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JP2009097614A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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JP2009097614A
JP2009097614A JP2007269204A JP2007269204A JP2009097614A JP 2009097614 A JP2009097614 A JP 2009097614A JP 2007269204 A JP2007269204 A JP 2007269204A JP 2007269204 A JP2007269204 A JP 2007269204A JP 2009097614 A JP2009097614 A JP 2009097614A
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Hiroki Tsumoto
宏樹 津本
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】制動時に駆動伝達系に蓄積されたエネルギーによるショックを車両の搭乗者に再発進時に感じさせることを回避する。
【解決手段】ECUは、ブレーキ信号を検出した場合に(S100にてYES)、車速がしきい値V(0)未満であると(S120にてYES)、プロペラシャフトの変位量Xを検出するステップ(S130)と、変位速度αを算出するステップ(S140)と、一旦伸びたプロペラシャフトが縮む場合の|α|がしきい値B(0)よりも大きく(S150にてYES)かつA(0)<X<がA(1)であると(S160にてYES)、自動変速機をニュートラル状態に形成するステップ(S170)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図4

Description

本発明は、自動変速機の制御装置に関し、特に、伸縮部を備えたプロペラシャフトを有する後輪駆動車(FR:Front engine Rear drive)において、急制動に伴い駆動伝達系に蓄積される捩りエネルギーに起因するショックによる不快感を搭乗者に与えない制御装置に関する。
自動変速機に電磁弁を搭載し、外部から電気信号を入力して変速操作に関する変数、たとえば、変速段、油圧レベル、変速操作の時定数やタイミング等をECU(Electronic Control Unit)により調整する自動変速機が実用化されている。このようなECUにより自動変速機の運転状態を種々の状態へと確実かつ速やかに移行可能である。また、ECUには、CPU(Central Processing Unit)が組み込まれているので、プログラムにより制御が可能であるから、プログラムや種々の定数の変更を通じて、自動変速機の運転状態をきめ細かく設定すれば、車両の走行状態やエンジンの負荷状態に対応させて最適な性能を自動変速機から引き出すことが可能である。ここで、車両の走行状態とは、車速やステアリング操作、加速減速の頻度やそのレベル、路面状態等であり、エンジンの負荷状態とは、エンジンの回転数、スロットル開度、アクセルペダル踏み込み量、エンジンや自動変速機の入出力軸のトルク等である。
さらに、自動変速機に内蔵された係合要素(クラッチやブレーキ)に供給される油圧レベルは、車両の走行状態やエンジンの負荷状態に適合させてきめ細かく調整される。このように調整することにより、変速ショックの抑制と係合要素の損耗の軽減を両立させて、速やかで円滑な変速を達成することができる。
このような自動変速機は、エンジンとトルクコンバータ等を介して繋がるとともに複数の動力伝達経路を有してなる変速機構を有して構成され、たとえば、アクセル開度および車速に基づいて自動的に動力伝達経路の切り換えを行なう、すなわち自動的に変速比(走行速度段)の切り換えを行なうように構成される。一般的に、自動変速機を有した車両には運転者により操作されるシフトレバーが設けられ、シフトレバー操作に基づいて変速ポジション(たとえば、後進走行ポジション、ニュートラルポジション、前進走行ポジション)が設定され、このように設定された変速ポジション内(通常は、前進走行ポジション内)において自動変速制御が行なわれる。
このような自動変速機を有した車両において、前進走行ポジションが設定されて車両が停止している状態では、アイドリング回転するエンジンからの駆動力がトルクコンバータを介して変速機に伝達され、これが車輪に伝達されるため、いわゆるクリープ現象が発生する。クリープ現象は、登坂路での停車からの発進をスムーズに行なわせることができるなど、所定条件下では非常に有用なのであるが、車両を停止保持したいときには不要な現象であり、車両のブレーキを作動させてクリープ力を抑えるようになっている。すなわち、エンジンからのクリープ力をブレーキにより抑えるようになっており、その分エンジンの燃費が低下するという問題がある。
このようなことから、前進走行ポジションにおいて、ブレーキペダルが踏み込まれてブレーキが作動されるとともにアクセルがほぼ全閉となって車両が停止している状態では、前進走行ポジションのまま前進クラッチを解放させて、変速機をニュートラルに近いニュートラル状態として、燃費の向上を図ることが提案されている。
このようなニュートラル制御といわれる技術が、以下に示す特許文献に開示されている。
特開2000−310318号公報
ところで、駆動伝達系の機械要素としてプロペラシャフトを有するFR車においては、制動時に駆動輪(後輪タイヤ)からの駆動力が付加され、駆動伝達系に捩りエネルギーが蓄えられ易い。これについて、以下に詳しく説明する。
制動時には、車両の走行源であるエンジンが後輪タイヤにより駆動されることになる。このときにエンジンを駆動するエネルギーは、制動エネルギー分を差し引いた残留エネルギーであって、この残留エネルギーは、駆動伝達系にたわみを発生させる。駆動伝達系とエンジンとは機械的に接続されているので、エンジンのマウント系の弾性部材(ブッシュ、ゴム等)のたわみとなって蓄積される。エンジンのマウント系がたわむと、パワートレーン(エンジンとトランスミッション)は車両の前方方向に移動する傾向になる。このとき、トランスミッションと駆動輪とを接続している、駆動伝達系の主要な部品であるプロペラシャフトは、伸びることになる。プロペラシャフトは、このような状態に対応するために、伸縮部を備える。このようなときには、トランスミッションとプロペラシャフトとの結合が浅くなる。ただし、マウントの支持方法やパワートレーンやドライブトレーンの構成によっては結合が浅くなるのではなく、逆に突っ込まれた状態になる場合もあり得る(すなわち、残留エネルギーのない場合に比較して異なる状態になる)。
このような状態(すなわち、たとえば、上記した状態のうちの結合が浅くなる状態)で、ニュートラル制御を実行すると、この残留エネルギーが解放されて(エネルギーが解放されるとはエネルギーが発散されることである)、車両の前方方向に移動していたパワートレーン(プロペラシャフト)が元の位置(正規の位置)に戻される。このときに、トランスミッションとプロペラシャフトとの結合が浅かった状態から滑らかに摺動して結合状態が正規の状態に戻るとは限らない。
特に、減速時に車両姿勢がノーズダイブ状態(車両の急制動で車両が前のめりして車両先端が下がる状態)になり、プロペラシャフトの伸縮部が伸びる。その後、停止時における車両姿勢が元の状態に戻る(ノーズダイブから復帰する)と、プロペラシャフトの伸縮部の伸びも元に戻ろうとするのであるが、プロペラシャフトには捩りトルクが作用しているので、伸縮部が元の状態に戻ろうとする(縮もうとする)ときに異音やショックが発生する。
これは、トランスミッションのスプラインとプロペラシャフトのスプラインとが互いに噛合った状態(楔を打ち込んだような状態であって、瞬間的にあるいは部分的に固着している状態とも言え、スティック状態とも言う)になっていると、摺動して徐々にエネルギーが解放されるのではなく、一気に解放されてしまう。これにより、異音あるいはショックが発生するのである。
ニュートラル制御のように、通常は車両が完全に停止してブレーキペダルが踏まれていると、すなわち車両が完全に停止している状態で、入力クラッチが解放される。このニュートラル制御の前の制動時において残留エネルギーが蓄積されていると、ニュートラル制御は運転者の操作に関係なく開始されるので、運転者の操作に関係なくかつ車両が完全に停止している状態でショックが発生する。特に、運転者が何ら操作をしていない状態において車両にショックが発生することは好ましくない。
また、SUV(Sport Utility Vehicle)においては、通常のFR車(たとえば、いわゆる箱型自動車と言われる車両等)とは異なるリヤアクスル構造であることに起因して、弾性部材の他にサスペンションの挙動も寄与して、プロペラシャフトの伸縮量が大きくなる傾向にあり、急制動時においてプロペラシャフトがスティック状態に陥り易く、より大きな問題になる可能性がある。
しかしながら、このような問題については、上述した特許文献において言及されていない。なお、駆動伝達系に干渉部材としてフレキシブルカップリングを備えるようにしたり、結合部の摺動部分を超低摩擦係数の表面処理を施すようにしたりして、このような問題を解決しようとするとコストがアップする。さらに、車両停止時におけるニュートラル制御を禁止すると、このようなショックの問題は回避できるが、ニュートラル制御による燃費改善の効果を得ることができない。また、ニュートラル状態にしてトルク解放するタイミングを誤ると、再度プロペラシャフトがスティック状態に陥る可能性もあり、どのタイミングでニュートラル状態にしてトルク解放するのかについての制御については困難を極める。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、制動時に駆動伝達系に蓄積されたエネルギーによるショックを車両の搭乗者に再発進時に感じさせることを回避する、自動変速機の制御装置を提供することである。
第1の発明に係る制御装置は、車両に搭載されたエンジンと駆動輪との間の動力を、係合することにより伝達および解放することにより非伝達のいずれかの状態に切り換える係合要素を有する自動変速機を制御する。自動変速機と駆動輪とは伸縮部を備えたプロペラシャフトで連結されている。この制御装置は、車両の速度を検出するための手段と、伸縮部の変位量を直接的および間接的の少なくともいずれかで検出するための検出手段と、伸縮部が予め定められた伸縮状態であるか否かを判断するための判断手段と、速度が予め定められた速度より低くて、かつ、伸縮部が予め定められた伸縮状態であると判断されると、自動変速機がニュートラル状態になるように、係合要素を解放するように制御するための制御手段とを含む。
第1の発明によると、車両の速度および伸縮部の変位量を検出して、減速時に車両姿勢がノーズダイブ状態になり、プロペラシャフトの伸縮部が伸びた状態から復帰している(元の状態に戻りつつある)ときに、たとえば、適正なタイミング(たとえば車両停止直前)に、必要な時に(伸縮部の変位量や変位速度等に基づいて車両の再発進時にショックを発生させる伸縮状態である時に)、ニュートラル状態を形成して捩りトルクを解放する。このため、的確に捩りトルクを解放することができ、再スティック状態を回避して、プロペラシャフトのスティック状態を解消することができる。その結果、制動時に駆動伝達系に蓄積されたエネルギーによるショックを車両の搭乗者に再発進時に感じさせることを回避する、自動変速機の制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、判断手段は、伸縮部の変位および変位速度に基づいて、伸縮部が予め定められた伸縮状態であるか否かを判断するための手段を含む。
第2の発明によると、プロペラシャフトの伸縮部の変位が、たとえば、車両の再発進時にショックを発生させる伸縮量であること、および、プロペラシャフトの縮み速度が、たとえば、車両の再発進時にショックを発生させるスティック状態を形成するほどに速いことに基づいて、ニュートラル状態を形成する。このため、的確に捩りトルクを解放することができ、プロペラシャフトのスティック状態を解消することができる。
第3の発明に係る制御装置においては、第2の発明の構成に加えて、判断手段は、車両の再発進時にショックを発生させる伸縮状態であるか否かを判断するための手段を含む。
第3の発明によると、プロペラシャフトの伸縮部の変位やプロペラシャフトの縮み速度が、車両の再発進時にショックを発生させる状態であるときに、ニュートラル状態を形成する、このため、再発進時にショックを発生させるプロペラシャフトのスティック状態を的確に解消することができる。
第4の発明に係る制御装置においては、第3の発明の構成に加えて、判断手段は、伸縮部が縮む状態であって、変位速度が予め定められた速度よりも大きく、伸縮部の変位が予め定められた大きさの範囲であると、車両の再発進時にショックを発生させる伸縮状態であると判断するための手段を含む。
第4の発明によると、プロペラシャフトが制動時に一旦伸びて、元の状態に戻っている過程であって、変位速度(縮み速度)がスティック状態を引き起こすほどに大きく、伸縮部の変位が再発進時にショックを発生させる程度の範囲にある場合に、ニュートラル状態を形成する。このため、再発進時にショックを発生させるプロペラシャフトのスティック状態を的確に解消することができる。
第5の発明に係る制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、検出手段は、伸縮部近傍に設けられた、伸縮部の変位量を検出するセンサである。
第5の発明によると、センサにより直接的に伸縮部の変位量を検出することができ、的確にプロペラシャフトのスティック状態を解消できる。
第6の発明に係る制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、検出手段は、車両の後輪のサスペンションの変位量に基づいて、伸縮部の変位量を推定することにより伸縮部の変位量を検出するための手段を含む。
第6の発明によると、プロペラシャフトの変位量と正の相関関係がある後輪のサスペンションの変位量に基づいて、間接的に伸縮部の変位量を検出することができ、的確にプロペラシャフトのスティック状態を解消できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。なお、以下においては、制動と減速とを基本的に同じ意味であるとして説明する。すなわち、以下における減速は、制動に起因するものである。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る、有段式の自動変速機の制御装置を搭載した車両について説明する。この車両は、プロペラシャフトを有するFR車両である。なお、本実施の形態に係る自動変速機の制御装置を搭載した車両は、有段式の自動変速機ではなく無段式の自動変速機であってもよい。さらに、以下の説明は、プロペラシャフトを有する四輪駆動車(4WD)を積極的に除外するものではない。
車両は、エンジン1000と、従動輪でありかつ操舵輪でもある前輪2000と、トランスミッション3000と、プロペラシャフト4000と、ディファレンシャルギヤ5000と、駆動輪である後輪6000と、ECU8000を主たる構成要素とする制御部7000とを含む。
エンジン1000は、インジェクタ(図示せず)から噴射された燃料と空気との混合気を、シリンダの燃焼室内で燃焼させる内燃機関である。燃焼によりシリンダ内のピストンが押し下げられて、クランクシャフトが回転させられる。
トランスミッション3000は、所望のギヤ段を形成することにより、クランクシャフトの回転数を所望の回転数に変速する。トランスミッション3000の出力ギヤは、プロペラシャフト4000を介してディファレンシャルギヤ5000に接続されている。なお、トランスミッション3000を構成する、トルクコンバータ3001およびプラネタリーギヤユニット3002については、後で詳述する。
ディファレンシャルギヤ5000には後輪6000に駆動力を伝達するドライブシャフト5500が連結されている。ドライブシャフト5500を介して、左右の後輪6000に動力が伝達される。なお、トランスミッション3000とプロペラシャフト4000との接続部分、プロペラシャフト4000とディファレンシャルギヤ5000との接続部分、ディファレンシャルギヤ5000とドライブシャフト5500との接続部分において、スプラインが用いられている。
ECU8000には、車速センサ8002と、シフトレバー8004のポジションスイッチ8005と、アクセルペダル8006のアクセル開度センサ8007と、ブレーキペダル8008に設けられたストップランプスイッチ8009と、トランスミッション3000の作動油の温度を検出する油温センサ8010とがハーネスなどを介して接続されている。また、ECU8000には、プロペラシャフト4000の伸縮部近傍に設けられた伸縮部の変位(伸縮量)を検出する変位センサ9000が接続されている。なお、プロペラシャフト4000の伸縮量は、後輪のサスペンションの変位量と正の相関関係が成立する。そのため、プロペラシャフト4000の伸縮量を変位センサ9000で直接検出するのではなく、後輪サスペンションの変位で代用することもできる。このとき、後輪サスペンションの伸びとプロペラシャフトの伸びとが対応し、後輪サスペンションの縮みとプロペラシャフトの縮みとが対応する。なお、変位量の符号は、プロペラシャフト4000が伸びる方向を正とする。また、後述するように変位量を時間微分することにより変位速度が算出できるが、プロペラシャフト4000が伸びる方向を正としているため、伸びているときの変位速度は正値となり、伸びた後に元に戻ろうと縮んでいるときの変位速度は負値となる。さらに、変位速度を速度センサで直接検出するようにしても構わないし、加速度センサにより検出された車両に作用している加速度に基づいて算出するようにしても構わない。
車速センサ8002は、ドライブシャフト5500の回転数から車両の車速を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。シフトレバー8004の位置は、ポジションスイッチ8005により検出され、検出結果を表す信号がECU8000に送信される。シフトレバー8004の位置に対応して、トランスミッション3000のギヤ段が自動で形成される。また、運転者の操作に応じて、運転者が任意のギヤ段を選択できるマニュアルシフトモードを選択できるように構成してもよい。
アクセル開度センサ8007は、アクセルペダル8006の開度を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。ストップランプスイッチ8009は、ブレーキペダル8008のオン/オフ状態を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。なお、ストップランプスイッチ8009の代わりに、ブレーキペダル8008のストローク量を検出するストロークセンサを設けてもよい。油温センサ8010は、トランスミッション2000のATF(Automatic Transmission Fluid)の温度を検出し、検出結果を表す信号をECU8000に送信する。
ECU8000は、車速センサ8002、ポジションスイッチ8005およびアクセル開度センサ8007、ストップランプスイッチ8009、油温センサ8010、変位センサ9000などから送られてきた信号、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、減速時の駆動伝達系に蓄積されたエネルギーが一気に解放されたとしても、車両の搭乗者に、スプラインの固着(プロペラシャフトのスティック)が一気に外れることによるショックを感じさせないように、トランスミッション3000の油圧回路を制御する。より具体的には、必要に応じて(ショックが発生するほどにプロペラシャフトが縮んでいる場合のみ行なうように)、再度スティック状態にならないような適正なタイミングで、ニュートラル状態を形成するような制御を実行する。なお、以下においては、ニュートラル制御を実行するということと、ニュートラル状態にするということとは、同義である。
図2を参照して、トランスミッション3000について説明する。トランスミッション3000は、大きくは、トルクコンバータ3001とプラネタリーギヤユニット3002とから構成される。なお、このトランスミッション3000は6速の自動変速機であるが、本発明の実施の形態に係る制御装置の制御対象は、6速の自動変速機に限定されるものではない。
プラネタリーギヤユニット3002は、クランクシャフトに連結された入力軸3100を有するトルクコンバータ3001に接続されている。プラネタリーギヤユニット3002は、遊星歯車機構の第1セット3300と、遊星歯車機構の第2セット3400と、出力ギヤ3500と、ギヤケース3600に固定されたB1ブレーキ3610、B2ブレーキ3620およびB3ブレーキ3630と、C1クラッチ3640およびC2クラッチ3650と、ワンウェイクラッチF3660とを含む。
第1セット3300は、シングルピニオン型の遊星歯車機構である。第1セット3300は、サンギヤS(UD)3310と、ピニオンギヤ3320と、リングギヤR(UD)3330と、キャリアC(UD)3340とを含む。
サンギヤS(UD)3310は、トルクコンバータ3001の出力軸3210に連結されている。ピ二オンギヤ3320は、キャリアC(UD)3340に回転自在に支持されている。ピ二オンギヤ3320は、サンギヤS(UD)3310およびリングギヤR(UD)3330と係合している。
リングギヤR(UD)3330は、B3ブレーキ3630によりギヤケース3600に固定される。キャリアC(UD)3340は、B1ブレーキ3610によりギヤケース3600に固定される。
第2セット3400は、ラビニヨ型の遊星歯車機構である。第2セット3400は、サンギヤS(D)3410と、ショートピニオンギヤ3420と、キャリアC(1)3422と、ロングピ二オンギヤ3430と、キャリアC(2)3432と、サンギヤS(S)3440と、リングギヤR(1)(R(2))3450とを含む。
サンギヤS(D)3410は、キャリアC(UD)3340に連結されている。ショートピニオンギヤ3420は、キャリアC(1)3422に回転自在に支持されている。ショートピニオンギヤ3420は、サンギヤS(D)3410およびロングピ二オンギヤ3430と係合している。キャリアC(1)3422は、出力ギヤ3500に連結されている。
ロングピ二オンギヤ3430は、キャリアC(2)3432に回転自在に支持されている。ロングピ二オンギヤ3430は、ショートピニオンギヤ3420、サンギヤS(S)3440およびリングギヤR(1)(R(2))3450と係合している。キャリアC(2)3432は、出力ギヤ3500に連結されている。
サンギヤS(S)3440は、C1クラッチ3640によりトルクコンバータ3001の出力軸3210に連結される。リングギヤR(1)(R(2))3450は、B2ブレーキ3620により、ギヤケース3600に固定され、C2クラッチ3650によりトルクコンバータ3001の出力軸3210に連結される。また、リングギヤR(1)(R(2))3450は、ワンウェイクラッチF3660に連結されており、1速ギヤ段の駆動時に回転不能となる。
図3に、各変速ギヤ段と、各クラッチおよび各ブレーキの作動状態との関係を表した作動表を示す。丸印は係合を表している。X印は解放を表している。二重丸印はエンジンブレーキ時のみの係合を表している。三角印は駆動時のみの係合を表している。この作動表に示された組合わせで各ブレーキおよび各クラッチを作動させることにより、1速〜6速の前進ギヤ段と、後進ギヤ段が形成される。
B2ブレーキ3620と並列にワンウェイクラッチF3660が設けられているため、作動表に二重丸で示されているように、1速ギヤ段(1ST)形成時のエンジン側からの駆動状態(加速時)にはB2ブレーキ3620を係合させる必要は無い。本実施の形態において、ワンウェイクラッチF3660は、1速ギヤ段の駆動時には、リングギヤR(1)(R(2))3450の回転を防止する。エンジンブレーキを利かせる場合、ワンウェイクラッチF3660は、リングギヤR(1)(R(2))3450の回転を防止しない。
トルクコンバータ3001は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ3203と、入力軸側のポンプ羽根車3201と、出力軸側のタービン羽根車3202と、ワンウェイクラッチ3204を有し、トルク増幅機能を発現するステータ3205とから構成される。トルクコンバータ3001と自動変速機とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ3001の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサにより検知される。自動変速機の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサにより検知される。
図3に示した作動表によると、摩擦要素であるクラッチ要素(図中のC1〜C2)や、ブレーキ要素(B1〜B3)、ワンウェイクラッチ要素(F)が、どのギヤ段の場合に係合および解放されるかを示している。車両の発進時に使用される1速時には、クラッチ要素(C1)、ワンウェイクラッチ要素(F)が係合する。これらのクラッチ要素の中で、特に、C1クラッチ3640は前進クラッチや入力クラッチやフォワードクラッチとも呼ばれ、図3の作動表に示すように、パーキング(P)ポジション、後進走行(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション以外の、車両が前進するための変速段を構成する際に必ず係合状態で使用される。
前進走行(D)ポジションであって、車両の状態が予め定められた条件(アクセルオフかつブレーキオンかつブレーキマスタシリンダ圧が所定値以上かつ車速が所定値以下等の条件)を満足して、車両が停止状態にあると判定されると、C1クラッチ3640を解放するように油圧回路を制御して、C1クラッチ3640を所定のスリップ状態にして、ニュートラルに近い状態(以下、ニュートラル状態と記載する)にする制御をニュートラル制御という。
本実施の形態に係る制御装置であるECU8000は、急減速されて停止した場合には、駆動伝達系に大きな捩りエネルギーが蓄積されているので、車両が停止する直前の適正なタイミングで(車両が停止してからではショックが発生する)、ニュートラル状態を形成することが特徴である。以下、この特徴についてフローチャートを用いて説明する。
図4を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECU8000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、以下に示すフローチャートにより表わされるプログラムは、所定のサイクルタイムで繰返し実行されるサブルーチンプログラムである。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECU8000は、ブレーキ信号を検出したか否かを判断する。このとき、ECU8000は、ストップランプスイッチ8009からのブレーキペダル8008のオン状態を検出する信号を受信するとブレーキ信号を検出したと判断する。ブレーキ信号を検出すると(S100にてYES)、処理はS110へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する(以下、「この処理は終了する」とは「メインルーチンプログラムに戻る」ことを意味する)。
S110にて、ECU8000は、車速Vを検出する。このとき、ECU8000は、車速センサ8002から入力されるドライブシャフト5500の回転数から車両の車速を検出する。
S120にて、ECU8000は、車速Vがしきい値V(0)未満であるか否かを判断する。このしきい値V(0)は、停止直前であるか否かを判断するためのしきい値であって、プロペラシャフト4000の捩りが解放されると車両にショックを発生させるほどのエネルギーが駆動伝達系に蓄積されているときにニュートラル状態を形成する良好なタイミングである停止直前程度の車速が設定される。車速Vがしきい値V(0)未満であると(S120にてYES)、処理はS130へ移される。もしそうでないと(S120にてNO)、この処理は終了する。
S130にて、ECU8000は、変位センサ9000からの信号に基づいて、プロペラシャフト4000の変位量Xを検出する。このとき、上述したように、変位量Xの符号は、プロペラシャフト4000が伸びる方向を正としている。
S140にて、ECU8000は、変位速度αを算出する。このとき、ECU8000は、プロペラシャフト4000の変位量Xを時間微分することにより変位速度α(=dX/dt)を算出する。このとき、上述したように、変位速度αの符号は、伸びているときに正となり、伸びた後に元に戻ろうと縮んでいるときに負となる。
S150にて、ECU8000は、変位速度αの絶対値がしきい値B(0)(>0)より大きいか否かを判断する。このしきい値B(0)は、車両により異なる値が設定される。プロペラシャフト4000が一旦伸びた後に縮んでいるときの変位速度α(この値自体は負値)の絶対値がしきい値B(0)よりも大きいとは、より速く縮んでいることを示す。すなわち、急制動であればあるほど車両の姿勢は大きく速くノーズダイブしてプロペラシャフト4000が一旦伸び、その後に車両姿勢が戻ることにより、プロペラシャフト4000は急に縮んでいる(すなわち、変位速度αの絶対値がしきい値B(0)より大きい)ことを示す。変位速度αの絶対値がしきい値B(0)(>0)より大きいと(S150にてYES)、処理はS160へ移される。もしそうでないと(S150にてNO)、この処理は終了する。すなわち、変位速度αの絶対値がしきい値B(0)(>0)より大きくないときとは(S150にてNO)、プロペラシャフト4000が急激に縮んでいるのではなく、車両姿勢がノーズダイブしたとしてもその反動により発生するプロペラシャフトのスティック状態の解放に起因するショックは発生しないと判断されるのである。
S160にて、ECU8000は、プロペラシャフト4000の変位量Xが、A(0)(>0)よりも大きくA(1)(>A(0)>0)よりも小さいか否かを判断する。A(0)とA(1)との間の範囲がプロペラシャフト4000がスティック状態となる領域である。A(0)<変位量X<A(1)であると(S160にてYES)、処理はS170へ移される。もしそうでないと(S170にてNO)、この処理は終了する。
S170にて、ECU8000は、自動変速機をニュートラル状態(たとえばC1クラッチ3640を解放することにより実現される)にする。これにより、プロペラシャフト4000の捩りエネルギーが解放される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置が搭載された車両の動作について、図5を参照して説明する。なお、たとえば、図4のS160のA(0)が図5のX(0)に、A(1)がX(1)に、それぞれ対応する。
車両が走行中に、図5の時刻T(0)において運転者がブレーキペダル8008を(急に大きく)踏み込むと(S100にてYES)、車速Vが検出される(S110)。時刻T(0)において急制動が車両に作用して車両が減速するとともに、車両の姿勢がノーズダイブ状態になり、プロペラシャフト4000の伸縮部が伸びる。このことが、時刻T(0)から時刻T(1)の間においてプロペラシャフト4000の変位量Xが正の方向に大きくなっていることに対応する。なお、プロペラシャフト4000の変位量XはX(2)が最大値であると想定している。したがって、プロペラシャフト4000の伸びは、時刻X(1)で最大値である変位量X(2)に到達し時刻T(2)まで、その変位量X(2)が維持されている。なお、時刻T(2)は、車両の姿勢がノーズダイブ状態から復帰し始める(プロペラシャフト4000の伸びが戻り始める)タイミングである。
車速Vが検出されて、その車速Vがしきい値V(0)よりも小さい、停止直前であって、ニュートラル状態にするに適した車速であると(S120にてYES)、プロペラシャフト4000の変位量Xが検出される(S130)。
ノーズダイブ状態の車両の姿勢が元の状態に復帰し始めると、プロペラシャフト4000の変位量Xが減少し始める。これが時刻T(2)のタイミングである。変位速度α(=dX/dt)が算出され(S140)、この変位速度αの絶対値がしきい値B(0)よりも大きいと(S150にてYES)、急制動により車両の姿勢は大きく速くノーズダイブしてプロペラシャフト4000が一旦大きく伸びて、その後にプロペラシャフト4000は急に縮んでいること(すなわち、スティック状態に陥る可能性が高いこと)を示している。。図5の時刻T(2)でこの条件は満足されている。
ノーズダイブ状態の車両の姿勢が元の状態にさらに復帰すると、プロペラシャフト4000の変位量XがX(2)からさらに減少して、X(1)に到達する。これにより、プロペラシャフト4000の変位量Xが、(A(0)=X(0)<)変位量X<A(1)(=X(1))を満足する(S160にてYES)。これが時刻T(4)のタイミングである。時刻T(4)から時刻T(5)の間において、A(0)<変位量X<A(1)を満足すしている(S160にてYES)ので、ニュートラル状態が形成される。すなわち、N(1)で示される時間、ニュートラル状態が形成される。
これにより、プロペラシャフト4000がスティック状態にならないで車両が停止する(時刻T(5))。このときのプロペラシャフト4000の変位量Xは、再発進時に異音やショックを発生しない程度の小さい変位量である。そのため、車両の停止後に時刻T(6)において、車両が再発進してもプロペラシャフト4000はスティック状態ではないので(捩りトルクが解消されているので)、異音やショックを発生しない。このことが、図5において、時刻T(4)から時刻T(6)における太い実線で示されている。
一方、本発明のようにニュートラル状態を形成しない場合には、図5において、時刻T(4)から時刻T(6)における一点鎖線で示すようになる。
時刻T(4)から時刻T(6)においてもプロペラシャフト4000には変位量X(1)の伸びが維持されているとともに、捩りトルクが残存して、プロペラシャフト4000はスティック状態である。このような状態で再発進すると、プロペラシャフトには捩りトルクが作用した状態で伸縮部が元の状態に戻ろうとする(縮もうとする)ので、このときに異音やショックが発生する。
以上のようにして、本実施の形態に係る自動変速機の制御装置によると、車両の急制動に起因してプロペラシャフトの伸縮部が捩りトルクを有したまま伸びている状態から縮んでいると、適正なタイミング(変位速度と変位量とで決定)でニュートラル状態にしてトルクを解放する。このため、車両の停止時には、プロペラシャフトがスティック状態ではなくなり、再発進時に異音が発生することやショックが発生することを回避できる。
なお、図5のT(4)よりも早いT(3)のタイミングでニュートラル状態にする(すなわち、N(2)の期間(T(3)〜T(5)の期間)、ニュートラル状態にする)ようにしても構わない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に係る自動変速機の制御装置を含む車両の全体構成図である。 プラネタリギヤユニットを示すスケルトン図である。 各ギヤ段と、各ブレーキおよび各クラッチの対応を表した作動表を示す図である。 本発明の実施の形態に係る自動変速機の制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。 図4に示すプログラムが実行された場合の車両の状態を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1000 エンジン、2000 前輪(従動輪)、3000 トランスミッション、3001 トルクコンバータ、3002 プラネタリーギヤユニット、4000 プロペラシャフト、5000 ディファレンシャルギヤ、6000 後輪(駆動輪)、7000 制御部、8000 ECU、9000 変位センサ。

Claims (6)

  1. 車両に搭載されたエンジンと駆動輪との間の動力を、係合することにより伝達および解放することにより非伝達のいずれかの状態に切り換える係合要素を有する自動変速機の制御装置であって、前記自動変速機と駆動輪とは伸縮部を備えたプロペラシャフトで連結され、
    前記車両の速度を検出するための手段と、
    前記伸縮部の変位量を直接的および間接的の少なくともいずれかで検出するための検出手段と、
    前記伸縮部が予め定められた伸縮状態であるか否かを判断するための判断手段と、
    前記速度が予め定められた速度より低くて、かつ、前記伸縮部が予め定められた伸縮状態であると判断されると、前記自動変速機がニュートラル状態になるように、前記係合要素を解放するように制御するための制御手段とを含む、自動変速機の制御装置。
  2. 前記判断手段は、前記伸縮部の変位および変位速度に基づいて、前記伸縮部が予め定められた伸縮状態であるか否かを判断するための手段を含む、請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記判断手段は、前記車両の再発進時にショックを発生させる伸縮状態であるか否かを判断するための手段を含む、請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記判断手段は、前記伸縮部が縮む状態であって、前記変位速度が予め定められた速度よりも大きく、前記伸縮部の変位が予め定められた大きさの範囲であると、前記車両の再発進時にショックを発生させる伸縮状態であると判断するための手段を含む、請求項3に記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記検出手段は、前記伸縮部近傍に設けられた、前記伸縮部の変位量を検出するセンサである、請求項1〜4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  6. 前記検出手段は、前記車両の後輪のサスペンションの変位量に基づいて、前記伸縮部の変位量を推定することにより前記伸縮部の変位量を検出するための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
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