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JP2009215369A - スルホラン組成物、及び有機化合物の製造方法 - Google Patents

スルホラン組成物、及び有機化合物の製造方法 Download PDF

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JP2009215369A JP2008058209A JP2008058209A JP2009215369A JP 2009215369 A JP2009215369 A JP 2009215369A JP 2008058209 A JP2008058209 A JP 2008058209A JP 2008058209 A JP2008058209 A JP 2008058209A JP 2009215369 A JP2009215369 A JP 2009215369A
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Shigeki Ono
重樹 大野
Hitoshi Sashiwa
仁之 指輪
Takanao Iwahara
孝尚 岩原
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Abstract

【課題】スルホランを含む系において高温下で二酸化硫黄の発生を抑制する。
【解決手段】スルホランを含む系を100℃以上300℃未満の温度に加熱する際に二酸化硫黄の発生を抑制するために、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、又はヒンダードアミン系酸化防止剤を用いる。スルホランを含む溶媒の存在下、100℃以上300℃未満の温度で行う求核置換反応(特にポリエーテルエーテルケトンの製造)を、上記化合物の存在下で行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温下でスルホランが分解して二酸化硫黄が発生するのを抑制したスルホラン組成物、及び、スルホランを溶媒とする高温下での有機化合物の製造方法に関する。
スルホランは4個の炭素原子を有する環状スルホンであり、ジメチルスルホキシドやジメチルスルホンと同様、非プロトン性極性溶媒として、化学反応や抽出の溶媒に用いられている。この化合物は、水溶性であるため反応後の分離・除去を容易に実施できる利点があり、さらに、沸点が約285℃と高く、熱安定性も良好であることから、高温が必要な有機反応において使用されている。例えば、特許文献1では、塩基を利用した求核置換反応に基づいた重合反応においてスルホランを使用することが開示されている。
しかしながら、熱安定性が良好ではあるものの、高温下に置かれるとある程度の分解は避けられず、それによって二酸化硫黄(亜硫酸ガス)が発生することが知られている。二酸化硫黄の発生量は系の温度が高くなるほど増大し、これによって、スルホランが褐色に着色してしまう。また、二酸化硫黄が発生すると、反応系の気相部が酸性化して、反応器の金属製内壁が腐蝕するという問題があった。反応器が腐蝕すると、反応系に金属性の不純物が混入して反応速度や、目的化合物の収率、純度等に悪影響を与える懸念がある。また、反応器を短期間で交換する必要が生じるので、設備費上昇の原因にもなる。
米国特許第4,320,224号明細書
本発明は、上記現状に鑑み、高温下で二酸化硫黄の発生を抑制することが可能なスルホラン組成物、又は、スルホランを含む系において高温下で二酸化硫黄の発生を抑制する方法を提供することを目的とし、さらには、スルホランを溶媒とする高温下での求核置換反応において当該反応の進行を阻害せずに二酸化硫黄の発生を抑制することが可能な有機化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、特定の化合物を安定化剤としてスルホランに配合すると高温に加熱しても二酸化硫黄の発生が抑制されること、さらには、前記特定の化合物の存在下で、スルホランを溶媒とする高温下での求核置換反応を行うことによって当該反応の進行が阻害されずに二酸化硫黄の発生が抑制されることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、スルホランと、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含む、100℃以上300℃未満の温度で使用可能な組成物である。
第二の本発明は、スルホランを含む系を100℃以上300℃未満の温度に加熱する際に二酸化硫黄の発生を抑制する方法であって、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の存在下で前記系を加熱することを特徴とする抑制方法である。
第三の本発明は、スルホランを含む溶媒の存在下、100℃以上300℃未満の温度で行う求核置換反応に基づいた、有機化合物の製造方法であって、前記反応を、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の存在下で行うことを特徴とする製造方法である。
なお、スルホランは、本発明による安定化剤が存在しないと、より高温になるほど二酸化硫黄の発生量がいちじるしく増大する。本発明は100℃以上300℃未満という高温での実施に適したものであるが、温度はより高くなるほど本発明を適用する意義が大きい。そこで、前述の温度は、150℃以上300℃未満が好ましく、200℃〜280℃がより好ましく、230〜260℃が特に好ましい。
第一の本発明によると、スルホラン組成物を100℃以上300℃未満という高温に加熱してもスルホランからの二酸化硫黄の発生が抑制されるので、スルホランを高温で良好に使用することができ、二酸化硫黄の発生により生じる不都合を回避することができる。
第二の本発明によると、100℃以上300℃未満という高温に加熱されたスルホランを含む系においてスルホランからの二酸化硫黄の発生が抑制され、二酸化硫黄の発生により生じる不都合を回避することができる。
第三の本発明によると、スルホランを溶媒とする100℃以上300℃未満という高温で行う求核置換反応において、この反応の進行を阻害せずに、スルホランからの二酸化硫黄の発生が抑制できるので、二酸化硫黄の発生により生じる不都合(特に、反応器内壁の腐蝕の問題)を回避することができる。
第一の本発明は、スルホランを主体とした組成物であり、スルホランに、安定化剤として、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が配合されている。当該安定化剤は、100℃以上300℃未満という高温でスルホランが分解して二酸化硫黄を発生することを抑制する。したがって、当該組成物は100℃以上300℃未満という高温下であっても、二酸化硫黄の発生がなく、あるいは少量であるため、このような高温で使用するのに適したものである。特に、第一の本発明は、スルホランを溶媒として販売する際に、安定化剤として微量の前記化合物を配合したものを意図している。
弱塩基性有機化合物とは、一般的な濃度の水溶液にしたときに水酸化物イオンを生じる電離度が著しく小さい塩基であって、炭素原子を含む有機化合物をいい、アルコキシドやフェノキシド等の強塩基とは区別される。具体的には、アミン系化合物、アミド系化合物等の含窒素系の弱塩基性有機化合物や、カルボン酸塩(例えば、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩等)、エポキシ基含有化合物等が挙げられる。なかでも含窒素系の化合物が好ましく、特にアミン系化合物が好ましい。アミン系化合物としては、例えば、N,N−ジメチルドデシルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、ジアザビシクロウンデセン等の第3級アミンや、ピリジン等の芳香族アミン、1−メチルイミダゾール、1−メチルインドール等の含窒素芳香複素環化合物等が挙げられるが、窒素原子上に3個の置換基を持つ第3級アミンが好ましい。アミド系化合物としては、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
ニトロキシラジカル系酸化防止剤とは安定ニトロキシラジカルとも呼ばれる化合物であり、具体的には、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン1−オキシル)やその誘導体等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、フェノール化合物のフェノール性水酸基に対しオルト位に置換基(特に、t−ブチル基等の嵩高い置換基)を有する化合物、又はその誘導体のことをいう(但し、フェノール性水酸基はアルコキシに変成されていてもよい)。例えば一般的なラジカル捕捉剤として知られている4−t−ブチルカテコールは、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を持たないので、本発明でいうヒンダードフェノール系酸化防止剤には相当しない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレンビス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−ビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
塩基性無機物とは、塩基性を示す無機物であるが、強塩基性を示すアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除外する。具体的には、一般に粘土鉱物として知られている物質、例えば、ハイドロタルサイトや、酸化マグネシウム等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤は、一般にヒンダードアミン光安定剤(HALS)とも呼ばれる化合物であり、窒素原子近傍に嵩高い置換基(例えば、t−ブチル基等の分岐アルキル基)を有する化合物である。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリドン、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール・β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンジエタノール縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸・2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール・β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンジエタノール縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、コハク酸−ビス(2,2,6,−テトラメチル−4−ピペリジエニル)エステル等が挙げられる。
これらの安定化剤は1種類のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、本発明の安定化剤としては、沸点が100℃以上の化合物を使用することが好ましい。当該沸点が低すぎると、系を高温にした場合に化合物が系中から揮発してしまう恐れがあり、発明の効果を達成し得ない可能性がある。
二酸化硫黄発生の抑制効果が高い点から、上述の安定化剤のうち、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及び塩基性無機物からなる群より選択される少なくとも1種を使用することが好ましく、弱塩基性有機化合物、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種を使用することがより好ましい。
本発明の組成物における安定化剤の配合量は、本発明の効果を達成する範囲で適宜決定可能であるが、通常、スルホランに対して0.01〜10モル%程度である。少なすぎると二酸化硫黄の発生を抑制する効果に乏しく、多すぎるとスルホランの性質に影響がある。特に、0.1モル%〜5モル%程度が好ましい。
第二の本発明は、スルホランを含む系を100℃以上300℃未満の温度に加熱する際に二酸化硫黄の発生を抑制する方法であり、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の存在下で前記系を加熱する。スルホランは、例えば、各種有機反応の溶媒として、あるいは、混合物から特定の化合物を抽出する際に用いる溶媒として使用する際に、100℃以上300℃未満という高温に加熱される。したがって、スルホランを含む系としては、スルホランを反応溶媒とする有機反応の系、あるいはスルホランを抽出溶媒とする抽出用の系が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、本発明において「二酸化硫黄の発生を抑制する」とは、前記化合物が含まれていないブランクの系を同一条件で加熱した場合と比較して、気相での二酸化硫黄の測定含量が有意に低いことを意味しており、二酸化硫黄がまったく生成しないことを意味するものではない。本発明の安定化剤によって二酸化硫黄の測定量が減少する理由は明らかでないが、当該安定化剤が、スルホランの分解機構に介在してラジカル中間体をトラップすることによって二酸化硫黄の生成スキームを阻害しているか、又は、一旦生成した二酸化硫黄を中和することで実質的に二酸化硫黄の発生量を低減していることが原因と考えられる。
第二の本発明で使用できる安定化剤は、第一の本発明について上述したものと同様であり、スルホランに対する相対量も第一の本発明で上述したものと同様である。
安定化剤は、加熱以前にスルホランを含む系に配合されていてもよいし、系の温度が上昇している期間、又は系の温度が高温で維持されている期間に添加してもよい。また、各種化合物を添加する際には、各種化合物をそのまま添加してもよいし、スルホランとの混合物として添加してもよいし、スルホラン以外の有機化合物との混合物として添加してもよい。
第三の本発明は、スルホランを含む溶媒の存在下、100℃以上300℃未満の温度で行う求核置換反応に基づいた、有機化合物の製造方法であり、前記反応を、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の存在下で行う。このような化合物を存在させることによって、スルホランの分解に起因する二酸化硫黄の発生が抑制される。
第三の本発明で使用可能な安定化剤の具体例や好ましい化合物は、第一の本発明と同様であるが、さらに、求核置換反応の進行を阻害しないという点で、(1)第3級アミン、(2)第3級アミンとヒンダードフェノール系酸化防止剤との組合せ、又は(3)第3級アミンとアミド系化合物との組合せが最も好ましい。
第三の本発明における求核置換反応とは、反応の中心となる原子に対して求核剤が求核攻撃し、脱離基が脱離する反応をいう。この求核置換反応を、スルホランを含む溶媒の存在下、100℃以上300℃未満の温度で行う際に、前述の安定化剤を存在させることによって、反応の進行を阻害せずに二酸化硫黄の発生を抑制できる。
第三の本発明では求核置換反応が阻害されにくいので、塩基を作用させて進行するタイプの求核置換反応に対しても好ましく適用できる。特に、ベンゼン環等の芳香環上にある置換基が求核剤の攻撃を受けて置換される芳香族求核置換反応において好ましく実施できる。当該反応は、具体的には、塩基の存在下で、芳香族ハロゲン化物とフェノール類とを反応させて、エーテル化合物を与える反応である。この反応では、まず塩基とフェノールが反応してフェノキサイドイオンが生成した後、芳香族ハロゲン化物のハロゲンが結合している炭素(芳香環を構成する炭素)に求核剤であるフェノキサイドイオンが攻撃し、アニオン性の付加体を形成した後、ハロゲン化物イオンが脱離することによってエーテル結合を形成する。
第三の本発明で使用し得る塩基とは、求核置換反応で反応剤として作用し得る塩基であればよく、例えば、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物等が挙げられる。塩基の使用量は、フェノールの使用量に応じて調整すればよく、フェノールの量に対しておおよそ当量程度を使用すればよい。
第三の本発明における求核置換反応ではスルホランを溶媒として使用するが、スルホラン以外の有機溶媒を適宜配合してもよい。スルホランの使用量は基質や塩基の使用量に応じて適宜決定すればよい。また、反応温度は100℃以上300℃未満の温度であるが、最も好ましい態様では、反応を還流下で進行させる。還流下で実施する必要がある反応では温度が230〜260℃程度に達するので、特に二酸化硫黄の発生が多量であり、本発明を適用してその発生を抑制する意義はきわめて大きい。
きわめて高温で進行させる必要がある反応は、進行とともに、系の粘度がいちじるしく増大する反応、すなわち重合反応である。なかでも、塩基の存在下で、芳香族二ハロゲン化物とヒドロキノン類とを重合させて、ポリエーテル類を与える反応に対して本発明は好適に適用できる。ここでいうポリエーテル類としては、一般的なポリエーテルのほか、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン等が含まれる。例えば、以下に示した繰り返し単位を、単独又は組み合わせで含む重合体である。
−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
−Ar−SO2−Ar−O−Ar−O−
−Ar−SO2−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
式中、Arは、同一又は異なって、置換又は無置換のp−フェニレン基を表す。フェニルレン基上の置換基としては特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。一単位中に含まれるArはすべて同一であってもよいし、異なるものであってもよいが、すべてのArが無置換のp−フェニレン基を表すことが好ましい。
Aは、直接結合、酸素原子、硫黄原子、−SO2−、−CO−、又は2価の炭化水素基を表す。
以下ではポリエーテルエーテルケトンを製造する場合について具体的に説明する。すなわち、スルホランを含む溶媒とアルカリ金属炭酸塩の存在下、100℃以上300℃未満の温度で、下記式(1)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類と、下記式(2)で表されるヒドロキノン類とを重合させてポリエーテルエーテルケトンを製造する。
X−Ar−C(=O)−Ar−X (1)
RO−Ar−OR (2)
式中、Arは、同一又は異なって、置換又は無置換のp−フェニレン基を表す。Xはハロゲン原子を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子、R′−基、R′C(O)−基、R′OC(O)−基、R′3Si−基、又はR′2NC(O)−基を表す。ここでR′は、同一又は異なって、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。
式(1)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類としては、例えば、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられるが、Arが無置換のp−フェニレン基、Xがフッ素原子である4,4′−ジフルオロベンゾフェノンが好ましい。式(2)で表されるヒドロキノン類としては、Arが無置換のp−フェニレン基、Rが水素原子であるp−ヒドロキノンが好ましい。
また、式(1)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類とともに、下記式(3)で表される4,4′−ジハロジフェニルスルホン類や、下記式(4)で表されるビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼンを共重合させることもできる。式(2)で表されるヒドロキノン類とともに、下記式(5)で表されるビスフェノール類を共重合させることもできる。
X−Ar−SO2−Ar−X (3)
X−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−Ar−X (4)
RO−Ar−A−Ar−OR (5)
式中、Ar、X、及びRは上述のとおりである。Aは、直接結合、酸素原子、硫黄原子、−SO2−、−CO−、又は2価の炭化水素基を表す。
式(3)で表される4,4′−ジハロジフェニルスルホン類としては特に限定されないが、例えば、4,4′−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン等が挙げられる。式(4)で表されるビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼンとしては特に限定されないが、例えば、ビス−1,4−(4−フルオロベンゾイル)ベンゼン、ビス−1,4−(4−クロロベンゾイル)ベンゼン等が挙げられる。式(5)で表されるビスフェノールとしては特に限定されないが、例えば、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
4,4′−ジハロベンゾフェノン類(1)と、ヒドロキノン類(2)とのモル比を調整することによって、重合体末端に導入される基の種類(フッ素原子等のハロゲン原子、又は水酸基等の−OR基)や、分子量を調整することができる。すなわち、4,4′−ジハロベンゾフェノン類(1)のモル数がより多い場合には、フッ素原子等のハロゲン原子が(おそらく)末端に導入され、ヒドロキノン類(2)のモル数がより多い場合には、水酸基等の−OR基が末端に導入される。また、両者のモルの差が小さい(すなわちモル比か1:1に近い)ほど、重合体の分子量は大きくなり、モル差が大きくなると、重合体の分子量は小さくなる。末端にフッ素原子等のハロゲン原子を導入する場合には、通常、両者のモル比は1.1:1〜1.0001:1の範囲内に調整される。すなわち、通常、ヒドロキノン類(2)に対して4,4′−ジハロベンゾフェノン類(1)が0.01〜10モル%多く、好ましくは0.1〜5モル%、より好ましくは0.1〜1モル%である。一方、末端に水酸基等の−OR基を導入する場合には、通常、両者のモル比は1:1.1〜1:1.0001の範囲内に調整される。すなわち、通常、4,4′−ジハロベンゾフェノン類(1)に対してヒドロキノン類(2)が0.01〜10モル%多く、好ましくは0.1〜5モル%、より好ましくは0.1〜1モル%である。
ただし、4,4′−ジハロジフェニルスルホン類(3)、ビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼン(4)、及び/又はビスフェノール類(5)を共重合する場合には、4,4′−ジハロベンゾフェノン類(1)の量は4,4′−ジハロジフェニルスルホン類(3)及びビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼン(4)の量を含み、ヒドロキノン類(2)の量はビスフェノール類(5)の量を含む。
当該製法は、塩基存在下における求核置換反応に基づいた重縮合によって達成されるものであり、当該塩基としては、少なくとも1つのアルカリ金属炭酸塩を使用する。具体例としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等が挙げられるが、なかでも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。アルカリ金属炭酸塩は、1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。塩基として少なくとも1つのアルカリ金属炭酸塩を使用しない場合には、得られる重合体の溶液粘度が低すぎ、十分な強度を達成することができない。
アルカリ金属炭酸塩と共に他の塩基を併用してもよい。当該他の塩基としては特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、アルキル化リチウム、リチウムアルミニウムハライド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムハイドライド、ナトリウムアルコキサイド、カリウムアルコキサイド、フォスファゼン塩基、Verkade塩基等が挙げられる。
好ましい塩基の組合せとしては、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの組合せ、炭酸カリウムと水酸化ナトリウムとの組合せ、又は炭酸ナトリウムと水酸化カリウムとの組合せが挙げられ、特に、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの組合せが好ましい。これらの組合せによると、溶液粘度が高く、各種機械的物性が優れた重合体を得ることができる。
塩基は、通常、モル基準でヒドロキノン類(2)よりも多く使用されるが、ヒドロキノン類(2)に対して30モル%以下の範囲で多いことが好ましく、10モル%以下の範囲がより好ましく、1〜5%の範囲が特に好ましい。
塩基として炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの組合せを使用する場合には、両者の比率は特に限定されないが、炭酸カリウムが全体のうち10〜90モル%を占めることが好ましい。
当該重合溶媒はスルホラン単独であってもよいが、スルホランに加えて、他の重合溶媒(例えばジフェニルスルホン)を含むものであってもよい。ここで、スルホランを含む重合溶媒は、実質的にスルホランのみからなる重合溶媒であることが好ましく、具体的にはスルホランが90重量%以上を占める重合溶媒が好ましく、スルホランが95重量%以上を占める重合溶媒がより好ましい。スルホランの含量が多いほど本発明によって二酸化硫黄発生を抑制する意義は大きい。
スルホランを含む重合溶媒は、系の固形分が90重量%以下となるような量で使用すればよい。好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは15〜30重量%である。
また、系中の水を共沸によって効率よく除去するために、ベンゼン、トルエン、キシレン等の共沸溶媒を反応系に補充することが好ましい。その使用量は、除去すべき水の量に応じて適宜設定すればよいが、スルホランを含む重合溶媒に対して好ましくは100重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは10〜20重量%以下である。
本反応は系を加熱することによって進行する。具体的な反応温度としては、通常300℃未満、好ましくは200℃〜280℃の範囲、より好ましくは230〜260℃の範囲である。この温度を維持することによって反応が効率よく進行する。
反応の具体的な手順を説明する。まず、スルホランを含む重合溶媒、ヒドロキノン類、4,4′−ジハロベンゾフェノン類、及び任意にキシレンを混合し、攪拌下で、好ましくは230℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは75〜85℃に加熱することによって各成分を均一化する。その後、アルカリ金属炭酸塩を含む塩基を加え、さらに攪拌下で加熱して還流温度以下で反応を進行させる。また、塩基は反応初期の段階で添加しておいてもよい。
本反応では水が副生するので、当該副生した水や、スルホラン等の原料に含まれる水を除去しながら反応を進行させるのが好ましい。キシレン等の共沸溶媒を混合して反応を行うと、約150℃以上でキシレンと水とが共沸するので、容易に水を除去することができる。
反応時間は特に限定されず、所望の粘度又は分子量を考慮して適宜設定すればよいが、通常、24時間以下であり、好ましくは12時間以下であり、より好ましくは6時間以下、特に好ましくは1〜3時間である。
4,4′−ジハロベンゾフェノン類(1)よりもヒドロキノン類(2)のモル数が多い場合には、必要に応じて、当該反応後に、ハロベンゾフェノンを添加することにより、末端にハロゲン原子や水酸基を持たないポリエーテルエーテルケトンを得ることができる。ハロベンゾフェノンとしては、例えば、4−フルオロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン等が挙げられる。ハロベンゾフェノンの使用量は過剰分のヒドロキノン類(2)に対して10モル倍以下、好ましくは約2モル倍である。反応温度は上記と同じである。反応時間は特に限定されないが、通常、6時間以下、好ましくは0.2〜1時間である。
前記反応は加熱の停止により終了することができる。
溶媒のスルホランは水溶性の溶媒であるので、反応後の反応液と水を含む溶剤を混合することによって、生成物の重合体と重合溶媒とを容易に分離することができる。さらに、水を含む溶剤での洗浄を繰り返すことによって、塩基に起因する副生物たるアルカリ金属塩(例えばフッ化ナトリウムや、フッ化カリウム)を除去することができるので、生成物たるポリエーテルエーテルケトンを簡単に精製することができる。すなわちスルホランを溶媒とすると、重合溶媒の分離、及び重合体の精製を、水を含む溶剤を用いて実施することができる。
重合完了後、スルホランを含む重合溶媒の分離、及び重合体の精製を行うにあたっては、水を含む溶剤を用いる。当該溶剤は水単独であってもよいが、水に加えて、他の溶剤、例えばメタノールや、エタノール等の水溶性溶媒等を、発明の効果が達成できる範囲において含むものであってもよい。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜26及び比較例1〜2
スルホラン100g(0.83mol)と、表1又は2に記載の添加剤を各表に記載の重量(g)で添加した500mLフラスコを、温度が277℃のバスに浸漬し、内温は約260℃とした。1時間を攪拌した後、気相部の気体について二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の定量を行った。この定量には、ガステック社製の二酸化硫黄用気体検知管(No.5L:5−100ppm、No.5M:100−1,800ppm、No.5H:0.5−4.0%)を使用した。同時に、pH試験紙(pH 1−14、MACHERY−NAGEL社製)を気相部に挿入し、目視によりpHを決定した。以上の結果を表1又は表2に示す。
表1中の添加剤の略号は以下のものを示す。
DMDA:N,N−ジメチルドデシルアミン
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
Sumilizer GS:住友化学社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤
TBC:t−ブチルカテコール(比較用化合物)
トリアミン:N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン
DBU:ジアザビシクロウンデセン
TMP:2,2,6,6−テトラメチルピペリドン
キョーワード500:協和化学工業社製のハイドロタルサイト
表1中の二酸化硫黄抑制評価における各記号は二酸化硫黄の測定量が以下の範囲にあることを示す。
A:0ppm
B:1−999ppm
C:1,000−9,999ppm
D:10,000−99,999ppm
E:100,000ppm以上
Figure 2009215369
Figure 2009215369
表1〜表2から、安定化剤を未添加の比較例1や、本発明による安定化剤以外の化合物を配合した比較例2では二酸化硫黄が多量に検出されたが、本発明により安定化剤をスルホランに配合した実施例1〜26では、二酸化硫黄の発生量が少なく、安定化剤の配合により二酸化硫黄の発生を抑制できたことが分かる。
実施例27
温度計、窒素ガス導入管、凝縮水分離器、攪拌器が取り付けられた三つ口反応器にまず精製スルホラン164gを加え、その後に、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン22.04g(0.101mol、ヒドロキノンの使用量0.10molに対して1モル%過量)、ヒドロキノン11.01g(0.10mol)、添加剤としてジメチルドデシルアミン0.82g(スルホランの使用量164gに対して0.5重量%)を順次加え、さらにキシレン25g(溶剤の15%)を加えた。その後、攪拌、加熱(反応器を相応の電気的加熱ジャケットに入れ)し、全部溶解してかつ温度が80℃に上昇したら、K2CO36.98g(0.0505mol)およびNa2CO35.35g(0.0505mol)を加えた。さらに引き続き昇温し、温度が150℃に上昇したら、恒温で2時間保持した。その後、昇温し温度が260℃になったら恒温を保持した。260℃になった時点で系の気相部には二酸化硫黄は検出されなかった。凝集水分離器に凝集した水のpHは7であった。系の粘度が重合反応の進行につれて絶えず増大し、3時間持続した後に反応を停止した。この時点でも二酸化硫黄は検出されなかった。ポリマー粘液を冷却した後、粉砕機で粉砕して濾過した。得られた粉末材料に水を加え、三つ口反応器において1時間煮沸してからさらに濾過した。以上の煮沸及び濾過の工程を4度繰り返した。
精製後の粉末材料を、加熱乾燥装置において120℃で12時間加熱乾燥し、水分含有量を0.5%より低くしてポリエーテルエーテルケトンを得た。
得られた重合体の溶液粘度は0.88dL/gであった。
なお各種測定は以下の記載に沿って行った。
(1)溶液粘度
ISO1628−1:1998の5.1、又はISO3105:1994の表B4に記載のサイズ番号1C(毛細管直径0.77mm)のウベローデ形粘度計を用いて、25℃で0.1g/dLの95%濃硫酸溶液、及び95%濃硫酸について流出時間を測定し、得られた値を以下の式に代入して求めた。
溶液粘度ηi=ln(t/t0)/c
t:95%濃硫酸溶液の流出時間(秒)
t0:95%濃硫酸の流出時間(秒)
c:溶液濃度、すなわち0.1g/dL
(2)二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の定量法
二酸化硫黄用気体検知管No.5L、5M、または5H(ガステック社製)を使用し、窒素気流下、気体検知管の先を反応器の気相部に挿入し、測定した。気体検知管No.5Hの上限検出濃度4%を超える場合は、吸引するガス量すなわちピストンを引く長さを規定値より少なくし、比例計算により二酸化硫黄濃度を算出した。
(3)凝集水のpH測定法
pH試験紙(pH 1−14、MACHERY−NAGEL社製)を使用し、凝集水に浸して、目視によりpHを決定した。
(4)気相部のpH測定法
pH試験紙(pH 1−14、MACHERY−NAGEL社製)を使用し、重合反応で温度が260℃に到達した時点で、反応器の気相部に挿入し、目視によりpHを決定した。
実施例28
添加剤ジメチルドデシルアミンの添加を150℃で2時間加熱後に変更したこと以外は実施例27を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点、および反応終了時点で系の気相部には二酸化硫黄は検出されなかった。凝集水分離機に凝集した水のpHは6−7であった。得られた重合体の溶液粘度は0.86dL/gであった。
実施例29
添加剤をスミライザーGS 1.64g(スルホランの使用量164gに対して1.0重量%)およびジメチルドデシルアミン0.16g(スルホランの使用量164gに対して0.1重量%)に変更したこと以外は実施例27を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点、および反応終了時点で系の気相部の二酸化硫黄は、それぞれ30ppm、60ppmであった。得られた重合体の溶液粘度は1.08dL/gであった。
実施例30
添加剤をN−メチルピロリドン8.20g(スルホランの使用量164gに対して5.0重量%)、およびジメチルドデシルアミン0.16g(スルホランの使用量164gに対して0.1重量%)に変更したこと以外は実施例27を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点、および反応終了時点で系の気相部には二酸化硫黄は検出されなかった。凝集水分離機に凝集した水のpHは5−6であった。得られた重合体の溶液粘度は0.95dL/gであった。
実施例31
N−メチルピロリドンの添加量を4.10g(スルホランの使用量164gに対して2.5重量%)に変更したこと以外は実施例30を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点で系の気相部の二酸化硫黄は10ppm未満であり、反応終了時点では二酸化硫黄は検出されなかった。凝集水分離機に凝集した水のpHは6−7であった。得られた重合体の溶液粘度は0.91dL/gであった。
実施例32
260℃での反応時間を4時間に変更したこと以外は実施例31を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点、および反応終了時点で系の気相部には二酸化硫黄は検出されなかった。凝集水分離機に凝集した水のpHは6であった。得られた重合体の溶液粘度は1.11dL/gであった。
実施例33
N−メチルピロリドンの添加量を1.64g(スルホランの使用量164gに対して1.0重量%)に変更したこと以外は実施例30を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点で系の気相部の二酸化硫黄は20ppmであり、反応終了時点では二酸化硫黄は検出されなかった。凝集水分離機に凝集した水のpHは5−6であった。得られた重合体の溶液粘度は0.93dL/gであった。
実施例34
添加剤を1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン8.20g(スルホランの使用量164gに対して5.0重量%)、およびジメチルドデシルアミン0.16g(スルホランの使用量164gに対して0.1重量%)に変更したこと以外は実施例27を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点、および反応終了時点で系の気相部には二酸化硫黄は検出されなかった。凝集水分離機に凝集した水のpHは5−6であった。得られた重合体の溶液粘度は0.74dL/gであった。
実施例35
添加剤をN−メチルピロリドン8.20g(スルホランの使用量164gに対して5.0重量%)、およびN,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン0.049g(スルホランの使用量164gに対して0.03重量%)に変更したこと以外は実施例27を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点、および反応終了時点で系の気相部の二酸化硫黄は、それぞれ50ppm、80ppmであった。凝集水分離機に凝集した水のpHは7であった。得られた重合体の溶液粘度は0.74dL/gであった。
比較例3
添加剤を加えなかったこと以外は実施例27を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点、および反応終了時点で系の気相部の二酸化硫黄は、それぞれ160ppm、800ppmであった。凝集水分離機に凝集した水のpHは1−2であった。得られた重合体の溶液粘度は1.15dL/gであった。
比較例4
添加剤を加えずに、260℃での反応時間を4時間に変更したこと以外は実施例27を繰り返して、ポリエーテルエーテルケトンを得た。260℃になった時点、および反応終了時点で系の気相部の二酸化硫黄は、それぞれ120ppm、120ppmであった。凝集水分離機に凝集した水のpHは1であった。得られた重合体の溶液粘度は1.33dL/gであった。
以上の結果を表3にまとめる。
Figure 2009215369
表3から明らかなように、本発明により安定化剤を添加した実施例27〜35では、二酸化硫黄の発生量が少なく、系のpHを中性から弱アルカリ性に維持することができている。一方、安定化剤を添加しなかった比較例3及び4では二酸化硫黄の発生量が多く、系が強酸性になっているため、長期的には反応器の腐蝕が問題になるものと懸念される。また、実施例27〜35では安定化剤の配合により重合の進行が阻害されることはなく、重合の進行程度を示す指標となる溶液粘度が、無添加の比較例3及び4とほぼ同等のレベルに達している。

Claims (9)

  1. スルホランと、
    弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、を含む、100℃以上300℃未満の温度で使用可能な組成物。
  2. スルホランを含む系を100℃以上300℃未満の温度に加熱する際に二酸化硫黄の発生を抑制する方法であって、
    弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の存在下で前記系を加熱することを特徴とする抑制方法。
  3. スルホランを含む溶媒の存在下、100℃以上300℃未満の温度で行う求核置換反応に基づいた、有機化合物の製造方法であって、
    前記反応を、弱塩基性有機化合物、ニトロキシラジカル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、塩基性無機物(ただしアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸化物は除く)、及びヒンダードアミン系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の存在下で行うことを特徴とする製造方法。
  4. 前記化合物によって、スルホランの分解に起因する二酸化硫黄の発生が抑制される、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記化合物として、弱塩基性有機化合物、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種を用いる、請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 前記求核置換反応は、塩基の作用により進行する反応である、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記求核置換反応は、塩基の存在下で、芳香族ハロゲン化物とフェノール類とを反応させて、エーテル化合物を与える反応である、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記求核置換反応は、塩基の存在下で、芳香族二ハロゲン化物とヒドロキノン類とを重合させて、ポリエーテル類を与える反応である、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記求核置換反応は、アルカリ金属炭酸塩の存在下で、下記式(1)で表される4,4′−ジハロベンゾフェノン類と、下記式(2)で表されるヒドロキノン類とを重合させてポリエーテルエーテルケトンを与える反応である、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
    X−Ar−C(=O)−Ar−X (1)
    RO−Ar−OR (2)
    式中、Arは、同一又は異なって、置換又は無置換のp−フェニレン基を表す。Xはハロゲン原子を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子、R′−基、R′C(O)−基、R′OC(O)−基、R′3Si−基、又はR′2NC(O)−基を表す。ここでR′は、同一又は異なって、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。
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