JP2009052691A - 制振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小振幅の振動に対しても応答可能であり、より広い周波数域に亘って良好な制振効果を得ることができるようにした制振装置を提供する。
【解決手段】この制振装置は、振動体Sに固定される取付部材1と、取付部材1に固着されたばね部材2と、ばね部材2を介して取付部材1に弾性支持されたマス部材3と、マス部材3に固定されてマス部材3と取付部材1との間に配設された液体封入ダンパ(弾性体)4と、からなる。液体封入ダンパ4は、取付部材1の取付基部11と接触した状態に又は取付基部11との間に微小な隙間を形成した状態に配設する。
【選択図】 図1
【解決手段】この制振装置は、振動体Sに固定される取付部材1と、取付部材1に固着されたばね部材2と、ばね部材2を介して取付部材1に弾性支持されたマス部材3と、マス部材3に固定されてマス部材3と取付部材1との間に配設された液体封入ダンパ(弾性体)4と、からなる。液体封入ダンパ4は、取付部材1の取付基部11と接触した状態に又は取付基部11との間に微小な隙間を形成した状態に配設する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、殆ど減衰性を有しない材料で構成された構造物の振動を抑制するために好適に採用される制振装置に関する。
例えば木材やFRP、ガラス、鋼板など殆ど減衰性を有しない材料で構成された構造物は、一旦振動を開始するとその振動が収まるまでに長い時間が必要になることから、従来より、その構造物に発生した振動を抑制するために種々の制振装置が用いられている。このような制振装置の一種として、例えば特許文献1に開示されているようなダイナミックダンパが知られている。
このダイナミックダンパは、一般に、振動体に取付けられる取付部材にゴム弾性体等のばね部材を介してマス部材(質量体)が弾性支持されるように構成されており、振動入力によって振動体が特定の周波数で振動するときに、振動体に対してマス部材がゴム弾性体(ばね部材)のばね作用を介して共振することにより、振動体の振動を減衰させ抑制することができる。なお、ダイナミックダンパの共振周波数(固有振動数)は、ばね部材のばね定数とマス部材の質量とによって基本的に定まり、低減すべき振動周波数に合わせてチューニングされる。
ところが、上記従来のダイナミックダンパでは、有効な制振効果が発揮され得る周波数域が、チューニングされた比較的狭い周波数域となってしまい、広い周波数域の振動に対して有効な有効な制振効果が発揮され難いという特性を有していた。また、上記従来のダイナミックダンパでは、チューニングされた周波数域を挟んだ低周波側と高周波側の両周波数域において、振動伝達率の大きな領域が発生してしまい、振動状態が反対に悪化してしまうことが避けられ難いという問題もあった。
また、制振装置の一種として、特許文献2に開示されているような衝撃ダンパが知られている。この衝撃ダンパは、ばねで上下方向に支持された重錘が、上下方向に所定の間隔を空けて構造体に設置された天板と底板の間を移動自在に設けられ、前記天板と底板に衝突することにより、前記構造体の振動を低減するようにしたものである。この衝撃ダンパの場合には、重錘と天板又は底板とが衝突した際の運動エネルギのエネルギ損失に基づいて、構造体に対する振幅抑制効果が発揮されることにより、広い周波数域に亘って良好な制振効果が得られるようにされている。
ところで、この衝撃ダンパにおいては、振動入力時に、重錘が移動自在とされて、且つ重錘と天板又は底板とが衝突可能とするために、重錘と天板又は底板との間に所定の隙間が設けられている。しかし、この隙間は、小さ過ぎると、天板と底板の間での重錘の移動量が少なくなり、それらの衝突によるエネルギ損失が少なくなってしまうため、良好な制振効果を期待できなくなり、逆に、大き過ぎると、それらが衝突したときに発生する衝突音が大きくなったり、小振幅の振動に対して応答できなくなってしまう。したがって、この隙間を設定する際には、それぞれの制振装置に応じた適切な範囲に設定することが要求される。
また、この衝撃ダンパにおいては、重錘と天板又は底板とが、ゴムや樹脂などの弾性体を介して衝突するように構成することにより、衝突音を緩和できることが開示されている。しかし、重錘と天板又は底板との間に配置される弾性体は、それらの衝突が頻繁に行われるため摩耗し易く、また、経年劣化等により永久変形してしまうこともあることから、重錘と天板又は底板との間に設定される隙間を適切な範囲に維持管理することは、非常に困難となる。
特開2001−234969号公報
特開2006−348996号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、小振幅の振動に対しても応答可能であり、より広い周波数域に亘って良好な制振効果を得ることができるようにした制振装置を提供することを解決すべき課題とするものである。
上記課題を解決する本発明は、振動体に固定される取付部材と、該取付部材に一端が連結されたばね部材と、該ばね部材を介して前記取付部材に弾性支持されたマス部材と、該マス部材及び前記取付部材のどちらか一方に固定されると共に、それらのどちらか他方と接触した状態に又はそれらのどちらか他方との間に微小な隙間を形成した状態に配設された弾性体と、から構成されていることを特徴としている。
本発明の制振装置では、この制振装置が取り付けられた振動体に振動が入力して、振動体と共に取付部材が振動すると、ばね部材に弾性支持されたマス部材が共振する。これにより、マス部材とばね部材とによって構成されるダイナミックダンパとしての制振機能が発揮され、振動体の振動が良好に抑制される。
そして、これと同時に、マス部材及び取付部材のどちらか一方に固定されてそれらの間に配設されている弾性体が、マス部材及び取付部材によって圧縮と圧縮解除を繰り返し受けることにより減衰機能を発揮し、振動体の振動エネルギが効果的に吸収されるため、振動体に入力した振動が早期に収束する。その結果、低周波から高周波の広い周波数域に亘って振動体に対する振幅抑制効果が発揮されることにより、広い周波数域に亘って良好な制振効果が得られる。
なお、弾性体として液体封入ダンパが用いられている場合には、その液体封入ダンパは、マス部材又は取付部材の動きに追従して振動し、内部に封入された液体が流動する。この時、マス部材と取付部材が互いに位相がずれた状態で振動する際には、液体封入ダンパが両部材によって圧縮と圧縮解除を繰り返し受けることにより、内部に封入された液体が流動する。これにより、その液体の流動に基づいて発揮される減衰機能により、振動体の振動エネルギが効果的に吸収される。
なお、本発明の制振装置は、弾性体により発揮される減衰機能を利用して、広い周波数域に亘って有効な制振効果が得られるようにしていることから、振動体の固有振動数に対しての厳密な固有振動数のチューニングを要求されない。
また、本発明における弾性体は、マス部材及び取付部材のどちらか他方と接触した状態に又はそれらのどちらか他方との間に微小な隙間を形成した状態に配設されているので、小振幅の振動入力時においても弾性体の減衰機能を有効に発揮させることができる。そのため、小振幅の振動に対しても応答可能となり、振動の収束後期における微振動も効果的に抑制することが可能となる。
本発明において、マス部材及び取付部材のどちらか一方に固定される弾性体は、それらのどちらか他方と接触した状態に又はそれらのどちらか他方との間に微小な隙間を形成した状態に配設される。ここで、弾性体がマス部材又は取付部材と接触した状態とは、マス部材又は取付部材に対して、弾性体に押圧力が全く作用していない状態で接触している場合(ゼロタッチ)だけでなく、振動入力時の減衰機能に支障がない程度の押圧力が弾性体に加わった状態で接触している場合も含まれる。
一方、弾性体とマス部材又は取付部材との間に形成される隙間は、振動入力時に、弾性体とマス部材又は取付部材とが加速度を伴って当接することにより、弾性体による有効な減衰効果が発揮され得る範囲とされる。この隙間は、大きくなるほど微振動に対応し難くなるため、この隙間の好ましい範囲は、振動体への制振装置の設置位置によっても異なるが、概ね0〜5mmであり、より好ましい範囲は、0〜2.5mmである。
なお、小振幅の振動に対する応答性を考慮すると、その隙間は可能な限り小さくした方がよい。但し、ばね部材として高減衰ゴムを採用した場合には、経年劣化等によりばね定数が変化することを考慮して、予めその変化に相当する量の隙間を設けるようにすることができる。この隙間は、マス部材を弾性支持するばね部材の配置位置やばね力によって調整することが可能であるが、必要に応じてスペーサ等を用いて調整するようにしてもよい。
なお、本発明における弾性体は、振動体の振動方向が縦方向(上下方向)となる場合には、縦方向において距離を隔てて対向するマス部材と取付部材の間に設けられ、振動体の振動方向が横方向(左右方向)となる場合には、横方向において距離を隔てて対向するマス部材と取付部材の間に設けられる。
本発明の好適な態様として、弾性体としての液体封入ダンパは、少なくとも一部に弾性変形可能な可撓部を有する容器部材と、該容器部材の内部に封入された液体とを備えたものが採用される。内部に封入される液体としては、例えば、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコンオイルなど低粘度から高粘度の液体を採用することができるが、この中でもシリコンオイルが好適に採用される。この液体封入ダンパには、容器部材の内部に向かって突出し、振動入力時に容器部材に封入された液体を攪拌する攪拌部を設けることが好ましい。このような攪拌部を設けることにより、振動入力時に液体の流動を促進させることができるので、より良好な制振効果を得ることが可能となる。
また、液体封入ダンパに代えて高減衰ゴムが採用される場合には、高減衰ゴムは、tanδ(減衰係数)の値が0.1以上のものであることが好ましい。この高減衰ゴムは、例えばブチルゴムや塩素化ブチルゴム、ウレタンゴム等の高減衰性を有するゴム材料で形成したり、或いは例えば天然ゴムやSBR、NBR等に樹脂等を添加して減衰性を高めたゴム材料で形成することができる。
本発明の制振装置は、前記取付部材と、前記ばね部材と、前記マス部材と、前記弾性体とにより上記のように構成されているため、小振幅の振動に対しても応答することができ、且つ、弾性体により発揮される減衰機能を利用して振動を早期に収束させることができるため、より広い周波数域に亘って良好な制振効果を得ることができる。さらに、本発明の制振装置は、広い周波数域に亘って有効な制振効果が得られるようにしていることから、振動体の固有振動数に対しての厳密なチューニングを要求されないため、固有振動数のチューニングを容易に且つ有利に行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態1〕
図1は実施形態1に係る制振装置を模式的に示す概略構成図である。実施形態1の制振装置は、振動体5に固定される取付部材1と、取付部材1に一端が連結された複数のばね部材2、…、2と、コイルばね2、2を介して取付部材1に弾性支持されたマス部材3と、マス部材3に固定されると共に取付部材1との間に微小な隙間を形成した状態に配設された弾性体としての液体封入ダンパ4と、から構成されている。
図1は実施形態1に係る制振装置を模式的に示す概略構成図である。実施形態1の制振装置は、振動体5に固定される取付部材1と、取付部材1に一端が連結された複数のばね部材2、…、2と、コイルばね2、2を介して取付部材1に弾性支持されたマス部材3と、マス部材3に固定されると共に取付部材1との間に微小な隙間を形成した状態に配設された弾性体としての液体封入ダンパ4と、から構成されている。
取付部材1は、平板状の取付基部11と、板状に形成されて取付基部11の両端部に互いに対向して立設された一対の支持部12、12とを備えており、これらは金属や硬質の合成樹脂等の剛性材により一体に形成されている。この取付部材1は、図示しないビス等の取付手段或いは接着剤等の接着手段を用いて、取付基部11が振動体5の上面に固定されることにより取り付けられている。なお、ここでの振動体5は、ばね系6、6を介して振動するものである。
ばね部材2、…、2は、本実施形態では4本のコイルばねが用いられており、各ばね部材2、…、2は、取付部材1の各支持部12、12にそれぞれの一端が係止連結されている。
マス部材3は、鉄系金属により所定の質量を有するようにして長方形の板状に形成されている。このマス部材3は、支持部12、12に一端が係止連結された4個のばね部材2、…、2により、支持部12、12に吊り下げられた状態で弾性支持されている。この場合、マス部材3は、各ばね部材2、…、2の他端がマス部材3の四隅の角部にそれぞれ係止連結されており、取付基部11と所定距離を隔てて平行となる状態に吊り下げられている。これにより、吊り下げ状態での安定化が図られている。このように、マス部材3がばね部材2、…、2で吊り下げ支持されていることによってダイナミックダンパが構成されている。このダイナミックダンパの共振周波数(固有振動数)は、ばね部材2、…、2のばね定数とマス部材3の質量とに基づいて5Hzにチューニングされており、振動体5の固有振動数(10Hz)よりも小さくなるようにされている。
なお、本実施形態では、長方形板状のマス部材3が採用されているが、マス部材3の形状はこれに限られことはなく、例えば十字形や円形、或いは柱状など任意の形状を選択することができる。
液体封入ダンパ4は、容易に弾性変形可能な可撓部41bを一部に有する有底円筒状の容器部材41と、容器部材41の開口を覆蓋する樹脂製の取付基板42と、容器部材41の内部に封入された液体(本実施形態ではシリコンオイル)43とからなる。
容器部材41は、円筒状に形成された筒状部41aと、筒状部41aよりも薄肉に形成されて筒状部41aの一端側(底部側)の開口を閉塞する可撓部41bと、可撓部41bの中央部から内側へ向かって突設されて封入された液体43を攪拌する中実円柱状の攪拌部41cとを備え、ゴムにより一体に形成されている。可撓部41bの中央部は、小径となって外方少し突出するように形成されており、その突出した円形の部分は、外部からの衝撃力や押圧力を受ける入力部41eとなっている。この容器部材41は、筒状部41aの開口端面に取付基板42が固着されることにより密閉されている。
この液体封入ダンパ4は、取付基板42がマス部材3の下面中央部に固定されることにより取り付けられており、容器部材41底部の入力部41eが取付部材1の取付基部11と接触した状態(ゼロタッチ)で、マス部材3と取付基部11の間に配設されている。
以上のように構成された本実施形態の制振装置は、振動体5に振動が入力して振動体5と共に取付部材1が縦方向(上下方向)に振動すると、ばね部材2、…、2に弾性支持されたマス部材3が縦方向に共振する。これにより、マス部材3とばね部材2、…、2とによって構成されるダイナミックダンパとしての制振機能が発揮され、振動体5の振動が良好に抑制される。
そして、これと同時に、マス部材3に固定されてマス部材3と取付部材1の取付基部11との間に配設されている液体封入ダンパ4は、マス部材3の縦方向の動きに追従して振動し、内部に封入された液体43が流動する。この時、マス部材3と取付基部11が互いに位相がずれた状態で振動する際には、液体封入ダンパ4がマス部材3と取付基部11によって圧縮と圧縮解除を繰り返し受けることにより、内部に封入された液体43が流動する。これにより、その液体43の流動に基づいて発揮される減衰機能により、振動体5の振動エネルギが効果的に吸収されるため、振動体5に入力した振動が早期に収束する。その結果、低周波から高周波の広い周波数域に亘って振動体5に対する振幅抑制効果が発揮されることにより、広い周波数域に亘って良好な制振効果が得られる。
また、マス部材3に固定された液体封入ダンパ4は、取付基部11と接触した状態に配設されているので、小振幅の振動入力時においても、液体封入ダンパ4が揉まれるようにして変形することにより液体43の流動を生起させて減衰機能を有効に発揮させることができる。そのため、小振幅の振動に対しても応答することができ、振動の収束後期における微振動も効果的に抑制される。
以上のように、実施形態1の制振装置によれば、小振幅の振動に対しても応答することができ、且つ、液体封入ダンパ4の液体流動に基づいて発揮される減衰機能を利用して振動を早期に収束させることができるため、より広い周波数域に亘って良好な制振効果を得ることができる。さらに、実施形態1の制振装置は、液体封入ダンパ4の液体流動に基づいて発揮される減衰機能を利用して、広い周波数域に亘って有効な制振効果が得られるようにしていることから、振動体5の固有振動数に対しての厳密なチューニングを要求されないため、固有振動数(ダイナミックダンパの共振周波数)のチューニングを容易に且つ有利に行うことができる。
また、実施形態1の制振装置は、振動体5の固有振動数(10Hz)よりも小さい固有振動数にチューニングされているため、振動入力時に、マス部材3に固定された液体封入ダンパ4が取付部材1の取付基部11と衝突した後の反発が振動体5(取付基部11)の動きに依存することにより、良好な制振効果が得られる。
〔試験1〕
実施形態1の制振装置の制振効果を確認するため、振動体5に対して、実施形態1の制振装置(実施例1)を設置した場合と、実施形態1の制振装置から液体封入ダンパ4が取り外された点でのみ異なるダイナミックダンパ(比較例1)を設置した場合について、FEM解析(有限要素解析)でシュミレーションを行ない、それぞれの周波数と変位に関する制振特性を調べた。その結果は、図3に示す通りである。なお、実施例1及び比較例1の固有振動数(共振周波数)は、振動体5の固有振動数と同じ10Hzとした。
実施形態1の制振装置の制振効果を確認するため、振動体5に対して、実施形態1の制振装置(実施例1)を設置した場合と、実施形態1の制振装置から液体封入ダンパ4が取り外された点でのみ異なるダイナミックダンパ(比較例1)を設置した場合について、FEM解析(有限要素解析)でシュミレーションを行ない、それぞれの周波数と変位に関する制振特性を調べた。その結果は、図3に示す通りである。なお、実施例1及び比較例1の固有振動数(共振周波数)は、振動体5の固有振動数と同じ10Hzとした。
図3に示すように、比較例1の場合には、チューニング周波数の10Hz付近の変位が(2.0Y)付近にまで大幅に低減されているが、10Hzから低周波数側へ少しずれた9Hz付近と高周波数側へ少しずれた11Hz付近において、反共振が発現して変位が増大していることが解る。
これに対して、実施例1の場合には、図3から明らかなように、10Hz付近の変位が比較例1と略同じ程度に低減されているにも拘わらず、9Hz付近及び11Hz付近における変位も10Hz付近と略同じであることが解る。即ち、実施例1の場合には、10Hzから少しずれた9Hz付近及び11Hz付近において、反共振の出現による変位の増大が生じないことが確認された。
したがって、以上のことから、液体封入ダンパ4を備えた実施例1の場合には、液体封入ダンパ4を有しない比較例1と比べて、良好な制振効果を得られることが確認された。
〔試験2〕
実施形態1の制振装置と固有振動数が7Hzにチューニングされている点でのみ異なる制振装置を用いて、マス部材3による押圧力が液体封入ダンパ4に全く作用していない状態で液体封入ダンパ4の入力部41eと取付基部11が接触している場合(ゼロタッチ)を基準とし、マス部材3により液体封入ダンパ4の入力部41eを取付基部11に押し付けた状態の場合と、液体封入ダンパ4の入力部41eと取付基部11との間に隙間が形成されている場合とについて、制振効果に及ぼす影響を調べる試験を行った。
実施形態1の制振装置と固有振動数が7Hzにチューニングされている点でのみ異なる制振装置を用いて、マス部材3による押圧力が液体封入ダンパ4に全く作用していない状態で液体封入ダンパ4の入力部41eと取付基部11が接触している場合(ゼロタッチ)を基準とし、マス部材3により液体封入ダンパ4の入力部41eを取付基部11に押し付けた状態の場合と、液体封入ダンパ4の入力部41eと取付基部11との間に隙間が形成されている場合とについて、制振効果に及ぼす影響を調べる試験を行った。
マス部材3により液体封入ダンパ4を取付基部11に押し付けた状態で行う試験は、ゼロタッチの状態から、マス部材3の押付量を0.5mmずつ増加するように変化させて最大の押付量が1.5mmとなる範囲において、振動入力時における時間の経過に伴う変位の変化を測定するものである。その結果は、図4A(b)〜(e)に示した。なお、図4A(a)は、振動体5に制振装置を取付けていない状態(ベース)の測定結果である。
図4A(e)から明らかなように、マス部材3の押付量が0.0mm(ゼロタッチ)の場合には、初期の最大変位量が+5Yから−7Y程度と大きく、約0.6X秒経過時において、変位量が±0付近にまで急速に収束していることが解る。また、0.8X秒経過後においても、微振動が極めて良好に抑制されていることが解る。そして、マス部材3の押付量が0.5mm、1.0mm、1.5mmの場合には、押付量の値が大きくなるに連れて、変位量が±0付近にまで収束する時間が次第に長くなっているものの、押付量が0.0mm(ゼロタッチ)の場合と同様の傾向を示し、略同等のレベルで振動が収束していることが解る。
なお、マス部材3の押付量が1.5mmを越える範囲については、振動入力時に液体封入ダンパ4の内部に生起する液体43の流動作用に支障がない程度の押付力が加わった状態であれば、押付量が1.5mmまでの場合と同様の結果が得られるものと推察される。
一方、液体封入ダンパ4の入力部41eと取付基部11との間に隙間が形成されている場合の試験は、それらの間に形成される隙間が0.0mm(ゼロタッチ)の状態から、隙間を0.5mmずつ拡げるように変化させて最大の隙間が2.5mmとなる範囲において、時間の経過に伴う変位量の変化を上記と同様に測定するものであり、その結果を図4B(a)〜(e)に示した。
図4B(a)〜(c)から明らかなように、隙間が0.5mm、1.0mm、1.5mmの場合には、初期の最大変位量が+5Yから−7Y付近に到達した後、約0.6X秒経過時において、変位量が±0付近にまで急速に収束しており、また、約0.6X秒経過後においても、微振動が効果的に抑制されていることが解る。隙間が0.5mm、1.0mm、1.5mmの場合には、隙間の値が大きくなるに連れて、初期段階で収束する変位量が小さくなる傾向にあるものの、隙間が0.0mm(ゼロタッチ)の場合と同様の傾向を示し、略同等のレベルで振動が収束していることが解る。
一方、隙間が2.0mm、2.5mmの場合には、図4B(d)(e)から明らかなように、初期の最大変位量が+5Yから−7Y付近であり、約0.6X秒経過時において、ベースの場合の4X〜5X秒経過後のレベルにまで変位量が収束している。よって、隙間が2.0mm、2.5mmの場合の初期段階で収束する変位量は、ベースの場合に比べて大きいが、隙間が0.5mm、1.0mm、1.5mmの場合に比べて少し小さくなっている。また、約0.6X秒経過後における微振動の抑制も、隙間が0.5mm、1.0mm、1.5mmの場合に比べてやや不十分である。これらの傾向は、隙間が大きくなっていることが原因と考えられる。
以上の試験結果から、本発明に係る制振装置は、マス部材3による押付量が1.5mm以下の範囲において液体封入ダンパ4の入力部41eを取付基部11に押し付けた状態で設置されている場合でも、また、液体封入ダンパ4の入力部41eと取付基部11との間に隙間が1.5mm以下の範囲で形成された状態で設置されている場合でも、ゼロタッチの場合と略同等の結果が得られ、極めて良好な制振効果が得られることが確認された。なお、隙間が2.0mm、2.5mmの場合にも、隙間が1.5mm以下の場合に比べてやや不十分ではあるが、良好な制振効果が得られることが確認された。
〔実施形態2〕
図5は実施形態2に係る制振装置を模式的に示す概略構成図である。実施形態2の制振装置は、振動体5に固定される取付部材1が取付基部11のみで構成されている点と、マス部材3を弾性支持するばね部材2、…、2として4個の高減衰ゴムが用いられている点で、実施形態1の制振装置と異なる。
図5は実施形態2に係る制振装置を模式的に示す概略構成図である。実施形態2の制振装置は、振動体5に固定される取付部材1が取付基部11のみで構成されている点と、マス部材3を弾性支持するばね部材2、…、2として4個の高減衰ゴムが用いられている点で、実施形態1の制振装置と異なる。
本実施形態におけるばね部材2、…、2は、ブチルゴムにより所定の大きさの円柱状に形成されており、tanδ(減衰係数)の値が0.15(0.1以上)のものである。このばね部材2、…、2は、マス部材3下面の四隅の角部にそれぞれの軸方向一端面が固着されていると共に、それぞれの軸方向他端面が取付基部11の上面に固着されている。これにより、取付基部11に対して、マス部材3が4個のばね部材2、…、2により弾性支持されていることによってダイナミックダンパが構成されている。このダイナミックダンパの共振周波数(固有振動数)は、ばね部材2、…、2のばね定数とマス部材3の質量とに基づいて6Hzにチューニングされており、振動体5の固有振動数(10Hz)よりも小さくなるようにされている。
なお、実施形態においては、マス部材3の下面中央部に固定されている液体封入ダンパ4は、容器部材41底部の入力部41eと取付基部11との間に微小な隙間(約0.5mm)が形成された状態に配設されている。この微小な隙間は、ばね部材2、…、2として用いられた高減衰ゴムの経年劣化等によるばね定数の変化を考慮して適宜設定される。
以上のように構成された本実施形態の制振装置は、振動入力により振動体5が縦方向(上下方向)に振動した際には、液体封入ダンパ4に封入された液体43の流動に基づいて発揮される減衰機能により、振動体5の振動を早期に収束させて、広い周波数域の振動を良好に抑制することができるなど、実施形態1の場合と同様の作用及び効果を奏する。
〔実施形態3〕
図6は実施形態3に係る制振装置を模式的に示す概略構成図である。実施形態3の制振装置は、実施形態1の制振装置に対して、マス部材3の下面に取付けられた液体封入ダンパ4と同じ2個の液体封入ダンパ4a、4bを付加したものである。即ち、この液体封入ダンパ4a、4bは、マス部材3の長手方向両端面にそれぞれ固定されて、マス部材3の各端面とこれに対向する取付部材1の支持部12、12との間に配設されている。各液体封入ダンパ4a、4bと各支持部12、12との間には、所定の微小な隙間が設けられている。なお、取付部材1、ばね部材2、マス部材3及び液体封入ダンパ4は、実施形態1のものと同じであるので、図6に同じ符号を付すのみに止めて詳しい説明は省略する。
図6は実施形態3に係る制振装置を模式的に示す概略構成図である。実施形態3の制振装置は、実施形態1の制振装置に対して、マス部材3の下面に取付けられた液体封入ダンパ4と同じ2個の液体封入ダンパ4a、4bを付加したものである。即ち、この液体封入ダンパ4a、4bは、マス部材3の長手方向両端面にそれぞれ固定されて、マス部材3の各端面とこれに対向する取付部材1の支持部12、12との間に配設されている。各液体封入ダンパ4a、4bと各支持部12、12との間には、所定の微小な隙間が設けられている。なお、取付部材1、ばね部材2、マス部材3及び液体封入ダンパ4は、実施形態1のものと同じであるので、図6に同じ符号を付すのみに止めて詳しい説明は省略する。
以上のように構成された本実施形態の制振装置は、振動入力により振動体5が縦方向(上下方向)に振動した際には、実施形態1の場合と同様に、液体封入ダンパ4に封入された液体43の流動に基づいて発揮される減衰機能により、振動体5の振動を早期に収束させて、広い周波数域の振動を良好に抑制する。
また、振動体5が横方向(左右方向)に振動した際には、マス部材3の長手方向両端面にそれぞれ設けられた液体封入ダンパ4a、4bが、マス部材3と支持部12、12とによって圧縮と圧縮解除を繰り返し受けることにより、内部に封入された液体43が流動する。これにより、その液体43の流動に基づいて発揮される減衰機能により、振動体5の振動が早期に収束する結果、広い周波数域に亘って良好な制振効果が得られる。
以上のように、本実施形態の制振装置は、マス部材3の各端面と各支持部12、12との間にもそれぞれ液体封入ダンパ4a、4bが配設されているので、振動体5の横方向(左右方向)の振動も良好に抑制することができる。
1…取付部材 11…取付基部 12…支持部 2…ばね部材 3…マス部材 4、4a、4b…液体封入ダンパ(弾性体) 41…容器部材 41a…筒状部 41b…可撓部 41c…攪拌部 41e…入力部 42…取付基板 43…液体 5…振動体 6…ばね系
Claims (5)
- 振動体に固定される取付部材と、
該取付部材に一端が連結されたばね部材と、
該ばね部材を介して前記取付部材に弾性支持されたマス部材と、
該マス部材及び前記取付部材のどちらか一方に固定されると共に、それらのどちらか他方と接触した状態に又はそれらのどちらか他方との間に微小な隙間を形成した状態に配設された弾性体と、
から構成されていることを特徴とする制振装置。 - 前記弾性体は、液体封入ダンパ又は高減衰ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
- 前記液体封入ダンパは、少なくとも一部に弾性変形可能な可撓部を有する容器部材と、該容器部材の内部に封入された液体とを備えたものであることを特徴とする請求項2に記載の制振装置。
- 前記高減衰ゴムは、tanδの値が0.1以上のものであることを特徴とする請求項2に記載の制振装置。
- 前記弾性体と前記マス部材又は前記振動体との間に形成される隙間は、0〜5mmとされていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の制振装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2007221142A JP2009052691A (ja) | 2007-08-28 | 2007-08-28 | 制振装置 |
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Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2011016314A1 (ja) * | 2009-08-05 | 2011-02-10 | 日東電工株式会社 | 風力発電機ブレード用制振シート、風力発電機ブレードの制振構造、風力発電機および風力発電機ブレードの制振方法 |
| JP2013148207A (ja) * | 2012-01-23 | 2013-08-01 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 支柱用制振装置および支柱 |
| CN119686208A (zh) * | 2025-01-15 | 2025-03-25 | 中铁大桥局集团有限公司 | 一种水平多向低频调谐液体质量阻尼器 |
-
2007
- 2007-08-28 JP JP2007221142A patent/JP2009052691A/ja active Pending
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