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JP2009113604A - 自動二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2009113604A
JP2009113604A JP2007287702A JP2007287702A JP2009113604A JP 2009113604 A JP2009113604 A JP 2009113604A JP 2007287702 A JP2007287702 A JP 2007287702A JP 2007287702 A JP2007287702 A JP 2007287702A JP 2009113604 A JP2009113604 A JP 2009113604A
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Makoto Ishiyama
誠 石山
Shinsaku Katayama
辰作 片山
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Abstract

【課題】他の性能を損なうことなく、特に車両を大きく倒す深いコーナリング時におけるトラクション性能を向上させることができる二輪車用空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】環状に形成されたトレッド部11を備える自動二輪車用空気入りタイヤである。トレッド部11のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であって、配設幅がトレッド幅の0.5〜0.8倍であるスパイラルベルト層3を備え、スパイラルベルト層3を形成するコードの打ち込み数が、タイヤセンター部とタイヤショルダー部とで異なり、スパイラルベルト層3の両端からそれぞれ25%の幅の領域のコードの平均打ち込み数が、スパイラルベルト層3の中央の50%の幅の領域のコードの平均打ち込み数よりも多く、かつ、両端領域の平均打ち込み数が、中央領域の平均打ち込み数の1.3倍以上5倍以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は自動二輪車用空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、スパイラルベルト層の改良に係る自動二輪車用空気入りタイヤに関する。
高性能二輪車用タイヤでは、タイヤの回転速度が高速となるため、遠心力の影響が大きく、タイヤのトレッド部分が外側に膨張してしまい、操縦安定性能を害する場合がある。このため、タイヤのトレッド部分に、有機繊維やスチールの補強部材(スパイラル部材)をタイヤ赤道面と概略平行になるようにぐるぐると巻き付けた、いわゆるスパイラルベルト層を有するタイヤ構造が開発されている。
このスパイラルベルト層に用いられるスパイラル部材としては、例えば、ナイロン繊維や、芳香族ポリアミド(ケブラー)、スチールなどが用いられている。中でも、芳香族ポリアミドやスチールは、高温時においても伸長せずにトレッド部分の膨張を抑制することができることから、最近、注目されつつある。かかるスパイラル部材をタイヤのクラウン部分に巻きつけることで、いわゆる「たが」効果(風呂桶のたがのようにタイヤのクラウン部分を押さえつけて、高速でタイヤが回転した場合でもタイヤが遠心力で膨らむことを防止し、高い操縦安定性能や耐久性を発揮させる効果)を高めることができるので、これらスパイラル部材の改良に係る技術が、これまでに多数提案されてきている(例えば、特許文献1〜5等)。
これらスパイラル部材を巻き付けたタイヤは、高速時の操縦安定性能に優れ、トラクションが非常に高いことが知られている。しかし、車両(バイク)を大きく倒した場合の旋回性能については、スパイラル部材を巻き付けたからといって操縦安定性能が飛躍的に向上するわけではない。消費者やレースを行うライダーからは、バイクを大きく倒した時のグリップ力の向上を要望されることもある。
スパイラルベルト層の改良に係る技術として、例えば、特許文献6には、タイヤ赤道線方向に巻き付けたテキスタイルコードを、タイヤの両ショルダ部においては密に、タイヤクラウン部においては疎にしたラジアルタイヤが開示されている。また、特許文献7には、ベルトコードをタイヤ赤道に対して略平行にスパイラル状に巻回してなるベルトプライのベルトコードの引張弾性率を、中央領域はショルダー領域よりも小さく、かつその比を0.8以上かつ0.9以下とした自動二輪車用タイヤが開示されている。さらに、特許文献8には、タイヤの赤道面に関して略零角度にて配置された複数のコードコイルがベルトの一端から他端まで異なる密度にて軸方向に分配された2輪車用の一対のタイヤが開示されている。
特開2004−067059号公報 特開2004−067058号公報 特開2003−011614号公報 特開2002−316512号公報 特開平09−226319号公報 特開昭56−71604号公報 特開平05−330309号公報 特開平10−86608号公報
二輪車用の空気入りタイヤでは、二輪車が車体を傾けて旋回することから、直進時と旋回時とでは、タイヤトレッド部が地面と接する場所が異なる。つまり、直進時にはトレッド部の中央部を使い、旋回時にはトレッド部の端部を使うという特徴がある。そのため、タイヤの形状が、乗用車用タイヤに比べて非常に丸い。この丸いクラウン形状(タイヤのトレッド部分の形状をクラウン形状と呼ぶ)によって、特に旋回中においては、次のような独特な特徴を持つ。
自動二輪車用のタイヤでは、特に車体を大きく倒した場合の旋回性能については、タイヤのトレッドの片側の端部が接地してグリップを発生させている。車体を大きく倒して旋回する場合、図6のような接地状態となる。このときの接地形状について考察すると、図示するように、接地形状のセンター寄りと、接地形状のトレッド端部寄りでは、トレッドの変形状態が異なる。トレッドのタイヤ回転方向(タイヤ周方向、またはタイヤ前後方向とも呼ぶ)の変形を見てみると、タイヤのセンター寄りではドライビング状態であり、タイヤトレッド端部寄りではブレーキング状態である。
ここで、ドライビング状態とは、タイヤ赤道方向に沿って輪切りにした場合に、そのトレッドの変形が、トレッド下面(タイヤ内部の骨格部材に接している面)がタイヤ進行方向後方に剪断され、路面に接地しているトレッド表面がタイヤ進行方向前方に変形している剪断状態であり、ちょうどタイヤに駆動力をかけたときに起こる変形である。一方、ブレーキング状態はドライビング状態の逆であり、トレッドの変形は、タイヤ内部側(ベルト)が前方に剪断され、路面に接地しているトレッド表面が後方に変形している剪断状態であり、制動したときのタイヤの動きとなる。
図6のように、キャンバー角(CA)が45度のような大きな角度で傾いて旋回する場合は、タイヤに駆動力や制動力が加わっていない状態での回転でも、トレッドセンター寄りの接地領域にドライビング状態が現れ、トレッド端部寄りにブレーキング状態が現れる。これは、タイヤのベルト部の半径の差(径差)による。自動二輪車用のタイヤでは、タイヤクラウン部が大きな丸みを帯びているため、回転軸からベルトまでの距離が、トレッドセンター部とトレッド端部とで大きく異なる。図6の場合では、接地形状のセンター寄りの位置での半径R1は、接地形状のトレッド端部寄りの位置での半径R2よりも明らかに大きい。タイヤが回転する角速度は同じであるので、ベルト部の速度(タイヤが路面に接触している場合は、路面に沿ったタイヤ周方向の速度をいう。ベルト半径にタイヤ角速度をかけたもの)は、半径の大きいR1の部分の方が速い。タイヤのトレッド表面は、路面に接触した瞬間は、前後方向に剪断されていないが、路面に接触したままタイヤの回転に合わせて進み、路面から離れるときには前後方向の剪断変形を受けている。このとき、ベルトの速度が速いタイヤセンター寄りのトレッドはドライビング状態の剪断変形となり、タイヤのトレッド端部では、ベルトの速度が遅いのでブレーキング変形となる。これが、トレッドの前後方向の変形形態である。
このような旋回中の余計な変形によって、トレッドが前方や後方の逆の剪断変形を起こすことから、無駄な挙動を含み、旋回時のタイヤグリップ力に無駄が生じる。理想的には、接地しているトレッドの変形が全て同じ挙動であれば、グリップ力は最大になるが、先のような余計な変形が発生して、接地している場所によってはグリップ力が発生しない場合がある。例えば、タイヤが傾いたまま加速するときを考えると、タイヤに駆動力が加わるわけであるが、すでにドライビング状態にあるセンター寄りのトレッドは、駆動力がタイヤに加わるとすぐに駆動グリップを発揮する一方、すでにブレーキング状態にあるトレッド端のトレッドは、一度ブレーキング変形がニュートラルに戻り、それから駆動側の変形へとシフトするため、なかなか駆動力に寄与できない。トレッド端部をドライビング状態にするためには、大きなトラクション力が必要であり、このようなトラクション力を加えるためにアクセルを開いてタイヤに駆動力を加えると、もともとドライビング状態にあるタイヤセンター側のトレッドが滑って、空転状態に陥りやすい。
そこで本発明の目的は、上記のような自動二輪車特有の問題を解消して、他の性能を損なうことなく、特に車両を大きく倒す深いコーナリング時におけるトラクション性能を向上させることができる二輪車用空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、以下のようなことを見出した。
すなわち、上記のような問題に対して、もともとブレーキング側にあるタイヤショルダー部(トレッド端部)のトレッド変形を、少しでもドライビング側にしておけば、トレッド端部でもトラクション力を大きく発揮できると考えられる。このためには、トレッド端部でのベルトの速度を速めることが解決方法の1つである。ところが、ベルトの速度は先に述べたようにベルト半径によって決まっており、ベルト半径を大きくすると二輪車のタイヤとして存在できなくなる。そこで、トレッドの端部については、接地してから赤道方向にベルトが伸びやすくすることで、ベルト速度を速めることが考えられる。すなわち、大CA時の旋回において、接地形状のセンター側半分についてはベルトが赤道方向に伸びない構造とし、トレッド端側の半分についてはベルトが赤道方向に伸びるようにすれば、接地してからトレッド側のベルトが伸びることでトレッド端側のベルト速度が増し、トレッド端側のブレーキング変形を少なくすることができる。その結果、大CA時のトラクション(バイクを大きく傾けた旋回からの加速)性能が向上する。
従来の二輪車用タイヤにおいては、スパイラルベルト層をトレッドの全領域に巻き付けることが普通である。このようなタイヤであると、トレッドのショルダー部のベルトを赤道方向に伸ばすことはできない。そこで、スパイラルベルト層をトレッド端部の範囲に巻かずに、センター側だけに配置することとすれば、大CA時、すなわち、大きくキャンバー角度が付く旋回時に、トレッド端部のベルト速度が増して、トラクショングリップを向上させることができる。また、大CA時にトレッドショルダー部のベルト速度が増すということは、トレッドショルダー部のベルト速度がトレッドセンター側のベルト速度に近づくことを意味し、これにより、接地しているトレッドの余計な動きが抑制される。つまり、これまで逆方向の剪断を持っていたトレッドが、同じ方向の剪断を持つこととなり、無駄な動きが排除されて、偏摩耗の発生を抑制することができる。また、トレッドセンター部にはスパイラルベルト層が配置されているため、高速走行時(速度が速い=バイクが直立している)のタイヤの遠心力による膨張を抑制することができ、結果として、高速時の操縦安定性能を、全幅のスパイラルベルト層を持つタイヤ並みに維持することができる。
上記観点から、本発明者らはさらに検討した結果、スパイラルベルト層を、ショルダー部には配設しないものとするとともに、スパイラルベルト層を形成するコードの打ち込み数をタイヤセンター部とタイヤショルダー部とで変えて、その比率を特定範囲に規定することで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、環状に形成されたトレッド部を備える自動二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であって、配設幅がトレッド幅の0.5〜0.8倍であるスパイラルベルト層を備え、該スパイラルベルト層を形成するコードの打ち込み数が、タイヤセンター部とタイヤショルダー部とで異なり、該スパイラルベルト層の両端からそれぞれ25%の幅の領域のコードの平均打ち込み数が、該スパイラルベルト層の中央の50%の幅の領域のコードの平均打ち込み数よりも多く、かつ、該両端領域の平均打ち込み数が、該中央領域の平均打ち込み数の1.3倍以上5倍以下であることを特徴とするものである。
本発明のタイヤにおいては、前記スパイラルベルト層に隣接して、該スパイラルベルト層より広幅であって、かつ、タイヤ周方向に対する角度が30度以上85度未満である有機繊維からなるベルト交錯層が配設されていることが好ましい。また、本発明においては、前記トレッド層とスパイラルベルト層との間に、該トレッド層に隣接して、タイヤ周方向に対する角度が85度〜90度である有機繊維コードからなるベルト補強層が、トレッド幅の90%以上110%以下の幅で配置されていることも好ましく、前記ベルト補強層のタイヤ半径方向内側に、該ベルト補強層に隣接して、厚み0.3〜1.5mmの緩衝ゴム層が配置されていることも好ましい。
本発明によれば、上記構成としたことにより、直進走行時の乗り心地性能を確保したまま、高速時の操縦安定性能を高めるとともに、特に車両(バイク)を大きく倒す深いコーナリング時から加速する時のトラクション性能をも向上させることができる高性能の自動二輪車用空気入りタイヤを実現することが可能となった。また、本発明によれば、タイヤショルダー部の耐摩耗性能を向上させる効果も得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の一好適例の自動二輪車用空気入りタイヤの幅方向断面図を示す。図示するように、本発明の自動二輪車用空気入りタイヤは、環状に形成されたトレッド部11と、その両側からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部12と、サイドウォール部12のタイヤ半径方向内側に連なるビード部13とからなり、ビード部13にそれぞれ埋設された一対のビードコア(図示する例ではビードワイヤ1からなる)間にわたり延在してこれら各部を補強する、少なくとも1枚、図示例では2枚のカーカス2を備えている。
本発明のタイヤにおいては、図示するように、トレッド部11のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であって、配設幅がトレッド幅の0.5〜0.8倍であるスパイラルベルト層3が配置されている。ここで、トレッド全幅とは、片側のトレッド端からタイヤの表面に沿って逆側のトレッド端までの曲線表面の距離である。この幅の設定の根拠は、バイクが最も大きく倒れるCA50度付近での接地部分、および、バイクをやや起こした位置での接地部分に基づく。
CA50度の旋回時には、トレッド全幅の0.2〜0.25倍の幅のトレッドショルダー部の部分のみが接地している(図6参照)。これは、全体の幅の約1/4である。前述のように、大CA時のトレッドセンター部には、スパイラルベルトを巻いて骨格部材が接地範囲で周方向に伸びることを防止し、逆に、トレッド端部側にはスパイラルベルトを巻かずに骨格部材を周方向に積極的に伸ばしたい。大CA時の接地部の半分は、トレッド幅の0.1倍幅であり、この幅にスパイラルベルトを巻かない場合、両側の0.1倍幅の部分にはスパイラルベルトがないので、スパイラルベルトの総幅はトレッド幅の0.8倍幅となる。これが上限の根拠である。
上記の上限は、バイクが最も倒れたときの接地時についての理想的な値である。しかし、バイクが加速する時には、最も倒れた時から加速を始めて徐々に車体を起こす、すなわち、タイヤの接地部分が徐々にセンター寄りに移動していく特長がある。また、バイクが最も加速するのは、バイクが最も倒れたCA50度のときよりも、CA30〜45度の範囲である。このときにトラクション性能を最大にすることを考えると、上記0.8倍幅よりもスパイラル幅は狭いほうが良い。そこで、0.5倍をスパイラル幅の下限とした。スパイラル幅がトレッド幅の0.5倍の場合には、CA30〜40度での接地部分の幅方向中心にスパイラル端部が位置することになる。スパイラル幅を0.5倍未満としてしまうと、CA30〜40度の接地形状の幅方向中心から位置がずれてしまい、好ましくない。つまり、スパイラル幅が狭すぎることになる。
以上のことをまとめると、以下のような特徴があるといえる。すなわち、スパイラルベルト層3の配設幅が、上限であるトレッド幅の0.8倍幅では、バイクが最も倒れるCA50度付近の接地形状の中心にスパイラベルト端部を位置させることができ、加速初期においてグリップ向上効果が高くなる。また、バイクを大きく倒す低速コーナー(低速コーナーではバイクを大きく倒すことが可能)で効果が高い。一方、スパイラルベルト層3の配設幅が、下限であるトレッド幅の0.5倍幅では、バイクがやや起き上がったところでの接地形状の中心にスパイラル端部を配置することができ(CA30〜40度)、加速開始から、車体をやや起こした加速中期にグリップ向上効果を発揮することができる。また、バイクをあまり大きく倒さない高速コーナーでのグリップ増大効果を発揮する。
また、本発明においてはさらに、スパイラルベルト層を形成するコードの打ち込み数を、タイヤセンター部とタイヤショルダー部とで変えて、タイヤセンター部で疎とし、タイヤショルダー部で密としている。本発明におけるようにスパイラルベルトの配設幅を狭くした場合、スパイラルベルトがトレッド全幅にある場合に比べると、トレッドショルダー部のベルト面内剪断剛性が低下する。特に、CAを30〜50度以上に倒した場合、接地部分にスパイラルベルトが存在しない部分が存在する。それゆえ、ベルトが変形しやすく、ねじられるようなタイヤの弱さが発生する。そのため、本発明においては、このタイヤショルダー部、すなわち、スパイラルベルト層の両端部におけるコードの打ち込み数を密として、ベルトの剛性を向上している。一方で、タイヤセンター部については、コードを密に配置しすぎるとセンター部のベルトが固くなりすぎて、直立走行時の乗り心地性能が悪化する。
以上のことから、本発明においては、スパイラルベルト層のうち、タイヤセンター部のコード打ち込みを疎にして乗り心地性能を確保しつつ、タイヤショルダー部の打ち込み数を密にして、大CA時の接地領域におけるベルトの面内剪断剛性を高めている。より具体的には、スパイラルベルト層の両端からそれぞれ25%の幅の領域のコードの平均打ち込み数が、スパイラルベルト層の中央の50%の幅の領域のコードの平均打ち込み数よりも多いものとする。
かかるスパイラルベルト層の両端領域と中央領域との平均打ち込み数の比率は、両端領域の平均打ち込み数が、中央領域の平均打ち込み数の1.3倍以上5倍以下を満足するよう設定する。この平均打ち込み数の比率が1.3倍未満であると、打ち込みによる剛性コントロールの差が小さすぎて、上記したような、直立時の乗り心地を改良するとともにショルダー部のベルトの面内剛性を増強するという2つの効果を両立させることができない。一方、平均打ち込み数の比率の上限は5倍としたが、これは、5倍よりも大きくなると、センター部のコードの打ち込みが疎になり過ぎて、遠心力に耐えられなくなるか、または、実質上、スパイラルベルト両端部にこれ以上コードが打ち込めなくなるからである。特には、コードの平均打ち込み数の差は、好ましくは2倍以上4倍以下とすることが、直立時の乗り心地の改良とショルダー部のベルトの面内剛性の増強という効果を最大限に引き出せるために良い。
なお、本発明において、上記打ち込み数に係る条件は、スパイラルベルト層の両端部それぞれ25%幅の両端領域の平均打ち込み数と、中央50%幅の中央領域の平均打ち込み数とにより規定している。ここで、平均の打ち込み数とは、各領域の打ち込み数の平均値を意味しており、各領域内で打ち込み数が一定である必要はない。したがって例えば、センター部からショルダー部にかけて、徐々に打ち込み数が密になるものとしても構わない。また、実際のタイヤにおける打ち込み数は、例えば、タイヤを幅方向に切断した切断面で計測することにより求めることが可能である。
本発明においてスパイラルベルト層は、そのコードの平均打ち込み数に関して上記条件を満足するものであれば、コード材料については特に制限されるものではなく、有機繊維コードを用いても、スチールコードを用いてもよい。有機繊維コードとしては、具体的には例えば、芳香族ポリアミド(商品名:ケブラー)やナイロン、芳香族ポリケトンなどの撚りコードを使用できる。また、スチールコードの場合には、例えば、線径0.2mmのスチール単線を5本で撚ったものや、線径0.4mmのスチールの単線を撚らずにそのまま使用することができる。
なお、有機繊維コードは、スチールコードに比べて曲がりやすく、接地の面外の曲げに対してしなやかに変形できる。そのため、例えば、荒れた舗装の道路を走行した場合や、高速道路のつなぎ目などを走行した場合に、急な突き上げや大きな振動を発生することがなく、乗り心地が柔らかい感じになる。その反面、有機繊維コードの場合は、コードの圧縮方向に剛性を持ちにくく、ベルトの面内剪断剛性が低くなり、操縦安定性能を増すためには多くの量を打ち込む必要が生じる。一方、スチールベルトは圧縮に強く、少量の打ち込みでも、ベルトの面内剪断剛性を高くして操縦安定性能を高めることができる。
図2に、本発明の他の好適例の自動二輪車用空気入りタイヤを示す。本発明においては、図示するように、スパイラルベルト層3に隣接して、スパイラルベルト層3より広幅であって、かつ、タイヤ周方向に対する角度が30度以上85度未満であるベルト交錯層4を配設することが好ましい。これは、スパイラルベルトが巻かれていない左右両側のショルダー部について、ここにベルト交錯層が存在しないと、ベルトの面内剪断剛性が低下してしまい、ベルトが弱すぎて旋回時のグリップ力が低下するからである。
トレッドショルダー部に配置するかかるベルト交錯層4の角度を30度以上85度未満とするのは、以下のような理由からである。赤道方向に対する角度が30度未満になると、これはすなわちスパイラルベルト層に近づく方向となり、タイヤ周方向(赤道方向)にベルトが伸びにくい特性を持ってくる。こうなると、ショルダー部のベルトを接地領域で赤道方向に延ばすという本発明の趣旨に反する。ベルトが30度未満になると、ショルダー部で骨格部材が赤道方向に伸びにくくなり、ショルダー部のベルト速度が増さずに、ショルダー部のトレッドがブレーキング変形のままとなり、トラクショングリップを得にくい。一方、ショルダー部のベルトが85度を超えると、ベルト交錯層として十分な交錯効果(互いに逆方向のベルトを重ね合わせることによって、ベルトの面内剪断剛性を高める効果)を得られずに、ショルダー部のベルトの面内剛性が不足して、十分な旋回グリップを得られない。なお、角度については、好ましくは45度以上が、骨格部材が赤道方向に伸びやすいため良い。また、面内剪断剛性を発揮する上でも、好ましくは80度以下が良い。したがって、好ましくは45度以上80度以下である。
ベルト交錯層4の材質には、有機繊維コードを用いる。スチールコードのようにコードの圧縮方向にも剛性を持つコードをベルト交錯層として配置すると、骨格部材が面外に曲がりにくい特性を持ち、接地面積が小さくなってグリップ力が低下するからである。有機繊維コードであれば、コード方向の圧縮については大きな剛性を持たずに、骨格部材の面外剛性を低下させて接地面積を大きくすることができ、かつ、コードの引張り方向には非常に強い剛性を持つため、効果的に面内剛性を高めることができるからである。なお、本発明においては、前述したように、スパイラルベルトについてはスチールコードを使用してもよい。これは、スパイラルベルトは交錯していないため、スチールを用いても必要以上にベルトの面外曲げ剛性を高める心配がないからである。スチールベルトは交錯させて2枚以上を用いると、変形しにくくなり、接地面積を減少させるため、ベルト交錯層に用いるのは好ましくない。ベルト交錯層4に用いる有機繊維コードとしては、スパイラルベルト層3に用いるのと同様の有機繊維コードを用いることができる。
なお、本発明において、ベルト交錯層4は、図2に示すようにスパイラルベルト層3のタイヤ半径方向外側に配置してもよいし、スパイラルベルト層のタイヤ半径方向内側に配置してもよく(図示せず)、スパイラルベルト層3に隣接して配置するものであれば、その配置順に特に制限はない。
また、本発明においては、図1に示すように、トレッド層11とスパイラルベルト層3との間に、トレッド層11に隣接して、タイヤ周方向に対する角度が85度〜90度である有機繊維コードからなるベルト補強層5を配置することも好ましい。これは、トレッド部で、スパイラルベルトが存在する部分とスパイラルベルトが存在しない部分とがあるため、その両者の境界でタイヤの骨格部材の剛性が急激に変わり、この部分を接地端が乗り越すとき(すなわち、タイヤをどんどん傾けて旋回するときに、接地部分が移動してこの境界を乗り越えるとき)に、ライダーがタイヤの段差を感じて、違和感を覚えることを防止するためである。トレッドゴムに比べて、内部のベルト等のコードは剛性が非常に大きい。そのため、内部の骨格部材に不連続な部分があると、ライダーはその段差を感じることになる。そこで、トレッド層11に隣接して、すなわち、最外層に配置するベルトとして、タイヤセンターからタイヤショルダーまで連続するベルト補強層5を設けることで、この段差を感じにくくすることができる。
ベルト補強層5の角度をタイヤ赤道方向に対して90度としているのは、幅方向に沿ってコードを配置することで、段差を最も効果的に感じさせないようにできるからである。ここで、角度85度〜90度のように幅を持たせたのは、製造上の誤差を含むからである。また、ベルト補強層5の配設幅については、トレッド全幅の90%以上110%以下とした。この部材の目的は、段差を感じさせなくすること、つまり、スパイラルベルトの端部を部材で覆って、最外層のベルトが分断されないようにしている点にある。そのため、配設幅を広くして、トレッドの全領域を覆う配置とすることが好ましい。配設幅をトレッド全幅の90%以上とすれば、十分にスパイラルベルトの段差を覆うことができる。なお、上限については、トレッド幅を超えてサイド部に達してもかまわない。しかし、110%を超えると、タイヤのサイド部にも90度ベルトが存在することになり、サイドがたわみにくくなって、タイヤに硬さが生ずる(すなわち、タイヤがたわみにくくなって、乗り心地性能が悪化する)おそれがある。それゆえ、上限を110%とした。
このベルト補強層5の材質を有機繊維とするのは、自動二輪車用のタイヤは断面が非常に丸いため、タイヤ幅方向にコードの圧縮側に剛性を持つスチールを用いると、タイヤがたわみにくくなり、接地面積が減少するからである。有機繊維は、コードの圧縮側には剛性が低く、接地面積を減少させる心配がない。
なお、ベルト補強層5を設ける理由がスパイラルベルトの端部の段差を解消することにあるため、コードの直径が細すぎては意味がない。また、逆にコードの直径が太すぎると、有機繊維とはいえコードの圧縮側に剛性を持つため、あまりに太すぎるコードも好ましくない。したがって、ベルト補強層5のコードの直径については、0.5mm以上1.2mm以下が好適である。
ここで、前述したように、ベルト交錯層4はスパイラルベルト層3の内側に設けても外側に設けてもよいので、これらとベルト補強層5との配置順としては、ベルト交錯層4がスパイラルベルト層3よりも内側に存在する時には、スパイラルベルト層3のすぐ外側にベルト補強層5が配置される(図3参照)。一方、ベルト交錯層4がスパイラルベルト層3よりも外側に存在する場合には、2枚のベルト交錯層4のうち外側ベルトのすぐ外側にベルト補強層5を配置する(図示せず)。いずれの場合も、ベルト補強層5を、トレッド部11のすぐ内側に、トレッド部11に隣接して配置することが必要である。
図4に、本発明のさらに他の好適例に係る自動二輪車用空気入りタイヤの断面図を示す。本発明において、ベルト補強層5を配置する場合には、図示するように、ベルト補強層5のタイヤ半径方向内側に、ベルト補強層5に隣接して、厚み0.3〜1.5mmの緩衝ゴム層6を配置することも好ましい。この緩衝ゴム層6は、ショルダー部のトレッドの摩耗を抑制する効果がある。
図6にタイヤがCA50度で旋回する時のトレッド幅方向の挙動を示したが、その一方、トレッドの周方向の変形も、トレッドが路面に接触している領域において、図6のトレッド端部の領域とトレッドセンター部の領域とで異なっている。これは、接地形状のセンター寄りの領域と、接地形状のトレッド端部寄りの領域とで、ベルトの速度が異なるからである。二輪車用のタイヤは、幅方向断面において大きな丸みを持っている。そのため、回転軸からベルトまでの距離であるベルト半径が、トレッドセンター寄りの領域の方が大きい。したがって、ベルトの速度、つまり、トレッドが路面に接触してから、タイヤの回転が進み、トレッドが路面から離れるまでのベルト速度が、トレッドセンター寄りの領域の方が速くなる。ベルト半径にタイヤの回転角速度をかけたものがベルトの速度になるからである。このベルトの周方向の速度差により、タイヤのセンター寄りではトレッドがドライビング状態であり、タイヤのトレッド端部寄り領域ではブレーキング状態である(前述)。
本発明においては、スパイラルベルトの幅を狭めることで、スパイラルベルトが巻かれていない部分のベルトが周方向に接地にともなって伸びて、ベルト速度が向上し、これらのトレッドの余計な変形が緩和されることは前述した。しかし、スパイラルベルトの幅を狭くして緩和するといっても、完全に余計な変形がなくなるわけではない。
ベルト補強層5のタイヤ半径方向内側に緩衝ゴム層6を設けると、緩衝ゴム層6が周方向に剪断変形するため、上記のドライビング変形およびブレーキング変形をトレッドの代わりに肩代わりして、トレッドの周方向の変形がさらに緩和される。一方で、緩衝ゴム層6はその上面にタイヤ幅方向に沿うベルト補強層5を持つため、タイヤ幅方向には剪断変形されにくい。そのため、タイヤ幅方向に対してはトレッドの変形を肩代わりせず、トレッドの横剪断変形は緩衝ゴム層6を配置しても大きいままである。すなわち、緩衝ゴム層6はタイヤ周方向のみの変形を肩代わりし、トレッド周方向変形を小さくしてグリップ力を更に向上させるとともに、その一方で、タイヤ幅方向の変形は肩代わりせずにトレッドの横変形は大きいまま維持し、横力を高く保てる効果がある。本発明のように、スパイラルベルト幅を狭くするとともに、このような緩衝ゴム層6を設けると、更にトレッドのタイヤ周方向の無駄な変形が抑制されるため、大きな効果となって、非常に好ましい。ベルト補強層5および緩衝ゴム層6は、トレッド幅の90%以上(特には、110%以下)の範囲で、幅広く配置することが好ましい。
本発明のタイヤにおいては、スパイラルベルト層に係る上記条件を満足する点のみが重要であり、これにより本発明の所期の効果を得ることができ、それ以外のタイヤ構造や材質等の条件については、特に制限されるものではない。
例えば、本発明のタイヤの骨格をなすカーカス2は、比較的高弾性のテキスタイルコードを互いに平行に配列してなるカーカスプライの少なくとも1枚からなる。カーカスプライの枚数は、1枚でも2枚でもよく、3枚以上でもかまわない。また、カーカス2の両端部は、図1等に示すように両側からビードワイヤ1で挟み込んで係止しても、ビードコア
の周りにタイヤ内側から外側に折り返して係止しても(図示せず)、いずれの固定方法を用いてもよい。また、タイヤの最内層にはインナーライナーが配置され(図示せず)、トレッド部11の表面には、適宜トレッドパターンが形成されている(図示せず)。本発明は、ラジアルタイヤに限らず、バイアスタイヤにも適用可能である。
以下に、本発明について、実施例を用いて具体的に説明する。
<実施例1,2>
図1に示すような断面構造を有する自動二輪車用空気入りタイヤを、下記条件に従い、タイヤサイズ190/50ZR17にて作製した。各供試タイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に跨って延在するカーカスプライ(ボディプライ)の2枚からなるカーカスを備えている。ここで、カーカスプライには、ナイロン繊維を用いた。2枚のカーカスの角度は、実施例1についてはラジアル方向(赤道方向に対する角度が90度)とし、実施例2については、赤道方向に対して60度の角度で交錯させた。また、各カーカスプライの端部は、図示するように、ビード部において、両側からビードワイヤーで挟みこんで係止した。
また、カーカスのタイヤ半径方向外側には、スパイラルベルト層を配置した。スパイラルベルト層は、直径0.18mmのスチール単線を1×5タイプで撚ったスチールコードを、赤道方向に螺旋巻き、すなわち、スパイラル状に巻き付けて形成されたものであり、2本の並列したコードを被覆ゴム中に埋設した帯状体(ストリップ)を、略タイヤ周方向に沿って螺旋状にタイヤ回転軸方向に巻き付ける手法で製造した。また、スパイラルベルト層を形成するコードの打ち込み数は、中央の50%の幅の領域については25本/50mm、両端からそれぞれ25%の幅の領域については60本/50mmとした。この場合、平均打ち込み数は、中央領域よりも両端領域の方が、60/25=2.4倍密である。
ここで、各供試タイヤのトレッド全幅は、トレッド表面に沿って240mmである。また、スパイラルベルト層の総幅は170mmであり、トレッド全幅の0.71倍幅であるので、この場合、スパイラルベルト層のうち、タイヤセンター部の幅85mmの部分の打ち込み数が25本/50mmであり、タイヤショルダー部の幅42.5mmの部分の打ち込み数が60本/50mmである。
また、スパイラルベルト層のタイヤ半径方向外側には、タイヤ周方向に対する角度が90度の芳香族ポリアミド繊維からなるベルト補強層を配置した。ベルト補強層は、芳香族ポリアミド繊維を撚った直径0.7mmのコードを、打ち込み数50本/50mmで、タイヤ周方向に対し90度の角度で配置した。ベルト補強層の配設幅はトレッド幅と同じとした。このベルト補強層のタイヤ半径方向外側には、厚さ7mmのトレッド層が配置されており、その表面には所定の溝が配置された。
上記構造を基本とし、トレッド部の構成を下記に従い変更して、各従来例、実施例および比較例の供試タイヤを製造した。
<実施例3>
図2に示すような断面構造を有する自動二輪車用空気入りタイヤを、下記条件に従い作製した。カーカスプライは1枚とし、ラジアル方向(赤道方向に対する角度が90度)に配置した。また、スパイラルベルト層のタイヤ半径方向外側には、ベルト補強層を配置せずに、ベルト交錯層を2枚配置した。ベルト交錯層は、芳香族ポリアミドの繊維を撚った直径0.5mmのコードを打ち込み数50本/50mmで配置することにより形成した。ベルト交錯層の角度はタイヤ周方向に対して±60度とし、互いに交錯するものとした。ベルト交錯層の配設幅は、1枚目(内側)が250mmであり、2枚目(外側)が230mmであった。
<実施例4>
図3に示すような断面構造を有する自動二輪車用空気入りタイヤを、下記条件に従い作製した。カーカスプライは1枚とし、ラジアル方向(赤道方向に対する角度が90度)に配置した。また、スパイラルベルト層のタイヤ半径方向内側には、実施例3と同様のベルト交錯層を2枚配置した。したがってこの場合、ベルト交錯層はカーカスのすぐ外側に存在し、ベルト交錯層のさらに外側には、スパイラルベルト層が存在する。また、スパイラルベルト層のタイヤ半径方向外側には、タイヤ周方向に対する角度が90度の芳香族ポリアミド繊維からなるベルト補強層を、実施例1と同様にして配置した。このベルト補強層の外側に、トレッドが存在する。
<実施例5>
スパイラルベルト層のタイヤ半径方向外側にベルト補強層を配置しない以外は実施例4と同様にして、自動二輪車用空気入りタイヤを作製した。
<実施例6>
実施例4のベルト補強層の内側に、ベルト補強層に隣接して、厚み0.6mmの緩衝ゴム層を配置した以外は実施例4と同様にして、図4に示すような断面構造を有する自動二輪車用空気入りタイヤを作製した。緩衝ゴム層の材質は、ベルト補強層に用いたコーティングゴムと同様とした。また、配設幅も、ベルト補強層の配設幅240mmと同様とした。
<実施例7〜10>
スパイラルベルト層の打ち込み数および総幅を下記の表中に示すように変えた以外は実施例4と同様にして、自動二輪車用空気入りタイヤを作製した。
<従来例>
図5に示すような断面構造を有する自動二輪車用空気入りタイヤを、下記条件に従い作製した。従来例1,2については、カーカスプライは1枚とし、ラジアル方向(赤道方向に対する角度が90度)に配置した。また、従来例3については、カーカスプライは2枚とし、ラジアル方向(赤道方向に対する角度が90度)に配置した。その外側には、従来例1,2については、実施例3と同様のベルト交錯層を配置した。
また、スパイラルベルト層は、従来例1については、スチールベルトを用い、打ち込み数一定で25本/50mmとした。また、従来例2についてもスチールベルトを用い、打ち込み数一定で60本/50mmとした。さらに、従来例3についてもスチールベルトを用い、打ち込み数一定で40本/50mmとした。
<比較例1>
スパイラルベルト層をスチールベルトとし、打ち込み数一定で、25本/50mmとした以外は実施例4と同様にして、自動二輪車用空気入りタイヤを作製した。
<比較例2>
スパイラルベルト層をスチールベルトとし、打ち込み数一定で、60本/50mmとした以外は実施例4と同様にして、自動二輪車用空気入りタイヤを作製した。
<比較例3>
スパイラルベルト層の打ち込み数および総幅を下記の表中に示すように変えた以外は実施例4と同様にして、自動二輪車用空気入りタイヤを作製した。
得られた各供試タイヤについて、規定の試験を実施した。
<ドラム試験>
まず本発明の主目的である、車体を傾けたときのトラクションが向上しているかどうかを、ドラムを用いて測定した。ドラムを用いたトラクションの測定方法は以下のとおりである。
試験機としては、直径3mのドラムに紙やすりを貼り付けて、紙やすりの表面を路面に見立てた。このドラムを時速80kmで転動させ、その上に、タイヤをCA35度およびCA50度で押し付けた。各供試タイヤには内圧240kPaを充填し、荷重150kgfで押し付けた。タイヤには、回転軸に動力を伝えるチェーンが掛かっており、駆動力を掛けられる。駆動力はモーターを用いて加えた。タイヤを80km/hで回転させておき、駆動力を加えて、タイヤを120km/hまで3秒の時間で線形に加速させた。このとき、ドラムは80km/hで転動しているため、タイヤに駆動力が掛かった状態となり、車体を傾けた状態でのトラクションを測定できる。
タイヤ回転軸に平行な方向(すなわち、タイヤ幅方向)に働く力と、タイヤ回転軸に垂直な方向に働く力とを、タイヤのホイル中心に設置した力センサーでそれぞれ計測し、この力を、キャンバー角度に応じてドラム幅方向とドラム回転方向の力に分解して、ドラム幅方向の力をFy、ドラム回転方向の力をFxとした(Fx,Fyは地面に対しての座標である)。すなわち、Fyはバイクを旋回させる横力を、Fxはバイクを加速させる駆動力を、それぞれ示している。これらを横軸にFx、縦軸にFyとして描くことで、図7に示すような波形が得られる。これを摩擦楕円と呼ぶが、Fx0においてのFyの切片は駆動力0での純粋な横力を示し、これがキャンバースラストと呼ばれる力である。本試験では、タイヤに駆動力を加えてタイヤの回転を速くすることで、トラクション状態のタイヤのグリップ性能を評価することができる。時間とともに、グラフの波形はFxが正の方向に移動する。Fxの最大値がトラクショングリップの指標といえる。
従来例1の供試タイヤのFxの最大値を100として、他の実施例の性能を指数で評価した。これを、CA35度とCA50度の2水準について行った。その結果を、下記の表中に示す。
<実車走行試験>
次に、本発明の二輪車用タイヤの性能改善効果を確認するために、実車を用いた操縦性能比較試験をした結果を説明する。各供試タイヤはリア用のタイヤであったため、リアのみのタイヤを交換して実車試験を行った。フロントのタイヤは常に従来のもので固定した。評価方法を以下に示す。
各供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車に装着して、テストコースで実車走行させ、操縦安定性(コーナリング性能)を、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。コースでは、自動二輪車レースを意識した激しい走行を行い、最高速度は180km/hに達した。テスト項目は、低速コーナーのトラクション性能(速度50km/hで大きく車体を倒した状態からの加速性能)、高速コーナーのトラクション性能(速度120km/hでやや車体を倒した状態からの加速性能)、直進時の振動乗り心地性能、の3つである。
また、テストコースを10周走った時のタイヤショルダー部の偏摩耗状態を確認した。タイヤショルダー部の摩耗量を測定し、従来例1のタイヤの摩耗量を100としたときの他の実施例の摩耗量を指数で示した。摩耗量については、値が小さいほど摩耗が少なく良好である。摩耗量は、新品時のタイヤ重量を測っておき、テスト終了時のタイヤの重さを比較することで求めた。なお、試験終了後は、摩耗の殆どはショルダー部で起こっており、重量の差はショルダー部の摩耗の差といえる。その結果を、下記の表中に併せて示す。
Figure 2009113604
Figure 2009113604
Figure 2009113604
上記の結果から、以下のようなことがわかる。
まず、実施例1および実施例2については、ベルト交錯層が存在しない。そのため、製造コストを節約できる。これら実施例1と実施例2を、ベルト交錯層がないもの同士の比較において、従来例3と比べると、実施例1および実施例2では、CA35度およびCA50度のいずれのFx指数も向上しており、低速コーナー、高速コーナーともに実車テストでトラクション性能が良くなっている。また、乗り心地も最も良好である。摩耗も改善している。
実施例3および実施例5は、ベルト交錯層を2枚設けた場合であり、従来例1,2に比べるといずれも改良効果が見られる。なお、実施例5については、ライダーが車体を倒す過程で違和感を指摘しており、スパイラルベルト層の段差を感じ取っている。これは、スパイラルベルト層の上に、90度のベルト補強層が存在しなかったためであると考えられる。これに比べて、実施例3は、やはり90度のベルト補強層は存在しないが、スパイラルベルト層の外側に交錯ベルトがあるため、違和感が少ない。この違和感は実施例5のみに発生しており、実施例4のように90度ベルトを配置しても解消している。
実施例4と実施例6との比較から、緩衝ゴム層を配置する効果がわかる。さらに一段階上のトラクション性能と耐摩耗性能が、緩衝ゴム層によって得られている。
実施例4と実施例7と実施例8との関係からは、スパイラルベルト層の配設幅の影響がわかる。スパイラルベルト幅を広くすると、大CA時のFx指数が良くなり、つまり、車体を大きく倒す大CA時の低速コーナーに大きな効果が得られる。しかし、従来例のように完全に広いと、トラクション性能向上の効果は無い。一方、スパイラルベルト幅を狭くすると、CAが小さいところ、すなわち、CA35度程度の高速コーナーで大きな効果が得られる。しかし、比較例3のように狭くしすぎると効果が無くなる。
実施例4と実施例9との関係からは、スチールスパイラルベルトを用いた場合とケブラースパイラルベルトを用いた場合との違いがわかる。ケブラースパイラルベルトを用いると、乗り心地性能は良くなるが、トラクション性能が若干低下する。また、実施例4と実施例10との関係からは、ショルダー部の打ち込み数の差の影響がわかる。実施例10のように打ち込み数の差が少ないと、センター部のスパイラルベルトコードが密になり、乗り心地性能が失われる。
なお、比較例2のように、スチールスパイラルベルトの打ち込み数を全ての領域で密にしても、実施例4と同程度のFx指数であり、同程度の操縦安定性能である。すなわち、実施例4程度のスチールスパイラルベルトの打ち込み密度がスパイラルベルトの両端部であれば、ベルト面内剪断剛性を高めるためには十分であることを示している。これにより、実施例4のようにセンター部の打ち込みを下げて、センター部の乗り心地を確保できる。また、比較例1のように、スチールスパイラルベルトの全ての打ち込み数を疎にしてしまうと、ベルトの面内剪断剛性が足りずに、Fx指数が低下する。一方で、乗り心地性能は良くなるが、良くなる度合いは実施例4をわずかに上回る程度である。この結果から、実施例4のような構成のメリットが確認できた。
本発明の一好適例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 本発明の他の好適例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 本発明のさらに他の好適例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 本発明のさらに他の好適例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 従来例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 二輪車が大きなCA(CA50度)で旋回しているときの荷重直下におけるタイヤを示す断面図である。 FxとFyとの関係を示す摩擦楕円を示すグラフである。
符号の説明
1 ビードコア
2 カーカス
3 スパイラルベルト層
4 ベルト交錯層
5 ベルト補強層
6 緩衝ゴム層
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部

Claims (4)

  1. 環状に形成されたトレッド部を備える自動二輪車用空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であって、配設幅がトレッド幅の0.5〜0.8倍であるスパイラルベルト層を備え、該スパイラルベルト層を形成するコードの打ち込み数が、タイヤセンター部とタイヤショルダー部とで異なり、該スパイラルベルト層の両端からそれぞれ25%の幅の領域のコードの平均打ち込み数が、該スパイラルベルト層の中央の50%の幅の領域のコードの平均打ち込み数よりも多く、かつ、該両端領域の平均打ち込み数が、該中央領域の平均打ち込み数の1.3倍以上5倍以下であることを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 前記スパイラルベルト層に隣接して、該スパイラルベルト層より広幅であって、かつ、タイヤ周方向に対する角度が30度以上85度未満である有機繊維からなるベルト交錯層が配設されている請求項1記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 前記トレッド層とスパイラルベルト層との間に、該トレッド層に隣接して、タイヤ周方向に対する角度が85度〜90度である有機繊維コードからなるベルト補強層が、トレッド幅の90%以上110%以下の幅で配置されている請求項1または2記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 前記ベルト補強層のタイヤ半径方向内側に、該ベルト補強層に隣接して、厚み0.3〜1.5mmの緩衝ゴム層が配置されている請求項3記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
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