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JP2009266661A - アルカリ乾電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたハイレート放電特性を有するアルカリ乾電池を提供する。
【解決手段】有底円筒形の電池ケース1内に、二酸化マンガンを含有する正極2と、亜鉛を含有する負極3と、水酸化カリウム水溶液を含有する電解液とが納められており、電池ケース1の円筒の中心軸に対して垂直にX線CTによって、正極2が存在する範囲において0.2mmごとに断面撮影を行ったときに、断面画像の正極部分に周囲の正極の輝度の98%以下の輝度となっているクラック10が少なくとも一つ観察される断面画像の数が、全ての断面画像の数の10%以上80%以下であるアルカリ乾電池である。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルカリ乾電池に関するものである。
アルカリ乾電池はマンガン乾電池に比べて電気容量が大きく、大電流で連続使用しても効率のよい放電特性を発揮するので、広く使用されるようになってきている。そして、市場ではさらに放電特性の良好な乾電池が求められているため、放電特性を良好にするための技術開発が進められている。
例えば特許文献1には、 略円筒形状をした正極合剤ペレットの表面に、浅い窪みをペレットの圧縮成形時に加工し、電池ケース内に前記ペレットを組み込んだ際に、前記の浅い窪みと、相対向する部材の表面との間に狭い空間を形成させ、この狭い空間を電解液の貯液部として利用することにより、電解液の保持量を増加させる。これにより、活物質の有効利用率を高めて、電池の放電特性を改善するという技術が開示されている。
特開2000−36301号公報 特開2000−100394号公報 特表2003−536230号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、電解液の保持量は増加するもののその電解液は正極ペレット表面の窪みに存しているために、正極ペレット内部にはゆっくりとしか浸透していかない。大電流の放電(ハイレート放電という)の際には、正極ペレット内部に比較的自由に電荷の移動に関与できる電解液が多く存していないと放電特性が短期間で低下してしまうが、特許文献1に開示されている技術では、上述のように正極ペレット内部への浸透が遅く、放電特性が早期に低下してしまい、電解液の保持量が多くなってもハイレート放電時の放電特性向上にはつながらなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、優れたハイレート放電特性を有するアルカリ乾電池を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明のアルカリ乾電池は、有底円筒形のケース内に、二酸化マンガンを含有する正極と、亜鉛を含有する負極と、水酸化カリウム水溶液を含有する電解液とが納められているアルカリ乾電池であって、前記ケースの円筒の中心軸に対して垂直にX線CTによって、前記正極が存在する範囲において0.2mmごとに断面撮影を行ったときに、断面画像の前記正極部分に周囲の正極の輝度の98%以下の輝度となっているクラックが少なくとも一つ観察される断面画像の数が、全ての断面画像の数の10%以上80%以下である構成とした。
ここでクラックとは、正極の内部の割れ目であって、その部分のX線CT画像の輝度は正極の部分の輝度よりも低い。
また、前記正極にポリエチレンおよびチタン化合物が含有されている構成とすることができる。
さらに前記電解液中の水酸化カリウムの濃度が33.5重量%以下である構成とすることができる。
また、単3形であって、前記正極に含有される二酸化マンガンは9.40g以上である構成とすることができる。正極に含有される二酸化マンガンの量は一般的に使用される電解二酸化マンガンとしての量ではなく、純粋な二酸化マンガンの量のことである。純粋な二酸化マンガンの量は電池内容物の化学分析から求めることができる。なお、電解二酸化マンガン中に含まれる純粋な二酸化マンガンの含有比率は一般的に約93重量%である。その上で、前記電解液が4.00g以上納められている構成とすることができる。水酸化カリウム濃度は電池内容物の化学分析から求めた濃度である。さらに、20℃において、1500mWの定電力で2秒間放電させてから650mWの定電力で28秒間放電させ、この2種類の放電を10回繰り返した後、開回路状態で55分間休止させ、前記2種類の放電と前記55分間の休止とを行う操作を行い、放電電圧が1.05Vに到達するまで繰り返したときに、前記2種類の放電の繰り返し数が115回以上である構成とすることができる。
本発明のアルカリ乾電池は、正極中のクラック数を適正な範囲内とすることで正極内での電解液の移動経路が確保されるため、ハイレートの放電特性が向上する。
本発明の実施形態について説明をする前に、本願発明者らが本願発明に至った経緯について述べる。
乾電池の寿命を延ばすためには、一般には正極および負極の構成材料をより多くケース内に詰め込めばよいと考えられる。乾電池はIEC規格により形状と寸法が定められているため、構成材料を多く詰め込むには、ケース内に詰め込める容積を多く確保する方法と、構成材料の充填密度を大きくして対応するという方法が考えられる。
正極および負極の構成材料がより多くケース内に入っていれば電池の容量が上がることは容易に考えつくが、実際の放電特性は、正極や負極の量以外に電解液やセパレータなどの量や性質等によっても左右されることが知られている。特に電解液が正極及び負極の内部を自由に動くことができないと、電池内部での電荷の移動が妨げられて放電特性が低いアルカリ乾電池となってしまう。
アルカリ乾電池の正極は、二酸化マンガンと黒鉛を主原料とし、それらの粒状物を固めた正極合剤ペレットとしてケースの中に納められるため、正極構成材料を増やすため高密度の合剤ペレットを作製すると、電解液が合剤ペレット内部に浸透しにくく、かつ合剤ペレット内部での移動が遅くなり、結果として放電特性が低くなってしまう。合剤ペレット内部での電解液の移動速度を早めるために合剤の密度を低くすると、電池の容量が小さくなってしまう。
上記結果を踏まえて本願発明者らは種々検討を行った結果、合剤ペレット内部に適正な数のクラックを形成することが鍵であることを見出して本願発明に想到するに至った。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に実施形態1に係る単3形アルカリ乾電池の一部破断をさせた断面を示す。この単3形アルカリ乾電池は、電池ケース(ケース)1内に二酸化マンガンを含有する正極2と、亜鉛を含有する負極3と、水酸化カリウム水溶液を含有する電解液(不図示)とが納められている。
本実施形態に係る単3形アルカリ乾電池の構造をより詳しく述べると、正極端子を兼ねる有底円筒形の電池ケース1の内壁には中空円筒状の正極2が接している。正極2の中空部には有底円筒形のセパレータ4を介して負極3が配置されている。そして電池ケース1の開口部は封口ユニット9によって封口されている。封口ユニット9は、負極端子板7、負極端子板7に溶接された負極集電子6、および樹脂製の封口体5により構成されている。負極集電子6は負極3の中央に挿入されている。ここで正極2、セパレータ4および負極3には電解液が浸透して含まれており、電解液のみは図示していない。
電池ケース1は例えばニッケルめっき鋼板を用いて特開昭60−180058号公報、特開平11−144690号公報、特開2007−27046号公報及び特開2007−66762号公報等に記載された公知の方法で所定の寸法および形状にプレス成形によって作製される。本実施形態では電池ケース1の外径は13.90mm以上であり、上限は14.10mmである。上記公報のうち、後者2つに記載された方法を用いると電池内容積を大きくできて正極2および負極3の構成材料をより多く詰め込むことができて好ましい。また、電池ケース1の側面部分(筒部)の厚みは0.18mm以下であると電池ケース1の内容積が大きくなり好ましい。
電池ケース1の内容積とは、有底円筒形の電池ケース1の内面と樹脂製の封口体5の下面および負極集電子6外面とに囲まれた空間の容積である。具体的には、単3形アルカリ乾電池を正極端子近辺において電池ケース1の中心軸に対して垂直に切断し(負極集電子6は切断しないように)、内部から正極2、負極3、セパレータ4、電解液を取り除いて洗浄し、切断し2つになった電池ケース1内に水を入れることにより内容積を測定する。
電池ケース1の外面は、プラスチックフィルムからなる外装ラベル8により覆われている。
正極2には、二酸化マンガン粉末を含む正極活物質と黒鉛粉末などの導電剤とが主に含まれており、さらにポリエチレンやメタチタン酸等のチタン化合物も少量添加されており、これらを円筒形に固めた合剤ペレットとして電池ケース1内に納められている。ポリエチレンは正極活物質や導電剤などの結着剤的な役割を果たし、チタン化合物は合剤ペレット作製時の滑剤の役割を担っている。また、正極合剤ペレットを電池ケース1内に納めた後に、正極合剤ペレットに圧力をかけてペレット内部にクラックを発生させている。乾電池1セル当たり二酸化マンガンは9.40g以上含まれている。このように多くの二酸化マンガンが含まれているので、ハイレートの放電特性はもちろんミドルレートやローレートの放電特性(寿命)が優れている。
正極合剤ペレットの内部に発生したクラックは、X線CTによって観察できる。具体的には、X線CTによって電池ケース1の円筒の中心軸に対して垂直に、正極2が存在する範囲の断面撮影を行う。この撮影は、正極2が存在する範囲において、電池ケース1の円筒の中心軸に沿って0.2mmごとに行う。単3形アルカリ乾電池の場合、電池ケース1の円筒の中心軸に沿った方向の正極2の長さは約43mmであるので、約215枚の断面が撮影される。図2に示すように、クラック10は正極合剤が存在しない部分であるので、周囲の正極合剤が存在する部分に比べて輝度が低い。従って目視によってもクラック10の存在が確認できる。クラック10の部分の輝度は、具体的には、撮影画面において該クラック10を横切る0.6mm程度の線分を引いて、その線分上の輝度分布を測定してから正極合剤の輝度を基準にして表す。つまり、クラック10を横切る線分上における輝度の最大値(正極合剤の部分)Xと最小値(クラック10の部分)Yとを算出し、クラック10の輝度を(Y/X)×100〔%〕として表す。本実施形態では、未放電の状態において、98%以下の輝度であるクラック10が少なくとも一つ観察される断面画像の数が、全ての断面画像の数の10%以上80%以下となっている。このように98%以下の輝度のクラック10を正極合剤内に適切な量存在させることで、多量の正極合剤を電池ケース1内に詰め込むことと電解液が正極2内を移動しやすいこととを両立させることができる。ポリエチレンやチタン化合物を正極2に含有させておくと、クラック10の量をうまく制御できる。なお、クラック10の輝度が小さいほどクラック10そのものが大きく、電解液の拡散経路としての機能が大きくなる。
負極3は、ポリアクリル酸ナトリウムなどのゲル化剤と電解液との混合物を主原料とするゲル状物に亜鉛粉末または亜鉛合金粉末などの負極活物質が混合されたものである。なお、負極活物質には、耐食性に優れた亜鉛合金粉末を用いるのが好ましく、さらには環境に配慮して水銀、カドミウム、および鉛は無添加であることが好ましい。上記亜鉛合金としては、例えばインジウム、アルミニウムおよびビスマスの少なくともいずれか一つを含む亜鉛合金を挙げることができる。
セパレータ4は、電解液のアルカリ性に耐えてかつ電解液を通過させられるよう、例えばポリビニルアルコール繊維およびレーヨン繊維を主体として混抄した不織布からなっている。
電解液は、KOH濃度が33.5重量%以下のアルカリ水溶液である。KOH濃度は完成した乾電池内部に存する電解液を滴定することにより求められる。特許文献3には、電池寿命を長くする目的で、放電前のKOH水溶液の濃度が約34〜37%であり、二酸化マンガンの一電子放電の計算値において、KOH水溶液の計算値濃度が約49.5〜51.5%となるようなアルカリ電気化学電池が開示されている。本実施形態では特許文献3の電池よりもKOH濃度が小さいが、その方が正極2および負極3の活物質量を増加させた場合に放電特性をより向上させることができることを本願発明者らは見出したのである。即ちKOH濃度が小さい方が電解液の粘度が小さくなって、電池内の移動度が高くなり、そのため放電寿命が延びると考えられる。
電解液にはZnOも添加されており、その濃度は3重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましい。なお、ZnOは電解液に0.2重量%以上含有されていることが好ましい。
負極集電子6は銀、銅、真鍮等の線材を所定の寸法の長針状の胴部及び鍔部を有する釘状にプレス加工して作製される。また、鍔部の胴部の反対方向には頭頂部が突設されており、この頭頂部を介して負極集電子6と負極端子板7とが接続されている。ここで、負極集電子6は、加工時の不純物の排除と遮蔽効果を得るためにその表面にスズやインジウムでメッキを施すことが好ましい。このような負極集電子6は、例えば特開平5−283080号公報及び特開2001−85018号公報に記載された公知の方法で作製される。
負極端子板7は、例えば、ニッケルめっき鋼板、スズめっき鋼板などを所定の寸法、形状にプレス成型して作製される。
上記の本実施形態の電池の大電流の放電(ハイレート放電)特性を計測したところ、従来の電池や市販のアルカリ乾電池に比べて優れた特性であることを確認した。このようにアルカリ乾電池において、正極2の横断面X線CTによって確認される正極2内クラック10の量を適正量にすることにより優れたハイレート放電特性を発揮させることができる。
(実施例1)
まず、亜鉛合金粉として、亜鉛の重量に対してAl:0.005重量%、Bi:0.005重量%、In:0.020重量%を含有する亜鉛合金粉をガスアトマイズ法によって作製した。作製した亜鉛合金粉を篩を用いて分級させて、70〜300メッシュの粒度範囲を有し、さらに200メッシュ(75μm)以下の粒径を有する亜鉛合金粉の比率が30%となるように調整した。得られた亜鉛合金粉末を、負極活物質として用いた。
次に、33重量%の水酸化カリウム水溶液(ZnO:2重量%含む)の100重量部に対して、2.2重量部のポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムを加えて混合し、ゲル化させて、ゲル状電解液を得た。得られたゲル状電解液は、その後、24時間静置して十分に熟成させた。
その後、上記で得たゲル状電解液の所定量に対して、重量比で1.92倍の上記亜鉛合金粉末と、その亜鉛合金粉末100重量部に対して水酸化インジウム0.025重量部(金属インジウムとして0.016重量部)と、アニオン性界面活性剤(平均分子量が約210のアルコールリン酸エステルナトリウム)0.1重量部をそれぞれ加えて十分に混合し、ゲル状負極とした。
次に、電解二酸化マンガン(東ソー(株)製 HHTF)および黒鉛(日本黒鉛工業(株)製 SP−20)を重量比94:6の割合で配合し、この混合粉100重量部に対して電解液(33重量%の水酸化カリウム水溶液(ZnO:2重量%含む))1.5重量部とポリエチレンバインダ0.2重量部とメタチタン酸0.2重量部とを混合した後、ミキサーで均一に撹拌・混合して一定粒度に整粒した。得られた粒状物を中空円筒型に加圧成型したものを、正極合剤ペレットとして用いた。
続いて、評価用の単3形アルカリ乾電池の作製を行った。図1に示すように、電池ケース1の内部に、上記で得られた正極合剤ペレット(1個の重量:5.65g)を2個挿入し、電池ケース1内で1.2t(φ14mmの面積にかかる加重)の加重をかけて再加圧することによって電池ケース1の内面に密着させるとともにクラック10を発生させた。そして、この正極合剤ペレットの内側にセパレータ4および底部絶縁のための底紙を挿入した後、上記で調製した電解液を1.83g注液した。注液後、セパレータ4の内側にゲル状の負極3を充填した。樹脂製の封口体5、負極端子板7、および負極集電子6を、負極3に差し込み、電池ケース1の開口端部を、封口体5の端部を介して負極端子板7の周縁部にかしめつけて電池ケース1の開口部を密着させた。電池ケース1の外表面に外装ラベル8を被覆し、単3形アルカリ乾電池A1を作製した。
樹脂製の封口体は、6,12−ナイロンを材料として作製した。負極集電子は、銅線にSnめっきをしたものを用いた。セパレータには、クラレ(株)製のアルカリ乾電池用セパレータ(ビニロンとテンセルからなる複合繊維)を用いた。
(実施例2)
電池ケース1内での、正極合剤ペレットへの再加圧の加重を1.6t(φ14mmの面積にかかる加重)にしたこと以外は実施例1と同様にして電池A2を作製した。
(実施例3)
電池ケース1内での、正極合剤ペレットへの再加圧の加重を0.2t(φ14mmの面積にかかる加重)にしたこと以外は実施例1と同様にして電池A3を作製した。
(比較例1)
正極合剤作製時にポリエチレンとメタチタン酸を添加しなかったこと、電池ケース1内での正極合剤ペレットへの再加圧の加重を1.6tとしたこと、34.5重量%の水酸化カリウム水溶液を電解液として用いたこと、および二酸化マンガン量と電解液量とを少なくし、これら以外は実施例1と同様にして電池Bを作製した。
(比較例2)
Energizer社製の単3形乾電池であるe TITANIUM TECHNOLOGY(AA size−X91 LR6−AM3−1.5V)、推奨期限2012年の電池を電池Cとして比較対象とした。
(比較例3)
DURACELL社製の単3形乾電池であるULTRA DIGITAL(AA 1.5VMX1500 LR6)、推奨期限MAR 2013年の電池を電池Dとして比較対象とした。
次に電池の評価方法を説明する。
(1)正極合剤ペレットの内部のクラック
<X線CT撮影方法>
電池断面の撮影は、X線CT解析法を用いて行った。使用機器は、株式会社島津製作所製のマイクロフォーカスX線CTシステムSMX-225CT-SVとした。撮影条件は、画像横サイズ,画像縦サイズともに1024[pixel]、X線管電圧は、160[kV]、X線管電流は、40[μA]、I.I.サイズ(スクリーンサイズ)は、9インチI.I.、S.I.D(X線源からスクリーンまでの距離)は、322.49[mm]、S.O.D.(X線源から電池までの距離)は、18.72[mm]、テーブル位置(Z)は、6.364[mm]、スライス厚みは、0.4[mm]、ビュー数は2400[View]、アベレージ数は2[回]、スケーリング係数は10、CTモード1は2D-CT、CTモード2はオフセットスキャン、CTモード3はフルスキャン、FOV(XY)は14.163511[mm]、ピクセル当量長は0.013832[mm/pixel]、スライスピッチは0.2[mm]で行った。
電池は、未放電状態のものを、正極端子から負極端子までを、上記条件で、電池の正極端子から負極端子の方向が重力の方向になるように、電池の負極端子側を下にして立て、その重力の方向と垂直になるように輪切りにCT撮影を行った。その後、同条件で、φ10[mm]のアルミの円柱を測定した。その後、装置付属のラインプロファイルのソフトを用いて、輝度を測定した。その方法は、スライスに撮影した電池の画像において、その正極部分内に、0.5〜0.7mmの長さのラインを引き、そのラインの輝度を測定する。ラインの引き方は、正極部の黒色の筋部分(クラック)にラインが交わるように引き方である。その結果、そのライン上における輝度がもっとも明るい部分(輝度の最大値)と、もっとも暗い部分の輝度(輝度の最小値)を抽出し、その差異の割合を百分率で表す。
(輝度差異割合)=(輝度の最大値−輝度の最小値)/(輝度の最大値) ×100
輝度差異割合が2%以上となるクラックが少なくとも1つ以上観察される画像の数が、正極が存在する範囲で撮影された画像の総数のどれだけに当たるかを、輝度差異が2%以上になるクラックが存する画像の割合[%]とした。
(2)MnO量、KOH濃度、電解液量
外装ラベルを剥がした電池の封口部分を切り開き、封口体を取り出して付着している負極ゲルや電解液をビーカーにイオン交換水で洗い落とした。電池内の負極ゲルを前記ビーカー内に全て入れて、セパレータを電池内から取り出してイオン交換水で付着している負極ゲルや電解液を当該ビーカーに洗い落とした。封口体、セパレータは乾燥させて重量を測定した。
前記ビーカー内に取り集めた負極ゲルを10回程度水洗・デカンテーションして、KOHをほぼ全て負極ゲルから分別した上澄み液側に分離させた。この上澄み液を1N塩酸によって中和滴定して上澄み液中のKOH量(a1)を求めた。残渣の負極ゲル(亜鉛粉とゲル化剤)は洗浄して乾燥させて重量を測定した。
電池ケース内から正極合剤を取り出して乾燥させ、重量を測定した。その後、正極合剤を粉砕して濃塩酸を加え、加熱してMnOを溶解させ、残渣と濾別した。塩酸不溶残渣(正極合剤中の黒鉛導電剤やバインダー成分)は乾燥させて重量を測定した。MnOが溶解した溶液を一定量分取し、これに(1+1)NHOHを滴下してpH3としてから過酸化水素を加えて攪拌し、さらに濃NHOHを加えて攪拌してMnOの沈殿を発生させた。この沈殿を濾過・水洗し、10W/V%塩酸ヒドロキシルアミンと(1+1)塩酸とで完全に溶解させて、トリエタノールアミン、塩化アンモニウム−アンモニア緩衝液、TPC指示薬を加えて1/20M−EDTA溶液で滴定してMnO量を求めた。このMnO量から電池1個に存在していたMnO量を換算した。このMnO量から電池に使用された電解二酸化マンガン(EMD)重量を換算した。(EMD中の純MnO含有比率は約93%)
次にもう一度MnOが溶解した溶液を一定量分取し、原子吸光分析(VARIAN製SpectrAA 55B/標準添加法)によって分析し、カリウム量を定量して正極合剤の中に含まれていたKOH量(a2)を換算した。
さらにもう一度MnOが溶解した溶液を一定量分取し、ICP発光分光分析法(VARIAN製 VISTA−RL)によって分析し、チタン量を定量した。また溶解せず残渣にTiが一部残存する場合は、その残渣を900℃で2時間、空気中で焼成し、残渣中のカーボンやポリエチレンを除去したものに、KCO粉末を加え混合し、白金坩堝にて900℃,空気中で融解させる。その後、その溶融塩を濃塩酸で溶解し、その溶液をICP発光分光分析法によって分析し、チタン量を定量した。チタン量が定量された場合、チタン化合物の添加は『有』と判断した。チタン量が定量されなかった場合、チタン化合物の添加は『無』と判断した。
また、上記の乾燥させた塩酸不溶残渣(正極合剤中の黒鉛導電剤やバインダー成分)のTG−DTA測定(RIGAKU製 ThermoPlus TG−DTA)を行い、ポリエチレンの定量を行った。測定条件は、室温から750℃までを1℃/minの昇温速度で、雰囲気はAr雰囲気中(100ml/minでフロー)で行った。ポリエチレン量は、300℃から700℃までの重量減少量より定量した。そして、ポリエチレン量が定量された場合、ポリエチレンの添加は『有』と判断した。ポリエチレン量が定量されなかった場合、ポリエチレンの添加は『無』と判断した。
以上の測定から、電池中の電解液重量(c)を、電池全体の重量から電解液以外の構成材の総重量(外装ラベル、ケース、封口体、セパレータ、亜鉛粉とゲル化剤、EMD、塩酸不溶残渣の合計重量)を除することによって求め、電池中の全KOH量(a1+a2)から、電解液中のKOH濃度[重量%]=(a1+a2)/c、を求めた。
(3)放電特性
放電条件(A)・・・43Ωで4時間放電させ、その後20時間休止した。この放電操作を1回として放電電圧が0.9Vになるまで行った。放電した時間の合計時間を電池の放電時間として評価した。放電は20℃の環境で行った。なおこの評価は、ローレート放電特性を評価するものである。
放電条件(B)・・・1500mWで2秒間放電させ、その後650mWで28秒間放電させた。これを1回の放電サイクルとして連続で10回繰り返し、合計5分間行った。その後55分間休止した。これを1回の操作として1.05Vになるまで連続で繰り返した。放電サイクルの回数を評価した。放電は20℃の環境で行った。この回数はハイレート放電特性を評価する指数である。
表1に実施例1乃至3、比較例1乃至3の評価結果を示す。
Figure 2009266661
表1に示すように、実施例1の単3形アルカリ乾電池(電池A1〜A3)は、輝度差異が2%以上となるクラックが存している断面画像の数が全CT画像の数の10%以上80%以下であり、ハイレート放電特性を示す放電条件(B)の回数が150回以上と非常に多く、比較例1乃至3の電池B,C,Dに比べて非常に優れたハイレート放電特性を有していることがわかる。例えば比較例2の電池Cは、二酸化マンガンの量が多いが、放電回数は実施例1乃至3の電池A1〜A3の放電回数の約2/3である。また、ローレート放電特性を示す放電条件(A)の放電時間も、実施例1乃至3の電池A1〜A3は比較例1乃至3の電池B,C,Dに比べて約10%長く、優れている。
(その他の実施形態)
上記実施形態1は単3形のアルカリ乾電池であったが、本発明は単3形に限定されない。
以上説明したように、本発明に係るアルカリ乾電池は、ハイレート放電特性に優れ、デジタルカメラ、モータ駆動の機器やフラッシュ等の用途に有用である。
実施形態に係るアルカリ乾電池の一部破断断面図である。 図1のA−A線断面図である。
符号の説明
1 電池ケース(ケース)
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 樹脂製の封口体
6 負極集電子
7 負極端子板
8 外装ラベル
9 封口ユニット
10 クラック

Claims (6)

  1. 有底円筒形のケース内に、二酸化マンガンを含有する正極と、亜鉛を含有する負極と、水酸化カリウム水溶液を含有する電解液とが納められているアルカリ乾電池であって、
    前記ケースの円筒の中心軸に対して垂直にX線CTによって、前記正極が存在する範囲において0.2mmごとに断面撮影を行ったときに、断面画像の前記正極部分に周囲の正極の輝度の98%以下の輝度となっているクラックが少なくとも一つ観察される断面画像の数が、全ての断面画像の数の10%以上80%以下である、アルカリ乾電池。
  2. 請求項1に記載されているアルカリ乾電池であって、
    前記正極にポリエチレンおよびチタン化合物の少なくとも一方が含有されていることを特徴とするアルカリ乾電池。
  3. 請求項1又は2に記載されているアルカリ乾電池であって、
    前記電解液中の水酸化カリウムの濃度が33.5重量%以下であることを特徴とするアルカリ乾電池。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載されているアルカリ乾電池であって、
    単3形であって、前記正極に含有される二酸化マンガンは9.40g以上であることを特徴とするアルカリ乾電池。
  5. 請求項4に記載されているアルカリ乾電池であって、
    前記電解液が4.00g以上納められていることを特徴とするアルカリ乾電池。
  6. 請求項4または5に記載されているアルカリ乾電池であって、
    20℃において、1500mWの定電力で2秒間放電させてから650mWの定電力で28秒間放電させ、この2種類の放電を10回繰り返した後、開回路状態で55分間休止させ、前記2種類の放電と前記55分間の休止とを行う操作を行い、放電電圧が1.05Vに到達するまで繰り返したときに、前記2種類の放電の繰り返し数が115回以上であることを特徴とするアルカリ乾電池。
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