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JP2008502571A - エポキシ化触媒 - Google Patents

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JP2008502571A JP2007516468A JP2007516468A JP2008502571A JP 2008502571 A JP2008502571 A JP 2008502571A JP 2007516468 A JP2007516468 A JP 2007516468A JP 2007516468 A JP2007516468 A JP 2007516468A JP 2008502571 A JP2008502571 A JP 2008502571A
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Abstract

貴金属を含むチタン−またはバナジウムゼオライト触媒は、ゼオライト調製に用いられた鋳型剤を含有するチタン-またはバナジウムゼオライトに貴金属源を添加した後に、鋳型剤を除去して貴金属を含むチタン−またはバナジウムゼオライト触媒を生成することによって調製される。この触媒は酸素と水素を用いたオレフィンのエポキシ化において有用である。

Description

本発明は、貴金属を含有するチタン−またはバナジウムゼオライト触媒を製造する方法、並びに酸素と水素を用いたオレフィンのエポキシ化における該触媒の使用に関連する。
このプロセスは、貴金属の供給源を、ゼオライト合成に用いた鋳型剤をまだ含有しているチタン−またはバナジウムゼオライトへの添加と、それに続く鋳型(剤)除去による、貴金属を含有するチタン−またはバナジウムゼオライト触媒の生成を含む。
様々なエポキシドの調製方法がこれまで開発されてきた。一般的に、エポキシドは触媒の存在下における、オレフィンと酸化剤との反応により生成される。プロピレンと、有機ヒドロペルオキシド酸化剤、例えばエチルベンゼンヒドロペルオキシドまたはt−ブチルヒドロペルオキシドからのプロピレンオキシドの製造は、工業的に実用化されている技術である。このプロセスは可溶化モリブデン触媒の存在下で(米国特許3,351,635号公報参照)、あるいはシリカ触媒上の不均一チタニアの存在下で(米国特許4,367,342号公報参照)実施される。過酸化水素はエポキシドの調製法のためのもう1つの有用な酸化剤である。過酸化水素及びチタンシリケートゼオライトを用いたオレフィンのエポキシ化は、米国特許4,833,260号公報において実証されている。これらのプロセスの双方において不利な点は、オレフィンとの反応の前に酸化剤を前もって生成する必要があることである。
もう1つの、工業的に実用化されている技術は、エチレンを銀触媒上で酸素と反応させることにより直接エポキシ化してエチレンオキシドにするものである。残念ながら、銀触媒は商業ベースでの高級オレフィンのエポキシ化においては有用性が証明されてはいない。それゆえ、最近の多くの研究は、触媒の存在下において高級オレフィンを酸素と水素により直接エポキシ化することに集中している。このプロセスにおいては、酸素と水素が反応の場において酸化剤を生成しているものと信じられている。従って、十分にプロセス(及び触媒)についての開発が進めば、前もって生成された酸化剤を使用する工業化された技術に比べ、より費用のかからない技術が約束されている。
高級オレフィンの直接エポキシ化のために様々な触媒が提案されてきた。
一般的に、触媒はチタノシリケート上に保持された貴金属を含むが、そのチタノシリケートは、貴金属の組込みに先立ってチタノシリケート合成に用いられた鋳型剤を除去するためにか焼されている。例えば、日本国・特開平4−352771号公報では、結晶性のチタノシリケート上にパラジウムのようなVIII族金属を含む触媒を用いてプロピレン、酸素及び水素を反応させてプロピレンオキシドにするエポキシ化が開示されている。米国特許5,859,265号公報では、Ru、Rh、Pd、Os、Ir 及び Ptから選択された白金族金属がチタン−またはバナジウムシリカライト上に保持された触媒が開示されている。同様に、米国特許6,031,116号公報では、チタノシリケート触媒上に保持された金が開示されている。これらの特許は、貴金属−チタノシリケート触媒の形成にあたって、貴金属の添加に先立ってまず鋳型剤を除去するためにチタノシリケートがか焼されることを示している。
いかなる化学プロセスにおいても、直接エポキシ化法並びに触媒における更なる改善が達成されることがなおも求められている。我々は、効果的かつ簡便なエポキシ化触媒の生成プロセスと、オレフィンを酸素及び水素で直接エポキシ化する際の触媒の使用を見出した。
[発明の要約]
本発明は、貴金属を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトを製造する方法、及びオレフィンの水素及び酸素によるエポキシ化におけるその使用である。
この方法は、まず、貴金属の供給源を、ゼオライト合成に用いられた鋳型剤を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトに添加して付加生成物を生成する工程と、次いで、鋳型剤を除去することにより貴金属を含有するチタン−またはバナジウムゼオライト触媒を生成する工程を含む。
この触媒は酸素及び水素によるオレフィンのエポキシ化に活性を持つ。
[発明の詳細な説明]
本発明の方法は、貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトの製造に用いられる。貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトは、貴金属とチタン−またはバナジウムゼオライトを含む。チタン−またはバナジウムゼオライトは、モレキュラシーブの格子骨格中の珪素原子の一部がチタン−またはバナジウム原子で置換されているゼオライト物質の分類を含む。このような物質やその製造は当業者周知の技術である。例えば、米国特許4,410,501号公報及び4,833,260号公報を参照のこと。
本発明の方法は、チタン−またはバナジウムゼオライト合成に使用された鋳型剤を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトを用いるものである。チタン−またはバナジウムゼオライト合成は当業者周知の技術である。チタン−またはバナジウムゼオライト合成は、一般的にはチタン−またはバナジウム化合物、シリコン源及び鋳型剤をチタンゼオライトが生成するのに十分な温度と時間で反応させることを含む。チタンゼオライト合成に有用な、適当なチタン化合物としては、チタンアルコキシドとチタンハライド(ハロゲン化チタン)が挙げられるが、これらには限定されない。好ましいチタンアルコキシドは、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラエトキシド及びチタンテトラブトキシドである。チタンテトラエトキシドが特に好ましい。好ましいチタンハライドには、三塩化チタン及び四塩化チタンが挙げられるが、これらに限定されない。
適当なシリコン源としては、コロイダルシリカ、ヒュームド(乾式)シリカ及びシリコンアルコキシドが含まれるが、これらに限定されない。好ましいシリコンアルコキシドは、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート等である。テトラエチルオルトシリケートが特に好ましい。
鋳型剤は、一般的にはテトラアルキルアンモニウムカチオン、特にテトラプロピルアンモニウムカチオンである。鋳型剤は一般的には、鋳型剤とアニオン種からなる鋳型剤化合物としてゼオライト合成の際に用いられる。テトラアルキルアンモニウムカチオンは一般的には水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩等として用いられる。水酸化テトラアルキルアンモニウム及びハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、例えば水酸化テトラプロピルアンモニウム及びハロゲン化テトラプロピルアンモニウムが好ましい鋳型剤化合物である。水酸化テトラプロピルアンモニウムが特に好ましい。
チタン−またはバナジウムゼオライトの合成は、水の存在下でチタン−またはバナジウム化合物、シリコン源及び鋳型剤化合物を化合させることで調製される反応混合物を熱水結晶化させることにより行われる。他の溶媒、例えばアルコールが存在してもよい。アルコールとしてはイソプロピル、エチル及びメチルアルコールが好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。
一般的に、チタン−またはバナジウムゼオライトの調製に用いられる熱水プロセスは、添加剤のモル比(鋳型剤のモル数、SiO2のモル数及びTiO2またはVO2.5のモル数で定義される)が下記モル比である反応混合物の生成を伴う: TiO2(VO2.5):SiO2 = 0.5−5:100;鋳型剤:SiO2=10−50:100。水:SiO2のモル比は、一般的にはおよそ1000−5000:100であり、溶媒:SiO2のモル比は、0−500:100の範囲とすることができる。
反応混合物は、所望のチタンまたはバナジウム源、シリコン及び鋳型剤化合物を混合することにより調製される。また、一般的には、混合物のpHは約9ないし約13であることが必要である。混合物の塩基性度は、添加される鋳型剤化合物の量(水酸化物の形態である場合)か、あるいは他の塩基性化合物の添加によって調節される。混合物の塩基性度を上げるには、より多くの鋳型剤化合物(水酸化物)を反応混合物に添加するのが一般的である。他の塩基性化合物を用いる場合は、有機塩基であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属などを含まないものが好ましい。他の塩基性化合物の添加は、鋳型剤としてハロゲン化物や硝酸塩を添加する場合には必要となるであろう。これらの塩基性化合物の例としては、水酸化アンモニウム、水酸化第四アンモニウム及びアミン類が挙げられる。具体例としては、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、n−ブチルアミン及びトリプロピルアミンが挙げられる。
反応混合物の生成後、モレキュラシーブの形成に十分な温度と時間で反応が行われる。一般的には、反応混合物は約100℃ないし約250℃で、0.5時間ないし96時間、密閉した容器中で自発的加圧下で加熱される。好ましくは、反応混合物は約125℃ないし約200℃、最も好ましくは約150℃ないし約180℃の温度範囲で加熱される。所望の反応時間の後、チタン−またはバナジウムゼオライトが取り出される。
適切なゼオライトの回収法としては、濾過・洗浄法(一般的には脱イオン水使用)、回転蒸発法、遠心分離法等が挙げられる。好ましくはチタン−またはバナジウムゼオライトは洗浄の後、乾燥される。洗浄は結晶化工程の後にゼオライトから過剰な試薬を除去するのに役立つ。洗浄用溶媒はいかなるものでも良いが、好ましくは水もしくは酸の水溶液を用いて洗浄が行われる。酸の水溶液は鉱酸、有機酸のいずれの水溶液でもよい。チタン−またはバナジウムゼオライトはさらに約20℃以上、好ましくは約50℃ないし約200℃で乾燥される。このようにして取り出されたチタン−または バナジウムゼオライトは、依然としてゼオライト合成に用いられた鋳型剤を含有している。
本発明で有用なチタンゼオライトは、好ましくはチタンシリカライトとして一般に言及されるモレキュラシーブの類であり、特に”TS−1”(ZSM−5アルミノシリケートゼオライトに類似のMFI位相を有する)、”TS−2”(ZSM−11アルミノシリケートゼオライトに類似のMEL位相を有する)、及び”TS−3”(ベルギー国特許番号第1,001,038号)である。本発明のプロセスでは、ゼオライト・ベータ、モルデナイト、ZSM−48, ZSM−12, 及びMCM−41と同形体である骨格構造を有するチタン含有モレキュラシーブを用いることも可能である。
本発明のプロセスによれば、貴金属源は、チタン−またはバナジウムゼオライトの合成に使用された鋳型剤をまだ含有しているチタン−またはバナジウムゼオライトに添加される。チタン−またはバナジウムゼオライトは、粉末または大きな粒子サイズの固体の形態のいずれでもよい。たとえば、チタン−またはバナジウムゼオライトは、貴金属の組込みに先立って、噴霧乾燥、ペレット化、あるいは押し出し成形される。噴霧乾燥、ペレット化、あるいは押し出し成形を行った場合、チタン−またはバナジウムゼオライトはさらに貴金属の組込みに先立って、バインダーないしは類似のものを含有して任意の形状へと型成形、噴霧乾燥、賦形あるいは押し出し成形される。
貴金属源は、パラジウム、白金、金、銀、イリジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウムもしくはそれらの混合物の化合物または錯体である。パラジウム、白金および金が特に好ましく、パラジウムが最も好ましい。貴金属源として用いられる貴金属の化合物または錯体を選択するにあたって特に制限はない。例えば、このような目的に適した化合物には、貴金属の硝酸塩、ハロゲン化物(例えば塩化物、臭化物)、カルボン酸塩(例えば酢酸塩)、及びアミン錯体だけでなく、そのようなリガンドが混合して含有される化合物も含まれる。
貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトにおける貴金属の典型的な含有量は、約0.001ないし10重量%の範囲であり、好ましくは0.005ないし5重量%、特に0.01ないし1重量%である。貴金属が触媒に組み込まれている様態については特に不可欠とされる要件はないものと考えられている。例えば、貴金属は、鉱染(含浸)作用、吸着、沈殿等によってゼオライト上に保持されている。他の方法として、貴金属は例えばテトラアンミンパラジウムの二硝酸塩、−ジハライド、または硫酸塩のようなテトラアンミンパラジウム塩とのイオン交換によりゼオライトに組み込まれる。
貴金属の組み込み後も、チタン−またはバナジウムゼオライトの貴金属付加生成物はいくばくかの鋳型剤をゼオライトの細孔内に含むであろう。本発明の方法は、鋳型剤を除去することにより貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトを生成することを含む。チタン−またはバナジウムゼオライトの貴金属付加生成物が、粉末の形態で製造された場合、鋳型剤を除去する工程に先立って、噴霧乾燥、ペレット化、あるいは押し出し成形される。噴霧乾燥、ペレット化、あるいは押し出し成形された場合は、付加生成物はさらに鋳型剤を除去する工程に先立って、バインダーないしは類似のものを含有して任意の形状へと型成形、噴霧乾燥、賦形あるいは押し出し成形される。
適合すればどんな方法でも鋳型剤除去方法として用いることができる。鋳型剤の除去は、不活性ガスの存在下での熱処理、鋳型剤を分解する条件下での酸化処理、あるいは双方の組み合わせにより行われる。酸化は酸素、オゾン、窒素酸化物(NOx)、あるいはこれらの組み合わせにより行われる。ゼオライトは鋳型剤を除去するために過酸化水素(あるいは反応の場で過酸化水素を生成する水素と酸素)、有機ヒドロペルオキシドまたは過酸のような酸化剤と接触させてもよい。他の方法として、ゼオライトは鋳型剤を分解するために酵素と接触、もしくはマイクロ波や光のようなエネルギー源に暴露させてもよい。
好ましくは、貴金属とチタン−またはバナジウムゼオライトの付加生成物は貴金属の組み込み後、鋳型剤を除去するために250℃を超える温度で加熱される。約275℃ないし約800℃の温度が好ましく、最も好ましくは約300℃ないし約600℃である。高温での加熱は実質的に酸素を含まない不活性雰囲気下、例えば窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム等またはそれらの混合物の下で行われる。ここで実質的に酸素を含まないとは、10,000ppm(モル)未満、好ましくは2000ppm未満の酸素しか含まない不活性雰囲気を意味する。同様に、例えば空気や、酸素と不活性ガスの混合物で酸素含有雰囲気下でも加熱が行われる。他の方法として、触媒は酸素含有雰囲気下での加熱に先立って窒素のような不活性ガスの存在下で加熱されてもよい。この加熱プロセスは、ガス流(不活性、酸素含有、あるいはその双方)が貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトを通り抜けるようにして行われ得る。他の方法として、静的な状態で加熱を行ってもよい。ゼオライトはガス流との接触の間揺動もしくは撹拌されていてもよい。
加熱ステップの後、貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトは好ましくは分子状水素の存在下で少なくとも20℃以上の温度で還元されるが、好ましくは30℃以上である。40℃ないし150℃の範囲が特に適する。分子状水素は例えば窒素のような他のガスと組み合わせてもよい。ガス流中の水素の割合は、過剰なもしくは制御不能な発熱を引き起こさない程度に選択されるべきである。一般的にはガス流は約1ないし30容積%の水素を含むことになる。このプロセスは分子状水素を含むガス流が加熱されたゼオライトを通り抜けるようにして行われ得る。他の方法として、静的な状態で還元を行ってもよい。加熱されたゼオライトは水素を含むガス流との接触の間揺動もしくは撹拌されていてもよい。
この貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトは酸素及び水素によるオレフィンのエポキシ化反応に触媒作用を及ぼすために有用である。このエポキシ化プロセスは、オレフィン、酸素及び水素を貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトの存在下で接触させる工程を含む。この貴金属含有チタン−またはバナジウムゼオライトに加えて、パラジウムを含まないチタン−またはバナジウムゼオライトを追加してエポキシ化プロセスで用いることもできる。このパラジウムを含まないチタン−またはバナジウムゼオライトは、チタンまたはバナジウムを含有するモレキュラシーブ(分子ふるい)であって、パラジウムを添加していないものである。パラジウムを含まないチタン−またはバナジウムゼオライトを加えることで、触媒中のパラジウムの生産性にとって有益であることが証明された。
適当なオレフィンには、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を持ついかなるオレフィンも含まれるが、一般的には炭素原子が2ないし60のものである。好ましくはこのオレフィンは炭素数2ないし30の非環式アルケンである;本発明の製造方法は特にC2−C6オレフィンのエポキシ化に適する。例えばジエンあるいはトリエンのような1を超える二重結合が存在してもよい。オレフィンは炭化水素(すなわち、炭素およ水素原子のみを含む)であっても、ハライド、カルボキシル、ヒドロキシル、エーテル、カルボニル、シアノまたはニトロの各基やそれに類するものを含んでいてもよい。本発明の製造方法は特にプロピレンをプロピレンオキシドに変換するのに有用である。
酸素及び水素もエポキシ化方法において要求されている。酸素及び水素源はいかなるものでも適するが、分子状酸素及び分子状水素が好ましい。
本発明によるエポキシ化は、所望のオレフィンエポキシ化が達成されるのに有効な温度で行われるが、好ましくは0ないし250℃、より好ましくは20ないし100℃の温度範囲で行われる。水素と酸素のモル比は通常H2:O2=1:10ないし5:1、特に好ましくは1:5ないし2:1の範囲で変更することができる。酸素とオレフィンのモル比は通常2:1ないし1:20、好ましくは1:1ないし1:10である。このエポキシ化方法ではキャリア・ガスを用いてもよい。キャリア・ガスとしては、不活性ガスとして望ましいものであればいかなるものでも使用可能である。オレフィンとキャリア・ガスのモル比は通常100:1ないし1:10、特に20:1ないし1:10の範囲である。
不活性ガスキャリアとしては、窒素や二酸化炭素の他、ヘリウム、ネオン及びアルゴンのような貴ガスが適している。炭素数1ないし8、特に1ないし6、好ましくは1ないし4の飽和炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン及びn−ブタンもまた適している。窒素とC1ないしC4の炭化水素が好ましい不活性キャリア・ガスである。ここに挙げた不活性キャリア・ガスの混合物も使用できる。
特にプロピレンのエポキシ化では、プロパンの供給を、適度に過剰なキャリア・ガスの存在下ではプロピレン、プロパン、水素及び酸素の混合物の爆発限界は安全に回避され、したがって爆発性混合物は反応器、供給及び排出ラインのいずれにも形成され得ないという方法に則って行うことができる。
反応させるオレフィンによって、本発明のエポキシ化は液相、気相、または超臨界相で行うことが可能である。液体の反応媒体を用いる場合、触媒は好ましくは懸濁もしくは固定床の状態である。このプロセスは連続流れ、セミ・バッチ(半回分)またはバッチ(回分)のいずれの運転モードでも行いうる。
エポキシ化が液相(もしくは超臨界相)で行われる場合、1ないし100barの圧力の下で、1種以上の溶媒の存在下で行うのが有利である。溶媒としてはアルコール、水、超臨界CO2もしくはこれらの混合物が適しているが、これらには限定されない。アルコールとして適しているのは、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びt−ブタノールのようなC1ないしC4アルコール、もしくはこれらの混合物である。フッ素化アルコールも使用できる。ここに挙げたアルコールと水の混合物を用いるのが好ましい。
エポキシ化が液相(もしくは超臨界相)で行われる場合、緩衝剤を用いると有利である。緩衝剤は一般的には溶媒に加えて緩衝液を生成する。緩衝液はエポキシ化の際にグリコールやグリコールエーテルの生成を抑制するために、この反応で用いられる。緩衝剤については当業者に公知である。
本発明で有用な緩衝剤には、酸素酸の塩であって、混合物中のその性状と割合がそれらの溶液中のpHが3ないし10、好ましくは4ないし9、より好ましくは5ないし8の範囲になるようにできるものであればいかなるものも含まれる。適合する酸素酸の塩はアニオンとカチオンを含む。塩のアニオン部分としてはリン酸、炭酸、重炭酸、カルボン酸(例えば酢酸、フタル酸等)、クエン酸、ホウ酸、水酸化物、珪酸、アルミノシリケート等の酸イオン(アニオン)が含まれる。塩のカチオン部分としては、アンモニウム、アルキルアンモニウム(例えばテトラアルキルアンモニウム、ピリジニウム等)、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のカチオンが含まれる。カチオンの例としてはNH4、NBu4、NMe4、Li、Na、K、Cs、Mg、およびCaの各カチオンが含まれる。より好ましくは緩衝剤はアルカリ金属のリン酸塩とリン酸アンモニウムの緩衝剤を含む。緩衝剤は好ましくは1より多くの好適な塩の組み合わせを含みうる。一般的には、溶媒中の緩衝剤の濃度は約0.0001Mないし約1M、好ましくは約0.001Mないし約0.3Mである。本発明で有用な緩衝剤には、反応系で添加されるアンモニアガスも含まれる。
以下の例は単に本発明を説明するものである。当業者はこの発明の真意および請求範囲の中において、様々な変形があることを認識できるであろう。
[例1]Pd/TS−1触媒の調製
比較例1A:
噴霧乾燥したTS−1(100g、80% TS−1、シリカバインダー、1.3wt.% Ti、C<0.1wt.%、N<0.1wt.%、H<0.1wt.%、空気中において550℃でか焼されたもの、50μmサイズ、体積あたり重量)を脱イオン水(1
80g)中でスラリー化し、pHを測定する(5.38)。5分間の撹拌ののち、テトラアンミンパラジウム二硝酸塩の水溶液(Pdを5.37wt.%含有する水溶液2.1gをさらに脱イオン水で20gに希釈)を加え5分間以上撹拌する。この10分間の撹拌ののち、5wt.%水酸化アンモニウム水でpHを5.49ないし7.53に調整し、このスラリーを30℃で0.5時間かきまぜる。pHは7.35ないし7.49に調整される。スラリーを濾過し、濾過ケーキを脱イオン水(150g)で再スラリー化して再濾過することで3回洗浄する。固体は一晩空気乾燥の後、真空オーブンで50℃、16時間乾燥する。乾燥された固体は0.1wt.%のPdと1.3wt.%のTiを含有する。
乾燥された固体は空気中でオーブンか焼される。まず10℃/分の速度で23℃から1
10℃にまで加熱したのち、110℃に2時間保ち、その後2℃/分の速度で300℃にまで加熱、300℃に4時間保つ。か焼された固体は石英チューブに移され、50℃に加
温され、5体積%水素を含む窒素(100cc/分)で4時間処理される。水素処理後、23℃にまで空冷する前にさらに窒素を固体に1時間通した後、触媒を回収する。
(実施)例1B:
比較例1Aで用いた噴霧乾燥したTS−1(23g、但し空気中における550℃でのか焼は行わない、7.5wt.% C、1.21wt.% H、0.5wt.% N)を
脱イオン水(46g)中でスラリー化し、pHを測定する(6.04)。5分間の撹拌ののち、テトラアンミンパラジウム二硝酸塩の水溶液(Pdを5.37wt.%含有する水溶液0.42gをさらに脱イオン水で3.0gに希釈)を加え5分間以上撹拌する。この10分間の撹拌ののち、5wt.%水酸化アンモニウム水でpHを7.11ないし7.63に調整し、このスラリーを30℃で0.5時間かきまぜる。スラリーを濾過し、濾過ケーキを脱イオン水(40g)で再スラリー化して再濾過することで3回洗浄する。固体は一晩空気乾燥の後、真空オーブンで50℃、16時間乾燥する。乾燥された固体は0.09wt.%のPd、1.3wt.%のTi、7.5wt.%のC、0.5wt.%のN、および1.21wt.%のHを含有する。
乾燥された固体は石英チューブに移され、窒素の流れ(100cc/分)の下において110℃で1時間、450℃で3時間加熱され、その後23℃にまで冷却される。得られた固体は1.3wt.%のTi、0.1wt.%のPd、0.39wt.%のC、および <0.1wt.%のHおよびNを含有する。窒素処理された固体は空気中でオーブンか
焼される。まず10℃/分の速度で23℃から110℃にまで加熱したのち、110℃に2時間保ち、その後2℃/分の速度で300℃にまで加熱、300℃に4時間保つ。か焼
された触媒は0.1wt.%のPdを含み、C=0.26wt.%である。か焼された固
体は石英チューブに移され、50℃に加温され、5体積%水素を含む窒素(100cc/分)で4時間処理される。水素処理後、23℃にまで空冷する前にさらに窒素を固体に1時間通した後、触媒1Bを回収する。
(実施)例1C:
触媒1Cは、乾燥された固体が空気中でオーブンか焼されるという点を除き、触媒1B
と同じ手順によって製造される。まず10℃/分の速度で23℃から110℃にまで加熱したのち、110℃に2時間保ち、その後2℃/分の速度で300℃にまで加熱、300℃に4時間保つ。か焼された触媒は0.1wt.%のPdと1.15wt.%のCを含有
する。か焼された固体は石英チューブに移され、50℃に加温され、5体積%水素を含む
窒素(100cc/分)で4時間処理される。水素処理後、23℃にまで空冷する前にさらに窒素を固体に1時間通した後、触媒を回収する。
比較例1D:
粉末状TS−1(12g、80% TS−1、シリカバインダー、2.6wt.% Ti、空気中において550℃でか焼されたもの、C<0.1wt.%、粒子サイズ=0.
3μm)を脱イオン水(24g)中でスラリー化し、5wt.%水酸化アンモニウム水でpHを4.81ないし7.34に調整する。5分間の撹拌ののち、テトラアンミンパラジウム二硝酸塩の水溶液(Pdを5.37wt.%含有する水溶液0.22gをさらに脱イオン水で1.0gに希釈)を加え1分間以上撹拌する。5wt.%水酸化アンモニウム水でpHを6.1ないし7.3に調整し、このスラリーを30℃で10分間かきまぜる。pHを6.68ないし7.29に調整し、さらに30℃で20分間かきまぜる。5wt.%水酸化アンモニウム水でpHを7.0ないし7.33に調整する。スラリーを濾過し、濾過ケーキを脱イオン水(25g)で再スラリー化して再濾過することで3回洗浄する。固体は一晩空気乾燥の後、真空オーブンで50℃、16時間乾燥する。乾燥された固体は0.1wt.%のPdと2.6wt.%のTiを含有する。
乾燥された固体は石英チューブに移され、窒素の流れ(100cc/分)の下において550℃で4時間加熱され、その後23℃にまで冷却される。得られた固体は2.6wt.%のTi、0.1wt.%のPd、および <0.1wt.%のC、HおよびNを含有する。窒素処理された固体は空気中でオーブンか焼される。まず10℃/分の速度で23
℃から110℃にまで加熱したのち、110℃に2時間保ち、その後2℃/分の速度で550℃にまで加熱、550℃に4時間保つ。か焼された固体は石英チューブに移され、1
00℃に加熱され、5体積%水素を含む窒素(100cc/分)で4時間処理される。水素処理後、23℃にまで空冷する前にさらに窒素を固体に1時間通した後、触媒を回収する。
(実施)例1E:
比較例1Dで用いた粉末状TS−1(24g、但し空気中でか焼されていない、9.3
wt.% C、 0.71wt.% N、 1.53wt.% H)を脱イオン水(48g)中でスラリー化し、5wt.%水酸化アンモニウム水でpHを5.34ないし7.39に調整する。5分間の撹拌ののち、テトラアンミンパラジウム二硝酸塩の水溶液(Pdを5.37wt.%含有する水溶液0.44gをさらに脱イオン水で1.0gに希釈)を加え1分間以上撹拌する。pHは7.48である。このスラリーを30℃で10分間かきまぜる。5wt.%水酸化アンモニウム水でpHを7.14ないし7.42に調整し、このスラリーを30℃で20分間かきまぜる。5wt.%水酸化アンモニウム水でpHを7.25ないし7.39に調整し、このスラリーを濾過し、濾過ケーキを脱イオン水(50g)で再スラリー化して再濾過することで3回洗浄する。固体は一晩空気乾燥の後、真空オーブンで50℃、16時間乾燥する。乾燥された固体は0.1wt%のPdおよび2.4wt.%のTiを含有する。
乾燥された固体は石英チューブに移され、窒素の流れ(100cc/分)の下において550℃で4時間加熱され、その後23℃にまで冷却される。得られた触媒1Eは2.4wt.%のTi、0.11wt.%のPd、0.44wt.%のC、<0.1wt.%のHおよびNを含有する。
(実施)例1F:
触媒1Fは、触媒1Eをさらに空気中でオーブンか焼するという点を除き、触媒1Eと
同じ手順によって製造される。まず10℃/分の速度で23℃から110℃にまで加熱したのち、110℃に2時間保ち、その後2℃/分の速度で550℃にまで加熱、550℃に4時間保つ。か焼された固体は石英チューブに移され、100℃に加熱され、5体積%
水素を含む窒素(100cc/分)で4時間処理される。水素処理後、23℃にまで空冷する前にさらに窒素を固体に1時間通した後、触媒1Fを回収する。
[例2]プロピレンのエポキシ化
容量300ccのステンレス鋼反応器に例1の触媒(0.7g)、メタノール(100g)およびpHが正確に6.0である0.1Mリン酸アンモニウム水溶液(13g)を投入する。その後、反応器に水素(2容積%)、酸素(4容積%)、プロピレン(5容積%)、メタン(0.5容積%)およびそれ以外が窒素からなるフィードを300psigになるように投入する。反応器の内圧は1600cc/分(23℃、1気圧で測定)で連続的に反応器を通過するフィードガスと背圧調整器を介して300psigに保たれる。運転中の溶媒レベルを一定に保つため、酸素、窒素およびプロピレンのフィードは、反応器に入る前に、まず1.5Lのメタノールの入った容量2Lのステンレス鋼製飽和槽を通過させられる。反応器は1500rpmで撹拌され、反応混合物は60℃に加熱される。流出するガスは1時間ごとにオンラインGCで分析され、また液体は18時間の運転終了時にオフラインGCで分析される。プロピレンオキシドおよび同等物”POE”、すなわちプロピレンオキシド”PO”、プロピレングリコールおよびグリコールエーテルを含むものが反応の間に生成されるが、それに加えてプロピレンの水素添加によりプロパンが生成する。GC分析の結果は表1に示された選択率を算出するために用いられる。
この結果は、貴金属の堆積に先立ってチタンゼオライトから鋳型剤を除去する必要がないことを立証している。実際に、ゼオライト合成時に用いられた鋳型剤を依然として含むチタンゼオライトに貴金属の堆積を行うことで製造された触媒であっても、同等の生産性とPO/POE選択性をもつことが結果として示されている。
Figure 2008502571
*は比較例を示す。
1:生産性=1時間当たり生産されたPOE(g)/触媒(g)
2:PO/POE選択率=POのモル数/(POのモル数+グリコールのモル数+グリコールエーテルのモル数)*100

Claims (24)

  1. (a)貴金属の供給源を、鋳型剤を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトに添加して付加生成物を生成する工程と、
    (b)該付加生成物から鋳型剤を除去することにより貴金属を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトを生成する工程と、
    を含む製造方法。
  2. 前記鋳型剤がテトラアルキルアンモニウムである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記付加生成物を、250℃を超える温度で加熱することにより前記鋳型剤が除去される請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記付加生成物が不活性雰囲気下で加熱される請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記付加生成物が酸素を含むガス流の存在下で加熱される請求項3に記載の製造方法。
  6. 前記付加生成物が、最初に不活性雰囲気下で加熱され、続いて酸素を含むガス流の存在下で加熱される請求項3に記載の製造方法。
  7. 前記貴金属を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトが、水素を含むガス流の存在下で少なくとも20℃以上の温度でさらに還元される請求項3に記載の製造方法。
  8. 前記貴金属の供給源が、パラジウム、白金、金、銀、イリジウム、レニウム、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選択された1種以上の貴金属を含む請求項1に記載の製造方法。
  9. 前記貴金属の供給源が、パラジウムを含む請求項1に記載の製造方法。
  10. 前記パラジウムの前記鋳型剤を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトへの添加が、テトラアンミンパラジウム塩とのイオン交換によりなされる請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記貴金属を含有するチタンゼオライトが、チタンシリカライトと、パラジウム、白金、金からなる群から選択された1種以上の貴金属を含む、請求項1に記載の製造方法。
  12. 前記チタンシリカライトが、TS−1またはTS−2である請求項11に記載の製造方法。
  13. (a)パラジウムの供給源を、テトラアルキルアンモニウム鋳型剤を含有するチタンシリカライトに添加して付加生成物を生成する工程と、
    (b)該付加生成物を、250℃を超える温度で、
    ・不活性雰囲気下、
    ・酸素を含むガス流の存在下、
    ・あるいは最初に不活性雰囲気下で、続いて酸素を含むガス流の存在下
    で加熱することによりパラジウム含有チタンシリカライトを生成する工程と、
    を含む製造方法。
  14. 前記パラジウム含有チタンシリカライトが、水素を含むガス流の存在下で少なくとも20℃以上の温度でさらに還元される請求項13に記載の製造方法。
  15. 前記チタンシリカライトが、TS−1またはTS−2である請求項13に記載の製造方法。
  16. 貴金属を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトの存在下でのオレフィン、水素及び酸素の反応を含む製造方法において、
    該チタン−またはバナジウムゼオライトが、
    (a)貴金属の供給源を、鋳型剤を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトに添加して付加生成物を生成する工程と、
    (b)該付加生成物から鋳型剤を除去する工程と、
    によって製造されたものである、製造方法。
  17. 前記鋳型剤がテトラアルキルアンモニウムである請求項16に記載の製造方法。
  18. 該付加生成物を、250℃を超える温度で、
    ・不活性雰囲気下、
    ・酸素を含むガス流の存在下、
    ・あるいは最初に不活性雰囲気下で、続いて酸素を含むガス流の存在下
    で加熱することにより、前記鋳型剤が除去される請求項16に記載の製造方法。
  19. 前記貴金属を含有するチタン−またはバナジウムゼオライトが、水素を含むガス流の存在下で少なくとも20℃以上の温度でさらに還元される請求項18に記載の製造方法。
  20. 前記貴金属の供給源が、パラジウム、白金、金、銀、イリジウム、レニウム、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選択された1種以上の貴金属を含む請求項16に記載の製造方法。
  21. 前記貴金属の供給源が、パラジウム、白金及び金からなる群から選択された1種以上の貴金属を含む請求項16に記載の製造方法。
  22. 前記チタンゼオライトが、チタンシリカライトを含む請求項16に記載の製造方法。
  23. 前記オレフィンが、C2−C6オレフィンである請求項16に記載の製造方法。
  24. 前記オレフィンがプロピレンであり、プロピレンオキシドが生成される請求項16に記載の製造方法。
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