(発明の詳細な説明)
本発明は本明細書において例えばFGF19の発現および/または活性、例えば増大した発現および/または活性ならびに望ましくない発現および/または活性に関連する病状の治療または防止のために有用な抗FGF19抗体を提供する。一部の実施形態においては、本発明の抗体は腫瘍、癌および/または細胞増殖性疾患を治療するために使用される。
別の態様において、本発明の抗FGF19抗体は種々の組織および細胞の型におけるFGF19の検出などの、FGF19の検出および/または単離のための試薬として有用性を有する。
本発明は更に、抗FGF19抗体、抗FGF19抗体をコードするポリヌクレオチド、および、抗FGF19抗体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞を作成する方法を提供する。
別の態様において、本発明はFGF19および/またはFGFR4の検出を含む方法を提供する。
全般的手法
本明細書に記載または参照した手法および操作法は一般的に、当業者により、十分理解されており、そして従来の方法論、例えばSambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual3rd.edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubel等編(2003));シリーズMETHODS IN ENZYMOLOGY(Academic Press,Inc.):PCR2:A PRACTICAL APPROACH(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor編(1995)),Harlow and Lane編(1988)ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,およびANIMAL CELL CULTURE(R.I.Freshney編(1987))に記載の方法論を用いて共通して使用されている。
定義
「単離された」抗体とは、その天然の環境の成分から識別され、そして分離および/または回収されたものである。その天然の環境の夾雑物成分は抗体の診断または治療上の使用に干渉する可能性があり、そして、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質を包含する。好ましい実施形態においては抗体の精製は(1)Lowry法で測定した場合に抗体95重量%超、最も好ましくは99重量%超まで、(2)スピニングカップシーケンサーの使用によりN末端または内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いた還元または非還元条件下のSDS−PAGEで均質となるまで行う。単離された抗体は、抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分も存在しなくなるため、組み換え細胞内のインサイチュの抗体を包含する。しかしながら通常は、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程により製造する。
「単離された」核酸分子は自身が通常抗体核酸の天然の原料中で会合している夾雑核酸分子少なくとも1つから識別され、分離されている核酸分子である。単離された核酸分子は自身が天然に存在する形態または周囲状況にはないものである。従って、単離された核酸分子はそれが天然の細胞中に存在する状態の核酸分子からは区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、例えば核酸分子が天然の細胞とは異なる染色体位置にある抗体を通常発現する細胞内に含有される核酸分子を包含する。
「Kabatにおける可変ドメイン残基ナンバリング」または「Kabatにおけるアミノ酸位置ナンバリング」という用語およびその変形例は、Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interst,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)における抗体の編集の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに関して使用されているナンバリングシステムを指す。このナンバリングシステムを用いれば、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短鎖化またはそれの内部への挿入に相当する過少な、または付加的なアミノ酸を含有してよい。例えば、重鎖可変ドメインはH2の残基52の後に単一のアミノ酸インサート(Kabatによれば残基52a)および重鎖FR残基82の後に挿入された残基(Kabatによれば残基82a、82bおよび82c等)を含んでよい。残基のKabatナンバリングは、所定の抗体について、「標準的な」Kabat番号配列を有する抗体の配列の相同性の領域におけるアライメントにより決定してよい。
「実質的に同様」または「実質的に同じ」という用語は、本明細書においては、2つの数値(一般的には、1つは本発明の抗体に関わるものであり、もう1つは参照物/比較物の抗体に関わるもの)の間の差が、その数値(例えばKd値)が尺度となる生物学的態様の観点内で、殆どまたは全く生物学的および/または統計学的に有意でないと当業者が考えるほど十分高い程度の2つの数値間の同様性を指す。このような2つの数値の差は好ましくは、参照物/比較物抗体の数値の関数として、約50%未満、好ましくは約40%未満、好ましくは約30%未満、好ましくは約20%未満、好ましくは約10%未満である。
「結合親和性」とは一般的に分子(例えば抗体)の単一の結合部位とその結合相手(例えば抗原)との間の非共有結合性の相互作用の合計の強度を指す。特段の記載が無い限り本明細書においては、「結合親和性」とは結合対(例えば抗体と抗原)の間の1:1の相互作用を反映している内因性の結合親和性を指す。分子Xのその相手Yに対する親和性は一般的に解離定数(Kd)により表すことができる。親和性は本明細書に記載するものなどの当該分野で知られた一般的な方法により測定できる。低親和性抗体は一般的に緩徐に抗原に結合し、そして容易に解離する傾向にあるのに対し、高親和性抗体は一般的に急速に抗原に結合し、より長時間結合状態で残存する傾向がある。結合親和性を測定する種々の方法が当該分野で知られており、その何れも本発明の目的のために使用できる。特定の例示される実施形態は後に記載する。
1つの実施形態において、本発明における「Kd」または「Kd値」とは、抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する後述の試験により説明される通り、目的の抗体のFab型とその抗原を用いて、未標識の抗原の段階力価物の存在下(125I)標識抗原の最小濃度でFabを平衡化させ、次に、抗Fab抗体コーティングプレートを用いて結合抗原をキャプチャーすることにより測定する(Chen等(1999)J.Mol.Biol.293:865−881)。試験の条件を確立するために、マイクロプレート(Dynex)を50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)中キャプチャー用抗Fab抗体(Cappel Labs)5ug/mlで一夜コーティングし、そしてその後、室温で2〜5時間(約23℃)PBS中2%(w/v)ウシ血清アルブミンでブロッキングした。非吸着プレート(Nunc#269620)中、100pMまたは26pM[125I]−抗原を目的のFabの連続希釈物と混合する(例えばPresta等、(1997)Cancer Res.57:4593−4599の抗VEGF抗体、Fab−12の試験と合致)。次に目的のFabを一夜インキュベートするが、インキュベートは確実に平衡が達成されるようにより長時間(例えば65時間)継続してよい。その後、混合物を室温インキュベーション(例えば1時間)のためにキャプチャープレートに移す。次に溶液を取り出し、プレートをPBS中0.1%Tween−20で8回洗浄する。プレートが乾燥した時点で、シンチラント(MicroScint−20;Packard)150ul/ウェルを添加し、プレートをTopcountガンマカウンター(Packard)で10分間計数する。最大結合の20%以下を与える各Fabの濃度を競合的結合試験で使用するために選択する。別の実施形態によれば、KdまたはKd値は〜10応答単位(RU)において固定化された抗原CM5チップを用いて25℃においてBIAcoreTM−2000またはBIAcoreTM−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いた表面プラズモン共鳴試験により測定する。慨すれば、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore,Inc.)を入手元の取扱説明書に従って塩酸N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を5ug/ml(〜0.2uM)まで10mM酢酸ナトリウム(pH4.8)で希釈した後に5ul/分の流量で注入し、約10応答単位(RU)のカップリングタンパク質を達成する。抗原注入後、1Mエタノールアミンを注入して未反応の基をブロッキングする。動態の測定のために、Fabの2倍連続希釈物(0.78nM〜500nM)を0.05%Tween20含有PBS(PBST)中で25℃、流量約25ug/分で注入する。会合速度(kon)および解離速度(koff)は会合および解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることにより単純な1対1のラングミュア結合モデル(BIAcore Evaluation Softwareバージョン3.2)を用いて計算する。平衡解離定数(Kd)は比koff/konとして計算する。例えばChen,Y.等(1999)J.Mol Biol293:865−881を参照できる。上記した表面プラズモン共鳴試験によるonの速度が106M−1S−1を超過する場合は、on速度は、攪拌赤色キュベットを有するストップフロー装着分光光度計(Aviv Instrument)または8000シリーズSLM−Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計において測定した場合の抗原の漸増濃度の存在下PBS(pH7.2)中20nM抗抗原抗体(Fab型)の25℃における蛍光発光強度の増大または低減を測定する蛍光クエンチングの手法(励起=295nm、発光=340nm、16nmバンドパス)により測定することができる。
本発明による「on速度」または「会合の速度」または「会合速度」または「kon」はまた〜10応答単位(RU)において固定化された抗原CM5チップを用いて25℃においてBIAcoreTM−2000またはBIAcoreTM−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いた上記表面プラズモン共鳴試験により測定する。慨すれば、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore,Inc.)を入手元の取扱説明書に従って塩酸N−エチル−N‘−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を5ug/ml(〜0.2uM)まで10mM酢酸ナトリウム(pH4.8)で希釈した後に5ul/分の流量で注入し、約10応答単位(RU)のカップリングタンパク質を達成する。抗原注入後、1Mエタノールアミンを注入して未反応の基をブロッキングする。速度論的測定のために、Fabの2倍連続希釈物(0.78nM〜500nM)を0.05%Tween20含有PBS(PBST)中で25℃流量約25ug/分で注入する。会合速度(kon)および解離速度(koff)は会合および解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることにより単純な1対1のロングミュア結合モデル(BIAcore Evaluation Softwareバージョン3.2)を用いて計算する。平衡解離定数(Kd)は比koff/konとして計算する。例えばChen,Y.等(1999)J.Mol Biol293:865−881を参照できる。しかしながら上記した表面プラズモン共鳴試験によるonの速度が106M−1S−1を超過する場合は、on速度は、攪拌キュベットを有するストップフロー装着分光光度計(Aviv Instrument)または8000シリーズSLM−Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計において測定した場合の抗原の漸増濃度の存在下PBS(pH7.2)中20nM抗抗原抗体(Fab型)の25℃における蛍光発光強度の増大または低減を測定する蛍光クエンチングの手法(励起=295nm、発光=340nm、16nmバンドパス)により測定することができる。
「ベクター」という用語は本明細書においては、自身が連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。1つの型のベクターは「プラスミド」であり、これは更に別のDNAセグメントが連結されていてよい環状の2本鎖DNAループを指す。別の型のベクターはウィルスベクターであり、その場合更に別のDNAセグメントがウィルスゲノム内に連結されていてよい。特定のベクターは自身が導入されている宿主細胞内において自己複製することができる(例えば複製の細菌起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば非エピソーム哺乳類ベクター)は宿主細胞内への導入により宿主細胞のゲノム内に組み込まれることができ、これにより宿主細胞ゲノムとともに複製される。更にまた特定のベクターは自身が作動可能に連結されている遺伝子の発現を指向することができる。このようなベクターは本明細書においては、「組み換え発現ベクター」(または単に「組み換えベクター」)と称する。一般的に、組み換えDNA手法において利用される発現ベクターはプラスミドの形態である場合が多い。本明細書においては、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用されている形態であるため、互換的に使用してよい。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、本明細書においては、任意の長さのヌクレオチドの重合体を指し、DNAおよびRNAを包含する。ヌクレオチドはデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドまたは塩基、および/または、その類縁体、またはDNAまたはRNAポリメラーゼにより、または合成反応により重合体に取り込まれることができる任意の基質であることができる。ポリヌクレオチドは修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびその類縁体を含んでよい。存在する場合は、ヌクレオチド構造に対する修飾は重合体の組み立ての前または後に付与してよい。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されていてよい。ポリヌクレオチドは合成後に更に例えば標識とのコンジュゲーションにより修飾されてよい。他の型の修飾は、例えば天然に存在するヌクレオチド1つ以上の類縁体による「キャップ」置換、ヌクレオチド間修飾、例えば未荷電連結による(例えばメチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カーバメート等)、および、荷電連結(例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)によるもの、懸垂部分を含有するもの、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply−L−リジン等)、インターカレーターを有するもの(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート形成剤を含有するもの(例えば金属、放射活性金属、ホウ素、酸化性金属等)、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結部を有するもの(例えばアルファ芳香族核酸等)、ならびに、未修飾形態のポリヌクレオチドを包含する。更にまた、糖に通常存在するヒドロキシル基の何れかは、例えばホスホネート基、ホスフェート基により置き換えられているか、標準的な保護基により保護されているか、または、別のヌクレオチドへの追加的連結部を作成するために活性化されていてよく、あるいは、固体または半固体の支持体にコンジュゲートされていてよい。5’および3’末端のOHはリン酸化されるか、または、アミンまたは炭素原子1〜20個の有機キャッピング基部分により置換されていることができる。他のヒドロキシルはまた標準的保護基に誘導体化されていてよい。ポリヌクレオチドはまた当該分野で一般的に知られたリボースまたはデオキシリボース糖の類縁体形態、例えば2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環糖類縁体、アルファ−アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環状類縁体および非塩基性類縁体、例えばメチルリボシドを含有してよい。1つ以上のホスホジエステル連結部が別の連結基により置き換えられていてよい。これらの代替的連結基は、例えばホスフェートがP(O)S(チオエート)、P(S)S(ジチオエート)、(O)NR2(アミデート)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(ホルムアセタール)で置き換えられている実施形態を包含し、ここで各RまたはR’は独立して、Hまたは場合によりエーテル(−O−)結合を含有する置換または未置換のアルキル(1〜20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルキルである。ポリヌクレオチド中の全連結部が同一である必要はない。前記はRNAおよびDNAを包含する本明細書に記載する全てのポリヌクレオチドに適用する。
「オリゴヌクレオチド」とは本明細書においては、必然ではないが一般的に約200ヌクレオチド長未満の短鎖の一般的には1本鎖の一般的には合成されたポリヌクレオチドを一般的に指す。「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関して上記したものは等しく、そして完全にオリゴヌクレオチドに適用できる。
「FGF19(互換的に「線維芽細胞成長因子19」とも称する)」という用語は本明細書においては、特段または文脈上で別途記載が無い限り、何れかの未変性または変異体(未変性または合成)のFGF19ポリペプチドを指すものとする。「未変性配列」という用語は特に、天然に存在する切断型、または分泌型(例えば細胞外ドメイン配列)、天然に存在する変異体の型(例えばオルタナティブスプライシング型)および天然に存在する対立遺伝子変異体を包含する。「野生型FGF19」という用語は一般的に天然に存在するFGF19タンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「野生型FGF19配列」という用語は一般的に天然に存在するFGF19中に存在するアミノ酸配列を指す。
「FGFR4」という用語(互換的に「線維芽細胞成長因子受容体4」とも称する)は、本明細書においては、特段または内容上の別様の記載が無い限り、未変性または変異体(未変性または合成に関わらず)のFGFR4ポリペプチドを指す。「未変性配列」という用語は特に、天然に存在する切断された、または分泌された形態(例えば細胞外ドメイン配列)、天然に存在する変異体形態(例えばオルタナティブスプライシング形態)および天然に存在する対立遺伝子変異体を包含する。「野生型FGFR4」という用語は天然に存在するFGFR4タンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「野生型FGFR4配列」という用語は一般的に天然に存在するFGFR4中に存在するアミノ酸配列を指す。
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は最も広範な意味において互換的に使用され、そしてモノクローナル抗体(例えば完全長または未損傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば所望の生物学的活性を示す限りにおいて二重特異性抗体)を包含し、そして特定の抗体フラグメント(本明細書においてより詳述する)も包含してよい。抗体はヒト、ヒト化および/または親和性成熟のものであることができる。
「可変」という用語は可変ドメインの特定の部分が抗体間で配列において広範に異なっている事実を指し、そして各々の特定の抗体のその特定の抗原に対する結合および特異性において使用される。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメイン全体に渡って均一に分布しているわけではない。それは共に軽鎖および重鎖の可変ドメイン内の相補性決定領域(CDR)または超可変領域と称される3セグメント内に濃縮されている。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク(FR)と称される。未変性の重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々、βシート構造を連結し、そして一部の場合にはその部分を形成するループを形成する3CDRにより連結されたβシート配置を概ね採用している4つのFR領域を含む。各鎖のCDRはFR領域により、そして他の鎖に由来するCDRと共に、近接して保持されており、抗体の抗原結合の形成に寄与している(Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)参照)。定常ドメインは抗原への抗体の結合には直接関与していないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞毒性における抗体の関わりを示す。
抗体のパパイン消化は各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」フラグメントと称される2つの同一の抗原結合フラグメントおよび容易に結晶化する自身の能力を反映した名前を有する残余の「Fc」フラグメントを生成する。ペプシン処理は2つの抗原複合部位を有し、なお抗原に交差結合できるF(ab’)2フラグメントをもたらす。
「Fv」は完全な抗原認識および結合部位を含有する最小の抗体フラグメントである。2本鎖Fv種においては、この領域は堅固な非共有結合の会合における1重鎖および2軽鎖可変ドメインの2量体からなる。1本鎖Fv種においては、軽鎖および重鎖が2本差Fv種のものと類似の「2量体」構造において会合できるように、フレキシブルなペプチドリンカーにより共有結合されることができる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してVH−VL2量体の表面上の抗原結合部位を定義するのは、この配置においてである。併せて考えると、6つのCDRが抗原結合特異性を抗体に付与している。しかしながら、たとえ単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な僅か3つのCDRを含むFvの半分)であっても、完全な結合部位よりは低い親和性においてであるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
Fabフラグメントはまた軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有する。Fab’フラグメントは抗体ヒンジ領域由来のシステイン1つ以上を包含する重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における数残基の付加によりFabフラグメントとは異なっている。Fab’−SHは定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を担持しているFab’に関する本明細書における表記である。F(ab’)2抗体フラグメントは当初はそれらの間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として作成された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも知られている。
任意の脊椎動物種に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」はその定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてカッパ(κ)およびラムダ(λ)と称される2つの明確に異なる型の一方に割りつけられる。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに割りつけられる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、そしてこれらの幾つかは更にサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分割できる。免疫グロブリンの異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γおよびμと称される。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元の配置はよく知られている。
「抗体フラグメント」は未損傷の抗体の一部分のみを含み、その部分は好ましくは未損傷の抗体中に存在する場合にその部分に通常関わる機能の少なくとも1つ、好ましくは大部分または全てを保持している。抗体フラグメントの例はFab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;ダイアボディー;線状抗体;1本鎖抗体分子;および抗体フラグメントから形成した多重特異性抗体を包含する。1つの実施形態において、抗体フラグメントは未損傷の抗体の抗原結合部位を含み、そしてこれにより、抗原に結合する能力を保持している。別の実施形態においては、抗体フラグメント、例えばFc領域を含むものは、未損傷の抗体中に存在する場合にFc領域に通常関わる生物学的機能、例えばFcRn結合、抗体半減期モジュレーション、ADCC機能および補体結合等の少なくとも1つを保持する。1つの実施形態において、抗体フラグメントは未損傷の抗体と実質的に同様のインビボ半減期を有する1価の抗体である。例えばそのような抗体フラグメントはフラグメントにインビボ安定性を付与することができるFc配列に連結した結合アームを抗原上に含んでよい。
「超可変領域」、「HVR」または「HV」という用語は、本明細書においては、配列内で超可変であり、および/または、構造的に定義されたループを形成する抗体可変止めの領域を指す。一般的に、抗体は6つの超可変領域;3つをVH(H1、H2、H3)内に、そして3つをVL(L1、L2、L3)内に含む。多くの超可変領域の定義が使用されており、本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は配列の可変性に基づいており、そして、最も一般的に使用されている(Kabat等、Sequences of Proteins of Imunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institure of Health,Bethesda,MD.(1991))。Chothiaは代わりに構造ループの位置に言及している(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。AbMの超可変領域はKabatのCDRとChothiaの構造ループの間の折衷を示し、そしてOxford Molecular’sAbM抗体モデリングソフトウエアにより使用されている。「接触」超可変領域は使用可能な複合体結晶構造の分析に基づいている。
超可変領域は以下の通り、即ち:VL内の24−36(L1)、46−56(L2)および89−97(L3)、およびVH内の26−35(H1)、49−65または50−65(H2)および93−102(H3)の「伸長超可変領域」を含んでよい。可変ドメイン残基はこれらの定義の各々につき上記Kabat等の定義に従ってナンバリングされている。
「フレームワーク」または「FR」残基とは、本明細書において定義する超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
非ヒト(例えばネズミ)抗体の「ヒト化」形態は非ヒト免疫グロブリンから誘導された最小配列を含有するキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(レシピエント抗体)の超可変領域由来の残基により置き換えられているヒト免疫グロブリンである(レシピエント抗体)。一部の例においては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基は相当する非ヒト残基により置き換えられている。更にまた、ヒト化抗体はレシピエント抗体内にもドナー抗体内にも存在しない残基を含んでよい。このような修飾は抗体の性能を更に精鋭化させるために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのそれに相当し、そしてFRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のそれである少なくとも1つ、そして典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになる。ヒト化抗体は場合により、典型的にはヒト免疫グロブリンのものである免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含むことになる。詳細についてはJones等、Nature 321:522−525(1986);Riechmann等、Nature 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照できる。更にまた以下の文献:Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma & Immunol.1:105−115(1998);IIarris,Biochem.Soc.Transactions23:1035−1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428−433(1994)およびそこに引用されている参考文献を参照できる。
「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は特定の種から誘導した、または、特定の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体における相当する配列と同一または相同である重鎖および/または軽鎖の一部分を有し、鎖の残余は、別の種から誘導した、または、別の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体ならびにそのような抗体のフラグメントにおける相当する配列と、それらが所望の生物学的活性を示す限り、同一または相同である(米国特許第4,816,567号;およびMorrison等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(1984))。本明細書において使用するヒト化抗体はキメラ抗体のサブセットである。
「1本鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは抗体のVHおよびVLドメインを含み、ここでこれらのドメインは単一のポリペプチド鎖内に存在する。一般的にscFvポリペプチドは更にscFvが抗原結合のための所望の構造を形成することができるようにするVHおよびVLドメインの間のポリペプチドリンカーを含む。scFvに関する考察については、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore編,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照できる。
「抗原」とは抗体が選択的に結合する所定の抗原である。標的抗原はポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテンまたは他の天然に存在するまたは合成の化合物であってよい。好ましくは、標的抗原はポリペプチドである。
「ダイアボディー」という用語は2つの抗原結合部位を有する小型抗体フラグメントを指し、そのフラグメントは同じポリペプチド鎖(VH−VL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2ドメインの間の対形成を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインはもう一方の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させられ、2つの抗原結合部位を生じさせる。ダイアボディーは例えばEP404097;WO93/11161;およびHollinger等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444−6448(1993)により詳細に説明されている。
「ヒト抗体」はヒトにより生産される抗体に相当する、および/または、本明細書に開示するヒト抗体を製造するための手法の何れかを用いて作成されたアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は特に非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
「親和性成熟」抗体は、1つ以上の改変をそのCDR1つ以上内に有するものであり、これによりそのような改変を保有しない親抗体と比較して抗原に対する抗体の親和性が向上しているものである。好ましい親和性成熟抗体は標的抗原に対してナノモル、あるいは更にピコモルレベルの親和性を有することになる。親和性成熟抗体は当該分野で知られた操作法により製造される。Marks等、Bio/Technology10:779−783(1992)はVHおよびVLドメインシャフリングによる親和性成熟を記載している。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発はBarbas等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:3809−3813(1994);Schier等、Gene 169:147−155(1995);Yelton等、J.Immunol.155:1994−2004(1995);Jackson等、J.Immunol.154(7):3310−9(1995);およびHawkins等、J.Mol.Biol.226:889−896(1992)により記載されている。
抗体の「エフェクター機能」とは抗体のFc領域(未変性配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰属する生物学的活性を指し、抗体アイソタイプにより変動する。抗体エフェクター機能の例はC1q結合および補体依存性細胞毒性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC);貪食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)のダウンレギュレーション;およびB細胞の活性化を包含する。
「抗体依存性細胞媒介細胞毒性」即ち「ADCC」とは、特定の細胞毒性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合している分泌Igにより、これらの細胞毒性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、そしてその後、細胞毒素により標的細胞を殺傷することができるようになるという細胞毒性の形態を指す。抗体は細胞毒性細胞を「武装」させ、そしてそのような殺傷のために絶対に必要なものである。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現はRavetch and Kinel,Annu.Rev.Immunol.9:457−92(1991)の464ページの表3に総括されている。目的の分子のADCC活性を試験するためには、米国特許第5,500,362号または第5,821,337号または米国特許第6,737,056号に記載されているようなインビトロのADCC試験を実施してよい。このような試験のための有用なエフェクター細胞は末梢血液単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を包含する。あるいは、または追加的に、目的の分子のADCC活性は例えばClynes等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:652−656(1998)に開示されているような動物モデルにおいてインビボで試験してよい。
「ヒトエフェクター細胞」とは1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を示す白血球である。好ましくは、細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、そしてADCC機能を示す。ADCCを媒介するヒト白血球の例は末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞および好中球を包含し;PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は未変性の原料から、例えば血液から単離してよい。
「Fc受容体」即ち「FcR」とは、抗体のFc領域に結合する受容体を説明するものである。好ましいFcRは未変性配列のヒトFcRである。更にまた、好ましいFcRはIgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIのサブクラスの受容体を包含し、これらの受容体の対立遺伝子変異体およびオルタナティブスプライス型も包含される。FcγRII受容体はFcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「抑制受容体」)を包含し、これらはその細胞質ドメインにおいて主に異なっている同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAはその細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する。抑制受容体FcγRIIBはその細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系抑制モチーフ(ITIM)を含有している(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)の考察M参照)。FcRはRavetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capel等、Immunomethods 4:25−34(1994);およびde Haas等、J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)において考察されている。将来識別されるものを含む他のFcRは本明細書においては用語「FcR」に包含される。用語はまた胎児への母体IgGの移行の原因となり(Guyer等、J.Immunol.117:587(1976)およびKim等、J.Immunol.24:249(1994))、そして免疫グロブリンのホメオスタシスを調節する新生児受容体、FcRnも包含する。
WO00/42072(Presta)は向上した、または低下したFcRへの結合を有する抗体変異体を記載している。その特許公開の内容は参照により本明細書に組み込まれる。更にまた、Shields等、J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)も参照できる。
FcRnへの結合を計測する方法は知られている(例えばGhetie 1997,Hinton 2004参照)。インビボにおけるヒトFcRnへの結合およびヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清中半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスまたはトランスフェクトされたヒト細胞系統において、またはFc変異体ポリペプチドを投与された霊長類において試験できる。
「補体依存性細胞毒性」即ち「CDC」は補体の存在下における標的細胞の溶解を指す。古典的な補体経路の活性化はその同属体抗原に結合している(適切なサブクラスの)抗体への補体系の第1成分(C1q)の結合により開始される。補体活性化を試験するためには、例えばGazzano−Santoro等、Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているものなどのCDC試験を実施してよい。
改変されたFc領域アミノ酸配列および増大または低減されたC1q結合能力を有するポリペプチド変異体は米国特許第6,194,551B1号およびWO99/51642に記載されている。これらの特許公開の内容は特に参照により本明細書に組み込まれる。更にまた、Idusogie等、J.Immunol.164:4178−4184(2000)も参照できる。
「ブロッキング」抗体または「アンタゴニスト」抗体はそれが結合する抗原の生物学的活性を抑制または低減するものである。好ましいブロッキング抗体またはアンタゴニスト抗体は抗原の生物学的活性を実質的または完全に抑制する。
「生物学的試料」(互換的に「試料」または「組織または細胞の試料」とも称する)は個体から得られた種々の試料の型を包含し、そして、診断またはモニタリング試験において使用できる。定義は血液および生物学的起源の他の液体試料、固体組織試料、例えば、生検標本または組織培養物あるいはそれから誘導された細胞、および、その子孫を包含する。定義はまた、例えば試薬処理、可溶化あるいはタンパク質またはポリヌクレオチドなどの特定成分の濃縮、あるいは、切片作成目的のための半固体または固体のマトリックス中への包埋により前処理した後に、任意の方法において操作されている試料を包含する。「生物学的試料」という用語は臨床試料を包含し、そして、培養物中の細胞、細胞上澄み、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的流体および組織試料も包含する。生物学的試料の原料は新鮮、凍結および/または保存された臓器または組織試料または生検または吸引物に由来するものなどの固体組織;血液またはいずれかの血液成分;体液、例えば脳脊髄液、羊水、末梢体液または間質性体液;妊娠または対象発生の何れかの時期に由来する細胞であってよい。一部の実施形態においては、生物学的試料は原発または転移の腫瘍から得られる。生物学的試料は例えば保存料、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養物、抗生物質等、通常は天然には組織と相互に混合されていない化合物を含有してよい。
本明細書の目的のためには、組織試料の「切片」とは組織試料の単一の部分または小片、例えば組織の薄片または組織試料から切り出した細胞を意味する。組織試料の多数の切片を採取し、そして本発明に従って分析に付してよいと理解される。一部の実施形態においては、組織試料の同じ切片を形態学的および分子レベルの両方において分析するか、あるいは、タンパク質および核酸の両方に関して分析する。
「標識」という用語は本明細書においては、核酸プローブまたは抗体などの試薬に直接または間接的にコンジュゲートまたは融合され、そしてそれがコンジュゲートまたは融合した試薬の検出を容易にする化合物または組成物を指す。標識はそれ自体検出可能であってよく(例えば放射性同位体標識または蛍光標識)、あるいは、酵素標識の場合は、検出可能な基質化合物または組成物の化学的改変を触媒してよい。
「医薬」とは問題となる疾患またはその症状または副作用を治療するための活性な薬品である。
「疾患」または「疾病」とは本発明の物質/分子または方法による治療から利益を被る何れかの状態である。これには問題となる疾患に哺乳類を罹患し易くしている病理学的状態を包含する慢性および急性の疾患または疾病が包含される。本明細書において治療されるべき疾患の非限定的な例は、悪性または良性の腫瘍;癌腫、芽腫および肉腫を包含する。
「細胞増殖性疾患」および「増殖性疾患」という用語はある程度の異常な細胞増殖を伴う疾患を指す。1つの実施形態において、細胞増殖性疾患は癌である。
「腫瘍」とは、本明細書においては、悪性または良性に関わらず全ての腫瘍性の細胞の成育および全ての前癌性および癌性の細胞および組織を指す。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」および「腫瘍」は本明細書において言及する限り相互に排除されない。
「癌」および「癌性」という用語は典型的には調節できない細胞の成育/増殖を態様とする哺乳類における生理学的状態を指すか描写するものである。癌の例は、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫および白血病を包含する。このような癌のより特定の例は、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、下垂体癌、食道癌、星状細胞癌、軟組織肉腫、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫瘍、頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮の癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌腫、脳の癌、子宮内膜癌、精巣癌、胆管癌、胆嚢癌及、胃癌、黒色腫および種々の型の頭部および頚部の癌を包含する。血管形成の調節不全は本発明の組成物および方法により治療できる多くの疾患をもたらす場合がある。これらの疾患は非腫瘍性および腫瘍性の状態の両方を包含する。腫瘍は例えば上記したものを包含する。非腫瘍性の疾患は例えば望ましくない、または、異常な肥大、関節炎、慢性関節リューマチ(RA)、乾癬、乾癬性プラーク、サルコイドーシス、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化性プラーク、糖尿病性および他の増殖性の網膜症、例えば未熟児網膜症、水晶体後腺維増殖症、血管新生緑内障、加齢関連黄斑変性、糖尿病性斑状浮腫、角膜血管新生、角膜グラフト血管新生、角膜グラフト拒絶、網膜/脈絡膜血管新生、角の血管新生(皮膚紅潮)、眼の血管新生性疾病、血管再狭窄、動脈静脈奇形(AVM)、髄膜腫、血管腫、血管腺維腫、甲状腺肥大(グレーブス病を含む)、角膜および他の組織の移植、慢性炎症、肺炎症、急性肺傷害/ARDS、敗血症、一次肺高血圧症、悪性肺滲出、脳水腫(例えば急性卒中/閉鎖性頭部傷害/外傷に関連)、滑膜炎症、RAにおけるパンヌス形成、骨化性筋炎、肥大性骨形成、骨関節炎(OA)、難治性腹水、多嚢胞性卵巣症、子宮内膜炎、体液サードスペース形成疾病(膵炎、コンパートメント症候群、熱傷、腸疾病)、子宮線維症、早産、慢性炎症、例えばIBD(クローン病および潰瘍性結腸炎)、腎臓同種移植片拒絶、炎症性腸疾病、ネフローゼ症候群、望ましくない、または、異常な組織嵩増大(非癌)、血友病性関節、肥大瘢痕、毛髪増殖抑制、オースラー‐ウェーバー症候群、化膿性肉芽腫、水晶体後線維増殖、硬皮症、トラコーマ、血管接着、滑膜炎、皮膚炎、子癇前症、腹水、心内膜液浸出(例えば心内膜炎に関連するもの)および胸水を包含する。
「るいそう」疾患(例えばるいそう症候群、悪液質、肉質欠乏症)という用語は望ましくないおよび/または非健康的な、体重の損失または体細胞集塊の損失により誘発される疾患を指す。高齢者ならびにエイズおよび癌患者においては、るいそう疾病は脂肪および無脂肪コンパートメントの両方を包含する望ましくない体重損失をもたらす場合がある。るいそう疾病は不十分な摂食、および/または、病気および/または加齢過程に関連する代謝の変化の結果である場合がある。癌患者およびエイズ患者、ならびに広範な手術の後、または、慢性の感染症、免疫疾病、甲状腺機能亢進症、クローン病、心因性疾病、慢性の心不全または他の重度の外傷を有する患者はるいそう疾病に罹患する頻度が高く、これは場合により悪液質、即ち代謝性、そして場合によっては摂食の疾患と称される。悪液質は更に代謝亢進および異化亢進も態様とする。悪液質およびるいそう疾病はるいそう状態を指すために互換的に用いられる場合が多いが、無脂肪の身体塊、特に体細胞塊の損失として、るいそう症候群から悪液質を区別する研究も最低限存在している(Mayer,1999,J.Nutr.129(1S Suppl.)256S−259S)。加齢個体に影響する場合があるもう1つのそのような疾患である肉質欠乏症は典型的には筋肉塊の損失を態様とする。上記した末期のるいそう疾病は悪液質または肉質欠乏症に罹患した個体において生じる場合がある。
本明細書においては、「治療」とは治療すべき個体または細胞の本来の過程を改変させる試みにおける臨床介入を指し、予防のため、または臨床病理過程の間の何れかに実施できる。治療の望ましい作用は、疾病の発症または再発の防止、症状の緩解、任意の直接または間接的な疾病の病理学的結果の軽減、疾病進行速度の低減、疾病状況の緩和または沈静化、および、予後の軽快または改善を包含する。一部の実施形態においては、本発明の抗体は疾病または疾患の発症を遅延するために使用される。
「抗血管形成剤」または「血管形成抑制剤」とは、直接または間接的に、血管形成、脈管形成または望ましくない血管の透過性を抑制する、小分子量物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組み換えタンパク質、抗体またはそのコンジュゲートまたは融合タンパク質を指す。例えば、抗血管形成剤は上記定義した血管形成剤に対する抗体または他のアンタゴニスト、例えば、VEGFに対する抗体、VEGF受容体に対する抗体、VEGF受容体シグナリングをブロックする小分子(例えばPTK787/ZK2284、SU6668、SUTENT/SU11248(リンゴ酸スニチニブ)、AMG706)である。抗血管形成剤はまた、未変性の血管形成抑制剤、例えばアンジオスタチン、エンドスタチン等を包含する。例えばKlagsbrun and D’Amore,Annu.Rev.Physiol.,53:217−39(1991);Streit and Detmar,Oncogene,22:3172−3179(2003)(例えば悪性黒色腫における抗血管形成療法を列挙している表3);Ferrara & Alitalo,Nature Medicine 5(12):1359−1364(1999);Tonini等、Oncogene,22:6549−6556(2003)(例えば抗血管形成因子を列挙している表2);および Sato Int.J.Clin.Oncol.,8:200−206(2003)(例えば臨床治験において使用されている抗血管形成剤を列挙している表1)を参照できる。
「個体」とは脊椎動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトである。哺乳類は限定しないが、牧場動物(例えばウシ)、競技用動物、愛玩動物(例えばネコ、イヌおよびウマ)、霊長類、マウスおよびラットを包含する。
「哺乳類」とは、治療目的の為には哺乳類として分類される何れかの動物を指し、ヒト、家畜および牧場動物、および、動物園、競技用または愛玩用の動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を包含する。好ましくは哺乳類はヒトである。
「有効量」とは所望の治療または予防上の結果を達成するために、必要な用量および時間において、有効である量を指す。
本発明の物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの「治療有効量」は個体の病状、年齢、性別および体重、および、物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストが個体において所望の応答を誘発する能力などの要因に従って変動する。治療有効量はまた、物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの何れかの毒性または有害な作用よりも治療上有益な作用が勝っているものである。「予防有効量」は所望の予防結果を達成するために、必要な用量および時間において、有効である量を指す。必然ではないが典型的には、予防用量は疾病の前または早期の段階において対象において使用されるため、予防有効量は治療有効量よりも低値となる。
「細胞毒性剤」という用語は本明細書においては、細胞の機能を抑制または防止、および/または細胞の破壊を誘発する物質を指す。用語は放射性同位体(例えばAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32およびLuの放射性同位体)、化学療法剤、例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他のインタカレーション剤、酵素およびそのフラグメント、例えば核溶解酵素、抗生物質および毒素、例えば小分子毒素または細菌、カビ、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素ならびにそのフラグメントおよび/または変異体、および、以下に開示する種々の抗腫瘍または抗癌剤を包含する。他の細胞毒性剤は以下に記載する。殺腫瘍性の薬剤は腫瘍細胞の破壊を誘発する。
「化学療法剤」とは癌の治療において有用な化学物質である。化学療法剤の例はアルキル化剤類、例えばチオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド;アルキルスルホネート類、例えばブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン類、例えばベンゾドパ、カルボコン、メツレドパおよびウレドパ;エチレンイミン類およびメチラメラミン類、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホアミド、トリエチレンチオホスホアミドおよびトリメチロールオメラミン;アセトゲニン類(特にブラタシンおよびブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン類;ベツリン酸;カンプトテシン(例えば合成類縁体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチンおよび9−アミノカンプトテシン);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(例えばアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類縁体);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テミポシド;クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(例えば合成類縁体、KW−2189およびCB1−TM1);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;窒素マスタード類、例えばクロランブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、塩酸酸化メクロレタミン、メルファラン、ノべンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素類、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムヌスチン;抗生物質、例えばエネジン抗生物質(例えばカリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1(例えばAgnew,Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994)参照);ジネマイシン、例えばジネマイシンA;クスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連の色素タンパク質エネジン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、オーソラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(例えばモルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、例えばマイトマイシンC、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝アンタゴニスト、例えばメトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類縁体、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類縁体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類縁体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、デキシフルリジン、エノシタビン、フロクスリジン;アンドロゲン類、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナル類、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補給剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノェブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキセート;デホファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルホミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシノイド類、例えばマイタンシンおよびアンサミトシン類;マイトグアゾン;マイトキサトロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピアルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、べラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;マイトブロニトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara−C);チオテパ;タキソイド類、例えばTAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology,Prinbceton,NJ)、AVRAXANETMCremophor−非含有、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)およびTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロランブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類縁体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イソフォスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノヴァントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロルニチン(DMFO);レチノイド類、例えばレチン酸;カペシタラビン(XELODA(登録商標));上記物質の何れかの製薬上許容しうる塩、酸または誘導体;ならびに上記物質の二者以上の組み合わせ、例えばCHOP、即ちシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニソロンの複合療法の略称、およびFOLFOX、即ち5−FUおよびロイコボビンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATINTM)を用いた治療用法の略称等、を包含する。
この定義に同様に包含されるものは癌の生育を促進することが可能であるホルモンの作用を調節、低減、ブロックまたは抑制する作用を有し、そして、全身投与または身体全体投与の形態となる場合が多い抗ホルモン剤である。それらはそれら自体がホルモンであってよい。例示されるものは、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えばタモキシフェン(例えばNOLVADEX(登録商標)タモキシフェン)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン類;エストロゲン受容体ダウンレギュレート剤(ERD);卵巣を抑制またはシャットダウンする機能を有する薬剤、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えばLUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)酢酸ロイプロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリンおよびトリプテレリン;他の抗アンドロゲン類、例えばフルタミド、ニルタミドおよびビカルタミド;および副腎におけるエストロゲン生産を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)−イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲステロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタニー、ファドゾロール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾールおよびARIMIDEX(登録商標)アラストロゾールを包含する。更にまた、化学療法剤のこのような定義にはビスホスホネート類、例えばクロドロネート(例えばBONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチロロネート、NE−58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネートまたはACTONEL(登録商標)リセドロネート;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類縁体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えばPKC−アルファ、Raf、H−Rasおよび表皮成長因子受容体(EGF−R)などの異常な細胞増殖に関与するとされるシグナリング経路内の遺伝子の発現を抑制するもの;ワクチン類、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチンおよび遺伝子療法ワクチン類、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチン;LUPTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ラパチニブジトシレート(ErbB−2およびEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤、別名GW572016);および上記物質の何れかの製薬上許容しうる塩、酸または誘導体も包含される。
「増殖阻害因子」とは、本明細書において使用する場合は、インビトロまたはインビボの何れかにおいて細胞(例えばFGF19を発現する細胞)の成育を抑制する化合物または組成物を指す。即ち、増殖阻害因子はS期における細胞(例えばFGF19を発現する細胞)のパーセンテージを有意に低減するものであってよい。増殖阻害因子の例は細胞周期の進行を(S期以外の位置において)ブロックする薬剤、例えばG1停止およびM期停止を誘導する薬剤を包含する。伝統的なM期ブロッカーはビンカ類(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキサン類およびトポイソメラーゼII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシンエトポシドおよびブレオマイシンを包含する。G1を停止させる薬剤はまたS期停止にまで作用を派生させるものがあり、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニソン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5−フルオロウラシルおよびara−Cが挙げられる。更に詳細な説明はThe Molecular Basis of cancer,Mendelsohn and Israel編.,Chapter 1の表題「Cell cycle regulation,oncogenes and antineoplastic drug」、Nyrajanu等(WB Saunders:Philadelphia1995),p.13に記載されている。タキサン類(パクリタキセルおよびドセタキセル)は共にイチイの木から誘導される抗癌剤である。ヨーロッパイチイから誘導されたドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer)はパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Meyer Squibb)の半合成類縁体である。パクリタキセルおよびドセタキセルはチュブリン2量体からの微小管の組み立てを促進し、そして脱重合を防止することにより微小管を安定化させ、これが細胞における有糸分裂を抑制する。
「ドキソルビシン」はアントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンの完全な化学名は(8S−シス)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキサピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオンである。
「Fc領域包含ポリペプチド」という用語はFc領域を含む抗体またはイムノアドヘシン(後述する定義参照)などのポリペプチドを指す。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングによれば残基447)は例えばポリペプチドの精製の間、または、ポリペプチドをコードする核酸を組み換え操作することにより、除去してよい。従って、本発明によるFc領域を有するポリペプチドを含む組成物はK447を有する、全K447が除去されているポリペプチド、またはK447残基を有するおよび有さないポリペプチドの混合物を含むことができる。
本発明の組成物およびその製造方法
本発明は抗FGF19抗体;および抗FGF19抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む医薬組成物を包含する組成物を包含する。本明細書においては、組成物はFGF19に結合する抗体1つ以上、および/または、FGF19に結合する抗体1つ以上をコードする配列を含むポリヌクレオチド1つ以上を含む。これらの組成物は更に、適当な担体、例えば製薬上許容しうる賦形剤、例えば緩衝剤を含んでよく、これらは当該分野で良く知られている。
本発明はまた単離された抗体およびポリヌクレオチドの実施形態も包含する。本発明はまた実質的に純粋な抗体およびポリヌクレオチドの実施形態も包含する。
本発明の抗FGF19抗体は好ましくはモノクローナルである。本発明の範囲に同様に包含されるものは、本明細書において提供される抗FGF19抗体のFab、Fab’、 Fab’−SH、F(ab’)2フラグメントである。これらの抗体フラグメントは伝統的な手段、例えば酵素消化により作成することができ、または、組み換え手法により形成してもよい。このような抗体フラグメントはキメラまたはヒト化されていてよい。これらのフラグメントは後述する診断および治療目的のために有用である。
モノクローナル抗体は実質的に均質な抗体の集団から得られ、即ち、集団に属する個々の抗体は僅かの量のみ存在してよい可能な天然に存在する突然変異を除き同一である。即ち、「モノクローナル」という修飾語は個別の抗体の混合物ではないものとして抗体の態様を示している。
本発明の抗FGF19抗体はKohler等、Nature,256:495(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作成することができ、または組み換えDNA法により作成してよい(米国特許第4,816,567号)。
ハイブリドーマ法においては、マウスまたは他の適切な宿主動物、例えばハムスターを、免疫化に使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を製造するか、製造することができるリンパ球を誘発するように免疫化する。FGF19に対する抗体は一般的にFGF19およびアジュバントの多数回の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射により動物において育成する。FGF19は当該分野で良く知られている方法を用いて製造してよく、その一部は更に本明細書に記載する通りである。例えば、FGF19の組み換え生産を以下に記載する。1つの実施形態において、免疫グロブリン重鎖のFc部分に融合させたFGF19の細胞外ドメイン(ECD)を含有するFGF19の誘導体で動物を免疫化する。1つの実施形態においては、FGF19−IgG1融合タンパク質で動物を免疫化する。動物を通常通り免疫原性コンジュゲートまたはFGF19の誘導体に対し、モノホスホリル脂質A(MPL)/トレハロースジクリノミクレート(TDM)(Ribi Immunochem.Research,Inc.,Hamilton,MT)で免疫化し、そして溶液を多数部位において比内注射する。2週間後、動物をブーストする。7〜14日後、動物を出血させ、血清の抗FGF19価を試験する。抗体価が定常状態となるまで動物をブーストする。
あるいは、リンパ球をインビトロで免疫化してよい。次にリンパ球をポリエチレングリコールなどの適当な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986))。
このようにして製造したハイブリドーマ細胞は、未融合の親骨髄腫細胞の生育または生存を抑制する物質1つ以上を好ましくは含有する適当な培地中に播種して生育させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマ用の培地は典型的には、HGPRT欠損細胞の生育を抑制する物質であるヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有することになる(HAT培地)。
好ましい骨髄腫細胞は効率的に融合し、選択された抗体生産細胞による抗体の安定した高レベルの生産を支援し、そしてHAT培地などの培地に対して感受性のものである。これらのうち、好ましい骨髄腫細胞系統はネズミ骨髄腫系統、例えばSalk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California USAより入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍から誘導されたもの、および、American Type Culture Collection,Rockville,Maryland USAから入手可能なSP−2またはX63−Ag8−653細胞である。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系統もまた、ヒトモノクローナル抗体の製造のために記載されている(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur等、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
ハイブリドーマ細胞を生育させる培地をFGF19に対して施行されたモノクローナル抗体の生産に関して試験する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により生産されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降により、または、インビトロの結合試験、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着試験(ELISA)により測定する。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson等、Anal.Biochem.,107:220(1980)のスカッチャード分析により測定できる。
所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を生産するハイブリドーマ細胞が発見された後、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、そして標準的方法により生育させてよい(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103(Academic Press,1986))。この目的のための適当な培地は、例えば、D−MEMおよびRPMI−1640培地である。更に、ハイブリドーマ細胞は動物における腹水腫瘍としてインビボで生育させてよい。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は従来の免疫グロブリン精製操作法、例えばプロテインA−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティーにティークロマトグラフィーにより培地、復水または血清から適宜分離する。
本発明の抗FGF19抗体は所望の活性を有する合成抗体クローンを得るスクリーニングのためのコンビナトリアルなライブラリを用いることにより作成できる。原則として、合成抗体クローンは、ファージ皮膜タンパク質に融合した抗体可変領域(Fv)の種々のフラグメントをディスプレイするファージを含有するファージライブラリをスクリーニングすることにより選択される。そのようなファージライブラリは所望の抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによりパニングされる。所望の抗原に結合することができるFvフラグメントを発現するクローンは抗原に吸着され、これによりライブラリ中の非結合クローンから分離される。次に結合クローンを抗原から溶出させ、そして抗原吸着/溶出の追加的サイクルにより更に濃縮することができる。本発明の抗FGF19抗体の何れかは目的のファージクローンが選択されるように適当な抗原スクリーニング操作法を設計し、その後、目的のファージクローン由来のFv配列およびKabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91−3242,Bethesda MD(1991),vols.1−3に記載されている適当な定常領域(Fc)配列を用いて、完全長の抗FGF19抗体クローンを構築することにより得ることができる。
抗体の抗原結合ドメインは両方が3つの超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を呈する軽鎖(VL)および重鎖(VH)に各々1つが由来する約110個のアミノ酸の2つの可変(V)領域から形成される。可変ドメインは、Winter等、Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載される通り、VHおよびVLが短いフレキシブルなペプチドを介して共有結合的に連結している1本鎖Fv(scFv)として、または、各々が定常ドメインに融合して非共有結合的に相互作用するFabフラグメントとして、ファージ上に機能的にディスプレイすることができる。本明細書においては、scFvコードファージクローンおよびFabコードファージクローンは総称して「Fvファージクローン」または「Fvクローン」と称する。
VHおよびVL遺伝子のレパートリーはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別個にクローニングし、そして、ファージライブラリ内でランダムに組み換えすることができ、これを次にWinter等、Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載される通り、抗原結合クローンを得るための検索に付すことができる。免疫化された原料に由来するライブラリはハイブリドーマの構築を必要とすることなく免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。あるいは、Griffiths等、EMBO J,12:725−734(1993)の記載する通り、未処置のレパートリーをクローニングすることにより何れの免疫化も行うことなく非自己および自己抗原の広範な種類に対するヒト抗体の単一の原料を提供することができる。最終的に、未処置のレパートリーは、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)に記載の通り、幹細胞由来の未再配置のV遺伝子セグメントをクローニングすること、および、高度に可変であるCDR3領域をコードするため、および、インビトロにおける再配置を達成するためにランダムな配列を含有するPCRプライマーを使用することにより合成的に作成することもできる。
マイナーコートタンパク質pIIIへの融合により抗体フラグメントをディスプレイするためにフィラメントファージを用いる。抗体フラグメントはMarks等、J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載の通りフレキシブルなポリペプチドスペーサーにより同じポリペプチド鎖上でVHとVLが連結されている1本鎖Fvフラグメントとして、またはHoogenboom等、Nucl.Acids Res.,19:4133−4137(1991)に記載の通り一方の鎖がpIIIに融合し、そしてもう一方が野生型のコートタンパク質の一部を排除することによりファージ表面上に標示されることになるFabコートタンパク質構造のアセンブリである細菌宿主細胞のペリプラズム内に他方が分泌されるFabフラグメントとしてディスプレイすることができる。
一般的に抗体遺伝子フラグメントをコードする核酸はヒトまたは動物から採取された免疫細胞から得られる。抗FGF19クローンを優先するように偏ったライブラリが望ましい場合、対象をFGF19で免疫化して抗体応答を発生させ、そして脾細胞および/または循環B細胞他の末梢血リンパ球(PBL)をライブラリ構築のために回収する。好ましい実施形態においては、抗FGF19クローンを優先するように偏ったヒト抗体遺伝子フラグメントライブラリは、FGF19免疫化がFGF19に対するヒト抗体を生産するB細胞を生じさせるように機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを担持する(そして機能的内因性抗体生産系を欠いている)トランスジェニックマウスにおいて抗FGF19抗体応答を発生させることにより得られる。ヒト抗体生産トランスジェニックマウスの作成は後に記載する。
抗FGF19反応性細胞集団の別の濃縮は、適当なスクリーニング操作法を用いてFGF19特異的膜結合抗体を発現するB細胞を単離することにより、例えばFGF19アフィニティークロマトグラフィーによる細胞分離、または蛍光色素標識FGF19への細胞の吸着とその後のフロー活性化細胞ソーティング(FACS)により、得ることができる。
あるいは、脾細胞および/またはB細胞または免疫化ドナー由来の他のPBLの使用により、可能な抗体レパートリーのより良好な提示ができ、そしてまた、FGF19が抗原性ではない何れかの動物(ヒトまたは非ヒト)種を用いた抗体ライブラリの構築が可能となる。インビトロの抗体遺伝子構築を取り込んだライブラリについては、幹細胞を対象から採取して、未再配置の抗体遺伝子セグメントをコードする核酸を提供する。目的の免疫細胞は種々の動物種、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、オオカミ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマおよびトリの種等から得ることができる。
抗体可変遺伝子セグメント(VHおよびVLセグメントを包含する)をコードする核酸を目的の細胞から回収して増幅させる。再配置したVHおよびVL遺伝子のライブラリの場合は、所望のDNAは、Orlandi等、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),86:3833−3837(1989)に記載の通り、リンパ球からゲノムDNAまたはmRNAを単離し、その後、再配置したVHおよびVL遺伝子の5’および3’末端にマッチするプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことにより得ることができ、これにより、発現のための多様なV遺伝子レパートリーを作成することができる。Orlandi等(1989)およびWard等、Nature,341:544−546(1989)に記載の通り、成熟Vドメインをコードするエクソンの5’末端におけるリバースプライマーおよびJセグメント内を基にするフォワードプライマーを用いて、V遺伝子をcDNAおよびゲノムDNAから増幅することができる。しかしながら、cDNAから増幅するためには、リバースプライマーはJones等、Biotechnol.,9:88−89(1991)に記載の通りリーダーエクソンを基にすることもでき、そしてフォワードプライマーはSastry等、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),86:5728−5732(1989)に記載の通り定常領域内を基にすることができる。相補性を最大にするためには、Orlandi等、(1989)またはSastry等、(1989)に記載の通りプライマー中に縮重を取り込むことができる。好ましくは、ライブラリの多様性は例えばMarks等、J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載の通り、またはOrum等、Nucleic Acids Res.,21:4491−4498(1993)に記載の通り、免疫細胞核酸試料中に存在する全ての使用可能なVHおよびVLの配置を増幅するために各V遺伝子ファミリーに標的にされたPCRプライマーを使用することにより最大とする。発現ベクター内への増幅されたDNAのクローニングの為には、稀少制限部位をOrlandi等、(1989)に記載の通り一端におけるタグとしてPCRプライマー内に導入することができ、または、Clackson等、Nature,352:624−628(1991)に記載の通りタグ付けされたプライマーを用いた更に別のPCR増幅によることもできる。
合成的に再配置されたV遺伝子のレパートリーはV遺伝子セグメントからインビトロで誘導できる。大部分のヒトVH遺伝子セグメントがクローニングされ、そして配列決定され(Tomlinson等、J.Mol.Biol.,227:776−798(1992)において報告)、そしてマッピングされており(Matsuda等、Nature Genet.,3:88−94(1993));これらのクローニングされたセグメント(H1およびH2ループの主要なコンホーメーション全てを含む)はHoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)に記載の通り多様な配列および長さのH3ループをコードするPCRプライマーを用いて多様なVH遺伝子レパートリーを作成するために使用することができる。VHレパートリーはまたBarbas等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4457−4461(1992)に記載の通り単一の長さの長いH3ループに着目した全ての配列多様性を有するように作成できる。ヒトVκおよびVλセグメントはクローニングおよび配列決定されており(Williams and Winter,Eur.J.Immunol.,23:1456−1461(1993)において報告)、そして合成の軽鎖レパートリーを作成するために使用できる。ある範囲のVHおよびVLの折り畳み、およびL3およびH3の長さに基づいた合成V遺伝子レパートリーはかなりの構造多様性の抗体をコードすることになる。V遺伝子コードDNAの増幅の後、生殖細胞系統のV遺伝子のセグメントをHoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)の方法に従ってインビトロで再配置させることができる。
抗体フラグメントのレパートリーは数種の方法においてVHおよびVL遺伝子レパートリーをともに組み合わせることにより構築できる。各レパートリーは異なるベクター内において作成でき、そして、ベクターをHogrefe等、Gene,128:119−126(1993)に記載の通りインビトロで、またはWaterhouse等、Nucl.Acids Res.,21:2265−2266(1993)に記載の通りコンビナトリアルな感染、例えばloxP系によりインビボで、組み換えることができる。インビボ組み換えの方策はE.coli形質転換効率により決定されるライブラリサイズに対する制限を克服するためのFabフラグメントの2本鎖の性質を利用している。未処置なVHおよびVLレパートリーは、一方はファージミド内に、他方はファージベクター内に別個にクローニングする。次に2つのライブラリを、各々の細胞が異なる組み合わせを含有し、そしてライブラリのサイズが存在する細胞の数のみ(約1012クローン)により制限されるように、ファージミド含有細菌のファージ感染により組み合わせる。両方のベクターは、VHおよびVL遺伝子が単一のレプリコン上に組み換えられ、そしてファージビリオン内に同時パッケージされるように、インビボ組み換えを含有する。これらの巨大なライブラリは良好な親和性(約10−8MのKd −1)の多様な抗体を多数提供する。
あるいはレパートリーはBarbas等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:7978−7982(1991)に記載の通り同じベクター内に逐次的にクローニングするか、または、Clackson等、Nature,352:624−628(1991)に記載の通りPCRにより共に組立て、そして次にクローニングしてよい。PCR組み立てはまた、1本鎖Fv(scFv)レパートリーを形成するためにフレキシブルペプチドスペーサーをコードするDNAにVHおよびVLのDNAを連結するために使用できる。さらに別の手法においては、Embleton等、Nucl.Acids Res.,20:3831−3837(1992)に記載の通り「細胞内PCR組み立て」を用いて、VHとVLの遺伝子をリンパ球内でPCRにより組み合わせ、次に連結した遺伝子のレパートリーをクローニングする。
未処置のライブラリにより製造された抗体(天然または合成の何れか)は中程度の親和性のもの(約106〜107M−1のKd −1)のものであることができるが、親和性成熟もまた上出のWinter等(1994)に記載の通り二次ライブラリから構築および再選択することにより模倣できる。例えば、突然変異は、Hawkins等、J.Mol.Biol.,226:889−896(1992)の方法において、またはGram等、Proc.Natl.Acad.Sci USA,89:3576−3580(1992)の方法において、エラープローンポリメラーゼを使用することによりインビトロでランダムに導入できる(Leung等、Technique,1:11−15(1989)において報告)。更に、親和性成熟は、例えば選択された個々のFvクローンにおいて目的のCDRに渡ってランダム配列を担持するプライマーによるPCRを用いてCDR1つ以上をランダムに突然変異させること、および、より高い親和性のクローンを求めてスクリーニングすることにより、実施できる。WO9607754(1996年3月14日公開)は軽鎖遺伝子のライブラリを作成するために免疫グロブリンの軽鎖の相補性決定領域内で突然変異誘発を誘導するための方法を記載している。別の効果的な方策は、Marks等、Biotechnol.,10:779−783(1992)に記載の通り、未免疫化ドナーから得られた天然に存在するVドメイン変異体のレパートリーを有するファージディスプレイにより選択されたVHまたはVLドメインを組み換え、そして、鎖リシャフリングの数ラウンドにおいてより高い親和性を求めてスクリーニングすることである。この手法は10−9M範囲の親和性を有する抗体および抗体フラグメントの製造を可能にする。
FGF19をコードする核酸配列はFGF19の所望の領域のアミノ酸配列を用いて設計できる。あるいは、cDNA配列(またはそのフラグメント)を使用してよい。別のFGF19配列はさらに例えばNM_022963およびXie等、(1999)Cytokine11:729−735に記載されている。FGF19をコードするDNAは当該分野で知られた種々の方法により製造できる。これらの方法は限定しないが、Engels等、Agnew.Chem.Int.Ed.Engl.,28:716−734(1989)に記載されている方法の何れかによる化学合成、例えばトリエステル、ホスファイト、ホスホロアミダイトおよびH−ホスホネート法を包含する。1つの実施形態において発現宿主細胞により好まれるコドンをFGF19コードDNAの設計において使用する。あるいはFGF19コードDNAはゲノムまたはcDNAライブラリから単離できる。
FGF19をコードするDNA分子の構築の後、DNA分子をプラスミドなどの発現ベクター中の発現制御配列に作動可能に連結し、この場合制御配列はベクターで形質転換された宿主細胞により認識される。一般的にプラスミドベクターは宿主細胞に適合する種から誘導された複製および制御の配列を含有する。ベクターは通常は複製部位ならびに形質転換された細胞における表現型選択をもたらすことができるタンパク質をコードする配列を担持している。原核生物および真核生物の宿主細胞における発現のための適当なベクターは当該分野で知られており、一部は本明細書において更に説明する。真核生物、例えば酵母または哺乳類などの多細胞生物から誘導された細胞を使用してよい。
場合により、FGF19をコードするDNAは、培地中への宿主細胞による発現産物の分泌をもたらす分泌リーダー配列に作動可能に連結させる。分泌リーダー配列の例はstII、エコチン、lamB、ヘルペスGD、lpp、アルカリホスファターゼ、インベルターゼおよびアルファ因子を包含する。更に、本発明において使用するのに適するものはプロテインAの36アミノ酸リーダー配列である(Abrahmsen等、EMBOJ.,4:3901(1985))。
宿主細胞は本発明の上記発現またはクローニングベクターによりトランスフェクトおよび好ましくは形質転換され、そしてプロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜変性された従来の栄養培地中で培養する。
トランスフェクションとは任意のコーディング配列が実際に発現されるか否かに関わらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを指す。トランスフェクションの多くの方法は当業者の知る通りであり、例えばCaPO4沈殿およびエレクトロポレーションを包含する。良好なトランスフェクションはこのベクターの作動を示す何らかのものが宿主細胞内に生じた場合に一般的に認識される。トランスフェクションのための方法は当該分野で良く知られており、一部は本明細書において更に説明する。
形質転換とは染色体外エレメントとして、または染色体組み込み体により、DNAが複製されるように有機体内にDNAを導入することを意味する。使用する宿主細胞に応じて、形質転換はそのような細胞に適切である標準的な手法を用いて行う。形質転換のための方法は当該分野で良く知られており、一部は本明細書において更に説明する。
FGF19を製造するために使用される原核生物宿主細胞は上出のSambrook等に一般的に記載されている通り培養できる。
FGF19を製造するために使用される哺乳類宿主細胞は種々の培地中で培養でき、それらは当該分野で良く知られており、一部は本明細書において更に説明する。
本開示において言及する宿主細胞はインビトロ培養物中の細胞ならびに宿主動物内にある細胞を包含する。
FGF19の精製は当該分野で知られた方法により行ってよい。
精製されたFGF19はファージディスプレイクローンのアフィニティークロマトグラフィー分離において使用するために、適当なマトリックス、例えばアガロースビーズ、アクリルアミドビーズ、ガラスビーズ、セルロース、種々のアクリル系共重合体、ヒドロキシルメタクリレートゲル、ポリアクリル系およびポリメタクリル系の共重合体、ナイロン、中性およびイオン性の担体などに結合させることができる。FGF19タンパク質のマトリックスへの結合はMethods in Enzymology,vol.44(1976)に記載の方法により行うことができる。多糖類マトリックス、例えばアガロース、デキストランまたはセルロースにタンパク質リガンドを結合させるために一般的に使用されている手法ハロゲン化シアンによる担体の活性化およびその後のペプチドリガンドの第1脂肪族または芳香族のアミンの活性化マトリックスへのカップリングを包含する。
あるいは、FGF19は吸着プレートのウェルをコーティングするために使用され、吸着プレートに固定された宿主細胞上で発現させ、または、ストレプトアビジンコーティングビーズによるキャプチャーのためにビオチンにコンジュゲートされるか、または、ファージディスプレイライブラリのパニングのための何れかの他の当該分野で知られた方法において使用することができる。
ファージライブラリ試料は吸着材とのファージ粒子の少なくとも一部分の結合のために適する条件下に固定化されたFGF19と接触させる。通常はpH、イオン強度、温度などを包含する条件は生理学的状態を模倣するように選択する。固相に結合したファージは洗浄し、次に例えばBarbas等、Proc.Natl.Acad.Sci USA,88:7978−7982(1991)に記載の通り酸により、またはMarks等、J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載の通りアルカリにより、または例えばClackson等、Nature,352:624−628(1991)の抗原競合法と類似の操作法におけるFGF19抗原競合により、溶離させる。ファージは選択の単一のラウンドにおいて20〜1,000倍濃縮することができる。更にまた、濃縮されたファージは細菌培養において生育させ、そして更に選択ラウンドに付すことができる。
選択の効率は多くの要因、例えば洗浄中の解離の動態、および、単一のファージ上の多数の抗体フラグメントが同時に抗原と契合するかどうかにより異なる。高速の解離動態(および弱い結合親和性)を有する抗体は短時間の洗浄、多価のファージディスプレイおよび固相中の抗原の高いコーティング密度を用いることにより保持することができる。高い密度は多価の相互作用を介してファージを安定化させるのみならず、解離したファージの再結合にも好都合となる。緩徐な解離動態(および良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bass等、Proteins,8:309−314(1990)およびWO92/09690に記載の通り長時間の洗浄と1価のファージ、および、Marks等、Biotechnol.,10:779−783(1992)に記載の通り抗原の低コーティング密度を使用することにより増進することができる。
僅かにしか親和性に差がない場合であっても、FGF19を異なる親和性のファージ抗体の間で選択することも可能である。しかしながら、選択された抗体のランダムな突然変異(例えば上記した親和性成熟の手法の一部において実施されるもの)は大部分が抗原に結合する多くの突然変異体を生じさせ、より高い親和性を有するものは僅かとなる可能性がある。FGF19を制限すれば、希少な高親和性のファージは駆逐される可能性がある。高親和性の突然変異体の全てを保持するためには、ファージを過剰のビオチン化FGF19と共に、ただし、ビオチン化FGF19はFGF19に対する目標モル親和性定数よりも低モルの濃度としながら、インキュベートすることができる。次に高親和性の結合ファージを、ストレプトアビジンコーティング常磁性体ビーズでキャプチャーすることができる。そのような「平衡キャプチャー」により、低親和性を有するファージの大過剰量から、2倍高値親和性もの低値において突然変異体クローンの単離を可能にする選択性で、結合のそれらの親和性に従って抗体を選択できるようになる。固相に結合しているファージの洗浄において使用する条件もまた、解離の動態に基づいて判別するために操作できる。抗FGF19クローンは活性選択してよい。
本発明のハイブリドーマ誘導モノクローナル抗体またはファージディスプレイFvクローンをコードするDNAは従来の操作法を用いて(例えばハイブリドーマまたはファージDNA鋳型から目的の重鎖および軽鎖コーディング領域を特異的に増幅するように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用することにより)容易に単離され、そして配列決定される。単離後、DNAを発現ベクター中に入れ、次にこれを宿主細胞、例えばE.coli、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または別様には免疫グロブリンタンパク質を生産しない骨髄腫細胞内にトランスフェクトすることにより、組み換え宿主細胞内で所望のモノクローナル抗体の合成を達成できる。抗体コードDNAの細菌中での組み換え発現に関する考察文献はSkerra等、Curr.Opinion in Immunol.,5:256(1993)およびPluckthun,Immunol.Revs,130:151(1992)を包含する。
本発明のFvクローンをコードするDNAは重鎖および/または軽鎖の完全長または部分をコードするクローンを形成するために重鎖および/または軽鎖定常領域をコードする既知のDNA配列(例えば適切なDNA配列は上出のKabat等から得ることができる)と組み合わせることができる。当然ながら、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを包含する何れのアイソタイプの定常領域もこの目的のために使用することができ、そして、そのような定常領域は何れかのヒトまたは動物種から得ることができる。ある動物(例えばヒト)の可変ドメインDNAから誘導され、そして次に別の動物種の定常領域DNAに融合させることにより「ハイブリッド」で完全長の重さおよび/または軽鎖に関するコーディング配列を形成したFvクローンは本明細書においては「キメラ」および「ハイブリッド」抗体の定義に包含される。好ましい実施形態においては、ヒト可変DNAから誘導されたFvクローンをヒト定常領域DNAに融合させることにより、全ヒトの、完全長または部分の重鎖および/または軽鎖に関するコーディング配列を形成する。
本発明のハイブリドーマから誘導した抗FGF19抗体をコードするDNAはまた、例えば、ハイブリドーマクローンから誘導された相同ネズミ配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常領域に関するコーディング配列を置き換えることにより修飾することもできる(例えばMorrison等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984)の方法の場合)。ハイブリドーマまたはFvクローン誘導抗体またはフラグメントをコードするDNAは更に、非免疫グロブリンポリペプチドに関するコーディング配列の全てまたは部分を免疫グロブリンコーディング配列に共有結合的に連結することにより更に修飾できる。この態様において、本発明のFvクローンまたはハイブリドーマクローン誘導抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体を製造する。
抗体フラグメント
本発明は抗体フラグメントを包含する。特定の状況において、完全な抗体よりも抗体フラグメントを使用することが有利となる。より小型のフラグメントは急速なクリアランスを可能にし、固形腫瘍への接触を向上させる場合がある。
抗体フラグメントの製造の為には多くの手法が開発されている。伝統的にはこれらのフラグメントは未損傷の抗体のタンパク質分解性消化を介して誘導されている(例えばMorimoto等、Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992);およびBrennan等、Science,229:81(1985)参照)。しかしながら、これらのフラグメントは現在では組み換え宿主細胞により直接製造できる。Fab、FvおよびScFv抗体フラグメントは全てE.coli内で発現され、それから分泌させることができるため、これらのフラグメントの大量生産が容易となる。抗体フラグメントは上記考察した抗体ファージライブラリから単離できる。あるいは、Fab’−SHフラグメントをE.coliから直接回収し、そして化学的にカップリングさせてF(ab’)2フラグメントを形成することもできる(Carter等、Bio/Technology 10:163−167(1992))。別の方策によれば、F(ab’)2フラグメントを組み換え宿主細胞培養物から直接単離できる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含むインビボ半減期の増大したFabおよびF(ab’)2フラグメントは米国特許第5,869,046号に記載されている。抗体フラグメントの製造のための他の手法は当該分野で良く知られている。他の実施形態においては、選択される抗体は1本鎖Fvフラグメント(scFv)である。WO93/16185;米国特許第5,571,894号;および第5,587,458号を参照できる。FvおよびsFvは定常領域を有さない未損傷複合化部位を有する唯一の種であり;従って、それらはインビボの使用中の低減した非特異的結合のために適している。sF融合タンパク質はsFvのアミノまたはカルボキシ末端の何れかにおいてエフェクタータンパク質の融合をもたらすように構築してよい。上記したBorreback編のAntibodyEngineeringを参照できる。抗体フラグメントはまた例えば米国特許第5,641,870号に記載される通り、「線状抗体」であってもよい。そのような線状抗体フラグメントは単一特異性または二重特異性であってよい。
ヒト化抗体
本発明はヒト化抗体を包含する。非ヒト抗体をヒト化するための種々の方法が当該分野で知られている。例えば、ヒト化抗体は非ヒトである原料からそこに導入されたアミノ酸残基1つ以上を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は頻繁には「インポート」残基と称され、これは典型的には「インポート」可変ドメインに由来する。ヒト化は本質的にはヒト抗体の相当する配列の超可変領域配列を置換することにより、Winter等の方法に従って実施することができる(Jones等(1986)Nature321:522−525;Riechmann等(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyen等(1988)Science 239:1534−1536)に従って実施することができる。従ってそのような「ヒト化」抗体は、未損傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が非ヒト種の相当する配列により置換されているキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際、ヒト化抗体は典型的には、一部の超可変領域残基およびおそらくは一部のFR残基がげっ歯類抗体における類似の部位に由来する残基により置換されているヒト抗体である。
ヒト化抗体の作成において使用すべき軽鎖および重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は抗原性を低減するためには極めて重要である。いわゆる「ベストフィット」法に従えば、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリに対してスクリーニングする。次にげっ歯類のものに最も近かったヒト配列がヒト化抗体のためのヒトフレームワークとして許容される(Sims等(1993)J.Immunol.151:2296;Chothia等(1987)J.Mol.Biol.196:901)。別の方法は軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列から誘導した特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークを数種の異なるヒト化抗体に対して使用してよい(Carter等(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285;Presta等(1993)J.Imunol.,151:2623)。
抗原に対する高い親和性および他の望ましい生物学的特性を保持しながら抗体をヒト化させることが更に重要である。この目標を達成するためには、1つの方法によれば、親配列および種々の概念的ヒト化産物の分析の過程により、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いて、ヒト化抗体を製造する。三次元の免疫グロブリンモデルは市販されており、当業者のよく知るものである。選択された候補免疫グロブリン配列の推定三次元コンホーメーション構造を説明してディスプレイするコンピュータープログラムが使用できる。これらのディスプレイを精査することにより、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の推定される役割の分析、即ち候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響する残基の分析が可能になる。このようにして、FR残基を選択し、レシピエントおよびインポート配列から、標的抗原に対する増大した親和性などの所望の抗体特性が達成されるように組み合わせることができる。一般的に超可変領域残基は、抗原結合への影響においては直接、そして最も大きく関与している。
ヒト抗体
本発明のヒト抗FGF19抗体は上記した通り既知のヒト定常ドメイン配列にヒト誘導ファージディスプレイライブラリから選択したFvクローン可変ドメイン配列を組み合わせることにより構築できる。あるいは本発明のヒトモノクローナル抗FGF19抗体はハイブリドーマ法により作成できる。ヒトモノクローナル抗体の製造のためのヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系統は例えばKozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur等、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);およびBoerner等、J.Immunol.,147:86(1991)に記載されている。
現在では、免疫化により、内因性免疫グロブリン生産の非存在下においてヒト抗体の完全なレパートリーを製造することができるトランスジェニック動物(例えばマウス)を製造できる。例えばキメラおよび生殖細胞系統突然変異体マウスにおける抗体重鎖連結領域(JH)のホモ接合欠失が内因性抗体生産の完全な抑制をもたらすことがわかっている。そのような生殖細胞系統突然変異体マウスにおけるヒト生殖細胞系統免疫グロブリン遺伝子アレイの転移は抗原攻撃によりヒト抗体の生産をもたらすことになる。例えばJakobovits等、Proc.Natl.Acad.Sci USA,90:2551(1993);Jakobovits等、Nature,362:255(1993);Bruggermann等、Year in Immunol.,7:33(1993)を参照できる。
遺伝子シャフリングもまた、非ヒト、例えばげっ歯類の抗体からヒト抗体を誘導するために使用することができ、その場合、ヒト抗体は原料の非ヒト抗体と同様の親和性および特異性を有する。「エピトープインプリンティング」とも称されるこの方法によれば、上記したファージディスプレイ手法により得られる非ヒト抗体フラグメントの重鎖または軽鎖可変領域の何れかをヒトVドメイン遺伝子のレパートリーと置き換えることにより、非ヒト鎖/ヒト鎖scFVまたはFabキメラの集団を作成できる。抗原を用いた選択により、非ヒト鎖/ヒト鎖キメラscFVまたはFabの単離がもたらされ、その場合、ヒト鎖は一次ファージディスプレイクローン内の相当する非ヒト鎖の除去により破壊された抗原結合部位を回復し、即ち、エピトープがヒト鎖パートナーの選択を支配(インプリント)する。プロセスを反復することにより残存する非ヒト鎖を置き換える場合、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日公開のPCT WO93/06213 参照)。CDRグラフティングによる非ヒト抗体の伝統的なヒト化とは異なり、この手法は非ヒト起源のFRおよびCDRを有さない完全にヒト型の抗体を提供する。
二重特異性抗体
二重特異性抗体は少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有するモノクローナル、好ましくはヒト型またはヒト化された、抗体である。この例においては、結合特異性の1つはFGF19に対するものであり、そしてもう1つは何れかの他の抗原に対するものである。例示される二重特異性抗体はFGF19タンパク質の2つの異なるエピトープに結合してよい。二重特異性抗体はまたFGF19を発現する細胞に細胞毒性剤を局在化させるために使用してよい。これらの抗体はFGF19結合アームおよび細胞毒性剤(例えばサポリン、抗インターフェロン−α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセートまたは放射性同位体ハプテン))に結合するアームを保有している。二重特異性抗体は完全長抗体または抗体フラグメント(例えばF(ab’)2二重特異性抗体)として製造できる。
二重特異性抗体を作成するための方法は当該分野で知られている。伝統的には、二重特異性抗体の組み換え製造は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づいており、その場合、2つの重鎖は異なる特異性を有する(Millstein等、Nature 305:537−539(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな取合せのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、そのうち僅か1種のみが正しい二重特異性構造を有する。通常はアフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は面倒であり、そして生成物収率は低値である。同様の操作法がWO93/08829およびTraunecker等、EMBOJ,10:3655−3659(1991)に開示されている。
異なる、そしてより好ましい方策によれば、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原複合化部位)を免疫グロブリンの定常ドメイン配列に融合させる。好ましくは、融合は少なくとも一部のヒンジ、CH2およびCH3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインと行う。融合の少なくとも1つにおいて存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合物および所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別個の発現ベクターに挿入し安定な宿主有機体に同時トランスフェクトする。これにより、構築において使用した3種のポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率をもたら場合の実施形態において、3種のポリペプチドフラグメントの相互の割合を調節する場合に大きな柔軟性がもたらされる。しかしながら、等しい比率における少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらす場合、または、比率が特に意味を有さない場合は、1つの発現ベクター内に2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖に関するコーディング配列を挿入することが可能である。
この方法の好ましい実施形態において、二重特異性抗体は一方のアームに第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖および他方のアームにハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性をもたらす)を有する。この非対称の構造は、二重特異性分子の半片方にのみ免疫グロブリン軽鎖が存在することは分離の効率的方法となるため、望ましくない免疫グロブリン鎖の組合せからの所望の二重特異性化合物の分離を容易にすることがわかっている。この方法はWO94/04690に開示されている。二重特異性抗体の形成の更に詳細な説明は例えばSuresh等、Methods in Enzymology121:210(1986)を参照できる。
別の方法によれば、抗体分子対の間の界面を操作することにより組み換え細胞培養から回収されるヘテロ2量体の割合を最大限にすることができる。好ましい界面は抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも部分を含む。この方法においては、第1の抗体分子の界面に由来する小型アミノ酸側鎖1つ以上をより大きい鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)で置き換える。大型のアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えばアラニンまたはスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面上には大型の側鎖と同一または同様のサイズの補償「空洞」が形成される。これはホモ2量体などの他の望ましくない最終生成物を超えてヘテロ2量体の収率を増大させるための機序を与える。
二重特異性抗体は交差結合または「ヘテロコンジュゲート」抗体を包含する。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける抗体の一方をアビジンに、そして他方をビオチンにカップリングすることができる。このような抗体は例えば望ましくない細胞に免疫系細部を標的にすること(米国特許第4,676,980号)およびHIV感染の治療のため(WO91/00360、WO92/200373およびEP03089)に提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は何れかの好都合な交差結合法を用いて作成してよい。適当な交差結合因子は当該分野で良く知られており、そして多くの交差結合の手法と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体フラグメントから二重特異性抗体を形成するための手法もまた文献に記載されている。例えば二重特異性抗体はキメラ連結を用いて製造できる。Brennan等、Science299:81(1985)はF(ab’)2フラグメントを形成するために未損傷の抗体をタンパク質分解的に切断する操作法を記載している。これらのフラグメントをジチオール複合体形成剤、亜ヒ酸ナトリウムの存在下に還元することにより、隣接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィドの形成を防止する。次に形成されたFab’フラグメントをチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。Fab’−TNB誘導体の1つは次にメルカプトエチルアミンで還元することによりFab’−チオールに再変換し、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合することにより二重特異性抗体を形成する。生成した二重特異性抗体は酵素の選択的固定化のための試薬として使用できる。
最近の進歩により、化学的にカップリングすることにより二重特異性抗体を形成できるE.coliからのFab’−SHフラグメントの直接の回収が容易になった。Shalaby等、J.Exp.Med.175:217−225(1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab’)2分子の製造を記載している。各Fab’フラグメントを別個にE.coliから分泌させ、インビトロの指向性化学カップリングに付すことにより、二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体はHER2受容体を過剰発現する細胞および正常ヒトT細胞に結合することができ、同時にヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞毒性リンパ球の溶解活性をトリガーすることができる。
組み換え細胞培養物より直接二重特異性抗体フラグメントを作成して単離する種々の手法も報告されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを用いて製造されている。Kostelny等、J.Immunol.148(5):1547−1553(1992)。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により2種の異なる抗体のFab’部分に連結している。抗体のホモ2量体をヒンジ領域で還元することによりモノマーを形成し、次に、再酸化して抗体ヘテロ2量体を形成している。この方法はまた抗体ホモ2量体の製造の為にも利用できる。Hollinger等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448(1993)に記載の「ダイアボディー」手法は二重特異性抗体フラグメントを作成するための代替機序を与えている。フラグメントは同じ鎖の2ドメイン間の対形成を可能とするには短すぎるリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインが別のフラグメントの相補VLおよびVHドメインに強制的に対形成させられ、これにより2つの抗原結合部位が形成される。一本鎖Fv(sFv)2量体の使用により二重特異性抗体フラグメントを作成するための別の方策も報告されている。Gruber等、J.Immunol.,152:5368(1994)を参照できる。
2価より多価の抗体も意図される。例えば3重特異性抗体を作成できる。Tutt等、J.Immunol.147:60(1991)。
多価抗体
多価抗体は抗体が結合する相手の抗原を発現する細胞により、2価抗体よりも急速に内在化(および/または異化)される場合がある。本発明の抗体は3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(IgMクラス以外である)(例えば4価抗体)であることができ、これは抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組み換え発現により容易に製造できる。多価抗体は2量化ドメインおよび3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。好ましい2量化ドメインはFc領域またはヒンジ領域を含む(またはそれからなる)。この設定においては、抗体はFc領域およびFc領域に対してアミノ末端側に3つ以上の抗原結合部位を含むことになる。好ましい多価抗体は本発明においては、3〜約8個、好ましくは4個の抗原結合部位を含む(またはそれからなる)。多価抗体は少なくとも1つのポリペプチド鎖(および好ましくは2つのポリペプチド鎖)を含み、ここでポリペプチド鎖は2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−(X2)n−Fcを含んでよく、式中VD1は第1の可変ドメイン、VD2は第2の可変ドメイン、FcはFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2はアミノ酸またはポリペプチドを示し、nは0または1である。例えば、ポリペプチド鎖はVH−CH1−フレキシブルリンカー−VH−CH1−Fc領域鎖;またはVH−CH1−VH−CH1−Fc領域鎖を含んでよい。本発明の多価抗体は好ましくは更に少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含む。本発明の多価抗体は例えば約2〜約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含んでよい。本明細書において意図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを含み、そして場合により更にCLドメインを含む。
抗体変異体
一部の実施形態においては、本明細書に記載した抗体のアミノ酸配列の修飾が意図される。例えば抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を向上させることが望まれる場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は抗体核酸に適切なヌクレオチドの変化を導入することによるか、または、ペプチド合成により製造される。このような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失および/または挿入および/または置換を包含する。欠失、挿入および置換の何れかの組み合わせが最終コンストラクトに到達するまで行ってよいが、ただし最終コンストラクトは所望の特性を保有しなければならない。アミノ酸の改変は配列が作成される時点で対象となる抗体のアミノ酸配列に導入してよい。
突然変異誘発のために好ましい位置である抗体の特定の残基または領域の発見のための有用な方法はCunningham and Wells(1989)Science,244:1081−1085により記載される通り「アラニンスキャニング突然変異誘発」と称される。ここでは、残基または標的残基の群を発見(例えばarg、asp、his、lysおよびgluなどの荷電残基)し、そして中性または逆に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)で置き換えることにより抗原とのアミノ酸の相互作用に影響を与える。次に置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置を、置換の位置において、またはそのための、追加的または別の変異体を導入することにより精査する。即ち、アミノ酸配列変異を導入するための部位が予め決定されるが、突然変異そのものの性質は予め決定されなくてよい。例えば、所定の部位における突然変異の性能を分析するためには、alaスキャニングまたはランダム突然変異誘発を標的コドンまたは領域において実施し、そして発現された免疫グロブリンで所望の活性を有するものをスクリーニングする。
アミノ酸配列の挿入は、1残基〜100以上の残基を含有するポリペプチドの長さの範囲のアミノおよび/またはカルボキシ末端の融合、ならびに、単一または複数のアミノ酸残基の配列内の挿入を包含する。末端挿入の例はN末端メチオニル残基を有する抗体または細胞毒性ポリペプチドに融合した抗体を包含する。抗体分子の他の挿入による変異体は、血清中の抗体の半減期を増大させる酵素(例えばADEPT)またはポリペプチドに対する抗体のNまたはC末端への融合を包含する。
抗体のアミノ酸変異体の別の型は抗体の元のグリコシル化パターンを改変する。そのような改変は抗体中に存在する炭水化物1つ以上の欠失、および/または、抗体中に存在しないグリコシル化部位1つ以上の付加を包含する。
ポリペプチドのグリコシル化は典型的にはN連結またはO連結となる。N連結とはアスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン、ここでXはプロリン以外の何れかのアミノ酸であるものは、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合に関する認識配列である。即ちこれらのトリペプチド配列の何れかのポリペプチド中の存在が潜在的グリコシル化部位を生じさせる。O連結グリコシル化はヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの糖類N−アセチルグルコサミン、ガラクトースまたはキシロースの1つの結合を指すが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンも使用してよい。
グリコシル化部位の抗体への付加は、好都合には、アミノ酸配列を、それが上記したトリペプチド配列の1つ以上を含有するように改変することにより達成される(N連結グリコシル化部位の場合)。改変はまた、元の抗体の配列に対する、セリンまたはスレオニン残基の1つ以上の付加または置換により行ってよい(O連結リコシル化部位の場合)。
抗体がFc領域を含む場合、それに結合している炭水化物は改変してよい。例えば抗体のFc領域に結合したフコースを欠いている成熟炭水化物構造を有する抗体は米国特許出願第2003/0157108号(Presta,L)に記載されている。また、米国特許出願第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)も参照できる。抗体のFc領域に結合した炭水化物中に二分割N−アセチルグルコサミン(GlcNac)を有する抗体は、WO2003/011878,Jean−Mairet等および米国特許第6,602,684号,Umana等において参照されている。抗体のFc領域に結合したオリゴ糖内にガラクトース少なくとも1つを有する抗体はWO1997/30087,Patel等に記載されている。更にまた自身のFc領域に連結した改変された炭水化物を有する抗体に関するWO1998/58964(Raju,S.)およびWO1999/22764(Raju,S.)も参照できる。
好ましいグリコシル化変異体は本明細書においては、Fc領域に結合した炭水化物構造がフコースを欠いているFc領域を含む。そのような変異体は向上したADCC機能を有する。場合により、Fc領域は更にそこにADCCを更に向上させるアミノ酸置換1つ以上、例えばFc領域の298、333および/または334位の置換を含む(Euの残基ナンバリング)。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体に関する公開物の例は、US2003/0157108;WO2000/61739;WO2001/29246;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;WO2003/085119;WO2003/084570;WO2005/035586;WO2005/035778;WO2005/053742;Okazaki等、J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004);Yamane−Ohnuki等、Biotech.Bioeng.87:614(2004)を包含する。脱フコシル化抗体を生産する細胞系統の例はタンパク質フコシル化を欠損しているLeo13CHO細胞(Ripka等、Arch.Biochem.Biophys.249:533−545(1986);米国特許出願第2003/0157108 A1号,Presta,L;およびWO2004/056312 A1,Adams等、特に実施例11)、およびノックアウト細胞系統、例えばアルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8ノックアウトCHO細胞((Yamane−Ohnuki等、Biotech.Bioeng.87:614(2004))を包含する。
変異体の別の型はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は異なる残基で置き換えられた抗体分子内のアミノ酸残基少なくとも1つを有する。置換突然変異誘発の最大の関心部位は超可変領域を包含するが、FR改変もまた意図される。保存的な置換は「好ましい置換」と題して表1に示すものである。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合は、表1において「例示される置換」と命名されたもの、またはアミノ酸のクラスに関して後述するような、より実質的な変化を導入して産物をスクリーニングしてよい。
抗体の生物学的特性における実質的な修飾は(a)例えばシートまたはらせん状のコンホーメーションとしての、置換の領域におけるポリペプチドの骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または、(c)側鎖の嵩、を維持することに対するその作用において有意に異なる置換を選択することにより達成される。天然に存在する残基を共通側鎖の特性に基づいて、下記の通りグループ分けしてよい。
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:his、lys、arg;
(5)鎖の方向に影響する残基:gly、pro;
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
非保存的置換はこれらのクラスの一方のメンバーを別のクラスと交換することを包含する。
置換変異体の1つの型では、親抗体(例えばヒト化またはヒト抗体)の超可変領域残基の1つ以上が置換される。一般的に、得られた変異体でその後の開発のために選択されるものはそれらが形成される元となった親抗体と比較して向上した生物学的特性を有することになる。そのような置換変異体を形成するための好都合な方法では、ファージディスプレイを用いたアフィニティー成熟化を行う。慨すれば、幾つかの超可変領域部位(例えば6〜7部位)を突然変異させて各部位における全ての可能なアミノ酸置換を形成する。このようにして形成された抗体を、フィラメントファージ粒子から、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物への融合物としてディスプレイする。ファージディスプレイされた変異体を次に、本明細書に開示したその生物学的活性(例えば結合親和性)に関してスクリーニングする。修飾に関する候補超可変領域部位を発見するためには、アラニンスキャニング突然変異誘発を実施することにより抗原結合に大きく寄与している超可変領域残基を発見することができる。あるいは、または追加的に、抗体と抗原の間の接触点を発見するために抗原−抗体複合体の結晶構造を分析することが有益である場合がある。このような接触残基および近隣の残基は本発明において考案した手法により置換のための候補である。このような変異体を形成した後、変異体のパネルを本明細書に記載する通りスクリーニングに付し、そして該当する試験1つ以上において優れた特性を有していた抗体を選択してその後の開発に付す。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は当該分野で知られた種々の方法により製造される。これらの方法は、例えば天然原料(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)からの単離、または、オリゴヌクレオチド媒介(または部位指向性)突然変異誘発、PCR突然変異誘発および以前に作成された抗体変異体または非変異体型のカセット突然変異誘発による作成を包含する。
本発明の免疫グロブリンポリペプチドのFc領域内にアミノ酸修飾1つ以上を導入することにより、Fc領域変異体を形成することが望ましい場合がある。Fc領域変異体はヒンジシステインを包含するアミノ酸位置1つ以上においてアミノ酸修飾(例えば置換)を含むヒトFc領域配列(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4Fc領域)を含んでよい。本明細書の記載および当該分野の教示に従って、一部の実施形態においては、本発明の方法で使用する抗体は例えばFc領域において野生型の対応する抗体と比較して改変1つ以上を含んでよいことを意図している。これらの抗体はしかしなお、その対応野生型と比較して治療利用性のために必要な実質的に同じ特性を保持している。例えば改変された(即ち向上した、または低減した)Clq結合および/または補体依存細胞毒性)(CDC)をもたらすように、例えばWO99/51642に記載する通り、特定の改変をFc領域において行うことができる。同様にFc領域変異体の別の例に関わるDuncan&Winter Nature 322:738−40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;およびWO94/29351も参照できる。WO00/42072(Presta)およびWO2004/056312(Lowman)はFcRへの向上した、または減衰した結合を有する抗体変異体を記載している。これらの特許公開の内容は特に参照により本明細書に組み込まれる。更にまた、Shields等、J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)も参照できる。増加した半減期および胎児への母性IgGの転移を担っている(Guyer等、J.Immunol.117:587(1976)およびKim等、J.Immunol.24:249(1994))新生児Fc受容体への向上した結合を有する抗体は米国特許出願第2005/0014934A1号(Hinton等)に記載されている。これらの抗体はFcRnへのFc領域の結合を向上させる置換1つ以上を自身内に有するFc領域を含む。改変されたFcアミノ酸配列および増加または低下したC1結合能力を有するポリペプチド変異体は米国特許第6,194,551B1号,WO99/51642に記載されている。これらの特許公開の内容は特に参照により本明細書に組み込まれる。更にまたIdusogie等、J.Immunol.164:4178−4184(2000)も参照できる。
抗体誘導体
本発明の抗体誘導体は、当該分野で知られ容易に入手できる別の非タンパク質性部分を含有するように更に修飾することができる。好ましくは、抗体の誘導体化に適する部分は水溶性重合体である。水溶性重合体の非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキソラン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(単独重合体またはランダム共重合体の何れか)およびデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール単独重合体、プロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコールおよびこれらの混合物を包含する。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドはその水中での安定性のために製造において好都合である。重合体は何れかの分子量のものであってよく、そして分枝鎖または未分枝鎖であってよい。抗体に結合する重合体の数は変動してよく、そして、1つより多い重合体が結合する場合は、それらは同じかまたは異なる分子であることができる。一般的に、誘導体化に使用する重合体の数および/または種類は、例えば向上させるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体を特定の条件下の治療に使用するのか等を考慮しながら決定することができる。
所望の特性を有する抗体を得るためのスクリーニング
本発明の抗体はFGF19に結合し、そして一部の実施形態においては、FGF19関連作用の態様1つ以上、例えば限定しないが、FGFR4活性化、FGFR4下流分子シグナリング、FGF19へのFGFR4の結合の破壊、FGFR4多量体化、CYP7α1遺伝子の発現、FGFR4、MAPK、FRS2および/またはERK2のリン酸化、β−カテニンの活性化、FGF19誘発細胞遊走、および/または何れかの生物学的に関連するFGF19および/またはFGFR4の生物学的経路の破壊、および/または、腫瘍、細胞増殖性疾患または癌の治療および/または防止、および/または、FGF19の発現および/または活性(例えば増大したFGF19の発現および/または活性)に関連する疾患の治療または防止の1つ以上を調節してよい。
精製された抗体は更に、一連の試験、例えば限定しないが、N末端配列決定、アミノ酸分析、非変性サイズエクスクルージョン高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量スペクトル、イオン交換クロマトグラフィーおよびパパイン消化により特性化することができる。
本発明の特定の実施形態においては、本明細書において製造される抗体をその生物活性に関して分析する。一部の実施形態においては、本発明の抗体はその抗原結合活性に関して試験する。当該分野で知られ、そして本発明において使用できる抗原結合試験は例えば限定しないが、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着試験)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降試験、蛍光イムノアッセイ、およびプロテインAイムノアッセイの手法を用いた任意の直接または競合的結合試験を包含する。代表的な抗原結合試験を実施例のセクションにおいて後に説明する。
一部の実施形態においては、本発明はFGF19への結合に関して下記配列:DIKMTQSPSSMYASLGERVTIPCKASQDINSFLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLEYEDMGIYYCLQYDEFPLTFGAGTKVEIKR(配列番号4)を有する軽鎖可変ドメイン;および、下記配列:QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTTYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWPGGGTDYNAAFISRLSITKDNSKSQVFFKMNSLLANDTAIYFCVRKEYANLYAMDYWGQGTLLTVSA(配列番号8)を有する重鎖可変ドメインを含む抗体と競合する、抗FGF19モノクローナル抗体を提供する。このような競合抗体は抗体により認識されるFGF19エピトープと同じか重複するFGF19エピトープを認識する抗体を包含する。このような競合抗体は下記配列:DIKMTQSPSSMYASLGERVTIPCKASQDINSFLSWFQQKPGKSPKTLIYRANRLVDGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLEYEDMGIYYCLQYDEFPLTFGAGTKVEIKR(配列番号4)を有する軽鎖可変ドメイン;および、下記配列:QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTTYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWPGGGTDYNAAFISRLSITKDNSKSQVFFKMNSLLANDTAIYFCVRKEYANLYAMDYWGQGTLLTVSA(配列番号8)を有する重鎖可変ドメインを含む標識された抗体との競合において、固定化されたFGF19への結合に関して抗FGF19ハイブリドーマ上澄みをスクリーニングすることにより得られる。競合抗体を含有するハイブリドーマ上澄みは非関連(または無)抗体を含有する対照結合混合物において検出される結合標識抗体の量と比較して、対象となる競合結合混合物において検出される結合標識抗体の量を低減することになる。本明細書に記載した競合結合試験の何れかが上記した操作法における使用に適している。
本明細書に記載した特性を保有する抗FGF19抗体は、任意の好都合な方法により所望の特性に関して抗FGF19ハイブリドーマクローンをスクリーニングすることにより得ることができる。例えば、FGF19へのFGFR4の結合をブロックする、またはブロックしない抗FGF19モノクローナル抗体が望まれる場合は、候補抗体を結合競合試験において試験することができる。競合試験は当該分野で良く知られており、そしてそのような試験の1つは実施例において記載する通りである。
抗FGF19抗体の抑制能力を測定するための他の機能的試験は当該分野で知られており、その一部はほめにおいて例示する通りである。
一部の実施形態においては、本発明は、インビボの抗体の半減期は重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば補体およびADCC)は不必要または有害である多くの用途に対して、自身を望ましい候補とする、一部であるが全てではないエフェクター機能を保有する改変された抗体を意図する。特定の実施形態においては。生成した免疫グロブリンのFc活性を計測することにより、所望の特性のみが維持されていることを確実なものとする。インビボおよび/またはインビトロの細胞毒性試験を実施することによりCDCおよび/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合試験を実施することにより抗体がFcγR結合を欠いている(従ってADCC活性を欠いている可能性がある)が、FcRn結合能力は保持していることを確実なものとすることができる。ADCC媒介のための主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991)の464ページの表3に集約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロ試験の例は、米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載されている。このような試験のための有用なエフェクター細胞は末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を包含する。あるいは、または追加的に、目的の分子のADCC活性はインビボで、例えばClynes等、PNAS(USA)95:652−656(1998)に開示されているものなどの動物モデルにおいて試験してよい。C1q結合試験はまた抗体がC1qに結合不能であり、それ故にCDC活性を欠いていることを確認するために実施してよい。補体活性化を試験するためには、例えばGazzano−Santoro等、J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載のCDC試験を実施してよい。FcRn結合およびインビボのクリアランス/半減期の測定もまた、当該分野で知られた方法を用いて実施できる。
一部の実施形態においては、本発明は増大したエフェクター機能および/または増大した半減期を保有する改変された抗体を提供する。
ベクター、宿主細胞および組み換え方法
本発明の抗体の組み換え製造のためには、それをコードする核酸を単離し、そして複製可能なベクターに挿入してその後のクローニング(DNAの増幅)に付すか、または、発現に付す。抗体をコードするDNAは従来の操作法(例えば抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによる等)を用いて容易に単離して配列決定される。多くのベクターが使用可能である。ベクターの選択は部分的には使用する宿主細胞による。一般的に、好ましい宿主細胞は原核生物または真核生物(一般的に哺乳類)起源の何れかのものである。当然ながら、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを包含する如何なるアイソタイプの定常領域も、この目的のために使用することができ、そしてそのような定常領域は何れかのヒトまたは動物の種から得ることができる。
a.原核生物の宿主細胞を用いた抗体の作成
i.ベクターの構築
本発明の抗体のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列は標準的な組み換え手法を用いて得ることができる。ハイブリドーマ細胞などの抗体生産細胞から所望のポリヌクレオチド配列を単離して配列決定する。あるいは、ポリヌクレオチドはヌクレオチド合成装置またはPCR手法を用いて合成することができる。得られた後、ポリペプチドをコードする配列を原核生物宿主内で複製し、異種ポリヌクレオチドを発現することができる組み換えベクター内に挿入する。当該分野で入手可能であり知られている多くのベクターを本発明の目的のために使用できる。適切なベクターの選択はベクターに挿入すべき核酸の大きさ、および、ベクターで形質転換すべき特定の宿主細胞により主に決定されることになる。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅または発現または両方)およびそれが入る特定の宿主細胞とのその適合性に応じて、種々の成分を含有する。ベクター成分は一般的に、例えば複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸インサートおよび転写終止配列を包含する。
一般的にレプリコンおよび宿主細胞と適合する種から誘導される制御配列を含有するベクターをその宿主と組み合わせて使用する。ベクターは通常は複製部位、ならびに、形質転換された細胞における表現型選択をもたらすことができるマーキング配列を担持している。例えばE.coliは典型的にはE.coli種から誘導されるプラスミドであるpBR322を用いて形質転換される。pBR322はアンピシリン(Amp)およびテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含有しており、従って、形質転換された細胞を発見するための簡便な手段を提供する。pBR322、その誘導体または他の微生物プラスミドまたはバクテリオファージはまた、内因性タンパク質の発現のために微生物により使用されることができるプロモーターを含有するか、含有するように修飾されていてよい。特定の抗体の発現のために使用されるpBR322誘導体の例はCarter等の米国特許第5,648,237号に詳細に記載されている。
更に、レプリコンおよび宿主微生物と適合する制御配列を含有するファージベクターをそれらの宿主と組み合わせて形質転換ベクターとして使用することができる。例えば、λGEM.TM.−11などのバクテリオファージは、E.coliLE392などの感受性宿主細胞を形質転換するために使用できる組み換えベクターを作成するときに利用してよい。
本発明の発現ベクターはポリペプチド成分の各々をコードする2つ以上のプロモーター−シストロン対を含んでよい。プロモーターはその発現を調節するシストロンの上流(5’)に位置する未翻訳調節配列である。原核生物のプロモーターは典型的には2つのクラス、即ち誘導および構成プロモーターに属する。誘導プロモーターは例えば栄養の有無または温度変化などの培養条件の変化に応答してその制御下にシストロンの転写の増大した水準を開始するプロモーターである。
種々の潜在的な宿主細胞により認識される多数のプロモーターがよく知られている。選択されたプロモーターは、制限酵素消化を介して原料DNAからプロモーターを取り出すこと、および、本発明のベクター内への単離されたプロモーター配列を挿入することにより、軽鎖または重鎖をコードするシストロンDNAに作動可能に連結することができる。未変性のプロモーター配列および多くの異種のプロモーターの両方が標的遺伝子の直接の増幅および/または発現を指向するために使用してよい。一部の実施形態においては、異種のプロモーターは、未変性標的ポリペプチドプロモーターと比較して、一般的により高値の転写および発現された標的遺伝子のより高値の収率を可能にすることから、これらが利用されている。
原核生物宿主を用いる場合の使用に適するプロモーターはPhoAプロモーター、β−ガラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系およびハイブリッドプロモーター、例えばtacまたはtrcプロモーターを包含する。しかしながら、細菌内で機能する他のプロモーター(例えば他の既知の細菌またはファージのプロモーター)が同様に適している。そのヌクレオチド配列は公開されており、これにより当業者であればそれらを、何れかの必要な制限部位を供給するためにリンカーまたはアダプターを用いて標的の軽鎖および重鎖をコードするシストロンに作動可能に連結することが可能である(Siebenlist等、(1980)Cell 20:269)。
本発明の1つの態様において、組み換えベクター内の各シストロンは膜を通過する発現されたポリペプチドの転座を指向する分泌シグナル配列成分を含む。一般的にシグナル配列はベクターの成分であってよく、または、ベクター内に挿入される標的ポリペプチドDNAの部分であってよい。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は宿主細胞により認識されプロセシングされる(即ちシグナルペプチダーゼにより切断される)ものでなければならない。異種ポリペプチドに対して未変性であるシグナルペプチドを認識またはプロセシングしない原核生物宿主細胞の場合は、シグナル配列は例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ippまたは熱安定性エンテロロキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpAおよびMBPからなる群から選択される原核生物シグナル配列により置換される。本発明の1つの実施形態において、発現系の両シストロンにおいて使用されるシグナル配列はSTIIシグナル配列またはその変異体である。
別の態様においては、本発明の免疫グロブリンの製造は宿主細胞の原形質内において起こることができ、従って各シストロン内の分泌シグナル配列の存在を必要としない。その点に監視、免疫グロブリンの軽鎖および重鎖は原形質内において発現され、折り畳まれ、そして組み立てられて機能的免疫グロブリンを形成する。特定の宿主細胞(例えばE.coli trxB系統)はジスルフィド結合の形成に好都合な原形質条件を提供し、これにより、発現されたタンパク質サブユニットの適切な折り畳みおよび組み立てを可能にする。Proba and Pluckthun Gene,159:203(1995)。
本発明の抗体を発現するために適する原核生物宿主細胞は例えばグラム陰性またはグラム陽性の生物などの原始細菌および真正細菌を包含する。有用な細菌の例はエシェリシア(例えばE.coli)、バチルス(例えばB・サブチルス)、腸内細菌、シュードモナス種(例えばP・アエルギノーサ)、サルモネラ・チフィムリウム、セラチア・マルクレブシエラ、プロテウス、シゲラ、リゾビア、ビトレオシラまたはパラコッカスを包含する。1つの実施形態において、グラム陰性菌体を使用する。1つの実施形態において、E.coli菌体を本発明の宿主として使用する。E.coli菌株の例は、菌株W3111(Bachmann,Cellular and Molecular Biology,vol.2(Washington D.C.:American Society for Microbiology,1987),pp.1190−1219;ATCC寄託番号27,325)およびその誘導体、例えば遺伝子型W3110ΔfhuA(ΔtonA)ptr3lacIqlacL8ΔompTΔ(nmpc−fepE)degP41kanRを有する菌株33D3を包含する(米国特許第5,639,635号)。他の菌株およびその誘導体、例えばE.coli294(ATCC31,446)、E.coliB、E.coliλ1771(ATCC31,537)およびE.coliRV308(ATCC31,608)もまた適している。これらの例は例示的なものであり、限定するものではない。所定の遺伝子型を有する上記した細菌の何れかの誘導体を構築するための方法は当該分野で知られており、そして例えばBass等、Proteins,8:309−314(1990)に記載されている。細菌の菌体内のレプリコンの複製能力を考慮しながら適切な細菌を選択することが一般的に必要である。例えば、E.coli、セラチアまたはサルモネラ種はpBR322、pBR325、pACYC177またはpKN410などのよく知られたプラスミドを用いてレプリコンを供給する場合には、宿主として使用するのに適している。典型的には、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌しなければならず、そして細胞培養物には追加的なプロテアーゼ阻害剤を配合することが望ましい。
ii.抗体の製造
宿主細胞は上記した発現ベクターで形質転換し、そしてプロモーターの誘導、形質転換体の選択または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜調整された従来の栄養培地中で培養する。
形質転換とは、DNAが染色体外エレメントとして、または染色体組込物により複製可能であるように厳格細胞の宿主内にDNAを導入することを意味する。使用する宿主細胞に応じて、形質転換はそのような細胞に適する標準的な手法を用いて行う。塩化カルシウムを使用するカルシウム処理は一般的にはかなりの細胞壁バリアを含有する細菌細胞に対して使用されている。形質転換の別の方法はポリエチレングリコール/DMSOを使用する。更に別の手法はエレクトロポレーションである。
本発明のポリペプチドを製造するために使用する原核生物の細胞は当該分野で知られ、そして選択された宿主細胞の培養に適する培地中で成育させる。適当な培地の例はルリア培地(LB)+必要な栄養補給物である。一部の実施形態においては、培地はまた発現ベクターを含有する原核生物の細胞の成育を選択的に可能にするために、発現ベクターの構築に基づいて選ばれた選択物質を含有してよい。例えば、アンピシリンをアンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の成育のための培地に添加してよい。
炭素、窒素および無機物リン酸塩の補給源に加えて、任意の必要な補給物も単独で導入するか、または他の補給物または培地との混合物として、例えば複合窒素源として、適切な濃度において含んでよい。場合により、培地はグルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリスリトールおよびジチオスレイトールからなる群から選択される1つ以上の還元剤を含有してよい。
原核生物宿主細胞は適当な温度で培養する。E.coliの生育のためには、例えば好ましい温度は約20℃〜約39℃の範囲、より好ましくは約25℃〜約37℃、更に好ましくは約30℃である。培地のpHは主に宿主生物に応じて約5〜約9の範囲である。E.coliの場合、pHは好ましくは約6.8〜約7.4、更に好ましくは約7.0である。
誘導プロモーターを本発明の発現ベクター中において使用する場合、タンパク質の発現はプロモーターの活性化に適する条件下に誘導する。本発明の1つの態様において、PhoAプロモーターをポリペプチドの転写を制御するために使用する。従って、形質転換された宿主細胞は導入のためのホスフェート制限培地中で培養する。好ましくは、ホスフェート制限培地はC.R.A.P培地である(例えばSimmons等、J.Immunol.Methods(2002),263:133−147参照)。種々の他のインデューサーも当該分野で知られる通り、使用されるベクターコンストラクトに応じて使用してよい。
1つの実施形態において、本発明の発現されたポリペプチドは宿主細胞のペリプラズム内に分泌させ、それより回収する。タンパク質の回収では、典型的には細胞の破壊を、一般的には浸透圧ショック、超音波または細部溶解などの手段により行う。細胞が破壊された後に細胞の破砕物または全細胞を遠心分離または濾過により分離してよい。タンパク質は例えばアフィニティー樹脂クロマトグラフィーにより更に精製してよい。あるいは、タンパク質を培地中に移しそこで単離することもできる。生成したタンパク質を更に精製するために、細胞を培地から除去し、培養上澄みを濾過し、濃縮してよい。発現されたポリペプチドは更に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)およびウエスタンブロットなどの一般的に知られた方法を用いて単離および同定することができる。
本発明の1つの態様において、抗体の製造は醗酵法により大量に実施される。種々の大規模供給バッチ醗酵賞作法が組み換えタンパク質の製造のために使用できる。大規模醗酵は少なくとも1000リットルの容量、好ましくは約1,000〜100,000リットルの容量を有する。これらの醗酵器は酸素と栄養物、特にグルコース(好ましい炭素原子/エネルギー源)を分散させるために攪拌羽根車を使用する。小規模醗酵とは一般的に約100リットル以下の容量であり、約1リットル〜約100リットルの範囲であることができる醗酵器内の醗酵を指す。
醗酵過程においては、タンパク質発現の誘導は典型的には細胞が所望の密度、例えば細胞が早期定常期である約180〜220のOD550となるまで適当な条件下に生育させた後に開始する。当該分野で知られる通り、そして、上記した通り、使用されるベクターコンストラクトに応じて種々のインデューサーを使用してよい。細胞は誘導の前に短時間生育させてよい。細胞は通常は約12〜50時間誘導するが、より長時間または短時間も使用してよい。
本発明のポリペプチドの製造収率および品質を向上させるためには、種々の醗酵条件を変更できる。例えば、分泌された抗体ポリペプチドの適切な組み立ておよび折り畳みを向上させるためには、追加的なベクター過剰発現シャペロンタンパク質、例えばDsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbDおよび/またはDsbG)またはFkpA(シャペロン活性を有するペピチジルプロピルシストランス−イソメラーゼ)を使用して宿主原核生物細胞を同時形質転換することができる。シャペロンタンパク質は宿主細胞内で生産された異種タンパク質の適切な折り畳みおよび溶解性を促進することがわかっている。Chen等(1999)J Bio Chem 274:19601−19605;Georgiou等の米国特許第6,083,715号;Georgiou等の米国特許第6,027,888号;Bothmann and Pluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17100−17105;Ramm and Pluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17106−17113;Arie等(2001)Mol.Microbiol.39:199−210。
発現された異種タンパク質(特にタンパク質分解的に感受性であるもの)のタンパク質分解を最小限にするためには、タンパク質分解酵素に関して欠損である特定の宿主系統を本発明のために使用できる。例えば、宿主細胞系統はプロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVIおよびその組み合わせなどの知られた細菌性プロテアーゼをコードする遺伝子内で遺伝子突然変異が起こるように修飾してよい。一部のE.coliプロテアーゼ欠損の系統が使用可能であり、例えばJoly等(1998)、上出;Georgiou等の米国特許第5,264,365号;Georgiou等の米国特許第5,508,192号;Hara等、Microbial Drug Resistance,2:63−72(1996)に記載されている。
1つの実施形態において、タンパク質分解酵素について欠損であり、そしてシャペロンタンパク質1つ以上を過剰発現するプラスミドで形質転換されているE.coli菌株が本発明の発現系における宿主細胞として使用される。
iii.抗体の精製
当該分野で知られた標準的なタンパク質精製方法を使用することができる。以下の操作法、即ち、免疫アフィニティーまたはイオン交換カラム上の分画、エタノール沈降法、逆相HPCL、シリカゲル上またはカチオン交換樹脂、例えばDEAE上のクロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈降法および例えばセファデックスG−75を用いたゲル濾過等が適当な精製操作法の例である。
1つの態様において、固相上に固定化されたプロテインAを本発明の完全長抗体産物の免疫アフィニティー精製のために使用する。プロテインAは抗体のFc領域に高親和性で結合するスタフィロコッカス・アウレウス由来の41kDの細胞壁タンパク質である。Lindmark等(1983)J.Immunol.Meth.62:1−13。プロテインAを固定化する固相は好ましくはガラスまたはシリカの表面を含むカラム、より好ましくは制御された細孔を有するガラスカラムまたはケイ酸カラムである。一部の適用例においては、カラムは、夾雑物の非特異的結合を防止するために、試薬、例えばグリセロールでコーティングされている。
精製の第1工程として、上記した細胞培養物から誘導された調製物をプロテインA固定化固相上に適用し、プロテインAへの目的の抗体の特異的結合を行う。次に固相を洗浄して固相に非特異的に結合した夾雑物を除去する。最後に溶出により固相から目的の抗体を回収する。
b.真核生物宿主細胞を用いた抗体の作成
ベクター成分は限定的ではないが一般的にはシグナル配列、複製起点、マーカー遺伝子1つ以上、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終止配列の1つ以上を含む。
(i)シグナル配列成分
真核細胞宿主細胞において使用するためのベクターもまた目的の成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドを含有してよい。好ましく選択される異種のシグナル配列は宿主細胞により認識されプロセシングされる(即ちシグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。哺乳類細胞発現においては、哺乳類シグナル配列、ならびに、ウィルス分泌リーダー、例えば単純疱疹gDシグナルが使用できる。
このような前駆体領域のDNAは、抗体をコードするNDAに読み枠内で連結される。
(ii)複製起点
一般的に複製起点成分は哺乳類発現ベクターには必要ではない。例えばSV40起点は典型的には、それが早期プロモーターを含有しているためにのみ使用してよい。
(iii)選択遺伝子成分
発現およびクローニングベクターは選択遺伝子、即ち選択可能なマーカーとも称されるものを含有してよい。典型的な選択遺伝子は(a)抗生物質または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートまたはテトラサイクリンに対する耐性を付与するか(b)該当する場合は栄養要求性欠損を補充するか、または(c)複合培地からは得られない重要な栄養を補給するタンパク質をコードする。
選択スキームの他の例は宿主細胞の生育を停止させる薬剤を利用する。異種遺伝子で良好に形質転換された細胞は薬剤耐性を付与するタンパク質を生産し、そしてこのため、選択環境において生存することができる。このような優性選択の例は薬剤ネオマイシン、マイコフェノール酸およびハイグロマイシンを使用する。
哺乳類細胞に対する適当な選択可能なマーカーの別の例は、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−Iおよび−II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンカルボキシラーゼ等、抗体核酸を取り込む能力を有する細胞の発見を可能にするものである。
例えばDHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキセート(Mtx)を含有する培地中で全形質転換体を培養することによりまず発見される。野生型DHFRを使用する場合の適切な宿主細胞は、DHFR活性を欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系統である(例えばATCCCRL−9096)。
あるいは、抗体、野生型DHFRタンパク質および他の選択可能なマーカー、例えばアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)をコードするDNA配列で形質転換または同時形質転換された宿主細胞(特に内因性DHFRを含有する野生型宿主)は、アミノグリコシド抗生物質、例えばカナマイシン、ネオマイシンまたはG418などの選択可能なマーカーに関する選択剤を含有する培地中における細胞生育により選択できる。
(iv)プロモーター成分
発現およびクローニングベクターは通常は宿主生物により認識されるプロモーターを含有しそして抗体ポリペプチド核酸に作動可能に連結している。プロモーター配列は真核生物について知られている。実質的に全ての真核生物遺伝子が転写が開始される部位から約25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始から70〜80塩基上流に存在する別の配列はCNCAAT領域であり、ここでNは何れかのヌクレオチドである。大部分の真核生物遺伝子の3’末端は、コーディング配列の3’末端へのポリAテールの付加のためのシグナルであるAATAAA配列である。これらの配列は全て真核生物の発現ベクターに挿入するのに適する。
哺乳類宿主細胞内のベクターからの抗体ポリペプチド転写は、例えば、ポリオーマウィルス、鶏痘ウィルス、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシパピローマウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルスおよびシミアンウィルス40(SV40)などのウィルスのゲノムから、異種哺乳類プロモーター、例えばアクチンプロモーター、または免疫グロブリンプロモーターから、熱ショックプロモーターから得られたプロモーターにより、これらのプロモーターが宿主細胞系と適合する限りにおいて、制御される。
SV40ウィルスの早期および後期プロモーターは、好都合には複製のSV40ウィルス起点を同様に含有するSV40制限フラグメントとして得られる。ヒトサイトメガロウィルスの最初期プロモーターは好都合にはHindIIIE制限フラグメントとして得られる。ベクターとしてウシパピローマウィルスを使用する哺乳類宿主内でDNAを発現するための系は米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の修飾は米国特許第4,601,978号に記載されている。あるいは、ラウス肉腫ウィルス長末端リピートをプロモーターとして使用できる。
(v)エンハンサーエレメント成分
高等真核生物による本発明の抗体ポリペプチドをコードするDNAの転写はベクター内にエンハンサー配列を挿入することにより増大する場合が多い。哺乳類遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテインおよびインスリン)。しかしながら典型的には真核細胞ウィルス由来のエンハンサーを使用することにある。例示されるものは複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウィルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、および、アデノウィルスエンハンサーを包含する。真核生物プロモーターの活性化のための増強エレメントに関してはYaniv,Nature 297:17−18(1982)も参照できる。エンハンサーは抗体−ポリペプチドをコードする配列に対して5’または3’側の位置においてベクター内にスプライシングしてよいが、好ましくはプロモーターから5’側の部位に位置する。
(vi)転写終止成分
真核生物宿主細胞内で使用される発現ベクターは典型的には転写の終止のため、および、mRNAの安定化のために必要な配列も含有する。このような配列は真核生物またはウィルスのDNAまたはcDNAの一般的には5’側、そして場合により3’側の未翻訳領域が得られる。これらの領域は抗体をコードするmRNAの未翻訳部分におけるポリアデニル化フラグメントとして転写されたヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終止成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026およびそこに開示されている発現ベクターを参照できる。
(vii)宿主細胞の選択および形質転換
ベクター内でDNAをクローニングまたは発現するための適当な宿主細胞はここでは本明細書に記載した高等真核生物の細胞、例えば脊椎動物の宿主細胞を包含する。培養物(組織培養)中の脊椎動物の細胞の増殖は類型的な操作法になっている。有用な哺乳類宿主細胞系統の例はSV40で形質転換されたサル腎臓CV1系統(COS−7、ATCCCRL1651);ヒト胚性腎臓系統(293または懸濁培養物中での生育のためにサブクローニングされた293細胞、Graham等、J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlanb等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216(1980));マウスセルトーリ細胞(CV1ATCCCCL70);アフリカグリーンモンキー腎臓細胞(VERO−76、ATCCCRL−1587);ヒト頸癌細胞(HELA,ATCCCCL2);ヒト肺細胞(W138、ATCCCCL75);ヒト肝臓細胞(HepG2、HB8065);マウス乳癌(MMT060562、ATCCCCL51);TRI細胞(Mather等、Annals NY Acad.Sci.383:44−68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞癌系統(HepG2)である。
宿主細胞は抗体製造のための上記した発現またはクローニングベクターで形質転換し、そしてプロモーターの誘導、形質転換体の選択または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に修飾された従来の栄養培地中で培養する。
(viii)宿主細胞の培養
本発明の抗体を製造するために使用する宿主細胞は種々の培地中で培養してよい。Ham’sF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、Sigma)、RPMI−1640(Sigma)およびダルベッコ変性イーグル培地((DMEM),Sigma)などの市販の培地が宿主細胞を培養するために適している。更にまたHam等、Meth.Enz.58:44(1979),Barnes等、Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号;第4,657,866号;第4,927,762号;第4,560,655号;または第5,122,469号;WO90/03430;WO87/00195;または米国特許Re.30,985号に記載の培地の何れも宿主細胞のための培地として使用してよい。これらの培地の何れも必要に応じてホルモン類および/または他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリンまたは表皮成長因子)、塩類(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩)、干渉物質(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシンおよびチミジン)、抗体(例えばGENTAMYCINTM剤)、微量元素(マイクロモル範囲の終濃度で通常存在する無機の化合物として定義される)およびグルコースまたは等価なエネルギー源を補給してよい。何れかの他の必要な補給物もまた当業者の知るとおり適切な濃度で含有させてよい。培養条件、例えば温度、pH等は発現のために選択された宿主細胞とともに以前に使用したものであり、そして当業者には容易に想到されるものである。
(ix)抗体の精製
組み換え手法を用いる場合、抗体は細胞内に生産させるか、または、培地に直接分泌させることができる。抗体が細胞内に生産される場合は、第1工程年、宿主細胞または溶菌破断物である粒状の破砕物を例えば遠心分離または限外濾過により除去する。抗体を培地に分泌させる場合は、そのような発現系の上澄みを一般的にはまず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを用いて濃縮する。プロテアーゼ阻害剤、例えばPMSFを上記工程の何れかにおいて使用することによりタンパク質分解を抑制してよく、そして、抗生物質を添加して偶発的な夾雑菌の生育を防止してよい。
細胞から調製された抗体組成物は例えばヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析およびアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することができ、ここではアフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製手法である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの妥当性は抗体内に存在する何れかの免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプによるものである。プロテインAはヒトγ1、γ2またはγ4の重鎖に基づく抗体を精製するために使用できる(Lindmark等、J.Immunol.Meth.62:1−13(1983))。プロテインGは全てのマウスのアイソタイプおよびヒトγ3に対して推奨される(Guss等、EMBO J.5;15671575(1986))。アフィニティーリガンドを結合させるマトリックスは最も頻繁にはアガロースであるが、他のマトリックスも使用できる。機械的に安定なマトリックス、例えば制御された細孔を有するガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンはアガロースで達成できるものよりも早い流量および短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合は、BakerbondABXTM樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)が精製のために適している。タンパク質精製のための他の手法、例えばイオン交換カラム上の分画、エタノール沈降法、逆相HPCL、シリカゲル上のクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSETM上のクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラム)上のクロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、SDS−PAGEおよび硫酸アンモニウム沈降法もまた回収すべき抗体に応じて使用される。
任意の予備的精製工程の後、目的の抗体および夾雑物を含む混合物を、好ましくは低塩濃度(例えば約0〜0.25Mの塩)において実施される約2.5〜4.5のpHの溶出を用いた低pHの疎水性相互作用クロマトグラフィーに付す。
免疫複合体
本発明はまた細胞毒性剤、例えば化学療法剤、薬剤、成長抑制剤、毒素(例えば細菌、カビ、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素またはそのフラグメント)または放射性同位体(例えば放射性コンジュゲート)にコンジュゲートした本明細書に記載した抗OX40L抗体を含む免疫複合体(互換的に「抗体薬剤コンジュゲート」即ち「ADC」と称する)を提供する。
細胞毒性または細胞生育抑制性の薬剤、即ち癌治療において腫瘍細胞を殺傷する薬剤(Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research 19:605−614;Niculescu−Duvaz and Springer(1997)Adv.Drg Del.Rev.26:151−172;米国特許第4,975,278号)の局所送達のための抗体−薬剤コンジュゲートの使用は、理論的には、腫瘍への薬剤部分の標的にされた送達およびそこにおける細胞内蓄積を可能にし、その場合、これらのコンジュゲート薬剤の全身投与は正常細胞ならびに排除しようとする腫瘍細胞に許容できない水準の毒性をもたらす可能性がある(Baldwin等、(1986)Lancet pp.(Mar.15,1986):603−05;Thorpe,(1985)“Antibody Carries Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”,Monoclonak Antibodies ’84:Biological And Clinical Appliations,A.Pinchera等(ed.s),pp.475−506)。このため最小限の毒性で最大の薬効とすることが求められている。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体はともにこれらの方策において有用であることが報告されている(Rowland等、(1986)Cancer Immunol.Immunother.,21:183−87)。これらの方法において使用されている薬剤はダウノルビシン、ドキソルビシン、メトトレキセートおよびビンデシンである(Rowland等、(1986)上出)。抗体−毒素コンジュゲートにおいて使用される毒素は細菌性毒素、例えばジフテリア毒素、植物性毒素、例えばリシン、小分子毒素、例えばゲルダナマイシン(Mandler等(2000)Jour.of the Nat.Cancer Inst.92(19):1573−1581;Mandler等(2000)Bioorganic &Med.Chem.Letters 10:1025−1028;Mandler等(2002)Bioconjugate Chem.13:786−791)、マイタンシノイド(EP1391213;Liu等、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:8618−8623)およびカリケアマイシン(Lode等(1998)Cancer Res.58:2928;Hinman等(1993)Cancer Res.53:3336−3342)を包含する。毒素は、チュブリン結合、DNA結合またはトポイソメラーゼ阻害を包含する機序によりその細胞毒性および細胞増殖抑制作用を示す。一部の細胞毒性剤は大型の抗体またはタンパク質の受容体リガンドにコンジュゲートされると不活性化されるか、活性が低下する傾向を示す。
ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen/Idec)はチオ尿素リンカーキレーターにより結合された正常および悪性のBリンパ球の表面上に存在するCD20抗原に対して指向されたネズミIgG1カッパモノクローナル抗体と111Inまたは90Y放射性同位体からなる抗体−放射性同位体コンジュゲートである(Wiseman等(2000)Eur.Nucl.Med.27(7):766−77;Wiseman等(2002)Blood 99(12):4336−42;Witzig等(2002)J.Clin.Oncol.20(10):2453−63;Witzig等(2002)J.Clin.Oncol.20(15):3262−69)。ZEVARINはB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)に対して活性を有するが、投与により重度および長期間の血球減少症が大部分の患者において起こる。カリケアマイシンに連結されたhuCD33抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるMYLOTARGTM(ゲムツズマブオゾガマイシン、Wyeth Parmaceuticals)は注射による急性骨髄性白血病の治療のために2000年に認可されている(Drugs of the Future(2000)25(7):686;米国特許第4970198号;第5079233号;第5585089号;第5606040号;第5693762号;第5739116号;第5767285号;第5773001号)。マイタンシノイド薬剤部分DM1にジスルフィドリンカーSPPを介して連結されたhuC242抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるカンツズマブメトラシン(Imunogen,Inc.)は結腸癌、膵臓癌、胃癌など、CanAgを発現する癌の治療のための第II相治験段階に入っている。マイタンシノイド薬剤部分DM1に連結された抗前立腺特異性膜抗原(PSMA)モノクローナル抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるMLN−204(Millennium Pharm,BZL Biologics,Immunogen Inc.)は前立腺癌の潜在的治療のために開発中である。オーリスタチンペプチド、オーリスタチンE(AE)、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)およびドラスタチンの合成類縁体はキメラモノクローナル抗体cBR96(癌腫上のLewisYに特異的)およびcAC10(血液悪性疾病上のCD30に特異的)(Doromina等.(2003)Nature Biotechnology21(7):778−784)にコンジュゲートされており、そして治療薬開発中である。
免疫複合体の形成に有用な化学療法剤は本明細書に記載する通りである(例えば上記)。使用できる酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントはジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、エキソトキシンA鎖(シュードモナス・アエルギノーサ由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、Aleurites Fordiiタンパク質、ジアンシンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンを包含する。例えば1993年10月28日公開のWO93/21232を参照できる。種々の放射性核種が放射性コンジュゲート抗体の製造のために使用できる。例は212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reを包含する。抗体および細胞毒性剤のコンジュゲートは種々の2官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2官能性誘導体(例えばジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルズベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えばビス(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6−ジイソシアネート)およびビス活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を用いて作成される。例えば、リシン免疫毒はVitetta等、Science,238:1098(1987)に記載の通り製造できる。炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミノペンタ酢酸(MX−DTPA)は抗体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示されるキレート剤である。WO94/11026を参照できる。
抗体および1つ以上の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、マイタンシノイド、ドラスタチン、オーロスタチン、トリコテセンおよびCC1065および毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体のコンジュゲートもまた本発明において意図している。
i.マイタンシンおよびマイタンシノイド
1つの実施形態において、免疫複合体はマイタンシノイド分子1つ以上にコンジュゲートされた本発明の抗体(完全長またはフラグメント)を含む。
マイタンシノイドはチュブリン重合を抑制することにより機能する有糸分裂抑制剤である。マイタンシンは東アフリカの潅木であるMaytenus serrataから最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。その後、特定の微生物もまたマイタンシノイド、例えばマイタンシノールおよびC−3マイタンシノールエステルを生産することが発見された(米国特許第4,151,042号)。合成のマイタンシノールおよびその誘導体および類縁体は例えば米国特許第4,137,230号;第4,248,870号;第4,256,746号;第4,260,608号;第4,265,814号;第4,294,757号;第4,307,016号;第4,308,268号;第4,308,269号;第4,309,428号;第4,313,946号;第4,315,929号;第4,317,821号;第4,322,348号;第4,331,598号;第4,361,650号;第4,364,866号;第4,424,219号;第4,450,254号;第4,362,663号;および第4,371,533号に開示されている。
マイタンシノイド薬剤部分は、それらが(i)発酵または化学修飾、発酵生成物の誘導体化により比較的製造しやすく、(ii)抗体への非ジスルフィドリンカーを介したコンジュゲーションに適する官能基を用いた誘導体化に適しており、(iii)血漿中で安定であり、そして(iv)種々の腫瘍細胞系統に対して有効であることから、抗体薬剤コンジュゲートにおける着目すべき薬剤部分である。
マイタンシノイドを含有する免疫複合体、その製造方法およびその治療用途は例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,208,020号、第5,416,064号および欧州特許EP0425235B1に開示されている。Liu等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:8618−8623(1996)はヒト結腸直腸癌に対して指向されたモノクローナル抗体C242に連結したDM1と指名されたマイタンシノイドを含む免疫複合体を記載している。コンジュゲートは培養された結腸癌細胞に対しては高度に細胞毒性であることがわかり、そしてインビボの腫瘍増殖試験において抗腫瘍活性を示している。Chari等、Cancer Research52:127−131(1992)はヒト結腸癌細胞系統上の抗原に結合するネズミ抗体A7に、または、HER−2/neu癌遺伝子に結合する別のネズミモノクローナル抗体にジスルフィドリンカーを介してマイタンシノイドをコンジュゲートしている免疫複合体を記載している。TA.1−マイタンシノイドコンジュゲートの細胞毒性は細胞当たり3x105HER−2表面抗原を発現するヒト乳癌細胞系統SK−BR−3に対してインビトロで試験されている。薬剤コンジュゲートは有利のマイタンシノイド薬剤と同様の細胞毒性の程度を達成しており、これは抗体分子当たりのマイタンシノイド分子の数を増大させることにより増大させることができた。A7−マイタンシノイドコンジュゲートはマウスにおいて低い全身細胞毒性を示した
抗体−マイタンシノイドコンジュゲートは抗体またはマイタンシノイド分子の何れかの生物学的活性を有意に低下させること無くマイタンシノイド分子に抗体を化学的に連結することにより製造する。米国特許第5,208,020号を参照できる(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)。抗体分子当たり平均3〜4個のマイタンシノイド分子をコンジュゲートすると抗体の機能または溶解性に悪影響を及ぼすことなく標的細胞の細胞毒性を増強する場合に有効であることがわかっているが、1分子毒素/抗体であっても抗体単独の使用よりも細胞毒性を増強できることが期待される。マイタンシノイドは当該分野でよく知られており、そして知られた手法により合成するか、または、天然原料から単離することができる。適当なマイタンシノイドは例えば米国特許第5,208,020号に、そして、上記した他の特許または非特許の公開物に開示されている。好ましいマイタンシノイドはマイタンシノールおよび芳香環において、または、マインタンシノール分子の他の位置において修飾されているマインタンシノール類縁体、例えば種々のマインタンシノールエステルである。
抗体−マイタンシノイドコンジュゲートを作成するための当該分野で知られた連結基は多数存在し、例えば米国特許第5,208,020号または欧州特許EP0425235B1およびChari等、Cancer Research52:127−131(1992)および開示内容が参照により全体が本明細書に組み込まれる2004年10月8日出願の米国特許出願第10/960,602号に開示されているもの等が挙げられる。リンカー成分SMCCを含む抗体−マイタンシノイドコンジュゲートは2004年10月8日出願の米国特許出願第10/960,602号に開示されている通り製造してよい。連結基は上記特許に開示されている通りジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光不安定性基、ペプチダーゼ不安定性基、またはエステラーゼ不安定性基を包含するが、ジスルフィドおよびチオエーテル基が好ましい。別の連結器は本明細書に記載および例示する通りである。
抗体とマイタンシノイドのコンジュゲートは種々の2官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)、N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2官能性誘導体(例えばジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルズベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えばビス(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6−ジイソシアネート)およびビス活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を用いて作成してよい。特に好ましいカップリング剤は、ジスルフィド結合を与えるためのN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)(Carlsson等、Biochem.J.,173,723−737(1978))およびN−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)を包含する。
リンカーは連結部の型に応じて種々の位置においてマイタンシノイド分子に結合してよい。例えば、エステル結合は従来のカップリング手法を用いてヒドロキシル基との反応により形成してよい。反応はヒドロキシル基を有するC3位、ヒロドキシメチルで修飾されたC14位、ヒドロキシル基で修飾されたC15位およびヒドロキシル基を有するC20位において起こってよい。好ましい実施形態においては、連結はマイタンシノールまたはマイタンシノール類縁体のC3位において形成される。
ii.オーリスタチンおよびドラスタチン
一部の実施形態においては、免疫複合体はドラスタチンまたはドロスタチンペプチド類縁体および誘導体、オーリスタチン(米国特許第5635483号;第5780588号)にコンジュゲートした本発明の抗体を含む。ドラスタチンおよびオーリスタチン微小管の力学的態様、GTP加水分解および核および細胞の分裂に干渉し(Woyke等(2001)Antimicrob.Agents and Chemother.45(12):3580−3584)、そして、抗がん作用(米国特許第5663149号)および抗カビ活性(Pettit等(1998)Antimicrob.Agents Chemother.42:2961−2965)を有することがわかっている。ドラスタチンまたはオーリスタチン剤はペプチド薬剤部分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシ)末端を介して抗体に結合させてよい(WO02/088172)。
例示されるオーリスタチンの実施形態は参照により開示内容全体が本明細書に組み込まれる2004年11月5日出願の米国出願10/983,340の「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」に開示されているN末端連結モノメチルオーリスタチン薬剤部分DEおよびDFを包含する。
典型的にはペプチド系薬剤部分は、2つ以上のアミノ酸および/またはペプチドフラグメントの間にペプチド結合を形成することにより製造できる。そのようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野で良く知られている液相合成法に従って製造できる(E.Schroder and K.Lubke,“The Peptides”,volume1,pp76−136,1965,Academic Press参照)。オーリスタチン/ドラスタチン剤部分は米国特許第5635483号;米国特許第5780588号;Pettit等(1989)J.Am.Chem.Soc.111:5463−5465;Pettit等(1998)Anti−Cancer Drug Design 13:243−277;Pettit,G.R.,et al.Synthesis,1996,719−725;and Pettit等(1996)J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 5:859−863に記載の方法に従って製造してよい。更にまた、参照により全体が本明細書に組み込まれるDoronina(2003)Nat Biotechnol21(7):778−784;“Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands”,US Ser.No.10/983,340,filed Nov.5,2004(例えばリンカーおよびリンカーにコンジュゲートされたMMAEおよびMMAFなどのモノメチルバリン化合物の製造方法を開示している)も参照できる。
iii.カリケアマイシン
別の実施形態において、免疫複合体はカリケアマイシン分子1つ以上にコンジュゲートした本発明の抗体を含む。抗生物質のカリケアマイシンファミリーはピコモル未満の濃度において2本鎖DNA切断をもたらすことができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの製造に関しては米国特許第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号、第5,877,296号を参照することができる(全てAmerican Cyanamid Company)。使用してよいカリケアマイシンの構造的類縁体は例えばγ1 I、α2 I、α3 I、N−アセチル−γ1 I、PSAGおよびθI l(Himman等、Cancer Research53:3336−3342(1993)、Lode等、Cancer Research 58:2925−2928(1998)および上記したAmerican Cyanamidへの米国特許)。抗体をコンジュゲートできる別の抗腫瘍剤は抗葉酸エステルであるQFAである。カリケアマイシンおよびQFAは両方とも細胞内作用部位を有し、原形質膜を容易に通過しない。従って、抗体媒介内在を介したこれらの薬剤の細胞内取り込みはその細胞毒性作用を大きく増大させる。
iv.他の細胞毒性剤
本発明の抗体にコンジュゲートできる他の抗腫瘍剤はBCNU、ストレプトゾシン、ビンクリスチンおよび5−フルオロウラシル、米国特許第5,053,394号、第5,770,710号に記載の総称LL−E33288複合体として知られる薬剤ファミリー、ならびに、エスペラマイシン(米国特許第5,877,296号)を包含する。
使用できる酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、エキソトキシンA鎖(シュードモナス・アエルギノーサ由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、Aleurites Fordiiタンパク質、ジアンシンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンを包含する。例えば1993年10月28日に公開されたWO93/21232を参照できる。
本発明は更に抗体と核溶解活性を有する化合物との間に形成される免疫コンジュゲートを意図している(例えばリボヌクレアーゼまたはDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNase)。
腫瘍の選択的破壊のためには、抗体は高度に放射性の原子を含んでよい。種々の放射性同位体が放射性コンジュゲート抗体の製造のために使用される。例示されるものはAT213、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位体を包含する。検出のためにコンジュゲートを使用する場合は、それはシンチグラフィー試験のための放射性原子、例えばtc99mまたはI123、または核磁気共鳴(NMR)画像化(時期共鳴画像化mriとしても知られている)のためのスピン標識、例えばヨウ素−123、更にヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄を含んでよい。
放射標識または他の方式を知られた方法でコンジュゲートに取り込ませてよい。例えば、水素の代わりにフッ素−19を含む適当なアミノ酸前駆体を用いて、ペプチドを性合成するか、またはアミノ酸化学合成法により合成してよい。tc99mまたはI123、Re186、Re188およびIn111などの標識をペプチド内のシステイン残基を介して結合することができる。イットリウム−90はリジン残基を介して結合できる。IODOGEN法(Fraker等(1978)Biochem.Biophys.Res.Commun.80:49−57)を用いてヨウ素−123を取り込むことができる。Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy(Chatal,CRC Press 1989)は他の方法を詳細に説明している。
抗体と細胞毒性剤のコンジュゲートは種々の2官能性のタンパク質カップリング剤、例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2官能性誘導体(例えばジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルズベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えばビス(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6−ジイソシアネート)およびビス活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を用いて作成してよい。例えば、リシン免疫毒はVitetta等、Science,238:1098(1987)に記載の通り製造できる。炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミノペンタ酢酸(MX−DTPA)は抗体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示されるキレート剤である。WO94/11026を参照できる。リンカーは細胞内での細胞毒性剤の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であってよい。例えば酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chari等、Cancer Research52:127−131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用してよい。
本発明の化合物は例えば、市販されている(例えばPierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL,USAより)交差結合因子:BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCCおよびスルホ−SMPBおよびSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)を用いて製造されたADCも意図している。例えば2003−2004Applications Handbook and Catalog、p467−498を参照できる。
v.抗体薬剤コンジュゲートの製造
本発明の抗体薬剤コンジュゲート(ADC)においては、抗体(Ab)を1つ以上の薬剤部分(D)、例えば抗体当たり約1〜約20薬剤部分にリンカー(L)を介してコンジュゲートする。式I:
のADCは、数種類の経路により、当業者の知る有機化学の反応、条件および試薬を用いて、例えば(1)共有結合を介したAb−Lを形成するための2価リンカー試薬との抗体の親核基の反応、および、その後の薬剤部分Dとの反応;および(2)共有結合を介したD−Lを形成するための2価リンカー試薬との薬剤部分の親核基の反応、および、その後の抗体の親核基との反応、により製造してよい。ADCの製造のための別の方法は本明細書に記載する通りである。
リンカーは1つ以上のリンカー成分を含んでよい。例示されるリンカー成分は6−マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、バリン−シトルリン(val−cit)、アラニン−フェニルアラニン(ala−phe)、p−アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボキシレート(SMCC)およびN−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)を包含する。追加的なリンカー成分は当該分野で知られており、一部は本明細書において更に説明する。更にまた内容が参照により本明細書に組み込まれる2004年11月5日出願の米国出願10/983,340の「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」も参照できる。
一部の実施形態においては、リンカーはアミノ酸残基を含んでよい。例示されるアミノ酸リンカー成分はジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチドを包含する。例示されるジペプチドは、バリン−シトルリン(vcまたはval−cit)、アラニン−フェニルアラニン(afまたはala−phe)を包含する。例示されるトリペプチドは、グリシン−バリン−シトルリン(gly−val−cit)およびグリシン−グリシン−グリシン(gly−gly−gly)を包含する。アミノ酸リンカー成分を含むアミノ酸残基は天然に存在するもの、ならびに少量存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸類縁体、例えばシトルリンを包含する。アミノ酸リンカー成分は特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、CおよびD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断に関するそれらの選択性において設計され、最適化されることができる。
抗体上の親核基は例えば、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えばリジン、(iii)側鎖チオール基、例えばシステイン、および(iv)糖ヒドロキシルまたはアミノ基であって抗体がグリコシル化されるところを包含する。アミン、チオールおよびヒドロキシル基は親核性であり、(i)活性エステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメートおよび酸ハライド;(ii)アルキルおよびベンジルハライド、例えばハロアセトアミド;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシルおよびマレイミド基を包含するリンカー部分およびリンカー試薬上の親電子基と共有結合を形成するように反応することができる。特定の抗体は還元性の鎖間ジスルフィド、即ちシステイン架橋を有する。抗体はDTT(ジチオスレイトール)などの還元剤による処理によりリンカー試薬とのコンジュゲーションのために反応性としてよい。即ち各システイン架橋は理論的には2つの反応性チオール親核物質を形成することになる。2−イミノチオラン(Traut試薬)とのリジンの反応を介して抗体に別の親核基を導入することができ、これによりアミンからチオールへの変換がもたらされる。反応性のチオール基は1、2、3、4つ以上のシステイン残基を導入することにより抗体(またはそのフラグメント)内に導入してよい(例えば非未変性のシステインアミノ酸残基1つ以上を含む突然変異体抗体を製造する)。
本発明の抗体薬剤コンジュゲートはまたリンカー試薬または薬剤の上の親核性置換基と反応することができる親電子部分を導入するための抗体の修飾により製造してもよい。グリコシル化抗体の糖は例えば過ヨウ素酸塩の酸化剤で酸化することによりアルデヒドまたはケトン基とし、これをリンカー試薬または薬剤部分のアミン基と反応させてよい。形成されるイミンシッフ塩基の基は安定な連結部を形成するか、または、例えばボロハイドライド試薬で還元することにより、安定なアミン連結部を形成してよい。1つの実施形態において、ガラクトースオキシダーゼまたはm−過ヨウ素酸ナトリウムの何れかとのグリコシル化抗体の炭水化物部分の反応により薬剤上の適切な基と反応できるタンパク質中のカルボニル(アルデヒドまたはケトン)基を形成してよい(Hermanson,Bioconjugate Techniques)。別の実施形態においては、N末端セリンまたはスレオニン残基を含有するタンパク質をm−過ヨウ素酸ナトリウムと反応させることにより、第1のアミノ酸の代わりにアルデヒドの形成を行う(Geoghegan&Stroh,(1992)Bioconjgate Chem.3:138−146;米国特許第5362852号)。このようなアルデヒドは薬剤部分またはリンカー親核物質と反応することができる。
同様に、薬剤部分上の親核基は、例えば、(i)活性エステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメートおよび酸ハライド;(ii)アルキルおよびベンジルハライド、例えばハロアセトアミド;(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシルおよびマレイミド基を包含するリンカー部分およびリンカー試薬上の親電子基と共有結合を形成するように反応することができるアミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレートおよびアンヒドラジド基を包含する。
あるいは、抗体および細胞毒性剤を含む融合タンパク質、例えば組み換え手法またはペプチド合成により、作成してよい。DNAの長さは、相互に隣接するか、または、コンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により分断されたコンジュゲートの2つの部分をコードする該当領域を含む。
更に別の実施形態においては、抗体は腫瘍のプレターゲティングにおいて利用するための「受容体」(例えばストレプトアビジン)にコンジュゲートしてよく、その場合、抗体−受容体コンジュゲートを患者に投与し、その後、キレート剤を用いて循環系から未結合のコンジュゲートを除去し、そして次に細胞毒性剤(例えば放射性核種)にコンジュゲートされた「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
医薬品製剤
本発明の抗体を含む治療用製剤は、水溶液、凍結乾燥または他の乾燥した製剤の形態において、任意の生理学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition(2000))に所望の程度の純度を有する抗体を混合することにより保存用に製造される。許容される担体、賦形剤または安定化剤は使用される用量および濃度においてレシピエントに非毒性であり、そして、緩衝物質、例えばリン酸塩、酢酸塩、ヒスチジンまたは他の有機酸;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン;セタノール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリジン;単糖類、2糖類および他の炭水化物、例えばグルコース、マンノースまたはデキストリン;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えばZn−タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)を包含する。
本発明の製剤はまた、治療すべき特定の適応症のために必要に応じて1つより多い活性化合物、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない補足的な活性を有するものを含有してよい。このような分子は適宜、意図する目的のために有効である量において、組み合わせて存在する。
活性成分はまた例えばコアセルベーション法によるか、または、界面重合により製造されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えばリポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中、またはマクロエマルジョン中に捕獲させてもよい。このような手法はRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition(2000)に記載されている。
インビボ投与のために使用されるべき製剤は滅菌されていなければならない。これは滅菌濾過メンブレンを通過する濾過により容易に達成される。
持続放出製剤を製造してよい。持続放出製剤の適当な例は本発明の免疫グロブリンを含有する固体疎水性重合体の半透過性マトリックスを包含し、そのようなマトリックスは形状付与された物品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタメートの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体、例えばLUPRON DEPOTTM(乳酸−グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドからなる注射可能な微小球)およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を包含する。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などの重合体は100日間にわたる分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルはより短い時間にタンパク質を放出する。カプセル化免疫グロブリンが身体内に長時間残存する場合、それらは、37℃の水分への曝露の結果として、変性するか凝集し、生物学的活性を消失するか、または、免疫原性が変化する可能性がある。合理的な方策は関与する機序に応じて安定化のために考案することができる。例えば、凝集の機序がチオ−ジスルフィド交換を介した分子間S−S結合の形成であることが発見されれば、スルフィドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加物の使用、および、特定の重合体マトリックス組成物の開発により安定化を達成してよい。
用途
本発明の抗体は例えばインビトロ、エクスビボおよびインビボの治療方法において使用してよい。
本発明はFGF19および/またはFGFR4の発現および/または活性、例えば増大した発現および/または活性、または望ましくない発現および/または活性に関連する病状を調節するために有用な方法および組成物を提供し、該方法はそのような治療の必要な個体に抗FGF19抗体の有効量を投与することを含む。一部の実施形態においては、病状はFGF19の増大した発現に関連し、そして病状は胆汁鬱滞または胆汁酸代謝の調節不全を含む。
1つの態様において、本発明は腫瘍、癌および/または細胞増殖性疾患を治療または防止するための方法を提供し、方法はそのような治療の必要な個体に抗FGF19抗体の有効量を投与することを含む。
1つの態様において、本発明はFGF19の増大した発現および/または活性に関連する腫瘍、癌および/または細胞増殖性疾患を治療または防止するための方法を提供し、方法はそのような治療の必要な個体に抗FGF19抗体の有効量を投与することを含む。
1つの態様において、本発明はFGFR4の増大した発現および/または活性に関連する腫瘍、癌および/または細胞増殖性疾患を治療または防止するための方法を提供し、方法はそのような治療の必要な個体に抗FGF19抗体の有効量を投与することを含む。
1つの態様において、本発明は肝臓疾患を治療および/または防止するための方法を提供し、方法はそのような治療の必要な個体に抗FGF19抗体の有効量を投与することを含む。一部の実施形態においては、肝臓疾患は肝硬変である。
1つの態様において、本発明はるいそう疾患を治療および/または防止するための方法を提供し、方法はそのような治療の必要な個体に抗FGF19抗体の有効量を投与することを含む。一部の実施形態においては、個体は腫瘍、癌および/または細胞増殖性疾患を有する。
任意の適当な抗FGF19抗体、例えばモノクローナルおよび/またはポリクローナル抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ヒト化抗体および/または抗体フラグメントを治療方法において使用してよい。一部の実施形態においては、本明細書に記載した任意の抗FGF19抗体を治療のために使用する。
更に、本発明の抗体の少なくとも一部は他の種由来の抗原に結合することができる。従って、本発明の抗体は例えば抗原を含有する細胞培養物において、ヒト対象において、または、本発明の抗体が交差反応する抗原を有する他の哺乳類対象(例えばチンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザルおよびアカゲザル、ブタまたはマウス)において、特定の抗原活性に結合するために使用できる。1つの実施形態において、本発明の抗体は抗原活性が抑制されるように抗原に抗体を接触させることにより抗原活性を抑制すために使用できる。好ましくは、抗原はヒトタンパク質分子である。
1つの実施形態において、本発明の抗体は、対象内の抗原が結合するように本発明の抗体を対象に投与することを含む、増大した抗原発現および/または活性に関連する疾患に罹患した個体における抗原に結合するための方法において使用することができる。好ましくは、抗原はヒトタンパク質分子であり、そして対象はヒト対象である。あるいは、対象は本発明の抗体が結合する抗原を発現する哺乳類であることができる。更にまた、対象は抗原が導入されている(例えば抗原の投与によるか、または、抗原トランスジーンの発現による)哺乳類であることができる。本発明の抗体は治療目的のためにヒト対象に投与することができる。更にまた、本発明の抗体は獣医科用途のため、または、ヒト疾病の動物モデルとしての、免疫グロブリンが交差反応する抗原を発現する非ヒト哺乳類(例えば霊長類、ブタまたはマウス)に投与できる。後者に関しては、そのような動物モデルは本発明の抗体の治療薬効を評価する(例えば用量および投与の時間的過程の試験)ために有用である。
本発明の抗体は抗原分子1つ以上の発現および/または活性に関連する疾病、疾患または状態の治療、抑制、進行遅延、再発の防止/遅延、緩解または防止のために使用できる。
特定の実施形態においては、コンジュゲートを患者に投与する。一部の実施形態においては、それが結合する免疫複合体および/または抗原は細胞により内在化され、これによりそれが結合している標的細胞の殺傷における免疫複合体の治療薬効の増大をもたらす。1つの実施形態において、細胞毒性剤は標的細胞内の核酸を標的とまたは妨害する。1つの実施形態において、細胞毒性剤は微小管重合を標的とまたは妨害する。そのような細胞毒性剤の例は本明細書に記載した化学療法剤の何れか(例えばマイタンシノイド、オーリスタチン、ドラスタチンまたはカリケアマイシン)、放射性同位体、リボヌクレアーゼまたはDNAエンドヌクレアーゼを包含する。
本明細書における方法の何れかにおいて、本明細書の抗体と共に、第2の医薬(ここで抗体が第1の医薬となる)の有効量を対象または患者に投与してよく、それは治療を必要とする対象における状態を治療できる別の活性剤である。例えば、本発明の抗体は、他の抗体、化学療法剤(化学療法剤とのカクテルを包含する)、免疫抑制剤、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、および/または増殖阻害因子と共に共投与してよい。このような第2の医薬の型は種々の要因、例えば疾病型、例えば癌または自己免疫疾患、疾病の重症度、患者の状態および年齢、使用する第1の医薬の型および用量等に応じたものとなる。
本発明の抗体月物生育を抑制する場合、例えば、それを腫瘍の生育をやはり抑制する他の治療薬1つ以上と組み合わせることが特に望ましい場合がある。例えば本発明の抗体は、投与スキームにおいて、例えば本明細書に記載した疾病の何れか、例えば結腸直腸癌、肺癌、肝細胞癌、乳癌および/または膵臓癌の治療において、抗血管形成剤、例えば抗VEGF抗体(例えばAVASTIN(登録商標))および/または抗EphB抗体(例えばHERCEPTIN(登録商標)トラスツズマブ抗HER2抗体またはHER2のドメインIIに結合する抗HER2抗体、例えばOMNITARGTMペルツズマブ抗HER2抗体)と組み合わせてよい。あるいは、または代替として、患者は複合放射線療法(例えば外部線照射または抗体などの放射標識剤を用いた療法)を受けてよい。このような上記した複合療法は複合投与(同じかまたは別個の製剤中に2つ以上の薬剤が包含される)および併用する療法の前および/または後に本発明の抗体の投与を行うことができる別個投与を包含する。更にまた、本発明の抗体を比較的非毒性の薬剤、例えば別の生体分子、例えば他の抗体と組み合わせることも、細胞に対して高毒性の他剤の化学療法剤と抗体を組み合わせる場合に対して細胞毒性を低減することが期待される。
第2の医薬1つ以上と本明細書の抗体の組み合わせによる治療は、好ましくは、癌の兆候または症状の改善をもたらす。例えばそのような療法は第1の医薬のみ(例えば化学療法剤の実)で治療された患者と比較して生存(全体的生存および/または無進行生存)における改善をもたらすか、および/または、他覚的応答(部分的または完全な、好ましくは完全な)をもたらす場合がある。更にまた、本明細書の抗体と第2の医薬1つ以上の組み合わせによる治療は、好ましくは、患者に対して相加的、そしてより好ましくは相乗的な(または相加的より大きい)治療の利益をもたらす。好ましくは、この組み合わせの方法において、第2の医薬の少なくとも1投薬と本明細書の抗体の少なくとも1投薬の間のタイミングは約1か月以下、より好ましくは約2週間以下である。
癌の治療の為には、第2の医薬は好ましくは別の抗体、化学療法剤(化学療法剤のカクテルを包含する)、抗血管形成剤、免疫抑制剤、プロドラッグ、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、細胞毒性放射線療法、コルチコステロイド、抗嘔吐剤、癌ワクチン、鎮痛剤、抗血管剤、および/または、増殖阻害因子である。細胞毒性剤はDNAと相互作用する薬剤、代謝アンタゴニスト、トポイソメラーゼIまたはIIの阻害剤、または、紡錘抑制剤または安定化剤(例えば好ましくはビンカアルカロイド、より好ましくはビンブラスチン、デオキシビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビネピジン、ビンホシルチン、ビンゾリジンおよびビンフニンから選択されるもの)または化学療法に使用される何れかの薬剤、例えば5−FU、タキサン、ドキソルビシンまたはデキサメタゾンを包含する。
別の実施形態においては、第2の医薬は癌を治療するために使用される別の抗体、例えばHER2/neu受容体の細胞外ドメインに対して指向されたもの、例えばトラスツズマブ、または、その機能的フラグメントの1つ、pan−HER抑制剤、Src抑制剤、MEK抑制剤またはEGFR抑制剤(例えば抗EGFR抗体(例えばEGFRのチロシンキナーゼ活性を阻害するもの)、これは好ましくはマウスモノクローナル抗体225、そのマウス−ヒトキメラ誘導体C225、またはこの抗体225から誘導された、または、天然物から誘導されたヒト化抗体、ジアニリノフタルイミド、ピラゾロまたはピロロピリドピリミジン、キナジリン、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、ABX−EFG、カネルチニブ、EKB−569およびPKI−166)または二重EGFR/HER−2抑制剤、例えばラパタニブである。その他の第2の薬剤はアレムツズマブ(CAMPATHTM)、FavID(IDKLH)、改変されたグリコシル化を伴ったCD20抗体、例えばGA−101/GLYCARTTM、オブリメルセン(GENASENSETM)、サリドマイドおよびその類縁体、例えばレナリドマイド(REVLIMIDTM)、イマチニブ、ソラフェニブ、オファツムマブ(HUMAX−CD20TM)、抗CD40抗体、例えばSGN−40および抗CD80抗体、例えばガリキシマブを包含する。
抗嘔吐剤は好ましくは塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン、メトロクロプラミド、ドムペリドン、ハロペリドール、サイクリジン、ロラゼパム、プロクロルペラジン、デキサメタゾン、レボメプロマジン、または、トロピセトロンである。ワクチンは好ましくはGM−CSFDNAおよび細胞系ワクチン、樹状細胞ワクチン、組み換えウィルスワクチン、ヒートショックタンパク質(HSP)ワクチン、同種異系または自系の腫瘍ワクチンである。鎮痛剤は好ましくはイブプロフェン、ナプロキセン、コリンマグネシウムトリサリシレート、または塩酸オキシコドンである。抗血管剤は好ましくはベバシズマブ、またはrhuMAb−VEGFである。別の第2の医薬は抗増殖剤、例えばファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、抗VEGF抑制剤、p53抑制剤またはPDGFR抑制剤を包含する。本明細書における第2の医薬はまた生物学的に標的とされた治療、例えば抗体を用いた治療、ならびに、例えば特定の受容体に対する小分子ターゲティング療法を包含する。
本明細書に記載したもの、例えば定義の下に列挙したもの、および、例えばCarmeliet and Jain,Nature 407:249−257(2000);Ferrara等、Nature Reviews:Drug Discovery,3:391−400(2004);およびSato Int.J.Clin.Oncol.,8:200−206(2003)により報告されたものも含めて、多くの抗血管形成剤が発見され、当該分野で知られている。更にまた米国特許出願US20030055006も参照できる。1つの実施形態において、抗FGF19抗体は抗VEGF中和抗体(またはフラグメント)および/または別のVEGFアンタゴニストまたはVEGF受容体アンタゴニスト、例えば限定しないが、可溶性VEGF受容体(例えばVEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、ニユーロピリン(例えばNRP1、NRP2))フラグメント、VEGFまたはVEGFRをブロックすることができるアプタマー、中和抗VEGFR抗体、VEGFRチロシンキナーゼ(RTK)の低分子量阻害剤、VEGFに対するアンチセンス法、VEGFまたはVEGF受容体に対するリボザイム、VEGFのアンタゴニスト変異体;およびこれらの何れかの組み合わせと組み合わせて使用する。あるいは、または追加的に、2種以上の血管形成抑制剤を場合によりVEGFアンタゴニストおよび他の薬剤に加えて患者に共投与してよい。特定の実施形態においては、1つ以上の追加的治療薬、例えば抗癌剤を抗FGF19抗体、VEGFアンタゴニストおよび抗血管形成剤と組み合わせて投与できる。
本明細書において有用な化学療法剤は、例えば「化学療法剤」の定義において上記したものである。
例示される第2の医薬は、アルキル化剤、ヨウ酸アンタゴニスト、ピリミジンアンタゴニスト、細胞毒性抗生物質、白金化合物または白金系の化合物、タキサン、ビンカアルカロイド、c−Kit抑制剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗血管形成抑制剤、例えば抗VEGF抑制剤、HER−2抑制剤、EGFR抑制剤、または、二重EGFR/HER−2キナーゼ阻害剤、抗エストロゲン、例えばフルベストラントおよびホルモン療法剤、例えばカルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、カペシタビン、エピルビシン、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤およびプレドニソンを包含する。最も好ましくは、癌は結腸直腸癌であり、そして第2の医薬はEGFR抑制剤、例えばエロチニブ、抗VEGF抑制剤、例えばベバシツマブであるか、またはセツキシマブ、アリノテカン、イリノテカン、またはFOLFOXであるか、または癌は乳癌であり、そして第2の医薬は抗エステロゲンモジュレーター、例えばフルベストラント、タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤、例えばレトロゾール、エキセメスタンまたはアナストロゾールであるか、またはVEGF抑制剤、例えばベバシツマブであるか、または化学療法剤、例えばドキソルビシンおよび/またはタキサン、例えばパクリタキセルであるか、または抗HER−2抑制剤、例えばトラスツズマブまたは二重EGFR/HER−2キナーゼ阻害剤、例えばラパチニブまたはHER−2ダウンレギュレーター、例えば17AAG(ヒートショックタンパク質[Hsp]90毒であるゲルダナマイシン誘導体)(例えばトラスツズマブで進行した乳癌に対する)である。他の実施形態においては、癌は肺癌、例えば小細胞肺癌であり、第2の医薬はVEGF抑制剤、例えばベバシツマブまたはEGFR抑制剤、例えばエルロチニブまたはc−Kit抑制剤、例えばイマチニブである。別の実施形態においては、癌は肝臓癌、例えば肝細胞癌であり、そして第2の医薬はEGFR抑制剤、例えばエルロチニブ、化学療法剤、例えばドキソルビシンまたはイリノテカン、タキサン、例えばパクリタキセル、サリドマイドおよび/またはインターフェロンである。更にまた、癌のフロントライン療法のための好ましい化学療法剤は他の第2の医薬との組み合わせにおいて単独のタキソテレである。最も好ましくは、化学療法剤を投与する場合は、それをまず投与し、次に本明細書の抗体を投与する。
そのような第2の医薬は本明細書に記載する抗体が投与された後48時間以内、または該薬剤後24時間以内、または12時間以内、または3〜12時間以内に投与してよく、または、所定期間に渡って投与してよく、それは好ましくは約1〜2日である。更にまた、そのような薬剤の用量は治療量未満であってもよい。
本明細書の抗体は第2の医薬と同時、逐次的または交互に、または、他剤療法の非応答時に投与することができる。即ち第2の医薬との複合投与は、別個の製材または単一の医薬品製剤を用いる共投与(同時投与)、および何れかの順序における連続投与を包含し、その場合、両方(または全て)の医薬が同時にその生物学的活性を発揮する時間帯があることが望ましい。全てのこれらの第2の医薬は、本明細書において使用する「第2の医薬」という表記はそれらが第1の医薬以外の唯一の医薬であることをそれぞれ意味しているわけではないように、相互に組み合わせて、またはそれら自体、第1の医薬と共に使用してよい。即ち、第2の医薬は1つの医薬である必要はなく、そのような薬剤の1つより多くを構成乃至は含むことができる。
第2の医薬は本明細書に記載する通り、一般的に、第1の医薬と同じ用量において、そして同じ投与経路を用いて、または、第1の医薬の用量の約1〜99%で投与する。そのような第2の医薬を完全に使用する場合は、それらは、特に第1の医薬との初回投薬以降の後の投薬においては、第1の医薬が存在しない場合よりも低値の量において使用され、これによりこれらにより誘発される副作用を排除または低減する。
本発明はまた、回帰性の腫瘍の生育または回帰性の癌細胞の生育を抑制または防止するための方法および組成物を提供する。回帰性の腫瘍増殖または回帰性の癌細胞の生育とは、現在使用可能な療法1つ以上(例えば癌療法、例えば化学療法、放射線療法、手術、ホルモン療法、および/または、生物学的療法/免疫療法、抗VEGF抗体療法、特に特定の癌に対する標準的な療法用法)を受けているかそれにより治療されている患者が患者を治療するために臨床的に不十分であるか、または、患者が追加的な有効療法を必要とするように治療から何れかの有利な作用を受けることがもはや無い状況を指す。本明細書においては、その表現はまた、例えば、治療に応答する患者がなお副作用に罹患している、抵抗性を発生させている、治療に応答しない、治療に十分応答しない等を説明する「非応答性/難治性」患者の状態を指す場合がある。種々の実施形態において、癌は回帰性の腫瘍増殖または回帰性の癌細胞の生育であり、その場合、癌細胞の数は有意に低減していないか、または増大しており、あるいは、腫瘍の大きさが有意に低減していないか、または増大しており、あるいは、癌細胞の大きさまたは数における如何なるそれ以上の低減も不可能である。癌細胞が回帰性の腫瘍増殖または回帰性の癌細胞の生育であるかどうかの判断は、そのような関連において、「回帰性」または「難治性」または「非応答性」の当該分野で許容されている意味を用いて、癌細胞に対する治療の有効性を試験するための、当該分野で知られた何れかの方法により、インビボまたはインビトロの何れかで行うことができる。抗VEGF治療に抵抗性の腫瘍は回帰性の腫瘍増殖の一例である。
本発明は対象における回帰性の腫瘍増殖または回帰性の癌細胞の生育をブロックまたは低減するために抗FGF19抗体1つ以上を投与することによる対象における回帰性の腫瘍増殖または回帰性の癌細胞の生育をブロックまたは低減する方法を提供する。特定の実施形態においては、アンタゴニストは癌治療薬の後に投与できる。特定の実施形態においては、抗FGF19抗体は癌治療薬と同時に投与する。あるいは、または追加的に、抗FGF19抗体療法は他の癌療法と交互に行ってよく、それは何れかの順序において実施できる。本発明はまた、癌を有する素因がある患者における癌の発症または再発を防止するために抑制性抗体1つ以上を投与するための方法を包含する。一般的に、対象は癌療法を同時に進行させていたか、させている。1つの実施形態において、癌療法は抗血管形成剤、例えばVEGFアンタゴニストを用いた治療である。抗血管形成剤は当該分野で知られたものおよび本明細書における定義の下に記載したものを包含する。1つの実施形態において、抗血管形成剤は抗VEGF中和抗体またはフラグメント(例えば、ヒト化A4.6.1,AVASTIN(登録商標)(Genentech,South San Francisco,CA),Y0317,M4,G6,B20,2C3等)である。例えば米国特許第6,582,959号、第6,884,879号、第6,703,020号;WO98/45332;WO96/30046;WO94/10202;EP 0666868B1;米国特許出願第20030206899号、第20030190317号、第20030203409号および第20050112126号;Popkov等、Journal of Immunological Methods 288:149−164(2004);およびWO2005012359.を参照できる。回帰性の腫瘍増殖または回帰性の癌細胞の生育をブロックまたは低減するためにVEGFアンタゴニストおよび抗FGF19抗体と組み合わせて別の薬剤を投与することができる。
本発明の抗体(および副次的治療薬)は何れかの適当な手段、例えば非経腸、皮下、腹腔内、肺内および鼻内、および、所望により局所投与、患部内投与により投与される。非経腸注入は筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与を包含する。更にまた、抗体は適宜、特に抗体の漸減用量によるパルス注入により投与される。投薬は何れかの適当な経路、例えば注射、例えば静脈内または皮下注射により行うことができ、これは部分的には投与が短期であるか長期であるかにより決まる。
本発明の抗体組成物は良好な医療上の慣行に合致した態様において製剤され、容量決定され、そして投薬される。この観点において考慮すべき要因は、治療すべき特定の疾患、治療すべき特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与日程および医療従事者が知る他の要因を包含する。抗体は必然ではないが場合より問題となる疾患の防止または治療のために現在使用中の薬剤1つ以上とともに製剤される。そのような他剤の有効量は製剤中に存在する本発明の抗体の量、疾患または治療の種類および上記した他の要因に応じたものである。これらは一般的には以前に使用されていたものと同じ用量および投与経路において、または、以前に使用されていた用量の1〜99%で使用される。
疾病の予防または治療のためには、本発明の抗体の適切な用量(単独使用、または他剤との組み合わせにおいて)は治療すべき疾病の種類、抗体の種類、疾病の重症度および経過、抗体を予防または治療目的のいずれにおいて投与するか、以前の治療、患者の臨床的履歴および抗体に対する応答性、および担当医の判断に応じて変動する。抗体は適宜、患者に対し、単回、または一連の治療に渡って投与する。疾病の種類および重症度に応じて、例えば一回以上の別個の投与によるか、連続注入によるかに関わらず、抗体約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1mg/kg〜10mg/kg)が患者への投与のための初期候補用量である。1つの典型的な一日当たり用量は上記した要因に応じて約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲である。数日間以上に渡る反復投与の場合には、状態に応じて、投与は所望の疾病症状の抑制が起こるまで持続する。1つの例示される抗体用量は約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲である。即ち、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kgまたは10mg/kgの1つ以上の用量(またはこれらの何れかの組み合わせ)を患者に投与してよい。このような用量は間歇的に、例えば毎週または3週毎(例えば患者が約2〜約20、例えば約6抗体投薬を受けるように)投与してよい。初期の高値の負荷用量の後、1つ以上の低用量を投与してよい。例示される用量用法は約4mg/kgの初期負荷用量を投与した後、抗体約2mg/kgの週当たり維持用量を含む。しかしながら、他の用量用法も使用してよい。この治療法の進行は従来の手法および試験により容易にモニタリングされる。
本発明の抗FGF19抗体は、抗体が後述するように標識される、および/または、不溶性マトリックスに固定化される、特異的な細胞または組織におけるFGF19発現を検出する試験(例えば診断または予後試験)において有用である。しかしながら、如何なる適当な抗FGF19抗体も検出および診断を行う実施形態において使用してよい。抗FGF19抗体を作成するための幾つかの方法は本明細書に記載する通りであり、抗FGF19抗体を作成するための方法は当該分野で良く知られている。
別の態様において、本発明はFGF19の検出のための方法を提供し、方法は試料中のFGF19−抗FGF19抗体複合体を検出することを含む。「検出」という用語は本明細書においては、対照との比較対照を行うか行わない、定性的および/または定量的な検出(レベルの計測)を包含する。
別の態様において、本発明はFGF19の発現および/または活性に関連する疾患を診断するための方法を提供し、方法は疾患を有するか有することが疑われる患者に由来する生物学的試料中のFGF19−抗FGF19抗体複合体を検出することを含む。一部の実施形態においては、FGF19の発現は増大した発現または異常な(望ましくない)発現である。
別の態様において、本発明は抗FGF19抗体が検出可能な標識を有する場合の本明細書に記載した抗FGF19抗体の何れかを提供する。
別の態様において、本発明は何れかの本明細書に記載した抗FGF19抗体およびFGF19の複合体を提供する。一部の実施形態においては、複合体はインビボまたはインビトロにある。一部の実施形態においては、複合体は癌細胞を含む。一部の実施形態においては、抗FGF19抗体は検出可能に標識される。
抗FGF19抗体(例えば本明細書に記載したFGF19抗体の何れか)は多くの良く知られた検出試験方法の何れか1つにおいてFGF19の検出のために使用できる。
1つの態様において、本発明はFGF19の発現および/または活性に関連する疾患を検出するための方法を提供し、方法は個体由来の生物学的試料中のFGF19を検出することを含む。一部の実施形態においては、FGF19の発現は増大した発現または異常な発現である。一部の実施形態においては、疾患は、腫瘍、癌および/または細胞増殖性疾患、例えば結腸直腸癌、肺癌、肝細胞癌、乳癌および/または膵臓癌である。一部の実施形態においては、生物学的試料は血清または腫瘍のものである。
別の態様において、本発明は個体に対する治療を選択するための方法を提供し、方法は(a)個体の生物学的試料中のFGF19発現を検出すること;および(b)工程(a)の後に個体に対する治療を選択すること、ここで治療の選択は工程(a)で検出されたFGF19発現に基づくこと、を含む。一部の実施形態においては、参照値または対照試料と相対比較した場合の個体の生物学的試料中の増大したFGF19発現を検出する。一部の実施形態においては、参照値または対照試料と相対比較した場合の個体の生物学的試料中の低減したFGF19発現を検出する。一部の実施形態においては、FGF19の発現を検出し、そして、抗FGF19抗体を用いた治療を選択する。抗FGF19抗体を用いた疾患の治療方法は本明細書に記載する通りであり、そして一部の方法は本明細書において例示する。
別の態様において、本発明は抗FGF19抗体の有効量を投与することにより癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患または肝臓疾患(例えば肝硬変)を有するか、有することが疑われる個体を治療するための方法を提供し、更にここで、FGF19の発現および/またはFGFR4の発現は、抗FGF19抗体の投与の前、その間またはその後においてヒト患者由来の細胞および/または組織において検出される。一部の実施形態においては、FGF19の過剰発現を、抗FGF19抗体の投与の前、その間またはその後に検出する。一部の実施形態においては、FGFR4の発現を、抗FGF19抗体の投与の前、その間またはその後に検出する。発現は抗FGF19抗体の投与の前;最中;後;前および最中;前および後;最中および後、;または前、最中および後に検出してよい。抗FGF19抗体を用いた疾患の治療方法は本明細書に記載する通りであり、そして一部の方法は本明細書において例示する。
例えば、生物学的試料は、所望の原料に由来する試料を得ること、試料に抗FGF19抗体を添加混合して混合物中にFGF19が存在する場合は抗体がそれと抗体/FGF19複合体を形成できるようにすること、および、混合物中に抗体/FGF19複合体が存在すればそれを検出することにより、FGF19に関して試験してよい。生物学的試料は特定の試料に対して適当である当該分野で知られた方法により試験のために調製してよい。試料と抗体を添加混合する方法および抗体/FGF19複合体を検出する方法は使用する試験の型に応じて選択する。そのような試験は免疫組織化学的分析、競合的およびサンドイッチ試験および立体抑制試験を包含する。試料の調製の為には、哺乳類(典型的にはヒト患者)に由来する組織または細胞試料を使用してよい。試料の例は限定しないが、結腸癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、肺癌、胃癌、膵臓癌、リンパ腫および白血病の癌細胞を包含する。試料は当該分野で知られた種々の操作法、例えば限定しないが、外科的摘出、吸引または生検により得ることができる。組織は新鮮または凍結物出会ってよい。1つの実施形態において、試料は固定してパラフィン等に包埋する。組織試料は従来の方法により固定(即ち保存)してよい(例えばManual of Histological Staining Method of the Armerd Forces Institute of Pathology, 3rd edition(1960)Lee G,Luna, HT(ASCP)Editor,The Blackston Division McGraw−Hill Book Company,New York;The Armed Forces Institute of Pathology Advanced Laboratory Methods in Histology and Pathology(1994)Ulreka V.Mikel,Editor,Armed Forces Institute of Pathology,American Rsgistry of Pathology,Washington,D.C.参照)。当業者の知る通り、固定材の選択は試料を組織学的に染色するか別様に分析する目的により決定される。やはり当業者の知る通り、固定の長さは組織試料の大きさおよび使用する固定材に応じたものとなる。例示すれば、中性緩衝ホルマリン、Bouinまたはパラホルムアルデヒドを試料を固定するために使用してよい。一般的に、試料をまず固定し、そして次にアルコールの漸増列を介して脱水し、パラフィンまたは他の切片化媒体に浸潤させて包埋し、これにより、組織試料を切片化してよい。あるいは、組織を切片化し、得られた切片を固定化してもよい。例示すれば、組織試料を従来の方法によりパラフィンに包埋して処理してよい(例えば上出のManual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology参照)。使用してよいパラフィンの例は、限定しないが、Paraplast、BroloidおよびTissuemayを包含する。組織を包埋した後、試料をミクロトーム等で切片化してよい(例えば上出のManual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology参照)。この操作法に関して例示すれば、切片は約3ミクロン〜約5ミクロンの厚みの範囲としてよい。切片化の後、切片を数種の標準的な方法によりスライドに接着させる。スライド接着剤の例は限定しないが、シラン、ゼラチン、ポリ−L−リジンなどを包含する。例示すればパラフィン包埋切片を正荷電のスライドおよび/またはポリ−L−リジンをコーティングしたスライドに接着させてよい。パラフィンは包埋用材料として使用されている場合は、組織切片は一般的には脱パラフィン処理して水に再水和させる。組織切片は数種の従来の標準的方法により脱パラフィンしてよい。例えば、キシレンおよび漸減列のアルコールを使用してよい(例えば上出のManual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology参照)。あるいは、市販の脱パラフィン用の非有機性の薬剤、例えばHemo−De7(CMS,Houston,Texas)を使用してよい。
FGF19に関する分析方法は全て、以下の試薬、即ち、標識されたFGF19類縁体、固定化されたFGF19類縁体、標識された抗FGF19抗体、固定化された抗FGF19抗体および立体コンジュゲートの1つ以上を使用する。標識された試薬は「トレーサー」としても知られている。
使用される標識はFGF19および抗FGF19抗体の結合を妨害しない何れかの検出可能な官能性のものである。イムノアッセイにおける使用のための多くの標識が知られており、その例としては、直接検出してよい部分、例えば蛍光色素、ケミルミネセントおよび放射性の標識、ならびに、検出されるためには反応または誘導体化しなければならない部分、例えば酵素が包含される。
使用される標識はFGF19および抗FGF19抗体の結合を妨害しない何れかの検出可能な官能性のものである。イムノアッセイにおける使用のための多くの標識が知られており、その例としては、直接検出してよい部分、例えば蛍光色素、ケミルミネセントおよび放射性の標識、ならびに、検出されるためには反応または誘導体化しなければならない部分、例えば酵素が包含される。そのような標識の例は放射性同位体32P、14C、125I、3Hおよび131I、蛍光団、例えば希土類のキレートまたはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えばホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、セイヨウワサビパーオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソザイム、糖類オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、複素環オキシダーゼ、例えばウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ、ただしHRP、ラクトパーオキシダーゼまたはミクロパーオキシダーゼなどの染料前駆体を酸化するために過酸化水素を使用する酵素とカップリングさせたもの、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカル等を包含する。
これらの標識をタンパク質オアポリペプチドに共有結合させるためには従来の方法が使用される。例えばカップリング剤、例えばジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、ビスイミデート、ビスジアゾ化ベンジジン等を用いることにより、上記した蛍光、ケミルミネセントおよび酵素標識で抗体をタグ付けしてよい。例えば米国特許第3,940,475号(蛍光分析)および第3,645,090号(酵素);Hunter等、Nature,144:945(1962);David等、Biochemistry,13:1014−1021(1974);Pain等、J.Immunol.Methods,40:219−230(1981);およびNygren,J.Histochem.and Cytochem.,30:407−412(1982)を参照できる。本明細書における好ましい標識はセイヨウワサビパーオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどの酵素である。そのような標識、例えば酵素の抗体へのコンジュゲーションはイムノアッセイ手法における当業者にとって標準的に操作できる操作法である。例えばO’Sullivan等、”Methods for the Preparation of Enzyme−antibody Conjugates for Use in Enzyme Immunoassay,”Methods in Enzymology,ed.J.J.Langone and H.Van Vunakis,Vol.73(Academic Press,New York,New York,1981),pp.147−166を参照できる。
試薬の固定化が特定の試験方法には必要である。固定化は溶液中に遊離して残存しているFGF19がある場合はそれから抗FGF19抗体を分離することを伴う。これは好都合には、試験の操作法の前に抗FGF19抗体またはFGF19類縁体を、例えば水不溶性マトリックスまたは表面への吸着(Bennich等、米国特許第3,720,760号)によるか、共有結合カップリング(例えばグルタルアルデヒド交差結合を用いる)により不溶性化するか、またはその後に抗FGF19抗体またはFGF19類縁体を例えば免疫沈降により不溶性化することによるかの何れかにより、達成される。
試料中のタンパク質の発現は免疫組織化学および染色のプロトコルを用いて調べてよい。組織切片の免疫組織学的染色は、試料中のタンパク質の存在を試験または検出する信頼性の高い方法であることがわかっている。免疫組織化学(IHC)の手法は一般的に発色性または蛍光による方法により、インサイチュで細胞抗原をプローブして可視化するために抗体を利用している。試料調製の為には哺乳類(典型的にはヒト患者)由来の組織または細胞の試料を使用してよい。試料は当該分野で知られた種々の操作法、例えば限定しないが、外科的摘出、吸引または生検により得ることができる。組織は新鮮または凍結されていてよい。1つの実施形態において試料はパラフィン等に固定化および包埋する。組織試料は従来の方法により固定(即ち保存)してよい。当業者の知る通り、固定剤の選択は試料を組織学的に染色または別様に分析する目的により決定される。当該分野で知られる通り、固定の長さは組織試料の大きさおよび使用する固定剤による。
IHCは別の手法、例えば形態学的染色および/または蛍光インサイチュハイブリダイゼーションと組み合わせて実施してよい。IHCの2つの一般的方法;直接および間接的な試験が使用できる。第1の試験によれば、標的抗原(例えばFGF19)への抗体の結合を直接測定する。この直接測定は標識された試薬、例えば蛍光タグまたは酵素標識一次抗体を使用し、これはそれ以上の抗体相互作用を伴うことなく可視化することができる。典型的な間接的試験においては、未コンジュゲートの抗体を酵素標識にコンジュゲートし、色素原性または蛍光原性の基質を添加することにより抗原の可視化を行う。シグナル増幅が起こる理由は、数種の二次抗体が一次抗体の異なるエピトープと反応する場合があるためである。
免疫組織化学のために使用される一次および/または二次抗体は典型的には検出可能な部分で標識される。後述するカテゴリーに一般的にグループ分けすることができる多くの標識が使用できる。
上記考察した試料調製の操作法のほかに、IHCの前、最中または後に組織切片を更に処理することが望ましい場合があり、例えば、クエン酸緩衝液中で組織試料を加熱する等のエピトープ回復方法を行ってよい(例えばLeong等、Appl.Immunohistochem.4(3):201(1996)参照)。
任意のブロッキング工程の後、組織試料中の標的タンパク質抗原に一次抗体が結合するような十分な時間および適当な条件下において、組織切片を一次抗体に曝露する。これを達成するための適切な条件は定型的実験により決定できる。試料への抗体の結合の程度は上記考察した検出可能な標識の何れか1つを用いることにより測定される。好ましくは、標識は3,3‘−ジアミノベンジジン色素原などの色素原性の基質の化学的改変を触媒する酵素標識(例えばHRPO)である。好ましくは、酵素標識は一次抗体に特異的に結合する抗体にコンジュゲートされる(例えば一次抗体はウサギポリクローナル抗体であり、そして二次抗体はヤギ抗ウサギ抗体である)。
このようにして調製された標本をマウントし、カバーガラスで覆ってよい。次にスライドガラスの評価を、例えば顕微鏡を用いて行い、そして、当該分野で定型的に使用されている染色強度基準を用いてよい。
競合的またはサンドイッチ試験として知られている他の試験法は十分確立されており、そして商業的な診断薬産業において広範に使用されている。
競合的試験は抗FGF19抗体抗原結合部位の限定された数に対して被験試料FGF19と競合するトレーサーFGF19類縁体の能力に依存している。抗FGF19抗体は一般的に競合の前または後に不溶性化され、そして次にトレーサーおよび抗FGF19抗体に結合したFGF19を未結合のトレーサーおよびFGF19から分離する。この分離は傾瀉(結合相手が予め不溶性化されている場合)によるか、または、遠心分離(結合相手が競合的反応の後に沈殿している場合)により行う。被験試料のFGF19の量はマーカー物質の量により測定した場合の結合トレーサーの両に反比例する。FGF19の既知量による用量応答曲線を作成し、そして被験試料の結果と比較することにより被験試料中に存在するFGF19の量を定量的に測定する。これらの試験は酵素が検出可能なマーカーとして使用される場合にはELISA系と称する。
競合定期試験の別の種類は「均質性」試験と称され、相分離を必要としない。ここでは、抗FGF19抗体がFGF19に結合する場合に抗FGF19抗体の存在が酵素活性を変調させるように、FGF19との酵素のコンジュゲートを作成して使用する。この場合、FGF19またはその免疫学的に活性なフラグメントをパーオキシダーゼなどの酵素に二官能性の有機の架橋を用いてコンジュゲートする。コンジュゲートは、抗FGF19抗体の結合が標識の酵素活性を阻害または強化するように、抗FGF19抗体との使用のために選択する。この方法自体はEMITの名称の下に広範に実施されている。
立体コンジュゲートは均質性試験のための立体疾患法において使用される。これらのコンジュゲートは、ハプテンに対する抗体が抗FGF19抗体と同時にはコンジュゲートに結合することが実質的に不可能であるように小型FGF19フラグメントに低分子量ハプテンを共有結合することにより合成する。この試験の操作法の下においては、被験試料中に存在するFGF19は抗FGF19抗体に結合することになり、これにより、抗ハプテンがコンジュゲートに結合できるようにし、コンジュゲートハプテンの態様に変化、例えばハプテンが蛍光団である場合は蛍光に変化が生じる。
サンドイッチ試験は特にFGF19または抗FGF19抗体の測定のために有用である。逐次的サンドイッチ試験の場合は、固定化された抗FGF19抗体を用いて被験試料FGF19を吸着し、被験試料を洗浄により除去し、結合FGF19を用いて第2の標識された抗FGF19抗体を吸着し、そして次に結合した物質を残留トレーサーから分離する。結合トレーサーの量は被験試料FGF19に直接的に比例する。「同時」サンドイッチ試験においては被験試料は標識された抗FGF19の添加の前には分離されない。1つの抗体として抗FGF19モノクローナル抗体を、もう1つの抗体としてポリクローナル抗FGF19抗体を用いる逐次的サンドイッチ試験がFGF19の試料を試験する場合に有用である。
上記はFGF19に関する単なる例示される検出試験である。FGF19の測定のために抗FGF19抗体を使用する現在または将来開発される他の方法も、本明細書に記載したバイオアッセイを含めてその範囲に包含される。
1つの態様において、本発明はヒト対象などの個体に由来する生物学的試料中のポリヌクレオチド(例えばFGF19ポリヌクレオチド)を検出(例えば存在または非存在または量)するための方法を提供する。ポリヌクレオチドを検出するための種々の方法、例えばRT−PCR、taqman、増幅方法、ポリヌクレオチドマイクロアレイ等を使用することができる。
ポリヌクレオチド(例えばmRNA)の検出のための方法はよく知られており、そして例えばDNAプローブを用いたハイブリダイゼーション試験(例えば標識されたFGF19リボプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーション)、ノーザンブロットおよび関連の手法、および種々の核酸増幅試験(例えばFGF19に特異的な相補プライマーを用いたRT−PCR、および他の増幅型検出方法、例えば分枝鎖DNA、SPIA、Ribo−SPIA、SISBA、TMA等)を包含する。
哺乳類由来の生物学的試料は例えばFGF19mRNAに対して、ノーザン、ドットブロットまたはPCR分析を用いて、好都合に試験することができる。例えば定量的PCR試験などのRT−PCRは当該分野で良く知られている。本発明の説明のための実施形態においては、生物学的試料中のFGF19mRNAを検出するための方法は少なくとも1つのプライマーを用いて逆転写により試料からcDNAを生成すること;そのようにして生成されたcDNAをFGF19ポリヌクレオチドをセンスおよびアンチセンスプライマーとして用いて増幅することによりその中でFGF19cDNAを増幅すること;および増幅されたFGF19cDNAの存在または非存在を検出することを含む。更にまた、そのような方法は生物学的試料中のFGF19mRNAの量(レベル)を測定可能(例えばアクチンファミリーメンバーなどのハウスキーピング遺伝子の比較対照mRNA配列のレベルを同時に調べることにより)とする工程1つ以上を包含できる。場合により増幅されたFGF19cDNAの配列を決定することができる。
プローブおよび/またはプライマーは検出可能なマーカー、例えば放射性同位体、蛍光化合物、バイオルミネセント化合物、ケミルミネセント化合物、金属キレート形成剤または酵素で標識してよい。そのようなプローブおよびプライマーは試料中のFGF19ポリヌクレオチドの存在を検出するために、そして、FGF19タンパク質を発現している細胞を検出するための手段として使用できる。当該分野で知られる通り、多数種類の異なるプライマーおよびプローブを作成し(例えば本明細書に記載する配列に基づいて)、そして、FGF19mRNAの増幅、クローニング、および/または、存在または非存在および/または量の測定のために効果的に使用してよい。
本発明の任意の方法はマイクロアレイの技術を用いた組織または細胞の試料におけるFGF19ポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドの検出を含む。例えば、核酸マイクロアレイを用いて、被験および対照の組織試料に由来する被験および対照mRNA試料を逆転写し、そして標識することによりcDNAプローブを作成する。次にプローブを固体支持体上に固定化された核酸のアレイにハイブリダイズさせる。アレイはアレイの各メンバーの配列および一がわかるように構成する。例えば、特定の病状において発現される潜在性を有する遺伝子の選択肢を固体支持体上にアレイ化してよい。特定のアレイメンバーとの標識プローブのハイブリダイゼーションは、プローブの誘導元である試料がその遺伝子を発現することを示している。疾病組織の示差的遺伝子発現分析により価値ある情報が得られる。マイクロアレイ技術は核酸ハイブリダイゼーション技術およびコンピューター技術を利用することにより単一の実験内で数千遺伝子のmRNA発現プロファイルを評価している(例えば2001年10月11日公開のWO01/75166参照(アレイ作成の考察に関しては例えば米国特許第5,700,637号、米国特許第5,445,934号および米国特許第5,807,522号、Lockart,Nature Biotechnology,14:1675−1680(1996);Cheung,V.G.等、Nature Genetics21(Suppl):15−19(1999)を参照できる))。DNAマイクロアレイはガラスまたは他の基盤上に直接合成されるか、またはスポットされる遺伝子フラグメントを含有する細密アレイである。単一のアレイに通常数千の遺伝子が提示されている。典型的なマイクロアレイ実験では以下の工程、即ち1.試料から単離されたRNAに由来する蛍光標識された標的の調製、2.マイクロアレイへの標識標的のハイブリダイゼーション、3.アレイの洗浄、染色およびスキャン、4.スキャンされた画像の分析、および5.遺伝子発現プロファイルの作成を行う。現在では2つの主要な型のDNAマイクロアレイ、即ちオリゴヌクレオチド(通常は25〜70量体)アレイおよびcDNAから調製されたPCR産物を含有する遺伝子発現アレイが使用されている。アレイを形成する場合、オリゴヌクレオチドをあらかじめ作成し、そして表面上にスポットするか、または表面上で直接合成することができる(インサイチュ)。
AffymetrixGeneChip(登録商標)システムはガラス表面上のオリゴヌクレオチドの直接合成により作成されたアレイを含む市販のマイクロアレイシステムである。プローブ/遺伝子アレイ:オリゴヌクレオチドは通常25量体であり、半導体系写真石版法および固相化学合成技術の組み合わせによりガラスウエハ上に直接合成される。各アレイは400,000種までの異なるオリゴを含有し、各オリゴは数百万コピー存在する。オリゴヌクレオチドプローブはアレイ上の既知位置において合成されるため、ハイブリダイゼーションのパターンおよびシグナル強度はAffymetrixMicroarraySuiteソフトウエアにより遺伝子の識別情報および相対的発現レベルの項目において解釈することができる。各遺伝子は異なるオリゴヌクレオチドプローブのシリーズによりアレイ上に提示される。各プローブ対は完全マッチのオリゴヌクレオチドおよびミスマッチのオリゴヌクレオチドからなる。完全マッチプローブは特定の遺伝子に厳密に相補である配列を有し、そしてこれにより、遺伝子の発現を計測する。ミスマッチプローブは標的遺伝子転写物の結合を混乱させる中央塩基位置における1塩基置換により、完全マッチプローブとは異なる。これは完全マッチオリゴに関して計測されるシグナルに寄与するバックグラウンドおよび非特異的ハイブリダイゼーションの測定を支援する。MicroarraySuiteソフトウエアは各プローブセットに関する絶対的または特異的な強度の値を測定するためにミスマッチプローブのハイブリダイゼーション強度を完全マッチプローブのものから差し引く。プローブはGenBankおよび他のヌクレオチドのレポジトリーから得た現在の情報に基づいて選択する。配列は遺伝子の3’末端のユニークな領域を認識すると考えられる。GeneChipハイブリダイゼーションオーブン(「ロティサリーオーブン」)を用いて1回で64アレイまでのハイブリダイゼーションを実施する。流体工学ステーションがプローブアレイの洗浄および染色を実施する。完全に自動化されており、4つのモジュールを含有し、各モジュールが1プローブアレイを保持している。各モジュールは予備プログラムされた流体工学プロトコルを用いてMicroarraySuiteソフトウエアにより独立して制御されている。スキャナはプローブアレイに結合した標識cRNAにより発射される蛍光の強度を計測する共焦点レーザー蛍光スキャナである。MicroarraySuiteソフトウエアを有するコンピューターワークステーションが流体工学ステーションおよびスキャナを制御する。MicroarraySuiteソフトウエアはプローブアレイに対して予備プログラムされたハイブリダイゼーション、洗浄および染色のプロトコルを用いて8つまでの流体工学ステーションをコントロールすることができる。ソフトウエアはまた、適切なアルゴリズムを用いて各遺伝子に対してハイブリダイゼーション強度データを獲得し、存在/非存在のコールに変換する。最後に、ソフトウエアは比較分析により実験間の遺伝子発現の変化を検出し、そしてアウトプットをテキストファイルにフォーマットし、これは別のデータ分析のための別のソフトウエアプログラムと共に使用できる。
一部の実施形態においてはFGF19遺伝子の欠失、遺伝子突然変異または遺伝子の増幅を検出する。遺伝子の欠失、遺伝子突然変異または増幅は当該分野で知られた広範な種々のプロトコルの何れか1つにより、例えば、mRNAの転写を定量するための従来のサザンブロッティング、ノーザンブロッティング(Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:5201−5205(1980))、ドットブロッティング(DNA分析)または適切に標識されたプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーション(例えばFISH)、細胞遺伝子的方法または適切に標識されたプローブを用いた比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)により、計測してよい。更にまた、これらの方法はFGF19リガンドの遺伝子欠失、リガンド突然変異または遺伝子増幅を検出するために使用してよい。本明細書においては、「FGF19発現を検出する」とは、FGF19の遺伝子欠失、遺伝子牟田または遺伝子増幅を検出することを包含する。
更にまた、組織または細胞の試料中のFGF19遺伝子のメチル化状態を調べることもできる。遺伝子の5’調節領域におけるCpGアイランドの異常な脱メチル化および/またはメチル化亢進は不朽化および形質転換された細胞において頻発し、そして種々の遺伝子の改変された発現をもたらす場合がある。遺伝子のメチル化状態を調べるための種々の試験が当該分野で良く知られている。例えば、サザンハイブリダイゼーションの方策においては、CpGアイランドのメチル化状態を試験するためにメチル化CpG部位を含有する配列を切断できないメチル化感受性制限酵素を利用できる。更にまた、MSP(メチル化特異的PCR)は所定の遺伝子のCpGアイランドに存在するすべてのCpG部位のメチル化状態を迅速にプロファイリングすることができる。この操作法では、重亜硫酸ナトリウム(全ての未メチル化シトシンをウラシルに変換する)によるDNAの初期修飾、次いでメチル化vs未メチル化DNAに対して特異的なプライマーを用いた増幅を行う。メチル化干渉を行うプロトコルもまた例えばCurrent Protocols in Molecular Biology,Unit12,Frederich M.Ausubel等編、1995;DeMarzo等、Am.J.Pathol.155(6):1985−1992(1999);Brook等、Cancer Epidemiol.Biomarkers Prev.,1998,7:531−536;およびLethe等、Int.J.Cancer76(6):903−908(1998)に記載されている。本明細書においては、「FGF19発現を検出する」とはFGF19遺伝子メチル化の検出を包含する。
本出願の実施例はヒトの原発の肝臓、肺および結腸の腫瘍において、そして、結腸癌細胞系統においてFGFR4が発現されること、および、更に、FGF19及ぶFGFR4がヒトの原発の肝臓、肺および結腸の腫瘍において、そして、結腸癌細胞系統において同時発現されることを開示するものである。従って、一部の実施形態においては、生物学的試料におけるFGFR4ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの発現を検出する(単独またはFGF19発現との組み合わせ(同時および/または逐次的)において)。上記した通り、現時点ではFGF19はFGFR4の受容体に結合すると考えられている。本明細書に記載したものを包含する当該分野で知られた方法を用いて、FGFR4のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを検出できる。例示すれば、上記したIHC技術を用いることにより試料中のそのような分子1つ以上の存在を検出してよい。本明細書においては、「組み合わせにおいて」とは何れかの同時および/または逐次的な検出を包含する意味を有する。即ち、FGF19の存在に関してのみならず、FGFR4の存在に関しても生物学的試料を調べるべき実施形態においては、別個のスライドを同じ組織または試料から調製し、そして各スライドをそれぞれFGF19および/またはFGFR4に結合する試薬を用いて試験してよいことを意図している。あるいは、単一のスライドを組織または細胞の試料から調製し、そしてFGF19およびFGFR4に指向された抗体を多色染色プロトコルと関連させて使用することによりFGF19およびFGFR4の可視化および検出が可能となる。
別の態様において、本発明はFGFR4の発現および/または活性に関連する疾患を診断するための方法を提供し、方法は個体に由来する生物学的試料中のFGFR4を検出することを含む。一部の実施形態においては、FGFR4発現は増大した発現または異常な発現である。一部の実施形態においては、疾患は、腫瘍、癌および/または細胞増殖性疾患、例えば結腸直腸癌、肺癌、肝細胞癌、乳癌および/または膵臓癌である。一部の実施形態においては、生物学的試料は血清または腫瘍のものである。
別の態様において、本発明はFGFR4およびFGF19の発現および/または活性に関連する疾患を診断するための方法を提供し、方法は個体に由来する生物学的試料中のFGFR4およびFGF19を検出することを含む。一部の実施形態においては、FGF19発現は増大した発現または異常な発現である。一部の実施形態においては、FGFR4発現は増大した発現または異常な発現である。一部の実施形態においては、疾患は、腫瘍、癌および/または細胞増殖性疾患、例えば結腸直腸癌、肺癌、肝細胞癌、乳癌および/または膵臓癌である。一部の実施形態においては、生物学的試料は血清または腫瘍のものである。一部の実施形態においては、FGFR4の発現を第1の生物学的試料中で検出し、そしてFGF19の発現を第2の生物学的試料中で検出する。
別の態様において、本発明は個体に対する治療を選択するための方法を提供し、方法は(a)個体の生物学的試料中にFGFR4の発現がある場合はそれを検出すること;および(b)工程(a)の後に、個体に対する治療を選択すること、ここで治療の選択は工程(a)で検出されたFGFR4発現に基づくこと、を含む。一部の実施形態においては、参照値または対照試料と相対比較した場合の個体の生物学的試料中の増大したFGFR4発現を検出する。一部の実施形態においては、参照値または対照試料と相対比較した場合の個体の生物学的試料中の低減したFGFR4発現を個体において検出する。一部の実施形態においては、FGFR4の発現を検出し、そして、抗FGF19抗体を用いた治療を選択する。
別の態様において、本発明は個体に対する治療を選択するための方法を提供し、方法は(a)個体の生物学的試料中にFGF19およびFGFR4の発現がある場合はそれを検出すること;および(b)工程(a)の後に、個体に対する治療を選択すること、ここで治療の選択は工程(a)で検出されたFGF19およびFGFR4の発現に基づくこと、を含む。一部の実施形態においては、参照値または対照試料と相対比較した場合の個体の生物学的試料中の増大したFGF19発現を検出する。一部の実施形態においては、参照値または対照試料と相対比較した場合の個体の生物学的試料中の低減したFGF19発現を個体において検出する。一部の実施形態においては、参照値または対照試料と相対比較した場合の個体の生物学的試料中の増大したFGFR4発現を検出する。一部の実施形態においては、参照値または対照試料と相対比較した場合の個体の生物学的試料中の低減したFGFR4発現を個体において検出する。一部の実施形態においては、FGF19およびFGFR4の発現を検出し、そして、抗FGF19抗体を用いた治療を選択する。一部の実施形態においては、第1の生物学的試料においてFGFR4の発現を検出し、そして、第2の生物学的試料においてFGF19の発現を検出する。
別の態様において、本発明は抗FGF19抗体の有効量を投与することにより癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患または肝臓疾患(例えば肝硬変)を有するか、有することが疑われる個体を治療するための方法を提供し、更にここで、FGF19の発現および/またはFGFR4の発現は、抗FGF19抗体の投与の前、その間またはその後においてヒト患者由来の細胞および/または組織中で検出される。一部の実施形態においては、FGF19の過剰発現を、抗FGF19抗体の投与の前、その間またはその後に検出する。一部の実施形態においては、FGFR4の発現を、抗FGF19抗体の投与の前、その間またはその後に検出する。発現は抗FGF19抗体の投与の前;最中;後;前および最中;前および後;最中および後、;または前、最中および後に検出してよい。
検出を行う一部の実施形態においては、FGFR4下流分子シグナリングの発現はFGFR4の発現の検出に追加して、またはその代替として検出してよい。一部の実施形態においては、FGFR4下流分子シグナリングの検出はMAPK,FRS2またはERK2のリン酸化の検出1つ以上を含む。
検出を行う一部の実施形態は更に、Wnt経路の活性化の検出を含む。一部の実施形態においては、Wnt経路の活性化の検出はβ−カテニンのチロシンリン酸化、Wnt標的遺伝子の発現、β−カテニン突然変異およびβ−カテニンへのE−カドヘリンの結合の1つ以上を含む。Wnt経路の活性化の検出は当該分野で知られており、そして一部の例は本明細書に記載および例示する通りである。
一部の実施形態においては、治療は、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、下垂体癌、膵臓癌、乳線維腺腫、前立腺癌、頭部および頚部の扁平上皮細胞癌、軟組織肉腫、乳癌、神経芽腫、黒色腫、乳房癌腫、胃癌、結腸直腸癌(CRC)、上皮癌腫、脳癌、子宮内膜癌、精巣癌、胆管癌、胆嚢癌および肝細胞癌からなる群から選択される癌に対するものである。
生物学的試料は例えば生物学的試料の定義において本明細書に記載する通りである。一部の実施形態においては、生物学的試料は血清または腫瘍である。
FGF19および/またはFGFR4の発現の検出を行う実施形態においては、FGF19および/またはFGFR4のポリヌクレオチド発現および/またはFGF19および/またはFGFR4のポリペプチド発現を検出してよい。FGF19および/またはFGFR4の発現の検出を行う一部の実施形態においては、FGF19および/またはFGFR4のmRNAの発現を検出する。他の実施形態においては、FGF19および/またはFGFR4のポリペプチド発現を抗FGF19剤および/または抗FGFR4剤を用いて検出する。一部の実施形態においては、FGF19および/またはFGFR4のポリペプチド発現は抗体を用いて検出する。何れかの適当な抗体を検出および/または診断のために使用してよく、例えばモノクローナルおよび/またはポリクローナル抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ヒト化抗体、および/または、抗体フラグメントが包含される。一部の実施形態においては、本明細書に記載した抗FGF19抗体を検出のために使用する。一部の実施形態においては、FGF19および/またはFGFR4のポリペプチド発現は免疫組織化学(IHC)を用いて検出する。一部の実施形態においては、FGF19の発現はIHCを用いた場合に2以上の評点となる。
FGF19および/またはFGFR4の発現の検出を行う一部の実施形態においては、FGF19および/またはFGFR4の発現の存在および/または非存在および/またはレベルを検出してよい。FGF19および/またはFGFR4の発現は増大してよい。FGF19および/またはFGFR4の発現の非存在は有意でないものまたは最小限のレベルを包含する。一部の実施形態においては、被験生物学的試料中のFGF19の発現は対照の生物学的試料について観察されるもの(または対照またはレファレンスの発現レベル)より高値である。一部の実施形態においては、FGF19の発現は対照生物学的試料中よりも被験生物学的試料中において少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、75倍、100倍、150倍高値であるか、それよりも高値である。一部の実施形態においては、FGF19のポリペプチド発現は染色強度に関して少なくとも2以上の評点とされる免疫組織化学(IHC)試験において測定される。一部の実施形態においては、FGF19ポリペプチド発現は染色強度に関して少なくとも1以上、または少なくとも3以上に評点されるIHC試験において測定される。一部の実施形態においては、被験生物学的試料中のFGF19の発現は対照の生物学的試料について観察されるもの(または対照の発現レベル)より低値である。
一部の実施形態においては、FGF19の発現は血清中で検出し、そしてFGFR4の発現は腫瘍試料中で検出する。一部の実施形態においては、FGF19発現およびFGFR4発現を腫瘍試料中で検出する。一部の実施形態においては、FGF19の発現は血清または腫瘍試料中で検出し、そしてFGFR4下流分子シグナリングおよび/またはFGFR4発現を腫瘍試料中で検出する。一部の実施形態においては、FGF19の発現を血清または腫瘍試料中で検出し、そして、Wnt経路活性化を腫瘍試料中で検出する。一部の実施形態においては、FGF19の発現を血清または腫瘍試料中で検出し、そしてFGFR4下流分子シグナリングおよび/またはFGFR4発現および/またはWnt経路活性化を腫瘍試料中で検出する。
製造物品
本発明の別の態様において、上記した疾病の治療、予防および/または診断のために有用な物質を含有する製造物品が提供される。製造物品は容器および容器上またはそれに伴ったラベルまたはパッケージインサートを含む。適当な容器は例えばビン、バイアル、シリンジ等を包含する。容器は種々の材料、例えばガラスまたはプラスチックから形成してよい。自身、または他の組成物と組み合わせた場合に状態の治療、予防および/または診断に有効となる組成物を容器が保持しており、そして滅菌された接触口を有してよい(例えば容器は静脈内投与用の溶液バッグまたは皮下注射針により穿刺可能な蓋つきのバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は本発明の抗体である。ラベルまたはパッケージインサートは組成物が例えば癌などの選択された状態の治療のために使用されることを示す。更にまた、製造物品は(a)その中に含有される組成物の入った第1の容器、ここで組成物は本発明の抗体を含むもの、および(b)その中に含有される組成物の入った第2の容器を含んでよい。本発明のこの実施形態における製造物品は更に第1および第2の抗体組成物を例えば癌などの特定の状態の治療のために使用できることを示すパッケージインサートを含んでよい。あるいは、または追加的に、製造物品は更に製薬上許容しうる緩衝液、例えば注射用殺菌水(BWFI)、リン酸塩緩衝食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を含む第2(または第3)の容器を含んでよい。それは更に商業上または使用者の観点から望ましい他の物質、例えば他の緩衝物質、希釈剤、フィルター、針およびシリンジを含んでよい。
以下に記載するものは本発明の方法および組成物の実施例である。上記の一般的説明により、種々の他の実施形態も実施できると理解される。
以下の材料および方法を実施例1〜12において使用する。
遺伝子発現
凍結組織試料由来の全RNAを製造元のプロトコルに従ってRNASTAT−60を用いて抽出した(Tel−test”B”Inc.)。培養細胞由来の全RNAを製造元のプロトコルに従ってRNeasyキットで単離した(Qiagen)。夾雑DNAをDNAフリーキット(Ambion,cat#1906)を用いて除去し、試料をリアルタイミPCRに使用した。ヒトFGF19、FGFR4およびRPL19のmRNAに対する特定のプライマーおよび蛍光発生プローブ(表2)は、Primer Express1.1(PE Applied Biosystems)を用いて設計し、遺伝子発現を定量するために使用した。遺伝子特異的シグナルはRPL19ハウスキーピング遺伝子のシグナルに対して正規化した。データの3連のセットを各条件につき平均した。
インサイチュハイブリダイゼーション
ヒトFGFR4(NM_022963のヌクレオチド435〜1183)またはFGF19(NM_005117のヌクレオチド495〜1132)に相当する
33P−UTP標識センスまたはアンチセンスプローブをポリメラーゼ連鎖反応により作成した(Mauad等、(1994)Am J Pathol 145,1237−1245)。切片を脱パラフィン処理し、37℃で30分間プロテイナーゼK4mg/mL中で脱タンパク処理し、そして更にインサイチュハイブリダイゼーション用に処理した(Holcomb等、(2000)EmboJ19,4046−4055)。プローブを一夜55℃で切片にハイブリダイズし、そして未ハイブリダイズのプローブをRNAseA処理により除去した。スライドをNBT2エマルジョン(Eastman Kodak)中に浸積し、4℃で4週間曝露し、現像し、そしてヘマトキシリンおよびエオシンで対比染色した。
免疫沈降およびイムノブロッティング
組織試料(50mg)を500μlの抽出緩衝液(20mMトリスpH8、137mMNaCl、1mMEGTA、1%トリトンX−100,10%グリセロール、1.5mMMgCl2、完全ロゼ阻害剤カクテル(Roche Applied Sciences))中でホモゲナイズした。培養細胞由来の全タンパク質は抽出緩衝液を用いて30分間氷上で抽出した。溶解物を遠心分離(10,000xg、15分間)し、そして次に、4℃で一夜、CibacronブルーアガロースおよびプロテインGアガロース(GE Healthcare Life Sciences)を用いて清浄化した。溶解物(100μgタンパク質)を4℃で一夜、目的の抗体にカップリングしたアガロース2ugと共に1mlのPBS/0.1%トリトン中でインキュベートした。ゲルスラリーを同じ緩衝液で洗浄し、そしてエルーション緩衝液(Pierce Biotechnology)10μlで溶出させた。試料は2ugのビオチン化FGF19抗体(BAF969,R&Dsystems)、FGFR4抗体(Genentech,Inc.)および二次試薬にコンジュゲートしたIRDye800を用いてウエスタンブロットにより分析し、そしてOdysseyスキャナ(Li−Cor Biotechnology)を用いて可視化した。
免疫組織化学
ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片をトリロジー(Cell Marque)を用いて抗原回復のために処理し、そして次に10ug/mlのFGF19抗体(1D1;Genentech Inc)と共にインキュベートした。免疫染色はビオチン化二次抗体、ABC−HRP試薬(Vector Labs)および金属増強DAB比色用パーオキシダーゼ器質(Pierce Laboratories)を用いて実施した。
細胞遊走試験
8μmの細孔を有する24穴フォーマットのPETメンブレンフィルター(BD Biosciences)の表面を、0.02M酢酸中の1型コラーゲン(50μg/kg;Sigma)50μlで4℃で一夜コーティングした。0.1%BSAを含有する血清非含有最少必須培地中の細胞(5×104)を上方チャンバーに添加した。下方チャンバーには同じ培地を充填し、プレートを37℃でインキュベートした。翌日、上方チャンバーを綿棒で拭き取り、インサーとの下側に遊走した細胞を染色し、顕微鏡下に計数した。データの3連のセットを各条件につき平均した。
固相受容体結合試験
マキシソーブ96穴プレートを2μg/ml抗ヒト免疫グロブリンFcγフラグメント特異的抗体(Jackson Immunoresearch)50μlで4℃において一夜コーティングし、そして1μg/mlFGFR−Fcキメラタンパク質(R&D Systems)をキャプチャーするために使用した。非特異的結合部位はPBS/3%BSAで飽和させ、そしてFGF19をグリコサミノグリカン(Seikagaku Corporation)またはオリゴ糖(Neoparin Inc.)の存在下にPBS/0.3%BSA中で2時間インキュベートした。FGF19結合はビオチン化FGF19特異的ポリクローナル抗体(BAF969;R&D Systems)、次いでストレプトアビジン−HRPおよびTMB比色分析用基質を用いて検出した。
受容体プルダウン試験
FHFR−Fcキメラタンパク質(400ng)を1時間、10mMHEPES(pH7.4)および0.1%BSAを含有する50:50ダルベッコ変性必須培地:HamF12中、400ngのFGF19または400ngのFGF1およびヘパリン(200ng)と共にインキュベートした。プロテインG−アガロース(20μl)を添加し、更に30分間インキュベートした。マトリックスをPBS/0.1%トリトン−X100で洗浄し、還元剤を含有するSDS−PAGE試料緩衝液で溶出させ、そしてビオチン化FGF19抗体(BAF969)またはビオチン化FGF1抗体(BAF232;R&D Systems)を用いたウエスタンブロットで分析した。
HSPG固相結合試験
ヘパランスルフェートプロテオグリカン(Sigma)を4℃で一夜マキシソーブ96穴プレートに吸着させた。非特異的結合部位をPBS/3%BSAで飽和させ、ウェルを1時間FGF19またはFGF1(1ug/ml〜0.00017ug/mlまで1:3連続希釈)(R&D Systems)と共にインキュベートした。非特異的結合はヘパリン過剰量(10ug/ml)の存在下において測定した。結合はビオチン化された特異的抗体およびTMB比色分析用基質を用いて検出した。特異的結合は総結合から非特異的結合を差し引くことにより計算した。
ヘパリンアガロース結合試験
FGF19およびFGF1のタンパク質(各々400ng/mL)を1時間、10mMHEPESpH7.4および0.1%BSAを含有する50:50ダルベッコ変性必須培地:HamF12中、20μlのヘパリン−アガロース(GE Healthcare Life Science)と共にインキュベートした。ゲルスラリーを種々のNaCl濃度を有する20mMトリスpH7.4の1ml、そして次に20mMNaClを含有する同じ緩衝液1mlで洗浄した。結合タンパク質は還元剤を含有するSDS−PAGE試料緩衝液で溶出させ、ウエスタンブロットで分析した。
FGF19モノクローナル抗体の作成
Balb/cマウスをFGF19−Hisで逐次的に免疫化した。特に、Balb/cマウスは、MPL−TDM(Ribi Immunochemical Research,Inc.,Hamilton,Mont.)中に再懸濁したhuFGF19−His2.0μgで9回、後肢手掌各々において免疫化した。最終ブーストの3日後、脾臓を採取し、膝窩リンパ節細胞を35%ポリエチレングリコールを用いてネズミ骨髄腫細胞P3X63Ag8.U.1(ATCCCRL1597)に融合させた。ハイブリドーマはHAT培地中で選択した。融合の10日後、ハイブリドーマ培養上澄みをELISAによりhuFGF−19へのmAb結合に関してスクリーニングした。ヒトFGF−19に対する抗体を生産している細胞系統を限界希釈法により2回クローニングした。選択されたFGF19抗体産生ハイブリドーマを2回サブクローニングすることによりモノクローナル性を確保した。クローンを腹水生産用に接種し、抗体をプロテインA−アガロースアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
全RNAを標準的な方法を用いて抗体を生産しているハイブリドーマ細胞から抽出した。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)ドメインを重鎖および軽鎖に対する縮重プライマーを用いたRT−PCRを用いて増幅した。フォワードプライマーはVLおよびVH領域のN末端アミノ酸配列に対して特異的であるものとした。LCおよびHCのリバースプライマーはそれぞれ、種に渡って高度に保存されている定常軽鎖(CL)および定常重鎖ドメイン1(CH1)における領域にアニーリングするように設計した。増幅されたVLおよびVHを哺乳類発現ベクターにクローニングした。インサートのポリヌクレオチド配列は定型的な配列決定方法を用いて決定した。
抗体結合の親和性および動態の分析
結合動態に関しては、BIAcoreTM−3000を用いた表面プラズモン共鳴(SRP)測定を使用した(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)。慨すればカルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore,Inc.)を入手元の取扱説明書に従って塩酸N−エチル−N‘−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化した。抗FGF19またはFGFR4抗体を10mM酢酸ナトリウムpH4.8で5ug/mlとなるまで希釈した後に5ul/分の流量で注入することによりカップリングした抗体の約500応答単位(RU)を達成した。次に1Mカテコールアミンを注入することにより未反応の基をブロックした。動態の測定の為には、FGF19−HisまたはFGFR4の分子のいずれかの2倍連続希釈物(0.7nM〜500nM)を25ul/分の流量で25℃において0.05%ツイーン20を含有するPBS中で注入した。会合速度(Kon)および解離速度(Koff)は単純な1対1のラングミュア結合モデル(BIAcore Evaluation Softwareバージョン3.2)を用いて計算した。平衡解離定数(Kd)はKoff/Konの比として計算した。
抗体エピトープ切り出し
FGF19タンパク質(10μg)をアガロースカップリング抗体50μlを含有する50mMトリス(pH7.4)中で2時間インキュベートした。樹脂を洗浄し、100mM重炭酸アンモニウム(pH8.0)中37℃で一夜トリプシン(Promega)1μgで消化した。ゲルスラリーを洗浄し、結合ペプチドを10%トリフルオロ酢酸(TFA)で溶出させ、MALDI−TOF−MS(Voyager;Applied Biosystems)で分析した。候補ペプチドを衝突誘導解離(QSTAR)に付し、手作業により配列決定することによりペプチド質量マッピング識別情報を確認した(図S1)。
固相抗体結合試験
HisGrabニッケルコーティングプレート(Pierce)の非特異的結合部位はPBS/3%BSAで飽和させた。ウェルを1時間、PBS/0.3%BSA中の1μg/mlのFGF19−Hisと共にインキュベートした。プレートを洗浄し、PBS/0.3%BSA中のFGF19の存在下または非存在下にFGF19抗体(1ug/ml〜0.000017ug/mlの範囲の濃度)と共に1時間インキュベートした。結合抗体はHRPコンジュゲート抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch)およびTMBパーオキシダーゼ発色性基質(KPL)を用いて検出した。
CYP7α1発現分析
HEP3B細胞を血清非含有ダルベッコ変性必須培地:HamF12(50:50)中で一夜飢餓状態とし、そして抗体1A6、1A1またはアイソタイプマッチの対照抗体(各々10ug/ml〜0.04ug/mlの範囲の濃度)の存在下または非存在下において6時間100ng/mlのFGF19で処理した。CYP7α1発現は遺伝子特異的なプライマーおよびプローブ(Taqman ABI PRISM7700,Applied Biosystems)を用いた半定量的RT−PCRにより評価し、そしてGAPDH発現に関して正規化した。データの3連のセットを各条件につき平均した。
FGFR4/MAPKリン酸化
血清非含有培地中一夜飢餓状態としたHEP3B細胞を抗体の存在下または非存在下で10分間40ng/mlのFGF19で処理した。細胞を一夜10mMNaF、1mMオルトバナジン酸ナトリウムを添加したR27A緩衝液(Upstate)中で溶解させた。溶解物を調製し、電気泳動に付し、ホスホ−FRS2、ホスホ−MAPKおよびMAPK特異的な抗体(Cell Signaling)およびFRS2特異的抗体(Santa Cruze)を用いたウエスタンブロットにより分析した。
異種移植片実験
全ての動物のプロトコルはInstitutional Animal Care and Use Committeeにより認可されている。6〜8週齢の無胸腺BALB/c雌性マウス(Charles Rivers Inc.)に5×106細胞(200μl/マウス)を皮下接種した。7日後、等しい体積(〜100mm3)の腫瘍を担持したマウスを無作為に群分け(n=10)し、そして週2回腹腔内で治療した。腫瘍は電子カリパス(Fowler Sylvac Ultra−Cal Mark III)で計測し、そして平均腫瘍体積を以下の式:(W2XL)/2(W,小径;L,長径)を用いて計算した。統計学的差は正規分布に関するスチューデントt検定を用いて分析した。P<0.05の値を有意とみなした。
異種移植片腫瘍におけるFGFR4、FRS2およびβ−カテニンのリン酸化
対照(gp120)および抗FGF19(1A6)抗体投与動物から摘出した腫瘍を50mMトリス塩酸(pH7.5)、150mMNaCl、1%NP−40、1mMEDTA、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、1mMNaF、1mMオルトバナジン酸ナトリウム、およびミニプロテアーゼ阻害剤タブレット(Roche)を含有する溶解緩衝液中でホモゲナイズした。溶解物のタンパク質濃度はBCAタンパク質試験試薬(Pierce)を用いて測定した。当量のタンパク質(100μgタンパク質)を穏やかに回転させながら4℃で2時間プロテインA−セファロース上に固定化された抗FGFR4抗体(クローン1G7;Genentech Inc)または抗FRS(UpState)抗体1μgと共にインキュベートした。マトリックスを溶解緩衝液で洗浄し、そして免疫複合体を2xLaemmli緩衝液中で溶出させ、煮沸し、そしてマイクロ遠心分離に付した。タンパク質をSDS−PAGE上で電気泳動に付し、ニトロセルロース膜に移し、そしてホスホチロシン抗体(1:1000希釈度、4G10、UpState)でプローブした。洗浄し、二次抗体と共にインキュベートした後、免疫反応性のタンパク質をECL検出システム(Amersham)で可視化した。ERK2リン酸化レベルはホスホ−ERK2抗体(1:1000希釈、Santa Cruz Biotech)を用いて予め免疫沈降することなく試験し、そしてβ−カテニンのリン酸化はN末端脱リン酸化β−カテニンに対して指向された抗体(1:1000希釈、UpState)を用いて予め免疫沈降することなく試験した。膜を剥離させ(Pierce)、そして適切な抗体で再プローブすることにより全タンパク質を求めた。
FGF19TGマウスにおける肝細胞癌のマイクロCT画像化および分析
肝腫瘍は肝臓特異的造影剤であるFenestra−LCを用いたマイクロct画像化により識別した。Fenestra−LCはカイロミクロンレムナントを模倣し、そして内因性の脂肪代謝経路を利用することにより肝細胞の造影剤蓄積をもたらすヨウ素化トリグリセリドである。これらの薬剤は肝臓の腫瘍を識別するための手段として以前は使用されていた(Lee等、1997;Weichert等、1996)。6カ月例において、FGF19トランスジェニックマウスにFenestraLC(Advanced Research Technologies Inc.Saint−Laurent,Quebec,Canada)を20μl/giv注射し、そして意識下の3時間の肝取り込みを起こさせた後、マウスを安楽死させ、肝臓を摘出し、肉眼分析、計量、エクスビボのマイクロCT分析(μCT40システム;Scanco Medical,Bassersdorf,Switzerland)および組織学的染色に付した。全肝臓をガーゼ上で穏やかに水切りし、ダイズ油(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)に浸漬し、マイクロCT画像化用に調製した。各肝臓につき、90分スキャンを30μm同位体ボクセルサイズでもとめ、300ms積分時間、45keVエネルギーおよびチューブ電流177μAにおいて512投影とした。容量分析的画像ファイルをAnalyzeDirect(Lenexa,KS)より入手した画像分析ソフトウエアを用いて分析した。−16ハウンズフィールド単位(HU)の強度閾値を用いてバックグラウンドシグナル(ダイズ油)から組織塊を分割した。第2の閾値(26HU)を用いることにより、造影剤を蓄積させることにより正常な肝組織を定義する高強度の領域をもたらす機能的関組織に関連する関組織の体積を推定した。脈管、胆嚢および胆管を包含するわずかな造影剤濃度により最小限の減衰であったFGF19投与マウスの肝組織、おょび、肝細胞癌患部は、強度が低値であった。肝細胞癌を有していなかった野生型FVBマウス由来の総低強度肝臓体積の平均を、FGF19トランスジェニック対照および投与群の両方から差し引き、腫瘍のみに関連する体積を求めた。データは総肝臓体積の腫瘍体積パーセントとして表示する。
統計学的分析
統計学的有意性は非対両側スチューデントt検定を用いて分析した。P<0.05を統計学的に有意とみなした。データは平均±SEMで表示する。
以下の材料および方法を実施例13〜17で使用した。
細胞
HCT116細胞(ATCC,Rockville,MD)を10%テトラサイクリン非含有ウシ胎児血清および4mmol/LのL−グルタミンを含有するRPMI1640中37℃および5%CO2において定型的に維持した。血清飢餓状態の細胞をベヒクルまたはFGF19(25〜100ng/ml、10分間)と共にインキュベートした。別個の実験において、細胞を3〜24時間対照抗体(gp120)またはFGF19抗体(IA6,10μg/ml)の何れかで処理した。更にβ−カテニン活性化に対する作用を評価するため、細胞を4時間1μMの濃度においてプロテオソーム抑制剤MG132(Biomol,Plymouth Meeting,PA)で予備処理し、その後、24時間抗FGF19mab1A6処理を行うことにより、β−カテニン上のSer33/Ser37、Ser45およびThr41のリン酸化を評価した。インキュベートの後、細胞を冷PBS中で洗浄し、溶解してタンパク質またはRNAの文政の何れかに付した。
免疫沈降およびウエスタンブロット分析
細胞を変性RIPA緩衝液(50mMトリスCl、pH7.5;150mMNaCl;1%IGEPAL;1mMEDTA;0.25%デオキシコール酸ナトリウム;1mMNaF;1mMNa3VO4;プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO))中で溶解させ、遠心分離により清澄化した。溶解物のタンパク質濃度はBCAタンパク質試験試薬(Pierce,Rockford,IL)を用いて測定した。当量のタンパク質を穏やかに回転させながら4℃で2時間プロテインA−セファロース上(Sigma−Aldrich)に固定化された特異的抗体と共にインキュベートした。ビーズを溶解緩衝液で広範に洗浄し、免疫複合体を2xLaemmli緩衝液中で溶出させ、煮沸し、そしてマイクロ遠心分離に付した。タンパク質をSDS−PAGE上で分割し、ニトロセルロース膜に移し、そして特異的一次抗と共にインキュベートした。洗浄し、二次抗体と共にインキュベートした後、免疫反応性のタンパク質をECL検出システム(Amersham,Arlington Ht,IL)で可視化した。免疫沈降およびイムノブロッティングに使用した抗体は、BD Transruction(San Diego,CA)より入手した抗β−カテニンmAb、UpState Biotech(Charlottesville,VA)から入手したN末端脱リン酸化β−カテニンに対して指向された抗活性β−カテニン抗体、抗ホスホチロシン(4G10)および抗E−カドヘリン抗体、Cells Signaling(Danvers,MA)より入手した抗ホスホ−β−カテニン(Ser33/Ser37およびSer45/Thr41に特異的)抗体、および、抗FGFR4mAb(1G7)(Genentech,Inc.)とした。記載に応じて、膜を剥離し(Pierce)別の抗体で再プローブした。特定のタンパク質のバンドの密度はAdobe Photoshop cs2version9(Adobe Systems,Mountain View,CA)を用いて分析した。β−カテニンおよびE−カドヘリンのチロシンおよびSer/Thrリン酸化の定量的分析は3つの別個の実験に由来するデータを用いることにより全タンパク質およびリン酸化の間の比をも込めることにより行った。
液体クロマトグラフィー−質量スペクトル分析(LC−MS/MS)
N末端β−カテニンリン酸化レベルの間接的定量は、線形イオントラップ質量分析を用いて実施した。β−カテニンは、MG132で予備処理され、次いで対照(gp120)または抗FGF19Mab1A6処理された細胞から免疫沈降させ、そしてTris−GlySDSPAGEを用いて分離した。ゲルをクーマシー染色し、そしてβ−カテニンバンドを切り出し、そして室温で30分間10mMDTT中で還元し、そしてシステインを室温で15分間50mMヨードアセトアミドでアルキル化し、その後トリプシン消化した。ペプチドは50mM重炭酸ナトリウムpH8.0中トリプシン(10ng/μl)で消化し、そしてペプチドミメティック(3ml)をVydac214MS低TFAC4ビーズを充てんした0.25x30mmのトラッピングカートリッジ上にロードした。このカートリッジをVydac218MSC18ビーズを充填した0.1x100mmの分割カラムとインラインにおいた。分割カラムはマイクロ電子スプレーエミッターを形成する15mm金属コーティング先端に引き付けられた「ピコフリット」(New Objective)溶融シリカキャピラリーを用いて構築した。ペプチドは0.3mL/分の速度で0.1%蟻酸を含有するアセトニトリルの1時間勾配で溶出させた。データ依存性タンデム質量スペクトル分析は線形イオントラップ機器(LTQ;Finnigan)を用いて実施した。各CIDスペクトルに関する交差相関評点を作成し、ペプチドの相対的アバンダンスを求めた。Sequestデータベース検索プログラムを用いて各CIDスペクトルに関する交差相関評点を作成した。単一ペプチドのみマッチのタンパク質は衝突誘導解離スペクトルの手作業による解釈により確認した。リン酸化ペプチドは手作業により確認した。次にピーク面積を積分してペプチドの相対的アバンダンスを測定した。
Wnt標的遺伝子発現分析
全RNAは製造元のプロトコルに従って、QiagenRNA単離キット(Qiagen,CA)を用いて単離し、DNase処理(Applied Biosystems,Foster City,CA)した。RNA濃度はND−1000分校高度計(Wilmington,DE)を用いて測定した。リアルタイム定量的PCRを行うことによりWnt標的遺伝子(cyclinD1、CD44、E−カドヘリン、c−jun)mRNAの相対的アバンダンスを測定した。プローブはFAM(5’末端)およびTAMRA(3’末端)で標識した。プライマーおよびプローブの配列は以下の通りである。
ヒトサイクリンD1フォワード:GCT GCT CCT GGT GAA CAA GC(配列番号26);
リバース:TGT TCA ATG AAA TCG TGC GG(配列番号27)
プローブ:CAA GTG GAA CCT GGC CGC AAT GAC(配列番号28);
ヒトCD44フォワード:GAA AAA TGG TCG CTA CAG CAT CT(配列番号29);
リバース:GGT GCT ATT GAA AGC CTT GCA(配列番号30);
プローブ:CGG ACG GAG GCC GCT GAC C(配列番号31);
ヒトE−カドヘリンフォワード:GAC TTG AGC CAG CTG CAC AG(配列番号32);
リバース:GTT GGT GCA ACG TCG TTA CG(配列番号33);
プローブ:CCT GGA CGC TCG GCC TGA AGT G(配列番号34);
ヒトc−junフォワード:CGT TAA CAG TGG GTG CCA ACT(配列番号35);
リバース:CCC GAC GGT CTC TCT TCA AA(配列番号36);
プローブ:ATG CTA ACG CAG CAG TTG CAA ACA(配列番号37);
ヒト特異的リボソームタンパク質L−19(RPL−19):
フォワード:AGC GGA TTC TCA TGG AAC A(配列番号38)
リバース:CTG GTC AGC CAG GAG CTT(配列番号39)
プローブ:TCC ACA AGC TGA AGG CAG ACA AGG(配列番号40)。
増幅反応(50μl)には100ngのRNA鋳型、5mmol/LのMgCl2、1x緩衝液A、1.2mmol/LのdNTP類、2.5UのTaqGoldポリメラーゼ、20UのRNase阻害剤、12.5UのMuLV逆転写酵素、2μmol/Lの各々のフォワードおよびリバースプライマー、および、5μmol/Lのプローブ(Perkin Elmer)を使用した。熱サイクル(Perkin Elmer ABI Prism7700配列検出器)条件は48℃30分間、95℃10分間、そして95℃15秒とし、そして、60℃1分間を40サイクルとした。データの分析はシーケンスディテクター1.6.3(PE Applied Biosystems)を用いて実施し、目的の遺伝子に関する結果はRPL19遺伝子に対して正規化した、
shRNA試験
shRNA発現シャトルプラスミドおよびTetR−IRES−Puroカセットを含有するウィルスベクター骨格を含むpHUSH誘導ベクター系を使用した(Hoeflich,KP等、Cancer res66:999〜1006(2006))。FGFR4ノックダウンベクターは、カスタムsiRNA配列を設計し、それらをshRNAに変換し、そして293T細胞における一過性の同時トランスフェクション実験においてそれらの効力を試験することにより構築した。以下のshRNA配列をpShuttle−H1ないにクローニングし、そして次にH1−shRNAカセットをGateway(Invitrogen,CArlsbad,CA)組み換え反応によりpHUSH−GW内に転移させた。
FGFR4shRNA2フォワード:GAT CCC CCC TCG TGA GTC TAG ATC TAT TCA AGA GAT AGA TCT AGA CTC ACG AGG TTT TTT GGA AA(配列番号41);
リバース:AGC TTT TCC AAA AAA CCT CGT GAG TCT AGA TCT ATC TCT TGA ATA GAT CTA GAC TCA CGA GGG GG(配列番号42);
FGFR4shRNA5フォワード:GAT CCC CGA ACC GCA TTG GAG GCA TTA TCA AGA GAA ATG CCT CCA ATG CGG TTC TTT TTT GGA AA(配列番号43);
リバース:AGC TTT TCC AAA AAA GAA CCG CAT TGG AGG CAT TTC TCT TGA TAA TGC CTC CAA TGC GGT TCG GG(配列番号44);
hEGFP対照フォワード:GAT CCC CGC AGC ACG ACT TCT TCA AGT TCA AGA GAC TTG AAG AAG TCG TGC TGC TTT TTT GGA AA(配列番号45);
リバース:AGC TTT TCC AAA AAA GCA GCA CGA CTT CTT CAA GTC TCT TGA ACT TGA AGA AGT CGT GCT GCG GG(配列番号46)。
全てのコンストラクトは配列決定により確認した。
誘導shRNA細胞クローンの作製
HCT116細胞をリポフェクタミン2000プラス(Invitrogen)を用いてトランスフェクトした。ベクター内にコードされたピューロマイシン耐性遺伝子は構成β−アクチンプロモーターの制御下にあるため、5μg/mlピューロマイシンを用いてshRNA発現トランスフェクト細胞を選択した。安定なクローンを単離し、7日間1μg/mlのドキシサイクリン(BD Clontech,San Jose,CA)で処理することによりsiRNAの発現を誘導した。機能的FGFR4タンパク質ノックダウンはウエスタンブロッティングで試験した。
統計学的分析
スチューデントの両側t検定を用いて2群間のデータを比較した。一元分散分析およびDunnettの検定を用いて3群以上の間のデータを比較した。P値<0.05を統計学的に有意とみなした。
実施例1:ヒト組織におけるFGF19およびFGFR4の発現の分析
FGF19およびFGFR4のタンパク質の発現をヒト結腸腺癌、肺扁平上皮細胞癌(SCC)および肝細胞癌(HCC)において評価した。FGF19は結腸腺癌10例中6例(図2A)においいて、そして肺SCC10例中7例において、正常組織と相対比較した場合に、過剰発現されていた(図2B)。正常組織と比較して、FGFR4の発現は結腸腫瘍においては有意に改変されていなかったが、SCCにおいてダウンレギュレートされているように観察された(図2Aおよび2B)。
腫瘍内のFGF19およびFGFR4の発現を位置特定するためにインサイチュハイブリダイゼーションを実施した。両方の遺伝子に対するメッセンジャーRNAは結腸腺癌および肺SCCにおける腫瘍性の上皮細胞において顕著であった(図2CおよびD)。35例の結腸腺癌からなる組織マイクロアレイにおいて、26例(74%)がFGF19mRNAについて陽性シグナルを有しており、そして22例(77%)がFGFR4mRNAに対して陽性シグナルを有していた。抗FGF19抗体投与は非腫瘍誘導FGF19および腫瘍誘導のFGF19の両方を標的としており、そしてこのため、抗FGF19の投与はFGF19発現を欠いているFGFR4陽性腫瘍において臨床上有益であると考えられる。表3は結腸腺癌組織のマイクロアレイ試料におけるFGFR4および/またはFGF19mRNAの同時発現の存在または非存在を示している。
結腸腺癌におけるFGF19およびFGFR4の存在の間の重複は腫瘍試料の大多数において観察された。14例の肺SCCのうち、14例(100%)がFGF19mRNAに対して陽性シグナルを有し、そして、13例(93%)がFGFR4mRNAに対して陽性シグナルを有していた。更にまた、腫瘍性の上皮細胞は結腸腺癌(図2C)および肺SCC(図2D)の両方において免疫組織化学分析によれば強力なFGF19タンパク質染色を示していた。このような相対的に高値の発現の頻度は肺SCCにおけるFGF19およびFGFR4の存在の間の顕著な重複を示唆していた。
トランスジェニックマウスにおける全身性のFGF19の発現は肝細胞癌(HCC)を増進することから、本発明者等はまた肝試料におけるFGF19及ぶFGFR4のmRNAの発現も評価した。肝細胞癌50例のうち、23例(46%)がFGF19mRNAに対して、そして30例(60%)がFGFR4mRNAに対して陽性シグナルを示している。両方の遺伝子は腫瘍性の肝細胞において発現されていた(代表例を図2Eに示す)。腫瘍性肝細胞はまた、免疫組織化学的分析においても強力なFGF19タンパク質染色を示していた(図2E)。表4は結腸腺癌組織のマイクロアレイ試料におけるFGFR4および/またはFGF19mRNAの同時発現の存在または非存在を示している。
FGFR4およびFGF19の発現の間の重複は試料の大きな割合において観察された。
これらの結果はヒト癌の数型においてFGF19およびFGFR4が発現されることを示している。
肝硬変は肝細胞癌に先行する場合が多いため、FGF19mRNA発現を肝硬変の肝臓において評価した。これらの試料は再生結節肝細胞において強力なFGF19mRNAおよびタンパク質のシグナルを示しており(図2F)、FGF19発現が肝腫瘍形成の進行の間、早期に起こることを示唆している。
FGF19mRNAの発現はまたインサイチュハイブリダイゼーションにより原発上皮腫瘍の数種の型において評価した。FGF19mRNA発現は16/38例(42%)の乳腺癌、39/70例(56%)の卵巣腺癌、および、8/79例(10%)の膵臓腺癌において検出された。これらの結果はFGF19mRNAが原発腫瘍の数種の型において発現されることを示している。更にまた、結腸腺癌のパネルを免疫組織化学分析を用いてFGFR4タンパク質の発現に関してスクリーニングしたところ、18/20例の試料がFGFR4発現に関して陽性であった。
実施例2:FGF19およびFGFR4はヒト腫瘍細胞系統および異種移植片組織において発現される。
FGF19およびFGFR4のmRNAおよびタンパク質の発現を結腸、乳房および肝臓の腫瘍細胞系統において分析した。本発明者等はColo201、Colo205、SW620、SW480およびHCT116を包含する結腸癌細胞系統のサブセットにおいてFGF19mRNAの発現を観察している(図3A)。SNU185、SNU398、MCF7および試験した全ての結腸癌細胞系統はFGFR4mRNAを発現した。FGF19およびFGFR4タンパク質発現はウエスタンブロット分析を用いて癌細胞系統のパネルにおいて測定した。FGF19タンパク質を発現しなかったHT29を除き、FGF19及ぶFGFR4のタンパク質のレベルはこれらの細胞系統におけるそれらのmRNAの発現と合致していた(図3B)。細胞系統により分泌されたFGF19の電気泳動の運動性は24kDaの予測分子質量と合致していた。しかしながら、追加的なより低分子質量のバンドもまた検出され、切断されたタンパク質の可能性を示していた。
FGF19タンパク質の発現がインビボで維持されることを確認するため、結腸癌細胞系統誘導腫瘍異種移植片を免疫組織化学分析により評価した(図3Cおよび3D)。Colo205異種移植片腫瘍組織は腫瘍全体を通して全ての腫瘍性上皮細胞において強力なFGF19の発現を示したが、関連するマウス支質や隣接正常組織では示さなかった。SW620およびHCT116異種移植片は分散した腫瘍性細胞において陽性の免疫反応性を示した。FGF19陰性HT29細胞系統の異種移植片の免疫組織化学分析では如何なる染色も観察されなかった。これらの結果は結腸癌細胞系統が培養皿中のインビトロならびに皮下異種移植片セッティングにおけるインビボの生育時にFGF19を発現することを示唆している。
実施例3:FGF19はヘパリン結合因子ではない。
グリコサミノグリカン結合試験を実施することによりFGF19タンパク質およびヘパリンが相互作用するかどうかを直接調べた。固相結合試験において、FGF1は表面吸着精製ヘパランスルフェートプロテオグリカンに対する用量依存性の結合を示した(図4A)。これとは対照的に、FGF19はコーティング材料に結合しなかった。プルダウン試験において、FGF1はヘパリンアガロースアフィニティーマトリックスに強力に結合した。以前に報告されている通り、FGF1が1Mより高いNaCl濃度を有する緩衝液をもってのみ脱着された。これとは対照的に、FGF19は試験したNaClの最低濃度(20mM)においてもヘパリンアガロースに有意に結合せず、そしてより高いNaCl濃度で洗浄した後もタンパク質は検出されなかった(図4B)。併せて考えると、これらの結果はFGF19はグリコサミノグリカンには有意に結合せず、従って、ヘパリン結合因子とは考えられないことを示している。
実施例4:FGF19はFGFR4に特異的に結合する。
以前の同時免疫沈降試験において、FGF19の受容体結合特異性がFGFR4に限定されることが示唆されている(Xie等、1999)。FGF19の結合特異性をより完全に調べるために、本発明者等はその相互作用を、全ての既知ヒトFGFRに対して、それらの異なるオルタナティブスプライシング形態、例えば最近発見されたFGFR5(FGFR1L)(Sleeman等、2001)において試験した。固相試験においては、FGF19の用量依存性結合はFGFR4に限定されていた(図4C)。受容体プルダウン試験においては、FGF1は全てのFGFRに結合したのに対し、FGF19の相互作用はFGFR4に限定されていた(図4D)。これらの結果は以前の観察結果に合致しており(Ornitz等、1996;Xie等、1999)、そして更に、FGFR4に対するFGF19のユニークな結合特異性を強調している。
実施例5:FGFR4へのFGF19の結合はグリコサミノグリカンにより調節される。
FGFR4へのFGF19の結合のためのグリコサミノグリカンの必要性の特異性を固相受容体結合試験を用いて分析した。図4Eに示す通りヘパリンはFGFR4とのFGF19の相互作用の最も強力なプロモーターを構成しており(EC50=0.025μg/ml)、次いでヘパランスルフェート(EC50=0.9μg/ml)、コンドロイチンスルフェートB(EC50=1μg/ml)およびコンドロイチンスルフェートA(EC50=4μg/ml)であった。コンドロイチンスルフェートCはFGFR4へのFGF19の結合を増進しなかった。
種々の長さのヘパリン多糖類のFGFR4結合増進に対する作用も分析した。ヘパリンの8糖類は最高濃度(10μg/ml)においてもFGFR4結合に対しては最小限の作用のみを示した(図4F)。FGFR4へのFGF19結合の用量依存性の増進がヘパリン2糖類およびより長いフラグメントで観察され、そしてこの作用はヘパリンの分子量に比例していた。併せて考えると、これらの結果はFGFR4へのFGF19の結合を支援している大部分の強力なグリコサミノグリカンをヘパリンが構成していること、および、ヘパリンの活性がその分子量に比例していることを示している。
実施例6:FGF19は高い親和性でFGFR4に結合する。
FGFR4へのFGF19の結合親和性は、漸増濃度の[125I]FGF19を固定化されたFGFR4およびヘパリンと共に過剰量の未関連のリガンドの存在下または非存在下にインキュベートすることにより試験した。FGF19はFGFR4への用量依存性および飽和可能な結合を示した(図4G、挿入図)。FGFR4へのFGF19結合について、0.25nMのKpがスカッチャード分析を用いて測定され、リガンドおよび受容体が高い親和性で相互作用することが確認された。
実施例7:抗FGF19モノクローナル抗体の作成
抗FGF19マウスモノクローナル抗体のパネルを上記した通り作成した。インサーとのポリヌクレオチド配列は定型的な配列決定方法を用いて決定した。抗FGF19mab16AVLおよびVHアミノ酸配列は図1に示す通りである。
実施例8:表面プラズモン共鳴および酵素結合免疫吸着試験を用いた抗FGF19モノクローナル抗体の結合親和性の分析
マウス抗FGF19Mabの結合親和性を測定するために、表面プラズモン共鳴(SPR)測定を実施し、その際上記した通り、BIAcoreTM−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用した。この分析の結果を表5に示す。
酵素結合免疫吸着試験においては、抗FGF19mab1A1および1A6は40pMの同等のEC50においてFGF19に結合したのに対し、抗FGF19mab1D1は400pMのEC50で結合した(図5A)。固相受容体結合試験においては、1A6は3nMのIC50でFGFR4へのFGF19の結合をブロックした(図5B)。1A1、1D1および非関連の対照抗体はこの相互作用を抑制しなかった。
実施例9:細胞系試験において抗FGF19抗体はFGF19シグナリングをブロックした。
FGF19とFGFR4の相互作用を抗FGF19抗体がブロックするかどうか調べるために数種の細胞系試験を実施した。
FGF19はコレステロールおよび胆汁酸の合成のための律速酵素であるコレステロール−7−α−ヒドロキシラーゼ1(Cyp7α1)の肝発現を抑制することによりコレステロールのホメオスタシスにおける役割を果たしている(Gutierrez等(2006)Arterioscler Thromb Vasc Biol26,301−306;Yu等(2000)J Biol Chem275,15482−15489)。抗FGF19抗体1A1および1A6、またはアイソタイプマッチの陰性対照抗体(10ug/ml〜0.04ug/mlの範囲の濃度)がcyp7α1のFGF19誘導ダウンレギュレーションをブロックする能力を上記した通り、肝細胞癌HEP3B細胞を用いて試験した(Schlessinger,Science306:1506−1507(2004))。抗FGF19抗体の非存在下においては、FGF19の投与は75%までcyp7α1の発現を低減した。1.1μg/mlのマウス抗FGF19Mab1A6の投与はcyp7α1発現のFGF19誘導抑制を根絶させた。これとは対照的に、マウス抗FGF19Mabクローン1A1の投与は試験した最高濃度(10μg/ml)において50%まで抑制を低減したのみであり、より低い抗体濃度では低減しなかった。対照抗体の存在はFGF19活性に影響しなかった。cyp7α1遺伝子発現のFGF19誘導ダウンレギュレーションの抗FGF19抗体1A6抑制のIC50は約0.4ug/mlであった。cyp7α1遺伝子発現のFGF19誘導ダウンレギュレーションの抗FGF19抗体1A1抑制のIC50は約10ug/mlであった。
抗FGF19mab1A6はまた、肝細胞癌Hep3B細胞におけるFGF19誘導FGF経路活性化をブロックする能力について試験した(Eswarakumar等(2005)Cytokine Growth Factor Rev16,139−149;Schlessinger,J(2004)Science306:1506−1507)。血清飢餓状態の肝細胞癌Hep3B細胞に、陰性対照抗体の非存在下または存在下のFGF19、または、種々の濃度の抗FGF19モノクローナル抗体1A6または1D1(30、10および3.3ng/mL)を投与し、そして、FRS2およびMAPKリン酸化を上記した通り測定した。抗FGF19Mab1A6の投与は試験した全用量において、FGF19誘導のFRS2およびMAPKのリン酸化を有意にブロックした(図5C)。これとは対照的に、対照抗体および抗FGF19mab1D1の投与は有意な抑制活性を示さなかった。
FGFR4は細胞遊走において役割を果たしていることから、本発明者等はFGF19の化学走性活性を評価した(Wang等(2005)Clin Cancer Res10:6169−6178)。Boydenチャンバー試験の変法において、FGF19は用量依存的な態様においてHCT116細胞の遊走を増進し、16ng/mlにおいて最高値に達した(図10)。抗FGF19mabをFGF19増進細胞ミグを抑制する能力について試験した。0.1μg/mlにおいて、抗FGF19mab1A6投与はFGF19誘導細胞遊走を抑制した(図5E)。より高濃度の1A6の投与は、基底値のHCT116細胞遊走レベルより低値にまで細胞遊走を低減し、おそらくは外因性に添加された、そして内因性に生産されたFGF19の両方を抑制したことによると考えられる。
これらの結果は抗FGF19抗体1A6はインビトロにおいてFGF19活性の強力な抑制剤であることを示している。
実施例10:抗1A6結合決定基はFGFR4とのFGF19の結合界面に局在化している。
質量スペクトル分析の方策を用いることにより抗FGF19Mab1A6および1A1のエピトープの位置決めを行い、および、FGF19のコンホーメーション成分がそれらの結合に寄与するかどうかを評価した。本発明者等はまず、アガロースカップリング1A6アフィニティーマトリックスを用いて、FGF19トリプシン消化物からエピトープ含有ペプチドを単離した。この方策が奏功しなかった理由は、恐らくは、FGF19のフラグメント化が1A6エピトープのコンホーメーション的一体性を損なったためと考えられる。この仮説を試験するために、本発明者等は方法を変更し、そしてFGF19をアガロースカップリング抗体と共にインキュベートし、次に吸着されたタンパク質をトリプシンで消化した。総消化物の分析によれば、吸着されたFGF19の完全なフラグメント化が明らかになり、如何なるトリプシン切断部位の1A6マスキングも伴っていなかった(図6A)。マトリックスを広範に洗浄し、そして結合したペプチドを溶出させ、質量スペクトルにより同定した。非特異的に吸着されたペプチドは平行した実験においてアガロースにカップリングさせた非関連の対照抗体を用いて同定した。
この分析の結果を図6に示す。アガロースカップリング抗FGF19mab1A6はFGF19ペプチドG133〜R155を特異的に認識した(図6Bおよび8A)。アガロースカップリング抗FGF19mab1A1はペプチドG156〜R180を特異的に認識した(図6Cおよび8B)。
アガロースへの抗FGF19mab1D1のコンジュゲーションはそのFGF19への結合を根絶させたため、ペプチド競合結合試験を用いてそのエピトープを同定した。FGF19アミノ酸A183〜G192のみがmab1D1結合と競合した(図6D)。このペプチドはFGF19へのmab1A1の結合に競合しなかった。オーバーラップしたペプチドをこの競合試験において使用したため、本発明者等はmab1D1エピトープが少なくとも4つの遠位のFGF19アミノ酸(SFEK)に位置していると推測した。
mab1A1、1D1および1A6のエピトープをFGFR4とのFGF19の相互作用の以前に記載されている構造モデル上にマッピングした(Harmer等(2004)Biochemistry43,629−640)。1A1および1D1のエピトープはそれらが秩序のある構造を欠いているためにこのモデル上に提示されないFGF19の遠位の部分に位置している。しかしながら、1A6エピトープはFGFR4とのFGF19の結合界面に位置している(図6E)。これらの結果は抗FGF19Mab1A6は直接、FGF19の受容体結合部位を閉塞させていることを示唆している。
実施例11:抗FGF19モノクローナル抗体の投与はインビボの腫瘍増殖を抑制した。
FGF19の中和がインビボの腫瘍増殖を抑制するかどうか調べるために、抗FGF19抗体を上記した2つの腫瘍異種移植片モデルにおいて試験した。結腸癌細胞系統HCT116およびcolo201は、それらがFGF19とFGFR4の両方を発現し(図3A)、そしてインビボにおいて腫瘍を形成することから選択した。更にまた、抗FGF19抗体1A6はインビトロでFGF19誘導HCT116細胞遊走に対してブロッキング活性を示している。
樹立されたHCT116異種移植片腫瘍を有するマウスに抗FGF19mab1A6または対照抗体の何れかの5mg/kgを週2回投与した。第35日において、抗FGF19mab1A6投与は対照抗体投与群と比較して57%(p=0.07、n=5)まで腫瘍増殖を有意に抑制した(図7A)。この試験をより高用量の抗体1A6(15mg/kg;週2回)を用いて反復したところ、腫瘍増殖の統計学的に有意な抑制が観察された(60%生育抑制;p=0.01、n=5)。
抗FGF19mab1A6がFGF19活性をブロックすることにより腫瘍増殖を抑制することを確認するために、腫瘍をFGFR4シグナリングのマーカーに関して試験終了時に調べた。FGFR4、FRS2、ERKおよびβ−カテニンの活性化は対照抗体を投与した動物と比較して抗FGF19mab1A6投与動物由来の腫瘍において有意に低減していた(図7B)。
次に、本発明者等はHCT116よりも高値のFGF19レベルを発現する結腸癌細胞系統であるColo201の異種移植片を使用した(図1A)。抗FGF19mab1A6の投与(30mg/kg;2x/週)は対照抗体と比較して樹立されたcolo201腫瘍の生育を有意に抑制した(第27日において、64%生育抑制、p=0.03、n=5)(図7C)。摘出腫瘍の分析によれば、抗FGF19mab1A6の投与は対照抗体投与と比較して異種移植片腫瘍においてFGFR4、FRS2、ERKおよびβ−カテニンの活性化を有意に低減したことを示している(図7D)。これらの結果は、結腸癌における抗FGF19mab1A6の薬効を明らかにしており、そして、FGF19依存性のFGFR4、FRS2、ERKおよびβ−カテニンの活性化の抑制を伴うその活性を明らかにしている。
実施例12:抗FGF19モノクローナル抗体の投与はFGF19トランスジェニックマウスにおいて肝細胞癌および体重減少を防止した。
トランスジェニックマウスの骨格筋におけるFGF19の過剰発現は、10〜12カ月齢までに肝細胞癌の発症をもたらしている(Nicholes等、Am J Pathol160:2295−2307,2002)。FGF19がこのモデルにおいて腫瘍プロモーターとして作用することを確認するために、本発明者等は腫瘍イニシエーターであるジエチルニトロサミン(DEN)をFGF19トランスジェニックマウスに投与したとこと、これは50%まで腫瘍形成を加速した。抗FGF19mab1A6が肝細胞癌を防止するかどうか調べるために、DEN加速FGF19トランスジェニックマウスに1A6または対照抗体(抗gp120)の何れかを6か月投与した。投与終了時、対照投与マウス全てが肉眼で明らかな多病巣の大型の肝細胞癌を肝葉全体に渡って有していたのに対し、抗FGF19mab1A6投与動物は肝臓腫瘍を有さないか、または、1例(#1862)における中葉の横隔膜側の表面に存在する単一の小型の腫瘍を有するのみであった(図9A)。抗FGF19mab1A6投与マウス由来の肝臓の重量(平均=1.71±0.05グラム)は対照投与マウス由来の肝臓重量(平均=3.15±0.58グラム;p=0.014)よりも有意に低値であったが、正常なFVB野生型マウス(平均=1.56±0.08グラム;p=0.82)のものとは有意差が無かった。更にまた、腫瘍体積をマイクロCT画像分析により測定し、正常FVB肝臓で腫瘍体積に関して補正し、そして総肝臓体積のパーセントとしてグラフ化した(図9B)。抗FGF19Mab1A6投与マウスパーセント腫瘍体積(平均=7.5±3.2%)は対照のgp120投与マウス(平均=23.8±6.8%;p=0.05)よりも有意に低値であった。更にまた、腫瘍重量はパーセント腫瘍体積と強力に相関していた(r2=0.993702)。これらのデータは抗FGF19Mab1A6が循環FGF19を効果的に中和することによりFGF19トランスジェニックマウスにおける腫瘍形成を防止していることを明確に示している。
FGF19はマウス中のトランスジーンとして過剰発現されると体重減少を誘発する(Tomlinson等、Endocrinology、2002年5月;143(5):1741−7)ことから、本発明者等は2投与群においてマウスの体重を評価した。マウスは毎週計量し、体重を投与群間で比較した。3カ月齢において、対照投与マウス(平均体重27.98g±0.8351;N=5)は抗FGF19mab1A6投与(平均体重21.32±0.5036;N=6)よりも有意に低値の体重であった(p<0.0001)。1A6投与FGF19TGマウスの体重は異なる実験で評価した正常FVB野生型マウスの体重と同様であった(平均体重33.22±1.838、N=6)。これらのデータは抗FGF19mab1A6投与がFGF19トランスジェニックマウスにおいてFGF19誘導体重減少を効果的に停止させたことを示している。
実施例13:HCT116細胞においてFGF19投与はβ−カテニンのチロシンリン酸化を誘導し、そしてβ−カテニンへのE−カドヘリンの結合の損失をもたらした。
FGF19発現トランスジェニックマウスにおいて観察される肝細胞癌はベータ−カドヘリン(β−カテニンまたはβ−cat)抗体に対して免疫反応性を示す腫瘍細胞を有する(Nicoles等、上出)。更にまた、Wntシグナリングは、ヒト結腸直腸癌を包含する種々の細胞過程の間、が種々の細胞型および臓器においてFGFシグナリングを開始または増進できること、および、腫瘍におけるWntとFGFシグナリング経路の同時活性化はより悪性の表現型をもたらすことが示唆されている(Cancer Biol&Therapy5:9,1059−64,2006の参考文献7〜12参照)。即ち、Wntシグナリング経路に対するFGF19またはFGF19シグナリングの抑制の作用をFGF19投与、抗FGF19モノクローナル抗体1A6投与またはFGFR4指向shRNAノックダウンを用いてヒト結腸癌(HCT116)細胞において試験した。β−カテニンチロシンリン酸化、β−カテニン−E−カドヘリン結合および活性β−カテニンレベルを免疫沈降およびイムノブロット分析を用いて投与細胞において試験した。
FGF19(25〜100ng/mL)の結腸癌細胞(HCT116)への投与はベヒクル投与対照と比較して10分もの早期に(図11)β−カテニンのチロシンリン酸化の有意な増大をもたらした。安定な細胞−細胞接着を形成するカドヘリンへのβ−カテニンの結合はβ−カテニンのチロシンリン酸化により調節されることがわかっている。従って、本発明者等は抗E−カドヘリン抗体を用いてチロシンリン酸化ブロットを剥離して再プローブすることにより、FGF19投与細胞におけるE−カドヘリンのレベルを評価した。結果はFGF19投与細胞におけるβ−カテニンへのE−カドヘリンの結合の実質的消失を示していた。同様の結果は、E−カドヘリンを免疫沈降させ、そして抗β−カテニン抗体射を用いてイムノブロット分析を実施した場合にも観察されている。E−カドヘリンの結合の低減はFGF19投与細胞において観察されたチロシンリン酸化レベルの上昇と反比例していた。
実施例14:抗FGF19抗体1A6を用いたFGF19の抑制はHCT116細胞において活性β−カテニンのレベルを低下させた。
以前の試験によれば、Wnt調節β−カテニン分解は癌形成にとって必須であること(Polakis等、Genes Dev14:1837−51,2000)およびWntシグナルはN末端脱リン酸化されたβ−カテニンを介して伝達されること(Staal FJT等、EMBO Reports3:63−68,2002)が明らかにされている。残基Ser37およびThr41におけるβ−カテニンの脱リン酸化に特異的な特定の抗体を用いて、本発明者等はFGF19またはFGF19の抑制がHCT116細胞においてWntシグナリングに影響するかどうか調べた。FGF19のHCT116への投与は活性β−カテニンレベルに対して如何なる用量または時点においても影響せず、内因性FGF19がオートクリン態様において飽和レベルにβ−カテニンを活性化したことを示している。しかしながら、抗FGF19抗体1A6のHCT116細胞への投与は、対照抗体(gp120)投与細胞と比較して、投与後3時間もの早期の時点において、活性β−カテニンレベルを低減し、そして、低下した活性β−カテニンのレベルを24時間まで持続させた(gp120に対して71.8±1.5%低下、p<0.001)(図12)。
実施例15:抗FGF19抗体投与はSer33/Ser37/Ser45およびThr41リン酸化を誘導した。
FGF19抑制はHCT116細胞において活性β−カテニンレベルを低下させたことから、本発明者等は次に、抗FGF19抗体の投与がβ−カテニンのN末端Ser−Thrリン酸化の増大をもたらし、そしてこのため、ユビキチン化およびプロテオソーム分解のためにβ−カテニンを標的とするかどうかについて評価した。4時間プロテオソーム抑制剤(MG132、1μM)を予備投与し、その後抗FGF19モノクローナル抗体1A6を投与したHCT116細胞は、プロテオソーム抑制剤+対照抗体(gp120)投与細胞と比較してSer33/Ser37およびSer45/Thr41リン酸化の有意な増大を示した(図13)。Ser33/37のリン酸化の定量(総β−カテニンタンパク質およびリン酸化タンパク質レベルの間の比を計算することにより求める)は、対照抗gp120抗体投与細胞に対して抗FGF19抗体1A6投与細胞において123.4±7%の増大(p<0.05)を示していた。同様に、Ser45/T41リン酸化は対照抗gp120抗体投与細胞に対して抗FGF19モノクローナル抗体1A6投与細胞において166.8±11%の増大(p<0.05)を示していた。
β−カテニンのN末端におけるSer−Thrリン酸化は更に、線形イオントラップ質量スペクトルを用いて分析した。非リン酸化β−カテニンペプチドのシグナル強度はプロテオソーム抑制剤を予備投与し、その後抗FGF19抗体1A6または対照抗gp20抗体の何れかを投与した細胞において線形イオントラップ質量スペクトルを用いて測定した。データは投与および未投与の試料由来のシグナル強度において差を示さなかったノン関連ペプチド(4つ全てのリン酸化部位を含有)に対して正規化した。抗FGF19抗体1A6投与細胞から単離されたβ−カテニンペプチドは対照抗gp20抗体投与細胞から単離したβ−カテニンペプチドと比較して低値のシグナル強度を呈し(図14)、抗FGF19モノクローナル抗体1A6投与細胞におけるβ−カテニンのN末端における増大したリン酸化を明確に示している。
実施例16:shRNAを用いたFGFR4発現の低減は低減した活性β−カテニンレベルをもたらした。
FGFR4受容体の抑制が抗FGF19抗体の投与に起因するFGF19抑制の作用を模倣するかどうかを調べるために、FGFR4指向shRNAおよびEGFP指向shRNAを発現する安定な細胞系統を上記した通り作成した。FGFR4指向shRNAを発現する安定な細胞系統はFGFR4タンパク質発現の効果的なノックダウンを示した。FGFR4指向shRNAを発現する安定な細胞系統に由来する細胞溶解物のイムノブロット分析によれば、EGFPに指向されたshRNAを発現する対照の安定な細胞系統と比較した場合の活性β−カテニンのレベルのほぼ完全な低減を示していた(図15)。
実施例17:抗FGF19抗体投与は結腸癌細胞におけるWnt標的遺伝子転写レベルを低減した。
Wnt標的遺伝子(サイクリンD1、CD44,E−cad、c−jun)の発現レベルを抗FGF19抗体1A6投与HCT116細胞においてリアルタイムPCTを用いて測定した。図16に示す通り、抗FGF19抗体1A6投与により、サイクリンD1、CD44、E−cadおよびc−junのmRNAの発現レベルは、対照抗体(抗gp120)投与細胞におけるこれらの遺伝子の発現と比較して6時間の時点において低減された。
部分的な参考文献のリスト
上記した本発明は理解の明確化の目的のために解説および例示により一部詳細に説明したが、説明および実施例は本発明の範囲を限定するものとみなしてはならない。