JP2008204664A - 燃料電池用膜電極接合体、およびこれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】PEFCにおいて、各要素を構成する材料の構造や物性、あるいは運転条件が変動した場合であっても、優れた発電性能を発揮させうる手段を提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜を挟持する、カソード触媒層およびアノード触媒層からなる1対の触媒層と、を有する燃料電池用MEAであって、前記カソード触媒層または前記アノード触媒層の少なくとも一方において、触媒層の面抵抗を、当該触媒層の積層方向または面方向の少なくとも一方の方向に沿って変化させる。
【選択図】図2
【解決手段】固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜を挟持する、カソード触媒層およびアノード触媒層からなる1対の触媒層と、を有する燃料電池用MEAであって、前記カソード触媒層または前記アノード触媒層の少なくとも一方において、触媒層の面抵抗を、当該触媒層の積層方向または面方向の少なくとも一方の方向に沿って変化させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、燃料電池用膜電極接合体、およびこれを用いた燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は一般に、膜電極接合体(MEA)が1対のガス拡散層および1対のセパレータで挟持されてなる構造を有する。そしてMEAは、固体高分子電解質膜が1対の触媒層(アノード側触媒層およびカソード側触媒層)により挟持されてなる構成を有する。触媒層は、電極触媒およびプロトン伝導性の固体高分子電解質を含み、外部から供給される反応ガスを拡散させるために多孔質構造を有する。また、前記電極触媒は、導電性担体に触媒成分が担持されてなる構造を有するのが一般的である。
PEFCのMEAにおいては、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、アノード側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、アノード側触媒層において触媒成分により酸化され、プロトンおよび電子となる。生成したプロトンはその後、アノード側触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらにはアノード側触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、カソード側触媒層に達する。一方、アノード側触媒層で生成した電子は、アノード側触媒層を構成している導電性担体、さらにはアノード側触媒層の固体高分子電解質膜に対向する側に接触しているガス拡散層、ガスセパレータおよび外部回路を通ってカソード側触媒層に達する。そして、カソード側触媒層に達したプロトンおよび電子は、カソード側触媒層に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し、水を生成する。PEFCでは、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
従来、燃料電池の出力性能を向上させるために様々な試みがなされている。例えば、特許文献1では、出力電流密度が高く、電池特性の経時劣化の少ないPEFCを提供することを目的として、燃料極(アノード)に含まれるアイオノマ(フルオロカーボンスルホン酸型イオン交換樹脂)のイオン交換容量を、空気極(カソード)よりも大きくする技術が開示されている。かような技術によれば、アノードにおいては、水素透過性が向上して気相から触媒成分への水素供給が確保されうる。一方、カソードにおいては、触媒を被覆するアイオノマの膨潤が抑制され、ガス拡散パスが確保されうる。
特開平9−213350号公報
一般に、PEFCの運転時においては、燃料ガスや酸化剤ガス、冷却水等の流れ方向に沿って、温度勾配や湿度勾配、ガスの濃度勾配などが発生する。その結果、これらの勾配に起因して発電分布が生まれ、局所的に発電が集中する部位が生じる場合がある。
また、PEFCを構成する材料の構成は多岐に亘っている。例えば、PEFCは、アイオノマからなる電解質膜、電極触媒およびアイオノマからなる触媒層、多孔質導電性カーボン繊維からなるガス拡散層などから構成され、各層をそれぞれ構成する材料の構造や物性(アイオノマのプロトン伝導性や水移動特性、ガス拡散層の熱伝導率やガス拡散特性など)の組み合わせの数は極めて多い。さらに、PEFCの運転時には、運転条件(温度条件や湿度条件)も変動するのが一般的である。よって、PEFCの各要素を構成する材料の構造や物性、あるいは運転条件が変動しても、発電性能が不安定とならずに、安定して優れた発電性能を発揮することが、PEFCには求められている。
しかしながら、例えば特許文献1に記載されているような従来公知のPEFCでは、PEFCを構成する材料の構造や物性、運転条件などが変動すると、依然として発電分布の発生が避けられず、これに伴って発電性能も低下してしまうという問題があった。
そこで本発明は、PEFCにおいて、各要素を構成する材料の構造や物性、あるいは運転条件が変動した場合であっても、優れた発電性能を発揮させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その過程で、PEFCの触媒層の面抵抗を制御することを試みた。その結果、触媒層の積層方向および/または面方向に沿って触媒層の面抵抗を変化させることによって、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1は、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜を挟持する、カソード触媒層およびアノード触媒層からなる1対の触媒層と、を有する燃料電池用MEAであって、前記カソード触媒層または前記アノード触媒層の少なくとも一方において、触媒層の面抵抗が当該触媒層の積層方向または面方向の少なくとも一方の方向に沿って変化していることを特徴とする、燃料電池用MEAである。
また、本発明者らは、上記本発明の第1のMEAを製造可能な製造方法をも見出した。
すなわち、本発明の第2は、上記本発明の第1のMEAの製造方法であって、触媒層を形成するための、電極触媒、固体高分子電解質、および溶媒を含む触媒インクを調製し、前記触媒インクから塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥させて前記触媒層を形成する段階を有し、前記触媒インクの種類もしくは組成、前記塗膜の形成条件、または前記塗膜の乾燥条件を、前記触媒層の積層方向または面方向に沿って変化させることにより、前記触媒層における面抵抗を変化させることを特徴とする、製造方法である。
本発明の燃料電池用MEAによれば、PEFCにおいて、各要素を構成する材料の構造や物性、あるいは運転条件が変動した場合であっても、優れた発電性能を発揮させることが可能となる。
本発明の第1は、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜を挟持する、カソード触媒層およびアノード触媒層からなる1対の触媒層と、を有する燃料電池用MEAであって、前記カソード触媒層または前記アノード触媒層の少なくとも一方において、触媒層の面抵抗が当該触媒層の積層方向または面方向の少なくとも一方の方向に沿って変化していることを特徴とする、燃料電池用MEAである。
以下、図面を参照しながら、本発明の第1のMEAの好適ないくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、各図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、各図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態を説明する。
まず、第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態の固体高分子形燃料電池(PEFC)の模式断面図である。なお、図1にはPEFCの単セルが図示されている。
図1に示すPEFC100は、固体高分子電解質膜110が、カソード触媒層120cおよびアノード触媒層120aからなる1対の触媒層によって挟持されてなるMEA130を有する。そして、PEFC100においてMEA130は、カソード側ガス拡散層140cおよびアノード側ガス拡散層140aからなる1対のガス拡散層により挟持されている。さらに、前記MEA130および前記ガス拡散層(140c,140a)は、カソード側セパレータ150cおよびアノード側セパレータ150aからなる1対のセパレータにより挟持されている。ここで、カソード側セパレータ150cのカソード側ガス拡散層140c側表面には、運転時に酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路152cが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。一方、アノード側セパレータ150aのアノード側ガス拡散層140a側表面には、運転時に燃料ガスが流通する燃料ガス流路152aが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。そして、PEFC100の周囲には、1対の触媒層(120c,120a)および1対のガス拡散層(140c,140a)を包囲するように、ガスケット160が配置されている。なお、本願において、「膜電極接合体」とは、固体高分子電解質膜110と、前記固体高分子電解質膜110を挟持する1対の触媒層(120c、120a)とを有する集合体を意味する。
本実施形態のPEFC100の有するMEA130においては、カソード触媒層120cにおける面抵抗が、当該触媒層120cの面方向に沿って段階状に変化している点に特徴を有する。図2は、図1に示すX方向から見た第1実施形態の固体高分子形燃料電池(PEFC)におけるカソード触媒層の模式平面図である。具体的には、カソード触媒層120cにおける面抵抗は、図2に示すように、酸化剤ガス流れ方向の上流側半分が比較的小さく(例えば、0.15Ωcm2)、酸化剤ガス流れ方向の下流側半分が比較的大きい(例えば、0.30Ωcm2)。従って、大雑把に言えば、カソード触媒層120cの上流側半分の方が下流側半分と比較して電流が流れやすい。そして、アノード触媒層120aの面抵抗は、カソード触媒層120cのいずれの片側半分の面抵抗よりも小さい(例えば、0.05Ωcm2)。従って、大雑把に言えば、アノード触媒層120aの方がカソード触媒層120cと比較して電流が流れやすい。ここで、「面抵抗」とは、薄膜状の物質の単位面積あたりの導電性の逆数で示され、物質の面方向に垂直な方向の電流の流れにくさを表す指標として用いられる。すなわち、ある物質の面抵抗が小さいほど、その物質の面に垂直な方向の導電性が良好であることを意味する。なお、面抵抗の単位は[Ωcm2]である。
本実施形態のMEA130およびこれを有するPEFC100においては、酸化剤ガス流れ方向の上流から下流に向かって面抵抗が漸次増加する(上流から下流に向かって電流が流れにくくなる)ようにカソード触媒層120cが構成されている。このため、下流側ではジュール発熱が比較的大きいことに起因して、液体の水の蒸発が促進される。一方、上流側ではジュール発熱が比較的小さいことに起因して、液体の水の蒸発がそれほど促進されない。その結果、上流側では、発熱が大きいことに起因して発生しやすい電解質膜110のドライアウトが抑制され、ひいてはPEFCの発電性能の向上に有効に寄与しうる。また、下流側では、発電反応の結果として生じる水が比較的多いことに起因して発生しやすいフラッディング現象が抑制され、やはりPEFCの発電性能の向上が図られる。なお、上述したメカニズムはあくまでも推測に基づくものに過ぎず、実際は異なるメカニズムによって本発明の作用効果が得られていたとしても、本発明の技術的範囲は何ら影響を受けることはない。このことは、後述する他のそれぞれの好ましい形態のメカニズムについても同様に妥当する。
上述したように、本発明のMEAおよびPEFCは、カソード触媒層の構成に特徴を有する。従って、当該特徴的な構成以外のMEAやPEFCの構成については、従来公知の知見に基づいて適宜変更や修飾が加えられてもよい。
以下、図面を参照しながら本発明のMEAおよびPEFCの構成要素をそれぞれ説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきである。
[固体高分子電解質膜]
固体高分子電解質膜110は、プロトン伝導性の固体高分子電解質(以下、単に「アイオノマ」とも称する)から構成され、PEFC100の運転時にアノード触媒層120aで生成したプロトンを膜厚方向に沿ってカソード触媒層120cへと選択的に透過させる機能を有する。また、固体高分子電解質膜110は、アノード側に供給される燃料ガスとカソード側に供給される酸化剤ガスとを混合させないための隔壁としての機能をも有する。
固体高分子電解質膜110は、プロトン伝導性の固体高分子電解質(以下、単に「アイオノマ」とも称する)から構成され、PEFC100の運転時にアノード触媒層120aで生成したプロトンを膜厚方向に沿ってカソード触媒層120cへと選択的に透過させる機能を有する。また、固体高分子電解質膜110は、アノード側に供給される燃料ガスとカソード側に供給される酸化剤ガスとを混合させないための隔壁としての機能をも有する。
固体高分子電解質膜110の具体的な構成は特に制限されず、燃料電池の技術分野において従来公知のアイオノマからなる膜が適宜採用されうる。固体高分子電解質膜110は、構成材料であるアイオノマの種類に応じて、フッ素系固体高分子電解質膜と炭化水素系固体高分子電解質膜とに大別される。
フッ素系固体高分子電解質としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが挙げられる。耐熱性、化学的安定性などの発電性能上の観点からはこれらのフッ素系固体高分子電解質膜が好ましく用いられ、特に好ましくはパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーから構成されるフッ素系固体高分子電解質膜が用いられる。
炭化水素系固体高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、ホスホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)、スルホン化ポリフェニレン(S−PPP)などが挙げられる。原料が安価で製造工程が簡便であり、かつ材料の選択性が高いといった製造上の観点からは、これらの炭化水素系固体高分子電解質膜が好ましく用いられる。なお、上述したイオン交換樹脂は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上述した固体高分子電解質膜を構成するアイオノマ以外の材料がアイオノマとして用いられてもよい。かような材料としては、例えば、高いプロトン伝導性を有する液体、固体、ゲル状材料などが利用可能であり、リン酸、硫酸、アンチモン酸、スズ酸、ヘテロポリ酸などの固体酸、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたゲル状プロトン導電性材料などが例示される。プロトン伝導性と電子伝導性とを併有する混合導電体もまた、アイオノマとして利用されうる。
固体高分子電解質膜110の厚さは、MEA130やPEFC100の特性を考慮して適宜決定され、特に限定はされない。ただし、固体高分子電解質膜110の厚さは、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは10〜200μmであり、さらに好ましくは15〜150μmであり、特に好ましくは25〜50μmである。厚さがかような範囲内の値であると、製膜時の強度や使用時の耐久性、および使用時の出力特性のバランスが適切に制御されうる。
[カソード触媒層]
カソード触媒層120cは、触媒成分が担持されてなる電極触媒、およびアイオノマを含む層である。
カソード触媒層120cは、触媒成分が担持されてなる電極触媒、およびアイオノマを含む層である。
カソード触媒層120cにおいて、電極触媒は、主に固体高分子電解質膜110経由のプロトン(H+)と、外部回路経由の電子(e−)と、酸化剤ガス由来の酸素(O2)とから水を生成する反応(すなわち、酸素の還元反応)を促進する機能を有する。
電極触媒は、簡単に言えば、カーボンなどからなる導電性担体の表面に、白金などの触媒成分が担持されてなる構造を有する。
電極触媒を構成する導電性担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるのに充分な比表面積を有し、かつ、充分な電子伝導性を有するものであればよい。導電性担体の組成は、主成分がカーボンであることが好ましい。導電性担体の材質として、具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。なお、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されうることを意味する。
導電性担体のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに充分な比表面積であればよく、特に制限はないが、好ましくは100〜1500m2/gであり、より好ましくは600〜1000m2/gである。導電性担体の比表面積がかような範囲内の値であると、導電性担体上での触媒成分の分散性と触媒成分の有効利用率とのバランスが適切に制御されうる。
導電性担体の平均粒子径についても特に制限はないが、通常は5〜200nmであり、好ましくは10〜100nm程度である。なお、「導電性担体の平均粒子径」の値としては、透過型電子顕微鏡(TEM)による一次粒子径測定法によって算出される値を採用するものとする。
導電性担体に担持される触媒成分は、上述した酸素の還元反応を触媒的に促進する機能を有するものであれば特に制限はなく、従来公知の触媒成分が適宜用いられうる。触媒成分として、具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、およびこれらの合金などが挙げられる。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などに優れるという観点からは、触媒成分は少なくとも白金を含むことが好ましい。カソード触媒層120cにおける触媒成分として合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者によって適宜選択されうるが、好ましくは白金が30〜90原子%程度、合金化する他の金属が10〜70原子%程度である。なお、「合金」とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。ここで、合金組成の特定は、ICP発光分析法を用いることで可能である。
触媒成分の形状や大きさは特に制限されず、従来公知の触媒成分と同様の形状および大きさが適宜採用されうるが、触媒成分の形状は、粒状であることが好ましい。そして、触媒粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜30nmであり、より好ましくは1.5〜20nmである。触媒粒子の平均粒子径がかような範囲内の値であると、電気化学反応が進行する有効電極面積に関連する触媒利用率と担持の簡便さとのバランスが適切に制御されうる。なお、本発明において、「触媒粒子の平均粒子径」の値は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値として算出されうる。
電極触媒における導電性担体と触媒成分との含有量の比は、特に制限されない。ただし、触媒成分の含有率(担持量)は、導電性担体100質量%を基準として、好ましくは110〜300質量%であり、より好ましくは130〜250質量%であり、さらに好ましくは150〜200質量%である。触媒成分の含有率が100質量%以上であると、電極触媒の触媒製能が充分に発揮され、ひいてはPEFC100の発電性能の向上に寄与しうる。一方、触媒成分の含有率が300質量%以下であると、導電性担体の表面における触媒成分どうしの凝集が抑制され、触媒成分が高分散担持されるため、好ましい。なお、上述した含有量の比の値としては、ICP発光分析法により測定される値を採用するものとする。
カソード触媒層120cは、上述した電極触媒に加えて、アイオノマをさらに含む。カソード触媒層120cに含まれるアイオノマの具体的な形態に特に制限はなく、燃料電池の技術分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、カソード触媒層120cに含まれるアイオノマとしては、上述した固体高分子電解質膜110を構成するアイオノマが同様に用いられうる。そのため、アイオノマの具体的な形態の詳細はここでは省略する。なお、カソード触媒層120cに含まれるアイオノマは、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
カソード触媒層120cに含まれるアイオノマのイオン交換容量は、イオン伝導性に優れるという観点から、0.9〜1.5mmol/gであることが好ましく、1.1〜1.5mmol/gであることがより好ましい。
なお、アイオノマの「イオン交換容量」とは、アイオノマの単位乾燥質量当りのスルホン酸基のモル数を意味する。「イオン交換容量」の値は、アイオノマ分散液の分散媒を加熱乾燥等により除去して固形の高分子電解質とし、これを中和滴定することにより、算出されうる。
カソード触媒層120cにおけるアイオノマの含有量についても特に制限はない。ただし、カソード触媒層120cにおける導電性担体の含有量に対するアイオノマの含有量の比(アイオノマ/導電性担体の質量比)は、好ましくは0.5〜2.0であり、より好ましくは0.7〜1.5であり、さらに好ましくは0.9〜1.3である。アイオノマ/導電性担体の質量比が0.9以上であると、膜電極接合体の内部抵抗の抑制という観点から好ましい。一方、アイオノマ/導電性担体の質量比が1.3以下であると、フラッディングの抑制という観点から好ましい。
本実施形態のPEFC100の有するMEA130は、上述した通り、カソード触媒層120cにおける面抵抗が当該触媒層120cの面方向に沿って段階状に変化している点に特徴を有する。
本実施形態においては、カソード触媒層120cにおける面抵抗が、酸化剤ガス流れ方向の上流側半分が比較的小さく、酸化剤ガス流れ方向の下流側半分が比較的大きい(図2を参照)。ここで、カソード触媒層120cにおける面抵抗の具体的な数値については特に制限はなく、従来公知の知見を参照して適宜調節されうる。一例を挙げると、カソード触媒層120cにおける面抵抗は、好ましくは0.01〜1.00Ωcm2程度であり、より好ましくは0.02〜0.50Ωcm2であり、さらに好ましくは0.05〜0.30Ωcm2である。カソード触媒層120cにおける面抵抗が0.01Ωcm2以上であれば、液水にジュール熱を供給して気体に状態変化させるという点で好ましい。一方、カソード触媒層120cにおける面抵抗が1.00Ωcm2以下であれば、カソード触媒層120cにおける抵抗過電圧が大きくなりすぎることが防止され、得られたPEFCが充分な発電性能を発揮することが可能となる。なお、本願において、カソード触媒層120cにおける「面抵抗」の値としては、従来公知の文献(Electrochemical and Solid−State Letters,2(6)259−261(1999)、Experimental)に記載の電気化学インピーダンス法に準拠して算出される値を採用するものとする。具体的には、固体高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒層を配置し、他方の面に面抵抗の測定を目的とするカソード触媒層を配置してMEAとする。その後、当該MEAを1対のガス拡散層で挟持して、単セルを構成する。面抵抗の測定は、セル温度を25℃とし、アノード側に飽和加湿した水素(温度:25℃)を供給し、カソード側に飽和加湿した窒素ガス(温度:25℃)を供給しながら、周波数応答解析装置と接続されたポテンショ・ガルバノスタットにより電位・電流を制御して行う。この際、カソード電位をアノード電位に対して0.4Vから0.6Vの範囲で固定し(例えば0.45V)、自動的に周波数をスキャンし、得られた応答から各周波数におけるインピーダンスを算出し、公知の方法で解析することにより、カソード触媒層の面抵抗の値が得られる。
本実施形態において、カソード触媒層120cにおける面抵抗は、図2に示すように、酸化剤ガス流れ方向の上流側が比較的小さく、下流側が比較的大きいが、本発明の技術的範囲はかような形態のみには限定されず、図2とは逆の形態、すなわち、酸化剤ガス流れ方向の上流側の面抵抗が比較的大きく、下流側の面抵抗が比較的小さくてもよい。
また、本実施形態において、酸化剤ガス流れ方向の上流から下流に向かってカソード触媒層120cの面抵抗が「階段状に」変化(増加)している。しかし、このように「階段状」に変化する形態のみに制限されることはなく、例えば「傾斜状に」変化(増加または減少)する形態もまた、採用されうる。ここで、カソード触媒層120cにおける面抵抗が「傾斜状に変化する」とは、変化の方向に沿って、面抵抗の値が連続的に徐々に増加または減少することを意味する。面抵抗が「傾斜状に」変化する形態によれば、電流分布の均一化という優れた作用効果が得られる。なお、面抵抗が階段状に変化する場合、面方向に隣接する触媒層どうしの面抵抗の値の差は、好ましくは0.01〜0.3Ωcm2程度である。かような形態によれば、触媒層面内での電流が抑制されるという観点から好ましい。
さらに、本実施形態において、カソード触媒層120cの面抵抗は、酸化剤ガス流れ方向の上流から下流に向かって階段状に「1回のみ」変化している。しかし、かような形態のみには限定されず、複数回に亘って階段状に変化していてもよい。なお、面抵抗の階段状の変化と傾斜状の変化とが組み合わされていてもよい。
[アノード触媒層]
アノード触媒層120aは、触媒成分が担持されてなる電極触媒、およびアイオノマを含む層である。
アノード触媒層120aは、触媒成分が担持されてなる電極触媒、およびアイオノマを含む層である。
アノード触媒層120aにおいて、電極触媒は、燃料ガス由来の水素(H2)を、プロトン(H+)および電子(e−)とする反応(すなわち、水素の酸化反応)を促進する機能を有する。
アノード触媒層120aを構成する電極触媒やアイオノマの具体的な形態については、カソード触媒層120cの欄において上述した形態が同様に採用されうる。従って、ここでは詳細な説明を省略する。なお、カソード触媒層120cとアノード触媒層120aとで、触媒層を構成する電極触媒やアイオノマの具体的な形態は同じであってもよいし、異なってもよい。
本発明の第1の燃料電池用MEAにおいて、アノード触媒層120aの平均厚み(Ya)は、カソード触媒層120cの平均厚み(Yc)よりも小さいことが好ましい。YaがYcよりも小さいことにより、カソード触媒層120cへのプロトン伝導が向上する。具体的には、Ya/Ycは、好ましくは0.1〜0.9であり、より好ましくは0.2〜0.5である。なお、アノード触媒層120aの平均厚みは、好ましくは1.0〜20.0μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmである。なお、触媒層の厚みの値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)により触媒層断面を観察して得られた値を採用するものとする。
本発明の第1の燃料電池用MEAにおいて、アノード触媒層120aは、単層構造を有することが好ましい。これは、アノード触媒層120aはカソード触媒層120cに比べて、電解質膜側とガス拡散層側とで反応性の差が小さいため、特に複数層とする必要がなく、また、単層とすることで複数層にすることによる層平均厚みの増加を回避できるためである。ただし、アノード触媒層120aが2層以上の触媒層からなる積層構造を有する形態もまた、本発明の技術的範囲に包含される。
本実施形態の燃料電池用MEA130およびPEFC100において、アノード触媒層120aの面抵抗は、カソード触媒層120cの面抵抗よりも小さい。かような構成によれば、PEFC100の運転時に、カソード触媒層120cの抵抗過電圧(熱発生)を任意に保ちつつ、アノード触媒層120aにおける抵抗過電圧を小さくすることが可能となる。その結果、電解質膜の乾燥によるドライアウトが抑制され、安定的にPEFC100から出力を得ることが可能となる。
上述したように本発明のMEAは触媒層に特徴を有するものである。従って、MEAを構成するその他の部材については、燃料電池の分野において従来公知の構成がそのまま、または適宜改良されて採用されうる。以下、参考までに触媒層以外の部材の典型的な形態について説明するが、本発明の技術的範囲が下記の形態のみに限定されることはない。
[ガス拡散層]
1対のガス拡散層(140c、140a)は、上述した固体高分子電解質膜110と触媒層(120a、120c)とからなるMEA130を挟持するように配置される。ガス拡散層(140c、140a)は、後述するセパレータの有するガス流路を介して供給されたガス(アノード側:燃料ガス、カソード側:酸化剤ガス)の触媒層(120c、120a)への拡散を促進させる機能、および電子伝導パスとしての機能を有する。
1対のガス拡散層(140c、140a)は、上述した固体高分子電解質膜110と触媒層(120a、120c)とからなるMEA130を挟持するように配置される。ガス拡散層(140c、140a)は、後述するセパレータの有するガス流路を介して供給されたガス(アノード側:燃料ガス、カソード側:酸化剤ガス)の触媒層(120c、120a)への拡散を促進させる機能、および電子伝導パスとしての機能を有する。
ガス拡散層の基材を構成する材料は特に限定されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性および多孔質性を有するシート状材料が挙げられる。基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。基材の厚さがかような範囲内の値であれば、機械的強度とガスおよび水などの拡散性とのバランスが適切に制御されうる。
ガス拡散層(140c、140a)は、親水処理されてなるものであることが好ましい。ガス拡散層が親水処理されていることで、触媒層(120c、120a)に存在する(または流入した)過剰な水分の排出が促進され、フラッディング現象の発生が効果的に抑制されうる。ここで、ガス拡散層に対して施される親水処理の具体的な形態としては、例えば、カーボン基材表面への酸化チタンのコーティングといった処理やカーボン基材表面を酸性官能基により修飾するといった処理が挙げられる。ただし、これらの形態のみに限定されることはなく、場合によってはその他の親水処理が採用されてもよい。
また、触媒層に存在する過剰な水分の排出を促進させてフラッディング現象の発生を抑制するために、ガス拡散層は、カーボン粒子を含むカーボン粒子層を基材の触媒層側に有するものであってもよい。
カーボン粒子層に含まれるカーボン粒子は特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来公知の材料が適宜採用されうる。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく用いられうる。カーボン粒子の平均粒子径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
カーボン粒子層は撥水剤を含んでもよい。撥水剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられうる。
[セパレータ]
セパレータ(150c、150a)は、PEFC100等の燃料電池の単セルを複数個直列に接続して燃料電池スタックを構成する際に、各セルを電気的に直列接続する機能を有する。また、セパレータは、燃料ガス、酸化剤ガス、および冷却剤を互に分離する隔壁としての機能も有する。そのため、セパレータのそれぞれにはガス流路および冷却流路が設けられている。具体的には、上述したように、カソード側セパレータ150cのカソード側ガス拡散層140c側表面には、運転時に酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路152cが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。一方、アノード側セパレータ150aのアノード側ガス拡散層140a側表面には、運転時に燃料ガスが流通する燃料ガス流路152aが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。
セパレータ(150c、150a)は、PEFC100等の燃料電池の単セルを複数個直列に接続して燃料電池スタックを構成する際に、各セルを電気的に直列接続する機能を有する。また、セパレータは、燃料ガス、酸化剤ガス、および冷却剤を互に分離する隔壁としての機能も有する。そのため、セパレータのそれぞれにはガス流路および冷却流路が設けられている。具体的には、上述したように、カソード側セパレータ150cのカソード側ガス拡散層140c側表面には、運転時に酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路152cが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。一方、アノード側セパレータ150aのアノード側ガス拡散層140a側表面には、運転時に燃料ガスが流通する燃料ガス流路152aが設けられており、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。
セパレータを構成する材料としては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボンや、ステンレス等の金属など、従来公知の材料が適宜制限なく用いられうる。
セパレータの厚さやサイズ、設けられる各流路の形状やサイズなどは特に限定されず、得られるPEFCの所望の出力特性などを考慮して適宜決定されうる。
[ガスケット]
ガスケット160は、1対の触媒層(120c,120a)および1対のガス拡散層(140c,140a)を包囲するようにPEFC100の周囲に配置され、触媒層に供給されたガスが外部にリークするのを防止する機能を有する。
ガスケット160は、1対の触媒層(120c,120a)および1対のガス拡散層(140c,140a)を包囲するようにPEFC100の周囲に配置され、触媒層に供給されたガスが外部にリークするのを防止する機能を有する。
ガスケット160を構成する材料としては、特に制限はないが、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスケットの厚さにも特に制限はなく、好ましくは50μm〜2mmであり、より好ましくは100μm〜1mm程度とすればよい。
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態を説明する。
続いて、第2実施形態を説明する。
図3は、第2実施形態のPEFCの模式断面図である。なお、図3にもPEFCの単セルが図示されており、上述した第1実施形態と同一の構成部材には同一の符号が付されている。
図3に示す本実施形態のPEFC100は、図1および図2を参照しながら説明した上記の第1実施形態と比較すると、カソード触媒層120cの配置形態が異なるのみであり、その他の具体的な構成については上記の第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態を参照することにより実施可能な構成部材等については、ここでは適宜説明を省略する。
本実施形態のPEFC100の有するMEA130においては、カソード触媒層120cにおける面抵抗が、当該触媒層120cの積層方向に沿って段階状に変化している点に特徴を有する。具体的には、カソード触媒層120cは膜厚方向に積層された2層の触媒層(120c1、120c2)から構成されており、固体高分子電解質膜110と接する側に位置する層120c1の面抵抗が比較的小さく(0.03Ωcm2)、カソード側ガス拡散層140cと接する側に位置する層120c2の面抵抗が比較的大きい(0.15Ωcm2)。従って、大雑把に言えば、カソード触媒層120cの電解質膜側の方がガス拡散層側と比較して電流が流れやすい。
本実施形態のMEA130およびこれを有するPEFC100においては、面抵抗の異なる2層の触媒層が、電解質膜側に配置される層の面抵抗が小さく、ガス拡散層側に配置される層の面抵抗が大きくなるように膜厚方向に積層されることにより、カソード触媒層120cが構成されている。このように、PEFC100における熱移動方向(触媒層→ガス拡散層→セパレータ→冷却剤)に沿って面抵抗が増加するように分布を設けることで、PEFCの発電運転時にガス拡散層側の触媒層温度を電解質膜側の触媒層温度に対して、相対的に高温にすることが可能となる。その結果、フラッディング抑制という優れた効果が発揮されうる。
本実施形態において、カソード触媒層120cにおける面抵抗は、図3に示すように、電解質膜側が比較的小さく、ガス拡散層側が比較的大きいが、本発明の技術的範囲はかような形態のみには限定されず、図3とは逆の形態、すなわち、電解質膜側が比較的大きく、ガス拡散層側が比較的小さくてもよい。
また、本実施形態においても上記の第1実施形態と同様に、電解質膜側からガス拡散層側に向かって、カソード触媒層120cの面抵抗が「階段状に」変化(増加)している。しかし、このように「階段状」に変化する形態のみに制限されることはなく、例えば「傾斜状に」変化(増加または減少)する形態もまた、採用されうる。
さらに、本実施形態において、カソード触媒層120cの面抵抗は、電解質膜側からガス拡散層側に向かって階段状に「1回のみ」変化している。しかし、かような形態のみには限定されず、複数回に亘って階段状に変化していてもよい。なお、面抵抗の階段状の変化と傾斜状の変化とが組み合わされていてもよい。
本実施形態においては、より好ましい形態として、カソード側ガス拡散層140cの有する種々の物性と、カソード触媒層120cを構成する層のうち、カソード側ガス拡散層140cに接する層の面抵抗との関係が規定される。なお、以下の説明において、「カソード側ガス拡散層に接する層」とは、直接接する層は勿論であるが、カソード触媒層120cとカソード側ガス拡散層140cとの間に他の層が介在する場合であっても、カソード側ガス拡散層140cに最も近接した層を意味するものとする。
例えば、本実施形態において、カソード側ガス拡散層140cの熱伝導率が0.5[W/mK]以上である場合には、カソード触媒層120cを構成する層のうち、前記カソード側ガス拡散層140cに接する層の面抵抗は、好ましくは0.10Ωcm2以上であり、より好ましくは0.12Ωcm2以上であり、さらに好ましくは0.15Ωcm2以上である。なお、この際、面抵抗の上限値に制限はないが、抵抗過電圧を低減させるという観点からは、好ましくは0.5Ωcm2以下であり、さらに好ましくは0.3Ωcm2以下である。
ここで、カソード側ガス拡散層140cの熱伝導率がある程度高い場合には、当該ガス拡散層は伝熱性に優れるため、カソード触媒層120cの温度低下を促進しうる。そしてその結果、カソード触媒層において生成した液体状の水の蒸発が抑制され、フラッディング現象が起こりやすいという問題があった。
これに対し、上述したような形態によれば、大きい面抵抗を有する触媒層をカソード側ガス拡散層140cに接するように配置することで、発生するジュール熱によってPEFCの運転時に触媒層の温度を高くすることが可能となり、カソード触媒層における生成水の蒸発を促進することが可能となるため、フラッディング現象による燃料電池の性能低下が防止されうる。
また、本実施形態において、カソード側ガス拡散層140cの水蒸気拡散係数が1.0×10−5[m2/s]以上である場合に、カソード触媒層120cを構成する層のうち、カソード側ガス拡散層140cに接する層の面抵抗は、好ましくは0.10Ωcm2未満であり、より好ましくは0.07Ωcm2未満であり、さらに好ましくは0.05Ωcm2未満である。なお、この際、面抵抗の下限値に制限はないが、フラッディング抑制という観点からは、好ましくは0.01Ωcm2以上であり、さらに好ましくは0.02Ωcm2以上である。
ここで、カソード側ガス拡散層140cの水蒸気拡散係数がある程度高い場合には、カソード触媒層において生成した液体状の水の蒸発が促進され、電解質膜のドライアウトが起こりやすいという問題があった。
これに対し、上述したような形態によれば、小さい面抵抗を有する触媒層をカソード側ガス拡散層140cに接するように配置することで、PEFCの運転時に触媒層のジュール熱発生を抑制することによって、カソード触媒層における生成水の蒸発を抑制することが可能となるため、電解質膜のドライアウトの発生による燃料電池の性能低下が防止されうる。
さらに、本実施形態において、カソード触媒層120cとカソード側セパレータ150cの冷却流路との間の総括伝熱係数が200[W/m2K]以上である場合に、カソード触媒層120cを構成する層のうち、カソード側ガス拡散層140cに接する層の面抵抗は、好ましくは0.1Ωcm2以上であり、より好ましくは0.15Ωcm2以上であり、さらに好ましくは0.20Ωcm2以上である。なお、この際、面抵抗の上限値に制限はないが、抵抗過電圧を抑制するという観点からは、好ましくは0.50Ωcm2以下であり、さらに好ましくは0.30Ωcm2以下である。
ここで、カソード触媒層120cとカソード側ガス拡散層140cの冷却流路との間の総括伝熱係数がある程度高い場合には、当該ガス拡散層は伝熱性に優れるため、カソード触媒層120cの温度低下を促進しうる。そしてその結果、カソード触媒層において生成した液体状の水の蒸発が抑制され、フラッディング現象が起こりやすいという問題があった。
これに対し、上述したような形態によれば、大きい面抵抗を有する触媒層をカソード側ガス拡散層140cに接するように配置することで、発生するジュール熱によってPEFCの運転時に触媒層の温度を高くすることが可能となり、カソード触媒層における生成水の蒸発を促進することが可能となるため、フラッディング現象による燃料電池の性能低下が防止されうる。
(製造方法)
本発明のMEAやPEFCの製造方法は特に制限されず、燃料電池の製造分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。以下、本発明のMEAやPEFCの製造方法の好ましい一形態を説明するが、本発明の技術的範囲は後述する具体的な形態のみには限定されない。
本発明のMEAやPEFCの製造方法は特に制限されず、燃料電池の製造分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。以下、本発明のMEAやPEFCの製造方法の好ましい一形態を説明するが、本発明の技術的範囲は後述する具体的な形態のみには限定されない。
まず、導電性担体に触媒成分を担持させて電極触媒を作製する。導電性担体に触媒成分粒子を担持させるには、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法を用いて行えばよい。また、市販されている電極触媒を用いてもよい。
その後、前記電極触媒およびアイオノマを水やアルコール系の溶媒に混合して、触媒インクを調製する。
前記触媒インクを調製する際に、攪拌時間などを調整することにより導電性担体の分散性を調整してもよい。これにより、得られる触媒層における空隙率や面抵抗などを調整できる。攪拌手段としては、ホモジナイザ、超音波分散装置、ジェットミル、ビーズミルなどの公知の手段が挙げられる。
触媒インクに含まれる電極触媒およびアイオノマの具体的な構成については、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。触媒インクに用いられる溶媒については、特に制限はないが、例えば、水のほか、プロピレングリコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびこれらの混合溶媒などが挙げられる。これらの他にも、酢酸ブチルアルコール、ジメチルエーテル、エチレングリコール、などが溶媒として用いられてもよい。溶媒として好ましくは、ノルマルプロピルアルコール、プロピレングリコールが用いられる。
触媒インク中の各成分の含有量についても特に制限はないが、一例を挙げると、触媒インクの全量に対して、好ましくは電極触媒が2〜20質量%、アイオノマが1〜15質量%、溶媒が70〜95質量%であり、より好ましくは電極触媒が4〜10質量%、アイオノマが4〜10質量%、溶媒が80〜95質量%である。触媒インクの組成がかような範囲内の値であると、塗膜の厚さの均一性という観点から好ましい。
次に、先に調製した触媒インクを基材(例えば、PTFEシート)上に塗布して塗膜を形成し、さらに当該塗膜を乾燥させる。
触媒インクを塗布する基材としては、PTFEシートのほか、MEAに用いる固体高分子電解質膜やガス拡散層が基材として用いられてもよい。また、基材として固体高分子電解質膜およびガス拡散層を用いて、固体高分子電解質膜上に電極触媒層(1)を作成し、ガス拡散層上に電極触媒層(2)を作成し、これらをホットプレスなどにより接合する方法によっても触媒層を作成することができる。基材上に触媒インクを塗布するには、ダイコーター法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレー法など、公知の方法が用いられうる。
この際、触媒インクの種類(例えば、アイオノマや溶媒の種類)、触媒インクの組成(電極触媒とアイオノマとの質量比)、塗膜の形成条件(例えば、1回の塗布で塗布される触媒インクの量、塗布−乾燥の回数)、塗膜の乾燥条件(例えば、乾燥温度、乾燥時間、乾燥時の圧力、乾燥時の雰囲気)などを制御することで、得られる触媒層の面抵抗の値が制御されうる。
具体的には、他の条件が同一であると仮定した場合には、アイオノマのイオン交換容量を小さくすると、得られる触媒層の面抵抗の値が大きくなる。また、電極触媒とアイオノマとの質量比(電極触媒/アイオノマ)の値を小さくすると、得られる触媒層の面抵抗の値が大きくなる。さらに、塗膜の形成時に、塗布−乾燥の回数を多くすると、得られる触媒層の面抵抗が大きくなる。また、塗膜の乾燥温度を高くすると、得られる触媒層の面抵抗が大きくなる。
また、上述した各種条件のほかにも、触媒層に含まれるアイオノマのイオン交換容量を調節することで、触媒層における面抵抗の制御が可能である。すなわち、アイオノマのイオン交換容量が大きくなると、プロトン伝導性が向上する。その結果、かようなアイオノマを多く含む触媒層の面抵抗は減少する。一方、アイオノマのイオン交換容量が小さくなると、プロトン伝導性が低下する。その結果、かようなアイオノマを多く含む触媒層の面抵抗は増加する。下記の表1に、イオン交換容量の異なる2種のアイオノマを用いて触媒層を作製し、それぞれの面抵抗を測定した結果を示す。なお、表1に示す実験において用いた触媒層原料の種類、および触媒層の仕様は以下の通りである:
<触媒層原料>
電極触媒:50質量%白金担持カーボン(ケッチェンブラック担体、田中貴金属工業社製);
アイオノマA=Nafion溶液(DuPont社製、10質量%Nafion含有、EW1000);
アイオノマB=Nafion溶液(DuPont社製、10質量%Nafion含有、EW1100);
<触媒層仕様>
白金質量:0.4mg/cm2;
アイオノマ質量/カーボン質量比:1.0
<触媒層原料>
電極触媒:50質量%白金担持カーボン(ケッチェンブラック担体、田中貴金属工業社製);
アイオノマA=Nafion溶液(DuPont社製、10質量%Nafion含有、EW1000);
アイオノマB=Nafion溶液(DuPont社製、10質量%Nafion含有、EW1100);
<触媒層仕様>
白金質量:0.4mg/cm2;
アイオノマ質量/カーボン質量比:1.0
表1に示す結果から、触媒層に含まれるアイオノマのイオン交換容量を調節することで、触媒層における面抵抗が制御されうることが示される。
また、触媒層における、導電性担体の含有量に対するアイオノマの含有量の比(アイオノマ/導電性担体の質量比)を調節することで、触媒層における面抵抗の制御が可能である。具体的には、アイオノマ量が増えて上記質量比が大きくなると、プロトン伝導性が向上する。その結果、かようなアイオノマを多く含む触媒層の面抵抗は減少する。下記の表2に、アイオノマ/導電性担体の質量比の異なる3種の触媒インクを用いて触媒層を作製し、それぞれの面抵抗を測定した結果を示す。なお、表2に示す実験において用いた触媒層原料の種類、および触媒層の仕様は以下の通りである:
<触媒層原料>
電極触媒:50質量%白金担持カーボン(ケッチェンブラック担体、田中貴金属工業社製);
アイオノマ=Nafion溶液(DuPont社製、20質量%Nafion含有)
<触媒層仕様>
白金質量:0.4mg/cm2;
<触媒層原料>
電極触媒:50質量%白金担持カーボン(ケッチェンブラック担体、田中貴金属工業社製);
アイオノマ=Nafion溶液(DuPont社製、20質量%Nafion含有)
<触媒層仕様>
白金質量:0.4mg/cm2;
表2に示す結果から、触媒層における、アイオノマ/導電性担体の質量比を調節することで、触媒層における面抵抗が制御されうることが示される。
なお、これら以外にも、各種条件を調節することにより、得られる触媒層の面抵抗の値を制御することが可能である。例えば、本発明者らは、触媒インクの調製に用いる溶媒の種類や組成を変化させても、触媒層の面抵抗を制御できることを確認している(後述する参考例1を参照)。
なお、触媒インクから塗膜を形成するためのインクの塗布−乾燥工程は、1つの触媒層を形成する際に好ましくは2回以上行い、より好ましくは2〜10回行う。かような形態によれば、厚みの均一な触媒層を形成するという観点から好ましい。また、塗膜の塗布方法についても特に制限はないが、例えば、コータ法、スプレー法、スクリーン印刷法などが挙げられる。なかでも、好ましくはコータ法、スクリーン印刷法が採用されうる。塗膜の乾燥条件についても特に制限はないが、一例を挙げると、乾燥温度は、好ましくは25〜150℃であり、より好ましくは60〜130℃であり、さらに好ましくは80〜120℃である。また、乾燥時間は、好ましくは5〜60分であり、より好ましくは10〜30分である。さらに、乾燥時の圧力は、好ましくは0.01〜1.0MPaであり、より好ましくは0.05〜0.2MPaである。なお、乾燥処理は、窒素雰囲気下や空気雰囲気下において行われることが好ましい。
本発明の製造方法においては、上述した各種条件を、作製を希望する触媒層の積層方向または面方向に沿って変化させるように行う。その結果、本発明の第1の燃料電池用MEAの特徴的な構成である、面抵抗が触媒層の積層方向または面方向に沿って変化した触媒層が製造されうる。
以上のような手法により、固体高分子電解質膜の一方の面にカソード触媒層を形成し、他方の面にアノード触媒層を形成して、本発明の第1の燃料電池用MEAが完成する。
続いて、得られたMEAを用いて、PEFCを作製する。
具体的には、例えば、上記で得られたMEAを1対のガス拡散層で挟持した状態でホットプレスする方法が挙げられる。ただし、かような方法のみには限定されず、従来公知の方法が適宜参照されうる。
この際、ホットプレスは、好ましくは110〜170℃で、電極面に対して1〜5MPaのプレス圧力で行うのがよい。これにより固体高分子電解質膜と触媒層との接合性を高めることができる。
ガス拡散層に撥水剤を含有させる場合には、一般的な撥水処理方法を用いて行えばよい。例えば、ガス拡散層に用いられる基材を撥水剤の分散液に浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる方法などが挙げられる。
ガス拡散層において基材上にカーボン粒子層を形成する場合には、カーボン粒子、撥水剤等を、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることによりスラリーを調製し、前記スラリーを基材上に塗布し乾燥、もしくは、前記スラリーを一度乾燥させ粉砕することで粉体にし、これを前記ガス拡散層上に塗布する方法などを用いればよい。その後、マッフル炉や焼成炉を用いて250〜400℃程度で熱処理を施すのが好ましい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複
数積層して直列に繋いだ燃料電池スタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
数積層して直列に繋いだ燃料電池スタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
参考までに、図4に、上記の第1実施形態のPEFC100が複数個直列に接続されてなる燃料電池スタック200の模式断面図を示す。
燃料電池スタック200は、複数個の上記第1実施形態のPEFC100が、セパレータ(150c、150a)を介して直列に接続され、両端は集電板210およびエンドプレート220で固定されている。ここで、セパレータの2つのガス流路(燃料ガス流路:152a、酸化剤ガス流路:152c)の中央には、冷却剤(冷媒)が流通するための冷却流路230が設けられている。
また、上述した本発明のPEFCや燃料電池スタックを搭載した車両もまた、本発明の技術的範囲に包含される。本発明のPEFCや燃料電池スタックは、出力性能に非常に優れているため、高出力を要求される車両用途に適している。
以下、実施例を用いて、より具体的に本発明を説明する。ただし、本発明の技術的範囲が下記実施例に限定されることはない。
なお、後述するいくつかの実施例においては、下記の表3に示す物性(熱伝導率および水蒸気拡散係数)を有するGDLを用いた。
<参考例1>
(電極触媒の調製)
以下の手法により、電極触媒(白金担持カーボンブラック)を調製した。
(電極触媒の調製)
以下の手法により、電極触媒(白金担持カーボンブラック)を調製した。
まず、導電性担体であるカーボンブラック粉末(Cabot社Vulcan XC−72)を、1質量%Pt含有塩化白金酸水溶液中にホモジナイザを用いて十分に分散させた。次いで、クエン酸ナトリウムを添加し、十分に溶解させて反応液を調製した。その後、還流反応装置を用い、前記反応液を攪拌しながら85℃で5時間加熱還流して、白金をカーボンブラック粉末の表面へ還元担持させた。
反応終了後、室温まで試料溶液を放冷し、白金が担持されたカーボンブラック粉末を吸引濾過装置で濾別し、十分に水洗した。そして、水洗した粉末を80℃で6時間減圧乾燥することによって、電極触媒(白金担持カーボンブラック)の粉末を得た。
得られた電極触媒の粉末について、原子吸光光度法により定量分析を行った結果、電極触媒における白金担持量は50.0質量%であった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察から、担持された白金の平均粒子径は2.0nmと見積もられた。
(触媒インクの調製)
以下の手法により、触媒インクを調製した。
以下の手法により、触媒インクを調製した。
まず、上記で調製した電極触媒に対し、当該電極触媒中のカーボン量を基準(1質量部)として、10質量部のイオン交換水を添加した後、10質量部のノルマルプロピルアルコールを添加し、さらには電解質の質量が1質量部となるようにNafion溶液(DuPont社製20質量%Nafion含有)を添加した。このようにして得られたスラリーを超音波ホモジナイザを用いて十分に分散させ、次いで減圧脱泡処理を施すことにより、触媒インクAを調製した。
一方、上記で調製した電極触媒に対し、当該電極触媒中のカーボン量を基準(1質量部)として、10質量部のイオン交換水を添加した後、10質量部のプロピレングリコールを添加し、さらには電解質の重量が1質量部となるようにNafion溶液(DuPont社製20質量%Nafion含有)を添加した。このようにして得られたスラリーを超音波ホモジナイザを用いて十分に分散させ、次いで減圧脱泡処理を施すことにより、触媒インクBを調製した。
(触媒インクAを用いたGDL挟持MEAの作製:2回塗布)
本願の実施例において、触媒層の作製はスクリーン印刷法で行い、MEAの作製は転写法で行った。スクリーン印刷法によれば、スクリーンメッシュの粗さを変化させることにより、容易に塗布回数および塗布量を制御可能である。すなわち、メッシュの目が大きい場合には1回あたりの塗布量が増加し、メッシュの目が小さい場合には1回あたりの塗布量が減少する。
本願の実施例において、触媒層の作製はスクリーン印刷法で行い、MEAの作製は転写法で行った。スクリーン印刷法によれば、スクリーンメッシュの粗さを変化させることにより、容易に塗布回数および塗布量を制御可能である。すなわち、メッシュの目が大きい場合には1回あたりの塗布量が増加し、メッシュの目が小さい場合には1回あたりの塗布量が減少する。
上記で調製した触媒インクAを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で60℃にて30分間乾燥させた。すると、塗膜中に含まれる白金の目付け量は0.2mg/cm2であった。この塗布−乾燥操作をさらに1回繰り返し、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.4mg/cm2の触媒層Aを作製した。
上記で作成した触媒層Aをカソード触媒層として、転写法により、アノード触媒層を備えた固体高分子電解質膜(DuPont社製 NRE211)と、120℃にて20分間、1.0MPaの圧力で接合し、PTFEシートを剥離して、MEAを作製した。このようにして得られたMEAを1対のGDL(いずれもSGLカーボン社製25BC)で挟持することにより、GDL挟持MEAを作製した。なお、固体高分子電解質膜へのアノード触媒層の形成は、上記で調製した触媒インクAを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布し、次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させることにより行った。なお、塗膜中に含まれる白金の目付け量は0.05mg/cm2であった。
上記で得られたGDL挟持MEAにおけるカソード触媒層の面抵抗を測定したところ、0.05Ωcm2であった。
<参考例2>
(触媒インクBを用いたGDL挟持MEAの作製:2回塗布)
上記で調製した触媒インクBを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で60℃にて30分間乾燥させた。すると、塗膜中に含まれる白金の目付け量は0.2mg/cm2であった。この塗布−乾燥操作をさらに1回繰り返し、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.4mg/cm2の触媒層Bを作製した。
(触媒インクBを用いたGDL挟持MEAの作製:2回塗布)
上記で調製した触媒インクBを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で60℃にて30分間乾燥させた。すると、塗膜中に含まれる白金の目付け量は0.2mg/cm2であった。この塗布−乾燥操作をさらに1回繰り返し、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.4mg/cm2の触媒層Bを作製した。
上記で作成した触媒層Bをカソード触媒層として、上述した参考例1と同様の手法によりGDL挟持MEAを作製した。
上記で得られたGDL挟持MEAにおけるカソード触媒層の面抵抗を測定したところ、0.15Ωcm2であった。
<参考例3>
(触媒インクBを用いたGDL挟持MEAの作製:4回塗布−低温乾燥)
上記で調製した触媒インクBを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で60℃にて30分間乾燥させた。すると、塗膜中に含まれる白金の目付け量は0.1mg/cm2であった。この塗布−乾燥操作をさらに3回繰り返し、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.4mg/cm2の触媒層Cを作製した。
(触媒インクBを用いたGDL挟持MEAの作製:4回塗布−低温乾燥)
上記で調製した触媒インクBを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で60℃にて30分間乾燥させた。すると、塗膜中に含まれる白金の目付け量は0.1mg/cm2であった。この塗布−乾燥操作をさらに3回繰り返し、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.4mg/cm2の触媒層Cを作製した。
上記で作成した触媒層Cをカソード触媒層として、上述した参考例1と同様の手法によりGDL挟持MEAを作製した。
上記で得られたGDL挟持MEAにおけるカソード触媒層の面抵抗を測定したところ、0.30Ωcm2であった。
<参考例4>
(触媒インクBを用いたGDL挟持MEAの作製:4回塗布−高温乾燥)
上記で調製した触媒インクBを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で130℃にて30分間乾燥させた。すると、塗膜中に含まれる白金の目付け量は0.1mg/cm2であった。この塗布−乾燥操作をさらに3回繰り返し、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.4mg/cm2の触媒層Dを作製した。
(触媒インクBを用いたGDL挟持MEAの作製:4回塗布−高温乾燥)
上記で調製した触媒インクBを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で130℃にて30分間乾燥させた。すると、塗膜中に含まれる白金の目付け量は0.1mg/cm2であった。この塗布−乾燥操作をさらに3回繰り返し、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.4mg/cm2の触媒層Dを作製した。
上記で作成した触媒層Dをカソード触媒層として、上述した参考例1と同様の手法によりGDL挟持MEAを作製した。
上記で得られたGDL挟持MEAにおけるカソード触媒層の面抵抗を測定したところ、0.60Ωcm2であった。
上記の参考例1〜4によれば、触媒インク調製時に添加する溶媒の種類や、触媒層形成時の触媒インクの塗布回数、乾燥温度などを変化させることにより、形成される触媒層の面抵抗を制御可能であることが示される。
<実施例1>
以下の手法により、図1および図2に示す形態のPEFC100を作製した。
以下の手法により、図1および図2に示す形態のPEFC100を作製した。
まず、上記で調製した触媒インクAを用い、上述した参考例1と同様の手法により、PTFEシート上に矩形状の触媒層Aを作製し、アノード触媒層120aとした。
一方、上記で調製した触媒インクBを用い、前記触媒層Aの有する矩形状を長手方向に二等分した一方の側(図2に示す「酸化剤ガス流れ上流側」)に対応するように、上述した参考例2において触媒層Bを形成したのと同様の手法により、PTFEシート上に触媒層1を作製した。
また、上記で調製した触媒インクBを用い、前記触媒層Aの有する矩形状を長手方向に二等分した他方の側(図2に示す「酸化剤ガス流れ下流側」)に対応するように、上述した参考例3において触媒層Cを形成したのと同様の手法により、PTFEシート上に触媒層2を作製した。そして、当該触媒層2を上述した触媒層1と合わせて、カソード触媒層120cとした。
上記で得られたアノード触媒層120aおよびカソード触媒層120cを、上述した参考例1と同様の転写法により、固体高分子電解質膜110(DuPont社製 NRE211)の両面にそれぞれ転写し、MEAを作製した。このようにして得られたMEAを1対のGDL(アノード側GDL140aおよびカソード側GDL140c)(いずれもSGLカーボン社製25BC)で挟持し、さらに1対のカーボン樹脂製セパレータ(アノード側セパレータ150aおよびカソード側セパレータ150c;いずれもストレート形状のガス流路(152a,152c)およびガス供給のためのマニホールド(図示せず)を有する)で挟持することにより、PEFC100を作製した。この際、カソード側セパレータ150cの酸化剤ガス流路152cにおける酸化剤ガス流れ方向(図1のX方向)の上流側に触媒層1が配置され、下流側に触媒層2が配置されるように、カソード触媒層120cを配置した。
<実施例2>
カソード側セパレータ150cの酸化剤ガス流路152cにおける酸化剤ガス流れ方向(図1に示すX方向)の上流側に触媒層2が配置され、下流側に触媒層1が配置されるようにカソード触媒層120cを配置したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、図1および図2に示す形態のPEFC100を作製した。
カソード側セパレータ150cの酸化剤ガス流路152cにおける酸化剤ガス流れ方向(図1に示すX方向)の上流側に触媒層2が配置され、下流側に触媒層1が配置されるようにカソード触媒層120cを配置したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、図1および図2に示す形態のPEFC100を作製した。
<実施例3>
以下の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
以下の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
まず、上記で調製した触媒インクAを用い、上述した参考例1と同様の手法により、PTFEシート上に矩形状の触媒層Aを作製し、アノード触媒層120aとした。
一方、上記で調製した触媒インクAを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で60℃にて30分間乾燥させて、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.2mg/cm2の触媒層3を作製した。
また、上記で調製した触媒インクBを、適切なスクリーンメッシュを用いたスクリーン印刷法によりPTFEシート上に塗布した。次いで、空気雰囲気下、25℃にて15分間乾燥させた後、オーブン中で60℃にて30分間乾燥させて、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.05mg/cm2の塗膜を作製した。この塗布−乾燥操作をさらに3回繰り返し、PTFEシート上に、白金の目付け量が0.4mg/cm2の触媒層4を作製した。
上記で得られたアノード触媒層120aおよび触媒層3を、上述した実施例1と同様の転写法により、固体高分子電解質膜110(DuPont社製 NRE211)の両面にそれぞれ転写した。さらに、上記で得られた触媒層4を同様の転写法により前記触媒層3上に転写し、MEAを作製した。このようにして得られたMEAを、アノード側GDL140a(SGLカーボン社製25BC)およびカソード側GDL140c(上記の表3に示すGDL(A))からなる1対のGDLで挟持し、さらに上述した実施例1と同様の手法により1対のカーボン樹脂製セパレータで挟持することにより、PEFC100を作製した。
<実施例4>
触媒層4を作製する際のスクリーンメッシュを変更し、白金の目付け量が0.2g/cm2の触媒層5を1回塗布により作製したこと以外は、上述した実施例3と同様の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
触媒層4を作製する際のスクリーンメッシュを変更し、白金の目付け量が0.2g/cm2の触媒層5を1回塗布により作製したこと以外は、上述した実施例3と同様の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
<実施例5>
GDL(A)に代えて、表3に示すGDL(B)を用いたこと以外は、上述した実施例3と同様の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
GDL(A)に代えて、表3に示すGDL(B)を用いたこと以外は、上述した実施例3と同様の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
<実施例6>
GDL(A)に代えて、表3に示すGDL(C)を用いたこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
GDL(A)に代えて、表3に示すGDL(C)を用いたこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
<実施例7>
GDL(C)に代えて、表3に示すGDL(D)を用いたこと以外は、上述した実施例6と同様の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
GDL(C)に代えて、表3に示すGDL(D)を用いたこと以外は、上述した実施例6と同様の手法により、図3に示す形態のPEFC100を作製した。
<比較例>
カソード触媒層を、アノード触媒層と同様の手法により形成した(すなわち、アノード触媒層とカソード触媒層とを同一組成とした)こと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、燃料電池単セルを作製した。
カソード触媒層を、アノード触媒層と同様の手法により形成した(すなわち、アノード触媒層とカソード触媒層とを同一組成とした)こと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、燃料電池単セルを作製した。
<評価例>
上記の実施例1〜7および比較例で作製した燃料電池単セルについて、発電試験を行い、運転時のセル電圧を測定した。具体的には、燃料電池単セルのアノード側には燃料ガスとして純水素(飽和加湿;加湿器温度=60℃)を、カソード側には酸化剤ガスとして空気(飽和加湿;加湿器温度=70℃)を、並行流で供給した。この際、両ガスの供給圧力は大気圧とした。また、燃料電池単セルの温度は80℃に設定し、燃料ガス利用率:70%、酸化剤ガス利用率:67%として、1.0A/cm2の電流密度で30分間運転した。
上記の実施例1〜7および比較例で作製した燃料電池単セルについて、発電試験を行い、運転時のセル電圧を測定した。具体的には、燃料電池単セルのアノード側には燃料ガスとして純水素(飽和加湿;加湿器温度=60℃)を、カソード側には酸化剤ガスとして空気(飽和加湿;加湿器温度=70℃)を、並行流で供給した。この際、両ガスの供給圧力は大気圧とした。また、燃料電池単セルの温度は80℃に設定し、燃料ガス利用率:70%、酸化剤ガス利用率:67%として、1.0A/cm2の電流密度で30分間運転した。
この発電試験により得られた結果を下記の表4に示す。なお、セル電圧が高いほど、単セルの出力特性が優れることを意味する。
表4を参照して、各実施例と比較例との比較から、本発明の燃料電池用MEAおよびこれを用いたPEFC単セルは、発電性能に優れることがわかる。
また、実施例1と実施例2との比較から、カソード触媒層における面抵抗が触媒層の面方向に沿って変化している場合には、当該面抵抗が酸化剤ガス流れ方向の上流から下流に向かって漸次増加するようにすると、発電性能がより一層向上しうることがわかる。
また、実施例3と実施例4および5との比較から、カソード触媒層が面抵抗の異なる2つの層から構成される場合に、カソード側ガス拡散層の熱伝導率を0.5[W/mK]以上とし、かつ、カソード触媒層を構成する層のうち、カソード側ガス拡散層に接する層の面抵抗を0.1Ωcm2以上とすると、発電性能がより一層向上しうることがわかる。
また、実施例6と実施例7との比較から、カソード触媒層が面抵抗の異なる2つの層から構成される場合に、カソード側ガス拡散層の水蒸気拡散係数を1.0×10−5[m2/s]以上とし、かつ、カソード触媒層を構成する層のうち、カソード側ガス拡散層に接する層の面抵抗を0.1Ωcm2未満とすると、発電性能がより一層向上しうることがわかる。
<実施例8>
以下の手法により燃料電池スタックを作製し、発電試験を行い、運転時のスタック電圧を測定した。
以下の手法により燃料電池スタックを作製し、発電試験を行い、運転時のスタック電圧を測定した。
具体的には、上述した実施例3で作製した燃料電池単セルを、冷却水を流通させるための冷却流路を備えたセパレータ(アルミニウム板(JISA1050材)をプレス成型した後に金メッキ処理を施したもの)を介して20セル積層し、積層体をさらに1対のエンドプレートで挟持して、燃料電池スタックを作製した。この際、カソード触媒層とカソード側セパレータの冷却流路との間の総括伝熱係数(燃料電池単セルあたり)は200[W/m2K]であった。
次いで、上記で作製した燃料電池スタックのアノード側には燃料ガスとして純水素(飽和加湿;加湿器温度=55℃)を、カソード側には酸化剤ガスとして空気(飽和加湿;加湿器温度=70℃)を、対向流で供給した。この際、両ガスの供給圧力は大気圧とした。また、70℃の冷却水を、酸化剤ガス(空気)との並行流として、セパレータの冷却流路に流通させた。そして、燃料ガス利用率:70%、酸化剤ガス利用率:67%として、1.0A/cm2の電流密度で30分間運転した。
この発電試験により得られた結果を下記の表5に示す。なお、スタック電圧が高いほど、スタックの出力特性が優れることを意味する。
<実施例9>
セパレータを膨張黒鉛とフェノール樹脂とを混合したものに変更したこと以外は、上述した実施例8と同様の手法により、燃料電池スタックを作製し、発電試験を行った。この際、カソード触媒層とカソード側セパレータの冷却流路との間の総括伝熱係数(燃料電池単セルあたり)は25[W/m2K]であった。発電試験により得られた結果を下記の表5に示す。
セパレータを膨張黒鉛とフェノール樹脂とを混合したものに変更したこと以外は、上述した実施例8と同様の手法により、燃料電池スタックを作製し、発電試験を行った。この際、カソード触媒層とカソード側セパレータの冷却流路との間の総括伝熱係数(燃料電池単セルあたり)は25[W/m2K]であった。発電試験により得られた結果を下記の表5に示す。
表5に示す結果から、燃料電池スタックを構成する燃料電池単セルにおいて、カソード触媒層が面抵抗の異なる2つの層から構成される場合に、カソード触媒層とカソード側セパレータの冷却流路との間の総括伝熱係数を200[W/m2K]以上とし、かつ、カソード触媒層を構成する層のうち、カソード側ガス拡散層に接する層の面抵抗を0.1Ωcm2以上とすると、燃料電池スタックの発電性能がより一層向上しうることがわかる。
100 固体高分子形燃料電池(PEFC)、
110 固体高分子電解質膜、
120a アノード触媒層、
120c カソード触媒層、
120c1 固体高分子電解質膜と接する側に位置するカソード触媒層、
120c2 カソード側ガス拡散層と接する側に位置するカソード触媒層、
130 膜電極接合体(MEA)、
140a アノード側ガス拡散層、
140c カソード側ガス拡散層、
150a アノード側セパレータ、
150c カソード側セパレータ、
152a 燃料ガス流路、
152c 酸化剤ガス流路、
160 ガスケット、
200 燃料電池スタック、
210 集電板、
220 エンドプレート、
230 冷却流路。
110 固体高分子電解質膜、
120a アノード触媒層、
120c カソード触媒層、
120c1 固体高分子電解質膜と接する側に位置するカソード触媒層、
120c2 カソード側ガス拡散層と接する側に位置するカソード触媒層、
130 膜電極接合体(MEA)、
140a アノード側ガス拡散層、
140c カソード側ガス拡散層、
150a アノード側セパレータ、
150c カソード側セパレータ、
152a 燃料ガス流路、
152c 酸化剤ガス流路、
160 ガスケット、
200 燃料電池スタック、
210 集電板、
220 エンドプレート、
230 冷却流路。
Claims (18)
- 固体高分子電解質膜と、
前記固体高分子電解質膜を挟持する、カソード触媒層およびアノード触媒層からなる1対の触媒層と、
を有する燃料電池用膜電極接合体であって、
前記カソード触媒層または前記アノード触媒層の少なくとも一方において、触媒層の面抵抗が当該触媒層の積層方向または面方向の少なくとも一方の方向に沿って変化していることを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体。 - 前記アノード触媒層の面抵抗が前記カソード触媒層の面抵抗よりも小さい、請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 前記触媒層における面抵抗が、段階状または傾斜状の少なくとも一方の形態で変化している、請求項1または2に記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 前記触媒層における面抵抗が、当該触媒層の面方向に沿って変化している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 前記触媒層における面抵抗が、酸化剤ガス流れ方向の上流から下流に向かって漸次増加している、請求項4に記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 前記触媒層における面抵抗が、当該触媒層の積層方向に沿って変化している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 前記カソード触媒層が面抵抗の異なる2以上の層から構成され、前記固体高分子電解質膜と接する側に位置する層の面抵抗が、前記カソード触媒層を構成する層のうちで最小である、請求項6に記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料電池用膜電極接合体と、
前記膜電極接合体を挟持する、カソード側ガス拡散層およびアノード側ガス拡散層からなる1対のガス拡散層と、
前記膜電極接合体および前記ガス拡散層を挟持する、酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路および冷却剤が流通する冷却流路を有するカソード側セパレータ、並びに燃料ガスが流通する燃料ガス流路および冷却剤が流通する冷却流路を有するアノード側セパレータ、からなる1対のセパレータと、
を有する燃料電池。 - 前記カソード触媒層が面抵抗の異なる2以上の層から構成される場合に、
前記カソード側ガス拡散層の熱伝導率が0.5[W/mK]以上であり、
前記カソード触媒層を構成する層のうち、前記カソード側ガス拡散層に接する層の面抵抗が0.1Ωcm2以上である、請求項8に記載の燃料電池。 - 前記カソード触媒層が面抵抗の異なる2以上の層から構成される場合に、
前記カソード側ガス拡散層の水蒸気拡散係数が1.0×10−5[m2/s]以上であり、
前記カソード触媒層を構成する層のうち、前記カソード側ガス拡散層に接する層の面抵抗が0.1Ωcm2未満である、請求項8に記載の燃料電池。 - 前記カソード触媒層が面抵抗の異なる2以上の層から構成される場合に、
前記カソード触媒層と前記カソード側セパレータの冷却流路との間の総括伝熱係数が200[W/m2K]以上であり、
前記カソード触媒層を構成する層のうち、前記カソード側ガス拡散層に接する層の面抵抗が0.1Ωcm2以上である、請求項8または9に記載の燃料電池。 - 2以上の請求項8〜11のいずれか1項に記載の燃料電池を有する、燃料電池スタック。
- 請求項8〜11のいずれか1項に記載の燃料電池、または請求項12に記載の燃料電池スタックを搭載した車両。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜電極接合体の製造方法であって、
触媒層を形成するための、電極触媒、固体高分子電解質、および溶媒を含む触媒インクを調製し、前記触媒インクから塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥させて前記触媒層を形成する段階を有し、
前記触媒インクの種類もしくは組成、前記塗膜の形成条件、または前記塗膜の乾燥条件を、前記触媒層の積層方向または面方向に沿って変化させることにより、前記触媒層における面抵抗を変化させることを特徴とする、製造方法。 - 前記溶媒が、プロピレングリコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびこれらの混合溶媒からなる群から選択される、請求項14に記載の製造方法。
- 前記触媒インクを2回以上塗布することにより前記塗膜を形成する、請求項14または15に記載の製造方法。
- 前記塗膜の乾燥温度が25℃以上である、請求項14〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記触媒インクからの前記塗膜の形成を、転写法、コータ法、またはスプレー法により行う、請求項14〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
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| JP2007036931A JP2008204664A (ja) | 2007-02-16 | 2007-02-16 | 燃料電池用膜電極接合体、およびこれを用いた燃料電池 |
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