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JP2010059513A - 電磁鋼板用絶縁被膜剤 - Google Patents

電磁鋼板用絶縁被膜剤 Download PDF

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JP2010059513A JP2008227998A JP2008227998A JP2010059513A JP 2010059513 A JP2010059513 A JP 2010059513A JP 2008227998 A JP2008227998 A JP 2008227998A JP 2008227998 A JP2008227998 A JP 2008227998A JP 2010059513 A JP2010059513 A JP 2010059513A
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宮田茂男
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Abstract

【課題】クロムを含有しないリン酸塩系処理液を用いて方向性電磁鋼板に絶縁被膜を形成する際に生じる耐吸湿性、被膜成形性を向上させる。
【解決手段】固形分換算でAl,Mg,Ca等の第一リン酸塩の少なくとも1種100重量部とコロイダルシリカ35〜70重量部に対し、ハイドロタルサイト類および/または3価金属の塩基性塩を0.1〜50重量部含有させる絶縁被膜剤を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、方向性電磁鋼板の絶縁被膜形成剤に関する。更に詳しくは、有毒の6価のクロムを無毒な化合物で代替できる絶縁被膜形成剤に関する。
方向性電磁鋼板は、FeにSiを2〜4%含有する珪素鋼板スラグを熱延と冷延を施して最終板厚として後、脱炭焼鈍し、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を行い、グラス被膜を形成させる。次いで絶縁被膜剤を塗布し、焼き付けとヒートフラットニング処理して最終製品となる。電磁鋼板は、トランス等の鉄心材料、電気機器に使用され、高い磁束密度と低い鉄損が要求される。
トランス鉄心の製造は、方向性電磁鋼板を所定の長さと幅に裁断後、積み重ねて積み鉄心、または巻き加工されて巻き鉄心とされる。巻き鉄心の場合は、さらに圧縮成型、歪み取り焼鈍を経て、巻き線作業を行いトランスとされる。
このトランス製造の作業性とトランスの性能に絶縁被膜が深くかかわっている。絶縁被膜の密着力が弱いと被膜の一部が剥離して、粉塵を発生して、作業環境の悪化と電気特性を低下させ、また、絶縁被膜に部分的に欠落部があると電気特性を悪くする。さらに、低融点不純物が絶縁被膜にあると、圧縮成型後の歪み取り焼鈍時に板同士が融着して剥離しがたくなる(被膜焼き付き)。
以上の問題を生じさせることなく良好な絶縁被膜を与えるため、Al,Mg等の第一リン酸塩とコロイダルシリカに6価のクロム化合物(クロム酸またはクロム酸塩)を混合して使用することが行われている。
欠落部分の無い均一な絶縁被膜形成と、リン酸塩の過剰なフリーのリン酸による吸湿性(電気絶縁性低下)および歪み取り焼鈍時の被膜焼き付き性を防止するために、6価のクロム化合物は必須である。しかし、6価のクロムは毒性が強く、そのために使用禁止の方向にある。
そのため、この問題の解決のために6価クロムを代替する技術がいくつか提案されている。それらは、クロム化合物の代わりに、Mg,Al,Fe,Co,NiおよびZnの硫酸塩を使用する[特公昭57−9631]。
Fe,Ni,Co,Cu,Sr,Moの無機化合物、特に好ましくは水酸化物[特開2005−200705]を用いるものである。
上記、金属の硫酸塩は、それ等が中性〜弱酸性化合物であるため、フリーのリン酸との反応性が弱い。金属の有機酸塩は、硫酸塩に比べるとフリーのリン酸との反応性が良いが、第一リン酸塩とコロイダルシリカをゲル化させる問題があり、また、炭素が残存し電気絶縁性等に悪影響を与える。金属水酸化物はゲル化の問題も無く、フリーのリン酸との反応性も硫酸塩より改善されているが、依然としてクロム化合物の性能には及ばない。
前記技術以外に、非第一リン酸塩系の新被膜剤として、下記式(4)
Figure 2010059513
の一般式で表わされる平均1μm の固溶型の複合金属水酸化物を用いる提案が出されている。[特開平7−180064]
しかし、この新被膜剤は、従来の第一リン酸塩、コロイダイルシリカおよびクロム化合物から成る被膜剤に比べ被膜形成性がかなり劣る。
本発明は、第一リン酸塩化合物を必須とし、これにコロイダイルシリカとクロム化合物を添加する従来の絶縁被膜剤にあって、有毒なクロム化合物のみを無毒であって、且つクロム化合物の持つ、優れたフリーのリン酸捕捉性と緻密な被膜形成性を充分に代替できる新規な被膜形成剤を提供する。
本発明は下記式(1)
Figure 2010059513
(但し、式中、M2+はFe,Ni,Co,Mnの少なくとも1種の2価金属、好ましくはFeおよび/またはNiを示し、M3+はFe,Co,Mnの少なくとも1種の3価金属、好ましくはFeを示し、An−はn価のアニオン、好ましくはOHおよび/またはCO 2−を示し、xとmはそれぞれ次の範囲、0<x<0.5、好ましくは0.2<x<0.4,0≦m<4)で表わされるM2+(OH)のM2+の一部をM3+置換した固溶体であるハイドロタルサイト類、および/または、下記式(2)
Figure 2010059513
(但し、式中、M3+は式(2)と同じ3価金属を示し、An−は1価または2価の陰イオンを示し、M3+およびAn−の最も好ましいのはそれぞれFe3+,CO 2−であり、zは次の範囲、0<z<2にある)で表わされる3価金属の塩基性塩をクロム化合物の代わりにリン酸塩とコロイダルシリカの系に添加する電磁鋼板用低毒性絶縁被膜剤である。更に詳しくは、本発明は[1]第一リン酸塩100重量部に対し、コロイダルシリカをSiO換算で35〜100重量部及び式(1)および/または式(2)のハイドロタルサイト類および/または3価金属の塩基性塩を固形物換算で0.1〜50重量部含有する、有毒なクロムを含有しない電磁鋼板用絶縁被膜剤である。ここで、固形物とは乾燥(110℃で3時間)して水分を除いた残りのものをいう。
本発明により、クロムを含まないリン酸塩系絶縁被膜で生じる耐蝕性および被膜の不完全性の問題が解決されるとともに、クロム添加系による毒性(環境汚染)の問題を解消できる。
本発明の式(2)のハイドロタルサイト類は、2価の金属水酸化物に3価の金属が置換した固溶体(0<x<0.5)であり、ハイドロタルサイトと同じ結晶構造を示す。したがって、前述の特開平7−180064が3価の金属水酸化物を主成分とする(そのことは実施例でxの範囲が0.8≦x≦0.9であることから説明できる。)固溶体である点およびこの固溶体自体が絶縁被膜剤であって、リン酸塩とコロイダルシリカを併用しない点で、本発明とは全く異なる。結晶構造も本発明がハイドロタルサイト類(例えば、ハイドロタルサイト類の性質と応用,宮田,ゼオライト,vol.8,No.4,1991)に属するのに対し、特開平7−180064が3価金属水酸化物であり、両者は全く異なる組成および結晶構造である。
本発明は、3価の金属水酸化物の性能を更に高めることにより実現した技術である。2価金属のリン酸塩に比べ3価金属のリン酸塩は、反応してしまえば優れた耐湿性(絶縁性)と緻密な被膜を形成する。しかし、3価の金属水酸化物は、いくら微粒子にしてもフリーのリン酸との反応性が2価の金属水酸化物に比べて貧弱である。この3価金属、特にはFe3+の水酸化物のフリーのリン酸との反応性を改善できれば、目的とするクロム化合物の性能を十分に代替できると考え、鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
以上の目的を実現することができたのが式(1)または式(2)、特に好ましくは式(1)の化合物である。式(1)のハイドロタルサイト類はNi2+とかFe2+の2価金属水酸化物にFe3+等の3価金属水酸化物が原子状に分散(固溶)しているため、M2+(OH)に近いリン酸との反応性を示すことを発見した。また、式(2)のM3+の塩基性塩、例えば塩基性炭酸塩;Fe3+(OH)3−2z(CO・aHO,とすることによりリン酸との反応性が水酸化物に比べ著しく向上することも発見した。
本発明で用いる式(1)および/または式(2)の化合物は、リン酸との反応性およびコロイダルシリカとの反応性を良好にするために、より微粒子であることが好ましい。平均2次粒子径で1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。
以上の如き微粒子は、例えば、ビーズミルによる湿式粉砕により実施できる。ビーズ径としては、0.05〜0.5mm、特に好ましくは0.05〜0.2mmで行うことができる。処理時間は適宜選択すればよく、通常1〜20時間である。
本発明で用いる式(1)のハイドロタルサイト類の製造は公知であり、例えば、2価と3価の金属の水溶性塩水溶液にアルカリを加えて共沈させる方法により行うことができる。
式(2)の金属の塩基性塩は、3価金属の水溶性塩の水溶液とアルカリ成分とアニオン成分、例えば、その両者を含む炭酸ナトリウムと反応させることにより製造できる。
本発明で用いるリン酸塩として好ましくは、AlまたはMgの第一リン酸塩である。リン酸塩100重量部に対し、コロイダルシリカの添加量が前記範囲より少ないと張力効果が小さくなり、耐食性、絶縁性、密着性、焼き付き性が低下する。逆に多すぎると、被膜にクラックが発生して耐食性が悪くなる。
本発明で用いる式(1)または式(2)の化合物の添加量が前記範囲より少ないと、フリーのリン酸の捕捉性が不十分であり、逆に多すぎると、リン酸捕捉性は頭打ちとなり、被膜張力を低下させる恐れがある。
本発明の絶縁被膜剤は、適当な濃度のコーティング処理液として準備し、これを電磁鋼板(無機質被膜付き)にロールコーター等の適当な塗布手段よって塗布し、これを連炉等の適当な炉によって100℃以上の温度、好ましくは150〜350℃で焼き付け処理する。
上記コーティング液の乾燥工程に続いて、N或いはN+Hの還元雰囲気で、750〜900℃で2〜120秒焼鈍することが好ましい。
本発明の絶縁被膜剤は、仕上げ焼鈍でフォルステライトが主成分のグラス被膜を形成した材料だけでなく、グラス被膜を取り除いた材料にも適用できる。
絶縁被膜の付着量は特に指定しないが、両面あたり好ましくは1〜15g/m(乾燥後)、特に好ましくは5〜10g/mである。
本発明の絶縁被膜剤は、前記成分以外に耐蝕性の改良として樹脂成分を添加することができる。樹脂としては、例えば、アクリル、アルキッド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、エポキシ、フェノール、ポリエステル、ウレタン、メラミン等の樹脂を挙げることができ、これらのサスペンションまたは水溶液として使用する。これら樹脂の添加量は、第一リン酸塩100重量部に対し、5〜50重量部である。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
[クロム代替物の製造]塩化ニッケルと硫酸第二鉄の混合水溶液(Ni2+=1.0M/L,Fe3+=0.4M/L)と水酸化ナトリウム水溶液(NaOH=4M/L)を、計量ポンプを用いそれぞれ、200ml/分、約140ml/分の流速でオーバーフロー付き容量2リットルの反応槽に攪拌下に供給し、pHをアルカリ水溶液の流量で調整しつつ約7.0に、温度を約40℃に保って共沈反応させた。得られた黄緑色沈殿を減圧ろ過後、0.5M/Lの炭酸ナトリウム水溶液で、ろ液がBaCl水溶液を添加して白濁しなくなるまで洗浄した。この後、水洗し、水に分散後、φ=0.1mmのZrOビーズと混合し、15時間ボールミルで湿式粉砕した。粉砕処理物をレーザー回析法で粒度分布を測定した結果、累積50%の平均2次粒子径が0.2μmであった。粉砕処理物の一部をろ過、乾燥し、X線回析を行った結果、d003=7.7Åのハイドロタルサイト類に属する結晶であることが判った。ICPで元素分析、AGK式法でCO、TG−DTAで結晶水をそれぞれ測定した結果、化学組成は次の通りであった。
Ni0.72Fe3+ 0.28(OH)(CO0.14・0.4H
実施例1において、混合金属水溶液を硫酸第一鉄と塩化第二鉄の混合水溶液(Fe2+=1.0M/L,Fe3+=0.4M/L)に、反応pHを8.5に、代えて用いる以外は同様に行った。得られた物の粒度分布は累積50%の平均2次粒子径が0.16μmであり、X線回析によりハイドロタルサイト類と同定され、そのd003は7.9Åであった。化学組成は次の通りであった。
Fe2+ 0.25Fe3+ 0.75(OH)(CO0.38・0.45H
1.0M/Lの炭酸ソーダ(NaCO)水溶液3.6リットル(約30℃)を10リットルの反応槽に入れ、ケミスターラーで攪拌下に、硫酸第二鉄水溶液(1.0M/L,約30℃)1リットルを加え反応させた。得られた沈殿をろ過、水洗後、水に分散させ、実施例1と同様に湿式粉砕した。この物の累積50%の平均2次粒子径は0.12μm、結晶構造はX線回析により無定形(非晶質)であり、化学組成は次の通りであった。
Fe3+(CO0.42(SO0.02(OH)2.12・aHO[但し、a=0.4〜0.8]
最終仕上げ焼鈍を行い、鋼板表面にフォルステライトを主成分とするグラス被膜を形成させた板厚0.23mmの高磁束密度方向性電磁鋼板コイルから巾150mm、長さ300mmの大きさに試験片を切り取り、水洗後850℃で4時間歪み取り焼鈍を行った。その後、2%HSO水溶液中で、85℃で15秒酸洗を行い、試験用板を準備した。この鋼板表面に、50%濃度第一リン酸アルミニウム50ml(固形分換算35g)(フリーのリン酸7%)と20%濃度コロイダルシリカ100ml(固形分換算23g)に8%濃度の本発明添加剤を表1に示す量(固形分換算)の割合で添加混合したスラリーを両面で9g/m(乾燥後)の割合で塗布し、乾N雰囲気炉中で、850℃で30秒間焼き付けし、絶縁被膜を成形させた。得られた電磁鋼板の評価結果を表1に示す。各性能評価法は以下の通りである。
<表面外観>目視および手触りで評価。
<耐蝕性>50℃、湿度98%の雰囲気で3日間保持し、表面の錆び発生面積率を目視で求め、耐蝕性を下記の判定基準にしたがって評価した。
<判定基準>◎:錆び発生率=0〜5%,○:錆び発生率=5〜20%,△:錆び発生率=20〜50%,×:錆び発生率=50%以上。
<耐剥離性>直径10〜70mmの円筒に巻きつけて、剥離が生じる時の最小円筒直径を剥離径として評価した。○:50mm以下,×:50mm超
[実施例5および6]
実施例4において、第一リン酸塩として第一リン酸マグネシウム[実施例5]、第一リン酸アルミニウと第一リン酸マグネシウムの混合物[実施例6]をそれぞれ用い、実施例1で得られたハイドルタルサイト類(HT)を用いた以外は、実施例4と同様に行った結果を表1に示す。
[比較例1および2]
実施例4において、添加剤としてクロム酸CrOを用いた場合(比較例1)と、添加剤を用いなかった場合(比較例2)の評価結果を表1に示す。表1から明らかな如く、本発明のハイドロタルサイト系またはFe3+の塩基性塩は、クロム化合物を添加した場合と同等以上の性能を示すことが判る。
Figure 2010059513

本発明に使用するNi−Fe−CO型ハイドロタルサイト類のX線回析図を示す。

Claims (5)

  1. 下記3成分全てを含有することを特徴とするクロムを含有しない電磁鋼板用絶縁被膜剤。
    [1]金属第一リン酸塩100重量部、
    [2]コロイダルシリカをSiO換算で35〜100重量部、
    [3]下記式(1)
    Figure 2010059513
    (但し、式中、M2+はFe,Ni,Co,Mnの少なくとも1種の2価金属、好ましくはFeおよび/またはNiを示し、M3+はFe,Co,Mnの少なくとも1種の3価金属、好ましくはFeを示し、An−はn価のアニオン、好ましくはOHおよび/またはCO 2−を示し、xとmはそれぞれ次の範囲、0<x<0.5、好ましくは0.2<x<0.4,0≦m<4)で表わされるM2+(OH)のM2+の一部をM3+置換した固溶体であるハイドロタルサイト類、および/または、下記式(2)
    Figure 2010059513
    (但し、式中、M3+は式(2)と同じ3価金属を示し、An−は1価または2価の陰イオンを示し、M3+およびAn−の最も好ましいのはそれぞれFe3+,CO 2−であり、zは次の範囲、0<z<2にある)で表わされる3価金属の塩基性塩を固形物換算で0.1〜50重量部。
  2. 請求項1の成分[3]の平均2次粒子径が0.5μm以下である請求項1記載の絶縁被膜剤。
  3. 請求項1の成分[3]のM3+がFeである請求項1記載の絶縁被膜剤。
  4. 請求項1の成分[3]が式(1)で表わされるハイドロタルサイト類である請求項1記載の絶縁被膜剤。
  5. 請求項4のハイドロタルサイト類が、下記式(3)
    Figure 2010059513
    (但し、式中、xとmはそれぞれ次の範囲、0.2<x<0.4,0<m<4にある)で表わされる特定組成のハイドロタルサイト類である請求項1の絶縁被膜剤。
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