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JP2009292961A - アクリル系熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

アクリル系熱可塑性樹脂フィルム Download PDF

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JP2009292961A
JP2009292961A JP2008148905A JP2008148905A JP2009292961A JP 2009292961 A JP2009292961 A JP 2009292961A JP 2008148905 A JP2008148905 A JP 2008148905A JP 2008148905 A JP2008148905 A JP 2008148905A JP 2009292961 A JP2009292961 A JP 2009292961A
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Aya Takeda
彩 武田
Atsushi Matsunaga
篤 松永
Kenji Hara
健治 原
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】 光学的等方性・透明性に優れ、かつ、貼合用途として熱収縮性に優れたアクリル系熱可塑性樹脂フィルムを提供すること。
【解決手段】 以下の(i)〜(v)を満足するアクリル系熱可塑性樹脂フィルムとする。
(i)80℃加熱時のMD方向の熱収縮率が−0.15〜0.15%
(ii)120℃加熱時のMD方向の熱収縮率が1.50%以上
(iii)厚みが5〜200μm
(iv)厚み方向位相差Rthが−8〜8nm
(v)面内位相差Δndが8nm以下
【選択図】 図1

Description

本発明は、工業上有用な、耐熱性および光学的等方性に優れ、特に熱収縮性にも優れたアクリル系熱可塑性樹脂フィルムに関する。
さらに詳しくは、例えば、フラットディスプレイパネル等の表示材料、車両用内装材および外装材、電化製品、建材用内層および外装材等の表面表皮材料、及びそれらに用いられる各種フィルムの表面保護材として有用であり、特にその優れた耐熱性・光学等方性・熱収縮性から、偏光子保護フィルムなどのフラットディスプレイパネル用材料として有用であるアクリル系熱可塑性樹脂フィルムに関する。
各種の高分子樹脂フィルム、特にアクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル、環状オレフィンなどのフィルムは透明性や表面光沢性に優れているため、液晶ディスプレイ用シートまたはフィルム、導光板などの光学材料、車両用内装材および外装材、自動販売機の外装材、電化製品、建材用内層および外装材等の表面表皮など広範な分野で使用されている。
これらの樹脂フィルムの中で、特に液晶ディスプレイ用シートまたはフィルムに関して、近年の液晶テレビの高精度化に伴い、それらに使用する光学フィルムについても高機能化が要求されている。特にPMMAに代表されるアクリル系樹脂フィルムは光学特性に優れているため、光学フィルムとして検討されることが多く、例えば、下記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を有するフィルムが開示されている(特許文献1、2)。
Figure 2009292961
(上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
このような光学フィルムは、単独で使用されることは少なく、通常、他の機能を持つ光学フィルムと組み合わせて使用されることが多いため、ハードコート層や反射防止膜を形成する際に受ける熱量により収縮し寸法が安定しないなどの問題がある。このような問題を解消するために、溶液製膜法を用いるかまたは溶融製膜法で未延伸フィルムを得た後に延伸する方法が開示されている(特許文献1)。
しかし、通常加工工程で使用するフィルムやコート層自体にも熱収縮性があるため、ただ熱収縮率を0%に近づけるだけでは発生するカールや熱収縮を完全に抑制することはできない。また、上記方法では熱収縮率をコントロールするために一度未延伸シートを製膜作成した後、延伸装置にかけるという2度の工程を経ることが必要となるため、大がかりな装置が必要となりコストが上昇するという問題がある。
また、熱収縮の大きいフィルムを製造する方法として例えば特許文献3に記載の技術が開示されているが、この方法では温度コントロールができていないため、光学用フィルムの厚みムラを制御するのは困難であり、カールを抑制するために各温度毎の僅かな熱収制御を行うことはできない。
また、特許文献4に記載の技術では、同時二軸延伸フィルムを操業性良く生産する製造方法として冷却ロールの次にドロー比の異なるガイドロールや延伸ロールを配置しているが、この方法も各温度毎で僅かな熱収制御を行うことはできない。
特許文献5に記載の技術では、未延伸光学フィルムを得るためにセルロースアシレートフィルムを冷却ロールでドローをかけることにより湿度カールを抑制しているが、該特許方法では湿度カールを抑制できるが、熱収縮をコントロールすることはできず、また非晶性樹脂には適用できない。
国際公開第2005/105918号パンフレット 特開2005−314534号公報 特開2005−67081号公報 特開2001−30352号公報 特開2007−2216号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、光学的等方性・透明性に優れ、かつ、加工段階における熱収縮特性に優れたアクリル系熱可塑性樹脂フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明のアクリル樹脂フィルムは、以下の[1]〜[3]の如くの構成を有するものである
[1]以下の(i)〜(v)を満足するアクリル系熱可塑性樹脂フィルム。
(i)80℃加熱時のMD方向の熱収縮率が−0.15〜0.15%
(ii)120℃加熱時のMD方向の熱収縮率が1.5%以上
(iii)厚みが5〜200μm
(iv)厚み方向位相差Rthが−8〜8nm
(v)面内位相差Δndが8nm以下
[2] 下記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂(A)を含んでいる、上記[1]に記載のアクリル系熱可塑性樹脂フィルム。
Figure 2009292961
(上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
[3] フィルムのガラス転移温度が110℃以上である、上記[1]または[2]記載のアクリル系熱可塑性樹脂フィルム。
本発明によれば、優れた取り扱い性・加工性を有しながら、加工後に高透明性・低熱収縮性を発現することができ、かつ耐熱性・光学等方性に優れたアクリル系熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
以下に本発明の好ましい実施の形態を説明する。
本発明において用いることのできる熱可塑性樹脂は実質的に透明であれば特に種類を問わないが、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル、脂環式ポリオレフィンが好適であり、特に光学等方性に優れる観点からアクリル樹脂が好適に用いられる(以下、本発明において用いるアクリル樹脂をアクリル樹脂(A)ということがある)。
アクリル樹脂とは、アクリル酸およびその誘導体を重合して得られる樹脂であり、本発明においては、耐熱性・光学等方性の発現のために、分子中に下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有することが好ましい。
Figure 2009292961
(上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
ガラス転移温度(Tg)や熱変形温度など、樹脂フィルムの耐熱性は樹脂構造の自由度により決まり、自由度の小さいもの、例えば、剛直なベンゼン環が、剛直なイミド結合で結合された芳香族ポリイミドは400℃を超えるTgを持つ。一方、自由度の大きい柔軟な脂肪族の重合体であるポリメタクリルメチル(PMMA)のTgは100℃に満たない。これに対し、上記の構造を有するアクリル樹脂は、脂環構造である、グルタル酸無水物単位を含有する、こと等により、耐熱性を著しく向上することができ好ましい。
また、光学等方用途では位相差が小さいことが要求される。ここでπ電子を多く持つ芳香環を導入すると、耐熱性は脂環構造を導入する以上に向上するが、同時に複屈折が大きくなり、位相差が発現しやすくなる問題がある。このため、光学等方性を保ったまま、耐熱性を向上させるためには脂環構造を含有することが最も好ましい。
脂環構造としてはグルタル酸無水物構造、ラクトン環構造、ノルボルネン構造、シクロペンタン構造などが挙げられる。光学等方性と耐熱性については、どの構造を用いても同様の効果が得られるが、ラクトン環構造、ノルボルネン構造、シクロペンタン構造などの導入にはこれら構造を有する高価な原料を使用するか、またはこれら構造の前駆体となる高価な原料を使用し、数段階の反応を経て、目的の構造にする必要があるため、工業的に不利である。一方、グルタル酸無水物単位は一般的なアクリル原料から1段階の脱水および/または脱アルコール反応により得られるため工業的に非常に有利である。
ここで、光学等方用途とは、その素材の内部で光学的等方性が求められる用途で、具体的には偏光板保護フィルム、レンズ、光導波路コアなどが例示できる。液晶テレビにおいて、偏光板は2枚を直交または平行にして使用されるが、偏光板保護フィルムが存在しないか、光学等方である場合、偏光板2枚を直交した状態では黒が表示され、偏光板2枚を平行にした状態では白が表示される。一方、偏光板保護フィルムが光学等方でない場合、偏光板2枚を直交した状態では黒ではなく例えば濃い紫が表示され、偏光板2枚を平行にした状態では白ではなく例えば黄色が表示される。この着色は偏光板保護フィルムの異方性によって異なる。偏光板保護フィルムは光学的には存在しないことが理想であるが、外部からの応力および水分から偏光子を保護する目的で必要不可欠である。また、レンズの場合、レンズはその界面で光を屈折することを目的とするが、レンズ内は均一に光が進むことが必要である。レンズ内が光学等方でないと、像が歪むなどの問題がある。光導波路コアの場合、光学等方でないと、例えば、横方向の波と、縦方向の波の信号の伝達速度に差が生じるため、ノイズ、混信の問題を起こす原因となる。他の光学等方用途としては、プリズムシート基材、光ディスク基板、フラットパネルディスプレイ基板などが挙げられる。
次にグルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂の製造方法を詳述する。
後の加熱工程により上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を与える不飽和カルボン酸単量体(i)および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(ii)と、その他のビニル系単量体単位を含む場合には該単位を与えるビニル系単量体(iii)とを重合させ、共重合体(a)とした後、かかる共重合体(a)を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し、脱アルコールおよび/または脱水による分子内環化反応を行わせることにより製造することができる。この場合、典型的には共重合体(a)を加熱することにより2単位の不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基が脱水されて、あるいは隣接する不飽和カルボン酸単位と不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からアルコールの脱離により1単位の前記グルタル酸無水物単位が生成される。
この際用いられる不飽和カルボン酸単量体(i)としては、特に限定はなく、他のビニル化合物(iii)と共重合させることが可能な、一般式(i)の不飽和カルボン酸単量体が使用できる。
Figure 2009292961
(ただし、Rは水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す)
特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種、または2種以上用いることができる。なお、上記一般式(i)で表される不飽和カルボン酸単量体(i)は共重合すると下記一般式(i-2)で表される構造のカルボン酸単位を与える。
Figure 2009292961
(ただし、Rは水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す)
また、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(ii)としてはメタクリル酸メチルが、得られるフィルムの透明性、耐候性の点から好ましい。さらに他の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体をメタクリル酸メチルと共に1種または2種以上用いることができる。他の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては特に制限はないが、好ましい例として、下記一般式(ii)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2009292961
(ただし、Rは水素または炭素数1〜5の脂肪族、もしくは脂環式炭化水素基を示し、Rは水素以外の任意の置換基を示す。)
これらのうち、Rとして、炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または置換基を有する該炭化水素基をもつアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが特に好適である。なお、上記一般式(ii)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は、共重合すると下記一般式(ii-2)で表される構造のカルボン酸アルキルエステル単位を与える。
Figure 2009292961
(ただし、Rは水素または炭素数1〜5の脂肪族、もしくは脂環式炭化水素基を示し、Rは水素以外の任意の置換基を示す。)
メタクリル酸メチル以外の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(ii)の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられる。
また、本発明で用いるアクリル樹脂(A)の製造においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のビニル系単量体(iii)を用いてもかまわない。その他のビニル系単量体(iii)の好ましい具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができるが、透明性、複屈折率、耐薬品性の点で芳香環を含まない単量体がより好ましく使用できる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
アクリル樹脂(A)については、基本的には塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の種々の重合方法を用いてラジカル重合を行うことができるが、不純物がより少ない点で溶液重合、塊状重合、懸濁重合法を用いてラジカル重合を行うことが特に好ましい。
重合温度については、特に制限はないが、色調の観点から、不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物を95℃以下の重合温度で重合することが好ましい。さらに加熱処理後の着色をより抑制するために好ましい重合温度は85℃以下であり、特に好ましくは75℃以下である。また、重合温度の下限は、重合が進行する温度であれば、特に制限はないが、重合速度を考慮した生産性の面から、通常50℃以上、好ましくは60℃以上である。重合収率あるいは重合速度を向上させる目的で、重合進行に従い重合温度を昇温することも可能であるが、この場合も昇温する上限温度は95℃以下に制御することが好ましく、重合開始温度も75℃以下の比較的低温で行うことが好ましい。また重合時間は、必要な重合度を得るのに十分な時間であれば特に制限はないが、生産効率の点から60〜360分間の範囲が好ましく、90〜180分間の範囲が特に好ましい。
本発明のアクリル樹脂フィルムに使用するアクリル樹脂(A)は、質量平均分子量が5万〜15万であることが好ましい。このような分子量を有するアクリル樹脂(A)は、共重合体(a)の製造時に、共重合体(a)を所望の分子量、すなわち質量平均分子量で5万〜15万に予め制御しておくことにより、達成することができる。質量平均分子量が、15万を超える場合、後工程の加熱脱気時に着色する傾向が見られる。一方、質量平均分子量が、5万未満の場合、アクリル樹脂フィルムの機械的強度が低下する傾向が見られる。
共重合体(a)の分子量制御方法については、特に制限はなく、例えば、アゾ化合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤の添加量、あるいはアルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤の添加量等により、制御することができる。特に、重合の安定性、取り扱いの容易さ等から、連鎖移動剤であるアルキルメルカプタンの添加量を制御する方法が好ましく使用できる。
本発明に使用されるアルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等が挙げられ、なかでもt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
これらアルキルメルカプタンの添加量としては、本発明の特定の分子量に制御するものであれば、特に制限はないが、通常、単量体混合物の全量100質量部に対して、0.2〜5.0質量部であり、好ましくは0.3〜4.0質量部、より好ましくは0.4〜3.0質量部である。
本発明において、共重合体(a)を加熱し、(イ)脱水および/または(ロ)脱アルコールにより分子内環化反応を行いグルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性重合体を製造する方法は、特に制限はないが、ベントを有する加熱した押出機に通して製造する方法や、不活性ガス雰囲気または減圧下で加熱脱揮できる装置内で製造する方法が生産性の観点から好ましい。中でも、酸素存在下で加熱による分子内環化反応を行うと、黄色度が悪化する傾向が見られるため、系内を窒素などの不活性ガスで十分に置換することが好ましい。特に好ましい装置として、例えば、“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機、連続式またはバッチ式ニーダータイプの混練機などを用いることができ、とりわけ二軸押出機が好ましく使用できる。また、これらに窒素などの不活性ガスが導入可能な構造を有した装置であることがより好ましい。例えば、二軸押出機に、窒素などの不活性ガスを導入する方法としては、ホッパー上部および/または下部より、10〜100リットル/分程度の不活性ガス気流の配管を繋ぐ方法などが挙げられる。
なお、上記の方法により加熱脱揮する温度は、(イ)脱水および/または(ロ)脱アルコールにより分子内環化反応が生じる温度であれば特に限定されないが、好ましくは180〜300℃の範囲、特に200〜280℃の範囲が好ましい。
また、この際の加熱脱揮する時間も特に限定されず、所望する共重合組成に応じて適宜設定可能であるが、通常、1分間〜60分間、好ましくは2分間〜30分間、とりわけ3〜20分間の範囲が好ましい。特に、押出機を用いて、十分な分子内環化反応を進行させるための加熱時間を確保するため、押出機スクリューの長さ/直径比(L/D)が40以上であることが好ましい。L/Dの小さい押出機を使用した場合、未反応の不飽和カルボン酸単位が多量に残存するため、加熱成形加工時に反応が再進行し、成形品に気泡が見られる傾向や成形滞留時に色調が大幅に悪化する傾向がある。
さらに本発明では、共重合体(a)を上記方法等により加熱する際にグルタル酸無水物への環化反応を促進させる触媒として、酸、アルカリ、塩化合物の1種以上を添加することができる。その添加量は特に制限はなく、共重合体(a)100質量部に対し、0.01〜1質量部程度が適当である。また、これら酸、アルカリ、塩化合物の種類についても特に制限はなく、酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸、リン酸メチル等が挙げられる。塩基性触媒としては、金属水酸化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体、アルコキシド類、水酸化アンモニウム塩等が挙げられる。さらに、塩系触媒としては、酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩、炭酸金属塩等が挙げられる。ただし、その触媒保有の色が熱可塑性重合体の着色に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加する必要がある。中でも、アルカリ金属を含有する化合物が、比較的少量の添加量で、優れた反応促進効果を示すため、好ましく使用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムフェノキシド等のアルコキシド化合物、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩等が挙げられ、とりわけ、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムが好ましく使用することができる。
本発明に用いられるアクリル樹脂(A)中の前記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位の含有量は、5〜45mol%、より好ましくは10〜40mol%、最も好ましくは15〜25mol%である。グルタル酸無水物単位が5mol%未満である場合、ガラス転移点(Tg)が低下し、耐熱性向上効果が小さくなることがある。また、グルタル酸無水物単位が45mol%を超えると靱性が悪くなることがある。耐熱性向上と靱性向上はトレードオフの関係にあり、グルタル酸無水物単位の含有量で調整可能である。このためグルタル酸無水物単位の含有量は用途に応じて5〜45mol%の範囲内で任意の値を採用することが好ましい。
アクリル樹脂(A)に含まれる他の成分としてはメタクリル酸メチル単位および、メタクリル酸単位等が挙げられるが、メタクリル酸メチル単位が含有されることが好ましく、また、メタクリル酸メチル単位の含有量は光学等方性、靱性の観点から55〜95mol%が好ましい。さらに、アクリル樹脂(A)の耐加水分解性および光学等方性の観点からメタルクリル酸メチル単位の含有量とグルタル酸無水物単位の含有量の和が90mol%以上であることが好ましい。メタルクリル酸メチル単位の含有量とグルタル酸無水物単位の含有量の和が90mol%未満である場合は、光学等方性が損なわれたり、耐加水分解性が悪化することがある。
グルタル酸無水物単位とメタクリル酸メチル単位以外にグルタル酸無水物単位の前駆体である、メタクリル酸単位が含まれていても構わない。メタクリル酸単位にメタクリル酸単位またはメタクリル酸メチル単位が隣接した場合、製膜や、延伸などの工程での加熱時に脱水または脱アルコール反応が起こり、発泡の原因となることがあるが、グルタル酸無水物単位が隣接していれば、脱水または脱アルコール反応は起こり得ないので、メタクリル酸単位が含まれていても構わない。
本発明に用いられるアクリル樹脂(A)における各成分単位の定量には、一般にプロトン核磁気共鳴(H−NMR)測定機が用いられる。H−NMR法では、例えば、グルタル酸無水物単位、メタクリル酸、メタクリル酸メチルからなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中でのスペクトルの帰属を、0.5〜1.5ppmのピークがメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素と、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定することができる。また、上記に加えて、他の共重合成分としてスチレンを含有する共重合体の場合、6.5〜7.5ppmにスチレンの芳香族環の水素が見られ、同様にスペクトル比から共重合体組成を決定することができる。
また、本発明に用いられるアクリル樹脂(A)は、アクリル樹脂(A)中に不飽和カルボン酸単位および/または、共重合可能な他のビニル系単量体単位を含有することができる。
本発明に用いられるアクリル樹脂(A)中に含有される不飽和カルボン酸単位量は10mol%以下、すなわち0〜10mol%であることが好ましく、より好ましくは0〜5mol%、最も好ましくは0〜1mol%であり、さらには存在しない方が好ましい。不飽和カルボン酸単位が10mol%を超える場合には、無色透明性、滞留安定性が低下する傾向がある。
また、アクリル樹脂(A)に共重合可能な他のビニル系単量体単位量は5mol%以下、すなわち0〜5mol%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0〜3mol%であり、さらには存在しない方が好ましい。特に、スチレンなどの芳香族ビニル系単量体単位を含有する場合、含有量が上記範囲を超えると、無色透明性、光学等方性、耐薬品性が低下する傾向がある。
本発明における、アクリル系熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)は110℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上である。Tgが110℃未満である場合は、耐熱性が劣るため、例えばフィルム上にハードコート等の加工を施す場合に、平面性不良が発生したり、縮みによるカールが大きくなる等の問題が発生したり、またディスプレイ内部に使用された場合、内部の熱による寸法変化や平面性の悪化等で画像が劣化したりすることがある。また、ガラス転移点(Tg)の上限については特に規定されないが、樹脂の製造上の問題およびフィルム製造時の溶融押出し性から、通常200℃以下である。
本発明においては、フィルム中にアクリル弾性体粒子(B)を含有しても構わない。この場合、アクリル弾性体粒子(B)の含有量としては、アクリル樹脂(A)とアクリル弾性体粒子(B)の合計を100質量部として、アクリル弾性体粒子(B)5〜50質量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30質量部である。アクリル弾性体粒子(B)が5質量部未満である場合には、フィルムの靱性に劣ったり、ヘイズを所望の値に制御できなくなったりすることがある。また、アクリル弾性体粒子(B)が50質量部を超える場合には、耐熱性が不十分となったり、ヘイズを所望の値に制御できなくなったりすることがある。
また、アクリル弾性体粒子(B)としては、1以上のゴム質重合体を含む層と、それとは異種の重合体から構成される1以上の層から構成され、かつ、これらの各層が隣接し合った構造の、いわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造重合体(B−M)や、ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体などからなる単量体混合物を共重合せしめたグラフト共重合体(B−G)等が好ましく使用できる。
本発明に使用されるコアシェル型の多層構造重合体(B−M)としては、これを構成する層の数は、特に限定されるものではなく、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよいが、内部に少なくとも1層以上のゴム層を有する多層構造重合体であることが好ましい。
上記の多層構造重合体(B−M)において、ゴム層の種類は、特に限定されるものではなく、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレン成分、プロピレン成分、イソブテン成分などを重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。好ましいゴムとしては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分から構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合わせたものから構成されるゴムも好ましく、例えば、(1)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分から構成されるゴム、(2)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分から構成されるゴム、(3)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分から構成されるゴム、および(4)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分から構成されるゴムなどが挙げられる。また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位およびブチレングリコールジアクリレート単位などの架橋性成分から構成される共重合体を架橋させたゴムも好ましい。
上記の多層構造重合体(B−M)において、ゴム層以外の層の種類は、熱可塑性を有する重合体成分から構成されるものであれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体成分であることが好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和カルボン酸系単位、不飽和グリシジル基含有単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位およびその他のビニル系単位などから選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体が挙げられ、中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和グリシジル基含有単位および不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体が好ましく、さらには不飽和グリシジル基含有単位および不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体がより好ましい。
上記不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位の原料となる単量体としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく使用される。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸メチルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
上記不飽和カルボン酸単量体としては特に制限はなく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、及びさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。
上記不飽和グリシジル基含有単位の原料となる単量体としては、特に限定されるものではなく、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテルおよび4−グリシジルスチレンなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
上記不飽和ジカルボン酸無水物系単位の原料となる単量体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸および無水アコニット酸などが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、無水マレイン酸が好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
また、上記脂肪族ビニル系単位の原料となる単量体としては、エチレン、プロピレンおよびブタジエンなどを、上記芳香族ビニル系単位の原料となる単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンおよびハロゲン化スチレンなどを、上記シアン化ビニル系単位の原料となる単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどを、上記マレイミド系単位の原料となる単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミドおよびN−(クロロフェニル)マレイミドなどを、上記不飽和ジカルボン酸系単位の原料となる単量体としては、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸およびフタル酸などを、上記その他のビニル系単位の原料となる単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを、それぞれ挙げることができ、これらの単量体は単独ないし2種以上を用いることができる。
上記のゴム質重合体を含有する多層構造重合体(B−M)において、最外層の種類は、特に限定されるものではなく、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和カルボン酸系単位、不飽和グリシジル基含有単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位およびその他のビニル系単位などを含有する重合体などから選ばれた少なくとも1種が挙げられ、中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和カルボン酸系単位、不飽和グリシジル基含有単位および不飽和ジカルボン酸無水物系単位を含有する重合体から選ばれた少なくとも1種が好ましく、さらには不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和カルボン酸系単位を含有する重合体がより好ましい。
さらに、本発明では、上記の多層構造重合体(B−M)における最外層が不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位および不飽和カルボン酸系単位を含有する重合体である場合、加熱することにより、前述したアクリル樹脂(A)の製造時と同様に、分子内環化反応が進行し、上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位が生成する。従って、最外層に不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位および不飽和カルボン酸系単位を含有する重合体を有する多層構造重合体(B−M)を上述した共重合体(a)に配合し、適当な条件で、加熱溶融混練することにより、実質的には、連続相(マトリックス相)となるアクリル樹脂(A)中に、最外層に上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有してなる重合体を有する多層構造重合体(B−M)が分散することにより、凝集することなく、良好な分散状態が可能となり、耐衝撃性等の機械特性向上とともに、極めて高度な透明性が発現しうるものと考えられる。
すなわち、不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物を共重合して共重合体(a)を得、次いでこの共重合体(a)とアクリル弾性体粒子(B)を予めブレンドした後、通常200〜350℃において、一軸または二軸押出機により均一に溶融混練することにより、前述した共重合体(a)の環化反応を行うと同時に、アクリル弾性体粒子(B)の配合を行うことができる。また、この際、アクリル弾性体粒子(B)の一部に不飽和カルボン酸単量体単位および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体を含む場合に、それらの環化反応も同時に行うことができる。
ここでいう不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位の原料となる単量体としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、さらには(メタ)アクリル酸メチルがより好ましく使用される。
また、不飽和カルボン酸系単位の原料となる単量体としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸が好ましく、さらにはメタクリル酸がより好ましく使用される。
本発明の多層構造重合体(B−M)の好ましい例としては、コア層がアクリル酸ブチル/スチレン重合体で、最外層がメタクリル酸メチル/上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位からなる共重合体、またはメタクリル酸メチル/上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位/メタクリル酸重合体であるもの、コア層がジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるもの、コア層がブタンジエン/スチレン重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるもの、およびコア層がアクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるものなどが挙げられる(“/”は共重合を示す)。さらに、ゴム層または最外層のいずれか一つもしくは両方の層がメタクリル酸グリシジル単位を含有する重合体であるものも好ましい例として挙げられる。中でも、コア層がアクリル酸ブチル/スチレン重合体で、最外層がメタクリル酸メチル/上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位からなる共重合体、またはメタクリル酸メチル/上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位/メタクリル酸重合体であるものが、連続相(マトリックス相)であるアクリル樹脂(A)との屈折率を近似させること、および樹脂組成物中での良好な分散状態を得ることが可能となり、近年より高度化する要求を満足しうる透明性が発現するため、好ましく使用することができる。
上記の多層構造重合体(B−M)の平均粒子径としては、50〜300nmとすることが好ましく、より好ましくは100〜200nmである。平均粒径が50nm未満の場合は靱性の向上が十分でないことがあり、300nmを超える場合は内部ヘイズが悪化することがある。
なお、ゴム質重合体の平均粒子径は電子顕微鏡を用いて100個粒子の直径を測定し、その平均値を計算することで求めることができる。
上記の多層構造重合体(B−M)において、コアとシェルの質量比は、特に限定されるものではないが、多層構造重合体全体100質量部に対して、コア層が50質量部以上、90質量部以下であることが好ましく、さらに、60質量部以上、80質量部以下であることがより好ましい。
上記の多層構造重合体としては、上述した条件を満たす市販品を用いてもよく、また公知の方法により合成して用いることもできる。
多層構造重合体の市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製“メタブレン”、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”およびクラレ社製“パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
また、本発明においてアクリル弾性体粒子(B)として使用することができるゴム質含有グラフト共重合体(B−G)の具体例としては、ゴム質重合体の存在下に、不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、芳香族ビニル系単量体、および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体混合物を共重合せしめたグラフト共重合体が挙げられる。
グラフト共重合体(B−G)に用いられるゴム質重合体には特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴムおよびエチレン系ゴムなどが使用できる。具体例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体、およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種または2種以上の混合物で使用することが可能である。
本発明において用いるグラフト共重合体(B−G)は、グラフト共重合体(B−G)100質量部に対してゴム質重合体10〜80質量部、好ましくは20〜70質量部、より好ましくは30〜60質量部の存在下に、上記の単量体(混合物)20〜90質量部、好ましくは30〜80質量部、より好ましくは40〜70質量部を共重合することによって得られる。ゴム質重合体の割合が上記の範囲未満、または上記の範囲を超える場合には、衝撃強度や表面外観が低下する場合がある。
なお、グラフト共重合体(B−G)は、ゴム質重合体に単量体混合物をグラフト共重合させる際に生成するグラフトしていない共重合体を含んでいてもよい。ただし、衝撃強度の観点からは、グラフト率は10〜100%であることが好ましい。ここで、グラフト率とは、ゴム質重合体に対するグラフトした単量体混合物の質量割合である。また、グラフトしていない共重合体のメチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度には特に制限はないが、0.1〜0.6dl/gのものが、衝撃強度と成形加工性とのバランスの観点から好ましく用いられる。
本発明において用いるビニル系共重合体(B−G)のメチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度には、特に制限はないが、0.2〜1.0dl/gであれば、衝撃強度と成形加工性とのバランスの観点から好ましく用いられ、より好ましくは0.3〜0.7dl/gである。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂フィルムは、面内位相差(Δnd)が8nm以下であり、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは2nm以下である。また、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂フィルムは厚み方向位相差(Rth)が−8〜8nmであり、好ましくは−5〜5nmである。面内位相差(Δnd)や厚み方向位相差(Rth)の絶対値が8nmを超える場合は、光学等方性が悪化するため、偏光子保護フィルムなどの液晶ディスプレイ用途や光ディスク保護フィルムなどに用いた場合、画面にムラが生じたり、データエラー頻度が増加するなどの問題が発生することがある。光学等方性が要求される用途において、面内位相差(Δnd)および厚み方向位相差(Rth)の絶対値は小さい方が好ましいが、現実的に下限は0.1nm程度と考えられる。このような光学等方性を有するアクリル系熱可塑性樹脂フィルムを得るためには、上述の通り、樹脂中にグルタル酸無水物構造、ラクトン環構造、ノルボルネン構造、シクロペンタン構造等の脂環構造を含有することが最も好ましく、また、位相差を発現させる添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、製膜時の延伸倍率を低くすることなどが有効である。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂フィルムの、80℃加熱時のMD方向の熱収縮率は−0.15〜0.15%であることが好ましい。80℃加熱時のMD方向の熱収縮率が0.15%より大きいか、もしくは−0.15%より小さい場合、インラインで他フィルムと貼合した後、80℃まで加温された際にカールする可能性がある。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂フィルムの、120℃加熱時のMD方向の熱収縮率は1.50%以上であることが好ましい。120℃加熱時のMD方向の熱収縮率が1.50%未満の場合、インラインで他フィルムと貼合し、120℃まで加温された際に、貼合されたフィルムの収縮率に追従せず、カールする可能性がある。従来カール対策として熱収縮性を0に近づける手法はあり、またインラインでの加工性を考慮してTD方向に対してMD方向の熱収縮性を上昇させるという技術も存在する。しかし近年カーナビなど高温下で使用される製品についてはその耐熱要求も上昇しており、より高温における熱特性の重要性が増してきている。しかしながら、従来は、80℃〜100℃の温度範囲のみに着目しており、加工性やカールを解消するには不十分であった。そこで本願発明では、高温下での熱収縮と低温条件での熱収縮をコントロールすることによりかかる問題点を解消することに着眼した。すなわち、このような用途で使用する場合ほとんどの材料が熱収縮し始める120℃という温度に着目し、その温度から熱収縮するような設計を試み、広い範囲の温度条件下でカールを抑制できるという極めて効果の高いフィルムを得ることができた。
本発明における熱可塑性樹脂フィルムは溶融押出し法による単層構造であることが好ましい。樹脂を溶媒に溶かしてシート化する溶液製膜法を用いた場合は、フィルムにドローをかけることができず、熱収コントロールをするために剥離、延伸設備を通すなど工程が煩雑になり、コストも上昇することがある。また、複合層構成とした場合は、層間での強度が不十分となる場合が多く、剥離するなどの問題が生じることがある。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂フィルムの厚みは5〜200μmであることが望ましい。厚みが5μm未満ではカールが生じたり、偏光子を水分などから保護することが困難となることがある。一方、厚みが200μmを超えると、偏光板全体の厚みが大きくなる。フィルム厚みは、より好ましくは15μm以上80μm以下であり、最も好ましくは20μm以上40μm以下である。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製膜方法としてT−ダイ法で、単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。好ましくはL/D=25以上120以下の二軸混練押出機が着色を防ぐために好ましい。
本発明のフィルムを製造するための溶融剪断速度は1,000S−1以上5,000S−1以下が好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。キャスト方法は溶融した樹脂をギアーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸のフィルムを得ることが好ましい。
本発明において、溶融樹脂の押出機出口〜Tダイ出口までの平均滞留時間は30分間〜90分間であることが好ましい。平均滞留時間が表面に形成されるうねり状凹凸形状に影響を及ぼすからである。平均滞留時間が30分間未満である場合は、十分な凹凸が形成されず取り扱い性が低下することがあり、また90分間を超えると溶融樹脂の分解物・ゲル化物などの異物が多くなり、フィルムの品位が低下することがある。なお、ここでの平均滞留時間は、押出機出口〜口金出口間の内容積から計算した溶融樹脂充填質量を吐出量で除した時間である。
本発明のフィルムを製造するための口金吐出直後の溶融樹脂の温度はガラス転移点(Tg)+50〜+200℃が好ましく、より好ましくはガラス転移点(Tg)+80〜+150℃である。溶融樹脂の温度がガラス転移点(Tg)+50℃未満の場合、樹脂着床前にポリマーが硬化してしまい、厚みムラとなる可能性がある。溶融樹脂の温度がガラス転移点(Tg)+200℃を超えると樹脂の分解による欠点が増加する傾向がある。
本発明のフィルムを製造するには口金吐出直後のフィルムを冷却ロール複数本を使用してドローをかけることが好ましい。温度が100〜140℃のフィルムを搬送する時に、先にフィルムが密着したロール/後でフィルムが密着したロールのドロー比は100.1%以上であることが好ましい。ドロー比が100.1%未満の場合、120℃におけるMD方向の熱収縮率が1.50%未満になる可能性がある。ドロー比の上限については特に規定されないが、フィルムが延伸されて位相差が発現することを回避するために、通常100〜110%でフィルム搬送を行う。ポリマー温度が60〜99℃のフィルムを搬送する時に、先にフィルムが密着したロール/後でフィルムが密着したロールのドロー比は99.5〜99.9%であることが好ましい。ドロー比が100%を超えるまたは99.5%未満の場合、80℃におけるMD方向の熱収縮率が0.15%を超えるまたは−0.15%未満となる可能性がある。
なお、その他に、冷却、固化後に熱収目標温度でフィルムをオーブンに通し、延伸する方法も適用は可能であるが、フィルムの温度と延伸地点を制御することが難しく、また設備も大がかりなものになりやすい。
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂フィルムの成型加工において、口金吐出直後の冷却ロールの温度はガラス転移点(Tg)−60℃以上から+80℃であることが好ましい。冷却ロール1の温度がガラス転移点(Tg)−60℃未満の場合、成型したフィルムの温度が下がりすぎ、冷却ロールからフィルムを剥離する際にフィルム表面にMD方向厚みムラが発生する可能性がある。また、冷却ロールの温度がガラス転移点(Tg)+80℃を超えると製膜フィルムの平面性が悪化する可能性がある。
フィルム搬送速度は、好ましくは5〜80m/min、より好ましくは10〜40m/minである。
上記のようにして得られる本発明のアクリル系熱可塑性樹脂フィルムは、その優れた、耐熱性、光学等方性、インラインでの加工性により、光学用途に好適に用いることができる。ここでの光学用途とは、例えばディスプレイ機器用の部材を挙げることができ、特に液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイなどフラットパネルディスプレイに用いられる部材に好適に用いることができる。また、各種のプラスチック基板、レンズ、偏光板、偏光板保護フィルム、紫外線吸収フィルム、赤外線吸収フィルム、電磁波シールドフィルムや、プリズムシート、プリズムシート基材、フレネルレンズ、光ディスク基板、光ディスク基板保護フィルム、導光板、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、タッチパネル用導電フィルム等の用途も例示でき、特にその光学等方性から偏光板保護フィルムとして有用である。
[物性の測定法]
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。もちろん、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で採用した各種物性の測定方法を記載する。
(1)ガラス転移温度(Tg)
フィルムをデシケーター中にて24時間保管後、試料約10mgを密閉式パン中に封入し、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製 Q100型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度にて測定した。測定は2回の平均値とした。なおガラス転移温度(Tg)としてはJIS K7121(1987)の中間点ガラス転移温度(Tmg)を採用する。
(2)ヘイズ
JIS K7105(1981)6.4ヘーズ(曇価)に基づいて23℃におけるフイルムのヘイズを測定した。測定は3回行い平均値をヘイズとした。
(3)面内位相差(Δnd)、厚み方向位相差(Rth)
王子計測(株)社製の楕円偏光測定装置(KOBRA−WPR)と位相差測定装置KOBRA−ΔND(KOBRA−WR用ソフトウェア)Ver.1.21を用いた。測定は、入射角依存性測定の単純N計算モードにて、低位相差測定法を用い、遅相軸を傾斜中心軸とし、入射角40°(波長590nm)の条件にて行い、面内位相差(Δnd)および厚み方向位相差(Rth)を得た。なお、入射角0°の時の位相差であるR0値を面内位相差(Δnd)とした。また、測定はデシケーター中にて24時間保管したサンプルにて行い、N=5回の平均値を面内位相差(Δnd)および厚み方向位相差(Rth)とした。
(4)光弾性係数(10−12/N)
短辺1cm長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルを島津(株)社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをチャックに挟み長辺方向に1kg/mm(9.81×10Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いてRe(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=Re/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。測定は1回行った。
(5)80℃加熱時の熱収縮率
長辺320mm、短辺10mmのサンプルを切り出し、その長さを測定した。このサンプルの上下1cmずつをチャックに挟み長辺方向に3gの荷重をかけた。この状態で、80℃に加熱したニコン(株)社製ギアオーブンに30分間投入した。その後取り出したサンプルの処理後長を(株)テクノ・ニーズ社製熱収縮率自動測定装置を用いて測定した。熱処理前後の長さの値を熱収縮率=(未処理の試験片の標線間の距離−加熱処理後の試験片の標線間の距離)/未処理の試験片の標線間の距離×100にあてはめて計算した。測定は2回行い、その平均値を熱収縮率とした。
(6)120℃加熱時の熱収縮率
長辺120mm、短辺10mmのサンプルを切り出し、その長さを測定した。このサンプルの上下1cmずつをチャックに挟み長辺方向に1.5gの荷重をかけた。この状態で、120℃に加熱したニコン(株)社製ギアオーブンに30分間投入した。その後取り出したサンプルの処理後長を(株)テクノ・ニーズ社製熱収縮率自動測定装置を用いて測定した。熱処理前後の長さの値を熱収縮率=(未処理の試験片の標線間の距離−加熱処理後の試験片の標線間の距離)/未処理の試験片の標線間の距離×100にあてはめて計算した。測定は2回行い、その平均値を熱収縮率とした。
(7)80℃カール測定
厚み75μm、重合度2,400のポリビニルアルコールを30℃の純水に1分間浸漬しながら2.5倍に延伸した。次いで、ヨウ素とヨウ化カリウム配合の染色浴中に30℃で1分間浸漬しながら1.2倍に延伸した。次いで、60℃4%のホウ酸浴中に2分間浸漬しながら2倍に延伸した。さらに、ヨウ化カリウム濃度5質量%の水溶液に30℃で5秒間浸漬した後、35℃で5分間乾燥し、偏光子を得た。この偏光子の片面にPVA系接着剤を用いて厚みが40μmのケン化処理を施した透湿度900g/m/24hのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合せて、積層体を形成した。貼り合わせに際しては、得られる積層体がフラットになるように張力を制御して貼り合わせた。得られた積層体を50℃で5分間乾燥処理をした後、引き続いて(すなわち、積層体を巻き取って保存することなく)、偏光子のもう一方の面にPVA系接着剤を用いて本発明で得られたアクリル系樹脂フィルムを貼り合わせ、60℃で5分間、70℃で5分間乾燥して偏光板を得た。貼り合わせに際しては、得られる偏光板がフラットになるように張力を制御して貼り合わせた。得られた偏光板を、10cm×10cmの大きさに切り出し、80℃のオーブンに10min投入した。水平な台の上に凸側が下側になるように置き、偏光板の平面から最も離れている部分の距離を測定した。評価は下記基準で行った。
×:フィルムの端部の最大反り量(平面からの浮き)が5mm以上である。
○:フィルムの端部の最大反り量(平面からの浮き)が5mm未満である。
(8)120℃カール測定
厚み75μm、重合度2,400のポリビニルアルコールを30℃の純水に1分間浸漬しながら2.5倍に延伸した。次いで、ヨウ素とヨウ化カリウム配合の染色浴中に30℃で1分間浸漬しながら1.2倍に延伸した。次いで、60℃4%のホウ酸浴中に2分間浸漬しながら2倍に延伸した。さらに、ヨウ化カリウム濃度5質量%の水溶液に30℃で5秒間浸漬した後、35℃で5分間乾燥し、偏光子を得た。この偏光子の片面にPVA系接着剤を用いて厚みが40μmのケン化処理を施した透湿度900g/m/24hのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合せて、積層体を形成した。貼り合わせに際しては、得られる積層体がフラットになるように張力を制御して貼り合わせた。得られた積層体を50℃で5分間乾燥処理をした後、引き続いて(すなわち、積層体を巻き取って保存することなく)、偏光子のもう一方の面にPVA系接着剤を用いて本発明で得られたアクリル系樹脂フィルムを貼り合わせ、60℃で5分間、70℃で5分間乾燥して偏光板を得た。貼り合わせに際しては、得られる偏光板がフラットになるように張力を制御して貼り合わせた。得られた偏光板を、10cm×10cmの大きさに切り出し、120℃のオーブンに10min投入した。水平な台の上に凸側が下側になるように置き、偏光板の平面から最も離れている部分の距離を測定した。評価は下記基準で行った。
×:フィルムの端部の最大反り量(平面からの浮き)が5mm以上である。
○:フィルムの端部の最大反り量(平面からの浮き)が5mm未満である。
(9)各成分組成
フィルムをアセトンに溶解し、この溶液を9,000rpmで30分間遠心分離して、アセトン可溶成分とアセトン不溶成分とに分離した。アセトン可溶成分を60℃で5時間減圧乾燥し、各成分単位を定量してアクリル樹脂の各成分組成を特定した。
各成分単位の定量は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により行った。H−NMR法では、例えば、グルタル酸無水物単位、メタクリル酸、メタクリル酸メチルからなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中でのスペクトルの帰属を、0.5〜1.5ppmのピークがメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素と、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定することができる。また上記に加えて、他の共重合成分としてスチレンを含有する共重合体の場合、6.5〜7.5ppmにスチレンの芳香族環の水素が見られ、同様にスペクトル比から共重合体組成を決定することができる。
[実施例]
(1)アクリル樹脂の調製
メタクリル酸メチル20質量部、アクリルアミド80質量部、過硫酸カリウム0.3質量部、イオン交換水1,500質量部を反応器中に仕込み反応器中を窒素ガスで置換しながら70℃に保った。反応は単量体が完全に重合体に転化するまで続け、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤を得た。上記の方法で得られたメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤0.05質量部をイオン交換水165質量部に溶解した溶液を供給し、撹拌しながら、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記原料モノマー混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、70℃に昇温した。内温が70℃に達した時点を重合開始として、180分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状の共重合中間体(a−1)を得た。この共重合体(a−1)の重合率は98%であり、質量平均分子量は10万であった。
メタクリル酸 :27質量部
メタクリル酸メチル :73質量部
t−ドデシルメルカプタン : 1.5質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル: 0.4質量部
これに添加剤(酢酸リチウム)0.033質量%を配合し、2軸押出機(L/D=44.5)を用いて、ホッパー部より窒素をパージしながら、スクリュー回転数100rpm、シリンダ温度290℃で分子内環化反応を行い、次に、平均目開き3μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過し、ペレット状のアクリル樹脂(A)を得た。このアクリル樹脂(A)中のメタクリル酸メチル単位の組成比は76mol%、メタクリル酸単位の組成比は2mol%、グルタル酸無水物単位の組成比は22mol%であった。
(2)アクリル弾性体粒子の調製
イオン水120質量部、炭酸カリウム0.5質量部、スルフォコハク酸ジオクチル0.5質量部、過硫酸カリウム0.005質量部を、窒素雰囲気下で撹拌後、アクリル酸ブチル45質量部、スチレン15質量部、メタクリル酸アリル(架橋剤)3質量部を仕込んだ。これら混合物を70℃で30分間反応させて、コア層(内層)重合体を得た。次いで、メタクリル酸メチル28質量部、メタクリル酸12質量部、過硫酸カリウム0.005重量部の混合物を90分かけて連続的に添加し、更に90分間保持して、シェル層(外層)を重合させ、この重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥して、2層構造(コアシェル構造)のアクリル弾性体粒子(B)を得た。
(3)アクリル樹脂、アクリル弾性粒子混合物の調製
上記アクリル樹脂(A)80質量部およびアクリル弾性体粒子(B)を20質量部の組成比で配合し、2軸押出機(L/D=44.5)を用いてスクリュー回転数200rpm、シリンダ温度280℃で混練後し、ペレット状のアクリル樹脂中にアクリル弾性粒子が分散した混合物を得た。透過型電子顕微鏡で測定したこのアクリル弾性粒子の平均粒子径は180nmであった。
(4)フィルムの製造
上記アクリル樹脂80質量部およびアクリル弾性体粒子を20質量部の組成比で配合し、2軸押出機(TEX30(日本製鋼社製、L/D=44.5)を用いてスクリュー回転数200rpm、シリンダ温度280℃で混練後、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過し、ペレット状のアクリル樹脂を得た。
次いで、100℃、100Paで6時間乾燥したペレットをベント付きの90mmφの一軸押出機を用いて、ベント圧5kPa、押出し設定温度240℃にてアクリル樹脂を押し出し、ギアポンプを介して樹脂の計量を行った(ギアポンプ回転数8.0rpm)。次に、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過した後に、口金(Tダイ(リップ間隙0.8mm、設定温度250℃))を介して溶融押出しした。溶融押出されたシート状の樹脂を図1に示すような製膜装置を用い、表面温度95℃の冷却ロール1に片面を完全に密着させるようにして冷却後、同様に95℃、95℃の順に冷却ロール2,3を通してフィルムを徐冷し、続いて金属ロール4とゴムロールでフィルムをニップ搬送してリラックスを行ったのち、ロール状に巻き取り、厚み20μmのアクリル樹脂フィルムを得た。それぞれのロールのドロー比は冷却ロール2/冷却ロール1、冷却ロール3/冷却ロール2、金属ロール4/冷却ロール3の順番で100.10、100.00、99.70%とした。搬送中のフィルムの温度について、アズワン製放射温度計(IT−314)を用いてフィルムから5cm離して測定したところ、冷却ロール1と冷却ロール2との間のフィルムの温度が115℃、冷却ロール3から剥離したフィルムの温度は84℃であった。得られたフィルムの特性は表2の通りであり、優れた耐熱性、光学等方性を有しながら、加工性後の特性にも優れたものであった。
[実施例2]
ペレット状のアクリル樹脂を一軸押出機に投入するまでは実施例1の通りとし、ベント圧5kPa、押出し設定温度230℃にてアクリル樹脂を押し出し、ギアポンプを介して樹脂の計量を行った(ギアポンプ回転数10.0rpm)。次に、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過した後に、口金(Tダイ(リップ間隙0.8mm、設定温度250℃))を介して溶融押出しした。溶融押出されたシート状の樹脂を図1に示すような製膜装置を用い、表面温度137℃の冷却ロール1に片面を完全に密着させるようにして冷却後、同様に120℃、115℃の順に冷却ロール2,3を通してフィルムを徐冷し、続いて金属ロール4とゴムロールでフィルムをニップ搬送してリラックスを行ったのち、ロール状に巻き取り、厚み31μmのアクリル樹脂フィルムを得た。それぞれのロールのドロー比は冷却ロール2/冷却ロール1、冷却ロール3/冷却ロール2、金属ロール4/冷却ロール3の順番で100.30、100.02、99.81%とした。搬送中のフィルムの温度について、アズワン製放射温度計(IT−314)を用いてフィルムから5cm離して測定したところ、冷却ロール1と冷却ロール2との間のフィルムの温度が135℃、冷却ロール3から剥離したフィルムの温度は99℃であった。得られたフィルムの特性は表2の通りであり、優れた耐熱性、光学等方性を有しながら、加工性後の特性にも優れたものであった。
[実施例3]
ペレット状のアクリル樹脂を一軸押出機に投入するまでは実施例1の通りとし、ベント圧5kPa、押出し設定温度245℃にてアクリル樹脂を押し出し、ギアポンプを介して樹脂の計量を行った(ギアポンプ回転数8.0rpm)。次に、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過した後に、口金(Tダイ(リップ間隙0.8mm、設定温度260℃))を介して溶融押出しした。溶融押出されたシート状の樹脂を図1に示すような製膜装置を用い、表面温度120℃の冷却ロール1に片面を完全に密着させるようにして冷却後、同様に120℃、115℃の順に冷却ロール2,3を通してフィルムを徐冷し、続いて金属ロール4とゴムロールでフィルムをニップ搬送してリラックスを行ったのち、ロール状に巻き取り、厚み20μmのアクリル樹脂フィルムを得た。それぞれのロールのドロー比は冷却ロール2/冷却ロール1、冷却ロール3/冷却ロール2、金属ロール4/冷却ロール3の順番で100.10、100.00、99.90%とした。搬送中のフィルムの温度について、アズワン製放射温度計(IT−314)を用いてフィルムから5cm離して測定したところ、冷却ロール1と冷却ロール2との間のフィルムの温度が122℃、冷却ロール3から剥離したフィルムの温度は91℃であった。得られたフィルムの特性は表2の通りであり、優れた耐熱性、光学等方性を有しながら、加工性後の特性にも優れたものであった。
[実施例4]
ペレット状のアクリル樹脂を一軸押出機に投入するまでは実施例1の通りとし、ベント圧5kPa、押出し設定温度230℃にてアクリル樹脂を押し出し、ギアポンプを介して樹脂の計量を行った(ギアポンプ回転数8.0rpm)。次に、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過した後に、口金(Tダイ(リップ間隙0.8mm、設定温度250℃))を介して溶融押出しした。溶融押出されたシート状の樹脂を図1に示すような製膜装置を用い、表面温度137℃の冷却ロール1に片面を完全に密着させるようにして冷却後、同様に120℃、115℃の順に冷却ロール2,3を通してフィルムを徐冷し、続いて金属ロール4とゴムロールでフィルムをニップ搬送してリラックスを行ったのち、ロール状に巻き取り、厚み20μmのアクリル樹脂フィルムを得た。それぞれのロールのドロー比は冷却ロール2/冷却ロール1、冷却ロール3/冷却ロール2、金属ロール4/冷却ロール3の順番で100.30、100.02、99.81%とした。搬送中のフィルムの温度について、アズワン製放射温度計(IT−314)を用いてフィルムから5cm離して測定したところ、冷却ロール1と冷却ロール2との間のフィルムの温度が132℃、冷却ロール3から剥離したフィルムの温度は99℃であった。得られたフィルムの特性は表2の通りであり、優れた耐熱性、光学等方性を有しながら、加工性後の特性にも優れたものであった。
[比較例1]
ペレット状のアクリル樹脂を一軸押出機に投入するまでは実施例1の通りとし、ベント圧5kPa、押出し設定温度260℃にてアクリル樹脂を押し出し、ギアポンプを介して樹脂の計量を行った(ギアポンプ回転数10.0rpm)。次に、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過した後に、口金(Tダイ(リップ間隙0.8mm、設定温度260℃))を介して溶融押出しした。溶融押出されたシート状の樹脂を図1に示すような製膜装置を用い、表面温度105℃の冷却ロール1に片面を完全に密着させるようにして冷却後、同様に90℃、60℃の順に冷却ロール2,3を通してフィルムを徐冷し、続いて金属ロール4とゴムロールでフィルムをニップ搬送してリラックスを行ったのち、ロール状に巻き取り、厚み39μmのアクリル樹脂フィルムを得た。それぞれのロールのドロー比は冷却ロール2/冷却ロール1、冷却ロール3/冷却ロール2、金属ロール4/冷却ロール3の順番で100.30、100.05、99.20%とした。搬送中のフィルムの温度について、アズワン製放射温度計(IT−314)を用いてフィルムから5cm離して測定したところ、冷却ロール1と冷却ロール2との間のフィルムの温度が153℃、冷却ロール3から剥離したフィルムの温度は52℃だった。得られたフィルムの特性は表2の通りであり、優れた耐熱性、光学等方性を有しているが、加工性後の特性に劣ったものであった。
[比較例2]
ペレット状のアクリル樹脂を一軸押出機に投入するまでは実施例1の通りとし、ベント圧5kPa、押出し設定温度260℃にてアクリル樹脂を押し出し、ギアポンプを介して樹脂の計量を行った(ギアポンプ回転数8.0rpm)。次に、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過した後に、口金(Tダイ(リップ間隙0.8mm、設定温度260℃))を介して溶融押出しした。溶融押出されたシート状の樹脂を図1に示すような製膜装置を用い、表面温度125℃の冷却ロール1に片面を完全に密着させるようにして冷却後、同様に95℃、50℃の順に冷却ロール2,3を通してフィルムを徐冷し、続いて金属ロール4とゴムロールでフィルムをニップ搬送してリラックスを行ったのち、ロール状に巻き取り、厚み42μmのアクリル樹脂フィルムを得た。それぞれのロールのドロー比は冷却ロール2/冷却ロール1、冷却ロール3/冷却ロール2、金属ロール4/冷却ロール3の順番で100.00、100.00、99.80%とした。搬送中のフィルムの温度について、アズワン製放射温度計(IT−314)を用いてフィルムから5cm離して測定したところ、冷却ロール1と冷却ロール2との間のフィルムの温度が156℃、冷却ロール3から剥離したフィルムの温度は79℃であった。得られたフィルムの特性は表2の通りであり、優れた耐熱性、光学等方性を有しているが、加工性後の特性に劣ったものであった。
[比較例3]
ペレット状のアクリル樹脂を一軸押出機に投入するまでは実施例1の通りとし、ベント圧5kPa、押出し設定温度240℃にてアクリル樹脂を押し出し、ギアポンプを介して樹脂の計量を行った(ギアポンプ回転数8.0rpm)。次に、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過した後に、口金(Tダイ(リップ間隙0.8mm、設定温度260℃))を介して溶融押出しした。溶融押出されたシート状の樹脂を図1に示すような製膜装置を用い、表面温度95℃の冷却ロール1に片面を完全に密着させるようにして冷却後、同様に95℃、95℃の順に冷却ロール2,3を通してフィルムを徐冷し、続いて金属ロール4とゴムロールでフィルムをニップ搬送してリラックスを行ったのち、ロール状に巻き取り、厚み20μmのアクリル樹脂フィルムを得た。それぞれのロールのドロー比は冷却ロール2/冷却ロール1、冷却ロール3/冷却ロール2、金属ロール4/冷却ロール3の順番で100.00、100.00、99.80%とした。搬送中のフィルムの温度について、アズワン製放射温度計(IT−314)を用いてフィルムから5cm離して測定したところ、冷却ロール1と冷却ロール2との間のフィルムの温度が156℃、冷却ロール3から剥離したフィルムの温度は82℃であった。得られたフィルムの特性は表2の通りであり、優れた耐熱性、光学等方性を有しているが、加工性後の特性に劣ったものであった。
[比較例4]
ペレット状のアクリル樹脂を一軸押出機に投入するまでは実施例1の通りとし、ベント圧5kPa、押出し設定温度240℃にてアクリル樹脂を押し出し、ギアポンプを介して樹脂の計量を行った(ギアポンプ回転数8.0rpm)。次に、平均目開き7μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにて異物を濾過した後に、口金(Tダイ(リップ間隙0.8mm、設定温度260℃))を介して溶融押出しした。溶融押出されたシート状の樹脂を図1に示すような製膜装置を用い、表面温度95℃の冷却ロール1に片面を完全に密着させるようにして冷却後、同様に90℃、60℃の順に冷却ロール2,3を通してフィルムを徐冷し、続いて金属ロール4とゴムロールでフィルムをニップ搬送してリラックスを行ったのち、ロール状に巻き取り、厚み20μmのアクリル樹脂フィルムを得た。それぞれのロールのドロー比は冷却ロール2/冷却ロール1、冷却ロール3/冷却ロール2、金属ロール4/冷却ロール3の順番で100.10、100.00、99.30%とした。搬送中のフィルムの温度について、アズワン製放射温度計(IT−314)を用いてフィルムから5cm離して測定したところ、冷却ロール1と冷却ロール2との間のフィルムの温度が115℃、冷却ロール3から剥離したフィルムの温度は50℃であった。得られたフィルムの特性は表2の通りであり、優れた耐熱性、光学等方性を有しているが、加工性後の特性に劣ったものであった。
Figure 2009292961
Figure 2009292961
本発明の一実施形態様に係るアクリル系熱可塑性樹脂フィルムの製造装置の冷却ロール付近を示す概略横断図面である。
符号の説明
1 冷却ロール
2 冷却ロール
3 冷却ロール
4 金属ロール
5 ゴムロール
6 フィルム
7 フリーロール
8 フリーロール
9 フリーロール
10 口金

Claims (3)

  1. 以下の(i)〜(v)を満足するアクリル系熱可塑性樹脂フィルム。
    (i)80℃加熱時のMD方向の熱収縮率が−0.15〜0.15%
    (ii)120℃加熱時のMD方向の熱収縮率が1.50%以上
    (iii)厚みが5〜200μm
    (iv)厚み方向位相差Rthが−8〜8nm
    (v)面内位相差Δndが8nm以下
  2. 下記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂(A)を含んでいる、請求項1に記載のアクリル系熱可塑性樹脂フィルム。
    Figure 2009292961
    (上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
  3. フィルムのガラス転移温度が110℃以上である、請求項1または2記載のアクリル系熱可塑性樹脂フィルム。
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