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JP2008210581A - 燃料電池 - Google Patents

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JP2008210581A
JP2008210581A JP2007044431A JP2007044431A JP2008210581A JP 2008210581 A JP2008210581 A JP 2008210581A JP 2007044431 A JP2007044431 A JP 2007044431A JP 2007044431 A JP2007044431 A JP 2007044431A JP 2008210581 A JP2008210581 A JP 2008210581A
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Hiroshi Suga
博史 菅
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Toshiba Corp
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Abstract

【課題】燃料クロスオーバーによる出力低下が抑制されると共に、過度な発熱も抑制され、放熱対策も容易な燃料電池を提供すること。
【解決手段】カソード触媒層と、アノード触媒層と、前記カソード触媒層と前記アノード触媒層との間に配置されるプロトン伝導性膜と、燃料を前記アノード触媒層に供給するための機構とを具備する燃料電池であって、前記カソード触媒層が、電子伝導性を有する担体上にパラジウム単体またはパラジウム合金が担持されたパラジウム系触媒を含むもの。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池に係り、特に高濃度燃料を用いた場合の燃料クロスオーバーによる出力低下や、過度な発熱が抑制された燃料電池に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の各種小型電子機器は半導体技術の発達と共に小型化されており、これらの電源に燃料電池を用いることが試みられている。燃料電池は、燃料と酸化剤とを供給するだけで発電することができ、燃料のみを交換すれば連続して発電できるという利点を有しているため、小型化ができれば小型電子機器の動作に極めて有利なシステムといえる。特に、直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)は、エネルギー密度の高いメタノールを燃料に用い、メタノールから電極触媒上で直接電流を取り出すことができ、改質器も不要なことから、小型電子機器用電源として有望である。
DMFCにおける燃料の供給方式としては、例えば液体燃料を気化させたものをブロア等でDMFC内に送り込む気体供給型、液体燃料をそのままポンプ等でDMFC内に送り込む液体供給型、DMFC内で液体燃料を気化させる内部気化型が知られている。
例えば、内部気化型DMFCとしては、カソード触媒層とアノード触媒層との間にプロトン伝導性膜が配置された膜電極接合体と、液体燃料収容室と、これら膜電極接合体と液体燃料収容室との間に配置され、液体燃料の気化成分のみを透過させる気液分離膜からなる燃料気化層とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2005/112172号パンフレット
しかしながら、上記内部気化型DMFCを初めとする従来の燃料電池については、必ずしも十分な出力特性が得られていない。すなわち、濃度が50mol%以上となる高濃度燃料を使用した場合、主成分である燃料成分の蒸気圧が高くなることから、燃料成分がそのままカソード側へと透過する、いわゆる燃料クロスオーバーが発生しやすくなる。燃料クロスオーバーが発生すると、カソード側の電位が低下することから、十分な出力特性が得られず、また発熱も多くなることから、十分な放熱対策が必要となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、特に高濃度燃料を使用した場合における燃料クロスオーバーによる出力低下が抑制されると共に、過度な発熱も抑制され、放熱対策も容易な燃料電池を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カソード触媒層の触媒として、少なくともメタノール酸化活性の低いパラジウム系触媒を用いることで、燃料クロスオーバーによる出力低下を抑制すると共に、過度な発熱を抑制し、放熱対策も簡略化できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の燃料電池は、カソード触媒層と、アノード触媒層と、前記カソード触媒層と前記アノード触媒層との間に配置されるプロトン伝導性膜と、燃料を前記アノード触媒層に供給するための機構とを具備するものであって、前記カソード触媒層が、電子伝導性を有する担体上にパラジウム単体またはパラジウム合金が担持されたパラジウム系触媒を含むことを特徴としている。
本発明の燃料電池におけるカソード触媒層は、さらに非電子伝導性の担体上に白金が担持された白金触媒、または電子伝導性を有する担体上に白金が担持された白金触媒を含むことが好ましい。
また、本発明の燃料電池においては、カソード触媒層にこのような白金触媒が含まれる代わりに、カソード触媒層の少なくともプロトン伝導性膜とは反対側に、このような白金触媒を含む白金触媒層が設けられていてもよい。また、このような白金触媒層における白金触媒は、非電子伝導性かつ非プロトン伝導性のバインダ中に含有されていることが好ましい。
本発明によれば、カソード触媒層における触媒として少なくともパラジウム系触媒を用いることで、燃料クロスオーバーによる出力低下を抑制すると共に、過度な発熱も抑制し、放熱対策も容易な燃料電池とすることができる。また、本発明によれば、カソード触媒層にさらに白金触媒を含有させることで、またはカソード触媒層とは別に白金触媒を含む白金触媒層を設けることで、より一層出力特性に優れ、放熱対策も容易な燃料電池とすることができる。
以下、本発明の燃料電池について、内部気化型の直接メタノール型燃料電池を例に挙げて説明する。図1は、本発明の燃料電池1を示す断面図である。膜電極接合体(MEA)2は起電部を構成し、カソード触媒層3およびカソードガス拡散層4からなるカソードと、アノード触媒層5およびアノードガス拡散層6からなるアノードと、これらカソードとアノードとの間に配置されるプロトン伝導性膜7とを備えるものである。
カソードガス拡散層4はカソード触媒層3に積層され、かつアノードガス拡散層6はアノード触媒層5に積層されている。カソードガス拡散層4はカソード触媒層3に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層3の集電体としての役割も果たしている。また、アノードガス拡散層6はアノード触媒層5に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層5の集電体としての役割も果たしている。これらカソードガス拡散層4およびアノードガス拡散層6は、例えばカーボンペーパー等から構成されている。
さらに、カソードガス拡散層4にはカソード導電層8が積層され、アノードガス拡散層6にはアノード導電層9が積層されている。これらカソード導電層8およびアノード導電層9は、例えば金等の金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)とされている。
プロトン伝導性膜7とカソード導電層8との間であって、カソード触媒層3およびカソードガス拡散層4の周囲には、例えば断面がO字状であり、平面形状が矩形枠状のカソードシール材10が設けられている。また、プロトン伝導性膜7とアノード導電層9との間であって、アノード触媒層5およびアノードガス拡散層6の周囲にも、例えば断面がO字状であり、平面形状が矩形枠状のアノードシール材11が設けられている。これらカソードシール材10、11は、膜電極接合体2からの燃料漏れおよび酸化剤漏れを防止するものであり、例えばゴム等の弾性体から構成されている。
膜電極接合体2のアノード側には、液体燃料収容室12が配置されている。液体燃料収容室12には、液体燃料Fとしてメタノール水溶液あるいは純メタノールが収容されている。液体燃料収容室12の開口端には、燃料気化層13として、例えば液体燃料Fの気化成分のみを透過させて、液体成分は透過させにくい気液分離膜が配置されている。ここで、液体燃料Fの気化成分とは、液体燃料Fとして純メタノールを使用した場合には、メタノールの気化成分を意味し、液体燃料としてメタノール水溶液を使用した場合には、メタノールの気化成分と水の気化成分とからなる混合ガスを意味する。
膜電極接合体2と燃料気化層13との間には、樹脂製のフレーム14が積層されている。フレーム14で囲まれた空間は、燃料気化層13を拡散してきた気化燃料を一時的に収容しておく気化燃料収容室15(いわゆる蒸気だまり)として機能する。この燃料気化層13および気化燃料収容室15の透過燃料量抑制効果により、膜電極接合体2への急激な気化燃料の流入が抑制され、燃料クロスオーバーの発生が抑制される。なおフレーム14は、平面形状が格子状となるもので、膜電極接合体2を押さえることで変形を抑え、接触抵抗を低減する役割も担っている。そのため、フレーム14に使用される材質は、例えばPEEKの様な耐薬性に優れるエンジニアリング・プラスチックから構成されている。
一方、膜電極接合体2のカソード導電層8上には保湿板16が積層されている。保湿板16は、カソード触媒層3で生成した水の蒸散を抑制する機能を有すると共に、カソードガス拡散層4に酸化剤を均一に導入し、カソード触媒層3への酸化剤の均一な拡散を促進する補助拡散層としての機能も有している。保湿板16上には、酸化剤である空気を取り入れるための空気導入口17aが複数形成された表面層17が積層されている。表面層17は、膜電極接合体2や保湿板16を加圧し、それらの密着性を高める役割も果たしており、例えばSUS304のような金属から構成されている。
本発明におけるカソード触媒層3は、図2に示すように、少なくともパラジウム系触媒20を含むものである。このパラジウム系触媒20は、具体的には、電子伝導性を有する担体21上に、パラジウム単体またはパラジウム合金からなる触媒微粒子22が担持されたものである。また、このようなパラジウム系触媒20は、例えばプロトン伝導性の高分子電解質23中に含有された状態となっている。
このようなパラジウム系触媒20は、従来から用いられている白金触媒に比べ、メタノールの酸化活性が低いものである。すなわち、本発明では、カソード触媒層3における触媒として少なくともこのようなメタノールの酸化活性が低いパラジウム系触媒20を用いることで、燃料クロスオーバーによる出力低下を抑制すると共に、過度な発熱も抑制し、放熱対策も容易なものとすることができる。
特に、液体燃料Fとして高濃度燃料、例えば濃度が50mol%以上となるメタノール水溶液あるいは純メタノールを用いるものについて燃料クロスオーバーが発生しやすいことから、このような高濃度燃料を用いるものについてカソード触媒層3における触媒として少なくともパラジウム系触媒20を用いることで、燃料クロスオーバーによる出力低下を効果的に抑制し、また過度な発熱も効果的に抑制し、放熱対策も容易なものとすることができる。
パラジウム系触媒20における担体21は、電子伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばケッチェンブラック等のカーボンブラック、気相成長法炭素繊維、カーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブ等が好適に用いられる。
また、パラジウム系触媒20における触媒微粒子22は、パラジウム単体またはパラジウム合金からなるものである。なお、本発明においてパラジウム合金とは、パラジウムを50at.%以上含むものを指す。パラジウム合金におけるパラジウム以外の合金成分としては、パラジウムの面心立方構造(FCC)に固溶するものであれば必ずしも制限されるものではないが、例えば白金、イリジウム等が好適である。パラジウム合金におけるパラジウム以外の合金成分の含有量は、50at.%未満の範囲内で適宜変更することができ、発電時の発熱等を考慮して決定することが好ましい。
一方、プロトン伝導性の高分子電解質23は、一般にカソード触媒層を構成するものとして用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えばNafion(デュポン社登録商標)等のスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸等の無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体等の高分子電解質が挙げられる。
カソード触媒層3には、図3、4に示すように白金触媒24または25を含有させることが好ましい。ここで、図3に示される白金触媒24は、非電子伝導性の担体26上に、白金からなる触媒微粒子27を担持させたものであり、図4に示される白金触媒25は、電子伝導性を有する担体21上に、白金からなる触媒微粒子27を担持させたものである。ここで、図4に示される白金触媒25における電子伝導性を有する担体21は、パラジウム系触媒20における担体21と同様な電子伝導性を有する担体を用いることができるため、同一の符号を付している。
パラジウム系触媒20は、従来から用いられている白金触媒に比べ、酸素の還元特性において若干劣っている。このため、カソード触媒層3の触媒としてパラジウム系触媒20のみを用いた場合、酸素の還元反応により生成される水が少なくなることがあり、結果としてアノード触媒層5において液体燃料Fの内部改質反応に必要な水が不足し、必ずしも出力特性に優れないことがある。本発明では、パラジウム系触媒20と共に、白金触媒24または25を用いることで、カソード触媒層3で生成される水を増やし、結果として出力特性に優れたものとすることができる。
また、カソード触媒層3の触媒としてパラジウム系触媒20のみを用いた場合、発熱が少なく、温度が上がらないことから、触媒活性が必ずしも十分なものとならないことがあるが、本発明のように白金触媒24または25を併用することで、発熱を多くし、触媒活性を向上させることもできる。さらに、パラジウム系触媒20は、従来から用いられている白金触媒に比べ、排ガスの処理能力についても劣っているが、本発明のように白金触媒24または25を併用することで、排ガスの処理能力も向上させることができる。
白金触媒24における非電子伝導性の担体26としては、電子伝導性を有しないものであれば特に限定されるものではないが、例えばアルミナ、シリカ、ゼオライト等が好適に用いられる。また、白金触媒25における電子伝導性を有する担体21としては、電子伝導性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばパラジウム系触媒20における担体21と同様なものを用いることができる。一方、白金触媒24、25における触媒微粒子27は、いずれも白金からなるものであり、具体的には白金単体からなるものが好ましい。
ここで、カソード触媒層3に含有させる白金触媒24、25はいずれであってもよいが、好ましくは非電子伝導性の担体26上に白金からなる触媒微粒子27が担持された白金触媒24が好ましい。これは、白金からなる触媒微粒子27を担持するものが非電子伝導性の担体26であることで、触媒微粒子27から担体26への電子の移動が抑制され、副反応の発生が抑制されやすいためである。
カソード触媒層3に、パラジウム系触媒20と共に、白金触媒24または25を添加する場合、パラジウム系触媒20に担持されているパラジウム単体またはパラジウム合金と、白金触媒24または25に担持されている白金との合計量中、白金触媒24または25に担持されている白金の含有量が1wt%以上、20wt%以下となるように、添加することが好ましい。白金触媒24または25を添加する場合に、上記白金の含有量が上記下限値未満となる場合、白金触媒24または25の添加量が少ないためその添加効果が少なく、また上記白金の含有量が上記上限値を超える場合、白金触媒24または25による副反応の発生が多くなりやすい。
また、図3、4に示されるようにカソード触媒層3に白金触媒24または25を含有させる代わりに、図5に示すように、カソード触媒層3とは別に白金触媒層30または31を設け、そこに白金触媒24または25を含有させればより好ましい。図6は、白金触媒層30を模式的に示した模式図であり、図7は、白金触媒層31を模式的に示した模式図である。図6に示されるように、白金触媒層30は白金触媒24を含有するものであり、図7に示されるように、白金触媒層31は白金触媒25を含有するものである。なお、白金触媒層30、31については、白金触媒24、25のいずれも非電子伝導性バインダ32中に含有されていることが好ましい
このように、カソード触媒層3とは別に白金触媒層30または31を設けるものとすることで、パラジウム系触媒20とは分離して白金触媒24、25を非電子伝導性バインダ32中に含有させることができ、水の生成、発熱、排ガス処理等を行わせつつ、白金触媒24または25間の電子の移動を抑制し、副反応の発生をより効果的に抑制することができる。なお、白金触媒層30における水の生成、発熱は、燃料クロスオーバーによる燃料等を利用して行われる。
白金触媒層30、31を構成する非電子伝導性バインダ32は、電子伝導性を有しないものであれば特に限定されるものではないが、例えばパーフルオロカーボン系非電子伝導性バインダ、具体的にはテトラフルオロエチレン(PTFE)等が好適に用いられる。また、白金触媒24、25による副反応の発生をより一層効果的に抑制する観点から、この非導性バインダ32はプロトン伝導性を有しないものが好ましい。上記パーフルオロカーボン系非電子伝導性バインダ、具体的にはテトラフルオロエチレン(PTFE)等については、非電子伝導性であり、かつ非プロトン伝導性でもあることから、非導性バインダ32として好適に用いられる。
なお、白金触媒層30と白金触媒層31とでは、白金触媒24を含む白金触媒層30を設ける方が好ましい。すなわち、白金触媒24のように、白金からなる触媒微粒子27を担持するものが非電子伝導性の担体26であることで、触媒微粒子27から担体26への電子の移動が抑制され、副反応の発生が抑制されやすいためである。
また、図示しないが、白金触媒層30、31の位置は、必ずしもカソードガス拡散層4のカソード電子伝導層8側に限られるものではない。すなわち、カソードガス拡散層4のプロトン伝導性膜7側に白金触媒層30または31が積層され、さらにこの白金触媒層30または31のプロトン伝導性膜7側にカソード触媒層3が積層されてもよい。このようなものについても、上記したようなカソードガス拡散層4の一方の側にカソード触媒層3を積層し、他方の側に白金触媒層30または31を積層したものと同様の効果を得ることができる。
膜電極接合体2におけるカソード触媒層3以外のものについては特に限定されるものではなく、従来の燃料電池におけるものと同様のものを用いることができる。すなわち、プロトン伝導性膜7を構成するプロトン伝導性材料としては、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂(例えば、パーフルオロスルホン酸重合体)、スルホン酸基を有するハイドロカーボン系樹脂等が挙げられる。
また、アノード触媒層5は、プロトン伝導性の高分子電解質中に、電子伝導性を有する担体上に触媒微粒子が担持された触媒を含有するものである。このような触媒における電子伝導性を有する担体としては、特に限定されるものではないが、例えばケッチェンブラック等のカーボンブラック、気相成長法炭素繊維、カーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブ等が好適なものとして挙げられる。また、このような担体に担持される触媒微粒子としては、白金、イリジウム、オスミウム等の白金族元素の単体、あるいは白金族元素を含有する合金からなるものである。これらの中でも、特にメタノールや一酸化炭素に対して強い耐性を有する白金−ルテニウム合金や白金−モリブデン合金等からなる触媒微粒子が好適である。
アノード触媒層5におけるプロトン伝導性の高分子電解質は、一般にアノード触媒層を構成するものとして用いられているのであれば特に限定されるものではなく、例えばNafion(デュポン社登録商標)等のスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸等の無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体等の高分子電解質が挙げられる。
以上、本発明の燃料電池1について説明したが、出力特性の点では、カソード触媒層3とは別に白金触媒層30または31を設けたもの(図6、7)が最も優れ、次にカソード触媒層3に白金触媒24または25を含有させたもの(図3、4)が優れている。これは、カソード触媒層3とは別に白金触媒層30、31を設けることで、それを構成するバインダを非電子伝導性、さらには非プロトン伝導性とすることができ、白金触媒24、25による副反応の発生を効果的に抑制することができるためである。
また、白金触媒層30または白金触媒層31を設けたもの(図6、7)の中では、白金からなる触媒微粒子27を担持するものが非電子伝導性のものとされた白金触媒24を含む白金触媒層30を設けたもの(図6)の方が出力特性に優れている。これは、既に説明したように、白金からなる触媒微粒子27を担持するものが非電子伝導性の担体であることで、触媒微粒子27から担体への電子の移動が抑制され、副反応の発生が抑制されやすいためである。同様に、カソード触媒層3に白金触媒24または25を含有させたもの(図3、4)の中では、白金触媒24を含有させたもの(図3)の方が出力特性に優れている。
一方、生産性の点では、白金触媒層30または31を設けるもの(図6、7)に比べ、このような白金触媒層30、31を設けないもの(図2〜4)の方が優れている。これは、白金触媒層30、31を設けるものの場合、そうでないものに比べ、白金触媒層30または31を形成するための工程が増えるためである。また、カソード触媒層3に白金触媒24、25を含有させるもの(図3、4)の中では、担体が電子伝導性を有する担体21である白金触媒25を含有させるもの(図4)の方が生産性に優れている。これは、カソード触媒層3に含有されるパラジウム系触媒20の担体21と、白金触媒24の担体21とが共に電子伝導性を有するものであり、濡れ性等が類似しやすく、カソード触媒層3を形成する際のカソード触媒層形成用スラリーの調製等における混合が容易となるためである。
また、本発明の燃料電池1に用いられる液体燃料Fとしては、メタノール水溶液または純メタノールが好適なものとして挙げられるが、必ずしもこのようなものに限定されるものではなく、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の燃料も用いることもできる。
このような燃料電池1では、以下のようにして発電が行われる。まず、液体燃料収容室12内の液体燃料Fであるメタノール水溶液あるいは純メタノールの気化成分が燃料気化層13を拡散し、気化燃料収容室15に収容される。気化燃料収容室15に収容された液体燃料Fの気化成分は、徐々にアノード導電層9、アノードガス拡散層6を拡散して、アノード触媒層5へと供給される。そして、アノード触媒層5に供給された液体燃料Fの気化成分は、以下の反応式(1)に示されるメタノールの内部改質反応を生じさせる。
CHOH + HO → CO + 6H + 6e …(1)
ここで、液体燃料Fとして純メタノールを使用した場合、液体燃料Fからの水の供給はなくなるが、この場合には、後述するカソード触媒層3あるいは白金触媒層30、31で発生する水や、プロトン伝導性膜7に含まれる水等を利用して反応式(1)に示されるメタノールの内部改質反応が行われ、あるいは反応式(1)によらない水を使用しない反応機構によってメタノールの内部改質反応が行われる。
内部改質反応によって生成したプロトン(H)はプロトン伝導性膜7を拡散してカソード触媒層3へと到達する。一方、表面層17の空気導入口17aから取り入れられた空気は、保湿板16、カソード導電層8およびカソードガス拡散層4を順に拡散してカソード触媒層3に供給される。カソード触媒層3では、下記反応式(2)に示される反応によって水が生成する。つまり発電反応が生じる。また、白金触媒層30、31が設けられている場合には、この白金触媒層30、31における白金触媒24、25によっても水が生成する。
3/2O + 6H + 6e → 3HO …(2)
発電反応が進行すると、上記反応式(2)で示される反応によってカソード触媒層3や白金触媒層30、31で生成した水が保湿板16へと到達する。この保湿板16に到達した水は保湿板16によって蒸散が阻害されることから、結果としてカソード触媒層3の水分貯蔵量が増加する。そして、カソード触媒層3の水分保持量がアノード触媒層5の水分保持量よりも多くなる結果、浸透圧現象によって、カソード触媒層3からアノード触媒層5への水の移動が促進される。これにより、反応式(1)に示されるメタノールの内部改質反応が促進され、出力特性が向上すると共に、その高い出力特性が長期間にわたり維持される。
また、既に説明したように、カソード触媒層3に少なくともパラジウム系触媒20が含まれているため、燃料クロスオーバーによる出力低下が抑制されると共に、過度な発熱も抑制される。特に、液体燃料Fが高濃度燃料である場合に燃料クロスオーバーが発生しやすいことから、このような高濃度燃料を使用する場合に顕著に出力低下が抑制されると共に、過度な発熱も抑制される。
さらに、カソード触媒層3に白金触媒24あるいは25が含有されることによって、またはカソード触媒層3とは別に白金触媒層30あるいは31が設けられることによって、不足する水や発熱を補い、排ガスの処理能力も向上させ、より一層出力特性に優れたものとすることができる。
このような本発明の燃料電池1は、カソード触媒層3に少なくともパラジウム系触媒20を含有させることを除き、公知の製造方法を用いて製造することができる。以下、本発明の燃料電池の製造方法について説明する。
まず、パラジウム系触媒20は、例えば以下のようにして製造する。すなわち、電子伝導性を有する担体21をパラジウムまたはパラジウム合金を構成する各金属成分の化合物を含む水溶液またはスラリーと接触させ、この金属化合物またはそのイオンを担体21上に吸着又は含浸させる。そして、スラリーを高速で撹拌しながら適当な固定化剤、例えば水酸化ナトリウム、アンモニア、ヒドラジン、ギ酸、クエン酸、ホルマリン、メタノール、エタノール、プロパノール等の希釈溶液をゆっくりと滴下し、金属塩として、または一部還元された金属微粒子として担体21上に担持させる。さらに、得られたものを乾燥し、還元ガスあるいは不活性ガス雰囲気下で熱処理を行うことにより、パラジウム系触媒20を製造する。また、必要に応じて、白金触媒24または25についても、略同様な方法を用いて製造する。
次に、製造されたパラジウム系触媒20をプロトン伝導性の高分子電解質23の懸濁液と混合し、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、およびグリセリン、エチレングリコール等で粘度調整を行い、カソード触媒層形成用スラリーとする。また、カソード触媒層3に白金触媒24または25を含有させる場合、このカソード触媒層形成用スラリーに白金触媒24または25を混合する。
そして、このカソード触媒層形成用スラリーをカソードガス拡散層4となるカーボンペーパーやカーボンクロス等の電子伝導性多孔質基材に吸引濾過法、スプレー法、ロールコータ法等により塗布し、乾燥させ、カソードガス拡散層4上にカソード触媒層3が形成されたカソードを製造する。また、必要に応じてカソード触媒層3はプロトン導電性膜7上に直接塗布、あるいは熱転写しても良い。
また、白金触媒層30または31を設ける場合、非電子伝導性のバインダ32、例えばパーフルオロカーボン系非電子伝導性バインダ、具体的にはテトラフルオロエチレン(PTFE)等の懸濁液に白金触媒24または25を分散させて白金触媒層形成用スラリーを調製し、これを既に製造したカソードのカソードガス拡散層4側に塗布し、乾燥させる。なお、カソードガス拡散層4の一方の側に、白金触媒層30または31と、カソード触媒層3とを形成する場合、まずカソードガス拡散層4となるカーボンペーパーやカーボンクロス等の電子伝導性多孔質基材に白金触媒層形成用スラリーを塗布して白金触媒層30または31を形成した後、この白金触媒層30または31上にカソード触媒層形成用スラリーを塗布してカソード触媒層3を形成する。
そして、このようにして製造されたカソードと、別途製造されたアノードとで、プロトン伝導性膜7を挟み込んだ後、これらをロールまたはプレスによって熱圧着することで膜電極接合体2を製造する。さらに、この膜電極接合体2には、カソード導電層8やアノード導電層9を積層する。そして、液体燃料収容室12上に、燃料気化層13、膜電極接合体2、保湿板16、表面層17等を重ね合わせて一体化することで、図1あるいは図5に示されるような燃料電池1を製造することができる。
次に、実施例を参照して、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
電子伝導性を有する担体としてのKetjenECP(ライオン社製、商品名)上にPd−Pt合金(Pt10at.%)を担持させ、Pd−Pt合金触媒(触媒担持量約40at%)を製造した。そして、このPd−Pt合金触媒をパーフルオロカーボン系プロトン電子伝導性バインダナフィオン20%溶液DE2020(デュポン社製、商品名)の懸濁液、1−プロパノール、2−プロパノール、およびグリセリンと混合し、カソード触媒層形成用スラリーを調製した。さらに、このカソード触媒層形成用スラリーをカソードガス拡散層となるカーボンペーパーに塗布し、乾燥させ、カソード触媒層(図2)を形成しカソードとした。さらに、このカソードを用いて図1に示されるような膜電極接合体を製造した。
なお、プロトン伝導性膜はNRE−212(デュポン社製、商品名)とした。また、アノード触媒層は、パーフルオロカーボン系プロトン電子伝導性バインダ中に、電子伝導性を有する担体としてのKetjenECP(ライオン社製、商品名)上にPt−Ru合金(Pt60at.%)を担持させたPt−Ru合金触媒を含有させたものとした。さらに、アノードガス拡散層はカーボンペーパーとした。
(実施例2)
カソード触媒層形成用スラリーの調製において、さらに非電子伝導性の担体としてのAl上にPtを担持させたPt触媒(触媒担持量約10wt%)を添加した以外は実施例1と同様にして膜電極接合体の製造を行った。なお、この膜電極接合体におけるカソード触媒層は、図3に模式的に示されるものである。また、カソード触媒層におけるPd−Pt合金触媒とPt触媒とは、Pd−Pt合金触媒に担持されているPd−Pt合金と、Pt触媒に担持されているPtとの合計量中、Pt触媒に担持されているPtが10wt%となるようにした。
(実施例3)
カソード触媒層形成用スラリーの調製において、さらに電子伝導性の担体としてのKetjenECP(ライオン社製、商品名)上にPtを担持させたPt触媒(触媒担持量約10wt%)を添加した以外は実施例1と同様にして膜電極接合体の製造を行った。なお、この膜電極接合体におけるカソード触媒層は、図4に模式的に示されるものである。また、カソード触媒層におけるPd−Pt合金触媒とPt触媒とは、Pd−Pt合金触媒に担持されているPd−Pt合金と、Pt触媒に担持されているPtとの合計量中、Pt触媒に担持されているPtが10wt%となるようにした。
(実施例4)
実施例1と同様にして、カソードを製造した。一方、非電子伝導性の担体としてのAl上にPtを担持させたPt触媒(触媒担持量約10wt%)と、非電子伝導性のバインダとしてのPTFEの懸濁液とを混合し、白金触媒層形成用スラリーを調製した。そして、先に製造したカソードのカソードガス拡散層側にこの白金触媒層形成用スラリーを塗布し、乾燥させ、白金触媒層(図6)を形成した。その後、この白金触媒層が形成されたカソードを用いた以外は実施例1と同様にして図5に示されるような膜電極接合体を製造した。なお、白金触媒層が形成されたカソードは、カソード触媒層側がプロトン伝導性膜側となるようにした。
(実施例5)
白金触媒層形成用スラリーの調製において、非電子伝導性の担体としてのAl上にPtを担持させたPt触媒を用いる代わりに、電子伝導性を有する担体としてのKetjenECP(ライオン社製、商品名)上にPtを担持させたPt触媒(触媒担持量約70wt%)を用いた以外は実施例4と同様にして膜電極接合体を製造した。なお、この膜電極接合体における白金触媒層は、図7に模式的に示されるものである。
(比較例1)
Pd系触媒の代わりに、Pt触媒を用いた以外は実施例1と同様にして膜電極接合体の製造を行った。なお、この比較例1のPt触媒としては、電子伝導性を有する担体としてのKetjenECP(ライオン社製、商品名)上にPtが担持されたTEC10E70TPM(田中貴金属工業製、商品名、触媒担持量70wt%)を用いた。
次に、このようにして製造された実施例および比較例の膜電極接合体を用いて、図1または図5に示されるような燃料電池を製造し、液体燃料収容室内に液体燃料として純メタノールを入れ、実際に発電を行わせて電流−電圧特性を測定した。結果を図8に示す。
図8に示されるように、カソード触媒層における触媒をPt触媒とした比較例1の燃料電池に比べ、Pd−Pt合金触媒とした実施例1の燃料電池の方が出力特性に優れていることがわかる。また、カソード触媒層における触媒をPd−Pt合金触媒のみとした実施例1の燃料電池に比べ、Pt触媒を併用した実施例2、3の燃料電池の方が出力特性に優れ、さらにカソード触媒層とは別に白金触媒層を設けてそこにPt触媒を含有させた実施例4、5の燃料電池の方が出力特性に優れていることがわかる。
さらに、実施例2、3の燃料電池の中では、Ptを担持する担体を非電子伝導性のものとした実施例2の燃料電池の方が出力特性に優れていることがわかる。同様に、実施例4、5の燃料電池の中でも、Ptを担持する担体を非電子伝導性のものとした実施例4の燃料電池の方が出力特性に優れていることがわかる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上記した説明では、燃料電池の構成として膜電極接合体(MEA)の下部に燃料収容室を有する構造で説明したが、燃料収容部からMEAへの燃料の供給は流路を配して接続された構造であってもよい。また、燃料電池本体の構成としてパッシブ型の燃料電池を例に挙げて説明したが、アクティブ型の燃料電池、さらには燃料供給など一部にポンプ等を用いたセミパッシブ型の燃料電池に対しても本発明を適用することができる。これら構成であっても、上記した説明と同様の作用効果が得られる。MEAへ供給される液体燃料の蒸気においても、全て液体燃料の蒸気を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
本発明の燃料電池の一例を示す断面図。 パラジウム系触媒を含むカソード触媒層を模式的に示す模式図。 パラジウム系触媒および白金触媒を含むカソード触媒層の一例を模式的に示す模式図。 パラジウム系触媒および白金触媒を含むカソード触媒層の他の例を模式的に示す模式図。 白金触媒層を有する燃料電池の一例を示す断面図。 白金触媒層の一例を模式的に示す模式図。 白金触媒層の他の例を模式的に示す模式図。 実施例および比較例に係る燃料電池の電流−電圧特性を示す図。
符号の説明
1…燃料電池、2…膜電極接合体、3…カソード触媒層、4…カソードガス拡散層、5…アノード触媒層、6…アノードガス拡散層、7…プロトン伝導性膜、8…カソード導電層、9…アノード導電層、12…液体燃料収容室、13…燃料気化層、15…燃料気化層、20…パラジウム系触媒、21…電子伝導性を有する担体、22…パラジウム単体またはパラジウム合金からなる触媒微粒子、23…プロトン伝導性の高分子電解質、24…白金触媒(担体が電子伝導性を有するもの)、25…白金触媒(担体が非電子伝導性のもの)、26…非電子伝導性の担体、27…白金からなる触媒微粒子、30…白金触媒層(担体が非電子伝導性の白金触媒を含有するもの)、31…白金触媒層(担体が電子伝導性の白金触媒を含有するもの)

Claims (6)

  1. カソード触媒層と、アノード触媒層と、前記カソード触媒層と前記アノード触媒層との間に配置されるプロトン伝導性膜と、燃料を前記アノード触媒層に供給するための機構とを具備する燃料電池であって、
    前記カソード触媒層は、電子伝導性を有する担体上にパラジウム単体またはパラジウム合金が担持されたパラジウム系触媒を含むことを特徴とする燃料電池。
  2. 前記カソード触媒層は、さらに非電子伝導性の担体上に白金が担持された白金触媒を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記カソード触媒層は、さらに電子伝導性を有する担体上に白金が担持された白金触媒を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  4. 前記カソード触媒層の少なくとも前記プロトン伝導性膜とは反対側に、非電子伝導性の担体上に白金が担持された白金触媒を含む白金触媒層を有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  5. 前記カソード触媒層の少なくとも前記プロトン伝導性膜とは反対側に、電子伝導性を有する担体上に白金が担持された白金触媒を含む白金触媒層を有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  6. 前記白金触媒層における白金触媒が、非電子伝導性かつ非プロトン伝導性のバインダ中に含有されていることを特徴とする請求項4または5記載の燃料電池。
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