本発明は、単離した哺乳動物マイナス鎖RNAウイルス、すなわちパラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科内の、メタニューモウイルス(MPV)およびその変種に関する。また本発明は、メタニューモウイルス属およびその構成要素に系統学的に一致しまたは関連するものとして同定可能な、単離された哺乳動物マイナス鎖RNAウイルスにも関する。本発明の哺乳動物MPVは、変種A1、A2、B1、またはB2哺乳動物MPVでよい。しかし本発明の哺乳動物MPVは、まだ同定されていないMPVの追加の変種を包含することができ、変種A1、A2、B1、またはB2に限定されない。
本発明は、変種A1、A2、B1、およびB2の単離株も含めた哺乳動物メタニューモウイルス(MPV)単離株、特にヒトメタニューモウイルスの単離株の、種々の変種のゲノムヌクレオチド配列に関する。本発明は、診断および治療法を目的として、哺乳動物メタニューモウイルスの種々の単離株の配列情報を使用することに関する。本発明は、種々のメタニューモウイルス単離株でのゲノムヌクレオチド配列の相違と、この相違を本発明の診断および治療法に使用することに関する。詳細には本発明は、診断および治療法を目的として、種々のメタニューモウイルス単離株での1塩基多型(SNP)を使用することに関する。また本発明は、診断および治療法を目的として、哺乳動物メタニューモウイルスの種々の単離株の血清学上の特徴を、単独でまたは種々の単離株の配列情報と組み合わせて使用することにも関する。
本発明は、哺乳動物とトリ(APV)の両方のメタニューモウイルスを含めたメタニューモウイルスの、ゲノムまたはその一部をコードするヌクレオチド配列に関する。本発明は、哺乳動物とトリの両方のメタニューモウイルスを含めたメタニューモウイルスの、遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列に関する。本発明はさらに、ウイルスゲノムに対して異種のまたは非天然のヌクレオチド配列の他、哺乳動物のトリの両方を含めたメタニューモウイルスのゲノムまたはその一部をコードするDNAおよびRNAを含めた核酸に関する。本発明はさらに、前記ヌクレオチド配列によってコードされた組換えまたはキメラウイルスを包含する。
本発明によれば、組換えウイルスは、内在性のまたは天然のゲノム配列あるいは非天然のゲノム配列によってコードされた哺乳動物MPVまたはAPVから得られたものである。本発明によれば、非天然配列は、天然のまたは内在性のゲノム配列とは異なるものであるが、それは表現型の変化をもたらしてももたらさなくてもよいゲノム配列に対する点変異、再配列、挿入、欠失などを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の変異があることに起因する。本発明によれば、キメラウイルスは、異種ヌクレオチド配列をさらに含む組換えMPVまたはAPVである。本発明によれば、キメラウイルスは、異種ヌクレオチド配列がゲノムに付加されあるいは内在性のまたは天然のヌクレオチド配列を異種ヌクレオチド配列に代えたヌクレオチド配列によりコードすることができる。
本発明はさらに、哺乳動物またはトリのメタニューモウイルスであって前記ウイルスの組換え形態も含めたメタニューモウイルスを含む、ワクチン製剤に関する。詳細には本発明は、MPVまたはAPVの糖タンパク質および/または非天然MPVまたはAPV糖タンパク質を含む、抗原性糖タンパク質を発現するMPVまたはAPVの組換えまたはキメラ形態を含んだワクチン製剤を包含する。また本発明は、PIVまたはRSVを含めた別のマイナス鎖RNAウイルスの抗原配列をコードするMPVまたはAPVの組換え形態、あるいはメタニューモウイルスの別の種または株の異種糖タンパク質を含む、ワクチン製剤も包含する。本発明はさらに、キメラhMPVが1つまたは複数のAPVタンパク質をコードし、キメラhMPVが任意選択でさらに1つまたは複数の異種配列または非天然配列を発現する、キメラhMPVを含むワクチンに関する。また本発明は、キメラAPVが1つまたは複数のhMPVタンパク質をコードし、キメラAPVが任意選択でさらに1つまたは複数の異種配列または非天然配列を発現する、キメラAPVを含むワクチンにも関する。また本発明は、2価および3価のワクチンを含めた多価ワクチンにも関する。詳細には、本発明の2価および3価のワクチンは、MPV、APV、PIV、RSV、インフルエンザまたは別のマイナス鎖RNAウイルス、あるいは麻疹ウイルスの抗原タンパク質をコードする、同じかまたは異なるニューモウイルスベクターにより発現した2つ以上の抗原ポリペプチドを包含する。
5.1 哺乳動物メタニューモウイルス
哺乳動物メタニューモウイルスの構造的特徴
本発明は、哺乳動物MPVを提供する。哺乳動物MPVは、パラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科に属するネガティブセンス1本鎖RNAウイルスである。さらに哺乳動物MPVは、系統学的にメタニューモウイルス属に相当するものとして同定可能であり、この哺乳動物MPVは、トリ鼻気管炎の病因物質であるシチメンチョウ鼻気管炎ウイルスよりも、I-2614としてCNCM(パリ)(配列番号19)に寄託されたウイルス単離株のほうに系統学上より密接に関係している。ウイルスは、例えばそのウイルスの核酸配列情報を得て系統学的分析により試験することによって、系統学上メタニューモウイルス属に相当するものとして同定可能である。ウイルスの株同士の系統学的関係を決定するには、当業者に知られている任意の技法を使用することができる。例示的な方法に関しては、セクション5.9を参照されたい。その他の技法は、参照によりその全体を本明細書に援用するWO 02/057302として公開された国際特許出願PCT/NL02/00040に開示されている。特にPCT/NL/02/00040は、第12頁第27行から第19頁第29行に系統学的分析に適した核酸配列を開示しており、これを本明細書に参照により援用する。ウイルスはさらに、以下により詳細に述べるように、配列の類似性に基づいて哺乳動物MPVとして同定可能である。
本明細書に開示される哺乳動物MPVに対するウイルスの系統学的関連性および配列類似性の他、本明細書に開示される哺乳動物MPVのゲノム構成に対するウイルスのゲノム構成の類似性も、このウイルスを哺乳動物MPVと同定するのに使用することができる。哺乳動物MPVの代表的なゲノム構成に関しては図27を参照されたい。ある実施形態では、哺乳動物MPVのゲノム構成が、パラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科内のニューモウイルスのゲノム構成とは異なっている。2つの属、すなわちメタニューモウイルス属とニューモウイルス属との分類は、主にそれらの遺伝子配座に基づいており、メタニューモウイルスは一般にNS1やNS2などの非構造タンパク質に欠けており(Randhawa他、1997、J.Virol.71:9849〜9854も参照)、遺伝子の順序はニューモウイルスと異なっている(RSV:'3-NS1-NS2-N-P-M-SH-G-F-M2-L-5'、APV:'3-N-P-M-F-M2-SH-G-L-5')(Lung他、1992、J.Gen.Virol. 73:1709〜17 15; Yu他、1992、Virology 186:426〜434; Randhawa他、1997、J.Virol.71:9849〜9854)。
さらに本発明の哺乳動物MPVは、その免疫学的性質によって同定することができる。ある実施形態では、哺乳動物MPVを中和することができる特定の抗血清を、哺乳動物MPVに対して産生することができる。同様に哺乳動物MPVを中和することができるモノクローナルおよびポリクローナル抗体を、MPVに対して産生することができる(本明細書に参照により援用するPCT WO 02/057302、第_〜_頁参照)。
本発明の哺乳動物MPVはさらに、哺乳動物宿主、すなわち哺乳動物培養細胞または哺乳類に感染する能力を特徴とする。APVとは異なり哺乳動物MPVは、ニワトリおよびシチメンチョウでは複製されず、または低いレベルでしか複製されない。しかし哺乳動物MPVは、カニクイザルなどの哺乳動物宿主において複製される。ある特定の、より具体的な実施形態では、哺乳動物MPVはさらに、哺乳動物宿主で複製する能力を特徴とする。ある特定の、より具体的な実施形態では、哺乳動物MPVはさらに、哺乳動物MPVのゲノムによりコードされたタンパク質を哺乳動物宿主で発現させる能力を特徴とする。さらに具体的な実施形態では、哺乳動物MPVにより発現したウイルスタンパク質を、哺乳動物宿主の細胞質膜に挿入する。ある実施形態では、本発明の哺乳動物MPVを哺乳動物宿主に感染させ、その哺乳動物宿主によって哺乳動物MPVの新しい感染性ウイルス粒子を産生することができる。本発明の哺乳動物MPVの機能的な特徴の、より詳細な記述に関しては、セクション5.1.2を参照されたい。
ある実施形態では、電子顕微鏡におけるウイルスの外観またはそのクロロホルムに対する感受性を使用して、ウイルスを哺乳動物MPVと同定することができる。本発明の哺乳動物MPVは、電子顕微鏡ではパラミクソウイルス様粒子のように見える。一貫して哺乳動物MPVはクロロホルムによる処理に敏感であるが、この哺乳動物MPVはtMK細胞またはこれに機能的に等しい細胞上で最適に培養され、これはほとんどの細胞培養物で本質的にトリプシン依存性のものである。さらに哺乳動物MPVは、典型的な細胞変性効果(CPE)を発揮し、赤血球の種に対する血球凝集活性に欠ける。MPV単離株によって誘発されたCPEは、hRSVによって誘発されたCPEに類似しており、特徴的なシンシチウム形成の後に細胞の急速な内部分裂があり、その後培養皿から単離する。ほとんどのパラミクソウイルスには血球凝集活性があるが、ニューモウイルスの大半にはない(Pringle,C.R.、The Paramyxoviruses;(D.W.Kingsbury編)1〜39(Plenum Press、New York、1991))。哺乳動物MPVは、M2タンパク質をコードする核酸断片中に第2の重複ORF(M2-2)を含有する。この第2の重複ORFの出現は、Ahmadian他、1999、J.Gen.Vir. 80:2011〜2016に示されるようにその他のニューモウイルスで生じる。
ある実施形態では、本発明は、哺乳動物MPVとしてウイルス単離株を同定する方法を提供する。試験サンプルは、例えば動物やヒトから得ることができる。次いでこのサンプルを、ニューモウイルス亜科のウイルスの存在に関して試験する。ニューモウイルス亜科のウイルスが存在する場合、そのウイルスを、本明細書で論じられる哺乳動物MPVの特徴であってこれらに限定されないもの、すなわち哺乳動物MPVとの系統学的関連性や、哺乳動物MPVのヌクレオチド配列に対するヌクレオチド配列の同一性、哺乳動物MPVのアミノ酸配列に対するアミノ酸配列の同一性/相同性、およびゲノム構成などのいずれかに関して試験することができる。さらにウイルスは、MPV単離株由来の核酸配列を使用したクロスハイブリダイゼーション実験によって、哺乳動物MPVに特異的なプライマーを使用したRT-PCRによって、または哺乳動物MPV単離株にを対象とする抗体を使用した古典的な交差血清反応によって、哺乳動物MPVであると同定することができる。あるその他の実施形態では、動物抗血清による定量中和によって決定されるような、免疫学的に他とは異なる特徴に基づいて、哺乳動物MPVを同定することができる。抗血清は、例えば哺乳動物MPVに感染したフェレットやブタ、マカクなどから得ることができる(例えば実施例8参照)。
ある実施形態では、血清型は、哺乳動物MPV以外のウイルスと交差反応しない。他の実施形態では、血清型は、どちらの方向でも同種対異種の力価比>16を示す。中和によって、2種のウイルス間に一方向または両方向で特定の交差反応度が示される場合(同種対異種の力価比が8または16)、DNA配列の実質的な生物理的/生化学的相違が存在するならば、血清型が異なることが考えられる。中和によって、2種のウイルス間に一方向または両方向で明らかな特定の交差反応度が示される場合(同種対異種の力価比が8よりも小さい)、検討中の単離株の血清型は同一であると考えられる。本明細書でMPV単離株00-1とも呼ぶ単離株I-2614は、プロトタイプとして使用することができる。
ある実施形態では、ウイルスは、配列または寄託により本明細書に開示されたウイルス単離株のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列との比較によるウイルスタンパク質または核酸の配列の相同性/同一性を用いて、哺乳動物MPVであると同定することができる。特にウイルスは、CNCM(パリ)にI-2614として寄託されたウイルス単離株に対する核酸同一性のパーセンテージが以下のようなとき、すなわちAPV-Cとの比較により以下に明らかにされるように、Lタンパク質、Mタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、またはFタンパク質をコードする核酸に関して本明細書で明らかにされたパーセンテージよりも高いパーセンテージであり、そのようなパーセンテージを有する核酸配列をウイルスゲノムが含有する場合に、哺乳動物MPVであると同定される(表1参照)(本明細書に参照により援用するPCT WO 02/05302、第12〜19頁参照)。理論に拘泥するものではないが、一般にウイルス種、特にRNAウイルス種は、ウイルス集団のメンバーが配列異種性を示す擬似的な種をしばしば構成することが知られている。したがって個々の単離株それぞれは、APV-Cと比較した場合、配列同一性のパーセンテージがいくらか異なる可能性があると予測される。
これまでのところ、MPVのタンパク質と、同じ科における既知のその他のウイルスのいずれかのタンパク質との間での最高のアミノ配列同一性は、APV-CとヒトMPVとの同一性である。図30に示される配列を比較した場合に推論できるように、ヒトMPVとAPV-Cとの間では、基質タンパク質に関するアミノ酸配列同一性が87%であり、核タンパク質では88%であり、リン酸化タンパク質では68%であり、融合タンパク質では81%であり、ポリメラーゼタンパク質での一部では56〜64%であり、表1も参照されたい。これらの最大値に比べて相同性の高いタンパク質をコードするORFを含有するウイルス単離株は、哺乳動物MPVと考えられる。他のウイルスと同様に、哺乳動物MPVの異なる単離株同士では、ある変化の度合が見出されることに留意されたい。
ある実施形態で、本発明は、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのSHタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号382(単離株NL/1/00のSHタンパク質; 表14参照)のアミノ酸配列に対して少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号382(単離株NL/1/00のSHタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも30%同一であるSHタンパク質を含んだ単離ネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号382(単離株NL/1/00のSHタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも30%同一であるSHタンパク質を含んだ単離ネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主内で複製することができる。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号382(単離株NL/1/00のSHタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも30%同一であるSHタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
ある実施形態で、本発明は、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのGタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号322(単離株NL/1/00のGタンパク質; 表14参照)のアミノ酸配列に対して少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号322(単離株NL/1/00のGタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも20%同一であるGタンパク質を含んだ単離ネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号322(単離株NL/1/00のGタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも20%同一であるGタンパク質を含んだ単離ネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主内で複製することができる。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号322(単離株NL/1/00のGタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも20%同一であるGタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
ある実施形態で、本発明は、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのLタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号330(単離株NL/1/00のLタンパク質; 表14参照)のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号330(単離株NL/1/00のLタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも85%同一であるLタンパク質を含む、単離ネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号330(単離株NL/1/00のLタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも85%同一であるLタンパク質を含んだ単離ネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主内で複製することができる。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号330(単離株NL/1/00のLタンパク質; 表14参照)に対して少なくとも20%同一であるLタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
ある実施形態で、本発明は、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのNタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号366のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号366に対してアミノ酸配列が少なくとも90%同一であるNタンパク質を含んだ単離されたネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号366に対してアミノ酸が90%同一であるNタンパク質を含んだ単離されたネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主内で複製することができる。アミノ酸の同一性は、Nタンパク質の全長にわたり計算される。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号366のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるNタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
本発明はさらに、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのPタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号374のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号374に対してアミノ酸配列が少なくとも70%同一であるPタンパク質を含んだ哺乳動物MPVは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号374に対してアミノ酸配列が少なくとも70%同一であるPタンパク質を含んだ哺乳動物MPVは、哺乳動物宿主内で複製することができる。アミノ酸の同一性は、Pタンパク質の全長にわたり計算される。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号374のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるPタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
本発明はさらに、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのMタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号358のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号358に対してアミノ酸配列が少なくとも90%同一であるMタンパク質を含んだ哺乳動物MPVは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号358に対してアミノ酸配列が90%同一であるMタンパク質を含んだ単離されたネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主内で複製することができる。アミノ酸の同一性は、Mタンパク質の全長にわたり計算される。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号358のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるMタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
本発明はさらに、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのFタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号314のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号314に対してアミノ酸配列が少なくとも85%同一であるFタンパク質を含んだ哺乳動物MPVは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号314に対してアミノ酸配列が85%同一であるFタンパク質を含んだ単離されたネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主内で複製することができる。アミノ酸の同一性は、Fタンパク質の全長にわたり計算される。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号314のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるFタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
本発明はさらに、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号338のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号338に対してアミノ酸配列が少なくとも85%同一であるM2-1タンパク質を含んだ哺乳動物MPVは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号338に対してアミノ酸配列が85%同一であるM2-1タンパク質を含んだ単離されたネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主内で複製することができる。アミノ酸の同一性は、M2-1タンパク質の全長にわたり計算される。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号338のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるM2-1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
本発明はさらに、哺乳動物MPV、すなわち哺乳動物MPVのM2-2タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号346のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一である哺乳動物MPVを提供する。配列番号346に対してアミノ酸配列が少なくとも60%同一であるM2-2タンパク質を含んだ単離された哺乳動物MPVは、哺乳動物宿主に感染することができる。ある実施形態で、配列番号346に対してアミノ酸配列が60%同一であるM2-2タンパク質を含んだ単離されたネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスは、哺乳動物宿主内で複製することができる。アミノ酸の同一性は、M2-2タンパク質の全長にわたり計算される。ある実施形態で、哺乳動物MPVは、配列番号346のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるM2-1タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。
ある実施形態で、本発明は以下のような哺乳動物MPVを提供し、すなわちネガティブセンス1本鎖RNAメタニューモウイルスが、(i)配列番号366に対するアミノ酸配列の同一性が少なくとも90%であるNタンパク質と、(ii)配列番号374に対するアミノ酸配列の同一性が少なくとも70%であるPタンパク質と、(iii)配列番号358に対するアミノ酸配列の同一性が少なくとも90%であるMタンパク質と、(iv)配列番号314に対するアミノ酸配列の同一性が少なくとも85%であるFタンパク質と、(v)配列番号338に対するアミノ酸配列の同一性が少なくとも85%であるM2-1タンパク質と、(vi)配列番号346に対するアミノ酸配列の同一性が少なくとも60%であるM2-2タンパク質とからなる群から選択された少なくとも2つのタンパク質、少なくとも3つのタンパク質、少なくとも4つのタンパク質、少なくとも5つのタンパク質、または少なくとも6つのタンパク質をコードするような哺乳動物MPVを提供する。
本発明は、哺乳動物MPVの2つのサブグループ、すなわちサブグループAおよびサブグループBを提供する。また本発明は、4つの変種、A1、A2、B1、およびB2も提供する。哺乳動物MPVは、単離株99-1(配列番号18)よりも単離株00-1(配列番号19)のほうに系統学上より密接な関係がある場合、サブグループAのメンバーであると同定することができる。哺乳動物MPVは、単離株00-1(配列番号19)よりも単離株99-1(配列番号18)のほうに系統学上より密接な関係がある場合、サブグループBのメンバーであると同定することができる。その他の実施形態では、サブグループAまたはBに属するものとして哺乳動物MPVを分類するために、個々のORFのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の相同性を使用することができる。
哺乳動物MPVの種々の単離株は、4つの異なる変種、すなわち変種A1、変種A2、変種B1、および変種B2に分けることができる(図21および22参照)。単離株00-1(配列番号19)は、哺乳動物MPVの変種A1の一例である。単離株99-1(配列番号18)は、哺乳動物MPVの変種B1の一例である。哺乳動物MPVは、系統学的分析を使用して4つの変種の1つに分類することができる。したがって哺乳動物MPVは、哺乳動物MPVの別の変種のメンバーに系統学上関係する場合よりも特定の変種の既知のメンバーに系統学上より密接に関係する場合、その特定の変種に属する。任意のORFの配列およびコードされたポリペプチドは、N、P、L、M、SH、G、M2、またはFポリペプチドを含む特定のサブグループまたは変種に属するものとしてMPV単離株を分類するのに使用することができる。特定の実施形態で、哺乳動物MPVをある変種に分類することは、Gタンパク質の配列に基づいている。理論に拘泥するものではないが、Gタンパク質の配列は、哺乳動物MPVの種々の変種のGタンパク質の中でその変化の度合が高いので、系統学的分析に十分適している。
本発明の、ある実施形態では、以下に述べるようにある条件下で2つの配列をハイブリダイズすることができる能力により、配列の相同性を決定することができる。それらの配列の互いに対する相同性および同一性を決定するために、本発明の方法では、哺乳動物MPVの核酸またはその逆相補体またはその相補体とハイブリダイズ可能な核酸を使用することができる。ある実施形態では、ストリンジェンシーの高い条件下で核酸をハイブリダイズする。
温度や塩濃度、pH、ホルムアミド濃度などであるがこれらに限定されないハイブリダイゼーション条件は、当業者に周知である(例えば、参照によりその全体を本明細書に援用するSambrook他、1989、第9〜11章、Molecular Cloning、A Laboratory Manual第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York参照)。ある実施形態では、ハイブリダイゼーションを水溶液中で行い、その溶液のイオン強度を一定に保ちつつ、ハイブリダイズする配列同士の配列相同性に応じてハイブリダイゼーション温度を変化させる。互いに100%同一であり200塩基対よりも長いDNA配列の場合、ハイブリダイゼーションは、完全ハイブリッドの融解温度(Tm)よりも約15〜25℃低い温度で実施する。融解温度(Tm)は、以下の方程式を使用して計算することができる(BoltonおよびMcCarthy、1962、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 84:1390)。
Tm=81.5℃-16.6(log10[Na+])+(%G+C)-0.63(%ホルムアミド)-(600/l)
上式で(Tm)は融解温度であり、[Na+]はナトリウム濃度であり、G+Cはグアニンおよびシトシンの含量であり、lは塩基対中のハイブリッドの長さである。配列同士のミスマッチの作用は、Bonner他による式を使用して計算することができ(Bonner他、1973、J.Mol.Biol. 81:123〜135)、ハイブリッド中の塩基対のミスマッチ1%ごとに、融解温度が1〜1.5℃ずつ低下する。
したがって2つの配列がハイブリダイズする温度を決定することにより、当業者は、ある配列が既知の配列とどの程度類似しているか評価することができる。これは、例えば経験的に決定されたハイブリダイゼーション温度と、既知の配列がその完全マッチにハイブリダイズするよう計算されたハイブリダイゼーション温度とを比較することによって行うことができる。Bonner他による式を使用すると、配列の類似性に関する情報を得るために、ハイブリダイゼーション温度と%ミスマッチとの関係を活用することができる。
限定するのではなく一例として、ストリンジェンシーが高いそのような条件を使用する手順は以下の通りである。DNAを含むフィルタのプレハイブリダイゼーションを、6×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAからなる緩衝液中、65Cで8時間から一晩かけて実施する。フィルタを、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5〜20×106cpmの32P-標識プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中、65Cで48時間ハイブリダイズする。フィルタの洗浄を、2×SSC、0.01% PVP、0.01% Ficoll、および0.01% BASを含有する溶液中、37Cで1時間行う。この後、0.1×SSC中50Cで45分間洗浄し、その後オートラジオグラフィにかける。使用することが可能なストリンジェンシーの高いその他の条件は、当技術分野で周知である。本発明のその他の実施形態では、ハイブリダイゼーションを、当業者に周知である条件など穏かな低ストリンジェンシー条件下で実施する(例えばSambrook他、1989、Molecular Cloning、A Laboratory Manual第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York参照; またAusubel他編、the Current Protocols in Molecular Biology series of laboratory technique manuals、1987〜1997、Current Protocols、(著作権) 1994〜1997 John Wiley and Sons,Inc.も参照、このそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。例示的な低ストリンジェンシー条件は、以下の緩衝液系によって得られ、すなわち35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100μg/ml変性サケ精子DNA、および10%(wt/vol)硫酸デキストランを含む緩衝液中で18〜20時間にわたり40℃でハイブリダイゼーションし、2×SSC、25mM Tris-HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDSからなる緩衝液中1.5時間55℃で洗浄し、さらに2×SSC、25mM Tris-HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDSからなる緩衝液中で1.5時間60℃で洗浄することによって得られる。
ある実施形態では、哺乳動物MPVの特定の変種に特異的なプローブを使用して、哺乳動物MPVを変種の1つに分類することができる。そのようなプローブには、RT-PCR用のプライマーと抗体が含まれる。哺乳動物MPVが特定の変種のメンバーであると同定するための例示的な方法については、以下のセクション5.9で述べる。
本発明のある実施形態では、種々のウイルスタンパク質のアミノ酸配列を用いることにより、哺乳動物MPVの種々の変種を互いに区別することができる(例えば図42b参照)。その他の実施形態では、ウイルスゲノムによってコードされた種々のORFのヌクレオチド配列を用いることにより、哺乳動物MPVの種々の変種を互いに区別することができる(例えば図42b参照)。哺乳動物MPVの変種はA1、A2、B1、またはB2でよいが、これらに限定されない。しかし本発明は、まだ同定されていない別の変種のメンバーである哺乳動物MPVの単離株も意図している。また本発明は、ウイルスが、1つの変種に密接に関係している1つまたは複数のORFと別の変種に系統学上密接に関係している1つまたは複数のORFを有する可能性があることも意図している。そのようなウイルスは、そのORFの大部分が系統学上密接に関係している変種に分類されると考えられる。系統学的関連性を決定するには、非コード配列を使用してもよい。
哺乳動物MPVの単離株は、それが以下のウイルス単離株: NL/1/00(配列番号19)、NL/17/00(配列番号20)、およびNL/1/94(配列番号21)のいずれかに関係するよりもウイルス単離株NL/1/99(配列番号18)のほうに系統学上より密接に関係している場合には、変種B1に分類される。哺乳動物MPVを1つの変種に分類するには、哺乳動物MPVのORFの1つまたは複数を使用することができる。哺乳動物MPVは、そのGタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のGタンパク質(配列番号324)に対して少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのNタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のNタンパク質(配列番号368)に対して少なくとも98.5%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのPタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のPタンパク質(配列番号376)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのMタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のMタンパク質(配列番号360)と同一である場合; そのFタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のFタンパク質(配列番号316)に対して少なくとも99%同一である場合; そのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のM2-1タンパク質(配列番号340)に対して少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのM2-2タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のM2-2タンパク質(配列番号348)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのSHタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のSHタンパク質(配列番号384)に対して少なくとも83%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; および/またはそのLタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/99で表される哺乳動物MPV変種B1のLタンパク質(配列番号332)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合、MPV変種B1に分類することができる。
哺乳動物MPVの単離株は、それが以下のウイルス単離株: NL/1/99(配列番号18)、NL/17/00(配列番号20)、およびNL/1/94(配列番号21)のいずれかに関係するよりもウイルス単離株NL/1/00(配列番号19)のほうに系統学上より密接に関係している場合には、変種A1に分類される。哺乳動物MPVを1つの変種に分類するには、哺乳動物MPVのORFの1つまたは複数を使用することができる。哺乳動物MPVは、そのGタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のGタンパク質(配列番号322)に対して少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのNタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のNタンパク質(配列番号366)に対して少なくとも99.5%同一である場合; そのPタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のPタンパク質(配列番号374)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのMタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のMタンパク質(配列番号358)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのFタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のFタンパク質(配列番号314)に対して少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のM2-1タンパク質(配列番号338)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのM2-2タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のM2-2タンパク質(配列番号346)に対して少なくとも96%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのSHタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のSHタンパク質(配列番号382)に対して少なくとも84%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; および/またはそのLタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/00で表される哺乳動物MPV変種A1のウイルスのLタンパク質(配列番号330)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合、MPV変種A1に分類することができる。
哺乳動物MPVの単離株は、それが以下のウイルス単離株: NL/1/99(配列番号18)、NL/1/00(配列番号19)、およびNL/1/94(配列番号21)のいずれかに関係するよりもウイルス単離株NL/17/00(配列番号20)のほうに系統学上より密接に関係している場合には、変種A2に分類される。哺乳動物MPVを1つの変種に分類するには、哺乳動物MPVのORFの1つまたは複数を使用することができる。哺乳動物MPVは、そのGタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のGタンパク質(配列番号322)に対して少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのNタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のNタンパク質(配列番号367)に対して少なくとも99.5%同一である場合; そのPタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のPタンパク質(配列番号375)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのMタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のMタンパク質(配列番号359)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのFタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のFタンパク質(配列番号315)に対して少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のM2-1タンパク質(配列番号339)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのM2-2タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のM2-2タンパク質(配列番号347)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのSHタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のSHタンパク質(配列番号383)に対して少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのLタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/17/00で表される哺乳動物MPV変種A2のLタンパク質(配列番号331)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合、MPV変種A2に分類することができる。
哺乳動物MPVの単離株は、それが以下のウイルス単離株: NL/1/99(配列番号18)、NL/1/00(配列番号19)、およびNL/17/00(配列番号20)のいずれかに関係するよりもウイルス単離株NL/1/94(配列番号21)のほうに系統学上より密接に関係している場合には、変種B2に分類される。哺乳動物MPVを1つの変種に分類するには、哺乳動物MPVのORFの1つまたは複数を使用することができる。哺乳動物MPVは、そのGタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のGタンパク質(配列番号325)に対して少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのNタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のNタンパク質(配列番号369)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのPタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のPタンパク質(配列番号377)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのMタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のMタンパク質(配列番号361)と同一である場合; そのFタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のFタンパク質(配列番号317)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; そのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のM2-1タンパク質(配列番号341)に対して少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のM2-2タンパク質(配列番号349)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるアミノ酸配列の場合; そのSHタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のSHタンパク質(配列番号385)に対して少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合; および/またはそのLタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプのNL/1/94で表される哺乳動物MPV変種B2のLタンパク質(配列番号333)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である場合、MPV変種B2に分類することができる。
ある実施形態では、配列同一性のパーゼンテージは完全長タンパク質のアライメントに基づいている。その他の実施形態では、配列同一性のパーセンテージはタンパク質の隣接するアミノ酸配列のアライメントに基づき、そのアミノ酸配列の長さは、25アミノ酸、50アミノ酸、75アミノ酸、100アミノ酸、125アミノ酸、150アミノ酸、175アミノ酸、200アミノ酸、225アミノ酸、250アミノ酸、275アミノ酸、300アミノ酸、325アミノ酸、350アミノ酸、375アミノ酸、400アミノ酸、425アミノ酸、450アミノ酸、475アミノ酸、500アミノ酸、750アミノ酸、1000アミノ酸、1250アミノ酸、1500アミノ酸、1750アミノ酸、2000アミノ酸、または2250アミノ酸でよい。
5.2 哺乳動物MPVの機能的特徴
哺乳動物MPVの構造的定義の他、哺乳動物MPVは、その機能的特徴によっても定義することができる。ある実施形態で、本発明の哺乳動物MPVは、哺乳動物宿主に感染することが可能である。哺乳動物宿主は、哺乳動物の細胞、組織、器官、または哺乳類でよい。特定の実施形態で、哺乳動物宿主はヒトであり、あるいはヒトの細胞、組織、または器官である。哺乳動物宿主が哺乳動物MPVに感染しているどうか試験をするには、当業者に知られている任意の方法を使用することができる。ある実施形態では、ウイルスが哺乳動物細胞に結合できるかどうか試験をする。その他のある実施形態では、ウイルスがそのゲノムを哺乳動物細胞内に移すことができるかどうかを試験する。例示的な実施形態では、ウイルスのゲノムを検出可能に標識し、例えば放射性標識する。次いでウイルスを、哺乳動物細胞と共に少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも15分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、少なくとも12時間、または少なくとも1日インキュベートする。その後、細胞を洗浄して細胞からウイルス粒子を全て除去し、次いでその細胞について、検出可能な標識を用いてウイルスゲノムが存在するかどうか試験をする。別の実施形態で、細胞内のウイルスゲノムの存在は、哺乳動物MPV特異的プライマーを使用したRT-PCRを使用して検出する(本明細書に参照により援用するPCT WO 02/057302、第37〜44頁参照)。
ある実施形態で、哺乳動物ウイルスは哺乳動物宿主に感染することができ、哺乳動物MPVのタンパク質を哺乳動物宿主の細胞質膜に挿入することができる。哺乳動物宿主は、培養哺乳動物細胞、器官、組織、または哺乳類でよい。例示的な実施形態では、哺乳動物細胞を哺乳動物ウイルスと共にインキュベートする。その後、細胞の表面からウイルスを除去する条件下で細胞を洗浄する。哺乳動物細胞の細胞質膜に挿入された、新たに発現したウイルスタンパク質を検出するには、当業者に知られている任意の技法を使用することができる。例えば細胞にウイルスを感染させた後、その細胞を、検出可能に標識されたアミノ酸を含む培地に維持する。その後、その細胞を収集し、溶解し、細胞質画分を膜画分から単離する。次いで膜画分のタンパク質を溶解し、次いでFタンパク質やGタンパク質などであるがこれらに限定されない哺乳動物MPVのタンパク質に特異的な抗体を使用した免疫沈降にかける。次いで免疫沈降したタンパク質をSDS PAGEにかける。次いでウイルスタンパク質の存在を、オートラジオグラフィによって検出することができる。別の実施形態で、宿主細胞の細胞質膜中のウイルスタンパク質の存在は、哺乳動物MPVのタンパク質に特異的な1つまたは複数の抗体を使用した免疫細胞化学によって検出することができる。
さらにその他の実施形態で、本発明の哺乳動物MPVは、哺乳動物宿主に感染することができ、また哺乳動物宿主内で複製することができる。哺乳動物宿主は、培養哺乳動物細胞、器官、組織、または哺乳類でよい。ウイルスが哺乳動物細胞に感染することができるのかどうか、また哺乳動物宿主内で複製できるのかどうかを決定するには、当業者に知られる任意の技法を使用することができる。特定の実施形態で、哺乳動物細胞はウイルスに感染する。その後、この細胞を、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、または少なくとも2日間維持する。細胞内のウイルスゲノムRNAのレベルは、そのウイルスゲノムに特異的なプローブを使用したノーザンブロット分析、RT-PCR、またはin situハイブリダイゼーションを使用してモニターすることができる。ウイルスゲノムRNAの増大は、ウイルスが哺乳動物細胞に感染することができ、また哺乳動物細胞内で複製できることを実証している。
さらにその他の実施形態では、本発明の哺乳動物MPVは哺乳動物宿主に感染することができ、感染によって、哺乳動物宿主は新しい感染性哺乳動物MPVを産生する。哺乳動物宿主は、培養哺乳動物細胞または哺乳類でよい。ウイルスが哺乳動物宿主に感染できるかどうか、また哺乳動物宿主が新しい感染性ウイルス粒子を産生するかどうかを決定するには、当業者に知られる任意の技法を使用することができる。例示的な実施例で、哺乳動物細胞は哺乳動物ウイルスに感染する。その後、細胞を洗浄し、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも1週間、または少なくとも12日間インキュベートする。ウイルスの力価は、当業者に知られている任意の方法によってモニターすることができる。例示的な方法についてはセクション5.8を参照されたい。
ある特定の実施形態では、哺乳動物MPVはヒトMPVである。このセクションで述べた試験は、ヒトMPVに関しても行うことができる。ある実施形態で、ヒトMPVは、哺乳類や哺乳動物培養細胞などの哺乳動物宿主に感染することができる。
ある実施形態では、ヒトMPVは哺乳動物宿主に感染することができ、ヒトMPVのタンパク質を哺乳動物宿主の細胞質膜に挿入することができる。
さらにその他の実施形態では、本発明のヒトMPVは哺乳動物宿主に感染することができ、また哺乳動物宿主内で複製することができる。
さらにその他の実施形態では、本発明のヒトMPVは哺乳動物宿主に感染することができ、また哺乳動物宿主内で複製することができ、その感染および複製によって、哺乳動物宿主は新しい感染性ヒトMPVを産生しパッケージすることができる。
ある実施形態では、哺乳動物MPVは哺乳動物宿主に感染することができるが、鳥類やトリ培養細胞などのトリ宿主にも感染することができる。ある実施形態で、哺乳動物MPVはトリ宿主に感染することができ、哺乳動物MPVのタンパク質をトリ宿主の細胞質膜に挿入することができる。さらにその他の実施形態で、本発明の哺乳動物MPVはトリ宿主に感染することができ、またトリ宿主内で複製することができる。さらにその他の実施形態で、本発明の哺乳動物MPVはトリ宿主に感染することができ、またトリ宿主内で複製することができ、そのような感染および複製によって、トリ宿主は新しい感染性哺乳動物MPVを産生しパッケージすることができる。
5.3 組換えおよびキメラメタニューモウイルス
本発明は、哺乳動物変種およびトリ変種を含む、メタニューモウイルスのゲノムから得られたウイルスベクターによってコードされた組換えまたはキメラウイルスを包含する。本発明によれば、組換えウイルスは、内在性のまたは天然のゲノム配列あるいは非天然のゲノム配列によってコードされた哺乳動物MPVおよびAPVから得られたものである。本発明によれば、非天然配列は、天然のまたは内在性のゲノム配列とは異なるものであるが、それは表現型の変化をもたらしてももたらさなくてもよいゲノム配列に対する点変異、再配列、挿入、欠失などを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の変異があることに起因する。本発明の組換えウイルスは、哺乳動物変種およびトリ変種を含む、メタニューモウイルスのゲノムから得られたウイルスベクターによってコードされたウイルスを包含し、ウイルスゲノムに対して非天然の核酸を含んでも含まなくてもよい。本発明によれば、メタニューモウイルスのゲノムから得られたウイルスベクターは、哺乳動物メタニューモウイルスの1つのORFの少なくとも一部をコードする核酸配列を含有するものであり、ORFによってコードされたポリペプチドは、前掲のセクション5.1および表1で述べたアミノ酸配列同一性を有している。
本発明によれば、本発明の組換えウイルスは、哺乳動物メタニューモウイルス(MPV)、特にヒトメタニューモウイルスのゲノムから得られたウイルスベクターによってコードされたウイルスを包含する。本発明の特定の実施形態では、ウイルスベクターは、メタニューモウイルスA1、A2、B1、またはB2変種のゲノムから得られる。本発明によれば、これらのウイルスベクターは、ウイルスゲノムに対して非天然の核酸を含んでも含まなくてもよい。
本発明によれば、本発明の組換えウイルスは、シチメンチョウ鼻気管炎ウイルス(TRTV)とも呼ばれるトリニューモウイルス(APV)のゲノムから得られたウイルスベクターによってコードされたウイルスを包含する。本発明の特定の実施形態で、ウイルスベクターは、APVサブグループA、B、C、またはDのゲノムから得られる。好ましい実施形態で、ウイルスベクターはAPVサブグループCのゲノムから得られる。本発明によれば、これらのウイルスベクターは、ウイルスゲノムに対して非天然の核酸を含んでも含まなくてもよい。
本発明の別の好ましい実施形態では、本発明の組換えウイルスは、APVサブグループCのF-ORFをコードする核酸配列を含有するAPVのゲノムから得られたウイルスベクターによってコードされたウイルスを包含する。ある実施形態で、APVのゲノムから得られたウイルスベクターは、少なくともAPVのN-ORF、P-ORF、M-ORF、F-ORF、M2-1-ORF、M2-2-ORF、またはL-ORFをコードする核酸配列を含有するものである。
本発明によれば、キメラウイルスは、異種ヌクレオチド配列をさらに含む組換えMPVまたはAPVである。本発明によれば、キメラウイルスは、異種ヌクレオチド配列がゲノムに付加されているヌクレオチド配列、あるいは内在性のまたは天然のヌクレオチド配列を異種ヌクレオチド配列に代えたヌクレオチド配列によって、コードすることができる。
本発明によれば、キメラウイルスは、異種ヌクレオチド配列をさらに含む本発明のウイルスベクターによってコードされる。本発明によれば、キメラウイルスは、ウイルスゲノムに対して非天然の核酸を含んでも含まなくてもよいウイルスベクターによってコードされる。本発明によれば、キメラウイルスは、異種ヌクレオチド配列が付加され、挿入され、あるいは天然のまたは非天然の配列で置換されているウイルスベクターによってコードされる。本発明によれば、キメラウイルスは、哺乳動物MPVの種々の株から得られたヌクレオチド配列によってコードすることができる。特にキメラウイルスは、MPVの種々の株から得られた抗原ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされる。
本発明によれば、キメラウイルスは、MPVの1つまたは複数の株から得られた抗原ポリペプチドをコードする異種配列をさらにコードするAPV、特にサブグループCのゲノムから得られたウイルスベクターによって、コードすることができる。
キメラウイルスは、2種以上のウイルスから保護する組換えワクチンの生成に特に有用なものでよい(Tao他、J.Virol. 72、2955〜2961; Durbin他、2000、J. Virol. 74、6821〜6831; Skiadopoulos他、1998、J.Virol. 72、1762〜1768; Teng他、2000、J.Virol. 74、9317〜9321)。例えば、MPVの1つまたは複数のタンパク質を発現するRSVまたはRSVベクターなど、別のマイナス鎖RNAウイルスの1つまたは複数のタンパク質を発現するMPVまたはAPVウイルスベクターは、そのようなベクターが接種された個体を両方のウイルス感染から保護すると考えることができる。PIVまたはその他のパラミクソウイルスに関しては同様の手法を考えることができる。弱毒化した複製欠陥ウイルスは、他のウイルスに関して示されたように、生ワクチンを用いたワクチン接種に有用なものでよい(本明細書に参照により援用するPCT WO 02/057302、第6および23頁参照)。
本発明によれば、本発明の組換えまたはキメラウイルスをコードするウイルスベクターに組み込む異種配列には、種々のメタニューモウイルスの株、トリニューモウイルスの株、その他のマイナス鎖RNAウイルスの株であってRSV、PIV、およびインフルエンザウイルスを含むがこれらに限定されないもの、麻疹ウイルスを含むその他のウイルスから得られまたは誘導された配列が含まれる。
本発明のある実施形態で、本発明のキメラまたは組換えウイルスは、1つまたは複数の配列、遺伝子間領域、終端配列、あるいは一部または全体のORFが異種配列または非天然配列で置換されているウイルスゲノムから得られたウイルスベクターによってコードされる。本発明のある実施形態で、本発明のキメラウイルスは、1つまたは複数の異種配列がベクターに付加されているウイルスゲノムから得られたウイルスベクターによってコードされる。
ある実施形態で、本発明のウイルスは、異種核酸を含有する。好ましい実施形態で、異種ヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの位置1に挿入されまたは付加される。別の好ましい実施形態で、異種ヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの位置2に挿入されまたは付加される。さらに別の好ましい実施形態で、異種ヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの位置3に挿入されまたは付加される。ウイルスゲノムのより低い数字の位置に核酸配列を挿入しまたは付加すると、ウイルスゲノム全体にわたる転写勾配が原因となって、より高い数字の位置に挿入した場合に比べて異種ヌクレオチド配列の発現がより強くまたはより高いレベルになる。したがって、異種ヌクレオチド配列の高い発現レベルが望まれる場合、より低い数字の位置に異種ヌクレオチド配列を挿入しまたは付加することは、本発明の好ましい実施形態である。
理論に拘泥するものではないが、異種配列の挿入または付加の位置は、組換えまたはキメラウイルスの複製速度に影響を及ぼす。異種配列をウイルスゲノムの位置2または位置1に挿入しまたは付加する場合、より高い複製速度を実現することができる。異種配列を位置3、位置4、位置5、または位置6に挿入しまたは付加する場合、複製速度は低下する。
理論に拘泥するものではないが、ウイルス遺伝子と異種配列との間の遺伝子間領域のサイズは、ウイルスの複製速度および異種配列の発現レベルをさらに決定する。
ある実施形態で、本発明のウイルスベクターは、2つ以上の異なる異種ヌクレオチド配列を含有する。好ましい実施形態で、1つの異種ヌクレオチド配列はウイルスゲノムの位置1にあり、第2の異種ヌクレオチド配列はウイルスゲノムの位置2にある。別の好ましい実施形態で、1つの異種ヌクレオチド配列はウイルスゲノムの位置1にあり、第2の異種ヌクレオチド配列はウイルスゲノムの位置3にある。さらに別の好ましい実施形態で、1つの異種ヌクレオチド配列はウイルスゲノムの位置2にあり、第2の異種ヌクレオチド配列はウイルスゲノムの位置3にある。その他のある実施形態では、異種ヌクレオチド配列を、ウイルスゲノムのその他のより高い数字の位置に挿入する。本発明によれば、異種配列の位置は、配列がウイルスゲノムから転写される順序を指し、例えば位置1の異種配列は、ゲノムから転写される最初の遺伝子配列になる。
ウイルスベクターの選択は、ウイルス感染を治療しまたはウイルス感染から保護する対象の種に依存すると考えられる。対象がヒトである場合、抗原配列を得るために、弱毒化した哺乳動物メタニューモウイルスまたはトリニューモウイルスを使用することができる。
本発明によれば、メタニューモウイルスによる感染に対して予防を行う抗原配列が得られるように、すなわち哺乳動物メタニューモウイルス、ヒトメタニューモウイルス、MPV変種A1、A2、B1、またはB2から得られた配列と、APVサブグループA、B、C、またはDを含むがCであることが好ましいトリニューモウイルスから得られた配列を含めた抗原配列が得られるように、ウイルスベクターを設計製作することができる。ウイルスベクターは、インフルエンザ、RSV、またはPIVであってPIV3も含めたマイナス鎖RNAウイルスを含む、別のウイルスによる感染または疾患に対して予防を行う抗原配列が得られるように、設計製作することができる。ウイルスベクターは、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の抗原配列が得られるように設計製作することができる。本発明によれば、抗原配列は、同じウイルスから、あるいは同型ウイルスの異なる株または変種から、あるいは麻疹ウイルスを含めた異なる変種から得ることができる。
本発明のある実施形態では、本発明のウイルスのゲノムに挿入する異種ヌクレオチド配列がメタニューモウイルスから得られる。本発明のある特定の実施形態では、異種ヌクレオチド配列がヒトメタニューモウイルスから得られる。別の特定の実施形態では、異種ヌクレオチド配列がトリニューモウイルスから得られる。より具体的には、本発明の異種ヌクレオチド配列は、ヒトメタニューモウイルスのF遺伝子をコードする。より具体的には、本発明の異種ヌクレオチド配列は、ヒトメタニューモウイルスのG遺伝子をコードする。より具体的には、本発明の異種ヌクレオチド配列は、トリニューモウイルスのF遺伝子をコードする。より具体的には、本発明の異種ヌクレオチド配列は、トリニューモウイルスのG遺伝子をコードする。特定の実施形態で、異種ヌクレオチド配列は、配列番号1から配列番号5までと配列番号14および配列番号15のいずれか1つでよい。ある特定の実施形態で、ヌクレオチド配列は、配列番号6から配列番号13までと配列番号16および配列番号17のいずれか1つのタンパク質をコードする。
本発明の特定の実施形態では、異種ヌクレオチド配列はキメラFタンパク質をコードする。例示的な実施形態で、キメラFタンパク質の外部ドメインはヒトMPVの外部ドメインであり、膜貫通ドメインおよび管腔ドメインは、トリメタニューモウイルスのFタンパク質から得られる。理論に拘泥するものではないが、ヒト外部ドメインおよびトリルミノール/膜貫通ドメインからなるキメラFタンパク質をコードするキメラヒトMPVは、Fタンパク質のトリ部分により弱毒化されるが、依然として、ヒト外部ドメインによりhMPVに対する免疫原性が高い。
ある実施形態では、哺乳動物およびトリを含むメタニューモウイルスゲノムから得られた、2つの異なる異種ヌクレオチド配列を、本発明のウイルスベクターに挿入しまたは付加する。例えば異種ヌクレオチド配列は、ヒトメタニューモウイルス、トリニューモウイルス、RSV、PIV、またはインフルエンザから得られる。好ましい実施形態で、異種配列は、ヒトメタニューモウイルス、トリニューモウイルス、RSV、またはPIVのFタンパク質をそれぞれコードする。別の実施形態で、異種配列は、インフルエンザのHAタンパク質をコードする。
ある実施形態では、本発明のウイルスベクターは2つの異なる異種ヌクレオチド配列を含有し、第1の異種ヌクレオチド配列がヒトメタニューモウイルスやトリニューモウイルスなどのメタニューモウイルスから得られ、第2のヌクレオチド配列が呼吸器合胞体ウイルスから得られる(表2参照)。特定の実施形態で、呼吸器合胞体ウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列は、呼吸器合胞体ウイルスのF遺伝子である。その他の特定の実施形態で、呼吸器合胞体ウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列は、呼吸器合胞体ウイルスのG遺伝子である。特定の実施形態で、メタニューモウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列は、呼吸器合胞体ウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列よりも低い数字の位置に挿入される。別の特定の実施形態で、メタニューモウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列は、呼吸器合胞体ウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列よりも高い数字の位置に挿入される。
ある実施形態では、本発明のウイルスは2つの異なる異種ヌクレオチド配列を含有し、第1の異種ヌクレオチド配列がヒトメタニューモウイルスやトリニューモウイルスなどのメタニューモウイルスから得られ、第2のヌクレオチド配列が、PIV3などであるがこれに限定されないパラインフルエンザウイルスから得られる(表2参照)。特定の実施形態で、PIVから得られた異種ヌクレオチド配列はPIVのF遺伝子である。その他の特定の実施形態で、PIVから得られた異種ヌクレオチド配列はPIVのG遺伝子である。特定の実施形態で、メタニューモウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列は、PIVから得られた異種ヌクレオチド配列よりも低い数字の位置に挿入される。別の特定の実施形態で、メタニューモウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列は、PIVから得られた異種ヌクレオチド配列よりも高い数字の位置に挿入される。
本発明により得られた発現産物および/または組換えまたはキメラウイルス粒子は、ワクチン製剤に利用できることが有利である。本発明の発現産物およびキメラウイルス粒子は、ウイルスおよび細菌抗原、腫瘍抗原、アレルゲン抗原、自己免疫異常に関わる自己抗原を含めた広範な病原体に対するワクチンが生成されるように、設計製作することができる。特に本発明のキメラウイルス粒子は、PIV、RSV、および/またはメタニューモウイルスによる感染から対象を保護するワクチンが生成されるように設計製作することができる。
別の実施形態では、抗HIVワクチンが生成されるように本発明のキメラウイルス粒子を設計製作することができ、脊椎動物の体液および細胞媒介型の両方の免疫応答を誘発させることができるワクチンが構成されるように、HIVのgp160および/または内部タンパク質由来の免疫原性ポリペプチドを糖タンパク質HNタンパク質に設計製作する。さらに別の実施形態で、本発明は、組換えメタニューモウイルスベクターと、変異抗原をコードするよう設計製作されたウイルスに関する。変異抗原は、野生型ウイルスタンパク質、すなわちそこから変異抗原が得られる野生型ウイルスタンパク質に対し、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、または付加を有する。
ある実施形態では、本発明は、本発明の組換えまたはキメラウイルスを含む3価ワクチンに関する。特定の実施形態で、3価ワクチンの主成分として使用されるウイルスは、RSVから得られた第1の異種ヌクレオチド配列とPIVから得られた第2の異種ヌクレオチド配列を含有するキメラトリ-ヒトメタニューモウイルスまたはキメラヒト-トリメタニューモウイルスである。例示的な実施形態で、そのような3価ワクチンは、(a)キメラトリ-ヒトメタニューモウイルスを使用するのかまたはキメラヒト-トリメタニューモウイルスを使用するのかに応じてそれぞれヒトメタニューモウイルスまたはトリニューモウイルスのF遺伝子および/またはG遺伝子の遺伝子産物に、(b)RSVから得られる異種ヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質に、(c)PIVから得られる異種ヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質に、特異的なものになる。特定の実施形態で、第1の異種ヌクレオチド配列は、呼吸器合胞体ウイルスのF遺伝子であり位置1に挿入され、第2の異種ヌクレオチド配列は、PIVのF遺伝子であり位置3に挿入される。さらに多くの組合せが本発明に包含され、その一部を例として表2に示す。さらに、キメラFタンパク質をコードするヌクレオチド配列を使用することができる(前掲参照)。いくつかのそれほど好ましくはない実施形態で、異種ヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムのより高い数字の位置に挿入することができる。
ある実施形態では、ウイルス抗原、腫瘍抗原、および自己免疫障害に関わる自己抗原を含めた広範な病原体に対するワクチンが生成されるように、本発明の発現産物と組換えまたはキメラウイルス粒子を設計製作することができる。この目標を達成する1つの方法では、既存のメタニューモウイルス遺伝子がそのそれぞれの外部ドメインに外来の配列を含有するよう変性させる。異種配列が病原体のエピトープまたは抗原である場合、これらのキメラウイルスは、これらの決定基が得られる病原体に対して防御免疫応答を誘発させるのに使用することができる。
したがって本発明は、広範なウイルスおよび/または抗原に対するワクチンを処方するために、ウイルスベクターと組換えまたはキメラウイルスを使用することに関する。本発明のウイルスベクターおよびキメラウイルスは、体液性免疫応答、細胞性免疫応答を刺激することによって、または抗原に対する寛容性を刺激することによって対象の免疫系を調節するのに使用することができる。本明細書で使用する対象とは、ヒト、霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、トリの各種とげっ歯類を意味する。
本発明は、限定しようとするのではなくただ説明することを目的として以下の段階に分けることができ、すなわち(a)組換えcDNAおよびRNA鋳型の構成、(b)組換えcDNAおよびRNA鋳型を使用した異種遺伝子産物の発現、(c)組換えウイルス粒子での異種遺伝子のレスキュー、および(d)本発明の組換えウイルス粒子を含むワクチンの生成および使用に分けることができる。
5.4 組換えcDNAおよびRNAの構成
ある実施形態では、ウイルスベクターが、本発明のヒトまたは哺乳動物メタニューモウイルスのゲノムから得られる。その他の実施形態では、ウイルスベクターはトリニューモウイルスのゲノムから得られる。ある実施形態では、ウイルスベクターは哺乳動物MPVおよびAPVから得られた配列を含有し、したがってキメラヒトMPV/APVウイルスはこのウイルスベクターによってコードされるようになる。例示的な実施形態では、キメラhMPV/APVウイルスが構成されるように、ヒトメタニューモウイルスのF遺伝子および/またはG遺伝子をトリニューモウイルスのF遺伝子および/またはG遺伝子に置き換えている。その他の実施形態では、ウイルスベクターが、APVおよび哺乳動物MPVから得られた配列を含有し、その結果、キメラAPV/hMPVウイルスがウイルスベクターによってコードされるようになる。さらに例示的な実施形態では、キメラAPV/hMPVウイルスが構成されるように、トリニューモウイルスのF遺伝子および/またはG遺伝子がヒトメタニューモウイルスのF遺伝子および/またはG遺伝子に置き換えられている。
本発明は、ウイルスゲノムに対して内在性のまたは天然の配列を含有し、かつウイルスゲノムに対して非天然の配列を含有しても含有しなくてもよい、哺乳動物MPVまたはAPVゲノムから得られたウイルスベクターを含んだ組換えウイルスも包含する。非天然の配列には、表現型に変化をもたらしてももたらさなくてもよい、天然のまたは内在性の配列とは異なるものが含まれる。本発明の組換えウイルスは、ワクチン製剤に使用するのにより適した表現型を有するウイルス、例えば弱毒化表現型を有しまたは抗原性が高められたウイルスをもたらす配列を含有することができる。変異および変性は、ウイルスのコード領域、遺伝子間領域、リーダーおよびトレーラー配列内でよい。
ある実施形態では、本発明のウイルスベクターは、hMPV、APV、hMPV/APV、またはAPV/hMPVから得られたヌクレオチド配列を含み、天然のヌクレオチド配列が異種配列で置換されており、または異種配列が天然のメタニューモウイルス配列に付加されている。
より具体的な実施形態では、キメラウイルスが、MPV、APV、APV/hMPV、またはhMPV/APVから得られたウイルスベクターを含み、これはPIVから得られた異種配列が付加されているものである。より具体的な実施形態では、組換えウイルスが、MPV、APV、APV/hMPV、またはhMPV/APVから得られたウイルスベクターを含み、配列は、PIVから得られた異種配列で置換されている。その他の具体的な実施形態では、キメラウイルスが、MPV、APV、APV/hMPV、またはhMPV/APVから得られたウイルスベクターを含み、これはRSVから得られた異種配列が付加されているものである。より具体的な実施形態では、キメラウイルスが、MPV、APV、APV/hMPV、またはhMPV/APVから得られたウイルスベクターを含み、配列は、RSVから得られた異種配列で置換されている。
ウイルスポリメラーゼ結合部位/プロモーターの補体、例えば本発明の3'-hMPVウイルス末端の補体、または3'-および5'-hMPVウイルス末端の両方の補体で挟まれる異種遺伝子コード配列は、当技術分野で知られている技法を使用して構成することができる。より具体的な実施形態では、本発明の組換えウイルスが、hMPVまたはAPVのリーダーおよびトレーラー配列を含有する。ある実施形態では、遺伝子間領域がhMPVまたはAPVから得られる。得られるRNA鋳型は、極性が負のものと考えられ、ウイルスRNA合成装置でその鋳型を認識することが可能な適切な末端配列を含有する。あるいは、ウイルスRNA合成装置で鋳型を認識することが可能な適切な末端配列を含有する、極性が正のRNA鋳型を使用してもよい。これらのハイブリッド配列を含有する組換えDNA分子は、バクテリオファージT7やT3、SP6ポリメラーゼまたは真核性ポリメラーゼであってポリメラーゼIなどの、DNA誘導型RNAポリメラーゼでクローニングし転写することができ、それによって、ウイルスポリメラーゼの認識および活動を可能にする適切なウイルス配列を持った組換えRNA鋳型を、生体外または生体内で生成することができる。より具体的な実施形態で、RNAポリメラーゼは鶏痘ウイルスT7 RNAポリメラーゼまたはMVA T7 RNAポリメラーゼである。
これらのハイブリッド分子を構成するための例示的な手法は、異種ヌクレオチド配列をhMPV、APV、APV/hMPV、またはhMPV/APVゲノムのDNA補体に挿入することであり、したがって異種配列は、ウイルスポリメラーゼ活性に必要なウイルス配列、すなわちウイルスポリメラーゼ結合部位/プロモーターで挟まれ、以後これをウイルスポリメラーゼ結合部位、およびポリアデニル化部位と呼ぶ。好ましい実施形態で、異種コード配列は、5'および3'末端の複製プロモーター、遺伝子開始配列および遺伝子終止配列、5'および/または3'末端に見出されるパッケージングシグナルを含んだウイルス配列で挟まれる。代替の手法では、ウイルスポリメラーゼ結合部位、例えば3'末端の補体あるいはウイルスゲノムセグメントの両端の補体をコードするオリゴヌクレオチドを異種コード配列にライゲートして、ハイブリッド分子を構成することができる。外来遺伝子または外来遺伝子のセグメントを標的配列内に配置することは、以前はその標的配列内に適切な制限酵素部位を存在させることによって行っていた。しかし分子生物学における近年の進歩により、この問題が大幅に解消されている。制限酵素部位は、部位指向性の変異誘発性を用いることによって、標的配列内のどこにでも容易に配置することができる(例えば、Kunkel、1985、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 82;488に記述されている技法を参照)。以下に述べるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術の変化によっても、配列の特異的挿入が可能になり(すなわち制限酵素部位)、ハイブリッド分子を容易に構成することが可能になる。あるいは、PCR反応を使用することにより、クローニングの必要なく組換え鋳型を調製することができた。例えばPCR反応を使用して、DNA誘導型RNAポリメラーゼプロモーター(例えばバクテリオファージT3、T7、またはSP6)を含有する2本鎖DNA分子と、異種遺伝子およびPIVポリメラーゼ結合部位を含有するハイブリッド配列を調製することができた。次いでこの組換えDNAからRNA鋳型を直接転写することができた。さらに別の実施形態では、RNAリガーゼを使用して、異種遺伝子の負の極性を指定するRNAとウイルスポリメラーゼ結合部位とをライゲートすることにより、組換えRNA鋳型を調製することができる。
さらに、ウイルスのレスキューを得るのに重要と考えられる「6の法則(Rule of Six)」に従って、1つまたは複数のヌクレオチドを非翻訳領域に付加することができる。「6の法則」は数多くのパラミクソウイルスに適用され、この法則によれば、RNAヌクレオチドゲノムは6分割可能で機能するものでなければならない。ヌクレオチドの付加は、QuickChange変異誘発キット(Stratagene)などの商用の変異誘発キットを使用するような、当技術分野で知られている技法によって実現することができる。適切な数のヌクレオチドを付加した後、適切な制限酵素による消化およびゲル精製によって妥当なDNA断片を単離することができる。本発明により使用することができるウイルスポリメラーゼの活性および構成に関する配列要件については、以下のサブセクションで述べる。
理論に拘泥するものではないが、いくつかのパラメータは、組換えウイルスの複製速度および異種配列の発現レベルに影響を与える。特に、hMPV、APV、hMPV/APV、またはAPV/hMPVにおける異種配列の位置と、この異種配列を挟む遺伝子間領域の長さは、複製速度と異種配列の発現レベルを決定する。
ある実施形態で、ウイルスのリーダー配列および/またはトレーラー配列は、野生型ウイルスに対して変更が加えられる。あるより具体的な実施形態では、リーダーおよび/またはトレーラーの長さが変わる。その他の実施形態で、リーダーおよび/またはトレーラーの配列は、野生型ウイルスに対して変異している。より詳細に関してはセクション5.7を参照されたい。
本発明の組換えウイルスの生成は、ネガティブセンスウイルスRNA(vRNA)ゲノムの部分または完全長コピー、あるいはその相補的コピー(cRNA)の複製を利用する。このvRNAまたはcRNAは、核酸のin vitro転写により生成され、または核酸のトランスフェクションによって細胞内で生成された、感染性ウイルスから単離することができる。第2に、組換えマイナス鎖ウイルスの生成は、機能性ポリメラーゼ複合体を利用する。典型的な場合、ニューモウイルスのポリメラーゼ複合体は、N、P、L、およびおそらくはM2タンパク質からなるが、これらにかならずしも限定する必要はない。
ポリメラーゼ複合体またはその構成要素は、ウイルス粒子から単離することができ、構成要素の1つまたは複数を発現する細胞から単離することができ、あるいは特異的な発現ベクターのトランスフェクションによって生成することができる。
MPVの感染性コピーは、上記ポリメラーゼ複合体16によって上記vRNA、cRNA、またはこれらのRNAを発現するベクターを複製する場合に得ることができる(Schnell他、1994、EMBO J 13: 4195〜4203; Collins他、1995、PNAS 92: 11563〜11567; Hoffmann他、2000、PNAS 97: 6108〜6113; Bridgen他、1996、PNAS 93: 15400〜15404; Palese他、1996、PNAS 93: 11354〜11358; Peeters他、1999、J.Virol. 73: 5001〜5009; Durbin他、1997、Virology 235: 323〜332)。
本発明は、本発明による核酸またはベクターを含む宿主細胞を提供する。MPVのポリメラーゼ構成要素(おそらくはN、P、L、およびM2であるが必ずしもこれらに限定しない)を含有するプラスミドベクターまたはウイルスベクターを原核細胞内で生成し、関係ある細胞型(細菌、昆虫細胞、真核細胞)でその構成要素を発現させる。MPVゲノムの完全長または部分コピーを含有するプラスミドベクターまたはウイルスベクターが原核細胞内で生成され、ウイルス核酸が生体外または生体内で発現する。後者のベクターは、キメラウイルスまたはキメラウイルスタンパク質を生成するために他のウイルス配列を含有してよく、複製欠陥ウイルスを生成するためにウイルスゲノムの一部が欠けてもよく、さらに、弱毒化ウイルスを生成するために、変異、欠失、または挿入が含まれていてもよい。
MPVの感染性コピー(野生型、弱毒化、複製欠陥、またはキメラ)は、上記現況技術によるポリメラーゼ構成要素の共発現によって生成することができる。
さらに、1つまたは複数の完全長または部分MPVタンパク質を一時的にまたは安定して発現する真核細胞を使用することができる。そのような細胞は、トランスフェクション(タンパク質または核酸ベクター)、感染(ウイルスベクター)、または形質導入(ウイルスベクター)によって作製することができ、上記野生型ウイルス、弱毒化ウイルス、複製欠陥ウイルス、またはキメラウイルスの相補性に役立てることができる。
5.4.1 挿入する異種遺伝子配列
本発明によれば、本発明のウイルスベクターはさらに、異種配列を発現するよう設計製作することができる。本発明の実施形態で、異種配列は、ウイルスベクター以外の供給源から得られる。限定するのではなく一例として、異種配列は、ウイルスベクターが得られる種、サブグループ、または変種よりも、メタニューモウイルスの様々な種、サブグループ、または変種に属するウイルスの抗原タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードする。限定するのではなく一例として、異種配列は、メタニューモウイルス以外のウイルスの抗原タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードする。限定するのではなく一例として、異種配列は、その出所源がウイルスではない。この実施形態によれば、異種配列は、所望の生物学的性質または活性を有する部分、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードすることができる。そのような異種配列は、タグまたはマーカーをコードすることができる。そのような異種配列は、生体応答調節物質、すなわちその例にはリンホカイン、インターロイキン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、および顆粒球コロニー刺激因子が含まれる生体応答調節物質をコードすることができる。
ある実施形態で、挿入する異種ヌクレオチド配列は、メタニューモウイルスから得られる。より具体的には、挿入する異種ヌクレオチド配列は、ヒトメタニューモウイルスおよび/またはトリニューモウイルスから得られる。
ある実施形態で、異種配列は、PIVヌクレオカプシドリン酸化タンパク質、PIV Lタンパク質、PIV基質タンパク質、PIV HN糖タンパク質、PIV RNA依存性RNAポリメラーゼ、PIV Y1タンパク質、PIV Dタンパク質、PIV Cタンパク質、PIV Fタンパク質、またはPIV Pタンパク質をコードする。ある実施形態で、異種ヌクレオチド配列は、PIVヌクレオカプシドリン酸化タンパク質、PIV Lタンパク質、PIV基質タンパク質、PIV HN糖タンパク質、PIV RNA依存性RNAポリメラーゼ、PIV Y1タンパク質、PIV Dタンパク質、PIV Cタンパク質、PIV Fタンパク質、またはPIV Pタンパク質に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%が同種であるタンパク質をコードする。異種配列は、PIV 1型、PIV 2型、またはPIV 3型から得ることができる。より具体的な実施形態では、異種配列は、ヒトPIV 1型、PIV 2型、またはPIV 3型から得ることができる。その他の実施形態では、異種配列は、RSV核タンパク質、RSVリン酸化タンパク質、RSV基質タンパク質、RSV疎水性小タンパク質、RSV RNA依存性RNAポリメラーゼ、RSV Fタンパク質、RSV Gタンパク質、あるいはRSV M2-1またはM2-2タンパク質をコードする。ある実施形態では、異種配列は、RSV核タンパク質、RSVリン酸化タンパク質、RSV基質タンパク質、RSV疎水性小タンパク質、RSV RNA依存性RNAポリメラーゼ、RSV Fタンパク質、RSV Gタンパク質に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同種であるタンパク質をコードする。異種配列は、RSVサブタイプAおよびRSVサブタイプBから得ることができる。より具体的な実施形態では、異種配列は、ヒトRSVサブタイプAおよびRSVサブタイプBから得られる。その他の実施形態で、異種配列は、APV核タンパク質、APVリン酸化タンパク質、APV基質タンパク質、APV疎水性小タンパク質、APV RNA依存性RNAポリメラーゼ、APV Fタンパク質、APV Gタンパク質、あるいはAPV M2-1またはM2-2タンパク質をコードする。ある実施形態で、異種配列は、APV核タンパク質、APVリン酸化タンパク質、APV基質タンパク質、APV疎水性小タンパク質、APV RNA依存性RNAポリメラーゼ、APV Fタンパク質、またはAPV Gタンパク質に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%が同種であるタンパク質をコードする。トリニューモウイルスは、APVサブグループA、APVサブグループB、またはAPVサブグループCでよい。その他の実施形態では、異種配列は、hMPV核タンパク質、hMPVリン酸化タンパク質、hMPV基質タンパク質、hMPV疎水性小タンパク質、hMPV RNA依存性RNAポリメラーゼ、hMPV Fタンパク質、hMPV Gタンパク質、あるいはhMPV M2-1またはM2-2をコードする。ある実施形態では、異種配列は、hMPV核タンパク質、hMPVリン酸化タンパク質、hMPV基質タンパク質、hMPV疎水性小タンパク質、hMPV RNA依存性RNAポリメラーゼ、hMPV Fタンパク質、またはhMPV Gタンパク質に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%が同種であるタンパク質をコードする。ヒトメタニューモウイルスは、hMPV変種A1、hMPV変種A2、hMPV変種B1、またはhMPV変種B2でよい。
ある実施形態では、PIV、RSV、ヒトメタニューモウイルス、またはトリニューモウイルス由来の種々の異種配列の任意の組合せを、本発明のウイルスに挿入することができる。
本発明のある好ましい実施形態では、挿入する異種ヌクレオチド配列が、RSV、PIV、APV、またはhMPV由来のF遺伝子から得られる。
ある実施形態で、異種ヌクレオチド配列は、キメラタンパク質をコードする。より具体的な実施形態で、異種ヌクレオチド配列は、RSV、PIV、APV、またはhMPVのキメラFタンパク質をコードする。キメラFタンパク質は、ヒトメタニューモウイルスやトリニューモウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルスなどの種々のウイルス由来のFタンパク質の一部を含むことができる。その他のある実施形態では、異種配列はキメラGタンパク質をコードする。キメラGタンパク質は、ヒトメタニューモウイルスやトリニューモウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルスなどの種々のウイルス由来のGタンパク質の一部を含むことができる。特定の実施形態で、Fタンパク質は、メタニューモウイルスのFタンパク質の外部ドメイン、パラインフルエンザウイルスのFタンパク質の膜貫通ドメイン、およびパラインフルエンザウイルスのFタンパク質の管腔ドメインを含む。
ある特定の実施形態で、本発明の異種ヌクレオチド配列は、配列番号1から配列番号5までと配列番号14および配列番号15のいずれか1つである。ある特定の実施形態で、ヌクレオチド配列は、配列番号6から配列番号13までと配列番号16および配列番号17のいずれか1つのタンパク質をコードする。
呼吸器合胞体ウイルスから得られた異種ヌクレオチド配列に関しては、例えば参照によりその全体を本明細書に援用するPCT/US98/20230を参照されたい。
好ましい実施形態で、本発明の組換えウイルス内に発現することのできる異種遺伝子配列には、センダイウイルスや感染性喉頭気管炎ウイルス(ILV)などの呼吸器疾患をもたらすウイルスの抗原エピトープや糖タンパク質、例えばインフルエンザ糖タンパク質であって特にヘマグルチニンH5、H7、呼吸器合胞体ウイルスエピトープ、ニューカッスル病ウイルスエピトープなどが含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、異種ヌクレオチド配列はRSVまたはPIVから得られる。本発明のさらに別の実施形態で、本発明のキメラウイルスに設計製作することができる異種遺伝子配列には、ウイルスエピトープおよびウイルスの糖タンパク質であって、例えばB型肝炎表面抗原、AまたはC型肝炎表面糖タンパク質、エプスタインバーウイルス、ヒトパピローマウイルス、シミアンウイルス5または流行性耳下腺炎ウイルス、西ナイルウイルス、デング熱ウイルスの糖タンパク質、ヘルペスウイルスの糖タンパク質、ポリオウイルスのVPI、およびレンチウイルスから得られた配列であるがこれらに限定されないものが含まれ、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1型または2型が好ましいがこれらに限定されない。さらに別の実施形態で、本発明のキメラウイルスに設計製作することができる異種遺伝子配列には、マレック病ウイルス(MDV)エピトープ、感染性ファブリキウス嚢病ウイルス(ILV)のエピトープ、ニワトリ貧血ウイルス、感染性喉頭気管炎ウイルス(ILV)、トリインフルエンザウイルス(AIV)、狂犬病、ネコ白血病ウイルス、イヌジステンパーウイルス、水疱性口内炎ウイルス、および豚痘ウイルスのエピトープが含まれるが、これらに限定されない(参照によりその全体を本明細書に援用するFields他(編)、1991、Fundamental Virology、第2版、Raven Press、New York参照)。
本発明のその他の異種配列は、自己免疫疾患に特有の抗原を含む。これらの抗原は、典型的な場合、哺乳動物組織の細胞表面、細胞質、核、ミトコンドリアなどから得られ、糖尿病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節炎、悪性貧血、アジソン病、強皮症、自己免疫性萎縮性胃炎、若年性糖尿病、および円板状エリテマトーデスに特有の抗原が含まれる。
アレルゲンである抗原は、一般にタンパク質または糖タンパク質を含み、花粉、ダスト、カビ、胞子、フケ、昆虫、および食物由来の抗原が含まれる。さらに、腫瘍抗原に特有の抗原は、典型的な場合、腫瘍組織細胞の細胞表面、細胞質、核、細胞小器官などから得られる。その例には、腫瘍タンパク質に特有の抗原、すなわち変異した発癌遺伝子によりコードされたタンパク質、腫瘍に関連したウイルスタンパク質、および糖タンパク質が含まれる。腫瘍には、口唇癌、鼻咽頭癌、咽頭および口腔癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、膵臓癌、喉頭癌、肺および気管支癌、皮膚黒色腫、乳癌、子宮頚癌、子宮癌、卵巣癌、膀胱癌、腎臓癌、子宮癌、脳およびその他の神経系部分の腫瘍、甲状腺癌、前立腺癌、精巣癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病などの癌のタイプから得られたものが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の1つの特定の実施形態では、異種配列が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のゲノム、好ましくはヒト免疫不全ウイルス1型またはヒト免疫不全ウイルス2型のゲノムから得られる。本発明の別の実施形態では、メタニューモウイルスタンパク質内に異種ペプチド配列を含有するキメラ遺伝子産物が発現するように、異種コード配列を、ウイルス骨格の遺伝子コード配列内に挿入することができる。本発明のそのような実施形態では、異種配列を、ヒト免疫不全ウイルス、好ましくはヒト免疫不全ウイルス1型またはヒト免疫不全ウイルス2型のゲノムから得てもよい。
異種配列がHIV由来のものである場合、そのような配列には、env遺伝子(すなわちgp160、gp120、および/またはgp41の全てまたは一部をコードする配列)、pol遺伝子(すなわち逆転写酵素、エンドヌクレアーゼ、プロテアーゼ、および/またはインテグラーゼの全てまたは一部をコードする配列)、gag遺伝子(すなわちp7、p6、p55、p17/18、p24/25の全てまたは一部をコードする配列)、tat、rev、nef、vif、vpu、vpr、および/またはvpxから得られた配列を含めることができるが、これらに限定されない。
さらに別の実施形態では、キメラウイルスに設計製作することができる異種遺伝子配列が、免疫強化活性を有するタンパク質をコードするものを含む。免疫強化タンパク質の例には、サイトカイン、インターフェロン1型、γインターフェロン、コロニー刺激因子、インターロイキン-1、-2、-4、-5、-6、-12が含まれるが、これらに限定されない。
さらに、キメラウイルスに設計製作することができるその他の異種遺伝子配列には、細菌表面糖タンパク質などの細菌から得られた抗原、真菌から得られた抗原、様々なその他の病原体および寄生虫から得られた抗原が含まれる。細菌性病原体から得られる異種遺伝子配列の例には、以下の属の種、すなわちSalmonella、Shigella、Chlamydia、Helicobacter、Yersinia、Bordatella、Pseudomonas、Neisseria、Vibrio、Haemophilus、Mycoplasma、Streptomyces、Treponema、Coxiella、Ehrlichia、Brucella、Streptobacillus、Fusospirocheta、Spirillum、Ureaplasma、Spirochaeta、Myocoplasma、Actinomycetes、Borrelia、Bacteroides、Trichomoras、Branhamella、Pasteurella、Clostridium、Corynebacterium、Listeria、Bacillus、Erysipelothrix、Rhodococcus、Escherichia、Klebsiella、Pseudomanas、Enterobacter、Serratia、Staphylococcus、Streptococcus、Legionella、Mycobacterium、Proteus、Campylobacter、Enterococcus、Acinetobacter、Morganella、Moraxella、Citrobacter、Rickettsia、Rochlimeaeから得られた抗原、ならびにP.aeruginosa. E.coli、P.cepacia、S.epidermis、E.faecalis、S.pneumonias、S.aureus、N.meningitidis、S.pyogenes、Pasteurella multocida、Treponema pallidum、およびP.mirabilisなどの細菌種から得られた抗原が含まれるが、これらに限定されない。
病原真菌由来の異種遺伝子配列の例には、Cryptococcus neoformans; Blastomyces dermatitidis; Aiellomyces dermatitidis; Histoplasma capsulatum; Coccidioides immitis; C.albicans、C.tropicalis、C.parapsilosis、C.guilliermondii、およびC.kruseiを含めたCandida種; A.fumigatus、A.flavus、およびA.nigerを含めたAspergillus種; Rhizopus種; Rhizomucor種; Cunninghammella種; A.saksenaea、A.mucor、およびA.absidiaを含めたApophysomyces種; Sporothrix schenckii; Paracoccidioides brasiliensis; Pseudallescheria boydii; Torulopsis glabrata; Trichophyton種; Microsporum種; およびDermatophyres種などの真菌から得られた抗原、ならびに任意のその他の酵母菌あるいは現在知られておりまたは後に病原性であると同定される菌などから得られた抗原が含まれるが、これらに限定されない。
最後に、寄生虫由来の異種遺伝子配列の例には、例えばBabesia、Toxoplasma、Plasmodium、Eimeria、Isospora、Atoxoplasma、Cystoisospora、Hammondia、Besniotia、Sarcocystis、Frenkelia、Haemoproteus、Leucocytozoon、Theileria、Perkinsus、およびGregarina種などのApicomplexa phylumのメンバー; Pneumocystis carinii; 例えばNosema、Enterocytozoon、Encephalitozoon、Septata、Mrazekia、Amblyospora、Ameson、Glugea、Pleistophora、およびMicrosporidium種などのMicrospora phylumのメンバー; 例えばHaplosporidium種などのAscetospora phylumのメンバー、ならびにPlasmodium falciparum、P.vivax、P.ovale、P.malariaを含めた種; Toxoplasma gondii; Leishmania mexicana、L.tropica、L.major、L.aethiopica、L.donovani、Trypanosoma cruzi、T.brucei、Schistosoma mansoni、S.haematobium、S.japonium; Trichinella spiralis; Wuchereria bancrofti; Brugia malayli; Entamoeba histolytica; Enterobius vermiculoarus; Taenia solium、T.saginata、Trichomonas vaginatis、T.hominis、T.tenax; Giardia lamblia; Cryptosporidium parvum; Pneumocytis carinii、Babesia bovis、B.divergens、B.microti、Isospora belli、L hominis; Dientamoeba fragilis; Onchocerca volvulus; Ascaris lumbricoides; Necator americanis; Ancylostoma duodenale; Strongyloides stercoralis; Capillaria philippinensis; Angiostrongylus cantonensis; Hymenolepis nana; Diphyllobothrium latum; Echinococcus granulosus、E.multilocularis; Paragonimus westermani、P.caliensis; Chlonorchis sinensis; Opisthorchis felineas、G.Viverini、Fasciola hepatica、Sarcoptes scabiei、Pediculus humanus; Phthirlus pubis; およびDermatobia hominis、ならびに現在知られておりまたは後に病原性であると同定される任意のその他の寄生虫から得られた抗原が含まれるが、これらに限定されない。
5.4.2 異種遺伝子配列の挿入
本発明のウイルスベクターへの外来遺伝子配列の挿入は、ウイルスコード領域を異種配列で完全置換することによって、または部分置換することによって、またはウイルスゲノムに異種ヌクレオチド配列を付加することによって行うことができる。完全置換は、PCR誘導型の変異誘発性を使用することにより、おそらく最良に行われると考えられる。簡単に言うと、PCRプライマーAは、5'末端から3'末端まで、クラスIIS制限酵素部位などの固有の制限酵素部位(すなわち「シフター」酵素; 特定の配列を認識するがその配列の上流または下流でDNAを切断する); 置換される遺伝子の領域に相補的なヌクレオチドの伸長部; および異種配列のカルボキシ末端コード部分に相補的なヌクレオチドの伸長部を含有すると考えられる。PCRプライマーBは、5'末端から3'末端まで、固有の制限酵素部位; 置換される遺伝子に相補的なヌクレオチドの伸長部; および異種または非天然遺伝子の5'コード部分に対応するヌクレオチドの伸長部を含有すると考えられる。これらのプライマーを使用して、クローニングした異種または非天然遺伝子のコピーについてPCR反応させた後、固有の制限部位を使用して生成物を切り出しクローニングすることができる。クラスIIS酵素による消化、および精製したファージポリメラーゼによる転写によって、結果的に異種または非天然遺伝子の挿入を持つようになったウイルス遺伝子の正確な非翻訳末端を含有するRNA分子が生成されると考えられる。代替の実施形態では、PCRによる刺激を受けた反応を使用して、バクテリオファージプロモーター配列およびハイブリッド遺伝子配列を含有する2本鎖DNAを調製することができ、その結果、RNA鋳型をクローニングすることなく直接転写できるようになる。
異種ヌクレオチド配列は、本発明のウイルスの様々な位置に付加しまたは挿入することができる。一実施形態では、異種ヌクレオチド配列を位置1に付加しまたは挿入する。別の実施形態では、異種ヌクレオチド配列を位置2に付加しまたは挿入する。別の実施形態では、異種ヌクレオチド配列を位置3に付加しまたは挿入する。別の実施形態では、異種ヌクレオチド配列を位置4に付加しまたは挿入する。別の実施形態では、異種ヌクレオチド配列を位置5に付加しまたは挿入する。さらに別の実施形態では、異種ヌクレオチド配列を位置6に付加しまたは挿入する。本明細書で使用する「位置」という用語は、転写するウイルスゲノム上の異種ヌクレオチド配列の位置を指し、例えば位置1は、第1の遺伝子が転写されることを意味し、位置2は、第2の遺伝子が転写されることを意味する。ウイルスのより低い数字の位置に異種ヌクレオチド配列を挿入すると一般に、より大きい数字の位置に挿入した場合比べて異種ヌクレオチド配列の発現が強くなるが、これはウイルスのゲノム全体にわたって生ずる転写勾配が原因である。しかしこの転写勾配は、特定の割合のウイルスmRNAももたらす。外来遺伝子を挿入するとこの割合が乱れ、その結果、種々の量のウイルスタンパク質が合成されて、ウイルスの複製に影響を及ぼす可能性がある。このように、挿入部位を選択する場合には、転写勾配と複製動態の両方を考慮しなければならない。より低い数字の位置に異種ヌクレオチド配列を挿入することは、異種ヌクレオチド配列の強力な発現が望まれる場合、本発明の好ましい実施形態になる。好ましい実施形態では、異種配列を位置1、2、または3に付加しまたは挿入する。
本発明のウイルスに異種ヌクレオチド配列を挿入する場合、所望の効果が実現されるように、異種遺伝子のコード配列の終端と下流遺伝子のコード配列の開始点との間の遺伝子間領域を変化させることができる。本明細書で使用する「遺伝子間領域」という用語は、1つの遺伝子の停止シグナルと、その隣の下流にあるオープンリーディングフレームのコード配列の開始コドン(例えばAUG)との間のヌクレオチド配列を指す。遺伝子間領域は、遺伝子の非コード領域、すなわち遺伝子の転写開始部位とコード配列の開始点(AUG)との間を構成することができる。この非コード領域は、いくつかのウイルス遺伝子内で自然に生ずる。
様々な実施形態で、異種ヌクレオチド配列とその下流の遺伝子との間の遺伝子間領域は、互いに独立に、少なくとも長さ10ntに、少なくとも長さ20ntに、少なくとも長さ30ntに、少なくとも長さ50ntに、少なくとも長さ75ntに、少なくとも長さ100ntに、少なくとも長さ125ntに、少なくとも長さ150ntに、少なくとも長さ175ntに、または少なくとも長さ200ntになるように設計製作することができる。ある実施形態で、異種ヌクレオチド配列とその下流の遺伝子との遺伝子間領域は、互いに独立に、最大でも長さ10ntに、最大でも長さ20ntに、最大でも長さ30ntに、最大でも長さ50ntに、最大でも長さ75ntに、最大でも長さ100ntに、最大でも長さ125ntに、最大でも長さ150ntに、最大でも長さ175ntに、または最大でも長さ200ntになるように設計製作することができる。様々な実施形態で、ウイルスゲノム内の所望の遺伝子の非コード領域も、互いに独立に、少なくとも長さ10ntに、少なくとも長さ20ntに、少なくとも長さ30ntに、少なくとも長さ50ntに、少なくとも長さ75ntに、少なくとも長さ100ntに、少なくとも長さ125ntに、少なくとも長さ150ntに、少なくとも長さ175ntに、または少なくとも長さ200ntになるように設計製作することができる。ある実施形態で、ウイルスゲノム内の所望の遺伝子の非コード領域も、互いに独立に、最大でも長さ10ntに、最大でも長さ20ntに、最大でも長さ30ntに、最大でも長さ50ntに、最大でも長さ75ntに、最大でも長さ100ntに、最大でも長さ125ntに、最大でも長さ150ntに、最大でも長さ175ntに、または最大でも長さ200ntになるように設計製作することができる。
異種ヌクレオチド配列を挿入する場合、所望の効果を実現するために、位置的な作用と遺伝子間領域の操作を組み合わせて用いることができる。例えば異種ヌクレオチド配列は、位置1、2、3、4、5、および6からなる群から選択された位置に付加しまたは挿入することができ、異種ヌクレオチド配列とこれに隣接する下流の遺伝子との間の遺伝子間領域を変化させることができる(表3参照)。本発明に包含される組合せのいくつかを、例として表3に示す。
a:ヌクレオチドで測定された遺伝子間領域
挿入された異種ヌクレオチド配列の目的(例えば強力な免疫原性をもたせるなど)に応じ、挿入の位置と挿入された異種ヌクレオチド配列の遺伝子間領域の長さとは、以下の非限定的なアッセイ例、すなわちプラークアッセイ、蛍光焦点(fluorescent-focus)アッセイ、感染中心アッセイ、形質転換アッセイ、終点希釈アッセイ、平板効率、電子顕微鏡法、ヘマグルチニン、ウイルス酵素活性の測定、ウイルス中和、ヘマグルチニン抑制、補体結合法、免疫染色、免疫沈降および免疫ブロット法、酵素結合免疫吸着アッセイ、核酸検出(例えばサザンブロット分析、ノーザンブロット分析、ウェスタンブロット分析)、増殖曲線、レポーター遺伝子の使用(例えば、タンパク質発現を観察するために、問題となっている異種遺伝子と同じ手法でウイルスゲノムに組み込まれた緑色蛍光タンパク質(GFP)や増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)などのレポーター遺伝子の使用)、またはこれらの組合せによって測定された、複製動態およびタンパク質またはmRNAの発現レベルも含むがこれらに限定されない様々な指標によって、決定することができる。これらのアッセイを行う手順は、当技術分野で周知であり(例えば、Flint他、PRINCIPLES OF VIROLOGY,MOLECULAR BIOLOGY,PATHOGENESIS,AND CONTROL、2000、ASM Press、第25〜56頁参照、その内容全体を参照により本明細書に援用する)、非限定的な例を以下の実施例のセクションに示す。
例えば発現レベルは、培養中の細胞を本発明のウイルスに感染させ、その後、例えば異種配列の遺伝子産物に特異的な抗体を使用したウェスタンブロット分析やELISAでタンパク質発現レベルを測定することによって、または例えば異種配列に特異的なプローブを使用したノーザンブロット分析でRNA発現レベルを測定することによって決定することができる。同様に異種配列の発現レベルは、動物モデルに感染させて、動物モデルにおける本発明の組換えウイルスの異種配列から発現したタンパク質のレベルを測定することによって、決定することができる。タンパク質のレベルは、感染した動物から組織サンプルを得、次いでその組織サンプルを、異種配列の遺伝子産物に特異的な抗体を使用したウェスタンブロット分析またはELISAにかけることによって、測定することができる。さらに、動物モデルを使用する場合、異種配列の遺伝子産物に対する動物によって産生された抗体の力価は、ELISAを含むがこれに限定されない当業者に知られている任意の技法によって決定することができる。
異種配列は、ウイルスゲノムのヌクレオチド配列と同種である可能性があるので、プローブおよび抗体が異種配列またはその遺伝子産物に対して確かに特異的になるように注意を払うべきである。
ある特定の実施形態で、キメラトリ-ヒトメタニューモウイルス由来のhMPVのFタンパク質の発現レベルは、当業者に知られている任意の技法によって決定することができる。Fタンパク質の発現レベルは、培養中の細胞を本発明のキメラウイルスに感染させ、例えばhMPVのFタンパク質および/またはGタンパク質に特異的な抗体を使用したウェスタンブロット分析やELISAなどでタンパク質発現レベルを測定することによって、あるいは例えばヒトメタニューモウイルスのF遺伝子および/またはG遺伝子に特異的なプローブを使用したノーザンブロット分析でRNA発現レベルを測定することによって決定することができる。同様に異種配列の発現レベルは、動物モデルを使用し、その動物モデルに感染させて動物モデルにおけるFタンパク質および/またはGタンパク質のレベルを測定することにより、決定することができる。タンパク質のレベルは、感染した動物から組織サンプルを得、次いでその組織サンプルを、異種配列のFタンパク質および/またはGタンパク質に特異的な抗体を使用したウェスタンブロット分析またはELISAにかけることによって、測定することができる。さらに、動物モデルを使用する場合、Fタンパク質および/またはGタンパク質に対する動物によって産生された抗体の力価は、ELISAを含むがこれに限定されない当業者に知られている任意の技法によって決定することができる。
本発明の組換えウイルスの複製速度は、当業者に知られている任意の技法によって決定することができる。
ある実施形態では、ウイルスゲノムにおける異種配列の最適な位置と遺伝子間領域の最適な長さの特定を容易にするために、異種配列がレポーター遺伝子をコードする。最適なパラメータを決定したら、そのレポーター遺伝子を、選ばれた抗原をコードする異種ヌクレオチド配列に置き換える。当業者に知られる任意のレポーター遺伝子は、本発明の方法と共に使用することができる。より詳細に関してはセクション5.8を参照されたい。
組換えウイルスの複製速度は、当業者に知られている任意の標準的技法により決定することができる。複製速度はウイルスの増殖率で表され、感染後の時間に対してウイルス力価をプロットすることにより決定することができる。ウイルス力価は、当業者に知られている任意の技法によって測定することができる。ある実施形態では、ウイルスを含有する懸濁液を、ウイルスに感染し易い細胞と共にインキュベートする。本発明の方法と共に使用することができる細胞型には、ベロ細胞、LLC-MK-2細胞、Hep-2細胞、LF 1043(HEL)細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、tMK細胞、293T細胞、QT6細胞、QT35細胞、またはニワトリ胚線維芽細胞(CEF)が含まれるがこれらに限定されない。ウイルスを細胞と共にインキュベートした後、感染した細胞の数を決定する。ある特定の実施形態では、ウイルスがレポーター遺伝子を含む。したがってレポーター遺伝子を発現する細胞の数は、感染した細胞の数を表す。特定の実施形態では、ウイルスが、eGFPをコードする異種ヌクレオチド配列を含み、eGFPを発現する細胞の数、すなわちウイルスに感染した細胞の数は、FACSを使用して決定される。
ある実施形態で、本発明の組換えウイルスの複製速度は、その組換えウイルスが得られる野生型ウイルスの同じ条件下での複製速度に対し、最大でもその20%である。同じ条件とは、ウイルスの初期力価が同じであり、細胞株が同じであり、インキュベーション温度、増殖培地、細胞数、およびその他の複製速度に影響を及ぼす可能性のある試験条件が同じであることを指す。例えば位置1におけるPIVのF遺伝子によるAPV/hMPVの複製速度は、最大でもAPVの複製速度の20%である。
ある実施形態で、本発明の組換えウイルスの複製速度は、この組換えウイルスが得られる野生型ウイルスの同じ条件下での複製速度に対し、最大でもその5%、最大でも10%、最大でも20%、最大でも30%、最大でも40%、最大でも50%、最大でも75%、最大でも80%、最大でもその90%である。ある実施形態で、本発明の組換えウイルスの複製速度は、この組換えウイルスが得られる野生型ウイルスの同じ条件下での複製速度に対し、少なくともその5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくともその90%である。ある実施形態で、本発明の組換えウイルスの複製速度は、この組換えウイルスが得られる野生型ウイルスの同じ条件下での複製速度に対し、その5%から20%の間、10%から40%の間、25%から50%の間、40%から75%の間、50%から80%の間、または75%から90%の間である。
ある実施形態で、本発明の組換えウイルスにおける異種配列の発現レベルは、この組換えウイルスが得られる野生型ウイルスの同じ条件下でのFタンパク質の発現レベルに対し、最大でもその20%である。同じ条件とは、ウイルスの初期力価が同じであり、細胞株が同じであり、インキュベーション温度、増殖培地、細胞数、およびその他の複製速度に影響を及ぼす可能性のある試験条件が同じであることを指す。例えば、hMPVの位置1におけるPIV3のFタンパク質の異種配列の発現レベルは、hMPVのFタンパク質の発現レベルに対して最大でも20%である。
ある実施形態で、本発明の組換えウイルスにおける異種配列の発現レベルは、この組換えウイルスが得られる野生型ウイルスの同じ条件下でのFタンパク質の発現レベルに対し、最大でもその5%、最大でも10%、最大でも20%、最大でも30%、最大でも40%、最大でも50%、最大でも75%、最大でも80%、最大でもその90%である。ある実施形態で、本発明の組換えウイルスにおける異種配列の発現レベルは、この組換えウイルスが得られる野生型ウイルスの同じ条件下でのFタンパク質の発現レベルに対し、少なくともその5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくともその90%である。ある実施形態で、本発明の組換えウイルスにおける異種配列の発現レベルは、この組換えウイルスが得られる野生型ウイルスの同じ条件下でのFタンパク質の発現レベルに対し、その5%から20%の間、10%から40%の間、25%から50%の間、40%から75%の間、50%から80%の間、または75%から90%の間である。
5.4.3 異種遺伝子配列のG遺伝子への挿入
Gタンパク質は、メタニューモウイルスの膜貫通タンパク質である。特定の実施形態では、ウイルスエンベロープの表面に発現するように、外部ドメインをコードするG-ORFの領域に異種配列を挿入する。1つの手法では、いかなるウイルス配列も欠失させることなく、異種配列を抗原部位に挿入することができる。別の手法では、異種配列がG-ORFの配列に取って代わる。そのような構成の発現産物は、外来抗原に対するワクチンに役立てることができ、ワクチン接種した宿主での組換えウイルスの増殖に伴う問題を確かに回避することができる。抗原部位のみが置換されている無傷のG分子によって、G機能が可能になり、したがって生存可能なウイルスの構成が可能になる。したがってこのウイルスは、さらなるヘルパー機能を必要とせずに、増殖することができる。ウイルスは、あらゆる偶発的な逸脱の危険性が回避されるように、その他の方法で弱毒化してもよい。
その他のハイブリッド構成は、細胞表面にタンパク質が発現するように、またはタンパク質が細胞から遊離するように作製することができる。
5.4.4 2シストロンRNAの構成
2シストロン性mRNAは、ウイルス配列の翻訳の内部開始が可能になるように、また規則的な末端開始部位から外来タンパク質コード配列の発現が可能になるように、構成することができる。あるいは2シストロン性mRNA配列は、ウイルス配列が規則的な末端オープンリーディングフレームから翻訳されるがその一方で外来配列が内部部位から開始するものを構成することができる。ある特定の内部リボソーム進入部位(IRES)配列を利用することができる。選択されるIRES配列は、MPVパッケージングの限界に影響を与えないように、十分短いものであるべきである。したがって、そのような2シストロン的手法を目的として選択されるIRESは、その長さが500ヌクレオチド以下であることが好ましい。特定の実施形態で、IRESは、1つのピコルナウイルスから得られ、いかなる追加のピコルナウイルス配列も含まない。特定のIRES要素には、哺乳動物BiP IRESとC型肝炎ウイルスIRESが含まれるが、これらに限定されない。
あるいは外来タンパク質を、転写単位が開始部位およびポリアデニル化部位を有する新しい内部転写単位から発現させることができる。別の実施形態では、得られる発現タンパク質が融合タンパク質になるように、外来遺伝子をMPV遺伝子に挿入する。
5.5 組換えcDNAおよびRNA鋳型を使用した異種遺伝子産物の発現
上述のように調製されたウイルスベクターおよび組換え鋳型は、適切な宿主細胞に異種遺伝子産物が発現するように、または異種遺伝子産物を発現するキメラウイルスが生成されるように、様々な方法で使用することができる。一実施形態では、組換えcDNAを使用して適切な宿主細胞にトランスフェクトすることができ、得られたRNAを用いて異種遺伝子産物の発現を高いレベルで実施することができる。高レベルの発現をもたらす宿主細胞系は、それぞれAPVまたはMPVに重感染した細胞系、APVまたはMPV機能を補完するよう設計製作された細胞系など、ウイルス機能を提供する連続した細胞系を含む。
本発明の代替の実施形態では、異種遺伝子産物の発現を実現するために、組換え鋳型を使用して、ウイルスポリメラーゼタンパク質を発現する細胞系をトランスフェクトすることができる。このため、Lタンパク質などのポリメラーゼタンパク質を発現する形質転換された細胞系を、適切な宿主細胞として利用することができる。宿主細胞は、その他のウイルス機能またはGやNなどの追加の機能が得られるように同様に設計製作することができる。
別の実施形態で、ヘルパーウイルスは、異種遺伝子産物の発現を実現するために、細胞によって利用されるRNAポリメラーゼタンパク質を提供することができる。さらに別の実施形態では、細胞に、N、P、L、およびM2-1タンパク質などのウイルスタンパク質をコードするベクターをトランスフェクトすることができる。
5.6 組換えウイルス粒子のレスキュー
本発明のキメラおよび組換えウイルスを調製するために、プラスまたはマイナスセンスで本発明の組換えまたはキメラウイルスのゲノムをコードするcDNAを使用して、複製およびレスキューに必要なウイルスタンパク質および機能をもたらす細胞にトランスフェクトすることができる。あるいは、本発明の組換えウイルスをコードするDNAまたはRNA分子によるトランスフェクションの前、間、または後に、細胞にヘルパーウイルスをトランスフェクトすることができる。本発明の合成組換えプラスミドDNAおよびRNAは、例えば1992年11月24日発行の米国特許第5,166,057号; 1998年12月29日発行の米国特許第5,854,037号; 1996年2月20日公開の欧州特許公開EP0702085A1; 米国特許出願第09/152,845号; 1997年4月3日公開の国際特許公開PCT WO97/12032; 1996年11月7日公開のWO96/34625; 欧州特許公開EP-A780475; 1999年1月21日公開のWO 99/02657; 1998年11月26日公開のWO 98/53078; 1998年1月22日公開WO 98/02530; 1999年4月1日公開のWO 99/15672; 1998年4月2日公開のWO 98/13501; 1997年2月20日公開のWO 97/06270; および1997年6月25日公開のEPO 780 47SA1であって、その全体が参照により本明細書に援用されているものに記載されているような、当技術分野で知られている数多くの技法によって、感染性ウイルス粒子に複製しまたはレスキューすることができる。
本発明の一実施形態では、ウイルスポリメラーゼによる認識に不可欠でありかつ成熟したウイルス粒子の生成に必要とされるパッケージングシグナルに不可欠な、マイナス鎖ウイルスRNAの非コード領域を含有する合成組換えウイルスRNAを調製することができる。逆遺伝学的手法をレスキューマイナス鎖RNAウイルスに適用するのに使用することが可能な、いくつかの異なる手法がある。まず、組換えRNAを組換えDNA鋳型から合成し、精製したウイルスポリメラーゼ複合体を用いて生体外で再構成し、それによって、細胞にトランスフェクトするのに使用することができる組換えリボ核タンパク質(RNP)を形成する。別の手法では、生体外または生体内での合成RNAの転写中にウイルスポリメラーゼタンパク質が存在する場合、より効率的なトランスフェクションを実現する。この手法によれば、合成RNAをcDNAプラスミドから転写することができるが、これは、ポリメラーゼタンパク質をコードするcDNAプラスミドと共に生体外で同時転写され、またはポリメラーゼタンパク質の存在下で生体内で転写され、すなわちポリメラーゼタンパク質を一時的にまたは構造上の要素として発現する細胞内で転写されたものである。
本明細書で述べる追加の手法では、感染性のキメラまたは組換えウイルスの産生は、メタニューモウイルスポリメラーゼタンパク質を発現する宿主細胞系内で複製され(例えばウイルス/宿主細胞発現系内で;ポリメラーゼタンパク質を発現するように設計製作された形質転換細胞系など)、したがって感染性のキメラまたは組換えウイルスがレスキューされる。この場合、この機能は、発現するウイルスポリメラーゼタンパク質によって得られるので、ヘルパーウイルスを利用する必要がない。
本発明によれば、当業者に知られている任意の技法を使用して、組換えおよびキメラウイルスの複製およびレスキューを実現することができる。ある手法では、宿主細胞をトランスフェクトする前に生体外での複製に必要なウイルスタンパク質およびウイルス機能を提供する。そのような実施形態では、ウイルスタンパク質を、野生型ウイルス、ヘルパーウイルス、精製ウイルスタンパク質、または組換え発現したウイルスタンパク質の形で提供することができる。ウイルスタンパク質は、キメラウイルスをコードする合成cDNAまたはRNAを転写する前、転写する間、または転写した後に提供することができる。宿主細胞をトランスフェクトするには、混合物全体を使用することができる。別の手法では、複製に必要とされるウイルスタンパク質およびウイルスの機能を、キメラウイルスをコードする合成cDNAまたはRNAを転写する前、または転写する間に提供することができる。そのような実施形態で、複製に必要とされるウイルスタンパク質およびウイルスの機能は、野生型ウイルス、ヘルパーウイルス、ウイルス抽出物、合成cDNAまたはRNAであってウイルスタンパク質を発現する形で提供され、これらが感染またはトランスフェクションによって宿主細胞内に導入される。この感染/トランスフェクションは、キメラウイルスをコードする合成cDNAまたはRNAを導入する前、または導入と同時に行う。
特に望ましい手法では、本発明の全てのウイルス遺伝子あるいはキメラまたは組換えウイルスを発現するように設計製作された細胞、すなわちAPV、MPV、MPV/APV、またはAPV/MPVを発現するように設計製作された細胞により、所望の遺伝子型を含有する感染姓ウイルスが産生され、したがって選択系の必要性がなくなる。理論上、MPVの構造タンパク質をコードするORFのいずれか1つ、またはそのようなORFのいずれか1つの一部を、外来の配列に代えることができる。しかしこのような状況で必要な部分とは、欠陥ウイルス(正常なウイルス遺伝子の産物が失われまたは変化しているので欠陥がある)を増殖させる能力である。この問題を回避するため、いくつかの可能な手法が存在する。ある手法では、変異タンパク質を有するウイルスを、同じタンパク質の野生型バージョンを恒常的に発現するよう構成された細胞系内で増殖させることができる。この方法により、細胞系は、ウイルス内の変異体を補完する。同様の技法を使用して、MPV遺伝子のいずれかを恒常的に発現する形質転換細胞系を構成することができる。ウイルスタンパク質を発現するように作製されたこれらの細胞系を使用して、キメラまたは組換えウイルスの欠陥を補完し、それによって増殖させることができる。あるいは、ある特定の範囲の天然宿主系を利用して、キメラまたは組換えウイルスを増殖させることができる。
さらに別の実施形態で、複製に必要とされるウイルスタンパク質およびウイルスの機能は、合成cDNAまたはRNAの形の遺伝物質として提供することができ、その結果、キメラウイルスをコードする合成cDNAまたはRNAと共転写されるようになる。特に望ましい手法では、キメラウイルスおよびウイルスポリメラーゼおよび/またはその他のウイルス機能を発現するプラスミドが、宿主細胞内に同時にトランスフェクトされる。例えば、1つまたは複数の異種配列を持つかまたは持たないゲノムまたは抗ゲノムAPV、MPV、MPV/APV、またはAPV/MPV RNAをコードするプラスミドを、メタニューモウイルスポリメラーゼタンパク質N、P、L、またはM2-1をコードするプラスミドと共に宿主細胞内に同時にトランスフェクトすることができる。あるいは、本発明の組換えウイルスのレスキューは、T7 RNAポリメラーゼをコードする変性ワクシニアウイルスAnkara(MVA)の使用、またはポリメラーゼタンパク質(N、P、およびL)をコードするプラスミドおよびMVAの組合せによって実現することができる。例えば、MVA-T7またはFowl Pox-T7を、ベロ細胞、LLC-MK-2細胞、Hep-2細胞、LF 1043(HEL)細胞、tNK細胞、LLC-MK2、HUT 292、FRHL-2(アカゲザル)、FCL-1(ミドリザル)、WI-38(ヒト)、MRC-5(ヒト)細胞、293T細胞、QT6細胞、QT35細胞、およびCEF細胞に感染させることができる。MVA-T7またはFowl Pox-T7に感染した後、本発明の組換えウイルスをコードする完全長抗ゲノムcDNAを、N、P、L、およびM2-1コード発現プラスミドと共に細胞にトランスフェクトすることができる。あるいはポリメラーゼは、プラスミドのトランスフェクションによって得ることができる。その後、細胞および細胞の上澄みを収集し、凍結融解サイクルに1回かけることができる。次いで得られた細胞溶解産物を使用して、1-β-D-アラビノフラノシルシトシン(ara C)、ワクシニアウイルスの複製阻害剤の存在下、新しいHeLaまたはベロ細胞の単層に感染させ、それによってウイルスストックを生成することができる。次いでこれらのプレートからの上澄みおよび細胞を収集し、一度凍結融解することができ、本発明の組換えウイルス粒子の存在を、特定のウイルスに特異的な抗血清を使用するウイルスプラークの免疫染色によってアッセイすることができる。
キメラまたは組換えウイルスを増殖させる別の手法では、野生型ウイルスと共に培養することができる。これは、単に組換えウイルスを得て、このウイルスおよび別の野生型ウイルスを細胞に共感染させることにより行われる。野生型ウイルスは、欠陥遺伝子産物を補完して、野生型ウイルスと組換えウイルスの両方の成長を可能にすべきである。あるいは、ヘルパーウイルスを使用して、組換えウイルスの増殖を支援することができる。
別の手法では、メタニューモウイルスポリメラーゼタンパク質を発現する組換えウイルスを共感染させた細胞内で、合成鋳型を複製することができる。実際に、この方法を使用して、本発明による組換え感染性ウイルスをレスキューすることができる。このために、ウイルス発現ベクター(例えばワクシニアウイルスやアデノウイルス、バキュロウイルスなど)またはポリメラーゼタンパク質を発現する細胞系(例えばKrystal他、1986、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83: 2709〜2713参照)を含むがこれらに限定されない任意の発現ベクター/宿主細胞系内で、メタニューモウイルスポリメラーゼタンパク質を発現させることができる。さらに、全てのメタニューモウイルスタンパク質を発現する宿主細胞の感染により、感染性キメラウイルス粒子の産生が生じる。ウイルスの生存能力を変化させることなく、組換えウイルスを構成することが可能と考えられることに、留意すべきである。次いでこれらの変化したウイルスは増殖能力を持ち、複製するのにヘルパー機能を必要としないと考えられる。
トランスフェクションの手順は当業者に周知であり、DEAE-デキストラン媒介型、リン酸カルシウム媒介型、電気穿孔法、およびリポソーム媒介型のトランスフェクションが含まれるが、これらに限定されない。
完全長ウイルスゲノムは、いくつかのより小さいPCR断片からアセンブルすることができる。hMPVの種々の単離株の制限マップを図28に示す。制限部位は、完全長構成をアセンブルするのに使用することができる。ある実施形態で、PCRプライマーは、PCR反応から得られた断片が、その5'末端近くに制限部位を有しかつその3'末端近くに制限部位を有するように設計される。次いでPCR産物は、それぞれの制限酵素で消化して、隣接するPCR断片にライゲートすることができる。
5.7 組換えウイルスの弱毒化
本発明の組換えウイルスはさらに、弱毒化表現型を示すよう遺伝子組換えすることができる。特に本発明の組換えウイルスは、ウイルスがワクチンとして投与される対象において、弱毒化表現型を示す。弱毒化は、当業者に知られている任意の方法によって実現することができる。理論に拘泥するものではないが、組換えウイルスの弱毒化表現型は、例えば意図される宿主において自然な状態では十分に複製されないウイルスを使用する(例えばヒトにおけるAPVを使用する)ことによって、また、野生型のウイルス株に比べ、ウイルスゲノムの複製を減少させることによって、ウイルスが宿主細胞に感染する能力を低下させることによって、またはウイルスタンパク質が感染性ウイルス粒子にアセンブルする能力を低下させることによって、引き起こすことができる。リーダー配列やトレラー配列など、ウイルスのある配列の生存能力は、ミニゲノムアッセイを使用して試験することができる(セクション5.8参照)。
本発明の組換えウイルスの弱毒化表現型は、当業者に知られている任意の方法によって試験することができる(例えばセクション5.8参照)。例えば候補ウイルスは、それが宿主に感染できるかどうかについて、または細胞培養系での複製速度について試験することができる。ある実施形態では、変化した遺伝子がN、P、L、M2、F、G、M2-1、M2-2、またはこれらの組合せである場合、ミニゲノム系を使用して弱毒化ウイルスの試験をする。ある実施形態では、種々の温度での増殖曲線を使用して、ウイルスの弱毒化表現型について試験をする。例えば弱毒化ウイルスは35℃で増殖することができるが、39℃または40℃では増殖することができない。ある実施形態では、種々の細胞系を使用して、ウイルスの弱毒化表現型を評価することができる。例えば弱毒化ウイルスは、サルの細胞系で増殖することができるだけでヒト細胞系では増殖することができず、または種々の細胞系で実現可能なウイルス力価は、弱毒化ウイルスによって異なる。ある実施形態で、ハムスター、コットンラット、マウス、およびモルモットを含むがこれらに限定されない小動物モデルの気道におけるウイルス複製は、ウイルスの弱毒化表現型を評価するのに使用される。その他の実施形態では、抗体力価(例えばプラーク減少中和アッセイまたはELISAによってアッセイされる)を含むがこれに限定されないウイルスによって誘発される免疫応答が、ウイルスの弱毒化表現型を評価するのに使用される。特定に実施形態では、プラーク減少中和アッセイまたはELISAを低用量で実施する。ある実施形態では、組換えウイルスが動物モデルにおいて病理学的症状を誘発させる能力に関し、試験をすることができる。動物モデルにおいて、ウイルスが病理学的症状を誘発させる能力が低下することは、弱毒化表現型であることを示している。特定の実施形態では、候補ウイルスを、粘膜産生によって示される鼻感染に関してサルのモデルで試験する。
本発明のウイルスは、ウイルスの機能的特徴の1つまたは複数が損なわれるよう弱毒化することができる。ある実施形態で、弱毒化は、弱毒化ウイルスが得られる野生型のウイルス株と比較して測定される。その他の実施形態で、弱毒化は、異なる宿主系での弱毒化ウイルスの増殖と比較することによって決定される。したがって非限定的な例で、ヒト宿主におけるAPVの増殖がトリ宿主におけるAPVの増殖に比べて減少している場合、APVは、ヒト宿主で増殖させた場合に弱毒化すると言える。
ある実施形態で、本発明の弱毒化ウイルスは宿主に感染することができ、感染性ウイルス粒子が産生されるように宿主内で複製することができる。しかし野生型の株と比較すると、弱毒化した株はより低い力価に増殖し、またはよりゆっくりと増殖する。弱毒化ウイルスの増殖曲線を決定し、それを野生型ウイルスの増殖曲線と比較するには、当業者に知られている任意の技法を使用することができる。例示的な方法に関しては、以下の実施例のセクションを参照されたい。特定の実施形態で、弱毒化ウイルスは、例えば実施例22で述べる条件下、ベロ細胞内で105pfu/ml未満、104pfu/ml未満、103pfu/ml未満、または102pfu/ml未満の力価まで増殖する。
ある実施形態で、本発明の弱毒化ウイルス(例えばキメラ哺乳動物MPV)はヒト細胞内で複製することができないが、野生型ウイルス(例えば野生型哺乳動物MPV)は複製することができる。しかし弱毒化ウイルスは、ベロ細胞などインターフェロン機能に欠けている細胞系内では、十分に複製することができる。
その他の実施形態で、本発明の弱毒化ウイルスは、宿主に感染することができ、宿主内で複製することができ、本発明のウイルスのタンパク質を細胞質膜に挿入することができるが、弱毒化ウイルスは、宿主に新たな感染性ウイルス粒子を産生させることができない。ある実施形態で、弱毒化ウイルスは、野生型哺乳動物ウイルスと同じ効率で、宿主に感染し、宿主内で複製し、ウイルスタンパク質を宿主の細胞質膜に挿入することができる。その他の実施形態で、弱毒化ウイルスがウイルスタンパク質を宿主細胞内の細胞質膜に挿入する能力は、野生型ウイルスに比べて低下している。ある実施形態で、弱毒化哺乳動物ウイルスが宿主内で複製する能力は、野生型ウイルスに比べて低下している。当業者に知られる任意の技法を使用して、ウイルスが哺乳動物細胞に感染できるかどうか、宿主内で複製できるかどうか、ウイルスタンパク質を宿主の細胞質膜に挿入できるかどうかを決定することができる。例示的な方法に関してはセクション5.8を参照されたい。
ある実施形態で、本発明の弱毒化ウイルスは、宿主に感染することができる。しかし野生型哺乳動物MPVとは対照的に、弱毒化哺乳動物MPVは、宿主内で複製することができない。特定の実施形態で、弱毒化哺乳動物ウイルスは宿主に感染することができ、その宿主によってウイルスタンパク質をその細胞質膜に挿入することができるが、弱毒化ウイルスは宿主内で複製することができない。弱毒化哺乳動物MPVが宿主に感染したがどうか、さらにその宿主によってウイルスタンパク質がその細胞質膜に挿入されたかどうか、当業者に知られている任意の方法を使用して試験することができる。
ある実施形態で、弱毒化哺乳動物ウイルスが宿主に感染する能力は、同じ宿主に野生型ウイルスが感染する能力に比べて低下している。当業者に知られている任意の技法を使用して、ウイルスが宿主に感染可能かどうか決定することができる。例示的な方法に関してはセクション5.8を参照されたい。
ある実施形態では、変異(例えばミスセンス変異)をウイルスゲノムに導入して、弱毒化表現型を持つウイルスを生成する。変異(例えばミスセンス変異)は、組換えウイルスのN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、またはL遺伝子に導入することができる。変異は、付加、置換、欠失、またはこれらの組合せでよい。特定の実施形態では、N、P、L、F、G、M2-1、M2-2、またはM2タンパク質に対して単一のアミノ酸欠失変異を導入し、これを、ミニゲノムアッセイ系で機能性に関してスクリーニングすることができ、ウイルス内で予測される機能性に関して評価することができる。より具体的な実施形態で、ミスセンス変異は低温感受性変異である。その他の実施形態で、ミスセンス変異は熱感受性変異である。一実施形態で、ウイルスのPタンパク質の主なリン酸化部位は除去される。別の実施形態では、1つまたは複数の変異がウイルスのL遺伝子に導入されて、温度感受性株を生成する。さらに別の実施形態で、F遺伝子の切断部位は、切断が生じないようにまたは切断が非常に低い効率で生じるように変異する。
その他の実施形態では、組換えウイルスのゲノムに欠失を導入する。さらに具体的な実施形態では、組換えウイルスのN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、またはL遺伝子に欠失を導入する。特定の実施形態で、欠失は、本発明の組換えウイルスのM2遺伝子にある。その他の具体的な実施形態で、欠失は、本発明の組換えウイルスのSH遺伝子にある。さらに別の具体的な実施形態では、M2遺伝子とSH遺伝子の両方が欠失している。
ある実施形態では、組換えウイルスの遺伝子間領域が変化している。一実施形態では、遺伝子間領域の長さが変化している。別の実施形態では、遺伝子間領域が、ウイルスゲノムの5'末端から3'末端まで組み替えられている。
その他の実施形態では、組換えウイルスの1つまたは複数の遺伝子のゲノム位置が変化している。一実施形態では、FまたはG遺伝子が、ゲノムの3'末端に移動している。別の実施形態では、N遺伝子がゲノムの5'末端に移動している。
ある実施形態で、ウイルスの弱毒化は、野生型ウイルスの遺伝子を異なる種、異なるサブグループ、または異なる種のウイルスの遺伝子に代えることによって実現される。例示的な実施形態では、哺乳動物MPVのN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、またはL遺伝子を、それぞれAPVのN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、またはL遺伝子に代える。その他の例示的な実施形態では、APVのN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、またはL遺伝子を、それぞれ哺乳動物MPVのN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、またはL遺伝子に代える。好ましい実施形態で、ウイルスの弱毒化は、1つまたは複数のポリメラーゼ関連遺伝子(例えばN、P、L、またはM2)を異なる種のウイルスの遺伝子に代えることで実現される。
ある実施形態で、ウイルスの弱毒化は、野生型ウイルスタンパク質の1つまたは複数の特定のドメインを、異なる種のウイルスの対応するタンパク質から得られたドメインに代えることによって実現される。例示的な実施形態では、APVのFタンパク質の外部ドメインを、哺乳動物MPVのFタンパク質の外部ドメインに代える。好ましい実施形態では、L、N、またはPタンパク質の1つまたは複数の特定ドメインを、異なる種のウイルスの対応するタンパク質から得られたドメインに代える。その他のある実施形態で、ウイルスの弱毒化は、野生型ウイルスのタンパク質の1つまたは複数の特定ドメインを欠失させることによって実現される。特定の実施形態では、Fタンパク質の膜貫通ドメインを欠失させる。
本発明のある実施形態では、本発明の組換えウイルスのリーダー配列および/またはトレラー配列を修飾することによって、弱毒化表現型を実現することができる。より具体的なある実施形態では、リーダーおよび/またはトレラー配列の長さを、野生型ウイルスよりも少なくとも1ヌクレオチド、少なくとも2ヌクレオチド、少なくとも3ヌクレオチド、少なくとも4ヌクレオチド、少なくとも5ヌクレオチド、または少なくとも6ヌクレオチドだけ短くする。その他のより具体的なある実施形態では、組換えウイルスのリーダーおよび/またはトレラー配列を変異させる。特定の実施形態で、リーダー配列とトレラー配列は、互いに100%相補的である。その他の実施形態で、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、または10ヌクレオチドは互いに相補的ではなく、リーダーおよびトレラー配列の残りのヌクレオチドは互いに相補的である。ある実施形態で、非相補的ヌクレオチドは互いに同一である。その他のある実施形態で、非相補的ヌクレオチドは互いに異なっている。その他の実施形態では、トレラー内の非相補的ヌクレオチドがプリンである場合、リーダー配列内の対応するヌクレオチドもプリンである。その他の実施形態では、トレラー内の非相補的ヌクレオチドがピリミジンである場合、リーダー配列内の対応するヌクレオチドもプリンである。
弱毒化生ワクチンを使用する場合、その安全性についても考慮しなければならない。ワクチンは、疾患を引き起こしてはならない。本発明では、ワクチンを安全なものにすることができる当技術分野で知られている任意の技法を使用することができる。弱毒化技法に加え、その他の技法を使用することができる。1つの非限定的な例は、ウイルス粒子膜に組み込むことができない可溶性の異種遺伝子を使用することである。例えば、可溶性のRSV F遺伝子の単一のコピー、すなわち膜貫通およびサイトゾルドメインが欠けているRSV遺伝子変種を、使用することができる。ウイルス粒子膜に組み込むことができないので、ウイルスの屈性の変化が期待されない。
ワクチンの安全性について試験をするには、様々なアッセイを使用することができる。以下のセクション5.8を参照されたい。特に、ショ糖勾配アッセイと中和アッセイを使用して、安全性を試験することができる。異種タンパク質がウイルス粒子に挿入されるかどうかを決定するには、ショ糖勾配アッセイを使用することができる。異種タンパク質がウイルス粒子に挿入される場合、そのウイルス粒子は、親株が症状を引き起こさない場合であっても症状を引き起こすことができるかどうかについて、試験をすべきである。理論に拘泥するものではないが、異種タンパク質がウイルス粒子に組み込まれる場合、ウイルスは、獲得された新しい、おそらくは病理学的性質を有する可能性がある。
5.8 本発明と共に使用されるアッセイ
細胞培養系、動物モデル系、または対象におけるキメラまたは組換えウイルスの増殖速度を決定するために、本発明によるいくつかのアッセイを用いることができる。キメラおよび組換えウイルスがウイルス粒子の感染、複製、またはパッケージングを行う要件を決定するために、本発明によるいくつかのアッセイを用いることもできる。
本明細書で述べるアッセイは、経時的なウイルス力価をアッセイしてウイルスの増殖特性を決定するのに使用することができる。特定の実施形態で、ウイルス力価は、感染した細胞または感染した対象からサンプルを得、そのサンプルの連続希釈液を調製し、単一のプラークを出現させるウイルスの希釈度でウイルスに感染しやすい細胞の単層に感染させることによって決定される。次いでこのプラークをカウントし、ウイルス力価を、サンプル1ミリリットル当たりのプラーク形成単位として表すことができる。本発明の特定の実施形態で、対象における本発明のウイルスの増殖速度は、対象内のウイルスに対する抗体の力価によって評価される。理論に拘泥するものではないが、対象の抗体力価は、対象におけるウイルス力価だけではなく抗原性も反映している。ウイルスの抗原性が一定である場合、対象内での抗体力価の増大を使用して、対象におけるウイルスの増殖曲線を求めることができる。好ましい実施形態で、動物またはヒトにおけるウイルスの増殖曲線は、感染後の複数の時点での宿主の生物学的流体をサンプリングし、ウイルス力価を測定することによって、最良に試験される。
細胞培養系または対象での異種遺伝子配列の発現は、当業者に知られている任意の技法によって決定することができる。ある実施形態では、異種遺伝子の発現は、転写物のレベルを定量することにより測定する。転写物のレベルは、転写物に特異的なプローブまたはプライマーをそれぞれ使用するノーザンブロット分析またはRT-PCRによって、測定することができる。ウイルスはアンチセンス方向にあり、一方、転写物はセンス方向にあるので、転写物はウイルスのゲノムと区別することができる。ある実施形態で、異種遺伝子の発現は、異種遺伝子のタンパク質産物のレベルを定量することによって測定される。タンパク質のレベルは、タンパク質に特異的な抗体を使用するウェスタンブロット分析によって、測定することができる。
特定の実施形態では、異種遺伝子にペプチドタグを付ける。ペプチドタグは、このペプチドタグに対する抗体を使用して検出することができる。検出されたペプチドタグのレベルは、異種遺伝子から発現したタンパク質のレベルを表している。あるいは異種遺伝子から発現したタンパク質は、ペプチドダグによって単離することができる。精製したタンパク質の量は、異種遺伝子の発現レベルと相関している。そのようなペプチドタグと、そのようなペプチドタグに融合したタンパク質を単離する方法は、当技術分野で周知である。免疫グロブリン定常領域、ポリヒスチジン配列(Petty、1996、Metal-chelate affinity chromatography、Current Protocols in Molecular Biology、第1〜3巻(1994〜1998)、Ausubel,F.M.、Brent,R.、Kunston,R.E.、Moore,D.D.、Seidman,J.G.、Smith,J.A.、およびStruhl,K.編、John Wiley and Sons,Inc.、USA、Greene Publish.Assoc.&Wiley Interscience発行)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST; Smith、1993、Methods Mol.Cell Bio. 4:220〜229)、E.coliマルトース結合タンパク質(Guan他、1987、Gene 67:21〜30)、様々なセルロース結合ドメイン(米国特許第5,496,934; 第5,202,247号; 第5,137,819号; Tomme他、1994、Protein Eng. 7:117〜123)、FLAGエピトープ(Short Protocols in Molecuar Biology、1999、Ausubel他編、John Wiley&Sons,Inc.、Unit 10.11)などであるがこれらに限定することのない異種遺伝子の修飾には、当技術分野で知られている様々なペプチドタグを使用することができる。その他のエピトープタグは、特異的な結合パートナーによって認識され、したがって、好ましくは固定化されかつ/または固体支持体上にある結合パートナーへの親和性結合により、単離が促進される。当業者に理解されるように、上記ペプチドダグのコード領域を得るために、DNAクローニング、DNA増幅、および合成方法を含むがこれらに限定することのない数多くの方法を使用することができる。ペプチドタグのいくつかおよびそれらを検出し単離するための試薬は市販されている。
対象由来のサンプルは、当業者に知られている任意の方法によって得ることができる。ある実施形態で、サンプルは、鼻吸引液、咽頭スワブ、痰、または気管支肺胞洗浄液からなる。
5.8.1 ミニレプリコン構成
ミニレプリコン構成は、アンチセンスレポーター遺伝子を含有するように生成することができる。当業者に知られている任意のレポーター遺伝子を本発明で使用することができる(セクション5.8.2参照)。特定の実施形態では、レポーター遺伝子はCATである。ある実施形態で、レポーター遺伝子は、肝炎デルタリボザイム(Hep-d Ribo)およびT7ポリメラーゼ終結(T-T7)シグナルに結合しているネガティブセンスhMPVまたはAPVリーダーと、T7 RNAポリメラーゼプロモーターの後に続くhMPVまたはAPVトレラー配列によって挟むことができる。
ある実施形態では、ミニレプリコンをコードするプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトする。宿主細胞は、T7 RNAポリメラーゼ、N遺伝子、P遺伝子、L遺伝子、およびM2.1遺伝子を発現する。ある実施形態では、T7 RNAポリメラーゼ、N遺伝子、P遺伝子、L遺伝子、およびM2.1遺伝子をコードするプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトする。その他の実施形態では、ミニレプリコンをコードするプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトし、その宿主細胞にヘルパーウイルスを感染させる。
レポーター遺伝子の発現レベルおよび/またはその活性は、セクション5.8.2に記載されている方法などであるがこれらに限定することのない、当業者に知られている任意の方法によってアッセイすることができる。
より具体的なある実施形態で、ミニレプリコンは、以下の要素、T7 RNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼ、リーダー配列、遺伝子開始点、GFP、トレラー配列、肝炎デルタリボザイム配列またはRNAポリメラーゼI終結配列を、列挙した順番で含む。T7をRNAポリメラーゼとして使用する場合、肝炎デルタリボザイム配列は終結配列として使用すべきである。RNAポリメラーゼIを使用する場合、RNAポリメラーゼI終結配列は、終結シグナルとして使用することができる。レスキュー系に応じて、ミニレプリコンの配列をセンス方向またはアンチセンス方向にすることができる。ある実施形態では、リーダー配列をhMPVの野生型リーダー配列に対して変化させることができる。リーダー配列の前には、任意選択でACを置くことができる。T7プロモーター配列は、Gダブレットまたはトリプレットを持ちまたは持たないものでよく、Gダブレットまたはトリプレットによって転写が増加する。
特定の実施形態では、T0で細胞にhMPVを感染させる。24時間後、T24で、細胞にミニレプリコン構成をトランスフェクトする。T0後48時間およびT0後72時間で、細胞を、レポーター遺伝子の発現に関して試験する。蛍光レポーター遺伝子産物を使用する場合(例えばGFP)、レポーター遺伝子の発現は、FACSを使用して試験することができる。
別の実施形態では、細胞に、T=0時間で6個のプラスミドをトランスフェクトする。次いで細胞をT=40時間およびT=60時間で収集し、CATまたはGFP発現に関して分析する(図25参照)。
別の特定の実施形態では、細胞に、T0でMVA-T7を感染させる。1時間後、T1で、細胞にミニレプリコン構成をトランスフェクトする。T0後24時間で、細胞にhMPVを感染させる。T0後72時間で、細胞を、レポーター遺伝子の発現に関して試験する。蛍光レポーター遺伝子産物を使用する場合(例えばGFP)、レポーター遺伝子の発現は、FACSを使用して試験することができる。
5.8.2 レポーター遺伝子
ある実施形態では、組織培養物または動物モデルでのレポーター遺伝子発現を測定するアッセイを、本発明の方法で使用することができる。レポーター遺伝子のヌクレオチド配列を、APVやhMPV、hMPV/APV、APV/hMPVなどのウイルスにクローニングするが、この場合、(i)レポーター遺伝子の位置が変化しており、(ii)レポーター遺伝子を挟む遺伝子間領域の長さは様々なものである。種々の組合せについて試験をして、レポーター遺伝子の最適な発現速度、およびレポーター遺伝子を含むウイルスの最適な複製速度を決定する。
ある実施形態で、ミニレプリコン構成は、レポーター遺伝子を含むように生成される。ミニレプリコン構成の構築については本明細書で述べる。
レポーター遺伝子産物の存在量は、当業者に知られている任意の技法によって決定することができる。そのような技法には、レポーター遺伝子に特異的なプローブまたは抗体をそれぞれ使用するノーザンブロット分析またはウェスタンブロット分析が含まれるが、これらに限定されない。
ある実施形態で、レポーター遺伝子は、FACS中で検出することができる蛍光シグナルを放出する。FACSは、レポーター遺伝子が内部で発現する細胞を検出するのに使用することができる。
本発明の特定の態様を実施するための技法は、他に特に示さない限り、当業者により日常的に実施されている分子生物学、微生物学、組換えDNA操作および生成の従来の技法を用いることになる。例えば、Sambrook他、Molecular cloning、a laboratory manual、第2版、第1〜3巻(Cold Spring Harbor Laboratory、1989)、A Laboratory Manual、第2版; DNA Cloning、第IおよびII(Glover編、1985); およびTranscription and Translation(Hames&Higgins編、1984)を参照されたい。
レポーター遺伝子産物の生化学的活性は、レポーター遺伝子の発現レベルを表す。レポーター遺伝子の活性の全体的レベルは、本発明の組換えウイルスの複製速度にも依存する。したがって組換えウイルス由来のレポーター遺伝子の真の発現レベルを決定するには、全発現レベルを細胞培養物または動物モデルにおける組換えウイルスの力価で割るべきである。
本発明の方法で使用することができるレポーター遺伝子には、以下の表4に列挙する遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。
レポーター遺伝子の存在量は、とりわけウェスタンブロット分析またはノーザンブロット分析によって、あるいはヌクレオチド配列の転写、そのmRNAタンパク質の存在量を定量するために使用される任意のその他の技法によって、測定することができる(Short Protocols in Molecular Biology、Ausubel他(編)、John Wiley&Sons,Inc.、第4版、1999参照)。ある実施形態で、レポーター遺伝子産物の活性は、組換えウイルス由来のレポーター遺伝子発現の読取り値として測定される。レポーター遺伝子産物の活性の定量では、レポーター遺伝子産物の生化学的特性を用いることができる(表4参照)。レポーター遺伝子産物の生化学的活性を測定する方法は、当業者に周知である。本発明の方法で使用することができる例示的なレポーター遺伝子のより詳細な記述を以下に示す。
5.8.3 感染率の測定
感染率は、例えば臨床サンプル(例えば鼻腔ぬぐい分泌液)について本発明のウイルスが存在するかどうか、抗APV抗原抗体、抗hMPV抗原抗体、抗APV抗原抗体、および/または抗体であって異種ヌクレオチド配列の遺伝子産物に特異的なものを使用する免疫蛍光アッセイ(IFA)によってそれぞれ試験をすることであるがこれに限定することのない、当技術分野で周知の任意の方法によって決定することができる。
ある実施形態では、無傷の細胞を含有するサンプルを直接処理することができるが、無傷の細胞を持たない単離株は、許容細胞系(例えばHEp-2細胞)でまず培養すべきである。例示的な実施形態では、培養細胞懸濁液を、例えば室温で300×gの遠心単離に5分間かけ、その後、同じ条件下でPBS、pH7.4(Ca++およびMg++含まず)で洗浄することによって、清澄にすべきである。細胞ペレットを、少量のPBSに再懸濁して分析にかける。無傷の細胞を含有する一次臨床単離株をPBSと混合し、室温で5分間、300×gの遠心分離にかける。粘液を、滅菌ピペットの先端との界面から除去し、細胞ペレットを同じ条件下でもう一度PBSで洗浄する。次いでペレットを少量のPBSに再懸濁し、分析にかける。アセトン洗浄した12ウェルHTCスーパーキュアガラススライド上の5mmウェル当たり、各細胞懸濁液5〜10マイクロリットルをスポッティングし、空気乾燥させる。スライドを冷(-20℃)アセトン中に10分間固定する。各ウェルにPBS-1%BSAを添加し、その後室温で10分間インキュベートすることによって、反応を阻止する。スライドをPBS-0.1% Tween-20で3回洗浄し、空気乾燥する。ブロッキング緩衝液中250ng/mlに希釈した各一次抗体試薬10マイクロリットルで、ウェルごとに染みを付け、反応物を、加湿した37℃の環境下で30分間インキュベートする。次いでスライドを、PBS-0.1%Tween-20を3回交換して十分に洗浄し、空気乾燥する。ブロッキング緩衝液中250ng/mlに希釈した適切な二次複合抗体試薬10マイクロリットルで、それぞれのウェルごとに染みを付け、反応物を、加湿した37℃の環境下でさらに30分間インキュベートする。次いでスライドを、PBS-0.1%Tween-20を3回交換して洗浄する。5マイクロリットルのPBS-50%グリセロール-10mM Tris pH8.0-1mM EDTAで反応ウェルごとに染みを付け、スライドにカバーガラスを取り付ける。その後、各反応ウェルを、B-2Aフィルタ(EX 450〜490nm)を使用する200×の倍率での蛍光顕微鏡法により分析する。染色していない細胞または二次試薬のみで染色した細胞から得られた自己蛍光バックグラウンドに対して、陽性反応を記録する。陽性反応は、
感染した細胞の細胞質内にある小封入体で強調された、明るい蛍光を特徴とする。
5.8.4 血清力価の測定
抗体血清力価は、当技術分野で周知の任意の方法によって決定することができ、例えば、血清サンプル中の抗体または抗体断片の量をサンドイッチELISAで定量することができるが、これに限定するものではない。簡単に言うと、ELISAは、血清中の抗体または抗体断片を認識する抗体で、4℃で一晩マイクロタイタープレートを被覆することからなる。次いでこのプレートを、室温で約30分間、PBS-Tween-0.5%BSAで遮断する。PBS-TWEEN-BSA中に希釈した精製済みの抗体または抗体断片を使用して標準曲線を構成し、サンプルをPBS-BSA中に希釈する。サンプルおよび標準液を、アッセイプレートの2つ組のウェルに加え、室温で約1時間インキュベートする。次に非結合抗体をPBS-TWEENで洗い落とし、結合抗体については、室温で約1時間、標識二次抗体(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgG)で処理する。標識に特異的な色素産生基質を添加し、例えば分光光度計によって基質の代謝回転速度を測定することにより、標識抗体の結合を検出する。血清中の抗体または抗体断片レベルの濃度は、サンプルに関する基質の代謝回転速度と標準曲線での基質の代謝回転速度とを、ある希釈率で比較することによって決定する。
5.8.5 血清検査
本発明のある実施形態では、哺乳動物MPVの構成要素に結合する抗体が存在するかどうか検出する。特に、哺乳動物MPVのタンパク質を対象とする抗体の存在は対象内で検出することができ、それによって、対象内の哺乳動物MPVの存在を診断する。哺乳動物MPVの構成要素を対象とする抗体の存在を検出するには、当業者に知られている任意の方法を使用することができる。
例示的な実施形態では、哺乳動物MPVの構成要素を固体支持体に結合させる。特定の実施形態で、哺乳動物MPVの構成要素はFタンパク質またはGタンパク質であるが、これらに限定されない。その後、哺乳動物MPVを対象とする抗体の存在に関して試験をする物質を、哺乳動物MPV構成要素と抗体との結合に至る条件下で、固体支持体と共にインキュベートする。その後、固体支持体を、非特異的に結合している抗体全てが除去される条件下で洗浄する。洗浄ステップの後、結合した抗体の存在を、当業者に知られている任意の技法を使用して検出することができる。特定の実施形態では、検出可能に標識された抗体と哺乳動物MPVの構成要素に結合した抗体との結合に至る条件下で、哺乳動物MPVタンパク質-抗体複合体を、対象の種に応じて生成された抗体を認識する検出可能に標識された抗体と共にインキュベートするが、例えば対象がコットンラットである場合、検出可能に標識された抗体はラット抗体を対象とする。特定の実施形態で、検出可能に標識された抗体は、酵素活性に結合する。別の実施形態で、検出可能に標識された抗体は、放射性標識されたものである。次いで哺乳動物MPVタンパク質-抗体-検出可能に標識された抗体の複合体を洗浄し、その後、検出可能に標識された抗体の存在を、当業者に知られている任意の技法によって定量するが、ここで使用される技法は、検出可能に標識された抗体の標識のタイプに応じて異なるものである。
5.8.6 ビアコアアッセイ
抗体結合の動態パラメータの決定は、例えば、0.05%Tween-20を含有するHBS緩衝液にモノクローナル抗体(「mAb」)を様々な濃度で溶かしたもの250μLを、抗原が固定されているセンサチップ表面に注入することによって、決定することができる。抗原は、哺乳動物MPVの任意の構成要素でよい。特定の実施形態で、抗原は哺乳動物MPVのFタンパク質またはGタンパク質でよいが、これらに限定されない。流量は、75uL/分で一定に維持する。解離データを15分間、または必要に応じてそれ以上収集する。各注入/解離サイクルの後、希釈酸、典型的な場合には10〜100mM HClの短い1分間のパルスを使用して、抗原表面から結合mAbを除去するが、状況が許すならその他の再生剤を使用する。
より具体的には、会合速度konおよび解離速度koffの測定では、標準的なアミンカップリングの化学的性質、すなわちEDC/NHS法を用いて、抗原をセンサチップ表面に直接固定化する(EDC=N-ジエチルアミノプロピル)-カルボジイミド)。簡単に言うと、10mM NaOAcに溶かした抗原の5〜100nM溶液(pH4またはpH5)を調製し、約30〜50RU(Biacore Resonance Unit)相当の抗原が固定化されるまで、この溶液をEDC/NHS活性化表面に通す。この後、未反応の活性エステルを、1M Et-NH2を注入することによって「キャップ」する。参照用として、同一の固定条件下で抗原を含まないブランク表面を調製する。適切な表面を調製したら、抗体試薬のそれぞれに関して適切な連続希釈液をHBS/Tween-20で調製し、連続して接続されている抗原と参照用の両方の細胞表面に通す。調製される抗体濃度の範囲は、平衡結合定数KDがどのような値になるかに応じて異なる。上述のように、適切な再生剤を使用して、各注入/解離サイクルの後の結合抗体を除去する。
全データ集合を収集したら、機器製造業者BIAcore,Inc.(Piscataway、NJ)から供給されたアルゴリズムを使用して、得られる結合曲線を全体的に当てはめる。全てのデータは、1:1のラングミュア結合モデルに適合する。これらのアルゴリズムはkonとkoffの両方を計算し、そこから見掛けの平衡結合定数KDが2つの速度定数の比(すなわちkoff/kon)として推定される。個々の速度定数をどのように導き出すかについてのより詳細な処理は、BIAevaluation Software Handbook(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)に見出すことができる。
5.8.7 微量中和アッセイ
抗体またはその抗原結合断片がウイルス感染力を中和する能力を、微量中和アッセイにより決定する。この微量中和アッセイは、Anderson他(1985、J.Clin.Microbiol. 22:1050〜1052、その開示全体を参照により本明細書に援用する)により記述された手順に変更を加えたものである。この手順は、その開示全体を参照により本明細書に援用するJohnson他、1999、J.Infectious Diseases 180:35〜40にも記載されている。
抗体希釈液を、96ウェルプレートを使用して3本作製する。106TCID50の哺乳動物MPVを、抗体またはその抗原結合断片の連続希釈液と共にインキュベートして、これを96ウェルプレートのウェル内で、37℃で2時間の試験にかける。次いでベロ細胞(2.5×104)などであるがこれに限定することのない、哺乳動物MPVに感染し易い細胞を各ウェルに添加し、5%CO2中37℃で5日間培養する。5日後に培地を吸引し、80%メタノールおよび20%PBSで細胞を洗浄しプレートに固定する。次いでFタンパク質発現など、ウイルス抗原によってウイルスの複製を決定する。固定された細胞を、抗Fタンパク質モノクローナル抗体(例えばpan Fタンパク質、C部位特異的MAb133-1H)などのビオチン結合抗ウイルス抗原と共にインキュベートし、洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合アビジンをウェルに添加する。ウェルを再び洗浄し、基質TMB(チオニトロ安息香酸)の代謝回転を450nmで測定する。中和力価は、ウイルスのみの対照細胞から450nmの吸光度(OD450)で少なくとも50%の低下を引き起こす抗体濃度として表す。
本明細書で述べる微量中和アッセイは、単なる一例である。別法として、ウイルスが抗体によってどのように大きな影響を受けるかを決定する際、標準的な中和アッセイを使用することができる。
5.8.8 ウイルス融合阻害アッセイ
このアッセイは、抗体を添加する前に細胞をそれぞれのウイルスに4時間感染させ、読取りが細胞の融合の存否に関するものであること以外、基本的に微量中和アッセイと同一である(Taylor他、1992、J.Gen.Virol. 73:2217〜2223)。
5.8.9 等温滴定熱量測定
熱力学的結合親和性およびエンタルピーを、抗体とそれに対するそれぞれの抗原との相互作用に関して等温滴定熱量測定(ITC)から決定する。
抗体を透析液中に希釈し、その濃度を、280nmのピーク最大値で吸光係数217,000M-1cm-1を使用して、Perkin-Elmer Lambda 4B分光光度計を用いたUV分光分析吸収測定により決定した。希釈した哺乳動物MPV-抗原濃度は、当初のサンプルの質量と希釈したサンプルの質量との比から計算するが、それはこの吸光係数が、大量のサンプルを用いることなくまた失うことなく正確な濃度を決定するのに低すぎるからである。
ITC測定
抗体の結合熱力学を、Microcal,Inc. VP滴定熱量計を使用したITC測定により決定する。VP滴定熱量計は、断熱性エンクロージャ内に封入されたサンプル用と参照用容器(1.409ml)の一対の組合せと、このサンプル容器に対してリガンド溶液を滴定するための回転スターラ-シリンジとからなる。ITC測定は、25℃および35℃で行う。サンプル容器には、抗体を加えたリン酸緩衝液が入っていたが、参照容器には緩衝溶液のみ入っている。リン酸緩衝溶液は、HyClone,Inc.製の生理食塩水67mM PO4(pH7.4)である。5〜10μlという一定量の0.05〜0.1mM RSV-抗原、PIV-抗原、および/またはhMPV-抗原溶液を、3〜4分間あけて、熱交換シグナルが失われることからわかるように結合が飽和するまで抗体サンプル溶液中に滴定する。
Microcal,Inc.からの非線形最小2乗法による最小化ソフトウェアプログラムOrigin 5.0を使用して、以下の方程式(I)に従い、全熱量Qtのi回目の滴定での増分熱量(ΔQ(i))を全滴定液濃度Xtに当てはめるが、
Qt=nCtΔHb ○V1+Xt/nCt+1/nKbCt-[(1+Xt/nCt+1/nKbCt)2-4Xt/nCt]1/2/2 (1a)
ΔQ(i)=Q(i)+dVi/2V{Q(i)+Q(i-1)}-Q(i-1) (1b)
上式でCtは、サンプル容器中の初期抗体濃度であり、Vはサンプル容器の容積であり、nは結合反応の化学量論的な量であり、これによってKb、ΔHb ○、およびnの値を得る。Kbを決定するのに最適なサンプル濃度の範囲はKbの値に応じて異なり、以下の関係式によって定義される。
CtKbn≦500 (2)
したがって1μMで決定することのできる最大Kbは2.5×108M-1未満である。最初の滴定液添加が結合等温式に適合しない場合、シリンジ開口と溶液との界面での気泡の放出を示す可能性があるので、それは最終分析で無視される。
5.8.10 イムノアッセイ
免疫沈降プロトコルは一般に、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロテアーゼ阻害剤(例えばEDTA、PMSF、159アプロチニン、バナジン酸ナトリウム)を補ったRIPA緩衝液(1%NP-40またはTriton X-100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.2)、1%Trasylol)などの溶解緩衝液に細胞集団を溶解し、問題となっている抗体を細胞溶解産物に添加し、4℃である時間(例えば4時間)インキュベートし、タンパク質Aおよび/またはタンパク質Gセファロースビーズを細胞溶解産物に添加し、4℃で約1時間以上インキュベートし、ビーズを溶解緩衝液中で洗浄し、ビーズをSDS/サンプル緩衝液中に再懸濁することを含む。問題となっている抗体が特定の抗原を免疫沈降させる能力は、例えばウェスタンブロット分析によって評価することができる。当業者なら、抗体と抗原との結合が増加しまたバックグラウンドが低下するように(例えばセファロースビーズで細胞溶解産物をプレクリアする)修正可能なパラメータが理解されよう。免疫沈降プロトコルに関するさらなる考察に関しては、例えばAusubel他編、1994、Current Protocols in Molecular Biology、第1巻、John Wiley&Sons,Inc.、New York、第10、16、1頁を参照されたい。
ウェスタンブロット分析は一般に、タンパク質サンプルを調製し、ポリアクリルアミドゲルでタンパク質サンプルの電気泳動をし(例えば抗原の分子量に応じて8%〜20%のSDS-PAGE)、タンパク質サンプルをポリアクリルアミドゲルからニトロセルロースやPVDF、ナイロンなどの膜に移し、膜を遮断溶液(例えば3%BSAや脱脂乳をを含むPBS)中に遮断し、膜を洗浄緩衝液(例えばPBSTween20)で洗浄し、膜を、遮断緩衝液で希釈した一次抗体(問題となっている抗体)と共にインキュベートし、膜を洗浄緩衝液中で洗浄し、膜を、遮断緩衝液で希釈した酵素基質(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ)または放射性分子(例えば12Pや121I)に結合した二次抗体(一次抗体、例えば抗ヒト抗体を認識する)と共にインキュベートし、膜を洗浄緩衝液中で洗浄し、抗原の存在を検出することを含む。当業者なら、検出されるシグナルを増大させまたバックグラウンドノイズを低減させるように修正可能なパラメータが理解されよう。ウェスタンブロットプロトコルに関するさらなる考察については、例えばAusubel他編1994、GinTent Protocols in Molecular Biology、第1巻、John Wiley&Sons,Inc.、New York、10.8.1を参照されたい。
ELISAは、抗原を調製し、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原で被覆し、ウェルに結合しなかった抗原を洗い落とし、酵素基質(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ)などの検出可能な化合物に結合された問題となっている抗体をウェルに添加して、ある時間インキュベートし、結合していない抗体または非特異的結合抗体を洗い落とし、ウェルを被覆している抗原に特異的に結合された抗体の存在を検出することを含む。ELISAでは、問題となっている抗体が、検出可能な化合物に結合していなくてもよく、代わりに、検出可能な化合物に結合している二次抗体(問題となっている抗体を認識する)をウェルに添加することができる。さらに、ウェルを抗原で被覆する代わりに、抗体をウェルに被覆してもよい。その場合、検出可能な分子は、酵素基質(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ)などの検出可能な化合物に結合した抗原でよい。シグナル検出およびその他のELISAの変化が増大するように修正可能なパラメータは、当業者に周知である。ELISAに関するさらなる考察については、例えばAusubel他編1994、Current Protocols in Molecular Biology、第1巻、John Wiley&Sons,Inc.、New York、11.2.1を参照されたい。
抗原に対する抗体(scFv、あるいは抗体断片またはその変種を含み、あるいは抗体断片またはその変種からなるその他の分子を含む)の結合親和性と、抗体抗原相互作用のオフレートは、競合結合アッセイによって決定することができる。競合結合アッセイの一例は、標識されていない抗原の量が増加している状態で、標識抗原(例えば3Hや121I)と問題にされている抗体とをインキュベートすること、および標識抗原に結合している抗体を検出することを含む、ラジオイムノアッセイである。
5.8.11 ショ糖勾配アッセイ
異種タンパク質がウイルス粒子に組み込まれるかどうかという問題は、当業者に知られている任意の生化学的アッセイを使用することによってさらに調べることができる。特定の実施形態では、異種タンパク質がウイルス粒子に組み込まれるかどうかを決定するのに、ショ糖勾配アッセイを使用する。
感染細胞溶解産物は、20〜60%ショ糖勾配に分画することができ、様々な画分を収集して、例えばウェスタンブロット分析により異種タンパク質およびベクタータンパク質の存在および分布について分析する。画分およびウイルスタンパク質は、プラークアッセイにより、ピークウイルス力価に関してアッセイすることもできる。異種タンパク質がウイルス粒子を共に移行する場合、異種タンパク質はウイルス粒子と会合する。
5.9 MPVの新しい単離株を同定する方法
本発明は、哺乳動物MPV、特にhMPVに関する。本発明は、MPVの2つの血清学的サブグループAおよびBの特徴付けと、MPV A1、A2、B1、およびB2の4つの変種の特徴付けを行うが、本発明はこれらのサブグループおよび変種に限定されない。本発明は、本明細書に記載されるサブグループおよび変種に属すると特徴付けられ、あるいはまだ特徴付けられていないサブグループまたは変種に属すると特徴付けられたものも含めた、任意のまだ同定されていないMPV単離株を包含する。
所与のサンプル中に存在するタンパク質構成要素を特徴付けるために、イムノアッセイを使用することができる。イムノアッセイは、同定のためウイルスのペプチド構成要素を使用してウイルス単離株を比較するのに効果的な方法である。例えば本発明は、本明細書において、本明細書で提供されたMPVの別の単離株を同定する方法を提供し、この方法は、本質的にMPVに感染していないかまたは特異的な病原体のないモルモットまたはフェレット(詳細な説明では、動物は鼻内に接種されているが、筋肉内接種や皮内接種などその他の手法で接種したもの、およびその他の実験動物を使用することも可能である)にプロトタイプの単離株I-2614または関係する単離株を接種することを含むものである。この動物から、接種後0日、2週間、および3週間経過したときに血清を収集する。ウイルス中和(VN)アッセイ(VNアッセイの例に関しては実施例16参照)および間接的IFA(IFAの例に関しては実施例11または14参照)で測定されたように、それぞれの単離株I-2614に対して特異的に血清変換された動物と、血清変換された動物由来の血清を、前記別の単離株の免疫学的検出で使用する。一例として本発明は、パラニューモウイルス科の新しいメンバー、すなわち重篤なRTIをヒトに引き起こす可能性のあるヒトメタニューモウイルスまたはメタニューモウイルス様ウイルス(その最終的な分類についてはウイルス分類学委員会による議論が待たれるので、本明細書でMPVは、例えば分類学上APVに相当すると記載する)(MPV)の特徴付けを行う。MPVにより引き起こされる疾患の臨床症状は、咳や筋肉痛、嘔吐、発熱性細気管支炎または肺炎、可能な結膜炎、あるいはこれらの組合せなど、本質的にhRSVにより引き越されたものと同様である。hRSVに感染した子供に見られるように、特に非常に幼い子供の場合は入院が必要になる可能性がある。一例として、2001年1月19日にCNCM、Institute Pasteur(パリ)にI-2614として寄託されたMPV、またはそれに系統学上相当するウイルス単離株を、本明細書では提供する。それと共に本発明は、核酸、または配列番号19の核酸配列に系統学上相当する機能的断片、あるいはこれに構造上相当するものを含んだウイルスを提供する。詳細には本発明は、100回のブートストラップおよび3回のジャンブルを使用して最尤樹を生成する系統樹分析で試験した後で、トリ鼻気管炎の病因物質であるシチメンチョウ鼻気管炎ウイルス(TRTV)とも呼ばれるトリニューモウイルス(APV)のウイルス単離株に関係するよりも、CNCM(パリ)にI-2614として寄託されたウイルス単離株のほうに対して系統学上より密接に相当することが見出されることを特徴とするウイルスを提供する。特に前記系統樹分析では、本質的に非哺乳動物ウイルスではあるが最も近い類縁にあるAPV-Cウイルス単離株を、外集団として使用することが有用である。
5.9.1 バイオインフォマティックスによる配列アライメント
2つ以上のアミノ酸配列をBLAST(Altschul,S.F.他、1990、J.Mol.Biol. 215:403〜410)によって比較して、それらの互いの配列相同性および配列同一性を決定することができる。2つ以上のヌクレオチド配列は、これらをBLAST(Altschul,S.F.他、1990、J.Mol.Biol. 215:403〜410)によって比較して、互いの配列相同性および配列同一性を決定することができる。BLAST比較は、Clustal W法(Mac Vector(tm))を使用して実施することができる。ある特定の実施形態では、コンピュータプログラムによる2つ以上の配列のアライメントの後に、マニュアルで再調整することができる。
2つの配列同士の同一性%の決定は、数学的アルゴリズムを使用して行うことができる。2つの配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、KarlinおよびAltschul、1990、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 87:2264〜1168のアルゴリズムであって、KarlinおよびAltschul、1993、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90:5873〜5877で修正が加えられたものである。そのようなアルゴリズムは、Altschul他、1990、J.Mol.Biol. 215:403〜410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド比較は、NBLASTプログラムを用いて実施することができる。BLASTアミノ酸配列比較は、XBLASTプログラムを用いて実施することができる。比較を目的としたギャップ付きアライメントを得るには、Altschul他、1997、Nucleic Acids Res. 25:3389〜3402に記載されているようなGapped BLASTを利用することができる。あるいはPSI-Blastを使用して、分子同士の類縁関係を検出する反復探索を実行することができる(Altschul他、1997、前掲)。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えばXBLASTやNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照)。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、MyersおよびMiller、1988、CABIOS 4:11〜17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量算分表を使用することができる。ギャップ長ペナルティは当業者により設定することができる。2つの配列間の同一性%は、ギャップを考慮しまたは考慮しない状態で、上述と同様の技法を使用して決定することができる。同一性%の計算では、典型的には厳密にマッチしているものしかカウントしない。
5.9.2 ハイブリダイゼーション条件
本発明の方法では、哺乳動物MPVの核酸と、またはその逆相補鎖と、またはその相補鎖とのハイブリダイゼーションが可能な核酸を使用して、それらの配列の互いの相同性および同一性を決定することができる。ある実施形態では、ストリンジェンシーの高い条件下で核酸をハイブリダイズする。限定ではなく一例としての、そのような高ストリンジェンシー条件を使用する手順は、以下の通りである。DNAを含むフィルタのプレハイブリダイゼーションを、6×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAからなる緩衝液中、65Cで8時間から一晩にわたり実施する。フィルタは、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5〜20×106cpmの32P標識プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中、65Cで48時間ハイブリダイズする。フィルタの洗浄は、2×SSC、0.01%PVP、0.01%Ficoll、および0.01%BSAを含有する溶液中、37Cで1時間行う。この後、0.1×SSC中、50Cで45分間洗浄してから、オートラジオグラフィにかける。使用することができるその他の高ストリンジェンシー条件は、当技術分野で周知である。本発明のその他の実施形態で、ハイブリダイゼーションは、穏かな低ストリンジェンシー条件下で実施するが、そのような条件は問う業者に周知である(例えば、Sambrook他、1989、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York参照; またAusubel他編、the Current Protocols in Molecular Biology series of laboratory technique manuals、1987〜1997 Current Protocols、(著作権) 1994〜1997 John Wiley and Sons,Inc.も参照)。
5.9.3 系統学的分析
本発明は、哺乳動物MPV単離株間の系統学上の関係の推論に関する。系統学上の関係の分析では、多くの方法または手法を利用することができ、そのような方法には、距離法、最尤法、および最大節約法が含まれる(Swofford,DL.他、Phylogenetic Inference. Molecular Systematics. Hillis,DM、Mortiz,C、およびMable,BK編、1996. Sinauer Associates: Massachusetts、USA. 第407〜514頁; Felsenstein,J.、1981、J.Mol.Evol. 17:368〜376)。この他ブートストラッピング技法は、得られる系統樹の信頼区間を準備し調べるのに有効な手段である(Felsenstein,J.、1985、Evolution. 29:783〜791)。系統学上の関係を確立するには、哺乳動物MPV単離株を比較するためにヌクレオチドまたはペプチド配列情報を使用する任意の方法または手法を使用することができ、距離法、最尤法、および最大節約法または手法が含まれるが、これらに限定されない。系統学的データの質を分析するには、ブートストラッピングを含むがこれに限定することのない当技術分野で知られている任意の方法を使用することができる。系統学的手法に使用されるヌクレオチドまたはペプチド配列データのアライメントには、マニュアルアライメント、コンピュータペアワイズアライメント、およびコンピュータマルチプルアライメントが含まれるが、これらに限定されない。当業者なら、必要とされる情報および許される時間に基づいて使用される好ましいアライメント法または系統学的手法に精通しているであろう。
一実施形態では、hMPV単離株同士の関係を推測するために、DNA最尤法を使用する。別の実施形態では、前記系統学的手法の1つを使用して作成された系統学的データの確実性を決定するために、ブートストラッピング技法を使用する。別の実施形態では、系統学的分析に対する配列順序エントリーの影響を最小限に抑えるために、データ入力の前に、ジャンブリング技法を系統学的手法に適用する。ある特定の実施形態では、DNA最尤法をブートストラッピングと共に使用する。別の特定の実施形態では、DNA最尤法をブートストラッピングおよびジャンブリングと共に使用する。別のさらに具体的な実施形態では、DNA最尤法を50回のブートストラップと共に使用する。別の具体的な実施形態では、DNA最尤法を50回のブートストラップおよび3回のジャンブルと共に使用する。別の特定の実施形態では、DNA最尤法を100回のブートストラップおよび3回のジャンブルと共に使用する。
一実施形態では、hMPV単離株由来の核酸またはペプチド配列情報を、他のhMPV単離株の配列と比較しまたはアライメントする。アミノ酸配列は、Lタンパク質、Mタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、またはFタンパク質のアミノ酸配列でよい。別の実施形態では、1つのhMPV単離株またはいくつかのhMPV単離株由来の核酸またはペプチド配列情報を、他のウイルスの配列と比較しまたはアライメントする。別の実施形態では、系統学上の関係を推測することができかつ/または系統樹を構成することができるように、系統学的手法を配列アライメントデータに適用する。HMPV単離株と比較するためにヌクレオチドまたはペプチド配列情報を使用する任意の方法または手法は、前記系統学上の関係を推測するのに使用することができ、距離法、最尤法、および最大節約法または手法が含まれるがこれらに限定されない。
系統学的分析のためのその他の方法は、WO 02/057302として公開された国際特許出願PCT/NL02/00040に開示されており、その全体を本明細書に援用する。特にPCT/NL02/00040は、第12頁27行目から第19頁29行目に、系統学的分析に適切な核酸配列を開示しており、これを参照により本明細書に援用する。
系統学的分析では、ウイルスと比較される外集団として、MPVではない核酸配列を得ることが最も有用であり、非常に有用な外集団単離株はトリニューモウイルス血清型C(APV-C)から得ることができ、例えば図16を参照されたい。
BioEdit、ClustalW、TreeView、およびNJPlotが含まれるがこれらに限定されない数多くの方法およびプログラムが当技術分野で知られており、系統学上の関係の推測に使用することができる。配列をアライメントし、系統樹またはその関係を生成するのに使用される方法は、比較される配列情報の入力が必要になる。FASTA、NBRF、EMBL/SWISS、GDEタンパク質、GDEヌクレオチド、CLUSTAL、およびGCG/MSFが含まれるがこれらに限定されない数多くの方法またはフォーマットが当技術分野で知られており、配列情報を入力するのに使用することができる。配列をアライメントし、系統樹またはその関係を生成するのに使用される方法は、結果の出力が必要になる。情報または結果の出力では、CLUSTAL、NBRF/PIR、MSF、PHYLIP、およびGDEを含むがこれらに限定されない数多くの方法またはフォーマットを使用することができる。一実施形態では、系統学上の関係を生成するために、100回のブートストラップおよび3回のジャンブルによるDNA最尤法と併せて、ClustalWを使用する。
5.10 抗体の産生
本発明は、哺乳動物MPVによりコードされたタンパク質に対する抗体の産生にも関する。詳細には本発明は、哺乳動物MPVのFタンパク質、Nタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、Gタンパク質、またはPタンパク質を含めた、全てのMPV抗原に対する抗体の産生に関する。本発明によれば、哺乳動物MPV、その誘導体、類似体、または断片によりコードされた任意のタンパク質を免疫原として使用して、そのような免疫原と免疫特異的に結合する抗体を産生することができる。本発明の抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、Fab発現ライブラリーによって産生された断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、およびエピトープ結合断片が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用する「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち免疫学的に抗原に結合する抗原結合部位を含有する分子を指す。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)またはサブクラスでよい。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例には、抗体をペプシンやパパインなどの酵素で処理することによって産生することができるF(ab)およびF(ab')2断片が含まれる。特定の実施形態では、ヒトMPVによりコードされたタンパク質に対する抗体が産生される。別の実施形態では、ヒトMPVによりコードされたタンパク質のドメインに対する抗体が産生される。
当技術分野で知られている様々な手順は、哺乳動物MPV、その誘導体、類似体、または断片によってコードされたタンパク質に対するポリクローナル抗体を産生するために使用することができる。抗体の産生では、天然のタンパク質、またはその合成変種、またはその誘導体(例えば断片)を注射することにより、ウサギやマウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない様々な宿主動物を免疫化することができる。免疫学的応答を増大させるために、宿主の種に応じて様々なアジュバントを使用することができ、そのようなアジュバントには、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、表面活性物質であって例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールと、BCG(カルメット-ゲラン杆菌)やコリネバクテリウム-パルヴムなどの潜在的に有用なヒトアジュバントなどが含まれるが、これらに限定されない。
哺乳動物MPV、その誘導体、類似体、または断片によってコードされたタンパク質を対象とするモノクローナル抗体の調製では、培養中の連続細胞系により抗体分子の産生を行う任意の技法を使用することができる。例えば、KohlerおよびMilsteinによって当初開発されたハイブリドーマ技法(1975、Nature 256:495〜497)、ならびにトリオーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozbor他、1983、Immunology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するEBVハイブリドーマ技法(Cole他、1985、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss,Inc.、第77〜96頁)がある。本発明の別の追加の実施形態では、最近の技術を利用して(PCT/US90/02545)モノクローナル抗体を無菌動物で産生することができる。本発明によればヒト抗体を使用してよく、このヒト抗体は、ヒトハイブリドーマを使用することによって(Cote他、1983、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 80:2026〜2030)またはヒトB細胞を生体外でEBVウイルスで形質転換することによって(Cole他、1985、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、第77〜96頁)、そのヒト抗体を得ることができる。実際に本発明によれば、適切な生物学的活性を持つヒト抗体分子由来の遺伝子と共に、哺乳動物MPV、その誘導体、類似体、または断片によりコードされたタンパク質に特異的なマウス抗体分子由来の遺伝子をスプライスすることによって、「キメラ抗体」を産生するために開発された技法(Morrison他、1984、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 81:6851〜6855; Neuberger他、1984、Nature 312:604〜608; Takeda他、1985、Nature 314: 452〜454)を使用することができるが、そのような抗体は本発明の範囲内にある。
本発明によれば、単鎖抗体の産生に関して述べた技法(米国特許第4,946,778号)を、特異的単鎖抗体の産生に適用することができる。本発明の追加の実施形態は、哺乳動物MPV、その誘導体、類似体、または断片によってコードされたタンパク質に対して所望の特異性を有するモノクローナルFab断片を、迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリーの構成に関して述べた技法(Huse他、1989、Science 246:1275〜1281)を利用する。
イディオタイプの分子を含有する抗体断片は、既知の技法により産生することができる。例えばそのような抗体には、抗体分子のペプシン消化により産生することができるF(ab')2断片、F(ab')2断片のジスルフィド架橋の還元により産生することができるFab'断片、抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することにより産生することができるFab断片、およびFv断片が含まれるが、これらに限定されない。
抗体の産生では、例えばELISA(酵素結合免疫吸着検査法)などの当技術分野で知られている技法によって、所望の抗体のスクリーニングを行うことができる。例えば、哺乳動物MPVによりコードされたタンパク質の特異的ドメインを認識する抗体を選択するために、そのようなドメインを含有する哺乳動物MPVによってコードされたタンパク質の断片に結合する産物に関して産生されたハイブリドーマをアッセイすることができる。
本発明により提供される抗体は、MPVを検出するために、またMPVによる感染を治療するための治療方法に使用することができる。
本発明の方法により産生された抗体の特異性および結合親和性は、当業者に知られている任意の技法によって試験をすることができる。ある実施形態で、本発明の方法により産生された抗体の特異性および結合親和性は、セクション5.8.5、5.8.6、5.8.7、5.8.8、または5.8.9で述べたように試験をすることができる。
5.11 抗ウイルス剤を同定するためのスクリーニングアッセイ
本発明は、哺乳動物MPVが宿主または宿主細胞に感染する能力を阻害する化合物を同定するための方法を提供する。ある実施形態では、本発明は、哺乳動物MPVが宿主または宿主細胞内で複製する能力を低下させる化合物を同定するための方法を提供する。哺乳動物MPVが宿主に感染しかつ/あるいは宿主または宿主細胞内に複製する能力を消失させまたは低下させる化合物をスクリーニングするには、当業者に周知の任意の技法を使用することができる。特定の実施形態では、哺乳動物MPVがヒトMPVである。
ある実施形態では、本発明は、哺乳動物MPVが哺乳類または哺乳動物細胞内で複製する能力を阻害する化合物を同定するための方法を提供する。より具体的には、本発明は、哺乳動物MPVが哺乳類または哺乳動物細胞に感染する能力を阻害する化合物を同定するための方法を提供する。ある実施形態では、本発明は、哺乳動物MPVが哺乳動物細胞内で複製する能力を阻害する化合物を同定するための方法を提供する。特定の実施形態では、哺乳動物細胞がヒト細胞である。ウイルス力価の決定に使用することができるアッセイの詳細な記述に関しては、セクション5.7を参照されたい。
ある実施形態では、細胞を試験化合物に接触させ、哺乳動物MPVに感染させる。ある実施形態では、試験化合物が存在しない状態で、対照培養物に哺乳動物ウイルスを感染させる。細胞は、哺乳動物MPVを感染させる前に、または感染と同時に、または感染させた後に、試験化合物に接触させることができる。特定の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。より具体的な実施形態の場合、細胞はヒト細胞である。ある実施形態では、細胞を試験化合物と共に少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも15分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、少なくとも12時間、または少なくとも1日インキュベートする。ウイルスの力価は、アッセイ中の任意の時間で測定することができる。ある実施形態では、培養物中のウイルス増殖の時間的経過を求める。試験化合物の存在下でウイルス増殖が阻害されまたは低下する場合、その試験化合物は、哺乳動物MPVの増殖または感染を阻害しまたは低下させるのに有効であることが確認される。特定の実施形態では、哺乳動物MPVの増殖を阻害しまたは低下させる化合物について、その哺乳動物MPVに対する特異性を試験するために、他のウイルスの増殖速度を阻害しまたは低下させるかどうか試験をする。
ある実施形態では、試験化合物をモデル動物に投与し、そのモデル動物を哺乳動物MPVに感染させる。ある実施形態では、試験化合物を投与せずに、対照モデル動物を哺乳動物ウイルスに感染させる。試験化合物は、哺乳動物MPVに感染させる前に、または感染させると同時に、または感染させた後に投与することができる。特定の実施形態では、モデル動物が哺乳類である。さらにより具体的な実施形態では、モデル動物は、コットンラット、マウス、またはサルでよいが、これらに限定されない。モデル動物内のウイルスの力価は、アッセイ中の任意の時間で測定することができる。ある実施形態では、培養物中のウイルス増殖の時間的経過を求める。ウイルス増殖が試験化合物の存在下で阻害されまたは減少する場合、その試験化合物は、哺乳動物MPVの増殖または感染を阻害しまたは低下させるのに有効であることが確認される。特定の実施形態では、モデル動物における哺乳動物MPVの増殖を阻害しまたは低下させる化合物について、その哺乳動物MPVに対する特異性を試験するために、他のウイルスの増殖速度を阻害しまたは低下させるかどうか試験をする。
5.12 ワクチン、抗体、および抗ウイルスの製剤
好ましい実施形態で、本発明は、本発明による核酸によってコードされたタンパク様分子またはメタニューモウイルス特異的ウイルスタンパク質またはその機能的断片を提供する。有用なタンパク様分子は、例えば、本発明によるウイルスから得ることが可能な遺伝子またはゲノム断片のいずれかから得られる。本明細書で提供されるような分子またはその抗原性断片は、例えば、診断方法またはキットに有用であり、またサブユニットワクチンなどの医薬品組成物に有用である。特に有用なものは、抗原またはサブユニット免疫原として含まれるF、SHおよび/またはGタンパク質あるいはその抗原性断片であるが、不活性化した全ワクチンを使用することもできる。系統学的分析で同定された、組換え核酸断片によってコードされたタンパク様物質も特に有用であるが、当然ながら、生体内であろうと(例えば保護する目的で、または診断用抗体を提供するために)生体外であろうと(例えばファージディスプレイ技術によって、または合成抗体を産生するのに有用な別の技法によって)、特にMPV特異的抗体またはT細胞応答を誘発するために、系統学的分析に有用なORFの好ましい境界内にあるものが好ましい。
本明細書では、天然のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体あるいは合成(例えば(ファージ)ライブラリー由来の結合分子)抗体であって、本発明によるタンパク様分子またはそのMPV特異的機能性断片を含む抗原と特異的に反応する抗体も提供する。そのような抗体は、ウイルス単離株がMPVであると同定する方法、すなわち前記ウイルス単離株またはその化合物を本明細書で示した抗体と反応させることを含む方法に有用である。これは例えば、ELISA、RIA、FACS、または種々のフォーマットの抗原検出アッセイ(Current Protocols in Immunology)を使用し、精製されまたは精製されていないMPVあるいはその一部(タンパク質、ペプチド)を使用することによって、実現することができる。あるいは、従来の蛍光抗体法または免疫組織法を使用してウイルス抗原を同定するために、感染した細胞または細胞培養物を使用することができる。
本発明によるウイルス、核酸、タンパク用分子またはその断片、抗原、および/または抗体を含む医薬品組成物は、例えば、MPV感染および/または呼吸器疾患を治療または予防する方法、すなわち本発明による医薬品組成物を個体に与えることを含む方法で、使用することができる。これは、前記個体がヒトである場合、特に前記ヒトが5才以下である場合に最も有用であるが、それはこのような乳児および幼児が本明細書で述べたヒトMPVに最も感染し易いからである。一般に急性期の患者は、他の呼吸器疾患またはその他の疾患の素因となる上気道の症状に苦しむことになる。また、より重篤な疾患およびその他の重篤な疾患の素因となる下気道疾患も生じる可能性がある。本発明の組成物は、癌患者、被移植者、および高齢者を含めた免疫無防備状態の個人を治療するのに使用することができる。
また本発明は、本発明によるウイルスを含んだ細胞培養物または実験動物を確立すること、前記培養物または動物を候補抗ウイルス薬で治療すること、および前記ウイルスまたはその前記培養物または動物への感染に対する前記薬剤の影響を決定することを含む、気道疾患の治療に有用な抗ウイルス薬を得る方法を提供する。そのような抗ウイルス薬の例には、本明細書で提供するMPV中和抗体またはその機能的構成要素が含まれるが、その他の性質の抗ウイルス薬も同様に得られる。また本発明は、医薬品組成物を調製するために、特に、具体的にはMPV感染または関連する疾患によって引き起こされた気道疾患または関連する疾患を治療するための医薬品組成物を調製するために、本発明による抗ウイルス薬を使用することも提供し、また、MPV感染または呼吸器疾患を治療または予防するための方法であって、個体にそのような医薬品組成物を与えることを含む方法に有用な、本発明による抗ウイルス剤を含んだ医薬品組成物も提供する。
本発明のある実施形態で、本発明のワクチンは、本明細書で定義した哺乳動物メタニューモウイルスを含む。より具体的なある実施形態では、哺乳動物メタニューモウイルスがヒトメタニューモウイルスである。好ましい実施形態では、ワクチン製剤に使用される哺乳動物メタニューモウイルスが、弱毒化表現型を有する。弱毒化表現型を実現する方法については、セクション5.6を参照されたい。
本発明は、PIV、RSV、APV、および/またはhMPVによる感染を予防し治療するためのワクチン製剤を提供する。ある実施形態で、本発明のワクチンは、本発明の組換えおよびキメラウイルスを含む。ある実施形態で、ウイルスは弱毒化される。
特定の実施形態で、ワクチンはAPVを含み、ワクチンは、ヒトのhMPV感染を予防し治療するために使用される。理論に拘泥するものではないが、APVのFタンパク質とhMPVのFタンパク質との相同性の程度が高いので、APVに感染すると、宿主内では抗体が産生され、hMPVと交差反応し、hMPVによる感染および関連する疾患から宿主を保護する。
別の特定の実施形態では、ワクチンはhMPVを含み、このワクチンは、シチメンチョウなどであるがこれに限定されないトリへのAPV感染を予防し治療するために使用される。理論に拘泥するものではないが、APVのFタンパク質とhMPVのFタンパク質との相同性の程度が高いので、hMPVに感染すると、宿主内で抗体が産生され、APVと交差反応し、APVによる感染および関連する疾患から宿主を保護する。
特定の実施形態で、本発明は、APVおよび/またはhMPVから保護するために、ワクチン製剤に変性されている組換えおよびキメラAPV/hMPVウイルスを使用することを包含する。ある実施形態で、APV/hMPVは、APVによる感染からトリを保護するために、トリに投与するワクチンに使用される。理論に拘泥するものではないが、APV遺伝子またはヌクレオチド配列をhMPV遺伝子またはヌクレオチド配列に置き換えることにより、弱毒化表現型が得られ、キメラウイルスをワクチンとして使用することが可能になる。その他の実施形態では、APV/hMPVキメラウイルスをヒトに投与する。理論に拘泥するものではないが、APVウイルスベクターは、ヒトに弱毒化表現型をもたらし、hMPV配列の発現によって、hMPV特異的免疫応答が誘発される。
特定の実施形態で、本発明は、APVおよび/またはhMPVから保護するために、ワクチン製剤に変性されている組換えおよびキメラhMPV/APVウイルスを使用することを包含する。ある実施形態では、hMPVによる感染からヒトを保護するために、ヒトに投与するワクチンにhMPV/APVを使用する。理論に拘泥するものではないが、hMPV遺伝子またはヌクレオチド配列をAPV遺伝子またはヌクレオチド配列に置き換えることによって、弱毒化表現型が得られ、キメラウイルスをワクチンとして使用することが可能になる。その他の実施形態では、hMPV/APVキメラウイルスをトリに投与する。理論に拘泥するものではないが、hMPVの骨格は弱毒化表現型をトリにもたらし、APV配列の発現によってAPV特異的免疫応答が誘発される。
ある好ましい実施形態で、本発明のワクチン製剤は、メタニューモウイルスによる感染および関連する疾患から保護するために使用される。より具体的には、ヒトメタニューモウイルスおよび/またはトリニューモウイルスによる感染と、関連する疾患から保護するために、本発明のワクチン製剤を使用する。ある実施形態で、本発明のワクチン製剤は、(a)ヒトメタニューモウイルスおよび呼吸器合胞体ウイルス、および/または(b)トリニューモウイルスおよび呼吸器合法体ウイルスによる感染から保護するのに使用される。
ある実施形態で、本発明のワクチン製剤は、(a)ヒトメタニューモウイルスおよびヒトパラインフルエンザウイルス、および/または(b)トリニューモウイルスおよびヒトパラインフルエンザウイルスによる感染と、関連する疾患から保護するのに使用される。
ある実施形態で、本発明のワクチン製剤は、(a)ヒトメタニューモウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、およびヒトパラインフルエンザウイルス、および/または(b)トリニューモウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、およびヒトパラインフルエンザウイルスによる感染と、関連する疾患から保護するのに使用される。
ある実施形態で、本発明のワクチン製剤は、ヒトメタニューモウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、およびヒトパラインフルエンザウイルスによる感染と、関連する疾患から保護するのに使用される。その他のある実施形態で、本発明のワクチン製剤は、トリニューモウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、およびヒトパラインフルエンザウイルスによる感染と、関連する疾患から保護するのに使用される。
例示的なアミノ酸配列の比較については図9を参照されたいが、異なるウイルス種のFタンパク質同士の相同性の程度が高いので、本発明のワクチン製剤は、Fタンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列が得られたものとは異なるウイルスから保護するために使用することができる。特定の例示的な実施形態で、ワクチン製剤は、トリニューモウイルスA型由来の異種ヌクレオチド配列を含んだウイルスを含むウイルスを含有し、このワクチン製剤は、トリニューモウイルスA型およびトリニューモウイルスB型による感染から保護するのに使用される。
本発明は、APV-CおよびAPV-Dを含めたAPV、hMPV、PIV、インフルエンザ、RSV、センダイウイルス、流行性耳下腺炎、喉頭気管炎ウイルス、シミアンウイルス5、ヒト乳頭腫ウイルス、麻疹、流行性耳下腺炎、ならびにその他のウイルスおよび病原体と、関連する疾患から保護するのに有用な、ヒトおよび動物に投与するワクチン製剤を包含する。本発明はさらに、ヒトメタニューモウイルス感染およびトリニューモウイルス感染と、関連する疾患から保護するのに有用な、ヒトおよび動物に投与するワクチン製剤を包含する。
一実施形態で、本発明は、狂犬病ウイルス、ネコ白血病ウイルス(FLV)、およびイヌジシテンパーウイルスを含めた家畜の疾患を引き起こす物質に対して有用な、ワクチン製剤を包含する。さらに別の実施形態で、本発明は、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、牛疫ウイルス、豚痘ウイルスから家畜を保護し、さらに狂犬病ウイルスから野生動物を保護するのに有用な、ワクチン製剤を包含する。
逆遺伝学的手法によって産生された弱毒化ウイルスは、本明細書で述べたワクチンおよび医薬品製剤に使用することができる。逆遺伝学的技法は、ワクチン産生に重要な他のウイルス遺伝子に対して追加の変異を設計製作するのにも使用することができ、すなわち有用なワクチン株変種のエピトープを弱毒化ウイルスに設計製作することができる。あるいは、その他のウイルス性または非ウイルス性病原体由来の抗原を含めた完全に外来のエピトープを、弱毒化した株に設計製作することができる。例えば、HIV(gp160、gp120、gp41)寄生虫抗原(例えばマラリア)や細菌または真菌抗原、腫瘍抗原など、関係のないウイルスの抗原を、弱毒化した株に設計製作することができる。あるいは、生体内でウイルスの屈性を変化させるエピトープを、本発明のキメラ弱毒化ウイルスに設計製作することができる。
事実上任意の異種遺伝子配列を、ワクチンに使用される本発明のキメラウイルスに構成することができる。好ましくは生物学的応答調節剤として働く部分およびペプチドである。様々な病原体のいずれかに保護免疫応答を引き起こすエピトープ、または中和抗体に結合する抗原を、キメラウイルスによってまたはキメラウイルスの一部として発現できることが好ましい。例えば、本発明のキメラウイルスに構成することができる異種遺伝子配列には、インフルエンザおよびパラインフルエンザヘマグルチニンノイラミニダーゼと、ヒトPIV3のHNおよびF遺伝子などの融合糖タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態で、キメラウイルスに設計製作することができる異種遺伝子配列には、免疫調節活性を備えたタンパク質をコードするものが含まれる。免疫調節タンパク質の例には、サイトカイン、インターフェロンI型、γインターフェロン、コロニー刺激因子、インターロイキン-1、-2、-4、-5、-6、-12、およびこれらの薬剤の拮抗物質が含まれるが、これらに限定されない。
さらに、ワクチンに使用される本発明のキメラウイルスに構成することができる異種遺伝子配列には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、好ましくは1型または2型由来の配列が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、抗原の供給源になり得る免疫原性HIV由来ペプチドはキメラPIVに構築することができ、次に使用して、脊椎動物の免疫応答を誘発させることができる。そのようなHIV由来ペプチドには、env遺伝子(すなわちgp160、gp120、および/またはgp41の全てまたは一部をコードする配列)、pol遺伝子(すなわち逆転写酵素、エンドヌクレアーゼ、プロテアーゼ、および/またはインテグラーゼの全てまたは一部をコードする配列)、gag遺伝子(すなわちp7、p6、p55、p17/18、p24/25の全てまたは一部をコードする配列)、tat、rev、nef、vif、vpu、vpr、および/またはvpx由来の配列が含まれるが、これらに限定されない。
その他の異種配列は、2〜3例を挙げると、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg); A型またはC型肝炎ウイルス表面抗原、エプスタイン-バーウイルスの糖タンパク質; ヒト乳頭腫ウイルスの糖タンパク質; 呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、センダイウイルス、シミアンウイルス5、または流行性耳下腺炎ウイルスの糖タンパク質; インフルエンザウイルスの糖タンパク質; ヘルペスウイルスの糖タンパク質; ポリオウイルスのVP1; 細菌や寄生虫など非ウイルス性病原体の抗原決定基から得ることができる。別の実施形態では、免疫グロブリン遺伝子の全てまたは一部を発現することができる。例えば、そのようなエピトープを模倣する抗イディオタイプ免疫グロブリンの可変領域を、本発明のキメラウイルスに構成することができる。
その他の異種配列は腫瘍抗原から得ることができ、得られたキメラウイルスを使用して、腫瘍細胞に対する免疫応答を発生させ、その結果、生体内で腫瘍の退縮に至る。これらのワクチンは、腫瘍の治療のため、化学療法、放射線療法、外科手術、骨髄移植などを含むがこれらに限定することのないその他の治療法と組み合わせて使用することができる。本発明によれば、組換えウイルスは、T細胞によって認識されるヒト腫瘍抗原(参照によりその全体を本明細書に援用するRobbinsおよびKawakami、1996、Curr.Opin.Immunol. 8:628〜636)、メラノサイト系タンパク質、gp100、MART-1/MelanA、TRP-1(gp75)、チロシナーゼを含む; 腫瘍特異的な広く共用される抗原、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-1、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ-V、p15; 腫瘍特異的変異抗原、β-カテニン、MUM-1、CDK4; 乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、および膵臓癌、HER-2/neu、ヒト乳頭腫ウイルス-6E、-E7、MUC-1に対する非メラノーマ抗原を含むがこれらに限定することのない、腫瘍関連抗原(TAA)を発現するように設計製作することができる。
さらに他の実施形態では、異種ヌクレオチド配列を、ヒトメタニューモウイルスおよび/またはトリニューモウイルスなどのメタニューモウイルスから得る。さらに他の実施形態では、本発明のウイルスは2つの異なる異種ヌクレオチド配列を含有し、この場合、一方の配列はヒトメタニューモウイルスおよび/またはトリニューモウイルスなどのメタニューモウイルスから得られ、他方の配列は呼吸器合胞体ウイルスから得られる。異種ヌクレオチド配列は、それぞれのウイルスのFタンパク質またはGタンパク質をコードする。特定の実施形態で、異種ヌクレオチド配列はキメラFタンパク質をコードし、このキメラFタンパク質は、メタニューモウイルスのFタンパク質の外部ドメイン、および膜貫通ドメイン、ならびにパラインフルエンザウイルスのFタンパク質の管腔ドメインを含有するものである。
組換えウイルス生ワクチンまたは不活性化した組換えウイルスワクチンを処方することができる。生ワクチンが好ましいと考えられるが、それは、宿主内での分裂増殖によって、自然感染の場合に生じるものと同様の種類および大きさの刺激が延び、したがって実質的に長く続く免疫性がもたらされるからである。そのような組換えウイルス生ワクチン製剤の生成は、ニワトリ胚の細胞培養物または尿膜でウイルスを増殖させ、その後に精製を行う従来の方法を使用して、行うことができる。
特定の実施形態で、組換えウイルスは、これを投与する対象に対して非病原性である。この点に関し、ワクチンを目的とした遺伝子組換えウイルスの使用は、これらの株に弱毒化特性が存在することが望まれると考えられる。トランスフェクションに使用される鋳型に適切な変異(例えば欠失)を導入することによって、弱毒化特性を持つ新規なウイルスを得ることができる。例えば、温度感受性または低温適応性に関連した特異的ミスセンス変異を、欠失変異にすることができる。これらの変異は、低温または温度感受性変異体に関連した点変異よりも安定であるべきであり、復帰変異頻度は極めて低いものであるべきである。
あるいは、「自殺」特性を持つキメラウイルスを構成することができる。そのようなウイルスは、宿主内で1回だけ、または2〜3回しか複製行わないと考えられる。ワクチンとして使用する場合、組換えウイルスは限られた複製サイクルを経て十分なレベルの免疫応答を引き起こすが、ヒト宿主ではさらに複製されず、疾患を引き起こす。それぞれ野生型APVおよびhMPVの遺伝子の1つまたは複数が欠けており、あるいは野生型の株に比べて変異している遺伝子を持つ組換えウイルスは、連続して何回も複製を行うことができない。欠陥ウイルスは、そのような遺伝子を永久に発現する細胞系で生成することができる。必須の遺伝子が欠けているウイルスはこれらの細胞系で複製されるが、ヒト宿主に投与した場合は、1回の複製を終了することができない。そのような調剤は、免疫応答を引き起こすのに十分な数の遺伝子を、この不完全なサイクルで転写し翻訳する。あるいは、より多くの量の株を投与することができ、したがってこれらの調剤は、負活性化(死滅した)ウイルスワクチンとしての役割をする。不活性化ワクチンでは、異種遺伝子産物をウイルスの構成要素として発現させることが好ましく、したがって遺伝子産物はウイルス粒子に関連したものである。そのような調剤の利点は、天然のタンパク質を含有し、ホルマリンまたはその他の死菌ウイルスワクチンの製造に使用される薬剤を用いた処理によって不活性化しないことである。あるいは、cDNAから作製された本発明の組換えウイルスは、数回しか複製されないように大幅に弱毒化される。
ある実施形態では、本発明のワクチンは、弱毒化哺乳動物MPVを含む。理論に拘泥するものではないが、ウイルスタンパク質が宿主の細胞質膜に挿入され、それによって免疫応答を刺激するので、弱毒化ウイルスによって細胞から新しい感染性ウイルス粒子を発生させることができない場合であっても、弱毒化ウイルスをワクチンとして有効にすることができる。
本発明のこの態様の別の実施形態では、キメラウイルスを「死滅」させる従来の技法を使用して、不活性ワクチン製剤を調製することができる。不活性ワクチンは、その感染力が失われているという意味で「死んで」いる。ウイルスの感染力は、その免疫原性に影響を与えずに失われることが理想的である。不活性ワクチンを調製するために、キメラウイルスをニワトリ胚の細胞培養物中または尿膜中で増殖させ、ゾーン超遠心分離によって精製し、ホルムアルデヒドまたはβ-プロピオラクトンにより不活性化し、貯蔵することができる。得られたワクチンを、通常は筋肉内に接種する。
不活性ウイルスは、免疫学的応答を高めるために、適切なアジュバントと共に処方することができる。そのようなアジュバントには、ミネラルゲル、例えば水酸化アルミニウム; リゾレシチンやプルロニックポリオール、ポリアニオンなどの表面活性物質; ペプチド; 油性エマルジョン; BCGやコリネバクテリウムパルヴム、ISCOMS、ビロソームなどの潜在的に有用なヒトアジュバントが含まれるが、これらに限定されない。
上述のワクチン製剤を導入するのに数多くの方法を使用することができ、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経皮、および鼻内、および吸入経路が含まれるが、これらに限定されない。キメラウイルスワクチン製剤は、ワクチンの設計対象である病原体の自然な感染経路を経て導入することが好ましいと考えられる。
ある実施形態では、本発明は、免疫原組成物に関する。免疫原組成物は、哺乳動物MPVを含む。特定の実施形態で、免疫原組成物はヒトMPVを含む。ある実施形態で、免疫原組成物は、弱毒化哺乳動物MPVまたは弱毒化ヒトMPVを含む。ある実施形態で、免疫原組成物はさらに、医薬品として許容可能な担体を含む。
5.13 投薬計画、投与、および製剤
本発明は、弱毒化形態のウイルス、組換え形態のMPVおよびAPV、1つまたは複数の異種または非天然の抗原性配列を発現するキメラMPVおよびAPVを含めたMPVおよびAPVを含む、ワクチンおよび免疫原性調剤を提供する。本発明のワクチンまたは免疫原性調剤は、1価、あるいは2価または3価のワクチンを含めた多価ワクチンを包含する。本発明のワクチンまたは免疫原性製剤は、様々なウイルス感染からの保護を行うのに有用である。特に本発明のワクチンまたは免疫原性製剤は、宿主を呼吸器感染症から保護する。
本発明の組換えウイルスおよび/またはワクチンまたは免疫原性製剤は、単独で、またはその他のワクチンと組み合わせて投与することができる。本発明のワクチンまたは免疫原性製剤は、呼吸器合胞体ウイルスワクチンやインフルエンザワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、肺炎ワクチン、リケッチアワクチン、ブドウ球菌ワクチン、百日咳ワクチン、または呼吸器癌に対するワクチンなどであるがこれらに限定することのない、呼吸器疾患からの保護を行うその他のワクチンまたは免疫原性製剤と組み合わせて投与することが好ましい。好ましい実施形態で、本発明のウイルスおよび/またはワクチンは、対応年齢で推奨される小児科ワクチンと同時に投与する。例えば、2、4、または6カ月の月齢では、本発明のウイルスおよび/またはワクチンを、DtaP(IM)、Hib(IM)、ポリオ(IPVまたはOPV)、およびB型肝炎(IM)と同時に投与することができる。12カ月または15カ月の月齢では、本発明のウイルスおよび/またはワクチンを、Hib(IM)、ポリオ(IPVまたはOPV)、MMRII(登録商標)(SubQ); Varivax(登録商標)(SubQ)、およびB型肝炎(IM)と同時に投与することができる。本発明の方法と共に使用することができるワクチンは、様々な文献、例えばその内容全体を参照により本明細書に援用するThe Jordan Report 2000、Division of Microbiology and Infectious Diseases、National Institute of Allergy and Infectious Diseases、National Institutes of Health、United Statesで検討されている。
本発明のワクチンまたは免疫原性製剤は、そのものを、あるいは医薬品または治療用組成物の形態で対象に投与することができる。本発明のアジュバントおよび免疫原性抗原(例えばウイルス、キメラウイルス、変異ウイルス)を含む医薬品組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスを用いて製造することができる。医薬品組成物は、本発明の免疫原性抗原を医薬品として使用することのできる調剤に処理するのを容易にする、1つまたは複数の生理学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、または補助剤を使用した、従来の手法で処方することができる。適正な製剤は、とりわけ選択される投与経路に応じて異なる。
本発明のワクチンまたは免疫原組成物がアジュバントを含み、あるいは1つまたは複数のアジュバントと共に投与する場合、使用することができるアジュバントには、無機塩アジュバント、または無機塩ゲルアジュバント、粒子状アジュバント、微粒子状アジュバント、粘膜アジュバント、および免疫刺激性アジュバントが含まれるが、これらに限定されない。アジュバントの例には、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムゲル、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、スクアレンまたはスクアレン水中油アジュバント製剤、生分解性および生体適合性ポリエステル、重合リポソーム、トリテルペノイドグリコシドまたはサポニン(例えば、STIMULON、ISCOPREPという商標でも販売されているQuilAおよびQS-21)、N-アセチル-ムラミル-トレオニル-D-イソグルタミン(TERMURTIDEという商標で販売されているThreonyl-MDP)、LPS、モノホスホリル脂質A(MPLという商標で販売されている3D-MLA)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のワクチンまたは免疫原組成物を投与する対象は、好ましくは哺乳類であり、最も好ましくはヒトであるが、霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、家禽(例えばニワトリ、シチメンチョウ)、ヤギ、ネコ、イヌ、ハムスター、マウス、げっ歯類を含むがこれらに限定されないヒト以外の動物であってもよい。
本発明のワクチンまたは免疫原組成物を導入するには、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経皮、鼻内、および吸入経路を含むがこれらに限定されない数多くの方法を使用することができ、また乱刺(例えば二又状の針(bifurcated needle)を使用して皮膚の最上層を掻爬する)によって導入することができる。
局所投与では、当技術分野で知られているように、本発明のワクチンまたは免疫原性調剤を、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして処方することができる。
鼻内または吸入による投与では、本発明により使用される調剤を、適切な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切な気体を用いて、加圧パックまたはネブライザからエアロゾルスプレイを噴出させる形で都合良く送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計量分が送達されるように弁を設けることにより決定することができる。例えば吸入器または注入器で使用されるゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物の粉末混合物およびラクトースやデンプンなどの適切な粉末ベースを含有するものを処方することができる。
注射の場合、ワクチンまたは免疫原性調剤は、水溶液として処方することができ、好ましくはハンクス液やリンガー液、生理食塩水などの、生理学的に適合性のある緩衝液として処方することができる。この溶液は、懸濁剤や安定剤、および/または分散剤などの、処方可能な薬剤を含有してよい。あるいはタンパク質は、使用前に、例えば滅菌した発熱性物質を含まない水などの適切な賦形剤と共に構成するために、粉末形態にすることができる。
投与するためのワクチンまたは免疫原性製剤の有効な量の決定は、特に本明細書に記載される詳細な開示に照らし、十分に当業者の能力の範囲内である。
有効な用量は、in vitroアッセイで最初に推定することができる。例えば、ある用量は、当技術分野で周知の技法を使用して、免疫性応答の誘発を実現させるために動物モデルで処方することができる。当業者なら、本明細書で述べる結果に基づいて、全ての動物種への投与を容易に最適化することができよう。投薬量および投薬間隔は、個々に調節することができる。例えば免疫原組成物として使用する場合、適切な用量とは、上述のように投与したときに抗体応答を誘発することが可能な組成物の量である。ワクチンとして使用する場合、本発明のワクチンまたは免疫原性製剤は、1〜36週間で約1〜3回の服用として投与することができる。好ましくは、約2週間〜約4カ月の間隔で1回または2回服用として投与し、その後周期的にブースターワクチン接種を行ってよい。個々の動物には代替のプロトコルが相応しい。適切な用量とは、上述のように投与したときに、免疫化した動物が少なくとも4〜12カ月間感染から保護されるよう、その動物の免疫性応答を十分高めることが可能なワクチン製剤の量である。一般に、1回の用量に含まれる抗原の量は、宿主1kg当たり約1pgから約100mgにわたり、典型的な場合は約10pgから約1mgにわたり、好ましくは約100pgから約1μgにわたる。適切な用量範囲は、注入経路および患者のサイズと共に変化することになるが、典型的な場合、約0.1mLから約5mLにわたる。
特定の実施形態で、本発明のウイルスおよび/またはワクチンは、開始時の単回用量を少なくとも103TCID50、少なくとも104TCID50、少なくとも105TCID50、少なくとも106TCID50として投与する。別の特定の実施形態で、本発明のウイルスおよび/またはワクチンは、複数回用量として投与する。好ましい実施形態では、2、4、および6カ月の月齢では1次投薬計画を使用し、生後2年目の開始時にはブースター用量を使用する。複数回投薬計画では、各用量が少なくとも105TCID50または少なくとも106TCID50とであることがより好ましい。
5.13.1 誘発調査
このアッセイを使用して、本発明の組換えウイルスおよび本発明のワクチンが、コットンラットやハムスターなどを含むがこれらに限定されない動物モデル系の下気道ウイルス感染を予防できるかどうか決定する。組換えウイルスおよび/またはワクチンは、静脈内(IV)経路によって、筋肉内(IM)経路によって、または鼻内経路(IN)によって投与することができる。組換えウイルスおよび/またはワクチンは、当業者に周知の任意の技法によって投与することができる。このアッセイは、抗体が結合する肺のウイルス力価の減少に、抗体の血清濃度を相関させるのにも使用する。
第0日目、コットンラット(Sigmodon hispidis、平均100g)カニクイザル(平均重量2.0kg)などであるがこれらに限定されない動物群に、筋肉内注射によって、または静脈内注射によって、または鼻内経路によって、問題となっている組換えウイルスまたはキメラウイルスまたはワクチン、あるいはBSAを投与する。本発明の組換えウイルスまたはワクチンを投与する前に、あるいは投与と同時に、あるいは投与した後に、野生型ウイルス、すなわち生成されたワクチンの対象であるウイルスを、動物に感染させる。ある実施形態では、本発明の組換えウイルスおよび/またはワクチンを投与した後、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、1週間、または1カ月以上経てから、動物に野生型ウイルスを感染させる。
感染後、コットンラットを犠牲にし、その肺組織を収集し、プラーク力価測定によって肺性ウイルス力価を決定する。ウシ血清アルブミン(BSA)10mg/kgを陰性対照として使用する。上記組換えウイルスまたはワクチン投与時の血清中の抗体濃度を、サンドイッチELISAを使用して決定する。同様にマカクでも、鼻および肺の洗浄液中のウイルス力価を測定することができる。
5.13.2 標的集団
本発明のある実施形態では、本発明の治療および診断法を目的とした標的集団を、年齢によって定義する。ある実施形態では、本発明の治療および/または診断法を目的とした標的集団は、呼吸器感染の他に疾患または障害によって特徴付けられる。
特定の実施形態で、標的集団は、2才未満の幼児を包含する。より具体的な実施形態で、2才未満の子供は呼吸器感染以外の病気に罹っていない。
その他の実施形態で、標的集団は、5才を超える年齢の患者を包含する。より具体的な実施形態で、5才を超える年齢の患者は、嚢胞性線維症、白血病、および非ホジキンリンパ腫を含めた別の疾患または障害に罹っており、あるいは最近、骨髄または腎臓移植を受けている。
本発明の特定の実施形態で、標的集団は、hMPV感染が宿主の免疫抑制に関連している対象を包含する。特定の実施形態で、対象は、免疫無防備状態の個体である。
ある実施形態で、本発明の方法を目的とした標的集団は、高齢者を包含する。
特定の実施形態で、本発明の方法により治療しまたは診断する対象は、冬季数カ月でhMPVに感染したものである。
5.13.3 臨床試験
in vitroアッセイおよび動物モデルで試験をする本発明のワクチンまたはその断片は、さらに、健常な成人志願者群において、安全性、耐性、および薬物動態について調べることができる。志願者に、筋肉内、静脈内、または肺送達系によって、単回用量の本発明の組換えウイルスおよび/または本発明のワクチンを投与する。単回用量の本発明の組換えウイルスおよび/または本発明のワクチンを受ける前に少なくとも24時間、各志願者をモニターし、その投与を受けた後少なくとも48時間は、各志願者の臨床部位をモニターする。次いで志願者を、外来患者として投与後3日、7日、14日、21日、28日、35日、42日、49日、および56日目にモニターする。
血液サンプルを、留置カテーテルまたは直接静脈穿刺により10mlの赤いキャップ(red-top)の採血管(Vacutainer tube)を使用して、以下の間隔で、すなわち: (1)服用量の本発明の組換えウイルスおよび/または本発明のワクチンを投与する前; (2)服用量の本発明の組換えウイルスおよび/または本発明のワクチンを投与している間; (3)服用量の本発明の組換えウイルスおよび/または本発明のワクチンを投与してから5分、10分、15分、20分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、および48時間後; (4)服用量の本発明の組換えウイルスおよび/または本発明のワクチンを投与してから3日、7日、14日、21日、28日、35日、42日、49日、および56日後に収集する。サンプルを室温で凝固させ、遠心分離後に血清を収集する。
患者由来のサンプル中の、本発明の組換えウイルスおよび/または本発明のワクチンに対して生成された抗体の量は、ELISAによって定量することができる。PBMC中、および肺および鼻の洗浄液中のT細胞免疫性(細胞障害性およびヘルパー応答)もモニターすることができる。
志願者の血清中の抗体レベルの濃度は、服用量の本発明の組換えウイルスおよび/または本発明のワクチンを投与した後それぞれの収集間隔での血清レベルから投与前の血清レベル(バックグラウンドレベル)を差し引くことによって、補正する。各志願者ごとに、補正された血清抗体または抗体断片濃度から、モデル依存型手法(Gibaldi他編、1982、Pharmacokinetics、第2版、Marcel Dekker、New York)に従い薬物動態パラメータを算出する。
5.14 哺乳動物MPVを検出し診断するための方法
本発明は、MPVを診断および/または検出する手段および方法を提供し、前記手段および方法は、MPVおよびその構成要素と、その転写、翻訳、発現、増殖、および代謝プロセスの産物の検出に用いられるものである。より詳細には、本発明は、動物およびヒトのMPV感染を診断する手段および方法を提供し、前記手段および方法には、MPVの構成要素、MPVのライフサイクルによる産物、およびMPV曝露または感染に対する宿主の応答による産物の検出が含まれるが、これらに限定するものではない。
一実施形態で、本発明は、MPVを診断および検出する手段および方法であって、前記手段および方法が、MPVに関連しまたはMPVに相補的なゲノム物質およびその他の核酸の検出と、処理済みであるものと未処理であるものの両方の、MPVの転写産物および翻訳産物の検出と、MPVへの曝露または感染に対する宿主応答の構成要素の検出を含むがこれらに限定されないものを提供する。
一実施形態で、本発明は、核酸配列に相補的なオリゴヌクレオチド、およびMPVのゲノム内に存在する核酸配列の転写産物を、調製しかつ使用することによるMPVの検出に関する。さらに本発明は、MPVゲノムおよびその転写物の特定領域をコピーしまたは増幅するために前記オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用して、MPVのゲノムおよびその転写産物内に存在する核酸またはその配列を検出することに関する。コピーしまたは増幅することができるMPVゲノムおよびその転写物の領域には、以下の物質、すなわちN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、およびL遺伝子の1つまたは複数の完全および不完全伸長部が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、同定を行うために、MPVのN遺伝子またはその転写物をコピーしまたは増幅する方法と併せてオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用する。前記方法には、RT-PCRアッセイ、プライマー伸長またはランオンアッセイ(run on assay)、MPVの遺伝物質あるいはその転写物または補体を前記オリゴヌクレオチド由来の核酸配列伸長用の鋳型として用いるその他の方法が含まれるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、本発明は、核酸配列に相補的なオリゴヌクレオチドと、MPVのゲノム内に存在する核酸配列の転写産物とを調製し使用することによってMPVを検出することに関する。さらに本発明は、MPVゲノムおよびその転写物内にありまたはそれらに相補的な特定領域にハイブリダイゼーションしかつその特定領域を検出するためのプローブとして前記オリゴヌクレオチド配列を使用して、MPVのゲノムおよびその転写産物中に存在しまたはそれらに相補的な核酸またはその配列を検出することに関する。ハイブリダイゼーションプローブを使用して検出することができるMPVゲノムおよびその転写物の領域には、以下の物質、すなわちN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、およびL遺伝子の1つまたは複数の完全および不完全伸長部が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、同定を行うため、MPVのN遺伝子またはその転写物を検出し、アニールし、またはそれらにハイブリダイズする方法と併せて、オリゴヌクレオチドをプローブとして使用する。前記方法には、ノーザンブロット、サザンブロットと、MPVゲノム内にありまたはMPVゲノムに相補的な配列または配列伸長部をハイブリダイゼーションし、アニールし、または検出するために標的としてMPVの遺伝物質またはその転写物および補体を用いるその他の方法が含まれるが、これらに限定されない。
哺乳動物MPVの核酸またはその逆補体またはその補体にハイブリダイズ可能な核酸を本発明で使用して、哺乳動物MPVの存在を検出することができる。ある実施形態では、核酸を高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする。限定しようとするのではなく一例として、そのような高ストリンジェンシー条件を使用する手順は以下の通りである。DNAを含むフィルタのプレハイブリダイゼーションを、6×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAからなる緩衝液中、65Cで8時間から一晩かけて実施する。フィルタを、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5〜20×106cpmの32P-標識プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中、65Cで48時間ハイブリダイズする。フィルタの洗浄を、2×SSC、0.01% PVP、0.01% Ficoll、および0.01% BSAを含有する溶液中、37Cで1時間行う。この後、0.1×SSC中50Cで45分間洗浄し、その後オートラジオグラフィにかける。使用することが可能なその他の高ストリンジェンシー条件は、当技術分野で周知である。本発明のその他の実施形態では、ハイブリダイゼーションを、当業者に周知であるような穏かな低ストリンジェンシー条件下で実施する(例えばSambrook他、1989、Molecular Cloning、A Laboratory Manual第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York参照; またAusubel他編、the Current Protocols in Molecular Biology series of laboratory technique manuals、1987〜1997、Current Protocols、(著作権) 1994〜1997 John Wiley and Sons,Inc.も参照)。
別の実施形態では、本発明は、MPVまたはその遺伝子産物に特有のペプチドまたは核酸に特異的でありそれらを認識することができる抗体、例えばモノクローナル抗体(MAb)を、調製し使用することによって、動物またはヒト宿主におけるMPV感染を検出することに関する。前記MAbによって認識されたエピトープまたは抗原決定基には、MPVの増殖に関わるライフサイクルおよび代謝プロセス中に合成されるタンパク様および核酸産物が含まれるが、これらに限定されない。適切な抗体を生成するために抗原決定基として使用することができるタンパク様または核酸産物には、MPVの以下の構成要素、すなわちN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、およびL遺伝子の1つまたは複数の完全および不完全な転写および発現産物が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、生体サンプル中、例えば体液中に、MPV発現Gペプチドが存在するかどうかを検出しまたは確認するその他の方法と併せて、G遺伝子またはその一部のタンパク様産物に対して産生されたMAbを使用する。前記方法には、ELISA、ラジオイムノまたは競合アッセイ、免疫沈降と、転写されまたは発現したMPVの遺伝子産物を標的として用いて前記標的またはその一部および類縁体に対して産生されたMAbによって検出を行うその他の方法が含まれるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、本発明は、MPVへの曝露または感染に対する宿主の免疫応答に関連し、またそのような応答に特有のものである因子を検出することに関する。MPVに曝露されまたは感染すると、宿主の免疫系は前記曝露または感染に対する応答を誘発するが、これは、ウイルスの作用および/または増殖を排除しまたは弱めることを目標とした抗体の宿主による生成を伴うものである。本発明は、宿主がMPVに曝露されまたは感染することにより生成される前記抗体を検出することによって、MPVに関連する疾患を診断する手段および方法を提供する。前記抗体によって認識されるエピトープには、ペプチドとその露出した表面、すなわち宿主の免疫応答を受け易く、かつウイルスに対する宿主の免疫応答発生の際に抗原決定基として働くことのできる表面が含まれるが、これらに限定されない。抗体を生成するためのエピトープとして、宿主の免疫応答によって使用されるタンパク様および核物質の一部には、MPVの以下の構成要素、すなわちN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、およびL遺伝子の1つまたは複数の産物が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、MPVのN遺伝子コード化ペプチドの、部分的にまたは完全に接触可能な部分に対する抗体を、宿主サンプル中で検出する。特定の実施形態では、生体サンプル中、例えば体液中に、宿主由来の抗体が存在するかどうかを検出するその他の方法と併せて、G遺伝子またはその一部のタンパク様産物を使用する。前記方法には、ELISA、ラジオイムノまたは競合アッセイと、その他の方法、すなわち転写されまたは発現したMPVの遺伝子産物を標的として用い、前記産物を認識しかつ生体サンプル中に見出される宿主抗体によって検出を行うその他の方法が含まれるが、これらに限定されない。
また本発明は、診断アッセイまたは試験キットに関する手段および方法と、生体サンプル、例えば体液を含むがこれらに限定されない様々な供給源からMPV感染物質を検出する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、MPVの核酸またはその補体を同定するのに適したアッセイ、キット、プロトコル、および手順に関する。別の実施形態では、本発明は、MPV発現ペプチドまたはその一部を同定するのに適したアッセイ、キット、プロトコル、および手順に関する。別の実施形態では、本発明は、MPVへの曝露または感染に対する宿主免疫応答の構成要素を同定するのに適したアッセイ、キット、プロトコル、および手順に関する。
宿主のMPV感染の診断確認の他、本発明は、MPV単離株を異なる系統学上の群またはサブグループに分類する手段および方法も提供する。一実施形態では、より有効でサブグループに特異的な治療を設計するために、この特徴を有利に使用して、種々のMPV変種、変種A1、A2、B1、およびB2を区別することができる。MPVの変種は、以下の物質、すなわちN遺伝子、P遺伝子、M遺伝子、F遺伝子、M2遺伝子、SH遺伝子、G遺伝子、およびL遺伝子の1つまたは複数のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に基づいて差別化することができる。特定の実施形態で、MPVは、Gタンパク質または糖タンパク質のヌクレオチドまたはアミノ酸配列と、G糖タンパク質も認識するモノクローナル抗体を使用した中和試験とを使用して、特定のサブグループに差別化することができる。
一実施形態で、ヒトにおけるMPV感染の診断は、当業者に周知の任意の技法、例えばイムノアッセイを使用して行う。免疫特異的結合および交差反応性を分析するのに使用することができるイムノアッセイには、2〜3の例を挙げると、ウェスタンブロットやラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチイムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、蛍光イムノアッセイなどの技法を使用した競合および非競合アッセイ系が含まれるが、これらに限定されない。そのようなアッセイは日常的なもので、当技術分野で周知であり(例えば、その全体を参照により本明細書に援用するAusubel他編、1994、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley&Sons,Inc.、New York参照)、イムノアッセイの非限定的な例をセクション5.8に記載する。
一実施形態で、本発明は、MPVゲノムの領域、例えばN、M、F、G、L、M、P、およびM2遺伝子などの遺伝子または遺伝子の一部であるがこれらに限定されないものが含まれるMPVゲノムの領域をコピーしまたは増幅するPCRまたはプライマー伸長法と共に、オリゴヌクレオチドを使用して、MPV感染を検出することに関する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドをRT-PCR法と併せて使用する。他の実施形態では、増幅産物および/または遺伝物質を、様々なhMPV株の間に保存されまたは様々なhMPV株の中で明らかに異なる特定の配列に相補的なオリゴヌクレオチドでプローブすることができる。後者の組のオリゴヌクレオチドにより、宿主の感染の原因であるhMPVの特定の株を同定することが可能になる。
本発明は、宿主に感染することが可能なhMPVの種々のサブグループおよび変種を区別する方法を提供する。ある特定の実施形態では、宿主感染の原因であるhMPVを、特定のサブグループ、例えばサブグループAまたはサブグループBに分類する。別の特定の実施形態では、宿主感染の原因であるhMPVを、サブグループの特定の変種、例えば変種A1、A2、B1、またはB2として分類する。別の実施形態では、本発明は、宿主感染の原因であるhMPVを新しいサブグループに、かつ/あるいは新しくまたは既存のサブグループの新しい変種に分類する手段および方法を提供する。hMPV株をサブグループおよび/または変種のグループに分類することができる方法は、当業者に知られている。一実施形態では、感染の病因物質がhMPV株であると特定するのにポリクローナル抗体を使用し、前記株がhMPVの新しくまたは知られているサブグループおよび/または新しくまたは知られている変種に特有のものであると識別するのに二次抗体を使用する。一実施形態では、hMPVに対して選択的な抗体を、免疫反応アッセイ、例えばELISAやRIAと併せて使用し、それによって、生体サンプル中のhMPVへの曝露または感染の存在を特定する。他の実施形態では、hMPVタンパク質のペプチド配列中の特定のエピトープに対して選択的な二次抗体を使用することにより、前記特定されたhMPV感染の病因物質をさらにサブグループまたは変種に分類する。ある特定の実施形態では、hMPVの全てのサブグループの間で共用されるペプチドエピトープに対して産生された抗体を使用して、感染の病因物質がhMPVであると特定する。他の特定の実施形態では、hMPVの種々のサブグループおよび/または変種にそれぞれ固有のペプチドエピトープに対して産生された抗体を使用して、宿主感染の原因であるhMPVを、既知のまたは新しいサブグループおよび/または変種に分類する。ある特定の実施形態で、hMPVの種々のサブグループおよび/または変種を区別することができる抗体は、サブグループまたは変種に固有のhMPVペプチドのセグメントを認識する。前記ペプチドには、N、M、F、G、L、M、P、およびM2遺伝子によってコードされたものが含まれるが、これらに限定するものではない。種々のhMPVサブグループまたは変種同士を区別することが可能な抗体を生成するのに使用することができるペプチドまたはペプチドのセグメントは、様々なhMPVタンパク質の既知のペプチド配列中の相違と共に、診断アッセイで曝露されまたは接触可能な溶媒であることが期待される適切なペプチドセグメントを同定する親水性プロットを使用して、選択することができる。一実施形態で、hMPVの種々のサブグループ同士を区別することが可能な抗体は、hMPVの種々のサブグループに固有のFタンパク質における相違、例えば、完全長Fタンパク質の位置286、296、312、348、および404のアミノ酸を認識する。別の特定の実施形態で、hMPVの種々のサブグループおよび/または変種同士を区別することが可能な抗体は、特定のサブグループまたは変種に固有であるhMPVのGタンパク質のセグメントを認識し、例えば、配列番号119のアミノ酸50から60までに対応するGペプチド配列を使用して、サブグループAとBを区別し、同様に変種A1、A2、B1、およびB2を区別することができる。本発明の別の実施形態では、hMPV単離株のヌクレオチド配列を使用して、hMPVの種々のサブグループおよび/または種々の変種同士を区別する。一実施形態では、当業者に知られている方法、例えばRT-PCRやPCR、プライマーランオンアッセイ、および様々なブロット技法と共に、hMPVゲノム内の配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列、プライマー、および/またはプローブを使用して、hMPV感染の病因物質を別個のサブグループおよび/または変種に分類する。ある特定の実施形態では、RT-PCRを使用してhMPVゲノムの特定のセグメントをコピーし複製するのに、生体サンプルを使用する。他の実施形態では、前記セグメントの配列を得、既知のhMPV配列と比較し、前記比較を使用して、hMPV株を別個のサブグループまたは変種として単離し、あるいはhMPV株を新しいサブグループまたは変種に分類する。別の実施形態では、本発明は、hMPVの種々のサブグループおよび/または変種同士を区別するのに使用することが可能な診断キットに関する。
好ましい実施形態で、特定のウイルス感染の診断および/または治療は、前記感染を引き起こす前記特定のウイルスに最も特異的な試薬を用いて行う。この場合、MPV感染の前記診断および/または治療は、MPVに最も特異的な試薬を用いて行うことが好ましいことを意味する。しかしこれは、特異性が低いが十分な交差反応性を有する試薬を、より容易に入手可能で当面の課題に十分対処できるなどの理由で代わりに使用する可能性を、決して排除するものではない。本明細書では、例えば、哺乳類におけるMPV感染のウイルス学的および/または血清学的な診断を、APV由来の試薬、特にAPV-C由来の試薬を用いて行うことを提供し、本明細書の詳細な記述では、例えば、トリのAPV抗体が検出されるよう特異的に設計されたELISAを使用することによって、哺乳類におけるMPV感染の十分に信頼できる血清学的診断を実現できることが示されている。このために特に有用な試験は、APV抗体(例えば血清または卵黄中)を検出するように設計されたELISA試験であり、その市販されているものの1つは、SVANOVA Biotech AB、Uppsal Science Park Glunten SE-751 83 Uppsala、スウェーデンにより作製されたAPV-Ab SVANOVIR(登録商標)として知られている。逆の状況についても言えるが、その場合は例えば、哺乳類におけるAPV感染のウイルス学的および/または血清学的診断を、MPV由来の試薬を用いて行うことが提供され、本明細書の詳細な記述では、例えば、MPV抗体が検出されるように設計されたELISAを使用することによって、トリのAPV感染の十分信頼性ある血清学的診断を実現できることが示されている。抗原および抗体が鍵と鍵穴の関係を有することを考えると、様々な抗原の検出は、十分な交差反応性を有する適切な抗体を選択することによって実現することができる。当然ながら、そのような交差反応性を利用する場合、様々なウイルスの様々な(糖)タンパク質間に存在するアミノ酸の相同性に基づいて試薬(抗原や抗体など)を選択することが最良であり、その場合、最も相当性の高いタンパク質に関する試薬が、前記交差反応性を利用する試験で使用するのに最も有用になる。
核酸の検出ではさらに簡単であり、様々なウイルスの異種核酸配列に基づいてプライマーまたはプローブを設計し、したがって本質的に哺乳動物またはトリのメタニューモウイルス同士の相違を検出する代わりに、高い相同性を示すウイルス特異的核酸配列の伸長部に基づいてプライマーまたはプローブを設計しまたは選択すれば十分である。一般に核酸配列の場合、相同性%が90%以上であると、十分な交差反応性が、ハイブリダイゼーションのストリンジェント条件を利用する診断試験で利用されることが保証される。
本発明は例えば、動物、特に哺乳類、より具体的には人間のMPV感染をウイルス学的に診断する方法であって、前記動物サンプル中のウイルス単離株またはその構成要素の存在を、前記サンプルと本発明によるMPV特異的核酸または抗体とを反応させることによって決定することを含む方法と、哺乳類のMPV感染を血清学的に診断する方法であって、前記哺乳類サンプル中の、MPVまたはその構成要素を特異的に対象とする抗体の存在を、前記サンプルと本発明によるMPV特異的タンパク様分子またはその断片または抗原とを反応させることによって決定することを含む方法を提供する。また本発明は、MPV感染を診断するための診断キットも提供し、このキットは、本発明によるMPV、MPV特異的核酸、タンパク様分子またはその断片、抗原および/または抗体と、好ましくは前記MPV、MPV特異的核酸、タンパク様分子またはその断片、抗原および/または抗体を検出するための手段とを含み、前記手段は、例えば蛍光体などの興奮性の基または当技術分野で使用される酵素検出システムを含むものである(適切な診断キットフォーマットの例には、IF、ELISA、中和アッセイ、RT-PCRアッセイが含まれる)。核酸やタンパク様分子またはその断片など、今のところまだ同定されていないウイルス構成要素またはその合成類似体がMPVに特異的なものであると特定することができるかどうかを決定するには、前記構成要素の核酸またはアミノ酸配列、例えば前記核酸またはアミノ酸の伸長部、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも40のヌクレオチドまたはアミノ酸(それぞれ)を、例えば本明細書で述べるような系統学的分析を使用して、既知のMPV配列および既知の非MPV配列(APV-Cを使用することが好ましい)との配列相同性を比較することにより分析すれば十分である。前記MPVまたは非MPV配列との関係の程度に応じて、構成要素または合成類似体を同定することができる。
また本発明は、哺乳類のMPV感染をウイルス学的に診断する方法であって、前記哺乳類サンプル中のウイルス単離株またはその構成要素の存在を、前記サンプルと、APV由来の交差反応性核酸(好ましくは血清型C)または前記APVと反応しやすい交差反応性抗体とを反応させることによって決定することを含む方法と、哺乳類のMPV感染を血清学的に診断する方法であって、前記哺乳類サンプル中の、APVまたはその構成要素も対象とする交差反応性抗体の存在を、前記サンプルと、タンパク様分子またはその断片あるいはAPV由来の抗原とを反応させることによって決定することを含む方法を提供する。さらに本発明は、当初AVPまたはAVP抗体検出用に設計された診断キットを、MPV感染の診断用に、特にヒトにおける前記MPV感染の検出用に使用することを提供する。
また本発明は、トリのAPV感染をウイルス学的に診断する方法であって、前記トリのサンプル中のウイルス単離株またはその構成要素の存在を、前記サンプルと、MPV由来の交差反応性核酸または前記MPVと反応しやすい交差反応性抗体とを反応させることによって決定することを含む方法と、トリのAPV感染を血清学的に診断する方法であって、前記トリのサンプル中の、MPVまたはその構成要素も対象とする交差反応性抗体の存在を、前記サンプルと、タンパク様分子またはその断片あるいはMPV由来の抗原とを反応させることによって決定することを含む方法を提供する。さらに本発明は、当初MPVまたはMPV抗体検出用に設計された診断キットを、APV感染の診断用に、特にニワトリやアヒル、シチメンチョウなど家禽における前記APV感染の検出用に使用することを提供する。
治療に関する診断では、特に当面の状況によって、より相同性のある手法を使用することがそれほど簡単ではない場合、種々の哺乳動物MPVの中で、またMPVとその他のウイルス、例えばAPVとの間での、程度の高い相同性を利用することができる。MPV感染に対する緊急のワクチン接種など、待つことのできないワクチン接種は、より相同性の高いMPVワクチンを入手することができない場合、例えばAPV(好ましくはC型)単離株から得られたワクチン調剤を用いて行うことができ、逆にAPV感染に対するワクチン接種は、MPVから得られたワクチン調剤を用いて行うことが考えられる。また、逆遺伝学的技法によれば、所望のレベルにまで弱毒化されるそれぞれの株の個々のフィールド単離株とは十分に異なった、ワクチンとして有用なキメラAPV-MPVウイルス構成を生成することが可能になる。同様の逆遺伝学的技法によれば、ワクチン調剤で使用されるRSV-MPVやP13-MPV構成などの、キメラパラミクソウイルス-メタニューモウイルス構成を生成することも可能になる。そのような構成は、呼吸器疾患と闘う併用ワクチンとして特に有用である。
MPV CPEは、tMKまたはその他の細胞培養物中でhRSVまたはhPIV-1により誘発されたものとは事実上区別できなかったので、MPVはこれまで十分に注目されていなかったと考えられる。tMK(3次サル腎臓細胞、すなわち細胞培養における第3継代のMK細胞)は、初代または2次培養と比較して低コストであるので、これを使用することが好ましい。CPEは、従来のパラミクソウイルス科の一部の場合と同様に、合胞体を形成し、その後細胞が急速に内部分裂し、単層から細胞が離れることを特徴とする。細胞は、通常(常にとは限らない)、ウイルスを当初の物質から3回継代した後に、すなわち接種後10〜14日目にCPEを提示したが、これはhRSVやhPIV-1などのその他のウイルスによって引き起こされたCPEよりも若干遅いものである。
一例として本発明は、重篤なRTIに罹患している28人の子供から得た鼻咽頭吸引液サンプルから、まだ同定されていないパラミクソウイルスを提供する。これらの子供の臨床症状は、hRSVによって引き起こされた症状とかなり類似していた。これらの患者のうち27人は年齢5才未満の子供であり、その半分は1〜12月齢であった。その他の患者は18才であった。全ての患者は上気道感染症に罹患しており、咳、筋肉痛、嘔吐、および熱から細気管支炎および重篤な肺炎に至る症状があった。これらの患者の大多数は、1〜2週間入院した。
これらの患者由来のウイルス単離株は、陰性対照電子顕微鏡検査においてパラミクソウイルス形態を有していたが、既知のヒトおよび動物パラミクソウイルスに対して特異的な抗血清とは反応しなかった。単離株の2つに対して産生された血清を用いた間接的な免疫蛍光アッセイ(IFA)によって求められたように、これらは全て互いに密接に関係していた。これらの単離株のうち9個の配列分析では、ウイルスがAPVに若干関係していることが明らかになった。ウイルス学的データ、配列相同性、ならびにゲノム組織に基づいて、本発明者等は、ウイルスがメタニューモウイルス属のメンバーであることを提唱する。血清学的調査では、オランダにおける血清保有率が、年齢5才までのヒトの100%に近付いていることから、このウイルスが比較的一般的な病原体であることが示された。さらに、この血清保有率は、1958年にヒトから収集された血清においても同様に高いことがわかったが、これは、ウイルスが40年以上にもわたってヒトの集団内を循環していたことを示している。この提示された新しいメタニューモウイルス属のメンバーの同定は、診断アッセイまたは試験キット用の手段および方法と、ウイルス呼吸器感染に関するワクチンまたは血清または抗体の組成物の開発ももたらし、さらにMPV感染の治療に有用な抗ウイルス剤に関して試験をしまたはスクリーニングするための方法も提供する。
本明細書で提供する方法および手段は、ウイルス学的診断によるものであろうと血清学的診断によるものであろうと、MPV感染を診断するための診断キットに特に有用である。そのようなキットまたはアッセイは、例えば、本発明によるウイルス、核酸、タンパク様分子またはその断片、抗原、および/または抗体を含んでよい。本発明によるウイルス、核酸、タンパク様分子またはその断片、抗原、および/または抗体の使用は、例えば、特にヒトにおけるMPV感染を治療または予防するための、かつ/または呼吸器疾患を治療または予防するための医薬品組成物の製造も提供する。ウイルスの弱毒化は、この目的で開発された、その他の種の関連するウイルスの使用、実験室用動物および/または組織/細胞培養による連続継代、分子クローンの部位特異的変異誘発、および関連するウイルス同士での遺伝子または遺伝子断片の交換を含むがこれらに限定されない方法を確立することによって実現することができる。
5.15 本発明の組成物および哺乳動物メタニューモウイルスの構成要素
本発明は、哺乳動物MPVの核酸配列、哺乳動物MPVのタンパク質、および哺乳動物MPVのタンパク質に対する抗体に関する。本発明はさらに、哺乳動物MPVの核酸配列の相同体、および哺乳動物MPVのタンパク質の相同体に関する。本発明はさらに、融合タンパク質をコードする核酸配列に関し、この融合タンパク質は、哺乳動物MPVのタンパク質またはその断片と、哺乳動物MPV由来ではない1つまたは複数のペプチドまたはタンパク質を含有するものである。特定の実施形態で、本発明の融合タンパク質は、哺乳動物MPVのタンパク質またはその断片と、ポリヒスチジンタグなどであるがこれに限定することのないペプチドタグを含有する。本発明はさらに、哺乳動物MPVのタンパク質またはその断片と、哺乳動物MPV由来ではない1つまたは複数のペプチドまたはタンパク質を含有する融合タンパク質に関する。また本発明は、哺乳動物MPVのタンパク質をコードする核酸の誘導体にも関する。また本発明は、哺乳動物MPVのタンパク質の誘導体にも関する。誘導体は、付加、欠失、切断、置換、および反転などであるがこれらに限定されないタンパク質の変異形態でよいが、これらに限定するものではない。誘導体は、さらに、哺乳動物MPVのタンパク質のキメラ形態でよく、そのタンパク質の少なくとも1つのドメインが異なるタンパク質から得られたものである。誘導体は、例えば薬物などの別の分子に共有結合しまたは非共有結合している哺乳動物MPVのタンパク質の形態でもよい。
NL/1/00(または00-1)と呼ばれるウイルス単離株は、変種A1の哺乳動物MPVであり、そのゲノム配列は配列番号19で示される。NL/17/00と呼ばれるウイルス単離株は、変種A2の哺乳動物MPVであり、そのゲノム配列は配列番号20で示される。NL/1/99(または99-1)と呼ばれるウイルス単離株は、変種B1の哺乳動物MPVであり、そのゲノム配列は配列番号18で示される。NL/1/94と呼ばれるウイルス単離株は、変種B2の哺乳動物MPVであり、そのゲノム配列は配列番号21で示される。本願で開示される配列とそれに対応する配列番号のリストを表14に示す。
哺乳動物MPVのタンパク質は、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、またはM2-2タンパク質、あるいはその断片でよい。哺乳動物MPVのタンパク質の断片は、その長さが、少なくとも25アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも75アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも125アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、少なくとも175アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なくとも225アミノ酸、少なくとも250アミノ酸、少なくとも275アミノ酸、少なくとも300アミノ酸、少なくとも325アミノ酸、少なくとも350アミノ酸、少なくとも375アミノ酸、少なくとも400アミノ酸、少なくとも425アミノ酸、少なくとも450アミノ酸、少なくとも475アミノ酸、少なくとも500アミノ酸、少なくとも750アミノ酸、少なくとも1000アミノ酸、少なくとも1250アミノ酸、少なくとも1500アミノ酸、少なくとも1750アミノ酸、少なくとも2000アミノ酸、または少なくとも2250アミノ酸でよい。哺乳動物MPVのタンパク質の断片は、その長さが、多くとも25アミノ酸、多くとも50アミノ酸、多くとも75アミノ酸、多くとも100アミノ酸、多くとも125アミノ酸、多くとも150アミノ酸、多くとも175アミノ酸、多くとも200アミノ酸、多くとも225アミノ酸、多くとも250アミノ酸、多くとも275アミノ酸、多くとも300アミノ酸、多くとも325アミノ酸、多くとも350アミノ酸、多くとも375アミノ酸、多くとも400アミノ酸、多くとも425アミノ酸、多くとも450アミノ酸、多くとも475アミノ酸、多くとも500アミノ酸、多くとも750アミノ酸、多くとも1000アミノ酸、多くとも1250アミノ酸、多くとも1500アミノ酸、多くとも1750アミノ酸、多くとも2000アミノ酸、または多くとも2250アミノ酸でよい。
本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型のNタンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21(これらの配列番号の記述に関しては表14も参照)のウイルスゲノムによってコードされたNタンパク質など哺乳動物MPVのNタンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているNタンパク質である。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型のNタンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたPタンパク質など哺乳動物MPVのPタンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているPタンパク質である。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型のMタンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたMタンパク質など哺乳動物MPVのMタンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているMタンパク質である。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型のFタンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたFタンパク質など哺乳動物MPVのFタンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているFタンパク質である。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型のM2-1タンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたM2-1タンパク質など哺乳動物MPVのM2-1タンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているM2-1タンパク質である。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型のM2-2タンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたM2-2タンパク質など哺乳動物MPVのM2-2タンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているM2-2タンパク質である。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型の任意のタンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたGタンパク質など哺乳動物MPVのGタンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているGタンパク質である。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型の任意のタンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたSHタンパク質など哺乳動物MPVのSHタンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているSHタンパク質である。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、APV C型の任意のタンパク質に関連するよりも、例えば配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたSHタンパク質など哺乳動物MPVのLタンパク質のほうに系統学上より密接に関連しているLタンパク質である。
本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたNタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のNタンパク質である(それぞれのNタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号366〜369に開示されている; 表14も参照)。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質はNタンパク質であり、Pタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたPタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である(それぞれのPタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号374〜377に開示されている; 表14も参照)。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたMタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のMタンパク質である(それぞれのMタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号358〜361に開示されている; 表14も参照)。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたFタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のFタンパク質である(それぞれのFタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号314〜317に開示されている; 表14も参照)。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたM2-1タンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のM2-1タンパク質である(それぞれのM2-1タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号338〜341に開示されている; 表14も参照)。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたM2-2タンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のM2-2タンパク質である(それぞれのM2-2タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号346〜349に開示されている; 表14も参照)。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたGタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のGタンパク質である(それぞれのGタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号322〜325に開示されている; 表14も参照)。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたSHタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のSHタンパク質である(それぞれのSHタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号382〜385に開示されている; 表14も参照)。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVのタンパク質は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスゲノムによってコードされたLタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一のLタンパク質である(それぞれのLタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号330〜333に開示されている; 表14も参照)。
哺乳動物MPVのタンパク質の断片は、その断片と同種のタンパク質部分について、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスによってコードされた同種タンパク質に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である。特定の例示的な実施形態では、本発明は、Fタンパク質の外部ドメインを含有する哺乳動物MPVのFタンパク質の断片とその相同体を提供する。外部ドメインを含有するFタンパク質の断片の相同体は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のウイルスによってコードされたFタンパク質の外部ドメインを含有する対応断片に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一である(それぞれのFタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号314〜317に開示されている; 表14も参照)。
ある実施形態では、本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのタンパク質およびその断片を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのNタンパク質であって、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたNタンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたNタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するNタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのGタンパク質であって、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたGタンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたGタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するGタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのPタンパク質であって、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたPタンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたPタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するPタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのMタンパク質であって、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたMタンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたMタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するMタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのNタンパク質を提供し、Fタンパク質は、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたFタンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたFタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するものである。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのM2-1タンパク質であって、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたM2-1タンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたM2-1タンパク質のほうに系統学上より密接に関係するM2-1タンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのM2-2タンパク質であって、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたM2-2タンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたM2-2タンパク質のほうに系統学上より密接に関係するM2-2タンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのSHタンパク質であって、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたSHタンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたSHタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するSHタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのLタンパク質であって、配列番号18または配列番号21によってコードされたウイルスによりコードされたLタンパク質に関係するよりも、配列番号19または配列番号20のウイルスによってコードされたLタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するLタンパク質を提供する。
その他の実施形態では、本発明は、サブグループBの哺乳動物MPVのタンパク質またはその断片を提供する。本発明は、サブグループBの哺乳動物MPVのNタンパク質であって、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたNタンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたNタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するNタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのGタンパク質であって、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたGタンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたGタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するGタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのPタンパク質であって、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたPタンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたPタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するPタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのMタンパク質であって、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたMタンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたMタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するMタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのNタンパク質を提供し、Fタンパク質は、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたFタンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたFタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するものである。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのM2-1タンパク質であって、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたM2-1タンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたM2-1タンパク質のほうに系統学上より密接に関係するM2-1タンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのM2-2タンパク質であって、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたM2-2タンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたM2-2タンパク質のほうに系統学上より密接に関係するM2-2タンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのSHタンパク質であって、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたSHタンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたSHタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するSHタンパク質を提供する。本発明は、サブグループAの哺乳動物MPVのLタンパク質であって、配列番号19または配列番号20によってコードされたウイルスによりコードされたLタンパク質に関係するよりも、配列番号18または配列番号21のウイルスによってコードされたLタンパク質のほうに系統学上より密接に関係するLタンパク質を提供する。
本発明はさらに、変種A1、A2、B1、またはB2の哺乳動物MPVのタンパク質を提供する。本発明のある実施形態で、哺乳動物MPVの種々の変種のタンパク質は、それらのアミノ酸配列の同一性を用いて互いに区別することができる(例えば図42b参照)。哺乳動物MPVの変種は、A1、A2、B1、またはB2でよいが、これらに限定されない。しかし本発明は、別の変種のメンバーである哺乳動物MPVの単離株も企図するものである。
本発明は、哺乳動物MPV変種B1のGタンパク質を提供し、この哺乳動物MPV変種B1のGタンパク質は、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のGタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のGタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のGタンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のGタンパク質のほうに、系統学上より密接に関係している。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のGタンパク質であって、そのGタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のGタンパク質(配列番号324)に対して少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のNタンパク質であって、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のNタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のNタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のNタンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のNタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B1のNタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のNタンパク質であって、そのNタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のNタンパク質(配列番号368)に対して少なくとも98.5%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のPタンパク質であって、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のPタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のPタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のPタンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のPタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B1のPタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のPタンパク質であって、そのPタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のPタンパク質(配列番号376)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のMタンパク質であって、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のMタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のMタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のMタンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のMタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B1のMタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のMタンパク質であって、そのMタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のMタンパク質(配列番号360)と同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のFタンパク質であって、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のFタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のFタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のFタンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のFタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B1のFタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のFタンパク質であって、そのFタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のFタンパク質(配列番号316)に対して少なくとも99%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のM2-1タンパク質であって、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のM2-1タンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のM2-1タンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のM2-1タンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のM2-1タンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B1のM2-1タンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のM2-1タンパク質であって、そのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のM2-1タンパク質(配列番号340)に対して少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のM2-2タンパク質であって、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のM2-2タンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のM2-2タンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のM2-2タンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のM2-2タンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B1のM2-2タンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のM2-2タンパク質であって、そのM2-2タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のM2-2タンパク質(配列番号348)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のSHタンパク質であって、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のSHタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のSHタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のSHタンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のSHタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B1のSHタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のSHタンパク質であって、そのSHタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のSHタンパク質(配列番号384)に対して少なくとも83%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のLタンパク質であって、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のLタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のLタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のLタンパク質に関係するよりも、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のLタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B1のLタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B1のLタンパク質であって、そのLタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/99に代表される哺乳動物MPV変種B1のLタンパク質(配列番号332)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。
本発明は、哺乳動物MPV変種A1のGタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のGタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のGタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のGタンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のGタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のGタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のGタンパク質であって、そのGタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のGタンパク質(配列番号322)に対して少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のNタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のNタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のNタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のNタンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のNタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のNタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のNタンパク質であって、そのNタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のNタンパク質(配列番号366)に対して少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のPタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のPタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のPタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のPタンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のPタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のPタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のPタンパク質であって、そのPタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のPタンパク質(配列番号374)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のMタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のMタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のMタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のMタンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のMタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のMタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のMタンパク質であって、そのMタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のMタンパク質(配列番号358)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のFタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のFタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のFタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のFタンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のFタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のFタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のFタンパク質であって、そのFタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のFタンパク質(配列番号314)に対して少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のM2-1タンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のM2-1タンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のM2-1タンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のM2-1タンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のM2-1タンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のM2-1タンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のM2-1タンパク質であって、そのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のM2-1タンパク質(配列番号338)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のM2-2タンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のM2-2タンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のM2-2タンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のM2-2タンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のM2-2タンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のM2-2タンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のM2-2タンパク質であって、そのM2-2タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のM2-2タンパク質(配列番号346)に対して少なくとも96%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のSHタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のSHタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のSHタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のSHタンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のSHタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のSHタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のSHタンパク質であって、そのSHタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のSHタンパク質(配列番号382)に対して少なくとも84%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のLタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のLタンパク質、A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のLタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のLタンパク質に関係するよりも、変種A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のLタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A1のLタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A1のLタンパク質であって、そのLタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/00に代表される哺乳動物MPV変種A1のウイルスのLタンパク質(配列番号330)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。
本発明は、哺乳動物MPV変種A2のGタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のGタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のGタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のGタンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のGタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のGタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のGタンパク質であって、そのGタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のGタンパク質(配列番号332)に対して少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のNタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のNタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のNタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のNタンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のNタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のNタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のNタンパク質であって、そのNタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のNタンパク質(配列番号367)に対して少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のPタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のPタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のPタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のPタンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のPタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のPタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のPタンパク質であって、そのPタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のPタンパク質(配列番号375)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のMタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のMタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のMタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のMタンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のMタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のMタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のMタンパク質であって、そのMタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のMタンパク質(配列番号359)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のFタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のFタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のFタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のFタンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のFタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のFタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のFタンパク質であって、そのFタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のFタンパク質(配列番号315)に対して少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のM2-1タンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のM2-1タンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のM2-1タンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のM2-1タンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のM2-1タンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のM2-1タンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のM2-1タンパク質であって、そのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のM2-1タンパク質(配列番号339)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のM2-2タンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のM2-2タンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のM2-2タンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のM2-2タンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のM2-2タンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のM2-2タンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のM2-2タンパク質であって、そのM2-2タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のM2-2タンパク質(配列番号347)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のSHタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のSHタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のSHタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のSHタンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のSHタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のSHタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のSHタンパク質であって、そのSHタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のSHタンパク質(配列番号383)に対して少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のLタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のLタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のLタンパク質、またはB2のプロトタイプである単離株NL/1/94のLタンパク質に関係するよりも、変種A2のプロトタイプである単離株NL/17/00のLタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種A2のLタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種A2のLタンパク質であって、そのLタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/17/00に代表される哺乳動物MPV変種A2のLタンパク質(配列番号331)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。
本発明は、哺乳動物MPV変種B2のGタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のGタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のGタンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のGタンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のGタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のGタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のGタンパク質であって、そのGタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のGタンパク質(配列番号325)に対して少なくとも66%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のNタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のNタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のNタンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のNタンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のNタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のNタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のNタンパク質であって、そのNタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のNタンパク質(配列番号369)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のPタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のPタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のPタンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のPタンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のPタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のPタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のPタンパク質であって、そのPタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のPタンパク質(配列番号377)に対して少なくとも96%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のMタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のMタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のMタンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のMタンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のMタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のMタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のMタンパク質であって、そのMタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のMタンパク質(配列番号361)に対して同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のFタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のFタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のFタンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のFタンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のFタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のFタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のFタンパク質であって、そのFタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のFタンパク質(配列番号317)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のM2-1タンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のM2-1タンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のM2-1タンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のM2-1タンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のM2-1タンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のM2-1タンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のM2-1タンパク質であって、そのM2-1タンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のM2-1タンパク質(配列番号341)に対して少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のM2-2タンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のM2-2タンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のM2-2タンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のM2-2タンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のM2-2タンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のM2-2タンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のM2-2タンパク質であって、アミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のM2-2タンパク質(配列番号350)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のSHタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のSHタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のSHタンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のSHタンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のSHタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のSHタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のSHタンパク質であって、そのSHタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のSHタンパク質(配列番号385)に対して少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のLタンパク質であって、変種B1のプロトタイプである単離株NL/1/99のLタンパク質、A1のプロトタイプである単離株NL/1/00のLタンパク質、またはA2のプロトタイプである単離株NL/17/00のLタンパク質に関係するよりも、変種B2のプロトタイプである単離株NL/1/94のLタンパク質のほうに系統学上より密接に関係している哺乳動物MPV変種B2のLタンパク質を提供する。本発明は、哺乳動物MPV変種B2のLタンパク質であって、そのLタンパク質のアミノ酸配列が、プロトタイプNL/1/94に代表される哺乳動物MPV変種B2のLタンパク質(配列番号333)に対して少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるものを提供する。
ある実施形態では、配列同一性%は完全長タンパク質のアライメントに基づく。その他の実施形態では、配列同一性%は、隣接するタンパク質のアミノ酸配列のアライメントに基づいており、アミノ酸配列は、その長さが25アミノ酸、50アミノ酸、75アミノ酸、100アミノ酸、125アミノ酸、150アミノ酸、175アミノ酸、200アミノ酸、225アミノ酸、250アミノ酸、275アミノ酸、300アミノ酸、325アミノ酸、350アミノ酸、375アミノ酸、400アミノ酸、425アミノ酸、450アミノ酸、475アミノ酸、500アミノ酸、750アミノ酸、1000アミノ酸、1250アミノ酸、1500アミノ酸、1750アミノ酸、2000アミノ酸、または2250アミノ酸でよい。
ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号119〜153; 配列番号322〜325で示されるアミノ酸配列の1つまたはその断片を有する、哺乳動物MPVのGタンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号234〜317で示されるアミノ酸配列の1つを有する、哺乳動物MPVのFタンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号330〜333で示されるアミノ酸配列の1つまたはその断片を有する、哺乳動物MPVのLタンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号338〜341で示されるアミノ酸配列の1つまたはその断片を有する、哺乳動物MPVのM2-1タンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号346〜349で示されるアミノ酸配列の1つまたはその断片を有する、哺乳動物MPVのM2-2タンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号358〜361で示されるアミノ酸配列の1つまたはその断片を含む、哺乳動物MPVのMタンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号366〜369で示されるアミノ酸配列の1つまたはその断片を有する、哺乳動物MPVのNタンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号374〜377で示されるアミノ酸配列の1つまたはその断片を有する、哺乳動物MPVのPタンパク質を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、配列番号382〜385で示されるアミノ酸配列の1つまたはその断片を有する、哺乳動物MPVのSHタンパク質を提供する。
本発明のある実施形態では、断片の長さが少なくとも25アミノ酸、50アミノ酸、75アミノ酸、100アミノ酸、125アミノ酸、150アミノ酸、175アミノ酸、200アミノ酸、225アミノ酸、250アミノ酸、275アミノ酸、300アミノ酸、325アミノ酸、350アミノ酸、375アミノ酸、400アミノ酸、425アミノ酸、450アミノ酸、475アミノ酸、500アミノ酸、750アミノ酸、1000アミノ酸、1250アミノ酸、1500アミノ酸、1750アミノ酸、2000アミノ酸、または2250アミノ酸である。本発明のある実施形態では、断片の長さが最大でも25アミノ酸、50アミノ酸、75アミノ酸、100アミノ酸、125アミノ酸、150アミノ酸、175アミノ酸、200アミノ酸、225アミノ酸、250アミノ酸、275アミノ酸、300アミノ酸、325アミノ酸、350アミノ酸、375アミノ酸、400アミノ酸、425アミノ酸、450アミノ酸、475アミノ酸、500アミノ酸、750アミノ酸、1000アミノ酸、1250アミノ酸、1500アミノ酸、1750アミノ酸、2000アミノ酸、または2250アミノ酸である。
本発明はさらに、哺乳動物MPV由来の核酸配列を提供する。また本発明は、哺乳動物MPV由来の核酸配列の誘導体も提供する。ある特定の実施形態では、核酸は修飾されている。
ある実施形態で、本発明の核酸は、上記定義した哺乳動物MPVのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質をコードする。ある実施形態で、本発明の核酸は、上記定義した哺乳動物MPVのサブグループAのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質をコードする。ある実施形態で、本発明の核酸は、上記定義した哺乳動物MPVのサブグループBのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質をコードする。ある実施形態で、本発明の核酸は、上記定義した哺乳動物MPVの変種A1のGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質をコードする。ある実施形態で、本発明の核酸は、上記定義した哺乳動物MPVの変種A2のGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質をコードする。ある実施形態で、本発明の核酸は、上記定義した哺乳動物MPVの変種B1のGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質をコードする。ある実施形態で、本発明の核酸は、上記定義した哺乳動物MPVの変種B2のGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質をコードする。
ある実施形態では、本発明は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のヌクレオチド配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であるヌクレオチド配列を提供する。ある実施形態で、本発明の核酸配列は、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のヌクレオチド配列の断片に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であり、この断片の長さは少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも75ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも150ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも250ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも750ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも1,250ヌクレオチド、少なくとも1,500ヌクレオチド、少なくとも1,750ヌクレオチド、少なくとも2,000ヌクレオチド、少なくとも2,00ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも5,000ヌクレオチド、少なくとも7,500ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも12,500ヌクレオチド、または少なくとも15,000ヌクレオチドである。特定の実施形態で、本発明の核酸配列は、配列番号84〜118; 配列番号154〜233; 配列番号318〜321; 配列番号326〜329; 配列番号334〜337; 配列番号342〜345; 配列番号350〜353; 配列番号354〜357; 配列番号362〜365; 配列番号370〜373; 配列番号378〜381; または配列番号386〜389のヌクレオチド配列の1つに対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%、または少なくとも100%同一である。
本発明の特定の実施形態で、本発明の核酸配列は、低ストリンジェンシー条件下、または中程度のストリンジェンシー条件下、または高ストリンジェンシー条件下で、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21の核酸配列の1つとハイブリダイズすることが可能である。本発明の特定の実施形態で、本発明の核酸配列は、低ストリンジェンシー条件下、または中程度のストリンジェンシー条件下、または高ストリンジェンシー条件下で、配列番号84〜118; 配列番号154〜233; 配列番号318〜321; 配列番号326〜329; 配列番号334〜337; 配列番号342〜345; 配列番号350〜353; 配列番号354〜357; 配列番号362〜365; 配列番号370〜373; 配列番号378〜381; 配列番号386〜389の核酸配列の1つとハイブリダイズすることが可能である。ある実施形態で、核酸は、少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも75ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも150ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも250ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも750ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも1,250ヌクレオチド、少なくとも1,500ヌクレオチド、少なくとも1,750ヌクレオチド、少なくとも2,000ヌクレオチド、少なくとも2,00ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも5,000ヌクレオチド、少なくとも7,500ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも12,500ヌクレオチド、または少なくとも15,000ヌクレオチドの長さ全体にわたり、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21のヌクレオチド配列とハイブリダイズする。
本発明はさらに、哺乳動物MPVのタンパク質と特異的に結合する抗体および抗原結合断片を提供する。本発明の抗体は、哺乳動物MPVのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質に特異的に結合する。特定の実施形態で、抗体はヒト抗体またはヒト化抗体である。ある実施形態で、本発明の抗体は、哺乳動物MPVのサブグループAのウイルスのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質に特異的に結合する。その他のある実施形態で、本発明の抗体は、哺乳動物MPVのサブグループBのウイルスのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質に特異的に結合する。より具体的なある実施形態で、本発明の抗体は、哺乳動物MPVの変種A1のウイルスのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質に特異的に結合する。その他の実施形態で、本発明の抗体は、哺乳動物MPVのサブグループA2のウイルスのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質に特異的に結合する。ある実施形態で、本発明の抗体は、哺乳動物MPVのサブグループB1のウイルスのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質に特異的に結合する。その他のある実施形態で、本発明の抗体は、哺乳動物MPVのサブグループB2のウイルスのGタンパク質、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2-1タンパク質、M2-2タンパク質、SHタンパク質、またはLタンパク質に特異的に結合する。
6. ウイルスの単離および特性解析
6.1 実施例1: 検体の採取、ウイルスの単離、ウイルスの特性解析
ウイルスの存在についてアッセイするため、また同定されたウイルスを特性解析するために宿主から鼻咽頭吸引液の試料を得た。鼻咽頭吸引液は、気道感染症(RTI)を罹患している子供から採取した。病気の原因が何であるかを決定するために、A型およびB型インフルエンザウイルス、hRSV、ならびに1、2および3型ヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)に対する蛍光標識抗体を用いた直接免疫蛍光アッセイ(DIF)ですべての鼻咽頭吸引液を試験した(実施例9の方法を参照)。ウイルスはまた、VERO細胞、第3カニクイザル腎臓(tMK)細胞、ヒト内皮肺(HEL)細胞およびマービンドック(marbin dock)腎臓(MDCK)細胞を含めた様々な細胞系で、高速シェルバイアル技法(Rothbarth他、1999、J of Virol. Methods、78:163-169)を用いて鼻咽頭吸引液から単離した。DIFアッセイで陰性であった2または3回の継代後に細胞変性効果(CPE)を示す試料を、A、BおよびC型インフルエンザウイルス、AおよびB型hRSV、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、1〜4型ヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)、センダイウイルス、5型サルウイルス、ならびにニューカッスル病ウイルスに対するウイルス特異的抗体を用いた間接免疫蛍光アッセイ(IFA)(実施例11の方法を参照)によって試験した。多くの場合に病原体を同定することができたが、一部の検体は試験したすべてのウイルスに対して陰性であった。
これら28種の未同定のウイルス単離株は、tMK細胞中でゆっくりと増殖し、VERO細胞およびA549細胞中であまり増殖せず、MDCK細胞やニワトリ孵化線維芽細胞でほとんど増殖しなかった。ほとんどのウイルス単離株が10〜14日目の間にtMK細胞でCPEを誘発した。これは、hRSVやhPIVなど他のウイルスに引き起こされるCPEよりもいくらか遅かった。このCPEはtMK細胞または他の細胞培養物中のhRSVまたはhPIVに引き起こされたCPEと実質上区別不可能であり、合胞体の形成によって特徴づけた。細胞内で観察された効果の一部には、迅速な内部破壊、次いで単層からの細胞の剥離が含まれる。
感染tMK細胞の上清を電子顕微鏡(EM)分析に用い、これにより、13〜17ナノメートルの範囲の短いエンベロープ突起を有する直径150〜600ナノメートルの存在が明らかとなった。標準のクロロホルムまたはエーテル処理により(Osterhaus 他、1985、Arch. of Virol.、86:239-25)tMK細胞の感染力が104TCID50より大きく低下し、これは、パラミクソウイルス科のウイルスなどエンベロープを有するウイルスの生化学的特性と矛盾がなかった。ウイルスに感染したtMK細胞の培養物上清は、シチメンチョウ、ニワトリおよびモルモットの赤血球で赤血球凝集活性を示さなかった。培養中、ウイルス複製はトリプシン依存性であるように見えた。これらのウイルスデータを合わせると、新しく同定されたウイルスがパラミクソウイルス科の分類学上のメンバーであることが実証された。
15種の未同定のウイルス単離株に感染したtMK細胞のRNAを、逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)分析で使用するために、hPIV 1〜4、センダイウイルス、5型サルウイルス、ニューカッスル病ウイルス、hRSV、麻疹、流行性耳下腺炎、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、ツパイ(Tupaia)ウイルスおよびマプエラ(Mapuera)ウイルスなどのパラミクソウイルス科に特異的なプライマー組を用いて抽出した(K.B. Chua他、2000、Science、288:1432-1435)。RT-PCRアッセイは、潜在的に関連しているウイルスを検出するために低ストリンジェンシー条件下で行った。同一源のウイルスストック由来のRNA単離株を対照として用いた。利用できる対照が関連するウイルス特異的プライマーで陽性に反応したのに対し、新しく同定したウイルス単離株はどのプライマー組とも反応せず、これは、このウイルスが試験したウイルスと近縁関係にないことを示している。
ウイルスに感染したtMK細胞の培養物上清のうち2種を、モルモットおよびフェレットに鼻腔内に接種した。接種後0日目、2週間目、および3週間目にこれらの動物から血清試料を採取した。動物は臨床的症状は示していなかったが、すべての動物で抗体陽転が検出され、ウイルス中和(VN)(実施例16の方法を参照)アッセイおよび同種ウイルスに対する間接IFAで測定した。血清は、間接IFAにおいて上述の既知のパラミクソウイルスのどれとも反応せず、またマウスのニューモウイルス(PVM)とも反応しなかった。モルモットおよびフェレットの感染前および感染後の血清を用いて、現在までに未同定のウイルス単離株をスクリーニングした。これらのうち、28種が間接IFAで明らかに陽性であり、感染後の血清は、ここまでに未同定のウイルス単離株が近縁であるまたは同一であることを示唆している。
ウイルスをさらに特性解析するために、細胞系におけるウイルス感染の表現効果を観察した。手短に述べると、ガラス製スライドを含む24ウェルプレート(Costar、Cambridge, UK)で、10%ウシ胎児血清(BioWhittaker、Vervier, Belgium)を添加した以下に述べる培地中でtMK細胞を培養した。接種前にプレートをPBSで洗浄し、0.5Lに0.26gのNaHCO3、0.025MのHepes(Biowhittaker)、2mMのL-グルタミン(Biowhittaker)、100単位のペニシリン、100μgのストレプトマイシン(Biowhittaker)、0.5gのラクトアルブミン(Sigma-Aldrich、Zwijndrecht, The Netherlands)、1.0gのD-グルコース(Merck、Amsterdam, The Netherlands)、5.0gのペプトン(Oxoid、Haarlem, The Netherlands)および0.02%のトリプシン(Life Technologies、Bethesda, MD)を添加した、ハンクス塩を含むイーグルMEM(ICN、Costa mesa, CA)を入れた。プレートに鼻咽頭吸引液試料の上清を接種し(1ウェルあたり0.2mlを3つ組で)、次いで840×gで1時間遠心した。接種後、プレートを37℃で最大14日間インキュベートし、この間培地を週に1回交換し、培養物を毎日CPEについて検査した。14日後に細胞を2代目継代から掻き取り、14日間インキュベートした。このステップを3代目継代で繰り返した。ガラス製スライドは、以下に述べるようにウイルスの存在を間接IFAによって実証するために使用した。
CPEは一般に、単離株に応じて3代目継代の後、すなわち8〜14日目で観察された。hRSVが4日目前後にCPEを誘発する以外は、tMK細胞または他の細胞培養物中のhRSVまたはhPIVに引き起こされたCPEは実質上区別不可能である。CPEは合胞体の形成によって特徴づけられ、その後、細胞は迅速な内部破壊、次いで単層からの細胞の剥離を示した。一部の単離株では、CPEの観察は困難であり、これらの培養物中のウイルスの存在を確認するためにIFAを用いた。このCPEが他のウイルス由来のCPEと区別不可能であるという観察により、臨床的症状の目視検査によって診断を行うことができないことが示された。
6.2 実施例2: ヒト集団における血清有病率
ヒト集団におけるこのウイルスの血清有病率を調査するために、様々な年齢区分のヒト由来の血清を、未同定のウイルス単離株のうち1種に感染させたtMK細胞を用いた間接IFAによって分析した。調査により、このウイルスに対する抗体が6カ月齢〜12カ月齢の子供の25%で検出されることが明らかとなった。さらに、5歳までには、子供のほぼ100%が血清陽性であった。全体で56個の血清試料を間接IFAおよびVNアッセイで観察した。試料の51個または91%で、VNアッセイの結果、すなわち8を超える力価が、間接IFAの結果、すなわち32を超える力価と一致した。IFAで陽性であることが判明した4個の試料試料がVNアッセイで陰性であった、すなわち力価が8未満であった。1個の血清試料がIFAで陰性であった、すなわち、力価が32未満であり、VN試験で陽性であった、すなわち、力価が16であった(図2)。
1958年に、8〜99歳の範囲のヒトから採取した72個の血清試料で実施したIFAでは100%の血清有病率が明らかとなり、このウイルスが40年以上もヒト集団内で循環していることが示された。さらに、これら血清試料のうちいくつかを、IFAデータを裏づけるためにVNアッセイで使用した(図2)。血清有病率データは、このウイルスは長年の間ヒト集団における顕著な感染源であったことを示している。
重度のRTIに罹患している子供由来の臨床試料からこのウイルスを繰り返し単離することは、MPVの臨床的および経済的影響が大きいかもしれないことを示している。ウイルス検出および血清学に基づいた新しい診断的アッセイにより、罹患率ならびにこのウイルス病原体の臨床的および経済的影響のより詳細な分析が得られるであろう。
IFAとVNの結果の僅かな差異(5個の試料)は、IFAではIgG血清抗体のみを検出するが、VNアッセイでは抗体のクラスとサブクラスとの両方を検出することが原因であるかもしれない。あるいは、この差異は、両アッセイの感度の差が原因であるかもしれない。IFAでは閾値16を使用したが、VNでは閾値8を使用した。
また、IFAアッセイとVNアッセイの結果の差異は、この新しく同定されたウイルスで存在する可能性のある血清型の差異も示しているかもしれない。MPVがAPVに最も近縁であると考えられるので、このヒトウイルスがトリ起源であり得ることが推測された。1958年にヒトから採取した血清試料の分析により、MPVが40年以上もヒト集団において蔓延していたことが明らかになり、これは、1958年よりもかなり前に動物原性感染事象が起こったことが推定されることを示している。
6.3 実施例3: HMPV単離株00-1のゲノム配列
未知のウイルス単離株の配列情報を得るために、RAP-PCR(Welsh他、1992、NAR、20:4965-4970)として知られるランダムPCR増幅戦略(実施例19参照)。手短に述べると、tMK細胞をウイルス単離株のうち1種(単離株00-1)ならびに陽性対照として役割を果たすhPIV-1に感染させた。両方の培養物が同等のレベルのCPEを示した後、培養物上清中のウイルスを連続的な20〜60%スクロース勾配で精製した。EMによって勾配画分をウイルス様粒子について検査し、約50%のスクロースを含む分画からRNAを単離し、これ中にヌクレオカプシドが観察された。両方のウイルス分画から単離したRNA単離株を等量ずつRAP-PCRで使用し、その後、試料を隣り合わせで3% NuSieveアガロースゲルに流した。次いで、未同定のウイルスに特異的な20個の示差的に現れたバンドをゲルから精製し、プラスミドpCR2.1(Invitrogen)にクローニングし、ベクター特異的プライマーを用いて配列決定した(実施例20参照)。National Library of Medicineから入手可能なBLASTプログラムを用いて、Genbankデータベースで配列に対する相同性を検索することによって、20個の断片のうち10個がAPV/TRTV配列との類似性を示していることが判明した。
これら10個の断片は、核タンパク質(N;断片1および2)、基質タンパク質(M;断片3)、融合タンパク質(F;断片4、5、6、7)およびポリメラーゼタンパク質(L;断片8、9、10)をコードしている遺伝子中に位置していた(図3)。PCRプライマーは、本発明者らのRAP PCR断片ならびにニューモウイルス科の発表されているリーダー配列およびトレーラー配列(Randhawa他、1997、J. Virol.、71:9849-9854)に基づいて、ウイルスゲノムの3'末端の配列情報を完成するように設計した。3個の断片を増幅した、そのうち断片AはNオープンリーディングフレーム(ORF)の3'最末端に及んでおり、断片Bはリン酸化タンパク質(F)のORFに及んでおり、断片CはM ORFとF ORFとの間のギャップを埋めていた(図16)。これら3個の断片を配列分析することで、ウイルスゲノムの3'最末端にNS1およびNS2 ORFが存在しないこと、ならびにF ORFがM ORFのすぐ隣に位置することが明らかとなった。このゲノム機構は、やはり配列相同性と矛盾がなかったメタニューモウイルスAPVのゲノム機構に似ていた。様々なウイルス間の関係は、図4のアミノ酸配列と他のウイルスのそれぞれのNタンパク質のアミノ酸配列とを比較することによって推定することができる。全般的に、N、P、MおよびF ORFの翻訳された配列は、ニューモウイルス属のメンバーと平均30〜33%の相同性を示し、メタニューモウイルス属のメンバーと66〜68%の相同性を示した。SHおよびG ORFでは、どちらの属のメンバーとも認識できる相同性が見出されなかった。N ORFのアミノ酸配列で見つかったアミノ酸の相同性では、hRSVと約40%、および遺伝学的に最も近縁であるAPV-Cと88%の相同性が示された。P ORFのアミノ酸配列ではhRSVと約25%およびAPV-Cと約66〜68%の相同性が示され、M ORFではhRSVと約36〜39%およびAPV-Cと約87〜89%が示され、F ORFではhRSVと約40%およびAPV-Cと約81%の相同性が示され、M2-1 ORFではニューモウイルスと約34〜36%およびAPV-Cと84〜86%の相同性が示され、M2-2 ORFではニューモウイルスと15〜17%およびAPV-Cと56%の相同性が示され、L ORFから得た断片ではニューモウイルスと平均44%およびAPV-Cと64%が示された。
N、M、PおよびF遺伝子の遺伝子分析により、MPVがニューモウイルス属よりも最近提示されたメタニューモウイルス属とより高い配列相同性を有し、したがってAPV/TRTVに類似かつ似ているゲノム機構を示すことが明らかになった。RSVのゲノム機構('3-NS1-NS2-N-P-M-SH-G-F-M2-L-5')とは対照的に、メタニューモウイルスはNS1およびNS2遺伝子を欠いており、また異なるゲノム機構を有する(具体的にはMとL('3-N-P-M-F-M2-SH-G-L-5')遺伝子との間)。本発明のウイルス単離株中のM遺伝子とF遺伝子との間のORFを欠いていること、Nに隣接するNS1およびNS2を欠いていること、ならびにAPV内で見つかった高いアミノ酸配列相同性により、ヒトから単離したMPVを哺乳動物、特にヒトのメタニューモウイルス属の最初のメンバーとして分類する提案に至った。
系統的分析により、配列情報を得た9個のMPV単離株が近縁であることが明らかとなった。配列情報は限定されていたが、トリメタニューモウイルスのどれとよりも、互いにより近縁であると思われる。記載したAPVの4つの血清型のうち、血清型CがMPVに最も近縁であると思われる。この結論は、N、P、MおよびF遺伝子のヌクレオチド配列の類似性に基づいている。しかし、血清型DではF遺伝子の部分的な配列のみがGenbankから入手可能であり、血清型BではM、N、F配列のみが入手可能であったことを留意されたい。本発明者らのMPV単離株は系統樹内で2つの集団を形成した。hRSVおよびAPVのいずれもで、異なる遺伝子学的および血清学的サブタイプが記載されている。MPV単離株の2つの遺伝子学的集団が機能的にも異なる血清学的サブグループを表すかどうかは、現在ではまだ不明である。本発明者らの結成学的調査では、MPVが一般的なヒトの病原体であることが示された。
6.4 実施例4: 関連遺伝子のさらなる特性解析
MPVの核タンパク質(N)、リン酸化タンパク質(P)、基質タンパク質(M)および融合タンパク質(F)遺伝子の配列分析により、米国において主としてトリで見つかるAPV血清型Cとの最も高い度合の配列相同性が明らかとなった。また、これらの分析により、ウイルスゲノムの3'末端に非構造タンパク質NS1およびNS2が存在しないこと、ならびに融合タンパク質が基質タンパク質のすぐ隣に位置することも明らかになった。22K(M2)遺伝子、小さな疎水性(SH)遺伝子、結合(G)遺伝子、ポリメラーゼ(L)遺伝子、遺伝子間領域、およびトレーラー配列の配列を決定した。既に記載した配列と組み合わせると、ここで提示する配列により、ゲノム末端の最末端の12〜15個のヌクレオチドを除いてMPVのゲノム配列が完成し、MPVのゲノム機構が確立した。MPVゲノムの配列をAPVサブタイプA、BおよびC、RSVサブタイプAおよびB、PVMならびに他のパラミクソウイルスの配列と並べて比較することにより、メタニューモウイルス属におけるMPVの分類の強力な証拠が提供される。
核タンパク質(N)をコードしている遺伝子:上で示したように、MPVのゲノム地図の最初の遺伝子は394個のアミノ酸(aa)のタンパク質をコードしており、他のニューモウイルスのNタンパク質と高い相同性を示す。N ORFの長さはAPV-CのN ORFの長さと同じであり(表5)、他のパラミクソウイルスの長さより短い(Barr他、1991、J Gen Virol、72:677-85)。アミノ酸配列の分析により、APV-Cと最も相同性が高いこと(88%)、および他のパラミクソウイルスとは7〜11%しかないことが明らかとなった(表6)。
モノネガウイルス目に属するウイルス間における3つの類似領域、A、BおよびCを同定した(図22)(Barr他、1991、J Gen Virol、72:677-85)。類似性は同一ウイルス科内の場合に最も高いが、これらの領域は観察したウイルス科の間で高度に保存されている。3つの領域すべてで、MPVはAPV-Cと97%、APV-Bと89%、APV-Aと92%、ならびにRSVおよびPYMと66〜73%のアミノ酸配列の同一性を示した。アミノ酸残基160と340との間の領域がメタニューモウイルスの間で高度に保存されており、ニューモウイルス科でいくらか低い程度で保存されていると思われる(Miyahara他、1991、Arch Viral、124:255-68; Li他、1996、Virus Res、41:185-91; Barr、1991、J Gen Virol、72:677-85)。
リン酸化タンパク質(P)をコードしている遺伝子:ゲノム地図の第2のORFは、APV-CのPタンパク質と68%の配列相同性を共有し、RSVのPタンパク質とは22〜26%しか共有しない(表7)294 aaのタンパク質をコードしている。MPVのP遺伝子は1つの実質的なORFを含み、この点では、多くの他のパラミクソウイルスのPと類似している(Lamb他、Fields virology、(B.N. Knipe、Hawley, P.M.偏、LippencottRaven)、Philadelphia、1996; Sedlmeier他、1998、Adv Virus Res、50:101-39で総説)。
APV AおよびBならびにPVMとは対照的に、またRSVならびにAPV-Cと類似して、MPVのP ORFはシステイン残基を欠いている。すべてのニューモウイルス間で類似性が高い領域(アミノ酸185〜241)は、RNA合成プロセスまたはヌクレオカプシド複合体の構造的完全性の維持のいずれかにおいて役割を果たす(Ling他、1995、Virus Res、36:247-57)。この類似性の高い領域は、特に保存的置換を考慮した場合にMPV中でも見つかり(図6)、APYCと100%、APV-AおよびBと93%、ならびにRSVと約81%の類似性を示す。MPVのPタンパク質のC末端は、APVについて記載されているように(Ling他、1995、Virus Res、36:247-57)、グルタミン酸残基に富んでいる。
基質(M)タンパク質をコードしている遺伝子:MPVゲノムの第3のORFは、他のニューモウイルスのM ORFに似ている254 aaのタンパク質をコードしている。MPVのM ORFは他のメタニューモウイルスのM ORFと全く同じサイズを有しており、APVの基質タンパク質と高いアミノ酸配列の相同性を示し(78〜87%)、iRSVおよびPVMの基質タンパク質とより低い相同性を示し(37〜38%)、他のパラミクソウイルスの基質タンパク質と10%未満の相同性を示すパラミクソウイルス(表6)。
すべてのニューモウイルスの基質タンパク質の配列を比較し、残基14〜19で保存された7ペプチドがMPV中でも保存されていることが判明した(図7)(Easton他、1997、Virus Res、48:27-33)。RSV、PVMおよびAPVでは、Mの主ORFの内部またはそれと重複する小さい二次的ORFが同定された(bRSVで52 aaおよび51 aa、RSVで75 aa、PVMで46 aa、ならびにAPVで51 aa)(Yu他、1992、Virology、186:426-34; Easton他、1997、Virus Res、48:27-33; Samal他、1991、J Gen Virol、72:715-20; Satake他、1995、J Virol、50:92-9)。ヌクレオチド2281から開始する54 aa残基の1つの小さなORFが主M ORFの内部に見つかり(断片1、図8)、ヌクレオチド2893から開始する33 aa残基の1つの小さなORFがMの主なORFと重複して見つかった(断片2、図8)。RSVおよびAPVの二次的ORFと同様に、これらの二次的ORF間および他のニューモウイルスの二次的ORFと有意な相同性はなく、明らかな開始コドンや停止コドンが欠如している。さらに、これらの二次的なORFからタンパク質合成が起こるという報告はない。
融合タンパク質をコードしている遺伝子:MPVのF ORFはM ORFに隣接して位置し、これは、メタニューモウイルス属のメンバーに特徴的な特徴である。MPVのF遺伝子は、APV-CのFよりも2 aa残基長い539 aaタンパク質をコードしている。アミノ酸配列の分析により、APV-Cと81%、APV-AおよびBと67%、ニューモウイルスFタンパク質と33〜39%、ならびに他のパラミクソウイルスとはわずか10〜18%の相同性が示された(表6)。パラミクソウイルスのFタンパク質間で保存されており、MPVでも見られる特徴の1つは、システイン残基の分布である(Morrison他、1988、Virus Res、10:113-35; Yu他、1991、J. Gen Virol、72:75-81)。メタニューモウイルスはE1で12個(7個はすべてのパラミクソウイルスで保存されている)、およびE2で2個のシステイン残基(1個はすべてのlパラミクソウイルスで保存されている)を共有している。MPVのF ORF中に存在する3つの潜在的なN結合グリコシル化部位のうち、RSVとはまったく共有されておらず、2個(74位および389位)がAPVと共有されている。MPVの第3の、独特な、潜在的なN結合グリコシル化部位は206位に位置している(図9)。
他のパラミクソウイルスとの配列相同性が低いにもかかわらず、MPVのFタンパク質は、他のパラミクソウイルス科のメンバーのFタンパク質に記載された特徴と矛盾しない、典型的な融合タンパク質の特徴を示した(Morrison他、1988、Virus Res、10:113-35)。パラミクソウイルス科のメンバーのFタンパク質は不活性な前駆物質(F0)として合成され、これが宿主細胞のプロテアーゼによって切断され、アミノ末端のE2サブユニットおよびカルボキシ末端の大きなF1サブユニットが生成される。提案された切断部位(Collins他、Fields virology、(B.N. Knipe、Howley, P.M.偏、Lippencott-Raven)、Philadelphia、1996)はパラミクソウイルス科のすべてのメンバー間で保存されている。MPVの切断部位は残基RQSRを含む。いずれのアルギニン(R)残基もAPVおよびRSVで共有されているが、グルタミン(Q)およびセリン(S)残基は1型ヒトパラインフルエンザウイルス、センダイウイルス、麻疹ウイルスなどの他のパラミクソウイルスで共有されている。
F1のアミノ末端の疎水性領域は膜融合ドメインとして機能すると考えられており、パラミクソウイルスおよび麻疹ウイルス間で高い配列類似性を示し、より低い程度でニューモウイルスと配列類似性を示す(Morrison他、1988、Virus Res、10:113-35)。これら26個の残基(137〜163位、図9)はMPVおよびAPV-C間で保存されており、これは、この領域がメタニューモウイルス間で高度の保存されていることと一致している(Naylor他、1998、J. Gen Virol、79:1393-1398; Seal他、2000、Virus Res、66:139-47)。
APVおよび他のパラミクソウイルスのF2サブユニットで見られたように、MPVは、RSVと比較して22 aa残基の欠失を示す(107〜128位、図9)。さらに、RSVおよびAPVではシグナルペプチドおよびアンカードメインが亜型内で保存されていることが判明し、亜型間で高度な可変性を示した(Plows他、1995、Virus Genes、11:37-45; Naylor他、1998、J. Gen Virol、179:1393-1398)。F2のアミノ末端のMPVのシグナルペプチド(アミノ酸10〜35、図9)はAPV-Cといくらかの配列類似性を示し(26 aa残基中18個が類似である)、他のAPVやRSVとより低い保存性を示す。E1のカルボキシ末端の膜アンカードメインでは亜型間ではるかに高い可変性が見られるが、それでもAPV-Cと多少の相同性が見られる。
M2タンパク質をコードしている遺伝子:M2遺伝子はニューモウイルス科に独特であり、すべてのニューモウイルスで2つの重複するORFが観察されている。第1の主なORFはウイルスポリメラーゼのプロセッシング能力(processivity)(Collins他、1995、Proc Natl Acad Sci USA、92:11563-7; Collins他、Fields virology、(B.N. Knipe、Howley, P.M.偏、Lippencott-Raven)、Philadelphia、1996)、およびそれによる遺伝子間領域のリードスルー(Hardy他、1998、J Virol、72:520-6; Fearns他、1999、J Virol、73:5852-64)を促進する、M2-1タンパク質を表す。F遺伝子に隣接して位置するMPVのM2-1遺伝子は187 aaのタンパク質をコードし、APV-CのM2-1と最も高い(84%)相同性を示す。すべてのニューモウイルスM2-1タンパク質を比較することにより、タンパク質のアミノ末端側の半分で最も高く保存されていることが明らかとなり(Collins他、1990、J. Gen Virol、71:3015-20; Zamora他、1992、J. Gen Virol、73:737-41; Ahmadian他、1999、J. Gen Virol、80:2011-6)、これは、MPVがタンパク質の最初の80 aa残基でAPV-Cと100%の類似性を示すことと一致している(図10)。MPVのM2-1タンパク質は、最初の30 aa残基内に位置し、すべてのニューモウイルスで保存されている3個のシステイン残基を含む。このようなシステインの濃度はしばしば亜鉛結合タンパク質で見つかる(Cuesta他、2000、Gen Virol:74、9858-67)。
ニューモウイルスのM2-1 ORFと重複する第2のORF(M2-2)は、位置は保存されているが配列は保存されておらず、ウイルスのRNA複製と転写との切替えの制御に関与していると考えられている(Collins他、1985、J Virol、54:65-71; Elango他、1985、J Virol、55:101-10; Baybutt他、1987、J Gen Virol、68:2789-96; Collins他、1990、J. Gen Virol、71:3015-20; Ling他、1992、J. Gen Virol、73:1709-15; Zamora他、1992、J. Gen Virol、73:737-41; Alansari他、1994、J. Gen Virol:75:401-404; Ahmadian他、1999、J. Gen Virol、80:2011-6)。MPVでは、M2-2 ORFはM2-1 ORFのヌクレオチド512から開始し(図8)、これはAPV-Cと全く同じ開始位置アミノ酸である。M2-2 ORFの長さはAPV-CとMPVとで同じであり、71 aa残基である。M2-2 ORFの配列の比較により(図10)、MPVとAPV-Cとの間に64%のアミノ酸配列の相同性があり、MPVとAPV-AおよびBとの間には44〜48%のアミノ酸配列の相同性しかないことが明らかとなった。
小さな疎水性(SH)遺伝子ORF:hMPVのM2に隣接する遺伝子は、恐らく183 aaのSHタンパク質をコードしている(図8)。このORFと他のRNAウイルス遺伝子または遺伝子産物との間に識別可能な配列同一性はない。ニューモウイルスのSHタンパク質間の配列類似性は一般的に低いので、このことは驚くべきことではない。SH ORFのアミノ酸組成はAPV、RSVおよびPVMのものと比較的類似しており、スレオニンおよびセルン残基の割合が高い(hMPV、APV、RSV A、RSV B、bRSVおよびPVMでそれぞれ22%、18%、19%、20.0%、21%および28%)。hMPVのSH ORFは10個のシステイン残基を含み、APV SHは16個のシステイン残基を含む。hMPVのSH ORFは2個の潜在的なN結合グリコシル化部位(アミノ酸76および121)を含み、APVは1個、RSVは2個または3個、PVMは4個有する。
推定hMPV SHタンパク質ならびにAPVおよびRSVのSHの親水性プロファイルでは、類似した特徴が明らかとなった(図11B)。APVおよびhMPVのSH ORFは親水性のN末端、潜在的な膜貫通ドメインである中心疎水性ドメイン(hMPVではアミノ酸30〜53)、第2の疎水性ドメイン(アミノ酸155〜170)および親水性のC末端を有する。対照的に、RSV SHはAPVおよびhMPV ORFのC末端部分を欠いているように思われる。すべてのニューモウイルスSHタンパク質で、疎水性ドメインには塩基性アミノ酸残基が隣接しており、これもhMPVのSH ORF中で見つかる(アミノ酸29および54)。
結合糖タンパク質(G)をコードしている遺伝子:hMPVの推定G ORFは推定SH遺伝子に隣接して位置し、236 aaのタンパク質をコードしている(nt 6262〜6972、図8)。このORFのすぐ後に第2の小さなORFが見つかり、これは潜在的に68 aa残基をコードしているが(nt 6973〜7179)、開始コドンを欠いている。第2のリーディングフレーム中の194 aa残基の第3の潜在的なORFはこれらのORFのいずれとも重複しているが、やはり開始コドンを欠いている(nt 6416〜7000)。このORFに続いて、同じリーディングフレーム中に65 aa残基の第4の潜在的なORFがあり(nt 7001〜7198)、これもまた開始コドンを欠いている。最後に、97 aa残基の潜在的なORF(開始コドンを欠いている)が第3のリーディングフレーム中に見つかる(nt 6444〜6737、図8)。第1のORFとは異なり、他のORFは明らかな遺伝子開始配列または遺伝子停止配列を有さない(以下参照)。236 aaのG ORFは恐らくhMPV結合タンパク質の少なくとも一部を表しているが、何らかのRNA編集事象によって追加のコード配列が別のタンパク質として、または結合タンパク質の一部として発現されることを排除することはできない。APVおよびRSVでは、第1のG ORFの後に第2のORFはまったく同定されておらず、APVおよびRSVのどちらもがGの主ORF内に第2のORFを有することに注目されたい。しかし、これらのORFが発現される証拠はなく、様々なウイルスで予想されたアミノ酸配列間に配列同一性はない(Ling他、1992、J Gen Virol、73:1709-15)。hMPV G中の第2のORFはGタンパク質の特徴を示さず、追加のORFが発現されているかどうかにはさらなる調査が必要である。
すべてのORFでのBLAST分析では、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列レベルで、他の既知のウイルス遺伝子または遺伝子産物との識別可能な配列同一性は示されなかった。これは、hRSV AおよびB(53%)(Johnson他、1987、J Virol、61:163-6)ならびにAPV AおよびB(38%)(JuhaszおよびEaston、1994、J Gen Virol、75:2873-80)など、他のGタンパク質で見られる低い割合の配列同一性と一致している。
hMPV ORFのほとんどが長さおよび配列のいずれについてもAPVのものと似ているが、236 aa残基のhMPVの推定G ORFはAPVのG ORFよりも相当小さい(表4)。アミノ酸配列はセリンおよびスレオニンの含有率34%を示し、これはRSVの32%およびAPVの24%よりもさらに高い。推定G ORFはまた、8.5%のプロリン残基を含み、これはRSVの8%およびAPVの7%よりも高い。APV、RSVおよびhMPVのGタンパク質中にプロリン残基が異常に豊富に存在することは糖タンパク質でも観察され、これは、タンパク質3次元構造の主要な決定因子である(CollinsおよびWertz、1983、PNAS、80:3208-12; Wertz他、1985、PNAS、82:4075-9; Jentoft、1990、Trends Biochem Sci、15:291-4)。hMPVのG ORFは5個の潜在的なN結合グリコシル化部位を含み、hRSVは7個、bRSVは5個、APVは3〜5個有する。
hMPV Gの予想された親水性プロファイルにより、他のニューモウイルスに類似した特徴が明らかとなった。N末端は親水性領域、次いで短い疎水性の領域(hMPVではアミノ酸33〜53)および主に親水性のC末端を含む(図12B)。この全体的な機構は、APVおよびRSVのGタンパク質内の領域とよく対応している。hMPVの推定G ORFは、RSVおよびAPVとは対照的に(それぞれ5個および20個)、1個のシステイン残基しか含まない。注目すべきことに、G遺伝子中の4つの第2のORFのうち2つだけが1つの追加のシステイン残基を含んでおり、これら4つの潜在的なORFは12〜20%のセリンおよびスレオニン残基ならびに6〜11%のプロリン残基を示した。
ポリメラーゼ遺伝子(L):他のマイナス鎖ウイルスと類似したMPVゲノムの最後のORFは、複製および転写複合体のRNA依存性RNAポリメラーゼ成分である。MPVのL遺伝子は、APV-Aタンパク質よりも1残基長い2005 aaのタンパク質をコードしている(表5)。MPVのLタンパク質は、APV-Aと64%、RSVと42〜44%、他のパラミクソウイルスと約13%の相同性を共有している(表6)。セグメント化されていないマイナス鎖RNAウイルスのLタンパク質内の6つの保存されたドメインが同定された。ドメイン3がポリメラーゼ機能に必須の4つのコアポリメラーゼモチーフを含むことが判明した(Poch他、1990、J Gen Virol、71:1153-62; Poch他、1989、EMBO J、8:3867-74)。これらのモチーフ(A、B、CおよびD)はMPV Lタンパク質内でよく保存されている。モチーフA、BおよびCでは、MPVはすべてのニューモウイルスと100%の類似性を共有していおり、モチーフDでは、MPVはAPVと100%、RSVと92%の類似性を共有している。ドメインIIIのすべてで(L ORFのアミノ酸627〜903)、MPVはAPVと77%、RSVと61〜62%、他のパラミクソウイルスと23〜27%の同一性を共有する(図13)。ポリメラーゼモチーフに加えて、ニューモウイルスLタンパク質はコンセンサスATP結合モチーフK(X)
21GEGAGN(X)
20Kと一致する配列を含む(Stec他、1991、Virology、183:273-87)。MPVのL ORFはAPVと類似したモチーフを含み、ここでは中間残基の間隔が残基1個シフトしている:K(X)
22GEGAGN(X)
19K。
6.5 実施例5: HMPV単離株1-99のゲノム配列決定
hMPVの別の単離株(1-99)も同定かつ配列決定した。これを行うために、hMPV単離株1-99を第3サル腎臓細胞で、既に記載された方法と全く同じように増殖させた(van den Hoogen他、2001、Nature Medicine、7(6):719-724)。MagnaPure LC単離システム(Roche Applied Science)および全核酸キットのプロトコルを用いてウイルスRNAを単離した。標準のプロトコルを用い、ランダム6量体(Progema Inc. Leiden)をプライマーとして使用して、RNAをcDNAへと変換した。このcDNAは、配列分析で使用するまで-20℃またはそれより低い温度に維持した。このプロジェクトの全体で使用したプライマーは、プロトタイプhMPV 1-00株から入手可能な配列に基づいているか、またはhMPV株1-99を用いて配列分析の後に得られた。
重複する断片を作製するために、1600塩基対までの大きさの範囲のPCR断片を作製した。標準の技術およびABI 3100キャピラリー配列装置(Applied Biosystems、Nieuwerkerk Issel)を使用して、PCR断片で配列分析を行った。作製されたヌクレオチド配列をまず最初に比較のためにプロトタイプhMPV株1-00と比較した。GenBankデータベース内の関連配列と比較するためにBlastソフトウェアを使用した。配列のさらなる分析にはDNASTARソフトウェアそ使用し(DNASTAR Inc、Madison WI, U.S.A.)、系統的分析にはClustalWソフトウェアプログラムを使用した。
最初に、1-00単離株の配列情報に基づいて設計されたプライマーを用いて1-99単離株の配列を得た。しかし、ゲノムのいくつかの部分は1-00単離株の情報に基づいて配列決定することができなかったので、1-99単離株の配列情報、ならびに1-00単離株の3'および5'末端を配列決定することによって利用可能となった情報に基づいた新しいプライマーを使用した。
hMPV単離株1-99のプロトタイプ配列は13,223塩基対を含んでおり、これは、平均の長さが404塩基対の全部で227個の個別の配列で配列決定した。この配列は配列番号18である。
hMPV 1-99および他のパラミクソウイルスのオープンリーディングフレームの長さの、絶対的な長さおよびアミノ酸同一性の割合を表7に示す。
1-99株と1-00株との間の同一性は、Nタンパク質(95.2%)、M(97.3%)、F(93.7%)、L(94.1%)およびM2-1(94.1%)をコードしている遺伝子中で最も観察され、相同性の割合は90%を超えていた。両株間のPおよびM2-2遺伝子の相同性はそれぞれ86.1および88.9%であることが見出された。また、この単離株はトリメタニューモウイルスの亜型Cと最も関連しており、Nタンパク質(88.6%)、Mタンパク質(87.1%)およびM2-1タンパク質(84.3%)でアミノ酸同一性が見られた。PおよびM2-2タンパク質との同一性はそれより低く、それぞれ67.8%および56.9%であった。
プロトタイプ1-00および1-99株の遺伝子はゲノム地図上で同一であり、N、P、M、F、M21およびM2-2タンパク質でアミノ酸の数が同じである。推定SH遺伝子はアミノ酸6個短く、Gタンパク質はアミノ酸12個短く、1-00および1-99株のL遺伝子は同じ大きさである。
最後に、ゲノム地図における遺伝子の開始、および遺伝子間に位置する非コード配列を表8に要約した。
要約すると、ヒトメタニューモウイルスの1-99株の配列情報は、同一のゲノム地図機構を共有している1-99とプロトタイプ株1-00との遺伝的関係を明らかに実証している。APVの亜型Cではより系統性の低い関係が観察される。
6.6 実施例6: 系統的関係
ウイルス群の間、すなわちMPVと他のウイルス間の関係を同定するために系統的な手法を用いることができる。さらに、同型のウイルスの様々な単離株について系統的関係を決定することができる。MPVと他のウイルスとの間の関係性を決定するために、kまたhMPVの様々な単離株間の関係性を決定するために、系統樹を決定した。たとえば、MPVと様々なウイルスとの間の関係性を例示するために、ヌクレオチドまたはタンパク質の配列データを使用して系統樹を作製することができる。あるいは、hMPVの様々な単離株間の関係性を例示するために、ヌクレオチドまたはタンパク質の配列データを使用して系統樹を作製することができる。
HMPVと様々なウイルスとの間の系統的関係:未同定のウイルス単離株から得たヌクレオチド配列を用いたBLAST検索により主にニューモウイルス科のメンバーとの相同性が明らかとなったが、タンパク質配列に基づいた相同性では他のパラミクソウイルスとのある程度の類似性も明らかとなった。新しく同定されたウイルス単離株とニューモウイルス科のメンバーとの間の関係性の指標として、これらのウイルスのN、P、MおよびF ORFに基づいて系統樹を構築した。4つの系統樹すべてで、新しく同定されたウイルス単離株がAPVに最も近縁であった(図14)。記載されているAPVの4つの血清型から(Bayon-Auboyer他、2000、J Gen. Virol、81:2723-2733)、米国において主にトリで見つかるメタニューモウイルスであるAPV血清型Cが、新しく同定されたウイルスと最も近い類似性を示した。しかし、APV血清型Dの配列情報は部分的にしか入手可能でないことに注意されたい。
すべての系統樹で、DNA配列はClustalWソフトウェアパッケージを使用してアラインメントをとり、最大尤度の系統樹はPhylip 3.5プログラムのDNA-MLソフトウェアパッケージを使用して、50または100回のブートストラップ(bootstrap)および3回のジャンブル(jumble)を用いて作製した(Brandenburg他、1997、J Med Virol、52:97-104)。系統樹の作製に用いた既に発表されている配列は以下の寄託番号の下でGenbankから入手可能である。すべてのORF:hRSV:NC001781; bRSV:NC001989; F ORF:PYM、D11128; MV-A、D00850; MV-B、Y14292; MV-C、AF187152; N ORF:PVM、D10331; MV-A、U39295; MV-B、U39296; MV-C、M176590; M ORF:PMV、U66893; MV-A、X58639; MV-B、U37586; MV-C、AE262571; P ORF:PVM、09649; MV-A、U22110、MV-C、AF176591。
MPVとニューモウイルス科のメンバーとの間の関係性の指標として、N、P、M、およびF ORFに基づいた系統樹が既に構築されており(van den Hoogen他、2001、Nat Med、7(6):19-24)、これによりMPVとAPV-Cの間に近い関係性があることが明らかとなった。MPVのSHおよびG遺伝子と他のパラミクソウイルスのそれらの遺伝子の相同性が低いので、これらの遺伝子について信頼性のある系統樹を構築することができない。さらに、ニューモウイルス属およびメタニューモウイルス属のメンバー間のゲノム機構が明白に異なることにより、全ゲノム配列に基づいた系統樹を作製することが不可能となる。既に発表されているものに加えて、M2およびL遺伝子の系統樹を構築した。これらの系統樹はどちらも、ニューモウイルス亜科内におけるAPVとMPVとの間の関係性が近いことを裏づけた(図15)。
系統樹を構築するために、ClustalWソフトウェアパッケージを使用してDNA配列のアラインメントを行い、Phylip 3.5プログラムのDNA-MLソフトウェアパッケージを使用して、100回のブートストラップおよび3回のジャンブルを用いて最大尤度の系統樹を作製した。ブートストラップ値は、PHYLIPコンセンサスパッケージで作製したコンセンサスの系統樹用に計算した。
ここまでに得られたhMPVの様々な単離体の系統的分析に基づいて2つの主な遺伝型が同定され、ウイルス単離株00-1が遺伝型Aのプロトタイプであり、単離株99-1が遺伝型Bのプロトタイプである。
遺伝型が亜型に関連しており、既に存在している免疫の存在下で両方のサブグループ由来のウイルスによる再感染が起こり、また再感染が起こるために抗原の変異が厳密に必要でないかもしれないという仮説が立てられている。さらに、hMPVは主に家禽で見つかるウイルスであるトリニューモウイルスに近縁であると考えられる。両ウイルスのヌクレオチド配列は、SHおよびGタンパク質以外は高い割合の相同性を示す。これらのウイルスは、主に核タンパク質および基質タンパク質に基づいた試験で交差反応すると考えられるが、結合タンパク質に基づいた試験において異なる反応を示す。ウイルス中和力価における差異は、hMPVの2つの遺伝型は1つのウイルスの2つの異なる血清型であり、APVは異なるウイルスであるというさらなる証拠を提供する。
異なるHMPV単離体間の系統的関係:MPVの異なる単離株間の関係性を同定するために、系統的手法も用いることができる。たとえば、様々な対照から得られたいくつかのMPV単離株間の関係性を例示するために、ヌクレオチドまたはタンパク質の配列データを用いて系統樹を作製することができる。この手法は、MPVウイルス集団内で起こる差異の理解に有用である。
本発明者らの様々な新しく同定されたウイルス単離株の関係性を決定するために、8〜9個の単離株(Fで8個、N、MおよびLで9個)から得た配列情報に基づいて系統樹を構築した。N、M、F、P、SHおよびL ORF中の短い断片を増幅するために設計したプライマーでRT-PCRを用い、その後それらを直接配列決定した。血清学的な観点から関連していると判明した9つのウイルス単離株(上記参照)は、遺伝学的にも近縁であることが判明した。実際、9つの単離株すべてが、APVとよりも互いにより近縁であった。これらの系統樹に用いた配列情報は限定されているが、9つの単離株は2つのグループ、すなわち単離株94-1、99-1および99-2が1つのグループの集団、他の6つの単離株(94-2、93-1、93-2、93-3、93-4、00-1)が他方の集団に分けられると考えられる(図16)。
4つの変異体すべて、すなわち変異体A1、A2、B1、またはB2のhMPVの様々な単離株のF遺伝子のアラインメントを図17に示す。
4つの変異体すべて、すなわち変異体A1、A2、B1、またはB2のhMPVの様々な単離株のFタンパク質のアラインメントを図18に示す。
4つの変異体すべて、すなわち変異体A1、A2、B1、またはB2のhMPVの様々な単離株のG遺伝子のアラインメントを図19に示す。
4つの変異体すべて、すなわち変異体A1、A2、B1、またはB2のhMPVの様々な単離株のGタンパク質のアラインメントを図20に示す。
様々なhMPV単離株の系統的関係性、および対応するhMPVの変異体とのその関係性を示す、F遺伝子配列に基づいた系統樹を図21に示す。さらに、様々なhMPV単離株の系統的関係性、および対応するhMPV変異体とのその関係性を示す、G遺伝子配列に基づいた系統樹を図22に示す。これらの系統樹は、DNA最大尤度を使用して、50回のブートストラップおよび3回のジャンブルを用いて計算した。
hMPV単離株00-1の様々な遺伝子とhMPV単離株99-1、APV血清型C、およびAPV血清型Aの様々な遺伝子との間の配列同一性を表9に示す。
最初、系統的関係性は9つの異なる単離対でのみ推測していた。2つの潜在的な遺伝学的集団は、ウイルス単離株のN、M、FおよびL ORFの部分的ヌクレオチド配列を分析することによって同定した。90〜100%のヌクレオチド同一性が同一集団内で観察され、81〜88%の同一性が異なる集団間で観察された。さらに多くのウイルス単離株で得た配列情報により、2つの遺伝子型が存在することが確認された。集団Aのプロトタイプとしてのウイルス単離株00-1、および集団Bのプロトタイプとしてのウイルス単離株99-1を交差-中和アッセイで使用して、遺伝型が様々な血清型またはサブグループと関連しているかどうかを試験した。
ポリメラーゼ遺伝子内に位置するプライマーを用いたRT-PCRアッセイを使用して、鼻咽頭吸引液試料から30個のさらなるウイルス単離株を同定した。これら新しい単離株の基質およびポリメラーゼ遺伝子の部分的な配列情報を、先の9つの単離株の配列情報と共に用いて系統図を構築した(図15)。これらの系統樹を分析することにより2つの遺伝学的集団、すなわちグループAのプロトタイプウイルスとしてのウイルス単離株00-1およびグループBのプロトタイプウイルスとしてのウイルス単離株99-1の存在が確認された。同一グループ内におけるヌクレオチド配列の同一性は92%を超えており、異なる集団間の同一性は81〜85%であった。
6.7 実施例7: ヒトメタニューモウイルス(HMPV)NL/1/00ゲノムRNAのリーダー配列
ゲノム組成の大部分が決定したが、最末端にある真の(authentic)の末端配列が欠けていた。ウイルスRNAのライゲーション、次いでライゲートした接合点のPCR増幅ならびにポリアデニル化および3'RACE法を組み合わせて用いて、真のヌクレオチド配列を決定した(図54)。ウイルスRNA末端のライゲーションによって作製したPCR断片の配列分析により、図26に示すリーダー配列およびトレーラー配列が明らかとなった(配列番号18〜21参照)。このようにして得たトレーラー配列は、APVを含めた他のパラミクソウイルスのトレーラー配列から予測された配列と矛盾がなかった。しかし、配列分析した71個のクローンのうち2個のリーダー配列しか、現在までにすべてのパラミクソウイルスで見つかっている末端ヌクレオチド残基としてのACを含んでいなかった。したがって、次いでポリアデニル化および3'RACE法を組み合わせて用いてhMPV/NL/1/00リーダーの末端ヌクレオチド配列を確認した。さらに、hMPV NL/1/00の3'リーダー末端に2つの追加のヌクレオチドが同定された。
本研究ではVeroで増殖させたhMPV NL/1/00ウイルスを使用した。対照として、同定された末端配列と類似したゲノムサイズを有する、関連するマイナス鎖RNAウイルスである呼吸器合胞体ウイルス(RSV)A2を含めた。ウイルスRNAは、QIAampウイルスRNAミニキット(Qiagen)を用いて、製造者の指示に従って単離した。
ウイルスRNAをポリ(A)ポリメラーゼ(Ambion)と共に、37℃で1時間インキュベートし、次いでNucAwayスピンカラム(Ambion)を用いてクリーンアップすることによって、ウイルスRNAをポリアデニル化した。その後、ポリ(A)テール領域に相補的なプライマーおよび逆転写酵素、Superscript I(Invitrogen)を用いてウイルスRNAを逆転写した。配列決定分析用の、予想される大きさの所望の産物を増幅するために、末端に並列な(juxtaposed)hMPV特異的プライマーを使用してPCRおよびNested PCR反応を行った。TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてPCR産物をさらにpCRIIベクターにクローニングした。末端の真のヌクレオチド配列を明らかにするために、PCR DNAおよびクローニングしたPCR産物の直接配列決定を実施した。
hMPVデータのみを図55に示す。RSV-A2 RNAを用いた対照実験により、RSV-A2のリーダー配列が元の形のまま保たれ、同じ手法で検出可能であることが示された。PCR産物の直接の配列決定分析(図55)およびPCRクローンの配列決定分析はどちらも、hMPVのリーダー領域がリーダー配列の最も3'近位の20個のヌクレオチドで5' ACG CGA AAA AAA CGC GTA TA(プラス鎖センスcDNA方向で表す)からなることを示した。2つの新しく同定されたヌクレオチドを図101中で下線を引いた。
6.8 実施例8: MPV単離株の血清型決定およびサブグループ化
hMPVのウイルス単離株を血清型または遺伝型によって区別できるかどうかを決定するために、ウイルス中和アッセイを使用した(たとえば実施例16参照)。ウイルス特異的抗血清を産生させるために、ウイルス単離株00-1および99-1をフェレットに接種した。00-1単離株では、個別の加圧したグローブボックス内で飼育した2匹の特定病原体除去フェレットおよび2匹のモルモットを実験的に鼻腔内感染させることによって、ウイルスに対するフェレットおよびモルモット特異的抗血清を産生させた。2〜3週間後、すべての動物を心室穿刺によって出血させ、その血清を対照血清として用いた。血清は、以下に記載のように間接IFAで、既に記載したすべてのウイルスについて試験した。これらの抗血清と99-1単離株を用いて調製した抗血清とを、両方のウイルスでのウイルス中和アッセイで使用した(表10)。
さらに6匹のモルモットにいずれか一方のウイルス、すなわち00-1および99-1)を接種した。鼻咽頭吸引液試料でのRT-PCRアッセイにより、感染後2日目〜10日目までウイルス複製が示された。感染後70日目に、モルモットを同種または異種ウイルスのいずれかに感染させ、4つの事例すべてでウイルス複製が認められた。
最初の感染後における抗血清を用いたウイルス中和アッセイでは、フェレットで行ったVNアッセイと本質的に同じ結果が示された(VN力価で>16倍の差)。
本実施例で提示する結果は、MPVの2つの血清型に対応する2つの遺伝型が存在することを裏づけており、また異種および同種ウイルスに繰り返し感染することの可能性を示している(表11)。
7. 診断的アッセイ/検出方法
7.1 実施例9: 直接免疫蛍光アッセイ(DIF)法
RTIを罹患している患者由来の鼻咽頭吸引液試料を、記載のようにDIFによって分析した(Rothbarth他、1999、J. of Virol. Methods、78:163-169)。試料は-70℃で保存した。手短に述べると、鼻咽頭吸引液を5mlのダルベッコMEM(BioWhittaker、Walkersville, MD)で希釈し、ボルテックスミキサーで1分間、よく攪拌した。懸濁液を10分間、840×gで遠心した。沈降物をマルチスポットスライド(Nutacon、Leimuiden, The Netherlands)上に広げ、上清をウイルス単離に使用した。乾燥させた後、細胞をアセトン中で1分間、室温で固定した。スライドを洗浄した後、これをインフルエンザAおよびB、hRSVおよびhPIV 1〜3などのウイルスに特異的な市販のFITC標識抗血清(Dako、Glostrup, Denmark)と共に15分間37℃でインキュベートした。PBSで3回、水道水で1回洗浄した後、スライドをグリセロール/PBS溶液(Citifluor、UKO、Canterbury, UK)に浸して覆った。その後、Axioscop蛍光顕微鏡を用いてスライドを分析した。
7.2 実施例10: MPVのウイルス培養物
宿主由来の培養試料中におけるウイルスの検出は、宿主が現在かつ/または過去にウイルスに曝されたまたは感染していたことの直接の指標である。
第1継代の後にCPEを示した試料を用いて、24ウェルプレート中の培地中にサブコンフルエントな状態のtMK細胞の単層に接種した。培養物を毎日CPEについて検査し、培地を週に1回交換した。CPEが各単離株で異なっていたので、すべての培養物を、新しいウイルス単離体に対するフェレット抗体を用いた間接IFAで、12〜14日目に試験した。陽性の培養物を3回凍結-解凍し、その後、低速遠心によって上清を清浄にし、一定量に分割し、-70℃で凍結保存した。記載のように、培養物上清中のウイルスの50%組織培養物感染用量(TCID50)を決定した(Lennette, D.A.他、DIAGNOSTIC PROCEDURES FOR VIRAL, RICKETTSIAL, AND CHLAMYDIAL INFECTIONS、第7版、(Lennette, E.H.、Lennette, D.A.、Lennette, E.T.偏)、3-25、37-138、431-463、481-494、539-563、(American Public Health Association、Washington、1995))。
7.3 実施例11: 間接免疫蛍光アッセイ(IFA)による抗原検出
感染細胞または組織中のウイルスタンパク質を可視化するために抗体を使用することができる。間接免疫蛍光アッセイ(IFA)とは、蛍光指標にカップリングさせた第2の抗体がウイルスに特異的な抗体上の共通のエピトープを認識する感受性のある手法である。IFAは、その感度のレベルが高いのでDIFよりも有利である。
間接IFAを行うために、採取した検体を5mlのダルベッコMEM培地(BioWhittaker、Walkersville, MD)で希釈し、ボルテックスミキサーで1分間、よく攪拌した。その後、懸濁液を10分間、840×gで遠心した。沈降物をマルチスポットスライド上に広げた。乾燥させた後、細胞をアセトン中で1分間、室温で固定した。あるいは、ガラス製スライドを含む24ウェルスライド中のtMK細胞でウイルスを培養した。これらのガラス製スライドをPBSで洗浄し、アセトン中で1分間、室温で固定した。
2種類の間接IFAを行った。第1の間接IFAでは、感染tMK細胞を含むスライドをPBSで洗浄し、その後、ウイルス特異的抗血清と共に30分間、37℃でインキュベートした。インフルエンザA、BおよびC、1〜3型hPIV、ならびにhRSVに対するモノクローナル抗体を使用した。4型hPIV、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、センダイウイルス、5型サルウイルス、およびニューカッスル病ウイルスでは、ポリクローナル抗体(RIVM)ならびにフェレットおよびモルモットの参照血清を使用した。PBSで3回、水道水で1回洗浄した後、スライドを第1のインキュベーションで使用した血清に対する二次抗体で染色した。ポリクローナル抗血清の二次抗体は、ヤギ抗フェレット(KPL、Guilford, UK、40倍希釈)、マウス抗ウサギ(Dako、Glostrup, Denmark、20倍希釈)、ウサギ抗ニワトリ(KPL、20倍希釈液)およびマウス抗モルモット(Dako、20倍希釈)であった。
第2のIFAでは、PBSで洗浄した後、スライドを30分間、37℃でPBS中で1:50〜1:100の希釈率の20種のポリクローナル抗体と共にインキュベートした。ポリクローナル抗体を得るために免疫化したフェレットおよびモルモットを使用したが、これらの抗体は様々な動物で産生させることができ、ポリクローナル抗体の作業希釈率はそれぞれの免疫化で変動し得る。PBSで3回、水道水で1回洗浄した後、スライドを37℃で30分間、FITC標識のヤギ抗フェレット抗体(KPL、Guilford, UK、40倍希釈)と共にインキュベートした。PBSで3回、水道水で1回洗浄した後、スライドをグリセロール/PBS溶液(Citifluor、UKO、Canterbury, UK)に浸して覆った。Axioscop蛍光顕微鏡(Carl Zeiss B.V.、Weesp, the Netherlands)を用いてスライドを分析した。
7.4 実施例12: 赤血球凝集アッセイ、クロロホルム感受性試験および電子顕微鏡観察
ウイルスの検出には、ウイルスの様々な特徴を利用することができる。たとえば、多くのウイルスが赤血球に結合することができるタンパク質を含み、これにより格子が生じる。この特性は赤血球凝集と呼ばれ、ウイルスを検出するための赤血球凝集アッセイで使用することができる。電子顕微鏡(EM)の下でウイルスを可視化することもでき、またPCR技法によって検出することもできる。
赤血球凝集アッセイおよびクロロホルム感受性試験は、記載のように行った(Osterhaus 他、1985、Arch. of Virol、86:239-25; Rothbarth他、J of Virol Methods、78:163-169)。
EM分析では、4℃、17000×gの微量遠心で感染細胞の培養物上清からウイルスを濃縮し、その後、ペレットをPBSに再懸濁させて陰性造影EMで検査した。
7.5 実施例13: IgG、IgAおよびIgMクラスのhMPV/AVP抗体の検出
感染/病気中には、ウイルスに対する特異的抗体が産生される。したがって、宿主におけるウイルスに特異的な抗体の検出は、宿主が現在かつ/または過去にそのウイルスに感染していたことの指標である。
hMPV抗体のIgGクラスを検出するために、間接酵素免疫アッセイ(EIA)を用いた。このアッセイは、基本的に(Rothbarth他、1999、J. of Vir. Methods、78:163-169)に既に記載されているとおりに、マイクロタイタープレート中で行った。手短に述べると、1%のトリトンX-100で処理することによって濃縮したhMPVを可溶化した。交差力価測定によって至適作業希釈率を決定した後、これをPBS中で、室温で16時間、マイクロタイタープレートにコーティングした。次いで、EIA緩衝液で1:100に希釈した100ul体積のヒト血清試料をウェルに加え、1時間、37℃でインキュベートした。ヒトIgGの結合は、ヤギ抗ヒトIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(Biosource、USA)を加え、TMBを基質として加え、プレートを展開しsubstrate developed plate、450nmで吸光度(OD)を測定することによって検出した。結果は、ODのS(シグナル)/N(陰性)比として表した。S/N比が陰性対照+基準物質の3倍であった場合に、血清がIgGについて陽性であるとみなした。
IgMおよびIgAクラスのhMPV抗体は、基本的に(Rothbarth他、1999、J Vir Methods、78:163-169)に既に記載されているとおりに、捕捉EIAによって血清中で検出した。IgAおよびIgMの検出には、抗ヒトIgMまたはIgA特異的モノクローナル抗体でコーティングされた市販のマイクロタイタープレートを使用した。血清を1:100に希釈した。1時間37℃インキュベートした後、至適作業希釈率のhMPVを各ウェルに加え(100μl)、1時間37℃でインキュベートした。洗浄後、ペルオキシダーゼで標識したポリクローナル抗hMPV抗体を加え、プレートを1時間37℃でインキュベートした。TMBを基質として加え、プレートを展開し、450rimでODを測定した。結果は、ODのS(シグナル)/N(陰性)比として表した。S/N比が陰性対照+基準物質の3倍であった場合に、IgGについて陽性の結果とした。
AVP抗体をAVP阻害アッセイで検出した。APV阻害試験のプロトコルは、SVANOVA Biotech AB、Uppsala Science Park Glunten SE-751 83 Uppsala Sweden製造のAPV-Ab SVANOVIR(登録商標)酵素免疫アッセイに含まれている。結果は、ODのS(シグナル)/N(陰性)比として表した。S/N比が陰性対照+基準物質の3倍であった場合に、血清がIgGについて陽性であるとみなした。
7.6 実施例14: ELISAによるヒト、哺乳動物、反芻動物または他の動物内の抗体の検出
ウイルスに特異的な抗体の検出には、MPVを感染させたtMK細胞を(上述のように)アセトンでカバーガラス上に固定し、PBSで洗浄し、1〜16の希釈率の血清試料と共に30分間37℃でインキュベートした。PBSで2回、水道水で1回洗浄した後、スライドを37℃で30分間、FITC標識の使用した種に対する二次抗体(Dako)と共にインキュベートした。上述のようにスライドを処理した。
抗体を蛍光色素で直接標識することができ、これにより直接免疫蛍光アッセイがもたらされる。FITCを任意の蛍光色素で置き換えることができる。
7.7 実施例15: ELISAによるヒト、哺乳動物、反芻動物または他の動物内の抗体の検出
パラミクソウイルス科ではNタンパク質が最も豊富なタンパク質であり、このタンパク質に対する免疫応答が感染の初期に起こる。そのため、MPVに対する抗体を検出するためのELISAアッセイを開発するためにNタンパク質の組換え源を使用することが好ましい。抗体の検出に適した抗原には、MPVウイルスに曝されたまたはそれに感染した患者の任意のMPV特異的抗体と結合する、任意のMPVタンパク質が含まれる。本発明の好ましい抗原には、MPVに曝された患者において免疫応答を優先的に引き起こし、したがって典型的には患者の抗体によって最も容易に認識されるものが含まれる。特に好ましい抗原には、MPVのN、F、MおよびGタンパク質が含まれる。免疫学的技法に用いられる抗原は、未変性抗原であっても、それを改変した形であってもよい。分子生物学における周知の技術を用いてMPV抗原のアミノ酸配列を変化させ、免疫学的技法で使用し得る改変した形の抗原を生成することができる。
遺伝子をクローニングする方法、遺伝子を発現ベクター内へおよび発現ベクターから外へ操作する方法、ならびにその遺伝子にコードされているタンパク質を異種製宿主中で発現させる方法は周知であり、このような技術を使用して、発現ベクター、宿主細胞、および診断的アッセイで使用するための組換え抗原を産生させるために抗原をコードしているクローニングした遺伝子を宿主内で発現させる方法を提供することができる。たとえばMOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL AND CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY参照。
MPV抗原を産生させるために様々な発現系を使用し得る。たとえば、E. Coli、B. subtilis、酵母菌、昆虫細胞、および哺乳動物細胞中でタンパク質を産生させるのに適した様々な発現ベクターが記載されており、これらのうち任意のものを使用して、曝露した患者で抗MPV抗体を検出するのに適したMPV抗原を産生させ得る。
バキュロウイルス発現系はタンパク質の必要なプロセッシングを提供するという利点を有しているので、これが好ましい。この系は、MPV抗原の発現を指揮するためにポリヘドリンプロモーターを利用する(Matsuura他、1987、J. Gen. Virol.、68:1233-1250)。
組換えバキュロウイルスによって産生させた抗原は、患者において抗MPV抗体を検出するために様々な免疫学的アッセイで使用することができる。ウイルス特異的抗体を検出する実質的にどの免疫学的アッセイにおいても天然ウイルスの代わりに組換え抗原を使用することができることは、確立されている。アッセイには、直接および間接アッセイ、サンドイッチアッセイ、とりわけプレートやビーズを使用するものなどの固相アッセイ、および液相アッセイが含まれる。適切なアッセイには、一次抗体および二次抗体を使用するもの、ならびにタンパク質Aなどの抗体結合試薬を使用するものが含まれる。さらに、本発明では比色法、蛍光法、リン光法、化学発光法、発光法、および放射能法を含めた様々な検出方法を使用することができる。
たとえば、組換えNタンパク質(昆虫(Sf9)細胞中で組換えバキュロウイルスを用いて産生した)を抗原として用いる間接IgG EIAを行うことができる。抗原の調製には、Sf9細胞を組換えバキュロウイルスに感染させ、感染後3〜7日目に採取する。細胞懸濁液をPBS、pH7.2で2回洗浄し、5.0×106個の細胞/mlの細胞密度に調節し、3回凍結-解凍する。大きな細胞細片を低速遠心(500×g、15分間)によってペレット化し、上清を収集し、使用時まで-70℃で保存する。陰性対照の抗原には、未感染の細胞を同様に処理する。
抗原を調製した後、100μlの凍結-解凍した溶菌液そ用いて、1:50〜1:1000の範囲の希釈率でマイクロタイタープレートをコーティングする。未感染細胞の溶菌液を2つ組のウェルで流し、これは陰性対照として役割を果たす。終夜インキュベートした後、プレートをPBS/0.05% Tweenで2回洗浄する。試験血清をELISA緩衝液(2%の正常ヤギ血清、ならびに0.5%のウシ血清アルブミンおよび0.1%の乳を添加したPBS)で1:50〜1:200に希釈し、次いでウェル内で1時間、37℃でインキュベートする。
プレートをPBS/0.05% Tweenで2回洗浄する。ELISA緩衝液で1:3000〜1:5000に希釈した、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識したヤギ抗ヒト(または他の種に対するもの)IgGをウェルに加え、1時間37℃でインキュベートする。その後、プレートをPBS/0.05% Tweenで2回、水道水で1回洗浄し、Sigmaから入手したものなど酵素基質TMB、すなわち3,3',5,5'テトラメチルベンジジンと共に室温で15分間インキュベートし、100μlの2Mリン酸で反応を停止させる。自動マイクロタイタープレート読取機を用いて450nmの比色値を測定する。
7.8 実施例16: ウイルス中和アッセイ
対象がウイルスに感染すると、そのウイルスに対する抗体のアレイが産生させる。これらの抗体の一部はウイルス粒子に結合してその感染力を中和することができる。ウイルス中和アッセイ(VN)は通常、血清またはモノクローナル抗体の希釈液をウイルスと混合し、これをインキュベートし、培養細胞、孵化卵、または動物を用いて残存感染力をアッセイすることによって実施する。中和抗体はウイルス粒子上の型特異的な抗原ウイルス粒子を定義するために使用することができる。たとえば、ウイルスの血清型を定義するために中和抗体を使用することができる。さらに、幅広く中和する抗体も存在し得る。
8倍希釈から開始して、ヒトおよび動物の血清の連続2倍希釈液を用いてVNアッセイを行った。希釈した血清を100 TCID50のウイルスと共に1時間インキュベートした後、96ウェルプレート中で増殖させたtMK細胞に接種し、その後、プレートを840×gで遠心した。3〜6日後に培地を交換し、接種後8日目にMPVに対するFTIC標識のフェレット抗体でIFAを実施した。VN力価は、細胞培養物において陰性IFAおよびCPEの阻害をもたらす血清試料の最も低い希釈率として定義した。
7.9 実施例17: RNAの単離
宿主におけるウイルスの存在は、宿主から採取した試料中でウイルス核酸を検出することによっても診断することができる(たとえば実施例18のRT-PCRおよび実施例19のRAP-PCR参照)。
RNAは、感染細胞培養物の上清から、またはスクロース勾配分画からHigh Pure RNA単離キット(Roche Diagnostics、Ahnere, The Netherlands)を用いて、製造者の指示に従って単離した。RNAはまた、当分野で知られている他の手順に従っても単離することができる(たとえば、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、第1-3巻(1994-1998)、Ausubel, F.M.他偏、John Wiley and sons, Inc.、USA出版参照)。
7.10 実施例18: MPVを検出/診断するためのRT-PCR
生体試料中のウイルスの検出は、ウイルスのゲノム物質を複製または増幅する方法を用いて行うことができる。既知のパラミクソウイルスにおけるRT-PCRアッセイのためのウイルスに特異的なオリゴヌクレオチド配列を本実施例中で以下に記載する。50mMのTris.HCl pH8.5、50mMのNaCl、4mMのMgCl2、2mMのジチオトレイトール、200μMずつの各dNTP、10単位の組換えRNAsin(Promega、Leiden, the Netherlands)、10単位のAMV RT(Promega、Leiden, the Netherlands)、5単位のAmplitaq Gold DNAポリメラーゼ(PE Biosystems、Nieuwerkerk aan de Ijssel, The Netherlands)、および5μlのRNAを含む50μlの反応液中で、1ステップのRT-PCRを行った。サイクル条件は、42℃で45分間および95℃で7分間を1回、95℃で1分間、42℃で2分間、および72℃で3分間を40回繰り返し、72℃で10分間を1回である。プライマーの配列は配列表で提供する。より具体的には、核タンパク質の遺伝子に使用したプライマーはそれぞれ配列番号28および29に対応するヌクレオチド配列を有するN3およびN4であり、これらを用いて151個のヌクレオチドの断片を増幅した。基質タンパク質の遺伝子に使用したプライマーはそれぞれ配列番号30および31に対応するヌクレオチド配列を有するM3およびM4であり、これらを用いて252個のヌクレオチドの断片を増幅した。ポリメラーゼタンパク質の遺伝子に使用したプライマーはそれぞれ配列番号34および35に対応するヌクレオチド配列を有するL6およびL7であり、これらを用いて173個のヌクレオチドの断片を増幅した。Fタンパク質の遺伝子に使用したプライマーはそれぞれ配列番号32および33に対応するヌクレオチド配列を有するF7およびF8であり、これらを用いて221個のヌクレオチドの断片を増幅した。
さらに、プローブを用いてhMPVゲノム配列が存在することを確認した。M遺伝子の検出に用いたプローブは、配列番号36に対応するヌクレオチド配列を有していた。N遺伝子の検出に用いたプローブは、配列番号37に対応するヌクレオチド配列を有していた。L遺伝子の検出に用いたプローブは、配列番号38に対応するヌクレオチド配列を有していた。
別の例では、既知の、または配列決定によって得られたMPV配列に基づいてプライマーおよびプローブを設計することができる。同様に、プライマーの様々な配列ならびに特定の目的で使用するための様々な緩衝液およびアッセイ条件は、当業者には知られているであろう。
既知のパラミクソウイルスの検出にもRT-PCRを使用した。hPIV-1〜4、流行性耳下腺炎、麻疹、ツプシア(Tupsia)、マプエラ、およびヘンドラのプライマーを、入手可能な配列のアラインメントに基づいて所内で開発した。ニューカッスル病ウイルスのプライマーはSeal, J.,J.他、Clin. Microb.、2624-2630、1995から得た。ニパおよび一般パラミクソウイルスのPCRのプライマーはChua他、2000、Science、288から得た。他の既知のパラミクソウイルスの検出に使用したプライマーは以下のとおりである。hPIV-1は配列番号58および59の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、hPIV-2は配列番号60および61の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、hPIV-3は配列番号62および63の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、hPIV-4は配列番号64および65の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、流行性耳下腺炎は配列番号66および67の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、NDVは配列番号68および69の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、ツパイは配列番号70および71の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、マプエラは配列番号72および73の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、ヘンドラは配列番号74および75の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、ニパは配列番号76および77の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、HRSVは配列番号78および79の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、麻疹は配列番号80および81の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出し、一般パラミクソウイルス科は配列番号82および83の配列に対応するプライマー(それぞれ正方向および逆方向プライマー)で検出した。
7.11 実施例19: RAP-PCR
MPVまたは他のウイルスの遺伝物質は、ゲノム内の領域にハイブリダイズし、遺伝物質が増幅されるように特定の方向に伸張するプライマーを用いて検出または増幅することができる。この種の技法は、特定の配列情報が入手不可であるか、また遺伝物質の最初の増幅を試料中で行う場合に有用である。このような技法の1つはRAP-PCRと呼ばれている。
RAP-PCRは、基本的に記載されているとおりに行った(Welsh他、1992、NAR、20:4965-4970)。RT反応には、10ng/μlのオリゴヌクレオチド、10mMのジチオトレイトール、それぞれ500μmずつの各dNTP、25mMのTris-HCl pH8.3、75mMのKClおよび3mMのMgCl2を含む10μlの反応液中で、2μlのRNAを使用した。反応混合液を70℃で5分間および37℃で5分間インキュベートし、その後、200単位のSuperscript RT酵素(LifeTechnologies)を加えた。37℃でインキュベーションを55分間続け、72℃で5分間インキュベートすることによって反応を停止させた。RT混合液を希釈して、8ng/μlのオリゴヌクレオチド、それぞれ300μlずつの各dNTP、15mMのTris-HCl pH8.3、65mMのKCl、3.0mMのMgCL2および5単位のTaq DNAポリメラーゼ(FE Biosystems)を含む50μlのPCR反応液を得た。サイクル条件は、94℃で5分間40℃で5分間、および72℃で1分間を1回、次いで94℃で1分間および56℃で2分間を40回繰り返し、72℃で5分間を1回であった。
RAP-PCRに使用したプライマーは以下のとおりである。配列番号46に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーZF1、配列番号47に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーZF4、配列番号48に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーZF7、配列番号49に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーZF10、配列番号50に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーZF13、配列番号51に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーZF16、配列番号52に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーCS1、配列番号53に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーCS4、配列番号54に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーCS7、配列番号55に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーCS10、配列番号56に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーCS13、および配列番号57に対応するヌクレオチド配列を有するプライマーCS16である。生成物は、3%のNuSieveアガロースゲル(FMC BioProducts、Heerhugowaard, The Netherlands)に隣り合わせて流した。Qiaquickゲル抽出キット(Qiagen、Leusden, The Netherlands)を用いてMPVに特異的な示差的に表れた断片をゲルから精製し、pCR2.1ベクター(Invitrogen、Groningen, The Netherlands)内に、製造者の指示に従ってクローニングした。20個の断片の精製および配列決定に成功した。10個の断片でAPVに対する配列相同性が見つかった。すなわち、ZF7プライマーを用いて単離した断片1ではN遺伝子に相同性を有する335bpの断片が得られ、ZF10プライマーを用いて単離した断片2ではN遺伝子に相同性を有する235bpの断片が得られ、ZF10プライマーを用いて単離した断片3ではM遺伝子に相同性を有する800bpの断片が得られ、CS1プライマーを用いて単離した断片4ではF遺伝子に相同性を有する1250bpの断片が得られ、CS10プライマーを用いて単離した断片5ではF遺伝子に相同性を有する400bpの断片が得られ、CS13プライマーを用いて単離した断片6ではF遺伝子に相同性を有する1450bpの断片が得られ、CS13プライマーを用いて単離した断片7ではF遺伝子に相同性を有する750bpの断片が得られ、ZF4プライマーを用いて単離した断片8ではL遺伝子に相同性を有する(タンパク質レベル)780bpの断片が得られ、ZF10プライマーを用いて単離した断片9ではL遺伝子に相同性を有する(タンパク質レベル)330bpの断片が得られ、ZF10プライマーを用いて単離した断片10ではL遺伝子に相同性を有する(タンパク質レベル)250bpの断片が得られた。
遺伝子の発現のレベルを測定するためにTaqManアッセイを使用することができる。L遺伝子およびN遺伝子の発現を検査するためにTaqManアッセイを適合させた。これらのアッセイで使用したプライマーはhMPVグループのいずれか1つに特異的である必要はないが、以下に例を示す。反応は、50μlの全反応体積中、500nM濃度の正方向プライマー、250nM濃度の逆方向プライマー、250nM濃度のオリゴヌクレオチドプローブ、25μlのユニバーサルPCRマスターミックス(ABIから入手可能)、および5μlのcDNAで実施した。サイクル条件はABI 7000配列検出システムで、95℃で10分間の第1ステップ、次いで95℃で30秒間および60℃で60秒間からなる45サイクルの第2ステップであった。
TaqManアッセイで使用するhMPVのN遺伝子のプライマーの他の例は以下のとおりである。すべてサブグループA1である単離株NL/1/00、BI/1/01、FI/4/01、NL/8/01、およびFI/2/01では、配列番号39のヌクレオチド配列を有するプライマーを使用することができる。サブグループA1の単離株NL/30/01では、配列番号40のヌクレオチド配列を有するプライマーを使用することができる。サブグループA2の単離株NL/22/01およびNL/23/01では、配列番号41のヌクレオチド配列を有するプライマーを使用することができる。サブグループA2の単離株NL/17/01では、配列番号42のヌクレオチド配列を有するプライマーを使用することができる。サブグループA2の単離株NL/17/01では、配列番号43のヌクレオチド配列を有するプライマーを使用することができる。サブグループB1の単離株NL/1/99、NL/5/01、NL/21/01およびNL/9/01では、配列番号44のヌクレオチド配列を有するプライマーを使用することができる。サブグループB1の単離株FI/1/01およびFI/10/01では、配列番号45のヌクレオチド配列を有するプライマーを使用することができる。
サブグループA1で使用することができる潜在的なプローブは配列番号390に対応し、サブグループB1で使用することができるプローブは配列番号391に対応し、サブグループB2で使用することができるプローブは配列番号392に対応する。
7.12 実施例20: RAP-PCR産物の配列分析
RAP-PCRを用いてセグメントを増幅した後、増幅したセグメントについて配列情報を得ることができる。これを行うためには、配列決定の前に作製した断片をベクター内にクローニングすることが有利である。
ベクターpCR2.1(Invitrogen)内にクローニングしたRAP-PCR産物をM13特異的オリゴヌクレオチドを用いて配列決定した。Qiaquickゲル抽出キット(Qiagen、Leusden, The Netherlands)を用いてRT-PCRによって得たDNA断片をアガロースゲルから精製し、PCRで使用したものと同じオリゴヌクレオチドを用いて直接配列決定した。配列分析は、Dyenamic ETターミネーター配列決定キット(Amersham Pharmacia Biotech、Roosendaal, The Netherlands)およびABI 373自動DNA配列決定装置(PE Biosystem)を用いて行った。すべての技法は、製造者の指示に従って行った。
7.13 実施例21: RT-PCRによるゲノム断片の作製
RAP-PCR方法は配列中に、増幅または複製されていないギャップを残す場合がある。完全な配列を得るために、RT-PCRを用いてギャップの配列情報を得ることができる。
RAP-PCR断片の間のギャップA、BおよびCを含むPCR断片を作製するために(図3)、ウイルス単離株00-1から単離したRNA試料について既に記載したようにRT-PCRアッセイを使用した。
断片Aを作製するために以下のプライマーを使用した:配列番号22のヌクレオチド配列に対応する、リーダー中に設計されたTR1、および配列番号23の配列に対応する、Nで得られたRAP-PCR断片の3'末端に設計されたN1。断片Bを作製するために以下のプライマーを使用した:配列番号24のヌクレオチド配列に対応する、Nで得られたRAP-PCR断片の5'末端に設計されたN2、および配列番号25のヌクレオチド配列に対応する、Mで得られたRAP-PCR断片の3'末端に設計されたM1。断片Cを作製するために以下のプライマーを使用した:配列番号26のヌクレオチド配列に対応する、Mで得られたRAP-PCR断片の5'末端に設計されたM2、および配列番号27のヌクレオチド配列に対応する、Fで得られたRAP-PCR断片の3'末端に設計されたF1。
既に記載のように、電気泳動の後に断片を精製し、クローニングし、配列決定した。
7.14 実施例25: 組換え核タンパク質を用いた捕捉抗MPV IgM EIA
hMPVウイルスを検出するために、様々な宿主内で抗体の存在を検出する免疫学的アッセイ。最も豊富に産生されるタンパク質であるので、一例では、Nタンパク質に対する抗体を使用する。この特徴は、ウイルスのゲノムに渡って起こる転写の勾配によるものである。
Erdman他、1990、J. Clin. Microb.、29:1466-1471に既に記載されているアッセイを改変することによって、抗原として組換え核タンパク質または任意の他の組換えタンパク質を使用する捕捉IgM EIAを行うことができる。
マイクロタイタープレートのウェルに、Dakoから入手したものなどのアフィニティー精製した抗ヒトIgM捕捉抗体(または他の種に対するもの)を、0.1Mの炭酸緩衝液pH9.6中で1ウェルあたり250ngの濃度で加えた。室温で終夜インキュベートした後、プレートをPBS/0.05% Tweenで2回洗浄する。ELISA緩衝液で1:200〜1:1000に希釈した100μlの試験血清を3つ組のウェルに加え、37℃で1時間インキュベートした。その後、プレートをPBS/0.05% Tweenで2回洗浄する。
凍結-解凍した(組換えウイルスに感染させた)Sf21細胞の溶菌液をELISA緩衝液で1:100〜1:500に希釈し、ウェルに加え、37℃で2時間インキュベートした。未感染細胞の溶菌液は陰性対照として役割を果たし、これを2つ組のウェルで流す。その後、プレートをPBS/0.05% Tweenで3回洗浄し、ELISA緩衝液で至適希釈率に希釈したMPVに対するポリクローナル抗体100μlと共に、37℃で1時間インキュベートした。PBS/0.05% Tweenで2回洗浄した後、プレートを西洋ワサビペルオキシダーゼ標識の二次抗体(ウサギ抗フェレットなど)と共にインキュベートし、プレートを37℃で20分間インキュベートした。
その後、プレートをPBS/0.05% Tweenで5回洗浄し、たとえば「Sigma」から入手した酵素基質TMB、すなわち3,3',5,5'テトラメチルベンジジンと共に室温で15分間インキュベートし、100μlの2Mリン酸で反応を停止させた。自動マイクロタイタープレート読取機を用いて450nmの比色値を測定した。
組換え核タンパク質(または他の組換えタンパク質)および全MPVウイルスを用いた捕捉IgM EIAの感度を、臨床MPVウイルス感染を罹患している人由来の急性期および回復期の血清の対を用いて比較した。組換え核タンパク質捕捉EIAの特異性は、健康な人および他のパラミクソウイルス感染を罹患している人由来の血清検体を試験することによって決定した。
バキュロウイルスでの発現によって産生した組換えMPV融合タンパク質および糖タンパク質の使用におけるEIAの潜在性。
糖タンパク質GおよびFはMPVビリオンの2つの膜貫通型エンベロープ糖タンパク質であり、主要な中和および防御抗原を表す。バキュロウイルス系などのベクターウイルス系におけるこれら糖タンパク質の発現により、MPVに特異的な抗体を検出するアッセイで使用するための組換え抗原源が提供される。さらに、たとえば核タンパク質と組み合わせたそれらの使用により、MPVに対する抗体の検出において酵素免疫アッセイの感度がさらに増強される。
様々な他の免疫学的アッセイ(Current Protocols in Immunology、第13巻、Coligan, J.E.、Kruisbeek, A.M.、Margulies, D.H.、Shevach, E.M.およびStrobe, W.、John Wiley and sons, Inc.、USA出版)を、本明細書中に記載した方法の代替方法として使用し得る。
ウイルス単離株を見つけるために、鼻咽頭吸引液、咽頭および鼻スワブ、気管支肺胞洗浄液ならびにそれだけには限定されないが好ましくはヒト、食肉動物(イヌ、ネコ、アザラシなど)、ウマ、反芻動物(ウシ、ヒツジ、ヤギなど)、ブタ、ウサギ、トリ(家禽類、オーストリッジなど)由来の咽頭スワブを検査することができる。トリからは、総排泄腔および腸管スワブならびに糞も検査することができる。すべての試料で、ウイルスを検出するために血清学的技法(抗体および抗原の検出など)、ウイルス単離および核酸検出の技術を行うことができる。モノクローナル抗体は、マウス(または他の動物)を精製MPVまたはその一部(タンパク質、ペプチド)で免疫化し、次いで確立されたハイブリドーマ技術(Current Protocols in Immunology、John Wiley and sons, Inc.、USA出版)を使用することによって産生させることができる。あるいは、この目的のためにファージディスプレイ技術を使用することができる(Current Protocols in Immunology、John Wiley and sons, Inc.、USA出版)。同様に、ポリクローナル抗体は、感染したヒトまたは動物から、あるいは免疫化したヒトまたは動物から得ることができる(Current Protocols in Immunology、John Wiley and sons, Inc.、USA出版)。
NS1およびNS2タンパク質が存在することまたは存在しないことの検出は、ウェスタンブロット、IFA、様々な抗体調製物を用いた免疫沈降技術を使用して行うことができる。ウイルス単離株中にNS1およびNS2遺伝子またはその相同体が存在することまたは存在しないことの検出は、既知のNS1および/またはNS2遺伝子に基づいて設計されたプライマー組を用いたPCR、ならびに様々な核酸ハイブリダイゼーション技術を用いて行うことができる。
NS1およびNS2遺伝子がウイルスゲノムの3'末端に存在するかどうかを決定するために、ゲノムのこの3'末端に特異的なプライマーを用いてPCRを行うことができる。本発明の場合、本発明者らはウイルスゲノムの3'非翻訳領域に特異的なプライマーおよびN ORF中のプライマーを使用した。同じ目的のために他のプライマーを設計し得る。NS1/NS2遺伝子が存在しないことは、PCR産物の長さおよび/またはヌクレオチド配列によって明らかとなる。NS1および/またはNS2遺伝子に特異的なプライマーを、ウイルスゲノムの3'末端の他の部分(非翻訳領域やN、MまたはF ORFなど)に特異的なプライマーと組み合わせて使用して、NS1またはNS2遺伝子が存在することの確実な同定が可能になり得る。PCRに加えて、同じ目的のために分子クローニング、核酸ハイブリダイゼーションなど様々な技術を使用し得る。
8. MPVおよびMPVの組換え操作のための細胞培養物系および動物モデル
8.1 実施例22: 様々な細胞系におけるHMPVの増殖
各ウイルスの特徴を検査するためにウイルス単離株を様々な細胞系で培養することができる。たとえば、培養物中で測定される力価レベルに基づいて様々なウイルス単離株の感染力を特徴とし、かつ区別することができる。あるいは、さらに分析するために、細胞を使用して培養物中のウイルス株を増殖または増幅させることができる。
一例では、hMPVを増幅するために第3サル腎臓細胞を使用した。しかし、第3サル腎臓細胞は限られた回数しか継代し得ない一次細胞由来であり、かつin vivoで3回継代培養されている。どの種類の不死化細胞系がhMPVウイルスの増殖を高い力価まで支持するかは知られていなかった。Vero、LLC-MK2、HEp-2、および肺線維芽細胞(LF1043)細胞などのいくつかのサル細胞系を、それがhMPVウイルスの複製を支持するかどうかを見るために試験した(表12)。使用したトリプシンは、0.001mg/mlの濃度のTPCK-トリプシン(Worthington)であった。受精した10日齢のニワトリの卵におけるこのウイルスの増殖も試験した。感染した卵は、AF収集の前に2および3日間37℃でインキュベートした。ウイルス力価は、10日間35℃でインキュベートしたトリプシンを含まないVero細胞で、感染細胞の溶菌液のプラークアッセイによって決定し、モルモットhMPV抗血清を用いて免疫染色した。結果は、Vero細胞およびLLC-MK2細胞がhMPVウイルス複製に最も適した基質細胞であり、10
6〜10
7pfu/mlのウイルスストック力価がもたらされた。この力価はtMK細胞で得られたものと類似していた。0.01mg/mlの濃度でトリプチンを加えても、感知できるほどはウイルス力価は増加しなかった(表12)。
Vero細胞におけるhMPVウイルス増殖のウイルス動力学を調査するために、0.1のMOIを用いて増殖曲線を行った(図23)。細胞および細胞上清を24時間毎に収集し、ウイルス力価を定量するためにプラークアッセイによって分析した。結果は、5日目にhMPVのピークに近い力価が観察されたことを示した。8日目に5.4log10pfu/mlの絶対ピーク力価が得られた。ウイルス力価は10日目まで非常に安定していた。細胞上清のみで同時に実施した増殖曲線では、非常に低いウイルス力価しか示されなかった。このデータにより、hMPVの複製は、用いた条件下(0.1のMOI)では感染後8日目にピークに達し、またhMPVが概して細胞内RNAウイルスであることが実証された。
293細胞のトランスフェクション:293細胞(ヒト腎臓上皮細胞)をFCS(10%)、L-グルタミン(1:100)およびPen/Strep(1:100)を添加したDMEMに入れ、3〜4日毎に1:10に分割した。形質転換性を高めるために、細胞がコンフルエントになるまで増殖させないよう注意を払った。細胞はあまり接着性がなかった。これらをプラスチックの表面から放出させるためには、通常トリプシン-EDTA中で非常に短い(2分間以下)間インキュベーションすることで十分である。トリプシン処理のすぐ後に細胞を培地で希釈した。
トランスフェクションの前日に細胞を分割した。トランスフェクションの際、細胞は約50〜75%コンフルエントであった。トランスフェクション手順の間中、細胞が脱離するのを防ぐためにゼラチン化したプラスチック製器具を使用した。プレートまたはフラスコを0.1%のゼラチン(2%ストックの1:20希釈)で10分間覆い、PBSで1回洗浄した。正しい細胞密度を得るために、細胞は、T75フラスコまたは100mmプレートあたり1×107個の細胞(10ml中)、あるいは6ウェルプレートの1ウェルあたり1×106個の細胞(2ml中)の濃度で使用した。
トランスフェクションは最低7時間続けたが、終夜かけてトランスフェクションを行わせることが好ましい。滅菌チューブ内で以下を合わせ、簡単に混合した:30mgのDNAおよび62mlの2M CaCl2ならびにH2Oを500mlまで(T75)、または3mgのDNAおよび6.2mlの2M CaCl2ならびにH2Oを50mlまで(6ウェルプレート)。500または50mlの2×HBSの添加は滴下によって行い、沈殿物が形成されるまで溶液を5分間混合した。穏やかな対処方法を使用した、すなわち、ボルテックスは適用しなかった。古い培地を新しい事前に温めた培地と交換した(T75フラスコあたり10mlまたは6ウェルプレートの1ウェルあたり1ml。ギルソンピペットでチューブに気泡を通すことによってDNAを注意深く混合し、細胞を覆っている培地に沈殿物を滴下した。37℃のCO2雰囲気下で細胞をインキュベートした。
細胞は小さな斑点に覆われているように見えた(沈殿物)。トランスフェクション培地を細胞から除去し、細胞PBSで丁寧に洗浄し、その後、新しい培地で入れ替えた。
細胞は、必要になるまで、通常は8〜24時間の間、37℃のCO2雰囲気下でインキュベートした。
8.18%のNaCl、5.94%のHepesおよび0.2%のNa2HPO4(すべてw/v)を用いてHBSの10×ストックを調製した。溶液を濾過滅菌し、4℃で保存した。10×ストックをH2Oで希釈し、1MのNaOHでpHを7.12に調節することによって、2×溶液を調製した。溶液は一定分量ずつ-20℃で保存した。溶液のpHを正確に滴定するよう注意を払った。pHは、溶液をトランスフェクションに用いる直前に調節した。
8.2 実施例23: MPVのミニレプリコン構築体
ミニレプリコン構築体を、アンチセンスレポーター遺伝子を含むように作製することができる。ミニレプリコンの例であるCAT-hMPVを図24に示す。ミニレプリコン構築体の作製に使用したリーダー配列およびトレーラー配列を図26に示す。比較のために、APV、RSVおよびPIV3のリーダー配列およびトレーラー配列のアラインメントも図26に示す。
2種類のミニレプリコン構築体を試験した。一方はリーダー末端に末端AC残基を有し(Le+AC)、他方はリーダー末端に末端AC残基を有さない(Le-AC)。2種類の構築体は、いずれもこのアッセイで機能的であった(図25)。図25から、24時間後と比べて48時間後にはるかに高いCAT発現が起こったことが見られる。48時間後では、トランスフェクションした細胞500,000個あたり約14ngのCATが観察された。この実験は、完全にプラスミドによって駆動されていた。レプリコンをT7ポリメラーゼプラスミドで同時トランスフェクションさせ、N、P、L、M2.1遺伝子をpCITE-2a/3aから発現させた(pCiteプラスミドはT7プロモーター、次いで脳心筋炎ウイルス(EMCV)由来のIRES要素を有する)。L、PおよびNを排除した場合、CAT発現は完全になくなった。M2.1発現をベクターから排除した場合、CAT発現の顕著な低減が見られた。
ミニレプリコンをトランスフェクションさせた細胞をhMPVポリメラーゼ成分(NL/1/00およびNL/1/99)あるいはAPV-A、APV-C、RSVまたはPIV由来のポリメラーゼ成分で重感染させることによって、ミニレプリコン系の特異性(異種ウイルスに起因する)およびリーダーの末端残基の効果(同種ウイルスに起因する)も試験することができる。至適条件を決定するために、6つのプラスミドのそれぞれを様々な量で試験することもできる。
CATの代わりに他のレポーター遺伝子を使用することができる。他の例では、CATの代わりにGFPをミニレプリコン構築体に挿入することができる。
8.3 実施例24: 完全長の感染性cDNAの作製
hMPVウイルスの遺伝子を発現する完全長cDNAを構築して、感染性のウイルスを生成することができる。たとえば、hMPVのすべての遺伝子またはすべての必須の遺伝子をコードしているcDNAを構築することができる。その後、ゲノムを発現させて感染性ウイルスを生成することができる。
hMPVの遺伝子操作を行うためにこのRNAウイルスのゲノムをクローニングした。hMPVの00-1単離株では1〜3kbの長さが異なるPCR断片を作製した(図27)。PCR断片の配列決定を行い、Genbankに寄託されているhMPV配列と比較することによって配列の誤りについて分析した。2つのサイレント変異(SH遺伝子中のヌクレオチド5780のile:ile、L遺伝子中のヌクレオチド12219のcys:cys)は訂正しなかった。L遺伝子中のヌクレオチド8352の別の変更(trp:leu)も訂正しなかった。これは、この変異が2つの個別に作製したPCR断片(CおよびH)、ならびにhMPV 99-1配列でも観察されたからである。同様に、F-M2の遺伝子間領域中のヌクレオチド4715における5個のヌクレオチドの挿入も訂正しなかった。これらの変更はどちらもhMPVの野生型配列に反映されているかもしれない。一方、N-P遺伝子間領域中のヌクレオチド1242で1個のA残基を除去し、F遺伝子中のヌクレオチド3367でser:proを訂正し、G遺伝子のヌクレオチド6296でasp:valを変更し、L遺伝子のヌクレオチド7332で停止コドンをgluに変更した。
hMPVの様々な単離株の制限地図を図28に示す。この制限部位を使用して完全長構築体を組み立てる(assemble)ことができる。
その後、固有の制限酵素部位を利用して(図29)、8つの訂正したPCR断片を配列へと組み立てた。遺伝子マーカーをヌクレオチド75に導入して、アミノ酸配列を変化させずにAflII制限酵素部位を作製した。hMPV配列の3'末端に唯一の制限酵素部位、XhoIを付加した。ファージT7ポリメラーゼプロモーター、次いで2個のG残基もhMPV配列の3'末端に付加した。hMPVゲノムの5'末端には、デルタ型肝炎リボザイムの配列およびBssHII制限酵素部位を付加した。
pCITEプラスミド中のhMPV L、N、PおよびM2-1遺伝子をコードしているヘルパープラスミドも作製した。完全長hMPV cDNAを作製した後、T7ポリメラーゼ源として伝染性上皮腫T7またはMVA-T7を使用して、逆遺伝学によるウイルスの回復をVero細胞で行った。
8.4 実施例26: hMPVの亜型を用いた動物宿主の感染
MPV株の病原性を特性解析すために動物宿主を感染させることができる。たとえば、それぞれの株が生物内でどれほど感染性があるかを決定するために、様々な宿主を用いることができる。
hMPVの小動物モデルは確認されていない。1.3×10
6pfu/匹の用量で、Balb/cマウス、コットンラット、およびシリアンゴールデンハムスターをhMPVに感染させた。1.3×10
6pfuのhMPVを0.1mlの体積で、動物の鼻腔内に接種した。組織試料はプラークアッセイによって定量した。これは、9日目にhMPVモルモット抗血清で免疫染色した。感染後4日目に動物を屠殺し、鼻甲介および肺を摘出し、免疫染色のプラークアッセイによってhMPV力価を定量した(表13)。
結果は、hMPVがシリアンゴールデンハムスター内で高い力価で複製されたことを示した。組織1gあたり5.3および2.3 log10 pfuの力価がそれぞれ鼻甲介および肺で得られた。hMPVはコットンラットの気道中では感知できるほどの力価レベルまでに複製されなかった。マウスでは、気道上部および下部でそれぞれ組織1gあたり2.7および2.2 log10pfuの力価が示された。これらの結果は、シリアンゴールデンハムスターがhMPVの複製および免疫原性を研究するため、ならびにhMPVのワクチン候補を評価するために適切な小動物であることを示唆している。
モルモットの感染。2つのウイルス単離株、すなわち00-1(亜型A)および99-1(亜型B)を各亜型6匹ずつのモルモットに接種した(気管内、鼻および眼)。6匹のモルモットをhMPV 00-1に感染させた(10e6、5 TCID50)。6匹のモルモットをhMPV 99-1に感染させた(10e4、1 TCID50)。モルモットに同種および異種の亜型を接種した場合は(10e4 TCID50/ml)一次感染を54日間進行させた、すなわち、異種感染を成すために2匹のモルモットで00-1により一次感染および99-1による二次感染を行い、同種感染を成すために3匹のモルモットで00-1により一次感染および00-1による二次感染を行い、異種感染を成すために2匹のモルモットで99-1により一次感染および00-1による二次感染を行い、同種感染を成すために3匹のモルモットで99-1により一次感染および99-1による二次感染を行った。
感染後12日間(一次感染)または8日間(二次感染)の間、咽頭および鼻スワブを採取し、RT-PCRアッセイによってウイルスの存在について試験した。RT-PCRアッセイの結果(図32)により、ウイルス単離株00-1を接種したモルモットが感染後1〜10日目に気道上部の感染を示したことが示された。99-1を接種したモルモットは、感染後1〜5日目に気道上部の感染を示した。99-1によるモルモットの感染は、00-1による感染よりも重篤度が低いように見えた。上で説明したように、異種ウイルスによるモルモットの2回目の接種では、4匹中3匹のモルモットで再感染がもたらされた。同様に、同種ウイルスの場合、再感染は6匹中2匹のモルモットで起こった。再感染した動物では臨床的症状は僅かしか見られないまたは全く見られず、再感染に対して保護された動物では臨床的症状が全く見られず、これは、野生型ウイルスを用いた場合でも1回目の感染による保護効果が起こったかもしれないことを実証している。また、これにより異種および同種単離体をワクチンとして使用できることも示された。
hMPVのどちらの亜型でもモルモットを感染させることができたが、亜型B(99-1)による感染の方が重篤度が低いように見えた、すなわち、ウイルスが鼻および咽頭に存在している期間が亜型A(00-1)による感染よりも短かった。これは、亜型Aをより高い用量で与えたこと、または亜型Bの病原性がより低いことが原因であるかもしれない。既存の免疫によっては同種および異種ウイルスのいずれにおける再感染に対しても完全に保護されなかったが、ウイルスが存在する期間がより短く、すべての動物でウイルスが陽性となったわけではないという点で、感染はそれほど顕著ではないように見えた。
hMPVの両方の亜型に感染させたモルモットの血清学を観察した。0、52、70、80、90、110、126および160日目にモルモットから血清を採取し、1:100の希釈率で00-1および99-1抗原に対する全ウイルスELISAで試験した。(それぞれのモルモット個体について00-1および99-1に対するIgG応答を示す図33AおよびBを参照。00-1および99-1 ELISAの特異性を示す図35も参照。ただし、同種再感染のモルモットからのデータを使用したことに注意。3匹の同種感染すなわち00-1および00-1、2匹の同種感染すなわち99-1および99-1、2匹の異種感染すなわち99-1および00-1、ならびに2匹の異種感染すなわち00-1および99-1のモルモットの、00-1および99-1 ELISAに対する平均IgG応答を示す図35も参照)。
2種の異なるELISAでは僅かな応答差しか観察されなかった。00-1または99-1に対する全ウイルスELISAは、2つの亜型を区別するために使用することができなかった。
モルモット中でhMPVに対して産生させた血清の、APV抗原に対する反応性を検査した。感染モルモットから血清を採取し、APV阻害ELISAで試験した。(hMPVに感染したモルモットにおけるAPV阻害の平均の割合を示す図36参照)。モルモット中でhMPVに対して産生させた血清は、そのhMPV IgG ELISAにおける反応と同様の様式で、APV阻害試験で反応した。99-1に対して産生させた血清は、APV阻害ELISAにおいて00-1に対して産生させた血清よりも低い割合の阻害を示した。99-1に感染させたモルモットは、hMVP ELISAで見られた力価よりも低い力価を有していたかもしれない。あるいは、99-1のAPVとの交差反応は00-1のそれよりも低かったかもしれない。それでもなお、モルモットにおいてhMPV抗体を検出するためにAPVAb阻害ELISAを使用することができる。
モルモット中でhMPVに対して産生させた血清を用いてウイルス中和アッセイを行った。感染後0日目、52日目、70日目および80日目に血清を採取し、00-1、99-1、およびAPV-Cを用いたウイルス交差-中和アッセイで使用した。使用した開始希釈率は、1ウェルあたり1〜10および100 TCID50のウイルスであった。中和後、ウイルスをtMK細胞に曝し(15mm)、3500RPMで遠心し、その後、培地を新しくした。APV培養物は4日間増殖させ、hMPV培養物は7日間増殖させた。細胞を80%のアセトンで固定し、標識したサル抗hMPVを用いてIFAを実施した。染色後に陰性であったウェルを中和力価として定義した。各ウイルスには10log力価のウイルスストックおよび2倍力価の作業溶液が含まれていた。(00-01および99-1に感染したモルモットの、00-1、99-1、およびAPV-Cに対するウイルス中和力価を示す図37参照)。
カニクイマカク(CYNOMOLOGOUS MACAGUE)の感染。ウイルス単離株00-1(亜型A)および99-1(亜型B)(1e5 TCID50)を各亜型2匹ずつのカニクイマカクに接種した(気管内、鼻および眼)。一次感染の6カ後、00-1を用いてマカクに2回目の接種を行った。感染後14日間(一次感染)または8日間(二次感染)の間、咽頭スワブを採取し、RT-PCRアッセイによってウイルスの存在について試験した(図38)。
00-1を接種したモルモットは、感染後1〜10日目に気道上部の感染を示した。臨床的症状には化膿性鼻炎が含まれていた。同種ウイルスを用いてマカクに2回目の接種を行った結果、再感染が起こった。これはPCRによって実証されたが、臨床的症状は見られなかった。
一次感染の後6カ月の間に00-1を受けたマカクから血清を採取した(再感染は、サル3では240日目、サル6では239日目に起こった)。血清は、00-1またはAPVのいずれかに対するIgG抗体の存在(図39B)、ならびに00-1に対するIgAおよびIgM抗体の存在(図39A)ついて試験するために使用した。
2匹のマカクを00-1に感染させることに成功し、00-1に対する抗体の存在下で異種ウイルスで再感染させた。IgAおよびIgM抗体に対する応答では、一次感染後にIgM抗体が産生されること、および再感染後にそれが存在しないことが示された。IgA抗体は再感染後でのみ検出され、これにより、一次感染後の免疫応答の即時性が示された。マカク中でhMPVに対して産生させた血清をAPV阻害ELISAで試験すると、hMPV IgG ELISAと類似した応答が示された。
hMPV ELISAと同様の感度を用いて、APV阻害ELISAでカニクイマカク中のhMPVに対する抗体が検出された。したがって、APV阻害EIAはヒト試料をhMPV抗体の存在について試験するのに適していた。
hMPVに感染したカニクイマカクから採取した血清でウイルス交差-中和アッセイを行った。一次感染後0〜229日目に血清を採取し、これは00-1に対して低いウイルス中和力価しか示さず(0〜80)、二次感染後に採取した血清は高い、すなわち1280を超える00-1に対する中和力価を示した。二次感染後に採取した血清のみが99-1に対する中和力価を示し(80〜640)、どの血清もAPV-Cウイルスを中和することができなかった。ウイルス交差-中和アッセイではAPV-CとhMPVとの間に交差反応は起こらなかったが、抗体応答のブースト後に00-1と99-1との間に交差反応が起こった。
ヒトの感染。6カ月未満〜20歳を超える年の範囲の患者の血清は、IFAおよび00-1に対するウイルス中和アッセイを用いて既に試験されている。血清を、00-1に対するELISAでIgG、IgMおよびIgA抗体の存在について試験した。試料は、APV ELISAを阻害するその能力についても試験した。ヒト血清におけるIgG抗体の検出についてhMPV ELISAおよびAPV阻害ELISAの使用を比較し、IgG hMPV試験とAPV-Ab試験との間に強い相関性が認められた。したがって、APV-Ab試験によって、本質的にヒトにおいてhMPVに対するIgG抗体を検出することができた(図40)。
家禽類の感染。APVに対するIgG抗体の存在についてニワトリを試験するために、APV阻害ELISAおよび00-1 ELISAを使用した。hMPV ELISAおよびAPV阻害ELISAのどちらによってもAPVに対する抗体が検出された。
8.5 実施例27: ヒトにおけるワクチンとしてのAPV
APVは、ヒトMPVによる感染を予防するため、またはヒト宿主におけるヒトMPVの感染力を低減させるためのワクチンとして使用することができる。ワクチンはAPV全体あるいはAPVの配列および加えて別のメタニューモウイルスの異種配列からなるそのキメラもしくは組換え型または誘導体であることができる。組換えウイルスワクチンを作製するバックボーンとしてAPVのゲノムを使用することができる。たとえば、APVのF遺伝子および/またはG遺伝子をヒトMPVのF遺伝子またはG遺伝子で置換したワクチンを作製することができる。あるいは、APVバックボーンの配列をPIV由来の配列をAPVバックボーンに置換したまたは付加した配列を含むワクチンを作製することができる。組換え/キメラワクチンのさらなる情報については、たとえばConstruction of the Recombinant cDNA and RNAを参照されたい。
ワクチンは、それだけには限定されないが、皮下注射、鼻腔内投与、または吸引を含めた、当業者に周知の様々な方法によって候補に投与することができる(上記セクション5.13参照)。本発明のウイルスおよび/またはは少なくとも103TCID50〜106TCID50の開始用量で投与する。ウイルスおよび/またはワクチンは、単一用量または複数用量で投与する。たとえば、初回用量は、宿主生命の間中ずっと定期的な間隔で投与する1回または複数回の後続またはブースター用量と共に投与することができる。臨床治験では、有効な用量レジメンが決定できるように、ウイルスの複製速度をワクチンの用量を調節する指標として使用することができる。研究集団内のウイルスの複製速度と有効であることが知られている所定の速度とを比較することができる。
本発明は、本発明の個別の態様の単一の例示として意図される具体的な記載した実施形態によって範囲が限定されるべきでない。また、機能的に等価なすべての構築体、ウイルスまたは酵素も本発明の範囲内にある。実際、前述の説明および添付の図から、本明細書中に示しかつ記載したものに加えて、本発明の様々な改変が当業者には明らかとなるであろう。このような改変は添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図する。
8.6 実施例28: トリにおけるワクチンとしてのMPV
ヒトMPVは、APVによる感染を予防するため、またはトリ宿主におけるAPVの感染力を低減させるためのトリ用ワクチンとして使用することができる。ワクチンはMPV全体あるいはMPVの配列および加えて別のメタニューモウイルスの異種配列からなるそのキメラもしくは組換え型または誘導体であることができる。組換えウイルスワクチンを作製するバックボーンとしてMPVのゲノムを使用することができる。たとえば、ヒトMPVのF遺伝子および/またはG遺伝子をAPVのF遺伝子またはG遺伝子で置換したワクチンを作製することができる。組換え/キメラワクチンのさらなる情報については、たとえばConstruction of the Recombinant cDNA and RNAを参照されたい。
ワクチンは、それだけには限定されないが、皮下注射、鼻腔内投与、または吸引を含めた様々な方法によって候補に投与することができる。本発明のウイルスおよび/またはは少なくとも103TCID50〜106TCID50の開始用量で投与する。ウイルスおよび/またはワクチンは、単一用量または複数用量で投与する。たとえば、初回用量は、宿主生命の間中ずっと定期的な間隔で投与する1回または複数回の後続またはブースター用量と共に投与することができる。臨床治験では、有効な用量レジメンが決定できるように、ウイルスの複製速度をワクチンの用量を調節する指標として使用することができる。研究集団内のウイルスの複製速度と有効であることが知られている所定の速度とを比較することができる。
様々な出版物が本明細書中に引用されており、それらの開示はその全体で参照として組み込まれている。