以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
(1−1)光ディスクの構成
まず、第1の実施の形態における情報の再生に関する原理について説明する。第1の実施の形態では、光ディスク100の一様でなる記録層101の内部に立体的な形状を有する記録マークRMが形成されているようになされている。
実際上光ディスク100は、図3(A)に外観図を示すように、全体として略円板状に構成され、中心にチャッキング用の孔100Hが設けられている。
また光ディスク100は、図3(B)に断面図を示すように、情報を記録するための記録層101の両面を基板102及び103により挟んだ構成を有している。
光ディスク100は、記録層101において螺旋状に連なって記録マークRMが形成されることにより、螺旋状のトラックTRを形成している。このトラックTRは、記録層101において基板102から一定の距離離隔した同一平面内に形成されることにより、マーク層Yを形成している。
また光ディスク100は、記録層101の内部にマーク層Yが複数形成されている。なお図3(B)では、4層のマーク層Yが形成されている様子を示している。
図4に示すように、記録マークRMは微少なホログラムでなる。図5(A)に示すように、記録マークRMは、一の光源から出射された波長が405[nm]でなる記録光ビームLWが記録光ビームLW1及びLW2の2つに分離されると共に、当該分離された2つの記録光ビームLW1及びLW2を、対物レンズOL1及びOL2を介して互いに反対側(すなわち基板102及び103側)から照射して干渉させることにより記録されている。
因みに光ディスク100では、2値化された記録データのうち「1」に対して記録マークRMが形成され、「0」に対して記録マークが形成されないように割り当てられることにより、情報が記録されている。
一方図5(B)に示すように光ディスク100は、記録マークRMに対して例えば基板102側から405[nm]でなる読出光ビームLRが対物レンズOLを介して照射されると、記録時において基板103側から照射された読出光ビームLRを再現し、基板102から出射する戻り光ビームLRrを発生させる。
このとき光ディスク装置1は、例えば記録マークRMが形成されていれば符号「1」に、当該記録マークRMが形成されていなければ符号「0」に割り当てることにより、記録されている情報を再生することができる。
このように光ディスク100では、記録層101の内部に記録マークRMが螺旋状に連なって形成されることによりトラックTRが形成されると共に、当該トラックTRが一面に形成されることによりマーク層Yが形成されている。
(1−2)プルイン信号が櫛形となる原因
本願発明人は、シミュレーションにより、光ディスク100に対して読出光ビームLRを照射したときにプルイン信号SPIが図2(A)に示したような櫛形となる原因を考察した。
本シミュレーションでは、図6(A)に示すように、1つの読出光ビームLRによる1つのスポットPのみが記録層101に形成され、当該読出光ビームLRによる戻り光ビームLRrが生成される。
本シミュレーションにおいて、戻り光ビームLRrは、図7に示すように、非点収差を付加された上で4つの検出領域FDa、FDb、FDc及びFDdを有する光検出器FDによって受光される。光検出器FDは、検出領域FDa〜FDdにより戻り光ビームLRrの一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号URa、URb、URc及びURd(以下、これらをまとめて検出信号URa〜URdとする)をそれぞれ生成する。
そして本シミュレーションでは、検出信号URa〜URdから次式に従って和信号を生成すると共に、当該和信号に対してLPF(Low Pass Filter)処理を施すことによりプルイン信号SPIを生成した。
また本シミュレーションでは、非点収差法により次式に従ってフォーカスエラー信号SFEを生成した。
ここで図6(A)に示すように、トラックTRの中心に対して読出光ビームLRのスポットPの中心が位置するときをオントラックと呼ぶ。
オントラック時において、記録マークRMから発生する戻り光ビームLRrが対物レンズOLによって受光されるときの光強度分布(以下、これを瞳上光強度分布DLと呼ぶ)を図6(B)に示している。なお本シミュレーションでは、光強度分布を表す各図において最も光強度が大きい部分を基準に光強度を濃淡で示しており、本光強度が大きい部分を濃く、光強度が小さい部分を薄く表している。図からわかるように戻り光ビームLRrは、中心部分でその光強度が比較的大きく、周縁部分において光強度の比較的小さくなっている。
なお本シミュレーションにおいて、読出光ビームLRの波長λは405[nm]、対物レンズOLの開口数NA(Numerical Aperture)は0.51、トラックTRの間隔(以下、これをトラックピッチTPと呼ぶ)は1.1[μm]、光強度分布における解像度が128×128とした。
図8に、オントラック時において対物レンズOLをフォーカス方向の移動させた場合に生成されるフォーカスエラー信号SFEを示している。なお横軸は時間軸であり、0から200までの間に対物レンズOLが25[μm]移動したことを表している。また縦軸は信号レベルを表している。以下のグラフについても同様である。
図8からわかるように、オントラック時においてフォーカスエラー信号SFEは振幅の大きいS字カーブを描いており、マーク層Yとの合焦点となるゼロクロス点ZC近傍の傾きが急峻となっている。因みにフォーカスエラー信号SFEにおいて極大点MxF及び極小点MnF間は約5.75[μm]であった。
図9に、オントラック時において対物レンズOLをフォーカス方向の移動させた場合に生成されるプルイン信号SPIを示している。図からわかるように、オントラック時においてプルイン信号SPIはマーク層Yとの合焦点となる極大点MxIの信号レベルが非常に大きくなっている。
図10に、オントラック時において光検出器FD上で受光される戻り光ビームLRのスポット(以下、これを戻り光スポットQと呼ぶ)における光強度分布を示している。なお図10(A)及び(C)は、フォーカスエラー信号SFE(図8)が極大点MxF及び極小点MxFになるときの戻り光スポットQをそれぞれ示しており、図10(B)は、読出光ビームLRがマーク層Yに合焦したときの戻り光スポットQを示している。
いずれの戻り光スポットQにおいても、その中心部分において光強度が大きく、周縁部分において光強度が小さくなっており、光強度の大きい部分がその中心に集約されている。なお非点収差を付加しているため、読出光ビームLRがマーク層Yに合焦していない図10(A)及び(C)においてはその形状が約45°傾いた楕円状を呈している。
これに対して図11(A)に示すように、トラックTRの中心に対して読出光ビームLRのスポットPの中心が約0.31[μm]ずれてデトラックしているときの瞳上光強度分布DLを図11(B)に示している。
図からわかるように、オントラック時(図6(B))と比較して、中心部分の光強度が小さく、光強度の大きい部分が外側に移動している。なお上述したように図11(A)において光強度の最も大きい部分を基準に光強度分布を濃淡で示しているため図には表われていないが、デトラック時(0.31[μm])における戻り光ビームLRrとしての全体の光量はオントラック時と比較して小さくなっている。
図12に、デトラック時(0.31[μm])において対物レンズOLをフォーカス方向の移動させた場合に生成されるフォーカスエラー信号SFEを示している。図からわかるように、フォーカスエラー信号SFEの振幅がオントラック時と比較して大幅に小さくなっており、極大点MxF及び極小点MnF間が約10[μm]と大きくなっていた。
すなわちフォーカスエラー信号SFEは、デトラック時(0.31[μm])において、大幅に感度が鈍くなっていることがわかる。
図13に、デトラック時(0.31[μm])において対物レンズOLをフォーカス方向の移動させた場合に生成されるプルイン信号SPIを示している。図からわかるように、プルイン信号SPIの信号レベルは、極大点MxIとなるべきマーク層Yとの合焦点(横軸目盛り100付近)において合焦してないデフォーカス時と比較して落ち込んでしまっている。
読出光ビームLRがマーク層Yからデフォーカスしているとき、当該読出光ビームLRはその光径が大きい状態で、かつ目標トラックTGからデトラックした状態で照射される。このため読出光ビームLRは、その周縁部分が記録マークRMに照射されることになり、ある程度の光量で戻り光ビームLRrが受光されることになる。
これに対して読出光ビームLRが目標マーク層YGに合焦しているとき、当該読出光ビームLRはその光径が小さい状態で、目標トラックTGからデトラックした状態で照射される。このため読出光ビームLRは、記録マークRMに殆ど照射されず、戻り光ビームLRrの光量がデフォーカスしている時よりも小さくなってしまう。
図14に、デトラック時(0.31[μm])において光検出器FD上で受光される戻り光スポットQにおける光強度分布を示している。なお図14(A)及び(C)は、フォーカスエラー信号SFE(図12)が極大点MxF及び極小点MxFになるときの戻り光スポットQをそれぞれ示しており、図14(B)は、読出光ビームLRがマーク層Yに合焦したときの戻り光スポットQを示している。
図からわかるように、オントラック時(図6(B))と比較して、戻り光スポットQの形状が崩れ、外側に大きく広がってしまっていることがわかる。
また図15(A)に示すように、トラックTRの中心に対して読出光ビームLRのスポットPの中心が約0.55[μm]ずれてデトラックしているときの瞳上光強度分布DLを図15(B)に示している。なおトラックピッチTPが1.1[μm]でなることから、図15(A)では1/2トラックだけデトラックしていることになる。
図からわかるように、戻り光ビームLRrは、その中心部分において若干光強度の大きい部分がみられるものの、中心部分以外の光強度が極めて弱く、全体的に非常に小さい広量でなることがわかる。
図16に、デトラック時(0.55[μm])において対物レンズOLをフォーカス方向の移動させた場合に生成されるフォーカスエラー信号SFEを示している。図からわかるように、フォーカスエラー信号SFEにおける極大点MxF及び極小点MnF間が約12.75[μm]と、デトラック時(0.31[μm]、図12)と比較してさらに広がっており、感度がさらに鈍くなっていることがわかる。
図17に、デトラック時(0.55[μm])において対物レンズOLをフォーカス方向の移動させた場合に生成されるプルイン信号SPIを示している。図からわかるように、極大点MxIとなるべきマーク層Yとの合焦点(横軸目盛り100付近)におけるプルイン信号SPIの信号レベルの落ち込みがデトラック時(0.31[μm]、図13)と比較してさらに大きくなってしまっている。
図18に、デトラック時(0.55[μm])において光検出器FD上で受光される戻り光スポットQにおける光強度分布を示している。なお図18(A)及び(C)は、フォーカスエラー信号SFE(図16)が極大点MxF及び極小点MxFになるときの戻り光スポットQをそれぞれ示しており、図18(B)は、読出光ビームLRがマーク層Yに合焦したときの戻り光スポットQを示している。
図からわかるように、デトラック時(0.31[μm]、図14)と比較して、戻り光スポットQの形状がさらに崩れ、外側に大きく広がってしまっていることがわかる。
図19(A)及び図20(A)に、読出光ビームLRのスポットPの中心がオントラックから0.1375[μm]ずつデトラックした場合に得られるフォーカスエラー信号SFE及びプルイン信号SPIをそれぞれ示している。
図19(A)に示すように、フォーカスエラー信号SFEは、曲線F1が示すオントラック時と曲線F5が示すデトラック時(0.55[μm])とにおける振幅の差が非常に大きく、また合焦点となるゼロクロス点ZC近傍における傾きのばらつきが非常に大きいことがわかる。
すなわちフォーカスエラー信号SFEでは、オントラック時及びデトラック時において異なる信号レベルを示すことになってしまう。
また図20(A)に示すように、プルイン信号SPIは、曲線I1が示すオントラック時と曲線I5が示すデトラック時(0.55[μm])とにおける振幅の差が非常に大きく、特に合焦点近傍では、その信号レベルが全く異なってしまっている。
ここで一般的に、光ディスク100は最大で約50[μm]程度の偏心を有している。すなわちトラックピッチTPを約1.1[μm]とした場合、同一位置に読出光ビームLRを照射すると、光ディスク100の1回転につき約90回トラックTRを横切ることになってしまう。
例えば所望のマーク層Yに対してフォーカス制御を開始するフォーカス引込処理において、光ディスク装置1は、対物レンズ16を移動させることなく読出光ビームLRを照射する。この結果読出光ビームLRは、オントラックとデトラックとを一定の周期で繰り返し、図2に示したような櫛形のプルイン信号SPI及び波形の大きく崩れたフォーカスエラー信号SFEが生成されることになる。
このように、一様でなる記録層101に記録マークRMを記録する光ディスク100では、読出光ビームLRを反射する信号記録面を有さないため、当該読出光ビームLRのオントラック時又はデトラック時で戻り光ビームLRrの光量が大きく変動する。このため本来目標マーク層YGと読出光ビームLRの焦点との距離を表すべきフォーカスエラー信号SFE及びプルイン信号SPIの信号レベルがオントラック時又はデトラック時で変動してしまう。
この結果、読出光ビームLRを同一位置に照射するような処理(すなわちトラッキング制御を開始する前段階における処理)の際、光ディスク100の偏心を起因として読出光ビームLRがトラックTRを横切ると、これに応じてフォーカスエラー信号SFE及びプルイン信号SPIの信号レベルが大きく変動するのである。
(1−3)光ディスク装置の構成
図21に示すように、光ディスク装置1は、制御部2を中心に構成されている。制御部2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
制御部2は、光ディスク100から情報を再生する場合、駆動制御部3を介してスピンドルモータ5を回転駆動させ、所定のターンテーブルに載置された光ディスク100を所望の速度で回転させる。
また制御部2は、図示しない外部機器から供給される再生アドレス情報に基づき、駆動制御部3を介してスレッドモータ6を駆動させることにより、光ピックアップ10を移動軸6A及び6Bに沿ってトラッキング方向、すなわち光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向へ大きく移動させるようになされている。
光ピックアップ10は、対物レンズ16等の複数の光学部品が取り付けられており、制御部2の制御に基づいて光ディスク100における再生アドレス情報が示すマーク層Y(以下、これを目標マーク層YGと呼ぶ)のトラックTR(以下、これを目標トラックTGと呼ぶ)に対し、読出光ビームLRを照射し、戻り光ビームLRrを検出するようになされている。
信号処理部4は、光ピックアップ10から供給される検出信号に対し所定の演算処理、復調処理及び復号化処理等を施すことにより、目標トラックTGに記録マークRMとして記録されている情報を再生し得るようになされている。
また光ピックアップ10のアクチュエータ17は、検出信号から算出されるフォーカスエラー信号SFE及びトラッキングエラー信号STEに基づいて対物レンズ16のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い、当該対物レンズ16により集光される読出光ビームLRの焦点の位置を調整するようになされている。
(1−4)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ10の構成について説明する。図22に示すように、光ピックアップ10のレーザダイオード11は、波長約405[nm]の青色レーザ光でなる読出光ビームLRを出射し、コリメータレンズ12へ入射させる。実際上レーザダイオード11は、制御部2(図21)の制御に基づき情報の読出に応じた所定の光量の読出光ビームLRを出射する。コリメータレンズ12は、読出光ビームLRを発散光から平行光に変換し、グレーティング13へ入射させる。
グレーティング13は、読出光ビームLRをメインビームMB及び2つのサブビームSBに分離し、これらを読出光ビームLRとして偏光ビームスプリッタ14へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ14は、入射される光ビームの偏光方向により読出光ビームLRを透過して1/4波長板15へ入射させる。1/4波長板15は、読出光ビームLRをそれぞれP偏光から円偏光に変換して対物レンズ16へ入射させる。
対物レンズ16は、読出光ビームLRを集光し、光ディスク100の記録層101における目標トラックTG及びその近傍に照射する。このとき対物レンズ16は、メインビームMBと2つのサブビームSBとを別々の集光点に集光し、メインビームMBを目標トラックTGに照射し、サブビームSBを当該目標トラックTGの近傍に照射する。この結果メインビームMBによるメインスポットMP及びサブビームSBによる2つのサブビームスポットSPが目標マーク層Yにおける異なる箇所にそれぞれ形成されることになる(詳しくは後述する)。
ここで記録層101は、目標トラックTG及びその近傍に記録マークRMが形成されている場合には、戻り光ビームLRrを生成することになる。一方記録層101は、目標トラックTG及びその近傍に記録マークRMが形成されていない場合には、読出光ビームLRをほぼ透過させ、戻り光ビームLRrを殆ど生成しないことになる。
戻り光ビームLRrは、元の読出光ビームLRの光路を反対方向へ進行する。すなわち戻り光ビームLRrは、対物レンズ16により平行光へ変換され、1/4波長板15によってS偏光へ変換された後、偏光ビームスプリッタ14へ入射される。
偏光ビームスプリッタ14は、S偏光でなる戻り光ビームLRrを反射透過面14Sによって反射し、マルチレンズ19へ入射させる。マルチレンズ19は、戻り光ビームLRrを集光すると共に非点収差を付加し、フォトディテクタ20へ照射させる。
ここで読出光ビームLRがメインビームMB及び2つのサブビームSBでなることから、戻り光ビームLRrとしてメイン戻り光ビームMBr及び2つのサブ戻り光ビームSBrが生成されることになる。
図22に示すように、フォトディテクタ20は、メイン戻り光ビームMBrを受光するためのメインスポット検出器21と、サブ戻り光ビームSBrを受光するためのサブスポット検出器22及び23とから構成されている。
メインスポット検出器21は、メイン戻り光ビームMBrを受光するための検出領域21A、21B、21C及び21D(以下、これらをまとめて検出領域21A〜21Dとする)が設けられている。
メインスポット検出器21は、検出領域21A〜21Dによりメイン戻り光ビームMBrの一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号UMa、UMb、UMc及びUMd(以下、これらをまとめて検出信号UMa〜UMdとする)をそれぞれ生成して、これらを信号処理部4(図21)へ送出する。
サブスポット検出器22は、サブ戻り光ビームSBrを受光するための検出領域22A、22B、22C及び22D(以下、これらをまとめて検出領域22A〜22Dとする)が設けられている。
サブスポット検出器22は、検出領域22A〜22Dによりサブ戻り光ビームSBrの一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号US1a、US1b、US1c及びUS1d(以下、これらをまとめて検出信号US1a〜US1dとする)をそれぞれ生成して、これらを信号処理部4(図21)へ送出する。
サブスポット検出器23は、サブスポット検出器23と同様にサブ戻り光ビームSBrを受光するための検出領域23A、23B、23C及び23D(以下、これらをまとめて検出領域23A〜23Dとする)が設けられている。
サブスポット検出器23は、検出領域23A〜23Dによりサブ戻り光ビームSBrの一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号US2a、US2b、US2c及びUS2d(以下、これらをまとめて検出信号US2a〜US2dとする)をそれぞれ生成して、これらを信号処理部4(図21)へ送出するようになされている。
(1−5)サーボ制御信号の生成
上述したように、光ディスク装置1の光ピックアップ10(図22(A))は、読出光ビームLRをメインビームMBと2つのサブビームSBに分離して光ディスク100に照射する。
このとき光ピックアップ10は、グレーティング13の配置により、メインビームMBによるメインスポットMPとサブビームによるサブスポットSPとがトラックピッチTPの1/2だけラジアル方向に離隔させた状態で読出光ビームLRを照射するようになされている。因みにサブスポットSPのスポット径は、メインスポットMPとほぼ同一でなる。
これにより例えば図23(A)に示すように、サブスポットSPがトラックTRに位置しないときには、メインスポットMPがトラックTRに位置することになる。一方、図23(B)に示すように、メインスポットMPがトラックTRに位置しないときには、サブスポットSPがトラックTRに位置することになる。
すなわち光ディスク装置1では、メインビームMB及びサブビームSBのうち、少なくとも一方をトラックTRに対して確実に照射することができる。
そこで本実施の形態の光ディスク装置1では、メインビームMBによるメイン戻り光ビームMBrとサブビームSBによるサブ戻り光ビームSPrとに基づいて補正フォーカスエラー信号SFEc及び補正プルイン信号SPIcを生成する。
具体的に光ディスク装置1の信号処理部4(図21)は、フォトディテクタ20から検出信号UMa〜UMd、US1a〜US1d並びにUS2a〜US2d供給されると、次式に従って補正フォーカスエラー信号SFEcを生成する。
なおkはメインビームMBとサブビームSBの光量の差を補正するための係数であり、メインビームMBによる検出信号UMa〜UMdに対して2つのサブビームSBによる検出信号US1a〜US1d及びUS2a〜US2dの信号レベルが約1/2となるような値に選定される。例えばサブビームSBがメインビームMBの約1/10の光量で照射される場合には、k=約5となる。
ここでメインビームMBの中心がトラックTRの中心に照射されたときをオントラックとし、当該メインビームMBをそれぞれ0.275[μm]及び0.4125[μm]だけデトラックさせたときの補正フォーカスエラー信号SFEcを、マーク層Yからの距離の関係として図19(B)に示している。
図からわかるように、補正フォーカスエラー信号SFEcでは、メインビームMBがオントラックしたとき(曲線Fc1)とデトラックしたとき(曲線Fc3及びFc4)の極大点MxF及び極小点MnFの信号レベルの差異及びゼロクロス点ZC近傍における傾きの差異が、フォーカスエラー信号SFE(図19(A))と比して小さくなっている。
なお補正フォーカスエラー信号SFEcでは、メインビームMBとサブビームSBの双方がトラックピッチTPの1/4(0.275[μm])だけデトラックする曲線Fc3において、曲線Fc1に対する信号レベルの変動が最も大きくなっている。
言い換えると補正フォーカスエラー信号SFEcは、マーク層Yからの距離に応じた信号レベルを示しており、メインビームMBのトラックTRに対する位置に応じて信号レベルが殆ど変動しない。
この結果光ディスク装置1では、ラジアル方向の位置を固定して対物レンズ16をフォーカス方向に移動させる際、図24(B)に示すように、通常のフォーカスエラー信号SFE(図24(A))と比較して波形の整った補正フォーカスエラー信号SFEcを生成することができる。
また信号処理部4は、次式に従って補正プルイン信号SPIcを生成する。
ここでメインビームMBの中心がトラックTRの中心に照射されたときをオントラックとし、当該メインビームMBをそれぞれ0.275[μm]及び0.4125[μm]だけデトラックさせたときの補正プルイン信号SPIcを、マーク層Yからの距離の関係として図20(B)に示している。
図からわかるように、補正フォーカスエラー信号SFEcでは、メインビームMBがオントラックしたとき(曲線Ic1)とデトラックしたとき(曲線Ic3及びIc4)の極大点MxFの信号レベルの差異は、プルイン信号SPI(図20(A))と比して大幅に小さくなっている。
なお補正プルイン信号SPIcでは、メインビームMBとサブビームSBの双方がトラックピッチTPの1/4(0.275[μm])だけデトラックする曲線Ic3において、曲線Fc1に対する信号レベルの変動が最も大きくなっている。
言い換えると補正プルイン信号SFEcは、マーク層Yからの距離に応じた信号レベルを示しており、メインビームMBのトラックTRに対する位置に応じた信号レベルの変動がプルイン信号SPIと比して小さくなっている。
この結果光ディスク装置1では、ラジアル方向の位置を固定して対物レンズ16をフォーカス方向に移動させる際、図25(B)に示すように、通常のプルイン信号SPI(図25(A))と比較して波形の整った補正プルイン信号SPIcを生成することができる。
これにより光ディスク装置1は、トラックTRに対して照射された戻り光ビームLRrに基づいてマーク層Yからの距離に応じた信号レベルでなる補正フォーカスエラー信号SFEc及び補正プルイン信号SPIcを生成し得るようになされている。
また光ディスク装置1の信号処理部4(図21)は、次式に従ってメインプルイン信号SPImを生成する。このメインプルイン信号SPImは、メインビームMBに基づいて生成されることから、従来の光ディスク装置において生成されるプルイン信号SPIに相当するものとなる。
さらに信号処理部4は、次式に従ってトラッキングエラー信号STEを生成する。なお光ディスク装置1では、ラジアル方向に1/2トラックピッチTPだけサブスポットSPをメインスポットMPから離隔させるため、DPP(Differential Push Pull)法に従ってトラッキングエラー信号STEを生成する。
また信号処理部4は、次式に従って再生信号SRFを生成する。
このように光ディスク装置1では、ラジアル方向においてメインビームMBの照射されない領域にサブビームSBを照射させることにより、メインビームMB又はサブビームSBの少なくともいずれか一方がトラックTRに対して照射されるようにする。そして光ディスク装置1は、メインビームMB及びサブビームSBを加算することにより、常にトラックTRに対して照射された戻り光ビームLRrに基づいて、読出光ビームLRのトラックTRに対する位置に応じた信号レベルの変動の小さい補正フォーカスエラー信号SFEc及び補正プルイン信号SPIcを生成することができる。
この結果光ディスク装置1では、読出光ビームLRの焦点からマーク層Yまでの距離を表す信号として補正フォーカスエラー信号SFEc及び補正プルイン信号SPIcを生成し得るようになされている。
(1−6)サーボ処理部の構成
図26に示すように、駆動制御部3のサーボ処理部30は、サーボ制御部31によって全体を制御している。このサーボ制御部31は、詳しくは後述するが、信号処理部4から供給される補正フォーカスエラー信号SFEc、補正プルイン信号SPIc、メインプルイン信号SPIm及びトラッキングエラー信号STEを基に層数カウント処理、フォーカス引込処理及びトラッキング引込処理を実行するようになされている。
またサーボ処理部30では、補正プルイン信号SPIc、補正フォーカスエラー信号SFEc及びトラッキングエラー信号STEを基にフォーカス駆動電流DFE及びトラッキング駆動電流DTEを生成し、アクチュエータ17に供給する。
具体的にサーボ処理部30は、FEゲイン調整部32、位相補償部34及びスイッチ35からなるフォーカスループ回路と、TEゲイン調整部42、位相補償部44及びスイッチ45からなるトラッキングループ回路を有している。
FEゲイン調整部32は、補正フォーカスエラー信号SFEcが供給されると、当該補正フォーカスエラー信号SFEcに対して予め記憶している基準ゲインを乗算し、フォーカス駆動電流DFEとして位相補償部34に供給する。位相補償部34は、フォーカス制御系を安定させるためにフォーカス駆動電流DFEの位相を調整し、スイッチ35へ供給する。
スイッチ35は、サーボ制御部31から供給されるスイッチング信号SSFに応じて「ON」と「OFF」を切り換えるようになされている。サーボ制御部31は、スイッチ35を「ON」に切り換えることにより、フォーカスループ回路を「ON」に切り換える。この結果、アクチュエータ17にフォーカス駆動電流DFEが供給され、フィードバック制御によるフォーカス制御が開始される。
同様にTEゲイン調整部42は、トラッキングエラー信号STEが供給されると、当該トラッキングエラー信号STEに対して予め記憶している基準ゲインを乗算し、トラッキング駆動電流DTEとして位相補償部44に供給する。位相補償部44は、トラッキング制御系を安定させるためにトラッキング駆動電流DTEの位相を調整し、スイッチ45へ供給する。
スイッチ45は、サーボ制御部31から供給されるスイッチング信号SSTに応じて「ON」と「OFF」を切り換えるようになされている。サーボ制御部31は、スイッチ45を「ON」に切り換えることにより、トラッキングループ回路を「ON」に切り換える。この結果、アクチュエータ17にトラッキング駆動電流DTEが供給され、フィードバック制御によるトラッキング制御が開始される。
またフォーカスループ回路及びトラッキングループ回路は、補正プルイン信号SPIcの供給を制御するスイッチ33及び43がそれぞれ取り付けられることにより、フォーカスAGC(Auto Gain Control)回路及びトラッキングAGC回路がそれぞれ設置されている。
すなわちフォーカスAGC回路では、スイッチ33が「OFF」から「ON」に切り換えられると、フォーカスAGC回路が「OFF」から「ON」に切り替わる。このときFEゲイン調整部32には、スイッチ33を介して補正プルイン信号SPIcが供給されと共に、サーボ制御部31から基準レベル信号SNFが供給される。
FEゲイン調整部32は、補正プルイン信号SPIcを基準レベル信号SNFによって除算することにより正規化し、当該正規化した値と基準ゲインを乗算することにより、設定ゲインを算出する。そしてFEゲイン調整部32は、補正フォーカスエラー信号SFEcに対して設定ゲインを乗算することにより、戻り光ビームLRrの光量に応じて自動的にゲインを調整するAGC処理を実行するようになされている。
またトラッキングAGC回路でも同様に、スイッチ43が「OFF」から「ON」に切り換えられると、トラッキングAGC回路が「OFF」から「ON」に切り替わる。このときTEゲイン調整部42には、スイッチ43を介して補正プルイン信号SPIcが供給されと共に、サーボ制御部31から基準レベル信号SNTが供給される。
TEゲイン調整部42は、補正プルイン信号SPIcを基準レベル信号SNTによって除算することにより正規化し、当該正規化した値と基準ゲインを乗算することにより、設定ゲインを算出する。そしてTEゲイン調整部32は、トラッキングエラー信号SFEcに対して設定ゲインを乗算することにより、AGC処理を実行するようになされている。
このようにサーボ処理部30では、フォーカスループ回路、トラッキングループ回路、フォーカスAGC回路及びトラッキングAGC回路を有しており、サーボ制御部31の制御によりスイッチ35、45、33及び43が切り換えられることにより、各回路が「ON」と「OFF」に切り換えられるようになされている。
(1−7)層数カウント処理
光ディスク装置1は、まず光ディスク100の記録層101がマーク層Yを何層有しているかをカウントする層数カウント処理を実行する。
具体的に光ディスク装置1の制御部2(図21)は、例えば光ディスク100に記録された情報を再生する旨の要求が外部機器からなされると、層数カウント処理を開始する。制御部2は、光ディスク100を回転させ、アクチュエータ17を駆動することにより対物レンズ16を光ディスク100から最も離隔させた位置(以下、これを最離隔位置と呼ぶ)に変位させると、対物レンズ16を所定の移動速度で光ディスク100に近接させる(以下、これらの動作をサーチ動作と呼ぶ)。なおアクチュエータ17は、駆動制御部3から供給されるフォーカス駆動電流DFE及びトラッキング駆動電流DTEに応じた位置に変位するようになされている。
このとき光ディスク装置1の信号処理部4(図21)は、検出信号UMa〜UMd、US1a〜US1d及びUS2a〜US2dから補正フォーカスエラー信号SFEc及び補正プルイン信号SPIを生成し、駆動制御部3のサーボ処理部30に供給する。
図26に示すようにサーボ処理部30のサーボ制御部31は、図27に示す時点t1において、補正プルイン信号SPIcがフォーカスイン閾値AFI以上となると、補正フォーカスイン信号SFIcを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げ、補正フォーカスエラー信号SFEcの監視を開始する。
時点t2において、サーボ制御部31は、補正フォーカスエラー信号SFEcが基準レベルSLと交差するゼロクロス点ZCを検出すると、ゼロクロス点検出信号SZCfを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げると共に、カウント信号SCTを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。
時点t3において、サーボ制御部31は、補正プルイン信号SPIcがフォーカスイン閾値AFI未満となると、補正フォーカスイン信号SFIc、ゼロクロス点検出信号SZCf及びカウント信号SCTを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げ、補正プルイン信号SPIの監視を継続する。
時点t4〜時点t6、時点t7〜時点t9、及び時点t10〜時点t12において、制御部2は、時点t1〜時点t3と同様の処理を繰り返す。この結果サーボ制御部31は、合計4回に亘ってカウント信号SCTを「High」レベルに立ち上げることになる。サーボ制御部31は、このカウント信号SCTを制御部2へ供給する。
そして時点13において、サーボ制御部31は、アクチュエータ17に所定の駆動電流DFEを供給したことにより対物レンズ16が所定の検出終了位置まで変位すると、対物レンズ16を光ディスク100から離隔させる方向へ変位させる。そして制御部2は、カウント信号STCが「High」に立ち上がった回数をカウント値Nとしてカウントしており、当該カウント値Nを記録層101が有するマーク層Yの数として認識するようになされている。
このように光ディスク装置1では、マーク層Y総体としての戻り光ビームLRrの光量を表す補正プルイン信号SPIcを生成することにより、補正フォーカスエラー信号SFEcから適切にゼロクロス点ZCを検出し、マーク層Yの層数をカウントし得るようになされている。
(1−8)フォーカス引込処理
続いて光ディスク装置1は、再生アドレス情報が示す目標マーク層YGに対してフォーカス制御を開始するフォーカス引込処理を実行する。
具体的に光ディスク装置1の制御部2(図21)は、層数カウント処理に引き続き光ディスク100を回転させた状態で、対物レンズ16を最離隔位置まで変位させると、対物レンズ16を所定の移動速度で光ディスク100に近接させる。
このとき光ディスク装置1の信号処理部4(図21)は、検出信号UMa〜UMd、US1a〜US1d及びUS2a〜US2dから補正フォーカスエラー信号SFEc、補正プルイン信号SPI及びメインプルイン信号SPImを生成し、駆動制御部3のサーボ処理部30に供給する。
例えば図28に示すように時点t21において、サーボ処理部30のサーボ制御部31は、補正プルイン信号SPIcがフォーカスイン閾値AFI以上となると、補正フォーカスイン信号SFIcを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げ、補正フォーカスエラー信号SFEcの監視を開始する。
またサーボ制御部31は、メインプルイン信号SPImを監視し、当該メインプルイン信号がフォーカスイン閾値AFI以上になったときだけ「High」レベルに立ち上がるオントラック信号SOTを生成する。
時点t22において、サーボ制御部31は、補正フォーカスエラー信号SFEcからゼロクロス点ZCを検出すると、ゼロクロス点検出信号SZCfを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げると共に、フォーカスサーボ制御信号SFBを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。このフォーカスサーボ制御信号SFBは、フォーカス制御を実行中に「High」レベルに立ち上がる信号である。
このときサーボ制御部31は、フォーカスサーボ制御信号SFBの立ち上がりをトリガとしてフォーカスループ回路を「ON」に切り換える。光ディスク装置1は、補正フォーカスエラー信号SFEcがゼロになるよう、すなわち読出光ビームLR(メインビームMB及びサブビームSB)が目標マーク層YGに合焦するようフィードバック制御することにより、補正フォーカスエラー信号SFEcによるフォーカス制御を実行する。
時点t23において、サーボ制御部31は、補正プルイン信号SPIcがフォーカスイン閾値AFI未満となると、補正フォーカスイン信号SFIc及びゼロクロス点検出信号SZCfを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げる。
ここでサーボ制御部31は、時点t23からの時間を計測しており、時点t22から所定のフォーカス確認時間が経過した時点t24において、補正フォーカスイン信号SFIcを確認する。このときサーボ制御部31は、当該フォーカスイン信号SFIcが「Low」レベルである場合、フォーカス制御系が発散し、フォーカス制御が適切に実行されていないと認識し、フォーカスサーボ制御信号SFBを「Low」レベルに立ち下げる。このときサーボ制御部31は当該サーボ制御信号SFBの立ち下がりをトリガとしてフォーカスループを再び「OFF」に切り換える。
そして制御部2は、再び対物レンズ16を最離隔位置まで変位させてから当該対物レンズ16を光ディスク100に対して近接させる。
時点t25において、サーボ制御部31は、補正プルイン信号SPIcがフォーカスイン閾値AFI以上となると、補正フォーカスイン信号SFIcを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げ、補正フォーカスエラー信号SFEcの監視を開始する。
時点t26において、サーボ制御部31は、補正フォーカスエラー信号SFEcからゼロクロス点ZCを検出すると、ゼロクロス点検出信号SZCfを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げると共に、フォーカスサーボ制御信号SFBを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。
時点t26から所定のフォーカス確認時間が経過した時点t27において、サーボ制御部31は、補正フォーカスイン信号SFIcを確認する。このときサーボ制御部31は、当該フォーカスイン信号SFIcが「High」レベルである場合、フォーカス制御系が収束し、フォーカス制御が適切に実行されていると認識し、ゼロクロス点検出信号SZCfを「Low」レベルに立ち下げる。
このときサーボ制御部31は、引き続き補正フォーカスエラー信号SFEcのゲインを調整するAGC処理を開始する。
具体的に光ディスク装置1におけるサーボ処理部30のサーボ制御部31(図26)は、フォーカスエラー信号SFEcに対するAGC制御を開始し、スイッチ33に対してスイッチング信号SSFを供給することにより、スイッチ33を「OFF」から「ON」に切り換える。この結果FEゲイン調整部32には、補正プルイン信号SPIcが供給される。
そしてFEゲイン調整部32は、補正プルイン信号SPIcをサーボ制御部31から供給される基準レベル信号SNFによって除算することにより、補正プルイン信号SPIcを正規化し、正規化プルイン値を算出する。FEゲイン調整部32は、予め設定された基準ゲイン値に対して正規化プルイン値を乗算することにより、設定ゲイン値を設定する。そしてFEゲイン調整部32は、供給される補正フォーカスエラー信号SFEcに対して設定ゲイン値を乗算することによりフォーカス駆動電流DFEを生成し、位相補償部34に供給する。
位相補償部34は、制御系の安定性を向上させるため、フォーカス駆動電流DFEの位相を調整し、スイッチ35を介して当該フォーカス駆動電流DFEを出力する。この結果、アクチュエータ17には、AGC処理によりゲインの調整された補正フォーカスエラー信号SFEcに基づくフォーカス駆動電流DFEが供給される。
これによりサーボ制御部31は、マーク層Yからの戻り光ビームLRrの光量に基づいて設定ゲイン値を決定することができるため、アクチュエータ17に適切なフォーカス駆動電流DFEを供給することができ、フォーカス制御系を安定させ得るようになされている。
このように光ディスク装置1では、マーク層Y総体としての戻り光ビームLRrの光量を表す補正プルイン信号SPIcを生成することにより、補正フォーカスエラー信号SFEcから適切にゼロクロス点ZCを検出し、フォーカス制御を開始し得るようになされている。さらに光ディスク装置1では、補正フォーカスエラー信号SPIcがフォーカスイン閾値AFI以上であるか否かによってフォーカス制御が安定して実行されているか否かを適切に判別し得るようになされている。
また光ディスク装置1では、マーク層Y総体としての戻り光ビームLRrから補正フォーカスエラー信号SFEcを生成することにより、トラックTRとの位置関係に拘らず補正フォーカスエラー信号SFEcがマーク層Yと読出光ビームLRの焦点との距離を表すことができるため、フォーカス制御系を安定させ得るようになされている。
さらに光ディスク装置1では、マーク層総体としての戻り光ビームLRrの光量を表す補正プルイン信号SPIcに基づいて補正フォーカスエラー信号SFEcの設定ゲイン値を調整する。これによりサーボ処理部30では、当該戻り光ビームLRrの光量に応じて適切な設定ゲイン値を設定することができるため、フォーカス制御系を安定させ得るようになされている。
(1−9)トラッキング引込処理
続いて光ディスク装置1は、再生アドレス情報が示す目標トラックTGの近傍となるトラックTRに対してトラッキング制御を開始するトラッキング引込処理を実行する。
光ディスク装置1におけるサーボ処理部30のサーボ制御部31は、トラッキング引込処理を開始すると、トラッキングエラー信号STEの監視を開始する。因みにトラッキング引込処理においては、フォーカス制御が実行されているため、補正プルイン信号(図29(A))は一定以上の値を示し、フォーカスイン信号SFI(図29(C))は「High」レベルのままとなる。
例えば図29(B)に示すように、サーボ制御部31は、時点t31においてトラッキングエラー信号STEからゼロクロス点ZCを検出すると、ゼロクロス点検出信号SZCtを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げると共に、トラッキングサーボ制御信号STBを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。
このとき制御部2は、トラッキングサーボ制御信号STBの立ち上がりをトリガとしてトラッキングループ回路を「ON」に切り換える。光ディスク装置1は、トラッキングエラー信号STEがゼロになるよう、すなわちメインビームMBがトラックTRに照射されるようフィードバック制御することにより、トラッキングエラー信号SFEによるトラッキング制御を実行する。
そしてサーボ制御部31は、時点t31から所定のトラッキング確認時間が経過した時点t32において、オントラック信号SOTを確認する。ここでオントラック信号SOTが「Low」レベルであった場合、サーボ制御部31は、トラッキング制御が安定して実行されていないと判別し、トラッキングサーボ制御信号STBを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げる。
このとき制御部2は、トラッキングループ回路を「ON」から「OFF」に切り換える。そしてサーボ制御部31は、再度トラッキングエラー信号STEからゼロクロス点ZCを検出する時点t30からの処理を繰り返す。
一方サーボ制御部31は、オントラック信号SOTが所定のオン確認時間に亘って「High」レベルである場合には、トラッキング制御が安定して実行されていると認識し、ゼロクロス点信号SZCtを立ち下げる。このときサーボ制御部31は、トラッキングエラー信号STEのゲインを調整するAGC処理を開始する。
具体的に光ディスク装置1におけるサーボ処理部30のサーボ制御部31(図26)は、トラッキングエラー信号STEに対するAGC制御を開始し、スイッチ43に対してスイッチング信号SSFを供給することにより、スイッチ43を「OFF」から「ON」に切り換える。この結果TEゲイン調整部42には、補正プルイン信号SPIcが供給される。
そしてTEゲイン調整部42は補正プルイン信号SPIcをサーボ制御部31から供給される基準レベル信号SNFによって除算することにより、補正プルイン信号SPIcを正規化し、正規化プルイン値を算出する。TEゲイン調整部42は、予め設定された基準ゲイン値に対して正規化プルイン値を乗算することにより、設定ゲイン値を設定する。そしてTEゲイン調整部42は、供給される補正フォーカスエラー信号SFEcに対して設定ゲイン値を乗算することによりトラッキング駆動電流DTEを生成し、位相補償部44に供給する。
位相補償部44は、制御系の安定性を向上させるため、トラッキング駆動電流DTEの位相を調整し、スイッチ45を介して当該トラッキング駆動電流DTEを出力する。この結果、アクチュエータ17には、AGC処理によりゲインの調整されたトラッキングエラー信号TEに基づくトラッキング駆動電流DTEが供給される。
これによりサーボ制御部31は、トラックTRからの戻り光ビームLRrの光量に基づいて設定ゲイン値を決定することができるため、アクチュエータ17に適切なトラッキング駆動電流DTEを供給することができ、トラッキング制御系を安定させ得るようになされている。
そして光ディスク装置1は、補正フォーカスエラー信号SFEcに基づくフォーカス制御及びトラッキングエラー信号STEに基づくトラッキング制御を実行しながら、(7)式に従って再生信号SRFを生成する。そして光ディスク装置1は、当該再生信号SRFに対して所定の2値化処理や復調処理等を実行することにより、情報の再生処理を実行するようになされている。
ここで情報再生処理の際、制御部2は、補正プルイン信号SPIcの信号レベルを表すフォーカスイン信号SFIを常に監視する。そして制御部2は、当該フォーカスイン信号SFIが「Low」レベルに立ち下がると、フォーカス制御が外れたと認識し、フォーカス引込処理及びトラッキング引込処理を実行するようになされている。
これにより光ディスク装置1は、例えば外乱によってトラッキング制御が外れてしまったような場合であっても、デトラックの影響の少ない補正プルイン信号SPIcに基づいてフォーカス制御の成否を高い精度で判別することができる。
また情報再生処理の際、制御部2は、メインプルイン信号SPImの信号レベルを表すオントラック信号SOTを常に監視する。そして制御部2は、当該オントラック信号SOTが「Low」レベルに立ち下がると、トラッキング制御が外れたと認識し、トラッキング引込処理を実行するようになされている。
これにより光ディスク装置1は、例えば外乱によってトラッキング制御が外れてしまったような場合であっても、デトラックの影響の少ない補正フォーカスエラー信号SFEcに基づいて、高い精度でフォーカス制御を実行することができる。
このように光ディスク装置1は、補正プルイン信号SPIcの信号レベルに基づいてフォーカス制御の成否を確認するようにした。これにより光ディスク装置1は、読出光ビームLRのトラックとの位置関係に拘らずフォーカス制御の成否を正確に判別し得るようになされている。
また光ディスク装置1は、メインプルイン信号SPImに基づいてトラッキング制御の成否を確認するようにした。これにより光ディスク装置1は、メインビームMBとトラックTRとの位置関係に応じてメインプルイン信号SPImの信号レベルが変動することを利用して、トラッキング制御の成否を正確に判別し得るようになされている。
(1−10)処理手順
次に、情報再生プログラムに従って実行される情報再生処理について、図30〜33に示すフローチャートに従って説明する。
(1−10−1)情報再生処理手順
光ディスク装置1は、光ディスク100に対して情報再生処理を実行する旨の要求が外部機器よりなされると、情報再生処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
ステップSP1において、光ディスク装置1は、光ディスク100を所望の回転速度で回転させると、次のステップSP2へ移り、レーザダイオード11から読出光ビームLRを出射し、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において、光ディスク装置1は、サブルーチンSRT11へ移り、光ディスク100におけるマーク層Yの層数を計測する層数カウント処理を実行すると、次のステップSP6へ移る。
ステップSP6において、光ディスク装置1は、サブルーチンSRT12へ移り、目標マーク層YGに対してフォーカス制御処理を開始するフォーカス引込処理を実行すると、次のステップSP7へ移る。
ステップSP7において、光ディスク装置1は、サブルーチンSRT13へ移り、目標トラックTG近傍に対してトラッキング制御処理を開始するトラッキング引込処理を実行すると、次のステップSP8へ移る。
ステップSP8において、光ディスク装置1は、再生信号SRFに対して各種処理を実行し、光ディスク100に記録されている情報を再生すると、次のステップSP9へ移る。
ステップSP9において、光ディスク装置1は、フォーカスイン信号SFIが「High」であるか否かについて判別する。
ここでステップSP9において肯定結果が得られた場合、光ディスク装置1は、読出光ビームLRの焦点と目標マーク層YGが近接しており、目標マークYGに対するフォーカス制御が適切に実行されているため、次のステップSP15へ移る。
これに対してステップSP9において否定結果が得られた場合、このことは目標マークYGに対するフォーカス制御が適切に実行されていないことを表しており、このとき光ディスク装置1は、ステップSP10へ移り、トラッキングAGC回路を「OFF」に切り換え、次のステップSP11へ移る。
ステップSP11にいて、光ディスク装置1は、フォーカスAGC回路を「OFF」に切り換えると、次のステップSP12及びSP13へ移り、トラッキングループ回路及びフォーカスループ回路を「OFF」に切り換える。そして光ディスク装置1は、ステップSP6へ戻り、フォーカス引込処理及びトラッキング引込処理を再度実行する。
ステップSP15において、光ディスク装置1は、オントラック信号SOTが「High」であるか否かについて判別する。ここで肯定結果が得られた場合、光ディスク装置1は、目標トラックTGに対するトラッキング制御が適切に実行されているため、次のステップSP19へ移る。
これに対してステップSP15において否定結果が得られた場合、このことは目標トラックTGに対するトラッキング制御が適切に実行されていないことを表しており、このとき光ディスク装置1は、ステップSP16へ移る。
ステップSP19において、光ディスク装置1は、トラッキングAGC回路を「OFF」に切り換えると、次のステップSP17へ移り、トラッキングループ回路を「OFF」に切り換え、ステップSP7に戻ってトラッキング引込処理を再度実行する。
ステップSP19において、光ディスク装置1は、外部機器から終了指示がなされたか否かについて判別し、否定結果が得られた場合、ステップSP8へ戻って光ディスク100からの情報の再生を継続する。
これに対してステップSP16において肯定結果が得られた場合、光ディスク装置1は、終了ステップへ移って情報再生処理手順RT1を終了する。
(1−10−2)層数カウント処理手順
次に、層数カウント処理の手順について、図31に示すフローチャート(サブルーチンSRT11)を用いて説明する。
情報再生処理手順RT1(図30)のステップSP3において、光ディスク装置1は、サブルーチンSRT11のステップSP21へ移る。
ステップSP21において光ディスク装置1は、対物レンズ16を最離隔位置から当該光ディスク100に近接させる方向に移動を開始すると、次のステップSP22へ移る。
ステップSP22において、光ディスク装置1は、フォーカスイン信号SFIが「High」レベルであるか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、光ディスク装置1は、次のステップSP24へ移る。
これに対してステップSP22において肯定結果が得られた場合、このことは読出光ビームLRの焦点がマーク層Yの近傍に位置していることを表しており、このとき光ディスク装置1は、次のステップSP23へ移る。
ステップSP23において、光ディスク装置1は、補正フォーカスエラー信号SFEcからゼロクロス点を検出すると、カウント値Nを「1」だけカウントアップし、次のステップSP24へ移る。
ステップSP24において、光ディスク装置1は、対物レンズ16を検出終了位置まで移動させたか否かについて判別し、否定結果が得られた場合には、ステップSP22へ戻り、処理を継続する。
これに対してステップSP24において肯定結果が得られた場合、光ディスク装置1は、現在のカウント値Nを光ディスク100のマーク層Yの数と認識し、終了ステップへ移って層数カウント処理を終了し、情報再生処理手順RT1のステップSP6へ移る。
(1−10−3)フォーカス引込処理手順
次に、フォーカス引込処理の手順について、図32に示すフローチャート(サブルーチンSRT12)を用いて説明する。
情報再生処理手順RT1(図32)のステップSP6において、光ディスク装置1は、サブルーチンSRT12のステップSP41へ移る。
ステップSP41において、光ディスク装置1は、対物レンズ16を最離隔位置から当該光ディスク100に近接させる方向に移動を開始すると、次のステップSP42へ移る。
ステップSP42において、光ディスク装置1は、フォーカスイン信号SFIが「High」レベルであるか否かについて判別し、否定結果が得られた場合、光ディスク装置1は、次のステップSP42において、肯定結果が得られるまで待ち受ける。
これに対してステップSP42において肯定結果が得られた場合、このことは読出光ビームLRの焦点がマーク層Yの近傍に位置していることを表しており、このとき光ディスク装置1は、次のステップSP43へ移る。
ステップSP43において、光ディスク装置1は、補正フォーカスエラー信号SFEcからゼロクロス点ZCを検出すると、カウント値Nを「1」だけカウントアップし、次のステップSP44へ移る。
ステップSP44において、光ディスク装置1は、カウント値Nに基づいて現在合焦中のマーク層Yが再生アドレス情報の表す目標マーク層YGであるか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、光ディスク装置1は、ステップSP42へ戻り、処理を継続する。
これに対してステップSP44において肯定結果が得られた場合、このことは現在目標マーク層YGに合焦していることを表しており、このとき光ディスク装置1は、次のステップSP45へ移る。
ステップSP45において、光ディスク装置1は、フォーカスループ回路を「ON」に切り換えると、次のステップSP46へ移る。
ステップSP46において、光ディスク装置1は、フォーカス確認時間の経過した時点でフォーカスイン信号SFIが「High」レベルであるか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、このことは読出光ビームLRの焦点がマーク層Yの近傍に位置しておらず、フォーカス制御が適切に実行されていないことを表しており、このとき光ディスク装置1は、次のステップSP50へ移る。
これに対してステップSP46において肯定結果が得られた場合、光ディスク装置1は、フォーカス制御が適切に実行されているため、次のステップSP47へ移る。
ステップSP47において、光ディスク装置1は、フォーカスAGC回路を「ON」に切り換えると、次のステップSP48へ移る。
ステップSP48において、光ディスク装置1は、フォーカスイン信号SFIが「High」レベルであるか否かについて判別し、否定結果が得られた場合には、次のステップSP49へ移る。
ステップSP49において、光ディスク装置1は、フォーカスAGC回路を「OFF」に切り換えると、次のステップSP50へ移る。
ステップSP50において、光ディスク装置1は、フォーカスループ回路を「OFF」に切り換えると、ステップSP41へ戻ってフォーカス引込処理を再度実行する。
これに対してステップSP48において肯定結果が得られた場合、このことは目標マーク層YGに対してフォーカス制御が適切に実行されていることを表しており、このとき光ディスク装置1は、情報再生処理手順RT1のステップSP7へ移る。
(1−10−4)トラッキング引込処理手順
次に、トラッキング引込処理の手順について、図33に示すフローチャート(サブルーチンSRT13)を用いて説明する。
情報再生処理手順RT1(図32)のステップSP7において、光ディスク装置1は、サブルーチンSRT13のステップSP61へ移る。
ステップSP61において、光ディスク装置1は、トラッキングエラー信号STEからゼロクロス点ZCを検出すると、次のステップSP62へ移る。
ステップSP62において、光ディスク装置1は、トラッキングループ回路を「ON」に切り換えると、次のステップSP63へ移る。
ステップSP63において、光ディスク装置1は、フォーカスイン信号SFIが「High」であるか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、フォーカス制御が適切に実行されていないため、次のステップSP69へ移る。
これに対してステップSP63において肯定結果が得られた場合、フォーカス制御が適切に実行されているため、次のステップSP64へ移る。
ステップSP64において、光ディスク装置1は、トラッキングAGC回路を「ON」に切り換えると、次のステップSP65へ移る。
ステップSP65において、光ディスク装置1は、フォーカスイン信号SFIが「High」であるか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、フォーカス制御が適切に実行されていないため、次のステップSP71へ移る。
ステップSP71において、光ディスク装置1は、トラッキングAGC回路を「OFF」に切り換えると、次のステップSP72、SP73及びSP74において、フォーカスAGC回路、トラッキングループ回路及びフォーカスループ回路をそれぞれ「OFF」に切り換え、情報再生処理手順RT1(図30)のステップSP6へ戻り、フォーカス引込処理からの処理を再度実行する。
これに対してステップSP65において肯定結果が得られた場合、フォーカス制御が適切に実行されているため、次のステップSP66へ移る。
ステップSP66において、光ディスク装置1は、オントラック信号SOTが「High」であるか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、このことは目標トラックTGに対してトラッキング制御が適切に実行されていないことを表しており、このとき光ディスク装置1は、次のステップSP68へ移る。
ステップSP68において、光ディスク装置1は、トラッキングAGC回路を「OFF」に切り換えると、次のステップSP69へ移る。ステップSP69において、光ディスク装置1は、トラッキングループ回路を「OFF」に切り換え、ステップSP61へ戻ってトラッキング引込処理を再度実行する。
これに対してステップSP66において肯定結果が得られた場合、このことは目標トラックTGに対してトラッキング制御が適切に実行されていることを表しており、このとき光ディスク装置1は、情報再生処理手順RT1(図30)のステップSP8へ移り、情報の再生を実行する。
(1−11)動作及び効果
以上の構成において光ディスク装置1は、光源としてのレーザダイオード11から出射された光ビームとしての読出光ビームLRをメインビームMB及びサブビームSBに分離し、一様でなる記録層101において記録マークRMによるトラックTRが形成されてなる光ディスク100に対して光ビームを集光し照射する。
このとき光ディスク装置1は、メインビームMBとほぼ同一のスポット径でなるサブビームSBをラジアル方向にずらして照射することにより、光ディスク100の半径方向であるラジアル方向においてメインビームMBが照射されない領域にサブビームSBの少なくとも一部を照射させる。
そして光ディスク装置1は、メインビームMB及びサブビームSBに基づいて、読出光ビームLRの焦点とトラックTRが属するマーク層Yとの距離を表すマーク層距離信号としての補正プルイン信号SPIcを生成する。
これにより光ディスク装置1は、メインビームMB又はサブビームSBのいずれかがトラックTRに照射されたことにより、トラックTRからの戻り光ビームLRrに基づいて補正プルイン信号SPIcを生成することができる。このため光ディスク装置1は、読出光ビームLRの焦点とマーク層Yとの距離が小さくなるにつれて信号レベルが増大する補正プルイン信号SPIcを生成することができる。
言い換えると光ディスク装置1は、メインビームMBがトラックTRから照射された場合には、サブビームSBがトラックTRに照射されるため、メイン戻り光ビームMBrの光量変化をサブ戻り光ビームSBrの光量変化によって相殺することができる。
また光ディスク装置1は、メインビームMBによるメイン戻り光ビームMBrの和光量とサブビームSBによるサブ戻り光ビームSBrの和光量とに基づいて、(3)式に従って補正プルイン信号SPIcを生成する。これにより光ディスク装置1は、図20(B)に示したように、読出光ビームLRのトラックTRとの位置関係に応じた信号レベルの変動を小さくすることができる。
さらに光ディスク装置1は、メインビームMBによるメイン戻り光ビームMBrの光量とサブビームSBによるサブ戻り光ビームSBrの光量とに基づいて、(4)式に従って読出光ビームLRの焦点とマーク層Yとのずれ量を表す補正フォーカスエラー信号SFEcを生成する。
これにより光ディスク装置1は、図19(B)に示したように、読出光ビームLRのトラックTRとの位置関係に応じた信号レベルの変動を小さくすることができ、補正フォーカスエラー信号SFEcが読出光ビームLRの焦点とマーク層Yとのずれ量を正確に表すことができる。
光ディスク装置1は、情報の再生を開始し、トラッキング制御を実行中であっても補正フォーカスエラー信号SFEcを使用することにより、外乱などによってデトラックが生じた場合でも高い精度でフォーカス制御を実行することができる。
また光ディスク装置1は、フォーカス駆動部としてのアクチュエータ17によって対物レンズ16を光ディスク100に対して近接及び離隔するフォーカス方向に駆動する。光ディスク装置1は、補正プルイン信号SPIcが所定のフォーカスイン閾値AFI以上となると、読出光ビームLRの焦点とマーク層Yとのずれ量を表すフォーカスずれ量信号としての補正フォーカスエラー信号SFEcが基準レベルSLと交差するゼロクロス点ZCを検出する。
そして光ディスク装置1は、対物レンズ16が光ディスク100から最も離隔する最離隔位置から検出終了位置までの所定の移動区間だけ移動する間に検出されたゼロクロス点の数をカウントする。
ここで従来の光ディスク装置では、メイン戻り光ビームMBrの和光量でなる従来のプルイン信号SPIが所定のフォーカスイン閾値AFI以上でなるときにフォーカスエラー信号SFEからゼロクロス点ZCを検出する。これにより従来の光ディスク装置は、フォーカスエラー信号SFEにノイズなどによるゼロクロス点ZCを検出することなく、マーク層Yのみを検出するようになされている。
ところが光ディスク100のような信号記録面を有さず、一様な記録層101に対して記録マークRMが形成される場合、メイン戻り光ビームMBrの和光量が読出光ビームLRの焦点とトラックTRが属するマーク層Yとの距離を表すことができず、従来の光ディスク装置と同様にしてマーク層Yの数を精度良く検出することができなかった。
光ディスク装置1では、補正プルイン信号SPIcが読出光ビームLRの焦点とトラックTRが属するマーク層Yとの距離を表すため、当該補正プルイン信号SPIcを用いて、従来の光ディスク装置と同様、マーク層Yの数を精度良く検出することが可能となる。
さらに光ディスク装置1は、対物レンズ16をフォーカス方向に駆動し、補正フォーカスエラー信号SFEcが基準レベルSLになるように当該フォーカスエラー信号SFEcに基づいてアクチュエータ17をフィードバック制御する。そして光ディスク装置1は、補正プルイン信号SPIcの信号レベルに基づいて、フィードバック制御の成否を確認するようにした。
これにより光ディスク装置1は、トラックTRと読出光ビームLRとの位置関係に応じた信号レベルの変動が小さい補正プルイン信号SPIcを用いるため、正確にフィードバック制御の成否を確認することができる。
このとき光ディスク装置1は、情報の再生を開始し、トラッキング制御を実行中であっても補正プルインエラー信号SPIcを使用することにより、外乱などによってデトラックが生じた場合でも高い精度でフォーカス制御の成否を確認することができる。
また光ディスク装置1は、補正プルイン信号SPIcが所定のフォーカスイン閾値AFI以上となるとフォーカスエラー信号SFEcからゼロクロス点ZCを検出し、当該ゼロクロス点ZCに応じてフィードバック制御を開始させる。
これにより光ディスク装置1は、補正プルイン信号SPIcを用いることによりフォーカスエラー信号SFEにノイズなどによるゼロクロス点ZCを除外し、目標マーク位置YGに対して確実にフィードバック制御を開始することができる。
さらに光ディスク装置1は、補正プルイン信号SPIcの信号レベルを正規化して基準ゲインに乗算することにより、補正フォーカスエラー信号SFEcの信号レベルを補正する。
これにより光ディスク装置1は、戻り光ビームLRrの光量変化に応じた補正フォーカスエラー信号SFEcの変動を相殺できるため、フォーカス制御系の安定性を向上させることができる。
また光ディスク装置1は、対物レンズ16をラジアル方向に駆動し、読出光ビームLRrの焦点とマーク層Yとのずれ量を表すトラッキングエラー信号STEが基準レベルSLになるように当該トラッキングエラー信号STEに基づいてアクチュエータ17をフィードバック制御する。光ディスク装置1は、メイン戻り光ビームMBrの和光量を表すメインプルイン信号SPImに基づいてフィードバック制御の成否を確認する。
これにより光ディスク装置1は、メインビームMBとトラックTRとの位置関係に応じて光量が大きく変動するというメインプルイン信号SPImの特性を利用するため、プルイン信号SPIの僅かな変動に基づいてトラッキング制御の成否を確認する従来の光ディスク装置と比較して、トラッキング制御の成否を高い精度で確認することができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置1は、メインビームMB及びサブビームSBをトラックTR及びトラックTRが形成されていないスペース領域ARの両方に対して照射し、当該メインビームMB及びサブビームSBによる戻り光ビームLRrに基づいて、読出光ビームLRの焦点とマーク層Yとの距離を表すマーク層距離信号としての補正プルイン信号SPIc又は補正フォーカスエラー信号SFEcを生成するようにした。
これにより光ディスク装置1は、トラックTR及びスペース領域ARからなるマーク層Y総体としての戻り光ビームLRrに基づいて補正プルイン信号SPIc又は補正フォーカスエラー信号SFEcを生成することができる。このため光ディスク装置1は、読出光ビームLRのトラックTRに対する位置に応じた変動を戻り光ビームLRrの光量変化を小さくすることができ、かくしてマーク層距離信号の精度を向上させ得る光ディスク装置及び信号生成方法を実現できる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)サブビームの照射及び信号の生成
図34〜図36は第2の実施の形態を示すもので、図1〜図33に示す第1の実施の形態に対応する部分を同一符号で示している。この第2の実施の形態では、サブビームSBのトラックTRに対する位置及びサブスポットSPの大きさが第1の実施の形態と異なっている。なお光ディスク装置111としての構成は、第1の実施の形態の光ディスク装置1と同様であるため、説明を省略する。
図34に示すように、グレーティング13に対応するグレーティング113は、その中心部分にのみ回折格子113Aが形成されている。この回折格子113Aのサイズは読出光ビームLRの光束径よりも小さく、読出光ビームLRの中心部分のみに対応する光束径の小さいサブビームSBを発生させるようになされている。
すなわち対物レンズ16に対して、光束径の大きいメインビームMBと光束径の小さいサブビームSBが入射されることになる。この結果メインビームMBは、対物レンズ16を当該対物レンズ16が有する開口数NA(Numerical Aperture)でなるレンズとして作用させることができ、図35に示すように、トラックTRに小さな直径でなるメインスポットMPを形成する。
これに対してサブビームSBは、対物レンズ16を当該対物レンズ16が有する開口数NAよりも小さいレンズとして作用させることができ、トラックTRに大きな直径でなるサブスポットSPを形成する。
このサブスポットSPは、回折格子113Aの直径によりスポット径がトラックピッチTPとほぼ同一となるように調整されている。従ってサブビームSBは、マーク層YにおけるトラックTRとスペース領域ASの両方に照射される。
図36に示すように、フォトディテクタ20に対応するフォトディテクタ120は、フォトディテクタ20と同様に縦横2方向に各2分割された4つの検出領域を有するメインスポット検出器121並びにサブスポット検出器122及び123を有している。このフォトディテクタ120では、サブスポット検出器122及び123の各検出領域122A〜122D及び123A〜123Dをメインスポット検出器121の各検出領域121A〜121Dよりも大きく形成している。サブ戻り光ビームSBrのスポット径がメイン戻り光ビームMBrのスポット径よりも大きくなるためである。
信号処理部4に対応する信号処理部104では、次式に従って補正プルイン信号SPIcを生成する。
すなわち光ディスク装置111では、サブビームSBがトラックTR及びスペース領域ASの両方に満遍なく照射されるため、サブビームSBが必ずトラックTRに照射されることになる。このため光ディスク装置111では、サブビームSBのみを用いて補正プルイン信号SPIcを生成するようになされている。
また光ディスク装置111では、補正フォーカスエラー信号SFEcの代りにメインビームMBから次式に従って生成される通常のフォーカスエラー信号SFEを使用する。
因みに光ディスク装置111では、プッシュプル法や1スポットプッシュプル法などによってメインビームMBからトラッキングエラー信号STEを生成するようになされている。
このように光ディスク装置111では、サブスポットSPのスポット径を大きくすることにより、トラックTR及びスペース領域ASの両方に対して照射するようにした。これにより光ディスク装置111は、サブビームSBを必ずトラックTRに対して照射することができ、サブビームSBによるサブ戻り光ビームSBrの和光量が読出光ビームLRの焦点とマーク層Yとの距離を表すことができる。
(2−2)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置111では、サブビームSBのスポット径をメインビームMBのスポット径より大きくすることにより、サブビームSBをトラックTR及び当該トラックTRの形成されていないスペース領域ASの両方に対して照射する。そして光ディスク装置111は、サブビームSBによるサブ戻り光ビームSBrに基づいてマーク層距離信号としてのプルイン信号SPIcを生成するようにした。
これにより光ディスク装置1では、トラックTRとサブビームSBの位置関係に拘らず、サブビームSBが常にトラックTRに対して照射されるため、トラックTRとサブビームSBの位置関係に応じた信号レベルの変動の少ないプルイン信号SPIcを生成することができる。
また光ディスク装置1は、サブビームSBの光束径をメインビームMBの光束径よりも小さくすることにより、サブビームSBのスポット径をメインビームMBのスポット径より大きくし、サブビームSBをトラックTR及びスペース領域ASの両方に対して照射することができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置1は、サブビームSBをトラックTR及びスペース領域ASの両方に対して照射すると共に、当該サブビームSBによるサブ戻り光ビームSBrに基づいてプルイン信号SPIcを生成する。これにより光ディスク装置1は、サブビームSBが常にトラックTRに対して照射されるため、トラックTRとサブビームSBの位置関係に応じた信号レベルの変動の少ないプルイン信号SPIcを生成することができる。
(3)他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態において、メイン戻り光ビームMBr及び2つのサブ戻り光ビームSBrに基づいて補正プルイン信号SPIc及びフォーカスエラー信号SFEcを生成した場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、トラックTRに対して照射された少なくとも一の読出光ビームによる戻り光ビームLRrに基づいて補正プルイン信号SPIc又はフォーカスエラー信号SFEcが生成されれば良く、例えばメイン戻り光ビームMBr及び1つのサブ戻り光ビームSBrに基づいて生成されても良い。
またメインビームMB及びサブビームSBのうち、トラックTRに照射された少なくとも一の光ビームを選択し、当該選択された光ビームに基づいて補正プルイン信号SPIc又はフォーカスエラー信号SFEcが生成されても良い。この場合、例えばメインビームMBによるメイン戻り光ビームMBr及びサブビームSBによるサブ戻り光ビームSBrの光量比から、トラックTRに照射された方を選択し、選択された戻り光ビームLRrに基づいて補正プルイン信号SPIc又はフォーカスエラー信号SFEcを生成する。
例えば光ディスク装置1は、(5)式に従ってメインビームMBの光量を表すメインプルイン信号SPImを生成すると共に(10)式に従ってサブビームの光量を表すサブプルイン信号SPIsを生成する。
そして光ディスク装置1は、信号レベルの大きい方の信号を補正プルイン信号SPIcとして使用するようにする。さらに光ディスク装置1は、サブプルイン信号SPIsの光量が大きい場合には、(11)式に従ってサブフォーカスエラー信号SFEsを生成する。このサブフォーカスエラー信号SFEsは、層数カウント処理に使用することができる。因みに第2の実施の形態においても同様のサブフォーカスエラー信号SFEsを生成することが可能である。
また上述した第1及び第2の実施の形態では、光ディスク100に対してメインビームMB及び2つのサブビームSBを照射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、例えば図37に示すように、4つのサブビームSBを照射するようにしても良い。この場合、各対となるサブビームSBをメインビームMBから1/3トラックピッチTPずつずらすことにより、メインビームMB及びサブビームSBのいずれかを一段と確実にトラックTRに照射することが可能となる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、補正フォーカスエラー信号SFEc及びトラッキングエラー信号STEに対してAGC処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必ずしもAGC処理を実行する必要はない。
さらに上述した第1の実施の形態においては、オントラック信号SOTを用いてトラッキング制御の成否を確認するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られず、必ずしもトラッキング制御の成否を確認する必要はない。
さらに上述した第2の実施の形態においては、トラックピッチTPとほぼ同一径でなるサブビームSBを照射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。例えば本発明では、サブビームSBのガウス分布を考慮に入れて、デトラック時の補正プルイン信号SPIcの信号レベルの変動が最も小さくなるようにサブビームSBのスポット径を決定することができる。因みにサブビームSBのスポット径は、回折格子113Aの口径に応じて変化させることが可能である。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、非点収差法に従って補正フォーカスエラー信号SFEcを生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。本発明では、例えばスポットサイズ法など、その他種々の手法によって補正フォーカスエラー信号SFEcを生成することができる。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、DPP(Differential Push Pull)法に従ってトラッキングエラー信号STEmを生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。本発明では、例えばプッシュプル法やDPD(Differential Phase Detection)法など種々の手法によってトラッキングエラー信号STEを生成することができる。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、立体的な記録マークとして記録層101にホログラムでなる記録マークRMが形成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば気泡でなる記録マークRMが形成されるようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態では、記録層101及び201に複数のマーク層Yが形成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、マーク層Yが1層のみ形成されるようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、記録層101が螺旋状のトラックTRを有するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、同心円状の基準トラックを有するようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、光ディスク装置1が情報の再生のみを行う情報再生装置でなるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明は、情報の再生及び記録の両方を行う情報記録再生装置にも同様に適用することができる。
さらに上述した第1の実施の形態では、情報再生処理の際、層数カウント処理、フォーカス引込処理及びトラッキング引込処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明は、例えば光ディスク100が装填されたときに層数カウント処理を実行したり、情報記録処理を開始する時に層数カウント処理、フォーカス引込処理及びトラッキング引込処理を実行しても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、405[nm]でなる読出光ビームLRを光ディスク100に対して照射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の波長でなる光ビームを照射しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光分離部としてのグレーティング13と、対物レンズとしての対物レンズ16と、信号生成部としての信号処理部4とによって光ディスク装置としての光ディスク装置1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる光分離部と、対物レンズと、信号生成部とによって本発明の光ディスク装置を構成するようにしても良い。
1、111……光ディスク装置、2……制御部、3……駆動制御部、4……信号処理部、10……光ピックアップ、11……レーザダイオード、16……対物レンズ、17……アクチュエータ、20、120……フォトディテクタ、100……光ディスク、101……記録層、102、103……基板、TG……目標トラック、Y……マーク層、YG……目標マーク層、RM……記録マーク、TR……トラック、LR……読出光ビーム、LRr……戻り光ビーム、MB……メインビーム、SB……サブビーム、MBr……メイン戻り光ビーム、SBr……サブ戻り光ビーム。