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JP2008276898A - 磁気記録媒体の製造方法および磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法および磁気記録装置 Download PDF

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Shoichi Miyahara
昭一 宮原
Tetsukazu Nakamura
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Abstract

【課題】DLC保護膜の薄膜化するとともに、充分な性能を持つDLC保護膜の成膜方法、薄膜化したDLC保護膜を有する磁気記録媒体を備えることを特徴とする磁気記録装置を提供する。
【解決手段】基板上に少なくとも記録層、保護膜を設けた磁気記録媒体において、該保護膜が磁気記録媒体用保護膜であり、該磁気記録媒体用保護膜と記録層の間に遷移層を有する磁気記録媒体。該遷移層を薄くするために、プラズマCVD法による磁気記録媒体用保護膜の成膜工程において、負のバイアス電圧を増加しながら成膜することを特徴とする成膜方法および磁気記録装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気記録媒体の製造方法および情報処理などの分野で多用されている磁気記録装置に関するものである。
磁気記録装置は、コンピュータや各種情報端末などの外部記憶装置として一般に広く使用されている。現在の磁気記録媒体は、硬質非磁性基板上に良好な磁気特性を示すコバルト系合金等からなる磁性薄膜を記録層として使用しているが、磁気ヘッドとの接触、摺動による摩耗や湿気吸着による腐食により、磁気特性の劣化や機械的また化学的損傷が生じ易い。そこで現状では、磁気ヘッドとの接触によるヘッドクラッシュを防ぐために、磁気記録媒体の表面に、磁性膜を摩耗や腐食から守る磁気記録媒体用保護膜がコーティングされている。
図1は従来の磁気記録媒体の構造を説明するための断面構造図であり、1は基板、2は記録層、3は保護膜、4は潤滑膜をそれぞれ示している。耐熱性、耐蝕性および耐摩耗性の点で優れるダイヤモンド状炭素(Diamond Like Carbon)から保護膜(以下、DLC保護膜とする)が磁気記録媒体および磁気ヘッドの保護膜として好適であり、現在多くの磁気記録装置で適用されている。
DLC保護膜として高い硬度を有することが要求される。フィルタードカソーディックアーク(Filtered Cathodic Arc)法(以下FCA法とする)は、得られる膜の硬度が高いことで注目されている(例えば、非特許文献1)。これは、炭素イオンのみで成膜するため、水素の混入が少なく、それによって硬度低下の原因であるC-H結合の生成が抑えられるため高硬度のDLC保護膜が得られる。しかしながら、FCA法では、アーク放電で大きな粒子が発生しやすく、偏向型質量分析器を通して大きな粒子を分別しているが、完全に分別できず、粒子が基板に付着してしまう問題がある。このような粒子は、ヘッドクラッシュの原因となってしまう。さらに、アーク放電の制御は難しく、成膜速度、膜厚分布の均一化の課題も残っている。従って、現状では、成膜面積の小さいヘッド保護膜での適用に支障のないレベルとなっているが、成膜面積の大きい磁気記録媒体では量産できる状況に至っていない。
一方、磁気記録装置のDLC保護膜としての応用では、スパッタ法が長い間主流の成膜方法として用いられてきたが、薄膜化技術の進行とともに、現在では、緻密で被覆率の高い膜が形成できるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法による成膜が主流となっている。プラズマCVD法においては、炭化水素系ガスをチャンバー内に導入した後、プラズマ化した炭化水素ガスを分解させ、磁気記録媒体へ負バイアス電圧を印加して炭素イオンを堆積させる方法である。
近年の情報化社会ではあらゆる用途において、取り扱う情報量が増大傾向にあり、これに伴って磁気記録装置は、一層の高記録密度化、大容量化が切望されている。高記録密度化への要求に応えるためには、記録層と磁気ヘッドとの間隔、いわゆる磁気スペーシングを小さくすることが不可欠である。磁気スペーシングを小さくするためには、DLC保護膜自身のさらなる薄層化が必要であり、量産性に優れるプラズマCVD 法により形成されたDLC保護膜のニーズが高まってきた。ところが、薄層化の進展とともに、膜の被覆性、硬度、耐食性、信頼性の改善が必要となり、高信頼性と薄膜化の両立が課題となっている。
これらプラズマCVD 法により形成されたDLC保護膜の特性を改善するために、種々の改善する方法が試みられている(例えば、特許文献1,2)。しかしながら、十分な性能を得るに至っていない。
H.Hyodo et al, IEEE Trans. Mag., No37, p1789-1791 (2001) 特許第3034241号 特開2004-269991号公報
そこで、本発明は、プラズマCVD法によるDLC保護膜を成膜する工程において、DLC保護膜の記録層に近い部分の構造に着目することによって高信頼性と薄膜化を両立する磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的としている。さらに、この製造方法により製造された磁気記録媒体とこれを搭載する磁気記録装置を提供することを目的としている。
本発明の態様の一つは、記録層上にプラズマCVD法によるDLC保護膜を有する磁気記録媒体の製造方法において、DLC保護膜の成膜開始時のバイアス電圧が、成膜終了時のバイアス電圧より低いことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法、である。
また、本発明の他の態様は、上記磁気記録媒体を備えることを特徴とする磁気記録装置、である。
以上説明した通り、本発明の成膜方法により、遷移層を薄くすることで、十分な機械的および化学的性能を維持したままDLC保護膜の薄膜化が実現でき、また、薄膜化したDLC保護膜を有する磁気記録媒体、および薄膜化したDLC保護膜を有する磁気記録媒体を備える磁気記録装置を提供できる。このため、磁気スペーシングをより小さくすることができる。また、記録密度と信頼性を向上することもできる。
図2は、平行平板型プラズマCVD装置10の概略図である。基板14は第1の電極12上に設置され、チャンバ11内は真空度5×10-5Paまで排気する。その後炭化水素系の原料ガス、例えばCH4をマスフローコントローラ(図示せず)で所望の流量で調整してチャンバ11内に供給して、所望の圧力に維持する。そして、基板14が取り付けられた第1の電極12に、バイアス電圧として直流バイアス電源から出力される電圧を印加する。また、RF電源17から第2の電極13に周波数13.56MHzの高周波電力を供給して、プラズマを発生させる。プラズマ発生域と基板14はシャッター15で隔離されており、シャッター15を開閉することで成膜時間の制御を行っている。
以下に、本発明について具体的に説明する。
図3、図4は本発明の実施形態の磁気記録媒体の構造を示す断面図である。本実施形態の磁気記録媒体は、基板21と、その上に形成された記録層22、DLC保護層23、及び潤滑膜24とより構成されている。
基板21は、アルミニウム合金又はガラスからなり、例えば直径が3.5インチあるいは2.5インチのディスク状の部材である。表面の硬度と平坦性を確保するために基板21上に非磁性のNiPからなる層(図示せず)を設ける場合もある。
記録層22は、長手記録、垂直記録、あるいはパターンドメディアに用いられる記録層であれば、どのような記録層であっても本発明に適用することができる。例えば、Coを含有する記録層を用い、CoCrPt、CoCrTa、CoCrPtとSiO2からなるグラニュラー膜などを用い、50nm程度の厚さをスパッタ法により成膜される。
DLC保護膜23は、前述したように図2に示したプラズマCVD装置10を用いて成膜される。通常、プラズマCVD法によるDLC保護膜の成膜は、ガス状の原料が電場などで励起され、励起された炭素ラジカルが基板上に移送されることで、硬質の炭素膜が得られる。
DLC保護膜23と記録層22との界面に、DLC保護膜の主成分である炭素(C)と記録層成分であるコバルト(Co)等とがミキシングした層23a(以下、遷移層と呼ぶ)が生じる。この遷移層23aは、プラズマに励起された炭素ラジカルが記録層22にアタックして、記録層22の成分であるコバルト(Co)等をはね上げることで形成されているものと考えられている。遷移層23aはミキシングのないDLC層23bに比べて機械的強度が低く、薄膜化に伴い耐食性の低い金属であるCoなどがDLC層23bの表面に溶出するようになると、耐食性が低下すると言った問題が生じる。発明者らによる鋭意検討の結果、DLC保護膜23の薄膜化に伴い性能と信頼性を維持するため、DLC保護膜の成膜条件を制御することにより解決されることを見出した。
潤滑膜24は、DLC保護膜23の上にPFPE(パーフルオロポリエーテル)系の潤滑剤(例えば、伊アウジモンド社製のFomblim AM3001等)をディップ法により1nmの厚さで付着させて形成したものである。
本発明のDLC保護膜23は遷移層23aとその上にあるDLC層23bから構成されている。発明者らによる鋭意検討の結果、遷移層の厚みは成膜過程中の成膜エネルギーの強度と関係していることを見出した。本発明は、遷移層3aを薄くすることによって、DLC保護膜として性能を落とさずに薄層化することで、磁気スペーシングを小さくするものである。
成膜エネルギーの強度は、RF電源の放電電圧、電流およびガス圧、または第1の電極に印加するバイアス電圧により制御することができる。プラズマ放電電圧、電流を高くするか、あるいはガス圧を低くするか、または、バイアス電圧の絶対値を高くすることで、成膜エネルギーを高くできる。逆に、プラズマ放電電圧、電流を低くするか、あるいはガス圧を高くするか、または、バイアス電圧の絶対値を低くすることで、成膜エネルギーを低くできる。以下、成膜エネルギーが高い成膜条件を強エネルギー条件と呼び、成膜エネルギーが低い成膜条件を弱エネルギー条件と呼ぶ。
プラズマCVD法により形成したDLC保護膜の遷移層は、成膜過程中の成膜エネルギーの強度を制御することで膜厚を制御することができる。強エネルギー条件では、コバルト(Co)等をはね上がる量が多く、はね上がる高度も高いが、緻密かつ高硬度なDLC保護膜を得ることができる。しかし、コバルトと炭素の化合物であるカーバイドが生成し易く、遷移層が厚くなってしまって、DLC保護膜を薄層化することが困難である。一方、弱エネルギー条件で成膜すると、遷移層を薄くすることが出来るが、膜の緻密性と硬度が問題となる。
そこで、本発明は、プラズマCVD法によるDLC保護膜の成膜条件として、成膜工程中に、当初の弱エネルギー条件から、エネルギーが段階的、若しくは連続的に強エネルギー条件に変化させることによって、遷移層を薄くするとともに、充分な機械的および化学的な性能を持つDLC保護膜を有する磁気記録媒体を提供するものである。
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等及び説明は本発明の例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属することは言うまでもない。なお、図中、同一の番号は同一の要素を指す。
図5は、磁気記録装置の構造を示す概略図である。磁気記録装置は、磁気記録媒体5と、磁気ヘッドを搭載したヘッドスライダ7と、磁気記録媒体5の回転機構6(例えばスピンドルモータ)と、ヘッドの位置決め機構9および記録再生信号の処理回路8(リードライトアンプ等)を主要構成要素として構成されている。
磁気記録媒体5はモータにより回転される。この磁気記録媒体5の上に、スライダー7に搭載された磁気ヘッドが配置される。磁気ヘッドを介して、磁気記録媒体5にデータが書き込まれ、又は磁気記録媒体からデータが読み出される。磁気ヘッドはアクチュエータにより、磁気記録媒体の半径方向に移動される。
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。なお、各物性値は次のようにして測定した。
[耐久性試験]
DLC保護膜の耐久性試験としては、POD(ピン・オン・ディスク)耐久試験により評価した。これは、DLC保護膜上にアルミナのピンを接触させ、周速0.25 m/secで500周回摺動させた後、DLC保護膜表面の破壊状態を観察することで、耐久性を評価する方法である。破壊状態の確認は、摩擦力の変化、磁気記録媒体表面に発生する摺動痕、電子顕微鏡観察でDLC保護膜が消失している部分が見られるか否か等によって判断する。
[耐食試験]
耐食試験としては、記録層材料として使われているCoの溶出試験により行った。
Co溶出状態の分析方法は、DLC保護膜上へ希硝酸を2ml滴下し、1時間放置後に滴下した希硝酸を吸い出して回収し、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)により希硝酸中のCo量を分析することにより行った。
[遷移層の膜厚]
XPS(X線光電子分光法)により遷移層膜厚を求める。多層構造を有する試料の厚さと光電子強度との関係が式(1)で表わされる。
具体的にはDLC保護膜を成膜した試料について、XPS測定を行い、遷移層成分であるカーバイドの光電子強度Ikとその下の記録層成分であるコバルトの光電子強度ICoの比率を求め、各試料のIkとICoを下記式(1)に入力し、数値計算法(ニュートン法)により遷移層膜厚dを求める。
この計算において、膜構造を単一化し、カーバイドの構造をCo3Cと仮定する。
Figure 2008276898

ここで、dは遷移層膜厚である。Ikはカーバイドの光電子強度、ICoはコバルトの光電子強度である。本発明において、1nmのDLC保護膜を成膜して、XPSにより光電子強度の比率を求めた。XPSでは、ある程度の深さ(平均自由行程の3倍程度)までの積算された元素比が分析される。本発明において、試料の表面から数(3〜6)nmまでの範囲の光電子強度の比率を用いた。
nkはカーバイドの原子数密度、nCoはコバルトの原子数密度である。nk/ nCoは、下記の式(2)により計算される。
Figure 2008276898
ここで、ρkはカーバイドの密度、ρCoは コバルトの密度、MCoはコバルトの原子量、MCは炭素の原子量である。例えば、ρk=8.427g/cm3、ρCo=8.9g/cm3、MCo=58.9332、MC=12.011を用いた場合、nk/ nCo=0.295540である。
θは、光電子の検出位置を表す。本発明においては、試料表面法線方向の光電子を検出するために、θ=90°で検出した。
λk1sは、遷移層成分であるカーバイドの1s光電子の平均自由行程、λCo2p3/2は、記録層成分であるコバルトの2p3/2光電子の平均自由行程である。各々、下記の式により求められる。
λk1s=0.72a (aEk1s)1/2
λCo2p3/2=0.72a(aECo2P3/2)1/2
ここで、aはカーバイド構造中の単原子層厚、Ek1sはカーバイド光電子の運動エネルギー、ECo2P3/2はコバルト光電子の電子運動エネルギーである。a=0.210304nm、Ek1s=970eV、 ECo2P3/2=475.6eVを用いた。
[膜厚]
TEM(透過型電子顕微鏡)で成膜した膜厚を計ることによって、成膜レートを求めた。
プラズマCVD法による成膜条件としては、炭化水素および水素を原料ガスとして、プラズマ出力1000W、成膜室内のガス圧は4Pa、基板にバイアス電圧を印加して、下記の実施例および比較例を行った。
(実施例1)
基板上にコバルトを含有する磁性材料からなる記録層を積層した後、DLC保護膜を成膜した。
DLC保護膜の成膜条件は、基板に開始バイアス電圧として100Vを印加し、1.0秒間成膜を行った後、続けてバイアス電圧を300Vに増加し、2.0秒間成膜工程を行った。具体的には、まず、チャンバー11内を排気し、その後基板14上に設置されているシャッタ15が閉じた状態で原料ガスを導入し、チャンバー11内に置かれた平行平板の第2の電極13にRF電力を印加し、第1の電極12にはバイアス電圧を印加する。ガス圧とバイアス電圧が設定値になったらプラズマを立て、シャッタ12を開いて、成膜を開始する。所望の成膜時間が経過後シャッタ12を閉じ、成膜を終了する。本発明では、成膜中バイアス電圧を変更するときは、プラズマを切らずにシャッタ12も開いたまま行う。シャッタを一度閉じてしまうと、その間にDLC保護膜にコンタミなどが堆積してしまい、最悪の場合ヘッドクラッシュが発生する可能性があり、これによる品質低下を防止するためである。
成膜開始後一定時間バイアス電圧を一定に保つ理由は、記録層に直接プラズマイオンが衝突する成膜開始時には、跳ね上がるCo粒子をできるだけ少なくするために弱エネルギー条件で成膜し、遷移層厚を薄くする必要があるからである。記録層表面にDLC保護膜がある程度被覆された後、強エネルギー条件での成膜に切り替えることでDLC保護膜の表面には緻密な膜を形成することができる。
また、DLC保護膜を形成した後、その表面にパーフルオロポリエーテルを成分とする潤滑剤をスピン法またはディップ法で塗布する。
図6に本実施例におけるバイアス電圧のプロファイルを示す。
本実施例によって形成したDLC保護膜の硬度は13GPa以上を得ることができ、POD試験により評価したが、DLC保護膜の破壊は見られなかった。また、図9に示すように、遷移層の膜厚は0.5nm以下であり、図10に示すように、Coの溶出量は0.2μg/m2と少なく、要求される耐食性としては十分であった。
(実施例2)
実施例1と同じ条件で成膜した記録層までを積層した後、DLC保護膜の成膜を行った。図7に示すように、DLC保護膜の成膜条件としては、基板に開始バイアス電圧として100Vを印加し、0.5秒間成膜を行った後、続けて2.5秒間、終了バイアス電圧を300Vになるまで連続的に電圧を増加させながら、成膜工程を行った。また、実施例1と同様に、DLC保護膜を形成した後、その表面に潤滑剤を塗布する。
本実施例によって形成したDLC保護膜の硬度は13GPa以上を得ることができ、POD試験により評価したが、DLC保護膜の破壊は見られなかった。また、図9に示すように、本遷移層の膜厚は0.5nm以下であり、図10に示すように、Coの溶出量は0.2μg/m2少なく、要求される耐食性としては十分であった。
(比較例1)
実施例1と同じ条件で成膜した記録層上に、基板に100V一定のバイアス電圧を印加して4nmのDLC保護膜を成膜した。また、実施例1と同様に、DLC保護膜を形成した後、その表面に潤滑剤を塗布する。
図9に示すように、遷移層の膜厚は0.5nm以下薄くすることができ、また、図10に示すように、Coの溶出量は0.2μg/m2に低くすることができるが、DLC保護膜の硬度は7GPaに低下し、保護膜として十分な硬度を得ることはできない。
(比較例2)
実施例1と同じ条件で成膜した記録層上に、基板に300V一定のバイアス電圧を印加して4nmのDLC保護膜を成膜した。また、実施例1と同様に、DLC保護膜を形成した後、その表面に潤滑剤を塗布する。
図9に示したように、形成したDLC保護膜の硬度は13GPaまで高くすることができるが、遷移層の膜厚の計算結果は1.2nm以上厚くなる。
また、図10に示すように、Coの溶出量は0.8μg/m2までに増大し、耐食性は不十分である。
(比較例3)
実施例1と同じ条件で成膜した記録層上に、基板に600Vのバイアス電圧を印加して4nmのDLC保護膜を成膜した。また、実施例1と同様に、DLC保護膜を形成した後、その表面に潤滑剤を塗布する。
図9に示すように、形成したDLC保護膜の硬度は300V印加時に比べて10.7GPaまで低下した。また、遷移層の膜厚の計算結果は3.8nm以上とさらに厚くなる。
また、図10に示すように、Coの溶出量も5μg/m2までにさらに増大し、耐食性はさらに低くなる。
図8は、成膜のバイアス電圧と膜硬度の関係を示す。バイアス電圧の増加とともに、膜の硬度が増加し、300〜400Vの条件では膜の硬度は最も高くなり、バイアス電圧をさらに増加すると、膜の硬度は低下する。従来のプラズマCVD法では、高い硬度を得るためだけを目的として、比較例2のようにバイアス電圧は300〜400Vに一定して、成膜工程を行っていた。これに対し、本発明では、成膜終了バイアス電圧を300Vにすることにより従来プラズマCVD法による形成したDLC保護膜と同程度の硬度が得られた。また、成膜開始バイアス電圧を100Vにすることで、遷移層膜厚を薄くすることで、保護膜全体の膜厚を薄くできた。これにより、磁気スペーシングを小さくすることができ、記録密度を向上させることができる。さらに、Coの溶出量も抑えられるため、薄膜化しているにも関わらず、耐食性も維持することができる。
以上の説明のように、本発明は、基板に印加するバイアス電圧を成膜中に時間とともに段階的に、または連続的に増加させることで、成膜開始の200V以下から成膜終了の400Vまでに上がることにより、高信頼性、高硬度、高耐腐食性DLC保護膜を提供することができた。
以上詳述した本発明は、以下の様な特徴の構成を有する。
(付記1) 記録層上にプラズマCVD法によるダイヤモンド状炭素からなる磁気記録媒体用保護膜の成膜方法において、DLC保護膜の成膜開始時のバイアス電圧が、成膜終了時のバイアス電圧より低いことを特徴とする磁気記録媒体用保護膜を有する磁気記録媒体の製造方法。(1)
(付記2)前記バイアス電圧が、成膜開始から所定時間一定のバイアス電圧を印加することを特徴とする付記1に記載の磁気記録媒体の製造方法。(2)
(付記3)前記所定の時間経過後、成膜終了までの間、バイアス電圧を連続的に増加することを特徴とする付記2に記載の磁気記録媒体の製造方法。(3)
(付記4)前記所定の時間経過後、成膜終了までの間、バイアス電圧を段階的に増加することを特徴とする付記2に記載の磁気記録媒体の製造方法。(4)
(付記5)前記バイアス電圧は、成膜開始時のバイアス電圧が100〜200V、成膜終了時が200〜400Vであることを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記6)付記1〜5記載の磁気記録媒体による製造された磁気記録媒体。(5)
(付記7)記録層と磁気記録媒体用保護膜の界面にある遷移層の膜厚が、0.3〜1nmであることを特徴とする付記6に記載の磁気記録媒体。
(付記8)記録層として、少なくともコバルトを含有する磁性材料を用いた場合、前記保護膜の硬度は10〜20GPaであり、Co溶出量は0.2〜0.5μg/m2に抑えることを特徴とする付記6あるいは付記7に記載の磁気記録媒体。
(付記9)付記6〜8のいずれかに記載の磁気記録媒体を備えることを特徴とする磁気記録装置。(6)
従来の磁気記録媒体の断面構造図。 本発明に使用されるプラズマCVD装置の概略図。 実施例1に形成した膜の構成説明図。 実施例2に形成した膜の構成説明図。 磁気記録装置の構造を示す概略図。 実施例1におけるバイアス電圧のプロファイル。 実施例2におけるバイアス電圧のプロファイル。 成膜工程のバイアス電圧と膜硬度の関係。 遷移層膜厚換算値。 Co溶出量。
符号の説明
1 基板
2 記録層
3 DLC保護膜
4 潤滑膜
5 磁気記録媒体
6 回転機構
7 ヘッドスライダ
8 記録再生信号の処理回路
9 ヘッドの位置決め機構
10 プラズマCVD装置
11 チャンバ
12 第1の電極
13 第2の電極
14 基板
15 シャッター
16 直流バイアス電源
17 RF電源
21 基板
22 記録層
23 DLC保護膜
23a 遷移層
23b DLC層
24 潤滑膜
S 強エネルギー条件による成膜した領域
W 弱エネルギー条件による成膜した領域

Claims (5)

  1. 記録層上にプラズマCVD法によるダイヤモンド状炭素からなる磁気記録媒体用保護膜を有する磁気記録媒体の製造方法おいて、DLC保護膜の成膜開始時のバイアス電圧が、成膜終了時のバイアス電圧より低いことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記バイアス電圧が、成膜開始から所定時間一定のバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の成膜方法。
  3. 前記所定の時間経過後、成膜終了までの間、バイアス電圧を連続的に増加することを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体の成膜方法。
  4. 前記所定の時間経過後、成膜終了までの間、バイアス電圧を段階的に増加することを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造された磁気記録媒体を備えることを特徴とする磁気記録装置。

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