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JP2009069375A - 偏光板の製造方法 - Google Patents

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JP2009069375A JP2007236538A JP2007236538A JP2009069375A JP 2009069375 A JP2009069375 A JP 2009069375A JP 2007236538 A JP2007236538 A JP 2007236538A JP 2007236538 A JP2007236538 A JP 2007236538A JP 2009069375 A JP2009069375 A JP 2009069375A
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清 武藤
Nobuyuki Hatanaka
伸行 幡中
Akio Nanba
明生 難波
Shigetoshi Hayashi
成年 林
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Abstract

【課題】ポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面に、水系接着剤を用いて保護フィルムが積層されてなる偏光板であって、直交色相の青みが低減されているとともに、冷熱衝撃環境下に晒されても偏光フィルムにクラックが生じない偏光板を製造するための方法を提供する。
【解決手段】偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する工程と、該積層フィルムをN個(N≧2)の乾燥炉を通過させて乾燥する工程とを備え、該乾燥工程において、第1段目の乾燥炉温度は60℃未満、第2〜第N段目の乾燥炉のうち少なくとも1つの乾燥炉温度は60℃以上であり、積層フィルムは、Y>−0.3X+16000を満足する条件にて乾燥される偏光板の製造方法である。Xは各乾燥炉の温度(℃)と該乾燥炉での積層フィルムの滞留時間(秒)との積の合算値であり、Yは60℃以上である乾燥炉の温度と該乾燥炉での滞留時間との積の合算値である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に保護フィルムが積層されてなる偏光板の製造方法に関する。
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面または両面に、接着剤を用いて、保護フィルム、たとえば、トリアセチルセルロースに代表される酢酸セルロース系の透明樹脂フィルムを積層した構成となっている。これを、必要により他の光学フィルムを介して、液晶セルに粘着剤で貼り合わせ、液晶表示装置の構成部品とする。
通常、偏光板は、偏光フィルム上に接着剤を用いて保護フィルムを貼合した後、乾燥させることにより製造される。たとえば、特許文献1には、偏光フィルムと保護フィルムとの積層フィルムを加熱処理することが記載されており、当該加熱処理に関する特定の条件が開示されている。しかし、この文献に記載される加熱処理条件では、得られる偏光板の直交色相に青みが生じることがあるという問題があった。
一方、液晶表示装置は、近年TV向け、特には大画面TV用途が拡大しており、それに使用する偏光板についても大型化が要求されるようになっている。しかしながら、偏光板を大型化した場合、特にヒートショックが加えられるような環境下、すなわち冷熱が繰り返されるような環境下に晒されると、偏光フィルムにクラックが発生しやすくなるという問題があった。
特開2006−313205号公報
本発明の目的は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面に、水系接着剤を用いて保護フィルムが積層されてなる偏光板であって、直交色相の青みが低減されているとともに、冷熱衝撃環境下に晒されても偏光フィルムにクラックが生じない偏光板を製造するための方法を提供することである。
本発明者らは、かかる目的のもと鋭意研究を行なった結果、ポリビニルアルコール系偏光フィルムに水系接着剤を用いて保護フィルムを貼合して得られる積層フィルムを乾燥させるにあたり、該乾燥工程を多段とし、かつ該積層フィルムを最初に通過させる第1段目の乾燥炉の温度を60℃未満とし、第2段目以降の乾燥炉のうち少なくとも1つの乾燥炉の温度を60℃以上とすることにより、直交色相の青みが低減ないし防止されることを見出した。一方で、このような条件で乾燥を行なっても、得られる偏光板が、粘着剤等を介してガラス等の基板に貼合された状態で冷熱衝撃環境下に晒された場合、2枚の保護フィルムに挟まれた偏光フィルムにクラックを生じることがあった。
そこで、かかるクラックの発生をも有効に防止すべくさらに研究を重ねた結果、各乾燥炉の温度と乾燥炉内での積層フィルムの滞留時間とが、特定の条件を満足するように乾燥が行なわれると、冷熱衝撃環境下における偏光フィルムへのクラック発生を防止できることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に保護フィルムが積層されてなる偏光板の製造方法であって、偏光フィルムと保護フィルムとを水系接着剤を用いて貼合し、積層フィルムを得る貼合工程と、該積層フィルムをN個(N≧2)の乾燥炉を通過させることにより乾燥させる乾燥工程と、を備え、該乾燥工程において、該積層フィルムを最初に通過させる第1段目の乾燥炉の温度は60℃未満であり、第2〜第N段目の乾燥炉のうち、少なくとも1つの乾燥炉の温度は60℃以上であり、かつ該乾燥工程において該積層フィルムは、下記式(1)の関係を満足するような条件にて乾燥される、偏光板の製造方法である。
Y>−0.3X+16000 (1)
ここで、X(℃・秒)は、各乾燥炉の温度(℃)と該乾燥炉での積層フィルムの滞留時間(秒)との積の、すべての乾燥炉についての和である。また、Y(℃・秒)は、温度が60℃以上である乾燥炉の温度(℃)と該乾燥炉での積層フィルムの滞留時間(秒)との積の、温度が60℃以上である乾燥炉についての和である。
ここで、第1段目の乾燥炉の温度は30℃以上60℃未満であることが好ましい。また、上記温度が60℃以上の乾燥炉の温度は、60℃以上100℃以下であることが好ましい。さらに、乾燥工程において、上記積層フィルムは、張力が付加された状態で乾燥されることが好ましい。
本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に保護フィルムが積層されてなる偏光板であって、直交色相の青みが低減ないし防止され、また冷熱衝撃環境下における偏光フィルムへのクラック発生も防止された偏光板を提供することができる。かかる偏光板は、たとえば大画面液晶表示装置に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に、水系接着剤層を介して保護フィルムを積層することにより製造される。本発明の偏光板の製造方法は、基本的に以下の工程(1)〜(3)を含む。
(1)ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて、偏光フィルムを作製する偏光フィルム作製工程、
(2)偏光フィルムと保護フィルムとを水系接着剤を用いて貼合し、積層フィルムを得る貼合工程、および、
(3)積層フィルムをN個(N≧2)の乾燥炉を通過させることにより乾燥させる乾燥工程。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)偏光フィルム作製工程
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常約1000〜10000程度、好ましくは約1500〜5000程度である。
これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。通常、偏光フィルム製造の開始材料としては、厚さが約20μm〜100μm、好ましくは約30μm〜80μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムを用いる。工業的には、フィルムの幅は約1500mm〜4000mmが実用的である。この未延伸フィルムを、膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理、水洗処理の順に処理し、ホウ酸処理までの工程で一軸延伸を施し、最後に乾燥して得られるポリビニルアルコール系偏光フィルムの厚みは、たとえば約5μm〜50μm程度である。
本発明において用いられる偏光フィルムとしては、二色性色素を吸着配向せしめたポリビニルアルコール系一軸延伸フィルムを好適に挙げることができる。その作製方法としては、大きく分けて2つの製造方法がある。第1の方法は、ポリビニルアルコール系フィルムを、空気あるいは不活性ガス中で一軸延伸後、膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理および水洗処理の順に溶液処理し、最後に乾燥を行なう方法である。第2の方法は、未延伸のポリビニルアルコール系フィルムを水溶液で膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理および水洗処理の順に溶液処理し、ホウ酸処理工程および/またはその前の工程で湿式にて一軸延伸を行ない、最後に乾燥を行なう方法である。
いずれの方法においても、一軸延伸は、1つの工程で行なってもよいし、2つ以上の工程で行なってもよいが、複数の工程で行なうことが好ましい。延伸方法は、公知の方法を採用することができ、たとえばフィルムを搬送する2つのニップロール間に周速差をつけて延伸を行うロール間延伸、たとえば特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸法、テンター延伸法などがある。また、基本的に工程の順序は、上記の通りであるが、処理浴の数や、処理条件などに制約はない。また、上記第1および第2の方法に記載されていない工程を別の目的で付加してもよい。かかる工程の例としては、ホウ酸処理後に、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液による浸漬処理(ヨウ化物処理)またはホウ酸を含まない塩化亜鉛等を含有する水溶液による浸漬処理(亜鉛処理)工程等が挙げられる。
膨潤処理工程は、フィルム表面の異物除去、フィルム中の可塑剤除去、次工程での易染色性の付与、フィルムの可塑化などの目的で行なわれる。処理条件は、これらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。あらかじめ気体中で延伸したフィルムを膨潤させる場合には、たとえば約20℃〜70℃、好ましくは約30℃〜60℃の水溶液にフィルムを浸漬して行なわれる。フィルムの浸漬時間は、約30秒〜300秒、好ましくは約60秒〜240秒程度である。はじめから未延伸の原反フィルムを膨潤させる場合には、たとえば約10℃〜50℃、好ましくは約20℃〜40℃の水溶液にフィルムを浸漬して行なわれる。フィルムの浸漬時間は、約30秒〜300秒、好ましくは約60秒〜240秒程度である。
膨潤処理工程では、フィルムが幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るなどの問題が生じやすいため、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップなど公知の拡幅装置でフィルムのシワを取りつつフィルムを搬送することが好ましい。浴中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)などを併用することも有用である。本工程では、フィルムの走行方向にもフィルムが膨潤拡大するので、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、たとえば処理槽前後の搬送ロールの速度をコントロールするなどの手段を講ずることが好ましい。また、使用する膨潤処理浴は、純水の他、ホウ酸(特開平10−153709号公報に記載)、塩化物(特開平06−281816号公報に記載)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類などを約0.01質量%〜10質量%の範囲で添加した水溶液も使用可能である。
二色性色素による染色工程は、フィルムに二色性色素を吸着、配向させるなどの目的で行なわれる。処理条件は、これらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、たとえば、約10℃〜45℃、好ましくは約20℃〜35℃の温度条件下、質量比でヨウ素/ヨウ化カリウム/水=約0.003〜0.2/約0.1〜10/100の濃度の水溶液を用いて、約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒浸漬処理を行なう。ヨウ化カリウムに代えて、他のヨウ化物、たとえばヨウ化亜鉛などを用いてもよい。また、他のヨウ化物をヨウ化カリウムと併用してもよい。さらに、ヨウ化物以外の化合物、たとえばホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルトなどを共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合、ヨウ素を含む点で下記のホウ酸処理と区別される。水100質量部に対し、ヨウ素を約0.003質量部以上含んでいるものであれば染色槽とみなすことができる。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、たとえば約20℃〜80℃、好ましくは約30℃〜70℃の温度条件下、質量比で二色性染料/水=約0.001〜0.1/100の濃度の水溶液を用いて、約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒浸漬処理を行なう。使用する二色性染料の水溶液は、染色助剤などを含有していてもよく、たとえば硫酸ナトリウムなどの無機塩、界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は単独でもよいし、2種類以上の二色性染料を併用することもできる。
上記したように、染色槽でフィルムを延伸させてもよい。延伸は染色槽の前後のニップロールに周速差を持たせるなどの方法で行なわれる。また、膨潤処理工程と同様に、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバーなどを、染色浴中および/または浴出入り口に設置することもできる。
ホウ酸処理は、水100質量部に対してホウ酸を約1〜10質量部含有する水溶液に、二色性色素で染色したポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行なわれる。二色性色素がヨウ素の場合、ヨウ化物を約1〜30質量部含有させることが好ましい。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、たとえば塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどを共存させてもよい。
ホウ酸処理は、架橋による耐水化や色相調整(青味がかるのを防止する等)等のために実施される。架橋による耐水化のためにホウ酸処理が行なわれる場合には、必要に応じて、ホウ酸以外に、またはホウ酸と共に、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤も使用することができる。なお、耐水化のためのホウ酸処理を、耐水化処理、架橋処理、固定化処理などの名称で呼称する場合もある。また、色相調整のためのホウ酸処理を、補色処理、再染色処理などの名称で呼称する場合もある。
このホウ酸処理は、その目的によって、ホウ酸およびヨウ化物の濃度、処理浴の温度を適宜変更して行なわれる。耐水化のためのホウ酸処理、色相調整のためのホウ酸処理は特に区別されるものではないが、下記の条件で実施することができる。原反フィルムを膨潤、染色、ホウ酸処理をする場合であって、ホウ酸処理が架橋による耐水化を目的としている時は、水100質量部に対してホウ酸を約3〜10質量部、ヨウ化物を約1〜20質量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約50℃〜70℃、好ましくは約55℃〜65℃の温度で行なわれる。浸漬時間は、通常、約30〜600秒程度、好ましくは約60〜420秒、より好ましくは約90〜300秒である。なお、予め延伸したフィルムを染色、ホウ酸処理を行なう場合、ホウ酸処理浴の温度は、通常、約50℃〜85℃、好ましくは約55℃〜80℃である。
耐水化のためのホウ酸処理の後、色相調整のためのホウ酸処理を行なうようにしてもよい。たとえば、二色性染料がヨウ素の場合、この目的のためには、水100質量部に対してホウ酸を約1〜5質量部、ヨウ化物を約3〜30質量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約10℃〜45℃の温度で行なわれる。浸漬時間は、通常、約3〜300秒程度、好ましくは約10〜240秒である。続く色相調整のためのホウ酸処理は、耐水化のためのホウ酸処理に比べて、通常、低いホウ酸濃度、高いヨウ化物濃度、低い温度で行なわれる。
これらのホウ酸処理は複数の工程からなっていてもよく、通常、2〜5の工程で行なわれることが多い。この場合、使用する各ホウ酸処理槽の水溶液組成、温度は上記の範囲内で、同じであっても異なっていてもよい。上記耐水化のためのホウ酸処理、色相調整のためのホウ酸処理をそれぞれ複数の工程で行なってもよい。
なお、ホウ酸処理工程においても、染色工程と同様にフィルムの延伸を行なってもよい。最終的な積算延伸倍率は、約4.5〜7.0倍、好ましくは約5.0〜6.5倍である。ここでいう積算延伸倍率は、原反フィルムの長さ方向基準長さが、全ての延伸処理終了後のフィルムにおいてどれだけの長さになったかを意味し、たとえば、原反フィルムにおいて1mであった部分が全ての延伸処理終了後のフィルムにおいて5mになっていれば、そのときの積算延伸倍率は5倍となる。
ホウ酸処理の後、水洗処理が行なわれる。水洗処理は、たとえば、耐水化および/または色相調整のためにホウ酸処理したポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬、水をシャワーとして噴霧、あるいは浸漬と噴霧を併用することによって行なわれる。水洗処理における水の温度は、通常、約2〜40℃程度であり、浸漬時間は約2〜120秒程度であるのがよい。
ここで、延伸処理後のそれぞれの工程において、フィルムの張力がそれぞれ実質的に一定になるように張力制御を行なってもよい。具体的には、染色処理工程で延伸を終了した場合、以後のホウ酸処理工程および水洗処理工程で張力制御を行なう。染色処理工程の前工程で延伸が終了している場合には、染色処理工程およびホウ酸処理工程を含む以後の工程で張力制御を行なう。ホウ酸処理工程が複数のホウ酸処理工程からなる場合には、最初または最初から2段目までのホウ酸処理工程で前記フィルムを延伸し、延伸処理を行なったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行なうか、最初から3段目までのホウ酸処理工程で前記フィルムを延伸し、延伸処理を行なったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行なうことが好ましいが、工業的には、最初または最初から2段目までのホウ酸処理工程で前記フィルムを延伸し、延伸処理を行なったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行なうことがより好ましい。なお、ホウ酸処理後に、上記したヨウ化物処理または亜鉛処理を行なう場合には、これらの工程についても張力制御を行なうことができる。
膨潤処理から水洗処理までのそれぞれの工程における張力は同じであってもよく、異なっていてもよい。張力制御におけるフィルムへの張力は、特に限定されるものではなく、単位幅当たり、約150N/m〜2000N/m、好ましくは約600N/m〜1500N/mの範囲内で適宜設定される。張力が約150N/mを下回ると、フィルムにシワなどができやすくなる。一方、張力が約2000N/mを超えると、フィルムの破断やベアリングの磨耗による低寿命化などの問題が生じる。また、この単位幅当たりの張力は、その工程の入口付近のフィルム幅と張力検出器の張力値から算出する。なお、張力制御を行なった場合に、不可避的に若干延伸・収縮される場合があるが、本発明においては、これは延伸処理に含めない。
最後に乾燥処理が行なわれる。乾燥処理は、張力を少しずつ変えて多くの段数で行なう方が好ましいが、設備上の制約等から、通常、2〜3段で行なわれる。2段で行なわれる場合、前段における張力は600〜1500N/mの範囲から、後段における張力は300〜1200N/mの範囲から設定されることが好ましい。張力が大きくなりすぎると、フィルムの破断が多くなり、小さくなりすぎると皺の発生が多くなり好ましくない。また、前段の乾燥温度を30〜90℃の範囲から、後段の乾燥温度を70〜100℃の範囲から設定することが好ましい。温度が高くなりすぎると、フィルムの破断が多くなり、また光学特性が低下し、温度が低くなりすぎるとスジが多くなり好ましくない。乾燥処理時間は、たとえば60〜600秒とすることができ、各段における乾燥時間は同一でも異なっていても良い。時間が長すぎると光学特性が低下し、時間が短すぎると乾燥が不十分になり好ましくない。
張力制御するためのニップロール、フィルムの搬送方向を制御するためのガイドロールとしては、ゴムロール、ステンレススチール製研磨ロールおよびスポンジゴムロール等を使用することができる。ゴムロールとしては、NBR等からなり、その硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで約60〜90度、好ましくは約70〜80度、表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約0.1〜5S、好ましくは約0.5〜1Sであることが好ましい。
ステンレススチール製研磨ロールとしては、SUS304、SUS316等からなり、膜厚の均一化を図る上から、その表面粗さが、JIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約0.2〜1.0Sであるものが好ましい。
スポンジゴムロールとしては、スポンジの硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで約20〜60度、好ましくは約25〜50度、密度が約0.4〜0.6g/cm3、好ましくは約0.42〜0.57g/cm3および表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約10〜30S、好ましくは約15〜25Sであることが好ましい。
(2)貼合工程
以上のようにして製造された偏光フィルムの両面に保護フィルムを水系接着剤を用いて貼合して積層フィルムを得る。保護フィルムとしては、たとえば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム、ポリカーボネート系樹脂からなるフィルム、シクロオレフィン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。市販の熱可塑性シクロオレフィン系樹脂としては、たとえば、ドイツのティコナ(Ticona)社から販売されている「トーパス(登録商標)」(Topas)、JSR(株)から販売されている「アートン(登録商標)」、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオノア(登録商標)」や「ゼオネックス(登録商標)」、三井化学(株)から販売されている「アペル(登録商標)」などがある。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜したものを保護フィルムとする。製膜には、溶剤キャスト法、溶融押出法など、公知の方法が適宜用いられる。製膜されたシクロオレフィン系樹脂フィルムも市販されており、たとえば、積水化学工業(株)から販売されている「エスシーナ」や「SCA40」などがある。
保護フィルムの厚みは薄いものが好ましいが、薄すぎると、強度が低下し、加工性に劣るものとなる。一方、厚すぎると、透明性が低下したり、積層後に必要な養生時間が長くなったりするなどの問題が生じる。したがって、保護フィルムの適当な厚みは、たとえば約5〜200μm程度であり、好ましくは約10〜150μm、より好ましくは約20〜100μmである。
水系接着剤と偏光フィルムおよび/または保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルムおよび/または保護フィルムに、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。
また、保護フィルムには、アンチグレア処理、アンチリフレクション処理、ハードコート処理、帯電防止処理、防汚処理などの表面処理が単独あるいは組み合わせて施されてもよい。また、保護フィルムおよび/または保護フィルム表面保護層はベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤や、フェニルホスフェート系化合物、フタル酸エステル化合物などの可塑剤を有していてもよい。
保護フィルムは、偏光フィルムの両面に貼合される。両面に貼合されるこれらの保護フィルムは、同じ樹脂からなっていてもよく、異なる樹脂からなるものであってもよい。
本発明においては、偏光フィルムと保護フィルムとは、水系接着剤を用いて貼合される。水系接着剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などが挙げられる。偏光フィルムとの接着面をケン化処理などで親水化処理されたアセチルセルロース系フィルムを保護フィルムとして用いる場合、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が接着剤として好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物などが添加剤として添加されてもよい。
偏光フィルムの両面に貼合される保護フィルムの接着に用いる接着剤は、同じであっても異なっていてもよい。
偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する方法は特に限定されるものではなく、たとえば偏光フィルムおよび/または保護フィルムの表面に水系接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。通常、水系接着剤は、その調製後、約15〜40℃の温度下で塗布され、貼合温度は、通常約15〜30℃程度の範囲である。
(3)乾燥工程
偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するため、積層フィルムを乾燥させる。本発明において、乾燥は、該積層フィルムを合計N個(N≧2)の適切な温度に保持された乾燥炉を連続的に通過させることにより行なわれる。このような乾燥は、特に限定されないが、たとえば、積層フィルムを、連続して設置されたN個の乾燥炉内を連続して通過させながら、乾燥後の積層フィルムをロール状に巻き取っていくことにより行なうことができる。
積層フィルムを最初に通過させる第1段目の乾燥炉の温度は、60℃未満であることが必要である。60℃を超えると、偏光板の直交色相の青みが強くなり、ニュートラルな色相を示す偏光板が得られ難くなる。また、第1段目の乾燥炉の温度は30℃以上であることが好ましい。30℃未満であると、偏光フィルムと保護フィルムとの間で剥離し易くなる傾向がある。より好ましくは40℃以上である。第1段目の乾燥炉の温度を、60℃未満とすることにより、直交色相の青みが低減されたニュートラルな色相を有する偏光板を得ることができる。第1段目の乾燥炉における積層フィルムの滞留時間は、たとえば1〜300秒とすることができ、特に得られる偏光板の色相や生産性の観点からは、好ましくは5〜150秒である。
また、第2段目の乾燥炉およびそれ以降の乾燥炉については、これらのうち少なくとも1つの乾燥炉の温度は60℃以上であり、この温度が60℃以上の乾燥炉は、好ましくは60℃〜100℃の範囲に設定される。100℃を超えると、偏光板の平行色相が劣化により黄変する傾向にある。第2段目の乾燥炉およびそれ以降の乾燥炉が60℃未満に設定される場合、その乾燥炉温度は特に制限されず、たとえば30℃以上60℃未満とすることができる。
さらに本発明においては、積層フィルムの多段乾燥は、上記条件に加えて、下記式(1)の関係を満たす条件でなされる。
Y>−0.3X+16000 (1)
ここで、X(℃・秒)は、各乾燥炉の温度(℃)と該乾燥炉での積層フィルムの滞留時間(秒)との積の、すべての乾燥炉についての和である。また、Y(℃・秒)は、温度が60℃以上である乾燥炉の温度(℃)と該乾燥炉での積層フィルムの滞留時間(秒)との積の、温度が60℃以上である乾燥炉についての和である。すなわち、乾燥温度×乾燥炉内での滞留時間を「熱量」と称すれば、Xは、乾燥工程全体において積層フィルムに付与される総熱量ということができる。また、Yは、温度が60℃以上の乾燥炉によって付与される熱量の合計である。したがって、上記式(1)は、温度が60℃以上の乾燥炉によって付与される合計熱量が、総熱量のうちのある一定以上を占めなければならないことを意味する。なお、上記のように、第1段目の乾燥炉の温度は60℃未満であるから、必然的に、X>Yとなる。
第1段目の乾燥炉の温度を60℃未満とし、第2〜第N段目の乾燥炉のうち、少なくとも1つの乾燥炉の温度を60℃以上とし、かつ上記式(1)を満たすような条件で乾燥を行なうことにより、直交色相の青みが低減されるとともに、冷熱衝撃環境下に晒されても偏光フィルムにクラックが発生しない偏光板を得ることができる。
横軸をXとし、縦軸をYとして上記式(1)をプロットすると、右下がりの直線となる。このことは、X(積層フィルムに付与される総熱量)が小さいほど、上記式(1)を満足するYの最低値が大きくなり、Xが大きいほどYの最低値を小さくできることを意味する。このような傾向、すなわち、乾燥時に積層フィルムに加えられる熱量という観点からみたときに、偏光フィルムのクラック発生の有無の境界が、右下がりの直線となることは、以下の事情に鑑みても妥当といえる。
すなわち、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(偏光フィルム)は、乾熱環境下において、60℃付近を境に、それを超える温度領域で大きな収縮挙動を示すため、60℃以上の温度に保たれた乾燥炉を通過させることにより、収縮を生じさせておく必要がある。このように乾燥工程で偏光フィルムに収縮を起こさせておかないと、偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合してなる偏光板が、粘着剤等を介してガラス等の基板に貼合された状態で冷熱衝撃環境下に晒されたときに、この収縮が起こり、偏光フィルムにクラックが発生しやすくなる。一方で、偏光板の乾燥が十分でなく、偏光フィルム中に水分が残存していると、偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合してなる偏光板が、粘着剤等を介してガラス等の基板に貼合された状態で冷熱衝撃環境下に晒されたときに、その水分が蒸発し、やはりクラック発生の原因となる。Xが大きい場合には、乾燥工程で付与される総熱量が大きいので、その熱量によって水分が十分に除去され、60℃以上の温度で付与される熱量Yは、上記の如き収縮を生じさせるのに必要なものであればよく、Yがある程度小さくても、収縮およびそれに伴うクラック発生が抑制できるものと考えられる。これに対し、Xが小さい場合には、乾燥工程で付与される総熱量が小さいので、60℃以上の温度で付与される熱量Yを大きくして、水分除去を加速させる必要があるものと考えられる。
図1は、後述する如く、参考例、実施例および比較例におけるXとYの関係と、冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)におけるクラック発生の有無との相関を示す図であり、式(1)による境界線を表すY=−0.3X+16000の直線が実線Aで表されている。また上述のとおり、X>Yであるので、その境界線を表すY=Xの直線が破線Bで表されている。したがって、本発明で規定する領域は、Y=−0.3X+16000を表す直線AとY=Xを表す直線Bとで囲まれる、図中右側の領域となる(ただし、Y=Xの直線上にあることはない)。これら2直線の交点は、X=Y=16000/1.3≒12308となるので、Xは、約12308℃・秒を超える値を取ることになる。
積層フィルムに付与される総熱量Xの上限は特に制限されないが、通常53000℃・秒以下、好ましくは50000℃・秒以下、より好ましくは45000℃・秒以下である。Xが53000℃・秒を超えると、乾燥工程に長時間を費やすこととなり生産性が低下することとなる。また、総熱量Xは、上述のとおり約12308℃・秒を超える値を取るが、好ましくは12500℃・秒以上、より好ましくは13000℃・秒以上である。Xが12500℃・秒未満では、冷熱衝撃環境下において偏光フィルムにクラックが発生することがある。温度が60℃以上の乾燥炉によって付与される合計熱量Yは、X>Yであるから、通常53000℃・秒未満、好ましくは50000℃・秒未満、より好ましくは45000℃・秒未満である。一方、Yの下限については、X>Yの関係および上記式(1)の関係から、Xの値に応じて自ずと定まる。
第2〜第N段目の乾燥炉における滞留時間の合計は、通常60〜750秒程度である。750秒を超えると、乾燥工程に長時間を費やすこととなり生産性が低下することとなる。
第n段目の乾燥炉(n=1,2,3・・・、n<N)と第n+1段目の乾燥炉との温度差は、40℃以下、好ましくは30℃以下である。温度差が大きいと、積層フィルムにシワや凸凹などが発生しやすくなり、外観上好ましくなくなる傾向にある。第n+1段目の乾燥炉の温度は、第n段目の乾燥炉の温度より、高くてもよいし、低くてもよい。
乾燥に用いる乾燥炉の数Nは、2個以上である限り特に制限されないが、好ましくは3個以上である。乾燥炉の数が2個の場合、上記式(1)の関係を満たすためには、2段目の乾燥炉における滞留時間を大きくしなければならないが、乾燥炉の数が3個以上であると、2段目以降の乾燥炉における温度と滞留時間を調節して上記式(1)の関係を満たしやすくなるため好ましい。
上記乾燥工程において、積層フィルムは、張力が付加された状態で乾燥されることが好ましい。張力は、好ましくは100〜1500N/mであり、より好ましくは100〜1000N/mである。積層フィルムへの張力の付加は、積層フィルムを、連続して設置された乾燥炉内を連続して通過させる際に、その送り出し側ニップロールと出口側ニップロールとの間の引っ張り力を調整することにより行なうことができる。
上記乾燥工程の後、接着剤を硬化させるために、約15〜85℃、好ましくは約20〜50℃、より好ましくは約35〜45℃の温度環境下で、通常約1〜90日間程度、積層フィルムを追加乾燥(養生)させてもよい。養生における湿度は、通常70%RHである。70%RHを超えると、結露などの問題が発生することがある。また、養生期間は、通常約1〜30日間程度であり、生産性を考慮すると、好ましくは約1〜7日間である。通常、養生はロールに巻かれた状態で実施されることが多い。かくして、接着剤層を介して偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムが貼合された偏光板が得られる。
なお、本発明においては、保護フィルムに、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能、光学補償フィルムとしての機能など、光学的機能を付与することもできる。この場合、たとえば、保護フィルムの表面に、位相差フィルム、輝度向上フィルム、反射フィルム、半透過反射フィルム、拡散フィルム、光学補償フィルムなどの光学機能性フィルムを積層することにより、このような機能を持たせることができるほか、保護フィルム自体にこのような機能を付与することもできる。また、輝度向上フィルムの機能を有する拡散フィルムなどのように複数の機能を保護フィルム自体に持たせてもよい。
より具体的には、上記の保護フィルムに、特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施すことにより、保護フィルムに位相差フィルムとしての機能を付与することができる。また、上記の保護フィルムに、特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成することにより、また選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより、輝度向上フィルムとしての機能を付与することができる。上記の保護フィルムに、蒸着やスパッタリングなどで金属薄膜を形成することにより、反射フィルムまたは半透過反射フィルムとしての機能を付与することができる。上記の保護フィルムに、微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、拡散フィルムとしての機能を付与することができる。また、上記の保護フィルムに、ディスコティック液晶性化合物などの液晶性化合物をコーティングして配向させることにより、光学補償フィルムとしての機能を付与することができる。また、適当な接着剤を用いて、商品名:DBEF(3M社製、日本では住友スリーエム(株)から入手可能)などの輝度向上フィルム、商品名:WVフィルム(富士フィルム(株)製)などの視野角改良フィルム、商品名:スミカライト(登録商標)(住友化学(株)製)などの位相差フィルム、などの市販の光学機能性フィルムを保護フィルムに直接貼合してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり質量基準である。
まず、本発明で規定する第1段目の乾燥炉の温度を60℃未満とし、第2段目以降の乾燥炉のうち、少なくとも1つの温度を60℃以上とすることの重要性を示す参考例を掲げる。
<参考例1>
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き、26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
別途、水100部に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製の「クラレポバール KL318」)3部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住化ケムテックス(株)製の「スミレーズレジン 650」(固形分濃度30%の水溶液))1.5部を溶解させて、ポリビニルアルコール系接着剤を調製した。
先に得られた偏光フィルムの片面に、1枚目の保護フィルムとしてコロナ処理が施されたノルボルネン系樹脂からなる厚さ80μmのフィルム((株)オプテス製の「ゼオノアフィルム」)を、また他面には、2枚目の保護フィルムとしてケン化処理が施されたトリアセチルセルロースからなる厚さ80μmのフィルム(コニカミノルタオプト(株)製の「KC8UX2M」)を、それぞれ上記接着剤を介して、ニップロールにより貼合し、積層フィルムを得た。
上記積層フィルムを、450N/mの張力に保ったまま、55℃の第1段目乾燥炉、65℃の第2段目乾燥炉を順次通過させ、偏光板を得た。このとき、各乾燥炉のフィルム滞留長さとラインスピードから各乾燥炉での滞留時間を求め、それと各乾燥炉の上記温度とから、先に定義したXとYを求め、それらの値を表1に示した。得られた偏光板の直交色相は、直交a*=0.05、直交b*=−0.08であり、ニュートラル色相であった。
この偏光板について、冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)を行なった。この試験においては、上記偏光板の1枚目の保護フィルム表面に粘着剤層を設け、277×345mmのサイズにカットし、これをガラスに貼合したものを試験用サンプルとした。冷熱衝撃試験は、このサンプルを−35℃に1時間保持し、ついで70℃に昇温して1時間保持する操作を1サイクルとし、これを合計240サイクル繰り返すことにより行なった。その結果、偏光フィルムにクラックが発生していた。表1には、上記XとYの値を含む積層フィルムの乾燥条件とともに、冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)の結果、および直交色相のa*とb*の値を併せて示す。
<参考例2>
65℃の第1段目乾燥炉、75℃の第2段目乾燥炉を順次通過させて乾燥したこと以外は参考例1と同様にして偏光板を得た。得られた偏光板の直交色相は、直交a*=0.22、直交b*=−0.55であって、直交b*の値がマイナス側で大きく、目視でも強い青みを有していた。この偏光板について、参考例1と同様の冷熱衝撃試験を行なった。その結果、この偏光板では偏光フィルムにクラックが認められなかった。表1に、XとYの値を含む積層フィルムの乾燥条件、冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)の結果、および直交色相のa*とb*の値を示す。
次に、第1段目の乾燥炉の温度を60℃未満とするとともに、第2段目以降の乾燥炉との関係で上記式(1)を満たすことの重要性を示す実施例および比較例を掲げる。
<実施例1>
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、緊張状態を保ったまま、30℃の純水に浸漬し膨潤させながら、その中で延伸倍率1.3倍まで長手方向に延伸した。このポリビニルアルコールフィルムを、上記延伸倍率を保持した状態で、30℃のヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/2/100の水溶液を用いて染色し、その後、54℃のヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液にて架橋処理を行ないながら、総倍率5.6倍になるように延伸した後、12℃の純水で洗浄した。洗浄後のポリビニルアルコールフィルムを、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
別途、100部の水に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製の「クラレポバール KL318」)1.8部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住化ケムテックス(株)製の「スミレーズレジン 650」(固形分濃度30%の水溶液))0.9部を溶解させて、ポリビニルアルコール系接着剤を調製した。
先に得られた偏光フィルムの片面に、1枚目の保護フィルムとしてトリアセチルセルロースからなる厚さ43μmのフィルム(コニカミノルタオプト(株)製の「KC4FR−1」)を、また他面には、2枚目の保護フィルムとして、トリアセチルセルロースの表面にアンチグレア処理層が設けられた厚さ83μmの表面処理フィルム(大日本印刷(株)製の「マットハードコートTACフィルムDS−LR2」)を、それぞれ上記接着剤を介して、ニップロールにより貼合し、積層フィルムを得た。
上記積層フィルムを、450N/mの張力に保ったまま、表1に示した温度に保たれた乾燥炉(合計3段)を順次通過させ、乾燥させることにより偏光板を得た。得られた偏光板について、参考例1と同様の冷熱衝撃試験を行なった。その結果、この偏光板では偏光フィルムにクラックが認められなかった。表1に、XとYの値を含む積層フィルムの乾燥条件、冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)の結果、および直交色相のa*とb*の値を示す。
<実施例2〜4、比較例1〜3>
各乾燥炉の温度設定、保護フィルムの種類を表1に示すように変更し、各乾燥炉における積層フィルムの滞留時間を変更したこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を得た。表1に、各実施例および比較例におけるXとYの値を含む積層フィルムの乾燥条件、冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)の結果、および直交色相のa*とb*の値を示す。ただし、比較例1および2では、直交色相のデータを取っていないので、これらの例における直交色相の値は示していない。
表1において、「ヒートショック試験結果」の欄にある「A」は、試験後も2枚の保護フィルムに挟まれた偏光フィルムにクラックが生じなかったことを示し、「B」は、試験後にクラックが認められたことを示す。また、「保護フィルム」の欄にある名称(商品名)は、次のとおりである。
・ゼオノア:参考例1で1枚目の保護フィルムとして用いたのと同じ(株)オプテス製のノルボルネン系樹脂フィルムである「ゼオノアフィルム」。
・KC8UX2M:参考例1で2枚目の保護フィルムとして用いたのと同じコニカミノルタオプト(株)製のトリアセチルセルロースフィルムである「KC8UX2M」。
・KC4FR−1:実施例1で1枚目の保護フィルムとして用いたのと同じコニカミノルタオプト(株)製のトリアセチルセルロースフィルムである「KC4FR−1」。
・DS−LR2:実施例1で2枚目の保護フィルムとして用いたのと同じ大日本印刷(株)製の表面処理トリアセチルセルロースフィルムである「マットハードコートTACフィルムDS−LR2」。
Figure 2009069375
図1は、参考例、実施例および比較例におけるXとYの関係と、冷熱衝撃試験(ヒートショック試験)におけるクラック発生の有無との相関を示す図である。図1において、「○」で示される点(参考例2および実施例)は、クラックの発生がなかったことを意味し、「×」で示される点(参考例1および比較例)は、冷熱衝撃試験後にクラックが認められたことを意味する。図1に示されるように、クラックの発生を防止するためには、上記式(1)の条件が満たされなければならないことがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
参考例、実施例および比較例におけるXとYの関係と、クラック発生の有無との相関を示す図である。

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に保護フィルムが積層されてなる偏光板の製造方法であって、
    偏光フィルムと保護フィルムとを水系接着剤を用いて貼合し、積層フィルムを得る貼合工程と、前記積層フィルムをN個(N≧2)の乾燥炉を通過させることにより乾燥させる乾燥工程と、を備え、
    前記乾燥工程において、前記積層フィルムを最初に通過させる第1段目の乾燥炉の温度は60℃未満であり、第2〜第N段目の乾燥炉のうち、少なくとも1つの乾燥炉の温度は60℃以上であり、かつ、
    前記乾燥工程において、前記積層フィルムは、下記式(1)の関係を満足するような条件にて乾燥される、偏光板の製造方法。
    Y>−0.3X+16000 (1)
    ここで、X(℃・秒)は、各乾燥炉の温度(℃)と該乾燥炉での前記積層フィルムの滞留時間(秒)との積の、すべての乾燥炉についての和である。また、Y(℃・秒)は、温度が60℃以上である乾燥炉の温度(℃)と該乾燥炉での前記積層フィルムの滞留時間(秒)との積の、温度が60℃以上である乾燥炉についての和である。
  2. 前記第1段目の乾燥炉の温度は30℃以上60℃未満である請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記温度が60℃以上の乾燥炉の温度は、60℃以上100℃以下である請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記乾燥工程において、前記積層フィルムは、張力が付加された状態で乾燥される請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
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