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JP2009046721A - 熱処理用鋼板 - Google Patents

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JP2009046721A JP2007212993A JP2007212993A JP2009046721A JP 2009046721 A JP2009046721 A JP 2009046721A JP 2007212993 A JP2007212993 A JP 2007212993A JP 2007212993 A JP2007212993 A JP 2007212993A JP 2009046721 A JP2009046721 A JP 2009046721A
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JP2007212993A
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Toshinobu Nishihata
敏伸 西畑
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

【課題】 熱間圧延プレス成形に際して、成形時には酸化スケールが密着しており、冷却後は大部分が剥離しており、残ったスケールもショットブラストにより容易に剥離できる熱間プレス成形用鋼板を提供する。
【解決手段】 C:0.1〜0.5%およびMn+Cr:0.5〜3.0%を含有し、さらに、Si:0.5%以下、Ni:2%以下、Cu:1%以下、V:1%以下およびAl:1%以下からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、残部Fe及び不純物からなる化学組成を有するように構成し、鋼板表面の中心線平均粗さRa(μm)と、表面粗さ曲線の中心線から0.3175μm以上の山と0.3175μm以上の谷との対の25.4mmあたりの数PPIとの積が、10以上300以下となるようにする。
【選択図】図2

Description

本発明は、鋼板を大気中又は低酸素濃度雰囲気で加熱したときに生成する酸化スケールが、焼入れ等の熱処理中において下地鋼から剥離するのが抑制され、一方、その後の脱スケール処理にて容易に剥離される熱処理用鋼板に関する。
近年、自動車の軽量化のため、鋼材の高強度化を図り、使用重量を減ずる努力が進んでいる。自動車に広く使用される薄鋼板においては、鋼板強度の増加に伴って、プレス成形性が低下し、複雑な形状の製品を製造することが困難になってきている。具体的には、延性が低下し、加工度が高い部位で破断が生じるとか、スプリングバックや壁反りが大きくなり、寸法精度が劣化するとか、といった問題が発生する。従って、高強度、特に780MPa級以上の引張強さを有する鋼板を用いて、プレス成形により部品を製造することは容易ではない。プレス成形ではなくロール成形によれば、高強度の鋼板の加工が可能であるが、長手方向に一様な断面を有する部品にしか適用できない。
一方、特許文献1に示されているように、加熱した鋼板をプレス成形する熱間プレスと呼ばれる方法では、鋼板が高温で軟質、高延性になっているため、複雑な形状を寸法精度よく成形することが可能である。熱間プレスでは、鋼板をオーステナイト域に加熱しておき、成形に際して金型内で急冷(焼入れ)することになり、マルテンサイト変態による鋼板の高強度化が同時に達成できる。
特許文献2には、室温で予め所定の形状に成形後、オーステナイト域に加熱し、金型内で仕上げ成形するとともに急冷することによって、鋼板の高強度化と成形を同時に達成する予プレスクエンチ法が開示されている。
特許文献3には、熱間プレス成形した製品の表面にはスケールが付着しておりショットブラストなどの手段によりそれを除去する必要が開示されている。
特許文献4には、熱間プレス成形に際して、表面平均粗さを3.0μm 以下というように規定するとともに、鋼板の表面酸化物構造を規定することで酸化スケールの生成を少なくすることが開示されている。
英国特許公報1490535号 特開平10−96031号公報 特開2004−291088号公報 特開2005−133180号公報
このような熱間プレス法や予プレスクエンチ法は、部材の高強度化と成形性を同時に確保できる優れた成形方法であるが、800〜1000℃といった高温に加熱する熱処理が施されるため、鋼板表面が酸化されるという問題が生じる。この酸化によって鋼板表面に形成される鉄酸化物からなるスケールがプレス時に脱落して金型に付着することにより生産性が低下したり、あるいはプレス後の製品にそのような酸化スケールが残存して外観が不良となる場合がある。
しかも、このような酸化スケールが残存すると、次工程で塗装する場合には鋼板と塗膜の密着性が劣り、耐食性の低下を招く場合がある。また、特許文献3にあるように、スポット溶接時には、電極の溶着等の溶接不具合が発生することが指摘されている。そこでプレス成形後は、ショットブラスト等の酸化スケール除去処理が必要となる。
特許文献4では、酸化スケールの生成そのものを抑制するというものであるが、一旦生成した酸化スケールは、熱間プレス成形後、ブラシ水洗浄、さらに酸洗そしてアルカリ洗浄を行って除去する必要がある。
従って、熱間プレス法や予プレスクエンチ法などにおける熱処理の際に鋼板表面に生成する酸化スケールに要求される特性としては、焼入れ(熱間プレス等)時には、スケール剥離脱落することが抑制され、脱スケール処理(ショットブラスト処理等)時には容易に剥離除去されやすいことである。
例えば、通常の熱間プレスに供する際の鋼板の加熱は、酸化スケール生成を抑制するため非酸化性雰囲気(例えばガス炉−空燃比0.9)で行われることが多い。それでも通常の鋼板では、酸化スケール生成量が多く、熱間プレス時に酸化スケールが剥離し金型を汚染しやすいことが問題となっている。
一方、特許文献4では、鋼板表面を特別な洗浄方法にて洗浄することで、鋼板表面特性を変化させ、上記課題の解決を図っている。この方法は優れた方法であるが、鋼板製造プロセスにおいて工程の増加を伴うものであるため、このような工程の増加を伴わずに上記課題を解決しうる方法が望まれている。
本発明者らは、加熱時の酸化スケールの生成は許容するにしても、焼入れ(熱間プレス等)時には、スケールの剥離脱落が抑制され、熱処理終了後の脱スケール処理(ショットブラスト処理等)時にはそのような酸化スケールは容易に剥離除去されやすい鋼板を得るべく、鋭意検討を行った結果、鋼板の化学組成および表面性状を適正に制御することにより、前記性能を有する鋼板が得られることを新たに知見した。
本発明にあっては、加熱時に生成する酸化スケールと下地鋼との密着力を調整することで、熱処理時、特に熱間プレス成形時には剥離しないが、成形後には例えばショットピーニングなどにより容易に剥離して脱落するようにするのであって、そのために鋼板表面の凹凸の状態を調整し、いわゆるスケールアンカー効果を利用すればよいことを見出した。
本発明によれば、鋼板表面の凹凸の状態は、凹凸の深さと、所定深さの凹凸の密度とで規定することができ、それにより、上述のスケールアンカー効果を定量的に評価できることが分かった。
ここに、凹凸の深さは、中心線平均粗さRaに相当する。また、凹凸の個数は、表面粗さ曲線の中心線から0.3175μm以上の山と0.3175μm以上の谷との対の25.4mmあたりの数PPIに相当する。
このように、本発明によって鋼板表面の凹凸状態がスケール剥離性に大きな影響を及ぼすことが分かったが、凹部によってスケール剥離性が変化するのは、凹部によるスケールアンカー効果があること、およびスケール剥離の伝播が凹部によって抑制されることが原因であると推察される。そのため観念的には深い凹部が高い密度で存在するとスケールアンカー効果が大きくなり、その逆ではスケールアンカー効果は少なくなることが推測される。しかし、発明者らの実験結果からは、実際には、そのようにはならず、それぞれの要素が単独でスケールアンカー効果に影響を及ぼしているのではなく、それぞれ影響し合っていることが判明した。
つまり、本発明にあっては、その後の試行錯誤の結果から、凹凸の深さと、所定深さの凹凸の密度との積、つまり、RaとPPIとの積によって酸化スケールと下地鋼との間の密着力を適正に評価できることを見出した。
かかる知見に基づき完成させた本発明は、次の通りである。
(1) 質量%で、C:0.1〜0.5%およびMn+Cr:0.5〜3.0%を含有し、さらに、Si:0.5%以下、Ni:2%以下、Cu:1%以下、V:1%以下およびAl:1%以下からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、残部Fe及び不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、その表面の中心線平均粗さRa(μm)と、表面粗さ曲線の中心線から0.3175μm以上の山と0.3175μm以上の谷との対の25.4mmあたりの数PPIとの積が、10以上300以下であることを特徴とする熱処理用鋼板。
(2) 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.01%以下を含有する、上記(1) に記載の熱処理用鋼板。
(3) 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Nb:1.0%以下およびMo:1.0%以下よりなる群から選んだ1種または2種を含有する、上記(1)または(2)に記載の熱処理用鋼板。
(4) 前記化学組成が、Feの一部に代えて、下記式(1)を満たす量のTiを含有する、上記(1) 〜(3)のいずれかに記載の熱処理用鋼板:
3.42N+0.001≦Ti≦3.42N+0.5 (1)
ここで、式中のTiおよびNは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(5) 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.005%以下を含有する、上記(1) 〜(4)のいずれかに記載の熱処理用鋼板。
(6) 前記化学組成が、不純物であるP、SおよびNの1種または2種以上について、質量%で、P:0.015%以下、S:0.010%以下およびN:0.010%以下の1条件または2条件以上を満足するものであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱処理用鋼板。
(7) 熱間プレス成形用であることを特徴とする上記(1) 〜(6)のいずれかに記載の熱処理用鋼板。
次に、本発明において、各範囲に限定した理由について説明する。以後の説明で合金元素についての「%」は「質量%」を表す。
C:0.1〜0.5%
熱処理後の製品の強度を確保するために、C含有量を0.1%以上、望ましくは0.15%以上とする。一方、C含有量が0.5%を超えると、熱処理の加熱時に酸化スケールの生成が抑えられ、本発明を用いる必要が生じない。したがって、C含有量を0.1%以上0.5以下とする。通常、熱間プレス等で使用される鋼板のC含有量としては0.2〜0.35%が一般的であり、この範囲のC含有量に対して、本発明は顕著な効果を発揮する。
Mn+Cr:0.5〜3.0%
MnおよびCrは、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後強度を安定して確保するために、非常に効果のある元素である。しかしMnおよびCrの合計含有量(以下、「(Mn+Cr)含有量」ともいう。)が0.5%未満ではその効果は十分ではなく、一方で(Mn+Cr)含有量が3.0%を超えるとその効果は飽和し、逆に安定した強度確保が困難となる。より望ましい(Mn+Cr)含有量は0.8〜2.0%である。
B:0.01%以下
Bは、任意添加元素であり、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後強度の安定確保効果をさらに高めるのに有効である。また、粒界に偏析して粒界強度を高め、靱性を向上させる点でも重要な元素である。しかし、B含有量が0.01%を超えるとその効果は飽和し、かつコスト増を招く。より望ましいB含有量は0.001〜0.0030%である。
Si:0.5%以下、Ni:2%以下、Cu:1%以下、V:1%以下、Al:1%以下
これらの元素は、鋼板の焼入れ性を高めかつ焼入れ後強度の安定確保に効果の有る元素であり、少なくとも1種含有される。しかし、それぞれの元素を各上限値を超えて含有させてもその効果は小さく、かついたずらにコスト増を招くため、含有される場合、各合金元素の含有量は上述の範囲とする。
Nb:1.0%以下
Nbは、任意添加元素であり、鋼板をAc点以上に加熱したときに、再結晶を抑制しかつ微細な炭化物を形成してオーステナイト粒を細粒にするため、靱性を大きく改善する効果を有する。しかし、Nb含有量が1.0%超になると、その効果は飽和し、いたずらにコスト増を招く。より望ましいNb含有量は0.01〜0.2%であり、さらに望ましくは0.04〜0.15%である。
Mo:1.0%以下
Moは、任意添加元素であり、鋼板をAc点以上に加熱したときに、微細な炭化物を形成してオーステナイト粒を細粒にするため、靱性を大きく改善する効果を有する。しかしMo含有量が1.0%超になると、その効果は飽和し、いたずらにコスト増を招く。より望ましいMo含有量は0.01〜0.2%であり、さらに望ましくは0.04〜0.15%である。
式: 3.42N+0.001≦Ti≦3.42N+0.5
Tiは、任意添加元素であり、鋼板をAc点以上に加熱したときに、再結晶を抑制し微細な炭化物を形成してオーステナイト粒を細粒にするため、靱性を大きく改善する効果を有する。かかる効果を確実に得るために、Ti含有量を、鋼N含有量を「N」で表して、(3.42N+0.001)以上とすることが好ましい。一方で、Ti含有量が(3.42N+0.5)超になると、その効果は飽和し、いたずらにコスト増を招く。より望ましいTi含有量は3.42N+0.02≦Ti≦3.42N+0.08である。
Ca:0.005%以下
Caは、任意添加元素であり、鋼中の介在物を微細化し、焼入れ後の靱性を向上させる効果を有する。かかる効果を確実に得るためにCa含有量を0.001%以上とすることが好ましい。一方、Ca含有量が0.005%を超えるとその効果は飽和する。より望ましいCa含有量は0.002〜0.004%である。
鋼組成中には、通常、不純物として、P、S、Nが含有されているが、本発明にあって、それらは少なくとも1種、下記範囲内にあることが好ましい。
P:0.015%以下
Pは、焼入れ後の靱性を大きく劣化させ、かつ下地鋼と酸化スケールとの密着力を大きく劣化させる元素であるため、0.015%以下とすることが好ましい。より望ましくは0.010%以下、さらに望ましくは0.008%以下である。
S:0.010%以下
Sは、焼入れ後の靱性を大きく劣化させ、かつ下地鋼と酸化スケールとの密着力を大きく劣化させる元素であるため、0.010%以下とすることが好ましい。より望ましくは0.008%以下、さらに望ましくは0.005%以下である。
N:0.010%以下
Nは、鋼中にて介在物を形成し、焼入れ後の靱性を劣化させる元素であるため、0.010%以下とすることが好ましい。より望ましくは0.008%以下、さらに望ましくは0.005%以下である。
以上の説明からも分かるように、本発明において鋼組成と鋼板の表面凹凸状態とは直接関連しないが、本発明の対象を例えば熱間プレス成形用鋼板としたときには、本発明にかかる鋼板のより好ましい化学組成は次の通りである:
質量%で、C:0.1〜0.5%、Mn: 0.01〜3.0%、 Cr:0.01〜3.0%、ただし、Mn+Cr:0.5〜3.0%、Si:0.5%以下、Al:1%以下を含有し、そして、P:0.015%以下、S:0.010%以下、およびN:0.010%以下にそれぞれ制限し、さらに、Ni:2%以下、Cu:1%以下、およびV:1%以下からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、残部Fe及び不純物からなる。
さらに次の元素を必要により含有させてもよい。
(1)B:0.01%以下。
(2)Nb:1.0%以下およびMo:1.0%以下よりなる群から選んだ1種または2種。
(3)下記式(1)を満たす量のTi。
3.42N+0.001≦Ti≦3.42N+0.5 (1)
ここで、式中のTiおよびNは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(4) Ca:0.005%以下。

表面凹凸について
本発明にあっては鋼板表面の粗さ、すなわち鋼板表面の凹凸の状態は、凹凸の深さと、凹凸の個数とで規定する。
ここに、凹凸の深さは、中心線平均粗さRaに相当する。また、凹凸の個数は、表面粗さ曲線の中心線から0.3175μm以上の山と0.3175μm以上の谷との対の25.4mmあたりの数PPIに相当する。
本発明によれば、RaとPPIの積(以下、Ra×PPI値と表記)が10未満では、加熱によって鋼板表面に生成される酸化スケールと下地鋼との密着力が低く、熱間プレス時等におけるスケール剥離が抑制できない。一方、Ra×PPI値が300を超えると、加熱によって鋼板表面に生成される酸化スケールと下地鋼との密着力が高くなりすぎ、脱スケール処理が困難となる。より望ましくは20以上280以下、さらに望ましくは30以上260以下である。
なお、RaやPPIの値が過大であると塗装後の光沢度が低下する場合があるので、Raは3μm以下、PPIは1000以下とすることが好ましい。一方、RaおよびPPIの値の下限については、上記条件を満足する限りにおいて特に制限する必要はないが、製造制約上、Raは0.05μm以上、PPIは1以上とすることが好ましい。
本発明において上述のような鋼板表面凹凸状態は、例えば、冷間圧延やスキンパス圧延における圧延条件(潤滑剤、圧下量、板厚、圧延ロール表面状態など)とそれによって得られる表面状態との関係をチェックし、目標とする表面凹凸状態が得られる圧延条件を経験的に求めておくことにより、その圧延条件を調整することによって現出させることができる。
次に、本発明の効果が発揮される熱処理条件及び熱処理方法について述べる。
通常、焼入れ処理を行うためには、まず鋼板を二相(フェライトとオーステナイト)温度域以上、すなわちAc1点以上まで加熱する必要がある。そのため、0.5%以下のCを含有する鋼では、700℃以上に加熱し、その温度で1分以上保持するのが望ましい。保持時間の上限は特には設けないが、実生産上の効率を考えて、上限を保持時間10分程度にするのが望ましい。
加熱した後の冷却速度については、熱処理後に高強度を得るため、少なくともその鋼の上部臨界冷却速度以上の冷却速度を確保すればよい。
本明細書における「熱処理」は、焼入れを例示できるが、その好適例として熱間プレス成形に際しての金型内での急冷、つまり焼き入れを挙げることができる。熱間プレス成形に際しても上述と同様の熱処理条件であればよいが、より具体的には、700〜1000℃に加熱してから、金型内でプレス成形と同時にほぼ50℃/sec以上の冷却速度で冷却され焼き入れされる。
加熱雰囲気については、大気中又は低酸素濃度雰囲気といった酸化スケールが生成する条件であればよい。
焼入れ方法としては、部分的に高周波加熱した直後に水冷する部分焼入れ法や、熱間プレスや予プレスクエンチ法のように部材全体を加熱炉等により加熱したのちに金型冷却や油冷する方法等といった急速冷却する方法であれば、いずれの方法でもよい。本発明のスケールアンカー効果が特に発揮されるのは、熱間プレス成形あるいは予プレクエンチ法のように酸化スケールにかなりの剪断力がかかる場合である。
このように、熱処理に先立つ加熱条件は、特に制限はなく、通常の加熱条件を採用すればよい。加熱雰囲気中の酸素濃度や加熱温度にもよるが、通常、酸化スケールの厚みは1〜30μmとなるから、本発明の作用効果を発揮するには、酸化スケールの厚みが、1〜30μm となるような、条件で加熱酸化させればよい。
なお、本発明において、1〜2μmの薄い酸化スケールでは、剥離応力が小さく、スケール剥離が生じ難く、脱スケールが非常に困難であるため、スケール厚みは2μm超とすることが好ましい。しかし、大半の場合、酸化スケール厚みは2μmを超える。このような厚みの酸化スケールに対して本発明は有効である。
本発明鋼板は、熱処理、つまり焼入れのため、通常、一旦、オーステナイト域またはオーステナイト域近傍に加熱され使用される。従って、加熱前の室温での機械的性質は重要ではなく、加熱前の金属組織については特に規定しない。つまり、熱延鋼板、冷延鋼板(フルハード材、焼鈍材)のいずれであってもよく、その製造方法については特に限定はしない。しかし、生産性の観点から、好適な製造方法を以下に述べる。
熱間圧延は、圧延の安定性の観点から、オーステナイト域で行うことが好ましい。巻取温度が低いと、マルテンサイト主体の組織となって強度が上昇し、冷間圧延の母材として用いる場合には冷間圧延が困難となり、冷間圧延を施さずに予プレスクエンチ法に供する場合には冷間加工が困難になる。一方、巻取温度が高いと、酸化スケールが厚くなり、引き続き行う酸洗の効率が低下する。従って巻取温度は、500〜600℃とすることが好ましい。
酸洗では、塩酸水溶液または硫酸水溶液を用いて、熱間圧延時に鋼板表面に生成した酸化スケールを除去する。通常、酸濃度は、塩酸で3〜10%、硫酸で15〜25%程度であり、液温度は通常、80〜100℃程度である。また、過酸洗状態(下地鉄の溶解)を防ぐため、通常ごく少量の酸洗抑制剤を添加する。この抑制剤は地鉄表面に膜をつくり、この膜が地鉄の酸による腐食を防ぐ。
冷間圧延は、常法によって行う。本発明の鋼板は、焼入れにより強度を向上させることを目的としてC含有量が高い場合が多い。このため、過度に高い圧下率で冷間圧延すると、ミルの負担が大きくなる。また、加工硬化により冷間圧延後の強度が高くなりすぎると、後続する焼鈍等の工程においてコイル接続時の溶接強度やライン通板能力が問題となる。従って圧下率は80%以下とすることが好ましく、70%以下がさらに好ましい。なお、冷間圧延はコスト増となるので、熱間圧延で製造可能な板厚、板幅の鋼板については、冷間圧延を省略し、熱間圧延−酸洗ままの鋼板を用いるのが好ましい。
また、予成形を伴う時には、鋼板の種類やその組織は限定されないが、できるだけ軟質で延性のある鋼板であることが望ましい。例えば、TSとして590MPa以下程度が望ましい。熱延鋼板、冷延鋼板においては、軟質鋼板を得るためには焼鈍を行うことが好ましく、焼鈍温度は、再結晶温度以上900℃以下が好ましい。また、焼鈍後の室温までの平均冷却速度は、上部臨界冷却速度未満であることが好ましい。焼鈍方法としては、箱焼鈍や連続焼鈍といった方法が挙げられる。
本発明の実施例を以下に示す。
表1に示した化学組成を有する鋼板(板厚:1.0mm)を、実験室にて溶製したスラブに、熱間圧延と酸洗または熱間圧延と酸洗と冷間圧延を行って製造した。
このようにして得られた鋼板から表面凹凸を種々に変えた供試鋼板を製造した。本例において鋼板表面の粗さは、スキンパス圧延により調整した。すなわち、出発材料である冷延鋼板の表面凹凸状態は区々であったが、それを考慮して、スキンパス圧延の圧延条件を、例えば、凹部深さの浅い鋼板にはスキンパスを軽く行い、一方、凹部深さの大きい鋼板にはスキンパス圧延を強く行うなどの調整を行った。
その結果、Ra×PPIの値を大きく変化させた。
なお、鋼板の表面粗さに関するRa及びPPIは、JIS−B0601及びSAEJ911に準拠して測定した。
これらの鋼板から、1.0t×80w×320L(mm)の寸法の供試板を切断し、ガス炉(空燃比0.85〜1.1)内で、表2の条件にて加熱し、加熱炉より取り出した直後にハット型の熱間プレスを行った。
図1は、本例のハット成形法の模式的説明図である。このときの熱間プレス成形条件は、成形高さ70mm、Rd(ダイス肩部R)8mm、Rp(パンチ肩部R)8mm、クリアランス1.0mm、しわ押さえ力12.7kNとした。
その後、熱間プレスハット成形品の外観観察を行い、外観上、スケール剥離している面積が全表面積の10%以下になる場合に合格とし、次の脱スケール処理に供した。脱スケール処理はショットブラスト処理により行った。そのときの条件は、直径300μmの鉄球を用い、アークハイト値0.1〜0.2mmN、カバレージ100%とした。
酸化スケール残存状況の定量評価は、特許文献3の実施例1の方法にて評価した。すなわち特許文献3の実施例1の方法にて測定される電気抵抗値が15mΩ以下となる場合に合格とした。
比較例6、7では、Ra×PPI値が小さいため、熱間プレス直後のスケール剥離が多く不合格であった。また比較例8、9、10では、Ra×PPI値が大きいため、スケールの密着力が高すぎて、脱スケール処理がうまくいかず、不合格であった。一方、本発明例では、Ra×PPI値が適正な範囲にあるため、熱間プレス直後のスケール剥離が少なく、脱スケール処理でも問題なかった。
本願発明範囲を図2に示す。図中の○印が本発明例であり、×印が比較例である。
Figure 2009046721
Figure 2009046721
本発明の実施例において熱間プレス成形に用いたハット成形法の模式的説明図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.1〜0.5%およびMn+Cr:0.5〜3.0%を含有し、さらに、Si:0.5%以下、Ni:2%以下、Cu:1%以下、V:1%以下およびAl:1%以下からなる群から選んだ1種または2種以上を含有し、残部Fe及び不純物からなる化学組成を有する鋼板であって、その表面の中心線平均粗さRa(μm)と、表面粗さ曲線の中心線から0.3175μm以上の山と0.3175μm以上の谷との対の25.4mmあたりの数PPIとの積が、10以上300以下であることを特徴とする熱処理用鋼板。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、B:0.01%以下を含有する、請求項1に記載の熱処理用鋼板。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Nb:1.0%以下およびMo:1.0%以下よりなる群から選んだ1種または2種を含有する、請求項1または2に記載の熱処理用鋼板。
  4. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、下記式(1)を満たす量のTiを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の熱処理用鋼板:
    3.42N+0.001≦Ti≦3.42N+0.5 (1)
    ここで、式中のTiおよびNは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  5. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.005%以下を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理用鋼板。
  6. 前記化学組成が、不純物であるP、SおよびNの1種または2種以上について、質量%で、P:0.015%以下、S:0.010%以下およびN:0.010%以下の1条件または2条件以上を満足するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱処理用鋼板。
  7. 熱間プレス成形用であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱処理用鋼板。
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