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JP2008545605A - 高抵抗率シリコン構造体およびその製造方法 - Google Patents

高抵抗率シリコン構造体およびその製造方法 Download PDF

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JP2008545605A JP2008512500A JP2008512500A JP2008545605A JP 2008545605 A JP2008545605 A JP 2008545605A JP 2008512500 A JP2008512500 A JP 2008512500A JP 2008512500 A JP2008512500 A JP 2008512500A JP 2008545605 A JP2008545605 A JP 2008545605A
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Abstract

本発明は、一般に高抵抗率CZシリコンウエハ、またはそれに由来する高抵抗率シリコン構造体、およびその製造方法に関する。特に、高抵抗率シリコン構造体はその基板として大直径CZシリコンウエハを含み、基板ウエハの抵抗率は、その中のアクセプター原子(例えば、ホウ素)の濃度から独立しており、基板の抵抗率は、その中のアクセプター原子の濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高い。

Description

本発明は一般に高抵抗率CZシリコン構造体、およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、高抵抗率シリコン構造体は大口直径CZシリコンウエハまたはこれに由来する基板を含み、前記ウエハまたは基板の抵抗率がその中のアクセプター原子(例えば、ホウ素)の濃度から切り離されており、前記構造体の抵抗率(resistivity)がその中のアクセプター原子の濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高いことを特徴とする。このようなウエハは、例えば高周波(例えば、マイクロ波またはラジオ波(RF))の用途に特に適している。
従来から高抵抗率デバイスにはガリウム砒素(GaAs)ウエハが最も多く用いられてきた。ガリウム砒素は、キャリヤ移動度が生来高いと言う利点に加え、高周波用途ならびにモノリシック回路におけるデバイスの絶縁、クロストークや伝送線路損失の最小化、および高Qインダクタの製造に必要な高抵抗率基板の提供を可能にする。
しかし最近になって、高抵抗率単結晶シリコンウエハ製造のための製造技術が進歩するに伴い、高抵抗率電子産業においてこのようなウエハの使用が拡大している。単結晶シリコンの製造には2つの方法、すなわちチョクラルスキー(CZ(Czochralski))法およびフローティング・ゾーン(FZ)法、が使用されている。FZシリコンは抵抗率が約10kΩまたはそれ以上までのものが市販されているがこの材料には制限がある。例えばこのような材料は製造コストが高く、その中の酸素濃度が低いことが少なくとも一部原因となって、多くの用途に必要とされる機械的安定性が不足し、さらに大きさにも制限がある。例えば、FZシリコンは業界標準となりつつある300mm以上の直径のものを入手することができない。
CZシリコンはFZシリコンに伴う多くの制限に対処するものであるが、現行の技術で製造されたCZシリコンにも制限が無いわけではない。例えば、ホウ素はCZシリコンにおいて一般的な汚染物質(contaminant)である。十分に高い純度を有するCZ材料を成長させて、高い抵抗率を直接達成するためには、ホウ素濃度が一般に1.3×1013原子/cm−3を越えないようにする必要がある。商業環境においてCZシリコンをこのレベルの純度もしくはそれ以上に製造することは難しく、また高価になる。例えば、典型的に完全合成の坩堝(crucible)が必要とされる。しかしながら、低いホウ素濃度をひとたび得たとしても、第2の課題、すなわちサーマルドナーの存在、が生じる。サーマルドナーは、集積回路製造プロセスの一部で採用される熱処理中に、CZシリコン中の格子間酸素の存在によって形成される。
低抵抗率ウエハにおけるサーマルドナーの形成は通常問題とならないが、これは一般にサーマルドナーが形成される300℃を越え500℃までもしくはそれ未満の温度範囲における滞留時間が、一般に1から2時間と比較的短く、n型またはp型ドーピングで導入されたキャリヤの大部分が支配的になるためである。しかしながら、追加されるドーパントの濃度が低い高抵抗率用途の場合、デバイス製造プロセスにおけるサーマルドナーの形成は、ウエハの最終抵抗率の主要な要因(factor)である(例えば、W.Kaiser et al.,Phvs.Rev.,105,1751,(1957)、W.Kaiser et al.,Phvs.Rev.,112,1546,(1958);Londos et al.,Appl.Phvs.Lett.,62,1525,(1993)を参照されたい)。従って、高抵抗率CZ用途の場合、残留する格子間酸素の濃度はデバイス製造時のサーマルドナー形成速度に強い影響を及ぼす。
これまで、CZサーマルドナーの問題に対して提案されてきた解決策は実質的に同じ方法を必要としてきた。すなわちこれらの方法は、シリコン基板中の酸素濃度をCZプロセスのみで得られるそれより遥かに低く抑えることを試みるものである。これは、いずれの基板の初期抵抗率目標値に対しても、サーマルドナーの形成が問題とならないような十分に低い酸素濃度が存在するという考え方である。一般にこの方法は、成長時に形成された格子間酸素を固溶体から析出させる熱処理を必要とする。しかしながらこの方法は、一般に数十時間の高温処理を含むため、高価で時間がかかる。
従って簡略には、本発明は高抵抗率CZ単結晶シリコンウエハに関する。ウエハは150mm以上の公称直径を有し、サーマルドナー濃度[TD]とアクセプター濃度[A]を有し、[TD]:[A]比率が約0.8:1〜約1.2:1である。
さらに本発明はCZ単結晶シリコン基板を含む高抵抗率シリコン構造体に関し、前記基板はサーマルドナー濃度[TD]とアクセプター濃度[A]を有し、[TD]:[A]比率が約0.8:1〜約1.2:1である。
さらにまた本発明は、ホウ素を含有し、前記ホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高い抵抗率を有するCZ単結晶シリコン基板を含む高抵抗率シリコン構造体に関する。1つの好適な実施形態において、抵抗率はホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率の約5倍以上または約10倍以上である。
さらにまた本発明は、高抵抗率CZ単結晶シリコンウエハに関し、前記ウエハは、約150mm以上の公称直径を有し、ホウ素を含み、前記ホウ素の濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高い抵抗率を有する。1つの好適な実施形態において、抵抗率はホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率の約5倍以上または約10倍以上である。
さらにまた本発明は、上述した高抵抗率シリコンウエハまたは構造体の1つ以上の製造方法に関する。例えば本発明は、さらに高抵抗率シリコン構造体の製造方法に関し、約50Ω−cm以上の初期抵抗率を有するCZ単結晶を有するシリコン構造体に、ある保持時間および温度における熱処理を施すことを含み、結果として得られる熱処理された構造体の基板がサーマルドナー濃度[TD]およびアクセプター濃度[A]を有し、[TD]:[A]比率が約0.8:1〜約1.2:1ある。
さらにまた本発明は、高抵抗率CZ単結晶シリコンウエハの製造方法に関し、150mm以上の公称直径と約50Ω−cm以上の初期抵抗率を有するCZ単結晶シリコンウエハに、ある保持時間および温度の熱処理を施すことを含み、結果として得られる熱処理されたウエハがサーマルドナー濃度[TD]およびアクセプター濃度[A]を有し、[TD]:[A]比率が約0.8:1〜約1.2:1である。
さらに本発明は、高抵抗率シリコン構造体の製造方法に関する。この方法は、ホウ素と格子間酸素を含有し約50Ω−cm以上の初期抵抗率を有するCZ単結晶シリコン基板を具備するシリコン構造体に、結果として得られる抵抗率がその中のホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高いCZ単結晶シリコン基板を含む単結晶シリコン構造体を得るに十分な時間および温度で熱処理を施すことを含む。1つの好適な実施形態において、抵抗率はホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率の約5倍以上または約10倍以上である。
さらに本発明は、高抵抗率CZ単結晶シリコンウエハの製造方法に関する。この方法は、ホウ素と格子間酸素を含有し約50Ω−cm以上の初期抵抗率を有するCZ単結晶シリコンウエハに、結果として得られる抵抗率がその中のホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高いCZ単結晶シリコンウエハを得るために十分な時間および温度で熱処理を施すことを含む。1つの好適な実施形態において、抵抗率はホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率の約5倍以上または約10倍以上である。
さらにまた本発明は前述した方法の1つに関し、構造体の基板またはウエハのホウ素濃度[B]と酸素濃度[Oi]、および熱処理の温度Tが、下記の式により関係付けられることを特徴とする。
[B]=1e14([Oi]/[Oi]refexp(E/kT−E/kTref
ここで:[B]はホウ素濃度、[Oi]refは格子間酸素基準濃度で約6.6e17cm−3、[Oi]はウエハまたは構造体基板の実際の格子間酸素濃度、nは酸素指数で約7、Eは活性化エネルギーで約4eV、kはボルツマン定数、Tは実際の熱処理温度、Trefは基準温度で約520℃であり、さらに:(i)与えられたホウ素濃度[B]について、酸素濃度は計算濃度の約±0.5ppmaであり、熱処理温度は計算温度の約±10℃であり、(ii)与えられた酸素濃度[Oi]について、ホウ素濃度は計算濃度の約±20%であり、熱処理温度は計算温度の約±10℃であり、さらに、(iii)与えられた熱処理温度Tについて、酸素濃度は計算濃度の約±0.5ppmaであり、またホウ素濃度は計算濃度の約±20%である。
さらに本発明は、前述のシリコン構造体および/またはウエハのアッセンブリに関し、当該アッセンブリは例えば少なくとも約10、約20またはそれ以上の前記構造体またはウエハを具備する。
さらに本発明は前述のシリコンウエハの1つに関し、前記ウエハはその表面にエピタキシャルシリコン層が堆積している。代って本発明は、前述のシリコンウエハの1つを含むSOI(silicon-on-insulator)構造体に関し、前記ウエハは前記SOI構造体の基板、またはハンドルウエハ(handle wafer)としての機能を果たす。
以下に更なる詳細を説明するように、本発明の方法によれば、CZ単結晶シリコンウエハ、またはこのウエハに由来する基板を含むシリコン構造体を、その中のアクセプター原子(例えばホウ素原子)の濃度から実質的に切り離された抵抗率を有するように製造できることが見出された。本方法は、前記シリコンウエハまたはこのウエハに由来する基板を含むシリコン構造体を、その内部にサーマルドナーを形成し、これにより内部に存在するアクセプター原子がその抵抗率に及ぼす影響を「相殺(cancel out)」するように制御された熱処理を採用する。その結果、CZ単結晶シリコンウエハ、またはこのウエハに由来する基板を含むシリコン構造体を、非常に高い抵抗率(例えば、数千から数万Ω−cmの範囲の抵抗率)を有するように製造することができる。
1.補償(compensation)または「相殺」
抵抗率に関し、アクセプター原子(例えば、ホウ素原子)とドナー原子(例えば、酸素クラスター、高温に加熱する際に形成されるためサーマルドナーとして知られている。)との間の「補償」に関する一般概念は既に知られている。これは、酸素サーマルドナー等のドナー元素をシリコンに添加、または導入することにより、ホウ素等のアクセプター原子がシリコンの抵抗率に及ぼす影響を相殺するという考えに関している。この概念は既に知られているものの、これまで、大口直径CZウエハ(例えば、公称直径で150mm、200mm、300mmまたはそれ以上)またはこれらに由来する基板の大部分について補償を行うようには応用されていない。特定の理論にとらわれない一般論として、上述した結果を達成するためのこれまでの試みは、補償が(i)サーマルドナー原子濃度、(ii)アクセプター原子濃度、(iii)サーマルドナーを形成するために行う熱処理の保持時間、および(iv)前記熱処理の温度、の4つの変数が適合した場合のみに達成されるという考えに起因して失敗してきたものと考えられる。
a.抵抗率に及ぼすサーマルドナーの影響:450℃より低い熱処理
図1に示すように、サーマルドナー濃度[TD]は加熱時間の経過と共に増大し、増加率(即ち、図1の線の勾配)は加熱されるCZシリコン中の酸素濃度の4乗によって決まるというのが現在一般に受け入れられた見解である。しかしながらこの見解は、基本的に約450℃以下の温度で行われる熱処理に基づいている。
サーマルドナー(TD、Thermal Donor)の生成によって追加された電子は、シリコン片の抵抗率および型にある程度影響を及ぼすことがある。しかしながらこれは、結果として追加される電子の濃度(サーマルドナー自体の濃度の2倍)がドーパント濃度(例えば、5%、4%、3%、2%以下など数パーセント)に近いかそれを越える場合に限られている。TDが形成される速度は主として1)アニール温度、および2)酸素濃度、の2つで決定される。TD形成速度をこれら2つの変数の関数として見た比較的最近の研究(例えば、Landos et al.,Appl. Phys. Lett, 62, 1525 (1993)を参照)の結果を図2に説明する。
p型シリコンの場合、TDによって生成した電子の合計濃度がドーパント(通常、ホウ素)の濃度に近づき始めると、ホウ素によって形成されたホールがTDによって生成した電子により「補償」されるに従い、抵抗率は急激に非常に高い値(例えば、約300kΩ−cm程度)、すなわちTD電子濃度がホウ素濃度とほぼ等しくなる点、になるまで定常的に増加する。TD電子濃度がホウ素濃度を越えてさらに増加するに従い、キャリヤの大部分は電子となり、材料の型はp型からn型に変換する。そしてTD電子がさらに形成されると、抵抗率はn型のまま急激に減少し始める。TD形成時の代表的な抵抗率挙動の例を図3に示す。これは、初め100Ω−cmのp型サンプルについて、代表的なTD生成速度1e14cm−3/hrを仮定し計算した結果である。
抵抗率が非常に高い状態は、アニールの何れかの時点で非常に短い限られた時間(一般的に分オーダー、例えば約30分、20分、10分、場合によっては5分未満の時間)のみ達成される。アニール時に抵抗率が非常に高くなり、p型からn型へ転換する時点は、TDの生成速度で決められ、従って酸素濃度、アニール温度、さらにアニールされるサンプルのホウ素濃度で決められる。
抵抗率ピーク対時間のグラフは、生成するTDとホウ素濃度の調和(matching)によって決まるため、曲線の形状は、他の変数(例えば、アニール温度、酸素濃度)が同じとしても、サンプルの初期抵抗率で決められる。図4はこの点を説明するもので、3種のサンプルの抵抗率の変化を計算したものである。ここから、これらの材料(開始抵抗率が約80、100、120Ω−cm)から得られる抵抗率は近いものの同一ではないことが判る。
TD形成速度の酸素濃度依存性は大きい。TD形成温度約500℃におけるそれは[Oi]、約450℃におけるそれは[Oi]、約400℃におけるそれは[Oi]であることが見出される。このような依存性の効果を見るため、下記の例を考えて見る。一般的な酸素濃度の仕様は±1ppmaである。[Oi]:[Oi]に対する依存性の最も低い例を用い、本例で典型的な速度である1e14cm−3/時間の付近における生成速度の変化±0.25e14の影響を比較する。これを図5に示す。より現実的に、より一般的なTD生成温度である450℃(対応する速度依存性[Oi])に対する速度依存性の同様な変化は、顕著に狭い酸素濃度領域(即ち、目標値に対し±0.5ppma)に対応する。
b.抵抗率に及ぼすサーマルドナーの影響:450℃より高い熱処理
これに対し図6に示すように、本発明によれば、CZシリコンをより高い温度(例えば、本明細書で詳述するように約480℃以上、約490℃以上、約500℃以上、例えば約480℃と約600℃との間、または約485℃あるいは約490℃と約590℃との間、または約500℃と約575℃との間)に加熱すると、サーマルドナーの濃度が、従来の場合のサーマルドナー(例えば、最大約1e16cm―3まで)のように単調ではなく、増加することが見出されている。むしろこの濃度はある時点で飽和、または、ある時間(例えば、30分間以上、約60分間以上、約90分間以上、約120分間以上)プラトーに達する。言い換えれば、サーマルドナー濃度は初期に増加するものの、熱処理のある時点でサーマルドナーの増加率は大幅に減少し、ある時間、実質的に一定になることがある。(例えば、図7a、7bおよび8参照)熱処理を十分に長い時間継続すると、サーマルドナー濃度が再度増加し始めることがある。
付加された電子のプラトー領域における濃度は、サンプルのアニール温度と酸素濃度よって決まることが判明した。サンプル中に(例えば450℃での予備TDアニールにより)予備的に生成したサーマルドナーが存在するか又はしないかにかかわらず、同様な電子濃度付加のプラトー領域が出現する。酸素濃度6e17cm−3(初期約300Ω−cm、p型ホウ素ドープ)のサンプルについて、560℃および570℃の各アニール温度において見出された2つのプラトー領域の例をそれぞれ図7aおよび7bに示す。
下記の式で説明するように、プラトー領域における付加された電子の濃度Nは温度に対しアレニウスの関係にあり、ここでEは約4.2eVである。酸素濃度依存性は指数法則にあるものと推定され、nは約7である。
N〜[Oi]exp[4.2eV/kT]
図8はこれまでに実験的に求められたプラトー領域、または付加電子濃度の飽和領域におけるアニール温度と酸素濃度のデータを示している。
飽和電子濃度のプラトー時間が比較的長いことは、ある個体数のシリコンウエハの抵抗率を増大させる方法の実現に有用である。プラトー領域の付加電子濃度をバックグラウンドのホウ素濃度と整合させることは、従来のサーマルドナー方法に対し幾分の改善となるであろう。このシステムはアニール時間ほど感受性が高くない。しかしながらこの方法は、前記4つの変数の1つ、すなわち時間、の制約のみを低減するに過ぎず、一般に商業的に十分な解決策とはならない。他の3つの変数(即ち、[Oi]、[B]、およびアニール温度)の制約は残されたままである。
当技術分野における従来の知見は、たとえサーマルドナー濃度が飽和またはプラトーに達する上述したような時間のウィンドウが存在するとしても、CZシリコンを高抵抗率状態にするためには、サーマルドナー濃度とアクセプター濃度の関係を(例えば、サーマルドナー濃度の半分をホウ素濃度に等しくするなどのように)精密に保たれなければならないことを示唆している。しかしながら本発明によれば、このことが当てはまらないことがあることがさらに見出された。すなわち、例えば、アニール温度と時間を制御する等の手段により、アクセプター原子の濃度値(例えば、ホウ素濃度)と(サーマルドナー濃度の関数である)飽和またはプラトー電子濃度値との間で精密な整合を行わずに済むことが判明した。むしろ、単にこれら2つの値を互いに近づけるだけで十分である。特定の理論にとらわれずに言えば、高抵抗率状態はこの系の自然状態であり、従って系はこれら2つが互いに十分近くなった際,自らを高抵抗率状態に調整するのである。その結果、ここに商業的に実用性のあるウィンドウが存在する。
さらに、特定の理論にとらわれずに言えば、ここでの要点は、サーマルドナーの高温度領域部分(例えば、Tが480℃以上)において、「ノーマル」サーマルドナーと異なる第2のタイプのサーマルドナーが制御されつつ形成されるという点にあると、さらに考えられる。この新たな型のサーマルドナーは「復元(reconstructing)」種として特徴付けられ、系が自らを高抵抗率状態に調整するように「自己補償」できるようにするものである。対照的に、「ノーマル」型は「安定」型(stable type)である。従って、この方法によって高抵抗率状態を作り出すための好ましい方法は次の通りである。すなわち、所定の酸素濃度および温度に対するプラトー濃度を、補償すべきホウ素濃度に概ね整合させる。そのため、図8のデータおよびそこから導かれる関係式(すなわち、以下詳述の式(1a))を用い、(詳細は以下に記載するように)飽和した過剰電子濃度がホウ素濃度にある程度近くなるように、酸素濃度とアニール温度の許容できる組み合わせを概略推定することができる。代わりに[Oi]、[B]またはTの3つの変数の内1つを固定することにより、残りの2つの組み合わせを決めても良い。3つの変数の内2つを決めることで3つ目も決まる。
2.高抵抗率シリコンとその製造方法
a.熱処理
上記の事項を考慮し、本発明によれば、アクセプター原子、特にホウ素と、格子間酸素とを含むCZ単結晶シリコンウエハまたはこのウエハに由来する基板を含むシリコン構造体に十分な時間および温度の熱処理を施すことにより、内部のアクセプター原子(例えば、ホウ素)の濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高い抵抗率を有するウエハ、またはこのウエハに由来する基板を含むシリコン構造体を作ることができることを留意すべきである。そのような結果として作られるウエハまたはシリコン構造体の基板は、その中のアクセプター原子(例えば、ホウ素)の濃度から実質的に「切り離された(decoupled)」抵抗率を有している。
本願発明に関して、熱処理の結果得られるCZ単結晶シリコンウエハ、または結果として得られるシリコン構造体のCZ単結晶シリコン基板の抵抗率は、その中のアクセプター原子(例えば、ホウ素)の濃度に基づいて計算される抵抗率よりも「実質的に高く」、抵抗率計算値より5倍以上、好ましくは抵抗率計算値より10倍以上、より好ましくは15倍以上、より好ましくは20倍以上、より好ましくは25倍以上、より好ましくは30倍以上、より好ましくは35倍以上、より好ましくは40倍以上、より好ましくは45倍以上、より好ましくは50倍以上、より好ましくは55倍以上、より好ましくは60倍以上、より好ましくは65倍以上、より好ましくは70倍以上、より好ましくは75倍以上、より好ましくは80倍以上、より好ましくは85倍以上、より好ましくは90倍以上、より好ましくは95倍以上、さらにより好ましくは100倍以上となっていることを留意すべきである。
本発明によれば、以下さらに詳述するように、アクセプター原子濃度(例えば、ホウ素濃度[B])、初期酸素濃度[Oi]および熱処理温度Tの関係が、アクセプターおよびサーマルドナーが抵抗率に及ぼす悪影響を顕著に低減できるような方法で十分に制御される場合に、このようなウエハまたはウエハ構造体を得ることができるということが見出された。具体的には、ホウ素濃度[B]、格子間酸素濃度[Oi]、熱処理温度Tは、例えば次式(1a)で関係付けられることが判明した。
[B]=1e14([Oi]/[Oi]refexp(E/kT−E/kTref) (1a)
ここで:
[B]はホウ素濃度、
[Oi]refは格子間酸素の基準濃度でおよそ6.6e17cm−3
[Oi]はウエハまたは基板における実際の格子間酸素濃度、
nは酸素指数で約7、
Eは活性化エネルギーで約4eV、
kはボルツマン定数、Tは実際の熱処理温度、
refは基準温度で約520℃、
であり、さらに、本発明のフレキシビリティに照らし、上式(1a)で表される関係に従い:
(i)与えられたホウ素濃度[B]について酸素濃度は、計算濃度の約±0.5ppma、好ましくは約±0.4ppma、さらに好ましくは約±0.3ppma、さらにより好ましくは約±0.25ppmaとし、また熱処理温度は計算温度の約±10℃、好ましくは約±9℃、より好ましくは約±8℃、さらにより好ましくは約±6℃、そしてさらにより好ましくは約±5℃であり:
(ii)与えられた酸素濃度[Oi]についてホウ素濃度は、計算濃度の約±20%、好ましくは約±18%、より好ましくは約±16%、さらにより好ましくは約±14%、さらにより好ましくは約±12%、そしてさらにより好ましくは±10%とし、また熱処理温度は計算温度の約±10℃、好ましくは約±9℃、より好ましくは約±8℃、さらにより好ましくは約±6℃、そしてさらにより好ましくは約±5℃であり、および/または、
(iii)与えられた熱処理温度Tについて酸素濃度は、計算濃度の約±0.5ppma、好ましくは約±0.4ppma、より好ましくは約±0.3ppma、そしてさらにより好ましくは約±0.25ppmaとし、またホウ素濃度は、計算濃度の約±20%、好ましくは約±18%、より好ましくは約±16%、さらにより好ましくは約±14%、さらにより好ましくは約±12%、そしてさらにより好ましくは±10%である。
ここで、酸素濃度および/または熱処理温度と関係するものとしてホウ素濃度について上に引用した数値はいずれも、酸素濃度について上に引用した数値との組み合わせとして使用できるもので、またその逆も同様であることを理解されるべきである。さらに、ホウ素濃度(または酸素濃度)について上に引用した2つ数値を組み合わせ、本発明により許容されるホウ素(または酸素)の濃度範囲を定義するために用いることができることも理解されるべきである。
図9は、説明のために式(1a)を用いて計算した代表的なプロットを示している。さらに下記の実施例(例えば、実施例1〜3)は、上述の式ならびにここに詳述する方法を用いて得られる結果を説明する。
実際には、式(1a)についてパラメータの組み合わせを自由に選択するか、またはパラメータの1つまたは2つを、(例えば、アニール温度が集積回路製造プロセスの要求により限られるなどの)他の要因を考慮して固定することができることを留意すべきである。また、2つのパラメータを固定すると第3のパラメータの選定は限定される。
さらに式(1a)に関し、好適な一組のパラメータを選定した後に、サンプルを要求される温度にて所定の時間でアニールすることができることも留意すべきである。要求される時間は一般に、例えば、約30分から約120分であるが、より長くても(例えば、約150から約250分でも)、またより短くても(例えば、約10から約25分でも)構わない。サンプルのアニールに要求される実際の時間は変動してよく、その決定には一般的な実験を必要とすることがある。アニールの後、サンプルは非常に高抵抗の状態になる。
さらにまた場合によって、式(1a)を、ホウ素濃度だけでなく、アクセプター濃度についてより一般的に表現できることに留意すべきである。しかしながらこれまでの経験上、ホウ素は最も一般的なアクセプターであり、従ってCZ単結晶シリコンにおいて最も典型的に考慮される。そのため本明細書全般を通じ、ホウ素濃度が一般に基準とされる。しかしながらそのような基準は、より一般的に基準アクセプター濃度であると解釈される場合もあると理解されるべきである。
これまでの経験によれば、本明細書でより詳細を記載するように、上述した関係が最適となる温度は一般的に、少なくとも約480℃から約600℃まで、または少なくとも約485℃もしくは少なくとも490℃から約580℃まで、または約500℃以上575℃までの範囲にあることをさらに留意すべきである。熱処理の保持時間も様々で、他箇所に詳述するが、一般的には10分以上250分まで、または約15以上約200分まで、または約20分以上約150分までの範囲にある。
上述を考慮して本発明は、CZ単結晶シリコンウエハ、またはこのウエハに由来する基板を含むシリコン構造体であって、サーマルドナー濃度[TD]とアクセプター濃度[A]の両者の比率[TD]:[A]が、約0.8:1から約1.2:1の範囲、そして場合によっては、約0.85:1から1.15:1の範囲、約0.9:1から1.1:1の範囲、または約0.95:1から1.05:1の範囲となることを特徴とするCZ単結晶シリコンウエハまたはこのウエハに由来する基板を含むシリコン構造体の製造を可能にする。例えば前記の比率は約0.8:1、約0.85:1、約0.9:1、約0.95:1、約1:1、約1.05:1、約1.1:1、約1.15:1、または約1.2:1であってよい。ある特定の一実施形態においては、この比率は1:1以外の値である。
図10aから10dに示すように、本発明の方法は、所定の抵抗値(すなわち、[TD]:[A]比率、または他箇所に引用される抵抗値)が、好適には、熱処理したCZシリコンウエハまたはCZシリコンウエハから得られる基材において、実質的に全てのウエハまたは基板について達成されること(すなわち、少なくとも80%、85%、90%、95%、場合によっては100%のCZシリコンウエハまたは基材がこの高抵抗率状態に効果的に転化され得ること)を可能とするものであるが、代わりに、ウエハまたは基板の少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%あるいは約70%をこの高抵抗率状態に転化することができることも留意すべきである。さらに、または場合によって、高抵抗率領域をウエハまたは基板内に形成することも可能であって、この領域は半径方向表面の約20%以上、好適には約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上または場合により約95%以上におよび、および/または、ウエハまたは基板厚さの約20%以上、好適には約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上または場合により約95%以上の深さまたは厚さに及ぶ。例えば、1つの好適な実施形態において、高抵抗率領域はウエハまたは基板表面の約50%から約95%、または約70%から約90%におよび、また好適にはウエハまたは基板厚さの約50%から約95%、または約70%から約90%に及ぶ。
この点において、本発明の熱処理により高抵抗率状態に効果的に変換されるウエハまたは基板の部分に関し、上述した表面について示されたそれぞれの百分率の割合の値は、厚さについて示されたいずれの百分率の割合の値とも組み合わせることができ、またその逆も同様であることを理解されるべきである。さらに、上述した表面(または厚さ)についての百分率の割合の値の何れか2つを組み合わせ、本発明による範囲を定義することができることを理解されるべきである。
単結晶シリコン中のサーマルドナーおよびアクセプターの濃度を最小化することよって高抵抗率のCZシリコンを製造する従来の方法に対し、本発明では、酸素濃度、ホウ素濃度および熱処理温度の関係が適切に制御され(すなわち、式(1a)に示される関係がその中で満足/維持され)、さらに熱処理温度が、本明細書にさらに詳述するように、サーマルドナーが格子間酸素から形成されるのに十分に高い温度である限り、実質的に如何なるCZウエハも利用することができる。
しかしながら、一般に、本発明の熱処理を施すCZ単結晶シリコンウエハまたはシリコン構造体の基板は、約50Ω−cm以上の初期抵抗率(従って、さらに本明細書に詳述するようにホウ素濃度)を有しており、好適には約100Ω−cm以上、約150Ω−cm以上、約200Ω−cm以上、約250Ω−cm以上、約300Ω−cm以上の初期抵抗率を有しても良い。従って、この開始ウエハ、または開始シリコン構造体の基板は、例えば、50または100Ω−cm以上から300Ω−cmまで、約125以上約250Ω−cmまで、または約150Ω−cm以上200Ω−cmまでの範囲の初期抵抗率を有している。
その際、CZウエハまたはシリコン構造体の基板の初期抵抗率は、1つの好適な実施形態において、実質的にその中のホウ素濃度に対応する場合があることを留意すべきである。すなわち、上述した抵抗率は代わりにホウ素濃度の観点から見ること、すなわち抵抗率とホウ素濃度とは逆相関関係にある(すなわち、抵抗率の増加は、ホウ素濃度の減少を示す)として見ることができる。従って、ウエハまたはシリコン構造体の基板のホウ素濃度は、通常約2.6×1014cm−3未満、好ましくは約1.3×1014cm−3、約8.7×1013cm−3、約6.5×1013cm−3、約5.2×1013cm−3、約4.3×1013cm−3未満である。従って開始ウエハ、または開始シリコン構造体の基板は、例えば約4.3×1013cm−3から約2.6×1014cm−3、約5.2×1013cm−3から約1.3×1014cm−3、または約6.5×1013cm−3から約8.7×1013cm−3の範囲のホウ素濃度を有している。
また開始ウエハまたは開始シリコン構造体は、さらにまたは場合によって、その中の酸素濃度によって制限され得る点もさらに留意すべきである。より具体的には、本熱処理を施すウエハまたは本熱処理を施すシリコン構造体基板の酸素濃度は、通常約5ppma以上約20ppmaまで、好ましくは約6ppma以上約18ppmaまで、約8ppma以上約16ppmaまで、約10以上約15ppmaまで、また場合によっては約12ppma以上約14ppmaまでの範囲にあることを留意すべきである。(例えば図11を参照すると、高抵抗率を達成するために必要な酸素濃度は、初期抵抗率が約20Ω−cmを下回ると、急激に上昇することが判る。図11は計算例を示したもので、[Oi]の依存性に対し、酸素濃度は±0.1ppmaのみ変化する。このような変化は酸素濃度を求めるためのFTIR法の測定誤差の範囲内である。しかしながら、この仮想的な酸素濃度範囲の狭さにもかかわらず、高抵抗率状態を達成するためのアニール時間には実際のところ重複が生じない。)
本明細書でさらに詳述するように、熱処理を行う際の温度は、所望のシリコン構造体(例えば、所望の電気、電子デバイス)の製造プロセスと協調して選択することが好ましい。すなわち、熱処理温度はシリコン構造体製造プロセスで用いられる温度であるか、製造プロセスで許容される温度(即ち、方法全体やそこから得られるシリコン構造体に許容し難い変更をもたらすことなく製造プロセス内で使用できる温度)であることが好ましい。本発明の熱処理工程それ自体が、実際の製造プロセスの一部として行われることがさらに好ましい。すなわち、シリコン構造体(例えば、デバイス)に使用されるCZ単結晶シリコンウエハが、本明細書に開示される関係(例えば上記式(1a)参照)に従い適当に対を成したホウ素濃度と酸素濃度を有し、所望のシリコン構造体(例えば、デバイス)の製造プロセス内で一般に採用される熱処理を施した際に、結果として本発明の高抵抗率が得られることがさらに好ましい。
しかしながら、熱処理の温度に関して、一般的に熱処理温度は約480℃を越え、約600℃まで(例えば、約590℃、580℃、570℃、560℃、550℃、540℃、530℃、520℃、510℃、500℃、場合によっては490℃未満)であることを留意すべきである。このような熱処理温度は、例えば、約480℃を越え、約600℃まで、約485℃または490℃を越え、約580℃まで、約500℃を越え、約575℃まで、約510℃を越え、約550℃まで、または約520℃を越え、約530℃までの範囲にある。
熱処理の保持時間は、温度、ホウ素濃度および/または酸素濃度の変化に伴って、変化し得る。与えられた一式の条件(すなわち、温度、ホウ素濃度および/または酸素濃度)に対する好適な保持時間は、当技術分野の一般的な方法により実験的に決定することができる。しかしながら、一般的には、本熱処理の保持時間は、約5分を越え、約250分未満、好ましくは約200分未満、約150分未満、約125分未満、約120分未満、約110分未満、約100分未満、約90分未満、約80分未満、約70分未満、約60分未満、約50分未満、約40分未満、約30分未満、また場合によっては約20分未満とすることができる。従って、ウエハまたはシリコン構造体に、約10から約250分、約15から約200分、約20から約150分、約25から約125分、約30から約120分、約35から約110分、約40から約100分、約50から約90分、または約60から約80分の保持時間の熱処理を施すことができる。この際、一般に温度が高いほど保持時間は短くなり、その逆も同様であることを留意すべきである。
本発明の方法によれば、熱処理の結果得られるCZウエハまたは熱処理されたシリコン構造体の基板は、この熱処理の後で、約500Ω−cm以上、約750Ω−cm以上、約1000Ω−cm以上、約1500Ω−cm以上、約2000Ω−cm以上、約2500Ω−cm以上、約3000Ω−cm以上、約3500Ω−cm以上、約4000Ω−cm以上、約4500Ω−cm以上、約5000Ω−cm以上(例えば、約5500Ω−cm、約6000Ω−cm、約6500Ω−cm、約7000Ω−cm、約7500Ω−cm、約8000Ω−cm、約8500Ω−cm、約9000Ω−cm、約9500Ω−cm、約10000Ω−cm、約20000Ω−cm、また場合によって約30000Ω−cm)の抵抗率を有することができることを留意すべきである。
その際、この高抵抗率はウエハまたは基板の直径または幅、および/または厚さの全域に広がることができることを留意すべきである。しかしながら代わりに、高抵抗率領域を、ウエハまたは基板内部に形成することも可能であって、この領域は表面半径方向の20%、好適には40%、50%、60%、70%、80%、90%または場合により約95%に及ぶこと、および/または、ウエハまたは基板厚さの20%、好適には40%、50%、60%、70%、80%、90%または場合により約95%の深さまたは厚さに及ぶことがある。例えば、1つの好適な実施形態において、高抵抗率領域はウエハまたは基板表面の約50%から約95%、または約70%から約90%におよび、また好適にはウエハまたは基板厚さの約50%から約95%、または約70%から約90%に及ぶ。
その際、与えられたパラメータに対し上記で引用された如何なる数値も、それが特定の比率、濃度、温度、時間、抵抗率などであれ、本発明の範囲から逸脱することなく、他の1つ以上のパラメータの如何なる数値とも組み合わせて使用できることをさらに理解されるべきである。さらに与えられたパラメータに対し上記で引用された如何なる2つの数値、それが特定の比率、濃度、温度、時間、抵抗率などであれ、を組み合わせ、本発明による範囲を逸脱することのない、比率、濃度、温度、時間、抵抗率などの範囲を定義することができることを理解されるべきである。
b.熱処理後の冷却
これまでの経験によれば、少なくともある場合において、上に詳述した熱処理後の冷却条件(例えば、冷却速度)は、本発明においてさほど重要ではないことが示唆される。例えば、本明細書に詳述される高抵抗率状態を作り出すのに適した温度でシリコンウエハをアニールした後の冷却速度の影響についていくつかの実験を行った。急速に冷却したサンプル(例えば、大きな金属板上に意図的に急冷)と、より緩慢に冷却したサンプル(例えば、通常のチューブ炉から引き出して自然冷却)を比較したところ、明確な差異は認められなかった。従って、特に低い温度(例えば、約250℃、約200℃、約150℃また場合によっては約100℃)における制御冷却の可能性は、抵抗率制御を改善するため場合によって使用しても良い。
さらに、または代わりに、ウエハまたは基板に本明細書に詳述する熱処理を施した後、これを、約75℃を越え、約250℃未満、または約100℃を越え、約200℃未満の温度に場合によって冷却し、所定の時間で(例えば、2〜3分から約1時間まで、例えば約5分から約60分まで、または約10分から約45分まで、または約15分から約30分まで)、この温度または温度範囲内に保持することができる。
c.熱処理後の抵抗率の緩和
またある場合には、アニールの後に抵抗率の緩和(relaxation of resistivity)が起こることも留意すべきである。例えば、サンプルの抵抗率は、熱処理後、最終的な値または実質的に安定な値に落ち着くまで、与えられた温度、例えば室温、において、所定の時間で(例えば、数十時間、例えば約10時間、約25時間、約50時間、約75時間、約100時間またはそれ以上、場合によっては約5日から1週間)に渡り、約10%、約20%、約30%、約40%、場合によっては約50%程度ドリフトする場合がある。これまでの経験によれば、本明細書に詳述する熱処理の後の抵抗率は、時間の経過と共により高い値、つまり実際には上方、にドリフトする。実質的に安定な抵抗率を決定するまでに、時として数日、場合によっては1週間が経過する場合がある。ここに記載する測定はこのような室温での安定化期間の後で行われたものである。さらにこれまでの経験によれば、抵抗率の緩和速度は、サンプル温度を室温よりも多少上昇させること(例えば、緩和温度を、約25℃を越えて約75℃未満、または約40℃を越えて約50℃未満で上昇させること)によって、より速くなることを留意すべきである。
3.代替的方法−二段アニール工程
これまでに行った幾つかの実験は、一段アニールの代わりに、適宜選定された温度で二段アニールを行うことが有利である場合があることを示唆する。この二段プロセスは上記した高抵抗率アニールの前に、対象となるウエハまたはウエハ集合体に適するように決められた温度での低温度予備アニールを追加したものである。少なくともある場合、この二段方法は、ウエハを高抵抗率状態に変換するための時間およびプロセスの両方のウィンドウを改善する。すなわち、高温域におけるアニール時間が短くなる、および/または、前述した3つの関連し合うパラメータのパラメータウィンドウが広くなるなどである。
予備アニールの目的は、高抵抗率アニールの前に、比較的高濃度の純粋な「ノーマル」サーマルドナーを(すなわち約480℃未満の温度において)生成させ、ホウ素濃度に近づける、またはこれを越えるようにすることにある。これを、ノーマルサーマルドナーが最も早く生成する温度で行うと有利な場合がある。サーマルドナーの生成速度は一般に、例えば、425℃を越え460℃未満、または約435℃、約450℃で最大となる。
これらの温度において十分に高い濃度のサーマルドナーを形成するのに必要な時間は、ホウ素濃度および酸素濃度により異なる。しかしながらこの時間は、時間経過に伴うサンプル抵抗率の変化を測定することで、実験的に容易に決定することができる。サンプルがp型からn型に変わるとき、サーマルドナー濃度がホウ素濃度を上回る。
低温域で十分に高い濃度のノーマルサーマルドナーを導入した後、これらのウエハを高温(例えば、約480℃を越える温度、すなわち対象となるウエハの酸素およびホウ素濃度に相応しい温度)でアニールし、これらのウエハを高抵抗率状態に変換する。このような二段の実施形態は、(一段の実施形態について)他箇所に記載するように、メタライゼーションの後、または前に実施する。
その際、多くの場合、このような二段プロセスについての合計時間は、一段プロセスの時間よりも長くなり得ることを留意すべきである。しかしながら、このような処理の利点として、工程安定性が改善されること、また約480℃を超える温度での保持時間が短いことなどが考えられる。
4.アセンブリとその中の変動
本発明の方法は、ここに説明されるCZシリコン構造体またはCZウエハのアッセンブリの製造を可能にする。すなわち本発明によれば、その内部に存在する構造体またはウエハのそれぞれが本発明の高抵抗率特性を保有するように、CZシリコン構造体またはCZウエハのアッセンブリを製造できる。このようなアッセンブリは、例えば、少なくとも10個の構造体またはウエハ、そして場合によって約20、約30、約40、約50個またはそれ以上の構造体またはウエハを含む場合がある。
本発明による上述したアッセンブリのウエハまたはこれら2つ以上の構造体の基板における酸素濃度は、約0.1ppma以上、約0.5ppma以上、約1ppma以上、約1.5ppma以上、約2ppma以上、約2.5ppma以上、約3ppma以上、約3.5ppma以上、約4ppma以上、約4.5ppma以上、または約5ppma以上異なる場合がある。さらに、または代わりに、上述した各ウエハまたは基板、または前述したアッセンブリそれぞれの各酸素濃度の差は約5ppmaから約20ppma、約8ppmaから約15ppma、約10から約14ppma、または約11から約13ppmaの範囲内にある。
また本発明によれば、上述したアッセンブリの2つ以上のウエハまたはこれら構造体の基板におけるホウ素濃度は、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約12%以上、約14%以上、約16%以上、約18%以上、または約20%以上異なる場合がある。さらにまたは代わりに、前記ウエハまたは基板、または前記アッセンブリのホウ素濃度の差は約1%以上約20%まで、約2%以上約18%まで、約4%以上約16%まで、約6%以上約14%まで、または約8%以上約12%までの範囲にある。
その際、集合内において[Oi]および/または[B]に分布(場合によっては上に定義した範囲より大きな分布)を有するこのような基板またはウエハの集合を、場合によって測定を行い、異なる温度で熱処理を施すように、2つ以上のグループに分類しても良い。このように2つもしくはそれ以上のアニール工程を導入することにより、ウエハまたは基板の仕様をより厳しく管理するためのコスト増大を相殺できる場合がある。
その際、酸素濃度および/またはホウ素濃度の変動に関し、変動は与えられたウエハまたは基板内部にも存在し得ることをさらに留意すべきである。より具体的には、1つの実施形態において本発明は、ウエハおよび/またはその製造方法に関し、前記ウエハは表面および裏面と、外周エッジと、前記表面および裏面のそれぞれに実質的に垂直な中心軸と、さらに前記中心軸から前記表面および裏面と実質的に平行に、前記外周エッジへ向かって延びる半径とを有し、前記ウエハは前記半径に沿って変化する酸素濃度および/またはホウ素濃度を有する。代わりに、本発明は、単結晶シリコン基板を有する構造体に関し、前記構造体の基板は表層および裏層と、外周エッジと、前記表層および裏層のそれぞれに実質的に垂直な中心軸と、さらに前記中心軸から前記表層および裏層と実質的に平行に、前記外周エッジへ向かって延びる半径とを有し、前記基板は前記半径に沿って変動する酸素濃度および/またはホウ素濃度を有する。これらいずれの実施形態においても、前記半径に沿って、酸素濃度は約0.1ppma以上、約0.5ppma以上、約1ppma以上、約1.5ppma以上、約2ppma以上、約2.5ppma以上、約3ppma以上、約3.5ppma以上、約4ppma以上、約4.5ppma以上、または約5ppma以上変動することがある。(その濃度は、例えば約5ppmaから約20ppmaまで、約8ppmaから約15ppmaまで、約10から約14ppmaまで、または約11から約13ppmaまでである。)さらに、または代りに、前記半径に沿って、ホウ素濃度は1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、12%以上、14%以上、16%以上、18%以上または20%以上変動する。(前記濃度は、例えば、約1%以上約20%まで、約2%以上約18%まで、約4%以上約16%まで、約6%以上約14%まで、または約8%以上約12%までの範囲である。)
5.他のウエハ実施形態
本明細書に詳述の熱処理を施すウエハは、場合によってエピタキシャルまたはSOIウエハでも良い。すなわち本発明の方法を施すウエハは、場合によってその表面にエピタキシャル層を有することができ、また多層構造体の一部とすることもでき、そのハンドルウエハは高い抵抗率を有している。従って、これらの実施形態において、前記3つのパラメータに関する仕様は、エピタキシャル基板、またはSOI構造に埋め込まれた酸化層下の基板(すなわち、構造体のハンドルウエハ)にも適用される。エピタキシャル層またはSOIデバイス層自体は、実質的に如何なる抵抗率を有しても良い。さらに、エピタキシャル層の酸素濃度は、当技術分野で周知の従来的な範囲にあり、従って必然的に低い。
さらにエピタキシャル堆積は当技術分野で周知の手段で実施することができることも留意すべきである。さらに、SOI(semiconductor-on-insulator)構造も当技術分野において周知の手段(例えば、水素注入法(hydrogen-implantation)または接合法(bonded applications))により製造することができる。SOI複合体は、例えば米国特許第5,494,849号(Iyerら)に記載の方法で製造することができる。
6.デバイス製造
上述したように、ホウ素濃度、酸素濃度、アニール温度を制御することにより高抵抗率を有するシリコンウエハを製造することができるが、高抵抗率半導体デバイス製品を完成するためには、さらにこれらのウエハにデバイス製造処理を施す必要がある。半導体デバイス製造プロセスでは、シリコンウエハに加熱、冷却が施され、さらにデバイスがシリコンウエハ表面に追加される。この加熱、冷却は通常ホウ素および酸素の濃度と分布に影響を及ぼし、本明細書記載の手段によって高抵抗率となったシリコンウエハの抵抗率を低下させる場合がある。すなわち、本明細書記載の方法によって製造された高抵抗率シリコンウエハは、デバイス製造プロセスを施す間に高抵抗率を失うこともあり得る。従って本発明の1つの観点は、高抵抗率の半導体デバイス(すなわち、一般的に約1kΩより大きな抵抗率を有するデバイス)が電子デバイス用に製造できるように、デバイス製造プロセスを操作することを含む。このようなデバイスには、例えば、平面インダクタやRCフィルタ等の受動電子デバイスの他、集積回路やマイクロチップ等の電子デバイスが含まれる。
従って本発明は、1つの実施形態において、シリコンウエハを含む半導体の製造方法に関し、アニール温度、ホウ素濃度、酸素濃度が本明細書記載の式(1a)に示す関係に従って維持される、および/または本明細書に記載の範囲に従う、ことを特徴とするものである。
前述したように、アニールプロセスで形成される高抵抗率状態は、一般に高温熱処理に対して安定ではない。従って、高温において上記の効果は実質的に消失する場合がある。このため、与えられた仕様のウエハを高抵抗率状態に変換するように施される特定の熱処理は、少なくともいくつかの実施形態において、デバイス製造プロセスの最後またはその近くで実施することが好ましい。最も好ましくは、この熱処理は、デバイス製造プロセスにおいて通常必要とされる「メタライゼーション後アニール処理(post metallization anneal)」として機能するが、必ずしもそうで無いこともある。処理されたウエハまたはシリコン構造体に、高すぎる温度または長すぎる保持時間を含むその後の加熱工程を施すと、本発明の方法の効果は消失し得るが、前記ウエハまたは構造体を本発明に適合する方法にて再加熱すると、それによって高抵抗率状態または効果を回復させたりまたは復元させたりすることができる。
本発明に従ったデバイス製造プロセスの基本的な実施形態を図12のブロック図に示す。しかしながら、別法として、図13のブロック図に示すように、高抵抗率アニール処理をメタライゼーション前に行うことが望ましい場合もある。例えば、最終的に仕上がったデバイスが、所望の高抵抗率状態または効果を達成するのに必要な最低温度(例えば、約480℃と考えられる)においてさえ不安定な場合がある。そのような場合には、メタライゼーション後アニールを実施するが、高抵抗率効果の低減または消失を避けるため、400℃よりあまり高くない温度(例えば、約425℃、または約450℃)で比較的短い時間(例えば、例えば最大約10から40分、または約20から約30分)に制限することが好ましい。しかしながら、ウエハの酸素濃度が非常に低ければ、後に続くメタライゼーション後熱処理の温度を高く、および/または時間を長くすることが可能な場合もある。
7.デバイス製造時における酸素析出の制御
本発明において重要となる酸素濃度は、デバイス製造プロセス後の格子間酸素濃度(interstitial oxygen concentration)である。従って、もし酸素が酸素析出へ測定し得る程度で失われるのであれば、この点を考慮する必要があることを留意すべきである。関連するほとんどの用途(例えば、非常に高速の、従って非常に小型のデバイス)に対するプロセスの「サーマル・バジェット(thermal budgets)」には限りがある。言い換えれば、析出物への酸素消失の範囲が限られることがある。この場合、初期酸素濃度は、大筋で、最終酸素濃度に実質的に等しくなる。そうでない場合には、均一な酸素析出挙動を確実にするため何らかの注意が必要である。すなわち、例えば、少なくともある場合には、ウエハまたは構造体に「tabula rasa」熱処理(例えば、引用することによって本明細書に包含する米国特許第6,336,968号に開示されているような、酸素析出が起こらない方法)を施したり、またはMDZ熱処理(例えば、引用することによって本明細書に包含する米国特許第5,994,761号、第6,204,152号、第6,191,010号、第6,284,384号および第6,236,104号などに開示されているような酸素析出を制御する方法)を施したりすることが含まれる。
8.測定法
本発明によれば、抵抗率は、当技術分野で周知の手段を用いた4点探針法で測定される表面抵抗率でも表され、および/または、基板層もしくはウエハ表面の、少なくとも約50マイクロメートル(ミクロン)、または約75ミクロン、約100ミクロン、約125ミクロン、約150ミクロン、約175ミクロン、もしくは約200ミクロン以上下側について、当技術分野で周知の手段より測定される広がり抵抗率によっても表され得ることに留意すべきである。
ドーパント濃度は、当技術分野で一般に周知の、SIMS、ホール効果、および/または赤外分光法によって測定できる。シリコン中のサーマルドナーは、これもまた当技術分野で周知の、ホール効果、および/または赤外吸収分光法により検出することができる。
9.CZウエハ直径
本発明によって製造されるCZウエハは、主として、約150mm以上の公称直径を有し、好ましくは約200mm、約300mmまたはそれ以上の公称直径を有している。
10.例示的なプロセス実施形態
本発明による1つの好適な実施形態において、上記に定義されるような高抵抗率ウエハまたは構造体基板は、約12から約15ppmaの格子間酸素濃度と、約2.75×1014cm−3から約3.25×1014cm−3のホウ素濃度とを有するCZシリコンウエハ、またはCZウエハを基板として含むシリコン構造体に、約505から約515℃で約10から約100分間の熱処理を施すことにより形成することができる。その結果得られるウエハ、またはシリコン構造体基板の抵抗率は、約1200から約1900Ω−cmまでの範囲にある。
本発明によるもう1つの好適な実施形態において、上記に定義されるような高抵抗率ウエハまたは構造体基板は、約12から約15ppmaの格子間酸素濃度と、約2.75×1014cm−3から約3.25×1014cm−3のホウ素濃度とを有するCZシリコンウエハ、またはCZウエハを基板として含むシリコン構造体に、約500から約525℃で約80から約150分間の熱処理を施すことによって形成することができる。その結果得られるウエハ、またはシリコン構造体基板の抵抗率は、約500から約2000Ω−cmまでの範囲にある。
本発明によるさらにもう1つの好適な実施形態において、上記に定義されるような高抵抗率ウエハまたは構造体基板は、約8から約12ppmaの格子間酸素濃度と、約5.50×1013cm−3から約6.00×1013cm−3のホウ素濃度とを有するCZシリコンウエハ、またはCZウエハを基板として含むシリコン構造体に、約490から約495℃で約60から約80分の熱処理を施すことによって形成することができる。その結果得られるウエハ、またはシリコン構造体基板の抵抗率は、約1500から約2800Ω−cmまでの範囲にある。
本発明によるさらにもう1つの好適な実施形態において、上記に定義されるような高抵抗率ウエハまたは構造体基板は、約8から約12ppmaの格子間酸素濃度と、約5.50×1013cm−3から約6.00×1013cm−3のホウ素濃度とを有するCZシリコンウエハ、またはCZウエハを基板として含むシリコン構造体に、約490から約495℃で約60から約80分の熱処理を施すことによって形成することができる。その結果得られるウエハ、またはシリコン構造体基板の抵抗率は、約1500から約2500Ω−cmまでの範囲にある。
本発明によるさらにもう1つの好適な実施形態において、上記に定義されるような高抵抗率ウエハまたは構造体基板は、約6から約8ppmaの格子間酸素濃度と、約1.75×1014cm−3から約2.25×1014cm−3のホウ素濃度とを有するCZシリコンウエハ、またはCZウエハを基板として含むシリコン構造体に、約510から約535℃で約40から約110分の熱処理を施すことによって形成することができる。その結果得られるウエハ、またはシリコン構造体基板の抵抗率は、約350から約11,000Ω−cmまでの範囲にある。
本発明によるさらにもう1つの好適な実施形態において、上記に定義されるような高抵抗率ウエハまたは構造体基板は、約6から約8ppmaの格子間酸素濃度と、約4.5×1013cm−3から約5.0×1013cm−3のホウ素濃度とを有するCZシリコンウエハ、またはCZウエハを基板として含むシリコン構造体に、約495から約530℃で約10から約70分の熱処理を施すことによって形成することができる。その結果得られるウエハ、またはシリコン構造体基板の抵抗率は、約800から約19,500Ω−cmまでの範囲にある。
さらに、ここに示したこれらの実施形態において、前記シリコンウエハ、またはシリコンウエハ構造体の基板を、金(Au)以外の何かで場合によってドープする、すなわち本発明の実施形態のいずれかにおいて、高抵抗率ウエハ、または高抵抗率シリコン構造体の基板は、金ドープされていないことを留意すべきである。
実施例
以下の実施例は説明のみのために提示するものである。従って、これらを限定的なものと見なしてはならない。
(実施例1)
本明細書の式(1a)に説明される本発明の方法を用いて得られる結果の例を図14に示す。図14の抵抗率データは、本発明に定義される条件下でウエハに施したアニール中の異なる段階におけるキャリヤ濃度を、ホール効果により測定して得たものである。本実施例において、サンプルには、初期に約300Ω−cm(すなわち[B]は約4e13cm−3に等しい)を有し、酸素濃度は約6.5e17cm−3のものを用いた。この種のサンプルにおいて高抵抗率を達成するために適切なアニール温度は、約530℃と決定された。この実施例においては、サンプルに予めサーマルドナーが生成しており、実際のサンプルはアニール前に(約450℃、3時間の予備アニールにより)n−型であった。
図14は、ホール効果測定から推定される、本サンプルの約530℃におけるアニール時の抵抗率の変化を示している。初期にn−型であったサンプルは高抵抗値側に急速に緩和する。この高い抵抗率値(2〜20kΩ−cm)は、約2時間のアニールに渡って継続する。これは意外な結果で、「ノーマル」サーマルドナーから期待される結果とは異なる。さらに、ウエハ内の別の位置(例えば、半径位置)、そして同型の別のウエハ、について行った測定も同様な挙動を示した。同様な挙動は、適宜組み合わせた広い範囲のパラメータを有する多くのサンプルに観察された。以下さらに他の例を提示する。
これらサンプルについて行った広がり抵抗測定の結果、バルク抵抗率は非常に均一であったことに留意すべきである。これもまた従来知られているサーマルドナーの挙動と大きく異なる。ノーマルサーマルドナーの場合、成長時に組み込まれたストライエーション(例えば、約100ミクロンの周期)による自然な酸素濃度の変動は、材料がp−型からn−型に遷移する近傍で、酸素濃度のストライエーションに同期したウエハ全域に渡る変動、場合によっては厚さ方向全域に渡るn−型からp−型への反転、を引き起こすに十分である。注目すべきことに、本発明の技術によって製造される高抵抗率材料は、酸素(またはホウ素)濃度ストライエーションの影響を受けない模様である。
(実施例2)
上述の実施例1に加え、本発明よって提供される非常に好ましい(そして本明細書に記載の式(1a)に従った)「適切な」条件合わせをさらに実証するため、実施例1に用いたものと同様なサンプルを計算温度付近、今回は上記型の材料に対し約530℃、でアニールした。アニール後の飽和抵抗率の結果を図15に示す。
(実施例3−比較例)
本実施例は、自己補償効果が無い場合、抵抗率対温度曲線、ρ(T)、がどの様になるかを説明するためのものである。
復元に基づく自己補償がない単純な「ノーマル」の場合、抵抗率は達成された差分N=2Ntd(T,C)−Nのみによって実質的に制御される。N>0において、キャリヤ(電子)濃度はn=Nである。N<0において、キャリヤ(ホール)濃度はp=−Nである。より一般的には、非常に小さい差分Nにおいて抵抗率は固有値に近づくことができ、この場合(これが満足されることは稀であるが)、nおよびpに対するより一般的な表現を用いることができる。
n=N/2+[(N/2)+n 1/2, (2)
p=−N/2+[(N/2)+n 1/2, (3)
ここで、nは、固有の電子濃度(室温において約1.3×1010cm−3付近)である。抵抗率はρ=1/(eμn+eμp)である。ドリフト移動度(drift mobilities)、μおよびμは、(室温において)それぞれ約1.550cm/sVおよび約450cm/sVである。
ドナー/アクセプター差分、N、は、(新たに見出された「自己補償」効果が無いも場合に)Nおよび2Ntdの正確な一致のために必要とされる温度Tを用いて簡易的に表現される。
N=N[exp(Etd/kT−Etd/kT)−1] (4)
従って、Tの狭い範囲内でパラメータEtd/kT は実質的に変わらないため、量は温度偏差T-Tの普遍的な関数となる。
達成される抵抗率について計算された依存性、すなわち正確な補償時のTからの温度偏差への依存性を図16aに示す。ホウ素濃度Nについては、一般的な値、約3×1013cm−3(開始抵抗率ρ、約463Ω−cmに相当)および約1014cm−3(抵抗率で約139Ω−cm)を仮定した。補償温度Tは約520℃とした。ここで、結果はTに対して殆ど無関係であることを留意すべきである。図16aおよび16bのプロットは達成された抵抗率の絶対値の結果を与える。しかしながら、達成されたキャリヤ濃度は、実際には上式(4)に従ってNで目盛られており、従って抵抗率は初期値ρで目盛られている。従って、初期抵抗率とは無関係に、温度偏差T−Tのみで決まる抵抗率増大因子F(達成された抵抗率の初期抵抗率に対する比)が存在する。この増大因子を図16bにプロットする。
(実施例4−9)
本明細書に概説した方法および関係(例えば、式(1a)を参照)を用いて、ホウ素と酸素濃度を様々に組み合わせて高抵抗率状態を作る多くの事例から、さらにデータを収集した。対象となるウエハについて与えられた[Oi]および[B]を元に(式(1a)に従って)計算された「理想的」または好適なアニール温度における実験の結果を以下のデータ図表に示す。サンプルをウエハから採取し、この温度に近い温度にて種々の時間でアニールした。他のサンプルは「理想的」または好適なアニール温度近傍の他の温度で各時間アニールした。このようにしてウィンドウサイズ、すなわち許容される変動の範囲に関する更なるデータを得た。いくつかのサンプルは、計算温度における自己補償アニールの前に、高濃度の「ノーマル」または安定なサーマルドナーを生成させるため、450℃における予備アニールを行っていることを留意すべきである。
本方法を適用して達成された抵抗率増加の例を以下に示す。これ等の例では、酸素およびホウ素濃度を様々に組み合わせたウエハが集められた。試験中の各ウエハの中心位置における実際の酸素およびホウ素濃度を、各個別のデータ表(すなわち、表1−6)の見出し部分に示す。上述の方法を用い、特定の酸素およびホウ素濃度の組み合わせに適したアニール温度を決定した。この計算温度もまた各表の見出し部分に表記する。ウエハを小片に切断し、これが由来するウエハについて計算された温度またはそれに近い温度において、各小片をそれぞれ所定の時間でアニールした。理想的計算温度付近でアニールした際のサンプル抵抗率の時間変化を、アニール後に4点探針測定で求めた(アニールと4点探針測定の間には、少なくとも2、3日程度の室温保管を行って良いものとした。−下記参照)。
得られた抵抗率の結果を、そのアニール時間および温度に対応する欄に示す。各サンプル欄には、サンプルがn型またはp型と判定されたかを併記する。しかしながら、抵抗率の値が非常に高い(例えば、約1kΩ−cmを越える)場合、ここに用いた方法による型の判定は幾分不確かであることを留意すべきである。
ホウ素と酸素の組み合わせについて広い範囲にわたる調査を行うことで、本発明の一般原理が確認された。計算された「理想的な」あるいは好適な温度ついてかなり広い範囲(約495℃から約530℃まで)が、集められたサンプルと共に網羅されている。一般に、モデルとの一致は良好で、見出された温度ウィンドウも均一に広い。
(実施例4)
約450℃で3時間予備アニールしたウエハ04246959から採取したサンプルの抵抗率(Ω−cm単位);初期抵抗率は約43Ω−cmであった。[B]は約3.03×1014cm−3であった。[Oi]は約14ppma(7x1017cm−3)であった。Tcalcは約510℃であった。
Figure 2008545605
ここで本明細書に記した抵抗率は、当技術分野で周知の計算方法を用いて容易に[B]に変換できることを留意すべきである。(例えばwww.solecon.com(すなわち、www.solecon.com/sra/rho2ccal.htm)などのオンラインで利用できる変換カリキュレータを参照。)
(実施例5)
ウエハ04246959(予備アニール無し)、初期抵抗率約43Ω−cm、[B]約3.03×1014cm−3、[Oi]約7×1017cm−3、Tcalc約510.4℃
Figure 2008545605
実施例6
ウエハ419DFA−1(予備アニール無し)、初期抵抗率約225Ω−cm、[B]約5.77×1013cm−3、[Oi]約9.28ppma、Tcalc約494.6℃
Figure 2008545605
(実施例7)
ウエハ419DFA−2(予備アニール無し)、初期抵抗率約227Ω−cm、[B]約5.72×1013cm−3、[Oi]約9.41ppma、Tcalc約495.8℃
Figure 2008545605
(実施例8)
ウエハMQ0AMMH(予備アニール無し)、初期抵抗率約65Ω−cm、[B]約2.00×1014cm−3、[Oi]約7.24×1017cm−3、Tcalc約519.1℃
Figure 2008545605
(実施例9)
ウエハTR6(CTSQX003)(予備アニール無し)、初期抵抗率約270Ω−cm、[B]約4.81×1013cm−3、[Oi]約6.6×1017cm−3、Tcalcは約531.3℃
Figure 2008545605

実施例10
本実施例では、約400℃における工程後の短時間アニールが高抵抗率状態に及ぼす影響について調査した。これらの試験には2つのサンプルを用いた。これらのサンプルは本プロセスによって高抵抗率にしたものであった。高抵抗率化は約530℃のアニールによって行った(この試験に用いたサンプルは図14に抵抗率を示したものと同様のものである:言い換えれば、初期ホウ素制御抵抗率は約300Ω−cm、酸素濃度は約6.6e17cm−3であった)。本材料を高抵抗率状態にするためアニールしたところ、サンプルの1つはp型、もう1つはn型であった。両者とも抵抗率は1kΩ−cmを超える高抵抗率にあった。
本実験の興味の対象は、ここに記載するアニールプロセスによってもたらされた高抵抗率状態の、その後の熱処理における安定性にある。この目的を達成するために、これらのサンプルに約400℃の逐次的なアニールを施し、アニール間の抵抗率を測定した。このようなアニール時における抵抗率および高抵抗率緩和の時間依存性を約10分から約60分の間のアニール時間について求めた。結果を図17にまとめて示す。
0分の時点で、試験中のウエハの高抵抗率の初期値は決まっている。最も短時間(すなわち10分)のアニール後に、抵抗率はまだ高い状態を維持している。初期にp型のサンプルは、抵抗率がむしろ上昇する(そして、導電型(conductivity type)のものはn型に変換される)。アニール時間をさらに増加させると、抵抗率は徐々に低下する結果となる。約60分経過後、得られたサンプルは、成長直後の材料とほぼ同等の低い抵抗率(例えば、約300Ω−cm)を有していた。このことから、アニール時間が長過ぎない(例えば、約60分未満)限り、400℃における処理後に高抵抗率状態が保持されるものと結論付けられる。中間的なホウ素濃度を有するサンプルCTS−QX003および18HLBA−1Aの場合、約530℃のアニールによって高抵抗率が達成された。図17に示す曲線は、導電性型が相反する2つの異なるサンプルについてのものである。
(実施例11)
この実施例では、高抵抗率基材の形成についての酸素デヌーデッドゾーン(oxygen denuded zone)の影響、すなわち、酸素表面外方拡散(out diffusion)領域の、高抵抗率状態への変換(または転化)についての影響を調べた。本実験では、約1100℃で約3時間の熱処理を行い、約6.6e17cm−3のバルク酸素濃度を有するサンプルから大量の酸素を外方拡散させた。この処理特有の拡散距離2(Dt)1/2は約17ミクロンであった。ウエハの抵抗率は約300Ω−cmで、この酸素、ホウ素濃度の組み合わせから導かれる所望のアニール温度は530℃であった。
サンプルのアニールは、酸素外方拡散処理を伴ってまたは伴わないで、ならびに、酸素外方拡散と高抵抗率処理の間に450℃、3時間のサーマルドナー予備アニールの挿入を伴ってまたは伴わないで、行った。サンプルの詳細を以下に示す。

Figure 2008545605

アニール後のサンプルの広がり抵抗プロフィール結果を図17A−Dに示す。
(実施例12−17)
上記の実施例4−9に詳述と同様な実験をさらに行った。これら実験(実施例12−17)の詳細を以下にまとめる。
(実施例12)
約12から約15ppmaの格子間酸素濃度と、約2.75×1014cm−3から約3.25×1014cm−3のホウ素濃度とを有する複数のCZシリコンウエハ、またはCZシリコン構造(ウエハ)に由来する基板を含むシリコン構造体に、約505℃から約515℃で、約10から約100分間の熱処理を施した。その結果得られたウエハ、または前記構造体の基板の抵抗率は、約1200から1900Ω−cmまでの範囲にあった。
(実施例13)
約12から約15ppmaの格子間酸素濃度と、約2.75×1014cm−3から約3.25×1014cm−3のホウ素濃度とを有する複数のCZシリコンウエハ、またはCZシリコン構造に由来する基板を含むシリコン構造体に、約500℃から約525℃で約80から約150分間の熱処理を施した。その結果得られたウエハ、または前記構造体の基板の抵抗率は約500から2000Ω−cmまでの範囲にあった。
(実施例14)
約8から約12ppmaの格子間酸素濃度と、約5.50×1013cm−3から約6.00×1013cm−3のホウ素濃度とを有する複数のCZシリコンウエハ、またはCZシリコン構造に由来する基板を含むシリコン構造体に、約490℃から約495℃で約60から約80分間の熱処理を施した。その結果得られたウエハ、または前記構造体の基板の抵抗率は約1500から2800Ω−cmまでの範囲にあった。
(実施例15)
約8から約12ppmaの格子間酸素濃度と、約5.50×1013cm−3から約6.00×1013cm−3のホウ素濃度とを有する複数のCZウエハ、またはCZシリコン構造に由来する基板を含むシリコン構造体に、約490℃から約495℃で約60分から約80分間の熱処理を施した。その結果得られたウエハ、または前記構造体の基板の抵抗率は約1500から約2500Ω−cmまでの範囲にあった。
(実施例16)
約6から約8ppmaの格子間酸素濃度と、約1.75×1014cm−3から約2.25×1014cm−3のホウ素濃度と、を有する複数のCZシリコンウエハ、またはCZシリコン構造に由来する基板を含むシリコン構造体に、約510℃から535℃で約40から約110分間の熱処理を施した。その結果得られたウエハ、または前記構造体の基板の抵抗率は約350から11,000Ω−cmまでの範囲にあった。
(実施例17)
約6から約8ppmaの格子間酸素濃度と、約4.5×1013cm−3から約5.0×1013cm−3のホウ素濃度とを有する複数のCZシリコンウエハ、またはCZシリコン構造に由来する基板を含むシリコン構造体に、約495℃から約530℃で約10から約70分間の熱処理を施した。その結果得られたウエハ、または前記構造体の基板の抵抗率は約800から19,500Ω−cmまでの範囲にあった。
(実施例18)
本実施例では、ウエハのグループの挙動を説明するため、2つのグループのCZウエハに本発明による高抵抗率熱処理を施した。まず本試験の全てのウエハに450℃、3時間の熱処理を施した。次いで、第1グループのウエハ(グループ1)を、これらの酸素およびホウ素濃度に基づき式(1a)に従って求められる温度にて同時にアニールした(即ち、530℃にて30分アニールした)。第2グループのウエハ(グループ2)も、これらの酸素およびホウ素濃度に基づき式(1a)に従って求められる温度にて同時にアニールした(即ち、510℃にて30分アニールした)。本実施例の結果を下記の表にまとめる。
Figure 2008545605
上の記載は、説明を意図したものであって、限定を意図したものではないと理解されたい。上の記載を読むことにより、多くの実施形態が当業者にとって明らかになるであろう。従って本発明の範囲は、上記記載のみを参照して決められるべきものではなく、特許請求の範囲およびこれら請求範囲が権利化された場合の均等物の全範囲を考慮して決められるべきものである。
本発明およびその実施形態の構成要素を表す際、冠詞“a”,“an”(ひとつの),“the"および“said"(前記、当該)は、1つ以上の要素があることを意味することを意図する。用語“comprising”(具備する),“including”(含む)および“having”(有する)は包含的であることを意図し、記載された要素以外の追加的要素が存在する場合があることを意味する。
端点(endpoint)によって表される数値範囲は、その範囲内に含まれる全ての数値を含む。たとえば、1から5の範囲と表記されたときは、1、1.6、2、2.8、3、3.2、4、4.75および5を含む意味である。
図1は、約450℃もしくはそれ以下の温度にてアニールした場合の、時間の経過に対する、CZ単結晶シリコン中におけるサーマルドナー濃度の変化について、一般的に受け入れられている見解の説明図である。ここに示す直線の傾きは、アニールされるシリコン中の酸素濃度の4乗によって決まるものと一般的に理解されていることを留意すべきである。 図2は、サーマルドナーの初期形成速度の説明図である。 図3は、アニール時におけるサーマルドナー(TD)生成に伴う抵抗率の一般的挙動の説明図である。これは、約1e14cm−3/時の典型的なTD生成速度および初期抵抗率100Ω−cmのp型(概算)のサンプルを用いて、計算した例である。このグラフにおいて、負の抵抗率の値はn型導電性を示している。 図4は、アニールの間に、開始抵抗率がTD影響抵抗率のみに及ぼす影響の説明図である。これは代表的なTD生成速度である約1e14cm−3/時と約80、約100および約120Ω−cm(p型)の初期抵抗率値を用いた計算例である。本図において、負の抵抗率値はn型導電性を示している。 図5は、アニールの間に、酸素濃度範囲がTD影響抵抗率に及ぼす効果の説明図である。これらは仮想的な酸素濃度範囲の中心において、代表的なTD生成速度である約1e14cm−3/時を用いて計算した例である。代表的な約[Oi]の酸素依存性について、本説明図に示された範囲は約±0.5ppmaの酸素濃度範囲に対応する。図中の全ての例について初期抵抗率は100Ω−cm、p型である。本図において、負の抵抗率値はn型導電性を示している。 図6は、本発明の知見に従って、従来適用されていた温度を超える温度(例えば約480℃もしくはそれ以上)でアニールした場合に、サーマルドナー濃度が時間の経過とともに、CZ単結晶シリコン中でどのように変化するかを示すグラフである。本発明によれば、高温において、サーマルドナーの濃度は所定の時間はプラトーに達することが見出されたことを留意すべきである。 図7aは、約560℃でアニールした際の、TD生成(曲線1)および予備生成したTDの崩壊(曲線2)の動力学的曲線を示すグラフである。 図7bは、約570℃でアニールした際の、TD生成(曲線1)および予備生成したTDの崩壊(曲線2)の動力学的曲線を示すグラフである。 図8は、2つの異なる酸素濃度について、低ホウ素濃度(約2e12cm−3)材料中で測定され、飽和され、付加された電子濃度を、温度の関数として示すグラフである。下側の曲線(四角)はより低い酸素濃度に対するものである。 図9aは、本発明の高抵抗率状態を達成するための条件が、(式(1a)に定義されるような)条件を満たすような温度、初期抵抗率、および酸素濃度空間の軌跡を示すグラフである。 図9bは、本発明の高抵抗率状態を達成するための条件が、(式(1a)に定義されるような)条件を満たすような温度、初期抵抗率、および酸素濃度空間の軌跡を示すグラフである。図9bにおいて、各曲線に付した番号1−4はそれぞれ、酸素濃度5×1017cm−3、6×1017cm−3、7×1017cm−3、8×1017cm−3を示している。(これらの濃度はそれぞれ10ppma、12ppma、14ppmaおよび16ppmaに対応する。) 図10Aは、抵抗率を高めるために本発明の方法を施した1つのウエハについて測定した広がり抵抗(spreading resistance)の1つのプロットを示すグラフである。 図10Bは、抵抗率を高めるために本発明の方法を施した1つのウエハについて測定した広がり抵抗の1つのプロットを示すグラフである。 図10Cは、抵抗率を高めるために本発明の方法を施した1つのウエハについて測定した広がり抵抗の1つのプロットを示すグラフである。 図10Dは、抵抗率を高めるために本発明の方法を施した1つのウエハについて測定した広がり抵抗の1つのプロットを示すグラフである。図10Aから10Dは、本プロセスによって達成される効果の均一性を示している。ウエハ中の深さの関数としての抵抗率を、半径に沿った4つの異なる点で測定した。半径方向位置は200mmウエハのエッジからそれぞれ1、3、5および7cm(すなわち、図10Aはエッジから1cm、図10Bはエッジから3cm、図10Cはエッジから5cm、そして図10Dはエッジから7cm)の各点とした。各曲線とも、表面を0として、裏面に向かう抵抗率を示している。尺度は0から600ミクロンである。ウエハの総厚さは約675ミクロンであった。測定されたデータは、本質的にすべての半径位置において、本質的にいずれの深さにおいても10の値にひじょうに近い。このデータは本プロセスが、半径および深さの両方向に実質的に均一な結果をもたらすことができるということを示している。(これらのグラフにおいて、Y軸は抵抗率であって、その範囲は10−2Ω−cmから10Ω−cmまでであって、横軸方向のそれぞれの線は、下から上の方へ、それぞれ10−2、10−1、10、10、10、10、10、および10Ω−cmを示している。X軸は深さであって、その範囲は0から600ミクロンであり、すなわちX軸上の各垂線は、0から600ミクロンまでの50ミクロンの増分を示している。) 図11は、[Oi]依存性を適用し、サンプル母数の酸素濃度が約±0.1ppma(サーマルドナー率、約100Ω−cm)程度でのみ変動することを示した計算例を示すグラフである。 図12は、デバイス製造プロセスのメタライゼーション工程後に、本明細書に詳述する熱処理を行う、本発明の実施形態を説明するフローチャートまたはブロック図である。 図13は、デバイス製造プロセスのメタライゼーション工程前に、本明細書に詳述する熱処理を行う、本発明の実施形態を説明するフローチャートまたはブロック図である。 図14は、サンプル中の[B]および[Oi]が既知の際、図9aおよび9bから導出される概算アニール温度を用いて高抵抗率状態を作り出すことを示すグラフである。中実点はn型導電性を指す。中空点はp型導電性を指す。 図15は、図14の結果に用いられたものと同様なサンプルについて、得られる飽和抵抗率値を示すグラフである。但し、これら特定のサンプルについて、約530℃の中心のまたは「理想的」な温度付近で、温度を変動させている。許容されるアニール温度の広いウィンドウが認められる。 図16aは、「ノーマル」サーマルドナーのみを含み、「復元」サーマルドナーを含まない単純モデル内における、「理想的な」補償温度からの逸脱または変動に対する抵抗率計算値を示すグラフである。図16aはホウ素濃度が約2e13cm−3(曲線1)の場合、および約2e14cm−3(曲線2)の場合についての抵抗率を示している。 図16bは、「ノーマル」サーマルドナーのみを含み、「復元」サーマルドナーを含まない単純モデル内における、「理想的な」補償温度からの逸脱または変動に対する抵抗率計算値を示すグラフである。図16bは、本質的に、どのような初期抵抗率に対しても、変わらない抵抗率増大因子を示している。 図17は、400℃アニールが高抵抗率サンプルの抵抗率に及ぼす影響の説明図するグラフである。中空の印はp型に対応し、中実の印はn型に対応する。 図18aは、大きな[Oi]デヌーデッドゾーンを有する熱処理したサンプルに得られる高抵抗率状態を示すグラフである。より具体的には、図18aは、1100℃の外方拡散アニール後に、530℃のみで処理を行った結果を示している。 図18bは、大きな[Oi]デヌーデッドゾーンを有する熱処理したサンプルに得られる高抵抗率状態を示すグラフである。より具体的には、図18bは、1100℃での外方拡散アニールを行い、そして450℃での予備アニールを行った後に、530℃で処理を行った結果を示すグラフである。(すなわち、1100℃におけるアニール後、530℃のアニール前に、450℃においてノーマルサーマルドナー形成アニールを実施した。) 図18cは、大きな[Oi]デヌーデッドゾーンを有する熱処理したサンプルに得られる高抵抗率状態を示すグラフである。より具体的には、図18cは、外方拡散も、サーマルドナー形成用予備アニールも行わず、530℃で処理した結果を示すグラフである。 図18dは、大きな[Oi]デヌーデッドゾーンを有する熱処理したサンプルに得られる高抵抗率状態を示すグラフである。より具体的には、図18dは、サーマルドナー形成用の450℃における予備アニール後に、530℃の処理を実施した結果を示すグラフである。これら図は全て抵抗率(SRP:広がり抵抗率分布)の深さ依存性(0から120ミクロン)を示している。

Claims (54)

  1. 高抵抗率シリコン構造体の製造方法であって、
    約50Ω−cm以上の初期抵抗率を有するCZ単結晶を有するシリコン構造体に、結果として得られる熱処理された構造体の基板が、サーマルドナー濃度[TD]:アクセプター濃度[A]の比率が約0.8:1〜約1.2:1の範囲であるサーマルドナー濃度[TD]およびアクセプター濃度[A]を有するような保持時間および温度で、熱処理を施すことを含むことを特徴とする方法。
  2. 前記比率が約0.9:1〜1.1:1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. ホウ素原子が前記アクセプターであり、酸素クラスターが前記サーマルドナーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記構造体の基板のホウ素濃度[B]と酸素濃度[Oi]、および前記熱処理の温度Tが、下記の式:
    [B]=1e14([Oi]/[Oi]refexp(E/kT−E/kTref
    により関係付けられ、ここで、
    [B]はホウ素濃度、
    [Oi]refは格子間酸素の基準濃度で約6.6e17cm−3
    [Oi]は前記構造体の基板の実際の格子間酸素濃度、
    nは酸素指数で約7、
    Eは活性化エネルギーで約4eV、
    kはボルツマン定数、
    Tは前記熱処理の実際の温度、
    refは基準温度で約520℃、
    であり、さらに、
    (i)与えられたホウ素濃度[B]について、酸素濃度は計算濃度の約±0.5ppmaであり、熱処理温度は計算温度の約±10℃であり、
    (ii)与えられた酸素濃度[Oi]について、ホウ素濃度は計算濃度の約±20%であり、熱処理温度は計算温度の約±10℃であり、さらに、
    (iii)与えられた熱処理温度Tについて、酸素濃度は計算濃度の約±0.5ppmaであり、およびホウ素濃度は計算濃度の約±20%であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記熱処理された基板の結果として得られる抵抗率が、その中のアクセプター濃度に基づいて計算される抵抗率よりも少なくとも約10倍大きいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記構造体の基板が、表層および裏層と、外周エッジと、前記表層および裏層のそれぞれに実質的に垂直な中心軸と、さらに前記中心軸から前記表層および裏層と実質的に平行に、前記外周エッジへ向かって延びる半径とを有してなり、前記基板が前記半径に沿って変動する酸素濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記酸素濃度が、前記半径に沿って、約5ppmaから約20ppmaまでで変動することを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記構造体の基板が、表層および裏層と、外周エッジと、前記表層および裏層のそれぞれに実質的に垂直な中心軸と、さらに前記中心軸から前記表層および裏層と実質的に平行に、前記外周エッジへ向かって延びる半径とを有し、前記基板が前記半径に沿って変動するホウ素濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記ホウ素濃度が、前記半径に沿って、少なくとも約1%から約20%までで変動することを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記熱処理の温度が、約480℃を越え、約600℃までの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記熱処理が、約10分から約250分までの時間で行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記シリコン構造体の基板が、少なくとも約5ppmaから約20ppmaまでの範囲の酸素濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 前記シリコン構造体の基板が、少なくとも約100Ω−cmから約300Ω−cmまでの範囲の初期抵抗率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 前記熱処理の後、結果として得られる熱処理されたシリコン構造体の基板が少なくとも約1000Ω−cmの抵抗率を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 高抵抗率CZ単結晶シリコンウエハの製造方法であって、
    少なくとも150mmの公称直径と少なくとも約50Ω−cmの初期抵抗率を有するCZ単結晶シリコンウエハに、結果として得られる熱処理されたウエハが、サーマルドナー濃度[TD]:アクセプター濃度[A]の比率が約0.8:1〜約1.2:1の範囲であるような、少なくともサーマルドナー濃度[TD]とアクセプター濃度[A]に渡る領域を有するような保持時間および温度で、熱処理を施すことを含むことを特徴とする方法。
  16. 前記比率が、約0.9:1〜1.1:1の範囲であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. ホウ素原子が前記アクセプターであり、酸素クラスターが前記サーマルドナーであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  18. 前記ウエハのホウ素濃度[B]と酸素濃度[Oi]、および前記熱処理の温度Tが、式:
    [B]=1e14([Oi]/[Oi]refexp(E/kT−E/kTref
    により関係付けられ、ここで、
    [B]はホウ素濃度、
    [Oi]refは格子間酸素の基準濃度で約6.6e17cm−3
    [Oi]は前記ウエハの実際の格子間酸素濃度、
    nは酸素指数で約7、
    Eは活性化エネルギーで約4eV、
    kはボルツマン定数、
    Tは前記熱処理の実際の温度、
    refは基準温度で約520℃、であり、さらに、
    (i)与えられたホウ素濃度[B]について、酸素濃度は計算濃度の約±0.5ppmaであり、熱処理温度は計算温度の約±10℃であり、
    (ii)与えられた酸素濃度[Oi]について、ホウ素濃度は計算濃度の約±20%であり、熱処理温度は計算温度の約±10℃であり、さらに、
    (iii)与えられた熱処理温度Tについて、酸素濃度は計算濃度の約±0.5ppmaであり、またホウ素濃度は計算濃度の約±20%であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 前記熱処理されたウエハの結果として得られる抵抗率が、その中のアクセプター濃度に基づいて計算される抵抗率よりも少なくとも約10倍大きいことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  20. 前記ウエハが、表面および裏面と、外周エッジと、前記表面および裏面のそれぞれに実質的に垂直な中心軸と、さらに前記中心軸から前記表面および裏面と実質的に平行に、前記外周エッジへ向かって延びる半径とを有し、前記ウエハが前記半径に沿って変動する酸素濃度を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
  21. 前記酸素濃度が、前記半径に沿って、約5ppmaから約20ppmaまでで変動することを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 前記ウエハが、表面および裏面と、外周エッジと、前記表面および裏面のそれぞれに実質的に垂直な中心軸と、さらに前記中心軸から前記表面および裏面と実質的に平行に、前記外周エッジへ向かって延びる半径とを有し、前記ウエハが前記半径に沿って変動するホウ素濃度を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
  23. 前記ホウ素濃度が、前記半径に沿って、少なくとも約1%から約20%までで変動することを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. 前記熱処理の温度が、約480℃を越えて約600℃までの範囲にあることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  25. 前記熱処理が、約10分から約250分までの時間で行われることを特徴とする請求項24に記載の方法。
  26. 前記ウエハが、少なくとも約5ppmaから約20ppmaまでの範囲の酸素濃度を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
  27. 前記ウエハが、少なくとも約100Ω−cmから300Ω−cmまでの範囲の初期抵抗率を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
  28. 前記ウエハが、前記熱処理の後、少なくとも約1000Ω−cmの抵抗率を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
  29. CZ単結晶シリコン基板を含む高抵抗率シリコン構造体であって、前記基板がサーマルドナー濃度[TD]:アクセプター濃度[A]の比率が約0.8:1〜約1.2:1の範囲であるサーマルドナー濃度[TD]およびアクセプター濃度[A]を有することを特徴とする高抵抗率シリコン構造体。
  30. 前記比率が、約0.9:1〜約1.1:1の範囲であることを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  31. ホウ素原子が前記アクセプターであり、酸素クラスターが前記サーマルドナーであることを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  32. 前記抵抗率が、前記ホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高いことを特徴とする請求項31に記載の構造体。
  33. 前記抵抗率が、ホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率よりも少なくとも約10倍大きいことを特徴とする請求項32に記載の構造体。
  34. 前記構造体の基板が、表層および裏層と、外周エッジと、前記表層および裏層のそれぞれに実質的に垂直な中心軸と、さらに前記中心軸から前記表層および裏層に実質的に平行に、前記外周エッジへ向かって延びる半径とを有してなり、前記基板が前記半径に沿って変動する酸素濃度および/またはホウ素濃度を有することを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  35. 前記ホウ素濃度が、前記半径に沿って、少なくとも約1%から約20%までで変動することを特徴とする請求項34に記載の構造体。
  36. 前記酸素濃度が、前記半径に沿って、約5ppma以上約20ppmaまでで変動することを特徴とする請求項34に記載の構造体。
  37. 前記構造体が、電子デバイスであることを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  38. 前記構造体が、受動電子デバイスであることを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  39. 前記構造体の基板が、Auドープされていないことを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  40. 前記構造体の基板が、少なくとも約1000Ω−cmの抵抗率を有することを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  41. 前記構造体が、前記基板の表面上に堆積されたエピタキシャル層をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  42. 前記構造体がSOI(silicon on insulator)構造体であり、前記構造体は前記基板の表面上に酸化物層を有し、および前記酸化物層上にデバイス層をさらに有することを特徴とする請求項29に記載の構造体。
  43. 高抵抗率CZ単結晶シリコンウエハであって、150mm以上の公称直径を有しており、サーマルドナー濃度[TD]:アクセプター濃度[A]の比率が約0.8:1〜約1.2:1の範囲であるサーマルドナー濃度[TD]およびアクセプター濃度[A]を有することを特徴とするウエハ。
  44. 前記比率が約0.9:1〜1.1:1の範囲であることを特徴とする請求項43に記載のウエハ。
  45. ホウ素原子が前記アクセプターであり、酸素クラスターが前記サーマルドナーであることを特徴とする請求項43に記載のウエハ。
  46. 前記抵抗率が、前記ホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率よりも実質的に高いことを特徴とする請求項45に記載のウエハ。
  47. 前記抵抗率が、ホウ素濃度に基づいて計算される抵抗率よりも少なくとも約10倍大きいことを特徴とする請求項46に記載のウエハ。
  48. 前記ウエハが、表面および裏面と、外周エッジと、前記表面および裏面のそれぞれに実質的に垂直な中心軸と、さらに前記中心軸から前記表面および裏面と実質的に平行に、前記外周エッジへ向かって延びる半径とを有し、前記ウエハが前記半径に沿って変動する酸素濃度および/またはホウ素濃度を有することを特徴とする請求項43に記載のウエハ。
  49. 前記半径に沿って、前記ホウ素濃度が、少なくとも約1%から約20%までで変動することを特徴とする請求項48に記載のウエハ。
  50. 前記半径に沿って、前記酸素濃度が、少なくとも約5ppmaから約20ppmaまでで変動することを特徴とする請求項48に記載のウエハ。
  51. 前記ウエハが、Auドープされていないことを特徴とする請求項43に記載のウエハ。
  52. 前記ウエハが、約1000Ω−cm以上の抵抗率を有することを特徴とする請求項43に記載のウエハ。
  53. 前記ウエハの表面上に堆積されたエピタキシャル層をさらに含むことを特徴とする請求項43に記載のウエハ。
  54. 請求項43に記載のウエハをハンドルウエハとして有するSOI構造体であって、前記ハンドルウエハはその表面上に酸化物層を有し、および前記酸化物層の表面上にデバイス層を有することを特徴とするSOI構造体。
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