(発明の詳細な説明)
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、以下の付随の説明に示す。本明細書に記載のものと類似または均等の任意の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本発明の他の特徴、目的および利点は、該記載から明らかとなるであろう。本明細書において、文脈から明白にそうでないことが示される場合以外は、単数形は複数も含む。特に記載のない限り、本明細書において用いるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。矛盾する場合は、本明細書に従うものとする。
抗C5剤および眼障害
最近のデータにより、加齢性黄斑変性(AMD)は炎症媒介性疾患でもあり、補体活性化がある役割を果たしていることが示されている。加齢性黄斑変性(「AMD」)は、慢性で進行性の目の疾患であり、米国、欧州および日本において、回復不可能な失明の主な原因となっている。AMDは、黄斑と呼ばれる網膜の中心部分の進行性の変質を特徴とする。AMDへの進行の最も明白な指標は、網膜下の黄白色の沈着物であって、網膜細胞の代謝性老廃物由来物質の斑であるドルーゼンの出現である。ドルーゼンの出現は、両方の形態のAMD:滲出性(「湿性」)および非滲出性(「乾性」)に重要な成分である。湿性AMDは、網膜直下での新たな血管成長が、ブルーフ膜として知られる膜を貫通して網膜層内に進入した場合に起こる。この異常な血管成長は、一般的に、新脈管形成または(脈絡膜)新生血管形成と呼ばれている。このような新たな血管は、脆弱である傾向にあり、多くの場合、出血して液体が黄斑内に漏出し、場合によっては突発性の、多くの場合で重症な視野の断裂がもたらされる。新たな治療(例えば、LucentisTM)によって、新脈管形成を停止させ、液体の蓄積を逆転させることができ、少数の患者においては視野を回復させることすらできるが、血管新生病変は、多くの場合、網膜細胞に対して瘢痕化および/または損傷をもたらし、永久的な失明が引き起こされる。湿性AMDは、一般的に、補体タンパク質(例えば、補体H因子(CFH))を含有するドルーゼンの発生と蓄積が先に起こる。多数の中型から大型のドルーゼンの存在は、地図状萎縮および/または新生血管形成を特徴とする後期疾患への進行の最大リスクと関連している。湿性AMDを有する患者の大部分は、該疾患の診断後、数ヶ月から2年以内に罹患した目が重症な失明に陥るが、失明は、数時間または数日以内に起こることもあり得る。乾性AMDは、より緩徐であり、黄斑内の光感受性細胞がゆっくりと萎縮している場合に起こり、罹患した目の中心視野が徐々にぼやけてくる。失明は、ドルーゼンの形成および蓄積によって悪化し、場合によっては、網膜が変質するが、異常な血管成長および出血はない。
病変部内に観察されるドルーゼンおよび炎症性細胞内には、補体成分および炎症の他のメディエータがみられ、これらによりAMD関連失明が引き起こされる(Hainesら(2005)Science 308:419−421)。AMDは、補体調節経路における遺伝的欠陥と強く関連している(Hainesら、2005年)。補体H因子(CFH)をコードする遺伝子における変異は、AMDと関連する新生血管形成および失明への前駆物質であるドルーゼンの発生に対して、大きくまたは完全に影響を及ぼすことで、AMDのリスクの増大に寄与するようである(Edwardsら(2005)Science 308:421−424)。CFHの主な機能は、C3bに結合して不活化すること、またはC3bからのBb因子の解離を刺激することにより、第二カスケードコンバターゼの活性を下方調節することである(Hagemanら(2005)PNAS 102(2):7227−7232)。最近の遺伝子データにより、湿性AMD型ドルーゼンを有する人は、CFH対立遺伝子を保有する可能性が50〜70%であることが示されており、補体インターベンションとAMD治療の間に極めて予測的かつ協力な相関性をもたらす(Kleinら(2005)Science 308:385−389)。その活性化をブロックするアプタマーである抗C5は、患者が、AMDと関連している欠陥性CFH遺伝子を保有している場合であってもブロックする。同様に、第二カスケードの標的、例えば、B因子、D因子およびプロペルジン、共通カスケード成分(特に、C3)ならびに膜攻撃複合体の成分の活性を阻害するアプタマーは、患者が、AMDと関連している欠陥性のCFH遺伝子を保有している場合であっても活性を阻害する。補体H因子(CFH)遺伝子のいくつかのハプロタイプは、人が黄斑変性(AMD)を発症するリスクと関連していることが測定されている。特に、第1染色体上の補体H因子(CFH)のアミノ酸402におけるチロシン−ヒスチジン変化は、疾患易罹患性と強く関連するCFH遺伝子変異の形成をもたらす。該配列変化は、CFHのヘパリンおよびC−反応性タンパク質に結合する領域内である。その遺伝子構成にCFH遺伝子のこの変異が含まれる人は、AMDを発症しやすい。米国の黄斑変性1500万例の約半数は、CFH遺伝子変異が原因である可能性がある。黄斑変性を発症する確率は、CFH遺伝子変異を有する場合、約2.5〜5.5倍増加する。
CFH遺伝子は、炎症性経路(第二補体経路)の調節に関与している。これは、炎症もまた、黄斑変性の発生に重要な役割を果たしていることを示唆する。また、炎症マーカーであるC−反応性タンパク質(CRP)の血中レベルは、黄斑変性において上昇することもわかっている(Science.2005年4月15日;308(5720):419−21、Science.2005年4月15日;308(5720):421−4、Science.2005年4月15日;308(5720):385−9)。H因子のヘパリンおよびCRP結合領域内でのその位置に基づいて、Y402H変異により、宿主細胞表面へのH因子のプロテオグリカンおよびCRP媒介性の漸増が破壊され得、H因子が、これらの細胞上に沈着するC3bを下方調節する能力が妨げられ得る。抑制されないため、宿主組織内での補体経路の増幅により、C5aおよびC5b−9が無制御に放出されるため、網膜および周囲の血管において炎症が引き起こされる。CFHは、無制御な補体活性化および炎症を抑制するため、CFHにおける変異により、炎症およびその影響が増大する。黄斑変性内で起こる過剰な補体(炎症性経路)活性化を低下させることにより、疾患進行を遅らせることが可能であり得る。さらに、そのうち、その遺伝子変異の検出を画像化技術と組合せて使用し、現在可能なよりも早期に進行AMDを発症するリスクの高い個体が同定されるようになるであろう(JAMA.2005年4月20日;293(15):18410)。
また、補体活性化は、糖尿病性網膜症などの他の眼疾患にも関与しており、網膜血管損傷を悪化または起始させる(Zhangら、(2002)Diabetes 51:3499)。増殖性糖尿病性網膜症(PDR)は糖尿病の合併症であり、これは、網膜血管の変化によって引き起こされる。網膜内の血管が損傷されると、血液が漏出し、脆弱な刷毛様の分岐および瘢痕組織が生成され得る。これにより、網膜から脳に送られる視野像がぼやけたり、またはゆがんだりすることがあり得る。糖尿病患者の25%は、糖尿病性網膜症を患っており、発症率は、I型糖尿病で、5年後に60%まで、10〜15年後に80%増大すると推定される。該疾患は、高血糖、基底膜肥厚、周皮細胞喪失、微細動脈瘤および前網膜新生血管形成を特徴とし、これらは、出血および部分網膜剥離により盲目となり得る。非増殖性糖尿病性網膜症は、網膜内微細動脈瘤、出血、神経線維層梗塞、硬性白斑および微小血管異常を特徴とする。黄斑浮腫は、失明の主要な機構である。これは、黄斑(網膜の中心領域)の毛細管内での微細動脈瘤からの血管漏出に起因する。漏出は、硬性白斑または類嚢胞変化を伴う黄斑肥厚に進行し得、これは、多くの場合、種々の程度の中心部の失明をもたらす。増殖性糖尿病性網膜症は、網膜の新生血管形成を特徴とする。これは、網膜の新生血管形成の存在、位置、重症度および随伴出血活発度に従って等級分けされる。これは、重症な失明を伴う。糖尿病性網膜症の病態は、以下の疾患状態に起因し得る。循環系の問題により、網膜領域に酸素枯渇または虚血性状態が引き起こされる。新生血管形成により、充分な酸素レベルを維持するために硝子体内で新たな血管の成長の開始が引き起こされる。新たに形成された毛細管からの血液滲出および瘢痕組織の形成により、網膜上に牽引力が生じ、小さな裂傷が引き起こされる。裂傷が生じた後、網膜層下または層間に液体が溜まり、剥離が起こる。患者は、出血、浮腫および瘢痕組織形成により、視野のぼやけ、飛蚊症、閃光盲および突発性失明を経験する。
低レベルの構成的補体活性化は、通常、非糖尿病性目において起こり、これは、非糖尿病性ラットの目内部のMACおよび補体調節タンパク質の存在によって示され、糖尿病性患者において補体調節不全が起こっていることを示す(Sohnら、(2000)IOVS 41:3492)。また、C5b−9沈着が糖尿病性ヒトドナーの網膜血管において検出されており(ここで、非糖尿病性ヒトドナーには存在しない)(Zhangら)、CD55およびCD59の発現の低下が糖尿病性網膜において示されており(Zhangら)、グリケート結合(glycated)CD59が糖尿病性患者の尿中に存在するが、非糖尿病性患者には存在しない(Acostaら、(2002)PNAS 97、5450−5455)。さらに、補体および血管系は、I型糖尿病において活性化されることが知られている。例えば、Hansen、T.K.ら、Diabetes、53:1570−1576(2004)を参照のこと。C5aは、免疫系および補体系との相互作用によって内皮細胞を活性化する。例えば、Albrecht、E.A.ら、Am J Pathology、164:849−859(2004)を参照のこと。血管系は、眼疾患(例えば、糖尿病性網膜症)において活性化される。例えば、Gert、V.B.ら、Invest Opthalmol Vis Sci、43:1104−1108(2002)を参照のこと。また、補体系も糖尿病性網膜症において活性化される。例えば、Gert、V.B.ら、Invest Opthalmol Vis Sci、43:1104−1108(2002)およびBadouin、Cら、Am J Opthalmol、105:383−388(1988)を参照のこと。
ブドウ膜炎はブドウ膜の炎症をいい、ブドウ膜は、強膜(線維性層)と網膜(視野を担う光感受性層)との間に存在し、虹彩、毛様体および脈絡膜(網膜に栄養分を与える血管層および結合組織層)で構成される色素性血管膜(または層)である。ブドウ膜の複雑な解剖学的構造のため、多くの異なる型のブドウ膜炎が存在し、ブドウ膜と他の眼球構造物(例えば、網膜)との解剖学的関係のため、ブドウ膜炎は、多くの場合、他の組織の炎症(例えば、網膜炎)を伴う。ブドウ膜炎は、一般的に、前部ブドウ膜炎(主に、虹彩および随伴する毛様体が侵され、したがって、虹彩と角膜の間の前眼房および内包される透明な眼房水液が侵される)、中間部ブドウ膜炎(毛様体のすぐ後部の毛様体輪および網膜の前面「縁」が侵される)、または後部ブドウ膜炎(透明なゼラチン様の硝子体液で満たされ、網膜と直接接触している、虹彩後部の後眼房が侵される)に分類される。ブドウ膜炎には、任意のまたはあらゆる部分のブドウ膜(例えば、脈絡膜炎、虹彩炎)が包含され得る。前部ブドウ膜炎は、最も一般的な形態であり、多くの場合、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患と関連している。中間部ブドウ膜炎は、2番目に一般的な形態である。後部ブドウ膜炎は、最も一般的でない形態であり、全身性感染(例えば、ウイルス、細菌、真菌もしくは寄生虫)後に生じ得るか、または自己免疫疾患と関連するものであり得る。また、自己免疫性ブドウ膜炎は、全身性の関与なく生じるものであり得る。ブドウ膜炎はまた、外傷(例えば、損傷、手術など)の結果として、または原因不明(「特発性」)で起こり得る。病因とは無関係に、ブドウ膜を侵す任意の炎症状態が、定義により、ブドウ膜炎をもたらす。
眼の組織および液性物は、通常、多くの補体成分、例えば、B因子ならびにC2、C4、C3、C5、C6およびC7を、ブドウ膜組織内に(Brawman−Mintzer O、Invest Ophthalmol Vis Sci.1989年10月;30(10):2240−4)、C1、C4、C3およびC5を眼房水中に(Mondino BJ、Arch Ophthalmol.1983年3月;101(3):465−8)、ならびにC1、C4、C2、C3、C5、C6およびC7を角膜内に(Mondino BJ、Arch Ophthalmol.1981年8月;99(8):1430−3)含有する。これらの補体成分および関連補体調節タンパク質は、眼組織において正常な免疫監視機構に重要であると考えられている。
ブドウ膜炎の病因における補体の活性化に重要な役割は、網膜の脈管炎を有する(対照)患者と比べた場合の前部ブドウ膜炎を有する患者におけるC4(C4B2)アロタイプの発生数の増加(Wakefield D、Hum Immunol.1988年4月;21(4):233−7.);特発性ブドウ膜炎を有する患者における血漿C3dおよび補体含有免疫複合体の増大(Vergani S、Br J Ophthalmol.1986年1月;70(l):60−3);全身性炎症性疾患および併発ブドウ膜炎を有する患者における涙液(涙)中の補体媒介性溶血活性ならびにC3およびC4レベルの増大;(Drozdova EA、Vestn Oftalmol.2004年7〜8月;120(4):24−6);ならびに初期事象としてブドウ膜炎における眼球の血管膜における免疫複合体および補体の沈着(O’Connor GR、Trans Ophthalmol Soc U K.1981年9月;101(Pt 3)(3):297−300)によって示されている。補体活性化は、ブドウ膜炎眼内成分を伴ういくつかの炎症性および/または自己免疫疾患、例えば、ベーチェット病(Cuchacovich M、Clin Exp Rheumatol.2005年7月〜8月;23(4 補足 38):S27−34、Bardak Y、Ocul Immunol Inflamm.2004年3月;12(l):53−8)、フックス異色素性虹彩毛様体炎(La Hey E、Am J Ophthalmol.1992年1月15日;113(l):75−80)、フォークト−小柳−原田病(Sakamoto T、Arch Ophthalmol.1991年9月;109(9):1270−4)、ならびに網膜下線維症および慢性ブドウ膜炎(Palestine AG、Ophthalmology.198円6月;92(6):838−44)に関与している。
また、実験的に誘導したブドウ膜炎のいくつかの動物モデルで、補体活性化がブドウ膜炎の病因に重要であること(Jha P、Invest Ophthalmol Vis Sci.2006年3月;47(3):1030−8、Kasp E、Clin Exp Immunol.1992年5月;88(2):307−12)、補体活性化が補体調節タンパク質によって厳密に調節されていること(Bardenstein DS、Immunology.2001年12月;104(4):423−30、Sohn JH、Invest Ophthalmol Vis Sci.2000円10月;41(ll):3492−502)が示されている。補体媒介性ブドウ膜炎のこれらのモデルでは、コブラ毒因子(CVF)での治療による補体枯渇または補体活性化経路(C3)の重要な成分の遺伝的枯渇などによって、誘導したブドウ膜炎の予防または重症度の有意な低下がもたらされる。
集合的に、データは、補体成分および調節タンパク質が眼組織およびブドウ膜の重要な通常の構成成分であること、特に、補体活性化は、自己免疫ブドウ膜炎の実験モデルにおいてブドウ膜炎の一因となっていること、ならびにヒトにおいて補体活性化がブドウ膜炎と関連していることを示す。したがって、一部のある実施形態において、ブドウ膜炎の発生、持続時間および/または重症度を低下させるための本発明の方法における使用のための、C5活性化のまえの第二および古典的補体活性化経路ならびにその後のC5aおよびC5b−9(MAC)の生成を停止させるアプタマーを提供する。
緑内障は、視神経および網膜に対する損傷の結果、失明が起こる一群の疾患をいい、通常、眼圧(「IOP」)の上昇を伴う。原発性開放隅角緑内障は、最も一般的な形態であり、経時的な液体排出路(すなわち、小柱網)緩徐な狭小または閉塞によって引き起こされ、眼房水の蓄積によってIOPの上昇がもたらされる。緑内障は、開放隅角と閉塞隅角の2つのカテゴリーに分類される。原発性開放隅角緑内障は、ゆっくりと無痛的に発症し、多くの場合、数年間、顕著な失明はない。続発性開放隅角緑内障は、他の疾患(例えば、ブドウ膜炎もしくは他の炎症性疾患、糖尿病、腫瘍、白内障)、閉鎖性(blunt)損傷またはステロイド類などのある種の薬物によって引き起こされる。閉塞隅角緑内障(狭隅角緑内障または急性緑内障とも呼ばれる)は、虹彩の位置のずれによって引き起こされ、眼房水排出の突発性閉塞およびIOPの急上昇がもたらされる。閉塞隅角緑内障の症状は、失明の他、目の痛みおよび悪心が挙げられる。一部の個体では、IOPの上昇なく神経損傷が起こり、この型の緑内障は、正常眼圧(正常眼圧または低眼圧)緑内障として知られている。この型の緑内障の神経損傷の原因は不明である。
緑内障の病因における補体の役割は:1)ラット緑内障モデルにおける実験的IOP上昇での、補体成分mRNA(C1q、C1r、C1s、C3)の網膜の発現の増大(Ahmed,F、Brown,KM、Stephan,DA、Morrison,JC、Johnson,EC、Tomarev,SI(2004)IOVS 45、1247−54);2)カニクイザル緑内障モデルでの、補体成分mRNA(C4、B、C1q、C3)の網膜の発現の増大(Miyahara,T、Kikuchi,T、Akimoto,M、Kurokawa,T、Shibuki,H、Yoshimura,N(2003)IOVS 44、4347−56);3)緑内障のマウスおよびサルモデル由来の網膜のグリア細胞におけるC1q mRNAおよびタンパク質の発現の増大(Stasi,K、Nagel,D、Yang,X、Wang,R、Ren,L、Podos,SM、Mittag,T、Danias,J(2006)IOVS 47、1024−29);4)ヒト被験体のグリア細胞におけるC1qの免疫組織化学的染色(Stasiら、2006年)によって示されている。実験的緑内障マウスにおける補体C1q発現は、経時的IOPの上昇と相関し、網膜の神経節細胞に対する損傷の前に起こるようであり、これは、補体が疾患の病因に寄与している可能性を示す(Stasiら、2006年)。抗補体アプタマー(例えば、抗C5アプタマー)での治療は、高眼圧または低眼圧緑内障における神経変性に対する保護的効果を有し得る。
したがって、一部のある実施形態では、本発明は、補体媒介性眼障害の治療のための抗C5剤を提供する。一部のある実施形態では、本発明の抗C5剤は単独で使用され、一方、他の実施形態では、抗VEGFおよび/または抗PDGF剤と組合せて使用される。
本発明の他の実施形態は、補体媒介性眼障害の処置、安定化および/または予防のための抗補体アプタマーを提供する。抗補体アプタマーは、SELEXTM法によって作製され得る。特別な実施形態では、本発明は、抗補体アプタマー、例えば、抗C5アプタマーを被験体に、眼障害の少なくとも1つの症状、特に、糖尿病性網膜症、滲出性および/または非滲出性AMDの症状を低減、安定化および/または予防する方法において投与することを含むものである。
C5特異的アプタマー
補体媒介性眼障害の症状の治療、安定化、予防および/または低減における使用のためのC5特異的アプタマーは、SELEXTM法によって作製され得る。特別な実施形態では、本発明は、抗C5アプタマー剤を被験体に、眼障害の少なくとも1つの症状、特に、糖尿病性網膜症、滲出性および/または非滲出性AMDの症状を低減、安定化および/または予防する方法において投与することを含むものである。
アプタマーは、分子に対して、古典的ワトソン−クリック塩基対合以外の相互作用による特異的結合親和性を有する核酸分子である。
アプタマー、ファージディスプレイによって生成されるペプチドまたはモノクローナル抗体(「mAb」)と同様、選択した標的に特異的に結合する能力を有し、標的の活性を、例えばアプタマーへの結合によってモジュレート能力を有し、その標的が機能する能力をブロックし得るものである。ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールからの試験管内選択プロセスによって作製されるため、アプタマーは、100種類を超えるタンパク質、例えば、増殖因子、転写因子、酵素、免疫グロブリンおよびレセプターに対して作製されている。典型的なアプタマーは10〜15kDaの大きさ(30〜45ヌクレオチド)であり、その標的にナノモル以下の親和性で結合し、密接に関連した標的を識別する(例えば、アプタマーは、典型的には、同じ遺伝子ファミリーの他のタンパク質には結合しない)。一連の構造の研究により、アプタマーは、抗体−抗原複合体における親和性および特異性をもたらす結合相互作用(例えば、水素結合、静電気的相補性、疎水性接触、立体的排除)と同じ型のものを利用し得ることが示されている。
アプタマーは、治療剤および診断剤として使用のためのいくつかの望ましい特性、例えば、高い特異性および親和性、生物学的有効性、ならびに優れた薬物動態特性を有する。
SELEXTM法
アプタマーの作製に適した方法(一般的に図2に示す)は、「試験管内人工進化(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)」(「SELEXTM」)と称される方法を用いるものである。SELEXTMプロセスは、標的分子に対して高度に特異的な結合性を有する核酸分子の試験管内進化のための方法であり、例えば、米国特許出願第07/536,428号(1990年6月11日出願、現在は放棄されている)、米国特許第5,475,096号(発明の名称「Nucleic Acid Ligands」)、および米国特許第5,270,163号(また、WO91/19813も参照)(発明の名称「Nucleic Acid Ligands」)に記載されている。選択および増幅の反復サイクルを行なうことにより、SELEXTMを用いて任意の所望のレベルの目標の結合親和性を有するアプタマーが得られ得、これを、本明細書では「核酸リガンド」ともいう。
SELEXTMプロセスは、核酸が、さまざまな二次元および三次元構造を形成する充分な能力、およびモノマー系であれポリマー系であれ、事実上あらゆる化合物とのリガンドとして作用する(すなわち、特異的結合対を形成する)ように、そのモノマー内で充分な化学的万能性を有するというユニークな洞察に基づくものである。任意の大きさまたは組成の分子が標的として供され得る。
SELEXTMプロセスは、標的に結合する能力に基づく。したがって、SELEXTM手順によって得られるアプタマーは、標的結合特性を有する。しかしながら、SELEXTMそれ自体では、他のアプタマーまたは標的特性に選択されず、SELEXTM誘導アプタマーが、所望の標的に結合すること以外の任意の特性を有することは当然予測され得ないが、得られるアプタマーが他の特性を有することは期待され得る。したがって、アプタマーが標的に結合すること以外に、標的に対して特定の効果を有することは期待され得るが、所与のアプタマーが何の効果も持たないことがあり得、またはいくつかの効果を有することもあり得る。例えば、標的が多くの細胞表面レセプターと相互作用するタンパク質である場合、アプタマーは、該タンパク質と1種類以上のかかるレセプターとの間の結合をブロックもしくは増強いずれかを行なうために作用するものであり得るか、または該相互作用に対してなんら有しないものであり得る。別の例では、標的は触媒性の種であり得、アプタマーは、その触媒機能の有効性をブロックもしくは増強するもの、または該触媒機能に対して効果を有しないものであり得る。しかしながら、適切なアッセイにおいて試験する前まで、当業者は、所与のアプタマーに特性があるとすれば、実際にどのような特性を有するのかを予測することができなかった。実際、単なる標的結合では、アプタマー結合の作用によって標的に奏功され得る機能的効果(もしある場合)に関する情報はもたらされない。
標的分子の特性の改変には、標的の特性に変化をもたらすために、アプタマーが標的上の特定の位置に結合することが必要とされる。理論的には、SELEXTMにより、個々のアプタマーが標的上の異なる部位に結合する多数のアプタマーの特定がもたらされ得る。実際、アプタマー−標的結合相互作用は、多くの場合、相互作用のための安定で到達可能な構造的界面をもたらす標的上の1つまたは比較的少数の好ましい結合部位において起こる。さらにまた、SELEXTMが生理学的標的分子において行なわれる場合、当業者は、一般的には、標的に対するアプタマーの位置を制御することができない。したがって、標的上のアプタマー結合部位の位置は、標的分子に対して所望の効果をもたらし得る、または何の効果も有しないものであり得る潜在的ないくつかの結合部位のうちの1つまたはその近傍である場合もあり、そうでない場合もある。
アプタマーが、その標的結合能のおかげで、ある効果を有することがわかった場合であっても、その存在を予測すること、またはそのような効果であるかを事前に知ることはできない。SELEXTM実験を行なう際に、当業者は、ある標的に対するアプタマーを得ることが可能である程度、アプタマーが標的結合特性を有するといういくらかの確実性がわかり得るにすぎない。SELEXTM実験は、特定される一部のアプタマーは、標的に対して結合すること以外にもある効果を有するという期待において行なわれ得るが、これは、不確定である。
SELEXTM法は、出発点として、ランダム化配列を含む単鎖オリゴヌクレオチドの大きなライブラリーまたはプールに依存する。該オリゴヌクレオチドは、修飾または未修飾のDNA、RNAまたはDNA/RNAハイブリッドであり得る。一部のある例において、該プールは、100%ランダムまたは部分ランダムオリゴヌクレオチドを含む。他の例において、該プールは、少なくとも1つの固定配列および/または保存配列がランダム化配列内に組み込まれたランダムまたは部分ランダムオリゴヌクレオチドを含む。他の例において、該プールは、少なくとも1つの固定配列および/または保存配列が、その5’および/または3’末端を含有するランダムまたは部分ランダムオリゴヌクレオチドを含む(これは、該オリゴヌクレオチドプールのすべての分子によって共有される配列を含み得る)。固定配列は、そのプール内のオリゴヌクレオチドに共通する配列であって、予め選択された目的のために組み込まれた、例えば、CpGモチーフ(さらに後述する)、PCRプライマーのハイブリダイゼーション部位、RNAポリメラーゼ(例えば、T3、T4、T7およびSP6)のプロモーター配列、制限部位、またはホモポリマー配列(例えば、ポリAまたはポリT配列など)、触媒性コア、アフィニティカラムへの選択的結合のための部位、ならびに目的のオリゴヌクレオチドのクローニングおよび/または配列決定を助長する他の配列などの配列である。保存配列は、前述の固定配列以外の、同じ標的に結合するいくつかのアプタマーによって共有される配列である。
該プールのオリゴヌクレオチドは、好ましくは、ランダム化配列部分ならびに効率的な増幅に必要な固定配列を含む。典型的には、出発プールのオリゴヌクレオチドは、5’および3’末端固定配列を含有し、これは、30〜50個のランダムヌクレオチドの内部領域と隣接している。ランダム化ヌクレオチドは、いくつかの様式、例えば、化学合成およびランダムに切断された細胞内核酸からのサイズ選択にて作製され得る。試験核酸における配列変異体もまた、選択/増幅の反復の前またはその最中での変異誘発によって導入または増大させ得る。
該オリゴヌクレオチドのランダム配列部分は、任意の長さのものであり得、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含むものであり得、修飾された、または非天然ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体を含むものであり得る。例えば、米国特許第5,958,691号;米国特許第5,660,985号;米国特許第5,958,691号;米国特許第5,698,687号;米国特許第5,817,635号;米国特許第5,672,695号およびPCT公開公報WO92/07065を参照のこと。ランダムオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル結合ヌクレオチドから、当該技術分野でよく知られた固相オリゴヌクレオチド合成手法を用いて合成され得る。例えば、Froehlerら、Nucl.Acid Res.14:5399−5467(1986)およびFroehlerら、Tet.Lett.27:5575−5578(1986)を参照のこと。ランダムオリゴヌクレオチドはまた、トリエステル合成法などの液相法を用いて合成され得る。例えば、Soodら、Nucl.Acid Res.4:2557(1977)およびHiroseら、Tet.Lett.、28:2449(1978)を参照のこと。自動DNA合成装置で行なわれる典型的な合成により、ほとんどのSELEXTM実験に充分な数の1014〜1016個の個々の分子が得られる。配列設計においてランダム配列の領域を充分に大きくすることにより、各合成分子が非反復配列を提示し得る可能性が増大する。
オリゴヌクレオチドの出発ライブラリーは、DNA合成装置での自動化学合成によって作製され得る。ランダム化配列を合成するため、すべての4種類のヌクレオチドの混合物を、合成プロセス中の各ヌクレオチド添加工程で添加し、ヌクレオチドのランダム組込みを行なわせる。上記のように、一実施形態において、ランダムオリゴヌクレオチドは、完全にランダムな配列を含むものであるが、他の実施形態において、ランダムオリゴヌクレオチドは、非ランダムまたは部分ランダム配列の鎖を含むものであってもよい。部分ランダム配列は、4種類のヌクレオチドを異なるモル比で、各添加工程において添加することにより創製され得る。
オリゴヌクレオチドの出発ライブラリーは、RNA、DNA、置換されたRNAもしくはDNAまたはその組合せであり得る。RNAライブラリーが出発ライブラリーとして使用される場合、これは、典型的には、DNAラブラリーを合成、任意選択でPCR増幅し、次いで、T7 RNAポリメラーゼまたは修飾T7 RNAポリメラーゼを用いてDNAラブラリーを試験管内で転写し、転写されたラブラリーを精製することにより作製される。次いで、核酸ライブラリーを標的と、結合に有利な条件下で混合し、同じ一般的選択スキームを用いて結合、分離および増幅の工程ごとの反復に供し、事実上、任意の所望の基準の結合親和性および選択性が得られる。より具体的には、出発核酸プールを含有する混合物から始めて、SELEXTM法は、(a)混合物を標的と、結合に有利な条件下で接触させる工程;(b)非結合核酸を、標的分子に特異的に結合した核酸から分離する工程;(c)核酸−標的複合体を解離させる工程;(d)核酸−標的複合体から解離させた核酸を増幅して核酸のリガンド富化混合物を得る工程;および(e)結合、分離、解離および増幅の工程を所望されるだけ多数サイクル反復し、標的分子に対して高度に特異的で高親和性の核酸リガンドを得る工程を含む。RNAアプタマーが選択される場合、SELEXTM法は、さらに、(i)工程(d)での増幅前に、核酸−標的複合体から解離させた核酸を逆転写する工程;および(ii)該プロセスを再度始める前に、工程(d)で増幅させた核酸を転写する工程を含む。
多数の可能な配列および構造を含む核酸混合物では、所与の標的に対して広範な結合親和性が存在する。標的に対してより高い親和性(より小さい解離定数)を有するものは、非常に標的に結合し易い。分離、解離および増幅後、第2の核酸混合物を作製し、より高い結合親和性の候補を富化させる。得られる核酸混合物が主に唯一または数種類の配列で構成されるようになるまで、さらに選択を繰り返すことにより、次第に最良のリガンドに好都合になる。次いで、これらは、クローニングされ、配列決定され、1)標的結合親和性;および2)標的機能を奏する能力について、リガンドまたはアプタマーが個々に試験され得る。
選択および増幅のサイクルは、所望の目的が達成されるまで反復する。最も一般的な場合では、選択/増幅は、サイクルの反復において結合強度の有意な改善が得られなくなるまで継続される。該方法では、典型的には、およそ1014の異なる核酸種がサンプリングに使用されるが、約1018もの多くの異なる核酸種がサンプリングに使用されることもあり得る。一般的に、核酸アプタマー分子は、5〜20サイクルの手順で選択される。一実施形態において、最初の選択段階でのみ不均一系が導入され、反復工程中では生じない。
SELEXTM法の一実施形態では、選択プロセスが、選択された標的に非常に強く結合する核酸リガンドの単離において非常に効率的であるため、必要とされる選択および増幅のサイクル1回だけである。かかる効率的な選択は、例えば、クロマトグラフィー型のプロセスで行なわれ得、この場合、カラムに結合された標的と会合する核酸の能力が、該カラムが最大親和性の核酸リガンドの分離および単離を充分に許容させることができるような様式で作用する。
多くの場合、SELEXTMの反復的工程を、単一の核酸リガンドが同定されるまで行なうことは、必ずしも望ましくはない。標的特異的核酸リガンド溶液は、いくつかの保存配列、および標的に対する核酸リガンドの親和性に有意に影響を与えることなく置換または付加が行われたものであり得るいくつかの配列を有する核酸構造またはモチーフのファミリーを含み得る。完了前にSELEXTMプロセスを終了させることにより、核酸リガンド溶液のファミリーのいくつかの構成員の配列を決定することが可能である。
核酸には、さまざまな一次、二次および三次構造が存在することがわかっている。非ワトソン−クリック型相互作用に最も一般的に関与することが示されている構造またはモチーフは、ヘアピンループと呼ばれ、対称および非対称突出部、シュードノットおよびその無数の組合せである。かかるモチーフは、既知のほとんどすべての場合、30ヌクレオチド以下の核酸配列に形成されたのもであり得ることが示されている。この理由のため、多くの場合、連続ランダム化セグメントを用いるSELEXTM手順は、約20〜約50ヌクレオチド、一部のある実施形態においては約30〜約40ヌクレオチドのランダム化セグメントを含有する核酸配列で開始することが好ましい。一例において、5’固定:ランダム:3’固定配列は、約30〜約50ヌクレオチドのランダム配列を含む。
中心的なSELEXTM法は、いくつかの特定の目的が達成されるように変形されている。例えば、米国特許第5,707,796号には、特定の構造的特性を有する核酸分子、例えば、湾曲DNAを選択するために、ゲル電気泳動と組み合わせたSELEXTMの使用が記載されている。米国特許第5,763,177号には、標的分子と結合および/または光架橋できる、および/または標的分子を光不活化できる光反応性基を含有する核酸リガンドを選択するためのSELEXTMに基づいた方法が記載されている。米国特許第5,567,588号および米国特許第5,861,254号には、標的分子に対して高親和性を有するオリゴヌクレオチドと低親和性を有するオリゴヌクレオチドの高度に効率的な分離を達成するSELEXTMに基づいた方法が記載されている。米国特許第5,496,938号には、SELEXTMプロセスを行なった後に、改善された核酸リガンドを得るための方法が記載されている。米国特許第5,705,337号には、リガンドをその標的に共有結合させる方法が記載されている。
SELEXTMはまた、標的分子上の1つより多くの部位に結合する核酸リガンドを得るため、および標的上の特異的部位に結合する非核酸種を含む核酸リガンドを得るために使用され得る。SELEXTMは、任意の想定され得る標的、例えば、大小の生体分子、例えば、核酸結合タンパク質および核酸結合することがわかっていないタンパク質(その生物学的機能の一部として)、ならびに補因子および他の小分子に結合する核酸リガンドを単離および同定するための手段を提供する。例えば、米国特許第5,580,737号には、SELEXTMにより同定された、カフェインおよびその密接に関連した類縁体であるテオフィリンに高親和性で結合できる核酸配列が開示されている。
逆(counter−)SELEXTMは、1つ以上の非標的分子に対する交差反応性を有する核酸リガンド配列を排除することにより、標的分子に対する核酸リガンドの特異性を改善する方法である。逆SELEXTMは、(a)核酸の候補混合物を調製する工程;(b)該候補混合物を標的と接触させる工程、ここで、標的に対し、候補混合物と比べて増大した親和性を有する核酸は、候補混合物の残部から分離され得る;(c)親和性が増大した核酸を候補混合物の残部から分離する工程;(d)親和性が増大した核酸を標的から解離させる工程;e)親和性が増大した核酸を1種類以上の非標的分子と、該非標的分子(1種または複数種)に対して特異的親和性を有する核酸リガンドが除去されるように接触させる工程;ならびにf)標的分子のみに対して特異的親和性を有する核酸を増幅し、標的分子への結合に対して比較的高い親和性および特異性を有する核酸配列が富化された核酸の混合物を得る工程で構成される。SELEXTMについて上記のように、選択および増幅のサイクルは、必要に応じて、所望の目的が達成されるまで反復される。
治療剤、診断剤およびワクチンとしての核酸の使用において遭遇する潜在的な問題の1つは、ホスホジエステル形態のオリゴヌクレオチドが、所望の効果が発現される前に、細胞内酵素および細胞外酵素(例えば、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼなど)によって体液中で急速に分解され得ることである。したがって、SELEXTM法は、リガンドに対して改善された特性(例えば、改善された生体内安定性または改善された送達特性など)を付与する修飾ヌクレオチドを含有する高親和性核酸リガンドの同定を包含する。かかる修飾の例としては、糖鎖および/またはリン酸基および/または塩基の位置における化学的置換が挙げられる。SELEXTMで同定される修飾ヌクレオチド含有核酸リガンドは、例えば、米国特許第5,660,985号(これには、リボースの2’位、ピリミジンの5位およびプリンの8位が化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドが記載されている)、米国特許第5,756,703号(これには、種々の2’修飾ピリミジンを含有するオリゴヌクレオチドが記載されている)、ならびに米国特許第5,580,737号(これには、2’−アミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)および/または2’−O−メチル(2’−OMe)置換基で修飾された1つ以上のヌクレオチドを含有する高度に特異的な核酸リガンドが記載されている)に記載されている。
本発明において想定される核酸リガンドの修飾としては、限定されないが、さらなる電荷、分極性、疎水性、水素結合、静電気的相互作用および流動性を、核酸リガンド塩基または核酸リガンド全体に組み込む他の化学的基を提供するものが挙げられる。ヌクレアーゼに抵抗性であるオリゴヌクレオチド集団を作製するための修飾もまた、1つ以上の置換ヌクレオチド間結合、改変糖鎖、改変塩基またはその組合せを含み得る。かかる修飾としては、限定されないが、2’位の糖鎖修飾、5位のピリミジン修飾、8位のプリン修飾、環外アミンの修飾、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨード−ウラシルの置換;主鎖修飾、ホスホロチオエートまたはリン酸アルキル修飾、メチル化および通常でない塩基対合組合せ(例えば、イソ塩基であるイソシチジンとイソグアニジン)が挙げられる。修飾にはまた、3’および5’の修飾(キャッピング、例えば、エキソヌクレアーゼ抵抗性を増大させるための3’−3’−dTキャップの付加など)も含まれ得る(例えば、米国特許第5,674,685号;同第5,668,264号;同第6,207,816号;および同第6,229,002号(これらの各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
一実施形態において、P(O)O基が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、P(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COもしくはCH2(「ホルムアセタール」)または3’−アミン(−NH−CH2−CH2−)(式中、各RまたはR’は独立して、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである)で置き換えられたオリゴヌクレオチドが提供される。結合基は隣接するヌクレオチドに、−O−、−N−または−S−結合を介して結合され得る。オリゴヌクレオチド内のすべての結合が同一である必要はない。
さらなる実施形態において、オリゴヌクレオチドは、修飾された糖鎖基を含み、例えば、ヒドロキシル基の1つ以上が、ハロゲン、脂肪族基で置き換えられているか、またはエーテルまたはアミンとして官能性付与されている。一実施形態において、フラノース残基の2’位は、O−メチル、O−アルキル、O−アリル、S−アルキル、S−アリルまたはハロ基のいずれかで置換されている。2’−修飾糖の合成方法は、例えば、Sproatら、Nucl.Acid Res.19:733−738(1991);Cottenら、Nucl.Acid Res.19:2629−2635(1991);およびHobbsら、Biochemistry 12:5138−5145(1973)に記載されている。他の修飾も当業者に知られている。かかる修飾は、SELEXTMプロセス前の修飾であってもよく、SELEXTMプロセス後の修飾(以前に同定された非修飾リガンドの修飾)であってもよく、またはSELEXTMプロセスに組み込んでもよい。
SELEXTMプロセス前の修飾またはSELEXTMプロセスに組み込まれる修飾により、そのSELEXTM標的に対する特異性と、改善された安定性(例えば、生体内安定性)の両方を有する核酸リガンドがもたらされる。核酸リガンドに行なわれるSELEXTMプロセス後の修飾により、核酸リガンドの結合能力に悪影響を及ぼすことなく、改善された安定性(例えば、生体内安定性)がもたらされ得る。
SELEXTM法には、選択オリゴヌクレオチドを、他の選択オリゴヌクレオチドおよび非オリゴヌクレオチド機能単位と組み合わせることが包含され、これは、米国特許第5,637,459号および米国特許第5,683,867号に記載されている。SELEXTM法には、さらに、選択された核酸リガンドを親油性または非免疫原性高分子量化合物と、診断用または治療用複合体にて組み合わせることが包含され、これは、例えば、米国特許第6,011,020号、米国特許第6,051,698号およびPCT公開公報WO98/18480に記載されている。これらの特許および出願書類には、広範な形状および他の特性と、オリゴヌクレオチドの効率的な増幅および複製特性ならびに他の分子の望ましい特性との組合せが教示されている。
また、核酸リガンドをSELEXTM法によってフレキシブル小ペプチドと特定することが探求されている。小ペプチドは柔軟性のある構造を有し、通常、溶液中で多数の配座異性体の平衡状態で存在し、したがって、最初は、結合親和性は、フレキシブルペプチドに結合されると、配座エントロピーの低下によって制限され得ると考えられていた。しかしながら、核酸リガンドを溶液中の小ペプチドと特定することの実現可能性は、米国特許第5,648,214号に示された。この特許には、11アミノ酸のペプチドである物質サブスタンスPに対する高親和性RNA核酸リガンドが同定された。
本発明の標的(1つまたは複数)に対して特異性および結合親和性を有するアプタマーは、典型的には、本明細書に記載のSELEXTMプロセスによって選択される。さらに、選択は、アプタマー分子を生体内分解に対して安定化させる修飾ヌクレオチドが組み込まれた配列を用いて行なわれ得る。
2’修飾SELEXTM
アプタマーが治療剤または診断剤としての使用に適するようにするため、生体内で安全で安定的に合成することが安価であることが好ましい。野生型RNAおよびDNAアプタマーは、ヌクレアーゼによって分解されやすいため、典型的には生体内で安定的ではない。ヌクレアーゼ分解に対する抵抗性は、2’位における修飾基の組込みによって大きく増大され得る。
2’−フルオロおよび2’−アミノ基は、オリゴヌクレオチドプール内に成功裏に組み込まれ、続いて、該プールからアプタマーが選択されている。しかしながら、このような修飾は、得られるアプタマーの合成コストを大きく増大させ、場合によっては、修飾オリゴヌクレオチドの分解、続くDNA合成の基質としての該ヌクレオチドの使用によって、修飾ヌクレオチドが宿主DNA内に再利用され得るという可能性のため、安全性の懸念が誘導され得る。
2’−O−メチル(「2’−OMe」)ヌクレオチドを含有するアプタマーは、本明細書の一部のある実施形態において提供しているが、これは、これらの欠点の多くを解決する。2’−OMeヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ抵抗性であり、安価に合成される。2’−OMeヌクレオチドは生体系内で遍在性であるが、天然のポリメラーゼは、生理学的条件下で2’−OMe NTPを基質として受容せず、したがって、宿主DNA内への2’−OMeヌクレオチドの再利用に対する安全性の懸念はない。2’−修飾アプタマーを作製するために使用されるSELEXTM法は、例えば、米国特許仮出願第60/430,761号(2002年12月3日出願)、米国特許仮出願第60/487,474号(2003年7月15日出願)、米国特許仮出願第60/517,039号(2003年11月4日出願)、米国特許出願第10/729,581号(2003年12月3日出願)、米国特許出願第10/873,856号(2004年6月21日出願、発明の名称「Method for in vitro Selection of 2’−O−methyl Substituted Nucleic Acids」)、米国仮特許出願第60/696,292号(2005年6月30日、発明の名称「Improved Materials and Methods for the Generation of Fully 2’−Modified Containing Nucleic Acid Transcripts」)、および米国特許出願第11/480,188号(2006年6月30出願、発明の名称「Materials and Methods for the Generation of Fully 2’Modified Containing Nucleic Acid Transcripts」)(これらの各々は、引用により、その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
本発明は、補体標的に結合し、その機能をモジュレートするアプタマーであって、オリゴヌクレオチドを非修飾オリゴヌクレオチドよりも酵素的および化学的分解ならびに熱分解および物理的分解に対して安定にする修飾ヌクレオチド(例えば、2’位に修飾を有するヌクレオチド)を含有するアプタマーを含む。好ましい一実施形態において、前記補体標的は補体タンパク質C5である。2’−OMe含有アプタマーのいくつかの例が文献にある(例えば、Greenら、Current Biology 2,683−695、1995年を参照のこと)が、これらは、CおよびU残基が2’−フルオロ(2’−F)置換され、AおよびG残基が2’−OHである修飾転写物のライブラリーの試験管内選択によって作製されたものである。機能配列が同定されたら、各AおよびG残基を2’−OMe置換に対する許容性について試験され、2’−OMe残基として2’−OMe置換に許容性であるすべてのAおよびG残基を有するアプタマーが再合成された。この2工程様式で作製されるアプタマーのAおよびG残基の大部分は、2’−OMe残基による置換に許容性であるが、平均およそ20%はそうでない。その結果、この方法を用いて作製されるアプタマーは、2〜4個の2’−OH残基を含む傾向があり、結果として、安定性と合成コストが損なわれる。オリゴヌクレオチドプールに使用される安定化ヌクレオチドをもたらすアプタマーを転写反応物内に組み込み、該プールから、SELEXTM(および/または任意のそのバリエーションおよび改善形、例えば、本明細書に記載のもの)によってアプタマーを選択および富化することにより(例えば、修飾ヌクレオチドを有するアプタマーオリゴヌクレオチドを再合成することにより)、本発明の方法は、選択したアプタマーオリゴヌクレオチドを安定化させる必要性を排除する。
一実施形態において、本発明は、ATP、GTP、CTP、TTPおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシおよび2’−OMe修飾の組合せを含むアプタマーを提供する。別の実施形態において、本発明は、ATP、GTP、CTP、TTPおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2および2’−メトキシエチル修飾の組合せを含むアプタマーを提供する。別の実施形態において、本発明は、ATP、GTP、CTP、TTPおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2および2’−メトキシエチル修飾の56の組合せを含むアプタマーを提供する。好ましい一実施形態において、本発明は、すべてまたは実質的にすべて2’−OMe修飾ATP、GTP、CTP、TTPおよび/またはUTPヌクレオチドを含むアプタマーを提供する。
本発明の2’修飾アプタマーは、野生型ポリメラーゼよりも高い組込み比率で、バルキー置換基をフラノースの2’位に有する修飾ヌクレオチドを有する修飾ポリメラーゼ(例えば、修飾T7ポリメラーゼ)を用いて選択される。例えば、639位のチロシン残基がフェニルアラニン(Y639F)に交換された変異型T7ポリメラーゼは、2’デオキシ、2’アミノ−、および2’フルオロ−ヌクレオチド三リン酸(NTP)を容易に利用する(組み込む)が、バルキーな2’−置換基(例えば、T−OMeまたは2’−アジド(2’−N3)置換基など)を有するNTPは、利用しない。バルキーな2’置換基の組込みのためには、Y639F変異に加えてアラニン残基に交換されたヒスチジンを784位に有する変異型T7ポリメラーゼが報告されており(Y639F/H784A)、限られた状況において修飾ピリミジンNTPを組み込むために使用されている。Padilla,R.およびSousa,R.、Nucleic Acids Res.、2002年、30(24):138を参照のこと。639位のチロシン残基がフェニルアラニンに交換され、784位のヒスチジン残基がアラニンに交換され、リシン残基378がアルギニンに交換された(Y639F/H784A/K378R)変異型T7 RNAポリメラーゼは、限られた状況において修飾プリンおよびピリミジンNTP(例えば、2’−OMe NTP)を組み込むために使用されているが、転写のために2’−OH GTPの添加(spike)が必要とされる。Burmeisterら、(2005)Chemistry and Biology、12:25−33を参照のこと。理論に拘束されることを望まないが、K378R変異は、ポリメラーゼの活性部位付近ではなく、したがって、2’−OMe修飾NTPの組込みに対して効果のないサイレント変異と考えられる。アラニン残基に交換されたヒスチジンを784位に有する(H784A)変異型T7ポリメラーゼもまた報告されている。Padillaら、Nucleic Acids Research、2002年、30:138。Y639F/H784変異型およびH784A変異型T7ポリメラーゼにおいて、より小さなアミノ酸残基(アラニンなど)に対する変化によって、よりバルキーなヌクレオチド基質、例えば、2’−OMe置換ヌクレオチドの組込みが可能になる。Chelliserry、K.およびEllington、A.D.、(2004)Nature Biotech、9:1155−60を参照のこと。T7 RNAポリメラーゼの活性部位に変異を有し、より容易にバルキーな2’修飾型基質を組み込むさらなるT7 RNAポリメラーゼ、例えば、ロイシンに変更されたチロシン残基を639位に有する(Y639L)変異型T7 RNAポリメラーゼが報告されている。
一般的に、本明細書に開示した条件下では、Y693F変異型が、GTP以外のすべての2’−OMe置換NTPの組込みに使用され得、Y639F/H784A、Y639F/H784A/K378R、Y639L/H784A、Y639L/H784A/K378R、Y639L、Y639L/K378R、P266L/Y639L/H784AまたはP266L/Y639L/H784A/K378R変異型T7 RNAポリメラーゼが、本明細書に開示した条件下で、すべての2’−OMe置換NTP(例えば、2’−OMe GTP)の組込みに使用され得ることがわかった。
2’−修飾オリゴヌクレオチドは、完全に合成された修飾ヌクレオチドであってもよく、修飾ヌクレオチドのサブセットを有するものであってもよい。修飾は同じであっても異なるものであってもよい。一部または全部のヌクレオチドが修飾され得、修飾されたものは、同じ修飾を含むものであり得る。一部または全部のヌクレオチドが修飾され得、修飾されたものは、異なる修飾を含むものであり得、例えば、同じ塩基を含有するすべてのヌクレオチドが、1つの型の修飾を有するものであり得、一方で、他の塩基を含有するヌクレオチドが異なる型の修飾を有するものであり得る。すべてのプリンヌクレオチドが1つの型の修飾を有する(または非修飾である)ものであってもよく、一方で、すべてのピリミジンヌクレオチドが別の異なる型の修飾を有する(または非修飾である)ものであってもよい。このように、転写物または転写物のプールは、例えば、リボヌクレオチド(2’−OH)、デオキシリボヌクレオチド(2’−デオキシ)、2’−アミンヌクレオチド(2’−NH2)、2’−フルオロヌクレオチド(2’−F)、および2’−O−メチル(2’−OMe)ヌクレオチドなどの修飾の任意の組合せを用いて作製される。2’−OH AおよびGならびに2’−F CおよびUを含む転写混合物を「rRfY」と称し、これから選択されるアプタマーを「rRfY」アプタマーと称する。2’−OMe CおよびUならびに2’−OH AおよびGを含む転写混合物を「rRmY」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「rRmY」アプタマーと称する。デオキシAおよびGならびに2’−OMe UおよびCを含む転写混合物を「dRmY」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「dRmY」アプタマーと称する。2’−OMe A、CおよびUならびに2’−OH Gを含む転写混合物を「rGmH」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「rGmH」アプタマーと称する。2’−OMe A、C、UおよびGならびに2’−OMe A、UおよびCならびに2’−F Gを択一的に含む転写混合物を「択一的(alternating)混合物」と称し、これから選択されるアプタマーを「択一的混合物」アプタマーと称する。2’−OMe A、U、CおよびG(ここで、Gの10%までがリボヌクレオチドである)を含む転写混合物を「r/mGmH」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「r/mGmH」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「r/mGmH」アプタマーと称する。2’−OMe A、UおよびCならびに2’−F Gを含む転写混合物を、「fGmH」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「fGmH」アプタマーと称する。2’−OMe A、UおよびCならびにデオキシGを含む転写混合物を「dGmH」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「dGmH」アプタマーと称する。デオキシAならびに2’−OMe C、GおよびUを含む転写混合物を「dAmB」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「dAmB」アプタマーと称し、すべて2’−OH ヌクレオチドを含む転写混合物を「rN」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「rN」、「rRrY」または「RNA」アプタマーアプタマーと称する。2’−OH アデノシン三リン酸およびグアノシン三リン酸およびデオキシシチジン三リン酸およびチミジン三リン酸を含む転写混合物を、「rRdY」混合物と称し、これから選択されるアプタマーを「rRdY」アプタマーと称する。「mRmY」は、「MNA」アプタマーとも称され、開始ヌクレオチド(これは、2’−OHグアノシンまたは任意の野生型グアノシンである)以外は2’−O−メチルヌクレオチドのみを含有するものであり、SELEXTM後置換(可能な場合は、2’−OMe Gによる任意の2’−OH Gの置換)によって、r/mGmHオリゴヌクレオチドから誘導されるものであり得る。あるいはまた、mRmYアプタマーは、mRmY SELEXTMにより同定される。
好ましい実施形態としては、2’−OH、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組合せが挙げられる。より好ましい実施形態としては、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組合せが挙げられる。さらにより好ましい実施形態は、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組合せによるものであって、ピリミジンが2’−OMeであるもの(例えば、dRmY、mRmYまたはdGmHなど)である。
本発明のアプタマーへの修飾ヌクレオチドの組込みは、選択プロセスの前)(例えば、SELEXTMプロセス前修飾)になされる。任意選択で、修飾ヌクレオチドがSELEXTMプロセス前修飾によって組み込まれた本発明のアプタマーは、さらに、SELEXTMプロセス後修飾(すなわち、SELEXTMの後のSELEXTMプロセス後修飾)によって修飾され得る。SELEXTMプロセス前修飾により、SELEXTM標的に対する特異性を有し、また、改善された生体内安定性を有する修飾核酸リガンドがもたらされる。SELEXTMプロセス後修飾、すなわち、修飾(例えば、SELEXTMプロセス前修飾によって組み込まれたヌクレオチドを有する先に同定されたリガンドの切断、欠失、置換またはさらなるヌクレオチド修飾)により、SELEXTMプロセス前修飾によって組み込まれたヌクレオチドを有する核酸リガンドの結合能力に悪影響を及ぼすことなく、生体内安定性のさらなる改善がもたらされ得る。
2’−修飾(例えば、2’−OMe)RNA転写物のプールを、ポリメラーゼが2’−修飾NTPを受容する条件下で作製するため、Y693F、Y693F/K378R、Y693F/H784A、Y693F/H784A/K378R、Y693L/H784A、Y693L/H784A/K378R、Y639L、Y639L/K378R、P266L/Y639L/H784AおよびP266L/Y639L/H784A/K378R変異型T7 RNAポリメラーゼがすべて使用され得る。他のT7 RNAポリメラーゼ、特に、バルキー2’−置換基に対して高い許容性を示すものもまた本発明において使用され得る。本明細書に開示した条件を用いて鋳型指向型重合に使用する場合、Y639L/H784A、Y639L/H784A/K378R、P266L/Y639L/H784AまたはP266L/Y639L/H784A/K378R変異型T7 RNAポリメラーゼが、すべて2’−OMe NTP(例えば、2’−OMe GTP)の組込みに使用され得、転写物の収量は、Y639F、Y639F/K378R、Y639F/H784A、Y639F/H784A/K378R、Y639L、Y639L/K378R変異型T7 RNAポリメラーゼを用いることにより達成される収量よりも高い。Y639L/H784A、Y639L/H784A/K378R、P266L/Y639L/H784AおよびP266L/Y639L/H784A/K378R変異型T7 RNAポリメラーゼは、高収量の2’修飾型(例えば、2’−OMe)含有オリゴヌクレオチドを得るために、2’−OH GTPとともに使用され得るが、必要ではない。
他のポリメラーゼ、特に、バルキー2’−置換基に対して高い許容性を示すものもまた本発明において使用され得る。かかるポリメラーゼはこの能力について、本明細書に開示した転写条件下で修飾ヌクレオチドを組み込む能力をアッセイすることによりスクリーニングされ得る。
いくつかの因子が、本明細書に開示した方法に有用な転写条件に重要であることが測定された。例えば、DNA転写鋳型の5’末端の固定配列内に組み込まれたリーダー配列は、Y639F/K378RまたはY639F/H784A/K378R変異型T7 RNAポリメラーゼが例えばdRmYまたはr/mGmH転写条件(後述)下で転写に使用される場合、修飾転写物の収率を増大させるのに重要であり得る。さらに、リーダー配列は、例えば、Y639L/H784AまたはY639L/H784A/K378R変異型T7 RNAポリメラーゼが例えばmRmY転写条件(後述)下で転写に使用される場合、修飾転写物の収率を増大を補助するために使用され得るが、必要ではない。リーダー配列は、典型的には6〜15ヌクレオチド長であり、すべてプリン、またはプリンとピリミジンヌクレオチドの混合物で構成されるものであり得る。
修飾ヌクレオチドが組み込まれた転写物の取得における別の重要な要素は、2’−OH グアノシン(例えば、GMP、GTPまたは別の非2’−OMe非三リン酸)の存在または濃度である。転写は、2つの段階に分けられ得る:第1段階は開始であり、この間に、NTPがGTP(またはGMP、もしくは別の非2’−OMe非三リン酸)の3’−ヒドロキシル末端に付加され、ジヌクレオチドがもたらされ、これは、次いで、約10〜12ヌクレオチド伸長される;第2段階は伸長であり、この間に、転写が進行し、最初の約10〜12ヌクレオチドの付加より長くなる。過剰の2’−OMe GTPを含有する転写混合物に添加される少量の2’−OH GTP(またはGMP、もしくは別の非2’−OMe非三リン酸)は、2’−OH GTP(またはGMP、グアノシン、もしくは別の非2’−OMe非三リン酸)を用い、ポリメラーゼに転写を開始させることを可能にするのに充分であることがわかった。したがって、例えば、dRmY転写混合物(デオキシプリンおよび2’OMeピリミジンを含有する)は、ポリメラーゼに転写を開始させることを可能にするために少量のGMPの添加を必要とし、一方、r/mGmH転写混合物(10%までの2’−OH GTPを含有)では、少量のGMPを転写混合物に添加してもよいが、2’−OH GTPが転写混合物中に既に存在するため、ポリメラーゼに転写を開始させることを可能にするのに必要ではない。いったん転写が伸長段階に入ると、2’−OMeと2’−OH GTP間の区別が低減し、2’−OH GTPに対して2’−OMe GTPが過剰となることにより、主として2’−OMe GTPの組込みが可能になる。
すぐ上に記載したように、転写を2’−OHグアノシン(例えば、GMP、GTPまたは別の非2’−OMe非三リン酸)で初回刺激することは重要である。この効果は、最初のヌクレオチドに対するポリメラーゼの特異性に起因する。その結果、この様式で作製された任意の転写物の5’末端ヌクレオチドは、おそらく2’−OH Gとなる。GMPの好ましい濃度は0.5mMであり、さらにより好ましくは1mMである。また、PEG、好ましくはPEG−8000を転写反応物中に含めることは、修飾ヌクレオチドの組込みを最大限にするのに有用であることがわかった。
転写物への2’−OMe置換ヌクレオチドの組込みにおける別の重要な因子は、ともに二価であるマグネシウムおよびマンガンを転写混合物中に使用することである。塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの濃度の種々の組合せが、2’−O−メチル化された転写物の収率に影響を及ぼし、塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの最適濃度は、二価金属イオンと錯体形成するNTPの転写反応混合物中の濃度に依存することがわかった。すべて2’−O−メチル化された転写物(すなわち、すべて2’−OMe A、CおよびUならびに約90%のGヌクレオチド)の最大収率を得るためには、各NTPが0.5mMの濃度で存在する場合、およそ5mM塩化マグネシウムおよび1.5mM塩化マンガンの濃度が好ましい。各NTPの濃度が1.0mMである場合、およそ6.5mM塩化マグネシウムおよび2.0mM塩化マンガンの濃度が好ましい。各NTPの濃度が2.0mMである場合、およそ9.6mM塩化マグネシウムおよび2.9mM塩化マンガンの濃度が好ましい。いずれの場合でも、これらの濃度から2倍まで逸脱しても、なお有意な量の修飾転写物が得られる。
一部のある実施形態において、転写をGMPまたはグアノシンで初回刺激することは好都合である。この効果は、最初のヌクレオチドに対するポリメラーゼの特異性に起因する。その結果、この様式で作製された任意の転写物の5’末端ヌクレオチドは、おそらく2’−OH Gとなる。GMP(またはグアノシン)の好ましい濃度は0.5mMであり、さらにより好ましくは1mMである。また、PEG、好ましくはPEG−8000を転写反応物中に含めることは、修飾ヌクレオチドの組込みを最大限にするのに有用であることがわかった。
転写物への2’−OMe ATP(100%)、UTP(100%)、CTP(100%)およびGTP(約90%)(「r/mGmH」)の最大組込みのためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各2’−OMe NTPの濃度が1.0mMである場合は6.5mM)、MnCl2 1.5mM(各2’−OMe NTPの濃度が1.0mMである場合は2.0mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(より好ましくは、1.0mM)、2’−OH GTP 30μM、2’−OH GMP 500μM、pH7.5、Y639F/H784A T7 RNAポリメラーゼ15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全プリンリーダー配列が好ましい。本明細書で用いる場合、1単位のY639F/H784変異型T7 RNAポリメラーゼ(または本明細書において特定される任意の他の変異型T7 RNAポリメラーゼ)は、r/mGmH条件下で1nmolの2’−OMe NTPを転写物中に組み込むのに必要とされる酵素の量と規定する。本明細書で用いる場合、1単位の無機ピロホスファターゼは、pH7.2および25℃で1分あたり1.0モルの無機オルトホスフェートを遊離させる酵素の量と規定する。
転写物への2’−OH GTPおよび2’−OMe ATP、UTPおよびCTP(「rGmH」)の最大組込み(100%)のためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各NTPの濃度が2.0mMである場合は9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各NTPの濃度が2.0mMである場合は2.9mM)、NTP(各々)500μM(より好ましくは、2.0mM)、2’−OH GMP 1nM、pH7.5、Y639F/K378R T7 RNAポリメラーゼ200nM、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてプリンのリーダー配列が好ましい。
転写物への2’−OMe ATP(100%)、2’−OMe UTP(100%)、2’−OMe CTP(100%)および2’−OMe GTP(100%)(「mRmY」または「MNA」)の最大組込みのためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 8mM、MnCl2 2.5mM、2’−OMe NTP(各々)1.5mM、2’−OH GMP 1mM、pH7.5、Y639L/H784A/K378R変異型T7 RNAポリメラーゼ200nM、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および誘導した転写条件下での転写収量を増大させる任意選択のリーダー配列が好ましい。一実施形態において、任意選択のリーダー配列は、すべてプリンのリーダー配列である。別の実施形態において、任意選択のリーダー配列は、プリンとピリミジンの混合物である。
転写物への2’−OH ATPおよびGTP、ならびに2’−OMe UTPおよびCTP(「rRmY」)の最大組込み(100%)のためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各NTPの濃度が2.0mMである場合は9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各NTPの濃度が2.0mMである場合は2.9mM)、NTP(各々)500μM(より好ましくは、2.0mM)、2’−OH GMP 1mM、pH7.5、Y639F/H784A/K378R T7 RNAポリメラーゼ200nM、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてプリンのリーダー配列が好ましい。
転写物への2’−OMe ATP、UTPおよびCTP(「rGmH」)の最大組込み(100%)のためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合は9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合は2.9mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(より好ましくは、2.0mM)、pH7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてプリンのリーダー配列が好ましい。
転写物への2’−OMe UTPおよびCTP(「rRmY」)の最大組込み(100%)のためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合は9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合は2.9mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(より好ましくは、2.0mM)、pH7.5、Y639F/H784A T7 RNAポリメラーゼ15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてプリンのリーダー配列が好ましい。
転写物へのデオキシATPおよびGTPならびに2’−OMe UTPおよびCTP(「dRmY」)の最大組込み(100%)のためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミン2mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、NTP(各々)2.0mM、2’−OH GMP 1mM、pH7.5、Y639F/K3787R T7 RNAポリメラーゼ200nM、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてプリンのリーダー配列が好ましい。
転写物への2’−OMe ATP、UTPおよびCTPならびに2’−F GTP(「fGmH」)の最大組込み(100%)のためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、2’−OH GMP 1mM、pH7.5、Y639F/K378R T7 RNAポリメラーゼ200nM、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてプリンのリーダー配列が好ましい。
転写物へのデオキシATPならびに2’−OMe UTP、GTPおよびCTP(「dAmB」)の最大組込み(100%)のためには、下記の条件:HEPESバッファー200mM、DTT 40mM、スペルミジン2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、NTP(各々)2.0mM、2’−OH GMP 1mM、pH7.5、Y639F/K378R T7 RNAポリメラーゼ200nM、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長のすべてプリンのリーダー配列が好ましい。
上記(a)の各々について、転写は、好ましくは、約20℃〜約50℃、好ましくは約30℃〜45℃の温度、より好ましくは約37℃で、少なくとも2時間の時間で行なわれ、(b)では、50〜300nMの二本鎖DNA転写鋳型が使用され(第1回目では多様性を増大させるために200nMの鋳型が使用される(dRmY転写では300nMの鋳型が使用される))、後続の回では、およそ50nM(最適化PCR反応物の1/10希釈度)が、本明細書に記載の条件を用いて使用される)。好ましいDNA転写鋳型は後述する(ここで、ARC254およびARC256は、すべて2’−OMe条件下で転写を行ない、ARC255は、rRmY条件下で転写を行なう)。
本発明のrN転写条件下では、転写反応混合物は、2’−OHアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−OHシチジン三リン酸(CTP)、および2’−OHウリジン三リン酸(UTP)を含む。本発明のrN転写混合物を用いて作製される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべて2’−OHアデノシン、2’−OHグアノシン、2’−OHシチジン、および2’−OHウリジンで構成される。rN転写の好ましい一実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHウリジンである配列を含む。rN転写のより好ましい実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHウリジンである配列を含む。rN転写の最も好ましい実施形態において、本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−OHシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−OHウリジンである配列を含む。
rRmY転写条件下では、転写反応混合物は、2’−OHアデノシン三リン酸、2’−OHグアノシン三リン酸、2’−OMeシチジン三リン酸、および2’−OMeウリジン三リン酸を含む。本発明のrRmY転写混合物を用いて作製される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべて2’−OHアデノシン、2’−OHグアノシン、2’−OMeシチジンおよび2’−OMeウリジンで構成される。好ましい一実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OMeシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OMeウリジンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OMeシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OMeウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−OMeシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−OMeウリジンである配列を含む。
dRmY転写条件下では、転写反応混合物は、2’−デオキシアデノシン三リン酸、2’−デオキシグアノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、および2’−O−メチルウリジン三リン酸を含む。本発明のdRmY転写条件を用いて作製される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべて2’− デオキシアデノシン、2’−デオキシグアノシン、2’−O−メチルシチジン、および2’−O−メチルウリジンで構成される。好ましい一実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
rGmH転写条件下では、転写反応混合物は、2’−OHグアノシン三リン酸、2’−OMeシチジン三リン酸、2’−OMeウリジン三リン酸、および2’−OMeアデノシン三リン酸を含む。本発明のrGmH転写混合物を用いて作製される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべて2’−OHグアノシン、2’−OMeシチジン、2’−OMeウリジン、および2’−OMeアデノシンで構成される。好ましい一実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OMeシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OMeウリジンであり、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OMeアデノシンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OMeシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OMeウリジンであり、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OMeアデノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−OMeシチジンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−OMeウリジンであり、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。
r/mGmH転写条件下では、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルグアノシン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸および2’−OHグアノシン三リン酸を含む。本発明のr/mGmH転写混合物を用いて作製して得られる修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべて2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルグアノシン、および2’−O−メチルウリジンで構成され、ここで、グアノシンヌクレオチドの集団は、最大約10%の2’−OHグアノシンを有する。好ましい実施形態において、得られる本発明のr/mGmH修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの約10%以下が2’−OHグアノシンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの約10%以下が2’−OHグアノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの90%が2’−O−メチルグアノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの約10%以下が2’−OHグアノシンである配列を含む。
mRmY(本明細書において、MNAともいう)転写条件下では、転写混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルグアノシン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸のみを含む。本発明のmRmY転写混合物を用いて作製して得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり(該オリゴヌクレオチドの最初のグアノシンを除く)、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
fGmH転写条件下では、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、および2’−Fグアノシン三リン酸を含む。本発明のfGmH転写条件を用いて作製される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべて2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルウリジン、2’−O−メチルシチジン、および2’−Fグアノシンで構成される。好ましい一実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−Fグアノシンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−Fグアノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−Fグアノシンである配列を含む。
dAmB転写条件下では、リン酸塩、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルグアノシン三リン酸、および2’−O−メチルウリジン三リン酸。本発明のdAmB転写混合物を用いて作製される修飾オリゴヌクレオチドは、実質的にすべて2’−デオキシアデノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルグアノシン、および2’−O−メチルウリジンで構成される。好ましい一実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’− デオキシアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。より好ましい実施形態において、得られる修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’− デオキシアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態において、得られる本発明の修飾オリゴヌクレオチドは、すべてのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシアデノシンであり、すべてのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、すべてのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり、すべてのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
各場合において、転写産物は、次いで、アプタマーを特定するため、および/または所与の標的に対する結合特異性を有する配列の保存されたモチーフを決定するために、SELEXTMプロセスにおけるライブラリーとして使用され得る。得られる配列は既に安定化されており、この工程は、安定化されたアプタマー配列を得るプロセスから排除され、結果として、より高度に安定化されたアプタマーが得られる。2’−OMe SELEXTMプロセスの別の利点は、得られる配列には、該配列に必要とされる2’−OHヌクレオチドが少なく、おそらく全くない可能性が高いことである。2’OHヌクレオチドは、残留する範囲内で、SELEX後修飾を行なうことにより除去してもよい。
後述するように、2’置換ヌクレオチドが充分に組み込まれる少量だがなお有用な収量の転写物は、上記の最適化条件以外の条件下で得られ得る。例えば、上記の転写条件に対するバリエーションとしては、以下のものが挙げられる:
HEPESバッファー濃度は0〜1Mの範囲であり得る。本発明ではまた、5〜10のpKaを有する他の緩衝剤、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどの使用が想定される。
DTTの濃度は0〜400mMの範囲であり得る。本発明の方法はまた、他の還元剤、例えば、メルカプトエタノールなどの使用を提供する。
スペルミジンおよび/またはスペルミンの濃度は、0〜20mMの範囲であり得る。
PEG−8000の濃度は0〜50%(w/v)の範囲であり得る。本発明の方法はまた、他の親水性ポリマー、例えば、他の分子量のPEGまたは他のポリアルキレングリコールなどの使用を提供する。
Triton X−100の濃度は0〜0.1%(w/v)の範囲であり得る。本発明の方法はまた、他の非イオン系デタージェント、例えば、他のTriton−X デタージェントなどの他のデタージェントの使用を提供する。
MgCl2の濃度は0.5mM〜50mMの範囲であり得る。MnCl2の濃度は0.15mM〜15mMの範囲であり得る。MgCl2およびMnCl2の両方が記載の範囲内で存在しなければならず、好ましい実施形態では、約10〜約3の比のMgCl2:MnCl2で存在し、好ましくは、該比は約3〜5:1であり、より好ましくは、該比は約3〜4:1である。
2’−OMe NTPの濃度(各NTP)は、5μM〜5mMの範囲であり得る。
2’−OH GTPの濃度は、0μM〜300μMの範囲であり得る。一部のある実施形態において、転写は、2’−OH GTPの非存在下(0μM)で行なわれる。
2’−OH GMP、グアノシンまたは2’位の糖鎖以外の位置が置換された他の2’−OH Gの濃度は、0〜5mMの範囲であり得、ここで、一部のある実施形態では、2’−OH GTPを反応に含めず、2’−OH GMPが必要とされ、5μM〜5mMの範囲であり得る。
DNA鋳型の濃度は、5nM〜5μMの範囲であり得る。
変異型ポリメラーゼの濃度は、2nM〜20μMの範囲であり得る。
無機ピロホスファターゼは、0〜100単位/mlの範囲であり得る。
pHはpH6〜pH9の範囲であり得る。本発明の方法は、修飾ヌクレオチドが組み込まれたポリメラーゼの大部分が活性なpH範囲内で行なわれ得る。
転写反応は、約1時間〜数週間、好ましくは、約1〜約24時間行なわれ得る。
下記の実施例で記載するような生物学的アッセイによって示される最も高い親和性および特異的結合性を有する選択されたアプタマーは、C5補体タンパク質が病因に関与している状態を処置するのに適した治療剤である。
アプタマー医化学
所望の標的に結合するアプタマーが特定されたら、任意選択で、特性されたアプタマー配列の結合特性および/または機能的特性を増大させるために、いくつかの手法が実施され得る。SELEXTMプロセス(2’修飾SELEXTMを含む)によって特定された所望の標的に結合するアプタマーは、所望の結合特性および/または機能的特性を有する最小アプタマー配列(本明細書において、「最小化構築物」ともいう)を得るために、任意選択で切断され得る。これを達成する方法の一例は、最小化構築物の設計の情報を得るためにフォールディングプログラムおよび配列解析(例えば、選択物から得られたクローン配列をアラインメントし、保存モチーフおよび/または共変動を調べる)を使用することによるものである。また、生化学的プロービング実験を行ない、アプタマー配列の5’および3’境を調べ、最小化構築物の設計の情報を得ることができる。次いで、最小化構築物を化学的に合成し、該構築物を誘導した非最小化配列と比較したときの結合特性および機能的特性について試験することができる。一連の5’、3’および/または内部欠失を含むアプタマー配列のバリアントもまた、直接化学的に合成され、該バリアントを誘導した非最小化アプタマー配列と比較したときの結合特性および/または機能的特性について試験され得る。
さらに、単一の活性なアプタマー配列(すなわち、SELEXTMプロセス、(2’修飾SELEXTMを含む)によって特定された所望の標的に結合するアプタマー、または単一の最小化アプタマー配列における配列要件を調べるため、ドープ再選択法が使用され得る。ドープ再選択法は、対象の単一の配列に基づいて設計された合成の縮重したプールを用いて行なわれる。縮重のレベルは、通常、野生型ヌクレオチド、すなわち対象の単一の配列と70%〜85%異なる。一般に、中立変異を有する配列はドープ再選択プロセスによって同定されるが、場合によっては、配列変化により親和性の改善がもたらされ得る。次いで、ドープ再選択法を用いて特定されたクローンからの複合配列情報は、最小結合モチーフを同定するため、および最適化の取り組みを補助するために使用され得る。
SELEXTMプロセス(2’修飾SELEXおよびドープ再選択法を含む)を用いて特定されたアプタマー配列および/または最小化アプタマー配列はまた、任意選択で、アプタマー医化学を用いてSELEXTM後に最適化され、該配列のランダムもしくは特異的変異誘発を行ない、結合親和性および/または機能的特性を増大させ得るか、あるいはまた、該配列内のどの位置が結合活性および/または機能的特性に不可欠であるかが調べられ得る。
アプタマー医化学は、複数組のバリアントアプタマーを化学的に合成するアプタマー改善手法である。これらの組のバリアントは、典型的には、親アプタマーとは単一の置換基が導入されていることで異なり、互いにこの置換基の位置で異なる。次いで、これらのバリアントを互いと、および親と比較する。特性における改善は、特定の治療基準を満たすのに必要なのは、単一の置換基を含むことだけであるのに充分に意味深いことがあり得る。
あるいはまた、その組の単一のバリアントから収集される情報を用いて、1つより多くの置換基が同時に導入されているさらなる複数組のバリアントが設計され得る。設計ストラテジーの一例において、単一置換基バリアントのすべてをランク付けし、上位4つを選択し、これらの4つの単一置換基バリアントの可能なあらゆる2つ1組(6)、3つ1組(4)および4つ1組(1)の組合せを合成し、アッセイする。第2の設計ストラテジーでは、最良の単一置換基バリアントを、新たな親とみなし、この最高ランクの単一置換基バリアントを含む可能なあらゆる2つ1組の置換基バリアントを合成し、アッセイする。他のストラテジーも使用され得、このようなストラテジーは、さらに改善されたバリアントの同定を継続しながら、置換基の数が徐々に増加するように反復して適用され得る。
アプタマー医化学は、特に、全体ではなく局所の置換基の導入を探索するための方法として使用され得る。アプタマーは、転写によって作製したライブラリー内に見出されるため、SELEXTMプロセス中に導入される任意の置換基が全体的に導入されるはずである。例えば、ホスホロチオエート結合をヌクレオチド間に組み込むことが所望される場合、該結合は、Aすべて(またはG、C、T、Uすべてなど)にのみ導入され得る(全体置換)。ホスホロチオエートが一部のA(または一部のG、C、T、Uなど)(局所置換)に必要とされるが、他のAでは許容され得ないアプタマーは、このプロセスでは容易に見出され得ない。
アプタマー医化学プロセスに利用され得る置換基の種類は、固相合成試薬として作製できる可能性、およびオリゴマー合成スキームに導入できる可能性によってのみ制限される。該プロセスは、もちろんヌクレオチド単独に限定されない。アプタマー医化学スキームは、立体的嵩高さ、疎水性、親水性、親油性、疎油性正電荷、負電荷、中性電荷、双性イオン、極性、ヌクレアーゼ抵抗性、立体構造による剛性、立体構造による柔軟性、タンパク質結合特性、質量を導入する置換基を含むものであり得る。アプタマー医化学スキームは、塩基修飾、糖鎖修飾またはホスホジエステル結合修飾を含むものであり得る。
治療用アプタマーの状況においておそらく有益な置換基の種類を考慮する場合、以下のカテゴリーの1つ以上:
(1)既に体内に存在する置換基、例えば、2’−デオキシ、2’−リボ、2’−O−メチルプリンもしくはピリミジンまたは5−メチルシトシン
(2)既に承認された治療剤の一部である置換基、例えば、ホスホロチオエート結合オリゴヌクレオチド
(3)上記の2つのカテゴリーのうちの一方に加水分解または分解される置換基、例えば、メチルホスホネート結合オリゴヌクレオチド
の1つに含まれる置換を導入することが望ましいことがあり得る。本発明のアプタマーとしては、本明細書に記載のアプタマー医化学によって開発されたアプタマーが挙げられる。
本発明のアプタマーの標的結合親和性は、アプタマーと標的(例えば、タンパク質)間の一連の結合反応によって評価され得、この場合、微量の32P−標識アプタマーを、標的の希釈列とともに緩衝培地中でインキュベートし、次いで、真空濾過マニホールドを用いてニトロセルロース濾過によって解析する。本明細書においてドットブロット結合アッセイという場合、この方法では、(上から下に)ニトロセルロース、ナイロンフィルター、およびゲルブロット紙からなる3層の濾過媒体を使用する。標的に結合したRNAは、ニトロセルロースフィルター上に捕捉されるが、非標的結合RNAは、ナイロンフィルター上に捕捉される。ゲルブロット紙は、これ以外のフィルターの支持媒体として含める。濾過後、フィルター層を分離し、乾燥させ、リン光体スクリーン上で露光し、リン光体画像化システムを用いて定量する。定量結果を用いて、アプタマー結合曲線が作製され得、これから解離定数(KD)が算出され得る。好ましい一実施形態において、結合反応の実施に使用される緩衝培地は、1×ダルベッコPBS(Ca++およびMg++含有)+0.1mg/mL BSAである。
一般的に、アプタマーが標的の機能的活性、すなわちアプタマーの機能的活性をモジュレートする能力は、標的の生物学的機能に応じて種々である試験管内および生体内モデルを用いて評価され得る。一部のある実施形態では、本発明のアプタマーは、標的の既知の生物学的機能を阻害するものであり得る。一方、他の実施形態では、本発明のアプタマーは、標的の既知の生物学的機能を刺激するものであり得る。本発明のアプタマーの機能的活性は、補体成分標的の既知の機能が測定されるように設計された試験管内および生体内モデルを用いて評価され得る。
本発明のアプタマーは、当業者が使用する任意の数の手法に従い、常套的に診断目的に適合させ得る。診断的利用には、生体内診断適用または試験管内診断適用の両方が含まれ得る。診断剤は、ユーザーが特定の現場または濃度で所与の標的の存在を特定することを可能に得ることだけが必要である。単純に、標的と結合対を成し得る能力は、診断目的のための正のシグナルを誘発するのに充分であり得る。また、当業者は、かかるリガンドの存在を追跡するための標識タグを組み込むために、任意のアプタマーを当該技術分野で知られた手順によって適合させることができよう。かかるタグは、いくつかの診断手順において使用され得る。
アプタマー治療剤の薬物動態および生体分布のモジュレーション
アプタマーを含むすべてのオリゴヌクレオチド系治療剤の薬物動態特性が所望の医薬適用と適合するように調整することは重要である。細胞外標的に指向されるアプタマーは、細胞内送達に伴う問題点(アンチセンスおよびRNAi系治療剤の場合のような)はもたないが、かかるアプタマーは、やはり、標的の器官および組織に分布され、体内に(非修飾状態で)所望の投与レジメンに整合する期間滞留され得るものでなければならない。
したがって、本発明は、アプタマー組成物の薬物動態、特に、アプタマー薬物動態を整調できる可能性に影響を及ぼす材料および方法を提供する。アプタマー薬物動態を整調できる可能性(すなわち、モジュレートできる可能性)は、アプタマーへの修飾性部分(例えば、PEGポリマー)のコンジュゲーションおよび/または修飾ヌクレオチド(例えば、2’−フルオロもしくは2’−O−メチル)の組込みにより核酸の化学組成を改変することによって達成される。アプタマー薬物動態の整調できる可能性は、既存の治療適用の改善、あるいはまた、新しい治療適用の開発に用いられる。例えば、一部のある治療適用、例えば、速やかな薬物クリアランスまたは排出が所望され得る抗新生物形成性または急性医療状況では、血液循環中のアプタマーの滞留時間を低減させることが望ましい。あるいはまた、他の一部の治療適用、例えば、治療剤の全身循環が所望される維持療法では、血液循環中のアプタマーの滞留時間を増大させることが望ましい。
また、アプタマー薬物動態の整調可能性は、被験体内でのアプタマー治療剤の生体分布を変更するために用いられる。例えば、一部のある治療適用では、特定の組織型または特定の器官(もしくは1組の器官)を標的化する取り組みにおいて、アプタマー治療剤の生体分布を改変するのが望ましいことがあり得る。このような適用において、アプタマー治療剤は、優先的に特定の組織または器官(1つまたは複数)内に蓄積される。他の治療適用においては、アプタマー治療剤が優先的に罹患組織内に蓄積されるように、細胞マーカーもしくは所与の疾患と関連する症状、細胞損傷または他の異常な病態を示す組織を標的化するのが望ましいことがあり得る。例えば、米国特許仮出願第60/550790号(2004年3月5日出願、発明の名称「Controlled Modulation of the Pharmacokinetics and Biodistribution of Apamer Therapeutics」)および米国特許非仮出願第11/075,648号(2005年3月7日出願、発明の名称「Controlled Modulation of the Pharmacokinetics and Biodistribution of Aptamer Therapeutics」)に記載のように、アプタマー治療剤のPEG化(例えば、20kDa PEGポリマーを用いたPEG化)を用い、PEG化されたアプタマー治療剤が優先的に炎症組織内に蓄積されるように炎症組織を標的化する。
アプタマー治療剤(例えば、アプタマーコンジュゲートまたは改変された化学特性(例えば、修飾ヌクレオチドなど)を有するアプタマー)の薬物動態および生体分布プロフィールを調べるため、さまざまなパラメータをモニターする。かかるパラメータとしては、例えば、アプタマー組成物の半減期(t1/2)、血漿クリアランス(Cl)、分布容積(Vss)、濃度時間曲線下面積(AUC)、観察された最大血清または血漿濃度(Cmax)、および平均滞留時間(MRT)が挙げられる。本明細書で用いる場合、用語「AUC」は、アプタマー投与後のアプタマー治療剤の血漿濃度対時間のプロットの下側の面積をいう。AUC値を用いて、所与のアプタマー治療剤のバイオアベイラビリティ(すなわち、アプタマー投与後の血液循環中の投与されたアプタマー治療剤のパーセント)および/または全クリアランス(Cl)(すなわち、アプタマー治療剤が血液循環から除去される速度)が推定される。分布容積は、アプタマー治療剤の血漿濃度を、体内に存在するアプタマーの量と関連させる。Vssが大きいほど、より多くのアプタマーが血漿外に見られる(すなわち、管外遊出が多い)。
本発明は、アプタマーをモジュレート性(modulating)部分、例えば、小分子、ペプチドもしくはポリマー末端基にコンジュゲートさせること、または修飾ヌクレオチドをアプタマー内に組み込むことにより、生体内で、安定化されたアプタマー組成物の薬物動態および生体分布を制御された様式でモジュレートするための材料および方法を提供する。本明細書に記載のように、モジュレート性部分のコンジュゲーションおよび/またはヌクレオチド(1つまたは複数)の化学組成の改変により、血液循環中のアプタマー滞留時間および組織への分布の基本的態様が改変される。
ヌクレアーゼによるクリアランスに加え、オリゴヌクレオチド治療剤は、腎臓での濾過による排出に供される。そのため、静脈内投与されたヌクレアーゼ抵抗性オリゴヌクレオチドは、典型的には、濾過が抑止され得ない限り<10分の生体内半減期を示す。これは、血流から組織内への速やかな分布を助長すること、またはオリゴヌクレオチドの見かけ分子量を糸球体での有効なサイズ排除より上に増大させることのいずれかによってなされ得る。小型治療剤のPEGポリマーへのコンジュゲーション(PEG化)により、後述するように、血液循環中のアプタマーの滞留時間が劇的に延長され得、それにより、投与頻度が低減され、血管標的に対する有効性が増強される。
さらに、眼組織からのアプタマー濾過もまた、本発明のアプタマーの見かけ分子量を増加させることにより(PEGポリマーへのコンジュゲーションなどにより)、モジュレート(特に、ブロック)され得る。
アプタマーは、さまざまなモジュレート性部分、例えば、高分子量ポリマー、例えば、PEG;ペプチド、例えば、Tat(a 13−amino acid fragment of the HIV Tat protein(Vives、ら(1997)、J.Biol.Chem.272(25):16010−7))、Ant(16−amino acid sequence derived from the third helix of the Drosophila antennapedia homeotic protein(Pietersz、ら(2001)、Vaccine 19(11−12):1397−405))およびArg7(a short,positively charged cell−permeating peptides composed of polyarginine(Arg7)(Rothbard、ら(2000)、Nat.Med.6(11):1253−7;Rothbard、Jら(2002)、J.Med.Chem.45(17):3612−8));ならびに小分子、例えば、コレステロールなどの親油性化合物などにコンジュゲートさせ得る。本明細書に記載の種々のコンジュゲートのうち、アプタマーの生体内特性は、PEG基との複合体化によって非常に顕著に改変される。例えば、上記の米国特許非仮出願(米国特許第11/075,648号、2005年3月7日出願、発明の名称「Controlled Modulation of the Pharmacokinetics and Biodistribution of Aptamer Therapeutics」)に記載のように、アプタマー治療剤と20kDaのPEGポリマーとのコンジュゲーションにより、腎臓濾過が障害され、健常組織および炎症組織の両方へのアプタマー分布が促進される。さらにまた、20kDa PEGポリマー−アプタマーコンジュゲートは、アプタマーの腎臓での濾過の抑制において、40kDa PEGポリマーとほぼ同程度に有効であることが示されている。PEG化の効果の1つはアプタマークリアランスに対するものであるが、20kDa部分の存在によってもたらされる長時間の全身曝露によってもまた、組織、特に、高度に灌流された臓器のものおよび炎症部位のものへのアプタマーの分布が助長される。アプタマー−20kDa PEGポリマーコンジュゲートは、炎症部位へのアプタマー分布を指向し、その結果、PEG化されたアプタマーが炎症組織内に優先的に蓄積される。一部のある場合では、20kDa PEG化アプタマーコンジュゲートは、細胞(例えば、腎臓細胞など)の内部に到達することが可能である。
全般的に、低分子量モジュレート性部分(例えば、コレステロールおよび細胞透過性ペプチド)によってもたらされるアプタマー薬物動態および組織分布に対する効果は、典型的には、ヌクレオチドのPEG化または修飾(例えば、化学組成の改変)の結果もたらされるものより顕著でない。理論に拘束されることを意図しないが、血漿リポタンパク質とのコレステロール媒介性会合(アンチセンスコンジュゲートの場合に起こることを前提とする)は、アプタマー−コレステロールコンジュゲートフォールド構造の特定の状況において妨げられる、および/またはコレステロール基の親油性の性質の態様と関連することが示唆される。コレステロールと同様、Tatペプチドタグの存在により、血流からのアプタマークリアランスが促進され、48時間で、比較的高レベルのコンジュゲートが腎臓に見られる。巨大分子が細胞膜を横切って通過するのを試験管内で媒介することが当該技術分野において報告されている他のペプチド(例えば、Ant、Arg7)は、血液循環からのアプタマークリアランスを促進しないようである。しかしながら、Tatと同様、Antコンジュゲートは、他のアプタマーと比べ、腎臓内に有意に蓄積される。理論に拘束されることを意図しないが、生体内で3次元的にフォールドされたアプタマーの状況において、AntおよびArg7ペプチドモジュレート性部分の好ましくない提示により、これらのペプチドがアプタマー輸送特性に影響する能力が障害されることが考えられ得る。
修飾ヌクレオチドはまた、アプタマーの血漿クリアランスをモジュレートするために使用され得る。例えば、例えば、2’−フルオロ、2’−OMeおよび/またはホスホロチオエート安定化化学基が組み込まれた非コンジュゲートアプタマー(これは、試験管内および生体内で高度なヌクレアーゼ安定性を示すため、現在のアプタマーの作製に典型的である)は、非修飾アプタマーと比べた場合、血漿からの速やかな損失(すなわち、速やかな血漿クリアランス)および組織内(主に、腎臓内)への速やかな分布を示す。
PAG−誘導体化核酸
上記のように、高分子量非免疫原性ポリマーでの核酸の誘導体化は、核酸の薬物動態および薬力学的特性を改変するより有効な治療用薬剤とする潜在性を有する。活性における好ましい変化は、ヌクレアーゼによる分解に対する抵抗性の増大、腎臓を介する濾過の低減、免疫系に対する曝露の低減、および身体中への治療剤の分布の改変を誘導し得るものである。
本発明のアプタマー組成物は、ポリアルキレングリコール(「PAG」)部分を用いて誘導体化したものであり得る。PAG−誘導体化核酸の例は、米国特許出願第10/718,833号(2003年11月21日出願)(引用により、その全体が本明細書に組み込まれる)に見られる。本発明に使用される典型的なポリマーとしては、ポリ(エチレングリコール)(「PEG」)(ポリ(エチレンオキシド)(「PEO」)としても知られる)およびポリプロピレングリコール(例えば、ポリイソプロピレングリコール)が挙げられる。さらに、異なるアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシド)のランダムまたはブロックコポリマーが、多くの適用用途において使用され得る。その最も一般的な形態では、ポリアルキレングリコール(例えば、PEGなど)は、各末端がヒドロキシル基で終結した線状ポリマー:HO−CH2CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−OHである。このポリマー、α,ω−ジヒドロキシルポリ(エチレングリコール)はまた、HO−PEG−OHで表されることがあり得、この場合、−PEG−記号は、下記の構造的単位:−CH2CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−(式中、nは、典型的には約4〜約10,000の範囲である)を表すことは理解されよう。
治療適用に適したPAGポリマーは、典型的には、水および多くの有機溶媒中に可溶性であり、毒性がなく、免疫原性がないという特性を有する。PAGの使用の一例は、不溶性分子に該ポリマーを共有結合させて、得られるPAG−分子「コンジュゲート」を可溶性にすることである。例えば、水不溶性薬物であるパクリタキセルは、PEGにカップリングさせると、水溶性となることが示されている。Greenwaldら、J.Org.Chem.、60:331−336(1995)。PAGコンジュゲートは、多くの場合、可溶性および安定性を増強するためだけでなく、分子の血液循環半減期を延長させるためにも使用される。
治療剤の生体分布を改変するためにPAG誘導体化(例えば、PEGコンジュゲーション)ができる可能性は、いくつかの要素、例えば、コンジュゲートの見かけ上の大きさ(例えば、流体力学的半径として測定)と関連している。大きなコンジュゲート(>10kDa)は、腎臓による濾過より有効にブロックすること、および結果として小型巨大分子(例えば、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の血清半減期を増大させることがわかっている。PEGコンジュゲートが濾過をブロックする能力は、およそ50kDaまでPEGの大きさとともに増大することが示されている(さらなる増加は、半減期が、腎臓による排除ではなくマクロファージ媒介性代謝によって規定されるため、最小限に有益な効果しかない)。
本発明のPAG誘導体化化合物は、典型的には、5〜80kDの大きさであるが、任意の大きさが使用され得、選択は、アプタマーおよび適用に依存する。本発明の他のPAG誘導体化化合物は10〜80kDの大きさである。本発明のさらに他のPAG誘導体化化合物は10〜60kDaの大きさである。一部のある実施形態において、本発明の組成物に誘導体化されるPAG部分は、少なくとも10、20、30、40、50、60または80kDaの大きさのPEGである。一部のある実施形態において、PEGは線状PEGであり、一方、他の実施形態では、PEGは分枝のPEGである。さらに他の実施形態では、PEGは、図4に示すような4OkDaの分枝のPEGである。一部のある実施形態において、40kDaの分枝のPEGは、図5に示すように、アプタマーの5’末端に結合される。
本発明は、多重PEG化核酸を含む高分子量PEG−核酸(好ましくは、アプタマー)コンジュゲートの合成の費用効果の大きい経路を提供する。また、本発明は、PEG結合多量体オリゴヌクレオチド、例えば、二量体化アプタマーを包含する。生物学的に発現されるタンパク質治療剤とは対照的に、核酸治療剤は、典型的には、活性化された単量体ヌクレオチドから化学的に合成される。PEG−核酸コンジュゲートは、同じ反復的単量体合成を用いてPEGを組み込むことにより調製され得る。例えば、ホスホロアミダイト形態への変換によって活性化されたPEGは、固相オリゴヌクレオチド合成に組み込み得る。あるいはまた、オリゴヌクレオチド合成は、反応性PEG結合部位の部位特異的組込みにより終了させ得る。
活性化PEG
高分子量PEG(>10kDa)の作製は、困難で、非効率的および高価であり得る。高分子量PEG−核酸コンジュゲートの合成に対する経路として、これまでの研究は、より高分子量の活性化PEGの作製に集中されていた。かかる分子を作製するための方法は、2つ以上のPEGが、活性化された基を有する中心コアに結合された分枝鎖活性化PEGの形成を伴う。このような高分子量PEG分子の末端部分、すなわち、比較的非反応性のヒドロキシル(−OH)部分は、1つ以上のPEGを他の化合物に該化合物の反応性部位において結合させるために、活性化され得るか、または官能性部分に変換され得る。分枝鎖の活性化PEGは2つより多くの末端を有し、2つ以上の末端が活性化されている場合、かかる活性化された高分子量PEG分子を、本明細書において多重活性化PEGという。一部のある場合では、分枝鎖PEG分子内のすべての末端が活性化されているわけではない。分枝鎖PEG分子内の任意の2つの末端が活性化されている場合、かかるPEG分子を二重活性化PEGという。分枝鎖PEG分子の1つの末端だけが活性化されている一部のある場合、かかるPEG分子を単一活性化されているという。このアプローチの一例として、リシンコアへの2つのモノメトキシPEGの結合によって調製、続いて、反応のために活性化された活性化PEGが報告されている(Harrisら、Nature、vol.2:214−221、2003年)。
図6に示すように、線状PEG分子は、二官能性であり、場合によっては、「PEGジオール」と呼ばれる。PEG分子の末端部分は、比較的非反応性のヒドロキシル部分であり、該−OH基は、PEGを他の化合物に該化合物の反応性部位において結合させるために活性化され得るか、または官能性部分に変換され得る。かかる活性化されたPEGジオールを、本明細書において二重活性化PEGという。例えば、PEGジオールの末端部分は、比較的非反応性のヒドロキシル部分−OHを、N−ヒドロキシスクシンイミドのスクシンイミジル活性エステル部分と置換することにより、アミノ部分との選択的反応のための活性な炭酸エステルとして官能性付与されている。あるいはまた、PEGジオールは、さまざまな基、例えば限定されないが、α−ハロ酢酸、エピハロヒドリン、マレエート、タルタレーソおよび適切な操作後、活性化カルボニルまたはコンジュゲーションのための同等物がもたらされ得る炭水化物を用いて活性化され得る。PEGの他の活性化方法は、Robertsら、(2002)Advanced Drug Deliver Reviews 54:549−476、(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。上記の方法の1つを用いたPEGの活性化に加え、PEG分子の末端アルコール官能基の一方または両方を修飾することにより、核酸への異なる型のコンジュゲーションが可能となり得る。例えば、末端アルコール官能基の一方をアミンまたはチオールに変換すると、尿素およびチオウレタンコンジュゲートへのアクセスが可能になる。
多くの適用において、一方の末端のPEG分子を本質的に非反応性部分でキャップし、PEG分子を一官能性(単一活性化されたもの)とすることが望ましい。一般的に、活性化PEGに対して多数の反応部位を示すタンパク質治療剤の場合、二官能性活性化PEGは、広範な架橋をもたらし、官能性が不充分な凝集体が得られる。単一活性化PEGを作製するため、典型的には、PEGジオール分子の末端上の1つのヒドロキシル部分を、非反応性メトキシ末端部分−OCH3で置換する。PEG分子他方の非キャップ末端は、典型的には、表面またはタンパク質などの分子上の反応性部位での結合のために活性化され得る反応性末端部分に変換する。
1つ以上のPEGにコンジュゲートさせたアプタマー
最も一般的には、高分子量PAG−核酸コンジュゲートの合成は、5’末端への遊離第1級アミンの付加によってなされている(固相合成の最後のカップリング工程で、修飾ホスホロアミダイトを用いて組み込まれる)。このアプローチを用い、反応性PEG(例えば、アミンと反応して結合を形成するように活性化されたもの)を、精製オリゴヌクレオチドと合わせ、カップリング反応を溶液中で行なう。
また、高分子量PAG−核酸−PAGコンジュゲートは、一官能性活性化PEGと、1つより多くの反応性部位を含む核酸との反応によって調製され得る。一実施形態において、該核酸は二重反応性であり、2つの反応性部位:5’−アミノ基、および慣用的なホスホルアミダイト合成によってオリゴヌクレオチド内に導入された3’−アミノ基を含む(
3’−アミン固相で開始、例えば、図6に示す3’−5’−ジ−PEG化)。代替的な実施形態において、反応性部位は、例えば、第1級アミンの結合部位としてピリミジンの5位、プリンの8位またはリボースの2’位を用い、内部の位置に導入され得る。かかる実施形態において、核酸は、いくつかの活性化された部位または反応性部位を有し得、多重に活性化されていると言える。
核酸−PEG−核酸コンジュゲートを作製するため、最初に核酸を、単一の反応性部位(例えば、単一活性化されたもの)を有するように合成する。好ましい実施形態において、この反応性部位は、オリゴヌクレオチドの固相合成の最後の工程として、修飾ホスホルアミダイトの付加によって5’末端に導入されたアミノ基である。別の好ましい実施形態において、該合成は、3’−アミン修飾剤を用いること、加えて、アミンを5’末端に導入し、3’,5’−ジ−アミン オリゴヌクレオチドを得ることにより行なわれる。修飾オリゴヌクレオチドの脱保護および精製後、活性化PEGの自発的加水分解を最小限にする溶液中で、高濃度で再構成する。好ましい一実施形態において、オリゴヌクレオチドの濃度は1mMであり、再構成された溶液は200mM NaHCO3バッファー(pH8.3)を含有する。該コンジュゲートの合成は、高度に精製された活性化PEGの低速の段階的付加によって開始される。好ましい一実施形態において、PEGは、p−ニトロフェニルカーボネートとして活性化されたものである。反応後、PEG−核酸コンジュゲートをゲル電気泳動または液体クロマトグラフィーによって精製し、完全コンジュゲート種、部分コンジュゲート種および非コンジュゲート種に分離する。
1つのPEGにコンジュゲートさせた多数のアプタマー
本発明はまた、2つ以上の核酸部分が少なくとも1つのポリアルキレングリコール部分に共有結合によりコンジュゲートされた高分子量アプタマー組成物を包含する。ポリアルキレングリコール部分は安定化部分としての機能を果たす。安定化部分は、本発明の高分子量アプタマー組成物の薬物動態および薬力学的特性を改善する分子または分子の一部分である。一部のある場合では、安定化部分は、2つ以上のアプタマーもしくはアプタマードメインを近接させるか、または本発明の高分子量アプタマー組成物の全体的な回転自由度の低減をもたらす分子または分子の一部分である。安定化部分は、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコールであり得、線状または分枝鎖のホモポリマーまたはヘテロポリマーであり得る。他の安定化部分としては、ペプチド核酸(PNA)などのポリマーが挙げられる。オリゴヌクレオチドもまた安定化部分であり得、かかるオリゴヌクレオチドとしては、修飾ヌクレオチドおよび/または修飾された連結部、例えば、ホスホロチオエートなどが挙げられ得る。
安定化部分は、アプタマー組成物に一体化された部分であり得る、すなわち、アプタマーに共有結合されたものであり得る。ポリアルキレングリコール部分がいずれかの末端でアプタマーに、ポリアルキレングリコールが核酸部分を一緒にして1つの分子に連結するように共有結合された組成物では、ポリアルキレングリコールは、連結部分と言える。かかる組成物では、共有結合分子の一次構造は核酸−PAG−核酸の線状配列を含む。PEG安定化部分がアプタマーの異なる部分分離するリンカーとしての機能を果たす組成物の一例は、PEGが単一のアプタマー配列内で高分子量アプタマー組成物の線状配列が、例えば、核酸−PEG−核酸(−PEG−核酸)n(式中、nは1以上である)となるようにコンジュゲートされた組成物である。
核酸−PEG−核酸コンジュゲートを作製するため、最初に核酸を、単一の反応性部位(例えば、単一活性化されたもの)を有するように合成する。好ましい実施形態において、この反応性部位は、オリゴヌクレオチドの固相合成の最後の工程として、修飾ホスホロアミダイトの付加によって5’末端に導入されたアミノ基である。修飾オリゴヌクレオチドの脱保護および精製後、活性化PEGの自発的加水分解を最小限にする溶液中で、高濃度で再構成する。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドの濃度は1mMであり、再構成された溶液は200mM NaHCO3バッファー(pH8.3)を含有する。該コンジュゲートの合成は、高度に精製された二官能性PEGの低速の段階的付加によって開始される。好ましい一実施形態において、PEGジオールは、p−ニトロフェニルカーボネートとしての誘導体化によって、両方の末端が活性化(二重活性化)されている。反応後、PEG−核酸コンジュゲートをゲル電気泳動または液体クロマトグラフィーによって精製し、完全コンジュゲート種、部分コンジュゲート種および非コンジュゲート種に分離する。多数のPAG分子が連結された(例えば、ランダムまたはブロックコポリマーとして)、またはより小型のPAG鎖を連結し、種々の長さ(または分子量)が得られ得る。非PAGリンカーは、種々の長さのPAG鎖間に使用され得る。
また連結性ドメインは、1つ以上のポリアルキレングリコール部分が自身に結合された結合されたものであり得る。かかるPAGは、種々の長さのものであり得、該組成物の所望の分子量を得るための適切な組合せで使用され得る。
特定のリンカーの効果は、その化学組成および長さの両方によって影響され得る。長すぎるが、短すぎるか、または標的と好ましくない立体的および/またはイオン相互作用を形成するリンカーは、アプタマーと補体成分標的との複合体の形成を妨げる。核酸間の間隔に延在するのに必要であるより長いリンカーは、リガンドの有効濃度が減少することにより結合安定性が低減され得る。したがって、多くの場合、標的に対するアプタマーの親和性を最大限にするため、リンカーの組成および長さを最適化することが必要である。
補体系タンパク質C5に対する結合親和性を有するアプタマー
一部のある実施形態において、本発明の材料には、生体内および/または細胞系アッセイにおいて、補体タンパク質C5に特異的に結合し、生体内および/または細胞系 アッセイにおいて補体タンパク質C5の活性を機能的にモジュレート(例えば、ブロック)する約15〜約60ヌクレオチド長の一連の核酸アプタマーが包含される。
本発明の一部のある実施形態において、補体タンパク質C5に特異的に結合でき、モジュレートすることができるアプタマーを本明細書に記載する。このようなアプタマーは、さまざまな補体関連型疾患または障害、例えば、補体関連心臓障害(例えば、心筋損傷;冠動脈バイパス移植(CABG)術に関連するC5媒介性補体合併症(例えば、術後出血など)、全身性好中球および白血球活性化、心筋梗塞のリスク増大、ならびに認知機能不全の増大;再狭窄;ならびに経皮的冠動脈インターベンションに関連するC5媒介性補体合併症)、虚血−再灌流障害(例えば、心筋梗塞、脳卒中、凍傷)、補体関連炎症性障害(例えば、喘息、関節炎、敗血症および器官移植後の拒絶)、ならびに補体関連自己免疫障害(例えば、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス(SLE))などの治療、改善および/または予防の低毒性で安全かつ有効なモダリティをもたらす。C5阻害が望ましい他の適応症としては、例えば、肺の炎症(Mulliganら(1998)J.Clin.Invest.98:503)、体外補体活性化(Rinderら(1995)J.Clin.Invest.96:1564)、抗体媒介性補体活性化(Bieseckerら(1989)J.Immunol.142:2654)、糸球体腎炎および他の腎臓系疾患、眼適応症、例えば、C5媒介性眼組織損傷、例えば、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性(AMD)(滲出性および/または非滲出性の両方)ならびに発作性夜間ヘモグロビン尿症が挙げられる。これらのアプタマーはまた、診断剤においても使用され得る。
一部のある実施形態において、本発明のアプタマーは、本発明の方法におけるさまざまな補体関連型眼疾患または障害、例えば、急性もしくは慢性炎症性および/または免疫媒介性眼障害、炎症性結膜炎(例えば、アレルギー性結膜炎および巨大乳頭性結膜炎)、黄斑浮腫、ブドウ膜炎、眼内炎、強膜炎、角膜の潰瘍、ドライアイ症候群、緑内障、虚血性網膜疾患、角膜移植片拒絶、眼内レンズ移植などの眼内手術に関連する合併症および白内障手術に伴う炎症、ベーチェット病、免疫複合体脈管炎、フックス病、フォークト−小柳−原田病、網膜下線維症、角膜炎、硝子体網膜炎症、眼の寄生虫外寄生/移動、色素性網膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎および脈絡膜の炎症、黄斑変性、加齢性黄斑変性(「AMD」)、非滲出性(「乾性」)の型のAMD、または新生血管形成眼障害(例えば、糖尿病性網膜症もしくは滲出性(「湿性」)の型のAMDなどの処置、安定化および/または予防の低毒性で安全かつ有効なモダリティとして使用され得る。また、このようなアプタマーは眼科用診断剤においても使用され得る。
このようなアプタマーは、本明細書に記載の修飾、例えば、親油性または高分子量化合物(例えば、PEG)へのコンジュゲーション、キャッピング部分の組込み、修飾ヌクレオチドの組込み、およびリン酸主鎖に対する修飾などを含むものであってもよい。
本発明の一実施形態において、C5補体タンパク質に結合する単離された天然に存在しないアプタマーを提供する。別の実施形態において、補体媒介性眼障害を処置、安定化および/または予防するための本発明の方法における使用のための、C5補体タンパク質に結合する単離された天然に存在しないアプタマーを提供する。一部のある実施形態において、該単離された天然に存在しないアプタマーは、100μM未満、1μM未満、500nM未満、100nM未満、50nM、1nM未満、500pM未満、100pM未満、50pM未満のC5補体タンパク質に対する解離定数(「Kd」)を有する。本発明の一部のある実施形態において、解離定数は、以下の実施例1に記載のようなドットブロット滴定によって決定される。
別の実施形態において、本発明の方法における使用のためのアプタマーは、C5補体タンパク質の機能をモジュレートする、特に、C5補体タンパク質の機能および/またはC5補体タンパク質バリアントの機能を阻害するものである。C5補体タンパク質バリアントは、本明細書で用いる場合、C5補体タンパク質の機能と本質的に同じ機能を果たすバリアントを包含する。C5補体タンパク質バリアントは、好ましくは、実質的に同じ構造を含むものであり、一部のある実施形態では、以下のアミノ酸配列(配列番号102)(Havilandら、J Immunol.1991年1月l日;146(l):362−8に示されている)を含むC5補体タンパク質のアミノ酸配列と、80%配列同一性、より好ましくは90%配列同一性、より好ましくは95%配列同一性を含むものである。
本発明の一部のある実施形態において、標的バリアントの配列同一性は、後述するBLASTを用いて決定される。2つ以上の核酸またはタンパク質の配列に関連する用語「配列同一性」は、下記の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、または目視検査によって測定したとき、最大対応で比較およびアラインメントしたとき、同じであるか、または特定パーセントの同じアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する2つ以上の配列または部分配列をいう。配列比較では、典型的には、1つの配列が、試験配列と比較する参照配列としての機能を果たし得る。配列比較アルゴリズムを用いる場合は、試験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要であれば部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムにより、指定したプログラムパラメータに基づいて、試験配列(1つまたは複数)について参照配列に対する配列同一性割合を計算する。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch、J Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、PearsonおよびLipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索の方法、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実施(GAP,BESTFIT,FASTA and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison,Wis.)、または目視検査(概要はAusubelら(後掲)を参照)によって行なわれ得る。
配列同一性割合の決定に適したアルゴリズムの一例は、ベーシック局所アラインメント検索ツール(以下、本明細書において「BLAST」)に用いられるアルゴリズムであり、例えば、Altschulら、J Mol.Biol.215:403−410(1990)およびAltschulら、Nucleic Acids Res.、15:3389−3402(1997)を参照のこと。BLAST解析を行なうためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(以下、本明細書において「NCBI」)から公に入手可能である。NCBIから入手可能なソフトウエア、例えば、BLASTN(ヌクレオチド配列用)およびBLASTP(アミノ酸配列用)を用いた配列同一性の決定に用いられるデフォルトパラメータは、McGinnisら,Nucleic Acids Res.、32:W20−W25(2004)に記載されている。
本発明の別の実施形態において、配列番号1〜2、5〜67、75〜81、83または88〜98のいずれか1つを含むアプタマーと実質的に同じC5補体タンパク質への結合能力を有するアプタマーが提供される。本発明の別の実施形態において、アプタマーは、配列番号1〜2、5〜67、75〜81、83または88〜98のいずれか1つを含むアプタマーと実質的に同じ構造およびC5補体タンパク質への結合能力を有する。別の実施形態において、本発明のアプタマーは、配列番号2、5〜67、75〜81、83または88〜98のいずれか1つによる配列(任意の化学的修飾を含む)を有する。別の実施形態において、本発明のアプタマーは、医薬組成物中の活性成分として使用される。別の実施形態において、本発明のアプタマーまたは該アプタマーを含む組成物は、さまざまな補体関連疾患または障害、例えば、補体関連心臓障害(例えば、心筋損傷;冠動脈バイパス移植術(CABG)に関連するC5媒介性補体合併症(例えば、術後出血など)、全身性好中球および白血球活性化、心筋梗塞のリスク増大ならびに認知機能不全の増大;再狭窄;ならびに経皮的冠動脈インターベンションに関連するC5媒介性補体合併症)、虚血−再灌流障害(例えば、心筋梗塞、脳卒中、凍傷)、補体関連炎症性障害(例えば、喘息、関節炎、敗血症および器官移植後の拒絶)、ならびに補体関連自己免疫障害(例えば、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス(SLE)、肺の炎症、体外補体活性化、抗体媒介性補体活性化、および補体関連眼疾患(糖尿病性網膜症など)ならびに加齢性黄斑変性(AMD)からなる群より選択されるいずれか1つを処置するために使用される。
一実施形態において、本発明の抗C5アプタマーは、2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−OMe修飾ヌクレオチド(「2’−OMe」)および2’−OHプリン残基の混合物を含むものである。修飾された抗C5アプタマーの説明的な一般配列(配列番号1)を、以下に表1に示し、構造を図3Aに示す。プリン(AおよびG)の圧倒的多数が、2’−OHのままであるG残基の2つだけ(白抜きで示した残基)を除き、2’−OMeに対して修飾されている。丸で囲まれた残基は、アプタマーの抗C5活性を実質的に改変することなく、2’−Hに対して同時に修飾され得るピリミジンのサブセットを表す(以下の表1のARC330(配列番号2,図3B)を参照)。図3Aに示す下線の残基は、2’−フルオロまたは2’−H修飾(しかし2’−OMeではない)のいずれかを含有するものであり得るピリミジン残基を表し、一方、四角で囲まれた残基は、2’−フルオロまたは2−OMe修飾(しかし2’−Hではない)のいずれかを含有するものであり得るピリミジン残基を表す。矢印(→)で示した残基は、2’−フルオロ修飾を含有するものでなければならない。矢印(→)で示した残基に2’−フルオロ修飾がない場合、得られるアプタマーにもたらされる溶血性活性は、実質的に減少する。好ましい実施形態において、本発明の抗C5アプタマーは、配列番号1によるヌクレオチド配列を含むものである。
本発明による抗C5アプタマーの一例は、図3Cに示されたARC186(配列番号4)であり、これは、米国特許第号6,395,888(引用により、その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。ARC186の21個のすべてのピリミジン残基が2’−フルオロ修飾を有する。3つの2’−OHプリン残基(図3Cにおいて白抜きで示す)を除くプリンの大部分(14残基)が2’−OMe修飾を有する。本発明の抗C5アプタマーはまた、2’−フルオロ修飾と2’−H修飾の種々の混合物を含むものであり得る。例えば、本発明の別の抗C5アプタマーは、図3Bに示すARC330(配列番号2)である。ARC330(配列番号2)は、7つの2’−H修飾(図3Bにおいて丸で囲まれた残基)、2’−フルオロ修飾を有する14個のピリミジン残基、2’−OMe修飾を有する14個のプリン残基、および3つの2’−OHプリン残基(図3Bにおいて白抜きで示す)を含む。
2’−フルオロ修飾、2’−OMe修飾、2’−OHプリン残基および種々の大きさの非免疫原性高分子量化合物(例えば、PEG)へのコンジュゲーション(これらの各々は、ARC186(配列番号4)から誘導されたものである)の混合物を含むアプタマーの他の組合せを、以下の表1に記載する。本発明は、以下の表1に記載のアプタマーを包含する。また、本発明は以下に記載のものであるが、表示した3’キャップ(例えば、逆位デオキシチミジンキャップ)を欠くアプタマーおよび/または3’キャップを表示していないが3’キャップ(例えば、逆位dT)を含む以下に表示したアプタマーを含む。
本発明の一部のある実施形態に記載の方法における使用のための抗C5アプタマーは、後述の配列番号1〜69、75、76、81、91、95および96のいずれか1つを含むアプタマーであり得る。
特に記載のない限り、以下の表1のヌクレオチド配列は5’から3’方向に記載している。表1の個々の配列の各々について、すべての2’−OMeプリンまたはピリミジン修飾には、対応するヌクレオチドの前に「m」を示す;すべての2’−フルオロピリミジン修飾には、対応するヌクレオチドの前に「f」を示す;すべてのプリンまたはピリミジンデオキシ修飾には、対応するヌクレオチドの前に「d」を示す;およびヌクレオチドの前に「m」、「f」または「d」がないプリンまたはピリミジンはいずれも2’−OH残基を示す。さらに、「3T」は逆位デオキシチミジンを示し、「NH」はヘキシルアミンリンカーを示し、「NH2」はヘキシルアミン末端基を示し、「PEG」は、表示された分子量を有するポリエチレングリコール基を示し、「ビオチン」は、5’末端にコンジュゲートされたビオチンを有するアプタマーを示す。
本発明は、さらに、以下の表2のアプタマーを包含する。表2のアプタマーは、5’から3’の方向に表示しており、示したdRmY SELEX
TM条件下で選択したアプタマーのリボヌクレオチド配列を表す。この選択から誘導された(配列表に反映したもの)本発明の一部のある実施形態において、プリン(AおよびG)はデオキシであり、ピリミジン(UおよびC)は2’−OMeである。一部のある実施形態において、アプタマーはキャップ(例えば、3’逆位dT)を含むものである。一部のある実施形態において、アプタマーはPEGを含むものである。
補体タンパク質C5に結合する本発明の他のアプタマーを、以下に実施例3に記載する。C5特異的アプタマーは、米国特許仮出願第60/544,542号、同第60/547,747号、同第60/581,685号および同第60/608,048号(その各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)にさらに記載されている。
一部のある実施形態において、本発明のアプタマー治療剤は、標的に対して大きな親和性および特異性を有するとともに、該アプタマー治療剤が患者または被験体の体内で分解したときに、天然に存在しないヌクレオチド置換に由来する有害な副作用を低下させる。一部のある実施形態では、本発明のアプタマー治療剤を含有する治療用組成物は、フッ素含有ヌクレオチドを含まないか、または量が少ない。
本発明のアプタマーは、当該技術分野で知られた任意のオリゴヌクレオチド合成手法、例えば、当該技術分野でよく知られた固相オリゴヌクレオチド合成手法を用いて合成され得る(例えば、Froehlerら、Nucl.Acid Res.14:5399−5467(1986)およびFroehlerら、Tet.Lett.27:5575−5578(1986)を参照のこと)ならびに液相方法、例えば、トリエステル合成法(例えば、Soodら、Nucl.Acid Res.4:2557(1977)およびHiroseら、Tet.Lett.、28:244 (1978)を参照のこと)。
本発明はまた、本発明の抗C5剤を、それぞれ、PDGFおよび/またはVEGFおよび/またはそのコグネイトレセプターPDGFRおよびVEGFRに特異的なアプタマーとともに、眼障害を安定化、治療および/または予防する本発明の方法において使用することを包含する。したがって、この方法は、リガンド(例えば、PDGFまたはVEGF)とその標的(例えば、コグネイトレセプター)との結合をブロックする本発明のアプタマーを作製するための使用であり得る。
本発明の方法における使用のための抗PDGFアプタマーの例は、国際特許出願番号PCT/US2005/039975(2005年11月2日出願、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されており、特に、ARC513、ARC594、ARC127およびARC404がそこに開示されている。
本発明の方法における使用のためのVEGF特異的アプタマーの例は、米国特許第5,919,455号、同第5,932,462号、同第6,113,906号、同第6,011,020号、同第6,051,698号、および同第6,147,204号に開示されている。例えば、本発明の抗C5剤との組み合わせで眼障害の治療における使用に特に有用なアプタマーは、ペグ化および非ペグ化形態のEYE001(以前はNX1838)、特に、ペガプタニブナトリウム注射(Macugen(登録商標)、Eyetech Pharmaceuticals,Inc.およびPfizer,Inc.NY、NY)であり得る。
抗C5抗体剤
本発明の抗C5剤には、補体タンパク質C5に指向されるアンタゴニスト抗体およびC5媒介性眼障害の治療におけるその使用が包含される。本発明のC5アンタゴニスト抗体は、C5に強固に結合し、その活性化および切断を抑制する。特別な実施形態において、本発明は、抗C5抗体剤を被験体に、眼障害の少なくとも1つの症状、特に、糖尿病性網膜症、滲出性および/または非滲出性AMDの症状を低減、安定化および/または予防する方法において投与することを含むものである。
本発明のアンタゴニスト抗体としては、阻害性モノクローナル抗体が挙げられる。モノクローナル抗体またはその断片には、免疫グロブリンのすべてのクラス(IgM、IgG、IgD、IgE、IgAなど)、またはそのサブクラス(IgGサブクラスなど)またはその混合物が包含される。IgGおよびそのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3またはIgGMなどは有用である。IgGのサブタイプであるIgG.sub.1/kappaおよびIgG.sub.2b/kappは、有用な実施形態として包含される。断片として挙げられ得るのは、1つまたは2つの抗原相補的結合部位を有し、哺乳動物(哺乳動物C5)に対して高い結合活性および中和活性示すあらゆる切断型または修飾型抗体フラグメント、例えば、抗体に対応する結合部位を有し、軽鎖重鎖によって形成される該抗体の一部分(Fv、FabもしくはF(ab’)2断片など)、または単鎖断片などである。Fv、FabまたはF(ab’)2などの切断型二本鎖断片は、特に有用である。このような断片は、例えば、酵素的手段(パパインもしくはペプシンなどの酵素による抗体のFc部分の除去による)化学的酸化または抗体遺伝子の遺伝子操作によって得られ得る。また、遺伝子操作された、非切断型断片を使用することも可能であり、好都合である。
該新規な抗体、その抗体フラグメント、混合物または誘導体は、好都合には、1×10−7M〜1×10−12 M、または1×10−8M〜1×10−11M、または1×10−9M〜5×10−10Mの範囲のC5に対する結合親和性を有する。
遺伝子操作のための抗体遺伝子は、例えば、ハイブリドーマ細胞から、当業者にはわかる様式で単離され得る。この目的のため、抗体産生細胞を培養し、細胞の光学濃度充分になったとき、mRNAを細胞から既知の様式で、細胞をグアニジニウムチオシアネートを用いて溶解させ、酢酸ナトリウムで酸性化し、フェノール、クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出し、イソプロパノールを用いて沈殿させ、エタノールで洗浄することにより単離する。次いで、逆転写酵素を用いてmRNA からcDNAを合成する。合成されたcDNAは、例えば、部位特異的変異誘発、適当な動物、真菌、細菌またはウイルス系のベクターへの挿入、逆位、欠失または塩基交換の導入によって、直接または遺伝子操作後に挿入され、適切な宿主生物体内で発現され得る。有用な細菌または酵母系のベクターは、pBR322、pUC18/19、pACYC184、λまたは酵母μベクター(細菌(大腸菌など)または酵母(Saccharomyces cerevisiaeなど)内での遺伝子のクローニングおよび発現用)である。
さらにまた、本発明は、C5抗体を合成する細胞に関する。このようなものとしては、上記のような形質転換後の動物、真菌、細菌の細胞または酵母細胞が挙げられる。該細胞は、好都合には、ハイブリドーマ細胞またはトリオーマ細胞であり、典型的にはハイブリドーマ細胞である。このようなハイブリドーマ細胞は、例えば、既知の様式で、C5で免疫治療した動物から、その抗体産生B細胞を単離し、C5結合抗体についてこれらの細胞を選択し、続いて、これらの細胞を、例えば、ヒトもしくは動物の、例えば、マウス骨髄腫細胞、ヒトリンパ芽球様細胞もしくはヘテロハイブリドーマ細胞に融合させることにより(例えば、Koehlerら、(1975)Nature 256:496を参照のこと)、またはこれらの細胞を適切なウイルスに感染させて不死化細胞株を得ることにより作製され得る。融合によってハイブリドーマ細胞株は有用であり、マウスハイブリドーマ細胞株は、特に有用である。本発明のハイブリドーマ細胞株は、IgG型の有用な抗体を分泌するものである。本発明のmAb抗体の結合性により、補体タンパク質C5と高い親和性で結合し、その生物学的(例えば、C5切断)活性が低減または中和される。
さらに、本発明は、C5阻害活性を保持しつつ、医薬用薬剤としての使用に関連する1つ以上の他の特性、例えば、血清安定性または産生効率が改変された、これらの抗C5抗体の誘導体を包含する。かかる抗C5抗体誘導体の例としては、固相または液状担体、例えば、ポリエチレングリコール、ガラス、合成ポリマー(ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)もしくは天然ポリマー(セルロース、セファロースもしくはアガロースなど)などに結合された、あるいは酵素、毒素または放射活性もしくは非放射活性マーカー(3H、123I、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、55Fe、59Fe、90Y、99mTc、75Seなど)とのコンジュゲートである抗体の抗原結合領域に由来するペプチド、ペプチド模倣物、および抗体、抗体フラグメントまたはペプチド、あるいは、蛍光/化学発光標識(ローダミン、フルオレセイン、イソチオシアネート、フィコエリトリン、フィコシアニン、フルオレサミン、金属キレート化剤、アビジン、ストレプトアビジンもしくはビオチンなど)に共有結合された抗体、断片またはペプチドが挙げられる。
該新規な抗体、その抗体フラグメント、混合物および誘導体は、乾燥(例えば、凍結乾燥)後、上記の担体への結合後、または他の医薬活性物質および医薬調製物の作製のための補助物質との製剤化後、直接使用され得る。活性物質および補助物質の例として挙げられ得るものは、他の抗体、抗菌作用もしくは静菌作用を有する抗菌活性物質(一般的には抗生物質など)またはスルホンアミド、抗腫瘍剤、水、バッファー、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス、不活性ビヒクルまたは非経口用製品用の慣用的な他の物質(アミノ酸、増粘剤もしくは糖類など)である。このような医薬調製物は、疾患を処置するために使用され、血管新生眼障害ならびにAMD(滲出性および/または非滲出性)および糖尿病性網膜症などの疾患の少なくとも1つの症状の発生の安定化、低減および/または予防するのに有用である。
該新規な抗体、その抗体フラグメント、混合物または誘導体は、治療もしくは診断において直接、あるいは固相または液相担体、酵素、毒素、放射活性もしくは非放射活性標識または上記のような蛍光/化学発光標識へのカップリング後に使用され得る。
本発明のヒトC5モノクローナル抗体は、当該技術分野で知られた任意の手段によって得られ得る。例えば、哺乳動物はヒトC5で免疫処置される。精製ヒトC5は市販されている(例えば、Quidel Corporation、San Diego、CAまたはAdvanced Research Technologies、San Diego、CAから)。あるいはまた、ヒトC5は、ヒト血漿から容易に精製され得る。抗ヒトC5抗体の生成に使用される哺乳動物は限定されず、霊長類、齧歯類(マウス、ラットもしくはウサギなど)、ウシ、ヒツジ、ヤギまたはイヌであり得る。
次に、脾臓細胞などの抗体産生細胞を、免疫治療動物から取り出し、骨髄腫細胞と誘導させる。骨髄腫細胞は当該技術分野で周知である(例えば、p3x63−Ag8−653、NS−0、NS−1またはP3U1細胞が使用され得る)。細胞融合操作は、当該技術分野で知られた任意の慣用的な方法によって行なわれ得る。
該細胞は、細胞融合操作に供された後、次いでHAT選択培地中で、ハイブリドーマが選択されるように培養される。次いで、抗ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングする。このスクリーニングは、例えば、産生されるモノクローナル抗体が、ヒトC5が固定化されたウェルに結合されるサンドイッチ型酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)などによって行なわれ得る。この場合、二次抗体として、免疫治療動物の免疫グロブリンに特異的な抗体(これは、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼなどの酵素で標識される)が使用され得る。標識は、標識酵素をその基質と反応させ、発色を測定することにより検出され得る。基質としては、3,3−ジアミノベンジジン、2,2−ジアミノビス−o−ジアニシジン、4−クロロナフタノール、4−アミノアンチピリン、o−フェニレンジアミンなどが使用され得る。
上記の操作によって、抗ヒトC5抗体を産生するハイブリドーマが選択され得る。次いで、選択したハイブリドーマを、慣用的な限界希釈法または軟寒天法によってクローニングする。所望により、クローニングしたハイブリドーマは、血清含有培地または無血清培地を用いて大規模培養してもよく、マウスの腹腔内に接種し、腹水から回収してもよく、それにより多数のクローニングハイブリドーマが得られ得る。
選択した抗ヒトC5モノクローナル抗体のうち、C5切断能力を有するもの(例えば、細胞系C5アッセイ系において)を、次いで、さらなる解析および操作のために選択する。抗体がC5切断をブロックする場合、これは、試験したモノクローナル抗体が、ヒトC5のC5活性を低減または中和する能力を有することを意味する。すなわち、該モノクローナル抗体は、特異的にC5切断および活性化を認識および/または干渉する。
本明細書におけるモノクローナル抗体には、さらに、所望の生物学的活性を示すものである限り、抗C5抗体を可変(超可変を含む)ドメインを定常ドメインと(例えば、「ヒト化」抗体)、または軽鎖を重鎖と、または1つの種に由来する鎖を別の種に由来する鎖とスプライシングすることにより、または異種タンパク質との融合により作製されるハイブリッドおよび組換え抗体(起源の種または免疫グロブリンのクラスもしくはサブクラス指定とは無関係に)ならびに抗体フラグメント[例えば、Fab、F(ab)2およびFv]が包含される[例えば、米国特許第4,816,567号およびMageおよびLamoyi、in Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、pp.79−97(Marcel Dekker,Inc.)、New York(1987)を参照のこと]。
したがって、用語「モノクローナル」は、得られる抗体の特徴が実質的に均質な抗体集団に由来していることを示し、なんら特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈すべきでない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法(最初に、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495(1975)によって報告)によって作製されたものであってもよく、組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製されたものであってもよい。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、McCaffertyら、Nature 348:552−554(1990)に記載の手法を用いて作製されたファージライブラリーから単離されたものであってもよい。
「ヒト化」形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含む特異的なキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab)2もしくは抗体の他の抗原結合部分配列など)である。大抵、ヒト化抗体は、レシピエント抗体の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)CDR由来の残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が対応する非ヒトFR残基で置き換えられている。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも輸入(import)されたCDRまたはFR配列にも見られない残基を含むものであり得る。このような修飾は、抗体性能をさらに精密化および最適化するために行なわれる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインを実質的にすべて含み、ここで、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR残基のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。また、ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部分を含む。
非ヒト抗体のヒト化方法は、当該技術分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。このような非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、「輸入」残基と呼ばれ、典型的には「輸入」可変ドメインから採取されたものである。ヒト化は、本質的にWinterおよび共同研究者(Jonesら、(1986)Nature 321:522−525;Riechmannら、(1988)Nature 332:323−327;およびVerhoeyenら、(1988)Science 239:1534−1536)の方法に従って、齧歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより行なわれ得る。したがって、かかる「ヒト化」抗体はキメラ抗体であって、インタクトなヒト可変ドメインの相当少ない部分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたものである。実際、ヒト化抗体は、典型的には、一部のCDR残基および場合によっては一部のFR残基も齧歯類抗体の類縁部位由来の残基で置換されたヒト抗体である。
ヒト化抗体の作製に使用されるヒト可変ドメイン(軽鎖および重鎖ともに)の選択は、抗原性を低下させるのに非常に重要である。いわゆる「ベストフィット(best−fit)」法に従い、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を、ヒト可変ドメインの既知配列のラブラリー全体に対してスクリーニングする。次いで、齧歯類のものに最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)とする(Simsら、(1993)J.Immunol.、151:2296;ならびにChothiaおよびLesk(1987)J.Mol.Biol.、196:901)。別の方法では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループのすべてヒト抗体のコンセンサス配列由来の特定のフレームワークが使用される。いくつかの異なるヒト化抗体に対して同じフレームワークを使用してもよい(Carterら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、89:4285;およびPrestaら、(1993)J.Immol.、151:2623)。
抗体を、抗原に対する高い親和性および他の有利な生物学的特性を保持するようにヒト化することは、さらに重要である。この目的を達成するため、有用な方法の一例に従い、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化配列の3次元モデルを使用し、親配列および種々の概念的ヒト化作製配列の解析プロセスによって調製される。3次元免疫グロブリンモデルは、一般的に利用可能であり、当業者には熟知されている。選択した候補免疫グロブリン配列の考えられ得る3次元コンホメーション構造を図示および表示するコンピュータープログラムが利用可能である。このような表示を検討することにより、候補免疫グロブリン配列の機能発揮における該残基の考えられえる役割の解析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の解析が可能になる。このようにして、所望の抗体特性(例えば、標的抗原(1種類または複数種)に対する親和性の増大)が得られるようにFR残基が選択され、コンセンサス配列および輸入配列から合成され得る。一般に、CDR残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合への影響に関与している。
また、C5に指向されるヒトモノクローナル抗体も本発明に包含される。かかる抗体は、ハイブリドーマ法によって作製され得る。ヒトモノクローナル抗体産生のためのヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株は、例えば、Kozbor(1984)J.Immunol.、133、3001;Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、pp.51−63 (Marcel Dekker,Inc.、New York、1987年);およびBoemerら、(1991)J.Immunol.、147:86−95に記載されている。
ここに、免疫処置すると、内因性の免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の完全体のレパートリーを産生し得るトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作製することが可能になった。例えば、キメラおよび生殖細胞系変異型マウスにおける抗体重鎖連結領域(J.sub.H)遺伝子のホモ接合型欠失によって、内因性の抗体産生の完全な阻害がもたらされることが報告されている。かかる生殖細胞系(gem−line)変異型マウスへのヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの導入により、抗原刺激されると、ヒト抗体の産生がもたらされる(例えば、Jakobovitsら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、90:2551;Jakobovitsら、(1993)Nature、362:255−258;およびBruggermannら、(1993)Year in Immuno.、7:33を参照のこと)。
あるいはまた、ファージディスプレイ手法(McCaffertyら、(1990)Nature、348:552−553)は、ヒト抗体および抗体フラグメントを試験管内で、非免疫治療ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから作製するために使用され得る(概説については、例えば、Johnsonら、(1993)Current Opinion in Structural Biology、3:564−571を参照のこと)。V−遺伝子セグメントいくつかの供給源がファージディスプレイに使用され得る。例えば、Clacksonら((1991)Nature、352:624−628)により、免疫治療マウスの脾臓由来のV遺伝子の小さなランダムコンビナトリアルラブラリーから抗オキサゾロン抗体の多様なアレイが単離された。V遺伝子のレパートリーは、非免疫治療されたヒトドナーから構築され得、多様なアレイの抗原(自己抗原を含む)に対する抗体が、本質的にMarksら((1991)J.Mol.Biol.、222:581−597、またはGriffithら、(1993)EMBO J.、12:725−734)に記載の方法に従って単離され得る。
自然な免疫応答では、抗体遺伝子により変異が高率で蓄積される(体細胞超変異)。導入された一部に変異によってより高い親和性が賦与され、高親和性表面免疫グロブリンをディスプレイするB細胞が、その後の抗原刺激中に優先的に 複製され、分化される。この自然なプロセスは、「鎖シャッフリング」として知られる手法を用いることにより模倣され得る(Marksら、(1992)Bio.Technol.、10:779−783を参照のこと)。この方法において、ファージディスプレイによって得られたヒト「一次」抗体の親和性は、重鎖および軽鎖のV領域遺伝子を、非免疫治療ドナーから得たVドメイン遺伝子の天然に存在するバリアント(レパートリー)のレパートリーで逐次置き換えることにより改善され得る。この手法により、nM範囲の親和性を有する抗体および抗体フラグメントの作製が可能になる。非常に大きなファージ抗体レパートリーを作製するためのストラテジーは、Waterhouseら((1993)Nucl.Acids Res.、21:2265−2266)に記載されている。
遺伝子シャッフリングはまた、齧歯類抗体からヒト抗体を誘導するために使用され得、この場合、ヒト抗体は、出発齧歯類抗体と類似した親和性および特異性を有する。この方法(「エピトープインプリンティング」とも呼ばれる)従い、ファージディスプレイ手法によって得られた齧歯類抗体の重鎖または軽鎖のVドメイン遺伝子を、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置き換え、齧歯類−ヒトキメラが作出される。抗原に対する選択により、機能性抗原結合部位を回復し得るヒト可変部の単離がもたらされる、すなわち、エピトープがパートナーの選択を支配する(インプリンティングを行なう)。残留齧歯類Vドメインを置き換えるために該プロセスを反復すると、ヒト抗体が得られる(PCT WO93/06213(1993年4月1日公開)を参照のこと)。CDRグラフティングによる従来の齧歯類抗体のヒト化とは異なり、この手法は、齧歯類起源のフレームワークまたはCDR残基をもたない完全にヒト型の抗体を提供する。
本発明の方法において抗C5剤として使用され得るモノクローナル抗体および抗体フラグメントの一例は、それぞれ、エクリズマブ(SolirisTMとしても知られる、Alexion、Cheshire、CT)およびペキセリズマブ(Alexion、Cheshire、CT)であり、ともにUSSN 6,355,245(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
また、本発明は、眼障害を安定化、治療および/または予防する本発明の方法において、本発明の抗C5剤を、それぞれ、PDGFおよび/またはVEGFおよびそのコグネイトレセプターPDGFRおよび/またはVEGFRに指向されるアンタゴニスト抗体とともに使用することを包含する。したがって、この方法は、リガンド(例えば、PDGFまたはVEGF)のその標的(例えば、コグネイトレセプターなど)との結合をブロックする本発明の抗体アンタゴニストを作製するために使用され得る。したがって、本発明のPDGFアンタゴニスト抗体としては、PDGFならびにPDGFR標的に指向される抗体が挙げられる。
本発明の方法における抗C5剤との使用のためのVEGFに指向されるアンタゴニスト抗体の例は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標)としても知られる、Genentech、San Francisco、CA)(米国特許第6,054,297号(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載);およびラニビズマブ(Lucentis(登録商標)としても知られる、Genentech、San Francisco、CA)。
アンチセンスおよびリボザイム抗C5剤
本発明の抗C5剤には、C5に対して標的化され、メッセンジャーRNAからのタンパク質翻訳を阻害することにより、または対応するC5m RNAの分解を標的化することによりC5阻害効果を発揮するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムが包含される。眼障害を処置する方法における抗C5アンチセンスおよびリボザイム剤の使用もまた提供する。特別な実施形態において、本発明は、抗C5アンチセンスまたはリボザイム剤を被験体に、眼障害の少なくとも1つの症状、特に、糖尿病性網膜症、滲出性および/または非滲出性AMDの症状を低減、安定化および/または予防する方法において投与することを含むものである。
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムの設計および合成方法は、当該技術分野において知られている。さらなる手引きを本明細書において提供する。
特異的かつ有効なmRNA標的化オリゴヌクレオチド(アンチセンスODN)およびリボザイムの設計における課題の1つは、標的mRNA(これ自体は、部分自己対合二次構造体にフォールディングされている)内でのアンチセンス対合のアクセス可能な部位の同定に関するものである。RNA対合のアクセス可能性を予測するためのコンピューター補助アルゴリズムと分子スクリーニングとの組合せにより、ほとんどのmRNA標的に対して指向される特異的かつ有効なリボザイムおよび/またはアンチセンスオリゴヌクレオチドの作製が可能になる。実際、アンチセンスまたはリボザイムインヒビターに対する標的RNA分子のアクセス可能性を測定するためのいくつかのアプローチが報告されている。アプローチの一例では、できるだけ多くのアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを適用する試験管内スクリーニングアッセイが使用される(Moniaら、(1996)Nature Med.、2:668−675;およびMilnerら、(1997)Nature Biotechnol.、15:537−541を参照のこと)。別の例では、ODNのランダムライブラリーが使用される(Hoら、(1996)Nucleic Acids Res.、24:1901−1907;Birikhら、(1997)RNA 3:429−437;およびLimaら、(1997)J.Biol.Chem.、272:626−638)。アクセス可能な部位は、RNアーゼH切断によってモニターされ得る(Birikhら、前掲;およびHoら、(1998)Nature Biotechnol.、16:59−63を参照のこと)。RNアーゼHは、DNA−RNA二本鎖のRNA鎖のホスホジエステル主鎖の加水分解性切断を触媒する。
別のアプローチでは、半ランダムキメラ化学的合成ODNのプールの使用を伴うものを用いて、試験管内合成RNA標的上のRNアーゼHによって切断されるアクセス可能な部位を同定する。次いで、プライマー伸張解析を用いて標的分子内のこのような部位を同定する(Limaら(前掲)を参照のこと)。RNAにおけるアンチセンス標的の設計のための他のアプローチは、RNAのコンピューター補助フォールディングモデルに基づくものである。有効な切断をスクリーニングするためのランダムリボザイムライブラリーの使用に関するいくつかの報告が発表されている(Campbellら、(1995)RNA 1:598−609;Lieberら、(1995)Mol.Cell Biol.、15:540−551;およびVaishら、(1997)Biochem.、36:6459−6501を参照のこと)。
ODNおよびRNアーゼHのランダムまたは半ランダムライブラリーを用いる他の試験管内アプローチは、コンピューターシミュレーション(Limaら、前掲)よりも有用であり得る。しかしながら、試験管内合成されたRNAの使用では、最近の観察結果によりポリヌクレオチドのアニーリング相互作用がRNA結合タンパク質によって影響されることが示されているため、生体内でのアンチセンスODNのアクセス可能性は予測されない(Tsuchihashiら、(1993)Science,267:99−102;Portmanら、(1994)EMBO J.、13:213−221;およびBertrandおよびRossi(1994)EMBO J.、13:2904−2912を参照のこと)。米国特許第6,562,570号(その内容は引用により明細書に組み込まれる)は、生体内条件を模倣する細胞抽出物の存在下で、mRNA内のアクセス可能な部位を決定するための組成物および方法を提供する。
簡単には、この方法は、天然または試験管内合成RNAを、規定のアンチセンスODN、リボザイムまたはDNAザイム、あるいはランダムもしくは半ランダムODN、リボザイムまたはDNAザイムラブラリーとともに、ハイブリダイゼーション条件条件下、内因性RNA結合タンパク質を含有する細胞抽出物を含む反応培地中、または1種類以上のRNA結合タンパク質の存在のため細胞抽出物を模倣する反応培地中でインキュベーションすることを伴う。標的RNA内のアクセス可能な部位に相補的な任意のアンチセンスODN、リボザイムまたはDNAザイムは、該部位にハイブリダイズする。規定のODNまたはODNラブラリーを使用する場合、RNアーゼHをハイブリダイゼーション中に存在させるか、またはハイブリダイゼーションが起こったらハイブリダイゼーション後に添加し、RNA切断する。RNアーゼHは、リボザイムまたはDNAザイムを使用する場合に存在させ得るが、ハイブリダイゼーションが起こった場合は、リボザイムおよびDNAザイムがRNAを切断するため、必要ではない。場合によっては、内因mRNA、RNA結合タンパク質およびRNアーゼHを含有する細胞抽出物中のランダムまたは半ランダムODNラブラリーが使用される。
次に、種々の方法を用いて、アンチセンスODN、リボザイムまたはDNAザイムが結合し、切断が起こった標的RNA上の該部位が特定され得る。例えば、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ依存性ポリメラーゼ連鎖反応(TDPCR)がこの目的に使用され得る(KomuraおよびRiggs(1998)Nucleic Acids Res.、26:1807−11を参照のこと)。逆転写工程を用いてRNA鋳型をDNAに変換した後、TDPCRを行なう。本発明では、TDPCR法に必要な3’末端を、任意の適当なRNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)により目的の標的RNA逆転写することにより作出する。これは、第1のODNプライマー(PI)を、標的RNA分子の試験対象下の部分の下流(すなわち、RNA分子の5’から3’への方向)の領域内のRNAにハイブリダイズさせることにより行なわれる。dNTPの存在下でのポリメラーゼは、P1の3’末端からRNAはDNAを複製し、アンチセンスODN/RNアーゼH、リボザイムまたはDNAザイムのいずれかによってもたらされる切断部位で複製を終了する。新たなDNA分子(第1鎖DNAとよぶ)は、RNA上に存在する対応のアクセス可能な標的配列を特定するのに使用される、TDPCR法のPCR部分の第1の鋳型として供される。
例えば、TDPCR手順が次いで使用され得、すなわち、グアノシン三リン酸(rGTP)を用いて逆転写されたDNAを、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)の存在下で反応させ、(rG)2〜4テイルをDNA分子の3’末端上に付加する。次に、3’2〜4突出端を有する二本鎖ODNリンカーを(rG)2〜4テイルと対合する一方の鎖上にライゲートさせる。次いで、2種類のPCRプライマーを添加する。第1のものは、TDPCRリンカー鎖に相補的であり、(rG)2〜4テイル(場合によっては、短鎖ともいう)にライゲートさせたリンカープライマー(LP)である。他方のプライマー(P2)は、P1と同じであるが、P1に関してネスト化されたものであり得る、すなわち、P1が結合した領域の少なくとも一部上流(すなわち、RNA分子の5’から3’への方向)であるが、標的RNA分子の試験対象下の部分の下流である領域内の標的RNAに相補的である。すなわち、標的RNA分子のアクセス可能な結合部位を有するか否かを調べる試験対象下の部分は、P2に相補的な領域の上流部分である。次いで、PCRを、既知の様式でDNAポリメラーゼおよびdNTPの存在下で行ない、プライマーLPおよびP2によって規定されるDNAセグメントを増幅させる。次いで、増幅産物を種々の任意の既知の方法によって捕捉し、続いて、自動DNA配列解析装置において配列決定すると、正確な切断部位の特定が得られ得る。この部位が特定されたら、試験管内または生体内使用のための規定配列のアンチセンスDNAまたはリボザイムが合成され得る。
特異的遺伝子の発現におけるアンチセンスインターベンションは、合成アンチセンスオリゴヌクレオチド配列の使用によって行なわれ得る(例えば、Lefebvre−d’Hellencourtら、(1995)Eur.Cyokine Netw.、6:7;Agrawal(1996)TIBTECH、14:376;およびLev−Lehmanら、(1997)Antisense Therap.CohenおよびSmicek編、(Plenum Press、New York)を参照のこと)。簡単には、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、短鎖のDNA配列、典型的には15〜30量体であり得るが、目的の標的mRNAを補完してRNA:AS二本鎖が形成されるように設計された7量体程度に小さいこともあり得る(Wagnerら、(1994)Nature、372:333を参照のこと)この二本鎖形成により、当該mRNAのプロセッシング、スプライシング、輸送または翻訳が抑制される。さらに、ある種のASヌクレオチド配列は、との標的mRNAとハイブリダイズすると、細胞RNアーゼH活性を惹起してmRNA分解をもたらすものであり得る(Calabrettaら、(1996)Semin.Oncol.、23:78を参照のこと)。かかる場合では、RNアーゼHにより二本鎖のRNA成分が切断され、ASが放出されて、さらに、別の分子の標的RNAとハイブリダイズする可能性があり得る。さらなる作用様式は、ASとゲノムDNAが相互作用して転写的に不活性な三重結合を形成することに起因するものである。
本明細書において上記のアンチセンス配列に加えて、またはその代わりに非限定的な例として、リボザイムが遺伝子機能の抑制に利用され得る。これは、アンチセンス療法が化学量論的考慮事項によって制限される場合、特に、必要である。次いで、同じ配列を標的化するリボザイムが使用され得る。リボザイムは、標的RNA内の特異的部位を切断するRNA触媒能を有するRNA分子である。リボザイムによって切断されるRNA分子の数は、1:1の化学量論によって推測される数よりも多い(HampelおよびTritz(1989)Biochem.、28:4929−33;およびUhlenbeck(1987)Nature、328:596−600を参照のこと)。したがって、本発明はまた、PDGFまたはVEGF mRNA種のアクセス可能なドメインに標的化され、適切な触媒中心を含むリボザイム配列の使用を可能にする。リボザイムは、当該技術分野で知られているようにして作製および送達され、本明細書においてさらに論考している。リボザイムは、アンチセンス配列と組み合わせて使用され得る。
リボザイムは、RNAのホスホジエステル結合切断を触媒する。いくつかのリボザイムの構造的ファミリー、例えば、第I群イントロン、RNアーゼP、Δ肝炎ウイルスリボザイム、ハンマーヘッド型リボザイムおよびヘアピン型リボザイム(最初に、タバコ輪点ウイルスサテライトRNA(sTRSV)のマイナス鎖から誘導)が同定されている(Sullivan(1994)Investig.Dermatolog.、(補足)103:95S;および米国特許第5,225,347号を参照のこと)。後者の2つのファミリーは、リボザイムが、ローリングサークル型複製中に生じたオリゴマーからモノマーに分離すると考えられているウイロイドおよびウイルソイドに由来する(Symons(1989)TEBS、14:445−50;Symons(1992)Ann.Rev.Biochem.、61:641−71を参照のこと)。ハンマーヘッド型およびヘアピン型リボザイムモチーフは、遺伝子療法のためのmRNAのトランス切断に最も一般的に適合されたものである。本発明に利用されるリボザイム型は、当該技術分野において既知のようにして選択される。ヘアピン型リボザイムは、現在、臨床試験中であり、特に有用な型である。一般に、リボザイムは30〜100ヌクレオチド長である。
mRNAを特異的認識配列部位で切断するリボザイムは、特定のmRNAを破壊するのに使用され得るが、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が特に有用である。ハンマーヘッド型リボザイムはmRNAを、標的mRNAと相補的な塩基対を形成するフランキング領域によって指令される位置で切断する。唯一の要件は、標的mRNAが以下の2塩基配列:5’−UG−3’を有することである。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および作製は、当該技術分野でよく知られており、HaseloffおよびGerlach ((1988)Nature、334:585)により充分に記載されている。
また、本発明のリボザイムには、RNAエンドリボヌクレアーゼ(以下、本明細書において「Cech型リボザイム」)、例えば、テトラヒメナ好熱菌に天然に存在し、Thomas Cechおよび共同研究者によって広く記載されたもの(IVSまたはL−19 IVS RNAとして知られる)ものも包含される(Zaugら、(1984)Science、224:574−578;ZaugおよびCech(1986)Science、231:470−475;Zaugら、(1986)Nature、324:429−433;国際特許出願番号W088/04300;BeenおよびCech(1986)Cell、47:207−216を参照のこと)。Cech型リボザイムは8塩基対活性部位を有し、これは、標的RNAの切断が行なわれた後、標的RNA配列にハイブリダイズする。本発明には、8塩基対活性部位配列を標的化するCech型リボザイムが包含される。本発明は特定の作用機構理論に限定されないが、最近の報告で、ハンマーヘッド型リボザイムがRNA翻訳および/またはmRNA標的の特異的切断をブロックすることにより機能することが示されているため、本発明におけるハンマーヘッド型リボザイムの使用は、PDGF/VEGF指向性アンチセンスの使用よりも利点を有し得る。
アンチセンスアプローチの場合と同様、リボザイムは、修飾オリゴヌクレオチド(例えば、安定性、標的化の改善のためなど)で構成されたものであり得、標的mRNAを発現する細胞に送達される。有用な送達方法は、強力な構成的pol IIIまたはpol IIプロモーターの制御下のリボザイム「コード」DNA構築物の使用を伴うものであり、その結果、トランスフェクト細胞は、標的化されたメッセンジャーを破壊し、翻訳を阻害するのに充分な量のリボザイムを産生する。リボザイムは、アンチセンス分子とは異なり、触媒性であるため、効率に必要とされる細胞内濃度はより低い。
上記のように、ヌクレアーゼ抵抗性が必要な場合は、当該技術分野で知られた方法であって、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドまたはリボザイムの生物学的活性に実質的に干渉しない任意の方法によって、使用方法および送達方法に対して必要に応じて提供される(Iyerら、(1990)J.Org.Chem.、55:4693−99;Eckstein(1985)Ann.Rev.Biochem.、54:367−402;SpitzerおよびEckstein(1988)Nucleic Acids Res.、18:11691−704;Woolfら、(1990)Nucleic Acids Res.、18:1763−69;およびShawら、(1991)Nucleic Acids Res.,18:11691−704)。アプタマーについて上記のように、ヌクレアーゼ抵抗性を増強するためにアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムに対してなされ得る非限定的な代表的な修飾としては、リン酸主鎖内のリンもしくは酸素ヘテロ原子の修飾、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖鎖間結合または短鎖ヘテロ原子もしくは複素環状糖鎖間結合が挙げられる。これらとしては、例えば、2’−フッ化、O−メチル化、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートおよびモルリホリノオリゴマーの調製が挙げられる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムは、4〜6個の3’末端ヌクレオチド塩基を連結するホスホロチオエート結合を有するものであり得る。あるいはまた、ホスホロチオエート結合は、すべてのヌクレオチド塩基を連結するものであり得る。ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドは通常、動物において有効濃度で有意な毒性を示さず、充分な薬力学的半減期を示し(Agarwalら、(1996)TEBTECH、14:376を参照のこと)、ヌクレアーゼ抵抗性である。あるいはまた、AS−ODNでのヌクレアーゼ抵抗性は、3’末端にヌクレオチド配列CGCGAAGCGを有する配列を形成する9ヌクレオチドループを有することによりもたらされ得る。また、アビジン−ビオチンコンジュゲーション反応の使用も、血清ヌクレアーゼ分解に対するAS−ODN保護の改善に使用され得る(BoadoおよびPardridge(1992)Bioconj.Chem.、3:519−23を参照のこと)。この概念によれば、AS−ODN剤は、その3’末端がモノビオチン化されている。アビジンと反応させると、これらは、非コンジュゲートODNよりも6倍改善された安定性を有する強固なヌクレアーゼ抵抗性複合体を形成する。
他の研究により、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの生体内伸張が示されている(Agarwalら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)88:7595)。このプロセスは、おそらく異質AS−オリゴヌクレオチドを循環系から除去するスカベンジャー機構として有用であり、伸張が起こる結合オリゴヌクレオチド内の遊離3’末端の存在に依存する。したがって、この重要な位置における部分ホスホロチオエート、ループ保護またはビオチン−アビジンは、このようなAS−オリゴデオキシヌクレオチドの安定性を確保するのに充分なはずである。
上記の修飾塩基の使用に加え、ヌクレオチドの構造が基本的に改変されており、治療用または実験用試薬としてより良好に適合されたヌクレオチドの類縁体が調製され得る。ヌクレオチド類縁体の一例はペプチド核酸(PNA)であり、これは、DNA(またはRNA)内のデオキシリボース(またはリボース)リン酸主鎖が、ペプチドに見られるものと類似したポリアミド主鎖で置き換えられたものである。PNA類縁体は、酵素による分解に対して抵抗性であること、および生体内および試験管内で長寿命を有することが示されている。さらに、PNAは、DNA分子よりも相補DNA配列に対してより強力結合することが示されている。この観察結果は、PNA鎖とDNA鎖間の電荷反発力の欠如によるものである。オリゴヌクレオチドに対してなされ得る他の修飾としては、ポリマー主鎖、モルリホリノポリマー主鎖(例えば、米国特許第5,034,506号(その内容は、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、環状主鎖もしくは非環状主鎖、糖模倣物または任意の他の修飾(例えば、オリゴヌクレオチドの薬力学的特性が改善され得るもの)が挙げられる。
本発明のさらなる態様は、例えば、C5酵素によりアンチセンス手法およびリボザイム手法の両方のいくつかの機構的特徴が組み込まれるため、標的mRNAの発現を減少させるためのDNA酵素の使用に関する。DNA酵素は、アンチセンスオリゴヌクレオチドと酷似して特定の標的核酸配列を認識するが、リボザイムと酷似して触媒的および特異的に標的核酸を切断するように設計される。
現在、2つの基本的な型のDNA酵素が存在し、これらはともに、SantoroおよびJoyceによって同定された(例えば、米国特許第6,110,462号を参照のこと)。10〜23種類のDNA酵素は、2つのアームが連結されたループ構造を含むものである。この2つのアームにより、特定の標的核酸配列が認識されることによって特異性がもたらされるが、ループ構造は、生理学的条件下で触媒機能をもたらす。
簡単には、標的核酸を特異的に認識して切断するDNA酵素を設計するためには、当業者はまず、非反復標的配列を特定しなければならない。これは、アンチセンスオリゴヌクレオチドで概要を示したものと同じアプローチを用いて行なわれ得る。場合によっては、非反復配列または実質的な配列は、およそ18〜22ヌクレオチドのG/C高含有配列である。高いG/C含量により、DNA酵素と標的配列間のより強力な相互作用の保証が補助される。
DNA酵素を合成する場合、該酵素をそのメッセージに標的させる特異的アンチセンス認識配列は、該DNA酵素の2つのアームが含まれ、該DNA酵素のループが該2つの特異的アーム間に配置されるようにように分割される。
DNA酵素の作製および投与方法は、例えば、米国特許第6,110,462号を見るとよい。同様に、試験管内または生体内でのDNAリボザイムの送達方法としては、本明細書に概要を示したRNAリボザイムの送達方法が挙げられる。さらに、当業者には、アンチセンスオリゴヌクレオチドと同様、DNA酵素は、安定性を改善するため、および分解に対する抵抗性を改善するため任意選択的に修飾され得ることは認識されよう。
また、本発明は、本発明の抗C5剤を、PDGFおよび/またはVEGF発現に指向されるアンチセンス剤、リボザイム剤および/またはDNA酵素剤とともに、眼障害を安定化、治療および/または予防する本発明の方法において使用することを包含する。したがって、この方法は、本発明の抗C5剤との使用のための、PDGFおよび/またはVEGF発現をブロックまたは阻害するアンチセンス剤、リボザイム剤および/またはDNA酵素剤を作製するための使用であり得る。
抗C5 RNAi剤
本発明の一部のある実施形態は、RNA干渉(RNAi)によってC5の抑制を行なうための材料および方法を利用するものである。したがって、本発明の抗C5剤には、抗C5 RNAi剤が包含される。本発明は、本発明の眼障害を処置する方法における抗C5 RNAi剤の使用を包含する。特別な実施形態において、本発明は、抗C5 RNAi剤を被験体に、眼障害の少なくとも1つの症状、特に、糖尿病性網膜症、滲出性および/または非滲出性AMDの症状を低減、安定化および/または予防する方法において投与することを含むものである。
RNAiは、真核生物細胞において起こり得る配列特異的な転写後遺伝子抑制のプロセスである。一般に、このプロセスは、二本鎖RNA(dsRNA)によって誘導される特定配列のmRNAの分解を伴い、ここで、二本鎖RNAは該配列に相同である。例えば、特定の単鎖mRNA(ss mRNA)の配列に対応する長鎖dsRNAの発現は、該メッセージを不安定化し、それにより、対応する遺伝子の発現に「干渉」する。したがって、任意の選択された遺伝子は、該遺伝子のmRNAの前部または実質的な部分に対応するdsRNAを導入することにより抑制され得る。長鎖dsRNAが発現されると、これは、初期にリボヌクレアーゼIIIによって21〜22塩基対長程度のより短鎖のdsRNAオリゴヌクレオチドにプロセッシングされると思われる。したがって、RNAiは、比較的短鎖の相同dsRNAの導入または発現によって行なわれ得る。実際、比較的短鎖の相同dsRNAの使用は、後述するような一定の利点を有し得る。
哺乳動物細胞は、二本鎖RNA(dsRNA)によって影響される少なくとも2つの経路を有する。RNAi(配列特異的)経路では、開始dsRNAが、まず、上記のような短鎖の干渉性(si)RNAに分解される。siRNAは、各3’末端に2つのヌクレオチド突出端を有するおよそ19ヌクレオチドのsi RNAで構成された約21ヌクレオチドのセンス鎖およびアンチセンス鎖を有する。短鎖干渉性RNAは、特異的メッセンジャーRNAが分解の標的となるのを可能にする配列情報を提供すると考えられている。対照的に、非特異的経路は、少なくとも約30塩基対長であれば任意の配列のdsRNAによって誘発される。非特異的効果は、dsRNAが2つの酵素:PKR(二本鎖RNA活性化プロテインキナーゼ)(これは、その活性形態において、翻訳開始因子eIF2をリン酸化し、すべてのタンパク質合成を停止させる)と、2’、5’オリゴアデニレートシンテターゼ(2’、5’−AS)(これは、あらゆるmRNAを標的化する非特異的酵素であるRNアーゼLを活性化する分子を合成する)を活性化するために生じる。非特異的経路は、ストレスまたはウイルス感染に対する宿主応答で提示され得、一般に、本発明の特に有用な方法では非特異的経路の効果は最小限である。重要なことに、非特異的経路を誘導するには、より長鎖のdsRNAが必要とされるようであり、したがって、約30塩基対より短いdsRNAが、RNAiによる遺伝子抑制の実行に特に有用である(例えば、Hunterら、(1975)J.Biol.Chem.、250:409−17;Mancheら、(1992)Mol.Cell Biol.、12:5239−48;Minksら、(1979)J.Biol.Chem.、254:10180−3;およびElbashirら、(2001)Nature、411:494−8を参照のこと)。
RNAiの実行に使用される特定の二本鎖オリゴヌクレオチドは30塩基対長未満であり、約25、24、23、22、21、20、19、18または17塩基対のリボ核酸を含むものであり得る。任意選択で、本発明のdsRNAオリゴヌクレオチドに3’突出端末端を含めてもよい。非限定的な例示的な2−ヌクレオチド3’突出端は、任意の型のリボヌクレオチド残基で構成されたものであり得、2’−デオキシチミジン残基で構成されていることすらあり、これは、RNA合成のコストが削減され、細胞培養培地中およびトランスフェクト細胞内でのsiRNAのヌクレアーゼ抵抗性が増強され得る(Elbashiら、(2001)Nature、411:494−8を参照のこと)。
また、50、75、100あるいは500塩基対またはそれ以上もの長鎖のdsRNAが、本発明の特定のある実施形態で使用されることがあり得る。RNAiが実行されるためのdsRNAの例示的な濃度は、約0.05nM、0.1nM、0.5nM、1.0nM、1.5nM、25nMまたは100nMであるが、処置される細胞の性質、遺伝子標的および当業者に容易にわかる他の要素に応じて他の濃度も使用され得る。例示的なdsRNAは、化学的に合成されるもの、または適切な発現ベクターを用いて試験管内もしくは生体内で生成されるものであり得る。例示的な合成RNAとしては、使用すること 当該技術分野で知られた方法(例えば、Expedite RNAホスホルアミダイトおよびチミジンホスホルアミダイト(Proligo、Germany))を用いて化学的に合成される21ヌクレオチドのRNAが挙げられる。合成オリゴヌクレオチドは、当該技術分野で知られた方法を用いて脱保護およびゲル精製され得る(例えば、Elbashirら、(2001)Genes Dev.、15:188−200を参照のこと)。より長鎖のRNAは、当該技術分野で知られたプロモーター(例えば、T7 RNAポリメラーゼプロモーターなど)から転写され得る。単一のRNA標的は、試験管内プロモーターの下流の可能な両方の向きに配置されていると、標的の両方の鎖が転写され、所望の標的配列のdsRNAオリゴヌクレオチドが作製される。
該オリゴヌクレオチドの設計に用いられる具体的な配列は、標的(例えば、C5)の発現される遺伝子メッセージ内に含まれた任意の連続したヌクレオチド配列であり得る。当該技術分野で知られたプログラムおよびアルゴリズムを用いて、適切な標的配列が選択され得る。また、最適配列は、先でさらに記載したように、特定の単鎖核酸配列の二次構造が予測されるように、およびフォールディングされたmRNAの露出された単鎖領域内におそらく存在している配列の選択が可能となるように設計されたプログラムを用いて選択され得る。適切なオリゴヌクレオチドを設計するための方法および組成物は、例えば、米国特許第6,251,588号(その内容は、引用により本明細書に組み込まれる)を見るとよい。mRNAは、一般的に、そのリボヌクレオチド配列内にタンパク質合成を指令する情報を含む線状分子と考えられている。しかしながら、研究により、ほとんどのmRNAには、いくつかの二次構造および三次構造が存在することが明らかになっている。RNA内の二次構造構成要素は、ほとんどが同じRNA分子の異なる領域間のワトソン−クリック型相互作用によって形成されている。重要な二次構造の構成要素としては、分子内二本鎖領域、ヘアピン型ループ、二本鎖RNAにおける隆起および内部ループが挙げられる。三次構造の構成要素は、二次構造の構成要素が互いに、または単鎖領域と接触してより複雑な3次元構造がもたらされた場合に形成される。いくつかの研究により、多数のRNA二本鎖構造の結合エネルギーが測定されており、RNAの二次構造を予測するのに使用され得る一組の規則が誘導されている(例えば、Jaegerら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)86:7706(1989);およびTurnerら、(1988)Ann.Rev.Biophys.Biophys.Chem.、17:167を参照のこと)。該規則は、RNA構造の構成要素の同定に有用であり得、特に、RNAi、リボザイムまたはアンチセンス手法の無効化を標的化するmRNAの特に有用なセグメントであり得る単鎖RNA領域の同定に有用である。したがって、RNAiを媒介するdsRNAオリゴヌクレオチドの設計、ならびに本発明の適切なリボザイムおよびハンマーヘッド型リボザイム組成物の設計のためのmRNA標的の特定のセグメントが同定され得る。
dsRNAオリゴヌクレオチドは細胞内に、担体組成物(例えば、リポソームなど、これは当該技術分野で知られており、例えば、Lipofectamine 2000 (Life Technologies、Rockville Md.)である)を、接着細胞株について製造業者により示されたようにして使用し、異種標的遺伝子を用いたトランスフェクションによって導入され得る。内在遺伝子を標的化するためのdsRNAオリゴヌクレオチドのトランスフェクションは、Oligofectamine(Life Technologies)を用いて行なわれ得る。トランスフェクション効率は、pAD3をコードするhGFPのコトランスフェクション後の哺乳動物細胞株の蛍光顕微鏡検査を用いて確認され得る(Kehlenbackら、(1998)J.Cell.Biol.、141:863−74)。RNAiの有効性は、dsRNAの導入後、いくつかの任意のアッセイによって評価され得る。これらとしては、限定されないが、新たなタンパク質合成が抑制された後の内因性プールのターンオーバーに充分な時間後、標的化された遺伝子産物を認識する抗体を用いるウエスタンブロット解析、および存在する標的mRNAのレベルを測定するノザンブロット解析が挙げられる。
本発明における使用のためのRNAi手法のなおさらなる組成物、方法および適用は、米国特許第6,278,039号、同第5,723,750号および同第5,244,805号(これらは、引用により本明細書に組み込まれる)に示されている。
また、本発明は、本発明の抗C5剤をRNAi剤とともに、PDGFおよび/またはVEGF抑制のために、眼障害を安定化、治療および/または予防するための本発明の方法において使用することを包含する。したがって、この方法は、本発明の抗C5剤との使用のための、PDGFおよび/またはVEGFを抑制するRNAi剤作製するための使用であり得る。
タンパク質およびポリペプチド抗C5剤
本発明の一部のある実施形態において、抗C5剤またはタンパク質またはポリペプチドである。本発明は、眼障害を処置する方法における抗C5タンパク質またはポリペプチド剤の使用を包含する。特別な実施形態において、本発明は、抗C5タンパク質またはポリペプチド剤を被験体に、眼障害の少なくとも1つの症状、特に、糖尿病性網膜症、滲出性および/または非滲出性AMDの症状を低減、安定化および/または予防する方法において投与することを含むものである。
例えば、可溶性切断型の補体レセプター1型であって、抗C5タンパク質またはポリペプチド剤であるTP10(Avant Immunotherapeutics,Inc.Needham、MA)(例えば、米国特許第5,212,071号、同第5252,216号、同第5,256,642号、同第5,456,909号、同第5,472,939号、同第5,840,858号、同第5,856,297号、同第5,858,969号、同第5,981,481号、同第6,057,131号、同第6,169,068号および同第6,316,604号(その各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載)が、本発明の方法において使用され得る。APT070(Mirococept(登録商標)(Inflazyme Pharmaceuticals,LTD.、Richmond、B.C.Canada)としても知られる)も本発明の方法において使用され得る。
また、本発明は、本発明の抗C5剤をタンパク質および/またはポリペプチド抗PDGFおよび/または抗VEGF剤とともに、眼障害を安定化、治療および/または予防するための本発明の方法において使用することを包含する。
小分子抗C5剤
本発明の一部のある実施形態において、抗C5剤は、小分子、特に有機小分子である。本発明は、眼障害を処置する方法における小分子抗C5剤の使用を包含する。特別な実施形態において、本発明は、小分子抗C5剤を被験体に、眼障害の少なくとも1つの症状、特に、糖尿病性網膜症、滲出性および/または非滲出性AMDの症状を低減、安定化および/または予防する方法において投与することを含むものである。
また、本発明は、本発明の抗C5剤を小分子抗PDGFおよび/または抗VEGF剤とともに、眼障害を安定化、治療および/または予防するための本発明の方法において使用することを包含する。例えば、本発明の抗C5剤は、抗PDGF剤メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標)、Novartis Pharmaceuticals,Inc.East Hanover、NJ)とともに使用され得る。また、本発明の抗C5剤は、抗VEGF剤、例えば、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標)Onyx Pharmaceuticals,Inc.Emeryville、CAおよびBayer Pharmaceuticals Corportion、West Haven、CT);リンゴ酸スニチニブ(sunitnab)(Sutent(登録商標)、Pfizer,Inc.NY、NY)などとともに使用され得る。
抗C3アプタマー
一部のある実施形態において、本発明の材料には、補体タンパク質C3に高い特異性で結合し、生体内および/または細胞系アッセイにおいて補体タンパク質C3活性を機能的にモジュレート(例えば、ブロック)する一連の核酸アプタマーが包含される。このようなアプタマーは、本発明の方法におけるさまざまな補体関連型眼疾患または障害、例えば、急性もしくは慢性炎症性および/または免疫媒介性眼障害、炎症性結膜炎(例えば、アレルギー性結膜炎および巨大乳頭性結膜炎)、黄斑浮腫、ブドウ膜炎、眼内炎、強膜炎、角膜の潰瘍、ドライアイ症候群、緑内障、虚血性網膜疾患、角膜移植片拒絶、眼内レンズ移植などの眼内手術に関連する合併症および白内障手術に伴う炎症、ベーチェット病、免疫複合体脈管炎、フックス病、フォークト−小柳−原田病、網膜下線維症、角膜炎、硝子体網膜炎症、眼の寄生虫外寄生/移動、色素性網膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎および脈絡膜の炎症、黄斑変性、加齢性黄斑変性(「AMD」)、非滲出性(「乾性」)の型のAMD、または新生血管形成眼障害(例えば、糖尿病性網膜症もしくは滲出性(「湿性」)の型のAMDなどの処置、安定化および/または予防の低毒性で安全かつ有効なモダリティをもたらす。また、このようなアプタマーは眼科用診断剤においても使用され得る。
本発明の方法における使用のためのこのようなアプタマーは、本明細書に記載のような修飾、例えば、親油性または高分子量化合物(例えば、PEG)へのコンジュゲーション、キャッピング部分の組込み、修飾ヌクレオチドの組込み、およびリン酸主鎖への修飾などを含むものであり得る。
一実施形態において、補体媒介性眼障害を処置、安定化および/または予防するための本発明の方法における使用のための、C3補体タンパク質に結合する単離された天然に存在しないアプタマーを提供する。一部のある実施形態では、本発明の方法における使用のための単離された天然に存在しないアプタマーは、C3補体タンパク質に対して100μM未満、1μM未満、500nM未満、100nM未満、50nM未満、1nM未満、500pM未満、100pM未満、50pM未満の解離定数(「KD」)を有する。本発明の一部のある実施形態において、解離定数は、以下の実施例2に記載のドットブロット滴定によって測定される。
別の実施形態において、本発明の方法における使用のためのアプタマーは、C3補体タンパク質の機能をモジュレートするもの、特に、C3補体タンパク質の機能および/またはC3補体タンパク質バリアントの機能を阻害するものである。C3補体タンパク質バリアントは、本明細書で用いる場合、C3補体タンパク質の機能と本質的に同じ機能を発揮するバリアントを包含する。C3補体タンパク質バリアントは、好ましくは、実質的に同じ構造を含むものであり、一部のある実施形態では、De Bruijn,MHおよびFey,GH(1985)Human complement component C3:cDNA coding sequence and derived primary structure.Proc Natl Acad Sci USA 82、708−12に示されたアミノ酸配列を含むC3補体タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも80%配列同一性、より好ましくは少なくとも90%配列同一性、より好ましくは少なくとも95%配列同一性を含むものである。
補体タンパク質C3に結合する本発明の他のアプタマーは、米国特許出願第6,140,490号、同第6,395,888号および同第6,566,343号(その各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)にさらに記載されている。
抗Clqアプタマー
一部のある実施形態において、本発明の材料には、補体タンパク質C1qに高い特異性で結合し、生体内および/または細胞系アッセイにおいて補体タンパク質C1qの活性を機能的にモジュレート(例えば、ブロック)する一連の核酸アプタマーが包含される。
このようなアプタマーは、本発明の方法におけるさまざまな補体関連型眼疾患または障害、例えば、急性もしくは慢性炎症性および/または免疫媒介性眼障害、炎症性結膜炎(例えば、アレルギー性結膜炎および巨大乳頭性結膜炎)、黄斑浮腫、ブドウ膜炎、眼内炎、強膜炎、角膜の潰瘍、ドライアイ症候群、緑内障、虚血性網膜疾患、角膜移植片拒絶、眼内レンズ移植などの眼内手術に関連する合併症および白内障手術に伴う炎症、ベーチェット病、免疫複合体脈管炎、フックス病、フォークト−小柳−原田病、網膜下線維症、角膜炎、硝子体網膜炎症、眼の寄生虫外寄生/移動、色素性網膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎および脈絡膜の炎症、黄斑変性、加齢性黄斑変性(「AMD」)、非滲出性(「乾性」)の型のAMD、または新生血管形成眼障害(例えば、糖尿病性網膜症もしくは滲出性(「湿性」)の型のAMDなどの処置、安定化および/または予防の低毒性で安全かつ有効なモダリティをもたらす。また、このようなアプタマーは眼科用診断剤においても使用され得る。
本発明の方法における使用のためのこのようなアプタマーは、本明細書に記載のような修飾、例えば、親油性または高分子量化合物(例えば、PEG)へのコンジュゲーション、キャッピング部分の組込み、修飾ヌクレオチドの組込み、およびリン酸主鎖への修飾などを含むものであり得る。
一実施形態において、補体媒介性眼障害を処置、安定化および/または予防するための本発明の方法における使用のための、C1q補体タンパク質に結合する単離された天然に存在しないアプタマーを提供する。一部のある実施形態では、本発明の方法における使用のための単離された天然に存在しないアプタマーは、C1q補体タンパク質に対して100μM未満、1μM未満、500nM未満、100nM未満、50nM未満、1nM未満、500pM未満、100pM未満、50pM未満の解離定数(「KD」)を有する。本発明の一部のある実施形態において、解離定数は、以下の実施例2に記載のドットブロット滴定によって測定される。
別の実施形態において、本発明の方法における使用のためのアプタマーは、C1q補体タンパク質の機能をモジュレートするものであり、特に、C1q補体タンパク質の機能および/またはC1q補体タンパク質バリアントの機能を阻害するものである。C1q補体タンパク質バリアントは、本明細書で用いる場合、C1q補体タンパク質の機能と本質的に同じ機能を発揮するバリアントを包含する。C1q補体タンパク質バリアントは、好ましくは、実質的に同じ構造を含むものであり、一部のある実施形態では、Sellar,GC、Blake,DJおよびReid,KB(1991)Characterization and organization of the genes encoding the A−、B− and C−chains of human complement subcomponent C1q.The complete derived amino acid sequence of hhuman C1q.Biochem J.274、481−90に示されたアミノ酸配列を含むC1q補体タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも80%配列同一性、より好ましくは少なくとも90%配列同一性、より好ましくは少なくとも95%配列同一性を含むものである。
補体タンパク質C1qに結合する本発明の他のアプタマーは、米国特許第6,140,490号、同第6,395,888号および同第6,566,343号(その各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)にさらに記載されている。
一部のある実施形態において、本発明のアプタマー治療剤、例えば、抗C5、C3および/またはC1qは、その標的に対して大きな親和性および高い特異性を有するが、アプタマー治療剤が患者または被験体の体内で分解された場合、天然に存在しないヌクレオチド置換に由来する有害な副作用は低減されている。
本発明の抗補体アプタマー、例えば、本発明の抗C5、C3および/またはC1qアプタマーは、当該技術分野で知られた任意のオリゴヌクレオチド合成手法、例えば、当該技術分野でよく知られた固相オリゴヌクレオチド合成手法(例えば、Froehlerら、Nucl.Acid Res.14:5399−5467(1986)およびFroehlerら、Tet.Lett.27:5575−5578(1986)を参照のこと)ならびに液相法、例えば、トリエステル合成法(例えば、Soodら、Nucl.Acid Res.4:2557 (1977)およびHiroseら、Tet.Lett.、28:2449 (1978)を参照のこと)を用いて合成され得る。
また、本発明は、本発明の抗補体アプタマー(例えば、抗C5、C3および/またはC1qアプタマー)を、それぞれ、PDGFおよび/またはVEGFおよび/またはそのコグネイトレセプターPDGFRおよびVEGFRに対するアプタマーとともに、眼障害を安定化、治療および/または予防する本発明の方法において使用することを包含する。
本発明の方法における使用のための抗PDGFアプタマーの例は、国際特許出願番号PCT/US2005/039975(2005年11月2日出願、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されており、特に、ARC513、ARC594、ARC127およびARC404がそこに開示されている。
本発明の方法における使用のためのVEGF特異的アプタマーの例は、米国特許第 号5,919,455号、同第5,932,462号、同第6,113,906号、同第6,011,020号、同第6,051,698号、および同第6,147,204号に開示されている。例えば、本発明の抗補体アプタマー(特に、抗C5アプタマー)と組み合わせて眼障害の治療において使用するのに特に有用なアプタマーは、ペグ化および非ペグ化形態のEYE001(以前はNX1838)、特に、ペガプタニブナトリウム注射(Macugen(登録商標)、Eyetech Pharmaceuticals,Inc.およびPfizer,Inc.NY、NY)であり得る。
医薬組成物
本発明はまた、抗C5剤を含有する医薬組成物、特に、補体タンパク質C5に結合するアプタマー分子を含有する医薬組成物、特に、補体タンパク質C5に結合してその切断を抑制するアプタマーを含有する医薬組成物を包含する。一部のある実施形態において、該組成物は内服に適したものであり、有効量の本発明の薬理学的に活性な化合物を、単独または1種類以上の薬学的に許容され得る担体との組合せで含む。該化合物は、毒性があったとしても非常に低いという点で特に有用である。
本発明の組成物は、疾患または障害などの病態を治療または予防するため、または患者においてかかる疾患または障害の症状を改善するために使用され得る。例えば、本発明の組成物は、補体関連心臓障害(例えば、心筋損傷;冠動脈バイパス移植(CABG)術に関連するC5媒介性補体合併症(例えば、術後出血など)、全身性好中球および白血球活性化、心筋梗塞のリスク増大ならびに認知機能不全の増大;再狭窄;ならびに経皮的冠動脈インターベンションに関連するC5媒介性合併症);虚血−再灌流障害(例えば、心筋梗塞、脳卒中、凍傷);補体関連炎症性障害(例えば、喘息、関節炎、敗血症および器官移植後の拒絶);ならびに補体関連自己免疫障害(例えば、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス(SLEまたは狼瘡);肺の炎症;体外補体活性化;抗体媒介性補体活性化、および補体媒介性眼適応症(血管新生眼障害など、特に、糖尿病性網膜症)ならびに加齢性黄斑変性(AMD)などと関連する病態を治療または予防するために使用され得る。特別な一実施形態において、本発明の組成物は、C5媒介性眼障害、特に、糖尿病性網膜症、滲出性および/または非滲出性AMDの症状を低減、安定化および/または予防するために使用され得る。
一部のある実施形態において、本発明の組成物は、患者において眼の疾患または障害などの病態を安定化、治療および/または予防するために使用され得る。例えば、本発明の組成物は、補体関連型眼障害、例えば、急性もしくは慢性炎症性および/または免疫媒介性眼障害、炎症性結膜炎(例えば、アレルギー性結膜炎および巨大乳頭性結膜炎)、黄斑浮腫、ブドウ膜炎、眼内炎、強膜炎、角膜の潰瘍、ドライアイ症候群、緑内障、虚血性網膜疾患、角膜移植片拒絶、眼内レンズ移植などの眼内手術に関連する合併症および白内障手術に伴う炎症、ベーチェット病、免疫複合体脈管炎、フックス病、フォークト−小柳−原田病、網膜下線維症、角膜炎、硝子体網膜炎症、眼の寄生虫外寄生/移動、色素性網膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎および脈絡膜の炎症、黄斑変性、加齢性黄斑変性(「AMD」)、非滲出性(「乾性」)の型のAMD、または新生血管形成眼障害(例えば、糖尿病性網膜症もしくは滲出性(「湿性」)の型のAMDなどと関連する病態を安定化、治療および/または予防するために使用され得る。
本発明の組成物は、本発明の抗C5剤が阻害する補体タンパク質C5、または本発明の抗C5剤が特異的に結合する補体タンパク質C5に関連または由来する疾患または障害を患っているか、またはその素因がある被験体への投与に有用である。一部のある実施形態において、本発明の組成物は、本発明の抗補体アプタマーが阻害する補体タンパク質および/または本発明の抗補体アプタマーが高い特異性で結合する補体タンパク質に関連または由来する眼の疾患または障害を患っているか、またはその素因がある被験体への投与に特に有用である。
一部のある実施形態において、補体媒介性眼障害を有するか、またはその素因がある被験体の治療のための組成物を提供する。特別な実施形態では、補体媒介性眼障害、特に、非滲出型のAMDおよび/または新生血管形成眼障害、特に、糖尿病性網膜症および滲出型AMDを有するか、またはそのリスクがある被験体の治療のための組成物を提供する。一部のある実施形態において、該リスクのある被験体は、ドルーゼンおよび/または網膜の色素沈着変化を有するが、臨床的視力低下はない被験体である。ドルーゼンは、間接眼底鏡を用いて検出され、典型的には、網膜の赤い背景に対して黄色の斑および粒子として出現する。臨床的失明は、Early Treatment for Diabetic Retinopathy Study Chart(「ETDRSチャート」)を用いて、1〜3ラインの視力の低下で示される。黄斑変性に伴う他の視野の変化としては、ゆがみおよび/またはアムスラー図表を用いて検出される盲点(暗点)、暗順応の変化(網膜杆細胞の健康の診断)または色解釈の変化(網膜錐体細の健康の診断)が挙げられる。一部のある実施形態では、該リスクのある被験体は、野生型と比較したとき被験体の補体H因子における変化を有する被験体である。例えば、Edwardsら、Science、第308巻、pp421−422(2005)、Hageman,G.ら、PNAS、第102巻、pp.7227−7231(2005)、およびHaines,J.ら、Science、第308巻、pp419−421(2005)に記載された変形例を参照のこと。一部のある実施形態において、該リスクのある被験体は、ドルーゼン、失明なしおよび補体H因子の変化の組合せを有する被験体である。一部のある実施形態では、該リスクのある被験体は、ドルーゼンが検出された被験体である。一部のある実施形態では、治療対象の該リスクのある被験体は、ドルーゼンが検出され、臨床的視力低下および/または視野における他の変化が存在する被験体である。
本発明の組成物は、病態、一部のある好ましい実施形態では眼の病態を有する患者または被験体を処置するための方法において使用され得る。本発明の方法は、患者または被験体に、抗C5剤、特に、C5特異的アプタマーまたはこれを含む組成物を、抗C5剤が補体タンパク質C5に結合するように、補体タンパク質C5への結合によってその生物学的機能が改変され(例えば、その切断生体内が抑制され)、それによりC5媒介性病態が処置されるように投与することを伴う。特別な実施形態では、本発明の抗C5剤、特に、本発明のC5特異的アプタマーの結合により、患者の、特に網膜の組織、RPE細胞、脈絡膜血管および/または網膜の毛細管内のVEGFおよび/またはPDGFの発現および/またはbFGFおよび/または内皮細胞増殖を刺激する他の増殖因子のレベルが低下し、それにより、VEGFおよび/またはPDGF媒介性障害、特に、血管新生眼障害(例えば、AMDおよび/または糖尿病性網膜症など)が処置される。
一実施形態において、本発明の抗補体アプタマー、特に、本発明の抗C5アプタマーは、被験体に、眼でのVEGFおよび/またはPDGF生体内発現のレベルを低下させるのに充分な量で、経眼的または眼周囲に投与される。本発明の方法の特別な一実施形態において、本発明の抗補体アプタマー、特に抗C5アプタマーを投与される被験体は、VEGFおよび/またはPDGF発現の低下によって、新生血管形成眼障害の少なくとも1つの症状の予防、安定化および/または低減が補助される血管新生眼障害を有するか、またはそのリスクがあると同定された被験体である。
眼に病態を有する患者または被験体、すなわち、本発明の方法によって処置される患者または被験体は、脊椎動物、より詳しくは哺乳動物、より特別にはヒトであり得る。
実際、本発明の抗C5剤、特に、本発明のC5特異的アプタマーまたはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、その所望の生物学的活性が奏される(例えば、アプタマー標的のそのレセプターの結合が阻害される、標的タンパク質の切断が抑制される)充分な量で投与される。
本発明の一態様には、C5媒介性補体障害用の他の治療剤と組み合わせた本発明のアプタマー組成物が包含される。一実施形態において、本発明では、補体媒介性眼障害用の他の治療剤と組み合わせた本発明のアプタマー組成物を記載する。本発明のアプタマー組成物は、例えば、1種類より多くのアプタマーを含有するものであり得る。一例において、1種類以上の本発明の化合物を含有する本発明のアプタマー組成物は、別の有用な組成物、例えば、抗炎症剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤などと組み合わせて投与される。さらにまた、本発明の化合物は、上記のような細胞傷害剤、細胞増殖抑制剤または化学療法剤、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤または細胞傷害性抗生物質と組み合わせて投与され得る。特別な実施形態では、本発明の抗C5剤、例えば、一般に、かかる組合せにおける使用が既知の治療用薬剤の現在利用可能な投薬形態などが好適である。
「併用療法」(または「共療法」)は、本発明の抗C5剤、特に、C5特異的本発明のアプタマー組成物および少なくとも第2の薬剤を、これらの治療用薬剤の共作用による有益な効果を提供することが意図される特定の治療レジメンの一部として投与することを含む。該組合せの有益な効果としては、限定されないが、治療用薬剤の組合せによりもたらされる薬物動態的または薬力学的共作用が挙げられる。これらの治療用薬剤の組合せでの投与は、典型的には、規定の期間(選択される組合せに応じて、通常、数分間、数時間、数日間または数週間)にわたって行なわれる。一部のある実施形態において、第2の薬剤は、抗VEGF剤および/または抗PDGF剤であり得る。
該方法がさらに被験体に抗VEGF剤を投与する工程を含む上記の方法の実施形態において、抗VEGF剤は、核酸分子、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、タンパク質、ペプチド、環状ペプチド、抗体または抗体フラグメント、糖、ポリマーおよび小分子からなる群より選択されるものであり得る。
該方法がさらに被験体に抗PDGF剤を投与する工程を含む上記の方法の実施形態において、抗PDGF剤は、核酸分子、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、タンパク質、ペプチド、環状ペプチド、抗体または抗体フラグメント、糖、ポリマーおよび小分子からなる群より選択されるものであり得る。
該方法がさらに抗血管形成剤を被験体に投与することを含む上記の方法の一部のある実施形態において、抗血管形成剤はポルフィリン誘導体である。一部のある実施形態において、ポルフィリン誘導体は、注射用ベルテポルフィン(Visudyne(登録商標)、Novartis Pharmaceuticals Corporation、East Hanover、NJ)である。一部のある実施形態では、該方法は、さらに、ポルフィリン誘導体をレーザー光で活性化する工程を含む。
「併用療法」は、一般的ではないが、2種類以上のこのような治療用薬剤を、偶発的および随意的に本発明の組合せがもたらされる個々の単独療法レジメンの一部として投与することが包含され得る。「併用療法」は、これらの治療用薬剤の逐次的な投与(すなわち、各治療用薬剤は、異なる時点で投与される)、ならびにこれらの治療用薬剤または該治療用薬剤の少なくとも2種類の実質的に同時の投与を包含することが意図される。実質的に同時の投与は、例えば、被験体に、各治療用薬剤を固定比率で有する単一のカプセルを投与すること、または治療用薬剤の各々の単一のカプセルを多重に投与することによりなされ得る。別の実施形態において、実質的に同時の投与は、例えば、被験体に、各治療用薬剤を固定比率で有する単一のシリンジを投与すること、または治療用薬剤の各々の単一のカプセルを多重に投与することによりなされ得る。
各治療用薬剤の逐次的または実質的に同時の投与は、任意の適切な経路、例えば、限定されないが、経表面的経路、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、経眼経路および粘膜組織を介する直接吸収によって行なわれ得る。治療用薬剤は、同じ経路または異なる経路で投与され得る。例えば、選択された組合せの第一の治療用薬剤が注射によって投与され得、一方、該組合せの他方の治療用薬剤が経表面的に投与され得る。
あるいはまた、例えば、すべての治療用薬剤を経表面的に投与してもよく、またはすべての治療用薬剤を注射によって投与してもよい。治療用薬剤が投与される順序は、特に記載のない限り、偏狭的に不可欠でない。「併用療法」にはまた、他の生物学的に活性な成分とのさらなる組合せでの上記の治療用薬剤の投与が包含され得る。併用療法が非薬物療法をさらに含む場合、該非薬物療法は、治療用薬剤と非薬物療法の組合せの共作用による有益な効果が得られる限り、任意の適当な時点で行なわれ得る。例えば、適切な場合では、非薬物療法を一時的に治療用薬剤の投与から除いた場合でも、なお、有益な効果が、おそらく数日間または数週間すら得られる。
本発明の治療用組成物または薬理学的組成物は、一般的に、薬学的に許容され得る媒体中に溶解または分散された治療活性成分(1種類または複数種)の有効量を含む。薬学的に許容され得る媒体または担体としては、任意のあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。医薬的に活性な物質用のかかる媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で知られている。また、補助的な活性成分を本発明の治療用組成物中に組み込んでもよい。
医薬組成物または薬理学的組成物の調製は、本発明の開示に鑑みると、当業者には充分わかる。典型的には、かかる組成物は、液状の液剤もしくは懸濁剤いずれかとしての注射用剤;注射前に液状にされる液剤もしくは懸濁剤に適した固形形態;錠剤もしくは経口投与用の他の固形剤;時限的カプセルとして、または現在使用されている任意の他の形態、例えば、点眼剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏、吸入剤などに調製され得る。手術野の特定の部分を処置するための、外科医、内科医または医療従事者による滅菌製剤(生理食塩水系洗浄液など)の使用は、特に有用であり得る。組成物はまた、微小デバイス、微粒子または海綿状物質によって送達され得る。
製剤化されると、治療剤は、投薬製剤と適合する様式で、薬理学的に有効な量などで投与される。製剤は、上記の注射用溶液型などの様々な投薬形態で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなどもまた使用され得る。
この状況において、投与される活性成分の量および組成物の容量は、治療対象の宿主動物に依存する。投与に必要とされる活性化合物の正確な量は、担当医師判断に依存し、各個体に対して特有である。
典型的には、活性化合物を分散させるのに必要とされる最小容量の組成物が使用される。また、投与に適したレジメンは種々であり得るが、最初に該化合物を投与し、その結果をモニタリングし、次いで、さらに間隔をあけてさらに制御された用量を得ることが典型であり得る。
例えば、錠剤またはカプセル剤(例えば、ゼラチンカプセル剤)の形態の経口投与では、活性な薬物成分は、経口用の非毒性の薬学的に許容され得る不活性担体、例えば、エタノール、グリセロール、水などと合わされ得る。さらに、所望の場合または必要な場合は、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤もまた、混合物中に組み込まれ得る。好適な結合剤としては、デンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン、天然の糖類(例えば、グルコースまたはβ−ラクトースなど)、コーン甘味料、天然および合成のゴム(例えば、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど)、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。このような投薬形態に使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウムの塩および/またはポリエチレングリコールなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムデンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物などが挙げられる。希釈剤としては、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシンが挙げられる。
本発明の化合物はまた、時限的放出および徐放性の錠剤またはカプセル剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤および乳剤などの経口投薬形態で投与され得る。
注射用組成物は、好ましくは、水性等張性の溶液または懸濁液であり、坐剤は、脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から好都合に調製される。該組成物は、滅菌されたもの、および/または佐剤(保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝剤など)を含有するものであり得る。また、該組成物は、他の治療上有益な物質を含有していてもよい。該組成物は、それぞれ慣用的な混合、増粒またはコーティング方法に従って調製され、典型的には、約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%の活性成分を含有する。
液状、特に注射用の組成物は、例えば、溶解、分散などによって調製され得る。活性化合物は、医薬的に純粋な溶媒、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどに溶解させるか、またはこれらと混合し、それにより注射用液剤または懸濁剤を形成する。さらに、注射前に液体中に溶解するのに適した固形形態もまた製剤化され得る。
本発明の化合物は、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内形態で、すべて、製薬技術分野の当業者によく知られた形態を用いて投与され得る。注射用剤は、慣用的な形態で、液状の液剤または懸濁剤のいずれかとして調製され得る。
注射による非経口投与は、一般的に、皮下、筋肉内または静脈内注射および注入のために使用される。さらに、非経口投与アプローチの一例では、米国特許第3,710,795号(引用により、本明細書に組み込まれる)による、一定レベルの投薬の維持が確保される低速放出系または徐放系の埋入が用いられる。
さらにまた、本発明に好ましい化合物は、鼻腔内形態で、適当な鼻腔内ビヒクル、吸入剤の経表面的使用によって、または経皮的経路によって、当業者によく知られた経皮的皮膚パッチの形態を用いて投与され得る。経皮的送達系の形態で投与されるためには、投薬量の投与は、もちろん、投薬レジメンの間、断続的ではなく連続的である。他の好ましい経表面用調製物としては、クリーム剤、軟膏、ローション剤、エーロゾルスプレー剤およびゲル剤が挙げられ、このとき、活性成分の濃度は、典型的には0.01%〜15%(w/wまたはw/v)の範囲であり得る。
固形組成物用には、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどの賦形剤が使用され得る。上記に規定の活性化合物はまた、担体として例えばポリアルキレングリコール(例えば、プロピレングリコール)を用い、坐剤として製剤化され得る。一部のある実施形態において、坐剤は、脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から好都合に調製される。
本発明の化合物はまた、リポソーム送達系、例えば、小型の単層小胞、大型の単層小胞および多層小胞の形態で投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含むさまざまなリン脂質から形成され得る。一部のある実施形態では、米国特許第5,262,564号に記載のようにして、脂質成分の膜を薬物の水性溶液で水和させ、該薬物をカプセル封入する脂質層を形成させる。例えば、本明細書に記載のアプタマー分子は、当該技術分野で知られた方法を用いて構築される親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物との複合体として提供され得る。核酸会合複合体の一例は、米国特許第6,011,020号に示されている。
また、本発明の化合物は、標的化可能な薬物担体としての可溶性ポリマーとカップリングさせ得る。かかるポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパナミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンが挙げられ得る。さらにまた、本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な類型の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーとカップリングさせ得る。
好ましい一実施形態において、本発明の化合物は、眼窩内または眼組織もしくは眼周囲組織(1種種類もしくは複数種)への直接的な硝子体内、眼周囲、前眼房内、結膜下または経強膜注射によって、眼の区画に送達され得る。本発明の化合物は、腱下(subtenon)腔または球後腔内に注射され得る。本発明の化合物はまた、目およびその組織への全身の血流または体液によって眼の区画または組織に送達され得、そのため、静脈内、筋肉内または皮下送達経路によって投与される。本発明の医薬組成物の非経口全身注射、結膜下、硝子体内または経強膜投与は、眼疾患および/または眼に徴候を有する全身疾患の治療のための治療剤の全身投与の補助として有用であり得る。糖尿病性網膜症および/またはベーチェット病を安定化、治療および/または予防するための本発明の方法の一部のある実施形態において、抗補体アプタマーは全身投与されず、好ましくは眼投与される。
本発明の化合物はまた、生物分解性ミクロサイズのポリマー系、例えば、マイクロデバイス、ミクロ粒子または海綿状物質の外科的埋入によって、あるいは眼疾患の治療中に埋入される他の低速放出経強膜デバイスによって、あるいは眼科用送達デバイス、例えば、ポリマーコオンタクトレンズ徐放性送達デバイスによって、眼の区画または組織にデポー剤または徐放性のゲルもしくはポリマー製剤にて投与され得る。本発明の化合物はまた、眼の区画または組織に経表面的に投与され得る。例えば、点眼剤の形態、本発明の化合物が負荷されたコンタクトレンズの形態、または目の表面から後部への薬物送達のために電流を用いたイオン導入によって投与され得る。
所望により、投与される医薬組成物にはまた、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ならびに他の物質(例えば、酢酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミンなど)を含めてもよい。
アプタマーを用いる投薬レジメンは、さまざまな要素、例えば、患者の型、種、年齢、体重、性別および病状;治療対象の状態の重篤度;投与経路;患者の腎臓および肝臓の機能;ならびに使用される具体的なアプタマーまたはその塩に従って選択される。当業者である医師または獣医には、該状態の進行を抑制、対抗または停止するのに必要とされる薬物の有効量を容易に決定および処方することができよう。
本発明の経口投薬量は、記載の効果のために使用される場合、経口で約0.05〜7500mg/日の範囲である。該組成物は、好ましくは、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100.0、250.0、500.0および1000.0mgの活性成分を含有する分割錠の形態で提供される。本発明の化合物は単回日用量で投与されるものであってもよく、全日投薬量を1日2回、3回または4回の分割用量で投与されるものであってもよい。
本発明のアプタマー組成物の注入投薬量、鼻腔内投薬量および経皮的投薬量は、0.05〜7500mg/日の範囲である。本発明のアプタマー組成物の皮下、静脈内および腹腔内投薬量は、0.05〜3800mg/日の範囲である。
本発明のアプタマー組成物の経眼投薬量は、1週間に1回から3ヶ月に1回までの例えば硝子体内注射によるか、または徐放性デバイスもしくは製剤による眼投与で0.001〜10mg/目の範囲である。
本発明のアプタマー化合物の有効血漿レベルは、0.002mg/mL〜50mg/mLの範囲である。本発明のアプタマー化合物の有効経眼レベル20nM〜250μMの範囲であり得る。
治療の有効性
血管新生障害
血管新生障害、例えばAMD、特に滲出型AMDまたは糖尿病性網膜症の治療の有効性は、新脈管形成が遅滞または減弱されているか否かを調べる一般に認められた任意の測定方法によって評価される。これには、直接観察および間接評価(例えば、自覚症状または客観的な生理学的徴候を評価することによるものなど)が含まれる。例えば、治療の有効性は、新生血管形成、微小血管症、血管漏出もしくは血管浮腫またはその任意の組合せの予防、安定化および/または逆転に基づいて評価され得る。また、血管新生眼障害の抑制を評価するための治療の有効性は、視力の安定化または改善の観点から規定されるものであり得る。
血管新生眼障害の症状の安定化、低減および/または該障害の予防における抗C5剤単独または抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組み合わせでの有効性の測定において、患者は、注射の数日後および次の注射の直前に眼科医によって臨床的に評価されることもあり得る。また、ETDRS視力、コダクローム写真撮影およびフルオレセイン血管造影が毎月行なわれ得る。
血管新生眼障害の症状の安定化、低減および/または該障害の予防における、抗補体アプタマー単独または抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組み合わせでの有効性の測定において、患者は、注射の数日後および次の注射の直前に眼科医によって臨床的に評価されることもあり得る。また、ETDRS視力、眼底写真撮影、光コヒーレンストモグラフィーおよびフルオレセイン血管造影が毎月行なわれ得る。
例えば、眼の新生血管形成を処置するための抗C5剤、特にC5特異的アプタマー単独または抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組合せでの有効性を評価するため、抗C5剤、特にC5特異的アプタマー単独または抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組み合わせでの単回または反復いずれかの硝子体内注射を、加齢性黄斑変性に続発性の中心窩下脈絡膜新生血管形成に冒された患者において、眼科技術分野でよく知られた標準的な方法に従って投与することを伴う試験が行なわれる。加齢性黄斑変性(AMD)に続発性の中心窩下脈絡膜新生血管形成(CNV)を有する患者には、抗C5剤、特にC5特異的アプタマーおよび/またはVEGF特異的アプタマーおよび/またはPDGF特異的アプタマーの単回硝子体内注射が与えられ得る。有効性は、例えば、眼科的評価および/またはフルオレセイン血管造影によってモニターされる。治療の3ヶ月後に安定な、または改善された視野を示す(例えば、ETDRSチャートにおいて視野の3ライン以上の改善を示す)患者は、有効投薬量を受けているとみなされる。
他の眼の障害
炎症性結膜炎(例えば、アレルギー性結膜炎および巨大乳頭性結膜炎)、黄斑浮腫、ブドウ膜炎、眼内炎、強膜炎、角膜の潰瘍、ドライアイ症候群、緑内障、虚血性網膜疾患、糖尿病性網膜症、角膜移植片拒絶、眼内レンズ移植などの眼内手術に関連する合併症および白内障手術に伴う炎症、ベーチェット病、シュタルガルト病、免疫複合体脈管炎、フックス病、フォークト−小柳−原田病、網膜下線維症、角膜炎、硝子体網膜炎症、眼の寄生虫外寄生/移動、色素性網膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎および脈絡膜の炎症の治療は、当該技術分野で一般に認められた方法によって評価される。眼障害の症状の安定化、低減および/または予防における抗補体アプタマー単独または別の薬剤との組み合わせの有効性の測定において、患者は、眼科医によって臨床的に評価されることもあり得る。臨床評価は、注射の数日後および次の注射の直前に行なわれ得る。臨床評価には、直接観察および間接評価(例えば、自覚症状または客観的な生理学的徴候を評価することによるものなど)が含まれ得る。例えば、治療の有効性は、血管漏出もしくは血管浮腫またはその任意の組合せの予防、安定化および/または逆転に基づいて評価され得る。緑内障の場合、治療の有効性は、眼底写真撮影または光コヒーレンストモグラフィーを用いてモニターされ得る網膜神経線維層または視神経の健常性の安定化に関して評価され得る。
本明細書に挙げたすべての刊行物および特許文献は、引用によって、かかる各刊行物または文献が具体的かつ個々に本明細書に組み込まれているかのように本明細書に組み込まれる。刊行物および特許文献の引用は、いずれも関連する先行技術であるとの是認であることは意図されず、その内容および日時に関する是認を構成するものでもない。次に、本発明を書面による記述によって説明するが、当業者には、本発明がさまざまな実施形態で実施され得ること、ならびに前述の記載および以下の実施例は、例示の目的のためであって、以下の特許請求の範囲の限定ではないことが認識されよう。
(実施例1)
古典的および第二補体経路における抗C5アプタマー活性
実施例1A:溶血アッセイ
CH50試験により、抗体コートヒツジ赤血球の標準化された懸濁液において、補体系が血清試験試料中で細胞の50%を溶解する能力が測定される。0.2%ヒト血清の溶液を抗体コートヒツジ赤血球(Diamedix EZ Complement CH50 Kit、Diamedix Corp.、Miami、FL)と、種々の抗C5アプタマーの存在下または非存在下で混合した。アッセイは、キットプロトコルに従って、カルシウム、マグネシウムおよび1%ゼラチンを含有するベロナール緩衝生理食塩水(GVB++補体バッファー)中で行ない、37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、試料を遠心分離し、インタクトな赤血球をペレット化した。上清みの412nmにおける光学密度(OD412)を読み取り、可溶性ヘモグロビンの放出(これは、溶血の程度に比例する)を定量した(Greenら,(1995)Chem.Biol.2:683−95)。アプタマーがC5活性化をブロックしたことを確認するため、一部の溶血上清みをC5aおよびC5b−9の存在について、ELISA(C5b−9 ELISA kit,Quidel、San Diego、CA;C5a ELISA kit,BD Biosciences、San Diego、CA)によって、ELISAキットプロトコルに従って解析した。
反応混合物への非PEG化抗C5アプタマー(ARC186)(配列番号4)の添加により、溶血は、図7Aのグラフに示されるように用量依存的に阻害され、IC50は0.5±0.1nM(図7B参照)であり、値は、ニトロセルロース濾過によって求められたKDと整合する。非常に高いアプタマー濃度(>10nM)では、溶血の程度は、本質的にバックグラウンド(血清添加なし)と識別不可能であり、これは、ARC186(配列番号4)が完全に補体活性をブロックし得ることを示した。ARC186(配列番号4)アプタマーと、20kDa(ARC657;配列番号61)、30kDa(ARC658;配列番号62)、分枝鎖40kDa(1,3−ビス(mPEG−[20kDa])−プロピル−2−(4’−ブタミド)(ARC187;配列番号5)、分枝鎖40kDa(2,3−ビス(mPEG−[20kDa])−プロピル−1−カルバモイル)(ARC1905;配列番号67)、線状40kDa(ARC1537;配列番号65)、および線状2×20kDa(ARC1730;配列番号66)PEG基とのコンジュゲーションは、CH50溶血アッセイにおいて、アプタマー阻害活性に対してほとんど効果を有しなかった(図7A〜図7D)。
さらなる研究において、PEG化抗C5アプタマーARC1905(分枝鎖40kDa(2,3−ビス(mPEG−[20kDa])−プロピル−1−カルバモイル);配列番号67)の阻害活性を、その非PEG化前駆体ARC672(配列番号63)(これは、末端5’−アミンを含有する)と、上記のCH50 溶血アッセイにおいて比較した。ヒト血清(Innovative Research、Southfield、MI)の溶液を抗体コートヒツジ赤血球(Diamedix EZ Complement CH50 Kit、Diamedix Corp.、Miami、FL)と、それぞれ種々の濃度のARC1905およびARC627の存在下または非存在下で、各アッセイにおける血清の最終濃度が0.1%となるように混合し、アッセイは、製造業者の推奨するプロトコルに従って行なった。溶血反応物は、1時間37℃で、細胞が懸濁状態であることが確保されるように攪拌しながらインキュベートした。インキュベーションの最後に、インタクトな細胞を遠心分離(2000rpm、2分間、室温)によってペレット化し、200μLの上清みを平底ポリスチレンプレート(VWR、カタログ番号62409−003)に移した。上清みの415nmにおける光学密度(OD415)を読み、可溶性ヘモグロビンの放出を定量した。測定した各アプタマー濃度における阻害%を、等式 阻害%=100−100×(A試料−A血清無し)/(Aアプタマーなし−A血清無し)を用いて計算した。式中、A試料は、種々のアプタマー濃度における試料の吸光度であり、A血清無しは、血清の非存在下におけるバックグラウンド溶血による吸光度(100%阻害対照)であり、Aアプタマーなしは、アプタマーの非存在下における基底補体活性による吸光度(0%阻害対照)である。IC50値は、等式 阻害%=(阻害%)最大×[インヒビター]n/(IC50 n+[インヒビター]n)+バックグラウンドを用いて、阻害%対[インヒビター]のプロットから求めた。IC90およびIC99値はIC50値から、等式 IC90=IC50×[90/(100−90]1/nおよびIC90=IC50×[99/(100−99]1/nを用いて算出した。このパラレル試験におけるARC1905およびARC627のIC50値は、それぞれ、0.648+/−0.0521および0.913+/−0.0679であり(図58もまた参照)、PEG化は、アプタマー機能に対する効果が、あったとしてもほとんどないことがさらに確認される。
溶血上清みのELISA解析により、この機能阻害がC5a放出のブロックと相関することが示された。したがって、溶血データは、ARC186(配列番号4)およびそのPEG化されたコンジュゲートが、C5のコンバターゼ触媒性活性化をブロックすることによって機能を果たす非常に強力な補体インヒビターであることを示す。
非PEG化物質を用いた溶血アッセイにより、抗C5アプタマーがいくつかの非霊長類種、例えば、ラット、モルモット、イヌおよびブタ由来のC5と交差反応しないことが示された。しかしながら、有意な阻害活性が霊長類血清、例えば、カニクイザル、マカク属サルおよびチンパンジー由来の血清のスクリーニングにおいて観察された。抗C5アプタマーの試験管内有効性をカニクイザル血清において、ARC186(配列番号4)の30kDa−PEG類縁体であるARC658(配列番号62)を用いてさらに調査した。並列比較(n=3)において、ARC658は、ヒト補体活性を0.21±0.0nMのIC50で、およびカニクイザル補体活性を1.7±0.4nMのIC50で阻害した(図8)。したがって、ARC658(配列番号62)は、この測定では、ヒトと比較するとカニクイザル血清において効力が8±3倍低い。
関連した研究において、ヒツジ赤血球の溶血によってアッセイされた分枝鎖40kDa(2,3−ビス(mPEG−[20kDa])−プロピル−1−カルバモイル)PEG化抗C5アプタマーであるARC1905(配列番号67)の、古典的な補体経路活性化に対する効果を、ヒト(Innovative Research、Southfield、MI)、カニクイザル(Bioreclamation、Hicksville、NY)またはラットの血清(Bioreclamation、Hicksville、NY)の存在下で調査した。これらのアッセイは、高度に希釈した血清中で(ヒトおよびカニクイザルでは0.1%、ラットでは0.3%)で、すぐ上に記載したヒツジ赤血球の溶血に対するARC1905の阻害効果をARC672との比較に用いたものと同じ条件下で行なった。並列比較では、試験管内補体活性の完全な阻害(90〜99%)が、ARC1905を用いてヒトおよびカニクイザル両方の血清において達成可能であったが、ラット補体試料では、ARC1905は、特異的阻害活性はほとんどあるいは全く示されなかった(図59A)。ARC658と同様、ARC1905は、該アッセイ条件下で、カニクイザル補体活性に対する効力が約10倍低く、図59Bに報告しているようにIC90およびIC99値に反映されている。
ニトロセルロースフィルター結合アッセイ。個々のアプタマーを、γ−32P−ATPおよびポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs、Beverly、MA)とのインキュベーションによって、5’末端を32P標識した。放射性標識アプタマーを遊離ATPから、ゲル濾過後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製分離した。抗C5アプタマー親和性を測定するため、放射性標識されたアプタマー(≦10pM)を漸増濃度(0.05〜100nM)の精製C5タンパク質(Quidel、San Diego、CA)とともに、1mM MgCl2を含有するリン酸緩衝生理食塩水中、室温(23℃)および37℃で15分間および4時間インキュベートした。結合反応物をニトロセルロース濾過により、Minifold Iドットブロット、96ウェル真空濾過マニホールド(Schleicher & Schuell、Keene、NH)を用いて解析した。(上から下に向かって)Protranニトロセルロース(Schleicher & Schuell)、Hybond−Pナイロン(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)およびGB002ゲルブロット紙(Schleicher & Schuell)からなる3層濾過媒体を用いた。ニトロセルロース層は、核酸よりタンパク質に選択的に結合するものであり、タンパク質リガンドとの複合体中の抗C5アプタマーを優先的に保持したが、非複合体化抗C5アプタマーはニトロセルロースを通過し、ナイロンに付着した。ゲルブロット紙は、単に他のフィルターの支持媒体として含めた。濾過後、フィルター層を分離し、乾燥し、リン光体スクリーン(Amersham Biosciences)上に露光し、Storm 860 Phosphorimager(登録商標)ブロット画像化システム(Amersham Biosciences)を用いて定量した。
図9および図10に示すように、漸増C5濃度により、ニトロセルロース膜上に捕捉されるARC186の割合が向上する。結合ARC186の漸増C5濃度に対する依存性は、単一部位結合モデル(C5+ARC186←→C5・RC186;結合%=C最大/(1+KD/[C5]);C最大は、飽和[C5]における最大結合%である;KDは解離定数である)によって充分説明される。15分間ならびに4時間のいずれかのインキュベーション後での、2つの温度におけるARC186結合曲線を、それぞれ図9および10に示す。15分間のインキュベーション後における23℃および37℃でのARC186結合曲線は、誤差内で本質的に識別不可能であり、0.5〜0.6nMのKD値をフィットさせた(図9)。23℃および37℃での結合曲線間の差は、インキュベーション時間を延長すると、より顕著になる。4時間のインキュベーション後(図10)、23℃で観察されたKDは0.08±0.01nMに減少するが、37℃で観察されたKDは、未変化のままである(0.6±0.1nM)。
室温での長時間インキュベーションの必要性の根拠を示すため、この温度における親和性を、速度論的方法を用いてさらに検討した。C5・ΑRC186の解離を示す逆反応の速度は、vrev=k−l[C5・ΑRC186]であり、式中、vrevは反応速度(単位はM分−1)であり、k−lは、一次解離速度定数(単位は分−1)である。C5・ΑRC186複合体の形成を示す順反応の速度は、Vfor=kl[C5][ARC186]であり、式中、Vforは反応速度(単位はM分−1)であり、klは二次会合速度定数(単位はM−1分−1)である。データは、擬一次仮定(一方の反応体(この場合、C5)の濃度を他方より大過剰に維持し([C5]>>[ARC186]、したがって、反応仮定において本質的に未変化に維持されるようにする)を用いて解析した。このような条件下で、順反応は、一次反応の反応速度式vfor=kl’[ARC186](式中、kl’=kl[C5])によって示される。
C5・ARC186の解離を解析するため、放射性標識ARC186(≦10pM)を、5nM C5タンパク質を含む1mM MgCl2含有リン酸緩衝生理食塩水で、室温(23℃)で予め平衡化した。解離反応を、遊離C5を捕捉する機能を果たす非標識ARC186(1μM)の添加によって開始し、結合体および遊離体の放射性標識ARC186を分離するニトロセルロース濾過によって停止した。解離反応開始から濾過までの持続時間を変えることにより、ARC186解離の経時変化を得た。解離の経時変化は、ニトロセルロースフィルター上に捕捉される放射性標識ARC186のパーセントの減少として観察され(C5に結合された割合に等しい)、これは、単一指数関数的減衰によって良好に示され、この場合、結合ARC186%=100×e−k−lt(図11参照)である。この方法で求められる解離速度定数、k−lの値は0.013±0.02分−1であり、53±8分の半減期(t1/2=In2/k−l)に相当する。
会合反応を解析するため、C5・ARC186の形成の平衡化速度定数(keq)を、種々の濃度のC5タンパク質(1〜5nM)の存在下で測定した。複合体の形成を、C5タンパク質および放射性標識ARC186を1mM MgCl2含有PBS中で室温(23℃)にて一緒に混合することにより開始させ、ニトロセルロース濾過によって分離することにより停止した。解離反応について記載のように、反応開からと濾過までの持続時間を変えることにより、複合体形成の経時変化を得た。平衡化の経時変化は、ニトロセルロースフィルター上に捕捉される放射性標識ARC186のパーセント増加として観察され、単一指数関数的減衰によって良好に示され、この場合、結合ARC186%=100×e−k−ltである。1、2および4nM C5の平衡化の経時変化図12に示す。予測されたとおり、keqの値は[C5]とともに線形的に増加する(keq(1nM)=0.19±0.02分−1;keq(2nM)=0.39±0.03分−1;keq(3nM)=0.59±0.05分−1;keq(4nM)=0.77±0.06分−1;keq(5nM)=0.88±0.06分−1)。該実験条件下では、keq、klおよびk−l間の関係keq=kl[C5]+k−lである。したがって、klの推定値は、keq対[C5]のプロットの傾きから誘導され(図12挿入図参照)、この場合では0.18±0.01nM−1分−1である。
これらのデータは、低C5濃度(例えば、0.1nM)条件下において、C5と放射性標識ARC186の混合物が平衡に達するために、長時間のインキュベーションが必要とされることを示す。このような条件下では、keq=(0.18±0.01nM−1分−1)(0.1nM)+0.013分−1=0.03分−1であり、22分の半減期に相当する。したがって、ほぼ2時間の室温インキュベーション(半減期の約5倍)が、完全な(>95%)平衡化に必要とされる。短いインキュベーション時間(例えば、15分)では、上記の15分(KD=0.5nM)対4時間(KD=0.08nM)インキュベーションで観察された親和性の差に示されるように、複合体の実際の親和性が有意に過小評価される。室温KDの代替的な推定値は、KD=k−l/klの関係に従う速度論データから計算され得る。この場合、算出されるKDは0.07±0.01nMであり、上記の熱力学的方法によって求められるKDと完全に整合する。
また、C5に対するARC186(配列番号4)の特異性を、ニトロセルロース濾過アッセイにおいて、補体カスケードのC5の上流および下流両方の補体成分との比較によって評価した。精製ヒトタンパク質およびタンパク質複合体は、Complement Technologies(Tyler、TX)から、例えば、C1q(カタログ番号A099.18;2.3μM)、C3(カタログ番号A113c.8;27μM)、C5(カタログ番号A120.14;5.4μM)、C5a des Arg(カタログ番号A145.6;60μM)、sC5b−9(カタログ番号A127.6;1μM)、B因子(カタログ番号A135.12;11μM)およびH因子(カタログ番号A137.13P;6.8μM)を購入した。PBS+1mM MgCl2、0.02mg/mLのBSAおよび0.002mg/mLのtRNA中でタンパク質の連続希釈を行ない、1〜4時間25℃または37℃でインキュベートすることにより結合反応を確立させ、次いで、上記のニトロセルロース濾過装置に適用した。解離定数KDを、等式:ニトロセルロース結合%=大きさ(amplitude)×[C5]/(KD+[C5])へのデータのフィットにより、ニトロセルロース結合%対[C5]の半対数プロットから求めた。
図13に示す結果は、アプタマーは、本質的に、C5aを認識しない(KD>>3μM)が、おそらくC5b成分との相互作用により可溶性C5b−9(KD>0.2μM)に対して弱い親和性を示す。他の補体成分は、アプタマーに対して中程度から弱い親和性を示す。非活性化C3は、本質的にアプタマーに結合しない。しかしながら、H因子(KDは約100nM)および、程度はかなり低いがC1q(KD>0.3μM)は結合する。総合すると、データは、ARC186(配列番号4)が、主にC5bドメインの認識によって高親和性でヒトC5に結合することを示す。したがって、ARC186およびそのPEG化誘導体、例えばARC1905は、細菌のオプソニン作用に重要なC3bの生成または調節因子によるC活性化の生得的な制御を妨げないはずである。
アプタマーと高分子量PEG部分とのコンジュゲーションにより、立体障害の可能性が誘導され、親和性の低下がもたらされる。PEG修飾アプタマーは、このようなアプタマーが標的タンパク質の非存在下であってもニトロセルロースに付着する傾向があるため、直接結合についてニトロセルロース濾過アッセイでは容易に評価されない。しかしながら、このようなアプタマーの相対親和性は、標的に対する結合(競合結合アッセイとして知られるニトロセルロース濾過によって測定、37℃で実施)について、放射性標識された非PEG化アプタマー(≦10pM)と競合する比較能力から評価され得る。コールド(cold)(すなわち、非放射性標識)競合体の濃度を増大させるにつれて、標的タンパク質に結合される放射性標識されたアプタマーの割合は減少する。図14に示されるように、コールドARC186(配列番号4)またはPEG化アプタマー(ARC657(配列番号61)、ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5))(0.05〜1000nM)の濃度の増大により、2nM C5タンパク質の存在下で、結合に関して放射性標識ARC186(配列番号4)と容易に競合する。さらに、すべての4種類のアプタマーの滴定曲線はほぼ重複し、これは、ARC657、ARC658およびARC187の場合のPEG−コンジュゲーションが、C5に対するアプタマーの親和性に対してほとんど、または全く効果がないことを示す。
同様の研究において、C5への結合に対するPEGコンジュゲーションの効果を、ARC672(5’末端アミンを有するARC186;配列番号63)と、ARC1905(分枝鎖40kDa(2,3−ビス(mPEG−[20kDa])−プロピル−1−カルバモイル)PEGとコンジュゲートされたARC627)とを、競合結合アッセイを用いて比較することにより試験した。各アプタマーの10μMストックをPBS+1mM MgCl2、0.01mg/mLのBSA、0.002mg/mLのtRNA中にて調製し、連続希釈して>100倍範囲のアプタマー濃度を含む10×試料列を作製した。次いで、各試料の12μLアリコートを96ウェルプレート内で96μLの32P−放射性標識ARC186に添加し、標識およびコールド競合体の1.1×溶液を作製した。次いで、90μLの標識/競合体溶液を、10μLの10×C5タンパク質に添加し、反応を開始した。各反応における放射性標識ARC186の最終濃度を一定に保持した。結合反応を15〜30分37℃で平衡化させ、次いで、上記のニトロセルロースフィルター装置にて濾過した。データ解析の目的のため、コールド競合体アプタマーを、ARC186/C5相互作用の競合的インヒビターとして扱った;阻害%は、データを競合体のない対照反応物(0%阻害対照)に対して標準化することにより計算した。IC50値は、等式:阻害%=大きさ×[競合体]n/(IC50 n+[競合体]n)へのデータのフィットによる阻害%対[ARC672]または[ARC1905]の半対数プロットから求めた。
図60に示されるように、分枝鎖40kDa(2,3−ビス(mPEG−[20kDa])−プロピル−1−カルバモイル)PEGの付加は、競合的結合による測定時では、アプタマー親和性に対してほとんど、または全く効果がなかった。図60のIC50対C5データに対する直線フィットのy切片により、ARC672およびARC1905について、それぞれ、KD値は0.46+/−0.149nMおよび0.71+/−0.130nMと概算された。値はともに、37℃でARC186について求められたKDに近い。
また、ARC1905とC5間の相互作用の温度依存性を、競合アッセイによって推定した。ARC1905を連続希釈し、上記の10×試料列を作製した。結合反応を1〜4時間25℃または37℃で平衡化させ、次いで、ニトロセルロースフィルター装置にて濾過した。阻害割合は、データを、競合体を含まない対照反応物(0%阻害対照)またはC5タンパク質を含まない対照反応物(100%阻害対照)に対して標準化することにより計算した。IC50値を、等式:阻害%=大きさ×[競合体]n/(IC50n+[競合体]n)へのデータのフィットによる阻害%対[ARC672]または[ARC1905]の半対数プロットから求めた。図61に示されるように、ARC1905は、25℃および37℃の両方でC5に高親和性で結合する。IC50対C5データのy切片から、それぞれ、25℃および37℃のKD値0.15±0.048nMおよび0.69±0.148nMが得られた。値はともに、上記のARC186/C5相互作用について求められたKD値と整合する。
実施例1B:全血アッセイ
補体系の第二経路に対する抗C5アプタマーの効果を、以下の全血アッセイを用いて解析した。抗凝固剤の非存在下、血液を正常ヒト志願者から採取した。血液のアリコート(抗凝固剤を含有しない)を、漸増濃度のARC186(配列番号4)とともに5時間、室温または37℃でインキュベートした。試料を遠心分離して血清を単離し、血清中のC5bの存在を、sC5b−9 ELISA(C5b−9 ELISAキット、Quidel、San Diego、CA)によって検出した。図15に示されるように、異なる温度でインキュベートされた試料間の抗補体活性(C5b−9の生成に反映される)は、3μMで分岐した。室温でのデータにより、定量的阻害に必要とされるアプタマーの濃度は、C5の既報の濃度はおよそ400nMであるが、3〜6μMの範囲内であるがことが示された。この結果は、10倍モル過剰より多くの抗C5アプタマー(ARC186;配列番号4)が、完全なC5の阻害活性に必要とされ得ることを示す。
実施例1C:ザイモサンによる補体活性化
ザイモサンは、酵母細胞壁の多糖成分であり、第二補体カスケードの強力な活性化剤である。血液、血漿または血清のエキソビボ試料へのザイモサンの添加により、補体活性化産物、例えば、C5aおよびC5b−9の可溶性型(sC5b−9)の蓄積がもたらされる。非希釈ヒト血清(Center for Blood Research、Boston、MA)、クエン酸塩添加ヒト全血(Center for Blood Research、Boston、MA)またはカニクイザル血清(Charles River Labs、Wilmington、MA)の試料に、漸増濃度のARC658(配列番号62)(ARC186(配列番号4)の30K PEG類縁体)を添加した。補体を活性化するため、ザイモサン(Sigma、St.Louis、MO)含有10×懸濁液を試料に最終濃度5mg/mLまで添加した。15分間37℃でのインキュベーション後、ザイモサン粒子を遠心分離によって除去し、補体活性化の程度をC5aおよび/またはsC5b−9 ELISA(C5b−9 ELISA kit、Quidel、San Diego、CA;C5a ELISAキット、BD Biosciences、San Diego、CA)によって測定した。
アプタマーの非存在下では、ザイモサン処理により血清または全血C5の約50%が活性化されるのに対して、未処理試料では約1%活性化である。抗C5アプタマーの50nMまで(血中C5濃度の約10%)の添加は、sC5b−9形成に対してほとんど効果がなかった。しかしながら、漸増濃度のARC658(配列番号62)でのC5のさらなる滴定によって、C5活性化は、図16に示されるように用量依存的に阻害された。ヒト血清または全血では、定量的(約99%)阻害が、0.8〜1μM ARC658(配列番号62)(C5に対して約2モル当量に相当するアプタマー)で観察された。カニクイザル血清中において同等の阻害を達成するには、より高濃度のアプタマーが必要であった。この場合、99%阻害は、10μMアプタマーすなわちC5に対して約20モル当量のアプタマーの存在下でのみ達成された。
同様の研究において、ARC1905(ARC186の分枝鎖40kDa(2,3−ビス(mPEG−[20kDa])−プロピル−1−カルバモイル)PEG化型)の阻害効果を、ヒトおよびカニクイザル試料において、第二経路により補体活性化するザイモサンを用い、以下のようにして試験した。Saccharomyces cerevisiae由来のザイモサンAは、Sigma−Aldrich,Inc.(カタログ番号Z4250−1G、St.Louis、MO)の製品であった。ザイモサンAは粉末の製品であり、ダルベッコのPBS(Gibco、Carlsbad、CA,カタログ番号14190−144)に再懸濁し、50mg/mLの懸濁液を得た。プールされた凍結正常ヒト血清(カタログ番号IPLA−SER)を、Innovative Research(Southfield、MI)から購入した。プールされた凍結マカク属サル血清(カタログ番号CYNSRM)を、Bioreclamation(Hicksville、NY)から購入した。該供給元から得た5〜10mL血清のバイアルを37℃で解凍し、アリコート(約1mL)を採取し、−20℃で保存した。アリコートは、必要に応じて使用直前に37℃でのインキュベーションによって解凍し、実験中は氷上で保存した。各アッセイでの血清の最終濃度は約100%であった。ARC1905の20μMストックを0.9%生理食塩水中で調製し、連続希釈し、約90倍範囲アプタマー濃度を含む10×試料列を作製した。また、アプタマーなし(生理食塩水のみ)の試料も陰性(0%阻害)対照として含めた。
90μLの血清を96ウェルPCRプレート(VWR,カタログ番号1442−9596)のウェル内にピペッティングした。10μLのアプタマー試料を室温で、直接血清中に希釈して混合した。8μLの50mg/mLのザイモサンを、別の96ウェルPCRプレートのウェル内にピペッティングした。両プレートを同時に37℃で15分間プレインキュベートした。プレインキュベーションの直後、80μLの血清/アプタマー混合物を8μLのザイモサンに直接添加して混合し、ザイモサンの最終濃度を5mg/mLとした。反応プレートを密閉し、15分間37℃でインキュベートした。インキュベーションの最後に、ウェル内への8μLの0.5M EDTAのピペッティングおよび混合によって、反応をクエンチした。ザイモサンを遠心分離(3700rpm、5分間、室温)によってペレット化し、約80uLのクエンチされた上清みを新たな96ウェルPCRプレートに移し、密閉した。上清みを液体窒素中でフラッシュ凍結し、−20℃で保存した。ザイモサン非依存性バックグラウンド活性化の対照のため、ザイモサンの代わりに8μLの生理食塩水を添加したこと以外は、厳密に上記のようにして血清試料を調製および処理した。
C5活性化の程度は、各ザイモサン活性化試料中に生成されたC5aの相対レベル(C5a ELISA(ALPCO Diagnostics、Windham、NH、カタログ番号EIA−3327)によってC5a ELISAキットプロトコルに従って測定)から求めた。C5a ELISAキットはヒト特異的試薬を含み、血漿または血清試料中でのヒトC5a(hC5a)の解析用に構成されている。したがって、カニクイザル濃度標準を用い、カニクイザルC5aに対するELISAの応答を特性評価することが必要であった。1組のカスタム標準を調製するため、ヒトまたはカニクイザル血清の0.5mLのアリコートを、5mg/mLのザイモサンとともに15分間37℃でインキュベートし、12.5μLの0.5M EDTAでクエンチし、遠心分離してザイモサンを除去した。ザイモサン活性化ヒト血清試料中のC5aの濃度は、キットに備えられたhC5a標準血漿との比較により、およそ2μg/mL hC5aであると測定された。カニクイザル試料中のC5aの濃度は、ヒトC5a当量(hC5a当量)で示すと、およそ0.6μg/mL hC5a当量であると測定された。0.4〜400ng/mL hC5aまたは0.12〜120ng/mL hC5a当量の範囲を含む標準列を、ラット血清(ELISAに干渉しない)中への希釈によって調製した。標準を、ELISAキットプロトコルに指示されたようにしてタンパク質沈降試薬で前処理し、さらに希釈せずにELISAプレートに適用した。ELISAプレートを450nmの最大吸光度(A450)において、VersaMax UV/可視光吸光度プレートリーダー(Molecular Dynamics、Sunnyvale、CA)を用いて読み取りを行なった。A450は、低C5aでは、0.1〜0.2の低値でC5a濃度により異なり、高C5aでは、約3.5で安定状態であった。アッセイ試料中でのC5aの定量の目的のため、定量の上限および下限は、それぞれ、ヒトでは25および0.78ng/mL hC5aとし、カニクイザルでは15および0.94ng/mL hC5a当量とした。A450対ng/mL hC5aまたはhC5a当量を、図62に示すようにプロットし、等式y=((A−D)/(l+(x/C)B))+Dを用いたデータへの4パラメータフィットにより標準曲線を得た。
C5a解析の直前、アッセイ試料(生理食塩水のみの対照およびザイモサンなし対照を含む)を、ELISAキットプロトコルに指示されたようにしてタンパク質沈降試薬で前処理し、次いで、0.9%生理食塩水中で連続希釈した。非希釈アッセイ試料(一部のザイモサンなし対照を含む)中のC5aレベルは、典型的には、定量上限(ULOQ)を超えた。したがって、全範囲のアッセイ試料C5a濃度が包含されるように、1/5、1/50および1/250の希釈物を試験した。C5aレベルを、適切な(ヒトまたはカニクイザル)標準曲線との比較によって定量し、希釈物に対して補正した。各アプタマー濃度での阻害%を、等式 阻害%=100−100×(C5a試料−C5aザイモサンなし)/(C5a試料のみ−C5aザイモサンなし)を用いて計算した。IC50値を、等式 阻害%=(阻害%)最大×[ARC1905]n/(IC50 n+[ARC1905]n)+バックグラウンドを用いた阻害%対[ARC1905]のプロットから求めた。IC90およびIC99値はIC50値から、等式 IC90=IC50×[90/(100−90]1/nおよびIC99=IC50×[99/(100−99]1/nを用いて算出した。
C3活性化(共通の補体経路におけるC5のすぐ上流の段階)の程度を、各ザイモサン活性化試料中に生成されたC3aの相対レベル(C3a ELISA(Becton−Dickinson OptiEIA C3a ELISA kit、カタログ番号550499、Franklin Lakes、NJ)によってC3a ELISAキットプロトコルに従って測定)から測定した。
C3a解析の直前、試料(生理食塩水のみの対照およびザイモサンなし対照を含む)を0.9%生理食塩水中で連続希釈した。C3a ELISAは、C5aのものより感度が高い;したがって、全範囲の試料C3a濃度が包含されるように、1/500、1/5000および1/25,000の希釈物が必要であった。C5a解析のために調製したカスタム標準の代わりにヒト血清由来のキット標準を使用した。C3aレベルはあまり大きく異ならなかったため、ヒト特異的標準は、その相対レベルの充分な表示を提供した。
C5aおよびC3両方のELISAから得られたデータを、Microsoft Excelを用いて解析し、平均阻害%値を、Kaleidaグラフ(バージョン3.51、Synergy Software)を用いてプロットした。IC50、IC90およびIC99値を、ExcelへのXLfit4.1プラグインを用いて求めた。このアプローチによって測定されたヒトおよびカニクイザル補体活性化に対するARC1905の比較効果を、図63および図64にまとめる。これらの図からわかるように、第二経路による完全なC5活性化の阻害は、試験管内でARC1905により、ヒトおよびカニクイザル血清の両方において達成可能である。ヒト血清では、非希釈試料中での90%C5活性化の阻害に必要とされるARC1905の濃度は442±23nMであり、C5の平均モル濃度とほぼ同等であった。しかしながら、ARC1905は、該アッセイ条件下でカニクイザル補体活性に対する効力は4〜6倍低く、これはIC90およびIC99値に反映されている。
C3aレベルによって測定されたARC1905C3活性化の効果を図65にまとめる。補体経路の最終段階を特異的に標的化する理論的根拠は、C5aおよび膜攻撃複合体(MAC)の炎症促進機能が、C3aおよびC3bの生成において上流因子が病原体と戦う機能が最高度に達するのを損なうことなく、ブロックされることである。図65のデータは、ARC1905が2μMまではC3a生成を阻害しないことを示し、上流補体の活性化は、ARC1905によってマイナスの影響を受けないことを示す。第二経路C5活性化の本質的に完全なブロックは、ARC1905を用いてヒトおよびカニクイザル血清試料の両方で達成された。ARC1905は、このアッセイ条件下では、ヒトC5活性化よりもカニクイザルC5活性化の阻害において、効力の次数が小さかった。理論に拘束されることを望まないが、C3の活性化が阻害されなかったため、補体活性化に対するARC1905の阻害効果はC5に特異的である。
実施例1D:補体活性化のチュービングループモデル
心肺バイパス回路に見られるような、異物への曝露によって誘発される補体活性化をブロックする抗C5アプタマーの能力を試験するため、本発明者らは、Nilssonおよびその共同研究者(Gongら、(1996)Journal of Clinical Immunology 16,222−9;Nilssonら、(1998)Blood 92、1661−7)によって記載されたチュービングループモデルを使用した。Tygon S−50−HL培地/外科用チュービング(1/4インチ内径)(United States Plastic Corp.((Lima、OH)、カタログ番号00542)を、およそ300mm(およそ9mL容)の長さに切断し、0.4単位/mLのヘパリン(Celsus)および種々の濃度のARC658(配列番号62)(0〜5μM)を含有する5mLのヒトドナー血を充填した。各長さのTygonチュービングを、短い切片(約50mm)の非外科用シリコーン製連結チュービング(3/8インチ内径)(United States Plastic Corp.(R−3603型、カタログ番号00271)により、Gongらに記載のようにして1つのループに封止した。チュービングループを1時間、およそ30rpmで37℃の水浴中で回転させた。次いで、ループ内容物を、EDTA(10mM最終濃度)を入れたポリプロピレン円錐チューブ内に注入し、補体活性化をクエンチした。血小板が不充分な血漿を遠心分離によって単離し、C5aおよびC3aについてELISA(C3a ELISA kit、Quidel、San Diego、CA;C5a ELISA kit、BD Biosciences、San Diego、CA)によって解析した。
アプタマーの非存在下における全補体活性化は、ザイモサンアッセイと比べて少量であった。典型的には、C5aレベルは、1時間のインキュベーション後に、およそ6ng/mL増加し、これは、利用可能なC5の<1%の活性化に相当した。それにもかかわらず、この増加は再現可能であり、ARC658(配列番号62)での滴定によって阻害された。図17に示されるように、300〜400nMのARC658(配列番号62)は、99%C5活性化の阻害を達成するのに充分であり、血中のC5のモル濃度とほぼ同等または若干少ないレベルであった。なんら理論に拘束されることを望まないが、C5活性化の99%阻害を得るために必要とされるアプタマーは、このモデルではザイモサンモデルよりも少ないが、この観察結果は、該2つのアッセイで用いた補体活性化刺激の実質的な差を反映するものであり得る。また、ARC658(配列番号62)が、補体カスケードにおいてC5より早期に活性化段階をブロックしないことを確認するための対照として、C3a生成をモニターした。C3aレベルは、1時間のインキュベーション後におよそ4000ng/mL増加し、これは、利用可能なC3のほぼ10%の活性化に相当した。C5a生成とは対照的に、ARC658(配列番号62)で滴定したとき、C3a生成の用量依存的阻害はほとんど観察されず、これは、ARC658(配列番号62)がC5切断を特異的にブロックすることを示す。
チュービングループモデル研究を、抗C5アプタマーARC1905(配列番号67)を用いて繰返した。ARC1905を0.9%生理食塩水中で連続希釈し、100倍倍範囲のアプタマー濃度(該アッセイにおいて最終10〜1000nM)を含む20×試料列を作製した。非特異的オリゴヌクレオチド効果を制御するため、無関連アプタマー(ARC127)を含有する試料を含めた。また、アプタマーなし(生理食塩水のみ)試料を陰性対照として含めた。単一のドナー血液試料を、標準的な静脈切開法によって内部志願者から採取した。全血を5例の別々のドナーから、直接60mL容シリンジ(Becton−Dickinson、(Franklin Lakes、NJ)、カタログ番号309653)内に採取し、アリコートを直接、ビバリルジン(最終20μM)(Prospec−Tany Technogene Ltd.、(Israel)、ロット番号105BIV01)+/−アプタマー中に採取した。補体活性化を妨害するヘパリンの代わりに、直接的なトロンビンインヒビターである抗凝固剤ビバリルジンを使用した。
チュービングループモデルを、本質的にすぐ上に記載のとおりに行なった。チューブの約300mm切片(直径1/4インチ、容量約9mL)に、5mLの血液/アプタマー/ビバリルジン試料を、血液をドナーから採取した直後に充填した。次いで、チューブを短い切片(約50mm)のシリコーン製連結チュービングによってループ状に確実に固定し、約4mLのガス容量を得た。インキュベーション中、チュービングループを37℃の水浴中で1時間、垂直方向に32rpmで回転させた。インキュベーション後、5mLの全試料を、100μLの0.5MのEDTAを入れた15mL容円錐チューブ(Corning(Corning、NY)、カタログ番号430766)に移し、10mMの最終EDTA濃度とした。1mLの血漿上清みを、4℃(3,300rpm、20分間)での遠心分離(Eppendorf Centrifuge 5804)後の各クエンチ試料から回収した。上清みを液体窒素中でフラッシュ凍結し、−20℃で保存した。バックグラウンド活性化の対照のため、CPB前試料を、5mLの新鮮血を直接氷上で、100μLの0.5M EDTAを入れた15mL容円錐チューブに添加することにより調製した。この試料を血漿に対して加工治療し、上記のようにして保存した。
C5活性化の程度を、各活性化試料で得られたC5aの相対レベル(すぐ上に記載のC5a ELISAによって測定)から測定した。C5a ELISAは、非希釈血漿試料においてELISAキットプロトコルに従って行ない、試料C5aレベルを、製造業者によって設けられたC5a標準との比較によって定量した。各アプタマー濃度でのC5生成の阻害%を、等式 阻害%=100−100×(C5a試料−C5aCPB前)/(C5a試料のみ-C5aCPB前)を用いて計算した。IC50値は、等式 阻害%=(阻害%)最大×[ARC1905]n/(IC50 n+[ARC1905]n)+バックグラウンドを用いた阻害%対[ARC1905]のプロットから求めた。IC90およびIC99値は、IC50値から、等式 IC90=IC50×[90/(100−90]1/nおよびIC99=IC50×[99/(100−99]1/nを用いて算出した。
C3活性化の程度を、各活性化試料において得られたC3aの相対レベル(すぐ上に記載のC3a ELISAによって測定)から測定した。C3a解析の直前、試料(生理食塩水のみの対照およびCPB前対照を含む)を0.9%生理食塩水中で連続希釈した。C3a ELISAは、C5aのものより感度が高い;したがって、試料C3a濃度が包含されるように、1/5000の希釈物の希釈物が必要であった。試料C3aレベルをキット標準との比較によって定量し、阻害%を、C5aで記載のようにして計算した。データを、Microsoft Excelを用いて解析し、平均阻害%値を、Kaleidaグラフ(バージョン3.5、Synergy Software)を用いてプロットした。IC50、IC90およびIC99値を、ExcelへのXLfit4.1プラグインを用いて求めた。
5例のドナーにおける、補体活性化に対するARC1905および無関連アプタマーARC127の平均効果を図66にまとめる。図67に示されるように、C5活性化の完全なブロック(C5aの生成に反映される)は、<500nMのARC1905で達成されたが、無関連アプタマーは1μMまで阻害効果はなかった。平均全血IC50、IC90およびIC99値は、それぞれ、119±28.6nM、268±39.2nMおよび694±241nMであった(図66)。理論に拘束されることは望まないが、ARC1905は、総量のおよそ45%を構成している細胞血容量から排除されると想定するのが妥当である。したがって、血漿中でのC5阻害を反映するように調整したIC50、IC90およびIC99値は、216±52.0nM、487±71nMおよび1261±438nMであった。これらの値は、血清中でのザイモサン誘導型補体活性化のARC1905阻害について計算されたパラメータと整合し、これは、細胞血成分がARC1905抗C5活性を有意に妨害しないことを示す。C3a生成は、ARC1905または1μMまでの無関連アプタマーによって阻害されなかった。理論に拘束されることを望まないが、これは、ARC1905が、C3コンバターゼ反応を阻害せず、第二カスケード活性化に寄与する他の段階、例えば、C3沈着およびコンバターゼ合成などもブロックしないことを示す。
(実施例2)
デノボ選択および配列
dRmYプールによるC5選択
2つの選択法を実施し、dRmYアプタマーがヒト完全長C5タンパク質であると特定した。C5タンパク質(Quidel Corporation、San Diego、CAまたはAdvanced Research Technologies、San Diego、CA)は、完全長(「FL」)で、部分トリプシン処理(「TP」)された形態で使用し、選択法はともに、疎水性プレート上に固定化させたタンパク質標的に対する直接的選択法であった。両選択法により、天然非選択プールと比べて完全長C5結合が有意に富化されたプールを得た。この実施例に示した配列はすべて、5’から3’に示す。
プールの調製:配列を有するDNA鋳型
TAATACGACTCACTATAGGGAGAGGAGAGAACGTTCTACN(30)GGTCGATCGATCGATCATCGATG(ARC520;配列番号70)の配列を有するDNA鋳型を、ABI EXPEDITETM DNA合成装置を用いて合成し、標準的な方法によって脱保護した。鋳型を、5’プライマーTAATACGACTCACTATAGGGAGAGGAGAGAACGTTCTAC(配列番号71)および3’プライマーCATCGATGATCGATCGATCGACC(配列番号72)を用いて増幅し、次いで、Y639F単一変異型T7 RNAポリメラーゼを用いる試験管内転写用の鋳型として使用した。転写は、200mM HEPES、40mM DTT、2mMスペルミジン、0.01% TritonX−100、10%PEG−8000、9.5mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mM NTP、2mM GMP、2mMスペルミン、0.01単位/μl 無機ピロホスファターゼ、およびY639F単一変異型T7ポリメラーゼを用いて行なった。
選択:第1回目において、陽性選択工程を、ニトロセルロースフィルター結合カラムにおいて行なった。簡単には、1×1015分子(0.5nmol)のプールRNAを、3uMの完全長C5または2.6uMの部分トリプシン処理したC5を含む100μLの結合バッファー(1×DPBS)中で、1時間室温にてインキュベートした。RNA:タンパク質複合体と遊離RNA分子を、Schleicher & Schuell(Keene、NH)製の0.45umニトロセルローススピンカラムを用いて分離した。カラムを1mLの1×DPBSで予備洗浄し、次いで、RNA:タンパク質含有溶液をカラムに添加し、遠心分離機内で1500gにて2分間スピンした。1mLで3回のバッファー洗浄を行ない、非特異的結合剤をフィルターから除去し、次いで、フィルターに結合されたRNA:タンパク質複合体を、200μlの溶出バッファー洗浄液(7M尿素、100mM 酢酸ナトリウム、3mM EDTA、95℃に予備加熱)で2回溶出した。溶出されたRNAを、沈殿させた(2μLグリコーゲン、1容量のイソプロパノール、1/2容量のエタノール)。RNAを、ThermoScript RT−PCRTM系(Invitrogen、Carlsbad、CA)により、製造業者の使用説明書に従って、上記の配列番号72の3’プライマーを用いて逆転写した後、PCR増幅を行なった(20mM Tris pH8.4、50mM KCl、2mM MgCl2、0.5uMプライマー配列番号71および配列番号72、0.5mMの各dNTP、0.05単位/μLのTaqポリメラーゼ(New England Biolabs、Beverly、MA))。PCR鋳型を、Centricepカラム(Princeton Separations、Princeton、NJ)を用いて精製し、次の回のプールを転写するために使用した。
後続の回の選択では、結合RNAと遊離RNAの分離を、Nunc Maxisorp疎水性プレート(Nunc、Rochester、NY)において行った。各回は、完全長C5および部分トリプシン処理C5の両方20pmolを、プレートの表面に、1時間室温にて100μLの1×DPBS中で固定化することにより開始した。次いで、上清みを除去し、ウェルを120μLの洗浄バッファー(1×DPBS)で4回洗浄した。次いで、タンパク質ウェルを、0.1mg/mLの酵母tRNAおよび0.1mg/mLのサケ精子DNAを競合体として含有する1×DPBSバッファーでブロックした。使用したプール濃度は、常に、タンパク質濃度の少なくとも5倍過剰とした。また、プールRNAを室温で1時間、空のウェル内でインキュベートして柔軟性(plastic)結合配列(あれば)を除去し、次いで、タンパク質を含まないブロックしたウェル内でインキュベートし、陽性選択段階の前に、競合体結合配列(あれば)を該プールから除去した。次いで、プールRNAを室温で1時間、インキュベートし、RTミックス(3’プライマー、配列番号72およびThermoscript RT、Invitrogen)の添加によって、固定化C5に結合されたRNAを選択プレート内で直接逆転写した後、65℃で1時間インキュベーションした。得られたcDNAを、PCR(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)のための鋳型として用いた。増幅されたプール鋳型DNAを、Centrisepカラム(Princeton Separations)によって製造業者の推奨する条件に従って脱塩し、次の回の選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために使用した。転写されたプールは、各回10%ポリアクリルアミドゲル上でゲル精製した。
選択の進行は、サンドイッチフィルター結合(ドットブロット)アッセイを用いてモニターした。5’−32P標識プールRNA(微量濃度)を、C5、1×DPBS+0.1mg/mLのtRNAおよび0.1mg/mLサケ精子DNAとともに室温で30分間インキュベートし、次いで、ドットブロット装置(Schleicher and Schuell)内のニトロセルロースおよびナイロンフィルターサンドイッチに適用した。ニトロセルロースに結合されたプールRNAのパーセントを計算し、およそ3回ごとにシングルポイント(single point)スクリーニング(+/−300nM C5)によってモニターした。プールのKd測定値は、タンパク質の滴定および上記のドットブロット装置を用いて測定した。
選択データ:両選択法により、天然プールに対して10回の後、富化された。図18参照。第10回目では、プールのKdは、完全長でおよそ115nMおよびトリプシン処理選択で150nMであったが、結合度は、両方において安定状態で、わずか約10%であった。R10プールを、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてクローニングし、配列決定した。
配列情報:各プール由来の45個のクローンを配列決定した。R10完全長プールは、単一のクローンARC913(配列番号75)によって優位に占められ、これは該プールの24%を構成し、2組の複製物および単一の配列が残部を構成した。R10トリプシン処理プールは、8コピーの同じ配列ARC913(配列番号75)を含んでいたが、該プールは、別の配列(AMX221.A7;46%)によって優位に占められていた。クローンARC913(配列番号75)は、約140nMのKdを有し、結合度は20%となった。図19参照。
表3に示された個々の配列は、5’から3’の方向に表示されており、示したdRmY SELEXTM条件下で選択されたアプタマーのリボヌクレオチド配列を表す。この選択によって誘導される(および配列表に反映された)本発明の実施形態では、プリン(AおよびG)はデオキシであり、ピリミジン(UおよびC)は2’−OMeである。表3に示した配列は、キャッピング(例えば、3’逆位dT)を含むもの、または含まないものであり得る。以下のアプタマーの特有の配列は、固定配列の直後の23位のヌクレオチドから始まり、すぐ後に、GGGAGAGGAGAGAACGUUCUAC(配列番号73)が続き、3’の固定核酸配列GGUCGAUCGAUCGAUCAUCGAUG(配列番号74)に接するまでに及ぶ。
溶血アッセイ:補体系の古典的経路に対するARC913(配列番号75)の効果を、前述の溶血アッセイを用いて解析し、ARC186(配列番号4)(抗C5アプタマー、陽性対照)および非選択dRmYプール(陰性対照)の両方と比較した。溶血性阻害のアッセイでは、0.2%ヒト全血清の溶液を、抗体コートヒツジ赤血球(Diamedix EZ Complement CH50 Test、Diamedix Corporation、Miami、FL)と、滴定されたARC913(配列番号75)の存在下で混合した。該アッセイは、カルシウム、マグネシウムおよび1%ゼラチンを含有するベロナール緩衝生理食塩水(GVB 補体バッファー)中で行ない、1時間25℃でインキュベートした。インキュベーション後、試料を遠心分離した。上清みの415nmにおける光学密度(OD
415)を読み取った。溶血活性の阻害を対照と比較した溶血活性%として示す。図20参照。アプタマーのIC
50は約30nMであると算出された。
(実施例3)
組成および配列最適化
実施例3A:ARC913の最小化:
ARC913(配列番号75)を基礎とする6種類の構築物を転写し、ゲル精製し、C5に対する結合についてドットブロットにて試験した。ARC954は、130nMのKdおよび20%の結合度を有する親クローンと類似していたが、ARC874(配列番号76)は、1uMのKdでC5に結合された唯一の他のクローンであった。
表4に示された個々の配列は、5’から3’の方向に表示されており、示したdRmY SELEX条件下で選択された選択されたアプタマーから誘導した。この選択によって誘導される(および配列表に反映された)本発明の実施形態では、プリン(AおよびG)はデオキシであり、ピリミジン(UおよびC)は2’−OMeである。表4に示した配列は、キャッピング(例えば、3’逆位dT)を含むもの、または含まないものであり得る。
実施例3B:ARC913の最適化:ドープ再選択
C5結合親和性に対するクローンARC913(配列番号75)の最適化および重要な結合要素の決定の両方を行なうため、ドープ再選択を行なった。ドープ再選択法は、活性なクローンまたはミニマー内での配列要件を検討するために使用される。選択法は、単一の配列を基に設計された合成の縮重したプールを用いて行なわれる。縮重のレベルは、通常、70%〜85%の野生型ヌクレオチドで異なる。一般に、中立変異が観察されるが、場合によっては、配列変化により、親和性の改善がもたらされ得る。次いで、複合配列情報は、最小結合モチーフを同定するため、および最適化の取り組みを補助するために使用され得る。
プールの調製:鋳型配列taatacgactcactataGGGAGAGGAGAGAACGTTCTACN(30)GTTACGACTAGCATCGATG(配列番号82)は、ARC913(配列番号75)を基礎とし、15%レベルで(すなわち、各ランダム(「N」)位に)ドープしたランダム領域由来の各残基を用いて合成し、残基は、野生型配列CTTGGTTTGGCACAGGCATACATACGCAGGGGTCGATCG(配列番号83)に見られるヌクレオチドである可能性を85%、その他の3つのヌクレオチドの1つである可能性を15%有する。
ドープ再選択用の鋳型およびRNAプールを、本質的に上記のようにして調製した。鋳型は、プライマーtaatacgactcactataGGGAGAGGAGAGAACGTTCTAC(配列番号84)およびCATCGATGCTAGTCGTAAC(配列番号85)を用いて増幅した。2つの選択法を、完全長C5を用いて行ない、一方の選択では、より高濃度の塩を洗浄工程で用いた。選択プロトコルは上記のようにして行なったが、2つの例外を伴った:1)第1回目(およびすべての後続の回)は、疎水性プレートにおいて行ない、陽性段階のみとした;ならびに2)選択中、競合体は全く使用しなかった。C5濃度およびRNAプール濃度は、それぞれ、200nMおよび1uMで一定に維持した。
ドープ再選択データ。通常選択法および高塩選択法の両方により、天然プールに対してに対して5回の後、富化された。第5回でのプールのKdは、高塩選択でおよそ165nM、および通常塩選択で175nMであった。結合度は、両方において安定状態で約20%であった。R4プールを、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いてクローニングし、各プール由来の48個のクローンを配列決定した。各プール由来の12個のクローンを転写し、シングルポイントドットブロットアッセイにおいて500nM C5でアッセイした。解離定数(Kd)を再度、前述のドットブロットアッセイを用いて測定した。Kdを、シングルポイントスクリーニングで同定された最良の11個のクローンについて、等式:結合したRNAの割合=大きさ*Kd/(Kd+[C5])にデータをフィットさせることにより推定した。最良の3つのKdを有するクローンは、配列番号91(73nM)、配列番号96(84nM)および配列番号95(92nM)であった。これらの11個のクローンの配列を以下に表5に示す。
表5に示した配列は、5’から3’の方向に表示されており、示したdRmY SELEX条件下で選択されたアプタマーのリボヌクレオチド配列を表す。この選択によって誘導される(および配列表に反映された)本発明の実施形態、本文に示したような残基のdRmY組合せを含む対応する配列では、プリン(AおよびG)はデオキシであり、ピリミジン(UおよびC)は2’−OMeである。表5に示された配列の各々は、キャッピング(例えば、3’逆位dT)を含むもの、または含まないものであり得る。以下のアプタマーの各々の特有の配列は、5’固定配列の直後の23位のヌクレオチドから始まり、すぐ後に、GGGAGAGGAGAGAACGUUCUAC(配列番号86)が続き、3’の固定核酸配列GUUACGACUAGCAUCGAUG(配列番号87)に接するまでに及ぶ。
実施例3C:ARC186の40kDa分枝鎖PEG修飾
オリゴヌクレオチド5’NH
2−fCmGfCfCGfCmGmGfCfUfCfCmAmGmGfCGfCfUmGmAmGfUfCfUmGmAmGfUfUfUUAfCfCfUmGfCmG−3T−3’(ARC672、配列番号63)を、Expedite DNA合成装置(ABI、Foster City、CA)において、推奨された製造業者の手順に従い、標準的な市販の2’−OMe RNAおよび2’−F RNAおよびTBDMS保護RNAホスホロアミダイト(Glen Research、Sterling、VA)ならびに逆位デオキシチミジンCPG支持体を用いて合成した。末端アミン機能を、5’−アミノ修飾体である6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、C6−TFA(Glen Research、Sterling、VA)により結合した。脱保護後、オリゴヌクレオチドを、Super Q 5PW(30)樹脂(Tosoh Biosciences)上でのイオン交換クロマトグラフィーによって精製し、エタノール沈殿させた。
アミン修飾アプタマーを、合成後に異なるPEG部分にコンジュゲートさせた。アプタマーを、1.5〜3mMの濃度まで水/DMSO(1:1)溶液に溶解した。炭酸ナトリウムバッファー(pH8.5)を100mMの最終濃度まで添加し、オリゴを一晩、等容量のアセトニトリルに溶解した1.7モル過剰の所望のPEG試薬(例えば、ARC1905 40kDa Sunbright GL2−400NP p−ニトロフェニル炭酸エステル[NOF Corp、Japan]またはARC187 40kDa mPEG2−NHSエステル[Nektar、Huntsville AL])と反応させた。得られた生成物を、Super Q 5PW(30)樹脂(Tosoh Biosciences)上でのイオン交換クロマトグラフィーによって精製し、Amberchrom CG300−S樹脂(Rohm and Haas)上で行なう逆相クロマトグラフィーを用いて脱塩し、凍結乾燥した。ARC187(配列番号5)の構造を図21に示し、ARC1905(配列番号67)の構造を図22に示す。
(実施例4)
単離された灌流された心臓モデル
実施例4A:ARC186を用いた原理の証明
ヒト血漿中の補体成分C5の平均濃度は、およそ500nMである。Krebs Heinseleitバッファーで灌流した単離されたマウス心臓を6%ヒト血漿に曝露すると、ヒト補体カスケードが活性化され、C5のC5aおよびC5bへの切断がもたらされる。続いて、C5b成分は補体成分C6、C7、C8およびC9と、「膜攻撃複合体」(「MAC」またはC5b−9)としても知られる複合体を形成し、これは、心臓血管および心筋細胞を損傷し、したがって、心筋機能不全(拡張終期圧の増大、不整脈)および不全収縮に至る(Evansら,Molecular Immunology、32、1183−1195(1995))。以前に、ヒトC5切断をブロックするモノクローナルの単鎖抗体(PexelizumabまたはPexelizumabの単鎖scFv型)がこのモデルにおいて試験され、心筋障害および機能不全を抑制することが示された(Evansら、1995年)。
このモデルを用い、C5ブロッキングアプタマーARC186(配列番号4)が、Pexeluzimabと同様、単離された灌流マウス心臓に対するヒトC5媒介性補体損傷を阻害することを確立した。C57 Bl/6マウスをCharles River Laboratories、(Wilmington、MA)から購入した。簡単には、深い麻酔の誘導後、各マウスの心臓を取り出し、心臓をKrebs Heinseleitバッファーで連続的に灌流する大動脈内に挿入したブラント針上に置いた。圧力変換器(Mouse Specifics、Boston、MA)を左心室内に挿入し、心拍数および心室内圧の連続測定を可能にした。15分間の平衡化(この間、ベースライン測定を行なった)後、続いて、心臓を、バッファーおよび6%ヒト血漿+/−種々の濃度のアプタマーで灌流した(図23参照)。この研究中、およびEvansらに記載のように、本発明者らは、Krebs Heinseleitバッファー+6%ヒト血漿で灌流した心臓は、血漿を灌流液に添加して5分以内に機能不全となったが、バッファー単独で連続的に灌流した心臓は、2時間を越えて鼓動が継続されたことを示した。したがって、各実験の長さを、随意裁量で15分間と規定した。ARC186を用いた、この研究の概要を図23に示す。
心室内圧を連続してモニターおよび記録し、圧力波形を得た(図24および図25)。最下部の偏向点は拡張終期圧(「EDP」)を表し、最も高い偏向点は、収縮期圧(「SP」)を表す。ベースライン圧力波は、波形上で「0」と表示した黒い垂直線の左側に出現している。既報のように(Evansら、1995年)、6%ヒト血漿で灌流した心臓は、左心室の拡張終期圧が急速に増大し、5分以内に、最終的に不全収縮が最高度に達した(心臓が停止した)(図24)。無関連アプタマーをヒト血漿に50倍モル過剰で添加した場合も、EDPの増大および不全収縮が観察された(図24)。
ARC186を同等モルで系に添加した場合もまた、EDPの急激な増大が見られ、不全収縮が最高度に達した(図25)。補体媒介性損傷、EDPの増大および不全収縮を受けた心臓のすべての3つの群において、心臓は、実験の最後までに、明らかに浮腫および腫脹していた。ARC186を血漿に10倍または50倍(図25)モル過剰で添加した場合、心室の圧力波は正常に維持され、不全収縮は観察されなかった。また、前述の浮腫および腫脹は、これらの群において明白ではなかった。
各実験中、心拍数を5分間のインターバルで記録し、各インターバルでの各群の平均心拍数グラフで示した。図26に示されるように、アプタマーなし、または無関連アプタマーを伴って灌流した心臓は、通常、5分以内で急速に不全収縮を発現した。系に同等モルで添加されたARC186では、不全収縮の発生が若干遅かった。しかしながら、この郡の心臓は最終的に機能不全となった。血漿に10倍または50倍モル過剰で添加されたARC186では、各実験の持続時間中、心拍数が保持された。
ベースラインに対する心臓重量の増加割合を、不全心臓(アプタマーなしまたは50倍モル過剰の無関連アプタマー)の代表的な試料について計算し、ARC186保護心臓(10倍および50倍モル過剰のARC186)と比較した。図27に示されるように、ARC186保護心臓は、対照群の不全心臓よりも重量増加が有意に少なかった。
ARC186は、C5切断を阻害するがC3切断は阻害しないため、C5切断生成物(C5aまたはC5b)ではなくC3切断生成物(C3a)が、ARC186によって保護された単離された心臓から流出される排出液中に見られるはずである。ARC186がヒト血漿C5の切断を阻害したことを直接示すため、ヒト補体タンパク質C5aおよびC5b(C5切断生成物)ならびにC3a(C3切断生成物)の相対レベルを、種々の群由来のバッファー排出液中で市販のELISA kit(C5b−9 ELISAキット、Quidel、San Diego、CA;C5a and C3a ELISA kit、BD Biosciences、San Diego、CA)によって測定した。ARC186は、ヒト血漿C5切断ならびにC5a(図28)およびC5b−9(図29)の生成を用量依存的に阻害した。対照的に、ARC186は、ヒトC3のC3aおよびC3b(図30)の切断に対して効果がなく、該分子のC5特異性がさらに示された。
いったん生成されると、補体C3bおよびC5b断片は、補体活性化部位の近傍の組織上に局所的に沈着する。実験終了後、マウス心臓をOCT培地(Sakura Finetelc、Torrance、CA)中で凍結し、切片化し、次いで標準的な免疫組織化学法を用い、ヒトC3b(クローンH11、Chemicon、Temecula、CA)、ヒトC5b−9(クローンaE11、DAKO、Carpinteria、CA)または対照マウスIgG(Vector Laboratories、Burlingame、CA)の存在について染色した。研究の結果を図31に示す。
この研究において記載のように、C5ブロッキングアプタマーARC186は、補体系に対する抗C5抗体Pexeluzimabの効果を試験した既報の研究(Evans、Molecular Immunol 32:1183、(1995)において記載されたモデルに基づき、Krebs Heinseleitバッファーおよび6%ヘパリン化ヒト血漿で灌流した単離されたマウスの心臓を用いる補体成分C5媒介性組織損傷のエキソビボモデルにおいて試験した。このモデルを用い、C5ブロッキングアプタマーが、(a)ヒト血漿C5の切断を阻害する(がC3の切断は阻害しない)、(b)マウス心臓組織上へのヒトC5bの沈着を阻害する(がC3bの沈着は阻害しない)および(c)臨床的に関連性のある濃度(5μM、10倍モル過剰のアプタマー対C5)でヒトC5b−9媒介性心筋機能不全を阻害することが示された。これらのデータは、ヒト補体カスケードが生理学的に関連性のある様式で活性化された場合、C5ブロッキングアプタマーは、血漿C5の切断を阻害でき、心筋障害および機能不全が予防され得ることを示す。
実施例4B:PEG化されたアプタマーの有効性
この研究に用いた材料および方法は、上記の実施例4Aに記載のものと厳密に同じであった。実験計画および結果を図32に示す。実験の前半では、ヒトヘパリン化血漿(Center for Blood Research、Harvard Medical School,Boston、MA)を補体の供給源として使用し、後半では、ヘパリン化マカク属サル血漿(Charles River Laboratories、Wilmington、MA)を補体の供給源として使用した。PEG化されたアプタマー(ARC658;配列番号62)を系に漸増モル比で添加した。関連性のある心室の圧力追跡はすべて収集したが、表には、拡張終期圧(EDP)の増大の存在または非存在、不全収縮が起こったか否か、および心不全(EDPの上昇および不全収縮の存在として規定)までの時間を示す。
ヒト血漿を用いた実験では、AR658(配列番号62)の最適用量は同等モル(500nM)であると決定されたが、非ヒト霊長類血漿を用いた実験では、心臓をC5b媒介性損傷から保護するのに50倍モル過剰(25μM)が必要であった(図32参照)。
これらのデータは、試験管内データによって示されたヒト対非ヒト霊長類のC5での抗C5アプタマーの親和性における差と整合する。なんら理論に拘束されることを望まないが、実施例5に記載した本発明者らのその後のマカク属サルPK/PD試験において、本発明者らは、ザイモサン媒介性血漿C5切断を阻害するのに30倍モル過剰のアプタマーが必要であることをさらに示し、これは、アプタマーは、ヒトC5よりも低い親和性で霊長類C5に結合するという見解をさらに支持する。
集合的に、これらの研究は、両方のC5ブロッキングアプタマーARC186(配列番号4)およびARC658(配列番号62)(より高い程度で)が、マウスの単離された灌流心臓モデルにおいて効果的であることを示す。また、このモデルで、マカク属サル血漿C5媒介性心臓損傷(30+モル過剰)を阻害するには、ヒトC5媒介性心臓損傷(同等モル)と比べて、有意に多くのARC658(配列番号62)をしなければならないことが示され、これは、アプタマーが霊長類C5に対して、より低い親和性を有することが示された試験管内データことをさらに支持する。最後にこれらのデータにより、PK/PD研究において生体内C5ブロックを実証するためには、マカク属サルに、30倍モル過剰より多くを投与する必要があり得ることが示された。
(実施例5)
動物における抗C5アプタマーの薬物代謝および薬物動態
実施例5A〜5Gにおいて、質量基準の濃度データすべて、PEGコンジュゲーションによってもたらされる質量とは無関係に、アプタマーのオリゴヌクレオチド部分の分子量のみを示す。
実施例5A:霊長類およびラット血漿中でのC5インヒビターARC186の代謝安定性
アプタマーの非PEG化オリゴヌクレオチド前駆体(すなわち、ARC186;配列番号4)を、その安定性、反応速度論および分解経路を評価するために、ラットおよびマカク属サル血漿(Charles River Labs、Wilmington、MA)中で試験した。試験は、37℃で95%プール血漿(クエン酸塩添加)中50時間にわたてインキュベートした5’末端放射性標識(32P)アプタマーを用いて行なった。選択した時点で、アプタマー含有血漿のアリコートを採取し、直ちに液体窒素中でフラッシュ凍結し、−80℃で保存した。血漿中のアプタマーおよびその代謝産物の検出および解析を、液液(フェノール−クロロホルム)抽出の後、ゲル電気泳動(10%変性ポリアクリルアミド配列決定用ゲル上)および高分解能オートラジオグラフィーを用いて行なった。
図33は、ラットおよびマカク属サル血漿の両方におけるインキュベーション時間の関数としての、完全長アプタマーの残留割合の対数線形プロットを示す。両種における分解プロフィール本質的に一相系のようであり、速度定数はおよそk約0.002時間−1である。
実施例5B:静脈内投与後のラットにおけるARC657、ARC658およびARC187の薬物動態
ARC657(配列番号61)、ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5)の薬物動態プロフィールを評価するため、ならびに霊長類およびヒトに必要とされる投与レベルおよび頻度を推定するため、薬物動態試験を、カテーテル挿入Sprague−Dawleyラット(Charles River Labs、Wilmington、MA)において行なった。アプタマーを、10mg/mL(オリゴ重量)での注射用に標準的な生理食塩水にて製剤化し、予め滅菌した投与バイアル内に無菌的条件下で滅菌濾過(0.2μm)した。ラットでの研究に使用した投与経路は、10mg/kgの用量での尾静脈を介する静脈内ボーラスであった。試験集団(arm)は1群あたり3匹の動物で構成し、該動物から、投与前および48時間にわたる経過において指定の時点で逐次的採血を行なった。研究計画の概略を図34に示す。血液試料を、外科的に埋入した頚静脈カテーテルから採取し、EDTAコートチューブに直接移し、反転させることによって混合し、血漿の加工処理まで氷上に置いた。
血漿を、血液/EDTAチューブの5000rpmで5分間の遠心分離によって回収し、上清み(血漿)を予備標識した新たなチューブに移した。血漿試料を、解析時点まで−80℃で保存した。ARC187に関する血漿試料の解析は、市販の蛍光核酸検出試薬OligreenTM(Molecular Probes、Eugene、OR)を入れたアッセイウェルへの血漿アリコートの直接添加を用いる均一系アッセイ形式を用いて行なった。光から保護して室温で短時間のインキュベーション期間(5分)後、アッセイプレートの読み取りを、蛍光プレートリーダー(SpectraMax Gemini XS、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)によって行なった。各ウェルからの蛍光シグナルはウェル内のアプタマーの濃度に比例し、試料濃度を、蛍光−濃度標準曲線からの蛍光値(二連または三連の曲線の平均値)の内挿によって計算した。平均血漿濃度は、各時点で各群の3匹の動物から得た。血漿濃度対時間データを、業界標準の薬物動態モデル設計Software WinNonLinTMバージョン4.0(Pharsight Corp.、Mountain View、CA)を用いたノンコンパートメント解析(NCA)に供した。以下の主な薬物動態パラメータ:最大血漿濃度、C最大;濃度時間曲線下面積、AUC;最終半減期、t1/2;末端クリアランス、Cl;および定常状態の分布容積、Vssについて推定値を得た。
平均血漿濃度対時間データを図35に示し、図36にプロットする。濃度対時間データを、WinNonLinTMバージョン4.0を用いたノンコンパートメント解析(NCA)に供した。この解析によって、図37に示す値が得られた。
予測されたとおり、40kDaアプタマーARC187(配列番号5)は、最長の半減期を有し、20kDaアプタマーARC657(配列番号61)は最短であった。既知血漿容量(約40mL/kg)に対する観察されたVssは、血管外空間におけるタンパク質および/または組織マトリックスへのARC187(配列番号5)中程度の結合/封鎖を示した。5倍モル過剰のアプタマーの維持の必要性を仮定すると、この研究の結果によって、ARC187(配列番号5)は、所望の血漿レベルを維持するのに必要とされるアプタマーの投与頻度および総量に関して有意な利点を提供することが示された。
同様の組成のアプタマーを用いた齧歯類および霊長類における以前の研究(データ示さず)では、30mg/kgまでの用量において用量比例性/線形性が示されたため、この投与レベルが非線形薬物動態挙動をもたらすことは予測されない。
実施例5C:静脈内投与後のマウスにおけるにおけるARC187およびARC1905の薬物動態
ARC187(配列番号5)と異なる40kDaの分枝鎖PEGにコンジュゲートさせたARC186(配列番号4)オリゴヌクレオチド主鎖の薬物動態プロフィールを評価するため、薬物動態試験を、雌CD−1マウス(Charles River Labs、Wilmington、MAから入手)において行なった。アプタマーを、2.5mg/mL(オリゴ重量)での注射用に標準的な生理食塩水にて製剤化し、予め滅菌した投与バイアル内に無菌的条件下で滅菌濾過(0.2μm)した。マウスでの研究に使用した投与経路は、10mg/kgの用量での尾静脈を介する静脈内ボーラスであった。試験集団は1群あたり3匹の動物で構成し、該動物から、投与前(すなわち、非投与対照群)および72時間にわたる経過において指定の時点で末端採血を行なった。研究計画の概略を図38Aに示す。
血液試料を末端心臓穿刺によって採取し、EDTAコートチューブに直接移し、反転させることによって混合し、血漿の加工処理まで氷上に置いた。血漿を、血液/EDTAチューブの5000rpmで5分間の遠心分離によって回収し、上清み(血漿)を予備標識した新たなチューブに移した。血漿試料を、解析時点まで−80℃で保存した。ARC187および1905に関する血漿試料の解析は、市販の蛍光核酸検出試薬OligreenTM(Molecular Probes、Eugene、OR)を入れたアッセイウェルへの血漿アリコートの直接添加を用いる均一系アッセイ形式を用いて行なった。光から保護して室温で短時間のインキュベーション期間(5分)後、アッセイプレートの読み取りを、蛍光プレートリーダー(SpectraMax Gemini XS、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)によって行なった。各ウェルからの蛍光シグナルはウェル内のアプタマーの濃度に比例し、試料濃度を、蛍光−濃度標準曲線からの蛍光値(二連または三連の曲線の平均値)の内挿によって計算した。平均血漿濃度は、各時点で各群の3匹の動物から得た。血漿濃度対時間データを、業界標準の薬物動態モデル設計ソフトウエアWinNonLinTMバージョン4.0(Pharsight Corp.、Mountain View、CA)を用いたノンコンパートメント解析(NCA)に供した。以下の主な薬物動態パラメータ:最大血漿濃度、C最大;濃度時間曲線下面積、AUC;最終半減期、t1/2;末端クリアランス、Cl;および定常状態の分布容積、Vssについて推定値を得た。平均血漿濃度対時間データを図38Bにプロットする。
濃度対時間データを、WinNonLinTMバージョン4.0を用いたノンコンパートメント解析(NCA)に供した。この解析によって、図38Cに示す値が得られた。予測されたとおり、両社の40kDa PEGは、マウスにおいて同等の薬物動態を示した。
すぐ上に記載したOligreen解析に用いたARC187および1905の同じ血漿試料を、有効高速液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイをUV検出とともに用いて解析した。
ARC187およびARC1905の平均血漿濃度値を、Microsoft Excel 2003を用いて計算した。血漿濃度値が、投与前(時間0)において生体解析アッセイのLLOQ未満であった場合、0の値を割り当てた。投与後に得た試料のLLOQ未満の値は、平均血漿濃度の計算から除外した。平均血漿濃度データを、WinNonlin、バージョン5.1(Pharsight Corporation、Mountainview、CA)を用いたモデル非依存性PK解析において使用した。血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0〜最後)を、線状台形公式を用いて推定した。計算では、投与前試料以外は、以外、アッセイのLLOQ未満の値はいずれもPKパラメータ推定値の計算から除外した。見かけ上の最終半減期を、式 t1/2=0.693/λz(式中、λzは濃度対時間曲線の終端の傾きの回帰から推定した消失速度定数である)を用いて計算した。終末期のピーク濃度後の後の少なくとも3つの血漿濃度値を用いてλzを決定し、決定係数(r2)は≧0.85であることが必要であった。
全般的に、HPLC解析により、すぐ上に記載のOligreen解析は、ARC1905およびARC187が、平均C最大、AUC0〜最後およびAUC0〜∞パラメータ推定値の比較に基づいて生物学的に等価であることがわかったことを示すことが確認される。ARC187に対するARC1905のAUC0〜最後およびAUC0〜∞の値における差(HPLCによって測定)は、充分、生物学的等価性の許容基準の±20%以内であった。
実施例5D:静脈内ボーラス投与後のマウスにおけるC5インヒビターARC657、ARC658およびARC187の組織取り込み研究
雌CD−1マウスをCharles River Labs(Wilmington、MA)から入手した。注射用のARC657(配列番号61)、ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5)の製剤は、生理食塩水中5mg/mlとした。投与製剤を、無菌的条件下で予め滅菌した投与バイアル内に滅菌濾過(0.2μm)し、動物に、静脈内ボーラスで尾静脈を介して25mg/kgの用量で与えた。研究は、4つの時間点t=投与前、3、6、12時間の各々について3匹の動物の群で構成した。放血後、各動物の血管系を生理食塩水で充分に(V約30mL)フラッシュ洗浄した。血管系内に残留する血液(あれば)を除去した。組織(心臓、肝臓、腎臓)を回収し、重量測定し、次いで、標準的な生理食塩水中50%w/vでホモジナイズし、解析時点までまで−80℃で保存した。
ARC657(配列番号61)、ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5)に関する組織の解析を、ハイブリダイゼーション系ELISA型アッセイを用いて行なった。このアッセイでは、ビオチン化捕捉プローブを、96ウェルマイクロプレートのウェル内に、結合溶液濃度125Nmで3時間予備固定化した。プレートウェルを1×PBSで5回洗浄した。次いで、プレートを、150μl/ウェルの1×SuperBlock含有TBS(Pierce Chemical、Rockford、IL)でブロックした。プレートを再度洗浄し、被覆し、使用まで4℃で保存した。別のチューブ内で、試料(1種類または複数種)を、FAM標識(5’−フルオレセイン)試料検出プローブを200nMで含有するバッファー中、90℃で10分間アニーリングさせ、次いで、氷上でクエンチした。また、血漿/組織の濃度標準および対照試料も試料検出プローブ溶液をプレアニーリングさせ、次いで、固定化ビオチン捕捉プローブを入れたアッセイプレートウェル内にピペッティングし、45℃で2.5時間アニーリングさせた。次いで、プレートを再度洗浄し、1μg/mLのホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート抗フルオレセインモノクローナル抗体(抗FITC MAb−HRP、Molecular Probes、Eugene、OR)を1×PBS中に含む1×PBSを含有する溶液を100μl/ウェルで充填し、およそ1時間インキュベートした。プレートを上記のようにして再度洗浄した。次いで、アッセイプレートェルに蛍光発生HRP基質(QuantaBlu、Pierce Chemical、Rockford、IL)を含有する溶液100μlを充填し、光から保護して20〜30分インキュベートした。45分間のインキュベーション後、100μl/ウェルの停止溶液を添加して蛍光沈殿生成反応をクエンチした。プレート読み取りを、直ちに、蛍光マイクロプレートリーダー(SpectraMax Gemini XS,Molecular Devices、Sunnyvale、CA)において、325nmでの蛍光励起および420nmでの発光検出にて行なった。各ウェルの読み取りは10回行なった。3種類のすべてのアプタマーが、心臓組織内で3つの時点で検出可能であった(図39)。
実施例5E:静脈内投与後のマカク属サルにおけるC5インヒビターARC657、ARC658およびARC187の薬物動態および薬力学 研究1
注射用のARC657(配列番号61)、ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5)の製剤は、標準的な生理食塩水中10mg/mLとし、投与製剤を、無菌的条件下で予め滅菌した投与バイアル内に滅菌濾過(0.2μm)した。マカク属サルでの研究に使用した投与経路は、30mg/kg(およそ50倍モル過剰)の用量での外科的に埋入した大腿静脈カテーテルを介した静脈内ボーラスであった。研究計画の概略を図40に示す。血液試料は、大腿静脈カテーテルから採取し、クエン酸ナトリウムコートチューブに直接移し、反転させることによって混合し、遠心分離して血漿(3000rpmで5分間)を分離するまで氷上に置いた。次いで、血漿を250μlのアリコートに分け、これを−80℃で保存し、各試料のアリコートの1つをアプタマー濃度について、上記のラットPKのセクションで前述した蛍光系OligreenTMアッセイを用いて評価した。
主な血漿濃度対時間データを、表形式で図41に示す。予測されたとおり、40kDa PEGアプタマーARC187(配列番号5)は血漿中に最長時間、残存したが、20kDa PEGアプタマーARC657(配列番号61)は、最短量の時間、残存した。図41に示すデータの詳しい検討により、このデータは、2コンパートメントモデルによって最良にフィットされたものであり得ることが示された。したがって、図42に報告した薬物動態パラメータ推定値は、該2コンパートメントモデルから業界標準の薬物動態モデル設計ソフトウエアWinNonLinTMバージョン4.0(Pharsight Corp.、Mountain View、CA)を用いて誘導した。
図42に示されるように、すべてのアプタマーは、23〜30μMの間の同様のC最大値を有し、これは、アプタマー用量(30mg/kg)が、C5濃度に対して50倍モル過剰の血漿アプタマー(50倍モル過剰、約25μM)を達成するのに充分であったことを示す。ARC657(20kDa PEG)(配列番号61)およびARC658(30kDa PEG)(配列番号62)は分子量が10,000異なるが、同様の曝露(AUC)、t1/2(α)およびt1/2(β)値を有した。対照的に、ARC187(配列番号5)は、その他の分子よりも有意に高い曝露(AUC)値、長いt1/2(α)および若干長いt1/2(β)を有した。
続いて、薬物動態研究中に採取した血漿試料のさらなるアリコートを試験管内で解析し、霊長類C5ブロックの有効性を調べた。ザイモサン活性化アッセイを上記のようにして行ない、それぞれ生成した霊長類C5b−9およびC5aの量を調べた。データを、いくつかの異なる形式、例えば、C5b−9濃度対試料時間(図43a)、C5b−9 濃度対アプタマー濃度(図43b)、C5a濃度対試料時間(図43c)、およびC5a濃度対アプタマー濃度(図43d)でプロットした。
40kDa PEGアプタマーARC187(配列番号5)は、霊長類C5切断(C5b−9およびC5a濃度)を最長時間阻害した(図43aおよび図43c)。C5b−9およびC5aのデータをアプタマー濃度に対してプロットすると、C5ブロッキングアプタマーの濃度は、C5切断が完全に阻害されるためには、PEG分子の大きさとは無関係に30倍モル過剰を超えなければならないことが示された(図43bおよび図43d)。
要約すると、マカク属サルPK/PD研究によるデータは、(a)予測されたとおり、PEG基の大きさとは無関係に、マカク属サルにおいて生体内でC5切断を阻害するためには、少なくとも30倍モル過剰のアプタマー(約15μM血漿アプタマー濃度)が必要であったこと、(b)C5ブロッキングアプタマーは、この種において顕在的毒性を引き起こさなかったこと、および(c)動物に比較的高レベル(50倍モル過剰)で投与した場合、血漿アプタマーレベルは、試料採取の期間中、充分、適切なアッセイ範囲内であり、薬物動態パラメータの計算が可能であったことを示す。
実施例5F:静脈内投与後のマカク属サルにおけるC5インヒビターARC658およびARC187の薬物動態および薬力学−研究2
研究2は、以下のことを除き、上記の研究1と同様の計画であった。a)2種類の化合物だけ評価した(ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5);b)動物の数を1群あたり4匹に増やした;およびc)1分間血漿試料を除き、代わりに144時間試料を用いて最終半減期計算がより多くのデータ点に基づくことを確実にした。製剤およびこれらの2種類のアプタマーの投与、血液試料採取ならびに血漿単離手法は、研究1で上記の方法と同一とした。研究2の計画を図44にまとめる。
研究2の終了後、血漿アリコートを研究1に記載のようにして解析し、a)静脈内投与後、種々の時点での血漿中のアプタマーの濃度、およびb)C5ブロック有効性を測定した。
血漿アプタマー濃度を時間の関数としてプロットし(図45)、ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5)の主なデータを表形式で、それぞれ図39および40に示す。40kDa PEGアプタマーARC187(配列番号5)は血漿中に最長時間、残存した。図45の詳しい検討により、このデータは、2コンパートメントモデルによって最良にフィットされたものであり得ることが示された。したがって、図46に報告した薬物動態パラメータ推定値は、該2コンパートメントモデルからWinNonLinTMバージョン4.0(Pharsight Corp.、Mountain View,CA)を用いて誘導した。
上記のPK/PD研究1および研究2において得られた薬物動態パラメータを比較すると、ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5)のデータは、ARC187のt1/2(α)測定値を除き、同様であった。なんら理論に拘束されることを望まないが、2つの研究間でのARC187のt1/2(α)測定値における不一致は、おそらく、予備研究でのサンプルサイズが小さいことによるのものである。
図46に示されるように、C最大の値は、ARC658(配列番号62)およびARC187(配列番号5)で同様であった。対照的に、薬物曝露(AUC)は、ARC187(配列番号5)で治療した動物において有意に大きかった。また、ARC187は、ARC658(配列番号62)と比べて長いt1/2(α)およびt1/2(β)値を有した。これらのデータを、PK/PD研究1において得られたデータと合わせると、C5ブロッキングアプタマーARC187は、所与の用量で最も有効な生体内C5ブロックをもたらし得ることが示される。
続いて、薬物動態研究において採取した血漿試料のさらなるアリコートを試験管内解析し、霊長類C5ブロックの有効性を測定した。前述と同様、ザイモサン活性化アッセイを行ない、それぞれ生成した霊長類C5b−9およびC5aの量を測定した。データを、C5b−9濃度対アプタマー濃度(図47)およびC5a濃度対アプタマー濃度(図48)としてプロットした。PK/PD研究1において先に示されたように、C5ブロッキングアプタマーの濃度は、霊長類C5切断が完全に阻害されるためには、PEG分子の大きさとは無関係に30倍モル過剰(血漿C5濃度に対するアプタマー)またはおよそ15μMを超えなければならない(図41および図42)。
図39および40表のデータを詳しく検討することにより、30mg/kgのI.V.ボーラス後、ARC658(配列番号62)は15μMより上でおよそ4時間維持されているが、ARC187は、15μMより上でおよそ8時間維持されていることは明白である。したがって、類似した用量の薬物を与えると、40KアプタマーARC187は、30KアプタマーARC658(配列番号62)のおよそ2倍長い時間、臨床的有効性をもたらす。
要約すると、マカク属サルは、生体内でC5変換をブロックするためには、血漿C5に対して少なくとも30倍モル過剰のアプタマーで治療しなければならない。これらのデータは、C5結合アプタマーは、ヒトC5よりも霊長類C5に対して低い親和性を有することが示された先の試験管内(溶血)およびエキソビボ(単離された灌流マウス心臓)研究と整合する。C5ブロッキングアプタマーは、C5濃度に対してアプタマーがおよそ50倍モル過剰と同等である30mg/kgまでの用量での静脈内ボーラスとして安全に送達され得ることが示された。
実施例5G:ボーラスIV投与後のマカク属サルにおけるARC1905
C5インヒビターARC1905の薬力学を、静脈内投与後のマカク属サルにおいて評価した。注射用のARC1905の製剤は、標準的な生理食塩水中7.5mg/mLとし、投与製剤を、無菌的条件下で予め滅菌した投与バイアル内に滅菌濾過(0.2μm)した。カニクイザル(n=4)に、0(生理食塩水対照)または30mg/kgを静脈内ボーラス投与によって投薬した。血液試料は、末梢静脈または動脈アクセスポートから採取し、血液試料(0.5mL)を2カリウム(K2)EDTAチューブ内に移し、溶氷(wet ice)上に置き、およそ4℃で収集してから30分以内に遠心分離した。
血漿試料を試験管内で解析し、霊長類C5ブロックにおけるARC1905の有効性を測定した。実施例1CにおいてARC1905に関して前述したザイモサンアッセイを用い、生成した霊長類C5aの量を測定した。投与の0.5時間後および2時間後でのザイモサン後のC5a値の低下は、およそ同じ濃度および同じ投与経路投与された場合、ARC1905が、マカク属サルにおいてARC187と同様の様式で、C5切断を生体内で阻害することを示す(ザイモサン活性化アッセイを用いて試験管内で測定したとき)。
実施例5H:ボーラスIV投与および注入後のマカク属サルにおけるC5インヒビターARC187の薬物動態および薬力学
また、ARC187(配列番号5)の薬物動態(PK)および薬力学的(PD)プロフィールを、静脈内負荷ボーラスの直後に静脈内注入を開始した後のマカク属サルにおいて評価した。この研究計画を図49に示す。
1uMの標的定常状態血漿濃度を達成するのに必要な負荷ボーラス投与および注入の速度を、図50に示すIVボーラス単独研究から誘導した薬物動態パラメータを用いて計算した。
合計3匹のマカク属サルに、IVボーラスのARC187を1mg/kgで投与した直後、0.0013mg/kg/分の速度で48時間のIV注入を開始した。全血試料を、治療の0〜192時間後に採取し、溶氷上に保存し、血漿について加工処理し、次いで−80Cで凍結保存した。血漿試料中のARC187の濃度を、蛍光核酸染色アッセイ(実施例5Bに記載)およびGLP確認(validated)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイの両方を用いて測定した。サル血漿中のARC187の測定のためのHPLCアッセイ法は、ClinTrials Bio−Research(Montreal、Canada)によって確認した。確認研究は、米食品医薬品局(FDA)医薬品安全性試験実施基準(GLP)の規定(21CFR§58)に準拠した。HPLCアッセイ法は、選択性、線形性、定量下限(LLOQ)、キャリーオーバー、アッセイ内の精密さおよび精度、アッセイ間の精密さおよび精度、ストック溶液安定性、注射媒体安定性、短期マトリックス安定性、凍結解凍安定性、長期マトリックス安定性ならびに希釈完全性に関して確認した。アッセイの使用可能な線状動的濃度範囲は、0.080〜50.0μMであると決定された。
このような条件下で測定されたARC187のPKプロフィールは、IVボーラスPKパラメータのみを用いて得られた計算値プロフィールと充分適合した(図51参照)。1uMの目標血漿濃度は投与後<5分で確立され、全注入持続時間中、維持された。注入停止後、アプタマーは約40〜60時間の最終クリアランス半減期t1/2(β)を示した。
マカク属サルにおけるARC187(配列番号5)の薬力学的活性を、前述のザイモサン活性化アッセイでのPK研究において採取した血漿試料を用いることによりエキソビボで評価したが、カニクイザル試料血漿を10%ヒト血漿中に10倍希釈し、次いで、5mg/mLのザイモサンで処理するという変更を伴った。C5活性化(C5a切断生成物の出現によって反映される)を、ヒトC5aに特異的なELISA(C5a ELISA kit、BD Biosciences、San Diego、CA)によって測定した。次いで、各試料中の活性なARC187の濃度を、既知ARC187レベルで調製した試料を用い、ザイモサンアッセイから誘導した標準曲線との比較によって定量した(図52参照)。この研究は、ARC187がその抗補体活性を、注入の持続時間中および注入後、上記の薬物動態プロフィールと実質的に整合するレベルで維持することを示す。
実施例5I:ヒト投与での必要量の予測
CABG術と関連する合併症の予防、改善または治療のためのヒト投与での必要量は、以下の仮定に基づく。第1に、CABG患者には、手術開始前に抗C5アプタマーの単回静脈内ボーラス投与で投与した後に連続注入を行ない、1.5μMの定常状態血漿濃度を、CABG術後24〜48時間確立および維持する。ボーラス投与および注入速度の推定値は、マカク属サルにおける前述のIVボーラス単独およびボーラス+注入研究から誘導された薬物動態パラメータを用いた計算値に基づく。ボーラス投与ARC187の推定値は1mg/kgであり、随伴する注入速度は0.0013mg/kg/分である。このボーラス+48時間注入レジメンでは、予測される薬物の全必要量は、ARC187で0.4gであり、ここで質量は、オリゴヌクレオチドの重量のみを示す(図53の表の第7欄を参照)。図53に示す表の第2欄は、ARC187のオリゴヌクレオチド部分にコンジュゲートされたPEG基の重量を示し、第3欄は、ARC187のオリゴヌクレオチド部分の分子量を示し(ARC186(配列番号4)をそのオリゴヌクレオチド配列として含む本明細書のすべてのアプタマーについても同じである)、第4欄は、上記の実施例3Cに記載のようなアミン反応性化学基を介してARC186(配列番号4)にコンジュゲートされた40kDA PEGの分子量を示し、第5欄は、2コンパートメントモデルにおけるARC187のα段階の半減期を示し、第6欄は、2コンパートメントモデルにおけるARC187のβ段階の半減期を示す。
(実施例6)
抗C5アプタマーおよびヘパリン/プロタミン相互作用
抗C5アプタマーの予測される適用の一例は、冠動脈バイパス移植(CABG)術に伴う炎症性副作用予防または軽減のための予防薬である。CABG中、血栓症を予防するため、およびバイパスポンプの構成要素内の開通性を維持するために、典型的には、高濃度の抗凝固剤ヘパリン(3〜5単位/mLまたは1〜2μM)が投与される。治療後、ヘパリンの効果の逆転および通常の止血の回復が、同様に高濃度のプロタミン(約5μM)の投与によって達成される。患者に対し、これらの薬物のいずれかの有効性が妨害される潜在的な危険性を考慮すると、抗C5アプタマーは、(1)いずれかの薬物の活性を改変しない、または(2)患者の抗凝固治療を複雑にし得る止血に対する内因性効果を示さないことが必要であった。
ヘパリンは、正味負の電荷を有し、およそ15kDaの平均分子量を有する硫酸化多糖であり、凝固カスケード内のいくつかのプロテアーゼに対し、アンチトロンビンとの相互作用を促進することにより阻害効果を奏する。プロタミンは、高度に正の電荷を有するポリペプチドであり、少なくとも一部静電気的性である充分特性評価されていない相互作用によってヘパリン活性をブロックすることができる。ARC187(配列番号5)の機能中心は、ヘパリンと同様、高度にアニオン性である。したがって、ARC187はヘパリン結合部位またはプロタミンに非特異的に結合し、これらの分子の活性を妨害し得ることが考えられ得る。以下の研究により、ARC187の内因性(すなわち、ヘパリン様)抗凝固特性、ヘパリン機能に対するARC187の効果、プロタミンによるヘパリン中和に対するARC187の効果、およびARC187の補体阻害特性に対するプロタミンの効果を検討した。
実施例6A:凝固に対するARC187の試験管内効果
血漿凝固能力に対するARC187(配列番号5)の内因性効果を、それぞれ、凝固カスケードの外因性および内因性集団、プロトロンビン時間(PT)ならびに活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の標準的な臨床試験を用いて検討した。図54に示されるように、充分過剰の推定用量(20μMまで)の濃度でのクエン酸塩添加ヒト血漿の滴定により、PTにおいて変化はもたらされず、aPTTが若干上昇したにすぎなかった。
ヘパリンおよびプロタミンの機能に対するARC187の試験管内効果を評価するため、3例の固体由来の血液を、CABG術で用いられるヘパリンレベルと関連する用量である4〜5単位/mLのヘパリン中に採取した。これらの試料の凝固能力を、手術中のヘパリン活性をモニターするために常套的に使用される全血凝固試験である活性凝固時間(ACT)を用いて評価した。他の添加剤の非存在下におけるこれらのヘパリン濃度では、ACTが、約150秒間のベースライン値から4U/mLのヘパリンの存在下で約500秒間に、または5U/mLのヘパリンの存在下で約800秒間に有意に延長された。これらの試料への10μM ARC187の添加は凝固時間に対してほとんど効果がなく、これは、ARC187が、ヘパリンの抗凝固剤活性を妨害しないことを示す。
ヘパリン抗凝固効果は、6〜8μMまで(4U/mLヘパリン)または12μM(5U/mLヘパリン)のプロタミンでの滴定によって容易に中和された。ヘパリンおよび中和濃度のプロタミンの存在下でのACT値は、本質的にベースラインと識別不可能であった。ARC187の核酸コア(12kDa)はプロタミン(5kDa)より大きい分子量であるため、プロタミンへの等モル濃度のARC187は、プロタミンの中和活性を完全に逆転させるのに充分であり得ることが予測され得る。しかしながら、ほぼ同等濃度のARC187とのプロタミンのプレインキュベーションは、ACTに対してほとんど効果がなかった。中和濃度のプロタミンを含有する血液試料は、10μMのARC187の存在下または非存在下で同様のACT値を示し、これは、ARC187がプロタミンの凝固促進活性に対し、あるとしてもわずかしか効果がないことを示す。これらの結果を図55にまとめる。
実施例6B:凝固に対するARC187の生体内効果
抗C5アプタマーARC187(配列番号5)の同時投与におけるヘパリンをプロタミン間の機能の相互作用を、臨床用量のヘパリンおよび臨床用量/臨床用量以下/臨床用量超過のプロタミンにおいて検討し、臨床血漿濃度以下/臨床血漿濃度超過のARC187の存在が、プロタミンによるヘパリン抗凝固の逆転を妨害するか否かを調べた。この研究の結果を図56にまとめる。簡単には、試験したすべてのヘパリン用量において、ベースラインACT値は、10uM(すなわち、臨床用量の10倍モル過剰)のARC187によって影響されなかった。同様に、ヘパリンによる抗凝固の程度は、10uMのARC187によって影響されなかった。ARC187の非存在下では、プロタミンの最小有効用量は約30%(臨床用量=100%)であった。さらにまた、30%プロタミンによるヘパリン抗凝固の逆転は、臨床用量の10倍モル過剰(すなわち、10uM)のARC187によって影響されなかった。したがって、臨床状況(例えば、CABG)における補体阻害のためのARC187の使用は、典型的な用量でのヘパリンおよびプロタミンとの同時使用によって影響されないはずである。
実施例6C:ARC187抗補体機能に対するヘパリンおよびプロタミンの効果
ARC187(配列番号5)の抗補体活性に対するヘパリンおよびプロタミンの効果を、実施例1に記載のようにしてザイモサンにより活性化したクエン酸塩添加全血試料において検討した。ザイモサン活性化の直前、ARC187を4つ:1)処理なり(ヘパリンまたはプロタミンなし);2)4U/mLヘパリン;3)6μMプロタミン;4)4U/mLヘパリン+6μMプロタミンの条件下で処理したクエン酸塩添加血液試料中に滴定した。ザイモサンでの活性化後、C5活性化を血漿中のsC5b−9のELISA測定によって定量した(C5b−9 ELISA kit、Quidel、San Diego、CA)。各条件について、C5活性化の阻害割合対ARC187濃度として示した結果は、誤差内で識別不可能であった(図57参照)。すべての場合で、完全な阻害が1〜2μMのARC187により達成された。したがって、ヘパリンおよびプロタミンは別々または組合せで、そのCABG術における使用に関連性のある濃度において、ARC187の抗補体活性に影響を及ぼさないようである。
(実施例7)
脈絡膜新生血管形成
レーザー誘導型脈絡膜新生血管形成は、多くの場合、加齢性黄斑変性のモデルとして使用される。また、これは、糖尿病性網膜症のモデルとしても使用され得る。脈絡膜新生血管形成の予防ならびに安定化および/または退行に対する抗C5剤(これは、本発明の好ましい実施形態では、本明細書に記載の抗補体アプタマーである)の投与の効果を、このモデルにおいて、後述およびKrzystolik,M.G.ら、Arch Opthalmol.、第120巻、pp338−346(2002)に記載のようにして評価する。
脈絡膜新生血管形成の予防を評価する場合、カニクイザル補体タンパク質C5に結合し、その機能を阻害する抗C5剤、特にC5特異的アプタマーを、各マカク属サルの一方の目に硝子体内注射し、一方、対照の目にはビヒクルを与える。アプタマー注射の数日から数週間後、レーザー光凝固術を、各カニクイザルの両方の目において行なう。各動物の両目を眼科検査、カラー写真撮影およびフルオレセイン血管造影によってモニターする。脈絡膜新生血管形成の発生(血管造影により評価)が、抗C5剤、特にC5特異的アプタマーで治療した目において対照の目よりも有意に少ない場合、特異的抗C5剤は有効であるとみなされる。脈絡膜新生血管形成の予防を抗C5剤と抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組合せでの治療について評価する場合、各動物の一方の目を、抗C5剤ならびに抗VEGF剤および/または抗PDGF剤でレーザー光凝固術の数日から数週間前に処置すること以外は上記の手順に従う。
別の実施形態において、脈絡膜新生血管形成の予防を評価する場合、抗補体アプタマー、特に、カニクイザル補体タンパク質(C5またはC3など)の機能を阻害するアプタマーを、各マカク属サルの一方の目に硝子体内注射し、一方、対照の目にはビヒクルを与える。アプタマー注射の数日から数週間後、レーザー光凝固術を、各マカク属サルの両方の目において行なう。各動物の両目を眼科検査、カラー写真撮影およびフルオレセイン血管造影によってモニターする。脈絡膜新生血管形成の発生(血管造影により評価)が、抗補体アプタマーで治療した目において対照の目よりも有意に少ない場合、抗補体アプタマーは有効であるとみなされる。脈絡膜新生血管形成の予防を抗補体アプタマーと抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組合せでの治療について評価する場合、各動物の一方の目を、抗補体アプタマーと抗VEGF剤および/または抗PDGF剤でレーザー光凝固術の数日から数週間前に処置すること以外は上記の手順に従う。
脈絡膜新生血管形成の安定化および/または退行を評価する場合、レーザー光凝固術を、各マカク属サルの両方の目において行なう。レーザー光凝固術の数日から数週間後、本発明の抗C5剤を硝子体内注射によって各動物の一方の目に投与し、一方、他方の目にはビヒクルを与える。一実施形態において、この抗C5剤は抗補体アプタマーである。好ましい一実施形態において、前記抗補体アプタマーは、C5および/またはC3阻害性アプタマーである。各動物の両目を眼科検査、カラー写真撮影およびフルオレセイン血管造影によってモニターする。脈絡膜新生血管形成の発生(血管造影により評価)が、抗C5剤で治療、特にC5アプタマーで治療した目において、対照の目と同じおよび/または有意に少ない場合、アプタマーは、それぞれ安定化および/または退行に有効であるとみなされる。脈絡膜新生血管形成の安定化および/または退行を、抗C5剤と抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組合せでの治療について評価する場合、各動物の一方の目を、抗C5剤ならびに抗VEGF剤および/または抗PDGF剤でレーザー光凝固術の数日から数週間後に処置すること以外は上記の手順に従う。
すぐ上に記載のマカク属サルでの評価と同様、脈絡膜新生血管形成の予防、安定化および/または退行における単独または抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組み合わせでの抗C5剤および抗補体アプタマーの有効性は、マウスまたは他の種において、マウスC5補体タンパク質または他の種のC5補体タンパク質をモジュレートする抗C5剤を用いて評価され得る。別の実施形態において、すぐ上に記載のマカク属サルでの評価と同様、脈絡膜新生血管形成の予防、安定化および/または退行における単独または抗VEGF剤および/または抗PDGF剤との組み合わせでの抗補体アプタマーの有効性は、マウスまたは他の種において、対象のマウス補体タンパク質または対象の他の種の補体タンパク質をモジュレートする、特に阻害する抗補体アプタマーを用いて評価され得る。例えば、Boraら、Journal of Immunolgy、174:491−497(2005)を参照のこと。
(実施例8)
非滲出性AMDの網膜変性マウスモデル
単球化学誘引タンパク質1(MCP−1もしくはCcl−2)またはそのコグネイトC−Cケモカインレセプター2(Ccr−2)のいずれかに変異を有するマウスモデルは、ヒト加齢性黄斑変性の症状、例えば、ドルーゼンの発生、光レセプター萎縮および脈絡膜新生血管形成を模倣する。Ambatiら、Nature Medicine.2003年1月;9(11):1390−7を参照のこと。このマウスモデルは、網膜の色素上皮および脈絡膜内にC5の有意な蓄積を示し、これは、補体が疾患に随伴して発現されていることを示す。さらに、CD46(補体の膜結合型調節因子)、ビトロネクチン(MACの調節因子)およびC3c(C3bの分解生成物)が、網膜の色素上皮および/または脈絡膜に存在し、これは、補体活性化が起こっていることを示す。
網膜変性の安定化および/または退行を評価する場合、本発明の抗補体アプタマー、例えば、マウスC5またはC3阻害性アプタマーを硝子体内注射によって各動物の一方の目に投与し、一方、他方の目にはビヒクルを与える。各動物の両目を、網膜変性、例えば、RPE/脈絡膜内の補体産物の蓄積、RPEおよび/または光レセプターの異常な電気生理学反応および/または限局性萎縮の発生、ならびに脈絡膜新生血管形成の発生についてモニターする。網膜変性の発生が、抗補体アプタマーで治療、特に、抗C5または抗C3アプタマーで治療した目において、対照の目と同じおよび/または有意に少ない場合、アプタマーは、それぞれ安定化および/または退行に有効であるとみなされる。
ここに、本発明を書面による記述および実施例によって説明したが、当業者には、本発明がさまざまな実施形態において実施され得ること、および上記の記載および実施例は、例示の目的のためであって、以下の特許請求の範囲の限定のためでないことが認識されよう。