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JP2009051362A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2009051362A JP2007220129A JP2007220129A JP2009051362A JP 2009051362 A JP2009051362 A JP 2009051362A JP 2007220129 A JP2007220129 A JP 2007220129A JP 2007220129 A JP2007220129 A JP 2007220129A JP 2009051362 A JP2009051362 A JP 2009051362A
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Abstract

【課題】スパイラルベルトを設けても操縦安定性が高い二輪車用空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【解決手段】タイヤセンターCLからトレッド端Tまでのトレッド表面距離をLとする。タイヤセンターCLからトレッド表面に沿った幅方向端までの距離が0.4L〜0.75Lの範囲内とされたトレッドセンター部TCには、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が0〜5°の範囲内とされたスパイラルベルト20が配置されている。トレッドセンター部TCに隣接するトレッド側部TSのうちトレッド側部端側TSEの骨格部材では、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が45〜90°の範囲内とされている。トレッドセンター部TCとトレッド側部端側TSEとの間の骨格部材では、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度がトレッドセンター部TCよりも大きくてトレッド側部端側TSEよりも小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、二輪車用空気入りタイヤに関し、更に詳細には、特に、高速時の操縦安定性能、バイクを大きく倒す深いコーナリング時のトラクション性能、及び、タイヤショルダー部の耐摩耗性能を向上させた二輪車用空気入りタイヤに関する。
高性能の二輪車用空気入りタイヤでは、タイヤの回転速度が高速となるので遠心力の影響が大きく、タイヤのトレッド部分がタイヤ径方向外側に膨張してしまって操縦安定性能を害する場合がある。これを防止するために、タイヤのトレッド部分に、有機繊維やスチールの補強部材(スパイラル部材)を、タイヤ赤道面(タイヤセンター)と概略平行になるように、ぐるぐると巻きつけるタイヤ構造が開発されている。タイヤ赤道面に沿ってスパイラル状に巻きつける補強部材としては、ナイロン繊維(「ナイロン」はデュポン社の登録商標)や芳香族ポリアミド(ケブラー)、スチールなどを用いている。中でも、芳香族ポリアミド(ケブラー)やスチールは、高温時においても伸張せずにトレッド部分の膨張を抑制することができるため、注目されつつある。
これらの部材をタイヤのクラウン部分にまきつけた場合に、いわゆる「たが」効果(風呂桶のたがのようにタイヤのクラウン部を押さえつけて、高速でタイヤが回転した場合でもタイヤが遠心力で膨らむことなく、高い操縦安定性能や耐久性を示す効果)を高めることが出来るので、スパイラルコードをタイヤのクラウン部に配置することが多数提案されている(例えば特許文献1〜5参照)。
これらのスパイラル部材を巻きつけた二輪車用空気入りタイヤにおいては、高速時の操縦安定性能が優れ、トラクション性能が非常に高いことが知られている。
しかし、二輪車用空気入りタイヤを装着した車両(例えばバイク)を大きく倒したときの操縦安定性能(特に旋回性能)については、補強部材(スパイラル部材)を巻きつけたからといって飛躍的に向上するわけではない。ライダーなどからは、バイクを大きく倒した時のグリップ性の向上を要望されることもある。
なお、バイクの特性上、速度が上がるのは直進時、すなわちCAが0度付近のバイクが直立している状態のときであり、タガ効果が求められるのは、特にタイヤセンター部の膨張に対してである。一方、タイヤ旋回中にはCAが45度以上となり、バイク車両の速度も落ちるため、遠心力によるタイヤの膨張の心配は少ない。
特開2004−067059号公報 特開2004−067058号公報 特開2003−011614号公報 特開2002−316512号公報 特開平09−226319号公報
本発明は、上記事実を考慮して、スパイラルベルトを設けても操縦安定性が高い二輪車用空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、本発明を完成するにあたり、以下の検討を行った。
二輪車用空気入りタイヤでは、2輪車が車体を傾けて旋回することから、直進時と旋回時とでは、トレッド部が地面と接する場所が異なる。つまり、直進時にはトレッド部の中央部分を使い、旋回時にはトレッド部の端部を使う特徴がある。そのためにタイヤの形状が乗用車用のタイヤに比べて非常に丸い。この丸いクラウン形状(タイヤのトレッド部分の形状)によって、特に旋回中は次のような独特な特性が見られる。
二輪車用空気入りタイヤでは、特に車体を大きく倒した場合の旋回性能については、タイヤのトレッドの片側の端部が接地してグリップ力を発生させている。車体を大きく倒して旋回する場合、図6に示すような接地状態となる。接地している範囲の幅はトレッド全体の幅の25%程度である。このときの接地形状について考察すると、図6のように、接地形状のセンター寄りと、接地形状のトレッド端部寄りとでトレッド部の変形状態が異なる。トレッド部108のタイヤの回転方向(タイヤ周方向、またはタイヤ前後方向とも呼ばれる)の変形を見てみると、センター寄りのトレッド部分108Cではドライビング状態であり、トレッド端部寄りのトレッド部分108Eではブレーキング状態である。
ここで、ドライビングとは、タイヤを赤道方向にそって輪切りにした場合に、そのトレッド部分の変形が、トレッド下面(タイヤ内部の骨格部材に接している面)がタイヤ進行方向後方にせん断される力を受け、路面に接地しているトレッド表面がタイヤ進行方向前方に変形しているせん断状態のことであり、ちょうどタイヤに駆動力をかけたときに起こる変形である。一方、ブレーキングはドライビングの逆であり、ブレーキングでは、トレッドの変形はタイヤ内部側(ベルト)が前方にせん断される力を受け、路面に接地しているトレッド表面が後方に変形しているせん断状態となっており、制動したときのタイヤの動きとなる。図6のように、キャンバ角45度のように大きな角度で傾いて旋回するときには、タイヤに駆動力や制動力が加わっていない状態での回転でも、トレッドセンター寄りの接地領域にドライビング状態が現れ、トレッド端部寄りにブレーキング状態が現れる。これは、タイヤのベルト部の半径の差(径差)による。二輪車用空気入りタイヤでは、タイヤのクラウン部が大きな丸みを帯びているため、回転軸からベルトまでの距離がトレッドセンター部とトレッド端部とで大きく異なる。図6の場合では、接地部分のセンター寄りの位置での半径RCは、接地部分のトレッド端部寄りの位置での半径RAよりも明らかに大きい。タイヤが回転する角速度は同じであるので、ベルト部の速度(タイヤが路面に接触している場合では、路面に沿ったタイヤ周方向の速度をいう。ベルト半径にタイヤ角速度をかけたもの)は、半径の大きいRAの部分の方が速い。タイヤのトレッド表面は、路面に接触した瞬間では前後方向にせん断される力を受けていないが、路面に接触したままタイヤ回転にあわせて進み、路面から離れるときには前後方向のせん断変形を受けている。このとき、ベルトの速度が速いタイヤセンター寄りのトレッド部分108Cではドライビング状態のせん断変形が生じており、タイヤのトレッド端部側(トレッド端部寄りのトレッド部分108E)ではベルトの速度が遅いのでブレーキング変形が生じている。これが、トレッド部108の前後方向の変形形態である。
このような旋回中の余計な変形によって、タイヤショルダー部では偏摩耗を起こしやすい。特にトレッド端から10%未満の領域である領域A(図6参照)では、ブレーキング変形が大きいため、蹴り出し部分でタイヤ周方向に滑りやすく摩耗が起こり易い。
また、トレッドが前方や後方の逆の剪断変形を起こすことから、無駄な挙動を含み、旋回時のタイヤグリップ力に無駄が生じる。図6に示した領域Aは、既にタイヤ周方向にせん断変形を受けており、横力が加わってトレッドが横に変形しようとしても、既にタイヤ周方向に摩擦係数を使っているため、横方向に100%の摩擦係数を使えずに非効率となる。理想的には接地しているトレッド部分の変形が周方向には生じずに全て横方向に発生すれば横力は最大となる。また、周方向のトレッドの変形にバラツキがあると、滑り方にもバラツキが発生する。例えば、タイヤが傾いたままタイヤに駆動力を加えて加速するときでは、すでにドライビング状態にあるセンター寄りのトレッド部分108Cでは駆動力がタイヤに加わるとすぐに駆動グリップ力が発揮されるが、すでにブレーキング状態にあるトレッド端寄りのトレッド部分108Eでは、一度ブレーキング変形がニュートラルに戻り、それから駆動側の変形へとシフトするため、なかなか駆動力に寄与できない。トレッド端寄りのトレッド部分108Eをドライビング状態にするためには、大きなトラクション力が必要であり、このようなトラクション力を加えるためにアクセルを開いてタイヤに駆動力を加えると、もともとドライビング状態にあるタイヤセンター側のトレッドが滑って空転状態に陥りやすい。
このような問題に対して、もともとブレーキング側にあるタイヤショルダー部のトレッド変形を、少しでもドライビング側にしておけば、トレッド端部でもトラクション力を大きく発揮できると考えられる。このためには、トレッド端部でのベルトの速度を速めることが解決方法の1つであるが、このベルトの速度は先に述べたようにベルト半径によって決まっており、ベルト半径を大きくし過ぎると二輪車用空気入りタイヤとして用いることができなくなる。
そこで、トレッド端部については、接地してからタイヤ周方向にベルトが伸びやすい構造にすることで、ベルト速度を速めることが考えられる。すなわち、大キャンバ角度が付く旋回時(以下、大キャンバ時という)において、接地部分のうちセンター側半部はベルトがタイヤ周方向(赤道方向)に伸びない構造で、トレッド端側の半部はベルトがタイヤ周方向に伸び得る構造とすれば、接地してからトレッド端側のベルトが伸びることでトレッド端側のベルト速度が増し、トレッド端側のブレーキング変形を少なくすることができる。その結果、大キャンバ時のトラクション性能(バイクを大きく傾けた旋回からの加速性能)が向上する。
従来の技術では、スパイラルベルト層をトレッドの全領域に巻きつけることが普通である。このようなタイヤであるとトレッドのショルダー部のベルトを赤道方向に伸ばすことはできない。そこで、スパイラルベルトをトレッド端部付近に巻かずに、センター側だけの配置とすれば、大キャンバ時にトレッド端部のべルト速度が増して、トラクション性能を向上させることができる。また、大キャンバ時にトレッドショルダー部のベルトの速度が増すということは、トレッドセンター側のベルトの速度に近づくことであり、これによって、接地しているトレッド部分の余計な動きが抑制される。つまり、これまで逆方向の剪断力を受けるトレッドが、同じ方向の剪断力を受けることになり、無駄な動きが排除されて、偏摩耗の発生を抑制することができる。またトレッドセンター部にはスパイラルベルト層が配置されているため、高速走行時(速度が速いので、二輪車用空気入りタイヤを装着している車両(バイクなど)が直立している時)でのタイヤの遠心力による膨張を抑制することができ、結果として高速時の操縦安定性能が、全幅のスパイラルベルト層を持つタイヤ並みに維持される。
また、スパイラルベルトを途中でとめて、その先に交錯層を設けた場合、スパイラルが存在する部位と存在しない部位での骨格部材の剛性の差が著しく、スパイラルベルト端部付近のゴムに大きな歪が生じる。そのため、スパイラルベルト端部から亀裂が発生して故障にいたる場合が想定される。
以上のような検討のもとで、本発明者は、この剛性段差を解消して亀裂の発生を防止することを鋭意検討し、両者の間に中間層を設けることを考え出した。
また、この中間層があることによって、バイクを倒していく時のグリップの変動も少なく押さえられるメリットがあることも見い出した。従来では、スパイラルベルトの存在する部分からスパイラルの無い部分に接地部分が移動する際に、内部の骨格部材の剛性変化が大きいため、ライダーが違和感を感じる場合があった。中間層を設けることによって、内部の骨格部材の段差乗り越しの変動が段階的に変化するため、ライダーは滑らかな車体の倒しこみ、車体を起こしての加速ができる。
本発明者は、以上のような検討を行うとともに実験を重ねて更に検討を加え、本発明を完成するに至った。
請求項1に記載の発明は、トレッド部のタイヤ内側に配置される骨格部材が、タイヤ周方向に対するコード角度が互いに異なる少なくとも3種の部材で構成されおり、タイヤセンターからトレッド端までのトレッド表面距離をLとした場合に、タイヤセンターからトレッド表面に沿った幅方向端までの距離が0.1L〜0.75Lの範囲内とされたトレッドセンター部には、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が0〜5°の範囲内とされたスパイラルベルトが配置され、前記トレッドセンター部に隣接するトレッド側部のうちトレッド側部端側の骨格部材では、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が45〜90°の範囲内とされ、前記トレッドセンター部と前記トレッド側部端側との間の骨格部材では、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が前記トレッドセンター部よりも大きくて前記トレッド側部端側よりも小さい、ことを特徴とする。
請求項1では、トレッド内部の骨格部材の角度を規定している。骨格部材としては、ベルト、カーカスプライなどである。
ベルトの角度は、タイヤ周方向(赤道方向)に平行なもの(すなわち、スパイラルベルト)が0度であり、これが最も周方向に伸びないことになる。すなわち、遠心力に対するタガ効果を発揮できる。
一方、ベルトの角度が45度以上であると、ベルトが交錯していても赤道方向に十分に伸びることができる。これは丁度、電車のパンタグラフのように、コード自身が伸びなくても、交錯ベルトが幅方向に縮むことによって、周方向(赤道方向)にベルトが伸びることが出来るからである。
ベルト角度が10度〜45度未満の場合は、ベルトの伸びやすさは両者の中間となる。
本発明の趣旨は、スパイラルベルトがあると高速転動時に遠心膨張しないというメリットが有るが、タイヤ旋回時にトレッド側部端側が伸びずに、ブレーキング状態となり、横方向のグリップに寄与できないデメリットがあることを解消するものである。そこで、周方向のベルトの伸びやすさに注目し、これがベルトやボディプライの赤道方向に対する最小の角度によって決まっていることから、この角度を赤道方向から3段階に変化させることを規定している。3段階にしたのは、2つの理由がある。1つは、2段階(すなわち、スパイラルベルトがあるかないか)とした場合は、スパイラルベルトが巻いてある部分の周方向ヘの伸び難さと、スパイラルベルトが巻いてない部分の周方向への伸び易さとの差が大きすぎて、すなわち両者の間の剛性段差が大きすぎて、スパイラルベルト端部付近のゴムに周方向剪断力が強く働き、この部分の歪が大きくなって、亀裂を生じる場合がある。3段階とすることで剛性の変化を和らげることができ、亀裂の発生を抑制できる。2つ目の理由は、剛性の変化による操縦安定性能の変化、すなわちタイヤグリップの変化を滑らかにすることができる点である。2段階の構成(スパイラルベルトがあるかないか)の場合では、スパイラルベルトがある部分からスパイラルベルトが無い部分に接地形状が移動する時に、グリップの変化が大きい。また、スパイラルベルトがある部分と無い部分とでは、ベルトの面外曲げ剛性も異なり、乗り心地の変化も大きく、バランスを保って旋回するバイクにおいては、不安定な挙動を感じやすかった。請求項1のようにベルトの構成を3段階とすることで、段差の変化がすくなく、減速して旋回する時の滑らかな車体の倒しこみ、それから加速するときの滑らかな車体の起こし、が可能となる。
請求項1では、トレッド部の片側、すなわちタイヤセンターからトレッド端部までを3つの領域に分けている。その領域を、タイヤセンターから、トレッド端部に向かって、トレッドセンター部、トレッド側部中央側、トレッド側部端側と呼んでいる。
請求項1では、CA45度以上の旋回時において、トレッド端部の内部骨格部材(ベルトやプライ)が周方向に伸びれば良い。その周方向への伸び易さは骨格部材のタイヤ周方向に対するコード角度によって決定される。赤道方向に巻かれたスパイラルベルトは殆ど伸びない。また、赤道方向に対して角度が45度以上であると非常によく伸びる。そこで、トレッドセンター部のコード角度の最小角度を0〜5度とした。これは実質的に周方向にぐるぐると巻きつけるスパイラルベルトを意味する。一方、トレッド側部端側のコード角度の最小角度を45度〜90度とした。これによって、トレッド側部端側は周方向に伸び易い。両者の中間に位置するトレッド側部中央側ではこの間のコード角度とした。
本発明者は、ベルトの赤道方向の角度と周方向の引っ張り剛性との関係を調べる実験を行った(図7、図8を参照)。
実験を行うにあたりコード入りのゴムシートを準備し、ベルト部材に見立てた。ゴムシートの寸法は長さ250mm、幅70mm、高さが1mmであり、ゴムシートの内部には芳香族ポリアミド(商品名:ケブラー)のコードが配置されている。このコードは、芳香族ポリアミドの繊維を撚って0.7mmとして、幅1mmに対して1本コードとして打ち込まれている。すなわち打ち込み間隔は50本/50mmである。コードはゴムシートの高さ方向の中心に打ち込まれる。このゴムシートに打ち込むコードの角度を5度刻みに0度〜90度まで用意した。ゴムシートの長手方向を赤道方向に見立てている。コードが打ち込まれているゴムシートは、図7に示すように、間隔Mが200mmである鉄製のクランプで両端を押さえられて、長手方向に引っ張ってそのときの反力から剛性を導く。具体的には、長手方向に100Nで引っ張った時と、300Nで引っ張った時の両方の伸びを測定し、この伸びの引っ張り力の差分200Nを伸びの差分で割った値を剛性とした。具体的には、100Nで引っ張った時の伸びをL1(mm)、300Nで引っ張った時の伸びをL2(mm)とすると、ゴムシートの剛性K=(300N−200N)/(L2mm−L1mm)で求めることができる。なお、差分を取ったのはクランプするときのセットの仕方で、ゴムシートの初期状態のコントロールが難しいためであり、100Nで引っ張った時からの伸びとすればいずれのサンプルの剛性も精度良く測定できるからである。5度刻みの剛性の変化をグラフで示す(図8参照)。また、交錯した場合も想定し、ゴムシートの寸法は長さ250mm、幅70mm、高さが2mmのゴムシートの中に、2層にコードを配置したゴムシートも準備した。厚みが先のゴムシートの2倍となっている。打ち込むコードは先の1層のものと同じであり、ケブラーを用いている。同じく0度〜90度までのゴムシートを準備した。2層のものは、35度の場合では、1枚目と2枚目の角度を交錯させて長手方向(赤道方向)に配置する。つまり、赤道方向に対して1枚目が右上がりであれば(時計の針でいうと、6時から12時の方向を赤道方向とすると、7時から1時の方向が右上がり。逆に5時から11時の方向は左上がり)、2枚目は左上がりとする。0度の場合は、長手方向に平行にコードが並んだ層が2層配置されることになる。
これらのゴムシートについて剛性の測定を行い、その結果をプロットした(図8参照)。1枚で0度の時の剛性を100とした。
この測定結果からわかるように、コード方向が5度未満であると、非常に強いことがわかる。またシートの剛性はコード角度10度〜45度で大きく変化する。コードの角度45度では1枚の時も2枚の時も、剛性は0度の時の3分の1程度であり、3倍伸びやすくなっていることがわかる。45度以上にするとさらにシートは伸びやすくなる。シートは、コード角度が60度〜90度の時が伸びやすい。
なお、最も伸びるのは90度のときであり、このとき図6の周方向のトレッド変形の差を最も効果的に緩和することができる。カーカスプライをラジアルとすれば、最もトレッドの変形の差を緩和することができる。一方、ベルト部材としては周方向の伸びやすさと面内せん断剛性のバランスを考えた場合には、コードの角度は45度〜85度が好ましい。コードを交錯させて使う場合を想定すると、コードの角度は60度〜80度が更に好ましい。
一方、周方向に伸ばさない観点からは、コードの角度は0〜5度が良い。このような赤道方向の角度はスパイラルベルトとなる。
なお、今回の実験では、250mmのシートの両側の25mmずつをクランプして、シートが延びるのはM=200mm(図7参照)の部分であった。1000ccバイクに使われる二輪車用リアタイヤのCA45度での接地形状はラグビーボール型になり、荷重が大きくかかったときの接地長が200mm程度、接地幅が70mm程度である。今回のシートはこの接地形状の大きさを想定してこのサイズとした。
以上の実験から、請求項1に記載の発明の数値の根拠が導かれる。
3分割した領域のセンターにおけるコード角度、すなわちタイヤセンター部に配置するスパイラルベルトのコード角度を0〜5度としたのはこの実験で、1枚のベルトの時に0〜5度で剛性が非常に高く、高速転動したときにタガ効果を得られるからである。高速転動するときは、バイクが直立しているときであり、タイヤのセンター部を使用する。
3分割したトレッド側部のコード角度を45度〜90度としたほうが好ましいのは、1枚のシートの実験でも、2枚のシートの実験でも、45度以上であれば、ベルトが周方向に伸びるからである。45度未満になると、ベルトが周方向に伸びずに、図6のトレッドの周方向の変形を緩和する効果が小さくなる。一方上限については、90度とすれば、最もベルトが周方向に伸びることができ、このときに図6の周方向のトレッド変形の差を最も効果的に緩和することができる。なお、ベルト部材としては周方向の伸びやすさの他にも、ベルトの面内せん断剛性を保つことも必要であり、周方向の伸びやすさと面内せん断剛性のバランスを考えた場合には、コードの角度は85度以下で交錯させることが好ましい。コードを交錯させて使う場合を想定すると、コードの伸びやすさとベルト面内せん断剛性のバランスを考えた場合、コードの角度は45〜80度が更に好ましい。
両部分の間に位置するトレッド側部中央側では、この両者の間のコード角度と規定した。これは、実験で明らかなように、引っ張り剛性がベルトの角度によって単調に変化するからである。両者の間の角度にしておけば、両者の間の引っ張り剛性の部材となり、引っ張り強さをタイヤセンターから、タイヤショルダー端部にむけて徐々に変化させることができる。
なお、請求項1のようにベルトの構成を3段階とせずに、ベルトの構成を2段階とした場合(たとえば、タイヤセンター部ではスパイラルベルトであり、タイヤ側部では30度の交錯ベルトである場合)、タイヤセンター部とタイヤショルダー部とで部材の周方向の伸び方が著しく異なり、両部材の境目で大きな剪断歪がスパイラルコードの巻き終わり部分で発生する。これはスパイラルコードを土台として、その外側のベルトが周方向にずれようとする剪断であり、この剪断によってスパイラルコードの巻き終わりの位置に、周方向全周360度にわたって亀裂が発生しやすい。ゆえに、本願の請求項1のように、両者の間に中間的な引っ張り剛性を持つ部材を配置する構成とした。
トレッド側部の端部でベルトが伸びるということは、図6で示した、CA45度以上のバイクを大きく倒した旋回において、トレッド端部のベルトが接地してから伸び、トレッド端部のベルトの速度が増すことになる。これによって、図6の周方向のトレッド変形の差が緩和される(すなわち、接地のセンター側でドライビング、接地のショルダー側でブレーキングの変形が緩和される)ことになって、トレッドの無駄な周方向の変形挙動が少なくなり、トレッドゴムが横方向に集中的にグリップを発生することが出来る。また周方向の無駄な変形が抑制されるので、ドレッドが周方向に滑りにくくなり、偏摩耗が抑制される。
請求項2に記載の発明は、前記トレッド側部端側のタイヤセンター寄りの幅方向端が、トレッド端からタイヤセンター側にトレッド表面に沿って0.1L〜0.25Lの範囲内とされていることを特徴とする。
請求項2では、ベルトを周方向に伸ばすべきトレッド側部端側領域の幅について規定している。また、請求項2では、トレッド半分のトレッド表面の幅をLとしている。つまり、タイヤセンターからタイヤの表面にそってトレッド端までの距離をLとしている。このとき、ショルダー部でベルトを伸ばす必要があるトレッド側部端側の幅は、トレッド端から0.10L〜0.25Lと規定した。
この幅を設定した根拠は、バイクが最も大きく倒れるCA(キャンバー角)が50度付近での接地部分に基づく。CA50度の旋回時には、トレッド全幅2Lの0.4〜0.5Lのトレッド端部の部分のみが接地している。上述したように、トレッド側部端側では骨格部材を周方向に積極的に伸ばしたい。このためにはトレッド側部端側で周方向に積極的にベルトを伸ばすことが重要である。CA50度の接地の中心は、トレッド端から0.2〜0.25Lだけ離れた位置であり、この領域を周方向に伸ばすことを考える。ただし、厳密に接地の半分にするのではなく、接地部分の半分が伸びなくても、接地領域の幅方向の1/4程度の領域が伸びれば十分な効果が得られる。そこで、幅を0.1L以上0.25L以下としている。0.1Lの時は、接地幅の1/4の領域でベルトが伸びる。0.25Lの時は接地幅の半分の領域でベルトが延びることになる。0.1L未満だと、ベルトが伸びる領域が狭すぎて効果が少ない。0.25Lを超えるとベルトあまり伸ばしたくないトレッドのセンター側のベルトも伸びることになり好ましくない。
なお、上述したように、トレッドセンター部にはスパイラルベルトが配置される。このスパイラルベルトは、非伸張性の部材を用いることが好ましく、例えば芳香族ポリアミド(ケブラー)を撚ったコードや、スチールを撚ったコードなどを用いることができる。トレッドセンター部の幅を0.1L〜0.75Lとしてもよい。
トレッドセンター部へのスパイラルベルトの配置理由は、高速転動時の遠心力によるタイヤの膨張を防止することにある。遠心力が最も働くのはタイヤのセンター部分であり、この部分にスパイラルベルトを巻く必要がある。トレッドセンター部の0.1Lの幅というのは、左右で0.2Lの幅ということになる。リアタイヤのCA0度での接地幅も0.4L〜0.5Lであるため、片側0.1L、両側で0.2L以上の幅があれば、接地形状の真ん中部分の約半分についてスパイラルベルトを配置できて、タガ効果によって膨張を抑えることができる。これ以下になると、スパイラルベルトを巻く幅が狭すぎて、遠心力による膨張を抑制できなくなるおそれがある。上限の0.75Lは、大CA時(例えばCA45度)の接地形状の真ん中までとなる。これ以上に巻き付けると、大CA時での接地部分のトレッド端寄りの領域(トレッド側部端側)を周方向に伸ばすという本発明の効果を得難くなる。
請求項3に記載の発明は、前記トレッドセンター部のトレッド端寄りの幅方向端が、タイヤセンターからトレッド端側にトレッド表面に沿って0.5L〜0.75Lの範囲内とされていることを特徴とする。
請求項3では、旋回時でのグリップ性の向上に重点を置いた幅を規定している。CA45度での旋回時には、トレッド端部から0.4L〜0.5Lの領域が接地している。接他領域のセンター側ではベルトは周方向に延びないのが好ましく、トレッド端では伸びることが好ましい。この伸びの差が大きいほど、図6に示したセンター側でトレッドのゴムがドライビング変形、ショルダー側でブレーキング変形になることを防止できる。そこで最も伸びにくいスパイラルベルトを、CA45度の接地領域まで巻きつける。幅が0.5Lの時は、スパイラルベルトは接地の境界までまかれており、この伸びないベルトの影響でその近傍のベルトも延びにくくなる効果が得られる。0.75L以下としたのは、CA45度の接地領域の中心が0.75Lであることと、スパイラルベルトの隣の領域にトレッド側部中央側の領域を設け、ある程度角度の少ないベルトを巻くことを考えての配置である。つまり、0.75L以下であれば、CA45度の接地のセンターよりについて周方向に伸びないように拘束できる。また、トレッド側部端部の領域は、0.1L以上0.2L以下とした。これは請求項2の理由による。上限を0.25Lではなく0.2Lとしたのは、トレッドセンター部とトレッド側部端側との間にトレッド側部中央側の領域を設けるために、0.05Lの幅を削ったためである。
請求項3のような構成にすれば、CA45度のようにバイクを深く倒した時の接地において、ベルトの伸び易さの差を最も大きくつけることができる。すなわち、接地部位のタイヤセンター側はスパイラルベルトによって伸び難く、接地部位のトレッド端側は伸び易い構成とすることができ、その両者の中間を、中間の伸び特性をもつベルトで配置することができる。
請求項4に記載の発明は、前記トレッドセンター部と前記トレッド側部端側との間の骨格部材は、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が15〜45度の範囲内であることを特徴とする。
請求項4では、前記トレッドセンター部と前記トレッド側部端側との間を構成するトレッド側部中央側のベルトの角度を具体的に示した。上記の実験で説明したように、この部分(トレッド側部中央側)のコード角度を15度〜45度とすれば、スパイラルベルトと伸びやすいベルトとの中間の伸びをもつ部分とすることが可能である。
さらに好ましくは20度〜40度である。これにより、スパイラルベルトと45度以上のベルトとの中間の伸び特性が得られて良い。
請求項5に記載の発明は、タイヤ周方向に対するコード角度が45度〜80度の範囲内の有機繊維コードからなり幅方向端部が前記トレッド側部端側にまで達する2枚の互いに交錯する交錯ベルトで構成される交錯ベルト層が設けられていることを特徴とする。
請求項5では、請求項1〜4の具体的な構成を規定している。請求項5では、有機繊維コードからなる2枚の交錯ベルトが設けられ、この交錯ベルトの幅方向端部がトレッド側部端側にまで達している。トレッド側部端側に達しているとは、トレッド側部端側の領域に一部が入っていれば良い。
交錯ベルトのコード角度は45度〜80度の範囲である。これがトレッド側部端側でのコード角度となる。この交錯ベルトの他に請求項1で規定したスパイラルベルトが配置されている。スパイラルベルトは赤道方向に対してコード角度が0〜5度であり、素材は非伸張性の有機繊維でも良いし、スチールであっても良い。スパイラルベルトと上記2枚の交錯ベルトとの位置関係は、スパイラルベルトがタイヤ半径方向内側でも良いしタイヤ半径方向外側でも良い。また、カーカスプライは1枚でも良いし2枚でも良く、その角度(コード角度)はラジアルでも良いし、赤道方向に対して45度以上の角度でお互いに交錯していても構わない。45度よりも小さいと、トレッド側部で伸びなくなるので好ましくない。
トレッド側部中央側については、赤道方向に対する角度が15度〜45度の骨格部材を配置することが好ましい。この骨格部材を有機繊維で構成すると、タイヤを重くせずにすみ、操縦安定性能が損なわれないために好ましい。この骨格部材は、左右1対に対称に配置するのが良い。1対の配置する場合、スパイラルベルト端部と重なっても良い。また、スパイラルベルト端部と重ならずに、両者の間に隙間が出来ても良い。1対の骨格部材は、交錯ベルトとプライとの間に配置しても良いし、交錯ベルトの外側に配置しても良い。また交錯ベルトの間に配置しても良い。この1対の骨格部材の幅は10mm以上あれば効果がある。
請求項6に記載の発明は、タイヤ周方向に対するコード角度が45度〜90度で交錯する少なくとも2枚のカーカスプライが設けられていることを特徴とする。
請求項6では、カーカスプライ(ボディプライ)を交錯させることで、カーカスプライの交錯によってトレッド側部端側の交錯層が形成される場合の構成を示した。この場合、交錯ベルトは存在しない。カーカスプライを交錯させることで骨格部材の面内剪断剛性を得ている。
この場合についても、左右1対の15度〜45度の骨格部材を配置することが好ましい。配置位置はカーカスプライに接するようにカーカスプライの半径方向外側に配置しても良いし、2枚のカーカスプライの間に配置しても良い。また、トレッドセンター部のスパイラルベルトと重なるように配置しても良い。重なる場合には、1対の骨格部材(例えばタイヤ周方向に対してコード角度を付けたベルト)の半径方向外側にスパイラルベルトを配置すれば、この骨格部材の端部をスパイラルベルトで押さえ込むことができ、端部からの亀裂の発生を抑制することができるために好ましい。
請求項7に記載の発明は、前記トレッド部のタイヤ径方向内側に配置された骨格部材のうちの最外層部材と前記トレッド部との間に、タイヤ周方向に対するコード角度が85度〜90度の範囲内の有機繊維コードからなるベルト補強層を、トレッド幅の90%以上110%以下の幅で配置したことを特徴とする。
請求項7では、これらの骨格部材のタイヤ半径方向外側に、85度〜90度のベルト(ベルト補強層)を幅広く配置することを規定している。このベルトの存在によって、部材の段差がぼかされて、ライダーは更に滑らかに車体の倒しこみ、起こし上げをすることが可能となる。
また、幅についてはトレッド全幅2Lの90%以上110%とした。このベルト補強層の目的は段差を感じさせなくすること、つまりスパイラルベルトの端部や、幅狭部材の端部をこの部材で覆って、最外層のベルトが分断されないようにしている点にある。そのため、幅を広く、トレッドの全領域を覆う配置が好ましい。90%以上とすれば、十分にベルト角部の段差を覆うことができる。なお、上限については、トレッド幅を超えてサイド部に達してもかまわない。つまり、110%となってもかまわない。好ましくは、タイヤのサイド部の最大幅に達しない程度の110%が上限である。
ベルト補強層のコード材質は有機繊維とした。自動二輪車のタイヤは断面形状が非常に丸いため、幅方向にコードの圧縮側に剛性を持つスチールを用いると、タイヤがたわみにくくなり、接地面積が減少するからである。有機繊維では、コードの圧縮側には剛性が低く、接地面積を減少させる心配がない。
本発明によれば、スパイラルベルトを設けても操縦安定性が高い二輪車用空気入りタイヤとすることができる。
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。また、以下の説明では、ベルト等の幅はペリフェリ方向幅のことである。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ10は、左右一対のビード部12と、ビード部12からトロイド状に延びるカーカス層14と、を備えている。
カーカス層14は、ビード部12のビードコア11にトロイド状に跨っている。本実施形態では、カーカス層14は2層のカーカスプライ(ボディプライ)15A、15Bで構成されている。本実施形態では、カーカスプライ15A、15Bのコード角度はタイヤ周方向に対して65度(タイヤ赤道方向に対して65度)とされており、カーカスプライ15A、15Bは互いに交錯するように配置されている。各カーカスプライでは、ナイロン繊維を撚ってナイロンコードとしたものが所定間隔で配列されている構成することが多い。カーカスプライ15A、15Bの端部はビードコア11で係止され、両側からビードワイヤー13が挟みこんでいる。なお、カーカスプライ15A、15Bの端部がビードコア11を折り返すように巻き上げられていても良い。
また、本実施形態では、トレッド部18のタイヤ内側に配置される骨格部材が、タイヤ周方向に対するコード角度が互いに異なる少なくとも3種の部材で構成されている。
トレッドセンター部TCには、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が0〜5°の範囲内とされたスパイラルベルト20が骨格部材としてカーカス層14とトレッド部18との間に配置されている。ここでトレッドセンター部TCは、タイヤセンターCLからトレッド端Tまでのトレッド表面距離をLとした場合に、タイヤセンターCLからトレッド表面に沿った幅方向端までの距離が0.4L〜0.75Lの範囲内のタイヤ部分である。このスパイラルベルト20は、単線または並列した複数本のコードを被覆ゴム中に埋設してなる帯状のゴム被覆コード層21をタイヤ周方向に対して0〜5度の範囲内のコード角度をなすようにスパイラル状に巻回してなるものである。
トレッドセンター部TCに隣接するトレッド側部TSのうちトレッド側部端側TSEの骨格部材(カーカスプライ、ベルト部材など)では、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が45〜90°の範囲内とされている。本実施形態では、このトレッド側部端側TSEにはカーカスプライ15A、15B以外に骨格部材は配置されていない。従って、トレッド側部端側TSEの骨格部材のタイヤ周方向に対するコード角度の最小角度は、カーカスプライ15A、15Bによって65度となる。
トレッド側部端側TSEとタイヤセンター部TCとの間を構成するトレッド側部中央側TSIには、タイヤ周方向に対するコード角度が所定角度範囲内とされた角度付きベルト26がカーカス層14とトレッド部18との間に配置されている。そして、トレッド側部中央側TSIの骨格部材のタイヤ周方向に対するコード角度の最小角度は、トレッドセンター部TCよりも大きくてトレッド側部端側TSEよりも小さい。
なお、スパイラルベルト20のタイヤ径方向内側に角度付きベルト26の端部が入り込んでスパイラルベルト20によって押さえ込まれるように角度付きベルト26が配置されている。
本実施形態では、このように骨格部材のコード角度を段階的に異ならせることで、スパイラルベルト端部付近のゴムにおける亀裂の発生を抑制できる。また、骨格部材端部における段差の変化を少なくして、減速して旋回する時の滑らかな車体の倒しこみ、それから加速するときの滑らかな車体の起こし、が可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図2に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ30は、第1実施形態に比べ、トレッド部18のタイヤ径方向内側に配置された骨格部材のうちの最外層部材であるスパイラルベルト20のタイヤ径方向外側とトレッド部18との間にベルト補強層32が配置されている。また、本実施形態でトレッドセンター部TCは、タイヤセンターCLからトレッド端Tまでのトレッド表面距離をLとした場合に、タイヤセンターCLからトレッド表面に沿った幅方向端までの距離が0.1L〜0.75Lの範囲内のタイヤ部分である。
ベルト補強層32のタイヤ周方向に対するコード角度は85度〜90度の範囲内とされている。また、ベルト補強層32を構成するコードは有機繊維コードとされている。ベルト補強層32は、トレッド幅の90%以上110%以下の幅で配置されている。
このようにベルト補強層32を設けることによって、各骨格部材(スパイラルベルト20、角度付きベルト26、及び、カーカス層14)の端部における段差がぼかされて、ライダーは更に滑らかに車体の倒しこみ、起こし上げをすることが可能となる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態でも、第1実施形態と同様、トレッド部58のタイヤ内側に配置される骨格部材が、タイヤ周方向に対するコード角度が互いに異なる少なくとも3種の部材で構成されている。
図3に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ40は、第1実施形態に比べ、カーカス層14に代えて、一枚のカーカスプライ44Aで構成されるカーカス層44を備えている。カーカスプライ44Aのタイヤ周方向に対するコード角度は90度である。すなわち、カーカスプライ44Aはラジアルカーカスプライとされている。
カーカス層44のタイヤ径方向外側には、交錯ベルト層48が配置されている。交錯ベルト層48は、2枚の互いに交錯する交錯ベルト48A、48Bで構成されている。本実施形態では、交錯ベルト48A、48Bのタイヤ周方向に対するコード角度は45〜80度の範囲内とされている。
交錯ベルト層48のタイヤ径方向外側で、トレッドセンター部TCには、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が0〜5°の範囲内とされたスパイラルベルト50が骨格部材として配置されている。ここでトレッドセンター部TCは、第1実施形態と同様、タイヤセンターCLからトレッド端Tまでのトレッド表面距離をLとした場合に、タイヤセンターからトレッド表面に沿った幅方向端までの距離が0.4L〜0.75Lの範囲内のタイヤ部分である。このスパイラルベルト50は、単線または並列した複数本のコードを被覆ゴム中に埋設してなる帯状のゴム被覆コード層21をタイヤ周方向に対して0〜5度の範囲内のコード角度をなすようにスパイラル状に巻回してなるものである。
トレッドセンター部TCに隣接するトレッド側部TSのうちトレッド側部端側TSEの骨格部材(カーカスプライ、ベルト部材など)では、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が45〜90°の範囲内とされている。本実施形態では、このトレッド側部端側TSEにはカーカスプライ44Aと交錯ベルト48A、48Bとが配置されるが、カーカスプライ44Aは90度であるため交錯ベルト48A、48Bの角度のほうが小さくなり、トレッド側部端側TSEの骨格部材のタイヤ周方向に対するコード角度の最小角度は、交錯ベルト48A、48Bの角度となる。
トレッド側部端側TSEとタイヤセンター部TCとの間を構成するトレッド側部中央側TSIには、タイヤ周方向に対するコード角度が30度である角度付きベルト56が配置されている。従って、トレッド側部中央側TSIの骨格部材のタイヤ周方向に対するコード角度の最小角度は、角度付きベルト56によって決まる30度であり、トレッドセンター部TCよりも大きくてトレッド側部端側TSEよりも小さい。
このように交錯ベルト層48を配置することにより、カーカス層44を1枚のカーカスプライ44Aで構成させても問題ない。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。図4に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ60は、第3実施形態に比べ、トレッド部58のタイヤ径方向内側に配置された骨格部材のうちの最外層部材であるスパイラルベルト50のタイヤ径方向外側とトレッド部58との間にベルト補強層32が配置されている。
ベルト補強層32のタイヤ周方向に対するコード角度は85度〜90度の範囲内とされている。また、ベルト補強層32を構成するコードは有機繊維コードとされている。ベルト補強層32は、トレッド幅の90%以上110%以下の幅で配置されている。
このようにベルト補強層32を設けることによって、各骨格部材(スパイラルベルト50、角度付きベルト56、及び、カーカス層44)の端部における段差がぼかされて、ライダーは更に滑らかに車体の倒しこみ、起こし上げをすることが可能となる。
<第1試験例>
本発明の効果を確かめるために、本発明者は、第1実施形態、第2実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤの7例(以下、実施例1〜7という)、比較のための二輪車用空気入りタイヤの1例(以下、比較例1という)、及び、従来の二輪車用空気入りタイヤの一例(以下、従来例1という)について、性能試験を行って性能を評価した。
タイヤサイズは全て190/50ZR17である。また、各タイヤでは、カーカス層には2枚のカーカスプライが配置されている。また、各タイヤでは、トレッド部に溝を配置していない。なお、各タイヤのタイヤ条件を表1にまとめて示す。
Figure 2009051362
(実施例1)
実施例1では、カーカスプライ15A、15Bのコード材質はナイロンである。実施例1では、ナイロン繊維を撚って0.6mmφのコードとし、これを打ち込み間隔65本/50mmで平行に並べ、未加硫ゴムでシート状にしたものをカーカスプライとしている。
スパイラルベルト20は、2本のコード(スチールコード)をゴムで被覆し、これをタイヤの製造過程において、トレッド部分に螺旋巻きするように赤道方向にほぼ平行になるようにぐるぐると螺旋状に巻きつけて形成させたものである。本試験例では、直径0.18mmのスチール単線を1×3タイプで撚ったスチールコードを、打ち込み間隔が60本/50mmになるようにして配置した。
トレッド全幅2Lは240mmである。タイヤセンターCLからスパイラルベルト端20E(図1参照)までのトレッド表面に沿った距離は80mm(0.67L)である。スパイラルベルト20はタイヤセンターCLを挟んで左右対称であり、スパイラルベルト20の幅は160mmである。
カーカス層14のタイヤ径方向外側に配置された角度付きベルト26の幅は25mmである。角度付きベルト26は、トレッド端TからタイヤセンターCL側に20mmの位置から45mmの位置までの25mmの幅で左右対称に配置されている。なお、スパイラルベルト20と5mmの幅で角度付きベルト26はオーバーラップしており、スパイラルベルト20のタイヤ径方向内側に角度付きベルト26の端部が入り込んでスパイラルベルト20によって押さえ込まれるように角度付きベルト26が配置されている。
角度付きベルト26は、芳香族ポリアミドの繊維を撚って直径0.7mmのコードとし、このコードを、打ち込み間隔50本/50mmでタイヤ周方向に対して30度の角度となるように配列させている。その際、図1で、紙面左側でコードが左上がりで紙面右側でコードが右上がりとるように配置しており、タイヤセンターCLを中心にして逆ハの字となるように配置している。
スパイラルベルト20のタイヤ径方向外側には、厚さ7mmのトレッド部(トレッド層)18が配置されている。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比べ、スパイラルベルト20のタイヤ径方向外側に、タイヤ周方向に対するコード角度が90度である90度ベルト33をベルト補強層32として配置している。この90度ベルト33は芳香族ポリアミドの繊維からなるコードで構成されている。90度ベルト33のベルト幅は240mmであり、トレッド部18の全幅を覆っている。コード径は0.7mmφであり、打ち込み本数は50本/50mmである。
(実施例3)
実施例3では、実施例2に比べ、スパイラルベルト20の幅が異なっている。スパイラルベルト20の幅は50mm(すなわちタイヤセンターCLからベルト端までの距離は25mm)とされている。
また、実施例3では、角度付きベルト26はタイヤセンターCLからトレッド表面に沿った距離が20mmの位置から100mmの位置までを覆っており、角度付きベルト26の幅は80mmとなっている。実施例1、2と同様、角度付きベルト26はタイヤセンターCLを挟んで左右対称となるように配置されており、角度付きベルト26のコードはタイヤセンターCLを挟んで逆ハの字状である。
(従来例1)
図9に従来例1の構造を示す。2枚のカーカスプライ85A、85Bで構成されるカーカス層84のタイヤ径方向外側にスパイラルベルト80が配置されている。スパイラルベルト80の幅は240mmであり、トレッド全幅を覆っている。スパイラルベルト80のタイヤ径方向外側には90度ベルトは配置されていない。トレッド部88の厚みは7mmである。
(実施例4〜8、及び、比較例1)
実施例4〜8、及び、比較例1についてのタイヤ条件を表1に示す。角度付きベルト26は、タイヤセンターCLからの距離がL1の位置からL2の位置にまで配置されている。スパイラルベルト20については、タイヤセンターCLからの距離がL3となる位置で規定している。
(試験方法、及び、評価結果)
本試験例では、まず狙いの車体を傾けたときのトラクション性能がどれだけ向上しているかを評価するためにドラムを用いて以下のようにして規定の試験を行った。
本試験例では、全てのタイヤについて、標準リムに組み込み後、タイヤ内圧240kPaとした。ここで、標準リムとは、JATMAが発行する2006年版のYEAR BOOKに定められた適用サイズにおける標準リムを指す。
試験機としては、直径3mのドラムに紙やすりを貼り付け、紙やすりを路面に見立てる。そして、ドラムを150km/hで転動させ、ドラム上側から、タイヤをキャンバ角50度で荷重150kgfで紙やすりに押し付ける。本試験例では、タイヤには回転軸に動力を伝えるチェーンを掛けており、駆動力を掛けることが可能になっている。本試験例ではモーターを用いて駆動力を加えた。
本試験例では、タイヤを150km/hで回転させておき、駆動力を加えてタイヤを180km/hまで、3秒の時間で線形に加速させる。そのとき、ドラムは150km/hで転動しているため、タイヤに駆動力が掛かった状態となり、車体が傾いた状態におけるトラクションを測定できる。タイヤに働く力を、タイヤのホイール中心に設置した力センサーで読み取る。
読み取ったこの力を、横軸にFx(タイヤ進行方向に平行な方向に作用する力)、縦軸にFy(タイヤ進行方向に垂直な方向に作用する力)として描くと、図5に示すような波形P、Qが得られる。この波形P、Qは摩擦楕円と呼ばれるが、Fx=0においてのFyの切片は駆動力0での純粋な横力を示し、これがキャンバースラストと呼ばれる力である。本試験例では、このFyの切片であるキャンバースラストと、トラクションのピークチップを評価の対象とした。本試験例では、タイヤに駆動力を加えてタイヤの回転を速くする事でトラクション状態のタイヤのグリップ性能を評価している。時間と共に、グラフの波形はFxが正の方向に移動する。Fxの最大値がトラクショングリップの指標といえる。
本試験例では、従来例1のFxの最大値を指数100として、他のタイヤの性能(トラクション性能)を相対評価となる指数で評価した。評価結果を表1に併せて示す。
次に、実車を用いた操縦性能比較試験を行った。本試験例で用いた各タイヤはリア用のタイヤであったため、フロントのタイヤを常に従来どおりとし、リアのみのタイヤを交換して実車試験を行った。試験方法、評価方法を次に記す。
供試タイヤを、1000ccのスポーツタイプの二輪車に装着して、テストコースで実車走行させ、操縦安定性(コーナリング性能)を、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。コースでは自動二輪車レースを意識した激しい走行を行い、最高速度は220km/hに達した。
評価項目は以下の3つである。評価結果を表1に併せて示す。
1)低速コーナーでのトラクション性能(速度50km/hで大きく車体を倒した状態からの加速性能)
2)中速コーナーでの旋回性能(速度100km/hで大きく車体を倒し、アクセルを開ける前の横グリップ性)
3)旋回時のバイクを倒しこむときの連続性(倒しこみ時に異常な挙動をしないことの性能)
また、テストコースを20周走った時のタイヤショルダー部の偏摩耗状態を確認した。すなわち、タイヤショルダー部の摩耗量を測定し、従来例1のタイヤの摩耗量を指数10としたときの他のタイヤの摩耗量を相対評価となる指数で求めた。各タイヤについて求めた指数を表1に併せて示す。摩耗量については指数が小さいほど摩耗が少なくて良好であることを示す。この指数を求める際、各タイヤについて、新品時のタイヤ重量を測定しておき、走行後のタイヤ重量を測定し、差分によって摩耗量を算出した。
20周走行後では、各タイヤとも、タイヤセンター部TCでは殆ど摩耗しておらず、目だった摩耗はショルダー部で生じていた。
また、20周走行後の各タイヤを解剖し、亀裂の有無を調べた。比較例1のタイヤではスパイラルベルトの幅方向端でゴムの亀裂が生じていることが確認された。
以上の評価結果から本発明者は以下の考察を行った。
(1)実施例2と比較例2との比較から、中間に角度付きベルトを配置することで亀裂の発生を抑制できることがわかる。比較例2のように角度付きベルトが配置されていないと、スパイラルベルトが存在する部分と存在しない部分との剛性段差が大きすぎ、亀裂が発生していた。また、操縦安定性能面では、トラクション性や横グリップ性には大きな差はないが、タイヤの倒し込み性能に大きな差がある。比較例2では、スパイラルベルトが存在する部分と存在しない部分とで、ライダーが違和感を訴えたのに対して、実施例2では、滑らかな倒し込み、滑らかな加速時の立て直しができている。
(2)実施例1と実施例2との比較から、ベルト最外層に配置された90度ベルトの効果がわかる。実施例1はベルト最外層に90度ベルトが配置されていないため、スパイラルベルト端部の段差や、角度付きベルトの段差をライダーが感じて評点が低めとなっていた。
(3)実施例2と実施例3との比較から、スパイラルベルトの巻き位置の効果が考察できる。スパイラルベルトの幅が0.21Lのように狭くても、従来例1に比べて、横力やトラクショングリップの向上の効果はある。しかし、効果の上がり代は実施例2の方が実施例3よりも大きく、スパイラルベルトの巻き位置を、CA45度のように大きく車体を倒したときの接地位置付近までまかれる位置とした方が良いことがわかる。
一方、実施例5と実施例7の比較から、スパイラルベルトの巻き幅が広すぎる場合には軸力の向上度合いが少なくなることがわかる。
(4)実施例4,5,6の比較から、角度付き部材の角度について考察が可能である。実施例6については倒し込みの連続性の評点が低い。これは、スパイラルベルトの存在する部分と存在しない部分との差を、角度付きベルトが滑らかにつないでいないからである。
なお、これら4本のタイヤでは、スパイラルベルトの巻き終わりの幅が70mmであり、角度付きベルトの貼り付け開始位置が75mmであり、両者の間に5mmの隙間がある。このように、両者の間に隙間があってもかまわない。前述の実施例1のように、角度付きベルトがスパイラルベルトとオーバーラップしていてもかまわない。
(5)摩耗量については、実施例1〜7のタイヤでは、従来例に比べて大幅に改善されていることがわかる。
<第2試験例>
更に、本発明者は、第3実施形態、第4実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤの3例(以下、実施例8〜10という)、比較のための二輪車用空気入りタイヤの2例(以下、比較例2、3という)、及び、従来の二輪車用空気入りタイヤの一例(以下、従来例2という)について、性能試験を行って性能を評価した。
タイヤサイズは、第1試験例と同様に全て190/50ZR17である。また、各タイヤでは、カーカス層には1枚のカーカスプライが配置されている。また、各タイヤでは、トレッド部に溝を配置していない。なお、各タイヤのタイヤ条件を表2にまとめて示す。
Figure 2009051362
(実施例8)
実施例8では、カーカスプライ44Aのコード材質はナイロンである。実施例8では、実施例1〜7と同様、ナイロン繊維を撚って0.6mmφのコードとし、これを打ち込み間隔65本/50mmで平行に並べ、未加硫ゴムでシート状にしたものをカーカスプライとしている。
交錯ベルト層48を構成する交錯ベルト48A、48Bは、芳香族ポリアミドを撚って直径0.7mmのコードとし、打ち込み本数50本/50mmで配置している。コード角度は、タイヤ周方向(タイヤ赤道方向)に対して70度とした。ベルト幅は、タイヤ径方向内側(カーカスプライ44Aに近い側)に配置されている交錯ベルト48Bでは250mmで、タイヤ径方向外側(カーカスプライ44Aに遠い側)に配置されている交錯ベルト48Aでは240mmである。従って、両者の端部は5mmオフセットされている。
交錯ベルト層48のタイヤ径方向外側に配置されているスパイラルベルト50は、第1試験例とは異なり、芳香族ポリアミドのコードを撚って直径0.7mmのコードとし、更に、2本のコード(スチールコード)をゴムで被覆し、これをタイヤの製造過程において、トレッド部分に螺旋巻きするように赤道方向にほぼ平行になるようにぐるぐると螺旋状に巻きつけて形成させたものである。本試験例では、打ち込み間隔が50本/50mmになるようにして配置した。
トレッド全幅2Lは240mmである。タイヤセンターCLからスパイラルベルト端50Eまでのトレッド表面に沿った距離は80mm(0.67L)である。スパイラルベルト50はタイヤセンターCLを挟んで左右対称であり、スパイラルベルト50の幅は160mmである。
カーカス層44のタイヤ径方向外側に配置された角度付きベルト56は、タイヤセンターCLからトレッド端側に81mmの位置から100mmの位置までの19mmの幅で左右対称に配置されている。角度付きベルト56は、スパイラルベルト50と同じ層となる位置に、すなわち、タイヤ半径方向位置が同じとなる位置に配置されている。なお、実施例8では、角度付きベルト56とスパイラルベルト50との端部同士が1mmの間隔をあけて配置されているが、実施例1〜7のようにオーバーラップしていもかまわないし、間隔が0mmとされていてもかまわない。
角度付きベルト56は、芳香族ポリアミドの繊維を撚って直径0.7mmのコードとし、このコードを、打ち込み間隔50本/50mmでタイヤ周方向に対して30度の角度となるように配列させている。その際、図4で、紙面左側でコードが左上がりで紙面右側でコードが右上がりとるように配置しており、タイヤセンターCLを中心にして逆ハの字となるように配置している。
角度付きベルト56のタイヤ径方向外側には、幅240mmの90度ベルト33が配置されている。90度ベルト33は実施例2〜7で用いたものと同じものである。
そして、90度ベルト33のタイヤ径方向外側には、厚さ7mmのトレッド部(トレッド層)58が配置されている。
(実施例9)
実施例9は、実施例8に比べ、90度ベルト33を配置しない例である(図3参照)。
(実施例10)
実施例10は、実施例8に比べ、交錯ベルト層48とスパイラルベルト50との配置位置を逆にするとともに、90度ベルト33を配置しない例である。すなわち、1枚のカーカスプライ44Aに接するように、スパイラルベルト50がタイヤセンターCLに配置されるとともに一対の角度付きベルト56がトレッド側部中央側TSIに配置されている。
スパイラルベルト50及び角度付きベルト56のタイヤ径方向外側に、2枚の交錯ベルト48A、48Bからなる交錯ベルト層48が配置され、更に、そのタイヤ径方向外側にトレッド部58が存在する。
(比較例2)
比較例2は、実施例9に比べ、一対の角度付きベルト56を配置していない例である。
(比較例3)
比較例3は、実施例10に比べ、一対の角度付きベルト56を配置していない例である。
(従来例2)
図10に従来例2の構造を示す。従来例2では、1枚のカーカスプライ94Aで構成されるカーカス層94が設けられている。カーカスプライ94Aはラジアルカーカスプライである。
カーカスプライ94Aのタイヤ径方向外側には、2枚の交錯ベルト98A、98Bで構成される交錯ベルト層98が配置されている。交錯ベルト98A、98Bのコード角度は70度である。
交錯ベルト層98のタイヤ径方向外側にはスパイラルベルト90が配置されている。スパイラルベルト90の幅は240mmであり、トレッド全幅を覆っている。
(試験方法、及び、評価結果)
第1試験例と同様にして、本試験例では、狙いの車体を傾けたときのトラクション性能がどれだけ向上しているかを評価するためにドラムを用いて試験を行った。ドラムを用いた試験条件は第1試験例と同じである。
本試験例では、従来例2のFxの最大値を指数100として、他のタイヤの性能(トラクション性能)を相対評価となる指数で評価した。評価結果を表2に併せて示す。
次に、実車を用いた操縦性能比較試験を行った。この試験条件も第1試験例と同じである。
評価項目は、第1試験例と同様、以下の3つである。評価結果を表2に併せて示す。
1)低速コーナーでのトラクション性能(速度50km/hで大きく車体を倒した状態からの加速性能)
2)中速コーナーでの旋回性能(速度100km/hで大きく車体を倒し、アクセルを開ける前の横グリップ性)
3)旋回時のバイクを倒しこむときの連続性(倒しこみ時に異常な挙動をしないことの性能)
また、テストコースを20周走った時のタイヤショルダー部の偏摩耗状態を確認した。摩耗量の評価方法は第1試験例と同じである。各タイヤについて求めた指数、亀裂の有無を表2に併せて示す。
以上の評価結果から本発明者は以下の考察を行った。
(6)実施例9と比較例2との比較から、中間に角度付きベルトを配置することで亀裂の発生を抑制できることがわかる。比較例2のように角度付きベルトが配置されていないと、スパイラルベルトが存在する部分と存在しない部分との剛性段差が大きすぎ、亀裂が発生していた。また、操縦安定性能面では、トラクション性や横グリップ性には大きな差はないが、タイヤの倒し込み性能に大きな差がある。比較例2では、スパイラルベルトが存在する部分と存在しない部分とで、ライダーが違和感を訴えたのに対して、実施例9では、滑らかな倒し込み、滑らかな加速時の立て直しができている。実施例10と比較例3との比較からも同じことが言える。
(7)実施例8と実施例9との比較から、ベルト最外層に配置された90度ベルトの効果がわかる。実施例9はベルト最外層に90度ベルトが配置されていないため、スパイラルベルト端部の段差や、角度付きベルトの段差をライダーが感じて評点が低めとなっていた。なお、実施例10では、ベルト最外層に90度ベルトが配置されてないが、ベルト最外層に交錯ベルト層48が配置されている。つまり、交錯ベルト層48が幅広くベルト最外層として配置されているので、90度ベルトと同じような役割を持ち、ライダーが段差を感じ難く、倒し込みの連続性の評点が高い。
(8)実施例8〜10は、何れも従来例2に比べ、横グリップ性、トラクション性が高く、摩耗量も少ない。更に、スパイラルベルト端部でゴムに亀裂が発生することが抑制されており、倒し込みでの連続性が良い。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
第1実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第2実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第3実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第4実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 試験例で測定した力を説明する説明図である。 二輪車用空気入りタイヤの大キャンバ時での接地状態を示す説明図である。 ゴムシートで引っ張り試験を行うことの説明図である。 ゴムシートの引っ張り試験結果を示すグラフ図である。 従来例の二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 別の従来例の二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。
符号の説明
10 二輪車用空気入りタイヤ
15A、B カーカスプライ
18 トレッド部
20 スパイラルベルト
26 角度付きベルト
30 二輪車用空気入りタイヤ
32 ベルト補強層
33 90度ベルト(ベルト補強層)
40 二輪車用空気入りタイヤ
44A カーカスプライ
48 交錯ベルト層
48A 交錯ベルト
48B 交錯ベルト
50 スパイラルベルト
56 角度付きベルト
58 トレッド部
60 二輪車用空気入りタイヤ
85A、B カーカスプライ
80 スパイラルベルト
90 スパイラルベルト
88 トレッド部
94A カーカスプライ
98 交錯ベルト層
98A、B 交錯ベルト
CL タイヤセンター
T トレッド端
TC トレッドセンター部
TS トレッド側部
TSE トレッド側部端側
TSI トレッド側部中央側

Claims (7)

  1. トレッド部のタイヤ内側に配置される骨格部材が、タイヤ周方向に対するコード角度が互いに異なる少なくとも3種の部材で構成されおり、
    タイヤセンターからトレッド端までのトレッド表面距離をLとした場合に、タイヤセンターからトレッド表面に沿った幅方向端までの距離が0.1L〜0.75Lの範囲内とされたトレッドセンター部には、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が0〜5°の範囲内とされたスパイラルベルトが配置され、
    前記トレッドセンター部に隣接するトレッド側部のうちトレッド側部端側の骨格部材では、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が45〜90°の範囲内とされ、
    前記トレッドセンター部と前記トレッド側部端側との間の骨格部材では、タイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が前記トレッドセンター部よりも大きくて前記トレッド側部端側よりも小さい、
    ことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 前記トレッド側部端側のタイヤセンター寄りの幅方向端が、トレッド端からタイヤセンター側にトレッド表面に沿って0.1L〜0.25Lの範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 前記トレッドセンター部のトレッド端寄りの幅方向端が、タイヤセンターからトレッド端側にトレッド表面に沿って0.5L〜0.75Lの範囲内とされていることを特徴とする請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 前記トレッドセンター部と前記トレッド側部端側との間を構成するトレッド側部中央側では、骨格部材のタイヤ周方向に対するコード角度の最小角度が15〜45度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  5. タイヤ周方向に対するコード角度が45度〜80度の範囲内の有機繊維コードからなり幅方向端部が前記トレッド側部端側にまで達する2枚の互いに交錯する交錯ベルトで構成される交錯ベルト層が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  6. タイヤ周方向に対するコード角度が45度〜90度で交錯する少なくとも2枚のカーカスプライが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  7. 前記トレッド部のタイヤ径方向内側に配置された骨格部材のうちの最外層部材と前記トレッド部との間に、タイヤ周方向に対するコード角度が85度〜90度の範囲内の有機繊維コードからなるベルト補強層を、トレッド幅の90%以上110%以下の幅で配置したことを特徴とする請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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