JP2008291407A - 無機繊維布帛の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】駆動ロール3で搬送されるネット状のコンベヤ2上で拡布状に保持された無機繊維布帛1に、拡散スプレー4から噴射される散水流を当てつつ、上記コンベヤの裏側に設置されたサクションボックス5により吸引を行うことを特徴とする無機繊維布帛の洗浄方法。
【選択図】図2
Description
例えばガラスクロスの場合、原繊には紡糸時に用いられた収束剤などの有機物が、また生機クロス表面には製織時に用いられた収束剤や平滑剤などの有機物が付着しているため、ヒートクリーニング処理によりそれらを焼却除去することが一般的に行われる。しかしながら、ヒートクリーニング処理後のクロスにおいても、生機クロス由来の有機物焼却残渣やガラスから析出した極微量の無機塩が無秩序に残存付着しており、さらに表面処理クロスにおいてはシランカップリング剤などの表面処理剤が余剰に付着している場合もある。それらの不要な付着物は近隣のガラスフィラメント同士を密着させる原因となり、そのようにフィラメント同士が密着していると、ガラスクロスへの樹脂含浸が妨げられる。樹脂が含浸していない空隙部分が存在すると、樹脂/ガラス界面の密着性や耐熱性が低下し、基材の絶縁性を低下させる原因となるため、ガラス繊維表面から余分な付着物を除去しておく必要がある。
[1] 駆動ロールで搬送されるネット状のコンベヤ上で拡布状に保持された無機繊維布帛に、拡散スプレーから噴射される散水流を当てつつ、上記コンベヤの裏側に設置されたサクションボックスにより吸引を行うことを特徴とする無機繊維布帛の洗浄方法、
[2] 無機繊維布帛は、経糸および緯糸のうち少なくとも一方が単糸径3.5〜5.5μmのガラスフィラメントをそれぞれ40〜220本収束させた繊維束からなり、かつ経糸および緯糸のうち少なくとも一方の織り密度が50〜110本/25mmの範囲にあり、かつ厚さが8〜50μmのガラスクロスである前項[1]に記載の洗浄方法、
[3] 拡散スプレーから噴射される散水流を、ザウター平均粒子径が30〜200μmの範囲内にて滴状分裂した状態で無機繊維布帛に当てる前項[1]または[2]に記載の洗浄方法、および
[4] 拡散スプレーから噴射される散水流が無機布帛に当たる際のインパクト面圧が10〜70mN/cm2の範囲にある前項[1]〜[3]のいずれかに記載の洗浄方法、
に関する。
さらに、拡散スプレーから噴射される散水流が無機布帛にあたる際のインパクト面圧は10〜70mN/cm2の範囲内であるのが好ましく、20〜60mN/cm2の範囲内であるのがより好ましい。このインパクト面圧が10mN/cm2未満ではガラス繊維を効率良く洗浄するためのエネルギーが生じない場合があり、一方、70mN/cm2を超えると液滴がガラス繊維束に衝突するときの衝撃が大きく、目ずれや毛羽立ちが起きやすくなる場合がある。
なお、サクションボックスは、無機繊維布帛の全幅にわたって吸引が行われるよう、吸引孔が幅方向(ネットコンベヤの進行方向と垂直な方向)に沿って複数列並ぶように設置されることが好ましい。
1.ガラスクロスの物性測定方法:
JIS R3420に従い、測定した。
2.樹脂含浸性の評価方法:
洗浄効果の確認のため、樹脂含浸性を光透過率法で次のようにして測定した。
ポリエステルフィルムを貼ったガラス板の真上からハロゲンランプを照射した際の透過光の強度を測定し、次いでポリエステルフィルムを貼ったガラス板にガラスクロスを置き、その上から温度20℃に調整したエポキシ樹脂のワニス約0.5g/cm2をのせてから60秒後の透過光の強度を測定し、これらの前者に対する後者の比を百分率で表した値を光透過率とした。測定は5回行い、その平均値を算出して樹脂含浸性の指標とした。含浸性が高い場合には光透過率の値が大きくなるが、その絶対値はガラスクロスの構成にも大きく影響されるので、後述するように同じ規格のガラスクロス同士で相対比較して評価することとした。
なお、エポキシ樹脂のワニスとしてはNBMA規格のFR−4組成のエポキシ樹脂100重量部に対して14重量部のメチルエチルケトン溶液で希釈したワニスを用いた。
3.洗浄後のガラスクロスの外観変化
目視により以下の基準で評価した。
○:洗浄前と比較してほとんど外観が変化していない
△:洗浄前と比較するとわずかにシワ/目荒れなどの外観変化が認められる。
×:洗浄前と比較すると明らかにシワ/目荒れなどの外観変化が生じている。
4.スプレー液滴粒子径:
レーザー回折法で次のようにして測定した。
扇形フラットスプレーから照射されることにより液滴分裂した水滴の粒子径を、レーザー光を回折させてマルバーン社製マスターサイザーを用いて測定した。
5.スプレー照射面のインパクト面圧:
受圧プレート上にスプレー照射して計測した。
下記表1に示すIPC規格のスタイル#1015ガラスクロス(ユニチカグラスファイバー株式会社製:商品名E02Z)の生機を400℃で40時間加熱焼却して紡糸油剤および経糸糊剤を焼却除去した。
続いてシランカップリング剤SZ6032(東レ・ダウコーニング製)をあらかじめ加水分解して得られる処理液に上記ガラスクロスを浸漬し、パダーロールにて絞液後130℃で2分間乾燥させることにより得られたシラン処理クロスを駆動ロールで搬送されるネット状のコンベア上に導いた。散水流噴射前にウォーターカーテンであらかじめ水を含浸させ、拡布状に保持したガラスクロスに対して拡散スプレーから散水流を噴射すると同時に、上記コンベアの裏側に設置されたサクションボックスにより−80gf/cm2の負圧で吸引を行うことでガラスクロスの洗浄を行った。このときスプレーの噴射水圧は1.5MPaであり、液滴分裂したスプレーの水滴径はφ130μm、インパクト面圧は29.8mN/cm2と測定された。
下記表1に示すIPC規格のスタイル#1037ガラスクロス(ユニチカグラスファイバー株式会社製:商品名E03E)の生機を400℃で40時間加熱焼却して紡糸油剤および経糸糊剤を焼却除去した。
続いてシランカップリング剤SZ6032(東レ・ダウコーニング製)をあらかじめ加水分解して得られる処理液に上記ガラスクロスを浸漬し、パダーロールにて絞液後130℃で2分間乾燥させることにより得られたシラン処理クロスを駆動ロールで搬送されるネット状のコンベア上に導いた。散水流噴射前にウォーターカーテンであらかじめ水を含浸させ、拡布状に保持したガラスクロスに対して拡散スプレーから散水流を噴射すると同時に、上記コンベアの裏側に設置されたサクションボックスにより−80gf/cm2の負圧で吸引を行うことでガラスクロスの洗浄を行った。このときスプレーの噴射水圧は2MPaであり、液滴分裂したスプレーの水滴径はφ110μm、インパクト面圧は38.2mN/cm2と測定された。
下記表1に示すIPC規格のスタイル#1078ガラスクロス(ユニチカグラスファイバー株式会社製:商品名E06E)の生機を400℃で40時間加熱焼却して紡糸油剤および経糸糊剤を焼却除去した。
続いて、シランカップリング剤SZ6032(東レ・ダウコーニング製)をあらかじめ加水分解して得られる処理液にガラスクロスを浸漬し、パダーロールにて絞液後130℃で2分間乾燥させることにより得られたシラン処理クロスを駆動ロールで搬送されるネット状のコンベア上に導いた。散水流噴射前にウォーターカーテンであらかじめ水を含浸させ、拡布状に保持したガラスクロスに対して拡散スプレーから散水流を噴射すると同時に、上記コンベアの裏側に設置されたサクションボックスにより−80gf/cm2の負圧で吸引を行うことでガラスクロスの洗浄を行った。その後、このときスプレーの噴射水圧は3MPaであり、液滴分裂したスプレーの水滴径はφ80μm、インパクト面圧は53.5mN/cm2と測定された。
拡散スプレーから散水流を噴射する際に事前のウォーターカーテンによる水の含浸を行わないこと、およびコンベアの裏側に設置されたサクションボックスにより吸引を行わないこと以外は全て実施例1と同じにしてガラスクロスの洗浄を行った。
拡散スプレーから散水流を噴射する際に事前のウォーターカーテンによる水の含浸を行わないこと、およびコンベアの裏側に設置されたサクションボックスにより吸引を行わないこと以外はすべて実施例2と同じにしてガラスクロスの洗浄を行った。
拡散スプレーから散水流を噴射する際に事前のウォーターカーテンによる水の含浸を行わないこと、およびコンベアの裏側に設置されたサクションボックスにより吸引を行わないこと以外はすべて実施例3と同じにしてガラスクロスの洗浄を行った。
2 ネット状コンベヤ
3 駆動ロール
4 スプレーノズル
5 サクションボックス
6 散水流の噴射領域
Claims (4)
- 駆動ロールで搬送されるネット状のコンベヤ上で拡布状に保持された無機繊維布帛に、拡散スプレーから噴射される散水流を当てつつ、上記コンベヤの裏側に設置されたサクションボックスにより吸引を行うことを特徴とする無機繊維布帛の洗浄方法。
- 無機繊維布帛は、経糸および緯糸のうち少なくとも一方が単糸径3.5〜5.5μmのガラスフィラメントをそれぞれ40〜220本収束させた繊維束からなり、かつ経糸および緯糸のうち少なくとも一方の織り密度が50〜110本/25mmの範囲にあり、かつ厚さが8〜50μmのガラスクロスである請求項1に記載の洗浄方法
- 拡散スプレーから噴射される散水流を、ザウター平均粒子径が30〜200μmの範囲内にて滴状分裂した状態で無機繊維布帛に当てる請求項1または2に記載の洗浄方法。
- 拡散スプレーから噴射される散水流が無機布帛に当たる際のインパクト面圧が10〜70mN/cm2の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄方法。
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