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JP2009115012A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】制御対象の無駄時間の劣化又は空燃比センサのリッチ側/リーン側の非対称劣化による空燃比制御精度の悪化を低減する。
【解決手段】内燃機関に噴射した燃料量の変化が空燃比センサの出力の変化として現れるまでの無駄時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化を考慮して、空燃比センサの出力がリーン方向に変化する時の無駄時間と、リッチ方向に変化する時の無駄時間をそれぞれ検出し、そのうちの大きい方の無駄時間を選択して、今回のフィードバック補正量を算出する際に用いる過去のフィードバック補正量のデータの個数を大きい方の無駄時間に応じて変化させる。また、リーン方向の応答時間とリッチ方向の応答時間をそれぞれ検出し、空燃比センサの出力がリーン方向に変化する時にはリーン方向応答時間に応じて制御ゲインを補正し、空燃比センサの出力がリッチ方向に変化する時にはリッチ方向応答時間に応じて制御ゲインを補正する。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサの検出値に基づいて内燃機関に噴射する燃料量をフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置に関する発明である。
近年の電子制御化された自動車は、内燃機関(エンジン)の排出ガスの空燃比又は酸素濃度を検出する空燃比センサを排気管に設置し、この空燃比センサの出力に基づいて排出ガスの空燃比を目標空燃比付近に維持するように内燃機関に噴射する燃料量(混合気の空燃比)をフィードバック制御することで、排気エミッションや燃費を向上させるようにしている。このような空燃比フィードバック制御系は、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサの応答特性が劣化すると、空燃比検出精度が悪化して空燃比制御精度が悪化し、排気エミッション等の悪化に繋がってしまう。
この対策として、特許文献1(特許第3581737号公報)に記載されているように、フィードバック制御に用いる適応パラメータに基づいて空燃比センサの応答特性の劣化の有無を判定し、その結果、空燃比センサの応答特性の劣化が検出されたときに、フィードバック制御のゲインを小さくするようにしたものがある。
特許第3581737号公報(第14頁等参照) 特開2007−187129号公報(第2頁等参照)
一般に、空燃比フィードバック制御系は、エンジンへの燃料供給量を変化させてから空燃比センサの出力が変化するまでの制御対象の動特性を、無駄時間+1次遅れ特性(応答時間)でモデル化して設計されている。将来、益々厳しくなる排出ガス規制(低エミッション化の要求)に対応するには、無駄時間の劣化や応答時間の劣化による空燃比制御精度の悪化を低減する必要が生じてきている。
この場合、無駄時間の劣化と応答時間の劣化は、それぞれ別々に発生し、一方が他方よりも先に劣化が進むことがあるため、上記特許文献1のように、空燃比センサの応答特性の劣化が検出されたときにフィードバック制御のゲインを小さくするだけでは、無駄時間の劣化や応答時間の劣化に対応したフィードバック制御を行うことは困難である。
また、近年、空燃比センサの応答特性の劣化がリッチ側とリーン側とで非対称に生じることが判明している。そこで、特許文献2(特開2007−187129号公報)に記載されているように、空燃比センサの無駄時間と時定数(応答時間)をリッチ側とリーン側とでそれぞれ別々に検出し、リッチ側の検出値とリーン側の検出値をそれぞれ平均化して基準値と比較することで空燃比センサの劣化を検出するようにしたものがある。
しかし、この特許文献2の技術は、空燃比センサのリッチ側/リーン側の非対称劣化を検出して空燃比センサの劣化診断を行うだけであり、その非対称劣化の検出結果をフィードバック制御に反映させる機能がないため、非対称劣化による空燃比制御精度の悪化を低減することはできない。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、制御対象の無駄時間の劣化又は空燃比センサのリッチ側/リーン側の非対称劣化による空燃比制御精度の悪化を低減することができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサの検出値に基づいて内燃機関に噴射する燃料量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、この空燃比フィードバック制御手段によって算出された過去のフィードバック補正量のデータを時系列的に記憶する記憶手段とを備え、前記空燃比フィードバック制御手段は、前記記憶手段に記憶されている過去のフィードバック補正量のデータと前記空燃比センサの検出値と目標空燃比とを用いて今回のフィードバック補正量を算出する内燃機関の空燃比制御装置において、内燃機関に噴射した燃料量の変化が前記空燃比センサの出力の変化として現れるまでの無駄時間を検出する無駄時間検出手段を備え、前記空燃比フィードバック制御手段は、今回のフィードバック補正量を算出する際に用いる前記過去のフィードバック補正量のデータの個数を前記無駄時間検出手段で検出した無駄時間に応じて変化させるようにしたものである。このようにすれば、無駄時間の劣化が進むほど、過去のフィードバック補正量のデータの個数を増加させてフィードバック制御を安定させるという制御が可能となり、無駄時間の劣化による空燃比制御精度の悪化を低減することができる。
本発明は、演算処理を簡略化するために、無駄時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化を考慮せずに、無駄時間を検出する構成としても良いが、請求項2のように、無駄時間検出手段は、空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化するときの無駄時間とリーンからリッチに変化するときの無駄時間とをそれぞれ検出し、検出した2つの無駄時間のうちの大きい方の無駄時間を選択して、今回のフィードバック補正量を算出する際に用いる前記過去のフィードバック補正量のデータの個数を前記大きい方の無駄時間に応じて変化させるようにすると良い。このようにすれば、無駄時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化も考慮してフィードバック補正量を算出することができ、無駄時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化による空燃比制御精度の悪化を低減することができる。
また、請求項3のように、無駄時間検出手段で検出した無駄時間の劣化度合を判定する無駄時間劣化度合判定手段を備え、前記空燃比フィードバック制御手段は、前記無駄時間劣化度合判定手段で判定した無駄時間の劣化度合が所定の判定しきい値以下であるときには、今回のフィードバック補正量を算出する際に用いる前記過去のフィードバック補正量のデータの個数を初期特性相当値に設定するようにすると良い。このようにすれば、無駄時間の劣化度合が少なく、初期特性との差が小さい場合は、今回のフィードバック補正量を算出する際に用いる過去のフィードバック補正量のデータの個数を初期特性相当値に固定することができ、過去のフィードバック補正量のデータの個数を不必要に変化させずに済む。
また、請求項4,5のように、空燃比センサの応答時間を検出する応答時間検出手段と、この応答時間検出手段で検出した応答時間に応じて空燃比フィードバック制御手段によるフィードバック制御のゲイン(以下「制御ゲイン」という)を補正する制御ゲイン補正手段とを備え、前記応答時間検出手段は、前記空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化するときの応答時間(以下「リーン方向応答時間」という)とリーンからリッチに変化するときの応答時間(以下「リッチ方向応答時間」という)とをそれぞれ検出し、前記制御ゲイン補正手段は、前記空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化するときにはリーン方向応答時間に応じて前記制御ゲインを補正し、前記空燃比センサの出力がリーンからリッチに変化するときにはリッチ方向応答時間に応じて前記制御ゲインを補正するようにしても良い。このようにすれば、空燃比センサの応答時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化に対応して制御ゲインをリッチ側とリーン側とで別々に補正することが可能となり、空燃比センサの応答時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化による空燃比制御精度の悪化を低減することができる。
この場合、請求項6のように、前記応答時間検出手段で検出した各応答時間の劣化度合をそれぞれ判定する応答時間劣化度合判定手段を備え、前記制御ゲイン補正手段は、前記各応答時間の劣化度合が所定の判定しきい値以下であるときには、前記制御ゲインを初期特性相当値に設定するようにしても良い。このようにすれば、応答時間の劣化度合が少なく、初期特性との差が小さい場合は、制御ゲインを初期特性相当値に固定することができ、制御ゲインを不必要に変化させずに済む。
また、空燃比センサの出力の変化方向の判定方法は、空燃比センサの今回の出力と前回の出力との差分値がプラス値かマイナス値かで空燃比センサの出力のリッチ/リーンの変化方向を判定する判定するようにしても良いし、或は、請求項7のように、空燃比センサの出力の微分値又は2階微分値がプラス値かマイナス値かで該空燃比センサの出力のリッチ/リーンの変化方向を判定するようにすると良い。このようにすれば、空燃比のリッチ/リーンの変化方向を極めて簡単に判定することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ10によって開度調節されるスロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ21が取り付けられ、各点火プラグ21の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
また、エンジン11の吸気バルブ28には、該吸気バルブ28の開閉タイミング(吸気バルブタイミング)を可変する可変吸気バルブタイミング機構29が設けられ、排気バルブ30には、該排気バルブ30の開閉タイミング(排気バルブタイミング)を可変する可変排気バルブタイミング機構31が設けられている。
一方、エンジン11の排気管22には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒等の触媒23が設けられ、この触媒23の上流側に、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサ24が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ25や、エンジン11のクランク軸が一定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ26が取り付けられている。このクランク角センサ26の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)27に入力される。このECU27は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、空燃比センサ24で検出した排出ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように状態フィードバックを実行して空燃比補正係数FAF(フィードバック補正量)を算出して、エンジン11に噴射する燃料量(混合気の空燃比)をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段として機能する。
この空燃比フィードバック制御系は、エンジン11に噴射する燃料量を変化させてから空燃比センサ24の出力が変化するまでの制御対象の動特性を無駄時間+1次遅れ特性で表現してモデル化して設計されている。尚、この制御対象の動特性を無駄時間+2次遅れ特性でモデル化しても良く、要は、無駄時間+n次遅れ特性(nは正の整数)でモデル化すれば良い。
一般に、状態フィードバックの制御パラメータF1〜Fd+1 ,F0に基づいて空燃比補正係数FAF(i) を算出する場合は、次式が用いられることが多い。
FAF(i) =F1・λ(i) +F2・FAF(i-1) +F3・FAF(i-2) +…
…+Fd+1 ・FAF(i-d) +F0・Σ(λref −λ(i) )
ここで、λ(i) は現在の空燃比(空気過剰率)、FAF(i-1) 〜FAF(i-d) は過去の空燃比補正係数、λref は目標空燃比(目標空気過剰率)である。dは、検出した無駄時間L(sec)を演算間隔(噴射間隔dt)で割り算した値の小数点以下を切り捨てて整数化した無駄時間である。
この空燃比補正係数の演算方法では、制御パラメータF1〜Fd+1 ,F0を運転条件等に応じて切り換えると、その瞬間に、空燃比補正係数FAFが一時的に乱れ、その結果、空燃比λが一時的に乱れる現象が発生する可能性がある。
そこで、本実施例では、今回の空燃比補正係数補正値ΔFAF(i) を算出し、今回の空燃比補正係数補正値ΔFAF(i) を前回の空燃比補正係数FAF(i-1) に加算して今回の空燃比補正係数FAF(i) を求める。
FAF(i) =FAF(i-1) +ΔFAF(i)
今回の空燃比補正係数補正値ΔFAF(i) は、次式により算出する。
ΔFAF(i) =F1・Δφ(i) +F2・ΔFAF(i-1) +…
…+Fd+1 ・ΔFAF(i-d) +Fd+2 ・ΔFAF(i-d-1)
+F0・(φref −φ(i) )
=F1・Δφ(i) +F2・{FAF(i-1) −FAF(i-2) }+…
…+Fd+2 ・{FAF(i-d-1) −FAF(i-d-2) }
+F0・(φref −φ(i) )
ここで、Δφ(i) は燃料過剰率の変化量、つまりΔφ(i) =φ(i) −φ(i-1) である。また、ΔFAF(i-1) 〜ΔFAF(i-d-1) は過去の空燃比補正係数補正値であり、φref は目標燃料過剰率である。尚、上式では、空燃比の代用情報として燃料過剰率φを用いたが、空気過剰率λを用いても良いことは言うまでもない。
上式を用いて空燃比補正係数FAFを演算すれば、状態フィードバックの制御パラメータF1〜Fd+2 ,F0を運転条件等に応じて切り換えても、空燃比補正係数FAFが乱れることがなくなり、空燃比が乱れる現象が発生しなくなる。これにより、制御パラメータF1〜Fd+2 ,F0を運転条件等に応じて切り換えながら、安定した空燃比制御を行うことが可能となる。
ところで、将来、益々厳しくなる排出ガス規制(低エミッション化の要求)に対応するには、制御対象の応答特性の劣化(無駄時間の劣化や空燃比センサ24の応答時間の劣化)による空燃比制御精度の悪化を低減する必要が生じてきている。
そこで、本実施例では、制御対象の応答特性の劣化がリッチ側とリーン側とで非対称に生じることを考慮して、空燃比センサ24の出力がリッチからリーンに変化するときの無駄時間dとリーンからリッチに変化するときの無駄時間dとをそれぞれ検出し、検出した2つの無駄時間dのうちの大きい方の無駄時間dを選択して、今回の空燃比補正係数FAF(i) を算出する際に用いる過去の空燃比補正係数FAF(i-1) 〜FAF(i-d-2) のデータの個数を前記大きい方の無駄時間dに応じて変化させるようにする。
更に、無駄時間dの劣化度合を判定し、この無駄時間dの劣化度合が所定の判定しきい値以下であるときには、今回の空燃比補正係数FAF(i) を算出する際に用いる過去の空燃比補正係数FAF(i-1) 〜FAF(i-d-2) のデータの個数を初期特性相当値に設定するようにしている。
また、本実施例では、空燃比センサ24の出力がリッチからリーンに変化するときの応答時間(以下「リーン方向応答時間」という)とリーンからリッチに変化するときの応答時間(以下「リッチ方向応答時間」という)とをそれぞれ検出し、空燃比センサ24の出力がリッチからリーンに変化するときにはリーン方向応答時間に応じて制御ゲイン(固有角周波数ω)を補正し、空燃比センサ24の出力がリーンからリッチに変化するときにはリッチ方向応答時間に応じて制御ゲイン(固有角周波数ω)を補正するようにしている。
更に、本実施例では、2つの応答時間の劣化度合をそれぞれ判定し、その結果、各応答時間の劣化度合が所定の判定しきい値以下であるときには、制御ゲイン(固有角周波数ω)を初期特性相当値に設定するようにしている。
以上説明した本実施例の空燃比フィードバック制御系の構成は、図2に機能ブロック図で示されている。この空燃比フィードバック制御系の各機能は、ECU27が実行する図3乃至図13の各プログラムによって実現される。以下、これら各プログラムの処理内容を説明する。
[燃料噴射量演算プログラム]
図3の燃料噴射量演算プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、次のようにして燃料噴射量TAUを算出する。まず、ステップ301で、現在のエンジン運転状態に応じてマップ等により基本噴射量Tpを算出する。この後、ステップ302に進み、基本噴射量Tpに対する各種の補正係数FALL(例えば冷却水温による補正係数、加減速時の補正係数等)を算出し、次のステップ303で、空燃比フィードバック条件が成立しているか否かを判定する。もし、空燃比フィードバック条件が成立していなければ、空燃比補正係数FAFを「1」にセットして、オープンループ制御により空燃比を制御する。
一方、空燃比フィードバック条件が成立していれば、ステップ305に進み、排出ガスの空燃比を触媒23の浄化ウインドウ(理論空燃比付近)内に収めるように目標燃料過剰率φref を設定し、次のステップ306で、後述する図10のFAF演算プログラムを実行して空燃比補正係数FAFを算出する。
以上のようにして、ステップ304又は306で空燃比補正係数FAFを設定した後、ステップ307に進み、基本噴射量Tpに空燃比補正係数FAFと各種補正係数FALLを乗算して燃料噴射量TAUを求める。これにより、排出ガスの空燃比を触媒23の浄化ウインドウ内に制御する。
[制御対象特性値演算プログラム]
図4の制御対象初期特性値演算プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、制御対象のモデル時定数Tと無駄時間Lを次のようにして算出する(図2の31で示す部分の機能を実現する)。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ301で、吸入空気量Qaを読み込み、次のステップ402で、基本モデル時定数Tsen と基本無駄時間Lsen を、それぞれ吸入空気量Qaをパラメータとするマップ等により算出する。
この後、ステップ403に進み、負荷(吸入空気量Qa/エンジン回転速度Ne)と冷却水温THWを読み込んだ後、ステップ404に進み、時定数補正係数α1 と無駄時間補正係数α2 を、それぞれ負荷と冷却水温THWをパラメータとするマップにより算出する。尚、この補正係数α1 ,α2 の算出マップに用いる運転パラメータは、負荷と冷却水温THWの他に、エンジン回転速度Neや始動後経過時間を用いるようにしても良い。
各補正係数α1 ,α2 を算出した後、ステップ405に進み、基本モデル時定数Tsen 、基本無駄時間Lsen と、それぞれの補正係数α1 ,α2 を用いて、次式により制御対象のモデル時定数Tと無駄時間Lを算出して、本プログラムを終了する。
T=(1+α1 )・Tsen
L=(1+α1 )・Lsen
[噴射間隔演算プログラム]
図5の噴射間隔演算プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、噴射間隔dtを次のようにして算出する(図2の35で示す部分の機能を実現する)。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ411で、エンジン回転速度Ne(rpm)を読み込んだ後、ステップ412に進み、噴射間隔dtを次式により算出して、本プログラムを終了する。
dt=30/Ne×気筒数
[減衰係数ζ、固有角周波数ω演算プログラム]
図6の減衰係数ζ、固有角周波数ω演算プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、極配置法の演算に用いる減衰係数ζと固有角周波数ωを次のようにして算出する(図2に33で示す部分の機能を実現する)。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ421で、吸入空気量Qaを読み込み、次のステップ422で、基本減衰係数ζsen と基本固有角周波数ωsen を、それぞれ吸入空気量Qaをパラメータとするマップにより算出する。
この後、ステップ423に進み、負荷(吸入空気量Qa/エンジン回転速度Ne)と冷却水温THWを読み込んだ後、ステップ424に進み、減衰係数補正係数α3 と固有角周波数補正係数α4 を、それぞれ負荷と冷却水温THWをパラメータとするマップにより算出する。尚、この補正係数α3 ,α4 の算出マップに用いる運転パラメータは、負荷と冷却水温THWの他に、エンジン回転速度や始動後経過時間を用いるようにしても良い。
各補正係数α3 ,α4 の算出後、ステップ425に進み、基本減衰係数ζsen 、基本固有角周波数ωsen と、それぞれの補正係数α3 ,α4 を用いて、次式により減衰係数ζと固有角周波数ωを算出して本プログラムを終了する。
ζ=(1+α3 )・ζsen
ω=(1+α4 )・ωsen
本実施例では、固有角周波数ω(制御ゲイン)は、後述するように応答時間に応じて補正される。
[モデルパラメータ演算プログラム]
図7のモデルパラメータ演算プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動されて、モデルパラメータa,b1 ,b2 を次のようにして算出する(図2に38で示す部分の機能を実現する)。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ431で、モデル時定数T、制御対象の現在の特性で補正された無駄時間L、噴射間隔dtを読み込み、次のステップ432で、噴射間隔dt(演算間隔)を基準にして換算した無駄時間d(=L/dt)を小数点以下を切り捨てて求めると共に、その切り捨て誤差L1 (=L−d・dt)を算出する。
この後、ステップ433に進み、モデル時定数Tと噴射間隔dtを用いてモデルパラメータaを次式により算出する。
a=exp(−dt/T)
この演算は、高性能のCPUを必要とするため、現在の車載コンピュータのCPUの演算能力では、exp(−dt/T)の演算を高速で行うことは困難であると思われる。そこで、本実施例では、演算負荷を軽減するために、dt/Tが例えば0.35以下の時は、exp(−dt/T)を次式により近似し、この近似式によりモデルパラメータaを算出する。
a=1−dt/T+0.5(dt/T)2
この近似式は、dt/Tが大きくなるに従って、演算誤差が大きくなるため、dt/Tが例えば0.35よりも大きい領域では、予め、dt/Tとモデルパラメータaとの関係をテーブル化してROMに記憶しておき、このテーブルを検索して、現在のdt/Tに応じたモデルパラメータaを求める。尚、dt/Tが、0.35以下の時にも、予め設定したテーブルからモデルパラメータaを求めるようにしても良い。
この後、ステップ434に進み、モデルパラメータb1 ,b2 の算出に用いる変数βを次式により算出する。
β=exp{−(dt−L1 )/T}
この変数βを算出する際も、演算負荷を軽減するために、(dt−L1 )/Tが例えば0.35以下の時は、exp{−(dt−L1 )/T}を次式により近似し、この近似式により変数βを算出する。
β=1−(dt−L1 )/T+0.5{(dt−L1 )/T}2
この近似式は、(dt−L1 )/Tが大きくなるに従って、演算誤差が大きくなるため、(dt−L1 )/Tが例えば0.35よりも大きい領域では、予め、(dt−L1 )/Tと変数βとの関係をテーブル化してROMに記憶しておき、このテーブルを検索して現在の(dt−L1 )/Tに応じた変数βを求める。尚、(dt−L1 )/Tが0.35以下の時にも、予め設定したテーブルから変数βを求めるようにしても良い。
この後、ステップ435に進み、変数βとモデルパラメータaを用いてモデルパラメータb1 ,b2 を次式により算出する。
b1 =1−β
b2 =1−b1 −a
[特性多項式の係数演算プログラム]
図8の特性多項式の係数演算プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、制御モデルの無駄時間d分の根を0とする極配置法に基づいて特性多項式の係数A1,A2を次のようにして算出する(図2に39に示す部分の機能を実現する)。尚、極配置法に関しては、本出願人が先に出願した特願2000−189734号の明細書に詳細に記載されている。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ441で、減衰係数ζ、応答時間に応じて補正された固有角周波数ω、噴射間隔dtを読み込み、次のステップ442で、ω・dtを上限ガード値(例えば0.6283)でガード処理する。つまり、ω・dtが上限ガード値よりも大きい場合は、ω・dt=上限ガード値にセットし、ω・dtが上限ガード値以下の場合は、その時のω・dtの値をそのまま用いる。このように、ω・dtを上限ガード値でガード処理する理由は、ω・dtの値が大きくなり過ぎると、制御精度が低下するためである。
ω・dtのガード処理後、ステップ443に進み、特性多項式の係数A1,A2の算出に用いる変数ezwdtを次式により算出する。
ezwdt=exp(−ζ・ω・dt)
この変数ezwdtを算出する場合も、ECU27のCPU演算負荷を軽減するために、ζ・ω・dtが例えば0.35以下の時は、exp(−ζ・ω・dt)を次式により近似し、この近似式により変数ezwdtを算出する。
ezwdt=1−ζ・ω・dt+0.5(ζ・ω・dt)2
この近似式は、ζ・ω・dtが大きくなるに従って、演算誤差が大きくなるため、ζ・ω・dtが例えば0.35よりも大きい領域では、予め、ζ・ω・dtと変数ezwdtとの関係をテーブル化してROMに記憶しておき、このテーブルを検索して現在のζ・ω・dtに応じた変数ezwdtを求める。尚、ζ・ω・dtが0.35以下の時にも、予め設定したテーブルから変数ezwdtを求めるようにしても良い。
この後、ステップ444に進み、特性多項式の係数A1,A2の算出に用いる他の変数coszwtを次式により算出する。
coszwt=cos{(1−ζ2 )0.5 ・ω・dt}
この変数coszwtを算出する場合も、CPUの演算負荷を軽減するために次の近似式を用いる。
coszwt=1−0.5(1−ζ2 )(ω・dt)2
この後、ステップ445に進み、変数ezwdt,coszwtを用いて、特性多項式の係数A1,A2を次式により算出する。
A1=−2・ezwdt・coszwt
A2=(ezwdt)2
[制御パラメータ演算プログラム]
図9の制御パラメータ演算プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、状態フィードバックの制御パラメータF0〜Fd+2 を次のようにして算出する(図2に40に示す部分の機能を実現する)。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ451で、制御モデルのモデルパラメータa,b1 ,b2 を読み込み、次のステップ452で、特性多項式の係数A1,A2を読み込む。
この後、ステップ453に進み、モデルパラメータa,b1 ,b2 と係数A1,A2を用いて制御パラメータF0〜Fd+2 を算出する。この場合、制御パラメータF0〜Fd+2 の個数は、後述する図12の制御パラメータ個数算出プログラムによって設定される。
例えば、d=6の場合は、次式により制御パラメータF0〜F8を算出する。
F0=(1+A1+A2)/(b1 +b2 )
F2=−1−a−A1
F3=a−A2+(1+a)・F2
F4=(1+a)・F3−a・F2
F5=(1+a)・F4−a・F3
F6=(1+a)・F5−a・F4
F7=(1+a)・F6−a・F5
F1=a/(a・b1 +b2 )・(a・F7−b1 ・F0)
F8=b2 /a・F1
[FAF演算プログラム]
図10のFAF演算プログラムは、前述した図3の燃料噴射量演算プログラムのステップ306で起動され、次のようにして空燃比補正係数FAFを算出する(図2に41に示す部分の機能を実現する)。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ462で、現在の燃料過剰率φ(i) 、目標燃料過剰率φref 、制御パラメータF0〜Fd+2 を読み込む。この場合、制御パラメータF0〜Fd+2 の個数は、後述する図12の制御パラメータ個数算出プログラムによって設定される。
この後、ステップ463に進み、目標燃料過剰率φref と実際の燃料過剰率φ(i) との偏差e(i) を算出する。
e(i) =φref −φ(i)
この後、ステップ464に進み、前回から今回までの燃料過剰率の変化量Δφ(i) を算出する。
Δφ(i) =φ(i) −φ(i-1)
この後、ステップ465に進み、前回の空燃比補正係数FAF(i-1) に今回の空燃比補正係数補正値ΔFAF(i) を加算して今回の空燃比補正係数FAF(i) を求める。
FAF(i)
=FAF(i-1) +ΔFAF(i)
=FAF(i-1) +F1・Δφ(i) +F2・{FAF(i-1) −FAF(i-2) }+… …+Fd+2 ・{FAF(i-d-1) −FAF(i-d-2) }+F0・e(i)
この後、ステップ466に進み、次回の空燃比補正係数FAFの演算に備えてφ(i-1) 、FAF(i-1) 〜FAF(i-d-2) の記憶データを更新する。
φ(i-1) =φ(i)
FAF(i-1) =FAF(i)
FAF(i-2) =FAF(i-1)
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
FAF(i-d) =FAF(i-d+1)
FAF(i-d-1) =FAF(i-d)
FAF(i-d-2) =FAF(i-d-1)
尚、今回の空燃比補正係数補正値ΔFAF(i) を次式により算出した後、今回の空燃比補正係数補正値ΔFAF(i) を前回の空燃比補正係数FAF(i-1) に加算して今回の空燃比補正係数FAF(i) を求めるようにしても良い。
ΔFAF(i) =F1・Δφ(i) +F2・ΔFAF(i-1) +…
…+Fd+1 ・ΔFAF(i-d) +Fd+2 ・ΔFAF(i-d-1)
+F0・(φref −φ(i) )
この場合は、次回の空燃比補正係数FAF、空燃比補正係数補正値ΔFAFの演算に備えて、ΔFAF(i-1) 〜FAF(i-d-1) の記憶データを更新するようにすれば良い。
[制御ゲイン算出プログラム]
図11の制御ゲイン算出プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、空燃比センサ24の応答時間に応じて制御ゲイン(固有角周波数ω)を補正する制御ゲイン補正手段としての役割を果たす。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ501で、現在のエンジン運転条件(吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne等)を読み込み、次のステップ502で、制御対象初期特性マップ(図15参照)を検索して、現在のエンジン運転条件(吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne等)に応じた制御対象の初期特性における応答時間を算出する。
この後、ステップ503に進み、空燃比センサ24の出力の変化方向を判定する。この際、空燃比センサ24の今回の出力と前回の出力との差分値がプラス値かマイナス値かで空燃比センサ24の出力のリッチ/リーンの変化方向を判定する判定するようにしても良いし、図14に示すように、空燃比センサ24の出力の微分値又は2階微分値がプラス値かマイナス値かで空燃比センサ24の出力のリッチ/リーンの変化方向を判定するようにしても良い。
この後、ステップ504に進み、上記ステップ503の判定結果に基づいて、空燃比センサ24の出力の変化方向がリッチからリーンに変化する方向であるか否かを判定し、リッチからリーンに変化する方向であれば、ステップ506に進み、現在の制御対象のリッチからリーンに変化する方向の応答時間(「リーン方向応答時間」という)を計測又は逐次同定する。リーン方向応答時間を計測する場合は、例えば、特開2007−187129号公報、特開2007−9713号公報、特開2007−19708号公報等に記載された方法を用いれば良い。
一方、上記ステップ504で、空燃比センサ24の出力の変化方向がリッチからリーンに変化する方向でないと判定されれば、ステップ505に進み、リーンからリッチに変化する方向であるか否かを判定し、リーンからリッチに変化する方向であれば、ステップ507に進み、現在の制御対象のリーンからリッチに変化する方向の応答時間(「リッチ方向応答時間」という)を計測又は逐次同定する。リッチ方向応答時間を計測する場合は、例えば、特開2007−187129号公報、特開2007−9713号公報、特開2007−19708号公報等に記載された方法を用いれば良い。
尚、上記ステップ504、505でいずれも「No」と判定されれば、ステップ508に進み、リーン方向応答時間とリッチ方向応答時間の平均値を算出する。上述したステップ503〜508の処理が特許請求の範囲でいう応答時間検出手段(図2の32で示す部分)として機能する。
この後、ステップ509に進み、制御対象の現在の特性の応答時間と初期特性の応答時間との比率を同一運転条件で算出して、該比率を応答時間劣化度合として求める(図17参照)。このステップ509の処理が特許請求の範囲でいう応答時間劣化度合判定手段(図2の36で示す部分)として機能する。
そして、次のステップ510で、応答時間劣化度合を所定の判定しきい値(1+α)と比較して、応答時間劣化度合が判定しきい値(1+α)以上であれば、応答時間が劣化していると判断して、ステップ511に進み、応答時間を応答時間劣化度合に応じて補正し、次のステップ512で、図19に示す制御ゲイン補正係数マップを検索して、現在の応答時間劣化度合に応じた制御ゲイン補正係数を算出する。図19の制御ゲイン補正係数マップは、応答時間劣化度合が大きくなるほど、制御ゲイン補正係数が1(補正無し)から徐々に小さくなるように設定されている。
これに対して、上記ステップ510で、応答時間劣化度合が判定しきい値(1+α)より小さいと判定されれば、応答時間が劣化していないと判断して、応答時間の補正を行わず(ステップ513)、制御ゲイン補正係数を1に設定する(ステップ514)。
制御ゲイン補正係数の算出後、ステップ515に進み、図6の減衰係数ζ、固有角周波数ω演算プログラムで算出した初期特性の制御ゲイン(固有角周波数ω)を読み込み、次のステップ516で、初期特性の制御ゲインに上記制御ゲイン補正係数を乗算することで、初期特性の制御ゲインを補正して現在の特性の制御ゲインを求める。以上説明したステップ510〜516の処理が図2に37で示す部分に相当する。
[制御パラメータ個数算出プログラム]
図12の制御パラメータ個数算出プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、無駄時間に応じて制御パラメータF1〜Fd+2 ,F0の個数(過去の空燃比補正係数FAF(i-1) 〜FAF(i-d-2) のデータの個数)を次のようにして変化させる。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ601で、現在のエンジン運転条件(吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne等)を読み込み、次のステップ602で、制御対象初期特性マップ(図16参照)を検索して、現在のエンジン運転条件(吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne等)に応じた制御対象の初期特性における無駄時間を算出する。
この後、ステップ603に進み、空燃比センサ24の出力がリッチからリーンに変化するときの無駄時間(以下「リーン方向の無駄時間」という)とリーンからリッチに変化するときの無駄時間(以下「リッチ方向の無駄時間」という)とを計測又は逐次同定する。リーン方向とリッチ方向の無駄時間を計測する場合は、例えば、特開2007−187129号公報、特開2007−9713号公報、特開2007−19708号公報等に記載された方法を用いれば良い。このステップ603の処理が無駄時間検出手段(図2の32で示す部分)として機能する。
この後、ステップ604に進み、リーン方向の無駄時間とリッチ方向の無駄時間のうちの大きい方の無駄時間を選択する(図18参照)。この後、ステップ605に進み、制御対象の現在の特性の無駄時間と初期特性の無駄時間との比率を同一運転条件で算出して、該比率を無駄時間劣化度合として求める。このステップ605の処理が特許請求の範囲でいう無駄時間劣化度合判定手段としての役割を果たす。
この後、ステップ606に進み、無駄時間劣化度合を所定の判定しきい値(1+β)と比較して、無駄時間劣化度合が判定しきい値(1+β)以上であれば、無駄時間が劣化していると判断して、ステップ607に進み、無駄時間を無駄時間劣化度合に応じて補正する。この際、初期特性の無駄時間に無駄時間劣化度合を乗算することで、初期特性の無駄時間を補正して現在の特性の無駄時間を求めるようにしても良い。そして、次のステップ108で、補正後の無駄時間に応じて制御パラメータF1〜Fd+2 ,F0の個数(過去の空燃比補正係数FAF(i-1) 〜FAF(i-d-2) のデータの個数)を補正する。
これに対して、上記ステップ606で、無駄時間劣化度合が判定しきい値(1+β)より小さいと判定されれば、無駄時間が劣化していないと判断して、無駄時間の補正を行わなず(ステップ609)、制御パラメータF1〜Fd+2 ,F0の個数(過去の空燃比補正係数FAF(i-1) 〜FAF(i-d-2) のデータの個数)の補正を行わない(ステップ610)。
[制御対象特性変化格納プログラム]
図13に示す制御対象特性変化格納プログラムは、各気筒の噴射タイミングに同期して起動され、まずステップ701で、制御対象の現在の特性における応答時間と無駄時間を計測又は逐次同定する。この際、例えば、特開2007−187129号公報、特開2007−9713号公報、特開2007−19708号公報等に記載された方法を用いれば良い。この後、ステップ702に進み、エンジン運転条件(吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne等)毎に応答時間と無駄時間をメモリ(図示せず)に格納して本プログラムを終了する。
図20は、応答時間劣化に応じて制御ゲイン補正係数を変化させる挙動の一例を示すタイムチャートである。図20の例では、時刻t1 から時刻t2 までの間は、空燃比センサ24の出力の変化方向がリッチからリーンに変化する方向であるため、フィードバック制御に用いる応答時間としてリーン方向応答時間が選択され、時刻t2 から時刻t3 までの間は、空燃比センサ24の出力の変化方向がリーンからリッチに変化する方向であるため、フィードバック制御に用いる応答時間としてリッチ方向応答時間が選択される。図20の例では、リーン方向応答時間がリッチ方向応答時間よりも大きいため、リーン方向応答時間が選択される期間(t1 〜t2 )は、応答時間劣化度合が大きくなり、その結果、制御ゲイン補正係数が小さくなり、制御ゲインが小さくなるように補正される。
一方、図21は、無駄時間の劣化とフィードバック制御に用いる無駄時間との関係を説明するタイムチャートである。無駄時間の劣化に関しては、空燃比センサ24の出力の変化方向とは関係なく、常に、リーン方向の無駄時間とリッチ方向の無駄時間のうちの大きい方の無駄時間が選択され、大きい方の無駄時間がフィードバック制御に用いられる。
以上説明した本実施例では、制御対象の応答特性の劣化がリッチ側とリーン側とで非対称に生じることを考慮して、空燃比センサ24の出力がリッチからリーンに変化するときの無駄時間とリーンからリッチに変化するときの無駄時間とをそれぞれ検出し、検出した2つの無駄時間のうちの大きい方の無駄時間を選択して、今回の空燃比補正係数FAF(i) を算出する際に用いる過去のフィードバック補正量(空燃比補正係数FAF(i-1) 〜FAF(i-d-2) 等)のデータの個数を前記大きい方の無駄時間に応じて変化させるようにしたので、無駄時間の劣化が進むほど、過去の空燃比補正係数FAF(i-1) 〜FAF(i-d-2) のデータの個数を増加させてフィードバック制御を安定させるという制御が可能となり、無駄時間の劣化による空燃比制御精度の悪化を低減することができる。しかも、無駄時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化も考慮して、フィードバック補正量(空燃比補正係数FAF)を算出することができ、無駄時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化による空燃比制御精度の悪化を低減することができる。
但し、本発明は、演算処理を簡略化するために、無駄時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化を考慮せずに、無駄時間を検出する構成としても良い。
また、本実施例では、空燃比センサ24の出力がリッチからリーンに変化するときの応答時間(リーン方向応答時間)とリーンからリッチに変化するときの応答時間(リッチ方向応答時間)とをそれぞれ検出し、空燃比がリッチからリーンに変化するときにはリーン方向応答時間に応じて制御ゲインを補正し、空燃比センサ24の出力がリーンからリッチに変化するときにはリッチ方向応答時間に応じて制御ゲインを補正するようにしたので、空燃比センサ24の応答時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化に対応して制御ゲインをリッチ側とリーン側とで別々に補正することが可能となり、空燃比センサ24の応答時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化による空燃比制御精度の悪化を低減することができる。
尚、本発明は、状態フィードバックで空燃比を制御するシステムに限定されず、PID制御等、他の方式のフィードバック制御で空燃比を制御するシステムに適用して実施できる。
その他、本発明は、図1に示すような吸気ポート噴射式の内燃機関に限定されず、筒内噴射式の内燃機関や、吸気ポート噴射用の燃料噴射弁と筒内噴射用の燃料噴射弁の両方を備えたデュアル噴射式の内燃機関にも適用して実施できる等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
本発明の一実施例を示すエンジン制御システム全体の概略構成図である。 空燃比フィードバック制御系の各部の機能を表す機能ブロック図である。 燃料噴射量演算プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 制御対象特性値演算プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 噴射間隔演算プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 減衰係数ζ、固有角周波数ω演算プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 モデルパラメータ演算プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 特性多項式の係数演算プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 制御パラメータ演算プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 FAF演算プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 制御ゲイン算出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 制御パラメータ個数算出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 制御対象特性変化格納プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 空燃比センサの出力(空燃比)の変化方向を判定する方法を説明するためのタイムチャートである。 制御対象の応答時間とエンジン運転条件との関係の一例を示す図である。 制御対象の無駄時間とエンジン運転条件との関係の一例を示す図である。 空燃比センサの応答時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化とエンジン運転条件との関係の一例を示す図である。 制御対象の無駄時間のリッチ側/リーン側の非対称劣化とエンジン運転条件との関係の一例を示す図である。 応答時間劣化度合をパラメータとする制御ゲイン補正係数マップの一例を示す図である。 応答時間劣化に応じて制御ゲイン補正係数を変化させる挙動の一例を示すタイムチャートである。 無駄時間の劣化とフィードバック制御に用いる無駄時間との関係を説明するタイムチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、14…エアフローメータ、20…燃料噴射弁、22…排気管、23…触媒、24…空燃比センサ、27…ECU(空燃比フィードバック制御手段,無駄時間検出手段,無駄時間劣化度合判定手段,応答時間検出手段,応答時間劣化度合判定手段,制御ゲイン補正手段)

Claims (7)

  1. 内燃機関の排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサの検出値に基づいて内燃機関に噴射する燃料量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、この空燃比フィードバック制御手段によって算出された過去のフィードバック補正量のデータを時系列的に記憶する記憶手段とを備え、前記空燃比フィードバック制御手段は、前記記憶手段に記憶されている過去のフィードバック補正量のデータと前記空燃比センサの検出値と目標空燃比とを用いて今回のフィードバック補正量を算出する内燃機関の空燃比制御装置において、
    内燃機関に噴射した燃料量の変化が前記空燃比センサの出力の変化として現れるまでの無駄時間を検出する無駄時間検出手段を備え、
    前記空燃比フィードバック制御手段は、今回のフィードバック補正量を算出する際に用いる前記過去のフィードバック補正量のデータの個数を前記無駄時間検出手段で検出した無駄時間に応じて変化させる手段を有することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記無駄時間検出手段は、前記空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化するときの無駄時間とリーンからリッチに変化するときの無駄時間とをそれぞれ検出し、
    前記空燃比フィードバック制御手段は、前記無駄時間検出手段で検出した2つの無駄時間のうちの大きい方の無駄時間を選択して、今回のフィードバック補正量を算出する際に用いる前記過去のフィードバック補正量のデータの個数を前記大きい方の無駄時間に応じて変化させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記無駄時間検出手段で検出した無駄時間の劣化度合を判定する無駄時間劣化度合判定手段を備え、
    前記空燃比フィードバック制御手段は、前記無駄時間劣化度合判定手段で判定した無駄時間の劣化度合が所定の判定しきい値以下であるときには、今回のフィードバック補正量を算出する際に用いる前記過去のフィードバック補正量のデータの個数を初期特性相当値に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 前記空燃比センサの応答時間を検出する応答時間検出手段と、この応答時間検出手段で検出した応答時間に応じて前記空燃比フィードバック制御手段によるフィードバック制御のゲイン(以下「制御ゲイン」という)を補正する制御ゲイン補正手段とを備え、
    前記応答時間検出手段は、前記空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化するときの応答時間(以下「リーン方向応答時間」という)とリーンからリッチに変化するときの応答時間(以下「リッチ方向応答時間」という)とをそれぞれ検出し、
    前記制御ゲイン補正手段は、前記空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化するときには前記リーン方向応答時間に応じて前記制御ゲインを補正し、前記空燃比センサの出力がリーンからリッチに変化するときには前記リッチ方向応答時間に応じて前記制御ゲインを補正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 内燃機関の排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサの検出値に基づいて内燃機関に噴射する燃料量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段と、前記空燃比センサの応答時間を検出する応答時間検出手段と、この応答時間検出手段で検出した応答時間に応じて前記空燃比フィードバック制御手段によるフィードバック制御のゲイン(以下「制御ゲイン」という)を補正する制御ゲイン補正手段とを備えた内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記応答時間検出手段は、前記空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化するときの応答時間(以下「リーン方向応答時間」という)とリーンからリッチに変化するときの応答時間(以下「リッチ方向応答時間」という)とをそれぞれ検出し、
    前記制御ゲイン補正手段は、前記空燃比センサの出力がリッチからリーンに変化するときには前記リーン方向応答時間に応じて前記制御ゲインを補正し、前記空燃比センサの出力がリーンからリッチに変化するときには前記リッチ方向応答時間に応じて前記制御ゲインを補正することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 前記応答時間検出手段で検出した各応答時間の劣化度合をそれぞれ判定する応答時間劣化度合判定手段を備え、
    前記制御ゲイン補正手段は、前記各応答時間の劣化度合が所定の判定しきい値以下であるときには、前記制御ゲインを初期特性相当値に設定することを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 前記制御ゲイン補正手段は、前記空燃比センサの出力の微分値又は2階微分値がプラス値かマイナス値かで該空燃比センサの出力のリッチ/リーンの変化方向を判定することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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