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JP2008298243A - 動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 Download PDF

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JP2008298243A JP2007147289A JP2007147289A JP2008298243A JP 2008298243 A JP2008298243 A JP 2008298243A JP 2007147289 A JP2007147289 A JP 2007147289A JP 2007147289 A JP2007147289 A JP 2007147289A JP 2008298243 A JP2008298243 A JP 2008298243A
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Abstract

【課題】動力伝達チェーンの耐久性をより向上すること。
【解決手段】複数のリンク2を互いに連結する連結部材50の第1のピン3は、対応する第2のピン4に対向する前部12を含む。この前部12は、リンク2間の屈曲角の変動に伴い変位する接触部Tで上記対応する第2のピン4に転がり摺動接触する。リンク2間の屈曲に伴う接触部Tの移動軌跡はインボリュート曲線INVを形成する。第1のピン3の端面17の接触領域19は、接触中心点Fを中心としてプーリのシーブ面に接触する。直交方向Vに関して、接触中心点Fと屈曲角がゼロのときの接触部T1との距離J1、および接触中心点Fと屈曲角が許容最大屈曲角のときの接触部T2との距離J2が互いに等しい。
【選択図】図5

Description

本発明は、動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置に関する。
自動車のプーリ式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置に用いられる無端状の動力伝達チェーンには、リンク同士を第1および第2のピンで連結したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−226405号公報
特許文献1では、第1のピンの端面に形成された接触楕円がプーリのシーブ面に動力伝達可能に係合するようになっている。また、第1および第2のピンが互いの接触部で接触している。この接触部は、リンク間の屈曲に伴い変位するようになっており、この接触部の移動の軌跡はインボリュート曲線を描くようにされている。
このような動力伝達チェーンにおいて、耐久性の更なる向上が要請されている。本発明は、この課題を解決することを目的とする。
本願発明者は、鋭意研究の結果、接触楕円の中心点と接触部の互いの位置関係が、リンクの耐久性に関係するという知見を得た。具体的には、上記チェーンが真っ直ぐに延びた直線領域において、接触部がチェーン内径側にオフセットして配置されている。その結果、チェーン径方向に関して、第1のピンに外力が作用する上記接触部と接触楕円の中心点との距離が遠くなり、これら接触部および接触中心点に作用する外力によって、第1の動力伝達部材に大きなモーメントが生じる。このモーメントが、リンクのチェーン内径側部分に大きな負荷として作用し、このチェーン内径側部分の応力が高くなる。
一方、チェーンが最も大きく屈曲した最大屈曲領域において、接触部はチェーン径方向の中央部の近くに位置することとなる。その結果、チェーン径方向に関して、第1のピンに外力が作用する上記接触部と接触楕円の中心点との距離が近くなり、これら接触部および接触中心点に作用する外力に起因する第1のピンのモーメントは小さい。このモーメントが小さいことにより、リンクのチェーン内径側部分の負荷(応力)は小さくなる。
以上より、チェーンの屈曲に伴うリンクのチェーン内径側部分の応力変動が大きい。リンクの応力変動を小さくすることが、リンクの耐久性の向上につながり、ひいては動力伝達チェーンの耐久性の向上につながる。
かかる知見に基づいてなされた本発明は、チェーン進行方向(X)に並ぶ複数のリンク(2)と、チェーン進行方向とは直交するチェーン幅方向(W)に延びて上記リンクを互いに連結する複数の連結部材(50)とを備え、各上記連結部材は、第1の動力伝達部材(3)および第2の動力伝達部材(4)を含み、各上記連結部材の第1の動力伝達部材は、対応する第2の動力伝達部材に対向する対向部(12)を含み、上記対向部は、リンク間の屈曲角(θ)の変動に伴い変位する接触部(T)で上記対応する第2の動力伝達部材に転がり摺動接触し、リンク間の屈曲に伴う接触部の移動軌跡はインボリュート曲線(INV)を形成し、第1の動力伝達部材の端面(17)に、プーリ(60,70)のシーブ面(62a,63a,72a,73a)に接触する接触領域(19)が形成され、この接触領域は接触中心点(F)を含み、チェーン進行方向およびチェーン幅方向の双方に直交する直交方向(V)に関して、接触中心点と屈曲角がゼロのときの接触部(T1)との距離(J1)、および接触中心点と屈曲角が許容最大屈曲角(θmax)のときの接触部(T2)との距離(J2)が互いに等しいことを特徴とする動力伝達チェーン(1)を提供するものである(請求項1)。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施の形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
本発明によれば、対応する第2の動力伝達部材から接触部に作用する外力と、各プーリから接触中心点に作用する外力とによって生じる第1の動力伝達部材のモーメントを、屈曲角がゼロのときと、屈曲角が許容最大屈曲角のときとで、値が同じで向きが逆になるようにできる。これにより、屈曲角がゼロから許容最大屈曲角まで変動したときにおいて、上記モーメントに起因する、リンクのうちチェーン外径側部分に相当する直交方向の一方側部分の応力の変動幅、およびリンクのうちチェーン内径側部分に相当する直交方向の他方側部分の応力の変動幅を互いに等しくできる。このように、直交方向に関するリンクの一方側部分および他方側部分の応力の変動幅を均等にできる結果、これら一方側部分および他方側部分の何れか一方の応力の変動幅が大きくなることを防止できる。リンクとしての応力の変動幅を小さくすることができることから、リンクの負荷を低減でき、リンクの耐久性の向上を通じて動力伝達チェーンの耐久性を向上できる。
また、本発明において、上記接触中心点は、直交方向に関するリンクの中央位置(K)に配置される場合がある(請求項2)。この場合、第1の動力伝達部材からリンクのうち直交方向の一方側に作用する負荷と、リンクのうち直交方向の他方側に作用する負荷とを、より均等にすることができる。これにより、リンクの応力をより均等に分散でき、リンクの負荷を低くできる。
また、本発明において、上記チェーン幅方向からみて、上記第1の動力伝達部材の接触領域の接触中心点は、当該第1の動力伝達部材の端面の図心(G)と一致するように配置される場合がある(請求項3)。この場合、チェーン幅方向からみて、プーリからの負荷に起因して生じる第1の動力伝達部材の応力を第1の動力伝達部材の全体に偏りなく分布させることができる。
また、本発明において、上記リンクは、チェーン進行方向に並んで配置され対応する連結部材がそれぞれ挿通される第1および第2の貫通孔(9,10)を含み、上記第1の貫通孔には、対応する第1の動力伝達部材が相対移動可能に嵌め入れられるとともに対応する第2の動力伝達部材が圧入固定され、上記第2の貫通孔には、対応する第1の動力伝達部材が圧入固定されるとともに対応する第2の動力伝達部材が相対移動可能に嵌め入れられている場合がある(請求項4)。
この場合、第1の動力伝達部材の接触領域がプーリに順次に係合する際、対応する第2の動力伝達部材が、第1の動力伝達部材に対して転がり摺動接触しつつ、リンク間の屈曲が行われる。この際、相対向する第1および第2の動力伝達部材間において、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が極めて少ない。その結果、第1の動力伝達部材の接触領域が各プーリに対してほとんど回転せずに接触することとなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
また、本発明において、相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に係合して動力を伝達する上記の動力伝達チェーンとを備える場合がある(請求項5)。この場合、耐久性に優れた動力伝達装置を実現できる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、無段変速機100は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1(以下では、単にチェーンともいう)とを備えている。なお、図1中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図2は、図1のドライブプーリ60(ドリブンプーリ70)およびチェーン1の部分的な拡大断面図である。図1および図2を参照して、ドライブプーリ60は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸61に取り付けられるものであり、固定シーブ62と可動シーブ63とを備えている。固定シーブ62および可動シーブ63は、相対向する一対のシーブ面62a,63aをそれぞれ有している。シーブ面62a,63aは円錐面状の傾斜面を含む。
また、可動シーブ63には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、入力軸61の軸方向(図2の左右方向)に可動シーブ63を移動させることにより、溝幅を変化させるようになっている。それにより、入力軸61の径方向(図2の上下方向)にチェーン1を移動させて、チェーン1に関するプーリ60の巻き掛け半径(有効半径)を変化できるようになっている。
一方、ドリブンプーリ70は、図1および図2に示すように、駆動輪(図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸71に一体回転可能に取り付けられており、ドライブプーリ60と同様に、チェーン1を強圧で挟む溝を形成するための相対向する一対のシーブ面73a,72aをそれぞれ有する固定シーブ73および可動シーブ72を備えている。
ドリブンプーリ70の可動シーブ72には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ72を移動させることにより溝幅を変化させるようになっている。それにより、チェーン1を移動させて、チェーン1に関するプーリ70の巻き掛け半径を変化できるようになっている。
図3は、チェーン1の要部の横断面図である。図4は、チェーン1の要部の一部縦断面図であり、チェーン1の直線領域を示している。図5は、図4の一部拡大図である。図6は、チェーン1の屈曲領域の側面図であり、チェーン1の屈曲角θが許容最大屈曲角θmaxであるときの状態を示している。
図3および図4を参照して、チェーン1は、複数のリンク2と、これらのリンク2を互いに連結する複数の連結部材50とを備えている。
以下では、チェーン1の進行方向に平行な方向をチェーン進行方向Xといい、チェーン進行方向Xとは直交するチェーン幅方向に平行な方向をチェーン幅方向Wといい、チェーン進行方向Xおよびチェーン幅方向Wの双方に直交する方向を直交方向Vという。
各リンク2は板状に形成されており、チェーン進行方向Xの前後に並ぶ一対の端部としての前端部5および後端部6、ならびにこれら前端部5および後端部6間に配置される中間部7を含んでいる。
前端部5および後端部6には、第1の貫通孔としての前貫通孔9、および第2の貫通孔としての後貫通孔10がそれぞれ形成されている。中間部7は、前貫通孔9および後貫通孔10間を仕切る柱部8を有している。この柱部8は、チェーン進行方向Xに所定の厚みを有している。また、各リンク2における周縁部は、滑らかな曲線に形成されており、応力集中の生じ難い形状とされている。
リンク2を用いて、複数のリンク列51,52,53,…が形成されている。各リンク列51,52,53,…は、それぞれ、チェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2を含んでいる。同一リンク列の各リンク2は、チェーン進行方向Xの位置が互いに同じとなるように揃えられている。各リンク列51,52,53,…は、チェーン進行方向Xに沿って並んで配置されている。
チェーン進行方向Xに隣接するリンク列のリンク2同士が、対応する連結部材50によって互いに連結されることにより、無端状をなすチェーン1が形成されている。
具体的には、第1のリンク列51のリンク2の前貫通孔9と、第2の列52のリンク2の後貫通孔10とが、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの貫通孔9,10を挿通する連結部材50によって、第1および第2の列51,52のリンク2同士が連結されている。
このように、一のリンク列のリンク2の前貫通孔9と、当該一のリンク列に対してチェーン進行方向Xの前方に位置する他のリンク列のリンク2の後貫通孔10とが、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの貫通孔9,10を挿通する連結部材50によって、対応するリンク列のリンク2同士が連結されている。
各連結部材50は、チェーン幅方向Wに対称な形状をしており、対をなす第1および第2のピン3,4を備えている。
第1および第2のピン3,4は、それぞれ、例えば、JIS(日本工業規格)のSUJ2材等の軸受用鋼を用いて形成された、チェーン幅方向Wに延びる長尺の部材である。
図4を参照して、第1のピン3は、ドライブピンともいい、第1の動力伝達部材を構成している。第1のピン3の周面11は、チェーン進行方向Xの前方を向く対向部としての前部12と、チェーン進行方向Xの後方を向く後部13と、直交方向Vに相対向する一対の端部としての一端部14および他端部15と、を有している。
一端部14は、相対的に直交方向Vの一方側(チェーン1の外径側)に位置しており、他端部15は、相対的に直交方向Vの他方側(チェーン1の内径側)に位置している。
前部12は、対応する第2のピン4に対向しており、変化率増大部分18を含んでいる。第1のピン3のうち、この変化率増大部分18が、リンク2間の屈曲角の変動に伴い変位する接触部Tで、対応する第2のピン4の後述する後部22と転がり摺動接触するようになっている。
なお、転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触をいう。
図5を参照して、変化率増大部分18の断面は、インボリュート曲線INVからなる。インボリュート曲線INVの起点Bは、チェーン1の直線領域における第1および第2のピン3,4の接触部T1と一致している。接触部T1は、屈曲角がゼロのときの接触部である。この起点Bは、前部12の一端部14および他端部15のうちの他端部15側に位置している。
インボリュート曲線INVは、所定の基礎円Cに基づいている。基礎円Cは、中心D、半径Rbを有する円である。
チェーン1の屈曲領域において、中心Dは、チェーン進行方向Xに直交し且つ第1のピン3の接触部T1を含む平面E上に位置しており、且つ上記接触部T1に対して直交方向Vの一方側に位置している。基礎円C上に起点Bが配置されている。
インボリュート曲線INVは、起点Bから直交方向Vの一方側に延びている。インボリュート曲線INVの曲率半径は、当該インボリュート曲線INVを直交方向Vの一方側に進むに従い大きくなる。これにより、リンク2間の屈曲角の増大に応じて、接触部Tの変位量の変化率が増大するようになっている。
上記の構成により、チェーン幅方向Wからみて、対応するリンク2間の屈曲に伴う接触部Tの移動軌跡は、第1のピン3を基準としてインボリュート曲線INVを形成する。
図2を参照して、第1のピン3の一対の端部16には、それぞれ、端面17が設けられている。これらの端面17は、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに薄い潤滑油膜を介して動力伝達可能に係合するようになっている。このように、第1のピン3の端面17が直接動力伝達に寄与するため、当該第1のピン3は、前述した軸受用鋼等の高強度且つ耐摩耗性に優れた材料で形成されている。
第1のピン3の端面17は、球面の一部を含む形状に形成されており、チェーン幅方向Wの外側に向けて凸湾曲している。第1のピン3の一端部14は、他端部15よりもチェーン幅方向Wの外側に突出している。
図2および図5を参照して、端面17には、接触領域19が設けられている。端面17のうちの接触領域19が、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに薄い潤滑油膜を介して動力伝達可能に係合するようになっている。
接触領域19は、例えば、楕円形形状をなしており、この楕円の中心が接触中心点Fとなっている。チェーン幅方向Wからみて、接触中心点Fは、この接触領域19が形成される第1のピン3の端面17の図心Gと一致するように配置されている。接触領域19の長軸20は、平坦面からなる含む第1のピン3の後部13と平行である。
なお、上記の「接触中心点Fは、端面17の図心Gと一致」とは、両者が実質的に一致することをいい、例えば、製造誤差の範囲で両者がずれていることを含むものである。
第2のピン4は、ロックピン、ストリップ、またはインターピースともいい、第2の動力伝達部材を構成している。第2のピン4は、各上記プーリのシーブ面に接触しないように、第1のピン3よりも短く形成されている。チェーン進行方向Xに関して、第2のピン4は、対をなす第1のピン3の前方に配置されているとともに、第1のピン3よりも薄肉に形成されている。
第2のピン4の周面21は、チェーン進行方向Xの後方を向く後部22と、直交方向Vに相対向する一対の端部としての一端部23および他端部24と、を含んでいる。後部22は、チェーン進行方向Xと直交する平坦面に形成されており、対応する第1のピン3の前部12と対向する対向部を構成している。
一端部23は、相対的に直交方向Vの一方側に位置しており、他端部24は、相対的に直交方向Vの他方側に位置している。
図4を参照して、チェーン1は、いわゆる圧入タイプのチェーンとされている。具体的には、各リンク2の前貫通孔9に、対応する第1のピン3が相対移動可能に遊嵌されているとともに、対応する第2のピン4が圧入固定されている。また、各リンク2の後貫通孔10に、対応する第1のピン3が圧入固定されているとともに、対応する第2のピン4が相対移動可能に遊嵌されている。
前貫通孔9のうち、対応する第2のピン4の一端部23に対向する部分が外径側被圧入部25とされており、この外径側被圧入部25に上記一端部23が圧接されている。前貫通孔9のうち、対応する第2のピン4の他端部24に対向する部分が内径側被圧入部26とされており、この内径側被圧入部26に上記他端部24が圧接されている。
後貫通孔10のうち、対応する第1のピン3の一端部14に対向する部分が外径側被圧入部27とされており、この外径側被圧入部27に上記一端部14が圧接されている。後貫通孔10のうち、対応する第1のピン3の他端部15に対向する部分が内径側被圧入部28とされており、この内径側被圧入部28に上記他端部15が圧接されている。
図6を参照して、屈曲角θは、例えば、第1の平面H1と第2の平面H2とがなす角として定義される。
第1の平面H1は、一のリンク2aの各貫通孔9,10のそれぞれに挿通された一対の第1のピン3a,3bのそれぞれの接触中心点Fを含み、且つチェーン幅方向Wと平行な平面をいう。
第2の平面H2は、上記リンク2aとチェーン進行方向Xに隣り合う他のリンク2bの各貫通孔9,10のそれぞれに挿通された、一対の第1のピン3b,3cのそれぞれの接触中心点Fを含み、且つチェーン幅方向Wと平行な平面をいう。
屈曲角θの設計上の範囲は、例えば0°〜20°に設定されており、屈曲角θの下限は0°、許容最大屈曲角θmaxは、20°となっている。図6において、屈曲角θが許容最大屈曲角θmaxであるときの状態を示しており、このときの接触部Tが、接触部T2として示されている。一方、図4および図5では、屈曲角θが0°であるときの状態を示している。
図5を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、直交方向Vに関して、接触領域19の接触中心点Fと屈曲角θが0°(ゼロ)のときの接触部T1との距離J1、および上記接触中心点Fと屈曲角θが許容最大屈曲角θmaxのときの接触部T2との距離J2が、互いに等しくされている点にある。
また、本実施の形態の別の特徴として、第1のピン3の接触領域19の接触中心点Fが、直交方向Vに関するリンク2の中央位置Kに配置されている点を挙げることができる。
具体的には、直交方向Vに関して、リンク2は、後貫通孔10が形成されている部分が最も長くされており、この部分の長さがリンク2の長さL(高さ)とされている。直交方向Vに関して、リンク2の内径側端部29からこの長さLの1/2だけ進んだ位置に、接触中心点Fが配置されている。
直交方向Vに関して、リンク2の内径側端部29から後貫通孔10の内径側被圧入部28までの長さM1と、リンク2の外径側端部30から後貫通孔10の外径側被圧入部27までの長さM2とは、概ね同じにされている(M1≒M2)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、直交方向Vに関して、第1のピン3の接触中心点Fと、屈曲角θがゼロのときの接触部T1との距離J1、および第1のピン3の接触中心点Fと屈曲角θが許容最大屈曲角θmaxのときの接触部T2との距離J2を互いに等しくしている。
これにより、対応する第2のピン4から第1のピン3の接触部Tに作用する外力と、各プーリ60,70から接触中心点Fに作用する外力とによって生じる第1のピン3のモーメントを、屈曲角θがゼロのときと、屈曲角θが許容最大屈曲角θmaxのときとで、値が同じで向きが逆になるようにできる。
これにより、屈曲角θがゼロから許容最大屈曲角θmaxまで変動したときにおいて、上記モーメントに起因する、リンク2の後貫通孔10の外径側被圧入部27の応力の変動幅、および内径側被圧入部28の応力の変動幅を互いに等しくできる。
このように、リンク2の後貫通孔10の外径側被圧入部27の応力の変動幅、および内径側被圧入部28の応力の変動幅を均等にできる結果、これら外径側被圧入部27および内径側被圧入部28の何れか一方の応力の変動幅が大きくなることを防止できる。リンク2としての応力の変動幅を小さくすることができることから、リンク2の負荷を低減でき、リンク2の耐久性の向上を通じてチェーン1の耐久性を向上できる。
本実施の形態のチェーン1の効果は、例えば、図7に示す従来のチェーン200との対比によってより明確になる。チェーン200は、第1および第2のピン3,4と同様の第1および第2のピン203,204を有しているが、以下の点が異なっている。すなわち、直交方向Vに関して、接触中心点Pと屈曲角θがゼロのときの接触部N1との距離Q1が相対的に長く、接触中心点Pと屈曲角θが許容最大屈曲角θmaxのときの接触部N2との距離Q2が相対的に短い。
このチェーン200において、リンク2の後貫通孔10の外径側被圧入部27および内径側被圧入部28のそれぞれに生じる応力の変動幅と、本実施の形態のチェーン1における後貫通孔10の外径側被圧入部27および内径側被圧入部28のそれぞれに生じる応力の変動幅とを比較すると、図8のようになる。
図8(A)に示すように、本実施の形態のチェーン1では、外径側被圧入部27における応力σの最大値と内径側被圧入部28における応力の最大値が概ね等しく、外径側被圧入部27および内径側被圧入部28のそれぞれの応力変動の幅S1が小さい。したがって、リンク2としての応力変動の幅が小さい。
これに対し、図8(B)に示すように、従来のチェーン200では、内径側被圧入部28における応力σの最大値が高い結果、この内径側被圧入部28における応力変動の幅S2が大きい。したがって、リンク2としての応力変動の幅が大きい。
このように、本実施の形態のチェーン1のリンク2の応力変動の幅がより小さくされており、耐久性がより向上していることがわかる。
また、第1のピン3の接触中心点Fを、直交方向Vに関するリンク2の中央位置Kに配置している。これにより、第1のピン3からリンク2の後貫通孔10の外径側被圧入部27に作用する負荷と、内径側被圧入部28に作用する負荷とを、より均等にすることができる。これにより、リンク2の応力をより均等に分散でき、リンク2の負荷を低くできる。
さらに、チェーン幅方向Wからみて、第1のピン3の接触領域19の接触中心点Fを、当該第1のピン3の端面17の図心Gと一致するように配置している。これにより、チェーン幅方向Wからみて、各プーリ60,70からの負荷に起因して生じる第1のピン3の応力を第1のピン3の全体に偏りなく分布させることができる。
また、各リンク2の前貫通孔9に、対応する第1のピン3を遊嵌するとともに対応する第2のピン4を圧入固定し、各リンク2の後貫通孔10に、対応する第1のピン3を圧入固定するとともに対応する第2のピン4を遊嵌している。
これにより、第1のピン3の接触領域19が各プーリ60,70に順次に係合する際、対応する第2のピン4が、第1のピン3に対して転がり摺動接触しつつ、リンク2間の屈曲が行われる。この際、相対向する第1および第2のピン3,4間において、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が極めて少ない。
その結果、第1のピン3の接触領域19が、各プーリ60,70に対してほとんど回転せずに接触することとなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
さらに、第1のピン3の変化率増大部分18の断面をインボリュート曲線INVにしていることにより、リンク2間の屈曲に伴う第1のピン3の接触部Tの移動軌跡を、インボリュート曲線INVに沿う形状にできる。その結果、第1のピン3が各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに順次に係合することに起因する、チェーン1の弦振動的な振動を確実に低減できる。
以上より、耐久性、伝動効率に優れ、しかも振動の少ない無段変速機100を実現できる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、第1のピン3の接触中心点Fは、直交方向Vに関するリンク2の中央位置Kに対して、直交方向Vにオフセットして配置されていてもよい。また、チェーン幅方向Wからみて、第1のピン3の接触中心点Fは、当該第1のピン3の端面17の図心Gからずれた位置に配置されていてもよい。
さらに、第1のピン3を対応するリンク2の後貫通孔10に遊嵌していてもよい。また、第2のピン4を対応するリンク2の前貫通孔9に遊嵌してもよい。さらに、第2のピン4を、各プーリ60,70に係合させてもよい。
また、本発明を、ピン等に固定され、且つピンよりもチェーン幅方向の外側に突出した動力伝達ブロックを含む、いわゆるブロックタイプチェーンに適用することができる。
さらに、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。また、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、段階的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用しても良い。
本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としての無段変速機の要部構成を模式的に示す斜視図である。 図1のドライブプーリ(ドリブンプーリ)およびチェーンの部分的な拡大断面図である。 チェーンの要部の横断面図である。 チェーンの要部の一部縦断面図であり、チェーンの直線領域を示している。 図4の一部拡大図である。 チェーンの屈曲領域の側面図であり、チェーンの屈曲角が最大許容屈曲角であるときの状態を示している。 従来のチェーンの要部の一部断面図である。 (A)は、本発明の一実施の形態にかかるチェーンのリンクの各部に生じる応力と屈曲角との関係を示す模式的なグラフであり、(B)は、従来のチェーンのリンクの各部に生じる応力と屈曲角との関係を示す模式的なグラフである。
符号の説明
1…動力伝達チェーン、2…リンク、3…第1のピン(第1の動力伝達部材)、4…第2のピン(第2の動力伝達部材)、9…前貫通孔(第1の貫通孔)、10…後貫通孔(第2の貫通孔)、12…(第1のピンの)前部(対向部)、17…端面、19…接触領域、50…連結部材、60,70…プーリ、62a,63a,72a,73a…シーブ面、100…無段変速機(動力伝達装置)、F…接触中心点、G…図心、INV…インボリュート曲線、J1,J2…距離、K…中央位置、T…接触部、T1…(屈曲角がゼロのときの)接触部、T2…(屈曲角が許容最大屈曲角のときの)接触部、V…直交方向、W…チェーン幅方向、X…チェーン進行方向、θ…屈曲角、θmax…許容最大屈曲角。

Claims (5)

  1. チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクと、チェーン進行方向とは直交するチェーン幅方向に延びて上記リンクを互いに連結する複数の連結部材とを備え、
    各上記連結部材は、第1の動力伝達部材および第2の動力伝達部材を含み、
    各上記連結部材の第1の動力伝達部材は、対応する第2の動力伝達部材に対向する対向部を含み、
    上記対向部は、リンク間の屈曲角の変動に伴い変位する接触部で上記対応する第2の動力伝達部材に転がり摺動接触し、
    リンク間の屈曲に伴う接触部の移動軌跡はインボリュート曲線を形成し、
    第1の動力伝達部材の端面に、プーリのシーブ面に接触する接触領域が形成され、この接触領域は接触中心点を含み、
    チェーン進行方向およびチェーン幅方向の双方に直交する直交方向に関して、接触中心点と屈曲角がゼロのときの接触部との距離、および接触中心点と屈曲角が許容最大屈曲角のときの接触部との距離が互いに等しいことを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 請求項1において、上記接触中心点は、直交方向に関するリンクの中央位置に配置される動力伝達チェーン。
  3. 請求項1または2において、上記チェーン幅方向からみて、上記第1の動力伝達部材の接触領域の接触中心点は、当該第1の動力伝達部材の端面の図心と一致するように配置される動力伝達チェーン。
  4. 請求項1〜3の何れか1項において、上記リンクは、チェーン進行方向に並んで配置され対応する連結部材がそれぞれ挿通される第1および第2の貫通孔を含み、
    上記第1の貫通孔には、対応する第1の動力伝達部材が相対移動可能に嵌め入れられるとともに対応する第2の動力伝達部材が圧入固定され、
    上記第2の貫通孔には、対応する第1の動力伝達部材が圧入固定されるとともに対応する第2の動力伝達部材が相対移動可能に嵌め入れられている動力伝達チェーン。
  5. 相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に係合して動力を伝達する請求項1〜4の何れか1項に記載の動力伝達チェーンとを備える動力伝達装置。
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