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JP2009032881A - アルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材及びアルミニウム電解コンデンサケース、アルミニウム電解コンデンサ - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材及びアルミニウム電解コンデンサケース、アルミニウム電解コンデンサ Download PDF

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JP2009032881A JP2007194899A JP2007194899A JP2009032881A JP 2009032881 A JP2009032881 A JP 2009032881A JP 2007194899 A JP2007194899 A JP 2007194899A JP 2007194899 A JP2007194899 A JP 2007194899A JP 2009032881 A JP2009032881 A JP 2009032881A
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Osamu Kato
加藤治
Masaji Saito
斉藤正次
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Furukawa Sky KK
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Abstract

【課題】高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケースに成形する場合であっても、良好な成形性及び十分な耐食性を備えるアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材を提供する。
【解決手段】 ポリエチレンワックス及び/又はカルナバワックスを含む樹脂層厚さが2μm以上22μm以下であり、樹脂層表面における長さ100μmの一の直線が切断するワックス粒子長さの和が10%以上であり、かつ、樹脂層厚さの80%以下であって、0.1μm以上である断面形状のワックス粒子が、3個以上50個以下存在し、樹脂層厚さの80%を超える長さのワックス粒子が10個未満であるアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材は、高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケース成形後の樹脂層に亀裂・剥離が発生せず、十分な耐食性を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、良好な深絞り成形性およびしごき成形性を有する樹脂被覆アルミニウム合金板材、特にアルミニウム電解コンデンサケースとして有用なアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材及びアルミニウム電解コンデンサケース、アルミニウム電解コンデンサに関する。
近時、成形後の絶縁用樹脂被覆が不要な樹脂被覆アルミニウム合金板材がアルミニウム電解コンデンサケース材として使用されるようになってきている。このアルミニウム電解コンデンサケース材には深絞り成形やしごき成形を組み合わせた厳しい成形が施されることから、建材などに使用される一般的な樹脂被覆アルミニウム合金板材を使用すると、樹脂層に亀裂、剥離などが発生し、十分な絶縁性は得られない。また、近年の溶剤規制に対応するため、溶剤脱脂を必要としない揮発性プレス油を用いた成形が行われるようになってきており、従来の高粘度油を用いた加工よりさらに高い成形性が要求されるようになってきている。
樹脂被覆材の成形性を向上させる方法としては、樹脂層の伸びを大きくしてアルミニウム合金の変形への追従性を向上させること、樹脂層表面の潤滑性を向上させて樹脂表面を金型がスムーズに摺動するようにすることが有効である。樹脂層の伸びを大きくする方法としてはベースとなる樹脂の高分子量化があり、潤滑性を向上させる方法としては樹脂層へのワックス添加がある。
エポキシ系樹脂の分子量を規定して成形性を向上させた例としては、例えば特許文献1には樹脂がエポキシ系を主成分とし、フェノール系、アクリル系、ウレタン系、尿素系の群から選ばれる少なくとも1種または2種以上を添加したものからなり、この樹脂の数平均分子量が5000〜30000であり、潤滑剤を樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部含有し、この樹脂層の引張強度が40N/mm以上、伸びが2%以上、厚さが3〜30μmであり、樹脂被覆アルミニウム合金板を圧下率40%まで圧延した場合の碁盤目試験での碁盤目残存率が60%以上であることを特徴とするコンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板が開示されている。(本文中により好ましい数平均分子量の範囲として10000〜20000とある。)
また、特許文献2には金属板の缶の内面側となる面に、数平均分子量が2,000〜100,000及びエポキシ当量が1,500〜50,000の範囲内のものであるエポキシ樹脂及び軟化点30℃以上のワックスを含有してなる塗料組成物による皮膜が乾燥塗布量10〜85mg/100cmの範囲で形成され、該皮膜の60℃における動摩擦係数が0.03〜0.20及び60℃における鉛筆硬度がH以上の範囲内にある絞りしごき加工性に優れた缶用潤滑鋼板が開示されている。この特許文献2にはその本文中に特に好ましい数平均分子量の範囲として3000〜70000と記載され、さらにサブクレームにおいて、脂肪酸エステル系ワックス、フッ素系ワックス、ポリオレフィン系ワックス,ラノリン系ワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックスから選ばれる少なくとも1種のワックスと規定されている。
成形性を向上させるためにワックスを添加した樹脂被覆アルミニウム合金板材の製造方法の例としては、例えば、特許文献3には多段しごき成形用インナーワックスを含有する塗装金属帯において、塗膜の断面方向から透過型電子顕微鏡で観察されるワックス粒子の3%以上が、a段目の成形前の塗膜の最表層から(100−Ya)×Z/100までの深さに存在するしごき成形性に優れた塗装金属帯が開示されている。ここで、Ya(%)とはa段目の成形での肉厚減少率であり、Z(μm)とはa段目の成形前の塗膜の厚みである。
また特許文献4にはワックス含有塗料を、塗装開始5秒後に金属板材の温度を110℃以下、10秒後に180℃以下に制御して塗装する缶蓋用アルミニウム合金板材の製造方法が開示されている。
特開2006−334917号公報 特開2004−314415号公報 特開2005−288980号公報 特開平11−244778号公報
特許文献1、特許文献2に開示された塗膜をアルミニウム板材に形成した材料は、通常の粘度の高いプレス油を用いたコンデンサケースへの成形では問題ないが、揮発性プレス油を用いて成形した場合、エポキシ系樹脂の分子量によっては塗膜の追従性が不足し、成形後の塗膜に亀裂が発生し、十分な成形性が得られない場合があった。これは、揮発性プレス油はプレス成形後脱脂なしでプレス油が蒸発することを目的としたプレス油であるので、通常のプレス油に比べて粘度が低くて、油が切れやすく、潤滑性が低いためである。
また、アルミニウム電解コンデンサケースの成形においても、樹脂被覆アルミニウム合金板材へのワックス添加は成形性向上のために有効である。しかし、特にケースの高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケースの場合、樹脂層が大きく引き延ばされるため、表面に存在するワックスだけでは潤滑が未だ不足し、樹脂層に損傷が発生する。したがって、高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケースに適用する場合は未だ十分な成形性を備えるということはできない。
例えば、特許文献3に開示された金属板は従来方法によるしごき成形が施される缶に用いられ、成形後の脱脂や塗装の省略を意図した塗装金属板であって、しごき成形性を向上させるために、a段目の成形前の塗膜の最表層から(100−Ya)×Z/100までの深さに存在するワックスの断面積が、3%以上であることを規定している。しかしながら、特定条件でのワックスの最小断面積を規定してもワックス分布の均一性が十分に保証されるものではなく、過大なワックス粒子が存在した場合、過大ワックス粒子が破断起点となるため、塗膜が破断しやすくなることは容易に想定される。
したがって、この特許文献3に開示された金属板でも、揮発性プレス油を用いた深絞り成形やしごき成形によって高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケース成形を行う場合には、局所的な潤滑不足や樹脂層の強度不足に起因して樹脂層に損傷が発生するという問題は解消されていない。
また、特許文献4ではアルミニウム合金板材にワックス含有塗料を焼付ける際の焼付5秒後と10秒後の金属板の温度を規定しており、その実施例にはエポキシユリア系塗料にポリエチレンワックス、カルナバワックス、ラノリンをそれぞれ固形分に対して0.5%添加した例も記載されている。
しかしながら、この塗料を特許文献4に規定される条件にて焼き付けしても、揮発性プレス油を用いて高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケースを成形すると成形性が不十分で、樹脂層に損傷が発生する場合があった。これはポリエチレンワックスとカルナバワックスを添加して、焼付5秒後と10秒後の金属板の温度を規定しても、添加するワックスの種類や粒径により樹脂層中ワックスの分布状況が変化するので、揮発性プレス油を用いて高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケースを成形するには潤滑が不十分なワックスの分布状態になる場合があるためと考えられる。缶蓋は高さ/直径比(ユニットデプス/カールダイア比)が0.13程度であるのに対し、アルミニウム電解コンデンサケースは高さ/直径比が1.1〜1.7程度であり、缶蓋用としては問題なくても、揮発性プレス油を用いて高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケースを成形すると潤滑性が不十分で、樹脂層に損傷が発生する場合があった。
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、揮発性プレス油を用いて高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケースに成形する場合であっても、良好な成形性を備えかつ十分な耐食性が得られるアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材及びアルミニウム電解コンデンサケース、アルミニウム電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明者は種々のワックスを用いてさまざまな条件にて樹脂層を形成し、樹脂層表面および内部のワックス存在状態と成形性の関係を調査した結果、樹脂層内部に大きさと個数を規定したワックスを存在させ、樹脂層が引き延ばされたときに内部からワックスが出てくるように具体的に調整することによって、高さ/直径比が大きいアルミニウム電解コンデンサケースに成形しても成形後の樹脂層に亀裂や剥離が発生しないことを見出した。
さらに本発明者は主成分として各種分子量のエポキシ系樹脂を用いて樹脂層をアルミニウム板材に形成し、揮発性プレス油を用いてコンデンサケースに成形して成形性を調査した結果、エポキシ系樹脂の分子量を規定するとともに、樹脂層に適切にワックスを分散させ、樹脂層厚さを適正にする必要があることを見出した。
すなわち本発明のアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材は、樹脂層を構成する樹脂として少なくとも数平均分子量5000以上13000以下のエポキシ系樹脂を主成分として含み、ポリエチレンワックスとカルナバワックスの内の少なくとも1種を含有し、前記樹脂層表面に対して垂直な断面厚さである樹脂層厚さが2μm以上22μm以下であり、前記樹脂層表面における長さ100μmの一の直線が切断するワックス粒子長さの和が10μm以上であり、かつ、当該100μmの一の直線を一辺とする樹脂層断面領域には、樹脂層厚さの80%以下であって、0.1μm以上である長径部分を備える断面形状のワックス粒子が、3個以上50個以下存在し、かつ樹脂層厚さの80%を超える長さの長径部分を備えるワックス粒子が10個未満であることを特徴とする。
以上においてアルミニウム合金板材には純アルミニウム板材も含む。
ポリエチレンワックスとカルナバワックスの重量比率を1:4〜4:1とすることができる。
以上のアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材を用いてアルミニウム電解コンデンサケースとすることができる。
以上のアルミニウム電解コンデンサケースを用いてアルミニウム電解コンデンサとすることができる。
本発明のアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材によれば、揮発性プレス油を用いて高さ/直径比が大きいコンデサケースを成形しても、十分な絶縁性及び耐食性を得ることができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(1)樹脂層を構成する樹脂(ベース樹脂)
(i)主成分の種類
樹脂層を構成する樹脂(ベース樹脂)は少なくともエポキシ系樹脂を主成分として含まなければならない。
成形性のみを考えた場合は主成分にポリエステル系樹脂も使用可能であるが、ポリエステル樹脂だけでは加水分解を起こしやすく、コンデンサの使用環境によっては十分な耐食性が得られないからである。
(ii)主成分の数平均分子量
樹脂層を構成する樹脂(ベース樹脂)の主成分、すなわちエポキシ系樹脂の数平均分子量は5000以上13000以下でなければならない。(重量平均分子量では40000以上90000以下が望ましい。)
エポキシ樹脂の分子量が大きいほど、1本1本が長い分子が絡みあうことになり、分子同士の変位の自由度が大きくなることから、樹脂層の伸びが大きくなる。その結果、成形時のアルミニウム板材への追従性を向上させることができる。
しかしながら、数平均分子量が13000を超えると(重量平均分子量が90000を超えると)密着性が悪化し、結果的に成形性向上効果が十分ではなくなる。さらに望ましくは、数平均分子量7000以上11000以下(重量平均分子量60000以上83000以下)である。塗料を塗装して樹脂層を形成する場合は、塗料中のエポキシ樹脂の数平均分子量はGPC(ゲル排除クロマトグラフィー)にて測定する。
(iii)硬化剤
硬化剤としてはエポキシ系樹脂の硬化に用いられる樹脂を使用すればよい。具体的には、ユリア、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンといったアミノ樹脂あるいはクレゾール、ブチルフェノール、フェノールといったフェノール樹脂、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートといったイソシアネートなどの使用が可能である。硬化剤の種類によって硬化状況が異なるが、樹脂層に適度な柔軟性と密着性与えることから、ユリア樹脂が特に好ましい。添加量は樹脂層中に1〜30wt%が好ましい。
(2)樹脂層の厚さ
樹脂層の厚さは2μm以上22μm以下でなければならない。2μm未満では樹脂層が伸ばされたときに破断しやすく、22μmを超えると一般的なコンデサケース金型で成形した場合、ポンチとダイスのクリアランスが不足して面圧が大きくなりすぎ、ワックスを添加しても潤滑効果が不足し、樹脂層が損傷するからである。なお、樹脂層の好ましい厚さは5μm以上14μm以下である。
(3)樹脂層表面及び内部のワックス
(i)樹脂層断面状態の観察方法及びワックス個数の測定方法
本発明を実施するに当たり、樹脂層断面状態は、樹脂層のみを超薄片として透過型電子顕微鏡にて観察する。超薄片の準備としては、塗装したアルミニウム合金板を常温の10%塩酸に浮かべてアルミニウム合金のみ溶解して樹脂層を採取し、採取した樹脂層をルテニウム酸にて染色してからエポキシ樹脂に埋め込み、ウルトラミクロトームにて超薄片とする。
このように樹脂層断面の観察を行うと、図1に示すように、樹脂層表面のワックスは表面に平行に長い線上に観察され、樹脂層内部のワックスは円または楕円に近い形に観察される。一般にワックスの方が樹脂より表面エネルギーが低いので、ワックスは表面に出やすい傾向があり、出てきたワックスは濡れ広がって平たくなるため、断面では線状に観察される。
図1は樹脂層1内部のワックス粒子2a〜2dの様々な存在状態を視覚的に示す模式図であり、樹脂層1はアルミニウム合金板材との界面を有し、その反対の面が樹脂層1表面となる。
樹脂層1内部のワックス粒子2a〜2dは樹脂層1形成過程において、液体状の樹脂中で液体になることから、平衡論的には樹脂との界面が最も小さい形状、つまり球状になる傾向がある。しかし、実際には、塗装焼付は比較的短時間で行われるため、平衡状態に至る前の準安定な形状を備えたワックス粒子2a〜2dとなる。
この準安定な形状とは、完全な球状に至る前の長径と短径の差が小さい断面楕円状の球や、いびつな球状である。しかし、比較的短時間で塗装焼付が行われても、界面/体積比が大きい、長径と短径の差が大きい楕円や針状になることは少ない。したがって、樹脂層1断面状態の評価におけるワックス性状の評価は、断面が円である完全な球状との比較においてワックス粒子2a〜2dの大きさを規定することによって行うことができる。
したがって本発明の樹脂層断面におけるワックス粒子の規定にあって、xμm以上である長径(ただし、断面におけるワックス粒子が円の場合は「直径))部分を備える断面形状のワックス粒子とは、図1に示されるように直径xμmの円3より大きい断面形状のワックス粒子2cであって、その円3をワックス粒子2cの断面に重ねたとき、ワックス粒子2cの断面形状がその円3の中に入りきらず、はみ出している長径部分を備えるワックス粒子2cである。また、樹脂層1の厚さのy%以下である長径部分を備える断面形状のワックス粒子2dとは、図1に示される樹脂層1の厚さの大きさのy%以下の大きさの直径zμm(=樹脂層1の厚さ×y/100)の円4より小さい断面形状のワックス粒子2dであって、その円4をワックス粒子2dの断面に重ねたとき、ワックス粒子2dの断面形状がその円4の中に入っており、長径部分がはみ出していないワックス粒子2dである。
なお、長さがちょうど100μmの超薄片を切り出すことは難しいので、樹脂層内部のワックス個数を数えるときは、切り出された超薄片全長にてワックス個数を数え、長さ100μmあたりに換算する。
また、樹脂層のワックス分布を多数調査した結果、後述する方法にて樹脂層を形成すれば、本発明の樹脂層におけるワックス分布のばらつきは小さいことがわかった。すなわち、個々のワックス粒子は0.1μm〜10μm程度のサイズのものがほとんであることから、100μmオーダーの長さにおいて数カ所のワックス分布を平均すれば、樹脂層全体がその平均値と同一の分布と判断可能である。言い換えると、後述するワックス分布(樹脂層表面のワックス占有率、樹脂層内部のワックス個数)と成形性の関係は、100μmオーダーの長さにおいて数カ所のワックス分布を測定した平均と同じであることが確認されている。
(ii)ワックス種類
本発明のアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材に使用するワックスの種類としては、単独で使用する場合は、ポリエチレンワックスが望ましい。ポリエチレンワックスは種々の粒径を有するものが市販されており、本発明の樹脂層中ワックス分布を得やすいとともに、同じようにワックスを分布させても、他のワックスに比較して、潤滑性がよいからである。ポリエチレンワックスとカルナバワックスを混合するとさらに潤滑性がよくなる。ポリエチレンワックスとカルナバワックスの比率は1:4〜4:1が望ましい。どちらかがこれより少ないと単独添加時と同等の効果しか得られないからである。
(iii)樹脂層表面のワックス分布
本発明にあっては樹脂層1表面における長さ100μmの一の直線5がワックス粒子2e、2fを切断する長さd1、d2、d3、d4、d5、d6の和が10μm以上に規定される。
成形初期は樹脂層1表面のワックスによって潤滑される必要があるので、樹脂層1表面には、長さ100μmの一の直線5を描いた時に、その一の直線5がワックス粒子2e、2fを切断する(言い換えれば、直線上に存在する)長さの和(d1+d2+d3+d4+d5+d6)が10μm以上、すなわち樹脂層1表面に対して占有率10%以上のワックスが必要である。
この占有率が10%未満であると、初期の潤滑が不足し、成形後樹脂層1損傷の原因となる。好ましくは20%以上である。上限は特になく、樹脂層1表面が100%ワックスで覆われていても良い。
(iv)樹脂層内部のワックス分布
さらに樹脂層1がある程度以上引き延ばされたときに、樹脂層1中から出てきて潤滑するワックスとして、樹脂層1厚さの80%以下の大きさであって、0.1μm以上の大きさである長径部分を備える断面形状のワックス粒子が、3個以上50個以下存在している必要がある。
この樹脂層1の厚さの80%以下である長径部分を備える断面形状のワックス粒子2a、2dとは、図1に示される樹脂層1の厚さの大きさの80%以下の大きさの直径の円4より小さい断面形状のワックス粒子2a、2dであって、その円4をワックス粒子2a、2dの断面に重ねたとき、ワックス粒子2a、2dの断面形状がその円4の中に入っており、長径部分がはみ出していないワックス粒子2a、2dである。
0.1μm以上である長径部分を備える断面形状のワックス粒子とは、図1に示されるように直径0.1μmの円6より大きい断面形状のワックス粒子2a、2c、2dであって、その円6をワックス粒子2a、2c、2dの断面に重ねたとき、ワックス粒子2a、2c、2dの断面形状がその円6の中に入りきらず、はみ出している長径部分を備えるワックス粒子2a、2c、2dである。図1に示される樹脂層1ではワックス粒子2bは0.1μm以上である長径部分を備える断面形状のワックス粒子に該当しない。
樹脂層1内部のワックス粒子2が長径部分において直径0.1μmの円より小さいワックス粒子2bばかりである場合には、成形後樹脂層1の損傷が大きい。これは樹脂層1中に存在するワックス粒子径が小さ過ぎると添加されていても十分な潤滑性が得られないためと考えられる。
3個以上50個以下存在しているワックス粒子2a、2dが長径部分において樹脂層1厚さの80%以下の大きさとするのは、樹脂層1厚さの80%の大きさを超える長径部分を備えるワックス粒子2cが破断起点となって塗膜が破断しやすくなることを防止するためである。なお、好ましくは8個以上14個以下である。
(v)当該100μmの一の直線5を一辺とする樹脂層1断面領域には、樹脂層1厚さの80%の大きさを超える長さの長径部分を備えるワックス粒子2cが10個未満である。
観察される樹脂層1内部のワックス粒子が直径が樹脂層1厚さの80%の大きさを超える長さの長径部分を備えるワックス粒子2c、すなわち樹脂層1厚さの80%の大きさの円4を超えるものが多数となり、樹脂層1中に存在するワックス粒子径が大き過ぎると、樹脂層1が引き延ばされたときの破断起点となり、成形後樹脂層1の損傷が大きくなり不都合である。
したがって100μmの一の直線5を一辺とする樹脂層1断面領域観察時、断面の長径部分が樹脂層1厚さの80%の大きさの円を超えるワックス粒子2cは、10個未満でなければならない。好ましくは5個未満である。
なお、ワックス粒子2の個数としては、樹脂層1表面における長さ100μmの一の直線5領域の断面に存在するワックス粒子2が3個以上50個以下であることが好ましい。3個未満であると、ワックスが大きくても十分な潤滑性が得られず、50個を超えるとワックスが小さくても樹脂層1が引き延ばされたとき破断起点になりやすい部分が多くなり、樹脂層1の損傷ができやすくなると考えられる。
(4)樹脂層の形成方法
(i)ラミネート
以上の本発明の条件を充足する様に樹脂層1中にワックス粒子2を存在させてアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材を製造するためには、予め前記樹脂層1表面における長さ100μmの一の直線5が切断するワックス粒子2の長さの和が10μm以上で、かつ、当該100μmの一の直線5を一辺とする樹脂層1断面領域には、樹脂層1厚さの80%以下の大きさであって、0.1μm以上の大きさである長径部分を備える断面形状のワックス粒子2が、3個以上50個以下観察されるように濃度を調整して添加した樹脂を押出しラミネートするようにしても良い。
(ii)塗装
しかし、コスト的には塗装の方が有利であり、塗装を行う場合には、樹脂層1表面における長さ100μmの一の直線5が切断するワックス粒子長さの和が10μm以上で、かつ、当該100μmの一の直線5を一辺とする樹脂層1断面領域には、樹脂層1厚さの80%以下の大きさであって、0.1μm以上の大きさである長径部分を備える断面形状のワックス粒子2が、3個以上50個以下存在し、当該100μmの一の直線5を一辺とする樹脂層1断面領域には、樹脂層1厚さの80%の大きさを超える長さの長径部分を備えるワックス粒子2が10個未満になるように、予めワックスの平均粒径、添加量を調節して、塗料に添加し、焼付塗装を行う。
この場合、具体的には、ワックス粒子2の粒径としては平均粒径が樹脂層1厚さの10%以上80%未満の大きさのワックスを用い、係るワックスを樹脂固形分に対して0.5重量%以上5.0重量%未満の添加量で添加して、以下に説明する方法にて焼き付けることによって、本発明のワックス分布を得ることができる。
塗料は加熱されると対流しながら温度が上昇するが、その際、塗料の温度がワックスの融点を超えるとワックスは液体になり、塗料の対流によって攪拌され、塗料表面に出てきたものはベース樹脂より表面エネルギーが小さいことから表面に濡れ広がる。しかしながら、塗料表面にでなかったものはいわゆるオストワルド成長と同じ原理で個々のワックス粒子2が集まって粒径が大きくなってしまう。温度上昇が早すぎるとワックス粒子2が表面に出る前に樹脂が硬化する。温度上昇が遅すぎると大部分のワックス粒子2が表面に出てしまい、樹脂層1内部のワックス粒子2が少なくなるとともに、個々のワックス粒子2が大きく成長してしまう。
したがって、本発明のワックス分布を得るには、図2に示される様に(過程1)ワックスが溶融する温度まではすぐに上昇させ、(過程2)ワックスが占有率10%以上出るまではワックスは溶融しているが樹脂が硬化しない温度範囲に保持し、(過程3)その後は内部のワックスが樹脂で固定されて成長しないよう、樹脂がある程度以上硬化する温度まで上昇させるのが望ましい。過程1ではワックスは溶融する温度は添加するワックスの融点より6℃以上高い温度にする必要がある。ワックス融点より6℃未満であると、ワックスが十分溶融しないからである。
また、図2に示される様にワックスの融点より6℃高い温度に達するまでの時間をT1秒としたとき、T1は10秒以内が望ましい。10秒を超えると樹脂分を溶解あるいは分散させている溶剤あるいは水分が蒸発して塗料粘度が上昇し、樹脂が硬化しない温度で保持しても十分ワックスが表面に出てこない場合があるからである。
過程2のワックスは溶融しているが樹脂が硬化しない温度範囲とはワックスの融点より6℃以上高く、樹脂を十分硬化させるのに必要な最終到達温度より100℃以上低い温度である。ワックス融点より6℃未満であると、ワックスが十分溶融せず、樹脂を十分硬化させるのに必要な最終到達温度より100℃以上低くないと樹脂の硬化が進んでしまうからである。 この温度範囲での保持時間(T2−T1)は3秒以上15秒未満が望ましい。ここにT2は焼付開始から最終到達温度より100℃低い温度に達するまでの時間(秒)である。
保持時間が3秒未満であるとワックスが表面に十分出てこない。また、15秒以上であるとベース樹脂の種類によっては硬化が始まってしまうからである。過程3の樹脂がある程度硬化してワックスが固定される温度とは、最終到達温度より20℃低い温度である。焼付開始から最終到達温度より20℃低い温度に達するまでの時間をT3秒としたとき、T3−T2は20秒以内が望ましい。T3−T2が20秒を超えると内部のワックスが大きくなりすぎる場合があるからである。樹脂が十分硬化する最終到達温度はベース樹脂の性能がもっともよくなるように決定すればよく、エポキシ樹脂の場合は240〜300℃、ポリエステル樹脂の場合は230〜300℃である。
なお、アルミニウム合金板に低コストにて塗装を行うには、アルミニウム合金条をロールコーターにて連続的に塗装する方法が最も適している。この方法にて塗装する場合、数ゾーンに分かれた焼付炉にて塗料を焼き付けることになるので、図2のグラフに可能な限り近くなるように温度を設定する。また、焼付時間は10秒以上60以下が望ましい。さらに望ましくは20秒以上45秒以下である。
樹脂層1の下地処理としては、従来よりアルミニウム合金用に用いられているリン酸クロメート処理の他に塗布型クロメート処理や環境問題に配慮したノンクロメート処理を用いることもできる。ノンクロメート処理としては、反応型のリン酸ジルコニウム処理、リン酸チタニウム処理の他、塗布型ジルコニウム処理などを用いることもできる。
[実施例]
1100−H24、厚さ0.3mmのアルミニウム板材に塗装下地処理として、市販のアルカリ性脱脂液にて脱脂し、市販のリン酸クロメート処理液にて化成処理した。このアルミニウム板材の片面に表1−1〜表1−2に示すように各種塗料をそれぞれの条件にて焼付け、サンプルとした。
各塗料の数平均分子量は、GPC:東ソー製HLC8020、カラム:TSK-GEL G4000HXL(粒子径5μm、排除限界分子量(ポリスチレン)10000)+ TSK-GEL G2000HXL(粒子径5μm、排除限界分子量(ポリスチレン)4000000)、溶離液:テトラヒドロフラン、検出器:RIにて測定した。
焼付は3ゾーンからなる熱風乾燥炉を使用し、表1−1、表1−2に示す金属到達温度になるよう各ゾーンの雰囲気温度を設定した。金属到達温度は熱電対にて測定した。
Figure 2009032881
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このサンプルのワックス分布状況を把握するため、樹脂層表面に対して垂直な断面を、5カ所において長さ100μmに渡って透過型電子顕微鏡にて観察した。この5カ所における樹脂層表面のワックス占有率および樹脂層内部のワックス個数を測定した(5カ所の平均)。また、5段の絞りしごき成形方式にて、樹脂被覆面を外面にして各種サイズのアルミニウム電解コンデンサケースに成形し、成形後樹脂層を目視観察して評価した。成形の際、動粘度1.6mm/sの揮発性プレス油を使用した。
(成形性評価基準)
◎ :成形前と変化ない。
○ :樹脂層に微少な亀裂が発生し、表面が若干荒れている。
△ :樹脂層に亀裂が発生し、表面が荒れている。
:樹脂層に亀裂が発生し、表面が荒れているとともに、筋が観察される。
◎、○であれば、十分な絶縁性を確保できる。
また、耐食性はJIS Z2371に準拠した塩水噴霧試験にて評価した。70×150(mm)のサンプルにクロスカットを入れ、塩水噴霧2000時間後、クロスカット部の膨れの有無にて評価した。

(耐食性評価基準)
○:腐食なし
×:腐食あり
○であれば、コンデンサケースとして十分な耐食性を有する。
評価結果を表2−1〜表2−2に示す。
Figure 2009032881
Figure 2009032881
表1−1〜表1−2に示す本発明例である番号1〜番号30試験片はベース樹脂系をエポキシとし、最終到達温度240℃で塗装された。また、番号1〜番号12及び番号14番号30試験片は硬化剤をユリアとし、一方番号13については、硬化剤をフェノールとして塗装された。
したがって以上の番号1試験片〜番号30試験片にあってはそのベース樹脂系は何れもエポキシ系である。
一方、ワックスについては番号14〜番号25試験片はポリエチレン100%として塗装され、番号30試験片はカルナバ100%として塗装された。これに対し番号1〜番号13試験片はポリエチレン%/カルナバ%を56%/44%として塗装された。また番号26〜番号29試験片はポリエチレン%/カルナバ%を82%/18%〜17%/83%として塗装された。
したがってワックスについては番号1試験片〜番号30試験片は何れもポリエチレンワックス及びカルナバワックスの少なくともいずれか一を用いたワックスを有し、本発明の条件を充足する。
また番号1〜番号13試験片はポリエチレン%/カルナバ%を56%/44%として塗装され、ポリエチレン%/カルナバ%を82%/18%〜17%/83%として塗装された番号26〜番号29のうち、特に番号27、番号28試験片は、ポリエチレンワックスとカルナバワックスの重量比率を1:4〜4:1とする条件を充足する。
また焼付条件については樹脂層厚さ7.4〜8.6μmで焼き付けされた番号1〜番号6試験片及び番号13〜番号30試験片は樹脂層厚さが2μm以上22μm以下とする本発明条件を充足する。また樹脂層厚さ2.2〜21.0μmの範囲で焼き付けされた番号7〜番号12試験片も本発明条件を充足し、樹脂層厚さが2μm以上22μm以下とする本発明条件の臨界的意義を示している。
さらに以上の本発明例である番号1試験片〜番号30試験片は表2−1〜表2−2に示す様に何れも樹脂層表面のワックス占有率、すなわち樹脂層表面における長さ100μmの一の直線領域に存在するワックス粒子が前記一の直線上に占める弦の和が10μm以上(10%以上)であり、本発明条件を充足する。特に番号14〜番号16試験片は本発明条件の下限値に近い12.4%〜25.0%のワックス占有率であった。
また樹脂層中のワックスの個数に関しては本発明例である番号1試験片〜番号30試験片は表2−1〜表2−2に示す様に何れもが樹脂層厚さの80%以下であって、0.1μm以上である長径部分を備える断面形状のワックス粒子が、3個以上50個以下という本発明条件を充足する。特に番号17〜番号22試験片は当該個数が3.4〜46.8個の範囲で異なる個数を示しており、番号22試験片が本発明条件の上限に近い46.8個を示し、一方番号17試験片は本発明条件の下限に近い3.4個を示し、本発明条件の技術的意義を示している。
さらに樹脂層厚さの80%を超える長さの長径部分を備えるワックス粒子、すなわち直径が膜厚の80%の円より大きいワックス粒子の個数は本発明例である番号1試験片〜番号30試験片はいずれも10個未満であり、番号24、番号25試験片以外は5個未満である。特に番号25試験片は本発明条件の上限に近い9.8個であり、一方番号24試験片は5個を超える5.6個であるという特徴を示す。
以上の性状を備える本発明例の樹脂層はいずれも潤滑性に優れ、高さ/直径比の大きいアルミニウム電解コンデンサケースに成形しても十分実用に耐える絶縁性を有する。
特に本発明例番号3、番号4及び番号9、番号10及び番号27、番号28については高さ/直径=2.2という厳しい成形条件でも樹脂層が成形前と目視で変化がない(◎)という良好な成形性を示した。
一方、比較例である番号31〜番号40試験片については、番号36試験片を除いてベース樹脂系をエポキシ/ユリア系とし、最終到達温度を240℃に設定して塗装された。しかし、番号36試験片はベース樹脂系がポリエステルであり、その点でエポキシ系樹脂を主成分として含むとする本発明条件を充足しない。
ワックスについては番号35試験片を除いてポリエチレン100%とされたのに対し、番号35試験片はラノリン100%とされ、番号35試験片はこの点でポリエチレンワックス及びカルナバワックスの少なくともいずれか一を用いたワックスを有するとする本発明条件を充足しない。
焼付条件は、番号31〜番号38試験片は膜厚7.6〜8.2μmとされたが、番号39試験片は膜厚1.5μm、番号40試験片は膜厚23μmに焼き付けされ、番号39、番号40試験片はその点で樹脂層厚さが2μm以上22μm以下とする本発明条件を充足しない。
番号31はワックス添加量が0.4wt%と少なめであることから表面のワックス占有率が9.2%と不足し、その点でワックス粒子が100μmの一の直線上に占めるワックスの長さの和が10μm以上(10%以上)とする本発明条件を充足しない。そのため、番号31試験片では高さ/直径=2.2という成形条件のアルミニウム電解コンデンサケースを製造する場合には樹脂層に亀裂が発生し、表面が荒れる(△)という結果となり、成形性が不十分であった。
番号32はワックス添加量が0.4wt%と少なすぎたため、樹脂層厚さの80%以下であって、0.1μm以上である長径部分を備える断面形状のワックス粒子が、3個以上50個以下という条件の下限である3個に達しない、2.6個であり、高さ/直径=2.2という成形条件のアルミニウム電解コンデンサケースを製造する場合には樹脂層に亀裂が発生し、表面が荒れる(△)という結果となり、成形性が不十分であった。
一方、番号33はワックス添加量が7.6wt%と比較的に多かったため、樹脂層厚さの80%以下であって、0.1μm以上である長径部分を備える断面形状のワックス粒子が、3個以上50個以下という本発明条件の上限を超えて、52個に達し、高さ/直径=2.2という成形条件のアルミニウム電解コンデンサケースを製造する場合には樹脂層に亀裂が発生し、表面が荒れる(△)という結果となり、成形性が不十分であった。
番号34は樹脂層厚さの80%を超える長さの長径部分を備えるワックス粒子、すなわち直径が膜厚の80%の円より大きいワックス粒子の個数が本発明条件の10個未満という上限の条件を超えて10.8個であり、ワックスの平均粒径が樹脂層厚さに対して大きすぎるため、高さ/直径=2.2という成形条件のアルミニウム電解コンデンサケースを製造する場合には樹脂層に亀裂が発生し、表面が荒れる(△)という結果となり、成形性が不十分であった。
番号35はワックスがラノリンのみでポリエチレンワックスあるいはカルナバワックスを含まないことから、高さ/直径=1.75のアルミニウム電解コンデンサケースには正常に成形できなかった。
番号36はベース樹脂系がポリエステルであり、主成分としてエポキシ樹脂を含まないことから、耐食性に劣る。
番号37、番号38は主成分としてエポキシ樹脂を用いてはいるが、その数平均分子量が番号37では4500であり、一方番号38は14000であって、何れも樹脂層を構成する樹脂として少なくとも数平均分子量5000以上13000以下のエポキシ系樹脂を主成分として含むとする条件を充足せず成形性に劣り、高さ/直径=1.75のアルミニウム電解コンデンサケースは正常に成形できなかった。
番号39は樹脂層厚さが1.5μmであり樹脂層厚さが2μm以上22μm以下とする条件を充足せず薄すぎるため、高さ/直径=1.75のアルミニウム電解コンデンサケースには正常に成形できなかった。
番号40は樹脂層厚さが23μmであり、樹脂層厚さが2μm以上22μm以下とする条件を充足せず厚すぎるため、高さ/直径=1.58という成形条件で樹脂層に亀裂が発生し、表面が荒れている状態となり、アルミニウム電解コンデンサケースには正常に成形できなかった。
[公知特許文献記載技術との対比検証]
(1)比較例番号31の特許文献1記載技術該当性検証
比較例番号31はエポキシ樹脂を主成分とし硬化剤としてユリア樹脂を添加している。数平均分子量は10500であり、潤滑剤(ポリエチレンワックス)を0.5%含んでいる。樹脂層厚さは7.8μmである。この番号31の塗料を樹脂層厚さ20μmに塗装した塗装材よりアルミニウムのみ溶解してフリーフィルム(厚さ20μmの樹脂膜(フリーフィルム)を幅30mm、長さ180mmの短冊状にしたもの)を作成して樹脂層の機械的性質を調査したところ、引張強度42N/mmで伸びは4%であった。また、圧延機を用いて圧下率40%まで圧延した後、碁盤目試験を実施した結果、碁盤目残存率が100%であった。
以上の結果から、番号31の比較例は特許文献1の発明例に該当することが確認された。
しかし、この番号31は本発明例との比較では前述した様に、揮発油を用いて高さ/直径比が大きいコンデサケースに成形する場合、成形性が不十分であることが確認された。
(2)比較例番号39の特許文献2記載技術該当性検証
番号39は数平均分子量10500、エポキシ当量が10200のエポキシ樹脂及び融点(軟化点)が90℃のポリエチレンワックスを含む塗膜が樹脂層厚さ1.5μm(樹脂層の比重は1.2なので、単位面積あたりの樹脂層重量は18mg/100cm)で形成され、60℃における動摩擦係数を測定したところ0.04であり、鉛筆硬度は3Hであった。
以上の結果から、番号39の比較例は特許文献2の発明例に該当することが確認された。
しかし、この番号39は本発明例との比較では前述した様に、揮発油を用いて高さ/直径比が大きいコンデサケースに成形する場合、成形性は不十分であることが確認された。
(3)比較例36の特許文献3記載技術該当性検証
特許文献3には、総肉厚減少率10%以上のしごき成形をされるに際し、多段しごき成形用インナーワックスを含有する塗装金属帯において、塗膜の断面方向から透過型電子顕微鏡で観察されるワックス粒子において、a段目の成形での肉厚減少率Ya%、a段目の成形前の塗膜の厚みをZ(μm)とするとき、a段目の成形前の塗膜の最表層から(100−Ya)×Z/100までの深さに存在するワックスの断面積が3%以上であるしごき成形性に優れた塗装金属帯が開示されている。
本願の比較例36は特許文献3の発明例と同じポリエチレンワックスを含んでいる。
特許文献3に示される方法にて、本願の実施例の成形の各段において、表層から(100−Ya)×Z/100に存在するワックスの割合を調べた結果以下のとおりであった。(本願実施例の総肉厚減少率は19.6%である。)
1段目:Ya=1%、Z=7.9μm、表層から(100−Ya)×Z/100=7.8μmまでの深さに存在するワックスの割合は99%
2段目:Ya=1%、Z=7.8μm、表層から(100−Ya)×Z/100=7.7μmまでの深さに存在するワックスの割合は99%
3段目:Ya=2%、Z=7.7μm、表層から(100−Ya)×Z/100=7.5μmまでの深さに存在するワックスの割合は95%
4段目:Ya=8%、Z=7.5μm、表層から(100−Ya)×Z/100=6.9μmまでの深さに存在するワックスの割合は93%
5段目:Ya=9%、Z=6.8μm、表層から(100−Ya)×Z/100=6.1μmまでの深さに存在するワックスの割合は92%
以上の結果から比較例36は特許文献3の発明例に該当することが確認された。
しかし、この比較例36は揮発油を用いて高さ/直径比が大きいコンデサケースに成形する場合、本発明例との比較では前述した様に、成形性が不十分であることが確認された。
(4)比較例34の特許文献4記載技術該当性検証
特許文献4にはワックス含有塗料を、塗装開始5秒後に金属板材の温度を110℃以下、10秒後に180℃以下に制御して塗装する缶蓋用アルミニウム合金板材の製造方法が開示されている。
本願の比較例34は、ワックスとしてポリエチレンワックスを含み、焼付開始後5秒後の金属板の温度は90℃であり、10秒後は130℃である。
したがって、比較例34は特許文献4の発明例に該当する。
しかし、この比較例34は揮発油を用いて高さ/直径比が大きいコンデサケースに成形する場合、本発明例との比較では前述した様に、成形性が不十分であることが確認された。
以上のように、特許文献1〜特許文献4に示される発明に該当する各比較例は、揮発油を用いて高さ/直径比が大きいコンデサケースに成形する場合、成形性が十分ではない。
これに対し、本発明例は樹脂層を構成する樹脂の種類及び分子量、樹脂層表面及び内部のワックス分布状況等を規定することにより、揮発油を用いて高さ/直径比が大きいコンデサケースに成形する場合においても十分な成形が可能な性能を付与したものである。
図1は樹脂層1内部のワックス粒子2a〜2dの様々な存在状態を視覚的に示す模式図 本発明のアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材の製造工程における塗料焼き付け過程での温度変化とワックスが溶融する過程、及び樹脂が硬化する温度の関係を示す説明図
符号の説明
1・・・樹脂層、2・・・ワックス粒子、5・・・100μmの一の直線領域

Claims (4)

  1. 樹脂層を構成する樹脂として少なくとも数平均分子量5000以上13000以下のエポキシ系樹脂を主成分として含み、ポリエチレンワックスとカルナバワックスの内の少なくとも1種を含有し、前記樹脂層表面に対して垂直な断面厚さである樹脂層厚さが2μm以上22μm以下であり、前記樹脂層表面における長さ100μmの一の直線が切断するワックス粒子長さの和が10μm以上であり、かつ、当該100μmの一の直線を一辺とする樹脂層断面領域には、樹脂層厚さの80%以下であって、0.1μm以上である長径部分を備える断面形状のワックス粒子が、3個以上50個以下存在し、かつ樹脂層厚さの80%を超える長さの長径部分を備えるワックス粒子が10個未満であることを特徴とするアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材。
  2. ポリエチレンワックスとカルナバワックスの重量比率を1:4〜4:1として得られる請求項1に記載したアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材。
  3. 請求項1または請求項2に記載のアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材を用いたアルミニウム電解コンデンサケース。
  4. 請求項1または請求項2に記載のアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材をケースに用いたアルミニウム電解コンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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