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JP2009200575A - スピーカアレイシステム - Google Patents

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JP2009200575A
JP2009200575A JP2008037215A JP2008037215A JP2009200575A JP 2009200575 A JP2009200575 A JP 2009200575A JP 2008037215 A JP2008037215 A JP 2008037215A JP 2008037215 A JP2008037215 A JP 2008037215A JP 2009200575 A JP2009200575 A JP 2009200575A
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speaker units
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Application number
JP2008037215A
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Takashi Yamakawa
高史 山川
Koji Kushida
孝司 櫛田
Yasuhito Tanase
廉人 棚瀬
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Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
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Publication date
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Abstract


【課題】ステアリング角度により指定された進行方向と実際の進行方向とのずれが小さい合成波面を簡素な構成のスピーカアレイで形成することを可能にする。
【解決手段】スピーカアレイを構成する複数のスピーカユニットの各々から出力される音波の合成波面の進行方向が水平方向および垂直方向のステアリング角度で指定された場合に、その進行方向を表すベクトルの各成分を水平方向および垂直方向のステアリング角度から求める。そして、複数のスピーカユニットから任意に選択される2個のスピーカユニットに与えられる2個の遅延オーディオ信号が、上記ベクトルと当該2個のスピーカユニット間の変位ベクトルとの内積に相当する遅延時間差を持つように制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数のスピーカユニットからなるスピーカアレイに関する。
この種のスピーカアレイシステムの一例としては、遅延アレイ方式のものが挙げられる(例えば、特許文献1)。遅延アレイ方式のスピーカアレイシステムでは、スピーカアレイを形成する複数のスピーカユニットの各々に与えるオーディオ信号の遅延時間差を適宜調整することで、スピーカアレイから出力される音波の指向性制御が実現される。ここで、スピーカアレイから出力される音波の指向性制御とは、各スピーカユニットから出力される音波の合成波面の進行方向やその合成波面の広がり具合の制御のことである。特許文献1に開示された技術では、以下のようにして、上記指向性制御が実現される。まず、水平方向の制御のための第1の遅延処理を入力オーディオ信号INに施し、スピーカユニット列SP(i、1)(i=1〜m)、SP(i、2)(i=1〜m)、…SP(i,n)(i=1〜m)の各々に対応付けられたn個の第1遅延オーディオ信号を生成する。次に、垂直方向の制御のための第2の遅延処理をn個の第1遅延オーディオ信号の各々に施し、これにより得られるn×m個の第2遅延オーディオ信号をスピーカユニットSP(i,j)(i=1〜m,j=1〜n)に供給する。
合成波面の進行方向を指定する手法の一例としては、垂直方向および水平方向のステアリング角度により指定する態様が挙げられる。すなわち、スピーカアレイのアレイ面の法線方向をz軸、鉛直方向(垂直方向)をy軸、z軸およびy軸の両者に直交する方向(すなわち、水平方向)をx軸とした場合に、合成波面の進行方向をz軸からx軸へ向う回転方向の角度(水平方向のステアリング角度)とz軸からy軸へ向う回転方向の角度(垂直方向のステアリング角度)で表す態様である。この態様によれば、合成波面の進行方向を「水平方向については左へα度ステアリングさせ、垂直方向については下へβ度ステアリングさせた方向」と表すことができ、直感的に判り易いといった特徴がある。
例えば、図8(A)に示すように4つのスピーカユニットSP(i,j)(i=1〜2、j=1〜2)を水平方向および垂直方向に2行2列に配列してなるスピーカアレイについて、図8(B)に示すように、水平方向のステアリング角度αと垂直方向のステアリング角度βが指定された場合、これら2つのステアリング角度で表される進行方向へ進む合成波面を形成するには、各スピーカユニットSP(i,j)に与えるオーディオ信号の遅延時間差が以下のようになるよう制御すれば良い。
水平方向で互いに隣り合うスピーカユニット(例えば、スピーカユニットSP(1,1)とスピーカユニットSP(1,2))については、各々から出力される音波の経路差に応じた遅延時間差を有するオーディオ信号を与えるようにすれば良い。例えば、スピーカユニットSP(1,1)に与えるオーディオ信号を基準にすると、スピーカユニットSP(1,2)に与えるオーディオ信号には、図8(B)に示すように、スピーカユニットSP(1,1)との経路差(Dsinα)に応じた遅延を付与すれば良い。また、垂直方向で互いに隣り合うスピーカユニット(例えば、スピーカユニットSP(1,1)とスピーカユニットSP(2,1))についても同様に、スピーカユニットSP(2,1)に与えるオーディオ信号には、スピーカユニットSP(1,1)との経路差(Dsinβ)に応じた遅延を付与すれば良い。そして、スピーカユニットSP(2,2)に関しては、スピーカユニットSP(1,2)との経路差がDsinβであり、スピーカユニットSP(1,2)とスピーカユニットSP(1,1)の経路差はDsinαであるから、これら経路差の和(Dsinα+Dsinβ)に応じた遅延を付与したオーディオ信号を与えれば良い。
特開2006−211230号公報
しかし、合成波面の進行方向を水平方向および垂直方向のステアリング角度で指定し、図8(B)に示すように遅延を付与して指向性制御を行う態様では、ステアリング角度が大きくなるにつれて、合成波面の実際の進行方向とユーザの意図した進行方向とにずれが生じる場合がある。例えば、図8(A)に示すスピーカアレイにおいて、D=D=Dであり、α=β=45°である場合には、スピーカユニットSP(2,2)についての遅延がスピーカユニットSP(1,2)やスピーカユニットSP(2,1)についての遅延に比較して大きくなりすぎ(図8(C)参照)、このことが上記進行方向のずれを引き起こすのである。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたものであり、ステアリング角度により指定された進行方向と実際の進行方向とのずれが小さい合成波面を簡素な構成のスピーカアレイで形成することを可能にする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、複数のスピーカユニットからなるスピーカアレイと、入力オーディオ信号を遅延させることにより、前記複数のスピーカユニットに各々与える複数の遅延オーディオ信号を生成する遅延手段と、前記スピーカアレイのアレイ面と直交する第1の軸と、前記第1の軸と直交するとともに互いに直交する第2および第3の軸を想定し、前記複数のスピーカユニットの各々から放射すべき音波の合成波面の進行方向の前記第1の軸から前記第2の軸へ向う回転方向のステアリング角度と前記第1の軸から前記第3の軸へ向う回転方向の第2のステアリング角度とを指定する指定手段と、前記複数のスピーカユニットから任意に選択される2個のスピーカユニットに与えられる2個の遅延オーディオ信号が、前記複数のスピーカユニットの各々から放射すべき音波の合成波面の進行方向のベクトルと当該2個のスピーカユニット間の変位ベクトルとの内積に相当する遅延時間差を持つように制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記進行方向のベクトルの前記第1、第2および第3の軸方向の各成分を前記第1および第2のステアリング角度から求め、これら各成分と前記変位ベクトルの前記第1、第2および第3の軸方向の成分の各々とから前記内積を算出することを特徴とするスピーカアレイシステム、を提供する。
本発明に係るスピーカアレイシステムでは、ユーザにより指定された第1および第2のステアリング角度から上記合成波面の進行方向のベクトルの第1、第2および第3の軸方向の成分を求める処理が実行され、任意の2個のスピーカユニットの各々に与える遅延オーディオ信号が、上記進行方向のベクトルの両スピーカユニット間の変位ベクトルとの内積に相当する遅延時間差を持つように各遅延オーディオ信号の遅延量を制御する処理が実行される。
より好ましい態様においては、前記スピーカアレイシステムの指定手段は、前記第1および第2のステアリング角度に加えて、前記合成波面の広がり角を指定させ、前記制御手段は、前記内積に相当する遅延時間差に加えて前記広がり角に応じた遅延時間差を持つように、前記各遅延オーディオ信号の遅延量を制御することを特徴とする。このような態様によれば、ユーザにより指定された進行方向からのずれが少なく、かつ、ユーザにより指定された広がり角で広がりつつ伝播する合成波面をスピーカアレイに出力させることが可能になる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(A:構成)
図1は、本発明の一実施形態であるスピーカアレイシステム200の構成例を示す図である。このスピーカアレイシステム200は、所謂遅延アレイ方式のスピーカアレイシステムである。図1に示すように、スピーカアレイシステム200は、スピーカアレイ210、遅延手段220、増幅手段230、ユーザインタフェイス(以下、「UI」)提供手段240および制御手段250を有している。
スピーカアレイ210は、スピーカユニット211−i(i=1〜N:Nは2以上の自然数)の各々のスピーカ軸が互いに平行になるように(すなわち、平面状のバッフル面を形成するように)並べて構成されている。これらスピーカユニット211−iから出力される音波の同時刻における波面の包絡面により一定の進行方向へ伝播する合成波面が形成されるのである。スピーカユニット211−iとしては、例えばコーン型スピーカなどの広い指向性を有するスピーカを用いれば良い。スピーカアレイ210の構成態様としては、同一の音響特性を有するスピーカユニットのみで構成する態様や、音響特性の異なる(例えば、出力音域が異なる)複数種のスピーカユニットを組み合わせて構成する態様が考えられる。同一の音響特性を有するスピーカユニットのみで構成する態様であれば、図2(A)に示すように、各スピーカユニットをマトリクス状に配列してスピーカアレイ210を構成すれば良い。一方、音響特性の異なる複数種のスピーカユニットを組み合わせて構成する態様であれば、図2(B)に示すように、高音域をサポートする小型のスピーカユニットをマトリクス状に配列した周囲に低音域をサポートする大型のスピーカユニットを配列してスピーカアレイ210を構成すれば良い。
遅延手段220は、例えばDSP(Digital Signal Processor)である。遅延手段220は、音源100から与えられる入力オーディオ信号IN01に遅延処理を施して遅延オーディオ信号X01−i(i=1〜N)を生成する。ここで、音源100から与えられる入力オーディオ信号IN01がアナログ信号である場合には、A/D変換器によってデジタル信号に変換して遅延手段220に与えれば良い。本実施形態では、上記遅延処理として所謂1タップディレイ処理が実行される。この1タップディレイ処理は、複数のシフトレジスタを用いて実施される態様であっても良く、また、RAM(Random Access Memory)を用いて実施される態様であっても良い。例えば、RAMを用いた態様であれば、入力オーディオ信号IN01を上記RAMへ書き込み、その書き込みを行った時から、スピーカユニット211−i(i=1〜N)の各々に対応する遅延に応じた時間が経過した時にRAMから入力オーディオ信号IN01を読み出し、遅延オーディオ信号X01−iとして増幅手段230に与える処理を遅延手段220に実行させるようにすれば良い。このように本実施形態では、遅延オーディオ信号X01−iの各々を1タップディレイ処理により生成するため、FIR(Finite Impulse
Response)型の処理で上記遅延オーディオ信号を生成する場合に比較して小規模なDSPで遅延手段220を構成することができる。
増幅手段230は、図1に示すように、スピーカユニット211−i(i=1〜N)の各々に対応する乗算器231−i(i=1〜N)を含んでいる。乗算器231−iには、遅延オーディオ信号X01−iが遅延手段220から与えられる。乗算器231−i(i=1〜N)の各々は、遅延手段220から与えられた遅延オーディオ信号X01−iに所定の係数(制御手段250から与えられる係数)を乗算して出力することにより、その遅延オーディオ信号X01−iの信号レベルをスピーカ駆動に適したレベルまで増幅する。増幅手段230から出力される遅延オーディオ信号X01−iの各々は、D/A変換器(図1では図示略)によってアナログオーディオ信号に変換され、対応するスピーカユニット211−iに与えられる。
UI提供手段240は、ユーザに所望の指向性(すなわち、合成波面の進行方向や波面の広がり具合)を指定させ、その指定内容を表す指定内容データAI01を制御手段250に与える。ユーザに所望の指向性を指定させる態様としては種々のものが考えられる。例えば、所定の座標系(スピーカアレイ210の中心を座標原点とし、スピーカアレイ210のアレイ面の法線方向をz軸、垂直方向をy軸、水平方向をx軸とした座標系)を想定し、音響サービスの提供対象である領域(以下、ターゲットエリア)の中心点の座標で合成波面の進行方向を指定させ、そのターゲットエリアの形状や大きさで波面の広がり具合を指定させる態様が考えられる。この態様でユーザに指向性を指定させるUI提供手段240としては、スピーカアレイ210とターゲットエリアの位置関係およびターゲットエリアの形状をマウスなどのポインティングデバイスの操作により描画させるGUI(Graphical User Interface)が考えられる。また、ユーザに所望の指向性を指定させる別の態様としては、水平方向および垂直方向のステアリング角度で合成波面の進行方向を指定させ、水平方向および垂直方向の広がり角で合成波面の広がり具合を指定させる態様が考えられる。この態様により所望の指向性をユーザに指定させるUI提供手段240としては、上記2種類のステアリング角度と上記2種類の広がり角の各々を表す数値をキー入力させるキーボードが考えられる。
制御手段250は、指定内容データAI01の表す指向性を実現するために各遅延オーディオ信号X01−iに付与する遅延をその指定内容データAI01に基づいて算出し遅延手段220に与える処理を実行する。制御手段250は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)251と、例えばFlashROMなどの不揮発性メモリ252と、RAMなどの揮発性メモリ253とを含んでいる。不揮発性メモリ252には、本実施形態に係るスピーカアレイシステム200に特徴的な指向性制御処理をCPU251に実行させる制御プログラム252aとアレイ情報252bとが予め格納されている。ここで、アレイ情報252bとは、スピーカアレイ210を構成するスピーカユニット211−i(i=1〜N)の各々のスピーカアレイ210における配置位置を示す情報(例えば、スピーカアレイ210のスピーカ面の中心を原点とし、アレイ面の法線方向をz軸、垂直方向をy軸、水平方向をx軸とする座標空間における各スピーカユニット211−iの座標位置を示す情報)である。一方、揮発性メモリ253は、制御プログラム252aを実行する際のワークエリアとしてCPU251によって利用される。制御プログラム252aにしたがってCPU251が実行する指向性制御処理は、図3に示すように、遅延演算用データ算出処理SA01および遅延設定処理SA02の2つの処理に大別される。
以下、これら2つの処理について詳細に説明する。
(B:指向性制御処理)
遅延演算用データ算出処理SA01は、UI提供手段240から与えられる指定内容データAI01から遅延演算用データを算出する処理である。ここで、遅延演算用データとは、スピーカアレイ210に含まれる任意の2つのスピーカユニット211−iに与える各遅延オーディオ信号X01−iの遅延時間差を演算するためデータである。本実施形態では、遅延演算用データとして、合成波面の進行方向の単位ベクトルである進行方向ベクトルvと、水平方向および垂直方向の広がり角BWおよびBWを表すデータが算出される。ここで、進行方向ベクトルvを算出する理由は以下の通りである。
例えば、図4に示すように、xz平面上にてx軸上に位置するスピーカユニットSP0およびスピーカユニットSP1の各々から出力される音波により、ある進行方向に伝播する合成波面を形成する場合を想定する。この場合、合成波面の進行方向を示す単位ベクトルをv(すなわち、vのノルムは1)、スピーカユニットSP0から見たスピーカユニットSP1の配置位置を示すベクトル(以下、変位ベクトル)をvとすると、図4に示すように、スピーカユニットSP1から出力される音波とスピーカユニットSP0から出力される音波の経路差dは以下の数1で表され、以下の数2に示すように、ベクトルvとベクトルvの内積(スカラー積)に等しくなる。
Figure 2009200575
Figure 2009200575
上記のように経路差dが進行方向ベクトルvとスピーカユニット間の変位ベクトルvの内積で表されることは3次元空間においても同様である。例えば、進行方向ベクトルvと変位ベクトルvが以下の数3で表される場合、その変位ベクトルvにより互いの位置関係が表される2つのスピーカユニットに与えるべき各遅延オーディオ信号の遅延時間差は、以下の数4に応じたものになる。
Figure 2009200575
Figure 2009200575
本実施形態の場合、スピーカアレイ210を構成するN個のスピーカユニット211−iのうちの任意の2つについての変位ベクトルvはアレイ情報252bを参照して求めることができる。したがって、進行方向ベクトルvpが求まれば、その進行方向ベクトルvpの表す方向へ進む合成波面を形成させる際に、N個のスピーカユニット211−iのうちの任意の2つに与えるべき遅延オーディオ信号X01−iの遅延時間差を上記数4にしたがって算出することができる。これが進行方向ベクトルvを算出する理由である。以下、進行方向ベクトルvと広がり角BWおよびBWの算出手法について説明する。
(B−1:進行方向ベクトルの算出方法)
まず、進行方向ベクトルvの算出方法について説明する。
前述したように、合成波面の進行方向をユーザに指定させる態様としては、ターゲットエリアの中心点の座標で指定させる態様と、水平方向および垂直方向のステアリング角度で指定させる態様とがある。ターゲットエリアの中心点の座標で合成波面の進行方向を指定させる態様であれば、例えば、その中心点の座標が(X,Y,Z)であるならば、進行方向ベクトルvは以下の数5の演算により算出することができる。
Figure 2009200575
一方、水平方向および垂直方向のステアリング角度で合成波面の進行方向を指定させる態様の場合、例えば、水平方向のステアリング角度としてγが指定され、垂直方向のステアリング角度としてγが指定された場合は、まず、以下の数6にしたがって算出される2種類の角度φおよびφを求め、これらφおよびφを用いて以下の数7に示すように進行方向ベクトルvを求めれば良い。
Figure 2009200575
Figure 2009200575
以下、上記数6および数7にしたがって進行方向ベクトルvを求めることの妥当性について説明する。
合成波面の進行方向を指定させる態様としては、上記2つの態様が考えられるが、これら何れの態様であっても実際の合成波面の進行方向は一致していなければならない。そこで、ターゲットエリアの中心座標で合成波面の進行方向が指定され、数3に示す進行方向ベクトルvが得られる場合に、水平方向および垂直方向のステアリング角度を指定する態様で同一の結果が得られるようにするには、これらステアリング角度としてどのような値を指定すれば良いのかについて考察する。水平方向および垂直方向のステアリング角度を各々φ、φとすると、水平方向および垂直方向の経路差は各々Dsinφ、Dsinφとなる(前掲図8(B)にてα=φ、β=φとすれば良い)。これらの和が数4で求まる経路差dと一致するように(すなわち、数8を満たすように)φ、φを定めれば良い。ただし、数8においてD=D、D=D
Figure 2009200575
上述の数8が常に成り立つためには、x=sinφ、y=sinφでなければならない。ここで、進行方向ベクトルvは単位ベクトル(すなわち、x+y+z=1)であるから、進行方向ベクトルvは前掲数7を満たすものでなければならない。
一方、進行方向ベクトルvが数3で表される場合、従来は、図5に示すように、進行方向ベクトルvをxz平面に射影して得られる射影ベクトルvxzとz軸の為す角度γが水平方向のステアリング角度として用いられ、進行方向ベクトルvをyz平面に射影して得られる射影ベクトルvyzとz軸の為す角度γが垂直方向のステアリング角度として用いられていた。図5を参照すれば明らかなように、進行方向ベクトルvのx、y、z成分と上記2種類の角度γおよびγとの間には、以下の数9に示す関係がある。
Figure 2009200575
前述したように、数3に示す進行方向ベクトルvは、φおよびφを用いて数7のように表せるのであるから、γおよびγは、φおよびφを用いて、以下の数10のように表すことができる。
Figure 2009200575
この数10をφおよびφについて解くと、前述の数6が得られる。
数6を参照すれば明らかように、γ≠φであり、γ≠φである。従来の遅延アレイ方式のスピーカアレイシステムでは、数3のように成分表現される進行方向ベクトルvをxz平面に射影して得られる射影ベクトルとz軸の為す角度γを水平方向のステアリング角度と同一視し、同進行方向ベクトルvをyz平面に射影して得られる射影ベクトルとz軸の為す角度γを垂直方向のステアリング角度と同一視して遅延演算が行われていた。数6において、γおよびγが共に充分に小さい場合には、tanγ≒sinγ、tanγv≒sinγと近似することができ、また、tanγおよびtanγは、1に比較して充分に小さく無視することができる。このような近似を行えば、確かに数6はφ≒γ、φ≒γを意味する。しかし、γまたはγの少なくとも一方が上記近似を行えない程度に大きく、上記近似が妥当ではない場合には、φ≠γ、φ≠γとなる。これが従来の遅延式スピーカアレイにてステアリング角度が大きくなるにつれて、水平方向および垂直方向のステアリング角度で指定された進行方向と実際の合成波面の進行方向とのずれが大きくなる原因である。本実施形態では、ユーザにより指定された水平方向のステアリング角度γおよび垂直方向のステアリング角度γから数6および数7にしたがって進行方向ベクトルvを求め、この進行方向ベクトルvと変位ベクトルvとの内積に応じた遅延時間差を各遅延オーディオ信号X01−iに与えるようにしたため、水平方向および垂直方向のステアリング角度で指定された進行方向と実際の合成波面の進行方向とが大きくずれることはない。
(B−2:広がり角の算出方法)
次いで、水平方向の広がり角BWおよび垂直方向の広がり角BWの算出方法について説明する。水平方向の広がり角BWおよび垂直方向の広がり角BWの算出方法についても、ユーザによる指向性の指定態様に応じて種々の方法が考えられる。例えば、ターゲットエリアの位置、形状および大きさでGUIを介して指向性を指定させる態様の場合には、図6(A)に示すように、スピーカアレイ210のアレイ面の投影像(以下、カバーエリア)をそのターゲットエリアを被覆するように拡大または縮小して設定し、図6(B)や図6(C)に示すように、スピーカアレイ210からカバーエリアを見た水平方向および垂直方向の開き角を幾何学的に求め、これら開き角を水平方向の広がり度BWおよび垂直方向の広がり角BWとすれば良い。一方、水平方向の広がり角BWおよび垂直方向の広がり角BWをキー入力などにより数値で直接指定する態様の場合には、特段の演算を行わず、指定内容データAI01の表す水平方向の広がり角BWおよび垂直方向の広がり角BWをそのまま用いるようにすれば良い。
(B―3:遅延設定処理)
遅延設定処理SA02は、スピーカアレイ210に含まれる任意の2つのスピーカユニットに与える遅延オーディオ信号の遅延時間差を進行方向ベクトルv、広がり角BWおよびBWから算出し、各遅延オーディオ信号X01−iの遅延量D01−iを遅延手段220に与える処理である。この遅延設定処理SA02では、スピーカアレイ210に含まれるN個のスピーカユニット211−iのうちから、遅延量演算の基準となるスピーカユニットを1つ選択し、他のN−1個のスピーカユニットの各々についての遅延量D01−iを以下のように算出する。すなわち、この遅延設定処理SA02では、遅延量演算の対象となる各スピーカユニットについて上記基準となるスピーカユニットから見た変位ベクトルvをアレイ情報252bを参照して求め、その変位ベクトルvと進行方向ベクトルvとの内積を求めることによって、その進行方向へ伝播する合成波面を形成するための遅延量が算出され、このようにして算出される遅延量に広がり角BWおよびBWに応じた遅延量を加算して各スピーカユニット211−iに対応する遅延量D01−iが算出される。なお、水平方向および垂直方向の広がり角に応じた遅延量算出の具体的な手法としては従来の遅延アレイ方式スピーカアレイシステムにおける手法を用いれば良い。また、広がり角BWによる遅延の与え方は、図7(A)に示す態様であっても良く、また、図7(B)に示す態様であっても良い。
以上説明したように、本実施形態に係るスピーカアレイ1によれば、水平方向および垂直方向のステアリング角度で進行方向が指定された場合であっても、その進行方向と実際の進行方向とのずれが小さい合成波面を各スピーカユニット211−iから出力される音波によって形成することが可能になる。また、本実施形態に係るスピーカアレイシステム1の遅延手段220で実行される遅延処理は1タップディレイ処理であるため、遅延手段220を小規模なDSPで構成することが可能であり、スピーカシステム1の構成が簡素になるといった特徴もある。
(C:変形)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、かかる実施形態に以下に述べる変形を加えても勿論良い。
(1)上述した実施形態では、複数のスピーカユニットを平面状のバッフル面を形成するように配列して構成した2次元スピーカアレイに本発明を適用したが、複数のスピーカユニットを曲面状のバッフル面を形成するように配列して構成したスピーカアレイに本発明を適用しても勿論良い。
(2)上述した実施形態では、各スピーカユニット211−iから出力される音波の合成波面の進行方向の制御に加えて、その合成波面広がり具合の制御を行ったが、進行方向の制御のみを行っても勿論良い。進行方向の制御のみ行う態様にあっては、UI提供手段240を介して入力される指定内容データAI01から進行方向ベクトルvを求め、任意の2つのスピーカユニット211−iについての変位ベクトルvをアレイ情報252bから求めて、その進行方向ベクトルvと変位ベクトルvの内積を数1(或いは数3および数4)にしたがって演算することで、それら2つのスピーカユニット211−iに与える遅延オーディオ信号X01−i間の遅延時間差を算出すれば良い。
(3)上述した実施形態では、本発明に係るスピーカアレイシステムに特徴的な指向性制御処理を制御手段250のCPU251に実行させる制御プログラム252aが同制御手段250の不揮発性メモリ252に予め格納されていた。しかし、この制御プログラム252aを、例えばCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などのコンピュータ装置読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布しても良く、また、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより配布しても良い。このようにして配布される制御プログラム252aを一般的なコンピュータ装置に記憶させ、そのコンピュータ装置を制御手段250として機能させることができる。
この発明の一実施形態であるスピーカアレイシステム200の構成を示す図である。 同スピーカアレイシステム200が有するスピーカアレイ210のアレイ面の一例を示す図である。 同スピーカアレイシステム200の制御手段250のCPU251が実行する処理の一例を示す図である。 一般的な遅延時間差の算出方法を説明するための図である。 進行方向ベクトルvとステアリング角度との関係を示す図である。 水平または垂直方向の広がり角の算出方法の一例を説明するための図である。 水平または垂直方向の広がり角による遅延付与の一例を説明するための図である。 従来の遅延アレイ方式のスピーカアレイシステムにおける指向性制御を説明するための図である。
符号の説明
100…音源、200…スピーカアレイシステム、210…スピーカアレイ、211−i(i=1〜N)…スピーカユニット、220…遅延手段、230…増幅手段、231−i(i=1〜N)…乗算器、240…UI提供手段、250…制御手段、251…CPU、252…不揮発性メモリ、252a…制御プログラム、252b…アレイ情報、253…揮発性メモリ。

Claims (2)

  1. 複数のスピーカユニットからなるスピーカアレイと、
    入力オーディオ信号を遅延させることにより、前記複数のスピーカユニットに各々与える複数の遅延オーディオ信号を生成する遅延手段と、
    前記スピーカアレイのアレイ面と直交する第1の軸と、前記第1の軸と直交するとともに互いに直交する第2および第3の軸を想定し、前記複数のスピーカユニットの各々から放射すべき音波の合成波面の進行方向の前記第1の軸から前記第2の軸へ向う回転方向のステアリング角度と前記第1の軸から前記第3の軸へ向う回転方向の第2のステアリング角度とを指定する指定手段と、
    前記複数のスピーカユニットから任意に選択される2個のスピーカユニットに与えられる2個の遅延オーディオ信号が、前記複数のスピーカユニットの各々から放射すべき音波の合成波面の進行方向のベクトルと当該2個のスピーカユニット間の変位ベクトルとの内積に相当する遅延時間差を持つように制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記進行方向のベクトルの前記第1、第2および第3の軸方向の各成分を前記第1および第2のステアリング角度から求め、これら各成分と前記変位ベクトルの前記第1、第2および第3の軸方向の成分の各々とから前記内積を算出する
    ことを特徴とするスピーカアレイシステム。
  2. 前記指定手段は、前記第1および第2のステアリング角度に加えて、前記合成波面の広がり角を指定させ、
    前記制御手段は、前記内積に相当する遅延時間差に加えて前記広がり角に応じた遅延時間差を持つように、前記各遅延オーディオ信号の遅延量を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカアレイシステム。


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