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JP2009079271A - Ca含有Mg合金圧延材 - Google Patents

Ca含有Mg合金圧延材 Download PDF

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JP2009079271A
JP2009079271A JP2007250378A JP2007250378A JP2009079271A JP 2009079271 A JP2009079271 A JP 2009079271A JP 2007250378 A JP2007250378 A JP 2007250378A JP 2007250378 A JP2007250378 A JP 2007250378A JP 2009079271 A JP2009079271 A JP 2009079271A
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Masafumi Sakata
雅史 坂田
Tomohisa Hironaka
智久 廣中
Hiroaki Yoshida
広明 吉田
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Abstract

【目的】圧延条件を最適化することにより、圧延時の割れを抑制しつつ、底面集合組織の分散化を図り、室温での延性に優れ、且つ、機械的性質の異方性が低減されたCa含有Mg合金圧延材を提供すること。
【解決手段】Ca含有Mg合金を溶体化処理した後、該Ca含有Mg合金の融点(液相線)をTm(℃)としたときに、圧延温度を0.55×Tm(℃)〜0.75×Tm(℃)とし、且つ、1パス当たりの圧下率を5〜20%として、全圧下率が50%以上となるように前記Ca含有Mg合金を複数回圧延することにより、圧延方向の0.2%耐力と垂直方向の0.2%耐力との比(圧延方向の0.2%耐力/垂直方向の0.2%耐力)が9/10〜10/9であることを特徴とするCa含有Mg合金圧延材。
【選択図】図4

Description

本発明は、Ca含有Mg合金圧延材に関し、更に詳しくは、難加工なCa含有Mg合金の割れを回避しつつ集合組織の分散化を図ることにより、機械的性質を確保できるCa含有Mg合金圧延材に関する。
Mg合金は、軽量であるため、携帯用電子機器・ノートパソコン等の筐体等に使用されているが、圧延性・加工性が悪いという問題がある。また、Mg合金を自動車や構造用部品に応用するには、高強度化を図る必要がある。
そこで、成形性・加工性・機械的強度等の改善を目的として従来より種々の提案がなされている。
例えば、Mg合金は結晶粒微細化により強度や延性が向上するため、結晶粒微細化を図るには圧延可能な条件内において、できるだけ低温で圧下率を高めた圧延方法(低温・大圧下圧延)を採用すればよいことが知られている。
また、特許文献1には、双ロール鋳造装置を用いてマグネシウム合金ストリップを鋳造するときに、該ストリップの厚さと温度を制御して、これを所望の微細組織とし、これに均質化熱処理、圧延、焼鈍を行うマグネシウム合金薄板の圧延方法が開示されている。同文献には、適切な微細組織を得ることにより、その後の圧延及び焼鈍を容易にできる点が開示されている。
特表2006−513864
ところで、溶解したマグネシウム合金は大気と接触すると激しく反応し、燃焼する。そのため、大気中の酸素との接触を遮断するシールドガスとして一般的に六フッ化硫黄(SF)ガスが主に使用されている。しかしながら、SFガスは、地球温暖化ガスであるため、その使用が規制される方向にある。そこで、SFガスを使用しなくて済むMg合金としてMg合金にCaを添加したCa含有Mg合金が注目されている。Caは、Mg合金溶湯の表面に緻密な酸化膜を形成し、その酸化膜がシールドとなって、SFガスの代わりになるからである。
しかしながら、Ca含有Mg合金は、Al−Ca系化合物に起因して圧延加工性、機械的性質の低下が生じるという問題がある。すなわち、Ca含有Mg合金に対して、従来のMg合金に対して行っていた圧延方法をそのまま適用すると、加工が不可能であるか、可能な場合においてもエッジ部の割れが大きく、歩留まりの著しい低下が生じるという問題がある。
従って、Ca含有Mg合金の成形性や機械的性質を確保するためには、圧延時の割れを回避しつつ、再結晶、集合組織を制御することが有効であるが、かかる技術は未だ報告されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧延条件を最適化することにより、圧延時の割れを抑制しつつ、底面集合組織の分散化を図り、室温での延性に優れ、且つ、機械的性質の異方性が低減されたCa含有Mg合金圧延材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るCa含有Mg合金圧延材は、圧延方向の0.2%耐力と垂直方向の0.2%耐力との比(圧延方向の0.2%耐力/垂直方向の0.2%耐力)が9/10〜10/9であることを要旨とする。
あるいは、本発明に係る他のCa含有Mg合金圧延材は、Ca含有Mg合金を溶体化処理した後、該Ca含有Mg合金の融点(液相線)をTm(℃)としたときに、圧延温度を0.55×Tm(℃)〜0.75×Tm(℃)とし、且つ、1パス当たりの圧下率を5〜20%として、全圧下率が50%以上となるように前記Ca含有Mg合金を複数回圧延することにより、圧延方向の0.2%耐力と垂直方向の0.2%耐力との比(圧延方向の0.2%耐力/垂直方向の0.2%耐力)が9/10〜10/9であることを要旨とする。
そして、上記いずれの場合においても、前記Ca含有Mg合金圧延材は、
(1)質量%で、Ca:0.1〜0.5%を含有するもの、あるいは、
(2)質量%で、Ca:0.1〜0.5%、Al:2.5〜7.5%、Zn:0.50〜1.5%、Mn:0.15〜0.40%、Fe:0.03%以下、Si:0.10%以下、Cu:0.10%以下、及び、Ni:0.005%以下を含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなるもの、
であればよい。
本発明に係るCa含有Mg合金圧延材は、圧延方向の0.2%耐力と垂直方向の0.2%耐力との比(圧延方向の0.2%耐力/垂直方向の0.2%耐力)が9/10〜10/9であるため、室温での延性に優れ、且つ、機械的性質の異方性が低減されているという効果がある。
更に、本発明に係るCa含有Mg合金圧延材は、圧延条件が最適化されているため、圧延時の割れを抑制しつつ、底面集合組織の分散化が図られている。そのため、室温での延性に優れ、且つ、機械的性質の異方性が低減されているという効果がある。
以下に図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。
(成分元素)
まず、本発明の一実施形態に係るCa含有Mg合金圧延材の成分元素について説明する。本発明の一実施形態に係るCa含有Mg合金圧延材は、必須添加元素として、ベースとなるMgのほか、質量%で、Ca:0.1〜0.5%、Al:2.5〜7.5%、Zn:0.50〜1.5%、Mn:0.15〜0.40%を含有し、Fe:0.03%以下、Si:0.10%以下、Cu:0.10%以下、及び、Ni:0.005%以下と該各成分量を抑え、残部が上記のベースとなるMg及び不可避的不純物からなる。
Caを、質量%で、0.1〜0.5%含有させたのは、防燃性及び圧延加工性を確保するためである。圧延加工性向上の観点によるものである。Caを含有させると、Caが酸化反応してMg合金溶湯の表面に緻密な酸化膜を形成し、大気との接触を防いで防燃性を確保するためのシールド層となる。そこで、Ca量は、質量%で、その効果が得られる0.1%を下限とした。従って、Caを含有させたことで、シールドガスとして排出量規制の方向にある温暖化ガスであるSFガスを使用する必要がない。一方、Ca量が多すぎると圧延加工性が極めて悪くなるため、Ca量は、質量%で、0.5%を上限とした。
Alは、強度並びに耐食性の向上のために添加する。Al量は、質量%で、2.5〜7.5%が望ましく、析出硬化による高強度化並びに圧延加工性の観点からすれば、質量%で、5.0〜7.5%がより好ましい。Al量の上限を質量%で、7.5%としたのは、7.5%を超えると圧延加工性の低下が生じることがあるからである。
Znは、Al同様に強度向上に寄与する。Zn量は、質量%で、0.50〜1.5%が望ましい。その理由は、Zn量が、質量%で、0.50%未満では強度向上の効果がなく、また、質量%で、1.5%を超えると圧延加工性の低下が生じることがあるからである。
Mnは、Alと化合物を形成し、その中へFe、Ni、Crを固溶し、耐食性を改善する。そのため、Mn量は、質量%で、0.15〜0.40%が望ましい。その理由は、Mn量が、質量%で、0.15%未満では耐食性が低下し、0.40%を超えると圧延加工性の低下が生じることがあるからであるからである。
Fe、Si、Cu、Niは耐食性を著しく損なうため、Fe:0.03%以下、Si:0.10%以下、Cu:0.10%以下、及び、Ni:0.005%以下に規制する。
次に、本発明の一実施形態に係るCa含有Mg合金の圧延方法について説明する。
(1)鋳塊作製
まず、上記の成分元素を含有するCa含有Mg合金を溶解鋳造して鋳塊を作製する。
(2)溶体化処理
次に、その鋳塊を溶体化処理(固溶温度領域まで加熱保持)する。これは、加工性を低下させる第二相(β相、Mg17Al12、AlとMgの金属間化合物)を固溶させるためである。
(3)圧延
次に、その鋳塊を加熱し、圧延を実施する。圧延は、その鋳塊の融点(液相線)の温度をTm(℃)(以下単に「Tm(℃)」ともいう。Tm(℃)は示差熱分析試験での測定値)とすると、圧延温度を0.55×Tm(℃)〜0.75×Tm(℃)とし、且つ、1パス当たりの圧下率を5〜20%として、全圧下率が50%以上になるように実施するとよい。そして、圧延中に圧延温度がこの温度範囲より下がった場合には、その鋳塊を再加熱して上記圧延温度の範囲にするとよい。
例えば、Caを、質量%で、0.13%含有したMg合金(以下単に「0.13%Ca含有Mg合金」という)や、Caを0.45%含有したMg合金(以下単に「0.45%Ca含有Mg合金」という)を圧延する場合、融点(液相線)が約610℃であるため、圧延温度を335.5℃〜457.5℃とするとよい。
ここで、「圧延温度を0.55×Tm(℃)〜0.75×Tm(℃)」とするのは、これより温度が低すぎると圧延時に顕著な割れが発生したり、底面集合組織の分散化が図れないためであり、温度が高すぎると結晶粒が粗大化するためである。
また、「1パス当たりの圧下率を5〜20%」とするのは、圧下率が低すぎると十分に再結晶せずに混粒組織となるからであり、圧下率が高すぎると割れ発生の原因になるからである。
以上の圧延方法を実施することにより、本発明の一実施形態に係るCa含有Mg合金圧延材が得られる。
(作用効果)
本発明の一実施形態に係るCa含有Mg合金圧延材は、圧延条件が最適化されているため、圧延時の割れが抑制され、底面集合組織の分散化がなされる。従って、このCa含有Mg合金圧延材は、室温での延性に優れ、且つ、機械的性質の異方性が低減されている。例えば、本発明の一実施形態に係るCa含有Mg合金圧延材は、圧延方向の0.2%耐力と垂直方向の0.2%耐力との比(圧延方向の0.2%耐力/垂直方向の0.2%耐力)が9/10〜10/9である。
まず、基礎的調査を行ったので、これについて説明する。
(基礎的調査)
(1)絞り値測定
表1に示した0.13%Ca含有Mg合金、0.45%Ca含有Mg合金、及び、Ca無添加Mg合金(合金名:AZ61)の鋳塊を準備し、これらに溶体化処理を施した後、直径6mm,平行部長さ90mmに加工し、絞り値測定で用いる試験片とした。
Figure 2009079271
そして、各試験片を高温高速引張試験に供した。試験条件は、温度250〜425℃、クロスヘッド速度50.8mm/s一定とし、各試験片の破断後の絞り値を測定した。尚、絞り値は、試験前断面積=A0、破断部断面積=Aとすると、「絞り値=(A0−A)/A0×100(%)」で表される。
その結果を図1に示す。同図は、高温高速引張試験で測定された各試験片の絞り値と温度との関係を示す。同図によれば、Ca無添加Mg合金(AZ61)は、約350℃以上の温度域において、絞りが50%を超えたが、0.13%Ca含有Mg合金及び0.45%Ca含有Mg合金は、絞り値が著しく低くなった。これらのCa含有Mg合金は、図示を省略するが、Al−Ca系化合物が溶体化処理を行っても粗大に存在するためである。
もっとも、各試験片について各温度域による絞り値の違いを比較すると、絞りが比較的高く加工性が良好といえるのは、いずれの試験片も335℃以上の温度であったことから、実際に圧延を実施するとしたならば、335℃以上での実施が有効であるとの目安をつけることができた。
(2)再結晶粒径の測定
表1に示した0.13%Ca含有Mg合金の鋳塊を準備し、これに溶体化処理を施した後、φ15mm×22.5mmの円柱形状に加工したものを均一圧縮試験で用いる試験片とした。
均一圧縮試験は、加熱温度、加工条件、保持時間、冷却速度が制御可能な50tonf油圧プレスを用いて行い、試験条件をひずみ速度6.0s−1,ひずみε=0.2,ε=0.4,試験温度300〜400℃とした。この試験条件下で試験片を均一圧縮変形させた後、300〜400℃×0.1〜300sにおいて恒温保持し、水冷によって組織を凍結した。そして、その試験片のミクロ組織を観察し、再結晶粒径を測定した。
その結果を図2に示す。同図は、測定したその試験片の再結晶粒径と保持時間との関係を示す。同図(a)がε=0.2(真歪)を与えたときのものであり、同図(b)がε=0.4(真歪)を与えたときのものである。尚、真歪εは、圧延での1パス当たりの圧下率をXとすると、ε=ln(X+1)である。
同図(a)(b)より、再結晶粒の成長挙動は保持時間が300秒以降の粒成長速度が極めて遅く、また同一温度条件においてひずみ増加にともない結晶粒成長速度が低下する。以上の結果から、大圧下圧延ほど1パスあたりの結晶粒微細化効果は大きい。また一方で、結晶粒成長速度が非常に遅いことから、小圧下、多パス圧延工程においても結晶粒微細化が可能であると考えられる。つまり、同一累積圧下率条件においては、平均結晶粒径の1パスあたりの圧下率に対する依存性は小さいものと推測される。そこで、Ca含有Mg合金の圧延方法の指針としては、その圧延加工性が非常に低いことを考慮し、特に、小圧下・多パス圧延が有効であると考えられる。
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。尚、Ca含有Mg合金についての例が実施例であり、Ca無添加Mg合金についての例が比較例である。
(Ca含有Mg合金圧延材、Ca無添加Mg合金圧延材の作製)
表1のうち、0.13%Ca含有Mg合金については、これを溶解鋳造して、140mm×550mm×1450mmのサイズの鋳塊を作製し、これを425℃(共晶温度直下)×24時間にて溶体化処理した。
溶体化処理後、0.13%Ca含有Mg合金の鋳塊を圧延開始温度400℃に加熱し、1パス当たり10〜20%の圧下率で板厚10mmになるまで複数回圧延を実施した。圧延時においては、圧延温度を常時監視して温度が335℃よりも下がった場合には再加熱した。
圧延後、10mm(板厚)×200mm(板幅)×130mm(板長さ)の板形状試料を切り出して、425℃×3時間の中間焼鈍を施した。中間焼鈍は、加工組織の回復(ひずみの解放)を図るために実施した。
Figure 2009079271
表1のうち、0.45%Ca含有Mg合金、及び、Ca無添加Mg合金については、これら各鋳塊から10mm(板厚)×200mm(板幅)×130mm(板長さ)の板形状試料を切り出して、425℃×24時間にて溶体化処理した。
次に、以下の手順で圧延を実施した。すなわち、
(1)各組成の各板形状試料(10mm厚)をそれぞれについて300℃及び400℃に加熱保持し、その温度で20分保持した後、
(2)1パス当たり10%〜40%の圧下率で圧延し、
(3)その板形状試料(10mm厚)が2mm厚になるまで上記(1)〜(2)を繰返し行った(全圧下率80%)。
以上の手順により、
(1)板厚2mmの0.13%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)、
(2)板厚2mmの0.45%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)、及び、
(3)板厚2mmのCa無添加Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)を得た。
尚、以降の説明においては、特に定義する場合を除き、
(1)「0.13%Ca含有Mg合金圧延材」とは、以上の手順により得た「板厚2mmの0.13%Ca含有Mg合金圧延材」をいい、
(2)「0.45%Ca含有Mg合金圧延材」とは、以上の手順により得た「板厚2mmの0.45%Ca含有Mg合金圧延材」をいい、
(3)「Ca無添加Mg合金圧延材」とは、以上の手順により得た合金名がAZ61である「板厚2mmのCa無添加Mg合金圧延材」、又は、後述する合金名がAZ31であるCaを添加していないMg合金圧延材をいう。
(圧延材の外観・エッジ割れ長さ)
図4は、0.13%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)の外観写真である。同図は、その上段が400℃圧延材で左から順に1パス当たりの圧下率を10%、20%、40%としたものであり、その下段が300℃圧延材で左から順に1パス当たりの圧下率を10%、20%としたものである。尚、全圧下率はいずれも80%である。
同図上段と同図下段とを比べると、300℃圧延材は、圧下率が低くてもエッジ割れが顕著に生じたが、400℃圧延材は、20%以下の小圧下工程ではエッジ割れがほぼ抑制されていた。従って、高温(400℃)・小圧下(圧下率20%以下)で複数回圧延(多パス)を実施することにより、エッジ割れがほぼ抑制されることがわかった。
図5に、0.13%Ca含有Mg合金圧延材(400℃圧延材)、0.45%Ca含有Mg合金圧延材(400℃圧延材)、及び、Ca無添加Mg合金圧延材(400℃圧延材)の圧延時に生じたエッジ割れ長さと、1パス当たりの圧下率との関係を示す。
同図によれば、Ca含有Mg合金圧延材は、加工性が非常に乏しいので、いずれもCa無添加Mg合金圧延材に比べて、圧下率20%におけるエッジ割れ長さが比較的長かった。
また、0.13%Ca含有Mg合金圧延材は、1パス当たりの圧下率が20%を超えると割れが著しく生じることがわかる。しかし、1パス当たりの圧下率が20%以下であればエッジ割れがある程度抑制されることがわかる。また、圧下率が10%であれば、加工性が非常に良いCa無添加Mg合金圧延材と比較してもエッジ割れ長さに差がなかった。
一方、0.45%Ca含有Mg合金圧延材は、1パス当たりの圧下率が20%を超えると割れが著しく生じることがわかるが、1パス当たりの圧下率が20%以下の場合は、エッジ割れがある程度抑制される傾向があると考えられる。
従って、図4及び図5から、圧延温度400℃で1パス当たりの圧下率を20%以下として複数回圧延すれば、割れ抑制がなされると考えられる。
(ミクロ組織)
0.13%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)を対象として300℃,350℃,400℃でそれぞれ30分保持の焼鈍を施した。そして、これらを対象として光学顕微鏡によるミクロ組織観察、EBSPによる集合組織解析を実施した。図6に、その0.13%Ca含有Mg合金圧延材のその焼鈍後の光学顕微鏡によるミクロ組織写真を示す。同図によれば、300℃圧延材の方が400℃圧延材よりも結晶粒径が微細化されていることがわかる。
図7(a)は、0.13%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)の焼鈍後の平均結晶粒径と、1パス当たりの圧下率との関係を示したグラフであり、同図(b)は、0.45%Ca含有Mg合金圧延材(400℃圧延材)の圧延まま材及び焼鈍後の平均結晶粒径と、1パス当たりの圧下率との関係を示したグラフである。
同図(a)(b)によれば、1パス当たりの圧下率の大小が平均結晶粒径に与える影響は小さいことが確認できた。すなわち、1パス当たりの圧下率として20%以下の低い圧下率を採用してパス回数が増えても、1パス当たりの圧下率として40%を採用したときと結果的に得られる結晶粒径には大差がないことが確認できた。すなわち、小圧下率(20%以下)でも多パス圧延(複数回圧延)とすればよいことが確認できた。
(引張試験1)
0.13%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)を300℃,350℃,400℃で30分焼鈍した後、これらを試験片として室温において引張試験(JIS Z 2241)を行った。試験条件は、クロスヘッド速度20mm/分で一定とした。図8にその結果を示す。同図は、0.2%耐力及び引張強さをそれぞれ熱処理温度(焼鈍温度)との関係で示したグラフである。同図では、丸印(●・○)が300℃圧延材、四角印(■・□)が400℃圧延材を対象としていることを示し、黒塗印(●・■)がRD方向(圧延方向)、白抜印(○・□)がTD方向(垂直方向)の引張試験結果であることを示す。
400℃圧延材と300℃圧延材とを比べると、400℃圧延材は、結晶粒径が300℃圧延材よりも粗大である(図6参照)にも係わらず、高延性が得られ、0.2%耐力の異方性が特に低減されている。0.2%耐力の異方性が特に低減されている点については、400℃圧延材及び300℃圧延材のうち、350℃で焼鈍したものを対象に測定したRD方向及びTD方向の0.2%耐力から明らかである。破断伸びについても同様の傾向が見られた。引張強さは、300℃圧延材の方が400℃圧延材より若干高いが殆ど同程度だった。400℃圧延材は300℃圧延材よりも結晶粒が粗大化しているにもかかわらず、このような結果になったのは、400℃圧延材は、圧延時に非底面すべりが300℃圧延材よりも活発に生じるため、底面集合組織が分散したためである。
(EBSPによる集合組織解析)
0.13%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)に350℃で30分保持の焼鈍を施した。図9に、0.13%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)の圧延まま材(焼鈍せず)と、その焼鈍後のものとを対象として実施したEBSPによる集合組織解析写真を示す。EBSPによる測定は、測定範囲を200μm(幅方向)×300μm(圧延方向)、ビームステップ間隔を1μmとして実施した。
同図によれば、いずれの圧延条件においても底面集合組織を形成し、焼鈍後もそれが維持されていることがわかる。しかしながら、同図の(0001)極点図を比較してみると、400℃圧延材は300℃圧延材に比べ、底面集合組織の集積が分散し、ダブルピークを形成した。真ん中に二つの点が存在し、300℃圧延材に比べて底面集合組織の集積が分散していることがわかった。これは、圧延温度400℃で1パス当たり20%の圧下率で複数回圧延を行ったため、非底面すべり系の活動がより活発になったためである。
図10は、シュミット因子と、そのシュミット因子の値になる粒子の割合との関係を示すグラフである。シュミット因子は、変形のし易さを表す数値であり、最大0.5までの値をとり、高い値の方が変形がしやすい。300℃圧延材は、シュミット因子が比較的小さい値の方に偏っている傾向があるが、400℃圧延材は、シュミット因子の小さい値の方への偏りが少なく、全体的な分布がより平滑化されている。また、400℃圧延材のRD方向の平均値とTD方向の平均値との比又はそれらの差は、それぞれ、300℃圧延材のそれらの比又は差よりも小さい。従って、400℃圧延材は、300℃圧延材に比べて変形に異方性が少なく等方的であることがシュミット因子によっても裏付けられた。
これらはいずれも、圧延温度400℃で1パス当たり20%の圧下率で複数回圧延することにより、底面集合組織が分散化したことによるものである。
(引張試験2)
図11は、0.45%Ca含有Mg合金圧延材(400℃圧延材)、Ca無添加Mg合金圧延材(400℃圧延材)(合金名:AZ61)、表3に示すCa無添加Mg合金圧延材(合金名:AZ31)を対象に引張試験(JIS Z 2241)を行い、引張強さと伸びとの関係を示したグラフである。尚、AZ31からなるCa無添加Mg合金圧延材は、AZ61からなるCa無添加Mg合金圧延材と同様の手順で作製した。
Figure 2009079271
同図によれば、圧延温度400℃で1パス当たり20%の圧下率で複数回圧延した0.45%Ca含有Mg合金は、引張強さがAZ61より若干劣るが、伸びがAZ31やAZ61とほぼ同等であり、Caを添加していても、引張強さと伸びの関係がCa無添加材に遜色ないことが確認できた。従って、圧延温度400℃で1パス当たりの圧下率を20%以下にして複数回圧延すると、良好な機械的特性が得られることがわかった。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係るCa含有Mg合金圧延材によれば、SFガスを使用しなくてもよいため、環境に優しく、鉄鋼メーカー及び関連メーカーにとって産業上利用価値が極めて高い。
試験片の加工性を確認するために行った基礎的調査における高温高速引張試験の結果を示すグラフである。 基礎的調査における均一圧縮試験に供した試験片の再結晶粒径と、保持時間との関係を示すグラフである。 二段圧延機の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る0.13%Ca含有Mg合金圧延材の外観写真である。 本発明の一実施形態に係る0.13%Ca含有Mg合金圧延材、0.45%Ca含有Mg合金、及び、Ca無添加Mg合金圧延材の圧延時に生じたエッジ割れ長さと、1パス当たりの圧下率との関係を示すグラフである。 0.13%Ca含有Mg合金圧延材の光学顕微鏡によるミクロ組織写真である。 Ca含有Mg合金圧延材の平均結晶粒径と、1パス当たりの圧下率との関係を示したグラフである。 0.13%Ca含有Mg合金圧延材の0.2%耐力及び引張強さをそれぞれ熱処理温度(焼鈍温度)との関係で示したグラフである。 0.13%Ca含有Mg合金圧延材(300℃圧延材及び400℃圧延材)の圧延まま材(焼鈍せず)と、その焼鈍後のものとを対象として実施したEBSPによる集合組織解析写真である。 シュミット因子と、そのシュミット因子の値になる粒子の割合との関係を示すグラフである。 0.45%Ca含有Mg合金圧延材、Ca無添加Mg合金圧延材(合金名:AZ31及びAZ61)の引張強さと伸びとの関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 圧延方向の0.2%耐力と垂直方向の0.2%耐力との比(圧延方向の0.2%耐力/垂直方向の0.2%耐力)が9/10〜10/9であることを特徴とするCa含有Mg合金圧延材。
  2. Ca含有Mg合金を溶体化処理した後、該Ca含有Mg合金の融点(液相線)をTm(℃)としたときに、圧延温度を0.55×Tm(℃)〜0.75×Tm(℃)とし、且つ、1パス当たりの圧下率を5〜20%として、全圧下率が50%以上となるように前記Ca含有Mg合金を複数回圧延することにより、圧延方向の0.2%耐力と垂直方向の0.2%耐力との比(圧延方向の0.2%耐力/垂直方向の0.2%耐力)が9/10〜10/9であることを特徴とするCa含有Mg合金圧延材。
  3. 質量%で、Ca:0.1〜0.5%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のCa含有Mg合金圧延材。
  4. 質量%で、Ca:0.1〜0.5%、Al:2.5〜7.5%、Zn:0.50〜1.5%、Mn:0.15〜0.40%、Fe:0.03%以下、Si:0.10%以下、Cu:0.10%以下、及び、Ni:0.005%以下を含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のCa含有Mg合金圧延材。
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