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JP2009283888A - 面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光走査装置、及び画像形成装置 - Google Patents

面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光走査装置、及び画像形成装置 Download PDF

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JP2009283888A JP2008287101A JP2008287101A JP2009283888A JP 2009283888 A JP2009283888 A JP 2009283888A JP 2008287101 A JP2008287101 A JP 2008287101A JP 2008287101 A JP2008287101 A JP 2008287101A JP 2009283888 A JP2009283888 A JP 2009283888A
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JP2008287101A
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Naoto Jikutani
直人 軸谷
Satoru Sugawara
悟 菅原
Shunichi Sato
俊一 佐藤
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】面発光レーザ素子における「負のドループ特性」を抑制する。
【解決手段】活性層105を含む共振器構造体と、該共振器構造体を挟んで設けられた半導体DBR(下部半導体DBR103、上部半導体DBR107)と、Alを含む被選択酸化層の選択酸化によって上部半導体DBR107の内部に形成され、注入電流と発振光の横モードを同時に閉じこめることができる酸化狭窄構造体とを有している。そして、被選択酸化層の厚さは28nmであり、閾値電流が最小となる温度は約17℃である。また、パルス周期が1ms、パルス幅が500μsの方形波電流パルスを供給したとき、供給後10nsでの光出力P1、及び供給後1μsでの光出力P2を用いて、(P1−P2)/P2=−0.05である。
【選択図】図1

Description

本発明は、面発光レーザ素子、面発光レーザアレイ、光走査装置、及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、基板に対して垂直方向に光を射出する面発光レーザ素子、該面発光レーザ素子が集積された面発光レーザアレイ、前記面発光レーザ素子あるいは前記面発光レーザアレイを有する光走査装置、該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
近年、基板に垂直な方向にレーザ発振を生じる面発光レーザ素子(面発光型半導体レーザ素子)が、精力的に研究されている。面発光レーザ素子は、端面発光レーザ素子に比べて発振の閾値電流が低く、円形の高品質な出射ビーム形状を得ることが可能である。また、面発光レーザ素子は基板に垂直な方向にレーザ出力が取り出せることから、高密度で2次元的に集積することが容易であり、並列光インターコネクション用光源、高速で高精細の電子写真システム等への応用が検討されている。
面発光レーザ素子は、電流流入効率を高めるために狭窄構造体を有している。この狭窄構造体としては、Al(アルミニウム)の選択酸化による狭窄構造体(以下では、便宜上「酸化狭窄構造体」ともいう。例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)が良く用いられている。
また、非特許文献3には、780nm帯のVCSELアレイ(面発光レーザアレイ)を用いたプリンタが開示されている。
また、特許文献1には、共振器の長さで定まる発振波長と活性層の組成で定まる利得ピーク波長との差分(ディチューニング量)が所定温度で所定量あり、所定温度よりも高い温度範囲内で発振波長と利得ピーク波長が一致する面発光レーザ素子が開示されている。
また、特許文献2には、マルチスポット光源を有するマルチスポット画像形成装置が開示されている。
特開2004−319643号公報 特開平11−48520号公報 K.D.Choquette、K.L.Lear、R.P.Schneider,Jr.、K.M.Geib、「Cavity characteristics of selectively oxidized vertical−cavity lasers」、Applied Physics Letters、vol.66、No.25、pp.3413−3415、1995 K.D.Choquette、R.P.Schneider,Jr.、K.L.Lear、K.M.Geib、「Low threshold voltage vertical−cavity lasers fabricated by selective oxidation」、Electronics Letters、No.24、Vol.30、pp.2043−2044、1994 H.Nakayama、T.Nakamura、M.Funada、Y.Ohashi、M.Kato、「780nm VCSELs for Home Networks and Printers」、Electronic Components and Technology Conference Proceedings、54th、Vol.2、June、2004、pp.1371−1375
電子写真などでは、光源に駆動電流を供給したときの、光源の光出力の応答波形(光出力の時間変化、以下では、「光波形」ともいう)における立ち上がりの挙動は、画像品質に極めて大きな影響を与える。例えば、光波形における立ち上がり時間は勿論のこと、立ち上がりの初期において光出力が一定光量に達した後に、光量が僅かに変動しても画像の品質を低下させるおそれがある。
これは、光波形の立ち上がり時及び立下り時に形成されるのが、いずれも画像の輪郭部分であり、特に立ち上がり時、及び略立ち上がったとみなせる状態から暫くの間で光量が変化すると画像の輪郭が不明瞭となり、視覚的に鮮明さを欠く画質となるからである。
例えば、A4用紙幅(縦)約300mmの1ラインを走査するのに要する時間が300μsであれば、1μsの時間に約1mm幅が走査される。画像濃度の変動に対して、人の目の視覚感度が最も高くなる幅は1〜2mmであると言われている。そこで、約1mm幅において画像濃度が変動すると、その濃度変化は人の目で検出されるに十分なものとなって、輪郭が不鮮明な印象を与えることになる。
図36は、酸化狭窄構造体を有する面発光レーザ素子を、パルス幅500μs、デューティ50%(パルス周期1ms)のパルス条件で駆動したときの光波形を示したものである。図36に示されるように、比較的長い時間スケールで見ると、光出力は立ち上がり直後に一度ピークを示した後、光出力が低下し安定になっている。この光出力の変化は、面発光レーザ素子の自己発熱によるものであり、一般的に「ドループ特性」と呼ばれている。
ところで、発明者らが詳細な検討を行ったところ、図36における光波形の立ち上がり近傍を拡大した図37に示されるように、短い時間スケールで見てみると、「ドループ特性」とは異なる光出力の変化が生じているという新しい知見を得た。
図37では、光出力は、10ns経過しても立ち上がった状態とならず、約200ns経過すると略立ち上がった状態となっているが、その後1μs程度までの時間の間に次第に増加している。このような現象(特性)は、今回発明者らによって新たに見出されたものである。本明細書では、このような特性を「負のドループ特性」と呼ぶこととする。なお、従来の端面発光レーザ素子では、このような「負のドループ特性」は、見られることはない。
発明者らは、「負のドループ特性」に注目して、その原因を詳しく検討したところ、この現象は、酸化狭窄構造体における横モードの光閉じ込め強さと密接に関連していることがわかった。
本発明は、上述した発明者等の得た新規知見に基づいてなされたもので、第1の観点からすると、基板に対して垂直方向に光を射出する面発光レーザ素子であって、活性層を含む共振器構造体と;前記共振器構造体を挟んで設けられ、アルミニウムを含む被選択酸化層の一部が酸化されて生成された酸化物を少なくとも含む酸化物が電流通過領域を取り囲み、注入電流と発振光の横モードを同時に閉じこめることができる狭窄構造体をその中に含む半導体分布ブラッグ反射鏡と;を備え、前記被選択酸化層の厚さは少なくとも25nmであり、発振の閾値電流と温度との関係において、発振の閾値電流が最小となるときの温度が25℃以下であることを特徴とする面発光レーザ素子である。
これによれば、パルス周期に関係なく、「負のドループ特性」を抑制することが可能である。
本発明は、第2の観点からすると、本発明の面発光レーザ素子が集積された面発光レーザアレイである。
これによれば、本発明の面発光レーザ素子が集積されているため、パルス周期に関係なく、「負のドループ特性」を抑制することが可能である。
本発明は、第3の観点からすると、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、本発明の面発光レーザ素子を有する光源と;前記光源からの光を偏向する偏向器と;前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置である。
これによれば、本発明の面発光レーザ素子を有しているため、結果として、高精度の光走査を行うことが可能となる。
本発明は、第4の観点からすると、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、本発明の面発光レーザアレイを有する光源と;前記光源からの光を偏向する偏向器と;前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置である。
これによれば、本発明の面発光レーザアレイを有しているため、結果として、高精度の光走査を行うことが可能となる。
本発明は、第5の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置。
これによれば、少なくとも1つの本発明の光走査装置を備えているため、高品質の画像を形成することが可能となる。
「第1の実施形態」
図1は、本発明の第1の実施形態に係る面発光レーザ素子100の概略構成を示す断面図である。なお、本明細書では、レーザ発振方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な面内における互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向として説明する。
面発光レーザ素子100は、設計上の発振波長が780nm帯の面発光レーザ素子であり、基板101上に、バッファ層102、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、上部半導体DBR107、コンタクト層109などの複数の半導体層が、順次積層されている。なお、以下では、これら複数の半導体層が積層されているものを、便宜上「第1の積層体」ともいう。
基板101は、n−GaAs単結晶基板である。
バッファ層102は、n−GaAsからなる層である。
下部半導体DBR103は、n−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とn−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを40.5ペア有している。そして、低屈折率層と高屈折率層との間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた厚さ20nmの組成傾斜層が設けられている。なお、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、発振波長をλとするとλ/4の光学厚さとなるように設定されている。ところで、光学厚さとその層の実際の厚さについては以下の関係がある。光学厚さがλ/4のとき、その層の実際の厚さdは、d=λ/4N(但し、Nはその層の媒質の屈折率)である。
下部スペーサ層104は、ノンドープAl0.6Ga0.4Asからなる層である。
活性層105は、Al0.15Ga0.85As/Al0.6Ga0.4Asの多重量子井戸活性層である。
上部スペーサ層106は、ノンドープAl0.6Ga0.4Asからなる層である。
下部スペーサ層104と活性層105と上部スペーサ層106とからなる部分は、共振器構造体とも呼ばれており、その厚さが1波長の光学厚さとなるように設定されている。なお、活性層105は、高い誘導放出確率が得られるように、電界の定在波分布における腹に対応する位置である共振器構造体の中央に設けられている。この共振器構造体は、下部半導体DBR103と上部半導体DBR107とに挟まれている。
上部半導体DBR107は、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とp−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを24ペア有している。そして、低屈折率層と高屈折率層との間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた厚さ20nmの組成傾斜層が設けられている。なお、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、発振波長をλとするとλ/4の光学厚さとなるように設定されている。
コンタクト層109は、p−GaAsからなる層である。
次に、面発光レーザ素子100の製造方法について簡単に説明する。
(1−1)上記第1の積層体を有機金属気相成長法(MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する。このとき、上部半導体DBR107における低屈折率層の1つに、p−AlAsからなる被選択酸化層を厚さ28nmで挿入する。
ここでは、III族の原料には、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)を用い、V族の原料にはアルシン(AsH)ガスを用いている。また、p型ドーパントの原料には四臭化炭素(CBr)を用い、n型ドーパントの原料にはセレン化水素(HSe)を用いている。
(1−2)第1の積層体の表面に一辺が20μmの正方形状のレジストパターンを形成する。
(1−3)Clガスを用いるECRエッチング法で、正方形状のレジストパターンをフォトマスクとして四角柱状のメサを形成する。ここでは、エッチングの底面は下部半導体DBR103中に位置するようにした。
(1−4)フォトマスクを除去する。
(1−5)第1の積層体を水蒸気中で熱処理し、メサにおける被選択酸化層の一部を選択的に酸化させる。そして、メサの中央部に、酸化層108aによって囲まれた酸化されていない領域108bを残留させる。これにより、発光部の駆動電流の経路をメサの中央部だけに制限する、酸化狭窄構造体が形成される。上記酸化されていない領域108bが電流通過領域(電流注入領域)である。ここでは、電流通過領域の一辺を4.5μmとしている。
(1−6)気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiNからなる保護層111を形成する。
(1−7)ポリイミド112で平坦化する。
(1−8)メサ上部にP側電極コンタクトの窓開けを行う。ここでは、フォトレジストによるマスクを施した後、メサ上部の開口部を露光してその部分のフォトレジストを除去した後、BHFにてポリイミド112及び保護層111をエッチングして開口する。
(1−9)メサ上部の光出射部となる領域に一辺8μmの正方形状のレジストパターンを形成し、p側の電極材料の蒸着を行なう。p側の電極材料としてはCr/AuZn/Auからなる多層膜、もしくはTi/Pt/Auからなる多層膜が用いられる。
(1−10)光出射部の電極材料をリフトオフし、p側の電極113を形成する。
(1−11)基板101の裏側を所定の厚さ(例えば100μm程度)まで研磨した後、n側の電極114を形成する。ここでは、n側の電極114はAuGe/Ni/Auからなる多層膜である。
(1−12)アニールによって、p側の電極113とn側の電極114のオーミック導通をとる。これにより、メサは発光部となる。
(1−13)チップ毎に切断する。
このようにして製造された面発光レーザ素子100に、パルス周期が1ms、パルス幅が500μsの方形波電流パルスを供給したとき、供給後10nsでの光出力をP1、供給後1μsでの光出力をP2とすると、(P1−P2)/P2=−0.05であった。なお、以下では、(P1−P2)/P2×100の値(単位は%)を「ドループ率」ともいう。そこで、本第1の実施形態に係る面発光レーザ素子100では、ドループ率は、−5%である。
面発光レーザ素子において、被選択酸化層の厚さとドループ率との関係が、図2に示されている。これによると、被選択酸化層の厚さが薄くなると、ドループ率は指数関数的に小さくなり、「負のドループ特性」が顕著に現れる。また、素子毎のドループ率のばらつきも顕著となってくる。そして、ドループ率を−10%以上とするには、被選択酸化層の厚さを25nm以上にする必要がある。なお、ドループ率が−10%よりも小さい面発光レーザ素子を用いると、レーザプリンタから出力される画像は、肉眼で観察したときに、高い頻度で、少なくとも一部において輪郭が不鮮明となる。
ところで、発明者らは、酸化狭窄構造体を有する従来の面発光レーザ素子を、種々の方形波電流パルスで駆動したときの光波形を詳細に検討した。図3は、パルス周期1ms、デューティ50%のときの光波形であり、図4は、パルス周期100ns、デューティ50%のときの光波形である。
図3の光波形を見ると、立ち上がった後、光出力が次第に増加し、「負のドループ特性」が現れている。また、60ns後においても、光出力が100%(1.5mW)に達していない。一方、図4の光波形では、立ち上がり後の出力は安定し、「負のドループ特性」は見られない。
このように、従来の面発光レーザ素子に方形波電流パルスを供給したときに、同じデューティであっても、パルス周期が長い場合に「負のドループ特性」が見られ、短い場合には「負のドループ特性」は見られないことがわかった。
パルス周期が異なると、面発光レーザ素子の内部温度が異なると考えられる。つまり、パルス周期が長い場合には、発熱している時間及び冷却される時間がいずれも長いため、面発光レーザ素子の内部温度は大きく変動する。一方、パルス周期が短い場合には、連続した冷却時間を十分に取れないため、面発光レーザ素子の内部温度の変動は小さく、平均的に高めの温度で安定することになる。つまり、「負のドループ特性」が見られる駆動条件では、面発光レーザ素子の内部温度が大きく変動しており、「負のドループ特性」は面発光レーザ素子の内部温度に起因した現象であると考えることができる。
面発光レーザ素子の内部温度が変化すると、発振モードの横方向に関する電界強度分布(以下、便宜上「横モード分布」ともいう)が変化する。
面発光レーザ素子の横モード分布は、次のヘルムホルツ方程式(式(1)、式(2))から電界強度分布を計算することによって見積もることができる。
Figure 2009283888
Figure 2009283888
但し、上記(1)式及び(2)式は解析的に解くことが難しいため、通常は、計算機を用いた有限要素法による数値解析が行われる。有限要素法のソルバーとして利用できるものは種々あり、市販のVCSELシミュレータ(例えば、LASER MOD)を用いることができる。
一例として、発振波長が780nm帯の面発光レーザ素子における基本横モード分布を算出する。
計算に用いた面発光レーザ素子では、活性層を厚さ8nm/8nmのAl0.12Ga0.88As/Al0.3Ga0.7Asの3重量子井戸構造とし、各スペーサ層をAl0.6Ga0.4Asとしている。また、下部半導体DBRはAl0.3Ga0.7As(高屈折率層)/AlAs(低屈折率層)の40.5ペアからなり、上部半導体DBRはAl0.3Ga0.7As(高屈折率層)/Al0.9Ga0.1As(低屈折率層)の24ペアからなっている。
そして、この面発光レーザ素子は、直径25μmの円柱メサ形状を有し、メサエッチングは、下部半導体DBRと下部スペーサ層の界面まで行われているとし、エッチングが行われた領域は大気が占めるものとした。すなわち、単純なエッチドメサ構造とした。下部半導体DBRにおけるメサエッチングされていない部分の直径は35μmであり、これが計算で考慮されている最大の横幅である。また、被選択酸化層の材料はAlAsとし、被選択酸化層の位置は、上部半導体DBRにおける光学厚さ3λ/4の低屈折率層中であって、電界強度分布に関して活性層から数えて3番目の節の位置としている。
なお、計算では活性層の利得、及び半導体材料による吸収は考慮せず、構造で決まる固有モード分布のみを求めている。そして、面発光レーザ素子の温度は300Kで均一であるとしている。また、各材料の屈折率は、図5に示した値を用いた。
そして、酸化狭窄構造体における酸化層の厚さを30nm、電流通過領域の直径(以下では、「酸化狭窄径」ともいう)を4μmとしたときの、活性層における基本横モード分布の計算結果が図6に示されている。図6における横軸xは半径方向(横方向)の中心からの位置を表しており、x=0がメサの中心部に対応している。なお、以下では、便宜上、酸化狭窄構造体における酸化層を、単に「酸化層」ともいう。
酸化層の屈折率は約1.6であり、周辺の半導体層の屈折率(約3)よりも小さいため、面発光レーザ素子の内部には、横方向にいわゆる作り付けの有効屈折率差Δneffが存在する(図7参照)。
この有効屈折率差Δneffによって、基本横モード等の発振モードは横方向に閉じ込められる。このとき、発振モードの横方向の広がりは、Δneffの大きさによって決まり、Δneffが大きい程、横方向の広がりは小さい(図8(A)及び図8(B)参照)。
この面発光レーザ素子に電流(駆動電流)を注入すると、電流がメサ中央部分に集中し、ジュール熱や、活性層領域における非発光再結合等によって、特に活性層付近のメサ中央部の温度が周辺領域に対して局所的に上昇する。半導体材料は、温度が上昇するとバンドギャップエネルギーが減少し、屈折率が大きくなる性質を有している。このため、メサの中央部分の温度が局所的に上昇すると、該中央部分の屈折率が周辺領域に対して大きくなり、横方向の光閉じ込めが強くなる。
図8(A)に示されるように、作り付けの有効屈折率差Δneffが小さい場合に、メサの中央部分の温度が局所的に上昇すると、図9(A)に示されるように、有効屈折率差Δneffの変化が大きくなり、横モード分布が大きく変化する。この場合には、電流注入が行われている利得領域と横モードとの重なりが増し、横方向の光閉じ込め係数Γlが増大する。この結果、利得領域での光強度が増加し、誘導放出レートが増大し、発振の閾値電流(以下では、便宜上単に「閾値電流」ともいう)が低くなる。
このように、作り付けの有効屈折率差Δneffが小さく、室温での横方向の光閉じ込めが不十分な面発光レーザ素子では、内部温度が上昇すると、これに応じてI−L曲線は全体的に低電流側にシフトし、発光効率が向上する(図10参照)。この場合には、同じ駆動電流値における光出力は時間とともに増大し、「負のドループ特性」が見られる(図11参照)。図10には、内部温度が上昇する前の時刻t=t秒に予測されるI−L特性と、パルスが印加され内部温度が十分上昇した時刻t=t秒に予測されるI−L特性が示されている。温度上昇に伴い発光効率が向上して閾値電流が低減するので、t秒におけるI−L特性は、t秒に対して低電流側にシフトしたものになる。パルスの駆動電流値Iopは一定であるから、t秒の場合の方が光出力は大きくなる。この場合の光波形が図11に示されている。
一方、図8(B)に示されるように、作り付けの有効屈折率差Δneffが大きい場合に、メサの中央部分の温度が局所的に上昇しても、図9(B)に示されるように、有効屈折率差Δneffの変化は小さく、横モード分布はあまり変化しない。
このように、作り付けの有効屈折率差Δneffが大きく、室温での横方向の光閉じ込めが十分大きな面発光レーザ素子では、内部温度が上昇しても、横モード分布は安定しており、発光効率の変化は殆ど起こらない。この場合には、同じ駆動電流値における光出力は時間が経過してもほぼ一定であり、「負のドループ特性」は見られない。
横方向の光閉じ込めの強さを表す指標として、横方向の光閉じ込め係数(以下では、便宜上、単に「光閉じ込め係数」という)がある。この光閉じ込め係数の値が大きいほど、電界強度分布は利得領域に集中した鋭い分布になっている。言い換えると、室温での光閉じ込め係数の値が大きいほど、酸化狭窄構造体により十分に光閉じ込めがなされており、利得領域における局所的な温度変化(屈折率変化)等の擾乱に対して、電界強度分布が安定であることを意味している。
ここでは、光閉じ込め係数を、「面発光レーザ素子の中心を通る直径方向断面における電界の積分強度に対する、電流通過領域と同じ半径の領域中における電界の積分強度の割合」とし、上記のようにして算出された基本横モード分布に基づいて、次の(3)式を用いて算出した。ここで、aは電流通過領域の半径に相当する。
Figure 2009283888
上記780nm帯の面発光レーザ素子における室温での基本横モードの光閉じ込め係数を、種々の被選択酸化層の厚さ及び酸化狭窄径について計算した結果が、図12に示されている。光閉じ込め係数は、被選択酸化層の厚さ及び酸化狭窄径に依存し、被選択酸化層の厚さが厚いほど、酸化狭窄径が大きいほど、高い値をとる。
図13は、光閉じ込め係数を縦軸、被選択酸化層の厚さを横軸にして図12の計算結果を図示したものである。被選択酸化層の厚さの増加に対する光閉じ込め係数の変化を見ると、酸化狭窄径が異なっていても、被選択酸化層の厚さが25nm以下の領域でその変化が急であり、25nm以上からは飽和傾向を示すことが分かる。
実際に、被選択酸化層の厚さ及び酸化狭窄径がそれぞれ異なる複数の面発光レーザ素子を作製し、それらのドループ特性の評価を行った結果が図14に示されている。図14では、ドループ率が−10%以上となったものを「○」、−10%よりも小さくなったものを「×」として表している。
図12と図14から、室温における基本横モードの光閉じ込め係数が0.9以上となる素子構造では、−10%以上のドループ率が得られていることが分かる。また、一般的に良く用いられる酸化狭窄径は、4.0μm〜5.0μmの範囲内であり、図12に示されるように、被選択酸化層の厚さが25nm以上であれば、0.9以上の光閉じ込め係数を確保することができる。
図15には、室温における基本横モードの光閉じ込め係数が約0.983となる面発光レーザ素子の光波形が示されている。このときのドループ率は約−4.3%であった。
また、図16には、室温における基本横モードの光閉じ込め係数が約0.846となる面発光レーザ素子の光波形が示されている。このときのドループ率は約−62.8%であった。
このように、室温における基本横モードの光閉じ込め係数を0.9以上とすることで、「負のドループ特性」を抑制することができる。
以上のように、基本横モードの光閉じ込め係数は、主として酸化狭窄径と被選択酸化層の厚さの2つに依存して決まるので、酸化狭窄径と被選択酸化層の厚さの組み合わせをどのように選ぶかは重要である。
発明者らが様々なフィッティング方式を試行したところ、図12の計算結果は、酸化狭窄径(d[μm]とする)と、被選択酸化層の厚さ(t[nm]とする)を変数として、これらの2次形式で概ねフィッティングすることが可能であった。次の(4)式は、基本横モードの光閉じ込め係数(Γとする)を、酸化狭窄径dと被選択酸化層の厚さtの2次形式でフィッティングした結果であり、d、tに図12の具体的な値を代入することにより、概ね1%の誤差で図12の基本横モードの光閉じ込め係数を得ることができる。
Γ(d,t)=(−2.54d−0.14t−0.998d・t+53.4d+12.9t−216) ……(4)
上記の様に、「負のドループ特性」を効果的に抑制するためには、光閉じ込め係数を0.9以上に設定する必要があるが、ここで光閉じ込め係数が0.9以上となる酸化狭窄径(d)と、被選択酸化層の厚さ(t)の組み合わせ(範囲)は、上記(4)式より求めることができる。つまり、この範囲とは、Γ(d,t)≧0.9なる不等式を満たすdとtの組み合わせであり、より具体的には次の(5)式のように表される。
−2.54d−0.14t−0.998d・t+53.4d+12.9t−216≧0.9 ……(5)
そこで、上記(5)式が成立するように酸化狭窄径(d)と、被選択酸化層の厚さ(t)を選ぶことにより、基本横モードの光閉じ込め係数は0.9以上となり、「負のドループ特性」が抑制された素子を得ることができる。
ところで、△neffがドループ特性に影響を与えることはこれまで知られておらず、本願の発明者らにより今回初めて明らかになった。
一般に、室温での有効屈折率差△neffは、被選択酸化層の厚さが厚いほど、また被選択酸化層の位置が活性層に近いほど、大きくなる。なお、これら2つの影響度を比較すると、被選択酸化層の厚さの影響度の方がはるかに大きい。
従って、室温での横方向の光閉じ込めの強さは、主に被選択酸化層の厚さによって決まる。そして、「負のドループ特性」を抑制するために必要な被選択酸化層の厚さは25nm以上であると言える。
なお、被選択酸化層の選択酸化の工程では、酸化は基板面に対して平行方向のみではなく、垂直方向へも僅かながら進行する。従って、選択酸化が終わったメサの断面を電子顕微鏡で観察すると、酸化層の厚さは一様ではなく、メサ外周部における厚さが厚く、酸化先端部が薄くなっている。但し、酸化先端部からメサ外周方向に向かって2〜3μmまでの領域では、酸化層の厚さは被選択酸化層の厚さとほぼ一致している。発振光は主にこのような酸化先端部の有効屈折率差の影響を受けるので、実際的に被選択酸化層の厚さを所望の値(25nm以上)に制御することにより、酸化先端部の酸化層の厚さを所望の値にすることができる。
図17は、室温(27℃)における光閉じ込め係数が約0.788となる構造(酸化狭窄径4μm、被選択酸化層の厚さ20nm)の面発光レーザ素子において、自己発熱により横モード分布がどう変化するかを示したものである。ここで、室温状態では面発光レーザ素子の全領域で27℃であるとして計算を行っている。また、動作状態では活性層の電流注入領域の温度が顕著に上昇するものと考えられるので、共振領域(1対の半導体DBRに挟まれたスペーサ層と活性層からなる領域(図18参照))において、酸化層によって規定される電流注入部の屈折率のみを60℃における値として計算を行った。共振領域の電流注入部のみの温度を60℃とした場合の結果は、27℃の場合に対して基本横モードの分布は狭くなり大きな変化が見られている。共振領域の電流注入部のみを60℃とした場合の基本横モードの光閉じ込め係数は約0.987であり、27℃の場合に対して基本横モードの光閉じ込め係数の変化率は25%である。このように、自己発熱に対して基本横モード分布が安定でないと、「負のドループ特性」が見られることになるので好ましくない。
図19は、室温における基本横モードの光閉じ込め係数が約0.973となる構造(酸化狭窄径4μm、被選択酸化層の厚さ30nm)の面発光レーザ素子において、自己発熱により基本横モード分布がどう変化するかを示したものである。2つの状態での変化は僅かである。共振領域の電流注入部のみを60℃とした場合の横モードの光閉じ込め係数は約0.994であり、27℃の場合に対して基本横モードの光閉じ込め係数の変化率は2.2%である。
図20は、互いに素子構造が異なる種々の面発光レーザ素子に対して、室温における基本横モードの光閉じ込め係数(Γl)と、共振領域の電流注入部の温度のみを局所的に60℃とした場合の基本横モードの光閉じ込め係数(Γl’)の比を計算した結果である。実際に、種々の面発光レーザ素子を作製し、測定を行ったところ、Γl’/Γlの値が1.1以下(変化率10%以下)のものではドループ係数が−5%以上であり、良好な光波形を得ることができた。
逆にΓl’/Γlの値が1.1を超えるものでは、明確に「負のドループ特性」が見られ、Γl’/Γlの値が大きくなるにつれてドループ率が小さくなる結果となった。
これらから、室温における基本横モードの光閉じ込め係数に対する、共振領域の電流注入部の温度のみを局所的に60℃とした場合の基本横モードの光閉じ込め係数の変化率を10%以内に設定することで、更に「負のドループ特性」を抑制することができる。
本第1の実施形態に係る面発光レーザ素子100では、室温(27℃)での基本横モードの光閉じ込め係数は約0.974であった。また、共振器構造体における電流注入部の温度のみを局所的に60℃にしたときの光閉じ込め係数は約0.996であった。すなわち、光閉じ込め係数の変化率は2.2%であった。
また、面発光レーザ素子の内部温度が変化すると、ディチューニング量も変化する。そこで、次に、ディチューニング量と「負のドループ特性」との関係について説明する。
端面発光型レーザ素子では、共振縦モードが密に存在しているため、レーザ発振はゲインピーク波長λgにおいて生じる。一方、面発光レーザ素子では、通常、共振波長が1波長であり、半導体DBRの反射帯域中には単一縦モードしか存在し得ない。また、レーザ発振は共振波長λrにおいて生じるので、面発光レーザ素子の発光特性は、共振波長λrと活性層のゲインピーク波長λgの関係に依存する。
ここでは、ディチューニング量Δλを次の(6)式で定義する。λrは共振波長であり、λgはゲインピーク波長である。なお、添え字0は、室温において閾値電流でCW(Continuous Wave Oscillation)駆動させた場合の値を意味している。以下、添え字0がない場合は、これ以外の場合、例えば閾値電流以上で動作させた場合の値などを意味する。
Δλ=λr−λg ……(6)
図21(A)には、Δλ>0の場合が示され、図21(B)には、Δλ<0の場合が示されている。
発振波長は、ゲインピーク波長ではなく、共振波長により決まるため、面発光レーザ素子のレーザ特性は、Δλの正負、及びその値に大きく依存する。例えば、室温における閾値電流はΔλの絶対値が大きいほど高くなる傾向がある。
共振波長及びゲインピーク波長は、温度上昇に伴って、いずれも長波長側に変化する。この際、共振波長の変化は共振器構造体を構成する材料の屈折率変化によって生じ、ゲインピーク波長の変化は活性層材料のバンドギャップエネルギーの変化によって起こる。但し、バンドギャップエネルギーの変化の割合は、屈折率変化の割合よりも約一桁大きい。そこで、温度変化時の発光特性は、主にゲインピーク波長の変化量に依存して決まる。なお、共振波長の温度変化率は約0.05nm/Kであり、実質的に、温度に対する変化は無視することができる。
面発光レーザ素子において、注入電流の変化等によって内部温度(活性層の温度)が上昇すると、ゲインピーク波長は長波長側へシフトする。そこで、Δλ>0の場合(図21(A)参照)には、Δλの絶対値(離調度)は一度減少し、その後増加する。
一般に、面発光レーザ素子では、ゲインピーク波長と共振波長が一致した状態が最も発振効率(発光効率)が高くなる。
△λ>0の場合に、素子温度(環境温度)を室温から上昇させて閾値電流を計測すると、閾値電流は素子温度の上昇とともに減少し始めることになる。そして、閾値電流は、ゲインピーク波長と共振波長が一致したときに最小値となり、さらに温度を高くすると上昇し始める。すなわち、室温よりも高温側に閾値電流が最小となる温度が存在することになる。
Δλ<0の場合(図21(B)参照)には、内部温度(活性層の温度)が上昇すると、Δλの絶対値は単に増加するのみであるから、素子温度を室温から上昇させて閾値電流を計測すると、閾値電流は素子温度の上昇とともに増加するのみとなる。
この場合、素子温度を室温から低下させると、ゲインピーク波長△λgは短波長側にシフトする。そこで、素子温度を室温から低下させて閾値電流を計測すると、閾値電流は減少し始め、ゲインピーク波長と共振波長が一致したときに最小となる。そして、更に温度を下げると閾値電流は増加し始めることになる。すなわち、Δλ<0の場合には、閾値電流が最小となる温度は室温より低温側に存在している。
△λが互いに異なる(△λ<0、△λ≒0、△λ>0)3つの素子の発振閾値電流を、素子温度(環境温度)を変えて計測した結果が一例として図22に示されている。図22における縦軸は、各温度における発振閾値電流(Ith)を25℃(室温)における発振閾値電流(Ith(25℃))で規格化した値である。図22から、△λ<0の場合には室温よりも低温側で、△λ≒0の場合には室温付近で、△λ>0の場合には室温より高い温度で閾値電流が最小となっていることが実際に確認できる。
従来の面発光レーザ素子では、高温、高出力動作状態での発光特性の劣化を防ぐため、通常は高温での閾値電流が低くなるように、△λ>0と設定されている。
しかしながら、Δλ>0に設定された従来の面発光レーザ素子を方形波電流パルスで駆動した場合に、内部温度の上昇に伴いI−L特性は低電流側にシフトし、閾値電流が低下するので、同じ駆動電流値における光出力は時間とともに増大する。つまり、「負のドループ特性」が発生することになる。一方、Δλ<0の場合には、内部温度の上昇に伴いI−L特性は高電流側にシフトするので、光出力の上昇は起こらない。つまり、「負のドループ特性」は発生しない。このように、「負のドループ特性」を抑制するには、酸化層の厚さ以外に、△λ<0に設定し、室温以上の温度で閾値電流が最小とならないようにする必要がある。
λを所望の値に設定するにはゲインピーク波長λgを知る必要がある。端面発光レーザ素子では、発振波長がゲインピーク波長に一致するので、発振波長からゲインピーク波長を知ることができる。ところが、面発光レーザ素子では、共振波長は構造によって決まるので端面発光レーザ素子のようにゲインピーク波長を見積もることが難しい。
このため、(1)同じ活性層を有する端面発光レーザ素子を作製して、室温における発振波長からゲインピーク波長を見積もる方法か、あるいは(2)同じ活性層を有するダブルへテロ構造を作製し、フォトルミネッセンス波長(PL波長)からゲインピーク波長を見積もる方法か、のいずれかがとられる。
上記(1)の方法をとる場合には、一例として、同じ活性層構造を持つストライプ幅40μm、共振器長500μmの酸化膜ストライプ型の端面発光レーザ素子を作製し、該端面発光レーザ素子の室温でのCW発振の閾値電流における波長をゲインピーク波長λgとして用いる。
また、上記(2)の方法をとる場合には、レーザ発振時の波長は、PL波長に対して長波長側にシフト(波長シフト)しているので、この分の調整が必要になる。上記波長シフトは、光励起、電流励起等の励起過程の違いや、電流励起の場合に電流によって発生する発熱の影響のためである。一般的に、端面発光レーザ素子での発振波長は、PL波長λPLに対して10nm程度、長波長となる。そこで、この場合の波長シフト量を10nmとする。
従って、PL波長を基準に考えると、上記(6)式は、次の(7)式となる。
Δλ=λr0−λg0=λr0−(λPL+10)=λr0−λPL−10 ……(7)
上記波長シフト量10nmは、一般的な値であるが、使用している材料系に応じて変更しても良い。
Δλがそれぞれ異なる複数の面発光レーザ素子を作製し、各面発光レーザ素子における閾値電流が最小となる温度を求めた。その結果が図23に示されている。この図23から、実際に△λが0のときに、室温において閾値電流が最小となっていることが分かる。
次に、被選択酸化層の厚さがそれぞれ異なる(30、31、34nm)複数の面発光レーザ素子を作製し、各面発光レーザ素子における閾値電流が最小となる温度とドループ率を求めた。図24には、被選択酸化層の厚さ毎に、ドループ率と閾値電流が最小になる温度との関係が示されている。
図24において、先ず、被選択酸化層の厚さが同じ面発光レーザ素子に注目する。いずれの厚さにおいても、閾値電流が最小となる温度が25℃以下の面発光レーザ素子では、ドループ率の絶対値が小さく(0に近く)、また略一定となっている。一方、閾値電流が最小となる温度が25℃以上の面発光レーザ素子では、閾値電流が最小となる温度が高くなるにつれて、ドループ率が小さくなっている。
閾値電流が最小となる温度が室温より高温側にある面発光レーザ素子とは、電流注入により活性層の温度が上昇した際に発振効率が向上する素子であるから、既に説明したように「負のドループ特性」が顕著に現れている。さらに、閾値電流が最小となる温度が高い面発光レーザ素子ほど、電流注入初期での効率が悪いので通電後の効率向上の度合いが大きく、「負のドループ特性」が顕著に現れている。
次に、図24において、被選択酸化層の厚さの違いに注目する。閾値電流が最小となる温度が25℃以下の面発光レーザ素子では、被選択酸化層の厚さが厚いほどドループ率が0に近く、「負のドループ特性」が抑制されている。これは前述したように、被選択酸化層の厚さが厚いほど、酸化層による光閉じ込め係数が大きく、温度変化に対して基本横モードが安定するからである。
図24に示されている各面発光レーザ素子は、いずれも被選択酸化層の厚さが25nm以上であるため、閾値電流が最小となる温度が25℃以下の面発光レーザ素子では、ドループ率は−10%以上となり、「負のドループ特性」が効果的に抑制されている。
このように、ディチューニング量及び光閉じ込め係数に共通して言えるのは、「負のドループ特性」を抑制するためには、活性層の温度が上昇したときに、室温のときよりも、面発光レーザ素子の効率(発光効率)が向上しないように設定することが重要であるということである。
本第1の実施形態に係る面発光レーザ素子100では、活性層のPL波長を772nmに設定し、室温でのディチューニング量△λを−2nmとし、約17℃のときに閾値電流が最小になるようにしている。
実際に閾値電流が最小となる温度を25℃以下に設定した上で、光閉じ込め係数が互いに異なる種々の面発光レーザ素子を作製し、詳細な検討を行ったところ、光閉じ込め係数が約0.9のときに、ドループ率は−5%程度であった。光閉じ込め係数をこれより増加させると、その増加に伴って、ドループ率は大きくなる結果となった。
逆に、光閉じ込め係数が0.9より小さい面発光レーザ素子では、光閉じ込め係数が小さくなるほどドループ率が小さくなる傾向が見られ、ドループ率が−70%以下の面発光レーザ素子も見られた。
以上説明したように、本第1の実施形態に係る面発光レーザ素子100によると、活性層105を含む共振器構造体と、該共振器構造体を挟んで設けられた、半導体DBR(下部半導体DBR103、上部半導体DBR107)とを有している。そして、上部半導体DBR107は、Alを含む被選択酸化層の一部が酸化されて生成された酸化物を少なくとも含む酸化層108aが電流通過領域108bを取り囲み、注入電流と発振光の横モードを同時に閉じこめることができる酸化狭窄構造体をその中に含んでいる。また、被選択酸化層の厚さは28nmであり、閾値電流が最小となる温度が約17℃である。これにより、パルス周期に関係なく、「負のドループ特性」を抑制することが可能となる。
また、パルス周期が1ms、パルス幅が500μsの方形波電流パルスを供給したとき、(P1−P2)/P2=−0.05であり、「負のドループ特性」を更に抑制することが可能となる。
また、面発光レーザ素子100では、室温における酸化狭窄構造体での基本横モードの横方向の光閉じ込め係数が約0.974であり、「負のドループ特性」を更に改善することができる。
また、面発光レーザ素子100では、共振器構造体における電流注入部の温度のみを室温から60℃に変化させたとき、光閉じ込め係数の変化率が2.2%であり、「負のドループ特性」を更に改善することができる。
また、面発光レーザ素子100では、室温での発振閾値電流におけるゲインピーク波長が、共振器構造体の共振波長よりも2nm長いため、「負のドループ特性」を更に改善することができる。
「第2の実施形態」
図25には、本発明の第2の実施形態に係る面発光レーザ素子100Aの概略構成を示す断面図が示されている。
面発光レーザ素子100Aは、設計上の発振波長が780nm帯の面発光レーザ素子であり、基板201上に、バッファ層202、下部半導体DBR203、下部スペーサ層204、活性層205、上部スペーサ層206、上部半導体DBR207、コンタクト層209などの複数の半導体層が、順次積層されている。なお、以下では、これら複数の半導体層が積層されているものを、便宜上「第2の積層体」ともいう。
基板201は、n−GaAs単結晶基板であり、主面の法線方向が[100]方向に対して[111]A方向に15°傾斜した、いわゆる傾斜基板である。
バッファ層202は、n−GaAsからなる層である。
下部半導体DBR203は、n−AlAsからなる低屈折率層とn−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを40.5ペア有している。そして、各屈折率層の間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた厚さ20nmの組成傾斜層が設けられている。なお、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、発振波長をλとするとλ/4の光学厚さとなるように設定されている。
下部スペーサ層204は、ノンドープ(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pからなる層である。
活性層205は、GaInAsPからなる量子井戸層とGaInPからなるバリア層を有している。
ところで、量子井戸層は780nm帯の発振波長を得るために、GaInP混晶にAsを導入したものであり圧縮歪みを有する。また、バリア層は、引張歪みを導入することによってバンドギャップを大きくし、高いキャリア閉じ込めを実現するとともに、量子井戸層の歪み補償構造を形成している。また、量子井戸層の組成は、端面LD構造でのCW発振閾電流における発振波長が面発光レーザ素子の共振波長と等しくなるように設定されている。つまり、PL波長は端面LD発振波長との差(約10nm)を考慮して、770nmになるように調整されている。
ここでは、基板201に傾斜基板が用いられているため、活性層での利得に異方性が導入され、偏光方向を特定の方向に揃えること(偏光制御)が可能になっている。
上部スペーサ層206は、ノンドープ(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pからなる層である。
下部スペーサ層204と活性層205と上部スペーサ層206とからなる部分は、共振器構造体とも呼ばれており、その厚さが1波長の光学厚さとなるように設定されている。なお、活性層205は、高い誘導放出確率が得られるように、電界の定在波分布における腹に対応する位置である共振器構造体の中央に設けられている。この共振器構造体は、下部半導体DBR203と上部半導体DBR207とに挟まれている。
上部半導体DBR207は、第1の上部半導体DBR207a及び第2の上部半導体DBR207bを有している。
第1の上部半導体DBR207aは、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなる低屈折率層とp−(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pからなる高屈折率層のペア(「第1のペア」ともいう)を1ペア有している。この第1の上部半導体DBR207aは、AlGaAs層よりバンドギャップエネルギーが大きく、活性領域へ注入された電子のブロック層として機能する。
ここでは、基板201に傾斜基板が用いられているため、AlGaInP材料の丘状欠陥(ヒロック)の発生を抑制し、結晶性を向上させることができるとともに、自然超格子の発生を抑制し、バンドギャップエネルギーの減少を防止することができる。従って、第1の上部半導体DBR207aは、バンドギャップエネルギーを大きく保つことができ、電子のブロック層として良好に機能する。
第2の上部半導体DBR207bは、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とp−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペア(「第2のペア」ともいう)を23ペア有している。
上部半導体DBRにおける各屈折率層の間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた厚さ20nmの組成傾斜層が設けられている。なお、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、発振波長をλとするとλ/4の光学厚さとなるように設定されている。
コンタクト層209は、p−GaAsからなる層である。
次に、面発光レーザ素子100Aの製造方法について簡単に説明する。
(2−1)上記第2の積層体を有機金属気相成長法(MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する。このとき、第2の上部半導体DBR207bの途中であって、活性層205から3番目となる定在波の節の位置(共振器構造体から3ペア目)にp−AlAsからなる被選択酸化層を厚さ30nmで挿入する。
ここでは、III族の原料には、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)を用い、V族の原料にはアルシン(AsH)ガスを用いている。また、p型ドーパントの原料には四臭化炭素(CBr)を用い、n型ドーパントの原料にはセレン化水素(HSe)を用いている。そして、AlGaInAsP系材料のV族P原料には、ホスフィン(PH)ガスを用い、AlGaInPのp型ドーパント原料には、ジメチルジンク(DMZn)を用いている。
また、下部半導体DBR203における共振器構造体に近い複数の層(図26の符号Aの領域)では、n型ドーパントのドーピング濃度を、他の領域に対して相対的に低濃度となるように調整している。
具体的には、下部半導体DBR203では、下部スペーサ層204に接した領域から4ペアを低ドーピング濃度領域とし、残りの37.5ペアに対して相対的に低ドーピング濃度となるようにしている。具体的なドーピング濃度は、低ドーピング濃度領域については、組成一定層(各屈折率層)及び定在波分布の腹に対応する部位のドーピング濃度を3〜7.5×1017[cm−3]の範囲内に、定在波分布の節に対応する部位のドーピング濃度を3×1017〜1×1018[cm−3]の範囲内に調整している。そして、残りの37.5ペアについては、組成一定層(各屈折率層)及び定在波分布の腹に対応する部位のドーピング濃度を1〜3×1018[cm−3]の範囲内に、定在波分布の節に対応する部位のドーピング濃度を1〜5×1018[cm−3]の範囲内に調整している。
また、第1の上部半導体DBR207a及び第2の上部半導体DBR207bにおける共振器構造体に近い層(図26の符号Bの領域)では、p型ドーパントのドーピング濃度を、他の領域に対して相対的に低濃度となるように調整している。
具体的には、上部半導体DBRでは、上部スペーサ層206に接した領域から4ペアを低ドーピング濃度領域とし、残りの20ペアに対して相対的に低ドーピング濃度となるようにしている。具体的なドーピング濃度は、低ドーピング濃度領域については、組成一定層(各屈折率層)及び定在波分布の腹に対応する部位で約2〜1.3×1018[cm−3]の範囲内に、定在波分布の節に対応する部位で2×1017〜4×1018[cm−3]の範囲内である。そして、残りの20ペアについては、組成一定層(各屈折率層)及び定在波分布の腹に対応する部位のドーピング濃度を1×1018〜1.5×1018[cm−3]の範囲内に、定在波分布の節に対応する部位のドーピング濃度を4×1018[cm−3]以上としている。
(2−2)積層体の表面に一辺が25μmの正方形状のレジストパターンを形成する。
(2−3)Clガスを用いるECRエッチング法で、正方形状のレジストパターンをフォトマスクとして四角柱状のメサを形成する。ここでは、エッチングの底面は下部スペーサ層204中に位置するようにした。
(2−4)フォトマスクを除去する。
(2−5)第2の積層体を水蒸気中で熱処理し、メサにおける被選択酸化層の一部を選択的に酸化させる。そして、メサの中央部に、酸化層208aによって囲まれた酸化されていない領域208bを残留させる。これにより、発光部の駆動電流の経路をメサの中央部だけに制限する、酸化狭窄構造体が形成される。上記酸化されていない領域208bが電流通過領域(電流注入領域)である。ここでは、電流通過領域の一辺を4μmとしている。
(2−6)気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiOからなる保護層211を形成する。
(2−7)メサ上部にP側電極コンタクトの窓開けを行う。ここでは、フォトレジストによるマスクを施した後、メサ上部の開口部を露光してその部分のフォトレジストを除去した後、BHFにて保護層211をエッチングして開口する。
(2−8)メサ上部の光出射部となる領域に一辺10μmの正方形状のレジストパターンを形成し、p側の電極材料の蒸着を行なう。p側の電極材料としてはCr/AuZn/Auからなる多層膜、もしくはTi/Pt/Auからなる多層膜が用いられる。
(2−9)光出射部の電極材料をリフトオフし、p側の電極213を形成する。
(2−10)基板201の裏側を所定の厚さ(例えば100μm程度)まで研磨した後、n側の電極214を形成する。ここでは、n側の電極214はAuGe/Ni/Auからなる多層膜である。
(2−11)アニールによって、p側の電極213とn側の電極214のオーミック導通をとる。これにより、メサは発光部となる。
(2−12)チップ毎に切断する。
このようにして製造された面発光レーザ素子100Aに、パルス周期が1ms、パルス幅が500μsの方形波電流パルスを供給したとき、ドループ率は−1%であった。
また、面発光レーザ素子100Aでは、室温における基本横モードの光閉じ込め係数は、0.978であった。
前述したように、酸化狭窄構造を有する面発光レーザ素子における「負のドループ特性」を抑制するには、素子内部の局所的な温度変化によって生じる屈折率変化に対して、横モードの光閉じ込めが強固になるように酸化層による光閉じ込め係数を大きく設定することが効果的である。しかしながら、光閉じ込め係数を大きくすると、基本横モードのみならず、高次横モードに対しても光閉じ込めが良好になり、高次モード発振が起こりやすくなる。従って、「負のドループ特性」の抑制とシングルモード出力の向上はトレードオフの関係にある。
発振波長が780nm帯の面発光レーザ素子構造において、基本(0次)横モードの光閉じ込め係数とメサの直径との関係が図27に示され、高次横モードの1つである1次横モードの光閉じ込め係数とメサの直径との関係が図28に示されている。なお、図27及び図28では、厚さ30nmの被選択酸化層を、半導体DBRにおける共振器構造体から3ペア目であって、定在波分布の節の位置に設けている。また、酸化狭窄径は4μmとし、面発光レーザ素子構造の温度は全てを室温としている。
先ず、図27を参照すると、被選択酸化層の厚さを30nmとしたことにより、メサの直径が15〜30μmの範囲において、基本横モードの光閉じ込め係数は0.9以上であり、「負のドループ特性」を効果的に抑制することが可能である。また、図28を参照すると、メサの直径の増加に応じて光閉じ込め係数は低下する傾向にあることが分かる。1次横モードは基本横モードと直交関係にあるので、メサの大きさを大きくすることにより、基本横モードとの空間的重なり(つまり電流注入領域との空間的重なり)を低減することができる。図29はこの様子を示すものであり、メサの直径が18μmと25μmの場合について、それぞれの1次横モードの電界強度分布が示されている。図29に示されるように、メサの直径を大きくすることにより電界強度分布は周辺部にシフトする。
1次横モードの光閉じ込め係数は、1次横モードの発振のしやすさを表す指標であり、この値が小さいほど1次横モードは発振し難くなる。そこで、メサの直径を大きくすることにより、1次横モードの発振が抑制され、シングルモード出力が高くなる。
また、図28に示されるように、1次横モードの光閉じ込め係数は、メサの直径が大きくなるにつれて低下するが、メサ直径が22μm以上では飽和傾向を示している。すなわち、この22μmというメサの直径の大きさは、1次横モードの振舞いが大きく変わる重要な意味を持つ大きさである。従って、円柱形メサの場合には直径を22μm以上、四角柱形メサの場合には四角形(断面)の1辺の長さを22μm以上にすることにより、1次横モードの発振を効果的に抑制することが可能である。また、このときの基本横モードの光閉じ込め係数は、0.9以上の値を維持している(図27参照)ので、「負のドループ特性」を抑制しつつ、シングルモード出力を向上させることが可能である。
また、前述したように、「負のドループ特性」はメサ中央部の局所的な温度変化が原因で発生する。そこで、「負のドループ特性」を抑制する第1の方法は、室温での光閉じ込め係数を大きくして、メサ中央部の局所的な温度変化による横モード分布の安定性を向上させることであり、第2の方法は、メサ中央部の局所的な温度上昇を抑制することである。
この第2の方法は、具体的には面発光レーザ素子の電力変換効率を向上し、面発光レーザ素子内部での発熱を低減することである。ところで、半導体材料では、自由キャリアに起因した吸収過程(以下、「自由キャリア吸収」ともいう)が存在し、電力変換効率を低下させる一つの要因となっている。自由キャリア吸収によって吸収された光のエネルギーは、キャリアの運動エネルギーとなり最終的に格子振動のエネルギーに変換されるので、自由キャリア吸収自体がメサ中央部付近の温度を上昇させることとなる。自由キャリア吸収は、光の電界強度及びキャリア濃度に依存し、キャリア濃度が高い程、また電界強度が大きいほど顕著となる。
面発光レーザ素子における発振光の電界強度は、活性層近傍で大きく、活性層から離れるに従って次第に減衰する。そこで、自由キャリア吸収が電界強度の大きいところで生じると、電力変換効率が大きく低下し、発熱が大きくなる。
さらに、自由キャリア吸収が大きいと、吸収される光のエネルギー(光出力の低下分)を補償するために活性層への注入電流を大きくする必要があり、この結果、発熱量が増加し、面発光レーザ素子の内部温度を更に上昇させる。
そこで、半導体DBRの共振器構造体に隣接した電界強度の大きな領域におけるドーピング濃度が、他の領域に対して相対的に低濃度となる構成とすると、自由キャリア吸収を低減させ、面発光レーザ素子の電力変換効率を向上させることができる。この結果、面発光レーザ素子内部の局所的な温度上昇を低減することができるので、基本横モード分布の変化やディチューニング量の変化等の「負のドループ特性」の発生原因をより小さく抑えることが可能となる。
酸化狭窄構造体を有する面発光レーザ素子では、活性層の電流注入領域を酸化層により比較的小さな領域に限定しているため、酸化狭窄構造体における電流通過領域が高抵抗化しやすい。また、電流通過領域は必然的に発光領域と空間的重なりを持つことになるので、電流注入により電流通過領域が発熱しメサの中央部の発光領域の温度を上昇させるおそれがある。この温度上昇はこれまで説明したように「負のドループ特性」の発生原因となる。
発明者らは、基本横モードの光閉じ込め係数、素子内部での発熱、酸化層の応力の影響等を考慮し、「負のドループ特性」が少なく、また長期信頼性に優れた素子構造を詳細に検討した。その結果、被選択酸化層の位置を共振器構造体から3ペア目又は4ペア目の半導体DBR中(定在波分布における活性層から3番目又は4番目の節に対応する位置)にすることに効果があることを見出した。
酸化狭窄構造体における酸化層は、電流狭窄と光閉じ込めを同時に行う機能を有しているので、低閾値電流化という目的からは活性層に近い方が有利である。また、同じ厚さ及び同じ酸化狭窄径の酸化層であれば、活性層に近い方が基本横モードの光閉じ込め係数を大きくできるので、「負のドループ特性」の抑制に効果がある。
ところが、被選択酸化層の位置を共振器構造体から1ペア目、及び2ペア目にした素子では、長期信頼性の点において難があることが分かった。通常、被選択酸化層は、選択酸化工程において体積が収縮する。また、酸化狭窄構造体は抵抗が大きく、通電した際に発熱源となる。そこで、被選択酸化層を共振器構造体から1ペア目、又は2ペア目に設けた構造では、被選択酸化層の収縮による応力及び酸化狭窄構造体からの熱が、活性層に影響するおそれがある。この場合には、活性層における転位の発生、増殖が顕著になり、面発光レーザ素子の寿命は短かった。
一方、被選択酸化層の位置を共振器構造体から3ペア目、又は4ペア目にすると、面発光レーザ素子の寿命は大幅に長くなり十分な信頼性を得ることができた。
しかし、被選択酸化層の位置を共振器構造体から5ペア目以上にすると、閾値電流が大きくなり、投入電力が大きくなることにより、面発光レーザ素子内部の発熱量が増加し、「負のドループ特性」がやや大きくなる傾向が見られた。
以上のように、被選択酸化層の位置を共振器構造体から3ペア目又は4ペア目にすることにより、「負のドループ特性」の低減と長期信頼性の向上とを同時に実現することが可能であることが分かった。
以上説明したように、本第2の実施形態に係る面発光レーザ素子100Aによると、活性層205を含む共振器構造体と、該共振器構造体を挟んで設けられた、半導体DBR(下部半導体DBR203、上部半導体DBR207)とを有している。そして、上部半導体DBR207は、Alを含む被選択酸化層の一部が酸化されて生成された酸化物を少なくとも含む酸化層208aが電流通過領域208bを取り囲み、注入電流と発振光の横モードを同時に閉じこめることができる酸化狭窄構造体をその中に含んでいる。また、被選択酸化層の厚さは30nmであり、パルス周期が1ms、パルス幅が500μsの方形波電流パルスを供給したとき、(P1−P2)/P2=−0.01である。これにより、パルス周期に関係なく、「負のドループ特性」を抑制することが可能となる。
また、面発光レーザ素子100Aでは、共振器構造体に隣接する半導体DBRの一部の領域を低ドーピング濃度としている。半導体DBR中の電界強度は活性層から4ペア目ほどで半減する。そこで、電界強度が大きな領域のドーピング濃度を低濃度に設定することによって、自由キャリア吸収を効果的に低減することができる。そして、吸収損失が低減されることにより、発振閾値電流が低減し、スロープ効率が向上するので、駆動電流を低減できる。つまり投入電力が少なくて済むので、発熱を低減することができる。従って、「負のドループ特性」を更に抑制することができる。
なお、組成一定層(各屈折率層)と定在波分布の腹に対応する部位とで、ドーピング濃度が上記の範囲内で互いに異なっても良い。また、低ドーピング濃度領域において、ペア毎にドーピング濃度が上記の範囲内で互いに異なっても良い。例えば、低ドーピング濃度領域において、スペーサ層に近く電界強度の大きな部位が、より低濃度となるように設定すると、自由キャリア吸収を効果的に低減することができる。
また、面発光レーザ素子100Aでは、メサのレーザ発振方向に直交する断面形状における一辺の長さを25μmとしているため、シングルモード出力を2mWと高くすることができる。
また、面発光レーザ素子100Aでは、被選択酸化層を共振器構造体から3ペア目の上部半導体DBR207中に設けている。これにより、実用的な閾値電流を保ちながら、電流狭窄に伴う高抵抗化によって発熱する部分を活性層205から遠ざけるとともに、熱抵抗を低減し、メサ中央部の局所的発熱を低減することができる。また、酸化層208aに内在する歪みの活性層205への影響を低減し、素子寿命を長くし、長期信頼性を向上させることができる。なお、被選択酸化層を共振器構造体から4ペア目の上部半導体DBR207中に設けても良い。
「第3の実施形態」
図30には、本発明の第3の実施形態に係る面発光レーザアレイ500の概略構成が示されている。
この面発光レーザアレイ500は、複数(ここでは32個)の発光部が同一基板上に配置されている。ここでは、図30における紙面右方向を+M方向、紙面下方向を+S方向として説明する。
面発光レーザアレイ500は、図31に示されるように、M方向からS方向に向かって傾斜角α(0°<α<90°)をなす方向であるT方向に沿って8個の発光部が等間隔に配置された発光部列を4列有している。そして、これら4列の発光部列は、すべての発光部をS方向に伸びる仮想線上に正射影したときに等間隔cとなるように、S方向に等間隔dで配置されている。すなわち、32個の発光部は、2次元的に配列されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
ここでは、間隔cは3μm、間隔dは24μm、M方向の発光部間隔X(図31参照)は30μmである。
各発光部は、図31のA−A断面図である図32に示されるように、前述した面発光レーザ素子100と同様な構造を有している。そして、この面発光レーザアレイ500は、前述した面発光レーザ素子100と同様な方法で製造することができる。
このように、本第3の実施形態に係る面発光レーザアレイ500は、前記面発光レーザ素子100が集積された面発光レーザアレイであるため、前記面発光レーザ素子100と同様な効果を得ることができる。
なお、2つの発光部の間の溝は、各発光部の電気的及び空間的分離のために、5μm以上とすることが好ましい。あまり狭いと製造時のエッチングの制御が難しくなるからである。また、メサの大きさ(1辺の長さ)は10μm以上とすることが好ましい。あまり小さいと動作時に熱がこもり、特性が低下するおそれがあるからである。
また、上記第3の実施形態では、面発光レーザアレイが32個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、前記面発光レーザ素子100Aが集積された面発光レーザアレイであっても良い。
また、上記第1〜第3の実施形態では、レーザ発振方向に直交する断面でのメサ形状が正方形の場合について説明したが、これらに限定されるものではなく、例えば円形、楕円形あるいは長方形など任意の形状とすることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態では、発光部の発振波長が780nm帯の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。
「第4の実施形態」
図33には、本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図33における矢印方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束を照射する。これにより、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム1030の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
この光走査装置1010は、一例として図34に示されるように、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、ポリゴンミラー13、光源14、カップリングレンズ15、開口板16、アナモルフィックレンズ17、反射ミラー18、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、ハウジング30の中の所定位置に組み付けられている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源14は、一例として上記面発光レーザアレイ500を備え、32本の光束を同時に射出することができる。ここでは、面発光レーザアレイ500は、前記M方向が主走査対応方向と一致し、前記S方向が副走査対応方向と一致するように配置されている。
カップリングレンズ15は、光源14から射出された光束を弱い発散光とする。
開口板16は、開口部を有し、カップリングレンズ15を介した光束のビーム径を規定する。
アナモルフィックレンズ17は、開口板16の開口部を通過した光束を、反射ミラー18を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍に副走査対応方向に関して結像する。
光源14とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本第4の実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板16とアナモルフィックレンズ17と反射ミラー18とから構成されている。
ポリゴンミラー13は、一例として内接円の半径が18mmの6面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー13は、副走査対応方向に平行な軸の周りを等速回転しながら、反射ミラー18からの光束を偏向する。
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。
像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ11bを介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本第4の実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。なお、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bの間の光路上、及び像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り曲げミラーが配置されても良い。
面発光レーザアレイ500では、各発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときの発光部間隔が等間隔cであるので、点灯のタイミングを調整することで感光体ドラム1030上では副走査方向に等間隔で発光部が並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。
そして、上記間隔cが3μmであるため、光走査装置1010の光学系の倍率を約1.8倍とすれば、4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。もちろん、主走査対応方向の発光部数を増加したり、前記間隔dを狭くして間隔cを更に小さくするアレイ配置としたり、光学系の倍率を下げる等を行えばより高密度化でき、より高品質の印刷が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、発光部の点灯タイミングで容易に制御できる。
また、この場合には、レーザプリンタ1000では書きこみドット密度が上昇しても印刷速度を落とすことなく印刷することができる。また、同じ書きこみドット密度の場合には印刷速度を更に速くすることができる。
以上説明したように、本第4の実施形態に係る光走査装置1010によると、光源14が上記面発光レーザアレイ500を備えているため、高精度の光走査を行うことが可能となる。
また、本第4の実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、光走査装置1010を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
なお、上記第4の実施形態では、光源14が32個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記第4の実施形態では、光源14が面発光レーザアレイを有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前記面発光レーザ素子100あるいは前記面発光レーザ素子100Aと同等の面発光レーザ素子を有していても良い。
また、上記第4の実施形態において、前記面発光レーザアレイ500に代えて、該面発光レーザアレイ500における発光部と同様の発光部が1次元配列された面発光レーザアレイを用いても良い。
また、上記第4の実施形態において、前記面発光レーザアレイ500に代えて、前記面発光レーザ素子100Aが集積された面発光レーザアレイを用いても良い。
また、上記第4の実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、一例として図35に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000であっても良い。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各感光体ドラムは、図35中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って、それぞれ帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットが配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに静電潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置2010は、前記光源14と同様な光源を、色毎に有している。そこで、上記光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、光走査装置2010を備えているため、上記レーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。
ところで、カラープリンタ2000では、各部品の製造誤差や位置誤差等によって色ずれが発生する場合があるが、光走査装置2010は、2次元配列された複数の発光部を有しているため、点灯させる発光部を選択することで色ずれの補正精度を高めることができる。
以上説明したように、本発明の面発光レーザ素子及び面発光レーザアレイによれば、「負のドループ特性」を抑制するのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、高精度の光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を形成するのに適している。
本発明の第1の実施形態に係る面発光レーザ素子の概略構成を説明するための図である。 25℃での面発光レーザ素子における被選択酸化層の厚さとドループ率との関係を説明するための図である。 従来の面発光レーザ素子を、パルス周期1ms、デューティ50%の方形波電流パルスで駆動したときの光波形を説明するための図である。 従来の面発光レーザ素子を、パルス周期100ns、デューティ50%の方形波電流パルスで駆動したときの光波形を説明するための図である。 計算に用いた各屈折率を説明するための図である。 計算で得られた基本横モード分布を説明するための図である。 作り付けの有効屈折率差Δneffを説明するための図である。 図8(A)及び図8(B)は、それぞれ作り付けの有効屈折率差Δneffを説明するための図である。 図9(A)及び図9(B)は、それぞれ内部温度が上昇したときの有効屈折率差Δneffを説明するための図である。 室温での横方向の光閉じ込めが不十分な面発光レーザ素子における、内部温度の上昇によるI−L曲線のシフトを説明するための図である。 図10のときの光波形を説明するための図である。 光閉じ込め係数と被選択酸化層の厚さ及び酸化狭窄径の関係を説明するための図(その1)である。 光閉じ込め係数と被選択酸化層の厚さ及び酸化狭窄径の関係を説明するための図(その2)である。 光閉じ込め係数と被選択酸化層の厚さ及び酸化狭窄径の関係を説明するための図(その3)である。 25℃での基本横モードの光閉じ込め係数が約0.983となる面発光レーザ素子の光波形を説明するための図である。 25℃での基本横モードの光閉じ込め係数が約0.846となる面発光レーザ素子の光波形を説明するための図である。 27℃での光閉じ込め係数が約0.788となる面発光レーザ素子において、共振領域における電流注入部の温度のみが60℃となったときの基本横モード分布の変化を説明するための図である。 図17における発熱領域を説明するための図である。 27℃での光閉じ込め係数が約0.973となる面発光レーザ素子において、共振領域における電流注入部の温度のみが60℃となったときの基本横モード分布の変化を説明するための図である。 共振領域における電流注入部のみが27℃から60℃に変化したときの、光閉じ込め係数の変化率と被選択酸化層の厚さとの関係を説明するための図である。 図21(A)はΔλ>0を説明するための図であり、図21(B)はΔλ<0を説明するための図である。 発振閾値電流と測定温度との関係を説明するための図である。 ディチューニング量と閾値電流が最小となる温度との関係を説明するための図である。 ドループ率と閾値電流が最小となる温度との関係を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る面発光レーザ素子の概略構成を説明するための図である。 低ドーピング濃度領域を説明するための図である。 基本(0次)横モードの光閉じ込め係数とメサ直径との関係を説明するための図である。 1次横モードの光閉じ込め係数とメサ直径との関係を説明するための図である。 メサ直径の違いによる1次横モードの電界強度分布の違いを説明するための図である。 本発明の第3の実施形態に係る面発光レーザアレイを説明するための図である。 図30における発光部の2次元配列を説明するための図である。 図31のA−A断面図である。 本発明の第4の実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を説明するための図である。 図33における光走査装置を示す概略図である。 カラープリンタの概略構成を説明するための図である。 従来の面発光レーザ素子の光波形を説明するための図である。 図36における立ち上がり近傍を拡大した図である。
符号の説明
11a…偏向器側走査レンズ(走査光学系の一部)、11b…像面側走査レンズ(走査光学系の一部)、13…ポリゴンミラー(偏向器)、14…光源、100…面発光レーザ素子、100A…面発光レーザ素子、103…下部半導体DBR(半導体分布ブラッグ反射鏡の一部)、104…下部スペーサ層(共振器構造体の一部)、105…活性層、106…上部スペーサ層(共振器構造体の一部)、107…上部半導体DBR(半導体分布ブラッグ反射鏡の一部)、108a…酸化層(狭窄構造体の一部)、108b…電流通過領域(狭窄構造体の一部)、203…下部半導体DBR(半導体分布ブラッグ反射鏡の一部)、204…下部スペーサ層(共振器構造体の一部)、205…活性層、206…上部スペーサ層(共振器構造体の一部)、207…上部半導体DBR(半導体分布ブラッグ反射鏡の一部)、208a…酸化層(狭窄構造体の一部)、208b…電流通過領域(狭窄構造体の一部)、500…面発光レーザアレイ、1000…レーザプリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1030…感光体ドラム(像担持体)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)。

Claims (12)

  1. 基板に対して垂直方向に光を射出する面発光レーザ素子であって、
    活性層を含む共振器構造体と;
    前記共振器構造体を挟んで設けられ、アルミニウムを含む被選択酸化層の一部が酸化されて生成された酸化物を少なくとも含む酸化物が電流通過領域を取り囲み、注入電流と発振光の横モードを同時に閉じこめることができる狭窄構造体をその中に含む半導体分布ブラッグ反射鏡と;を備え、
    前記被選択酸化層の厚さは少なくとも25nmであり、
    発振の閾値電流と温度との関係において、発振の閾値電流が最小となるときの温度が25℃以下であることを特徴とする面発光レーザ素子。
  2. パルス周期が1ms、パルス幅が500μsの方形波電流パルスを供給したとき、供給後10nsでの光出力P1、及び供給後1μsでの光出力P2を用いて、(P1−P2)/P2≧−0.1、の関係が満足されることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子。
  3. 前記電流通過領域の幅d[μm]、及び該電流通過領域を取り囲む酸化物の厚さt[nm]を用いて、−2.54d−0.14t−0.998d・t+53.4d+12.9t−216≧0.9、の関係が満足されることを特徴とする請求項1又は2に記載の面発光レーザ素子。
  4. 前記共振器構造体における電流注入部の温度のみを室温から60℃に変化させたとき、前記狭窄構造体での基本横モードの横方向の光閉じ込め係数の変化率が10%以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の面発光レーザ素子。
  5. 前記共振器構造体と前記半導体分布ブラッグ反射鏡を含む複数の半導体層の一部は、光の射出方向に延びる円柱状あるいは四角柱状のメサ形状を有し、
    レーザ発振方向に直交する断面での前記円柱の直径あるいは前記四角柱の一辺の長さは、少なくとも22μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子。
  6. 前記半導体分布ブラッグ反射鏡における前記共振器構造体に隣接する領域の不純物のドーピング濃度は、前記半導体分布ブラッグ反射鏡における他の領域の不純物のドーピング濃度よりも、相対的に低濃度であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子。
  7. 前記半導体分布ブラッグ反射鏡は、低屈折率層と高屈折率層からなるペアを複数ペア有し、
    前記被選択酸化層は、前記半導体分布ブラッグ反射鏡中で、前記共振器構造体から3ペア目あるいは4ペア目に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子が集積された面発光レーザアレイ。
  9. 光によって被走査面を走査する光走査装置であって、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の面発光レーザ素子を有する光源と;
    前記光源からの光を偏向する偏向器と;
    前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置。
  10. 光によって被走査面を走査する光走査装置であって、
    請求項8に記載の面発光レーザアレイを有する光源と;
    前記光源からの光を偏向する偏向器と;
    前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置。
  11. 少なくとも1つの像担持体と;
    前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの請求項9又は10に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
  12. 前記画像情報は、多色のカラー画像情報であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
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