JP2009034564A - アルカリ溶液中でイオン化する物質xの吸着剤および分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ホウ素やヒ素のようにアルカリ溶液中でイオン化する物質Xを低コストで分離することができる吸着剤および分離方法を提供すること。
【解決手段】 アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための分離方法であって、溶液を所定のpHにするpH調整剤を前記溶液に加えて物質Xをイオン化させるpH調整工程と、この溶液に更に、ハイドロタルサイト様物質(好ましくは結晶子サイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質)を混合し、物質Xの陰イオンを吸着させるハイドロタルサイト様物質混合工程と、を有する。
【選択図】 図4
【解決手段】 アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための分離方法であって、溶液を所定のpHにするpH調整剤を前記溶液に加えて物質Xをイオン化させるpH調整工程と、この溶液に更に、ハイドロタルサイト様物質(好ましくは結晶子サイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質)を混合し、物質Xの陰イオンを吸着させるハイドロタルサイト様物質混合工程と、を有する。
【選択図】 図4
Description
この発明は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xの吸着剤および分離方法に関するものである。
産業廃水には様々な汚染物質等が含まれており、そのまま河川や土壌に廃出されると、生活環境に多大な悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、環境基本法や水質汚濁防止法等によって様々な汚染物質の廃出基準が定められ規制されている。
ここで従来、汚染物質である陰イオンの除去には、例えば、陰イオン交換樹脂が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、ホウ素やヒ素は、水溶液中で、式1、式2のような平衡が成り立っており、アルカリ溶液中でイオン化することがわかっている(図1、図2参照)。
しかしながら、アルカリ溶液中からホウ素やヒ素のような物質を除去するには、これら物質を水酸化物イオン(OH−)よりも優先的に吸着する特殊な陰イオン交換樹脂が必要であり、コストが非常にかかるというのが現状である。
そこで本発明は、ホウ素やヒ素のようにアルカリ溶液中でイオン化する物質Xを低コストで分離することができる吸着剤および分離方法を提供することを目的とする。
そこで本発明は、ホウ素やヒ素のようにアルカリ溶液中でイオン化する物質Xを低コストで分離することができる吸着剤および分離方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の吸着剤は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための吸着剤であって、ハイドロタルサイト様物質と、前記溶液を所定のpHにするpH調整剤と、を有することを特徴とする。
また、本発明の別の吸着剤は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための吸着剤であって、層間に水酸化物イオンを有すると共に、結晶子のサイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質を含むことを特徴とする。
これらの場合、前記ハイドロタルサイト様物質は、層間に塩化物イオンを有するものを用いることができる。また、分離する前記物質Xとしては、ヒ素又はホウ素が挙げられる。また、前記ハイドロタルサイト様物質は粒状体であっても良い。また、前記pH調整剤は、少なくとも水酸化ナトリウムを含むものを使用することができる。
また、本発明の分離方法は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための分離方法であって、前記溶液を所定のpHにするpH調整工程と、ハイドロタルサイト様物質を前記溶液に混合するハイドロタルサイト様物質混合工程と、を有する。
また、本発明の別の分離方法は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための分離方法であって、層間に水酸化物イオンを有すると共に、結晶子のサイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質を前記溶液に混合するハイドロタルサイト様物質混合工程を有することを特徴とする。
これらの場合、前記ハイドロタルサイト様物質は、層間に塩化物イオンを含むものを用いることができる。また、分離する前記物質Xとしては、ヒ素又はホウ素が挙げられる。また、前記pH調整工程は、水酸化ナトリウムを前記溶液に混合することにより、所定のpHに調整することができる。
また、本発明の分離方法は、前記ハイドロタルサイト様物質を含む溶液から前記ハイドロタルサイト様物質を固液分離する固液分離工程を有する方が好ましい。
本発明によれば、マグネシウム、アルミニウムなど、天然に豊富に存在する元素の水酸化物を主骨格とし、その合成も比較的簡単に行うことができるハイドロタルサイト様物質を用いるので、ホウ素やヒ素のようにアルカリ溶液中でイオン化する物質Xを低コストで分離することができる。
以下に、本発明の吸着剤について説明する。
本発明の吸着剤は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための吸着剤であって、ハイドロタルサイト様物質と、溶液を所定のpHにするpH調整剤と、を有することを特徴とする。
本発明の吸着剤は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための吸着剤であって、ハイドロタルサイト様物質と、溶液を所定のpHにするpH調整剤と、を有することを特徴とする。
ここで、ハイドロタルサイト様物質とは、構造式がM2+ 1−xM3+ x(OH)2(An−)x/n・mH2Oで表される不定比化合物である。M2+は2価の金属を表し、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Cu2+等が該当する。また、M3+は3価の金属を表し、Al3+、Fe3+、Mn3+等が該当する。なお、An−はアニオンを表す。このようなハイドロタルサイト様物質としてはどのようなものでも良いが、例えば、以下のような方法で製造したものを用いることができる。
まず、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンを含む酸性溶液を調製する。
アルミニウムイオンのアルミニウム源としては、水中でアルミニウムイオンを生成するものであれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、アルミナ、アルミン酸ソーダ、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ボーキサイト、ボーキサイトからのアルミナ製造残渣、アルミスラッジ等を用いることができる。また、これらアルミニウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、マグネシウムイオンのマグネシウム源としては、水中でマグネシウムイオンを生成する物であれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、マグネサイト、マグネサイトの焼成物等を用いることができる。これらマグネシウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ここで、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンからなるハイドロタルサイトの一般式は、Mg2+ 1−xAl3+ x(OH)2(An−)x/n・mH2O(An−はアニオン)であり、高結晶質のハイドロタルサイトの最も一般的な組成では、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンのモル比が1:3(x=0.25)となっていることが知られている。したがって、酸性溶液中のアルミニウムイオンとマグネシウムイオンのモル比は、1:5〜1:2の範囲とするのが好ましい。この範囲とすることによって、アルミニウム源とマグネシウム源を無駄にすることなく、物質収支的に有利にハイドロタルサイト様物質を製造することができる。
また、前記酸性溶液を酸性に調整するには、塩酸を用いるのが好ましい。
次に、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンを含んだ前記酸性溶液を、アルカリを含むアルカリ性溶液と混合する。このアルカリ性溶液は、pHが8〜11のものを用いるのが好ましい。なお、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合は、酸性溶液をアルカリ性溶液へ一気に加えるか、あるいは酸性溶液をアルカリ性溶液へ滴下して行うことができるが、好ましくは、混合する際の撹拌能力に応じて酸性溶液とアルカリ性溶液を適量ずつ混合する方が良い。勿論、酸性溶液とアルカリ性溶液を十分に撹拌できるものであれば、これら以外の方法であっても構わない。
ここで、アルカリ性溶液に含まれるアルカリとしては、水溶液をアルカリ性とするものであれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどを用いることができる。また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなども用いることができる。これらアルカリはいずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、高結晶質のハイドロタルサイトは炭酸イオンと優先的にイオン交換するため、炭酸イオンを含むと目的とする陰イオンと効率良くイオン交換できない。したがって、ハイドロタルサイト様物質においても、目的とする陰イオンと効率良くイオン交換させるために、前記酸性溶液および前記アルカリ性溶液に炭酸イオンを含まないようにするのが好ましい。
また、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、熟成を行わないようにすれば、ハイドロタルサイト様物質の結晶を成長させることなく、結晶子サイズ(結晶子の大きさ)の小さいハイドロタルサイト様物質を製造することができる点で好ましい。この場合、ハイドロタルサイト様物質の結晶子サイズが小さいので、混合時に溶液はコロイド状となる。
熟成を行わないようにするには、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、当該混合溶液のpHをハイドロタルサイト様物質の結晶成長が止まる値まで下げれば良い。例えば、一般式Mg2+ 1−xAl3+ x(OH)2(An−)x/n・mH2Oで表されるハイドロタルサイト様物質は、pHを9以下とすれば、熟成を止めることができる。また、一般式Zn2+ 1−xAl3+ x(OH)2(An−)x/n・mH2Oで表されるハイドロタルサイト様物質は、pHを5以下とすれば、熟成を止めることができる。
また、水分を除去することによっても、熟成を止めることができる。水分を除去するためには、吸引濾過、遠心分離など適当な方法を用いることができる。
したがって、例えば、一般式Mg2+ 1−xAl3+ x(OH)2(An−)x/n・mH2Oで表されるハイドロタルサイト様物質の結晶子サイズを20nm以下にするには、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、120分以内、好ましくは同時に混合溶液のpHを9以下に調整すれば良い。pHを9以下とするにはどのような方法を用いても良いが、例えば、酸性溶液とアルカリ性溶液を混合した後、直ちに水にて希釈する方法がある。もちろん、酸性溶液とアルカリ性溶液を混合した後、120分以内、好ましくは同時に、吸引濾過や遠心分離等によって水分を除去しても良い。また、確実に熟成を行わせないためには、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後速やかにハイドロタルサイト様物質を洗浄するのも良い。なお、合成過程で生成されるNaCl等の塩化物は含有させておいても構わない。
結晶子サイズの小さいハイドロタルサイト様物質は、単位重量当たりの表面積が大きく、OH−を脱離し易いため、このハイドロタルサイト様物質を溶液に混合すると、pHを7以上に調整することができる。したがって、結晶子サイズが小さいハイドロタルサイト様物質を用いれば、後述するpH調整剤が不要となる。特に、結晶子のサイズが20nm以下、好ましくは10nm以下であると、これらの効果が高くなる点で好ましい。また、単位重量当たりの表面積が大きいことで、陰イオン交換性能が高くなるという効果もある。
このように生成されたハイドロタルサイト様物質が物質Xの陰イオンを吸着するためには、ハイドロタルサイト様物質の層間に存在する陰イオンより物質Xの陰イオンの方がインターカレーションされ易い物質である必要がある。換言すると、ハイドロタルサイト様物質は、層間イオンが物質Xの陰イオンよりインターカレーションされ難い物質となるように調整する必要がある。ここで、層間イオンの調整は、周知の方法を用いることができ、例えば、ハイドロタルサイト様物質の層間イオンが塩化物イオンである塩素型にするには、希塩酸や食塩水等の塩化物イオンを多量に含有する溶液に浸せばよく、層間イオンが硝酸イオンである硝酸型にするには、ハイドロタルサイト様物質を希硝酸に浸せば良い。なお、工業的には、安全で製造も容易な塩素型のハイドロタルサイト様物質が好ましく、ホウ素やヒ素の除去にも好適に使用することができる。
このように生成されたハイドロタルサイト様物質は、スラリー状で用いても良いが、このスラリーをろ過、洗浄、乾燥、粉砕することで粉末状としても良い。また、扱い易さ等の観点から、ハイドロタルサイト様物質を固めて粒状にした粒状体としても良い。粒状体はどのような方法で製造しても良いが、例えば、次のように製造することができる。
まず、フィルタープレス等の脱水装置によってスラリー状のハイドロタルサイト様物質に所定の圧力をかけ水分をできるだけ除去する。次に、ハイドロタルサイト様物質の結晶水の脱水温度(ハイドロタルサイト様物質の結晶水が脱水を開始する温度)以下で乾燥させる。換言すると、ハイドロタルサイト様物質の結晶外の水のみを乾燥させる。具体的には、含水率が70%以下、好ましくは65%以下、更に好ましくは60%以下のハイドロタルサイト様物質を、最終生成物であるハイドロタルサイト様粒状体の含水率が10%以上20%以下、好ましくは10%以上15%以下、更に好ましくは、11%以上12%以下になるように乾燥させる。ここで、ハイドロタルサイト様粒状体の含水率を10%以上に保持する理由は、ハイドロタルサイト様粒状体の含水率が10%未満であると、溶液等に触れた際にハイドロタルサイト様粒状体が水分を吸収して体積が急激に膨張し、粒度を保持できなくなるためである。なお、含水率とは水分を含むハイドロタルサイト様物質全体の質量に対する水の質量である。ハイドロタルサイト様物質が含んでいる水分の質量の測定は、日本工業規格「土の含水比試験方法」(JIS A 1203:1999)に準拠して行った。
なお、乾燥させる温度としては、ハイドロタルサイト様物質の結晶水の脱水温度以下であればどのような温度でも良いが、ハイドロタルサイト様粒状体の粒径を大きくするためには比較的低温で乾燥させる方が好ましい。ただし、あまり低すぎる温度で乾燥すると、ハイドロタルサイト様粒状体が水に解け易くなる。したがって、具体的な乾燥温度は、25℃以上125℃以下が良く、好ましくは90℃以上110℃以下が良く、更に好ましくは95℃以上105℃以下が良い。
また、この乾燥はどのように行っても良く、例えば、通常の乾燥炉等を用いれば良い。勿論、室温で自然乾燥にすることも可能である。また、乾燥時の湿度を高く調節する方がハイドロタルサイト様粒状体の形態安定性の点で良い。例えば、乾燥炉内の水蒸気の量を飽和水蒸気量付近(湿度が90%〜100%)となるように調節すれば良い。
また、このようにして乾燥したハイドロタルサイト様物質をふるいにかけ、析出した塩化物等を除去しても良い。
また、ハイドロタルサイト様粒状体は、その用途に応じて粒径を調整しても良い。この場合、ハイドロタルサイト様粒状体の粒径は、カラム等に用いることを考慮して0.24mm以上が良く、好ましくは0.36mm以上が良く、更に好ましくは1mm以上2mm以下が良い。粒径の調製は、どのように行っても良いが、例えば、ハンマー等により破砕し、目的とする大きさの目をもったふるいにかけて、調整することができる。
pH調整剤は、物質Xが陰イオンとなるように溶液のpHを調整することができるものであればどのようなものでも良く、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)を用いることができる。ここで、物質Xがホウ素やヒ素の場合、図1、図2に示すように、pHが高い程ホウ素やヒ素がイオンとして存在する量が増加する。したがって、溶液のpHが高くなるほど物質Xの陰イオンの存在量が増加する場合、pH調整剤はpHをできるだけ高くできる方が良く、pHを8以上に調整できるものが好ましい。ただし、pHが高すぎると溶液中の水酸化物イオン(OH−)の濃度が高くなり、ハイドロタルサイト様物質は、物質Xの陰イオンより水酸化物イオン(OH−)を多く吸着するようになる。したがって、用いるハイドロタルサイト様物質が物質Xの陰イオンを最も吸着する範囲にpHを調整できるものが好ましい。例えば、物質Xがホウ素やヒ素の場合には、pHを9〜10に調整すると良い。
次に、本発明の分離方法について説明する。
本発明の分離方法は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための分離方法であって、溶液を所定のpHを有するアルカリ性にするpH調整工程と、ハイドロタルサイト様物質を溶液に混合するハイドロタルサイト様物質混合工程と、を有することを特徴とする。
本発明の分離方法は、アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための分離方法であって、溶液を所定のpHを有するアルカリ性にするpH調整工程と、ハイドロタルサイト様物質を溶液に混合するハイドロタルサイト様物質混合工程と、を有することを特徴とする。
pH調整工程は、物質Xが陰イオンとなるように溶液のpHを調整するもので、溶液のpHを調整するpH調整剤等を使用すれば良い。例えば、溶液の量に応じて適量の水酸化ナトリウム(NaOH)を混合することにより、調整することができる。物質Xがホウ素やヒ素の場合には、pHを8以上、好ましくは9〜10に調整するのが好ましい。なお、上述したが、pHが高すぎると溶液中の水酸化物イオン(OH−)の濃度が高くなり、ハイドロタルサイト様物質は、物質Xの陰イオンより水酸化物イオン(OH−)を多く吸着するようになる。したがって、用いるハイドロタルサイト様物質が物質Xの陰イオンを最も吸着する範囲にpHを調整するのが好ましい。
ハイドロタルサイト様物質混合工程では、ハイドロタルサイト様物質を溶液に十分に混合・撹拌し、物質Xの陰イオンを吸着し易くするためのもので、例えば、モータ等の回転により撹拌するミキサーや、容器内に気泡を供給することにより撹拌する気体供給手段等を用いれば良い。なお、ハイドロタルサイト様物質が粒状体の場合には、ハイドロタルサイト様物質をカラムに充填し、このカラムに溶液を通水すれば良い。
なお、pH調整工程とハイドロタルサイト様物質混合工程は、どちらを先に行っても良く、ハイドロタルサイト様物質混合工程の後に、pH調整工程を行っても良い。また、結晶子のサイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質を用いる場合には、ハイドロタルサイト様物質自体が溶液のpHを調整するため、pH調整工程が不要になる場合もある。
固液分離工程は、pH調整工程とハイドロタルサイト様物質混合工程を経た溶液から、物質Xを吸着(イオン交換)したハイドロタルサイト様物質を分離するものである。例えば、フィルタープレス等の脱水手段を用いて、ハイドロタルサイト様物質と溶液とを固液分離すれば良い。また、ハイドロタルサイト様物質が粒状体の場合には、カラムに充填し溶液を流すようにしても良い。これにより、物質Xを除去又は低減した溶液を取り出すことができる。
以下に、本発明の分離方法をホウ素の除去に用いた場合の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例のハイドロタルサイト様物質は、結晶子のサイズが20nm以下のものを用いた。
実施例1
蒸留水、ホウ素濃度が20mg/lのホウ素標準液、硫酸イオン濃度が1820mg/lの硫酸標準液をそれぞれ1000ml準備する。次に、結晶子サイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質13gを添加し、マグネチックスターラーで180分撹拌した。撹拌は、各溶液の温度を20℃に調整し、20℃の恒温室内で行った。この際、これらの溶液のpHの変化をpH電極によって測定した。各溶液のpHと撹拌時間の関係を図3に示す。図3より、純水、ホウ素溶液、硫酸標準液のpHが大きくなっているのが分かる。
蒸留水、ホウ素濃度が20mg/lのホウ素標準液、硫酸イオン濃度が1820mg/lの硫酸標準液をそれぞれ1000ml準備する。次に、結晶子サイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質13gを添加し、マグネチックスターラーで180分撹拌した。撹拌は、各溶液の温度を20℃に調整し、20℃の恒温室内で行った。この際、これらの溶液のpHの変化をpH電極によって測定した。各溶液のpHと撹拌時間の関係を図3に示す。図3より、純水、ホウ素溶液、硫酸標準液のpHが大きくなっているのが分かる。
実施例2
ホウ素濃度が20mg/lとなるように調整したホウ素標準液1000mlを準備する。次に、結晶子サイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様粒状体13gを添加し、マグネチックスターラーで180分撹拌した。また、ホウ素の吸着は、20℃の恒温室内で、ホウ素標準液の温度を20℃に調整して行った。このホウ素標準液の濃度の変化を、吸光光度計(DR.LANGE社製のLASA−50)とこの吸光光度計の専用試薬(LCK307)を用いて測定した。ホウ素の濃度と撹拌時間の関係を図4に示す。
ホウ素濃度が20mg/lとなるように調整したホウ素標準液1000mlを準備する。次に、結晶子サイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様粒状体13gを添加し、マグネチックスターラーで180分撹拌した。また、ホウ素の吸着は、20℃の恒温室内で、ホウ素標準液の温度を20℃に調整して行った。このホウ素標準液の濃度の変化を、吸光光度計(DR.LANGE社製のLASA−50)とこの吸光光度計の専用試薬(LCK307)を用いて測定した。ホウ素の濃度と撹拌時間の関係を図4に示す。
図4より、ホウ素の濃度が減少しており、ハイドロタルサイト様物質にホウ素が吸着されているのがわかる。
実施例3
本発明の吸着剤のホウ素の吸着量と溶液のpHの関係を示す試験である。
ホウ酸(H3BO3)特級試薬を計量し、蒸留水に溶解させ、イオン標準液を調製した。調製した標準液を希釈し、25%NaOHaqを用いてpHを7、9、12に調整した反応溶液を100ml用意した。各反応溶液に粉体状ハイドロタルサイト様物質を1g添加し、マグネチックスターラーで1時間撹拌し、撹拌後、ろ紙(5B)を用いてろ過した。各反応溶液のホウ素濃度を、吸光光度計(DR.LANGE社製のLASA−50)を用いて測定した。溶液の初期pHとホウ素濃度及び本発明の吸着剤のホウ素吸着量の関係を表1および図5に示す。
本発明の吸着剤のホウ素の吸着量と溶液のpHの関係を示す試験である。
ホウ酸(H3BO3)特級試薬を計量し、蒸留水に溶解させ、イオン標準液を調製した。調製した標準液を希釈し、25%NaOHaqを用いてpHを7、9、12に調整した反応溶液を100ml用意した。各反応溶液に粉体状ハイドロタルサイト様物質を1g添加し、マグネチックスターラーで1時間撹拌し、撹拌後、ろ紙(5B)を用いてろ過した。各反応溶液のホウ素濃度を、吸光光度計(DR.LANGE社製のLASA−50)を用いて測定した。溶液の初期pHとホウ素濃度及び本発明の吸着剤のホウ素吸着量の関係を表1および図5に示す。
実施例4
ホウ素、硫酸イオン、塩化物イオンを含む溶液100mlに本発明の吸着剤を添加した場合の各イオンの吸着量を示す試験である。
ホウ酸(H3BO3)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)及び塩化ナトリウム(NaCl)を所定量計量し、蒸留水に添加後十分に攪拌し、試験溶液を調製する。また、pHの調整には25%水酸化ナトリウム溶液(NaOHaq)を使用した。
試験溶液100mlに本発明の吸着剤をそれぞれ添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。この溶液の濃度の変化を、吸光光度計(DR.LANGE社製のLASA−50)とこの吸光光度計の専用試薬(LCK307)及びイオン分析計(東亜DKK社製 IA―200)を用いて測定した。本発明の吸着剤の添加量と各イオンの濃度及び吸着量の関係を表2および表3に示す。表2は、溶液の初期pHが9の場合における本発明の吸着剤の各イオン吸着量を示す表である。また、表3は、溶液の初期pHが12の場合における本発明の吸着剤の各イオン吸着量を示す表である。
ホウ素、硫酸イオン、塩化物イオンを含む溶液100mlに本発明の吸着剤を添加した場合の各イオンの吸着量を示す試験である。
ホウ酸(H3BO3)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)及び塩化ナトリウム(NaCl)を所定量計量し、蒸留水に添加後十分に攪拌し、試験溶液を調製する。また、pHの調整には25%水酸化ナトリウム溶液(NaOHaq)を使用した。
試験溶液100mlに本発明の吸着剤をそれぞれ添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。この溶液の濃度の変化を、吸光光度計(DR.LANGE社製のLASA−50)とこの吸光光度計の専用試薬(LCK307)及びイオン分析計(東亜DKK社製 IA―200)を用いて測定した。本発明の吸着剤の添加量と各イオンの濃度及び吸着量の関係を表2および表3に示す。表2は、溶液の初期pHが9の場合における本発明の吸着剤の各イオン吸着量を示す表である。また、表3は、溶液の初期pHが12の場合における本発明の吸着剤の各イオン吸着量を示す表である。
Claims (12)
- アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための吸着剤であって、ハイドロタルサイト様物質と、前記溶液を所定のpHにするpH調整剤と、を有することを特徴とする吸着剤。
- アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための吸着剤であって、層間に水酸化物イオンを有すると共に、結晶子のサイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質を含むことを特徴とする吸着剤。
- 前記ハイドロタルサイト様物質は、層間に塩化物イオンを有することを特徴とする請求項1又は2記載の吸着剤。
- 前記物質Xは、ヒ素又はホウ素であることを特徴とする請求項1又は2記載の吸着剤。
- 前記ハイドロタルサイト様物質は粒状体であることを特徴とする請求項1又は2記載の吸着剤。
- 前記pH調整剤は、少なくとも水酸化ナトリウムを含むことを特徴とする請求項1記載の吸着剤。
- アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための方法であって、前記溶液を所定のpHにするpH調整工程と、ハイドロタルサイト様物質を前記溶液に混合するハイドロタルサイト様物質混合工程と、を有することを特徴とする分離方法。
- アルカリ溶液中でイオン化する物質Xを溶液中から分離するための方法であって、層間に水酸化物イオンを有すると共に、結晶子のサイズが20nm以下であるハイドロタルサイト様物質を前記溶液に混合するハイドロタルサイト様物質混合工程を有することを特徴とする分離方法。
- 前記ハイドロタルサイト様物質は、層間に塩化物イオンを有することを特徴とする請求項7又は8記載の分離方法。
- 前記物質Xは、ヒ素又はホウ素であることを特徴とする請求項7又は8記載の分離方法。
- 前記pH調整工程は、水酸化ナトリウムを前記溶液に混合することにより、所定のpHに調整することを特徴とする請求項7記載の分離方法。
- 前記ハイドロタルサイト様物質を含む溶液から前記ハイドロタルサイト様物質を固液分離する固液分離工程を有することを特徴とする請求項7又は8記載の分離方法。
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2007
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