JP2008309778A - ポリペプチドの検出又は定量方法、及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリペプチドの吸着の影響を排除し、低濃度領域でもポリペプチドの定量を可能とする逆相液体クロマトグラフィーによるポリペプチドの検出又は定量方法、及び装置を提供。
【解決手段】逆相液体クロマトグラフを用いるあるポリペプチド(以下、ポリペプチドAと称する)の検出又は定量方法であって、ポリペプチドAを含むOFF相ポリペプチド試料を液体クロマトグラフに導入し、分子量に依存して分画する手段により分離し、相転移させる手段によりON相ポリペプチドAを生成し、カラム充填剤を相互作用で相転移させてOFF相ポリペプチドAを生成し、溶出したポリペプチドAを検出又は定量する。
【選択図】なし
【解決手段】逆相液体クロマトグラフを用いるあるポリペプチド(以下、ポリペプチドAと称する)の検出又は定量方法であって、ポリペプチドAを含むOFF相ポリペプチド試料を液体クロマトグラフに導入し、分子量に依存して分画する手段により分離し、相転移させる手段によりON相ポリペプチドAを生成し、カラム充填剤を相互作用で相転移させてOFF相ポリペプチドAを生成し、溶出したポリペプチドAを検出又は定量する。
【選択図】なし
Description
本発明は、逆相液体クロマトグラフィーを用いた、高感度なポリペプチドの検出又は定量方法、及び装置に関する。
逆相液体クロマトグラフィー(RP−LC)は、固定相に移動相よりも極性の弱い物質を用いる液体クロマトグラフィーであり、薬物等の低分子化合物の定量において最も広く用いられている。近年、逆相液体クロマトグラフィーは、ポリペプチドの検出、定量においても重要な技術として用いられており、プロテオミクス研究においても重要な役割を果たしている。
逆相液体クロマトグラフィーによるポリペプチドの高感度定量を困難とする大きな問題点の一つが、ポリペプチドの用具や機器への吸着である。ポリペプチドの吸着の影響は、低濃度でより激しくなり(非特許文献1〜3)、その結果、低濃度領域での定量を困難にしていると考えられる。この低濃度での吸着を解決するために、アルブミンのようなポリペプチドや界面活性剤の添加(非特許文献1)が、これらの吸着を抑制するのに効果的であることが示されてきた。しかし、測定対象となるポリペプチド毎に、添加による吸着防止効果を確認する必要があるのに加えて、添加した界面活性剤などが測定時に夾雑ピークとして現れる等の問題が発生しないことを確認する必要がある。一般的に、多量のポリペプチドの逆相液体クロマトグラフへの導入は、カラムが詰まる一因となる。また、ポリペプチド試料の容量がカラム容量を越えた場合、被験ポリペプチドのカラムへの十分な保持及びその分離が困難となり、結果として、再現性が失われて、定量が困難になる場合がある。
さらに、分析時に多量の界面活性剤が存在すると、カラムを劣化させ、マススペクトロメトリー等の装置を汚し、再現性が失われる場合があり、加えて、マススペクトル分析時に夾雑ピークとして現れ、解析を困難とする場合が存在する。そのため、カラムスイッチング法を用いたオンラインで界面活性剤を除去するシステムも考案されているが、個々のポリペプチドについて界面活性剤の効果を確認しなければならないなど、極めて煩雑な検討が必要となる。
一方、液体クロマトグラフィーによる生体由来試料中のポリペプチドの高感度定量を困難とする大きな問題点の一つとして、アルブミン等の多量の生体由来ポリペプチドを含む血漿等の生体由来試料から、目的のポリペプチドを効率良く分離し、回収することが難しいことが挙げられる。低分子化合物を定量する際に用いる有機溶媒によるタンパク質の除去操作では、アルブミン等の夾雑ポリペプチドのみならず目的とするポリペプチドをも凝集させてしまう。
そのため、水溶液等で希釈することによって凝集等を防止した生体由来試料を液体クロマトグラフに導入し、一旦前処理カラムに保持させた後、カラムスイッチング法によって、目的ポリペプチドを含む溶出液を分析カラムへ導入して分析する方法が用いられている(特許文献1〜3)。この場合、目的ポリペプチドに対するアルブミン等の夾雑ポリペプチドの比は希釈前後で変わらず、目的ポリペプチドよりも夾雑ポリペプチド量が極めて多いことから、前処理カラムが詰まる一因となる。
また、このようなカラムスイッチング法を用いた2次元液体クロマトグラフィーにおける前処理カラムは、イオン交換カラムや逆相カラムであり、目的の分子を一旦該カラムに保持させて濃縮する目的に加えて、夾雑ポリペプチド、塩、及び界面活性剤等を除去するオンラインでの前処理目的として使用されてきた。しかし、この濃縮及び前処理過程で用いられる移動相は、一般的に水含量が高く、不必要なポリペプチド(一般的に目的ポリペプチドより高分子量のポリペプチド)までも同時に濃縮していた。
さらに、試料中のポリペプチド量が前処理カラム容量を越えた場合、被験ポリペプチドのカラムへの十分な保持及びその分離が困難であり、再現性が失われ、定量困難になると考えられる。そこで、カラム負荷量を増加させるために、カラム長を長くした場合、カラム圧が増加するため、本来保持されていた目的ポリペプチドが、カラムから溶出されてしまう場合がある。したがって、従来の技術では、液体クロマトグラフに導入可能な試料量が種々要因により制限されてしまい、結果として、高感度定量が困難となる。
本発明の課題は、ポリペプチドの吸着および凝集の影響を排除し、さらにオンラインで目的ポリペプチドと夾雑ポリペプチドの分離を行うことで、簡便な手法で低濃度領域でも正確にポリペプチドを定量することを可能とする逆相液体クロマトグラフィーによるポリペプチドの検出又は定量方法、及び装置を提供することにある。
本発明者らは上記課題解決のため鋭意研究し、水及び実質的にある1種類の有機溶媒からなる混合溶液に溶解したポリペプチドの逆相カラム充填剤への吸着能が、該混合溶液における該有機溶媒の容積比(%)に依存し、かつ一定の容積比(ポリペプチドの逆相カラム充填剤への吸着能の相転移臨界値、単にポリペプチドの相転移臨界値と称呼することもある)を境に著しく変化すること(ポリペプチドの逆相カラム充填剤への吸着能の相転移)を見出した。具体的には、発明者らは、ポリペプチドが溶解した該混合溶液における該有機溶媒の容積比が逆相カラム充填剤への吸着能の相転移臨界値を超過する場合には、該ポリペプチドは実質的に逆相カラム充填剤への吸着能を示さないポリペプチド(OFF相ポリペプチド)となり、逆に、該容積比が逆相カラム充填剤への吸着能の相転移臨界値を下回る場合には、逆相カラム充填剤への吸着能を示すポリペプチド(ON相ポリペプチド)となることを見出した。また、本発明者らは、ポリペプチド試料の希釈時及び逆相液体クロマトグラフを用いた測定時にポリペプチドが接触する物質(逆相カラム充填剤は除く)に対しても逆相カラム充填剤に対する場合と同様の挙動をポリペプチドが示し、これら物質への吸着能の相転移臨界値とカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値が近似であることを見出した(実施例1参照)。
更に、本発明者らは、ポリペプチドの逆相カラム充填剤への吸着能の相転移臨界値は、ポリペプチドが溶解している溶液に含まれる有機溶媒の種類(実施例2参照)及びポリペプチド(実施例5参照)に大きく依存する一方、逆相カラムの固定相(実施例8参照)及び逆相カラムの温度(実施例9参照)がポリペプチドの逆相カラム充填剤への吸着能の相転移に与える影響は、有機溶媒が与える影響と比較して小さいことを見出した。
また、本発明者らは、水及び1種類以上の有機溶媒(有機溶媒1、有機溶媒2、・・・・、有機溶媒n(nは1以上の整数))からなる混合溶液Mxに溶解するポリペプチドの逆相カラム充填剤への吸着能は、下記式(a)に従うことを見出した(実施例1〜4参照)。
(式(a)において、X1は水−有機溶媒1混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、Xnは水−有機溶媒n混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、x1は混合溶液Mxにおける有機溶媒1の容積比(%)、xnは混合溶液Mxにおける有機溶媒nの容積比(%)をそれぞれ示す)
そこで、本発明者らは、かかる知見を利用し、逆相液体クロマトグラフを用いるあるポリペプチド(ポリペプチドA)の定量法において、ポリペプチドAを含むポリペプチド試料を、逆相カラム充填剤に対して実質的に相互作用しない相(つまり、調製時に接触する物質とも実質的に相互作用しない相)となったポリペプチド試料(OFF相ポリペプチド試料)としておき、これを液体クロマトグラフに導入し、導入されたOFF相ポリペプチド試料中のOFF相ポリペプチドAを分子量に依存して分画する手段により、共存する他のポリペプチドや低分子化合物などから分離し、分離したOFF相ポリペプチドAの相を該逆相カラム充填剤と相互作用する相に相転移させ、次いで相転移により生成した該カラム充填剤と相互作用する相であるON相ポリペプチドAを該カラム充填剤と相互作用させることにより、容器等への吸着が問題となるような低濃度での微量ポリペプチドを、簡便、精度良く、且つ、試料注入量の制限なく定量できることを見出し、本発明を完成させた。
そこで、本発明者らは、かかる知見を利用し、逆相液体クロマトグラフを用いるあるポリペプチド(ポリペプチドA)の定量法において、ポリペプチドAを含むポリペプチド試料を、逆相カラム充填剤に対して実質的に相互作用しない相(つまり、調製時に接触する物質とも実質的に相互作用しない相)となったポリペプチド試料(OFF相ポリペプチド試料)としておき、これを液体クロマトグラフに導入し、導入されたOFF相ポリペプチド試料中のOFF相ポリペプチドAを分子量に依存して分画する手段により、共存する他のポリペプチドや低分子化合物などから分離し、分離したOFF相ポリペプチドAの相を該逆相カラム充填剤と相互作用する相に相転移させ、次いで相転移により生成した該カラム充填剤と相互作用する相であるON相ポリペプチドAを該カラム充填剤と相互作用させることにより、容器等への吸着が問題となるような低濃度での微量ポリペプチドを、簡便、精度良く、且つ、試料注入量の制限なく定量できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、逆相液体クロマトグラフを用いる、あるポリペプチド(以下、ポリペプチドAと称する)の検出又は定量方法であって、以下の工程を含むポリペプチドの検出又は定量方法を提供するものである。
(1)OFF相ポリペプチドAを含むOFF相ポリペプチド試料を液体クロマトグラフに導入する工程、
(2)(1)で導入したOFF相ポリペプチド試料中のOFF相ポリペプチドAを、分子量に依存して分画する手段により、分離する工程、
(3)(2)で分離したOFF相ポリペプチドAを相転移させる手段により、ON相ポリペプチドAを生成する工程、
(4)(3)で生成したON相ポリペプチドAとカラム充填剤を相互作用させる工程、
(5)(4)で相互作用したON相ポリペプチドAを相転移させ、OFF相ポリペプチドAを生成する工程、
(6)(5)で生成したOFF相ポリペプチドAを溶出する工程、及び
(7)(6)で溶出したポリペプチドAを検出又は定量する工程。
(1)OFF相ポリペプチドAを含むOFF相ポリペプチド試料を液体クロマトグラフに導入する工程、
(2)(1)で導入したOFF相ポリペプチド試料中のOFF相ポリペプチドAを、分子量に依存して分画する手段により、分離する工程、
(3)(2)で分離したOFF相ポリペプチドAを相転移させる手段により、ON相ポリペプチドAを生成する工程、
(4)(3)で生成したON相ポリペプチドAとカラム充填剤を相互作用させる工程、
(5)(4)で相互作用したON相ポリペプチドAを相転移させ、OFF相ポリペプチドAを生成する工程、
(6)(5)で生成したOFF相ポリペプチドAを溶出する工程、及び
(7)(6)で溶出したポリペプチドAを検出又は定量する工程。
本発明を実施することにより、生体由来試料中の微量の目的ポリペプチド、例えば数pM程度の目的ポリペプチドをオンラインで他の夾雑ポリペプチドから分離することが可能となり、希釈以外の前処理を必要とせず目的ポリペプチドを逆相液体クロマトグラフで定量できる。また、被験ポリペプチドの相転移臨界値を予め測定、算出することによって、移動相中の被験ポリペプチドのON相及びOFF相を把握することができ、溶出条件を定量的に設定することが可能となり、簡便かつ精度良く定量できる。さらに、ポンプの台数を増やすことで、分子ふるいカラム及び分析カラムの測定条件に柔軟性をもたせることも可能である。
本発明は、従来の微量ポリペプチドの定量方法として広く利用されている免疫学的手法、例えばELISA等の方法による定量方法に匹敵、又は、それ以上の高感度定量が可能なポリペプチド定量法であって、医学、生化学、分子生物学など幅広い分野で利用可能な画期的な発明である。
本発明は、逆相液体クロマトグラフを用いるポリペプチドの検出又は定量方法、及び装置である。
ここで、逆相液体クロマトグラフィーには、移動相(溶離液)が液体であり、固定相が移動相(溶離液)よりも極性の弱い物質であればすべて含まれる。固定相としては、炭化水素基などの疎水性基、例えば、トリアコンチル基(C30)、オクタデシル基(C18)、オクチル基(C8)、ブチル基(C4)又はトリメチル基が例示される。支持体としては、シリカゲルなどの無機系ポーラスポリマー、ポリスチレン、メタアクリル、ビニルアルコール、ヒドロキシアパタイト、酸化チタンなどが例示される。充填剤としてグラファイトカーボンを用いることもできる。当業者であれば、被験ポリペプチドに応じて適宜充填剤を選択することができる。
液体クロマトグラフとして、液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)が好ましく例示される。液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)として、液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)が好ましく例示される。ポリペプチドの検出又は定量装置としての質量分析装置が接続されている逆相液体クロマトグラフを用いることにより、高感度なポリペプチドの検出又は定量が可能となる。
被験ポリペプチドは、分子量、等電点、機能、構造等に限定されず、全てのポリペプチドを含む。このうち、LC−MS/MSを用いて高感度定量を実施する場合、ESIイオン源にて生じる多価イオンの数が多いと高感度化が難しいことから、分子量が約1万Da程度以下であるポリペプチドが好ましい。被験ポリペプチドは、既知のポリペプチド又は未知のポリペプチドのいずれをも含む。ここで、ポリペプチドとは、蛋白質、ポリペプチド及びオリゴペプチドのいずれをも含む総称用語であり、その最小サイズは2アミノ酸である。被験ポリペプチドは、各種組織、細胞、細菌、ウイルスなど生体由来ポリペプチドに限らず、公知の合成方法により合成されたポリペプチド、公知の遺伝子工学的手法により取得されるポリペプチド、各種プロテアーゼにより酵素消化されることにより生じたあるタンパク質のポリペプチド断片及び標品として購入できるポリペプチドのいずれをも含む。また、被験ポリペプチドは、酢酸を含む有機溶媒を加えることで完全に溶解された生体由来試料に加えて、公知の調製方法、例えば、遠心処理、変性処理、硫安などによる分画処理、透析処理、限外ろ過、イオンクロマトグラフィー等を用いた精製処理などの公知の調製方法により調製された試料中に含まれるポリペプチドであり得る。更に、生体由来試料、例えば、血液、尿、唾液、精液、髄液、組織、細胞などの試料からポリペプチドを取得する場合には、試料に対し自体公知の前処理を行うこともできる。被験ポリペプチド試料に含まれる被験ポリペプチドは1種又は2種以上であってもよい。すなわち、本方法を用いて同時に多検体のポリペプチドを検出又は定量することができる(実施例13参照)。
この様なペプチドとして、例えば、副腎皮質刺激ホルモンのアミノ酸配列第1番目から第24番目からなるポリペプチド、βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第16番目からなるポリペプチド、βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第28番目からなるポリペプチド、βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第38番目からなるポリペプチド、βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第40番目からなるポリペプチド、βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第42番目からなるポリペプチド、βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第43番目からなるポリペプチド、成長ホルモン放出因子、イソロイシルーセリルーブラジキニン、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP−32)、インスリン、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP−53)、ミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチド、ニューロメジンC、ニューロペプチドY、ノシセプチン、オキシトシン、ウロコルチン、ミッドカイン、インターフェロン−γ、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP(1−28))、ラット好中球走化性因子−1(CINC−1/gro)、副甲状腺ホルモン(PTH(1−84))、オバルブミンのアミノ酸配列第323番目から第339番目からなるポリペプチド、オバルブミン、アンジオテンシンII、アミノ酸配列第4番目のチロシンがリン酸化されたアンジオテンシンIIなどを挙げることができる(実施例5〜6参照)。
本発明において、OFF相ポリペプチドとは、OFF相状態のポリペプチドを意味する。OFF相状態とは、逆相液体クロマトグラフのカラムの充填剤に対する吸着能を実質的に失った状態で溶液中にポリペプチドが存在することをいう。吸着能を実質的に失った状態とは、全く吸着しない状態又はON相状態のポリペプチドと比較して殆ど吸着しない状態を意味する。
本発明者らは、ポリペプチドが逆相カラム充填剤のみならずポリペプチド試料の調製やポリペプチド試料の逆相液体クロマトグラフへの導入時に接触する固体(以下、試料調製中に用いる容器等と称することもある。)に対しても同様の挙動を示すことを見出した。更に、試料調製中に用いる容器等へのポリペプチドの吸着能が、シリカを基材とするカラム充填剤への吸着能と実質的に等しい又は若干低いことが示唆されたことから(実施例1参照)、OFF相ポリペプチドは、試料調製に用いる容器等に対しても吸着能を実質的に失っていると考える。試料調製中に用いる容器等として、チップ類、サンプルバイアル、試料注入器、シリンジ、送液管などが例示される。これらの材質として、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ステンレス、ガラス、PEEK樹脂、セラミック、べスペル、テフゼルなどが挙げられる。
本発明者らは、27種類の各被験ポリペプチドについて、水−アセトニトリル混合溶液、水−エタノール混合溶液、水−メタノール混合溶液、水−酢酸混合溶液の各々の混合溶液におけるカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値の近似値を決定した(実施例5参照)。本結果から、アセトニトリルの容積比が50%以上である水−アセトニトリル混合溶液、エタノールの容積比が60%以上である水−エタノール混合溶液、メタノールの容積比が70%以上である水−メタノール混合溶液、及び酢酸の容積比が70%以上である水−酢酸混合溶液の各々の混合溶液においては、27種類の各被験ポリペプチド全てがOFF相であることが明らかとなった。他のポリペプチドについても同様にこれらの混合溶液においてはOFF相であると考えられる。従って、簡便には、アセトニトリルの容積比が50%以上、エタノールの容積比が60%以上、メタノールの容積比が70%以上及び/又は酢酸の容積比が70%以上であって、かつ、アセトニトリル、メタノール、エタノール及び酢酸から選ばれる1種又は2種以上の有機溶媒を含む溶液、例えば、水−アセトニトリル(水とアセトニトリルの容積比は1:1)混合溶液に被験ポリペプチドを溶解することにより、OFF相ポリペプチド試料を調製することができる。
また、OFF相ポリペプチド試料は、例えば、実施例に記載の方法に従って調製することもできる。具体的には、(1)逆相液体クロマトグラフに使用可能な有機溶媒から1種又は2種以上の有機溶媒を選択する。次に、(2)選択した各有機溶媒について、水−該有機溶媒の混合溶液における被験ポリペプチドの相転移臨界値(又は相転移臨界値を超過する値)を決定する。選択した有機溶媒が1種類の場合には、(3)該有機溶媒の容積比が決定した相転移臨界値を十分に超過する容積比である水−該有機溶媒の混合溶液に被験ポリペプチドを溶解させることによって、OFF相ポリペプチド試料を調製することができる。選択した有機溶媒が2種類以上の場合には、(3)前記式(a)(f>1)の考えに従って算出した各有機溶媒の容積比を示す混合溶液に被験ポリペプチドを溶解させることによって、OFF相ポリペプチド試料を調製することができる。ただし、多量の有機溶媒を含む溶液中でのポリペプチドの凝集を回避可能な組成とすることが好ましい。具体的には、被験ポリペプチド試料や使用する有機溶媒によって異なるが、酢酸を容積比で50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上含む混合溶液に被験ポリペプチドを溶解することによって、多量の有機溶媒を含む溶液中でのポリペプチドの凝集を回避したOFF相ポリペプチド試料を調製することができる。
逆相液体クロマトグラフに使用可能な有機溶媒は、例えば、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、DMSO、THF、酢酸、ギ酸、TFAなどが例示される。このうち、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸、ギ酸、TFAが好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合せて用いられる。移動相として用いる溶媒の種類と被験ポリペプチド試料の溶媒の種類は同一であっても異なっても良い。例えば、移動相として水−アセトニトリル混合溶媒を用い、被験ポリペプチド試料の溶媒が酢酸を数%程度含有する水−メタノール及びアセトニトリルの混合溶媒であってもよい。ただし、溶離液中におけるポリペプチドの凝集を回避可能な組成とすることが好ましい。
一般的には、あるポリペプチドについて、イソプロピルアルコール>アセトニトリル及びエタノール>メタノール及び酢酸の順で、それらを有機溶媒として用いた場合の該ポリペプチドの相転移臨界値は減少する(実施例15参照)。
有機溶媒としてアセトニトリルを選択した場合について、被験ポリペプチドの相転移臨界値の決定方法を具体的に説明する。水とアセトニトリルの容積比が異なる複数の水−アセトニトリル混合溶液(例えば、水:アセトニトリルの容積比が、10:0,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6,3:7,2:8,1:9,0:10である混合溶液)のそれぞれに被験ポリペプチドを溶解させ、水とアセトニトリルの容積比が異なる複数の被験ポリペプチド試料を調製する。次に、各被験ポリペプチド試料を逆相液体クロマトグラフ(図1(A)又は(B)に記載の従来の逆相液体クロマトグラフ構成を例示することができる)に導入し、各被験ポリペプチド試料に含まれる被験ポリペプチドがOFF相か否かを判定する。導入用の移動相は水系移動相が好ましく、溶出用の移動相は有機溶媒系移動相が好ましい。水系移動相とは有機溶媒を含有しない又は僅かに有機溶媒を含有する移動相である。水系移動相として、例えば、0.01〜6%程度の有機酸水溶液を例示できる。有機溶媒系移動相とは1種類以上の有機溶媒のみからなる移動相又は僅かに水を含む1種類以上の有機溶媒からなる移動相を意味する。有機溶媒系移動相として、例えば、0.01〜6%程度の有機酸を含むアセトニトリル−メタノール混合液、0.01〜6%程度の有機酸を含むアセトニトリル溶液、0.01〜6%程度の有機酸を含むメタノール溶液、0.01〜6%程度の有機酸を含むエタノール溶液などを例示できる。有機酸としては酢酸、ギ酸、TFAを好ましく例示できる。また、有機溶媒系移動相として、100%酢酸溶液を例示できる。被験ポリペプチドがOFF相の場合、被験ポリペプチド(又はその一部)はカラム充填剤へ吸着しない為、サンプルループ以後のデッドボリュームに相当する保持時間に溶出ピークが検出される(実施例1参照)。例えば、水:アセトニトリルの容積比が6:4,5:5,4:6,3:7,2:8,1:9,0:10である各被験ポリペプチド試料に含まれるポリペプチドがOFF相の場合には、水−アセトニトリル混合溶液における被験ポリペプチドの相転移臨界値は30〜40%と判定することができる。この場合、アセトニトリルが40%以上である水−アセトニトリル混合溶液にポリペプチドを溶解させ、OFF相ポリペプチド試料を調製することができる。
有機溶媒として、アセトニトリル及びメタノールを選択した場合について、OFF相ポリペプチド試料の調製方法を具体的に説明する。前記の方法に従って、水−アセトニトリル混合溶液、及び、水−メタノール混合溶液それぞれにおける被験ポリペプチドの相転移臨界値を決定する。次に、前記式(a)の考えに従って、試料におけるアセトニトリル及びメタノールの容積比を決定する。例えば、水−アセトニトリル混合溶液における被験ポリペプチドの相転移臨界値が30〜40%、水−メタノール混合溶液における被験ポリペプチドの相転移臨界値が40〜50%と決定された場合、水:アセトニトリル:メタノールの容積比が1:1:8である水−アセトニトリル及びメタノール混合溶液における被験ポリペプチドに関する前記式(a)の値は1を超過するため、該混合溶液に被験ポリペプチドを溶解することにより、OFF相ポリペプチド試料を調製することができる。
本発明者らは、2種の移動相(水系移動相及び有機溶媒系移動相)を用いる従来の逆相液体クロマトグラフ(図1(A))によって被験ポリペプチド試料を分析する際、被験ポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配との間にべき乗法則が成り立つことを見出した(実施例6参照)。更に、2種類のグラジエント勾配による溶出時間、それらのグラジエント勾配、及び各グラジエント勾配による被験ポリペプチドの溶出時の移動相(溶離液)組成との間に、下記式(b)が成立することを見出した(実施例6参照)。ただし、この時、水系移動相は、有機溶媒及び有機酸をほとんど含まない移動相であり、有機溶媒系移動相は水を含まない移動相であり、かつ、これら移動相の測定開始時の混合比が水系移動相:有機系移動相=100:0となる条件下で測定した場合にあてはまる。
(式(b)において、r1はあるグラジエント勾配(%/min)、r2はr1と異なるあるグラジエント勾配(%/min)、T1はグラジエント勾配r1による被験ポリペプチドの溶出時間(min)、T2はグラジエント勾配r2による被験ポリペプチドの溶出時間(min)、Vは被験ポリペプチドの溶出時の移動相(溶離液)における有機溶媒系移動相の容積比(%)をそれぞれ示す。)
溶出された被験ポリペプチドは溶出時の移動相(溶離液)においてカラム充填剤への吸着能を有していないと考えられる。従って、水系移動相と有機溶媒系移動相の容積比が(100−V):Vである混合溶液に被験ポリペプチドを溶解することによって、OFF相ポリペプチド試料を調製することも可能である。
溶出された被験ポリペプチドは溶出時の移動相(溶離液)においてカラム充填剤への吸着能を有していないと考えられる。従って、水系移動相と有機溶媒系移動相の容積比が(100−V):Vである混合溶液に被験ポリペプチドを溶解することによって、OFF相ポリペプチド試料を調製することも可能である。
本発明者らは、2種の移動相(水系移動相及び有機溶媒系移動相)を用いる従来の逆相液体クロマトグラフ(図1(A))によって被験ポリペプチド試料を分析する際、被験ポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配との間にべき乗法則が成り立つことを見出した(実施例6参照)。べき乗関数をy=Bx−t(y:保持時間、x:グラジエント勾配、t:べき指数、ただしt>0)で近似する場合、定数Bはグラジエント勾配が1%/minである保持時間(溶出時間)に相当する。また、グラジエント勾配1%/minによる被験ポリペプチドの溶出時間は、被験ポリペプチド導入時からその溶出時までの間に、被験ポリペプチド溶出用移動相が移動相(溶離液中)において増加した割合(%)を示す(ただし、増加分にはデッドボリュームが含まれるため近似値である)。この性質を利用して、例えば、水系移動相として有機溶媒を含まない水溶液、有機溶媒系移動相として選択した1種類の有機溶媒を用い、これら移動相の測定開始時の混合比が水系移動相:有機系移動相=100:0となる条件下で測定した場合には、グラジエント勾配1%/minによる被験ポリペプチドの溶出時間を、水−該有機溶媒混合溶液における被験ポリペプチドの相転移臨界値(%)と近似することも可能である(実施例7参照)。本知見を利用して、簡便に、OFF相ポリペプチド試料を調製することができる。
本発明においては、前述の如く、まず(1)ポリペプチドAを含む被験ポリペプチド試料をOFF相状態として液体クロマトグラフに導入し、(2)(1)で導入したOFF相ポリペプチド試料中のOFF相ポリペプチドAを、分子量に依存して分画する手段により、分離する工程、(3)次いで、分離されたOFF相ポリペプチドAを相転移させる手段を実行することにより、OFF相ポリペプチドAをON相ポリペプチドAに相転移させ、(4)当該ON相ポリペプチドAをカラム充填剤と相互作用させることによりON相ポリペプチドAをカラムに保持させ、(5)カラムに保持されたON相ポリペプチドAを相転移させることにより、ON相ポリペプチドをOFF相ポリペプチドAに変換し、(6)OFF相ポリペプチドAを溶出し、(7)溶出したポリペプチドAを検出又は定量する。以下、前記(1)〜(7)の工程毎に説明する。
工程(1)は、OFF相ポリペプチドAを液体クロマトグラフに導入する工程である。従来の逆相液体クロマトグラフィーにおいては、被験ポリペプチドがOFF相状態にあるのか、ON相状態にあるのかについては、何ら検討されていない。例えば、後述の実施例1のように、ウロコルチンはアセトニトリル含量が高い溶液(40%以上)中では、カラム充填剤への吸着能も極めて弱いのに対し、アセトニトリル含量が30%未満の場合急激にカラム充填剤への吸着能が強くなることが、本発明者の検討で初めて見出された(実施例1参照)。このことから、水−アセトニトリル溶液におけるウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値は30%から40%の間にあると考えられる。また、試料調製中に用いる容器等へのポリペプチドの吸着能が、シリカを基材とするカラム充填剤への吸着能と実質的に等しい又は若干低いことが示唆された。例えば、後述の実施例1のように、ウロコルチンについては、試料溶液中のアセトニトリル含量が30%以上の場合にそのピーク面積がほぼ一定であったことから、試料溶液中のアセトニトリル含量が30%以上の場合には試料調製中に用いる容器等への吸着が、試料調製直後から測定開始時までほとんど起こらなかったと考えられた。ただし、アセトニトリル含量が30%の場合でも、容器等に長時間放置された場合に容器等への吸着が起こる可能性が考えられる。従って、吸着能の相転移臨界値より低い有機溶媒含量を有するポリペプチド試料は、容器等への吸着によりその一部が失われ、定量性を失うことから、工程(1)において、被験ポリペプチドを導入前にロスなく逆相液体クロマトグラフに導入するには、被験ポリペプチド試料に含まれる被験ポリペプチドをOFF相にしておけば、容器等への吸着も回避できると考えられる。
OFF相ポリペプチド試料は前述の方法に従って調製することができる。なお、本方法によってあるポリペプチドを検出又は定量する場合には、該ポリペプチドの相転移臨界値が5〜95%程度であることが好ましく、該ポリペプチドの相転移臨界値が10〜90%程度であることがより好ましい。該ポリペプチドの相転移臨界値が本範囲に位置しない場合には、試料中又は移動相中の有機溶媒の種類、カラム充填剤、カラム温度などを変更することが好ましい。このような変更は、当業者であれば適宜行うことができる。
OFF相ポリペプチド試料は試料注入器から液体クロマトグラフに導入することができる。本試料を導入するための移動相は特に制限されないが、有機溶媒系移動相が好ましい。被験ポリペプチドを該移動相に溶解した際に被験ポリペプチドがOFF相となるような有機溶媒系移動相であることが好ましい。有機溶媒系移動相として、例えば、0.01〜6%程度の有機酸を含むアセトニトリル−メタノール混合液、0.01〜6%程度の有機酸を含むアセトニトリル溶液、0.01〜6%程度の有機酸を含むメタノール溶液、0.01〜6%程度の有機酸を含むエタノール溶液などを例示できる。有機酸として酢酸を好ましく例示できる。また、有機溶媒系移動相として、容積比で50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上の酢酸を含む溶液を例示できる。このような移動相は導入されたOFF相ポリペプチド試料をOFF相状態に維持するとともに、流路におけるポリペプチドの凝集を回避するために好適である。
工程(2)は、(1)で導入したOFF相ポリペプチド試料中のOFF相ポリペプチドAを、分子量に依存して分画する手段により、共存する他のOFF相ポリペプチドや低分子化合物から分離する工程である。
共存する他のOFF相ポリペプチドとは、検出および定量の対象となるポリペプチドAではない生体由来試料中の夾雑ポリペプチドであって、OFF相状態にあるポリペプチドを意味する。
分子量に依存して分画する手段として、具体的には分子ふるいカラムクロマトグラフィーを例示できる。上述の通り、ポリペプチドAを含む生体由来試料を逆相カラムクロマトグラフに導入する場合には、生体由来試料中の夾雑ポリペプチドを除去することが好ましい。
OFF相ポリペプチドAを含む生体由来試料中のOFF相夾雑ポリペプチドを除去する方法として、OFF相ポリペプチド試料を逆相カラムに導入する前に、オフラインでバイオマックスなどの限外ろ過膜で処理する方法がある。OFF相ポリペプチド試料中のポリペプチドは固体への吸着能が実質的にない状態となっているため、ろ過膜に試料中のポリペプチドは吸着することなく、一定の分子量を境にポリペプチドを分離することが可能である。
しかし、たとえば分画分子量1万の限外ろ過膜を使用し前処理を行う場合、分子量約1万以下の分子を分取することになる。すなわち、前処理後のOFF相ポリペプチド試料は、目的のポリペプチドAとポリペプチドAより小さいポリペプチドおよび低分子化合物が混在する。このように、限外ろ過膜を用いた場合、目的のポリペプチドを目的ポリペプチドより小さいポリペプチド群および低分子化合物から分離することは困難である。
本発明における工程(2)は、上述のOFF相ポリペプチド試料、すなわち試料中の全てのポリペプチドをカラム充填剤に吸着しない状態で、分子量に依存して分画する手段により、ポリペプチドAを分離すること、具体的にはOFF相ポリペプチド試料を分子ふるいカラムに導入し、ポリペプチドAを分離することを特徴とする。OFF相ポリペプチド試料を分子ふるいカラムに導入することにより、基本的に分子量に依存した分画(サイズ排除クロマトグラフィー)が可能となる。
すなわち、不必要な夾雑ポリペプチド、例えば目的ポリペプチドより大きいポリペプチド及び小さいポリペプチド、さらに低分子化合物を廃液ドレインから排出することによって、目的ポリペプチドを含む分画のみを逆相カラムにオンラインで導入することができる。夾雑ポリペプチドの逆相カラムへの導入を低減することにより、夾雑ピークが減少し、ポリペプチドの検出および定量をより精度よく行える。また、逆相分析カラムにオンラインで夾雑ポリペプチドを分離後の試料を導入することが可能となり、前処理としてオフラインで限外ろ過膜を利用して夾雑ポリペプチドを除去する方法よりも簡便である。
目的ポリペプチドAの分画は、目的ポリペプチドAの分子ふるいカラムにおける保持時間を、標品などを用いて、予め確認することで実施できる。
分子ふるいカラムは、上述の有機溶媒系移動相を使用できるカラムで、かつサイズ排除の原理に基づいて溶出するカラムであれば特に限定されないが、たとえば、クロモリスや細孔を有する球状シリカゲルにプロピルジオール基を結合させた充填剤を含むカラム等をあげることができる。
工程(3)は、OFF相ポリペプチドAを相転移させる手段を実行することにより、OFF相ポリペプチドAをON相ポリペプチドAに相転移させる工程である。相転移によりON相ポリペプチドAが生成する。生成したON相ポリペプチドAはカラム充填剤に吸着する。
ON相ポリペプチドは、カラム充填剤のみならず試料調製中に用いる容器等へ吸着する場合も存在する。従って、工程(3)は、固定相、すなわち逆相カラムの直前が好ましい(図14(A)、(B)及び(C))。
本発明において、OFF相ポリペプチドAを相転移させる手段とは、移動相に含まれるOFF相ポリペプチドAからON相ポリペプチドを生成又はその生成を促進する手段を意味する。
OFF相ポリペプチドAを相転移させる手段について、具体的に説明する。OFF相ポリペプチドAを相転移させる手段とは、OFF相ポリペプチドAが存在する移動相(移動相に含まれる有機溶媒を、有機溶媒1、2、・・・、有機溶媒n(nは1以上の整数)とする)において、被験ポリペプチドに関する前述の式(a)におけるf値を1より小さくする手段である。OFF相ポリペプチドAが存在する移動相に含まれる溶媒の種類及び/又は溶媒の組成を変化させることにより、f値を1より小さくすることができる。OFF相ポリペプチドAが存在する移動相に対して該移動相とは異なる移動相(ポリペプチドA相転移用移動相と称呼することもある)を添加、攪拌することにより、OFF相ポリペプチドAが存在する移動相に含まれる溶媒の種類及び/又は溶媒の組成を変化させることができる。本変化前のOFF相ポリペプチドAが存在する移動相をポリペプチドA導入用移動相と称呼することもある。ポリペプチドA相転移用移動相は、該移動相にポリペプチドAを溶解した場合にポリペプチドAがON相となる移動相(ON相溶液)である。
OFF相ポリペプチドAを相転移させる手段を実施することにより、f値を1より小さくすることができる。f値を1より小さくすることにより、移動相に含まれるOFF相ポリペプチドAが相転移し、ON相ポリペプチドAが生成する。
ポリペプチドA導入用移動相に対してポリペプチドA相転移用移動相を添加、攪拌することによるOFF相ポリペプチドAを相転移させる手段について、より具体的に説明する。ただし、OFF相ポリペプチドA試料が水、有機溶媒X、有機溶媒Y及び有機溶媒Zからなる混合溶媒にポリペプチドAが溶解する試料であり、ポリペプチドA導入用移動相が水、有機溶媒L、有機溶媒M及び有機溶媒Nからなる移動相であり、ポリペプチドA相転移用移動相が水、有機溶媒O、有機溶媒P及び有機溶媒Qからなる移動相である場合について説明する。
移動相に用いる有機溶媒は、使用する逆相液体クロマトグラフに使用可能な有機溶媒、例えば、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、DMSO、THF、酢酸、ギ酸及びTFAなどから適宜選択することができる。これらは1種又は2種以上を組み合せて用いることができる。
ポリペプチドA相転移用移動相の添加、攪拌は、例えば、逆相液体クロマトグラフに備わる混合器(図14(A)、(B)及び(C))によって実施することができる。
ポリペプチドA導入用移動相とポリペプチドA相転移用移動相の混合比(ポリペプチドA導入用移動相:ポリペプチドA相転移用移動相=1:αとする)の決定方法について、具体的に説明する。
本例において、水−有機溶媒X混合溶液、水−有機溶媒Y混合溶液、水−有機溶媒Z混合溶液、水−有機溶媒L混合溶液、水−有機溶媒M混合溶液、水−有機溶媒N混合溶液、水−有機溶媒O混合溶液、水−有機溶媒P混合溶液及び水−有機溶媒Q混合溶液の各々の混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値はそれぞれ、X(%)、Y(%)、Z(%)、L(%)、M(%)、N(%)、O(%)、P(%)、Q(%)とする。これらの相転移臨界値は、前述の相転移臨界値の決定方法により決定されうる。本例において、OFF相ポリペプチドA試料における水、有機溶媒X、有機溶媒Y、有機溶媒Zの容積比は、それぞれ、w1(%),x(%),y(%),z(%)(ただし、w1+x+y+z=100)とする。本例において、ポリペプチドA導入用移動相における水、有機溶媒L、有機溶媒M及び有機溶媒Nの容積比は、それぞれ、w2(%),l(%),m(%),n(%)(ただし、w2+l+m+n=100)とする。本例において、ポリペプチドA相転移用移動相における水、有機溶媒O、有機溶媒P及び有機溶媒Qの容積比は、それぞれ、w3(%),o(%),p(%),q(%)(ただし、w3+o+p+q=100)とする。
OFF相ポリペプチドA試料に存在するポリペプチドAはOFF相であるため、前述の式(a)の考えに従うと、x/X+y/Y+z/Z>1が成立している。
ポリペプチドA相転移用移動相にポリペプチドAを溶解させた場合には、ポリペプチドAはON相となるため、前述の式(a)の考えに従うと、o/O+p/P+q/Q<1が成立している。当業者は、このようなポリペプチドA相転移用移動相を容易に調製できる。例えば、O=20%,P=40%,Q=50%の場合には、o,p,q全て5%にすればよい。
ポリペプチドA導入用移動相に存在するポリペプチドAがOFF相である場合(すなわち、ポリペプチドA導入用移動相がOFF相溶液の場合)、l/L+m/M+n/N>1が成立している。当業者は、このようなポリペプチドA導入用移動相を容易に調製できる。例えば、O=20%,P=40%,Q=50%の場合には、o,p,qを全て20%にすればよい。逆相液体クロマトグラフに導入されたポリペプチドA試料は、混合器等によりポリペプチドA導入用移動相と攪拌、混合されない限り、前後で拡散しながら配管中を後から続くポリペプチドA導入用移動相に押されて流れており、ポリペプチドA近傍の移動相は導入されたポリペプチドA試料の溶媒組成をほぼ保持していると考えられる(図4B,C)。従って、ポリペプチドA試料とポリペプチドA相転移用移動相を1:αで混合してなる溶液においてポリペプチドAはON相となり、かつ、ポリペプチドA導入用移動相とポリペプチドA相転移用移動相を1:αで混合してなる溶液においてもポリペプチドAはON相となる必要があると考える。本考えから、β={(l/L+m/M+n/N)−1}/{1−(o/O+p/P+q/Q)}として、γ={(x/X+y/Y+z/Z)−1}/{1−(o/O+p/P+q/Q)}とすると、αはβとγのうちより大きい値(βとγが同一の場合はβ又はγ)以上の値となる。
ポリペプチドA導入用移動相に存在するポリペプチドAがON相である場合(すなわち、ポリペプチドA導入用移動相がON相溶液の場合)、l/L+m/M+n/N<1が成立している。当業者は、このようなポリペプチドA導入用移動相を容易に調製できる。例えば、O=20%,P=40%,Q=50%の場合には、o,p,qを全て5%にすればよい。この場合には、ポリペプチドA試料とポリペプチドA相転移用移動相を1:αで混合してなる溶液においてポリペプチドAはON相となる必要があると考える。本考えから、αは前記のγとなる。
被験ポリペプチドとしてウロコルチンを例に挙げて混合比について更に説明する。後述の実施例1においては、水−アセトニトリル混合溶液におけるウロコルチンの相転移臨界値が約35%、水−エタノール混合溶液におけるウロコルチンの相転移臨界値が約45%、水−酢酸混合溶液におけるウロコルチンの相転移臨界値が約65%であることが明らかとなった(実施例3参照)。従って、OFF相ウロコルチン試料の溶媒として、水、アセトニトリル及びエタノールからなる溶媒であって、水:アセトニトリル:エタノールの容積比が20%:35%:45%である溶媒を例示できる。ウロコルチン導入用移動相として、水、酢酸、アセトニトリル及びエタノールからなる溶媒であって、水:酢酸:アセトニトリル:エタノールの容積比が16.75%:3.25%:35%:45%である溶媒を例示できる。ウロコルチン相転移用移動相として、3.25%酢酸水溶液を例示できる。本例において、β={(3.25/65+35/35+45/45)−1}/{1−(3.25/65)}、γ={(35/35+45/45)−1}/{1−(3.25/65)}となる。すなわち、βは約1.1、γは約1.05となる。従って、αは約1.1以上と算出することができ、例えば、ウロコルチン導入用移動相とウロコルチン相転移用移動相を1:2の混合比率で混合、攪拌すればよい。
すなわち、OFF相ポリペプチドAを相転移させる手段として、OFF相ポリペプチドを含有する移動相における有機溶媒含量を低下させる手段を例示することができる。OFF相ポリペプチドを含有する移動相の水分含量を増加させることにより、OFF相ポリペプチドを含有する移動相における有機溶媒含量を低下させることができる。
本発明者らは、27種類の被験ポリペプチドを対象に、水−イソプロピルアルコール混合溶液、水−アセトニトリル混合溶液、水−エタノール混合溶液、水−メタノール混合溶液及び水−酢酸混合溶液を用いて、それぞれの有機溶媒(酢酸も含む)における相転移臨界値の概算を算出した結果、5〜70%程度であることが明らかとなった(実施例15参照)。今回用いた27種のポリペプチド以外のポリペプチドについては、1〜5%程度の相転移臨界値を示す場合も存在すると考えられる。従って、溶離液中に含まれる各有機溶媒の含量を臨界値以下(f<1)、例えば0.01〜1%程度以下、好ましくは0.01〜0.5%程度以下に低下させることによって、OFF相ポリペプチドを相転移させ、ON相ポリペプチドを生成することができると考えられる。
一方で、カラム圧が高い場合に、保持時間の短いポリペプチドが、カラムから早く溶出する場合が存在することが判明した(実施例7及び15)。この原因としては、高いカラム圧によりポリペプチドの高次構造がより小さい臨界値を示す高次構造に変化するためと推察された。
少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、該スイッチングバルブと移動相2供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器、該移動相混合器と送液管を介して接続する逆相分析カラム、並びに該逆相分析カラムと接続されるポリペプチドの検出又は定量器を有する逆相液体クロマトグラフ。(図14(A))を用いる場合の工程(3)を説明する。
工程(3)は、移動相混合器による移動相1と移動相2の混合と攪拌により実行される。移動相1は、移動相1に被験ポリペプチドを溶解させた場合に該被験ポリペプチドがOFF相となる移動相であればよい。このような移動相として、イソプロピルアルコールが40%以上、アセトニトリルの容積比が50%以上、エタノールの容積比が50%以上、メタノールの容積比が80%以上及び/又は酢酸の容積比が80%以上であって、かつ、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、メタノール、エタノール及び酢酸から選ばれる1種又は2種以上の有機溶媒を含む溶液、例えば、水−アセトニトリル(水とアセトニトリルの容積比は1:1)混合溶液を例示できる。移動相2として、水又は数%の有機酸水溶液を例示できる。有機酸として好ましく酢酸、ギ酸、TFAを例示できる。工程(2)は、このような移動相1と移動相2を混合比1:100〜1:1、好ましくは1:100〜1:2で移動相混合器によって混合と攪拌により実行されうる。
より具体的には、例えば、移動相混合器において、容積比4%の酢酸を含むアセトニトリル−メタノール混合液(容積比1:1)である移動相1と、容積比4%の酢酸水溶液である移動相2を2:8の混合比で混合、攪拌することにより工程(3)を実行することができる(実施例1参照)。
カラムの固定相やカラム温度もポリペプチドの固定相への保持時間に影響を与えるが(実施例8及び9参照)、ポリペプチド溶液におけるそのポリペプチドのカラムの充填剤に対する吸着能の相転移が与える影響と比較すると僅かである。一般的には、カラム温度を上昇させると、ポリペプチドの固定相への保持時間が短くなることから、ポリペプチドの転移臨界値は下がる。逆にカラム温度を低下させると、ポリペプチドの固定相への保持時間が長くなることから、ポリペプチドの相転移臨界値は上昇する。また、一般的に、グラファイトカーボン充填剤はシリカゲル充填剤と比べてポリペプチドの保持力が強いことが知られている。したがって、あるポリペプチドについて、シリカゲル充填剤を用いた場合の該ポリペプチドの相転移臨界値は、グラファイトカーボン充填剤を用いた場合の該ポリペプチドの相転移臨界値と比べて低い。
工程(4)は、ON相ポリペプチドAをカラム充填剤と相互作用させる工程である。工程(3)により、被験ポリペプチドは、ON相ポリペプチドA、すなわちカラム充填剤に吸着できる状態になっているので、その全量が充填剤に確実に吸着することとなる。従来は、前述の如く、ポリペプチドの吸着能がOFF相とON相とに相転移することが知られていないことから、OFF相の状態で導入されたポリペプチドはカラム充填剤に吸着せずに素通りしてしまい、ピークが2つに生じることもあった(実施例1参照)。一方、ON相の状態で導入されたポリペプチドは、カラム充填剤に確実に吸着するが、導入前に容器等への吸着によってその一部が失われる結果、定量性が失われ、高感度定量を困難としていた。
工程(5)は、充填剤に吸着したON相ポリペプチドAを相転移させて、OFF相ポリペプチドAを生成する工程である。この工程は、移動相の有機溶媒−水の濃度を変化させることにより行われる。移動相の有機溶媒―水の濃度を変化させる方法は、段階溶離法でも可能であるが、グラジエント法が好ましい。具体的には、移動相中の有機溶媒含量を前記の考えに従って、該移動相がOFF相となるまでグラジエント法で上昇させればよい。低分子化合物のカラム充填剤への保持と比べて、ポリペプチドのカラム充填剤への保持は、疎水的相互作用等の様々な相互作用が存在する中で、吸着能の影響を最も大きく受ける点が特徴である。このポリペプチドの吸着能は、相転移臨界値を境界にして著しく変化する点が特徴であり、カラム充填剤に吸着しているON相ポリペプチドは、カラム充填剤と相互作用している低分子化合物と比べて、イソクラティク条件においてカラム中を動き難いという性質を有している。この性質を利用して、工程(1)〜(4)を繰り返し実行して、その後に工程(5)を実行することもできる。その結果、カラム充填剤が有するポリペプチドの負荷量限界までカラム充填剤にポリペプチドを吸着させることが可能となり、高感度な定量が可能となる。
工程(6)は、OFF相ポリペプチドAを溶出する工程である。溶離液中の有機溶媒濃度を高くする、つまり、ポリペプチドがOFF相ポリペプチドとなる溶液組成となるような溶出液を用いて、溶出すればよい。
工程(7)は、溶出したポリペプチドAを検出又は定量する工程であり、検出はUV、蛍光、フォトダイオードアレイ等いずれでもよい。高感度定量は、マススペクトル、特にタンデムマススペクトロメトリーが好ましい。
また、本発明には、少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、該スイッチングバルブと移動相2供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器、該移動相混合器と送液管を介して接続する逆相カラム、並びに該逆相カラムと接続されるポリペプチドの検出又は定量器を有する液体クロマトグラフも含まれる。(図14(A))。該逆相カラムとポリペプチドの検出又は定量器とは送液管を介して接続され得る。ポリペプチドの検出又は定量器とは、ポリペプチドを検出又は定量することが可能な検出又は定量器である。該液体クロマトグラフは、本検出又は定量方法に用いることができる。
スイッチングバルブは、流路を変更できる機能を有すれば特に限定されないが、6方切替バルブを例示できる。
逆相液体クロマトグラフとして、液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)が好ましく例示される。液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)として、液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)が好ましく例示される。ポリペプチドの検出又は定量装置としての質量分析装置が接続されている逆相液体クロマトグラフを用いることにより、高感度なポリペプチドの検出又は定量が可能となる。従って、ポリペプチドの検出又は定量器として、質量分析計、好ましくは、タンデム質量分析計を挙げることができる。
移動相として2種以上の有機溶媒と水の混合液を用いる場合などでは、移動相供給器を3つ以上有する液体クロマトグラフが好ましい(図14(B)および(C))。従って、少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1及び2とはそれぞれ異なる移動相(移動相3)を供給する移動相供給器(移動相3供給器)、移動相1供給器と移動相2供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器(混合器A)、混合器Aと送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、該スイッチングバルブと該移動相3供給器を送液管を介して接続する移動相混合器(混合器B)、混合器Bと送液管を介して接続する逆相カラム、該逆相カラムと送液管を介して接続される質量分析計を有する液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)
および少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1及び2とはそれぞれ異なる移動相(移動相3)を供給する移動相供給器(移動相3供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、移動相2供給器と移動相3供給器を送液管を介して接続する移動相混合器B(混合器B)、該スイッチングバルブと混合器Bを送液管を介して接続する移動相混合器A(混合器A)、混合器Aと送液管を介して接続する逆相カラム、該逆相カラムと送液管を介して接続される質量分析計を有する液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)も本発明に含まれる。
および少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1及び2とはそれぞれ異なる移動相(移動相3)を供給する移動相供給器(移動相3供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、移動相2供給器と移動相3供給器を送液管を介して接続する移動相混合器B(混合器B)、該スイッチングバルブと混合器Bを送液管を介して接続する移動相混合器A(混合器A)、混合器Aと送液管を介して接続する逆相カラム、該逆相カラムと送液管を介して接続される質量分析計を有する液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)も本発明に含まれる。
また、質量分析計と逆相カラムが送液管を介して接続するのではなく、質量分析計がスイッチングバルブと接続し、該スイッチングバルブが送液管を介して逆相カラム接続してもよい。スイッチングバルブは、逆相カラムからの溶出液を質量分析計へ移行させるか否かを切り分けることができる。例えば、ポリペプチドの検出又は定量が完了した後、逆相カラムに吸着する夾雑物を洗浄する際などに、スイッチングバルブを操作し、逆相カラムからの溶出液が質量分析計に移行することを止めることができる。
本発明システムを示した図を図14(A)、(B)及び(C)に示す。
本発明法によれば、容器等への吸着を回避できる溶液組成を有するポリペプチド試料を、ロスすることなく定量することができる。従って、装置が有する検出限界まで測定可能であり、システムへの試料導入量によっては、fMオーダー以下のポリペプチドを正確に定量可能である。
後記実施例(特に実施例17〜22)に記載のように、本発明者は、ポリペプチドを含有する生体由来試料に酢酸を添加すれば、該試料中のあるポリペプチド(以下、ポリペプチドAと称する)の溶解度を向上させることができることを見出した。
生体由来試料としては、血漿、尿、各組織ホモジネート等が挙げられるが、血漿由来試料が好ましい。
酢酸の添加によって、生体由来試料中のポリペプチドの溶解度が向上する理由は明らかではないが、血漿中のポリペプチドとポリペプチドAとの相互作用を阻害し、血漿中のポリペプチドとポリペプチドAとの凝集を阻害することによるものと考えられる。すなわち、酢酸の添加により、インビトロにおいて、同一又は異種のポリペプチド間相互作用を阻害することができ、それらの凝集を阻害することができる。
また、この酢酸の添加によるポリペプチドの溶解性向上作用は、ポリペプチドを含有する生体由来試料に、ポリペプチドの凝集をひきおこすような有機溶媒量を添加した場合に、特に有効である。当該有機溶媒としては、アセトニトリル、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール、アセトン、DMSO、テトラヒドロフランから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。すなわち、血漿由来試料に、有機溶媒と酢酸とを添加することにより、該試料中のポリペプチドAの溶解性を向上させることができる。このようにして溶解性を向上させた試料は、OFF相ポリペプチド試料となる。
当該ポリペプチドとしては、分子量1万Da以上のものであってもよい。特に生体由来試料中のβアミロイド又はその部分ポリペプチドの溶解性を向上させるのに有用である。βアミロイドの部分ポリペプチドとしては、次の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第38番目までからなるポリペプチド、
(2)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第40番目までからなるポリペプチド、
(3)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第42番目までからなるポリペプチド、及び
(4)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第43番目までからなるポリペプチド。
(1)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第38番目までからなるポリペプチド、
(2)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第40番目までからなるポリペプチド、
(3)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第42番目までからなるポリペプチド、及び
(4)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第43番目までからなるポリペプチド。
添加する酢酸の量は、50%以上が好ましく、有機溶媒と組み合せて使用する場合には、有機溶媒量が、10%以上であり、酢酸の量が50%以上であるのが好ましい。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例に用いた試薬、ポリペプチド等を以下に示す。
試薬
HPLC用アセトニトリル(関東化学)
HPLC用メタノール(関東化学)
HPLC用エタノール(関東化学)
HPLC用イソプロピルアルコール(2−プロパノール)(関東化学)
カラムクロマトグラム用 酢酸(ナカライテスク)
カラムクロマトグラム用 ギ酸(ナカライテスク)
トリフルオロ酢酸(TFA;ナカライテスク)
ジメチルスルホキシド(DMSO;ナカライテスク)
超純水(低総有機炭素水:Low TOC水)
ポリペプチド(27種)
下記ポリペプチドをペプチド研究所より購入して使用した。
・副腎皮質刺激ホルモンのアミノ酸配列第1番目から第24番目からなるポリペプチド(ACTH(1−24))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第16番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−16))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第40番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−40))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第42番目からなるポリペプチド*
(amyloid β−protein(1−42))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第43番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−43))*
・成長ホルモン放出因子(GRF)*
・イソロイシルーセリルーブラジキニン(isoleucyl−seryl−bradykinin)*
・脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP−32)*
・インスリン(insulin)*
・C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP−53)*
・ミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチド(midkine(60−121))*
・ニューロメジンC(neuromedin C)*
・ニューロペプチドY(NPY)*
・ノシセプチン(nociceptin)*
・オキシトシン(oxytocin)*
・ウロコルチン(urocortin)*
・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP(1−28))
・ミッドカイン(midkine)
・ラット好中球走化性因子−1(CINC−1/gro)
・副甲状腺ホルモン(PTH(1−84))
下記ポリペプチドをAmerican Peptide Company,Inc.より購入して使用した。
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第28番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−28))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第38番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−38))*
(*を付されたポリペプチドを、後述の実施例において、18種のポリペプチドと称呼する)
下記ポリペプチドをSigmaより購入して使用した。
・インターフェロン−γ(interferon−γ)
・オバルブミン(ovalbumin)
下記ポリペプチドをBACHEMより購入して使用した。
・アンジオテンシンII(angiotensin II)
・オバルブミンのアミノ酸配列第323番目から第339番目からなるポリペプチド(ovalbumin(323−339))
下記ポリペプチドをCalbiochemより購入して使用した。
・アミノ酸配列第4番目のチロシンがリン酸化されたアンジオテンシンII([Tyr(PO3H2)4]−angiotensin II)
装置
四重極型タンデムMS装置:API365、4000Q Trap(アプライドバイオシステムズ)
LCシステム:LC600(GLサイエンス)
ポリペプチド原液の調製
GRF及びインスリンは、容積比0.1%の酢酸水溶液で溶解することで、原液(100μM)を調製した。ウロコルチンは、容積比1%の酢酸水溶液で溶解することで、ウロコルチン原液(100μM)を調製した。amyloid β−protein(1−28)、(1−38)、(1−40)、(1−42)及び(1−43)は、DMSOに溶解し、原液(100μM)を調製した。[Tyr(PO3H2)4]−angiotensin II 及びovalbumin(323−339)は、水に溶解することでポリペプチド原液(1mM)を、angiotensin IIは、水に溶解することでポリペプチド原液(50mM)を調製した。また、midkine、CINC−1/gro及びPTH(1−84)は、水に溶解することでポリペプチド原液(10μM)を調製した。
試薬
HPLC用アセトニトリル(関東化学)
HPLC用メタノール(関東化学)
HPLC用エタノール(関東化学)
HPLC用イソプロピルアルコール(2−プロパノール)(関東化学)
カラムクロマトグラム用 酢酸(ナカライテスク)
カラムクロマトグラム用 ギ酸(ナカライテスク)
トリフルオロ酢酸(TFA;ナカライテスク)
ジメチルスルホキシド(DMSO;ナカライテスク)
超純水(低総有機炭素水:Low TOC水)
ポリペプチド(27種)
下記ポリペプチドをペプチド研究所より購入して使用した。
・副腎皮質刺激ホルモンのアミノ酸配列第1番目から第24番目からなるポリペプチド(ACTH(1−24))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第16番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−16))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第40番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−40))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第42番目からなるポリペプチド*
(amyloid β−protein(1−42))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第43番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−43))*
・成長ホルモン放出因子(GRF)*
・イソロイシルーセリルーブラジキニン(isoleucyl−seryl−bradykinin)*
・脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP−32)*
・インスリン(insulin)*
・C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP−53)*
・ミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチド(midkine(60−121))*
・ニューロメジンC(neuromedin C)*
・ニューロペプチドY(NPY)*
・ノシセプチン(nociceptin)*
・オキシトシン(oxytocin)*
・ウロコルチン(urocortin)*
・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP(1−28))
・ミッドカイン(midkine)
・ラット好中球走化性因子−1(CINC−1/gro)
・副甲状腺ホルモン(PTH(1−84))
下記ポリペプチドをAmerican Peptide Company,Inc.より購入して使用した。
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第28番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−28))*
・βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第38番目からなるポリペプチド
(amyloid β−protein(1−38))*
(*を付されたポリペプチドを、後述の実施例において、18種のポリペプチドと称呼する)
下記ポリペプチドをSigmaより購入して使用した。
・インターフェロン−γ(interferon−γ)
・オバルブミン(ovalbumin)
下記ポリペプチドをBACHEMより購入して使用した。
・アンジオテンシンII(angiotensin II)
・オバルブミンのアミノ酸配列第323番目から第339番目からなるポリペプチド(ovalbumin(323−339))
下記ポリペプチドをCalbiochemより購入して使用した。
・アミノ酸配列第4番目のチロシンがリン酸化されたアンジオテンシンII([Tyr(PO3H2)4]−angiotensin II)
装置
四重極型タンデムMS装置:API365、4000Q Trap(アプライドバイオシステムズ)
LCシステム:LC600(GLサイエンス)
ポリペプチド原液の調製
GRF及びインスリンは、容積比0.1%の酢酸水溶液で溶解することで、原液(100μM)を調製した。ウロコルチンは、容積比1%の酢酸水溶液で溶解することで、ウロコルチン原液(100μM)を調製した。amyloid β−protein(1−28)、(1−38)、(1−40)、(1−42)及び(1−43)は、DMSOに溶解し、原液(100μM)を調製した。[Tyr(PO3H2)4]−angiotensin II 及びovalbumin(323−339)は、水に溶解することでポリペプチド原液(1mM)を、angiotensin IIは、水に溶解することでポリペプチド原液(50mM)を調製した。また、midkine、CINC−1/gro及びPTH(1−84)は、水に溶解することでポリペプチド原液(10μM)を調製した。
更に、ovalbuminは、水に溶解することでポリペプチド原液(10mg/mL;約200μM)を調製した。その他のポリペプチドは、水に溶解することでポリペプチド原液(100μM)を調製した。
ポリペプチドの多価イオン測定によるモニターイオンの設定
<試料調製>
ポリペプチド原液(100μM)10μLを、酢酸−水−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比2:80:10:10、4:80:10:10、2:50:25:25又は4:50:25:25)490μL又は990μL、又は酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比2:80:20、4:80:20、2:50:50又は4:50:50)490μL又は990μLに添加し、ポリペプチド試料溶液(1又は2μM)を調製した。ただし、[Tyr(PO3H2)4]−angiotensin II 及びovalbumin(323−339)原液を、水にて10倍希釈した後(100μM)、その10μLを用いて同様に1又は2μMの試料溶液を調製した。また、angiotensin II原液を、水にて50倍希釈した後(1mM)、その10μLを用いて1又は2μMの試料溶液を調製した。更に、midkine、CINC−1/gro及びPTH(1−84)原液(10μM)50μLを、酢酸−水−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:70:10:10又は4:40:25:25)450μLに添加し、ポリペプチド試料溶液(1又は2μM)を調製した。Ovalbumin原液(10mg/mL;約200μM)10μLを、酢酸−水−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:80:10:10又は4:50:25:25)490μL又は990μLに添加し、ポリペプチド試料溶液(1又は2mg/mL)を調製した。
<測定条件>
測定モード:ESI positive
サンプル導入法:インフュージョン法
流速:5μL/min
<モニターイオン設定>
検討に用いた全てのポリペプチドにおいて、多価イオンが認められた。この多価イオンのうちの一つを親イオンとして選択して、MS/MS測定のための娘イオンの選択を実施した。その際に、MS条件に関わるパラメーターの最適化を実施した。今回、測定に用いた各ポリペプチドのモニターイオン例を表1及び表2に示す。
ポリペプチドの多価イオン測定によるモニターイオンの設定
<試料調製>
ポリペプチド原液(100μM)10μLを、酢酸−水−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比2:80:10:10、4:80:10:10、2:50:25:25又は4:50:25:25)490μL又は990μL、又は酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比2:80:20、4:80:20、2:50:50又は4:50:50)490μL又は990μLに添加し、ポリペプチド試料溶液(1又は2μM)を調製した。ただし、[Tyr(PO3H2)4]−angiotensin II 及びovalbumin(323−339)原液を、水にて10倍希釈した後(100μM)、その10μLを用いて同様に1又は2μMの試料溶液を調製した。また、angiotensin II原液を、水にて50倍希釈した後(1mM)、その10μLを用いて1又は2μMの試料溶液を調製した。更に、midkine、CINC−1/gro及びPTH(1−84)原液(10μM)50μLを、酢酸−水−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:70:10:10又は4:40:25:25)450μLに添加し、ポリペプチド試料溶液(1又は2μM)を調製した。Ovalbumin原液(10mg/mL;約200μM)10μLを、酢酸−水−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:80:10:10又は4:50:25:25)490μL又は990μLに添加し、ポリペプチド試料溶液(1又は2mg/mL)を調製した。
<測定条件>
測定モード:ESI positive
サンプル導入法:インフュージョン法
流速:5μL/min
<モニターイオン設定>
検討に用いた全てのポリペプチドにおいて、多価イオンが認められた。この多価イオンのうちの一つを親イオンとして選択して、MS/MS測定のための娘イオンの選択を実施した。その際に、MS条件に関わるパラメーターの最適化を実施した。今回、測定に用いた各ポリペプチドのモニターイオン例を表1及び表2に示す。
(表1)
(表2)
実施例1(ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移現象)
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、90μLの容積比2%の酢酸水溶液に添加し、ウロコルチン試料溶液(10μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、容積比4%の酢酸を含む990μLの水−アセトニトリル混合液(容積比10:0、8:2、7:3、6:4、4:6又は2:8)に添加し、ウロコルチン試料溶液(100nM)を調製した。また、容積比4%の酢酸の代わりに容積比4%のギ酸、又は、容積比0.1%のTFAを含む水−アセトニトリル混合液(容積比10:0、8:2、7:3、6:4、4:6、2:8)及び酸を含まない水−アセトニトリル混合液(容積比10:0、8:2、7:3、6:4、4:6、2:8)を用いて、同様にアセトニトリル含量の異なるウロコルチン試料(100nM)を調製した。更に、100nMのウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの同じ組成の溶液で希釈することにより、1nMのウロコルチン試料溶液を調製した。
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
C30逆相カラム(DevelosilC30−UG−3:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、90μLの容積比2%の酢酸水溶液に添加し、ウロコルチン試料溶液(10μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、容積比4%の酢酸を含む990μLの水−アセトニトリル混合液(容積比10:0、8:2、7:3、6:4、4:6又は2:8)に添加し、ウロコルチン試料溶液(100nM)を調製した。また、容積比4%の酢酸の代わりに容積比4%のギ酸、又は、容積比0.1%のTFAを含む水−アセトニトリル混合液(容積比10:0、8:2、7:3、6:4、4:6、2:8)及び酸を含まない水−アセトニトリル混合液(容積比10:0、8:2、7:3、6:4、4:6、2:8)を用いて、同様にアセトニトリル含量の異なるウロコルチン試料(100nM)を調製した。更に、100nMのウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの同じ組成の溶液で希釈することにより、1nMのウロコルチン試料溶液を調製した。
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
C30逆相カラム(DevelosilC30−UG−3:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表3)
ただし、本発明システムでは、0.1分から3分までの間、流速を0.6mL/minとした。
アセトニトリル含量及び添加した酸の異なる1nMのウロコルチン試料溶液500μL又は100μLをシステムに導入した。
<結果>
溶液中のアセトニトリル含量及び添加した酸は異なるが同濃度のウロコルチン試料を、従来、ポリペプチドの定量方法として用いられる逆相液体クロマトグラフ法(図1(A))及びC30カラムを用いて測定した。その結果、ウロコルチンのピーク面積は、一定ではなく、図2のように変化した。酸としてTFAを用いた場合を除き、ウロコルチンのピーク面積は、試料溶液中のアセトニトリル含量が30%で最大値を示した。一方、酸としてTFAを用いた場合は、試料溶液中のアセトニトリル含量が40%の時に、ウロコルチンピーク面積が最大値を示したが、その時のピーク面積は、他の酸を用いた時のピーク面積とほぼ変わらなかった。よって、ウロコルチンのピーク面積に与える酸の影響は、試料溶液中のアセトニトリル含量が与える影響よりも小さいと考えられた。
<結果>
溶液中のアセトニトリル含量及び添加した酸は異なるが同濃度のウロコルチン試料を、従来、ポリペプチドの定量方法として用いられる逆相液体クロマトグラフ法(図1(A))及びC30カラムを用いて測定した。その結果、ウロコルチンのピーク面積は、一定ではなく、図2のように変化した。酸としてTFAを用いた場合を除き、ウロコルチンのピーク面積は、試料溶液中のアセトニトリル含量が30%で最大値を示した。一方、酸としてTFAを用いた場合は、試料溶液中のアセトニトリル含量が40%の時に、ウロコルチンピーク面積が最大値を示したが、その時のピーク面積は、他の酸を用いた時のピーク面積とほぼ変わらなかった。よって、ウロコルチンのピーク面積に与える酸の影響は、試料溶液中のアセトニトリル含量が与える影響よりも小さいと考えられた。
前述のアセトニトリル含量の異なるウロコルチン試料溶液(容積比4%の酢酸を含む)を、C4カラムを用いて測定した時のマスクロマトグラムを比較した。その結果、溶液中のアセトニトリル含量が40%以上のウロコルチン試料溶液を測定した場合に、保持時間6.5分のウロコルチンピークの他に、約1.5分の箇所に新たなピークが認められた(図3)。ウロコルチン試料溶液には、ウロコルチン以外の被験物質が含まれていないことから、本ピークがウロコルチンであると考えられた。しかし、約1.5分という保持時間から、この新たに出現したピークがウロコルチンであるためには、ウロコルチンがカラムを素通りすることが必要である。そこで、これらの現象を説明するために、次のような「ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移」が起きているとの仮説をたてた。すなわち、ウロコルチン周辺のアセトニトリル含量が、ある特異的な値(相転移現象では一般的に臨界点又は臨界値と呼ばれているため、以降、臨界点又は臨界値と呼ぶ)を超えた場合、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能は失われるが、反対に、ウロコルチン周辺のアセトニトリル含量がその臨界値より小さい場合、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能は、カラムに保持されるのに十分な吸着能を有する、つまり臨界点を境に、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能が急激に変化するものと仮説を立てた。
前述のように想定した場合、今回の現象は、以下のように説明できる。つまり、ウロコルチン試料溶液中のアセトニトリル含量が40%以上(臨界値を上回る)の場合、試料溶液中のウロコルチンは、カラム充填剤への吸着能を失った状態で溶液中に存在する(以降、カラム充填剤へ全く相互作用しない、又は、著しく弱く相互作用する相のウロコルチンをOFF相ウロコルチンと称することもある)。その状態で、逆相クロマトグラフに導入された試料溶液は、図4が示す通り、カラムへ導入されるまで、そのアセトニトリル含量を保っているため、その溶液中のウロコルチンはカラムと相互作用できず、カラムを素通りする。一方、アセトニトリル含量が30%以下(臨界値を下回る)の場合、試料溶液中のウロコルチンは、カラム充填剤への吸着能を保った状態で溶液中に存在する(以降、カラム充填剤への強く相互作用する相のウロコルチンをON相ウロコルチンと称することもある)。その状態で、逆相クロマトグラフに導入された試料溶液は、図4が示す通り、カラムへ導入されるまで、そのアセトニトリル含量を保っているため、その溶液中のウロコルチンはカラムと相互作用し、カラムで保持されることとなる。
ただし、ウロコルチン試料溶液中のアセトニトリル含量が40%以上(臨界値を上回る)の場合でも、カラムへ導入されるまでの間に起きる試料溶液の拡散(図4(B))、つまり、試料溶液と移動相との混合が試料溶液前後で起こっていると考えられる。その拡散(特に試料溶液の後ろ側)により生じたウロコルチン周辺の(試料溶液と移動相との混合)溶液組成が、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能を示す組成となることで、保持時間6.5分のピークとして認められる結果となったと考えられた。
なお、今回の結果から「ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移」を引き起こす試料溶液中アセトニトリル含量臨界値は、30%から40%の間に存在すると考えられる。
この仮説に基づき、図1(C)及び(D)に示すシステムを、ポリペプチド定量のためのシステムとして考案した。このシステムを用いた場合、ポリペプチド試料溶液を含む流れである移動相B(もしくは移動相Bと移動相Cからなる溶離液)と、別の流れである移動相Aは、カラム導入前に混合されることから、移動相AとBの混合比を変化させることで、カラム先端でのポリペプチド周辺溶液組成は、任意に変化させることができる。例えば、図1(C)にて、移動相Aを水、移動相Bをアセトニトリルとし、その混合比を8:2と設定した場合、混合後のカラム先端でのアセトニトリル含量は、アセトニトリルのみで調製されたポリペプチド試料溶液を測定した場合でも20%のままとなる。一方、水のみで調製されたポリペプチド試料溶液を測定した場合、混合後のカラム先端でのアセトニトリル含量は一時的に0%となる。つまり、この移動相比を保つ限り、ポリペプチド試料溶液中のアセトニトリル含量に関わらず、カラム先端でのアセトニトリル含量は、最大20%までにしかならない。そのため、例えば、ウロコルチンの場合、カラム充填剤への吸着能を失った状態(臨界値を上回るアセトニトリル含量、つまり40%以上のアセトニトリル含量をもつ溶液組成)のウロコルチン試料をシステムに導入しても、移動相A:B比をウロコルチンのカラム固定相への親和力を回復させ得る比A:Bに設定することで、相転移によりウロコルチンのカラム充填剤への吸着能を瞬時に生じさせることができ、その結果、ウロコルチン全てをカラムに保持させ得ると考えられた。
この仮説を検証するために、再度、溶液中のアセトニトリル含量は異なるが同濃度のウロコルチン試料溶液(容積比4%の酢酸を含む)を、C4カラムを装備した従来システム図1(A)及び本発明システム図1(C)を用いて測定した(1nM;注入量100μL)。その結果、従来システムを用いた場合、保持時間6.5分のウロコルチンピーク面積は前回とほぼ同様に変化し(図5(B)黒丸)、保持時間1.5分のウロコルチンピークは、溶液中のアセトニトリル含量が40%以上の場合に認められ、その面積はアセトニトリル含量が増えるに従って増加した(図5(A)黒丸)。一方、本発明システムを用いた場合、ウロコルチン試料溶液中のアセトニトリル含量が30%以上の場合、ウロコルチンのピーク面積はほぼ一定であり(図5(B)白丸)加えて、従来法で認められた保持時間1.5分に相当するウロコルチンピークは、本発明システムでは全く認められなかった(図5(A)白丸)。また、ウロコルチン試料溶液中のアセトニトリル含量が20%以下(臨界値を下回る)の場合、保持時間6.5分のウロコルチンピーク面積は、試料溶液中のアセトニトリル含量が30%以上の場合と比較して、小さくなり、更に、試料溶液中のアセトニトリル含量が0%の場合、ウロコルチンのピーク面積は、約40分の1であった。このウロコルチンピーク面積の減少は、ウロコルチン試料を調製した器材及び容器(エッペンドルフチップ及びチューブ)や、液体クロマトグラフに用いられている器材(注入用シリンジ)への吸着によって、カラムに導入されるウロコルチンの量が減少したことに起因すると考えられた。また、ウロコルチン試料溶液中のアセトニトリル含量が30%以上で、ピーク面積がほぼ一定であったことから、試料溶液中のアセトニトリル含量が30%以上の場合に、試料調製・保存時に用いる容器及び試料導入時に用いるシリンジ等への吸着が起こらなかったと考えられた。このことから、ウロコルチンの今回用いたカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値(30%〜40%の間)より大きい有機溶媒含量を含む溶液中でウロコルチンを取り扱うことで、試料調製時及び試料導入時のウロコルチンの容器及び装置等への吸着による損失を回避できると考えられた。
この検討結果から、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移が確かに起こっていると考えられた。つまり、本発明システムへ導入されたOFF相ウロコルチンは、水系移動相との混合により生じた溶液中で瞬時に相転移を起こすことによって、ON相ウロコルチンとなり、全てのウロコルチンがカラムと相互作用し得る状態となり、試料導入前までに容器及びシリンジ等への吸着が認められない場合には、ほぼ同じピーク面積として検出されたと考えられた。また、今回使用したようなシリカゲルを担体とするカラムを用いてカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値を把握することで、容器及び装置等への吸着を防ぐアセトニトリル含量も大体把握できることが示唆された。
実施例2(アセトニトリル以外の因子によるウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移)
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、ウロコルチン試料溶液(1μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの下記混合液に添加し、ウロコルチン試料溶液(10nM)を調製した。
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、ウロコルチン試料溶液(1μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの下記混合液に添加し、ウロコルチン試料溶液(10nM)を調製した。
水−アセトニトリル混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
水−エタノール混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
水−メタノール混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
水−酢酸混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
水−ギ酸混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
水−エタノール混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
水−メタノール混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
水−酢酸混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
水−ギ酸混合液(容積比=7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8又は1:9)
<測定条件>
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表4)
従来システム(図1(A)) 6%/min
従来システム(図1(A)) 6%/min
10nMの各ウロコルチン試料溶液100μLをシステムに導入した。
<結果>
ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移は、前述のアセトニトリルだけでなく、検討したすべての溶液で引き起こされることが示された(表5)。各溶液における相転移臨界値は、エタノールを用いた場合、容積比40%〜50%、メタノール及び酢酸を用いた場合、容積比60〜70%、ギ酸を用いた場合、容積比80%〜90%の間に存在すると考えられた。今回の結果から、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移に与える溶液中に含まれる有機溶媒の強さは、アセトニトリル>エタノール>メタノール及び酢酸>ギ酸の順であることが示された。ただし、高濃度のギ酸を用いた場合、時間とともにウロコルチンのピーク面積が小さくなる現象が認められ、ウロコルチンに存在するアミノ基のホルミル化が引き起こされていると考えられた。このことから、高濃度のギ酸を試料中に用いることはあまり好ましくないと考えられた。
<結果>
ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移は、前述のアセトニトリルだけでなく、検討したすべての溶液で引き起こされることが示された(表5)。各溶液における相転移臨界値は、エタノールを用いた場合、容積比40%〜50%、メタノール及び酢酸を用いた場合、容積比60〜70%、ギ酸を用いた場合、容積比80%〜90%の間に存在すると考えられた。今回の結果から、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移に与える溶液中に含まれる有機溶媒の強さは、アセトニトリル>エタノール>メタノール及び酢酸>ギ酸の順であることが示された。ただし、高濃度のギ酸を用いた場合、時間とともにウロコルチンのピーク面積が小さくなる現象が認められ、ウロコルチンに存在するアミノ基のホルミル化が引き起こされていると考えられた。このことから、高濃度のギ酸を試料中に用いることはあまり好ましくないと考えられた。
(表5)
従来法を用いて測定した時のウロコルチンのピーク面積
従来法を用いて測定した時のウロコルチンのピーク面積
実施例3(2種の有機溶媒を含む溶液中ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移現象)
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、ウロコルチン試料溶液(1μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの表6及び表7に示す混合液に添加し、ウロコルチン試料溶液(10nM)を調製した。
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、ウロコルチン試料溶液(1μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの表6及び表7に示す混合液に添加し、ウロコルチン試料溶液(10nM)を調製した。
(表6)
2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料の調製
2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料の調製
(表7)
2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料の調製
2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料の調製
<測定条件>
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表8)
従来システム(図1(A)) 6%/min
従来システム(図1(A)) 6%/min
各ポリペプチド混合試料溶液100μLをシステムに導入した。
<結果>
従来法を用いて2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料を測定した時に、カラムに保持されず素通りしたウロコルチンのピーク面積値を表9及び表10に示す。
<結果>
従来法を用いて2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料を測定した時に、カラムに保持されず素通りしたウロコルチンのピーク面積値を表9及び表10に示す。
(表9)
従来法を用いて2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料を測定した時に素通りしたウロコルチンのピーク面積
従来法を用いて2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料を測定した時に素通りしたウロコルチンのピーク面積
(表10)
従来法を用いて2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料を測定した時に素通りしたウロコルチンのピーク面積
従来法を用いて2種の有機溶媒を含むウロコルチン試料を測定した時に素通りしたウロコルチンのピーク面積
今回の結果から、有機溶媒が2種以上含まれる混合溶液中でのウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移現象は下記式(a)に従っていると考えた。実際に、ウロコルチン試料に用いた各有機溶媒含量を式(a)に代入して算出した値fを表11及び表12に示したところ、fが1となる前後で、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移が起きていることが確認された。ただし、計算に用いた各有機溶媒の臨界含量(%)は、クロマトグラム上でピークが2本に分かれる前後の有機溶媒含量の中間値(アセトニトリル:35%、エタノール:45%、メタノール:65%、酢酸:65%、ギ酸:85%)とした。
2種以上の有機溶媒を含む試料中におけるポリペプチドAのカラム充填剤への吸着能の相転移現象と各有機溶媒含量との関係を表す式(a)
ある条件下における、
X:水−有機溶媒A混合溶液中でのポリペプチドAの相転移臨界値を示す容積%
Y:水−有機溶媒B混合溶液中でのポリペプチドAの相転移臨界値を示す容積%
Z:水−有機溶媒C混合溶液中でのポリペプチドAの相転移臨界値を示す容積%
x:試料溶液中の有機溶媒A含量%
y:試料溶液中の有機溶媒B含量%
z:試料溶液中の有機溶媒C含量%
X:水−有機溶媒A混合溶液中でのポリペプチドAの相転移臨界値を示す容積%
Y:水−有機溶媒B混合溶液中でのポリペプチドAの相転移臨界値を示す容積%
Z:水−有機溶媒C混合溶液中でのポリペプチドAの相転移臨界値を示す容積%
x:試料溶液中の有機溶媒A含量%
y:試料溶液中の有機溶媒B含量%
z:試料溶液中の有機溶媒C含量%
(表11)
式(a)から算出した値f
式(a)から算出した値f
*背景の色付きは、カラムを素通りしたウロコルチンのピークが認められた条件
(表12)
式(a)から算出した値f
式(a)から算出した値f
*背景の色付きは、カラムを素通りしたウロコルチンのピークが認められた条件
実施例4(3種の有機溶媒を含む溶液中ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移現象)
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、ウロコルチン試料溶液(1μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの表13に示す混合液に添加し、ウロコルチン試料溶液(10nM)を調製した。
実施例4(3種の有機溶媒を含む溶液中ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移現象)
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、ウロコルチン試料溶液(1μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの表13に示す混合液に添加し、ウロコルチン試料溶液(10nM)を調製した。
(表13)
3種の有機溶媒を含むウロコルチン試料の調製
3種の有機溶媒を含むウロコルチン試料の調製
<測定条件>
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表14)
従来システム(図1(A)) 6%/min
従来システム(図1(A)) 6%/min
各ポリペプチド混合試料溶液100μLをシステムに導入した。
<結果>
従来法を用いて3種の有機溶媒(アセトニトリル、酢酸及びメタノール)を含むウロコルチン試料を測定した時に、カラムに保持されず素通りしたウロコルチンのピーク面積値、及び、式(1)から算出した値fを表15に示す。今回の結果も、実施例3と同様、複数の有機溶媒を含む試料中のウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移が式(a)に従っていることを示唆した。以上の結果から、水−各有機溶媒からなる混合溶媒を用いた場合のウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値(容積%)をあらかじめ把握しておくことで、相転移臨界値が把握されている複数の有機溶媒を含む試料中のウロコルチンのカラム充填剤への吸着能(ON相又はOFF相状態)の予測が可能であることが示された。
<結果>
従来法を用いて3種の有機溶媒(アセトニトリル、酢酸及びメタノール)を含むウロコルチン試料を測定した時に、カラムに保持されず素通りしたウロコルチンのピーク面積値、及び、式(1)から算出した値fを表15に示す。今回の結果も、実施例3と同様、複数の有機溶媒を含む試料中のウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移が式(a)に従っていることを示唆した。以上の結果から、水−各有機溶媒からなる混合溶媒を用いた場合のウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値(容積%)をあらかじめ把握しておくことで、相転移臨界値が把握されている複数の有機溶媒を含む試料中のウロコルチンのカラム充填剤への吸着能(ON相又はOFF相状態)の予測が可能であることが示された。
(表15)
従来法を用いて3種の有機溶媒を含むウロコルチン試料を測定した時にカラムを
素通りしたウロコルチンのピーク面積と式(a)から算出した値f
(A)カラムを素通りしたウロコルチンのピーク面積
従来法を用いて3種の有機溶媒を含むウロコルチン試料を測定した時にカラムを
素通りしたウロコルチンのピーク面積と式(a)から算出した値f
(A)カラムを素通りしたウロコルチンのピーク面積
(B)式(a)から算出した値f
*背景の色付きは、カラムを素通りしたウロコルチンのピークが認められた条件
実施例5(各有機溶媒(有機酸も含む)による各種ポリペプチドのC4カラム充填剤への吸着能の相転移)
<試料調製>
検討に用いた全27種の各ポリペプチドのうち、angiotensin II 及びovalbumin(323−339)を除いた25種の各ポリペプチド原液(1mM、100μM、10μM又は10mg/mL)10μLを、それぞれ、990μLの下記混合液に添加し、各ポリペプチド試料溶液(10μM、1μM、100nM又は0.1mg/mL)を調製した。
実施例5(各有機溶媒(有機酸も含む)による各種ポリペプチドのC4カラム充填剤への吸着能の相転移)
<試料調製>
検討に用いた全27種の各ポリペプチドのうち、angiotensin II 及びovalbumin(323−339)を除いた25種の各ポリペプチド原液(1mM、100μM、10μM又は10mg/mL)10μLを、それぞれ、990μLの下記混合液に添加し、各ポリペプチド試料溶液(10μM、1μM、100nM又は0.1mg/mL)を調製した。
水−アセトニトリル混合液(容積比=95:5,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6又は3:7)
水−エタノール混合液(容積比=95:5,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6又は3:7)
水−メタノール混合液(容積比=95:5,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6又は3:7)
水−酢酸混合液(容積比=95:5,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6又は3:7)
また、ovalbumin(323−339)原液(1mM)を水にて10倍希釈した溶液(100μM)及びangiotensin II原液(50mM)を水にて50倍希釈した溶液(1mM)10μLを990μLの前述の混合液に添加し、各ポリペプチド試料溶液(1μM又は10μM)を調製した。
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
水−エタノール混合液(容積比=95:5,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6又は3:7)
水−メタノール混合液(容積比=95:5,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6又は3:7)
水−酢酸混合液(容積比=95:5,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6又は3:7)
また、ovalbumin(323−339)原液(1mM)を水にて10倍希釈した溶液(100μM)及びangiotensin II原液(50mM)を水にて50倍希釈した溶液(1mM)10μLを990μLの前述の混合液に添加し、各ポリペプチド試料溶液(1μM又は10μM)を調製した。
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表16)
従来システム(図1(A)) 6%/min
従来システム(図1(A)) 6%/min
1μMのポリペプチド混合試料溶液100μLをシステムに導入した。
<結果>
従来システム(図1(A))を用いて各ポリペプチド溶液を測定した場合に認められたカラム充填剤への吸着能の相転移、つまり、測定対象ポリペプチドのピークが2本に分かれる現象が、検討に用いた全てのポリペプチドにおいて認められた。表17に、各ポリペプチドがクロマトグラム上で1本のピークとして認められる溶液中最大有機溶媒(酢酸を含む)含量を示す(カラム充填剤への吸着能の相転移臨界値はこの値をやや上回ると考えられる)。ただし、今回の検討では水−有機溶媒混合液(容積比=95:5)を測定した場合でもクロマトグラム上で1本のピークとして認められなかった場合、5%以下(<5%)と表記した。
<結果>
従来システム(図1(A))を用いて各ポリペプチド溶液を測定した場合に認められたカラム充填剤への吸着能の相転移、つまり、測定対象ポリペプチドのピークが2本に分かれる現象が、検討に用いた全てのポリペプチドにおいて認められた。表17に、各ポリペプチドがクロマトグラム上で1本のピークとして認められる溶液中最大有機溶媒(酢酸を含む)含量を示す(カラム充填剤への吸着能の相転移臨界値はこの値をやや上回ると考えられる)。ただし、今回の検討では水−有機溶媒混合液(容積比=95:5)を測定した場合でもクロマトグラム上で1本のピークとして認められなかった場合、5%以下(<5%)と表記した。
今回の結果から、ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移を引き起こす有機溶媒の強さは、ポリペプチドによってほとんど変わらず、アセトニトリル及びエタノールでほぼ等しく、次いでメタノールの順であった。一方、有機酸である酢酸が各ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移に与える影響の強さは、メタノールとほぼ同等もしくは若干弱いことが示唆された。また、これら溶液中最大有機溶媒含量と各ポリペプチドの保持時間との間に正の相関が認められたことから、ポリペプチドは、溶離液中に含まれるアセトニトリル等の有機溶媒及び有機酸によっても吸着能の相転移を引き起こすと予想された。従って、カラムに保持されたポリペプチドは、溶離液中に含まれる有機溶媒によって引き起こされる吸着能の相転移、つまり、カラム充填剤への吸着及び脱着を繰り返しながら溶出されていると考えられた。
(表17)
従来法でC4カラムを用いた時の各ポリペプチドの保持時間とクロマトグラム上に1本のみのピークが認められる溶液中最大有機溶媒含量及び保持時間
従来法でC4カラムを用いた時の各ポリペプチドの保持時間とクロマトグラム上に1本のみのピークが認められる溶液中最大有機溶媒含量及び保持時間
実施例6(各ポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配のべき乗則)
<試料調製>
各ポリペプチド(表1の18種の各ポリペプチド)原液(100μM)10μLずつを、820μLの酢酸−水(容積比4:100)に添加し、ポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。更に、その他9種のポリペプチド原液を酢酸−水(容積比4:100)に添加することで、各ポリペプチドの濃度が1μMとなるような別のポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。ただし、オバルブミンの濃度は1mg/mLとなるように調製した。
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
<試料調製>
各ポリペプチド(表1の18種の各ポリペプチド)原液(100μM)10μLずつを、820μLの酢酸−水(容積比4:100)に添加し、ポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。更に、その他9種のポリペプチド原液を酢酸−水(容積比4:100)に添加することで、各ポリペプチドの濃度が1μMとなるような別のポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。ただし、オバルブミンの濃度は1mg/mLとなるように調製した。
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表18)
従来システム(図1(A)) 10%/min
従来システム(図1(A)) 10%/min
従来システム(図1(A)) 8,6,4,2,1 及び 0.5%/min
1μMのポリペプチド混合試料溶液10μLをシステムに導入した。
<結果>
従来法(図1(A))で、グラジエント勾配を0.5、1、2、4、6、8、10%/minと変化させた時のポリペプチドの保持時間を測定した結果、カラムに保持されたポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配との間には、べき乗則が認められた(ただし、今回の測定条件下ではカラムにほとんど保持されないnociceptin及びamyloid β−protein(1−16)を除く)。例として、ウロコルチンの結果を図6に示す。このべき乗則に従って溶出されるポリペプチドの特徴は、グラジエント勾配を限りなく0%/minに近づけた場合(図6でx軸上を左に動いた場合)、その保持時間は限りなく無限大になる、つまり、ポリペプチドは溶出されないという点である。
<結果>
従来法(図1(A))で、グラジエント勾配を0.5、1、2、4、6、8、10%/minと変化させた時のポリペプチドの保持時間を測定した結果、カラムに保持されたポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配との間には、べき乗則が認められた(ただし、今回の測定条件下ではカラムにほとんど保持されないnociceptin及びamyloid β−protein(1−16)を除く)。例として、ウロコルチンの結果を図6に示す。このべき乗則に従って溶出されるポリペプチドの特徴は、グラジエント勾配を限りなく0%/minに近づけた場合(図6でx軸上を左に動いた場合)、その保持時間は限りなく無限大になる、つまり、ポリペプチドは溶出されないという点である。
次に、今回の測定条件下で、ポリペプチドAが「カラム充填剤への吸着能の相転移」によって溶出されると仮定すると、グラジエント勾配に関わらず、ポリペプチドAが溶出される瞬間の溶離液中の有機溶媒組成は一定、つまり、ポリペプチドAが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相A及びBの割合比は一定と考えられることから、測定システム全体のデッドボリューム及びポリペプチドAが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相Bの割合%(VB)に関する式(3)及び(b)が成り立つと考えられる。
今回の検討で、グラジエント勾配が4%/min、6%/min及び8%/minの場合に得られた各ポリペプチドの保持時間を用いて、式(3)から測定システム全体のデッドボリュームを算出した結果を表19に示す。グラジエント勾配に関わらず、各ポリペプチドのデッドボリュームはほぼ3分で一定であり、かつ、ポリペプチドによらないことが示された。なお、分子量が小さくなるにつれて、デッドボリュームが若干大きくなる傾向が認められるが、これは、これらのペプチドがよりカラム細孔の内部まで到達できることによるものと考えられた。
続いて、実施例5の検討に用いた27種のポリペプチドに関して、式(b)から各ポリペプチドが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相Bの割合%(VB)を算出した後、各ポリペプチドが溶出される瞬間の溶離液に含まれる各有機溶媒の含量を算出し、その各有機溶媒含量を式(a)に代入して算出した値fを算出した結果を表20に示す。なお、計算に用いた臨界有機溶媒含量(%)は、実施例5での臨界値を下回る最大有機溶媒含量(%)とピークが2本に分かれる最小有機溶媒含量(%)の中間値とした。ただし、臨界値を下回る最大有機溶媒含量(%)が5%以下の場合は、そのまま5%とした。計算の結果、各ポリペプチドはfがほぼ1となる溶離液中に存在して溶出されていることが示された。ペプチドの中には、f値が1.30〜2.03と1から大きく外れている場合も存在したが、これらのほとんどが、実施例5で臨界値を下回る最大有機溶媒含量(%)が5%以下を示したポリペプチドであり、式(a)において用いられている臨界有機溶媒含量(%)の1%の差の影響が大きいためであると考えられた。
以上の結果から、一般的にポリペプチドは、溶離液に含まれる各有機溶媒によって引き起こされる「ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移」によってカラムから溶出されており、ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移と溶離液に含まれる各有機溶媒との関係は、実施例3で示した「複数の有機溶媒を含む試料中におけるポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移と各有機溶媒含量との関係を表す式(a)」と同様であることが示唆された。
従来システムとある2種の移動相(水系移動相Aと有機溶媒移動相B)を用いてポリペプチドAを測定した場合、ポリペプチドAが「カラム充填剤への吸着能の相転移」によって溶出されると仮定すると、グラジエント勾配に関わらず、ポリペプチドAが溶出される瞬間の溶離液中の全有機溶媒含量が一定、つまり、ポリペプチドAが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相A及びBの割合比は一定と考えられることから、ポリペプチドAが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相Bの割合%(VB)に関して下記式が成り立つ。
V1=Cb+(T1−t0)・r1
V2=Cb+(T2−t0)・r2
Cb:初期測定条件での移動相Bの割合%
r1及びr2:グラジエント勾配(%/min)
T1:グラジエント勾配r1で測定した時のポリペプチドAの保持時間
T2:グラジエント勾配r2で測定した時のポリペプチドAの保持時間
t0:デッドボリューム(カラムの空隙率とHPLCシステムのインジェクターより先の空隙の和を流速で除した値)(分)
V1=V2とすると、
デッドボリュームt0は、
V2=Cb+(T2−t0)・r2
Cb:初期測定条件での移動相Bの割合%
r1及びr2:グラジエント勾配(%/min)
T1:グラジエント勾配r1で測定した時のポリペプチドAの保持時間
T2:グラジエント勾配r2で測定した時のポリペプチドAの保持時間
t0:デッドボリューム(カラムの空隙率とHPLCシステムのインジェクターより先の空隙の和を流速で除した値)(分)
V1=V2とすると、
デッドボリュームt0は、
更に、ポリペプチドAが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相Bの割合%(VB)は、初期有機溶媒移動相Bの割合% Cb=0の場合、
VB=(T1−t0)・r1
VB=(T2−t0)・r2
の両辺を加えた
2VB=(T1−t0)・r1+(T2−t0)・r2
に、デッドボリュームt0(式(3))を代入した結果、
VB=(T1−t0)・r1
VB=(T2−t0)・r2
の両辺を加えた
2VB=(T1−t0)・r1+(T2−t0)・r2
に、デッドボリュームt0(式(3))を代入した結果、
となる。
(表19)
各ポリペプチドの保持時間から算出したデッドボリューム
各ポリペプチドの保持時間から算出したデッドボリューム
(表20)
また、グラジエント勾配を0.5、1、2、4、6、8、10%/minと変化させた場合に認められる、カラムに保持されたポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配との間のべき乗関数y=Bx−t(y:保持時間、x:グラジエント勾配、t:べき指数、ただしt>0)の近似曲線から得られた定数Bを表21に示す(ただし、今回の測定条件下ではカラムにほとんど保持されないnociceptin及びamyloid β−protein(1−16)を除く)。グラジエント勾配が1%/minの場合(x=1)、べき指数tに関わらずy=Bとなることから、定数Bは、グラジエント勾配が1%/minの際の保持時間を示すことが明らかであり、更に、グラジエント勾配1%/minの場合の保持時間は、ポリペプチドが溶出されるまでに溶離液中で増加した有機溶媒容積(保持時間×グラジエント勾配)と同等であると考えられる(ただし、デッドボリューム分の容積を含む)。今回の検討条件下では、測定開始時の有機溶媒の割合が、水系移動相A中に含まれる容積比4%の酢酸のみであり、また、測定システム全体のデッドボリュームが約3分であることから、得られた定数Bは、各ポリペプチドの相転移臨界値である有機溶媒含量の近似値(4%の酢酸含量とデッドボリュームの差である約1分の差が存在すると考えられる)を示していると考えられた。そこで、前述のポリペプチドAが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相Bの割合%(VB)と比較したところ、ほぼ一致する結果が得られた。
よって、今回の結果から、測定開始時の有機溶媒含量を0%、グラジエント勾配を1%/minとして測定して得られた保持時間が、各ポリペプチドの相転移臨界値である有機溶媒含量の近似値を示していることが示された。よって、各ポリペプチドの単独有機溶媒によって引き起こされる相転移の臨界値(含量)を求めるにあたって、実施例1〜5で行ったような、測定対象ポリペプチドのピークが2本に分かれる現象を確認するような煩雑な測定を実施しなくとも、単独の有機溶媒を有機溶媒系移動相として用いて1回測定することで、各ポリペプチドの相転移臨界値の近似値を得ることが可能であると考えられた。この測定方法では、複数のポリペプチドを添加した試料を測定することが可能であり、結果、複数のポリペプチドの相転移臨界値を同時に測定することが可能であると考えられた。
(表21)
べき乗関数の定数B、グラジエント勾配が1%/minの時の保持時間及び各ポリ
ペプチドが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相Bの割合%(VB)
べき乗関数の定数B、グラジエント勾配が1%/minの時の保持時間及び各ポリ
ペプチドが溶出される瞬間の溶離液を構成する移動相Bの割合%(VB)
実施例7(グラジエント勾配1%/minで測定した時の各ポリペプチドの保持時間と相転移臨界値との関係)
<試料調製>
各ポリペプチド(表1の18種の各ポリペプチド)原液(100μM)10μLずつを、820μLの酢酸−水混合液(容積比4:100)に添加し、ポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。更に、その他9種のポリペプチド原液を酢酸−水(容積比4:100)に添加することで、各ポリペプチドの濃度が1μMとなるような別のポリペプチド混合溶液(各1μM)を調製した。ただし、オバルブミンの濃度は1mg/mLとなるように調製した。
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル混合液(容積比4:100)、酢酸−メタノール混合液(容積比4:100)、酢酸−エタノール混合液(容積比4:100)、又は100%酢酸カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
<試料調製>
各ポリペプチド(表1の18種の各ポリペプチド)原液(100μM)10μLずつを、820μLの酢酸−水混合液(容積比4:100)に添加し、ポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。更に、その他9種のポリペプチド原液を酢酸−水(容積比4:100)に添加することで、各ポリペプチドの濃度が1μMとなるような別のポリペプチド混合溶液(各1μM)を調製した。ただし、オバルブミンの濃度は1mg/mLとなるように調製した。
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル混合液(容積比4:100)、酢酸−メタノール混合液(容積比4:100)、酢酸−エタノール混合液(容積比4:100)、又は100%酢酸カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表22)
従来システム(図1(A)) 10%/min
従来システム(図1(A)) 10%/min
従来システム(図1(A)) 8,6,4,2,1及び 0.5%/min
1μMのポリペプチド混合試料溶液10μLをシステムに導入した。
<結果>
従来法(図1(A))を用い、今回用いた測定条件下で得られるグラジエント勾配1%/minの時の各保持時間は、実施例6で述べた通り、各ポリペプチドの相転移臨界値である有機溶媒含量の近似値を示すことが示唆された。そこで、移動相Bの有機溶媒の種類を変更し、グラジエント勾配1%/minの時の各ポリペプチドが示す保持時間を、実施例5でピークが2本に分かれる現象から推定された相転移臨界値範囲と比較したところ、予想通り、得られた保持時間の大部分が推定臨界値範囲内に存在しており、ほぼ同じ傾向を示していた(表23)。従って、ポリペプチド溶液中の有機溶媒含量の変化によって惹起される吸着能の相転移と溶離液中の有機溶媒含量の変化によって惹起される吸着能の相転移は同質であることが示唆された。
<結果>
従来法(図1(A))を用い、今回用いた測定条件下で得られるグラジエント勾配1%/minの時の各保持時間は、実施例6で述べた通り、各ポリペプチドの相転移臨界値である有機溶媒含量の近似値を示すことが示唆された。そこで、移動相Bの有機溶媒の種類を変更し、グラジエント勾配1%/minの時の各ポリペプチドが示す保持時間を、実施例5でピークが2本に分かれる現象から推定された相転移臨界値範囲と比較したところ、予想通り、得られた保持時間の大部分が推定臨界値範囲内に存在しており、ほぼ同じ傾向を示していた(表23)。従って、ポリペプチド溶液中の有機溶媒含量の変化によって惹起される吸着能の相転移と溶離液中の有機溶媒含量の変化によって惹起される吸着能の相転移は同質であることが示唆された。
今回の検討では、測定開始時に水系移動相に容積比約4%の酢酸が含まれていることと、検出される保持時間には約3分のデッドボリュームが含まれていることから、保持時間の短いポリペプチドでは、得られた値の取扱いに若干注意が必要であるが、今回用いたような測定条件下での保持時間から各有機溶媒が示す臨界値を推定する方法は、測定回数や、試料調製等の点で、ピークが2本に分かれる現象から推定する方法より簡便で正確であると考えられた。
(表23)
グラジエント勾配1%/minの時の各ポリペプチドの保持時間とクロマトグラム上でピークが2本に分かれる現象から推定された相転移臨界値範囲
グラジエント勾配1%/minの時の各ポリペプチドの保持時間とクロマトグラム上でピークが2本に分かれる現象から推定された相転移臨界値範囲
*実施例5で得られたデータ
実施例8(ポリペプチドの保持時間に与えるカラム固定相の影響)
<試料調製>
各ポリペプチド(表1の18種の各ポリペプチド)原液(100μM)10μLづつを、820μLの酢酸−水混合液(容積比4:100)に添加し、ポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4、C8、C18及びC30逆相カラム
(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
(Develosil300C8−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
(Develosil300ODS−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
(Develosil RPAQUEOUS−AR−3:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
実施例8(ポリペプチドの保持時間に与えるカラム固定相の影響)
<試料調製>
各ポリペプチド(表1の18種の各ポリペプチド)原液(100μM)10μLづつを、820μLの酢酸−水混合液(容積比4:100)に添加し、ポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4、C8、C18及びC30逆相カラム
(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
(Develosil300C8−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
(Develosil300ODS−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
(Develosil RPAQUEOUS−AR−3:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表24)
従来システム(図1(A)) 2%/min
従来システム(図1(A)) 2%/min
1μMのポリペプチド混合試料溶液10μLをシステムに導入した。
<結果>
各ポリペプチドの保持時間に与えるカラム固定相の影響を検討した結果、各ポリペプチドは、C4カラムを用いた場合に最も短い保持時間を示したが、カラム固定相によらずほぼ一定の保持時間を有していることが示された(表25)。今回の結果から、ポリペプチドの溶出が、低分子化合物の主要な分離要因であるカラム固定相との疎水性相互作用よりも、移動相中に含まれるアセトニトリル等の有機溶媒(有機酸を含む)によって引き起こされる「ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移」によって大きく影響を受けていることが示唆された。
<結果>
各ポリペプチドの保持時間に与えるカラム固定相の影響を検討した結果、各ポリペプチドは、C4カラムを用いた場合に最も短い保持時間を示したが、カラム固定相によらずほぼ一定の保持時間を有していることが示された(表25)。今回の結果から、ポリペプチドの溶出が、低分子化合物の主要な分離要因であるカラム固定相との疎水性相互作用よりも、移動相中に含まれるアセトニトリル等の有機溶媒(有機酸を含む)によって引き起こされる「ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移」によって大きく影響を受けていることが示唆された。
(表25)
従来法で様々な固定相カラムを用いた時の各ポリペプチドの保持時間
従来法で様々な固定相カラムを用いた時の各ポリペプチドの保持時間
実施例9(ポリペプチドの保持時間に与えるカラム温度の影響)
<試料調製>
各ポリペプチド(表1の18種の各ポリペプチド)原液(100μM)10μLづつを、820μLの酢酸−水混合液(容積比4:100)に添加し、ポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:20、30、40又は50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
<試料調製>
各ポリペプチド(表1の18種の各ポリペプチド)原液(100μM)10μLづつを、820μLの酢酸−水混合液(容積比4:100)に添加し、ポリペプチド混合試料溶液(各1μM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
カラム:C4逆相カラム(Develosil300C4−HG−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子径5μm)
カラム温度:20、30、40又は50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表26)
従来システム(図1(A)) 2%/min
従来システム(図1(A)) 2%/min
1μMのポリペプチド混合試料溶液10μLをシステムに導入した。
<結果>
一般的に、低分子化合物の測定においては、カラム温度を低くするにつれて低分子化合物とカラム固定相との疎水性相互作用が強くなり、保持時間がかなり長くなる。しかし、今回検討に用いた各ポリペプチドでは、より低いカラム温度でより長い保持時間を示したが、その差はほとんどの場合で小さかった(表27)。今回の結果から、ポリペプチドの溶出は、移動相中に含まれるアセトニトリル等の有機溶媒(有機酸を含む)によって引き起こされる「ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移」によって大きく影響を受けると考えられた。一方、カラム温度を変化させることによっても「ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移」を引き起こすことが可能と考えられたが、試料溶液中又は移動相中のアセトニトリル等の有機溶媒が与える影響と比較すると極めて小さいと考えられた。
<結果>
一般的に、低分子化合物の測定においては、カラム温度を低くするにつれて低分子化合物とカラム固定相との疎水性相互作用が強くなり、保持時間がかなり長くなる。しかし、今回検討に用いた各ポリペプチドでは、より低いカラム温度でより長い保持時間を示したが、その差はほとんどの場合で小さかった(表27)。今回の結果から、ポリペプチドの溶出は、移動相中に含まれるアセトニトリル等の有機溶媒(有機酸を含む)によって引き起こされる「ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移」によって大きく影響を受けると考えられた。一方、カラム温度を変化させることによっても「ポリペプチドのカラム充填剤への吸着能の相転移」を引き起こすことが可能と考えられたが、試料溶液中又は移動相中のアセトニトリル等の有機溶媒が与える影響と比較すると極めて小さいと考えられた。
(表27)
従来法でC4カラムを用いた時の各ポリペプチドの保持時間に
与えるカラム温度の影響
従来法でC4カラムを用いた時の各ポリペプチドの保持時間に
与えるカラム温度の影響
実施例10(ウロコルチン試料測定時の従来システムと本発明システムとの精度比較)
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、ウロコルチン試料溶液(1μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:100:0、4:80:20、4:70:30、4:60:40、4:50:50、4:40:60又は4:20:80)に添加し、ウロコルチン試料溶液(10nM)を調製した。更に、同じ組成の水−アセトニトリル混合液を用いて10倍の希釈系列のウロコルチン試料溶液(0.1nM及び1nM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
移動相C:酢酸
カラム:C30逆相カラム(RPAQUEOUS−AR−3:内径2.0mm、長さ35mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
<試料調製>
ウロコルチン原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、ウロコルチン試料溶液(1μM)を調製した。更に、このウロコルチン試料溶液10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:100:0、4:80:20、4:70:30、4:60:40、4:50:50、4:40:60又は4:20:80)に添加し、ウロコルチン試料溶液(10nM)を調製した。更に、同じ組成の水−アセトニトリル混合液を用いて10倍の希釈系列のウロコルチン試料溶液(0.1nM及び1nM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
移動相C:酢酸
カラム:C30逆相カラム(RPAQUEOUS−AR−3:内径2.0mm、長さ35mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表28)
従来システム(図1(B)) 6%/min
従来システム(図1(B)) 6%/min
本発明システム(図1(D)) 6%/min
新規法を用いる場合にあたって、各移動相組成、ポリペプチドが導入されるライン中の移動相を形成する有機溶媒系移動相(移動相B及びCの混合溶液)の測定開始時の混合比、及び、各ポリペプチドを含む試料中有機溶媒含量から、混合器において混合される有機溶媒系移動相に対する水系移動相の比率(α)を、前述の式(a)に基づいて算出した(表29)。ただし、ウロコルチンの水−各有機溶媒における相転移臨界値は実施例7で得られた保持時間を用いた。今回の検討では、ウロコルチンを含む試料がカラムに導入されるまでの間の水系移動相の割合が90%程度であり(表28)、表29に示されている52%又は57%よりも大きい割合を有していることから、システムに導入されたすべてのウロコルチンはカラムへ保持したと判断された。
(表29)
アセトニトリル含量の異なる0.1nM、1nM及び10nMのウロコルチン試料溶液100μL又は400μLを、システムに導入した。両システムの精度比較をするために、同じ組成及び濃度のウロコルチン試料溶液を合計3回測定し、得られたピーク面積の平均値、標準偏差及び変動係数(%)を算出した(日間変動)。
<結果>
従来法及び本発明法で同濃度(0.1nM、1nM及び10nM)のウロコルチン試料を3回測定した場合のピーク面積、標準偏差及び変動係数(%)を表30、31及び32に示す。
<結果>
従来法及び本発明法で同濃度(0.1nM、1nM及び10nM)のウロコルチン試料を3回測定した場合のピーク面積、標準偏差及び変動係数(%)を表30、31及び32に示す。
(表30)
従来法と本発明法の精度比較(0.1nM)
(A)注入量100μL
従来法と本発明法の精度比較(0.1nM)
(A)注入量100μL
(B)注入量400μL
(表31)
従来法と本発明法の精度比較(1nM)
(A)注入量100μL
従来法と本発明法の精度比較(1nM)
(A)注入量100μL
(B)注入量400μL
(表32)
従来法と本発明法の精度比較(10nM)
(A)注入量100μL
従来法と本発明法の精度比較(10nM)
(A)注入量100μL
(B)注入量400μL
従来法を用いた場合、ウロコルチンのピーク面積の変動係数(%)は、注入量及びウロコルチン濃度に関わらずほとんどの場合で15%以上を示しバラツキが大きかった。一方、本発明法を用いた場合、容積比30%以上のアセトニトリルを含む試料溶液中に含まれるウロコルチンのピーク面積の変動係数(%)は、ウロコルチン濃度及び注入量に関わらず15%以内であり、この濃度範囲では容器等への吸着が起こっていない、もしくは検討した濃度範囲では問題とならない程度であると考えられた。試料溶液中アセトニトリル含量が容積比0%及び20%の場合、変動係数%が15%以上を示すことが多く、容器及び注入用シリンジ等への吸着が原因と考えられるバラツキが示唆された。
以上の結果から、ウロコルチンの容器及び注入用シリンジ等への吸着能は、ウロコルチンのカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値よりも弱いと考えられ、その結果、カラム充填剤への吸着能の相転移臨界値を上回るアセトニトリル含量を有する試料溶液中に含まれるウロコルチンのピーク面積は、従来法よりも本発明法にてバラツキが小さく、精度の点で本発明法が優っていると考えられた。
次に、LCシステムへのウロコルチン試料溶液の注入量が100μL及び400μLの時に得られたピーク面積の比(400μL/100μL)を表33に示す。
(表33)
従来法を用いて、今回の条件下では容器等への吸着が起こらないと考えられる容積比30%以上のアセトニトリルを含む試料溶液を測定した場合、理論上4を示すピーク面積比は、1.0〜6.6の値を示し、理論値からの大きなバラツキが認められた。
一方、容器等への吸着が起こらないと考えられる容積比30%以上のアセトニトリルを含む試料溶液を本発明法にて測定した場合、アセトニトリル含量及びウロコルチン濃度に関わらず、3.5〜4.1の値を示し、ほぼ注入量に比例した結果が得られた。試料溶液中のアセトニトリル含量が容積比0又は20%の場合は、本発明法を用いたとしてもピーク面積比は1.0〜3.9の値を示し、大きなバラツキが認められた。
以上の結果から、従来法及び本発明法共に、注入量増加による高感度化の可能性が示されたが、従来法では、試料溶液中アセトニトリル含量によって、その増加率が影響を受けることが示された。また、従来法にて0.1nMのウロコルチン試料を測定した場合のピーク面積/高さ比が、注入量増加に伴って大きくなる傾向が認められた。ピーク面積/高さ比は、ウロコルチンのピーク形状が三角形であると仮定した場合、ピーク高さ1/2でのピーク幅に相当すると考えられることから、この結果は、ウロコルチンのピーク幅が広がったことを示していると考えられた(表34)。よって、従来法では、注入量増加に比例した高感度化が困難であると考えられた。一方、本発明法を用いて、容積比30%以上のアセトニトリル(容器等への吸着を起こさないアセトニトリル含量)を含む試料溶液を測定した場合、注入量に比例したピーク面積増加が認められた。この時、ピーク面積/高さ比は注入量に関わらず、ほぼ一定の値を示していることから、注入量を増加させることによって、注入量に比例した高感度化が可能であることが示された。また、この高感度化は試料溶液中のアセトニトリル含量に関わらず可能であることから、アセトニトリル以外の因子によってカラム充填剤への吸着能の相転移臨界値が影響を受けた場合でも、本発明法を用いることによりウロコルチンのピーク面積が一定に保たれることが予想されることから、本発明システムは従来法と比較して堅牢性が高いことが示された。更に、今回の結果は、相転移理論から予測される、新規法を用いた場合の試料注入量が無制限(注入時間やカラム負荷量を考慮しない場合)であることを支持するものと考えられた。
(表34)
実施例11(ウロコルチンの検量線作成における両システムの比較)
<試料調製>
ウロコルチン濃度が10、30、100、300pM、1、3及び10nMの検量線試料を、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:100:0、4:80:20、4:70:30、4:60:40、4:50:50、4:40:60又は4:20:80)を用いて調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
移動相C:酢酸
カラム:C30逆相カラム(RPAQUEOUS−AR−3:内径2.0mm、長さ35mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
<試料調製>
ウロコルチン濃度が10、30、100、300pM、1、3及び10nMの検量線試料を、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:100:0、4:80:20、4:70:30、4:60:40、4:50:50、4:40:60又は4:20:80)を用いて調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
移動相C:酢酸
カラム:C30逆相カラム(RPAQUEOUS−AR−3:内径2.0mm、長さ35mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表35)
従来システム(図1(B)) 6%/min
従来システム(図1(B)) 6%/min
本発明システム(図1(D)) 6%/min
新規法を用いる場合にあたって、各移動相組成、ポリペプチドが導入されるライン中の移動相を形成する有機溶媒系移動相(移動相B及びCの混合溶液)の測定開始時の混合比、及び、各ポリペプチドを含む試料中有機溶媒含量から、混合器において混合される有機溶媒系移動相に対する水系移動相の比率(α)を、前述の式(a)に従って算出した(表36)。ただし、ウロコルチンの各有機溶媒に対する相転移臨界値は実施例7で得られた保持時間を用いた。今回の検討では、ウロコルチンを含む試料がカラムに導入されるまでの間の水系移動相の割合が90%程度であり(表35)、表36に示されている47%又は57%よりも大きい割合を有していることから、システムに導入されたすべてのウロコルチンはカラムへ保持したと判断された。
(表36)
ただし、今回用いた本開発システムでは、0.1分から8分までの間、流速を0.6mL/minとした。
本発明法及び従来法を用いて、10、30、100、300pM、1、3及び10nMの検量線試料を測定し、検量線の作成を行った。検量線は、低分子化合物定量法バリデーション(非特許文献4)のガイドラインの基準に従い、検量線各点を自身の検量線にてback−calculateした値の真度を求め、検量線作成に用いた検量線サンプル数の75%以上の検量線サンプルにおいて、定量下限で±20%、その他で±15%以内となることを、検量線作成の基準とした。ただし、検量線の定量下限及び定量上限は必ず基準を満たすものとする。検量線の重み付けは濃度2乗分の1とし、最も定量下限の低い検量線を作成した。真度の算出方法は下記の通りである。
<結果>
従来法及び本発明法で作成した検量線を表37及び表38に示す。
従来法及び本発明法で作成した検量線を表37及び表38に示す。
(表37)
(表38)
その結果、従来法を用いた場合、基準を満たす検量線は、試料溶液中アセトニトリル含量が50%の場合を除き作成可能であった(表37)。このとき得られた定量下限は30pM〜300pMであった。しかし、アセトニトリル含量が0%のウロコルチン試料を測定した場合、検量線として用いることができる濃度は4点しか存在しなかったことに加えて、検量線中に真度が基準を満たさない1点を含む場合も多かったことから、従来法を用いた検量線の作成が困難であると示唆された。一方、本発明法を用いた場合、アセトニトリル含量が容積比30%以上のウロコルチン試料を測定して作成した基準を満たす検量線は、10pM〜10nMと広範囲の濃度範囲を有しており、その時の真度はすべて±15%以内であった(表38)。また、得られた検量線の傾きもほぼ同じ値を示していたことから、本発明法は、従来法と比してより高感度かつ精度のよい定量が可能であると考えられた。
また、図7に示す通り、従来法を用いて測定した時のウロコルチンのピーク形状は、試料溶液中のアセトニトリル含量が容積比30%以上の場合に立ち上がりの鋭いピークが得られたが、容積比40%以上のアセトニトリルを含む試料溶液を測定した場合、そのピークはリーディングしており、ベースライン近傍ではブロードになっているのが観察された。一方、本発明法を用いて測定したウロコルチンのピーク形状は、試料溶液中のアセトニトリル含量に関わらず、立ち上がりの鋭いピークが得られており、このピーク形状の違いも、検量線作成時の精度に影響を与えていると考えられた。
以上の結果から、本発明法にて、容器等への吸着を起こさせないアセトニトリルを含む試料を測定することにより、高い精度を有するポリペプチドの定量が可能であると考えられた。また、その精度の高さから本発明法を用いた場合に、より高感度な定量(検量線の定量下限が低い)が可能であると考えられた。
実施例12(本発明システムを用いたポリペプチド検量線の作成)
<試料調製>
表1の18種のポリペプチドのうち、amyloid β−protein(1−16)、amyloid β−protein(1−28)、amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−42)、amyloid β−protein(1−43)及びinsulinを除く12種ポリペプチド原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、各ポリペプチド試料溶液(1μM)を調製した。更に、この各ポリペプチド試料溶液10μLを、990μLの容積比4%の酢酸を含む990μLの水−アセトニトリル混合液(容積比1:1)に添加し、各ポリペプチド試料溶液(10nM)を調製した。更に、同組成の溶液を用いて10、30、100、300pM、1及び3nMの検量線用試料を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比70:15:15)
カラム:C30逆相カラム(RPAQUEOUS−AR−5:内径2.0mm、長さ35mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
実施例12(本発明システムを用いたポリペプチド検量線の作成)
<試料調製>
表1の18種のポリペプチドのうち、amyloid β−protein(1−16)、amyloid β−protein(1−28)、amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−42)、amyloid β−protein(1−43)及びinsulinを除く12種ポリペプチド原液(100μM)10μLを、990μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、各ポリペプチド試料溶液(1μM)を調製した。更に、この各ポリペプチド試料溶液10μLを、990μLの容積比4%の酢酸を含む990μLの水−アセトニトリル混合液(容積比1:1)に添加し、各ポリペプチド試料溶液(10nM)を調製した。更に、同組成の溶液を用いて10、30、100、300pM、1及び3nMの検量線用試料を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比70:15:15)
カラム:C30逆相カラム(RPAQUEOUS−AR−5:内径2.0mm、長さ35mm、粒子径5μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表39)
本発明システム(図1(D)) 10%/min
本発明システム(図1(D)) 10%/min
新規法を用いる場合にあたって、各移動相組成、及び、各ポリペプチドを含む試料中有機溶媒含量から、混合器において混合される有機溶媒系移動相に対する水系移動相の比率(α)を、前述の式(a)に従って算出した(表40)。ただし、各ポリペプチドの各有機溶媒に対する相転移臨界値は実施例7(C4カラムを用いた検討)で得られた保持時間を用いた。
(表40)
各ポリペプチド試料溶液100μLを本開発システムに導入した。検量線は、バリデーションのガイドラインの基準に従い、検量線各点を自身の検量線にてback−calculateした値の真度を求め、定量下限で±20%、その他で±15%以内となる検量線を作成した。ただし、検量線に用いた点のうち、75%以上の点が基準を満たし、かつ、定量下限及び定量上限は必ず基準を満たすものとした。検量線の重み付けは濃度2乗分の1とした。
<結果>
実際に各ポリペプチド試料を測定したところ、ノシセプチンとミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチドについては検量線が作成できなかったが、その他のポリペプチドでは、定量下限が10pM又は30pMの検量線が作成できた(表41)。各検量線から求められたサンプル濃度の真度は、前項で述べた±15%(定量下限±20%)の基準を満たしていた。各ポリペプチドの定量下限のクロマトグラムを図8−1,図8−2に示す。ノシセプチンとミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチドとをカラムに保持させるのに最低限必要な水系移動相の割合%に、94%を境に明確な差その他のポリペプチドの間には、本発明法を用いて各ポリペプチドが認められた。従って、ノシセプチンとミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチドの検量線が作成できなかった原因として、今回用いた測定条件下ではこれらポリペプチドのカラムへの保持が不十分であり、カラムに十分保持させるためには今回用いた測定条件より水系移動相の割合を大きくすることが必要と考えられた。
<結果>
実際に各ポリペプチド試料を測定したところ、ノシセプチンとミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチドについては検量線が作成できなかったが、その他のポリペプチドでは、定量下限が10pM又は30pMの検量線が作成できた(表41)。各検量線から求められたサンプル濃度の真度は、前項で述べた±15%(定量下限±20%)の基準を満たしていた。各ポリペプチドの定量下限のクロマトグラムを図8−1,図8−2に示す。ノシセプチンとミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチドとをカラムに保持させるのに最低限必要な水系移動相の割合%に、94%を境に明確な差その他のポリペプチドの間には、本発明法を用いて各ポリペプチドが認められた。従って、ノシセプチンとミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチドの検量線が作成できなかった原因として、今回用いた測定条件下ではこれらポリペプチドのカラムへの保持が不十分であり、カラムに十分保持させるためには今回用いた測定条件より水系移動相の割合を大きくすることが必要と考えられた。
(表41)
本発明法による各ポリペプチド検量線の作成
本発明法による各ポリペプチド検量線の作成
今回得られた定量下限は、試料注入量として100μLを用いた結果であり、試料注入量を1mLに増加することで、10倍の高感度化が可能である。また、今回測定に用いたMS/MS装置(API365)は、現在の最新型MS/MS装置(API5000)と比較すると、50倍以上の感度の違いがあると言われている。以上のことから、試料注入量及び装置の変更により、さらなる高感度化、つまり、数pM〜fMでの定量が可能であると考えられ、免疫学的手法に匹敵もしくは凌駕する感度が得られると考えられた。
実施例13(多検体同時定量における両システムの比較)
<試料調製>
前述の18種の各ポリペプチド原液(100μM)10μLずつを、下記溶液(A)〜(D)9.82mLにそれぞれ添加し、ポリペプチド混合試料溶液(100nM)を調製した。
実施例13(多検体同時定量における両システムの比較)
<試料調製>
前述の18種の各ポリペプチド原液(100μM)10μLずつを、下記溶液(A)〜(D)9.82mLにそれぞれ添加し、ポリペプチド混合試料溶液(100nM)を調製した。
(A)水
(B)酢酸−水(4:96,v/v)
(C)酢酸−水−アセトニトリル(4:66:30,v/v/v)
(D)酢酸−水−アセトニトリル(4:46:50,v/v/v)
更に、このポリペプチド混合試料溶液100μLを、同じ組成の溶液900μLに添加し、ポリペプチド混合試料溶液(10nM)を調製した。更に、同様の操作にて、1nMのポリペプチド混合試料溶液を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
移動相C:酢酸
カラム:C30逆相カラム(RPAQUEOUS−AR−3:内径2.0mm、長さ35mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(B)酢酸−水(4:96,v/v)
(C)酢酸−水−アセトニトリル(4:66:30,v/v/v)
(D)酢酸−水−アセトニトリル(4:46:50,v/v/v)
更に、このポリペプチド混合試料溶液100μLを、同じ組成の溶液900μLに添加し、ポリペプチド混合試料溶液(10nM)を調製した。更に、同様の操作にて、1nMのポリペプチド混合試料溶液を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水混合液(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル−メタノール混合液(容積比4:50:50)
移動相C:酢酸
カラム:C30逆相カラム(RPAQUEOUS−AR−3:内径2.0mm、長さ35mm、粒子径3μm)
カラム温度:50℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表42)
従来システム(図1(B)) 6%/min
従来システム(図1(B)) 6%/min
本発明システム(図1(D)) 6%/min
各ポリペプチド混合試料溶液100μLを両システムに導入した。
<結果>
従来法を用いてアセトニトリル含量が30%もしくは50%のポリペプチド混合試料溶液を測定した場合、ポリペプチド濃度に関わらずポリペプチド18種全てはカラムにほとんど保持されなかった(図9のC及びD)。一方、従来法を用いてアセトニトリルを含まないポリペプチド混合試料溶液を測定した場合、すべてのポリペプチドはカラムに保持されたが、濃度の減少に伴い、保持の強いポリペプチドのピークが全く認められなくなった(図9のA及びB)。
<結果>
従来法を用いてアセトニトリル含量が30%もしくは50%のポリペプチド混合試料溶液を測定した場合、ポリペプチド濃度に関わらずポリペプチド18種全てはカラムにほとんど保持されなかった(図9のC及びD)。一方、従来法を用いてアセトニトリルを含まないポリペプチド混合試料溶液を測定した場合、すべてのポリペプチドはカラムに保持されたが、濃度の減少に伴い、保持の強いポリペプチドのピークが全く認められなくなった(図9のA及びB)。
次に、本発明法を用いてアセトニトリルを含まないポリペプチド混合試料溶液を測定した場合は、従来法とほぼ同様の結果が得られた(図10のA及びB)。しかし、従来法では全てのポリペプチドはほとんどカラムに保持されなかったアセトニトリル含量30%及び50%のポリペプチド混合試料溶液を、本発明法にて測定した場合、1nMの低濃度試料においても、保持の強いポリペプチドのピークが認められ、その大きさは、ほぼ濃度に比例していた(図10のC及びD)。
この時、吸着のほとんど認められない例としてイソロイシル−セリル−ブラジキニンを、保持が強く吸着の影響が大きい例としてウロコルチンのピーク面積を図11に示した。
イソロイシル−セリル−ブラジキニンのピーク面積は、アセトニトリルを含まないポリペプチド混合試料溶液を測定した場合、従来法及び本発明法共に同じ値を示した。一方、アセトニトリル含量が30%及び50%のポリペプチド混合試料溶液を測定した場合、従来法ではピーク面積の減少が認められたが、本発明法を用いた場合、アセトニトリルを含まないポリペプチド混合試料溶液を測定した場合と同様のピーク面積が得られた。従来法でのピーク面積が小さくなった原因としては、試料溶液中に含まれる臨界値以上のアセトニトリルにより、カラム充填剤への吸着能を失ったままカラムに導入されたイソロイシル−セリル−ブラジキニンのほとんどがカラムを素通りしたためであると考えられた。イソロイシル−セリル−ブラジキニンは、今回検討したポリペプチドの中では、カラムでの保持が比較的弱いポリペプチドであり、低濃度での容器等への吸着が比較的小さいと考えられた。
次に、従来法を用いて、アセトニトリルを含まないポリペプチド混合試料溶液を測定した場合のウロコルチンのピーク面積は、濃度の減少に伴い極端に小さくなった。特に水だけを用いて調製した混合試料を測定した場合、100nM以外ではピークが認められなかった。この原因としては、希釈系列調製時の容器等への吸着及びLC導入時のシリンジへの吸着により、ウロコルチンのほとんどが失われたと考えられた。アセトニトリル含量が30%及び50%のポリペプチド混合試料溶液(100nM)を測定した場合、そのピーク面積は、アセトニトリルを含まないポリペプチド混合試料溶液を測定した場合と比較すると小さかったが、より低濃度(1nM及び10nM)測定時にもウロコルチンのピークは認められ、しかも、ピーク面積はほぼ濃度に比例していた。
本発明法を用いて、アセトニトリルを含まないポリペプチド混合試料溶液を測定した場合のウロコルチンのピーク面積は、従来法同様、濃度の減少に伴い極端に小さくなった。しかし、アセトニトリル含量が30%及び50%のポリペプチド混合試料溶液を測定した場合、ウロコルチンのピーク面積は、従来法にて得られたピーク面積よりも大きく、かつ、濃度に比例していた。
以上の結果から、溶液中のポリペプチドが固体への吸着能を失った状態(例えば、臨界値以上のアセトニトリル含量を含む溶液中)で扱うことにより、低濃度でのポリペプチドの吸着を回避することが可能であることが示された。また、この状態の試料溶液を本発明法を用いて測定することにより、複数のポリペプチドを同時定量することが可能であることが示された。
実施例14(CDスペクトル解析)
<試料調製>
4.0mLの水−アセトニトリル(容積比90:10,80:20,70:30,60:50又は50:50)溶液に0.11mgのウロコルチンを溶解して、5.9μMのウロコルチン溶液(E)を調製した。
実施例14(CDスペクトル解析)
<試料調製>
4.0mLの水−アセトニトリル(容積比90:10,80:20,70:30,60:50又は50:50)溶液に0.11mgのウロコルチンを溶解して、5.9μMのウロコルチン溶液(E)を調製した。
一方、isoleucyl−seryl−bradykinin 25mgを水2.5mLに溶解し、7.9mMの保存溶液を調製した。この溶液40μLを、4.0mLの水−アセトニトリル(容積比100:0,95:5,90:10,85:15又は80:20)に添加し、79μmMの溶液を調製した。
<測定条件>
Urocortin及びisoleucyl−seryl−bradykininの250−200nMのCDスペクトルを得るために、試料を10mm角型石英セル(JASCO;東京)に移し、J−720型円二色性分散計(JASCO;東京)を用いた。各試料とも6回測定(step resolution 1nm,1s each step)し、その平均化したスペクトルを得た。
<結果>
アセトニトリル含量の異なるウロコルチン溶液のCDスペクトルを図12に示す。CDスペクトルは、いずれの測定温度においても、溶液中アセトニトリル含量が10%から40%まで増加すると共に、200−240nMのスペクトル強度が大きく減少しており、特に、222nM付近のスペクトル強度の減少から、ウロコルチンはヘリックスな構造を取っていると考えられた。一方で、溶液中アセトニトリル含量が40%から50%まで増加しても、CDスペクトルに大きな変化は認められなかった。このアセトニトリル含量40%以上における変化は、実施例1で認められた保持時間1.5分のピークの出現と相関していると考えられた。従って、ウロコルチンの吸着能の相転移は、アセトニトリルを含めた様々な有機溶媒によってウロコルチンの立体構造が変化することに伴って引き起こされていると推察された。
<測定条件>
Urocortin及びisoleucyl−seryl−bradykininの250−200nMのCDスペクトルを得るために、試料を10mm角型石英セル(JASCO;東京)に移し、J−720型円二色性分散計(JASCO;東京)を用いた。各試料とも6回測定(step resolution 1nm,1s each step)し、その平均化したスペクトルを得た。
<結果>
アセトニトリル含量の異なるウロコルチン溶液のCDスペクトルを図12に示す。CDスペクトルは、いずれの測定温度においても、溶液中アセトニトリル含量が10%から40%まで増加すると共に、200−240nMのスペクトル強度が大きく減少しており、特に、222nM付近のスペクトル強度の減少から、ウロコルチンはヘリックスな構造を取っていると考えられた。一方で、溶液中アセトニトリル含量が40%から50%まで増加しても、CDスペクトルに大きな変化は認められなかった。このアセトニトリル含量40%以上における変化は、実施例1で認められた保持時間1.5分のピークの出現と相関していると考えられた。従って、ウロコルチンの吸着能の相転移は、アセトニトリルを含めた様々な有機溶媒によってウロコルチンの立体構造が変化することに伴って引き起こされていると推察された。
一方、アセトニトリル含量の異なるisoleucyl−seryl−bradykinin溶液のCDスペクトルを図13に示す。全体的に大きな変化がないように見えるが、220−240nm付近のスペクトルに注目すると、そのスペクトル強度は溶液中アセトニトリル含量の増加と共に減少していた。特に、222nmのスペクトル強度の減少から、isoleucyl−seryl−bradykininが、アセトニトリル含量の増加に伴い、よりヘリックス構造を取っていることが示唆された。また、40℃では、アセトニトリル含量が15%から20%に増加しても、スペクトルに大きな変化は認められなかった。この40℃での結果は、実施例7で得られたグラジエント勾配が1%/minの時の保持時間から推定したアセトニトリルが示す臨界含量、約12%とほぼ一致していると考えられた。従って、isoleucyl−seryl−bradykininの吸着能の相転移も、アセトニトリルを含めた様々な有機溶媒によって引き起こされる立体構造変化に起因することが推察された。
これらの結果から、逆相HPLCにおけるポリペプチドの溶出は、グラジエント溶出時の溶離液中有機溶媒含量の変化によって惹起される立体構造変化に伴うポリペプチドの吸着能の相転移により制御されていると考えられた。
実施例15(クロモリスカラム使用時の各ポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配のべき乗則)
<試料調製>
100μMの20種ポリペプチド原液10μLづつ、10μM及び10mg/mLの4種ポリペプチド原液100μLづつ、[Tyr(PO3H2)4]−angiotensin II 及びovalbumin(323−339)原液(各1mM)を水にて10倍希釈した溶液(100μM)10μLづつ、及び、angiotensin II原液(50mM)を水にて50倍希釈した後に更に水で10倍希釈した溶液(100μM)10μLを1本のエッペンドルフチューブに集め、更に370μLの水に添加して、最終濃度が各1μM(ただしオバルブミンの濃度は1mg/mL)となるような27種ポリペプチド混合試料溶液を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル(容積比4:100)、酢酸−メタノール(容積比4:100)、酢酸−エタノール(容積比4:100)、酢酸−イソプロピルアルコール(容積比4:100)、又は100%酢酸
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
実施例15(クロモリスカラム使用時の各ポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配のべき乗則)
<試料調製>
100μMの20種ポリペプチド原液10μLづつ、10μM及び10mg/mLの4種ポリペプチド原液100μLづつ、[Tyr(PO3H2)4]−angiotensin II 及びovalbumin(323−339)原液(各1mM)を水にて10倍希釈した溶液(100μM)10μLづつ、及び、angiotensin II原液(50mM)を水にて50倍希釈した後に更に水で10倍希釈した溶液(100μM)10μLを1本のエッペンドルフチューブに集め、更に370μLの水に添加して、最終濃度が各1μM(ただしオバルブミンの濃度は1mg/mL)となるような27種ポリペプチド混合試料溶液を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:酢酸−アセトニトリル(容積比4:100)、酢酸−メタノール(容積比4:100)、酢酸−エタノール(容積比4:100)、酢酸−イソプロピルアルコール(容積比4:100)、又は100%酢酸
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表43)
27種ポリペプチド混合試料溶液10μLをシステムに導入した。
<結果>
従来法(図1(A))で、グラジエント勾配を0.5、1、2、4、6、8、10%/minと変化させた時のポリペプチドの保持時間を測定した結果、検討に用いた分子量1007から45kDの全てのポリペプチドについて、移動相に用いた有機溶媒の種類に関わらず、カラムに保持されたポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配との間に良好なべき乗則が認められた(表44)。
<結果>
従来法(図1(A))で、グラジエント勾配を0.5、1、2、4、6、8、10%/minと変化させた時のポリペプチドの保持時間を測定した結果、検討に用いた分子量1007から45kDの全てのポリペプチドについて、移動相に用いた有機溶媒の種類に関わらず、カラムに保持されたポリペプチドの保持時間とグラジエント勾配との間に良好なべき乗則が認められた(表44)。
(表44)
べき乗則関数の定数B及び相関係数
べき乗則関数の定数B及び相関係数
今回、カラム温度が60℃であったにも関わらず、nociceptin及びamyloid β−protein(1−16)は今回用いたカラムChromolith Performance RP−18eに十分保持された結果、保持時間とグラジエント勾配との間に良好な相関係数を示すべき乗則が認められた。一方、nociceptin及びamyloid β−protein(1−16)は、実施例6で用いたC4カラムDevelosil300C4−HG−5にカラム温度が50℃の場合でもほとんど保持されず、良好な相関係数を示すべき乗則を確認できなかった。実施例8(カラム固定相の影響)及び実施例9(カラム温度の影響)の結果、及び、初期測定条件下(100%移動相A=酢酸−水(容積比4:100)、流速0.2mL/min)でのDevelosil300C4−HG−5が示すカラム圧(約2.1MPa;50℃)及びChromolith Performance RP−18eが示すカラム圧(約0.5MPa;60℃)を考慮すると、この保持の差は、カラム固定相及び温度の違いによるものではなく、測定時のカラム圧の違いが原因であると考えられた。従って、これまでに得られた知見を考慮すると、低カラム圧ではカラム充填剤に対して吸着能を示しているポリペプチドは、ある一定以上のカラム圧がかかった場合に、その高次構造をより小さい臨界値を示す高次構造(もしくは吸着能を示さない高次構造)に変化させ得ると考えられた。そのために、低カラム圧条件下でカラムに保持されて臨界値を示す溶離液(f=1)中に溶出されていたポリペプチドが、高カラム圧の条件下ではその臨界値以下(f<1)を示す溶離液中に溶出されていると考えられた。
Chromolith Performance RP−18eは、カラム骨格と流路が一体となったシリカロッドタイプのカラム(クロモリス型カラム)であり、従来の粒子充填型カラムと比較して、同じ測定条件下で低カラム背圧を可能しており、今回の結果からもその低カラム背圧が確認された。このように、クロモリス型カラムは、粒子充填型カラムを用いた場合のカラム圧によってより小さい臨界値を示す高次構造(もしくは吸着能を示さない高次構造)に変化し得るポリペプチドに対しても、その低カラム背圧により十分にカラムに保持させ得ると考えられ、このようなポリペプチドの定量分析において有効であると考えられた。
一方、実施例6と同様に、グラジエント勾配が4%/min、6%/min及び8%/minの場合に得られた各ポリペプチドの保持時間を用いて、式(3)から測定システム全体のデッドボリュームを算出した結果(平均値±SD)を表45に示す。移動相Bに用いた有機溶媒の種類及びグラジエント勾配に関わらず、デッドボリュームはほぼ一定であり、かつ、ポリペプチドによらないことが示された。ただし、ポリペプチドの分子量が大きくなるにつれて、デッドボリュームが若干小さくなる傾向が認められた。これは、小さな分子量のポリペプチドが、より深くカラム細孔内に入り込んでいることを示唆していると考えられた。
(表45)
各ポリペプチドの保持時間から算出したデッドボリューム
各ポリペプチドの保持時間から算出したデッドボリューム
続いて、グラジエント勾配を1%/minで測定して得られた各ポリペプチドの保持時間を表46に示す。実施例6及び7で述べた通り、グラジエント勾配を1%/minで測定して得られた各ポリペプチドの保持時間は、各ポリペプチドの相転移臨界値である有機溶媒含量の近似値を示していると考えられる。ただし、測定開始時に水系移動相に4%程度の酢酸が含まれていることと、検出される保持時間には約4分程度のデッドボリュームが含まれていることから、保持時間の短いポリペプチドでは、得られた値の取扱いに若干注意が必要である。
(表46)
グラジエント勾配が1%/minの時の各ポリペプチドの保持時間
グラジエント勾配が1%/minの時の各ポリペプチドの保持時間
このクロモリス型カラムを用いて得た保持時間を、粒子充填型カラムを用いて得られた保持時間(実施例7)とを比較したところ、保持の小さい、つまり臨界値の小さいポリペプチドにおいて、デッドボリュームの違い及びカラム背圧の違いが原因と考えられる比較的大きな差が認められたが、ウロコルチンのようにカラムに十分保持されているポリペプチドでは、ほぼ同じ値を示していた。従って、保持時間の短いポリペプチドについては、得られた値の取扱いに若干注意が必要であるものの、実施例7で述べた通り、グラジエント勾配を1%/minで測定して得られた各ポリペプチドの保持時間は、各ポリペプチドの相転移臨界値である有機溶媒含量の近似値を示していると考えられた。
実施例16(血漿中amyloid β−protein定量のためのマウス血漿前処理法の検討:有機溶媒による除タンパク質前処理法)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。更に、このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)200μLを300μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各400nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。
<メタノール及びアセトニトリルによる除タンパク質法>
ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)100μLを、400μLのアセトニトリル又はメタノールに添加し、攪拌後、20,000×gで15分間(4℃)遠心し、上清を得た。
<マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を用いて得られた上清をマウス血漿試料とした。
<リファレンス試料の調製>
ブランクマウス血漿を用いて得られた上清990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各400nM)10μLを添加し、リファレンス試料(各4nM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:100%酢酸
移動相C:水−酢酸−アセトニトリル−メタノール(容積比20:4:40:40)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、30〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
実施例16(血漿中amyloid β−protein定量のためのマウス血漿前処理法の検討:有機溶媒による除タンパク質前処理法)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。更に、このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)200μLを300μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各400nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。
<メタノール及びアセトニトリルによる除タンパク質法>
ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)100μLを、400μLのアセトニトリル又はメタノールに添加し、攪拌後、20,000×gで15分間(4℃)遠心し、上清を得た。
<マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を用いて得られた上清をマウス血漿試料とした。
<リファレンス試料の調製>
ブランクマウス血漿を用いて得られた上清990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各400nM)10μLを添加し、リファレンス試料(各4nM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:100%酢酸
移動相C:水−酢酸−アセトニトリル−メタノール(容積比20:4:40:40)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、30〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
(表47)
マウス血漿試料及びリファレンス試料50μLをシステムに導入した。
<回収率の算出方法>
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、リファレンス試料を測定した時に得られたピーク面積に対するマウス血漿試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)とした。
<結果>
低分子化合物を分析する際に一般的に用いられているアセトニトリル又はメタノールを用いた除タンパク質前処理法にてamyloid β−protein添加マウス血漿を処理した場合、4種のamyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は表48の通り低い値を示した。メタノールを用いた場合よりもアセトニトリルを用いた場合に回収率はより低くなり、特に、amyloid β−protein(1−42)及び(1−43)の回収率は0%を示した。この各amyloid β−proteinの低回収率の原因は、有機溶媒を用いた除タンパク質操作時にアルブミンにような高分子ポリペプチドの凝集過程に各amyloid β−proteinが取り込まれたため、又は、これら高分子ポリペプチドと各amyloid β−proteinとの共沈が原因と考えられた。従って、このような有機溶媒による除タンパク質法を用いたマウス血漿中amyloid β−proteinの高感度定量は困難であると考えられた。
<回収率の算出方法>
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、リファレンス試料を測定した時に得られたピーク面積に対するマウス血漿試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)とした。
<結果>
低分子化合物を分析する際に一般的に用いられているアセトニトリル又はメタノールを用いた除タンパク質前処理法にてamyloid β−protein添加マウス血漿を処理した場合、4種のamyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は表48の通り低い値を示した。メタノールを用いた場合よりもアセトニトリルを用いた場合に回収率はより低くなり、特に、amyloid β−protein(1−42)及び(1−43)の回収率は0%を示した。この各amyloid β−proteinの低回収率の原因は、有機溶媒を用いた除タンパク質操作時にアルブミンにような高分子ポリペプチドの凝集過程に各amyloid β−proteinが取り込まれたため、又は、これら高分子ポリペプチドと各amyloid β−proteinとの共沈が原因と考えられた。従って、このような有機溶媒による除タンパク質法を用いたマウス血漿中amyloid β−proteinの高感度定量は困難であると考えられた。
(表48)
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率(除タンパク質法)
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率(除タンパク質法)
実施例17(amyloid β−protein定量のためのマウス血漿前処理法の検討:酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法・酢酸含量の影響)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。更に、このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)50μLを450μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿試料(20nM)を調製した。
<酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法>
水、ブランクマウス血漿又はamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)50μLに対して、950μLの水−酢酸−メタノール(容積比20:70:10、20:60:20、20:50:30、20:40:40又は20:30:50)を加え十分に攪拌した。その混合溶液400μLを市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。
<マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を用いて得られたろ過液300μLに対して300μLの水−アセトニトリル(容積比20:80)を添加してマウス血漿試料を調製した。
<リファレンス試料の調製>
ブランクマウス血漿を用いて得られたろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)10μLを添加した。このろ過液(各1nM)300μLに対して300μLの水−アセトニトリル(容積比20:80)を添加してリファレンス試料(各0.5nM)を調製した。
<コントロールろ過試料の調製>
マウス血漿の代わりに水を用いて得られたろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)10μLを添加した。このろ過液(各1nM)300μLに対して300μLの水−アセトニトリル(容積比20:80)を添加してコントロールろ過試料(各0.5nM)を調製した。
<コントロール試料の調製>
水50μLを、950μLの水−酢酸−メタノール(容積比20:70:10、20:60:20、20:50:30、20:40:40又は20:30:50)に添加した後、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)10μLを添加した。更に、この溶液(各1nM)300μLに対して300μLの水−アセトニトリル(容積比20:80)を添加してコントロール試料(各0.5nM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:水
移動相B:酢酸−メタノール−アセトニトリル(容積比10:45:45)
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル(容積比40:20:20:20)
カラム:ノンポーラスC30逆相カラム(N.P.C30−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子経5μm:野村化学による特注カラム)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。更に、このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)50μLを450μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿試料(20nM)を調製した。
<酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法>
水、ブランクマウス血漿又はamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)50μLに対して、950μLの水−酢酸−メタノール(容積比20:70:10、20:60:20、20:50:30、20:40:40又は20:30:50)を加え十分に攪拌した。その混合溶液400μLを市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。
<マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を用いて得られたろ過液300μLに対して300μLの水−アセトニトリル(容積比20:80)を添加してマウス血漿試料を調製した。
<リファレンス試料の調製>
ブランクマウス血漿を用いて得られたろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)10μLを添加した。このろ過液(各1nM)300μLに対して300μLの水−アセトニトリル(容積比20:80)を添加してリファレンス試料(各0.5nM)を調製した。
<コントロールろ過試料の調製>
マウス血漿の代わりに水を用いて得られたろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)10μLを添加した。このろ過液(各1nM)300μLに対して300μLの水−アセトニトリル(容積比20:80)を添加してコントロールろ過試料(各0.5nM)を調製した。
<コントロール試料の調製>
水50μLを、950μLの水−酢酸−メタノール(容積比20:70:10、20:60:20、20:50:30、20:40:40又は20:30:50)に添加した後、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)10μLを添加した。更に、この溶液(各1nM)300μLに対して300μLの水−アセトニトリル(容積比20:80)を添加してコントロール試料(各0.5nM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:水
移動相B:酢酸−メタノール−アセトニトリル(容積比10:45:45)
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル(容積比40:20:20:20)
カラム:ノンポーラスC30逆相カラム(N.P.C30−5:内径2.0mm、長さ100mm、粒子経5μm:野村化学による特注カラム)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表49)
各コントロール試料、コントロールろ過試料、リファレンス試料及びマウス血漿試料400μLをシステムに導入した。
<回収率の算出方法>
前処理操作時に用いたバイオマックス−PB限外ろ過メンブレン通過時の各amyloid β−proteinの回収率(透過率)は、コントロール試料を測定した時に得られたピーク面積に対するコントロールろ過試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)とした。一方、各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、リファレンス試料を測定した時に得られたピーク面積に対するマウス血漿試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)とした。
<結果>
実施例16の結果から、アセトニトリル又はメタノール等の有機溶媒を用いてアルブミンのような高分子ポリペプチドを凝集させる一方で、目的とするポリペプチドを効率よく血漿から回収することは困難と考えられた。そこで、血漿中の高分子ポリペプチドを凝集させずに、かつ、目的のポリペプチドをOFF相とする前処理法として、酢酸と有機溶媒とを組み合わせた血漿希釈法を検討した。これは、高含量の酢酸を含む溶液中(血漿に対する希釈倍率にもよるが一般的に20%程度以上)では、有機溶媒が含まれていても、血漿中ポリペプチドは凝集せず溶解した状態となるという新しい知見を基に考案した方法である。今回検討に用いた混合溶液にて希釈された血漿は、全て無色透明であり、血漿中ポリペプチドは凝集していないと考えられた。一方、血漿を水とみなした場合の希釈されたマウス血漿試料(=ろ過液)中の酢酸及びメタノール含量から計算した値fから、各amyloid β−proteinはその試料(=ろ過液)中でカラム充填剤に対する吸着能を失っていることが示唆された(表50)。ただし、各ポリペプチドの各有機溶媒に対する相転移臨界値は実施例15で得られたグラジエント勾配1%/minの時の保持時間を用いた。従って、各amyloid β−proteinは、試料調製時に接触するような容器等に対して吸着能を失っていると考えられることから、バイオマックス−PB限外ろ過メンブレンに対しても吸着能も失っていると予想された。
<回収率の算出方法>
前処理操作時に用いたバイオマックス−PB限外ろ過メンブレン通過時の各amyloid β−proteinの回収率(透過率)は、コントロール試料を測定した時に得られたピーク面積に対するコントロールろ過試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)とした。一方、各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、リファレンス試料を測定した時に得られたピーク面積に対するマウス血漿試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)とした。
<結果>
実施例16の結果から、アセトニトリル又はメタノール等の有機溶媒を用いてアルブミンのような高分子ポリペプチドを凝集させる一方で、目的とするポリペプチドを効率よく血漿から回収することは困難と考えられた。そこで、血漿中の高分子ポリペプチドを凝集させずに、かつ、目的のポリペプチドをOFF相とする前処理法として、酢酸と有機溶媒とを組み合わせた血漿希釈法を検討した。これは、高含量の酢酸を含む溶液中(血漿に対する希釈倍率にもよるが一般的に20%程度以上)では、有機溶媒が含まれていても、血漿中ポリペプチドは凝集せず溶解した状態となるという新しい知見を基に考案した方法である。今回検討に用いた混合溶液にて希釈された血漿は、全て無色透明であり、血漿中ポリペプチドは凝集していないと考えられた。一方、血漿を水とみなした場合の希釈されたマウス血漿試料(=ろ過液)中の酢酸及びメタノール含量から計算した値fから、各amyloid β−proteinはその試料(=ろ過液)中でカラム充填剤に対する吸着能を失っていることが示唆された(表50)。ただし、各ポリペプチドの各有機溶媒に対する相転移臨界値は実施例15で得られたグラジエント勾配1%/minの時の保持時間を用いた。従って、各amyloid β−proteinは、試料調製時に接触するような容器等に対して吸着能を失っていると考えられることから、バイオマックス−PB限外ろ過メンブレンに対しても吸着能も失っていると予想された。
(表50)
酢酸及びメタノール含量の異なる希釈されたマウス血漿試料中の各amyloid β−proteinが示す値f
酢酸及びメタノール含量の異なる希釈されたマウス血漿試料中の各amyloid β−proteinが示す値f
一方、本発明法を用いる場合にあたって、各移動相組成、及び、ポリペプチドが導入される有機溶媒系移動相(移動相B及びCの混合溶液)の測定開始時の混合比、及び、各試料中有機溶媒含量から、各amyloid β−proteinをカラムへ保持させるのに必要な混合器において混合される有機溶媒系移動相に対する水系移動相の比率(α)を、前述の式(a)に従って算出した(表51)。ただし、各ポリペプチドの各有機溶媒に対する相転移臨界値は実施例15で得られたグラジエント勾配1%/minの時の保持時間を用いた。システムに導入された全てのamyloid β−proteinをカラムへ保持させるのに必要な水系移動相の割合をαから算出した結果、66%より大きいことが示された。今回の検討では、amyloid β−proteinを含む試料がカラムに導入されるまでの間の水系移動相の割合が88%程度であり、システムに導入された全てのamyloid β−proteinはカラムへ保持したと判断された。
(表51)
<結果>
実際に、各試料を測定した結果、OFF相(f>1)を示す希釈されたマウス血漿試料(=ろ過液)中に存在する各amyloid β−proteinのバイオマックス−PB限外ろ過メンブレンからの回収率は、予想通りほぼ100%±15%であった(表52)。従って、各amyloid β−proteinがOFF相(f>1)を示す溶液中でバイオマックス−PB限外ろ過メンブレンに対しても吸着能を失っていることが示唆された。
実際に、各試料を測定した結果、OFF相(f>1)を示す希釈されたマウス血漿試料(=ろ過液)中に存在する各amyloid β−proteinのバイオマックス−PB限外ろ過メンブレンからの回収率は、予想通りほぼ100%±15%であった(表52)。従って、各amyloid β−proteinがOFF相(f>1)を示す溶液中でバイオマックス−PB限外ろ過メンブレンに対しても吸着能を失っていることが示唆された。
(表52)
各amyloid β−proteinのバイオマックス−PB限外ろ過メンブレン及びマウス血漿からの回収率
各amyloid β−proteinのバイオマックス−PB限外ろ過メンブレン及びマウス血漿からの回収率
一方、各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、マウス血漿を希釈する際に用いた溶液中の酢酸含量の増加と共に増加した。全ての溶液中で各amyloid β−proteinが物質に対する吸着能を失っているにも関わらず、このように回収率が変化した一因として、各amyloid β−proteinがメンブレンで分画される分子量10,000以上の高分子ポリペプチドと強く相互作用しているためにろ過液に回収されなかったと考えられた。従って、酢酸には、ポリペプチドの物質に対する吸着能を相転移させる効果の他に、ポリペプチド間の相互作用を阻害する効果をも有すると考えられた。
実施例18(amyloid β−protein定量のためのマウス血漿前処理法の検討:酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法・希釈倍率の影響)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。まず、このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)50μLを200μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各200nM)を調製した。次に、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)50μLを450μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)を調製した。加えて、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)40μLを960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各40nM)を調製した。更に、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)20μLを980μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各20nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)20μLを、980μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。
<酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法>
100倍希釈:ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)10μLを、990μLの水−酢酸−アセトニトリル(容積比19:40:40)に添加した。50倍希釈:ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)20μLを、980μLの水−酢酸−アセトニトリル(容積比18:40:40)に添加した。20倍希釈:ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)50μLを、950μLの水−酢酸−アセトニトリル(容積比15:40:40)に添加した。10倍希釈:ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)100μLを900μLの水−酢酸−アセトニトリル(容積比10:40:40)に添加した。
実施例18(amyloid β−protein定量のためのマウス血漿前処理法の検討:酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法・希釈倍率の影響)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。まず、このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)50μLを200μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各200nM)を調製した。次に、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)50μLを450μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)を調製した。加えて、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)40μLを960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各40nM)を調製した。更に、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)20μLを980μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各20nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)20μLを、980μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。
<酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法>
100倍希釈:ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)10μLを、990μLの水−酢酸−アセトニトリル(容積比19:40:40)に添加した。50倍希釈:ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)20μLを、980μLの水−酢酸−アセトニトリル(容積比18:40:40)に添加した。20倍希釈:ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)50μLを、950μLの水−酢酸−アセトニトリル(容積比15:40:40)に添加した。10倍希釈:ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)100μLを900μLの水−酢酸−アセトニトリル(容積比10:40:40)に添加した。
希釈されたマウス血漿を十分に攪拌後、その400μLを市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やした。
<マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を用いて得られた各ろ過液をマウス血漿試料とした(100倍希釈マウス血漿試料、50倍希釈マウス血漿試料、20倍希釈マウス血漿試料及び10倍希釈マウス血漿試料)。
<リファレンス試料の調製>
100倍希釈リファレンス試料:ブランクマウス血漿を用いて得られた100倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各20nM)10μLを添加して調製した(各0.2nM)。50倍希釈リファレンス試料:ブランクマウス血漿を用いて得られた50倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各40nM)10μLを添加して調製した(各0.4nM)。20倍希釈リファレンス試料:ブランクマウス血漿を用いて得られた20倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)10μLを添加して調製した(各1nM)。10倍希釈リファレンス試料:ブランクマウス血漿を用いて得られた10倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各200nM)10μLを添加して調製した(各2nM)。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:100%酢酸
移動相C:水−酢酸−アセトニトリル−メタノール(20:4:40:40;v/v/v/v)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、30〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
<マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を用いて得られた各ろ過液をマウス血漿試料とした(100倍希釈マウス血漿試料、50倍希釈マウス血漿試料、20倍希釈マウス血漿試料及び10倍希釈マウス血漿試料)。
<リファレンス試料の調製>
100倍希釈リファレンス試料:ブランクマウス血漿を用いて得られた100倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各20nM)10μLを添加して調製した(各0.2nM)。50倍希釈リファレンス試料:ブランクマウス血漿を用いて得られた50倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各40nM)10μLを添加して調製した(各0.4nM)。20倍希釈リファレンス試料:ブランクマウス血漿を用いて得られた20倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各100nM)10μLを添加して調製した(各1nM)。10倍希釈リファレンス試料:ブランクマウス血漿を用いて得られた10倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各200nM)10μLを添加して調製した(各2nM)。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:100%酢酸
移動相C:水−酢酸−アセトニトリル−メタノール(20:4:40:40;v/v/v/v)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、30〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
(表53)
100倍希釈マウス血漿試料及び100倍希釈リファレンス試料500μL、50倍希釈マウス血漿試料及び50倍希釈リファレンス試料250μL、20倍希釈マウス血漿試料及び20倍希釈リファレンス試料100μL、及び、10倍希釈マウス血漿試料及び10倍希釈リファレンス試料50μLをシステムに導入した。
<回収率の算出方法>
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率を、リファレンス試料を測定した時に得られたピーク面積に対するマウス血漿試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)として算出した。
<回収率の算出方法>
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率を、リファレンス試料を測定した時に得られたピーク面積に対するマウス血漿試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)として算出した。
血漿を水とみなした場合の希釈されたマウス血漿試料(=ろ過液)中の酢酸及びアセトニトリル含量から計算した値fから、各amyloid β−proteinはその試料(=ろ過液)中でカラム充填剤に対する吸着能を失っており、更に、バイオマックス−PB限外ろ過メンブレンや試料調製時に用いる容器等の固体に対しても吸着能も失っていると考えられた(表54)。ただし、各ポリペプチドの各有機溶媒に対する相転移臨界値は実施例15で得られたグラジエント勾配1%/minの時の保持時間を用いた。
(表54)
酢酸及びアセトニトリル含量の異なる希釈されたマウス血漿試料中で各amyloid β−proteinが示す値f
酢酸及びアセトニトリル含量の異なる希釈されたマウス血漿試料中で各amyloid β−proteinが示す値f
一方、本発明法を用いる場合にあたって、各移動相組成、及び、ポリペプチドが導入される有機溶媒系移動相(移動相B及びCの混合溶液)の測定開始時の混合比、及び、各試料中有機溶媒含量から、各amyloid β−proteinをカラムへ保持させるのに必要な混合器において混合される有機溶媒系移動相に対する水系移動相の比率(α)を、前述の式(a)に従って算出した(表55)。ただし、各ポリペプチドの各有機溶媒に対する相転移臨界値は実施例15で得られたグラジエント勾配1%/minの時の保持時間を用いた。システムに導入された全てのamyloid β−proteinをカラムへ保持させるのに必要な水系移動相の割合をαから算出した結果、63%より大きいことが示された。今回の検討では、amyloid β−proteinを含む試料がカラムに導入されるまでの間の水系移動相の割合が75%程度であり、システムに導入された全てのamyloid β−proteinはカラムへ保持したと判断された。
(表55)
<結果>
希釈倍率の異なる各試料を測定した結果、各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、希釈倍率の増加と共に増加した(表56)。全てのマウス血漿試料中で各amyloid β−proteinが物質に対する吸着能を失っているにも関わらず、このように回収率が変化した原因として、実施例17での考察と同様に、各amyloid β−proteinがメンブレンで分画される分子量10,000以上の高分子ポリペプチドと強く相互作用しているためにろ過液に回収されなかったことが考えられた。今回の結果から、希釈倍率を増加させることで(ポリペプチド濃度を低下させることで)、ポリペプチド間の相互作用が弱くなると考えられた。
希釈倍率の異なる各試料を測定した結果、各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、希釈倍率の増加と共に増加した(表56)。全てのマウス血漿試料中で各amyloid β−proteinが物質に対する吸着能を失っているにも関わらず、このように回収率が変化した原因として、実施例17での考察と同様に、各amyloid β−proteinがメンブレンで分画される分子量10,000以上の高分子ポリペプチドと強く相互作用しているためにろ過液に回収されなかったことが考えられた。今回の結果から、希釈倍率を増加させることで(ポリペプチド濃度を低下させることで)、ポリペプチド間の相互作用が弱くなると考えられた。
(表56)
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率(希釈倍率の影響)
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率(希釈倍率の影響)
実施例19(amyloid β−protein定量のためのマウス血漿前処理法の検討:酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法・有機溶媒の種類の影響)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)20μLを980μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各20nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。
<酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法>
ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)10μLを、990μLの表57に示す希釈用混合溶液に添加した。希釈された血漿を十分に攪拌後、その400μLを市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やした。
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)20μLを980μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各20nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。
<酢酸を含む有機溶媒による血漿希釈法>
ブランクマウス血漿及びamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)10μLを、990μLの表57に示す希釈用混合溶液に添加した。希釈された血漿を十分に攪拌後、その400μLを市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やした。
(表57)
希釈用混合溶液組成
希釈用混合溶液組成
<マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を用いて得られたろ過液をマウス血漿試料とした。
<リファレンス試料の調製>
ブランクマウス血漿を用いて得られた100倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各20nM)10μLを添加し、リファレンス試料(各0.2nM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:酢酸
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル混合液(容積比20:4:40:40)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、30〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を用いて得られたろ過液をマウス血漿試料とした。
<リファレンス試料の調製>
ブランクマウス血漿を用いて得られた100倍希釈ろ過液990μLに、amyloid β−protein混合溶液(各20nM)10μLを添加し、リファレンス試料(各0.2nM)を調製した。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:酢酸
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル混合液(容積比20:4:40:40)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、30〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
(表58)
マウス血漿試料及びリファレンス試料500μLをシステムに導入した。
<回収率の算出方法>
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率を、リファレンス試料を測定した時に得られたピーク面積に対するマウス血漿試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)として算出した。
<回収率の算出方法>
各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率を、リファレンス試料を測定した時に得られたピーク面積に対するマウス血漿試料を測定した時に得られたピーク面積の比(%)として算出した。
血漿を水とみなした場合の希釈されたマウス血漿試料(=ろ過液)中の酢酸及び有機溶媒含量から計算した値fから、各amyloid β−proteinは希釈されたマウス血漿試料(=ろ過液)中でカラム充填剤に対する吸着能を失っていることが示唆された。実施例17の結果から、この時、各amyloid β−proteinはバイオマックス−PB限外ろ過メンブレンや試料調製時に用いる容器等の固体に対しても吸着能も失っていると考えられた(表59)。
(表59)
一方、本発明法を用いる場合にあたって、各移動相組成、及び、ポリペプチドが導入される有機溶媒系移動相(移動相B及びCの混合溶液)の測定開始時の混合比、及び、各試料中有機溶媒含量から、各amyloid β−proteinをカラムに保持させるのに必要な有機系移動相に対する水系移動相の比率(β)及び有機溶媒及び酢酸含量の異なる希釈されたマウス血漿試料中のamyloid β−proteinをカラムに保持させるのに必要な有機系移動相に対する水系移動相の比率(γ)を、前述の式(a)に基づいて算出した(表60及び表61)。ただし、各ポリペプチドの各有機溶媒に対する相転移臨界値は実施例15で得られたグラジエント勾配1%/minの時の保持時間を用いた。算出されたβ及びγのうち、より高い値以上がαであり、この値を用いてシステムに導入された各amyloid β−proteinがカラムへ保持するのに必要な水系移動相の割合を算出した(表62)。その結果、水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比10:30:60及び10:40:50)中のamyloid β−protein(1−38)をカラムに保持させるための水系移動相の割合として75%より大きいことが示されたが、その他の混合溶液に対しては全amyloid β−proteinで74%以下であることが示された。今回の検討では、amyloid β−proteinを含む試料がカラムに導入されるまでの間の水系移動相の割合が75%程度であり、前述の2種の溶液を測定する場合に、amyloid β−protein(1−38)のカラムへの不十分な保持が予想されたが、その他の場合では、システムに導入された全てのamyloid β−proteinはカラムへ保持したと考えられた。
(表60)
本発明法を用いて今回用いた移動相条件下でamyloid β−proteinをカラムに保持させるのに必要な有機系移動相に対する水系移動相の比率(β)の算出
本発明法を用いて今回用いた移動相条件下でamyloid β−proteinをカラムに保持させるのに必要な有機系移動相に対する水系移動相の比率(β)の算出
(表61)
(表62)
<結果>
有機溶媒の種類に関わらず、各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、希釈用溶液中の酢酸含量の増加と共に増加した(表65)。一方で、希釈用混合溶液中の酢酸含量が低い(30%〜40%程度)場合、希釈混合溶液中の水含量が増加すると共に、回収率が増加する傾向が認められた。しかし、酢酸含量が高く(60%以上)、水含量が20%以上の場合に、回収率に大きな差は認められなかった。今回の結果からも、希釈用混合溶液中の酢酸が、ポリペプチドの物質に対する吸着能を相転移させつつも、ポリペプチド間の相互作用をも阻害することで、各amyloid β−proteinマウス血漿からの回収率が上昇したと考えられた。
有機溶媒の種類に関わらず、各amyloid β−proteinのマウス血漿からの回収率は、希釈用溶液中の酢酸含量の増加と共に増加した(表65)。一方で、希釈用混合溶液中の酢酸含量が低い(30%〜40%程度)場合、希釈混合溶液中の水含量が増加すると共に、回収率が増加する傾向が認められた。しかし、酢酸含量が高く(60%以上)、水含量が20%以上の場合に、回収率に大きな差は認められなかった。今回の結果からも、希釈用混合溶液中の酢酸が、ポリペプチドの物質に対する吸着能を相転移させつつも、ポリペプチド間の相互作用をも阻害することで、各amyloid β−proteinマウス血漿からの回収率が上昇したと考えられた。
(表63)
実施例20(マウス血漿試料中amyloid β−proteinのオートサンプラー中安定性評価)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。このamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えて、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)を調製した。同様に、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)150μLにブランクマウス血漿150μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(2.5nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(2.5nM)150μLにブランクマウス血漿150μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(1.25nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(1.25nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(0.625nM)を調製した。
<水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液を用いた血漿希釈法>
amyloid β−protein添加マウス血漿30μLを、1500μLの水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)に添加した。この水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)には、内部標準(IS)ポリペプチドとしてNPY(10nM)が含まれている。希釈されたマウス血漿を十分に攪拌後、その400μL以下を市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やし、1.2mL以上のろ過液を得た。
<検量線試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(0.625、1.25、2.5、5、10及び20nM)を用いて得られたろ過液を検量線用マウス血漿試料として測定した(n=1)。
<オートサンプラー中安定性評価用試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(1.25及び5nM)を用いて得られたろ過液を、それぞれ、オートサンプラー中安定性評価用試料として調製した(n=3)。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:酢酸
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル混合液(容積比20:20:30:30)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、30.1〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。このamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えて、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)を調製した。同様に、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)150μLにブランクマウス血漿150μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(2.5nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(2.5nM)150μLにブランクマウス血漿150μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(1.25nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(1.25nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(0.625nM)を調製した。
<水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液を用いた血漿希釈法>
amyloid β−protein添加マウス血漿30μLを、1500μLの水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)に添加した。この水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)には、内部標準(IS)ポリペプチドとしてNPY(10nM)が含まれている。希釈されたマウス血漿を十分に攪拌後、その400μL以下を市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やし、1.2mL以上のろ過液を得た。
<検量線試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(0.625、1.25、2.5、5、10及び20nM)を用いて得られたろ過液を検量線用マウス血漿試料として測定した(n=1)。
<オートサンプラー中安定性評価用試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(1.25及び5nM)を用いて得られたろ過液を、それぞれ、オートサンプラー中安定性評価用試料として調製した(n=3)。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:酢酸
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル混合液(容積比20:20:30:30)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、30.1〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
(表64)
マウス血漿試料1000μLをシステムに導入した。
<検量線の作成>
検量線は、y軸にISであるNPYのピーク面積に対する各amyloid β−proteinのピーク面積を、x軸にamyloid β−protein濃度(nM)を用い、濃度分の1(1/x)を重み付けとして用いた最小二乗法にて作成した。検量線の作成では、作成した検量線を用いて算出(back−calculate)した検量線試料濃度の理論値に対する割合を真度(%)として表し、定量下限(LLOQ)以外で真度が±15%以内、定量下限(LLOQ)では±20%となることを許容基準とした。更に、用いた検量線ポイントの75%以上(この中にLLOQ及び定量上限が含まれる)がこの基準を満たすこととした。
<オートサンプラー中の安定性>
オートサンプラー中安定性評価用試料(1.25及び5nM各n=3)は、調製直後から20℃に設定したオートサンプラー中に放置し、放置後28時間及び37時間に測定を実施した。安定性(%)は、検量線から得られた濃度の理論値に対する割合(真度)(%)として表した。
<結果>
濃度に比例した各amyloid β−proteinのピーク面積が得られ、また、LLOQを含めて理論値の±15%以内の良好な真度を有する濃度範囲が40倍の検量線が得られた(表65)。
<検量線の作成>
検量線は、y軸にISであるNPYのピーク面積に対する各amyloid β−proteinのピーク面積を、x軸にamyloid β−protein濃度(nM)を用い、濃度分の1(1/x)を重み付けとして用いた最小二乗法にて作成した。検量線の作成では、作成した検量線を用いて算出(back−calculate)した検量線試料濃度の理論値に対する割合を真度(%)として表し、定量下限(LLOQ)以外で真度が±15%以内、定量下限(LLOQ)では±20%となることを許容基準とした。更に、用いた検量線ポイントの75%以上(この中にLLOQ及び定量上限が含まれる)がこの基準を満たすこととした。
<オートサンプラー中の安定性>
オートサンプラー中安定性評価用試料(1.25及び5nM各n=3)は、調製直後から20℃に設定したオートサンプラー中に放置し、放置後28時間及び37時間に測定を実施した。安定性(%)は、検量線から得られた濃度の理論値に対する割合(真度)(%)として表した。
<結果>
濃度に比例した各amyloid β−proteinのピーク面積が得られ、また、LLOQを含めて理論値の±15%以内の良好な真度を有する濃度範囲が40倍の検量線が得られた(表65)。
(表65)
更に、オートサンプラー中安定性評価用試料(1.25及び5nM)を測定した結果、前処理後のろ過液中に存在する各amyloid β−proteinは、20℃のオートサンプラー中で37時間まで安定(理論値の±15%)であることが示された(表66)。
(表66)
血漿試料中の各amyloid β−proteinのオートサンプラー中安定性
血漿試料中の各amyloid β−proteinのオートサンプラー中安定性
実施例21(マウス血漿中amyloid β−proteinの安定性評価)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)20μLを、980μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。このamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えて、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)を調製した。同様に、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)100μLにブランクマウス血漿150μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(2nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(2nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(1nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(1nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(0.5nM)を調製した。一方、安定性評価用試料として、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)450μLにブランクマウス血漿150μLを加えたamyloid β−protein添加マウス血漿(15nM)を2本調製した。
<水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液を用いた血漿希釈法>
amyloid β−protein添加マウス血漿30μLを、1500μLの水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)に添加した。この水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)には、内部標準(IS)ポリペプチドとしてNPY(10nM)が含まれている。希釈されたマウス血漿を十分に攪拌後、各溶液400μL以下を市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やし、1.2mL以上のろ過液を得た。
<検量線試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(0.5、1、2、5、10及び20nM)を用いて得られたろ過液を検量線用マウス血漿試料として測定した(n=1)。
<オートサンプラー中安定性評価用試料の調製>
安定性評価用マウス血漿(15nM)は、調製直後から、氷冷(4℃)及び室温下で放置し、調製後0.5時間、1時間、2時間及び4時間に、水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液を用いた血漿希釈法を用いて血漿中安定性評価用試料を調製した(n=1)。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:酢酸
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル混合液(容積比20:20:30:30)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径2.1mm、長さ100mm)2本直列
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、33.1〜44.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)20μLを、980μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。このamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えて、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)を調製した。同様に、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)100μLにブランクマウス血漿150μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(2nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(2nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(1nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(1nM)100μLにブランクマウス血漿100μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(0.5nM)を調製した。一方、安定性評価用試料として、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)450μLにブランクマウス血漿150μLを加えたamyloid β−protein添加マウス血漿(15nM)を2本調製した。
<水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液を用いた血漿希釈法>
amyloid β−protein添加マウス血漿30μLを、1500μLの水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)に添加した。この水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)には、内部標準(IS)ポリペプチドとしてNPY(10nM)が含まれている。希釈されたマウス血漿を十分に攪拌後、各溶液400μL以下を市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やし、1.2mL以上のろ過液を得た。
<検量線試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(0.5、1、2、5、10及び20nM)を用いて得られたろ過液を検量線用マウス血漿試料として測定した(n=1)。
<オートサンプラー中安定性評価用試料の調製>
安定性評価用マウス血漿(15nM)は、調製直後から、氷冷(4℃)及び室温下で放置し、調製後0.5時間、1時間、2時間及び4時間に、水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液を用いた血漿希釈法を用いて血漿中安定性評価用試料を調製した(n=1)。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:酢酸
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル混合液(容積比20:20:30:30)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径2.1mm、長さ100mm)2本直列
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし、33.1〜44.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
(表67)
マウス血漿試料1000μLをシステムに導入した。
<検量線の作成>
検量線は、y軸にISであるNPYのピーク面積に対する各amyloid β−proteinのピーク面積を、x軸にamyloid β−protein濃度(nM)を用い、濃度分の1(1/x)を重み付けとして用いた最小二乗法にて作成した。検量線の作成では、作成した検量線を用いて算出(back−calculate)した検量線試料濃度の理論値に対する割合を真度(%)として表し、定量下限(LLOQ)以外で真度が±15%以内、定量下限(LLOQ)では±20%となることを許容基準とした。更に、用いた検量線ポイントの75%以上(この中にLLOQ及び定量上限が含まれる)がこの基準を満たすこととした。
<血漿中安定性>
マウス血漿中amyloid β−proteinの安定性は、検量線から得られた濃度の理論値に対する割合(真度)(%)として表した。
<結果>
今回用いた測定条件下では、amyloid β−protein(1−38)の溶出位置に夾雑ピークが認められたことから、その他の3種のamyloid β−proteinについて評価した。その結果、濃度に比例した各amyloid β−proteinのピーク面積が得られ、また、LLOQを含めて理論値の±15%以内の良好な真度を有する濃度範囲が40倍の検量線が得られた(表68)。
<検量線の作成>
検量線は、y軸にISであるNPYのピーク面積に対する各amyloid β−proteinのピーク面積を、x軸にamyloid β−protein濃度(nM)を用い、濃度分の1(1/x)を重み付けとして用いた最小二乗法にて作成した。検量線の作成では、作成した検量線を用いて算出(back−calculate)した検量線試料濃度の理論値に対する割合を真度(%)として表し、定量下限(LLOQ)以外で真度が±15%以内、定量下限(LLOQ)では±20%となることを許容基準とした。更に、用いた検量線ポイントの75%以上(この中にLLOQ及び定量上限が含まれる)がこの基準を満たすこととした。
<血漿中安定性>
マウス血漿中amyloid β−proteinの安定性は、検量線から得られた濃度の理論値に対する割合(真度)(%)として表した。
<結果>
今回用いた測定条件下では、amyloid β−protein(1−38)の溶出位置に夾雑ピークが認められたことから、その他の3種のamyloid β−proteinについて評価した。その結果、濃度に比例した各amyloid β−proteinのピーク面積が得られ、また、LLOQを含めて理論値の±15%以内の良好な真度を有する濃度範囲が40倍の検量線が得られた(表68)。
(表68)
マウス血漿中amyloid β−proteinの検量線
マウス血漿中amyloid β−proteinの検量線
血漿中安定性評価用試料(15nM)を測定したところ、室温に放置した血漿から得られた試料を測定した時に得られた各amyloid β−protein濃度の真度(%)は1時間後に約70%程度、4時間後に26.7〜50%程度にまで減少していた。一方、氷冷(4℃)下に放置した血漿から得られた試料を測定した時に得られた各amyloid β−protein濃度の真度(%)は、4時間後も98.2〜105.0%を示し、氷冷(4℃)下に放置した血漿中で各amyloid β−proteinが安定であることが示唆された(表69)。
(表69)
血漿中各amyloid β−proteinの安定性
血漿中各amyloid β−proteinの安定性
実施例22(マウス血漿中amyloid β−protein定量法の真度及び精度)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。このamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)200μLにブランクマウス血漿200μLを加えて、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)を調製した。同様に、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)200μLにブランクマウス血漿200μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)200μLにブランクマウス血漿300μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(2nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(2nM)200μLにブランクマウス血漿200μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(1nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(1nM)200μLにブランクマウス血漿200μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(0.5nM)を調製した。QC試料用として、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)150μLにブランクマウス血漿50μLを加えて、amyloid β−protein添加マウス血漿(15nM)を調製した。
<水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液を用いた血漿希釈法>
amyloid β−protein添加マウス血漿30μLを、1500μLの水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)に添加した。この水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)には、内部標準(IS)ポリペプチドとしてNPY(10nM)が含まれている。希釈されたマウス血漿を十分に攪拌後、各溶液400μL以下を市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やし、1.2mL以上のろ過液を得た。
<検量線試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(0.5、1、2、5、10及び20nM)を用いて得られたろ過液を検量線用マウス血漿試料として測定した(n=1)。
<QC試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(0.5、1、5及び15nM)を用いて得られたろ過液を、それぞれ、LLOQ、LQC、MQC及びHQC試料として調製した(n=5)。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:酢酸
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル混合液(容積比20:20:30:30)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径2.1mm、長さ100mm)2本直列
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし0.1〜10分の間0.25mL/min、30〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)10μLを、490μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin,Sodium;Rockland)に添加し、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)を調製した。このamyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)200μLにブランクマウス血漿200μLを加えて、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)を調製した。同様に、amyloid β−protein添加マウス血漿(10nM)200μLにブランクマウス血漿200μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(5nM)200μLにブランクマウス血漿300μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(2nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(2nM)200μLにブランクマウス血漿200μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(1nM)を、amyloid β−protein添加マウス血漿(1nM)200μLにブランクマウス血漿200μLを加えてamyloid β−protein添加マウス血漿(0.5nM)を調製した。QC試料用として、amyloid β−protein添加マウス血漿(20nM)150μLにブランクマウス血漿50μLを加えて、amyloid β−protein添加マウス血漿(15nM)を調製した。
<水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液を用いた血漿希釈法>
amyloid β−protein添加マウス血漿30μLを、1500μLの水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)に添加した。この水−酢酸−イソプロピルアルコール混合溶液(容積比30:60:10)には、内部標準(IS)ポリペプチドとしてNPY(10nM)が含まれている。希釈されたマウス血漿を十分に攪拌後、各溶液400μL以下を市販のウルトラフリーMC遠心式フィルターユニット(バイオマックス−PB限外ろ過メンブレン装着フィルターユニット;分画分子量10,000)に添加し、6,000×gで60分間以上(35℃)遠心し、ろ過液を得た。必要に応じて、フィルターユニットの本数を増やし、1.2mL以上のろ過液を得た。
<検量線試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(0.5、1、2、5、10及び20nM)を用いて得られたろ過液を検量線用マウス血漿試料として測定した(n=1)。
<QC試料の調製>
amyloid β−protein添加マウス血漿(0.5、1、5及び15nM)を用いて得られたろ過液を、それぞれ、LLOQ、LQC、MQC及びHQC試料として調製した(n=5)。
<測定条件>
移動相A:酢酸−水(4:100;v/v)
移動相B:酢酸
移動相C:水−酢酸−メタノール−アセトニトリル混合液(容積比20:20:30:30)
カラム:C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径2.1mm、長さ100mm)2本直列
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min(ただし0.1〜10分の間0.25mL/min、30〜39.9分の間0.6mL/min)
グラジエント:
(表70)
マウス血漿試料1000μLをシステムに導入した。
<検量線の作成>
検量線は、y軸にISであるNPYのピーク面積に対する各amyloid β−proteinのピーク面積を、x軸にamyloid β−protein濃度(nM)を用い、濃度分の1(1/x)を重み付けとして用いた最小二乗法にて作成した。検量線の作成では、作成した検量線を用いて算出(back−calculate)した検量線試料濃度の理論値に対する割合を真度(%)として表し、定量下限(LLOQ)以外で真度が±15%以内、定量下限(LLOQ)では±20%となることを許容基準とした。更に、用いた検量線ポイントの75%以上(この中にLLOQ及び定量上限が含まれる)がこの基準を満たすこととした。
<真度及び精度の算出>
真度(%)は、QC試料(n=5)を測定した時に得られた平均濃度の理論濃度に対する割合(%)として表し、精度は、変動係数(CV%)として表した。真度(%)の許容基準は、定量下限(LLOQ)以外で理論値±15%以内、定量下限(LLOQ)では理論値±20%となることとした。精度の許容基準は、CV%が定量下限(LLOQ)以外で15%以内、定量下限(LLOQ)で20%以内とした。
<結果>
今回用いた測定条件下では、amyloid β−protein(1−38)の溶出位置に夾雑ピークが認められたことから、その他の3種のamyloid β−proteinについて評価した。その結果、濃度に比例したamyloid β−protein(1−40)、(1−42)及び(1−43)のピーク面積が得られ、また、LLOQを含めて理論値の±15%以内の良好な真度を有する濃度範囲が40倍の検量線が得られた(表71)。更に、QCサンプルを測定したところ、許容基準を満たす真度及び精度が得られた(表72)。
<検量線の作成>
検量線は、y軸にISであるNPYのピーク面積に対する各amyloid β−proteinのピーク面積を、x軸にamyloid β−protein濃度(nM)を用い、濃度分の1(1/x)を重み付けとして用いた最小二乗法にて作成した。検量線の作成では、作成した検量線を用いて算出(back−calculate)した検量線試料濃度の理論値に対する割合を真度(%)として表し、定量下限(LLOQ)以外で真度が±15%以内、定量下限(LLOQ)では±20%となることを許容基準とした。更に、用いた検量線ポイントの75%以上(この中にLLOQ及び定量上限が含まれる)がこの基準を満たすこととした。
<真度及び精度の算出>
真度(%)は、QC試料(n=5)を測定した時に得られた平均濃度の理論濃度に対する割合(%)として表し、精度は、変動係数(CV%)として表した。真度(%)の許容基準は、定量下限(LLOQ)以外で理論値±15%以内、定量下限(LLOQ)では理論値±20%となることとした。精度の許容基準は、CV%が定量下限(LLOQ)以外で15%以内、定量下限(LLOQ)で20%以内とした。
<結果>
今回用いた測定条件下では、amyloid β−protein(1−38)の溶出位置に夾雑ピークが認められたことから、その他の3種のamyloid β−proteinについて評価した。その結果、濃度に比例したamyloid β−protein(1−40)、(1−42)及び(1−43)のピーク面積が得られ、また、LLOQを含めて理論値の±15%以内の良好な真度を有する濃度範囲が40倍の検量線が得られた(表71)。更に、QCサンプルを測定したところ、許容基準を満たす真度及び精度が得られた(表72)。
(表71)
マウス血漿中amyloid β−proteinの検量線
マウス血漿中amyloid β−proteinの検量線
(表72)
マウス血漿中amyloid β−protein定量法の精度及び真度
マウス血漿中amyloid β−protein定量法の精度及び真度
今回用いた測定条件下で、マウス血漿中のamyloid β−protein(1−40)、(1−42)及び(1−43)を精度良く定量できることが確認されたことから、アミロイド前駆体タンパク(APP)を組み換え導入したトランスジェニックマウス(Tgマウス)の血漿中amyloid β−protein濃度測定を実施した。その結果を表73に示す。本発明法で得られたamyloid β−protein(1−40)の濃度は、別途ELISA法で得られた値とほぼ相関していた。一方、amyloid β−protein(1−42)濃度は、ピークが検出されたものの定量下限以下であった。検量線を外挿して得られた濃度を参考値としてELISA法で得られた値と比較すると、ほぼ相関していると考えられた。従って、本発明法によって血漿中等の生体試料中amyloid β−proteinの定量が可能であることが示された。
(表73)
本発明法及びELISA法によって得られたTgマウス血漿中amyloid
β−protein濃度
本発明法及びELISA法によって得られたTgマウス血漿中amyloid
β−protein濃度
今回用いた前処理法及び分析法は、amyloid β−protein以外のポリペプチドにも応用可能な方法であり、更に、保持時間とグラジエント勾配との間に認められるべき乗則を考慮すると、本発明法では、試料導入時間及びカラム負荷量が許す限りの試料量の導入に比例した高感度化も可能であることに加えて、今回の試験で用いたAPI365よりも約50倍以上高感度なMS/MS、例えばAPI5000を用いることにより、さらなる高感度定量が可能であると考えられる。従って、本発明法は、最新のMS/MSと組み合わせることにより、免疫学的手法に匹敵もしくは凌駕する感度を有する生体試料中ポリペプチドの高感度定量法を可能とすると考えられた。更に、今回の実施例からも明らかな通り、本発明法では、ELISA法と異なり、臨界値の異なる複数のポリペプチドを一斉に定量できることから、現在プロテオミクス研究で行われているような網羅的なポリペプチド検出によるバイオマーカー探索研究においても有効であると考えられた。
実施例23(分子ふるいクロマトグラフィー)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)1μLを、990μLの水−酢酸−アセトニトリル混合液(容積比20:60:20)に添加し、さらに10μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin, Sodium; Rockland)を添加して、amyloid β−protein添加マウス血漿試料(最終溶液中amyloid β−protein濃度:各1nM)を調製した。
<本出願LC条件>
移動相A:水−酢酸−アセトニトリル(容積比20:60:20)
カラム:C4逆相カラム(inertsil WP300 Diol:内径2.1mm、長さ100mm,5μm)(分子ふるいカラムとして使用)
カラム温度:60℃
流速:0.05mL/min
<MS条件>
Q1 Scan: Start(amu): 100.00 Stop(amu): 1800.00
Time(sec): 5.00
Step size (amu): 0.10
MRM:Q1 mass(amu) → Q3 mass(amu)
722.60 → 72.20
689.60 → 86.20
753.40 → 72.20
770.20 → 72.2
amyloid β−protein添加マウス血漿試料2μLをシステムに導入した。
<結果>
amyloid β−protein添加マウス血漿試料を測定した時に得られるQ1スキャンのトータルイオンクロマトグラムを図15(A)に示す。この時、アルブミン等の高分子ポリペプチドの多価イオンが約5分に認められた(図15(B))。また、約8分から10分にかけてベースラインの上昇が認められたが、この時1600amuから1800amuに多価イオンは認められず、300から400amuの範囲のイオン強度が増加していたため(図15(C))、低分子量のポリペプチド及び低分子化合物群であると考えられた。一方、amyloid β−protein添加マウス血漿試料を測定した時に得られるMRMクロマトグラム例を図16に示す。各amyloid β−proteinのピークは全て約7分に認められた。
今回の結果から、アルブミンのような高分子ポリペプチドと分子量約4000程度のamyloid β−proteinとを、OFF相にした状態で分子ふるいの原理に基づいて分離できることが示された。
実施例24(分子ふるいクロマトグラフィーを加えた本発明法によるマウス血漿中amyloid β−proteinの定量)
<試料調製>
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。さらに、このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)500μL、200μL及び100μLを、それぞれ、500μL、800μL及び900μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各500 nM、200nM及び100nM)を調製した。このamyloid β−protein混合溶液(各500nM)100μLを、900μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各50nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM、各500nM、200nM、100nM、及び各50nM)10μLを、980μLの水−酢酸−アセトニトリル混合液(容積比20:60:20)に添加し、さらに10μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin, Sodium; Rockland)を添加して、amyloid β−protein添加マウス血漿試料(最終溶液中amyloid β−protein濃度:各10nM、各5nM、各2nM、各1nM、及び各0.5nM)を調製した。
<分子ふるいクロマトグラフィーを加えた装置における測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:水−酢酸−アセトニトリル(容積比20:60:20)
カラム:C4逆相カラム(inertsil WP300 Diol:内径2.1mm、長さ100mm,5μm)(分子ふるいカラムとして使用)
C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)(逆相カラムとして使用)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
実施例23(分子ふるいクロマトグラフィー)
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM)1μLを、990μLの水−酢酸−アセトニトリル混合液(容積比20:60:20)に添加し、さらに10μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin, Sodium; Rockland)を添加して、amyloid β−protein添加マウス血漿試料(最終溶液中amyloid β−protein濃度:各1nM)を調製した。
<本出願LC条件>
移動相A:水−酢酸−アセトニトリル(容積比20:60:20)
カラム:C4逆相カラム(inertsil WP300 Diol:内径2.1mm、長さ100mm,5μm)(分子ふるいカラムとして使用)
カラム温度:60℃
流速:0.05mL/min
<MS条件>
Q1 Scan: Start(amu): 100.00 Stop(amu): 1800.00
Time(sec): 5.00
Step size (amu): 0.10
MRM:Q1 mass(amu) → Q3 mass(amu)
722.60 → 72.20
689.60 → 86.20
753.40 → 72.20
770.20 → 72.2
amyloid β−protein添加マウス血漿試料2μLをシステムに導入した。
<結果>
amyloid β−protein添加マウス血漿試料を測定した時に得られるQ1スキャンのトータルイオンクロマトグラムを図15(A)に示す。この時、アルブミン等の高分子ポリペプチドの多価イオンが約5分に認められた(図15(B))。また、約8分から10分にかけてベースラインの上昇が認められたが、この時1600amuから1800amuに多価イオンは認められず、300から400amuの範囲のイオン強度が増加していたため(図15(C))、低分子量のポリペプチド及び低分子化合物群であると考えられた。一方、amyloid β−protein添加マウス血漿試料を測定した時に得られるMRMクロマトグラム例を図16に示す。各amyloid β−proteinのピークは全て約7分に認められた。
今回の結果から、アルブミンのような高分子ポリペプチドと分子量約4000程度のamyloid β−proteinとを、OFF相にした状態で分子ふるいの原理に基づいて分離できることが示された。
実施例24(分子ふるいクロマトグラフィーを加えた本発明法によるマウス血漿中amyloid β−proteinの定量)
<試料調製>
<amyloid β−protein標準溶液の調製>
amyloid β−protein(1−38)、amyloid β−protein(1−40)、amyloid β−protein(1−42)及びamyloid β−protein(1−43)保存溶液(0.1mM)各10μLを、960μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各1μM)を調製した。さらに、このamyloid β−protein混合溶液(各1μM)500μL、200μL及び100μLを、それぞれ、500μL、800μL及び900μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各500 nM、200nM及び100nM)を調製した。このamyloid β−protein混合溶液(各500nM)100μLを、900μLの酢酸−水−アセトニトリル混合液(容積比4:50:50)に添加し、amyloid β−protein混合溶液(各50nM)を調製した。
<amyloid β−protein添加マウス血漿試料の調製>
amyloid β−protein混合溶液(各1μM、各500nM、200nM、100nM、及び各50nM)10μLを、980μLの水−酢酸−アセトニトリル混合液(容積比20:60:20)に添加し、さらに10μLのブランクマウス血漿(Non−Sterile Mouse Plasma in Heparin, Sodium; Rockland)を添加して、amyloid β−protein添加マウス血漿試料(最終溶液中amyloid β−protein濃度:各10nM、各5nM、各2nM、各1nM、及び各0.5nM)を調製した。
<分子ふるいクロマトグラフィーを加えた装置における測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:水−酢酸−アセトニトリル(容積比20:60:20)
カラム:C4逆相カラム(inertsil WP300 Diol:内径2.1mm、長さ100mm,5μm)(分子ふるいカラムとして使用)
C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)(逆相カラムとして使用)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表74)
<MS条件>
Q1 Scan:Start (amu): 100.00
Stop (amu): 1800.00
Time (sec): 5.00
Step size (amu): 0.10
MRM:Q1 mass(amu) → Q3 mass (amu)
722.60 → 72.20
689.60 → 86.20
753.40 → 72.20
770.20 → 72.2
amyloid β−protein添加マウス血漿試料20μLをシステムに導入した。
<結果>
分子ふるいクロマトグラフィーを加えた本発明法(図14(A))を用いて、amyloid β−protein添加マウス血漿試料を測定した時に得られるMRMクロマトグラム例を図17に示す。全てのamyloid β−proteinのピークが認められ、そのときの各ピーク強度は濃度に比例していた(表75)。
Q1 Scan:Start (amu): 100.00
Stop (amu): 1800.00
Time (sec): 5.00
Step size (amu): 0.10
MRM:Q1 mass(amu) → Q3 mass (amu)
722.60 → 72.20
689.60 → 86.20
753.40 → 72.20
770.20 → 72.2
amyloid β−protein添加マウス血漿試料20μLをシステムに導入した。
<結果>
分子ふるいクロマトグラフィーを加えた本発明法(図14(A))を用いて、amyloid β−protein添加マウス血漿試料を測定した時に得られるMRMクロマトグラム例を図17に示す。全てのamyloid β−proteinのピークが認められ、そのときの各ピーク強度は濃度に比例していた(表75)。
(表75)
分子ふるいクロマトグラフィーを加えた本発明法によるマウス血漿中amyloid β−protein検量線の作成
分子ふるいクロマトグラフィーを加えた本発明法によるマウス血漿中amyloid β−protein検量線の作成
今回の結果から、分子ふるいクロマトグラフィーを加えた本発明法(図14(A))により、分子サイズに依存して目的ポリペプチドと夾雑物質とをオンラインで分離した後、目的ポリペプチドを含む分画のみを逆相カラムに導入することで定量可能なことが示された。
さらに、amyloid β−protein添加マウス血漿試料を測定した時のQ1スキャンのトータルイオンクロマトグラムを図18(A)左に示す。また、実施例17に準じて限外ろ過膜で前処理したamyloid β−protein添加マウス血漿試料を、分子ふるいクロマトグラフィーを加えない本発明法(図1(C))を用いて、後述の条件下で測定した時のQ1スキャンのトータルイオンクロマトグラムを図18(A)右に示す。この2つのトータルイオンクロマトグラムを比較した場合、一見差がないように見えるものの、マス範囲を狭くして比較した場合、分子ふるいクロマトグラフィーを加えた本発明法で得られたクロマトグラム上には、分子ふるいクロマトグラフィーを加えない本発明法で得られたクトマトグラム上より夾雑ピークの数が少なかった(図18(B)〜(D))。したがって、分子ふるいクロマトグラフィーによるオンライン前処理法は、限外ろ過膜を用いた前処理法と比較して、分子量の大きいポリペプチドのみならず、目的とするポリペプチドより分子量の小さなポリペプチドおよび低分子化合物を除去できる点で優れていると考えられた。
<分子ふるいクロマトグラフィーを加えない装置における測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:水−酢酸−アセトニトリル(容積比20:60:20)
カラム: C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
<分子ふるいクロマトグラフィーを加えない装置における測定条件>
移動相A:酢酸−水(容積比4:100)
移動相B:水−酢酸−アセトニトリル(容積比20:60:20)
カラム: C18逆相カラム(Chromolith Performance RP−18e:内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:60℃
流速:0.2mL/min
グラジエント:
(表76)
<MS条件>
Q1 Scan:Start (amu): 300.00
Stop (amu): 1800.00
Time (sec): 5.00
Step size (amu): 0.10
Q1 Scan:Start (amu): 300.00
Stop (amu): 1800.00
Time (sec): 5.00
Step size (amu): 0.10
Claims (15)
- 逆相液体クロマトグラフを用いるあるポリペプチド(以下、ポリペプチドAと称する)の検出又は定量方法であって、以下の工程を含むポリペプチドの検出又は定量方法;
(1)OFF相ポリペプチドAを含むOFF相ポリペプチド試料を液体クロマトグラフに導入する工程、
(2)(1)で導入したOFF相ポリペプチド試料中のOFF相ポリペプチドAを、分子量に依存して分画する手段により、分離する工程、
(3)(2)で分離したOFF相ポリペプチドAを相転移させる手段により、ON相ポリペプチドAを生成する工程、
(4)(3)で生成したON相ポリペプチドAとカラム充填剤を相互作用させる工程、
(5)(4)で相互作用したON相ポリペプチドAを相転移させ、OFF相ポリペプチドAを生成する工程、
(6)(5)で生成したOFF相ポリペプチドAを溶出する工程、及び
(7)(6)で溶出したポリペプチドAを検出又は定量する工程。 - OFF相ポリペプチドAが、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、DMSO、THF、酢酸、ギ酸及びTFAから選ばれる1種又は2種以上の有機溶媒(有機溶媒1、・・・、有機溶媒n(nは1以上7以下の整数))を含む溶液に存在するポリペプチドAであって、下記式(1)が成立している溶液(OFF相溶液)に存在するポリペプチドAである、請求項1に記載のポリペプチドの検出又は定量方法。
(式(1)において、X1は水−有機溶媒1混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、Xnは水−有機溶媒n混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、x1はOFF相溶液における有機溶媒1の容積比(%)、xnはOFF相溶液における有機溶媒nの容積比(%)をそれぞれ示す) - ON相ポリペプチドAが以下の群より選ばれる溶液に存在するポリペプチドAである、請求項1に記載のポリペプチドの検出又は定量方法;
(1)有機溶媒を含まない水溶液、及び
(2)アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、DMSO、THF、酢酸、ギ酸及びTFAから選ばれる1種又は2種以上の有機溶媒(有機溶媒1、・・・、有機溶媒n(nは1以上7以下の整数))を含む溶液であって、下記式(2)が成立している溶液(ON相溶液)。
(式(2)において、X1は水−有機溶媒1混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、Xnは水−有機溶媒n混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、x1はON相溶液における有機溶媒1の容積比(%)、xnはON相溶液における有機溶媒nの容積比(%)をそれぞれ示す) - OFF相ポリペプチドAが下記(A)で示されるポリペプチドAであって、かつ、ON相ポリペプチドAが下記(B)で示されるポリペプチドAである、請求項1に記載のポリペプチドの検出又は定量方法;
(A)アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、DMSO、THF、酢酸、ギ酸及びTFAから選ばれる1種又は2種以上の有機溶媒(有機溶媒1、・・・、有機溶媒n(nは1以上7以下の整数))を含む溶液に存在するポリペプチドAであって、下記式(1)が成立している溶液(OFF相溶液)に存在するポリペプチドA、
(式(1)において、X1は水−有機溶媒1混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、Xnは水−有機溶媒n混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、x1はOFF相溶液における有機溶媒1の容積比(%)、xnはOFF相溶液における有機溶媒nの容積比(%)をそれぞれ示す)及び
(B)有機溶媒を含まない水溶液、又は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、DMSO、THF、酢酸、ギ酸及びTFAから選ばれる1種又は2種以上の有機溶媒(有機溶媒1、・・・、有機溶媒n(nは1以上7以下の整数))を含む溶液であって、下記式(2)が成立している溶液(ON相溶液)に存在するポリペプチドA。
(式(2)において、X1は水−有機溶媒1混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、Xnは水−有機溶媒n混合溶液におけるポリペプチドAの相転移臨界値(%)、x1はON相溶液における有機溶媒1の容積比(%)、xnはON相溶液における有機溶媒nの容積比(%)をそれぞれ示す) - OFF相溶液に含まれる有機溶媒及びON相溶液に含まれる有機溶媒から選ばれる各々の有機溶媒と水の混合溶液におけるポリペプチドAの逆相カラム充填剤への吸着能の相転移臨界値を決定する工程を含む、請求項4に記載のポリペプチドの検出又は定量方法。
- ポリペプチドAの分子量が1万Da以下である、請求項1から5のうちいずれか1項に記載のポリペプチドの検出又は定量方法。
- ポリペプチドAが、以下の群より選ばれるいずれか1のポリペプチドである、請求項1から5のうちいずれか1項に記載のポリペプチドの検出又は定量方法;
(1)副腎皮質刺激ホルモンのアミノ酸配列第1番目から第24番目からなるポリペプチド、
(2)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第16番目からなるポリペプチド、
(3)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第28番目からなるポリペプチド、
(4)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第38番目からなるポリペプチド、
(5)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第40番目からなるポリペプチド、
(6)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第42番目からなるポリペプチド、
(7)βアミロイドのアミノ酸配列第1番目から第43番目からなるポリペプチド、
(8)成長ホルモン放出因子、
(9)イソロイシル−セリル−ブラジキニン、
(10)インスリン、
(11)脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP−32)、
(12)C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP−53)、
(13)ミッドカインのアミノ酸配列第60番目から第121番目からなるポリペプチド、
(14)ニューロメジンC、
(15)ニューロペプチドY(NPY)、
(16)ノシセプチン、
(17)オキシトシン、
(18)ウロコルチン、
(19)ミッドカイン、
(20)インターフェロン−γ、
(21)心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP(1−28))、
(22)ラット好中球走化性因子−1(CINC−1/gro)、
(23)副甲状腺ホルモン(PTH(1−84))、
(24)オバルブミンのアミノ酸配列第323番目から第339番目からなるポリペプチド、
(25)オバルブミン、
(26)アンジオテンシンII、及び
(27)アミノ酸配列第4番目のチロシンがリン酸化されたアンジオテンシンII。 - ポリペプチドAを検出又は定量する工程が、液体クロマトグラフに接続されている質量分析計に備わるポリペプチドの検出又は定量手段によりポリペプチドAを検出又は定量する工程である、請求項1から7のうちいずれか1項に記載のポリペプチドの検出又は定量方法。
- 少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、該スイッチングバルブと移動相2供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器、該移動相混合器と送液管を介して接続する逆相カラム、並びに該逆相カラムと接続されるポリペプチドの検出又は定量器を有する液体クロマトグラフ。
- 少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、該スイッチングバルブと移動相2供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器、該移動相混合器と送液管を介して接続する逆相カラム、並びに該逆相カラムと接続される質量分析計を有する液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)。
- 少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ1、該スイッチングバルブ1と移動相2供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器、該移動相混合器と送液管を介して接続する逆相カラム、並びに該逆相カラムと接続されるスイッチングバルブ2、並びに該スイッチングバルブ2と接続される質量分析計を有する、液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)。
- 少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1及び2とはそれぞれ異なる移動相(移動相3)を供給する移動相供給器(移動相3供給器)、移動相1供給器と移動相2供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器(混合器A)、混合器Aと送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、該スイッチングバルブと該移動相3供給器を送液管を介して接続する移動相混合器(混合器B)、混合器Bと送液管を介して接続する逆相カラム、該逆相カラムと送液管を介して接続される質量分析計を有する液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)
- 少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1及び2とはそれぞれ異なる移動相(移動相3)を供給する移動相供給器(移動相3供給器)、移動相1供給器と移動相2供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器(混合器A)、混合器Aと送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ1、該スイッチングバルブ1と移動相3供給器とを送液管を介して接続する移動相混合器B(混合器B)、混合器Bと送液管を介して接続する逆相カラム、該逆相カラムと送液管を介して接続されるスイッチングバルブ2、並びに該スイッチングバルブ2と接続される質量分析計を有する、液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)。
- 少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1及び2とはそれぞれ異なる移動相(移動相3)を供給する移動相供給器(移動相3供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ、移動相2供給器と移動相3供給器を送液管を介して接続する移動相混合器B(混合器B)、該スイッチングバルブと混合器Bを送液管を介して接続する移動相混合器A(混合器A)、混合器Aと送液管を介して接続する逆相カラム、該逆相カラムと送液管を介して接続される質量分析計を有する液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)。
- 少なくとも、ある移動相(移動相1)を供給する移動相供給器(移動相1供給器)、移動相1とは異なる移動相(移動相2)を供給する移動相供給器(移動相2供給器)、移動相1及び2とはそれぞれ異なる移動相(移動相3)を供給する移動相供給器(移動相3供給器)、移動相1供給器と送液管を介して接続する試料注入器、該試料注入器と送液管を介して接続する分子ふるいカラム、該分子ふるいカラムと送液管を介して接続するスイッチングバルブ1、移動相2供給器と移動相3供給器を送液管を介して接続する移動相混合器B(混合器B)、該スイッチングバルブ1と混合器Bを送液管を介して接続する移動相混合器A(混合器A)、混合器Aと送液管を介して接続する逆相カラム、該逆相カラムと送液管を介して接続されるスイッチングバルブ2、並びに該スイッチングバルブ2と接続される質量分析計を有する、液体クロマトグラフ/質量分析計(LC−MS)又は液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC−MS/MS)。
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