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JP2008280474A - ポリ乳酸とポリプロピレンからなるポリマーアロイおよびその成形品と製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸とポリプロピレンからなるポリマーアロイおよびその成形品と製造方法 Download PDF

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JP2008280474A
JP2008280474A JP2007127713A JP2007127713A JP2008280474A JP 2008280474 A JP2008280474 A JP 2008280474A JP 2007127713 A JP2007127713 A JP 2007127713A JP 2007127713 A JP2007127713 A JP 2007127713A JP 2008280474 A JP2008280474 A JP 2008280474A
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copolymer
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polylactic acid
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Nobuyuki Sakuta
信幸 作田
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Nishikawa Rubber Co Ltd
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Nishikawa Rubber Co Ltd
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Abstract

【課題】耐衝撃性、耐熱性、および柔軟性の相反する3つの物性を高いバランスで両立する、ポリ乳酸を約50質量%以上含むポリマーアロイおよびその成形品を提供する。
【解決手段】(A)ポリ乳酸、(B)ポリプロピレン、および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を含有するポリマーアロイ。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸、ポリプロピレン、およびD-乳酸と糖類との共重合体を含有することを特徴とするポリマーアロイに関する。より詳しくは、耐衝撃性、耐熱性、そして柔軟性の相反する3つの物性を高いバランスで両立する、ポリ乳酸を約50質量%以上含むポリマーアロイおよびその成形品と製造方法に関する。
近年、自動車業界ではプラスチック材料にかかわるCO2低減の期待からカーボンニュートラルなバイオプラスチックの自動車部品への採用が試みられており、実際にいくつかの例が報告されている。
バイオプラスチックの中でも特にポリ乳酸は、融点が150〜180℃と比較的高く、剛性もあり溶融成形が可能なバイオプラスチックである。しかし、ポリ乳酸単体では、自動車部品のように過度の外力や高温下で使用する場合、その特性は不十分であり適用には限界がある。
この問題を解決する方法として、例えば、ポリ乳酸に有機系充填剤として古紙粉を配合することによる耐衝撃性、耐熱性に優れた自動車部品用材料が報告されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載の材料では柔軟性に乏しいという問題がある。一方、ポリ乳酸成形品に柔軟性を付与する方法として、ポリ乳酸に脂肪族ポリエステルを配合することで柔軟性に優れた成形品が報告されている(特許文献2参照)。しかし、特許文献2に記載の材料には、耐熱性に乏しいという問題がある。
ここで、ポリ乳酸成形品において、耐衝撃性、耐熱性、そして柔軟性の3項目を同時に満たすためには、ポリ乳酸と別の優れた物性の樹脂との混合が考えられる。しかしながらポリ乳酸は極性を有する樹脂であり、ポリ乳酸に無極性の汎用樹脂、たとえばポリプロピレンを混合しても樹脂同士の界面は相分離し、混合した組成物を射出成形しても前記3項目の物性を全て満足することはできない。
特開2005-8712号公報 特開2005-36179号公報
本発明は、従来技術における上記の問題点を改良し、耐衝撃性、耐熱性、および柔軟性の相反する3つの物性を高いバランスで両立する、ポリマーアロイおよびそのポリ乳酸成形品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(A)ポリ乳酸、(B)ポリプロピレン、および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を含有するポリマーアロイポリマーアロイを見出し、本発明を完成させた。ここで(A)ポリ乳酸とはポリ-L-乳酸(PLLA)である。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.(A)ポリ乳酸、(B)ポリプロピレン、および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を含有するポリマーアロイ。
2.(A)ポリ乳酸100重量部に対し、(B)ポリプロピレンを60〜100重量部、および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を含有するポリマーアロイを1〜10重量部を含有する前項1に記載のポリマーアロイ。
3.(B)ポリプロピレンの荷重たわみ温度(JIS K7191、荷重0.45MPa)が100℃以上である前項1または2に記載のポリマーアロイ。
4.(C)D-乳酸と糖類との共重合体が、D-乳酸とデンプンとの共重合体である前項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーアロイ。
5.(D)相溶化剤をさらに含有する前項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーアロイ。
6.(A)ポリ乳酸100重量部に対し、(D)相溶化剤を2〜10重量部含有する前項5に記載のポリマーアロイ。
7.(D)相溶化剤が、アクリル系ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、2重結合部分を水素添加したスチレン−ブタジエン共重体から選択される少なくとも1種類である前項5または6に記載のポリマーアロイ。
8.(E)柔軟性付与剤をさらに含有する前項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーアロイ。
9.(A)ポリ乳酸100重量部に対し、(E)柔軟性付与剤を2〜10重量部含有する前項8に記載のポリマーアロイ。
10.(E)柔軟性付与剤がスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体から選択される少なくとも1種類である前項8または9に記載のポリマーアロイ。
11.前項1〜10のいずれか1項に記載されるポリマーアロイを成形してなる成形品。
12.以下の工程を含むポリマーアロイの製造方法。
(1)(A)ポリ乳酸および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を溶融混練する工程
(2)さらに(B)ポリプロピレン、(D)相溶化剤、および(E)柔軟性付与剤を配合し、再度溶融混練する工程
本発明のポリマーアロイによれば、耐衝撃性、耐熱性、および柔軟性の3項目を同時に満たし、過度の外力や高温下で使用に耐えうるポリ乳酸成形品を提供することができる。従って自動車用部品、OA機器、情報・通信機器、家庭電化製品、家庭日用品へ適用することができる。
〈ポリマーアロイの組成〉
本発明のポリマーアロイは、(A)ポリ乳酸、(B)ポリプロピレン、および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を含む。
(A)ポリ乳酸
本発明に使用するポリ乳酸におけるL-乳酸およびD-乳酸の含有量は、特に制限されること無く好適に使用することができる。ポリ乳酸の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、例えば、乳酸からの直接重合法およびラクチドを介する開環重合法などが挙げられる。
ポリ乳酸の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、重量平均分子量としては、通常3万以上、好ましくは5万以上、さらに7万以上であることが望ましい。
ポリ乳酸の融点については、特に制限されるものではないが、140℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましく、特に160℃以上であることが望ましい。
ポリ乳酸の製造法は特に限定されるものではなく、乳酸、または乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸との混合物を直接脱水縮合する方法、乳酸の環状二量体を溶融重合する開環重合法、乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状二量体を溶融重合する開環重合法、乳酸、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸の混合物を直接脱水重縮合する方法などが挙げられる。
(B)ポリプロピレン(無極性樹脂)
本発明のポリマーアロイにおける(B)ポリプロピレンの配合量は、(A)ポリ乳酸100重量部に対して、60〜100重量部の範囲内とすることが好ましい。(A)ポリ乳酸100重量部に対して、(B)ポリプロピレンを60重量部より少なく配合すると、ポリマーアロイ成形品の構造が、ポリ乳酸の中に無極性樹脂が点在する構造となり、成形品が加水分解の影響を非常に受けやすくなるからである。
本明細書において、「無極性樹脂」とは、電気双極子を持たない分子により構成された樹脂、あるいは極性結合をもっていても分子の対称性からその双極子モーメントがうち消された構造を持つ分子、またはそれに近い極性の低い極性結合を持つ分子により構成された樹脂を意味する。無極性樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられるが、特にポリプロピレンを用いる。これはポリプロピレンが汎用樹脂として、もっとも幅広く使用されており、コスト的にも有利だからである。これらの無極性樹脂は広く市販されている。
(C)D-乳酸と糖類との共重合体
本発明のポリマーアロイは、結晶化促進剤としてD-乳酸と糖類との共重合体を含有する。本発明のポリマーアロイにおけるD-乳酸と糖類との共重合体の配合量は、ポリ乳酸100重量部に対して1〜10重量部の範囲内とすることが好ましい。1重量部未満であると結晶化促進剤として樹脂強度向上効果が低く、10重量部以上にすると生分解速度が低下したり、着色したりするからである。
前記D-乳酸は、市販されている純度(水溶液中の濃度)50%から95%までのいずれのものも利用可能であるが、入手の容易な90%乳酸が好ましい。この際、前記D-乳酸の光学純度は80%以上であることが好ましい。糖類としては、特に制限されないが、デンプン、ブドウ糖、ショ糖、および酢酸セルロース等が挙げられ、中でも原料コスト、反応性等の点からデンプンが好ましい。
D-乳酸と糖類との共重合体におけるD-乳酸と糖類の配合比は、質量比で99.9〜90:0.1〜10の範囲内とすることが好ましい。糖類の配合比が0.1未満であると結晶化促進剤としての効果が低く、10以上であると結晶化促進剤としての作用が強すぎて、配合された樹脂の融点が高すぎて成形加工が困難になるためである。
(D)相溶化剤
本発明のポリマーアロイは、さらに相溶化剤を配合することができる。本発明のポリマーアロイにおける相溶化剤の配合量は、ポリ乳酸100重量部に対して2〜10重量部の範囲内とすることが好ましい。配合量が2未満であると相溶化剤としての効果が低く、10以上であると耐熱性および耐衝撃性に劣り、更にコストも高くなるからである。
相溶化剤として、例えば、アクリル系ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、二重結合部分を水素添加したスチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。これらの相溶化剤は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組合わせて用いてもよい。
前記アクリル系ブロック共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が、3000〜100000の範囲内であることが好ましい。分子量が3000未満の低分子量であると、成形品からブリードアウトの恐れがあり、分子量が100000以上では他の樹脂との混練時に溶融粘度が高すぎるため、うまく混練できないからである。アクリル系ブロック共重合体は、アクリル系重合体ブロックとプロピレン系重合体ブロックからなることが好ましい。アクリル系重合体ブロックとプロピレン系重合体ブロックとの混合比(質量)を、10〜90:90〜10の範囲内とすることが好ましい。この範囲内とすることで、ポリプロピレンのポリ乳酸への相溶化性の向上が期待できるからである。
前記スチレン−ブタジエン共重合体は、スチレン系単量体単位の含有量が10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内とすることで、相溶化剤としての機能が期待できるからである。スチレン−ブタジエン共重合体の構造としては、例えば、ランダム、ブロック、テーパー等公知の構造が挙げられる。また、スチレン−ブタジエン共重合体は単独で用いてもよいし、複数種を組合わせて用いてもよい。
前記二重結合部分を水素添加したスチレン−ブタジエン共重合体は、スチレン系単量体単位の含有量が10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内とすることで、相溶化剤としての機能が期待できるからである。
(E)柔軟性付与剤
本発明のポリマーアロイは、さらに柔軟性付与剤を配合することができる。本発明のポリマーアロイにおける柔軟性付与剤の配合量は、ポリ乳酸100重量部に対して2〜10重量部の範囲内とすることが好ましい。この範囲内とすることにより、柔軟性に優れた成形品が得られ、コスト的にも優位であるからである。
柔軟性付与剤としては、例えば、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの柔軟性付与剤は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組合わせて用いてもよい。
前記スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体は、スチレン系単量体単位の含有量が10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内とすることで、柔軟性付与剤としての機能が期待できるからである。スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体の構造としては、例えば、ランダム、ブロック、テーパー等公知の構造が挙げられる。また、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体は単独で用いてもよいし、複数種を組合わせて用いてもよい。また、前記スチレン−ブタジエン共重合体は、スチレン系単量体単位の含有量が10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内とすることで、柔軟性付与剤としての機能が期待できるからである。
〈ポリマーアロイの製造方法〉
本発明のポリマーアロイは、以下の工程(1)および(2)を含む方法により製造することができる。
(1)(A)ポリ乳酸および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を、溶融混練する工程
(2)さらに(B)ポリプロピレン、(D)相溶化剤、(E)柔軟性付与剤を配合し、再度溶融混練する工程
工程(1)は、(A)ポリ乳酸および(C)D-乳酸と糖類との共重合体(いずれも固形物)を、高速攪拌機、低速攪拌機などを用いて均一に混合した後、一軸または多軸の押し出し機で溶融混練し、ペレットを得る工程である。
また、工程(2)は、工程(1)で得られたペレットに、(B)ポリプロピレン、(D)相溶化剤および(E)柔軟性付与剤を、高速攪拌機、低速攪拌機などを用いて均一に混合した後、一軸または多軸の押し出し機で溶融混練する工程である。
前記配合成分の押し出し機への供給方法は、(A)ポリ乳酸および(C)D-乳酸と糖類との共重合体、または(B)ポリプロピレン、(D)相溶化剤および(E)柔軟性付与剤を高速攪拌機、低速攪拌機などを用いて均一に混合した後ホッパーより供給する一括法であってもよく、別々に押し出し機に直接供給する別添加法でもよい。
溶融混練時の温度は、150〜200℃の範囲内とすることが好ましい。また、溶融混練時間は、30〜900秒の範囲内とすることが好ましい。
本発明のポリマーアロイには、必要に応じて、成形加工性、樹脂強度、難燃性等の向上を目的として、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、カーボンブラック、タルク、マイカ、クレー、アルミナ、黒鉛等の各種無機充填剤を添加してもよい。また耐衝撃性を上げる目的で、脂肪酸、大豆油、菜種油、ロジン等の植物油系軟化剤、セルロース粉末、繊維、天然ゴム、ファクチス等を添加してもよい。さらに発泡させることを目的として、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機発泡剤や、アゾジカルボンアミド、p,p'-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の有機発泡剤を添加してもよい。
〈ポリマーアロイの成形方法〉
本発明のポリマーアロイは、通常のプラスチックの成形に用いられる押出機、射出成形機などを用いて押し出し、射出成形が可能である。射出成形条件は、ポリマーアロイの組成、分子量、配合割合、添加剤の種類等を勘案して適宜決定すればよく、とくに制限されるものではないが、例えば、シリンダ温度160〜180℃、射出圧力45〜70kg/cm2、射出時間0.5〜10秒、ノズル温度175〜185℃等が採用できる。
また、金型の加熱温度は、30〜130℃であることが好ましい。なお、射出成形されたポリマーアロイの金型内での保持時間(冷却時間)は、例えば30〜180秒であるのが好ましい。
本発明の成形品の具体例としては、例えば、バンパー、インスツルメントパネルおよびドアトリム等の自動車用樹脂部品等、各種筐体等の電化製品用樹脂部品、コンテナーおよび栽培容器等の農業資材や農業機械用樹脂部品、浮きおよび水産加工品容器等の水産業務用樹脂部品、皿、コップおよびスプーン等の食器や食品容器、注射器や点滴容器等の医療用樹脂部品、ドレーン材、フェンス、収納箱および工事用配電盤等の住宅・土木・建築材用樹脂部品、並びにクーラーボックス、団扇および玩具等のレジャー、雑貨用樹脂部品、が挙げられる。また、フィルム、シート、パイプ等の押出成形品、および中空成形品等とすることもできる。
〈ポリマーアロイの特性〉
上記の方法によれば、耐衝撃性、耐熱性、そして柔軟性に優れた本発明のポリマーアロイおよびその成形品を得ることができる。
ポリマーアロイおよびその成形品の耐衝撃性は、JIS K7110に規定される測定方法により測定するIzod衝撃強度により評価することができる。Izod衝撃強度とは、所定の形状・寸法に作製した試験片の一端を固定し、これをハンマーによって打撃し、衝撃に要するエネルギーと試験片の断面積から得る、衝撃強さをいう。Izod衝撃強度は、例えば、Izod衝撃試験機(安田精機製作所(株)製)などを用いて測定することができる。本発明のポリマーアロイおよびその成形品は、Izod衝撃強度が4.0kJ/m2以上であれば、良好な耐衝撃性を有していると評価できる。
ポリマーアロイおよびその成形品の耐熱性は、JIS K7191に規定される測定方法により測定する荷重たわみ温度により評価することができる。荷重たわみ温度とは、一定速度で昇温したときにプラスチックの単純ばりが規定された荷重の下で一定量だけたわむときの温度をいう。荷重たわみ温度は、例えば、自動ディストーションテスター(安田精機製作所(株)製)などを用いて測定することができる。本発明のポリマーアロイおよびその成形品は、荷重たわみ温度が115℃以上であれば、良好な耐熱性を有していると評価できる。
ポリマーアロイおよびその成形品の柔軟性は、JIS K7161に規定される測定方法により測定する引張破断伸びにより評価することができる。引張破断伸びは、例えば、オートグラフInstoron 5566(インストロン(株)製)などを用いて測定することができる。本発明のポリマーアロイおよびその成形品は、引張破断伸びが5%以上であれば、良好な柔軟性を有していると評価できる。
1.成形品の作製
(材料)
以下の材料を使用して、実施例1および比較例1〜6の成形品を作製した。
(A)ポリ乳酸:LACEA H-100J(三井化学(株)製)
(B)ポリプロピレン:荷重たわみ温度(JIS K7110B法):115℃、ノバテックBC03C(日本ポリプロ(株)製)
(C)D-乳酸と糖類との共重合体:COPLA-D(D-乳酸(PURAC DLA 90(ピューラック社製)とデンプン(0.1質量%)からモノブチルスズオキシド(0.05質量%)を触媒とし、195℃、0.01kPaの条件下で12〜22時間直接重縮合反応を行って得た材料。西川ゴム社製(特許第3739003号))
(D)相溶化剤:
アクリル系ブロック共重合体、パラペットG(クラレ(株)製)
スチレン−ブタジエン共重合体、タフテックN501(旭化成(株)製)
水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(旭化成(株)製)
(E)柔軟性付与剤:
スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、SEPTON 2004(クラレ(株)製)
(実施例1)成形品Aの作製
(A)ポリ乳酸ペレット100重量部に対し、(C)D-乳酸と糖類との共重合体ペレットを5重量部配合し、2軸押出機(TEX-30α、日本製鋼所(株)製)で溶融混練してペレットを得た
。このとき、2軸押出機での樹脂溶融温度は190℃以下とした。
その後、得られたD-乳酸と糖類との共重合体入りポリ乳酸ペレット中のポリ乳酸成分100重量部に対し、(B)ポリプロピレン85重量部、(D)相溶化剤5重量部、(E)柔軟性付与剤5重量部を配合して2軸押出機により190℃以下で溶融混練して押出し、ポリマーアロイのペレットを得た。
得られたポリマーアロイペレットを180℃で射出成形してポリマーアロイ成形品を作製した。このときの金型温度は40℃、成形サイクルの時間は40秒とした。得られた成形品を110℃に保った熱風乾燥オーブン(熱風循環式定温恒温機そよかぜ、イスズ製作所(株)製)で15分間アニーリングしてポリ乳酸成分を結晶化し、ポリマーアロイ成形品Aを得た。得られた成形品Aを、恒湿機中で温度23℃、湿度50%の状態で48時間以上静置して樹脂の状態を安定化させ、各物性を測定した。
(実施例2)成形品Bの作製
(C)D-乳酸と糖類との共重合体の配合量を、(A)ポリ乳酸100重量部に対して2.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして成形品Bを作製し、各物性を測定した。
(実施例3)成形品Cの作製
(D)相溶化剤であるアクリル系ブロック共重合体の配合量を、(A)ポリ乳酸100重量部に対して2.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして成形品Cを作製し、各物性を測定した。
(実施例4)成形品Dの作製
(E)柔軟性付与剤であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体の配合量を、(A)ポリ乳酸100重量部に対して2.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして成形品Dを作製し、各物性を測定した。
(実施例5および6)成形品EおよびFの作製
(D)相溶化剤としてスチレン−ブタジエン共重合体(成形品E)、または水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(成形品F)を用いた以外は、実施例1と同様にして、成形品EおよびFを作製した。
(実施例7)成形品Gの作製
実施例1で2段混練により作製した成形品Aに対し、同時混練で成形品Gを作製した。(A)ポリ乳酸ペレット100重量部に対し、(C)D-乳酸と糖類との共重合体ペレットを5重量部、(B)ポリプロピレンを85重量部、(D)相溶化剤5重量部、(E)柔軟性付与剤5重量部を配合して2軸押出機により190℃以下で溶融混練して押出し、ポリマーアロイのペレットを得た。(同時混練)当該ペレットを射出成形して成形品Gを得た後、成形品Gを実施例1と同じ条件でアニーリングした。実施例1と同じ条件で成形品Gの状態を安定化させた後、各物性を評価した。
(実施例8)成形品Hの作製
(D)相溶化剤であるアクリル系ブロック共重合体を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして成形品Hを作製し、各物性を評価した。
(実施例9)成形品Iの作製
(E)柔軟性付与剤であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして成形品Iを作製し、各物性を評価した。
(比較例1)成形品aの作製
(A)ポリ乳酸を180℃で射出成形し、成形品aを得た。このときの金型温度は40℃、成形サイクルの時間は40秒とした。得られた成形品は110℃に保った熱風乾燥オーブンで15分間アニーリングし、ポリ乳酸を結晶化した。その後、実施例1と同じ条件で成形品aを安定化させた後、各物性を評価した。
(比較例2)成形品bの作製
(B)ポリプロピレンを180℃で射出成形し、成形品bを得た。このときの金型温度は40℃、成形サイクルの時間は40秒した。その後、実施例1と同じ条件で成形品bを安定化させた後、各物性を評価した。
(比較例3)成形品cの作製
(A)ポリ乳酸100重量部に対し、(B)ポリプロピレン85重量部配合して2軸押出機により190℃以下で溶融混練して押出し、ペレットを得た。得られたペレットを射出成形し、成形品を得た後、成形品cを実施例と同じ条件でアニーリングした。その後、実施例1と同じ条件で成形品cを安定化させた後、各物性を評価した。
(比較例4)成形品dの作製
(C)D-乳酸と糖類との共重合体であるCOPLA-Dを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして成形品dを作製し、各物性を評価した。
2.成形品の物性評価
下記(1)〜(4)の手順により成形品A〜Iおよび成形品a〜dの物性を評価した。各成形品の配合処方および物性を表1に示す。
(1) 荷重たわみ温度
自動ディストーションテスターNO148HD-PC(安田精機製作所(株)製)を用いて、JIS K7191に規定する方法により、荷重0.45MPaの条件で測定した。
(2) Izod衝撃強度
Izod衝撃試験装置(安田精機製作所(株)製)を用いて、JIS K7110に規定する方法により、ハンマーの秤量2.75Jの条件で測定した。
(3) 引張破断伸び
オートグラフInstron 5566(インストロン(株)製)を用いて、JIS K7161に規定する方法により、引張速度5mm/minの条件で測定した。
(4) 成形性
金型温度110℃、冷却時間120秒の成形条件において、表1に示す物性と同等な性能の成形品が得られた場合を○、成形できなかった(もち状で結晶化しなかった)場合を×とした。成形できない場合、表1に示す物性と同等な性能を得るには、更なる冷却時間を必要とする。
Figure 2008280474
表1から分かるように(A)ポリ乳酸と(B)ポリプロピレンを少なくとも含む配合の内、(C)D-乳酸と糖類との共重合体を含んでいる成形品A〜Iは成形性に優れており、冷却時間120秒でも表1に示す物性と同等な材料を成形できた。これは(C)D-乳酸と糖類との共重合体が(A)ポリ乳酸の結晶化を促進しているためと考えられた。これに関しては特許第3739003号公報にその記載がある。
成形品H及びIは成形品cに(C)D-乳酸と糖類との共重合体を加え、更に(E)柔軟性付与剤、又は(D)相溶化剤を加えた配合であり、成形品cと比べて引張破断伸び又は/及びIzod衝撃強度の向上が見られ、(E)柔軟性付与剤、又は(D)相溶化剤が有意であることが分かった。
また、成形品A〜Gは、(A)ポリ乳酸からなる成形品a、および(B)ポリプロピレンからなる成形品bと比較して、荷重たわみ温度、Izod衝撃強度、および引張破断伸びの相反する3つの物性をバランス良く両立しており、上記の良好なIzod衝撃強度(4.0kJ/m2以上)、荷重たわみ温度(115℃以上)、および引張破断伸び(5%以上)をほぼ満足した。
(C)D-乳酸と糖類との共重合体、(D)相溶化剤、および(E)柔軟性付与剤を用いることなく、(A)ポリ乳酸と(B)ポリプロピレンとを配合して得た成形品cは、成形品Aと比較してIzod衝撃強度と引張破断伸びが大きく劣ることが分かった。
さらに、成形品Aの配合から(C)D-乳酸と糖類との共重合体を除いた成形品dと、成形品Aとを比較することにより、(C)D-乳酸と糖類との共重合体の配合により、成形品の耐衝撃性が高くなると伴にその標準偏差が小さくなっており生産性に優れることが分かった。また、成形品Aの配合から(D)相溶化剤を除いた成形品e、および(E)柔軟性付与剤を除いた成形品fと、成形品Aとを比較することにより、(D)相溶化剤と(E)柔軟性付与剤の配合が有意であることが分かった。
成形品Aの(C)D-乳酸と糖類との共重合体、(D)相溶化剤、および(E)柔軟性付与剤の配合量を、ポリ乳酸100重量部に対し、5重量部から2.5重量部へとそれぞれ変化させた成形品B〜Dは、成形品Aと比較して、耐熱性はほぼ変わらなかったが、耐衝撃性はやや低下した。
成形品Aは(D)相溶化剤として、アクリル系ブロック共重合体を配合したのに対し、スチレン−ブタジエン共重合体(成形品E)または水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(成形品F)を配合した成形品EまたはFは、(D)相溶化剤を配合しなかった成形品eと比較して、成形品Aと同様に耐熱性および耐衝撃性の向上が見られた。また、成形品A、EおよびFを比較すると、性能のバランスが良いのは成形品Aであった。
2段混練することにより得たポリマーアロイから製造した成形品Aに対し、成形品Gは、全ての材料(A)〜(E)を一度の溶融混練(同時混練)することにより得たポリマーアロイから製造した成形品である。成形品AとGの物性を比較すると、成形品Gは成形品Aと同じ配合比であるにもかかわらず、成形品Aと比較してその物性が低下した。この結果から、同時混練より2段混練して製造することにより、優れた特性のポリマーアロイが得られることが分かった。
これらの結果から、成形品A〜Iの中でも、特に成形品Aの配合および製造方法で得られるポリマーアロイ成形品は、耐衝撃性、耐熱性、および柔軟性の相反する3つの物性を高いバランスで両立することが分かった。

Claims (12)

  1. (A)ポリ乳酸、(B)ポリプロピレン、および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を含有するポリマーアロイ。
  2. (A)ポリ乳酸100重量部に対し、(B)ポリプロピレンを60〜100重量部、および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を含有するポリマーアロイを1〜10重量部を含有する請求項1に記載のポリマーアロイ。
  3. (B)ポリプロピレンの荷重たわみ温度(JIS K7191、荷重0.45MPa)が100℃以上である請求項1または2に記載のポリマーアロイ。
  4. (C)D-乳酸と糖類との共重合体が、D-乳酸とデンプンとの共重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーアロイ。
  5. (D)相溶化剤をさらに含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーアロイ。
  6. (A)ポリ乳酸100重量部に対し、(D)相溶化剤を2〜10重量部含有する請求項5に記載のポリマーアロイ。
  7. (D)相溶化剤が、アクリル系ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、2重結合部分を水素添加したスチレン−ブタジエン共重体から選択される少なくとも1種類である請求項5または6に記載のポリマーアロイ。
  8. (E)柔軟性付与剤をさらに含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーアロイ。
  9. (A)ポリ乳酸100重量部に対し、(E)柔軟性付与剤を2〜10重量部含有する請求項8に記載のポリマーアロイ。
  10. (E)柔軟性付与剤がスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体から選択される少なくとも1種類である請求項8または9に記載のポリマーアロイ。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載されるポリマーアロイを成形してなる成形品。
  12. 以下の工程を含むポリマーアロイの製造方法。
    (1) (A)ポリ乳酸および(C)D-乳酸と糖類との共重合体を溶融混練する工程
    (2) さらに(B)ポリプロピレン、(D)相溶化剤、および(E)柔軟性付与剤を配合し、再度溶融混練する工程
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