JP2010048027A - 低温タンクの外壁に配置された複数の断熱パネル間に設けられた目地部の構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 低温タンク1には、その外壁1aを覆うように複数の断熱パネル10が並べられるとともに、各断熱パネル10の内層11の間に目地材12が設けられている。そうした目地材12について、厚さ方向と直交する面によって該目地材12が複数区画に分割され、分割された該目地材12間に間仕切り材13が設けられる。また、分割された前記目地材12のそれぞれについて、修正レーレー数が対流発生の臨界値を超えないように、該目地材12の厚さおよびガス透過係数が設定される。
【選択図】 図3
Description
特に、極端に厚くなって容積が増大した目地材においては、ガスの流動性が極端に高まる結果、ついには目地材内部での対流を無視できなくなる。対流が発生すると対流伝熱による低温タンクへの入熱増加のため、断熱パネル等の厚みを増すにもかかわらず、期待した断熱性能を得られない可能性がある。
また特許文献2には、合成樹脂製の二重壁構造体の中に、ガスを封入したアルミ蒸着フィルムの袋体を挿入した構成の断熱板が記載されている。袋体の内部には、対流防止用の多層ひだが形成されている。
この発明によれば、従来の目地材と同程度のガス透過係数を有する目地材を使用しながらも目地材における対流発生を効果的に防止することが可能になる。
ガス透過係数がゼロの目地材には限定されず、または従来と同様のものであってもよいとなると、目地材の選択肢は大幅に広がる。また柔軟性を有するうえに低反発であるものからも目地材を採用できることになり、断熱パネルの取付け位置の調整を含む施工作業を容易にすることも可能になる。こういった点は、特許文献1の技術とは顕著に相違する。
厚さ方向と交差する面によって目地材を分割し、その分割面に上記のような間仕切り材を設けると、前述のように断熱パネルとともに目地材を厚くした場合であっても、目地材における対流の発生が効果的に防止される。ガスを透過させにくい間仕切り材によって目地材が分断されると、ガスの移動し得る範囲が厚さ方向すなわち入熱方向に仕切られてせまくなり、対流が生じにくくなるからである。そのため、この対流防止策を施した目地部の構造では断熱性能が高く、断熱パネルの厚さを増した場合に当該性能が期待どおりに高められる。ガス透過係数が小さい等の特殊な目地材を使用する必要がないので、使用可能な目地材の選択肢は広く、したがって断熱パネルの施工作業を行いやすくすることも容易である。
修正レーレー数は、材料におけるガス透過係数やその材料の寸法、高温側・低温側間の温度差、内部にあるガスの体膨張率、動粘性係数、温度拡散率によって決まる無次元数で、自然対流の発生しやすさを示すと言われている。発明者らは、各区画において修正レーレー数が対流発生の臨界値を超えないように目地材の分割区画の寸法を定めることにより、対流の発生が防止できることを確認した。すなわち、修正レーレー数を指標とすることにより、分割数を最少にして、低コストで効果的に対流発生を防止することが可能になる。
低反発フォームであるEPDM系半連続発泡体またはポリエーテル系軟質ウレタンは、柔軟性があるうえに低反発で、圧縮変形したのちは時間をかけて復元する性質を有している。そのため、それらを目地材として使用すると、断熱パネルの間の隙間を適切になくせるうえ、施工時の断熱パネルの取付け位置調整が容易であり、またタンク使用時の温度変化にともなう断熱パネルの寸法変化にも支障が生じない。
間仕切り材として上記樹脂等の材料を使用すると、目地材の内部でのガスの移動範囲が仕切られてせまくなり、対流の発生が効果的に防止される。
低温側では、ガス密度が高いために対流が強くなりがちである。そのため、上記のように高温側よりも区画の厚さを薄くして、対流防止の効果が高くなるようにしておくのが好ましい。また高温側においては、低温側よりも各区画を厚くして分割数を少なくすることにより、間仕切り材の接合等に必要なコストを低減することができる。
一体の低温タンクでは、目地材が網のようにつながっているため、一部で発生した対流が他の部分の目地材にも伝わって、タンクの全体に及ぶ大循環が形成され、断熱性能が大幅に低下してしまう恐れがある。そのような大循環の対流を防止するためには、当該タンクに設けられた目地材のすべてについて本発明による対流防止策を施すのがよい。
大循環の対流を防止するためには、そのように一部の目地材のみに本発明による対流防止策を施すこととしても効果がある。たとえば、低温タンクの鉛直下方部分は大循環の対流の起点となりやすいので、そこに対流防止策を施すと、一部の目地材のみに処置することによってタンク全体の対流防止をはかり、断熱性能を確保することが可能である。一部の目地材のみに対流防止策を施すなら、全体に実施するよりもコストや工期の面で大幅に有利である。
なお、低温タンクにおける鉛直下方部分は、その鉛直上方の位置にタンク本体の低温の壁面があり、それより鉛直下方を厚さ方向として目地材が存在する。そのため、上方のガスが下方へ移動する力が強く、したがって、とくに球形または水平円筒形のタンクにおいて大循環の対流の起点になりやすい。このように起点になりやすい部分に対流防止策を施しておくと、大循環の対流を効果的に防止して、高い断熱性能を発揮させることができる。
そのようにすれば、目地材における対流の発生を確実に防止することができる。また、ガス透過係数を必要以上に低く設定して柔軟性の乏しい目地材を使用せざるを得なくなったり、目地材に過剰なコストを投じたりすることが避けられる。
低反発フォームであるEPDM系半連続発泡体またはポリエーテル系軟質ウレタンは、前述のように柔軟性があるうえ低反発で、圧縮変形したのち時間をかけて復元する性質を有している。そのため、それらを目地材とすると、断熱パネルの間の隙間をなくすうえでも、施工時に断熱パネルの取付け位置調整をするうえでも、またタンク使用時に断熱パネルが支障なく寸法変化するうえでも好都合である。ガス透過係数が2×10−10[m2]以下の上記材料は、同係数がゼロのものに限るのでなければ格別稀少なわけではないため、適切なものを容易に選定できる。
上記のようなガス透過係数の小さい目地材を使用すると、ほかに特別な対流防止策を施さなくとも、多くのケースにおいて目地材での対流を防止することができる。つまり、目地材の厚さや厚さ方向の温度差がある程度(たとえば厚さが400mm、温度差230℃)以下である場合には、目地材を分割等しなくとも、対流を防止して高い断熱性能を得ることができる。
一般に、断熱性能を高くするために断熱パネル等の厚さを増す場合、目地部中に対流が生じやすくなり、それをカバーするため断熱厚さをさらに増す場合がある。発明の構造によると、対流防止策をとらない場合に比べて断熱厚さを大幅に減らすことができる。したがって、材料費を低減できるほか、低温タンクの総重量を低減でき、またはその分だけタンクの容量を大きくすることが可能となるなど、種々の面でメリットがもたらされる。
目地材の厚さ方向と直交する面によって該目地材が複数区画に分割され、分割された該目地材間に間仕切り材が設けられるので、目地材をガス透過係数の小さいもののみに限定して使用する必要もなくなる。そしてやはり、断熱パネルとともに目地材を厚くする場合にも、目地材における対流の発生が効果的に防止されて断熱性能を高くすることができる。
目地材12として:
a) 低反発フォームであるEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンモノマー)系半連続発泡体。たとえば、OP−131(三和化工)。
b) ポリエーテル系軟質ウレタン低反発フォーム。たとえば806EA(クラボウ)。
間仕切り材13として:
1) ポリイミドテープ(片面または両面の粘着テープ)。たとえば、カプトン(登録商標、東レ・デュポン)。
2) フッ素樹脂テープ(片面または両面の粘着テープ)。たとえば、ポリテトラフルオロエチレンすなわちテフロン(登録商標、デュポン)。
3) その他の両面粘着テープ。たとえば、不織布または和紙に接着剤を付けたもの。
4) 間仕切り材13としては、上記のようにフィルム状のものでなく、目地材12よりもガス透過係数の小さい別の目地材用材料(たとえば上記a)またはb)の材料)にてなる間仕切り材14を、図2のように使用することも可能である。
図6のように温度の異なる垂直壁にはさまれた多孔質体の内部の対流の場合、ダルシーの法則の成立する範囲でつぎの簡易計算式が成り立つ。
Nu=0.313R1/2(R>Rcr=10)…(ヌセルト数)
R=(gβΔθs3/νa)(k/sL)…(修正レーレー数)
g :重力加速度
β:体膨張率
ν:動粘性係数
a :温度拡散率
k :ガス透過係数
(出典:伝熱工学資料 改訂第4版(221p)、日本機械学会)
Nu=1(R=10)となる条件が対流発生限界(臨界値)となり、計算上、Nu<1(R<Rcr=10)となる条件では対流の存在可能範囲から外れることになる。
上記の目地材を表1にしたがって区画S1・S2・S3に3分割する(および各分割面に間仕切り材を入れる)場合には、修正レーレー数Rおよびヌセルト数Nuが上記の臨界値以下となり、対流が発生しないこととなる。
たとえば、高さ700mm・幅(厚さ)400mmの目地材(温度差230℃)で、ガス透過係数がk=2×10-10(m2)と小さめである場合を計算すると、
R=7.03, Nu=0.8299
となり、対流なしと判定される。ガス透過係数がこの値より小さい材料ならば、Nu<1の条件が確保されるので、対流防止できることになる。その場合、目地材の条件が定まれば、対流防止に有効な最大ガス透過係数(臨界値)が逆算できる。
球形タンクの底部のように、上が低温で下が高温の場合は、
R=(gβΔθL3/νa)(k/L2)
で、臨界値は
Rcr=4π2=39.5
となる。(出典:熱物性ハンドブック(178p))
R=307.58
となって対流の発生が避けられない。
そこで、そのような目地材を図9および表3のようにL1〜L5に5分割して間仕切り材を入れることにすると、修正レーレー数Rが上記臨界値を下回り、対流発生が回避される。
目地材の温度差が水平方向に200℃(-163℃〜37℃)、断熱パネル間の目地材の長さ(鉛直方向)が900mmであるとして、ガス透過係数kが5×10-8(m2)の従来型の目地材を使用する場合、
分割の必要がない最大厚さは、 概ね133mm
2分割ですむ最大厚さは、 概ね300mm
2分割にする場合の推奨比率は、 低温側3:高温側7
(修正レーレー数Rを同じにする場合)
である。
また、目地材の温度差が水平方向に230℃(-193℃〜37℃)、断熱パネル間の目地材の長さ(鉛直方向)が900mmである場合には、
分割の必要がない最大厚さは、 概ね100mm
2分割ですむ最大厚さは、 概ね200mm
2分割にする場合の推奨比率は、 低温側23.5:高温側76.5
となる。
1a 外壁
10 断熱パネル
11 内層
21 外層
12 目地材
13 間仕切り材
S1・S2・S3… 区画
Claims (9)
- 低温タンクの外壁に配置された複数の断熱パネル間に設けられた目地部の構造であって、目地材の厚さ方向と直交する面によって該目地材が複数区画に分割され、分割された該目地材間に間仕切り材が設けられたことを特徴とする目地部の構造
- 複数区画に分割された前記目地材のそれぞれについて、修正レーレー数が対流発生の臨界値を超えないように、該目地材の厚さおよびガス透過係数の上限が設定されたことを特徴とする請求項1に記載の目地部の構造
- 前記目地材が、低反発フォームであるEPDM系半連続発泡体またはポリエーテル系軟質ウレタンであり、前記間仕切り材が、ガス遮断性を有する樹脂、金属箔、不織布、または和紙のうちいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の目地部の構造
- 前記間仕切り材の片面または両面に粘着剤を有することを特徴とする請求項3に記載の目地部の構造
- 複数区画に分割された前記目地材のそれぞれの厚さが、低温側の区画であるほど高温側よりも薄くなっていることを特徴とする請求項1乃至4に記載の目地部の構造
- 請求項1乃至5に記載の目地部の構造が、低温タンクに設けられた全ての目地部に施されていることを特徴とする目地部の構造
- 請求項1乃至5に記載の目地部の構造が、低温タンクの鉛直下方部分に設けられた目地部のみに施されていることを特徴とする目地部の構造
- 低温タンクの外壁に配置された複数の断熱パネル間に設けられた目地部の設計方法であって、目地材における修正レーレー数が対流発生の臨界値を超えないように、該目地材の厚さおよびガス透過係数の上限を設定することを特徴とする目地部の設計方法
- 低温タンクの外壁に配置された複数の断熱パネル間に設けられた目地部の構造であって、該目地材にガス透過係数が2×10-10[m2]以下の低反発フォームであるEPDM系半連続発泡体またはポリエーテル系軟質ウレタンが使用されていることを特徴とする目地部の構造
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