構造55及び回折構造56が形成されている。そして、回折部43には、この回折構造55,56により付与される非点収差の方向であるy’方向の断面であるA−A断面が図7(b)に示すように、所定の高さ(深さ)と所定の幅で形成されたブレーズ形状の回折構造が設けられている。また、回折部43には、この回折構造55,56により付与される非点収差の方向であるx’方向の断面であるB−B断面が図7(c)に示すように、所定の高さ(深さ)と所定の幅で形成されたブレーズ形状の回折構造が設けられている。
具体的には、後述のような直交するとともに光軸上で交差するx方向及びy方向で分割された4つの領域43A1、43A2,43A3,43A4のうち、光軸を挟んで一方の対角方向に対向する領域43A2,43A4に回折構造55が設けられている。また、4つの領域のうち、光軸を挟んで他方の対角方向に対向する領域43A1,43A3に回折構造56が設けられている。換言すると、回折構造55は、y’方向に対向する一対の領域に設けられた双曲線形状の周期構造からなる回折構造であり、かかる領域に入射した光ビームをy’方向に回折する。また、回折構造56は、x’方向に対向する一対の領域に設けられた双曲線形状の周期構造からなる回折構造であり、かかる領域に入射した光ビームをx’方向に回折する。このように、回折部43は、y’方向に屈折力を付与する領域43A2,43A4からなる第1の回折領域と、x’方向に屈折力を付与する領域43A1,43A3からなる第2の回折領域とを有している。
また、この回折部43に形成される回折構造55,56は、上述のようにy’方向のA−A断面の形状と、x’方向のB−B断面の形状とは、反転形状とされている。換言すると、A−A断面及びB−B断面のいずれか一方の断面形状が、他方の断面形状に対して、基準高さに対して反対側に向けて形成されている。すなわち、例えば、y’方向のA−A断面は、基準面を示す基準高さBHに対して素子側に立ち下げられるように形成され、x’方向のB−B断面は、基準高さBHに対して素子側から空気側に向けて立ち上げられるように形成されている。かかるA−A断面の形状のように構成された回折構造55は、回折構造55が形成された領域に入射した光ビームをy’方向で且つ光軸に近接する方向に回折する。また、かかるB−B断面の形状のように構成された回折構造56は、回折構造56が形成された領域に入射した光ビームをx’方向で且つ光軸から離間する方向に回折する。かかる回折構造55,56は、回折構造55,56を設けなかった場合の集光位置に対して、y’方向には手前側で集光させ、x’方向には奥側で集光させる作用を有する。回折部43は、このようにx’方向及びy’方向に非点収差を発生させ、所定の前焦線及び後焦線を形成して回折角度に応じた非点隔差を形成することができる。
回折構造55,56を有する回折部43は、第1乃至第3の波長に対して、それぞれ所望の回折角度を有する回折次数の回折光が支配的となるよう、すなわち、当該回折次数の回折光の回折効率が他の次数の回折光の回折効率に比べて最大となるように発生させる。そして、回折部43は、かかる支配的とされた回折光の回折角度により、上述の各非点隔差が、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与する。
尚、上述では、図7に示すように、y’方向に対向する一対の領域に設けられた回折構造55と、x’方向に対向する一対の領域に設けられた回折構造56とから回折部43を構成するようにしたが、これに限られるものではない。すなわち、図8に示すように、例えば一方の回折構造のみを有するように構成してもよい。図8に示す回折部43Bは、x方向及びy方向で分割された4つの領域のうち、光軸を挟んでy’方向に対向する領域に回折構造55が設けられている。そして、かかる回折構造55は、上述したように図7(b)に示すような断面形状とされている。回折構造55を有する回折部43Bは、回折構造55,56を設けなかった場合の集光位置に対して、y’方向に手前側で集光させる作用により、所定の非点隔差を形成することが可能である。また、上述では、回折構造55及び回折構造56を反転形状とするように構成したが、これに限られるものではなく、それぞれ異なる深さや溝幅を有するような異なる形状に形成されていてもよい。但し、異なる形状である場合にも一方は、光軸に近接する方向に回折させ、他方は、光軸から離間する方向に回折させることにより、所定の非点隔差を形成する方が有利である。
また、図8で説明した場合や、両回折構造が異なる形状に形成される場合に比べて、図7で説明した反転形状とされた回折構造55,56を有する回折部43は、同等の非点隔差を与える場合には回折格子周期を大きくすることができ、製造上の観点から有利である。また、図7を用いて説明した回折構造55,56を有する回折部43は、溝深さ等を小さくすることで、製造誤差等を抑えることができ、回折効率の低下等を防止でき、光利用効率を高めることができる。
また、ここでは、ブレーズ形状として回折部43を構成するようにしたが、非点収差付与デバイスを構成する回折部は、ブレーズ形状に限られるものではなく、複数の段部を有する階段形状の回折構造が設けられるように構成してもよい。ここで、溝深さd及びステップ数S(ブレーズ形状のときはS=∞とする)は、支配的となる回折次数、及び回折効率を考慮して決定されている。
例えば、上述したブレーズ形状とされた回折構造55に換えて、図9に示すような階段形状の回折構造57を設けるように構成してもよい。ここで、ブレーズ形状とされた回折構造56に換える階段形状の回折構造は、図9を用いて以下で説明する階段形状に対して基準面に対して対称形状となるように構成されるものであるので、ここでは、詳細は省略する。
図9に示す回折構造57は、ステップ数が4(S=4)とされた回折構造であり、格段の深さが略同一深さ(d/4)とされた第1乃至第4の段部57s1,57s2,57s3,57s4を有する階段部が半径方向に連続して形成されている。また、回折構造57は、光軸方向に間隔が(d/4)で同一間隔に形成された第1乃至第5の回折面57f1,57f2,57f3,57f4,57f5を有して形成されている。かかる階段形状の回折構造が設けられるように構成した回折部は、ブレーズ形状の回折構造が形成された上述の場合と同様に、第1乃至第3の波長に対して、それぞれ所望の回折角度を有する回折次数の回折光が支配的となるように発生させる。そしてかかる回折部は、上述の各非点隔差が所定の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与する。
ここで、回折光学素子44の回折部43に形成される双曲線形状の周期構造からなる回折構造についてさらに説明する。
この双曲線形状の周期構造とは、周期構造の境界、及び各周期内で同じ高さ(深さ)の位置を結んだ曲線が、−x’2/a2+y’2/b2=1、及びx’2/a2−y’2/b2=1で表される双曲線状とされていることを意味する。ここで、a及びbは、任意の値であるが、a=b=2(1/2)のときに、x’方向及びy’方向におけるパワー差がもっとも大きくなるため、回折格子周期が大きくなり、製造上優位である。また、x’方向及びy’方向は、上述したように、非点収差を付与するため、光軸を通り互いに直交する方向である。そして、かかる、x’方向及びy’方向に45°傾斜されたx方向、y方向を設定、すなわち、光軸を通り、且つ互いに直交するx方向及びy方向を設定したときに、以下のように表すことができる。すなわち、かかるx方向、y方向をx軸及びy軸とした座標系において、上述の回折部43の双曲線形状の双曲線は、xy=cとした反比例の式で表せられる曲線でもある。ここで、cは、正又は負の任意の値であり、上述のA−A断面及びB−B断面におけるピッチを示す位置の原点からの距離をrとしたとき、c=r2/2で表すことができる。そして、後述の図13を用いて説明するx’方向又はy’方向のピッチが決定されると、このピッチを「r」とした反比例の式によりここで説明した周期構造が一義的に決定されることとなる。
回折光学素子44の回折部43は、復路の光ビームのみが通過する光路上に配置され、各波長の光ビームに対して、形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3が、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、構成されることにより以下の効果を有する。すなわち、かかる回折部43は、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与することにより、使用波長に応じてフォーカス検出用の非点隔差を最適なものとすることを可能とする。
以上のような非点収差付与デバイスを構成する回折部43を有する光ピックアップ3は、この回折部43が、受光部40と第1のビームスプリッタ38との間、すなわち復路の光ビームのみが通過する光路上に設けられている。そして、この回折部43が、第1乃至第3の波長の光ビームに対して、それぞれ非点収差を付与する。これにより、光ピックアップ3は、共通の対物レンズ34と共通の受光部40を用いて、複数種類の光ディスクに対して記録・再生を行う光ピックアップの光学系において、各波長の非点隔差を所定の関係を有するようにすることができる。光ピックアップ3は、これによりフォーカス引き込み範囲を各フォーマットに適合した所望の値とすることを可能とする。
ここで、フォーカス引き込み範囲とは、制御信号に応じてアクチュエータが駆動してフォーカス動作を実行しうる範囲をいう。具体的には、フォーカス引き込み範囲とは、図10に示すように横軸に対物レンズのデフォーカス量をとり、縦軸に後述のように算出されるフォーカスエラー信号FEをとったときに、現れるS字波形のピーク間(以下、「S字p−p」ともいう。)である。すなわち、フォーカス引き込み範囲とは、上限ピーク位置と下限ピーク位置との横軸方向の距離である。尚、一般的に、第1乃至第3の光ディスクの各フォーマットに適したフォーカス引き込み範囲Sjiλ1,Sjiλ2,Sjiλ3は、以下のとおりである。第1の波長に対するSjiλ1が、1.5μm<Sjiλ1<3.5μmであり、第2及び第3の波長に対するSjiλ2,Sjiλ3が、4.0μm<Sjiλ2,Sjiλ3<12.0μmである。
次に、非点隔差を所定の関係とすることで、フォーカス引き込み範囲を適合させることができることについて説明するが、これに先立ち、非点収差法によるフォーカス信号の導出原理について説明する。
一般的に、多くの光ピックアップにおいて、フォーカスエラー信号の検出において非点収差法が用いられている。その原理としては、例えば光学系においてシリンドリカルレンズ等のシリンドリカル手段CSを用いて、x’方向及び/又はy’方向に非点収差を発生させ、図11のようにx’方向焦点位置とy’方向焦点位置に差を形成する。ここで、x’方向焦点位置と、y’方向焦点位置との間の距離が、「非点隔差」である。尚、本発明を適用した光ピックアップ3においては、上述の回折部43がこのシリンドリカル手段CSとして機能する。
そして、図11では、所謂前焦線であるy’方向焦点位置と、後焦線であるx’方向焦点位置との間に、受光部40である受光素子が配置される。この受光部40は、図12に示すように、4分割された領域40a、40b、40c、40dを有している。ここで、以下の演算においては、領域40aからの出力信号をAとし、領域40bからの出力信号をBとし、領域40cからの出力信号をCとし、領域40dからの出力信号をDとする。受光部40上におけるスポット形状は、図12(a)〜図12(c)に示すように、フォーカシングの前後によって楕円方位が異なってくるため、FE=A+C−B−Dの演算を施すことによって、正負のフォーカス信号が得られる。尚、図12(a)は、前焦線位置fally’からフォーカス位置fcolまでのスポットS1のスポット形状を示し、図12(b)は、ジャストフォーカス位置であるfcolでのスポットS2のスポット形状を示している。また、図12(c)は、フォーカス位置fcolから後焦線位置fallx’までのスポットS3のスポット形状を示している。このフォーカス信号FEは、図12(b)のようなちょうど0となる位置でディスクフォーカスが最適となる。よってこの信号FEを用いて光ディスクのフォーカス位置をあわせることができる。シリンドリカル手段CSは、一般的にはマルチレンズの片側一面に、シリンドリカル面として構成されるが、光ピックアップ3においては、上述の非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44の回折部43がこのシリンドリカル手段CSの機能を有する。さらに、かかる回折部43は、上述及び後述のように、各波長毎に付与する非点収差量を調整することができ、これによりフォーカス引き込み範囲を各光ディスク11,12,13に適合させることができる。尚、本発明を適用した光ピックアップ3において、回折光学素子44は、任意の方向に回転されることによって、x’方向、y’方向を任意の方向に変化させることができる。これによって、受光部40の分割パターンに沿った非点隔差を生じさせることができる。
次に、フォーカス引き込み範囲を適合させる条件について説明する。一般的に、フォーカス引き込み範囲Sjiは、非点隔差をΔnとし、光学系の復路倍率Mとしたときに、以下の式(1)に示す関係性があることが知られている。ここで、Δnは、上述した非点隔差であり、第1の波長のときn=1であり、第2の波長のときn=2であり、第3の波長のときn=3である。また、復路倍率Mは、復路光学系に配置される光学部品の焦点距離等により算出される値である。ここで、Sjiを各波長毎に所望の値とするために、Δn、Mの一方又は両方に波長選択性を持たせる必要がある。一般的に、受光部及び復路光学系の構成部品を共通とする場合の非点隔差Δn、復路倍率Mは、共に波長選択性がほとんどなく、これらに波長選択性を持たせることが困難であった。これに鑑みて、本発明を適用した光ピックアップ3においては、回折光学素子44を設けることにより非点隔差Δnに波長選択性を持たせたものである。そして、上述のようにフォーカス引き込み範囲Sjiλ1,Sjiλ2,Sjiλ3を所望の値にするためには、各非点隔差ΔnをΔ1<Δ2<Δ3とする必要がある。
すなわち、上述したように、各波長の光ビームに形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3を所定の関係となるように設定することにより、各光ディスクに対応できる。そして、上述の関係とすることで、各光ディスクに対応して、各波長の光ビーム毎に所望のフォーカス引き込み範囲Sjiλ1,Sjiλ2,Sjiλ3を得ることができる。
ここで、上述した回折部43に形成される回折構造と、各波長の光ビームに形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3の関係について、さらに詳細に説明する。
上述した光ピックアップ3は、各波長の光ビームの共通の対物レンズ34と共通の受光部40とを有する、所謂一対物・一受光素子よりなる三波長対応光ピックアップである。かかる三波長対応光ピックアップにおいて、所望の引き込み範囲を与えるよう、回折光学素子44を一般的な光ピックアップにおけるシリンドリカル面の代わりとして用いたものである。回折光学素子44は、上述したような非点隔差を生じさせるように回折構造が設けられた回折部43を有する。ここでは、上述したように、回折構造としてブレーズ形状が形成された例の回折部43について説明する。
図7に示すような非点隔差を生じさせる回折構造における位相差関数φは、次式(2)で与えられる。式(2)及び後述の式(3)中において、Cは、位相差関数係数を示し、各波長に対して同一の値である。また、λは、波長を示し、第1の波長λ1、第2の波長λ2、第3の波長λ3のいずれかを示し、また、λ0は、製造波長で、ここでは、第1の波長λ1としている。また、x、yは、図7に示すx方向及びy方向の距離(mm)を示す。また、Nは、回折次数を示す。かかる式(2)で示される位相差関数φは、波長λのN次の回折光の、x及びyで規定される位置において付与される位相差量を示す。
ここで、+x方向及び+y方向の中間の方向を示す上述のx’方向と、−x方向及び+y方向の中間の方向を示す上述のy’方向とからなるx’y’座標系において、以下の関係を有する。すなわち、上述した位相差関数係数Cは、回折構造によるx’方向の焦点距離をfdx’とすると、次式(3)の関係を有する。ここで、回折構造による焦点距離とは、回折構造により回折された支配的となる次数の回折光に与えられた回折角度と、同じ屈折角度を有する屈折力を有する薄肉レンズの焦点距離を意味する。尚、上述した図7に示すような場合には、回折構造56による焦点距離がfdx’であり、回折構造55による焦点距離が後述のfdy’である。ここで、入射した光ビームに対して光軸方向に回折させる、すなわち入射方向に対して収束する方向に回折させる回折構造による焦点距離を正の焦点距離とする。また、入射した光ビームに対して光軸から離間させる方向に回折させる、すなわち入射方向に対して発散させる方向に回折させる回折構造による焦点距離を負の焦点距離という。
式(2)及び式(3)から明らかなように、位相差関数係数Cを適切なものとすることによって、x’方向およびy’の焦点距離を変動させることができる。この際、回折構造55,56が上述したように反転形状とされていることから、fdx’=−fdy’の関係が成立する。このとき、x方向及びy方向の焦線位置、すなわちx’方向及びy’方向の焦点位置の中間位置であるジャストフォーカス位置は、かかる回折構造55,56の影響を受けない。
式(3)に示すように、回折構造55による焦点距離fdx’は、選択される回折次数N及び波長λの大きさに反比例する。このことから、材質の分散を無視した場合には、各波長のfdx’は、次式(4)で示される関係を満たす。式(4)中で、コリメータレンズ37の焦点距離をfcolとしている。また、関係式を簡略化するため、コリメータレンズ37は、薄肉レンズと仮定するとともに、マルチレンズ42を設けないものと仮定する。尚、マルチレンズ42を考慮したとしても、コリメータレンズ37及びマルチレンズ42の合成焦点距離を後述のfcolに換えて用いればよい。
fdx1’:fdx2’:fdx3’=1/N1λ1:1/N2λ2:1/N3λ3・・・(4)
fdx1’:fdx2’:fdx3’=1/N1λ1:1/N2λ2:1/N3λ3・・・(4)
ここで、この回折構造を有する回折部43を追加して設けることで得られる合成fallx’は、以下の式(5)により算出される。式(5)において、tは、コリメータレンズ37とシリンドリカル手段CSとしての機能を有する回折部43との間の距離である。
また、コリメータレンズ37に入射する光ビームが平行光の場合には、物点距離Sと焦点距離fは同一となる。同様に、簡単化のために、コリメータレンズ37への入射光束は平行光であると仮定する。非点隔差Δは、図11において、fallx’とfally’の差である。すなわち、非点隔差Δは、次式(6)で算出できる。また、上述したように、fdx’=−fdy’であることから次式(7)の関係が成立する。この式(7)を用いて式(6)を変形すると次式(8)が得られる。
Δ=fallx’−fally’ ・・・(6)
fallx’−fcol=−(fally’−fcol) ・・・(7)
Δ=2(fallx’−fcol) ・・・(8)
Δ=fallx’−fally’ ・・・(6)
fallx’−fcol=−(fally’−fcol) ・・・(7)
Δ=2(fallx’−fcol) ・・・(8)
この式(8)の関係より、所望のΔを実現するfallx’が一意に決定される。そして式(5)と式(8)から次式(9)が得られる。ここで、fcol>>Δが自明であるとしてこの関係を用いて式(9)を算出した。
式(9)から、各波長における非点隔差Δの比は、上述の式(4)を用いて次式(10)の関係が得られる。
Δ1:Δ2:Δ3=N1λ1:N2λ2:N3λ3 ・・・(10)
Δ1:Δ2:Δ3=N1λ1:N2λ2:N3λ3 ・・・(10)
すなわち、式(10)に示すように、回折部43を構成する際に、適切な回折次数を選ぶことによって、非点隔差Δの大きさを調整することができる。最も望ましいフォーカス引き込み範囲は、BD等の第1の光ディスクに対して2μm程度(=Sjiλ1)で、DVD等の第2の光ディスクに対して5μm程度(=Sjiλ2)で、CD等の第3の光ディスクに対して6μm程度(=Sjiλ3)である。たとえば、λ1=405nm、λ2=655nm、λ3=785nmの場合には、N1=+1、N2=+1、N3=+1の各次数を選ぶことによって、所望の値が得られる。すなわち、上述の各次数を選ぶことで、式(10)によれば、おおよそ、BD等に対するSjiλ1=3.2μm、DVD等に対するSjiλ2=4.9μm、CD等に対するSjiλ3=5.8μm程度の値とすることができる。これは、多少、BD等に対するSjiλ1の値が大きいものの、十分に使用に耐えられる範囲内の良好な値である。また、同様に、N1=−1、N2=−1、N3=−1の各次数を選ぶことによって、式(10)によれば、良好なSjiλ1,Sjiλ2,Sjiλ3が得られる。さらに、上述では、回折構造55とこれによる焦点距離fdx’とに注目し、その回折次数N1,N2,N3について説明したが、回折構造56における回折次数は以下のような関係を有する。すなわち、回折構造56においては、上述したように回折構造55の反転形状とされているため、回折構造55における回折次数と正負が反対となる。すなわち、例えば、回折構造55における回折次数(N1,N2,N3)=(+1,+1,+1)であれば、回折構造56における回折次数(N1,N2,N3)=(−1,−1,−1)となる。
また、上述の引き込みの条件では、次式(11)が成立することとなる。この点についてさらに検討すると、適切な引き込み量とするには、従来技術にも記載した式(12),式(13),式(14)の関係から以下のようにΔ1,Δ2,Δ3の関係が導かれることとなる。
Δ1<Δ2<Δ3 ・・・(11)
1.5μm<Sjiλ1<3.5μm ・・・(12)
4.0μm<Sjiλ2<12.0μm ・・・(13)
4.0μm<Sjiλ3<12.0μm ・・・(14)
Δ1<Δ2<Δ3 ・・・(11)
1.5μm<Sjiλ1<3.5μm ・・・(12)
4.0μm<Sjiλ2<12.0μm ・・・(13)
4.0μm<Sjiλ3<12.0μm ・・・(14)
具体的に、式(12)、式(13)、式(14)は、以下の式(15)、式(16)、式(17)ように置き換えることができる。
Sjiλ1min<Sjiλ1<Sjiλ1max ・・・(15)
Sjiλ2min<Sjiλ2<Sjiλ2max ・・・(16)
Sjiλ3min<Sjiλ3<Sjiλ3max ・・・(17)
Sjiλ1min<Sjiλ1<Sjiλ1max ・・・(15)
Sjiλ2min<Sjiλ2<Sjiλ2max ・・・(16)
Sjiλ3min<Sjiλ3<Sjiλ3max ・・・(17)
この式(15)、式(16)、式(17)から、各引き込み範囲の最大値と最小値とに基づいてSjiλ2/Sjiλ1の関係と、Sjiλ3/Sjiλ1の関係とをそれぞれ式(18)、式(19)として得ることができる。
この式(18)、式(19)を、上述の式(12)、式(13)、式(14)に基づいて変形することにより、以下の式(20),式(21)を得ることができる。そして、この式(20)、式(21)は、式(22)、式(23)に示すように変形することができる。
この式(22)、式(23)と、上述の式(1)と、Mは三波長に対して略同一であることとに基づいて、次式(24)、次式(25)が得られる。
この式(24)、式(25)を変形することで、以下の式(26)、式(27)が得られる。
1.14Δ1<Δ2<8.0Δ1 ・・・(26)
1.14Δ1<Δ3<8.0Δ1 ・・・(27)
1.14Δ1<Δ2<8.0Δ1 ・・・(26)
1.14Δ1<Δ3<8.0Δ1 ・・・(27)
そして、式(26),式(27)の関係が成立するためには、次式(28),次式(29)の関係が必要である。そして、式(28)、式(29)から次式(30),次式(31)程度の範囲にある必要がある。
1.14λ1N1<N2λ2<8.0λ1N1 ・・・(28)
1.14λ1N1<N3λ3<8.0λ1N1 ・・・(29)
1.14λ1N1<N2λ2<8.0λ1N1 ・・・(28)
1.14λ1N1<N3λ3<8.0λ1N1 ・・・(29)
ここで、上述した回折部43のように仮にブレーズ形状から回折部を構成すると、ブレーズの条件から、N1≧N2≧N3の関係、且つ、N1、N2,N3は同符号である関係が必ず成立する。このため、回折光学素子44により選択される各波長の最大の回折効率となる次数の組み合わせ(N1,N2,N3)が(+1,+1,+1)又は(−1,−1,−1)である場合は、優れた範囲といえる。
すなわち、回折光学素子44及びこれに設けられた回折部43は、上述の式(28)及び式(29)を満たすように各波長の光ビームを回折するように構成されていることから、非点隔差Δ1,Δ2,Δ3を所定の関係となるように設定することができる。回折光学素子44及び回折部43は、これにより、各光ディスクに対応して各波長の光ビーム毎に所望のフォーカス引き込み範囲Sjiλ1,Sjiλ2,Sjiλ3を得ることができる。
また、回折光学素子44及びこれに設けられた回折部43は、ブレーズ形状の回折構造が形成されるとともに、各波長の最大の回折効率となる次数の組み合わせ(N1,N2,N3)が上述したように構成されている。すなわち、回折光学素子44及び回折部43は、(N1,N2,N3)=(+1,+1,+1)又は(−1,−1,−1)であるように各波長の光ビームを回折するように構成されていることから、非点隔差Δ1,Δ2,Δ3を適切な関係にできる。回折光学素子44及び回折部43は、これにより、各光ディスクに対応して各光ディスクに対応して各波長の光ビーム毎に所望のフォーカス引き込み範囲Sjiλ1,Sjiλ2,Sjiλ3を得ることができる。さらに、かかる次数が選択されたブレーズ形状の回折構造を有する回折部43は、回折面の溝深さを小さくでき、温度変化等の影響も低減できる。
このように、光ピックアップ3は、非点収差付与デバイスとして上述した回折光学素子44を備えることにより、各波長の非点隔差をΔ1<Δ2<Δ3とすることができ、フォーカス引き込み範囲を各フォーマットに適合した所望の値とすることを実現する。
次に、回折部43に形成される回折構造55,56における「ピッチ設計」について説明する。回折構造のピッチ設計において、上述のような非点収差を付与する回折構造を有する回折部(回折面)の場合には、位相差関数φは、上述の式(2)により算出される。ここで、上述の式(1)に示すように、所望のフォーカス引き込み範囲Sjiと、光学系の構成により倍率MとからΔの大きさが決定される。このΔと上述の式(9)から所望のfdx’の大きさが一意に決定され、また位相差関数係数Cが決定されることになる。かかる位相差関数係数Cから式(2)によって位相差関数φが算出される。
この式(2)で算出されるφの値は、設計波長λ0における位相を表しているので、φ’=φ−nλ0の関係式により得られるφ’と、このφの与える位相とはその与える影響が全く同一である。上述の関係式により得られるφ’は、換言すると、図13(b)に示すように、例えば図13(a)に示すようなφをλ0により剰算した場合の余り、すなわち所謂剰余演算により得られる値である。このφ’は、実際の回折構造のピッチを決めるための付与すべき位相量ともいえる。実際の回折構造ピッチは、このφ’から決定されるものであり、具体的には、図13(c)に示すように、このφ’の形状に沿うように決定されることとなる。尚、図13(a)〜図13(c)中の横軸は、x’方向の半径方向の位置を示すものである。また、図13(a)中の縦軸は、その位置毎の必要位相量φを示すものであり、図13(b)中の縦軸は、その位置毎に剰余演算により得られる付与位相量φ’を示すものである。また、図13(c)中の縦軸は、溝深さdを示すものである。ここで、図13(c)では、ピッチを決定した後に、ブレーズ形状を示しているが、上述の図9を用いて説明した回折構造57等のように、階段形状を採用する場合には、図13(c)に示すようになる。すなわち、かかる場合には図13(c)に示すように、ブレーズの斜面の部分が所定のステップ数Sの階段形状が形成されることとなる。以上のように、所望のフォーカス引き込み範囲等からfdx’を算出し、上述の手法により、x’方向の回折ピッチが決定でき、上述の双曲線、すなわちこれを変形した反比例の式におけるcが得られる。同様に、fdy’等を算出してy’方向の回折ピッチを決定してもよいが、ここでは、反転形状とされているので、同じピッチとなる。
回折部43は、以上のように決定されたピッチで、且つ上述したような双曲線形状の周期構造からなるような回折構造が形成されることにより、所望の非点収差を通過する第1乃至第3の波長の光ビームに付与する。そして、回折部43は、各波長に形成される非点隔差をΔ1<Δ2<Δ3の関係で且つ所望の範囲とすることで、フォーカス引き込み範囲を各フォーマットに適合した所望の値とすることを実現する。
尚、上述では、光ピックアップ3を構成する非点収差付与デバイスとして、回折光学素子44の一方の面に設けられ、各波長の光ビームに対して所定の非点隔差を形成する回折部43を設けるものとして説明したが、これに限られるものではない。すなわち、非点収差付与デバイスは、一又は二の回折光学素子のそれぞれの入射側又は出射側から選択された任意の二面に、それぞれ設けられる第1及び第2の回折部からなるように構成するようにしてもよい。
ここで、二面に設けられた回折部を有する非点収差付与デバイスについて図14(a)及び図14(b)を用いて説明する。
図14(a)に示す非点収差付与デバイスは、例えばその入射側の面に第1の回折部43C1を有する回折光学素子44C1と、例えばその入射側の面に第2の回折部43C2を有する回折光学素子44C2とからなる。かかる非点収差付与デバイスは、第1及び第2の回折部43C1,43C2を通過する第1乃至第3の波長の光ビームに対し非点収差を付与する。回折光学素子44C1,44C2は、各波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3が、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与する。ここで、Δ1は、回折光学素子44C1,44C2が第1の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差であり、Δ2は、回折光学素子44C1,44C2が第2の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差である。また、Δ3は、回折光学素子44C1,44C2が第3の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差である。
第1の回折部43C1は、単位周期構造が連続的に形成された周期構造からなる所定の第1の回折構造を有する。また、第2の回折部43C2は、単位周期構造が連続的に形成された周期構造からなる所定の第2の回折構造を有する。尚、以下の説明において、第1の回折部43C1は、第1の回折構造により、第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N11、N21,N31の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させるものとする。また、第2の回折部43C2は、第2の回折構造により、第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N12、N22,N32の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させるものとする。
そして、第1及び第2の回折部43C1,43C2は、以下の式(32)を満足するように形成されている。式(32)中において、第1の回折構造による位相差関数係数をC1とし、第2の回折構造による位相差関数係数をC2とする。すなわち、各面の支配的となる回折次数N11、N21,N31,N12、N22,N32が式(32)の関係を満足するように形成される。そして、各波長の光ビームに対して上述のΔ1<Δ2<Δ3の関係を満足するように各波長の光ビームに対して非点収差を付与するような回折光を発生させる。尚、第1及び第2の回折部43C1,43C2においては、各波長における非点隔差Δの比は、上述した式(10)と同様の手法により算出されるものである。
Δ1:Δ2:Δ3=(N11C1+N12C2)λ1:(N21C1+N22C2)λ2:(N31C1+N32C2)λ3 ・・・(32)
Δ1:Δ2:Δ3=(N11C1+N12C2)λ1:(N21C1+N22C2)λ2:(N31C1+N32C2)λ3 ・・・(32)
そして、第1及び第2の回折部43C1,43C2は、例えば、N11=+2、N21=+1、N31=+1、N12=+1、N22=−1、N32=−2、C1=−1.3C2とすることで、Δ1:Δ2:Δ3≒1:2.3:4.0の関係が得られる。これは、後述のように、BD、DVD及びCDの各フォーマットの引き込み範囲に適合した非点隔差の比である。
以上のような非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44C1,44C2は、使用波長に応じてフォーカス検出用の非点隔差を最適なものとすることを可能とする。
次に、図14(b)に示す非点収差付与デバイスについて説明する。図14(b)に示す非点収差付与デバイスは、例えばその入射側の面に第1の回折部43D1と、その出射側の面に第2の回折部43D2とを有する回折光学素子44Dからなる。かかる非点収差付与デバイスは、第1及び第2の回折部43D1,43D2を通過する第1乃至第3の波長の光ビームに対し非点収差を付与する。
回折光学素子44Dは、各波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3が、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与する。尚、ここで第1の回折部43D1は、上述した図14(a)に示す第1の回折部43C1と同様の構成であり、第2の回折部43D2は、上述の第2の回折部43C1と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。すなわち、第1及び第2の回折部43D1,43D2は、式(32)の関係を満たすように構成されている。以上のような非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44Dは、使用波長に応じてフォーカス検出用の非点隔差を最適なものとすることを可能とする。
尚、図14(a)及び図14(b)では、光ピックアップ3を構成する非点収差付与デバイスとして、二面により構成される回折部からなるように構成したが、これに限られるものではない。すなわち、非点収差付与デバイスは、複合の一面により構成される回折部からなるように構成してもよい。
ここで、回折構造が複合とされた回折部を有する非点収差付与デバイスについて図14(c)を用いて説明する。
図14(c)に示す非点収差付与デバイスは、例えばその入射側の面に、第1の基礎構造と第2の基礎構造とを重畳するように形成された回折構造が形成された回折部43Eを有する回折光学素子44Eからなる。かかる非点収差付与デバイスは、回折部43Eを通過する第1乃至第3の波長の光ビームに対し非点収差を付与する。
回折光学素子44Eは、各波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3が、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与する。ここで、Δ1は、回折光学素子44Eが第1の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差であり、Δ2は、回折光学素子44Eが第2の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差である。また、Δ3は、回折光学素子44Eが第3の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差である。
第1の基礎構造は、単位周期構造が連続的に形成された周期構造であり、例えば、上述した図14(a)の第1の回折部43C1に形成された第1の回折構造と同様の構造とされている。第2の基礎構造は、単位周期構造が連続的に形成された周期構造であり、例えば、上述した図14(a)の第2の回折部43C2に形成された第2の回折構造と同様の構造とされている。第1及び第2の基礎構造は、上述したのと同様に、各基礎構造の支配的となる回折次数N11、N21,N31,N12、N22,N32が式(32)の関係を満足するように形成されている。ここで、C1,C2は、第1及び第2の基礎構造のそれぞれにおける位相差関数係数を示すものである。かかる、各波長に対して所定の回折次数を支配的となるような第1の基礎構造と、各波長に対して所定の回折次数を支配的となるような第2の基礎構造とを重畳させた複合回折構造を形成した回折部43Eは、以下のように機能する。すなわち、複合回折構造とされた回折部43Eは、各波長の光ビームに対して所定の光路差を付与することにより、第1の基礎構造とされた回折構造と、第2の基礎構造とされた回折構造とを通過するのと同様の機能をすることができる。換言すると、回折部43Eは、上述した図14(a)又は図14(b)に示す回折部43C1,43C2を通過するのと、又は回折部43D1,43D2を通過するのと同様の影響を光ビームに付与することができる。以上のような非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44Eは、使用波長に応じてフォーカス検出用の非点隔差を最適なものとすることを可能とする。
また、上述の図14(a)及び図14(b)では、光ピックアップ3を構成する非点収差付与デバイスとして、二面により構成される回折部からなるように構成したが、これに限られるものではない。すなわち、非点収差付与デバイスは、複数の回折光学素子のそれぞれの入射側又は出射側から選択された任意の三面に、それぞれ設けられる第1乃至第3の回折部からなるように構成してもよい。
ここで、三面に設けられた回折部を有する非点収差付与デバイスについて図14(d)を用いて説明する。
図14(d)に示す非点収差付与デバイスは、例えば回折光学素子44F1と、回折光学素子44F2とからなる。回折光学素子44F1は、例えばその入射側の面に第1の回折部43F1と、その出射側の面に第2の回折部43F2とを有する。回折光学素子44F2は、例えばその入射側の面に第3の回折部43F2を有する。かかる非点収差付与デバイスは、第1乃至第3の回折部43F1,43F2,43F3を通過する第1乃至第3の波長の光ビームに対し非点収差を付与する。
回折光学素子44F1,44F2は、各波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3が、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与する。ここで、Δ1は、回折光学素子44F1,44F2が第1の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差であり、Δ2は、回折光学素子44F1,44F2が第2の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差である。また、Δ3は、回折光学素子44F1,44F2が第3の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差である。
第1乃至第3の回折部43F1,43F2,43F3は、それぞれ、単位周期構造が連続的に形成された周期構造からなる所定の第1乃至第3の回折構造を有する。尚、以下の説明において、第1の回折部43F1は、第1の回折構造により、第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N11、N21,N31の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させるものとする。また、第2の回折部43F2は、第2の回折構造により、第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N12、N22,N32の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させるものとする。また、第3の回折部43F3は、第3の回折構造により、第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N13、N23,N33の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させるものとする。
そして、第1乃至第3の回折部43F1,43F2,43F3は、以下の式(33)を満足するように形成されている。式(33)中において、第1の回折構造による位相差関数係数をC1とし、第2の回折構造による位相差関数係数をC2とし、第3の回折構造による位相差関数係数をC3とする。すなわち、各面の支配的となる回折次数N11、N21,N31,N12、N22,N32,N13、N23,N33が式(33)の関係を満足するように形成される。そして、各波長の光ビームに対して上述のΔ1<Δ2<Δ3の関係を満足するように各波長の光ビームに対して非点収差を付与するような回折光を発生させる。尚、第1乃至第3の回折部43F1,43F2,43F3においては、各波長における非点隔差Δの比は、上述した式(10)と同様の手法により算出されるものである。
Δ1:Δ2:Δ3=(N11C1+N12C2+N13C3)λ1:(N21C1+N22C2+N23C3)λ2:(N31C1+N32C2+N33C3)λ3 ・・・(33)
Δ1:Δ2:Δ3=(N11C1+N12C2+N13C3)λ1:(N21C1+N22C2+N23C3)λ2:(N31C1+N32C2+N33C3)λ3 ・・・(33)
以上のような非点収差付与デバイスとしての回折光学素子44F1,44F2は、使用波長に応じてフォーカス検出用の非点隔差を最適なものとすることを可能とする。尚、上述した図14(c)を用いて説明した場合と同様に、図14(d)に示した三面のうちの二面又は三面を基礎構造として重畳させた複合回折構造とした回折部を有するように構成してもよい。
以上のような図14(a)〜図14(d)に示す非点収差付与デバイス等を有する光ピックアップ3は、非点収差付与デバイスを構成する回折光学素子が使用波長に応じてフォーカス検出用の非点隔差をΔ1<Δ2<Δ3とすることで以下の利点がある。すなわち、かかる光ピックアップ3は、フォーカス引き込み範囲を各フォーマットに適合した所望の値とすることを可能とする。さらに、図14(a)〜図14(c)に示す非点収差付与デバイスは、式(32)を用いて説明したように、二面における各次数と、位相差関数係数とを調整することにより、より最適な非点隔差の関係Δ1,Δ2,Δ3を得ることを可能とする。また、図14(d)に示す非点収差付与デバイスは、式(33)を用いて説明したように、三面における各次数と、位相差関数係数とを調整することにより、さらに最適な非点隔差の関係Δ1,Δ2,Δ3を得ることを可能とする。よって、図14(a)〜図14(d)に示す非点収差付与デバイスを有する光ピックアップ3は、フォーカス引き込み範囲を各フォーマットにより適合した値とすることを実現する。
ところで、マルチレンズ42は、第1のビームスプリッタ38と受光部40との間の光路上に配置され、例えば屈折面を有することにより、以下の作用を有する。すなわち、マルチレンズ42は、回折光学素子44から出射されて入射された光ビームに対して、所定の倍率及び屈折力を付与して光検出器41のフォトディテクタ等の受光部40の受光面に適切に集光する。マルチレンズ42は、入射した復路の各波長の光ビームを共通の受光部40上に集光させるために発散角を変換する素子として機能することで発散角変換機能を発揮する。上述した回折光学素子44の回折部43は、このマルチレンズ42の一方の面に一体に形成されるように構成してもよい。このように、回折部43を、マルチレンズ42に一体に形成するように構成することで、光ピックアップとしてのさらなる構成の簡素化及び小型化を可能とし、実用上の利便性も高くなる。
光検出器41は、フォトディテクタ等の受光素子からなる受光部40を有し、マルチレンズ42で集光された戻りの第1乃至第3の波長の光ビームをこの共通の受光部40で受光する。光検出器41は、これにより、情報信号とともに、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号等の各種検出信号を検出する。
以上のように構成された光ピックアップ3は、光検出器41によって得られたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、対物レンズ34を駆動変位させる。これにより、光ピックアップ3は、光ディスク2の信号記録面に対して対物レンズ34が合焦位置に移動されて、光ビームが光ディスク2の信号記録面に合焦されて、光ディスク2に対して情報の記録又は再生が行われる。
かかる光ピックアップ3は、第1乃至第3の波長の光ビームを出射する第1乃至第3の出射部と、各波長の光ビームを集光する集光光学デバイス36を構成する対物レンズ34と、回折光学素子35の一方の面に設けられる回折部50とを備えるものである。そして、回折部50が、第1乃至第3の回折領域51,52,53を有し、第1乃至第3の回折領域51,52,53が、上述した所定の第1乃至第3の回折構造を有するように構成されている。かかる光ピックアップ3は、3種類の光ディスクに対して、共通の一の対物レンズ34を用いてそれぞれ対応する光ビームを信号記録面に適切に集光することを可能とする。よって、光ピックアップ3は、構成を複雑にすることなく、対物レンズ34を共通とした3波長互換を実現してそれぞれの光ディスクに対して良好な情報信号の記録及び/又は再生を実現する。
尚、ここで、対物レンズ34と、回折部50を有する回折光学素子35とから光ピックアップ3を構成する集光光学デバイス36を構成して対物レンズを共通とした3波長互換を実現するようにしたが、これに限られるものではない。すなわち、光ピックアップ3を構成する集光光学デバイス36は、回折構造を有する対物レンズ34Bにより構成されるようにしてもよく、その場合には、さらなる構成の簡素化及び小型化を可能とする。また、ここでは、第1乃至第3の回折領域51,52,53からなる所謂一面に3輪帯を備えた回折部50により収差低減を実現したが、これに限られるものではなく例えば光学素子の両面に設けた回折構造により実現しても良い。ただし、上述した回折部50を設ける構成とした場合の方が、装置の小型化や構成の簡素化、さらには光利用効率の向上や調整工程の省略化等に有利である。
以上のように、光ピックアップ3は、集光光学デバイス36を構成する回折部50により、各波長の光ビームに対して領域毎に最適な回折効率及び回折角を与えることができる。そして、光ピックアップ3は、保護層の厚さ等のフォーマットが異なる3種類の第1乃至第3の光ディスク11,12,13の信号記録面における球面収差を十分に低減でき、対物レンズ34等の光学部品を共通化できる。これにより、光ピックアップ3は、装置の小型化及び構成の簡素化を可能とするとともに、異なる3波長の光ビームを用いて、複数種類の光ディスク11,12,13に対して信号の読み取り及び書き込みを可能とする。
また、この光ピックアップ3は、復路の光ビームのみが通過する光路上に設けられ、第1乃至第3の波長の光ビームに対して、入射した光ビームの波長に応じた非点収差を付与する回折部43等からなる非点収差付与デバイスを備える点に特徴を有する。光ピックアップ3は、非点収差付与デバイスを有することにより、使用波長毎に適切な非点隔差を形成することができ、これによりフォーカス引き込み範囲を各フォーマットに適合させることができる。
ここで、上述したように、回折部43を有する回折光学素子44を設けることによって、所望の非点隔差Δ及び引き込み範囲Sjiを得ることができることについて、その具体的数値を実施例1として挙げて説明する。
<実施例1>
実施例1は、実際に、この回折部43を有する回折光学素子44を光路中に挿入することによって構成された光ピックアップ3の実施例である。かかる実施例1の光ピックアップにおける、諸数値を表1に示す。表1及び後述の表4における諸数値としては、各光ディスクに対応する波長の光ビームの支配的となる「回折次数」、位相差関数係数「c」、各波長に対する「対物レンズの焦点距離f」(mm)を示す。また、「コリメータレンズ37の焦点距離fcol」(mm)、各波長における、「倍率M」、フォーカス引き込み範囲「Sji」(μm)、非点隔差「Δ」(mm)、受光部40上の光ビーム半径「Rpd」(μm)を示す。この表1に示す実施例1及び後述の実施例2の算出においては、レンズの分散が考慮されたうえ、コリメータレンズ37の移動によって非点隔差の中心が受光部40としてのPDIC上に位置するように調整している。そのため、理論値からは多少乖離した値となっているが、実使用上の問題はない。
実施例1は、実際に、この回折部43を有する回折光学素子44を光路中に挿入することによって構成された光ピックアップ3の実施例である。かかる実施例1の光ピックアップにおける、諸数値を表1に示す。表1及び後述の表4における諸数値としては、各光ディスクに対応する波長の光ビームの支配的となる「回折次数」、位相差関数係数「c」、各波長に対する「対物レンズの焦点距離f」(mm)を示す。また、「コリメータレンズ37の焦点距離fcol」(mm)、各波長における、「倍率M」、フォーカス引き込み範囲「Sji」(μm)、非点隔差「Δ」(mm)、受光部40上の光ビーム半径「Rpd」(μm)を示す。この表1に示す実施例1及び後述の実施例2の算出においては、レンズの分散が考慮されたうえ、コリメータレンズ37の移動によって非点隔差の中心が受光部40としてのPDIC上に位置するように調整している。そのため、理論値からは多少乖離した値となっているが、実使用上の問題はない。
また、表2に、実施例1の光ピックアップの各レンズ設計値を示す。表2及び後述の表5、表8において、第0面は、光源を示し、ここでは、無限(∞)からの平行光としている。第1面及び第2面は、コリメータレンズの入射側及び出射側の面を示している。光源からの光ビームは、第1面及び第2面からなるコリメータレンズで収束光に変換した後に、第2面と第3面との間の空気層を通過する。この際の面間隔tは、上述したように、コリメータレンズ駆動手段49によりコリメータレンズ37が駆動されることにより、受光部40の受光面上に戻り光が集光されるような値となるように、波長λ毎に変化させる。第3面及び第4面は、図3(b)で説明した回折光学素子としてのマルチレンズ44Bの入射側及び出射側の面を示す。すなわち、第3面には、回折部43が設けられており、また、第4面には、倍率変換機能を有するレンズ面42Bが設けられていることを示すものである。
尚、この表2に示す値は、厳密には、式(9)及び式(10)により導出される値とは僅かに差を有するものであるが、これは、色収差や、上述の薄肉レンズの仮定や、マルチレンズの出射側のレンズ面42Bの曲率に起因するものである。すなわち、式(9)及び式(10)の関係をおおよそ満足するものである。
また、実施例1の光ピックアップを構成する回折部43のブレーズの深さ・効率設計の具体的数値について図15及び表3に示す。
ここで、図15及び表3は、(N1,N2,N3)が(+1,+1,+1)である場合のブレーズの深さ・効率設計を示すものである。図15は、回折構造をS=∞のブレーズ形状として、(N1,N2,N3)=(+1,+1,+1)としたときの、溝深さdに対する回折効率の変化を示すものである。そして、図15(a)は、第1の波長の光ビームの+1次回折光の回折効率の変化を示す図であり、図15(b)は、第2の波長の光ビームの+1次回折光の回折効率の変化を示す図である。また、図15(c)は、第3の波長の光ビームの+1次回折光の回折効率の変化を示す図である。図15(a)〜図15(c)中において横軸は、溝深さ(nm)を示し、縦軸は、回折効率(光の強度)を示す図である。
図15及び表3に示すように、溝深さd=950nmとしたときの、第1の波長の光ビームの回折次数N1=+1の回折効率eff1=0.84であり、第2の波長の光ビームの回折次数N2=+1の回折効率eff2=0.79である。また、第3の波長の光ビームの回折次数N3=+1の回折効率eff3=0.59である。すなわち、各効率が、BD84%、DVD79%、CD59%とすることができ、十分な効率を持っていることが示されている。
そして、表1乃至表3に示すように、実施例1の光ピックアップ及び非点収差付与デバイスとしての回折部は、十分な効率を有した状態で所望の非点隔差Δを得ることができ、これによりフォーマットに適合した所望の引き込みSjiを得ることを実現できる。
以上の実施例1では、回折部が一面に形成された場合について説明したが、二面構成とし、異なる回折パワーを与える例について、その具体的数値を実施例2として挙げて説明する。
<実施例2>
実施例2は、実際に、上述した図14(a)及び図14(b)で説明した回折部43C1,43C2又は回折部43D1,43D2を有する回折光学素子を入れることによって構成された光ピックアップ3の実施例である。かかる実施例2の光ピックアップにおける、諸数値を表4に示す。表4における諸数値としては、上述した通りであるが、複数の回折部の各回折部により支配的となる「回折次数(第一面)」、「回折次数(第二面)」として示した。また、各回折部における位相差関数係数を「c(第一面)」、「c(第二面)」とし、この各位相差関数係数の比率を「c係数比」(=c(第一面)/c(第二面))として示した。
実施例2は、実際に、上述した図14(a)及び図14(b)で説明した回折部43C1,43C2又は回折部43D1,43D2を有する回折光学素子を入れることによって構成された光ピックアップ3の実施例である。かかる実施例2の光ピックアップにおける、諸数値を表4に示す。表4における諸数値としては、上述した通りであるが、複数の回折部の各回折部により支配的となる「回折次数(第一面)」、「回折次数(第二面)」として示した。また、各回折部における位相差関数係数を「c(第一面)」、「c(第二面)」とし、この各位相差関数係数の比率を「c係数比」(=c(第一面)/c(第二面))として示した。
また、表5に、実施例2の光ピックアップの各レンズ設計値を示す。この表5において、第3面には、上述した第1面に相当する回折面1と、第2面に相当する回折面2とが設けられているものとして説明する。その他の表5に示す構成については、上述した表2と同様であるので詳細は省略する。
また、実施例2の光ピックアップを構成する第1及び第2の回折部のブレーズの深さ・効率設計の具体的数値について図16、図17及び表6に示す。
ここで、図16、図17及び表6は、N11=+2、N21=+1、N31=+1、N12=+1、N22=−1、N32=−2、C1=−1.3C2として設計した場合のブレーズの深さ・効率設計を示すものである。尚、かかる回折次数の組み合わせは、式(32)の関係によれば、Δ1:Δ2:Δ3≒1:2.3:4.0(=2:4.6:8.0)である。これは、式(1)のようにMに波長依存性がなく、ΔとSjiとが略比例するとすれば、Sjiの比率が2:4.6:8程度とすることができることを意味する。これは、実施例1の場合に比べて、第1の光ディスク(BD等)と第2の光ディスク(DVD等)との非点隔差量を離すことができており、これにともないフォーカス引き込み範囲も適切にすることができるため、より実用に向いた構成となっている。
かかる構成とする場合には、N12=+1、N22=−1、N32=−2の関係を与えるために、第2面の形状はステップ構造とする。ステップ構造の場合には、ステップ数と深さの両方を変動させることによって各次数の効率を変化させることができる。
尚、図16は、回折構造をS=∞のブレーズ形状として、(N11,N21,N31)=(+2,+1,+1)としたときの、溝深さdに対する回折効率の変化を示すものである。そして、図16(a)は、第1の波長の光ビームの+2次回折光の回折効率の変化を示す図であり、図16(b)は、第2の波長の光ビームの+1次回折光の回折効率の変化を示す図である。また、図16(c)は、第3の波長の光ビームの+1次回折光の回折効率の変化を示す図である。
また、図17は、回折構造をステップ数S=4の階段形状として、(N12,N22,N32)=(+1,−1,−2)としたときの、溝深さdに対する回折効率の変化を示すものである。そして、図17(a)は、第1の波長の光ビームの+1次回折光の回折効率の変化を示す図であり、図17(b)は、第2の波長の光ビームの−1次回折光の回折効率の変化を示す図である。また、図17(c)は、第3の波長の光ビームの−2次回折光の回折効率の変化を示す図である。図16(a)〜図16(c)、図17(a)〜図17(c)中において横軸は、溝深さ(nm)を示し、縦軸は、回折効率(光の強度)を示す図である。
図16、図17及び表6に示すように、ブレーズとして構成される第1面(第1の回折部)においては、図16に示すように、溝深さd=1600nmとしたときの、第1の波長の光ビームの回折次数N11=+2の回折効率eff1=0.98である。また、第2の波長の光ビームの回折次数N21=+1の回折効率eff2=0.83であり、第3の波長の光ビームの回折次数N31=+1の回折効率eff3=1.00である。すなわち、各効率が、BD98%、DVD83%、CD100%を確保できるため、この構成による光量損失は抑えられ、十分な効率を持っていることが示されている。
また、階段形状として構成される第2面(第2の回折部)においては、図17に示すように、ステップ数s=4、溝深さd=3800nmとしたときの、第1の波長の光ビームの回折次数N12=+1の回折効率eff1=0.81である。また、第2の波長の光ビームの回折次数N22=−1の回折効率eff2=0.62であり、第3の波長の光ビームの回折次数N32=−2の回折効率eff3=0.57である。すなわち、各効率が、BD81%、DVD62%、CD57%とすることができ、十分な効率を持っていることが示されている。
そして、表4乃至表6に示すように、実施例2の光ピックアップ及び非点収差付与デバイスとしての第1及び第2の回折部は、十分な効率を有した状態で所望の非点隔差Δを得ることができる。これにより、光ピックアップ及び非点収差付与デバイスは、フォーマットに適合した所望の引き込みSjiを得ることを実現できる。
また、実施例2の変形例として、上述した図14(c)に示したように重畳により複合回折部を構成した場合にも上述の表4乃至表6に示すような結果が得られる。そして、具体的に、例えば、2種類の回折構造の重ね合わせについて、図18に示す。すなわち、図18中において、Ls1は、実施例2で示した第1面の形状、すなわち、第1の基礎構造の周期構造を示すものである。また、Ls2は、実施例2で示した第2面の形状、すなわち、第2の基礎構造の周期構造を示すものである。そして、Lg12は、かかる第1及び第2の基礎構造を重畳した回折構造を示すものである。図18中、横軸は、半径方向で且つx’方向の位置を示すものであり、縦軸は、溝深さを示すものである。図18のLg12で示される複合面は、x’方向の断面形状を示すものである。
以上で説明した実施例1,2に示すように、異なる3種類の波長の光ビームを用いるとともに、対物レンズ34及び受光部40を共通とする光ピックアップ3において、非点収差付与デバイスを設けることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、所定の次数が選択された非点収差付与デバイスとしての回折部を設けることにより、各波長の光ビームに対して所定の非点収差を付与して、適切な非点隔差を形成することができる。また、非点収差付与デバイスが、各波長の光ビームに対して、所定の非点収差を付与して、各波長の光ビームに対してΔ1<Δ2<Δ3の関係を満たす非点隔差を発生させることにより、フォーカス引き込みを各フォーマットに適合させることができる。
すなわち、上述のような非点収差付与デバイスとしての回折部43等を備える光ピックアップ3は、三波長互換を実現する対物レンズ34に対して、ただ一つの受光部40を配置する構成において、所望のフォーカス引き込み範囲を実現することができる。かかる光ピックアップ3は、対物レンズ34及び受光部40を共通としたことにより、コストの削減及び装置の小型化を実現する。そして、この光ピックアップ3は、上述した実施例1,2にも示されているように、コリメータレンズ37のレンズストローク量を十分小さく抑えることを可能とし、光ピックアップ3の小型化を可能にする。
また、光ピックアップ3は、発散角変換素子としてのコリメータレンズ37が、第1乃至第3の波長の光ビームのうち出射される光ビームの種類毎に、光軸方向の所定の位置に移動されるように構成されている。光ピックアップ3は、コリメータレンズ37が、移動された光軸方向の位置に応じて第1乃至第3の波長の光ビームの状態を変えることで、各波長の光ビームを受光部40の同一の受光面上に集光させることができる。すなわち、光ピックアップ3は、3波長に対応した共通の対物レンズ34及び共通の受光部40で互換性を実現するという効果を有する。
このように、この光ピックアップ3は、共通の対物レンズ34と共通の受光部40により、フォーカス引き込み範囲等を含めた適切な3波長互換を実現し、対物レンズ34及び光検出器41の光学部品を共通化して部品点数を削減することを可能とする。さらに、光ピックアップ3は、対物レンズ34及び光検出器41の間の光路上に配置される種々の光学部品を共通化することを実現して、小型化及び低コスト化を実現できる。また、光ピックアップ3は、部品共通化により各波長ごとに設けた個々の部品毎に特性ばらつきがあった場合等の影響を防止して光ピックアップとしての特性を向上させることができる。
また、この光ピックアップ3は、3波長互換を1つの対物レンズ34により実現することにより、複数の対物レンズを用いていた場合の問題点を解消する。すなわち、光ピックアップ3は、アクチュエータの感度が低下する等の問題や、個々の対物レンズのアクチュエータへの取り付け角度に誤差があった場合の特性の劣化等の問題を解消して、良好な記録再生特性を実現する。また、この光ピックアップ3は、3波長互換を1つの受光部40により実現することにより、複数の受光部(受光素子)を設ける場合の問題点である、配線を複数引き回すための構成が煩雑となったり小型化を妨げるという問題点を解消する。さらに、この光ピックアップ3は、全体として上述のように構成部品を削減することで、製造上において必要となる調整工程を少なくして、製造の容易化及び低コスト化を実現する。
次に、上述のように構成された光ピックアップ3における、第1及び第2の光源部31,32の各出射部から出射された光ビームの光路について、図2を用いて説明する。まず、第1の光ディスク11に対して第1の波長の光ビームを出射させて情報の読み取り又は書き込みを行うときの光路について説明する。
次に、上述のように構成された光ピックアップ3における、第1及び第2の光源部31,32の各出射部から出射された光ビームの光路について、図2を用いて説明する。まず、第1の光ディスク11に対して第1の波長の光ビームを出射させて情報の読み取り又は書き込みを行うときの光路について説明する。
光ディスク2の種類が第1の光ディスク11であることを判別したディスク種類判別部22は、第1の光源部31の第1の出射部から第1の波長の光ビームを出射させる。
第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームは、第1のグレーティング45によりトラッキングエラー信号等の検出のため3ビームに分割され、第1のビームスプリッタ38に入射される。第1のビームスプリッタ38に入射された第1の波長の光ビームは、その分離面38aで反射され、第2のビームスプリッタ39側に出射される。
第2のビームスプリッタ39に入射された第1の波長の光ビームは、その合成分離面39aを透過されて、コリメータレンズ37側に出射され、コリメータレンズ37により発散角を変換され、1/4波長板47に所定の位相差を付与される。そして、この光ビームは、立ち上げミラー48で反射されて集光光学デバイス36の回折光学素子35側に出射される。このとき、コリメータレンズ37は、コリメータレンズ駆動手段49により第1の位置に移動されて、第1の波長の光ビームを所定の状態で出射させるように制御されている。
回折光学素子35に入射した第1の波長の光ビームは、その入射側の面に設けられた回折部50の第1乃至第3の回折領域51,52,53により、各領域を通過した光ビームがそれぞれ上述のように所定の回折次数が支配的となるようにして出射される。そしてかかる光ビームは、集光光学デバイス36の対物レンズ34に入射される。尚、回折光学素子35から出射される第1の波長の光ビームは、所定の発散角の状態とされているのみならず、所定の開口制限がされた状態とされている。
対物レンズ34に入射した第1の波長の光ビームは、各領域51,52,53を通過した光ビームが球面収差を低減できるような発散角の状態で入射されているので、対物レンズ34により、第1の光ディスク11の信号記録面に適切に集光される。
第1の光ディスク11で集光された光ビームは、信号記録面で反射し、対物レンズ34、回折光学素子35、立ち上げミラー48、1/4波長板47、コリメータレンズ37を経由する。そして、かかる光ビームは、第2のビームスプリッタ39の合成分離面39aを透過され、第1のビームスプリッタ38の分離面38aを透過されて、回折光学素子44側に出射される。
第1及び第2のビームスプリッタ38,39により往路の光ビームの光路から光路分岐された第1の波長の光ビームは、回折光学素子44により所定の非点収差を付与される。かかる第1の波長の光ビームは、マルチレンズ42により所定の屈折力を付与されて、光検出器41の受光部40の受光面上に集束されて検出される。このとき、回折光学素子44の回折部43により非点収差を付与されることにより形成される非点隔差Δ1は、後述のΔ2及びΔ3との関係で、上述したような関係とされている。
次に、第2の光ディスク12に対して第2の波長の光ビームを出射させて情報の読み取り又は書き込みを行うときの光路について説明する。
光ディスク2の種類が第2の光ディスク12であることを判別したディスク種類判別部22は、第2の光源部32の第2の出射部から第2の波長の光ビームを出射させる。
第2の出射部から出射された第2の波長の光ビームは、第2のグレーティング46によりトラッキングエラー信号等の検出のため3ビームに分割され、第2のビームスプリッタ39に入射される。第2のビームスプリッタ39に入射された第2の波長の光ビームは、その合成分離面39aで反射され、コリメータレンズ37側に出射され、コリメータレンズ37により発散角を変換され、1/4波長板47に所定の位相差を付与される。そしてかかる光ビームは、立ち上げミラー48で反射されて集光光学デバイス36の回折光学素子35側に出射される。このとき、コリメータレンズ37は、コリメータレンズ駆動手段49により第2の位置に移動されて、第2の波長の光ビームを所定の状態で出射されるように制御されている。
回折光学素子35に入射した第2の波長の光ビームは、その入射側の面に設けられた回折部50の第1乃至第3の回折領域51,52,53により、各領域を通過した光ビームがそれぞれ上述のような所定の回折次数が支配的となるようにして出射される。そしてかかる光ビームは、集光光学デバイス36の対物レンズ34に入射される。尚、回折光学素子35から出射される第2の波長の光ビームは、所定の発散角の状態とされているのみならず、対物レンズ34に入射することにより開口制限の効果が得られる状態とされている。
対物レンズ34に入射した第2の波長の光ビームは、第1及び第2の回折領域51,52を通過した光ビームが球面収差を低減できるような発散角の状態で入射されているので、対物レンズ34により、第2の光ディスク12の信号記録面に適切に集光される。
第2の光ディスク12の信号記録面で反射された光ビームの復路の光路については、上述した第1の波長の光ビームと同様であるので、省略する。但し、このとき、第2の光ディスクからの戻りの光学系における、回折光学素子44の回折部43により非点収差を付与されることにより形成される非点隔差Δ2は、Δ1及び後述のΔ3との関係で、上述したような関係とされている。また、コリメータレンズ37が第2の位置に移動されていることから、共通の受光部40で確実に戻りの光ビームを受光し検出することができる。
次に、第3の光ディスク13に対して第3の波長の光ビームを出射させて情報の読み取り又は書き込みを行うときの光路について説明する。
光ディスク2の種類が第3の光ディスク13であることを判別したディスク種類判別部22は、第2の光源部32の第3の出射部から第3の波長の光ビームを出射させる。
第3の出射部から出射された第3の波長の光ビームは、第2のグレーティング46によりトラッキングエラー信号等の検出のため3ビームに分割され、第2のビームスプリッタ39に入射される。第2のビームスプリッタ39に入射された第3の波長の光ビームは、その合成分離面39aで反射され、コリメータレンズ37側に出射され、コリメータレンズ37により発散角を変換される。そしてかかる光ビームは、1/4波長板47に所定の位相差を付与され、立ち上げミラー48で反射されて集光光学デバイス36の回折光学素子35側に出射される。このとき、コリメータレンズ37は、コリメータレンズ駆動手段49により第3の位置に移動されて、第3の波長の光ビームを所定の状態で出射されるように制御されている。
回折光学素子35に入射した第3の波長の光ビームは、その入射側の面に設けられた回折部50の第1乃至第3の回折領域51,52,53により、各領域を通過した光ビームがそれぞれ上述のような所定の回折次数が支配的となるようにして出射される。そしてかかる光ビームは、集光光学デバイス36の対物レンズ34に入射される。尚、回折光学素子35から出射される第3の波長の光ビームは、所定の発散角の状態とされているのみならず、対物レンズ34に入射することにより開口制限の効果が得られる状態とされている。
対物レンズ34に入射した第3の波長の光ビームは、第1の回折領域51を通過した光ビームが球面収差を低減できるような発散角の状態で入射されているので、対物レンズ34により、第3の光ディスク13の信号記録面に適切に集光される。
第3の光ディスク13の信号記録面で反射された光ビームの復路の光路については、上述した第1の波長の光ビームと同様であるので、省略する。但し、このとき、第3の光ディスクからの戻りの光学系における、回折光学素子44の回折部43により非点収差を付与されることにより形成される非点隔差Δ3は、Δ1及びΔ2との関係で、上述したような関係とされている。また、コリメータレンズ37が第3の位置に移動されていることから、共通の受光部40で確実に戻りの光ビームを受光し検出することができる。
本発明を適用した光ピックアップ3は、共通の集光光学デバイス36と、共通の受光部40を有する光検出器41と、上述した回折光学素子44等の非点収差付与デバイスとを備える点に特徴を有する。光ピックアップ3は、このような3種類の使用波長に対応する共通の集光光学デバイス36と共通の受光部40を有する共通の光学系を用いて、各光ディスクに対して対応する波長の光ビームを集光するとともに、光ディスクからの反射光を検出する。そして、光ピックアップ3は、装置の小型化及び構成の簡素化を達成した上で、複数種類の光ディスクに情報信号の記録及び/又は再生を行うことを可能とする。また、光ピックアップ3は、このような共通の光学系における、それぞれの使用波長に応じて形成される非点隔差を非点収差付与デバイスにより最適なものとすることができる。ここで、非点収差付与デバイスは、各波長において形成される非点隔差の関係をΔ1<Δ2<Δ3の適切な関係とすることができる。よって、光ピックアップ3は、これにより、それぞれの各光ディスクのフォーマットに対応するフォーカス引き込み範囲を設定することを可能とし、各光ディスクに対する互換性をより発揮することを可能する。そして、光ピックアップ3は、よって、構成の簡素化及び装置の小型化を実現するとともに各光ディスクに対して互換性を発揮して良好な記録及び/又は再生を実現する。
また、光ピックアップ3は、非点収差付与デバイスを回折部43を有する回折光学素子44により形成することにより、簡易な構成で確実に上述のような効果を得ることができる。また、光ピックアップ3において、回折部43は、1.14λ1N1<N2λ2<8.0λ1N1の関係、及び1.14λ1N1<N3λ3<8.0λ1N1の関係を満たすように構成されている。これにより、回折部43及び光ピックアップ3は、各波長に対して所望の非点隔差の関係を得ることができ、これにより各フォーマットに対応した最適なフォーカス引き込み範囲を得ることを実現する。また、光ピックアップ3において、回折部43は、支配的となるように発生させる回折次数の組み合わせ(N1,N2,N3)が(+1,+1,+1)又は(−1,−1,−1)であるように構成されている。これにより、回折部43及び光ピックアップ3は、各波長に対して所望の非点隔差の関係を得ることができ、これにより各フォーマットに対応した最適なフォーカス引き込み範囲を得ることを実現する。ここで、光ピックアップ3は、かかる回折次数の組み合わせとされたブレーズ形状の回折部43を有する構成により、回折面の溝深さを小さくでき、温度変化等の影響も低減できる。また、光ピックアップ3は、回折部43が上述の式(10)の関係となるように構成されていることにより、各波長に対して所望の非点隔差の関係を得ることができ、これにより各フォーマットに対応した最適なフォーカス引き込み範囲を得ることを実現する。
また、光ピックアップ3は、この回折部43に換えて図14(a)〜図14(d)に示すような回折部43C1,43C2、回折部43D1,43D2、回折部43E、又は回折部43F1,43F2,43F3からなる非点収差付与デバイスに特徴を有する。かかる光ピックアップ3は、このような二面若しくは三面構成、又はこれらを重畳したような構成とされている。これにより、かかる非点収差付与デバイス及び光ピックアップ3は、式(32)又は式(33)の関係を満たすように構成することで、各波長に対して付与する非点隔差を、さらに最適な範囲に調整することを可能とする。したがって、光ピックアップ3は、各フォーマットに対応した最適なフォーカス引き込み範囲を得ることを実現する。
また、光ピックアップ3は、第1のビームスプリッタ38と受光部40との間に、入射した第1乃至第3の波長の光ビームの発散角を変換して受光部40上に集光させる発散角変換機能を有するマルチレンズ44Bを備える。そして、回折部43がこのマルチレンズ44Bの一方の面に一体に形成される構成とすることにより、上述の効果に加えて、光ピックアップとしてのさらなる構成の簡素化及び小型化を実現する。
また、光ピックアップ3は、光軸方向に移動可能とされる発散角変換素子としてのコリメータレンズ37を備える点に特徴を有する。そして、コリメータレンズ37は、光ビームの種類に応じて、所定の位置に移動され、第1乃至第3の波長の光ビームの状態を変えることで、各波長の光ビームを受光部40の同一の受光面上に集光させる。光ピックアップ3は、かかるコリメータレンズ37と非点収差付与デバイスにより、共通の光学部品により複数種類の光ディスクの各フォーマットに適合させることを実現する。光ピックアップ3は、構成の簡素化及び装置の小型化を実現するとともに各光ディスクに対して互換性を発揮して良好な記録及び/又は再生を実現する。また、光ピックアップ3において、コリメータレンズ37のストローク量を小さく抑えることができるので、光ピックアップの小型化を可能にする。
また、この光ピックアップ3は、対物レンズ34を3波長に対して共通とすることができるので、アクチュエータにおける可動部の重量が増大することによる感度低下等の問題の発生を防止できる。また、本発明を適用した光ピックアップ3は、3波長互換の際の共通の対物レンズ34を用いた場合に問題となる球面収差を光学素子の一面に設けた回折部50により十分に低減できる。これにより光ピックアップ3は、従来のような球面収差低減用の回折部を複数面に設けた場合の各回折部間の位置合わせや、複数の回折部を設けることによる回折効率の低下等の問題を防止できる。すなわち、光ピックアップ3は、組立工程の簡素化及び光の利用効率の向上を実現する。また、本発明を適用した光ピックアップ3は、上述のように回折部50を光学素子の一面に設ける構成を可能とすることにより、対物レンズ34及び回折光学素子35に換えて回折部50を有する対物レンズ34Bを有するように構成することを可能とする。かかる光ピックアップ3は、この回折部50を対物レンズに一体とする構成により、さらなる構成の簡素化、アクチュエータの可動部の重量を小さくすること、組立工程の簡素化及び光の利用効率の向上を実現する。
さらに、この光ピックアップ3は、上述した回折光学素子35の一面に設けられた回折部50により3波長互換を実現するのみならず、3種類の光ディスク及び3種類の波長の光ビームに対応した開口数で開口制限を行うことができる。これにより、光ピックアップ3は、従来必要であった開口制限フィルター等を設けることや、これを配置させる際の調整を不要とし、さらに、構成の簡素化、小型化、及び低コスト化を実現する。
尚、上述の光ピックアップ3では、回折光学素子44等からなる非点収差付与デバイスを有する例について説明したが、本発明を適用した光ピックアップを構成する非点収差付与デバイスは、これに限られるものではない。例えば、非点収差付与デバイスとしては、印加される電圧により光の屈折力を変化させる液体レンズを用いるように構成してもよい。
次に、非点収差付与デバイスとして液体レンズを用いた例について、図19を用いて説明する。図19に示す光ピックアップ60においては、上述した光ピックアップ3に対して、回折光学素子44に換えて液体レンズ64を用いること以外は、上述と同様であるので、同じ符号を付して詳細は省略する。
光ピックアップ60は、図19に示すように、第1の光源部31と、第2の光源部32と、集光光学デバイス36を構成する対物レンズ34及び回折光学素子35と、コリメータレンズ37とを備える。また、光ピックアップ60は、第1及び第2のビームスプリッタ38,39と、受光部40を有する光検出器41と、マルチレンズ42とを備える。また、光ピックアップ60は、図19及び図21(a)に示すように、マルチレンズ42と第1のビームスプリッタ38との間に設けられ、入射した光ビームの波長に応じた非点収差を付与する非点収差付与デバイスとしての液体レンズ64を備える。また、光ピックアップ60は、第1及び第2のグレーティング45,46と、1/4波長板47と、立ち上げミラー48とを備える。
非点収差付与デバイスとしての液体レンズ64は、図20(a)〜図20(c)に示すように、互いに屈折率の異なる2つの媒質である第1の媒質64a及び第2の媒質64bを封止層となる硝子層64cにより封止したものである。ここで、第1の媒質64aとしては、例えば絶縁性オイルが用いられる。また、第2の媒質64bとしては、例えば、導電性水溶液が用いられる。また、この液体レンズ64には、絶縁層65,66を介して電極67,68が設けられている。第1及び第2の倍率64a,64bの間の界面形状は、電極67,68に印加される電圧に応じて変化するように構成されている。そして、液体レンズ64は、電圧に応じて水溶液の撥水性の強度を変化させて所望の屈折力を発揮できるように界面形状を変化させる。また、液体レンズ64は、そのレンズ面として機能する界面形状がシリンドリカル形状となるように構成されている。具体的には、液体レンズ64は、図20(a)及び図20(b)に示すように、上述の電極67,68が一方向のみに配置されるように構成されている。この液体レンズ64は、電極67,68間に電圧を印加された場合、この電圧によってx’方向の曲率が大きくなる一方で、y’方向にはほとんど変化しない。このため、液体レンズ64は、上述したシリンドリカル手段のシリンドリカル面として作用する。このように液体レンズ64は、例えば、上述したx’方向にのみ屈折力を有するような構成とされている。
以上のように、液体レンズ64は、印加される電圧に対応して、互いに直交するx’方向及びy’方向のうち例えばx’方向の界面形状の曲率を変化させ光の屈折力を変化させることにより、直交するx’方向及びy’方向に対して異なる曲率を有するものである。換言すると、液体レンズ64は、直交するx’方向及びy’方向に対して異なる曲率を有するよう、上述のような一方向に電界を付与するように構成されている。尚、この光ピックアップ60に用いられる液体レンズの構成は、これに限られるものではなく、非点収差を付与できるシリンドリカル機能を有するものであればよく、用いられる媒質等も上述に限られるものではない。
また、光ピックアップ60を構成する非点収差付与デバイスは、上述のような図21(a)に示す液体レンズ64に限られるものではなく、例えば、集光機能を有するマルチレンズと一体に液体レンズが設けられたような複合光学素子であってもよい。すなわち、上述のマルチレンズ42及び液体レンズ64に換えて、図21(b)に示すような、非点収差付与デバイスとしての複合光学素子74を設けるように構成しても良い。かかる複合光学素子74は、その一方の面として例えば入射側に、上述と同様の液体レンズ64が設けられている。また、かかる複合光学素子74は、出射側の面に、倍率変換機能を有するレンズ面42Bが設けられている。そして、この複合光学素子74は、上述したマルチレンズ42及び液体レンズ64の両機能を有する。
図20に示す液体レンズ64は、印加される電圧を変化させることにより、そのx’方向の屈折力を変化させることができる。ここで、液体レンズ64は、第1の波長の光ビームに対しては、x’方向にRx’1の屈折力を付与するものとする。また、第2の波長の光ビームに対しては、x’方向にRx’2の屈折力を付与するものとする。さらに、第3の波長の光ビームに対しては、x’方向にRx’3の屈折力を付与するものとする。尚、ここでは、x’方向に屈折力を付与するものとして液体レンズ64を配置するように構成したが、y’方向で且つ各波長に対して所定の屈折力を付与するように液体レンズを構成してもよい。さらに、x’方向,y’方向の両方向に電極を配置し、各方向で電圧を印加して各々異なった曲率半径となるように構成された液体レンズを用いるように構成しても良い。この場合には、x’方向,y’方向のパワー差Rxy’1、Rxy’2、Rxy’3の比が後述と同様にRxy’1>Rxy’2>Rxy’3の関係にあればよい。
かかる液体レンズ64は、第1乃至第3の波長の光ビームに対して、それぞれ所定の非点収差を付与する。そして、液体レンズ64は、各波長の光ビームに非点収差付与を付与することにより形成される非点隔差Δ1,Δ2,Δ3がΔ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように、第1乃至第3の波長の光ビームに非点収差を付与する。すなわち、液体レンズ64は、第1乃至第3の波長の光ビームに対して、Rx’1>Rx’2>Rx’3の関係を満たすような屈折力を付与するように構成されている。
以上のように、非点収差付与デバイスとしての液体レンズ64は、上述のような関係の屈折力Rx’1,Rx’2,Rx’3を付与することにより、各波長の非点隔差をΔ1<Δ2<Δ3とすることができる。これにより液体レンズ64は、フォーカス引き込み範囲を各フォーマットに適合した所望の値とすることを実現する。
ここで、上述したような液体レンズ64を設けることによって、所望の非点隔差Δ及び引き込み範囲Sjiを得ることができることについて、その具体的数値を実施例3として挙げて説明する。
<実施例3>
実施例3は、実際に、この液体レンズを光路中に挿入することによって構成された光ピックアップ3の実施例である。かかる液体レンズは、上述したように、シリンドリカル手段CSを液体レンズとすることによって、一方向の曲率を可変とすることができる。最も適した非点隔差量を実現するには、次式(34)の関係が必要である。ここで、最も適した非点隔差量とは、第1の光ディスク(BD等)に対して2μm(=Sjiλ1)、第2の光ディスク(DVD等)に対して5μm(=Sjiλ2)、第3の光ディスク(CD等)に対して6μm(=Sjiλ3)程度である。
実施例3は、実際に、この液体レンズを光路中に挿入することによって構成された光ピックアップ3の実施例である。かかる液体レンズは、上述したように、シリンドリカル手段CSを液体レンズとすることによって、一方向の曲率を可変とすることができる。最も適した非点隔差量を実現するには、次式(34)の関係が必要である。ここで、最も適した非点隔差量とは、第1の光ディスク(BD等)に対して2μm(=Sjiλ1)、第2の光ディスク(DVD等)に対して5μm(=Sjiλ2)、第3の光ディスク(CD等)に対して6μm(=Sjiλ3)程度である。
式(34)の関係が必要なのは、通常のレンズにおいては、レンズ半径の逆数がレンズにおけるパワーを規定するためである。おおよそ上述の関係を満たすと非点隔差量もそれに応じた大きさとなることが一般に知られている。
以上のような実施例3の光ピックアップにおけるSjiの大きさ等の諸数値を表7に示す。この際のRx’はおおよそ式(34)を満たしており、所望のSji引き込みに近い値が得られていることが示されている。また、液体レンズを使用した場合には、透過率の低下はほとんどなく、また、与えたいSji量を柔軟に制御できるため、設計自由度が大きい。
また、表8に、実施例3の光ピックアップの各レンズ設計値を示す。この表8において、第3面には、上述した液体レンズが設けられているものとして説明する。尚、この表8の例においては、2液体からなる界面とはせずに、単に空気と硝材との界面であるとしているが、実際には同等のパワーを有するように2液体の界面曲率を制御すればよく、同等の効果を与えることも可能である。その他の表8に示す構成については、上述した表2と同様であるので詳細は省略する。
本発明を適用した光ピックアップ60は、集光光学デバイス36と、共通の受光部40を有する光検出器41と、非点収差付与デバイスとして液体レンズ64とを備える点に特徴を有する。液体レンズ64を有する光ピックアップ60は、このような3種類の使用波長に対応する共通の集光光学デバイス36と共通の受光部40を有する共通の光学系を用いて、各光ディスクに対して対応する波長の光ビームを集光する。これとともに光ピックアップ60は、光ディスクからの反射光を検出する。そして、光ピックアップ60は、装置の小型化及び構成の簡素化を達成した上で、複数種類の光ディスクに情報信号の記録及び/又は再生を行うことを可能とする。また、光ピックアップ60は、このような共通の光学系における、それぞれの使用波長に応じて形成される非点隔差を非点収差付与デバイスにより最適なものとすることができる。ここで、非点収差付与デバイスは、各波長において形成される非点隔差の関係をΔ1<Δ2<Δ3の適切な関係とすることができる。よって、光ピックアップ60は、これにより、それぞれの各光ディスクのフォーマットに対応するフォーカス引き込み範囲を設定することを可能とし、各光ディスクに対する互換性をより発揮することを可能する。そして、光ピックアップ60は、よって、構成の簡素化及び装置の小型化を実現するとともに各光ディスクに対して互換性を発揮して良好な記録及び/又は再生を実現する。さらに、かかる光ピックアップ60は、非点収差付与デバイスとして液体レンズを用いることにより、高い自由度を持ち、迷光等の影響を受けにくく、液体レンズを挿入してもSN比を高く保つことができる。
本発明を適用した光ディスク装置1は、光ディスクを保持して回転駆動する駆動手段と、回転駆動される複数種類の光ディスクに対し波長を異にする複数の光ビームを選択的に照射することにより記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを備える。光ディスク装置1は、この光ピックアップとして上述した光ピックアップ3,60を用いたことにより、回折部50により、3種類の光ディスクに対して、共通の一の対物レンズ34を用いてそれぞれ対応する光ビームを信号記録面に適切に集光することを可能とする。また、光ディスク装置1は、対物レンズ34及び受光部40等の構成部品を共通化して構成の簡素化、装置の小型化を可能する。それととともに、光ディスク装置1は、回折光学素子44等の非点収差付与デバイスによりそれぞれの光ディスクのフォーマットに対応する適切なフォーカス引き込み範囲とすることを可能とする。これにより、光ディスク装置1は、構成の小型化と良好なサーボ信号を得て良好な記録・再生特性を得ることによる3波長互換を両立させることを実現する。
1 光ディスク装置、 2 光ディスク、 3 光ピックアップ、 4 スピンドルモータ、 5 送りモータ、 9 サーボ制御部、22 ディスク種類判別部、 31 第1の光源部、 32 第2の光源部、 34 対物レンズ、 35 回折光学素子、 36 集光光学デバイス、 37 コリメータレンズ、 38 第1のビームスプリッタ、 39 第2のビームスプリッタ、 40 受光部、 41 光検出器、 42 マルチレンズ、 43 回折部、 44 回折光学素子、 45 第1のグレーティング、 46 第2のグレーティング、 47 1/4波長板、 48 立ち上げミラー、 49 コリメータレンズ駆動手段、 50 回折部、 51 第1の回折領域、 52 第2の回折領域、 53 第3の回折領域
Claims (10)
- 第1の出射部から出射され第1の光ディスクに対応する第1の波長の光ビームと、第2の出射部から出射され上記第1の光ディスクと異なる種類の第2の光ディスクに対応するとともに上記第1の波長より長い第2の波長の光ビームと、第3の出射部から出射され上記第1及び第2の光ディスクと異なる種類の第3の光ディスクに対応するとともに上記第2の波長より長い第3の波長の光ビームとを対応する光ディスクに集光する対物レンズと、
上記光ディスクで反射された戻りの第1乃至第3の波長の光ビームを共通の受光部で受光して検出する光検出器と、
上記対物レンズと上記受光部との間に設けられ、入射した光ビームの波長に応じた非点収差を付与する非点収差付与デバイスとを備え、
上記非点収差付与デバイスは、上記第1の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ1とし、上記第2の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ2とし、上記第3の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ3としたとき、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように各波長の光ビームに非点収差を付与する光ピックアップ。 - 上記非点収差付与デバイスは、上記第1乃至第3の光ビームに対して上記非点収差を付与するように回折する回折部を有する回折光学素子である請求項1記載の光ピックアップ。
- 上記回折光学素子は、通過する上記第1の波長の光ビームの最大の回折効率となる次数N1と、通過する上記第2の波長の光ビームの最大の回折効率となる次数N2と、通過する上記第3の波長の光ビームの最大の回折効率となる次数N3とが、上記第1の波長をλ1とし、上記第2の波長をλ2とし、上記第3の波長をλ3としたとき、式(1)及び式(2)を満足するように各波長の光ビームを回折する請求項2記載の光ピックアップ。
1.14λ1N1<N2λ2<8.0λ1N1 ・・・(1)
1.14λ1N1<N3λ3<8.0λ1N1 ・・・(2) - 上記回折光学素子は、各波長の最大の回折効率となる次数の組み合わせ(N1,N2,N3)が(+1,+1,+1)又は(−1,−1,−1)であるように各波長の光ビームを回折するようにブレーズ形状の回折構造が設けられている請求項3記載の光ピックアップ。
- 上記回折光学素子は、入射側又は出射側の面に、単位周期構造が連続的に形成された周期構造からなる回折構造が形成された上記回折部を有し、
上記回折部は、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N11、N21,N31の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させ、
上記回折部は、上記回折構造による位相差関数係数をC1とし、上記第1の波長をλ1とし、上記第2の波長をλ2とし、上記第3の波長をλ3としたとき、Δ1:Δ2:Δ3=(N11C1)λ1:(N21C1)λ2:(N31C1)λ3の関係を満足するように形成され、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対して上記非点収差を付与するように支配的となる次数の回折光を発生させる請求項2記載の光ピックアップ。 - 上記非点収差付与デバイスは、一又は二の回折光学素子のそれぞれの入射側又は出射側の面から選択された任意の面に、それぞれ設けられる第1及び第2の回折部を有し、上記第1及び第2の回折部を通過する上記第1乃至第3の波長の光ビームに対して上記非点収差を付与し、
上記第1の回折部は、単位周期構造が連続的に形成された周期構造からなる第1の回折構造を有し、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N11、N21,N31の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させ、
上記第2の回折部は、単位周期構造が連続的に形成された周期構造からなる第2の回折構造を有し、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N12、N22,N32の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させ、
上記第1及び第2の回折部は、上記第1の回折構造による位相差関数係数をC1とし、上記第2の回折構造による位相差関数係数をC2とし、上記第1の波長をλ1とし、上記第2の波長をλ2とし、上記第3の波長をλ3としたとき、Δ1:Δ2:Δ3=(N11C1+N12C2)λ1:(N21C1+N22C2)λ2:(N31C1+N32C2)λ3の関係を満足するように形成され、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対して上記非点収差を付与するように支配的となる次数の回折光を発生させる請求項1記載の光ピックアップ。 - 上記回折光学素子は、入射側又は出射側の面に、少なくとも第1の基礎構造と第2の基礎構造とを重畳するように形成された回折構造が形成された上記回折部を有し、
上記第1の基礎構造は、単位周期構造が連続的に形成された周期構造であり、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N11、N21,N31の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させ、
上記第2の基礎構造は、単位周期構造が連続的に形成された周期構造であり、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対してそれぞれ次数N12、N22,N32の回折光が他の次数の回折光に対して最大の回折効率となるように発生させ、
上記回折部は、上記第1の基礎構造による位相差関数係数をC1とし、上記第2の基礎構造による位相差関数係数をC2とし、上記第1の波長をλ1とし、上記第2の波長をλ2とし、上記第3の波長をλ3としたとき、Δ1:Δ2:Δ3=(N11C1+N12C2)λ1:(N21C1+N22C2)λ2:(N31C1+N32C2)λ3の関係を満足するように形成され、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対して上記非点収差を付与するように支配的となる次数の回折光を発生させる請求項2記載の光ピックアップ。 - 上記対物レンズと上記受光部との間に設けられ、光軸方向に移動可能とされ、移動された光軸方向の位置に応じて第1乃至第3の波長の光ビームの発散角を所定の発散角となるように変換する発散角変換素子を備え、
上記発散角変換素子は、上記第1乃至第3の波長の光ビームのうち出射される光ビームの種類毎に、光軸方向の所定の位置に移動され、移動された光軸方向の位置に応じて第1乃至第3の波長の光ビームの状態を変えることで、各波長の光ビームを上記受光部の同一の受光面上に集光させる請求項1記載の光ピックアップ。 - 上記非点収差付与デバイスは、印加される電圧に対応して、互いに直交する方向のうち一方向又は両方向の曲率を変化させることにより、上記直交する方向に対して異なる曲率を有する液体レンズであり、上記第1乃至第3の波長の光ビームに対して、それぞれ上記非点収差を付与するように所定の屈折力を付与する請求項1記載の光ピックアップ。
- 複数種類の光ディスクから任意に選択され、回転駆動される光ディスクに対して波長を異にする複数の光ビームを選択的に照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップを備え、
上記光ピックアップは、
第1の出射部から出射され第1の光ディスクに対応する第1の波長の光ビームと、第2の出射部から出射され上記第1の光ディスクと異なる種類の第2の光ディスクに対応するとともに上記第1の波長より長い第2の波長の光ビームと、第3の出射部から出射され上記第1及び第2の光ディスクと異なる種類の第3の光ディスクに対応するとともに上記第2の波長より長い第3の波長の光ビームとを対応する光ディスクに集光する対物レンズと、
上記光ディスクで反射された戻りの第1乃至第3の波長の光ビームを共通の受光部で受光して検出する光検出器と、
上記対物レンズと上記受光部との間に設けられ、入射した光ビームの波長に応じた非点収差を付与する非点収差付与デバイスとを備え、
上記非点収差付与デバイスは、上記第1の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ1とし、上記第2の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ2とし、上記第3の波長の光ビームに非点収差を付与することにより形成される非点隔差をΔ3としたとき、Δ1<Δ2<Δ3の関係を満たすように各波長の光ビームに非点収差を付与する光ディスク装置。
Priority Applications (1)
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| JP2008228659A JP2010061768A (ja) | 2008-09-05 | 2008-09-05 | 光ピックアップ及び光ディスク装置 |
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| JP2015132546A (ja) * | 2014-01-14 | 2015-07-23 | ソニー株式会社 | 情報処理装置および方法 |
-
2008
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